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1947/07/05 第2回国会 参議院 参議院会議録情報 第002回国会 文教委員会 第11号
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1947/07/05 第2回国会 参議院

参議院会議録情報 第002回国会 文教委員会 第11号

#1
第002回国会 文教委員会 第11号
昭和二十三年七月五日(月曜日)
   午後二四時十分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○教育委員会法案(内閣提出、衆議院
 送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(田中耕太郎君) これより委員会を開会いたします。速記を止めて……。
   午後二時四十一分速記中止
   ―――――・―――――
   午後四時四十四分速記開始
#3
○委員長(田中耕太郎君) 速記を始めて……。それではこれで休憩いたします。
   午後四時四十五分休憩
   ―――――・―――――
   午後五時五十五分開会
#4
○委員長(田中耕太郎君) それでは委員会を開会いたします。先程小野委員から御要求になりました地方財政委員会の政府委員の方が答弁に來られましたから、御質問を願います。
#5
○小野光洋君 本日はこの地方教育委員会の財源の問題について、地方財政委員会の委員長の御出席を願つて、この問題についての御答弁を願いたいと思つたのでありますが、委員長には御出席ができないということでありますので、代りの政府委員から御答弁があるそうでありますが、私はこの御答弁は、委員長たる大臣の御答弁と同樣な國務上の責任を持つた御答弁であるものと考えまするが、その点差支えありませんか。
#6
○政府委員(荻田保君) 大臣は外の委員会に出ておりますので、私が代つたわけでございますから、事務局長といたしまして御答弁いたすつもりであります。
#7
○小野光洋君 そうすると事務局長としての御責任と、大臣の御責任は必ずして同一でないと考えなければなりませんが、この問題につきましては大臣の御答弁と同樣に認めてもよろしゆうございますか、重ねてお答え願います。
#8
○政府委員(荻田保君) すべて事務は委員長の命を受けてやつておりますので、その範囲内において御答弁いたします。
#9
○小野光洋君 それでは大臣から委託を受けた程度において、大臣と同樣の責任のある御答弁であると考えまして御質問申上げます。教育委員会法には、第五條に「教育委員会に要する経費は、当該地方公共團体の負担とする。」ということが揚げてあり、衆議院の修正案第六條に、教育委員会に要する経費及びその所掌に係る経費は國庫からこれを補助することができると、本委員会の運営に関する経費の問題が定めてあるのであります。原則的には第五條であり、第六條はそれを補うということになつておるのでありまするが、文部当局の御答弁によりますと、教育委員会の運営に関する経費は地方團体の負担であるが、その財源はすべて國庫から地方に財源を移讓し、これを以て地方費の負担に当るのである。從つて地方公共團体の積極的な本委員会を創設したために生ずる負担の増額ということには相成らん。そうして又これについての財政的な処置については、すべて地方財政委員会においてこれを賄うことを確約いたしておる。こういうようなお話でおりましたが、併しその内容の具体性、或いは確約というような言葉の上の話でありまして、私共は尚進んで本委員会が設置運営されるに至りました場合に、これにいろいろ誤解や齟齬を來たすようなことがありますると、地方財務当局に與える影響が極めて甚大でありまするから、ここに改めて地方財政委員会委員会長の、この問題についてのしつかりした御所見を伺つて置きたいと思うのであります。
#10
○政府委員(荻田保君) 御質問にお答えする前に大体地方財政、我々が扱つております地方財政の政府としての見方を先にお話して置けば分り易いと思います。地方財政は、これは申すまでもなく独立的な財政でありまして、國のように國会において議決された予算がそのまま適用になるのではないのでありまして、地方の歳入が幾らくらい取れるか、歳出が幾らくらい取れるか、それによつてバランスが合うということを政府で認めまして、それに基きまして、地方財政法なり、地方税法なりを作るわけであります。従いましてここに國のように、地方の歳入歳出についてのはつきりした予算があるというものではないのであります。そこで二十三年度はその問題をどう扱うかということにつきましては、先ずその從來からの費用につきましては、それは物價騰貴なり、或いは給料の値上げなりを見まして、その経費を全額見ておるのであります。それから次に新らしく起ります経費につきましては、それに必要な経費を一應の單價、規模を以ちまして測定いたしまして、それをプラスする、その場合に、これは新らしい費用でも古い費用でもそうでありまするが、國と地方でどう持つかということは、これはおのずから別の問題でありまして、例えば義務教管費の教員の俸給は、國と地方で半々ずつ持つ、そうしますと、その半分の國庫負担金は、御認知のように、國の予算に出る、地方の負担分は地方の一般財源として與えられておる、こういう問題になつて來るわけであります。そこでかようにいたしまして、地方の負担しなければならない計數というものが、昭和二十三年度において約二千億くらいになるのでありまして、それに必要な財源を何で與えるか、使用料とか手數料或いは財産の賣拂代とか、それに対しまして國庫の負担金がどれだけ來る、或いは起債をどれだけするというようなことにしまして、結局殘りを地方の税で以て取らなければならん。そこでそれだけの税を賄うに必要な地方税法を今回國会に提案しておるようなわけであります。そこでお話になりました地方教育委員会に要します費用は、これはこの法案を作ります際に文部省より連絡がありまして、大体平年度において五億円、初年度三億五千万円というものが要るという御連絡がありまして、この経費を地方の一般財源の需要の増加として、相当多額の経費が殖えておりますが、そのほんの一部分でありまするが、一部としてとにかくそれだけの数字を計上しておる。そうしてかようにしてできました新らしい新規財源の所要額、これに対しまして入場税を國税から委讓を受けるとか、或いは地税や家屋税を引上げるとか、分與税を殖やすとか、いろいろの措置を講じておるのであります。その意味におきまして、地方財政におきましては教育委員会の経費をこなして行くに必要な経費は、今回の地方税制改正において見ておるのわけであります。
#11
○小野光洋君 そうしますと、今の政府委員の答弁は、二十三年度には三億五千万円、平年度については五億円、文部省から要求額がある、この全額を地方に財源を委讓するということに相成つておるのでありまするが、先程お話の中にありましたように、義務教育費も半額國庫負担になつておるからということで、この三億五千万円乃至平年度五億円について、全額ではない、部分的でありまするかどうか。部分的だとするならば、その何部分くらいであるか、その点を一つ明らかにして頂きたいと思います。
#12
○政府委員(荻田保君) これは全額地方負担でございます。初めの案が全額地方の負担になつておりますから、全額地方の負担であります。從つて地方税においてその費用を賄うだけのものが見てあるわけであります。
#13
○小野光洋君 その金額地方負担であることは、この法案の示す通りでありまするが、その負担する財源は、國庫から丁度二億五千万円乃至平年度五億円に該当するものを委讓する計画になつておるかどうかということであります。
#14
○政府委員(荻田保君) 委讓するしかないかと言いますと、ちよつと語弊があると思いますが、それだけのものを地方税として、地方團体が賦課徴收し得るだけの税制を今回の地方税法において認めたわけであります。
#15
○小野光洋君 そうすると、結局これは地方税として地方がおのおの徴税して、徴收したものをこれに当てろ、こういうことでありまして、國庫負担では全然ないわけですね。特に國税として從來計上せられておつたものを地方税の中に入れて、丁度三億五千万円乃至五億円に該当するものを、或いはこれに該当しなくても、外のものも一緒になつておるかも知れませんが、すべて國庫の負担となるべきものを、地方にこれだけ委讓したということではないのです。
#16
○政府委員(荻田保君) これは國から直接負担金なりを出すということは、衆議院の修正案でありまして、政府案ではありません。國から直接二分の一なり、三分の一を地方に交付をするということは全然見ておりません。全額地方の税で賄うのでありまして、その地方税は、國から與えたものは入場税がありますし、配付税の増加がありますし、細かく言えば狩獵免許税の増加がありますし、どれがどれに当つておるということは申上げられません。
#17
○小野光洋君 そうすると、入場税その他の地方税を取つて、この中に入れるということでありますと、これは全然地方費負担であつて、財源を地方に委讓したという文部省の見解と違うようでありますが、その点、文部省当局の所見を伺いたい。
#18
○政府委員(岩木哲夫君) 文部省といたしましては、地方に委讓するという言葉は使つておらないのであります。只今地方財政の政府委員から御答弁申上げました通り、独立税の増強、例えば入場税、配付税、その他いろいろのものを委讓しまして、その委讓しました中から、地方費負担としてこの費用を負担するというような工合に、政府原案はなつておる次第であります。
