くにさくロゴ
1953/08/13 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 厚生委員会 第59号
姉妹サイト
 
1953/08/13 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 厚生委員会 第59号

#1
第019回国会 厚生委員会 第59号
昭和二十九年八月十三日(金曜日)
    午前十時五十九分開議
 出席委員
   委員長 小島 徹三君
   理事 青柳 一郎君 理事 中川源一郎君
   理事 松永 佛骨君 理事 古屋 菊男君
   理事 長谷川 保君 理事 岡  良一君
      寺島隆太郎君    安井 大吉君
      並木 芳雄君    滝井 義高君
      萩元たけ子君    柳田 秀一君
      杉山元治郎君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 草葉 隆圓君
        国 務 大 臣 安藤 正純君
 委員外の出席者
        厚生政務次官  淺香 忠雄君
        厚生事務官
        (大臣官房総務
        課長)     小山進次郎君
        厚生事務官
        (社会局長)  安田  巖君
        厚生事務官
        (保険局長)  久下 勝次君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局環
        境衛生部長)  楠本 正康君
        厚 生 技 官
        (医務局長)  曽田 長宗君
        専  門  員 川井 章知君
        専  門  員 引地亮太郎君
    ―――――――――――――
八月十三日
 委員中野四郎君辞任につき、その補欠として並
 木芳雄君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 食品衛生に関する件
 結核対策に関する件
 社会保険に関する件
 医療制度に関する件
 ビキニ環礁附近における爆発実験による被害事
 件に関する件
    ―――――――――――――
#2
○小島委員長 これより会議を開きます。
 まず食品衛生に関する件についてお諮りいたします。本件につきましては一昨日来政府当局より説明を聴取し、参考人として学者の方々からも意見を聴取し調査を進めて参つたのでありますが、先刻の理事会において、本問題の重要性にかんがみ、本委員会において次の通り決議すべきものと申合せいたしました。まず文案を朗読いたします。
   輸入病変米の取扱に関する件政府は輸入病変米の取扱については、速かに次の措置を講ずべきである。
 一、輸入病変米の毒性等に関する綜合的調査研究、検査のための新機構を設置し、これに所要の予算措置を講ずること。
 二、前項の研究による一応の成果を得るまでその配給は当分これを見合せること。
 三、この際食生活改善の具体的措置を一段と強力に推進すること。
  右決議する。
 右の通り決議するに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○小島委員長 なおこの取扱いに関しては委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○小島委員長 御異議なしと認め、そのようにとりはからいます。
    ―――――――――――――
#5
○小島委員長 次に結核対策に関する件について発言を求められておりますのでこれを許します。滝井義高君。
#6
○滝井委員 大臣がおられないので、大臣に対する質問はあとに保留させていただきまして、現在日本の医療行政の中で一番大きな比重を占めるのはこれは結核対策だと思うのでございます。この日本の結核医療行政というものは、制度の上から見ても予算の上から見ても、あるいはその結核の実態調査をした結果に対するいろいろの対策というようなものから考えてみましても、結核行政が転換強化を必要とする時期に来ていることは、これは衆目の一致するところだと思うのでございます。ところがそういう転換強化を必要とする現在の段階において、厚生省は大体具体的にどういう制度的な、あるいは予算的な転換をやろうとするのか、これをひとつ関係局長から御説明を願いたいと思います。
#7
○楠本説明員 目下省内におきまして、ただいま御指摘のような点につきましては鋭意検討を進めております。従いまして、今ここで決定的なことは申し上げかねますが、大体の方向といたしましては、従来も実施しておりました健康診断あるいは予防接種等をさらに必要な範囲に拡充し、しかもこれを合理的に実施し得られるような措置を考えております。
 第二といたしましては、右の健康診断等の結果に基きまして、一応結核患者に対しまする届出等の制度に若干の改変を行いまして、言うならば登録というようなことも考えてみたいと存じております。但しこれらの点は国民に与える感情の問題もありますので、できるだけ民主的な考え方によつて研究しなければならぬことは申すまでもございません。
 第三といたしましては、従来病院、療養所等に入所いたしました患者と、自宅におります患者との間に、これを総合的に考えますと著しい待遇上の差がございます。つまり自宅患者に対しましては、入所患者に比しましてあまり援護の手が差延べられておらぬきらいもありますので、これらの点に関しまして新しい患家対策、在宅患者の対策というものを考えております。
 第四といたしましては、従来の結核医療に関しまする公費負担制度につきましては、すでに数年間の経験を持つておりますが、手続あるいはその他につきまして、若干の改変すべき点もございます。のみならず他の社会保障制度との関連もあわせて研究する必要がありますので、目下これらの点を他の社会保障制度ともにらみ合せまして、その一環としての研究をいたしておる次第であります。
 第五には結核病床の問題でございますが、これらに関しましても、現在私どもは十九万床の目標のもとに進んでおり、近くその目標達成を見る段階に立ち至つておりますが、しかし今回の実態調査の結果に基きましても、これをいかに改変して行くか、もちろん結核病床の増加ということも考えておりますが、しかし同時に従来のような画一的な結核病床という考え方でなく、アフター・ケアその他もつと実情に即した考え方から出発いたしまして、これらの病床を形の上では幅を持たせて、大いに数を増す方向に考えておる次第であります。なおこれら結核病床の運営につきましては、第三に申し上げました在宅患者とのつながりをいかに合理化し、その一体化をはかりまして、病床の運営、並びに在宅患者の合理的な対策に資するため、その間をいかに関連せしめるかについて目下研究を進めておる次第であります。
 第六におきましては、現在のアフター・ケア施設のようなものをいかに考えて行くか、あるいはさらにアフター・ケア施設を広げまして、職業の補導その他のものをどんなふうにかみ合せて行くか。要はこれらによりまして結核病床の円滑な効率的な運営をはかりますと同時に、これらの患者の社会復帰等につきましての社会政策的な問題を研究いたしておるわけであります。
 以上がおおむねの目下研究いたしております具体的な方向であります。
#8
○滝井委員 今六項目にわたる、現在厚生当局の考えられておる総合的な結核対策と申しますか、そういうものを御説明いただきましたが、こういう今楠本さんから御説明いただきましたような施策を、研究の段階から実施の段階に持つて行くということが、現在の結核対策の主眼でなければならぬと思うのです。そうしますと問題は、昭和二十八年度の結核対策費は百二十六億、二十九年度は百三十五億でございました。ところで現在の一兆円のデレフ予算を来年もやるということは、大蔵大臣は今日の新聞でも発表しておる。おそらく内閣は今ごろから昭和三十年度の予算の少くとも骨格的なものの研究の段階に入るのだろうと思います。そうしますと、今のような六つの政策を、ほんとうに厚生省が腹をきめて実施して行くということになりますならば、昭和三十年度の結核対策費というものは、百三十五億円をどの程度に増加すれば、実施できるとお考えになつておるのか、腰だめ的な数字でけつこうですが、その点をまずはつきりしておいていただきたい。
#9
○楠本説明員 これらの点は、最後の計数的なきわめて具体的な結論を得ませんと、数字の概要というものがつかめないのでありまして、今ここでお答えする段階にまで至つておりませんが、ただもちろんこれらのものを実施いたしますにいたしましても、相当合理的に他の政策とも考え合せつつ効率的な運営をはかつて行くということが目標でありまするが、それにいたしましても、所要経費としてはなかり増額されることはやむを得ぬことと思つております。
#10
○滝井委員 増額をせられることは当然なので、今までの対策が貧弱だから、従つて結核患者のすわり込みがあつたり、あるいはあなたの方で入退所基準というものをつくつたり、あるいは患者心得というようなものをつくつたり、付添いの制限をやるといつたことが具体的に出て来ておるわけなのです。従つて現在結核問題についていろいろトラブルが起つておるのをある程度しずめるためには、最小限度これだけのものはやらなければならぬ。しかもその腰だめ的なものが、今の六つの政策に合理的にこういうふうに合う予算であるというくらいの、あるいは三割くらいは増加が必要だ、五割くらいは増加が必要だ、その程度のあなた方の専門技術者としての基本的な考え方でけつこうだと思いますが、今の六つのものをやるのにどの程度のものが必要なのか、これをひとつ――もう大体予算の数字の基礎を固める時期なのですから、はつきりとしたあなた方の今の考えを聞いて、今後予算委員会等において三十年の予算の問題を論ずるときに、われわれも当然これは論じなければなりません。はつきりしていただきたいと思います。
#11
○楠本説明員 この点はただいまもお答え申し上げましたように、いまだ研究の段階でありまして、同割増というような点につきましてはちよつとお答えをする段階に至つておりませんが、しかしもちろん三十年度予算に編成しなければなりません関係もありますので、近くお答えができることに当然なると存じますが、今日のところはまだそこまで行つておりません。
#12
○滝井委員 しからば私の方から少しづつ込んでお尋ねしますが、今楠本さんの御答弁をいただいた中の四項の結核の公費負担の問題で、手続その他の改善をする、他の社会保障関係ともあわせて研究をせられるということなのでありますが、現在日本の結核対策と申しますか、結核の医療制度と申しますか、そういうものが三本建になつておる。結核予防法による公費負担と、社会保険の給付による結核の救済と、生活保護法による医療扶助の結核救済、大体こういう三つの制度がからまつて現在の日本の結核対策というものが推進をせられておることになるわけなのです。そうしますと、あなた方が今考えておられる結核の対策というものは、どうも私たちが外から見ておりますと、この結核予防法のわくの中には、現在健康保険の人、国民健康保険の人なんかも入つて来ておるわけなのです。そうすると、最近厚生省がそういうことを考えておるんじゃないか、疑わしい節があるから申し上げるのですが、結核の治療をやる場合には、健康保険や国民健康保険は予防法からは除こう、あるいは生活保護の患者の費用が最近非常に増加した、特に生活保護の医療扶助のうちのほとんど六割以上八割くらいはむしろ結核患者のために食われておる。従つてそういうものを軽減するために、生活保護のうちの結核対策のものを結核予防法に移し、結核予防法のなかの健康保険関係は健康保険だけでまかなつてもらうというような、そういう傾向が見えるような感じがするのですが、今後はそういうことでなくして、一応現状のままにおいての対策を考えられるということなのですか。そこらの、いわゆる結核医療制度の三本建に対するお考え方はどういうお考えを持つておるのですか。
#13
○楠本説明員 現在の考え方の根本といたしましては、ただいま御指摘のような点をおおむね従来通りといたしまして、ただ従来その間の調整あるいは連絡等にあるいは欠けるところがあつたかもしれぬというところで、かような点を運営面で一体化するという方向に進んでおる次第であります。
#14
○岡委員 関連して。この間厚生省の方からいただいたいわば結核白書とでもいうべきあのリーフレツトを拝見して、結核問題についてはわれわれも新たなる構想なり決意を持つて取組まねばならないということを実は痛感いたしたのでありますが、ただいま滝井委員の質疑に対する局長あるいは楠本さんの御答弁に関連をして、この際はつきりした厚生省の御方針を承れればけつこうだと思います。
 その前提といたしまして、社会局長にお伺いをいたしまするが、生活保護法の生活扶助費あるいは医療扶助費等について、あるいはまた特に現況で医療扶助費の総額の中で、結核ないしそれに関連ある疾病に基く医療扶助費は何パーセントを占めて、大体何十億であるか。同時にまた現在健康保険の医療給付費の総額の中で、結核あるいはそれに基く疾病に対する給付費は、何パーセントで何十億ほどあるのかという数字をお示し願いたい。
#15
○安田説明員 社会局関係の生活保護費の中で結核治療にどのくらいの金がかかつておるかということでございますが、先ほど滝井委員がお話になりましたように、大体医療扶助の中の六割程度だと考えております。総額はどのくらいかということでありますが、これは見込みになるわけでございまして、別にこの予算で結核に対しては幾らであるとか、あるいは医療扶助には必ずこれだけ使わなければならぬとか、これ以上使つてはならないということはございません。ただ昨年の募れから、御承知のように医療費の支払いがいろいろ規則になつた面がございまして、最近までまだ普通の状態におきましては、月間どれだけの医療扶助費がいるかということは、はつきり確信をもつて申し上げるところまで行つておらないわけであります。それはたとえば十二月以降に公立の病院なりあるいは国立の病院等に支払いを遅らせましたとか、あるいは国立の療養所に対して支払いをしなかつたとか、そういうことで支払いが年度末に若干遅れましたものを、四月以降になつてどつと払つたとかいうものは、月々平均どのくらいかということがまだはつきりつかめないのであります。しかし最近のところでは月に大体十六億から十七億くらいの金がいつておりますが、これは最近の月がそうであるということだけでございまして、まだ確たる見通しはつきかねる状態であります。いずれもう二、三箇月いたしますならば大体平均したものが出て来やしないかと思います。念のために申し上げておきますが、その十六億、十七億というのは十割でそうでございます。国立になりますと、それの八割でございます。
#16
○久下説明員 健康保険の給付費の中で、従来の実績によりますと、総療養給付費の四割相当額が結核のために使われております。療養給付費の総額は、昭和二十八年度は大体三百億、昭和二十九年度は三百四十五億円を予想しております。
#17
○岡委員 そうしますと、生活保護法に基く医療扶助費については、昨年度ないし一昨年度は結核にかかわる病気についての医療扶助費が大体六割である。そうすれば昨年の七月から十二月までの一箇月平均の政府の支払いが十六億三千万円と聞いておりますが、その六割ということになれば、年額にして百十億になる。本年度の予算百二十七億、医療扶助費六割と計算をしても七、八十億ぐらいのものが必要になる。そこで今久下さんの御答弁によれけ、健康保険等の諸種の医療保険制度の医療給付費が百二十億程度ということになる。そのほかに結核予防法に基く予算その他をくるめまして百三十五億ばかり、そうすると結核のために費しておる国の費用がずいぶん大きなものになつて、これが一つは保険局の方で、一つは社会局で、一つは公衆衛生局というふうになつている。こういう行き方で行つた方がいいのかどうかということが実は再検討されねばならないのではないかということを私ども痛感するわけであります。現にある国では結核保険というようなものをつくつておる。そうしてすべての国民はその負担に耐え得るものについては満十六才から四十五才までは一定の保険料を支払つて、その収入を大宗とした特別な金庫をつくつて、保健所行政なり療養の給付なり、あるいはアフター・ケアなり、もろもろの費用をそこから支出し、それに国が大幅な補助を与えておるというやり方をやつておる国があることも御存じの通りだと思う。われわれにも生活保護法や健康保険、国民健康保険簿、いろいろな社会保障の制度があつても、わが国の特殊事情から結核が大きく幅をきかして、それに所要の経費が四割、六割というふうに大幅にとられているということになつたのでは、結局会社保障全体にも結核が非常に悪い影響を与えておるということにもなるので、結核を対象とした別途な、国と地方団体なり、あるいは国民の総責任における療養等を中心とする一つの大きな対策を打出して行かなければ、なかなかこの問題は計画的に達成できないのではないかという考え方を私ども持つわけであります。こういう点につきましては公衆衛生局等において何か具体案を用意されたことがあるかどうか、あるいは保険局や社会局においても、事実お取扱いになる予算面における結核の重圧ということから関連しまして、何かこういう方途にでもひとつ大きく展開をしなくては、日本の結核問題の解決がないのではないかというふうなことをお考えになつたことがないのかどうか、あるいはまた矛、ういう問題についてのプランニングについては多少タツチしておられると思いますが、小山君あたりにも何かそういう御意見がないのか、そういう点をこの際お聞かせ願えれば幸いに存じます。
#18
○小山説明員 ただいま岡先生がおつしやられましたことはことごとくごもつともでございまして、実はそういうところに問題の発端を置いて結核に関する公費負担の制度の検討をするということをいたしたわけであります。おそらくそういう過程においていろいろ立てられました案の一部が大分誤つて伝えられまして、現在の公費負担について考えられている制度のレベル・ダウンを考えているというふうに伝わつて、それが先ほどの滝井先生の御質問にあつたものと思うのでありますが、今日まで私どもが検討いたしましたことの概略を申し上げますと、まず第一に結核に関する国民の費用負担が、ただいまお話にあつた通り社会保険と生活保護と結核予防法による公費負担という三つの仕方でされているのであります。これに国民の自己負担分を含めますと、おそらく国民総所得に対して〇・九%程度の支出に当つております。国民の総医療費が現在国民の総所得に対する割合において三%から最近やや上昇しておりますが、総医療費のおよそ三分の一足らずという程度が結核のために使われている、こういう状況になつているのであります。これをまかなうために一つの保険制度を考えるということは、私どもも当然一つの考えとして検討してみたのでありますが、残念ながら次のような事情によつて現在の段階では成立することが不可能だという結論に達したのであります。それは現在社会保険という形で負担されております結核に関する費用は、全体の費用の中では非常に多くの割合を占めているのでありますが、社会保険に関係のある階層というのは、国民の所得階層という点からみますと非常に高い水準に属しているのであります。この人々に対して現在与えられている結核についてのサービスの内容はおそらく現在の国民所得をそのまま平均水準に直して考えました場合にはとてもそこまでは追いつけないだろうという内容を持つているわけであります。さような意味合いにおきまして、もしも現在の段階で結核保険を成り立たせようといたしますと、何らかの意味において現在の社会保険に加入している人々に対しては一種のレベル・タウンを結果せざるを得ないという実態になつているわけであります。かような実態になつております現状におきましては、もしも現在社会保険によつて与えられております結核に関するサービスの内容に過剰なものがありますならば、これをある程度引下げることも一つの考えとしては成り立つわけでありますが、しかし実際問題としては、過剰かというと決して過剰ではないという現状であるとすれば、これを引下げるということはまず考えるべきではなかろう、こういつたようなことで、結局現在の日本では結核に関する社会保険を成り立たせようとするならば、現在の国民所得の中から使われている結核の費用を相当意識的にふやすという措置をとらない限りにおいては結核保険は成立の可能性がない、意識的にふやすということは、言いかえれば税金の形で吸い上げましたものをそちらの方に意識的に注ぎ込むということでありますから、結局何らかの意味において国の直接の支出を相当増加させるということをしなければ成り立たぬということになりますので、現在の段階ではこれは不可能に近いというので、第二案として考えましたのが、しからばせめて国の直接の支出でまかなわれております結核予防法の公費負担と生活保護法の医療扶助について、何か一本建にする道はないだろうか、日本の結核対策のために使われる費用の非常に多くのものが生活保護というような形で支出されているということは、結核対策という点から見れば、岡先生りおつしやるように明らかに望ましくない形なのであります。やはり結核対策に使われる費用はストレートに結核対策として支出されるということが、費用の効率を上げる上からいつても望ましいということで、この案について検討してみたわけでありますが、社会保険によつて保障されている人々の場合でもやはり一部一負担の問題があり、また家族の場合は半額についての負担が元に残りますので、どうしてもこういうものをまかなえないという場合に、最後の締めくくりをつける道を残しておかなければならぬということになりますと、これは生活保護でしないで、結核予防法の公費負担でしようということになりますと、ある程度結核予防法の公費負担の中に生活保護法に近い仕組みを取込まざるを得ないという結果になるわけでありますが、そのような方法を取込みますことが、ひいては結核予防法における公費負担の制度の趣旨をかなりゆがめる結果にたるおそれが多分にある。こういうようなことからいたしまして、結局おちつきました結論が、やはり制度の立て方としては、現在の三本建にしておいて、現在結核予防法の公費負担のうちで一番大きく穴の明いている入院に対するものをこの際早急に取入れて行くということと、結核予防法の公費負担の費用についての国と地方との負担区分が、地方に対してかなり重いという現状になつておるのを調整するという方法でこの問題を考えて行くということが、少くとも現状においては一番効果的でもあるし、実際的でもあるというようなことで、先ほど環境衛生部長からお答えを申し上げたようなところに現在はほぼおちついておるというような状況でございます。
#19
