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1953/05/07 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 本会議 第45号
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1953/05/07 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 本会議 第45号

#1
第019回国会 本会議 第45号
昭和二十九年五月七日(金曜日)
 議事日程 第四十二号
    午後一時開議
 第一 防衛庁設置法案(内閣提出)
 第二 自衛隊法案(内閣提出)
 第三 公職選挙法の一部を改正する法律案(公職選挙法改正に関する調査特別委員長提出)
 第四 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出)(閣法第七五号)
 第五 交通事件即決裁判手続法案(内閣提出、参議院送付)
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 日程第一 防衛庁設置法案(内閣提出)
 日程第二 自衛隊法案(内閣提出)
 企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法案(内閣提出)
 日程第三 公職選挙法の一部を改正する法律案(公職選挙法改正に関する調査特別委員長提出)
 日程第四 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出)(閣法第七五号)
 日程第五 交通事件即決裁判手続濃案(内閣提出、参議院送付)
    午後二時五十三分開議
#2
○議長(堤康次郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(堤康次郎君) この際、新たに議席に着かれました議員を紹介いたします。
 第五十四番、奄美群島選出、保岡武久君。
    〔保岡武久君起立]
    〔拍手〕
     ――――◇―――――
#4
○議長(堤康次郎君) 日程第一、防衛庁設置法案、日程第二、自衛隊法案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員長稻村順三君。
    〔稻村順三君登壇〕
#5
○稻村順三君 ただいま議題となりました防衛庁設置法案及び自衛隊法案について、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 両案はともに保安庁法の全的改正の形式をとつていますが、防衛庁設置法案は、防衛庁の所掌事務の範囲及び権限等を定め、自衛隊法案は、自衛隊の任務、部隊の組織編成、行動及び権限、隊員の身分取扱い等を規定しております。個々の規定について形式的に見れば、保安庁法及び同法施行令と同一趣旨のものが多いのでありますが、根本においてはまつたくその性格を異にするものがあります。
 今両法案を通じ新たに規定されたものについて申し上げますならば、第一は、その任務及び権限に重大改正をし、自衛隊の主たる任務を直接侵略及び間接侵略に対し防衛することとし、必要に応じて公共の秩序維持に当ることにしました。従つて、自衛隊の行動について新たに防衛出動せしめる規定を設け、外部からの武力攻撃またはそのおそれのある場合、内閣総理大臣が防衛の必要ありと認めるときは、国会の承認を得て自衛隊の全部または一部の出動を命ずることができ、特に緊急必要の場合には、事後ただちに承認を求めることとして、国会の承認を得なくとも出動を命ずることとしています。しこうして、国会で不承認議決のとき、または必要がなくなつたときは、ただちに自衛隊の撤収を命じなければならないとしております。防衛出動時には、自衛隊は、国際法規の慣例を遵守し、かつ事態に応じ合理的に必要と判断される限度内において武力を行使することができ、さらに一定地域内において、原則として都道府県知事を通じ、施設の管理、物資の収用、業務従事命令等を行うことができる等、まつたく戦時態勢にも比すべき措置をとることになつております。また、間接侵略その他の緊急事態に際し、一般警察力をもつてしては治安維持ができないと認められる場合にも、内閣総理大臣が自衛隊出動を命ずることができることとし、その場合の要件等は保安庁法における命令出動または要請出動の場合と同様であります。なお、外国の航空機がわが国の上空に不法侵入したときは、長官は、自衛隊の部隊に対し、これを着陸させまたは退去せしめる必要な処理を講じさせることができるものとしてありますが、このことは空中戦への発展を示唆しております。
 第二は、従来の保安隊に比して、航空自衛隊の新設とともに、隊員の数を増加し、もつて陸、海、空の三軍方式による部隊を編成していることであります。すなわち、防衛庁職員の定員は、これによつて自衛官三万一千七百九十二人、その他非制服職員九千五百九十四人、計四万一千三百八十六人を増加して、陸上十三万人、海上一万五千八百八人、航空六千二百八十七人、統合幕僚会議十人、合計十五万二千百十五人とし、その他の職員一万二千四百二十三人を合せて、定員総数を十六万四千五百三十八人としておりますが、言うまでもなく、これは単なる保安隊の漸増ではなくして、軍隊への飛躍的発展であります。
 第三は、自衛隊の指揮監督に関する事項であります。すなわち、自衛隊法案は、従来の規定に加えて、新たに内閣総理大臣が内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有することを定めておりますが、その権限において統帥権を思わせるものがあります。(拍手)
 第四は、防衛庁の所掌事務に関する基本的方針の策定について、長官を補佐する参事官八人以内を置き、官房長及び局長は参事官をもつて充てることにしております。なお、内部部局として新たに教育局を設けるとともに、課長以上の職に対する制服職員の経験を有する者の任用を制限する規定を削除しております。
 第五は、陸、海、空各自衛隊は、おのおの最高指揮官であり同時に幕僚長餐ある幕僚長を持つているが、総合的かつ有効な運営をはかるため、長官補佐の任務を持つ統合幕僚会議を設けてありますが、その議長は専任とし、自衛官の最上位にある者をもつて充てています。
 第六は、国防に関する重要事項を審議せしめるため、内閣総理大臣の諮問機関として、内閣に新たに国防会議を置くこととしていますが、その構成及び運営等は別に法律で定めることとしております。
 第七は隊員の服務に関するものでありますが、隊員は、事に臨んでは危険を顧みず身をもつて責務の完遂に努め、もつて国民の負託にこたえることを期するといい、また隊員の退職が自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、政令で定める特別の事由がある場合を除いて、自衛隊の任務を遂行するため必要とする最小限度の期間その退職を承認しないことができる等、軍人の服務の本旨にのつとつております。
 第八は、自衛隊の防衛力を確保するため、志願に基く予備自衛官制度を設けたことでありまして、その任用期間は三年、その員数は一万五千人と定めてあります。
 以上がおもなるものでありますが、なお自衛隊の任務遂行上必要な諸般の規定を設けております。
 しかして、両法案は原則として公布の日から起算して一月を越えない範囲において政令で定める耳から施行することとし、施行に伴う経過的措置を定めるほか、海上公安局法を廃止し、関係諸法律にそれぞれ所要の改正あるいは整備を行つております。
 二法案は三月十二日本会議において政府の提案の理由及びその内容の説明があり、同日並びに翌十三日の両日にわたつて各党の質問が行われたのでありますが、何分にも、この両法案は、母上の概略説明にも申し上げました通り、戦争放棄を特徴とする憲法との関連がきわめてデリケートであり、世論またその点を中心に沸騰していますので、三月十三日両法案が本委員会に付託されて以来、政府の説明を聞き、日米相互防衛援助協定との関連を明らかにするため外務委員会と連合審査会を開くほか、四月一日からはほとんど連日委員会を開いて熱心に質疑を重ね、また二日間にわたつて公聴会を開き、外務委員会とも連合審査会を開くなど、きわめて慎重に審査を行つたのでありますが、これらの詳細については会議録に譲り、多くの委員が異口同音に強く指摘して政府の反省を促したおもなる事項についてその要旨を申し上げますと、一、自衛隊の任務等に関する規定から見ると、その性格、内容は保安隊のそれと一変しており、これは政府が従来主張して来た保安隊の漸増方針と異なるものであるから、もはや憲法のわく内では許されないのではないか。二、MSA協定が効力を発生すれば、わが国は、防衛力の増強ばかりでなく、自由諸国における集団安全保障の機構に参加し、ひいては集団自衛の義務を負うことになわ、従つて海外派兵の義務を負うことになるのではないか。三、武力侵略のおそれある場合に自衛隊の出動を命ずることができるとする規定は、ただに武力侵略に口実を設け得るという危険があるばかりでなく、国際的にはすでに否認せられているものであつて、国連憲章を尊重するという平和条約第五条の規定と矛盾するものではないか。また、武力侵略のおそれだけで自衛隊を出動させることは、いたずらに相手国を挑発させる危険があるのではないか。四、自衛隊の出動は勢い交戦という事態に至るのにもかかわらず、しかもなお憲法を改正する必要がないとするならば、結局防衛のためならば無制限に自衛隊を増強することができるということになるのか。五、内閣総理大臣に権限が過度に集中するおそれはないか。ことに自衛隊の出動命令については、時の内閣総理大臣の専断に帰する危険性がきわめて多く、国会の承認と内閣総理大臣の出動命令とをいかに調整するか。六、兵器の生産力については、ひたすら他国に依存する建前では、一旦直接侵略があつた場合は、はてしない消耗に対して兵器が無制限に補給され得るとは期待できないから、防衛を全与することは不可能と思う。ことにアメリカから供与または貸与を受ける兵器については、秘密を保持することと、アメリカの規格によることが要求されているから、かかる兵器の生産については永遠にアメリカに依存ずるよりほかに道がなく、結局自衛隊はアメリカの前線部隊、たまよけとなるにすぎないのではないか。七、画期的な防衛法案の提出にあたつて、きわめて重要な国防会議の構成について概想すら持合せがないということは、政府の怠慢ではないか。八、単に二十九年度における防衛計画のみでは、いたずらに国民に疑惑を抱かしめるばかりでなく、法案審査の上に支障があるから、なるべくすみやかに長期防衛計画を示すべきではないか。九、指揮官と幕僚とは本来区別するのが各国に共通した常道であるのにかかわらず、両者の兼務を認めている制度は、やがて武権が文権を圧迫するに至る危険を多分にはらむゆゆしい問題であるから、すみやかにこれを修正すべきではないか、等々でありました。
 なお、公聴会では、公述人は各党の推薦が西名、一般公募が二名、合計六名であり、賛否それぞれ三名といたしましたが、その際注目すべきことは、両法案に賛意を表した公述人においてすら、わずか一人を除くほかはことごとく両法案が現行の憲法に違反する旨を述べたことであります。(拍手)ただ賛成する者は、それゆえにこそ憲法を改正せよと主張したのであります。
 なお、両法案の審議に際し、両法案において自衛隊の最高指揮者と規定されているばかりでなく、今国会における最重要法案の提出責任者である吉田総理が、しばしばなる出席要求にもかかわらず、最終日にわずか二時間足らずしか出席しなかつたことは、審議にあたつて委員会の委員長としては遺憾の意を表ぜざるを得ないのであります。(拍手)今後かかることのないよう、政府に対して警告を発せざるを得ないのであります。
 かくて、五月六日質疑を打切り、討論に入りましたところ、大久保委員は自由党を代表し、戦時においては非武装中立を維持することは困難であり、自衛権の範囲内における防衛力は憲法も否定するところでなく、かつ原子力以外の方法による侵略が想定せられるとして賛成の意見、栗山委員は改進党を代表し、侵略に対し国の平和と安全を守る責任を外国にゆだねていることは、独立国家としてきおめて不自然であるから、最小限度の軍備を整えるべきであり、その意味で、自衛隊はかかる意味での軍隊であわ戦力、だが、わが改進党は、これを憲法改正せずして可能だと割切つているのに、政府はこの点をあいまいにしている、それに、今日の吉田総理の日ごろのやり方を見ていると、本法案のように内閣総理大臣に権力が過度に集中することは不測の困難を招来する危険があるから、よろしく反省すべきだとの希望を付して賛成の意見、田中委員は日本社会党を代表し、自衛隊は、その任務及び装備からして、国際通念上軍隊であり戦力であるから、憲法違反であり、ことにMSA援助協定に基く義務の結果として、アメリカの対外政策のために海外出動させられる危険がある、佐藤法制局長官が、委員会の答弁で、公務員の海外出張という形の集団安全保障への協力と言うたのはこれを意味しているものである、国際間の緊張が次第に緩和の傾向に増大していることは、緒方副総理もこれを認めているくらいである、しかるに、このとき、両法案は、防衛費の増大によつていたずらに国民生活を圧迫するのみならず、アジア諸国を刺激して、むしろわが国の平和と安全を阻害するものであるとして反対の意見、(拍手)中村高一委員は日本社会党を代表し、まず二箇月近い審議中、総理の出席がわずか最終日の二時間足らずであり、かつその応答が冷酷にして傲岸不遜であるために、審議に不用の時間を要したと責め、それから、両法案は、保安庁法とその内容を一変し、政府が従来答弁して来たところの漸増方針とはまつたく異なるものであり、かつ憲法に違反するものであり、わが国の財政力からしてもますます国民生活を圧迫するものであるとして反対の意見、(拍手)辻委員は、軍機構として指揮者と幕僚が混同されていること、幕僚フアツシヨが起ること、クーデーターに利用されやすいという重大な欠陥があることを指摘して反対の意見、(拍手)また中村梅吉委員は日本自由党を代表し、両法案と憲法との関係については割切れないものがあるが、独立国として自衛のために防衛力を持つことは当然必要であるばかわでなく、集団安全保障機構に参加するには、ある程度の準備が必要であるとして賛成の意見を述べられ、採決の結果、多数をもつていずれも原案の通り可決いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#6
○議長(堤康次郎君) これより討論に入ります。田中稔男君。
    〔田中稔男君登壇〕
#7
○田中稔男君 私は、日本社会党を代表して、両法案に関し反対の討論を行わんとするものであります。(拍手)
 両法案によりますと、自衛隊は、保安隊及び警備隊と異なり、外敵の侵略に対抗することを主たる任務とするものであります。従つて、国際通念に照して自衛隊は明らかに軍隊であり、木村保安庁長官もしぶくながらこの事実を認めざるを得なかつたのであります。(拍手)しかしながら木村保安庁長官は、たとい自衛隊は軍隊であつても戦力なき軍隊だという詭弁を弄し、従つて憲法違反にあらずと強弁しております。私は、自衛隊は軍隊たることによつてすでに戦力であり、従つて「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と規定した憲法第九条にまつ向から抵触するものであると確信するものであります。(拍手)
 日本国民は、憲法前文において「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と宣言しておるのであります。今日、世界各国の平和を叫ぶ人々の声は、ベルリン会議からジユネーヴ会議へとこだまして、国際緊張緩和の傾向はますます顕著でります。ビキニの死灰の戦慄はこの傾向に拍車をかけつつあります。今こそ、日本国民は、かの伝説の鳥フェニックスのごとく原子の死灰のもとから立ち上つて堂々と世界に平和を訴え、みずから再び憲法に約した非武装、不戦の誓いを新たにしなければならないときであると信ずるものであります。これが日本民族に真に永遠不滅の生命を与える唯一の道であります。
 政府は、国の自衛権は憲法第九条においても認められていると主張しております。私も、いやしくも国民が祖国を守る固有の権利を有することを否定するものではありません。しかし、私は、国を守るに武力をもつてせず、外交そのよろしきを得て国を守ることこそ最も賢明な方策だと考えるものであります。(拍手)吉田首相は、第六回国会の衆議院外務委員会におきまして、「日本は戦争を放棄し、軍備を放棄したのであるから、武力によらざる自衛権はある、外交その他の手段でもつて国家を自衛する、守るという権利はむろんあると思います。」こう答えて、私の所見とまりたく符節を合する発言をいたしておるのであります。(拍手)しかるに、今日政府は、首相のかつての正当な憲法解釈を翻して、自衛隊法第八十八条において、明らかに武力をもつて自衛権を行使する方針を打出し、しかも、てんとして恥じるところを知らないのであります。
 すでに一たび武力による自衛権の行使を肯定するならば、自衛と侵略とを区別することは困難であります。自衛隊法第七十六条において、内閣総理大臣が防衛出動を命じ得るのは、外部からの武力攻撃が現実に行われた場合だけでなく、単に武力攻撃のおそれのある場合をも含むことになつております。国際公法の通説として、自衛権は隣接した他国の領土に及ぶという解釈が一般に行われておりますが、政府もまた自衛隊の防衛出動に関連してこの解釈を採用しております。しかるに、攻撃は最善の防禦なりという言葉もありますから、日本が自衛の名のもとに他国の領土において武力を行使する場合、それがはたして自衛行動であるか侵略行動であるか、これを区別することはほとんど不可能であります。
 また、武力をもつて国を守ろうと考えるならば、日本は必然的に米ソいずれかに依存しなければなりません。原子兵器と超音速航空機の出現した今日、日本の貧弱な国力と、米ソ両国の間に戦略的要衝を占める日本の立地よりして、一国の単独の防衛は理論的にも実際的にも不可能であります。政府が日米安保条約とMSA協定によつて対米依存の防衛方針を立てましたことは、政府としては当然のことでありましよう。だから、私は、単に自衛隊が日本の再軍備であるという理由によつてこれに反対するものではありません。自衛隊がMSA再軍備であるということによつて結局アメリカの傭兵部隊となるにすぎないという理由をもつて、日本の独立と平和のために断固としてこれに反対するものであります。(拍手)かくしてでき上つた自衛隊が、アメリカ製の武器によつて装備され、アメリカの軍事顧問の教育訓練を受けて、日米行政協定第二十四条に約した非常時における日米共同防衛の義務、さらにMSA協定第八条に認めた国際緊張の原因を除去するため相互に合意することのある措置をとることの義務、これらの義務を履行するためにアメリカ軍の補助部隊として動員され、必要に応じて海外出動を求められる公算はきわめて大なるものがあるのであります。(拍手)
 諸君、アメリカは今日自由と民主主義の女神ではありません。国内においては、黒人に対する非人道的な差別待遇は今日依然として行われ、軍需資本家の裏層な生活の陰には悲惨きわまる貧民窟があり、反共ヒステリーのマッカーシズムは、かつてジェフアーソンやリンカーンによつて高揚されたアメリカ自由の精神を窒息させようとしております。国外においては、差迫つた恐慌の襲来からのがれようとして、世界至るところに自国製品、特に軍需品の市場を求めて狂奔しつつあります。特にアジアにおいては、日、英、仏、蘭にかわり、新しい帝国主義的支配者として歴史的に登場しつつあります。インドシナの燃え上る革命的民族運動に対処するためにアメリカが提案した東南アジア防衛体制の構想は、近き将来太平洋反共防衛体制にまで発展する可能性があるのであります。アメリカの、かかる帝国主義的脅威については、戦時中、当時の政府は、米英鬼畜という極端に誇張された表現をもつて国民に宣伝いたしました。その宣伝の当否はともかく、その脅威はそのまま今日においても存在しているのであります。当時に比べて増大してこそおれ、決して減退してはおりません。
 政府は、しきりに、日本がアメリカを中心とする自由世界と共同防衛体制を結ぶにあらぎれば中ソ侵略の脅威に対抗することはできないと説いております。国民の中には、この説を信ずる者が少くないのであります。はたしてソ連は日本に侵略するか。中国は日本に来襲するでありましようか。マレンコフや毛沢東にしても、革命はこれを他国へ輸出し得るものではないということは十分知つているはずであります。また、日本の改革を中ソ両国の軍隊の干渉によつて行おうと企てる者があるならば、民族の誇りがこれを許さないために、国民大慶の支持を失い、結局失敗に帯することは明瞭であります。さらに、中ソ両国は、人口は豊富であり、国土は広大であり、資源の点においては大体自給自足することができるばかりでなく、恐慌と失業を知らない社会主義体制の特徴として、無限に拡大する国内市場を有しているのでありますから、あえて海外に帝国主義的進出を試みる経済的な必要はありません。なるほど、中ソ殉国にとつて日本の工業力は一つの大きな魅力であるかもしれ幸せん。しかし、侵略によつてこれを得ようと欲するならば、日米共同防衛体制はしかれていなくとも、アメリカのこの戦争を誘発し、その結果日本の工業力が一瞬にして潰滅に帰することは容易に想像されるところであります。中ソ両国としては、むしろ平和的な経済交流によつて日本の工業力を利用することがはるかに賢明な方針でありましよう。しかも、中ソ両国の国民は、過去の戦争の悲痛な体験から、何よりも平和を望んでおり、また社会主義建設の大事業は平和なくして成功し得ないことをよく知つているのであります。私は、中ソ両国の平和政策がこの平和を熱愛する広汎な大衆に支持されている事実にかんがみ、その真実を認めてしかるべきだと考えるものであります。(拍手)あるいは朝鮮及びインドシナの事態を目して中ソ侵略を云々する者があります。朝鮮戦争は南北朝鮮の民族的な統一が実力をもつて行われたことに端を発し、これに干渉した国連軍が鴨緑江岸に殺到するに及んで、中国の義勇軍による参戦を誘発したのであります。インドシナ戦争は、フランス帝国主義の覇絆を脱せんとするヴェトナム人民の解放闘争が軍事的様相を呈しだものにすぎないのであります。これらの事態をもつて中ソの侵略を説くことは、すねに傷持つ者の被害妄想であります。(拍手)
 私は、中ソ両国の国民と同じく、アメリカの国民もまた平和を欲していることを確信しております。(拍手)そして、日本国民ももとより平和を欲しております。もし米ソ両陣営の指導者が真に賢明であるならば、そして特にアメリカの指導者が、帝国主義政策をやめて、国内においては軍需資本家の独占利潤のためでなく、国民の福祉のために再びニュー・デイールをより拡大された規模において採用し、国外においては社会主義諸国との平和約通商により経済恐慌を回避するほどに賢明であるならば、イデオロギーや社会体制の相違にかかわらず、両陣営は平和的に共存し得ると信ずるものであります。(拍手)わが日本社会党の自主中立外交政策は、まさに米ソ共存の可能性の上に立つものであります。われらが武力によらず外交によつて国を守ることを決意いたしますならば、外交は本来多面的な接触を特徴とするものでありますから、親米にして同時に親ソたるの自由の立場をとることが可能であります。かかる多面的善隣外交のみが日本の安全を守り、東西市場をともに日本に開いて、日本の経済自立を可能ならしめるものであります。
 汚職と疑獄に包まれた現在の国会は、国民の意向を正当に反映しているものとは考えません。従つて、国民多数の意向に反して、この防衛関係二法案が不幸にして国会を通過することもあり得るのであります。その結果、MSA再軍備ともいうべき自衛隊が実現を見るに至りましたならば、すでに述べました海外派兵等の危険のほかに、その内外に及ぼす影響は実に重大なものがあるのであります。
 すなわち、第一に、民主化の耳なお浅い日本において軍国主義的風潮が再現する危険があります。軍官民の社会的序列が復活するおそれがあります。ざらに両法案の内容を検討いたしますならば、自衛隊員の服務に関する諸規定や、防衛出動時に行われる施設の管理、物資の収用、業務従事命令等に関する諸規定は、いずれも国民の基本的人権を侵害するものであり、志願制度による隊員の増員が一定の限度に達し、遂に徴兵制度がしかれるに至りますならば、人権侵害はさらにはなはだしくなるものと考えられます。
 第二に、自衛隊によるMSA再軍備は財政上重大な負担を国民に課することになりましよう。外国の事例を見ましても、MSA援助は、被援助国の軍事費の負担を軽減するどころか、むしろこれを増大する傾向にあるのであります。(拍手)現に、わが国の昭和二十九年度の保安庁経費は、前年度に比し三〇%の増加を示しております。そのために、民生安定や、社会保障や、教育文化関係の経費が著しく圧迫されたことは周知の事実であり、この傾向は、再軍備の発展につれ、ますますひどくなるものと考えられます。(拍手)
 第三に、再軍備の進展につれ、日本の産業構造において軍需産業が畸型的に発達し、平和産業や中小企業が圧縮される結果を来す危険が十分に考えられるのであります。さらにMSA協定がわが国の軍需品に対する域外買付を期待しておりますが、輸出産業としての軍需生産という考えは、やがて日本をアジアの兵器廠たらしめようという構想に通じるものであります。そうなると、アジアの各地に絶えず朝鮮戦争やインドシナ戦争のような局地戦争が行われていることを望む死の商人の非人間的な心理を生むおそれがあるのであります。軍需産業の株が朝鮮休戦で暴落し、インドシナ戦争長期化の見込みで高騰したことによつても、この微妙な心理を示して余りあると考えます。
 第四に、軍隊は必然に軍事上の機密を伴うものであります。しかし、一たび社会の一隅に機密のとばりがおりますならば、やがてこれは社会全体に拡大する傾向を持つものであります。防衛秘密保護法は、今のところMSA援助武器のみを対象といたしておりますが、遠からずして広汎な対象を持つ軍機保護法が制定されるに至るであろうことは必至であります。その結果は、すでに制定されておる破防法や、目下参議院で審議中の教育関係二法案等とともに、言論や思想の自由のない暗黒社会を現出することになり、戦後十年にして日本の文化的後退が再び始まるおそれがあるのであります。(拍手)
 第五に、日本のMSA再軍備がアジア諸国に与える影響は実に深刻なるものがあります。今日の日本は、吉田内閣の方針により、アメリカ帝国主義のアジアにおける買弁の道をたどりつつあります。しかしながら、今や解放途上にあるアジア諸国民にとつては、日米経済協力の一環としての東南アジア開発というような構想は、東亜共栄圏のアメリカ製新版として、どこでも相手にされません。アメリカの完全な植民地と考えられていたフィリピンにおいてさえ、ナシヨナリスタ党の台頭とともに、アジア人のためのアジアという声が起り、日本の対比賠償案の、ごときも、フィリピン人の犠牲において日本の反共基地を推進するものだと非難する言葉が聞えております。爾余の東南アジア諸国における対日感情は一層険悪なものがあるのであります。かかる際、MSA再軍備を強行することは、日本がアメリカ帝国主義のアジアにおける番犬となることであり、アジア諸国民の恐怖と侮蔑の的となることでありましよう。(拍手)日本がMSA再軍備を捨てない限り、アジア諸国との真の友好を結ぶことは不可能であり、日本は永遠にアジアの孤児にとどまらなければなりません。(拍手)
 第六に、率直に言つて、自衛隊は一朝有事の際ほとんど役に立たないでありましよう。それは装備や編成の問題ではない。隊員の志気の問題であり、愛国心の問題であります。国民の生活が安定せず、国民の権利と自由が次々に失われつつある今日の日本において、青年にこの国こそ守るに値する祖国なりと感激せしむる何ものもないのであります。(拍手)従来単に有利な就職と考えて保安隊を志望した青年が多いことは事実であります。だから、保安隊が自衛隊となつて、いよいよ本格的な軍隊的性格を滞び、ちまたに海外派兵のうおさが高まるにつれ、現在実施中の保安隊員の募集が全国的に応募者の激減を見て難関に逢着していることは、木村保安庁長官の御存じのところであります。(拍手)アメリカの副大統領ニクソンは、奈良県下の若き一貧農から海外移住の希望を訴えられたとき、ただ一言、保安隊に入れと答えたのであります。確かに、保安隊は、そしてやがてできるかもしれない自衛隊は、日本の青年をアメリカの防衛のために大砲のえじきとするには役立つかもしれません。しかしながら、日本の防衛のためにはとうてい役立つものとは考えないのであります。(拍手)
 以上の理由に基き、私は、両法案が日本の平和と安全と繁栄をむしろ阻害するものと信じ、絶対にこれに反対するものであります。(拍手)
#8
○議長(堤康次郎君) 平井義一君。
    〔平井義一君登壇〕
#9
○平井義一君 防衛庁設置法案及び自衛隊法案の二法案について、自由党を代表いたしまして賛成の意見を表明せんとするものであります。(拍手)
 御承知の通り、この二法案は現行の保安庁法を改正したもので、まず防衛庁設置法案は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つことを目的とし、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊を管理運営し、これに関する事務を行うことを任務とする防衛庁を総理府の外局として設けようとするもので、従来の通り国務大臣をもつてその長といたしております。なお、三自衛隊を総合した見地から、長官を補佐するため統合幕僚会議を新たに設けて、自衛隊の総合的かつ有効なる運営に資せしめているものであります。また、自衛隊法案は、右の三自衛隊の部隊の組織及び編成、行動及び権限、隊員の身分の取扱い等に関し、おおかね現在の保安庁法の内容を基礎とし丁規定したものであります。すなわち、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接及び間接の侵略に対してわが国を防衛することを主たる任務とし、かつ必要に応じ公共の秩序の維持に当るものであることを規定いたしております。また、国防に関する重要事項を審議する機関として国防会議を内閣に置くことといたしておりますが、これは別に法律で定めることといたしております。これが二法案のおもなる内容であります。
 思うに、自衛ということは、国家民族存立の根本原理であり、生物の鉄則であります。森羅万象ことごとくが自衛のための処置を講じておることは言をまたないところであります。(拍手)防衛ということがまつたく必要のない理想世界が実現すれば別といたしまして、現在の段階、ことに最近におけるわが国の周辺における諸外国の軍備の状況並びにわが国が置かれている立地条件等を考えれば、理想世界の実現は遠く、むしろ侵略の可能性は多分にあると言わなければなりません。(拍手)このような現実に処して、国家及び民族においてみずからの生命を維持し、その安全を保つて行くということは当然な任務でありまして、祖国の防衛ということは、民主主義国、共産主義国との区別なく、国民が負うべき神聖な義務と言わなければなりません。(拍手)人類の共栄、世界の平和はまさしく民族の自立と国家間の平和の上に築かれるものでありまして、これなくして世界の平和はあり得ないのであります。しかも、平和はわれわれが努力を傾けて築き上げるべきものであつて、いやしくも他人のあわれみにすがり、他の慈悲にたよつて喪家の犬のごとく投げ与えられるのを待つべきではなく、自衛こそは国家存立の根本原理であります。まことにこれは、今日自立の精神を有し、わが国を愛する者のひとしく抱く考え方であると信ずるのであります。(拍手)この意味において、わが国が、みずからの力を結集して、直接間接の侵略に対し祖国防衛のため陸海空にわたる三百衛隊を設けようということは、自主独立国家として当然の措置と言わなければなりません。(拍手)しかも、この自衛隊の指揮運営について、政治優位の原則を明白にし、国防会議を設ける等、昔日の弊を再び繰返さざるよう配慮が加えられており、この点も妥当と申さなければならぬのであります。これ二法案を可とする第一点であります。
 さらに、原子あるいは水素爆弾の今日、おもちやのような武器をもつては役に立つものではなく、従つて自衛隊の創設は無意味であり、その必要はないという意見が両社会党に出ておるのでありますが、これはまつたく戦いの実態を知らざる者の議論であつて、たとい原子並びに水素爆弾といえども、これを運搬する過程があるべきものであります。これをその途中において阻止することこそ今日の防衛の最大の目標でありまして、人類は全知能をしぼつて研究しており、それは必ずしも不可能ではございません。加するに、今日の戦争方法は、敵の手足はほうつておいて、まず頭脳あるいは心臓にとどめの一撃を加え、一気に勝利を獲得するというのが近代戦の予想でありまして、容易につくり得ない数少い貴重な原子爆弾や水素爆弾をたやすく日本列島に使用し得るかどうかは、軍事専門家によつて疑問とされておるところであります。わが国に対する侵略は原爆以外の方法による公算が大であり、この点からも、前述のごとき議論は、多分に外国の簡単な攻撃をさえ可能ならしむる危険千万な所論と言わざるを得ないのであります。(拍手)しこうして、現実の様相は局所的な侵略がないとは断じがたいのでありまして、特にわが日本列島を考えますれば、このことに対処することの必要性は多言を要しないところであります。原子兵器ができたからといつて国防を放棄しておる国はありません。むしろその逆であるのが今日の世界の実情であると申さねばなりません。もしそれ原水爆を恐れるの余りまつたく国家防衛の要なしと言うのは、あたかも死を恐怖する余り、医者もいらぬ、薬もいらぬという議論にひとしいのであります。(拍手)今日における真の国際緊張の実態を解せざる愚論と言おざるを得ないのであります。これ二法案を可とする理由の第二点であります。(拍手)
 次に、現在のごとき自衛隊の程度ではとうでい防衛に役立つものではないという議論があります。しかし、強力な防備力は一朝一夕にしてなるものではなく、年々物心両面にわたつて絶えず練り上げられて行くべきものであつて、それらの努力が結集して初めて力強い防衛力となるのであります。ことに対抗兵器の考案こそは絶対的なもので、原子戦に入つたからとて、戦いの原理はかわるものではありません。これこそは今後における防衛力を決定するもので、これにはたゆみなき努力と研究が必要とされるゆえんであります。一日早ければそれだけ防衛力は増加するのであります。しかも、日米相互防衛援助協定第八条が自国の政治及び経済と矛盾しない範囲においてと規定するように、わが国力に応じて防衛力の増強をはかろうとするもので、他の一切を犠牲にして一挙に膨大なものをこしらえようとするものではございません。その措置はきわめて妥当と申し得るのであります。これ二法案を可とする第三の理由であります。
 次は、この自衛隊は戦力を持つことを禁ずる憲法に違反するものであるとする議論についてであります。元来、憲法第九条は、ニクソンアメリカ副大統領も誤りだと言つておるのでありまして、わが国が真にその独立を保持するためには将来改正さるべき規定であると考えるものでありますけれども、今回のごとき自衛のための部隊を持つことは、何ら憲法に違反するものではございません。(拍手)また、政府においてもあえてこれを侵そうとするものでないことは、日米相互防衛援助協定においても、また今回の措置においても明らかにされておるところであります。すなわち、日米相互防衛援助協定におきましては、諸外国の場合と異なつて、いわゆる軍隊にあらざる自衛隊というわが国特殊の防衛力の現実を認め、その増強の実施についても、同条約第九条は憲法上の規定に従うものであることを明記しておるのであります。かつ、憲法にいう戦力とは、近代戦を遂行するに有効かつ適切な編成装備を備えた総合的実力をさすものでありまして、自衛のための措置を否定するものでないことは明白であります。この自衛隊設置が憲法第九条に違反するものでなく、また政府が憲法抵触を不在でているものでないことは言うまでもないところであります。元来、二法案は、自衛権の範囲内にあるものとして、自由党、改進党並びに日本自由党の三党による慎重なる協定の上にでき上つたものでありまして、憲法違反の議論は、憲法の規定をあまりに形式的に解釈してこれを死文化するものであり、またあえて違反を求めるための議論でありまして、国家の本質をわきまえざる者の言という以外にはないのであります。(拍手)自衛は生物の本能でありまして、この日本民族絶対の要請を無視して、実体を離れた形式的議論を重ねることは、象牙の塔にこもる者の意見といたしましても、あまりにも非現実的と言わざるを得ないのであります。(拍手)いわんや、政治を議する者の意見といたしましては、何をか言わんやと申すほかはないのであります。政府は不必要に憲法違反の声に拘泥し過ぎており、何ゆえ堂々と防衛のための必要措置を講ぜざるやと言いたいのであります。これ二法案を可とする第四点であります。
 最後に、国際信義と防衛力の問題であります。今や世界は相対立する二つの陣営にわかれ、はげしい冷戦または熱戦のざ中にあるにもかかわらず、わが国の防衛は必要なく、国際連合の集団安全保障にたよればよいではないかという議論がありますけれども、国際連合の集団安全保障は、これをになうへき各独立国家の信義、誠実の上に基礎づけられるべきものでありまして、みずからの努力を尽さずして、ひとり他に要求することは、国際信義にもとるものであつて、とうてい他国の信頼と協力を期待することはできないのであります。(拍手)この意味においても、真に有効な集団安全保障を期待するためには、まずみずからがみずからを守る力を養うことは当然の義務と言わなければならないのであります。(拍手)国際信義と友好の立場からしても、自衛力の酒養は絶対に必要であります。これ二法案を可とする第五の理由であります。
 以上申し述べましたことく、二法案について議論された反対理由には何ら根拠を見出すことができないのであります。もとより、自由、共産の二大陣営の相対立する世界の現況において、切に恒久平和と人類の幸福、さらにわが国民の安寧と福祉を念願することにおいて、われわれは決して人後に落ちるものではありません。そのためにこそわれわれは努力をいたしておるのでありまして、自衛を固め、しこうして信と決意を中外に示すことによつて初めて集団安全保障は期待できるとともに、戦争の危険を回避し得るのであります。その意味において、一に国民各層の協力を期待してやまないゆえんもここにあるのでございます。
 以上賛成の意見を述べまして、私の討論を終ります。(拍手)
#10
○議長(堤康次郎君) 松前重義君。
    〔松前重義君登壇〕
#11
○松前重義君 私は、日本社会党を代表いたしまして、防衛庁設置法案、自衛隊法案、この両法案に対しまして反対の討論をいたさんとするものであります。(拍手)
 この二つの法案は、さきに全国民の猛烈な反対を押し切りまして国会を通過いたしましたMSA協定と並んで、わが国の将来を決定いたしまする実に容易ならざる内容を持つておりまして、私は、ここに、憂憤禁じがたく、深く保守党諸君の深刻なる反省を促しまして、この二法案を葬り去らんと志して登壇いたしたのであります。(拍手)
 私が申し上げようと思つておりまするその第一点は、今日原子力の時代におきましては、自衛とか軍備とか称するものの内容が根本的に変化いたしておりますのにもかかわりませず、政府与党の諸君が、旧態依然たる軍備にかじりついて、国民の血税を浪費しておるということであります。(拍手)先般ビキニ環礁におきまして実験が行われまして、不幸にも日本人漁師の二十三名がモルモットがわりに使われて水爆の犠牲となりました。そうして、この水爆の威力は、もしわが国にこれが落されるといたしますれば、およそ三発をもつてして日本全土を廃墟に帰せしめることができるのであります。この水爆の威力をもつていたしますれば、名古屋に一発これが落ちれば、東京にその灰が降り、そのために水道の水は放射能に満たされ、野菜や米麦もすべて放射能を帯び、人体の内臓と脊椎を冒しまして、直接には灰粉のため陸上の生物のすべては死滅することは明らかであります。(拍手)かくのごとく、原子戦が起つたといたしますれば、敵を殺さんと欲すれば必ずみずからも死滅することを覚悟せねばならないのであります。(拍手)
 アインシュタインやその他の優秀なる科学者たちの言によりますれば、第三次世界大戦において原子力が使われたといたしますれば、二十世紀の末までに人類は絶滅するであろう、いな、地上の動物界は姿を消すであろうと言われているのであります。これは、歴史の新たなる一つの時期、すなわち原子力時代のまことの姿を正しく認識いたしました科学者の言葉として、政治家たる者まきに襟を正して傾聴すべきものであると信ずるのでございます。(拍手)政府は、今回この二つの法案におきまして、自衛隊の任務を直接侵略に対抗するためと明確に規定し、しきりに共産勢力の直接侵略の危険をわめき立てているのであります。しかしながら、中ソいずれかが日本に対して直接侵略の挙に出るということは、それはただちに全面原子戦争になるということであります。全面的な原子力戦争に突入いたしまする以前におきましても、強力なる電波誘導爆弾などによる徹底的な科学兵器による破壊が行われることは必至であります。その場合、自衛隊はまつたく何の役にも立たないのであります。直接侵略が実際に起つた場合何の役にも立たないことが明らかであるものを、何ゆえにわざわぎ直接侵略に対抗するという任務を負わせるというのでございましようか。(拍手)これがすでにそもそも矛盾しておるのであります。これ反対の理由の第一点であります。
 原子兵器の発明とその異常な発達とは全面戦争の勃発を不可能にいたしつつありまして、他方において、さきのビキニ水爆の実験を契機といたしまして、原爆、水爆の禁止、原子力の平和的な利用、またさらに進んで一般的軍備縮小の実現の声はほうはいとして全世界をおおつております。現に、国連におきましては、国連軍縮委員会におきまして軍縮のための討議が進められており、またアイゼンハウアー大統領の原子力の平和利用の提案をめぐりまして米ソの交渉は続けられておるのであります。超国家的な管理機関が設置ぜられまして、これに各国家の主権の一部が委譲されることは、すでに現実の事態とならんとしておるのであります。このような世界の大勢にわざわざ逆行いたしまして、何を好んでやせ腕にさび刀をかつぐがごとき自衛隊を国民の血税によつて増強維持せんとするのでありましようか。(拍手)この二法案は、まざに原子力時代を認識しないところの東条時代におきまするような、まことに貧弱なる生産力と科学力をもつてしてあえてアメリカに対抗いたしました、あの無謀なる笑うべき防衛概念に基いたものであります。政府は、むしろ現行憲法の精神を遵守して、世界に率先して軍縮断行の実を示すべきであります。これ反対の第二の理由であります。
 この二法案がMSAに直結するものであることは明らかであります。憲法を踏みにじつて再軍備を強行する内容を含んでいることは言うまでもありません。MSAに直結する軍備とは何でありますか。それは米軍の旧式兵器と引きかえに日本人の肉弾を提供することを苦心味するものであります。現に、安保条約、行政協定、MSA協定という一連のとりきめは、一朝有事の際日本の自衛隊が米軍司令官の指揮のもとに入りまして行動する義務を負わしめていることは明らかであります。(拍手)具体的に条章をもつて示すといたしまするならば、行政協定第二十四条に申しております日米の共同措置は、自衛隊法案の第七十六条に言つておりますところの防衛出動につながるものでありまして、これによりまして、米軍の司令官は、その指一本を動かせば、自衛隊を海外に派遣することも、はたまた国内に軍事的クーデターをしくこともできるということに相なつておるのであります。(拍手)先に私は全面戦争開始の危険は原子兵器の発達の結果消失したと述べたのでありまするが、しからば、現にアメリカがやつておりますることは、単に中ソに対する威嚇にすぎません。しかりとするならば、あわれむべし、わが自衛隊は、このアメリカのむなしき威嚇の道具として利用されておるのに、すぎないのであります。(拍手)このような軍隊は、いたずらにわれわれの税金を食いつぶすのみで、まつたく百害あつて一利なし、すみやかに大縮減を行つて国内治安維持のための警察力程度にとどめ、さらに産業建設、国土開発にこれを転用すべきであります。これが反対の第三の理由であります。(拍手)MSA協定につながる将来の道は何でありまするか。それは、言うまでもなく、現在ワシントンにおいて着々ともくろまれつつありますところの太平洋軍事同盟であります。これが中ソに対抗いたしまするところの反共軍事同盟であり、必ずしもアジアの人民の意図にかなつたものでないことは、インド、ビルマ、インドネシア三国がこれに背を向けておることによつても明らかであります。(拍手)MSA協定から太平洋同盟へ、これはすなわち、日本の自衛隊が朝鮮か仏印かあるいはその他の米軍司令官が指名する地域に出動して、むだな血を流すことを意味するものであります。(拍手)海外出兵に対する政府与党のまことの腹、すなわち米軍から海外出兵の要求があればこれに従うという腹は、次の二つの事実によつても明らかであります。すなわち、その第一は、MSA協定の本文の中に海外出兵条項を書き入れないで、単に岡崎・アリソンのあいさつの中に触れたにすぎないということであります。第二は、与党たる自由党が、衆参両院において、野党側の提出いたしました海外出兵禁止決議案に反対し、これに難くせをつけて葬り去ろうとしておることであります。(拍手)この二つの法案におきましては、海外出兵禁止の条項はどこにも見当らないのみか、先に申し述べましたように、行政協定の日米の共同措置と自衛隊法案の防衛出動との規定によつて、いつでも海外出兵できるようになつているのであります。これ反対の第四の理由であります。(拍手)
 今かりに百歩を譲りまして、自衛隊が直接侵略に対抗できると仮定してみます。その仮定のもとに考えてみましても、その兵器の補給源をすべてアメリカに依存している軍隊は、一たびこの補給がとまりますれば、たちまちにして瓦壊することは、火を見るよりも明らかであります。第二次大戦は、戦争は生産力戦争であり、そうして補給の戦いであることを如実に示したのであります。アメリカの日本に対する勝利は、その生産力の基礎が厖大なる平和産業にあつたことを示しております。かかる重大な教訓を再び学ばないで、平和産業を圧迫して国民生活を破壊し、ひたすらアメリカの軍需産業に依存してでき上つたところのこの自衛隊なるものは、日本にとつてば、実は日本を守る自衛隊にあらずして、アメリカの空軍基地を守るところの他衛隊と言わなければならぬのであります。(拍手)これが反対の第五の点であります。
 防衛庁設置法案に規定いたしております国防会議の性格、さらにまた内局勤務者の資格制限の撤廃は、まさにかつての統帥権の独立への道、これを復活するものであり、再び新たなる軍閥の台頭と暗黒の軍部独裁とを必然的に招来するものであると言わなければなりません。かくいたしまして、日本の政治は、別に提案されました秘密保護法案と相まちまして、急転直下、かつての東条時代のごとき軍国日本の復活へと逆転いたそうとしているのであります。私は、この法案に賛成ぜんとする諸君が、将来自衛隊のカービン銃に取囲まれて軍事予算のうのみを強制されるときに後悔のほぞをかむなと、今この壇上から繰返し強く警告するものであります。(拍手)これが私の反対の第六の点であります。
 ただいまの自由党の代表のお話を承りますと、まさに、私は、かつての大東亜戦争当時、東条時代における朝な夕なに聞いたあの勇ましい演説、あれそつくりであると思います。(拍手)このような誤れる歴史の見方におきましては、祖国の前途はまさに累卵の危きにある。歴史家は将来において必ずその非違を指摘するであろうと私は確信いたしまして、私の討論を終る次第であります。(拍手)
#12
○議長(堤康次郎君) 高瀬傳君。
    〔高瀬傳君登壇〕
#13
○高瀬傳君 私は、改進党を代表いたしまして、ただいま本会議に上程せられておりまする防衛庁設置法案並びに自衛隊法案に関しまして賛成の意を申し述べるものであります。(拍手)御承知の通り、わが改進党に索きましては、独立後の日本の置かれたる立場を十分認識いたしまして、かねてから国力に相応した自衛軍備の創設を主張して今日に至つたのであります。みずからを守るということは人間の本能であり、国を守るということは、たとい敗戦国といえども、わが国民の当然の、しかも神聖なる義務と私は考えます。(拍手)敗戦後のわが国は憲法によつて侵略的な軍備を保持することは禁止されておりますが、わが国がいつまでも無防備の状態に放置せられることは、わが国を取巻く国際的諸情勢より申しましても、決して許されるものではありません。日本を守るという民族的な意識と、こうした国際環境より申しましても、わが国が自衛軍を必要とすることは当然の帰結と考えられるのであります。さらに、わが国における自衛力の必要は、サンフランシスコにおける平和条約に伴い締結せられたる日米安全保障条約によつても明確に規定されておるのであります。すなわち、同条約は、その前文において、「アメリカ合衆国は、日本国が、攻撃的な脅威となわ又は国際連合憲章の目的及び原則に従つて平和と安全を増進すること以外北用いられるべき軍備をもつことを常に避けつつ、直接及び間接の侵略に対する自国の防衛のため漸増的に自ら責任を負うことを期待する。」と、きわめて明らかにせられておるのであります。われわれは、かかる趣旨を十分に理解し、早くより国力に相応した長期防衛計画を立て、自衛軍の創設をもつて外敵に対抗し得る旗じるしを鮮明にいたしておりましたことは、諸君御承知の通りであります。(拍手)かかる意味におきまして、本法案に賛成の意を表することは決してやぶさかでないのであります。しかしながら、わが国の防衛問題に対する今日までの政府の態度には必ずしも満足するものではありません。この法案通過にあたりましても、むしろ深い疑惑と不安の念を抱かざるを得ないのはきわめて遺憾とするところであります。私は、この際、防衛問題について政府に対する不満の点を率直に披瀝して政府の猛省を促するとともに、この法律の運営に関し政府はその慎重を期ぜられんことを期待し、本法案の成立をはからんとするものであります。
 第一は、政府が真に国を守る自衛軍を創設する熱意ありやいなやという点であります。申し上げるまでもなく、国家の防衛は、国家存亡の基礎でありまするとともに、国家の運命を支配する重要なる問題であります。いやしくもわが国が独立を回復した以上、当然自国の安全は自力によつて保障せらるるものであることは論をまたないところであります。従つて、国防に関しましては、あくまでも自主的に政府がその見解を表明し、自己の判断に基いて目標と計画を立て、誠意と信念をもつて国民に訴え、しかる後に国民の理解と納得を受くべきものであると信ずるものであります。(拍手)しかるに、政府は、この問題については何ら具体的なる計画を示すことなく今日に至つておるのであります。本来、このような自衛軍を創設するにあたりましては、全然計画なしであるということは、普通の常識から申しましても考えられないのでありますが、政府は二十九年度以降の防衛計画についてはいまだはつきりしていないと言うのみであつて、全然今後の防衛計画を国民の前に示さないのは、はなはだ遺憾とする次第であります。(拍手)政府の態度は、あたかもMSAを受入れるがために急速自衛軍の創設を考え出したるがごとき感を国民に与えておるのでありまして、これがために必要以上にこの問題を混乱させる結果となり、ひいては一部の人たちに、アメリカに押しつけられてアメリカの傭兵をつくるのだという宣伝の口実を与えておるのであります。これでは隊員の志気にも重大な影響があるばかりでなく、国民に信頼されざる軍隊ができ上つてしまうのではないかと、ひそかに憂するものであります。もとより、将来微動だにしないような長期防衛計画を樹立することは容易なことでないと存じます。しかし、今や自衛隊を創設し、陸上、海上自衛隊のほか、新たに航空自衛隊まで設置せんとするにあたつて、将来の計画り概略を示すことは政府の当然の義務であると信ずるものであります。(拍手)ゆえに、われわれは、きわめて近い期間に政府が防衛計画について必ずこれを提示されんことを強く要求するものであります。
 第二は、自衛隊の性格が憲法との関係においてきわめてあいまいであるという点で、われわれの最も遺憾とするところであります。われわれは、警察予備隊をつくり、これを保安隊に改変した当時より、これは戦力であり、また実質上の軍隊であると主張して参りました。過日、内閣委員会の公聴会の席上において、公述人野村吉三郎氏も、警察予備隊が生れたときより、これはアーミーのスタートだと思つておる、これを憲法との関係において政府は非常に苦慮しておるようだと申されております。しかるに、政府は、自衛隊は軍隊なりやいなやの質問に対しては、緒方副総理は、軍隊ではなく特殊なものであるというふろに片づけ、さらに木村保安庁長官は、これよりも一歩前進いたしまして、外部よりの武力攻撃に対処し得る実力部隊を軍隊なりと解釈するならば、自衛隊はまさに軍隊であるとなし、わが党の須磨彌吉郎氏の質問に対しましては、木村個人としてはまさに軍隊であると答弁をせられておりますが、われわれの知らんと欲するところは、木村個人の見解ではなく政府の見解であり、国務大臣としての木村君そのものの見解であります。従つて、政府が自衛隊は軍隊と言うてもさしつかえないとの苦しい答弁をしておるその心底は、憲法との対決を恐れるためであることは、すでに万人のひとしく認めるところであります。
 鳩山前自由党総裁も、かつて現政府の態度を非難して、政府が保安隊を軍隊にあらずとなすは、あたかも白馬は馬にあらずと弁ずるものであつて、詭弁もはなはだしいと言わなければならないと喝破せられたことは、世人になお耳新しいところであります。自衛隊法案は、その第三条に、「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、」と明らかにされているように、従来の保安隊の有した警察的任務はまつたく払拭せられ、わずかに「必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」というにすぎないのであります。従つて、従来の保安隊は、実質上はともかく、法制上は警察力であると強弁する余地はありましたが、今回の自衛隊は外敵の侵略に対する防衛を主任務としておる以上、これは明らかに軍隊であることは、世人の常識も学者の見解もひとしく一致するところでありまして、この点、毫末も疑いをいれる余地はないのであります。もしこれを軍隊にあらずと言うなれば、白馬は馬にあらずの域を越えて、しかをさして馬となすの類であると言わなければなりません。
 政府は、完全なる軍隊でない論拠として、憲法によつて交戦権を認められていないと述べておりますが、いわゆる自衛のための交戦権と、これに伴う国際法上の諸種の待遇はこれを認め、終始その答弁に一貫性を欠いておりますことは、はなはだ意外とするところであります。すなわち、自衛隊は軍隊であり軍備であると堂々と政府の所信を明らかにしてこそ、初めて隊員の志気も上り、決意もかたくなり、また国民のこれに対する理解も深くなるものであると私は信ずるものであります。(拍手)わが改進党は、国家が自衛権を持ち、自衛のための軍備、自衛のための戦力を持つことは条理上当然であり、現行憲法もこれを禁ずるものにあらずとの見解の上に立つものであります。しかるに、政府は、今日もなお自衛隊をもつて戦力にあらずと主張しておるのであります。これは、政府みずからも明らかに欺備であることを知りながら、われわれのこの見解に同調することを潔しとせず、しかも自衛隊は憲法違反であると断ぜられることを避ける苦肉の策であると申しましても、だれ一人疑いをいれる者はないのであります。もしあくまでもわれわれの見解に同調することができないのでありますならば、すみやかに憲法を改正して、現憲法下の疑点を除くことを天下に表明すべきであると信ずるものであります。(拍手)今や、自衛体制の確立とともに、憲法の改正は世論の動向となつて来たのでありますがゆえに、政府はすみやかにこれに対する明快なる所信を表明すべきであると存ずるものであります。
 以上のごとく、現内閣、特に吉田首相の国家防衛に対する態度はきわめてあいまい、かつ不徹底なものであり、その対内的、対外的に犯した責任は決して軽しとしないのでありまして、特にわれわれの遺憾に存ずるところは、先ほど申し上げました通り、あくまでも自主的に創設し、自主的に計画すべきはずの自衛のための軍備を、あたかもMSA援助を受けるための条件のごとき疑惑と誤解を生ぜしめたことであります。しかも、本法案を実施するにあたりましては、このような疑惑と誤解を完全に一掃し、真にわが国の平和と独立を守るために、国民より十分なる理解と協力を得なければならないのは当然でありますが、政府にその努力と熱意の足らざることは、われわれの理解に苦しむところであります。
 以上述べましたるがごとく、わが改進党は、防衛問題に関する政府の従来の態度につきまして重大なる責任を問い、かつその不徹底なる見解につきましても多大の不満を禁じ得ざるものを感じつつも、あえて本法案の制定に対し協力をいたし、本日に至りましたゆえんのものは、国家防衛の問題は一党一派がこれを政略的に取扱うべき問題にあらずと確信するがゆえであります。(拍手)しかも、内外の諸情勢を思い、また敗戦の苦杯と史上まれに見る惨害とを考うるとき、われわれは衷心より平和を愛好するは当然のことでありまするが、この平和は、無防備とか非武装とかいうような観念的な態度では、とうてい真の平和を確保し得ないと信ずるがゆえであります。(拍手)さらにまた、現在わが国の安全は、日米安全保障条約に基き米国軍隊の手によつて保持せられておりますが、現在のように独立した国が国家の安全を外国の軍隊にゆだねておきますることはきわめて不自然なことでありまして、とれでは半植民地、半従属国の状態にあると言われましても、一言も反駁の余地はないのであります。われわれは、この際、一日も早く必要にして最小限度の軍備を保持し、すみやかに米国軍隊の撤退をはかるべきであるとの基本的態度のもとに、政府の国防に対する態度には多大の不満を抱きつつも、本二法案に対し賛成の意を表するものであります。(拍手)
#14
○議長(堤康次郎君) 辻政信君。
    〔辻政信君登壇〕
#15
○辻政信君 私は「社会党の皆様とはまつたく異なる立場において、この法案をよりよくしたいということを念願いたしますがゆえに、多くの欠点を持つ政府の原案を無修正で通すことには遺憾ながら賛成し得ないものであります。
 この法案は、三党協定の要綱に基いてつくられたものでありますが、協定に漏れた部分が事務官僚によつて不用意に瀕制化され、もしくは意識的に三党協定の精神をゆがめられた疑いが多分にあるのであります。木村長官の御答弁によれば、自衛隊は軍隊なりとの前提で法案を提出されたとのことでありますから、以下、その見地に立つて、最も重大なる三つの欠陥を指摘いたしまして、政府の反省を促したいと思うものであります。
 その第一は、指揮官と幕僚の性格に対する認識を誤つておられる点であります。指揮官は、任務に基いて意思を決定し、部隊を指揮命令するものであり、幕僚は、指揮官の意思決定に必要な意見を述べて、それを補佐するものであり、部隊に命令する権限を持たないというのが常識であります。卑近な例を引用いたしますと、吉田総理大臣は指揮官であり、福永官房長官は幕僚であります。総理が御病気のときでも、官房長官が総理を兼ねることは許されないのであります。このようにわかり切つた道理が原案には無視されています。すなわち、陸海空の幕僚長は、その名の示すごとく、一面においては長官を補佐する幕僚であると同時に、他面において長官にかわつてその命令を執行する指揮官を兼ねるものとなつております。平時においては大した不便を感じませんでしようが侵略を受けて出動するような場合においては、統帥上の重大なる欠陥を暴露することは火を見るよりも明らかであります。このような非常識な制度は、おそらく日本以外の世界のどこの国にも見当らないのであります。自衛隊に直接侵略に対抗する任務を与える以上、これは明らかに軍隊であります。従いまして、幕僚と指揮官とを区別されて、陸、海、空自衛隊にはそれぞれ専任の最高指揮官を置き、その下に幕僚部を設け、その幕僚長をもつて統合幕僚会議を構成するように原案を修正されることは当然であり、かつ絶対に必要と考えるものであります。
 欠陥の第二は、幕僚フアツシヨの危険をこの法案は多分に持つているという点であります。幕僚の下剋上を防ぐためには、その権限を適当に分散すべきであり、一つの部局に過大の権力を集中してはならないのであります。しかるに、本法案は、防衛局長に軍事と政治の基本的権限を集中し、統合幕僚会議は実質的には防衛局長の下請機関たる権限を与えられているにすぎないのであります。三党協定において、統合幕僚会議を新たに設け、その趣旨は、陸、海、空自衛隊の対立を防ぎ、訓練と運用と補給を調整し、純軍事の最高幕僚として長官を補佐するにあることはきわめて明瞭でありますが、協定に際し一つのミスを犯されております。それは、統合幕僚会議の権限のみを検討ざれまして、これと密接な関係にある防衛局の権限を調整されなかつた点であります。この過失に乗じ、事務官僚が特有の技巧をもつて彼らの希望しない統合幕僚会議を骨抜きにするように巧みに法制化したものであり、その結果は、防衛局長を中心とする官僚軍閥発生の重大なる危険を包蔵するものと断ぜざるを得ないのであります。この不安を除くために、防衛局長の権限を政務に関するものに制限をされて、純軍事に関しましては、三党協定の精神を生かして、統合幕僚会議をもつて長官の最高幕僚たらしむべきものと考えるのであります。
 欠陥の第三点は、この法案がクーデターを企てるのにきわめて都合よく立案されているという点であります。すなわち、自衛隊法案の第百十九条の罰則を見ますと、自衛隊員が多数共同して上官の職務上の命令に反抗し、または指揮権を有しない者が上官の命令に違反してかつてに部隊を指揮した場合においても、三年以下の懲役または禁錮という、きわめて軽い刑罰を科しておるのであります。自衛隊は平時から兵器を持つておる十六万四千五百三十人名の集団であることを忘れ、また暴力革命を企てる者は、右と左を問わず、いずれの国、いずれの時代におきましても、必ず軍隊を扇動し、これを利用するものであるという歴史的事実を、吉田総理大臣以下政府の責任者も国会議員の各位もお忘れになつておるのではないかという[点であります。二・二六事件を再び起しても、その首魁が三年以下の懲役という寛大な処置をおとわになり、それで軍の規律が維持できるものとの自信をお持ちになつておるかどうか。私は、過去における苦い経験を回想いたしまして、傑然たらざるを得ないものがあるのであります。総理大臣は、昨日の内閣委員会におきまして、私の質問に対し、御意見はよくわかりました、今後よく検討したいとお答えになつております。
 国家公務員法の第百十条には、一般公務員が給与規定に違反した場合においてさえ三年以下の懲役となつております。また、現在審議中の秘密保護法案におきましては、防衛機密を漏泄した者に対し十年以下の懲役と規定されております。これらに比べて、はるかにはるかに重大なる集団抗命罪と指揮権濫用の罪を三年以下とするがごときは、正気のさたとは考えられないのであります。元の軍隊ではもちろん、どこの国でも、この種の重罪には死刑もしくは無期をもつてしても、なおかつクーデターを防ぎ得なかつた幾多の事例があるのであります。三党協定では、この点について真剣な検討が加えられず、事務当局が事の重大性を理解しないで不用意に立案されたものと考えますが、このような恐るべき欠陥を知りながら無修正で法案を通過させることは、クーデターを助けるものと言われても御弁解の余地はないはずであります。少くともこの一点だけは、政府も与党も野党の皆様も、面子にこだわらず、党派を越え、心をむなしゆうして反省せられ、禍根を将来に残されないよう、国会の権威にかけて修正されんことを心から望むものであり、それをあえて無視されるならば、私は私の良心に対し絶対に同意し得ないものであります。
 以上申し上げた三点のほかに、この法案はなお幾多の不合理と欠点を持つものであり、政府はきわめて近い将来に進んでその誤りを修正されんことを希望いたしまして、私の反対討論を終ります。(拍手)
#16
○議長(堤康次郎君) 中村梅吉君。
    〔中村梅吉君登壇]
#17
○中村梅吉君 私は、ただいま議題となつておる防衛二法案について、日本自由党を代表いたしまして、努めて簡潔に賛成の意を表したいと存じます。
 この防衛二法案の審議を通じまして、防衛二法案と憲法との関係についてはいまだ割切れないものを残しておりますことは、私どものまことに遺憾に存ずるところでございます。しかしながら、今日国際社会の状態が手放しで無防備でよろしいという理想の段階に達しておりません現状から見ますならば、いやしくも独立国家である以上は、自衛のための防衛力を持たなければならないということは、私ども独立国民として当然考えなければならないところであると思うのであります。すでに成立しております日米安全保障条約も、大体この根底の上に立つて締結され、国会の承認を得ておるものであることは申すまでもないと思うのでございます。この日米安全保障条約によつて、日本の国の現状はアメリカ駐留軍によつて保護を受けておる状態でございます。この外国軍隊によつて保護を受けておる状態からできるだけすみやかに脱却しなければならないということも、独立を完成する上において当然考えなければならないところであると思うのであります。また、将来国際間の紛争について集団安全保障、集団防衛という問題が考えられるのでございますが、将来日本の国が国際上この集団防衛の中に参加をして行こう、行かなければならないという大体の方向に置かれております以上は、将来集団安全保障、集団防衛に参加する場合の準備としても、何らかの設備を漸進させなければならないこともまた明らかな事実であると思うのでございます。かような見地に立ちまして、私どもは、独立国として必要な自衛のための防衛力を進めて行くということについてはもちろん賛成なのでございます。
 そこで問題になりますのは、一体この法案に盛られておる程度の防衛力を持つてみても、原子力時代の今日には何の役にも立たないのではないかという御議論がございます。なるほど、原子力時代における大規模な国際戦争には当然役にたたないことはもちろんでございますが、日本の国のような存在において、原子力を用いた大規模な国際戦争に立ち向おうということを今後考えても、これはおそらく不可能なことに属すると思うのでございます。のみならず、われわれ日本民族といたしましては、あの残虐きわまる原子力を用いた大規模の国際戦争というようなものについては、徹頭徹尾、死力を尽してその回避に努め、反対をいたさなければならないと思うのでございます。(拍手)これは、世界中において原子爆弾被害第一号を受けた、このさんたんたる苦い体験を持つておる日本民族こそ、この原子力を用いた大規模の戦争というものに反対し縛る最も有力なる権利を保持しておるものであると私は思うのであります。さような見地に立つて、大規模な近代戦争というものの回避についてわれわれは全力を尽さなければなりませんが、しかし、人間が競争心理を持つており、国際間に利害の交錯がありまする以上は、小ぜり合いというものが絶無であるという保証は何人にもできないと思うのであります。この避けがたい事態であろうところの小ぜり合いに備えるための一応独立国としての防衛カを持つということは、当然、われわれ日本民族として、また独立国日本を完成する上において考えざるを得ないところであると思うのでございます。
 また、本法案については、ただいま辻議員から烈々として御指摘がございましたように、なるほど、掘り下げて検討いたしますと、この法案自体には幾多の欠陥がまだ残つておると思うのでございます。これらの点につきましては、かねて保守三党間に行われた防衛折衝において、それぞれ問題にざれたのでございます。しかし、まだ、この二法案によつて設けるところの設備なり、進めるところの自衛隊というものは、もちろん完全な国防力、完全な軍備とは言えないものであつて、一種の準備段階に属するのでございますから、それらの欠陥を完全になくするということは、今の段階では困難であるというような見地から、まあこの程度で当分やむを得ない、いずれ将来の発展に従つて改善を要するものということで、われわれはその結論を得たような次第でございます。
 なお、防衛二法案と憲法との関係につきましては、三党折衝の段階におきましてもいろいろ熱烈なる議論を闘わしたのでございますが、結局結論を得ることができなかつたのであります。これは、改進党、自由党、あるいはわれわれ日本自由党、それぞれ憲法の解釈について若干の相違を持つておるわけでございます。従つて、憲法と防衛二法案との関係については完全な意見の一致を見なかつたのでございますが、しかしながら、こういう防衛設備を進めて行き、しかもこれにだんだんと筋金を入れて行こうとするならば、憲法の改正ということは必然的なことに属すると思うのでございます。この点につきましては、政府の責任において善処せらるることをわれわれは期待して、一応あの折衝においてこの結論を是認いたしたのでございます。しかしながら、政府のその後の態度を見ておりますと、昨日の内閣委員会におきましても、総理大臣は、以前と同様に、あくまで私は憲法を改正いたしません、こう断言をされるのでございます。しかし、現実を見ますると、与党の自由党内にも憲法改正調査会が設けられております。この調査会が設けられたということは、憲法を改圧しないための調査会ではなかろうかとも私は思います。よもやそうではないだろうと思います。してみれば、この憲法改正調査会を与党内に設けられたということの現実そのものは、すでに憲法改正に向つておるものであるということは明らかな現実であると思うのでありますが、吉田総理は、私は憲法を改正いたしませんと断言をされるのであります。これは、なるほど吉田総理の立場も了解ができないことはございません。現行の新憲法を制定するにあたりましては、現在の吉田総理大臣がやはり政局の地位にあつて、総理大臣の立場でこの憲法の制定をせられた。その際には、この日本の新憲法は世界無比の平和憲法であると彼は推奨をされたのでございます。その推奨をせられた立場として、自分の口から憲法を改正するとも言い切れない複雑な心理状態にあるのではないかと思われるのでございますが、しかしながら、われわれ冷静に考えまするときに、独立国としての自衛のための防衛力を完成して行こうとするのには、憲法改正は先ほど申し上げた通り必然的であります。この点について、政府がもつと虚心になつて、率直にわが国の置かれておる現実を直視して意見を表明せらるることを私どもは期待をいたしておつたのでございますが、残念ながらわれわれの期待するような政府の所見を承ることができなかつたのでございます。しかしながら、われわれといたしましては、先ほど来申し上げましたように、日本の独立を完成する外国軍隊によつて保護を受けておるこの現状を打開して独立を完成するためには、どうしても自衛のための防衛力を進めなければならない、かような見地から、憲法との関連については割切れないものをいまだ持つておりまするが、ここにこの二法案に対しては賛成の意を表する次第でございます。(拍手)
#18
○議長(堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。
 両案を一括して採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
#19
○議長(堤康次郎君) 投票漏れはありませんか。投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。
 投票を計算いたさせます。
  [参事投票を計算〕
#20
○議長(堤康次郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 四百十五
  可とする者(白票)  二百七十七
    〔拍手〕
  否とする者(青票)  百三十八
    〔拍手]
#21
○議長(堤康次郎君) 右の結果、防衛庁設置法案及び自衛隊法案はいずれも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
    〔参照〕
 防衛庁設置法案外一件を委員長報告
 の通り決するを可とする議員の氏名
   相川 勝六君  逢達  寛君
   青木  正君  青柳 一郎君
   赤城 宗徳君  秋山 利恭君
   淺香 忠雄君  麻生太賀吉君
   足立 篤郎君  天野 公義君
   荒舩清十郎君  有田 二郎君
   安藤 正純君  伊藤 郷一君
   飯塚 定輔君  生田 宏一君
   池田  清君  池田 勇人君
   石井光次郎君  石田 博英君
   石橋 湛山君  犬養  健君
   今村 忠助君  岩川 與助君
   上塚  司君  植木庚子郎君
   西田 信也君  内海 安吉君
   江藤 夏雄君  遠藤 三郎君
   小笠 公韶君  小川 平二君
   小澤佐重喜君  小高 熹郎君
   尾崎 末吉君  尾関 義一君
   越智  茂君  緒方 竹虎君
   大上  司君  大久保武雄君
   大西 禎夫君  大野 伴睦君
   大橋 武夫君  大橋 忠一君
   大平 正芳君  大村 清一君
   岡崎 勝男君  岡本 忠雄君
  岡村利右衞門君  押谷 富三君
   加藤 精三君  加藤常太郎君
   加藤鐐五郎君  鍛冶 良作君
   金光 庸夫君  川島正次郎君
   河原田稼吉君  菅家 喜六君
   木村 武雄君  木村 文男君
   菊池 義郎君  岸  信介君
   岸田 正記君  北  購吉君
   久野 忠治君  熊谷 憲一君
   倉石 忠雄君  黒金 秦美君
   小枝 一雄君  小金 義照君
   小坂善太郎君  小平 久雄君
   小西 寅松君  小林  鋳君
   小林 絹治君  小峯 柳多君
   佐々木盛雄君  佐瀬 昌三君
   佐藤 榮作君  佐藤善一郎君
   佐藤 親弘君  佐藤虎次郎君
   坂田 英一君  坂田 道太君
   迫水 久常君  始関 伊平君
   塩原時三郎君  篠田 弘作君
   島村 一郎君  助川 良平君
   鈴木 仙八君  鈴木 善幸君
   鈴木 正文君  世耕 弘一君
   瀬戸山三男君  圏内 正一君
   田口長治郎君  田子 一民君
   田嶋 好文君  田中伊三次君
   田中  好君  田中 彰治君
   田中 龍夫君  田中 萬逸君
   田渕 光一君  高木 松吉君
   高田 弥市君  高橋 英吉君
   高橋圓三郎君  高橋  等君
   竹尾  弌君  武田信之助君
   武知 勇記君  玉置 信一君
   津雲 國利君  塚田十一郎君
   塚原 俊郎君  辻  寛一君
   土倉 宗明君  綱島 正興君
   坪川 信三君  寺島隆太郎君
   徳安 實藏君  苫米地英俊君
   富田 健治君  中井 一夫君
   中川源一郎君  中川 俊思君
   中村  清君  中村 幸八君
   中山 マサ君  仲川房次郎君
   永田 良吉君  長野 長廣君
   灘尾 弘吉君  南條 徳男君
   丹羽喬四郎君  西村 英一君
   西村 直己君  西村 久之君
   根本龍太郎君  野田 卯一君
   羽田武嗣郎君  葉梨新五郎君
   馬場 元治君 橋本登美三郎君
   橋本 龍伍君  長谷川 峻君
   花村 四郎君  濱田 幸雄君
   濱地 文平君  林  讓治君
   林  信雄君  原田  憲君
   平井 義一君  平野 三郎君
   福井  勇君  福田 赳夫君
   福田 篤泰君  福田  一君
   福永 健司君  藤枝 泉介君
    船越  弘君  船田  中君
    降旗 徳弥君  保利  茂君
    坊  秀男君  堀川 恭平君
    木多 市郎君  本間 俊一君
    前尾繁三郎君  前田 正男君
    牧野 寛索君  益谷 秀次君
    増田甲子七君  松井 豊吉君
    松岡 俊三君  松崎 朝治君
    松田 鐵藏君  松野 頼三君
    松山 義雄君  三池  信君
    三浦寅之助君  三和 精一君
    水田三喜男君  南  好雄君
    宮原幸三郎君  村上  勇君
    持永 義夫君  森   清君
    森幸 太郎君  八木 一郎君
    安井 大吉君  山口喜久一郎君
    山口 好一君  山口六郎次君
    山崎 岩男君  山崎  巖君
    山崎  猛君  山田 彌一君
    山中 貞則君  山本 勝市君
    山本 正一君  山本 友一君
    保岡 武久君  吉田 重延君
    吉武 惠市君  渡邊 良夫君
    亘  四郎君  赤澤 正道君
    芦田  均君  荒木萬壽夫君
    有田 喜一君  五十嵐吉藏君
    井出一太郎君  伊東 岩男君
    池田 清志君  臼井 荘一君
    小山倉之助君  大麻 唯男君
    大高  康君  岡田 勢一君
    岡部 得三君  加藤 高藏君
    金子與重郎君  神戸  眞君
    川崎 秀二君  吉川 久衛君
    楠美 省吾君  栗田 英男君
    小泉 純也君  小島 徹三君
    河野 金昇君  佐藤 芳男君
    齋藤 憲三君  櫻内 義雄君
    笹本 一雄君  志賀健次郎君
    椎熊 三郎君  重光  葵君
    鈴木 幹雄君  田中 久雄君
    高瀬  傳君  高橋 禎一君
    竹山祐太郎君  舘林三喜男君
    千葉 三郎君  床次 徳二君
    内藤 友明君  中島 茂喜君
    中嶋 太郎君  中野 四郎君
    中村三之丞君  並木 芳雄君
    長谷川四郎君  廣瀬 正雄君
    福田 繁芳君  藤田 義光君
    古井 喜實君  古屋 菊男君
    町村 金五君  松浦周太郎君
    松村 謙三君  三浦 一雄君
    三木 武夫君  村瀬 宣親君
    粟山  博君  柳原 三郎君
    山下 春江君  山手 滿男君
    早稻田柳右エ門君中村 梅吉君
    松田竹千代君  松永  東君
    三木 武吉君  山村新治郎君
    只野直三郎君
  否とする議員の氏名
    阿部 五郎君  青野 武一君
    赤路 友藏君  赤松  勇君
    足鹿  覺君  飛鳥田一雄君
    淡谷 悠藏君  井手 以誠君
    井谷 正吉君  伊藤 好道君
    猪俣 浩三君  石村 英雄君
    石山 權作君  稻村 順三君
    小川 豊明君  加賀田 進君
    加藤 清二君  片島  港君
    勝間田清一君  上林與市郎君
    神近 市子君  北山 愛郎君
    久保田鶴松君  黒澤 幸一君
    佐々木更三君  佐藤觀次郎君
    齋木 重一君  櫻井 奎夫君
    志村 茂治君  柴田 義男君
    島上善五郎君  下川儀太郎君
    鈴木茂三郎君  田中織之進君
    田中 稔男君  多賀谷真稔君
    高津 正道君  滝井 義高君
    楯 兼次郎君  辻原 弘市君
    永井勝次郎君  成田 知巳君
    西村 力弥君  野原  畳君
    芳賀  貢君  萩元たけ子君
    長谷川 保君  原   茂君
    福田 昌子君  古屋 貞雄君
    帆足  計君  穗積 七郎君
    細迫 兼光君  正木  清君
    松原喜之次君  三鍋 義三君
    武藤運十郎君  森 三樹二君
    八百板 正君  安平 鹿一君
    柳田 秀一君  山口丈太郎君
    山崎 始男君  山田 長司君
    山中日露史君  山花 秀雄君
    山本 幸一君  横路 節雄君
    和田 博雄君  淺沼稻次郎君
    井伊 誠一君  井上 良二君
    井堀 繁雄君  伊瀬幸太郎君
    伊藤卯四郎君  池田 禎治君
    稲富 稜人君  今澄  勇君
    受田 新吉君  大石ヨシエ君
    大西 正道君  大矢 省三君
    岡  良一君  加藤 勘十君
    加藤 鐐造君  春日 一幸君
    片山  哲君  川島 金次君
    川俣 清音君  河上丈太郎君
    菊川 忠雄君  小平  忠君
    小林  進君  河野  密君
    佐竹 新市君  佐竹 晴記君
    杉村沖治郎君  杉山元治郎君
    鈴木 義男君  田中幾三郎君
    竹谷源太郎君  長  正路君
    辻  文雄君  堤 ツルヨ君
    戸叶 里子君  土井 直作君
    中井徳次郎君  中居英太郎君
    中崎  敏君  中澤 茂一君
    中村 高一君  中村 時雄君
    西尾 末廣君  西村 榮一君
    日野 吉夫君  甲岡忠次郎君
    細野三千雄君  前田榮之助君
    松井 政吉君  松平 忠久君
    松前 重義君  三宅 正一君
    三輪 壽壯君  水谷長三郎君
    門司  亮君  矢尾喜三郎君
    山下 榮二君  吉川 兼光君
    吉田 賢一君  川上 貫一君
    久保田 賢君  黒田 寿男君
    小林 信一君  館  俊三君
    辻  政信君  中原 健次君
    中村 英男君  原   彪君
     ――――◇―――――
#22
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#23
○議長(堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事淺香忠雄君。
    〔淺香忠雄君登壇〕
#25
○淺香忠雄君 ただいま議題となりました企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この法案は、企業資本の充実を促進し、その経営の安定と経理の健全化をはかるために、一定規模以上の会社について資産の再評価を強制するとともに、一定限度以上の再評価を行つたものに対して再評価税及び固定資産税を軽減する等の措置を講じようとするものであります。
 すなわち、第一に、一定規模以上の株式会社は、この法律の施行日後、昭和二十九年中に開始する事業年度開始の日のいずれか一の日現在で、減価償却資産につき、再評価実施後の帳簿価額の総額が第三次再評価の限度額の総額の百分の八十以上となるように、再評価を行わなければならないことといたしております。
 第二に、陳腐化した資産等の多い会社につきましては、一旦最低限度まで再評価を行つた後、大蔵大臣の承認を経て陳腐化資産等の帳簿価額の減額をさせることとし、適正な再評価を実施することができる道を開いております。
 第三に、再評価積立金の資本組入れ及び減価償却の励行のための措置として、約二年間の猶予期間を置いた後、昭和三十二年三月三十一日を含む事業年度から三年間の各事業年度においては、その事業年度までに再評価積立金の百分の四十以上を資本に組み入れた場合、また同一の猶予期間の後、普通償却範囲額の百分の九十以上の減価償却を行つた場合でなければ、年一割五分を越える配当を行つてはならないものとしております。
    〔議長退席、副議長着席〕
 第四に、最低限度以上の再評価を行つたものに対しましては、減価償却資産についての第三次再評価の再評価差額のうち、再評価限度額の百分の六十五を超える部分に対する再評価税を全額免除することとし、再評価限度額の百分の六十五に達するまでの部分につきましては、第一次、第二次再評価に相当する部分として、これに対する再評価税の二分の一を免除することといたしております。
 第五に、最低限度以上の再評価を行つたものに対する昭和三十年度から三年度間の家屋以外の償却資産に対する固定費産税につきましては、その資産の評価額が昭和二十九年度分の課税の基礎となつた価格を越える場合には、原則として昭和二十九年度分の課税標準をもつてこれにかえることといたしております。
 本案につきましては、自由党の藤枝委員より修正案が提出されました。修正案の内容は、再評価積立金の四割以上を資本に組み入れた場合でなければ年一割五分を越える配当を行つてはならないものとなつているのを、幾分緩和いたしまして、三割以上を資本に組み入れた場合、また普通償却範囲額の百分の九十以上の減価償却を行つた場合でなければ年二割を越える配当を行つてはならないものと修正するものであります。
 本案は、慎重審議の後、去る四月二十八日質疑を打切り、討論を省略して、ただちに修正案及び修正部分を除く原案について採決いたしましたところ、いずれも起立多数をもつて可決され、よつて本案は修正議決いたされました。
 以上御報告申し上げます。
#26
○副議長(原彪君) 討論の通告があります。これを許します。福田繁芳君、
  [福田繁芳君登壇〕
#27
○福田繁芳君 私は、改進党を代表いたしまして、ただいま上程されておりまする法律案に関して、自由党諸君がお出しになつたところの修正案には反対いたし、諸君の唯一の基盤としておりますこの内閣提案の原案に賛成いたしたいと思うものでございます。(拍手)
 経済再建が最も急務であり、それに関連する重大法案であり、政局安定これまた一日も急を要する今日、わが改進党にしてかくのごとき態度をとらなくてはならないような、自由党諸君が無謀にして不正きわまるところの修正案を出されたことを、いたく私は遺憾に思うのでございます。(拍手)自由党の諸君も、今からでもおそくはございませんから、心からなるところの反省を促しながら、その理由を二、三申し上げてみたいと思う。
 わが国経済は、終戦後八年、今日に至りましてもいまなお不安と動揺の状態を続けておることは諸君御承知の通り。その基本的な原因を今簡単に探求いたしますると、まずその一つは、十年にわたる戦争経済の遂行によつて、蓄積資本の七三%を喪失した点にあるのでございます。そのうち、設備資本は、空爆、火災などによる滅亡や、償却の不全による老朽化によつて、また貨幣資本は戦後打続いたインフレ政策による価値の滅失による等、これらが最大の原因となつていることは、諸君御承知の通りでございます。従つて、失われたる設備資本の充実に努めますとともに、インフレの終息による貨幣価値の安定に努めることが、わが国の経済自立の要諦でなければなりません。しかるに、長きにわたつて政権を独占した吉田内閣は、インフレの高進による水ぶくれ財政と自然増収とを一切施策の根幹としたために、産業資本家は実質的には資本の食いつぶしをしながらインフレの差益を追求し、また金融資本家は日銀の信用膨脹に期待して、かくしてインフレ激化の谷底へ転落しつつ、高物価、輸出難あるいは国際収支の悪化を訴えているのが、財政経済施策貧困なる吉田内閣治下の経済の偽らない実態でございます。われわれは、かような現状を打破するために、諸君も御承知のごとく、さきに健全財政の堅持を自由党に要求いたして、本年度予算の骨格たらしめ、さらに企業の自己資本の充実をはかつて、企業が金融に一切の救援を求め、かつ債務の累増と利払い過高に追いまわされている亡状を打破するために、資産の再評価と評価益の資本繰入れを法的措置によつて実施することを強く与党諸君に要求いたして来たのでございます。これにこたえて政府当局が提案して参つたのがすなわちこの法案でございます。
 ところが、諸君、原案はすでに閣議を通過いたして国会へ提出ざれました。しかるところ、与党の自由党は、去る四月の二十人目になりまして、突如として本法の目的をまつたく粉砕するような修正案を突然大蔵委員会に出して参つだのでございます。
 私は、簡単にその修正の要点を申し述べて、正しく諸君の御批判を仰ぎたいと思うのでございますが、まず第一点は、本法の十七条の第一項に規定されたところの、要再評価会社が所定の再評価を行わなかつた場合には年一割五分以上の配当を行つてはならない、こういうところの促進規定ないしは制裁規定があるのでございますが、これを年二割まで緩和するというところの矛盾きわまるものがこの修正案でございます。大よそ法律に設けられたる促進ないしは制裁規定というものは、その目的を達成することができなければ、法の目的自体を達成することが至難となるということは、皆様も御承知の通りでございます。この見地に立ちまして、再評価を行わない企業に対する配当制限を二割にまで緩和するという修正は、むしろこの法律自体の目的を達成するにすこぶる困難を来さしめ、ひいてはこの法律の実施それ自体を無意味にするものにほかならないと私は確信いたすものでございます。(拍手)何となれば、現在、諸君、東京証券取引所上場株中の六箇月決算会社銘柄四百二十六社の加重平均配当率は一割八分三厘でございます。それをば、これを上交わるところの二割までの配当制限を設けたとて、これは制限にもならず、また制裁にもなりません。むしろ再評価を行わざる会社に高配当を奨励するというところの、実に矛盾きわまる結果になるのでございます。かようなことで、どこに本法を施行するところの意味がございましようか。率直に申しますならば、自由党の諸君の修正というものは、この法律の本質を曲げてしまつて、いわゆる廃法たらんことを望んでいるということを申しても過言ではないと思う。(拍手)
 さらに、この修正案には、諸君、奇怪な事実が存在しております。すなわち、政府原案におきましては、再評価を行わなかつた企業に対しての配当制限は、昭和三十五年三月末日の決算にまでこれを適用すると規定されておるのでございます。すなわち、ことしから数えまして足かけ七年先までを規定してございます。そこで、自由党の修正案がもし本院を通過するということに仮定しまするならば、再評価をしなかつた会社は、七年先まで、驚くことには二割の配当をしてよいという保証が得られるわけでございます。ところが、一面経済界の大勢はどうかと申しますと、優良会社であればあるだけ、十分な資産再評価を行つて低配当へ導く傾向が著しいのでございます。不良会社でも、金融梗塞の将来を望み見ては、できるだけ資本充実をはかつて金融への依存を断ち切らざるを得ない。これがためには配当率を下げざるを得ないのでございます。おそらく来年中には、上場会社の平均利回りは一割、配当率は一割五分程度が水準となるということが一般有識者の声となつておるのでございます。それを、資産再評価をやらなければ七年先まで二割配当を保証するというがごとき乱暴な修正をやる自由党は、実に健全なるわが国経済自立の確立に目をおおうて、相かわらずインフレ万能、不良企業育成、オーバー・ローン奨励をし続けて行くところの、情ない亡国政党であると言わなくてはなりません。(拍手)
 次に、修正の第二点は次のごときものでございます。すなわち、この法律第十八条第一項に、政府原案では、再評価積立金の中の四割以上を資本に組み入れなかつた企業、または九割までの資産償却を行わなかつた企業は、それぞれ年一割五分以上の配当をしてはならないというところの制裁ないし促進規定があるにもかかわりませず、三割以上を資本に組み入れなかつた企業、または九割までの資産償却を行わなかつた企業は、それぞれ二割以上の配当をしてはならないと修正いたしておるのでございます。この間、二割の配当制限という修正がいかに経済の現状に沿わないか、あるいは将来に沿わないか、まつたく制限規定としての本質を抹殺した修正であるということを申しても過言でなかろうと考えます。(拍手)
 そこで申し上げたいのでありますが、この法律によりまして、今後千二、三百億の資本組入れが行われるということが予想されるのであります。ところが、自由党の修正による三割組入れとしますと、過去の実施額約五百億円のほかに、今後せいぜい、四、五百億円が資本組入れされれば上乗ということになるのでございます。今、全国の利益計上会社の四万三千二百六十
 一社の自己資本の総額は一兆三千七百億円に達しております。この資本を大いに充実するところの目的のこの法律の公布によつて、わずか四、五百億の増資が行われたからと申しまして、どれだけの効力がありましようか。この点については、政府原案があまりにも甘過ぎたにもかかわりませず、さらに自由党の修正によつて一層甘い結果に陥るということを、この際はつきり申し上げておきたいと思います。(拍手)
 さらに、償却の奨励を有名無実にする修正の結果もまた大同小異であります。政府原案によりましても、償却はなお不十分であります。現在、日本の企業は、一方に必要な償却を怠りながら、他方では積立金の大を誇つているという、きわめて不健全な経営を続けているのでございます。諸君の御承知の通りに、西ドイツにおきましては、極度の資産償却を行つて、各企業ともにほとんど他人資本にたよらず産業施設の近代化をなし遂げているということは、顕著な事実でございます。日本の企業もまた、償却を大いに盛んにすれば、ほとんど金融機関にたよらず、オーバ・ローンも招来せず、りつぱに設備資金の充足ができると私は考えます。それを、全国法人所得四千六百億円に対しまして、株主配当は一千億円、償却が一千億円、社用族交際費が何と二千億円、社内留保が一千五百億円、こういうところの放漫経営の現勢をいよいよ助長せんとしているのが自由党の修正案でございます。(拍手)
 以上申し上げましたので、自由党の諸君でありましても、社会党の諸君でありましても、原案と自由党の修正案といずれを選ぶかということは、はつきりおわかりであろうと私は考えます。(拍手)今からでもおそくはございませんから、自由党の修正案は御撤回願いたいと私は思う。ことに、本日の記名投票に際しまして、吉田総理は不幸にして御欠席でございます。閣僚諸君が十二、三人来られておる。閣僚諸君の出された原案には私は賛成する。自由党のこの修正案には反対する。(拍手)この閣僚諸君がいかようなる投票をされるかということを、私は国民にかわつてながめたいと存じます。
 これをもちまして私の討論は終ります。(拍手)
#28
○副議長(原彪君) これにて討論は終局いたしました。
 まず、本案の委員長報告にかかる修正部分につき採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。本案の委員長報告にかかる修正部分に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票]
#29
○副議長(原彪君) 投票漏れはありませんか。投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖、開。開鎖。
 投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
#30
○副議長(原彪君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数 四百二十
  可とする者(白票)  二百十三
    〔拍手〕
  否とする者(青票)   二百七
    〔拍手]
#31
○副議長(原彪君) 右の結果、本案の委員長報告にかかる修正部分は可決されました。
    ―――――――――――――
    〔参照〕
 企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法案の委員長報告に係る修正部分を可とする議員の氏名
  相川 勝六君  逢澤  寛君
  青木  正君  青柳 一郎君
  赤城 宗徳君  秋山 利恭君
  淺香 忠雄君  麻生太賀吉君
  足立 篤郎君  天野 公義君
  荒舶清十郎君  有田 二郎君
  安藤 正純君  伊藤 郷一君
  飯塚 定輔君  生田 宏一君
  池田  清君  池田 勇人君
  石井光次郎君  石田 博英君
  石橋 湛山君  犬養  健君
  今村 忠助君  岩川 與助君
  上塚  司君  植木庚子郎君
  内田 信也君  内海 安吉君
  江藤 夏雄君  遠藤 三郎君
  小笠 公韶君  小笠原三九郎君
  小川 平二君  小澤佐重喜君
  小高 熹郎君  尾崎 末吉君
  尾関 義一君  越智  茂君
  緒方 竹虎君  大上  司君
  大久保武雄君  大西 禎夫君
  大野 伴睦君  大橋 武夫君
  大橋 忠一君  大平 正芳君
  大村 清一君  岡崎 勝男君
  岡田 五郎君  岡本 忠雄君
  岡村利右衞門君 押谷 富三君
  加藤 精三君  加藤常太郎君
  加藤鐐五郎君  鍛冶 良作君
  金光 庸夫君  川島正次郎君
  河原田稼吉君  菅家 喜六君
  木村 武雄君  木村 俊夫君
  木村 文男君  菊池 義郎君
  岸  信介君  岸田 正記君
  北  吟吉君  熊谷 憲一君
  倉石 忠雄君  黒金 泰美君
  小枝 一雄君  小金 義照君
  小坂善太郎君  小平 久雄君
  小西 寅松君  小林  鋳君
  小林 絹治君  小峯 柳多君
  佐々木盛雄君  佐瀬 昌三君
  佐藤 榮作君  佐藤善一郎君
  佐藤 親弘君  佐藤虎次郎君
  坂田 英一君  坂田 道太君
  迫水 久常君  始関 伊平君
  塩原時三郎君  篠田 弘作君
  島村 一郎君  庄司 一郎君
  助川 良平君  鈴木 仙八君
  鈴木 善幸君  鈴木 正文君
  世耕 弘一君  瀬戸山三男君
  關内 正一君  關谷 勝利君
  田口長治郎君  田子 一民君
  田嶋 好文君  田中伊三次君
  田中  好君  田中 彰治君
  田中 龍夫君  田中 萬逸君
  田渕 光一君  高木 松吉君
  高田 弥市君  高橋 英吉君
  高橋圓三郎君  高橋  等君
  竹尾  弌君  武田信之助君
  武知 勇記君  玉置 信一君
  津雲 國利君  塚田十一郎君
  塚原 俊郎君  辻  寛一君
  土倉 宗明君  綱島 正興君
  坪川 信三君  寺島隆太郎君
  徳安 實藏君  苫米地英俊君
  富田 健治君  中井 一夫君
  中川源一郎君  中川 俊思君
  中村  清君  中村 幸八君
  中山 マサ君  仲川房次郎君
  永田 良吉君  長野 長廣君
  灘尾 弘吉君  南條 徳男君
  丹羽喬四郎君  西村 英一君
  西村 直己君  西村 久之君
  根本龍太郎君  野田 卯一君
  羽田武嗣郎君  葉梨新五郎君
  馬場 元治君  橋本登美三郎君
  橋本 龍伍君  長谷川 峻君
  花村 四郎君  濱田 幸雄君
  濱地 文平君  林  讓治君
  林  信雄君  原田  憲君
  平井 義一君  甲野 三郎君
  福井  勇君  福田 赳夫君
  福田 篤泰君  福田  一君
  福永 健司君  藤枝 泉介君
  船越  弘君  船田  中君
  降旗 徳弥君  保利  茂君
  坊  秀男君  堀川 恭平君
  本多 市郎君  本間 俊一君
  前尾繁三郎君  牧野 寛索君
  益谷 秀次君  増田甲子七君
  松井 豊吉君  松岡 俊三君
  松崎 朝治君  松田 鐵藏君
  松野 頼三君  松山 義雄君
  三池  信君  三浦寅之助君
  三和 精一君  水田三喜男君
  南  好雄君  宮原幸三郎君
  村上  勇君  持永 義夫君
  森   清君  森 幸太郎君
  八木 一郎君  安井 大吉君
  山口喜久一郎君 山口 好一君
  山口六郎次君  山崎 岩男君
  山崎  巖君  山崎  猛君
  山田 彌一君  山中 貞則君
  山本 勝市君  山本 正一君
  山本 友一君  保岡 武久君
  吉田 重延君  吉武 惠市君
  渡邊 良夫君  亘  四郎君
  只野直三郎君
 否とする議員の氏名
  赤澤 正道君  芦田  均君
  荒木萬壽夫君  有田 喜一君
  五十嵐吉藏君  井出一太郎君
  伊東 岩男君  池田 清志君
  臼井 荘一君  小山倉之助君
  大麻 唯男君  大高  康君
  岡田 勢一君  岡部 得三君
  加藤 高藏君  金子與重郎君
  神戸  眞君  川崎 秀二君
  吉川 久衛君  楠美 省吾君
  栗田 英男君  小泉 純也君
  小島 徹三君  河野 金昇君
  河本 敏夫君  佐藤 芳男君
  齋藤 憲三君  櫻内 義雄君
  笹本 一雄君  志賀健次郎君
  椎熊 三郎君  重光  葵君
  鈴木 幹雄君  園田  直君
  田中 久雄君  高瀬  傳君
  高橋 禎一君  竹山祐太郎君
  舘林三喜男君  千葉 三郎君
  床次 徳二君  内藤 友明君
  中島 茂喜君  中嶋 太郎君
  中野 四郎君  中村三之丞君
  並木 芳雄君  長谷川四郎君
  廣瀬 正雄君  福田 繁芳君
  藤田 義光君  古井 喜實君
  古屋 菊男君  町村 金五君
  松浦周太郎君  松村 謙三君
  三浦 一雄君  三木 武夫君
  村瀬 宣親君  粟山  博君
  柳原 三郎君  山下 春江君
  山手 滿男君  早稻田柳右エ門君
  阿部 五郎君  青野 武一君
  赤路 友藏君  赤松  勇君
  足鹿  覺君  飛鳥田一雄君
  淡谷 悠藏君  井手 以誠君
  井谷 正吉君  伊藤 好道君
  猪俣 浩三君  石村 英雄君
  石山 擢作君  稻村 順三君
  小川 豊明君  加賀田 進君
  加藤 清二君  片島  港君
  勝間田清一君  上林與市郎君
  神近 市子君  北山 愛郎君
  久保田鶴松君  黒澤 幸一君
  佐々木更三君  佐藤觀次郎君
  齋木 重一君  櫻井 奎夫君
  志村 茂治君  柴田 義男君
  島上善五郎君  下川儀太郎君
  鈴木茂三郎君  田中織之進君
  田中 稔男君  多賀谷真稔君
  高津 正道君  滝井 義高君
  楯 兼次郎君  辻原 弘市君
  永井勝次郎君  成田 知巳君
  西村 力弥君  野原  覺君
  芳賀  貢君  萩元たけ子君
  長谷川 保君  原   茂君
  福田 昌子君  古屋 貞雄君
  帆足  計君  穗積 七郎君
  細迫 兼光君  正木  清君
  松原喜之次君  三鍋 義三君
  武藤運十郎君  森 三樹二君
  八百板 正君  安平 鹿一君
  柳田 秀一君  山口丈太郎君
  山崎 始男君  山田 長司君
   山中日露史君  山花 秀雄君
   山本 幸一君  横路 節雄君
   和田 博雄君  淺沼稻次郎君
   井伊 誠一君  井上 良二君
   井堀 繁雄君  伊瀬幸太郎君
   伊藤卯四郎君  池田 禎治君
   稲富 稜人君  今澄  勇君
   受田 新吉君  大石ヨシエ君
   大西 正道君  大矢 省三君
   岡  良一君  加藤 勘十君
   加藤 鍛造君  春日 一幸君
   片山  哲君  川島 金次君
   川俣 清音君  河上丈太郎君
   菊川 忠雄君  小平  忠君
   小林  進君  河野  密君
   佐竹 新市君  佐竹 晴記君
   杉村沖治郎君  杉山元治郎君
   鈴木 義男君  田中幾三郎君
   竹谷源太郎君  長  正路君
   辻  文雄君  堤 ツルヨ君
   戸叶 里子君  土井 直作君
   中井徳次郎君  中居英太郎君
   中崎  敏君  中澤 茂一君
   中村 高一君  中村 時雄君
   西尾 末廣君  西村 榮一君
   日野 吉夫君  平岡忠次郎君
   細野三千雄君  前田榮之助君
   松井 政吉君  松平 忠久君
   松前 重義君  三宅 正一君
   三輪 壽壯君  水谷長三郎君
   門司  亮君  矢尾喜三郎君
   山下 榮二君  吉川 兼光君
   吉田 賢一君  岡田 春夫君
   久保田 豊君  黒田 寿男君
   小林 信一君  館  俊三君
   辻  政信君  中原 健次君
   中村 英男君  池田正之輔君
   中村 梅吉君  松田竹千代君
   松永  東君  三木 武吉君
   山村新治郎君
    ―――――――――――――
#32
○副議長(原彪君) 次に、修正部分を除いたその他の原案につき採決いたします。修正部分を除いたその他の原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立]
#33
○副議長(原彪君) 起立多数。よつて修正部分を除いたその他の原案は可決されました。(拍手)
     ――――◇―――――
#34
○副議長(原彪君) 日程第三は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略して、日程第四とともに一括議題とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。
 日程第三、公職選挙法の一部を改正する法律案、日程第四、公職選挙法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。日程第三については趣旨弁明、日程第四については委員長の報告を求めます。公職選挙法改正に関する調査特別委員長森三樹二君。
    〔森三樹二君登壇〕
#36
○森三樹二君 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案について、その提案理由を説明いたします。
 本案は、去る六日、公職選挙法改正に関する調査特別委員会において、全会一致をもつて起草提出した法律案であります。御承知のごとく、本特別委員会は、公職選挙法の改正につきましては、法全般にわたり、さらに根本的問題につきましても現在鋭意検討を重ねている次第でありますが、さしあたり常時必要である選挙の啓発宣伝に関し、選挙の管理執行の任に当る選挙管理委員会をして常時国民の啓蒙に当らしめるとともに、この重大な任務遂行上必要なる経費について、国において財政上必要な措置を講ずる必要がありますので、ここに本法案を提出した次第であります。
 次に、提案の理由を申し上げます。申すまでもなく、民主政治の確立は、国民の政治意識の高揚と選挙の公明化がその大前提となるものであります。しかるに、わが国の選挙界の現状は、選挙に巨額の金を必要とし、違反は跡を断たないのは、まことに憂慮にたえないところであります。昭和二十六年四月執行の地方公共団体の選挙を契機として、選挙に関する国民の関心を高めて選挙違反を防止し、もつて民主政治の確立を期することを目的として、いわゆる公明選挙運動が全国的に展開されるに至つたのでありますが、この運動が全国民に侵透し、十分にその目的を達成するのには、常時かつ組織的にこれを行うことが絶対に必要であります。
 改正の主要点を申し上げますと、現行の公職選挙法の第六条には選挙管理委員会の使命を規定しているのでありますが、選挙は国民の政治教育上絶好の機会でありますので、選挙の管理執行の任に当る選挙管理委員会をして選挙の重要性を解明し、国民に民主政治の真義を知らしむるため常時国民の啓発に当らしめることは、最も適当かつ必要と信ずるのであります。よつて、公職選挙法第六条の規定を改正してこの旨を明らかにするとともに、この重大な任務の遂行に必要な経費については、当然国において財政上必要な措置を講ずる必要がありますので、そのような趣旨の規定を設けた次第であります。
 以上がこの濃案を提案する理由であります。何とぞ御賛成あらんことを希望いたしまして、本法案の説明を終ります。
 次に、内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、委員会におきまする審議の経過並びに結果につきまして御報告申し上げます。
 まず、提案理由を簡単に申し上げます。御承知のごとく、教育委員会の委員につきましては二年ごとに半数ずつ改選する制度がとられているのであります。これは、教育委員会という新しい制度のもとに、選挙ごとに委員の一斉交代が行われることに伴う施策の急激な変化を回避することをその主眼といたしているものと考えられますが、今日においては、この制度発足以来六年を経過し、その運用の経験より、半数改選制度を維持することの積極的理由に乏しいのみならず、現在の地方公共団体の選挙においては他に半数改選制度をとるものなく、ために選挙民の理解が薄く、従つて選挙民の意思が十分に反映せられないうらみもあるので、この際地方財政上の負担の軽減の意味からも、委員の半数改選を四年ごとに一斉に改選ずることに改めようとするものであります。
 内容について概略申し上げます。第一に、教育委員会の委員の半数改選の制度を廃止して四年ごとに一斉に改選することとし、第二に、教育委員会の現任委員のうち本年任期満了する半数の委員の任期を二年延長することにしているのであります。
 特別委員会におきましては、まず政府当局より本案の提案理由を聴取し、さらに大達文部大臣にも熱心に質疑をいたし、その後小委員会に付託して慎重なる審議をいたしたのでありまするが、昨五月六日質疑を終了し討論に入りましたところ、自由党の鍛冶良作君より、教育委員が二年ごとに半数改選するというような制度は、教育委員会の使命及び窮迫せる地方財政の経費の節減の面からも改正する必要があるので、本案に賛成である旨述べられ、次いで改進党の並木芳雄君よりは、地方財政の面のみよりの改正ならば賛成いたしかねるが、提案理由にあるごとく選挙制度の面より見るならば賛成である旨の討論がありました。また社会党の島上善五郎君よりは、教育委員を半数改選制とした当初の理由が何ら解消されていないし、また地方財政の面よりこの案が提出されたものとすれば、教育委員会制度そのものの存廃が問題になつている際、この点に検討を加えることなき、かくのごとき糊塗的改正には賛成することができない旨の反対討論が行われました。次いで採決の結果、起立多数をもつて原案の通り可決されました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#37
○副議長(原彪君) まず日程第三につき採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
 次に、日程第四につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#39
○副議長(原彪君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#40
○副議長(原彪君) 日程第五、交通事件即決裁判手続法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長小林鋳君。
    〔小林鋳君登壇〕
#41
○小林かなえ君 ただいま議題となりました交通事件即決裁判手続法案の委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げますが、時間がないのでこれを省略いたしまして、報告書を議長まで提出し、これを全文速記録に掲載していただくことといたします。
 これを簡単に申し上げますれば、近来交通事故が激増しましたが、裁判手続、刑の執行等に非常に手間をとり、国家も被告人も非常に迷惑を受けますので、今回口頭による略式の手続をすべきものとして本案の手続を創定し、警察から検察、裁判と流れ作業式に行うようにいたそうとするものであります。しかし、人権擁護の立場から、本人に異議があれば、この手続によることができず、確定前はいつまでも正式裁判を求めることができることになつております。その内容、審議の経過等は速記録に譲ることといたします。
 かくて討論省略の上、全会一致をもつて附帯決議を付して可決された次第であります。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#42
○副議長(原彪君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#43
○副議長(原彪君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。来る十日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。
    午後五時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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