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1953/05/15 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 法務委員会 第56号
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1953/05/15 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 法務委員会 第56号

#1
第019回国会 法務委員会 第56号
昭和二十九年五月十五日(土曜日)
   午後零時三十分開議
 出席委員
   委員長 小林かなえ君
   理事 佐瀬 昌三君 理事 田嶋 好文君
   理事 林  信雄君 理事 高橋 禎一君
   理事 古屋 貞雄君 理事 井伊 誠一君
      押谷 富三君    花村 四郎君
      本多 市郎君    牧野 寛索君
      木原津與志君    佐竹 晴記君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 加藤鐐五郎君
 出席政府委員
        法務政務次官  三浦寅之助君
        検     事
        (民事局長)  村上 朝一君
 委員外の出席者
        判     事
        (最高裁判所事
        務総長)    五鬼上堅磐君
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局民事局
        長)      関根 小郷君
        専  門  員 村  教三君
        専  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
五月十五日
 委員楯兼次郎君辞任につき、その補欠として木
 原津與志君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 七九号)
 民事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第八〇号)
 民事訴訟用印紙法等の一部を改正する法律案(
 内閣提出第一二八号)
    ―――――――――――――
#2
○小林委員長 これより会議を開きます。
 裁判所法の一部を改正する法律案、民事訴訟法等の一部を改正する法律案並びに民事訴訟用印紙法等の一部を改正する法律案、以上を一括議題といたします。
 この際民事訴訟法等の一部を改正する法律案外二件審査小委員長より、小委員長報告をいたしたいとの申出がありますので、これを聴取することといたします。民事訴訟法等の一部を改正する法律案外二件審査小委員長林信雄君。
#3
○林(信)委員 この際お許しを得まして小委員会の経過並びに結果についてその概要を御報告申し上げます。
 小委員会は、設置以来連日開会いたしまして、委員諸君の熱心なる御出席を賜わり、審議を続けられたのであります。付議せられました案の内容については政府の所見をただしますはもちろん、在野法曹団体の代表者各位の御出席を得ましてその意見を聴取する等、いろいろ検討を加えて参つた次第であります。その結果昨日、ただいまより申し上げますような、政府提出の改正法案に対する修正案を得るに至つた次第であります。その各法案の修正案はそれぞれ委員長初め委員各位のお手元へすでに刷りものとして配付しておきましたから、小委員会に関係なき各委員にもすでに御了承を賜わつておるところであろうと思います。
 以下簡単にその主要な点について、まず便宜裁判所法の一部を改正する法律案に対する修正案から申し上げますれば、その改正案の三十三条の改正規定中、「二十万円」を「十万円」に改める。これは理由を省略いたしますが、簡易裁判所の取扱います訴額は、この線をもつて適当とすると思料いたした次第であります。
 次に民事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する修正案でありますが、ただいま特に順序変更して申し上げました裁判所法の一部を改正する法律案に対する修正案の関係よりいたしまして、これに関連いたします第二十二条二項の改正規定中、「二十万円」とありまするものを「十万円」に改める次第であります。これも理由を申し上げる必要はないかと存じます。
 続いて、第百十四条二項以下多数の法文を列挙せられておりまする例の口頭弁論、調書の形式あるいは判決の方式等に関します――要はこれを法律より最高裁判所の規則に譲る趣旨の部分であるわけでございますが、そのうち政府の所見を明らかにいたしまして、修正案に掲げておりまするような三箇条は、単にこれを削ることを容認いたしました。これはその後の最高裁判所のルールを必要といたさないというような関係よりいたしまして、その部分の削除を認める趣旨において、この印刷物にありまする通りの修正案といたした次第であります。
 次は、委員会におきましても、自然小委員会におきましても最も論議の重要にしてかつ主眼的なものになりましたが、三百九十九条一項三号として掲げられておりまする上告の場合の、原審における上告のスクリーニングに関する規定の一節を、改正案より削るのであります。これは一号、二号と三号とは法の性格を異にいたしております。一号、二号の形式要件に関するものは、これはまた考える余地があるといたしましても、まず実質要件と見られまするこれらの規定を設けますることは、民訴上の上告の本質よりいたしまして、きわめて不適当であると考えまして、なおいろいろの点が詳細論議せられたのでありますが、これを省略いたしまして、かように改正案ではその部分だけ削ることにいたした次第であります。
 以下なお四号ぐらいが印刷物にあげてあるのでありますが、これはおおむね調書の形式に関するもので、前に申しました修正案を得ました関係よりいたしまして、牽連してかように修正するに至つた次第であります。特段の理由を必要としないものと存じますのでこれを省略いたします。
 最後に民事訴訟用印紙法等の一部を改正する法律案に対する修正案でありますが、これも冒頭申し上げました裁判秘法の一部を改正する法律案に対する修正案を得ました結果よりいたしまして、これに牽連いたします訴訟物の価額または請求の訴額の二十万円とありますものを十万円に改めまして、以下これを基準にいたしましてこれが適当であろうと考えたことがおもなものであります。
 その他は引上げの率があまりに多額に及びますもの、あるいは実際取扱い上金銭の数額が端数であるようなものを切れ端のいい金額にいたしまして、おおむね原案よりは減額せられておるのでありますが、さような含みを持ちましてかような修正案を作成いたした次第であります。
 以上をもちまして小委員会の経過並びに結果の御報告といたします。
 この機会にあらためて小委員各位の御熱心なる審議に対しまして深甚の敬意を表します。その他の委員におかせられましても、非常な御熱意のある御協力を得ましたことを感謝申し上げる次第であります。
#4
○小林委員長 これにて報告は終りました。
 それではこれより質疑を続けます。質疑の通告がありますから順次これを許します。佐竹晴記君。
#5
○佐竹(晴)委員 すでにいろいろ論議が尽されておりますし、ことに小委員会の意見も発表されましたので、ここでは多くを申し上げることを差控えたいと思いますが、ただ三百九十四条、三百九十九条の関係について少しばかりここに確かめておきたいと考えます。
 まず三百九十四条の上告理由中に判例違反を除外した理由はどこにあるのでございましようか。
#6
○村上政府委員 昨日の林委員の御質問に対しまして詳細お答えしたところでありますが、現行法の三百九十四条の「判決方法令ニ違背シタル」という中には、本来判決抵触、判例違背を含むことは当然であろうと考えておつたのであります。民事上告特例法ができまして憲法違反、判例抵触、重要なる法律問題というふうな区別をするようになりましたけれども、いずれも現行法の三百九十四条を前提といたしまして、法令違背の中に憲法違背と判例抵触と重要なる法律問題だけはすべて取上げる。その他のものは取上げなくてもいいということであつたのであります。従いまして特例法のもとにおきましても、判例違背は憲法違反と同様に法令違反の一つの場合であります。このたび上告特例法が失効いたしますと、民事訴訟法の関係におきましては、三百九十四条にもどるわけであります。ここに言う法令の違背という中には、もとより判例抵触を含むという解釈から取入れなかつたわけであります。判例に違背するということは、前の判例に示されました法令解釈が正しい、原判決の法令解釈が間違つているということなのであります。法令解釈の誤りを主張しているわけなんでありまして、法令違反を理由とするものにほかならない、かような考え方であります。
#7
○佐竹(晴)委員 判例違反は常に法令違反であると御解釈のようでありますが、もしそうだといたしますと、刑事訴訟法の四百五条などと均衡を失することはないであろうか。刑事訴訟法においては、特に判例違反に重きを置いて規定いたしております。判例違反が常に法令違反であるといたしますならば、刑事訴訟法四百五条の第二号、第三号などはまつたく必要がないのであります。にもかかわらず特に規定いたしております趣旨が理解されません。刑事訴訟法と民事訴訟法との間に、この区別を設けなければならぬ特別の理由でもあるというのでございましようか、これを承つておきたいと存じます。
#8
○村上政府委員 刑事訴訟法の四百五条の第二号、第三号、この判例違反という言葉も、もとより刑事訴訟法における法令違反の一つの場合と考えるほかはないのであります。第一号に憲法の違反があることとございますが、これも法令違反の典型的な一つの場合でございます。この二号、三号の判例に違反するという言葉も、法令違反の一つの場合としてあげたものと解するほかはないのであります。法令違反のうちこの一号ないし三号にあげてありますものにつきましては、権利上告と申しますか、当然上告の申立てを認める、その他の法令違反につきましては、四百六条等によりまして当然の上告の権利と認めないというのが、刑事訴訟法の建前であろう、かように解釈いたすわけであります。
#9
○佐竹(晴)委員 憲法違反が法令違反であるということについては私も同感であります。さらに判例違反は常に法令違反であるということならば、三百九十四条などの上告は判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令の違背あることを理由とするときに限りこれをなすことを得、これで十分ではないでしようか。憲法の解釈に誤りあるとき、これも法令違反なんです。判例違反の場合もこれは法令違反なんです。こういつた判例違反の場合はこれを除外する、ところが憲法解釈の場合のみここに規定を存した、そう特にこれを区別して扱わなければならぬ理由はどこにあるでございましようか、法令違反ということが上告の理由の唯一のものだといたしますならば、もうそれだけで十分ではないでしようか。
#10
○村上政府委員 改正案の三百九十四条前段によります憲法解釈の誤りあることその他憲法の違背があつた、これが法令違反の一つの場合であることは御意見の通りでございます。改正案は現行法と比較いたしますと、憲法以外の法令につきましては、ある程度上告理由をしぼつているわけでございます。現行法におきましては、「判決方法令ニ違背シタルコトヲ理由トスルトキニ限リ之ヲ為スコトヲ得」とありまして法令の違反と判決との間に因果関係の可能性があればすべてこれは上告の理由がある、従つて原判決を破棄するという理由になるわけでありますが、判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令の違背というふうに改正案で改めましたのは、法令違背と判決との間の因果関係が可能性があるだけではいけない、いわゆる蓋然性のある場合に破棄の理由とするというふうに上告の理由をしぼつたわけであります。法令違反の全部にわたりましてしぼりをかけるといたしますならば、これは現行法と同じように、上告は判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令の違背を理由とするときに限りこれをなすことを得と書けばいいわけでありまして、憲法の違背ということを特に取上げて書く必要はないわけであります。改正案におきましては、憲法の違背につきましては、このしぼりをかけない現行法通りにしておくという意味におきまして、法令違反の中の憲法違反の問題だけを別に書きわけて、前段に憲法違背をあげ、後段にはその他の法令違背の場合をあげたわけであります。