○滝井委員 大分岡さんが関連質問をやつてくれたので、わかりましたが、今小山さんの御説明にもありましたが、今まで公費負担の中には入院が入つていないわけです。その入院を取込む。それから地方公共団体の公費の半額負担というものが、地方財政の現状にかんがみて非常に過重である。こういう点から考えてみても、やはり現在の国の社会保障費というものは七百九十九億なんですが、このうち結核が百三十五億、生活保護が二百八十七億、社会保険関係が百七億、合計すると六百二十九億、このわく内の操作にプラスの入院の費用を今度は公費負担の中に入れるということと、それから地方の半額負担を幾分国が見てやる。あるいは在宅患者の対策を講ずるというようなことならは、これはせつかく多くの人を動員をして実態調査をやつた、その成果に対する制度的な、予算的な転換ではないわけなんです。これはただ当面を糊塗して行くだけのものなんです。そういうことでは現実に問題になつておるこの生活保護の中における――今岡さんの質問でもはつきりしましたが、昭和二十六年に医療扶助の実態は、月に平均して二十七万人で年額八十二億円、二十七年は月に三十二万人で百十五億円、昭和二十八年は三十五万人で百七十五億円、そうするとおそらく昭和二十九年、ことしは総額二百億、今の局長のお話も十六億ないし十七億ということになれば、二百億を越える。そうすると、その二百億の中の六割の百二十億が結核のために費され、しかも入院費用というものは八五ないし九〇%が生活保護で、結核費が入院で食われておる。こういう点から考えてみると、今のような姑息なことでは結核患者の諸君がすわり込んでおる状態を解消することにもならなければ、あるいはまた付添いの制限をもつと合理的にやるということにもならないのです。やはり問題は厚生省が百七十九億のわくをどの程度に破り切るかということになるのです。これは私は大臣が来てからお伺いしようと思つておりましたが、そこまで行きましたから質問せざるを得ないのですが、問題は自衛力の漸増ということについて計画がないと言つておるけれども、やはり内閣には長期の計画があるわけです。来年度は二万人の陸上自衛隊を増加するということは、去年ごろから言つておる。やはり来年度にもそれを着々実行しようとしておる。三十五万五千人には五箇年のうちにはなつてしまう。自衛力の漸増について少くとも長期の計画を持つておるなら、それと同じように厚生省も社会保障に対する長期計画を持たなければならない。基幹病院も五箇年計画でやる、病床も五箇年で十九万床にすると言つておりながら、厚生省はいつのまにかくにやくになつてしまう。そうすると今度は医者が立ち上り、患者が立ち上ると、また基幹病院も今度はやります、病床も十九万床は何とかしてやらなければならぬ、あるいは簡易保健所もやらなければならぬというようなぐあいに、何か人があつちこつちでのろしをあげるとちよつとやるというようなことでは、これは私は少くとも良心的な保守党の内閣であるならば、この社会保障と自衛力漸増の軍事的な経費というものは車の両輪でなくてはならぬと思う。イギリスのチヤーチルは――旧保守党は比較的良心的だからそういうことをやつておる。あなた方日本の第一線のお役人の方々も、やはり良心的であるならば、強引に、職をかけてもそれくらいのことをやる気魄が私は必要だと思う。単に月給だけもらつて、自分の首をつなげばいいというような安易な考えでなくして、やはり危機の時代には危機の官僚としての心構えを持つ必要があると私は思う。だからそれによつて堂々と出していただかなければならぬ。現実にあなた方が六つのりつぱな案をつくつても、それをやる予算さえも現在わからぬということでは、あすあなた方は厚生大臣に付添つて結核患者の諸君と会うということが新聞に出ておつたが、会つてもこれは今のような答弁では解決しない。はつきり解決したとするならば、それはその場を濁すだけの回答であつて、まつたく国民を偽満する回答になつてしまう。だからやはり公のこの委員会で、少くともあなた方考えておるこれだけのことは、われわれ責任を持つ行政官僚としては予算が必要だ、あの結核の科学的な実態調査に基くものはこれだけのことをやらなければ、日本の結核行政の責任は持てませんというところがあるはずだ。それがなければ月給どろぼうと言われてもこれはしようがない。だからそれくらいのことは、今小山さんの言われた入院を取込んで公費負担をやる、あるいはそのほかに地方財政の負担が重いからその半額もやるというならば、その予算でもけつこうなんだ。その予算だけでやつたならば、大体どの程度増加になりますか。
#20
○淺香説明員 大臣が後ほど見えまして、ただいまの御質問に関しての答弁をすると思いますが、私は御承知の通り新任早々でありまして、一向その内容の方はただいままだ勉強中でわかりませんのですが、この問題につきましてはお説ごもつともな点がございますが、本日の朝の新聞でありましたか、これは真偽のほどはまだ私の方から確かめておりませんが、大蔵大臣が談としまして、防衛関係の費用はあまりふやさない、また社会保障につきましては十分今後伸ばして行かなければならぬ、こういうことを言つたように載つております。どういう機会に申しましたか、なおよく大蔵大臣の意向も聞き、また党の意向も聴取いたすことはもちろんでありますが、国の経済が伸びて参りますことに伴う社会保障の拡大をはからなければならぬということは言うまでもないと思うのでございます。また私どもとしましては、まだ不なれな者でございまして、どれを重点に取上げなければならぬかということの勉強はできておりませんが、いずれ厚生関係の問題の重点をどこに置くかということについて近く省議が開かれるように聞いておりますので、その際も十分に党内の意向を聞き、検討いたしますと同時に、党への連絡もいたします。なお今朝の新聞の問題につきましても、大蔵大臣の意向を聞き、また私どもの担任いたしております仕事を通じて、ただいまの御要望あるいは御意見の点を十分に尊重いたしまして善処させていただくことにいたします。
#21
○滝井委員 どうも善処では困るのであつて、すでにあなたの方で実態調査をした結果、これはたいへんだといつてわれわれに実態調査の結果をお示しになつている。そうしてその対策を今から善処するのではどうもおそいのですよ。もう少し具体的にお聞きしたいのですが、そうするとさいぜん楠本さんから六項目の御説明があつたものは、まだまつたく予算措置も見通しがつかないし、今から省議をまとめて研究してやるということでございますが、実は日本医師会の雑誌に「在宅結核患者家族予防措置について」というのが出て、各開業医に通達として来ているわけであります。これは今楠本さんが御説明になつたいわゆる在宅結核患者の問題に関連するのですか、この「在宅結核患者家族予防措置要領」というものを見ると、「昭和二十九年度においては患家指導の一環として、在宅結核患者家族のうちこれらの者に対しては、新たに経費を公費で負担する等特別の方途を講じ、遅滞なくかつ容易に健康診断、予防接種が受けられるため、保健所のみならず特に本事業を委託した医療機関も利用することができるよう措置して患家指導の徹底を期する。」こういうふうに二十九年度からこれはやることになつている条項が出ているわけなんです。そうするとさいぜんのあなたの説明では、まあ六つのものをきめた、これは予算その他はわかりませんと言つている。ところがこれは現実に二十九年度にやることになつておる。そうしてその経費の負担のことまでぴしやつと出ているのです。いわゆる保健カードを保健所が渡して、それによつて経費の請求支払いが行われるということにまでなつておるのです。一方においてはこういうように具体的に――これは医師会の雑誌なんですが、この七月十五日号にはびしやつとそのことが出ておるのです。そうするとあなたの言う在宅患者のそういうことは今から検討するのでまだきまつておりませんというのは、これはやることになつているのですが、どういうわけなんですか。
#22
○楠本説明員 これは本年も、実は在宅患者の点につきましてはささやかながら実施をすることに相なつておりまして、すでに四千万円余りの予算も計上されております。従いまして本年の事業といたしまして、とりあえず実施をして参るということであります。しかし私どもの先ほど申し上げましたのは、従来のようなやり方ではとても在宅患者問題は根本的には解決できないという観点から、新しい研究を進めておるわけでございまして、近くその結論を得たい、かように考えておる次第であります。
#23
○滝井委員 そうすると、これとあなたの今言われるのは、全然別個だとおつしやるのですね。
#24
○楠本説明員 さようでございまして、それをさらに拡充合理化して三十年度から実施したいという考えでございます。
#25
○滝井委員 そうすると保険局長にお尋ねしますが、これと健康保険との関係はどういうことになりますか。これは何も被保険者とかなんとか書いてございません。在宅患者の保険カードを保健所が交付すれば自由にやれることになりますが、健康保険や国民保険との関係はどうなるのですか。
#26
○久下説明員 その問題は、今聞きますると在宅結核患者の健康診断の費用、その措置のようでございます。私の方でも御承知の通り、被保険者につきましては保健施設として毎年若干の健康診断の経費を計上して実施をいたしておりますけれども、それと並行して行われるものでございます。特別に本年度の措置は関係がないと承知いたしております。
#27
○滝井委員 あなた方はこれが関係ないとおつしやいますけれども、これは精密検査もやる、レントゲンの検査もとる。そうすると私が健康保険を持つておりまして、そして私が結核のために在宅しておつて、私の家族が健康診断なんかを受けるといつた場合に、この支払いの関係その他で健康保険との関係はどうなるかということなんです。問題は、そういう場合に一つの行政というものを一方においてはかつてに公衆衛生の方でやつておる、一方保険局はそれはどうも私の方は関係ありませんということになれば、患者は一人なのですから、そうするともらつたカードと健康保険の関係を医者はどうすればいいか。ここに一つのめんどうな手続が生じて来るのです。こういうふうにあなた方の行政のやり方というものが、まつたく各省各局割拠ででたらめなのです。だからさいぜんから言うように三本建でやられることは私は反対なのです。むしろもつと頭を上ぼつて一本建でやらなければいかぬ。こういうことはおそらく保険局長はよく知らないと思うのです。ところが病気を実際に治療し、予防して行くのは社会保険の任務なのです。だから当然こういうものを公衆衛生局の方でやられるならば、社会保険の一環として健康保険の中にこれを取入れたらいいのです。それを健康保険は知りません、それは公衆衛生の方だからということになれば、これは困るのは医者である。こういうことが現実に行われておるというのは、まさにでたらめなのです。しかも保健所で今度はこれを審査することになる。そうすると精密検査をやつて、レントゲンは健康保険でとれるのです。健康診断でなくても、これは病気の疑いがあるということの認定を医者がして、とる必要があるということになればそれはとれる。とれるがそれは保険カードで別に請求して、保健所でお金を支払うことになつておる。「保健所は委託医療機関から右の経費請求を受けたときは、内容検討の上すみやかに支払うものとする。支払つたときは、その請求書並びに受領証を整理し、保存しておくものとする。」、こうなつておる。だからこれは健康保険との関係がないことはない、あるのです。保険証を持つて行つたときにその経費はどういう場合に半額になるのかどういうふうになるのかというこまかい問題まで論議されなければならぬということになつておる。保険の問題がここにまた二元的なことになつておる。経費負担のことからそういうことになつて来る。こういう関係をもう少しはつきりしていただきたいと思います。
#28
○久下説明員 お尋ねの問題は、私が今申し上げましたように健康診断の問題でございます。これが結核患者に対する療養の給付でありますればお話のように完全に重複いたします。その面につきましては、医療の面においては私どもは常に公衆衛生局と密接に連絡をいたしまして、健康保険の被保険者でありますれば健康保険からまず優先的に医療の給付をいたします。その治療の方針は結核予防法と完全に同じ方針をとつておりまして、その間に何らの矛盾もないように考えております。健康保険の診断は療養の給付とは性格が違つております。私どもの方で申しますれば、保険施設としていわば被保険者に対するサービスと申しますか、そういうふうな観点で行つておるものでございます。従つて健康保険の事業として行つております健康診断というものは、政府管掌健康保険で申しますると五十人未満の被用者を使つておる事業所に対して、その一部の健康診断を行うという建前でやつておるものでございます。これは御承知の通り労働基準法によりまして、五十人以上の事業所は職員の健康診断を義務づけられておりますけれども、これまたしかし実際にはあまり実行されておらないように聞いております。そういうようなこともありまするので、公衆衛生局も若干の予算をとつて、実際に行われておりません健康診断を実施いたしておるわけであります。実際に重複する面はございませんし、またこれは私の方の関係で健康診断をやります場合には、地方の保健官署が事業所に連絡をいたしまして、あらかじめその費用はこちらでもつてサービスをしてやるというようなやり方をしておるのであります。実際問題としては公衆衛生局が健康診断を重複することはないと考えております。しかしながら来年度以降の問題につきましては、結核対策として現在検討されております健康診断を、もつともつと徹底的に行つて行く必要があるということが、ただいま結核対策の論議の中にもあげられておるのであります。その結果広範囲に健康診断が行われるようになりますれば、私の方でやつております健康診断の事業、結核予防法に基いてやりますものとがかなり重複をする懸念も出て参ります。そういう場合の調整につきましては、現在結核対策を審議しつつあります際に、その辺の矛盾のないように連絡をとつておる次第でございます。
#29
○滝井委員 社会局長にお尋ねしますが、在宅結核患者の家族の予防措置は、主として自費で健康診断を受ける余裕のない人を対象としているわけです。従つてこの要綱は生活保護の対象者あるいはボーダー・ラインの人が多いことを前提としているわけです。そうすると、あなたの方の生活保護法の医療扶助との関係はどうなりますか。大体、今まで扶助を受けている患者が結核の疑いがある、あるいは結核患者がおるといつたときには、福祉事務所から医療券をわれわれのところへ持つて来て、それでわれわれが健康診断をしてやつておるわけであります。そうすると今度これでやるということになると、明らかに医療扶助の経費を節約するために肩がわりする情勢が、さいぜん私が指摘したようにここから出て来る可能性がある。これは何かあなたの方に連絡の上のことでございますか。
#30
○安田説明員 生活保護法の医療扶助というものは、単なる健康診断というものは実は認めておりません。それからまたいろいろそういうふうな他の法律で医療に関することをやつていただきますから、健康保険でもそうでありますし、それから結核予防法でもそうでありますけれども、そういう場合にはすべて他の法律が優先するという方針をとつております。従つて他の法律でやりました残りを私どもがやるというのが、生活保護の医療扶助の建前であります。従いましてそれを一緒に私どもで引受けるとかそういうようなことは今のところできないのであります。
#31
○滝井委員 他の法律が生活保護に優先をするということを言われましたが、そこからやはりよろいの下から衣が見えておるわけであります。他の法律が優先して、結核に対する法律がだんだんできて来ると、あなたの方の医療扶助が結核に非常に多く食われるということが、だんだん肩がわりされる可能性がある。生活保護では健康診断をやらぬというけれども、たとえば母子寮に入所するときには最初は金を持たない、そうすると福祉事務所で医療券を切つて、全部われわれのところに持つて来て、いわゆる初診料四点の請求をされるのです。それは現実に行われておる、あるいは病気の疑いがあるということでレントゲンをとらなければならぬ、そのときは医療券を切つてレントゲンをとらしておるわけであります。これは健康診断を許さぬといつても、入所などをするときには、金がないのです。もちろん生活保護の対象者というものは保育所や養老院に入るときは、結核息者を入れてはいかぬから、皆やつておる。そんなものをこれに持つて行くということは、いかぬことになつてしまう。
#32
○安田説明員 私どもの方は健康診断そのものは認めていないわけでございますが、病気の疑いがあるということでおやりになる場合にはあるいはそういうことを認めておるかもしれません。他の法律で医療切符を認めてやるという制度がどんどんできて、そつちへ肩がわりするのじやないかというお話があつたのでありますが、私は大いに肩がわりしてもらいたいと思う。医療扶助というものは公的扶助制度であるところの生活保護制度の一つの種類であります。どうしても金がなくて最低の医療をすることができないという人を見るのが公的医療制度の建前であります。従いまして私どもの理想とするところは、他の制度でそういう医療関係のものをもつと多くやつていただいて、私どもの予算がいらないということを実は理想としておるのであります。
#33
○滝井委員 そういう考えなら私も賛成です。ほかの制度が生活保護の医療扶助というものを全部見てやる、たとえばそれを健康保険の中に一括してしまう、あるいは国民健康保険の中に一括して入れるということになれば、今言つた生活保護という三本建が二本建になる。私はそれを言つているわけです。現在あなた方の方で医療扶助をみな持つて放されぬというところにも一つの問題があると思うのです。ここはひとつざつくばらんにみな放して一本にしようじやないか、各局割拠の弊をお互いにざつくばらんに出し合つて来れば、結核対策は岡さんが言われたように一本になつてしまう。ですからそれをぜひ今言われたように、ほかの法律でまとめて一本にするようにしてもらいたいということなんです。
 時間がございませんから、社会保険に入りますが、現在デフレ政策が異常に進行して参りまして、聞くところによりますと、昨年度の健康保険の赤字は一億ぐらいだつた。ところが今年はどうも健康保険の赤字は八億ないし十億に達するだろうといううわさが出ておるわけなんです。なるほど常識で考えたら私もそうだと思う。二十六年、二十七年というものはあの特需ブームによつて非常に賃金も上昇したし、それから標準報酬も上り、従つて保険料も順当に入つて来るということで、医療も順当に行われて来たと思うのです。ところが昨年度から保険料の徴収というものはおそらく横ばいになつておると私は思う。特にあの炭鉱の多い九州なんかの保険料の徴収の成績というものは、私が調べたところではまつたくたいへん悪い成績なんです。特にそれが二十八年の中ごろ以降下降になつて、ことしになりましてから非常に保険料の徴収が低下をしている。特に日経連が賃金ストツプの声明をことし発して以来、事業主が労働者からは保険料として取立てておるけれども、資金繰りができないために、保険料をまわして、社会保険の出張所にこれを納めていないという事態が至るところに起つておるのであります。こういう事態から見まして大体社会保険の会計の現状と申しますか、そういうものをまず簡単に御説明願いたいと思います。
#34
○久下説明員 正確な数字を持つて参りませんでしたので、大体のことを申し上げます。昭和二十八年度の政府管掌健康保険の財政の状況は、二十八年度分だけの保険料収入と保険給付費その他の支出とを合算しました収入支出を比較いたしますと、約二億円の赤字でございます。ただしかし前々年度からの剰余金の繰越しが相当額ございましたので、それを充当することによつて経理上は赤字なしに決算をすることができております。
 二十九年度の予想でございますが、ただいまお話の保険料徴収の比率でございますが、今日までのところでは、全国的な数字は昨年に比較いたしまして保険徴収成績がそれほど顕著に落ちておりません。昭和二十八年度の保険料収入の比率も、むしろ前年度より上まわつた程度になつておりまして、全体といたしましては、保険料徴収成績は今日までのところ顕著には落ちておりません。しかしながら今後の見通しといたしましては、一部保険料徴収成績の方は今申し上げたような状況でありますけれども、ここ最近の保険給付費の増加は非常に大幅でございまして、四月、五月の政府管掌の健康保険の支払高を昨年同期に比較いたしましても、約四割六、七分の増額を示しておりまして、この傾向は先年の単価の引上げのございました昭和二十六、七年の関係に似通つた成績を示しております、被保険者の増加なり、あるいは受診率の増加というような問題は、さほどでもございませんのに、金額におきまして非常に大きな数字が出ておりますことを、私どもはただいま最近の数字を得まして心配をし、その原因、対策等について検討をいたしておるのでございます。このままの趨勢を続けて参りますと、昭和二十九年度の政府管掌健康保険の財政の状況は、少くとも年間通じて十四、五億程度の赤字が出るのではないかと見込んでおるのでございます。ただその程度でございますと、繰越金がありますので、どうやら一ぱい一ぱいで二十九年度は過し得ると見ておるのでございます。ただそれに加えまして、今申し上げましたごく最近の療養給付費の支払額の急激な増高の傾向がございますので、一方におきましてまた標準報酬の額の上り方が、今日のような経済情勢でありますので、予想のように参らないのではないかという見越しを立てております。しかしながらこの点は、今後標準報酬がどの程度にデフレ政策の影響を受けて参りまするか、具体的な検討がございませんので、今心配をしておる程度でありますけれども、この点は保険財政から申しますれば、もちろん申すまでもなくますます赤字に拍車をかける要素でございます。私どもとしては本年度の健康保険財政につきましては、非常に心配をいたしておるところでございます。なお心配をしながら、最近の数字をもとにしているく対策も検討いたしておる現状でございます。
#35