#19
○小野光洋君 そうすると、本委員会の施行についての費用はすべて地方費負担である、ただ地方費負担の方法として課税をしろ、こういうことであるということ以外のものではないと思いますが、さように心得てよいのですか。
#20
○政府委員(岩木哲夫君) 本法案の原案の示しまするような工合に、当該地方公共團体の負担となつておる次第であります。ただ当該地方公共團体の負担であるが、その財源とする点は、入場税、配付税その他の独立税を地方へ分讓、委讓した中から地方に出して貰う、かように解釈願いたいと思います。
#21
○小野光洋君 入場税とか、その外の地方税は、從來の地方税で徴收いたしておるのでありまして、それでは地方税で勝手に税を取れということだけで、特にこのために地方に財源を委讓したとか何とかいうことにはならんのではないかと思います。必要な経費を取をということだけではないかと思います。これに対して、本委員会の運営に対して特に見合つて、これに該当するものを、國庫收入となるべきものを地方に委讓したというようなことにはならんと思うのでありますか、どの点がそういうことになるのですか。
#22
○政府委員(岩木哲夫君) これは只今申しました通り、今度、税制改革によりまして、一例を言いますれば、入場税とか、配付税とか、その他独立税を地方に相当大幅に委讓いたしました。その中から、これらのものを地方は負担して貰わなければいかんということを申上げておるのであります。
#23
○小野光洋君 そうすると、今まで委讓した地方税の徴收について、その中から適当にこの費用の負担をしろということであつて、特に委員会の設置に対して、特別にこれだけの財源を與えたぞというように指摘さるべきものは、何もないわけですね。
#24
○政府委員(萩田保君) 御質問になりますのは、恐らく目的税としまして、この税は教育委員会のために当てるという税を取つたか取らんかというようなことに帰結すると思いますが、そういうことは考とておりません。一般普通税において賄うように考えております。
#25
○小野光洋君 一般の税が殖えることも、特に目的税として教育税というものを徴收しろと私は申しておるのではありませんが、一般の税目の中におきましても、この分がこの費用の見返りとして、そちらにやるのだというような見当はついていないのか、そうすると、こういう委員会法ができても、できなくても、地方に委讓したものはそのまま取つて、その中から賄え、足りないから、もつと増徴しろということになるのじやないかと思いますが、如何ですか、実際問題として……。
#26
○政府委員(荻田保君) 先程申し上げましたように、今回新らしく必要とします経費は、相当多額な、何百億になるのでありまして、その中のほんの一部の三億五千万円であるのでありまして、その全体の何百億を賄うのに、先程申し上げました入場税委讓とか、或いは配付税の増額とか、その他他租の増税とか、住民税の引上とか、いろいろありまして、どの税をどれに與える、そういうことは考えておりません。これはひとり教育委員会法だけでありませんので、その他自治体警察定時制の高等学校の費用、或いは六・三制の増加の経費、これはすべてそうでありまして、こういうものにつきまして目的税的な考えを持つておりません。
#27
○小野光洋君 そういたしますと、私絹はこの法案を通しますというと、この法案が実施せられるに当つての費用はともかく、今まで委讓せられたところの財源の中から、地方費で負担せよということであつて、特にこの委員会法が成立して、それの運営費としては、これが割当てられておるのだから、地方でも納得せよというようなことは言えないわけですね。
#28
○政府委員(岩木哲夫君) それは、そういうような御解釈を持つて頂いては困りますので、御案内の通り地方負担のいろいろ法律案は沢山ございます。例えば教育委員会法では三億五千万円要る、何の法律では十億円要るといつた工合に、綜合的に何千何本億要るから、これもあれもといつたように地方に税源を委讓するわけでありまして、その中にこの三億五千万円も包含されておるわけてありますから、小野委員の御指摘の点とはちよつと違うわけであります。
#29
○小野光洋君 そうしますと、仮に本法案が國会を通過しなかつたといたしましたならば、地方に委讓した財源の收入の中から、國庫は三億五千万円乃至五億円に充当するものを回收しますか。
#30
○政府委員(荻田保君) 総額が二千億からの経費でございますから、その中の三億五千万円減つたり、殖えたりすることは、一々手直しするということまでは考えておりません。
#31
○小野光洋君 そうしますというと、結局これは殖えておるのではないか、要するに全体で殖えておるじやないか、だからこのくらいのものは賄つて置け、要するにそういうことでございましようね。
#32
○政府委員(岩木哲夫君) いや、それは決してさような、何と言いますか、いい加減なような予算の組み方と違いまして、当然この法律案を通ることを予想しまして、ちやんと組み入れてあるわけでありますから、どうぞさような御解釈にならんように……。
#33
○小野光洋君 そうしますと、甚だしつこいようでございますが、結局これは地方に委讓した財源は、これを特に割当てたものではない、全体として殖やして置いたのだから、それで納得せよ、こういうことであつて、これが不成立に終つたからと言つて、三億五千万円を回收するわけでない、こういうことでございますね、分りました。
 それから二十四年度、五年度ということに年度が進みますというと、從つて又これを増額されなければならんということでありますが、その点は大体の政府にも計画はできておるのでありましようか。
#34
○政府委員(岩木哲夫君) 二十四年度、五十五年度におきまする文部省單獨の考え方なり、案はありまするが、これはまだ関係方面、関係省とは折衝いたしておりません。この予算の編成なり、その結果によりまして相当又修正も起り得るものと考えまして、本案通過の後に折衝いたしたいと考えております。
#35
○小野光洋君 それでは次に、この六條の補助金の問題でございますが、これは本委員会におきましても、私共は是非通したいと思うのでありますが、これが成立いたしました場合には、補正予算でこの補助金の件は扱つて頂けるでしようかどうか、この点政府当局におきましても、まだこれを修正はよく檢討しておらないということもあるかもしれませんが、本委員会におきまして可決されれば、今日中に成立するわけでありますから、その点についての御所見を伺いたいと思います。
#36
○政府委員(岩木哲夫君) この修正案が通過いたしましたならば、さように努力いたしたいと存じております。
#37
○小野光洋君 どれだけやらうと思つておりますか。
#38
○政府委員(岩木哲夫君) これはまあその補正予算と申しますか、追加予算、いろいろの問題に関連して、ともかく重要な法案でございますから、極力できるように努力したいと思います。
#39
○小野光洋君 必ず追加予算に計上するように、そうして相当額地方が納得し得るように、今のような御答弁でありますというと、特にこの委員会法によるところの財源委讓ということが、極めて不明確であつて、凡そ各地方当局を納得させることはなかなか困難だと思います。從つて目に見えた問題は、補助金がいくらということでありますから、この点については、特段と政府は御努力されんことをお願いいたしたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○河野正夫君 もはや質問も相当長時間に亘りましたので、この辺で質問を打切つて、討論に移されんことの動議を提出いたします。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○委員長(田中耕太郎君) それでは異議もありませんようですから、質問を打切ります。
 これから直ちに討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。尚念のために申上げておきますが、衆議院修正が原案になつておるのでございます。
#42
○矢野酉雄君 これは成るべくならば、私は皆んなが衆議院の修正意見に、第九條の修正意見、削減の案に同請して行くような雰圍氣を、この委員会で作つて欲しいと実は思うのであります。私は衆議院のこの案に賛成します。その理由は、現職教員が被選擧權までも剥奪されるということは、私は非常な一つの文化國家を建設するという大きい立場から考えまして、妥当を欠くと思うのであります。何と言つても文教に対する熱意と愛と、これに対する実践力を最も持つておる諸君は教育者であり、曾ての教育の体驗の諸君であると思うのであります。永遠に戰爭を放棄した日本が現実の日本の姿を見ます時に、殆んど文教に対するところの予算面の組み方というものは、軍事、あの軍閣が盛んであつたときと殆んど同樣である。何ら前内閣においても、今度の内閣においても、積極的に文化國家というものを建設するための予算の編成というものはないのであります。どうしても日本が平和國家、文化國家を建設するためには、國を擧げてこれに應ずる一つの輿論というものを喚起し、教育擁護の大運動を私は起すべきであるとして、微力ながらその方向に向つて力を盡しているものであります。そういうような大觀点に立ちまして、私は教育委員会といろものを作ることが、その文化國家建設の大きい一つの発展である。その発展の法案というものを通すためには、一切を擧げて、その大眼目を実現するに相應するような、一切の國家の環境を整えるということでなければならんと、私は信ずるのであります。