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1953/03/05 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 経済安定委員会 第7号
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1953/03/05 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 経済安定委員会 第7号

#1
第019回国会 経済安定委員会 第7号
昭和二十九年三月五日(金曜日)
    午前十一前五分開議
 出席委員
   委員長代理理事 加藤 宗平君
   理事 小笠 公韶君 理事 武田信之助君
      岸  信介君    迫水 久常君
      西村 久之君    根本龍太郎君
      前田 正男君    神戸  眞君
      楠美 省吾君    菊川 忠雄君
      杉村沖治郎君    水谷長三郎君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     横田 正俊君
        総理府事務官
        (公正取引委員
        会事務局長)  小川清四郎君
        経済審議政務次
        官       深水 六郎君
        総理府事務官
        (経済審議庁計
        画部長)    佐々木義武君
        農林事務官
        (農地局長)  平川  守君
        建 設 技 官
        (河川局長)  米田 正文君
 委員外の出席者
        通商産業事務官
        (公益事業局次
        長)      小出 栄一君
        専  門  員 円地与四松君
        専  門  員 菅田清治郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 電源開発及び電源開発資金計画に関する件
 電力料金政策の総合調整に関する件
    ―――――――――――――
#2
○加藤委員長代理 これより会議を開きます。
 電源開発及び電源開発資金計画に関する件並びに電力料金政策の総合調整に関する件について調査を進めます。調査に入ります前に公正取引委員会当局より発言を求められておりますので、この際これを許します。横田政府委員。
#3
○横田政府委員 二月の二十五日の毎日新聞に、いろいろただいま問題になつております疑獄の記事を並べまして、公正取引委員会に関して、先般の独占禁止法の改正にからみまして、何か刑事上の不正でもあるかのごとき記事が載りまして、私ども非常に意外に存じたのでございますが、先般、昨年の国会におきまして当委員会において非常に真剣なる御審議をいただきました関係もございますので、この席を拝借いたしまして、当委員会の職員に関しましては絶対にそういうような不正かございませんということを、この際特に申し上げる次第でございます。実はこれはまことにおはずかしい話でございますが、当委員会の会計の用度係をしております職員のうちに二人はど、昭和二十五年から六年ごろにかけまして、出入りの業者から多少の金品の贈賄を受け、あるいは多少の使い込みをいたした者がございまして、その問題が警視庁において取調べられ、かつ最近にこの二名は起訴になつたと聞いております。何かその問題と関連いたしまして、先ほど申しましたような記事が出まして、この点はまことに委員会として迷惑をいたしておる次第でございます。重ねて申し上げますが、絶対にそういうことがないことをここに断言いたす次第でございます。
 なお詳細につきまして御説明をいたす必要がございましたら、事務局の者が参つておりますから、そちらから詳細説明いたさせるつもりでございます。
#4
○小川政府委員 ただいま私どもの委員長から概略申し上げましたことを多少敷衍いたしまして御説明をいたしたいと思いまして、発言を求めました次第でございます。
 先ほど申し上げましたように、二月二十五日付の毎日新聞に「独禁法改正めぐる不正」「業者など手入れ」という見出しでもつて記事が載りました次第でございますが、ただいま委員長から申し上げましたように、元公取の職員の中で過去におきまして不正がありましたのが、たまたま最近逮捕された結果明らかになりまして、近く法に従つた処分が行われるように聞いておるのでありますが、それと全然関係のない記事が前段末段につながつて載つておりまして――これはただいま委員長からの御説明のように、昨年の独占禁止法改正案をめぐつて何か最近特に目立つて参りました汚職事件等と関連性のあるかのごとき想像からおそらく出たことかと思いまするが、記事が載りまして、前段と終段の事実との間に時期的にも大きな開きがございますし、その後いろいろ調べてみましたところ、時たまたま当日の早朝に、他の事件の容疑のために相当多数の動員が警視庁で行われまして、各所に一斉捜査が行われた事実がございました。それと何か勘違いをされたのではないかというふうに想像される筋もございまして、全然関係のない事柄が結びついた記事になつておりますので、われわれといたしましても、まことに意外な感を抱いたわけでございます。いろいろ取調べてみましても、当時の事実を知つておる職員の諸君に問いただしてみましても、全然そういう事実はないというかうなことがはつきりいたしました。一応われわれといたしましても、この記事につきましてはそういうふうなことに解釈いたしまして、そのまま今日に及んでおります。
 ただ先ほど委員長からも申し上げましたように、旧職員の不正につきましては、はつきりした事実が出まして、その結果法の処断を受けることになりました点につきましては、事務局といたしましても、過去のこととはいえ、まことに遺憾しごくに存じております。二十五年から二十六年ごろにかけましたそういつた不正事実が、その後は当人たちの処分によりましてあとはすつきりいたしております。今後ともこういつた会計上の不正事実は厳重にい締りまして、かかる事実のないように注意をいたしたい。この点だけはまことに遺憾に存じております次第でございます。その他の点につきましては、新聞報道はどういう根拠によつて書かれたものか私どもよくわかりませんのでございます。いずれにいたしましても、ただいま申しましたような事実があつたこと、それから多少新聞報道に両事実の間の結びつきが時間的にも、また事実的にも間違いであつたというふうに観測されるわけであります。はなはだ簡単でございますが、以上をもつてわたしの所見を申し上げた次第でございます。
    ―――――――――――――
#5
○加藤委員長代理 それでは本日の日程になつております両件について、まず農林省当局より説明を聴取することにいたします。平川政府委員。
#6
○平川政府委員 電源開発に伴う河川行政上の問題点ということに関連をいたしまして、農林省関係から河川行政あるいは河川の水に関連する制度の問題につきまして、問題といたし、あるいは対策として考えております点のごく大略を御説明申し上げたいと思います。資料といたしまして、「水管理制度上の問題点について」という印刷物をお配りいたしておるのでありますが、ここにいろいろ詳細にわたりまして、従来問題点とされました点、あるいはそれに対する対策というようなことを書いてございまするが、最も重要な問題は、河川の水というものが、治水上の観点からこれを治めなければならないと同時に、利水の見地からこれを最も有効に使わなければならない。それらの治水及び利水の中には、発電でありますとか、あるいは農業水利でありますとか、あるいは工業用水でありますとか、いろいろの問題があると思いまするが、それらの各産業利水の面が、近代になるほどこれを有効に漏らさず使つて参るという傾向にあることは申すまでもございません。従つてこれに対する施設にいたしましても、その利用の管理の内容にいたしましても正鵠をきわめて参らなければならぬことに相なるわけであります。従つて治水の面と利水の面と、これら各種の利水全体の立場というものを、それぞれ総合的に最も有効に按配されなければならないというところが最も重要な点であります。これが従来の河川法あるいは水の管理制度におきましては、現在建設省というものが河川に関する主管の官庁でございまして、河川に対するいろいろな計画あるいは施設というようなものについて、あるいは水利権の付与というような問題につきまして、建設省が一手にこれを握つておる形になつておるのであります。従いまして、これに伴つて各種の影響が既存の水利権にも及ぶわけでありまするし、あるいは将来の計画に対して非常に大きな制約を与えるということもあるわけであります。それらの利害関係者に対する相談の機会が制度上全然ないわけであります。そこでいろいろな問題が起りまして、近ごろのことでありますると、関係の地元の農民が非常に騒ぐとか、いろいろな問題が起つて参つておるわけであります。そこで具体的に幾多の例があるのでありますけれども、古い例を申しますると、たとえば信濃川の大河津分水のごときにいたしましても、あるいは天竜川の平岡、泰阜のダム、あるいは美和のダムというような、そういう河川に対する施設というもの、これはもちろんそれぞれその必要に応じて行われるわけでありますから、その施設自体には何も反対はないわけでありますけれども、それらの施設を行います際には、これによつて、あるいは上下流の水利権、あるいはその他流域の水を使つております関係者に対しまして、いろいろな影響を与えるであろうということは当然想像されるわけでありまするから、事前においてこれらの対策というものを十分に考慮して計画が立てられなければならないし、またその実施にあたつて、あわせて行うべき各種の施設というものが伴わなければならないということになるわけであります。大河津分水の影響によりまして、その上下流において、あるいは農業用水の取入れが困難になり、あるいは排水が非常に不良になつておるというようなことが現実に起つておるわけであります。われわれの方の農業水利関係の改良事業といたしまして、年々巨額の費用を出しておるのでありますけれども、その改良工事の中には、河川工事の影響によつて、従来せつかく設備いたしました取入口から水が入らなくなつた、あるいは従来の排水設備では排水が不良になりまして、そのために排水のポンプをよけいつけなければならないというような、そういう意味の改良工事がかなり含まれておるわけであります。でありますから、われわれの一番問題として大きく考えなければならないと思います点は、この河川に関する工事、それは治水の工事も利水の工事も含めまして、河川に影響するような工事をいたします際は、まず治水、利水、全体のいずれから考えましても、総合的にいつて最も有効であるという計画を立案することと、この工事の実施につきましても、あるいは水利権の分配につきましても、関係の者がみな集まつて、最も合理的な線を相談の上で打出すという制度が必要ではないか。建設省は、ある意味から申せば、現在の河川法の建前から申しますと、河川に関する主管官庁でございますけれども、しかしその主たる任務とされておりますところは、やはり治水の面であろうと思うのであります。電気につきましては通産省といろものがどうしてもこれに最も、利害関係を持つておるところであり、また農業水利につきましては農林省がこれを常に見ておるわけであります。従つて利水の見地というものは、どうしてもそれらの産業官庁が、あるいはさらに言えば、民間のそれらの水利権者そのものが最も利害関係を持ち、最も強くそのことを頭に置いておるわけでありますから、それらの関係各省あるいは民間の利害関係者というものが、その河川に関する計画あるいは河川の施設の実施、あるいは水の管理、そういう問題につきましては常に対等の立場において発言ができるようなシステムが必要であろう。そのためには計画の面におきましても、あるいはその実施についての各関係者の意見の調整という面におきましても、そこに何らかの中立的と申しますか、総合的な一つの役割を受持つものが必要であろう。その意味においては、さしあたり現在の機構で考えますれば、経済審議庁のようなものが中心になつて、そこに関係者が集まつて、総合的な開発計画を立て、またその合理的な調整の役目をするというようなシステムが必要であろうということを考えておるわけであります。現在この点については経済審議庁の方の総合開発審議会の水制度部会におきまして、この水に関する制度の改善案について検討をされておりますので、われわれとしてもそういう意見を持つてこの水制度部会で検討をいたしておるわけであります。
 そのほかいろいろのこまかい問題につきましては、ここに詳細にいろいろ書いておきましたから、それによつてごらんを願い、また御質問によりましてお答えをいたすことにいたしまして、最も重要な点だけを一応御説明申し上げた次第であります。
#7
○加藤委員長代理 次に、建設省当局より説明を求めます。米田政府委員。
#8
○米田政府委員 現在の水利権の取扱いに関しましては、行政上は河川法で水利権を扱つておりますので、電源開発に伴う水利権もまたこれによつて扱つておりまして、なお公益事業法によつても一部をやつておるのでございます。そこで今後の問題として、いろいろ今農林省からもお話がございましたが、われわれの考えの一端を述べたいと思います。
 河川の管理というものはどういうものかと申しますと、まず常日ごろから河川の維持管理を絶えず行つておきまして、その上に洪水時の対策といたしましての予防工事、及び洪水から受けました被害を復旧するところの復旧工事を常時行いつつ、かつ河川の水流に関する水利の運営をはかつて行くというのが原則でございます。そこで治水といい、われわれとしてはこれはうらはらの問題でございまして、表裏一体不可分であるという考え方に立つておるのでございます。今日利水の最も重要な問題でございます水の開発にいたしましても、大きい今後の事業といたしましては、洪水時の洪水をとめて、その洪水の水そのものを利用の水に持つて行くというのが、今後に残された日本の一番大きな問題でございまして、洪水の水といい、利用する水といい、水そのものは同じものであります。これを、治水と利水とにわけるという考え方は、今後の河川開発上絶対に考えられない問題でございまして、私どもとしては治水、利水というものは一本でやるというところから考え方をスタートいたしております。ただいま農林省からもお話がございました、あるいは通産省からもお話のあつたことだと思いますが、農林省は、農林行政の面から灌漑、水利の面を自分の農林大臣の権限において許可をして行くという制度をとり、また通産大臣は、水力発電に関する水利権をとつて行くというようなことをかりにいたすとすれば、河川の全体としての管理は分断され、分割されて行くのでありまして、河川全体として見た管理がばらばらにされて来るのでございます。われわれといたしましては、むしろ河川管理の一元化こそ今日最も重要な問題であるというところに多少各省と考えを異にしておるわけでございます。ただ先ほどからいろいろとお話もございましたように、相談をする機会がないというような御意見の点につきましては、現在の制度といたしましては、国土総合開発法の国土開発審議会に各省が関係をいたして、そこで計画の調整をやる仕組みになつておりますことと、あるいは電源開発促進法によりまして、電源開発に伴う計画については各省が集まつて協議をすることになつておりますので、重要な問題の計画等についての協議はできる仕組みになつております。ただその他のそういう計画に載らないものは、現在のところは、各都道府県知事が水利権の取扱いをいたしておりますので、そのときに都道府県知事は自分の所管の内部に総合行政を持つておりまするので、それらの自分の部下でありまする農業関係あるいは通産関係のスタッフを使つて計画を立てるそうしてこの計画のもとに、水利権の処分をして行くという制度をとつております。ただそういう制度だけでは不十分であるということは私どもも考えております。従いまして今後河川法の改正をいたすということになつたときには、そういう問題については、先ほど農林省からもお話のございましたような、相談をする、協議をする機会を得るように考えたいと存じております。ただ先ほど農林省からのお話のございました中に、私ども多少見解を異にしておるので、一々については申し上げられませんけれども、特に今例を引かれました信濃川の河口の例のごとき、あたかも河川工事をやつたから水利が悪くなつたというような御意見にも受取れる御発言がございましたが、これはもう少し掘り下げて考える必要のある問題でありまして、では河川工事をやらなかつたときに、全国各地で例を見ますように、治水工事をやらない河川が、では水利の関係が少しも悪くならないかという点をお考え願つたことがあるかどうか。むしろ治水工事をやらないところこそ水利の悪化が非常にひどいのでありまして、そういう点をよほどお考えになつて、この問題ももう少し御検討願いたい。われわれとしては治水工事をやつた結果、何と申しましても洪水防禦が主眼の工事でございますので、水利に関する詳細な計画まで手が届かない。特に予算の関係上で手が届かないといううらみはございます。率直に私どもも認めまするけれども、これはそういう処置をいたすことによつて解決のできる問題でございます。私は根本的な問題であるとは存じません。むしろ治水工事をやらないところにこそ水利施設の悪化が非常に多いのでございまして、こういう問題を本質的に掘り下げて今後の利水施設の悪化の対策というものを立てるべきだというふうに私は考えております。要は、私ども治水、利水というものはどこまでも一元化である、今日河川の管理は、直轄で約六千人の人間が全国の河川についてその管理に当つております。地方庁も、これははつきりした数字でありませんけれども、おそらく数千人あるいはそれ以上の人がこれに当つております。毎日河川の管理というものは行われておるのでございまして、平時の河川の保全をして行く責任を持つておるものが水利権の責任も持つて行くという責任態勢を明確にすべきであるということと、先ほど総合調整をする委員会のような構想についてのお話もございました。一応のお考えではあるように思いまするけれども、こういう河川行政のごときは、日日の処分行為を伴う問題でございまして、みんなが集まつてゆつくりと相談をしておるというような性質のものではございません。日々時々刻々処分をして行く実務でございましてこういう問題は所管の大臣があつててきぱきと処理して行くことこそ必要な問題だと存じます。そういう点で多少各省と意見を異にしておる点がございまするが、要するにわれわれといたしましては、河川法がもう大分古くなつておりまするので、できるだけ早い機会に改正をいたしたい。それについては各省の御言い分もいろいろと今日まで承つておりますので、できるだけ各省の御意見を尊重しつつ、今度の河川法の改正をやりたい、こういうような考え方をいたしております。
#9
○加藤委員長代理 これより質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許します。武田信之助君。
#10
○武田委員 私は電力料金値上げの問題につきましてお伺いをいたしたいのであります。先般の政府の説明によりますれば、電力料金の値上げの申請が行われておる。それは平均して一割四分ぐらいの値上げ率というので申請が行われてある。こういう次第でありますが、これは各電力の地区によりまして異なつておりますけれども、これを北海道の例にとりますると、北海道では二割一分一厘の値上げの申請である、こういうぐあいで、北海道におきましては非常な割高の値上げの申請をいたしておる。そこでこの電力料金の値上げにつきましては、各地区においてそれぞれこれに対する対策を今考究いたしておるようであります。北海道におきましては、先般北海道内の百三十の大口需用者が集まつて、この電力料金の値上げに対する対策を協議しておる。その結果によりますると、いずれの企業体もこのような値上げが実行されるならば立ち行かぬ、ことに北海道の寒冷地における条件の悪いところで企業をやつておる、その上さらに二割一分一厘の値上げが行われるならば、あらゆる企業というものはとうてい北海道においては成り立たぬという情勢である。こういうことで猛烈なる反対が起つて参りました。またさらに道庁と札幌の通産局が共同で調査をいたしまして、値上げの結果どういう影響があるかということで、大口の需用者、たとえば室蘭の富士製鉄、あるいは同じく室蘭の日鋼、あるいは日本電気冶金、こういうような大口の企業者と、さらに小口の北海道農業機具工業会社、あるいは北海酸素、あるいはパルプ工業、こういうものにつきましてその実態を調査いたした。ところがいずれも相当の製品の値上げをするか、あるいは非常な赤字経営になる、また全然企業が成り立たぬ、閉鎖のほかない、こういうような実際の調査が出ておるのであります。さらにまた家庭の生活に及ぼす影響につきましても、これは家庭の主婦連中が大問題として騒いでおる、こういう状況であります。さらに全国的な立場からは、日本商工会議所会頭の藤山愛一郎氏から本委員会の佐伯委員長に対して、第四十一回当所議員総会の決議をもつて値上げをしてもらつては困るという意見書が出ております。それによりますと、こういうふうに申しております。「全国電力会社においては、先般来、全国平均一割四分強の電気料金引上げを政府に申請中であるが、これは、わが国経済の現状及び経済政策の基本動向に照らし、時宜に適せぬものといわざるを得ない。国際収支の逆調によつて愈々深刻化したわが国経済の危局を乗切るべく、政府において、二十九年度予算編成に当つて、緊縮財政を貫き、金融の健全化方策とあいまつて、インフレ抑制、コスト引下げ、輸出振興の一連の効果をおさめるべく、この方針の下に、消費者米価の再改訂、国鉄運賃全面引上げ等を一切取止め、経済界も亦この情勢に対応して、コスト引下げに全力を傾注せんとする現状において、物価全体の引上げを招く要件となる電気料金の引上げを行うことは、全く現在の経済基調に逆行するものといわねばならない。
 電力会社が電気料金引上げを主張する事由については、われわれも全くこれを否定するものでは勿論ないが、問題は前記のような情勢の下において引上げを行うことの可否である。
 われわれは、この際電気事業に対する過重な公租、公課の軽減、金利負担の軽減、電源開発計画の効果的実施、電力会社における企業合理化の徹底等の面から、積極的な対策を講じ、電気料金引上げについては、これを繰延べられるよう、切に要望する次第である。」これが藤山会頭の要望書であります。こういうふうなぐあいでありまして、全国的にこの電気料金の値上げに対しては、現在においてはなすべきときではないという意見がみなぎつておるのであります。そこで、電力会社の方の立場から見ますると、ある程度の引上げをやらなければ、電力会社そのものが立ち行かぬというような現状にあるようにもわれわれは推察をせられる。ところがこういう反対があり、また政府においても低物価政策をやろう、ことに物価を引下げて行こうという政策をとつている場合に、電気料金を引上げるということになりましたならば、これは逆なコースである。そういう面から考えまして、電気料金の引上げをやらないことにするためには、何らかここに方法を立てなければならぬような感じがいたすわけでありまして、絶対電気料金の引上げはやめる、同時に電力会社の方に対してはどういろような方法をとるか、こういうようなことがここで考えられなければ、この問題の解決がつかないように推察をするわけなのであります。こういう問題につきまして、政府の方ではどういうような考えを持つておるか、この点につきまして、ひとつお伺いをいたしたい次第であります。
#11
○小出説明員 電力料金の値上げの申請に関しましては、前回の委員会におきまして局長から一応御説明申し上げたと思いますが、去る一月二十日九電力会社から、ただいま御指摘になりました総平均一割四分四厘の値上げの申請が出たのであります。そこでこれをどういうふうにいたすかという問題でございますが、ただいま政府といたしましては、しばしば大臣も本会議あるいは予算委員会等においてお答えいたしておりますように、ただいま御指摘がありましたような各産業あるいは一般家庭、その他この電気料金の値上げが相当重大な影響があるという見地から、慎重にその内容を検討いたしておりまして、できれば値上げをしないで済めばこれに越したことはないわけであります。もしどうしてもある程度の値上げということがなし得る根拠があるということになりました場合におきましても、事務的にはできるだけその値上げの率を低く押えるというような意味におきまして作業をいたしております。ことにただいま御指摘がありましたように、各電力会社別によりまして値上げの率は違いますけれども、一応電力会社側が示しております値上げの率と、これを受けます需用家側で算定いたしました値上げの率が多少食い違つておりまして、ただいまお示しになりましたような大品の需用者その他からの陳情等を承つてみますと、会社の示しました値上げの率と、実際需用家が算定いたしました影響とは、相当その間に開きがございます。この原因はいろいろ考えられるのでありまして、一つは、今度の値上げの申請が料金制度の改正という問題と同時に出ております関係上、非常に計算がむずかしいという点がございまするし、またあるいは基準の年次のとりかたが非常にかわつて来ておるというようなことから来る影響もございまして、需用家側からする影響の算定が非常にむずかしいと思うのであります。いずれにいたしましても、私どもといたしましては、できるだけ値上げをしないで済むような措置はないだろうかという点におきましていろいろ対策を考えております。
 そこで一つの方法といたしましては、料金というものは、御承知のように原価主義で計算されておりますので、ある程度は原価が高騰すれば機械的に料金が上つて来るといろ計算になるわけでございますけれども、まずその原価の内容を十分に洗いまして、そして企業合理化努力によつてどの程度吸収できるかということの算定をいたしますると同時に、また別の方面からの対策といたしまして、たとえば金利の引下げ、あるいは税金の軽減措置というようなことによつてどの程度料金抑制の上にこれが対策としてできるかという点でございますが、金利の引下げに関しましては、御承知のように、開発銀行の金利七分五厘を六分五厘と一分引下げる、しかしこれは料金の上ではおそらく七厘程度の影響しかないと思います。そのほか法人税の軽減措置、これは新規増資分に対する配当を一定の限度まで損金として算入するというような措置をただいま考えておりますし、また地方税に関しましても、固定資産税あるいは事業税に関しまして軽減措置を考えております。これらの税制なり、金利の引下げとかいう対策というものをあわせまして、作業の結果どの程度まで圧縮できるかということをただいま試算をいたしております。また一方におきまして、各産業なり、家庭に対する影響の非常に大きな――ただいま電力会社の申請しております料金案をそのまま適用した場合にはどういうふうな影響が現われるかということにつきましての影響調査の面からも試算をいたしております。こういうような作業を進めまする一方、御承知のように、この十二日から約一週間にわたりまして、全国九ブロツクにおきまして聴聞会を開催することにいたしまして、この聴聞会におきまして、利害関係者の方の御参集を求めまして、各方面の意見を十分拝聴した上で、料金問題をどう扱うかという態度を決定したい、こういうような段階でございます。
#12
○武田委員 それでは、なるべく上げない方針ではあるが、どうしても幾らか上げなければならぬ場合もある、こういうことですね。そこで、その幾らか上げなければならぬ場合には、もちろん物価に非常な影響を及ぼす、そういう点も十分考えて、政府が考えているところの低物価政策、これからだんだん物価を下げて行く、五%ないし一〇%下げて行くという線に一体沿うかどうか、こういうことは重大な問題と思いますが、そういう点につきましてはどうですか。
#13
○小出説明員 先ほど申し上げましたように、料金制度は、現在のところいわゆる一般物価と違いまして、原価主義というもので算定基準が定められておりまして、電源開発が促進するに伴いまして、どうしても建設費その他資本費がかさんで来る、従つて原価はどうしても高騰せざるを得ない、電源開発五箇年計画を達成するに伴いまして、漸次そういう原価の高騰を来す、これは結果から見れば、妙なものでありまして、電源開発によつて電力がふえればふえるほど電気料金が高くなるということになるのであります。ただいまお示しになりましたように、これが物価の面、電気を使います各産業のコストの面にどういうふうに響いて来るか、また一般家庭の生計費の上にどういうふうにはね返つて来るか、また公共事業に対する電気料金の引上げが、さらにその公共事業関係のいろいろな価格その他にどういうふうにはね返つて来るかというようことにつきましても、ただいま計算をいたしているような次第であります。一般的に申しますならば、日本の電気料金は諸外国の水準から申しますれば比較的まだ低い方でありまして、また生計費の上におきましても、その割合は比較的少いということは言えますけれども、しかしこれは必需品という意味におきまして、どうしても一般家庭あるいは各産業に全面的に影響があるわけでございます。また一方デフレ政策を推進しようという際に、これが一つの阻害になるというようなことも考えられます。それらの点を慎重に考え合せまして、最終的に決定して行きたいと考えております。
#14
○武田委員 その次の問題は、料金率が九電力会社の中で非常な差があります。これはやむを得ずこういうものができておるのだろうと思いますけれども、大体平均の電力料金よりも高いところのものが九つのうちで五つ、五つの電力会社が平均率よりも電力料金が高い、四つ安い、こういう現況、でありまして、これは調整金というようなことで幾分かは調整いたしておりまするので大体この、程度の地域差というものになつておると思いますが、この地域差とういものはだんだんと大きくなつて来るのじやないか、一方電力の安い地帯と高い地帯とで非常な開きが出て来る。今一番高いのは全国平均に対して三割四分六厘というような料率で、中国であります。これが一番高い。その次は四国の三割一分七厘、それからその次は関東の一割八分九厘、次いで北海道の一割一分五厘、こういうふうに平均率に対して非常に高いところとまた非常に安いところとがある。北陸のごときは五〇%ですから、まず半額、こういうような差がついて来ておるわけでありますが、これはすべての産業の基本となるものでありまして、地域によつて非常に違つて来る、たとえば北海道におきまして酒をつくる、酒の値段は全国で押えられております。ところが電力料金はこういうふうにかわつて来ておるというようなことでありますので、ある地域においては全然企業が成り立たないというようなことも起り得るわけでありますが、こういう地域差というものをなるべく少くして行つて、そうして全国平均に電気を利用できるような情勢に持つて行くことが理想であると思いますが、こういう問題に対しては政府はどういうふうにお考えになつており、これからどういう施策をやろうというふうにお考えになつておりますか。
#15
○小出説明員 電力会社の再編成に伴いまして、九ブロックに分割されまして、それぞれの電気事業者が私企業の形において経営するという形になりました関係から、各会社の事業内容あるいはその地点の立地条件等の関係からして、どうもそこにいろいろの差が出て参ることはある程度やむを得ないのであります。ことに電源開発が進捗するに伴いまして、東北とか北陸というふうな、いわゆる電源地帯、水力地帯においては、むしろ開発が進捗すればするほど相当ここに原価の高騰を来す。他方火力地帯におきましては逆に石炭の炭価が下つて来るというようなことから、むしろ各会社間におきまする地域差というものは逆に電源開発が促進せられるに伴いまして広がつて来るようなかつこうになつております。しかしながらこれはやはりそういつた各会社ごとにあまり急激な料金の較差を生ずるということは好ましくないわけであります。それぞれ地域差調整に関する協定をいたしておるのであります。従つて今回追加調整金の減額にもかかわりませず、それぞれ水力地帯、火力地帯の差はだんだん縮減の傾向を示しております。従つて今後理想といたしましては、将来はできるだけ各地域間に差のない、電気の需給関係が大体バランスいたしましたときにおきましては、地帯間の較差というものはできるだけ少くしたいという方向に持つて行きたい、かように考えております。
#16
○菊川委員 電力料金の問題に関連してちよつと質問をいたしたいと思います。一つは、今当局におかれては、電力会社からの値上げ申請案あるいは需用業者団体からの陳情、要請、これらに基いてそれぞれ電力料金の値上げの基礎については調査中であるということでございまするが、そしてその中には、武田委員の御質問に対して物価へのはね返りあるいはコスト並びに生計費へのはね返り、こういうものについては今調査中であるし、近くそれを仕上げるというふうな御答弁でございますけれども、大体この問題が起つてからは相当時日が経過しておるのであります。そして国民はそれぞれの立場においてこれについては非常な関心を持つておるわけであります。その点から申しますると、今なおこういう問題が物価、コストあるいは生計費という面にどういうふうに影響が及ぶかということを調査中だというのは、私どもから言うと、関係当局としてはおそ過ぎるのではないか、むしろ怠慢ではないか、あるいは何かこういう結論を早く出すということについて躊躇しておられるのではないか、こういう気がするのでありますが、はたして今なお物価、コストあるいは生計費にどういう影響があるかどうかということについて何らかの見通しが立たないという調査の段階であるのか、それとも、ある程度ついているのだが、それを今当局としては発表しかねるというような政治的な考慮があるのか、最初にこのことを率直にお尋ねしておきたいと思います。
#17
○小出説明員 今回の料金値上げ申請案をそのまま適用した場合に各物価なりコストなり生計費の上にどういう影響があるかということについての調査に関して非常に時間がかかつておるというような御指摘でございますが、お話の通り相当時間がかかつておるわけでございますけれども、先ほども申しましたように、今回の値上げ案は単に料金率の引上げのみならず、同時にたとえば割当制度の廃止、それに伴いまして東北、北陸方面においては料金の一本化、その他の地域におきましては二段料金、それと基準負荷率別二段料金制というふうな新しい制度を出して来ております。従つてこれらの制度の改正と値上げの申請とは同時に出ております関係もございまして、先ほど申しましたように、各事業家間におきましても、実は自分のところへの影響を計算されるのに非常に困つておるような状況であります。私どもといたしましても、これらの事業家方面あるいは一般家庭のお話もできるだけよく承りまして、それらを総合してただいま試算をいたしております。制度自体が非常にむずかしい関係もございましてなお手間取つておることは申訳ないのでありますが、そこに何らかの政治的配慮があつてわざと延ばしておる、あるいは隠しておるというような事実はございません。従つて、近く聴聞会を開くわけでございますが、この十二日から開かれます聴聞会の前には、ある程度私どもとして調査いたしました結果の問題点というものを一応提起いたしたい、そうして聴聞会の席上におきまして冒頭陳述なり何なりの形におきまして、政府として一応計算いたしました結果どの方面にどういうふうな問題があるか、また制度自体についてはどういうところに問題があるかということもその際にできるだけ発表いたしたい、かように考えております。
#18
○菊川委員 それぞれの業種あるいは業体あるいは家庭に対して、制度並びに料金の面からの改訂でございますが、具体的にどう現われるかというふうなこまかい影響については、今のお話の通りなかなか時間を要すると私も考えます。しかしすでに電力会社案によれば、多くの資料によつても明瞭なように、電力会社においてはおよそ二百六十億円くらいの原価増になる。従つてこれをカバーするためには、一四・四%程度の料金の改訂を必要とする、こういうことが骨子となつて一つの結論に持つて来ております。そういたしますれば、たとえば、政府はデフレ政策として物価の切下げということを本年度予算の中に大きな柱としてお立てになつておる。このことと関係いたしまして、こういう申請を、そのまま受入れるとした場合に、はたして物価にどういうはね返りが来るかということは、政府としては予算編成の際に当然問題としなければならない。おそらくこのことをお考えにならないでデフレ政策としての物価引下げということで予算をお組みになつたはずはないと思う。でありますから、そういう点だけでお尋ね申し上げてもいいのですが、たとえば電力会社案の骨子をそのまま受入れるとすれば、一般的なコスト並びに生計費、こういう面にどの程度のはね返りがあるというふうに推定をされておるのか。まさかこういうことをされてないとは私は考えられないのでありますが、されているはずでありますから、それをどの程度に推定されておるか、これをひとつお伺いいたしたい。
#19
○小出説明員 ただいまお話がございました、今回のデフレ予算を編成する際に、値上げの申請を織り込んだかどうかという点でありますが、これは時期的に申しまして、申請書が出て参りましたのは一月の二十日であります関係もございまして、もちろん今回の予算編成の際には、この料金値上げをするかしないかということは決定していないわけでありまして、単に会社側のそういう要求が出て来たという段階にすぎませんので、当然織り込んでないというかつこうになつておるのであります。そこが根本問題になるわけでございますが、ただいま御指摘になりましたようなデフレ緊縮財政をやろうというやさきにこういうコストなりあるいは生計費に重大な関係のある料金値上げをやるということの矛盾の問題でございますが、デフレ傾向のときにこういう料金的な価格の引上げというものがどういうような影響――デフレ傾向を促進するかあるいは阻害するかというような点について、いろいろ議論もあろうかと思いまするけれども、デフレ政策の推進の上にある程度の阻害になるということは一応考えられることであります。その意味におきまして、先ほども申しましたように、できれば値上げをしないで済む措置はないかということも考えておるわけでございまするが、これにつきましては、先ほど申しましたように、金利なりあるいは税制の面で処置をいたしましても、一割四分四厘を全部吸収するだけの措置にはならないわけでございまして、その原価の高騰をどうやつて押えて行くかということもあわせて計算して参らなければならない。そこで具体的に生計費の上でのはね返りとか、あるいは各産業別のコストの上にどの程度はね返りがあるかということについては、実は最終的にはただいまのところまだ結論を得ておりませんけれども、大体において影響の現われる大きな点についてはほぼ見当はついたのでございます。ことに産業関係で申しますれば、電気を原料として使つておる電解、電炉関係、化学肥料あるいは鉄鋼というふうな関係のところにおいては相当の影響がある。従つてこれにつきましては、御承知のように特約制度というものの運用によりまして、ある程度合理的な線を出して行きたいかように考えておりますし、また今回の二段――一本料金化した場合においても同様でございますが、二段料金をとつた場合においても、基準料金の定め方、基準料金の線が比較的高いところにある。従つて従来電気をうまく使つておつて超過料金をあまり払わないで済んでおつた需用家が、逆に大きな影響を受けまして、そうして超過料金をうんと払つておつたようなところが逆に影響を緩和されるというような、ある程度不合理な結果も出て参ります。それらの基準料金の定め方等についても再検討の必要があるのではないか。それから特に大きな影響を受ける製氷、冷凍であるとかあるいは私鉄であるとか、ないしは農需要電力というものについて、いかにこれを調整し影響を緩和して行くかということにつきましては、料金の原価主義という線をくずさないで、いわゆる政策料金というような形にならない範囲において、いかにこの影響を調整して行くかというようなことをただいま考えております。それから一般家庭につきましては、従量電灯についても従来の追加料金制を廃止して一本料金化したわけでありますが、これが一箇月の使用料が二十キロワットないし五十キロワット程度の一般需用家に対する影響がかなり大きいというような結果が出て参りました。従つて、いわば中間と申しますか、非常にわずかな電灯を使つておるその一つ上の段階くらいの中産階級程度のところの影響が、割合に大きいというような線が出ておりますので、一般家庭電灯、従量電灯に対する制度の立て方等についても再検討の必要があるのではないか。こういうようなそれぞれの業種なりあるいは家庭に対する影響の問題点は一応ここで大体洗い出しておる、こういうような形になつております。
#20
○菊川委員 ただいまの御答弁の中で、新年度予算編成の上にはこの電力料金の改訂のことは考慮に入つてないという、これは事務当局のあなたの御答弁でございまするから、非常に重要な点であると思います。従つて今後電力料金が改訂になる、その改訂の内容にもよりますが、それが一般コスト並びに家計にどういう影響を及ぼすかということになつて来れば、それは当然、場合によると予算編成当時には予期せざる一つの問題として発展をする。場合によつては、あるいは補正予算というふうな問題が起らないこともなかろう。これは非常に重大な政治的な問題として伺つておきたいと存じます。ところが、今の御答弁の中にデフレ傾向であるということでございますけれども、これは議論になることを避けますが、何と申しましても今はまだ本質はインフレヘの傾向でございます。それを政治的にどういうふうにして押えてデフレに切りかえるかという段階であります。だからして、デフレ傾向でありたいという意欲をもつてわれわれは当つておるわけであります。そういう際において、こういう新しい電力料金の改訂という問題が、この予算編成後において出て来ておるというのであれば、本来はやはりそういうデフレヘのわれわれの意欲の障害になるものでありますから、これは政治的には押えるべきものである。ところがただいまの御答弁によれば、その点について産業、生活に及ぼす影響はまだ調査中であつて、見通しがないということでございます。これは私ども非常に関心を持つべきことであると思いますので、大体いつごろになるか知りませんが、なるべく早い時期に本委員会に、その輪郭でもけつこうでございますからお示しを願いたいということを希望いたすのであります。
 それから関連質問で恐縮でございますが、今電力料金ことに家計に及ぼす問題として議論される場合に、ややもすれば誤解を生む問題があるのであります。それは先日御提出の資料にも載つておりますけれども、日本対外国の電力料金比較表の問題です。ややもすれば電力料金を上げるという理由の一つにこれがとられて、日本は米英などの諸外国に比べれば、金額において名目的には電気料金は低いのだ、パーセーンテージにおいても大体従量、小口、大口いろいろ示しおられますが、物によれば日本の一〇〇に対して一五〇%以上というふうなところであつて、日本はまだまだ電気は安い国なんだ、こういう印象を与えておるのであります。ところが一つの国の電力料金が高いか安いかということを調べる場合に、ただこういう比較表だけをこの際にお示しになるということは、この結果が一体何を見通して、何のためにこういう表をお示しになつておるのか、このことが問題になるのであります。その国の国民の生活水準並びにその生活内容、家計費の現状、こういうものとの関連、あるいはその国にどの程度の社会保障制度があるかないかというような、実質的な生活水準の内容、こういうものを考慮に入れないところの表をここにお示しになるということは、この表をお示しになつた結果は、これを喜んで利用する人はだれであるかということをお考えになつてお示しになつておるのかどうか。そういつたことは無関心、無感覚でこの表をお示しになつたものであるか。この表は何を意味するものであるか。このことをお伺いしておきます。
#21
○小出説明員 先ほどの予算との関連の問題でございますが、繰返して申し上げますが、これは料金値上げ問題も未決定な段階におきまして予算が編成されました関係上、当然織り込んでいないわけでございまして、これがかりにある時期において料金値上げをある程度やつたといたしました場合に、全体としてのデフレ抑制の意欲の上に、どういうふうな影響を与えるかというようなことにつきましては、当然これは政治的な御判断によつて決定するものであります。われわれ事務当局としては御説明申し上げかねる次第であります。
 ただ一つ御了解おき願いたいのは、こういう公益事業の料金というものは、デフレ傾向を推進しようという際においてはそれを阻害するものであるといわれ、インフレ傾向の際においてはインフレを促進するものであるというようなことになりまして、そうなりますとインフレ時代においても、デフレ時代においても、料金値上げができないというような結果になつて来るわけであります。これは料金というものが一応電源開発の促進に伴いまして、ある程度原価主義によつて機械的に算出される関係からいたしまして、その点の調整が非常にむずかしいというところにわれわれの苦心があるということを御了解願いたいと思います。
 それからただいま御指摘になりました日本対諸外国の電気料金の比較表でございますが、これは別段特別な意図あるいはこれがどういうふろに利用されるか、あるいは見る人によつてこれをいかに咀嚼して見るかということにつきましては、別段私どもとしては特別な、そういうことまでの配慮をもつて出した資料ではございません。そういう特別な意味は全然ないのでありまして、ただ料金問題についていろいろ御研究、御審議をいただく際の参考資料のうちの一つとしてこういう資料もあるという意味において提示したのでございまして、そういう意味においてお取扱いいただきたいと思います。
#22
○菊川委員 それで今のに関連して、先ほど武田委員へのあなたの御答弁の中に、日本では生計費の中に占めるところの電力料金の割合はきわめて低い、こういうことを言われたのでありますが、その点については、ここには残念ながら諸外国との対比は出ていないわけですけれども、一体そういうことは何らか基礎をお持ちになつておられるのか。たとえばきよう配付された資料で家計調査報告というのがちようどここにございますが、それによれば住居光熱費、こうなつておりまして、十一月、十二月の現金のみの全世帯平均一箇月間の支出金額、東京都として出ておりますけれども、これの十二月は住居光熱費において一二・五%、対前月比においては七丁四%増である。対前年同月比においては二四・四%の増、こういうことになつておりますし、また電気、ガス、水道のみの分におきましては、十二月は百分比においては二・四%、対前月比においては一九・八の増であります。対前年同月比においては〇・三の減になつておる。こういろふうな表がここにあるのでありますが、そういたしますと日本では住居光熱費あるいは電気、ガス、水道というふうな項目になつておりますから、電気の分のみがどの程度占めるかわかりませんが、相当重い比重を持つておるわけでありまして、ことに社会保障その他の問題が解決されないで、子供の義務教育の費用あるいはPTAの費用に至るまで相当持たなければならぬ、あるいは病気その他の場合も含んでの収入からまかなわなければならぬ、この上に税金が非常に重い、こういう状態の中で特に外国との比較においては、こういう条件を考慮に入れれば軽軽に外国の生計費に比べて日本は比較的安いという結論はわれわれから見れば出ないものであると考えるのでありますが、非常に簡単明瞭に率直にこの問題については結論を出されておりますが、自信があつたかどうか、その点はどうですか。
#23
○小出説明員 生計費の中に占めまする電気料金の割合につきまして、先ほど私の説明の中にあるいは言い違いがあつたかもしれませんが、諸外国との比較において生計費の中に占める割合は少いと申し上げたのではなくて、生計費の中に占める電気料金の割合は、割合に低いということを申し上げたつもりでございまして、この生計費の中に占める電気料金の割合は、総理府の統計局の調べによりますと二十七年の七月から二十八年の六月くらいまでの間に平均をとつてみますと、大体東京におきまして四人ないし五人くらいの世帯のところにおいて、生計費二万円ないし三万円くらいの家計の中において占めまする電気料金は、大体一・二%ないし一・五%程度のものであります。全都市の平均におきましても、大体そういつた一%ちよつとだけという程度の割合でございまして、従つて生計費の中に占めまする電気料金の割合――これは割合だけを見るのはあるいは誤解を生ずるかもしれませんけれども、一応その割合を見ますと割合に低くなつておる、こういうふうに申し上げたつもりでございまして、諸外国との比率において生計費の中に占める電気料金の割合が安いというふうには申し上げなかつたつもりであります。
#24
○菊川委員 この問題は後ほどまた別の機会に十分お尋ねしたいと思いますけれども、これに関連して経審庁当局では一体今の電力事業のあり方については、これとあわせて、今研究をしておられるか、おられないかということだけをお尋ねしておきたいと思います。私の申します意味は、今日こういう電源開発に非常に大きな資金を要する、そういう傾向がますます強くなればなるほど、今日の電力会社は、どれを見ても、いわゆる蓄積された自己資本というものは非常に低い比重になりつつあります。そうして国家あるいは公共的な資金というものが非常に重い比重をもつて経営されておるように考えます。この割合がどういうぐあいになつておるかということは、また機会があればお伺いしたいと思いますが、非常にかわつておる。私どもの考えでは、おそらくもう自己資本というべきものは、これは内容にもよりましようが、十%前後のものになりつつあるのではないか、あるいはそれ以下にもなるのではないか、こういうように見ておるのであります。ところが、その資本構成においても公共的、公営的なものであるにかかわらず、企業そのものは、少しの部分を占めるところの自己資本を出しておる少数の大株主によつて経営をされておる。そうしていろいろ企業努力も払われるでしよう、合理化もやられるでしようけれども、その諸君がおやりになつた結論として、原価増が幾らあるから、これだけの料金改訂をしてもらいたい。一体こういう資本構成の大きな変化のある企業において、こういう形というものは、大多数の国民がこれを納得し得るところの企業のあり方であろうかどうか。従つて私は、好むと好まないにかかわらず、こういう電力というようなものは、資本構成そのものの趨勢からいたしましても、これは国家管理あるいは国営に移行しなければならぬ。現に資本主義の王国であるアメリカですら、今後興るべき大企業というものはそういう傾向をとつておる。そういう中において、一体後進国で、しかも敗戦後立て直つて、これから大いに再建して行こうという日本で、資本の蓄積が少い国で、こういう問題を扱う場合に、電力料金一つを扱う場合においても、こういう企業のあり方で、一体国民なり需用者が納得し得るところの状態にあるかどうかということは、これは私は考えなければならぬ大きな問題であります。そういう問題については、政府当局は今何らかの研究をしておられるか。国家管理、国営ということは社会党の一枚看板で、自由党内閣はそういうことは自由放任だから、絶対に手をつけてはならぬということで、当時者は手を触れるべからずというタブーになつておるのか、そういうことだけをお尋ねしておきたいと思います。
#25
○小出説明員 ただいまの御質問の問題は、現在のような電力行政と申しますか、電気事業のあり方を定められましたかつての電力再編成のときに非常に問題になりましたことのようでございます。そこで現在はともかく九電力会社という私企業の形態において、それぞれの企業合理化努力によりまして、電源開発も推進し、電気の円滑なる供給をはかつておるのであります。お話のようにそれぞれの電力会社は、非常に負債が大きいわけでありまして、従つてできるだけその自己資本の充実をはかるということのために、いろいろの措置を従来もとつて参りましたし、また来年度におきましてもとつて行きたい。他方においてそれぞれの会社の企業合理化努力を推進して行きたい。また他面におきまして、どうしても九電力会社の手に負えないような大きな電源開発につきましては、別に電源開発会社というものを、相当の政府出資をいたしまして設立しておるわけであります。これによつて、私企業においては背負いきれないような電源開発については、そういう国家的な会社において推進するという形をとつているわけです。現在のところは、ただいま御指摘になりましたような、現在の電力行政なり、あるいは電気事業のあり方について再検討を加えるということは、少くとも通商産業省におきましてはやつておりません。やつていないという意味は、別に特別な理由があるわけではないのでありまして、現在の制度をもつて一応やつて行けるという見地からいたしまして、現在の制度をできるだけ円滑に推進して行くという意味において、再検討ということは全然いたしていない、こういうわけであります。
#26
○菊川委員 関連による質問ですから、これで打切つておきます。
#27
○加藤委員長代理 楠美省吾君。
#28
○楠美委員 簡単に水の問題で、経済審議庁の政務次官でもよし、計画部長でもいいのでありますが、ひとつお尋ねしたいと思います。
 その前に、ただいま水の問題は、平川政府委員と米田政府委員からいろいろお話を承つたのでありますが、このお二人の政府委員は、私の現在最も尊敬する日本のお役人であります。御両兄とも御記憶だろうと思うのでありますが、かつて満州建設をやつておつた当時――昭和十四年ごろでありました。ちようどアメリカの原子力管理委員長のリリエンタールが、あの有名なTVAの開発をやりかけた二年目か三年目でありました。奉天と営口のあの運河の大開鑿をしようとして御努力されたお二人であります。片や交通部の代表、片や興農部の代表、不肖楠美もまたその末輩におつたものでありますが、相当な大問題と相なりまして、治水と利水の問題でございましたが、とうとう満州の閣議にかかりまして、お二人は寝食を忘れてその大計画をやることになつたのでありますが、ちようど支那事変の激化とともに労働力の不足から、その世界第二番目の大開発計画が国務院の金庫に眠つてとうとう終戦と相なつたのであります。これはまことに残念しごくなことでありまして、あれさえできておれば、御両兄ともリリエンタールに次ぐところの世界第二の建設者になれたのであります。舞台がかわりまして、御両兄ともまた片や農林省の代表、片や建設省の代表と相なつて今日まみえているのでありますが、どうも利水、治水の立場は絶えず方々で争つております。現在もあると思います。かつてもあつた。これはやむを得ないのでございますが、しかしこれらは法律をもつてしてもいかんともしがたいこともあるでしよう。先般も有田二郎君の問題で院議で議決したが、有田二郎君を出してくれない、こういう事態にも相なりまして、こういう場合は人と人とのつながりにおいて、ほんとうに心魂を相開いて解決するのでなければ絶対できない。先般も予算が妙なぐあいになりまして、つい四、五日前でありましたが、改進党、自由党その他が結成する立場に相なつたのであります。ああいう際にこそ両党首が胸を開いて、かつての西郷南洲と勝海舟のように心胆を開いて、ほんとうに党のため、国家のなめにやるのが、ほんとうに再建のため必要なことであると思うが、妙な場合に両党首が会見していろいろな問題をかもしながら、ああいう場合に会つていただけないことは、まことに残念に思つている次第であります。
 そういう前置きはさておきまして、お互いに国家のために働いているのでありますが、かりに楠美がもし官房長官でもやつておつたならば、平川政府委員を米田政府委員の立場に持つて行き、また米田政府委員を平川政府委員の立場に持つて行つたりなどいたしますれば、こういう問題はすらすらと解決し得るものだと考えております。遺憾ながら日本の政治はそういう指導性がないのでございまして、まことにこの点は遺憾であります。どうかひとつ仲よくいろいろな問題を談笑裡に解決して、日本の将来に資してもらいたい。後輩の一人としてまことになまいきでありますが、国会議員としてそれを申し上げておきます。
 先ほど平川政府委員のお話の中に、国土総合開発審議会の中に、水制度部会というのができておる。これは蝋山政道氏が会長をやつておるということを聞いておりますが、この水制度の部会の調査というものは、どの程度までやつておるのか、また将来どうなるのか、そうした問題について、資料でもありますればちようだいして、われわれはほんとうのしろうとでございまして、まことに研究が足りないのでありますから、教えていただきたいと考えるものでございます。
#29
○佐々木政府委員 審議庁でやつております国土総合開発審議会の一部門に、水制度部会というものを設けまして、一昨年の暮れ、十二月二十二日でございましたか、第一回の会を開催したのであります。その調査の趣旨と申しますか、何のためにそういうようなことが必要だつたかという理由は、詳しく申し上げぬでも十分おわかりのことかと思いまするが、要は、日本に残されました非常に重要な資源、唯一とまでは行かぬかもしれませんが、最も重要な資源の一つである水資源というものを、治水の面あるいは利水の面、あるいはその相互の面でどういうふうに調整し……。
    〔加藤委員長代理退席、武田委員長代理着席〕
 あるいはそれを高度に活用しながらいかに日本の再建に役立たすべきか、あるいは保全等の面から損耗を防止すべきかといつたような問題が、非常に大きな問題になつておりまするので、先ほどから両省の局長からお話もありました通り、それぞれ各省には各省の御主張等もおありでございますし、この前の会でございましたか、通産省の方からお話もございまして、いろいろ錯綜した、しかも深刻な問題をその間にはらんでおるように思われますので、便宜経済審議庁の国土総合開発審議会の方の水部会でこの問題を取上げようということで、発足いたしたわけでございます。主たる調査事項は、水の効率的な取扱いに関する事項をどうしたらいいのか、あるいは水利慣行の実態に関する事項をどういうふうにしたらいいのか、あるいは水施設の管理方式に関する事項をどうするか、あるいは今申しました各種利水、治水の調整方式の問題、あるいはその他水制度一般に関する事項をどうするかというような、水に関するほとんど全部と言つていいような非常に広汎な問題をテーマに選びまして、そうして、斯界の一番こういう問題に対して権威だとおぼしき人たちをそれぞれ御依頼したところが、皆さん喜んで参加していただきまして、ただいま委員の方からお話がありましたように、蝋山政道氏に会長になつていただきして、いろいろ調査審議を進めて来ていたわけでございます。去年一年間で十数回も会合して、初めの会では、主として根本的な諸問題、並びに諸資料の資料的な整備、従来ありました各省の資料の整備等がございまして、そうして問題の焦点を次第に深めて行つたわけでございます。そうして去年の後半期に入りまして、そういう資料をもとにいたして、実際に重要河川につきまして、各委員の方が全部おそろいになつて、主要河川を川上から川下まで一貫して御調査をしまして、そうしてそれぞれ分科を持つた分科委員たちが、分科につきまして詳細に実地の調査も済ませまして、去年の暮れぐらいに大体終了したわけでございます。そうした結果、各委員から、この問題に関して何か一つの試案というものがあつて、それを中心にして議論を進めた方がいいのではなかろうかということで、委員の方たちがたしか満場一致で、蝋山政道さんに会長みずから案をつくつてもらいたいということになりまして、蝋山先生が去年の暮れから非常に御努力くださいまして、一案をつくつていただきました。そうしてその試案を中心に今度は――現在毎週でございますが、ほんとうに御苦労なことでございますが、わざわざ遠くから委員の方たちは確実にお出ましくださいまして、審議を進めております。先ほどからお話もありましたように、なかなか複雑深刻な問題でございまして、そう簡単に結論がつくまでに行かぬわけでございますが、非常に熱心に現在先ほど申したような諸問題について検討を重ねつつありますので、あまり遠い将来でない時期に委員会としての一案が出るかと思います。
 ただいまちよつと申し忘れましたが、この委員会は各省間のそれぞれの意見というものは、事前に申し上げてしまつたわけですから、なるべく第三者的な委員の方だけで討議したい、しかもそれは各省の方もフリーに参加願つて、聞いていただいて一向かまわないというような蝋山会長の御意見でございましたので、今のところは、官庁側はもう権威ある委員たちの御意見を拝聴するというかつこうで、審議を進めております。毎週やつておりますが、御承知の通り非常な広汎な問題でございますから、ほんの糸口に入つた程度のところで、繰返し議論しておるところでございます。いつ結論が出るかと申しますと、はつきり何日までというわけにはなかなか見通しがつきかねるのでございますが、先ほど申しました通り、そう五年も六年も先ということでなくて、なるべく早い機会にということで努力いたしておりますので、何らかの形で、ある程度の結論が出て来るのではないかと考えております。
#30
○楠美委員 これはたいへんな問題で、二月や三月で結論が出ないことはわれわれも想像できるのであります。できますならば、どういう試案を論議しておるか、その試案でけつこうでありますから、われわれに配付をして見せていただきたいと思います。
#31
○佐々木政府委員 先ほど申しましたように、これは蝋山先生の試案ということでやつておりますので、蝋山先生に一ぺんお伺いいたしまして、先生がよろしかろということになりますれば、お出ししたいと思います。その点御了承いただきたいと思います。
#32
○楠美委員 わかりました。
#33
○武田委員長代理 杉村沖治郎君。
#34
○杉村委員 時間がありませんから、ごく簡単に私は大綱だけ伺いたいと思います。河川問題といえば、これは実に重大問題でありまして、電源の問題は帰するところ、河川から起つて来る問題が大きいのです。先ほど農林、建設両省の政府委員のお話を伺つておりますと、建設省で今考えておられる河川法案というものについて、農林当局も賛成されておるのであるかどうかという点を伺いたい。先ほど農林当局からいただきました水管理についての将来の対策というようなことがこれに載つておるのですが、これはやはり現行法を基本としたところの上に立つてのこういう対策であつて、建設省の検討しておるところの河川法というものを考えずに、こういうことをお考えになつておられるのかどうか、こういうことを農林当局に伺いたい。
 それから建設省に対しましては、建設省としてはこの現行法では物足りない、そこでこういう河川法案というものを出そうというようなことを検討されておるようですが、これについて地方自治体は全国ほとんどこれは反対しておるようでありますが、これについてどうも河川の管理を一手に建設大臣が握つてしまつて、そうして許可権あるいは河川の使用料徴収権も県から取上げるというようなことになると、地方自治に及ぼす影響も非常に大きいだろうと思いますし、また河川は地方の事情によつて非常に異なつておるのでありますから、その利用、治水等はおのずから地方ごとによく事情に精通した者がこれを管理、利用するということが一番いいのではないかと思われるのでありますが、こういうような全国的に地方自治体が反対しておるにもかかわらず、建設省がこういう法案をつくつて出さねばならない理由がどこにあるのか。われわれから考えますと、これは自由党内閣を攻撃するわけじやないが、いろいろなことが何となく中央集権的になつて、たとえば警察も一本にするとかいうふうに、何でもかんで中央へ中央へというふうに諸制度を持つて行こうというような傾向が多分に見られるのであります。これも、農林当局が今説明されたような現行制度において立てられておる対策などはたいへんけつこうなことであるが、こういう対策では物足りない、やはりどうしても建設省が考えておるような、こういうような法案を出さねばならないのかどうか。時間がありませんのでいろいろこまかく言えませんが、何分にも河川の問題といえば、日本の経済の根幹をなすといつてもいいような問題でありまして、というていわずかな時間で十分意見を聞くわけに行きませんから、ただ今は法案についての大綱だけをちよつと簡単に伺つておきたいと思うのであります。
    〔武田委員長代理退席、加藤委員長代理着席〕
#35
○平川政府委員 河川法の改正案につきましては、たしか一昨年だつたと思いますが、建設省の方から案の提示がありまして、私どもの方からそれに対して意見を出しておいたわけでございます。われわれといたしましては、先ほど申し上げましたように、現在の河川法についても不満である。その不満である最も大きな点は、先ほど申し上げましたような治水、利水全体の関係を各関係者の全体の意見によつて公正にきめる制度になつておらない、建設省は何と申しましても治水の責任者でありまして、電気なりあるいは農業水利についてはそれぞれ所管の官庁があるわけでございますから、これとの関係が最も合理的に調整せられるように、河川法の最も重要な部分を改正すべきである、あるいはもつと別の法律をもつて総合的な立法を行うべきであるという見解でございます。従いまして河川法改正案に対しましても、その点を重点とする意見を出しておるわけであります。河川法改正案においても、その点は建設大臣において河川の一切の管理、一切の計画を行う、そうして関係各省等には協議をするということになつておりますけれども、われわれとしては治水、利水は対等の立場において総合的に立案されなければならない、また管理が実施されなければならないという見解でございます。そういう意味におきまして、お手元にお配りいたしました仮案というものは必ずしも現行河川法だけを対象に考えませんで、将来河川の問題について立法をいたすといたしますれば、こういう制度が理想的ではないかという考えで出ておるわけでございます。
#36
○米田政府委員 河川法の改正の問題についてちよつと経過を申し上げますと、終戦後憲法が改正されてから、古い法律については新憲法の精神で各法律が改正されたのでございます。河川法もそういう点で改正すべきだという意味で、新憲法ができて以来、実は河川法の改正というものをやり始めたのであります。それが最初のスタートでございます。それから次いでだんだん今の農地局長からもお話がありましたように、特に電源開発にからんで水利権の問題等で各地にいろいろな問題を起しました。そこでこういう問題を解決するためにまた一つ河川法の改正という問題が必要になつて来る。最近になりまして、特に昨年のごとく全国各地に非常な災害を起し、災害対策としての観点からも河川法の改正が必要だというようなふうに、時期的にいろいろな原因から河川法の改正というものが今日必要になつて来ているのでございます。そういうふうにして実は昨年にも一案をつくつたのでございますが、その後また今申し上げましたような災害が非常に多かつた、その対策をやるにはさらに練り直しが必要だというようなことで実は河川法案の練り直しをいたしております。これが今日までの経過でございますが、実はせんだつて来、全国知事会においても、あるいは全国都道府県議長会においても、河川法の改正の案ができているようだからそれを示してくれ、こういうお話がございました。そこで私参つて、実はこういう経過でまだ成案を得ておりません、近く成案を得る予定であります、こういうことをお話したのですが、その間にいろいろなデマと申してははなはだあれですが、そういう関係でいろいろとうわさが飛んで、非常な強力な河川法ができている、しかも中央集権的な色彩の強い河川法ができておつて、建設省はそれをやろうとしているというようなことが非常に流布されております。それでしよつちゆう問い合せ、あるいは反対陳情等がわれわれのところにも参つているような現状でございます。しかし実は今申し上げましたように最後の練り直しをいたしておる段階でございまして、ごく近く成案に達する見込みでございます。それが真相でございまして、なかなかそう申しましても地方の人はそれを信用してくれぬので、われわれとしては実は弱つている状態でございます。
 そういう経過でございますが、今練り直しをいたしております河川法の考え方は、私先ほどもちよつと触れておいたのでございますが、現行の制度を大体機構としては踏襲する予定でございまして、やはり都道府県知事を河川管理者としての中心に考えている。これは現行法とかわりございません。ただそこにごく一部の問題については大臣の権限を強める、あるいは今まで全然なかつた市町村長に一部の権限を委譲するというようなことは考えておりますが、河川管理の大部分の実体を知事に置くという考え方には、現行法とかわりございません。そこで大きい発電地点等の河川を大臣の直轄管理にして、国がその管理をやろうというような考えはいたしておりません。それが誤り伝えられて、実は只見川のごときああいう発電の河川は国が直轄管理をして、国が直接水利権の許可をするのであろうというようなうわさが飛んでいるようでございますが、そういう考え方は毛頭いたしておりません。むしろ今度は河川法の改正によつて河川法の適用河川というものを非常に広げたい。これを広げて行つて常時の維持管理を強化したいというところが一つの重点でございまして、今日のように災害災害といつて騒いでおりますけれども、平時は何も維持管理をしないで、ただ災害のときだけ国が非常に高率な補助をするという制度になつておりますので、これは非常に不合理だ、国が災害の補助をして行く以上は、平素の維持管理というものを強化したい。それには都道府県知事をして広範囲な河川の管理をさして行きたい。今の河川管理をいたしておる数の倍以上の河川について、府県知事をして管理をさせたい、こういうところが一つの大きなねらいでございます。むしろ知事の管理権の及ぶ範囲というものは、非常に広範囲になるのでございます。
 次にもう一つの大きい点は、先ほどから農林省からもお話のありました水利権の問題でございます。特に農業水利権あるいは発電水利権については、今まで全然道のなかつたものについて、両省及びその他関係の省には協議をしろという考え方をいたしております。その許可権者も原則として都道府県知事にいたす。それから上つて来る水の使用料等の収入がございますが、そういう収入も都道府県の収入にするというのは、現行とかわりはございません。そういう考え方でやつております。ただ従来と多少かわつた点は、先ほども申し上げました一部大臣の権限を行使する範囲を広げるという点でございます。たとえば都道府県知事が従来管理権を行使しておりましても、それが善良な管理をしない場合の処置がございませんでした。善良な管理をする場合は問題ございませんが、たとえば発電水利の申請書を出しても、非常に長くほつたらかしておくとか、故意に許可しないとかいうような場合には、国の権限を発揮できるような制度は設けたいという程度のことは考えておりますが、原則として今日の河川管理の実体を知事に置いてあるということを変更いたす考えはございません。
 以上が大体の今日までの経過と内容のあらましでございます。
#37
○杉村委員 もう時間がございませんから質問はいたしません。ただしかしあなた方がおつしやるように、地方ではまだ法案も出ないのに驚いておるというが、地方が驚くばかりではありません。われわれといたしましても、河川の問題はきわめて重大問題でありますから、どうか一時的な思いつきやなんぞでなく、これはほんとうに十分考えてやつてもらいたいと思う。去年の災害に驚いて、今河川法云々というようなことをお考えになるのだとすると、われわれはあまり感服しない。昨年の災害など起るのはあたりまえじやないかと思われるのは、河川の工事費の不正使用が昭和二十六年において五億円近いからです。いくら制度をよくしたつて、人間の悪いのがああいうことをしておつたのでは、りつぱな河川工事などはできはしない。昨年災害が起つたのはある程度まではその前に原因があるのです。そういつたようなことについてもいろいろ伺いたいのですけれども、時間もありませんからやめておきます。要するに河川問題は実に日本の経済の根幹をなしておるものでありますから、お思いつきやなんかでなく、地方自治体の知事会議などで驚いてあわてて陳情に出て来るというようなことのないように、ほんとうに中央地方がじつくりと話合つて、十分百年の計を、間違いのないような計画をひとつ立ててもらいたい。いたずらにアメリカの指導的中央集権みたいなことにならないように御注意を願いたいと思います。
#38
○加藤委員長代理 ほかに御質疑はありませんか――御質疑がないようでありますので、次会は公報をもつてお知らせすることにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。
    午後零時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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