○滝井委員 今から三、四箇月前に社会保険の危機が来るということを私が言つたときに、局長は危機は大して招来するとは思わないという意味の答弁をされたことを私は記憶をいたしております。そんなに目の玉のかわるようにかわつてもらつては困るのです。とにかく戦後世界の水準を抜くといわれる程度に、日本の社会保険というものは非常に拡充強化をされたのでございますが、今はまさにデフレ政策のもとにおける第二の危機が、財政的に社会保険に来ておると私は思うのです。というのは、まず収入が横ばいの状態になつて来た。ところが先般来、われわれは厚生年金のときにも指摘いたしましたが、五人未満の事業場にも厚生年金を適用すべしということは、同時に健康保険にも五人以下の事業場には実施しろということをも意味しておるわけです。こういうことになると、医療というものは、一応現実の医療の内容を保つて行く、そうして、適用の範囲というものは徐々に拡大をして行かなければならぬ。と同時に、ここには一種のすわり込みその他で単価問題がからんで来る。こういう三すくみの状態になつておる現状において、局長はこれを具体的にどういうぐあいに打開をして行かれるつもりなのか。たとえば単価問題などについても、現状のままで行かれるつもりなのか。さらに津価問題を検討されるつもりなのか、あるいは適用の範囲というものを五人まで拡大をする勇気があるのか。医療というものを現状維持よりももつと上げる、こういうことができるのかどうか、ひとつ担当局長としての自信のほどをお伺いいたしたいと思います。
#36
○久下説明員 今私が将来の対策につきまして具体的に申し上げる段階に至つておりません。私といたしましては、先ほど申し上げたような趨勢にもありますので、その原因を探求しながら、さらに現在の健康保険制度そのものにつきましても反省を加えて行かなければならないと思います。先々のことを考えてみますとき、健康保険制度そのものの将来の運用を思いますとき、私は単一の手段だけでは解決ができないと思つておるのであります。あらゆる角度から問題を取上げて行きまして、積極、消極の面からいろいろ検討をしなければならないというふうに現在のところ考えております。今ただちにただいま御引例になりましたような個々の具体的問題につきましてどうするかということについては、結論を申し上げる段階にまだ至つておりません。
#37
○滝井委員 結論の段階ではないでしよう。ないのですが、医薬分業の問題の結論というものは大体八月中に出ることになつておる。九月中に委員会に報告しなければならないことになつておる。当然ここで指摘したように、医薬分業を実施する場合における社会保険問題というものが、一番大きな問題としてクローズ・アツプされることは、幾囲かにわたつて指摘した通りであります、そうすると、当然現実において単価問題の十一円五十銭というものをどうするかということの根本的の態度としてはさまつていなければならぬ。きようは十三日ですが、八月三十一日までには大体結論を出して、九月中に報惜し、十月から検討に入ることになる。従つて単価の問題をどうするのか、この前の私の質問に対しては、あなたは現在の単価は合理的でも不合理でもない、検討しますということであつたわけであります。しかし現実に国立病院その他もうだんだん赤字で、今の状態ではいけませんということは、どこの国立病院長も――これはいずれ参考人として呼ぶことになりましようが、みなおつしやつておる。そうすると、国立病院さえも独立採算ではどうにもならないとおつしやつておるし、開業医はそのほかに税金が加つて来る。あなたは税金問題についても、われわれは努力すると言つたけれども、私たちが九州の国税局へ行つて調べてみると、三九%でやられておるということで、単価問題というものは、あな
 たは現在の単価というものは不合理だ、総合的に他の社会保険とともに検討するということなのであります。現在の単価は合理的であるとは考えていない、合理的でも不合理でもどつちでもないということを言つたのでありますが、合理的でないことは明らかである。従つて総合的に社会保険の問題を根本的にあなたが考えられるについては、単価問題についても当然根本的に考えておられることだと思いますが、そう考えて間違いがありませんか。
  〔委員長退席、青柳委員長代理着席〕
#38
○久下説明員 単価問題につきましては、最初に医薬分業に関連してのお尋ねがございました。私どもはただいまの段階は医薬分業の実施に伴う医療費の対策と単価問題とは別問題であると考えております。だからといつて、単価問題をほうつておいてよいかという意味ではございませんけれども、事柄としては別に考えて行つてさしつかえないものであるというふうに考えております。そこで単価の問題について不合理だというふうに烙印を押されましたけれども、私はまだ不合理だというふうに結論を下しておらないことは、前会申し上げたままであります。いろいろこの問題につきましては日本医師会からも正式なお話合いがあり、私どもとしてもいろいろその席で日本医師会と話合いをいたしたのであります。先日日本医師会の代表と厚生大臣との会見の席上におきまして、単価の問題につきましては、本来それを審議するために臨時医療保険審議会というものができておるのである、しかしながら一方その臨時医療保険審議会はあまりにも原則論にのみ終始してしまつて、なかなか結論が得られない状況である、この臨時医療保険審議会の行き方を、この際お互いに考え方を直して、行き方をかえたいという努力をすることによりまして、この審議会で十分検討を進めて行くことになりましようというふうに話合いがついておる状況でございますので、私どもはその話合いの状況にのつとつてこの問題を処理して参りたいと考えております。
#39
○滝井委員 どうも久下さんは政治的感覚がにぶいと思います。先日の東京都の保険医大会の状況は新聞でもごらんになつた通りだと思います。今まで私は医者は長そでだと思つておりました。まさかプラカードを立てて、あれほど医者がやり切るとは思つておりませんでした。ところがなかなかどうして、現在の医師諸君はなかなか裏を持つて来たということなんです。草葉厚生大臣の退陣を要求いたしておるのですよ。そういう大臣のもとにおいては、おそらく話合いはうまく行かないという情勢が私は出るだろうと思うのです。こういうようにもう客観的情勢というものがはつきりして来ておる段階において、保険の単価というものはまだ不合理だとも思いません、検討の段階でもありませんという答弁をされるということになると、これは保険局長としてのあなたをわれわれは信任することができないことになる。現在の日本の医療行政における一番のポイントは何かというと、厚生省においては保険局なんです。保険行政がうまく行くかどうかということが、日本の医療行政がうまく行くかどうかということのポイントなんです。全国の七分か八万の保険医が現実に総辞退を決意するという段階になつて、そうしてまだ単価の問題についてはやるかやらぬかという決心がきまらぬというのでは、われわれは今後厚生委員としても、あなたとともに論ずることはできぬということになる。これは医師会が言うばかりではない。私たちだつてこれでは政治家として相済まない。現実に結核患者がすわり込む、医者は一日休診をやるということでは、大体厚生行政はどこにあるかといわなければならぬ。あなた方が約束をした税金の問題も解決ができない、あるいは社会保険の凹凸是正の問題もまだはつきりしない、うやむやだ、一方だけは下げたというようなことでは、これはわれわれとしてもあなたと話をすることはできないことになつちやう。医師会は厚生大臣を相手にせぬと言つておる。退陣を要求しておる。だから私はきようはここでこまかい単価の問題については論議する必要はない。これは臨時医療保険審議会でやつてもらつたらけつこうだと思う。問題はあなたの腹構え左聞けばいい。現在の単価で押し通して行くのか、それともここで改正する意思があるのか、これだけでけつこうだ。もうすでにこの問題は二十六年の十二月以来の問題ですから、きようになつて結論が出ませんとか何とかいうことは言わせられぬと思う。だからあなたが単価問題については検討をやるのか、十一円五十銭で押すか。検討をやるということは、これは現在大体不合理だということをお認めになつておることだから、やるのだと思う。これは私は主計局にも申立てておる。現在の単価問題は重大問題だ、おそらく予算編成の根本問題だ、自由党の死命を制する問題だ、だから自由党が腹をきめなければならぬと同時に、大蔵省も腹をきめなければならぬ大問題だ。だから保険局長としての責任のある政治的生命をかけた答弁をお願いしたいと思う。単価を十一円五十銭であくまでも昭和二十九年度は押し通して行くのか、それともここで現在の社会保険は行き詰りつつあるから、社会保険の一環として十一円五十銭を再検討するのか、これをはつきりしてもらいたい。うやむやの答弁はきようは許されません。
#40
○久下説明員 単価の問題を検討するということは、先ほど私が申し上げました臨時医療保険審議会において相談をしようということを厚生省としても約束をいたしました以上、御了承いただける点だと思います。しかしながら検討をするということは、不合理であることを前提としているのだというふうにおきめになることは、私はいかがかと思います。この辺のところは、私の立場としては前回申し上げたと同様に、ほんとうにいろいろな要素を検討をしていただきまして、その上で審議会でもこういうふうにやるべきだということが出て、初めて現在の単価が不合理だという結論に私はなるのだと思います。それを私どもが先に結論を出してかかるということは、私どもとしてはとるべき態度でないと考えております。私は一介の事務屋でもございますので、それ以上の答弁を申し上げることはできませんことを御了承願います。
#41
○滝井委員 そうすると、あなたの方は何でも審議会の結論の通り実行されましたか、今まで、たとえば厚生年金でも審議会が答申をしても、あなた方の意思を加えて今度はそれをかえてやつたでしよう。もしあなた方が今になつてそういう審議会の通りに何でもやるとおつしやるならば、それは私は言いません。けれども審議会が答申したことを、地方制度調査会にしても、あるいは分業の問題にしても、その通りにはやらない。必ず政治的な考慮を加えて、むしろそれとはまつたく違つた方向さえも出すことが多い。だから当然これはあなたが厚生行政の重要な一環である社会保険行政を担当しておる主管局長として、現在の十一円五十銭が妥当か不合理かという程度の結論さえも出なければ、私はあなたの答弁はこれから求められぬことになるんです。そのくらいの責任を持たなければ局長として勤まりません。だから私はそうだつたらこの委員会であなたの不信任を動議として出しますよ。これはもはや笑いことじやない。現在の社会保険がこれほど危機にあつて、これがもしあなたが、きよう答弁できないで、このままほおかむりで行かれて、もし医者が総辞退をして、その場合に混乱が起つたならば一切の責任は私が負いますという、そういう言明をすればいい。しかしそれはできないと思う。だから私は前から警告しておる。現実の空気はそこまで来ておる。私は現に行つて見て来た。あの長袖の医者諸君があれまで行くということは、よほどの決心がなければやれるものではない。厚生大臣の退陣まで要求しておる。そのときに厚生大臣に政治的責任をとらせる前に、主管局長であるあなたが、どの程度の政治的腹構えと、どの程度の熱情と決心をもつてこの問題を解決するかということを聞かなければならない。だから十一円五十銭の単価問題について責任をもつてできないということになれば、混乱が起つたら辞表を出してもらいたいという要請なんです。無理なようであるけれども、これが政治というものなんです。あの保険医の大会では小畑という東京都の会長は、こういうことを言いました。男というものは決心をするときはそう何度もあるものじやない、今度が男が一度の決心をするときだということを言つておる。あなたも保険局長として、この一番の危機を乗切れるか乗切らぬかというのはこのときだと思う。無理なようでありますけれども、そのくらいの心構えを持たなければ、このデフレの重圧下において厚生省が社会保険制度を守つて行くということは不可能です。だから私は国民大衆の名において、あなたにこの単価問題を解決する勇気と熱情を持つておるかどうかを問いたい。勇気と熱情を持つていなければ、保険局長のいすを去つてもらいたいということを言う。これは言い過ぎかもしれないけれども、まだあと何日も委員会があれば最後に言えばいいが、きようが最後だからその決心をはつきり聞くまでは私は質問をやめません。
#42
○久下説明員 何回仰せられましても、私としては単価が不合理だから上げるという結論を出さなければ不信任だと言われればやむを得ません。単価の問題は、私はそれ自身の合理性についてもつともつと検討いたさなければならない面がたくさんあると考えております。そういうことが怠慢であると言われればそうかもしれませんけれども、まだ十分な検討も今日の段階では済んでおらない現状であります。そういう意味合いにおきましてただちに結論を先につけるということは、私としてはいたしかねるのであります。なお一方におきまして、かりに単価を上げるというような結論が出たといたしましても、その問題は私から申し上げるまでもなく影響するところはきわめて大きくかつ広いのであります。そういう問題を私ごとき立場におります者が簡単に見通しをつけた結論を申し上げるということは、今日の段階では私としては不可能でございますので御了承を得たいと存じます。
#43
○滝井委員 問題というものはやはり原動力がなければだめです。ところが厚生省におつて保険局長のポストについておるならば、現在の日本の社会保険がどういう状態であるかということを日本で一番よく知つておるはずだ。しかも十一円五十銭が妥当であるか、十一円五十銭で行政がやれるかどうかということも一番よく知つておる。あなたたちは十一円五十銭で今後順当なる社会保険行政がやれるとお考えになりますか。
#44
○久下説明員 何度も申し上げておりますので、責任のがれのお答えになるかもしれませんけれども、私は十一円五十銭で将来ともいいんだとは一度も申し上げたことはございません。今日またそう考えておりません。検討の途中でございます。
#45
○滝井委員 そういたしますと、十一円五十銭では社会保険行政は責任を持てないということに確認してさしつかえございませんか。
#46
○久下説明員 滝井先生がさようにおとりになりますることは、これは御自由でございますが、私としては十一円五十銭では私が担当いたしております社会保険行政の責任がとれないというところまでの結論には、まだ今日到達いたしておりません。
#47
○滝井委員 それならば社会保険行政の責任はとれるということですね。順当なる社会保険行政の運営は十一円五十銭でやれるということですね。だから問題はここなんだ。もし混乱が起つた場合は辞表を出すかということはそこなんです。問題は現在の日本においては責任をはつきりしないところに政治の混乱がある。上は吉田総理から下はあなた方に至るまでそういうぐあいに責任をのがれるところに官僚の立身出世主義が衝いているしだからこういう国民の医療の危機に直面したならば率先をして責任をとつて十一円五十銭でやるということがわれわれから言わせれば優秀な役人です。それが言えないようであるならばあなたは厚生行政の重要な保険行政を担当する資格はないと断言せざるを得ない。だからもしあなたが十一円五十銭で順当にやれるというならば私はこれ以上質問はしません。しかし今のような答弁ならば今後社会保険の問題については私はあなたに質問はやらないということにしたいと思いますが、それでもさしつかえありませんか。もう一ぺんはつきり念を押します。
#48
○久下説明員 あいまいと言われればいたし方ございませんけれども、私は今後長く十一円五十銭でやつて行けるのだ、あるいはそれでいいのだというようなことは毛頭考えておりません。日本十医師会の代表も、先ほど申し上げましたように、幸い正規の機関もあることであるし、臨時医療保険審議会において単価の問題を真剣にひとつ検討いたしましようということで了承もしておられるのであります。そのことはまた単価の問題につきましては検討の余地が十分あるということを日本医師会の代表が正式に認められた結果であると考えておるのであります。私自身もまたさように考えておるのでありまして、将来にわたつての見通しを今日の段階で私としては積極的にも消極的にも申し上げられないのでございます。
#49
○滝井委員 大分はつきりして来ました。十一円五十銭では長くはやつて行けないということなのですね。長い短いは、期間が三箇月でも一日よりも長いし十日でも一日よりもやはり長い。まあこれ以上は言いますまい。大体局長は十一円五十銭では長くはやつて行けぬということをはつきりしたようでございますから、ひとつはつきり私はこれを確認いたしておきます。保険局長としては十一円五十銭では医療行政、保険行政を長くはやつて行けない。これから先は大臣が来てから大臣に質問したいと思います。これで一応私の質問は打切ります。
#50
○青柳委員長代理 次に長谷川保君。
#51
○長谷川(保)委員 これは滝井先生から聞こうとするところかもしれませんが、今の単価の問題であります。これは医薬分業にも関係しますし、すでに東京都の医師会は四千人の会員を集めまして、非常な決意をもつて厚生大臣の退陣要求の決議をもいたしておるわけであります。しかもその東京都の医師会の大会には全国の都道府県の医師会長というような人々も非常に多数お集まりでございまして、各都道府県におきましても続々この大会が開かれ、しかのみならずその東京都医師会の大会は、日本医師会の大会の開催要求を決議いたしておるところからみましても、これはきわめて重大な問題に当面しておるのであります。従いまして、これは短時日の間に非常な重大な問題に立ち至ると思うのでありまして、おそらく厚生省でもこの事態はすでに十分推察せられまして会合を開いておられると思うのですが、大体どんな方針を考えておられるのか。今日までの段階を、これは次官もすでに会合に出ておられると思いますから、次官からざつくばらんに伺つてみたいと思います。
#52
○淺香説明員 ただいまの御質問の前に滝井委員から久下局長に対して非常に御熱心な、かつまた平素の意気込みをそのまま吐露してその答弁を求められましたので、私のように新米で何もわからない者が途中で品を出しますことは、非常に悪いと考えたのでありますが、局長が答弁いたしておりますように、臨時医療保険審議会も設けられておりまして、これも私が漏れ聞いておりますには、着々この審議は進められておるかのように聞いておりますものですから、局長の立場といたしましては、ちよつと立場上審議会の答申が出ますまでは、多少個人の考え方はありましても表現するということは非常につらいのではないか。こういう意味から御了解を願えたらと思いまして、委員長まで発言を求めたような次第であります。
 なおまたただいまの御質問でございますが、ほんの数日前に更迭になりまして、せつかくただいま局部内の方々から担当されておりますところの問題につきまして一応事情を聴取しておるような状態でありまして、ただいま御質問に対して的確な御答弁を申し上げられないことを非常に残念に思いますし、不勉強の至りでありますが、十分さらに誠意を尽しまして、山積しております厚生部門におけるところの問題を大臣とも相談いたし、党とも連絡いたしまして、誠意を尽して解決に当りたいと思いますので、どうぞ御了承願いたいと思います。
#53
○長谷川(保)委員 それではもう一つ伺いますが、先ほど申しましたように事は非常に切迫しておるのであります。国民保健の重大なる問題でございます。従いまして先ほども単価問題を臨時医療保険審議会で検討中であるから、その結論が出てからということでありますが、これはすみやかに出す必要があるのでありまして、この単価問題の結論を出すのにごく最近のうちに出るのかどうか、現在どのような趨勢にあるのであるか、これがごく短い期間のうちに出るというのであれば、そこにまたおのずから医師会との問題も解決の道が出るわけですが、ごく短期間にその結果が出るのであるかどうか、担当官の方から伺いたいと思います。
#54
○久下説明員 この問題につきましては、先ほど私が日本医師会の代表との正式の会見の際にお約束申し上げましたが、これはきわめて最近のことでございまして、今日までのところ、実は正直に申しまして、臨時医療保険審議会の審議そのものは山に登りかけた感じがあつたのでございます。と申しますのは、各関係委員からそれぞれ医療保険の、あるいは社会保険の原則論みたいなものが持出されまして、議論の花が咲いたということで結論が出ない現状であります。そこで先日単価問題を含めたいろいろな問題で、日本医師会の代表が厚生大臣のところに見えられましたときに、厚生大臣からもこのことに触れて、臨時医療保険審議会の行き方をお互いに考え直そうじやないか、そういうことによつて具体的にこの問題に取組むことにいたしましようというようなお約束をいたした次第でありまして、あるいはそういう角度から審議を始めまするのはできるだけ早い時期に近くやりたいと思つておりますけれども。これからのことであります。私としては極力構成メンバーである委員の方々にも事情を申し上げまして、必要なる資料の提出等につきましても、私どもの立場からできますものは敏速に取運びまして、結論を急ぐようにいたしたいということ以上のことは申し上げられません。今日のところ極力結論を急ぐということで御了承願います。
#55
○長谷川(保)委員 角度をかえて新しく検討するということはたいへんけつこうだと思うのでありますが、いずれにいたしましてもこの問題は、おそらく一箇月を出ないうちにきわめて重大な段階になることはほぼ推測にかたくないところであります。よほど厚生当局はこの問題を急ぎませんと、重大なる問題になると思いますので、特にこの点について留意せられんことを望んでおきます。
 次に先ほどもいろいろお話があつたのでありますが、生活保護費の二十九年度の予算の使用の現状について、ことに医療扶助とその他の生活保護費とにわけまして、もう一度社会局長の御説明をお伺いしたいと思います。
#56
○安田説明員 ちよつと伺いますが、四月からだけでございますか。
#57
○長谷川(保)委員 今年度分の予算の支払いの状況を私は聞きたい、つまりあと幾ら残つているかということです。
#58
○安田説明員 四月からで申し上げますと、四月が生活扶助が十二億七千万円、五月が十二億六千九百万円、六月が十二億九千八百万円、その他住宅、教育、出産、生業、それから葬祭がございますが、これは合計したものがないのでございます。それから医療扶助が、四月が三十億でございまして、五月が十九億で、六月が十六億でございます。これは私先ほど御質問がありましたときに申し上げたのでありますけれども、二十九年度の予算に二十八年度の赤字補愼の二十五億が入つておりまして、たまつておりましたものを四月、五月に払つて行つたものであります。そこで、今わかつております三十億、十九億、十六億という数字では、一体平常の状態における医療扶助の数字がどれくらいかわかりかねるということであります。一月、二月は五億、六億という数字もございまして、たびたび申し上げておりましたように、そういうわけで、先の見通しを立てることがまだ少し早すぎるような気がいたしております。
#59
○長谷川(保)委員 そういたしますと、今のところ一箇月幾らかかるかはまつたく不明の数字が出て来たわけでありますが、あと予算の残額は、私予算書を持つて来ませんでしたが、幾ら残つておるのでありますか。
#60
○安田説明員 お答え申し上げます。今まで使いましたのが大体百十三億ぐらいになります。(「医療扶助ですか」と呼ぶ者あり)これは全部でございまして、医療扶助だけでは六十五億でございます。でありますから、総額で言いますと約百七十億以上が残つているわけであります。ちよつと今のを訂正いたしますが、今申し上げました数字は十割でございますから、それに八割をかけて、それでことしの予算額から差引くということで、大分まだ残つているわけであります。
#61
○長谷川(保)委員 今ちよつと聞き間違えたかと思うのでありまして、念のために伺うのてありますが、今まで払いました六月までの全部の生活保護の金が百十三億でございますね。
#62
○安田説明員 お答えいたします。今億の単位だけを拾つて百十三億になりましたが、千万の単位を拾つて行きますと大体百十五億でございます。百十五億は十割の額でございますが、その八割をかけたものが国費負担になるわけであります。
#63
○長谷川(保)委員 いずれにいたしましても今年度のこの予算は非常に足らないと思いますが、局長の御意見はいかがですか。
#64
○安田説明員 先ほどから申し上げますように、四十六億とか三十五億、三十二億という数字の基礎になつております医療扶助というのは、非常に数字が変動いたしておりますので、一体どこにおちつくかということがまだはつきりいたしません。昨年の後半の例を申し上げますと、基金払いになつたためにそのとたんに一躍四億くらいがふえたということがございまして、それも過去の支払いの分が各府県や市等において払つているのがだんだんたまつて来たというような状況でございます。ちようど今度そういうのがなくなつて来たという関係で、まだわからないということでございますが、このままの数字を足して行きますと、あるいは足りなくなるのじやないかということは考えられます。しかし何度も申し上げますように、数字をはつきり計算をいたしまして、幾ら足りないからこうするというところまではまだ実は行つていないのであります。
#65
○長谷川(保)委員 どうもこの予算を見まして、三箇月でこれだけであります、このうち医療扶助の四月の三十億、あるいは五月の十九億は少し多いといたしましても、どうも前年の後半期に支出いたしました予算と思い合せてみまして、私は医療扶助の線も十六億は減るまい、それはことに先ほどの社会保険の方のお話を承りましても健康保険の療養給付が非常にふえているという点から思い合せましても、十六億が絶対減らぬ、こう私は思うのであります。そういたしますと、相当大きな赤字になるということは、これはまあ、答弁技術の問題でなくて、誠意を持つてのお互いの話合いといたしまして、考えられるというわけでありますが、これは私、今この点を伺つておりますのは、たとえば付添い看護の制限の問題、あるいは結核患者の医療扶助の問題等々で先般来大騒ぎが起つたわけでありますが、その不安の大きな源になつておりますのは、何と申しましても予算が足りないというところから、それを無理やりやられるぞというおそれがあるわけであります。そこで今日はこの問題を伺つたわけでありますが、予算が非常に足りなくなつて参りますことは、もはやこれはだれでも容易に予測できるところでありまして、これらにつきましては、すでに相当お考えがあると思うのです。生活保護法の建前から申しましても、当然補正予算を組まなければならぬということになりますが、当局はそういう準備をしていらつしやいますか。
#66
○安田説明員 先ほど申しましたように、三箇月で約百十五億でございますが、これの八割といたしますと九十二億でございます。その九十二億から、たとえば前年度の赤字二十五億を引きますと六十七億、これは三箇月でございますから四倍いたしますと二百六十八億になつて参ります。そういうような計算をいたしますと、何とかやつて行けるのじやないかというような数字も出て来るわけです。しかし私どもは、たびたび申しますように、足らないものを押しつけるというようなことは全然ありません。足りなくなれば、必ず補正予算なり予備金なりを要求するつもりはございますけれども、ただ、今申し上げましたような数字の現状においては、これだけのものが足りないから大蔵省ですぐ補正予算を組めというところまでは行つておりません。しかしまだ残額が相当あるのでございますから、これらの推移によりまして、足りないものは足りるような措置をするようにやつて参りたいと思います。
#67
○長谷川(保)委員 そこで先般来の大騒ぎの実情でありますが、私、双方の言い分を、いろいろ官庁参つたり、あるいは患者側にお目にかかつたり、全官労の皆さんとお目にかかつて実情を伺つているのでありますが、どうも官庁側の言うものと実情とが違つているように私は直感をするのであります。今日第一線へ参りますと、結核患者の国立療養所、病院等における入退所をきめますのに、どうも病院長がそれをきめるというよりも、現実問題といたしまして、社会福祉主事が、病院の事務所にも医官にも断りをしないで、直接本人のところへ行つてきめてしまうというようなことが、むしろ実際に行われているように思うのであります。こういうところから非常な不安が出て来ておるようであり、付添い看護の制限等につきましても同様のことが行われておるように思うのであります。そこで、そういう病院当局を除外いたしまして、社会福祉場主事が直接病人といろいろ話をし、決定するというようなことを、厚生当局は指示をしていられるのかどうか、まずそれを伺いたいと思います。
#68
○安田説明員 その点は、五月八日に出しました通牒に書いてある通りでございまして、それ以上の何ものも指示したことはございません。もちろんケース・ワーカーが病人に直接会つていい場合にお会いするということは、ケース・ワーカーとして一つの務めだと思つておりますから、私どもはそういうことをよせとは言えないのでありまして、私どもの方針としては、そういつた場合には、病院当局の意見を聞くというように指導いたしております。
#69
○長谷川(保)委員 それはきわめて重大でありまして、今のお話の一番最後の言葉を守つていただけば文句はありません。もちろん病院には御承知のように病院管理者がおりますが、病院管理者に断らずに社会福祉事務所のケース・ワーカーが直接入つて行く、むしろ逆になるべく医官やその他に気づかれないように入つて行くというような傾向さえ現実には見えるのであります。そういうところに患者諸君あるいは医官諸君の非常な不満があります。都庁に直接すわり込みました諸君、ことに医官の方に伺いましても、また事務当局の方に伺つても、そういうことを訴えられておるのであります。こういうことはきわめて重大な問題でありまして、私はそういうようなことの万ないように御指示をしていただかなければならぬと思うのであります。これに対する局長の御意見を伺います。
#70
○安田説明員 入院患者に対しましては、それぞれ面会が制限されておることでございますから、そういうような場合に病院の管理者に断るということは、もちろん常識的のことでございます。私どもはそういうふうに考えております。
#71
○長谷川(保)委員 それから入退所の決定というものは、もちろん病状によることでありますから、間違いは万ないと思いますけれども、厚生当局といたしましても、これは非常に愚問だと思うでしようが、事実行われておりますので、念のために、ここに全国の患者諸君のために伺つておるのであります。当然病院長が最後決定をすべきであると思いますが、さように考えてさしつかえないものですか。
#72
○安田説明員 私どもは、そういう場合に主治医の意見を尊重するという通牒を出しておるわけであります。
#73
○長谷川(保)委員 尊重するという意味は、その決定は病院長がきめてよろしいという意味でありますか。
#74
○安田説明員 病院長がきめて、そのままをうのみにするということでは、もちろん基準を出した意味がございませんので、医学的にも正当なものであるということが当然前提でありまして、私どもの過去の経験では、そういう場合病院その他によると、必ずしも適当な意見がつけられない場合があり、はなはだ遺憾に存じますので、そういう場合も考えまして、主治医の意見は尊重して行く、こういうふうに考えております。
#75
○長谷川(保)委員 これは非常に大きな問題を含んでおると思います。つまり病院を管理しておる、治療に当つておる医師でなく、ほかの意見で最後の決定をするのであるか、それとも医師が決定するのであるか、これは非常に重大な問題を含んでおると思います。具体的にさらに申し上げますれば、各都道府県に審議会があるとのことでございますが、その審議会はやはり厚生省の方でつくることを指示なされたのでありましようか。指示なさつたとすれば、その審議会の決定と病院長の決定とはどちらが優先するものでありますか。
#76
○安田説明員 私どもの方で審議会をつくることを一般的に繧癒した事実はございません。現在のところでは、東京都がそういうような審議会をつくつておりますが、しかし私は、それは別に悪いこととは思つておりません。
#77
○長谷川(保)委員 審議会もしくは社会福祉主事が、厚生省から出ました基準をたてにして、病院長がなお治療上病院にいなければならないと判断するにかかわらず、それを退院させるということができるのであるかどうか、できるとすればどういう法的根拠を持つておるのか承りたいと思います。
#78
○安田説明員 保護の実施機関は、地方長官でありますので、地方長官が条例に基いて、自分の一つの諮問機関として、つまり付属機関として審議会を設けておるわけであります。これは保護の実施機関が、自分のところの決定をより慎重にしたい、より公平にしたいという観点に立つておるものだと考えます。いずれの場合にいたしましても、私どもは主治医の意見とそういつた審議機関の意見との間に相違がありました場合には、お互いに納得の行くように最後まで話し合うことが大事だと思います。しかしながら先ほど申しましたように、主治医の意見なりあるいは当該保護の医療機関の意見がはなはだしく妥当でないと思われるような場合があることを私は非常に遺憾に思つております。
#79
○長谷川(保)委員 そういう例は、私は国立病院等ではほとんどなかろうと思います。国立病院の院長というものはやはり当然これは公務員でございますし、そういうことはなかろうと思います。一部の私立のもの等においてはある程度あるかもしれませんが、国立病院等においてはほとんどあるまいと思います。しかるに現実におきましては、むしろ院長によりも社会福祉事務所というようなものが入退院を決定して行くことを最後になさる。こういうところに問題がある。だからそこへひつかかつて参りまして、予算が足らないからそういうことになつて来るのだろうという患者の非常な不安が出て来ている。これは、医療のことは当然病院長にまかしていいのじやないか。またまかせるべきじやないか。実は厚生大臣は私にそう明言しておられる。病院長に最後の決定をまかせます――今の局長のお話と少し違うのでありますが、これは厚生次官も事務次官もそこにいらして、私にそういうことを明言なさつた。私はそれでいいと思う。それで社会福祉事務所の方で、どうも医療保護法の精神と幾分違うということであれば、十分懇談なさつて、やはり最後の権限というものは病院長に置いておかれるのがあたりまえだと思う。これは治療しておる患者でありますから当然だと思います。それを、そうでない、他のフアクターからいたしまして、そういう問題を決定して行くところに、今度の混乱の大きな原因があつたと思う。これは私は患者側におきましても、ある程度思い過ぎから参ります非常な不安からこういうことが出て来たと思うのでありますが、それだけでは、あれほどでもなかろうと思うのであります。これは東京都等において実情を調べまして、あれほど患者さんたちが心配なさらないでもよかつたのじやないかと思うのであります。しかし現実におきましては、少数ではありましたが、そういう事実があちこちに出て来た。出て来ましたから、ああいう非常な恐慌を来したわけであります。後に当面の責任者としてこの間私が厚生大臣及び次官から伺いましたのは、非公式の立場でありますから、本日はここで厚生当局から正式に、その入退所の最後の決定権は病院長にあるということを明言していただきたい。全国の患者諸君のために明言をしていただきたい。また同様に付添い制限等につきましても、その最後の決定権は病院の医官にある。医療に関するものに医療の専門家以外の者がくちばしを入れることはまかりならぬことである。これは事人命に関する、基本人権の根本問題に関するものでありますから、医療に関する問題に他の者がくちばしを入れることはまかりならぬと私は思うのでありますが、いま一たび局長の責任ある御回答を承つておきたいのであります。
#80
○安田説明員 大体長谷川委員のおつしやるごとと事実においてはあまり相違しないかと思うのでありますが、私ども尊重しましてこういうことを申し上げているのであります。しかしながらこの意見が違う場合があり得るのであります。そういう場合にはよく最後まで懇談をいたしたいと思います。しかしいかなる病院、いかなる医師につきましても、すべて最後にはその医師が決定権を持つということにつきましては、私どもまだ若干の疑問を持つているわけでありまして、そういう場合にしろうとがきめるということでなく、他に権威のある者が意見を申しまして、なるほどその方にもつともであるというりくつがありますならば、必ずしも長谷川委員がおつしやるように、医療機関が全部最後まで決定するというわけには参らない場合があり得ると思います。
#81
○柳田委員 長谷川君の質問に関連して。これは非常に大事なことで、患者諸君がすわり込みをやる以前の問題です。本年の四月三十日の朝日新聞の投書を読んでみます。「私たちの療友会員であつたTさんは、退所後半年もたたぬというのに、自分で縫つた白衣をまといさびしく死んで行つた。この方は十年以上も療養していた人で、長年闘病のかいあり、ようやくいま一歩というところまでこぎつけたのです。ところが待つていましたとばかりに、地方の社会福祉事務所から医療費の打切りが来た。理由は一定基準の治療に達したというのです。まだとうては社会復帰に自信のないTさんは、その後も自己負担で療養を続けていたが、滞納が重なるばかりなので仕方なく退所したところ、今度の不幸な結果に終つたのです。このような不幸が起ると、民生委員や福祉主事といつた方々は、「死ぬほどの苦しみだつたら、どうして一言相談に来てくれなかつたか」ときまつて話されます。しかしそのような不幸な出来事は、そうした方々へお百度を踏んで通つたあとの出来事なのです。不完全回復のまま社会へはじき出される患者のたどる道は、このTさんの歩んだ道に近づかざるを得なくなるのです。大体これまでの医療費打切り状況を見ると、ほとんどが医師の診断が無視されている。主治医はなお加療を要すと診断しているのに、福祉事務所では一定基準の回復内に入れてしまうのです。このようなことがあつてよいものでしようか。一体この一定基準に達した回復というのはどの程度のことをさすのか、これは厚生省の定めた線であると社会福祉事務所では主張しますが、その点について厚生省の御見解をお願いいたしたい。」こういうような投書が出ております。ちようどこれが長谷川君の質問と同じようなことになつております。そこで院長の診断というものは尊重するが、そればかりにたよれない場合がある。そういうときにはどういう機関で、どういう民主的な方向で、最後の結論を出すときにはどういう採決の方法できめられるか、その点を明確にひとつお答え願いたい。これは長谷川君の質問に関連してはつきりお答え願いたいと思います。
#82
○安田説明員 いろいろよく実例があげられるのでありますけれども、ただ医療費を打切る、打切らぬと申しましても、その実例につきましているく調べてみますと、また他の理由がありまして打切つたような実例がたくさんあるのであります。従いましてそういうような実例に対しましては、どこのどういう人がどこでどういう取扱いを受けたというようなことを承知いたしまして、そうしてそれに対して適当な措置をとるというふうに私はお答えしたいのであります。
 私どものやりますことが全部間違いないということをここで明言するだけの勇気は私は持つておりません。たくさんの数の者がやることでありますから、中には間違いもございましよう。しかしそういう場合には必ず具体的にその人のいろいろな条件を調べてみないと、ただ打切つたのが悪いということだけで、この事件はどうだと言うことはできないのではないかというふうに考えております。なおまた今のお話につきまして、たとえば東京都のような場合でございますと、東京都はそういう審議会を設けておりますので、そういうところで審議したらいいのではないか。私はこういうふうに考えております。
#83
○長谷川(保)委員 そこで最後にどうしても確実にしておかなければならぬと思うのでありますが、先ほど申しましたように、医療でございますから、医療を打切るかどうかということは、また当然――たとえば医療費を打切るためにこの人はやがて医療ができなくなるというようなことになれば、そういう事実はたくさんあるわけであります。たとえばいなかの農家のうちでわずかの家屋敷があるとか田畑かあるとかいうことで医療扶助がかけられない、打切るという、そういうときに結局最後の問題は患者でありまして、患者がいやおうなしにうちからは医療費が払つてもらえぬから出て行くより方法がない。実際においては医療という基本的な人権を受けることができないというようなことになつて行つてしまうという事実はたくさんあるのであります。そこでこの医療に関する限りはやはり病院長が責任を持つ、打切る、打切らぬの最後の責任を持つ。それに対しまして生活保護法の立場というものがあるとするならば、社会福祉主事なりあるいは審議会なりがなぜ院長と十分御相談なさらぬか。十分御相談なさつて、最後の決定権は院長が持つて何もさしつかえないのであります。十分なお話をなさらぬでこれを打切る、院長に最後の、医療を打切る、打切らぬの権限を認めるというのではなくて、むしろ社会福祉事務所がこれを決定してしまう。こういう実情ではいけない。非常に重大な問題を中に含んでいるから、これを考え直しをしてもらわなければならぬ、こう思うのであります。大部分のものが国立療養所、国立病院でありますから、公務員である病院長がわからぬはずはないのであります。その際に一部の乱暴な諸君があつて院長をおどかし上げる。そうして院長ではその打切ができないから医療審議会でありますとか何とか審議会というものがなくては困るとか、社会福祉事務所から強圧をかけねば困るとか、こういうようなことは私は言訳にならぬと思う。そういう乱暴な諸君があろうとあるまいと、なすべきことはなすべきごとで、堂々とやつてのけなければならぬのでありまして、これは現実の問題といたしましても、社会福祉事務所から行つて十分実情を院長と話し合つて、これはどう考えても不当である、不合理である、こういう結論が出れば委員長としても社会福祉事務所の方でこういつ来て、こうこうこういうわけだからどうしてもこれをかけるわけには行かないのだ、もう退院をしてもらわなければならない、こういう合理的な話ができないわけはないと思う。それをしないであまりにせつかちに医療を打切る、付添い看護の制限をする、こういうところに大きな問題が出て来ると思う。民主主義はある程度めんどうなものかもしれませんけれども、やはりこれだけの親切さを尽して合理的に手続をしなければ大問題が起きて、犠牲者が出、喀血者が出、熱発患者がたくさん出るというような問題か出て来て、人道問題にまで至るのでありまして、過日私と党の佐々木代議士が党を代表いたしまして厚生大臣及び厚生次官にお目にかかつたときには、厚生大臣はその最後の決定は病院長にあるということを確言します、こう言つておられますか、このことをきよう公式に認めてもらわなければならぬ。局長は言を左右にして来られましたけれども、私はそう認めるのが当然だと思う、合理的だと思う。局長の御意見を伺いたい。局長がどうしても明確な答弁ができなければ政務次官の御意見を承りたい。
#84
○安田説明員 多くの一般的な問題はそういうことがほとんど起つて来ないのだろうと私は思つております。一つの基準が示されまして、その基準につきまして、当該の患者が当てはまるかどうかということは、これは療養所に先にきめてもらうべきことである。そうしてまたその安静度が五度とか六度とかいいましても、それに対してその患者の病状の特異性というものがありましようから、そういうことは得心が行かなければならぬのであります。しかしながら先ほどもちよつと一つの例をあげられましたけれども、話し合つても、これは少しおかしいじやないかというような例がないではないのです。そうしてだんだん話し合つて行くと、実はこういうわけでというような例が今まででもあります。あるいはまた最初に五度とか六度とかいうことで、出てもいいという判断が、途中でかわるというような例も今まであるわけであります。それで非常にまれな場合だと思いますけれども、主治医の意見を尊重いたしますが、最後にはそういつたような点で若干食い違いがあるような場合がありうる。しかしそれは常識的に、だれが見てもそうだというふうに、何とか方法をつけてやつて行きたい、こういうふうに思つております。
#85
○滝井委員 社会局長は今の入所退所基準ではつきりしたいと答弁されていますが、大体こういう入退所基準あるいは看護の給付の取扱い、最近出た患者心得、こういうものは、科学的な、合理的な成果の上に立つものだと私は考えております。従つて当然これは共済組合の患者にも国民健虚保険の患者にも適用するものでございましようね。ただ生活保護ということではこれは患者から文句が出て来ることは当然だと思いますが、そう考えていいですか。
#86
○安田説明員 患者心得は、これは国立の療養所なり病院に対して出されておるのでございますから、これは一般的なものでございます。入退基準及び付添い看護の問題は、生活保護の患者に対するものでございます。こういう標準をなぜつくつたかと申しますと、これは生活保護の始まつたときからこういう基準というものがあるのであります。前には二十四年の四月にこういう基準が設けられております。われわれは今度若干これを具体化したというだけであります。前の基準と今度の基準を比べますと、決して前の基準より今度の基準が酷ではないということはわかつていただけるように思います。なぜこういう基準をつくるかといいますと、先ほどこの公的扶助の性格について申し上げたのでありますけれども、これはやはり国民の最低の医療というものはそこでささえて行こう、保障して行こうというものであります。ちようど生活扶助でいいますと、たとえば東京で五人世帯八千二百三十円という標準がございますが、それは一般の世の中の勤労者の生活基準というものを一つの標準にしてつくつたものであります。従いまして生活保護の医療扶助というものは、どこの標準の医療扶助をやるかということは必ず基準がいるものなのです。そうしてその基準によりまして外に出ておつて十分の医療を受けておる者、あるいは医療扶助を受けられないで自費で医療を受けております者、そういつた者の間の公平を目標にしなければならぬものであります。そういう意味で私どもは医療扶助の基準というものがあるのが当然だと考えております。同時に今度の入退基準が具体化され、またそれが適正に行われますならば、現在自宅患者で重症で苦しんでおる者とか、家族数が多くて狭いところで結核療養をしておられる患者、こういう者に対してベツドを明ける効果もある、こういうふうに私どもは考えて基準をさらに具体化したわけであります。
