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1953/04/14 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 法務委員会 第39号
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1953/04/14 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 法務委員会 第39号

#1
第019回国会 法務委員会 第39号
昭和二十九年四月十四日(水曜日)
    午前十時五十六分開議
 出席委員
   委員長 小林かなえ君
   理事 鍛冶 良作君 理事 田嶋 好文君
   理事 花村 四郎君 理事 高橋 禎一君
   理事 井伊 誠一君
      押谷 富三君    林  信雄君
      本多 市郎君    牧野 寛索君
      猪俣 浩三君    木下  郁君
      池田正之輔君
 出席政府委員
        国家地方警察本
        部長官     齋藤  昇君
        法務政務次官  三浦寅之助君
 委員外の出席者
        専  門  員 村  教三君
        専  門  員 小木 定一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 外国人登録法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第四三号)(参議院送付)
 法務行政に関する件
    ―――――――――――――
#2
○小林委員長 これより会議を開きます。
 法務行政に関する件について調査を進めます。本日は、かねて地方行政委員会に連合審査会の開会を申し入れてあります警察法案に現われました法務行政に関連のある諸問題に重点を置いて調査を進めたいと存じますから、さようお含みの上御発言を願います。発言の通告がありますから、順次これを許します。林信雄君。
#3
○林(信)委員 この際警察法案について、まず条文の順序に従いまして若干のお尋ねをいたします。
 その一つは、第八条すなわち国家公安委員会の委員の任期の問題であります。それは案に示されておりますように、五年とするということが原則でありますが、その五年を適当であるとせられた理由をお尋ねいたしたいと思います。それをお尋ねせんとする理由は四十条との関連でありまして、四十条は、都道府県公安委員会の委員の任期を三年とすることが原則である旨の規定であります。それにはさらに附則の任期のことも関連して参りますが、ここには主として国家公安委員会の委員の任期を五年とし、都道府県公安委員会の委員の任期を三年とすると、明瞭に差等が表わしてあるのでありますが、これはどういう理由なのでありますか。と申しますのは、むしろそれが、五年あるいは三年の任期を思いますとき、逆であることの方が適当ではないか、実は私自身かように思うからであります。すなわち国家公安委員会におきましては、その委員長は国務大臣をもつてこれに充てることに相なつておるし、国家公安委員会は内閣総理大臣の所轄のもとにあるのでありますから、内閣の更迭あるいはその国務大臣の更迭の場合を思いますると、任期があまりに長期でありますることが、公安委員会との関係においていたずらなる混乱を見るような事態が想像せられるのであります。この点においては、むしろ地方においてはさような関係が薄いのでありますから、やや長期でありますことが任務遂行に習熟せられ便宜があるが、国家公安委員会の場合においてはその習熟の面はもちろん考えられまするが、内閣との関係において、あまり長期にわたることは、あるいは内閣の都合によつて委員の更迭を企図し、そのために無理な罷免等が行われるというようなことがありますれば、国家のために喜ぶべき状態ではない、かような混乱を避けることも予想いたしまして、むしろ、その任期の終了を待つ期間の短かい場合においては、さようなことの縣念も少いかと思います。さようなことも思いながら、この任期を五年あるいは三年とせられましたる基本的な考え方についてお伺いしてみたいと思うのであります。
#4
○齋藤(昇)政府委員 国家公安委員会の委員の任期は五年でございまして、都道府県の公安委員会の委員の任期は三年でありますことは、これは現行法のままを、踏襲したわけでございますが、お尋ねのような、何ゆえに中央の方が五年で府県の方が三年になつておるかという理由でございますが、現行警察法制定の際に、国家公安委員会の委員は五人、それから都道府県、市町村は三人、これが大体適当であろうというので、さように委員の数をきめられたのでございます。そこで任期をどうしたらいいかという点であつたのでございますが、まあある程度事務に習熟をしていただくという関係から、あまり短かきに失してもいかぬ、長きに失してもまたどうであろうかということから、まあ三年ないし五年というような程度が一般的に考えて適当ではなかろうか。そこで委員の改選は、これは同時に改選をするということは委員会の継続性を失わせるおそれもありまするし、ことにこの公安委員会は、政治的に中立性を保つということを主眼として設けられた委員会でございますから、任期のかわつたときに当該の任免権者、同意を与える国会及び地方議会の構成のいかんによつて一どきにかわつてしまうということはよろしくないということで、毎年一人ずつ交代するようにするのが、ただいま申しました政治的中立性を保つという本旨から適当であろうということからいたしまして、毎年一人ずつ委員の改選を行つて行く。この点を考えまして五人の委員をもつて構成する場合には任期五年、三人の場合は三年、そうして最初の法律実施の際には、その委員のうちで抽籤によりまして一年、二年、三年、四年、五年、地方においては一年、二年、三年という特別の任期をもちまして、それ以降は毎年一人ずつかわつて行く。そうして三人のところでは自然に三箇年、五人のところは五箇年というようにきめられたと承知をいたしておるのでございます。現在の実施の状況から考えまして、都道府県あるいは市町村の委員の任期の三年というのも、これはどうも短かきに失するから長くしたらどうだという意見もあまり出ておりません。また中央の方の五年も長きに失するから、従つてこれを短かくしたらどうだという意見もございませんので、現行法の任期をそのまま踏襲いたした次第でございます。
 今度の制度の改正によりまして、御指摘のような国家公安委員会にはその五人のほかに、さらに委員長が国務大臣として入つて来られることになつておりまするが、この場合に、国務大臣の委員長と五入の委員の意見があまりに異なる場合に摩擦が起りはしないか、そういう意味において、この任期を短かくした方がよくはないかという御意見のように承りましたが、この点も一応ごもつともな御意見だと存じまするが、しかし一面国務大臣が委員長として入つて来られるということによりまして、この委員会会がよくいわれます政治的に動かされるということになつてはいけないではないかという議論も一方非常に強いのであります。むしろ国務大臣の委員長が入つて来られても、政治的の中立性をどこまでも保つて行ける仕組みということの方が大事なように考えますので、さような意味から国家公安委員会の委員の任期は五年の現行法の任期を踏襲した方が適当ではなかろうか、かように政府としては考えておるのでございます。
#5
○林(信)委員 先刻この任期の関係においては附則との関連もあると申し述べたのでありますが、附則において全体といたしましては一年ごとに新たなる委員――と申しましてもこれは再選もあり得ると思うのでありますけれども、おおむね新たなる生命が入るとでも申しましようか、しかしながらもし委員の一人について、各個の人について、簡単に申しまして委員長との折合いでも悪くなつたというようなことを思いますると、任期が短かきに失しますれば、あるいはそれが半ばであつたり、あるいはそれが三分の一あるいはわずかに残るということでありますれば、時が解決してくれる場合が多いと思うのであります。それが長期にわたりますと、あと五年であつたりーー五年の場合はあまりにも長く考えられまするが、四年、三年というようなことになりますると、勢いそれが次条の第九条の罷免のところにまで委員長が持ち込むというようなことも想像せられるからであります。御説のように委員長があたかも部隊長のごとく、委員を指揮命令し得るものでもなく、そうあつてはならないことはわかるのでありまするが、これは制度の上においてそうあらねばならぬ、さようにいたして任期の面等において緩和することが予測せられるならば、仕合せなのではないか、こういつたことが考えられるのであります。
 しかし御意見は御答弁によつて了承いたしましたから、これはこの程度にいたしまして、これに牽連いたしまするただいまの附則の四あるいは七に、最初に任命せられる公安委員会の委員の任期の定め方が表わしてあるのであります。そうしてその最初の委員の任期は、国家公安委員会においては内閣総理大臣が、附則の七において、都道府県の公安委員会においては都道府県知事が定める、これは明文の示しまするところ字義はよくわかるのでありますが、実際になりました場合に、この定める外部的なものがさらに定められれば、一層その公平さを国民は納得するのではないか、すなわちこのままのものでありますれば、いわゆる内閣総理大臣あるいは都道府県知事が、もちろん自己の責任において、自己の思うままに定め得るのであります。しかしながらこれもまた人でありまする以上、そこに何らかの感情が入り、やはり長期なるものをよしとしてしかるべき者を長期とし、しからざる者を短期となす――これに任期の問題でありますから、委員の素質、悪い言葉ですが価値といつたようなものとは別であるとも思いまするけれども、世間の受ける印象としては、何だかそこに差等を設けられたような感じもないではないと思う。そういたしますれば、これは単なる任命をなす者の意思のみではなく、言いかえますれば恣意、専恣にわたらないために、一回の問題ではありまするけれども、やはりこれは抽籤に――一応の人が任命された任期でありますから、任期のみは抽籤によつて一年、二年、三年、あるいは四年、五年というようなことにいたしましたならば、きわめて公平であり国民の疑惑を招くこともないであろう、かように思われるの下ありますが、これはこの法文に明示せられるだけのもので、その後の方法等の定められるものはないのでありますか、これをお伺いいたします。
#6
○齋藤(昇)政府委員 御疑念の点はまことにごもつともだと存じます。現行法施行の最初のときに任命されました公安委員の任期は、抽籤できめることになつております。今度の新警察法で任命される委員の最初の任期は総理大臣がきめる。なぜ現行法施行のときと今度の新警察法施行のときと任期のきめ方を異にするかという御疑念はまことにごもつともだと存じます。この理由は、私ども国家公安委員会あるいは都道府県公安委員を通じまして、都道府県公安委員会の方は市町村の自治体警察の部分も今度は入れるわけでありまするから、公安委員さんがほとんど全部かわられる場合があるいは多いかもわかりませんが、国家公安委員会の方は、性格は従前と大してかわりませんので、あるいは現在の委員の方をこの新法によつて再任をされるという場合が多く考えられるのではないだろうか。この現内閣によつて任命せられました公安委員の方々、ただいま五人の方々すべてが現内閣によつて、国会の同点を得て任命された方になつておりますが、この改正を行いましても、公安委員の方々が、今まで通りの人でけつこうだという政府の意向でありまするならば、そのまま再任ーーこれはもちろん国家の同意を得るわけでありますが、その場合に抽籤になりますと、もう任期すでに四年を過ぎておる方もありますし、まだ一年を過ぎたばかりの方もあるわけであります。これを抽籤になりましてその任期関係が非常にかわつて参りますると、もちろんこれは新法でありまするから、その点はさしつかえないといえばないわけでありますが、すでに四年任期がたつておる方が今度抽籤で五年ということになることも考えられる。一年しかたつていない方が抽籤の結果一年ということになることもありまするので、もしさような任命をされまするような場合には、できるだけ今まで経過したその任期とにらみ合せて、この新しい任期をきめていただくのが適当ではなかろうか、かように考えまして、内閣総理大臣が定める、かように規定いたしてみたのでございまするが、もちろん国会の同意を得ます際は、どの方は一年の方だ、どの方は二年の方だ、どの方は三年の方だということをもちろん説明いたしまして、同意を得られる手続になる、かように考えております。従つて国会におきまして、あるいは都道府県会において、この人を二年にするのはいかぬじやないか、この人は三年にした方がよろしいという御意見があれば、あるいは政府なり知事もそれに従うということにもなろうかと考えるのでございます。なお人事官の選任はやはり内閣が国会の同意を得て任命されるのでありますが、この最初の任期は内閣が定める、こうなつております。これは私がただいま御説明申しましたように経過的に引継いで来ることを考えたのではなくして、新しく設ける場合にこういう規定の仕方をしなければならない、今度私の方でこういう規定の仕方をいたしましたのは、現在おられる公安委員がもし再任されるということを考えまして、この方が適当であろう、こう考えた次第であります。
#7
○林(信)委員 経過的な措置としてお考えになつておるようなことを一応ごもつともに考えますが、これを少しく掘り下げて、私どもさらに考えてみたいと思います。と申しますのは、現在の公安委員会の職務がこういう事柄であるかというようなことを、率直に申しまして私ただいま存じません。しかし御説のようなことであつたとして、御説の通りに任期を定められればけつこうでありますが、この法文自体から参りますと、別に従来の公安委員が再任せられました場合、これこれだというのではないのでありますし、全然新たなる委員を対象にして規定はされておりますから、御説明にありましたような、四年を経過いたしておりますものをさらに四年とすることも自由であります。三年のものをさらに四年とすることも、五年とすることも自由であります。実際において今お考えになつておるような、公平な取扱いがそのまま現われなくても、この明文自体には反しない、そこで何かの都合でいわゆる白紙の立場において任期が定められるのでありますと、どういう理由でそういうことになつたのか、在来の任期を尊重して、厳格にその後の任期が定められて参りますれば問題ないのでありますが、そうでないことも可能であります場合、さような事態も起ると思います。そうなりますとむしろ再任せられます諸君が抽籤の上において損得はあるのかないのか存じませんが、必ずしもそういう任期を尊重あるいは参考にせられたものにならなくても、これはいわゆる運命の定むるところでまたあきらめもありましようし、不服もないわけであります。かような点について、この点にさらに私は検討を試みたいと思つておるのであります。しかし特段の重ねての御答弁を要求いたそうとは存じません。
 続いて次の条文の第九条に移りたいと思います。九条は申すまでもなく委員の失職及び罷免に関する規定であります。そのうち第二項であります。いまさら朗読いたすまでもございませんけれども「内閣総理大臣は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、両議院の同意を得て、これを罷免することができる。」という条文であります。この前段でありまする心身の故障のため職務の執行ができないと認めるような場合これを罷免するということが妥当であることは争いがありません。また続いて委員に職務上の義務違反のありまする場合もおよそ異論がないと思いまするが、その後に続きまする「その他委員たるに適しない非行」、これはこの法案の条文だけでなくてよく人事に関する法案については似たり寄つたりの文字が現われて来る場合が多いのであります。きわめて抽象的な言葉に相なつております。そこで具体的な事象に対しまする、それがはたしてかようなる言葉に当るかいなかについてトラブルの起る場合が多いように思うのであります。そこでお尋ねしておきたいと思いますることは、委員たるに適しない非行とは大よそいかなる行いを御想定になつておりまするか、もちろん先刻申しておりまするような異論のない場合を除いた、委員たるものの適当でない行いであることがわかるやや具体的にその非行を想定せられるものをお示し願いたいと思います。なおこの点については、この字句の点についてもどうかと思うのです。表現の点につきましても、へりくつかもわかりません、あるいはひがんだ見方かもわかりませんが、委員たるに適しない非行といいますると、委員たるに適した非行さえあるかのような印象を受ける、これはそんなことがあり得ようわけはないのでありまするけれども、何かもう少しどうかした表現もできないものかと思うのです。これはつけたりにいたしましても、前段申し上げまする委員たるに適しない非行とは具体的におよそどういう程度のものが想定せられておりますかを伺いたいのであります。
#8
○齋藤(昇)政府委員 具体的にとおつしやいますとこれは非常にむずかしいと思いまするが、常識的に考えましていやしくも公安委員としてふさわしくない、社会一般から指弾をされるような非行があつた場合、抽象的に申しますと、かような場合だと思うのであります。さらに具体的に申しますると、この委員は積極的な政治活動をしてはいけないというのは法律に書いてございます。現行法にはその点は明らかになつておりませんが、今度の法律ではその点を明らかにいたしてあります。これが書いてありましてもありませんでも、公安委員会の性格といたしまして政治的に中立性を保つて警察を管理をして行くという職責でありまするから、積極的な政治活動をやられるあるいは選挙運動をやられる、これが禁錮以上の刑に処せられますれば当然失格でありまするが、そういう場合でありしませんでも、禁錮以上の刑に処せられないでも、そういう事実がはつきりするという場合には、やはり委員たるに適しない非行、こう言わざるを得ないわけでございます。私行上いかがわしいことがあつた場合はどうかという問題があろうと存じますが、やはり委員も公務員でございます。しかも監督の地位に立つ公務員でありますから、われわれ官吏あるいは公吏としてふさわしくない私上の非行という場合もこれに当る、かように考えるのでございます。
#9
○林(信)委員 お答えのようにこの規定の文言はきわめて抽象的でありますので、やや具体的の場合の予想が説明困難であろうと思うのです。そこでこの法文も御苦心があつて、単なる「非行」と言わずして、「委員たるに適しない」と言つて、一般的には非行と言われるものでも、委員たるに適しないとまでは言えない非行、言いかえますれば、委員たるには適する非行もあり得るわけなんであります。その限界といつたようなものを考えなければならぬのですから、これは実際今予想せられましたものをあげていただくことは困難でありましよう。その説明を言いかえますれば、また抽象的に、いわゆる社会通念によつてその実際の場合を決しなければならぬ、あるいは社会道義に照し、委員たるの使命に照応してといつたような、結局抽象的なものの説明をさらに抽象的な語をもつてするのほかないと存じまするが、これは実例が現われて参りますれば、一つの基準にもなつて来ようかと思うのであります、従来の例も多くあろうとは存じませんが、実例等もありまして、これよりおのずから抽出せられたる大体の基準が予想せられておりますれば、具体的の場合にあたつて、 大いに参考とせられるのではないか、 こう思つてお尋ねをいたしてみた次第であります。
 それに次ぎまして、先刻長官より、公安委員は政治活動ができない、それをやつて禁錮以上の刑に処せられたら失格するのだという説明がありましたが、これは明らかであると思うのですが、政治活動をやつて、その処罰を受けなかつたような場合は、第九条二項の「職務上の義務違反」のうちに入る、おそらく「その他委員たるに適しない非行」という部類でなくて、義務違反に当るであろうと思われます。さような解釈の上に立ちしまして、第十条の第三項の直接その旨を規定いたしましたその条文の字句についてお尋ねをいたすのであります。ただいまお尋ねいたしました第九条の「委員たるに適しない非行」云々等のことは、都道府県の委員会についても同断でありまして、またただいまお尋ねをいたしておりまする第十条第三項の関係におきましても、都道府県の関係においても同様の規定がなされているところでありますから、かなり広い範囲に影響を及ぼす問題であると存じます。すなわち第十条第三項「委員は、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。」この前段はきわめて限られたることであり、明瞭であります。後段は「積極的に政治運動をしてはならない。」とありまして、このことはしかくさように簡単ではないと思います。先ほどお述べになりましたような単なる政治運動を規制しているのではなくて、「積極的に政治運動をしてはならない。」というのであります。この「積極的に政治運動」の「政治運動」ということもかなり抽象的であり、広いと存じますが、これはおよそ社会通念上わかると思つておりますが、この「積極的」に至りましては、さらに抽象的な字句に相なつておりますが、これは具体的な事例をもつて御説明を願い得るのではないか。どういうところよりこの「積極的に政治運動をしてはならない。」という規定が設けられるに至つたのでありましようか、そのお考え方、その字句の具体性といつたようなものについてお伺いをする次第でありします。
#10
○齋藤(昇)政府委員 この条文を特に入れましたのは、先ほども申しますように、公安委員はできるだけ政治的に中立性を保つて行くということが必要であるわけであります。現行法では普通の公務員と同じようにいろいろな点を規制されているのでありますが、特に新法につい申しますと第十条で、公務員法をずつと準用いたしておりますが、この場合に特別職でありますから、普通の公務員ほど縛らなくてもいいじやないかという議論もありまして、政治団体の役員、積極的政治運動をしてはいけないという点につきましては、これは人事官あるいは公正取引委員でありますとか、あるいは裁判官とか、それに準じて規定をいたしたのであります。裁判官あるいは人事官、公正取引委員会の委員の性格と大体同様でありますから、その規定の仕方をここでとつたのであります。
#11
○林(信)委員 「積極的に政治運動」と言つておりますから、これは選挙に限つていないことはよくわかります。しかし選挙の場合が一番関係が多いかと思いますが、委員たる人が他人の選挙を応援いたしまする場合に、出納責任者など資格の明瞭な立場において選挙運動をいたすような場合はきわめて明瞭であると存じますが、これがさような資格を有せず隠れて応援をしておる、しかし実際上だれが見てもその応援を熱心にやつておると認められるような場合はこの中に入るのでありますか。あるいは国家公安委員及び都道府県公安委員あるいはその他の委員等が、自己において立候補いたしまして選挙運動をすることはどうなるのでありましようか。立候補が許されていないのでありましようか、その辺もほんとうに知りませんからお伺いしたい。
#12
○齋藤(昇)政府委員 公安委員の選挙運動は、公職選挙法によりまして一切禁止をされております。従いまして、他人の選挙運動をいたすことはもちろんでありますが、自分が立候補いたします際に、選手運動をしようと思えば公安委員をやめてからでなければできない。公安委員であつて選挙運動をやりますと、公職選挙法にも牴触する、かように考えております。
#13
○林(信)委員 そうじやないかとも思つておりましたが、さつき長官は、選挙運動をやつて、選挙違反で禁錮以上になつている云々とおつしやつて、何か選挙運動ができそうに承つたのであります。選挙運動を除外いたしましたその他の政治運動ということになりますと、一番うるさいのは積極的という言葉になるのですが、積極的でない政治運動というのはどんなものでありましようか。積極的の字義、事新しいことではないかもしれませんが、この際承つておきたい。
#14
○齋藤(昇)政府委員 これは政治運動というものに一体積極的でない政治運動があるかということにもなろうと思うのであります。たとえば政党員になつておりますることはさしつかえがない。そこで政党員として政治的な見解を普通の状態で述べることは支障がない。むしろ自分の意思である政治運動を積極的に推進して行こうというような場合にはこれに触れる、かように解釈いたします。
#15
○林(信)委員 次は二十九条の皇宮警察関係であります。「警察庁に、皇宮警察本部を附置する。」というこの制度それ自体を云々するのではないのでありますが、二十九条第四項の「皇宮警察学校」、国家の各般の組織状態を思いますと、特殊な場合でありまするから特殊な教育をするということもわかるのであります。しかしながら、警察官はどこまでも警察官なんですから、その警察官に対しまして皇宮警察学校ということで特殊な教養をいたしますると、一般警察との応援の問題が起る。さような場合に、何だか毛色の違つたような別種のものになつてしまう危険はないか。皇宮警察学校においても一般警察官の教養と同様の教育はもちろんやるんだ、そうして万一の場合の相互応援等についても一緒にやるのだといつてしまえば格別ですけれども、私はかようにしなくても、警察学校といつたようなものは、その他のものとともにやつて、むしろ一般の警察官たるの教養を主体にして、皇宮警察関係に従事する者は、その配置に服したり、自然に習熟することによつて足りるのではないか、いな人選等の場合におきまして、まず警察官たるの教養を与えて、しこうして後にその人物が皇宮警察官として適当であるかどうかという選考を行いましてこれを配置する方が妥当であつて、かように皇宮警察学校において特殊なものを養成するといつたようなことは妥当でないように思うのですが、従来の事情を御存じの長官においてはどういうふうにお考えになつておりまするか、一応伺つておきたい。
#16
○齋藤(昇)政府委員 一応ごもつともにも存ずるのでございますが、御承知のように、各都道府県はそれぞれ警察学校を持つて、警察官の初任教養あるいは現任教養等をやつているわけであります。皇宮警察はやはり一つの都道府県警察に該当するような単位でございまして、護衛官としての皇宮警察の職員は約千名ほどいるわけであります。従いまして、小さな府県の一つにも該当するくらいな単位になつております。しかし、ただいまもおつしやいましたように、皇宮警察の護衛官は警察官ではありませんが、警察官と常時密接に連絡をし、共同作業をする場合も多いのであります。また基本教養、基本訓練も警察官と同様の面が非常に多いのでございます。従いまして、現在では皇宮警察の護衛官の初任教養は、一定期間東京都の警察学校に入れて共同教養をいたします。他の半分くらいの期間は皇宮警察学校で、皇宮護衛官として特に必要な教養をいたしておるのであります。なおまた、すでに皇宮護衛官として配置されました護衛官に対しまして、時々必要な現任教養を施す必要もありまするので、府県の警察が警察学校を持つておりますると同様に、皇宮警察も警察学校を持つことが必要だと考えておるのであります。これは歴史的にも、御承知のように従来から警察学校を皇宮の方も持つておる次第でありますので、この法律におきましては、現在の状態をそのまま引継いだ次第でございます。しかし、ただいま御指摘のように、一般警察とかけ離れたものになつてしまわないようには十分配慮をいたしておる次第でございます。
#17
○林(信)委員 それも私はいま少し検討を試みたいとは存じますが、この程度にいたします。
 次は五十九条であります。「都道府県公安委員会は、警察庁又は他の都道府県警察に対して援助の要求をすることができる。」公安委員会が援助を求めるというのは、公安委員会自体の職務範囲というようなものでなくて、この法文の示すものは、やはり警察官相互の援助ではないかと思うのであります。同条第三項によりましても、「援助の要求により派遣された警察庁又は都道府県警察の警察官」とあるので、その意味に理解しております。しかしこういう援助とは一体いかなる場合が想定されるのでありますか。と申しまするのは、警察官が相互に援助をほしいと思いますることは、たとえば犯罪の鎮圧、捜査あるいは被疑者の逮捕等の場合であろうと存じまするが、それは六十条に特段の規定がなされておりまするし、あるいは現行犯人の逮捕の場合に、もとよりその地域を問わないこと、これは刑事訴訟法の規定の趣旨よりいたしましても当然であります。このわれわれに配付せられたものは、刑事訴訟法の法律の表示はもどしすなわち括弧が落ちておりますが、これはもどしとして理解しておるのであります。次に第六十五条の場合、移動警察がその管轄区域というものをそれ自体の性質において持たないこともわかる、あるいは、緊急事態の発生いたしました場合は、第七十条以下において適切な規定が設けられんとしておるのでありますから、それ以外の場合の援助の要求ということに相なつて来ると思います。それ以外の援助の要求を必要といたす場合は一体どういう場合が想定せられるのでありますか、お伺いしたい。
#18
○齋藤(昇)政府委員 御意見のように、警察官は相互に援助をし合わなければならないことは当然のことでございます。しかしながら警察官が警察官としての職権行使をいたしまするのは、ただいまおあげになりましたように、原則としては当該都道府県の区域内。しかし当該都道府県の区域内に関連した犯罪の被疑者を逮捕する場合には、他の管轄区域に出て行つても逮捕ができる。第六十五条のような移動警察につきましては、関係都道府県警察で協議をし、その協議の範囲内において自分の府県の区域でない他の府県の区域においても職権の行使ができるということになつておるのでありますが、そうでない場合、たとえば大きな騒擾事件が起つたあるいは予想される、あるいは警備に警察官の手が不足であるという場合に、他府県の警察官の応援を求める。その場合にこの規定がございませんと、応援に参りました他府県の警察官は、なるほど現行犯は逮捕できますが、これらに関連をいたしまする事件の強制捜査、取調べというものは、五十九条の規定によつて正式に応援された場合でなければやれないのでございます。従いましてそれができまするように、特に規定を置いた次第でございます。この五十九条の場合におきましては、その派遣された都道府県内におきましてはその都道府県公安委員会の管理のもとにおいて警察官としての職権の行使ができるのであります。そういたしません場合は、現行犯の逮捕に限られた職権行使以外はできません。従つて自分の府県の警察官と同様の一切の職権行使のできるように応援をしてもらいたいというときには、この規定を発動させなければならないということに相なるわけでございます。
#19
○林(信)委員 そういたしますと、たいへん事務的な規定のようになりまして、すでに五十九条は、「第四節都道府県警察相互間の関係」としましての規定であり、その前条の第五十八条に原則が書かれて、「都道府県警察は、相互に協力する義務を負う。」と大きく打出してあります。それを根底にいたしますれば、その援助を求める等のことはおのずから一片の事務的措置のように思われるのであります。事務的なことにしましても、明瞭ならしめる意味においてあげられることもあながち悪いとは思いませんけれども、何だか蛇足のような感じがいたしましたので、お尋ねいたしましたのであります。心持はよくわかりますから、了承いたします。
 次に六十六条でありますが、これは警察官の小型武器の所持の規定であります。「警察官は、その職務の遂行のため小型武器を所持することができる。」と書いてあることはわかるんですが、この小型武器の所持ということは、一般国民に対する人権の面に影響することがなかなか大きいのであります。警察官ではないのでありますが、時にさようなあやまちのあつた事例も承知いたしております。最近に警察官でないいわゆる駐留軍の特殊警備員が例のカービン銃を携帯しておりまして、一般人を射殺して問題になつておりますが、これは不適当である場合であつたと世間は見ております。これは事件的な処理といたしましては、威嚇のための発砲をいたしまして、その発砲の際に足元をあやまつて、すべつてころんで、その対象となる男を射殺したというのであります。あやまちでありますればこれはまあ了としなければならぬ場合もあるかもしれないと思うのでありますけれども、あやまちにいたしましても、カービン銃を携帯しておらなかつたら、威嚇発砲するようなそういう態勢がとられておらなかつたら、いくらすべつてもころんでも、これはあり得ないわけであります。その武器を使用することの厳重であることももちろんでありますが、この所持がまた思わざる事態を惹起することを思うのです。そこでかように職務遂行のためとは言いながら「小刑武器を所持することができる。」ときわめて自由なように規定してあるのはいかがなものでありますか。これはよほど範囲が限定せられなければならぬと思います。おそらくこの警察法が成立するといたしましても、全警察官のために小型武器を所持せしめるのではないと思います。そのセーヴいたしますものは、職務遂行のためという字句を持つ限りせられるのでありましようけれども、これは抽象的ではどうかと思います。やはり次の条章にありまする警察官の被服の支給及び装備品を貸与する場合のこの被服及び装備品の貸与についても、「職務遂行上必要な」云々と書いてありますが、さらにその書出しにおきまして「政令で定めるところにより、」という字句が加えられておる。しかるに六十六条の小型武器所持についてはその字句が加えられておらないのであります。当然というお考えかもしれませんが、当然であるならば六十七条のごときも当然として「政令で定めるところにより、」という字句は不必要になつて来るかと思います。この牽連におきまして六十六条の定められまする小型武器を所持する限界はいかようにお取扱いに相なるのでありましようか。牽連いたしましてこの条文の字句をもつて適当とお考えになりますかどうかを伺いたいのでありします。
#20
○齋藤(昇)政府委員 この小型武器と申しますのは、御承知のように拳銃でございまするが、ただいますべての警察官に拳銃を持たせることにいたしておるのでございます。この点は御趣旨と遺憾ながら違うのでございまして、特別の警察官にだけ拳銃を持たせるか、全般に持たせるかという点だと存ずるのでありますが、ただいまのは全警察官に拳銃を持たせることにいたしております。警察官のみならずあるいは麻薬恥締官あるいは鉄道公安官あるいは郵政監察官のごとく、すべて法の取締りの任に当つておりまする警察官及びこれらに類する職員には撃銃を持たせるという建前をとつているのであります。これにつきましてはいろいろ御批判の点もあるのでございます。警察官には拳銃をむしろ持たせないという建前の方がいいのじやないかという御意見を言われる方も外部におられるのでありますが、現在の段階といたしましては、やはり拳銃は使用をいたさなければならない場合が往々ございまするので、従つてすべての警察官がその拳銃に絶えず習熟しているということが一番肝要なことであります。たまたま拳銃を必要な場合に持つというようなことでありますと、かえつて不測の事態を起すのであります。いわゆる拳銃使用にふなれであるということからあやまちを犯すような場合が多いのでございます。従つて警察官が拳銃を使用するという以上は、全警察官に拳銃を持たせて、この拳銃が自分の手足のように自由自在に、そうしてあやまちなく操作ができるというように、日常絶えず訓練すると同時に、それになじんでいる方がかえつて不測の事態が少いであろう、かように考えて、現在は持たせているのでございます。ただいま申しました取締りに当る他の司法警察官も、全部同様な趣旨で持つておるのでございます。従いまして被服のごときは、私服勤務の者には制服の支給期間を長くするとか、いろいろ被服等の支給につきましては、支給の仕方が警察官の種類その他によりまして異なるのでありますが、小型武器につきましては種類のいかんを問わず全部持たせるという建前をとつておりますので、そこで政令の定めるところによりというような点が書いてないのでございます。この点は御了承をいただきたいと思います。
#21
○林(信)委員 お答えの御趣旨及びこの規定の趣旨もわかつたのでありますが、全警察官に拳銃を所持させることは適当でなかろうという考えの者もいる。実は私もその中の一員に入るわけでありますが、たまたまそういうなまなましい実例を見せられて、特に私はその印象が深いのかもしれませんが、ずつと前からの例を見ましても、使用する者があやまつてこれを使用するということでなく、よからざる徒がこれを奪つて凶悪な犯罪を行うというような事例もしばしばあつたようであります。これが少い数の限られた者に特に選んで携帯せしめますならば、この危険はそれだけ少くなつて来る。数の多いということは、その間に自然にゆだんというものが露呈せられ、やはりこれは思わざる事態を引起す大きな要因になろうかと思うのであります。しかしそういう観点から一応その建前になつておるといたしますれば、さらにこれを私の研究課題にいたしたいと存ずるのであります。
 さらに最後に一点お尋ねしますが、先刻来ちよつと触れておりました緊急事態の特別の措置として第七十条以下の規定でありますが、それぞれ規定せられまするところは、およそはわかるのでありますが、かような緊急事態の発生いたしました場合は、多くの場合保安隊との連繋をとつてやる、保安隊の出動を促すというような事態が多いかと思います。これはそれぞれの立場において動くことができるのでありましようが、その間に密接な連関を持たなければなりません。そのことは保安庁法の六十四条、あるいは六十七条等には見えるのでありますが、この警察法には法文として表わされたものがないように思うのです。この点はやはり、かれにそのための規定がありまするならば、われにもまたそのための規定があつてしかるべきではないかと思うのであります。これは当然の事理として、そうわきまえておればいいものでありましようか。あるいは私の考えまするがごとく、やはり一つの条章をもつてさような場合を規定いたしておくべきではないかと思うのですが、どういうお考えですか伺いたいと思います。
#22
○齋藤(昇)政府委員 これは御指摘の通り、緊急事態の場合には、多くは保安隊の出動を要する場合があろうと思うのでございます。保安隊の出動の場合に、警察との関係が、条文化せられておる点がございますことも事実でありまするが、これは一つは保安隊が設けられるに至つた経緯とも関係があろうと思うのであります。国内の治安に、原則として普通警察が行う、警察の力の及ばない場合に保安隊が出動するという建前をとつております。従つて力が及ばない場合に、保安隊が出勤する場合に、あるいは知事の要請、あるいは警察からの事実上の要請として、あるいは保安隊の方で必要があると思つた場合に、警察の方はどう思つているかということを保安隊の方から聞いてもらつて、そして出勤するという形になつておるのでございまして、原則として警察が治安の維持に当る、例外的に、その力の及ばぬときに保安隊が出るという建前をとつております関係から、条文といたしましてこの緊急事態の布告をする場合に保安隊と相談をするというような規定が入つていないのであります。この緊急事態の特別措置と申しますのは、ただ警察の運営を全国的に総別大臣が統制をするという効果を発生するのでありまして、警察の普通の運営方法では事態が処理できないという場合の規定でありますので、従つて実際上保安隊の出動する場合が考えられるのでありますけれども、保安隊の出動ということと無関係にこの緊急事態の布告をし、そして総理大臣が警察を統制して事態に対処するということだけを規定しておりまする関係上、保安隊の点が明文上に出て来ておらぬのでございます。御意見のように、実際上その場合に、保安庁法の規定によつて保安隊が出動いたしまする際には、事実上その活動等につきましては保安隊と緊密な連絡をとる。またいかように保安隊と警察が協力をして活動して行くかということは、これは保安隊と警察の方と事前に打合せをし、大体こういう場合にこういうように協力をして行こうというきめ方をいたしておるのでございますが、実際の場合になりますと、その抽象的なきめ方だけでは必ずしもうまく行かないと存じますが、おそらく実際の場合には、保安隊の指揮者と警察の指揮の責任者とが絶えず密接に連絡しながらやつて行かなければならぬと考えておるのでございます。
#23
○林(信)委員 お答えを聞いておりますと、保安隊との関連の規定は必要でないと言われながら、何だか語るに落ちたような、必要のあるようなお答えのようにうかがわれます。御説明のように保安隊の出動は、警察官が活動してなお足らざる場合を想定せられて行動を起すという程度のことであろうことはわかるのでありますが、警察力をもつてしてもということでありますれば、警察力をもつてしては鎮圧その他適当でない、力足らず、こう考えました場合は、基礎になるものは警察でありますから、その警察の方から出動を要請する場合がむしろ原則的のもので、保安隊出でて、しこうして警察力の応援を求めるというようなことは普通でない。でありますから、これはむしろ警察法に出動要請の規定をあげ、そうしてその後に相互緊密なる連絡をとつて行動することの場合の規定があることが適当である。お答えを聞いておりまして、むしろその必要性をこそうかがわれますけれども、そうでないような御説明には実は受取れないのでありますが、実際の運営において、お説のように緊密な連絡をとつてやる――これは規定のあるなしにかかわらず、当然おやりになることはわかるのでありますが、やはり建前としては、さような場合の規定が一応設けらるべきではないかと思うのであります。ただいまのお答えでは少し納得しかねるのでありますが、重ねてこの点のお伺いをいたします。
#24
○齋藤(昇)政府委員 ただいまの御意見は、自衛隊の出動いたしますのは、一般の警察力をもつてしては治安の維持ができない場合に出動するわけでありますから、従つて警察側から自衛隊の方に、自分の方が力が足らぬから出動してくれ、こういう建前になるのが当然である。しからばそういつた関係を警察法に明記しておくべきではないかという御意見だと存じますが、この点も御意見としては一応ごもつともに存じますが、しかしまたひるがえつて考えてみますと、自衛隊というものは、それ自身においてやはり警察が力が及ばぬという場合には自分から飛び出して行けるんだという使命も全然ないとはいえないわけでございます。そこで警察力でこの事態に対処できるかできないかということをだれが認定するかという問題になろうと思うのであります。それを警察の認定にかからしめることは、りくつとしては一応そういうりくつも立つわけでありますが、それははたしてどうであろうか、やはり自衛隊として、間接侵略その他これに近いような場合には、これは自衛隊が出なければ行けないのだという判断を自衛隊がみずからやる、しかしそれは無関係にかつてにやつては困るから、そこで国家公安委員会と緊密な連絡をとつて出る。知事が要請する場合も、都道府県の公安委員会と協議の上で自衛隊に出てくれということを要請するというように、自衛隊法で規定いたしたのであります。私は考え方といたしましては、やはり自衛隊の出動に、自衛隊が警察の方から要求がなければ出ないのだということをはつきりとるよりは、警察と関係を持ちながら必要と思つた場合には出るのだ。しかしその場合には国会その他に対して、いろいろ自衛隊法でその場合の規定をいたしておりますが、この慎重な用意をもつてするならば、自衛隊側の方も同じく同様の総理大臣でありますが、自衛隊の見地に立つた総理大臣が、警察の意見へ聞きながら出動の可否を決定されるという方がやはりいいのではないか、かように考えておるのでございます。むしろ警察側から言うならば、この自衛隊の出動は、警察が参つたというときでなければ出て行けないという行き方も一つの行き方であろうと思います。つまり従前の警察とそれから保安隊との関係ですが、今度の新警察法と自衛隊法との関係というものは、これも一つの行き方であり、この方がいいのではなかろうか、私は政府委員といたしましても、また個へ的な意見あるいは警察の責任者として考えてみましても、現在の警察法と自衛隊法における出動関係のきめ方に、この方がいいのではないかと考えております。もちろん林委員のおつしやいますような御意見も、十分理由のあることだとは考えておる次第でございます。
#25
○林(信)委員 お答えを承つておりまして、大体必要性のあることはお認めになるようであります。それを警察法に規定として明文とすることの要不要の点については、なお意見を異にするようであります。お答えにありましたように、警察から言わなければ自衛隊は出動しない、――自衛隊という言葉で言つてよろしいかと思うのでありますが、そういう自衛隊が警察の要求によらなければ発動しないというようなことでなくて、発動することは自衛隊においてもおよそわかるといたしましても、何といいましても非常事態の実際事情というものは、自衛隊よりはこれは警察がエキスパートであり、ヴエテランであるわけでありますから、そのよく事情のわかつた者より一応その事情を知らしめる意味におきましても、やはり発動を促すという形が法制化されて、明文となつていることの方が妥当であるのでありますが、その専門家であられます長官において、自信を持つてこれでよろしいと言れれることにおいて一応の御信頼をいたしますが、事は規定の有無の問題でありまして、さようにこれが根本の問題でもないと思いますから、さらに御考慮を願つておきたいと存じます。
 次いでいま一点、根本的な問題とでも申しまするか、この警察法の全面的な改正をなされまして、いわゆる自治体警察というものが一本化される。決して府県に持つて行つたところで自治体警察の本質をなくしたものでないというような政府の御説明であつたと思つております。それはどういう理由からこう改められなければならないかも、およそ御説明を承つて来たところであります。必ずしも重複はいたさないのでありますが、この点は意見の相違としてすでにかなり議論が尽されて参つたようでありますから、私はこの点にあらためて触れません。ただ牽連して考えておりまするところで伺いたいと思いますることは、これを一本化するといたしましても、その単位を府県に置きまして、府県単位とせられた考え方に、おそらくはこれは従来の地方公共団体の府県としてのその単位を、あるがままにお認めになつたものだと思うのであります。どこまでもこれは実際を基調といたしました、いわば、言葉は適当でないかもしれませんが、便宜この単位によられたと言つても過言ではないと思います。警察の面においてその単位を府県とすることが、その原理原則において微動だもなし得ないというわけのものでないと思います。便宜府県をもつて適当であると考えられるのでありしまして、もちろんその考えられるところにはよりどころがありましようけれども、そういう、私の考えておりまするように、一つの便宜の単位といたしまするならば、それは府県にとどまらず、過渡的な関係からいたしましても、急速に広範囲の単位制といたしますよりは、ややその中間的なものをとりまして――これも全然新たなる見解ではないので、ある一部の者において検討し、その結論を出したこともあり、お耳にも入つていると存じますが、その中間的なものとしまして、かなり人口多き都市この場合においては十五万以上を擁する都市のごときはやはり一つの単位として考える。都道府県に比較いたしますれば、その数が多くなるのはなるといたしましても、現在のごとき自治体警察の数に比較いたしますれば非常に集約いたされます。これらのものも、ある都市におきましては府県とかわらないほどの行政組織力を持つているといいますか、ほうふつたるものがあるのでありますから、これは漸進主義よりいたしましても、その辺で線を引いて単位をお求めになりますれば、率直に申しまして、今政治問題になつておるような自治体警察廃止、国家警察になつちやつた、警察国家の再現だといつたようなべらぼうな強い反撃を受けなくても、スムーズに行けるのではないか、この法案自体がさようなことになつていないのは当然でありますから、お尋ねするのでありますが、これは政府においてはもう御考慮の余地はないのでありますか、あるいは考えておられるのでありましようか。あらためて今日この場合の長官の御意見をこの際お伺いしたいのであります。
#26
○齋藤(昇)政府委員 警察の単位を考えまする場合に、二つの重要な要件があると思うのであります。一つは、警察の単位が警察事務を処理するのに十分な能力を持ち得る単位であるかどうかということであります。一つはその単位がいわゆる犯罪の構成地域といいますか、区域と申しますか、それにマツチする、そういう区域を所轄するかどうかという二つの問題だと思います。前者の方から考えますると、ただいまお述べになりました大都市の警察というものは、警察力とては非常に強くて完備した警察でございます。しかしながら他の警察の仕事の対象になりまする犯罪関係という点を考えますと、その犯罪関係が密接な地域は一つの区域にするということが、これまた警察の事務処理上緊要な事柄でございます。極端に申しますならば、たとえば東京都の現在の警察庁、あの二万数千も持つた警察、これを二つにわけましても警察力としては、大きいのでありますが、この都内において二十三区、その区域を二つわければ、この間の警察の仕事がいかにやりにくいかということは申すまでもなく明瞭であるわけでございます。同様な意味におきまして、現在の大都市、それからその周辺というものが昼間と夜間、その人の出入りという点から見まても、十数万あるいは数十万の人間がその都市の市内と市外の間を往復をいたしております。交通関係等から見ましても、従つてまた犯罪関係から見ましても、この大都市の区域内と区域外というものは治安対象としては一体であります。従いまして大都市を一つの警察単位として認あますると、その周辺との間における警察事務の処理が非常に煩雑であり、非能率であり、不便を来すわけであります。さような意味から、ことに今回の警察法の改正の理由の中には、国民の負担をできるだけ少くして、経費を少くして、そうして目的の達成せられるようにという意味も含んでおりまするので、これを都市との周辺と二つの単位にわけますることによりまして、経費も非常に多くかかつて、人手も多くかかつて、能率が悪くて警察事務の処理が煩雑になる、かようなことからいたしまして、政府といたしましては警察の単位は府県一本が最も適当である、かように考えておる次第であります。
#27
○林(信)委員 先刻から申しておりますように、警察の一本化という問題が責任の所在を確立し、あるいは警察力の能率化というような面についてプラスであることをねらつておりますることも、よくわかるのであります、要は警察力の能率化というものと、本来自治体警察の持つておりました、すでに実績となつておりまする警察の民主化という問題との兼ね合いが常に議論になつておるのであります。この議論のことは冒頭に申し上げましたように、これは簡単にいずれがいずれを慴伏してしまうことも困難た問題のようにも存じます。しいて言わせますれば、私のごときも自治体警察が真に民主化せられまて地方民に親しまれ、その効果をあげておることを私自身も確認するのであります。しかし他面能率の点におきまして、あるいけ責任の所在の面において何とか適切な措置がなされなければならないこともまた加えて思つております。これがこの法案のような形でなければできないのか、そうでなくて自治体警察を存置しながらなおそれができないのか、これが私はこのたびの警察制度改正の、一番重要な点であろうと考えておるのであります。しかし先刻私が伺つておりまするのは、自治体警察を従来のままに置かずして、従来の国家警察も廃しまして、この法案に示しますような一本化がなされるとして都道府県を最下位の単位制にするか、いま少しくその範囲を拡げまして、府県内の重要なる都市、人口の面から申しますれば、二十万とかあるいは十五万、十万、その面はまた別に検討いたすといたしまして、それを拡げることも、この過渡的な場合においては必要ではないかという点についてお伺いしておるのであります。言いかえますれば、府県の警察をつくりましても、やはり先刻お話のように、府県の中に大都市を持ちますものは、大都市と府県と並び設けられると、その間に不便がある。これはまた同様に、国一つの単位のものにしない限りは、府県と府県との間の連繋というものはやはり不便がある。その不便にこの法案では絶対にはなくし得ない。その不便をどこかでコントロールして行かなければいけないのですから、その方法を考えまするならば、いま少しく拡げても、府県相互においてその連繋がとられればとれますように、もう少し拡げても、その面に留意して参りまするならば、その単位の拡張ということは考えられない問題ではない。政治的に考えまして、ここでこのままむすつともこの形が動かせないということで、非常に反撃を受けておると言つてはどうかと思いますけれども、とにかく強い反対があるのです。その反対を緩和しながらとにかく政府の庶幾しておるような方向に向つて参りまするには、私の申しておりますようなその単位の拡張ということは、この際きわめて適当ではないかと思いますので、全然これは動かせない原理、原則である、そんな便宜性ではいけないのだ、こういうことであるのか、あるいは考え方としては考えられるがこうであるというのか、その辺のもつと適切なお考えを重ねてお伺いしたいのであります。
#28
○齋藤(昇)政府委員 御意見のところはまことによくわかるのでございます。われわれといたしましても、警察の民主化、市町村民に親しまれやすい警察、これは最も肝要なことだと思つておるのでございます。そういう意味からできるだけ自治体と関連を持つた警察、あるいは完全な自治体の警察ということが非常に肝要だと考えておるのでございます。ただいまお述べになりました大都市については、これはその単位を別にした方がいろいろな政治的考慮からして望ましいではないかという御意見もごもつともだと存ずるのでございます。そしてまた府県単位をとつた場合においても、府県と府県の間の連絡の不便というものは同じじやないか、しからば大都市を別にいたしましても、その不便さは若干ふえるだけではないか、かような御意見であつたと拝聴いたしたのでございますが、この点はその府県間の警察の犯罪対象の緊密さというものと、大都市とその周辺というものは、これは比較にはならないのでございます。今日犯罪上また治安上一番肝要なのが首都及び大都市でございます。その肝要な大都市の治安、犯罪というものは、この周辺とまつたく密接不可分であるわけでございます。府県間の関連とは、これはもう質が違うくらいにその関連が違うわけであります。もちろん大阪と兵庫県、ことに尼崎との間とか、あるいは神奈川と東京との間というものは、これは非常に密接な関係がございます。しかし何といつても大都市とその府県内の周辺というものは、どちらかといえば、これはその治安対象としては犯罪面からいうと一元的に行われる区域なのであります。各国の例を見ましても、たとえばイギリスのごときもロンドン警察が――これは国の警察になつておりますが、これはロンドン市の区域を趣えて広い区域になつております。自活休の市の区域よりも広い区域になつております。一番大事なところについて、さらにその犯罪の関連で警察の区域と一体にしなければならぬ。その区域を越えても拡めて行くというのが今日の実情でございます。われわれといたしましては、治安面、警察面という面から考えまして、どうしても警察自身の警察運営の単位としましては、周辺の区域も入れた単位にしていただきたいというのがわれわれ政府側の切なる希望でございます。ただこの一つの単位の警察をさらに広い意味で運営をする最高の機関、あるいは運営方法という面につきましては、あるいは何らかのくふうがあるのじやなかろうかということも考えておるのであります。実動部隊の区域は犯罪対象の緊密なところはそれだけ拡めてありたい、いわゆる市の区域に限定しないでそれよりも広い区域を一元的に運営できる、そういう実動の警察の組織単位にしてもらいたい。その実動の警察組織単位と自治体の関係をどう結びつけるか、府県の区域であれば、これは府県の自治体に結びつけるのが当然だということにも相なるわけでございますが、ただいまおつしやいました大都市については、府県だけでなしにその市の意見も何らか参酌されて運用されるような方法が全然ないかどうか、さらにこれに検討を加えられて、もし適切な方法があるならばそういうものによることも一つの方法であろうかと考えます。しかし政府といたしましては、いろいろ考えましたあげく、とにかく警察運営の面から見ても原案が一番望ましいし、また府県という自治体と関連を持たせ、その府県の自治体警察という形をとるならば民主的な運営というものは保証されるから、これでけつこうではなかろうかという意見で提案をいたした次第であります。
#29
○林(信)委員 お話を聞いておりましても、率直に申しまして私必ずしも納得ができません。御説明にありまする大都市とその周辺というものを区画することの不便を強調せられますが、私の言つておりますのは、大都市とその周辺といつたものでなくて、地方府県のむしろ中部市の警察をある人口限度で線を引きまして設けることが可能ではないか、それが適切ではないかという前提に立つてお伺いをしておるわけであります。お話のようになるべくその連繋を保つ面が少い点から参りますならば、府県単位はそれだけ少いのでありまして、これを切り下げて大都市にもちろん、中都市のある線まで、たとえば先刻から申し上げておりますような十五万以上の都市について地方警察単位を設けるということになりますと、その接触面がふえて来ることはこれは事実であります。また他面から参りますと、ただ広く大きいばかりがいいとも言いかねるのです。地方民の便宜から参りますと、広いばかりが必ずしも便宜でないと思うのです。広いばかりが便宜だという原則をここに打立てるとしまするならば、府県単位よりはあるいは九州、中國、近畿、あるいは關東、北陸、東北、北海道、こういつたような単位まで持つて参りますれば、さらに単位は縮小せられまして、その単位と単位間の接触面に少くなつて来るわけであります。といいましてもそれは大き過ぎる、どの辺が適当であるかは、結局はまた意見の差に落ちてしまいそうですから、これ以上議論めいたことを申し上げるのではないのですが、繰返すようでありますけれども、いわば実際に即した単位なんでありますから、実際の政治的な事情から思いましても、漸進主義で、急激な単位の切上げということでなくて、その中間のことを考えてみることも、これはこの案の成立の上におきまして、広く国家のために重要なことではないか、こう考えてお尋ねをしておる次第でありまするが、およそ政府のお答えはわかりました。従いまして、私はこれ以上のことをこの際お伺いしません。もちろん議論もいたしません。本日はこの程度にとどめておきまして、なお適当な機会に適当な材料によつて、あるいはお答えをお求めすることにいたしたい、かように考えまして私の質問は一応打切ります。
#30
○小林委員長 それでは本件に対する午前中の会議はこの程度にとどめておきます。
    ―――――――――――――
#31
○小林委員長 次に外国人登録法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案に対する御質疑はございませんかーー御質疑がなければ本案に対する質疑はこれをもつて終局いたします。
 この際お諮りいたします。本案は討論に付すべきでありますが、討論はこれを省略し、ただちに採決いたしたいと存じますが御異議はありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○小林委員長 御異議ないものと認め、討論はこれを省略し、ただちに採決を行います。
 外国人登録法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の御起立を求めます。
  〔総員起立〕
#33
○小林委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
 この際お諮りいたします。ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○小林委員長 御異議ないものと認め、さようとりはからいます。
 それでは午後一時半から再開することとし、しばらく休憩いたします。
   午後零時五十三分休憩
     ――――◇―――――
  〔休憩後は開会に至らなかつた〕
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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