くにさくロゴ
1953/03/09 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 行政監察特別委員会 第7号
姉妹サイト
 
1953/03/09 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 行政監察特別委員会 第7号

#1
第019回国会 行政監察特別委員会 第7号
昭和二十九年三月九日(火曜日)
    午前十一時十九分開議
 出席委員
   委員長 塚原 俊郎君
   理事 世耕 弘一君 理事 高木 松吉君
   理事 田渕 光一君 理事 中野 四郎君
   理事 山田 長司君 理事 小林  進君
      天野 公義君    杉村沖治郎君
      矢尾喜三郎君    鈴木 仙八君
      田中 角榮君    原田  憲君
      山中 貞則君    橋本 清吉君
      久保田鶴松君    古屋 貞雄君
      佐竹 新市君
 委員外の出席者
        証     人
        (前保全経済会
        理事長室長)  松本 辰雄君
        証     人
        (前保全経済会
        理事長室監査課
        長)      神崎 賢二君
    ―――――――――――――
三月九日
 委員北山愛郎君、中村高一君及び前田榮之助君
 辞任につき、その補欠として山本幸一君、佐竹
 新市君及び杉村沖治郎君が議長の指名で委員に
 選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 証人出頭要求の件
 調査経過報告書に関する件
 保全経済会等特殊利殖機関に関する件
    ―――――――――――――
#2
○塚原委員長 これより会議を開きます。
 この際御報告いたします。去る二月二十四日の決算委員会における田中彰治君の発言中本委員会に関する部分につきましては、昨日の決算委員会において田中彰治君より次の通り取消す旨の発言がありました。「審議に入るに先だち、去る二月二十四日開会されました本委員会において私が発言いたしました中に「行政監察委員会が何か人のボロを摘発して喜ぶような委員会と間違えられては、」と発言いたしました点を取消しますから、さよう御了承願います。」以上の通りであります。
 なお、過日の理事会において御協議を願いました通り、本日本委員会において田中彰治君より発言を願う予定になつておりましたが、同君より、昨日の決算委員会開会中脳貧血のため退去し、病気療養のため五日間の請暇願を提出しておるとの連絡が委員長までありました。従つて本日はお見えになりません。
    ―――――――――――――
#3
○塚原委員長 次にお諮りいたします。行政監察特別委員会設置に関する決議によりまして、本委員会は少くとも月一回その意見を付して調査報告書を議長に提出しなければならないことになつておりますので、ただいま諸君のお手元に配付いたしてあります通りの二月中における簡単なる調査報告書を委員長において作成いたしたのでありますが、これを議長に提出いたすことに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○塚原委員長 御異議がなければ、さよう決しました。なお、字句の整理等につきましては、委員長に御一任を願います。
    〔報告書(行監調十九ノ二)最終号の附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#5
○塚原委員長 次にお諮りいたします。保全経済会等特殊利殖機関に関する件につきましては、理事諸君とも協議の結果、本委員会において引続き証人を喚問し調査を進めることに意見の一致を見ましたので、本日、前保全経済会理事長室長松本辰雄君、前保全経済会理事長室監査課長神崎賢二君、三月十一日、大蔵省銀行局長河野通一君、東京国税局長脇坂実君、三月十三日、法務省民事局長村上朝一君、法務省刑事局長井本台吉君、三月十六日、不二林業株式会社社長小柳善治君、三宇証券商事株式会社社長三宅年広君、株式会社新夕刊新聞社長山崎一芳君、以上九名の諸君に証言を求めるためそれぞれ本委員会に出頭を求める手続をいたしておいたのでありますが、以上九名の諸君を本委員会の証人として決定するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と、呼ぶ者あり〕
#6
○塚原委員長 御異議なしと認めます。よつて証人として決定いたしました。なお、証人の出頭期日等に変更を生じました場合の措置につきましては委員長に御一任願います。
 なお、本件に関し、児玉誉志夫君、三浦義一君及び衆議院議員池田勇人君、以上三名の諸君につきましては、本委員会の証人として決定いたし、出頭を求める期日等につきましては理事会において協議の上決定いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○塚原委員長 御異議なしと認め、さよう決します。
 これより保全経済会等特殊利殖機関に関する件につきまして調査を進めます。ただちに証人より証言を求めることにいたします。
 ただいまお見えになつておられる方は松本辰雄さんですね。
#8
○松本証人 はい。
#9
○塚原委員長 あらかじめ文書をもつて御承知の通り、本日正式に証人として決定いたしましたから、さよう御了承願います。
 これより保全経済会等特殊利殖機関に関する件について証言を求めたいと存じますが、この際証人に申し上げます。保全経済会は全国に二百箇所以上の店舗を有し、出資総額約四十五億円、加入者は約十五万に達する特異な利殖機関でありまして、従来その業務の運営についてはとかくの風評があつたのでありますが、昨年十月二十四日突如として全国一斉に臨時休業に入つたのであります。この休業に立ち至つた事情については世上幾多の疑惑と関心を有する向きもあり、また一方これから類似の特殊利殖機関の累増を見た今日、これら特殊利殖機関の業務運営の実態を明らかにし、かつこれら特殊利殖機関に対する関係官庁の監督の当否について調査を進めることは、国の行政が適正にしてかつ能率的に行われておるかどうかを監察しもつて立法その他国政の審議に資するため行政の運営上障害となつている各般の事情を総合的に調査しかつその責任を調査する本委員会の使命にかんがみ、きわめて有意義なりと考え、本委員会は本件の調査をいたすことになつた次第であります。証人におかれては率直なる証言をお願いいたします。
 それでは、ただいまより保全経済会等特殊利殖機関に関する件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、主たはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。
 では、法律の定めるところによりまして、証人に宣誓を求めます。御起立を願います。
 宣誓書を朗読してください。
    〔証人松本辰雄君朗読〕
   宣 誓 書
 良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
#10
○塚原委員長 それでは宣誓書に署名捺印してください。
    〔証人宣誓書に署名捺印〕
#11
○塚原委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際にはその都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。
 松本君が保全経済会に入社されるまでの経歴について簡単にお述べ願います。
#12
○松本証人 お答え申し上げます。昭和七年東大の経済学部商業学科を卒業いたしまして、第一生命保険相互会社に入社いたしました。それから昭和十四年の十月に東亜海運株式会社に入社いたしまして、昭和十九年の七月に同社を辞し、同年同月、日産近海機船株式会社に入社いたしました。それから昭和二十三年の十月に同社の子会社であつた株式会社日産造船所に役員として入りまして、二十四年に同社が経営不振のために解散になりましたのでその後清算をやりまして、二十五年の十月に上京して、失職しておりました。いろいろ関係筋を求めて就職の運動をしておりましたがこれといつてございませんので当時十一月の初めだつたと思いますが、新聞広告によりまして、十一月の中旬だつたと思いますが、現在の保全経済会に見習として入社いたしました。
#13
○塚原委員長 見習として入社されたのは、そうすると新聞広告によつて入つたわけですか。
#14
○松本証人 さようでございます。
#15
○塚原委員長 見習として入つて、最後は理事長室長ですね。
#16
○松本証人 さようでございます。
#17
○塚原委員長 その間どういう職務を経て来られたか、御説明願います。
#18
○松本証人 お答えします。初めは見習として入りましていろいろ雑務をやつておりましたが、当時保全経済会の本店は上野にございました。それが二十五年の暮れに現在の日本橋の橘町に引越しいたしましたが、そのときに、今まであつた本店が上野支店になりましたので、私が支店長か支店長代理としてそこに残りました。そうして、二月か三月かはつきり記憶いたしませんが、そのころに本店に企画課長として転勤しました。それから、四月だつたと思いますが、文書課長を兼任し、また証券課長の仕事も代行いたしました。それから二十六年の十月に東海総支店長を命じられて静岡に参りました。爾来昭和二十八年五月の中旬まで東海総支店長として勤務しておりました。二十八年の五月の中旬から本店に転勤になりまして、理事長室次長に就任いたしました。当時室長はおりませんでした。それから九月の初めに理事長室長の辞令をいただきました。爾来理事長室長で、解雇されるまで室長の地位におりました。
#19
○塚原委員長 単に新聞の広告だけで入つたにしては、非常にいいポストをまわつておられるようなんですが、実際に新聞の広告だけでお入りになつたのですか。それともどなたかの紹介とか知合いがあつてお入りになつたのではないですか。
#20
○松本証人 お答えいたしますが、その点は、全然知合いはございませんで、申し上げたように、新聞広告で二度ほど行きまして、選抜されて入社を決定されたのであります。
#21
○塚原委員長 最後にやつておられた理事長室長という職務内容はどういうものなんですか。
#22
○松本証人 お答えします。理事長室長というのは、会の組織をちよつと申し上げますが、理事長室、総務、経埋、地方、不動産、証券、人事、この一室六部ありまして、理事長室はその下に秘書課、監査課、予算課、渉外課、この四課を統合しております。室長の仕事と申しますと、世間ではよく、官房長と申しますか、そういうふうな地位だと言われておりますが、社規では、理事長室の仕事として、先ほど申しました四課を統轄する以外に、業務並びに運営の全面立案並びに諸規定の制定、資金の運営計画、そういうふうな非常に大きな権限を持つておるように規定されております。けれども、実際に私がやつて参りました仕事は、そういつた根本的な仕事は一切やつておりません。たとえば営業の企画立案と申しますか、そういうことは大体地方部において一切やりまして、その立案が稟議書になつて私のところへまわつて参ります。私はそれを理事長に取次いで、その決裁をもらつて、その案の決定されたものを地方部に伝える、こういうふうな仕事であります。それから、稟議書の取扱いを私のところでやつておりますが、これ客部からいろいろな稟議事項を稟議書にまとめて持つて参りまして、それを取次いで、理事長の判を捺印、決裁を求めるというふうになつております。私がみずから決裁するものはほとんどありません。ただし、二、三、業務上の書類の作成とか、あるいはその他不動産のごく小さな金額のものとか、そういつた簡単なものは私が二、三決裁したことはございます。そういう程度で、世間から見られるような非常に大きな権限は実際は持つていなかつたのであります。よく言われておりますが、会の特性と申しますか、完全に近いほどの独裁形態で運営されておつたのであります。この点は、私たちも実際にいろいろな仕事をやれないで、一々やはり理事長の指示のもとに仕事を進めておつたような次第であります。大体そういう程度であります。
#23
○塚原委員長 そうしますと、保全経済会の経理状況あるいは資金繰りの状況なんというものはあまり知らなかつたわけなんですか。どうなんです。
#24
○松本証人 先ほど申し忘れたかと思いますが、資金繰りについて一切の権限というものは持たなかつたのでありますけれども、私が着任いたしましてからは、その点は承知いたしました。
#25
○塚原委員長 そうしますと、その資金繰りの最も苦しくなつたのは大体いつごろだつたですか。
#26
○松本証人 最も苦しくなつたのは九月の下旬ごろからであります。
#27
○塚原委員長 何年ですか。
#28
○松本証人 昭和二十八年の九月の下旬ぐらいから非常に資金繰りが困難になつて参りました。
#29
○塚原委員長 その一番苦しくなつたとき、理事長の伊藤さんはどういう対策をとつておられたか、御存じですか。
#30
○松本証人 対策と申しますか、具体的にはやはり資金をつくるということがその当時は大きな眼目でありました。その点は、私初め証券部長その他の部長、理事あたりにお願いして、資金の調達にそれから非常に多忙をきわめておりました。
#31
○塚原委員長 ですから、具体的に伊藤理事長がどういう手を打たれたか、御存じありませんか。
#32
○松本証人 具体的に九月ごろから特にかわつた点はございませんでした。
#33
○塚原委員長 九月が一番困つたときだと言いましたが、十月の十日ごろ、伊藤理事長が新夕刊社長の山崎一芳――あなた、この方は御存じですね。
#34
○松本証人 知つております。
#35
○塚原委員長 これに対して、六千万円金をつくつてくれ、できなければ三千万円でもよろしい、たいへんなことになるというようなことを電話で申込んだというような事実をわれわれ聞いておるのですが、こういうことを松本君は御存じですか。
#36
○松本証人 電話かどうかの点はちよつとわかりませんが、そういう依頼のあつたことについては知つております。そうして、六千万円じやなくて、そのときには千二百万円の借入れはしたことがあります。
#37
○塚原委員長 それは、あなたはどういうふうな関係のされ方をしましたか。あなたが行かれたのですか。
#38
○松本証人 私が一、二度山崎社長のところに行つたこともあります。
#39
○塚原委員長 それ以外にはどなたか行かれましたか。
#40
○松本証人 それ以外には山崎社長のところには行かれなかつたように思いました。
#41
○塚原委員長 主としてあなたがおやりになつた、こういうわけですね。
#42
○松本証人 その点については私が主としてやりました。
#43
○塚原委員長 結局千二百万円しかできなかつたのですね。
#44
○松本証人 はあ。そのときはそうでございます。
#45
○塚原委員長 やはり一番苦しくなつた昨年九月から十月にかけて、伊藤理事長は平和相互銀行及び近藤商事というような会社からお金を借りたようでありまするが、このことは御存じですか。
#46
○松本証人 知つております。
#47
○塚原委員長 これはどなたがあつせんされたのですか。
#48
○松本証人 平和相互の場合には、六日商事の専務をやつておられます内田広輔さんからあつせんを受けております。それから近藤商事の場合には、今の山崎さん、児玉さんからのあつせんで、それから明治座の社長新田新作さんにもお願いしております。
#49
○塚原委員長 このお金は何に使つたのでしようか。
#50
○松本証人 これは主として人件費、経費に充てております。
#51
○塚原委員長 人件費ですか。
#52
○松本証人 経費ですね。
#53
○塚原委員長 今あなたが申された六日商事ですか、この社長の内田弘輔さんという方はあなたはよく御存じですか。
#54
○松本証人 知つております。
#55
○塚原委員長 これはどういう方なんでしようか。
#56
○松本証人 詳しいことは存じませんが、元東京国税局におられた方だというように聞いております。その程度しか私は存じません。
#57
○塚原委員長 国税局に勤務された時代に、保全経済会の査察をなさつたというようなことは知つておりませんか。
#58
○松本証人 それはあとでちよつと聞きました。
#59
○塚原委員長 あとで聞いた……。
#60
○松本証人 はあ。その当時は私はおりませんでしたから。
#61
○塚原委員長 六日商事という会社には、元大蔵省に勤めておつたような人が大分おられましたか。どうですか。
#62
○松本証人 その後、二十八年の何月でございましようか、八月ごろでございましようか、小川何とかという方がお入りになつたようでございます。
#63
○塚原委員長 小川何というのか、わかりませんか。
#64
○松本証人 ちよつと失念いたしました。
#65
○塚原委員長 あなたが保全経済会に勤務中、いわゆる政界の方で接触した方はございますか。
#66
○松本証人 ございます。顧問の平野力三さん、それから早稻田柳右エ門さん、それから大谷瑩潤さん、それから小平忠さん、そういつた方でございます。
#67
○塚原委員長 平野、早稻田、大谷というのは、われわれもここへ証人として、顧問団としておいで願つたのですが、小平さんとはどういう御関係で接触されたのですか。
#68
○松本証人 これは、日にちははつきり覚えませんが、昨年の七月だつたと思いますが、平野先生の御紹介で、その紹介されたのは、事務所か、電話であつたか、ちよつと記憶いたしませんが、紹介を受けまして、北海道信機株式会社――これは北海道札幌にございますが、その会社に六百万円だかの増資か何かをするから出資をしてくれないかということでございましたので、私その後小平さんとお会いして、それから伊藤理事長にもその後会つていただいて、理事長は二百万円ならよろしいという話でありましたので、理事長か不在中だつたと思いますが、私がその金を出すようにいたしました。それは、北海道の総支店が札幌にございますので、そこに電送して、そこで受取つていただくようにしたと思います。そうして間もなく北海道信機の株券を私の方にいただきました。それは譲渡証付のものです。
#69
○塚原委員長 平野さん、早稻田さん、大谷さん、小平さん、これ以外にはございませんか。
#70
○松本証人 ございません。
#71
○塚原委員長 それでは次に承りますが、伊藤理事長のいわゆる立法化運動ということが大分問題になつておりますが、この立法化運動について何か聞いたことはございませんでしたか。
#72
○松本証人 さきほどもちよつと触れたと思いますが、保全経済会は、特異なと申しますか、完全な伊藤理事長の独裁的な運営の状態でありまして、この立法運動についても具体的に私たちが外部に働きかけるというようなことは一切やつていないのでございます。それで、理事長室長として最も側近にある私がそういうことを知らないはずがないとよく言われるのでございますが、この点については理事長も、どういうふうに具体的に運動しているかということは私にも一切話していただけなかつたのであります。ですから、具体的には私は存じないのであります。ただ、立法運動といいますか、前には立法促進委員会、休業直後には再建対策委員会というものもあつたのでありますが、実際にやつている仕事は内部の事務処置程度のものしかやつていないのであります。
#73
○塚原委員長 保全経済会が休業後顧問団と伊藤理事長との間に対立があつたということをわれわれは聞いておるのですが、事実はどうだつたのでしようか。
#74
○松本証人 これは確かにあつたように思います。なぜ対立したかと申しますと、休業後伊藤理事長は、この業態と申しますか、出資者を救うには業態の立法化をお願いして、それによつて最終的な出資者を救うというような理念を常に強く持つておられたようであります。そういつたことで、理事長は自分の信念に向つて邁進しておられたように思います。ところが、顧問団、すなわち平野先生、松本先生たちの考え方は、理事長とは考えが少し違つておるように承つております。それは、そういう立法化ということは非常に困難である、だから、それよりはまず出資者を救うためには第二会社みたようなものをつくつた方がいいんだというようなことで、意見が対立したように聞いております。第二会社と申しましては、現在残つておる財産を換金するか、あるいは基礎にするかして、不動産会社と申しますか、そういつた種類の会社をつくつて、そうしてこれを運営することによつて長期的にこれを返済して行く、こういうような考え方でおられたようであります。そういつた点で根本的に考え方が対立したかと思います。その点聞いております。
#75
○塚原委員長 保全経済会が今日のような状態になつて、大分たくさんの方に御迷惑をおかけしておるのですが、こういう事態に立ち至るというふうにあなたは考えておりませんでしたか、どうでしたか。
#76
○松本証人 私は、入つて以来、財産状態は本店に着任するまで一切知らなかつたのでありますが、こういう事態は全然予測したこともありません。直前まで予測したことはありません。
#77
○塚原委員長 けつこうです。委員の諸君で御質問がありましたら……。古屋君。
#78
○古屋(貞)委員 第一にお尋ねしたいことは、証人は、相当の学歴を持つておられるし、いろいろの商事関係に携わつて参りましたから、日本の経済原則、さようなことはよく御存じだろうと思うのですが、まず、この会にお入りになられて、しかも東海の総支店長をされて第一線の仕事をしたらしいですが、保全経済会の仕事並びに事務をお進めになられます関係上、これが終局的には結局現在のように営業を休止しなければならぬことになる、かように私ども経済常識から考えられるのでありまするが、最初入社いたしました当時のこの会の内容並びに営業の状況と申しましようか、そういうことについて、当時の月二分の利息を出資者に配当することができるという御確信を持たれておつたかどうか、持たれておつたとしますならば、その根拠はどこに置かれたか、これを御説明願いたいと思います。
#79
○松本証人 お答え申します。入社当時月三分の配当を出しておりましたが、大体その当時の情勢から見まして、一般経済界では相当高率な配当をやつておつたように思います。大体平均しても三割から五割くらいの配当をやつておつたように思いますが、その当時の状況でありますと、私の記憶が間違いかもしれませんが、そのくらいの程度は、証券投資その他の事業投資を活発にやれば、やれるんだというふうな考えを確かに持つておりました。しかし、その当時実際にそうであつたかどうかということは、私たちに経理の状態をはつきり説明していただいたことはありませんので、実際面については私はよく存じなかつたのであります。一応私たちはそのくらいの程度ならやれるのだろうというように考えておりました。
#80
○古屋(貞)委員 非常に抽象的なお答えでございますが、相当莫大な金を集めておられるのでございますから、約束通りの月三分ないし二分の配当ができる根拠が、ただいまのような抽象的なお考えでなくして、たとえば証券の売買では、当時の営業状態から言いましても、このくらいにもうかる、あるいは人件費はこのくらいかかる、なお進んでは、不動産を買い入れることによつて、その利潤が、経済原則に基いてもこのくらいにはなるというような、綿密な現実に即した御調査なり、あるいは研究なりをなされておやりになつたのか、それとも、単に、就職をすることが困難で、失業されておつたので、ただここに就職することによつて自分の生活の維持ができるというような考えでおやりになつたのか、その点を承りたい。と申しますのは、相当零細なお金を集めている事業でございますから、良心的でありますならば、さような約束が履行できるという経済的な基礎つけがなければ、さようなお仕事には従事できないと私どもは信じますので、その点について具体的に御研究をなされた事実があつたかどうか、あるいは綿密にこれについてお考えをなされて、そうしてこの仕事に従事されたのであるか、その点を承りたい。
#81
○松本証人 お答えいたします。ただいまの御質問でございますが、入社当時は経理状態から財産状態一切われわれが見ることができなかつたのでありまして、そういう具体的な数字の計算はやりませんでした。その後も、ただ概括的に理事長の説明を聞いておるだけで、計数的な精密な計算というものはやりませんでした。この点は、私としても自分の不明をわびなければならぬかと思います。
#82
○古屋(貞)委員 昨年の十月二十四日に経済会は休業を余儀なくされたのでありますが、その当時は非常に重要なポストにおつきになられておつたので、かような事業は自転車営業と申しますか、究極においては事業が成り立たなくなるということを、現在証人自身はお考えになつておるかどうか、この点はいかがでしよう。
#83
○松本証人 お答えいたします。休業時までの状態で、現在ああいうふうな事業が成り立つかどうかというような御質問かと思いますが、私は今でもああいう事業で経営の仕方によつてはりつぱに成り立つというふうに考えます。
#84
○古屋(貞)委員 そうしますと、経営のやり方が保全経済会では拙劣であつたと、こういうことになると思うのですが、その拙劣であつたということに対する具体的の、どういう場合が拙劣であつたか、御指摘願えればけつこうでございますが、さらに、伊藤理事長の大蔵委員会などで証言をされていまする内容から考えますると、立法化の何らかの措置が行われなければやれない、従つて二年ぐらい前から立法化の問題を自分は努力したということをおつしやつておりまするけれども、そういう立法化の問題が実現しないために事業が破綻したということになるのか。あるいは、本小委員会で調査いたしますると、莫大な不明の金が保全経済会から喪失した。従いまして、そういうような、莫大な金が喪失したというのが原因であつたのか。その拙劣さということ、及びいわゆる破綻を来すに至つた直接の原因はどこにあつたと証人はお考えになりますか。たとえば、伊藤理事長が、あるいはその他の社員が莫大な不明の金をどちらにかなくしてしまつた、あるいは一方においては立法化ができなかつた、かような関係、あるいは営業政策において拙劣な処置をされた、それらのいずれにその原因があるとお考えになるか、ひとつ承りたい。
#85