#11
○佐竹(晴)委員 憲法違背の場合といえども、判決に影響を及ぼさない事項について上告が許さるべき性質のものでないことは、これは理の当然ではないかと思います。すなわち特に具体的の事案がなくて、単に法の解釈だけを争うために、裁判所へいきなり憲法の解釈について提訴をいたしましても、受付けぬことは、これはもう事実がこれを示しております。いやしくも具体的な事件があつて、その具体的事件に対してなされたる審判が、憲法に違背するときにおいてのみそれが上告理由とならざるを得ない。してみればその憲法の解釈に誤りがあつて、その具体的審判すなわち判決に影響を及ぼすときにおいてのみその問題が取上げられる、もし判決に影響を及ぼさない場合においても、憲法の解釈に誤りある場合には具体的事件にまた判決の内容に影響しないでも、相関的にすべて上告の理由となるということは、とうてい私はその上告の本来の精神にかんがみてこれをさように解することはできないと思うのでございますが、これはいかがでございましよう。
#12
○村上政府委員 判決に影響のない法令違背は上告の理由とならないということにつきましては、まつたく同意見でございます。判決に影響のない法令違背を理由として原判決を破棄いたしましても、再び同じ判決が原審において繰返されるだけのことでありますから、何ら破棄する実益はないわけであります。少くとも判決に影響を及ぼす可能性のある法令違背であつて初めて破棄する理由があるわけであります。その趣旨におきまして、現行法の三百九十四条におきましては、当然のことであるとして判決に影響を及ぼすべくあるいは及ぼす可能性のある法令の違背ということを言つていないのであります。この改正案の三百九十四条の前段も同趣旨でございます。ここに判決に憲法の違背あることと申しますのは、判決に対する影響の有無を問わずという意味ではないわけであります。後段のその他の法令違背の場合には因果関係の可能性のある場合、蓋然性のある場合、すなわちこの法令違反がなかつたとすれば、おそらく原判決は違つた結果になつたであろうという場合だけに原判決を破棄いたします。憲法の違背があつた場合には、蓋然性がなくて因果関係の可能性があれは現行法と同じ建前をとろうという趣旨でございます。
#13
○佐竹(晴)委員 いやしくも憲法の解釈に誤りあるとき、しかもそれが判決に影響を及ぼすものであるときは、それは憲法の解釈を誤つて判決をするということは、判決に影響を及ぼすこときわめて明確なるものであると、すべてお認めになつた結果ではないかと私は思うのです。そうだといたしますならば、別にこの憲法の解釈に誤りあるとき、または判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令に違背あるときと二つにいたしませずとも、すべて判決に影響を及ぼすことは明らかなる法令の違背で十分ではなかろうか、いやしくも憲法の解釈に誤りのあるような判決があれば、それはその判決自体が根底から認めらるべき筋合いのものではない、憲法に違背するような判決の存在は許されない、憲法の解釈に誤りある判決は、判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令の違背であると私は思うのであります。従つて後段だけで十分ではないかと思うのでございますが、いかがなものでございましよう。
#14
○村上政府委員 憲法が特に重要な法律であることは申すまでもないのでありますが、この改正案の三百九十四条の前段で、憲法の違背あるときということを上告理由といたしましたのは、ただいまの佐竹委員の御意見のように、これを判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令の違背という言葉の中に憲法違背を含めますと、憲法違背があつて、それと原判決との間に因果関係の可能性がある、おそらく同じ判決が下されるであろうが、ことによると原判決と違つた結果になるかもしれぬという場合には、原判決を破棄しないことになる、一般の法令の違背の場合には破棄しないのでありますが、憲法の違背につきましては、おそらくこの憲法解釈の誤りがなかつたならば、判決の結果が違つたであろうというばかりでなく、違うこともあり得るという場合まですべて原判決を破棄する理由としようというのが、この改正案趣旨でございます。
#15
○佐竹(晴)委員 その点必ずしも了解し得ない点があるのでありますが、その程度にいたしまして、いま一つは判例違反の場合でありますが、その場合においても判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令違反の場合もありましようし、そうでない場合もあります。そこでこの両者をひつくるめて判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令違背の一本におまとめになつたようでありますが、判例違反の場合におきましては、大体において実際に具体的な事実が出て、それに対してその判決をする、そこで判例に違反のある範囲においては、判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令の違背と一応認められることになりはしないだろうか。もしそうだといたしますと、判例違反の場合と、判例のない単なる判決に影響を及ぼすこと明らかなる法令の違背の場合と二つ並べてここに明記いたしておく必要も、おのずから生れて来るのじやなかろうかと思うのでございますが、いかがでございましようか。
#16
○村上政府委員 判例違反という言葉は法令違背という言葉と違つた意味を持つものではない、つまり法令違背の中には判例違反も当然含むものであるということにつきましては、先ほどるる御説明申し上げた通りであります。この改正案の三百九十四条におきましては判例違反の中にも、たとえば憲法に関する判例の違反は前段に入る、つまりその違背がなかつたならばあるいは原判決が違つた結果になつたかもしれない、そういう可能性があるという程度で原判決を破棄するのでありますが、憲法以外の判例に関する法令の違背につきましては、他の判例違背と区別する理由はないと考えまして、この通り規定いたしたのであります。
