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1953/01/28 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 本会議 第6号
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1953/01/28 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 本会議 第6号

#1
第019回国会 本会議 第6号
昭和二十九年一月二十八日(木曜日)
 議事日程 第四号
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案を公職選挙法改正に関する調査特別委員会に併せ付託するの件(議長発議)
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後二時五分開議
#2
○議長(堤康次郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(堤康次郎君) お諮りいたします。内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案は公職選挙法改正に関する調査特別委員会にあわせ付託いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつてその通り決しました。
     ――――◇―――――
#5
○議長(堤康次郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。三木武夫君。
    〔三木武夫君登壇〕
#6
○三木武夫君 昨日は吉田首相以下数閣僚の御演説を承りました。静かに拝聴いたしまして、この重大難局を担当する内閣としては気魄、経論に欠くるところあるは、はなはだ遺憾に存じます。(拍手)これでは広汎な国民の抱く日本の将来に対する不安をとうてい解消することはできないと思います。私が改進党を代表して吉田首相に施政の根本に関し質問をいたすゆえんもここにあるのでございます。(拍手)
 吉田首相以下各閣僚は、自立経済の達成を昨日の御演説にも強調されましたが、自立経済の達成には、総合的な長期経済計画を立てて、それを基盤とする積極的外交が必要であります。(拍手)常識論では、この四つの島に一億近い人間が食うことはできない。食うことができなければ、日本の独立は一片の空名である。独立を達成するためには、まず経済の自立が第一であります。しかるに、経済自立の長期総合計画も立てず、漫然と日を過している吉田内閣の政治の跡を顧みて、この内閣はほんとうに経済自立の熱意を持つているのか、あるいは具体的プログラムを考えているのか、はなはだ疑わざるを得ないことを遺憾とするのであります。(拍手)
 日本だけで経済自立を達成する自然的条件はないのである。そういたしますると、貿易を振興するなり、技術、設備を提供するなり、日本は東南アジアと経済的に結びつく以外に活路はないと思うのであります。たとえば、西ドイツにいたしましても、中近東を技術の提供地、貿易の市場として確保したことが今日ドイツの復興の一つの柱となつていることは御承知の通りである。この点については吉田首相も御同感でございましよう。昨日も東南アジアとの経済提携を強調されました。しかし、現実は、賠償問題の解決はいまだ糸口も見出されず、自然タイを除いては東南アジア諸国とはどことも国交の回復はいまだできていないどいう状態であります。一向にアジアとの関係は改善されないのである。吉田内閣のアジア外交にはどこかに根本的な欠陥があるものと私は思うのであります。その欠陥とは、思うに、アジアの水準を高めることが日本の水準を高めることだ、アジアを離れて日本はないというこの意識、日本はアジアとともにあるのだ、という意識に徹しないところにアジア外交が改善されない原因があるのではないか。(拍手)そのために、日本の誠意、まじめな努力が相手に通ぜず、外交交渉の過程においても、その意識が稀薄なために、相手国に日本の真意を理解せしめることを阻害しておるものと思われるのであります。
 賠償問題にいたしましても、もちろん厖大なる賠償を支払い得ないことは明らかでございますが、賠償はとられるものだからという消極的な考え方から、小刻みにせり上げて行くというようなやり方ではなくして、相手国の水準の向上に寄与しようという積極的な考えに立つならば、賠償の方法にも、あるいは賠償問題の交渉にも、新しい構想が生れて来るでありましようし、賠償折衝も促進されるに相違ないと思うのであります。アメリカからの資金の導入にいたしましても、自由アジア全体の経済開発を構想したものであるならば、日本だけの場合よりも強い説得力を持つものと私は思つている。日本が平和的に東南アジアと経済提携をやる以外に日本の経済自立はない、日本の活路はないとするならば、アジア外交の行き詰まりは断じて打開されなければなりません。賠償問題をきつかけとするアジア外交の打開について、吉田首相はどのような意見をお持ちになるか、承つておきたいのであります。(拍手)
 次に対米外交についてでありますが、日米友好関係の持続は日本外交の主軸をなすものであり、反米的立場に立つて日本の安全も経済の自立も達成できるものではない。アメリカが、経済援助により、朝鮮の特需により、日本の経済の復興を少からず助けておることは事実である。それはアメリカの善意であるに相違ないのである。日本もまたアメリカに対しての信義は尽していると思う。それだのに、日米関係が相互の完全な信頼につながつているとは今日言いがたいのである。相互に何か割切れないものが残つているのが日米関係である。そのギヤツプは吉田内閣にも相当の責任があると私は考えている。すなわち、吉田内閣は、独立後も依然として他力本願で、漫然たる態度で、アメリカの援助を自立経済の達成に有効に使つていないところに、日米関係というものに対する割切れないものを残していると私は考えておるのであります。(拍手)
 西欧いずれの国においても、何らの自主的計画を持たずして、漫然と外国の援助を受入れた国はどこにもない。(拍手)イタリアは発電と石炭と交通に、西独は石炭と発電と設備の改善と住宅の建設に計画を立てて、重点的にアメリカの経済援助を受入れているのであります。日本の場合は、無計画に、その日暮しである。だから、アメリカの援助も朝鮮動乱の特需も次第に食いつぶして、経済自立に有効に役立たせていないのであります。従つて、アメリカからすれば、せつかくの援助も浪費ばかりされてしまつて、これは日本にただ乗りされるのではないかという不安が生じましようし、また日本から見れば、アメリカの善意がすなおに受入れられなくて、基地などの面のみが日本人の目に映つて、アメリカは日本を軍事的にのみ利用するのではないかという不安を国民に生ぜしめる結果を基いておるのである。(拍手)
 経済自立というものに対する熱意と具体的なプログラムを持たなければ、対米外交の説得力にはならない。たとえば、MSAの援助にしても、その交渉の経過は承りたいと思いますが、聞くところによると、大部分がアメリカの旧式完成兵器であるということである。フイリピンにしても、インドネシアにしても、タイにしても、ビルマにしても、いずれもアジアにおける援助は経済援助が中心ではないか。日本のごとき援助の内容を持つておる国はアジアにどこにもない。アジアは西欧諸国とは違つて、軍備の前提条件たる道路も、通信設備も、青年の科学的常識も遅れているのであるから、アジアの軍備というカテゴリーの中には、この前提条件を整えるということも当然に入るべきである。アメリカもそれがわからぬはずはないのであります。もしアメリカがアジア的視野から離れてわからぬというならば説得すべきである。日本の浪費と経済自立への無計画性がアメリカに対する説得力を欠いて、MSA援助すら現在伝えられるがごとき結果を招いているではありませんか。その言い訳に、全然MSAとは別個の協定に属すべきアメリカの生産過剰物資たる小麦を、あたかもMSAの副産物の援助のごとき印象を国民に与えんとするがごときは、まことに罪深いものと言わなければならぬ。国会終了後吉田首相は渡米の御予定と聞きますが、日米関係の将来に対してどのような御抱負をお持ちであるか、承つておきたいのであります。(拍手)
 次に金融財政についてでありますが、政府は、金融を引締め、財政を緊縮して、デフレ政策を強行せんとするようでありますが、何分にも政策の方向転換が急激でありますために、周到な用意を欠いてはきわめて危険であります。(拍手)金融についても、日銀の貸出しを中心として、ちようどピラミツドをさかさまにしたよりうな形で日本の信用経済は膨脹しておるのである。日銀の貸出しを急に締めれば、その影響はきわめて甚大であることを知らなければなりません。現在においてすら、すでに東京だけで不渡り手形が年間三万件を越えるという状態で、まさに信用は麻痺せんとする状態ではありませんか。この傾向が大企業に及べば、金融パニツクになることは明らかである。また金融引締めは結局資本力の弱い弱小企業にそのしわ寄せが集中して、中小企業の倒産が相次ぐのではないかとの不安に現在の中小企業者はおびえ切つているではありませんか。(拍手)どうします。もしさようなことが起れば、重大な社会不安を引起すことは明らかである。政府は、金融の引締めから来る影響をどのように見通しているのか、一体どう対処して行くのか、国民の前に明らかにしてもらいたいと思う。
 さらに、金融が、金本位制の場合には、日銀の手持ち金貨の増減によつて通貨発行高も調整できたでありましよう。しかし、今日では管理通貨制度である。従つて、どれだけの通貨を発行することが適正であるかという通貨量の問題も、またどの方面に融資をすることが適正有効かという融資の質の問題も、大局的に立つてきめる人がいない。責任を持つた者はいない。一切は銀行の安全と有利という採算によつて選択されているのである。金融が企業に対して活殺自在の権限を持つておる今日、今後その傾向がさらに強化されんとしておる今日、これはまことに不合理な事態と言わなければなりません。資本蓄積の強大なるイギリスにおいてすら、今日においても投資委員会を存続し、資金の規正を継続いたしておるのであります。日本においても、個々の融資を査定せないまでも、せめて資金の一般的計画を立て、その実施を監視するボードをつくることがこの際必要と私どもは考えるのであります。(拍手)政府の所信を承つておきたいのであります。
 財政については、補正予算の問題をただしておきたい。十二月三十一日のニューヨーク・タイムズは、日本は毎年補正予算を出しているから本年も出すだらうと書いている。日本人の中にもさように見る者が多いのであります。しかしながら、もしまた再び補正予算を出すということになれば、政府の意図は根本からくずれることになつて、重大な問題である。ただ私が案じますことは、これだけのデフレ政策を強行せんとする内閣が、中小企業対策、失業対策というものがきわめて貧困であるという事実であります。(拍手)中小企業対策、失業対策は去年とほとんどかわらないじやないか。これだけのデフレ政策を強行する内閣が、中小企業対策、失業対策が夫年並ということは、まつたく政治の感覚を欠いておると思う。この面から私は補正予算を必要とするのではないかという危険を感じておるのでありますが、政府の見解を承つておきたい。
 次に、産業政策、労働政策についてでありますが、かかるデフレ政策を強行して、物価を引下げ、日本経済の海外競争力を強化しようとするならば、経済的諸施策が総合的に組み立てられなければ、財政と金融だけが引締められて、それが先行して、それだけで目的がどうして達しられよう。消極面だけでは問題は解決しないのである。積極的な産業政策と積極的な労働政策が伴わなければ、これが成功するわけはないのである。(拍手)
 産業政策については、まず企業の生産性を向上させることが必要であります。国際物価から三割も値段の高い日本が輸出増進をしようと言つたつてできるわけはない。そのためには、設備の近代化が絶対に必要である。日本のがたがた機械設備で海外との競争力が生れて来るなどという考えは甘い。そのためにこそ、手持ちの外貨のごときは最新式の技術と機械の輸入に充てるべきであつたと私は思う。(拍手)今日においても、余力をその輸入に充てるべきであります。外貨を、金利もろくろくつかぬような状態で、たんす預金しておくような知恵のない話はない。単なる過剰消費によつて外貨を食いつぶすことがいけない。それによつて将来コストが引下げられ、輸出の見通しがつくならば、外貨は少くなつてもよいと私は思う。国内の資金だつで、むやみにビルを建てたりする資金があれば、設備の改善、近代化にこそ資金を使うべきものと考えるのであります。(拍手)
 次に、企業の基礎を健全かつ合理的にするためには、資産の再評価を強制する必要があるとわれわれは考えておる。企業がその資本を現在の評価の何百分の一という戦前そのままの形にしておいて、半期に資本金の七割も八割も利益を計上できたり、四割も五割も配当しておる。こういう不合理な状態というものは一日も早く健全な姿に返らなければいかぬ。そうでなければ、減価償却をしたりあるいは企業内容を改善したりする意欲が経営者に出て来るはずはないのであります。インフレを助長するだけである。もしこれだけの利益があるとするならば、賃上げをしてくれと言つたつて、それを拒むべき根拠がないではないか。これが日本の労働組合に賃上げ闘争の年中行事を行わしめておる原因の一つになつているのであり、その片棒をかついでおるのである。われわれはこの際評価益税を免税しても再評価を強行すべしというのが改進党の立場である。(拍手)また、さらに資本蓄積のまじめな努力を推進するように、不合理な税制は改革した方がいい。そうして社内の留保を多く認めて、少くとも五箇年くらいの間にはオーバー・ローンを解消するような政策をとつて、日本の企業の社会的基礎というものを安定強化さすことが必要である。企業というものが次第に不健全に政商化して行くがごとき傾向は断じて阻止されなければならぬと思うのである。(拍手)
 労使関係の調整には、労働組合自身も社会的責任を自覚せなければなりますまい。しかしながら、一方において、社用族的な、戦後派的な、イージー・ゴーイングな経営者の態度というものは一掃するの空気をつくるべきである。全業の持つ社会的責任を自覚しないで、社用族的浪費を続けておるような、そういろ資本主義は、文明国にはどこにもない。将来労働組合が成長するならば、経営参加の方向にも向うべきものと考えるが、少くとも現在ただちに経理を公開しても一点の弱点も持たないというのが、近代経営者の姿でなければならぬと思うのであります。このまる裸の姿で経営者と労働者というものが話し合えば、心が通じないわけはないと思う。ストライキをある程度阻止できるものと私は信ずるものであります。(拍手)
 しかし、こういう空気をつくるためには、総理みずからがリーダーシツプを示すのでなければ、こういう空気は生れて来ないのであります。労働組合もまた私は社会的自覚の足りなさを感じます。生産性にマツチしない無責任なストを年中行事的にやつておる国は日本以外にはない。争議権の濫用である。もつとも、日本の労働組合運動をかく不健全にしたものは、日本の混乱と破壊をねらう共産党その他極左勢力の影響を日本では未成熟な労働組合が受け過ぎておる。また一面において、吉田内閣の労働政策の貧困にも私は原因があつたと思います。吉田内閣が資本勢力と結んで賃金の安定と労働者の生活政善に熱意を持つていないという印象が、労働者の不信を呼び、日本の労働組合運動を過激なものにする結果を招いたという非難は免れまいと思うのであります。日本の現状は、この経済危機を切り抜けるまで、ここ三箇年くらいは労使休戦を提唱して、その提唱を労使双方が納得して受入れ得るような政権こそ今日必要であります。(拍手)穏健な労働組合の支持すらも受け得ない政治で、何で政治の安定というものがはかられるでありましようか。とにかく、日本の自立経済の達成には輸出の増進が必要であり、そのためには生産性の向上と産業の平和を打立てられることが前提条件であります。産業政策、労働政策に対して政府は確信をお持ちになつておるのか、所信を承つておきたいのであります。(拍手)
 次は、雇用政策、失業対策について承りたいのであります。かかる政府の急激な政策の転換は、また急激なマイナスの面を引起すことは必至であります。その大問題の一つは、中小企業の問題と失業問題であります。現在においても、潜在失業者、半失業者、失業者を推計いたしますと八百万人といわれておる。農村の次男坊、三男坊は、職業のないままに、農村の潜在失業者として、農村の貧困化に拍車をかけておるのである。都市においても、大学は出たけれども就職することができないから、厖大なインテリ失業群が形成されておるのであります。しかるに、吉田内閣のもとにおいては、堅実な産業規模の拡大というものが行われなくて、雇用量の増大というものが達成できていない。今後、輸出の不振、中小企業の倒産、企業の合理化による首切り、行政整理等によつて、さらに大量の失業群を出そうとしておるのが日本の現状であります。その上毎年七十五万ないし百万の要雇用人口の増加がある。まさに日本は人口問題に圧倒されそうな状態であります。
 失業というものは決して平和の勢力ではない。革命に通じ、戦争に通ずるものである。働きたい者に職業を与えるということが政治の第一義的義務であることは、議論の余地はございません。(拍手)吉田内閣は、この雇用問題、失業問題をどのように処理しようというのでありますか。吉田内閣のもとに積極的な雇用政策がないならば、過渡期の処置として社会保障によつてカバーして行くのかと思うと、緊縮予算の第一のやり玉に上げるのが社会保障の諸費であるというに至つては、吉田政治はあまりにも近代政治の感覚からずれ過ぎているのではないかという印象を受けるのであります。政府は、雇用問題、失業問題をどのような見通しのもとにどう解決されようとしているのか、重大な問題であるから御所信を承つておきたいのであります。(拍手)
 次に国家防衛に関する問題でありますが、われわれの立場は、自衛隊の創設を認めておる。今日の世界情勢のもとで日本が無防備で行くことは危険であるという判断にわれわれは立つている。また一面、独立国家として自国の防衛の直接の責任の一端をも負担しないという理由を世界に納得せしめることは不可能であります。(拍手)また、そういうことをいたしますならば、世界との協力関係、独立国家の発言力にも影響するという現実の世界をすなおに認識する立場に私どもは立つているのである。(拍手)しかしながら、その防衛力とは、もし直接侵略を受ければこれに対応することは当然でありますが、それは独力でなし得ることではなく、集団安全保障の方式によるほかはないのであつて、常識的には、日本の防衛力とは国内の治安維持と沿岸防衛が中心であることは明らかであります。いわんや、海外に出て戦争し得るがごとき戦力を改進党は夢想だにしているものではない。われわれは、日本の国運の打開を戦争に求めることは断じてない。平和に徹して、平和を守り抜いて、日本の生きる道を切り開いて行こうというのが改進党の立場である(拍手)従つて、自衛軍は認めても、それはバランスのとれた少数精鋭の部隊であるということであります。吉田内閣は、戦力なき軍隊などと称しつつ、次第に兵隊の数をふやして、今回は十八万にするというのであります。私どもは、性格も不明確なままで、アメリカの要望にこたえて、漫然兵隊の数のみをふやして行く吉田方式には少からざる不安を感じているのであります。(拍手)
 西欧諸国では、御承知のごとく、社会保障と軍事費がバランスされておるのが健全な常識となつておるのであります。ことに、わが国のごとく広汎な社会的貧困が存在する国においては、やはり社会保障というものに重点を置いたバランスを考えるべきでありましよう。しかるに、提出された予算には、防衛費は千三百七十三億、社会保障費は七百七十四億という逆のバランスであります。社会保障費はもつと増額さるべきである。それがどうしてもできないということならば、防衛費が分不相応であると言われてもいたし方がないと思うのであります。(拍手)吉田首相は国力に相応した軍備とよく言われますが、国力に相応した軍備というものの輪郭、その目標というものを、年度的に、防衛計画をお示し願いたいのであります。(拍手)吉田首相は、演説中にも、国民の耐乏生活を要望されました。旅行先では、政府の経済政策が成功せなければ国民の罪だとも極言されました。しかし、国民をして言わしむれば、大いなる言い分があるのであります。朝鮮動乱以来、インフレを手放しで助長しておいて、アメリカは一五%、西欧では二〇%前後であるにかかわらず、ひとり日本の卸売物価指数は六〇%まで上昇せしめて、昨年の消費上昇額は実に六千億円、米貨にして十七億ドルであります。かような急激な物価騰貴、過剰消費をそのままにしておけば、貿易は逆調になることは、わかり切つたことであります。極端な国際収支のアンバランスが現われれば、今度は金融引締めだ、緊縮予算だ、デフレ政策の強行だと、国民に耐乏生活を要求されるのであります。一体、この経済危機は、天から降つて来たものでもなく、地からわいて来たものでもないのであります。(拍手)朝鮮動乱以来、時間と経済的余力のある時代を漫然と食いつぶし政策をやつて来た吉田内閣失政の結果ではないか。その吉田内閣の失政が国民の耐乏生活にしわ寄せられて来たのが現状であります。(拍手)しかるに、同じ人が、きのうはインフレ、きようはデフレと、これだけの政策の大転換を必要とするがごとき失政があれば、昔ならば内閣は当然に責任をとつております。(拍手)吉田首相はこの失政に対する政治責任をどういうふうにお考えになつでおりましようか。せめて吉田首相が国民の前に不明を謝して、これからは引締めてもらいたいと謙虚に出るのが、責任を解し良心を持つ政治家の態度でなくてはならぬと思うのであります。(拍手)
 吉田内閣の経済政策のごとく、景気、不景気の変動を自然に放任して、その大きな波動の前に国民を周章狼狽さすような不親切な原始的な政治をやつておる国は、世界のどこに類例がありましようか。(拍手)国民が望んでいるものは、もつとじつくりとおちついた政治であります。行き届いた政治であります。景気、不景気の変動を計画的に調整して、その変動を大きくすまいとするところに近代政治の努力があるのであります。自然に放任しておいてよいのならば政治はいらないのである。国民に耐乏生活を説く以上は、経済自立の長期計画があつて、今年耐乏すれば来年はどうなる、再来年はどうなると、国民に希望を与えて協力を求めるのが政治というものであります。希望も見通しも与えないで、永久耐乏などで国民がついて来るわけはないのであります。(拍手)計画のない政治、希望を与えない政治は、国民に未来を信じなくさしておるのであります。道徳の頽廃もここに私は原因すると思います。耐乏生活にしましても、かつて浜口首相が緊縮政策を断行したときの様子は、吉田首相自身もお聞き及びのことと存じます。国民に対して耐乏生活を説く以上は、総理みずから率先垂範なさらなければなりません。自分がこたつにあたつていて国民に号令したのでは、国民は納得しようがないではありませんか。(拍手)
 私は吉田老首相の愛国心を疑うものではありません。しかしながら、このまま推移すれば、日本の前途まことに憂慮にたえないものがあるのであります。首相は我執を去つて深刻にお考えにならなければならぬ段階と考えるのであります。(拍手)私の憂慮がもし思い過ぎであるとするならば、こういう抱負と、こういろ成算があるから大丈夫なんだと、国民の納得の行く御答弁を賜わりたいのであります。(拍手)
 以上、私の質問は国家再建の基本についてでありますから、吉田首相の御答弁を煩わしたいと存じます。不足の箇所は大蔵、通産、外務一労働大臣によつて補足されんことを希望して、私の質問を終るものであります。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
#7
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。
 御演説の冒頭において、政府は長期計画がないから、東南アジアとの間の経済協力あるいは経済外交が発展しない、対米外交また全然信頼を失いつつあるのであるというように承知いたしましたが、第一私の申したいことは、長期計画を立てるがいいか悪いかということであります。今日長期計画をよく立てる国は、ソビエト、共産主義国のようであります。共産主義国においては五年計画であるとか三年計画であるとかいうものを立てますが、その計画ができなかつた場合には、常にその計画の立案者を追放もしくは処刑いたしておるのであります。もちを絵に描いて、そしてこれが長期計画なりと言うことは、国民をあやまるものであると私は考えるのであります。計画を立てることは、はなはだ容易であります。しかしながら、その実行は時とともに非常に困難がある。ことに、戦争直後において、戦争の創痍がいまだいえない今日において、社会の状態、国際状態はまだ安定を欠いております。大戦争のあとにおける国際関係は、その安定を生ずるまでには相当の時間を要するということは歴史の証明するところであります。ゆえに、この変転きわまりなき今日において、世界経済の一環をなす日本の経済に長期計画を立てるがよいか悪いか、私はこれは問題であると思うのであります。いわんや、長期計画を立てることによつて国民がもしあやまるならば、長期計画を立てて一年、二年にしてこれを変更しなければならぬというようなことがもしありといたしましたならば、いたずらに国民を迷わすものであると私は思うのであります。また、長期計画を立ててないがために東南アジア諸国との間の経済協力もしくは外交も回復しないという結論でありますが、現に東南アジア諸国との間の経済協力あるいは国交の問題については漸次歩を進めておることは、昨日も外務大臣から説明をされた通りであります。また、対米外交なるものが完全に信頼を失つておるためにMSAの協定もいまなおできないではないかというお話でありますが、MSAの協定はやがて近く成立いたす考えであります。ゆえに、結果から申しまして、長期計画がないからアジア諸国との間の経済協力もしくは国交の回復ができないとか、あるいは対米外交が全然信頼を失つておるというようなことは、これは私がただちに首肯できないところであります。
 また、耐乏生活をやるならばまず範を示せ。ゆえに政府は、この二十九年度の予算において耐乏計画を立てておるのであります。すなわち、政府みずから実行せんといたしておるのであります。
 詳細については主管大臣から答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕
#8
○国務大臣(岡崎勝男君) お答えを申し上げます。賠償問題を中心とする対アジア外交の方途いかんというような御質問でありますが、これは昨日かなり申し上げたわけでありますけれども、われわれの方でもずいぶん努力していることはもちろんでありますが、東南アジア諸国には、それぞれ国情によりまして、なかなかむずかしい点もあるようであります。従いまして、こちらだけでやつてもなかなかできない場合があることは御了承願いたいと思うのであります。しかしながら、東南アジアが最もわれわれとして重点を置くべきところであることはおつしやる通りでありますから、賠償問題のみならず、その他いろいろの方法で東南アジアとの外交を進めて行きたいと考えております。ただいまいろいろの問題をやつておりますが、昨年の秋私も東南アジアへ参りまして、いろいろ話もしてみました。しかしながら、一年、二年とだんだん年がたつに従いまして東南アジアの理解も深くなりまするし、私は決して前途を悲観しておるわけじやありません。そして、おそらくだんだんと相互の理解が深まるにつれまして話合いはついて来る、こう信じておるのであります。さよう御了承願いたいと思います。
    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇〕
#9
○国務大臣(小笠原三九郎君) 日本の財政経済政策が総合的に立てらるべきものであるというお説についてはまつたく同感であります。従いまして、私どもは、これを財政面からは緊縮予算の線を貫き、金融面からは引締め政策をとり、貿易面からは輸入の抑制、輸出の増加をはかり、産業面からは近代化、合理化によるコストの引下げをはかり、国際収支、外貨の面等からはその輸出入の均衡をはかる、こういうことを根本の方針としてすべてのことを立てておるのであります。(拍手)そこで、財政については、昨日も申し上げましたごとく、今のインフレ的であるこの現象を遮断し、将来日本の経済自立をもたらすために、ここであらゆる努力をして参わたいと考えておるのであります。従つて、今度の予算が一兆円以内に限られたのも、そういう見地からでございます。金融の引締めについてはいろいろ御意見の次第もございましたが、私どもは、健全金融の方針を強化して通貨価値の維持をはかることを目標といたしております。これについて、日本銀行の信用政策あるいは国庫指定預金の操作をやるほか、金融機関の現在における日銀依存の弊風を改めるために、近く金融の正常化に対する措置をも講じたいと考えておる次第であります。
 なお補正予算のことについてお話がございましたが、これは補正予算を編成する意図を持つておりません。
 なお緊縮予算のしわ寄せ問題についてのお話がございましたが、これは、これだけの緊縮予算をやるのでありますから、相当なデフレ的現象が各方面に出て参ることは避けがたいことと思うのでありまするが、でき得るだけこれを阻止するために、漸進的にその方法を講ずる考え方でございまして、これは昨日御説明申し上げた通りであります。
 なお中小企業につきましては、その少い予算のうちでも、今年は中小企業助成費を昨年より増額いたしておることをもつて御了承願いたいと存ずるのであります。(拍手)
 なお、税制の改正について資本蓄積上からのお話がございまして、これはまことにごもつともに存じており、私どもも、これは、資本蓄積の必要な点から、たとえば長期の預貯金に対する特別待遇あるいは生命保険等の税制上の措置、さらにそのほかにおきましてもいろいろな資本蓄積上の特別措置を講じたいと考えております。
 さらに資産再評価についてのお話がございましたが、私どもは、強制するという考え方は持つておりませんが、これを促進いたしたいと考えておりまするので、従つて新規増資等について税制上特別な措置を講ずることにいたしたい、かように考えております。
 なお、日本経済の自立につきましては、私どもは、あくまで、これは世界経済の推移に応じつつ、日本が世界経済の一環としての役目を果しつつ機宜よろしきを得、春に春のことをなし、夏に夏のことをなすことによつて政治をやつて行くのが実情であると考えておるのであります。(拍手)
    〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#10
○国務大臣(愛知揆一君) 昨日も申し上げましたごとく、今日のわが国経済の問題は、国内の生産と国内の消費と国際収支との間に不均衡を生じて来ておる点が今日の問題であると存じます。従つて、これからの経済政策といたしましては、この生産と消費と国際収支の相互間のバランスのとれた経済を回復いたしたいというのが私どもの念願でございます。しこうして、ただいま大蔵大臣からも申しましたことく、諸般の政策を総合的に推進しなければならないのでありまするが、その基本は、私は財政金融を通ずる一連の緊縮政策がその基礎であると思います。これによりまして国内の購買力を圧縮するということが必要でございます。また一面におきまして、産業政策といたしましては、企業の合理化、コストの切下げということの必要なことは申すまでもございませんが、この点について、ただいま御指摘の資産の再評価というような点については、私は法律で強制することはいかがかと思いまするが、資産の再評価を阻害しておつたようないろいろの原因を税法上その他において除去することによつて徹底的に資産の再評価をやつていただきたい。かくすることによりまして、企業の実態というものが、経営者のみならず、従業員あるいはその他の関係の諸君、よくこれらの方々に内容が把握されるということは、とりもなおさず企業を合理的に推進することができるわけでありまして、私どもはその点に大きな期待をかけておるわけでございます。
 なお、輸出の増進あるいはコストの引下げについて設備の近代化をはからなければならぬという御趣旨でございますが、この点はまつたく同感で、私も昨日申し上げました通りであります。従つて、かくのごとき必要な外国の機械なりあるいは技術の導入なりについては、わが国の技術水準を向上せしめまするために必要ならば、従来と同様に優先的な外貨の割当も必要であると思います。しかし、ここでさらに望むらくは、乏しい外貨を最も有効に利用いたしまするために、原則として海外の優秀機械は見本的にこれを輸入する、爾後は、これをモデルにする国産機械をできればマス・プロダクシヨンができるように指導することが肝要であると考えます。
 最後に中小金融の問題でございまするが、ただいま大蔵大臣からの答弁の通り、財政上においても乏しき中を相当の配意をしておるのでございまするが、この問題はひとり財政資金の量の多い少いだけが私は問題ではないと思うのでありまして、もちろんこの点も必要でありまするが、しかしながら、中小企業者の信用力を補完する制度、あるいはまた組織化をもつと拡大し充実するということも必要であると思うのでありまして、これらの点につきましては、たとえば信用保証協会の法制化等について大幅な改善がすでに行われておりましたが、今後いよいよその機能の十分な発揮に努力いたしたいと存じます。なおまた組織化の拡大と充実等につきましては、協同組合の共同施設に関する国庫補助金等についても相当の配意をいたしましたことをつけ加えて申し上げたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
#11
○国務大臣(小坂善太郎君) お答え申し上げます。
 経済自立達成のためには、労使関係の協調安定を期することが喫緊の要務であるという点につきましては、強く御同感であります。従来、労働問題というものは、労使間だけの問題に限られているような見方をしておつたこともあるのでありますが、これは国民全体の問題として取上げねばならないということを申しておるのであります。すなわち、政府といたしましては、関係者がよくその国民経済の現状と世論に対する良識を持ちまして、日本経済の自立を阻害するような年中行事的なベース・アツプ闘争を排撃する、そして労使協調して生産の向上と実質賃金の確保をはかる体制を確立することを強く期待しておるのでありまして、このだめに必要な諸資料をできる限り広く配布しておる次第であります。そして、その納得、理解を得るように努めておる次第であります。
 民主主義の未発達な、未成熟な段階におきましては、組織労働者五百九十万のうちごく少数の、一握りの極左的偏向を持つ者によりまして全体の労働運動がゆすぶられたという点につきましては御同感でございまするが、これにつきましては過去のことで、今後は、順次労働組合の健全なる良識の回復とともに、こうした問題が逐次解消せられて行くということを考えておるのであります。一年も前に、いわゆるスト権を中央に集約いたしまして、無条件に集約せられたるスト権をもつて一片の指令を出し、それによつてスト権が発動され、そうして日本全体を麻痺させるようなストもできるというようなことは、これは民主主義の未発達な段階においてはあり得るかもしれないけれども、今後においてはまことに不可解なことと言わざるを得ぬと思うのであります。(拍手)試みに数字をもつて申し上げますると、昭和二十七年の争議によるところの損失日数は、延日数にいたしまして千五百七万日を持つておるのであります。しかし、今申し上げましたようなことで、次第に労働者諸君の理解と納得を得ましたことかと思いまするが、昨年度におきましては、一月から十月まで――その後の統計はまだ集計が終つておりませんが、一月から十月までの間の争議損失日数は三百二十三万日でございまして、一昨年の千五百七万日に比べまして著しく減少しておるのであります。
 なお、次に失業の問題についてお話がございましたが、潜在失業者というものの意義につきましては、一定いたした見解が非常にとりにくいのでございまするが、八百万人という数字は私どもは理解しておらないのであります。政府といたしましては、総理府統計局の調査によりますると、労働力調査でありまするが、昨年の三月におきまして完全失業者が一番多かつた。御承知のように六十一万人になつたのでありまするが、その後逐次減つて参りまして、この十一月には三十七万人に減つて参つたのであります。この数字は、前年の同月に比べますと二割四分減つておるのであります。なお就職希望者を合せましても、これは三百五十万ないし四百万程度であると考えておりまして、この数字も必ずしも全部が潜在失業者であるということは言い得ないと思いますので、八百万人というのは少し多きに失するかと思います。しかし、なお今後の情勢を見まして、この失業対策につきましては十分遺憾なきを期する考えでありまするし、予算面においてもその措置をいたしている次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣木村篤太郎君登壇〕
#12
○国務大臣(木村篤太郎君) 三木君から別段私に対して答弁の御要求がなかつたように思つておつたのであります。しかし、今議長から私に答弁しろということでありますから、あるいは重複するかもしれないが、申し上げたいと思います。
 三木君の御質問は、要するに漸増計画についてのお話じやなかろうかと考えております。申すまでもなく、安保条約におきましては、暫定処置として、日本の国外からの攻撃に対してはアメリカ駐留軍がその任に当ることになつているのであります。それと同時に、日本においてもなるべくすみやかに外国からの直接侵略に対しては対応できるような処置を講ずることを期待されているのであります。これは当然のことであります。われわれ独立国家となつた以上は、みずからの手によつてみずからを守る態勢を一日も早くとりたい。しかしながら、これは日本の財政力の許す範囲においてなすべきことであつて、決して日本の財政を破綻に陥れるようなことはやるべきものじやないという建前を持つております。われわれといたしましては、どのような程度において日本の保安隊――今度はあるいは自衛隊になるかもしれませんが、これを漸増せしめるかということについて、いろいろ計画を立てているのであります。しかしながら、ここで申し上げたいのは、一つの計画を立てるにしましても、確定のものは決して立てられるものじやありません。国際情勢の変化その他兵器の進歩によりまして、これは何箇年に幾人ふやすとか、幾万の人を制服員として養成するかということは、申すことはできません。ただ、二十九年度においてわれわれはどれだけのものをふやすかということをいろいろな角度から計算して、今その計画を着々立てている次第であります。(拍手)
#13
○議長(堤康次郎君) 三木君より再質問の要求がありますからこれを許します。三木武夫君。
    〔三木武夫君登壇〕
#14
○三木武夫君 非常に重大な段階に立つているときでありますから、政府が一つのこういう計画を持つてこの難局を打開するんだという具体的なプログラムを私は求めたのであります。(拍手)ところが、御答弁はみな、一生懸命にやります、全力を尽してやりますといろ以外の御答弁はなかつたのであります。しかし、これは予算委員会等においてただすよりほかはございませんが、ただ、吉田首相のお考えは、私は非常に間違つていると思うのであります。(拍手)どこの国でも、条件の悪い国は、やはり長期経済計画を立てているのであります。計画を立てている国はどこにあるかと言うが、立てていない国は珍しいくらいであります。(拍手)これはどうしてかと申せば、非常に条件が悪いのでありますから、資金も潤沢にない。あるいは物資も潤沢にない。これをやはり有効適切に国の経済復興に使うようにするためには、計画を立てる以外に方法がないのであります。そういうふうな計画がないから、今回の場合でも、こんな急激な政策の転換をしなければならぬ。もし計画が立つておれば、きようはインフレをやつておつて、あしたはまたデフレというような、急激な政策の転換は必要がないのであります。そういう点から考えまして、どうしてもやはり計画を立てないと、国民の努力というものが浪費される結果になる。去年の国民の過剰浪費というのも、そういう無計画な結果であります。また、総理がごらんになりましても、たくさんに新しいビルが建つているが、設備の改善のごとき資金が不足するというよろな事態は、資金の計画がないからであります。そういう点から、私は計画を立てたら――世界情勢の変化によつて違うのではないかと言うが、違うこともありましよう。違つたつていい。そのときには変更すればいいのでありまして、一ぺんきめて、それを永久末代かえられぬというような計画、そんな計画経済をやつておる国はないのであります。そういう点で、どうか、その日暮しというか、何とかなるわという安易な政治のお考え方はこの際改めていただきたいのであります。(拍手)何とかなるものじやない。みずから日本のこの困難を打開しようという計画的な努力を除いて日本が何とかなるものではないのであります。(拍手)この点について、総理のお考え方は、私どもと基本的な考え方が違うのであります。そういう点に対する総理のお考え直しを願いたいと思うのであります。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
#15
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。御意見はよく承りますが、お話のように、その基本において相当意見の相違がございます。長期計画を立てる、計画を立てなければいかぬと言わるるが、私は計画を立てることはどうかということに疑いを持つのであります。むしろ個人の自由なる企業心によつて変化に処する、これが私が希望いたすところの自由なる活動であります。自由なる活動によつていたすことにいたしたいと私は考うるのであります。ゆえに、長期経済とかあるいは計画経済ということに対してお話は承りますが、私はただちにこれに対して賛成はできません。(笑声、拍手)
#16
○議長(堤康次郎君) 伊藤好道君。
    〔伊麟好道君登壇〕
#17
○伊藤好道君 私は、日本社会党を代表いたしまして、総理大臣以下関係閣僚に対しまして、その施政方針について若干の質問をいたしたいと存じます。
 私は、まず政府のいわゆる再軍備政策に関しまして、率直、端的にお尋ねいたしたいのでございますが、近ごろ総理大臣は、戦力なき軍隊という、われわれの常識をもつては理解することのできない珍妙なる新語を発明されまして、保安隊ないし新たにつくろうと計画されておる自衛隊の特徴を表現されているようであります。他方では、吉田内閣は、自衛隊漸増の原則を依然としてとつておりまして、今度のいわゆる緊縮予算におきましても、実に世界の例を脱して、防衛関係費のみは明らかに増加しておるありさまであります。(拍手)そこで、いわゆる自衛力の漸増によりまして、政府は今後、このいわゆる戦力なき軍隊をば戦力のある軍隊、すなわち憲法に政府といえども抵触すると認めざるを得ないところまで増強しようとしておるのではないかという点であります。吉田内閣の意図は明らかに憲法の改正をその意味においては企図しているものと断ぜざるを得ないのでありまして、しかもその企図する程度は、乱暴な緊縮予算の中で軍事費だけが膨脹させられておるところを見ましても、その時期、どういうふうに改正するかについても一定の見通しを持つておるものとわれわれは信ぜざるを得ません。従いまして、この際その点に対する総理の御見解をお尋ねいたしたいと思います。
 第二に、この自衛力漸増の方針をここで本格的にするために、政府は過般来いわゆるMSA条約による援助をアメリカから得ようとされまして、目下東京において日米間に交渉を行い、しかも昨日の施政方針演説におきましては、外務大臣は九分通り両国の意見が一致したと述べておられますが、しかし、その実体、すなわちMSA援助による防衛計画はいかなるものであるか。何箇年間に陸海空の三軍――三軍などというものは、どうもわれわれ平和憲法のもとでは、抵触しないという政府の心臓の強さに実にあきれかえる次第でございますが、とにかくそれはどの程度のをつくろうとするのか。それに対するアメリカの援助はいかなる金額に上り、いかなる種類のものであるか。軍事援助のほかに、いかなる種類の経済援助がどれほどあるのであるか。最近のランドール報告などによれば、正常貿易による以外にほとんど考えられないのでございますが、いかなる援助がどれほど期待できるか。その約束はすでにできておるのかどうか。これに関しまして、一般的なMSA条約の適用域外に、日米間に何らか特別の条約もしくは条約の中に特別の条項が挿入されるのかどうか。さらに防衛金の分担は今後はどうなるのか等の諸点につきまして、私はできるだけ詳細かつ具体的にお尋ねいたしたいと存じます。これは今後の日本の財政の全体を決定する重要な問題でございますりで、本議場ににおいてこの際明らかにされたいのであります。
 さらに、私は外交問題につきまして一、二お伺いいたしますが、総理も外務大臣も、アジアのうちで特に自由国家群との親交を強調されております。このアジアにおける自由国家群とは一体いかなる国々をさすのでございましようか。インドも、ビルマも、インドネシアも、米ソの両陣営の対立に巻き込まれないで、世界の平和を維持するために第三の中立的立場をとつております。従いまして、もしこれを除外するといたしますならば、李承晩の韓国か、蒋介石の台湾か、フイリピン、タイあたりしかありませんが、それとの国交の特殊の親交がいかなる意味を持つておるのでありましようか。われわれは、こうした政府の施政方針の言葉の陰に、どうもこれらの諸国との間に新しい同盟関係、さらに進んでは、政府は知らないと言われますが、世間で伝えられておる太平洋軍事同盟の火薬のにおいをかがざるを得ないのでありますが、政府の真の意図、具体的な方針は、はたしてどこにあるのであるか、総理並びに外務大臣にお尋ねいたします。
 またこの際、これに関連して、政府はなぜに最も近い、古い歴史を持つ隣の大国、中ソ両国に対する国交の回復、親善について施政方針において述べておらんないのでありましようか。ベルリンの四大国外相会議が目下開催されております。原子力についても米ソ会談がワシントンで行われるような状態でございます。その結果いかんは別といたしまして、政府はこの際、こういう両国との国交の積極的な打開について、具体的は一歩前進をはかるべきであろうと信ずるのでございますが、これに対する政府の所信をお伺いいたします。
 さらに政府は、最近再軍備に関連いたしまして、一般的な防衛機密保護法あるいはまたMSA援助兵器に関する秘密保護の単独法を制定するかのような説が伝えらおておりますが、これは、われわれによれば、かつての軍国主義時代の国家機密保護法の復活と同断でありまして、われわれは絶対に反対せざるを得ませんが、この間における政府の意図、具体的な措置はいかように進んでおるのであるか、この点についてお伺いいたします。(拍手)
 また、最近警察法の改正、教員の政治活動の禁止、地方行財政の中央集権的な改正、知事の官選問題、公労法その他労働関係法規の大幅な改正など、憲法違反の疑惑を犯してまでも、政府は、行政の能率化とか、教育の中立性だとか、あるいは占領行政の行き過ぎの是正などという名前のもとに、戦後の民主主義的法規の改悪をあえて犯さんとしておりますが、私は、これらの問題につきましては、これから同僚議員の成田、高津の諸君が具体的に詳細に質問されるはずでございますので、ただ一点総理大臣にお伺いいたしたいのであります。
 総理はワン・マンと言われておられるようで、自由党内ではそれで通るかもしれませんが、日本の公の政治においては、われわれは断じてそれは許されないと思う。これらの民主的な法規の存在は、総理の独善的な、官僚的な行政にはじやまになり、御不便かもしれませんが、これは日本の民主政治の基本的な条件であります。その改悪を意図する総理のほんとうの心持はどこにあるのか、私はその所信を伺いたいのであります。
 私は、次に、本年における日本における最大の問題である経済財政の問題につきまして、さらに国民生活の問題に関しまして、若干の緊要なる点に限つて御質問をいたしたいと存じます。
 私のこの点に関して質問申し上げたい第一の点は、今日日本の国民がみんな心配し苦しんでおりまする日本経済の現状、特にインフレーシヨンの問題でございます。政府も、日本のインフレにつきましては非常に苦心されているようでございまして、そのために一兆円以内の予算、こういう説を唱えられております。しかし、これは、今日の日本のインフレの特別の性質について、私はまつたく認識を欠いた態度であると思うのであります。インフレが恐ろしいからといつて、政府は緊縮、引締めだと騒いでおられますが、他方では、もうすでにことしはデフレの年だ、物価が下方景気が悪くなるだろうという空気が国民一般に蔓延しております。不渡り手形の激増、倒産者の続出、失業者の大量増加がすでに現実の事実となつておるのであります。その点では、インフレどころかデフレなんだというのが、みんなの恐れおののいておる現実であります。それなのに、政府はこれに追打ちをかけまして、大蔵大臣、通産大臣は物価は五%ないし一〇%下ると言つておられる。労働省当局の談話として、失業者は五割の増加を見るであろうと伝えられておる。ある閣僚は、新聞によれば、政治家の百人や二百人は殺されてもよろしい、こういうことを言つておられるのであります。しかしながら、今日の日本の経済の現状は、そんな簡単な問題でございましようか。私はそんな簡単ではないと思う。もしわが国の経済が単にインフレの危機にありますたら、デフレ政策もしくはデイス・インフレ政策をとればこれは直りましよう。また反対にデフレの危機にある、こういうのでありますならば、逆に若干のリフレーシヨン政策をとれば、ある程度の対策になりましよう。しかし、日本の現状は、そういうなまやさしい危機にあるのではないと思う。根本的に言えば、日本の円は下りそうであります。国際収支の悪化に直面して下ろうとしておるのであります。しかしながら、それを食いとめるために緊縮財政、金融引締め政策をとろうとすれば、逆にデフレのさんたんたる状況が現出して来るというのが偽りのない現状であります。私はそこに深刻な事態があると信ずるのでありますが、政府は、この重大な時局に対して、この重大な経済財政の事態に対して、十分な、はつきりした認識をはたして持つておられるのであるかどうか、この点につきまして、私は総理以下関係大臣にお尋ねいたしたいのであります。
 この根本的なインフレの危機は、通産大臣も言われるように、私もただいま指摘いたしましたように、まず円の下落の危機とし確かにわれわれの眼前に現われて来ております。これは、申し上げるまでもなく、昨年より国際収支がいよいよ悪化いたしまして、そうして広義の特需をも含めて二十八年度の国際収支はおそらく二億四千万ドルの赤字になるであろうと見られるに至つた事実の上に立ちまして、昭和二十九年度におきまして、政府としては、最近収支とんとんであるとか、あるいはまた一方では一億ドル以内の赤字であるとかいうお話があるようでございますが、専門家によれば、三億ドル以上の赤字が出るのではないかと憂慮されておるのであります。従いまして、日本の国際貿易に必要な運転資本を除けば、二十九年の三月には日本の外貨はゼロにひとしい状態になるのではないか、そういう事態になりまして、そうして一般的に円為替の切下げが通説のように広く伝わつておるという事事があります。もちろん、こうした事態が現出いたしましたことについては、昨年の冷災害による食糧輸入の増加、あるいはポンド圏の貿易が悪くなつたとか、それぞれ特殊の事情もございましよう。ただ、しかしながら、それらを共通して、一般的に日本経済に内在する根本的な原因がそこに横たわつておるということは、これは何人も否定することのできない事態だと私は思うのであります。従いまして、政府自身が御存じのように、一兆円予算をとり、あるいはあれこれいろいろ対策を考えられておるのであります。
 しかしながら、私が第一にお尋ね申し上げたいことは、政府はこの事態の重要性に対して認識することがおそ過ぎた、あるいはまたそれを軽視し過ぎた点に対する政治的責任であります。私はここで政府当局のその都度の言葉じりを一々とらえようとは思いません。具体的な政策をとつてみましても、朝鮮動乱が起きまして、世界が買手市場となり、原料の不足、物価の騰貴が憂慮されたときにとられました輸入奨励的な輸入に対する政府の政策、これは実に昨年十月に至つて初めてそれを幾分改める政策がとられ始めたのであります。いやしくも多少とも前塗を見通すならば、一年間は優に政府の施策は私は遅滞していたと思うのであります。(拍手)しかも、いまなおわれわれは、たとえば硫安をとりますならば、内地のお百姓には高く売り、それによつて外国には安く輸出し、そうしてその硫安のかわりに何が入つて来るかというと、輸入業者の損失を埋めるためにわざわぎ高い台湾のバナナがわれわれの手に入るという、こういう状態であります。(拍手)こういうべらぼうな輸入政策は今日もとられておるのであります。政府はこんなでたらめな施策をしていて、はたしてこの重大なる円の危機、この重大なる国際収支の悪化の事態に対して、ほんとうに認識しておられるとわれわれは信用することができましようか、私は断じてできないと思うのであります。(拍手)
 そこで、私が質問いたしたい一つは通貨制度に関する問題であります。普通の金本位制ならば、申し上げるまでもなく、外貨が減れば通貨は収縮し、物価は下つて、そこから輸出増進の基礎条件が生れて参ります。しかし、日本の今日は、金本位制がとれるはずけもとよりございません。ただ、しかしながら、現在の日本に起りましたる事態は、外貨は減りつつある、それにもかかわらず輸入はふえる、そうして物価が騰貴しているという、まつたくさか立ちした事態が展開されたということでございます。従つて、私は、現行の管理通貨制度のもとにおいて、たとえば保証発行制度などの問題につきまして、現在の通貨制度に対して改善をはかる意思があるかどうか。これについて政府の所信をお尋ねいたします。
 第二には、私は輸入の抑圧の問題について申し上げます。政府は、きのうも承つておれば、たとえば原料の羊毛、綿花などの輸入を削減する、そうすると国内の製品の値段は上つて、かえつて物価政策上まずい、こういうようなお話のようでございます。これは但し、輸入についても非常に野放しな政策をやるということを前提として、初めて答えが出て来る問題でございます。しかしながら、日本の二十八年度の国際収支の悪化、輸入の悪化は、輸入の異常な増大によるところが大きいことは事実であります。従つて、われわれは、これに対してもつと直接的かつ計画的な抑制政策をとらなければならないと信じますが、政府は、二十九年度において、単に一般的なわれわれの承つただけの漠然たる政策によつて、輸入の抑圧をはたしてできるものと考えられるかどうか、特に外貨資金が欠乏して参りまして、そういう状態のもとで貿易政策をとれば、見越し輸入の問題が起きて参りまして、ますます物価、国際収支に対して悪い影響を与えると思うのでございますが、この点について、政府はもつと直接的、計画的な輸入に対する規制を行う意思はないか、そういう方針についてお尋ねいたします。
 第三に、私は輸出の振興政策についてお尋ねいたしたいのでございます。輸出の振興は今日だれでも叫んでおります。従いまして、この輸出の振興それ自体についてはだれも異存はございません。政府は、承つておれば、輸出市場の不案内あるいは貿易商社の問題、あるいは輸出品の品質、規格の問題、体裁の問題、あるいは在外公館の少いというような幾多の事例をあげて、何かこれをばらばらに直して行けぱ幾らか輸出がふえるかのような印象をわれわれに与えられておりますが、実際は、一番大きな原因は、これは政府も認めざるを得ない輸出品の価格の高いこと、しかもその高さは少くとも二〇%あるいは三〇%に上るだろうという事実であります。従いまして、その差を今後の国際物価の下落り世界的な傾向の中でどうして埋めて行くかということは重大な問題であります。よほど従来と異なつた新しい政策がここでとられなければ、私どもは国際価格のハンデイをなくするということはできないと思う。(拍手)こういう事態を認識いたしまして、そうしてその事態の上に立つていかなる政策が必要であるか。政府によりますならば、物価は五%ないし一〇%下ると言われる。しかし、その間に世界の物価が五%ないし一〇%下つたらどうなりましよう。格差は依然として残るのであります。むしろ、日本には、電気あるいは運賃などの公共的な価格、あるいはまた消費税の増徴が行われておるのでございまして、これらの特殊の事情を見ますならば、われわれは、一時的にはともかく、年度末までかけて大勢的にどのような物価の事態が現出して来るかについては非常な問題があると思うのでございますが、政府は、はたしてどういう経過をたどつて、どの程度の物価の引下げを今年の日本経済に期待することができるか、しかもそれが輸出振興にどのように響いて来るか、こういう点につきまして、私は重大な問題でございますので、具体的に正確に御答弁をお願い申し上げます。(拍手)これに大使われわれの考えるところによりますれば、輸出品価格の切下げは、もつと特殊的な、もつと具体的な、急所をついた端的な方針をとらなければならないと思うのであります。設備の近代化、あるいはまた産業の合理化が必要であると言われておりますが、しかし、その結果は今日どのような事態になつておりましよう。たとえば鉄をとつてみますならば、二十六年、二十七年、二十八年にわたつて、一千億円を越える巨額の投資が行われておりますが、設備の近代化はわずかに半分以下のようであります。しかも、私は、鉄の値段が下つたという話を一向聞かないのであります。鉄鋼業におきましては、さらに今後三年間に一千五百億円の投資を行うという計画があるようであります。しかし、その結果も、われわれの今までの事例から見れば見えすいております。電気はいかがでございましよう。電源開発によつて電力はふえそうでございますが、電気料金はまさに値上げ必至の事態に今日あるのであります。(拍手)これは一体何でありましよう。造船いたしましても、国家が利子補給をして初めてやりくりをしておる状態でございます。従いまして、われわれは、今日の日本におきましては、新しい設備を投入いたしましても、決して生産費や製品コストは下らない、そういう事態に立つておるのであります。
 これは、申し上げるまでもなく、新規投資には巨額の資本がいりますが、古い設備を持つた償却済みの大きな会社におきましては、その新しい資本は高くつきますので、従いまして、投入しつつも古い設備とプールいたしまして、そうして経営を営んでおる結果でございます。従いまして、われわれとしては、この際どうしても設備の近代化、生産設備の要するに新規投入を試みますと、ただいたずらに生産がふえ、結局は二重投資、過剰投資となり、そうして今日多くの重要産業、過去数箇年間にわたりまして政府が鋭意心血を注いでやつて参りました重要産業がほとんど軒並に過剰生産であります。国家国民の莫大なる資本がそこでむだ使いされておるのであります。(拍手)従つて、これをどうするかということは非常に重要な問題でありまして、この点に対して、ただ財政の緊縮あるいは金融の引締めによる一般物価の若干の値下りの予想、それでは私は絶対に対策にならないと信ずるのでございます。(拍手)すなわち、この際は、古い設備資本を切り捨てまして、そうしてその古い設備資本を切り捨てることによつて財政投資や利子補給金も必要な際にはやる、こういう建前になれば、個人の資本家、個人の経営者ではだめであります。古い企業はつぶれてしまいます。従いまして、私は、重要な基幹産業、たとえば鉄、電力のごときにおきましては、これを国家管理、国有、もしくは何らかの公共的な規制を施すことによりまして、国家の新しい資本の投入と古い設備の切捨てを行う、われわれの言う社会主義的政策こそが一番現実にぴつたりします。(拍手)この際、これが、どうしてもわれわれが日本経済更生のためにとらなければならない重要産業に対する基本的政策であると思うのでございますが、政府はこの点についていかなる御見解であるか。そういうことをしないで、しかも資産の再評価を強制的に行わないで、何らかの障害を除去するというようなそういう方式で、この一年間にどれだけ輸出品の単価が下り、どれだけ輸出規模が国際競争の激化するさ中において実現できるというお見通しであるか、この点についてもお伺いいたしたいのであります。(拍手)
 輸出振興に関する次の大きな政策は、申し上げるまでもなく市場を転換することでございます。すなわち、これを意識的、計画的に行うことであります。政府の方針をお聞きいたしましても、東南アジア方面に対してはいろいろ努力するということを言つておられますが、しかし、ただいま申し上げましたように、その市場の意義、重要性は限定されておるのでございます。従いまして、この際、思想やあるいは政策、方針を離れて、経済の実態の上から、政府が中共貿易あるいはソ連に対する貿易、東西貿易の問題に対して、もつと積極的に出なければならない現実の必要に迫られておる、こういう事態が今日われわれの直面しておる事態であると信じます。総理は、よく、これらの諸国が、相手が敵と見ているのだからやりようがない、こういうような御表現で平然としておられます。しかしながら、日本のことしの貿易は、そんななまやさしい、武士は食わねど高楊子式のやり方では、絶対に私は打開できないと思うのでございます。しかも、政府は、今日この事態に何の確たる前途に対する見通しもなく、初めてことしから再軍備費用が本格的に増加しで、そこから新しいインフレの要因がはらまれようとするこの際において、われわれは重大なる円価の下落の危機に見舞われておるのであります。この事態において、維新の三傑のお孫さんである総理としては食べなくてもよいかもしれませんが、八千五百万人の国民はたまつたものではないということを、国会を通じて訴えたいと思うのであります。(拍手)従つて、政府はこの際中共あるいはソ連に対して積極的、具体的な増進政策をとるべきであろうと思うが、この点についてお伺いいたします。
 なお、ポンド圏問題あるいはフランスとの貿易の問題も、去年重要なフアクターとして、貿易悪化の原因でございますが、これらの通商外交の点については、幾分昨日外務大臣もお触れでございますが、大体希望的な観測が多くて、ことしすでに見通しを誤つて失敗しておるのであります。従いまして、この際あらためて振り返つて、ほんとうにまじめに自分の立脚点に立つたそういう輸出振興の御計画と御方針を承りたいと思うのであります。
 私はさらに進んで財政の問題について若干質問いたしたいと存じます。政府は、毎度のように、今年度の一般会計の予算は一兆円以下に編入したということをもつて御自慢のように見受けられます。吉田総理もしばしば一兆円一兆円と言つておられるようでございますが、この一兆円という数字には、われわれがそんなにありがたがらなければならない、ふしぎな魅力があるのでございましようか。私はそういうことを強調される総理自身のお口を通じて承りたいと存じます。私どもの見るところでは、この一兆円予算は、少しく検討いたしますならば、連合国財産補償費その他四つほどの項目を一般会計からはずした結果、数字的のあやをもつて出て来た数字でございまして、それらを加算すれば一兆四百億円に上るのが実際の今年度の一般会計の予算でございます。
 そこで、これは改進党の三木さんからも御質問が出ましたが、私は、補正予算について、あらためて大蔵大臣に大きな声でひとつ言明していただきたいのであります。それは、われわれの見るところによりましては、すでに政府の租税見積り収入は数百億円もしくは一千億円近い少い見積りでございます。MSA交渉の結果、どういう再軍備の計画が出て来て、一般予算に対して補正予算が出て来ないか。さらに下期以降、いわゆる政府のデフレ政策が施行されまして、国民経済が非常なあぶない状態になつて来た場合に、政府はあらためて補正予算を組まざるを得ないはめに陥るのではないかということを、われわれは、日本の財政史から、そして今日の実情から推断するのでございますが、これに対して大蔵大臣はあらためてもう一度言明をお願いしたいと思うのであります。(拍手)
 私どもは、インフレの危険については非常に重要視するものでございます。従いまして、一般的に財政をいたずらに膨脹させるということにはもちろん反対でございます。しかしながら、今度の予算のように突然として一兆円という線が出て来た。先国会においては、大蔵大臣は一兆円を数百億円越えるであろうと現実に言明されておつた。それにもかかわらず、無方針、無計画に、突如として、数字の表面的なあやではございますが、一兆円予算を組み、さらにそれについて金融の引締め政策までおつかぶせて行こうというのでございます。しかし、その過程において、要するにこの縮小して行つた経済は、そのままがいくら何でも自由党の吉田内閣の理想ではないと私は思う。いつかはこれが拡大して、つり合いのとれた日本の自立経済を目ざして行かれると思う。従いまして、いついかなる過程を経てそういう拡大された均衡が実現されるというお見通しであるか、この点につきまして、私は具体的に承りたい。またそのためにはどういう施策を行うつもりであるか、こういう点につきましても、あらためて私は政府にお伺いいたしたいのであります。
 私は予算の内容につきましては予算委員会にお譲りいたしたいと思いますが、ただ二点だけ私は申し上げたいと思います。それは、この予算によりますと、農業、中小企業のさんたんたる苦境、また日本の基礎産業に対する投融資の突如たる打切りによる再建の不能、あるいは文教費の大幅な削減など、いわゆる経済の困難打開、進んでの再建等、国民生活の安定あるいは民主的教育の実行、こういう問題がすべて全面的に削減されておることでございます。これは本予算の一大特徴でございます。従つて、その結果、はたしてどういうことになるでありましようか。私は申し上げます。単純なるデフレではございません。こういろ商売の方、百姓の方、あるいはまた労働者の方々は、賃金や収入が減ります。あるいはふえません。その上にもし円価の下落があるならば、幾分の程度において漸次全面的に及びますが。それぞれに応じて貨幣価値の低下が参るのであります。従いまして、収入なり賃金の値打は一段とそこで下るのでございまして、この二軍の圧迫に対して、これらの業者、これらの国民がどういう状態になるかということは、これはだれでも明白に推定できると思う。だからこそ、労働省当局でさえ、失業者は五割ふえると言うのであります。農業、すなわち長期にわたつて計画的にわれわれが努力を積み重ねて行かなければならないところの農業はどうなりましようか。冷水害の対策さえ、むだ使いされている、あるいは誇張されているというようなことをいい口実にして打切られております。ことし災害がないという保証は、だれができましようか。(拍手)こういう事態、また中小企業に対して、通産大臣は信用保証協会の育成というようなお言葉を言われる。しかし、信用保証協会の保証によつて銀行から金の借りられる人はまだいい方である。保証協会がどう保証しようとも、あるいはまた保証協会も保証しないようなそういう人々は、一体どうして金の融通をつけられるのであるか。こういう点について、真に苦しんでいるこういう諸君の立場に立つて、私はまじめな御答弁をお願い申し上げたいと存ずるのであります。
 さらに失業者の問題。政府は失業保険などの金額を大体前年並に押えたことをもつて自慢されておる。しかし、政府でも、一方では五割ふえると言う。現状維持であれば五割足りなくなる。すでにこの前でも足りないのであります。従つて、ここではふやすべきものが、せいぜい現状維持か、減らされておる。これが今度の予算の一大特徴でございまして、私はそういう点において第一の問題として指摘したいのであります。
 私は次の問題に入ります。われわれは、いまさらここで戦力なき軍隊などという問題には立ち返ろうとは思いません。それだけの時間の余裕がございません。ただ、今日世界の諸国において、財政を圧縮しあるいは減税を行うという場合に、どこの国でもまず第一に手をつけられるのは、申し上げるまでもなく軍事費であります。(拍手)国民生活がゆたかであつて、ちよつとした数字を見ても、日本の十五倍か二十倍の高い生活水準を維持しているアメリカ合衆国におきましても、本年大統領は軍事費及び経済対外援助の費用を削減しておるではありませんか。これはイギリスその他世界万国共通した今日の財政の基本政策でございます。ところが、日本におきましては、それに加うるに、このインフレの危機の問題がございますから、従つて財政を膨脹させる大きな原因であると同時に、特別にインフレを直接に刺激するところの軍事費、これを押えつけることは絶対に必要である。われわれの党の再軍備反対の立場を離れても、いやしくも常識のある政治家ならば、今日軍事費を減らすということは、これは政治の常識であると私は信じて疑いません。(拍手)政府は、この国際的な大勢、政治経済の常識に反しまして、インフレを阻止するという金看板を上げられながら、軍事費を増加しておられる。これは一体いかなる理由によるのであるか。私は総理大臣にこの点をお伺いしたい。
 総理大臣は、常に、国際的には確かに冷戦はある、但し平和の希望、平和の傾向はふえて来ておると、たびたび言明されておるのである。それを、何を好んで、われわれ同胞のさんたんたる苦痛を押えて、何がゆえに軍事費だけを大幅に、ことしの残を入れれば相当大幅にふやさなければならない特別の理由を私はお伺いしたいと思うのであります。しかも、今日言葉の遊戯を離れまして、いわゆる実質論に入りまするならば、日本の予算は、昨年度においても相当大きな防衛関係の費用を盛つておるのであります。従いまして、言葉の遊戯を離れて実質的に言えば、日本には要するに軍隊はおるという遺憾なる実情でございます。従いまして、私は、独立国だから云々などという言葉は、この際全部御遠慮申し上げたい。こういう答弁では私は納得いたしません。もつと具体的に、そして具体的な必要を私は政府によつて説明してもらいたいと思う。われわれは、独立国だと言われておるが、独立国の財政のあり方はこういうあり方ではないと思う。(拍手)ただいま申し上げましたように、まず軍事費を減らし、不急不要のものから削つて行つて、不景気によつて倒れる者、苦しむ者に対して、あたたかい情のある政治をするのが独立国としての建前であります。従いまして、こまかい文献を渉猟するまでもなく、私はこれは明らかに日本の吉田内閣がアメリカから強要されてつくつたという印象を強く受けざるを得ない。要するにMSA受入れの再軍備予算であると、理論ではありません、具体的な事実によつてわれわれは断定いたしたいのであります。(拍手)
 昭和の初め、金輸出再禁止が行われましたときに、金の価値の騰貴を見越しまして三井財閥が莫大なドル買いを行いまして、一世の輿論の非難を浴びました。二十余年後の今日、吉田総理の緊縮予算をめぐる物価下落論、不景気論と関連いたしまして、あるいは関連しないかもしれませんが、兜町界隈ではどうも売方を援助しているのではないかというようなうわさが伝わつているようであります。(拍手)私はそういうことは信じたくはございませんが、そういうデマの出て来るのは、明らかに筋の通らない、科学的根拠のない、ある意味において乱暴しごくの緊縮予算、すなわちMSA軍事予算がつくられた結果であると私は断定いたしたいのであります。小笠原国務大臣の言葉をかりれば、私は本年度の予算は日本の国家の存亡と八千五百万の民族の運命に関する重大な問題であると信じまするがゆえに、国会を通じまして、民主的に広く全国民諸君に対し、政府の施策の本質、その目的と結果がどのようにして出て来るかに対する見通しにつきまして、この際詳細かつ具体的に明らかにしていただきたいと存ずるのであります。
 最後に、私は一言申し上げておきたい。すでに司直の手に渡つておりますので、私は詳しい具体的なことは申しません。いわゆる造船汚職事件が起きておるようであります。(拍手)これは私は内容については一言も申し上げませんが、故意か偶然か、きのうの政府施政方針には、今までの一枚看板であつた綱紀の粛正という五字が抜けておるようでございます。(拍手)しかしながら、それにもかかわらず、この問題の政治的責任は、最近のいろいろな世上伝えられる問題と関連いたしまして、綱紀の粛正に対しまして国会に重大な決意を促すものがあるとわれわれは信じます。率直に政府の綱紀粛正に対する所信をただしまして、私の質問演説を終ることにいたします。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
#18
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。
 再軍備はいたさない、憲法に禁止されておるごとき戦力を持つ軍隊は持たないということは、しばしば申した通りであります。従つて、これを持つ計画はございません。
 軍事同盟云々のお話がありましたが、従つて、いかなる国に対しても軍事同盟をいたす考えはありません。
 また共産主義国との国交をどうするかということでありますが、これは、しばしば申しました通り、共産主義国から国交回復の協議、交渉があれば喜んでこれに応じますが、しかしながら、わが国から進んでこの交渉を開く考えはございません。民主主義に反するような構成、もしくは民主主義を否認するような構成への改革は許さないりもりであります。
 次に、防衛費の増加でありますが、これは防衛漸増の方針に立ち、従来の既定の方針に従つて漸増いたすのであります。
 綱紀粛正に対しては、あくまでも厳然たる態度をとつてこれに臨むものであります。(拍手)
    〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕
#19
○国務大臣(岡崎勝男君) MSAによる防衛計画はいかなるものかという御質問でありますが一防衛計画は日本側で定めまして、これに基いて援助が来るのであります。なお、援助の内容については、防衛力の漸増に関するものでありますから、兵器その他保安庁の必要とする装備を主とするのは当然でありますが、これに関連して域外買付等によつて相当経済に好影響があると考えております。また五百五十条に基く農産物の買入れにつきましては、池田特使の努力等もありまして、相互の理解が進みましたから、これを円で買いつけるほか、五分の一は贈与として日本産業の育成に用いることになろうと思いまするし、また将来経済援助の問題もこれが契機となつて発展することがあると考えております。
 東南アジア方面の自由国家群とは何だというお話でありますが、私の考えでは共産主義でない国々をさしております。但し、いかなる程度にこれらの国々と提携ができるかは、こちらとしてはできるだけ密接な関係をと考えておりますが、それは国情によりまして異なるところもあると考えております。
 東西貿易についてのお話でありますが、イデオロギーの差と貿易とは別でありまするから、今後とも貿易はいたします。ただ、今までの相手国のやり方を見ますると、非常に多くの期待はかけられないのじやないかと考えております。しかし、他の自由諸国と同様の立場でもつて貿易は増進する考えでおります。(拍手)
    〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#20
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまの御質疑にもありましたように、物価の国際的水準へのさや寄せが第一でありまするからこそ、今回の財政金融政策の一連のものをわれわれとしては最も妥当な政策と考えるのであります。
 現在がインフレであるかデフレであるかという点についても御議論がありましたけれども、現在がすでにデフレであるとは私は毛頭考えません。インフレ的な様相が深刻であればこそ、かくのごとき政策をとらんとするものでございます。しかも、かかる政策をとることによりまして、申し上げるまでもございませんが、輸出品の価格が漸次下つて輸出が振興するでありましようし、また賃金にいたしましても、実質賃金は向上して賃金は安定するということになるわけでございます。
 かくして、本年これから二十九年度の大体の姿を考えてみまするならば、一兆円以内の今回の予算案のもとにおきまして、大体昨日も申し上げましたように、他の金融政策等の進展と相まちまして、物価は年度間を通じて五ないし一〇%下るであらうと予想いたされます。また生産の見通しといたしましては、現在は戦前に対しまして相当高い水準を維持しておりますることは御承知の通り、これが今後なお若干は続きましようが、漸次横ばいないし下向けとなり、年度を通じますれば、戦前に比べて一五二程度におちつくであろうと見ておるのであります。かくして、これが国際収支の上に現われまするところは、輸出が十三億ドル余、輸入が二十一億ドル強、しこうして年度間を通じますれば、昨年の凶作に関連いたしました緊急輸入分の赤字が本年もまだ続いておるわけでございますが、それを入れまして、年度間を通ずれば大体一億ドル余の赤字になり、ある時期すなわち二十九年度の後半をとれば、収支は完全にとんとんになるであろう、かような見通しのもとに、生きものの経済でございまするから、その間において随時適切な措置を講じて行くつもりでございます。
 次に、合理化の問題につきまして、例をあげて、合理化の掛声だけで財政投資をやつても一つも効果があがらぬというような御質問がございましたが、事実は断じてさようではございません。たとえば石炭をとつてみまするならば、トン当り五百円ないし六百円が下つておりますことは客観的事実であります。鉄、銑鉄、鋼材について申しますならば、第一次の合理化によりまして、銑鉄において約三%鋼材において二ないし一〇%の値下りを見ておりますることは、これは客観的な事実でございます。
 次に市場の転換の問題でありますが、たとえば、いわゆる中共貿易につきましては、昨年の夏、国会で日中貿易促進の決議が行われました。政府もその趣旨に従いまして極力輸出制限の緩和に努力して、累次の品目解除を行いましたことは御承知の通りでございます。その結果、彼我の貿易量は相当拡大いたしております。たとえば輸出を船積みの実績でとつてみまするならば、昭和二十七年度において月平均約五万ドルでありましたものが、二十八年の一月から十月までの十箇月の月平均は二十八万ドル強に相なつております。輸入の実績におきましては、同じ期間において月平均百二十四万ドル強から二百四十五万ドル強というふうにふえておるのでございます。
 最後に中小企業問題でございますが、まず第一に金融対策といたしましては、申すまでもございませんが、中小企業金融公庫、商工中金、国民金融公庫、相互銀行、信用金庫、信用組合等、中小企業専門の金融機関の資金源を充実いたしまするためにあらゆる方策を講ずる必要があると考えまして、その一環として、来年度の予算におきまして、中小企業金融公庫については百三十億円の財政投資をいたしまするほか、代理金融機関の数も四百以上にもふやしておるのであります。かくのごときことによりまして、中小企業向けの市中融資の促進にも非常に寄与するところが多いと思います。
 その他、今申しました各般の金融機関につきましては、詳細は省略いたしますが――詳細に答えろというお話でありますから詳細に答弁をいたしておるのでありますが、国民金融公庫は御承知のように中小企業金融公庫よりはさらに一段と緊急の度合いの強いところに対する施策を行うところでありますが、これにつきましても九十億円の資金の計上をいたしておるわけであります。その他中小企業の合理化対策、組織化対策につきましては、先ほど御答弁申し上げた通りでございます。(拍手)
    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇〕
#21
○国務大臣(小笠原三九郎君) 伊藤議員にお答えいたします。もつとも、こまかいことは予算委員会で聞くからということでございましたので、ごく大略をお答えいたします。
 政府が日本経済の実情について認識を欠いておるやのお話が大分ございましたが、これは昨日、なぜこのような予算を編成するに至つたかということで詳しく申し上げましたから、これをさらにひとつお考えを願いたいと存じます。
 それから通貨制度について保証準備を採用する等の意思はないかというお尋ねがございましたが、これは、日本は国際通貨基金に加入して、一米ドル三百六十円というのを通貨制度の基礎といたしておりますので、ただいまのところ、さような通貨制度改正の意思は持つておりません。
 輸入政策について、輸入について野放しにするではないかというお話がございましたが、さようなことは毛頭なく、外貨割当をぱ厳正にいたしておりまするので、今後とも外貨予算の編成に十分なる注意を払い、輸入政策に遺憾なきを期する所存であります。
 なお物価引下げ、輸出振興対策についてのお話がございましたが、これは一つの政策でただちに物価を引下げ、輸出を振興するというわけには参らないので、すべての施策を総合してこの結果をもたらすべきものなることは申し上げるまでもないと考えております。
 さらに補正予算についてのお話がございましたが、緊縮予算の方針を貫く以上、補正予算はこれを避くべきものなりと確信いたしております。
 それから一兆円以内の予算のことについて、これは何か数字のあやがあるのではないかというようなお話がございましたが、数字のあやがあるなら、あなたの御心配になるようなデフレその他の懸念がないはずでありまして、このことは、おつしやること自体ではつきりといたしていると思うのであります。
 それからこの予算の配分等についてもいろいろお話がございましたが、私どもは限られた予算の中で適正なる曲分と信ずるもので御協賛を願つておる次第であります。
 さらに、古い設備を捨てて真のコストの引下げを行うべきではないかというお話でございます。これはまことにその通りでございまして、さようなふうに、いわゆる設備の近代化、合理化等を進めて参つているのでございますけれども、しかし、一方には古い設備の切捨てには費用、経理の上に損失を来しまするし、また設備をとりかえるためには相当資金もいりますとか、あるいは雇用の問題等も随伴しまするので、これら各種の事情を十分勘案した上でこれに配慮をいたすことにいたしている次第でございます。
 なお第三次再評価の問題は、さきに三木議員のお尋ねにお答えいたしました通り、これを容易ならしむるため適当なる税制上の措置をとる考えであります。(拍手)
#22
○議長(堤康次郎君) 伊藤君、答弁は以上でよろしゆうございますか。
 水谷長三郎君。
    〔水谷長三郎君登壇〕
#23
○水谷長三郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、昨日行われました施政方針につき、総理並びに関係閣僚に対し若干の質問を試みんとするものでございます。
 まず外交の基本である平和の問題につきまして総理の所見をただしたいと存ずる次第であります。一九五四年は、冷戦の継続という基調の上に立ちつつも、なおかつ国際緊張の緩和を交渉によつてはかるチヤンスがあります。して見れば、わが国の平和外交の基本はまずもつてこの交渉による緊張緩和に置かるべきでありまして、武力の築き上げや力の外交に追随すべきものでないと信ずるが、総理の所見はいかん。(拍手)
 第二は、かかる観点から、原子力兵器の最初の犠牲者でありました日本は、原子力の平和的利用に対しては特別の発言をなす権利と義務とを持つものと信ずるものであります。従いまして、総理は、日本国民の名におきまして、アイゼンハウアー提唱にかかる原子カ国際プール案の成立に対しまして、衷心からこれを支持し、これを推進する意向を表明されるつもりはないかどうか、こういうことを聞きたいのであります。(拍手)
 これに関連いたしまして重要なことは、原子兵器のごとき大量殺戮兵器を含みました各国軍備の縮小でございます。われわれは、社会主義者の軍縮の方式に従いまして、国連の有効な監督のもとにおける各国軍備の縮小、原子力の国連の管理と、同時に原子兵器の禁止を主張するものでございますが、これは世界に比類のない非武装憲法を採択いたしましたわが国こそ最も強く主張することができるとともに、また主張すべきところであると思うが、総理の見解はいかん。(拍手)
 第四番目は、国際連合は現存する唯一の世界的平和機構でございます。国連の実体は必ずしも満足すべきものではございませんが、特にその加盟問題の行き詰まりの打開は、国連の主張である普遍性の拡大のために緊要でございます。また、直接わが国といたしましては、その安全保障の前進及び国際協力の推進のためにも、一日も早く加盟の実現を必要といたします。この点につきまして、従来政府の施策は何ら見るべきものがなかつたことは、きわめて残念でございます。(拍手)はたして総理はいかなる構想をお持ちになるか聞きたい。これに関連いたしまして、拒否権の濫用の禁止、世界的集団保障の強化等を含む国連憲章の改正は、五十五年度の改正期を控えて今年が大切な時期となつたのでございます。政府はいかなる用意をお持ちになつているかということをお聞きしたいのであります。(拍手)
 第二の問題は、外交の一つの基本目標は独立の完成でなければなりません。真の独立達成のため、不平等な安保条約を根本的に改正いたしますとともに、日米行政協定中裁判権問題は解決されたのでございますが、軍事基地の提供、労務、需品等につきまして、わが国の主権を侵害し、わが国民のプライドと感情を害する幾多の問題を解決いたしますために、行政協定の根本的改訂を行うことは緊急不可欠と信ずるのでございますが、政府は依然としてアメリカ一辺倒の追随外交に終始いたしまして、かえつてみずから国民の反米風潮をあおるがごとき、ふまじめな、その日暮しの態度を変更する意思はないかどうかということをお聞きしたいのであります。(拍手)アイゼンハウアー大統領は、年頭教書におきまして、沖縄におけるわれわれの基地は不特定期間保持するであろうと述べております。政府はすべからく、沖縄におけるアメリカ基地の問題は日米間の話合いで解決するものといたしまして、沖縄、小笠原に対するわが国の立法、行政及び司法の権限の完全な行使を要求し、これを貫徹する意思ありやいなやということを聞きたいのであります。(拍手)
 第三の問題は、わが国の安全保障は、独立国といたしまして当然に自主的に解決すべき重要案件でございます。われわれは、最大の安全保障は国際緊張の緩和と国連の安全保障能力の推進にあると信ずる次第でございます。しかし、国際情勢の現状におきすしては、補足的の安全保障制度として、過渡的に地域的集団保障制度の利用もまたやむを得ないと考えておりすす。ただ、その具体的な内容につきましては、特に主権、独立を妨げないように厳に注意すべきことは言をまたないところでございまして、この意味もら、日米安保条約のごとき不平等な形式内容のものであつてはなりません。そこで、いま一つの方式として伝えられる太平洋同盟、アンザス、フイリピン、台湾、韓国、この太平洋同盟のごときものは、わが国として参加すべきではないと信じますが、総理の所見を承りたいと思う次第であります。
 第四の問題は、わが国の安全と至大の関係ある緊急な問題は朝鮮の事態でございます。幸いにして停戦協定が成立いたしましたが、政治会議はまだ開かれておりません。今こそ、この危険な状態を抜本的に解決するために、両陣営に対し、すみやかに政治会談その他の国際会議を開催いたしまして、全朝鮮を通ずる自由選挙の実施、その結里としての全朝鮮の統一政府の樹立による朝鮮の真の平和の招来に全力を傾倒すべきことを強く要請すべきではないかと、われわれは考える次第でございます。両陣営の話合いと互譲による国際緊張の緩和を平和の方式として主張するわれわれは、朝鮮の民主的統一、その緩衝国としての機能の発揮並びに領土の保全は、おもなる関係国が保障することによりまして、朝鮮問題の解決にとどまらず、朝鮮をめぐる両陣営の対立の緩和を主張するものであります。これはあたかもドイツの統一を主張するとともに、ソ連に対しましても不可侵の約束を与えんとするチャーチルの構想とも軌を一にするものでございます。同様の構想の一端といたしまして、台湾につきましては、さしあたり国連の監督下に、台湾が両陣営に対し戦略的な脅威とならないようにし、究極的には、台湾の帰属は台湾住民の自由意思によつて決定せしむべきものでございます。この点に関する総理の御見解はいかがかということをお伺いしたいのでございます。(拍手)
 第五の問題は、わが国外交の一つの焦点は中国関係であります。日本といたしましては、中国の主人公である中共の地位を現実的見地から尊重して恒久対策を樹立すべきことは言うまでもございません。われわれは、ソ連及び中共が共産国であるからという理由から、この隣国との国交調整を怠つては断じてならないのでございます。しかし、同時に、一部の世論のように、自宙国家群との協力や国連の権威の擁護を犠牲にしてまでも、また日本の安全と独立の基本的自由を顧みないで、ひたすらソ連、中共の欲するままの形式、内容におきまして国交の調整をはるという意見には、遺憾ながら賛成することはできません。そこで、われわれは、わが国とこれら両国との国交調整の糸口をば朝鮮の平和的統一に求むべきことを主張するものでございます。中ソがこの平和方式に同意するならば、他面、米韓もこれに応ずることを前提といたしますが、中国の国連代表権の問題も当然解決すべきものでございまして、これをきつかけとして、わが国と中ソとの不満足な状態の打開の道が開かれると信ずるものでございますが、これに対して総理の所見を承りたいと思う次第でございます。(拍手)なお日華貿易につきましても、同様の見地から、わが国といたしましては、とりあえず西欧諸国並の待遇を要求すべきでございますが、朝鮮問題の解決と関連いたしまして、ココムの共産圏に対する禁輸の方式を根本的に再検討いたしまして、純然たる戦略物資については、国際的な軍縮の実施まで引続きこれを送らないことといたしまするも、一般建設資材等は解除いたしまして、もつて東西貿易の流通に努力すべきであり、これは単にわが国の経済自立のために不可欠であるぽかりでなしに、自由世界の強化、ひいては国際緊張の緩和に役立つものと信ずるのでございますが、この点についての総理の御見解を知りたいと存ずる次第でございます。
 第六番目は、東南アジアとの通商経済の推進は、わが経済自立のために不可欠でございます。われわれは、前述のように、対中共貿易の推進を主張いたしますが、その当面の限界を知らなければなりません。といたしますれば、日本の経済自立のためには、全世界との自由通商、なかんずく東南アジアとの経済関係の改善に努力すべきであります。この点におきましては、われわれはまず政府の賠償問題の打開についての努力の不足を指摘しなければならないと思います。われわれは、わが国の能力を越えた賠償にはもとより反対でございますが、政府が誠意をもつて、とりあえず協定可能のものから中間賠償の実施を行い、もつて東南アジア関係国との経済的・文化的並びに政治的関係の改善に努力すべきものと信ずるが、政府の所信を承りたいと思います。
 第二には、東南アジアのいわゆる後進国の経済開発は、全世界の協力による世界的規模における開発計画の策定とその実施なくしては見るべき成果は上りません。さらに、これら後進独立国の多くは、大国からのひもつき援助恥に対しては、いまだ生々しい植民地主義からの被搾取の記憶から反対的でございます。従つて、このような後進国開発援助は、国際連合の監督下におきまして、世界的な機構を通じて行うことが肝要でございます。わが国は進んで、先進国に対じまして、武装の蓄積と軍備競争をもつてしては平和は招来されないこと、よろしく武装強化に使用する余剰の資源をぱ後進国開発に充当すべきことを主張すべきものではないかとわれわれは信ずる次第であります。この点に関する政府の明確なる所信を聞きたいのでございますが、原則といたしましては総理の御答弁を要求するとともに、また問題によりましては外相の御答弁をも要求する次第でございます。
 現在わが国最大の政治問題は防衛問題に存することは言をまたないのであります。わが国の自衛権につきましては、独立国たる以上自衛権を保有することは当然でございますが、自衛権の裏づけである自衛力につきましては、その基盤をまず培養しなければならぬというのがわれわれの主張でございます。国民が国を守らんとする意欲が躍動するような公正にして健康なる社会こそは自衛力の根源でなければならないと信ずる次第であります。政府は、この基本的か考え方を無視いたしまして、かつ一切の戦力を否定した憲法を踏みにじりまして、今までなしくずし再軍備を国民生活の犠牲において実行して参りました。ところが、今般昭和二十九年度予算編成を機に、アメリカの要請と圧迫に追随いたしまして、保安隊を直接侵略に対抗する自衛隊に切りかえ、年次計画のもとに軍備の画期的増強をまずアメリカとの間に約束し、そり一部をすでに予算に織り込んで国会に提出して参りました。われわれは前述のごとき見解に立つがゆえに、この政府の防衛の基本方針とその防衛計画に対して断固として反対せざるを得ないのでございます。(拍手)
 政府は、昭和二十九年度の予算を編成するにあたりまして、国際収支の逆調、インフレ危機の切迫を理由といたしまして、予算編成を緊縮均衡に転換したと言つております。政府の列挙いたしました経済諸困難は、すでに朝鮮動乱景気の峠を越した昭和二十七年末期より表面化しておつたものでございます。すなわち、昭和二十七年は前年に比し、輸出は三百億円減、特需は七百億円減、国際収支におきましては千五百万ドル受取り減となつていたにもかかわらず、政府みずから消費景気の年と称したことく、内需は強く、物価は一割近く上昇をいたしました。このように、昭和二十七年は、昭和二十八年とまつたく同類型の経済困難がすでに表面化していたにもかかわらず、同年予算はまつたく既往の方針を踏襲いたしまして、世界経済のデイスインフレ傾向に逆行したのであります。このように国内経済の判断を怠り、本年に入つて初めて緊縮均衡に転換した怠慢は遺憾にたえない次第でございます。(拍手)もちろん、政府みずからも、昨日の大蔵大臣、経審長官の演説を拝聽いたしまするに、この点厳粛に自己批判されまして、まるで野党の攻撃演説の内容そつくりでございまして、正直と言えばまことに正直、無責任と言えばまことに無責任、(拍手)しかも、それのみか、逆に国民に向つて耐乏のお説教をするに至つては、その心臓の強さ、往年帝都を騒がした説教強盗に比べて、まさるとも断じて劣るものではないのでございます。(拍手)歌の文句ではございませんが、こんな財政にだれがしたと言わねばならない次第でございます。(拍手)以下、この観点に立ちまして、予算の内容について若干のお伺いをいたしたいと思います。
 まず第一に、大蔵大臣は、防衛関係費千三百七十三億円と、前年に比べて百三十九億円の増加を計上されておるのでございますが、かくのごとき緊縮予算におきまして、防衛関係費のみの増額を何ゆえ必要と判断されたのでございますか。すなわち、二十七年度一般会計予算施行の結果は、二十八年度への繰越額は千百八十九億九千余万円に達しまして、そのおもなるものは防衛関係費でございます。すなわち、防衛支出金九十一億二千百余万円、安全保障諸費は、これは二十七年度限りのものでございますが、それが五百三十一億二千九百余万円、保安庁費二百七十四億八千二百余万円に達しております。この筆法から言えば、二十八年度より二十九年度への防衛関係諸経費も相当程度未使用繰越しされるものと言わざるを得ないのでございます。われわれの推定によりますれば、保安庁費で四百三十五億円、安全保障費で二百億円、防衛支出金で百七十七億円の未使用残金が本年に繰越される計算でございまして、この三項目のみの未使用残金合計でも八百十二億円の巨額に達すると考えております。この点に関しまする大蔵大臣の明確なる答弁を私は要求するものでございます。伝えるところによれば、この点に関しては、大蔵省は厳格な秘密主義をとりまして、密接なる関係を持つ官庁へも極秘にしておられるとうわさされております。われわれは防衛予算を審議するにあたりましては、この点ぜひ知らねばならない点でございますがゆえに、大蔵大臣の明確なる御答弁を要求する次第でございます。(拍手)
 一千万人を越える生活困窮者の最低生活を保障するのに必要な経費を圧縮するのに異常な熱意を示した大蔵大臣が、他面、防衛費のみ大幅増額をあえてした理由は、アメリカの軍事援助を目当てとするために本格的な軍事予算を組むところにあつたのではないかと、われわれはおそれる次第でございます。(拍手)これでは、日本国の予算の内容は、国民生活の安定を無視し、まつたくMSA受入れのために、かつてに左右されたことになりまして、完全に自主性を失つたものと言わねばならぬのでございます。(拍手)昨日、大蔵大臣は、この一兆円予算は天下の輿論みなこれを支持すると言われたのでございますが、その天下の輿論は、これは日本の輿論ではなしに、アメリカの輿論の間違いではないかと私は考えておる次第でございます。(拍手)大蔵大臣の見解いかんということをわれわれば聞きたいのであります。
 さらに第二に、国民生活安定の問題についてお伺いしたいのであります。こまかい数字は省くといたしまして、政府の統計におきましても、政府の自由放任経済が、弱小零細企業、労働者、農民にしわ寄せされて来たことは明らかでございます。しかも、年間百二十万人に及ぶ人口増加と、新規雇用量四十万人の増加に対しましては、依然として何らの対策が講ぜられていないため、それが農村並びに中小企業に吸収されまして、これらの階層の生活水準切下げという犠牲によつて辛うじて社会安定がはかられているありさまにすぎないのであります。にもかかわらず、公共事業費及び食糧増産対策費は百四十一億円の減額、さらに災害復旧費も百四十三億減額されまして、社会不安の原因を政府みずから醸成するようなやり方をやつておるのでございます。大蔵大臣は、本年度の国民生活安定の方策につきまして、どのような見通しと、それを裏づけるどのような具体的方針を持ち合せておるか承りたいのでございます。
 第三に、物価引下げや国際収支均衡回復のための諸政策の計画性につきまして、経審長官はどのような考えを持つておられまするか。現在、わが国の物価と国際物価との間にはすでに三、四割程度の格差がございまして、しかも今後国際物価は低落の傾向にあるのに、わが国の物価は依然として上昇の気配を示しておるのでございます。これに対しまして、政府は輸入削減、緊縮均衡予算、金融引締めをもつて対処せんとし、口を開けば国民に耐乏生活のお説教を繰返しておられるのでございます。しかし、これら一連の諸政策は、政府の側におきましては、その経済政策の計画性、国民の側におきましては、耐乏生活による政府への協力、この二つなくしては成功のまつたくおぼつかないものでございます。しかるに、政府は、依然として計画経済を断行することを故意に避けて、一部独占企業の利益に奉仕しております。総理が耐乏生活のお説教を繰返されるごとに大砲が一つずつふえて行くというのが本年度の予算でございます。(拍手)こういうような予算に対しては国民がそつぽを向いておることは事実でございますが、そこで経審長官にお尋ねいたしたいのであります。
 第一の問題は、国民の最低生活を保障しづつ物価引下げを遂行するためには、一部大企業の高利潤制限を含む総合的計画経済の必要を認めないかどうかということでございます。(拍手)
 さらにまた、物価引下げのためには、生産者としての企業家並びに労働者に対しましていかなる協力を求めるつもりであるかどうかというのが、第二の点でございます。
 さらにその次には、今年度予算の実施によりまして、今後どのくらいの期間の後に、どの程度の物価引下げが行われる見通しを持つておられるかどうか、この三点を経審長官にお尋ねしたいと思う次第でございます。
 さらに大蔵大臣にお尋ねしたい点は、物価引下げにおきまして、米価、公企業料金、官公吏賃金ベース等が現状通りといたしますならば、引下げ対象は主として鉱工業生産品物価とならざるを得ないのであります。しかるに、政府は、鉱工業品物価引下げ策といたしましで、鉱工業生産コスト引下げに資すべき財政投融資を減額して物価引下げの根本策を回避したのでございますが、残る金融引締め策のみによつて引下げ効果が生ずると思うかどうか。金融引締めの強化において、産業別融資順位を定める等の質的規制を行うものであるかどうか。さらにまた、引下げの振幅について、最大の引下げ品目は何を目標としておるものであるかどうかということをお聞きしたいのであります。
 さらに次には、鉱工業一般にわたりまして生産を前年並に抑制するには、昨年中の設備投資一八%増を考慮いたしますならば、現有設備に対して三割ないし四割の操短が各産業にわたつて必要となろうと思うのでありますが、これをいかにして実施されるか。またこの間において、中小企業の保護についていかなる配慮をされるかどうか。これを大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。
 上述のごとき生産制限を実施すれば、産業合理化の進行と相まつて、雇用量の縮小は必至となります。一方におきましては、公共事業費及び食糧増産対策費、災害復旧費のそれぞれの削減があり、かくては全面的に雇用総量の減少が予測ざれるが、本年度における雇用見通しはいかん。
 さらに二十九年度予算のごとき緊縮均衡予算を実行すれば、デフレ現象が生じ、失業者の増大となつて現われることは必至でございます。われわれは、この増加率は前年度に比べて三〇%ほどであると考えるが、政府の見通しはいかん。これら政府施策の犠牲者を救うために、失業対策費その他社会保障費の増額をなすべきにかかわらず、政府はかえつてこれを昨年と同額かまたは削減をしております。このような少額の費用をもちまして、政府は失業対策その他社会保障の施策に支障がないと考えるかどうか、この点を労働大臣並びに厚生大臣にお尋ねしたいと思う次第でございます。(拍手)
 国際収支の均衡回復と物価引下げをはかるには、通貨価値の安定がまず必要でございまして、現行為替レートの維持がその大前提でなければなりません。しかるに、現在円の実勢レートは、一ドル三百六十円をはるかに下まわる五百五十円程度まで下落しておるありさまでございまして、そのために、為替の思惑取引は公然の秘密となつております。そのゆえ、輸入におきましては、自動承認制を中心とする民間自由貿易体制が行われまして、また輸出におきましては、品目別の二重価格制が事実上容認されまして、複数レートが横行しておるのであります。ここからいたしまして、政府の物価政策はすでに破綻しておるのでありますが、そこで通産大臣にお尋ねしたいのであります。
 第一は、民間自由貿易を基調とする現在の貿易、為替管理政策をそのまま存続することは、今後ますます激化する市場競争のあらしのまつただ中にあつて、弱体化せる日本経済の国際収支をさらに悪化させるにすぎないのであります。政府はこれに根本的検討を加え、計画経済の一環として、計画輸入を強化し、自動承認制を廃して、輸入量割当制まで進んだ国家管理方式を断行する所存があるかどうかということを聞きたいのでございます。(拍手)
 さらに第二の問題は、現在の自由放任経済方式のもとにおきましては、二重価格制は、その当然の結果といたしまして、国内物価のつり上げ、従つて消費者たる国民大衆の犠牲におきまして一部民間企業の利潤を保証する機能を持つにすぎないのであります。もし現在の貿易の情勢におきまして、二重価格制がやむを得ない措置であるとするならば、われわれはよろしく二重価格制を必要とする輸出貿易を規制いたしまして、犠牲負担と利益享受との公正を期すべきものと主張するものでございますが、通産大臣の見解はいかんと聞きたいのであります。(拍手)
 さらに次の問題に対しましては、経審長官として御答弁を願いたいのでございますが、われわれは、物価全般の切下げにあたりましては、基礎産業の生産コストの切下げを根本策と見るものでございます。政府は、財政投融資の物価切下げ効果よりもインフレ効果を重大視いたしまして、財政投融資を五百八十四億円減額したと言うが、投融資対象となる基礎産業に対して何ら計画性も生産目標もなくして投融資をするから、財政資金の効率を低下せしめまして、逆にインフレ影響を来すことはもちろんのことでございます。財政投資の対象となる基礎産業、特に鉄鋼、石炭、化学肥料、合成繊維、電力等の各産業に対しましては、財政投資の増加に伴いまして、国家規制、すなわち生産制限、価格協定、配給計画等を強化いたしまして、この道を通じてのみ、かかる基礎産業策は安定し、物価引下げにも貢献し得るのでございます。前述のごとく米価、公企業料金、官公吏賃金ベースを現状通りとする以上、物価引下げの対象は基礎物資の価格以外にはないのでございます。政府は何ゆえに物価引下げの根本策たる財政投資を減額されたのであるか、また財政投資に伴うて、対象産業に対する国家規制の強化の必要を認めないのか、この強化を必要とすることは、最近の造船金融疑獄によつても明々白々であると思うが、政府の考えはいかん。
 第二には、重要産業に対する財政投融資の増加こそは、物価切下げのみならず、経済安定並びに社会不安除去の第一着手点であり、かつ根本策でございます。かかる見地より見まして、政府が実施した重要産業に対する財政投融資を故意に減額することは、勤労大衆にとつて重大な意義を持つものでございます。政府は、今回の投資減額が重要産業の生産コストの切下げにいかなる遅延を来したかを国民の前に明らかにすべきであり、また政府の財政方針を堅持すれば明年度以降も財政投融資は積極的に増額しないのかどうかを明らかにすべきであります。この点に関する所見いかん、承りたいのであります。
 第三は、財政投融資の減額に応じまして、民間資金の調達につきましては金融引締めを強化するというのでございますが、現在の高率適用を中心とする資金規制のみでは、中小企業や、いわゆる民間金融機関の系列に属しない企業体に対しては、金詰まりと高金利を招く以外の何ものでもないのでございます。資金供給を計画化し、かつ適正化するには、資金規制の質の変化、すなわち国民経済の計画化の見地に立ちました各種の系列金融への再編成が必要でございます。政府は系列金融機関に対する財改投融資を増加しないで、単なる従来の金融規制を存続するのか、これでは高金利と金詰まりを招くのみであると思うが、政府の所見はいかん、承りたいのでございます。(拍手)
 最後に、総理大臣に御質問したいのであります。われわれは物価引下げを根本策といたしまして経済自立と国際収支改善をはからんとするものでありますが、政府宏物価切下げを口実にいたしまして緊縮均衡財政方針をとつた真の意図が、MSA受諾のための防衛関係費財源のわくを用意し、さらにこの支出を明年度以降も拡大せんとする点にありまして、これによつては物価の引下げは不可能であるばかりでなしに、かえつて物価体系を混乱せしめ、国民生活を不安定に陥れ、経済恐慌を爆発させる危険、社会不安を巻き起す危険が近づいていることを、私は政府に強く警告するものでございます。(拍手)
 そこで、われわれは、政府の意に反して、本年夏ごろから秋にかけて物価体系が乱れ、物価不均衡がはなはだしくなつて、物価引下げのために財政投融資等の財政手段を必要とすることを見通しとして持つておるものであります。すなわち、補正予算必至と見るのでありますが、政府はあくまで既定方針の強行によつて物価切下げに進み、補正予算を編成しない決意を断固として守り通すかどうかを、この本会議において、はつきりとした言葉でお約束を願いたいのであります。(拍手)MSA締結によりまして、米国の意向に基き、今輝度中に防衛関係費の追加支出を必要とする時期が来ないと、政府ははたして確言できるかどうか、念のため明確なる御答弁を要求する次第でございます。もちろん、この補正予算の点に関しましては、大蔵大臣は、さきの質問者に対してもお答えになり、おそらく信念を持つてお答えになつたと思うのでございますが、大蔵大臣の信念の当てにならないことは、測候所の観測とあまりかわらないと思うのであります。(拍手)従つて、この二十九年度の緊縮予算の性格をばはつきりきめるところのこの補正予算の問題に対しては、単に大蔵大臣の答弁にとどまらず、総理大臣みずから明確なる御答弁を私はしていただきたいと思う次第であります。(相手)
 これを要しまするに、昭和二十九年度予算は、アメリカの強要と圧迫とによるMSA受入れのための軍事予算と断ぜざるを得ないのであります。(拍手)かくのごとく、憲法を空文化する軍事警察国家再現のため、政府は警察制度を改悪し、国家警察一本にまとめ、中央集権をさらに強化しようとしております。また、行政整理を看板に、何らの計画なしに、でたらめに官公吏の首を切る一方、他方では大幅の保安隊員、警備隊員の増強を企てておるのであります。国鉄労組幹部の大量首切り、はたまた教育の中立性に名をかる教員の政治活動の禁止など、みな占領政策是正を看板に反動逆コースを歩まんとする現政府の露骨なる意図を示すものにほかなりません。(拍手)われわれは、左右社会党一体となりまして、政府のかかる反動逆コースには断固として反対するものであります。総理は、かくのごとき一連の反動的施策が終局的には遂に失敗に帰するものであることを十分に反省されまして、これら一連の反動施策を改める所存はないかどうかを最後にお伺いいたしまして、私の質問を終る次第であります。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
#24
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。
 平和外交の基本として交渉による緊張緩和を考えるべきではないかということでありますが、これは私賛成であります。御同意であります。私もその通りには考えます。が、ゆえに、朝鮮の事態収拾のために、あるいはまた原子力の問題とか、あるいは各国軍備の縮小とか、あるいはまだ原子兵器禁止の主張等を日本として両陣営に対して発言すべきではないかという点に対しましては、私はただちに同意いたすことができないのであります。何となれば、政府が発言いたした以上は、その発言が最も力強い発言でなければ国の面目にかかわるのでありますが、その発言は、その時期、その方法、また列国との客観情勢等をよく見合いまして、政府の発言が有力にして実現性を帯びた時期において、方法において許可いたすべきである。今日において、はたしてそれが時期であるか、あるいはまたその方法はどうするかということについては、私はいまだ確信がございませんから、ただちに賛成はできかねるのであります。
 中共等との国交、また貿易の回復等についてはすでにお答えをいたしております。すなわち、国交は、日本をもつて仮想敵国となしている国、もしくは日本政府の存在に対して否定する国柄に対して、日本政府から積極的に国交を求むるということはいたしたくないのであります。しかしながら、中共等において日本の国交回復を提議せられるならば喜んで考えます。貿易問題についてもまたしかりであります。
 東南アジアの関係におきましては、しばしば申す通り、賠償等の問題を誠心誠意片づけて、この国交の回復及び東南アジア諸国との間における経済協力等については、十分政府は用意のあることはしばしば申しておる通りであります。
 また、防衛問題についていろいろお話がありましたが、この防衛問題は、日本は漸増の自主的方針でもつて考えておるのであります。米国政府によつて強要されたわけでもたければ、MSA援助を目的としていたしておるわけではないのであります。すなわち、自主的に日本がこの程度の防衛を漸増いたすべきときなりと考えて立案いたしたものであります。
 また、このたびの緊縮予算、均衡予算については、米国政府との間において話合いがつき、もしくはMSA受入れのために立案された、これはまつたく不当であります。政府はそういう考えではないのであります。政府が現在の日本の国情から必要とする均衡予算を立案いたしたのであります。
 また、領土の問題についてお話がありましたが、これは、私がしばしば申しました通り、国民の要望に従つて、絶えずその回復に努力いたす考えでございます。
 また、補正予算については、先ほど大蔵大臣が申された補正予算は組まないということは、天気予報とともに、諸君において確信せられてさしつかえないのであります。(拍手、笑声)
    〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕
#25
○国務大臣(岡崎勝男君) わが国の国連参加の推進、拒否権の濫用禁止、世界的集団保障の強化等の国連憲章改正についていかなる措置を考えているか。政府としては、国連に加盟する必要性を第一義に考えまして、ただいまそれに対するいろいろの方法を進めております。拒否権禁止その他の問題は、国連に加盟してから後に取上げるべき問題だと考えております。
 安全保障条約は不平等条約であるが、改正する意思はないか、こういうお話でありますが、もし日本が危険な場合には米国がこれを守るけれども、米国が危険な場合には別に日本が米国を守るという約束がないという点において不平等だと言われるなら、それはその通りであります。しかし、これはやむを得ないのでありまして、しかるがゆえに自衛力を漸増しようと考えておるのであります。従つて、現状では、米駐留軍の存在が必要であると考えますので、この条約の改正をすることは考えておりません。
 なお、台湾についていろいろの御意見がありましたが、台湾について干渉がましい意見を申す考えはありません。
 東西貿易等につきましては、先ほど伊藤君にお答えした通りでありまして、イデオロギーの差異は貿易をやらないということにはなりませんけれども、大きな期待はできないということと、他の自由諸国と同様の立場でもつてこれが貿易を推進する、こう考えております。
 なお、防衛費につきましては、もちろんわが国の財政経済に基いて決定されるのでありまして、MSAとは関係がないのであります。(拍手)
    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇〕
#26
○国務大臣(小笠原三九郎君) お答えいたします。
 日本の防衛予算については、ただいま外務大臣よりお答えいたした通りであります。決してアメリカの軍事援助を目当てにしたものでなく、今回の予算を一兆円以内の規模にとどめるということは、日本の置かれた内外の経済事情から、まつたく国民輿論の一致したところであるのでありまして、外国からの圧迫だとかあるいは要請等によるものでないことは、いまさら申すまでもないことであります。従いまして、お説のように軍事援助を目当てにして防衛費を増額した、さようなことのあろうはずはございません。
 それから、次に保安庁の経費等についてお尋ねがございましたが、保安庁経費は、前年度のような繰越額はない見込みであります。なお防衛支出金もほとんど繰越しがない見込みでありますが、施設提供等の諸費で十億か二十億ぐらいは、施設提供の都合もありまして繰越すようになるかもはかられません。款項諸費は契約済みであつて、現金支出の繰越されるものが百数十億円あろうかと思います。これは、財政法四十二条但書のいわゆる事故繰越しで、やむを得ざるものであります。
 それから、今回の予算編成についていろいろお尋ねがございましたが、私どもは、これは積極的に物価を引下げるということをねらいとしたことは申し上げた通りであります。従いまして、この予算案を中心とする一連の健全化方策によりまして、実質的に国民生活の改善が実現されることを期待しております。しかしながら、水谷議員が失業対策費等を減じたではないかと仰せられましたが、失業対策諸費等の社会福祉関係経費につきましては、本年度に比し増額いたしまして、七百七十四億円を計上いたしております。
 なお、公共事業、食糧増産対策、財政投融資等につきましても若干減額したもの等もございまするが、それは資金の重点的かつ効率使用をはかつて、これらの経費に重点を置く従来からの方針に何らかわりなきことは御了承の通りであります。
 なお、勤労者等の負担が過重になつておるという不合理を是正するために所得税の基礎控除及び扶養控除の引上げ等を行うことにいたしておりますることは、すでに御答弁申し上げた通りであります。
 しからば、今度の予算で物価水準を五分ないし一割下げると言うが、何を目標にしておるかといろお尋ねでございまするが、ねらうところは、わが輸出商品の国際競争力を裏づけるにあるのでありまして、おのおのの商品が密接な関係にあることは、よく御承知の通りであります。従つて、どの商品は幾ら下げる、さような手品師のようなことは申し上げるわけには行きません。
 なお、鉱工業生産も昨年並に抑制するというと失業者等が出るではないかというお話でございます。鉱工業生産は大体本年度並に考えておるのでございますが、生産、雇用等の状況を考慮いたしまして、今度の予算でも急激な変化を与えぬように措置いたしておることは、予算書をごらんくださればよくわかります。
 なお、中小企業金融公庫、国民金融公庫等に対する資金源並びに中小企業の保護育成に対して予算を配分いたしておることも御了承の通りであります。しかし、財政投融資を削減して、今度は一般的金融のために質的統制をするかというお話がございましたが、実は私どもは資金の質的統制をするという考え方を当初において強く持つておりませんでしたが、今後資金を有効に使つて参りまするためには、金融機関が、今までのごとく、金融機関は日本銀行から借りる、企業はまた金融機関から借りて来る、これだけのことではちよつと困りまするので、これを正常化に改めるために適当な対策を考慮中であることは、昨日この壇上から申し上げた通りであります。
 為替相場の件につきましてお話がありましたが、これは変更する意思のないことは繰返すまでもございません。なお、この為替相場維持、すなわち日本の対外通貨価値の維持こそは日本の政策の中核をなすものでありまして、これに対してあらゆる努力を傾注すべきものであることは、これまた申し上ぐるまでもございません。(拍手)
    〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#27
○国務大臣(愛知揆一君) まず第一に、総合的な計画経済をやる意図があるかどうかというお尋ねでございます。先ほども申し上げました通り、各般の施策は総合的に打出して参らなければならぬことは申すまでもございませんが、いわゆるきゆうくつな計画経済というようなことは断じて考えておりません。(拍手)
 第二に物価の引下げ、この政策は労働者へ何を協力を求めるのかというお話でございました。申すまでもございませんが、物価が引下げられれば実質賃金が向上するわけでございまして、賃金ベースの安定をもたらしたいということにおいて労働者諸君への協力を求めるものでございます。
 第三に、物価引下げの見通しの問題であります。これも先ほどお答え申し上げた通りでございまするが、投資の削減によりまする生産財価格の低落、あるいは農村の産物の平常化によりまするCPIの低下というなうなことを見込みまして、順次低落をいたしまして、年度間を通ずれば五ないし一〇%減ということになるわけであります。
 第四に、財政投資と合理化の関係のお尋ねでございましたが、石炭について申しまするならば、縦坑開発についてコストを低下いたしたい、鉄鋼については、先ほど申し上げましたように合理化をいたす、合成繊維については増産をするというような、諸種の品目につきましては、今回の予算におきましても既定の目標と大きく変更する必要はないと考えます。経費を節約し、最も効率的に投融資を行いまするならば目標を達成する所存でございます。ただコストを切り下げましても、有効需要が過剰である限りは価格の切下げは困難でありますから、結局のところ、やはり財政の緊縮と金融の引締めということが根本の筋金になるものと考えます。
 次に、貿易の関係のお尋ねでございます。東南アジアに関しましては、英連邦のコロンボ計画、アメリカの技術援助計画というようなものの線に沿いまして、各国の具体的な計画に協力する態勢で進みたいと考えまするが、国内措置といたしましては、技術者の派遣に援助を与え、あるいは輸出入銀行を通ずる金融の拡充を行う、あるいは現地公館の活動によりまする親善協力を促進するというような各般の措置をとりたいと考えます。
 次に、政府は輸入量割当制というような、現在よりもさらに進んだ国管方式をとる考えはないかというお尋ねでございまするが、非常に高度な国管方式というようなものをとる気持は毛頭ありません。
 最後に、輸出品の二重価格の問題でございまするが、輸出品の価格の低落ということにつきましては、税制上あるいは金融上いろいろの措置を講じまする結果、多少その間、内需向けのものとの間にコストの開きがあることはございましようが、いわゆる制度としての二重価格制度ということは考えておりません。(拍手)
    〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
#28
○国務大臣(小坂善太郎君) お答えいたしますが、完全失業者の数は、二十八年の三月には六十一万人、五月には五十万人、七月には四十三万人、九月には四十万人、十一月には三十七万人と、最近減少をいたしております。
 なお、ついででございますが、二十八年度の中学卒業者の数は二十八万人ばかりでありましたが、就職率は九三・六%となつております。本年度も三十一方人からの卒業があるわけでありますが、特に中等学校におきまして出足が早いのであります。職業安定機関の活動によりまして、その就職に遺憾なきを期したいと考えております。
 さて、明年度の予算の執行によりまして、雇用に対する企業活動に影響があるということは当然でありますが、これは企業活動に影響があるほど直接的なものでなくて、失業関係のものは時期的には遅れると考えられるのであります。政府といたしましては、事態の推移を十分に注視いたしまして、この対策に遺憾なきを期しておる次第でありますが、来年度の予算におきましては、御承知の通り、失業保険関係においても失業対策費においても相当増額をいたしておりますので、この増額分を効率的に使用することによりまして遺憾なきを期したいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣草葉隆圓君登壇〕
#29
○国務大臣(草葉隆圓君) 明年度の予算の実施にあたつて、社会保障制度の対象者が相当ふえるのではないか、従つてこれに対する社会保障関係諸費は十分であると思うかどうかという意味の御質問であつたと承知をいたします。実は私ども、必ずしも急激にその対象者が増加をするとは考えておりません。これは、従来の生活保護実施状態等を考え、また世界の例等を考えまして、必ずしも急激に増加するとは考えておりませんが、しかし、お話のように、産業の影響あるいは人口の増加等によりまして相当数は増加すると考えております。従いまして、社会福祉三法等の内容の実施を強化いたしまして、なかんずく生活保護費を前年度よりも相当増加をして計上いたしておるがゆえに、また社会保険関係におきましては、あるいは日雇労働者健康保険法の内容の改正、あるいは厚生年金保険法の内容の改正、また船員保険法等、国庫負担に合せまして十分給付額を引上げて遺憾なきを期したいと存じております。
    ―――――――――――――
#30
○荒舩清十郎君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十九日定刻より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
#31
○議長(堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後五時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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