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1953/04/27 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 法務委員会 第46号
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1953/04/27 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 法務委員会 第46号

#1
第019回国会 法務委員会 第46号
昭和二十九年四月二十七日(火曜日)
   午後二時三十七分開議
 出席委員
   委員長 小林かなえ君
   理事 鍛冶 良作君 理事 佐瀬 昌三君
   理事 田嶋 好文君 理事 林  信雄君
   理事 高橋 禎一君 理事 古屋 貞雄君
   理事 井伊 誠一君
      押谷 富三君    花村 四郎君
      本多 市郎君    牧野 寛索君
      木原津與志君
 出席政府委員
        検     事
        (民事局長)  村上 朝一君
 委員外の出席者
        専  門  員 村  教三君
        専  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
四月二十七日
 委員中曽根康弘君辞任につき、その補欠として
 三木武夫君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 利息制限法案(内閣提出第一〇六号)
    ―――――――――――――
#2
○小林委員長 これより会議を開きます。
 利息制限法案を議題といたします。質疑を行います。質疑の通告がありますからこれを許します。林信雄君。
#3
○林(信)委員 この法案につきましてはすでに本委員会におきまして、私も一員であるが、その他同僚委員より数回質疑が重ねられたのでありまして、おおむね政府の考え方も了承いたすのでありますが、当委員会におきましても、すでにこの法案をあげるべき事態にも立ち至つております。あるいは私最後の質疑になるかとも存ずるのでありますが、その根本的なものにつきまして、いま少しくお尋ねをしておきたいと思うのであります。
 それはこの法案の持つ性格に関するものでありますが、何といいましても、利息のことは経済に関係の深いもので、事業界における資金の面と密接な関係にありますので、広く経済界に及ぼす影響が多いのでありますが、必ずしもこの利息の制限の引上げその他の改正がいわゆる経済立法としてなされたものじやなくて、いなむしろ資金を必要といたしまする消費貸借の借主を保護する意味の、しばしば用いられまする弱者を擁議するという関係において、社会的立法である、こういうようにも説明せられて参つたようでありまするが、さように経済立法にあらざる社会政策立法である、こう割切つていいのでありまするかどうか、この機会にこの性格についてなおあらためて政府の御意見を承りたい、かように存ずるのであります。
#4
○村上政府委員 本来契約の当事者双方が対等の立場におきまして、合理的な打算のもとに取引が行われるという前提に立ちまする限り、当事者の契約の自由を無制限に認めていいわけでありますが、経済の消費貸借におきましては債権者の地位に比較いたしまして、債務者すなわち借主の地位が経済的にきわめて弱い立場にあるというところから、債務者保護のために国の権力を借りて強制的に取立て得る利息の限度というものに制限を設けようという趣旨の立法でございまして、いわゆる社会立法と申しますか、弱者保護のための立法なのであります。
 金利の問題につきましては、これを産業資金の金利一般の問題、あるいは庶民金融の問題、その他金融行政上いろいろ考究すべき問題があろわけでございますが、もとよりこの利息制限法がさような意味におきましての金融行政全般を律する立法というつもりではないのであります。これのみによつてこの社会政策的な目的も完全に達し得るとは考えていないのであります。司法上の効力という意味から考えました立法といたしましては、かような法律が必要であろう、こういう考えでございます。
#5
○林(信)委員 お答えのごとくに経済関係を多分に持つ法案でありまするから、もちろんその点については提案以前の十分な研究がなされ、今日においてもその必要なるものについては研究がなされておるところであろうと存じますが、たとえばしばしば質疑応答に現われて参りました関係の法令といたしましては、臨時金利調整法あるいは貸金業取締法また質屋営業法、物価統制令のごときものであり、さらにいまだ成立いたしておりませんが、本国会に提案され審議が続けられておりまする出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律案のごときも同趣旨のものでありますが、これらの法令あるいは法律案関係について、結局利息の規制は一般金融関係において臨時金利調整法がまずこれを保護規制し、裁判上の利息制限関係において今審議を試みておりまする利息制限法の改正がこれに当り、なお高金利のものについて、今般提案せられましてただいま申しました金利取締りに関する法神業によつてある一定限燈以上のものに罰則を新設あるいは強化されんとしておるのであります。しかるに最近承るところによりますと、大蔵委員会関係等におきまして、その審議中の法律案のうち、貸金業者の利息の最高限が日歩五十銭より三十銭に引下げられ、その利息を越えるものは体刑の罰則をもつて臨むというその関係が、必ずしもそのまま通過しないかのように仄聞しております。そうしますると、金利のうち、高金利のその規制というものが大分ゆるやかになつて来るようでありますが、この利息制限法の一部改正は、かような別の法律の新設を予想して起案されたものであります。それがそのままでなく、その一部が抹殺せられ、あるいは修正せられるということになりますれば、これは勢い御提案の法案はその関する限りにおいてもあらためて考慮しなければならぬものがあると思う。これはただに政府のみではなくて、もとより当委員会の考慮すべき問題でもあるのでありますが、まず政府のこの点に関しまするいきさつについて御存じの範囲――それがさように修正して行かれるとしますれば、この法案をどういうふうにお扱いになりますか、その点について承りたい。
#6
○村上政府委員 利息制限法とただいま大蔵委員会で審議になつております出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律案における高金利、罰則等の関係につきましては、前会御説明申し上げましたように、この二つの法律案が成立いたしますと、ある限度までは裁判上強制し得る、その限度を越えて、さらに日歩三十銭の限度までは自由に放任される、三十銭を越えると、反社会性あるものとして処罰される、三段構えになつているというふうに御説明申し上げたのでありますが、もとよりとの高金利罰則の規定と利息制限法とは不可分の関係にあるわけではないのであります。現行法のもとにおきましては、貸金業者の業務報告書に記載いたしました利息を越える高利を徴しますると、貸金業法によつて処罰されることになつておるわけであります。従つて不当な高金利について罰則のある点については、同様な関係にあるわけでありますが、ただ業務報告書を受理いたします際に、日歩五十銭までを許したという経緯になつております関係上、反社会性あるものとしての処罰を受ける限度に差異が生ずるということに認められるわけであります。従つてかりにただいま大蔵委員会で審議されております法律案が修正になりまして、金利の罰則の条文が削除されたといたしましても、利息制限法と貸金業法の罰則との関係は、やはり前に御説明申し上げたのと同様の関係になるわけであります。
 必ずしも不可分の関係にない二つの法律案をどうして同じ国会に提案されたかといういきさつについてのお尋ねがあつたと存じますが、この利息制限法につきましては、たびたび申し上げましたように、明治十年の太政官布告として制定せられ、大正八年に改正になりまして以後、改正らしい改正は行われておりませんので、元本の区分につきましても、百円、千円というような区分になつております。いずれは改正を要するものとしてかねてからこの改正案を練つて参つたのであります。今回この法案を提案いたしましたのは、決して出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律案が提案されたからというわけではないのであります。ただ実際問題として高金利の罰則だけを提案いたしまして、利息制限法をそのままにしておくということになりますと、利息制限法はどうしたのだという疑問が必ず起きるわけであります。利息制限法を提案して高金利の罰則の方を出さないといたしますと、日歩五十銭という高利を許しておくのは不当ではないかという問題が必ず提起されることが予想されるわけであります。さような関係におきまして関連があると申せば関連があるのであります。両法案不可分のつもりで提案いたしたわけではないのでございます。
#7
○林(信)委員 なるほど法案の提出については直接の関連はなく、それぞれの必要性より提案せられたということでありますれば、それは了承いたしますが、すでに提案されましたこの法案の審議にあたつては、やはり関連して参考となる、いな参考としなければならない他の法案であると思うのです。そこで提案前に参考とせられて、政府としては貸金業者の金利を一日三十銭というところで押えて、それ以上のものを受領した者は三年以下の懲役、三十万円以下の罰金、こういうところで出て来ておるのであります。そこで提案云々の関係を離れまして、ここでいわば両論が出て来たわけです。大蔵省関係においては三十銭で押えるのが貸金業者の金利としては適当だという議論を持つておられるとしますと、国会側では、全部ではありませんでしようが、委員会等の多数の意見によりまして、従来の貸金業法によるということになりますけれども、五十銭説、こういう開き、つまりこういう二つの議論が出て来ておるのであります。法務当局としてはその二つの意見についてどつちが適当だとお考えになるでしようか。
#8
○村上政府委員 私案は罰則の法律案の所管の任にございませんので、政府の意見として申し上げるのもいかがと存じておりますが、実はこの罰則の方の立案につきましても、私どもも協議にあずかつたのであります。罰則の限度が日歩三十銭が相当であるということを私どもも考えたわけでありますが、その際参考までに日歩五十銭という高利をとる場合の貸金業者の計算は一体どういう計算の基礎に立つておるのであるかということも、実は貸金業者に当つて開いてみたこともあります。日歩五十銭とるとすれば、そのうち経費及び貸倒れに対する保険料を含めて約十五銭、他から融通を受ける――縁故者からの預かり金と称しておりますが、ほかから資金を借りて参りますその資金の方の金利が十五銭、残り二十銭が利潤になるというような説明であつたわけであります。この縁故者からの預かり金に日歩十五銭、日歩十五銭と申しますと、月四分五厘になる。相当な高利になる。かような高利をもつて他から資金を借り受けているというところにも、貸金業として成り立つて行く上に無理があるのではないか、むしろこの日歩五十銭という高利が行われておりますことが、縁故者からの預かり金に対する金利を非常に高くしておる一つの原因ではないかというふうにも考えられるわけであります。その他貸金業の規模等についてもある程度調査してみたのであります。これは個人企業の場合には自己資本十万円、会社企業の場合には自己資本三十万円から認められておるようであります。ほかに自己資本の約二倍程度の縁故者からの預かり金を持つておる。五、六十万円程度の営業資金で食つて行くという貸金業者が全体の七、八割を占めておるというような実情の説明を聞いたわけであります。かようなわずかの資金をもつてやつて行くというところにも金利を高くしておる一つの原因があるのではないかと考えておるのであります。私どもの知り得ましたいろいろの事情を綜合して考えまして、日歩五十銭という金利は、罰則の限度としても高きに失するのではないか、三十銭程度が相当である、また事実大多数の貸金業者は三十銭なり三十五銭程度で貸しておるのでありまして、日歩五十銭というのは現実にはあまりないようでありますので、三十銭程度のところが相当である、かような結論を出した次第であります。
#9
○林(信)委員 乏しい知識しかありませんけれども、われわれも従来の貸金業者の金利制限が五十銭であるということは、あまりに高いわくであると存じておりました。それが二十五銭であるか三十銭であるか三十五銭であるかといつたようなところは、かなりむずかしい問題だとは存じますが、それがまず三十銭程度に引下げられることはおおむね至当ではなかろうか、かように考えておるのであります。それは論理的に出て来る結論ではなくて、およそ実情を知る者の常識的な概念でかように考えられて来たのであります。御説のようなこと私もおよそ同感であります。それが国会の審議においてさらに変化を見ようとしておるのであります。従いまして今審議を続けておりまする利息制限法案につきましてもかなり深い検討を試みようとしておるのであります。そこでお尋ねしましたが、いずれにしましても、これはさように直接なる関係の事象でなくて御説明のごとく、この法案はどこでも社会政策的な見地に立つて、従来の法律が実情に沿わないというところからかように改正せられんとしておるということでありますれば、その点につきましてその社会政策的な立法の改正を試みようとしまするその基本の考え方、すでに実際問題といたしまして高金利のものが裁判上無効である、あるいは法理上無効であるといつたような議論、あるいは非常に高いものについて、公の秩序、善良の風俗に反するという点からの無効の裁判議論がなされ、また裁判の実例が現われておるというようなこと、広くは一種の国民的倫理観よりいたしましてその必要が考えられて来たというようなことに、ざつと私としても思うのでありますが、この法の社会政策的な立法でありますその基本的なものは、どういうふうに心得たらいいか、あらためての御答弁で心持はある程度了承いたしておりますが、この機会にあらためてお伺いしたい。
#10
○村上政府委員 社会政策的な立法であると申しましたが、要するに貸主と借主とは必ずしも平等の立場に立つて取引をするのではなくて、何と申しましても経済的には貸主が強く借主が弱い立場にありますので、これを自由に放任いたしますと、借主に不当な結果を生ずるというところにあるわけでございます。もとより国民の倫理観念、道徳観念とも無関係ではないのでありまして、債務者の困つている状況に乗じて非常な高利をとり、しかも裁判所その他の国家機関がその契約に力を貸すということは好ましくないという考え方が、基本的にはあるわけでございます。
#11
○林(信)委員 この法案が提案せられますや、関係団体、あるいは関係業者にかなりの衝動を与えておりますが、それかあらぬか、全国金融業団体連合会あるいは各県の金融業組合といつたようなものから、われわれ委員に対しましても屡次陳情がなされている。その書面の共通しますものは、契約利息の制限利率をある程度引上げられることは一応了解をするけれども、いまだその最高制限は低きに過ぎているというようなことを申して参つている。もちろんこまかなことを述べているものもあるのでありますが、同種のものはおそらく政府の方にも参つているものと思うのであります。これらの関係について民事訴訟の言葉ではありませんが、再度の考案で考えられます予測あるいはさようなことに対してどういう御所懐をお持ちでありましようか。その点を伺いたい。
#12
○村上政府委員 この貸金業者の団体等から出ております陳情を見ますと、との法案の第一条で現行法よりも制限利率を引上げられることは大賛成である。しかし第二条以下は全部反対であつて現行法通りにしておいてもらいたい、こういう陳情が多いようであります。そのような反対が業者の方から出ますことは、実は立案当時から予想はいたしておつたのであります。それで立案につきましてもある程度業者側の意向も聞きました上で立案をした次第でありまして、特に問題にしております第四条の賠償額の予定を本来の金利の二倍にとどめたという点について強い反対があるようであります。これは前にも御説明申し上げたかと存じますが、現行法のもとにおいても利息が千円以上一割というところで押えられておりまして、これ以上は裁判上請求することができないというところから、何らかの方法によりまして賠償額の予定という形で、日歩三十銭、五十銭という高利を裁判上請求する、あるいは公正証書の上でそういう高利の契約をするということが行われております。ただ裁判所におきましては、公序良俗に違反する法律行為は無効であるというところから、ある限度以上の賠償額の予定は認めないのでありますが、これが公序良俗というようなきわめて抽象的な標準がありますために、きわめて多岐にわたつておりまして、日歩二十銭程度で押えておる例もございますし、三十銭あるいは五十銭でも、必ずしも公序良俗に反しないという例もあるようであります。きわめて多岐にわたつておりますし、また公序良俗に反するという判断をいたしますためには、裁判所といたしましては、単に金利だけで見るわけに行かない、その他諸般の状況を調べた上で判断することになるので、債務者の保護という立場から見ますと、運用上きわめて好ましくない結果になつておるのであります。その意味におきまして、賠償額の予定を一律に制限することが必要ではないか、ことに罰則の問題は別といたしまして、国の権力を借りて強制的に取立て得る賠償額の予定というものには、おのずから一定の限度を設けるべきではないか、かように考えまして、公序良俗に反するというような抽象的な標準でなく、本来の金利の二倍という一律の制限を設けたのであります。
#13
○林(信)委員 冒頭申しました一般的な質疑はこの程度にとどめまして、さきに試みましたように、各条についての質疑のうち、さらに疑問を持つに至りました一、二の点について、この機会に附加してお尋ねをいたしたいと思います。
 それは第一条の利息の制限の点であります。ただいま御説明もありました第四条の期限後の賠償額の予定ということに関連するのでありますが、法案に見えますように、利息の定めは十万円未満と、十万円以上百万円未満、百万円以上の三段階になつております。最高の場合は年一割五分でありますが、これを貸主側におきましては、なかんずく業者におきましては、いわば脱法的に、百万円貸す場合に十万円十口のものをつくつて、それが公正証書としてつくられる、一種の合法的な脱法ですか、言葉は変でありますけれども、そういうことが許されるのでありますか。これは法務省としても公証人関係の監督上の問題にもなる。公証人の執務の規範にもなつて来ると思いますから、その方法が許されますれば、四条の関係においてさらにその二倍ということは、言うまでもなく二割と一割五分の五分の差が賠償として出て来る。そういうことは一応考えられそうなんですが、どういうものでありましようか。
#14
○村上政府委員 消費貸借契約の個数が一個であるか数個であるかという問題は、当時者の意思その他諸般の事情を総合して判断される事実問題であります。証書を二つにわけ三つにわけたから、契約が二つになり、あるいは三つになるというものではないのであります。明らかにこの第一条なり第四条をくぐる目的で証書だけを幾つかに書きわけたということがございますれば、裁判研が判断いたしますと選には、それは合計して一個の消費貸借契約であるということで、この利率を適用して行くというふうに考えております。公証人が公正証書をつくります際にも同様であろうと考えておるのであります。
#15
○林(信)委員 争いが起りまして、その際にこれをどう解釈するか、一個の消費貸借形式と見ますれば、その利息の制限も賠償額の予定も、おのずから一個の消費貸借としてのものになる、これはわかるのでありますが、それを、公正証書をつくるときも同様だ、こう見てしまわれますことは、実際問題としてはそういかないのじやないかと思うのであります。もつと念を入れますと、甲が貸主、乙が借主の場合で、甲乙のみの名義で十万円ずつの公正証書を十通つくるというときには、かなりはつきりするかもしれません、それにしても、一分ごとあるいは五分ごとに消費したとみなされますれば、これも別個の消費借健といえないこともありません、これでも公証人は困るのじやないか。それで、甲の借主に対して、おやじの乙の名義でもつてし、女房の丙をもつてし、せがれの丁をもつてし、あるいはいとこ、はとこ、孫子まで並べていうことになると、当事者が違うのですから消費貸借がおのずから別個だ、こういうことになると公証人もそれを拒否するわけにもいかなくなるのじやないか、裁判所まで持つて行けばどこかで結論は出ると思うのですが、公正証書作成の場合、これはうるさい問題だと思うのでありまして、やはり法務省としては考えておかなければならぬ問題だと思います。そういうふうにわざとこまかくわけて来ましたような場合、今のようなことだけでよろしいのでしようか。
#16
○村上政府委員 公正証書をつくります際に、実際問題としては、林委員のおつしやつたような公正人も判断に苦しむような場合もあるかと思うのでありまして、必ずしも先ほど私の申し上げましたようなりくつ通りには参らないことも予想されるのであります。実は現行法におきましても、百円、千円を単位にして利率が違うわけでありますが、長年利息制限法が施行されました経過におきまして、利息の制限をくぐるために一つの消費貸借について数個の証書をつくつて、そのために制限がくぐられておるというような事例はほとんど聞いておらぬのでございます。実際問題としては、公正証書をつくりますときに、証書の数が多くなりますれば、費用もよけいいるというようなこともありますし、従来の経過から見まして、そういうことが頻繁に行われるという心配もないのではないか、かように考えたのでございます。
#17
○林(信)委員 従来もそれはあつたかもしれないと私は想像します。まして金利のことは、業者のその営業が届出あるいは許可制となり、あるいは一定金利以上のものは非常な重い罰則をもつてこれに対処せられるというような時代になつて参ると、実際面において、大部分の場合は、借主というものは弱いのでありますから、貸主の意のままに約束するのであります。こんな制限法というものはそう考えずに、ずつと上まわつた金利を払うように要求せられます以上、これは喜ばしくなくても、唯々としてこれに従つて行かなければならぬので、そんな不自由は感じないかもしれませんが、具体的な関係において、かなり厳正にやられて参りまする行き方を見ておりますると、あるいは用心深い者は、その辺のことまで考えてやつて行かなければならぬと思うものも出て来るかと思います。繰返すようでありまするが、裁判上だけの問題になつて来る場合は簡単でありますけれども、実際上の執務をいたします公証人としては、どこかに明瞭に基準を求め得るならば、あつた方が便宜じやないかと、なお今日いまだその念は離れないのであります。実際問題として費用もかかることだと言いますけれども、これはやはり弱い方が持たせられてしまう。強い方は一向感じないのであります。さような点を考えあわせて、私はなお少しく検討を試みたいと思いまするが、しかし質疑はとの程度にいたします。
 続いて第二点であり、最後といたしまして、第三条のうちに「債権者の受ける元本以外の金銭は、礼金、割引金、手数料、調査料その他何らの名義をもつてするを問わず、利息とみなす。」このうちの礼金とか割引金とか手数料もひどいと思うのでありますけれども、ただ一つ調査料というのは、実際において経費を伴うものであります。これはいかに強い立場の貸主側としましても、実際の出費というものは、これは君えてもいいんじやないか。業者で商売だから、それぐらいのものは持て、金利の中に含めて考えてやつてもいいじやないか、このままの法律をつくるといたし策すれば、これはさようなことも考えるし、また盛り込んでも行くのでありますが、先ほど来申しておりました臨時金利調整法を受ける一般の貸金業という極刑のもの筆におきましては、これはさような融通性をつけずに、公平な観念の立場に立つて営業しておると一応見られるのであります。それらの諸君に対して、その実情を聞いてみますと、慣例といたしまして、ずつと長く実費的なものを受領して来ておるようであります。たとえば不動産を担保にいたしますような場合に、それが貸主の方の事務所、住宅等の所在地でありますれば、比較的容易かもしれません。それにしましても、若干の手数料はかかります。費用もかかります。これが遠隔の地になりますと、そのための日数、旅費を要する。極端な場合は滞在費を要するというようなことにもなる。こういうことは公平な観念から参りまして、実際の慣行から参りましても、これは別に見てやらなければ無理が行くのではないか、こう思われるのです。今までの慣行にも調査料と言つておりますし、この法案のねらいも、またさような調査料であろうと思う。単なる名義だけのものとは言わないのでありましよう。そうしますと、実際に不便があるのではないかと思うのでありますが、その点どういうようにお考えでありますか。
#18
○村上政府委員 御指摘のような調査料につきましても、これは利息をもつて支弁すべき費用であるという考え方で実は来ておるのであります。これが契約締結の費用に当るかどうか、たとえば担保物件の調査のための経費等が問題になるのでありますが、これも契約締結前の費用でありまして、契約は成立しなくとも、債権者の支出しなければならぬ費用であります。契約締結の費用にも当らない、かように考えております。
#19
○林(信)委員 もちろん契約の締結の費用とみなし得れば、これは法案がこの限りでないと言つておるから、これは問題でないのでありますが、契約の締結の費用とは見られませんで、締結準備のための費用になつて来るのでありますから、問題だと思うのであります。実際必要から参りましても、不動産の担保に重点を置いた金融がだんだん少くなつて来ております。金融ふなれの者におきましては、動産は従来非常な担保価値があると考えたものが、それほどなくなつて来ておる実情にあるのであります。そこでその不動産の持つ価値を担保といたしまして、金融を得ようとする。それがいささか遠方である。経費を要する。貸金業者の方では、そんな経費までかけて出さなくたつて、金の借り手は幾らでもあるのだ、ごめんだ、こう言われますことは、金融を受けんとする者、担保を持ち、十分その資格ありと考えておるこれらの不動産所有者の諸君のある部分については、これは金融を阻害することにもなつて来ると思う。これは特殊の場合ですから、この調査料は、これは例示として置くことがどうであるかと、実は私は考えておるわけであります。従いましてこの提案の際において、そこまで考えておつたのか、その種のものは契約締結の費用ぐらいにお考えになつておりましたものか、今日あらためてでもお考えになるお心があるのでありましようか、重ねてお伺いいたします。
#20
○村上政府委員 林委員の御意見の通り、これは契約締結の費用ではございません。契約締結準備のための費用であります。但書には該当しないわけであります。そこで借り主が貸し主を案内して担保物件を見に連れて行くという場合に、借り主が汽車賃を出すあるいは宿賃を払うというようなものがこれに入るわけじやないのでありまして、ここに書いてございます通り債権者の受ける担保以外の金銭、つまり債務者から債権者に支払つた金銭を言うわけであります。でありますから、これがありますために、必ずしも金融に齟齬を来す、不動産担保による金融がむづかしくなるというふうには考えておらぬのであります。
#21
○林(信)委員 よくわかりました。
#22
○小林委員長 それでは本日はこの程度にとどめます。明日は一時から理事会を開き一時半から委員会を開くことにいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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