#17
○佐竹(晴)委員 納得いたしかねる点もありますが、その程度にいたしまして三百九十九条関係をお伺いしたいと存じます。特に第三号の関係でありますが、これは小委員会において大体これを全部削つたらよかろうという意見にまとまつておるようでありますから、多くを申し上げることは差控えたいと思いますけれども、この際ひとつその根拠を明らかにいたしておくと同時に、法務当局といたしましての考え方もやはりここに速記録に残しておきたいと考えます。
 まず三号の「上告ガ法令ノ違背ヲ理由トスルモノニ非ザルトキ」このときにおいては原裁判所は決定をもつて上告を却下することを要するとありますが、この「法令ノ違背ヲ理由トスルモノニ非ザルトキ」とかように簡単にお考えのようでありますけれども、これはやはり判決の内容を十分に洞察して、はたして法令の違背を理由とするものであるか、理由とするものにあらざるものであるかといつたようなことについては、突き進んで十分に判断をしなければならぬ要素を含んでおつて、一号のごとき単に上告が不適法にしてその欠缺が補正することができない、二号のごとき上告理由書を提出しないとかいつたようなそんな形式問題でなしに、この三号の法令違背を理由とするものにあらざるときというのは、判決の内容に相当深く立ち入つて判断をしなければわからない事項を含んでおるものと存じますが、いかがでございましようか。
#18
○村上政府委員 三号の前段は原判決の法律判断を争うわけではないのであります。上告の理由として何を攻撃しておるか、その上告の理由としてあげられております事柄が、法令の違背でないという場合、たとえて申しますと貸金の支払いを命じた判決に対して上告いたします場合に、借りたことは間違いはない、まだ返してないことも間違いはない、しかし手元が苦しいから待つてもらいたいということをかりに上告理由書に書いたといたします。これは原判決の法律解釈を攻撃しているのではなくて、法令違背以外のことを理由としておるのであります。先ほどの三百九十四条にもあります通りに、上告というものはいわゆる法律審でありまして、法律問題だけを取上げる建前になつておりますので、法令の違背を理由としていない上告というものは原審限りで却下してよろしいという考え方であります。しかもそれがはたして法令の違背を理由とするものであるかどうか、若干の疑義があるというような場合には、そのまま最高裁判所に送りまして、最高裁判所で棄却することになるわけであります。その意味におきまして三百九十九条の改正規定の冒頭に「左ノ各号ニ該当スルコト明ナル場合」疑う余地のない場合ということをあげたわけでございます。
#19
○佐竹(晴)委員 過日法務大臣がこの席で答えたところによると、上告が非常に多過ぎる、それで渋滞する、非常に停頓をする、それはいわゆる憲法違反でなくて――そのときには憲法違反という文字は用いてなかつたようであります。たとえばその趣旨は、憲法違反でなくても憲法違反に名をかりておる。法令違反でなくても法令違反に名をかりて上告をする者が多い。それから、この間も私ははつきりいたしませんが、それが大部分のように言われた、七割も八割もそれが占めておるのじやないかという感じを持つような御答弁であつたと記憶いたします。私は「法令ノ違背ヲ理由トスルモノニ非ザルトキ」と書いてあるけれども、実は法令違背の名のもとに、事実は証拠力を争う、あるいは証拠力を争うことによつて事実の認定を争う、それでこの上告は、表面はなるほど法律違背をうたつておるけれども、実際言わんと欲するところのものは事実の認定を争つておるのだ、それはきわめて明白なんだというふうに認められますならば、いかに表面法律違背を主張いたしましても、それは名のみである、名をかりてするものである、だから法律違背にあらざるときであるというふうに認定されますと、一ぺんに最初の裁判所においてすぐに却下されてしまうおそれがあると存じますが、いかがでございましようか。
#20
○村上政府委員 事実の認定を争います場合でも、原審における事実の認定が、証拠法則に違反しておる、あるいは経験法則に違反しておるという場合には、これは法令違背の主張となるわけであります。そうでなくて単に原審の認定した事実は間違つておるということだけを理由としており、事実確定の手続における違法を主張しておるものでない場合、こういう場合が前段に当るわけであります。
#21
○佐竹(晴)委員 私は非常に苦い経験を持つておるのであります。民訴の関係において私はちようど適切な例にあつたのでありますが、手元にあると思つてこの間探してみましたところ、全部国元の事務所の方にその書類を送つてしまつて手元にございませんために、その判例番号、事実関係の内容等をここに持つて参りますことができませんので、はなはだ残念でありますが、一つここに頭に浮びますものは、刑事訴訟法の適用関係についても、また同様に解釈し得る問題でありまして、その点ここに例を引いて申し上げますと、私が刑事訴訟法の四百五条に基いて判例違反を主張いたしました。たとえば検事の認拠に関する冒頭陳述なんかを一切欠除いたしました事件がありまして、これには幾多の判例がございます。従つて、四百五条の二号、三号、特に三号の高等裁判所の判例にたくさんあるのであります。そこで私は判例違反なりと主張いたしました。すると最高裁判所は、それは判例違反に名をかるところの法令違反の主張である。これは判例違反を御主張になつておるけれども、その内容とするところは法令違反をついておるのだ。従つてこの四百五条に判例違反の場合には上告することができるとあるけれども、しかし法令違反の場合については、一般的に四百五条に基いて上告する理由となつていない。従つてこれは上告を許される事項中に入らぬといつて、もう三下り半でこれを却下した。これはほとんど謄写版で刷つてやつておるようです。これは判例違反に名をかるところの法例違反を主張するものである。名はなるほど判例をあげておる。何年何月何日、判決第何号、何裁判所の第何号判決とあげておる。なるほどそれにちようど当る判決はあるけれども、ほんとうにその人の言わんと欲するところのものは法令違反だ。だからこれは判例違反でないと言つて、頭からいきなり却下する。もし裁判所にそういつたような観念がありますと、今度は法令違反を主張いたしましても、その法令違反、たとえば証拠法の認定について、これは証拠法の法則を誤つておる、あるいは経験法則を誤つておるといつたようなことで、われわれが今度は法令違反を極力主張するといたします。するとこれはなるほど書いてあるところ、言わんと欲するところは、証拠力、経験法則のごとくおつしやつておるけれども、それは証拠力を争い、経験法則を争うことに名をかりるところの事実認定の争いです。その人の目標は事実認定にあるのです。すなわち上告の理由にならぬ、こんなことを言つて活版刷りで、どんどん原裁判所が却下せられた日には、これはもうどうにもなりません。私はそういうおそれが必ずあると思う。現に刑事訴訟法においてもまた民事訴訟法の関係についても、私は苦い経験をなめておる。名をかりてなす判決を法務大臣みずからやつているのです。上告の大部分は、いろいろな名に藉口するところの裁判が、それがために多くなつているのだという。もう頭がそうなつているのですから、私どもがそれらを理由といたしまして上告をいたしますと、活版刷りでいきなり原裁判所が――ことに元の裁判所でございますから、おれの判決についてこう争つて来ているのだから、これはほんとうに法令違反だということでりくつはつけているのだけれども、ほんとうの言わんとするところは、事実認定を争つているのだということは、原裁判所においてはきわめて明白です。それはそういう人の頭から見ればきわめて明白なりとして、それを却下されましたときに、救済の方法がないと思いますが、そういう場合でも、救済方法が他にあるでございましようか。
#22
○村上政府委員 ただいま御引用になりました刑事判決の例につきましては、私刑事の方は専門といたしておりませんし、具体的事案を存じませんので的確にお答えをいたしかねるのでありますが、法律に規定してあります手続を履践しなかつたという主張でありますならば、その点に関する判例の有無を問わず法令の違背を主張するものであります。ただそれが重要な事項であるかどうか、判例と違う解釈をとつた場合に初めて四百五条の二号、三号が適用されるのであります。前の判例と違う解釈をとらない場合におきましては、重要な事項を含むと認められたものだけが取上げられるという建前であろうと思うのであります。この民事訴訟法の改正案におきましては、この重要な云々という、必ずしも明確でない裁判所の判断によつて重要と認められあるいは重要と認められないというような、さような言葉を使うことを避けたわけであります。民事訴訟法の特例法におきましても、重要な主張を含むかどうかということの判断を決するのはもつぱら裁判所がいたすわけでありますが、当事者におきましては重要と考えて上告したものが、裁判所としましては重要でないということで取上げられなかつたという例は幾つかあるであろうということは考えられるのでありますが、この改正案におきましてはその特例法のような重要ならざるものは取上げないというとり方をしていないわけであります。
#23
○佐竹(晴)委員 まだ理解しかねますけれども、その点はその点といたしましてその次の「判決ニ影響ヲ及ボサザルコト明ナル法令ノ違背」とあるその判決に影響を及ぼさないことが明らかな法令違背なりやいなやということそれ自身がきわめてむずかしい判断を要することであると思いますが、いかがでございましようか。
#24
○村上政府委員 法令違反と判決に対する影響いかんということの判断は、むずかしい場合がかなり多いのであります。なるほど法令解釈に誤りがあつて、判決の結果が違つたであろうかどうかという因果関係につきましてはむずかしい場合もあると思いますが、ここに「判決ニ影響ヲ及ボサザルコト明ナル法令ノ違背」と書いてありますのは、たといこの法令の違背があつたとしても、判決に影響を及ぼさない、つまり上告人の主張するような法令の解釈をとつたといたしましても、判決の結果がかわつて来ないことが明白な場合があるのであります。たとえて申しますと、昨日も例に上げたのでありますが、判決言い渡しは口頭弁論終結の日から二週間以内にしなければならぬという規定がございますが、言い渡しがそれよりも遅れたというような場合、これは規定の違反でありまして、たといこれを取消すとしても、同じ判決が繰返えされるにすぎないのであります。つまり判決に影響を及ぼす因果関係の可能性がないことがきわめて明白であるということになるわけでありまして、そういう場合だけをこの三号の後段において原審廷で却下する、こういう改正案をいたしたのであります。
#25
○佐竹(晴)委員 そういうような御解釈をなさることそれ自体が問題です。こういう条文を設けておきましたならば、今村上局長がお考えになつたような、きわめて形式的な場合のみを意味するものととる場合もありましようし、そうしてボーダー・ライン・ケースの非常にむずかしい、実際具体的にほんとうに衆知をしぼつて判断をしなければ、これがはたして判決に影響を及ぼすものであるか、及ぼさないものであるかそれすらもわからぬ、きわめて微妙なるものもたくさんあつて、一部の人はそれは明らかなる法令の違背であると考え、一部の人はそれは明らかでない、議論があると考える人もありましよう。そういつたようなときに、そういう事項は上告裁判所がなすべきものであつて、元の判決を元の判事に持つて行くと、それは判決に影響を及ぼさざることはきわめて明白である、これを軽く片づけて上告を却下してしまつたこともある。それを却下しないで上告裁判所に持つて行くと、上告裁判所はこれはそんなにあつさり考えるべきことではない、もつと判断をしなければならぬという場合もたくさんにあり得るのです。そういつたことを元の裁判所がきわめて明らかなりと軽く信じて、どんどん却下されてしまつたときはたいへんであつて、あと救済の道がないと思います。もし今村上局長のおつしやるごとく、きわめて形式的な問題のみであるといたしますならば、そのことをもつとこの明文の上に明らかにいたしておく必要があると思います。この三号をそのままここに置いておいたならば、たいへんに危険である。小委員会がこれを全部削除しようといたしますことは、けだし当然のことではないかと思うのであります。
 この際大臣がちようどお見えになつておりますので一言ただしておきたいのであります。上告制度の改廃の問題について過日お尋ねをいたしましたが、十分の御答弁を承ることができなかつたのであります。その後相当の日数も経ておることでございますし、十分御研究もなさつたことと思います。ことにこの民訴の改廃と民事特例法の廃止に伴うて一体どうしなければならぬかということについては、法務大臣は責任を持つていろいろと御考察願つたことと思うのでありますが、もし特例法等が廃止されましたときに、これにかわるべき上告制度の改廃といつたようなことを一体どう取扱うお考えであるか、また法務大臣が責任を持つてその改廃をこの際法文化して国会に提出するだけの用意があるかどうか。またたとえば特例法を一年くらい延ばしてもらつたらなどということをよくおつしやつておつたのでありますが、一年なら一年くらいの余裕があるならば、そういつたような改廃が完全にできるものという自信があるでございましようか、それらの点について法務大臣の御意向を承つておきたいと存じます。
#26
○加藤国務大臣 ただいま佐竹君の御質疑は、最高裁判所の機構改革の問題であろうと思いますが、ただいまこの民事上告特例法を一年延ばしましたところで、その間に法制審議会において最高裁判所の機構問題について結論がつくという見込みがありませんものですから、それで今回民事訴訟法の一部を改正する法律案及び裁判所法の一部を改正する法律案を提出いたしました。最高裁判所の本来の使命と申しますか、ただいままで御質疑がありました憲法解釈の問題あるいは判例抵触の問題、また法令違反を名として上告をする事件も多うございますがゆえに、最高裁判所の仕事があまりに多くて、本来の使命に没頭することが困難であろうと思いますから、こういう法律案を提出いたした次第でございます。これで法制審議会の結論を得るのを待つておる次第でございます。
#27
○佐竹(晴)委員 一年延ばしたとて、法制審議会の答申もこんな状態であり、かつ法務省といたしましても、この問題を完全に改革するだけの腹構えもないようであります。それならばそれなりに私どもも考えなければならぬと存じますが、事件があつて裁判所ができておるのであつて、事件が輻湊するので裁判所の機構をどうこうしなければならぬと考えるがごときは、本末転倒もはなはだしいと思います。事件が起れば、これをさばく裁判所が必要であります。事件がふえれば、裁判所の機構もふやして行かなければならぬのは当然であります。ところが事件が渋滞したから、そこでその法律を何とかしぼつて既存の裁判機構の中で何とかやつて行けるように考えることは、本末転倒もははなだしいと存じます。従いましてこの際事件がどんどんふえるならば、なえることに対処して適当な制度をお考えにならなければなりません。法制審議会が十分に成案を得ないということならば、法制審議会頼むに足らず、法務省独自のお考えで何かお考えを願わなければならぬと同時に、法制審議会のただいまのメンバーではとうてい成案を得ないということでありましたならば、そのメンバーを全部とりかえておやりになつてみてはどうであるか。ともかく法制審議会の答申が十分にここに得られる見通しが立たないというような、それだけでもつてこの問題を放任しておかるべき筋合いのものではないと思いますから、加藤法務大臣におかれましては、ひとつこの点十分に御考察を願いまして、この上告制度の根本的改廃と事件の輻湊することに善処できる適当の措置を講ぜられんことを切望いたしまして、本日の質問はこの程度で打切ります。
#28
○小林委員長 高橋禎一君。
#29
○高橋(禎)委員 法務大臣に二、三質問をいたしたいと思います。ただいまの佐竹委員の質問にも若干関連をいたすわけでありますが、法務大臣も御存じのように、最高裁判所においては、昭和二十八年末の未済事件が五千数百件あるわけです。これだけお聞きになつてもお驚きになるはずだと思うのです。最高裁判所に五千数百件の未済事件があつても、何ら特別心配することもない、平気だというようなことではいかぬと思うのですが、法務大臣に特に注意していただきたいのは、今度の民事訴訟法等の改正案が出ましたが、それは御存じのように上告事件に関する特例法が失効するので、それが失効して民事訴訟法がそのままでは、これこそまた事件が最高裁判所に殺到して、さらに未済事件が増加する心配があるので、これを何とかしなければならぬというところが、この民事訴訟法の改正案の大きなねらいであると思うのです。しかし政府が提出された原案は、なかなか通過する見込みがないのです。そこで私どもはこれに若干修正を加えてでも、これらの要請にこたえなければならぬと考えておるわけですけれども、しかしそれでも相当事件が多くなるのじやないかと私は思う。だからこのままでは国民の権利を守らなければならない立場にある裁判所として、ほんとうにその職責を尽し得ないということになるわけです。そこで法務大臣はこの最高裁判所の機構についてお考えにならなければならない、責任を持つてこれを解決しなければならないということは、佐竹委員も指摘された通りであります。ところが先ほどの御答弁を伺いますと、どうも法制審議会に諮問しておるのだけれども、その結論なかなか得られない、それを待つておる、こういうふうな御意見のようでありますが、そんなことじやとつても法務大臣の責任を果すゆえんではないと思うのです。法制審議会の機構も今のままにしておいて今日までの経過は参よくお聞きになつておると思うのですが、なかなか結論が出ないし、出る見込みがおそらくおありにならないのじやないかと思う。結論がいつ出るかわからないものを、法制審議会の機構についても考えない、その構成の委員等についての問題も考えないで、ただ手をこまねいて、見込みのない法制審議会の結論の出るのをじつと待つておるというのでは、とてもわれわれ黙つておれないとという気持がいたすのであります。そこでまず法制審議会の問題ですが、今のままではとにかく結論が出る見込みがない。ところが法務大臣としては法制審議会の意見を徴されて、その結論を得てからというお気持のあることもこれは当然のことだと思います。それでは結論が得られるように法制審議会というものをこういうふうにしよう、たとえば今までの委員の構成等を見ますと、最高裁判所の裁判官なり、あるいは学界の人なり、あるいはまたこういう前歴を持つた方々が多数おられますが、私の感じますことは、どうも庶民といいますか、国民の立場に立つて、それを代表するというような意見が、この法制審議会において十分収入れられないような構成じやないかと思うのです。もちろん在野法曹等も若干おられますけれども、全体の数からいたしまして、国民の意思がそこに十分取入れらるべき構成になつておらないように思う。法務大臣はお医者さんの経験がありますから申しますが、一体こういうものは法律をつくるとき、あるいはまた機構を考えますときには病人本位でやらなければいかぬと思うのです。法務大臣は病人をお取扱いになつても、お医者本位でやつたらとても病人は満足するものではない。病人本位でやらなければならない。法律をつくり、機構を考えるときには、国民本位でやらなければならない。裁判所は裁判所本位、法務省は法務省本位にやつておつたのでは解決がつかない。だから法制審議会にもつと在野法曹なりあるいは庶民意識をもつとそこに取入れらるべき一般有識者というものを入れなければ解決がつかないのじやないか。裁判所は裁判所の立場、法務省は法務省の立場、学者は学問的な立場だけ考えて、ほんとうに国民の立場を考える人が少いというところにこの結論が出ないのじやないかと考えるのですが、こういうことについて法務大臣はどうお考えになるか。すなわち法制審議会をこのままにしておいたのでは、重大な最高裁判所の機構問題を解決する結論はとても出ないが、自分はこうしようというお考えがあれば、それをこの際伺つておきたいと思います。
#30
○加藤国務大臣 法制審議会が最高裁判所の機構の問題について検討を始めましてから、相当の年月を過ぎておることは御承知の通りであります。この委員の諸君はこれまたそれぞれ一流の諸君が出られて鋭意審議に当つておられることは事実でありますが、政府といたしましては、ただ漫然手をこまねいてその答申を待つておるというような無責任の態度はいたしておらないのでありまして、今までいろいろできるだけの協力をいたしておりますが、今後一層運営の方面も検討いたしまして適当な結論の出るようにいたしたい、こう思つております。もちろんこの問題は最高裁判所における本来の使命の能率を高めるのが目的でありまして、すなわちただいま仰せられる国民の権利を守るがためにそういう機構も完全なものにいたしたいと思つておりますが、先刻来申し上げ、かつまた政府委員より申し上げましたが、意見がいろいろ対立しておるような点もあるのでありまして、今後委員諸君の御努力を願うようにわれわれとしても最善の努力をいたしたいと存じておる次第でございます。
#31
○高橋(禎)委員 今の御答弁はまつたくおざなりで、私ども聞かなくてもよくわかつておる。それではこの点をお尋ねいたしましよう。今おつしやつたような熱意を持つて現在のままの法制審議会で最高裁判所の機構問題を研究されて、その答申はいつごろ得られる見込みがあるか。その点をお伺いいたしたい。いつまでという見込みもないのにこのままの状態に置いたのでは、未済事件はどんどんふえて参ります。国民こそいい迷惑です。いつごろその見込みが立つのか、あるいはいつごろにはぜひこうしたいという熱意がおありになるか。その点を伺います。
#32
○加藤国務大臣 ただいまここでいつごろということをはつきり申し上げることはできませんけれども、わが衆議院の法務委員会においてかような熱烈なる希望がある、要求があるということも申し伝えまして、委員諸君の良識に訴えてできるだけすみやかな機会に結論を得るように努力いたしたいと思います。まことに抽象的でおざなりというおしかりを受けますけれども、それ以上は申上げかねるのでございます。
#33
○高橋(禎)委員 これは私は法務大臣が私の質問に対して一応答弁をしたんだという形をとつていただくよりも、これはたいへんな問題だから、さつそく研究にとりかかつて――私は法務大臣がこれをどうしようという御意見があるとは実は思つていないのです。だから自分ではそういうむずかしい問題について今十分研究していないから、さつそく研究してひとつその方法等を考えて、これは国会で明らかにするから、しかもそれはおよそいつごろまでにこうしようというような具体的な真剣な考えがおありになればと思つて、それを期待して実はお尋ねをいたしたわけであります。時間もございませんからあまり長くもお尋ねいたしませんが、法制審議会でほんとうに国民の立場に立つて、法律なり制度なりを考えるというような人たちを十分構成員の中に入れて行くべきものじやないかと私は思うのです。そうしませんと、熱心に鞭撻すればするだけ、このままでやつておれば、案外議論は沸騰して解決はつかなくなる危険があるのです。それらの点を十分お考え願いたい。
 それから壁高裁判所の機構改革ということは、もう相当前から論議されているのに、いまだ解決がつかない。今法務大臣の御答弁を伺いましても、いつどうなることやらさつぱり見当がつかぬという状態ですから、われわれ、すなわち国会においては、国会の責任においてこれを解決しなければ、どうも解決の見込みがないのじやないかとさえ考えておる。さつそく小委員会でもつくつて、この審議にとりかかつて行きたい、こういう気持を持つておるわけです。これは国民に対する努めだと痛感いたしておるわけでありますが、国会がそういう態度をとりますときに法務大臣は国会のこの大事業に対して協力をされなければならぬと思うのですがそういう場合にはどういうふうにして協力しようというようなお考えでもあればそれを伺いたい。法務大臣の御答弁を伺つた後、最高裁判所の事務総長もお見えになつておりますから、また最高裁判所としてはこういうふうにしたい。すなわち法務省あるいは最高裁判所等で、国会でこの事業をやろうとする場合には、どういうふうな方法でもつて協力をして行こうというような考えがおありになるのかならぬのか、それをお伺いしたい。
#34
○加藤国務大臣 私の御答弁がいかにも抽象的で、この場をのがれればいいというような御感想を与えたことはまことに遺憾と存ずるのでありまして、おざなりの答弁はいたしておりません。最善の努力をいたしたいと存じます。ことに最高機関の衆議院の法務委員会においてかような熱意があり、かような鞭撻のお言葉があつたということに関しましては、審議会に私よりそのことも申し伝えまして、諸君の一層の御努力を願う次第でございます。
 次にこの法務委員会において、そういうことをやつたら政府はどう考えるかという御質疑であつたのでありますが、法務委員会において、練達堪能の諸君が結論を得られますれば、まことに幸いでございますので、政府といたしましては、できるだけ資料その他において御協力できる最善の御協力をいたしまして、その結論を見た上に、さらに政府として考えてみたいと思います。これもおざなりに言うわけではございませんから、御了承おきを願います。
#35
○五鬼上最高裁判所説明員 ただいま高橋委員から御質問がありまして、当法務委員会が、最高裁判所の機構についてかように熱心に御考慮をいただくということは、われわれ最高裁判所に職を奉ずる者としてまことに感激にたえないのであります。
 申すまでもなく新憲法は、司法制度に関して非常な大きな改革を加えまして、新しい最高裁判所、新しい司法制度というものにかなり切りかえられておるのであります。かようなために、それにマツチする訴訟というようなものをどう持つて行くかということは、最高裁判所自体としても非常に重大な問題でありまして、私どもとしては、内部的には事件の処置方法その他について法律の許す範囲において国民の権利の擁護という立場からいろいろ考えておるのでありますが、何分機構の改革というような大きな問題になりますと、このことは政府あるいは国会でなさることでありまして当委員会においてかようなことをお取上げになるという場合においては、私どもの内部にありますところのあらゆる資料、その他比較法的にいろいろ研究しましたことは、御要求に応じていつでも提出いたし、ぜひともこの憲法の理念とするような最高裁判所の機構が一日も早くできることを切望いたしておるような次第でございます。
#36
○小林委員長 他に御質疑はございませんか。――他に御質疑がなければ以上三案に対する質疑はこれをもつて終局いたしました。
    ―――――――――――――
#37
○小林委員長 三案に対する修正案が自由党、改進党、左右両派社会党共同にて提出されております。それぞれその修正の説明を聴取することといたします。林信雄君。
#38
○林(信)委員 その修正案は、先刻私より当委員会に報告いたしました小委員会の修正案そのままなのであります。従いましてその修正案の内容は、その御報告以前に印刷物といたしまして、委員長初め委員各位に配付をしておりますような関係から、その内容及び理由につきましては、これを省略いたしたいと存じます。理由も先刻御報告の際に若干加えております。それ以上の必要はないかと存じます。これを修正案の内容と御存じを願いたいのであります。
#39
○小林委員長 これにて趣旨の説明は終りました。この際修正案に対する質疑を許すことといたします。御質疑はありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○小林委員長 別に御質疑がありませんから、この際お諮りいたします。三法案及び各修正案に対する討論はこれを省略し、ただちに採決を行うことに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○小林委員長 御異議はないと認め討論はこれを省略し、ただちに採決を行うことといたします。
 まず裁判所法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に対する修正案を表決に付します。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔総員起立〕
#42
○小林委員長 起立総員。よつて修正案は可決すべきものと決しました。
 次にただいま議決いたしました修正部分を除く原案を表決に付します。これに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔総員起立〕
#43
○小林委員長 起立総員。よつて修正部分を除く原案は可決すべきものと決しました。従いまして裁判所法の一部を改正する法律案は修正議決すべきものと決しました。
 次に民事訴訟法等の一部を改正する法律案の採決を行います。本案に対する修正案を表決に付します。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔総員起立〕
#44
○小林委員長 起立総員。よつて修正案は可決すべきものと決しました。
  次にただいま議決いたしました修正部分を除く原案を表決に付します。これに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔総員起立〕
#45
○小林委員長 起立総員。よつて修正部分を除く原案は可決すべきものと決しました。従いまして民事訴訟法等の一部を改正する法律案は修正議決すべきものと決しました。
 次に民事訴訟用印紙法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に対する修正案を表決に付します。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔総員起立〕
#46
○小林委員長 起立総員。よつて修正案は可決すべきものと決しました。
 次に、ただいま議決いたしました修正部分を除く原案を表決に付します。これに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔総員起立〕
#47
○小林委員長 起立総員。よつて修正部分を除く原案は可決すべきものと決しました。従いまして、民事訴訟用印紙法等の一部を改正する法律案は修正議決すべきものと決しました。
 この際お諮りいたします。本日議決いたしました各法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#48
○小林委員長 御異議はないものと認め、さよう決定いたします。
 次回の開会日時は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時五十一分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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