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1953/05/25 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 経済安定委員会 第27号
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1953/05/25 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 経済安定委員会 第27号

#1
第019回国会 経済安定委員会 第27号
昭和二十九年五月二十五日(火曜日)
    午前十一時二十一分開議
 出席委員
   委員長代理理事 加藤 宗平君
   理事 小笠 公韶君 理事 武田信之助君
   理事 根本龍太郎君 理事 松原喜之次君
   理事 菊川 忠雄君
      木村 俊夫君    迫水 久常君
      西村 久之君    南  好雄君
      神戸  眞君    楠美 省吾君
      杉村沖治郎君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 愛知 揆一君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     横田 正俊君
        総理府事務官
        (経済審議庁次
        長)      長村 貞一君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局環
        境衛生部長)  楠本 正康君
        農林事務官
        (農地局長)  平川  守君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (農地局計画部
        経済課長)   富谷 彰介君
        専  門  員 円地与四松君
        専  門  員 菅田清治郎君
    ―――――――――――――
五月二十二日
 委員加藤高藏君辞任につき、その補欠として楠
 美省吾君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員楠美省吾君辞任につき、その補欠として加
 藤高藏君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十四日
 委員加藤高藏君辞任につき、その補欠として楠
 美省吾君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する件
 国土総合開発計画に関する件(愛知用水建設計
 画について)
 経済政策の総合調整に関する件
    ―――――――――――――
#2
○加藤(宗)委員長代理 これより会議を開きます。
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する件について調査を進めます。この際菊川君より発言の通告がありますので、これを許します。菊川君。
#3
○菊川委員 私の申し上げたいのは、独禁法そのものに直接関係があるというよりは、むしろ間接の関係になるかと思うのですけれども、問題は公取委員会の関係と、それから厚生省の公衆衛生局の関係になると思うのでありまして、後ほど厚生省関係の方がお見えになりましたら、そのときに重ねて質問することをお許し願いたいと思います。
 最近不況が深刻に進んで参ります影響もありまして、中小企業の業者の間に濫売あるいは料金の極端な引下げ等の悪質な競争が激増いたしておることは御承知の通りであります。例を理髪業にとつてみますと、最近東京の各区において見られる現象でありますが、業者の協同組合があつて、料金については一定の協定を実施いたしておるわけでありますけれども、たまたまその組合に入つてないアウトサイダーのものか――数にしますれば一人か二人の少数でありますが、その協定料金を実施しない。料金が競争によつて下るということは、物価を引下げるという面から見ますれば、一応よい傾向であるということも言えるかもしれませんが、しかしこれは度を越しますと、勢いのおもむくところ不当なる料金引下げにまで進んでしまう。そのことのために業者が困難な状態に立ち至る。そういう不当な料金であると、どう計算しても成り立つはずはございませんから、ひいては保健衛生という見地から見ても好ましくないという両面の問題が続出するのではないか、こういう事態が起つておるのであります。これはある一部の問題でありますが、最近一人のアウトサイダーが料金を八十円程度に引下げました。そういたしますと、協定によつて百五十円、百八十円でやつておる業者は、そこに非常に大きな開きがありますから影響を受けるし、ことにその近接の業者は非常に困難な状態に立ち至るわけであります。これに対して、ある区では協同組合のものが団結をして、そうしていろいろとこれに社会的な制裁を加え、あるいはまた料金値下げをもつてその期間中対抗するということで、とうとう最後にはその業者の方のお客がまた減りまして、立ち行かなくなつて店をしめたということで目的を達した場合もありますけれども、しかしこれはそれをやるところのそれぞれの組合員から見ると非常な犠牲であります。今現に起つておる事例を見ますと、これはある三国人でありますけれども、自分は技術的に他の業者よりは劣つておるということを理由にして、八十円あるいは百円というふうな非常に安い料金でやつております。ところが、その近接の業者がそれに対抗できないから、最近は組合として謝恩券を発行して、サノドゥイッチマンを雇うて町を練り歩いて、謝恩券を持つて来ればこれこれの店は全部おとなは八十円、子供は四十円にしますということでやつておる、そしてその犠牲に対しては、組合が、毎日組合員が売上げの中から出す費用によつてそれを補償するということを始めておるわけです。これを各地区の同業者から見ますと、そこの町だけの問題じやないからしてわれわれもこれを応援しなければならぬというので、他の地区の業者もこれに対してしかるべき金銭的な応援をするというようなことで、対抗中であります。無関心な一般の区民でありますと、安い方がよいということになりましようが心ある客からは、どうもそういうことだけで対抗するということはいかにも諸君は政治的に考えが足りないのじやないか、やはり何か政治的に解決すべき道があるのじやないかというようなことまでも言われるような状態になつておるわけです。そこで私だんだん調べてみますと、東京では今までも方々にこういう問題が出て参つておりまして、全国的に見るとおそらく相当広い範囲でこういうことがあるのじやないかと考えるわけです。今理髪業の話を申し上げましたが、こういうことはすでにお湯屋さんなどにおいてもございます。ある例を申しますと、お湯屋さんがそういう業者の協定料金以下にして客をとつて、そしてうんと繁昌させた形にしておいて、それを高く売つて商売がえをするという、手段に使つておるような悪質なものもないわけではございません。こういうことは、今日の不況に対するやむを得ないことから来ている利己的なやり方であろうと思いますけれども、しかしながらこれをこのままほつておきますと、結局中小企業者は自分の最低生活にも影響を受けるというところまで追い込められる、こういうことを考えるわけであります。そこでお尋ねするわけでありますが、こういう事態がおもに中小企業面に現われておるということにつきまして、公取委としては――直接の担当であるかどうか私わかりませんが、少くとも間接には重大な関心を持つて対策をいろいろとお考え願わなければならぬ問題であろうと思うのですが、今までどの程度の調査をしておられますか、それから一般的に何らかこれに対する措置をお考えになつておられるか、またしておられるか、これが私のお尋ねしたい第一点でございます。
 ついでに申し上げておきますが、独禁法から申しますれば、本来これはアンチ・トラストの精神によつて、自由競争を広く認めて行くという趣旨の法律であることは私もこれは了承いたしますが、しかし今日の経済情勢の大きな変化に直面してみますると、むしろ独占企業あるいは大企業に対しては、生産を制限するとか、あるいは価格の協定をするとかということによつて、国民経済あるいは国民生活に大きな影響を及ぼすということになりますからして、そういう独占を禁止するということは、本来の独禁法の趣旨であることは言うまでもございません。けれども一方においてその自由競争ということのみを押し通しますれば、資本において脆弱な、また非常に業者間の競争の激甚な、しかも一方においては一般購買力は低下しておりましてお得意がだんだん狭くなつておるというふうな中小の企業におきまして、こういう自由競争をやつておると、今申し上げましたように、せつかく協同組合ができて、業者が団結して、共同の利益を守ろうという趣旨にありましても、結果においては、それをのがれまして、自分だけは何とか押し進めて行こうというようなことから一種の裏切り的な行為が出て参るのであります。そういう点からいうと、今日の日本の状態から申しますれば、独禁法の精神は精神として、一方にはそういう不当な競争はとめなければならぬ。その不当な競争という中には、一方においては価格、料金の不当なつり上げを抑制するというのみでなくて、一方、反面においては不当に公正ならざる、不当に安いところの料金とかいうふうなものになつて行くという事柄については、これはまた何らかの措置をとらなければならぬというような段階にある、こう考えるわけであります。特にこれは一般商品についてはしばらくおきましても、こういう散髪屋さんであるとか、あるいは植木屋さんであるとかいうような、ほとんど自分の労力と技術によつて営業して行くというようなものにつきましては、その最低生活を保障する、そうして営業の安定をはかるという意味においては当然考えなければならぬ問題であるのでありますが、こういう問題につきましては、これは独禁法を今後運営して行く場合においてどういうような一体お考えを持つておるのか、これが第二にお尋ねしたい点であります。この点について私思い起すのは、先般の独禁法の改正のときもいわゆる再販売価格維持契約の項目を加えられたわけですが、それはその後まだ実際には行われていないようでありますが、独禁法という本来のアンチ・トラストの精神を持つた法律の中に再販売価格維持契約を入れたということは、やはりある意味においてはそういう関係の化粧品あるいは薬品などの小売店で濫売をやるということが、ひいては業界の撹乱を起し、あるいは小売業者そのものの営業の不安定を招くという趣旨からだと私は思うのであります。そういうことを考えましても、当然ここに一つの大きな盲点ができて来るのではないか。それをどういうふうに処置されるかというこの二つの点を最初にお尋ね申し上げたい、こう思います。
#4
○横田政府委員 理髪業あるいは浴場営業につきまして、今まで公取の扱いました事件も二、三ございます。最近どういう情勢になつておりますか、最近の情勢を特に調査いたしておりませんが、この二つ、三つの事件におきまして、やはり御指摘のような協同組合あるいはそれに類似したものに対するアウトサイダーがかなり低い料金をもつて営業する。その結果団体の構成員が非常に迷惑しておるというような問題が二、三公取で取上げられたのでございます。これを独占禁止法上の問題にいたしますと、結局ただいま御指摘の例の八十円あるいは百円というようなものが、いわゆる独占禁止法の不公正な取引方法の一つになつておりまするダンピング、いわゆる不当な安売りということに該当するかどうかということで問題はきまるのではないかと思います。従いまして床屋さんの場合に、はたして八十円――どういうようなサービスをいたしておりますか、これは具体的に調査いたしてみなければわからないのでございますが、その程度いかんによりましては、もちろんダンピングの規定に違反するという場合も出て参るわけでございまして、もしそういう事例がございますれば、公取で正規の手続で調査を進めまして、事件として取上げて行きたいと考えております。なおそういう点がございましたら、公取の方へお申出くださいますれば、適当な処置をいたしたいと考えております。
 それから中小企業等につきまして、いわゆる独占禁止法の自由な競争原理一本で行くとかえつて非常に困る事態が生じますことは、これはまさに御指摘の通りでございまして、従いまして独禁法を、不完全ではございますが、中小企業に関しましては協同組合法におきまして、他の大企業には許されないところのいろいろなカルテル的活動も認めておりますし、あるいはただいま御指摘の再販売価格維持契約、先般の国会で成立いたしました改正規定によりまして、小売業が最低の利潤を確保できるようなことにもいたしたわけでございます。あるいは中小企業安定法等によりまして――これは生産業に限られておりますが、深刻な不況を打開するために、これも一種のカルテル的活動が認められるというふうに、個別的には多少の規定もあるわけでございますが、ただ理髪業、浴場というようないわゆるサービス業につきましては、なおこの点の検討がまだ不足いたしておるように考えます。この点はこの反トラスト政策の全般の問題といたしましてよく考えてみたいと考えております。反トラスト政策は自由な競争を促進するだけではございませんで、公正な取引ということがやはり一つの重要な眼目になつておりますので、この公正な取引を確保するという面につきまして、われわれといたしましてももう少し検討いたしたい。ことに中小企業に関しましては、その面に十分な検討を加えたいと考えております。
#5
○菊川委員 今後公取としてこの問題についていろいろと調査をし、そうしてその対策についてもお考えをいただけるということでございますので、この点は了承いたしました。
 それに付随して一、二お尋ねを申し上げたいと思います。この独禁法によりますと、協同組合に対してそういう料金あるいは価格の協定をする場合においては、一定の手続をとつたものには除外をされるというふうになつておるのですが、たとえばそういう場合に、今申しました例で言うと、理髪業というものは協同組合として、そういう手続をとれば除外をされるということであるのか。これは中小企業等協同組合法の建前からそういうふうになつておるのか。これはどちらか私わかりませんので、ひとつお教えを願いたい。
 それからそういう場合において、今お話の公正な料金というものが非常にむずかしい問題になると思うのであります。今もお話のように、どういうふうなサービスをしているかということまで立ち入ると、なかなかこれはむずかしい問題だと思うのです。これはおそらく、厚生省の公衆衛生局の環境衛生部ですか、その環境においては、実は地区の保健所の問題にもなつて来ると思うのですが、こういうふうに保健所となつて来ると、保健衛生の方面のことは専門に調査をなさるけれども、事物価に関係するようなこういう問題になりますと、どうしても専門でないという点もありまして、公正な料金という判定がなかなかむずかしいのではないか、こう思うのであります。そういう場合には、これはどこでおやりになるのか。私どもは、たとえばそういうことについていろいろと私どもの考えをまた申し上げて、陳情するというふうな場合に、どこに行つて、どういう相談を持つて行けばいいのかということをお尋ねしておきたいと思います。
 それから個々に公正な料金というものをサービスによつてきめる場合に、一番むずかしい問題は、たとえば理髪業であれば、昔からはさみ一ちようあれば、どこへでも行つて飯を食えるんだ、こういつた職人的な感じで、ややもすれば料金計算をされる、またやつておる。当事者の中にも、なおそういうことを中心にのみ考える業者が多いと私は見ておるのであります。ところが実際におきましてはそうでないのであつて、たとえば最近東京などにおきましても、理髪業については店舗をいろいろと改造する、そうしなければ営業が存続できない。そのためには、十万、二十万というような店舗改造の費用をつぎ込んでおる。そういう金はたくわえがないからして、あるいは金融公庫などからも融通を受けましようが、しかし信用組合からも受けるし、足りないところは市中の高利の金を借りておるということでありますから、むしろ公正な料金という場合に、そういう設備の償却あるいは金利というものが相当な部分を占めるわけです。業者自身にも、こういうことを計算に入れて考えるという考えは、まだなかなかできていないというのが、日本の中小企業者の現状でございますし、そこへ持つて来て、こういうことについてはまた当人の言い分と、そしてこれを算定して認める場合の基礎というものとがなかなか複雑である。こういうことになつて参ると思いますが、そういう公正な料金ということをきめる場合に、大体の基準はどういうところにお置きになるか。これは横田委員長に直接お尋ねしてどうかと思いますけれども、もしお考がございましたらひとつお漏らしを願いたいと思います。
#6
○横田政府委員 いわゆる公正な料金をどこできめるかというお尋ねでございますが、これは一種の統制経済というような建前から参りますれば、現在は統制法はないわけでありますが、もしそういうものをつくるということになりますれば、これはおそらくいろいろの官庁が関係をして来るというふうに思われるわけでございます。独占禁止法の関係で申しますと、実は先ほど申しました不当に低い対価ということの解釈になりますので、これはやはり公正取引委員会が、その料金が、たとえば原価を割つたような不当なものであるかどうかという判断をいたして、料金の適用をいたすわけであります。しからばどの程度のものがいわゆるダンピングに該当するかということになりますと、これは実は先般おとうふやさんの値上げに対しまして、公取でこれを一種の不当なつり上げ行為であるということで取上げまして、いろいろ原価計算をいたしたのでありますが、非常にむずかしいものでありまして、ことに普通の大企業の生産業と違いまして、このコストの中にはいろいろのはつきりしない要因が入つて参ります。非常に苦労いたしたのでございますが、おそらく床屋さんの場合にも、それに負けないくらいの困難さが伴うものと思います。しかしそこに一般の床屋さんの普通の基準に比べまして、いかにも不当に安いという線が、はつきりはいたしませんが、いろいろ調査いたしますれば、出ることだろうと思います。しかしその原価計算の場合に、どういうものを一体取上げるかということになりますと、今私はここで簡単に申し上げられません。大体非常に困難ではあるけれども、できないことではないと考えております。
#7
○菊川委員 こういうこまかい問題ですけれども、具体的なことですから、これがおそらく最初申しましたように、方々にこれに類似の問題がありまして、影響するところが大きいと思いますので、どうかこの問題については公取として十分な関心を持つて、具体的な監督あるいは御指導をお願いしたいと思います。後刻私どもこういう問題については、それぞれ陳情、要請申し上げたいと思いますが、お考えおき願います。なお厚生省の方がお見えになりましたらまたこの点重ねてお尋ねいたします。
#8
○加藤(宗)委員長代理 承知いたしました。
 この際横田委員長より発言を求められております。
#9
○横田政府委員 先般の日本経済新聞であつたと思いますが、くず鉄のカルテルの認可申請に関しまして若干の記事が出ておりました。これは実は昨年の十二月に申請がございましたものが、諸種の事情によりましてたいへん決定が延びておりました。その間の事情につきましては、前の当委員会で一応の御説明をいたしたわけであります。その後いろいろ資料も整いまして、鋭意検討いたした結果、四月十五日に事務局の方から委員会へ一応上つて参りまして、委員会の議に付せられましたが、その後なおいろいろ調査し、かついろいろ法律問題等も検討を進めました結果、今週の金曜日あたりに再び委員会でこれを取上げられるという段階に至つておるわけであります。しかしあの新聞にございますように、結論的にあれを認めるとか認めないというようなことは、これから検討いたす段階でございまして、あの記事は少し先走つた記事でございます。ことにくず鉄の取引関係が最近に至つて大分わかつて参つたような事情もございますので、結論的にどういうことになりまするか、まだ委員会でよく検討してみませんとわからないのでございますが、一応これだけ申し上げておきます。
#10
○加藤(宗)委員長代理 次に国土総合開発計画に関する件について調査を進めます。
 本日は愛知用水の建設計画について政府当局より説明を聴取いたします。説明員富谷彰介君。
#11
○富谷説明員 私、農地局の経済課長をいたしておるものでありまして、この愛知用水事業の計画を担当いたしておりますので、以下概略を御説明申し上げておきたいと思います。
 愛知用水計画と申しますのは、愛知県の南端にございます知多半島、この付近を中心にいたしまして非常に水が不足いたしております。たとえば知多半島の最南端に師崎という町がございますが、この町には全人口に対しましてわずかに井戸が三つしかない。しかもそのうちで飲用水に適するものはたつた一つである。さらにこの区域を中心にいたしまして、約三万町歩の田と畑、これはほとんどが水が足りない。田あるいは畑にいたしましても水か足りないために、付近に名古屋市あるいは豊橋、こういつた非常な大きな消費都市を持ちながら、生産が非常に進まない。従つて農業の経営形態も遅れている、こういう地域なんでございます。そこに長野県に源を発しまして、愛知県に流れ込んでおりまする木曽川、この水を利用いたしまして用水計画をつくり、さつき申し上げました約三万町歩の田と畑、これに水を供給いたしまして、さらに飲用水にも困つているような関係都市、これは約十五、六になるわけでございますが、この都市に対しまして飲用水、さらにはまた工業用水、こういうものを供給いたし、それからあわせまして、この水を供給しますために木曽川の上流にダムをつくります。このダムによりまして新たに発電を起したいと思います。年間、新しい発電所によりまして約六十万キロワット・アワーの発電が可能になり、さらにその下流に十五のすでにできた発電所がございますが、この発電所の出力増加がやはり同様に六千万キロワット・アワー以上に上る。従つてこの愛知用水事業計画と申しますのは、農業のために、さらに電力のために、あるいは水道のために、こういつた多目的のダムをつくりまして、その水を用いまして灌漑をする、あるいは水道をつくる、あるいは発電を行う、こういつたような総合的な事業計画になつております。農林省といたしましては、今から四年前にこの愛知用水の事業のための調査事務所を現地につくりまして、今日まで四年間事業の実施計画をいろいろ検討して参つたわけであります。その結果今日得ました結論といたしましては、費用の総額が二百九十四億円に上ります。これによりまして、木曽川上流に二子持という地点がございますが、この二子持という地点にダムをつくりまして約一億トンの水をためます。この水をせきとめまして下に流しまして、これが灌漑用水のもとになり、あわせて発電のもとになるわけでございます。従来利用しております水は木曽川の水の大体どのくらいに当るかと申しますと、木曽川の水は、ちようど中流付近でございますが、兼山という地点がございます、ここには既設の発電所がございますが、この兼山地点で年間約七十七億トンの水が流れておるという計算がいたされております。今日まで発電に利用しておりまする水は、この七十七億トンのうちの約六割、残りの四割というものはむだにと申しますか、電力を発生することなく下流に流されてしまつておる。今回つくります二子持のダムで一億トンの水をとめますと、従来むだに放流されておりました残りの四割の水が有効に利用されるという結果になるわけであります。かようにいたしましてダムをつくり、それを兼山という地点までひつぱつて参りまして、この間は木曽川の本流を流れるわけでありますが、そこに従来十五箇所の発電所がございます。その発電所の出力も増加いたします。兼山地点から愛知県を通りまして、知多半島の南端まで水路が延びまして、これが農業用水及び工業用水の主たる幹線となるわけでございます。かくいたしますと、まず農業の効果といたしまして米と麦と合せまして、米に換算いたしまして二十万石の食糧が増産いたされます。次に電力につきましては、先ほど申し上げました通り新規の発電所及び既設の発電所を合せまして一億三千万キロワット・アワーの発電が可能となります。それから水道といたしましては名古屋市、半田市等四市及び十九の町村にわたります人たちの生活の水、あるいは工業用の水を流す、こういうことになりまして、これによります年間の収益が、先ほどから申し上げました二百九十四億円の投資額の毎年の償還額に十分見合つて、しかもなお余裕があるというような数字が検討されたわけであります。ところが現在の食糧増産事業のための公共事業費で申しますと、かような総額二百九十四億、約三百億円にも上るといつた大規模な事業というものは、なかなか着工がむずかしいのでございまして、このためには何とか一般会計の予算によらない外資、こういつたものを期待しなければなかなか着工がむずかしいのではなかろうかというふうに考えた次第であります。われわれといたしましては、この総額二百九十四億円中、アメリカから建設用の機械器具等を購入いたしますので、これが約五十億円になりますが、この外貨必要額の分につきましては、俗に申します世界銀行――国際開発銀行でございますが、ここからの融資に期待し、残りの二百五十億円ばかりの円資金につきましては、明年度から開始される予定になつておりますアメリカの余剰農産物の資金によりましてまかなつて参りたい。大体工事に着工いたしましてから五年間でこの事業を竣工いたしまして、六年目から農業の増産も上り、あるいは発電の効果も上り、さらに水道の水も流れるということを期待しておるようなわけでございます。
#12
○加藤(宗)委員長代理 ただいまの説明に対して質疑があれば、これを許します。
#13
○神戸委員 ただいま富谷課長から御説明をいただきましたが、水量において相当の増加を来すというお話がございましたが、木曽川の今度の兼山の取入口から下流においては、宮田用水、木津用水、あるいは羽島用水というような相当大きな用水路があるわけでありますが、これに対して相当の考慮が払われておるかどうか、またそういう方面からの苦情等は現在においてはないかどうかという点について承りたいと思います。
#14
○平川政府委員 この愛知用水に流します水は、二子持のダムにおきまして洪水量をためるわけでありますから、従つて下流の四用水等に使つております水に対しましては、何らの悪影響なしという前提で計画いたしておるわけでございまして、四用水の当事者ともそれぞれ相談をいたしておりまして、この人々も賛成をいたしております。ただ四用水側の要求といたしましては、この際この四用水におきましても、いろいろ取入れ口の問題等が古くなつてぐあいが悪いというようなこともありますので、関連してこちらの合口の問題もやつてもらいたいという希望はありますけれども、愛知用水の計画そのものによつて何らの影響はありませんので賛成を得ております。
#15
○神戸委員 ただいま平川局長から御説明がございましたが、やはり四用水についても、水のなくなるということについては非常に脅威を感じておることはもちろんでありますが、取入れ口が河床の変化によりましてどうなるかということにつきましては、これまた非常に心配しておるのでありまして、これについての取入れ口の格別御心配を願いたい。むしろそういう方面の手だてを先にして行かなければいけないのではないか、かように私どもは思つておるわけであります。
 なおこの木曽川の総合開発につきます資料等については、まだわれわれの手に入つておりません。ひとつなるべ、早いところ資料が手に入るようにしてもらいたいということを希望しておきます。
#16
○松原委員 先ほどの富谷説明員の御説明によりますと、愛知用水の計画全体に要する資金が二百四十四億円で、その一部を直接世界銀行の外資に仰ぎ、残りの部分は余剰農産物の見返り資金に仰ぎたいという御計画を御説明になつたのでありまするが、そのうち出て参りまする電力、それから水道、あるいは米麦の増産等々による利益でもつて優に償還ができるとおつしやつたように思うのでありますが、それでは、金利並びに元金の償還に対してはこの事業から得る利益をもつて充てるという計画であるのかどうか、その点を承りたいのであります。
#17
○平川政府委員 これは一応年利五分と計算いたしまして、五箇年すえ置きの二十箇年年賦という計算でいたしておりますが、この計算でいたしますれば、年々の収益によつて毎年の償還額が二十八億ほどになりますが、これだけの収益は十分カバーできるという計算でございます。
    ―――――――――――――
#18
○加藤(宗)委員長代理 次に、経済政策の総合調整に関する件の調査に入りたいと思いますが、愛知国務大臣が通産委員会に出席しておりましてまだおいでになりませんので、そのまま暫時休憩することにいたします。
    午後零時五分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時九分開議
#19
○加藤(宗)委員長代理 再開いたします。
 経済審議庁より、最近の経済の動向について報告を聴取することといたします。経済審議庁次長長村貞一君。
#20
○長村政府委員 それでは、最近の経済状況を概略御報告申し上げたいと思います。申し上げます内容は、最近、つまり四月を中心にいたしまして経済がどういうふうに動いて参つておるかということにつきまして、目立ちます点を若干拾いまして概略について御説明申し上げたいと思つております。
 まず第一に、四月は御承知の通り財政資金が散超の状態を示したのでありますが、そのために外為会計の引揚げ、あるいは日銀信用の収縮にかかわりませず、日銀券は九十三億の増発になつたのであります。この関係で金融市場はややゆるやかになつておるのでありますが、むしろ輸入金融引締めの本格的影響は六月以降に現われるというような傾向も見えますので、今日の緊縮政策の波紋は漸次広がつて参つているものと考えているのでございます。
 次に物価の点でございますが、大観して申しますと、御承知の通り物価、特に卸売物価は、下げ方、つまり落勢は多少鈍つておりますけれども、下げ足を続けておりまして、各商品とも軒並に下つております。物価指数から申しますと、二月の半ばに一つのピークがございましたが、それに比べますと、四・四%程度下つております。商品別に見ますと、御承知のように繊維の値下りというものが今までかなり目立つております。この点は四月にやや一服の状況でございましたが、その反面木材、化学品などというものが下つて来るのが目立つております。品目はこれに限りませず各商品ともいわゆる軒並に下つて参つているようであります。
 卸売物価の関係はただいま申しましたように、各商品とも下つておりますが、消費者物価は卸売物価に見られますほどの下り方をいたしておりません。これは御承知の通り小売物価あるいは消費者物価と申しますものは、卸売物価の変動との間に時期的ずれがございますので、そのために影響が卸売物価ほど敏速に現われないこともあろうと思います。また末端消費需要の強調持続ということも依然として見られますし、特に四月には御承知の授業料とか放送聴取料などという料金関係がむしろ値上りぎみでございますので、こういう影響もありまして、消費者物価といたしましては、ただいま申し上げましたような卸売物価に見られるような落勢をはつきりと現わしていないということになつたのであります。
 それから貿易の関係でございます。輸入、輸出、特需の関係につきまして申し上げますと、まず輸入でございますが、輸入は計数的に見ましてもやや減退をして参つております。四月の輸入は一億七千四百万ドルでございます。二十八年の輸入の月別平均は一億七千五百万ドルでございますので、その平均数字よりも若干下つて参つておるのであります。本年初めからの状況を申しますると、二十九年の一月の輸入が一億二千八百万、二月が一億七千八百万、三月が一億九千一百万、四月がただいま申しました一億七千四百万というように、月を追いまするに従いましてこれまた減少の傾向を来しておるのであります。これに対しまして輸出の方でございまするが、輸出は比較的好調でございます。四月の輸出は一億二千三百万ドルでございます。二十八年の輸出の月別平均は九千六百万ドルでございますので、これを上まわつた数字になつておるのであります。特にオープン勘定地域向け、あるいはポンド地域向けの輸出がふえて参つておるわけであります。輸入が減り、輸出がふえる傾向を示しておるのでありまするが、特需の関係を見て参りますと、特需の収入は、四月が四千九百万ドルでございまして、かなり減つておる、二十八年の月平均が六千七百万ドルでございますので、これに比べますとかなり減つております。特需の関係は、御承知の通りに、一月に三千三百万ドルというかなり低い数字を示しました。これは季節的に申しまして、毎年一月の特需というものは、その年のうち各月をとりますと低い数字を示すのであります。一月の特需が低いことは、一つの季節的の現われであろうと思いますが、それにしても数字が低かつた。これは二月、三月、四月と月をけみするに従いましてふえておりますが、四月は今申しました四千九百万ドルと、五千万ドルを割る数字になつておりまして、前年に比べまして依然として低い数字で、対前年平均の三割減という数字であるのであります。
 かような関係で、輸入が減り、輸出がふえ、特需が減つたということから、外国為替収支の赤字は、四月は九百万ドルになつております。本年一月の外国為替収支の赤字は八千七百万ドルでございます。二月が五千万ドル、三月が二千四百万ドル、四月が九百万ドルというような数字でございまして、この数字を見まするならば、月々外国為替収支の赤字は、今までのところは減りつつあるという状態になつておるわけであります。
 国内生産あるいは消費の関係でございまするが、生産の水準と申しまするか、状況は依然として高い水準を保つております。もとよりこの伸び方は若干減つておりまするが、鉱工業の生産指数それ自身をとりまするならば、三月の鉱工業生産指数は一六七・八ということでありまして、前月よりもややふえております。これは炭労ストが解決いたしまして、鉱工業生産が四割ふえており、この関係が計数的に見まするとこの指数に大きく響いておるという点もありますが、依然として鉱工業生産は高い水準を示しておるのでありますが、上昇率、伸び方は次第に落ちて参つておる状況であります。これに対しまして、流通部門ではむしろ買い控えの傾向が出ております。これはいわゆる金融引締めによりまして資金繰りが苦しくなつて参るという関係もあろうかと思いまするが、いずれにしましても流通部門の買い控えの傾向がふえておりまするので、生産が伸び、流通部門のどちらかといえば買い控え、在庫調整という傾向から生産者在庫が二月ごろから急にふえて参つて来ております。通産省で調査をしておりまする生産者在庫の指数を見ましても、この関係は出ております。本年の一月の指数が一二八・六、二月で一三一・六、三月に入つて一四一・八という計数を示しておりまして、生産者在庫の増という現象が目立つておるのであります。そのために産業の一部、たとえば繊維でありますとか、鉄鋼、これらの産業の一部には生産を押える傾向が出て参つて来ておるように見ておるのでございます。消費の水準でございまするが、都市の消費水準は三月九五・一でございまして、前月よりも二・六%ふえております。これまた上昇率が前に比較いたしまするとにぶくなつて来ておるようでございます。内容的に見ましても、被服の消費量というものが非常に減つておりまして、前年同月の一・六%高というにとどまつておりまするが、居住面あるいは雑費の面につきましての消費というものがこれに比べまするとふえて参つて来ておるということになるのでございます。実質収入の方は三月も二月と同様に前年同月の二四%高ということになつておるのでございます。なお不渡り手形の関係あるいは失業保険に現われまする離職票の受付の数あるいは保険金受給者の数というものを見ますると、不渡り手形の発生は相かわらず数を増しております。五月の一日から十五日までのうち一日当りが二千枚以上になるということになつているのでございます。失業保険の離職票の受付数も三月八万一千件、受給者が四十五万人、失業率が五・八%という状況になつておるのでございます。かようなわけでございまして、四月あるいは三月を中心にいたしまして、最近の経済の動きを計数的に見てみますると、物価の低落は相かわらず続いております。貿易関係でも輸入の減少、特需の減少、輸出の増進ということから赤字は減つておるのでありまするが、前とその点は相当かわつた形相が出て参つておるという状態になつておるのでございます。概略四月を中心にいたしました動き方を申し上げたわけであります。
#21
○加藤(宗)委員長代理 この際質疑の通告がありますので、これを許します。松原喜之次君。
#22
○松原委員 ごく簡単な問題でありますが、第一は特需の問題であります。特需収入をたしか七億ドル前後として二十九年度の国際収支の見通しを立てられておつたように思うのでありますが、これに対して最近はあるいは五億ドルを切るのではないかとさえ占われておるのでありますが、経済審議庁としてはそれの見通しをどのように現在持つておられるかという点が一つ。
 それから第二は、従つて国際収支が予想よりも非常に悪い状況になるのではないかということは自然に出て来る結果ではないかと思うのでありますが、その際において現在五百五十円という計算をされておる為替の実勢が、なかなかいわゆる物価引下げの一〇%やあるいは一五%や実現してみてもこれは問題にならないと思うのであります。従つて為替の将来の傾向というものに対してどういうふうに技術的に見ておられるか、ちよつとそういう点をお伺いしたいと思います。
#23
○長村政府委員 特需の金額につきましては、ただいま申しましたように金額が最近減つております。一月よりは回復はいたしておりますけれども、前年に比べますと依然として少くなつておるのでございます。この月ごとの金額がこのままかわらぬといたしまするならば、これを十二箇月に伸ばして考えますると、御指摘のありましたように、かなり低い金額とならざるを得ない。本年度の国際収支の見通しを立てますときには、ただいまお話のございましたように、特需は七億ドル以上と見込みまして一応考えたのであります。それに対応しましての現在の特需の収入はかなり低くなつておるのでございます。私どもといたしましては、この特需の減少の金額もなお今後は改善される余地はあるのではないかという気がいたしておりまするし、またでき得る限りこれをふやすことを考えなければならぬと思つておるのでございますが、それと同時に輸出の方でございますが、ただいまも申しましたように輸出の伸びは幸いにしてかなり伸びておりまするので、輸出の方の今後の伸びを考えますると、これは相当の輸出の額が期待されるのでにないだろうかと思つておるのであります。輸出の方は本年度の外貨予算等を考えまするときは十二億六、七千万ドルということを予定しております。この金額は今の傾向から申しまするとかなり伸びるのではないか、少くとも十三億ドルを相当上まわる金額があるいは期待されるのではないだろうか、といたしますると、かりに特需が減りましても、結局入るものといたしましてはその間ほぼこれを相殺して、あるいは余りある程度まで行くのではないか、はなはだこれは希望的かもしれませんが、そういう気もいたしております。そういうことになりますと、またそういうふうにこれは何とかしなければならぬとは思いまするが、そうなりますると、いわゆる為替の問題も今日のレートに影響させるようなことはむろん起らぬで済むのではないか、かように実は考えております。
#24
○加藤(宗)委員長代理 次に私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する件について引続き調査を進めます。菊川君より発言の通告がありますので、この際これを許します。
#25
○菊川委員 先ほどこの問題に関連しまして公正取引委員会の方にお尋ねを申し上げたのでございます。厚生省の環境衛生行政の方に関係がありますのでお尋ねを申し上げたいと存じます。
 最近不況が進むにつれていろいろの中小企業者の間に不当な競争が激化いたしております。その一つの現われとして東京都下の理髪業者の間にもこういう傾向が現われておりますし、またこれは名古屋、大阪その他の大都市にもこういうものがあるのであります。これはつとに当局の御承知のことと存じます。この問題につきまして先ほど何かこれに対する法律上の根拠をもととして、当局の行政上の措置をおとり願う方法はないものかと思いまして、公正取引委員会の方にお尋ねしたのでありますが、残念ながら今日の立法関係におきましては、きめ手がないのです。わずかに公正取引委員会の関係においては独禁法の中の、いわゆる公正な取引に反する不当なるダンピングというふうなものに該当する場合があればこれを調査し、そうしてその対策を考える必要があるということでございました。しかしながら理髪業のごとき問題になりますと、公正料金というものはなかなか算定がむずかしい。たとえばかりに協同組合のアウトサイダーの一人が自分のところのやり方によればこれでけつこうやれる、十分サービスができ、保健衛生の見地からいつても遺憾のない措置をとつてやれますから、公正な料金だ、こういう主張があれば、またその中には当然聞くべき点もあろうかと思うのでありまして、なかなかむずかしかろうかと考えておる次第であります。そこでこういう問題につきまして、いろいろ実情はとくと御承知のことでございますからくどくどしく申し上げる必要はないと思いますが、何か厚生省の関係、特に環境衛生部が直接の管轄でございますが、措置をとる方法がないものでしようかどうか、今までもおやりになつておる例がございましたならば、それをお示し願いたい。また今後どういうふうな方針でおやりになるかというお考えがありましたらそれを新たに伺いたい、こう考えるのであります。
#26
○楠本政府委員 お答えを申し上げます。ただいま御指摘のように、最近各地におきまして理髪料金がいろいろ問題を起しまして、業界に混乱を来し、またそれに伴いまして民衆側も若干の迷惑を来しておるようでございます。この理髪料金は、以前は物統令で最高価格を統制いたしておつたのでありますが、元来物品と違いまして料金統制を行いますことはきわめて困難な状況もございましたし、一方戦後の時代の移り等もにらみ合せまして、これを撤廃いたして、現在は自由料金としてある次第でございます。ところがただいまのお話のように、最近一部の業者が故意にダンピングと申しましようか、値段を下げてあるいはまた一部の者が故意に値段をつり上げるというようなことが生れて参りまして、そこに適正ならざる料金が横行する、あるいはそのためにかなりの混乱を来すというような問題がございます。さてただいま御指摘のように、これに対して一体どういう方法があるかどうか、こういうことになりますが、これはただいまお話のようになかなかむずかしい問題でございまして、法的にこれを何とか始末するという根拠が現在何ものもございません。しいて言いますれば、また元にもどつて物統令によつて指定してやるというようなことは可能でありますが、これも現在必ずしもこれを解決する問題にはならぬだろう、こう考えております。なお今後一体どういう方針で進むかと申しますと、一応私どもといたしましては現在各業者に呼びかけまして、お互いに納得の行く料金、業界側もあるいは受ける方の側も納得の行く料金というようなものを比較的幅を狭めてつくつて、その範囲内で実施をする、しかしながら元来これは商品と違いまして、非常に甲乙のある技術を主体としてある関係もありますので、なかなか納得の行く料金というようなものもむずかしかろうと存じますが、要は民衆の方も納得してくれる料金であれば、これは適正な価格といえるだろう。こうしてお互いに業界が自粛いたしましてサービス本位に考える、しかも納得の行く料金でお互いに話合いで混乱を来さないように進んで行くという指導をすることが必要だろうと思いまして、現在はすでにさようなことで組合の幹部等には話をいたしておる次第であります。しかしながら問題はことに利潤その他思惑、かようなものに結びついておりますので、なかなかこれでも根本的な解決のできないことはもちろんでございます。しいてここで考えれば、かような点はまだ別に具体的にこれを実施するという意思ではございませんし、少くとも根本的に解決するというならば、料金の認可制度というようなものをもつて当る以外に方法はなかろう、こう考えております。しかしこの是非は別でありますし、また今ただちにこれを実施するという意思は毛頭ないわけでございます。
#27
○菊川委員 時間があまりないようでございますから、もう少しばかり重ねてお尋ね申し上げます。私ども元のような物価の統制というふうな方法でこういう料金の統制をするということは、これは今日の状態ではかえつて弊害があるのじやないかということは同感でございます。しかしながらこれをほうつておきますると、かりに一つの地区において協同組合の組合員は一定の協定料金を守つて、その範囲において最大のサービスをやるということでやつておりましても、かりにそこで一人だけでも悪質なるアウトサイダーがあれば、これは組合員ではございませんから何ら組合の統制を受けないということになりますると、そこからくずれてしまう、こういう状態になる、現にそういう問題で悩んでいるということは御承知の通りであります。そこでこういうことはほうつておけば結果においては業者の共倒れになりますし、現にある地区におきましてはそういう者がアウトサイダーで出まして、しかもそれが三国人であつて、相当大きな資本を背景として東京の他の地区でもそういうことをやつておる。従つて人も相当大勢使うが、理髪屋のそういう職人は斡旋所か何かによつて次々と送り込まれますから、かりに一時間で普通の店が一人ぐらいしか仕上げないものを、三人もやるというふうなことでやりますから、とても対抗できない。それに対抗して近所の個人業者がやろうとしたところが、ある人は健康を悪くしてしまつて倒れた、ある人はとうとう倒産してしまつた。こういうことでありまして、これをこのままに放置しておきますと、理髪業においてすでにそういう状態がありますように、他の業種におきましても、結局不景気が深刻に進むとともに、中小企業者には非常な不安定な状態を激化する。こう考えますと、一つは中小企業の安定という大事な問題から考えてもほつておける問題ではございません。いわんやこういう一般公衆衛生に関係のある事業におきましては、それでは結局公衆衛生が完全に行くはずがないのでございますから、保健上から申しましても、これはゆゆしき問題を含んでおるのではないかと考えるわけでございます。そこで今現にアウトサイダーなるがゆえに、その立場においてやつておる者を大体見ますと、中には日本人もございますけれども、そうしてまたその日本人の中には、自分の置かれている店の状況が悪いというようなことから、せつぱ詰まつて、同業者に対して不信義なやり方をやつておる者もまれにありますけれども、しかし大体今東京あたりで起つておる現象は、遺憾なことながら、三国人が直接背景になつてやつておる、こういう傾向が非常に多いのであります。そこで、三国人なるがゆえにこのことが問題であるというのでなく、日本人にもそういうことがあるのでございますから、しかもそのやり方が、自分自身は業者でないが、資本の力を背景にして安い労働力をたたき使つてもうける、こういうやり方であります。これは労働問題から申しましても、はなはだ好ましくない傾向でありますけれども、こういう者に今の日本の理髪業者が対抗してやるというまでには、御承知のように事実上は行つていないのであります。こういうことを考えると、この理髪業というものが保健衛生上重大な問題である以上は、これがまず安定して立つて行けるように、そして最大のサービスをしながら、できるだけ安い料金でやり得るというようなことを講じてやらないと困るのではないか、こう思うのであります。ところが現状を見ますと、今のお話のように、元は警視庁で認可料金制度という時代もあつたのでありますが、今は機構改革の結果、末端は地区の保健所がこの問題の監督をおやりになつておられる。そうしますと、まだ一般の日本の国民の心理から申しますと、警察とか警視庁とか、あるいは他の方面の権力を背景にしてものを言いますと、相当きき目があるのですが、保健所だと非常に親しくて民主的でいいのであるけれども、実際にはなかなか、保健衛生上の見地からいつて欠点のないようにやつておけばいいじやないかという考えが残つておることもありまして、こういう問題にぶつかりますと、保健所の方でもこの問題を解決するのはなかなか苦手であります。法律にはきめ手がない。それからそういう問題にぶつかつた地区の官庁機構においても、この問題の何らかあつせんなり調停的な措置をとるのには、まだそこまで行つていないということでありますので、将来この問題を私ども十分時間を持つて立法的に研究してみなければならぬと考えておるのでありますが、そのことはしばらくおいて、何か厚生省の方で現在起つておる問題につきまして、保健衛生を完全に行い、また業者の職業の安定もはかるというようなことから措置をおとり願う道はないのか。あるいはまたそういうお考えがないのかと考えるのでございますが、こういう点を重ねてお尋ねしたい。
 それから現に起つておる問題には、地区のことは申し上げませんが、すでにそういうアウトサイダーの者は、百円の料金でやつておる。そして新聞折込みなりいろいろな宣伝をしてやるものですから、お客さんは押すな押すなという状態であります。それに対抗するには、協定料金の方は百八十円でございますが、それを百五十円に下げてみたがなかなか対抗できないというので、やむを得ず今度は組合の方は、全部が毎日店舗から五十円づつ金を出し合つて近隣の業者を助けるという建前をとつております。そして八十円という広告をして、そして謝恩券というのを出して、サンドウィッチ・マンを出して対抗している。こういうまことに血みどろな深刻な状態になつている。向うでは今度は八十円に下げて来たというので、また一方組合の方では七十円に下げて対抗している。こういう状態が続いてはとてもやつて行けるものでない、こういう深刻な状態であります。その話を聞いた東京の各地の業者は、それは捨て置けぬといつて、各業者に檄を飛ばして、それに応援資金を送つてやる。何のことはない、その地区がちようど朝鮮事変の朝鮮のようなものになつて、業者は非常に深刻な血みどろな闘いをやつている。しかも相手はただ一人である。この一人のためにこういう問題が起つている。こういうことでありまして、何かこういうことはやはり緊急の処置をお考え願いたい。こういう緊急な問題につきましても、特にこのお考えを煩わしたいと思うのですが、何か御見解がございましたら承つておきたい。
#28
○楠本政府委員 これも御指摘の通り、現在都内に混乱を起しておりますのは、これが完全な日本人同士の競争であればまだしも、ただいまお話がございました通り、かなり悪質と思われるアウトサイダーによる混乱である事情もよく承知いたしております。従いましてこれにいかに対処するかという問題でございますが、一応は先ほど申し上げましたような協定料金をできるだけの幅の範囲で守つて行くというふうな指導をいたしておりますが、さらに私どもといたしましては、かようなものを厳格に調べてみますと、えて衛生上支障のあるような場合もかなり見受けられます。はなはだしい場合には無資格者が営業しているというような事態もまれにございます。従いまして、かような違法行為につきましては、これは今後厳に取締りを実施して行きたい所存でございます。なお一方業者の救済の措置といたしましては、現在中小企業金融公庫の融資の対象といたしまして、できるだけのあつせんを努めている次第でございます。しかし根本的な問題を解決する、たとえば法律によりまして、認可料金制度というようなものも一つの方法であります。これはただいまの事情はまつたくお話の通りでございまして、正直な者は実際苦しんでいる。その結果は公衆衛生上にも支障を来すようなおそれもありますので、この点は私ども今後一層十分に研究をいたしまして、何らかの対策をとりたいと考えております。とりあえず現在やつておりますこと、あるいは現在考えておりますことをここで率直に申し上げた次第でございます。
#29
○加藤(宗)委員長代理 それでは愛知国務大臣がお見えになつておりますので、次に経済政策の総合調整に関する件について調査を進めます。
 目下政府が実施しておりますデフレ政策、さらに金融引締め政策によりまして、その及ぼす影響もようやく広範囲に、かつ強化されて参りましたので、本日は愛知国務大臣より、デフレ政策、これに基く金融引締めの政策実施の実情、並びにこれについての政府当局の対策の説明を聴取することといたします。国務大臣愛知揆一君。
#30
○愛知国務大臣 前会並びに本日当委員会に出席が遅れましてまことに申訳ございません。
 ただいま委員長からお話の、当面の経済政策の影響の実情等につきましては、先ほど経済審議庁次長から概略御説明申し上げ、その状況につきましてお聞取りいただいたと思うのでありますが、これを総体的に申しますならば、まず通貨の発行の状況から始めまして、卸売物価の状況、あるいは国際収支の状況というようなものにつきましては、大体私どもが当初予想しておりましたような足取りをたどつておるものと考えるわけでございます。ただその中で、これもすでに御説明申し上げたと思いますけれども、国際収支の関係におきましては、輸出は相当に伸びる傾向を示しておりますが、特需につきましては、季節的な関係もございましようけれども、伸び悩みの状況でございますので、今後この面につきましては一段と努力を新たにする必要があると考えております。
 それから次に、これも数字的に御説明申し上げたと思いますが、商社の倒産の状況、あるいは不渡り手形の状況、あるいはまた事業所の整理の数でございますとか、あるいは失業の関係の動き、こういつた面につきましては、この一連の政策の関係もございますが、相当に警戒をしなければならない状況に相なつておりますので、今後とも中小企業対策等につきましては、常に情勢を十分に掌握いたしながら、適切なる対策を講じて参る必要があると考えておるわけでございます。
 ごく概略を申し上げますと大体以上のような状況でございますが、さらに通産省の立場もちよつとつけ加えて申し上げたいと思うのであります。先般来これらの政策の受入れ状態について適切に事態を把握する必要があると認めましたので、たとえば最近全国の通産局長会議を開催いたしまして、各地の実情等につきましてもつぶさに検討いたしたのでありますが、これにつきましても、すでに新聞等にもその概要が出ておりますので、御承知かとも思いますが、私の感想を申し上げますならば、相当各地域的に、あるいは業態別にそれぞれ特殊の問題を提示しているように思われるのでありまして、今後の中小企業対策その他の対策も、一律の対策、考え方ももちろん必要でございますが、各地方的に、あるいは業種別に、あるいはその他具体的に、それぞれの起る、または起らんとしております事態に対しては、いわば対症療法的な、またいわばケース・バイ・ケースの対策というものもあわせて非常に重要性を持つて来ているというふうな感じがいたすわけでございます。
 きわめて概略でございますが、一応以上のような状況であり、また感じであるということを御説明申し上げた次第でございます。
#31
○加藤(宗)委員長代理 この際質疑の通告がありますので、これを許します。小笠公韶君。
#32
○小笠委員 私は通産大臣に一、二点のことについてお伺いいたしたいと思つております。当委員会といたしましては、今国会開会以来、中小企業金融の状況を中心とする金融の影響関係、並びに貿易関係その他の面につきまして、いろいろと参考人等の意見も聞いて、調査を進めて参つたのであります。それらの調査の結果から考えられますことは、今通産大臣からお話のありましたように、デフレ政策の所期の効果というものが割合順調に進んで来ている反面、商社の倒産、不渡り手形の増発、その他いろいろな面が出て参つておるようでございます。従いましてこれらの出て参りました商社の倒産あるいは不渡り手形の増発というふうな面が主として経済力の弱い中小企業面に多く出て参つておるようでございます。貿易面におきましてもまつたく同様であるのであります。そういたしますると、まず金融の基本的な政策を引締めの政策に置くにいたしましても、今日までの状況は、引締めの効果がもつぱら中小企業面にのみ強く出て来ているという事実を否定しがたいのであります。参考人等の意見におきましては、最近倒産するものが、バランス面では黒字を示しながら、しかも倒産して行くものが非常に多いということであるのであります。従いまして、こういう事態におきましては、よい企業も悪い企業も一緒に波の中にのまれて行くということを避け得ないのであります。そこで私は中小企業金融につきまして具体的にひとつお願い申し上げたいことがあるのであります。その一つは、中小企業金融公庫の運用方針であります。本委員会におきまして政府委員から説明を伺つたのでありますが、今日の事態において財政資金を投じて中小企業金融の緩和に資せようとするゆえんのものは、中小企業がこのデフレの波の中にどうにか維持して行ける籠城経済ができるということを約束するものでなければならぬと思うのであります。しかるにかかわらず、公庫の運用状況を見ますと、もつぱら設備資金の貸出しに急いであります。政府委員の提示した資料を見ますときに、長期運転資金、すなわち中小企業の籠城資金として出すべさ資金というものはほとんど数字にならぬのであります。この点につきましては、政府委員は、中小企業の運転資金が供給がむずかしい、また担保中物的担保を中心にして貸出しが続行されている、この物的担保をいま少し楽にできぬかという私の質問に対しまして、支払いの誠意を示すに足るべき物的担保があればいいというような答弁をいたしておるのであります。支払いの誠意を示すべき物的担保は何でありますか。借りる方から言えば、はつきりした十分な価値のある物的担保ということになるのであります。この貸出しの担保の問題と、長期運転資金の考え方につきましては、私はこの際、デフレ政策の弱い中小企業に対する影響を少しでも緩和する意味におきまして、即刻改めてほしいのであります。私はこの点につきまして、経審長官として、また通産大臣として、十分なる御配慮を実は煩わしたいのであります。
 それから第二の問題といたしまして、中小企業が一般金融の引締めから非常な不況をこうむつておると申しまするか、困難な状態にあることは事実でありまするが、面をかえて見ますると、特に地方都市におきまする財政の困難から考えて、人口十万あるいは五万というふうな都市財政の行詰まりから、今日至るところで納入品に対する支払いを停止いたし、今まさに職員の給料も払えないような状況になつておりまして、地方の中小企業には、この都市財政に対する資金運用部の貸付が削減された上に、非常に遅れておるという事実から、不必要なる影響を激化しておる事実もいなめないと思うのであります。この点はいわゆる資金運用部資金の運用の問題でもありますので、今日の事態におきましては、額の問題も大切でありまするが、タイムという問題がまず大事であると思うのであります。年度計画二箇月をたつて、いまだ貸付がきまらぬというような事態も至るところに聞くようでありまして、この点通産大臣といたしまして、経済外の原因でありまするが、資金運用部資金、特に地方都市の財政に対する貸付の問題につきまして、格別の御配慮を煩わしたいと思うのであります。
 次に私は、同じく金融の問題でありまするが、今日まで参考人の意見あるいはまた政府委員等のお話を伺つて考えまするのは、先ほども触れましたように、金融の引締めが全体としては動いておるのでありまするが、大企業と中小企業にわけて考えてみまするときに、中小企業金融機関に対する引締めが、一般の商業銀行に対する引締めよりもテンポが実に早い。これが中小企業へより多くのしわを寄せておる大きな原因の一つではないかと思うのであります。その意味におきまして、先ほど情勢を的確に把握して、ケース・バイ・ケースによる適切な措置を講じたいというお話にかんがみまして、この大企業金融と中小企業金融と的確にはつかみにくいことは事実でありますが、今申し上げましたように、引締めのピッチが違つておるという点にかんがみまして、政府の指定預金を、九月末で引揚げる予定に相なつておるようでありまするが、これをすみやかに延期するという方針を明示せられることが、預かつておる金融機関にとりまして、資金運用上非常に大切な措置がとり得ると思うのであります。九月の末になりまして、三箇月延期あるいは半年延期では、実はそれまでに死んでしまう者が出て来ることを考えますときに、この問題は少くとも二、三箇月前に早急なる措置を講ずるような親心を示してほしいと思うのであります。
 第二に輸出振興の問題であります。輸出振興につきましては、国策のトツプであることは申し上げるまでもありませんが、その中で先般参考人の意見を聞きまして、つくづく感じられましたのは、いわゆる輸入外貨の割当に関連しての問題であります。参考人の陳述には、輸出第一主義の国策を唱えられながら、一つもそれに伴つた政策がない、そこに具体的かつ総合的な政策として、外貨割当問題を取上げておつたようであります。その参考人は貿易商社に外貨割当をよこせという主張でありますが、必ずしもそれがいいかどうか、私はここには結論を下さないのでありますが、ただ一つ、外貨割当が今日非常な補助金であり、非常な利潤を持つておるものでありますので、この外貨割当に対しまして、不当なる輸入外貨による利潤をひとつどこかに吸収して、これを輸出振興に使うお考えがあるかどうか。たとえば砂糖あるいはバナナを輸入すれば、その利益をどこかに聾断されてしまつておるのであります。あるいは最近のリンクのように、赤字輸出に対するごく零細な外貨割当をいたしておるようでありますが、かくのごときは輸入の本来から言うと、邪道であります。そこでここに思い切つて、利潤の多い輸入外貨割当に対して、利潤吸収の措置を講ずるお考えはないだろうかどうか。いろいろこの問題につきましては、別の観点から意見が立ち得ると思うのでありますが、ぜひこの際お考えを願いたいと思うのであります。
 第三点として、よく銀行協会その他におきまして、金融の独走ばかりだ、これに対して総合政策の実施を強く要望いたしておるようでありますが、総合政策をやる必要のあることは申し上げるまでもありません。しかしながらその説くところの総合政策の内容に至りましては区々であります。何をまずやる、何を優先させるかということについては、はつきりした意図がなく、ただ羅列にすぎないと私は思うのであります。そこでこの総合政策をして、いわゆる金融と産業活動あるいは産業政策とを調和をとらせる必要があると認定いたしますならば、まずすみやかにその措置に移るべきでありますが、その際に、これを十分に検討する行政組織に欠けておるのではないかと実は思うのであります。ありといたしますれば、今日の経済審議庁がこれに当るものと思うのであります。審議庁長官の資格において、愛知通産大臣は、今後総合対策の総合的な準備調査というような意味において、そういう審議庁強化のお考えがないかどうか。まずそこで案を打立てて、しかる後に総合政策に移るべきものであると私は思うのであります。
 以上三点につきまして、これまでの委員会の聴聞に照しまして、お伺いする次第であります。
#33
○愛知国務大臣 最初に御希望も交えられて御質疑がございました二点について、お答えいたします。
 その一つは中小企業金融公庫の運営の問題でございますが、御承知の通り、今回の二十九年度の予算におきましては、いろいろの経過はございましたが、ともかくもほかのところが大分削られたに対しまして、中小企業金融公庫に対する政府の出資はある程度増額を見た。そのことにも関連いたしまして、長期の最低限の運転資金というものは、この際中小金融の打開のためにどうしても必要であると考えましたので、いわゆる乙号方式その他の方法によりまして、この点については昨年度と違つた運営の方法を始めたわけでございます。
 それから第二の市町村あるいは府県等の財政が窮迫した関係で、経済外の原因から中小企業に対する支払いが遅れておる。これもまた御指摘の通り憂慮すべき状態にございますが、これは具体的に申しますると市町村その他に対しまする地方債の起債の計画があつて、そのわく通りの起債が、資金運用部の資金の計画が立たないこと、その他の原因によりまして遅れておることが原因でございますので、この点は最近におきましても自治庁長官とも打合せまして、大蔵省あるいは簡易保険等の関係の向きに対しまして、至急この根本的な原因の除去をすることを願つておるのであります。
 それから次にただいまの三点の御質疑でございますが、そのうち第一の、いわゆる指定預金の問題でございますが、これは率直に申しまして昨日の朝のある新聞などに、政府は指定預金制度を廃止することを考えておるということが記事として出ておるのでありますが、これは私どもの全然関知せざるところであるのみならず、もし他のよりよき制度を考えずしてさようなことをやるということであれば、これはゆゆしき大事であると考えるのでございまして、私はただいま御指摘の七月末までにその償還、引揚げが延期になつておりますが、その金額は現在ではおそらく九十億円に足らないようなわずかなものにはなつておりますが、これはただいま御意見のありましたような線に沿うてぜひ考えたいと通産省としては考えております。なお今後この指定預金の問題につきまして、これは制度としていい制度か悪い制度かということになると論議のわかれるところであると思いますが、もし指定預金制度を廃止するということを考えなければならないといたしますれば、むしろ別個にこれにかわるよりよき制度を打立てるか、あるいは現在の制度を改善するということで考えて行かなければならない問題であると考えております。
 それから次の御質疑の第二点は、輸出振興に関連いたしまして、輸入外貨の割当あるいは何と申しますか、特別会計でも設置してこの輸入のために割当てられる外貨資金によつて不当な利益を得ることを一面において阻止し、あるいは二面において輸出振興等に向けたらどうであるかという御意見のようでございますが、この点につきましては、実は本年度の外貨予算を編成いたします場合に、去る三月非常に政府部内におきましても深刻に討議をいたしたのでございまして、たとえば特別会計の設置ということも一案として研究をいたしましたことも事実でございますが、いろいろ研究をし、またいろいろな情勢を見ておりますると、さような特別会計というような場合によりますると、かなり外国との関係等も顧慮しなければならぬ、制度よりも実際外貨割当の運用の問題やその他の、あとで申しまするが総合対策でカバーされ解決されるものが多かろうということで、さような制度として考えることはいたさなかつたのでありますが、これに関連いたしまして、たとえば中小企業の直接の問題とも相なるのでありますが、いわゆる加工貿易制度を輸出振興策の一つとして取上げたわけでございます。これは輸出用の原材料につきましては、正常輸出を阻害しない範囲においてある程度自由に輸入を認めるという方法でございまして、その加工方法としての保税工場を利用する制度が従来からあつたのでありますが、中小企業が活用しやすいように大幅にこの制度を簡易化するというようなことをいたしましてなおこの外貨予算の圧縮という時期であるにもかかわりませず、このための加工原材料関係におきましては、二十八年度が千八百五十万ドルの割当であつたのでありますが、二十九年度におきましては一躍六千万ドルと増額をいたしました。こういう点におきまして、中小企業であつても保税工場の利用が簡単にできるようにする。さらにそのために必要な外貨資金は、割当てに際しまして前年度二千万ドルであつたものを六千万ドルに増額をするというようなことも考えておるのでありまして、これらの対策あるいは輸入外貨割当その他の方式等も、あわせましてただいま御意見になりましたような点についての対策といたしておるような次第でございます。
 それからお尋ねの第三点の金融の独走ではいかぬ、総合政策が必要である。これはそのままお言葉通り私もまつたく同感でございますが、ただたとえば一九五一年当時のフランスあるいはイタリア等のやり方を見ましても、やはりこういう情勢のもとにおきましては、金融のみならず、財政と金融とがむしろ先行することが一つのオーソドックスの行き方ではなかろうかと私考えるのでありまして、まず金融を引締めてそれから二十九年度の予算がきまり、それからそれらの情勢の推移を見た上で外貨予算が編成されるというようにして今日に至つておるわけでございます。私は前々から申し上げておりまするように、デフレ政策でなければ、この際とうてい日本経済を持つて行くことはできないと思いますが、同時に角をためようとして牛を殺してはとんでもない結果になる。特にその際におきまして、中小企業対策というものは非常に大事なものであつて、中小企業対策が曲りなりにも成果を得るようなことでなければ、この政策全体がくずれるということになるとさえ考えるのでありまして、そういう観点から特にただいま一、二の点について御指摘がございましたが、特に中小企業に対しましては、一つこの手だけをやればこれがきめ手になるという性質の対策はございませんから、そういつた面からも特に総合的なというか、考え得るいろいろな手をあわせ用いて行くということで、総合的な効果を考えて行きたいと考えております。なおまた経済審議庁の強化ということにつきましては、これは私も前々から考えておるのですが、その強化ということは、必ずしも私は人の数を多く持つことが強化ではない。現在も、手前みそになるかもしれませんが、非常に優秀な職員で構成されておりますので、数は必ずしも多くございませんが、この人たちのブレーンによりまして、日本経済の再建にお役に立ちますように、この上ともこの機構を利用し、また各省それぞれの立場では偏しやすいようなところを是正するように運営して参りたいと考えておるようなわけであります。
#34
○加藤(宗)委員長代理 杉村沖治郎君。
#35
○杉村委員 私は去る二十七日の当委員会で経団連の代表であるとか、あるいは経済同友会の人たちのいろいろな意見を聞いたのでありまするが、いずれもこの政府の輸出入金融の点について非常に困つた状態にあるということを述べられておるのでありまして、大臣も多分速記録をごらんになつておられるだろうと思うのでありまするが、この輸出入金融の緩和について、大蔵、日銀、通産、経審の間で何か御協議をなさつたとかいうことを仄聞いたしておるのでありまするが、そういうことがあつたかどうか。さらに大臣は、非公式ではあつても六月にでもなつたならばこの輸出入金融の緩和を実行したい、こういうことを述べられたとかいうように聞いておるのでありますが、実際そういうようなお考えでおられるかどうか。さらにそうだといたしまするなれば、その緩和の措置の内容でありますが、それが伺いたいのであります。さらに日銀や大蔵との折衝をなさつたその内容等がどんなものであつたか、おさしつかえなければぜひ伺わしていただきたいと思うのであります。なお今私が申し上げましたように、大臣が緩和をされる、いわゆる金融の追加をするというようなお考えであるといたしまするなれば、そういうような財源はどの方面から求められるか、どういう操作をなされるかという点について、まず伺いたいと思うのであります。
#36
○愛知国務大臣 輸出入金融につきましては、大体ただいま御指摘がございましたような状況でございます。と申しますのは、まずこれを輸出と輸入にわけまして、輸入金融につきましては、一般的な金融の引締めと、それからそれの上に、それと調子を合せたところの輸入金融の引締めということを、外貨予算の編成と合せて実行に移したわけでございます。これは相当きゆうくつな引締めであつたことは、私も承知をいたしております。それからまた別口外貨貸しの原則的なとりやめというようなことも行つて参りましたが、これは関係業界からも非常に実情を訴えて、また非難もございましたけれども、これは私どもの考えておりまする総合対策の上からいつて、どうしてもかたきを忍んでいただかなければいかぬと思いまして、そのきゆうくつであることを知りながら強行して今日に至つております。しかしながら半面におきまして、私の意見といたしましては、さようなことを強行いたしますのも、総合的に見て、輸入は押えなければならぬけれども、同時に輸出についてはあらゆる努力を払わなければならない。この輸出第一主義というものが金融政策の上にも反映しなければならないというふうに私は考えまするので、輸出金融の緩和というようなことについて、大蔵省、日銀、通産省、経済審議庁というようなところで、数回にわたつて会合を持つてもらいました。まず事務的に緩和するとすればどういうことが考えられるかということで、これは相当詳細な具体的な案ができたわけでございます。ただこれをいつごろから実施するかということにつきましては、これは申し上げるまでもございませんが、俗な表現でありますが、金にしるしもございませんから、輸出金融という名において金が出ましても、それが所期の目的のようなところにはたして流れるかどうか、また現在の通貨の情勢などももう少し見きわめた方がいいのではなかろうかというような慎重な立場から、現在まだこの実施の時期については結論が出ておりません。特に御案内のように今年の四月、先月には、たとえば通貨の状況が約百億近く増発になりました。もちろん最近における全体としての通貨の還流状況は、昨年に比べて非常によろしいといいますか、うまく還収はしておりますけれども、四月だけをとつて見ますると通貨が百億足らずの増発であつた。昨年の四月におきましては実は十七、八億しかその期間に増発がなかつたというようなこともございまして、もうしばらく状況を見ようということになつておるのであります。私はあるときに、たとえば六月にでも入つたならばというようなことを――そういうふうに受取れるようなことを申したこともあつたわけでございますが、それは六月から確実にという意味ではございませんで、私の気持から言えば、なるべくすみやかなる時期に実施に移したいという気持を申しただけにすぎませんので、ただいままだ何月何日からそういう方針を打出すというまでには関係各方面との話合いの結論が出ておらないというような状況でございます。しかし、お尋ねの点を多少逸脱するかもしれないと思いまするが、最近東南アジアその他の方面に対するプラント輸出は商談が具体的に非常に盛んになつて参りました。その関係で輸出入銀行の資金を調達しなければならないというような問題が、これまた非常に具体的な問題になつて参りました。これらの点につきましてはその財源をどういうところからひねり出すのかというお尋ねでございましたが、現在のところは、大蔵省でもいろいろ知恵をしぼつてもらつておりまするが、これはいわゆる財政資金計画の中の一環として解決をするよりほかにさしむき方法はなかろう、大体こういうようなふうに考えておるわけでございます。
#37
○杉村委員 次にいま一点伺いたいのは、実は電気料金の値上げ改訂の問題でございますが、これは実は当委員会においても、電気事業者の代業並びに需用者側の代表に来ていただいて、それぞれの意見を伺つたのであります。当時大臣におかれては、今値上げをする時期でない、こういう御決定をなされたことを私どもは伺いまして、私はひそかに大臣に対して敬意を払つておつたのでありまするが、仄聞するところによりますと、七月一日からまた値上げを実行するとかいうことを申されておるそうでありますが、はたしてそれが真実であるかどうか。それが真実であるということになるとこれはたいへん大きな問題でありまして、政府の緊縮予算あるいは低物価政策というような点から申しましても、大蔵大臣は一割の値下げを目途としておる、日銀総裁に至つては二割下げなければならぬというようなことまで申されておるのでありますが、これを電気事業者側の言うように値上げをいたしますなれば、これは逆になつて行くのであります。当委員会において電気事業者側代表は政府の緊縮政策あるいは低物価政策には全面的に協力をいたします、こういうことを申されておる。それにもかかわらず二〇%に近い電気料金の値上げを申請された。これはまつたく言われることと実際とが非常に相反しておるのであります。さらにこれをわれわれは国民経済の見地から見ますなれば、なるほど電力の開発ということが経済の根幹でありまして、これは大いに必要であるから、その点はわれわれも十分承知いたしておるのでありまするが、この電気事業そのものの本質から申しますると、これは決して利潤追求機関であつてはならないのであります。私どものこの考えからいたしますならば、こうした事業は、これこそ私はいわゆる国営でなくてはなるまいと思う。
 そこで私はこの電気事業会社の資本関係を調べてみたのでありますが、昭和二十九年の三月二十一日におきまして、千三百数十億円の国民の血税をここに貸し付けております。それにもかかわらずこの九電力会社の資本金というものは、わずかに四百三十億であります。この会社の資本金は、国民が貸しておる金の三分の一にも満たないのである。それにもかかわらず、昨年は一割五分の配当をいたしております。昭和二十九年の本期におきましては一割二分の配当をいたしておるのであります。しかもこの電気事業者の代表がこの値上げを申請する骨子ともなるものは、八十三万キロワットの新規電源開発をするための稼働設備費が、昭和二十七年においては三千数十億であつたものが、昭和二十九年においては七千数十億になる、従つて資本金が四百億ほどよけいにいることになるので、どうしてもこれを値上げしてもらわなければならない、ことにこの利益配当の一割二分が維持できなければ資本金に影響を来して、勢い新規開発の事業完成に影響するのだ、こういうことが電気事業者側の人たちの意見なんでありますけれども、いやしくも今日のこの日本の経済状態はいかがであるか。先般来中小企業の代表者等にも当委員会に来てもらつていろいろ意見を聞きました。これも大臣はごらんになつておられるだろうと思うのでありますが、このような状態にあるときに、その資本のほとんど三分の二が国民の税金であり、しかも貸付五箇年間すえ置き、三十年間年賦償還というような、きわめて寛大な条件で借りておる金が一千三百数十億円もある。さらに本年の予算から行きますならば、電源に貸し付ける金が六百億の余であります。こういうようなことをしておるのにもかかわらず、一割二分の配当が維持できなければならぬなどと、よくもおくめんもなく電気事業者が当委員会で言えると思う。今日本中の中小企業者等がどんな状態におるか、これらを少しも考えておらない。自己資本によつて町の資本家あるいは企業者がやつておるときにおきまして、年間一割五分の間違いない配当なんかできやしない。配当どころではありません。利益どころではありません。今日は倒産に次ぐ倒産であります。不渡り手形の数等におきましても、私が一々御説明申し上げなくても、大臣はよく御存じであろうと思うのでありますが、こういう際において電気料金の値上げをいたしますならば、どういうことになつて行くでありましようか。それでなくてすらも非常に困つておるこの際、私は電気料金の値上げをするなんて非常な誤りではあるまいかと思うのでありますが、大臣はこの電気事業者の申請に基いて値上げ改訂をはたして御許可せられるお考えでありますか、お考えでありませんか。私はこの際はつきり伺つておきたいのであります。きわめて重要な問題でありますがゆえに、実は本会議で質問をいたしたいと思つておつたのであります。こういうきわめて重要なる公益事業であつて、国家の経済の根幹をなすものが、今われわれの見るところでは、資本家、財閥の利潤追求機関みたような気がするのであります。そうして国民の税金をただ使つておる。これは何とか改正して、私はむしろ国営にでもしてほしいというような考えもあるのでありますが、ひとつ大臣のほんとうに率直な御意見を承りたいと思うのであります。
#38
○愛知国務大臣 電気料金の問題につきまして、ただいま実によくお考えいただきました御意見を承りまして、私もまことに感銘が深いのでありますが、ただいま御指摘になりました通り、また当委員会におきましても、会社側の見方や意見も十分にお聞取りいただいたと思うのでありますが、これは非常に複雑で微妙な問題でございまして、ただいまもいつそ国営にしたらどうかというお考えも承つたのでありますが、これは国営になればなつたで、またおそらく値上げの問題というものもやはりそれなりの姿において、相当重大な問題として論議されることになるのではなかろうかと思うのであります。私は結論として本日のところ、上げるとも上げないとも申しかねます。またいつからそういうことをやろうということをまだ決意するに至りませんので、率直にそのことを申し上げておきたいと思います。つまり上げるということも申し上げかねますし、さりとていつまですえ置きを続けることができるかということについても、ただいま確たる決心をつけるにまだ至つておりません。と申しますのは、この問題が起りました当時は、たとえば電力会社に対しますいろいろの税制の問題もきまつておりませんでしたし、また開発銀行関係の金利というようなことについても、まだ最終的な決定がなかつたということもございましたし、また同時にこの決算かどういう姿で現われて来るかということもまだ不明確でございましたし、その他いろいろの未確定な条件がたくさん考えられましたので、それらを総合して、かつ大所高所から判定を下しますためには、十分の資料もなかつたために、三月末にはまだ政府としても意思を決定しない。また現在は値上げをすべき時期でないということで、当分の間申請書を預かりつぱなしにしておるのが今日の状況であります。今申しましたようないろいろの要素もだんだんと出尽して参つておりますから、いずれそれを基礎にいたしまして、さらにまた別個の大所高所からの判断を加えまして結論を出すことにいたしたいと存じております。
#39
○杉村委員 たいへんくどいようですが、そうすると七月一日から値上げをさせるというような御決定が別にあつたわけではないということは、そう承つておいてよろしゆうございますか。
#40
○愛知国務大臣 その通りでございまして、七月一日から上げるというような決定はいたしておりません。
#41
○楠美委員 関連して。愛知国務大臣に一言今の問題に関連してお願いしたいのです。国務大臣に向つてお説教するようではなはだ恐縮でありますが、政治の要諦というものは、一人も殺してはいかぬということでありますが、自由党内閣の領袖たちには、非常に不見識な言動を大臣の席からはく人がしばしばあるのでありまして、非常に遺憾なのであります。一人も殺してはいかぬというのが政治の要諦であるが、やむを得ぬ場合はしかたがない場合も出て来るのではないか、これはわかるのであります。それで一殺多生という言葉がございます。これは大臣にでもなつてこういうことを言つたら、また非常に大問題を起すと思うのでありますが、一殺多生、やむを得ない場合には少しは犠牲にしても多くの者を助ける、これはやむを得ない場合の一つの要諦であります。しかるに長い間自由党内閣の政策を見ておりますと、一人が生きんがために多数を殺しておる政治を繰返しております。私は追放で津軽の野からそのさまをつらつらながめておつたのでありまするが、今の電気料金問題などもまさにこれに当てはまる一つになると思います。電力会社が、自分らが楽に経営をやろうとして大衆を犠牲にする、これは多殺一生の政治であります。今でもはつきり言えない、まだ腹もきまつてないと言われましたが、私は今日本の国民の中では、おそらく五%以上、七%も、一家四人も五人もで一万円までの収入がなくて困つている人があると思います。はがきを二円から五円に上げられて非常に困つている人が多いと思うのであります。もちろん代議士諸公も、何万も使うから困るのでありましようが、一枚、二枚のはがきを買うにも五円にされて困つている国民が、私は少くとも五%以上はあると思うのであります。そういう線に向つて政治が行われて行くように、愛知大臣も東北の寒い貧しいところに育つた方だと思つておりますが、どうかひとつ東北男子の本領を発揮いたしまして、非常に苦しかろうが、どうか電気料金のごときは断じて上げないという腹をきめて、そうした官営みたいな仕事の料金を上げない、むしろこれからどんどんはがきも下げて行く――デフレ政策をやるについては、そうしたものも下げなければいけません。そうして率先して官庁等の事業においては下げる決心を持ち、いわんや上げる等の考えは絶対起してはいかぬと私は考えるのであります。政治家も苦しい事態もあるだろうが、いつも政治は上つらを走つて、つい知らずほんとうに困つている国民のことを忘れがちでありますが、どうかひとつ断じて上げないように自分でやつてみせるというだけの腹をこしらえて、多数を生かすような政治をやつてもらいたい、こうお願いする次第であります。
#42
○愛知国務大臣 私といたしましては、この問題につきましては誠実にあらゆる要素から検討いたしまして、最善と信ずるような結論を打出したいと考えております。
#43
○加藤(宗)委員長代理 菊川委員。
#44
○菊川委員 私今の電力料金の改訂の問題につきまして、もう少しはつきりとこの際に御質問したいと思います。愛知経審長官並びに通産大臣は、三月末に私が本委員会においてお尋ねを申し上げたときには、当分は値上げをする意思はない、その時期でない、こういう御答弁でありました。私はその理由として、これは政府のいわゆる緊縮政策の建前からいつて上げるべきでないというのか、それとも今公益事業局においてせつかく調査中であるから、それらの結果を見た上で、諸般の事情を考慮して結論を出すのだが、今はその時期でないということかということもお尋ねしたのであります。そのときに大臣は、調査中であるし、また政府の緊縮政策というようなものもあるし、調査の後に大所高所から政治的考慮を加えて決定するというところから、今はその結論が出てない、従つてその時期でない、当分値上げをするつもりはない、こういうきわめて明快な御答弁があつたのであります。ところがそこで残つている問題は、当分ということと、それからその時期でないということであります。しかるに今日この委員会において大臣は、重ねてまだ値上げをするともしないともきめてない、こう言われるのでありますが、そうしますれば、前回の答弁の繰返しというようにわれわれは考えるほかないのであります。しかしながら実情は、おそらく国民のだれしも認めておるところは、政府はそう言いながらも、結局これは値上げをするのだろう、こう見ておるのであります。現に七月一日から値上げをするということは新聞にも伝わつておりますし――新聞の報道には責任を持たぬというのは、吉田内閣伝統のやり方でありますが、しかし漏らした者もあるのであります。そこで、こういうものは火のないところに煙は立たないのでありますが、政府が当分しないという意味は、たとえば七月一日という時期を中心に考えた場合に、七月一日以後において値上げをするということは、少くとも今は考えていないのだというふうにとれますかどうか、その辺をどうかひとつ明確にしてもらわぬといかぬと思うのであります。今までの吉田内閣のやり方を見ますると、これはわれわれの邪推ともとれないと思うのでありますが、議会開会中はやらないのであります。重大な外交上の問題でも、議会が済むとおきめになるのであります。おそらく今度もまたそういう常套手段を含めて政治的考慮をしておられるのかどうか。はなはだ失礼でありますが、この点を今聞いておくべき時期だと思います。これは大臣の責任において明快に本委員会を通じて国民の前に発表するというつもりで御答弁を願いたい。もしそれができないならば、正直に今はその答弁ができないのだからいついつまで待つてくれということをお答えを願いたい。
#45
○愛知国務大臣 この問題は先ほど杉村委員にお答えいたしました通りでございまして、いろいろの考うべき要素が三月末の当時よりはそろつて参りましたけれども、私自身といたしましても、これが最善の案であるという確信を持つて打出すだけのものはまだできないのであります。七月一日云々というお話がございましたが、これはどういうふうに伝わつたものか存じませんが、七月一日から上げるということをきめたことは毛頭ございません。もし七月一日に上げるということで私が腹の中でおるといたしますならば、大体どのくらいの程度ということがすでに頭になくてはならぬわけでございますが、そこまでまだ用意ができておりません。
#46
○菊川委員 私ただ単に邪推を申し上げるのではないのでありまして、本委員会において、日は覚えておりませんが、先日大臣がお見えにならなかつたので、電気料金の問題について質問通告をいたしまして、たしか公益事業局次長でしたかと覚えておりますが、次長の答弁によれば、大体調査は終つた、当時の時期におきまして、ここ一週間程度でもつて結論が出るというところまで来ておる。そこで私の方から質問したわけでありますが、料金においては電力会社の申請の四・四%に対して大体その半分程度で押えるというわれわれは見込みですということを言つておられるのであります。その内容としては、私の方から質問した分に対して、たとえば公課の軽減並びに金利一分程度の引下げ、こういうものによつて二・五、六パーセント電力会社の負担を軽減する、それからその他は企業の合理化、あるいは経営の努力並びに炭価の大幅の値下りに従つてこういうものを考えれば、当然会社の方においても今までのような赤字を出さぬで済む面がある。従つて最高一割、少ければ六%、これらの幅において七月一日から値上げの申請を認めるというふうなことが伝わつておるかどうかということにつきましても、公課及び金利の引下げについてはわれわれもそれを考えておる。それから炭価の値下りについてもこれを認めておる。従つてこういうものを含めば一四・四%という値上げは今日では過大と思うからその半分程度にとどまると思う、こういう答弁を明確にしておられるのであります。そういたしますと、公益事業局においてはそういう作業をすでにもうしておられる、大臣はそういう報告は一体今までお聞きになつていないのかどうか、これをお尋ねいたします。
#47
○愛知国務大臣 公益事業局でいろいろの観点から作業を続けておることも事実でございます。それからこの問題については、先ほど来申しておりますように、自分としても誠意を尽して納得のできる結論を導き出したい、こういうふうに考えておりますから、公益事業局はもとよりでございますが、その考え方や、推量されます考え方について私個人といたしましても十分さらに検討を加えたいと考えております。さような公益事業局の研究につきましては、私もずつとフォローいたしておりますが、要するに私としてきめかねておるという状態であります。
#48
○菊川委員 そうしますと、今大体申し上げましたような検討の数字について公益事業局は――これは事務当局として作業の結論を出しておられるというようにわれわれは見るのですが、おそらくこの数字には多少の上下がありましても、動きのない申請に対する数字的な検討の結果がここに出ておる、こう見てよいのでありますか。――そうしますとこの問題を考慮するにあたつて一つの重要なる基礎的な資料と見られるわけであります。そうすると、この資料については大臣は公益事業局から報告を受けておると思いますが、これに対してはもはや――他の政治的な考慮を加えるべきところの問題は別でありますが、こういう方法であの資料を検討し、そして電力会社側の言つておる赤字を詰めるということについてはこれが限界であるというふうにお考えかどうか、この点をお尋ねいたします。
#49
○愛知国務大臣 これは正確に申し上げたいと思いますけれども、公益事業局といたしましても、われわれの言葉で言うと、局議をまとめてこれ以上にこの研究は詰められないというような程度のものにはなつておらないのでございまして、その中にはこういう過程をとればこういう計算もできるとか、こういう結論が許されるとするならはこういう説明の仕方もできるとかいうようなことで、数箇の考え方があるわけでございます。それをできるに従いまして、私も目を通し、また討議もいたしておりますし、さらに私としてもこういうふうな考え方はできるものかどうかということでやつておりますが、公益事業局としてもこれ以外の考えはないというところまで突き詰めたものがございませんし、私といたしましては先ほどから申し上げました通りの姿でおるわけでございます。
#50
○菊川委員 何か隔靴掻痒の感がいたしますが、そうしますと公益事業局でかりに局議としてそういう一つの作業方式によつて一つの数字的な結論を出しておるといたしますと、他の政治的な考慮その他のことはしばらくおいて、こういう局議としてやつておる数字的な結論に対して大臣が考慮の余地があるというのは、この資料に関する限りにおいては、たとえばどういうものが出て参りますか。それに加えて考慮しなければならぬという何を大臣はお持ちになるのか。これはわれわれがこの問題を考えるにあたつて重要な問題でありますのでお示し願いたいと思います。
#51
○愛知国務大臣 その点につきましても正確に申し上げることは私としても今ただちにはできないのでありますけれども、九電力会社が一割四分四厘平均といつて申請した案をつくります場合におきましても、御承知と思いますが、九電力会社の間には考え方がいろいろ違つておる点も相当あろうと想像もされるのであります。最大公約数としてあの案が出て来ておりますので、さらにそういう点も私どもから見れば第三者といいますか、公正な立場ですつかり洗いざらい検討してみれば、必ずしもああいうふうな立て方だけがかりにあるといたしましても、最善の案ではないということは考えられると思いますし、またこれは極端に仮定の問題としてお聞きを今日のところ願いたいと思いますが、場合によりますれば何も上げないでもやつて行ける会社もあろうかもしれないのであります。それを総体的に最大公約数的に考えて大体一律の考え方をとればこうだというのが申請案ができた経緯だろうと思うのでありますが、そういうところもそれは単なる仮定の一例でございますけれども、これはいろいろと公共の利害、ことにそれだけ関心の的になつている、国民の最後の一人にまで直接影響のある問題でございますから、くどいようでございますが、私といたしましても一つの結論を得ましたならば、これを国会に対してもあるいは直接国民に対しても、私としてはこういう考え方とこういう研究の結果こういう案になつたんでありますということを自信を持つて御説明のできるだけの案はせめてつくりたい、ただ投げやりに、この人はこういう意見である、会社側はこういう申請をやつて来た、その申請をつくつて来た、その方式だけに従つて公租公課はそれからこれだけ減る、その後豊水でもつて利益がこれだけ出たというだけで一つの気分、感情的な方式で会社が申請して来た方式に従つて削つて行けばこうなるというだけのことではちよつとこの問題に対する当局としての誠意のある態度ではないのではなかろうか、しかしあるいはやつてみても私どもの微力では及びませんで、あるいはそういう方式にまたもどるかもしれませんが、それならばそれでこうこういう径路をたどつてこうこういう方式にもどつたんだということをやはり御説明する必要があると思うのであります。すでに公聴会でも御承知のようにいろいろの観点からずいぶん議論が出ておりまして、私としては国民大衆の消費者の立場も十二分に考えてどういうコンビネーシヨンで今まで現われて来ているところの意見を組み立てたらいいかというような方式で考えておりますので、ともかくもその結論を導きますまでにいましばらくの時間の余裕をお与え願いたい。私はほんどうに隠し立てなくまつたくさように考えておるわけでございます。
#52
○菊川委員 大体大臣の誠意のほどはわかりかけたような気がいたします。国民の納得行くような方式を、そうしてその検討の上に結論を出すためにもつと時をかしてもらいたいということでございまして、私どもはそういうお考えに対して敬意を表すわけであります。そういたしますと、今までの御答弁からこういうふうに了承してよろしゆうございますか、今まで伝えられるような七月一日からの申請に対する半額近くの料金の値上げということは必至であるということは、これは大臣としては関知せざるところであり、こういうことをかりに内部で言う者があれば、それは政府の意思に反するものであるというふうに解釈してよろしいですか。先般この委員会におきまして、公益事業局の次長でありましたか、担当者から述べられたことは、単に、局議にもなつていないが、局としての作業の進行を話したのであつて、しかしそのような検討の方法、方式そのものもまだ大臣としては認めておるところじやないのだというふうに解釈をしてよろしいか、従つて大臣はさらに別個の立場から、別個の方式も幾つか取入れた上で、この問題を再検討されるという立場で臨んでおるというふうに解釈をしてよろしいか、この点をひとつお伺いしてみたいと思います。
 それとあわせて、そうしますと大臣がこういう問題でいろいろと御検討なさる場合におきましては、相当の時間を要することはもちろんのことでありましようし、また一方においては国民の各層から非常な関心を持たれておる問題でもあり、先般来院内におけるのみならず、全国各地にわたつて公聴会を開いて意見を問うておる問題であり、しかも大多数の意見は値上げは反対であるというふうなことからいたしますと、当然こういう問題をそういう新しい見地から再検討して、大臣が決断を下されるというにあたつては、ある意味において問題は振出しに返るのでありますから、もう一度これを国民に問うてきめるべきである、真に国民に納得さそうというならば、もう一度そういう手続をおとりになることは決してむだでないのみならず、必要であるとわれわれは考えおるのであるが、その時期が将来あるかないかわかりませんけれども、もしあるといたしましたならば、それは国会の開かれておる時期が私は一番いいと思うのであります。臨時国会をいずれ九月には開かなければならぬというのがただいまの情勢でございますが、そういうときまで待つて、そしてそういう必要があるとしたならば、そこに報告をされて、意見を聞いた上で運ばれるかどうか、こういう点につきまして、大臣の所見をひとつ伺つておきたいと思います。
#53
○愛知国務大臣 まず第一点の公益事業局の方から御説明いたしましたものについてでございますが、それは先ほども答弁申し上げましたことで御了解いただけることかと思いますが、公益事業局でもいろいろの観点からずつととりかかつて作業しておるのでありますので、こちらにお呼び出しがありましたときに、その状態においてこういう考え方があるということを率直に申し上げたのだろうと私は思います。決してこれは私の意思に反するとかどう、とかというのではありませんで、研究の過程においての作業の御報告を申し上げたのであつて、これは局議としてきまりあるいは私が決裁したものではございませんが、正直にその人からお答えいたしたのだと思いますから、さよう御了承願いたいと思います。
 それから第二の点でございますが、これも十分御案内のように、法制上の建前その他から申しまして、私はその点はちよつと御意見が違うかと思いますが、臨時国会ということを私どもは今予想いたしておりません関係もありまして、これは国会において御賛成を得てその後にということには考えておりません。
#54
○菊川委員 それに関連して参考までに伺つておきたいと思いまするが、今大臣は、料金を値上げするともしないとも今はまだ考えていないということでありまするが、そうしますると、ここに重大な問題が一つあるのであります。一つは本年度の電源開発計画の遂行の問題であります。もうすでに六月に入ろうとしております。従つて電力会社から申しますれば、あの程度の値上げを認めてくれなければ電源開発の方に支障を来すというのであります。そうしますと大臣は、料金改訂をするかしないかはこれから考慮されるのでありますが、一体電源開発の計画をやるためには料金改訂がどうしても避け得ないとお考えなのか、それとも料金改訂をやらないでも電源開発をやる方法を場合によつてはお考えになるのか、あるいは場合によれば、電源開発計画というものはその料金のいかんによつてはある程度見送る、あるいは変更があつてもしかたないというお考えなのか、これは今お考えの際に何らかの腹をきめなければならぬわけでありまするが、これもまた成行き次第でそのときにお考えになるのか、どちらです。その点をまず伺いたい。
#55
○愛知国務大臣 これは私の考え方を率直に申し上げますが、結局まず第一に私は、電源開発の現在政府がやつておりまする案というものは、その案通りに推進をいたしたいと考えております。ただたとえば期待したところの当初の昨年秋ごろまでの計画から見れば、財政資金計画などが相当詰まつておりますから、そういう面から見ましても、あるいは多少この計画がスロー・ダウンするということはやむを得ないかもしれないと思うのであります。
 それから第二に、そういつた電源開発五箇年計画というものを推進いたして参りまするためには、ほかの条件やほかの要素が非常にドラスティックな改変がない限りにおいて――私ははつきりと数字的な根拠で申し上げる用意を今持つておりませんけれども、どうしても現在の九電力会社あるいは電源開発会社の既定のやり方の線の上においては、資本費がどうしても増高いたしますから、何としてもある時期を長期で考えてみまする場合には、電力料金の方にかぶさつて来るものがあることはやむを得ない。私は要するにその長い五箇年というような期間は別といたしまして、当面のところにおきまして、できるだけすえ置きの時期が長い方がいいというような感覚から、この問題を常に扱つて参つたのでありまして、経済理論から言い、あるいは長期の見通しから言えば、この料金の値上げということなしには現在の五箇年計画の遂行はできない。この点においては、ただいま御指摘になりました通りだと、私は率直に言うて考えております。
#56
○菊川委員 そうしますと、その問題については、料金改訂を考える場合において、場合によれば電源開発五箇年計画の推進の速度においては変更があつてもしかたないのだ、こういうこともあわせて政府は考慮しておるというふうにわれわれは理解したいと思いまするが、それでよろしいかどうか。そうしますと今度は次に問題になりますのは、今現に緊縮政策の名のもとに、電源開発関係におきましても、既定経費の一割方の節減という方針をおとりになつておるようでありますが、それだけでも現に推進速度は遅れるようでありますが、しかも一方においては、大体来年以後においてその遅れをとりもどすというふうなことを説明しておられるのでありますけれども、一体来年以後のこういう計画が、国の予算の見通しもまだ立つていない際に、軽々に見込んで行つてやれるものかどうか、この点をあわせてお伺いしたい、
 それからついででありまするが、いま一つの問題は、先般の電力会社の決算報告によると黒字を示しておる。これはわれわれも新聞で承知いたしおるのであります。ところがこれも公益事業局でありましたか、その御答弁によると、この黒字に対しては、これは配当確保並びにサービス改善のために充てるのであつて、これが電力料金の引上げの程度を軽減するというために使う余地はないと見ておる、こういう御答弁であつたのでありますが、大臣はやはり最近の電力界の経営の好転あるいは黒字ということから、電力料金の改訂の問題については将来の問題はともかくとして、当面電力料金をすえ置きたいという際には、この問題をやはり加えてお考えになるか、これだけを伺つておきたいと思います。
#57
○愛知国務大臣 電源開発計画との関連でございますが、これはただいまも御指摘がありましたが、一割削減という意味はいろいろあるのでありますが、私どもが電源開発や電力会社に対して要請しておりますところは、あたかも政府の予算をずいぶん緊縮して、公務員の行政もその乏しい中でやつて行こうというときであるから、特に土建の計画その他については徹底的に実行予算的な考え方で、少い経費で計画を遅らさないようにひとつ計画をつくつて推進して行こうではないか、そういう際でもありますので、この一割削減というような線でやつておるのであります。この点はただいま菊川委員の御指摘のところとは多少違うかもしれませんけれども、何とかして全体の計画ができるだけスロー・ダウンしないようにやつて行きたいものであると考えておるのでありますが、同時にこの電力料金の問題につきましては、先ほど来たびたび申し上げておりますように、きようは私の結論として上げるとも上げないとも、また上げるとすればいつからで、どのくらいの幅だということを申し上げるだけの用意が私はほんとうにないのでありますから、その点はごかんべん願うといたしまして、その次の第二段のお尋ねでありますが、これは最近もよく言われておりますように、過去の事業期間におきましては意外に豊水であつたというような点が、この経理面の経営の収支面のプラスになつた大きな原因であろうと私思うのであります。これはまあ余談になつて恐縮なんでありますが、普通の経済理論とでも申しますか、あるいは経営理論とでも申しますか、会計学的に申しますれば、電気料金の問題などとこの経営の収支決算とは必ずしも関係は密接ではないかもしれない、主としてこれは資本勘定と申しますか、今後開発をして行くためにどれだけの資本が増高するのであるか、そこから割出すのが本筋ではなかろうか、私はまあこうも考えるのでございますが、しかし先ほど来申しておりますように、大所高所から判断をして、あるいは菊川さんも御指摘があつたと思いますが、政治的なあるいは国民の感情的な要素も加えて結論を出そうといたしまする場合には、しいて関係をつけようと思えばつけられないこともないのではないか、まあこんなふうにも考えておるわけでございます。
#58
○杉村委員 私は質問ではなく、大臣にひとつ要望をいたしておきますが、実は先ごろ事業局長であつたかここへ来ていろいろ菊川委員が尋ねられたときに、そういう答えをしておるのでありまして、今大臣のお述べになつた中にも、諸般の角度から検討されてそういう結論が出たのであろうと思う、こういうお言葉がありましたが、実は私は資本関係のことを問うたのであります。ということは、二十八年度におきましては一割五分の配当をしておるし、今期においては一割二分、この一割二分の利益配当を維持できなければ云々と、こういうことを申されるので、どうも公益事業の観点から意外に思うたので、しからば電気事業会社の資本関係、資本構成がどういうことになつておりますかと、こういうことを伺つたのですが、さらにおわかりがない。それで実に意外に思つたのですが、しかし数字上のことで間違いがあつてもならぬと思つて、まあ即答をお控えになつたものと善意に解釈をしたのでありますが、実際は事業局においてはまだそれらの点について十分検討されておらなかつたことは事実でありまして、その後において私は資料を得ましたけれども、どうも先ほども申し上げましたように、これは公益事業でありますから、その公益事業が一割五分の配当をしておる、あるいは一割二分の利益配当ができなければ困るというような、こういうようなことを申しますと、いかに電気事業が重要ではあつたとしても、また国民感情ということも一つ考えなければならない、民間事業はどんな状態であるかということを一つ考えなければならぬのであります。公益事業の資本構成あたりを十分検討しておらなかつたことについては私ははなはだ遺憾といたすのでありまして、諸般の角度より検討したと申しますけれども、利益配当の問題が出る以上は、少くともその資本構成というものをしさいに検討しなければならぬのである。これらの点についてどうも物足らない点がありますから、どうか大臣におかれましては――私はよくあなたのお気持がわかつております。本日のあなたのお答えを伺つて私はよくわかつておりますが、どうかあなたのそのお気持で、さらに事業局あたりに対しても検討をしろというふうに指令をする場合においては、ほんとうにこの資本構成と国民感情というものを加味されまして、どうか国民の期待に反することのないようにやつていただきたい。私どもの考えから申しますならば、こういう公益事業の配当は、無配でありましては、民間資本の関係もありましようからこれはいけないでありましようが、その配当も公益事業ですからせいぜい五分ないし七分というくらいが適当なところなんです。政府の資本は民間資本の総額と比較いたしましても、政府資本の方が昭和二十四、五年ごろは会社によつては七三%以上になつておる。昭和二十九年三月三十一日におきましても五一%何がしになつておつて、民間資本と比べましても半分以上は政府資金である。会社資本においては先ほども申しましたように比較にならないのでありますから、ほんとうに諸般の情勢から検討したということになれば、どうかこういうことを十分検討された上で御決裁を願いたいという希望を申し上げまして、私の質問を終ります。
#59
○加藤(宗)委員長代理 大分時間も経過いたしましたので、次会は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会をいたします。
    午後二時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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