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1947/07/01 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第8号
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1947/07/01 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第8号

#1
第001回国会 本会議 第8号
昭和二十二年七月一日(火曜日)
    午後一時二十二分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第七号
  昭和二十二年七月一日(火曜日)
    午後一時開議
 一 國務大臣の演説
    ―――――――――――――
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 一 國務大臣の演説


#3
○議長(松岡駒吉君) 内閣総理大臣より、施政方針に関し、発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣片山哲君。
    〔國務大臣片山哲君登壇〕
#4
○國務大臣(片山哲君) 新憲法実施の最初の國会におきまして、政府を代表いたしまして、施政方針の演説をいたしまする機会を得ましたることは、私の最も光栄とするところであります。殊に私は、さきに本國会におきまして、諸君の大多数によつて政府の首班に指名せられましたることは、私の生涯にとりまして、忘るることのできない感激の至りであります。(拍手)
 爾来ただちに組閣に從事いたしまして挙國体制によりまする四党連立の政府を樹立したいと考えて、それに努力してまいつたのでありまするが、目的通り十分の成功を收めることができなかつたのでありまするけれども、ここに成立いたしましたる三党連立現内閣に対しましては、自由党の諸君も、閣外にありまして協力せらるることと存じ、深く期待し、挙國危機突破に向いたいものと考えておる次第であります。(拍手)
 政府は、この歴史的な第一回國会の開会に際しまして、政府の現下時局に対しまする所信と決意を披瀝いたしまして、諸君の御協力を仰ぎたいと存ずる次第であります。
 第一に申し上げたい点は、憲法に対する政府の信念であります。政府は新憲法を嚴に守りまして、その精神を生かすことに最も忠実であることをここに誓うものであります。(拍手)特に新憲法のもつておりまする民主主義の大精神、平和主義の大理想、これを政府は一切の政治行動の大目標として掲げたいと考えておるのであります。これを大膽明快に現実化いたしたいと考えておるのであります。すなわち國民代表でありまするところの國会によつて指名せられたる政府であることを自覚いたしまして、國会を尊重するはもちろんのこと、憲法の各條章に基きまして國会及び政府の関係につきましても、何ら紛淆を來さざるよう、細心の注意を拂うつもりであります。特に司法権の独立につきましては留意を拂いまして、最高裁判所の構成はつきましても、憲法の精神に基く民主主義的方法によりまする等、新憲法のもつ高遠なる大理想を、一日も早く、できるだけ多く実現いたしたいと考え努力いたしておるのであります。なおこれに基く必要なる一切の諸法規を國会に提出すべく、その準備を急ぎつつある次第であります。
 第二に、政府の施政方針に関する根本観念をまず明らかにいたしたいと考えるのであります。政府は、現下諸般の情勢を考慮いたしまして、この際われらの理想でありまする民主主義を拡充発展せしめたる高度民主主義体制を確立いたしまして、新時代に副うべき政治理念をあらゆる方面に浸透せしめ、その徹底をはかることが必要を考えておるのであります。すなわち現内閣の至高指導精神は、高度民主主義を各方面に徹底せしめることであります。
 政治上における民主主義徹底の急を要することは、言うまでもないことでありますが、問題は民主主義を政治上のみにとどめることなく、これを産業経済の部面にも廣く透徹させたいと考えておるのであります。産業経済の発展は、実にその機構の民主化に負うところ多大であるのであります。さらに社会生活の部面におきましても、健康にして文化的ならしめるために、これを革新する要がありますから、民主主義を日常実際生活に織りこみ、生活態樣を民主化するの急務なることを感じておるのであります。政治上における民主主義は、封建的官僚機構を一擲することとなり、産業経済に浸透いたしまする民主主義は、産業の充実発展を來すこととなるのであります。社会方面に浸透いたしまする民主主義は、文化の向上を來すこととなり、國際方面に及びまする民主主義は、平和主義の浸透をなす結果を來すこととなるのであります。
 思うに、人間生活を規律いたしまする政治原理としての民主主義は、十八世紀時代より進展いたしまして、歴史的幾多の変轉を経て、第一次、第二次世界戰爭の後において、ここに初めて世界共通の新生活原理として発見せらるるに至つたと考えるのであります。西洋文明は、ギリシヤ文明、キリスト教文明、近代科学の集積であると考えるのであります。
 今私の考えておりまする高度民主主義は、その集積に基くものでありまするとともに、平和主義の根柢となるものであります。この民主主義の裏づけなくしては、決して平和主義の実現を全うすることができない。世界平和の実現は不可能なるものであると考えるのであります。また人類生活を向上発展せしめ、産業を隆盛ならしめる原則も、これまた高度民主主義を基本とするものと考えておるのであります。
 すなわち高度民主主義は、この意味におきまして人道主義であります。また合理主義であります。また社会民主主義であります。よつて暴力によりまする政治行動、その他一切の直接行動に反対するとともに、民主主義政治体制でありまするところの議会政治を嚴にとるものでありまして、政府はこの信念に基き施政方針を樹立するものであることを明らかにせんとするものであります。以上、政府の信ずる政治理念の大要を明らかにいたしました次第であります。(拍手)
 第三に、現下の國際情勢に鑑みまして、わが國の性格をきわめて率直かつ明白に世界各國に表示いたしまして、その理解と援助を求めるとともに、國際的信用を回復することが、最も必要なることと信ずるのであります。新憲法には、主権在國民と、戰爭放棄と、人権の尊重とを、明文として表わしているのでありますがゆえに、わが國の性格はここに一変いたしまして、新しき日本として再出発しておりますることは、言うまでもありません。わが國の性格が、もはや武力國、好戰國ではないこと、封建的官僚機構は、制度上すでに拂拭されつつあること、民主主義的議会政治が確立せられんとしておることを明かにいたしたいのであります。事実をもつてこれを立証し、世界に向つて、日本國民の努力と眞実さを示さなければならぬと考えておる次第であります。
 政府の考えておりまする、われらの建設せんといたしまする平和國家は、次の要素をもつものであると考えるのであります。第一は、國民に、憲法に基く各種の自由を保障するところの國家であります。第二は、國民に、健康にしてかつ文化的なる生活を保障するの國家でなければならないのであります。第三に、國民が、暴力と不合理、不正義を排し、道義と人類愛に基く平和に徹するとともに、正義をどこまでも護る国家であることを明らかにするものでなければならぬと思うのであります。第四には、勤労と科学と藝術と宗教を尊重するの國家であり、第五には、適正なる教育制度の確立によりまして、次代國民の民主的、平和的育成に努める國家でなければならないと考えるのであります。われら日本國民は、この意味におきまして、かかる要素をもつ平和國家としての日本を建設しつつあることを、世界に向つて明白にすることが、最も必要であるということを、私は考える次第であります。(拍手)
 次に、第四といたしまして、わが國の経済がまことに恐るべき危機に当面している点を申し述べたいと思うのであります。敗戰によりまする憂慮すべき結果が、まさに現実の問題として、日本國民に襲い來つたのであります。すなわち食糧の欠乏であります。インフレの進行であります。産業の不振であり、失業の増大であり、やみの横行であります。政府は組閣後ただちにこの問題を取上げまして、万難を排して、この危機突破をしなければならないといふ決意のもとに、経済緊急対策八項目を掲げまして、その実行については、國民諸君の御協力をすでに仰ぎつつある次第であります。今私はこれを繰返して説明するの煩を避けたいと思いますが、問題の重要性に鑑みまして、ここに危機の要因を御説明いたしたいと存ずるのであります。
 戰爭と敗戰とによりまして、根本から破壊されてしまいましたわが國の経済を、どうして再建するかということは、きわめてむずかしい事柄でありますが、今まで、敗戰後の日本の経済の実相というものが、全國民に十分理解せられておらず、政府の從來の施策もまた徹底を欠いておつたために、不幸にして今日まで立直るの端緒をつかむことができず、経済の情勢は次第に惡化してまいりまして、そのために、國民の精神や文化にも深刻な影響を與えたのであります。われわれは、今日経済の実体から判断いたしまして、今日こそ、わが國が経済の再建をなし遂げ得る最後の機会であると考えているのであります。このことを十分に国民に理解していただきたいために、政府は近くこの國会に、わが國経済の現状を明らかにいたしましたる実相報告書を提出いたしまして、先般の経済緊急対策の基礎となつた政府の見解を、國会を通じて國民に報告いたしたいと考えている次第であります。
 現在の経済がどんなにむずかしくなつているかという具体的な事実につきましては、この実相報告書によつて御承知願いたいのでありますが、わが國の経済が惡化しつつあるという根本的な原因はどこにあるかという点につきましては、これを次のように要約することができると私は考えるのであります。
 第一に、わが國は、敗戰の結果経済資源の相当の部分を失い、また生産や輸送などの設備が、戰爭を通じて破損し、老朽化し、生産資材のストツクもだんだんとなくなり、労働の生産性も、戰前に比べて甚だしく低下しているのであります。そのために、現在生産されている物の量は、戰前の三割程度に止まり、かりにこれを全部國民の消費に充てましても、その一人当りの消費量は、ぎりぎりの生活を続けていくにも足りないほどでありまして、いわゆる過小生産と呼ばれる状態にあるのであります。そのために、生産された物の大部分が消費されてしまい、産業の生産力を維持していくために必要な設備の修理や取替えさえ、ほとんど満足に行うことができず、このわずかな生産の規模そのものが、むしろもつともつと小さくなりつつある状態であります。
 第二は、生産のこのような低下とはまさに反対に、人口は、敗戰の結果かえつて増加しておりまするし、消費に対する要求は、戰爭の間抑えられていた欲望が解き放されたことも絡み合つて、非常に強くなつておりますので、國民のすべてが、何んとかしてその消費生活を高めようとして、争つてわずかな生産物に殺到し、それで足りない部分は、残されている過去の蓄積に食いこんでいつておりますので、総体といたしましては、わが國の経済が生み出す生産量よりも、はるかに多くの消費がなされておるのであります。この根本的な事実は、そのまま経済の各部門に現われておるのでありまして、たとえば國民の家計も、企業の経理も、國の財政も、みな赤字でありますし、また外國との貿易を見ましても、大きな輸入超過で、直接消費する食糧すら、外國から借りておるという形になつておるのであります。
 第三には、戰爭のために生産物の裏づけのない莫大な購買力が放出されたことを原因として起つたインフレーシヨンが、以上のような経済各分野の赤字の現象と結びつきまして、賃金と物價との惡循環という形をとりながら、次第にその速度を早めておることであります。そしてこのインフレーシヨンが、ますますまじめな企業の経営を困難にし、勤労者の生活を脅かし、生産を妨げ、投機とやみ取引を盛んにして、さらに次のインフレーシヨンの進行を刺激いたしておるという状態であります。
 以上三つの事柄は、決してそれぞれ独立のものではなく、みんな互いに複雑に絡み合つて、因となり果となり、経済を破局の方向に率いておるのであります。しかもその進み方を見まするならば、もはやすでに、きわめて危險なところまできておると判断される状態であります。これが現在の経済の実相なのであります。
 われわれはこのような経済の状態を見まして、あらゆる力を揮つてこれを建直す決意を固めておるのであります。われわれは事態を樂観するものではありませんが、しかし決していたずらに悲観しておるのではないのであります。方法さえ誤らず、また國民が一致してこれに当るならば、必ずこの惡化しつつある経済を引きもどして、再建の軌道に乘せることができるものであることを確信しておる次第であります。(拍手)
 最も緊急を要します食糧問題につきまして、政府は食糧緊急対策を決定いたしまして、本日これを発表し、國民諸君の御協力のもとに、その実行に邁進いたしておる次第であります。
 私はここで、この七月から十月の端境に至る四箇月の食糧需給の見透しが、きわめて憂慮すべき状態にあることを率直に申し上げたいのであります。すなわち國内的には、昨年度米並びに甘藷の供出は、前内閣以來あらゆる手段と方法を講じ、農民諸君もまた絶大なる努力を拂われ、これが確保に、当つたのでありまするが、遺憾ながら所期の一一〇%供出は未だ完了するに至りませず、六月三十日、昨日までの成績は、一〇四%弱でありまして約百五十万石の供出未了となつておるのであります。しかもまた期待されました麦類及び馬鈴薯の生産も、天候不良その他の事情のため、必ずしも芳ばしくない模様でありまして、國内供給力の点で、当初の予定とは少なからぬ狂いが生じておるのであります。他方輸入食糧は、連合軍最高司令部の絶大なる援助にもかかわらず、諸般の事情のため、わが國不足量の全部を賄うことは、とうてい不可能と考えられておるのであります。
 かくて今後十月に至るまでの四箇月間の食糧の見透しは、まつたく文字通りの危機でありますが、政府は、食糧の確保があらゆる施策の根本であることを率直に認め、今回決定いたしました緊急対策を断行するほか、國内供給力の増加と輸入の懇請に全力を盡しまして、最低基準量の確保に努力する方針であります。國民諸君も、何とぞ政府の施策に協力せられて救國の熱意をもつて、食糧危機突破に邁進されたいのであります。本月から実施いたしまする全國料理飲食店の休業も、眞にやむを得ない措置に出でたものであることを御諒解願いたいのであります。
 食糧に次いで重要なる問題は、いわゆるインフレーシヨンの防止であります。政府は、現在インフレ進行の主要原因が、政府支出の増大にあることをこれまた率直に認めまして、でき得る限り歳出を節約いたしまして、健全財政の確立に努力する方針であります。同時に、いわゆる新円所得者の浮動購買力に対しても、租税あるいは貯蓄を通じてこれを吸收する方針でありまして、特に租税政策におきましては、負担の公平を期する建前のもとに、大口の新円所得者に高率の課税を行わんとするものであります。(拍手)
 他方、金融統制は、経済緊急対策に基いて一層強化する必要があるのでありまして金融機関は、生産再開にあくまで協力する建前のもとに、今後とも貯蓄の増強、赤字金融の抑制に努力してもらいたいのであります。政府といたしましては、金融機関はあくまで産業の奉仕者であると考えておるのでありまして、金融機関は、いやしくも産業に優越するかのごとき観念に陷らざるよう自粛自戒して、生産再開に協力されるよう切望いたすものであります。(拍手)
 次に、重要なる石炭問題につきましては、諸般の情勢に鑑み、その三千万トン生産計画を遂行するため、國家管理案を立てつつあるのであります。近くその内容を発表し、諸君の御協力を仰ぐ予定であります。
 さらに、労働省設置に伴い、労働基準法の実施を急ぎ、その内容実現に努めるとともに、健全なる労働組合運動の発達に重点をおくほか、失業問題につきましては、失業手当法、失業保險法等、失業救済施設の拡充強化に関しまする具体策を、本國会に提出する予定であります。
 また貸金と物價の問題につきましては、物價の安定に主力を注ぎまして、生活必需品配給の確保等によりまして、実質賃金を維持するに努力する考えであります。
 日本経済再建の長期計画につきまして、一言触れたいと思います。この問題につきまして、政府は、緊急対策と並行いたしまして、これを立案しつつあるのでありまして、追つて発表し得る段取りとなると思うのであります。この計画の中において、政府は、特に水力電氣の開発を重視し、事情の許す限り、速やかに大規模水力電源の開発、ダムの建設に著手いたしたいと、今日より考えておる次第であります。
 さらに、貿易産業の振興も長期的な経済再建計画の基調となるべきものでありまして、國内において最大限に消費を節約しましても、輸出の振興をはからねばならないと思うのであります。なお、この貿易の振興に関連いたしまして、私は中小商工業者諸君の奮起と御協力を要望いたすものであります。わが國今後の貿易は、特産物ないし雜品の輸出にまつところ多いのでありまして、この点において、中小商工業者諸君の果すべき役割は、けだし大なるものがあると考えておるのであります。
 かくして産業の復興に全力を傾倒し、何としても、最も重要なる食糧欠乏を中心といたしますこの危機突破対策は、遂行しなければならぬ決意を高めつつある次第であります。この目的を達し得るや否やは、一に、われら日本國民が、自力をもつてよくこの難関を切り抜け得るや否や、耐乏生活を続け得るや否や、全國民一致協力をなし得るや否やにかかつておるのであります。一人の餓死者なきを期するためには、豪奢な生活をなくして、分配の公正化と、不当利得者を排除しなければならないのであります。(拍手)
 これをなし遂げるために、政府は非常な決意をもつて起ち上つておるのであります。諸君の御協力を、一段と希う次第であります。
 第五に、緊急経済対策のみならず、一般政策をも必ず実践に移しまして、一つ一つを、生ける実行策としなければならぬことと考えておるのであります。しかして、その第一段の実行の局に当る者は、政府であり、役人であります。第二段においては、國民大衆諸君も強く起ち上つて、その実行に当られんことを希望するものであります。
 まず、政府が実行の衝に当るために、行政機構の改革と官吏制度の刷新に著手いたしたいと考えておるのであります。(拍手)これら改革の心構えは、官僚的観念の打破でありまして、官吏はどこまでも國民のために仕事をする任務を負うものであり、自己の担当する任務につき、強い責任感をもち、かつ正義公平を生命とするものなることを徹底せしめるとともに、また内務省をこの際廃止し、地方自治制度に根本的改革を加え、警察制度、官吏任用制度、服務紀律等にも新らしき考慮を拂つて、官紀粛正を断行いたしたい考えであります。(拍手)これらのうち、成案を得ましたるものは本國会に、準備の遅れるものは次の國会に提案いたしたいと思つておるのであります。これ一に行政機構の民主化を実現いたしたい精神より出ておるにほかならないのであります。國民諸君も、その実行の衝に当つてもらうために、自主的な新日本建設國民運動の展開さるることを要望してやまないのであります。
 この國民運動は、いうまでもなく單なる精神運動では決してありません。もちろん作文に終らしめたくないのであります。精神運動よりも食糧出題の解決が先だという声は、よく聞くところでありますが、政府は食糧危機突破とこの國民運動を平行し、両者不可分の関係において実行せしめたい所存であります。政府の國民に求める耐乏生活は、普遍的でありまして、公平であるを要するとともに、これは光明を約束し、かつ希望に満ちておるものなることをお考え願いたいのであります。
 なお、この國民運動とも密接な関係をもち、かつ憲法の精神を生かすべき文教問題については、政府は、さきに第九十二議会におきまして協賛を経ました新教育制度、特に六・三制の完全実施に関しまして、種々の困難はありますが、その実現のために、許す限りの努力を盡す考えをもつておるのであります。(拍手)
 第六に、さらに進んで講和会議のことについて申し上げたいと思います。講和会議の開催こそは、日本國民に希望と光明を與える大きな事項であります。その開催の一日も早からんことを、政府は全國民とともに熱望いたしておるものであります。顧みますならば、終戰以來二箇年、ポツダム宣言に規定されたわが國の非軍事化並びに民主化の事業は、國民一致の努力によりまして、著々と進捗を見てまいりました。政府は、今後とも一層の努力と誠意とをもつて、ポツダム宣言受諾に伴う義務を忠実に履行し、眞に民主的平和國家の実をあげ、もつて國際社会への復帰の條件を満たさなければならないと考えておるものであります。(拍手)
 さいわいにも、連合軍司令部の御好意により、來る八月十五日より民間貿易が再開せられることになりましたことを、心より喜ぶとともに、その順調なる進行を期待しておる次第であります。これにつきましても、われわれ日本國民は、すべて率直なら心持を端的に披瀝いたしまして、立て直りつつある眞のわが國の姿を世界に示すことが必要と考えるのであります。すなわちわれわれの希望するものは、國民生活の安定と、産業の再建、世界恒久平和への熱望にあることを表明し、連合國各國の精神的、経済的援助を求めたいと考えておるのであります。
 なお、海外同胞引揚促進につきましては、政府は細心の注意を拂つて対策を講じておるのでありますが、今後とも、これがためあらゆる手段と方法をもつて努力いたすつもりであります。
 第七、以上、政府の施政方針の大要を述べましたが、その他重要なる政策につきましては、すでに発表いたしました緊急諸対策、並びに本國会に提出すべき予算案及び法律案について御了承願いたいのであります。
 最後に一言いたします。まことに時局は重大であります。危機は深刻であります。この危機を突破し、來るべき講和会議を迎えて、祖國を再建いたすためには、全國民のなみなみならぬ努力と忍耐を必要とするのであります。政府は、新憲法のもとに國民の自由なる意思によつて選ばれたる最初の民主主義政府として、國民の政府として、否、國民の公僕といたしまして、眞に決死難局にあたる覺悟をもつて、祖國再建に邁進するの決意を固めておるものであることを、明らかにいたしたいと思うのであります。(拍手)諸君は、何とぞこの政府の決意を諒とせられ、挙國一体、危機突破に協力されんことを切望してやまないのであります。
 われわれの道は、耐乏と苦難の道でありまするが、しかしながら、われわれの前途には光明と希望が輝いておるのであります。この危機を突破いたしまするならば、連合國の好意ある援助によりまして、再び國際社会の一頁に列することができるのでありまして、民主的な平和國家、文化國家の建設に進み、生活安定と民族文化の向上を実現し得るのであることを信ずるものであります。救國のために、明日の光明をもたらすために、全國民諸君の心からなる御協力を望んでやまない次第であります。私はこれをもつて終ります。(拍手)
#5
○議長(松岡駒吉君) 和田國務大臣より、経済緊急対策に関して説明のため発言を求められております。これを許します。國務大臣和田博雄君。
    〔國務大臣和田博雄君登壇〕
#6
○國務大臣(和田博雄君) ただいま総理大臣から、現在の経済の状況と、これに対しまする政府の決意につきまして申し述べられましたが、私は先般発表されました経済緊急対策の立案に当りました責任者といたしまして、この対策の底を流れておりまする基本的な考え方につきまして、若干の御説明をいたしたいと存じます。
 今日のわが國の経済が、どんな困難に直面しているかということの具体的な事実につきましては、別に提出されまする実相報告書によりまして、詳細ごらんを願いたいのでありまするが、いろいろの事実を通じまして、現在の経済危機の根底をなしておりますものは、これを要約しますれば、第一には、過小生産と呼ばれている生産の絶対的な不足であります。第二には、國民経済において、乏しくなつた蓄積資本部分の消耗が行われ、生産力の基礎は次第に弱まり、縮小しつつありまして、いわゆる経済の再生産の規模がますます小さくなり、再建のために必要な資本の蓄積の要求とは、経済の運行はまさに逆行しているという事実であります。第三の点は、物價と賃金との惡循環という形をとつておりまするインフレーシヨンの促進であります。
 以上申し述べましたような事実認識の上に立ちまして、われわれはあの緊急対策を作案いたしたのでありまして、この対策を貫いておりまする基本的な考え方は、大体次の三点に要約されると思うのであります。
    〔議長退席、副議長著席〕
 すなわち第一には、生産の量を増大すること、第二には、生産と消費とを調整し、國民消費の内容を合理的に切り詰めて、資本の維持、生産財の確保に努めるとともに、生産及び流通を計画的に行い得るような経済の秩序を確立すること、第三には、インフレーシヨンの拡大を防止するために、実質賃金の充実を中心としまして、物價と賃金との惡循環を断ち切ることの三つがこれであります。もちろんこの三つの目標も、互いに密接に繋がつておるものでありまして、これを達成しまするための手段も、それぞれ切り離せない関係になつておりますことは、申すまでもないのであります。
 第一に、生産の量を増しますためには、基礎的な生産資材の重点的な増産と輸出の振興という二つの方策を中心として考えております。わが國の経済回復をできるだけ自力によつてはかりまするためには、まず國内にありまする生産資源を、余すところなく活用するのが当然であり、その重点は、食糧はもとより他の物資の生産の前提になりまする基礎的な生産資材に向けられなければなりません。この意味で、石炭、鉄鋼及び輸送力というものに、他に優先しましてあらゆるものを注ぎこみ、これを大きくしていくことによりまして、迂回的に次第に他の産業を拡大していくという、いわゆる傾斜生産の方式は、あくまでこれを守り抜く考えであります。
 本年度におきまする石炭生産三千万トン、鉄鋼生産七十万トン、陸上輸送力一億一千六百万トン、海上輸送力千六十八万トンの目標は、できるだけの努力を拂つてこれを達成したいと考えておるのであります。しかしながら、これらの基礎産業の復興に必要な資材も、決して十分にあるわけではありませんで、迂回生産によつてつくられた生産資材が、再びこれらの基礎産業にまわつてきまするのを待つていたのでは、時間がかかることを覺悟しなければならないのであります。
 この時間を最も短かいものに切り詰めますためには、一方で輸出を行いまして、輸入資金を獲得し、これを使つて、端的に必要な資材を購入することが最も早途であります。現状におきましては、わが國は、國民のやつと生きていくだけの食糧を輸入するにさえ、はるかに不足な輸出しかいたしておりませず、復興資材の輸入は、ほとんど言うに足りないようなありさまでありますが、一日も早く経済の建直しをしますためには、われわれはどんな無理を忍んでも、できるだけの物はみな輸出して、復興資材の輸入資金をつくり、これを基礎産業に注ぎこみまして、生産循環の拡大をはかつていかなければならないと考えるのであります。もちろん輸出を盛んにしますためには、乏しい中から、輸出産業に必要なだけの生産資材を割かなくてはなりません。しかし國民が一致協力して工夫いたしますならば、今の國力が割くことのできるだけの資材で、なお担当の輸出品の生産ができることを確信いたすのであります。
 このような方法で生産量の増大をはかつていこうとするのでありますが生産を上げていきますための根本は、つまるところ、勤労者諸君の労働生産性の向上にあります。現在の労働生産性は、勤労者一人当りでみますと、平均して戰前の二分の一ないし三分の一に落ちております。どうしてもこれを上げていかなければ、諸外國の労働生産性に比べて低いだけ、それだけわが國民生活水準が低くならざるを得ないのでありまして、單に國際市場におきまして、太刀打ちできないばかりでなく、いつまで経つても文化的な生活水準に達することができないのであります。勤労者諸君が進んで勤労意欲を発揚し、技能の錬磨に努力されましたならば、海外諸國に対してはづかしからぬ能率を実現するだけの素質は、わが日本民族は十分にもつておるものと信ずのであります。
 もちろん労働生産性の低下は、決して勤労者諸君だけの責任ではございません。労働力と結びつかなければならない原料や資材や、生産設備にも原因はあります。また大きな問題としまして、戰時中に生産技術が停滞したり退歩したり、経営者側の経営能力が低下したことをもあげなければならないと思います。ここに貿易の再開を控えまして、輸出に最大の重点をおいたこと、また將來のわが國経済が大きく國際貿易に依存することを考えてみますならば、今日から技術の改善と経営の合理化とに、あらゆる努力をしなければならないと信ずるのでありまして、政府としましても、これにつきまして、できるだけの措置を講ずるつもりであります。
 基礎生産財産業と輸出産業に重点をおくということは、他の産業や一般國民の消費に與えられるものが、それだけ少くなるということを意味するのであります。このことは、長い目で見まするならば、國民全部のためになることでありますが、短かい期間について言いますならば、当然國民の犠牲によつて、貴重な物資やサービスが重点産業に注ぎこまれるのだということであります。そうでありまする以上は、政府としましては、こうして注ぎこまれたものが、ほんとうにあげるべき効果をあげるように指導していく責任があるのであります。このような見地からしまして、今までの私の企業形態による經営では、どうしてもこのことが保障できないという場合には、直接政府が責任を負えるような体制をつくろうという決意が、当然生じてまいるのであります。
 第二の点、すなわち生産と消費との調整に関する点でありますが、これは二つの方面から施策を考えていく必要があるのであります。一面におきましては、現在のようにきわめて乏しい生産のもとで、生産資本に対する食込みをやめてしまい、重要産業については積極的に資本の蓄積をはかつていく、そのためには、相当な部分を生産財に割いていくということを実行いたします以上、國民消費に残される部分は、さしあたりは、きわめて限られたるものとならざるを得ないのでありまして、國民の耐乏がどうしても必要となつてくるのであります。
 そうであるとしまするならば、この乏しい消費部分は、國民の間に均等に分配されなければなりません。國民の一部だけが耐乏生活を強制をされておるのに、他方では贅沢な生活をしておる者があるとしまするならば、これをそのままにしておいて、國民に耐乏を求めることはできないのであります。かような見地からしまして、政府といたしましては、インフレ利得は、ためらうことなくこれを國庫に徴收し、國民全般の福利のために使用する方針を堅持していくつもりでありますが、乏しい國民の消費部分を横流れさせるもととなるような、料理店とか飲食店などの奢侈的な消費施設に対しましては、七月五日からさしあたり六ヶ月間、全國的にこれをやめさせることといたしたのであります。
 われわれは、経済の建直しをなし遂げる原動力が、國民の血と汗の勤労のほかにはないことを固く信じておるものであります。この國民の勤労に報い、またこの國民の勤労を励ますために、政府はこの乏しい消費分の中から、できるだけ勤労の度合に應じた重点配給を行つていくつもりであります。またいろいろなやむを得ない事情から、働きたいと思つても働けない人々に対しましては、できるだけの援護措置を実施していく考えであります。
 次に第二の面として、生産と消費と合理的に結びつけ、物資の生産と流通が秩序正しく計画的に行われるように、できるだけの施策を講じる必要があります。今日までの経済の惡化の一番大きな原因は、率直に言いますならば、この流通の秩序がまつたく乱れておるということにあります。乏しい経済力を有効に使つて、何とかして國の経済を建直そうとするならば、これを計画的に運用しなければならず、その運用を確実に行うためには、物資を秩序正しく流すようにしなければならないのでありまして、前に述べました基礎産業の重点集中も、輸出の振興も、これができなければ、決して成功はしないのであります。またこの流通の秩序が乱れておれば、一部の者が不当の利得によつて不当の消費をなし、他の國民は、不当にその勤労の成果を搾りとられて、ただでさえ乏しい生活の最低限度すら脅かされるようになるのであります。この物資の流通の秩序の確立こそ、すべての経済対策の要であり、前提であります。
 企業も、正しい径路によつて、きめられた資材が手にはいり、國民も最低限度の生活を確保するための配給物資が、間違いなく手にはいるようになれば、困難なる條件のもとでの生産も、計画的に実行されるでありましようし、苦しい耐乏生活も、明るい氣持で忍んでいくことができるでありましよう。政府としても、この点に全力を傾けて、民主的統制機構の再建に努める決意を固くしておる次第であります。
 第三の点、すなわち物價と賃金の惡循環を断ち切ることは、最もむずかしい問題であります。私たちは、勤労者諸君の生活が確保され、改善されることを強く望んでおるのであります。しかし財政も企業も家計も赤字である今日におきまして、この問題を貨幣賃金を中心として考えますと、家計の赤字を埋めるために、またそれだけの貨幣賃金の引上げをいたしますならば、生産量の増加その他の生産條件に変化のない限り、それはただちに企業や財政の赤字を大きくすることになり、企業の赤字を埋めますために物價を引上げますならば、貨幣賃金の購買力が減つて、家計は再び赤字になり、財政の赤字もさらに加わり、財政の赤字を埋めますために増税をしまするならば、家計と企業はまた赤字となり、國民貯蓄の裏ずけのない公債発行で賄えば物價が上るというふうに、赤字は家計と企業と財政の間を轉々として移動しまして、そのたびごとに物價と賃金との水準を循環的に引上げて行くのであります。
 これこそ、とりもなおさずインフレーシヨンの進行の姿でありまして、経済安定とはおよそ正反対のものであり、結果において何ら勤労者の利益とならないのであります。從つて眞に勤労者の利益をはかり、その家計を改善していく方法は、貨幣的な名目賃金の引上げではなく、その実質的な消費内容の充実であると信ずるのであります。
 経済実相報告書にも明らかにしておきましたように、今日の家計の赤字の大きな部分を占めるものは、数量からみれば、わずかのものをやみ買いするための支出であります。このやみ買いが少くなればなるほど、同じ貨幣賃金で、勤労者の生活内容はうんと豊かになるのであります。私たちはあらゆる手段を盡して、このやみ買いを少くすることに努力し、これによつて家計の安定をはかり、その結果として貨幣賃金を安定し、ひいて物價の安定を確保しようと考えるものであります。すなわち物價と賃金との悪循環という形で現われているインフレーシヨンを断ち切る方法は、結局においては流通秩序の確立、すなわち、やみの撲滅と生産量の増加のほかにはないのでありまして、根本的には、第一と第二の問題が解決されてはじめてこの問題は解決され得るのであります。しかしながら現実の経済が、貨幣経済として動いておりまする以上、この三つの問題は互いに絡み合つておるのでありまして、第一、第二の問題と併行して、やはりこの面からも手を打つ必要があるのであります。
 そこで政府といたしましては、すでにまじめな企業にとつても、とうてい堪えられなくなつている現在の價格体系を、少くとも当面のコストをまかなえる程度にまで全面的に改訂いたしますとともに、その家計などへの影響を緩和しますために、國庫支出による補給金を活用しまして、物價の騰貴率を一定の安全帶の中に食い止め、家計に対しましては、正規配給量の増加などを考慮しつつ、改訂物價のもとにおいても十分生計の確保できるような業種別の平均賃金を設けて、これを新たな價格に同時的におりこんで行くという方法を採用いたしたのであります。なお右の正規配給量の増加については、食糧が一番の問題になりますので、政府としましては、今回の緊急対策においても、これを第一に取上げ、またその具体化についても、他にさきがけて、本日その大綱を決定発表いたした次第であります。
 もちろんインフレーシヨンの進行をおさえるためには、財政を引締め、企業に対する赤字金融も、やむを得ない限度に止めなければなりません。しかしこれらの取扱いは、短い期間における数字上の形式的なバランスよりも、やや長い先を見透して、國民経済全体の健全な回復に最も役立つように運用されなければならないと考えるのであります。かようにして、財政も、企業も、家計も、いずれも苦しいところを堪えながら、國民全部が助け合つて、正しい流通秩序の確立と生産の増強とによりまして、この苦しさを根本から解決していこうと考えておるのであります。政府としましては、勤労者諸君に対し、その実質賃金を引き上げる方法は、結局自らの勤労によつて生産を増加し、その勤労の果実である生産物を、正しく自分達の手に入るように、お互いがもつともつと密接に助け合うようにするほかはないことを、十分に理解していただきたいのであります。
 以上が、先般発表いたしました緊急対策の底を流れている考え方の骨子でありまして、われわれは、その前文にもありまするように、誠実にその実行に努力いたすつもりであります。これに伴なう具体的な施策につきましては、すでに一部実施に移したものもありますが、今後も引続き急速にその実行をはかることとしまして、この國会にも、必要な法律案、予算案を提出いたしまして、御審議を願う予定であります。
 この緊急対策は、その名の通り、緊急を要するものであります。しかしながら、それは決して目前のインフレーシヨンの進行を一時食い止めるというような、目先だけのことを考えたものではございません。政府といたしましては、日本経済再建の長期にわたる構想の一環として、この緊急対策を考えているのであります。また危機の防止のみに專念いたしまして、國民に耐乏生活を説くのみで、將來の希望について何らの見透しをもたないというような消極的な態度も、決してとつてはいないのであります。われわれは、ほんとうに計画的に経済を運用していきますならば、経済の再建は、たとえ困難ではありましても、決してそう遠い將來ではないと確信しているのであります。この意味からも、私たちはできるだけ早く長期の経済再建計画を計数的に作成して、國民諸君に報告したいと思つております。
 しかし例をこの二十二年度にとりましても、われわれは本年度をもつてわが國再建のための第一歩として計画を立てているのでありまして、きわめて限られた輸入物資の期待のもとに、もつぱら國内の経済力を重点的に運用いたしまして、前にも述べました通り、石炭三千万トンを基礎といたしまして、これと鉄鋼生産、輸送力の三者を中核として鉱工業生産全体の水準をあげることをねらつているのであります。もしも私たちが、國民一致の努力によつてこの計画を達成をしましたならば、たとえば鋼材は、昨年度の三十三万トンに比べまして、二倍以上の七十万トン、セメントは昨年の百二万トンに対して、八五%増の百八十七万トン、化学工業の基礎であるソーダ灰、苛性ソーダは、それぞれ昨年の二一五%、六四%の増加となります。また食糧生産の重要條件でありまする硫安の生産も、昨年度の五十五万トンから、約二倍に近い百三万トンにまで上昇し得るのでありまして、これによつて農業生産の増大に寄與することができ、今後の農業生産の使命である國内市場の拡大と貿易收支の改善という方向に前進することができるわけであります。次に輸出の大宗である綿糸も、昨年度の二倍を超える生産をあげ得る見込みなのであります。
 もちろん、これまで生産を回復してみましても、それは戰前の水準に遠いことは言うまでもなく、また現在の最低需要を満たすにも、なお不足でありましよう。從つてこれだけで、経済が安定するのに十分だと申すわけにはまいりません。しかし自然に放置して、破局の淵に追いこまれるのと比べまするならば、われわれの努力次第でここまで回復できるということは、非常に大きな相違であると言えるのであります。しかもこれだけのことがなし遂げられまするならば、われわれはこれを土台として、次の年度には、また生産の規模を一層高め、終局の安定に向つてさらに一歩を進めることができるのであります。
 このような、回復か破滅かのわかれ道を決しまするものは、まつたく今日のわれわれのやり方いかんにかかつているのであります。そうしてこの回復の途を歩み得るためには、経済が計画的に運営されることが絶対の要件であり、これを裏ずけするものは、経済秩序の確立であります。この経済秩序の回復の第一歩が、今度の緊急対策にほかならないのであります。
 しかしこの困難な仕事をなし遂げ得ますかどうかは、まつたく國民がこれを理解しまして、單に外から協力するとか、批判するとかいうのではなく、自分たちが主体となつてこれをやるのだという氣持で起ち上つてくださるかどうかによつて決定するのであります。どうかかような意味におきまして、國民諸君が一丸となつて、われわれとともに進んでくださることを切にお願いする次第であります。(拍手)
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#7
○土井直作君 國務大臣の演説に対する質疑は延期し、明二日定刻より本会議を開きこれをなすこととし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
#8
○副議長(田中萬逸君) 土井君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○副議長(田中萬逸君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後二時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
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