いろいろの御意見を承わつておりますというと、これに反対の御意見の方々は、現職教員が当選した場合、尚現職のまま委員としてその職務を行うかのごとき、その前提の下においての御議論が多いのでありまして、当選した後には、その現職教員は第十條によつて、御承知のごとく職を退くのであります。道府縣の委員会におきましては七名、その中道府縣会を代表した議員が一名必ず入るし、市町村の方は五名で、その議会から一名入りますので、前者においては六名、後者においては四名が一般の人から出るわけであります。私をして言わしめるならば、その前者の六人の中六人だけが全部でも、私は曾て教育者であつた人で結構である。又後者においては、四人共が私は全部曾て教育者であつた人で結構であると思う。そういうことによつて、私は最前申しました文化國家建設への制度、その他環境というものを整えることができるという一つの認識と信念を持つているのであります。そういう觀点に立つならば、現職教員の被選挙權を、これを剥奪するというようなことは、民主々義から考えて見ましても、文化國家建設という大なる実現の立場から考えましても、決して当を得たるところの立法の仕方ではないと私は信ずるのであります。是非この問題は、そうした大乘的見地に立つて、現職教員の被選挙權を認めるという、この第九條削除の衆議院修正の意見を、參議院は政党政派を超えて、最も嚴正な立場から、一つ皆が満場一致で可決せられんことを私は希望する次第であります。以上。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#43
○河崎ナツ君 矢野さんが、衆議院の可決に対して、そういうふうな空氣に、賛成の意味から參議院も改めたいという、今お言葉を賜わりましたが、私もその賛成の一人でございまして、矢野さんのあの御精神の他に、私は大変皆さんの御心配の中には、教員にそういうような位置を與えることは、教員の重要な仕事であるこの教育者としての、教壇に立つ仕事において差支がありはしないかというような御懸念もございますけれども、そんな人があるかも知れませんけれども、曾て婦人に參政權を與えれば、もう何をし出すか分らないし、家庭も放つて置くだらうというようなことが随分聞かれたのでございますが、そういうふうに婦人を社会的に強制しておつたことが、本当に今日の日本の婦人の現実においての、婦人の社会人としての無智、狭量、本当に憲法の上におきまして、同じ資格者、同じ責任を持つて立たなければならん婦人が、実力におきましてまだまだ役に立たないというところに立つておるこの現実におきましては、やはり何をし出すか分らんという心配のあまり、適当の位置を與えなかつたことで、曾ての先生方が、そういう問題から、随分先生としての、教育者としての、人間としての幅を狭められておつたことは事実でありまして、やはり心配のことに囚われないで、適任者に適当な位置を與えますれば、教育者も立派な適任者が適当な仕事を果して活かす。そうして正しい文化國家建設の、やはり一本の柱に教育者もならなければ嘘でございますから、九條の衆議院の削除、その原案に対しまして、私は満腔の賛成をいたしたいと思います。
#44
○高良とみ君 私は第九條の削除には反対であります。その理由として、この教育委員会法というものが実施された場合に、どういう姿になるかということは、皆が勝手な想像をしておると思うのでありまして、それは私共國家の民主化の一つの試金石であることは確かに考えておるのであります。殊に私が非常に懸念いたしまするのは、この十六條にありまする候補者の推薦でありまするが、六十人以上の連署を以てした場合には、これは新らしい推薦母体となるという場合に、未だ理解せざる方面におきましては、これこそよき政党政派の餌なりというような心持を以て、非常にこれに入つて來ようとする力が、未だ進歩しておらない民主政治において現われておる現象を見るのであります。これは折角親心を以てこの教育委員会というものを、文教の行政府からも離し、又地方の自治体の政治のごちやまぜからも離して行こう、そうして教權と教育とを健全なものとしようとする趣旨から反するのでありまして、その意味から教育者が、今賛成の方々の言われました教育に対して、純粹な発言權を持たれることには非常に賛成でありますが、これには方法があるのでありまして、ちやんとした教育局があり、そうしてその局を通して自分達の意見を出せるのであります。父兄なり、或いは國民、人民の手に教育を渡して、そうして本当の教育の責任を負わして行こう。この法案の精神から見るならば、私は敢て被選挙權を拒否する意味ではありませんが、これは教育を國家及び人民に廣く拡げる意味で、教育者はむしろ御自重されて、或いは自分の仕事を廣める大切な職であるということの意味において、教育者は選挙權を持たない方がよいものと思うのであります。実際の例を申しまするならば、現職の教育がそのままで立候補をなさいましたときには、その父兄等は、教育のことは一番お世話になるのは先生だから、その先生に選挙しようということになつて、好むと好まざるときに拘わらず、この教育委員は殆んど先生を以て占められておつて、そうして学校の方から退職者がどんどん出來るというようなことになりましたときに、折角專門の局として設けられる教育委員会、教育局というものは浮いてしまつて、いわば教育の專門家の中で堂々巡りをするということは、この法の精神に反するものであるということを考えまして、よろしく退職して、そうして平市民として立候補なさるようにすることを念願いたしまして、その意味で九條は一つの教權の確立、そうして一般的の教育の指導權の確立の上において、必要なものであると、私は考えるのであります。
#45
○河野正夫君 私は内閣提出、衆議院修正送付せられました本案に賛成する者であります。各位におきましては、第九條の削除を問題とせられますが、全体としてやはり賛成の趣旨を申上げて置く必要があるかと思います。この教育委員会法は、教育權の一般行政權からの独立及び教育の中央集權の打破地方分權の確立という方向において、教育の御主化のため極めて妥当な法案であると思うのであります。内閣の提出された法案につきましては、遺憾ながら現実の日本の状態にふさわしくないと言いまするか、やはり行き過ぎの感があつたのでありまするが、衆議院の修正案におきましては、市町村は二ケ年実施を延期する。而も五大都市は都道府縣と同様に本年度から施行する。更に教育委員が無報酬で教育のために盡瘁するということが、今日の日本の國情から申しますると、地方で閑があつて金のある人というものは、或る特定の人々のみに偏よつて來る。そういう意味でこの條文を何んとかしなければならんと思つたところが、それも訂正をされました。一方において人事や給與の面におきましても、現段階においては、將來二ケ年後に、たとえ一般市町村に教育委員会が設置せられる場合におきましても、これを單純に各市町村の教育委員会が決定するということは、如何かと案じておりましたところが、それも人事、給與に関して連絡協議する協議会というようなものの設定が認められるという修正は、甚だ妥当なものだと思うのであります。更に教育長が教育委員会の運営において、必ず助言と推薦とを行う権利があるかのごとき原案に対しまして、これは助言と推薦を教育委員会が必要と認めるときには、助言と推薦を求めることができるという方向に変りまして、先程來質問の際にもありました教育委員が、素人で占められたときには、專門家の教育長が非常な独断專行をし得るやの疑いもあつたところを訂正されて、甚だ結構だと思うのであります。更に第九條の問題でありまするが、これを削除いたしまして、現職教員を一般公務員と同様、被選挙權が認められるということになりましたのは、事実上は私は、現職教員のこの方面に関する立候補者が多いとは認めませんけれども、そういう途を開くということは、一般公務員と平等の待遇をするものでありまして、教員の生活の上に明るい一つの光を與えるものだと思うのであります。現職の教員は、教育に関するこれらのことについて、選挙権を持たない方がよい、被選挙権を持たない方がよいという考え方は、恰も曽て旧憲法時代に、軍人が選挙権、被選挙権を持たない方がよいという理論があつたのであります。これについては皆さんにも御意見がありましようけれども、今日においては諸外国においても、軍人と雖も選挙權、被挙権が認められている。その方がより平和的な、より文化的な國政の運用ができるという現状を見ましても、教育の面において現職教員が被選挙権を持つことが、それ程教育委員会の運営に対して弊害を與えるということは考えられないのであります。特に以上のような意味のみならず、この際衆議院から送付せられました案が、若しも多少の修正を、或いは大なる修正でもよろしうございますが、行うという場合には、先程委員長から特に御報告がありましたように、これは関係筋との連絡を必要といたします。然るに本日その連絡は可能なりや否や疑わしい。その上に時間が迫つておりまして、これが本会議で、若しここで修正意見が通つて、本会議でそれが可決されだ場合には、衆議院に再び送付せられなければならん。そうしてその時間がなくて遂にこの法案が、時間がなくて法案が成立しないということになりますると、如何でございましよう。内容において好ましくはないというならば、それはもとより当然でありましようけれども、私以上述べましたように、この法案というものは、日本教育の民主化のために極めて重要な法案であり、しかのみならず、これは遠く米國のみならず、連合諸國において、この法案がどうなるかということを見守つておるのであります。これを通さないくらいの日本にまだ教育の統制、中央集権的な氣分が殘つておるんではないかというようなことを常に案ぜられておるのであります。そういうような意味において、悪い法案であるならば、如何なる場合においてもチエツクしてよろしいでありましようけれども、とにかく先程申上げましたように、すでに財政措置も相当講ぜられるということが確言せられ、その上にこの内容も尤もであるとするならば、多少の瑕疵がありましようとも、これは実施後において修正も可能でありまするが故に、この際は滿場一致御賛成あらんことをお願いする次第であります。以上、賛成討論を終ります。
#46
○岩本月洲君 討論も一応盡きたかのような感がいたしますから、この辺で討論の打切をして頂く動議を提出いたします。
   〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないと認めます。それではちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#48
○委員長(田中耕太郎君) 速記を始めて下さい。五分間休憩いたします。
   午後六時四十四分休憩
   ―――――・―――――
   午後六時四十九分開会
#49
○委員長(田中耕太郎君) それでは休憩前に引続きまして会議を継続いたします。
#50
○梅原眞隆君 矢野委員の説を私非常に感服をいたしました。どうか皆が全員一致これを一つ賛同せられることを私、一つ提議いたします。
#51
○松野喜内君 我々文教委員は常に超党派的に今日まで參りました。こういつた重大な法案についても、できることならば全員一致で行くという形式も又望ましいことであると思います。今折角梅原委員もおつしやつたので、私もそういうふうに同調したいという氣持を持つております。
#52
○高良とみ君 やはり全体の委員会の趣旨は誠に賛成でありますが、更に優うるものがあれば、その人の銘々の自由な判断によつて、ただ形式的に全員一致というようなことは……その志さえあれば理解し得ると思うのですが、どうぞさように御審議を願います。
   〔「それは賛成」と呼ぶ者あり〕
#53
○委員長(田中耕太郎君) それでは討論は終了いたしたものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。教者委員会法案、本案を可決することに賛成の方の御起立を願います。
   〔起立者多数〕
#55
○委員長(田中耕太郎君) 多数であります。教育委員会法案は、多数を以て可決することに決定いたしました。尚本会議におきます委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によりまして、予め多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑應答の要旨、討論の趣旨及び表決の結果を報告することといたしまして、御承認願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○委員長(田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書について、多数意見者の署名を附することになつておりますから、本日可決することに賛成された方は、順次御署名を願います。
   〔多数意見者署名〕
#57
○委員長(田中耕太郎君) それでは御異議がなければ、委員会はこれで閉会いたします。(拍手)
   午後六時五十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     田中耕太郎君
   理事
           松野 喜内君
           柏木 庫治君
           岩間 正男君
   委員
           梅津 錦一君
           河崎 ナツ君
           小泉 秀吉君
           藤井 新一君
           若木 勝藏君
           小野 光洋君
           左藤 義詮君
           中山 壽彦君
           安達 良助君
           木内キヤウ君
           高良 とみ君
           仲子  隆君
           安部  定君
           岩本 月洲君
           梅原 眞隆君
           河野 正夫君
           鈴木 憲一君
           中川 以良君
           堀越 儀郎君
           矢野 酉雄君
           藤田 芳雄君
  政府委員
   文部政務次官  岩木 哲夫君
   総理廳事務官
   (地方財政委員
   会事務局長)  荻田  保君
ソース: 国立国会図書館
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