○松本証人 お答えいたします。経営が拙劣であつたかどうかということは、これはいろいろ考え方があると思いますが、やはり私は、先ほど申しましたように、成り立つと申しましたのは、運転資金の増加をはかり、常に利潤の追求を積極的に頻繁に繰返すことによつてそのことは可能であるというふうに私は一般論として申し上げたのであります。しかし、実際問題として保全経済会が拙劣であつたかどうかということ、この点は、休業に至つた過程を見て、あまり感心はできなかつたということも言えます。それから、休業の直接の原因は何だというような御質問だと思いますが、これは二十八年度の風水害とか、二十八年度の八月から実施されました源泉徴収による大品解約者が大分出て来た、こういつたことから受入れ成績というものが伸びなかつた。逆に、解約と申しますか、出資金の返還でございますが、そういつたものがだんだんふえて行つたというようなことから休業のやむなきに至つたのではないかというふうに考えております。先ほどお話のありました使途不明の金があるからそういうふうになつたのだという点は、そういうことはないというふうに私は考えております。やはり解約が急増したということが大きな原因であります。そういうふうに私は考えております。
#86
○古屋(貞)委員 ただいま証人が証言されたところの源泉課税、これは当然なことです。利益配当だというならば源泉課税を納めるのは初めから当然なことであつて、これを経営の一科目として取上げないこと自体がすでに問題になる。それから風水害の問題でありますが、結局、この事業というものが自転車営業であつて、あとから募集されて入つて参ります金を前の利益配当にまわされる、それが断たれたがためにだめになつたのだというふうに私どもは信じます。従いまして、証人自身はこの営業が成り立つという考え方の根拠は具体的に経済的に御指摘にならぬようでありますが、私どもは、初めからこれは成り立たないのだ、従つて何かの立法処置がなければできないのだという伊藤の証言が私は正しいと思いますが、これ以上あなたに追究をしても議論になりますから、やめます。
 そこで、もう一点お尋ねしたいことは、あなたは理事長室長に就任される前は次長をされておつた、次長に就任されました昨年の九月ごろには室長は欠員であつた、こうおつしやつておられますが、その欠員になります前には望月京一という方が理事長室長をなさつておつた事実を御存じであるかどうか。それから、望月京一という方は理事長室長を兼ねて経理部長をされておつたという事実を御存じであるかどうか、この点いかがですか。
#87
○松本証人 お答え申し上げます。私か本店に転勤する前には、理事長室長も次長も空席でありました。望月室長は、昭和二十七年の十一月だつたと思いますが、退社いたしましたその当時は理事長室長と経理部長を兼ねておつたように思います。
#88
○古屋(貞)委員 なお、証人が御就任なされた当時並びに昨年の十月二十四日経済会が休業宣告をいたしました当時、理事長室の祕書課長は井上俊吾さんという方が御就任になつておられたかどうか、この点いかがですか。
#89
○松本証人 お答えします。井上君は、私が着任するときは秘書課長でありました。それが八月末までは秘書課長で、九月一日からは調査役付課長になつたと思います。ですから、休業時は秘書課長は空席だつたと思います。
#90
○古屋(貞)委員 望月京一さんが二十七年の十一月退社するに至りましたその原因等は証人御存じであるかどうか。この点はいかがでしようか。御存じになつておれば、大略でよろしゆうございますから簡単にお答え願いたい。
#91
○松本証人 お答えします。この点は私詳細存じません。
#92
○古屋(貞)委員 証人は理事長室長をお勤めになられたので、そのお仕事についてはただいま委員長からお尋ねがございましてお答えがあつたのでございますが、望月京一が、理事長室長を兼ねて経理部長をなされておる当時、非常に伊藤理事長と密接な関係を持つて、保全経済会のお仕事を終始理事長の陰になりひなたになり、二人の方たちが一緒になられてお仕事をやられたこと、活発に活動されていたこと、かような状況については御存じがありましようかどうか、これが一つ。
 それから、なお、伊藤理事長については、ただいまの井上俊吾氏が、やはり秘書課長当時は伊藤理事長の介添役として終始一緒に行動された状況に置かれたような事実があつたかどうか、この点はいかがでしようか。
#93
○松本証人 お答えします。望月さんと伊藤理事長の関係は、かなり古くから御関係があつたように聞いております。私が入社当時は、正式な社員としてではなく、いろいろ相談をしておられたのであります。それ以来本店に常勤されるようになつたのはいつごろからか知りませんが、ちよつと忘れましたが、二十六年になつてからだと思います。理事長の信頼を得て相当仕事をやつておられたことは聞いておりますが、具体的にどういう関係を持つて仕事をされたかということについては詳細私は存じません。
 それから、井上君についてでありますが、これは二十六年の夏ごろだつたかと思いますが、秘書課長として本店に参りまして、理事長の私的な、あるいは公的な仕事を相当活発にやつておつたことは知つておりますが、私の不在中のことでありまして、詳細な点については存じません。
#94
○古屋(貞)委員 ただいま委員長のお尋ねに対しまして、経済会が非常に苦くなられたのは二十八年の九月ごろから十月ごろだ、かような御証言がございましたが、伊藤理事長は大蔵委員会におきましては、大体昨年十月二十四日の休業宣言をいたしまする四箇月くらい前から非常左前になつて来て、何とかしなけばやつて行けなくなつたというようなことをおつしやつておられます。これは程度の問題なんですが、やはり四箇月ぐらい前から伊藤理事長は何とかしなければ経済会の経営が成り立たないというようなお考えから相当これに対する対策をおやりになられたような事実があつたかどうか。証人は理事長室長でございますから、よく存じていると思いますが、その点ははいかがでございますか。
#95
○松本証人 お答えします。ちようど休業前の四箇月ぐらいといいますと、私が着任した当時でありますが、その当時非常に苦しかつたかどうかという、その程度の差でございますが、私は非常にという言葉は当らないと思います。それほど苦しい状態ではなかつたのでございます。その点でどういう対策があつたかということでございますが、一つございます。六月の末か七月かと思いますが、地方部から、積極的な営業の振興策といいますか、サービスをやるという目的と、営業の拡張といいますか、そういつた意味で六箇月の契約を始めた、いわゆる懸賞付の六箇月契約をやつて八月の一日から実施いたしました。そのことはございます。
#96
○古屋(貞)委員 なお、先刻委員長からのお尋ねに対しまして、昨年の九月から十月にかけて理事長が平和相互銀行から金を借りた――。その借りた額、どのくらいの額を借りたのか、それに対して無担保であつて信用貸であつたかどうか、もし担保を入れたとすれば、その担保は何であつたか。この額と借りる手続の状況、おわかりになりましたらお知らせ願いたいと思います。
#97
○松本証人 お答えします。先ほどもちよつと申しましたが、平和相互には六日商事の内田専務からあつせんを受けました。九月の三十日だつたと思います。それは金三千万円也でありますが、但し三つにわかれております。一つは六日商事に借りていただく、一つは上野工業に借りていただきまして、合計三千万を借りたのであります。担保は、総合いたしまして、日本テレビ放送網株式会社の株式、額面六千万、全額払込み、株数にして十二万株全部と、それから現在の本店の土地、建物を担保に入れましたものだけでございます。
#98
○古屋(貞)委員 そのお金の使い方については先ほど委員長からもお尋ねがございましたが、証人の御存じになつておられます大略を御説明願いたいと思います。先刻人件費に使われた、かような関係がありましたが、人件費に使われたとすれば、従業員が何人で大体どのくらいか、具体的に使途の御存じになつている範囲の御説明はできるかと思いますが、御説明を願いたいと思います。
#99
○松本証人 お答えします。先ほど人件費云々と申し上げましたが、あれはいわゆる一千二百万円の分についてでありまして、この平和相互の三千万に十月分の支店送金に充てたのであります。ですから、これは人件費とばかりは言えません。大体人件費及び支店の諸経費、それから解約返還金あるいは配当金、こういつたものをくるめて支店送金いたしますから、全部含まれております。すなわち支店送金に充てたのであります。それから、もう一つ、人件費でありますが、社員は全国本支店合せて約千四百くらいおります。人件費といたしましては千四百万、一人平均約一万円程度でございます。
#100
○古屋(貞)委員 そこで、承りたいのですが、十月二十四日までの大体の日本中の支店あるいは出張所で集めました現金は電報で本社に届けられているということを私も承知しております。それから、二十四日後におきましては、――私も直接関係を持ちまして、支店に、すでに十月の二十四日前に満期になりまして払い込みました金がもどる筋合いになつておりまするのに、これをもどしてない。従いまして、配当はもちろんしてない。それから解約の問題につきましても、第一線では金をほとんどもとしておりませんが、その点はいかがでございましようか。すでに出資金の返還をしなければならぬ期日が経過しておるものについても返していない、解約はもちろん受付けない、もちろん利益配当は支払つてないという状況でございますが、実際にその金が行つたのであるか、ほかにこれを流用したのであるか、現実に証人は御存じであるかどうか。私どもまことにふしぎに思うのです。支店や出張所におきましては、あの休業宣言で事務をほとんどとつておりません。むしろ、三箇月の間猶予してもらいたいという口実のもとに何らの支払もしておりませんから、人件費以外の金は必要ないはずなんです。人件費についても、あとで調査いたしますというと、満足に従業員に支払われていないというような状況でありますので、この金の使途が私ども納得が行きませんが、確かに証人はこれが日本中の支店に送金された事実を御存じでありますか。この点、確信のある御答弁を願いたい。
#101
○松本証人 お答えします。九月末の三千万については、確かにこれは支店送金しております。支店送金と申しましても、月資金の第一回の送金に約一億前後のものがいるのであります。その中にその三千万円は含まれております。確かにこれは送つております。それから、休業前に期限が来たものが支払われなかつたというような事実があるか――。実際あるかもしれません。それは二十四日を切つて、その近くの二、三日前あるいはせいぜい四、五日前程度のものはそういう事実があつたかもしれません。と申しますのは、その後十月になつて資金繰りが非常に困難をきわめて、支店送金が停滞した事実がございます。それで、十月の中旬後はあまり金は行つてないと思います。そういうことから支払いができなかつた店もかなりあると思います。
#102
○古屋(貞)委員 そこで、もう一つお尋ねしたいことは、保全経済会が休業の宣言をいたしました十月二十四日の日まで、第一線では金を集められて本店に送金をしておる事実があるのでありますが、その当時一体どのくらい本店に送金された金があるか。もつとくだいて申しますと、十月二十四日ないし二十五日現在においては日本中の支店並びに出張所から送金された金がどのくらいありましたか、おわかりになりましたら御説明願いたいと思います。
#103
○松本証人 お答えします。その当時の入金、いわゆる支店から本店に対する送金でございますが、入金関係の数字については、私担当の係でございませんからよく存じませんが、大きな金を送金されたことはないように聞いております。その程度であります。
#104
○古屋(貞)委員 大体おわかりになりませんか。たとえば、これは法務委員会で鍛冶委員のその当時の質問でございましたが、自分の承知しておるのは、二十三日の日に二百万円の出資をしたので、翌日取返しに行つたけれども返されなかつた、こういうような事実が具体的にあるわけです。日本中では相当の金が集まつたと思うのですが、大体の金はわかりませんか。今の証人のお話のように、送金をしたことは具体的に存じておるというならば、どういうぐあいの金でどのくらいある、従つてどのくらい送らなければ支店では処置ができないということが大体目安がついたからこそ私は送金されたことと思う。従いまして、他から金を借り入れてまで送るという状況でありまするならば、お手持ちの金の大体だけは証人も御存じのはずだと考えられるのですが、大体おわかりになりませんか。
#105
○松本証人 お答えします。保全経済会の本支店間の送金状態、入金関係を簡単に申しますと、五日目ごとに、たとえば一日から五日までに支店に入りました金を六日以後において本店に電送されることになつております。そういう関係で、二十四日までの分は、あれは土曜日だつたと思いますが、二十六日以後から送られることになるわけでございます。ところが、ああいう休業という事態になりましたので、普通の月から行けば大体六、七千万くらいは送つて来るはずでございます。しかし、そのときは、こちらから送る金も満足に行つてなかつたと思います。多少は行つておりますけれども、ごくわずかなものだつたと思いますので、そう金額は多くはなかつたと思います。その額については私今ちよつと記憶ございません。
#106
○古屋(貞)委員 それじややむを得ませんが、そこで今度は進んでお尋ねしたいのは……。
#107
○塚原委員長 古屋君にちよつと申し上げますが、まだ十人くらいの委員の諸君からそれぞれ質問の要求がありますから、なるべく要約してお願いします。
#108
○古屋(貞)委員 なおお尋ねしたいのですが、こういうようなことを証人は御存じないですか。それは、昨年の十二月七日の日に、全国の保全経済会類似の営業をやつておる金融関係者が寄つた席上において、伊藤理事長は、十五万ないし十七万の零細な預金者であるから、これを何とか自分としては責任を持つて損害をかけないようにしなければならない、その唯一の道といたしましては政府の立法化以外にはない、必ず立法化をしてもらえるということを新聞社にも発表しておるのです。当時は、法務委員会におきましても、大蔵委員会におきましても、すでに保全経済会の問題が取上げられて、相当調査を進められておるさ中でございましたけれども、さように非常に確信のある態度をもつて全国の出資者に対する応待をされたのですが、伊藤理事長がはつきり確信を持たれた何かの基礎があつたようなことを証人は存じておられるかどうか。もつと詳しく申しますならば、伊藤理事長は、相当大きな政党の政調会長というような方たちと、立法化を、いわゆる投資銀行の立法化をしてやるというような約束が行われて、書いた書面を持つておられる、こういうことを私ども仄聞しておつたのでありますが、さような話や、さような片鱗を証人にお話になつたようなことがあるかどうか、この点はいかがでしよう。
#109
○松本証人 ただいまの質問のようなことは、私は実際聞いたことがないのでございます。実は私もその根拠が何だと言つて尋ねたことも何回もあります。けれども、理事長はその具体的なことについては私にさえ言つたことがないのでございます。これは最近までそうであります。
#110
○古屋(貞)委員 証人も質問までするというような態度に出られておられたのですから、さような話はされないけれども、相当確信のある態度であつたかどうか、その点はいかがでしよう。
#111
○松本証人 その点は、自信のあるお答えはしておられたのであります。
#112
○古屋(貞)委員 過ぐる日に保全経済会は出資者代表に対して残存財産の一切を引継がれた、こう承つておるのでありますが、その引継がれました財産の総額を、大体でよろしいですからお伺いしたい。それから、その引継ぎに対する手続がいかなる手続で引継がれておるか。私どもが承知いたしますところによると、全部の代表者の意思表示ではない。これらの代表者に対する財産引継ぎに対して不平を持つておる人も出資者の中には相当ある。従いまして、この出資者の代表者と称する者の資格は、保全経済会では法律上確実に有効適切なものと考えられて引継ぎをされたかどうか、有効適切なものと考えられて引継ぎをしたとするならば、その法律上の根拠は何であつたか、この点を承りたいと思います。
#113
○松本証人 去る一月の出資者大会――全国の出資者代表の大会でありますが、そのときには、各店から各委任状をとりまして代表者を選び、それから県別で選び、地区別で選んだ代表者を集めたのであります。そのときの会場に私は実際は初めはいなかつたのでありますが、委任状の数を、その地区別の数ははつきり確認はしなかつたと思います。けれども、各総支店長の話では、過半数であることには間違いないということは聞いております。あの大会が法的に成立するものか、あるいは違法であるか云々ということは、実は深く考えなかつたのでありますが、過半数であるということによつて一応全投資家の代表であるというふうに理事長も判断されたと思います。そうして、これをいわゆる委任する場合には、一応各地区から一名ずつ代表を選びまして、その十人の方とお話して、委任というか譲渡というか、契約覚書を交換せられたと思います。それに基いて、二、三日たつてから実際に書類の引継ぎを終りました。二、三日か、もう少しかかりましたが、財産の名義変更云々の手続は済んでなかつたように思います。その引継ぎの場合に、出資者の代表の方で保全出資者の組合、民法上の組合をつくられておりますその組合に向つて、理事長は財産を引継ぐという手続をとられた、こういうようなことです。それから、その財産の額でございますが、これは、不動産、有価証券、その他いろいろありますけれども、どのくらいになりましようか、評価の仕方によつてかなり増減することだと思います。その点は、大体どのくらいという金額を表示したあれはなかつたと思いますが、財産目録一切は全部提示いたしました。
#114
○古屋(貞)委員 最後でございますが、その当時それに反対をされておられた方があつたように私ども承知しております。なお、その後になりまして、近藤航一郎弁護士などから別に破産の申請をしておるということを承つておりますが、さような事実があるかどうか。ただいまのような出資者代表では法律上権限がないわけなんです。しかも、組合を結成したとはいうものの、これまた財産管理者としては非常にあやふやなものであつて、ほんとうに保全経済会の伊藤さんが責任を感ずるならば、こうしたあやふやなものに財産を渡すということ自体が非常にけしからぬ、私はかように思うのであります。証人を責めるわけではありませんが、当時さような状況に置かなければならなかつたような事情になつておつたのかどうか。私どもから申しますならば、むしろ裁判所にこの財産を管理していただいて、公平な立場から破産の決定をいたしまして、公平に全債権者に残存財産の配分をするのが責任者としてとるべき態度であつたと思つたのですが、これに対して証人はさようなお考えを持つておつたかどうかということが一つと、先ほど申した現に破産申請をされておるような事実があるかどうか、それから昨年の十月二十四日以後のあなたの承知しておられる範囲において伊藤さん並びに本店で大体支出されました総額がおわかりになれば参考までに伺いたい、この三点であります。
#115
○松本証人 第一の、最近破産申請の事実があるかどうかということでございますが、これは聞いております。近藤航一郎弁護士を代理人として、綱島外六名くらいの出資者の連名で破産申請がなされておるようです。
 それから、財産を渡すときの状態と、その前から申し上げさせていただきます。伊藤理事長は、休業後、出資者のためにならぬことは一切いけないというような強い考えを持たれまして、何とかして一番いい方法をとらなければならないというふうに考えておられました。それで、結論的には、ことしの大会の前には、この保全経済会の財産は出資者の財産であるから、これを最も安全に管理あるいは処分するについては、やはり現在の段階では和議の方法以外にはないのだ、すなわち裁判所の管理下に置く以外にはないのだ、こういうような強い考え方を持つておられたのであります。それで、大会のときには、原弁護士に列席していただきまして、現在では出資者を救うためにはやはり和議の方法以外にはないのだというような意味の強い発言をされるように、実は理事長も準備をしておられたのであります。ところが、十五日の大会の席上で空気が非常に悪かつた。もう理事長のあいさつがあるとすでに場内は騒然として収拾ができないような状態に実はなつたのであります。そういうようなときにただ、理事長、お前はやめろとか、あるいは財産を出資者に返せとかいうような声が非常に強かつたのであります。そういう状態のままで、収拾がつかないで、代表者が別室へ行かれまして、いろいろ協議されたので、原弁護士ももちろん行かれましたが、協議された、遂に財産をそのまま出資者の代表の方に差上げるといいますか渡す、こういうふうな結果になつておつた。
#116
○古屋(貞)委員 不本意だつたんですね。
#117
○松本証人 不本意ながらそういうふうな状態になつておつたわけであります。現在は組合の方もその点はやつと了承されまして、和議手続だけは済ませておるように聞いております。これは非常に私としても喜ばしいことではないかと思います。
 それから、第三の、休業後の支出の件でございますが、この点は、総額どのくらいか、ちよつと私も数字的に覚えませんが、十一月は人件費も満足に払えなかつたように思います。それから十二月は、やつと年末ぎりぎりになつて人件費は払い、各支店、出張所の経費も半額だけは送れなかつたような状態であります。一月については、もうほとんど支出の金は幾らもなかつたように記憶しております。総額についてはちよつと記憶がございませんが、そういう程度でございます。
#118
○塚原委員長 田中角榮君。
#119
○田中(角)委員 簡単に四点ばかりお尋ねいたします。まず第一番目に、証人が解雇せられたのは何年何月でありますか。
#120
○松本証人 お答えします。解雇せられましたのは、昭和二十九年の一月十二日付、全員解雇と同時であります。
#121
○田中(角)委員 第二点は、先ほどの証人の証言によりますと、保全経済会はりつぱにやつて行けるという信念を最後までお持ちになつておるようであります。しかし、新聞のその後の状況と見るまでもなく、異常経営であつたこいうことは、証人も在職中認められたと思うのであります。異常経営を続けて行くところのこの種業務が、立法化によつて助けられるか、あるいは第二会社的ないわゆる再建方策を考えるか、いずれかの方法をとらなければならないということは当然考えられるわけでありますが、証人はこのいずれを予想したかという点についてただしたい。しかも、立法化も第二会社も全然考えないで、異常経営ではあるが自分の能力の範囲内においてはりつぱにやつて行けると考えたのか。私はそうじやないと考える。とにかくこれほどりつぱな顧問がおられるのであるし、非常に大きな事業をやつておられるのだから、当然、常識的に考えれば、異常経営を脱却するためには立法化か第二会社か、その他適当なる処置を講じなければならないという結論に到達するわけでありますが、このいずれかがとられるであろうと思われたかどうか、思われたならばそのいずれが実現性があつたか、証人の考えを伺います。
#122
○松本証人 お答えします。今の御質問は問題が二つにわかれると私は思います。一つは休業前のことだろうと思いますが、私が先ほどやつて行けると申しましたのは、一般論を申したのでありまして、実際問題としてやつて行けるかどうかということは、大きな努力がなければやつて行けないということは私了解いたします。その当時はこれでいいのだというふうには必ずしも私は考えていなかつたのであります。
    〔委員長退席、高木委員長代理着席〕
それから、第二の点は休業後の問題だこ思いますが、再建策は、立法化されることか、第二会社であるか、こういう御質問でございます。私は、理事長の強い信念を聞いておりますと、まず立法化には一応賛成しておりましたが、しかし、われわれ杞憂というものが必ずあるものでありますから、もしそれができない場合には第二会社的なものでこの会の再建をはかる、そうして出資者に時間がかかつても最後にはこれを返して行くという方法としては第二会社的のものがなければならないということは強く信じておつたのであります。
#123
○田中(角)委員 第三点として、非常にりつぱな専門的な顧問団がついておりましたが、非常に短かい時間に大きな金を集めております。しかも、銀行金融が非常に逼迫しており、中小企業というものが困つておつたので、この種の金融機関が全国的に太つたのじやないかというように第三者的には考えられるのでありますが、これは中小企業金融を緩和するために金を貸したという形態で太つておるのじやない。これはいわゆる中小企業者もしくは農民のたんすの底にあつたところのたんす預金を吸い上げたというような形態で太つておるのでありまして、世に言われているところの銀行金融が逼迫したために中小企業金融というものを助けるためにこういう機関が大きくなつたというような見方とは全然違うのであります。零細な人たちのたんす預金を吸い上げて、非常に大きな金を吸い上げた、こういうところにこの種機関の大きく伸びた原因があるのでありますが、こういう業務拡張等に対して、月に二分というような高金利をもつて、甘いえさでつつたことによつて伸びたとだけは考えられないのでありまして、こういう業務拡張に対して顧問団とかその他の方々を利用したようなことがあるかないか。もしくは組織を利用したかどうかという問題が考えられるのでありますが、この種の問題に対して一つの組織を利用して非常に短かい時間に金を集めておるような同じような利殖機関がありますが、そういう意味において、こういう顧問団の方々に業務拡張について紹介をもらつたとか、業務の実態に対して悪く言えば利用したとかいうようなことがあつたかないかという点に対して、簡単にお答えいただきたいと思います。
#124
○松本証人 お答えします。私も一年七箇月ばかり第一線におりまして、しかも、顧問の平野先生の出身地であります山梨県は私の所管の県でありますが、そのときには、そういう平野先生を特に利用して契約を受入れしたという事実はありません。ただ、各店で話の中に、平野先生も顧問をしていられるというようなことは、これは営業案内にも書いてありますし、いろいろ説明はしていると思います。そういう程度で、積極的にこれを利用したというような事実は、私はありません。
