くにさくロゴ
1953/03/23 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 行政監察特別委員会 第13号
姉妹サイト
 
1953/03/23 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 行政監察特別委員会 第13号

#1
第019回国会 行政監察特別委員会 第13号
昭和二十九年三月二十三日(火曜日)
    午前十一時二十六分開議
 出席委員
   委員長 塚原 俊郎君
   理事 高木 松吉君 理事 田渕 光一君
   理事 中野 四郎君 理事 山田 長司君
   理事 小林  進君
      天野 公義君    鍛冶 良作君
      鈴木 仙八君    瀬戸山三男君
      山中 貞則君    園田  直君
      橋本 清吉君    久保田鶴松君
      古屋 貞雄君    佐竹 新市君
      矢尾喜三郎君
 委員外の出席者
        証     人
        (不二林業株式
        会社社長)   小柳 善治君
        証     人
        (三宅証券商事
        株式会社社長) 三宅 年廣君
    ―――――――――――――
三月二十三日
 委員山本幸一君辞任につき、その補欠として山
 中日露史君が議長の指々で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 保全経済会等特殊利殖機関に関する件
    ―――――――――――――
#2
○塚原委員長 ただいまより会議を開きます。
 この際御報告申し上げます。本日尋問を予定しておりました法務省刑事局長井本臺吉君は、二十三日、二十五日ともに法務省試験のため出頭できない旨の連絡が委員長までありましたので、本日は不二林業株式会社社長小柳善治君及び三宅証券商事株式会社社長三宅年廣君の出頭を求めるよう手続をいたしておいたのであります。以上御了承を願います
 前会に引続き保全経済会等特殊利殖機関に関する件につきまして調査を進めます。ただちに証人より証言を求めることにいたします。
 ただいまお見えになつておられる方は小柳善治さんですね。
#3
○小柳証人 ええ。
#4
○塚原委員長 これより保全経済会等特殊利殖機関に関する件について証言を求めたいと存じますが、この際証人に申し上げます。保全経済会は全国に二百箇所以上の店舗を有し、出資総額約四十五億円、加入者は約十五万に達する特異な利殖機関でありまして、従来のその業務の運営についてはとかくの風評があつたのでありますが、昨年十月二十四日突如として全国一斉に臨時休業に入つたのであります。この休業に立ち至つた事情については世上関多の疑惑と関心を有する向きもあり、また一方これら類似の特殊利殖機関の累増を見た今日、これら特殊利殖機関の業務運営の実態を明らかにし、かつこれら特殊利殖機関に対する関係官庁の監督の当否について調査を進めることは国の行政が適正にしてかつ能率的に行われているかどうかを監察しもつて立法その他国政の審議に資するため行政の運営上障害となつている各般の事情を総合的に調査しかつその責任を調査する本委員会の使命にかんがみ、きわめて有意義なりと考え、本委員会は本件の調査をいたすことになつた次第であります。証人におかれては率直なる証言をお願いいたします。
 それでは、ただいまより保全経済会等特殊利殖機関に関する件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのでさるのは、証言が、証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事故に関するとき、及び医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと用います。
 では、法律の定めるところによりまして、証人に宣誓を求めます。御起立を願います。
 宣誓書の御朗読を願います。
    〔証人小柳善治君朗読〕
   宣誓書
 良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えない事を誓います。
#5
○塚原委員長 それでは宣誓書に署名捺印してください。
    〔証人宣誓書に署名捺印〕
#6
○塚原委員長 これより証言を求めることになりますが、証言は証言を求められた範囲を越えないこと。また御発言の際には、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。まず委員長から概括的に証言を求め次いで各委員から、証言を求めることになりますから、御了承ください。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。
 小柳君の経歴について簡単にお述べ願います。
#7
○小柳証人 私は明治三十九年八月十六日生れでございます。学校は郷里の佐賀県の商業学校を出て、慶応義塾を中途退学しました。それから、家庭の人がすべて死にましたものですから、一時家庭におりまして、それから長崎県の北松浦郡の静鉱業株式会社に勤務いたしました。それから中華民国の山東起業株式会社の経理部長に最初就任しまして、それから営業部長になり、それから済南支店の駐在重役兼支配人をいたしまして、昭和十九年十二月に帰国いたしました。帰国いたしましてから、一時九州帝大の図書館嘱託として勤務いたしまして、二十一年の三月退職しまして、それから九州商事株式会社の相談役をいたしました。二十五年の二月に子供の学校関係その他で東京に上京いたしまして、そのとき一時ロマン製菓株式会社総元売りさばきをやつておりました。しかし、いろいろ資金とかあれこれで採算がとれないものでありますから、それをやめまして、二十五年の九月の十一日と記憶しておりますが、保全経済会に勤務いたしました。それで、最初横浜の支店長、それから昭和二十六年の八月に関東総支店長として勤務いたしまして、昭和二十七年四月か五月かと思いますが、一応退職願を出しましたけれども、一時保留になりまして、そのまま勤めて、二十七年の八月に本店の地方部次長に就任いたしました。就任後ほとんど勤務いたしませず、やつと十二月に許可がおりてやめました。それから二十八年の三月不二林業株式会社を興しまして、その社長として就任し、現在に至つております。
#8
○塚原委員長 大分いろいろのことをなされているようですが、どういう関係で保全経済会にお入りになつたのでしようか。
#9
○小柳証人 保全経済会の関係は、新聞広告によつて入社いたしました。
#10
○塚原委員長 新聞広告で入社されたと言いますが、入社してすぐ支店長というような大事な……。
#11
○小柳証人 三箇月は見習いです。それで、二十六年の一月何日かに支店長代理という辞令をもらいまして、三月ごろ支店長の辞令をもらいました。
#12
○塚原委員長 新聞広告とおつしやいましたが、どなたかの御紹介か何かあつたのじやないですか。
#13
○小柳証人 紹介はありません。
#14
○塚原委員長 新聞広告だけでお入りになつたのですか。
#15
○小柳証人 そうです。
#16
○塚原委員長 二十七年に退職しようと思つて、そのお願いを出したということを先ほど言われましたが、それは何か事情があつたのですか。
#17
○小柳証人 これは、私が関東総支店長当時に、当時の経理部長望月京一君と、支店のあり方と本店のあり方について意見の衝突をしまして、それが動機となつております。
#18
○塚原委員長 それ以外にはございませんか。
#19
○小柳証人 ございません。
#20
○塚原委員長 不二林業の社長になられたのは二十八年の二月ですか。
#21
○小柳証人 三月です。
#22
○塚原委員長 保全をおやめになつたのは二十七年の十二月ですね。
#23
○小柳証人 十二月にやめましたが、九月からほとんど出ておりません。
#24
○塚原委員長 それはどういうわけで出ていないのですか。
#25
○小柳証人 関東総支店から本店に転動になつたときに、やめさせてくれということを申し上げましたけれども、まるしばらく、まあしばらくということで、もう今度はやめさせてくれということで、ほとんど出ていません。
#26
○塚原委員長 不二林業株式会社というのはどういう会社ですか。その設立に至るまでの経過等について、なるべく詳しく述べていただきたいと思います。
#27
○小柳証人 不二林業株式会社を設立しましたのは三月でございますが、二十八年の一月の半ばだつたと思います。当時の保全経済会理事長伊藤さんのところに年始のあいさつに行きました。ところが、去年山を買つたから今度これを開発せなければいかぬ、しとつ小柳君やつてくれぬかという相談がありました。それで、私もそのときは山林事業はやつたことはございませんし、経験がないものですから、一応山を見せてくれ、調査の上御返事するという約束をしまして、二十八年の二月の一日からだと思いますが、山を調査に、私の方の重役になつております外山という者が材木に関係ある仕事をしておりまして割合詳しいものですから、一緒に調査に行きました。約一週間調査して帰りまして、その後いろいろ専門家の意見を聞き、これならやれるという自信がついたものでありますから、伊藤理事長に、じやあやらしてください、但し全然別個の会社をつくりたい、それには金がないから投資をしてくれという約束で、承諾を得まして、三月の十六日だつたと思いますが、一千万円投資していただきまして、会社を設立いたしました。
#28
○塚原委員長 投資額は幾らですか。
#29
○小柳証人 一千万です。
#30
○塚原委員長 その後山林経営の保証金として一千万円を保全経済会に、支払つた事実はございますか。
#31
○小柳証人 これは三月二十五日だつたと思います。最初の保証金――共同経営といいますか、経営の契約について、運営するのに、そのときあれしたのは、どうしても運転資金として五百五十万ばかりの数字が出たのです。それで、保証金云々があつたものですから、保証金は四百五十万にしてくれぬかという設立当時は話をしておつたのです。そのときになつてから、どうしても一千万円出してくれ一。それじや非常に運転資金に困るからという話をしましたのでけすれども、一千万円という話から一歩も譲られないものですから、契約上一千万円三月二十五日に保証金として支払つております。
#32
○塚原委員長 保全経済会の帳簿を見ますと、不二林業仮払いとして七百三十万円計上されております。また小柳君仮払いとして二千万円が計上されております。これは御存じですね。
#33
○小柳証人 それは存じません。
#34
○塚原委員長 経済会の帳簿に載つているのですよ。
#35
○小柳証人 全然知りません。
#36
○塚原委員長 おかしいですね。
#37
○小柳証人 それはこつちがおかしいです。
#38
○塚原委員長 どうしてそういうのが帳簿に載つておるとあなたはお考えになりますか。
#39
○小柳証人 ぼくは全然知らないことで……。
#40
○塚原委員長 全然存じませんか。
#41
○小柳証人 全然知りません。
#42
○塚原委員長 あなた先ほど宣誓しておるのですからね。うそをつかては困るのですよ。
#43
○小柳証人 けつこうです。
#44
○塚原委員長 全然知らないのですか。
#45
○小柳証人 全然知りません。
#46
○塚原委員長 川上才助という人を知つていますか。
#47
○小柳証人 知つています。
#48
○塚原委員長 この方は何をやつているのですか。
#49
○小柳証人 これは貿易会社をやつております。
#50
○塚原委員長 何という会社ですか。
#51
○小柳証人 南邦通商株式会社です。
#52
○塚原委員長 その南邦通商の事業資金としてあなたが何か融通なさつたことがあるのではありませんか。
#53
○小柳証人 私は融通しておりません。川上君とのつながりは二十七年の六月ごろだつたと思います。私の義兄に当る京都で医者をしている太田典禮というのがおりますが、これの紹介で川上君とつき合いをするようになりました。その後よく遊びに参りましたのですが、綿糸の買付、それから高瀬貝の採集云々の仕事をするから、伊藤さんに紹介してくれ、投資をあつせんしてくれという話がありました。それで、私一応理事長にその旨を話したら、一ぺん会つてみようじやないかということで、川上君と伊藤さんと会つたのです。そうしてその二千万投資することを伊藤さんは承諾をしたらしいのです。その金の授受は、私が、九月十六日に一千万円、九月十五日に一千万円、伊藤さんのお使いで南邦通商の口座に振り込んでおります。
#54
○塚原委員長 それはあなたがおやりになつたのでしよう。
#55
○小柳証人 金のお使いは私がやりました。
#56
○塚原委員長 そのときあなたはあつせん料としてもらつた三百万円を三億昼夜金融というところに出資したということがいわれておりますが、そういう事実はございませんか。
#57
○小柳証人 それは、お調べになつたらわかりますが、全然ございません。
#58
○塚原委員長 不二林業株式会社は今後どういうふうに運営されるつもりですか。
#59
○小柳証人 今やつておりますのは、架線をかけております。架線がないと労務者が入りません。深い山なんです。それで、今通知を受けているのは、あした架線の試運転をやるということであります。大体今後は木炭で不二林業はたつて行くつもりでおります。
#60
○塚原委員長 委員の中で御質問がありましたら……。古屋君。
#61
○古屋(貞)委員 証人にお尋ねいたしますが、さつき、委員長からのお問いに対して、伊藤さんから一千万円の投資をしていただいたというのは、これは証人に対する貸付金ですか。それとも新しく生れました不二林業株式会社の資本金として会社に貸したのですか。この点はどういうことになつておりますか。
#62
○小柳証人 これは、最初私に貸したと思います。
#63
○古屋(貞)委員 そうしますと証人の方から借りたとすれば、それに対する返済の時期、それから利息、あるいはこれに対する後日の証拠に対する借用証とか、こういうようなものの手続はいたしているのかどうか。
#64
○塚原委員長 小柳君に申しますが、発言するときは委員長と言つて許可を得てください。
#65
○小柳証人 その手続は何らしておりません。
#66
○古屋(貞)委員 条件はどうですか。利息とか……。
#67
○小柳証人 そういう条件も全然ございません。ただ、契約上は、実収入の八割保全にやるというだけの金銭上の契約はしております。
#68
○古屋(貞)委員 そうすると、この契約書は不二林業と伊藤斗福との間に契約ができておりまするが、その契約の内容は契約書か何かによつて明確になつておるのでございましようか。
#69
○小柳証人 それは、初め三月に契約をするときは普通の私文書で契約しました。しかし、保全が休業いたしましたものですから、これを、その私文書そのままを公正証書契約に直したわけであります。
#70
○古屋(貞)委員 ここに契約書の写しがあるのでございますが、ちよつとごらんください。
    〔書類を証人に示す〕
 昭和二十八年三月二十五月、甲が伊藤斗福、乙が不二林業株式会社代表取締役小柳善治、この間の契約書がありますが、その内容によりますと、保証金を一千万円証人の方から、つまり不二林業株式会社から伊藤斗福に入れることになつておる。かようなことになつておるのですが……。
#71
○小柳証人 その一千万円は、その契約書通りに三月二十五日に支払い済みでございます。
#72
○古屋(貞)委員 それから、第二条によりますと契約期間が十五年と書いてあります。それから、三条に行つて、伐採その他によつてということで収入された金額は、ただいま証人のおつしやつたように、実際経費を差引き、その残額に対し、不二林業たる乙が二割をとつて、あとの残額を甲に支払うということになつておりますが、この契約は山林の立木を伐採して売つてしまうということをあなたの方に委託されておるのか、それともこの内容はどういうことになるのでしようか。これを拝見しますと、伐採して処分権をあなたにあげたのか、それとも伐採をするだけを委託したのか、この点が法律的に明確になつていないのです。それで、私が承りたいのは、少くとも契約の中には、幾ら幾らで山の立木を売るとか、あるいは山の立木を全部あなたの方で伐採して売つてしまう権限をあなたに与えたのか、この点の事情を明確にしていただきたい。
#73
○小柳証人 そのことについては、山の運営、伐採、販売、しいたけの栽培、販売、木炭の製造、それから植林その他、全部私の方でやるようになつております。そして、つけ加えますが、その精算は決算期に精算するということになつております。
#74
○古屋(貞)委員 そうして、契約期間が十五年間とございますので、この点は、立木に関する関係と、その他の山の経営の関係とは別になつておるように思うのですが、山の経営並びに伐採、販売、一切ということになるのでしようか。その十五年がたちましてから、たとえばその山に対する立木が減損する場合、あるいは植林をする場合、あるいはしいたけの栽培をしたような設備の問題とか、こういう問題は、十五年たちますまでは不二林業が経営されますが、それから後はその一切を現状のまま引渡すということになておるのですか。非常に簡単な契約なんですね。この点はどうなんですか。
#75
○小柳証人 十五箇年たてば私はそのまま保全にお返しするつもりでおりました。
#76
○古屋(貞)委員 それで、今日まで実際上行われた保全との取引関係あるいは証人の会社においてなされた事業の実態を具体的に御説明願いたいと思うのです。
#77
○小柳証人 去年の四月から仕事を始めまして、運営その他については資金面で非常に私も苦労いたしました。ほとんど私の借金で運営して参りましたが、まず最初林道を一里三、四合つくりました。それから山小屋を建設し、それから山林の手入れをやるという程度しかできなかつたのです。それで、たまたま昨年の九月の二十五日の十三号台風直前に、私ども通称三号植林地と言いますが、これの伐採にかかりました。そして十三号の台風で今までの設備に対して非常な損害をこうむつた。その復旧工事その他をやり、その後は、あの山で第一に資産になるのは木炭製造以外にはないのですから、その設備に専念して参りました。
#78
○古屋(貞)委員 そこで、今の証言によりますと、借金で苦労して融通資金に苦しめられたと言いますが、伊藤さんから証人に向つて、あの山の経営をしたらどうかというお勧めがあり、最初に一千万円の金を出していただいた。しかも、伊藤さんはあなたのお世話で川上さんの会社に対して二千万円も金を貸しておるという状況でございますから、あなたとは川上さんより以上にさらに親密な関係にある。このような伊藤さんの立場からしますと、あなたの方に相当資金を出していただく状況にならなければならぬ筋合いだと思いますが、その点はどういうわけであなたが資金繰りに苦しまなければならない状態に置かれたのか、これをひとつ伺いたい。
#79
○小柳証人 これは、実はそのときに、南邦通商の川上君の方からその運転資金を出してくれということで、伊藤さんと川上君とぼくと三人寄つて話し合つたことがございます。それで、そのことを川上君から承知しましたという返事をもらつたものですから、私も一安心しましたけれども、川上君の方では一銭も私の方にくれないのであります。それで非常に困つたわけです。
#80
○古屋(貞)委員 あなたは保全経済会の職員であつたし、特に伊藤さんからこの山に対する事業を勧められたので、川上さんを中に入れるよりも、あなた直接伊藤さんから融通資金は当然に出していただけるはずなんだが、その点は交渉されたような事実がないのか、それも交渉をして断わられたのか。私どもの考え方では、むしろ川上さんを通じて伊藤に話すよりも、あなたが伊藤に直接話して資金を出していただく筋合いだと思う。あなたからも伊藤に強く言える立場だと思いますが、その辺の事情はどうなんでしようか。
#81
○小柳証人 それは、私、川上君を通じて資金のことを伊藤さんに言つたのではないのです。伊藤さんの方から、川上君の方に投資した金からとつてくれということで、三人話合いいたしまして、川上君の方が、私の方が引受けましたと申しましたものですから、南邦通商からその資金をとるべく私も努力しましたが、一銭もとれなかつたということなんです。
#82
○古屋(貞)委員 今の証言によりますると、川上さんが非常に不信なことをやられた、こういうことなんですね。
#83
○小柳証人 さようでございます。
#84
○古屋(貞)委員 それから、なお進んでお尋ねしたいのは、この三重県の山を御調査なされたのですが、会社の資産表によりますと七億一千百四十八万三千円というような見積り価格になつておりますが、この山はあなたがごらんになつたときにどのくらいの価値があつたか。たとえば、立木がどのくらいあるとか、面積がどのくらいあるとか、あなたとしてはこの山を対象として会社を設立されておるのでありますから、大体どのくらいの価値があるか、どういう方法によつて経営するならば利潤が得られるというような、大要だけをお示し願いたいと思う。
#85
○小柳証人 この山の総面積は約千三百町以ほどあると思います。そうして、そのうちに針葉樹――針葉樹と申しますと、杉、ひのきなんですが、これが現在約七千石、もうちよつとあるかわかりませんが、約七千石程度と思つております。これは深い山でございますから、伐採、運搬その他差引きまして、ネツトにしまして平均千五百円とみて、それだけで一千万円の価値があると思います。それから、その他は濶葉樹、これはほとんど薪炭林なんです。これが約五十万俵は生産できると思います。現在の価格にしまして、山元の平均が三百五十円しております。これは農協価格でございますが、三百五十円しております。これを一応、あのあたりのしきたりとしまして、賃焼きと言いまして、炭焼きと五分々々にわけます。それから、私の方の負担として、俵、なわ、わく木代等が一俵約三十円ほどかかります。それから、かま場から土場までの運搬費が一俵につき約十円、それから事務所その他の経費が一俵につき約五十円から五十五円という計算になる。そうすると、一俵ネツト八十円くらいになると思うのです。これが約五十万俵として四千万円。それから、そのほかに原始林がございますけれども、ほとんど闊葉樹のぶなが多うございまして、これは約五万石の見当でおります。そのうち一割ないし二割がかつら、けやきがあるものと思われます。しかし、これを伐採するには設備費が約一千万円から一千三百万円かかります。そうして伐採費用を出しまして搬出しますと、このぶなの現在の価格から見ますとゼロになると思うのです。採算がとれないのです。しかし、その枝その他を木炭に製造しまずければ、これが約三十万俵とれはせぬかと思つております。これを、先ほどの計算から行きまして、先ほどのは八十円ですけれども、これは約六十円にみますと、それだけが設備費が残るくらいのものじやなかろうか。だから、現在私が仕事をして、現在の価格としては五千万円と申すべきが至当でないかと思つております。
#86
○古屋(貞)委員 五千万円の価値がある、それを十五年間に計画してお仕事をやられておるということになるのでしようが、この契約書を見ると、そんな非常に大きな財産であつて、しかも後日非常に疑義を生ずるような関係になると思うのですが、そうすると、この第三条の条文は、結局、一切の費用を差引いて、そうして残つた利益のうちの二割を証人の会社がとつて、あとの八割は伊藤斗福さんに引渡す、こういう結論になるのでしようか。
#87
○小柳証人 さようでございます。
#88
○古屋(貞)委員 それが資金のないために今日まで実施ができない状態に置かれたということになるのでしようか。
#89
○小柳証人 その後資金繰りをくめんしまして、先刻も話をいたしましたように木炭運搬その他のケーブルの設備が二十四日に試運転をするという報告が来ております。そうすると、労務者もすでに十名の申込み者もありますし、そこまで設備をしなければ労務者が入らないような深い山であります。やつと設備を終りまして、これから約一箇月かかりまして、かまその他の設備をしまして、五月からは採算が立つて行くと思います。
#90
○古屋(貞)委員 そうしますと、結論は、証人が証言されたように、伊藤斗福さんから一千万円をあなたが借りておるというこの事実は明らかです。それから、なお、あなたの方からその金を保証金に一千万円伊藤さんに差上げておる。そうすると、あなたに対する保全経済会の帳簿には一千万円の貸出しが記入せられ、あなたの方から保証金として一千万円受入れたということが帳簿に記載せられておることが正しいことであつて、その他の、先刻委員長からお尋ねになつたような、あなたに対する二千万円の仮払い金とか、あるいは不二林業に対する七百三十万円計上されておるというような記載は、これはうその記載であるということになるわけなんでしようか。
#91
○小柳証人 私は全然存ぜぬことでございますから、その記載はうそであると思います。
#92
○塚原委員長 田渕光一君。
#93
○田渕委員 証人は益豊商事株式会社、三億昼夜金融株式会社の監査役であるというお話でございますが、さようでございますか。
#94
○小柳証人 現在監査役をやつております。
#95
○田渕委員 益豊商事株式会社は、社長が川上才助さんであつて、保全経済会の印刷等を請負う商事会社であり、三億昼夜金融株式会社は、米人のサムエル・グランドの出資にによる金融会社であるということであるが、川上才助さんを通じて保全経済会の金が動いていると、先般出ました沖崎証人からもちらとそういうことを聞いておりますし一そういうことがわれわれの調査に上つて来ているのですが、これらの関係をひとつ詳しく伺いたい。
#96
○小柳証人 その内容は私はよく存じませんが、益豊商事は、これは二十八年の二月ですか設立をせられたと思うのですが、そのとき川上君から監査役を引受けてくれぬかということだつたものですから、名前だけならいいだろうということで引受けたことでございまして、まだ一度も監査をやつていません。それで、南邦通商に二千万円保全経済会が確かに投資したということは存じていますが、その川上君の資金繰りについては私はよく存じません。
 それから、三億は、川上君が社長をやめまして、去年の七月か八月と思いますが、そのときに佐藤というのが社長をやつておりますが、そのとき監査役に私が就任いたしました。
#97
○田渕委員 保全経済会の望月君とつまり意見が合わなかつたということは、先ほどいわゆる本店と支店との経営上の問題で意見が合わなかつたと伺つたようでありますが、このむしろ望月君などと反対であつた井上俊吾君が不二林業の監査役をしておりますが、これはどういう関係で入られましたか。
#98
○小柳証人 これは、私が保全から投資を受けるときに、監査役だけは保全から入れるから承知してくれと伊藤さんから相談があつた。ぼくはそのとき引受けました。そして、そのとき井上君を監査役にしてくれということで、私は監査役として井上君を入れたわけです。事情はそうです。
#99
○田渕委員 当時井上君が理事長室長であつたと私は思うのですが、あるいはまたほかの役名でおつたか知りませんが、保全経済会から三月十六日に一千万円を受けて不二林業株式会社というものをつくつて、そこで井上君を目付と申しましようか監査役にして入れて来た伊藤君はしつかりしておると思うのですが、そしてその一千万円の現金を見せて、これで会社を設立した、こういうぐあいに不二林業をつくられたのでありますかどうですか。
#100
○小柳証人 それは全然違いまして、一応私自身に会社設立のために投資し、いただきました。そして一千万円は保証金として入れております。
#101
○田渕委員 あなたは去年正月に行かれて、山を買つた、君ひとつ開発してくれという話があつたので、それでは私は会社をつくろうというわけで会社をつくつたのですから、三月十六日に一千万円の投資を受けたと先ほど御証言なさいましたが、この金をもつて不二林業を設立したのではありませんか。
#102
○小柳証人 投資を受けた金で私は会社を設立いたしました。
#103
○田渕委員 そうすると、つまり全額払込みというような見せ金という結果になつてしまつて、会社はできた、そうしてわずか八日か九日後の三月二十五日にその一千万円をあなたが保証金として保全へ返したということになるのでありますか、どうですか。
#104
○小柳証人 それは非常にデリケートな問題で、見解の相違じやないかと思います。私は前述の通りのつもりでやつております。私個人に一千万円投資を受け、そして会社をつくり、会社そのものが、会社と保全と契約したときに保証金として入れた、ぼくはそんな見解でおります。
#105
○田渕委員 あなたは正月に行かれたときに、自分はそういう山へ行つたつて金がないのだから、投資をしてくれなければできないというように、あなたは当時資金がなかつたことを先ほど証言されましたね。そして伊藤君が出した金でまず不二林業会社をつくつた。その目付として――私はそう解釈するが、井上君を監査役に入れた。そうして、八日くらい後に、あなたはよてから金を借りて来て、一千万円というものを保全に保証金として入れたのですか。伊藤君から借りた金で会社をつくつた――あなたがデリケートなと養うのはそこなんだろうと思うが、一心あなたが個人として出資を受けて、それで会社をつくつた、そうしてその一千円の金を伊藤君に保証金として入れなければならなかつたわけでありますね。それを念を押しているのです。
#106
○小柳証人 これは、九百五十万を不二林業の資本金から入れまして、別途に五十万を私の手元から出して、一千万となつております。
#107
○田渕委員 結局、あなたが受けた金であるけれども、会社をつくつたその会社の資金です。その会社のいわゆる総資金の九五%というものを伊藤君に保証金として入れたと今おつしやいましたね。それでは、あなたは五十万というものでは会社は運営できないのであるから、さらに運転資金がいるでしよう。この運転資金に対する見通しはどういうようにつけたのですか。
#108
○小柳証人 先刻も御質問にお答えいたしましたように、運転資金で非常に困る、それで、別途に南邦通商に二千万円投資してあるので、それが六月に保全と仕切りをすることになつておつたので、南邦通商からその資金をとつてくれぬか、それで融通しようという話になつて、川上社長に来ていただきまして、三人で話しまして、そうして川上君もそれを引受けたのです。それで、ぼくも安心してやつたところが、川上君から一銭も入つて参りません。それで、私も苦労しまして、親戚友達から借金しまして、個人の貸金として私が不二林業に貸しておるわけであります。
#109
○田渕委員 あなたは川上才助君と御懇意であつた。そうして、あなたが関東総支店長になられた時代に、川上君に、たとえば二千万円なりを南邦商事に出すというのをあなたはお口ききになつたのですか。
#110
○小柳証人 川上君というのは、私の義兄に太田典禮という医者がおりますが、これの紹介で六月に初めて知りました。それからいろいろ一緒におつき合いを願つた。それが、八月ごろだつたと思いますが、綿糸の買付と高瀬貝の採集だつたと思いますが、伊藤さんにいい仕事だから投資してもらえないだろうか、口をきいてくれないかという話があつて、ぼくは紹介しました。それで、仕事の面については伊藤さんと川上君とが話をしておるはずです。それでオーケーになつて、金の授受のときには私が扱つて一千万円ずつ二回南邦の口座に振り込んだ。それだけのものです。
#111
○田渕委員 二千万円を一千万円ずつ二度も持つて行かれたときに、あなたに三百万円のあつせん料が出ておるということをわれわれは情報によつて知つておりますが、結局、あなたはまず紹介して知らせ、そうしてあなたが届けたのだから、まああなたの紹介によつて知つたのだし、そのくらいのことは私たちは当然だと思いますが、そういう事実はどうですか。
#112
○小柳証人 その点はございません。それ以上に私個人の金も川上自身借りておりまして、まだ返済になつておりません。
#113
○田渕委員 南邦通商KKには参議院議員の西郷君が関係しておられるのでありますが、これはあなた知つておられますか。
#114
○小柳証人 私はそれは知りません。
#115
○田渕委員 川上君の方に二千万円からの金を届けたのですから、その当時多少政治的な関係がなければ、あなたの純介だけで伊藤君が二千万円もの金を南邦の高瀬貝の買付とか綿糸の買付というようなことで出すまいと思いますが、その間に西郷君がおどつておるでしよう。これはただ真相を知るために言うだけでありまして、別にここであなたをどうこうするというわけではないのですから、知つておられれば知つておられることをおつしやつてください。
#116
○小柳証人 私はそのことについては全然知りません。
#117
○田渕委員 西郷君には一回も会つておられませんか。
#118
○小柳証人 西郷さんには、参議院選挙の前ですか、南邦通商の会長をしておつた飯淵という人が私のうちに西郷さんを連れて来ました。そのとき一回会いました。その後鹿児島から応援頼むという電報を受けましたが、私は全然それにはタツチしておりません。
#119
○田渕委員 そうすると、川上君を伊藤君に紹介する前に、西郷君の選挙当時に西郷君があなたの家をたずねた。西郷君は鹿児島県の人、あなたは佐賀県の人ですが、どういう関係で飯淵さんの紹介で西郷君があなたのところをたずねたのですか。
#120
○小柳証人 私は西郷さんは全然知りません。ただ、飯淵さんと西郷さんとはは東北大時分の後輩先輩だつたそうです。そう言つて私の方に連れて来られました。
#121
○田渕委員 飯淵さんがあなたのところに連れで行かれたというのは、あなたが保全経済会の関東総支配人をしておるときですか。
#122
○小柳証人 これはまだ私が不二林業を設立しない去年の二月だつたと思います(保全をやめてからのことなんです。
#123
○田渕委員 あなたが本店の地方部次長というのをよされたのが二十七年の八月と伺つておる。おととしですね。
#124
○小柳証人 そうです。
#125
○田渕委員 それから不二林業をつくられたのが去年の三月の今ごろ、そうすると、西郷君がたずねたのはいつごろですか。
#126
○小柳証人 去年の二月です。
#127
○田渕委員 去年の二月が参議院選挙でありましたか。
#128
○小柳証人 そうじやないでしようか。(「四月だ」と呼ぶ者あり)選挙前なんですよ。
#129
○田渕委員 それで、あなたは保全経済 をよされたのだが、一応どいてはいるけれども、何らかの接触をつけて、いずれ行く行くは保全経済会を利用して第三会社のようなものをつくる意思でどかれたのですか。全然そうじやなく、望月君とあなたとの意見が合わなかつたからどいたものの――望月君やその他、つまりわれわれ両方とも聞いております。整理派とか再建派とか聞いておりますが、望月一派とあなたがわかれたけれども、井上俊吾や中村五郎などの関係において、あなたは保全経済会をどくけれども、いずれ何かあればもどるということがあつて、そこを西郷君が見込んで、四月に選挙があるので、保全経済会から金を出させるという意味においてあなたに一応会つておく必要があるから、飯淵君の紹介において二月ごろ行つたのじやないでしようか。
#130
○小柳証人 そういう考えは西郷さんにはなかつたとぼくは思うのです。
#131
○塚原委員長 小柳君に伺いますが、先ほどから言つている飯淵さんとはどういう方ですか。
#132
○小柳証人 飯淵さんは南邦通商の会長をしておつた人です。
#133
○塚原委員長 飯淵どなたですか。
#134
○小柳証人 名前ははつきりしません。
#135
○田渕委員 どうも私には解せない点がある。あなたのうちに西郷君がたずねて行つた。そうしてあなたが二十七年八月よすまでに――二千万円を届けたというのは、あなたがよす前でしよう。
#136
○小柳証人 そうです。
#137
○田渕委員 そこで、西郷君があなたをたずねるということは、どういう理由でたずねたんでしようか。私たちはその点が解せない。そういう点を教えていただきたい。
#138
○小柳証人 来られたのは選挙前のことでございまして、今度立候補するんだ、とにかくよろしく頼む――。飯淵さんを通じてそのとき初めて西郷さんに私の家で会いました。西郷さんというので、子供が喜びまして、夕方私のうちで御飯を出しまして、そうして帰つていただいた。その後立候補するからよろしく頼むという電報をいただきましたが、失礼でしたけれども、私にはできないことだから、何の応援もできなかつた。そのままです。
#139
○田渕委員 私は、ごちそうしたとか応援したとか、そういうことを伺うのではない。飯淵さんの名前も知らないというのでは、あまり懇意ではない。義兄の何とかとおつしやいましたが、そういう方をたずねてあなたのところへ行くとう西郷君の行き方がおかし、い。何で西郷君が行つたのか。西郷君が鹿児島から選挙に立つからよろしく頼むということをどういうわけで言つて来たんだろうというようなことを、おわかりでしたらおつしやつていただきたい。
#140
○小柳証人 それは、先刻も言つたように、何もございません。飯淵君は、名前も知らないからそう懇意ではないというけれども、川上君のところの会社の会長なんです。ときどき面識はありました。それで連れて来たのだろうと思う。あのとき飯淵さんは選挙に非常に力を入れていたから、そういう関係らしいんです。
#141
○田渕委員 飯淵さんと西郷さんは同じ鹿児島県らしいとあなたは思うんですね。知つているわけではないんですね。
#142
○小柳証人 生れば知りませんけれども、東北大学時代の先輩後輩だという話です。
#143
○田渕委員 その南邦通商KKには保全経済会の金を二千万円貸していることは事実でありましよう。その会長をしておつた飯淵君、そうして西郷君はそこの何をしているんですか。南邦通商KKと三億書夜金融KKというのに関係しているというのは、顧問ですか。どういう関係か御存じありませんか。
#144
○小柳証人 私が七月か八月と思いますが三億の監査役に就任したときには、何の名前も載つてなかつた。三億の発足当時はパンフレツトに西郷さんは顧問として載つておつたように記憶しております。
#145
○田渕委員 三億昼夜金融KKの顧問というパンフレツトをごらんになりましたか。
#146
○小柳証人 見ました。
#147
○田渕委員 それはどんなぐあいになつておるか、御存じございませんか。
#148
○小柳証人 今はなつていないと思います。
#149
○田渕委員 私の聞くのは、あなたが粒々として経営して来たのが、町の金融機関としてつぶされているのを御主じないかということです。
#150
○小柳証人 これも保全のあおりで、あまり経営はよろしくない方と思います。私、監査役の関係で、この二月二十五日だつたですか、けがをして、神主総会に出られなかつたから、それ以前に帳簿その他の書類をうちに持つて来て監査しましたが、赤字は出ております。
#151
○田渕委員 南邦通商KKと三億昼夜との両方の監査役になつておるんですか。
#152
○小柳証人 南邦通商とは関係ございません。
#153
○田渕委員 他の委員の御質疑もありましようから、これはこれで留保しておきますが、先ほどの御証言で、三重県飯南郡森村蓮の総面積が約千三百町歩というようなことを、古屋委員の御質問にお答えになりましたが、登記面積、いわゆる登簿面積はどのくらいでありますか。
#154
○小柳証人 百四十七町歩ぐらいになつております。
#155
○田渕委員 あの付近は奈良県と三重県の境界であり、吉野川の一部分も入り、奈良県の榛原の方からも入つて来るところの、薪炭林に使われておる森林の一部である深山ですが、それはあなたは御存じですか。非常に大きな地域で見当もつかない。それを利用して多くの詐欺が行われておる。その一部三重県飯南郡森村の蓮、これを一週間ほど実地調査したと証言されましたが、私も、実地調査はいたしませんけれども、あの付近のことについては相当知識を持つておるのです。その登簿面積百四十七町歩、実際一千三百町歩というのは、村田卓藏君と打合せて確認されたのですかどうですか。
#156
○小柳証人 私の調査後、――飯南では通称千六百町歩とも言つております。技術屋関係に前後三回にわたつて調査してもらいましたが、そのときの面積がほぼ千三百町歩ぐらいという報告を受けております。それだけであります。
#157
○田渕委員 あすこにおる久保次三郎という人もあなたの調査にお立会いになりましたか。
#158
○小柳証人 久保次三郎さんというのは私は存じません。
#159
○田渕委員 この人はあの附近の森林組合長です。少くともここで事業をなさる以上は、道案内とか、何と言いましようか、地元の明るい人の御協力を受けなければならぬと思うのですが、久保さんには一回もお目にかかつておられませんか。
#160
○小柳証人 久保さんには、私一応ごあいさつに森林組合に行きましたが、ちようどお留守でございまして、会えなかつたのであります。
 現場の詳しい人の協力としては、今私の方の職員になつております本地季藏というのがおります。これが前林所有者の三代目からの管理人をやつておつたのです。現在四十幾つになりますが、もう二十何年か管理をやつておる男であります。それに案内させまして調査したわけであります。
#161
○田渕委員 この久保という人は、先ほどおいでになつておられた改進党の橋本清吉さんと大分御懇意らしい。昨年十二月何日でしたか、日は後ほど調べればわかりますが、久保次三郎さんに委員会の調査に対する御協力を煩わす意味でおいでを願いまして、いろいろ伺つたのでありますが、保全経済会が休業宣言をすると同時にあなたが来られて、保全経済会に取上げを食うといかぬから、ただちに切つてしまえというので、杉、ひのき、大体五百万円で売つた、そうして今一生懸命搬出しておる、あとはもう闊葉樹で炭代ぐらいしかない、いいところ五百万円くらいでしようかということを、森林組合長の久保さんから聞いております。今あなたはまだ、杉、ひのきの、いわゆる黒木と申しましようか、これが一千万円、薪炭林が約四千万円、原始林のかつらやぶな、けやきなどで千万円ぐらいの炭は出るというふうに証言せられたのですが、久保次三郎さんというあの付近の森林組合長がここにおるときに大体六百万ぐらいのものだろうということの提案をされておりまして、そして村田卓藏さんには幾ら渡つたか知りませんけれども、ともかくも六百万円で買つた山に、ほかに二千五百万円で三千百万円の金を送金しておる。この金のことはこれからいろいろ申しますが、あなたは伊藤君から買つた後に管理せられたのであるから御存じないでしようけれども、村田さんからそういう事情をお聞きになりませんか。
#162
○小柳証人 村田さんとはお会いしたことはありますけれども、その話は全然聞いておりません。ただ、村田さんの時代から入つていた炭焼きがいたものですから、そのことについてお会いしただけであつて、売買価格その他は何ら聞いておりません。
#163
○田渕委員 村田卓藏さんは、あなたが事業をなされてこれを搬出するとしても伊勢の松阪に出すわけでありましよう。その松阪の公安委員長をしておられる方なんです。だから、事業をなさるとすれば、前山主であり、ことに松阪の相当な地位におられる方でありますから、営業の関係上、その土地に行けば、一応ごあいさつなさるとか、あるいはこうこういうぐあいであなたの山をまた伊藤君からさらに譲り受けてやるのだというようなあいさつがあつてしかるべきだと私は思うのですが、そういう関係の話はございませんでしたか。
#164
○小柳証人 そのあいさつをしまして後に、炭焼きの今まで入つておつた者の関係の話をしました。ごあいさつは一応いたしました。
#165
○田渕委員 そのときに、幾らで買つたとか、どうだとか、あるいはどのくらいかかるとかいうような御相談が出ませんでしたか。
#166
○小柳証人 それはございません。
#167
○田渕委員 あなたの会社の監査役をされておる井上俊吾君がこの山を三千百万円で買つた。ところが、東京国税局が調査した結果、六百万円しか村田卓藏君に入つておらなかつたことがわかつた。二千五百万円をどこにやつたかというと、これは政治献金いたしましたと、東京国税局に、二十七年でしたか一書出しておるのです。この事情を井上君からあなたはお聞きになりませんか。
#168
○小柳証人 聞きません。
#169
○田渕委員 知らぬ存ぜぬ聞かぬでは、われわれとしても真相を聞くことができないで非常に困るのですが、少くとも三千百万円で買つた山が、実際においては村田君に二千万円行つたか百万円行つたか知りませんが、この間仏教保全経済会の会長をしておられる大谷瑩潤君が、当委員会の証言では、あすこの土地を買つてくれという紹介が来たので、これを伊藤君に紹介した、それで伊藤君がこれを買つたのだ、こう言つておるのですが、前後通じて保全経済会から帳簿上出ておる金が七千万円この山に出ておる。あなたは索道をかけるのだというようなお話がありましたが、索道費というものはすでに保全経済会から出ておる。これはあなたは御存じないかもしれません。つまり、保全経済会の金銭出納には最初こういうことになつておる。二十七年十二月二十三日にこの山を買うというので、こちらの銀行から松阪の勧業銀行に二千五百万円送つて、これを井上俊吾君が受取つております。そのときの登記料七万五千円は、この買取り手数料としてあとで払つている。十二月三十日暮れ迫つて六百万円を村田君に内金として渡した。明けて二十八年一月十四日に三千七百四十万円というものが三重県の山林代金としてまた保全経済会から出ておる。このころちようどあなたが伊藤君にあいさつに行かれたときで、山を買つて伊藤君と井上君の間でどうなつたか知らないが、金も送つた、そしてひとつやつてくれという話があつて、あなたが引受けたというふうに今御証言をいただいておつたのでありますが、その後あなたの方は三月十六日に一千万円の金をもらつて登記して、二十五日には金を返しておる。さらに、その月の三十一日に、あなたの言う索道架線、それから林道をつくるというので七百三十万円という金を送つておる。合計して七千五百七十七万五千円という金が保全経済会から出ておるのですが、こういうことについてあなたは何かお聞きになつたことはございませんか。
#170
○小柳証人 金銭のことについては何も聞いておりません。その七百三十万円のことも私全然知らなかつたのです。この前この行政監察委員会の事務局にお呼ばれしまして、そのときに初めて知つたのです。
#171
○田渕委員 全額の詳細な点は会社が別個でありますから御存じないでありましようが、先ほど申しました久保次三郎君が来まして、保全経済会が休業したから、これは出資者がとりに来るといかぬ、仮処分でもあるといかぬから早く引取つてくれということで、どんどん出しておつたということを言うておりますが、そういう状況はございましたか。
#172
○小柳証人 それは久保さんの感違いじやないかと思います。先刻も話しましたように、私が伐採したものは九月に伐採しかかつたのです。そして、十三号台風後、そのまま売つた方がそろばんがよかつたものですから、吉田林業に売りまして、十月十三日に金の取引をしました。四百二十五万で取引をして、そのうちの百六十万を十月二十二日に保全に渡しました。残額は私の方の経費の借金を払いました。その後続けて仕事をしたのは、私の方にから谷というところがあり、そこが二十五日の台風で大分木が倒れますし、砂をかぷりますししたもののですから、そこは手入れかたそぞれ切らなければいかぬということで、それを約八百石切つてあると思います。それだけです。
#173
○田渕委員 二十八年三月二十五日、つまり伊藤君にあなたが一千万円の保証金を入れた日の私文書契約を公正証書契約になさつたというふうに私伺つおりますが、当時の私文書契約をその文字通り公正証書にしたのでありますか、それとも確定日付というようなものではつきり公文的なものにしたのですか、どうですか。
#174
○小柳証人 その私文書通りの契約をいたしました。
#175
○田渕委員 そうすると、保全経済会は今日休業いたしましても、保全経済会とあなたとの契約は生きておりますね。
#176
○小柳証人 さようでございます。
#177
○田渕委員 そうすると、先ほど四百二十五万で売つて、百六十万を保全経済会にお渡しになつたというお話ですが、この私文書の契約面は、保全経済会が八割とつて二割をあなたがとるということになつている。もつとも経費を差引いたから百六十万になつたと思うのでありますが、そこで、これは済んだこととして、久保次三郎君は五、六百万しかないと言う。あなたは会社の見積りでは五千万からあると言う。そうすると、どのくらいの金がかかるか知らぬけれども、今の森林事業は非常に有利なことはあなたが御証言をなさいましたが、その利益が将来八割保全経済会にとられることになりますね。破産になつたにしても何にしても……。これが重大であるから、あなたに念を押して聞いておるのです。
#178
○小柳証人 私の先刻言つた数字は経費を差引いた値段であります。これはこれだけは入れておる金でありまして、それだけあれしようと思つております。あれはもちろん八割差上げます。これを精算するには、これからまた植林もして行かなければならない。そういう経費も経費の中に入るのでございます。
    〔委員長退席、高木委員長代理着席〕
#179
○古屋(貞)委員 関連して。今の証人のお答えが変なので、ちよつと伺つておきたい。私はさつき基本的な契約があるかということを聞いたのですが、われわれの法律的な解釈から行きますと、この契約なら所有権はあなたの方の会社に行つてない。従つて、今回伊藤斗幅さんがこの山の所有権を出資者に渡してしまうと、あなたの方では山林を切つて売るという委託をただ受けているだけだから、所有権が他人に移れば、その所有権者があなたに切らせない。あなたがそれを切れば、窃盗だ犯罪だということになる。何も法律的にあなたの会社はできないはずです。私が先刻、この契約の実体は所有権があなたの会社に移つたのか、つまり不二林業に移つておるのか、それとも立木を切るだけを委託されておつて、そのうちの八割を保全経済会の伊藤さんに返し、あなたは二割の手数料のようなものをもらうのかということを確かめたのはそれなんですが、この契約通りなのかという田渕さんの質問に対して、あなたがこの通りの契約だとおつしやるならば、この山の所有権、立木の所有権を伊藤さんが他人に移転をいたしましたから、今後あなたの会社では経営ができないことになる。伊藤さんとあなたとの間の契約に基いてもしあなたの会社が損害を受けた場合には損害の請求はできるけれども、山を切つたり立木を処分したりすることは今度はできない。こういう法律解釈になるのですが、その点はいかがですか。
#180
○小柳証人 私の見解では、現在の投資者組合は伊藤理事長の権利義務を引継いでおります。当然この契約は引継がれるものだという見解を持つております。
#181
○古屋(貞)委員 これは立木であつて、山でありますから、不動産として土地は他人に所有権の移転がされるわけです。出資者の方に移転登記が行われますと、その土地の上にある立木はその土地と一緒に所有権が新しく出資者の方に移つてしまうのです。でありますから、あなたの方は委託された債権契約、片方は物権契約、こういうふうに法律的にははつきりわかれるわけです。ですから、不二林業はこれを切ることも、あるいは伊藤さんとの契約に基いて処分することもできない。今証人のおつしやつた伊藤さんの権利義務がそのまま向うに移動するということは日本の法律解釈では当てはまらない。伊藤さん自身があなたと債権契約をしたのですから、物権的な移動をしてしまえばあなたは切れなくなる。これはあなたの方から弁護士さんに鑑定していただけばすぐわかる。それで私先刻承つたのですが、こういうずさんな、何が何だかわからぬような契約をあなたと伊藤さんとの間でされておる。伊藤さんには歴とした顧問弁護士がおるわけです。そこに私どもは非常に不明確な点が出て来たり、ただいまあなたのおつしやつたような、あなたに出資あるいは仮払いをしておらぬのにかかわらず、保全経済会の帳簿には仮払いで大きな金がある。こういう点を当委員会で事実を明確にしたいという趣旨なんです。今同僚委員田渕さんから処分した金の分配だとか今後の経営方針をお尋ねしているのはそこなんですから、その点、そういう法律解釈になつた場合にはあなたの方ではどうかということをお聞きしたい。
#182
○小柳証人 今お教えいただきましたのですが、実際的にこれを共同経営という、その通りの公正証書契約もやつております。今後どうなるか、私も知りませんので、私は出資者組合の代表者ともその後二、三回会いました。そうして、ぼく自身としては、不二林業が現在幾らかの借金がある、それさえ清算できるようになれば、あなた方がほしければいつでもお渡しするということは言明しております。
#183
○古屋(貞)委員 保全経済会は、実は破産の申請が行われて、今破産和議が進行しております。破産の申請が行われますと、これは今の出資者の方の自由にもならなくなつて来る。御承知のように、法律的な解釈で処置しなければならぬことになる。というのは、十五万の出資者の唯一の財産ということになるのですから、厳格な法律解釈をされて参つて、その結果はあなたの方の考えのようなことでなくなると思うのですが、その点はどうか。和議も進行しているのです。そうして、和議になります前には、財産問題のそういう法律的の解釈問題や債権債務の関係は、御承知のように裁判所でこれを確認されて後でないと、この和議の条件が生れて来ないわけです。その点は、どうか証人の方も早く和議の関係者、弁護人諸君と御相談なさつておかないと、非常なトラブルが残る。こういうことが一つ。
 それから、こういうような非常な不明確な契約が出ているし、あなたも御存じないような莫大な金額が支出されていることが帳簿に記載されている。こういう点について、何か伊藤さんとあなたとの間に特別な事情があるのかどうか、この点が一つ。
 それから、なお、先刻この山は五千万円ぐらいの価格があるとおつしやいましたが、ただいま田渕委員からお尋ねになつた、あなたのおつしやる千三百町歩の面積がはたして伊藤さんの所有であつたかどうかということ、この点も非常に不明確だと私は思います。かりにあなたがおつしやるように千三百町歩だといたしましても、この点は、ただいま証人のおつしやられた計画が計画通り齟齬せずに事業が運ばれた場合の結論でございますね。
#184
○小柳証人 これは、私のこの数字を出しているのは、原始林は別にしまして、でき得べきことと思います。
 それから、私の契約云々については、私も法律上よく研究もしていませず、一応弁護士に尋ねましたけれども、最善の方法をとりたいと思います。
#185
○田渕委員 今の古屋委員の関連質問の中で、私がもう一つ納得行かぬのは、あなたは実際言うと伐採権しか持つていないのですよ。この契約ではそうなつている。あなたはここまで本腰入れて一千万円の会社をつくらしたのたから、いくら井上俊吾君が監査役に入つても、もつとしつかり知つておらなければならぬが、こうしてこの保証金は三月二十五日に一千万円入れ、契約の期間は十五年で、この契約の主たる目的は、三重県飯南郡森村大字蓮三四三ノ二番地及び同三四六番地所在の伊藤斗福所有の森林内の立木に関する権限、こうある。これが主たる契約の目的なんです。そこで、これから上るところの、「伐採其の他に依つて収入されたる金額は実際経費を差引き其の残額に対し乙が其の弐割を取得し、残額は甲に支払う」こういうのですから、あなたが先ほどおつしやつたように、炭が五十万俵とれるとかどうとかいうことで、現場で五分々々であつても、実際は俵のわく木代等が三十円で、かまどから土場までが一俵十円、事務所費五十五円と見て九十五円かかる、だから三百五十円を半々として百七十五円ずつにわけても、七、八十円はもうかるから、五十万俵とすれば四千万円、あなたはこれを資産に見たのだから、この利益を資産に見るとすれば、その八割の三千二百万円というものは、かりにあれば保全経済会がとれるということになる。これが私は将来重大な問題になりはせぬかと思うので、これは、あなたとしてみれば、このくらいの値打のあるものとおつしやるが、これだけ利益が上ると言うのか、その点をひとつ確認しておきたい。この証言が将来引用されるから、この点を伺つておきたい。
#186
○小柳証人 私の言うのは、これを先刻説明いたしましたのは、現在どのくらいの価値があるかという質問に答えたわけであります。数学的に説明したのは、仕事をすれはこれたけの価値にはなるという意味でございます。
#187
○田渕委員 それでは、利益という意味じやないのですね。
#188
○小柳証人 山そのものの利益でございます。これだけの収入なんです。
#189
○田渕委員 収入は純利益でないのですから、収入がこれだけある、その中のどれだけという利益でなければ……。
#190
○小柳証人 私の言うのは、収入になるネツトの問題であります。これが、たとえば、それだけ闊葉樹薪炭林は減つて来る。あそこは最初からモデル・ケースの植林をしようというのが目的だつたのです。だから、これからまた植林をして庁かなければならぬ。そこで初めて、十年後、十五年後にはこの山の価値が幾らになるという、ほんとうの利益の上るときじやなかろうかという私の考えだつたのです。
#191
○田渕委員 そこで、あなたにこれだけ念を押しておいても、あなたはそれはそういうぐあいだということで、契約を支持されるならこれはいたし方ありませんが、そこで、伊藤君に一千万円入れて、この契約の第四条ですが、「開発に必要なる一切の手続政府資金の借入、資金の調達等は乙に於て全て申請処理する、尚所有者の承諾書等の必要ある場合は甲はこれに対し同意及承認すること」こういうようなことであるので、政府の資金を借り入れようというような話がこのとき出たことは事実でございましような。
#192
○小柳証人 これは、政府資金を借り入れるというよりも、植林すれば結局政府の補助その他が出るはずです。それから索道――原始林の開発と見ましたものですから、一番最初に累進その他の補助金、開発資金が出はせぬか、これは私の見解でございますが、そうした場合には、それをやつておかぬと、所有者の承認というものは必ずいるものでございますから、そういう条損を私は設けたのです。
#193
○田渕委員 そこで、私は先ほど西郷君のことを聞いた。選挙前にあなたのどころへ西郷君がたずねて行つた。ところが、それは別に陳中見舞も何も出さなかつたが、電報も来ておつた。こういうようなときに川上才助君の南邦通商KKへあなたは二千万円届けているのだから、その会社の顧問をしておりた西郷君だから、あれを使えば政府貸金が出るというようなこともその間代あつたのではないのですか。
#194
○小柳証人 それは私は全然考えていませんでした。私が会社を引受けたのは、山の調査に行つてからやらしてくれ、こういうことで引受けたのです。本社設立はその後のことになりまし、西郷さんから聞いたのはその前なんです。それは関係ないと思います。
#195
○高木委員長代理 中野君。
#196
○中野委員 あなたの方のことを伺つみても、あまり大した何はないようです。あなたが保全経済会にいらつしつた当時から、伊藤君は非常に立法化の問題を心配しておつたようですか、この立法化の計画はいつごろから伊藤君が計画しておつたかということを、知つておる範囲において御説明願いたい。
#197
○小柳証人 立法化の問題は、私はほとんど外部におりまして、本店内にい吐かつたのですけれども、総支店会議その他のところにおいては、アメリカには投資銀行というものがある、その形態までには持つて行きたいものであるということを、アメリカから帰つて来た二十七年の当初ですか、申していることを聞いておりますが、その後立法化云々のことについては私は存じません。
#198
○中野委員 あなたのおつしやることと伊藤君の実態とはまつたく違う。二十六年に仏教・保全経済会をつくるときに、大谷君には立法化は必ずできるということを明らかに証言しておる。アメリカに行くのは投資銀行法のあり方について見に行くという名目ではあつたけれども、その前に、もはや立法化運動をしておつたことは事実です。アメリカから帰つて来てから立法化計画を立てたのじやない。あなたは知らぬとおつしやれば、それでもけつこう。
 そこで、今の西郷君の話になるのですが、西郷君はあなたをたずねたと言つておるが、その時分は西郷君は参議院議員でしたか参議院議員でなかつたのですか。どうなんです。
#199
○小柳証人 参議院議員でございました。
#200
○中野委員 そうでしよう。参議院議員であると同時に、昭和二十二年に一ぺん当選した人なんですから。しかし、先ほど田渕君の御質問の中で、私は途中から聞いてよくわからなかつたが、あなたは佐賀県だとかなんとかおつしやつておられる。この人は全国区ではなく、鹿児島県選出の参議院議員です。そうしてみますと、何もあなたのところに頼みに行かなくてもいい。選挙の応援はあなたができるわけじやない。あなたがどんなに雄弁家かどうか知らないけれども、まさか鹿児島の演説を頼みに行くわけでもないでしよう。結局帰するところは金なんです。金の援助が幾らかなくちやならない。それから、私はただ漠然とそう聞くんじやないのです。西郷吉之助君は保全経済会とは相当深い関係がある。今度西郷君は任意出頭で今取調べを受けております。大体造船の件という形をとつておりますが、その実質は保全経済会から出た金の問題で取調べを受けております。その内容はここで申し上げる必要はないと思う。というのは、かつて保全経済会の経済顧問をしておられた松本信次君は、この委員会の証人として出て、井上俊吾君から明らかに聞いたことであるが、西郷吉之助君に立法化を依頼し、西郷君はこれを快諾して運動してくれておるということを証言しておる。西郷君が今度の取調べを受ける過程においては、私は当然この保全経済会の金銭収受の面についてでなくてはならぬと考えておる。しかも、西郷君が実際上の立法化を参議院側において引受けたという事実は、その一事ばかりではないのです。他の証人の証言の中にもあるのです。もしお疑いならば、ここに速記録があるからごらんに入れてもけつこうです。従つて、直接依頼するのはちよつと変だとは思うけれども、参議院議員の西郷吉之助氏に頼んでおるということを確かに聞いておる。さらに、田渕君の質問に対して、重ねて、確かに西郷さんは立法化を引受けてくれておるということをここで申し上げられるということを言うておる。西郷君と保全経済会との関係は因縁浅からざるものなんです。その方が保全経済会と密接な関係にある不二林業のあなたをたずねる限りにおいて、常識から考えてもおかしい。選挙区はまつたく違う。全国区ならばあなたのところにお願いに行くということも常識なんです。しかし、しからざる佐賀県の方に――しかもあなたの会社は東京にあつて、あなたの事業主体は三重県にある。そう考えて行きますと、何も鹿児島県の西郷君があなたのところに選挙の応援を頼みに行つたり、あいさつに行つたりする必要はない。私も選挙の方では相当ベテランのつもりです。忙しい最中に全然関係のないあなたのところに行くのは、少くとも金銭上の応援とか何らかの関係がなくちやならないわけです。これは、あなたがどういうふうにおつしやつても、一般的な、客観的な常識でそういうふうにとらざるを得ない。こういうことを証人として言うことはあまり好ましくないかもしれませんけれども、初め宣誓なすつたように、良心に従つて真実をお互いに述べていただかなければならぬ。あなたもいつか検察庁の調べを受けられたか、あるいはこれから受けられるかは知りませんが、保全経済会の関係会社として当然一つの取調べ過程に入らなければならぬ人なんですから、その節、検察庁あるいは警視庁において言われることと、この委員会において言われることが食い違つておりますと、それぞれの手続をいたしますれば、ただちにそのことが偽証となるおそれがあるのであります。だから、率直に私はお聞きするのです。金銭上の授受の関係があつたかどうか、あるいは西郷君が金銭上の応援をあなたに求められたか。但し、あなたが応ぜられたか応ぜられぬかは別ですよ。けれども、求められたことがあるかどうか。どうも先ほどからのお話では、常識論としては納得できないから、重ねて伺いたいと思います。
#201
○小柳証人 今質問になりましたことは、前述しましたように、それ以外には全然ないのです。常識的に考えれば、今言われたように、金銭の応援を頼みに来られたかもしれません。保全と密接な関係があるということを言われますが、それは全然私は知らない。どういうつながりで保全と西郷さんとつながりができたか、それすら私は知りません。現在まで知りません。
#202
○中野委員 松本君は保全経済会にあまり深くタツチしていなかつたと言うておる。そのあまり深くタツチしていないところの松本君ですら、井下俊吾君から聞いておるのです。一応短かい文章ですから読んでみましようか。「私がはつきり聞いておりますのは、西郷吉之助さんにお願いしたいというふうに、秘書課長の井上俊吾という人が私にそう言つておりました。」ということが結果なんです。従つて、保全経済会と西郷君というものは、表面上はともかくも、立法化を頼まれて、これを応諾して、そうして努力をしておつたということを井上君が言うておられるならば、あなたは保全経済会出身であり、いわゆる同一系統の井上俊吾の監査役であるならば、どこかから聞かなければならぬわけです。やはり立法化という問題は、かりにあなたの今の御証言をそのまま受取るといたしましても、アメリカから伊藤君が帰つて来て、しかも、あなたも御承知でありましようが、立法化に対するところの強い意思表示をしておるわけなんです。しかも、伊藤君の休業以来の声明というものは、大蔵省側に対するところの立法化は成功する過程にあるということを明らかにして、文書をもつて各投資者に出しておるのです。これほど強い信念がある人です。しかも、それについては、議院の方はいろいろうわさされておりますが、参議院側において西郷君が引受けておるという点については、お聞き及びがなくちやならぬと思うのです。だから、あなたは、今まで井上君とおつき合いをなさり、あるいは保全経済会の中においでになつて、西郷君という人の保全経済会に対する御協力というか、あるいは御援助というようなものは、かすかながら聞いていなければならぬと私は思うのですが、この点はどうですか。
#203
○小柳証人 その点はほんとうに全然知りません。はつきり申し上げます。
#204
○田渕委員 ちよつと伺いますが、さつきぼくは、西郷君がただたずねるわけがなかろうというような意味で話をしたところが、来て、夕御飯まで差上げたというんじや。あなたの方では、もちろん、西郷さんの孫だというから、珍しくもあり、常識上そういうふうに思つたかもわからぬ。そうして今度は西郷君が鹿児島からあなたに電報を打つている。こういうようなこともあなたは証言されておる。しかし何ら応援いたしておりません。われわれが聞かないのに、電報は来たけれども応援も何も送つてないんだ、こういうことをなぜあんたは言うのか。
 それから、私が申し上げておきたいのは、ここは決して検察庁でも警視庁でもありません。あなたにもし犯罪行為があるとすれば、それは警視庁や検事局が調べる。十五万からの大衆の零細な金を四十五億も集めて、政治献金とかへちまだとかにめちやくちやに使つてしまつた。
    〔高木委員長代理退席、委員長着席〕
あなたの山だけでも七千五百万から出たという伝票を切つておる。この山の七十五百万円は政治献金をいたしましたというはつきりした証書が来ておりますから、この一本の証書をもらつて大衆の金をどこへやつたのだろうという想像で、会社の金を政治献金などしてけしからぬというので当委員会が調べておる。当委員会の目的は、国民の税金がどんなぐあいに適正に使われておるか、あるいは国の行政面がどうなつているか、この点からも今日は調べるわけであつたが、向うの都合が悪いのであなたにおいでいただいた。たとえば法務省の刑事局長、時によれば検事総長も呼びましよう。係検事も呼ぶ。呼んで、なぜ取調べなかつたのか、あるいは政治的圧力があつたかどうか聞いてみたい。そうして、国の行政が適正に能率的に運営されておるかどうか、されてなければ、法務省なら法務省はけしからぬといつて法務大臣に勧告する。これが私たちの目的なんです。そうして、この十五万の大衆の財産を一銭でも多く残して、大衆は困つておるだろうから、早く返してやりたいというのが目的です。どうしてこんな政治献金が行われたか、どこに責任があるか、どこに欠陥があるかということを聞きたいのです。とにかく、伊藤君が大蔵委員会へ出て、男として言えないくらいつらいものはないと言うし、なお、国会議員が金でもとつておるようなことを言うから、われわれが立ち上つた。そうして、国会議員の中に不正な者があるなら、たとい同僚議員であつてもそれを出さなければならぬということでやつておるのであるから、われわれが国民の代表として苦痛をしておるということをあなたが考えられるならば、もつと率直な御証言をいただいてよろしいと思う。率直に言つて、先ほどから伺つておると、あなたの証言には満足いたしません。あなたはさつき新聞の広告で入つたと言つても、関東総支店長までなつておる。そしてよした。よしたことは、望月京一君との意見の対立――実際から言つて、本店と支店とのからくり、いろいろな関係から合わぬからでしよう、あなたが二十七年によして間もなく二十八年の正月に伊藤のところは行つた。そうすると、山を買つたからやれと言う。資金がないから出してもらいたい―。もちろん、保全経済会のからくりはいろいろありましようから、あなた方が、言うと伊藤も出さぬでいられないだろう。それで一千万円の金をもらつた。もらつて、この通り借りまずと言つて会社をつくつて、一週間もたたずして九百五十万円引出して、あなたの金を五十万円出して、保全経済会へ保証金として入れた。こういうことになつておるでしよう。今までの証人で、神崎君と、土曜日に来た民事局長の村上君、これだけはこの真相糾明に協力しようと心からやつてくれた。あなたは、経歴をずつと伺つてみると、なかなかあらゆるところに相当の知識を得られておるから、私はもつといい証言をしてくれると思つた。われわれは決してあなたを罪にしようとは思わない。悪いことをすれば警視庁や検事局が調へればよろしい。これは保全経済会だけじやないのです。保全経済会は十五万の人から四十五億も集めた。このほか日本殖産とか、これに類似したものが三百幾つある。大蔵省の銀行局長から統計をとつてみれば、株主相互金融とか町の金融機関が五百億も集めておる。これらのものに対してどういう立法をしてどういうぐあいにしようかというので骨を折つておるのであるから、その点で御証言願いたい。
 そこで、伺いますが、あなたの会社の顧問に井野碩哉君がなつておりますが、これはどういう関係ですか。
#205
○小柳証人 これは、今重役をしておる友だちの外山慶治、それを井野先生が子供みたいにかわいがつておられる。それで、山をやるにもいろいろ御意見をお伺いして御相談にもあずかりたいということで、これは前に私が、東京競馬倶楽部ですか、あの会社にお伺いしまして、あそこの応接間でお会いしてお願いした。そして発起のときに発起人になつてもらつた。そういう事情でございます。
#206
○田渕委員 井野碩哉君は農林大臣をされたと思うのですが、ことに林野庁関係には相当政治力がきくと思う。この人を顧問にされて、顧問料はどのくらい払つておるのですか。
#207
○小柳証人 今までの顧問料としての金は一銭を出しておりません。その間、御意見をお伺いするのに、集まつて御飯くらい一緒に飯べております。てれ以外はございません。
#208
○田渕委員 あなたの方の取締役に入つております外山重役、この方が、今の御証言では井野君が子供みたいにかわいがつおる外山君とおしつしやいましたが、この方に間違いございませんか。
#209
○小柳証人 ございません。
#210
○田渕委員 この会社がこういうぐあいに赤字であり、つまり会社に資金がないから利息を払つておりますね。二万八千八十円支払い利息という科目が上つておりますが、会社は苦しいですね。
#211
○小柳証人 会社は、昔の友だちから借り、親戚から借り、私の金を出しております。そこで運営しておるから、決して楽とは言えません。苦しいです。
#212
○田渕委員 苦しいということをおつしやれば、その井野碩哉君が子供のようにかわいがつておる外山君に、何であなたの方が百三十万円仮払いをしたか。決算報告で百三十万円渡しておるじやないですか。
#213
○小柳証人 百三十万円渡していない。そんな帳面はないはずです。
#214
○田渕委員 仮払金として外山慶治君百三十万円という財産目録が出ておるのです。これをあなた知らぬと言うのですか。
#215
○小柳証人 その財産目録は何かの数字の間違いであります。一万円くらいの旅費その他の金は出しましたが、百三十万円という仮払いの数字を出したことはございません。証拠にもないはずです。
#216
○田渕委員 数字の間違いであれば、私はミスプリントとして承つておきますが、それでは、外山君は井野君が子供のようにかわいがつておる。その人に一万円とか二万円くらいのものしか出ておりませんか。
#217
○小柳証人 これは給料を二万出しております。現在は一万七千円に十月かり減額しました。
#218
○田渕委員 外山重役は会社のどういう職務分担をしておられますか。
#219
○小柳証人 職務分担は、ほとんどあの人は現場に行つてもらつております。
#220
○田渕委員 外山君と改進党の橋本構吉君と何か御関係はありませんか。
#221
○小柳証人 それは知りません。
#222
○塚原委員長 ほかに御発言がなければ、小柳証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。証人には長時間にわたり御苦労さまでした。本日はこれにて散会いたします。
    午後一時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト