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1953/05/24 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 法務委員会 第61号
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1953/05/24 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 法務委員会 第61号

#1
第019回国会 法務委員会 第61号
昭和二十九年五月二十四日(月曜日)
   午後二時十九分開議
 出席委員
   委員長 小林かなえ君
   理事 鍛冶 良作君 理事 佐瀬 昌三君
   理事 田嶋 好文君 理事 林  信雄君
   理事 高橋 禎一君 理事 古屋 貞雄君
      押谷 富三君    高橋 英吉君
      牧野 寛索君    吉田  安君
      神近 市子君    堤 ツルヨ君
 出席政府委員
        国家地方警察本
        部警視長
        (刑事部長)  中川 董治君
        法務政務次官  三浦寅之助君
        検     事
        (刑事局長)  井本 臺吉君
 委員外の出席者
        検     事
        (刑事局刑事課
        長)      長戸 寛美君
        検     事 石井 春水君
        参  考  人
        (警視庁防犯部
        長)      養老 絢雄君
        専  門  員 村  教三君
        専  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
五月二十四日
 古屋貞雄君が理事に補欠当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の互選
 売春等処罰法案(堤ツルヨ君外十一名提出、衆
 法第三四号)
    ―――――――――――――
#2
○小林委員長 これより会議を開きます。
 この際理事の補欠選任を行います。すなわち理事でありました古屋貞雄君が去る二十一日委員を辞任せられ、二十二日に再び本委員に選任せられましたから、その異動により理事が一名欠員になつております。この理事の補欠選任につきましては先例に従い、委員長において御指名いたすに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○小林委員長 御異議ないものと認め、理事の補欠には従前通り古屋貞雄君を御指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○小林委員長 次に売春等処罰法案を議題といたします。
 本案に関し発言の通告がありますからこれを許します。なお本案につきまして警視庁防犯部長養老絢雄君を参考人として発言してもらうことといたしたいと思いますが、御異議はありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○小林委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたします。神近市子君。
#6
○神近委員 私はこの前の土曜日の委員会で法務大臣にいろいろお尋ねいたしましたけれど、そのときまだ少し残しがございましたので、きようも引続き御質問いたしたいと思います。私どもが法務大農ないしは次官、局長のお考えをこういうふうに繰返し伺わなくちやならないというのは、この法案が必要だということばもう皆さんもよくわかつていらつしやると思うのです。ただこれをやるかやらないかということ、処罰ないしは禁止をするかしないかということが今問題でして、私どもは法案が通るか通らぬかということと、それから法務省でほんとうにやる気で私どもに協力してくださる気があるのかないのか、これは警視庁、国警も同じでございますけれども、この前の大臣の御答弁を伺つておりますと、原則として賛成だという線は動かないでも、さてこれを法律化したときにどうかということになると、あやふやなことばかりおつしやるのです。それでたとえば行われ得ない、効果のない法律をつくることはどうだとか、まあ完全な法案だとか、こういうふうにおつしやるのですけれど、それならどろぼうだの詐欺だの  これは協議会の委員である平林さんがこの間第八回協議会で発言したというふうに聞きましたけれども、どろぼうだの詐欺だのいるから、どろぼうや詐欺をつかまえる法律がいらないということは、どんなことを言つてもどなたもお考えにならない、行われ得ないかもしれないけれども、行われ得るように協力してくださるつもりでこれを私どもは成案にしていただきたいと思うのです。それでこういうふうに法務省にいろいろ御無理を言うということはひとつ了承していただきたい。けんか腰でいるのでは決してございませんで、何とか私どもの方の協力をしていただきたいから私どもはくどくどとお尋ねするのでございます。きようはもう一ぺん私どもは売春対策協議会について伺いたいと思います。
 局長にお尋ねいたしますけれどもも、あの協議会は回数を重ねて予期した効果を上げることができたとお考えになつているのでしようか。そこのところをひとつ伺いたいのでございます。この成行きはよく御存じのはずでございますから、私この前の質問で犬養法務大臣に御質問いたしましたときに、初めば法案を提出して審議させるというようなことをお考えになつていて、法案をつくるべきか、つくらざるべきかということからお始めになつたということについての不満を私は申し述べたのでございます。九回御審議になりまして大体予期した通りに効果を上げ得たというふうな信念を持つておいでになるかどうか、それを伺いたいと思います。
#7
○井本政府委員 売春対策協議会は御承知の通り内閣に設けられまして、この関係の委員の方は関係各省の次官並びに委員会の有力な方ばかりでございます。このお忙しい方々がほとんど代理をお出しになりませんで、自分で御出席になりまして二月六日以後、前後九回並びに五月二十一日には小委員会をやりましたのですが、全体で十回会合を持つております。その結果につきましてはいまだ公表すべき時期には達しておりませんが、毎回熱心な御議論をいただきまして、相当の成果を収めたと考えます。今小委員会を開いておりますのも論議が大体済みまして、一応の結論に達したものをまとめておるという状況でございます
#8
○神近委員 大体私どもも協議会で御決定になつた項目は承つております。たとえば赤線区域に対する黙認を取消さくちやならないとか、あるいは相手方の男子を処罰しなくちやならない、それから婦人に対してはなるべく保護観察的な扱いをして常習者に対する処罰をやらなくてはならない。そういうふうなことが大体決定された事項だつたというように私どもは伺つております。それで私どもの今度提出いたした法案も、いろいろ参考意見を伺つた方もありますけれども、そう食い違つていないということはお認めいただけるでしようか、それを伺いたいと思います。
#9
○井本政府委員 売春を行いました婦女に対しまして、私どもは最初の取締り方針は保護を主としてやるという考え方を持つております。常習君並びに悪質な者はこれを処罰しなければならぬという考え方でございますが、さような根本的な立場におきまして非常に違つておるという感じを私は持つております。いずれにいたしましても売春が許すべからざることであり、何とかこれを絶滅して行かなければならないという根本的な立場においては、少しもかわつていないのでございますが、そのような直接実行行為をやつております婦女をどう取扱うかということにつきましては、相当違いがあるのではないかと考えております。
#10
○神近委員 そうすると結局売春をした婦人に対する扱い方で違うというふうにお考えになつているのですね。ほかの処罰の決定におきましてはそんなに違わない。これは堤さん、戸叶さんたちが法案の発表になりましたときに、新聞社の方なとに対しては御発表になつたようでございます。私どもも正木弁護士のお考えのように、これが処罰なしで済むものなら処罰したくないという考え方はあつたのでございますけれども、婦人を処罰する条項がなくては、勅令九号と同じものであるし、売春そのものを国法として禁止する、あるいは処罰するという点がなければ、新しい法律としての目標がそれるという専門家の御意見でございまして、それでごらんの通りの条項になつたのでございます。しかし新聞で戸叶さんや、堤さんが発表されました通り、これを何とかして少年法に準ずるような保護観察もこの制度に加えたいということを考えたのですけれども、それは技術的に一本の法律にできないということでございまして、今処罰の面だけが規定され、それは実施要綱あるいはそのほかの付随したものによつて、実施面でそういうふうに扱つていただくということを私どもは希望するつもりで審議に入つたわけでございます。ですけれど、審議を始めたばかりでございまして、私どもがそういう点についてはつきり私どもの計画、将来の見通しをお話する機会がなくて、こういうお疑いを受けているわけでございます。私どもは協議会の委員たちの意見もずいぶん聞きまして、こういうものを提案したのでございますけれど、その点どうしても議員が提案したものは未熟なもので――これはこの間法務大臣がお取消しになりましたけれど、お前さんたちがつくつたものは未熟なものである、あすこの、自分たちが任命した協議会の人たちのつくつたものがりつぱだということは、もう腹の中では隠すにも隠せないように私たちは見ている。そうして、あの中の四人の委員はみんな私どもの友だちなんです。そう言つちやたいへん権威を落すかもしれませんけれど、どの程度私ども以上に問題を心得ていらつしやるか、その点は私ども始終お会いしておりまして、いろいろ御相談にも乗り、こちらの御相談にも乗つていただいておるのです。大臣が自分たちのつくつたものを権威づけるためにああいう言葉をお使いになつたことは、委員をお願いになつた立場としてはごもつともだと思いますけれと、私どもは一番初めに井本さんに委員の御選定について伺いに出ましたときに、もう法務省としてはおきめになつていましたけれど、なぜそんなにお忙しい、代理を出すのがあたりまえだというような万をおよりになつたか、あすこの方々以外で、もう少しからだの楽な人で、問題を御同様に御存じの方で人選しろとおつしやれば、いくらでも私たちは心当りがあつた。たいへん疑つて悪いのですけれど、引延ばしにお使いになつて、そして今日でもまた大臣はあれに鶏口して、私どもの法案が不完全なものであつて、あの協議会の精神とは非常にずれたものだという印象を、努めて自分自身にも私どもにも印象づけようとなさるよりに思うのですけれど、もし私どもの法案が、目的はもちろんのこと実施面で非常に違つたものでないということを御理解いただくならば、そして私どもこれからいろいろ御質問に応ずるつもりでございますが、どうかして私どものものと一緒に御協力いただくというお気持を生み出すことはできないものでしようか。それでは協議会に対して、法務省が協議会の顔をつぶすというようなことをお気がねになつているのでしようか。それをちよつと伺わしていただきたいと思います。
#11
○井本政府委員 法務省でこの協議会の幹事をやつておりますが、しかしながらこの協議会は内閣でつくつた協議会でありまして、関係の各省といたしましては、文部省、労働省、厚生省それから国警と警視庁の方々が参加いたしておられるのであります。その他民間の方が――十五人の委員うち八人まで民間の方でありまして、せつかく御熱心な論議を長時間にわたつて重ねられておるのでございます。従つて私どもといたしましては、この協議会で適当な案が出れば、それに従つて行きたいという考えを持つておりますが、この協議会の案だけが唯一絶対のもので、ほかにいい案がないというようなことは申し上げているわけではございません。まだ先般御提出の売春等処罰法案につきましても、あのような法案を提出しようという、そういう見解を私は決して否定するものではございません。ただ私ども、それではお前たちの方のものはやめてしまつてこつちに全面的に賛成せいと言われても、そういうわけで十回も協議会をやつて何とか結論を出そうじやないかというところまで来ておるのでございますから、その方の結論をぜひ待ちたいという考えを持つておるのでございます。
#12
○神近委員 それでは万一この法案が国会を通過するというような場合には、その協議会はどうなるのでございましよう。ちよつとそれを伺いたい。
#13
○井本政府委員 国会が法案を通したということになりますれば、私どもはその執行者としてその法案の通りやらざるを得ないものでございます。その法律の通り、忠実にそれを守りたいと私は考えております。
#14
○神近委員 そうすると、協議会そのものは解散というかあるいは終るようになるのでございますか。
#15
○井本政府委員 私どもといたしましては、転落する婦女を何とか助けて行きたいということを考えておりますので、罰条のほかに社会政策的観点から見た売春の防止対策ということもまた別個に考えられてしかるべきではないかと考えておる次第でございます。
#16
○神近委員 私も、さつき言い落しましたけれどその通りでございます。転落防止の問題についてもいろいろ法案が労働者の婦人少年局あたりでは考えられ、そして委員の任命も今年は行われた。そのほかに身売り防止資金というようなものも案出され、農村の売られる子供たちをいち早く発見して、幾らかの金をかわりに貸し出すというようなことも長く考えられ、そして今年は予算の制限があつて、それができないでいる。この法案が通ればそういう面における予算面なんかも楽になるのじやないか、私どもはこういう見通しを持つているわけでございます。あなたのおつしやる通りのことを、おそらく協議会のメンバーの方々より以下には私どもは考えていないわけでございます。それで、これがもし通りましたときに協議会はどういうふうになるのでございますが、それをさつきからお尋ねしているのです。たとえば私どもの実施面における条項が足りないということをおつしやつていられますけれど、その実施面に対する条項は、これからいろいろ役所にお願いしたりあるいは附帯的な規定を設けていただいたりというように考えているのでございます。それで、もしこの法案が通りましたら協議会はどうなるのでございましようかということをお伺いしているわけです。
#17
○井本政府委員 先ほど申し上げましたように、保護に関する面もいろいろ研究していただいておりますので、その方も結論がある程度出るまでしばらく協議を続けて行きたいと私は考えておるのでございます。
#18
○神近委員 私ども婦人議員がしびれを切らしながら審議の状況を見ておりまして、これではどうにもものにならないというようなことで、こういう法案を会期もおそくになつてから提出するというようになりましたのは、あの協議会をおつくりになつたことがたいへん災いをしているのでございます。というのは、なぜ私どもが急ぐかと出しますと、あの協議会というものを今年一月からお始めになつて長い間さらしものにしてお置きになれば、これはいろいろなことが起るということが想像されるのでございます。この前の照会で堤委員の質疑で何か大臣が激昂なさつたようなことがございましたけれど、これはだれが考えましても、あそこに向つて攻勢がとられるということは、これはだれでも想像される。ということは、あの人たちは利害が何もない、これは道徳だけの問題ならよろしゆうございますよ。だけれど、あれで利得している人たちは、終戦後何一億というふうに考えられているのでございます。そうしてこれは何よりももうかりそこないのない商売でございまして、非常にたくさんの運動資金をかかえて、もうこの国会会の初期から、あの協議会というものができたときから、国会議員の間を一人々々何か署名をとつて歩いていられたというようなことも聞きますから、私どもはああいうふうに長い間さらしものにされると、いろいろな障害が出て来るということを考えているわけでございます。ですから、なるべく手早く――これは今までの特権を失う人と、それからそういう商売に打撃を受ける人ができて来るのですから、国家の体面上、外国に対する今日のような複雑な問題をかもしている、そういうようなことから、なるべく早くこの一本の筋を通していただきたい。これは早くから私どもの念願だつたのでございます。十五国会では解散でとうとう発案になつた。十六国会に参議院の方から出るかと私どもは心当てにしておりましたところが、出なくて、そうして今国会になりますと協議会、それでは第二国会以来これが懸案になつていて、いつまでたつても片はつかない、そうして御旅行になつてみるとおわかりだと思いますけれど、全国どこに行きましてもあの温泉マークというものが大いばりで、どこのどんな小さな町に行つても、あの温泉マークのないところはない、こういうような状態を私どもほつておかれるということがどうして許せるだろうかと思うのです。それでなるべく早く協議会を片づけていただきたい、こういう希望も私どもは再三法務省に申し述べたのですけれど、それでこの結果になつたのですけれど、法務省側で好意的に、進んで何とかこれを成功させたいというふうに考えていただけないものかと思つて、私どもは再三法務省にこうやつて御質問申し上げているわけでございます。
 それでちよつと伺いますが、委員たちがよく私どもに聞かせてくれますけれど、今までは法務省の廊下に押し出されていた。このごろは審議の次の部屋にちやんといすを与えられて業者側の方々が来ていられるということを――委員の名前を出しますよ。この前のような何がございますから、もし必要でございましたら――私は委員から聞いたのでございますけれど、そういうふうな事実があるということを承つております。ですから、いろいろのことがこんがらがつて来るのです。それは実際にないのでございますか。
#19
○井本政府委員 業者が法務省に開かれました会合に伺いに来たなんというようなことは絶対ございません。いわんや、次室に待たしておいたというようなことは全然聞いておりませんし、今も確かめましたが、さようなことは全然ございません。またふしぎなくらい、ああいう私どもの役所でございますから、運動に来ても効果がないということかどうかわかりませんが、業者の陳情を受けるということはありません。何か会合に来てくれなんというような勧誘を受けたことはございますけれども、どうしてくれとか、こうしてくれというような陳情を受けたことはございません。
 それからこの法案の関係でございますが、売春を禁止しなければならぬということは、私ども何回も申し上げております通り、その通りでございます。ただ国家の体面といたしましても、法律上も売春を認めるというような形は少しも残したくないのでございます。従つて、売春を禁止する。しかしその条項のうち何箇年これを延ばすというようなことがもしありますと、その何箇年の間は公然と売春を国家が認めたというような形になりますので、さような点は、私どもといたしましては、技術的に非常に困ると考えているのでございます。これは余談でございますけれども、つけ加えて申し上げた次第でございます。
#20
○神近委員 今何箇年これを黙認することになるから困るとおつしやいましたね。この実施までの期間、これは三箇月でございますけれども、この前のが三箇年になつていたのと御混同になつているんじやないでしようか。
#21
○井本政府委員 今のは月の間違いです。
#22
○神近委員 委員の名前はいつでも出します。次の間にいすを与えられていたということは、私いつでも委員を連れて参りますが、今名前はお預かりいたします。
 もう一つ石井検事に伺います。売春処罰法制定促進協議会という婦人団体があるのでございます。これは二十四団体でもう三年越しに運動されておりまして、今日もここに傍聴者が何人かお見えになつております。この方々が、この法案が提出の前に、法務省になるべく早く審議を進めていただきたい、そうして早く法案化していただきたいということをお願いに参りましたときに、石井検事がこういうことをおつしやつたという報告を私は受けたのです。そのことなら、神近というやつがとおつしやつたかどうかそれは知りませんが、神近が一人でこそこそやつているよというようなことをおつしやつた。こそこそということがあつて、それから私が個人で――これは堤さんがお忙しいので、また衆議院お一人ですから、私が下手伝いをしたわけなんですけれども、そういうことで婦人たちが非常に悪く印象していたわけなんです。私が個人的に何かこそこそやつていた、そういうことをどうして言つてくださつたかということを――私が一人でなるほど法制局に連絡に行つたり何かしたこともわかつている。それは法制局に行つたことは確かにございます。だけれど、そういうような言い方をして、婦人団体と私に対する――なるほど私は国会に入る前からそこの副委員長をしておりましたけれど、今名目だけで、改選まで名前を預けてあるだけでございますけれど、お前のところの副委員長の神近が一人でこそこそやつているというようなことをおつしやつたということで、婦人団体はたいへん気持をそこねて、私が何か陰謀的に事をやつて、そうして団体を置去りにしてやつている、あるいは衆参婦人議員団を置去りにしてやつているという印象を受けて帰つて、その点で私は一時非常に非難の的であつたようでございます。そういうことをおつしやるということそのことが、石井さんがこの法案に対するどういう態度をおとりになつているかということを私は想像できて、これは私もあなたから何と言われたところが平気でございますし、あるいは婦人団体が一時の誤解なんかされたところが、自分でやましいところがないから何とも感じませんけれど、そういうところに法務省のこの法案に対する何か対立的な御意見が現われているように、私は感じました。その点で検事が何か私どもにおつしやることがあるなら、承りたいと思います。
#23
○石井説明員 どうも私の言につきましておしかりを受けまして、不徳のいたすところと思つておるのでございますが、私売春禁止法促進連盟でございますかの御婦人の方に、法務省において再三、再四お目にかかつております。その際に神近先生のお名前を出しましたのは、二度あつたと記憶しております。いずれの場合にも、神近先生が一人でこそこそやつておるというような表現を用いた記憶は、絶対にございません。ただあるいは私の表現から誤解を招いておるのじやないか。その点もし私の表現が足りなかつたら、神近先生におわびする次第でございますが、いつでしたか、日にちは覚えませんが、売春協議会が相当進みまして、最後のころ、三月ごろだつたと思いますが、連盟の方が見えまして、いろいろお話の際に、私の方で神近先生がお出しになるという話を聞いたものですから、連盟の方がおいでになつているので、その間の事情をよく御存じだと思いまして、神近先生がお出しになるという話を聞いておるけれども、何か詳しい事情を御存じないかということを伺つた際に、皆さんからそういうことは全然知らないというお答えを受けまして、その際に、私は一人でこそこそやつているというような表現を用いた覚えは絶対にございませんが、そういつたやりとりが、あるいははたから開かれた方がそういうふうにおとりになつたかもしれません。しかし私といたしましては、衆議院法制局の方から、神近先生がお出しになるということで法案を考えているが、刑事局の石井の意見はどうだということをちよつと電話を聞いたものですから、どういう事情にあるものかということで、連盟の方に伺つたことがございます。私の力からむしろ神近先生がどういうふうなあれでおやりになるのかということを聞きたかつたのでございまして、私の方が先生がこそこそやつているなど全然知らないのでございますから、そういうことは絶対にございません。何でしたらあとで連盟の方によく聞いていただいてもけつこうでございます。それからなおもう一回神近先生のお名前を出したことは、最初のころ、まだこの法案を先生が御提案になるという話などないころでございます。いろいろな案についていろいろな話があつた際に、先生がたしか労働省の婦人問題審議会の小委員長か何かでございましたが、あのところで売春対策に関する答申書をお出しになつております。神近先生の名前でいろいろ研究された答申書が出ているということを、たしか連盟の方に申し上げたことがあつたかと思います。その二度だけでございまして、そういう失礼なことを申したことは絶対にございません。
#24
○堤(ツ)委員 石井さん、私きようは非常にやさしく申し上げますが、ただ神近さんの個人の問題じやなくて、私たちは非常にこれを問題にしておつたのです。というのは、石井検事のそうしたそぶりや言葉の中に、婦人議員や民間婦人団体がどれほど力んでみたつて、売春対策など政府は考えておらないのだ、女がうろうろしたつて始まるかいといつた態度が、行つた民間団体に印象を与えた観があるのです。これは申し上げておきますが、法制局の方には、私たちが法案を作成するときには黙つていてくださいと言いました。なぜならば、これは業者から猛烈な運動のある問題であり、しかもこれはたなざらしにしたらどういうことになるか、先がはつきりいたしておりますので、私たちはできるだけこれができ上つて業務局に手続が終るまではだれにも知らしたくないというので、極秘裡にやりました。ところが電話のすれ違いで、あなたにちよつと先に聞かれたらしい。言つてしまつたらしい。ですからあなたの方としては、どうも議員が出すらしいと思われたら、いいことだ、法務省が遅れて、まことに済まなんだ、婦人議員が一生懸命やつていらつしやる、婦人団体も外から押してください、政府も気ばりますよ、こうおつしやつてくだされば、私たちは単に神近さんの個人の問題でなく、気をよくしたわけです。ところが何か神近がこそこそやつておる、こういう式にやられると、どうもあなたのお言葉の中に、政府は初めから売春に対する態度がはつきり見えておるような感じがするのです。ですから神近さんは恐らく速記録に残るように、そうしたあなたの態度でなかつた、また言葉の端々にも、政府は売春問題に対して冷淡でなかつたということを、ここで残したいという気持で、この問題をお出しになつたと思うのです。もしあなたが売春問題に対してそういうニユアンスをただよわしたり言動をしたことはなかつたとするならば、そういう気持で発言しなかつたということを、ひとつ速記録に残しておいていただきたい。
#25
○石井説明員 ただいまの堤委員のおつしやつた通りでございまして、その態度が私としては誠心誠意――と申しますのは、私協議会の方の世話役をやつておりますので、そういう問題が起きますと、どういう事情か一応お聞きしたかつたので、われわれは神近先生に直接伺えば一番よかつたのでございますが、ちようどたまたま連盟の方が見えて、先生も副委員長であるということをよく承知しておりましたので、その事情を伺いたいということで、聞いたのでございます。もしそれが神近先生とか婦人団体一般に対して非常に誤解を招くようなことであつたとするならば、この際あやまつておきたいと思います。
#26
○神近委員 石井さんにはもつとほかにも材料を持つておりまして、いじめたかつたのですけれども、いち早く堤さんがあなたの態度を表明をお願いしたから、もう取消します。私どもの今日のお願いは、どうか法務省が一緒になつて、この問題は婦人議員団がいい加減にやつているので、どうせ未熟な考えでやつているのだから、法案だつてどうせいいものはできないのだということでなく、どうかでかしてやりたいという態度にかたまつていただきたい。この中ではやはり石井検事が相当影響力を持つていらつしやるということを、私は聞いておりますから、ひとつ今日以後どうかそういうふうな態度をしていただきたい、これはお願いでございます。
 私の法務省に対する質問は一応これで終りますが、堤さんが法務省に質問があるそうですから、そちらを先にお願いして、私は養老さんの公述を伺いましてから、さらに質問を申し上げたいと思います。
#27
○小林委員長 あなたの質問を続けてください。
#28
○神近委員 養老さんは今初めて顔が合うのでございますが、大体お考えになつていることはわかるような気持もいたします。そして取締りをし、この法難ができ上つた場合の実行方面を担当なさるので、いろいろむずかしいことをおつしやることも、およそ想像しております。しかしこの法律ができてから末端まで励行できないからということは、私は理由にはならないと思います。法律があつてもどろぼうがあるし、詐欺が盛んに行われている。そうすれば法律をつくらない理由には決してならないということを考えますけれども、その点養老さん、どういうふうにお考えになるか、ちよつと伺わせていただきたい。
#29
○養老参考人 この売春の問題は非常に大きな問題でございまして――私は警視庁のそうした面を担当する一部長でございますけれども、従いまして、これが警視庁の管内だけのこととしても、すべてが解決できるものとは考えておりません。しかしいかに困難でございましても、そうした執行面からしてこの立法措置等についての意見を持つておりますけれども、一旦そうした法律ができました際に、またその法律に基いて全般的な国の方針が立てられて、そうした方針に基きまして、誠実にそういう国の法律なり、ないしは国の方針というものを実施することについては、何らやぶさかでない所信を持つております。十分誠実に実行いたすつもりを持つております。
#30
○神近委員 それでたいへん安心いたしました。これはやる気があればできるということの実証が幾らでも外国の例でもあるのでございます。一番手近い問題は、伊藤秀吉さんがお書きになつているのですけれども、公娼廃止になつたときに、長崎の状態を調査に行かれた、地方の方から何か非常に波乱しているというように聞かれたので、どういうところが問題かということを調査に行かれましたところが、非常にうまく行つていたそうです。たとえばこういうことが報道されておりました。公娼を廃止したのですから私娼でございますけれども、小さな地図に、耕地もちやんと書き込んで、どこの横町の何番目の家にそういうものの常習者がいるようだということが一目瞭然にわかるように、印刷してできていたそうです。それに、ここには何名、ここにはしろうとの者が一名というように全部書き込んであつた。そのために取締りが非常に容易であるし、そうしてそういう人たちが出動する足場も大体それに書き込んである。そして今夜はありそうだというときにはそこに行くというようなこと、これだけの手数さえかければそんなに人数をふやさないでも取締りができるのだということを長崎の警察で言つたということですけれど、そういうことは御存じなかつたのでしようか。そういう長崎の状態なんかを参考になさつたということはなかつたのでしようか。
#31
○養老参考人 この売春の取締につきましては、いろいろ自分としても研究いたしているつもりでございますけれども、残念ながら、今御指摘の長崎の例については、現在まで承知せずにおりました。ただ売春は、われわれとしましては、集娼地域のみの問題とは考えておらないのでありまして、集娼地域についてのみ売春を取締るということは、警察的に考えましてもさまで困難なこととは考えておらないのでございます。ただ集娼地域における売春行為というものを取締まつてこれを全然なくした場合において、それで社会的な売春の問題がはたして解決したことになるかどうか、売春そのものの全般の問題といたしまして、集娼地域を警察取締りによつて、一挙になくしてしまうことが、はたしてプラスになるかどうかというところに、われわれとしましても、警察取締りを通じましていろいろとこれまで体験した例もございます。また考えるところもありまして、種々意見を持つております。取締り上非常に困難だから売春について熱意を失つているというふうな事情では決してございません。
#32
○神近委員 それはこの間も伺つたわけで、集娼に対するあなた方のお考えが、いつでも何か業者とつながりがあるなというようなデマをつくるもとであります。どうしてもこの赤線があるということがほかの私娼をつくるのです。これをおできにたとえますならば、ほんとうのうみを吹き出すところを切開しないで、あとのうみをいくらふいても同じことで、またそこから吹き出すというようなことと同じりくつでございます。あの赤線の中で半ば公然と許されておる、準公認の形で黙認しながらああして営業する、そうすれば、遊ぶ男の人もそれを始終見ておる女の人も、売春が悪いということは考えないのです。あそこで、あんなにもうかつておるなら、こつちでもひとつもうけようというような、それを見習う人が大勢できるということで、赤線のそばに私娼窟というものがべつたりできるのです。そういう公認してあるところをどうしても取消さなければ、ほかの部門、そこを取巻くところに及ぶことができないのでありまして、これを国が禁止して、そうしてこれをやつたならば罰せられるのだというようなことが徹底して来れば――それは法律ができた翌日からすぐなくなりはいたしませんよ。だけれども、これは悪いことだ、あそこさえつぶされたのだ、これはしてはならないことだということを一般に示すことが、ものの始まりだと私は思います。その点で警視庁の方がともすると、良家の子女が犯されるとか、それから独身の人たちの性欲を発散させなければならぬとか、今まで業者の人たちの側、売春婦を使つた人たちの側がつくつた伝説をそのままのみ込んで、そうして今までそれを繰返していらつしやるということが変な想像を起させるのです。どうかこの際、私どもずいぶん調査したものもございますから、そういうものを土台にしてひとつお考えを改めて、そうして一般国民に、動労で生活することが正しいことで、からだを売るという生活ははずかしいことだということを押し立て、示していただかなければ、これはなかなか直らないと私は思うのです。よくいわれますように、警視庁は一ぺんも本気になつて取締つたことはないくせに、それで骨が折れる、むずかしいむずかしいと言つて、それをじやまするような言説をお吐きになるようでございまして、もう一ぺん参考書類をお届けしてもよろしゆございますから、その点ぜひとも考え直していただきたいと思うのです。そうして法律が幸いに通りましたら、いろいろやはり御協力することもあると思うのですが、日本の歴史の上で、一ぺんでもこれを本気になつてやめさせるという方向に協力していただきたい。たとえば、今日うまく行つておるといわれるデンマークでも、ノールウエーでも、そのほかどこの国でも、初めはやはりこういう抵抗と困難とを打破つて、その旗が立てられた、柱がすえられたから、今日のような理想的な形に来て、売春もなくなる、性病にかかる人もなくなるという理想的な状態に来ているのです。私どもは始まりなんですから、何十年の闘争のあとのところへ一足飛びに行くことはできないということを考えて、一つずつでも石を積み重ねるという努力をしていただきたいと私は考えるのでございます。まだいろいろ伺いたいことはございますけれども、またこの次に何かの機会にお聞きしたいと思います。ありがとうございました。
#33
○堤(ツ)委員 私はきようの委員会で、この売春処罰法案が通るまで待つておられない問題が一つございますので、速記録に残して、警視庁の方へお願いをいたしますから、刑事局長もお心にとめていただいて、あとどういう処置をなさつたか、私にご報告いただきたい。
 浅草の一売春婦から私たち衆参婦人議員団のところへ投書が参つております。その投書の中にどう書いてあるかと申しますと、「婦人議員に告げる、売春婦の実態を提供いたします。生活苦はほとんどない、その裏町のボスが私たちの働きによつて生活をしているわけで、私たちは売春婦グループから退出しようと努力いたしておるのですが、ボスに恐喝されて苦しめられておるのです。浅草の売春婦はボスの搾取が大部分です。そのために私たちは抜け出ることができない状態です。散娼婦の一例、」その中に、あとに住所が二箇所書いてもあります。これはないしよであとで申し上げます。今ここで公表いたしますと、あなたの方で手入れをしていただくときに先にまわられますからその住所を秘しますが、浅草を中心とするところの住所が二箇所書いてあり、「これらの多数の旅館などが搾取者の一例です。売春行為をやめようとしても脅迫を恐れて足を洗うことが困難です。大多数の家出娘等はこれらの人々によつて脅迫されている状態です。原因は右のようなわけですから、私たちとしても今度の法案はぜひとも通過を願つてやみません。浅草公園内等の実態等もこの中に入ります。昭和二十九年正月二十一日浅草の一売春婦より」こう書いてあります。おとといの土曜日の委員会において、猪俣浩三さん、それからわが党の佐竹晴記さんから、まつたく警察の手の届かないところのボスの全国にまたがつておることについては一応触れられましたが、警察も警視庁も手を触れないところの、まつた法治国家には想像できないようなボスのこうした世界が、東京のまん中に、白昼公然と、あなた方を恐れなくても安住しておられるということは一体どうなんです。私は刑事局長のところへ二月ほど前にも行つて、あなた方があるところに手入れをなさらなければ、あそこは犯罪と麻薬と性病と人身売買の巣窟だ、もしおやりにならなければ婦人議員が先頭に立つてあなた方とともに夜の夜中でもあそこに行きますがということを申し上げたことがありますが、たびたびそうした御忠告を聞いておられる当局が、浅草のまん中で、売春婦がこうした投書をしなければならないというようなことについて、まつたく責任を感じてもらわなければならないと思う。ですから、これは質問以外でございまして、質問の前に申し上げたわけでございますが、あとから住所なり旅館の名前なりは秘密に申し上げますから、ひとつぜひこれはあなた方の方で善処していただいて、そうしてどういう結果だつたということの御報告をいただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 次に、政府次官にお尋ねするのは少し失礼かもしれませんけれども、前からの事情を御存じないのでいかがと思いますが、大臣のかわりにお出ましになつておるのでございますから、ひとつ責任をもつてお答え願いたいのでございますが、第二国会に実は売春の処罰法を政府が出しておられる、ところが、この第二国会は継続審議という形に持ちこまれて何ら討論がされておらない。そして第三国会でわが党の門司委員を中心として、地方行政委員会である程度の質疑応答がなされておりますけれども、この法案を成立せしめようということの努力のあとが見られない問答に終つて、以来参議院が十五国会に議員提案で伊藤修さんと宮城タマヨさんが中心になつて法案を出されるまでは、売春の問題について国会で正式に触れられたことが政府側において何らないのであります。承御知のように、ポツダム勅令九号が国内法規にかわりましたときにも、本人の意思でやる場合には上手に法の盲点をくぐつて売春をやり得るというようなこういう不完全なものではいけないから、売春処罰法については国情に即したところの特定の立案をしなければならないという決議まで添えて、国内法規にしたあの経過を見ても、政府は、われわれ婦人議員が提案するまでもなく、第二国会から十五国会まで十数回にわたるところの国会において当然お出しにならなければならなかつたと思うのでありますが、なぜ出されなかつたか、また、出そうとなさつたけれどもどういうことで支障があつて、出なかつたのか、第二国会から今国会までなおざりになつておりますこの問題について、政府のとつて来られた今までの経過をひとつ詳しくここで御説明を願いたい。
#34
○三浦政府委員 この経過等については、最初からの詳しい経過を実は私まだ存じませんので、詳しい経過は今ただちに私から答弁はできないのでありますが、ただこの問題について、そういうぐあいに第二国会当時から熱心に論議され、また研究されたにもかかわらず、いまだにこれが政府から出なかつたというようなことを考えてみましても、また同時に、私が政務次官になつてからも、法務省ばかりではなく、関係の文部省あるいは厚生省、労働省あたりの方において大分協議を進められておつたことも承知しておりますが、そういうようにいろいろ熱心に協議をいたしましても、この問題が、理想としましては御意見の通りでありますが、現実は非常にむずかしいというようなことと、取締りの面において、ただいま警視庁からお話のような点もいろいろあり、そういうことで結局は結論に到達しなかつたのだろうと思うのであります。そういうように、決して等閑に付したのではなく、いろいろ各省間において協議をしてもなおかつこの問題の解決点で、行き得なかつたこと、結論が出なかつたこと、これがこの法案の出なかつた根本の理由だと思うのであります。そういう意味におきまして、今国会等におきましてもこういう協議会のようなものをこしらえる。あるいは、御意見等においては、これがこの法案を阻止する逃げ場だというような御意見もありますが、そうじやないのであつて、各省関係の、しかも責任ある事務次官等も熱心に参加され、警視庁等も参加され、あるいは有識者等も参加されて研究されて、しかもなおかつ結論が出ないということ、しかも専門的なりつぱな方々が、またあなた方の御指名になるような、信頼されるようなりつぱな委員の方がお入りになつて審議を進められても、ほんとうに満足するような結論が出なかつたことにこの法案のむずかしさがあるだろうと私は思うのでありまして、決してこの法案を政府におきましても等閑に付したとは私は考えられない。
#35
○堤(ツ)委員 非常に御熱心に各省持寄りでこの売春問題については寄り寄り協議されたことがあつたけれども、しかしこれがいろいろな点でむずかしい問題であるからどうしてもその結論を見るに至らなかつた、こうおつしやるので大体了承いたしますが、それではいろいろな理由でと言われるところの一番大きな、政府内においてどうしても意見がまとまらなかつた大きな障害となつたものは何と何であつたか。ちよつとそれを政府の口からお答え願いたいと思います。
#36
○三浦政府委員 そういう点に対しましても、どういうところが具体的に支障を来しておるかということになりますると、実は私はあまりそういう具体的なことについて的確なお答えがあるいはむずかしいと思のでありますが、要はこの問題が刑罰だけでは解決できないのと、同時にもう一つはいろいろ更正施設であるとか、あるいは病気の問題であるとか、こういうものをほんとうに禁止した場合はたして風紀上の問題が解決できるかどうかといつたような問題もありましようし、また同時に日本の敗戦という特殊な立場から、御承知の通り駐留軍等があつて、そうしてこれはそういうような兵隊の関係において、私は非常にむずかしい面が伴うと信じておるのであります。そういうような駐留軍の兵隊等の問題におきましてもいろいろ考えられる点があるのでありますが、この問題を刑罰だけによつて解決するということがいかに困難であり、また刑罰したからといつて、はたしてあなた方の目的が達せられるかどうかというようなことについてもいろいろむずかしい点があるのじやなかろうかというようなことがこの問題を遅らせた理由じやなかろうかと思うのであります。たとえば「サンデー毎日」に阿部眞之助さんの、あなた方のお出しになつたこの法案に対する批判が載つておるようであります。おそらく御存じでありましようから申し上げませんが、ああいうりつぱなしかも長年御経験になり研究された阿部さんのような権威のある方々が、今度の法案等に対しましても御批判をされております。それほどむずかしい問題だと私は思うのであります。
#37
○堤(ツ)委員 次官は一生懸命お答えくださつておるのでしようけれども、何だか円のまわりをまわつておるような御答弁で、次官御自身も正直なところをはつきり出していらつしやらないのだろうと私は思う。もちろこれはむずかしい問題でございまして、性欲の問題を根本的に医学的に考えたときに、これはむずかしい問題だという言葉が生れて来る。それから禁止するからには、この人たちの転落の防止、保護、職業のあつせん、未亡人、母子世帯の救済、それから人身売買をやるところの農村への長期低利融資、いろいろな面を考え始めますと、この間からも総合的な施策が論じられておるように非常に大切な問題であつて、それではその金が政府にあるかといえば、占領下にもなかつた、独立後にもなかつた、ましてやことしの二十九年度の一兆円再軍備予算にはさらにない、こういうふうに言つて参りますれば、これはなかなか結論が出ないことは明らかでございます。だからといつて、私たちは手放しの売春を許しておけないというので、いろいろ批判はあるけれども、まず道徳の柱をこの社会悪に対して一本打立てようというので、私たちが発足した御事情はよく御存じの通りでございます。ものは裏からも縦からも上からも下からも批判できるものでございまして、一つの論文に対しましても、百人おれば百説であります。どんな完全なものでも、けなそうと思えばどうにでもけなせる。ですから阿部眞之助さんの御批判をあげられましたけれども、要はこの間から私たち提案者への質問が始まる前に、政府への質問を始めておるということは、いろいろと結論が出なかつたけれども、この辺を区切りしてひとつ何とか結論を出さなければならないという気持に政府になつてもらえないものだろうか、批判は幾らでもあるけれども、しかしこの辺でひとつ足をふん込まなければ、もはやどうしても片がつかないというので、その一角にくさびを打込むつもりでやつてもらえないものだろうか。いろいろな問題があつて政府が結論を出し得なかつたとするならば、だれが出して来てもよろしい、出して来たものに対して、これと力を合せて政府がやつてくださるのが本来の建前じやないかというので、私たちは政府に繰返し繰返し質問をしておるのでございますけれども、今までの問答の中では政府の方々が、たとい不備なものであつても、これに協力をして、そうしてほんとうにやつて行こうというように虚心坦懐におつしやつたのは、まだ言質さえ得ておらないと私は思つておるのですが、どうでございますか。政務次官の答弁ははつきりいたしませんけれども、いろいろ原因はありますけれども、そうして結論の出ないわけもたくさんありましたでしようけれども、こうした問題を、卵が先か、ひよこが先かと言つておつたのでは、これは片がつかないのであります。先ほどから神近さんがおつしやる通りに、何十年先かにこの売春の総合対策がそろつて完全なものになる、その一つのしずくを落したようなものですけれども、これが充実して完全な円になる、ちやんとわれわれが望むところの円を描いてくれるようになるまでには何十年もかかる。六百年来の売春国を清算しようというのですから一日か二日、一ぺんや二へんの技術的なことでやれるものではない。ですから今まで結論が出なかつたけれども、私たちはこの段階においては、これはもう一井本さんや養老さんだけでなしに、政府においてはこれを機会にぜひ国会を通してもらつて、これを手がけにやりますというお言葉が今までの言訳はそれくらいでけつこうでございますから、一言もらえないものでごさいましようか。そうでないと質問が次に進めないのでございます。
#38
○三浦政府委員 ただいまのようないろいろ御意見もあればこそ、犬養前法務大臣も売春対策協議会というようなものをこしらえて、そうして各権威者を集め、各関係省の意見を総合して問題を解決しようというためにこしらえたものでありまして、この結論をまつてやるということが最も妥当な処置であり、政府としても、法務省としてもこの線に沿うべきだと私は考えております。
#39
○堤(ツ)委員 その答弁を繰返されるから、先ほど神近さんが井本さんにお尋ねになつた。もう議員提案で出てしまつた。協議会では結論を出さなかつたけれども、しびれを切らした婦人議員団が先に出したのだから、対策協議会というものはさらにその事後の総合施策、福祉施策について一歩進んだ結論なり研究なり、また法案の通過したあとの不備の点の改正点などを考えてもらおうとして、この協議会の結論が出なければ政府は考えないのだというようなことをおつしやらないで、お考え願いたいから、先ほどから神近さんが質問をしておられたのだと思う。政府がおこしらえになつた以上この結論を持つてとおつしやいますけれども、その結論よりも先に法案が出ておるのです。これに早く手をつけた方が先だ、これはだれでも考えると思います。それなら、これに乗つて来られたらどういうものですか。それが乗れないですか。協議会をこわせと言うのじやないのです。協議会は置いておいて、この法案の不備、事後施策等についてどんどん協議してくださつて衆議院にも勧告してくださつたらいい、政府にも忠告してくださつたらいいのです。それで待ち切れずに出した。婦人議員を中心とするこの法案が先に行つて、その協議会にはさらにもう一つ先に行つてもらうというように行かれた方が政府にもプラスだと思うのですが、そうはお考えになれませんですか。
#40
○三浦政府委員 あなた方の熱心な法案を提出されたことでございますので、法案の審議は、御承知の通りこれは国会独自の立場で議員提案を御審議されるのでありまして、これはこの法務委員会において熱心に審議されて結論を出すことでありまして、その結論においてこの法案が通過するとかなんとかいうことになれば、もちろん政府は執行機関として当然やるべきことであります。ただ行政府の立場として、ことに法務省としては今言う通り刑罰だけではこの問題は解決できないという立場に立つて、協議会でいろいろ各方面研究しておるのでありますから、乗るとか乗らないとかいうことを――国会のこの委員会でこの法案について審議されるということは当然だ、一つも私どもはさしつかえないと思うのであります。
#41
○神近委員 関連して。さつき次官が阿部眞之助さんのサンデー毎日の記事のことをおつしやつておられましたけれども、私は阿部慎之助さんという人は個人的に非常によく知つている人であります。彼がどういう立場でものを言うかということもよくわかるのでございます。あれは非常に道楽者でございまして、(笑声)りつぱな人でございますけれども、その点だけは私は否定できない人で、男であつて道楽者の立場で何かを感じてこういうものに反発をしておるということが一点、それからあの記事には非常によい階級の、たとえば赤坂というようなところの二号さんとかあるいはオンリーというような人たちに手をつけないで、それ以下の人たちを縛るようなことを考えるのはいけないということが一点、それからさつきも何度も繰返された更生施設がないではないかということをさしていたと思います。更生施設あるいは保護施設につきましては、私どもがまだ法案を説明申し上げる立場に置かれておりませんので、ただ法案の面から批評されたことでございます。それからもう一つめかげあるいは二号さんあるいはオンリーというような人たちにつきましては、これは婦人議員団の中で――私も責任者の一人でございますけれども、オンリーというアメリカ人との関係が半分は売春であり、あるいは半分は結婚にまで進む性質のものでございますから、一時的に結婚の形態と思えば思えないこともないということで、あれははずしたわけでございます。それから二号さんの問題は、井本さんもよく御存じのようにここで私は犬養法務大臣に質問したことがございます。あの島の中をやはり処分すべきでないかということをお尋ねしましたときに、犬養さんはあんまり手を広げてしまつてもどうかと思う――これは何というか非常に私どもから言えばちよつと不満でもあつたのですけれども、ともかくこの法律を立てて売春が国家で禁止せられるものだということになれば、あとで何とでもなるのではないか、あそこまでを処罰しようとすれば、私はこの法案に、まだ法案の審議は始まつておりませんけれども、=行書き加えればあそこを入れることは不可能ではないと思つております。たとえば結婚を前提としない性交というような文句を挿入すれば、私は一行くらいであそこまで含めることができる、これはこれからの御審議と討論の過程で出て来ることではないかと考えております。
 それからもう一つ、処罰のみということをさつきから次官がたいへんお繰返しになりましたけれども、これは法案の御説明をまだ申し上げていないからでございまして、処罰をしてもこれをやる人がたくさんあるということ――一ぺんたつて本気になつて処罰をしたことがなく、その不可能な方面だけを御想像になつているような感じを持つて承つた。私は悪質の常習者はどうかひとつ本気で処罰をしてみていただきたい、軽度のあやまち程度のものは、保護観察にしてもらうというようなことにして、悪質の常習者は処罰を本気でやつていただきたいというのが私どもの考えなんですけれども、処罰はやつてもやる人はある、それはどろぼうでも詐欺でも同じなんでして、ひとつ処罰をしてみるという気持になつていただきたいということを、私どもは繰返し繰返しお願いしておるのです。その点どういうふうに御決心いただけるかということを承りたいと思います。
#42
○三浦政府委員 いろいろ処罰の問題について大分御意見を再三承りましたが、ただ処罰をしようという――現在においても決して売春はよいと言つておるわけでもなし、また取締りの法規もあるのでありまして、これは現在の法律の建前においても、実はその取締りの法規もあるわけであります。要は先ほど警視庁の方が申されましたように、処罰を前提とし処罰をするという積極的な発動がいいか悪いか、プラスになるかどうかということは、先ほど警視庁の方の答弁もありましたが、そういうような問題でおそらくまだそこにはつきりとした結論は出ていないためじやないかと私は思うのであります。また結論を出すことは容易じやないというようなことが、先ほど警視庁の方の答弁に表われたと思うのでありまして、そういうことで、私は今ただちにここで御意見の通りに従いますということは非常に言いにくいと思います。
#43
○堤(ツ)委員 それじや一度政務次官やら大臣やらの答弁をはずしまして、方向をかえましよう。私たちが実際に赤線、青線、散娼、軍事地基、それからいろいろな売春地帯また売春の対象というものを視察いたしまして、第三者の声を聞いたりまた私たち自体の目でいろいろ庁さした結果によりますと、いくら法案ができても、今日のような国警や警視庁のだらしなさではどうもしようがないということの第三者の批判がしよつちゆう出るのでございますが、売春の問題に対して、法務省は国警なり警視庁の方の第一線の方々が非常に自分の任務に忠実であつて間違いなく売春の問題については第一線でお働きになつておると思われますか、それとも世間から言われるように、実にこの衝に当つておるところの第一線の警察官や出先は非密にだらしがないということを自覚しておられましようか。それともどつちともまだ考えてみたことがないでしようか。これをひとつ……。
#44
○中川(董)政府委員 第一線の国警とか自警で、売春に関連する犯罪の取締り方につきまして、各方面いろいろ御批判があろうと思います。御批判はつつしんで拝聴してわれわれは反省いたしたいと思うのでありますが、現在私ども警察におきまして第一線でやつております考え方は、国の法令、当該公共団体の条例等において、刑罰としておる事項につきましては、これは犯罪でございますので、いろいろ視察もし、内偵もいたしまして、その捜査に全力を尽す、こういう点は各警察とも努力をいたしております。ところがほかの犯罪については大体そういうこともある程度言えるのでありますけれども、特にこの売春関係の犯罪につきましては、プライヴエートの行為等の問題もございますので、その捜査の方法等につきまして、人権の擁護の点等につきまして周密な注意を払わなければならぬということが一つ、と同じにまたこの問題につきましてだんだんこういつを犯罪形態が普遍化するということを防止する、別観すれば風教の維持という点を念頭に置きながら捜査を進めて行くという態度が正しい。この前の委員会でも法務省の政府委員から申されましたように、風教の維持という点を重点にいたしまして、たとえば学校の周辺とか特に児童の教育の妨げになるということを中心にし捜査を進めて行くという、こういう行き方をやつておるのであります。それで結局は比較的売春が多く行われやすい場所につきましては、非常に悪辣な点については相当つておるけれども、普遍的な面については比較的その方面には力が及んでいない。それで世間ではこれを呼んで赤線区域と言うのでありますが、現在第一線の活動が売春行為について努力はしておるのでありますけれども、絶滅でき得ない。絶滅でき得ないという情勢とだんだん少くするという努力の方向が、風教の維持ということを相当中心に考えておるという点がいろいろ御批判を仰いでいるという点だろうと思います。それから先ほどことに警視庁管内の一事例をお話ございましたが、そういつた事例はわれわれ警察におきましても内偵等によりまして努力をしておるはずでございますけれども、何といたしましても国民の皆さんの御協力によりまして犯罪の容疑の内容をどしどし警察の耳に入るように国民の方々にも御協力を願い、同時に警察も投書のみに依存することなく、だんだん内偵を進めて行くという点についてはまつたくそのようにしなければならぬと思うのでありますが、関係の皆さんと一緒にだんだん売春犯罪が少くなるような方向で取締りをいたしたい、こういう態度で警察もやつておるのでございますが、だんだん個々のケース等につきましては御批判の点もありますので、こういつた点はそういう御意見も拝聴して、反省も加えながら正しい取締りをするように努力して参りたい、こう思つておるのであります。
#45
○堤(ツ)委員 どうもやつていらつしやるのかやつていらつしやらないのかわからないような御答弁で困るのですが、単刀直入に申し上げます。警察官の中には売春婦となじみがあつて、ただでごやつかいになられる方も多いし、はなはだしきは警察官が受取り証文を置いて帰つておられるというような実例も私は握つております。しかも特飲街では無銭飲食をやつておる、ただで飲んで、ただで売春行為をやつておる。はなはだしきはお小づかいをもらつて、ただ特飲街の入口のボツクスにぼうつと人形のように立つておるという風評がしきりなんですが、そういうことはお耳に達しておりますか。
#46
○中川(董)政府委員 警察官または警察吏員の規律違反の点についてでございますが、この規律違反の点については部内でも監察官を設けていろいろ視察いたしておるのでございます。いろいろお気づきのことがございますればどしどしおつしやつていただきまして、ここでも、ここ以外の場所でもけつこうでございますが、それぞれこういう事例がたつたということをおつしやつていただきますれば、それに基きまして規律違反の粛正につきましては大いに努力いたしたいと思います。
#47
○堤(ツ)委員 監察官をお置きになつて監督なすつていらつしやるというのですから、私はまたおとといのように怒られるといけませんからあまり具体的な例を申し上げないようにして、もうしばらく控えますが、評判はよくないと思つていらつしやるだろうと思うのです。そしてこれは国警長官は言つていらつしやいますが、実は第一線の警察官の六〇%が危険なんだ、それで法律をこしらえてもらつても実はその点で一番困るのだというようなことをしばしばおつしやるので、きようも法務省のある上官の方と話をしましたらそういう話も出ておりましたので、すが、もし公開の委員会の席上でそうしたほんとうの点についてわれわれ国会側におしやべりになれないならば、ひとつ理事会の申合正せで秘密会にでもしてもらつて、こういうところに盲点がある、どうしたらよいだろうかというところの研究や懇談を一度して、こうしたところではあまりお答えになれたいでしようから私も御同情いたしますが、もう少し正直に言つていただけるような機会をこしらえて、法律ができてからあとの第一線の方々に期待するものが大きいのでありますから御改良願いたいと思うのでありますが、そういう問題について私の言うような方向で応じて来られる御意思がございますか。
#48
○中川(董)政府委員 いろいろ警察をよくし、ことに取締りの関係をよくするということに非常に私ども熱意を持つておりますので、いかなる方法によりましても、だんだんよくする方法ついてはお知恵を拝借したいと思つております。
#49
○古屋(貞)委員 その点で承りたいのでございますが、あなた方は非常に御熱心におやりになつており、指揮しており、監察官が監査しておるのですが、実際はこういう点に私は非常に問題があると思つておる。この問題だけではないのですが、警察が非常に予算が足りない、警察の方たちの給料が非常に低い。
  〔委員長退席、林(信)委員長代理着席〕
 従つて犯罪の捜査につきましても、特に思想犯の捜査なとについては非常に苦心されておる。費用が足りない。そこで防犯協会というものをつくつて、おられる。その防犯協会の構成メンバーをよく御存じのはずでありますが、大体防犯協会に第一に大きく金を出してもらうのは工場を持つておる資本家の会社、その次はいわゆる淫売屋、特飲店の主人、これはもう常識なのでございますが、これは日本中の原則で、これらの人が多く出しておる。従つてただいま堤委員からお尋ねがございましたように、警察の方がただ飲む、ただいたずらをする、こういうことはもう常識になつておるわけなんです。これはかつての日本の警察国家時代からの惰性がございまして、相当行われておる。しばしば私どもが友人の店あたりに行つても、品物を持つて帰つて金を払わない。私ども催促をいたしなさい、催促して払わぬ場合には問題にしなさいと言いますけれども、やはり業者として見れば非常に弱いのでございまして、まじめにこれに対して反撃ができない。今の問題は、これは勅令第九号の問題についても高橋委員からも土曜日に御質問ございまして、営業をやつておりまする数に伴う犯罪の検挙が少い、起訴の数が非常に少い、その盲点はどこにあるかということで刑事局長にお尋ねをしておりましたけれども、これはどんないい法律をつくりましても、第一線の取締りをいたしまする当務者がただいま申し上げたように経済的な特殊関係を持つて、これは犯罪の点もそうでございますが、ふだんしよつうちゆう外郭団体である防犯協会から経済的援助を受ける、ひどくなりますと警察官の生活上の問題までも世話をしてもらう、こういうことになつて参りますると、経済援助をしておりまする人々の行動に対する取締りということは自然にそこに手心をしなくちやならぬことになるのでありまして、この防犯協会から来る弊害――しばしば新聞にも出ておりますが、防犯協会の会長さんか前科三犯であつたということを、実際あつたかどうか知りませんか、新聞で承つておるのですが、そういうような状況に置かれる一線の警察が公正に捜査を行い、公正に勅令第九号の取締りをすることは、人情上これはりくつなしに困難だと思う。こういう面について少くとも国警などにおいてはこれをなくそう、こういうところにただいま堤さんがおつしやつたような盲点というものが私はあると思うのです。この点はどんな法律をこしらえましても、一線の取締官がかような特殊な因縁関係に置かれておりまするならば、神様でない以上、私は捜査、検挙というものはできないと思う。従つて犯罪の捜査にも、地方の有力者であつて防犯協会の相当な地位の方の犯罪はある程度で示談されて片づけるけれども、あしたの生活に困る、その日の食糧に飢えてちよつとしたどろぼうをした者を検挙して立件する、こういうことをしばしば私どもは自分の職務上からも拝見しておるのでありますけれども、問題は防犯協会、そういうようなものと特殊関係があるのでありますから、そこに公平に取締りができないし、今堤さんからおつしやつたような非難が生れて来ると思うのですが、そういう点について十分御調査をされて、防犯協会が、あつていい一つの有益な団体であるかどうか、あるいはなくした方がよいかどうかというようなことについては結論が出ておると思う。おそらく国の予算かないために、そういうものが生れて来るのだと思う。こういうものはやはり国の予算を十分とるように、私どもも皆さんのさような予算のとり方については全面的に御協力申し上げたいと思うのです。当法務委員会では、この点について、特に法務省の予算につきましては、御相談を事前に受けて協力するということまで申合せをしておるような次第でありまして、今のそういう予算を十分とることを考えて、防犯協会とかそういうものをなくしてしまう。そういう弊害をとつてしまわなければ、どんないい法律ができましても、その法律の所期の目的は達せられないのじやないか、こう思うのですが、この点はいかがでしよう。法務省の方と国警の方にお伺いいたします。
#50
○中川(董)政府委員 まず私からお答え申し上げます。警察の仕事に関連し、ことに防犯関係の団体につきましての御見解につきましては、まことに傾聴に値いいたします。私ども警察が、お示しのように最近も全然なくなつておるとは決して申しませんが、前よりはよくなつておると思うのです。その防犯団体というものが、目的、内容、構成等につきましては、まことにけつこうなことで、警察みずからが防犯し犯罪捜査をすることのほかに、住民の方々が防犯団体をお設けになつて、自発的に防犯をやつていただくことはまことにけつこうなことだと考えるのであります。しかしこの防犯団体が住民の方々から寄付金または負担金を集められまして、結局においては狭い意味の警察活動の足しになるような費用までそこから出て来る、こうなりますと、だんだん警察とのつながり等につきまして、少くとも誤解を受ける。誤解を受けるだけではなしに、犯罪捜査なり正当な職務行為について公平性を欠く、こういう結果を招来いたしましてはたいへんいけませんので、こういう結果を招来いたさないように、いろいろ十分努力はしおるのでありますけれども、努力だけでは問題は解決いたしませんので、御提案のごとく国の予算、公共団体の予算か警察活動に十分になるような予算上の努力をする、これをまず第一に考えなければならない。こういつた方面はできるだけ努力しておりますけれども、現在努力し切つておる、こういうことを申し上げかねるのをまことに遺憾とするのでございます。
 それからやむを得ずそういう団体がある事業をなさる場合におきまして、その団体の費用の出し方、それからそれの使い方等につきましても、なるべく犯罪捜査と関連を持たない、弊害を持たないような運営をする、こういうような点につきましては、当該団体との連絡等によりまして、弊害がなるべく少くなるような資金の負担の仕方、こういつた点を考えていただくように努力しております。
 以上申し上げましたのはいずれも努力でありまして、私どもそういう努力をしておる者の側から申しますと、従前に比しよくなりつつあるとは心得るのでありますけれども、皆さんの御助力とともに御鞭撻をいただきまして、そういう努力の性かがだんだん上るようにやつて参りたいと思うのであります。
 それからつけ加えて申し上げたいのですが、売春関係の取締りについて、業者からいろいろあつてやりにくいだろうということを、今申し上げましたことに関連して御想像なさつていらつしやると思うのでありますが、こういう関係につきましては特に危険でございますので、そういう点につきましては十分警戒して、そういうあやまちを犯さないように、各警察とも配意するように話しておりますので、こういう点も皆さんの御協力によりまして、りつぱに、誤解のないように努めて参りたいと考えております。
#51
○井本政府委員 この機会に私からお礼を申し上げたいと思うのであります。法務省関係の仕事は、元来国家権力の行使でありまして、その行使の対象であるたとえば被告になり、被疑者になるというような方か、感謝をするものではないのであつて、国全体といたしましては、どうしてもなければならぬ権力行使でありますけれども、法務委員会などにおきまして御理解を願つて、いろいろ予算の面に御援助を賜わるということは、私どもといたしましては非常なバツクを持つておるというか、御援助にあずかつておるということは、常に非常に感謝しておる次第であります。さような点につきましてこの機会に厚くお礼を申し上げる次第でございます。
#52
○神近委員 関連して中川さんにお尋ねしたいことがあります。今防犯協会のことが問題になりまして、会社の社長、あるいは売春業者というような人が防犯協会の寄付金などもはでにする二つの団体だということでございします。あの人たちが、そういう仕事の社長並びにいろいろ金が使えるという点について、結局あすこがもうからなくなれば、あの区域がもうからない仕事だということになれば、売笑そのものがうんと減るのではないかと思うのです。今第一線に働く警官の方々のお話が出ましたけれども、あの人たちが毎日毎日働いて一万五千円か、あるいは二万円近くしか勤労の報酬はもらえない。あの人たちが毎日見ている売春婦は三万とか五万とか金をもうけ、その上業者はそれを上まわる何十万という収益がある。そうなれば第一線の警官たちは自分たちの立場がいかにもばかくさくて、そしてああいう商売をして、うまいものを食つて、大きな家に住んでああいうふうなもうけがある人たちにたかるということはあたりまえじやないかという考え方を持つ。そうすれば赤線の中がもうからなくなれば、結局そのアンバランスが均等化されるということになる。そうするには、やはり売春というものはいけないことで、国家がこれを禁止するということになれば、あすこがもうからなくなる。あすこがもうからなくなれば、売春をする人たちもそこへ寄つて行かなくなるというような因果関係から考えまして、どうしてもこの法律を通さなくちやならぬというのが私どもの信念なのです。今防犯協会の話が出ましたけれど、その防犯関係の役員の中には業者の人がたくさん入つています。私の地区にもございますから、私はよく知つております。そうしてやつていることはそんなにけつこうなことばかりではありません。私たちなどは防犯協会というものは一般の市民生活を妨げるものじやないかというふうに考えているくらいであります。そこで防犯関係から業者というものは一応抜くということはできないものでしようか。中川さんにそれを伺いたい。
#53
○中川(董)政府委員 防犯団体の本来の使命はまことにけつこうなことでございますけれども、それがいろいろな運営の方法、ことに寄付金、負担金の分布の状態等によつて弊害があるということにつきましては、先ほど古屋委員の御指摘並びにこれに対して私が申し上げた通りであります。ただいま神近先生は売春関係をやつていらつしやる業者が、防犯団体に入つておるのは少くない。これを禁止する考えはないか、こういうことでございます。われわれ防犯団体が警察の適正な運用を妨げるということに相なりましてはいけませんので、そういうことにならないように努力下るということはここで申し上げます。ところが多くの防犯団体はそれぞれ団体の規約等によりまして、団体的に、自主的に役員等を選任されている向きが多いかと思いますので、そういう自主的活動に対しましてはわれわれ警察といたしましては警察の仕事がやりにくくならないようにお願いする、こういう態度で防犯団体等が適正な警察活動に対して誤解を受けないしは妨げとなることのないように、団体の自主権を妨げない範囲内におきまして努力して参りたい、こういうふうに考えて、おるのであります。
#54
○神近委員 そこの点なんですけれども、あの人たちが時間と物質を使つてもあれを引受ける、これはよほど社会に対して善意を持つている人たちでなければ、時間と身銭を切つてあそこへ出てその役につくということはしないと思うのです。犯罪はあの周辺が一番たくさん行われる、これはいろいろの事例と数字を見てもわかる通りに、ああいう界隈が一番犯罪――ゆすりやたかり、どろぼう、そういうものが出るわけです。それで売春そのものに関してたとえばどこかで強盗をしてその足でああいうところに上つている。そういうような犯罪のいわば巣のようなところなのですけれども、そこの人が防犯協会に喜んで入つて来るといえばいろいろ手心ができるから、自分たちのところに出入りするところの犯罪者をいろいろ有利にかばうことができるという一つの目的があるのではないか、私は防犯協会というものはほんとうの意味ならば良民でつくらなくてはならないと思うのです。そういう意味でどうしてももしこれの正しい運営をなさりたいということだつたら、組織がえをして、そうしてまともな生活をする者でなければ防犯協会には入れないというぐらいのことをお考えにならなければ、これは今日社会でよく言つているように、どろぼうに法律をつくらせばどろぼうがやつたときにのがれるような法律をつくるだろうということが一つのたとえ話のようになつておりますけれども、私は防犯関係にそういう人たちを入れてお置きになるということは、同じような意味合いになるのではないかと思います。どうしても私は古屋先生のおつしやるように、これはある程度改組をなさいまして、正常な生活を立てている良民でおつくりになるべきだと思うのですけれども、そういうことは不可能なのでしようか
#55
○中川(董)政府委員 この防犯団体と警察の悪縁があつてはならぬということにつきましては、まつたくお話の通りでございまして、そういうことがないように大いに注意深く努力して参りたいと思います。防犯団体の人事機構とか役員等につきましては、私がただいま申し上げましたごとく団体の自主的活動でございますので、警察から希望を申すことはできますけれども、自主活動を抑制するということはできませんので、団体役員等についてお願いをする場合はありましても、干渉がましくすることは団体の自主権を妨げますので、その点は御了承いただきたいと思うのであります。現在の防犯団体等におきまして、いろいろ警察との悪縁等について、少くとも過去におきましては悪いうわさ等もあつたことも私たち承知しておりますけれども、手前みそかもしれませんが、だんだんよくなつて参りまして、現在防犯団体の運営と狭い意味の警察活動がいろいろ金の面、資金の面等について悪縁があるというような点はない、こういうふうに考えておるのでございます。ことに皆さん東京におられまして警視庁の管内につきましてこの御質問でもあろうかと思いますので、警視庁の防犯部長からもつけ加えてお話し申し上げたいと思います。
#56
○養老参考人 防犯協会のことにつきまして私御指摘がなかつたのでありますけれども、一言御説明申し上げたいと思います。警視庁管内にも各警察署の単位に大体防犯協会ができておりますが、この防犯協会の役員その他協会員であるからといつて、警察が当然執行すべき職務を執行せずに手心を加えるということは断じてございません。これははつきり申し上げます。それからそのお金がそういうことから警察にまわるというお話もあつたのでございますが、もちろん防犯協会としては会員等からお金を徴しまして、それがいわゆる広い意味の防犯関係の仕事に使われることもあります。たとえば暗い所に防犯燈をつくりましたり、あるいは防犯の運動にポスターをつくりましたり、あるいは座談会を開いたり、いろいろな方面に使われておるのでございますが、そうした金をたとえば特定の業者の方が警察に持つて来るというような場合がありましても、警察としては直接的に取締りを考えなければならないような状態の人から金を受取るというようなことは十分警戒いたしまして、そうした誤解の生じないように努力いたしておるはずであります。それからそうしたところに役員などが出て来るところが犯罪が多いというお話があつたのでございますが、もちろん非常に自分のあたりで犯罪が多いから、そうした防犯協会にでも入つてよりよく犯罪のないように努力しようという方もあるかもしれませんし、また警察としましても抽象的にこの人は悪人であるからそれを役員にできないということはできないのであります。具体的にそうした犯罪の容疑が立てば、もちろんそうした犯罪を発見するように努力して参りますが、ただ単純にこの人この人を選びまして、たとえば前科があるから悪人であるというような考え方はできないということをはつきり申し上げます。
#57
○古屋(貞)委員 今養老さんは断じてないと申しますが、具体的にあけましようか。そういうふうにおつしやられると私ども聞きたくなる。それではただ防犯協会は奨励して行こうという御意思だと思うのです。その考えを承りますとそう聞えます。これはたくさんの事例があるのですよ。ボスが防犯協会へ入り込んで警察を左右して地方の住民をどのくらいいじめたかということは今までの事例がはつきりあがつているじやないか、そういうことをおつしやるから私聞きたくなるのですよ。私はただいまおとなしく少くともああいうものはやめて、地方自治体でありまするならば、自治体の全部が親しめる警察になつてもらいたい、特にそういう団体をこしらえなくても、全体がすぐ警察に協力のできるような雰囲気と空気を警察がつくることが私は非常に大事だと思う。これがなければこういう防犯協会というものをつくつて、特に警察に一番弱味のある者は一番ここに入りたがるわけです。防犯協会の陰に隠れてやつている、今までもそうなのです。今の堤さんから質問された浅草の問題もこのようなボスなのです。警察の一線の連中はボスに手がつけられないという、そこを養老さんが断じてないというお言葉をおつしやるならば私は承りたい。断じてないとまだおつしやるのですか。
#58
○養老参考人 私が今まで申し上げましたことにつきましては、別に防犯協会を特別にわれわれが奨励して参ろうというような気持はないのであります。警察署の管内の方が警察の仕事以上にいろいろなことをやりたい、防犯上のいろいろなことをやりたいというので、自主的にそうしたものをおつくりになる際に、警察がそれをいらぬ、そんなものは不用のものであるということはできないのであります。そうした意味でそうした団体があればそうした団体によつて仕事をしていただくことを喜んで受取ります。それからもし何かボス的なものが出まして――そういう可能性はもちろん御指摘のようにあると思うのでございます。そうした場合に警察が非常に不公正な職務の執行ぶりをするというようなときには、十分監督を加えましてそれを是正いたしておるのでございます。私は頭から防犯協会が非常にりつぱでありますし、また警察もすべてりつぱだと申しておるのではないのでございまして、その点は誤解のないように御承知願いたいと思います。それから浅草の今の御指摘のことでありますが、具体的にそうした点をお聞かせ願えれば、十分それに対して正しい執行いたしたいと考えております。
#59
○古屋(貞)委員 ただいまおつしやるような頭でおるから、実際の公平な取締りができないのです。住民全体が立ちどころに警察に協力するような雰囲気をつくつたらどうです。私が今養老さんの話を承ると、住民のうちの有志が進んで警察に協力したいとおつしやるからわれわれはこれを断るわけに行かない、もちろんこれは自主的な存在であると思うとあなたはおつしやられますけれども、一線の警察官が防犯協会をつくつてくださいと言うて勧誘して歩くのですよ。一番職業の弱いところに行つて勧誘するのです。そういう事例を私は目の前に見ておるから申し上げるのです。あなたは警察が黙つておるのに、警察に協力しましようと進んでやつて来たと言うけれども、そういうことなら、全体の自治体、町なら町全体がそういう空気になるようにすることをお考えになつていただきたいと私は思う。防犯協会が今地方のまじめな、善良な人たちからどのくらいいやがられておるか。ただいま同僚委員の神近さんなり堤さんから、いろいろと警察に対する御不信の質問をしておられるのはそこなのです。警察の方は必ずしも神様じやないのですから、それは感情もございましようし、いろいろありましよう。私もそれを否定いたしません。それが線を越えて、ボスが警察な相当押えて、そうして法治国にあるまじき行動をさせる。御承知の通りいろいろ埼玉県あたりに起きたのもこの問題でございまして、ボスが警察を抑えたためにああした大きな問題が起きる、そうして地方の純情なる青年団が奮起して、このボスの絶滅をいたそうとすれば、これに対して公平な取締りがなかつた、こういうことの事例がたくさんあるわけです。私は責めるわけじやないけれども、そういう意味において防犯協会の名に隠れて悪いことをしておるものが相当ある、それがために親しまれる警察がかえつて親しまれない警察になつて行く傾向がある、こういうことを言うのです。これをもつと進んで申し上げますならば、思想犯などの捜査についての協力をすること、あるいは非常に重大なる犯罪を犯した人々に対してそういう方が協力してくれる、こういう一つの協力をしたということに免じてそれらの人々が行き過ぎをやつた場合でも放任するという傾向が、日本中至るところにうんとあるのです。私どもは弁護士をしておりまする関係上、人権擁護の関係でしばしば具体的な話を聞いておるのです。従いましてできるならば防犯協会というものはやめて、そうして地方自治体の予算なりを相当盛られて、もし協力していただくというならば自治体の全体の空気が警察に協力をするという姿がほしい、こういう注文を私は申し上げざるを得ないのであります。それであえてここでこうたということは申し上げませんが、ただいま堤同僚委員からも、こういうボスがこういうことをしていると具体的に指摘された。なるほど中川さんからは、これはたんだんよくなつたと言われる。私もこれば否定しません。よくなつております。かつて私どもが廃娼運動をいたしました場合、芸者などが私どものうちあたりに逃げて来たことがある。そうしてそれをわれわれが救つてやろうとすれば、警察が当時の取締りでもつてまず詐欺であるとして出頭を命じて連れて行つてしまつた。そういうことは今はありません。大分よくなつたけれども、しかし相当弊害があるということをお認めになつて、こういう弊害に対しては除去されることに御努力願いたい。私は最後に御注文を申し上げて、中川さん、養老さんにそういう点についてのお心構えだけを承りたいと思います。
#60
○中川(董)政府委員 ただいまの防犯団体に関連しての御意見、ことに過去におきまして防犯団体の運営等がとかくボス等に関連して悪い影響を与えた事実はございます。これをだんだんよくすることについては、過去も努力したつもりでございますが、今後も努力して参りたいと思います。とりわけ資金等につきましてはできるだけ国費、地方公共団体の費用、こういう費用をもつて充てて、一般住民等の寄付によるところの団体活動によつて警察活動をカバーしようという考え方は、なるべくなくして行くように努めて参りたいと思います。ただちに明日からなくせとおつしやる御意見もあると思うのでありますけれども、現在の公の費用でやるほかに、弊害の比較的乏しい方法でやる点につきましては、弊害をなるべく除去することに努力しながらだんだん改善の方向に進んで参りたいと思つております。
#61
○養老参考人 私も同じようなことを申し上げますけれども、防犯協会のあり方につきまして、今お話のございましたようにありたいということは自分自身も専心考えております。しまつたく同感でございます。
#62
○堤(ツ)委員 私は防犯協会の問題も、それからボスの問題にももう少し触れたいと思つておつたのでございますが、先ほどから御質問が出ましたのであまり言葉を重ねたくないと思いますけれども、文化国家と言われる日本の町、ことに小都市形態、大都市形態、都市形態をなしておるところというのは、もうボスの横のつながりと見ても決してさしつかえないぐらいボスによつて支配されておる。全国の都道府県にわたる都市というものは――小都市、村ももちろんその形態はあるかもしれませんけれども、私は犯罪のはげしい大都市、中小都市はボスの横の連繋によつてほとんど構成されておると言つても決して過言でないと思います。具体的に見てごらんなさい。講談や落語や芝居に出て来るところのかつての何だ親分々々々々とつながる地所名、早い話が五反田、銀座、浅草というところをずつとみなつないでごらんなさい。全都親分の顔によつてつながれておる。大きな親分が防犯協会の会長になり、そこのメンバーに入つておれば、その辺一帯の子分どもは淫売をやろうが、人身売買をやろうが、ヒロポン密造をやろうが、全部その隠れみのの中で悪いことをしておるということが実態なのです。しかも、これは法務省に努られるかもしれませんけれども、ずいぶんだらしのない第一線の実態というものは、もう善良なる市民によつていやというほどその実例がつかまれておる。従つて警察が法治国家にあるまじきボスの存在を許しておられるこの事態というものを国会で追究しない限り、善良なる市民は救われません。私たちは善良なる市民を守るために、少数のパチルスの問題を取上げておるということを考えてもらいたい。人権擁護局がうるさくて、あの建物はいかがわしいと言われ、あの人はどうかと言われて、売春に関係ありという風聞があるけれども、人権擁護の立場から旅館へも踏み込むことができないのだとかなんとか弁明をなさいますが、私たちはそれは弁明のための弁明であつて、失礼だかも知れぬけれども、これは法務省あたりのただ一つの逃げるよい口上だと実は解釈しておるぐらいです。法務省はこうした犯罪、ことに売春問題などは実証があがらない、プライヴエートの問題だ、極端に言えばいかがわしい男女が性交しておる、しかしこれは金を渡すところをつかまえなければ、代償を受ける目的でやつておるのではないということで逃げられてしまつたらそのままである、だからなかなかあがらないのだとおつしやるだろうと思います。しかしあの人は売春婦であるとか、あるいはあの人は蛇蝎のごとき売春業者であるとか、いや人身売買をやつておるボスであるとかいうようなことは、今日もう世間の常識になつておると私は思う。少くとも町内なりいろいろな機関を通じて、その風聞ある者というのを責任の立場からもつとお確かめになろうとするならば、方法は幾らでもおる。それを人権を蹂躪するからといつては踏み込まぬで、あの山谷のドヤ街のようなものをつくつておられる。ああしたところが全国にだんだん勢力を張つてしまつて、善良な市民がその中で呼吸もできないようになつてしまつたらどうするか、私はこれを憂える。これはなぜこういう現象が起つて来るかといえば警察がだらしない、ボスに牛耳られてしまつて経済的援助を受け、小づかいをもらつて、こうしてこの人たちが本来の使命を果さないからこういうことになつておるのである。恐るべき文化国家だ。ですから私は、ことに売春の問題につきましても私は人権擁護局ともつと具体的な話合いを進められて、善良なる市民を守るために、社会秩序を守るために人権は擁護しなければならないけれども、しかし反面社会人としての義務を果すべき人々が社会のバチルスとなつたときには、その面からどんどんこれをあげて行くという行き方をなさることが私は良心的なあり方ではないかと思うのでありますが、そういう面について真剣に人権擁護局とお話になつて、そしてそういうことを試みられたことがあるか。ただ人権を擁護しなければならないから、見当のあいまいなところへ踏み込むのは間違いだといつて、漫然と手をこまねいていらつしやるような感が深いので、こういう御質問を申し上げるのです。あのいかがわしい三本筋の温泉などについても、真剣に人権擁護局とお話合いになつてそして踏み込まれたようなことがございますか。ひとつこの点をお聞きしておきたい。
#63
○井本政府委員 傾聴すべき御意見を拝聴いたしましてありがとうございました。ただ私どもといたしましては、先ほども他の政府委員から答弁がありました通り、売春行為に規定いたされました男女の性交というような現場をつかむということは、御想像もいただけると思いますが、非常に困難でございます。また町であれがボスだということはだれでも知つておるとは申されますけれども、具体的にそれでは刑罰の対象として証拠としてこれを取上げるということになりますと、これまた非常に困難なのでございます。目に余るものがあればこれはもちろん検挙するに躊躇いたしません。また社会悪、これは何も売春には限りませんが、法規違反がありますれば、これに対しまして厳重な取締りを加えるということは申すまでもないことでございます。ただ力が足らずして十分な御満足をいただけませんことをまことに恐縮に存ずる次第でございますが、なおこの上とも努力をいたすつもりでございます。
#64
○堤(ツ)委員 なかなか一朝一夕に、ここから区切りをつけてこういうふうにしてくださいということはむずかしいということは、私たちも重々承知をいたしておるのでありますから、これ以上御無理を申し上げませんが、決して積極的な努力を、売春並びに売春に関係あるところの犯罪事項や刑罰事項については、一生懸命に今までにやつておいでになつたとは私は言い切れないと思います。この点御反省を願いたい。
 それから質問の順番を違えてまことに恐れ入れますが、警視庁だとか国警あたりでは、芸者というものがその何パーセントが売春をしておられるとにらんでおるか、それから大きなキヤバレーに働くところの女給、ダンサーという人が、何割ぐらい売春しておるとにらんでおられるか、またそのほかに仲居とか酌婦とかいろいろございますが、いわゆる特飲街で売春をやつておられる人たちを除いて、芸者、ダンサー、女給、酌婦、仲居の類で、売春をしているものがどれくらいだとにらんでおられますか、お聞きしておきたいと思います。
#65
○中川(董)政府委員 現在は御案内の通り売春そのものずばり国の法律問題にしておりませんので、そういつたきちつとした全国的な統計はないのでありますが、しばしば申し上げました通り、現在の売春関係につきましては勅令九号、刑法のわいせつの関係、児童福祉法、職業安定法、それから地方の条例、こういうふうにいろいろな法律に関連いたしまして検挙をやつておるわけでございますが、その検挙によりまして検挙された人間の中に、芸者もございます。風俗営業等に従事しておる女子職員の方もございます。そういう風俗営業のごとき許可営業でなくして、下宿屋等による形をとつていらつしやる女子の方もございます。ところが私の方では、全芸者の中で被検挙者が何パーセントだという統計をとつておりませんので、数字的に申し上げるわけに行きませんけれども、現行法令の違反行為として検挙された人間の中には、芸者という職業に従事していらつしやる方、女給の方も相当数ございますので、パーセンテージは統計をとつておらないので申し上げかねるのであります。その程度で御了承願います。
#66
○堤(ツ)委員 私は検挙数をお聞きしておるのではなしに、当局として現在の芸者の何パーセントぐらいが芸だけでなしに、売春をやつておるだろうかという見当がついておらないかということを聞いておるので、答弁が的をはずれておりますけれど、それは御研究になつておらない証拠だろうと思いますから、遠慮しておきますが、世間の見る目では、現在おる五万四千の日本国中の芸者の四分の三四万三千くらいは芸でなしに売春をしておる、しかも私がなせこういうことを申し上げるかというと、芸者遊びをする人は、金のあるやや上層階級の人であります。簡易宿泊所で売春婦を二、三百円で買う人から、いろいろと階級があるわけであります。私たちが処罰法を制定いたしましたあかつきに、零細な庶民、下層階級の売春婦は多いけれども、財界や政界や官界の大物どもがお遊びになる相手の売春婦に近いものとみなされる芸者というものが、この法案から漏れるということは、非常に社会的に片手落ちだと思いますので、芸者、ダンサー、仲居の類に至るまで、いかなる女といえども売春行為をやつたならば、国家的な犯罪になるのだということをはつきりさせたい意図を持つておりますので、私はこういうことを聞き、またそういう投書もたくさん参りますので、こういうことを伺うのでありますが、きようお答えになれなければ、婦人少年局あたりがいい統計を持つておりますから、一ぺん御相談になりまして、大体の統計をまとめて来てもらつて、今後の方策の参考にしていただきたい。
 もう一つお尋ねしたいのは、芸者は検番、置屋を通して商売をやつておりますが、あの検番とか芸者置屋というものをどういうふうに見ていらつしやるか。たとえば今国会において問題になりました秀駒さんというところのうら若い非常にきれいな芸者さんが就業中にたくさんだんなさんを持つておいでになつたようでございまして、そのたんなさんばひどいのになると三月しか続かなかつた。日本の財界のだれといわれる人だけれども、その芸者をおめかけさんにしておくのに、おかみさんに要求される金が高いので、某産業の社長なども手を上げてしまつたということをみずから語つておる、さぞや数千万円の財が秀駒のふところに入つて、秀駒は左うちわで生涯遊べるだろうと私どもはずいぶんうらやましく感じておつたのでありますが、しかし秀駒がさらりと商売をやめようとしたときに、ゆかた三枚でほうり出されたというこの話は、あまりにも有名でございまして、何だか女性がいろいろと第一線に働かされても、中間搾取のために黒幕がうしろになりまして、商売が一人前にできないという日本の女の実力を物語つておつて、うら悲しいさびしいものを感ずるのであります。この芸者たちを働かしておる置屋というものに対しても研究しなければ、何だか治外法権みたいな感じを国民一般、善良な市民に与えるのではないかと思いますので、これに対する政府の見解を実はお聞きしておるわけでございますが、検番や置屋に対しては、どういう御見解をお待ちになつておるか、ひとつお聞きしておきたいのであります。
#67
○養老参考人 私の申し上げるのは警視庁でございまして、政府の見解ではございませんけれども、御参考までに警視庁の例を申し上げます。芸妓置屋といりようなものは、別に法規上はもちろんでございますが、条例でも認めたような形になつておりません。しかし事実上存在することは明らかでございます。しかしこうしたものに対しましても、いやしくも法令違反がある場合には、これに対して厳格に法規を適用しております。新聞紙等に、こうした面については警視庁が厳重な取締りをいたしましても、それが記事になる場合が少いのでございまして、あるいはそうした面で世間的には何もやつていないというふうな感じをお持ちになるかもしれませんけれども、現に取締つて来たものもありますし、なお人身売買、職業安定法違反あるいは児童福祉法違反、そうしたことにつきまして、もちろん場合によりましては警視庁管内では条例でございますが、売春行為につきましても、利益を対象としたものないしは芸妓を取巻く問屋、その他の業態のものを取締つた例も相当あるのでございます。
#68
○堤(ツ)委員 警視庁のお答えであつて、法務省の見解でないとおつしやいますから、ひとつ芸者置屋だとか、それから検番というようなところについても、少し御研究願いたいと思うのですが、検番というところは芸者が売春をする、その中間搾取を表向きでやつているところだと言つても、決して過言ではないのです。ただそれがどういう名目で、どういう体裁によつて行われておるかというだけであつて、これはお得意がよろしいから非常に美しく見えますけれども、非常な搾取地帯だと私たちは考えておるのであつて、特飲街あたりのダニのごとき業者と何らかわるところがない、かように考えておるわけでございます。従つてこの法案が国会で成立いたしましたあかつきには、二号、おめかけ、オンリーというものは、残念ながら第二の段階になるかもしれませんけれども、少くとも芸者や、それからはなやかな大きなキヤバレーの女給、ダンサーの段階に至るまで、あなた方が第一線において取締つていただかなければならぬものであるということを、一つこの質問に加えて私はお願いをいたしておきます。何だか材料不定のようでございますから、あまり御質問申し上げるのもお気の毒でございますので、きようはこのくらいにいたしておきます。売春の問題につきましては、質問をしかけますと切りがなく、もつともつと問題は多いのでございますけれども、あまりたくさん時間をとりまして、また委員長などもお疲れでございましようから、もし他にございましたなら、私の質問はきようは譲りまして、そしてまたあすなり、あさつてなり、委員会を開いていただいて、まだ釈然としないことがございますし、政府当局からはもつと聞き出さしていただきたいことがありますので、それをつけ加えまして、きようは私はこれで御遠慮いたします。
#69
○古屋(貞)委員 次官にお尋ねいたしましてもどうかと思うのですが、大体同僚委員の御質問に対しての今までの法務省の態度は、総合的に売春対策協議会を開いておるので、一つだけやつてもしかたがない、ことに処罰法規だけには容易に賛成しかねる、総合的な施策をしなければいけない、こういう御答弁ですが、それは私も同感であります。まことにそうであります。しかしながら法務省の御所管は、いつでも社会現象に対する社会悪の芽をつんでしまうということが目的であつて、その他の問題、たとえば厚生施設の問題あるいは生活上の問題、いろいろな社会事象に対する必要な問題は、ほかの所管にまつということが今までのなし来りのように思うのです。そこで特に売春問題については、特殊な事情があるので、その点に御配慮なさることはまことに私はけつこうだと思います。思いますが、その結論が出なければ、処罰法規をつくることに賛成ができないというお考えは、まことに私は残念だと思うのであります。と申しますのは、すでに第二国会でお出しになつておる。それから処罰法規というものは、いつも単なる社会悪の社会現象に対するところの一つの禁止行為である。法務省は生産の面、生活安定の面、社会保障の面をお考えになることは必要でありますけれども、その所管事項は他に譲るべきであると私は思うのです。従いまして現在の社会事情につきましても、この社会悪を今禁止することは緊急の必要なのである。これは応急対策として必要なのである。恒久対策の問題を総合的に御研究なされてやつたのでは間に合わないというお考えのもとに、この法案が提出されておるわけでありまして、しかもこの第二国会でこの処罰法規をお出しになつたときのその見解と、私は軌を一にするものだと思いますので、どうでしよう、とりあえず総合的な対策協議会の結論が出なければ、どこまでも賛成しかねるというような御主張でございましようか。それとも今提案しておるものの中には不備な点が多いから、この不備の点だけ改めて、完全なものとは申せませんが、法務省の従来お考えになつておるような筋合いのものであれば、御協力をお願いできるかどうか、この点をまず第一にお伺い申し上げたいと思うのであります。と申しますのは、根本から申しますと、御婦人はだれも犯罪である売春をしたいというものはない。従つて現在のような日本の教育の程度においても、進んでそのようなところに身を落すというようなことはやりたくない。しかし敗戦後における日本の社会事象、経済的な生活苦難というものがやむを得ずしてここへ追い込んで来た。でありますから、この根本問題を解決するためには、根本的な政治の立てかえをし、経済組織の立てかえをし、国民全体に、働こうとする者には働く場所を与えてやるというような大きい政治的方面が先行されなければなりませんけれどもそれを待つ余裕はない。現在緊急の事項として、追い込まれておるということでありますから、その点について法務省といたしましては、総合的の結論が出る前においても、できるならばこの法案に対する積極的な国家の御協力が願えるかどうか、その心構えだけを伺つておきたいと思います。
#70
○井本政府委員 政務次官からも御答弁になつておることでございますが、私法律家といたしまして、古屋さんもその道の専門家であられますので、一言申し上げたいと思います。たとえば姦通罪の規定でございますが、これは前は相当厳重な処罰規定があつたわけであります。ところが姦通罪がどういうふうに履行されたか、その実情を見てみますと、結局これは恐喝の道具にしかならなかつたというのが大体の実情でございます。姦通罪の規定がなくなつたから、姦通が世の中に充満しておるかということになりますと、結局はそうでなく、道徳的に姦通はいかぬということがこれは世間の輿論でございますし、人間が文明になりますれば、当然さようなことになるのであります。別にこのために姦通が日本の国に広まつたというふうには考えておらないのであります。売春対策にいたしましても、これを取締ることは私は何らこれに異議をさしはさむものではございません。ただこれを徹底的にやりますと同時に、これに対する保護の対策がなければ、徹底的にやるということにどうしても勇気に欠ける点があるのではないかと考えるのであります。従つて法務省だけといたしますれば、これは罰則をつければよいのでありますが、この罰則をどういうふうに履行されるかということになりますと、先のことについては従来の実績に徴しまして、あるいは第二国会、第十五国会の審議の経過に見ましても、どうしても相当程度の保護対策というか、転落防止の対策等が講ぜられなければならないと私は考えるのであります。さような意味におきまして私どもといたしましては、売春対策協議会の議を経まして、ある程度の総合対策、少くとも法務省以外の関係の各省とも連絡し、理解のできました法案の成立をまつて、この問題を解決して行きたいというふうに考える次第であります。
#71
○古屋(貞)委員 その御趣旨は絶対私は賛成であります。しかしながらあなた方の今お考えになつておるように、簡単にたとえば更生問題が片づきますか。今のような政治のあり力では絶対にできないと思います。たとえば再軍備の費用は二千億に近い。社会保障には七百七十億くらいのはした金しかやらないという政治のあり方では完全にこれらの人たちの生活を保障し、更生や保護の問題はとうてい不能だと思う。それを前提として総合対策をお考えになつても――お考えになつている考え方については私も賛成だ。しかしながら大体見通しは不能だと思う。
 それからもう一つは労働関係につきましても、基本人権の尊重の点につきましても問題は生活の問題が基本だと思うのです。現在のような政治をやつておつて勤労大衆の生活を安定させることは不能です。でありますからとりあえず処罰規定で一応こういうことは悪いことだ、こういうことにはつきりとピリオドを打つておかなければならぬ。そうして同時にもつとこれは総合対策についてお考えをお願いし、もつと進んでは各省の所管事項になつております――労働省にいたしましても厚生省にいたしましても、真剣にお考えにならないと、これは私が申し上げるまでもなく、今日まで日本の半分を支配している御婦人の問題であり、将来の日本を背負つて立つべき大事な子供さんの問題です。もつとはつきり申しますならば、日本の民族の重要な問題でございますから、これはまことに私どもはゆるがせにできないと思う。そういう意味において、土曜日の日には法務大臣は拙速では困るという御意見のように承つておりましたけれども、拙速であろうと一応現代のような社会道義的立場において、現在のような生活環境に置かれておりますこれらの哀れな人たちの人権を保護することは非常に大事だと思う。この意味においてやはり私は拙速でありましても、とりあえず各委員から御主張になつたように、全国的に、こういうことは一応悪いことだ、やれば処罰されるのだという社会的な警告をはつきりと打出すことが非常に大事ではないかと私は考えておるわけであります。この点は法務省の方々の意見と相違するかもしれませんが、その趣旨と目的については私ども一致すると思うのです。ただ問題は現在の実情緊急必要であるかどうか、そういうピリオドを打つのはもう少し待て、そうすればこういうものが出るというはつきりした法務省からのお答えがありますれば――たとえば売春対策協議会の結論の相当完全なものがいつごろ出て、それによりますならば大体自分たちが考えておるようなものがはつきりと出て来る。こういう私ども納得の行く御説明と現実にその協議会が進められておりますならば、あえて私どもさような御質問を申し上げるようなことはしないのです。ところが同僚議員から出ておる協議会の対策委員の方から聞きますと、どうも見込みがない。どうもはつきりしてない。まじめじやない。他の方面からのいろいろな悪条件が加わつて来て、まじめな結論は生れないというような見通しのもとにしびれを切らして、今回の議員立法が生れたという経過から考えましても、私はやはり法務省がある程度の見通しをおつけになりまして、さような立法に対しての御協力が願えないか、かように私考えておるのですが、この点いかがですか。
#72
○井本政府委員 今回御提案になりました売春立法につきましては、私、別に反対するわけではないのでございます。法務省の意見はどうかというようにお尋ねになりますので、法務省といたしましては、関係各省と先ほど来申し上げました通り十回にわたりましていろいろ協議を続けておりますので、総合的な対策を立てたいと考えておりますから私どもといたしましては、このまますぐこれをのめと申されましても多少躊躇せざるを得ないということを申し上げましたので、この法律が不都合な法律だからけしからぬなどというようには毛頭考えておらないのであります。さように御了承願います。
#73
○古屋(貞)委員 私は本日はこの程度で打切ります。
#74
○林(信)委員長代理 それでは本日はこの程度にいたし、次会は公報をもつてお知らせいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
  午後四時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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