#125
○田中(角)委員 これはあなたに聞くことが無理な質問だろうと思いましたが、念のためにお聞きしたわけでありまして、これはまたいずれ伊藤理事長からでもお聞きしなければならない、こう考えております。
 第四は、最後の質問でありますが、いわゆる再建関係につきまして顧問団が関与したということは、先ほどの証言の中にあつたわけでありますが、いわゆる第二会社の計画案が公表せられております。しかも、そのときには、伊藤君が第三国人の国籍を有しておつたというので、李承晩政府から、わが国の国民の財産を日本の政界人が壟断しようとしておるというような新聞記事が出たことがあります。これにつきまして、当時政界人ということが言われておつたので、私たちも非常に関心を持つておつたわけでありますが、今の状態においては、この種の第二会社はつくられなかつたわけであります。あなたも先ほど当然第二会社式なものは考えられなければならなかつたのではないかというようなことを言われたが、その第二会社の計画及びその主宰者がどういうふうな形態でやられようとしたのか。これに対しては、伊藤理事長は、立法化するのが先だということで、第二会社案をつぶしております。つぶしてはおりますが、いわゆる再建計画について、第二会社案というものと、立法化と、もう一つは常識的に言う、もつと努力して、行きつくところまで行こうという三つの案が最後の段階において相当角逐したということは何人もいなみ得ない事実だと思うのでありますが、この第二会社の計画及びその主宰者、特に再建の計画等に対して、知られる限りつまびらかにしていただきたいと思います。
#126
○松本証人 お答えします。休業後第二会社案というものは確かにありました。私たち本店の幹部級の中にも、第二会社というふうな考え方はありました。それは、先ほども申しましたように、もし立法化ができなかつた場合の対策としてこういうものも当然われわれとしては考えなければならないという観点から、各小委員あたりをつくりまして、いろいろ研究したことがあります。その案は、主として現有財産を主体とした不動産会社の運営ということだつたと思います。それから、顧問、特に松本博士の考え方は、初めからそういうふうな不動産会社が一番いいのだというような考えを持つておられました。平野先生もこの案につきましては非常に賛成しておられたようであります。そういつたあれと私たちも一応連絡して、そういつた第二会社案の具体的な設立の計画といいますか机上プランを研究したことはございます。それで、先ほど申したように、伊藤理事長と顧問団との間に対立ができたというふうなこともございました。第二会社案としては、一応不動産会社案と、それから、昨年の暮れから今年の一月にかけてであつたと思いますが、日韓貿易案、それから証券金融会社案、その他信託案というようないろいろな案が出て来ておりました。この点は、それぞれの専門家と申しますかの人に依頼して、いろいろ研案を進めておつたここは事実であります。
#127
○田中(角)委員 あなたにお聞きするりはちよつと無理かと思つておりますが、もう一点だけ聞いておきたいのは、いわゆる顧問は、主宰者の、俗に言う顧問であり、諮問に応じているわけでありますが、私たちの考えるとこりによると、再建案について伊藤理事長と顧問団との間に相当の対立があつたという問題は、顧問団の立案した第二会社再建案というものが、すでに諮問という面を離れて、独自な立場でもつて、保全経済会の再建はかくあるべしという非常に強い線を出しておつたということは事実だと私は考えます。これに対して――この第二会村案に対して李承晩大統領がこういうふうな発言をしているのでありますから、この顧問団の再建計画に対しての立場は、伊藤理事長の諮問に応じたというのではなく、独自の見解において再建方策が立てられた、こういうふうに考えております。この事態は、私がお聞きしても、あなたは第三者としてうかがい知らない、こう言われれば、もうどうにもならぬ問題でありますから、あえてお聞きはいたしませんが、いわゆる第二会社案をつくつた場合に、最後の計数的な整理をした場合、四十五億がどの程度に縮まつておつたか、第二会社案が現在成立したと仮定した場合、どの程度の債務を切り捨てることによつて返せる――新しい貿易をやるとか、不動産投資をするとかいう問題は別にして、将来の利益というものを全然予想しないで、当時の総体的な財産というものと債務関係とのバランスを見る場合、第二会社案が発足した場合に預金者に対してはどの程度の迷惑をかけることで済んだのかという数字的なお答えが願えればけつこうだと思います。
#128
○松本証人 お答えします。御質問の初めの方であります第二会社案の不動産会社案というものは、確かに平野、松本先生の案だつたというように私は記憶しております。
 それから、この第二会社をつくる実際の計数的な御質問でございましたが、どのくらいの財産をどういうふうに処分して、あるいは現物出資をどうしてという具体的な計算は、私はなかつたように思います。私の方で証券金融の案をつくつたことはありますが、それによりますと、大体資本金を五億か十億というような場合に想定して、このくらいの収益率はあるというような計算はしたことはありますが、全体をくるめてどうということは、計数的にはやつたことはございません。
#129
○高木委員長代理 小林君。
#130
○小林(進)委員 これは委員長にお相談でありますが、もう一時で、昼食の時間も一時間過ぎておるのでありますが、証人の都合で、やはりこれ以上尋問をされる御予定なのか。されるなら私はこれから四、五十分質問させていただきたいと思います。それとも、昼食の時間を設けて、その後にまたこの証人に来ていただいてやりますか。どうしますか。
#131
○高木委員長代理 ただいま小林君の発言もありましたので、午後二時まで暫時休憩いたします。
    午後一時二分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二十分開議
#132
○高木委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。
 松本証人に対する尋問を続行いたします。小林進君。
#133
○小林(進)委員 それでは松本証人にお尋ねいたしまするが、第一番目に、これはあなたのこの保全経済会における客観的な地位を判断をする材料としてひとつお尋ねしたいのでありまするが、あなたが最初に新聞で応募せられたときの最初の給料が幾らで、それから東海の総支店長をやられているときの俸給が幾らで、それからいわゆる理事長室長になられたときの最終の俸給が幾らであるか、そういう点をひとつお伺いいたしたいのであります。
#134
○松本証人 お答えします。入社当時は月八千円であります。それから小刻みに上昇いたしまして、総支店長になつたときは、はつきりした数字を覚えませんが、二万ちよつとだつたと思います。それから在任中少し上昇しまして、本店に参りましてから約三万七、八千円じやなかつたかと思いますが、はつきりした数字を覚えません。それから、室長になつてからちようど五万円いただいておりました。
#135
○小林(進)委員 そのあなたのもらわれておりました五万円の俸給は、望月君が身を引くときの俸給、それから井上秘書課長でありまするか、これがやはり最終にもらつておりました俸給等と比較してどういうことになるか、その点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#136
○松本証人 お答えいたします。望月前室長がどのぐらいの俸給であつたか存じません。それから井上秘書課長は、これは正確に覚えませんが、最終に約三万円弱ではなかつたかと思います。正確な数字はわかりません。
#137
○小林(進)委員 そういたしますと、俸給の上から見ても、まあ、あなたは井上君よりはずつと重要な、いわば枢機に参画し得る地位におられたという一応の判断が立つわけであります。
 次にお伺いいたしたいのは、新夕刊の山崎氏あたりと、休業直前の金の借入れ等の問題であなたは二、三回交渉しておるという証言が先ほどあつたのでありますが、この山崎氏並びに児玉誉士夫、こういつた人と保全経済会との関係を、お知りになつておる範囲内でひとつ証言をお願いしたいのであります。
#138
○松本証人 お答えします。私が本店に着任しましてからは、すでに理事長は両氏をよく知つておられたように思いますけれども、私はそのいきさつについては存じておりません。その後についても、その当時どういうような関係でお知合いになつたかということについて尋ねたこともございません。従つて、現在その当時のことは私存じません。
#139
○小林(進)委員 知合いの関係をお尋ねしているのではないのでありまして、保全経済会とこの新夕刊山崎、児玉両氏との営業並びにあるいは金銭の貸借、授受、投資、そういつた関係を、ひとつお知りの範囲内でお聞かせ願いたいというのであります。
#140
○松本証人 お答えします。山崎氏は新夕刊の社長でございます。伊藤理事長は山崎氏が社長になられるころ新夕刊に対して出資をされております。その後またいろいろその新夕刊の運営については御相談が理事長にもちろんあつたこととは思います。私も着任いたしましてから山崎さんとは初めてお会いしたのでありますが、資金の調達についていろいろ奔走しておるときに、山崎さんにいろいろあつせん方をお願いしたことはもちろん数回ございます。児玉さんについても、十月以前にはあまり私はよく存じておりませんでしたが、その資金関係を理事長が頼まれて、それから後私が何回かお会いしたことはもちろんございます。
#141
○小林(進)委員 十月以後にはあなたは児玉さんにしばしば会つたとおつしやる。それから山崎社長にもその資金の調達その他のあつせんを頼んだと言われる。ものを人に頼んだり、あつせんを依頼するというからには、あなた自身も、この保全経済会と両氏が相当の関係があるとか、あつせんを頼むだけの因縁因果があるというような、何か借りに行く、調達を依頼する前提になるべきもの、前提になるべき関係というものをよく知つていられなければ、そういう数回も数十回も頼みに行つたり依頼をされたりする行為ができないはずだ。まさかあなたは、休業になつたからといつて、私のところに資金のあつせんや調達に来るわけはないでしよう。行くからには行くだけの、何か債権債務の関係とか、特別の関係があるということを了承していられるから行つたに違いない。そういう関係を私はお伺いしたいと思います。
#142
○松本証人 それは、私との関係でしようか、理事長との関係でしようか。
#143
○小林(進)委員 保全経済会との関係ですよ。
#144
○松本証人 それは、先ほども申しましたように、前からのいきさつは私は知らないのでありますが、山崎氏は新夕刊の社長、すなわち早く言えば私の方の子会社的な会社の社長であるといの関係でありますから、これは当然私が行つても何も支障がないことじやないかと私は思います。児玉さんについても、前の関係はもちろん知りませんが、非常に親しい御関係にあるということは聞いておりますから、理事長から言われれば、そういつたことを深く追究しなくても、私の立場では行くのが当然じやないかと私は考えます。
#145
○小林(進)委員 今のあなたのお言葉でわれわれは一つの新しいことを発見した。それはすなわち、新夕刊が保全経済会の子会社である、こういうことを言われた。われわれは今まではそういう関係を知らなかつた。それは一体どうして子会社なのか、それをお伺いしたい。
#146
○松本証人 お答えします。その時期は私もちろん存じませんが、現在資本金は二千万円だつたと思いますが、そのうち保全経済会の持株として千七百万くらいは持つておるように聞いております。そういう意味で子会社的と私は申し上げたのです。
#147
○小林(進)委員 それでは、新夕刊との関係は一応これで納めることにしまして、次は顧問団との関係を、あなたのお知りになつている範囲でお伺いしたいのでありますが、先ほどからも顧問平野力三、早稲田柳右エ門あるいは松本信次といつた方々と、休業になつた後に相当関係をされたというようなお話を承つておるのでありますが、私のお聞きしたいことは休業後の再建工作に関する問題じやないのでありまして、休業に至る前においてこの顧問団と称する三人の連中が実質的に具体的に会社の運営事業その他に対して一体どれほどの関係があつたか、これを私はお伺いしたいのであります。お答え願います。
#148
○松本証人 お答えします。顧問の三人の方が就任されたときの事情は私は存じませんが、私の知つている範囲では、運営の相談とかそういつたことについては具体的に各顧問の方に頻繁にやられたということは聞いてもおりません。そういう関係はあまりなかつたんじやないかというように私は思います。ただ私はときどき店でお会いすることはもちろんありました。しかし、ごくわずかでございます。松本先生にも経営の面について私がお尋ねしたこともございませんし、理事長もその点はないのではないかと私は考えます。また平野先生についても、そういつた運営についてのあれは、私からお尋ねしたこともないし、また、先ほどもちよつとお話があつたのですが、御協力を求めるというようなことも私はやつたことがないのであります。それから早稲田先生についても同様なことが言えると私は思います。
#149
○小林(進)委員 ちよつと話が前後しますが、これもあとからの証言をいただく一つの資料としてお尋ねしておきたい。新聞に応募せられてわずか八千円の俸給で上野の本社当時に就職をせられたあなたが、どうして一体総支店長から最後は室長まで抜擢をせられたかという、あなた自身に関することですが、そういう経緯を、これはあなたの主観でよろしゆうございますが、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
#150
○松本証人 お答えします。私がどうして総支店長から室長になつたかというようなことでございますが、これは理事長が私をどう感ぜられましたか、それは知りませんが、その当時総支店長は東京本店から大体派遣されておりまして、それぞれ相当な年月各地方を巡歴されまして本店に帰つておられまり。それでたまたまその当時は望月さんがおやめになりまして、室長は空席だつたので、私が一番最後に残つたので、そこに持つて来られたのじやないかと私は考えます。また、もう一つは、何かやるのに多少私の学歴を買われたということもあるかとは思います。そういう程度しか考えておりません。
#151
○小林(進)委員 それでは、また元へもどりまして、これもあなたの考えをひとつお尋ねしたいのでありますが、今も言うように、三人の顧問は事実事業の運営その他について何らの相談も協力も関与がなかつたと言われるのであります。そういたしますと、あなたも御承知のように、二年半の間は三人の顧問がそれぞれ相当額の顧問料をもらつていられる。あの三人の、顧問料をもらつて就任いたしておりまする顧問というものは一体何をやつたのであるか、どういう意味で一体顧問にしたのか。いわば名士の名前を連ねて、その名前で出資者をつるという意味においてあれだけの俸給を支払うだけの顧問の価値があつたのか。まさか価値のないものに、無用の長物みたいなものに、そういう二年余の長月にわたつてあれだけの顧問料を払うというはずは私はないと思う。何かそこにりくつがなくてはいかぬ。筋がなくていかぬ。その筋が何であるか。これをひとつあなたの意見をお聞かせを願いたいと思います。
#152
○松本証人 お答えします。私が先ほどそういう経営その他についての相談がなかつたと言つたのは、私の知る限りにおいて私はなかつたというふうに思つておりますが、理事長はやはりお会いしたときに何か参考になるような話を聞いたのかもしれませんが、その点は私はわからなかつたから、そういうような話をしたので、理事長がやはり何かお考えの上でそういつた顧問として、あるいは実際にはいろいろな経済上の知識を注入するとか、何か参考になるような意見は聞いておられたかもしれません。その点は私はわかりません。
#153
○小林(進)委員 これは先ほども言つておりますように、ここは検察庁でも裁判所でもございませんので、お互いにひとつ政治の動向を知るというような話でございますから、気楽にお答えを願いたいと思います。そういう意味において、私は理事長がどのようにこの三人の顧問を利用したか、あるいはどのような意見を徴したかということを今あなたに聞いているのじやない。あなたもほかの一般社員とは違つて、今あなた自身も言われたように、やはり最高学府を終えておるといつたようなことも条件になつてこういう抜擢をせられた、そういうわけであります。一応最高の学歴を踏んで来たというような方々は、いつでもものの見方を批判的に、客観的に判断する能力を持つておる。あなたも、あなたの会社に顧問がいて、その顧問が一体何の役割をして、どこに価値があつた、あるいはくれるだけの俸給に匹敵するだけの価値があるとか、価値がないとか、ここに利用の点があるとかいうことは、これは学歴も何もない平の社員ならともかく、あなたとしてはそれを無批判にそのまま受入れてこういう会社に勤めておられるとは、私には考えられません。やはりあなたはあなたなりに顧問に対する一つの判断と批判は持つておられたと思う。それが学校を出た者の当然の頭であります。そのあなたの持つておられた批判と判断をひとつお聞かせ願いたい、こういうのであります。
#154
○松本証人 お答えします。主観的な判断を申せというようなことでありますが、保全経済会に対して顧問団という方々が、先ほど申しますように、実際にどういう仕事をやつておられるか、どういうプラスの面があるかというようなことは、私たちは知らないのであります。その点から考えまして、実は疑念はもちろん持つておりまして、どうして顧問団のあれがあるのかというその疑問はあります。但し漠然とした考えでありますが、何かやはり経済上の変化というものについて、そういつた方々の知恵を拝借する必要があるからそういう顧問団を置いておられるのだろうというふうに、私はごく軽く実は解釈しておつたのであります。
#155
○小林(進)委員 巷間伝うるところによれば、むしろ伊藤斗福は傀儡であつて、特に顧問中の平野顧問あたりがほんとうの保全経済会の手腕者である、まあ言葉のあやで申しますれば、あれが一番悪党だ、あれが伊藤斗福を追いまわし、切りまわして、保全経済会のほんとうの甘い汁を吸つていた実力者である、こういうような話もこの国会内部にも流れているのであります。だから、そういう点が事実上あつたかどうか、名前は顧問であつても、その顧問が保全経済会をほんとうに支配していたか、こういう点を私はお伺いしたいから、先ほどから同じことを繰返しておるのであります。そこら辺のあなたの御所見をひとつお伺いしたいと思います。
#156
○松本証人 お答えします。今の御質問は、私は非常に奇異な感じを受けます。むしろおかしいと思うのであります。うわさをすることがおかしいじやないか。私の知る限りにおいては、そういう事実は全然ないというように私は信じております。
#157
○小林(進)委員 それでは、顧問関係はこれくらいにいたしておきまして、(「もういいのか」と呼び、その他発言する者あり)諸君らもいよいよこれではつきりしたらしいから……。
 次にお伺いたしたいのでありますが、先ほどから委員長の質問、同僚諸君の質問を私はここで聞いておりまして、あなたが案外お知りにならないということに実は驚いておるのであります。お知りにならぬというよりは、ポイントポイントというか、われわれ行政監察でこことここだけは明らかにしておきたいと思うところを聞いても、あなたのお答えは重点から全部はずれておる。あなたはよほど頭脳明晰なのか、あるいは五万円という多額な給料をもらいながらも、保全経済会の中枢部にちつとも参画しておらなかつたのか、そのいずれかであるとしか考えられないのであります。はなはだ期待はずれの感じを受けるのでありますが、次に私がお伺いしたいのは政党関係なんであります。率直に言つて、こうやつて毎日の新聞に保全経済会の問題が載つておる。これは各党の諸君には悪いようでありますけれども、政党にこだわつて私が質問しているのじやないということを御理解願いたいと思います。たとえて言えば、これは私自身が言うとまた他党を刺戟しますから、新聞の記事を言うだけですから、誤解のないように願います。三月八日の読売新聞には、「今月以来池田勇人(造船関係をも含む)三木武吉、大麻准男氏など政界の大物がつぎつぎと捜査当局に事情聴取されているほか、三千三百万円を受けとつており、その金の性質に多大の疑惑をもたれている広川弘禅氏の召喚も近く行われることに決定、この広川召喚から政治献金もいよいよ核心に入つてくる。」こういうような記事があつて非常に政党献金が大きく取上げられております。なお東京新聞の金曜日あたりにも解説記事が載つておりました。三浦義一氏を通じ広川弘禅氏に千五百万円、児玉誉士夫氏を通じ鳩山派に一千万円、駒井重次氏を通じ改進党に一千万円、重光総裁、大麻唯男氏に一千万円、自由党増田甲子七、水田三喜男氏に、二百万円、五十万円から二百万円までをその他の数氏に計七百万円、こういうふうな記事が載つておりますが、これに対して何か名誉毀損だとか誣告罪だとかで訴えがなされたということもまだ聞いておりませんし、多くの疑惑がこうやつて世間に流れているわけでありまするが、あなたはこの保全経済会におられて、こういう問題についてまさか全然知らなかつたとはお答えはできまいと私は思う。一体どの程度にこれを知つておられたか、ひとつ率直にお伺いをいたしたいと思います。あなたの答弁によつては、私はまた質問を繰返します。どうか率直にお答え願いたいと思います。
#158
○松本証人 お答えします。この件については、私は大体昨年の五月からこちらに来たという事実をお考えになつていただければ――その前のことについては全然知らないのであります。そういうことを理事長から総支店長時代に聞いたこともありません。
#159
○中野委員 関連事項でひとつ承つてわきたいのですが、あなたは昭和二十六年の十月から二十八年の五月まで東海総支店長をしておられたようですね。
#160
○松本証人 はい。
#161
○中野委員 そこで伺いたいのだが、東海総支店長はいかなる仕事をするものであるか。これは投資とか、あるいは物を買いつけるとか、すべてのことに携わらなければならぬ役割を持つておられると私は思うのですが、どういう役割なんでしようか。
#162
○松本証人 お答えします。総支店長の職務と申しますと、管下店舗の統轄、監督といいますか、そういつたことが重点であります。それから支店、出張所の開設、それから店舗の開設または土地の購入あたりも、みずから直接やることは少いのでありますが、大体その店の責任者あたりから申請して参りますから、そういつたものを本店に取次いで、印信を受けてから許可になる、こういう状況であります。
#163
○中野委員 関連事項で伺つたのはそれなんですが、あなたは先ほど小林委員の質問に対して、当時はいなかつたから知らなかつたとおつしやつておられる。私は後ほど項を追つてお伺いいたしますが、東海総支店長とある限りにおいては、その総支店の中にあつたすべてのことは大体御承知でなければならぬわけです。そうでしようね。私はそれだけ伺つておけばいい。後ほど項を追つて質問をいたしますが、東海地区における総支店長であれば、本店における当時の献金事件を知らぬにしましても、当時在職中の、いわゆる総支店長として職責を果す上において、総支店の中におけるところの事業は全部御存じでなければならぬと思う。御存じでしようね。
#164
○松本証人 ええ。
#165
○小林(進)委員 今私が御質問をいたしました政党関係の資金については、二十八年の五月以来本店へ来たのであるから、それ以前のことはわからない、こういうあなたのお答えでございましたが、しからば、今日こういうような新聞記事をながめて、一体あなたはどういう感じをお持ちになつているか、あなたの所感をひとつお伺いいたしたい。
#166
○松本証人 そういつた新聞記事を見ても、その真偽のほどが実際私にはわかりません。それで、その点よくわかりません。
#167
○小林(進)委員 さすがに重点はなかなか上手におはずしになる。非常にお上手でいらつしやいます。
 それでは、政党献金はあとまわしにいたしまして、三月八日の読売新聞には、「隠された原簿」という見出しで、休業後今までありましたほんとうの原簿というものが隠されてしまつた、そうして現在出されておる名簿は「原簿を参照してつくられた仮帳簿であり、改ざんしたことは明らかで捜査の基礎となる原簿はさる一月の出資者組合結成当時からいずれかに運び去られている。」こういうことが書いてある。これは私個人が言うと、どうも他を刺激するから、こうやつて努めて私は新聞記事を出しながら言うのでありますが、この原簿が、ほんとうに重要な帳簿が隠されているということは、一般世間の常識になつておるのであります。あなたは一体この会社に休業後いつまで関係しておられたか。まずそれからお伺いいたしたいと思うのであります。
#168
○松本証人 お答えいたします。新聞記事の件でございますが、その帳簿の云々ということは全然私は関知しておりません。
#169
○小林(進)委員 休業後いつまで保全経済会に関係しておつたか。
#170
○松本証人 一月十三日までであります。
#171
○小林(進)委員 一月十三日まで……。休業いたしたのが十月二十四日でありますから、休業した後の一月十三日まで一体あなたはどういう仕事を担当しておいでになつたのでありますか。休業後のあなたの担当業務をひとつおつしやつていただきたいと思います。
#172
○松本証人 お答えいたします。休業後は対投資家の折衝、来客でございますね、そういつたもの、あるいは対外的なというか、そのころはもうそういう寄付などのあれはございませんから、主として投資家との応接、これが非常に多うございます。支店、出張所から上京して来る人の応接、そういつたことが主であります。それから資金の調達、それから、調達と同時に支店、出張所の経費の査定といいますか、そういつた程度でございます。
#173