#87
○滝井委員 生活保護の医療基準は、これは健康保険の基準と同じであることは局長も御存じの通りであります。ただ問題はそういう健康保険の入院患者にもこういう入退の基準を適用して行くかどうかの問題であります。今のあなたの御答弁でももう結核行政が一元的でないということがはつきりした。結核治療をやる場合には、一個の結核患者としてやる場合に、生活保護であろうと、共済組合の対象であろうと、健康保険の対象であろうと、医者の立場として差別待遇があつてはならない、生活保護の患者は六箇月で退院させなければならぬが、健康保険は七箇月でよいということはない、あくまでも生活保護の基準は六箇月を基準としておるわけであります。どうも今の局長さんの御答弁では納得が行かないことになるのでありますが、結核予防課は大体こういうものについて、どう考えておるかということであります。療養所におけるそういう結核に対する主管というものは結核予防課だと思いますが、これは医務局長さんどうお考えですか。
#88
○安田説明員 ちよつと補足させていただきますが、今の滝井君の御見解、私は必ずしもそうではないと思つておるのでありまして、健康保険の基準と生活保護の医療基準というものは当然一緒になるべきものだということはないと思います。と申しますのは、片方は公的扶助制度の中の医療扶助であります。私は健康保険の医療の水準というものと生活保護における医療扶助の基準というものをなるべく同じにしたいということで合せることに努力いたしました。これは一昨年のパス、ストマイの特殊薬につきましても従来差別待遇があつた、それをなるべく上げてもらいたいと私は努力して参つたのであります。今度の入院につきましてもあるいは付添いの問題につきましてもなるべく近づけたいと思つております。しかしこれは健康保険の方は御承知のように掛金を出しまして、そうしてそれに政府も半分の掛金を出しておりますけれども、あくまでこれは保険であります。保険の給付の内容というものは保険経済で考えるべきものである、保険給付の内容は保険料が見合うものである、従つて保険料に余裕がありますならば、どんな給付をしてもさしつかえないものであります。またそういつた給付の内容というものはけつこうなものでありますから、なるべく手厚い看護をするに越したことはないのであります。また自費患者等におきまして病院におつた方が自宅におるよりいいのだということで長くおるということについて、ここにかれこれ言うことはできない、これは徳義上の問題であります。ベツドが少い場合に回転率をよくするという徳義上の問題がございますが、これは私は必ずしも生活扶助の基準と健康保険の基準あるいは自費患者の基準というものは一本にならなければならぬというりくつはないのじやないか。むしろこれは違うのが理論的には正しいのですけれども、現在のような窮迫した日本の経済におきましては、これが近づいておるということになるのではないか、こういうふうに解釈しております。
#89
○滝井委員 理論的にはその通りなんです。しかし法律的にはあくまでも健康保険の基準に準ずることになつておるわけであります。われわれ現実に治療担当者としてする場合には、法律的には社会保険に準じておる。あるいは国民健康保険があれば国民健康保険に準じてやつて行つておるわけです。だから問題は、本質的に言えばそうでしよう。これは片方は保険料を出してやつておる。片方は国の税金でまかなわれておるという本質的な違いがあることはよくわかる。現実の問題としては、一応基準というものは健康保険に持つて行つてわれわれは治療をやつておるわけです。そうすると二人でまくらを並べておつた者が、一方は成形手術をやつて、そうして六箇月で帰れという。一方は八箇月おつてもようございますということになれば、これは同じ人間で、病人であればひがむのは当然である。ひがむところにいわゆるすわり込みが行われる。ひがむ人間をひがませないようにする、これが政治というものだと私は思うのです。だからそういう点から考えて、あまりそのものずばりで、しやくし定規に割切つてやつて行けばこんな問題が起つて来る。だからもしやるとするならばもつと合理的な入退所基準をつくつて、全部の患者に適用するということにすれば、何も特殊な生活保護の患者だけにやる必要はない。ベツドの回転を早くするということは、何も生活保護の患者を目標にするわけではなくて、日本全国十七万三千の病床の回転を早くするのが目的だと思う。そういう意味から考えると、やはり万人の認める、普遍的に結核の入院患者に適用できるような入退所基準というものを打出して、それを健康保険にも、生活保護にも、あるいは共済組合の健康保険にも適用するのだつたならば非常に合理性がある。それらの決定は当然病院長が持つ、こういう形になつて来れば合理性がある。ところがそれを生活保護だけを抜き出して今のようにされるところに、やはり人間の弱いところにひがみが出て来るということだと思う。私は今あなたの答弁を聞いて、混乱の起る基本的なものはそういうところにあるということを感ずる。私はこの療養所の管理というものは医務局の管理だと思う。だから社会局がやつて来て、そうして患者さんにかつてにやることを医務局長は黙つて見ておられるかどうか。当然これは結核予防課も患者心得や何かについては科学的な検討をされたと思うのですが、あなたの方はそういうものについて協賛を与え、一緒に検討して、全部に適用されるものとして出されたのかどうか。それともそういう場合には別に少数の者を対象にしたものなのか。これは当然療養所の主管というものはあなたの方なんですから、あなたの方からもう少しはつきりしてもらいたい。
#90
○安田説明員 ちよつとまたお言葉を返すようでたいへん恐縮でございますけれども、健康保険と同じようにする法律があるじやないかとおつしやいますけれども、具体的にいつて違つておるところもあるのでございます。そうして現在におきまして入退院をするということは、これは医療水準としては大きな問題である。従いましてそれを必ず健康保険と同じにしなければならないというりくつは、現実的にいつても法律的にいつてもない。そこで一つ困つたことはこういうことがある。現在、先ほど申しましたように生活保護の場合には必ず基準をつくらなければならぬ、ほかの場合にはその点がもつとルーズに考えていいのです。徳義上の問題とか経済的な問題もありますけれども、われわれの方はとにかく法律的にいるのです。そこで二十円年の四月にちやんとつくられているのです。そのつくられておるものは非常に抽象的で苛酷なものです。ですからそれを各府県においてばらくに実施する場合に、具体的なものをつくられたのではこれはかなわない。われわれはどうしてもそれはある程度具体化して統一して行かなければならぬという生活保護法自体の要求があるわけでありますから、私どもの方はそれをさらに具体化した、しかもそれが医学的に見て無理がないものだという確信を持つておるものであります。
#91
○曽田説明員 ただいまの問題につきまして医務局としての考え方を申し上げます。私どもこの療養所の経営をあずかつております者としては、十分にたくさんの病床がございまして、そうして入院を希望するという方々に経済的の問題もないというようなことで、十分その御希望に沿うだけのことができますれば問題はないのでございますが、限られた病床というようなもので多くの入院希望の方の求めに応じなければならぬというようなところから参りますと、社会局のスタートとは少し違うのでありますが、私どもとしては、私どもがおあずかりしておる病床をいかに有効に使つて行くかということが基本的な立場になつて来るわけです。さような意味におきましては、私どらも現状においては遺憾ながらある程度の基準というようなものは必要だということを認めております。しかしながらこの国立療養所といたしましては、療養所の特殊な性格がございますので、これは療養所でどういう人の入院を許可して、そうしてどういう人には退院を勧告するというようなことにつきましては、たとえば外科療法を必要とする患者というようなものでありますと、今日においてはたくさん結核の病床がございましても、外科療法を行い得ます施設はそうたくさんないのでありまして、私どもの療養所等ではその能力が他の療養所に比べて比較的多いというようなところから、さような患者、他の療養所に入所中の患者からもこの入所を求められます。そういうような場合には、その施設でなければ確かに患者の必要とする治療ができないというような患者、あるいはそういう時期だけ私どもの療養所でおあずかりするというようなことがあるわけであります。たとえばただいまの外科療法を必要としないというような方につきましては、私どもは入院治療を必要としないという判断ではないのでありますけれども、他の療養所に移つて行くというような道がありますれば、私どもの療養所からは出ていただくというようなことを勧め、あるいは入所のときにお約束して入つてもらうというようなことがあるわけであります。かような意味でございますので、私どもの療養所としてはある程度の入退所の基準というものをつくらなければならぬということは考えております。ただこれをはつきりとした明文にして行くかどうかというようなことについては、まだいろいろと検討もしておりますが、大体療養所の所長はどういう腹で行くというようなことは考えておるわけであります。ただいまの社会局の入退所基準が出たということにつきましては、私どもも今考えましたような一般的な考え方にもある程度合致いたしております。私どもとしては入院の必要がない、絶対にないというわけではございませんけれども、他の人にベツトを譲つていただくことが適当であるというように考えられた者に対しましては、福祉事務所の方から御相談があるとような場合、あるいは所長が自発的にもそういうことを判定して行くという責任があるというふうに考えておるのであります。社会局の方の通牒にいたしましても、これは施設長と十分に個々のケースについては相談をして運営して行くということになつておりますので、私どもも所長に対しましてはよくその趣旨であるから無理が起るようなことがあれば、これは十分自分の判断、主張というものは申し上げてもよをい、またなかなか話がまとまらぬというようなことがあるならば、私どもの方へ通じて、中央でいろいろ調整するというような方法はとるというように考えており、またそれを伝えたのであります。しかし先ほど社会局長からも話がありましたように、非常にたくさんのケースであります。また施設としてもたくさんございますものですから、また私ども事務上といたしましても幾分迅速に行かずにとまどつたというようなところはないとも言いかねますが、かようなところから患者に不要な不安を抱かせたということについては私どもも責任を感じておるのであります。その後もそのことをいろいろ所長に通じまして、よくその趣旨を患者にも納得してもらつて、いたずらな不安にかられることがないように十分話すようにということを申しておりまして、逐次平穏な気持になつていただいているというふうに考えております。
#92
○長谷川(保)委員 私は実は今聞いておつて驚いたのでありますが、入退所基準に関する限り、たとえば国立病院、国立療養所あるいは公立の療養所において患者を入退所させますのに、健康保険はこれには適用せぬ、医療扶助の患者は適用するというのはとんでもない話だと思うのです。これは実に重大な問題であります。憲法の平等の原則に反すると思う。なぜならば国立病院あるいは公的な医療機関というものは国から金が出てつくつているものです。それを国民に医療をしますのに、ある金持ちの自費の国民はいつまでおつてもよろしい、医療扶助の愚老は早く出なければならぬということはどこから出て来ますか。そんなばかな話はありません。問題は入退所基準に関する限りは、今日のベツドの足りないときにはやむを得なかろうと思うのですが、必ずしも不合理なものではなかろうと私は思うのです。ベツドを急速に一方で増していただくことをしてもらわなければなりませんが、それができるまではいたし方がなかろうと思うのです。
 そこで先ほど申しておりますあの入退所基準は医学的な基準であります。医学的、合理的な立場をとつておるわけであります。だから自費の患者であろうと、健康保険の患者であろうと、医療扶助の患者であろうと平等に扱つてもらいたい。私立病院は知りません。けれども国から少くとも補助が出、国から補助施設費が出てつくりましたのを利用いたしますのに、医療扶助、健康保険あるいは社会保険あるいは自費によつて入退所基準が違うというようなばかなことはありません。入退所基準の適用は平等でなければなりません。それでなかつたら非常な不合理であります。憲法違反です。そんなばかなことはありません。それだから先ほどのお話の通り社会局長にひとつ先ほどの発言を訂正してもらわなければならぬ。
 それから医療の、医学的な立場においての基準でありますから、医者が判断するのがあたりまえでありまして、医者以外の、病院長以外の者が判断をすることは間違いです。そんなばかな話はありません。厚生大臣初め次官も私どもにはつきり明言している。社会局長がそれを不可だと言うならばどうして不可なのか、もつとはつきりしたことを言つてもらいたい。また何ゆえ厚生大臣、厚生事務次官の発言とあなたの発言とは違うのか、それを言つてもらいたい。私はやぼなことは言わぬですから、厚生大臣の言うのでよろしゆうございますとここで言つてもらいたい。これは非常に大事な問題で、そこがかなめのところなのです。医学的な基準でありますから、医者が、病院長が判断するのであつて、それに対していろいろな生活保護関係その他の関係からいたします問題は、社会福祉主事と病院長が十分話合つて、納得した上で病院長が入退所を命令する、こう出て来なければ合理的でありません。どう考えてもその点は当然であります。非常に大事な点でありますから、このことについてくどいようでありますけれども、簡単にお答え願いたい。
#93
○安田説明員 入過所基準を一般的に適用するという問題でございますが、私は一般論として先ほど申し上げたことに間違いがないと思つております。但し国立病院等につきまして今おつしやるようなことがございましたら、私は国立病院においてはそういうことが望ましいと思いますけれども、これは私どもの方の所管でありません。
 それから第二の点でございますが、私は大臣がどういうふうなお話をされたか、まだ伺つておりませんので、その点については何とも申し上げかねます。大臣が長谷川さんにおつしやつた通り言われたのでありましたたらば、これは大臣が最高の責任者でありますからその通りいたします。私はまだその点について承つておりません。
#94
○柳田委員 関連して。それではこの入退所基準を一ぺん読んでみます。「1、入院イ、粟粒結核、シユーブ、その他急速に入院加療の必要が認められるもの。」これは社会福祉主事のようなものがきめるのですか、医者がきめるのですか。こういうものはだれがきめるのですか。
#95
○安田説明員 私はたびたび申しますように、原則としてはそういつたことを申し上げておるのであります。一般的な場合には……。
#96
○柳田委員 「口、外科手術療法等、居宅通院では行い得ない積極的療法を適応症とするもの。」これはだれがきめますか。これも原則は医者ですか。
#97
○安田説明員 同断でございます。
#98
○柳田委員 「ハ、環境上結核を伝染させる広大なもの。」これはだれですか。これも原則ですね。「二、入院によらなければ診断及び治療方針等が決定し難いもの。」これも間違いありませんね。「2、退院イ、結核菌培養がおおむね三ヶ月以上連続陰性で、安静度が五度以上に達したと認められるもの。」これは当然医者ですね。「ロ、外科療法を目的として入院し、……。応その目的を達したと認められるもの。」これももとより、医者とございますね。「ハ、微量排菌者又は慢性良性結核患者であつて、当分の間、積極的な治療法を期待することができないと認められるもの。」これも医者でありますね。「二、その他、居宅療法によつても治療の目的を達すると認められるもの。」こういう項目になつて来ますと、これはあげて全部医者の認定なんです。このほかに政治上、社会上、あるいは予算措置上あるいはその他生活保護の医療扶助を行政上やつて行かれるというような要素の入つている項目があるならばいざ知らず、この入退所基準によれば明らかに医者がやるのです。それに対して長谷川君が言つておられるように、大臣はその通り答弁しているのですが、なおかつ社会局長が言を左右せられておる。どこが大臣と答弁が食い違つておるか、それをもつとはつきりして……。
#99
○安田説明員 私も大臣からはつきり承つておりませんので、どこが食い違つているのかわかりませんが、先ほど申しましたように、大臣から話を承つてないということを申し上げておる。大臣からそういうことを申し上げたということが事実であり、間違いないものであれば、お互いに話合いの思い違いということもあるかもしれませんから、間違いがないということになれば、大臣が最高責任者であるからその通りいたします。今のイとか、ハとかおつしやいましたが、この通牒の一番最後を見ていただけばそういうことがちやんと書いてある。ひとつ読んでみます。「種々困難な問題があるので、一応の目安を定める意味において示した最大公約数的一般的なものであるから、これをそれぞれ状態の異る個々のケースに、機械的に適用すべきものではないこと。従つて実際の場合に当つては、技術的に個々の例について事実の確認を行うべきことは当然であつて、具体的には、指定医療機関の主治医及び当該技術吏員等の意見を徴し、慎重に決定されるべきものであること。」当該技術吏員というものは、役所の方にも医者がおります。社会福祉事務所にもおります。あるいは保健所の方にもおります。そういう者の意見を聞けということでございますから、今言つたようなイとか、ハとかいうことは医者の意見を聞く、原則的にはそうだということを申し上げておるのであります。しかしそうでない場合が今まであつたことがはなはだ遺憾だということを申し上げておるのです。
#100
○長谷川(保)委員 保健所に聞けとか、社会福祉事務所の者に聞けとか、医者がいるとか、県庁に医者がいるとか、そういうものとは違うのです。実際においては患者を見ていないのです。患者は生きものだから、実際に見ている医者でなければわかりはせぬ。病院長が決定するのはあたりまえです。だから大臣がそれを私に言つたというならば、あなたは最高責任者だからそれに従うということを今おつしやつたからそれでいいけれども、これははつきり申し上げておきますが、大臣と厚生事務次官と二人がお立合いの上で、私と佐々木代議士の二人に明言されたことでありますから、さようにお守りをいただきたいのであります。
 それでは時間がありませんから次の問題に移りますが、今の問題と関係があるのではおりますが、これも全国の患者諸君のためにもしできれば簡単に事情をお話を願いたいのであります。先ほど来結核病床の増加、アフター・ケアのベッドの増加等々について新しい目標のもとにやるというお話がございましたが、すでに百三十七万の即時入院を必要とする患者があり、五百五十三万の結核患者あるいはこれに準ずる者があるということがはつきり出ておるのであります。そこで今月は官庁ではすでに来年度予算を組むときに来ているわけでありますが、大体こういう百三十七万の即時入院を必要とする患者がある等々のデータが出ている今日において、先ほどの十九万床の目標を一体どこまでかえようとしておるのであるか、すでに具体的なものがある程度わかつていると思いますので、後にどうかわつてもかまいませんが、現在の厚生当局のお考えは、一体病院の病床を幾ら、アフター・ヶア施設のベツドを幾らくらい三十年度においてふやさなければならぬとお考えになつておるか、あるいはさらに長期計画があるか、この点についてごく簡単でよろしゆうございますから、具体的なお話を承りたいと思います。
#101
○小山説明員 具体的な計数について申し上げるまでの段階には達しておりませんが、概略を申し上げますと、いずれにしても現在の十九万ベッドでは足りないということはいろいろの点から検討してみてはつきり出ている結論であります。
 それから第二の問題としては、百三十七万の要入院者をとらえた以上は、少くともわれわれとしてこの問題について最終的な解決の目途が立つ程度の計画をでき得るならば持つべきであろうということも大体きまつております。従つて当然何方かの目標を立てて、実現可能な限度において能率的に整備をして行くというようなことに相なるかと思つております。
#102
○長谷川(保)委員 先般第十九国会でしたか問題になりましたが、熊本の黒髪小学校の事件、癩未感染児童の問題はその後どうなつておりましようか。
#103
○曽田説明員 この問題はまことに不幸な事件であると思うのであります。先般も御質問がございまして、そのときまでの状況は本委員会においても御報告申し上げてあります。その後におきまして、その患者の子供たちと申しますか、これは他に預かつていただくところもないというような患者がただいま滝田寮に収容されておりますので、私どもとしてはその健康管理の上から行きましても、また日常の生活におきましても、できるだけ通常の子供たちと区別のないように、心身ともに健康に育ててもらいたいというふうに努めているのであります。従つてここにおります学齢期の児童につきましても、一般の小学校、中学校に登校できるように各所においても努めて参つて来たのであります。しかしながら今般この熊本のPTA等におきましてこれに対する十分な御理解を持つていただけないような事情があつて、この児童の登校拒否というようなことがあつたことは御承知の通りであります。この気持を何とかして解いて参りたいというようなことで、地元の特に市等におきまして、あるいは県市の教育委員会あるいは地方の法務局というようなところからもごあつせんがあつたりいたしたのであります。大体筋といたしましては、この問題をいつまでもこじらかして行くべきでない、またほんとうに理論通りに行きますれば、この児童も区別さるべきものではないというような理解をだんだん深めてもらつているのでありますけれども、しかし今までの長い因習というようなものがございまして、まだこの黒髪校のPTAの気運といたしまして、この患者の子供たちの登校を全面的に受入れるというところまで参つておりません。私どもとしては至急に双方の話合い、また私どもの方からもいろいろ人が参りましお互いの誤解を解く、あるいは感情的なもつれを解くように努めているわけであります。が、先般たまたま大臣が九州の方に行かれましたので、その際にも両方の立場におるPTAの方々の御意見というようなものも大臣が率直にお聞きになりましたし、また厚生省としてどういうふうな方向に解決すべきであろうかというようなことについても意見を述べられたりいたしました。さらに随行いたしました医務局次長をあとへ残しまして、その点について、いろいろとこの奥に奥深くわだかまつている気持あるいは理由というようなものを解くように努力をするということにいたして、次長も最近帰つて参つたのでありますが、早急に解決ということは、かような問題でございますので、なかなかむずかしいとは思いますが、逐次双方とも理解を高めつつあるというような状況でございます。
#104
○長谷川(保)委員 今の黒髪小学校の事件は、私どもにいまなお癩の同胞諸君から非常に悲しい訴えが来ているのであります。当局の非常な御尽力は認めますが、引続き積極的な御尽力をいただいて、この問題が人道的な見地に立つて、ことに気の毒な癩の同胞諸君に対します深い同情をもつて、すみやかに解決せられるように願つてやみません。
 次に、ビキニの水爆事件のその後の問題について伺いたいのでありますが、安藤国務大臣か出ますまで厚生当局の方で御返事できますものは厚生当局の方でお答え願いたいと思うのであります。
 まずあの第五福龍丸の二十三名の諸君の病状はその後いかがであるか。またこのほかにも、新聞紙の報ずるところによりますと、ある船員、あるいは燈台守等においてこういう関係の放射能による障害を受けております者が出て来ているやに伺うのであります。がそういう人々の病状等はその後どうなつておりましようか。
#105
○曽田説明員 御承知の第五福龍丸の患者でございますが、これは東大病院及び国立東京第一病院に収容いたしまして、いろいろ加療いたしおる存であります。大体のその後の経過はおおむね順調でございまして、一見かなり健康と見える状況に復しておる者が多くなつておるのであります。大体このような人たちについてはほとんど完全に愁眉を開いてよかろうと思うのであります。しかし中には若干重症の方がありまして、この人たちの病状の回復もおおむねは順調でございますけれども、白血球とかあるいは骨髄細胞というようなものの減少というような状況はなかなか急速に回復いたしませんで、相当なお長期間にわたるものではないかというふうに考えられております。大体患者の状況について申し上げました。
#106
○楠本説明員 室戸崎の燈台にかような疑いを持つ患者が発生をいたしました。これはその後大阪の大学に患者を送りまして精査いたしました結果、原子病ではないという結論が出ました。なお大島あるいは南方を通りました船の乗組員がございましたが、これらのものはいまだにはつきりした結論は得られません。と申しますのは、すでにすつかり全快いたしておりますので、はつきりしたことがわからなくなりましたか、多分これはさような点から考えまして、原子病ではなかつたのであろうという結論を出しております。
#107
○長谷川(保)委員 私東大の病院及び東一病院等にお伺いいたしまして、外見から拝見いたしました状況では、両病院ともに、そのうちの若干名の諸君は、やはり都築博士がかつてこの事件が起りました直後に厚生委員会で証言いたしたと同じような症状からやはり脱却できないのではないか、つまり非常な不幸な症状をまだ脱却したといえないのではないかと外見からは考えさせられるのであります。また医官の方に伺いましても、今まで伺つておりませんでした、たとえば精子が極度に減少しておるというような症状も出ておるように伺つたのであります。都築博士のかつての証言と思い合せまして、なお私は非常な不安を感ずるのでありますが、もしこれは公表することが困難でありますれば、速記をとめていただきまして、実情を厚生委員のわれわれにお話をいただきたいのであります。
  〔青柳委員長代理退席、委員長着席〕
#108
○曽田説明員 先ほども概略のことを申し上げましたが、その重症でありました若干の人たちにつきまして今後の予想かどういうような経過をたどるであろうかというようなことにつきましては、私もあまりこまかいことをこの席で申し上げるのはどうかと思うのでありますが、相当なお長期間かかるということを先ほどの言葉で申し上げましたが、その長期というものがあるいは一生にも及ぶことになりはしないかというようなことでございますれば、その懸念がないとはいえないという状況でございます。またさらに詳細なことでありますれば、しかるべき機会に申し上げます。
#109
○長谷川(保)委員 それらについて詳細を後刻でけつこうでありますからお教えいただきたいのであります。これはぎわめて重大な問題でありますので、詳細承りたいと存じます。
 これらの患者諸君の医療が、ただいまお話のようにあるいは生涯かかるかもしれぬというようなことになるといたしますれば、その医療費は一体どうするか、今日は船員保険でやつておるのでありましようか、また船員保険が切れるといたしますと、その後はどういうような方策でおやりになるつもりであるか、船員保険でやること自体か、かつてここで問題になりましたように問題でありますけれども、保険法違反の疑いかないではないと思うのでありますが、今日はどういうものでこの医寮費を出しておるか、承りたいのであります。
#110
○曽田説明員 この点につきましては、あのような事情で不幸な障害が起つたのでございますので、いろいろ今日まで費しました医療費、また今後かかるであろう医療費というようなものの推算、こういうようなことを積算いたしまして賠償の折衝に当つていただくということになつておるのであります。なおさしあたりの問題といたしましては、船員保険の方から医療費をまかなうというような手はずになつておるのでありますが、私承つておりますところでは、この保険の方では請求があればこの医療費は保険でもまかなつていただいておるのであります。例の家族の生活費と申しますか、こういうようなたぐいにつきましては、いろいろ保険で傷病手当金というものがございますが、これは私の聞いておりますのでは、請求があれば支払うのであるか、今日においては水産庁の方の御心配で、たしか漁業組合の方か同かから六箇月分くらいは立てかえていただいて、保険の方では、請求があればその期間は払うということになつております。
#111
○長谷川(保)委員 でありますから、ただいま船員保険でやつておる、あるいは地元の漁業協同組合から払つておりますが、それが長期になります場合にどういうようになさるか、聞くところによりますると、農林省の方での今日までのこのビキニ水爆によります直接の損害でありますか、間接の損害を含めてでありますか、二十七億円という数字が出て来るのであります。それに対して米国側では約一割を払うということになつているということでありますが、そういうようになります場合に、この医療費及び生活援護の問題は生涯にわたるかもしれないということになるわけであつて、その場合にどういう方法をもつてこれをまかなうか。つまりこちらの要求だけ米国側で応じてくれればよいけれども、応じてくれないという場合にはどうなさるか。もつとも米国側では、この漁夫の損害については無制限に見るかどうか存じませんが、実情はどういうところにあるであろうか。数日前も地元に行つて聞いてみたのでありますが、今日大体家族の諸君は二万円ずつ漁業協同組合から借りておりますので、漁業協同組合に対しても、また土地に対しても、自分たちは非常に皆さんに迷惑をかけるので肩身が狭く思つておる、こういうことでありました。これは個人の責任による損害ではもちろんありません。当然国家の責任でありますので、こういう長くなつて参りましたとき、またアメリカからの補償が思うようでないとき、これに対してどういうようになさるのであるか、一応もし見当がついておりますれば伺つて、家族たちの、あるいは病人たちの安心の行けるようにしてやりたいと思うのであります。
#112
○楠本説明員 現在対米折衝のうちで、ただいま御指摘のように、直接損害と間接損害にわけて要求をいたしております。そのうち直接損害の分についてはすでに決定をいたしております。なお日本政府としては、この間接損害の方を何とかということで交渉に手間取つておるように聞いております。従つてこの直接損害のうちでも最も具体的の、最も重要なただいまお話のような経費は、すでに解決済みと見ていいんじやないかと思います。なおその場合長くなる場合は、これはもちろん長くなれば長くなつたときのことでありますが、ただその扱い方についてはいかようになるということは、ただいまここでお答えするわけには参りません。
#113
○長谷川(保)委員 先ほど申しましたように、現実問題としましてこれは実に重大な問題でありまして、一生病院に監禁せられるようなことになりますればたいへんなことであります。当然慰謝料等の問題も考えなければならぬのであります。今具体的の数字は必ずしも伺いませんが、当然慰謝料等の問題も考えられておるのかどうか、考えられておるとすれば、それは二十三人のうち何人に対して慰謝料を考えておるのか、あるいは全体に対して考えておるのか、そういう問題を具体的でなくてもけつこうでありますから承つておきたい。
#114
○楠本説明員 数字の点は、今資料がありませんので忘れましたが、慰謝料もかなり余裕を見て計算してございます。なおこれは二十三人すべてにそれぞれに応じて慰謝料が計算されることになつております。
#115
○長谷川(保)委員 医療費は一箇月今幾らかかつておりますか。
#116
○曽田説明員 先ほど申し上げましたように、最近はよほど症状が安定して参りましたので、おおむね一人一箇月五、六万円程度であります。
#117
○長谷川(保)委員 魚類その他の水産物、食料品等に対する汚染の問題は、あまり最近新聞等に出ませんが、どんなふうでございましようか。
#118
○楠本説明員 当初は百カウントを限度としてそれ以上のものは廃棄する方針をとつております。私どもが実験的にあるいは現地について種々調査研究をいたしました結果、これらの魚類の放射能による汚染は臓器によつて非常に違う。その場合内臓等に多く筋肉にはほとんどない。しかもストロンチウムのごときは筋肉にはまずないとみてよいという結論を得ましたので、最近では百カウント以上を数えるものは、一応内臓を取除きまして再びはかり直しをして実施をいたしております。その結果これらのものは内臓をとればいずれもはるかに百カウントを下まわりますので、市販されておるわけであります。
#119
○長谷川(保)委員 ただいまお話のようなことではなく、何でもアメリカから千カウントまではよいのだというような基準を押しつけられておるというようなことが巷間うわさされております。私はそのようなことはないだろうと確信しておりますけれども、このうわさも相当広まつておりますから、念のために一応承つておきたいのであります。
#120
○楠本説明員 御指摘のように、アメリカでは千カウントということを言つておるようでありますが、私どもは従来の調査研究の結果等にかんがみまして、現在百カウントという点で実施をいたしております。しかしながら今後調査研究が進みますれば、これがまた若干ゆるまるのではなかろうかと存じます。この点は黄変米の場合と同様であります。
#121
○長谷川(保)委員 安藤大臣に伺いたいのでありますが、ビキニ水爆実験のその後の損害の補償に関する問題は、いかようになつておりましようか。
#122
○安藤国務大臣 対米関係の補償問題につきましては、ずつと続いて交渉中であります。だんだん進展をして来ておりますが、向うが内示をして来た点においては私どもは不満足なんであります。その点についてはまだ最後の解決には行つておりません。しかしながらだんだん進行をし薫る叢であります。
#123
○長谷川(保)委員 農林次官が二十七億円というような数字を出しておりました。それに対して米国側では約一割くらいの補償しか考えておらないようだというふうに仄聞したのでありますが、実際のところはどういうところでありましようか。具体的に伺いたい。
#124
○安藤国務大臣 日本の政府といたしましては、直接損害あるいは間接損害全部を提出しております。それは相当多額になつておるのであります。アメリカとしましては、直接間接というようなわくをきめないで、大体においてこれを賠償しようという方針であります。しかし実質的にはアメリカでは直接損害はむろん責任を感じて賠償しよう、間接損害ということになると、どうも要するにこれは魚価低落、市場の混乱の問題だから限界も明らかでなく、なかなかむずかしい。のみならずアメリカの国内法においてそういう場合に、間接損害を払つたこともない。含までいろいろな例があつたんですが、ある場合においてはいろいろ問題になつて国際裁判所の裁判にかかつたこともあるが、その結果は結局直接損害だけ支払うという判決例もあることであるから、直接損害というところに実質的には置いて行きたいというのがアメリカの方針らしいのであります。しかしただその額に対して、それじやこれを直接だけのところに払え、間接損害に払つてはいけないというような条件はついておらないので、そういう配分の方法とか、範囲とかいうようなことは一切日本の政府にまかしてあるというようなことになつて来ておるのであります。しかしいずれにしましても一番初めにはずつと少いのです。ほんとうのことを言うと……。そんなことじやとてもいかぬというので、今日まで折衝を続けまして、大分上つては来たけれども、その上つた額がまだ私どもから言うと不満足でありますから、なお折衝を続けておるというのが現状なのでございます。
#125
○長谷川(保)委員 大よそどのくらいの額ですか。
#126
○安藤国務大臣 その額につきましては、今実は明言することをちよつとはばかるのですが、しかし大分伝わつてもおるようだから……。まあわかる点は同じにこうやつて心配をしているあなた方の御質問ですから、わかる点だけ言つてもいいと思いますが、ずつと初めはたいへん少かつたのです。非常なまるでけた違いのようなことを言つて来たんだが、だんだんと折衝して向うもだんだんわかりまして、最近は八十万ドルくらいなところを言つておるのであります。しかしそれでは不満足、だ、もう少し少くとも上げてもらわなければならぬところにあるのです。
  〔「八十億の間違いじやないか」と呼ぶ者あり〕
#127
○長谷川(保)委員 今お漏しの額は、これはもう国民はどうにもとうてい納得できなかろうと思いますので、政府当局の一段の御尽力をいただきたいと思うのでありますが、その問題はその問題としまして、次に先般アメリカではまだ水爆実験を今後やるのだというようなことを新聞に発表いたしております。これは当然あの当時にも内外ともに論ぜられましたように、太平洋はアメリカの湖じやない、公海なんです。それでこのようなはなはだしい損害が与えられる、しかもその灰の被害まで考えますると、まだ私どもには十分なことは確信を持つては言えないわけでありますけれども、一部学者諸君はすでにこの冷害までもその影響であるというような発表をしておるのでありまして、いずれにいたしましても、今後もこれを続けられるといたしますと、重大なる問題であります。これにつきまして安藤大臣は担当の大臣とされまして、一体今後は水爆実験の禁止ということをアメリカ側に要請すべきであるとお考えになるかどうか、私どもは当然それを要求すべきであると思いますが、これにつきましては、どうお考えになるか承りたいのであります。
#128
○安藤国務大臣 これは非常にむずかしい問題でありまして、単純には言えないと思います。しかし実は私個人は水爆実験をやめたらよかろうという議論なんです。しかしながら政府としましては、そう簡単には言えないと思います。しかしながら水爆の実験をやめる方がよいのである、さらにもつとさかのぼれば水爆なんというような大量殺人の原子力兵器の製造の禁止だとか、あるいは国際管理だとかいうことが根本的に必要であるのでありますが、御承知のように国際連合でちつとも話がきまりません。米英仏等におきましても、そういうところまではなかなか行つておらないのであります。でありますから、日本政府として今いきなり実験をやめてしまえというふうに行くか行かないか、必ずしも水爆実験禁止ということに対する要求ができないとも言いません。しかしながらすぐ政府としそれを要求するということはいろいろ国際関係等がありまして、よほど慎重を要すると思うのであります。しかしながら実際を言いますと、アメリカはことしのうちはやらないようです。来年になつて実験をやるかやらぬかわかりませんが、やる場合には日本政府としてはあらかじめそれに対して交渉をする方針を立てております。
#129
○長谷川(保)委員 衆議院でも御承知のようにこの水爆実験をせられました後に、私どもは水爆実験の禁止の要求をいたしましたが、自由党の諸君の同ずるところとならずして、結局もう少しやわらかな決議をして水爆実験による損害がないようにしてもらうような決議になつたと私記憶しておるのでありますが、実際問題として水爆実験をいたしまして、われわれの国がその被害を受けないということはあり得ないと私は断じてよろしいと思う。でありますから、結局水爆実験による被害というものがわれわれの国に来ないように、他にその損害を及ぼさないようにというようなことは、これは私は実際においては水爆実験を禁止してもらうということよりはかなかろうと思います。しかるに御承知のように四月九日の日であつたと思いますが、政府の一員である岡崎外務大臣が、水爆実験の禁止を要求しない、また今後もこれに協力すると言つたので、非にわれわれは憤懣を持つておるのでありますけれども、実際において被害を受けないような水爆実験をするというようなことは、太平洋である限り不可能であるということはまず常識からいつて当然であります。従いまして衆議院のあの決議というものは、当然実際的にはやはり水爆実験禁止を要求するということにならざるを得ない、やめてもらうということにならざるを得ないと思うのでありますが、もし先ほどお話のようにことしはしない、来年になればするかもしれぬという場合に、大臣としましてはそれに対しまして、個人としましては先ほどもお話のようにやめてもらう方がよいというお話でありましたが、これは個人としてではなしに、政府の一員となさいまして、これに対しましてどういう態度を現実におとりになるか、承つておきたいと思うのであります。
#130
○安藤国務大臣 一体その水爆をやつて被害がなかなか多いことは言うまでもないことであり、日本は直接被害国ですが、これはひとり日本ばかりじやない、世界の問題であり、進んでは人類全体の問題でありますから、水爆といつたようなものをもつと根本的に解決する道を講じなければ、人類共通の問題としては行けないと思うのであります。しかしながらそこにいろいろな関係があつて、そう急には取運ばないと言うのが今日の実際状態であります。そこでことしはやらぬが来年はやるという場合においては、それまでに水爆というものの実験を禁止するという情勢になることを希望しております。この情勢を見込んで政府としてもあるいはそういう処置をとるかもしれません。しかしながらそれはとるとは断言できません。それからもしどうしてもまた来年になつて水爆実験をやるというならば、これに対しまして十分の安全保障といいますか、日本に対して被害のない程度をできる限りあらかじめアメリカに向つて要求をするという方針を考えておる次第であります。
    ―――――――――――――
#131
○小島委員長 次に原子核研究所設置に関する件について並木芳雄君より発言を求められておりますので、これを許可いたします。並木芳雄君。
#132
○並木委員 私の要求しているのは大臣の答弁ではだめなんで、これは楠本部長の専門的なかつ責任ある答弁を求めます。それと申しますのは、本年度の予算で原子力研究、原子炉の問題その他のことが可決をされて、先般来原子核の研究所と申しますか、それが東京都の北多摩郡田無町に設置をされることに内定したかに聞いております。これもまだはつきりわれわれは決定したのか、内定したのかその点もわかりませんし、この内定ないし決定に至るまでに秘密裡に行われて、はなはだ不可解な点があるというようなことも伝えられておるのです。要するにきようお聞きしたいのは、そういう問題とともに、何しろ歴史始まつて以来の新しい企画のことでございますから、一体こういうものができてあぶないのじやないか、危険じやないか、衛生上よくないのじやないかということで、これは地元の人のみならず一般国民でも危惧を抱くのはあたりまえなんです。将来こういうものがたくさんできるとなれば、今は一地点でありますが、日本全国的な問題になろうとも思つております。先般黄変米の問題が起つたときに、配給にあたつている農林大臣は厚生省の言うことを信頼して、これなら大丈夫だろうということで配給しておつたというので、あぶないことに対しては責任を厚生省におつかぶせております。そこで今度は私どもは予防線を張つて、あらかじめ厚生省から一筆をとつて、絶対大丈夫でございます、あぶなくございませんという証明書をとらなければ、この設置にやすやすと賛成できない、こういう立場からお聞きするのでございます。そこでまずお聞きしたいのは、厚生省としてこの原子核研究所ですか、あるいは原子力研究所ですか、いずれにしてもこれができても周囲の住民並びに日本国民に危害を及ぼさない、そういう確信がおありですか、調査いたしましたか。
#133
○楠本説明員 私も実は研究内容を少し聞いてみたのですけれども、はつきりいたしません。かりにこれが単に原子炉研究以前の研究でありまして、いわゆるアイソトープの研究の段階であるならば、これは従業員の被害というようなことは別といたしまして、周囲に対する危害というのはことさらに考える必要はなかろうと存じております。ところがこれがかりに実用研究、平和利用研究等を行うために原子炉をつくることになりますと、それからいろいろな廃液あるい死の灰といわれる灰、かようないろいろな排泄物が出ますので、あるいは煙も出るというようなことで、この処理をいかにするかというのがきわめて重大な問題であります。もし後者でありますれば、私どもといたしましてはこれは国民のために徹底的なその対策を立ててからこれにかかつてほしいということをすでに申し入れもしてございます。ただ、今のところはそのいずれになるか、私どもまだ確認をいたしておりません。しかしながらそれにいたしましても、将来原子力の平和利用ということは不可避であると考えまして、一応私どもといたしましては今後原子炉から発生いたします各種の環境衛生上の被害につきましては、もつとさらに研究をし、この狭い日本においてこれをどうするかということは重大な問題でありまして、私といたしましては原子炉の研究より先にそれらの原子炉から生ずる被害の研究、被害防除の研究を始めなければ片手落ちじやないかというのが厚生省の態度でございます。従つてその点はどうかひとつ御安心あつてしかるべきものと存じます。
#134
○並木委員 その御安心あつてしかるべしという点は、厚生省の方で十分確信を持つて大丈夫だという段階に至らなければ、その研究所は設立させない、だから御安心ください、こういう意味ですか。
#135
○楠本説明員 かりに原子炉が実際的に動き出すといたしましても、おそらくここ一、二年では困難だろうと見ております。すぐにあしたからでもそう簡単に原子炉が動き出せないものと思つております。従つてその間に十分に原子炉から来る被害防除の研究を行いまして、それをもつて実際的にこれを応用して行く、かように考えておる次第でございまして、この点は私も二十九年度からは強力にこの方面の原子炉から生ずる被害の研究を実施しなければならぬと決心をいたしておる次第でございます。
#136
○並木委員 十日に地元の田無町の役場及び議会では朝永振一郎博士、熊谷寛夫博士、進藤小一郎事務局長、これは原子力研究所の役職員でしようね。そういう方々を招いて聞いたところによりますと、原子核だけの研究所であつて原子炉の研究所ではないから心配ない、今の楠本さんの答弁の点とこの点一致するわけです。で、その原子力の研究になると原子炉というものができる。そうなると危険が伴うということなんです。但し、しからば原子核でスタートしたものは途中から原子力にかわつて行くおそれがあるのではないか、あるいは原子爆弾というようなものまでつくるように、いわゆる原爆工場にまで発展するのではないかということに対しては、これらの役職員の方は保証できなかつたそうです。そこで私はきよう政府に責任ある答弁をお聞きするのですけれども、これは永久的に原子核だけの研究所でしようか、それとも、今のお話だとまだきまつておらないというのですけれども、それをきめる最終の当局というものはどこにあるのですか。
#137
○楠本説明員 実は私も先ほど前段に申し上げましたように、将来を見越してもそのいずれとも、これはむろん所管でもございませんので存じておりませんが、私ばかりに原子炉ができるとしても、それが実際に動き出すのにかなり時間を要するから、それまでに十分研究をしたい、国民に危害の及ばぬように心配のないような対策も研究し、また技術的な基礎も固めたい、かような趣旨で申し上げておるわけであります。従つて田無にできますものが将来原子炉の研究をするかどうかということは、むしろこれは研究者の方にお聞きを願いたいと思います。
#138
○並木委員 とにかく新しい、初めてのことですから、これはまだどこに責任があるとか、怠慢だとかいうことではなく、お互いの問題だろうと思うのです。現に私どもあの予算を出すときに改進党が原動力になつたのですが、こく漠然として原子力を平和的に研究しなければいけないだろうということで、原子炉予算といわれておるものをとつたのです。ところがだんだん研究して来ると、原子核と原子力との間に今のような専門的な相違がある。そうして原子力ならば原子炉だ、原子核ならば原子炉ではないのだということで、原子核ならば安全だ。しからば最初の目的の原子炉をつくるためには原子力の研究所になつて来るのではないかということになると、これは日本のどこかにそういうものができる適当な場所があるかないか、初めに調べてから通すべき予算ではなかつたかということが率直に言つて今反省されるわけです。そしてさつき部長も日本全体の問題であるとお答えになつているのであります。もし原子力即原子炉を設置するという問題であるならば、日本としてははたしてこんな狭いところで適当であるかどうかということについて研究が進んでおるはずじやないですか。アメリカなんかではどうなつておりましようか。アメリカでは原子炉の研究所は町の中にありますか。原子力の研究所は町を離れてありましようか。これらの点をお伺いします。
#139
○楠本説明員 アメリカにおきましても聞くところによりますと、原子炉から出る廃液の始末には手をやいておるようであります。特に狭いイギリスにおきましては、土地も狭いだけに一層その悩みが大きいようであります。従つて日本のごとくやはり狭い地域におきましては、イギリス同様この問題はきわめて重要な問題である、こういうふうに考えて、先ほど御答弁申し上げたのであります。
#140
○並木委員 そうするときようの質問はどの程度にしておくか、非常にむずかしい問題です。そうすると、これはどこの責任になるのですか。われわれはどこで答弁を得たら安心ができるか、どこの主管でどうなつておるか。それから今のような危険とか、衛生とかいうような点では、やはり黄変米と同じように厚生省は責任を負うのかどうか、これらの点もお答え願います。
#141
○楠本説明員 将来を仮定いたしまして、将来原子炉ができたとしたならば、その原子炉の爆発その他を監督し取締る、あるいは安全を保障するのは通産省関係だと存じます。なおその際そこに従事する職員にも相当な影響を及ぼしますが、これは労働基準法の関係になると存じます。
 次に廃液その他によつてあるいは空気の汚染、水の汚染というような具体的な問題でありますが、これらになりますと、これはいやではありますが、環境衛生の分野だと存じます。
#142
○並木委員 そうすると、水とか空気とかそういうものに対しては厚生省がやはり最高の責任者であるということになつて参りますが、今のあなたのお話では、こう了解すればいいのですか。先ほどの朝永さんでしたか、こういう方々が言うように、原子核の研究所の限度であるならば厚生省では異存がない、大丈夫だ、こういうことになりますか。はつきり言つておいてください。
#143
○楠本説明員 これは原子核の研究、アイソトープの研究である限りにおいては周囲の従業員に被害を与えることはないと存じます。しかし将来それがどこまで行くかということが問題ですが、この点は別として、原子核の研究である限りは安全であると思います。
#144
○並木委員 原子核の研究であり、そのためにはシンクロサイクロトロンか必要である。そしてこのシンクロサイクロトロンというのは、これは別にそう危険はないように思いますが、今の部長の言うアイソトープとシンクロサイクロトロンとの関係はどうなつておるのですか。われわれはほんとうのしろうとで、こんなことを質問して笑われるかもしれませんが、ひとつ専門的に……。
#145
○楠本説明員 これは科研でもシンクロサイクロトロンをつくる計画をいたしております。これはまた原子炉以前の一つの基礎研究の施設だと聞いております。
#146
○並木委員 そうすると今言つたアイソトープとの関係ですが、これとの違いはどうですか。朝永博士などはシンクロサイクロトロンは必要であるというのですから、シンクロサイクロトロンが必要で、これなら大丈夫ですか、同じですか。
#147
○楠本説明員 専門的なことではなはだ恐れ入りますが、私も実はしろうとでありますが、アイソトープとは、たとえば放射性物質にはいろいろな種類がございまして、そういう同位的な元素をすべて研究して行く一つの元素の名称であります。ストロンチユーム幾つとかウラニユーム幾つとかそういう一連の放射性物質を一つのまとめた名前としてアイソトープと言つております。
 次にこれらの各種の放射性物質をたとえばウラニユーム原鉱からとりわけるようなこれを分離する設備が必要なわけであります。それがシンクロサイクロトロンと呼ばれておるものだと記憶をしております。
#148
○並木委員 くどいようですが、そうすると、その段階ならば危険はないとわれわれは一応了解いたします。その段階を越えて原子炉というものの設置に入る場合には、もちろん厚生省としては厚生大臣の合意なくしては設立まかりならぬという方針で臨むわけですね。最終的なものはあらためて閣議を開いてこれこれこういうところへ原子炉研究所、原子炉を設けるのだというような手続をして行くべきものだと思うのですが、そうですか。要するにわれわれに安心感を与えてくれればいい。そういう意味で御答弁願いたい。
#149
○楠本説明員 これは先ほども申し上げましたように、一つの生産施設あるいは他の施設から空気汚染、あるいは植物汚染あるいは水の汚染等を通じて国民大衆に迷惑を及ぼす各種の事例がございます。たとえば工場からきたないガスを出して病人を出すとか、あるいは川の水を濁らして飲料水に害を及ぼすとか、考え方としては行政上の範疇では一連のものでありますが、これらの行政、しいて言えば公害とかパブリツク・ニユーザンスと言われておりますが、こういつた行政はまだ日本では体系立つておりません。従つてこれを取締るとかあるいは一つの形をもつて行こうということは今日まだその段階に来ておりません。厚生省におきましては一々発生しますごたごた問題、つまりこの問題はいつも政治的な問題に転化いたしますので、これらの問題の中に入つて、できれば――従来はお互いにまあまあというようなところで調査をしてその問題を解決して行くというようなことに終つているわけであります。従つて今後このような原子炉等ができますると、一層私どもは何らかこういつた鉱害問題というようなことに大きく出発して行かなければならぬのではないか、かように考えているわけでございます。従つて来年度からは何らかこの問題を大きく取上げなければならぬ、これは単に現在の原子炉問題だけではなくて、将来とも予見される原子炉問題にはもちろんのこと、現在鉱山地帯あるいは工場地帯その他いろいろなところでさまざまな問題が起きて国民が悩まされておるのでありますから、これを一括して、私どもは公害、あるいはパブリツク・ニユーザンスという範疇で考えておるわけであります。
#150
○並木委員 最後にもう一点だけお尋ねいたします。この情勢を見てとつて、東京地区の大学教職員組合連合会の執行委員長稲毛卓さんという人が、東京都北多摩郡田無町に研究所をつくることについてのきめ方に不明朗な点がある、秘密裡に行われたというようなことを地元に表明して、反対運動を起そうという呼びかけをしているのです。まじめな意味の研究であり、反対であるならば、われわれ耳を傾けるのですけれども、この問題はややともするとやはり一種の政治的な反対運動というものを誘致しないとも限りません。この点はつきり私ども区別をして行かなければならぬと思うのですけれども、当局としてただいま申し上げました方面からの情報についてはどういうふうにお調べになりましたか。なぜ秘密裡にこういう内定がなされなければならなかつたかというような点……。
#151
○楠本説明員 私は、その田無に決定いたしますいきさつはよく存じておりません。
#152
○並木委員 それはやつぱり調べておいていただきたいと思うのです。要するにそういうことが積り積つて、必要以上の不安を地元に与える点もなきにしもあらずですから、たとえば地方議会なんかでも、反対の決議はしたげれども、必ずしも全部ではない、半々なんです。賛成の立場にある者は、国会でこういう予算を通したのだからそれから出て来るものについてそんな危険がありようはずがないではないかという、包括的信頼感、しかし具体的には今言つたような問題が残つておるのですから、ひとつそういう点をよく調査して、この問題では厚生省としても、その都度ラジオとか新聞をかりて、こうこうだからこうだというように、どんどんPR活動をしていただきたい。何にもしないでじつと時を過していると、不安感が増すものですから、その点を部長からひとつ要請していただきたい。
#153
○楠本説明員 御趣旨のようにひとつ大いに努力をいたします。
    ―――――――――――――
#154
○小島委員長 皆さんにちよつとお断りいたしますが、ただいま大臣が見えましたが、何か用で約三十分くらいにしてほしいということですから、そのつもりで御質問を願います。
 覚醒剤中毒患者に対する予算的措置等について発言を求められております。これを許可いたします。杉山元治郎君。
#155
○杉山委員 ヒロポン禍につきましては、去る十九回国会においていろいろ論議され、また覚醒剤取締りに関する統制も強化され、なお精神衛生法の一部も改正されたのでありますが、その結果から見まして、政府もこの取締りにいろいろ御協力になり、また非常に熱心にやつておられる点については敬意を表するのであります。しかしヒロポン禍は相かわらずその猛威をたくましゆういたしておりまして、たとえば大阪におきましては御承知のように淀川の堤防に遊んでおりました無邪気な子供を三人も川に投げ込んだというような事件が起りまして、家庭の主婦とまた一般の人にも非常な刺激を与えておるようなわけであります。つきましては私の伺いたいと思いまする点は、そういうように覚醒剤取締りにあたりまして、中毒患者をいろいろ処置いたしまする点について、精神衛生法の一部が改正されて、これを強制収容するというようなことも可能になつて参りましたので、政府はただ法律だけつくつたというだけに終らないで、来年度、三十年度の予算にどれだけのものを盛られておるかという問題が一つ。なおその予算について、医療内容というものは、どういうことを考えてやられておるのかということが第二の点であります。第一にその点をまずお伺いいたします。
#156
○草葉国務大臣 ヒロポンの中毒患者の問題はまことに大きな社会問題として、最近国会におきましても、また当委員会におきましても、御熱心に御討議をいただき、私どももたいへん敬服いたしておる次第であります。ことに最近の各地の情勢から考えますと、青少年にとりましては最も大きい問題でありますから、これが対策等につきましては急いで、しかも慎重に取扱つて行かなければならないと存じております。本年度の精神病院等の施設も一部これにさいて、これらの収容に充てたいと存じます。なお明年度の方針につきましては、私から予算編成の方針といたしまして、ヒロポン対策の徹底につきましては、これが具体的な方向を強く指示いたしておる次第であります。
#157
○杉山委員 二十九年度の予算でさいた金額が大体どれほどになつて、また新しい年度の予算を大体どれほど御要求になる心づもりであるか。その予算において、先ほど申しましたように、どういうことをヒロポン中毒患者に対してやつて行こうとするのか、医療の内容の点についてもう少し御説明を願いたいと思います。
#158
○草葉国務大臣 これは具体的な問題でありますが、大体今年の収容施設をこの方にさきますのは三百床程度ではないかという一応の目安をつけております。しかしお話のようにかかつた人を収容して、ヒロポンの災害の絶滅と患者の治療に当るということと、一般にヒロポン禍の十分な認識を持つてもらうということと、なおこの薬の取扱い等について、厳格なる処罰等によるところの規則の励行、従つてこれには司法当局なり警察当局とも先般来重々連絡をいたしております。司法当局等におきましてはそのためにブロツク会議等を開いて、これが取締りの厳重なる励行、処罰の厳重なる実施という点についての方針を一定しながら進んでいただいておる次第であります。これらの二つを大体中心として進んで参りたいと存じております。
#159
○杉山委員 今のお話はただ抽象的な的で、私ども十分に了承することはできないと思いますが、できますならば、先ほど申しますように、新しい予算には十分これらについての予算を盛つた。なおかつその予算に、今のお話以外に、もつと精神病院を拡充する、あるいはそういう人を入れる病床をぶやすというよりな点について、もつと具体的な説明を聞きたい。こう思つておる次第であります。
#160
○草葉国務大臣 実は明年度の予算は具体的に申しますと、現在各局で検討いたしまして、それを省としては会計課長のところで検討して、さらに省議にかけるという段取りになりますが、まだその会計課長のところでも検討の段階まで行つておりません。その順序がこれからということでございます。従つて大体今年大きい問題を私からこれこれの問題だけを中心に、ひとつ予算措置等を検討するようにということを申しておりました中の一つにそれを入れておる次第でございます。
#161
○杉山委員 それでは大体いつごろになると、その模様が会計課長のところでおわかりになりましようか。
#162
○草葉国務大臣 これは局から出まして、会計課長のところで検討しまして、そうして省議をきめて、大蔵省、また一方はそれぞれ党関係の政調会等という関係もございますが、一応の方針は、ぎりぎりのところでは大体九月の中ごろであろうと存じております。それまでに具体的に進んで参ります。
#163
○杉山委員 私はヒロポン禍の問題だけでありますから、他の同僚諸君がおるので多くを申しませんが、京阪神地方においてはヒロポン禍について非常な悩みを持つておりますので、これが取締りを非常に要望いたしておる次第であります。あの法律もでき、また精神衛生法の一部も改正になつたのでありますから、どうかこれを十分にお使いくださるように、ひとつ最善の努力をしていただきたいということを申し上げて、私の大臣に対する質問を終ることにいたしたいと思います。
#164
○小島委員長 次に結核に関する件及び社会保険に関すり件について、留保せられました滝井義高君の厚生大臣に対する質疑を許可いたします。滝井君。
#165
○滝井委員 大臣も御存じのように、三月以来マーシヤル群島の水素爆弾から発生したところのあのまぐろ騒動、それから六月に入ると医師のすわり込み、七月は結核患者のすわり込み、八月は黄変米と、まさに厚生省は千客万来の状態を呈しております。こういう千客万来の状態の中で当然快刀乱麻を断つがごとく、厚生行政というものをやつてもらわなければならぬとわれわれは思つておるわけなんです。ところがどうも大臣の今までのいろいろな行政を見ると、なかなか快刀乱麻のごとく見えないので、われわれは非常に心配をしておるわけなんです。その一つ、いわゆる医師のすわり込みと結核患者のすわり込みに関連をして、大臣の態度と申しますか、決心のほどをお尋ねいたしたいと思うのでございます。これは予算委員会以来、いろいろと大臣に社会保険の問題をお尋ねいたしたのですが、現在日本の結核問題というものは、これはやはり社会保険の問題と表裏一体の問題だと思うのです。結核問題を解決しようとすれば、社会保険の問題を解決しなければ日本の結核の問題も解決できない、あるいは日本の結核の問題を解決しようとするならば、やはり社会保険というものを推進して行かなければならぬというように、これはまさに鐘が鳴るか撞木が鳴るか、表裏一体の関係の問題だと私は思うのです。そこで二十九年度の予算はもうすでに終つて、いよいよ三十年度の予算の編成の時期がやつて来ているわけなんです。二十九年度補正予算の問題もありますが、現実に昭和三十年度の予算編成の段階になつて、大蔵大臣は保安庁の経費というものは、今年は七百八十八億であつたが、昭和三十年度においては少くとも二百億ぐらいは増加しなければならぬだろう、その二百億の増加というものは、防衛支出金五百八十五億から持つて来るよりやむを得ぬだろう、と同時に、保安庁の経費をふやすということ、即このデフレ経済の遂行の情勢から考えて、社会保障費というものもある程度重点を置かなければならぬ。もちろんそのほかに公共事業費、食糧増産費というようなものについても、あるいは災害の復旧費についても考えなければならぬが、社会保障費はある程度重点を置かなければならぬだろうということは、このデフレ経済の深刻なる情勢を大蔵大臣も大体認めたようでございます。あまり問題を広く間口を広げても何ですから、結核と社会保険に限つたわけなんですが、さいぜん以来大臣のお見えにならないきに、いろいろ喬長さん方の御意見も聞かしてもらいました。その結果結核対策については、今年は六つばかりのことを推進して参りたいということで、いろいろ御説明をいただいたわけなんです。それらの六つの事務当局が立案をした結核対策に対する方策を推進して行くとすれば、結核対策のこの予算のわくというものは、今年の結核対策費百三十五億と生活保護費の二百八十七億、社会保険費の百七億、計五百二十九億ばかりのわくを出発点として問題が論議されることになるわけなんです。そうすると大蔵大臣も今年はデフレ予算の結果失業者も出るし、病人も出るであろう、相当ふやさなければならぬ、こう言明されているわけです。そこでそういう大蔵大臣の言明の裏付として、厚生行政の最高責任者としての大臣は、大体結核対策を今年はどの程度大蔵当局に増加を案ずるおつもりなのか。いろいろ事務当局の数字も出なければ最終的なものは私はわからないと思うのです。しかしすでに結核の実態調査がわかつております。緊急に百三十七万の入院患者が控えておつて、ベツトは十七万二千しかない、十七万二千のベツトで現実に回転しているのは十一万しかない、こういう事態の中で結核問題を少くとも快刀乱麻の状態で断ち切つて行くというためには、百三十七万と十七万二千のこの患者とベツドとのバランス、これをどういうぐあいに断ち切つて行くかということ、これはやはりある程度の予算というものをここに持つて来なければならぬ、あるいは年次計画というものが立てられなければならぬと思う。防衛計画には年次計画はないといつても、ある程度の年次計画を持つてやつておると私は思う。というのは、来年陸上自衛隊を二万ふやしますということは、すでに今年の一月ごろから木村長官が言つていることなんだ。だから社会保障費と軍事的な自衛力というものが唇歯輔車の関係にあるとするならば、自衛隊を今年の一月にもう来年は二万増加しますと言つているんだから、いわんや結核患者が百三十七万もいることがわかつたのだから、十七万二千のベツドというものを来年はどのくらい増加するということは言えなくても、少くとも今年の予算よりは結核対策費というものを三割あるいは五割増加するということは、これは私の政治的な少くとも最低のスローガンでございますというところぐらいはわからなければならぬと思うのです。もうすでに八月も終ろうとし、やがて秋も立とうとしておりますから、事務当局にさいぜん言つたけれども、なかなかはつきりした答弁が得られません。そこでこれは大臣の政治的な、私としては大蔵省に予算折衝をする場合にはこの程度のものはやつて、結核実態調査の結果にこたえたいというところを出してもらいたい。これが第一の質問です。
#166
○草葉国務大臣 ごもつともな御質問でございます。また当然そういう段階に行くべき性質だと思います。しかし実は結核対策は、私以上に先輩であります長谷川さん御承知のように、いろいろなものが総合的に考えられる。生活保護の上から考えましても、あるいは社会保険の上から考えましても、またその他一般的な上から考えましても、総合的なものから検討して参らねばならないのであります。そこで実は先般来この委員会でも御質問があつて、この結核対策についての根本方針を十分検討する必要があるじやないか、私もそういうようにいたしたいと存じますということをお答え申し上げておつたのでありますが、とりあえず省内にそれを設けまして、一応現在これを各角度から検討いたしておりますが、まだそれが終結になつておりません。急いでそれをやつて私の方へその結論を示してもらうごとになつておりますし、また関係者等の御意見等も今後聞きたいと存じておりますから、そういう方面において従来は大体百六十万の患者に対する十九万ベツトというものを五箇年計画でやつておつたのですが、これが昨年の実態調査によつて御承知のような、またただいま御指摘のような情勢になつて参りましたから、あらゆる観点から検討し直して行かなければならないという段階であります。そういう段階でありますので、今私がここでただ単に何割増とか何パーセント増というだけではおちつかない問題である、本質的な問題から解決して行かねばなりませんので、そういう点を具体的に検討して、そうして療養所なり病院の増床なりはどうするか、また療養所なり病院なりの性格をどうして行くか、従来のような性格だけで行くか、さらに入院あるいは治養という方面の考え方をどういうふうに取上げて行くかというような、さまざまな問題がありますので、これらを検討しながら病床なりアフター・ケアなり在宅なりと、にらみ合せての検討になつて来ると思います。これらを総合しながら現在取急いで検討いたしておりますまつ最中でありますから、御指摘の点ごもつともでございますが、その点を御了承いただきたいと思います。
#167
○滝井委員 大臣は、結核対策については本質的な検討をやる、総合的な対策を立てられるという御説明でございました。実は大臣の来られる前に事務当局にいろいろ尋ねましたところが、結局いろいろ検討したが、結論的にはやはり制度としては今の公費負担、社会保険、生活保護の医療扶助、この三本建で行く以外にはない、それから、そのほかに公費負担の中に入院も取入れる、現在入院は公費負担になつておりませんから取入れる、そうして地方公共団体か現在半額公費負担しています。が、それが財政的に非常に困難であろうから、これを同とかして国が見たい、このくらいしか結論としては出ておりませんというように小山さんは答弁された。そうすると本質的な検討をやられるというが、その結論は出ているわけです。それ以外にはない。あとは六項目ばかり並べてくれましたけれども、これは全部予算との相談で、予算がとれなければ結核対策は現在からあまり進まないわけであります。そうすると今言つたように、入院を取入れたり、制度は今までのままで行くということになりますれば、結核行政というものは三本建で、しかも複雑怪奇で能率の上らないものになつて、百三十七万の入院患者を控えてまつたく推進できないということが、われわれだつて十年ぐらい結核のことは勉強していますから、もうそれを聞いただけでわかる。実態調査の結果、もはや日本の結核対策は制度的にも予算の上からも、わずかに百三十五億の結核対策費だけではどうにもならぬということは万人が認めている。制度的にも予算的にも実態は行き詰まつておるということを私たちに示しているんだから、この行き詰まつている実態をどういうぐあいに昭和三十年度の予算には展開するかということが、今大臣に課された至上命令でもあり最上の課題でもあるわけです。その課題を、八月で秋風も吹いているのだから、そろそろ説明してもらいたい。人間は生きておりますから、ぐずつくと死ぬのです。現在結核患者で一番死んでいるのは、入院患者でなくて在宅患者です。去年の六万、七万の年間の死亡者は百三十万の在宅患者の中から出ている。これはあなたが統計を精密に調べられればわかることです。現実に百三十七万というものは死に直面している。これは今年起つた問題じやない。もう十九万床の五箇年計画を立てたときから起つている問題です。それをまだ省議が決定せずに検討中検討中ということだつたら、おそらく予算委員会になつてもまだ検討中になつてしまう。大臣になられて大分になりますし、厚生省の行政の一番おもなところは社会保険であり、社会保険の中における結核対策なんですから、ひとつ大臣は絶対に予算の五割増ぐらいを大蔵省と折衝してでもとる、防衛費を削減しても、厚生大臣の職をかけてでもとるというくらいの決意がなくては、あなた、が明日すわり込みの結核患者と会われても、この問題は解決しませんよ。もうはつきりしている。さいぜん以来社会局長と長谷川委員の間に、入退院基準その他についているという検討がありましたが、あなたの答弁と局長の答弁とは必ずしも一致していないところもある。そういう点から考えましても、やはりこの際あなたの結核対策に対する来年の予算獲得の腹構え聞かせてもらいたい。われわれも内輪なんです、厚生行政を推進しようとする点においては同士的なものなんですからく党派を越えて、ひとつあなたがこの程度までとりたいというところを伺いたい。もう本年の額は百三十五億とわかつております、二十八年度の額は百二十六億、九億しか増加しておりませんから、来年も九億しか増加せぬものなのか、それとも少くともあなたとしては、今の事務当局から聞いたところから考えて五割は増加しなければならぬと考えるのか、そこらのことを、検討中々々々でなくて、もつと具体的に言つてもらいたい。この前私か吉田内閣は慎重検討居士だ、こう言つたのですが、そう何でも慎重検討中では政治は進まない。だからひとつあなたの腹構えを言つてもらえれは、われわれも一緒になつて、現実は悲惨な状態になつていることはわかつておるのですから、やりたい、こういうことなんです。
#168
○草葉国務大臣 御質問ごもつともでございます。ただ問題は、日本の明年度の予算が大体本年通りに一兆円で、その中で、結核もあり、その他ヒロポンもありいろいろな重要な問題がございます。それらの問題を金のない日本でどううまいことさばいて行くかという問題でありまして、現実にこの病気をどうして減らして行くか、これはただ予算だけの問題じやないと私は思います。予算も必要であります。けれどもこの予算はおのずからの限度がある。一兆円という全体の予算で押えられておりますので、そこにそれを統合した一つの結核対策が今後国民全体の運動としてとられて来なければならぬじやないか、差迫つては、政府としては予算の問題が一つの大きい問題に相なりますことも御指摘の通りであります。ただ私がここで去年は九億円増したから今年は十億円増すというようなことは、腹構えを申し上げましてもこれは大した問題じやないので、日本の従来われわれが考えておつた以上に大きい百三十七万というような数字の出たこの結核に対する国民運動として、結核撲滅に全力をあげてやつて行く、そしてそれにはおのおの軽重がありましよう、この問題が問題の中心になつて来、それにあわせての予算というものになつて来ると存ずるのであります。その点を私は先ほどから申し上げておる次第でございます。
#169
○滝井委員 どうも大臣は主官の大臣であるのに――もう事務当局からさいぜん結核対策を説明してもらつたのです。もう一ぺん事務当局の言つたことを申しますが、結核対策というものはまず第一には健康診断を強化し、予防接種を強化して行く、それから結核の届出を励行させて登録制を強化する、それから入院患者と同じ程度に自宅患者についてもある程度の恩典を与える、結核の公費負担は他の社会保障関係の社会保険とかあるいは国民保険というようなものともあわせて考えて行く、ベツトについてもある程度増加を努力して行く、アフター・ケアも考えるというような、それだけのことを言つてくれて説明している。だからこれは総合的な研究の結論だと思う。その結果、私は三本建でなくてむしろ統合したらよいじやないかと言つたら、小山さんは、今の建前としては三本建がよいだろう、こういう結論になつておりますと、ちやんと結論を出している。大臣がそれをまた総合的に研究されるというなら、今まで事務当局の言つたことは、まるきりだれか個人的な私案だつたということになる。はつきり六つの項目が出たのですから、これを厚生省が順当に遂行して行くためにはどの程度の予算が必要かということは、われわれが算術計算してみても出る。だから、総合的なものは事務当局が今説明されたのですから、これに対する大臣の大蔵省に当る心構え、大臣の政治的な責任を遂行して行くための心構えとして、去年の予算が百三十五億だから、今年は少くともどの程度増加せねばならぬ――木村長官さえも、来年は少くとも二万人自衛隊を増加すると二百億は必要でありますと言つているのに、車の一方をなす厚生大臣が、社会保障費の年次計画で少くとも昭和三十年度はどのくらい必要だということは言えぬはずはないと思う。それが言えないとすれば、大臣は医師会が言うように退陣しなければならない。
#170
○草葉国務大臣 それは言える時期と言えない時期とある。現在の段階ではさきに環境衛生部長から御説明申し上げたと思いますが、それはだれが考えても普通考えられる点であります。従つてこれらを予算化し、これらを問題化する、あるいは取上げて行くにはどうするかという問題が中心の問題で、これはこれからの検討の点であります。従つて私どもの方におきまして各所の結核対策に対する考え方をとりまとめ、そうしてこれを総合的に判断してこれを予算化すべきものは予算化する。その時期はいずれ近く参りますが、今日の段階においてはまだそこまで参つておりません。これは実際上の問題です。参つておりましたら、何も私からここで隠して申し上げることは一つもないのであつて、むしろ皆さんのお力を拝借して一層これを積極化して行くことは当然でございまするが、ただいま申し上げましたような現在の段階でありますから、私率直に内輪として申し上げておるのであります。
#171
○滝井委員 そうすると、さいぜん楠本部長が御説明になつた六項目というものは、これは厚生省の案であつて、全部実行するとは限らぬ、この中からまあ何ぼか実行する、こういうことなんですね。そう了解してさしつかえありませんか。
#172
○草葉国務大臣 その案というのは私はまだ承知しておりません。
#173
○滝井委員 大臣は承知していない。私はこういうところに結核行政、厚生行政のでたらめさがあるというのです。さいぜんから何回も指摘しておる。それでは大臣が知らぬような案が国会で堂々と結核対策として発表されていいものですか。それでは今まで何のために午前中からやつたかということなんですよ。この大事な結核対策について、厚生省の楠本部長が局長にかわつて発表したものを、大臣が知りませんでした、しかもさいぜん小山さんあたりが、結論的には、制度的にはやはり三本建で行かなければというようなことを言つておるが、これは厚生省の方針でなく、大臣も何も知らぬという。そんなら小山さん個人の案ですか。そういう説明を聞くと、何のために今までかかつて結核対策を検討した
 かということがわからなくなつてしまう。大臣は、それはわしは知りませんという。それならば局長なんかが大臣にも相談せずに、かつてにこういう大事な結核対策その他を新聞に発表してさしつかえありませんか。それならばこれは大臣の責任問題ですよ。
#174
○草葉国務大臣 それはおそらくいろいろ考えられる点を申し上げたと存じます。しかしまだ省として決定しておりません。
#175
○滝井委員 そういうことになりますと、これからわれわれは委員会に出たつて局長の答弁ではどうも満足できぬのです。これは局長個人の私案になつてしまう。私は厚生省の案として今まで受取つておつた。当然厚生省はこういう対策を本年度は打出して行くであろう。大臣とも話合いの上で、この公の席である厚生委員会において発表したものだと私は考えておつた。そうすると、これは楠本さん、あなたの私案ですか。
#176
○楠本説明員 後ほどひとつ速記をお調べ願いたいと存じますが、私が申し上げましたのは、今まだ最後的な結論は出ておらぬ、研究的な過程にある。今どういうような問題について研究しているかというと、これこれのような問題について検討をしておる、こういうことを申し上げたわけであります。
#177
○滝井委員 そうすると、そういう研究の過程が出て、国会にこういうぐあいに発表しておれば、相当これはりつぱな体系的なものです。ところがそれを大臣には何も報告しない。そうして報告をしない前にわれわれの国会における質問に答えることが省内の順序になつておるのか。私は官庁の指揮命令系統というものはそういうものではないと思う。いやしくも国会の委員会に来て、あなたが責任ある局長の立場から説明されるというのならば、これは前もつて大臣に、きよう結核対策の質問があるから、こういうこと、こういうことを考えておりますから言いますということを事前に言つて来るのが、私は局長の任務でもあるし、忠実な官吏の立場だと思うのです。ところがあなたは何も大臣に言わず、大臣もまた結核対策については何も知りませんでした、これでは大臣も大臣だし、局長も局長だといわなければならぬ。そういうことなら、われわれ何のために委員会を開いておつたかわからぬ。そうして結核患者百三十七万もあつて、すわり込んでおる。そういうときに大臣はどんな結核対策か知らなかつた、局長も責任のがれをするならば、われわれ予算のことをあなた方に尋ねるのは、われわれがやぼなことはわかり切つておる。そういう厚生行政の行き方だつたら、われわれ何もこの暑いときにここに出て来て、国家の税金を二千円ずつもらつてやる必要はない。これでやめてもらつてさしつかえないと思う。大臣は国の重要な結核対策を知らなかつた、局長は研究過程でございますというようなことなら、もう少しきまつてから委員会を開いてもらいたい。おそらくあとの社会保険の問題についてもそういう御答弁であろうと思いますから、やる必要はない。権威のないものを聞いてもしようがない。聞く必要がない。私はこれで質問をやめます。
#178
○小島委員長 滝井委員に申し上げますが、いずれ近いうちに厚生省としてまとまつた案が出るのではないかと思いますから、それまで質問を留保しておいていただきたいと思います。
    ―――――――――――――
#179
○小島委員長 最後に本日決議いたしました輸入病変米の取扱に関する件について大臣に対する発言を求められておりますから、これを許可します。柳田秀一君。
#180
○柳田委員 その前に、同僚滝井委員の質問にもあつたのですが、今の内閣の閣僚というものは吉田首相の鼻息ばかりを心配しておられる。御本人一人暴言、広言まかり通つておつて、大臣はそれこそ自分の発言に何らか事なかれ、大過どころか小過なからんと汲々これ努めておるような感じを受けるのです。先ほど安藤国務大臣が来ておられたが、さすがに安藤さんは役人の経験がないので、比較的率直に答弁しておられる。これが岡崎さんだつたら別なニユアンスの答弁をされるが、さすがに安藤の方は、われわれ聞いておつても比較的ものを率直に言つておられる。厚生大臣はかつて社会局の、やはり地方のお役人をやつておられた。それが抜けないのか知らぬが、大臣の答弁を聞いておると、局長の答弁と何ら違わぬ。およそこれが大臣であるか、局長であるか、何ら差がない。少くとも大臣なら、多少吉田からしかられようが、あるいは大蔵省の方から予算をやらぬと言われようが、おれはこう思つておるのだ、閣僚の一人としてこう考える、何を言うかというくらいの気魂を持つてここで答えてもらわなければいかぬ。われわれの同僚滝井委員は思いつきで質問をしておるのではない。十分研究もし、資料も集めて、そうして日本の結核対策についても身みずから真剣になつて質問しておるのだ。真剣になつておるからには、大臣はもう少し真剣になつて答弁してもらいたい。そういう意味で私は、一昨日来いわゆる輸入黄変米の問題について審議を重ねましたこの厚生委員会の結論的なことについてお尋ねいたします。
 現在黄変米に対する国民の不安というものは、これを帰着いたしますと、大きく言えば政治の不信に関しておる。政治の不信ということになりますと、やはりわれわれ議員も同様に責任を感じます。しかしながら現在の吉田政治というものに対する国民の不安というものは、やはりこういうような一黄変米の配給に関しても一つの連鎖反応を起して、あるいはむしろ言葉を少し大きく言うならば、厚生当局が考えておられる以上の不安を巻き起しておるかもしれません。ここに私は一つの政治の不安があると思います。そこでこの黄変米の配給について、大臣は厚生省の主管できめたのではない、学界の学者の意見も聞いてきめたので、今の配給量では絶対無害と信ずるということをここで言明なさつた。ところが昨日四人の権威者を呼びまして、参考人として意見を聞きました。いずれ大臣はこの速記録等をごらん願うことと存じますが、とにもかくにもきのう学者の意見を聞いておりましたわれわれすべての委員も、あるいは傍聴されておりました方も、あるいはこの結果、成行きいかんを八千五百万の国民にかわつていち早く報道すべく詰めかけておられた新聞記者諸君も、一様に感じ取つたことは、これはどうもやはり厚生省の主観が多い、必ずしも学界の一致した意見じやなかろうというようなところではなかろうか。これは私の主観を申し上げておるのでありますが、おそらくこの主観は他のどの委員から伺いましてもさようであると思います。であればこそ本日の決議になつたわけであります。本日の決議は満場一致で決議になりましたが、「輸入病変米の取扱に関する件」として、「輸入病変米の毒性等に関する綜合的調査研究、検査のための新機構を設置し、これに所要の予算措置を講ずること。」というのが第一項に、「前項の研究による一応の成果を得るまでその配給は当分これを見合せること。」というのが第二項になつております。そこで、農林省の方は厚生省のこの基準に従つて配給する。だから結局配給する最後の責任は農林大臣でありましようが、それに基準を与えるものは厚生大臣であります。でありまするから、厚生大臣の方でやはりわれわれのこの委員会の決議を尊重していただけるかどうか、この点を端的に御見解を承りたい。
 なお、すでに御承知のことと思いますが、昨日の農林委員会におきましては、これも御場存じのことと思いますが、いわゆる黄変米に対しては「一定基準」云々ということがありまして、その一定基準というものに対してはつきりした見解が出るまではやはり配給を見合せること、こういうことになつておる。さらに参議院の厚生委員会におきましても、これの配給を中止しよう、こういう決議があります。やはり院議を尊重されるのが民主主義の本体と存じますがゆえに、大臣は本日当委員会におきまして満場一致で決議しましたこの決議の趣旨をいかように御解釈になりますか、端的に御見解を承りたい。
#181
○草葉国務大臣 本委員会の御決議は、もちろんこれは大いに尊重いたしたいと存じます。そこで問題は第一点について、実は私どもは現在も、今の厚生省の基準程度の毒性なら主食にするのには健康上さしつかえはないと考えておりまするが、きのうの本委員会等での参考人の御意見等を、私まだ速記録は見ませんけれども大体承りまして、これは大いに傾聴すべきことだと存じますし、従つてぎようこういう御決議になつたと存じますから、これらの研究調査という点につきましても今後一層十分にし、なお予算的措置もきよう大蔵大臣等とも相談いたした次第であります。ちようど幸いに農林省は、さしあたつて現在の外米を配給しないでも、病変米を配給しないでも米の操作上は当分はさしつかえないという状態だそうでございます。その間私ども十分研究をし、なお改むべき点がありましたなら、この前に申し上げましたようにこれを改めることには、ちつともやぶさかではありません。
#182
○柳田委員 くどいようですが、一応念だけ押しておきます。大臣から従来の御答弁から見ますと比較的率直に御答弁をいただいた点は多としますが、きのう承つておりましても、学者が業者から金をもらつてようやく研究のたしにしておるというようなことであります。これは御参考のために申しておきます。
 なお、私は率直に申しまして、きのうの学者等の研究はこれは純粋培養したもので研究している、片一方は純粋培養ではないのでありまして、違うものを持つて行つて比較するという、ここにも問題があろうかと思います。またわれわれは、八千五百万の国民に配給される主食のことでありますから、何もこれを野党の立場から申し上げているのではありません。その点はくれぐも申し上げておきます。そういうことでありますから、すでに先般発表されました厚生省、農林当局の覚書の基準、あれは現在もそれでは生きているのですか。それが死んでいるとまで私は言いませんが、生きているのですか、あるいはそういう実施の段階等までは保留をしておくという立場ですか。くどいようですが、大事なことですから、もう一ぺんはつきりお伺いいたします。
#183
○草葉国務大臣 この前青柳委員からも御質問があつた点でありますが、率直に申しまして形の上では生きておると思います。覚書をこちらから取消さない限りは生きておる。しかし実際上は、先ほど申し上げましたように、現在取急いでこれらの米を配給しないでも操作ができるから、国民の不安がなくなるまで、ひとつなるべくそうでない米から配給しようというのが農林当局の各委員会における答弁でもあり、また所信でもございましたので、私どもとこの点はよく打合せまして進んでおる次第でございますから、それに即応して進んで参りたいと思つております。
#184
○柳田委員 非常にくどいようですが、私は形のことはとやかく申しません。厚生当局もそれぞれのお立場からお考えになつたことで、わからぬことはありません。でありますから形はとにかくとして、実質的には全国民に不安のあるこの現状において、あのような配給をやることは今のところ行わぬということは了承いたしました。ところが形は生きておるのでありますから、これがいつまた配給になるかわからぬという一抹の危惧を国民は持つております。この際やはり国民のそういう不安は除くのがわれわれ委員の務めであると思いますから、形が生きておるものなら、それがほんとうに生きるときにはやはりわれわれ納得が行き、また国民も納得が行くというような線で、すなわち行政庁の独断でおやりにならぬということは当然であろうと思います。これだけ確認しておきまして私の質問は打切りたいと思いますが、その点をもう一度確認しておきたいと思います。
#185
○草葉国務大臣 これは研究をなるべく急ぎたい、そうしていろいろな安心感の裏づけをいたしたいと存じております。こういうふうに配給いたしましても、あるいは農林省からお答え申し上げましたように、これを受けないということになると配給が配給にならないのでございますから、この点は国民が大いに安心をされる方法をとり、またその時期において安心される程度の方法がなさるべきものだと考えております。
#186
○小島委員長 これをもつて三日間にわたりました厚生委員会を一応終ることといたします。暑いところ、連日長時間にわたりまことに御苦労さんでした。
 これにて散会いたします。
   午後三時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト