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1953/03/13 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 行政監察特別委員会 第9号
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1953/03/13 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 行政監察特別委員会 第9号

#1
第019回国会 行政監察特別委員会 第9号
昭和二十九年三月十三日(土曜日)
    午前十一時三十四分開議
 出席委員
   委員長 塚原 俊郎君
   理事 高木 松吉君 理事 田渕 光一君
   理事 長谷川 峻君 理事 中野 四郎君
   理事 山田 長司君 理事 小林  進君
      天野 公義君    鍛冶 良作君
      鈴木 仙八君    原田  憲君
      山中 貞則君    椎熊 三郎君
      橋本 清吉君    久保田鶴松君
      古屋 貞雄君    佐竹 新市君
      矢尾喜三郎君
 委員外の出席者
        証     人
        (大蔵省銀行局
        長)      河野 通一君
        証     人
        (東京国税局
        長)      脇阪  實君
    ―――――――――――――
三月十三日
 委員三和精一君辞任につき、その補欠として高
 橋英吉君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 保全経済会等特殊利殖機関に関する件
    ―――――――――――――
#2
○塚原委員長 ただいまより会議を開きます。
 前会に引続き、保全経済会等特殊利殖機関に関する件につきまして調査を進めます。ただちに証人より証言を求めることにいたします。
 ただいまお見えになつておられる方は河野通一さんですね。
#3
○河野証人 はい。
#4
○塚原委員長 あらかじめ文書をもつて御承知の通り、正式に証人として決定いたしましたから、さよう御了承願います。
 これより保全経済会等特殊利殖機関に関する件について証言を求めたいと存じますが、この際証人に申し上げます。保全経済会は全国に二百箇所以上の店舗を有し、出資総額約四十五億円、加入者は約十五万に達する特異な利殖機関でありまして、従来その業務の運営についてはとかくの風評があつたのでありますが、昨年十月二十四日突如として全国一齊に臨時休業に入つたのであります。この休業に立ち至つた事情については世上幾多の疑惑と関心を有する向きもあり、また一方これら類似の特殊利殖機関の累増を見た今日、これら特殊利殖機関の業務運営の実態を明らかにし、かつこれら特殊利殖機関に対する関係官庁の監督の当否について調査を進めることは、国の行政が適正にかつ能率的に行われているかどうかを監察し、もつて立法その他国収の審議に資するため行政の運営上障害となつている各般の事情を総合的に調査しかつその責任を調査する本委員会の使命にかんがみ、きわめて有意義なりと考え、本委員会は本件の調査をいたすことになつた次第であります。証人におかれては率直なる証言をお願いいたします。
 それでは、ただいまより保全経済会等特殊利殖機関に関する件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。なお、証人が公務員として知り得た事実が職務上の秘密に関するものであるときは、その旨を申出を願いたいと存じます。
 では法律の定めるところによりまして、証人に宣誓求めます。御起立を願います。宣誓書の御朗読を願います。
    〔証人河野通一君朗読〕
  宣誓書良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
#5
○塚原委員長 それでは宣誓書に署名捺印してください。
    〔証人宣誓書に署名捺印〕
#6
○塚原委員長 これより証言を求めるとになりますが、証言は証言を求めれた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。
 河野君の銀行局長に就任されるまで経歴を簡単に御説明願います。
#7
○河野証人 私は昭和七年の三月に当時の東京帝国大学、現在の東京大学の法学部を卒業いたしまして、同年四月に大蔵省に就職いたしました。爾来大蔵省部内の各ポストについて参りましたが、その中でも銀行局関係の仕事が一番多かつた次第であります。終戦の当時には私は金融局銀行課長をいたしておりました。金融局と申しますのは現在では銀行局になつておりますが、当時は官制上金融局と申しておりました。昭和二十二年七月に主計局の第二部長になりました。それから二十三年の十月に大蔵大臣官房次長に就任いたしました。二十四年の六月に経済安定本部総裁官房次長に就任いたしました。昭和二十六年五月に現職についた次第であります。
#8
○塚原委員長 保全経済会のような、みずから匿名組合と称している利殖機関の資金受入れ方式は、出資であつて預金ではない、従つて金融機関ではなから大蔵省の所管外であるという考え方を持つておられたようでありますが、この考え方は今日もかわつていなでしようか。
#9
○河野証人 その考え方については現在もかわつておりません。但し、そ申し上げる内容につきましては、私が昨年の三月四日に衆議院大蔵委員会おいてこれらの問題について政府の見解を御説明申し上げたときに申しましたその範囲内においてかわつておらない、こういう意味でございます。と申しますのは、具体的には保全経済会自体の実態ということは実は私は十分承知いたしておりませんので、具体的な事例について私は金融法規に該当しないということを確実に申し上げるだけの自信はございません。
#10
○塚原委員長 第十七国会だつたと思いますが、二十八年の十月三十一日の法務委員会で、犬養国務大臣は、法務省は匿名組合ではないというような見解を持つておるという答弁をされております。保全経済会のような利殖機関に対する大蔵省並びに法務省の意見が対立しておつたのじやないでしようか。
#11
○河野証人 ただいまお答え申し上げましたように、昨年の三月四日に私から衆議院の大蔵委員会において御説明申し上げました範囲においては、政府部内、特に一番密接な関係当局は法務省でありますが、法務省を含めて関係当局の間の意見は一致しております。これは法務省からお聞き取り願いたいと思います。その内容は、簡単に申し上げますと、たとえば今お話のありました保全経済会等、いわゆる匿名組合の形式をもつて資金を公衆から集めておる形態、あるいはいわゆる株主相互金融というような形で、貸金業者であつてかつ資金を増資の形で集めておる形態、これらが金融法規と非常に関係があるかないかという点について、問題のある形態についていろいろ研究をいたした結果を御答弁申し上げたのであります。その中で、匿名組合契約による資金の受入れ方式、これについてどう考えるかということを御説明申し上げた。その業態はどういうものであるかというと、匿名組合契約による金銭出資を広範囲に募つて金銭を受入れる、これに対しては確定利息を付する形態がある、その出資された資金は通常株式、不動産投資を目的としておる、これに対する金融法規との関係は、この方式については商法の規定する匿名組合契約ではないと言い切るだけの根拠がない、従つて、この方式による出資は、預かり金に準ずる資金の受入れとは言いがたい、こういうことで御説明申し上げております。その限りにおきましては現在と何ら考え方はかわつておりません。
#12
○塚原委員長 こういう保全経済会のような特殊利殖機関の取締りをするために、何か法案を出されておりますね。どういう法案ですか。
#13
○河野証人 一週間ばかり前に国会に御提案申し上げております法案は、出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律案、こういう法案を御提案申し上げております。現在衆議院の大蔵委員会にかかつておるのであります。この法案は、いろいろなそういつた類似の行為あるいは金融行為等につきまして一連の取締り規定を入れておるのでありますが、今問題にされておりまする保全経済会等と関係の深い領分は第一条であろうと思います。第一条について御説明を申し上げますが、第一条は「何人も、不特定且つ多数の者に対し、後日出資の……。
#14
○塚原委員長 その内容の説明はいいです。あとでまた。
 先ほど、法務省との間に意見の対立がない、完全に意見が一致しているというお話がありましたが、もちろんこの法案を出されるときには法務省とは相当御相談なさつたのでしよう。両者の間に意見の一致というものは完全にあつたわけですか。
#15
○河野証人 これはもちろん政府部内として閣議決定をいたしております。ことにこの法案は大蔵省と法務省との共管ということで御提案申し上げております。しかも、少し余談になるかもしれませんが、この第一条の規定は法務省が主として担当する、こういう申合せになつております。
#16
○塚原委員長 これからこの審議の都合上やはりこの法案の内容の御説明を願つた方がいいと思いますから、この法案の要点をひとつ御説明願いたいと思います。
#17
○河野証人 この法案の第一条は、先ほどちよつと申しかけましたが、出資を受入れる場合において一種の誇大宣伝等によつて出資を受入れることを禁止するということのための規定外あります。すなわち、何人も不特定多数の者に対して後日出資金の金額以上の金額を払いもどすべき旨を示しまたはこのような払いもどしがある旨の誤解を生じさせるような仕方を用いて出資の受入れをしてはならない、こういうのが第一条であります。この趣旨は、本来出資金というものは多数の人から共同事業の基金として醵出される金銭でありまして、後日これに相当する金額が出資者の手元に返るかどうかということは事業の成否いかんにかかつているのでありまして、あらかじめその返還を確約しがたいものであることは、その出資というものの本質から当然であります。しかるに、最近におきましては、出資金として一般大衆から大量の資金を受入れる場合に、そういつた誤解を受けさせるような方法をもつてこの出資が行われている。このような事例があり、かつそれが相当弊害を社会に及ぼしているということが出て参りましたので、これらの方法を禁止いたしたいというのがこの第一条の規定であります。その他、第二条以降におきましては、第二条は預かり金の禁止、これは何人といえども預かり金をしてはいけないという規定を第二条旅に置いているのでございます。それから第三条は、金融機関の職員等がいわゆる浮貸しをいたす場合の禁止の規定であります。第四条は、金銭貸借の媒介をいたす場合の媒介手数料について、一定以上の媒介の手数料をとりました場合にこれに罰則をもつて臨むという規定であります。第五条は、金銭の貸付をいたしました場合の貸付の利子が日歩三十銭を越える場合においては、これを罰則をもつて取締る、こういう規定が第五条の規定であります。その他、今申しましたような規定を受けて、これらの取締り法規に違反いたしました場合の罰則を規定いたしておる。こういうのが今御説明申し上げました法案の内容でございます。
#18
○塚原委員 今われわれがこの委員会で保全経済会の問題を取上げておるのですが、実はこの保全経済会の問題は、もう二十六年七月ごろからいろいろと論議されて、政府に対策を要望するような発言なども国会においてあつたのでずが、それから今日まで大体二年半以上たつております。この間、保全経済会を初め、こういつた特殊利殖機関、類似利殖機関が非常に大きな社会悪を犯しておるというふうに私は考えておりますが、こういつたことについて、河野君は銀行局長としてどういう考え、またどういう責任をお持ちになつているか、率直にあなたの考えを申し述べていただきたいと思います。
#19
○河野証人 この問題は、今委員長かりお話のように、昭和二十六年六、七月ごろから、ちようど私が銀行局長に就任いたしました直後ころから問題になつて参りました。国会の大蔵委員会等におきましても、これらの問題について私どもの見解をただされたことがございまして、爾来私どもはこの問題について調査を進めて参りました。決してこれを問題になりましたままに放置いたしておつたわけではございません。関係の当局――当時は現在の法務省が法務府と申しておつた時代でありますが、法務府当局あるいは法制局の当局と、これらの問題について、一体法律的にどういうことになるのかということを十数回にわたつて打合せをいたして参つたのであります。この問題は、具体的に申し上げますと、保全経済会等が匿名組合の形において多数の人から出資を受入れておる形態が、金融法規に言つておる預金行為ではないのかどうか、この点が問題の中心になつたのであります。しかるに、法律的には非常に複雑であつて、かつ、言葉は非常に悪いのでありますが、いわば紙一重といつたような点があるのであります。研究に研究を重ねて参りましたその過程におきましては、実は各個人の意見はいろいろございました。これらの意見を調整しながら、結局結論を出すことができたのが、一年数箇月につた後の、先ほど申し上げましたような昨年の三月四日に私が衆議院の大域委員会で御説明申し上げたその結論になつたのであります。その結論は、先ほど申し上げましたように、政府部内の関係の各省とは十分に打合せをして、一致の見解として御説明申し上げた次第であります。しかし、この問題は、今これらの討議の過程においていろいろな意見があつたということを申し上げました通り、なかなかむずかしい問題でありまして、その間一年数箇月をけみしてしまつたということは、私どもとしてははなはだ申し訳ないと思いますけれども、それ自体が非常に複雑な問題であつたために、結論を出すために相当な時間を要したということを御了承いただきたいと考えております。今申し上げましたようなことで、三月四日に政府としての考えを御説明申し上げたのでありますが、匿名組合方式で資金の受入れを公衆からやつておりますものは、それ自体としては金融法規に言つておる預金行為とは言いがたいというのが結論であります。しかも、この結論を出します場合には、私どもは、特に保全経済会ということをメンシヨンして御説明申し上げませんでしたが、私どもがこれらの問題を検討いたします際に、その材料として使いましたものは、私どもが入手し得る限りの保全経済会の資料であります。たとえば定款でありますとか、あるいは保全経済会の出資証書、匿名組合加入申込書、パンフレット、新聞広告、あるいは事業案内、そういつた私どもが保全経済会に関するいろいろな材料として入手し得るあらゆるものをデータとして検討を加えたのであります。しかも、その結果が、今申し上げましたような結論に到達いたしたのであります。ただ、この問題に関しましては、私は重ねて申し上げたいと思うのでありますが、私どもはこの保全経済会を検査して調べる権限を実は持つておりません。実は、これは少し余談になりますが、昭和二十六年のたしか七月であつたかと思いますが、いろいろこれらの問題が国会で論議せられるにあたりまして、私どもの局の係の者を保全経済会に調査にやつたことがございます。その際に、その係の者が伊藤理事長に面接をいたしまして、調査をしたいということを申し入れたのに対して、伊藤理事長は、私の方は貸金業をやつておりません、預金行為もいたしておりませんから、大蔵省は検査をする権限はありませんというわけで、これについての十分なる調査をすることに対して拒否的態度に出られたのであります。従いまして、私どもは、その後も私どもが入手し得る材料はあらゆる方法で入手いたしましたが、そういうわけで、詳細に保全経済会自体の実体をつかむすべは私どもは持つておりませんので、先ほど申し上げましたように、これが預金行為にあらずということをはつきり自信を持つて申し上げることは私はできない、かようにお答え申し上げる次第であります。そういうわけで、金融法規に該当しないということで参つております。その意味は、受信、つまり資金を受入れる面においてこれは預金行為ではない、それから与信の面、つまり信用を与える面において貸金業を営んでいない、不動産投資及び有価証券投資業を営んでおつて貸金業を営んでいない、受信の面においても与信の面においても金融機関とは言いがたいという観点から、金融行政の対象外と実は考えて参つております。しかしながら、金融法規にこれが該当するかしないかということについて私ども長い間これを調べて参りました。その関係から、この業態に対しては私どもいろいろ関心を持つて参りましたが、特に昨年来問題になりましたのは、貸金業者の中にこの匿名方式を採用するものがどうも出かかつておるということで、この点になりますと、やはり貸金業者というものが金融に関係がありますので、これは相当何らかの措置をとらなければならぬというふうに私どもは考えて参つたのであります。立法論としては何か考えた方がいいのではないかというので、たしか昭和二十八年の六月ころであつたかと思いますが、私、衆議院の大蔵委員会で、一、二度、これらの問題について、私個人としての立法論についての考えはある、つまり、商法上に認められておる匿名組合というものは、おそらく立法の当時においては、ごく少数の非常に密接な信頼関係にある人々がその組合をつくるということを前提にしているのであろう、現在のようにああいう非常な不特定多数の者を相手にする匿名組合というようなものはおそらく商法の予想したところではないのではないか、従つて、立法論としては、このままにしておいてよいか悪いかということについては何か考えなければならないのではないかと私個人としては考えるということを答弁したことを実は記憶いたしておるのでありますが、その問題の場合にも、これは金融の問題ではない、従つて所管は、私としては法務省の方の所管だと思うから、法務省の係の方からも十分にこの問題を聞いていただきたいということもつけ加えて申したことを私は記憶いたしております。そういうわけで、この問題は、昨年の六月以来、そういう立法論の問題としても国会において議論されて参つたと私は記憶いたしております。不幸にして、昨年十月、そういうふうな立法化の問題が――立法化と申しますのは、今申し上げましたような意味の立法化でございますが、そういう問題が実現いたしません間に、昨年の十月保全経済会が休業、その他の類似の機関においても休業して来たということが起つて参つたのであります。これによりまして多数の人々が非常に多くの被害を受けられたことに対しましては、私としてははなはだ遺憾に存じております。
#20
○塚原委員長 委員諸君で御発言がありましたら……。
#21
○佐竹(新)委員 銀行局長にお尋ねしたいと思うのでありますが、この保全経済会が問題になりまして以来というものは、これに類似する相互金融の会社、これらが将棋のこまを倒すようにばたばた倒れまして、現在では、ああいつた零細なる預金者を相手にしておりました、こうした法の盲点をくぐりました相互金融あるいは投資匿名組合といつたものは、ほとんど閉店状態になりまして、多くの預金者がこれがために破産あるいは自殺をするというような悲惨な事実になつておることも御承知の通りでございます。そこで、何と申しましても、金融という問題については、一般国民、特にこれらに対して零細なるところの日掛け預金等をいたしておりました者あるいは投資いたした者は、何でこういうところに出したか。銀行の窓口は相手にしてくれない、あるいは金利が安いというような一時の欲につられて、こういうような悲劇を生んで来たのでございます。しかしながら、その源は何であるかと申しますと、一口に言うならば、この金融行政をあずかつておられるところの大蔵省、あなたの方の怠慢であり、無責任である、私はこういうところにあるのではないかと思うのでございます。そこで、局長にお伺いしたい点は、今一番最後の点で委員長が二つの問題を御質問になりましたが、あなたは巧妙にそのことをはずされましたけれど、私は、事実は事実として、銀行局長はこの問題に対しては重大なる責任があると思う。これだけの多くの破産者あるいは自殺者を生み、悲劇を起しておることに対して、全然自分は責任がないというような考え方をお持ちであるのかどうか、この点をお尋ねします。
#22
○河野証人 問題をわけて御説明申し上げた方がいいかと思いますが、保全経済会等につきましては、これは先ほど委員長からの御質問にお答え申し上げました通り、与信行為の面におきましても、受信行為の面におきましても、私どもはこれは金融の機関として考えておりません。従いまして、金融行政の対象外と私どもは考えております。零細な出資者が御迷惑を受けられたことにつきましてははなはだ遺憾と存じますけれども、これらの方々には預金者ではなくして出資者であるということに私どもは割切つて考えて参つております。
 それから、株主相互金融機関でありますが、これは与信の面、つまり金を貸す面におきましては、これは貸金業者として金融の関係があると思います。受信の面におきましては、これは貸金業者として預かり金をすることは禁じられております。しかも、私どもはこれを検査をいたしまして、預かり金等を受けておるものにつきましては、これに対して厳重なる取締りを従来からやつて参つております。しかし、何分にも全国に貸金業者だけでもたしか約一万数千あるかと思いますが、そのうちで株式会社組織で貸金業を営んでおりますものがその半数を占めております。そういつたふうでありますので、私どもの取締りが十分に徹底いたさなかつたと思いますが、少くとも私どもは検査をしまして、貸金業者に禁じられておる預かり金、不特定多数の者から預金行為をするという点がわかりましたならば、これに対しては昨年以来厳重なる取締り及び警告を発して参つておりますような次第でありまして、これらの株主相互金融が出資の形、増資の形で資金を公衆から集めます場合においては、これはその限りにおいては保全経済会の場合と同じように、私どもはあくまで出資と考えております。従つて預金ではない、この観点から、昨年三月四日に私は御説明申し上げました際にも、預金者ではないのであるから、これらの出資者には、預金者に対して政府がいろいろの形で保護をはかつておるような保護は与えられませんということを私から御答弁申し上げたのであります。その考え方は現在においても同じであります。しかしながら、こういう多数の方々に非常に迷惑をかけるような事態が起きたということについては、私もはなはだ遺憾だと考えておる次第でございます。
#23
○佐竹(新)委員 預金であるか、あるいは出資であるかというような金融の専門的なことについては、今日の被害を受けた人たちは考えていない。実際には私が先に申し上げましたように、いわゆる金利が市中銀行その他のところより少しいいということ、この金利につられた。匿名組合にいたしましても、これは外交員等がずつと出てまわりまして、まことにりつぱな口実をもつて勧誘をする。そこで、銀行が相手にしてくれない主として零細な中小企業者あたりが一時金をかけておけばまた貸してもらえるというようなことで、預金とかあるいは出資とか、そういうあなたの言われるような専門的な考え方でやつておつたのじやない。そこで、私があなたにお尋ねしたいのは今回の国会に、出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律案というものを、この問題が起きて出しておられるのであります。しかし、かような法案をつくつて今回出されるのであつたならば、ころばぬ先のつえとして、今日までになぜこういうものを出しておかなかつたのか。これを出しておけばそれだけの迷惑はなかつた。私があなたの責任を問いたい点はそこなんです。事件が起さて、零細者が大きな被害を見た結果、今日になつてこれを突如として出される。あるいは法務省の取締り範囲であつて自分の方の関係でない、立ち入つて検査をすることはできない――。立ち入つて検査をすることができないからこれだけの大きな預金者が迷惑を見た。あなたが二十六年に銀行局長に就任された当時は、保全経済会は隆々たる勢いであつた。また相互金融もその通りであつた。そういうようなときに、これでは先々預金者が大きな迷惑をこうむるから、かような取締法を出さなければならぬというのが、少くとも金融行政を預かる大蔵省の人々への親切な考え方ではないですか。私は、今日になつて出される、それまでほつておいてこんなになつてから出す、その怠慢の責任を問うのです。どうですか。
#24
○河野証人 その点は、先ほどもお答え申し上げました通り、立法の問題といたしましては、去年の六月以来、私は個人としては何か考えなければいかぬのじやないかということで国会においても御答弁申し上げたことを記憶いたしております。責任をのがれるようなことを申し上げてはなはだ恐縮でありますけれども、先ほど来申し上げております通り、これらの問題は出資の受入れの問題である、預金行為ではない、金融法規のうち外であるという考え方に考どもは立つております。この点は、昨年の三月四日の大蔵委員会における御説明の中にもはつきりそう言つておるのであります。従いまして、私はあえて私の卑見だと申し上げてこれらの問題についての意見を申し上げて来ました。法務省においてもいろいろ御研究になつたかと思うのでありますが、私どもとしては、金融の問題としてこの問題を立法化することは反対である、しかし出資についてそういう弊害が起つて来るおそれがあるから、この点については考えて行かなければならぬ点があるであろうという見地に立つて参つたのであります。しかし、それも、そういうことに気づくのがおそいのではないかというおしかりを実はいただくのではないかと思いますが、この点は、私どものこれらに対する見通しが非常に悪かつたということでおわびを申し上げざるを得ないと思います。私どもとしては昨年の六月以来これらの問題については検討を加えて参つております。
 なお、ただいま株主相互金融の問題につきましてはこの法律と別途に証券取引法の一部を改正する法律案を出しております。これにつきましても、今申し上げた出資等の制限に関する法律の第一条と大体同じ趣旨で、株主等についての募集にあたつての誇大宣伝、誇大広告、つまり株式という物の本質を誤解させるような意味において広告をしたう表示をしたりして募集をするという行為を禁止する法案を別途用意いたしております。
#25
○佐竹(新)委員 これは非常にうがつたようなことになるかもしれませんが、大体今回この行政監察委員会でもあるいはその他の委員会においても問題になつておりますこの保全経済会は、国会あるいは大蔵当局に立法化のために相当その背後で金が使われておるというようなうわさが飛んでおるのであります。現に、当時の池田大蔵大臣に対しても、これが今名前が出て来ておるというようなことで、政治的に非常に強い影響力を持つていた。そこで、その立法化等とあわせて、いわゆる銀行局長は今日こういうような取締り法規を出すというような考えがその当時にあつたのだが、しかし当時はあまりにも外部に大きなつながりを持つているという考慮をされて遠慮をされた点があるのではないか。この点伺いたい。
#26
○河野証人 そういう事実はまつたくございません。現に、御承知かと思いますが、昭和二十六年の十一月でありますか、衆議院議員の深澤さんから質問書が参りました。「保全経済会が日本最初の投資銀行として発足する準備があるというが、そのいきさつはどうか。」という御質問が書面で参りました。これに対して当時の政府から書面でもつてお答えを申し上げておりますが、「同会が投資銀行法の立案を推進し、日本最初の投資銀行として発足したい希望をもつているようにそく関するが、政府としては、同会のいうところの投資銀行法の立案の計画はまつたくない。」こういうことではつきり御答弁申し上げておるのでありまして、いわゆる保全経済会の当局者の言つておられるアメリカの投資銀行法にならつた投資銀行法の制度をつくろうということにつきましては、政府としては何らそういう計画を持つておりませんのみならず、大蔵省といたしましていまだかつてそういうことを口頭でも書面でも、要望なり陳情なりを受けたことは一度もないわけであります。従いまして、そういつた運動に左右されて、今般提案いたしましたような法案を出すことを阻害されたといつたような事実はまつたくございません。
#27
○佐竹(新)委員 伊藤は天下に豪語しております。立法化のために自分は相当努力しておるということも言い、またその成文化されたようなものも持ち歩いておつたようでありますので、それに関連して政府並びに大蔵当局の方には相当働いて、自信があるということを言つておるのですが、一度も行つたことはありませんか。もう一度伺います。
#28
○河野証人 銀行局の者に関する限りは一度もそういつた関係の陳情を受けたことはございません。大蔵省の中はおそらく銀行局以外はこれに関係のある局はございませんから、大蔵省の中の何人もおそらくそういつた陳情を受けたことはないと私は確信いたします。
#29
○佐竹(新)委員 そこで、もう一つお尋ねいたしますが、これがために全国の零細なる預金者は非常に迷惑を受けておる。ほとんど預金といいますか出資といいますか、そういう金を、保全経済会はもちろんのこと、おそらく多くの相互金融機関に出しておる連中は、今日閉店しまして一箇年、あるいは一箇年以上の閉店を言つております。これが貸金業にまた返つて、そうして将来御迷惑をかけた人々にはその払いもどしをするのであるというようなことをいろいろ宣伝もして、今出資者なり預金者なりが押しかけるのを断わつているようでありますが、これは法的な保護はない。われわれが見ますと、日本の金融制度というものは、一部の大金融並びに大産業に対しましては、今度のように造船疑獄のようないまわしい事件が起きて、利子損失補給法というようなものが国会でつくられ、大きな金融業者あるいは造船業者が続々と問題に出て来るでありましようが、一方零細なる人々がこのために破産しあるいは自殺するといつたような状態がたくさん出ておるのであります。大蔵省は、これらの人に対して、これは法的な何も裏づけのないものであるから、もうこの零細金融機関の破産はこのままにしておくというのか。いわゆる匿名組合あるいは相互銀行なりから多くの迷惑をこうむつた方に対して善後措置をどのように考えているか。この点をお尋ねいたしたい。
#30
○河野証人 迷惑を受けられた多数の方々に対してはどうも気の毒だと思いますが、大蔵省といたしましては、これに対して特別に救済の措置ということは考えておりません。しかしながら、先ほども御指摘のございましたように、今後におきましてこういつた不測の迷惑を公衆に与えることがあつてはいけないという配慮から、おしかりのようにおそまきではありましたけれども、今国会に御提案申し上げております二つの法案によつて、できるだけこういつた方々が迷惑を受けないで済むように予防的な措置をとりたい、これが今御提案申し上げておる法案の趣旨であります。
#31
○佐竹(新)委員 今の相互金融の方の法律案はまだ読んでおりませんが、これは全国的に預金した者もまた金額の点においても相当多いので、一応聞いておきますが、大蔵省の今出されております法律案というものは、これらの人の救済をするための法律案でありますか、それとも保護立法でなくて取締りを厳にするという法律案でありますか、その法律案の内容をお聞きいたしたい。
#32
○河野証人 先ほども御説明申し上げました通り、匿名組合方式に対して出資の制限等の法律がとつておりますのと同じ態度でこれらの株主相互金融等の株式の募集取引等について臨んで参りたいと考えております。従いまして、保護立法ということが、これらの機関を免許制にしたり許可制にして何か監督を厳重にして行くといつたような意味でありますれば、そういう方途はとらない。しかし、これに加入する方々が誇大宣伝に惑わされたり不側な損害を受けることのないようにして行こう、それだけの限りにおいて取締りをやつて行こうという法案であります。
#33
○佐竹(新)委員 そういたしますと、現在世間で言われておりますことは、閉店したところなどは、かりに十万円やつておればせいぜい三万円も今度は開店したらとれるだろうかどうかということを――現に私のところへも、三十万円も四十万円もかけて一銭ももらつていない、こういう人が何とかこれがとれやしないかということを言つて来ております。話を聞くと、食べるものも食べぬで小さい所得の中から預金をしたわけです。これが今みな保全経済会のあおりを食らつて七顛八倒の苦しみでありまして、そうして、金を借りた方にはどうかというと、担保物件を得ておりますから、それがために容捨なく法規の手続をとりまして執行をやつて、どんどんとつて行きかけた方の金はもらえないような状態で、これがために零細なる中小企業はみすみす破産、倒産して行く。そこで、あなたの方で相互金融の方の関係で法律を出しておられます点は、そういつたものを、今度かりに一年後に開店いたしますればその法律によつて預金者に迷惑のかからぬようになつて行くのであるかどうか。詳しいことは私はわかりませんが、もう一度伺いたい。
#34
○河野証人 開店をいたしましたあかつきにおいて預金者に迷惑をかけないようにするかどうかのお話でありますが、これは、先ほど来たびたび申し上げておりまするように、株主相互金融というものは貸金業であります。貸金業者は預金行為を禁止されておるものであります。従いまして私どもといたしましては、その預金者に対してかりに預金者があるといたしますれば違法行為でありますから、正規の金融機関における預金者の保護の措置は絶対にとれない、これが私どもの昨年以来とつて参つている方針でございます。従いまして、預金行為というものはあり得べからざる、禁止された行為でありますから、その行為によつて御迷惑を受けられた方々には、善意の方もあつてお気の毒とは思いますけれども、政府としてそれらの預金者をいわば認知をして預金保護の措置るとることはいたさないということをはつきり申し上げておるのであります。
#35
○佐竹(新)委員 そうすると、相互金融というものはいわゆる法の盲点をくぐつておるということは明らかなのですね。しかし、そういうことをあなたは知つておられたのですか。そういう貸金業であるから、零細な日掛けをかけて行くというようなことはこれは違法だ、相互金融をすることは法の盲点をついて違法であるということをあなたは知つておられたのですか。知つておられたのなら、なぜ取締りを厳重にして、それらに対してこういう法律を早く出されなかつたのですか。ぼくが責任を問うというのはそこを言うのです。今日になつて法律を出して、そうしてこれは保護でもない。まあ取締りをするというのである。そういうことが悪いことだと知つておられたのなら、何らこれに保護的な措置をとらず今日大きな迷惑をかけている、これは大蔵当局のあなたの責任ではないですか。その点を私は先ほどから言つておる。そこを知つておられて何もせずに、今日において、今あなたが言われたように、貸金業である、そういう預金行為というようなものは違法である――。これに対して、政府の方でこれらは違法であるということを知つておつて、なぜあなたはそういう相互金融の会社に対して厳重な取締りをしなかつたか。それを誇大に宣伝をするから、みな金を借りたいというので日掛けにつぎ込んで行く。これで金を集めていた。それを知つていてやらしておるということはあなたの責任じやないか。どうですか。
#36
○河野証人 私の言葉が足りませんでしたから、詳細に申し上げたいと思います。たびたび申し上げますが、昨年の三月四日に衆議院の大蔵委員会で私がいろいろ御説明申し上、げました中に、株主相互金融についての私どもの見解も申し上げております。誤解があるといけませんので。一応そのとき御説明申し上げましたことを読んでみます。株主相互金融についてどういう仕組みでやつておるかというと、「その業態は、御承知の通り株主相互金融というものは、貸金業等の取締に関する法律によりまして届け出た株式会社組織による貸金業者が、通常増資にあたり自己の役員等に株式をまず引受けさせ、右株式を広く公衆に売却し、その代金を割賦にて受入れ、株式引受者に融資を行うか、または融資を受けないものについては株主優待金を支給する方式であります。」これが私が御説明申し上げました株主相互金融の業態であります。これに対する金融法規との関係、「以上の方式により、株式会社が株式の売却による代金を受入れることは、これを預かり金に準ずる不特定多数者よりの資金の受入れとして、銀行法等の金融法規違反とは断じがたいのであります。」こういうのが私どもの三月四日御答弁申し上げたところであります。これをかいつまんで申し上げますならば、株主相互金融が増資の形において資金を集める限りにおいては、その行為が商法に違反するとかそういつたことは別にありましようけれども、それが典型的に行われている場合においては、その行為は預金行為とは言いがたい、金融法規に言つておりまする預金とは言えないというのが結論であります。但し、そのあとに「この方式の業態と称するものの実情は、千差万別でありまして、個々に判断をいたしますときは、株式引受予定者よりの仮受金の受入れの例のように、なお金融法規違反と断ずべきものが少くない見込みであります。」――従つてこれらに対しては金融法規違反として厳重に取締る、これが三月四日に私どもが明らかにした方針であります。従いまして、株主相互金融会社の典型的な場合におきましては、それは金融法規違反とは断じがたい。しかしながら、個々にその業態を当つて見ると、あるいは株主からの仮受金であるとか、そういつた形で実質的には、預金行為を行つているものがある。現に私どもは昨年の六月に十数社の株主相互金融会社を検査をいたしました。その検査の結果は、それらの株主相互金融会社の大部分は法律に禁止されておる預金行為をいたしております。従つて、これらの行為はすみやかにこれを改めるように、整理をするようにという厳重な警告を発してその整理を進めて参つて、それを監視をいたして参つた段階にあつたのであります。これらの中にも一部はすでに休業の状態にあつたものもあります。その結果、過程において、実質的な預金者であつた方々で御迷惑を受けられた方々もあろうかと思いますけれども、私が今申し上げましたのは、そういう意味で株主相互金融会社に対する法律上の解釈なり見解なりをとつておる、こういうことを申し上げた次第であります。
#37
○佐竹(新)委員 昨年の六月に、そういう違法のものが多いからそういう金融業者の経理の監査をやつたということになるならば、そのときに――相互金融が倒れたのは保全経済会の圧力によつてですよ。みな金をとりに行つた。それでもう手持金がなくなつて手を上げて閉店してしまつた。昨年の六月といえば、まだそういう不健全な状態ではなかつた。この保全経済会が問題になつたために、多くの者が押しかけて、とうとう銀行の取付と同じような形になつた。そうすると、六月に内容が不健全なものであつたということになつたのならば、もう少し早くこれを預金者に知らせるような方法をとらなければならぬ。ただ国会で答弁したということでは――そういう零細な預金者は金融の法的知識なんかもちろんない。だから、大蔵省にほんとうに親切心があるのであつたら、それらの人にもう少しよくわかるように六月に警告を発せられるべきだつた。それなのに、いよいよぎりぎりの昨年の十二月まで平気で商売をやつておる。営業を続けておつた。どこにあなたのいわゆる厳重な警告の現われがあつたか。一つも出て来ておらぬ。保全経済会が零細な者をあおつて来た。あなた方は、単なる形式的なことをやつておけば議会でも答弁ができるという、こういう大蔵省の官僚の諸君の考え方自体に対して、われわれは責任を問います。それがために迷惑を受けた。だから、何といつても、金融行政を預かつておるところのあなた方として、これが合法であろうと非合法であろうと、非合法であればなおさらのこと、こういう点がいけないという厳重な警告をやる、それがやれないならば法務省にでもまわして内容の手入れをしたならば、多くの預金者にこれほどの迷惑はかからなかつた。下ノ村のやつておることはあれは何です。これはただ金をめちやくちやに使つておる。それもいよいよ手を上げてみなければわからない。そんなことで一体金融全般の行政が、合法であろうと非合法であろうと、責任がとれるのですかどうですか。私はそういう点を言つておるのです。
 委員長、私はまだ質問をしたい点がありますが、事金融問題だありますので、法的にも詳しく調べてみ、あるいは法務省との見解も調べてみ、もう一度証人を喚問願いまして、この点において私は十分に責任を追究したいと思いますので、その点保留しておきます。
#38
○塚原委員長 矢尾喜三郎君。
#39
○矢尾委員 ただいまの佐竹君の質問に引続きましてお尋ねしたいと思いますのは、大蔵省としましては、匿名組合であるから銀行法に何ら抵触しておらぬということによつてそのまま放任されておつたように思うのでございますが、その点につきまして立ち入つて調査ができなかつたということも、いわゆる匿名組合という方式をとつておるがためにせられなかつたのであろうと考えるのでありますが、もしも保全経済会なりこういつた機関が、銀行法の違反であるとか、その他あなたの所管に属する面において違反した場合には、厳密なる調査をし得る権能を持つておられるかどうかということをまず最初にお尋ねしたい。
#40
○河野証人 銀行法等のいわゆる無免許銀行と申しますと、具体的に申し上げると、銀行法の第一条には、次のような業務を行うものは銀行とする、預金の受入れと金銭の貸付あるいは為替取引と書いてございまして、その二項に「営業トシテ預金ノ受入ヲ為ス者ハ之ヲ銀行ト看做ス。」つまり預金の受入れを営業としてやつておれば銀行とみなされるということが規定されておる。そのあとに、銀行業は主務大臣の免許を受けるにあらざればこれを営むことができないということで、銀行業の免許を受けないで営業として預金を受け入れてはいかぬ、こういうことに結局その条文からなるわけであります。従つて、免許を受けないで預金の受入れをいたしておるものを私どもは無免許銀行と申しております。その無免許銀行に対しまして私どもは銀行法上の検査の権能ありやなしや、この問題が問題になると思いますが、これにつきましては、今まで政府部内で研究をいたしまして、長い間問題になつたわけでございますが、研究いたしました結果は、無免許銀行に対しては、この銀行法に基く大蔵大臣の検査権はないというのが結論であります。従いまして、今例をあげられました保全経済会がかりに銀行法違反の預金行為をいたしておりました場合におきましても、特別の法律のない限りは大蔵省としては検査の権限がない、こういう結論であります。
#41
○矢尾委員 調査の権限がないということになりますると、そういう違反行為をいわゆる合法的にやつておる場合においては、大蔵省としては放任するよりほかにしかたがないと考えるのですが、その通りですか。
#42
○河野証人 その点はいろいろな形で検査、つまり強権的な検査でなくても、あるいは任意調査、つまり向うの承諾を得て調べるということは許されるかもしれません。それから、いろいろな情報等によつて私どもが判断をする方法もあります。それらによつて現実に非常に疑いの多い場合におきましては、結局私どもといたしましては疑いが非常に濃厚だということを司法当局に対して申し上げるというような措置が残されるだけであつて、私どもとして特別に強権的な検査を行うことはできない、こういうことであります。
#43
○矢尾委員 そうしますと、保全経済会に対しましては相当調査せられたものと考えますが、内容につきまして調査せられましたかどうか。
#44
○河野証人 ただいま申しましたように、私どもの係官を数名派しまして、二十六年の七月ごろであつたと思いますが、いろいろ調査をしたいということを申し入れたのでありますが、これに対しまして、当時伊藤理事長から、貸金業者でないのだからあなた方に検査の権限はありませんといつて拒否的態度に出られまして、一応のことしか話を聞いて参つておりません。しかし、私どもは、いろんな形で、これらの問題は検討を要するということで、先ほど申し上げましたように、定款でありますとか、事業報告書でありますとか、あるいはパンフレツトでありますとか、そういうものにつきましてできる限り手に入れまして、これらについてできるだけの調査をいたしたつもりであります。
#45
○矢尾委員 調査いたしました結果、今局長の御答弁によりますと、預金あるいは貸金というようなことをやつていないということでございますが、保全経済会が一般の大衆から金を集める手段としまして、最初は一割であるとか、八分であるとか、いわゆる利息を最初から予約し、期間も三月とか六箇月とかいうようなすえ置きの期間を明示して募集しておる。あたかも一般の銀行が定期預金を年四分とか一年間すえ置きとかいうことで募集しておるのとまつたく同一の預金行為であると考えるのですが、大蔵当局はこれに対してどういうお考えを持つておられますか。
#46
○河野証人 この点も先ほどお答え申し上げた通りでありますが、今お話のように月に三分であるとか四分であるとかの確定配当をするとか、あるいは三箇月たつたら元本を払いもどすとかいうようなことが、今私が引用いたしました定款なり事業報告書なり。パンフレットにははつきり書いてございます。私どもが先ほど来申し上げておりますように、この匿名組合方式による資金の受入れの仕方が金融法規に違反するのではないかということを研究いたしましたときには、今お話のような点はすべて私どもにはわかつておりました。これらのような条件のついた出資の形における資金の受入れが一体金融法規に言つておる預金行為ではないかどうかということが問題になつて、主としてその点を関係当局と論議をいたして参つた次第であります。その結論は、実は私どもの力が足りませんせいもありますが、結論を出すのに時間を要したのですが、先ほど来申し上げておりますように、昨年の三月四日に統一的な見解として私申し上げた通り、匿名組合方式によるこれらの資金の受入れの仕方は商法に規定する匿名組合の契約ではないと言い切るだけの根拠がありません。従つて、この方式による出資は預かり金に準ずる資金の受入れとは言いがたいという結論になつたのであります。
#47
○矢尾委員 大蔵省においてそういうような見解が確立しましたときにおいて、一般の大衆に対して、預金者に対しましてそういうことをはつきりと公示せられることによつて、今日のごとき厖大な被害をこうむつておるこいうことをある程度未然に防ぐことができたと思うのですが、その点につきましては大蔵省としては怠慢であるということを責められてもしかたがないと私は考えるのであります。先ほどの佐竹君の質問に対しまして、昨年の六月に調査した結果、厳に警告をしたということを申されておるのでございますけれども、ほかの利殖機関はどうか知りませんけれども、保全経済会に関する限りは、閉店になるまで、すべて前通りの方式において経営をしておつたと考えるのですが、大蔵省としては、その警告を出されたことによつて利殖機関が改めたという点を認められるか認められないかということをお尋ねしたいと思います。
#48
○河野証人 第一点の、三月四日にそういう見解を政府の統一的な意見としてとつたならば、そういうことを公にして、公衆の注意を喚起すべきではないかというお話でありますが、この点は、私どもとしてはその当時できるだけのことはいたしたつもりであります。ただ、その場合に私ども申しましたのは、匿名組合方式によつて出資を集めておる方式は預金ではない、従つてそれは事業会社の株を持たれた場合と同じである、国家なり法律なりが預金者に対して保護を与えておると同じような保護は与えられません、――つまり、もつと言いかえれば、事業会社の株を持つておる場合と同じであるから、その事業が非常にうまく行くならば、年に何割もの配当があるであろう、株価も上るであろう、しかし、その事業が万一うまく行かなかつたならば、配当はゼロになりましよう、元本と申しますか出資額も返つて来ません、元も子もなくなるということもあり得ます、そういう株式と同じような取扱いがされるのであるから、そのつもりでお入り願いたい、私どもはそれを言うのが精一ぱいでありました。それよりさらに進んで、たとえば保全経済会はあぶない機関であるから、そういうものに入ることはおよしなさいということは、私どもとしては言えません。そういうことは申しておりませんが、とにかく入られるならば出資としてお入りなさい、従つて出資というものは預金者に対する保護のようなものは与えられませんということを、私はその三月四日に御答弁申し上げたときにも繰返して申し上げておりますし、その当時新聞等にもたびたび報道され、その後におきましても、いろいろな機会に私どもは、そういつた事実をはつきりつかんで出資なさるならしていただきたいと申し上げて参つたのであります。それがどの程度一般に通じましたか、その点については十分にどの程度の効果があつたかは私も存じませんが、できるだけのことはいたして参つたつもりであります。
 それから、第二点の、昨年六月に検査した結果警告を発したと申し上げましたのは、これは実は利殖機関の問題ではないのでありまして、いわゆる株主相互金融というもう一つの形態の方の問題でありまして、もちろん保全経済会とかそれに類似する利殖機関に対して警告を発したということはございません。
#49
○矢尾委員 今警告を発したということを申されたのは、いかなる方法によつてですか。それを具体的に説明していただきたい。
#50
○河野証人 検査をいたしまして、株主相互金融会社の中で預金行為をいたしておりましたものに対しては、ただちにこれを整理するように、そうして、さらにそういう行為を続けるならば業務停止の措置をとりますということを警告いたし、あわせてこれらについては新聞に発表いたしました。
    〔委員長退席、長谷川(峻)委員長代理着席〕
#51
○矢尾委員 今の御答弁によりまして、大体において利殖機関というものが違反行為をやつておるという見解のもとに今回この出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律案というものを出されたと思うのでございますが、この点につきましては、銀行法違反であつたか、それが匿名組合方式において事業をやつておつたかという問題につきましては、今その問題が起つたのではなくして、当国会におきましても、法務委員会あるいは大蔵委員会におきましてたびたび論議された問題でございまして、その当時において、これは匿名組合の域を脱しておつて、いわゆる銀行法違反の行為をやつておるということがはつきりしておりまするならば、今日大多数の人が受けておる被害を最小限度にとどめ得られたと思うのでございますが、第十七国会におきましても、二十八年の十月三十一日に法務委員会におきまして犬養国務大臣は、「法務省の意見といたしましては、どうも保全経済会は先ほど申し上げました諸理由によりまして匿名組合と言いにくいという見解を持つております。従つて銀行法違反である、」ということをはつきりと言明しておるのでございます。そういうようなことを勘案してみますと、大蔵省としても、現在被害がもうすでに現われて、それらの機関の業務が一切停止せられて、現在におきましては今後こういう機関を通じての被害が停止されておるようなときに、こういうような取締り法案を出しても、もうすでに物事が終つてしまつてからその対策を講じておるというような考えを持つものでございますが、こういうような取締りを厳にしなければならぬということは、大蔵当局としては保全経済会なりその他の事業が年々欠損で赤字を続けておるということは国税庁あるいは税務署関係を通じて調べられましてもはつきりとしておるものでございまして、最初から大衆に被害を与えておるものであるということははつきりしておると私たちは考えておるのでございますが、その点につきまして大蔵省と法務省との間に意見の相違を来しておつたということを私たちは聞いておるのでございまして、この間におきまして、世間の疑惑は、政党献金であるとかその他の汚職問題と関連いたしましていろいろのうわさが伝えられており、私たちもその事実はないことを国会の権威のためにも望んでおるのでございますが、大蔵当局としては、この法案をもう事が終つてしまつたような今日において出される以前に、もつと早くこれを出されなかつたということについては、大蔵省の怠慢であつたのか、またはそれに対して相当圧力をかけられた結果それを出されなかつたのかということを、はつきりとお答えを願いたいと思うのであります。
#52
○河野証人 今お話のように、昨年の十月でしたか、法務大臣からこの保全経済会の業態に対する法律的見解が述べられたということは確かに私も承知いたしております。この点につきましては、私は先ほどたびたび申し上げておりますように、昨年三月四日に私が御答弁申し上げました範囲においては法務当局と完全なる意見の一致によつて申し上げておるということが一点であります。それから第二点は、そのときにこの匿名組合方式の資金の受入れ方が法律上どうなるかということを研究したときの材料としては、もつぱら保全経済会の定款、出資証書あるいはパンフレット、事業案内書等を材料として検討した。しかもその点は、今私が引例いたしましたように、月に三分の配当をいたします、あるいは月に四分の配当をいたしますということもはつきりその事業案内書、パンフレット等に書いてあります、三箇月たつたらお返しいたします、払いもどしいたしますということもはつきり書いてあります。これらの事実を全部さらけ出して検討の材料といたした結果、去年の三月四日に、私がたびたび申し上げましたような結論を出したのであります。この限りにおきましては、いずれ法務省の局長も証人として喚問されておるやに聞いておりますから、そちらの方からもお聞き願いたいと思いますが、この事実については間違いはございません。
 それから、第二に、このたび法案の提案を政府はしたが、これに対して、一体今ごろ提案をするということはどこからか圧力があつて遅れたのであるか、しからざれば怠慢で遅れたのであるかというお尋ねでありますが、何らかの圧力によつて法案を出すべくして遅れたという事実は先ほど申し上げましたように全然ございません。怠慢であつたかどうかの点につきましては、先ほどもいろいろ申し上げたのでありますが、私ども個人としてはいろいろ考えるところもありましたが、政府として御提案を申し上げるまでにはなかなかむずかしい問題もありまして、(「むずかしい問題とはどんな問題だ」と呼び、その他発言する者あり)法案としてこれを書くために非常に技術的にむずかしいところであります。いわば紙一重である、この問題は紙一重である、そういう点から、法案をつくるのに非常にむずかしい問題がありました。そういう点から提案が遅れたものと思います。なお、これは私も責任をのがれるために申し上げるのではありませんが、この法案の第一条は、預金行為としてのつまり保全経済会等を取締る規定ではございません。出資を受入れる場合に、その出資を誇大宣伝をして受入れる点、いわば詐欺的行為です。詐欺的行為であるが刑法の詐欺に当るかどうかわからない、けれども誇大宣伝をしてその出資を受入れることを取締ろうという規定です。しかも、この法律は、先ほど来申し上げますように、大蔵省と法務省の共管であり、この第一条は主として法務省の担当であるということをはつきり両省で申し合せておる規定であります。この点もお含みおき願いたいと思います。
#53
○長谷川(峻)委員長代理 次に田渕光一君。
#54
○田渕委員 この銀行法は昭和二年の法律第二十一号としてできておるのですが、これは大正十二年の関東大震火災後におけるずつとあのパニックから来て、そうして昭和二年の大きな問題に来た、そのときにつくつた法律である。というようなわけだから、その当時の物価価値その他から見て、大体五千円というような罰金は至当であつたかと思いますが、今度三年というふうなぐあいに体刑まで科し、また三十万円の罰金として来たのですが、これだけ取締り面の罰則が苛酷になつた。つまりここまで飛躍する上においては、この保全経済会等が非常に類似機関がたくさんあるからこうなつて来たのだろうと思うのでありますが、そこまで来るまでに、たとえば私たちが法務省に伺いまして、この委員会でなく小委員会として、民事局長、刑事局長を訪問いたしまして、御意見を伺つたのでありまするが、当時、私の方ではりつぱにこれは匿名組合でない、いろいろこういうふうな違反があるからというふうな解釈を持つておつた。ところが、要は、罰則が五千円であるから、わずか五千円くらいの罰則でこの問題を取締るということについて、ちようど昭和二年のような大きな問題が起きたら困るというような、幾分かあなたの方で当時の対社会的な問題など考えられて積極的な取締りができなかつたのじやないかというようなことを考えたのでありまするが、そういうふうな、つまり罰則が非常に軽いのと、範囲が非常に大きくて、つり合わぬ、うつかり手出しをしたら、これがために大きな取付でも来ると、銀行局長がよけいなことをしたからだというようなことになる心配がひとつあつたのか。先ほどから各委員からの御質問で、圧力があつたかなかつたかという点についてはお尋ねがありましたから、私は重複を避けますけれどもそういうふうな点はどうですか。多少罰則の点から見て、実際やりたいけれども、やつてみたところで罰金は五千円だ、悪影響の方が大きいというようなところで逡巡しておつたということはなかつたのですかどうですか。
#55
○河野証人 確かに、罰則が五千円という非常に今の時世に合わないような銀行法の罰則であります。これは、今お話のように、銀行法の改正をこの法案の附則でやつておりますから、適当なところになると思いますが、この罰則が五千円ではいかにも取締り当局として手がつけがたいということが事実問題としてあつたかどうか、私はよく存じませんが、そういうことは想像はされます。しかし、私どものところとしては、罰則が低いにもかかわらず、経済界に対してパニックと申しますかいろいろな影響を及ぼすがゆえに、かりにこれが預金であるけれども預金としての取扱いをしてもらつては困るといつたような一つの考え方からこれらの問題についての法律の冷静なる判断を曲げるようなことをいたしたことは全然ございません。これは預金行為としてはつきりその結論が出れば、私は、かりに経済界に対して影響があつても、それは預金行為としてはつきり取締るという措置はいたさなければならぬと、従来からそう考えておりましたし、今でもそう考えております。そういう点から、いわゆる政治的考慮でもつて、ほんとうは預金なんだけれども預金としては扱わないというようなことにいたしたことは全然ございません。
#56
○田渕委員 率直に言つて非常に大きな問題であつただろうと思います。大体法務委員会でやかましくなり、大蔵委員会でやかましくなつて来て、そこでこの問題が立案されるまで、もつとも昨年の三月四日あなたの結論が出せた以後から、少くとも法務省とあなたの方との間に公文書で、こうしてもらいたいということを法務省のたとえば民事局、刑事局あるいはまた法務省の方から――こういうことが行われておるが、こういう点はあなたの方で銀行法で取締つてもらいたいというような公文交換はありませんでしたか。その点をひとつ伺いたい。
#57
○河野証人 その問題についきましては、取締りの問題について公文で往復したことはございません。それから、立法論と申しますか、取締り立法をつくる必要があるかないかにつきましても、公の文書といたしましては照会したことはございません。しかし、私としては先ほど申し上げましたように、昨年六月だつたと思いますが、大蔵委員会で、個人としては私何かこう立法しなければいかぬのじやないかという気がするということを申し上げた際に、一応そういう法律としては――私は実は商法の方は詳しくないのでありますが一応こんなものはどうであろうかといつたようなことを、非公式に、私は私の係の者をして法務省に持たせてやりまして、研究してみてくれということを言わせておいたことはございます。たしか去年の七月ではないかと思います。しかし、これはあくまで非公式なものでありまして、公文でそういうことをやつたことはございません。
#58
○田渕委員 私たちが法務省へ行きまして伺いましたときの私個人の勘は、どうも銀行局が優柔不断であつた――。私の方ではこれははつきり匿名組合でありませんと民事局では言う。ところが、その法務省の中にも二つの意見があつた。というのは、率直に言つて、当時の井本刑事局長も来られましたが、どうもこれが匿名組合の詐欺という点については……、というようなことで割切れない。この刑事局の問題はあとで証人に来てくれましようから伺いますが、ふしぎなことには、この伊藤斗福君が保険会社に勤めて保険会社の金を横領した事件が、六年間も東京地検に握りつぶされておる。六年目にとうとう不起訴に決定したので、その保険会社が抗告をして、最高裁判所でこれを受理をした。こういうような点があるのと、割切れない点がどこにあつたのか、圧力があつたのか、これは私は新しく解釈したからこれから調べて行くのですが、法務省の中でも民事局と刑事局で意見が対立しておつた。銀行局の方でも優柔不断だというようなぐあいで、私としては、そのときに伺つたところでは、罰金が五千円であるから五千円ぐらいでなまじつか手をつけて非常に大きなことになつてはいかぬというようなぐあいに銀行局では考えておるのではなかろうかという予感を私はその当時受けたので、今伺つたのですが、少くともこの問題に私はこう考えておる。結局この責任問題から伺つて行かなければならぬが、少くとも吉田内閣五年の中にはいろいろな善政もあつたのでありましよう。しかし、これなどは吉田内閣としてただされる最も大きな失政の一つとして責任を負わなければならぬと思うが、とどのつまらはやはら銀行局長のあなたではないか。――全責任というものがそこに行く者は。私たちも吉田内閣を支持しておる与党の自由党員でありまするから、かりに地方に行きましても、私はまつたく相済まぬのだ、だからはつきり今国会で調べて、責任はもちろんわれわれも負わなければならぬ、その判断はわきまえておる、なるべく皆さんの損害の少いように善処することを同時に、この伊藤の隠しておる財産は取上げ、あるいはもし政党に行つておるものなら必ず政党から返すくらいに私は考えておるのだ、そうしてもうこれが遊興に使われてしまつたのはしかたないとして、不当な隠匿財産はこれを取上げてしまうのだ、いずれにおいてもこれはわれわれの責任でありますと、私はあやまつておるのであります。結局責任は必ず明らかにしなくちやならぬ。私は、どうも何といつても吉田内閣の責任だ、何といつてもわが党の責任はのがれられないのだ、こういうことを言うと、結局そのわれわれの責任は法務省にあつたのか大蔵省にあつたのか、これをはつきりして行かなければいけない。そこで、実際やつてみて、これはお互いに責任のなすり合いでなくして、この真相を早く確かめて、どう勧告するかということを見出すためにわれわれはやつているのでありますが、私は、どうも結局この一番の責任は銀行局にあるのだと、こう思う。たとえば、あなたが先ほどおつしやつたように、パンフレットをとつたり、それから資料をとつたりしてみると、結局は詐欺行為のようなことをやつておる、しかしどうも銀行局は違反じやないからやれない――。そういうときは、銀行局長としてこういうような重大な影響のあるもの、影響を及ぼす点が大きいのだから、局議でこういう問題をとりはかわれたのか、あるいは省議としてどのくらいやられたか、やられたとすれば、この問題を主として取上げて何回ぐらいこれに対する対策を考えられたかというようなことをひとつ伺つておきたい。
#59
○河野証人 今お話のように、法務省と、いろいろこの問題についてどういうふうに法律上の解釈を下すべきか、判断を下すべきかという議論はたびたびやつて参りました。その間において、先ほど申し上げましたように、個個にはいろいろな意見があつた。――これは私は申し上げます。ただ、私はあえて申し上げますが、法務省のだれかがあるいは大蔵省のだれかが弱いとか強いとかということを言つたそうでありますが、私はだれがどう言つたということは決して言いません。これは少くとも今申し上げておきます。各人の見解もいろいろあつた。しかし、その結論を出したのは昨年の三月四日ですが、これは皆さん一致した意見です。政府部内の一致した意見として出してある。これははつきり私は断言いたします。そのほかについては、その審議なり検討の過程においてだれがどう言つたということは私は申し上げません。
 それから、省議でいろいろ検討したかという御質問でありますが、それはいたしました。私はこういう問題を少くとも軽々に扱つておりません。全部大臣まで通して結論を出しております。それから、もう一つ、私は御参考までに申し上げます。今ここに御提案申し上げている法制化の問題について、私はあえて私の私見として申し上げている。私は、私の所管でないと信ずるがゆえに、あえて私の私見として申し上げている。しかし、銀行局長としての私見でありますから、私がこういうことを大蔵省銀行局長として私見といえどもしやべるについては、私は大蔵大臣まで通じてしやべつております。そこまでの私はちやんと措置をいたしております。しかし、この問題は私の所管でないと考えますがゆえに、私はあえて私見ということで今まで申し上げておる、かように御了承願いたいと思います。
#60
○田渕委員 そこで、局長は、つまり二十六年五月に現職におつきになられたのだが、当時はまだ占領下であります。独立したのが二十七年の四月二十八日でありますから、占領下であります。ところで、私は二つの問題で非常に解せない点があるのは、伊藤君が朝鮮人であるいうこと、――当時終戦直後のどさくさに彼らは独立した民族として横暴をきわめた時代があつたので、日本人という名前において営業はしておるけれども実質においてはあれは朝鮮人であるから、大衆の金を集めるということを知つたGHQの方面に何らか政策的なものをやつたかどうか。そうして、そういうような圧力があつて法務省の刑事局の方では彼を起訴できなかつたのじやないかということをわれわれは聞いておるわけであります。たとえば、あなたの方で、あなたが現職につかれてから独立するまで、つまり一昨年の四月二十八日ですか、あのメーデーの騒擾の前くらいまで、あの間にこういう問題をあなたが所管なされて、それから保全経済会がそれをずつとやつて来たのだが、当時司令部にあなたの方からオーケーをとりに行くについての局議あるいは省議か開かれたときは、司令部等のこれに灯する干渉あるいは圧力等がなかつたかどうか。これなども、あとで法務省に伺うことに関連しますので、参考に伺うのであります。
    〔長谷川(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
#61
○河野証人 保全経済会の問題等について司令部から意見があつたり何か圧力があつたということは全然ございません。
#62
○塚原委員長 中野四郎君。
#63
○中野委員 どうも、従来からの関係官庁の処置、先ほどから君の御答弁を聞いておると、わからないことだらけになつて来るのです。いわゆる態度というものがまつたく不可解千万だと思う。一体こういうような全国に数十万及ぶところの実害を与えたその根拠がどこにあるかと言えば、これは政府の財政金融政策の欠陥と、社会情勢の混乱をしたそのすきに生れたものである。そこで、先ほど来いろいろあなたの御答弁を聞いたのだが、この出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律案を今時分出されたところを見ると、ちようどどろぼうをつかまえてなわをなうのような感が深いのです。先ほどもあなたの責任を聞かれておるのだが、実際上においては出資と見るべきものであつて、いわゆる預金でないからというお説は当つておるかもしれませんけれども、しかし、今日全国にこのような数十万の実害者を見る段階まで放任しておいた関係官庁というものの態度がわからないことになる。従つて、私は、どこの官庁がこの責任を持つものか、これがわからぬ。銀行局長としての態度はよくわかつたが、法務省の方の態度もこれから伺いますが、今日このような全国に莫大な実害を与えて、国民を悲嘆のどん底に陥れたその責任の所在は一体どこにあるのかわからない。銀行局長は何と思うか。先ほど田渕君が聞かれたようだが、その点については答えておられないようです。あなたの責任の所在はよくわかつたが、結論としては、こういうような状態に陥つたのは事実だから、この現実の問題をこのように現わして来たものは、一体どういうところに欠陥があつたか、ただ法の欠陥だけであなたが言われるならば、先ほど言うようにあなたの方で今日今ごろになつてこういう法律案を出して来たということは怠慢であつたと言わざるを得ない。しかし、あなたは怠慢の責任はとつておらない。諸般の事情、いわゆるこの法律案を立案するまでにいろいろ時期の問題とかあるいはいろいろ関係方面の調査等によつて遅れたと言われればそれで済むかもしれないが、これはすでに事態が済んでしまつた今日である。だから、このような事態に陥らしめた責任は一体どこにあるか、これをまず伺いたいと思うのです。どつかになくちやならぬ。あつたからこそこういうことになつたのですから……。
#64
○河野証人 弁解を申し上げるようで私も非常に恐縮に存じますが、私、銀行局長としての立場から申し上げますならば、先ほど来申し上げておる通り、金融行政の対象でないと私は考えております。しかし、さればといつて、私も政府職員の一人でありますから、これらの事態について、しかも金融法規に違反するかどうかということは私も調べてみたことがございますので、全然無関心でおるわけにも参りません。その意味で私もできるだけどうしたらよいかということも考えて参りました。しかし、それが今日、今お話のように、すでに問題が起きてからあとになつてこういう法案を提出するということは怠慢ではないかというおしかりでありますが、この点も私どもは怠慢であるとは思いません。先ほど来申し上げましたように、いろいろと研究して参りますとむずかしい問題が多い。一例を申し上げますと、実は私見として申し上げましたのはこういう法案の形ではなかつた。実は、不特定多数の者から出資を受け入れるという形は、株式会社とかそういう形で許されているもの以外は禁止をしたらどうか、匿名組合というような不特定多数の者から出資を集めてはいけないということにしたらどうかということを、私、先ほど申し上げましたように商法の方はしろうとですから、実はそんな乱暴な意見を申し上げたわけでありますが、そういうまつたく違つた法案になつておるわけです。そういつた意味で、これらの問題はいろいろな形で実は研究いたして参りました。それが、実は私どもの力が足りませんために、つまり知恵が足りませんために遅れまして、こういう事態が起つた後になつたということは、その点では私申訳ないと考えておる。
 しからば、金融行政の対象でないと言うが、こういう事態が起つたことは事実である、だれがその責任を負うのかという点でございますが、だれが責任を負うということは、私としてはちよつと申し上げかねる。お許しをいただきたいと思う。
#65
○中野委員 そこが大事なところなのです。今まで法務省の考え方と大蔵省の考え方とに食い違いがあつたことは事実でしよう。従つて、昨年の三月四日にその意見が一致したとおつしやる、それまでの間に意見の不一致を調整する努力をしたかどうかということは大きな問題なんです。それから、あなたが二十六年に銀行局長に御就任以来、考えてみてもわかると思うのだが、一体このような保全経済会、こういう業態が成り立つかどうか、考えてみてもわかると思う。現に一昨日ここで、証人に呼びました神崎という監査課長は、初めからうまく行くわけない、もうからないですから、――ずつと欠損続きなのです。それに利益配当をしておるのだから、うまく行くわけはない、こう言つておる。これはまことに正直でよろしいのです。また事実このような業態が成り立つかどうかということは常識論でもわかると思う。いわんや専門家であるあなた方が知らぬわけはない。これに対する対策というものは当然あつてしかるべきです。法の欠陥があるなれば、その法の欠陥を補うべき努力をするべきである。ところが、法務省とあなたの方との意見の食い違いが調整されず、しかも今日こういう実害者が現われるまで放任してあつたというところに私は責任の所在があると思う。その一半の責任は大蔵省が当然負わなければならぬと思う。しかし、あなたの方は負うと言つておらぬ。いわゆる言葉のあやはけつこうです。しかし、私は、これが出資であるか預金であるかということは一目瞭然わかることでありますから、これを放任しておいた責任というものは当然いずれかの関係官庁において負わなければならぬと思うので、その関係官庁は、法務省あるいは大蔵省、あるいは他にあるならばそれはけつこう、ただ一つの省に責任を負わせようとは言わぬ。今度行政監察委員会でこの問題を取上げました。御承知のように、新聞あるいは放送等で政治寄金の問題が大きく取上げられておつて、行政監察委員会がそういう方面のスキヤンダルばかりを取上げるように思うかもしれないが、そうじやない。私どもが昨年十月保全経済会等類似の特殊機関の調査を開始しましたのは、あくまでも実体を解明して、そうして監督官庁が適正なる処置をとつておつたかどうか、これがこのねらいなのであります。結論としては、立法府にある行政監察委員会として、各関係官庁に勧告すべきものは勧告をし、あるいは実害者に対して何らかの方途をとらしめるような行き方をわれわれが求めて行くということが、この委員会で取上げたねらいであります。ですから、きようおいでを願つた河野さんは重大な立場においでになるわけです。監督官庁としては一体どこに責任があつて、なぜ今日まで放任しておかねばならなかつたか、こういうことを解明する必要がある。あなたの言い分は先ほどから聞いた。ごもつともだと思う。おそらく法務省の方も同じような見解を述べられると思う。両方で責任を負わなければならぬ大事な問題だと思う。ところが、あなたは責任を負つておいでにならない。先ほどから聞いておると、責任はないということを再々言うておられる。怠慢でなかつたら一体何なのでしよう。下品な言葉のようですが、どろぼうをつかまえてからなわをなうような結果になる。法律をつくつたからして、今後のことはけつこうです。しかし、今日まで出た実害者は厖大なものだ。その社会的影響も大きなものだ。この責任はやはり閣係官庁としてとらなければならぬと思うのですが、それはいずれでとるべきものか、どういうふうに感じておられるか。大事な問題です。重ねて御答弁を願いたいと思う。この一点がきようおいでを願つたねらいなのです。
#66
○河野証人 これは、先ほど来私が申し上げております通り、保全経済会自体に対する、そのやつておる業態に対して、法律上どういうふうに解釈すべきか、その問題についての解釈は、私の解釈は先ほど来申し上げた通りであります。つまり、与信面においても受信回においても金融行政の対象外であると私は考えております。従来から考えておりますし、今日においても考えております。従いまして、その限りにおいて、こういうふうな事態が起りましたことに対しては私は、政府職員の一人としてきわめて遺憾の意を表さなければならぬ。これは私は率直に認めておるのであります。しかしながら、かりに金融行政の範囲の外にあるとすれば、一体だれがこの問題に対して責任を負うかという点につきましては、私はだれが責任者だということは申し上げかねる、こう先ほど申し上げましたけれども、このたびもそう申し上げざるを得ない、かように考えております。
#67
○中野委員 その責任はあなたにあるのです。あなたの大蔵省にあるのです。だから、だれだかわからぬじやない。わかつておるのです。現にこの保全経済会等類似機関に対する質問はしばしば行われておる。愛知君がちようど大蔵政務次官になつた当時に、こういう意見の発表もしておるのです。あなたと同じことです。大蔵省で営業状態を調べようとしても、金融検査権の発動ができないからやれなかつた、こう言つておる。しかし、その末尾には、このままほつておいてはならない問題であるから、何らか適当な処置をしなければならぬということも言つておるのです。これはもうすでにしばしば問題になつたことなんです。してみれば、その当時でももう取締り処置をとるべきであつた。私はこれが政党の圧力か、あなたのところの大臣の圧力で延びたとか延びぬとかいうことはここで申し上げたくない。またそんなことを論じようとしない。現実の問題として、このような実害者を全国に及ぼして放任しておいたことは何、といつたつてこれは大蔵省の責任です。法務省の責任なんですよ。意見の齟齬があつたことは間違いない。齟齬があつたからこそ、あなたは昨年三月四日に意見の一致を見たと言つておられるのだから、それまでは一致を見なかつたのだ。見ないままに放任しておいたからこういうことになつた。そこで私は、その責任はあなたのところが大部分背負うべきである、あるいは法務省の方もその一半を背負うべきだと思いますけれども、もう一点伺つておきたいのは、なぜその三月四日に一致点を見たかということなんです。関心がないとか、あるいは責任を痛感していなければ、一致点なんか見出さないで今日までほつておいてよかつた。相当議論が深刻になり、事態が容易ならぬ段階になつたからこそ、急遽あなた方で意見の一致を見なければならぬ努力をされたのだと思う。そうでしよう。何かそういう契機がなくては意見の一致を見る必要はないのだが、それまでは一体法務省の方はどういう見解でおつたのですか。あなたの方はどういう見解でおられたか。この点を伺いたいと思う。
#68
○河野証人 先ほど来御説明申し上げております通り、この問題について法務省――当時は法務府でありましたが、これらの関係官庁と検討を始めましたのは二十六年の七月からであります。たしか七月ごろからではなかつたかと思います。そのときに、この問題について政府の見解をただされたのは実は国会からであります。国会の大蔵委員会で私はこの問題についての意見をただされた。爾来法務府と後には法務省でありますが、何回にもわたつてこの問題については議論をいたしております。法務省の中にも一致した見解――つまり大蔵省が一つの見解を持ち、法務省が一つの統一した見解を持つてこれが対立したということはないのであります。各人がやはりいろいろ検討して行く場合においては、いろいろな意見がありました。これは率直に申します。しかし、その結論を出すのに、先ほど申しました、言葉は悪いのでありますが、紙一重というようなことで、この金融法規にいつておる預金行為であるかないかという結論はなかかな出なかつた。その点についてもう少し早く結論を出したらよいじやないかというおしかりは、これは私は甘んじて受けなければならない。しかし、不幸にして、私どもはいろいろ議論をいたして参りましたが、その結論を得るのに実は三月四日までかかつた。それまでの間に、参議院、衆議院両大蔵委員会等で、何をしておるのか何をしておるのか、――あるいは予算委員会でもありました。私記憶いたしておりますが、何度も、これらの問題に対して政府はほうつておくのかという追究を私どもは受けて参つております。それで、その問題につきましては、この業態が金融法規に違反するかしないかという点についてはもうしばらくお待ち願いたい、今関係当局の間で結論を急いでいるから、もうしばらくお待ち願いたいということで、研究を急いで、できるだけ急ぐようにして進めて参りました結果が、金融法規の違反という観点からはこの問題を取上げることはできないという結論に到達して、三月四日に私から答弁いたしたわけであります。その間において、法務省と大蔵省は完全に意見が対立した――つまり省として対立したということは全然ございません。
#69
○中野委員 それは少し詭弁だと思う。法務省の刑事局長、民事局長と私らの方が話合いをいたしたときには、われわれは明らかに銀行法違反だと思うけれども、しかしその罰則がわずか五千円くらいのものであつては、これほど大きな社会問題を引起したあととしてはちよつと甘すぎるから、われわれはやらないでおるんだということを言つておる、これは後ほど、法務省の両君が来られればはつきりいたします。これは詭弁と言わざるを得ない。あなたは先ほども銀行法違反ではないと言つておられる。銀行法をそこで読まれて、その第一条第二項の明らかに預金行為をしておらぬから銀行法違反ではないと言つておられる。そうしてみると、意見がここに対立しておつたわけです。対立がないのじやない。対立しておつたから今日まで放任しておいたということになる。もう一つは、こういうことじやないのですか。あなたに聞いてお答えがあるかどうか知らぬが、投資銀行法のようなものをひとつ立法化しよういう運動が猛烈であつたことは、これは世間周知の事実です。伊藤君なんかは、文書にしても、言語にしてしましても、政党の方の昭和二十七年のあの抜打ち解散直後において非常に金に飢えていた時分ですから、相当な資金を提供したりすることによつてこれに便宜を与えてくれるだろうという考えに立つて、相当猛烈な運動をしておつたのです。こういうことが大蔵省の方に相当反映しておる。そこで、そういう投資銀行法のような立法が出るかもしれないととう予測の上に立つておられたかどうか知らないけれどもそれでこういう取締り法規をいたずらに今日まで放任しておいたというような見方もできるわけです。あなたの方はそうでないかもしれないが、あるいはそうではないかという世間の疑惑は、これはぬぐうことはできないのです。私は、どう考えても、この法務省と大蔵省との間のいわゆる責任のなすり合いというか、大蔵省の一部の中にはそういう気分が流れて、そのなすり合いをいい機会に今日まで延び延びと放任して来たのではなかろうかという疑惑否定することはできぬと思うのです。
 そこで一点伺つておきたいのですが、たとい金融検査権がないにしても、少くともあなたの方では、金融検査権が発動できなかつたにしても、こういうような数十億あるいは何百億というような全国に類似機関が出て来たのですから、この営業の実体というものを調べられたことがあるかどうか。これは調べる方法は幾らでもあるのです。つまり保全経済会なら保全経済会でもけつこうです。これを一例にあげて、その営業の実体をば詳細に調査をする方法は幾らでもある。現に法務省では、これを詐欺とするかあるいは銀行法違反とするかという点についてすでに調査が進んでおつたのです。昨年の休業直後においてわれわれが会見したときには、明らかにこれを言うておつた。ただ、きめ手がはつきりいたしませんし、それからもう一つは、そのときに手を入れることによつて、このために倒れたという政治的責任を負わされることを非常に警戒して、手を入れなかつたと言つておるのですから、あなたの方でも、たとい金融検査権がないにしても、少くともこの営業の実体について調査するくらいの用意はあつていいと思うのですが、そういうことをされた事実があるかどうか、あるとすれば何年からいつごろまでかかつて調べられたか、その結果報告はどういうふうになつておるか、この三点を伺いたいと思う。
#70
○河野証人 第一のお尋ねは、今まで取締りの法案を延び延びにして参つたのは、伊藤氏あたりが投資銀行法ですか、そういつた立法を行いたいということで進んでいるからそういつたことに牽制されて――言葉は悪いのでありますが、牽制されて、こういう取締り法案の立案なりあるいは提案が遅れたのではないかというお話でありますが、そういうことはありません。
 それから、第二に、法務省との間のいろいろの見解の問題でありますが、これは先ほど来申し上げました通りでありまして、私どもとしては三月四日の結論を得るまでには、私どもの方の中でも、これは金融法規に違反する預金行為ではないかという議論も実はあつたのであります。そういう議論は大蔵省の中にもありました。法務省の中にももちろんあつたと思います。私は初めからこれは銀行法第一条第二項に言つている預金行為ではないという結論を出して法務省と相談したのではありません。この点ははつきり申し上げます。そういうことで、結論が出ますまでにはいろいろな過程がございましたけれども、三月四日の結論についてはこれは問題ない。これは一致した意見として出た。これははつきり申し上げることができます。
 第三に、この保全経済会等の業態を一体調査したことがあるかどうかというお話でありますが、これは先ほど申し上げましたように、正確に申し上げますと、昭和二十六年の七月二十六日保全経済会に私どもの係の者をやりまして調査をさしたのであります。その結果、当時中途から伊藤理事長が出て参りまして、検査はできないですよということを積極的に向うから発言したのです。従いまして、重役がどうなつているか、あるいは支所がどこに何箇所あるか、資金量はどの程度かといつたような、ごくあらましのことをそのとき聞いて帰つた程度でありまして、それ以上のことは実は調査ができませんでした。その後におきましては、先ほど来申し上げましたように、あるいはパンフレットでありますとか、あるいは新聞広告でありますとか、あるいは定款でありますとか、そういつたものをできるだけ手に入れることに努めまして、これらの問題に対する法律的な判断をいかに下すべきかということの資料の収集に努めて参りました。できるだけのものを集めて、今申し上げたような結論を出すについての資料として使用いたしたのであります。もう一つ、大蔵省といたしましては、税務の調査の関係からいろいろと調査をいたしました。これは国税庁及び東京国税局において調査をいたして参りました。その結果につきましても、私どもはある程度のことは承知をいたしております。そういうようなことで、正面から、ぶつかつて調べる方法はございませんでした。あるいは税務の形で調べるとか、あるいは、今申し上げたように、いろいろ間接資料の入手に努めることによつてできるだけの調査はいたしました。その過程において、これらの資料をできるだけ分析し、結論をすみやかに出すように努力いたして参つたのであります。
#71
○中野委員 一体、調査の結果、こういうような会社が成り立つと思つたのですか、どうでしようか。これは大問題だと思うのです。今度保全経済会の事件を起した跡をずつと探つてみますと、一番大きな原因は、何といつてもこれはかなり行方不明の金が多いということです。つまり、物を買う場合でも水増しをやつて、五千万円のものを買うのに一億五千万円とつけて、一億円をどこかへ流してしまうというようなことが今日の事態を起した最大の原因のように考えられる。その他二つ三つありますけれども、しかし、あなた万が調査の過程において、今お話のように国税局の調べた結果も御承知でありましよう。現に先ほど田渕君も言われたかどうか知りませんが、三重県の山林を買うのにでも、六百万円のものを買うのに七千五百万円と帳簿にはついている。しかし実際の金は六百万円しか山元へ渡つておらぬ。銀行の書類の上では三千百万円ですけれども、とにかく帳簿面には七千五百万円と出ておる。こういうようなものもおそらく国税局から報告があつたのだろうと思いますが、少くともあなた方が調査をなさつた結果において、こういうものが一体成り立つと思つたかどうか、この点ひとつ伺つておきたい。
#72
○河野証人 私は、率直に申し上げますならば、こういつた高利の配当をいたして行くということは、インフレーシヨンの過程において証券が値上りをするとかあるいは不動産が値上りをするということがないとした場合、永続し得る企業としてはむずかしいのじやないかというふうに前から考えておりました。しかしながら、実は私としてはこれについて確信の持てるようなことがなかつたので、おそらくそうであろうとは推測いたしましたけれども、しからば、これについて、保全経済会という業態はあぶないぞ、従つて出資をなさる方は出資をおやめなさいということを、少くとも私政府の役人として申し上げるまでの自信はございませんでした。従つて、私どもの申し上げたのは、精一ぱい、これがほんとうに精一ぱいなのです。出資者は預金者と同じ保護を与えられませんぞということを、私は三月四日に、私として言える一ぱいのことを言つたつもりであります。それ以上のことは私には言えません。
#73
○中野委員 成り立たぬのがほんとうなのです。成り立たなかつた原因は多多ありますけれども、あなた方が成り立たぬと見ながら、それを救助することはできぬかもしれませんが、いわゆる監督官庁として当然何らかの処置を講じなければならなかつたということは、私はわかり得ると思う。というのは、あなたのところの愛知君にしましても、それから池田君にしましても、またあなた方も、しばしば何か立法処直をしなければならないと言うておられる。この取締りに対しての立法処置をしなければならぬということは考えておられると言つておる。また愛知君はこういうことを言つておられる。「しかしそのままでもいけないので、取締り法規を考えているのですが、うまい方法が見つかりません。政府としても因つておる次第であります。」ということを言つておる。少くともお互い何らかの取締り法規をつくらなければならぬということは――あなたが昨年の六月でしたか、大蔵委員会で説明しておられたときも私は聞いておつたか、その当時からあなたは考えておられる。大蔵省の中にはそういう気持が多分にあつたことだけはまぎれもない事実である。してみれば、もつと早くこれに対する処置をしなければならぬわけです。特に、あなた方の態度が悪いものだからこれを悪用しておるのです。保全経済会はこういうことを書いおるのです。「利殖のしるべ」という中には、「大蔵省当局の公表した処によると、匿名組合による出資金受入とか式は、金融法規上は違反とは認めないとしてその出資は一般の事業に対する投資と同様に見なされることになつたのです。殊に重く視られた金融面のことは、」こういうようなことを書いて、かえつて逆に、あなた方の考え方と逆の、親の心子知らずというか、これを運用して、逆にこれほど健全なもりはないということを世間にうたつている。よほど注意しなければならぬ問題なのです。
 そこで、もう一つ伺いたいのは、一体あなたはこれを匿名組合と思われるどうか。第一番に、調査をするにあたつては、――あの保全経済会は内容とことごとく匿名組合としてこれを募集しております。してみれば、まず調査の対象になる商法に定められた匿名組合の方式を踏んでおるかどうかということをきわめなければならぬのである。大蔵省は調査の結果匿名組合と認めたかどうか。もし認めたとすれば、どういうところを匿名組合として認めたか。もし認めぬとすれば、いかなるところが匿名組合として認められなかつたか。こういう点を御説明願いたいと思います。
#74
○河野証人 その点も先ほど御説明申し上げたところでありますが、三月四日私から統一的に御説明申し上げました当局の方針の中にこの問題があるのでございます。金融法規との関係において問題となりますいろいろな形態の中で、匿名組合契約による資金の受入れ方式、これをどう考えるかという言葉がある。これに対する金融法規との関係ということにつきまして、この方式については商法の規定する匿名組合契約ではないと言い切るだけの根拠がない、従つて預かり金ということはできない、こういうふうに御答弁申し上げておるわけであります。その意味は、この際には公式に表に出して保全経済会を対象にして実はこの問題を調査したとは申しておりませんが、保全経済会のパンフレットとか、事業案内書等を私どもはすべて対象にして調査をいたしました。その中には、先ほども申し上げましたように、月三分の確定の配当をいたしますとか、あるいは三箇月たつたら払いもどしをいたしますとか、不特定多数の人から出資を集めておるとか、そういうことはすべてパンフレットその他によつて私どもにわかつております。それを前提にして、法務省、法制局その他と相談した結果、匿名方式による資金の受入れ方式は商法の規定する匿名組合契約ではないと言い切るだけの根拠がない、こういう結論に三月四日になつておることを私から御説明申し上げた次第であります。
#75
○中野委員 ほかの方の質問もありますから、いま二点だけ。
 そこで問題になるのですが、先日保全経済会の顧問である松本博士にここに来てもらつたのですが、保全経済会の実体を解明する上においてこれが匿名組合であるかどうかということを尋ねた。匿名組合として募集しておつたのですから……。あなたの方では匿名組合でないということを断定する根拠がないと言われるが、松本君は、明らかにこれは匿名組合でありませんということを新たに発見いたしましたと言うておる。その発見の根拠はという質問に対しては、商法五百三十八条の条章を蹂躙しておるからだと言うのですが、ここに私があなたに聞かなければならぬ点があるのです。五百三十八条には「出資カ損失ニ因リテ減シタルトキハ其填補ノ後ニ非サレハ匿名組合員ハ利益ノ配当ヲ請求スルコトヲ得ス」とあります。この点、月々二分あるいは三分の利益を配当するというこの保全経済会並びに類似の機関の実態はまつたく相反するものであると私は思う。あなたの方がこれを断定することを得ずとおつしやるけれども、商法五百三十八条の規定を蹂躙しておるものであるから、匿名組合でないならないということをなぜ断定することができないか。断定することができ得なかつたという根拠を伺いたいのです。
#76
○河野証人 この点は、実は先ほど来申し上げておりますように、私どもといたしましては、商法上の解釈につきましては正確なことは法務省から実は伺いたいと思います。しかしながら、ともかくこの問題について検討いたしました結果、私が今申し上げました結論になりますが、今お尋ねの条章につきましては、少し例が悪いかと思いますが、株式会社組織におきましてのその利益の配当をいたします場合には、ちやんとそれぞれの損失を補填するとかその他のことをやつた上でなければ配当してはいけないということに相なつておると私承知いたします。しかるに、言葉は非常に悪いのでありますが、いわゆるたこ配と申しますか、欠損があつても配当をしておるというようなものがあるかと思います。その場合において、欠損があつても配当いたしておるという場合においては、それは株式会社組織ではないかという点につきましては、私どもは、商法には違反しておるが、その仕組み自体はやはり株式会社組織であろうというふうに考えておるのであります。その意味で、ちよつと例が違うかと思いますが、それと同じような立場でこの問題もやはり考えて行くべきではないかというふうに私は考えております。ただ、非常に逃げ口上になつて恐縮でありますが、私は商法は専門家でないものでありますから、詳しくは法務省等からお聞き願います。
#77
○中野委員 たいへん甘い考え方です。大蔵省がそういう考え方で今日まで来たものですから、こういう実態になつたのですよ。だから、言わず語らず、その責任の所在は大蔵当局あるいは法務当局にあつたのだと言わざるを得ないのです。しかし、長く質問することは他の質問者に御迷惑でありますから、最後にあなたの意見を聞いておきたいのですが、こういうような状態で、全国に非常に多数のしかも甚大なる被害を与えました。経済的にも社会的にもこれは大きな問題です。このことは、責任の所在はいずれ明らかになるといたしましても、この収拾をいかにするかということは大事な問題です。現在保全経済会やあるいは日本殖産などああいうところの跡始末というものについて非常な混乱状態に入つておるわけですね。社会が不安状態に入つておるわけです。ずるいやつはあれをかきむしつて安くたたいて手に入れてしまおう、あるいは、真剣にこれが再建を考えて、五年十年かかつても投資者に対してできるだけの処置をとつてあげたいという考え方でまじめな意味でやつている人もあるようであります。そのいずれにいたしましても、今日全国数十万という実害者が戦々きようきようとして自分の出した財産に対する不安を感じておるわけです。中には少々欲の皮のつつぱつた考え方で余分の財産を投資したかもしれないが、今度のこの事実を考えてみますと、全国の数十万の人たち、この大部分の人たちは、非常に零細な農家とか、あるいは未亡人、戦争遺家族というような人たちが多い。まことに結果においてはともかくも非常に御同情にたえない人たちが多いと思うのですが、これはやはり何らかの処置をとつてこの人々の財産を保護してやらなければならぬ。これは国の責任なんです。こういう点から、現在銀行局長としてどうということはできぬかもしれませんが、あなたは相当その方面における権威者なんだから、どうしたならばこういう人たちの財産を守つてやれるかということについての見解をひとつ述べていただきたいと思います。
#78
○河野証人 これはなかなかむずかしい問題でありまして、非常にたくさんの方々が御迷惑を受けられたということは、はなはだ遺憾なことでありますけれども、されば、そういつた事態に対して一体どうしたらいいかという点につきましては、おそらくこれを救済するということになりますれば、財政上いろいろな措置をしなければならぬ。そうまでしてこれらの問題に対する救済策をとるべきであるかどうかということにつきましては、私は非常に気の毒なことはよくわかるし、私としても遺憾に存じますけれども、そういう措置をとるべきでないと私は考えております。
#79
○中野委員 とるべきでないことはわかるのだが、しかし、あなたの私見を聞くんです。どうしたならば一体この人人の財産をある程度まで保護してやることができ得るか、こういう私見を聞いておるのです。銀行局長としてはよくわかる。お取扱いの処置についてはしばしば聞いておる。あなたの見解を聞くんです。
#80
○河野証人 私の見解も、今申し上げた通り、政府としてこの問題について財政上の救済措置をとるということは、この問題を限つてとるということは適当でない、これは私の私見としてもさように考えます。
#81
○塚原委員長 長谷川君。
#82
○長谷川(峻)委員 保全経済の今までやつて来たことに対する大蔵省の責任論、さらにまた今後の対策について各委員から熱心に御質問がありましたが、それに引続いて私は若干御質問したいと思います。
 それは、いわゆる町の金融機関――保全経済は先ほど局長の御説明によりますと金融機関じやないということでありましたけれども、保全経済のような匿名組合式のもの、それからまた株主相互金融形式のもの、あるいはまた日本殖産のようにこの両者の形式を併用したものなどがありますが、現在一体どのくらい営業所があるか、それを種類別にお述べをいただきたいと思うのであります。また、保全経済が休業して以来、現在たくさん類似的な金融機関が休業状態に入つておりますが、これは一体どの程度あるか、この資料も御提出願いたいと思います。もしなければ、この次おいでになるとき――ひとつおいでになることをお約束していただいて、おいでになる場合にお持ち願つてもかまいません。
#83
○河野証人 今資料を持つておりませんが、大体のことは私記憶しておりますからお答え申し上げまして、なお足りませんところは資料で提出いたしたいと思います。
 現在、貸金業者は、先ほどちよつと申し上げましたが、届出をいたしておりますのが大体一万二千くらいだと思います。そのうち法人組織と個人組織が大体半々とお考え願いたい。それから、その法人組織のうちに、いわゆる株式会社組織のものがあつて、その株式会社組織のうちに株主相互金融というものがあるわけです。株主相互金融としては、大体われわれ調べておるところでは三百五十社くらいであろう。それで、資金量は大体、それらのものを曽て、すなわち貸金業者――もちろんその中には株主相互金融も入りますが、大体三百億から四百億程度ではないかと考えております。少し多く見ておる人は五百億程度あるのではないかと言つておりますが、やはり大体その程度ではないか。そのうちで株主相互金融として集めておりますものが大体二百億から二百五十億程度ではないか。それからそのほかの系統としての、お話のありました類似利殖機関でありますが、匿名組合方式あるいは株主相互方式でやつております投資利殖機関であります。これは数は大体五十くらいではないか。それで、この資金量がやはり二百億近くになつておりやせぬかと思います。そのほかに、こういつたまぎらわしい業態のもの、たとえば割賦販売、つまり物品を割賦販売するという形をもつて実は預金を受入れておるといつたような形態のものがありますが、それはだんだんすたつて参つておるようであります。これは取締りを厳重に行いました結果、だんだんすたつて参つております。それで、その大体利殖機関のうちで休業いたして参りましたものは、ちよつと私、先ほど来申し上げましたようなことで、はつきりした材料を調査するルートがございませんので、地方局等でできるだけの範囲で調査いたしましたごろでは、相当多数のものが休業状態で、中には、まだ休業というところまで来てないけれども、実際は窓口に相当押しかけられて、断るのに非常に弱つておるというような状態で、大部分のものがそういう状態になつておるように聞いております。それから、株主相互金融は全国にございますので、私どもはつきりした数字はわかりませんが、このうちでも、大体東京等におきましても相当大きなものが休業の状態に入つておる、かように考えております。
#84
○塚原委員長 河野証人に申し上げますが、今長谷川委員から申された資料要求がございましたけれども、これを早急につくつていただきまして、次の委員会にまた河野君に御足労をお願いしますから、それまでにお届け願いたいと思います。
#85
○長谷川(峻)委員 今御答弁がありましたが、その資料の中に、われわれが国会で心配しておるのは非常に大勢の人間が被害者になつておるということなんですから、大体人間の数なんかもわかれば入れていただきたいと思います。
#86
○河野証人 これは正規の金融機関でないので、私どもがとつたものでは正確なことはわかつておりません。それから、加入者に至りましては、なおさらその数字は常識的な推定しかできませんので、正確を期するわけに参りませんから、その点をお含み願いたいと思います。
#87
○田渕委員 その資料を出されるときにお願いしたいのは、各財務局別にとつていただけませんか。たとえば、私が東海財務局を調べましたが、仏教保全経済会の関係で冨山、石川、福井の金が多い。どういうわけかというと、仏教保全経済会の大谷君が袈裟をやつたので、みな金が入つたというのです。これから見ると、出資者が幾ら、各支店が幾つということは各財務局が調べておるようですから、出していただきたい。
 それから、今おつしやつたように、三百億、五百億というような多くの金ですが、同時に、これと反比例して、私は非常にふしぎなことがある。大東亜戦争であらゆるものが破壊され、あらゆる日本の国土が焼土に化し、そうして無血革命の結果こうなつたのだが、一つも損害をこうむらないで、依然としてやつておる銀行というものがある。これは実にふしぎです。あらゆるものが倒れておるのに、銀行だけが倒れない。そうして銀座通りでもどこでも、優秀な土地を買い入れて、そこにどんどん大きなビルデイングができておる。こういうことで、大衆がしいたげられて行く一方、こういうようにやつておる。こういうところに私は非常に解せないところがあるので、こういう資料と一緒に、たとえば大きな銀行が持つておる本店、支店のビルデイングの所在数、あるいは不動産というものがあるだろうから、これを出していただきたい。これをあなた方はどういうように考えておられるか。軍閥はああいうようにやられ、財界もああいうようにやられておる。銀行だけはやられていない。ここらは私たちは非常にふしぎに思う。これの参考になると思うので、できればそれをお出し願いたい。これはあなたの方で統計ができておると思う。――たとえば三菱銀行はどれだけの不動産を持つておるか。非常に低金利で行かなければならぬのに、日歩三十銭まで認める、貸金業は年十割の利息を認める、こういうことでは、日本の金融というものは、生産部門には行かないで消費部門にばかり行く。生産を復興さすにはどうしても双行が安く貸さなければならぬのに、上方に預金を安く預かりながら、高利に貸しておる。そうして高い金融がやつて行けるという矛盾があるので、こういうことが起きたのだと思う。だから、それをお出し願いたい。
#88
○塚原委員長 河野君に申し上げますが、今長谷川、田渕両委員から要求されました資料をこの次までに届けていただきたいと思います。
 この際お諮りいたします。河野証人に対する質問も大分残されておりますし、また本会議の関係もありますので、河野証人は次回の委員会に再び出頭を求めるようにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#89
○塚原委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。なお、予定の証人喚問は順次繰下げることといたしますので、御了承いただきます。
 次会は来る十六日午前十時より開会いたします。
 本日はこの程度で散会いたします。
    午後一時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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