○小林(進)委員 そうすると、あなたは資金の調達から支店や出張所の査定その他の業務をおやりになつておるのでありますから、卑近な例としては、とにかく一千四百名くらいおりました社員や、支店、出張所の整理その他の関係も当然おやりになり、俸給、給料の支払い、そういうような関係にも当然私はタツチされたと思います。一体一月十三日に至るまで、十、十一、十二、一月までに至る、自分自身の俸給はもちろんでありますし、他の社員の俸給等の支払い等もおやりになつたと思いますが、まずあなたの俸給をどのようにして一体もらつておられたか、その辺からひとつお聞かせ願いたい。
#174
○松本証人 お答え申し上げます。休業後の給料は、十一月分は、これはたしか二回払いに、月をまたがつて支払つております。それから十二月は、年の暮れでもありますので、どうにか給料だけは年末までに支払つた。――実際の支払い業務は経理でありますが。それから一月分は全然支払つておりません。いまだにまだ支払つておりません。こういう状態であります。
#175
○小林(進)委員 この休業後の俸給、十二月分あるいは十一月分は一体どこから調達されたのか、休業後新しい不動産、証券を処分してその俸給をつくつたのか、一体先ほど言われた一千二百万、三千万という高利の借入金もありまするが、その以外に何か調達した金がございましたら、その点ひとつお聞かせ願いたいと思います。
#176
○松本証人 お答えします。休業後に金をつくつたのは、一つは、所番地を忘れましたが、銀座のお多幸というおでん屋を売つてつくつた六百万か七百万じやなかつたかと思います。それから岡山の土地がございました。どこでしたかちよつと失念いたしましたが、金額は約一千万だつたと思います。それから横浜の尾上町の土地を売りました。いわゆる伊勢佐木町の入口のちようど馬車道のところでございます。これの金額が一千百万くらいではなかつたでしようか、はつきりした数字はちよつとわかりません。大体処分したのはそれだけでございます。その後借り入れたものはやはりないというように記憶しておりますが、大体おもなものはそういうものでございます。
#177
○小林(進)委員 銀座のおでん屋のお多幸でございますか、これは保全経済でお持ちになつていたのですかどうか、もとつお聞かせ願いたい。
#178
○松本証人 所有していたのであります。経営はしておりません。
#179
○小林(進)委員 次に、先ほどあなたは委員長の尋問に対して、入社以来本店に入るまで財産状態は知らなかつた、休業して初めて驚いたのであるというふうな御証言があつた。もちろん前々からこうしたずさんな経理状態を知つていたということになれば、そこに詐欺罪というものが成立する懸念もありますかう、まあそういう答弁をされるのももつともと思うが、しかし、知つていても、あなたは事務員でありますから、あなたに刑法上の犯罪が成立するおそれはないのであります。知つていたら知つていたという御答弁をされても決してさしつかえがないのでありますから、ひとつその点率直にお聞かせ願いたいと思うのでありますが、この保全経済会の経理の内容であります。われわれが押収した帳簿によつても、二十六年の九月からでありますか――決算期は九月、三月でございますな。その毎期々々を通じて全部赤字が出ている。それで、最近の二十八年の九月末に損失総合計が二十四億円という計算が出ている。これは会社の経理内容、営業内容でありまするから、あなたが総支店長をやつていたり理事長室長をやつて、毎期々々の自分の会社の損益計算書くらいは知らなかつたとは答弁できないと思う。毎月毎月六億ないし八億、九億というような計算が出て、それの総合計が二十四億になつておるのでありますが、そういう損益計算書をあなたは知らなかつたと言われておる。御承知なかつたのでございましようか、この点いかがでございましよう。
#180
○松本証人 今の質問でございますが、外から考えたら、保全経済というものの実体と申しますか、実に摩詞ふしぎな存在かもしれません。それほど保全経済会の内部は独裁制の強いところであります。と申しますのは、経理内容については、ほんとうに初めからわれわれには一切知らされなかつたのであります。それはふしぎに考えられるのもごもつともだと思いますが、私どもは一応理事長を信頼して実はここまで来たのであります。その点は、私はあえて以前は知らなかつたということは言い切れると思います。それはほかの理事あるいは部長連中でもおそらく同一だと思います。
#181
○小林(進)委員 そういたしますと、われわれが調査いたしましたのでは、三月、九月と毎期々々の――株式会社ではありませんから、株主総会はございませんが、何か一年をやはり二期にわけて会社の損益計算を出して決算をしているのでありますが、その決算の書類というものは内部にも外部にも発表しなかつたということになると、二十四億というものの計算は、休業したあとででたらめにつくり上げたその後の数字なんでありましようか、それをひとつお聞かせ願いたいのであります。
#182
○松本証人 九月期のバランス・シートの二十四億云々のあれは、私はほんとうだと思います。別にでたらめなあれじやないと思います。
#183
○小林(進)委員 どうしてあなた知らなかつたのですか。
#184
○松本証人 知らなかつたのは、今申し上げた通り、全然知らされなかつたのであります。
#185
○小林(進)委員 あなたは総支店長でもあり、最後は理事長室長でもあるのでありますが、あなたが知らないというならば、この毎期々々つくり上げた損益計算書を知つているのは、一体保全経済会のだれだれでありましようか、それをひとつお聞かせ願いたい。
#186
○松本証人 バランス・シートは元は望月室長のところでつくつておられたように聞いております。その後は監査の方で作成しておりました。でも私が来ましてから、私はもちろん三月期の決算からは見ました。それ以前のものは、これは監督上私の下にあるのでありますが、私実はここに着任してからまだ見ていない。それで、ちよつとつけ加えますが、そのあれは、ほかの外部にも、その他の内部にも、それは公表されておりません。
#187
○小林(進)委員 そうすると、決算書をつくつた者は、理事長と、あとは監査役と、作成した監査課長と理事長室長だけの少数にとどまるというふうに解釈してよろしいかどうか。特にここでお聞きしたいことは、いわゆる顧問と称せられる方々が、そうした毎期々々の決算書類の授受をした形跡があるかどうか、この点特にはつきりお聞かせ願いたいのであります。
#188
○松本証人 顧問の方々に決算書が見せられたということは、私の常識では判断できません。私はおそらくないと思います。
#189
○小林(進)委員 あなたの御証言を承りまして、私はまだ幾多の疑問が氷解しないのでありますが、私だけ質問をするのもどうかと思いますので、最後のほんの一問で私はやめにいたします。
 そこで、総括的な一問として、あなたは、自分は単なる事務屋であつて保全経済会の内容その他には少しもタツチしなかつた、あくまで伊藤斗福個人の非常にワンマンの保全経済会だ、こういう結論をお出しになつたのでありますが、それはそれとして了承するといたしましても、ともかく、あなたの教養とか、あなたの知識とか、あなたの常識から考えて、しかもそこに三年有余の長年月使われておつたその経験から推して、これが一体まともな営利機関、金融機関として成立して行くものであるとお考えになつたかどうか、これはやはり時代の流れにさおさした一つのまがいものであつて、こんなものは人をだますごまかしの機関であるとお気づきになつたことが一度や二度はなかつたか、これをひとつお聞きして私の質問を終りたいと思うのであります。
#190
○松本証人 私は、入社以来長い間いろいろ保全経済会の仕事をやつて来ましたが、最後まで私はやれるというような強い自信と申しますか、そういう気持で働いておりました。
#191
○高木委員長代理 中野四郎君。
#192
○中野委員 さつきあなたの御答弁の中に、休業の直接原因というのが二十八年の風水害とかあるいは八月からの源泉課税による大口解除が増したからこういうような休業もやむを得なかつたという御説明でありました。なるほど休業の直接原因はそうでありましようが、不振であつたことは、もうずつとあなたのところの張簿が示しておるのです。そこで、私が伺いたいのは、使途不明の金はなかつたと思うとあなたはおつしやつておるが、ところが、今度伊藤君初め三君が検挙されて以来、捜査当局の調査によりますと、ここでつまびらかにすることのできない点がありますが、どうも使途不明の金が多過ぎることなんです。ちよつとあなたの答弁と食い違つておる。こう私が申し上げても、あなたが使途不明の分はなかつたと言われたのでは、結論は水かけ論になります。そこで、先ほどあなたに東海総支店長という役割を伺つたわけであります。この支店の総括的長として、あなたが御関係なすつていたのですが、あなたが東海総支店長として在職中に、三重県の飯南郡森村大字蓮というところの三百四十三番地の二、同じく三百四十六番地の山林を買つておられますね。これは百六十八町歩の山林を買つておいでになるのだが、少くとも総支店長としてこれを御存じないわけはない。あなたが直接手を下す下さぬはとにかく、少くとも総支店を通じてこのことは書類なりすべてのことが行われなければならぬと思うのですが、このことの御記憶があるかどうかをまず伺つておきたい。
#193
○松本証人 お答えいたします。東海総支店の管轄県は、静岡、神奈川、山梨、長野、新潟の五県であります。三重県は私の管轄外でございますので、その点は私存じません。
#194
○中野委員 それでもけつこうですが、あなたが理事長室長として、今回休業やむを得なくなりましたその後に、警視総監あるいは検事総長あるいは内閣総理大臣に対して保全経済会の現有財産というものをお配りになつたことは、少くともあなたは御関係ないとは言わせないわけです。その書類の中には、三重県飯南郡の山林百六十八町歩というものは、その資産総額七億として出されております。してみれは、これは御承知でなくちやならぬと思いますが、記憶しておられるかどうか、伺つておきたい。
#195
○松本証人 お答えします。その点記憶しております。
#196
○中野委員 それじや、あなたの先ほどおつしやつたことはうそになりはしませんか。使途不明の金は出ておらないとあなたはおつしやられる。この山を買い入れる当時の状況は、たといそれがあなたの東海五県の管轄下でないにしましても、理事長室長としまし、少くとも、先日そのような書類をお出しになるについては、その経過が明らかにならなければならぬはずで。この山の買入れ総額は六百万円です。そうして実際帳簿上に保全経済会が出資をしておりまする金額は七千五百万円余であります。実際上において、伊勢の松阪の勧業銀行の代理店に三千百万円の金が送られて、内六百万円は山元がとつて、あとの二千五百万円は使途不明の金なんです。よろしゆうござんすか。いわんや、あなたのところの帳簿には七千五百万円と書いてある。そうして、水増し財産と申し上りるが、七億円という時価が計算されている。あなたがどういう観点で御存しないと言われるか知らぬが、少くとも、理事長室長として休業後においてあらゆる整理をされた人が、数字の上においてタツチせぬとは言われない。たつた六百万円で、買つたその山ですら、あなたのところの帳簿には七千五百万円という支出になつている。しかも時価で七億円という資産をあなたの方は計上しております。なるほど山はそういうふうに見ましよう。しかし、山を買つた当時の経過から、あなたのところの帳簿にすべてこの通りあるじやありませんか。水増し、いわゆる使途不明の金ではありませんか。七千五百万円のうち六百万円しか現実に向うはとつていない、あとの六千九百万円という金はだれがとつてどこへ行つたかわからない。あなたの御答弁では、使途不明の金はないとおつしやつたが、しかも、内閣総理大臣なり検事総長に出した書類の当の責任者はあなたである。たとい独裁性がどんなにはげしかろうと、伊藤君が書いたものではない。あなたの方で当然御関係なすつたはずであります。これが使途不明の金でないとどうして言えるかという点を私は伺いたい。先ほどからお話を聞いておれば、今度の保全経済会の休業やむを得なかつた原因は、なるほどあなたのおつしやることにも確かにあります。しかし、それが全部の原因ではない。保全経済会が今日休業のやむを得ざる段階になつた最大の原因は何だと言えば、あなたが先ほどから証言していらつしやる通り、独裁専横をきわめた伊藤君が、使途不明の金、すなわち理事長室扱いという金を十二分にとつて、この金を、表面はいかにも物を買いあるいは貸し付けたと見せながら、事実はそうでなく、この財産を隠厳しているか、ないしは一方に献金したか、あるいは自分の私有財産として使つているか、何か根拠がなくちやならない。あなたの証言の中でどうしても納得できないのは、使途不明の金はなかつたと思うということなんだが、それが実際に断言できるかどうか、これを伺いたいと思う。
#197
○松本証人 お答えします。先ほどの証言、ちよつとあれでございますが、私が在任中にその点は知らなかつたというように私は言つたように記憶しているつもりでございますが、現在はそういつた不明の金があることはわかります。しかし、それがいわゆる休業になる大きな原因であるかどうかということについては、これは私は、そうは思わないというように私は言つたように記憶します。
#198
○中野委員 いや、みなお互いに耳が二つついておるのですから、そうあなたの言うことを私は聞き違えないつもりですが、後ほど速記録を見てもわかります。そう御訂正になるなら、それもけつこうなんです。しかし、あなたが休業の直接原因というものを述べられた中に、この大きな原因を含んでいないが、故意にあなたがこれを言われないのか、知らぬでいるのか、私は聞いてみただけです。してみれば、使途不明の金が多いということは現在においては認めるでしよう。このことは、保全経済会等が今日全国数十万――あなたのところだけ関係すれは十五万人の投資者に迷惑をかけた最大の原因であるということだけは認めなければならぬと思うのです。
 それから、さらに私が伺いたいのは、この経営不振のときのことなんですが、これは委員長の聞き方が悪かつたので、こういうところですから言葉のあやというものがあるのです。たとえば、ある証人を呼んで、君は伊藤から金をもらつたかと言えば、もらわぬと言うのです。それはそうなんです。中のAならAという人間に伊藤君が渡して、Aからもらつたのかと言えば、確かにもらつたよ、こう言うのです。あのときの質問は、君は伊藤からもらつたかと言うから、伊藤からはもらわない、こう言うのです。言葉のあやというものがあるものなんです。近ごろ質問の仕方にもそういうちよつと足りないところがあつて、証言の食い違いがあるのです。さつき委員長が、最も苦しいときはいつだつたと聞くものだから、最も苦しいときは九月だ、こう言う。これは当然のお答えなんです。しかし、先ほど小林委員が御質問になつたように、あなたのところの経理面あるいは決算書を見ますれば、年々歳々に不振であつたのです。特にあなたのところの理事長は、すでに警視庁においては、三月ごろからもはや休業の状態に入らざるを得なかつたということを言明しておるのです。三月ごろから非常に苦しい状態にあつたのだが、そのあとの六箇月間ですか、これを何とかやりくりをしなければならぬというので、宣伝に相当力を入れられて、投資者のやりくりをされたこともわかるのです。私は、あなたのところのほんとうに苦しい時期というものは、伊藤君が今言つておられることとあなたと合致するかどうか、この点を伺いたい。少くとも東海総支店長としておいでになつて、五月にこちらにお就任になつたとしましても、まず、来れば、でくのぼうではないのですから、大体のことは聞かなければならない。やりくり算段をして苦しい経営を何とか挽回するにはこの方法というので手を打たれた点は私は認めます。しかし、事業がまつたく不振状態を続けていて、どうもこれから先のことは今まで通り行かぬぞと言われたのは、去年の三月あるいは四月時分ということはあなたは認めますか認めませんか、これを一点伺つておきたい。
#199
○松本証人 お答えします。理事長が三月以後から苦しかつたというようなことを言つておるというお話でございますが、私たちには合点が行きません。と申しますのは、その当時は、私、総支店長におつたときでございますが、株の暴落のときでさえも――暴落して普通は損するのが常識のようでございますが、売玉も相当立てておつたので決して損はしてない、但し持つている株の評価は下つたかもしれぬが、しかしこれは必ず回復するものだ、だから財産上のそう大きな変化はもちろんない、経営状態は普通に行つているというふうにわれわれは聞かされておりました。その点は、そう言う理事長の言を一応信じて、ずつと五月ごろまで私もやつておりました。微塵もそういう苦しいということはわれわれとしては考えておりません。
#200
○中野委員 それじや、あなたが使途不明の金が相当数あるということがわかつたのはいつでありますか。これは後ほど伺うことに関連がありますから。
#201
○松本証人 それは、私が着任して一箇月かそこらぐらいしてからではないかと思います。
#202
○中野委員 一体現在使途不明の金がどれくらいあるのですか。私の方にも調査したものがありますが、あなたの方では大体どのくらいあるとおぼしめしですか。
#203
○松本証人 私、これは職務上おかしなあれかもしれませんが、計算したことはありません。
#204
○中野委員 おおよそでけつこうです。数字が出ておるのですから。おおよその額でいいのです。何も二銭何厘まで申し上げろと言うのではありません。
#205
○松本証人 一億前後くらいではないでしようか。その点ちよつとわかりません。
#206
○中野委員 とてもそんな金額ではない。あなたが、近ごろいう政党献金の七千万円か八千万円あるいは一億円くらいだという想定の上から言われるのならば、それもうなずけるのです。そんなものではないのですよ。たとえて言えば、先ほど言つたように、三重県の山が一例をあげてそれなんです。あなたのところは物を買うときに大分水増しをしておるという証拠が明らかになつておるじやありませんか。千万円で買つたものを千万円とつけておらぬ。千万円で買つたものは千五百万日、二千万円というふうにつけておる。だから、千万円のものは確かに売主に渡つておる。しかしあとのものはみな使途不明と言わざるを得ぬ。一億万くらいの金ならば、この間伊藤が自分のめかけの山形屋の者への七千万円の金でもすぐ勘定が出て来る。そのくらいの金ではありません。少くとも、私は、現在二億五、六千万円のものが、いわゆる理事長渡しとして帳簿の上だけでも出ておる。これはなるほど出した先はわかつております。あなたのところから書類を出して来ておりますから、内容はわかつております。しかし、これはみな詐欺にかかつてしまつたじやありませんか。二千万円は川上才助なんという、これは行方不明ではありませんか。小柳に金を渡せば、これは、おれは受取つたが、すぐこれに渡したからおれは知らないというように、詐欺したかどうか、伊藤君のことは今後の捜査の過程においてきめられることだが、とにかく苦心をして集めて、これが詐欺にかかつておる事実だけは争えないことがあるのです。だから使途不明の金が相当数なくてはならぬ。使途不明の金が相当数あれば、いくら大きな財産だからといつても経営不振になるのはあたりまえではありませんか。あなたの言葉に矛盾があるのはそこです。あなたは、不振ではない、私らから見れば完全に行けると思う、一番最初に言つていらつしやるではありませんか。成り立たぬわけではないのだ、常に利潤を追求することに積極的であれば結局成り立つと言つておる。それはそうであつたかもしれぬ。その通りだと私も思う。しかし、今日保全経済会がもう動くことができない状態になつた原因はどこかと言えば、先ほど言つた使途不明の金が一番多きいからなんです。風水害で解除者が出たとか、あるいは課税で大口解除を申し込んで来ておるということは、なるほどあつたかもしれぬ。しかしそれは一部分にすぎない。納得のできないのは、今言う水増し過払いをしてその金が不明になつて一体どこに使われたかわからぬという状態をあなた方が知らぬわけはない。これは当然参つてしまうのはわかり切つたことではありませんか。かりにあなたの言う一億円の金が使途不明になつておつたら、これはどうするのですか。二分や三分という金が払えるわけはないじやありませんか。あなたの先ほどからの話はどうも納得できない。いくら筋をつくつても、上手の手からでもやはり水が漏れる。あなたの先ほどの話を聞いていると、どうもわけがわかつたようでわからない。この間からここに来る証人は、非常にわかつたようなことを言うようだが全然わからないことを言つている点が非常に多い。あなたもそのうちの一人です。
 私は、一つところにおつてもいけませんから、もう少し聞いて行きますが、九月ごろなんか相当苦しくなつて、どうにもこうにも行かないというわけで、休業を十月に宣したわけですね。七月ごろに小平忠君があなたのところへ金借りに来たとおつしやつた。私は初めて聞いてびつくりした。小平忠という人はだしか社会党の方なんです。平野君がこの前ここに来られたとき、そういう者を紹介した覚えはないと言う。あなたのお話を聞くと、紹介して来られた――。人は忘れることが往々ありますから、あるいは平野君のような御多忙な方だからお忘れになつたのだと思うのです。ただ私が一点伺つておきたいのは、七月のころ相当あなたのところは苦しかつたわけです。北海道信機株式会社というのは上場株ですか。上場されておるのですか。非上場株でしよう。しかもこの二百万円から六百万円の金を貸せというのは少しおかしい。あなたのところが苦しい最中に二百万の金を貸すということも少しおかしい。これは何かただの因縁じやないようですね。少くとも平野君の紹介状をもつて、独裁性の最も強い伊藤理事長の御託宣によつて二百万円の金を切つて出さなければならないというところに、何かがないわけはなさそうに私らには考えられる。小林君の言葉をそのままこつちがお借りして言えば、見も知らない人間に苦しい最中に二百万円貸せと言われても貸すわけはない。しかも非上場株です。そうして六百万円貸せ、いや二百万円でがまんしろというには、何かここに通常の関係以上のものを私は考えざるを得ない。当時のことを御承知なら、この点を少し伺いたいと思うのです。あなたは御関係になつたのだから、ただ知らぬと言うわけには行かぬ。決して私は人をとがめようとは考えない。だから、これほど苦しいときにあえて二百万円の金をば出さなければならなかつたという理由を少し聞きたい。
#207
○松本証人 お答えします。なるほど二百万円は出しました。しかし、当時は苦しかつたかといえば、私、それほど苦しいとは思わなかつた、そういう状態ではなかつたと思います。その当時なぜそれを出したかというお尋ねですが、それは特殊の関係があるから出したのではなくて、小さな通信機の製作あるいは販売をやつておる、いろいろ財産目録とかそういつたものを持つて来られた、それで、それの増資の引受け方というあれで、ただ単に理事長もお貸しになつたというような意味のものではないというふうに私は考えております。
#208
○中野委員 なおさらおかしいじやないですか。小さな通信機械、そういうものを製造する会社に投資する、不健全な投資と言わざるを得ない。楽なときなら不健全な投資もこれは認められますよ。先ほどあなたが言つた通り、使途不明の金がふんだんにあつて、理事長の腹の中では、もはや三月ごろからもうやつて行けないのだ、狂潤を既倒にまわして乾坤一瞥の勝負をしようというので、新聞やラジオに二億六千万円もかけ、相撲場に至るまで保全経済会のなけなしの金で懸賞金を出しておつたじやないかペみたいな取組みに一万円ずつ出して、一生懸命でやつておつたという事実も知つておる。そうしてみますと、あなた方が実際上において経営の健全な会社に投資をするのならいざ知らず、こういう不健全というのかどうか知りませんが、世間的にあまりぱつとしないような会社に二百万の投資をすること自体がおかしいじやないか。いわゆる増資に対してすることがおかしいのじやないか。特殊な関係がなかつたと言うが、特殊な関係がなくてそんなことをするのは何かあるわけだ。平野君の紹介ならそれでもけつこうです。そうすると平野君と当時の伊藤斗福というものは相当深い関係があつたと言わざるを得ないから、それでもけつこうです。今のあなたのお話では答弁にならないじやないですか。もう少しずつきりしたお答えをいただきたいと思います。
#209
○松本証人 お答えします。なぜ出したかというような御質問でございますが、私の想像では、やはり平野顧問の方の紹介があつたので、一応その程度のものは顔を立てられたというような意味のものもあつたかとは思います。
#210
○中野委員 それでけつこうなんです。大体そうなんだろうと思うのです。小平君らが行つて、保全経済会の伊藤君を向うにまわして巻き上げて来るほどの腕はまだないでしようから、平野君の紹介がいつたというのがほんとうであつて、平野君はこれを知らないと言うからいけないのです。それから、もうあと二、三点だけ伺つておきたいのですが、独裁性の非常に強い伊藤君のやり方については、これからの世の中の批判にまつべし、裁判の進行にまつべしと思いますが、あなたのところは募集するのに「利殖のしるべ」というのを出しておられるのだが、これは匿名組合であるというふうに出しておられますね。「匿名組合ということ」というような条章があります。あなたも東海総支店長をしておられたのだが、実際の匿名組合でありますかどうか。
#211
○松本証人 お答えします。私も法律の専門家ではありませんから、その点は抜けておるかもしれませんが、最近までその点は一応匿名組合純粋の匿名組合ではない、匿名組合に準ずるものというような意味に解釈しております。
#212
○中野委員 今はあなたの解釈はかつてなんです。募集するときはあなたの方は匿名組合だとしておる。なぜそのときに匿名組合に準ずるものだと書かなかつたのですか。そんなことは書いてない。私は愛知県ですが、現に愛知県ではずいぶんあなたのところの勧誘の世話をしておつた代理店の方が自殺しておる。矢作町の岩月軍次という人で、この人は町会議長までした人です。静岡県の稲取の中村玉助、この人は自殺一歩手前です。あたり近所から責められて、償うことができないという状態にある。私の知つた限りにおいても二つか三つある。少くとも全国で今度の被害者はあなた方のとつた行動に対しては非常に不満やる方ないものがあるだろうと思う。それは欲の皮のつつぱつた者は損したつて済むが、そうばかりとは言えない。零細な金が全国から集められておりますから、中には未亡人がわずかに来る恩給の金を月二分なり三分にまわるなら子供の育英資金にと思つて投資した方が相当数ある。それが積り積つて十五万を構成しておるわけです。それがあなたは匿名組合に準ずるものと言うのですが、あなたのところの顧問をしておられる松本経済学博士は匿名組合じやないと言うのです。なぜ匿名組合ではないかとここで私は聞いたのですが、商法五百三十八条の条章をふんでおらぬ、すなわちそれを全部蹂躙しておるから、これは匿名組合ではありませんということを発見いたしましたと言つておる。どうですか、近ごろそういう理論があなた方の頭に響いて、匿名組合でないということを認める過程にありますかどうか、これを伺つてみたい。
#213
○松本証人 お答えします。実際、最近といいますか昨年くらいまでは、この点、私の知能というか研究心といいますか、そういつた点が少し欠けておつたかもしれませんが、私たちは在任中は匿名組合というふうに一応信じて参りました。それで、他からも休業後一応そういう法律的意見も聞かされて、そういつた匿名組合に準ずるものだというふうに私たちは考えるようになつたのであります。
#214
○中野委員 今はどうですか。
#215
○松本証人 今も、法律的な匿名組合でないということをどうも私にもよくわからないのであります。
#216
○中野委員 経済学博士でありあなたのところの経済顧問である松本君がここで証明しておるのです。そこで、これはあなたのところで匿名組合で金を集めて匿名組合でなかつたということが明らかになると、これは故意であるかどうかという問題もやはり将来検察当局の問題になりましようが、私はここで問いません。一体松本博士はあなたのところで昭和二十五、六年から顧問をしておいでのようですが、これは経済会の方へしばしば、行つたり来たりしておられたかどうか、それからどういうような御相談を松本君とされたか、伊藤さんと松本さんとの話は別でけつこうですが、あなたの方の会の方へ松本君はどういうような連絡をとつておられたか、これをちよつと伺いたい。
#217
○松本証人 お答えいたします。松本博士は、私が着任いたして来ましてからはたびたび来おられます。私もよくお会いしました。それは、会の運営とか何とかそういうものではなくて、何か事業、いわゆる出資側、そういう方面の相談に来られました。その点、私が来てから再三会つております。
#218
○中野委員 それは間違いありませんね。あなたが着任以来しばしば来たことは間違いないですね。ここで松本君はうそを言つていることははつきりする。松本君は一ぺんも行つたことはないと言う。
#219
○松本証人 休業以来ですか。
#220
○中野委員 休業以来ではない。保全経済会の顧問になつてから行つたことはないと言う。井上という男と望月がたまに顧問料を届けてくれるだけで、私は保全経済会へ行つたことはないと言つておる。しかし、それはそれでけつこうなんです。あえてとがめだてはいたしません。
 最後に一点お伺いしておきたいが、先ほど借入れ関係の内訳について、小林さんか委員長でしたかがお尋ねになりましたな。平和相互の問題はけつこうですが、近藤商事の方の問題が明確でないのです。それから、山崎一芳君のところへいわゆる六千万円の借款を申し込まれて、千二百万円できたと言うが、これはだれが出して、どういう金か。近藤商事の分で新田君があつせんされたのは、児玉君あるいは三浦君がごあつせんになつた金は、これはどこから出た金で、幾ら出たか、これが明確でありませんから、これが一つ。
 それから、最後に、私がこういうことを聞かずとも、ほかの方がお聞きになるでしようが、一体どうすることが現在の全国本数万の投資者を救う道であるかということをあなた方は考えておられるか。この委員会が保全経済会の問題を取上げたのは昨年の十月です。しかもこれはあくまでも保全経済会の実態を把握して、そうして行政官庁、監督官庁があらゆる適正なる手段をとつておつたか、あるいは適正なる手段を欠いておつたかということを調べ、最後にはあなた方の類似機関等によつて全国数十万の実害者が日夜泣いておるのでありますから、この人々に対して何らか適当なる方法を講じなければならぬということが立法府における行政監察委員会の使命であります。いたずらに人の悪いところを摘発してとかくの論評をするところではないのであります。従つて、あなたは現在保全経済会に今まで関係しておられ、最近あるいは休養来いろいろな勇をなめておいででありますが、どうすることが全国の投資者に対して忠実なゆえんであるかという点について率直なるあなたの意見を述べていただきたい。
 この二点を伺つておきたいと思います。
#221
○松本証人 お答えします。第一の点でありますが、十月の十日ちよつと前だつたと思いますが、理事長から新夕刊の山崎社長、児玉誉士夫両氏に対して金融のあつせん方を依頼されたのであります。それに基きましていろいろ両氏は活動せられたと思いますが、児玉氏は、近藤商事株式会社社長近藤荒樹、この方とは御存じの間柄らしかつたので、近藤商事に話されたところが、保全会に直接貸すのはいけない、だれか財界といいますか、有力な信用ある方がおられれば、その方になら貸してもよろしい、こういう話だつたように聞いております。それで児玉さんも自分の御存じの間柄である明治座の新田会長にお話になつて、新田会長も、全然私の方とは関係はなかつたのでありますが、苦しいときは同じだというような義侠的な気持からこれを快諾していただいて、そうして明治座の新田さんが近藤商事から金をお借りして、それから私の方がさらに新田さんからお借りしていた、こういう形で千二百万円の金を借りたのであります。
#222
○中野委員 千二百万ですか。
#223
○松本証人 そうです。
#224
○中野委員 新夕刊の山崎一芳君のところが千二百万……。
#225
○松本証人 それは、先ほどの千二百万は山崎さんから借りたわけではない。
#226
○中野委員 山崎一芳君の方へ申し込まれたのはだめだつたのですか。どういう経路なんです。
#227
○松本証人 六千万円のあれは、総括的にそういう話をされたので、実際にはできておりません。だからそれは山崎さんが児玉さんにお話になつた結果が千二百万円だけだ、こういうことになると思います。
#228
○中野委員 もう少しそこのところを詳しく……。これは勧銀に新夕刊から交渉したんでしよう。あなたのところで大庭勝一君に話して、そして大庭君が勧銀へ借入れを申し込んでおる。とこるがこれは拒否されておりますね。
#229
○松本証人 それは電話でそういう話はありました。
#230
○中野委員 ちよつとそこがわかりませんね。明治座の新田君、これは古くからの知己です。それから、あなたのお話に出て来る名前はよく知つているのですが、あなたのところへ千二百万、新田君が金を出すわけはないのだが、近藤商事から出した。近藤商事で一体自分の金を出したのですか、あるいはトンネルをしてどつかから出したのですか。私は、今度の借入金にはあなたの方に大分トンネルがあると思う。それから、あなたの方が貸しておる金にもやはりトンネルがある。つまりどこそこの銀行の名前だけ使つて、そしてトンネルをして向うの方へ流れている。借りた方の会社は銀行から借りたことになつておるが、銀行の帳簿には貸したことになつておるが、実際の金は匿名の会社から、ほかから出て来ておつて、それは銀行だけがトンネルして一つの会社へ流れておる金の事実を知つておる。これが私は使途不明の金の一部なりと考え、あるいは財産隠匿の一種の方法だと考えておるのだが、それはあなたに聞くべき性質のものではないから申し上げませんが、一体近藤商事というのは何をやるところですか。高利貸しですか。それから、どのくらいの金利で借りたか、何を担保で借りたか、これがわからないのです。くどいことを聞くようですが、やはり保全経済会の実態を明らかにするのには一応聞いておかなければならぬことだと思いますから、詳細にひとつ…。
#231
○松本証人 お答えします。近藤商事から出ている金は一千二百万円で、金利は三十五銭です。金融業者であります。
    〔「関連して」と呼び、その他発言する者あり〕
#232
○高木委員長代理 ちよつとお待ちください。答えを聞いてからにしますから。
#233
○中野委員 三十五銭で、どういうふうなんです。
#234
○松本証人 日歩三十五銭であります。それで担保は日本テレビ網の株式を……。
#235
○中野委員 テレビ株ですか。
#236
○松本証人 テレビ株です。
#237
○中野委員 何株ですか。
#238
○松本証人 三万六千株だつたと思います。
#239
○中野委員 これはこのまま帳簿に載つていますか。千二百万入つたというふうに。
#240
○松本証人 載つております。
#241
○中野委員 謝礼は出しませんでしたか。
#242
○松本証人 謝礼は三十万出しました。
#243
○高木委員長代理 松本君、委員長の許可を得てから発言してください。そうせぬと、速記にとれません。
#244
○中野委員 幾らお礼を出したか。
#245
○松本証人 三十万、新田会長に出しました。
#246
○中野委員 それだけですか。
#247
○松本証人 それだけであります。
#248
○中野委員 最後の、どうすることが投資者に一番忠実なゆえんかということだけ。それで終りますから。
#249
○松本証人 お答えします。私といたしましても、保全経済会に職を奉じて、こういう結果になりましたことは、身の不徳のいたすところと、非常に精神的な苛責をもちろん受けております。でき得れば現在の伏態を少しでも――一銭でも多く返るような方法はないものかというふうに考えております。そうするためには、現在すでに時間も相当経過しておりまして、むしりとりの状況が実はたくさん現在起つております。この点を一々応接していたら切りがない。あるいは金がかかると思います。それで、やはり私は、先ほども申しましたように、理事長が考えておりました任意の和議による解決が最も必要なこと、しかも緊要なことではないか。幸いにしてこの点は和議の申請が行われておりますので、私も非常に喜んでおる次第であります。要は、この和議の条件がどうであるか、聞くところによりますと、まだ正確な条件がきまつていないように聞いております。この点を及ばずながら外からも知り、またいろいろの人も考えておられることと思いますが、早くこの和議条件が確定されて、和議の開始ができるようになることを最も希望いたします。同時に、その条件の中でどういう形で、あるいは現有財産を基礎にした第二会社的な最も信用の置けるような会社なりをつくつて、やはり長期的でもいいから、とにかく最後的には一銭も迷惑をかけないというような方法を組合の方あるいはその他の周囲の援助者の方から生み出していただくように御努力あるいは御援助をいただくということによつて、最終的な美を飾つていただくように私としては望むのであります。具体的には長くなりますから申し上げられませんけれども、そういう気持であります。
#250
○山中(貞)委員 一点だけ関連してお尋ねしておきますが、これは後日前に証人として喚問いたしました平野証人の証言に関して偽証等の疑いも濃化するおそれもあるものでありますから、念を押して聞いておきたいと思うのでございます。
 先ほどの松本証人の委員長の質問に対する答え、あるいは先ほどの中野委員の御質問に対する答えの中に出て参りました、右派社会党の小平忠代議士に対する二百万円の出資ということについてでありますが、その御答弁の中で、平野顧問から出資してくれという内容の依頼があつた、これは電話か何かよく記憶していない、――何であつたか記憶していないというのでありますが、これはひとつ具体的に記憶を呼びさましてもらつて、どういう形で依頼を受けたか、お答え願いたい。
#251
○松本証人 お答えします。ずつと考えておるのでございますが、平野事務所に呼ばれて話をされたような気もするのでございますが、一応電話で、こういう方を紹介するからというようなことが、どうもその点まだはつきりした結論が私出ていないのでございます。はなはだ申訳ないのでありますが、確かに紹介を受けたことは事実でございます。それは、私小平先生とは全然一面識もないし、また保全会のほかの方とも御関係がなかつたのでございますから、ただぽつと飛び込んで来られたわけではない。この点……。
#252
○山中(貞)委員 そうすると、まあはつきりしなければいたし方ありませんが、平野さんの事務所に呼ばれて話されたのか、あるいは電話だつたか、そういうことですが、結局それを聞いて受取つた本人はあなただけですか。あるいは伊藤理事長も含めての責任者ですか。
#253
○松本証人 その点は、私が受継いで理事長にすぐそれを報告して、理事長に会つていただいたように記憶いたしております。
#254
○山中(貞)委員 あなたが理事長に取次いで会つてもらうというのは、平野顧問がその紹介の内容をひつさげてお会いになつたのか、あるいはあなたが受継いだことによつて小平忠君が直接初めから平野君を帯同することなしに会われたのか、そのどつちですか。
#255
○松本証人 お答えします。その点につきましては、北海道信機の内容をごく概略聞いたような気がいたします。
#256
○山中(貞)委員 その内容についてですが、ただいままでで明らかになつたところは、明らかに小平忠なる代議士については保全経済会もまた伊藤ないしは証人である松本氏自身もまつたく知らない人であつた、従つて平野顧問の紹介によつて先ほどの中野委員の質問に答えた言葉によれば、平野顧問の顔を立てて貸したようなことになつている。こういうことが明らかになつているわけですが、そうすると、その内容というものは、あなたのお話の概略では、昨年の七月平野顧問から紹介があつた、その紹介は小平忠君の北海道信機株式会社に六百万円の増資をしたいから保全から出してやつてもらえないだろうか、こういうような内容だつたというのでありますが、そのことについてはこれで正しいか、あるいは足らざる点があるならばお示しを願いたいと思います。
#257
○松本証人 先ほど申し上げました証言の通りに間違いございません。
#258
○高木委員長代理 山中君、簡単にやつてください。
#259
○山中(貞)委員 今再度証言された内容の紹介を受けて、そうして私も理事長もお会いして、出資を二百万円ならよかろうということできめて、北海道総支店に送金して受取つてもらつた、そうして株券を私どもは受領した、こういうことでありますが、あなたも伊藤理事長も会つたというのは小平氏だけか、あるいは小平氏を連れて平野顧問が来られて、口頭の依頼等もあつて会われたという意味か、はつきりしていただきたいと思います。
#260
○松本証人 お答えします。理事長にお会せするのには、小平さんと、それから北海道信機の社長か専務かの方と、二人であつたように思います。私はその席にはいなかつたのであります。
#261
○山中(貞)委員 そうすると、先ほどのあなたの言葉にもあつたように、見ず知らずの人にぽかつとお会いして、そしてぽかつと出資するはずはないというお話でありましたが、全面的に平野顧問の紹介、いわゆる顔を立てるということだけでそういうことをされたか、あるいは、もつと具体的に、平野顧問が、おれが保証してやるからこの会社に出せというように、具体的に保証人にでもなつておられるかどうか、その点、もう一ぺんだけお伺いしておきます。
#262
○松本証人 お答えします。それほど保証人的な発言その他のことはなかつたと思います。
#263
○山中(貞)委員 ここで委員長に申し上げておきますが、ただいままでに明らかにされました点で、先般の本委員会に証人として呼びました保全経済会の顧問の平野力三氏の証言中明らかに偽証の疑いが濃化する点が出て参りましたので、この点委員長において後ほどおとりはからいのほどをおまかせいたしておきます。
#264
○小林(進)委員 今の問題、ちよつとこれは山中君の質問が非常に意地の悪い質問だから、私はあなたによくお聞きしたいのですが、二月一日に中野証人をここに呼んで、そのときに委員長がこういう質問をしている。それに対して本人はこう答えている。よくお聞きになつていただきたい。塚原委員長が、「昨年の九月だつたと思いまするが、小平忠という衆議院議員がおられます。われわれの同僚議員ですが、この方が北海道通信機株式会社の株券四千株を二百万円で伊藤斗福に買わせておりまするが、この事実には平野さんは御関係はありませんですか。」こう平野証人に聞いております。これに対して平野証人は答えていわく、これはもちろん紹介はしています、紹介はしているが、「もちろん私が紹介をしてそういうことができたというのではなくて、御本人たちの話合いと私は考えております。」(「紹介をしておりますと速記録には載つていないよ。」と呼ぶ者あり)それじやもう一ぺん読みます。「これはもちろん私が紹介をしてそういうことができたというのではなくて、御本人たちの話合いと私は考えております。」こう証言をしておるのであります。いいですか。今これを聞いておるのですから。今の二百万円小平忠君の株式の取引が本人たち、いわゆる伊藤斗福と小平君との話合いで二百万円出資の話ができ上つたのか、本人同士の話合いでなくて、平野力三が伊藤斗福に押しつけて、いわばこの二百万円を出資させたのか、こういう関係であります。いいですか。顔で貸したのか商取引なのか、商取引ででき上つたのか顔で貸したのか、これをひとつ御証言をいただきたいと思います。これはもちろんあなたが顔で貸したと言つても偽証じやない。本人は、おれの顔でできたのじやない、本人同士の話合いでできた――。それは偽証罪じやない。こんなのが偽証罪なんて、ちやんちやらおかしい話でありますけれども、ただそれが顔ででき上つたのか、本人同士の商取引ででき上つたのか、はつきり御証言を願いたいと思います。
#265
○松本証人 お答えいたします。その点は、私が顔でできたというふうにあれですが、それは理事長が決定することであつて、私はそういうふうに感じたというだけの話であります。これは理事長でないと、何で実際出してよろしいときめたかどうか、これはわかりません。
#266
○山中(貞)委員 今私はやめておつたのですが、小林君が速記録を引用したのですが、自分に都合のいいところだけの速記録を引用している。この速記録の中に、私の質問した平野証言に対する質問というものは、私の質問をもう一ぺん読み上げはしませんが、答弁だけ読み上げますと、そういう事実を知つておらぬかどうか再度御質問するという問いに対して、「この点は小平君と伊藤君との話できまつたことでありまして、私はその内容には直接タツチしておらないのであります。それではそういう事実を全然知らぬかとおつしやれば、それはその後雑誌に出たこともあるし、また小平君も伊藤君に会つたことがあるというくらいのことは知つておるのですが、そのこと自体に私が仲立ちして、私がバツクしたというものではないのです。従つてさようにお答えした。」という答えが、それが一回。さらに、私の追究に対して「先払ど申し上げたように全然というようは言葉になれば、私は小平君も伊藤君り知つておるのですから、その点については全然知らぬのじやないというお答えをしたつもりであります。しかし、そのこと自体に私が中へ入つてそれを操作したのではない。」こういうふうにはつきり言つているのですから、自分に都合のいいところの速記録だけ引用しないように。その意味で私は先ほど委員長に、偽証罪の疑いが濃化した点があるからお取上げ願うように御考慮をいただきたいと申し上げたので、そのようなある特定だけの引用に対しては、――偽証罪はそんな疑いなてちやんちやらおかしいという言葉は私は少しおかしいと思う。
#267
○高木委員長代理 よくわかりました。山田君。
#268
○山田(長)委員 証人に二点だけ伺います。ただいま証人が申されました近藤商事という会社のことですが、実は、このことは、私が保全経済会のことをいろいろ調べているばかりでなしに造船汚職の問題で調べている金融業者だと思いますが、近藤商事という金貸しは銀座三丁目にある会社でしようか。もし御存じでしたら教えていただきたいのですが……。
#269
○松本証人 お答えします。銀座ではございません。日本橋の昭和通りのかどにございます明治生命館の五階にございます。
#270
○山田(長)委員 先ほど新夕刊の山崎一芳という人に金をお出しになつた話がありましたが、実は新夕刊というものは、社屋は三浦義一という人が持つている建物でありまして、新夕刊に出されたものはどういう部門に千五百万の金をお出しになられたものか、そういう点があなたでもしおわかりでありましたならば、建物へお払いになつたものか、新聞代としてお払いになつたものか、教えてもらいたいのですが……。
#271
○松本証人 お答えします。その問題につきましては、残念ながら私存じませんので、お答えできません。
#272
○山田(長)委員 あとで質問がありますから、これで打切ります。
#273
○高木委員長代理 よろしいですか。――杉村君。
#274
○杉村委員 それでは証人に伺いますが、私はあなたと議論をするのではないのですから、知らないことは知らないでけつこうです。忘れたことは忘れにでけつこうですから、そのつもりでどうか気安く答えてもらいたい。
 先ほどあなたが、顧問団と伊藤斗福とのいわゆる意見の衝突があつた、それは休業後におけるところの保全経済会の立て直しというか、処理というか、そのことについて意見の衝突がありた、こういうことをお述べになられたのですが、その意見の衝突というのは、平野君初め顧問団諸君は第二会社をつくつた方がいいと言うし、伊藤斗福は立法化をやつた方がいい、こういうふうに言つて、特に伊藤はその点立法化については非常にかたい信念を持つておつたようである、こういうことをお述べになつたのですが、そのことについて平野君も、当行政監察委員会の尋問に答えて、やはりそれに似通つたことを言つておるのですが、伊藤斗福がそれほど立法化を信じて、経済学博士を初め前農林大臣というような顧問の意見に反してまでも、伊藤斗福がもう何でも立法化がいいんだ、こういうことを主張されるというに至りましては、伊藤にかたい信念がなければそういうことにはならないと思うのですが、あなたは伊藤理事長の部屋の室長として、どういうふうなことでこれが立法化されるというようなことについての、伊藤斗福からか、あるいはその他の者からでもけつこうですが、あなたの知り得たことをひとつ話していただきたい。
#275
○松本証人 お答えします。今の御質問には先ほどもちよつとお答えしたかと思いますけれども、理事長は立法化によつて本会の再建をはかるのだというようなかたい信念を持つておられたことは事実でありますが、その信念の具体的な根拠は何かということについては私たちは今まで教えてもらつたことはないのでございます。この点は、実際外から見られて、私の地位からいつてふしぎに考えられるのであろうと思います。けれども、実際には、どこどこにどういうふうにやつてどうだというようなことを一回も聞かされたことはないのでございます。だから、私はその点よくわかりません。
#276
○杉村委員 平野君はこの行政監査委員会においてこういうことを言つておるのです。「これは、人の心の中に立ち入つての判断ですから、わかりません。しかし、先ほど来繰返し申しますように、伊藤君自身としては、池田さん」――この池田さんというのは自由党の池田勇人氏のことです。「池田さんが帰つて来れば保全経済の再建はできるのだし、こういうことを繰返しましたことは間違いございません。」こういうことを言つておるのです。こういうことをあなたは一度も聞いたことも何もございませんか。なお、あなたは先ほど、何も知らせられなかつたと言うけれども、何も知らせられなかつたというあなたの言葉だけでは私が納得できないということは、顧問と伊藤斗福との間に意見の衝突があつた、こういうことをあなたが言われておるのだから、意見の衝突があつたということをあなたがおつしやる以上は、伊藤斗福はどういう意見を持つておる、平野ほかの顧問はどういう意見を持つておる、こういうことを知らなければ、ただ意見の衝突があつたということだけで、あなたが知らないということは言われないと思うのですけれども、いかがですか。
#277
○松本証人 お答えします。第一の池田さん云々の件については、われわれ聞いたことありません。それから、顧問団との対立関係でございますが、それは、事実一方理事長は一つの信念を持つてやつておる、一方ではそういうのではだめだという、ただそれだけの対立で、具体的なそれ以上の内容は私たちは聞いておりません。
#278
○杉村委員 それでは、こういう草案なのですが、「利殖機関匿名組合の立法化について」こういう文書、これは行政監察委員会で印刷したものですが、あなたの方でこういうような立法化の条文等の草案をおつくりになつたことはございませんか。
#279
○松本証人 お答えします。そのプリントはいたしました。立案は理事長が別のところでだれかにお頼みになつた。私のところでは立案しておりません。
#280
○杉村委員 あなたのところで立案をしないが、こういう立案をしたものを作成しろということをあなたに言いつけられたことはあるわですね。
#281
○松本証人 お答えします。そういう立案をしろと命じられたことはありません。
#282
○杉村委員 立案じやない。作成をしろということ。
#283
○松本証人 印刷ですか。
#284
○杉村委員 プリントしろということを――さつきあなたはしたと言つたでしよう。
#285
○松本証人 それは申し上げました。
#286
○杉村委員 そういうことを申された……。
#287
○松本証人 はい。
#288
○杉村委員 あなたはとにかく理事長の部屋の室長だ。内閣で言えば官房長ですが、こういう案をつくつてあなたのところでどこにどういうふうにせよということのさしずを伊藤から受けてはおりませんでしたか。
#289
○松本証人 それは理事長から受けました。
#290
○杉村委員 どういうふうにこれを配付して、どういうふうにどこへ持つて行けというようなさしずを受けたその経路、及び受けた実情を話していただきたい。そうして、あなたがどこへどういうふうにそれを配付したとか、あるいは持つて行つたとかいうことを伺いたい。
#291
○松本証人 お答えします。確かにあれは、日にちははつきり覚えませんが、理事長からそういう話がありましたので、初めに大蔵委員の方、衆参大蔵委員の方、それから、部数が足りなかつたものですから、すぐおつかけて、各議員の方にお配りしました。
#292
○杉村委員 それだけですか。
#293
○松本証人 それだけです。
#294
○杉村委員 あなたは大蔵委員のだれに会つてそれを渡しましたか。またその大蔵委員外の人でも、お目にかかつてお願いしますということを言うて渡した人がありますか。
#295
○松本証人 お答えします。私は直接行つておりません。それは私の方の部屋の渉外課長をやつておつた福山君に頼みまして、福山君が議会のことを少し知つておつたものですから、その方に頼んで配付してもらいました。
#296
○杉村委員 その福山という人に、あなたが頼んだのか伊藤斗福が頼んだのか。どこへ持つて行け、どういうふうにせよといつてあなたがさしずなさつたのですか、伊藤斗福がさしずしておりますか。いかがです。
#297
○松本証人 お答えします。それは、初めは理事長から私が聞いて、それから私が命令を伝えております。
#298
○杉村委員 伊藤理事長からどこへ持つて行けということをあなたにどういうふうにさしずされましたか。
#299
○松本証人 それは、具体的にどこというさしずはなかつたと思います。はつきりした記憶はちよつと薄れておりますけれども、ただ議員関係の、あれはちようど大蔵委員会に呼ばれた日じやなかつたかと思います。それで、さつそく議員のお方に、こういうものがあるということをそのとき申し述べましたので、それをすぐお配りしたような次第であります。
#300
○杉村委員 その点はその程度にしておきます。
 次に、あなたは証券課長の代行をしておつたということなんですが、その証券課長のやつた仕事はどんなことをおやりになりましたか。
#301
○松本証人 お答えします。証券課長としてやつた仕事は、名実ともに理事長の取次だけでございます。
#302
○杉村委員 具体的に。
#303
○松本証人 具体的に申しますと、きよう幾ら幾らどの株を幾らで――指値でございます。指値で言われますから、それで、数量が多くなりますと、どこどこの店にこういうふうにわけたらよいだろう、こういうふうなさしずに基きまして、私はすぐ各証券会社に連絡をいたします。そういうような仕事であります。
#304
○杉村委員 そうすると、証券課長はいわゆる株の取扱いで、手形等はだれが扱いました。
#305
○松本証人 手形と言いますが、どういうあれでございましようか。
#306
○杉村委員 有価証券にはいろいろある。手形もやはり証券ですね。そういうものをみな伊藤理事長のところにあなたが進達するわけでしよう。
#307
○松本証人 金融上の手形でございましようか。
#308
○杉村委員 そうです。
#309
○松本証人 手形を発行したのは経理関係でございます。証券課では発行しておりません。
#310
○杉村委員 あなたはこういうことを知つておりませんか。平野君もそういうことがあつたということを言つておるのですが、今のようなあなたの言葉だと、あるいはわからないということになるかしれませんけれども、自由党の石橋湛山振出しの鳩山、三木裏書きの一千万円の手形を持つて行つて、金を融通してもらいたい、こういうことをやつておるようなんですが、これについて、あなたはとにかく理事長の部屋の室長として、こういう手形の進達に関与したことはありますか、ありませんか。
#311
○松本証人 それは私の室長として在任しなかつたときのことでございましようか。
#312
○杉村委員 それは昨年の九月五日ごろで、あなたは五月に来られておりますから、あなたが東京に来られてから後のことですね。
#313
○松本証人 お答えします。そういう事実は私は全然ないと思います。
#314
○杉村委員 そういう事実はないと思うとおつしやられることは、知らないという言葉とは違うのですが、ないと思うというのはどういうわけでそういう否定の言葉が出て来るのでありますか。
#315
○松本証人 お答えいたします。それは表現の仕方が悪かつたから取消しまして、知りません。
#316
○杉村委員 あなたは伊藤理事長の部屋の室長として、事業に関して伊藤斗福と同行されたというようなことはありませんか。
#317
○松本証人 事業上にというのはどういう関係のことでしようか。
#318
○杉村委員 わかりませんか。事業上というのは、要するに保全経済会の事業のこと。あるいはそのほかにもあれば、あなたの私生活ですね、自分のうちのことについて一緒に歩いたことがあれば、それでもけつこうですが、私は特に私生活の方まで言うのじやなくて、保全経済会の事業上について伊藤斗福と一緒に歩いたことはないか、こういうことなんです。
#319
○松本証人 それはあります。私だけで同行したというのは北海道の総支店の落成式のときに一度、六月でしたか同行しております。そのほかは、私が来てから同行したような記憶が……。
#320
○杉村委員 それでは私が積極的に伺う。あなたは九月ごろ築地の料亭に伊藤斗福と一緒においでになつたことありませんか。
#321
○松本証人 お答えします。秀花には何回か行つたことがあります。
#322
○杉村委員 その秀花にあなたが伊藤と何回か行つたときに、伊藤とあなた以外はどういう人がおりましたか。
#323
○松本証人 私が行きましたのは、内部の人、理事連中とか、外部の人は山崎さんとかあるいは児玉さんくらいの程度でございます。
#324
○杉村委員 あなたが築地の秀花に伊藤斗福と一緒に行つたときに、改進党の総裁重光、大麻、こういうような人と一緒に食事をしたことはございませんか。自分でその席には出ないけれども、あなたが伊藤斗福と一緒に行つたときにその覚えはございませんか。
#325
○松本証人 そういう事実はありません。
#326
○杉村委員 あなたは東海の支店長になられておつたというのですが、あなたがお取計いになつた金銭のあなたの任期中の大体の総額はどれくらいでありますか。こまかいことはよろしゆうございます。大体でよろしいんです。
#327
○松本証人 どういう意味でしようか。ちよつと今の意味が解せないのでございますが。
#328
○杉村委員 なかなかあなたは頭が緻密でいらつしやるようで、警戒なさつておるようだが、これは要するに金を集めておる会社ですね。金を集めておる会社というだけではあるいは漠然としておるかしれないけれども、要するに民間の人から金を集めておつたことは事実でしよう。その集めた金の総額がどれくらいであつたかということなのです。
#329
○松本証人 お答えしますが、集めた額と申しましても、大体三月契約でございますから、三月経過しますと、相当のパーセンテージが、解約でもどしますから……。
#330
○杉村委員 どうもお答えができないようです。それではよろしいです。それでは、あなたのところで集めた金は、どういうふうな経路でどういうふうに処理されましたか。
#331
○松本証人 その点は先ほどもちよつと触れましたが、五日目ごとに全部本店に送金いたします。
#332
○杉村委員 支店長をやつておつたあなたが、五日目ごとにその金を本店に送金するなら、五日目に大体どれくらいずつ送金されたか、およそわかりはしませんですか。一箇月のうちに集計およそどのくらい送金されたということがわかるのじやないですか。
#333
○松本証人 先ほどの御質問では、私が就任当時全部、一年何箇月おりましたですか、その期間というふうに私解釈したものですから……。月によつていろいろ違いますが、一箇月総支店だけで、受入れと申しますが、約五千万前後じやないかと思います。
#334
○杉村委員 あなたが支店長をしておる時分に、山を買うとか、何か保全経済会がものを買うときには、あなたが自分でやつたのですか。それとも伊藤斗福が来てやつたのですか。
#335
○松本証人 先ほども総支店長の職責を問われたのですが、ものを買うときには――不動産を買うときには本店の不動産部長が全部伊藤理事長に稟申をいたしまして、不動産部長は理事長の稟議をとつて買うようにいたしております。
#336
○杉村委員 いま一つお伺いいたしますが、顧問について、あなたは平野氏及び松本氏、大谷氏、そういうような人を知つておつたというのですが、この顧問の人はあなたの方の地方の事業所などには行つたことはございませんか。立ち寄つたこともございませんか。それはいかがです。
#337
○松本証人 顧問の方が私用であちこち地方に巡回なさるときに、あるいはお寄りになつたことがあるかもしれませんが、その点は私ちよつとわかりませんが、ただこういうときには私知つております。各地の総支店を一昨年あたりから逐次本建築に直しまして、いわゆる落成式をやつております。そういうときには顧問の方あるいは仏教保全経済会の会長、副会長、こういう方たちには招待状を発しておりました。それで、必ず全員おそろいになるわけではございませんが、ときどきお見えになつておることはあります。
#338
○杉村委員 ときどきおいでになつたときには、その落成式とかなんとかいうことじやなくても、これは、会社でなくても役所でも、上役が来ればそこの役所の者が集まつて飯を食うというのは通例のことですが、そういうような顧問がそちらに行けば、集まつて飯を食うというようなことがあつたんじやないかと思うんだけれども、そういうことまでも全然なかつたというふうにあなたがおつしやられると、あなたの言うことが信じられなくなつてしまうが、そういうことがあつたようなことはないですか。民間の有力者あたりを呼んで飯を食うというようなことはなかつたのですか。
#339
○松本証人 私が在任当時、落成式以外のときに顧問さんの来訪を受けたことはございません。大体支店、出張所にはそういつた接待費関係というものはほとんどございませんから、そういう機会はなかつたように私は思います。私の知つている限りでは、ございません。
#340
○杉村委員 最後に、これは私が外から聞いたのですが、保全経済会が休業を宣したときに、全出資額が四十六、七億である、それに対して約三十五、六億の資産があつた――。それが事実であつたとすれば、これを散らばさずに出資者に返還してやれば非常に助かつたと思うのだけれども、この財産の状態はいかがでしたか。
#341
○松本証人 財産の状態は、三十五億程度と発表されておりましたが、それには不動産の評価がかなり乗つておりました。その点は、あとで不動産の評価は訂正して、そのとき、二十七億ぐらいの不動産が十八億ぐらいに訂正になりました。
#342
○中野委員 関連して。ちよつとくだけたお話をしますが、伊藤君は築地の秀花へ十五、六回から二十回ぐらい行かれたことがある。これは秀花の帳簿も全部あがつておるからわかります。あなたの行つた回数もわかつておる。そこで、妙なことを伺うのだけれども、伊藤君の秘書に女の秘書がいましたね。古田、金子、もう一人何と言いましたか……。
#343
○松本証人 秘書は二人です。
#344
○中野委員 これらの諸君がどういう関係であつたか。これはへそから下のことで、あまり伺つては悪いことなんだが、いま一つ聞かなければならないことは、古田君と金子君ですか、どちらかが非常に親しいので、これはたしか池田勇人君のところに数回行つておると思うのですが、これはだれでしようか。そういう人があるはずです。これはあなた知らぬわけはない。あそこの理事長の部屋におつて用事を言いつけられてしばしば池田君の自宅に行つておるのです。秀花の点はよいのです。これは帳簿がすつかりあがつてしまつていて、あなた方がどういう芸者を呼んだか、私はああいうことはあまり詳しくないけれども、はつきりしておるのですから、それはよいのですが、その節の伊藤君の信任の厚い方はどちらの方でしようか。これをちよつと伺つておきたいことがあるのです。
#345
○松本証人 秘書は確かに二人おります。古いので古田録子、それからもう一人の方が古谷何と言いましたか……
#346
○中野委員 金子というのはどうでしよう。
#347
○松本証人 金子というのは秘書にはおりません。
#348
○中野委員 あなたは知つておられるわけなんだが、これは秀花へも一緒に行つておる。この婦人は伊藤君の元秘書をしておつて、今その囲い者か何かになつておるわけです。四人おる中の一人ですが、現職であるのか、元なのか、これがぼくにはわからない。聞くところに行つて聞けばわかるのだが、あなたに聞いた方が手取り早い。あなたの社でしばく秀花を使つておることもよく知つておるのだから、どちらが信任が厚かつたか、――池田君のことはどうでもよいのです、あなたに聞こうとするのじやないが、どちらが古くから一番伊藤君の信任を得ている女の人であるかということを聞けば大体当りがつくのです。
#349
○松本証人 秘書二人のうちでございますか。
#350
○中野委員 前に秘書をやつておつた人もあるはずです。
#351
○松本証人 さあ…。前には秘書はいなかつたのです。
#352
○中野委員 それじや、今の人でけつこうです。どちらが信任が厚い方ですか。毎日顔見れば、淀君だつたのだからあなたすぐわかるはずじやないですか。
#353
○松本証人 その点は私にはちよつとわかりません。
#354
○高木委員長代理 天野公義君。
#355
○天野委員 二、三点確かめておきたい点があるので伺つておきたいと思います。まず第一点は、さつき御答弁がありましたが、立法化の問題であります。先ほどのお話では、立法化運動の具体的なことについては一切知らぬし、教えてくれなかつたというお話があつたのでありますが、この立法化の問題については非常に伊藤氏は執心されておつた。松本顧問も立法化の問題について顧問に就任したというような証言もされておるわけなのであります。従つて、あなたは具体的な運動について理事長室長をいたしておるときに話は聞かなかつたというお話でありますが、保全経済会に入つてから、立法化の問題について伊藤理事長がどういう考え方を持つておつたか、どういう話をされておつたかということをお聞きになつたことがありましたならば、御報告を願いたい。
#356
○松本証人 お答えします。私は入社してからそういう話はほとんど耳にしたことはございません。今度休業という事態になつてからそういう問題を実は理事長から聞いたので、それまではそういうことをやるとかなんとかいうことを聞いたことはございません。
#357
○天野委員 そうすると、部内にいる間は全然聞かなかつた、それから今度休業になつてから初めて保全経済会の再建ということに関連して立法化の問題を伊藤から話をされた、このように了解していいわけですね。
#358
○松本証人 先ほどの言葉をちよつと訂正いたします。私が静岡にいるころでございましようか、投資銀行といいますか、そういつたものにあれを将来持つて行くのだということは聞いておりましたけれども、どういうふうにしてこれを持つていくのだということについては具体的に聞いたことはない、こういうようなわけでございます。
#359
○天野委員 証人は伊藤さんのお宅にも職務上行つたことがある。伊藤さんのお宅、理事長の部屋その他に、立法化に関する資料その他がありましたでしようか。またそれに対する何か自分でつくつたメモでもありましたでしようか、
#360
○松本証人 お答えします。理事長のお宅に伺つても、理事長の部屋の中にも、そういつたものは全然見たことがございませんでした。
#361
○天野委員 そうすると、先ほど立法化については自信のある答えが理事長からあつたという御証言もあつたのでありますが、ただ単なる立法化について自信があるという話だけで、それではあなた方は具体的にどういう内容でこういうものであつたかということは宝然知らなかつたわけだと解釈していいと思うのです。
 それから、業務が停滞して、大蔵委員会に呼ばれてから、初めてわれわれの議員会館にこういう封筒で立法化の起案というものをぶち込んでまわつておるわけですが、そうすると、ぶち込んだだけが立法化の具体的な運動として表面に現われたわけでございましようか、その点をひとつお伺いいたします。
#362
○松本証人 お答えします。お尋ねのように、表面に現われました運動と申しますのは、その。パンフレットを配つたことと、それから、こちらから直接指導したわけではないのですが、各投資家の方が上京されましたときに、それを国会の方に御案内して陳情等をお手伝いしたということはございます。その二点ぐらいではないかと思います。
#363
○天野委員 もう一つお伺いしたい点は裏帳簿の点であります。今度捜査当局が捜査を始めてから裏帳簿があつたということをわれわれは新聞紙上で知つたわけなのです。先ほどは、あなたが理事長室長をいたしておるときに裏帳簿のことは知らないという証言をされておりますけれども、ほんとうに裏帳簿がなかつたと思つていらつしやるのでありますか。またそういうことがあつたようなけはいも感じられたことはございませんか。
#364
○松本証人 お答えします。その点につきましては、最近あれが出るまでは、私は裏帳簿云々ということは聞いていなかつたのであります。
#365
○天野委員 そうすると、あなたの推定では、捜査当局がどこどこの何がしのところで裏帳簿を押収したという報道をごらんになつて、ああそういうものがあつたかなということを知つただけでございますか。それとも、そういりものがあつたということによつて納得の行く点があつたのでありますか。
#366
○松本証人 実は、あの新聞を見まして私は非常に奇異な感じを受けたような次第であります。それで、おかしいな、別にそんなものはなかつたはずだけれどもというような感じが私はしておりました。
#367
○天野委員 先ほどから理事長独裁というようなお話が盛んに出ておるわけでありますが、業務の運営、それから機密にわたること、その他裏帳簿というものがもしあつたとしたならばそういうものの記載、こういうような点についてあなたは伊藤一人で全部おやりになつたとお考えでありますか。それとも、それを補佐する者が陰にいて、そうして伊藤をバツク・アップしておつたという点があつたか。その点をひとつ伺いたいと思います。
#368
○松本証人 お答えします。その点は、理事長が実際の事務をとつておるわけではございませんから、理事長がやるわけはもちろんございません。あつたとするならば、部下のだれかがそれはやるわけでございます。そういうふうに思つております。
#369
○天野委員 それから、企画その他保全経済会の運営に関することは、先ほどの証言では顧問団は話にのつておらないとあなたは言われる。一切伊藤斗福が采配を振い、伊藤斗福の責任においてこれをやつておつた、このように了解してさしつかえないわけでございますね。
#370
○松本証人 お答えします。ほとんどすべてのことは理事長の采配のもとにやつておられましたから、そういうふうに御了解になつてもさしつかえないことだと思います。
#371
○天野委員 そうすると、委員会の調べによりますると、保全経済会の発足以来ずつと赤字ばかりで、黒字の出た期間は一ぺんもないわけであります。それで、最後には莫大な赤字を残して、部内の一番身近におるあなたでさえも予測しなかつたときに閉鎖をしなければならないという事態に逢着しておるわけであります。先ほどお伺いをすると、立法化についても、その伊藤の考え方に非常に疑わしい点があつた、部内及び部外について立法化の隠れみのを着てごまかし通したというような疑いを持たざるを得ない。また、内容については、部内の者にも、また部外の投資者に対しても、その内容を一切知らせないで、伊藤独裁でこれだけの赤字を出してしまつたそうして、立法化さえできたならば政府が何とかめんどうを見るだろうというようなことで逃げを打つておる。そうすると、伊藤なる人物について非常に疑いを持つわけであります。あなたは、入社以来非常に抜擢をされ、しかも一番身近に仕えていた者として、伊藤という人物について一応の見解を持つておると思う。忌憚のない伊藤の人物について、またものの考え方なり経済的な能力なり、そういう点についてのあなたから見た率直な伊藤の人物観というものをお話願いたいと思います。
#372
○松本証人 お答えします。理事長の人物観ということでありますが、長い間一緒にいました点から考えまして、やはり私は、理事長という人はわれわれが持ち得ないような信念を持つて物事をやつて行く、強い性格と申しますか、そういう点に大きな信頼感と尊敬というものを私としては持つております。それと、また、不幸にしてこういう結果になりましたが、私たちはこういう事業がやはり成り立つと考えておりましたので、非常な尊敬の念を持つて実は仕事をして参つたものであります。ただ、人間ですから、多少の欠点はもちろんありましよう。ありましようが、そうしたものがやはり人を率いて行く上において大きな統率力を持つておつたように私は考えております。人情もわれわれにこまやかなものを持つて、人を引きつけておつたように私は考えております。ただ、私がしいて欠点ではないかというふうに思うのは、人を疑うという猜疑的な気持が少しあるということがあの人の欠点ではないかというふうに私は考えております。
#373
○天野委員 あなたからはそういう答弁しかできないでありましよう。われわれはわれわれとしての別な見解をつているわけであります。
 それならば率直にもう一点お伺いしますが、伊藤が不在をしたり、また裏帳簿をつくるというような場合に、伊藤が一番信頼をしておつたと推定せられる人はだれですか。何でもかんでも打明けてまかすことのできると伊藤が考え、また事実していたと推定される人はだれですか。それを最後に伺いたい。
#374
○松本証人 お答えします。この点は、望月前室長あたりが非常な信頼を受けておりました。結果的には、あのときからは信頼がかわらなかつたと思います。その後は井上君でしようか、私のいないときはちよつとわかりませんが、私が来てからは、それに該当するというのは比較的私の線が濃かつたように思いますけれども、その点は理事長の認定の問題でありまして、はつきりしたことは、だれだというふうに私は断定できないように考えております。
#375
○高木委員長代理 田渕光一君。
#376
○田渕委員 先ほど午前中に委員長がいろいろ伺つた中に、休業の宣言を発表する前日もしくは当日あるいはその後あたりの状況を詳しくしなかつたのでありますが、これをひとつ、簡単でよろしゆうございますから、かいつまんだところを、わかつている点をお述べいただいて、そうしてずつと私は質問を続けて行きたいと思います。
#377
○松本証人 お答えします。先ほど申しましたように、九月末ごろから資金繰りの関係が非常に窮迫して参りまして、十月に入つても大車輪をかけて資金の調達をはかつたのでありますが、先ほど申しましたようないろいろな原因から、解約が非常にふえて参りまして、地方送金が非常に多くなつたのであります。なお最後まで資金の調達は努力したのでありますが、二十三日ごろだつたと思いますが、この点私は直接聞かなかつたので、翌日知りましたが、高松の総支店が二十三日の午後でございましたか臨時休業を発表しまして、そのことが伝わつて参りまして、二十四日のお昼にはニュースにまで放送されたというような状況であつて、この点で、もう最後まで実は努力したのでありますが、理事長も、もうこれではいけないというふうに考えられて、二十四日の一時半ごろでしようか、一時ごろでしようか、その決意をされたようです。それから新聞に連絡をとらせまして休業の発表をしたような次第であります。
#378
○田渕委員 その後です。休業した当日のことはわかりましたが、その翌日からのことです。
#379
○松本証人 お答えします。休業後は各投資家や店の連中の応接にいとまがなかつたのであります。理事長は対外的な折衝が二三日は続きました。それで、二三日してから休業後の事務の整理あるいは対策というものについて、いろいろ各本店の幹部級と協議いたしまして、まず理事長の命によりまして再建対策委員会というものをつくりました、それは、今後どうやつて保全経済会の再建をはかるかということが大きな眼目でありました。それから、ほとんど同時に、残つている財産が分散してはいけないから、それを防ぐために、われわれ幹部級で共同の管理をするように理事長から命ぜられまして、財産の管理委員会というものをつくりました。そうして、一々全員の承諾がなければ財産の処分ができないというような方法を講じたのであります。再建対策委員会の方は、理事長としては立法化によつてこの会の再建をはかるというような考えを持つておられましたが、一応その第一目的はそのままに置きまして、われわれとしてはやはりまだ詳細な話を聞いていないものですから、多少の不安は心のすみにありますので、先ほど申しました第二会社案というものを私たちは研究しようということで、もうそのときからすでに小委員会あたりをつくりまして、そういつた具体的な案の内容を検討を進めたのであります。そうこうするうちに時間も経過いたしまして、われわれの再建対策委員会の第二会社案に対する活動というものが、理事長の考えておられる立法化の運動にどうも障害があるというようなことを理事長から言われまして、第二会社案はわれわれとしては一切関知してくれるなというような理事長の申入れがありましたので、われわれも理事長の意図に沿つて、そのまま第二会社案を研究することを一時停止いたしました。それで、十二月の初めごろでしようか、名前を、再建対策委員会ではいけないから、立法促進委員会に直してくれというような話がありましたので、そういうふうにかえて、ずつと一月まで来たのであります。大体そういう状況であります。
#380
○田渕委員 休業宣言をする前日かその前日、高松の総支店が臨時休業をしたために、休業宣言を二十四日の一時半ごろやつた、こう言うのですが、いろいろ再建対策委員会をつくり、あるいは、また第二会社案あるいは立法化というような意味で活動したというようなことがわかつたのでありますが、その当時の会議に参画したのはもちろん顧問団とあなた方であろうと思いますが、顧問団がだれだれであり、残存の当時の幹部として主としてどなたがその会議をなさつたかということを伺いたい。
#381
○松本証人 お答えします。休業前顧問の方と理事長がお会いになつたことについては、私同席したこともございませんので、よくわかりません。お会いになつたことはお会いになつたようでありますが、ちよつとその点わかりません。それから、休業後については、私たちのところに来られたことはしばらくございません。われわれと一緒に会議を開いたことももちろんございません。すべて理事長と顧問の方とお会いになる程度のものであつたと思います。
#382
○田渕委員 どうも、保全会の役職員名簿との順位から見ましても、理事長の伊藤君、理事の名前が出ておつて、それから顧問、その次が理事長室長の松本君――証人になつておるのですが、そういう善後措置の会合というものが、保全経済会の室でやらずに、よそへ移動してやつておつたとか、あるいは他の方面でそういう計画をされたととつていいのでありますか。あなたが全然参画しない、――保全経済会の本社でそういう相談もせずに、ほとんど理事長や顧問がよそでやつておつたのだ、こういうふうに伺つていいのですか。
#383
○松本証人 お答えします。実際いろいろな重要な点が外できめられたことが非常に多いのでございます。ですから、その点で理事長がどういう人と御相談なされたかわかりませんが、実際に全部われわれ本店にいる幹部級を集めて何か一つのものをやつて行くというような大きな問題はあまりなかつたように私は思います。ただ、営業面あたりでは、これはやはり部長会議とかあるいは総支店長会議とかいうものがございます。そういう席でいろいろ審議されることがありますが、大きな問題はそういう席上では審議されません。理事長から一応知らせを受ける程度でございます。
#384
○田渕委員 政治的な方面あるいはそういう立て直しの対策というような重要な最高会議と申しましようか、そういうものがよそでやられておつたのでありましよう。そうすると、当時の実際の実務に携わつているあなた方の、たとえばこの財産目録をつくるということにつきましても、あなた方の資料を主としてとらなければ、伊藤君の頭がいかに鋭敏でも覚えていないのだから、財産目録をつくるときには、あなた方が持つておられる資料、帳簿等によつてつくられて、それを伊藤君が承認したということになつておるのですかどうですか。
#385
○松本証人 お答えします。財産目録をつくる場合には、当然それぞれの帳簿によつてつくるわけでございます。それを理事長に出すわけでございます。
#386
○田渕委員 そうすると、実務に携わつておるあなた方が財産目録をつくつて財産目録ができ上る、こういうわけだというあなたの説明によつて、その財産目録というものを理事長が承認をし、よしということになる、こういうわけですか。それをひとつしかと聞いておきたい。
#387
○松本証人 お答えします。それは原則としては当然下の者からつくつて参りまして理事長にこれを渡します。しかし、理事長から命ぜられて、他の目的に使う場合に多少修正したものを要求されることはございます。
#388
○田渕委員 帳簿上からつくつたものを、これではぐあいが悪いから、ここはこういうふうに修正せいというようなことは、理事長から命令があれば直すけれども、そうでない限りは、あなた方の帳簿から上つて来た財産目録、決算その他――方々の出資者に知らせるものは、出資者に安心を与えるためにつくるものでありますから、大体赤字になつて来れば、これは多少いかぬから、こういうふうにせいと筆を加えるかもしれないけれども、大体あなた方がつくつたというように伺つてよろしゆうございますか。
#389
○松本証人 お答えします。それは理事長の指示に基いて修正を加えて、それから下のそれぞれの係で当然これを作成いたします。
#390
○田渕委員 係で直そうとあなた方が直そうと、要は保全経済会の実際の実務というものをあなた方がやり、あなた方の下の課員がやるのであるから、結局伊藤君が政治的に取捨するとか、あるいは政策的にこれはふやせ、これは減らせという問題は別として、要は下の方からつくつて来たものを、理事長室長としてあなたがそれを決定し、それをその都度発表して来たのだと、われわれがそうとつてよろしうございますか。
#391
○松本証人 お答えします。今の意味がちよつと解しかねましたけれども……。
#392
○田渕委員 それでは、はつきりわかるように言いましよう。財産目録をつくるのについて、全国の支店その他の資料もありましようし、あなたの方の財産目録もありましよう。保全経済会に現存するものを帳簿上からつくつて、これを発表する場合に、政策上非常によくないという場合には、これはふやせとか、これは減らせとかいう伊藤理事長のさしがねのある場合には訂正するけれども、そのさしがねのない限りにおいては、あなた方のつくつたものが発表されあるいは提出されて来たのかと、こう伺つておる。
#393
○松本証人 お答えします。財産目録については、今まで公表したものは、全部理事長からの指示に基いてつくつたものであります。
#394
○田渕委員 何十億というような財産目録を、伊藤理事長からつくれと言われてできるものじやないと私は思う。保全経済会に現存する帳簿から上つて来るのだ、こういうふうに私たちがとるのが社会常識ですが、それでは、ことごとくあなた方は保全経済会にあつた帳簿によらずして伊藤理事長から言うて来るままの財産目録というものをつくつたのでありますか。それをはつきりしていただきたいのです。
#395
○松本証人 お答えします。もちろん財産目録の場合に、原簿というものがあります。それをもとにしてつくつております。但し、その場合に、この前発表しました不動産の価格というものは、評価によつて違いますから、大体このぐらいの線でという理事長の指示があれば、その指示に基いて私の方で一応評価の点はできるわけであります。それの基礎はもちろん帳簿からであります。
#396
○田渕委員 それをはつきりしておかぬと、伊藤さんが言うて来られて、それをあなたが取捨てたものを私は聞くのじやない。大体あなた方の理事長室へ各課から来た財産目録というものをあなたが見て、これでよいと理事長に見せる、理事長は、これではぐあい悪いからふやせ、減らせと言う。そのことは先ほどわかりましたが、大体理事長の頭の中、あるいは二重、三重の帳簿でつくるのではなくして、休業後発表した財産目録というものは、あなた方がつくつたものを結局発表したのであつて、あなた方の手元にあつた帳簿から出したのであるかどうかということをはつきりしたいのですよ。つまり、保全経済会にある帳面からつくつた財産目録であつて、これは伊藤君がふやせ、減らせと言うこととは別です。これは望月前理事長室長時代からやつて来たものをあなたが引継がれたのでしようが、あなた方が現存する帳簿からつくつた財産目録であるかどうかを伺いたい。
#397
○松本証人 休業後に発表した例の財産目録の件ですか。
#398
○田渕委員 いや、休業後も、休業前も、あなたが知つておる範囲のことを全部聞いておる。
#399
○松本証人 休業前には発表しておりません。
#400
○田渕委員 発表してなくても、保全経済会にある財産目録というもの、あるいは損益決算というような数字について、帳簿に残つておつたものはあなた方がつくられたのですかどうですかということを今度は伺いたい。
#401
○松本証人 お答えします。財産目録は、休業前のものは公表いたしておりませんが、当然帳簿からつくられておるものであります。
#402
○田渕委員 帳簿からつくられておるものでありますから、その帳簿が正しい限りはその現われて来たものが正しいものでありますね。そうわれわれはとつていいと思います。あなたもそう認められましよう。そうすると、財産目録の、つまりたとえばこの過去数年間にわたる損益の決算において、古いことは私はお聞きいたしません。あなたが二十八年の八月に理事室長になられたということを今伺いましたから、そうすると、二十八年の四月一日から九月の三十日まで、つまり四、五、六、七、八、九の半年、この間につくつた九月三十日の決算というものは、今でもあなたの頭に入つておられましよう。それをあなたは知つておられますかどうか。去年の九月三十日の秋の決算ですと、あなたが理事長室長になつておられるのだから……。
#403
○松本証人 お答えいたします。確かに私の方の所管事項であります。しかし、実際につくるのは監査課の方でこれをつくります。そうして、九月末の決算書は、やはり本店関係は割合帳簿の整理が早いのでありますが、支店関係は、休業という事態が起りましたので、非常に経営事情が混乱しておりますので、資料がなかなか集まらなかつたので、おそらく今年になつてからでございましようか、正式なものができたのは。そのくらいで、私はしさいに検討してない。
#404
○田渕委員 休業後のことはあとで伺いましよう。休業の約一月前でしようか、九月三十日現在としても、十月の上旬もしくは――一週間かかるか十日かかるか、休業前にできた貸借対照表というものは、監査課でできたとしても、あなた方はこれを是なりとしましたか非なりとしましたか。九月三十日にできて来た決算というものは、監査課がつくろうがどこでつくろうが、伊藤君のところに持つて行く前に理事長室長へ来るのです。そのときに、この数字でよろしいとあなたがそのままお認めになつたか、全然だめだというように、認めないような態度をとられたかどうでしたか。まず九月三十日現在の決算の結果をあなたに伺いたい。
#405
○松本証人 お答えいたします。九月三十日現在のものは製作が非常に遅れております。それで、私記憶がないのですが、見ないで済まして、まつすぐ理事長のところに上つたのじやないかと私は考えます。
#406
○田渕委員 まあ大事なことは伊藤君がやるのでありますが、あなたは少くとも四十何億預かつている保全経済会の理事長室長ですよ。そのあなたが決算の数字を知らずに、覚えていないとか、どうとか言うて責任をのがれることは――のがれてよろしいのですよ。よろしいが、ずつと午前中から午後まで聞いておつて、知らぬ存ぜぬの一点では、われわれが実態を知ることができないから伺うのです。率直に知つていることは知つているとお答え願いたい。どうも、ここで妙な言質をとられてはというような、そういうことは何もありません。われわれは実態をつかみたいから伺うのであるから、われわれが聞くところをそのまま言つてくれればいいのですよ。たとえば二十七年の十月の決算というものをあなたが知つているかどうかということは、それはあなたは理事長室長でないからわかりませんと言うに違いない。それで、去年の九月三十日にはあなたは理事長室長なんだから、二十八年の四月の一日から九月の三十日までどれだけもうかつたかもうからなかつたかということの決算は、あなたが知つていなければならない。その数字というものはここに現われているのですが、あなたがそれを見たときに、これは無茶な損をしているとか、これは相当もうけているとかいうことが、理事長室長としてなければならぬわけですな。たとい九月三十日の決算が一週間や十日遅れても、これは保全経済会がいわゆる休業宣言をした後につくつたものではないのだし、また九月三十日に決算期が来ておるのですから、それを下からつくつてあなたのところへ持つて来て、伊藤君に見せる前、あるいは顧問団会議に見せる前にあなたが知つておかなければならない。理事長室長の判がなければ伊藤君のところへ行きますまい。そこで、二十八年の休業前の決算の数字をあなたが知つておつたかおらなかつたか、伺いたい。
#407
○松本証人 お答えします。九月末の決算書を製作したのは、おそらく去年の十二月くらいじやないかと思いますが、それほど遅れております。
#408
○田渕委員 遅れてもよろしい。それじや、そのときにできて来た数字をあなたはどうしましたか。
#409
○松本証人 私は決算書は見てないと思いますけれども、マイナスの数字は監査の係の連中から聞きました。それによりますと、大体二十四億くらいのバランス・シート上のマイナスは出ているということは聞きました。
#410
○田渕委員 あなたはそれを聞いてどう思つた。聞いただけで、ああそうかというだけでは、五万円月給をとつているところの責任を果されないでしよう。どうもなかなか赤字に来ておるな、会社の転換を考えなければならぬとか、経営の方法をかえなければならぬとかいうことがその数字によつて出なくちやなりますまい。その点はどうですか。
#411
○松本証人 お答えします。休業後は、そういう数字は、赤字のあれを見まして、これは何とか転換をしなければならぬいうことはもちろん考えます。しかし、その当時は休業中でありまして、どう再建をはかるかということが主たる仕事でいろいろやつておつたわけでございます。そうして一月に全出資者の大会を開いて、理事長は再建の方策についてはその出資者大会の意向に沿うというような考えを持つておられましたので、私たちが見た瞬間にこれをどうするというようなことは頭にそう浮んで来なかつた。
#412
○田渕委員 それは、先ほど中野委員の質問に対して、あなたが、当時の理事長室長として最後までやつて行けると思つたということと食い違いができやしませんか。
#413
○松本証人 お答えします。やつて行けるんだというそれは、時間のといいますか、いわゆる現在時の相違じやないでしようか。私は、それは八月着任当時のことを言つておつたのであります。しかし、今御質問のあれは、休業後のことじやないでしようか。
#414
○田渕委員 決算書に基いて私はあなたの何を伺つておる。あなたはそう逃げようつたつてだめだ。ずつと聞いておると、あなたの証言は何も実体がつかめない。ですから、私は少し極端なことを伺うのですけれども、なるほど九月三十日の決算は十二月にできたかもしらぬが、それはそれでさておきましよう。その前の年の十月の決算のときにこのくらいの赤字が来ておるというようなときにも、あなたはそれを知つたか知らぬか知らぬが、知らぬと言えばそれきりだけれども、自分が理事長室長になつた当時の二十八年の八月か九月に、休業前は自分はやれると思つたとあなたはおつしやつた。今言いましたね、やつて行けると。休業後二十四億何ぼと聞いたから、いかぬと思う、こうおつしやつたが、二十八年の八月、あなたが理事長室長に入られたときに、すでにもうこれはいかぬということは感づかなかつたですか、どうですか。
#415
○松本証人 お答えします。着任しましてから、八月ごろでございますが、これはもういけないというような感じを受けたことは実はないのでございます。けれども、やはり八月から実施しました例の六箇月契約の点が、十一月になりますとそれは普通ならば満期になるのでございますが、十一月から一月まではその契約は延びるわけでございます。それまで持つて行けば蓄積する資本は相当できるというようなもくろみももちろん立つておりました。ですから、その当時にはもうこれはいけないというような考えは毛頭持つていなかつたのであります。
#416
○田渕委員 それでは、望月君が伊藤君と意見が合わなくて理事長室長をどいて、あなたが引継いだときに、望月君からあなたが事務引継ぎをなさつたのですか、しないのですか。ただ望月君がよしたから今度はお前やつてくれという式になつたのですかどうですか。
#417
○松本証人 お答えします。望月室長がやめたのは昭和二十七年の十一月でございます。私は東海から二十八年の五月に来ておりますから、引継ぎも何も起りません。
#418
○田渕委員 それでは、その間は井上俊吾君が理事長室長でございましたね。違いましたか。――それでは、望月君がよしてあなたが行くまでに、だれが理事長室長をやつておつたのですか。
#419
○松本証人 その間は室長、あるいは室次長は空席であります。仕事は――室長の権限であるかどうかはわかりませんが、井上秘書課長が代行しておつたように思います。
#420
○田渕委員 どうも、これは知らぬ、井上秘書課長といいましようか、秘書室長といいましようか、それが代行しておつたと言うんだが、少くともあなたが理事長室長になつたときには、帳簿もあるであろうし、事務の引継ぎはないまでも、これだけの赤字をやつているというんじややれまいとかなんとかいうことは、そこで気がつかなくちやなるまいと思うのです。先ほど私が申し上げた九月の三十日の決算はどうであつたかということに対して、あなたは、それは十二月ごろできたんだ、結局戸を締めてしまつたあとで二十四億何ぼの赤字だつたので、どうしたらいいか心配になつたということを言つておられたが、あなたは二十八年の五月に本店詰めになり、八月から理事長室長を引受けたと言う。その当時にもうすでに苦しくなければならぬものを、あなたがわからなかつたという点が、私たちは納得できない。下にたくさんの、秘書課でも、監査課でもあるんだから、それらの人のことも見ておると思います。たとえば、職員諸君のうちからでも、どうも赤字になつておるということを聞いたとか、あるいはそれによつて感づいたというようなことがございませんか。
#421
○松本証人 それは、先ほどもちよつと述べたと思いますが、着任間もなくその点は気づいております。
#422
○田渕委員 それは気ついておつた。私はあなたにそれを申し上げるのだ。休業直後あるいは昨年の十二月ごろへ行つて約二十四億三千万円近い赤字が出た。そうすると、二十八年の十月までの損害というものが、二十七年十月から二十八年三月までの損害というものが六億、これを入れて大体二十四億、それから八億引くから、十六億という赤字ができておつた。――あなたが理事長室長になるまでには。あなたが理事長室長になつて、その後休業後発表したものが二十四億となるのでありますから、八億マイナスすると十六億の赤字です。これはあなたはやれないと気づいた。気づいたのに、どうしてやれるとさつき中野委員の質問に答えたか。やれないものをどうして最後までやつて行けると、それはどういうところからその計算が出たのか。
#423
○松本証人 お答えいたします。確かに十六億でしたかマイナスがありました。これは、理事長に話しましたところ、理事長から、当時の不動産所有額が約六億ちよつとあつたかと思いますが、そういつたものの評価によれば約三倍くらいはその当時でも評価が楽にできるのだというような話も聞いております。そういつたことで、いわゆる評価益というものが当然あるのであるから、赤字としてはそんなに大きなものではないのだというようなことも実は聞いております。しかし、この点は評価でありますから、実際に売つたのでありませんので、疑問がありましようけれども、一応これを処分する場合にはそういつたことも理論としては考えられる。三倍に評価しても――大体約六億から七億くらいの評価益が見込まれるとすれば、十六億でありますから、約八、九億くらいのマイナスということになる。このくらいなれば、やはり将来資金の獲得を増して、運転資金の大幅な増額をはかり、堅実な回転方法を考えたならば、三年あるいは五年とかいう間には必ずこれはそのマイナスは消して行かれるのだというふうに、ただ精密な計算ではなかつたのでありますが、大体私はそういうふうに了承したのであります。
#424
○田渕委員 そうすると、伊藤理事長からの話でそういうふうに思つたわけであつて、要は、伊藤理事長の極端な独裁による、その伊藤君の言葉だけによつて、あなた方が信じて、実際に現存しておる数字の統計を現わすところの帳簿というものを何ら根拠にしなくてやつて来た、――保全経済会の理事長室長を初め、以下職員諸君が非常に帳簿上では現実に損が出て来るけれども、ただ伊藤理事長のやつて行けるのだと言つたことで、あなたはやつて行けると思つたのですか、帳簿によらず、伊藤君の言葉だけで、伊藤君を尊敬し信頼するがゆえにそう思つて来た、こうとつてよいのですか。
#425
○松本証人 数字は確かに帳簿からとつておりますが、その点、私たちの検討の仕方というものが足りなかつたことは、これは私もおわびしなければならぬことと考えます。
#426
○田渕委員 そこへ来るでしよう。あなた方が帳簿の数字というものを当てにせぬで、ただ伊藤君の言うままに動いておつたとすれば、そこにあなたの責任がある。これは法律上とかどうとかというのではありません。道徳上の、つまり五万円の俸給をはんでいながら、何ら実際の仕事をしていなかつたということにもなるのでありますけれども、それは伊藤君とあなたとの話もあろうし、また信じたということもありましようが、そこで、この財産目録をつくつて、大体評価がこのぐらいだということについては、先刻中野委員から指摘されたように、非常に水増しをしておる。あなた方が二十八億何ぼといつて発表した財産が、実際買つた不動産の取得価格というものは八億二千何百万円、これは今日いわゆる登記の価格でありまして、実際に金をよけい渡す場合もありますから、これは私たちも納得できます。しかしながら、この休業後つくつた財産目録というものは、これはいいかげんなものだと思つてあなたがつくつたのか、あるいはこれでいいものだと思つてあなた方がこれを承認したのか、それをひとつ伺いたい。
#427
○松本証人 お答えします。休業後につくつたものは、理事長から、政策的な意味で、こういうふうにつくつてくれというような御指示がありましたので、そういうふうにつくりました。
#428
○田渕委員 そこなんです。要は、実際の帳面上で十六億の赤字をあげ、さらにあなたが就任された後において結局約二十四億三千万円という赤字を出しておる。それは伊藤君がつくれと言つたからつくつたと言われる。それは伊藤君がどういう腹であつたか知らぬが、これは大衆を欺いたことになる。帳簿上に実際ないものをつくれというからつくつたと、あなたは言われる。そうでしよう。あるいは価格評価というものは、それはなるほど不動産によつて上りましようけれども買つた場合には、先ほど中野委員から指摘したように、わずか六百万円しか出していない山を六千万円も七千万円も金を出しておることにしておる。本人に渡つた金は六百万円と聞いたおる。それを何千万円にこれがあなたの方で財産を上げて来ておる。とんでもない水増しだということが国会の調査でわかつて来た。このように六千何百万円という価格に訂正しておる。こういうことで、数字をいらうことは自由でありますけれども、あなたが先ほど中野委員の質問に対して、最後までやつて行けると思つた、今でもやつて行けると思つておる、こういうようなぐあいに私は聞きましたから、この点を伺つた。あなたが、それは入つた当時であつて、いわゆる自分が理事長室長になつた当時にそう思つたのだと、今は言いかえられた。そこで、それじや、かりに伊藤理事長がこう直せと言おうが、ああせよと言おうが、このつくつた数字というものはあなた方がつくつたのですか。それを下でつくつて来たかどうか知りませんが、理事長室長としてあなたがこれを承諾して認めたのかどうか、お伺いします。あなたがつくられたものであるかどうかということをお伺いします。
#429
○松本証人 お答えします。理事長からそういつた意味で命ぜられましたので、私は監査の連中を呼びまして、大体科目別の数字をあげてもらいまして、そうして不動産の場合には不動産課に、理事長からこういうふうな話があつたから、こういうような意味で評価をしてくれというようなことを、これを伝えて、そうしてその数字を合わして室の方でつくつたものであります。こういうようなわけであります。
#430
○田渕委員 それを伊藤君が十一月の五日に、内閣総理大臣あるいは衆参両院議長、国警長官、警視総監に出したのでありますか。
#431
○松本証人 お答えします。あのときお出ししたのは、バランス・シートではなくて、資産明細表なんかではなかつたかと思います。だから、不動産と有価証券、それの明細書を出したように記憶しておりましたが……。
#432
○田渕委員 それをあなた方がつくつて出しておるのですよ。不動産の方は不動産課へまわして、こういうふうに理事長が言うから直せ、資金の方はこんなぐあいに直せと言つて直したものを、十一月五日に、上申書に別紙の通りという財産目録をつけて、これを衆参両院議長、国警長官、警視総監に、土曜日のしかも各役所が退庁した夕方届けておる。それをあなたがつくられたかどうかということを私はさつきから伺つておる。
#433
○松本証人 お答えします。私が直接つくつたわけではなくて、それぞれの係に依頼しまして、そうしてつくつたわけであります。
#434
○田渕委員 少くともあなたの方の部下、あなたも覚えておるだろうが、これだけの役職員がいますよ。とにかく保全経済会の役職員、あなたの方から出ておりまする損益計算あるいは財産目録と一緒に出しておる役職員、これはたいへんな人だ。不動産部長、庶務部長、経理部長、証券部長、あらゆるたくさんの人がおつて、そこで最後のくくり締めは理事長室の松本さんがやつておる。この十一月五日に衆参両院議長、最高裁判所の長官、国警長官、警視総監に出したその上申書と、貸借対照表あるいは財産目録というものを直してつくつたのは、だれかがつくつたにしても、あなたが理事長室長として最後に判を押して、これを伊藤君に見せて、これなら大丈夫だといつて出したことだけは事実でしよう。どうですか。
#435
○松本証人 お答えします。提出しました書類の作成は、先ほど言いましたように、各責任者に頼みました。それをまとめて室の方でつくりまして、そうして上申書は私の判ではないと思います。理事長の判です。私の方でまとめて、それを持つて行きました。
#436
○田渕委員 伊藤君からこういうふうにしてこいというので、証券は証券部、不動産は不動産部で水増しその他をやらすというぐあいに、実質以外に、いわゆる帳面に現存する数字を非常に取捨してでき上つたものを、これは下の人がやつたにしても、最後の責任としてあなたが、理事長これでよろしゆうございましようということで、これは出たものと私は思います。最後の責任というのは、法律の責任を問ろのではない。できた過程において、よろしい、これならこれだけの財産ということになつて、相当安心しましようから、出しましようということの決が、伊藤君とあなたとの間にあつたと思いますが、どうですか。
#437
○松本証人 お答えします。それは、まとめた最後の責任者としては、確かに私でございます。
#438
○田渕委員 それでよくわかりました。そうすると、伊藤君が少くとも最高裁判所の長官、衆参両院議長、国警長官あるいは警視総監に出す書類を、帳簿にあるものをすつかりこのまま出してはいかぬというので、係員に命じて取捨をやらし、水増しをやらして、そういうでたらめなものを君がつくつて、衆議院なら衆議院に出したことに対して、なぜそのときに君は責任をとらなかつたか。こういう罪悪はできません、少くとも発表するものは正しいものでなければなりませんと言わなければならぬ。先ほどあなたは、中野委員の質問に対して、今日大勢の大衆に対して相済まぬと思つておると、非常にざんげの念を言つたと思うけれども、実質においてはこういう欺いた書類を君らが共謀してつくつて、衆参両議長をだまし、国警長官をだまし、警視総監をだまし、最高裁判所の長官をだまして出しておる。これをあなたはどう考えておるか。
#439
○松本証人 お答えします。なぜそのときに阻止しなかつたか。なるほどごもつともな話だと思います。私はそう言われれば赤面する以外にはないのでありますが、完全な例の理事長の独裁によつて、こうやれと言われた場合に、今までの例から見ても、それはこうではない、こうだと、違つた意見を出しても、聞き入れられないのが常態でございまして、そういうことをよく私も知つております。この点は、私が性格的に非常に弱かつたということを私は痛感いたします。しかしこれは理事長から強くそういうふうに命ぜられましてやつて、それが皆様に非常に御迷惑がかかつたということについては、私は実にその点は責任を感じております。
#440
○田渕委員 伊藤君があなたに命じてやらせた限りは、これ以上私は追究しようとは思わない。そうすると、十一月五日のこの書類はわかつたが、今度は十一月二十二日に「全国の出資者の皆様に謹んで申し上げます」という出資者を欺く文書を伊藤斗福は出しております。このつまり「全国の出資者の皆様に謹んで申し上げます」という書類は、やはりあなたがつくつたと思うのだが、これはどうですか。これは決して追究するわけじやないから、率直に言つてもらえばいいのです。
#441
○松本証人 二十三日付のあの手紙の起案は、理事長からいろいろ話がありまして、私ではなくて、その当時はもう渉外部長になつておりましたか、福山君か檜君か、その原案を理事長のいろいろな話を聞いて確かに立案したように記憶しております。私が直接――私は文章はあまりうまくないものですから、直接立案はしてないように私は思います。
#442
○田渕委員 けれども、こういうようなものをひとつ全国の出資者に発表しようということの相談にあずかつたことは事実でしよう。
#443
○松本証人 できたもの、いわゆる声明書、あれは、支店、出張所に案内するものとしてできたのは確かにそれは見ました。
#444
○田渕委員 やはり見た結果が、先ほど申し上げたように、いわゆる関係官庁へ出したときと同じような心境で、あのときは出資者を欺いたというような発表をしたということに対して同じ心魂と私は思いますが、いかがですか。
#445
○松本証人 その点、欺くとかいう気持はもちろんないのでございますが、結果的にそういうようなことになりましたことを申されますと、まことにその点は自責の念にたえない次第であります。
#446
○田渕委員 先ほど杉村委員の御質問に対して、あなたは今でも伊藤は非常にりつぱなものだ、欠点といえば疑い深いだけであるが、非常に強い信念と実行力を持つておつて尊敬しておるとおつしやつた。これは長い間一緒にやつて来たのですから、そういう点については見ようですが、結果においては大きな迷惑をかけた。またこれに類似したものもたくさん出て来たが、その中には保全経済会のこういうやり方のまねをしたものもあつたろう。いずれにしても、非常に社会的な道義的な責任をあなた方は負わなければならないのだが、伊藤君は休業後大勢の人を集めて、出資者の会合のある都度、十一月十一日には、朗報がある、それは今度の臨時国会には間に合わないが、十二月の通常国会には必ず法案が出るということを言つておる。また文書も出ておる。これにはいわゆる再建対策委員会あるいは第二会社案あるいは立法等いろんなことがありましようが、こういうことを伊藤君が発表しておることに対して、あなた方は必ず国会側あるいは政党関係から立法してくれるということを真実に受取られたか、あるいは伊藤君が一つのほらを吹いて、こうやつて出資者をいらだたせないようにしておる政策なんだというように思いましたか、それを伺います。
#447
○松本証人 理事長は、確かに、休業の日でしたか、そういうことを投資家のある部門に話しておりました。しかし、私たち聞いておつて、いわゆる朗報というものがどういうものであるか、実際にははつきりのみ込めなかつた。その点、具体的なことを聞いたことがないのです。聞いても教えない。その後のことについても、そういつた過程について教えられないので、判断がつきません。実際その当時われわれ仲間同士で話したのですけれども、立法といつてどういうふうにしてできるのか、――私たちは国会の関係ももちろん知りません。あるいは世間にいう政党献金ということも私たち十分にも知りません。どういうふうな過程でどうなるというようなことは、私の浅い頭では判断ができなかつた。しかし、一応理事長がああいう自信を持つて言われるから、何かそこに免れるものがあるであろうというような、非常に甘いと申せば甘いのですが、そういう考えを持つて実は来たのであります。この漠然とした気持といいますか、この点は、責められても実際申訳ないというふうに私は考えております。
#448
○田渕委員 そこで、休業後においても伊藤理事長は、なるべく出資者には御迷惑をかけたくない、この金は全部返したいのだ、一銭でも出資者に返すようにしたいと言う。この伊藤君の心境を、あなたは今日でも信ぜられておりますか、どうですか。
#449
○松本証人 それは、先ほど申しましたように、現在のこの段階において、和議というような方法によつて、この条件を有効適切に生かして行くならば、期間的な猶予をもらえるならば、ほとんど迷惑をかけなくても済むようなことになるであろうという気持はいたしますが、その点は実際の和議条件の運営いかんにかかつておりますので、気持としては、それはできるというふうな自信もあるようにも私は考えております。
#450
○田渕委員 それは、再建対策委員会あるいは第二会社、和議、破産申請、その他ありましようけれども、それが行く行かぬということは将来のことです。だが、少くともあなたが就任されるまでに十六億近い赤字をあけ、あなたが就任された理事長室長時代に、すでに九月三十日現在で二十四億三千万円という赤字を出しておる。それから、諸君がみなといろいろ相談したとか、伊藤君の命令だと言うけれども、最高裁判所長官、あるいは衆参両院議長、国警長官、あるいは警視総監等に、水増しした、まつたく真実と違うものを伊藤君があなた方につくらして出した。これはあなたも相済まぬと考えているらしいが、こういう点から考えてみて、あなたは今でも、一銭も出資者に迷惑かけないようにするという理事長の心境にかわりがないと信じているかどうかと言つたら、和議をどうとかこうとか言つておるけれども、和議がどうなろうと再建対策委員会がどうなろうと、休業を宣言した当時の伊藤君の心境は、一銭も迷惑をかけないようにやりたいために休業するという意味だと思うのですが、実際自分としては、誠心誠意伊藤君が出資者に迷惑をかけない主義でおるのだという強い信念と強い実行力を今でもあなたは信じられて、その当時はもつと強く信じていたかどうかということを聞きたい。
#451
○松本証人 お答えします。私は、理事長の当時の言から判断いたしますと、やはり売り食いをしてはいけない、これは最終的には大きな御迷惑がかかる、しかしここで財産のあるうちに休業して、これを再建に持つて行つて、そうして少し時間がかかつてもこれはお返しするというような方法で行つた方が一番御迷惑をかけない方法であると伊藤理事長は信じておられたと思います。今でもその点については理事長は気持としてはかわりないのではないか、私はそう思います。
#452
○田渕委員 あなたが非常に水増しした書類をつくらせて、日本の指導階級といいましようか、関係官庁の最も重要な地点に、そういうたぶらかした書類をつくつて持つて出る、この点において私は信じられませんが、あなたが今でもそう信じると言うのならば、信じるということについて私たちが疑問を持つ点を一点申し上げたい。あなたはどこまでも伊藤をりつぱな人だと言う。法務委員会でも大蔵委員会でも、伊藤はりつぱな人だ、くつ下は破けたものをはいて来ている、タバコは新生よりすわない、自分は三等車より乗らぬが、社員には二等車に乗せる――それは上手にあやつつたのかどうか知らないが、当時も今日でもあなたはそうだとおつしやるが、そうであるならば、京都のめかけの家へ七千万円の現金を送金したということを警視庁で言つたというが、こういう悪いことをなぜ伊藤君がする。この七千万円あれば、なぜ債権者に返すために金庫に入れて安心させなかつたか、疑うのだが、あなたはこれをどうお考えになるか。
#453
○松本証人 今非常に妙なことを私実はお聞きしました。京都事件の件でございますが、この点については、私たちはもちろん知りもしませんし、そういう事実はおそらく、私としては、ないのではないか。但し、それがどういう証言内容か、もちろん知りません。――明らかにされておりませんから。もしそういうことが、かりに七千万でなくても、五百万でもあつたとするならば、私たちは今までの気持と全然反対に理事長を憎むと存じます。その気持でおります。私らは、それだけに、そういうあれはないように考えております。
#454
○田渕委員 これはまあ新聞記事を見て言うのでありますから、これ以上私はあなたに伺いませんが、これはいずれ警視庁が調べて公判に入つたらわかりましよう。これは警視庁が調べているから、わからぬことにいたしまして、しからば、伊藤君がそれだけ債権者を思うのならば、なぜ駒込の動坂の家に一千二百万円というような修理費をかけ、十五万円という電気冷蔵庫を買つたか。こんなぜいたくな生活をしておる事をあなたは知らないのか。
#455
○松本証人 お答えします。私は理事長の家の台所に入つたことはございませんから、知りませんが、りつぱな邸宅を持つておられることはよく知つております。行つたことももちろんあります。理事長としては、あの程度といいますか、これは会の資産にもなります。多少社会的な信用のためにも理事長はあれくらいはどうしてもいるという考えを持つておられたように思います。これは保全経済会にふつり合いの住宅だというふうには私たちは考えておりません。
#456
○田渕委員 非常にあなたは伊藤君をほめたり、信念の人だと信頼している。私がいろいろ事例をあげてみても、それは保全経済会の四十五億を集めた理事長としてふつり合いの生活じやないと思うと、今でもあなたはおつしやるのだが、さて自動車はキヤデラツクか何かを乗りまわし、そして、動坂の家を千二百万円で買つたというなら私は納得できるが、庭先を直し、造作を直すだけの修理費に千二百万円出ている。これは帳面に上つている。あなたが行つて見たか、入つたかどうかは問題ではない。この事実をもつて、あなたはそれくらいのことは当然だとおつしやるのか。それも保全経済会が利益をあげていれば何も言わないが、その修理をする前に二十四億、――かりに去年手をつけたとしても一昨年ですが、十六億何がしという、人の金を預かつて赤字を出している。新聞広告などに対して四億何千万円という広告宣伝費を使つている。そして当時理事長室として一億くらいしか借出しはありますまいということを中野委員に答えられたか、二億五千万円の理事長室の金払いが出ております。こういうように、自転車操業であとの出資者から金が来なければやれない伊藤が、新聞広告その他の広告をどんどん出して集めて来る金から千二百五十万円も――これは一例ですけれども、駒込動坂の家の修理、庭園の修理に千二百五十万円かかつておる。それから電気冷蔵庫を十五万何千円で購入しておる。こういうことを見ると、出資者に一銭も迷惑をかけないと伊藤君が言うているとあなたが言う心境を、国民を代表する私たち議員として納得できない。これは保全経済会で四十五億を集めた理事長の家だから千二百五十万くらいのものはふつり合いじやないとあんたが言うことは、あなたが今日午前から午後にかけて証言されて来たことと矛盾するじやないか。この結果に現われた伊藤君というものの実体をあなたに見せても、あなたはまだ伊藤はりつぱなものだ、こうお思いなさるのか。こういうような事実をあなたは知つているのだけれども、あなたが白つばくれているのかどうか知らぬが、率直に言うのだ。ずつと実際のことを言うと、急所をはずしている。そんなことであなた方に国会議員がだまされて、そうですかと納得するものではありません。もう六時が来て時間がありませんから、切り上げようと思うが、あなたのほんとうの心境を聞きたいのだが、あなたがそういうことを言うのならば十二時までやつてもいい。私は少くとも国民が納得することを聞かなければならない。国民にこういうわけだといつて納得させなければならない。課長や部長を呼んでいるのではない。理事長室長のあなたに聞いておるのです。――実際を教えてくれろと。そしてこういうものだつたということの結論を出したいからあなたに聞いておる。あなたは済まぬということをさつき言つたが、それならば、なぜあなたは知つていることをそのまま言わないか。それが、あの当時判こを押した、あるいは伊藤に迎合したということに対するあなたのせめてもの贖罪あるいは懺悔の方法じやありませんか。千二百五十万円で家の修理をしたことは保全経済会の伊藤理事長としてはふつり合いのものではないと言うに至つては、あなたの相済まぬという言葉と矛盾しやしませんか。ここへ来たら率直におつしやい。
#457
○松本証人 お答えします。たいへん今おしかりを受けまして、申訳ございません。あの家の問題がつり合うかつり合わないかということにつきましては、理事長が常にこのくらいの家は当然いるのだと言つておつたので、実はそのまま私も申しあげたのであつて、その点はまた見方によつて、ああいう大きな邸宅は必要ない、おそらく三分の一か四分の一のものでけつこうだということならば、それも私は了承できると思います。そういつた面から見て、あの大きな家は必要ないといえば、私もそれは同感いたします。
#458
○田渕委員 私は、大きい家へ住もうが小さい家へ住もうが、そんなことを言うのではないのです。伊藤君が正しくもうけた自分の能力によつて、国家や国民に迷惑をかけずおつくりになることは自由だと思う。私はそんなことを言うのではない。これはほとんど大衆の金を詐欺した金、水増ししてだましたり、うその書類を出したり、そういうことをした結果得たその金でつくつておるから、そういうことはよくないと言つておる。伊藤君にほかに財産があつたとは言えますまい。保全経済会の前のことをわれわれは知つておる。あなたも知つておるでしよう。日新生命におつて、そうしてうちの保険に入つてくれれば二割金を貸すのだということで集めた金でこの運営を始めた。その組織を告訴されて、六年間も検察庁が起訴しないで、六年目に起訴したところが却下されてしまつたので、怒つた保険会社の方から最高裁判所へ抗告した。ところが、それもとり合わないということになつて、こういうことになつて来た。国会が手を出さないうちから、警視庁も検察庁もやつているのですよ。伊藤君が朝鮮から財産を持つて来たのではない。今日は日本の国籍に入つておるけれども……。十五万という大衆から四十五億という金を集めて、先ほど中野委員がおつしやつたように、自殺するような人も出しているのですよ。その人間が一千二百万もかかるような修理をし、十五万もするような冷蔵庫を買い、自動車なんかをどんどん乗りまわして、これだけ迷惑をかけた者でも、あなたはまだ信ずると言うのか。あなたが午前中以来ずつと証言してくれたことも、あなたは伊藤に魅せられているのか。この実態を把握して、どういうふうに処置しようか、国民のこの苦痛を救つてやりたい、その方法を見出そうとする国会の努力に対して、実際に言つて、あなたが証人としてはたして協力してくれているのかどうかということを、はなはだ私は遺憾に思うわけです。これだけの学識あり、これだけの年配で、それだけやつて来たあなたが、午前中からの速記録を調べてください、あなたの言つていることはことごとく急所をはずれてしまつている。
 そこで、私は最後にあなたに伺う。どうです、ほんとうにあなたは今日でもまだ伊藤君を――それは思うことは自由ですよ。しかし、七千万円の金でも、新聞に載つたことがほんとうだとするならば、出資者は恨みますよ。自分らは五万円という能力もないのに、かつてに金を使つている――。ほんとうに国を思う正義感のある人であつたら、そういうものは出せません。あなたは、伊藤がこういうことをしたのだということをみずから今日言つてくれなければならぬのに、われわれが問い詰めなければ言わずして、これをりつぱな人だ、信念が強い人だ、尊敬しているなんて、こういうことで、国会の、少くとも行政監察委員会の証人として、それでは証人御苦労さまでしたと言つてわれわれが帰されるか帰されぬか、よく考えてください。われわれは怒るのではありません。真実を知りたいために協力を求めているのです。いいとか悪いとかいうことは、あなた方に犯罪があるならば、それは検察庁がやるのです。そういうことでなく、われわれは保全経済会並びにこれらの類似機関に対してどういう方法で行けばいいかということを見出そうとしている。だまされた国民諸君も気の毒だけれども、そのかわり、こういうふうにしたのだということを言つてもらいたいと思つているのですよ。知らぬ存ぜぬで松本さん通りませんよ。そう代議士は甘いものじやありません。あなた方のほんとうの気持を聞いておるのです。ここは検察局でも警視庁でもない。あなたの言うことは、どうも午前中から聞いておつても、急所に来るとすぐ横にそらしてしまう。だから証言としての価値がないかもしれません。もつとわれわれに協力願いたいのです。それで、どうですか、さつきの駒込の屋敷の問題にしても、今でも、あなたは伊藤としては当然だと言うならば、一般大衆には一銭も迷惑をかけないと言われたりつぱな伊藤だということと話が矛盾するじやないですか。大きい家に住まおうが小さい家に住まうが、めかけを何人持とうが、そんなことはわれわれの干渉するところではない。正しいことによつてほんとうに日本の再建をはかるということだつたならばいいが、自殺者まで出させて国民大衆に迷惑をかけておつて、それを今でもあなたよいと思つておるのですか。それをひとつ伺いましよう。
#459
○松本証人 お答えいたします。私、今まで何も故意にお答えをそらしておるつもりは毛頭ございません。それから、今お尋ねになりました、理事長が一銭も迷惑をかけないと言つた気持は現在もあるかどうか、それを信ずるかどうかということですが、その点は、休業の当時はもちろんそれを信じて、たとえば立法的措置もできて救われるのだということも考えておりました。その後も、和議の線で行けば将来何とかなろうというような考えでおりました。その半面、理事長の私的な点については、率直に申しますと、私は必ずしも肯定しておるわけではありません。
#460
○中野委員 ちよつと関連して聞きたいのですか、世間の疑問点を二つだげ解明しておいていただきたいと思います。
 一つは、匿名組合というのですから、利潤を追求して投資をするのですね。本来から言うと、純然たる匿名組合ですと、日々の利益を配分しなければならないわけなんですね。ところが、匿名組合に準ずるという、法の盲点をある程度までついているわけなんですが、今度の保全経済会の内容でどうしてもちよつとわからないのは、理事長がその集まつた金をかつてに使うことができるという制度があるのかないのか。理事長が、投資者から集めた金を理事長室扱いとして、そうして二億六千万円近くも自分の手によつて事業にあらざる方面に使うことが可能な仕組みになつておつたかどうかという点が一点。
 それから、もう一つ。これは世間の疑惑でありますから解いておいていただきたいと思いますが、先ほどからのお話で、私はしつこく申し上げておるのですが、いわゆる水増しの支出のあつたことはあなたも認めざるを得ないと思います。たとえば新夕刊の六千五百万円の出資の問題にしても、三千五百万円はどこかに消えてしまつておるのですよ。これは新夕刊の報告書によるとそうなつておる。事実は、新夕刊が正しいか、あなたの方が正しいか、わかりませんが、しかし、そういうような実例がありますごとく、また三重県の山林のように、一体この水増しをした金がどこに行つたと思われるのかということです。これはふしぎでしかたがないんですよ。この保全経済会の水増しをしたものが事業の上に使われておるのか、ないしはその水増しになおるのか、あるいは幹部の者が承知してこれを使つておるのか、その点が世間の疑惑の焦点だと思います。
 この二点だけを解明しておいていただきたいと思います。大分長い間恐縮ですが、大事な点ですから…。
#461
○松本証人 お答え申し上げます。第一の点でありますが、保全経済会の営業体は匿名組合だと思います。匿名組合だとすれば、やはり匿名組合契約によつて申し込んだその財産の権利はすべて事業主の財産に帰属する、こういうふうな考え方をしておるわけであります。そういうようなことを考えて行きますと、内部の組織は一室六部ございますが、理事長の命は一応絶対的なものとして内部的には処理しております。
 それから、第二の水増し金の行方についての件でありますが、水増金云々の点は私も一応わかります。けれども、その金がどういうふうに行つたかについては、まあうわさによれば政治献金だとされる向きもあります。実際の行方については、私が在任しない時代のことでありますので、私は詳細について存じておりません。わからないのでございます。
#462
○中野委員 もう一つ、それに関連しますと、先ごろ所得税がかかりました。事業主である伊藤斗福にかかつたからそういう話が出るのだが、その前は全然払つていないということになれば、あなたのような筆法で行くと脱税ですが、伊藤斗福は今まで脱税しておつたのですか。あるいは監督官庁、いわゆる国税庁が税金を故意にかけなかつたのか。うつかりしておつてかけなかつたのか、この税金か新たにかかつたのですね。つまり事業主自体の絶対権限であり、事業主自体がその金を右に左にするとするならば、収益もあがるわけです。その収益に対するところの税金はかかつて来るわけです。そうでしよう。所得税がかかつて来るのです。そういうものが近ごろ初めてかかつたのですよ。そのときに、伊藤君は、天下晴れてこの通り税金がかかつて来たのだから、われわれはこういうものだということを一般に声明しておるが、その前は、あなたも関係しないでしようけれども、脱税しておつたのでしようか。あなたの筆法で行くとちよつと変なんです。一体保全経済会というのは初めから変なんですよ。私は、ペタル操業だとか詐欺だとか、そういうむずかしいことはわからない。しかし、常識で判断をした場合に、初めから少しおかしいのだ。そこで、あなたに今大事な点を伺うのですが、税金がかかつたというのは近ごろなんですよ。伊藤君自身がかつてに使えるということになると、今の水増しの金もどこかに行つていなければならない。あなたの先ほどからのお話で、もうかつた、あるいは収支決算はちやんとついておるけれども、事実は伊藤君がかつてに筆を入れて、水増しをして、表面上のつじつまを合せておつただけなんだから、年々歳々損害を受けて来て、投資者に対する二分あるいは一分五厘の利益でもとうてい配当ができない現実にあつたのだ。ここが私はわからぬ。この点どうお考えですか。どうも私にはわからない。あなたはわかりますか。これがあなたにわかれば、あなたはよほど偉い人だと思うのだが、どうでしよう。
#463
○松本証人 お答えします。税金の件でございますか。
#464
○中野委員 全部実体がわからなければ、税金の点だけでもけつこうです。
#465
○松本証人 所得税の件については、私よくわかりませんのでございます。
#466
○中野委員 近ごろ一回だけかかつたのです。その前脱税しておつたかどうか。
#467
○松本証人 その点ちよつと……。
#468
○中野委員 だから、あなたの筆法から行くと変なんです。保全経済会は初めから今日までずつと変なことを継続して来たのです。世間体は正しいことを言つて、実際は変なことをやつて来た。結論はそうなんです。あなたわかりますか。あなたの言つた筆法で、結局匿名組合で成功するような段階になつていますかということを聞くのです。これはよほど変な会ですね。不保全経済会という話があるが、まつたく保全でないようですね。どうですか。御答弁ができなければけつこうです。あなたに無理に聞きはしません。変なんです。変と思いませんか。
#469
○松本証人 ……。
#470
○中野委員 水増しの金がどこへ行つたかわからぬし、それから、事業体のすべてが事業主にあるならば、事業主に税金がかかつて来るわけです。それはわかつた。今度税金がかかつたが、かかる前一体創業以来今日までどうしておつたかということです。税金がかかつていないが、それは行政官庁、監督官庁のいわゆる手抜かりであつたのか、あるいはそれまではどういうふうに考えておつたのか。これは伊藤君に聞かなければわからないかもしれませんが、あなたの常識判断でどうですか。これはまともな会とはどうしても考えられないが、どうお考えになるかということです。
#471
○松本証人 ……。
#472
○中野委員 わからなければけつこうです。わからぬのがほんとうです。これはわからぬようにやつて来たのです。ではよろしゆうございます。
#473
○高木委員長代理 他に御発言はございませんか。
#474
○田渕委員 少くとも休業前後の重大なときの理事長室長という重要なポストにおつた松本証人でありますから、私はまだたくさんあります。まだ二時間や三時間じや済まぬ。しかし、これ以上やることは生理的現象もあろうから、今日はこのくらいにして私は留保しておいていただきたい。またあらためて伺うことにいたしましよう。とにかくこれで離されません。私としてはまだ納得ができません。
#475
○高木委員長代理 それは理事に聞かなければ……。
#476
○中野委員 証人喚問はその日限りですから、結局もう一回あらためて来ていただく時期のあるということを……。
#477
○田渕委員 今日これで打切つてもらつては困る。まだ納得しません。
#478
○高木委員長代理 本日は松本証人に対する尋問はこれで終ります。
 証人には長時間御苦労さまでございました。
 この際お諮りいたします。本日午後尋問の予定になつておりました神崎賢二君につきましては、来る三月十一日再び出頭を求め証言を得たいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#479
○高木委員長代理 御異議なければ、さよう決定いたします。
 神崎君に申し上げます。本日はすでに時間も相当遅れておりますので、来る三月十一日午前十時に出頭を求め証言を得ることになりましたので、さよう御了承願います。
 次会は三月十一日午前十時より委員会を開きます。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後六時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト