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1953/04/02 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 経済安定委員会 第14号
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1953/04/02 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 経済安定委員会 第14号

#1
第019回国会 経済安定委員会 第14号
昭和二十九年四月二日(金曜日)
    午後三時一分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 加藤 宗平君
   理事 小笠 公韶君 理事 武田信之助君
      岸  信介君    迫水 久常君
      西村 久之君    前田 正男君
      加藤 高藏君    楠美 省吾君
      園田  直君    菊川 忠雄君
      小平  忠君    山下 榮二君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 愛知 揆一君
 出席政府委員
        経済審議政務次
        官       深水 六郎君
        総理府事務官
        (経済審議庁調
        整部長)    松尾 金蔵君
        総理府事務官
        (経済審議庁計
        画部長)    佐々木義武君
 委員外の出席者
        通商産業事務官
        (公益事業局経
        理長)     大堀  弘君
        労働事務官
        (職業安定局失
        業対策課長)  村上 茂利君
        専  門  員 円地与四松君
        専  門  員 菅田清治郎君
    ―――――――――――――
四月一日
 委員菊川忠雄君辞任につき、その補欠として山
 下榮二君が議長の指名で委員に選任された。
同月二日
 委員水谷長三郎君辞任につき、その補欠として
 菊川忠雄君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 外貨予算及び貿易政策の総合調整に関する件
 電源開発及び電源開発資金計画に関する件
 電気料金政策の総合調整に関する件
    ―――――――――――――
#2
○加藤委員長代理 これより会議を開きます。
 外貨予算及び貿易政策の総合調整に関する件、電源開発及び電源開発資金計画に関する件及び電気料金政策の総合調整に関する件の三件について調査を進めます。これより右三件の質疑に入りたいと存じますが、まず外貨予算及び貿易政策の総合調整に関する件について政府当局より説明を聴取いたします。国務大臣愛知揆一君。
#3
○愛知国務大臣 ただいま委員長からお話がございました昭和二十九年度の外貨予算につきまして、御説明を申し上げたいと存じます。お手元に資料が配付してあるかと思うのでありますが、最初にこの資料を離れまして、簡単にこれまでの経過と考え方を申し上げたいと思います。
 御承知のように昨年以来、国際収支の状況が相当悪化いたしまして、これに対処いたしまして二十九年度の輸出入計画その他国際収支の計画を、どういうふうに考えて行くかということにつきましては、政府といたしましても非常に慎重な検討を進めて参りました。たとえばいわゆる外貨予算等につきましても、従来はどちらかといえば形式的であつたと思うのでありますが、閣僚審議会というようなものも今年に入りましてから頻繁に開きまして、諸般の問題について深刻なる討議をかわしまして、方針をまとめて参りますことに非常な努力を集中して参つたような次第でございます。その結果、最も基本的な考え方といたしましては、昭和二十九年度における輸入につきましての全体の計画は、大体二十億ドルというところを一つのベースといたしまして、それで輸入計画を立てようということが一つでございます。いま一つは、本来ならば昭和二十九年度中に収支を均衡にいたしたいところなのではありますが、あまり急激に輸入削減等をいたしますと、国民経済に与える影響も甚大でございますので、大体二箇年度間に国際収支の均衡を回復するという目途のもとに、二十九年度におきましては、九千万ドルないし一億万ドル程度の赤字が出るということはやむを得ないということを、一つの基本的な考え方にいたしたような次第でございます。それから今申しました二十億ドルと申しますのは、これを専門的に外貨予算の確認ベースという言葉が使われておりますが、その言葉はともかくといたしまして、外貨予算の輸入計画それ自体としては、大体二十一億五千万ドルが、輸入予算の計画ということになるわけでございまして、これは実際の支払いの時期がずれる関係その他を織り込みますと、さようなことになるわけでございますが、この基準は輸出が十二億四、五千万ドル、特需が七億一千万ドル程度できるものということで、さような輸入外貨の計画をつくるわけでございます。しかしながら他面におきまして、輸出それ自体の計画は十三億五、六千万ドルという計画を持つておりますし、一方特需につきましても、七億六千万ドルくらいはできるであろうという見込みを持つておりまするから、輸出並びに特需のいわば努力目標から見ますれば、二十億ドルの輸入計画というものは、かなり手固く見積つてあるつもりでございます。従つて私どもの輸出計画、特需計画のごとく、予定通り、見込み通り輸出の実績が上り、特需の実績が上るというようなことであれば、この二十億ドル基準の輸入計画というものも、もう少しふえてしかるべきものであるというような考え方をとつております。大体基本的な規模といたしましては、さような考え方でございます。
 今度は輸入計画の内容をつくりまする場合の考え方といたしましては、申すまでもございませんが、不要不急な物資は徹底的に削減しなければならない。しかしながら基礎的な民生物資、輸出用の原材料、重要基礎原材料については、必要量を確保するということを前提として、外貨予算の編成に当つたわけでございます。前々から御説明申し上げておりますように、昭和二十九年度におきましては、たとえば鉱工業の生産指数は、大体年度間を通ずれば二十八年度と同様の規模ということを見込んでおるわけでございますが、鉱工業生産指数が二十八年度と大体同規模の程度に実行せられます場合の原材料等の輸入は、この二十億ドルの支払いの計画の中に確保するということに努めた次第でございます。かような考え方でやつて参りますと、二十八年度の輸入の実績から申しますと、この程度の輸入というものは、相当な削減でございます。しかしながらいま少し掘り下げて申しますと、昭和二十七年度とこれを比較いたしますと、ほとんど各物資とも輸入が増加するものばかりでございまして、減るものは完成自動車その他といつたようなものだけでございまして、二十八年度に比べれば、原材料等もある程度減少いたしますけれども、二十七年度に比べれば、ふえるものばかりであるということを、常識的に申しまして間違いはないと考える次第でございます。
 大体以上が総論的な御説明でございますが、次にお配りいたしたものにつきまして概略申し上げたいと存じます。
 まず前年までの例に従いまして、二十九年度の上期、すなわち六箇月分の外国為替予算を、去る三十一日に決定いたしたわけでございます。今後六箇月間の輸入貨物の予算額は、ここに書いてございますように、十億五千万ドルでございます。そのほかに貿易外の予算額といたしまして、三億一千余効ドルでございます。合計いたしますと、十三億六千余万ドルとなるのでございます。ここにその点を書いて、ございませんが、予備費といたしまして、貨物の輸入の関係で五千万ドル、貿易外の関係で一千万ドルをこのほかに計画として用意いたしておるわけでございます。
 さてその予備費を除きまして、十三億六千余万ドルは、ここに書いてありますように前年同期の修正予算額と比較いたしますと、輸入貨物関係では一億六百万ドル余、貿易外関係では八千四百六十七万ドル余の減少になるわけでございまして、昨年度に比べてこの上半期で一億九千百万ドル程度の減少になつておるわけでございます。
 次に、輸入貨物の予算の概要は、ここに二十二の費目をあげておるのでございますが、これは非常な大わけでございますから、そのうちのあるものにつきまして例示的にいま少し詳しく補足して申し上げたいと思います。
 まず第一に食糧でございますが、食糧はここにありますように二億五千二百万ドル余でございますが、この考え方といたしましては、二十九年度は米も麦も平年作であろうということを前提に考えております。そうして主食の必要量を現行制度通り確保することといたしたわけでございまして、米につきましては数量としては、買上量を百十四万五千トンというふうに考えております。そしてこれに必要なところの年間の買付量を九十七万五千トンと算定いたしまして、必要の量を計上いたしたわけでございますが、上期のここに計上されました額は約五十万トン分を予定いたしまして、金額を一応はじいておるわけでございます。それから小麦につきましては、二十九年度の到着量は百八十四万三千トンというふうに規定いたしまして、これに必要な年間の買付量を百七十五万八千トン、そのうち上期八十五万トン程度と予定いたしたわけでございます。食糧の項目は、さらにそのほか大麦、砂糖、大豆等も含めて勘定いたしておりますが昨今話題になつております砂糖についてどうかと申しますと、二十八年度の砂糖の消費量は、黒糖を除きまして大体百八万トン程度と考えられるのでありますが、二十九年度におきましては、年間の砂糖の消費量を八十五万トンくらいのところを一応押えてみまして、外国からの外貨をもつてする買付を八十万トンと算定いたしまして、この上期の六箇月の中では、その半分の四十万トンを輸入するという計画を立てておるわけでございます。
 それからその次に一例として、繊維の原料が五番目に総額二億六千八百万ドルとございますが、その内容について一、二申し上げますならば、原綿につきまして二十八年度の綿糸の生産量は、月当り十九万三千こり程度だと推定されるのでありますが、二十九年度の生産はこれと同じ純綿糸のベースで行きますと、十八万こりという程度に考えて、原綿の輸入計画をつくつておるわけでございます。なお輸出振興等のためには特段の努力を払わなければならないと考えますので、輸出目標を突破した場合等におきましては、これと関連いたしまして生産の量がふえることになるかと思います。それからスフの増産によりまして、混紡綿糸が増加すれば、綿糸の生産は増加いたしますので、一方におけるデフレ的効果による需要の減退というようなことを考えますれば、需要の点についても充足を見るのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 以下こまかい内容等につきましては御質問にお答えすることにいたしまして、総括的にこれによりまする国内への影響等について若干御説明を申し上げたいと存じます。一口に申しますと、この外貨予算の編成にあたりまして、率直に申しまして、場合によりますと、需給のバランスについて国内の経済に相当の影響を来すのではなかろうかということ、並びにそうした場合に国内の経済措置について、特段の考慮を必要とするのではなかろうかということも考えたのでありますが、先ほど来一、二の例を申し上げたごとく、この程度のところでありますならば国内的に、たとえば配給統制措置でありますとか、原料の割当制度でありますとか、そういうようないわゆる統制措置等を一段と強化したり、あるいは新設したりする必要は、概して申しますれば、やらないでやつて行けるのではなかろうかというような結論を、この外貨予算の編成については結果において持つたような次第でございます。ただしかしながら問題の一つは、油の関係でございまして、特に重油の関係につきましては総合燃料対策の観点から石炭と重油との調整につきまして、これまたいろいろと考究いたしまして、大体次のような措置を講ずることにいたしたわけでございます。一つは重油の徹底的な消費節約を運動として展開いたしたいということと、それから今後は重油転換は原則的にこれをやらないことにする、それからさらにいわゆる重油転換をいたしましたものの中でも、火力発電、セメント製造業における混焼ボイラー等につきましては、できるだけその設備状況等を考慮いたしまして、もつぱら石炭を使つてもらいたいということを、行政上の指導勧奨を行つて参ることにいたしたいと考えるのでございます。しかしながら発生炉等石炭への転換が技術的あるいは経済的に困難なものにつきましては、もちろんそういうような措置はいたしません。また中小企業につきましても、原則として特に再転換の勧奨というようなことはやらないつもりでございます。それから重油の専焼設備につきましても、改造が比較的容易なものについては、石炭の使用も可能のように改造するように勧奨いたしたいと考えます。
 それから第二に暖房用、厨房用、たとえばビルディングの暖房用、厨房用等あるいは都会の浴場等につきまして、しいて重油を使用しなくても済みますような用途につきましては、本年の十月一日以降消費規正を行うことにいたしたいと考えておるのでありまして、大体今から半年の予告期間がございますから、今年の冬にかけての需要者側の準備も今からひとつお願いしておいて、場合によりますれば本年十月一日には、先般両院の御審議を願つて議了せられました国際的供給不足物資等需給調整臨時措置法によりまして、消費規正を法的に行うことといたしたいと考えております。それまでに設備の改造等再転換の指導行政を政府側においても行いたいと考えておるわけであります。
 第三に、農林水産用あるいは船舶用等の内燃機関用の重油につきましては、極力消費の節約を考えていただきたいという意味で需要者側の御協力を願いたいとは思いまするが、これらの用途には絶対に重油を必要といたしますので、その必要量については関係の業界の御協力を得まして、行政指導によつてこれが絶対確保をはかる考え方をとつて参りたいと考えておる次第でございまして、いわばこれらの石油類、特に重油について、外貨予算の編成にも関連いたしまして、国内措置を一番必要とするものと考慮いたしております。これは念のために申し上げますると、二十九年度の重油消費量は大体二十八年度程度にとどめるということでございます。これは申すまでもございませんが、二十八年度のうちでも、特に十月以降重油の消費が非常にふえておりますから、全体として二十八年度程度にとどめようとする場合におきましては、相当に節約をいたしませんと、実効が上らないという状況に相なつておるわけでございます。そのために約百万キロリットルの節約をいたしたいというのでありまして、先ほどあげましたいろいろの方法によりまして、大体その目的を達成し得るのではなかろうか、かように考えておるような次第であります。
 以上をもちまして、当面の外貨予算につきましての政府の考え方の御説明といたした次第であります。
#4
○加藤委員長代理 この際質疑の通告がありますので、これを許します。山下榮二君。
#5
○山下(榮)委員 ただいま愛知経済審議庁長官から外貨割当の説明があつたのでありますが、私はこの問題とは別に、ほかのことでこの際伺つておきたいと思うのであります。それは電力借款に関するその後の経過と結果についてであるのであります。昨年の八月ごろだつたと思うのですが、わが国の火力発電に対する世界銀行からの借款問題がいろいろやかましく伝えられて来たのであります。その後結果がどうなつたか、われわれはまだ詳しく知る機会を得ていないのであります。新聞紙の報道するところによりますと、関西、中部、九州の三火力発電会社に対して、四千二百万ドルの世界銀行からの借款が許可に相なるかのようであります。このことに対しましては、わが国の政府がその返済の保証をするという報道も伝わつておりますので、この機会にそれらの点に関する経過と結果を伺いたいと思うのであります。
#6
○愛知国務大臣 電力についての借款の問題につきましては、昨年水力発電に対する借款がようやくまとまりましてからあとの段階におきまして――世界銀行からの借入金を、何とかいま少し他の方面にもふやしてもらいたいということはかねがね政府においても考えておりまして、その後いろいろの点から、またいろいろのルートから世界銀行に対しまして話を進めて参つておりますことは事実でございます。特に昨年の十一月にドールという人を団長にいたします調査団が派遣されてわが国に参りまして、諸般の基礎的な産業その他について相当熱心な調査をして参りましたことは御承知の通りでございます。これが帰国後におきまして、調査団としての報告を、世界銀行の当局、上司に対していたしたようでございます。ところがどういう報告をしたであろうかということにつきましては、一般論は私どもにもわかるのでありますが、具体的にどういう方面に金を貸したらよさそうだということが、報告の中にあるに違いないのでございますが、この部分につきましては、私どもまだつまびらかにすることができないようなかつこうでございます。その間あるいは外電等によりまして、たとえば機械の関係ならば出してもよかろうと世界銀行当局が考えておるという情報が伝えられたことはございますが、それ以上に当局側からこちらの当局に対して具体的に話が参つたこともございませんし、確実な情報がとれないで、実は私どもも困つておるようなわけでございます。ただいまお尋ねがございました関西電力その他に対しまして、具体的に四千二百万ドルというようなことが見込みのあるものとして――政府筋において取上げておりますような性格の問題としては、そういう話はまだ私どもは聞いておらないのでございます。
 なお一般的な態度といたしましては、これも確実に、はつきりした形でとりきめがあるわけでも何でもございませんが、大体一億ドルくらいまでのところは、すなわちあと残りが四千万ドルくらいになろうかと思うのでありますが、そのくらいの幅において、日本経済自立のために基本的に必要であるというようなものに対して融資したいものだという気持は、世界銀行当局にもかなり濃厚にあるように、これは現実に世界銀行幹部の人たちの言動から察知することができるのでございますが、先ほど来るる申し上げておりますように、具体的なものとしてはつきりつかまえ得るようなものはまだ出て参つておらない状態であります。
#7
○山下(榮)委員 それでは重ねて伺います。もし電力会社その他に借款を許すということになる場合には、その交渉その他は政府を通じてすべきものか、会社それ自体が直接行うものであるか、その辺のことはいかように相なつておるか伺いたいと思うのであります。
#8
○愛知国務大臣 世界銀行からの借款につきましては、原則として、それから従来の扱い方からいたしまして、日本側として政府が実際上の契約の当事者に全部が全部なるわけではございませんけれども、政府が相当責任を持つて関与をいたさなければならない、こういうように考えております。
#9
○山下(榮)委員 過般来新聞の伝えるところによると、世界銀行の方から電力会社に対する借款についていろいろ条件が出ておるようですが、そういう点政府の方ではまだ具体的におわかりではないですか、そういう交渉を受けられたことはないか、その辺のことを伺いたいと思います。
#10
○愛知国務大臣 ちよつと私うつかりいたしまして……。先ほど来のお尋ねが、昨年におきまして契約を完了いたしました借款についてでございましたならば私の申し上げ方が悪かつたのでございまして、昨年借款ができましたもの以外に、その後水力なり火力なりあるいは関西電力等にさらに新たなる話があるのかというお尋ねと誤解しましたので、それはないということを申し上げたのであります。昨年の契約の内容につきましては、これは政府が当事者になつたものもございますし、開発銀行が当事者になつたものもございますし、それから電力会社自体が当事者になつたものもございますので、契約の数だけでも非常に多くあるわけでございますが、それらの内容等につきましては政府委員から御説明いたさせます。
#11
○山下(榮)委員 それらに関する資料を、本日でなくともけつこうですから、後日ひとつ整えていただきたいと思うのであります。
#12
○加藤委員長代理 承知しました。
#13
○山下(榮)委員 それから、長官の説明が何かおかしいと思つておつたのですが、実は私は昨年成立をいたしましたことについて伺つておつたのであります。そこでさらに伺つてみたいと思うのであります。借款は昨年成立をいたしたのでありますが、これには政府の保証というのですか、日本政府が責任を負うたことによつて世界銀行はこれらの電力会社に借款を許す、こういうことに相なつておると思うのです。これはこういうふうに解釈をしていいでしようか。
#14
○愛知国務大臣 これは用意をして参りませんでしたので、まことに相済みませんが政府委員からお答えいたさせます。
#15
○大堀説明員 昨年の火力借款につきましては九州電力、関西電力、中部電力の三社が火力機械を購入いたします外貨支払い代金について世界銀行から借款をいたしたわけでございます。借承の方法は、世界銀行から開発銀行に借款が与えられまして、開発銀行から三電力会社にそれぞれ転貸をするという形で契約がなされておりまして、開兄銀行の借りました債務については政府が保証契約をしている、こういう形になつておるのでございます。
#16
○山下(榮)委員 よくわかつたのですが、もし今おつしやるように政府が保証をして借款が許可に相なつたとするならば、政府は当然議会に対して報告し、ないしは議会の承認を求めるというような手段をとらるべきではなかろうかと思うのですが、そういうことに対して一体いかようにお考えになつておるか、伺いたいと思うのであります。
#17
○愛知国務大臣 政府のいたします保証につきましては、正確な法律の名前は今ちよつと失念いたしましたが、要するに世界銀行等から借款を受ける場合に必要とする保証等について政府が保証をするということについての法律が、たしか昨年の六月に制定になつておるのでありまして、この法律の条項に基きまして所要の手続を政府がいたした。法律構成としてはこういうふうになつておると思います。
#18
○山下(榮)委員 昨年の六月か七月かわからぬが、法律が制定されて、法律に基いて行つたから国会に対する報告の義務も何もない、こう解釈していいのですか。
#19
○愛知国務大臣 ただいま御説明いたしました法律は、こうしたことがあることを予想いたしまして、あらかじめ政府にさような権限を行使させることをお認め願つたものである、従つてその保証契約それ自体は国会の承認を求める必要がない、こういう解釈で措置いたしたのでありまして、もちろん内容につき、あるいは交渉の経過等につきましては、その当時の関係の諸委員会におきまして、政府としても十分御説明申し上げたはずであると考えます。
#20
○山下(榮)委員 後日資料をいただいてからもつと詳細にわたつて伺つてみたいと思います。本日はこれで一応質問を終りたいと思います。
#21
○加藤委員長代理 菊川忠雄君。
#22
○菊川委員 私いろいろとお尋ねしたいのです。と申しますのは、愛知経審長官はなかなかほかの方面が御多忙のために、この委員会には御出席が少いので問題が大分たまつておる際でありますから、だんだんとお伺いすることにいたしますが、その点御了承願いたいと思います。
 最初にお尋ねしたいのは、ただいまの上期の外貨予算についてであります。こういうドルその他の外貨を使う予算以外に、外貨を使わない貿易その他による国の経済がある。従つて日本経済全般の二十九年度の関係を御検討になつた上でこういう外貨予算が出たと思うのであります。そういたしますと、たとえばその中の主たる方面は言うまでもなく日中貿易であります。この外貨予算によつてまかなわれる貨物輸入のほかに、そういう外貨を直接動かさないでバーターその他によつて輸入される方面は、上期においてどのように検討しておられるのか。このことは当然報告されなければならぬと思うのでありますが、その報告が抜けておりますためわれわれは審議に迷つておりますので、それを御報告願いたいと思います。なお参考に昨年の日中貿易は上期、下期を通じてどのようにふえて来ておるのか、これをひとつ御報告願いたいと思います。なおそのふえ方はイギリス、あるいは西ドイツなどと比較してどういうものであるか。こういうことも当然おわかりであろうと思いますので、御報告願いたいと思います。これを最初にお尋ねいたします。
#23
○愛知国務大臣 ただいまのお尋ねでありますが、いわゆるバーター取引とか、リンク貿易とかいう性格のものも一応全部この表の中に含めて勘定してあるわけであります。この十七の項目に求償取引物資上期六百万ドルとありますが、これはたとえばただいま御指摘の中共貿易等の場合を意味しておるのでありまして、最近における実績等から比べますと、この関係におきましては半期で約二百万ドルが少くともふえるものとして、ここに六百万ドルというふうに計上してあるわけでございます。それからただいまお尋ねの点は、中共と西独、中共とある国との貿易量と、日本と中共との間の最近の貿易量の比較の数字というお尋ねと思いますが、この点はわかります限り調べまして、お手元に差上げようと思つております。
#24
○菊川委員 今のに付随して昭和二十八年度の中共の貿易の金額、上期と下期の大体の見込額、こういうものがおわかりでしようか。
#25
○愛知国務大臣 ただいま手元に資料を持つておりませんので、それでは至急ただいまにでも取寄せましてお答えいたします。
#26
○菊川委員 いま一つは、私こういう問題に詳しくないのでお尋ねするのですが、たとえば最近製糖業者は砂糖輸入によつて――もちろんこれを加工して販売するわけでしようが、最近ずつと見ますと、砂糖輸入によつて非常に大きな利益をあげておる。これは私の方のみならず一般が認めておる。ところがその輸入のためには要するに外貨の割当をとらなければならない。そこでこういう外貨割当というものは、たとえば製糖業者の場合においてはどういうやり方でおきめになるのですか。このことをお尋ねしたいのです。私の聞くところによると、たとえば生糸を輸出する業者がある、あるいは生糸の製糸業者、そういうメーカーは輸出したものについて外貨を持つておるわけです。そうするとそういうある生糸のメーカーに渡りをつけて、そしてそれを製糖業者が自分の割当に獲得する、こういうことのためにいろいろと裏面におけるある種の取引が行われる、こういうことを耳にしているのですが、こういう事実があるのかどうか。そしてまたそういうふうな動きが一体外貨割当に影響する性質のものであるかどうか。こういうことを知りたいのです。この点をお尋ねしたいと思います。
#27
○愛知国務大臣 これはまことにごもつともな問題でありまして、実はわれわれとしても非常にむずかしい、困つた問題になつておるわけでございます。砂糖の輸入につきましては、これは直接に消費に向けられる砂糖を輸入する場合と、いわゆる粗糖といいまして、直接口に入る砂糖として輸入するのではなくて、その原料と申しますか、粗糖の程度で入れまして、それを精製して国内で口に入る砂糖として売りますような場合と、二通りあるわけでございますが、現在やつております日本の場合においては、輸入いたしますのは粗糖であつて、直消糖といつておりますが、直接消費に充てる砂糖は輸入しない、従つて粗糖につきましては、これを精製するメーカー、製糖業者のところに割当てまして、そこに行くものとして外貨の予算をつくり、かつこれをそれらの製糖業者に対して割当てておるわけでございます。もしこれが今申し上げる話の通りうまく行つておりますならば問題は比較的簡単でありますが、ところが最近の事情としては、この原料糖である粗糖も、そのあるものは直接甘味料として消費にも充てられるというようなところから、輸入された粗糖があるいは市場等に横流しされるのではなかろうか。これは砂糖の価格の問題等と関連しまして、そういう点がやや疑惑を持たれる場合もあり得たわけであります。しかしこれらの砂糖の輸入につきましては、二十九年度におきましては先ほど申し上げましたように、相当輸入の数量を外貨の面におきましても減らしまして、八十万トンという程度にいたしますれば、これはどうしても国内の需給関係からいつて、当然製糖業者、メーカーの手に渡つて、そこで精糖されて初めて市場に出るところの適当なる数量だということができると私は思うのでありまして、最近は、今年の一月ごろから自動承認制という制度があつたのでありますが、その自動承認制等の関係で、自動承認制は外貨の逼迫の折からその相当部分を停止することにした。ところがそれらの関係から砂糖は今後なかなか輸入は困難ではなかろうか、あるいは今後において政府はもつと粗糖の輸入について外貨を切るであろうというような思惑から一時砂糖が非常に暴騰いたしまして、ますますそういう懸念が出ておつたのでありますが、最近に至りまして、来年度においても適正な数量は輸入するということがだんだん業界にも浸透した関係かと思いますが、砂糖の価格もだんだん鎮静して参りましたし、今後におきましてもメーカーに配当をするということを確実に監視して行うようにいたしますれば、最近起りましたようないろいろな懸念というものは解消するであろうと思いますし、またさせなければいけないと思つております。
 それからその次のお尋ねの生糸等とのリンクの問題でございます。これは本来ならばあまりほめた策ではないと思うのでありますけれども、たとえば生糸の場合で申しますと、昨年は非常な繭の不作であつたというようなことから値段が高くなつて、その値段ではなかなか輸出ができない、生糸の輸出というような日本独得の商品について、特に不作等の関係から一時的に起つた現象に対しては何とか輸出を減退させない特段のくふうはなかろうかというようなところから、この砂糖の輸入というものと結びつけて、そうして砂糖は安く入つて高くメーカーの手に入れることができるわけでありますか、それと結びつけて、いわゆるリンク貿易、本来ならばあまりほめたものではありませんが、輸出振興のための臨時の措置といたしまして、さような措置を講じたようなわけでございます。これにつきましても生糸の買い先でありますところの外国の市場等におきまして、多少これを問題にしたような傾向もございますので、最近におきましてはそのリンクに充てまする量を半分に減らすとか、あるいは保証金を徴収するとかいうような自制措置を生糸の輸出関係者にも講じさせることによりまして国際的な問題も解消し、だんだんとうまくこの制度が動くように相なつておるわけでございますが、しかしこれは今後将来長きにわたつての問題といたしましては、できるだけこういうふうな制度というものはやらないで、現実に輸出努力国際価格に輸出価格をしわ寄せをするという努力を輸出業者に対してもしていただくような方向に向けて行かなければならない、こういうふうに考えるわけであります。
#28
○菊川委員 それから今のにもう一つちよつと触れておきたいのですが、結局一種の外貨統制が先行きは強化されるわけです。そうしますと、従来のやり方を見ますと、こういう統制には必ず官僚の相当の統制が加わるわけであります。私がさつきもいろいろお尋ねした一つの問題は、今後こういう外貨割当をそれぞれのメーカーなどになさる場合に、それは政府部内のどういうふうな機関で、どういうふうな方法でおきめになるのか。それからそのやり方として何らかの外的な運動あるいは圧力などに動かされたというような誤解の生まれないようなやり方が必要なんですが、何らかの基準というようなものをお考えになつておられますかどうか。たとえば最近砂糖のそれぞれのメーカーに対する割当を見ましても、複雑だから私どもよくわかりませんけれども、世間ややもすれば、あの製糖会社にはどういう人が背景になつておるから、割合に今までの実績以上に、そして新しい会社であるのに、非常に最近はのして来た、こういう風評を耳にしておるわけであります。おそらく大臣もお聞きになつておると思いますが、そういうことがあつてはならないのでありまして、そういう点についてどういう機構で、どういうふうな基準で今後おやりになるのか。そういうことを伺つておきたいと思います。
#29
○愛知国務大臣 これもまことにごもつともなお尋ねでございまして、私もその点は非常に注意しておるのでございますが、よく世間にもいろいろとうわさをする人があるわけでございます。実はちよつとほかのことを申し上げるようでありますが、外貨予算の編成というようなことは、いわば国として他の国と商売をするわけでございますので、実を申しますと、政府を信用していただいて、この外貨予算というようなものはその手のうちを内外にさらけ出さないことの方が日本全体として利益になることも非常にあるわけでございます。そういう関係から、特に外貨の逼迫して参つたような昨今の状況におきましては、あらためてそれらのことも取上げて、大いに検討し、議論を尽したのでありますが、しかしただいま御指摘のようなこともございまするので、これは国内的にやはり相当詳細な一つの基準を公示してそれに基いて機械的に仕事をするようにしなければいけない、こういうふうな関係から、今回も発表の方法等については多少くふうをこらしましたけれども、各物資別につきまして、非常に詳細な、かつ輸入仕向地その他につきましても、具体的にこまかい計画をつくりまして、そしてそれを積み上げて、結論と相なつておりますのが、この一表になつておるような次第でございます。まず第一に各物資別につきまして、業界その他の動向を十分事前に聞きまして、この輸入外貨の割当というものを相当機械的に実施するようにいたしたつもりでございます。それからこの外貨の割当につきましては、必ずしも機構だけの問題ではございませんで、その他にもいろいろ監視を怠つてはいけないと思うのでありますが、何分にも現在三百六十円の為替相場を堅持したいということで努力を続けておるわけでございますが、現実の問題としては、必ずしも実勢がそれに伴つていない。従つて輸入外貨の割当を受けるということは、その面だけを考えてみますと、非常な利潤を上げるということにもなりますが、自然これは国民的な注視の的でありまするし、またメーカーに原材料の配当をいたしますにしましても、その業界の協会なり組合なり、これらの間における相互の牽制監視というようなものも、現実の問題としては非常に効果のあるものでもございまするので、それらとの間の連絡なり、あるいは仕事のやり方について、できるだけ裁量の余地が残らない、できるだけ機械的に、たれもがその関係の方々が納得されるような方法でやつて参らなければならない、こういうふうに考え、また実行いたしているような次第でございます。
#30
○菊川委員 この上期外貨予算を拝見しますと、これは新聞などでも一致した批評を下しておりますように、上期では一億九千万ドル程度の減額ですからそう大きな影響は現われないだろうが、問題は下期にしわ寄せをされるという点にあるというのであります。そういたしますと、大体下期になつて影響が相当出て来るじやないかと私は思うのですが、それに対する十分な対策というか、見通しをお持ちになつているかどうか。あるいはそのときになつて、他のいろいろな情勢ともからみ合せて、下期においては、出たとこ勝負で、再びまた修正するというふうなこともやむを得ないというような心組みであるのか、この点をちよつとお伺いしておきたいと思います。
#31
○愛知国務大臣 そのお尋ねにつきましては、こういうふうにお答えいたしたならばよろしいと思うのであります。輸入貨物の予算額が上期十億五千万ドルでございますが、これを倍にいたしますと二十一億ドルになるのでありますが、下期におきましても大体上期と同様程度のものはつくれると思うのであります。但しこういうことは言えるのであります。同じ六箇月分のものが下期においても入るといたしましても、上期においては現在メーカーなりその他の原材料のストックがございます。そういう手持ちのものをつぶして、在庫量と輸入量をにらみ合せて計画をする、ところが下期になりますと、輸入量はかりに同じであつても、その枯渇の度合いがひどいというようなところから、影響が深刻になるというような点は、あるいはあるかとも思うのでありますけれども、同時に、先ほど申し上げましたように、この輸入計画は、実はこの点も非常に御批評のある点とは思いますが、われわれの輸出計画から見れば、大体一億五千万ドルくらい内輪に見てこの計画をつくつているのでありますから、これは希望を申し上げましてはなはだ恐縮なんでありますが、われわれの希望するがごとくこれから物価が漸次下降状態になり、輸出が伸びる状態に向つて来るということになれば、自然その方からプラスの要因が出て来るのではなかろうか、こういう関係から、新聞等にもいろいろ批評は出ておりますが、一応上期だけを決定いたしたのではございますが、そしてそれについて下期の心配が新聞等にも現われているようで遜りますが、今の状況においては、大体これで下期も同じ程度のものが組めれば、あわてていろいろの措置を講ずる必要はなかろう、こういうふうに私は考えております。なおくどいようでございますが、たとえば先ほどるる申し上げましたように、重油のごときは、今から手配しておきませんと、とんでもないことになつてはいかぬと思いますので、あらかじめ十月一日からは必要に応じて法的消費規正をいたしますということを発表して、そういうことに備えているというような関係になつております。
#32
○菊川委員 委員長に伺いますが、私は外貨予算の問題についてはこの程度ですが、これから自立経済という問題で、電力の問題に移つてよろしゆうございますか。
#33
○加藤委員長代理 けつこうです。
#34
○菊川委員 本委員会において今まで自立経済の計画とか、それから電源糖発の問題、それから電力料金の総合調整の問題、いろいろとわれわれ審議をしているわけですが、この機会に大臣に要点だけお尋ねしておきたいと思います。
 一つは自立経済の計画と、それから電源開発の計画と、二つの関係についてであります。まずこの自立経済の計画はずつとわれわれこの委員会に関係しております経験だけから見ても、三十二年度の経済表というものが発表されました。それからその後岡野経審長官の岡野構想、それらがいつの間にか立ち消えになつた、こういうような状態であります。一体現政府は自立計画というものをお持ちであるのかどうか。これが愛知構想で、またこれが消えてしまう程度のものでは困るのでありますが、お持ちなのかどうか。このことが第一点。それからこういうように自立計画がしよつちゆう動揺している中に、電源開発の計画だけが遂行されているわけでありますが、一体こういうことが可能であるとお考えなのかどうか。現にもう二十九年度の電源開発はどうしても相当に打切らなければならぬという問題にぶつかつている。これはやはり自立経済計画というものと関連が非常に弱い、あるいは矛盾があるということの一つの現われではないかと思うのです。そういう点について電源開発計画というものを今後強力にお進めになるという以上は、その裏打ちとなる自立経済についての見通しがなければならぬと思いますが、こういう点の関係はどうなのか、その二点であります。
 なお一緒にお尋ねいたしますけれども、今日すでにこういう緊縮政策を必要とするように、事実経済状態は一種の恐慌状態に入つていると私は見ているのであります。たとえば最近の不渡り手形が非常に激増しているということ、しかもその内容が今までの一流銀行にすら、これが昨年は数枚であつたのが、本年に入つてからはその十倍程度も出ている。一流銀行はもちろん十分調査をした上で手形の割引をしたわけでありますけれども、その下にあるところの信用組合、あるいは信用金庫、こういうものが振り出したものがたまたま不渡りである。ところが預金者は信用組合なり信用金庫に十分の預金をし、その預金の一部として小切手なり手形を出しております。それをたまたま信用金庫に金がないから、一流銀行に行けというので、この手形を持つて行つてみると流銀行では自分の方では貸過ぎだからと断わられた、こういう状態がひんぴんとしてわれわれの知つている範囲のところであるのであります。銀行の名前は申し上げませんけれども、こういう一種の取付騒ぎが部分的に進行しつつある恐るべき状態です。そういうような状態にある際に、こういう経済の進行状態とこれからの電源開発というものは、どういうふうに一体手当をされて行かれるのか、このことをお尋ねしたいと思います。
 それから第四の点は、当然予算が削減をされているのでありますから、今までの方針である電源開発の工事の継続は困難です。これを今後どういうふうにされるのか。新規工事の中止とか繰延べとかいう、言葉は簡単でありますけれども、事実上はそう簡単に行くものではないのでありますから、そういうことについて、どこに重点を置いて、そして進んで行くかということは当然問題にならなければならないと思います。こういう具体的なことは御検討しておられると思いますが、これを伺いたいと思います。ことにこういう問題につきましては、二十九年度の開発基本方針は開発調整審議会で決定をしておりますけれども、これを一体かえるのかそれともかえないのか。さらに二十九年度の開発地点というものは、今申しましたようないろいろの情勢の変化がある際において、いつこれを決定されるのか、こういう点であります。
 それから公営の地点について見ますと、予算の面では二十九年度の新規開発分は全部が削減されているようでありますけれども、これは今後具体的には取上げない方針なのかどうか、こういう点であります。なおこの問題に関連をして、たとえば全般的に開発工事に対しては経費の一割削減というふうな方針をお出しになつているというふうに聞くのでありますけれども、そういう結果がどういうふうに一体現われているのかどうかという点でありまして、はたしてこういう全般的に一割削減というようなことで、当面間に合うというようななまやさしいものとわれわれ考えないのでありまして、その効果がどういうふうに現われて来るかという点についてであります。これはわれわれよけいな心配と言われるかもしれませんが、われわれも二、三の地点を見ましたけれども、まず本年までは相当な電源開発ブームがあつたわけでありますが、そういうことについて開発工事に限つては造船のような疑獄、汚職があつてはならぬと思うのであります。こういうことについては十分に監督なさつていると思いますけれども、そういう御心配がないとお考えになるかどうか。これだけのことを今の自立経済と電源開発に関係してお尋ねしたいと思います。
#35
○愛知国務大臣 まず第一の自立経済計画あるいは自立の構想の問題でございます。これは先ほど御指摘の通り、少くともいわゆる岡野構想というものをその当時これに同意をし、またその後もこれを引継いでいるわけでありますが、基本的な考え方は私はあれをけつこうな考え方であると今もつて思つております。しかしながら先般来とくと御承知のように、政府の財政経済政策にも相当の転換がございます。また国際収支の改善ということに、その一点にあらゆる政策を凝集いたして行こうという決意を新たにいたしました関係上、その実行の速度規模等につきましては、ある程度どうしても調整を加えて行かなければならない、こういうように考えます。そういう点におきまして、岡野構想というものはやや修正されたというふうにお考えいただければけつこうではないかと考えるわけでございます。
 それからそれならかえたらかえたで、それにかわるべき自立経済構想はどういうふうに考えておるかという趣旨のお尋ねであります。私もこれもざつくばらんに申し上げるのでありますが、まず二十九年度がこういりふうな政策の転換をやりました場合に、その二十九年度一年間の日本経済の姿がどういう姿になるであろうかという構図につきましては、ずいぶん政府部内としても深刻に検討いたしまして一つの絵をはつきり描いておるわけで、ございまして、これはいろいろの撃にいろいろ一の観点から申し上げておる通りでございますが、その一つの基本的な考え方の中に、大体国際収支の改善ということが何よりも大事ではあるが、先ほども申し上げましたように、いきなりそれだけにしやにむに突貫をして、いわゆる角をためて牛を殺すような愚かなことにならないようにしたいということで、国際収支の均衡計画にしても、ある程度の赤字というものを容認いたしております。
 それからいわゆるだぶつく有効需要を切るためには、財政金融からの徹底した措置が理論的には望ましいのだと思いますが、そういう点から行けば、たとえば一兆円予算も、本来なら九千五百億でもまだ多いともいえると思うのでありますが、これもある程度調整をしておる点や、またさらに金融政策にいたしましても、そういう面からだけいえば、財政投融資の減らし方が二百五十四億円でありますが、これでも少な過ぎるのだというような意見もあるわけでございます。これも今の程度に調整をするというようなことで、一口に申しますると、私どもの考え方は、いわゆる井上財政というものが昭和の初めから中ごろにかけて登場いたしました。あの井上財政が登場して来たときのその前の環境との違い方、あの断層の程度にまで今度の政策の転換が行くようであつてはいけない。一口にいえばそういうような感じを持ちまして、二十九年度の経済の姿というものを描いておるつもりでございます。従つてこれは第三点のお尋ねの点でございますので、ちよつと飛びまして恐縮でございますが、恐慌の問題、それから現在の中小企業その他の状態でございますが、これにつきましては、まず基本的に徹底した恐慌が起つたり、あるいは徹底して中小企業が倒れるなんということになつてはたいへんなことだという感覚で、今進みつつあるいろいろの具体的な現象に対しまして、必要に応じていわゆるケース・バイ・ケースの手を打つて行くべく相当の決心はしておるつもりでございます。ただこれはなかなか微妙なところでございまして、そうかといつて緊縮金融政策というものが一変して救済金融にまた転換するというようなことになりますと、これこそまことに経済界のみならず、いろいろの関係で変なことになりますので、この基本線は打立てて、そうして必要に応じての、何と申しますか、手直しをやるというように考えて参りたいと思つておるわけでございます。先ほど申しましたように、岡野構想それ自体は私ども非常にけつこうな考え方と思いますので、その中でも、たとえば電源開発関係、これはあとで申します。また合成繊維の問題でありますとか、あるいは国内の原油の問題であまりすとか、いろいろそのほかにも三年計画なり五年計画がございますが、多少テンポは遅れても、しかしこの基本的な線は貫いて行きたい、その限りにおいては乏しい金融政策の中でもできるだけ効率的な、効果を上げるような資金の配当をいたして行きたいというようなことで進んで参りたいと思つておるわけであります。
 それから電源開発の問題につきましては、基本的なその構想がかわれば、電源開発の速度なりあるいは規模そのものに手をつけなければならないということになると思いますが、現在の政策の転換というのは、大きな目で見ますれば、その大きな目標を達成せんがための一歩後退ということかと思いますので、全体の自立経済の規模というものは、これを大きく変改する必要はないと考えます。従つて電源開発の問題につきましても、長期の目標としては応現在の段階におきましてもすでにきめておりますところの電源開発五箇年計画を、そのまま推進して参りたいと考えております。そこで二十九年度として、これをどういうふうに具体的にやつて行くかということでございますが、まず資金の調達の面については、今後の変動も予想されるのでありますが、とりあえず次のような考え方で参りたいというふうに考えております。すなわち多少こまかくなりますが、具体的なお尋ねでございましたので、詳しくお答えいたしたいと思いますが、発電の地点につきましては継続工事の推進ということに重点を置いて参りたいと思います。それから継続工事と同様の程度に取扱わなければならない新規の水火力地点の若干は追加いたさなければならないと存じております。その着工の時期は、金の確保の見通しがはつきりつきましたときに決定するということにいたしまして、着工の時期は多少遅れるということを予想しなければならないと思います。それから送電、変配電施設等につきましては、電源開発工事の進捗に伴いまして、これらに関連する施設の整備を行いたい。それから従来遅れぎみになつておりました二次送変電施設と配電施設の増加ということは、ぜひ推進して行かなければならないと思つております。それからその次に改良工事でございますが、これは二十八年度に引続きまして、発電能率の向上、電力損失の軽減というような、資金効率の高い工事を行いまして、供給力の実質的な増強ということをはかつて参りたいと考えている次第でございます。
 なお詳細の点につきましては、またあとで申し上げることにいたしてもけつこうなんでありますが、その次に開発審議会がどういうふうなことをいつのころに望めるのかという問題、あるいは公営の地点をどういうふうに決定するかというような御質問がございましたが、実は経済審議庁が中心になりまして、開発審議会できわめて近い将来におきまして御審議をいただくべき原案は、ほとんど作成をいたしておるのでありますけれども、その内容等につきましては、まだ審議会の幹事会等におきまして、現にきのうきようあたりも熱心に検討を続けられておりまして、まだその経緯を申し上げる段階にはちよつと未熟な点か茂るのではなかろうかと思いますので、これらの点につきましては、いましばらくの御猶予をお願いいたしたいと考えるわけでございます。いずれにいたしましても、これは年度がかわりましたし、関係の会社あるいは地点等については、非常に関心の深い問題でございますから、一日も早く政府としての案をきめ、開発審議会で十分御審議をいただかなければならない、かように考えているわけでございます。
    〔加藤委員長代理退席、武田委員長代理着席〕
 それから工費の一割減というようなこと、こんな、なまやさしいことでどうかというようなお話でございましたが、これは実は全体の資金計画が非常に削減になりますし、そうかといつて、先ほど来申しておりますように、既定の計画は、多少のテンポの遅れは別として、何とかして推進したいと考えております。従つてその乏しい中で工事をやつて行くためには割天引して遂行できないか、そういう計画をつくつてみようじやないかというような意気込みでやつておるようなわけでございまして、これも先ほど申し上げましたものと関連をいたしますが、今後多少なりとも年度中にも物価漸落の傾向が出て来ると思いますし、政府の予算自体においても実行予算を編成して、もつと引締めて行こうじやないかというような話も寄り寄り出ておるような関係でございますので、なまやさしいことではございませんが、何とかしてそういう方向で考えて行きたいと思つております。
 それから工事の監督等につきましては、これは必ずしも私どもの所管だけの問題でもなく、政府全体あるいは電源開発公社あるいは地方公共団体と非常に緊密に連携をとりまして、いろいろの不正なことが起らないようにいたさなければならないのはもとよりのことでございますけれども、ただいまのところ、この電力の関係の開発の仕事について、幸いにさようなおそれはまず万々あるまいという自信を私は持つておるような次第でございます。今後におきましては、問題が非常に大きな問題でございますから、十分監督には遺憾のないようにやつて参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#36
○菊川委員 私一人のことで時間をとりまして恐縮ですが、もう一つ、二つお聞きしたいと思います。
 電力料金の値上げ申請の問題に関連して先般通産大臣として、料金の値上げは申請が四月一日からということになつておるけれども、当分はその時期でないというふうなことを新聞に報道されておるのであります。これは大体電力料金の四月一日からの値上げ申請については許可をしない、認可をしないということに、省議あるいは大臣の御意向としてきまつておるというように了承してよろしいかどうか。それから当分その時期でないということは、いずれ申請のいろいろの事情も調べた上で、ある時期には適正な程度の申請は認めなければならぬという考えがまだ残つておるのかどうか、この点が第二の点。
 それからその時期でないという意味は、大体政府の緊縮政策というものをこれから強力に推進されるという際において、著しくコスト高を呼び、あるいは国民の家計に影響する、こういうことは現政府の政策として相いれないという御信念に基いてその時期でないと考えておられるのか、それともただ当分まず輿論の成り行きを見て、そのうちにきめるという軽い意味においての時期でないということであつたのか、この点を第三にひとつお伺いしたいと思います。
 それから今までの聴聞会の結果についての報告を先般伺いましたし、あるいは本委員会においてはそれぞれ関係需用者の立場からの事情あるいは電力会社の立場からの事情、こういうものを伺つたのでありますが、その中に、やはりもし料金値上げという形でこれを解決しない、あるいはそれに持つて行くのを非常に軽減しようとするならば、どうしてもこの際に租税、金利というようなものについて相当国家の手による補償が必要である、こういう要望が強い。そこでこういうような方法によつてこの問題を解決するということも一つの考慮に通産省では入れておるのかどうか、この点が第四点であります。そういたしますれば、そういう場合には、これはやはり電力事業の育成について特別の措置をおとりになるわけですから、当然その反面において、企業の監督のみならず日常の経営の面においても、もつと国民のそういう利害を忠実に代表さす方式に何らか具体的なものが現われなければならぬ、こう考えるのですが、そういう監督なり運営の面において、そういう措置をおとりになるのについてどういう方針をお持ちになつておるか、伺つておきたいと思うのであります。これが今までと関連しておる点であります。
 それから第五の点としてでありますが、これは私、先般の委員会でも関係の政府委員にお尋ねしたのですけれども、もちろん政府委員の方の答弁する範囲ではないので大臣にお聞きするほかはないと思うのでありますが、もう数字のことは申し上げませんけれども、とにかく今日の電力事業というものは自己資本ではなくて、政府の投融資あるいは借入れによつて運営をされておる、そういう比重がだんだんと重くなつているということはございませんか。もちろん資産の再評価あるいは次に来る第三次の再評価というものもございましようけれども、それにいたしましても実質的には電力事業の資本構成というものは、これを単なる私企業における資本構成と言うわけには参らない状態であります。従つて単にその供給する電力が公益的なものであるという意味の公益事業であるばかりでなく、企業のあり方なり資本構成そのものを、相当に公益化しなければならぬ情勢になつておるわけであります。これは資本主義とか社会主義というりくつでなしに、事実はそういうふうに移行いたしております。ところがそれが今なお株主を代表するところの、少数の大株主あるいは重役によつて運営をされる。もちろん公正に経営はされるわけでしようけれども、しかしその結果が電力料金を総合調整あるいは値上げということになつて来る。そうすると調整なり結論だけを見て、われわれは電力料金の引上げが妥当であるとか、ないとかいうふうなことを考えなければならぬ、こういう矛盾した時代遅れのところから、かえつて今日電力料金というものが非常に複雑化して解決困難になつておる、こう考えるのであります。そういたしますれば、一体こういうふうな公益的な性質を持ち、そうして資本構成そのものにおいて非常にそういう社会化しつつあるものについて、今なお政府は、電力事業というものはこういう形の経営方式を持続してよろしいというふうなお考えであるのかどうか、これが私の第五の質問であります。
 それに関連して、たとえば自発が解体をされた、そうしてその後九電力会社に分割された。ところがはたしてその成績が上つたか、あるいは何か欠点があることについてお認めになつていないかどうか。それから一方においては電源開発会社をつくる。電源開発の事業はそこにやらして行くという方針であるべきでありまするが、一方においてはそういう九分割をされた電力会社に依然として資金を供給する、しかもその九電力会社は資金不足のために市中銀行から相当高い金利のものを借りて、六、七分を越えているところの利息のものを使う、こういう結果が、金利が高いから電力料を上げなければならない、こういうことになつておる。こういうことを見ますと、今の九電力会社に分割をされておるところの企業のあり方というものは、先般政府委員の御説明によりますと、これは一ぺんやつたことだから、当分は続ける必要があると思うというようなことでございましたけれども、一体これでいいのかどうか、これを続けてはたして効果があるのか、あるとすれば、一体電源開発会社との関係は今後どういうふうにして行かれるのか、こういう点について、この問題に関連してお尋ねしたい。
 それから、なおついででありますが、今の電力料金の問題に関連して、これは今後もたびたび起る問題ですが、電源開発に向つて積極的な国策として進めるべしということをきめた当時のわれわれの気持なり理由は、豊富低廉、良質の電力を供給する。ところが事実は奥地開発に伴つて建設費が高まる、だからしかたがないと言えばそれまででありますが、結局これが豊富ではあるかもしれませんけれども、非常に高価な電力になつている。低廉という意味は、なるべく経済的に引合う範囲で勉強する意味だ、こういうことになれば、これは国民をあざむくことはなはだしいのでありまして、少くとも今までよりは安くなつて、そうしてコストも下り、そこで日本の海外貿易におけるところの一対抗力もふえる、こういうものがわれわれの考えるところの国策としての豊富低廉でなくてはならぬ。事実はこれに逆行しておる。こういうことについて、このまま今の方式を続けて奥地開発に進めば進むほど、豊富高価な電力にならざるを得ない。これをこのままで続けるのか、それともやはり本来の豊富低廉という看板通りに切りかえるところの自信をお持ちであるか、こういう点をお尋ねしておきたいと思います。
#37
○愛知国務大臣 非常に詳細に理論的なお尋ねで、まことに恐縮するのでありますが、大体順を追うて私の率直な考え方を申し上げたいと思います。
 まず第一に、電力料金の値上げの申請が電力会社から一月の何日かに出まして、現に預かつておるわけでございます。当分値上げをしないということは、関係の向きに申渡しをいたしますと同時に、本来これは閣議の事項ではございませんが、閣議の了解をも得た次第でございますから、政府としてはここしばらく上げないということを決定をしたと申し上げて間違いはないと思います。
 第二に、当分の間というのはどういう考え方であるか、それから基本的にどういう態度と信念をとつておるのかというお尋ねでございますが、これは先ほど第四点としておあげになりました問題にも関連いたしますが、私は電力料金は現在の制度で、しかして現在の計画を開発の面において進めて参ります上においては、資本費が増高して、電力会社としては値上げをしなければならないということは、理論的にも実際的にも私も了解をいたしております。ただ電力料金の問題は、消費者、特に大口需用者の問題だけでなく、国民の最後の一人にまで至大の影響のある問題でございますから、これはひとり電力会社の経理の問題ということだけでなく、広い大局的な総合的な判断で私はきめたいと考えるわけでございまして、従つて国税、地方税はもちろんでございます。また開発銀行等からの金利につきまして相当程度――これは政府自体もあるいは国会を通して国民にも考えていただき、またある程度の積極、消極両面の犠牲をもつてこの対策に協力をしていただかなければならない問題である。そこで今回出ております申請案について、税の関係や金利の関係で一体どのくらいの程度のところをこのしわが寄せられるであろうかということについてまず第一にいろいろと検討いたしましたし、政府部内におきましても関係の省庁とも十分話合いを進めて参りました。その大部分の点は、現在法人税法あるいは租税臨時措置法、あるいは地方税法、事業税、固定資産税というような各般にわたりまして、現に国会で御審議を願つております。これは率直に申し上げるのでありますが、私の考え方は、その御審議の過程においては、こういうところにしわを寄せることは反対だというふうな気分もあるやに承つておるのでありまして、必ずしもこの私の考え方に全面的に御賛同願えるかどうかは、今のところちよつとわからないのでありますが、私としてはそういう態度をとつて参つたわけでございます。そこでこの税についてもまだ最終的な国会の御意思がきまらない。それから金利については、開発銀行の金利について二月一日からある程度の低下を見ておりますが、相なるべくんぱもう少し頑張つてみたいと思つている点もございます。こういう点を手を尽してみて、それから一方会社自体に対しましても、ただ平たく一定の基準でもつて、従来のような考え方だけで計算をした料率というものが、はたして一般的に認識してもらえ、協力してもらえるかということについて、いま一度振り返つて計算をし直してみてもらう点もあるのではなかろうかと思います。それから同時にあとの問題にも関連いたしますが、冒頭に申し上げましたように、現在の制度で行けば、あるいはまたこれにかわるようなことを考えてみても、日本の与えられた現状においては、電力の開発をすれば、豊富にしてやや高価なるということを是認せざるを得ないと思うのであります。その点をいろいろの方法によりまして国民に御納得をいただけるような、政府もそうでありますし、電力関係者もそうでありましようが、一段、二段の努力を一般大衆に対しても尽すべき義務があると考えます。さような点を各方面からのできるだけの知恵をしぼり、十分努力をいたしまして、その結果大体の方々に御納得いただける程度の料率の引上げと、それから料金の体系というものをつくり上げまして、そうして大体の御賛同を得たところでこれをあらためて電力会社から申請の形をとつてもらつて、これを認可をするという方法をとることが、先ほど御指摘の通り、今日の日本のあらゆる経済問題の複雑さをこの一つの問題は全部背中に背負つているような問題でございますから、そういうふうな慎重にして納得ずくの対策をとりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 その次に、現在の電力会社が、自己資本でなく、ほとんど借入れ資本、他人資本で構成されておる。従つて事業としてのみならず資本構成から見ても、これは公共的のものではないかというお尋ねでございますが、現状はまさにその通りでございます。しかしこれは率直に考えまして、実は他の基幹産業等につきましても現在資本蓄積が非常に乏しい日本の現状におきましては、国家として必要な事業、基幹産業については同様な状況なんで、ございまして、さればといつて、私どもの抱懐する考え方から申しますと、それらの基幹産業全部について、国営、国管というようなことをやるということは、かえつて成績が上らない。現在のこういう状態は過渡的なものである。今後においてもできるだけ自己資本の造成ということを基本的な考え方としてやつてもらいたい。足らざる時期においての公共的の資本の投入ということはやむを得ないというふうに考えておるわけでございまして、これによつて経営形態をただちに転換をする必要性は、私はないと考えるのでございます。
 次に九電力会社ができまして、再編成ができてからいろいろの点で欠陥はないかという御指摘でございます。いろいろの点で欠点はあると思いますが、同時に利点も相当たくさんあるように思います。私は大局的に考えまして、電力の再編成、再々編成というような問題は、まだ十分日本の経済の基盤が固くなつていない。ことに政策の転換というようなことがやむを得ず行われなければならぬような現状におきましては、多少の欠点はあろうかと思います。またその再編成に際してのいろいろの経緯におきましても、おもしろくなかつたこともあるかもしれませんが、現状におきましてはまあまあこれでやらせていただきたい。ここで再々編成等の問題を起しますことは、またさらにいろいろの意味で一歩も二歩も電力問題が後退するのではなかろうかという、これは率直な考え方でありますが、さように考えております。
 それから豊富低廉なという問題につきましては、先ほどちよつと申し上げましたが、これは資本費の増高ということに対して、税金や金利やその他の点で政府も協力しなければならない、国民も協力しなければならない。また国会においてもできるだけこういう点について理解のある御支援を願いたいと思うのでありますが、先般の火力借款のときに世界銀行から指摘されるまでもなく、現状においては今後開発が奥地等のむずかしいところになりますれば、豊富低廉という看板には偽りあるということは先ほども申した通りでありまして、ある程度増加することはやむを得ないと考えております。
 なおこれは議論にわたりますが、すでにいろいろ御説明も政府委員から申し上げたと思いますが、電力料金それ自体を考えて取上げてみますれば、他の物価、料金と比べ、あるいは外国の最近に至りますまでの傾向等から申しまして、必ずしも高くないわけでございまして、そういうような点もいろいろ考え合せて、先ほど申しましたように国民的な理解と納得を得たいものであると考えておるわけでございます。
#38
○菊川委員 発言の都合上いろいろの雑件みたいなことを一緒にお尋ねしておきますが、一つは今の電力会社の経理状態を見ましても、われわれしろうとでいろいろな話を聞いて、大体われわれ並みに判断するのですから誤りがあるかもしれませんが、自分のところに集まつている資金だから自分でかつてに使えばいいといつた感じが非常に濃厚じやないかと思われる。たとえば名前を申しませんが、ある電力会社は、一方において電力料金の値上げを申請をしておるかたわらにおいて、一方においては数億円かかる自分の社屋の建設を始めておる。一体こういうことが野放しで許されていいのかどうか。私はなるほど能率の上るためにはいい建物もいるでありましようし、また従業員諸君の健康のためにはなおさら必要だと思いますが、やはり耐乏生活という時勢において、電力料金の値上げを国民に対して訴えるという場合に、こういうことはどうかと思う。なるほど自分の資本を蓄積する、あるいは財産の評価を将来においても高く持つて行くという一つの手段としては、本質はインフレ気構えのときでありますからいいでしよう。しかしこういうことについて官庁は御存じだと思うのですが、何らかの警告をなさつたのかという点についてはお調べになればすぐわかるのですが、これは単なる例です。それが会社にとつて必要やむを得ないものであるかどうか、これは私はわかりませんが、必要やむを得ないとすればわれわれは了承しますが、おそらくむずかしい問題ではないかと思うのです。かえつて国民に対する印象は悪いのじやないかという点があると思うのです。
 それからまた毎月集める電気料金にいたしましても、一営業所で二億なり三億の金が集まるところがある。そういう金が一体現実に有効に運転されておるかどうか。これなども大きな問題であると思う。ある下請業者の話によると、今、日本銀行が金の引締めをやつて、金詰まりになつておる。ところがそういうところでは現金が入つておるにかかわらず、わざわざ三月の手形を出したりしておる。そしてその金がどこへ行つておるかわからない。おそらく電力会社にすれば、オーバーローン解消のために銀行が巻き上げておる、こういうことになると思いますが、中小企業の方面からいうと、金詰まりは金融引締めでもあるが、同時にそういうところが月々現金で需用者からとりながら、一方においてはそれを月末勘定として払つてくれない。こういうところにも大きな原因がある。中にはややもすればそういうものを浮き貸しするような傾向がないでもありませんが、こういうことが一体やられておる事実があるかどうか、こういうことについてひとつ教えを願わなければならないと思うわけであります。
 それからついででありますから、これは問題は違いますけれども、最近高層建築のビルが建つておる。ビル一つ建たぬ日もなし東京の町という川柳もあるほどであります。この問題はわれわれとしては遺憾な傾向だと思いますが、特に銀行とか保険会社とかいう、国民の金を預かつて、なるべくそれを適正に運用すべき機関が、競つてそれぞれそういうりつぱな建築をやつております。これなどは、なるほど銀行は何パーセントはそういうものに投資をしてもよろしいということになつておるそうでありますが、しかしこういう一般に金詰まりの際に、銀行とか保険会社が一般国民から貯蓄奨励によつて集めた金を、まず自分の財産保全の意味で自分の建物につぎ込むのはどうであろうか。こういうことについては、何らかの措置をとるべき時期ではないかと考えるのです。大きな生産会社などが技術を高め、能率を高めるために設備を改善する必要があれば、こういう設備の改善のためにはりつぱな工場も必要だと思いますけれども、銀行で事務をとつておる従業員諸君からいえば、はなはだ冷酷になるか知らないが、今の全般からいつて、どの銀行を見てもあれでがまんができないほど不健康、不衛生な建物であるとは考えておりません。ところが実際にはりつぱな建物が、場末の町に至るまでどんどんできておる。こういう傾向は一体何であるか。極端にわれわれの立場からいえば、一種の金融資本主義の強化がされておる傾向を端的に示しておる。しかも一方において中小民間の資金が枯渇して吸い上げられておる。私はこういうことは、ゆゆしい問題であると思う。こういうことについては、これはさつきの電力会社の方と多少事情は違うかもしれませんが、何かお考えを持つておられるかどうか。むしろこういう際は、金融機関のごときは一切そういう新規の大きな建築は相ならないというくらいの英断をおとりになることが必要ではないか。これは厖大な金です。そういう点について何らかのお考えがあるかどうか、これを伺つてみたいと思うのであります。
 それからいま一つは、これは私実はきよう労働省の当局にお尋ねしようと思つておつたのでありますが、聞いてみると、労働省では関知しないということであります。これは今朝の読売新聞でありますけれども、「緊縮予算と雇用見通し」「労働省調査」として、「戦後の最悪状態、失業者は七十万に達せん」、こういう大きな見出しの記事であります。これは読む者は相当シヨツクを与えられると思うのであります。そこで労働省の方から出たのかと思つて聞いてみますと、労働省自身も実はわからない。こういう作業は労働省自身でもまだやつていない、こう言われる。またこの方面は、いささか私の方は専門でございますが、この記事の内容を見ると、それぞれ生産指数その他の推計を、各種産業別に見て出しておる。このやり方は、従来労働省としてはおやりにならないことであります。内閣でだれがこういうことをおやりになるかというと、おそらく通産関係か、経審関係だろうと推察するわけであります。そこでこういう記事は、やはり何らか責任のある調査だというふうにわれわれ考えてよろしいかどうか。自分の方も知らないのだということになれば、これはつかみどころがないのでありますが、その点をお尋ねするとともに、ついでにお尋ねしておきますけれども、これによりますれば、二十九年度下期の雇用総数から見て、前年同期よりも四十四万人、三%方減少という推計が出ております。そうして戦後最悪の状態になる、こういう断定であります。そうしてそれがさらに建設業においては十七万人ばかり減少するだろうとか、金融及びサービス業においては十九万人ほどあぶれる見込みであるとか、こういうふうに数字をある程度あげて来ておられます。そうしますと、たとえば建設業に関係しておる者から見れば、これは非常な不安であります。こういうものははたして確信あるところの推計だと解釈してよろしいかどうか、もしこれが政府の確信ある推計であると、それぞれの業者はもとよりのこと、そこに働く従業員などからすればゆゆしき問題であつて、それ相当の具体的対策を今から考えておかなければならぬことを意味するわけなんであります。そういう点において、一体確信のあるものであるかどうか。たとえば先ほどの大臣の御説明によると、二十九年度は、鉱工業生産においては二十八年度と大体同じ、横ばいという指数で推計いたしております。そうすると、産業によつて多少でこぼこがあるといたしましても、全体において生産指数が横ばいである、そうして外貨予算も下期において少しはあるだろうが、大したことはない、こういうもとにおいて、一体なぜ戦後最悪の状態である四十四万、三%の失業増、そうして政府統計によれば、全体において顕現失業者七十万という基礎が出るか。もしこれが出るとすれば、結局それは、不景気という名のもとに従業員の首を切つて、労働強化をやつて行こうというのが経審庁がお立てになつている労働対策の基本方針である、こういうふうに断定してもさしつかえないのであります。そういたしますと、その政府の基本方針に対してわれわれとしての方針を考えなければならぬ、こういうように考えるのであります。その点についてひとつ明確なる答弁を伺いたい。きようは大体それだけで終えておきます。
#39
○愛知国務大臣 第一の、電力会社の経理状況の問題、社屋の建設の問題、経理監査の問題、これにつきましては、先ほど私ざつくばらんの気持を申し上げたのでありますが、もしこういう事態があれば、電力料金の問題に対する国民的な納得を乞うことはできない、私ども率直にそう思います。これは現実にどこのどういう社屋でございますか、私まことに申訳ございませんですが今存じませんので、さつそく調べもいたしますが、それよりは、今後こういうことのないようにひとつ十分注意いたすといいますか、電力会社側の反省、自制をも求めて参りたいと思います。
 それからビルや建物の問題でございますが、銀行、保険会社等につきましては、私その方を離れましたのでちよつと自信を持つて申し上げかねますけれども、ただいまはこういうふうな状況でもありますので、原則的に銀行その他に、まず抜本的に支店とか店舗の増設は一切認めないということで、金融機関に対する政府の監督権の発動として処理をいたしておるはずでございますから、新たに店舗や事業場が金融機関のものとしてこれ以上できるということは、特に東京都内等においてはまずないものと私は確信いたしておりますが、さらにそういうことのないように、大蔵当局の方にも連絡をいたしたいと思います。それからそのほかに、現在の建物の修築あるいは移転等は、これは場合によつては認めざるを得ないものがあると思うのでありますが、そういう場合でも、自己資本の一定限度風上の金をかけることはできないということを、やはり検査権に基きます行政措置としてやつておるはずでございまして、一時この面が非常に抜けておつたが、最近行政上の措置が行われたわけでございます。従来許可を受けたり、あるいは許可を要せずして建てておりますものが非常に目ざわりになつておることと思いますが、今後はそういうことはなくなるはずでございます。
 それから一般的なビルや建物の建築の問題でございますが、さしあたりのところとしては、いわゆる金融の引締め、いま一つは、新しい措置として不動産取得税の創設というようなことで、これに対する消極的な対策でありますが、講ぜられることになつておりますが、これらの問題について寄り寄り私どもとして考えておることもあるわけでございます。
 第三の今朝の読売新聞の記事でありますが、実はこれは私もけさ見てびつくりいたしました。それで労働省の方へ私も確かめたところが、知らないという話である。これは私のお預かりしているところから出ていないことは確信しますし、またわれわれの今までの考え方からすると、さような数字になるはずがないのでありまして、先ほど来申し上げておりますように、生産の規模や輸出入の規模その他いろいろな状況を総合いたしまして、大体雇用量の二%減くらいのところが関の山と申しますか、私どもの計算構図から見ますとそういう結論になるのであります。その程度でありまするならば、それに対する諸般の失業対策の経費その他の点が数々ございますが、財政措置なり何なりで裏打ちができておる、その程度にとどめるべきである、これが私どもの抱懐しておりまする全体の構図でございますから、ああいう記事になるはずはないのでありますが、この点は今申しましたように、私自身がほんとうにびつくりしたくらいでございますから、その出所なり考え方なりを至急政府としてただして行きたいと思つております。
#40
○菊川委員 労働省の村上課長さんお見えだが、労働省の方は御存じですかな。おさしつかえなければ参考までにひとつ……。
#41
○村上説明員 ただいまの読売新聞の記事の問題でございますが、実は、私もけさ新聞を読みまして、たいへん驚きまして、経済審議庁その他関係官庁に連絡したわけでございますが、一向に覚えがないということでございます。ただいま経済審議庁長官からお話がございましたように、私どもといたしましても、雇用者数の減少はせいぜい一%であるという経済審議庁の基本線に従いまして考えておる次第でございまして、新聞に出ておりますような七十万というような数字は、過去においても、完全失業者の数がさように厖大な数になりましたことはかつて一度もないのでございまして、今後においてもさような数字はまつたく予想できない数字でございます。先刻菊川委員から御連絡がございましたが、私ども関知しないので、そのように御連絡申し上げておる次第であります。まつたくその通りでございます。
#42
○加藤委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。御質疑がなければ、本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。
    午後五時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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