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1953/05/31 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 法務委員会 第66号
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1953/05/31 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 法務委員会 第66号

#1
第019回国会 法務委員会 第66号
昭和二十九年五月三十一日(月曜日)
    午後二時十五分開議
 出席委員
   委員長 小林かなえ君
   理事 鍛冶 良作君 理事 佐瀬 昌三君
   理事 田嶋 好文君 理事 林  信雄君
   理事 高橋 禎一君 理事 古屋 貞雄君
   理事 井伊 誠一君
      牧野 寛索君    山下 春江君
      吉田  安君    神近 市子君
      堤 ツルヨ君
 出席政府委員
        文部事務官
        (社会教育局
        長)      寺中 作雄君
        労働事務官
        (婦人少年局長) 藤田 たき君
 委員外の出席者
        厚生事務官   山本 二郎君
        専  門  員 村  教三君
        専  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 売春等処罰法案(堤ツルヨ君外十一名提出、衆
 法第三四号)
    ―――――――――――――
#2
○小林委員長 これより会議を開きます。
 売春等処罰法案を議題といたします。本案に関し発言の通告がありますから、これを許します。堤ツルヨ君。
#3
○堤(ツ)委員 社会教育局長におでまし願いましたので、議員から提出されまして本委員会で審議になつております売春等の問題について、あなたが所管せられる社会教育の面から少し御質問申し上げたいと思います。
 そこで、閣議によりまして売春対策協議会というものができまして、あなたの方では文部省の事務次官がたしかこの委員会のメンバーにお入りになつておると思うのでございます。社会教育を担当される局長とされましてあなたの方が中心になると思いますが、この対策協議会に出席なさる事務次官と御連絡をおとりになつて、この売春対策に対する考え方を具体的に文部省のお立場としてどう進めて来られたか、今までとつて来られた文部省としてのお立場なり、お考えなり、それから現在会議における御発言なりをお尋ねいたしたいと思います。
#4
○寺中政府委員 売春対策協議会の関係におきまして、次官が委員になつておりますと同時に、私が幹事という役目でこれに出席をいたしておる次第でございます。協議会が今まで何回か開催されましたが、次官あるいは私が必ずこれに出席するようにいたしておりまして、会議の内容につきましても常に連絡をいたしておる次第であります。
 現在のところ協議会において行われております議論は、根本方針といたしまして、売淫者を取締るといいますか、処罰するかどうか、どの範囲まで処罰するかというような根本的な問題について話を進めて来た次第でございますので、その関係は警察行政の関係、あるいはその背後にある厚生行政の関係、あるいは法務行政の関係というふうなことが多いのでありまして、私の所管しております文部省関係におきましては、これは売春が処罰されることになるといなとにかかわらず、われわれは人間の教育という立場から、真に性の神聖といいますか、そういうふうな事柄について、婦女あるいは関係者によく徹底させるという意味の教育面を担当しておりますので、今さしあたり法律をつくる立法の関係におきましては、私どもの提案が特に取上げられるというような事柄もあまりないのでありまして、もしこれが法律として成立しましたあかつきには、文部省もこれに協力いたしまして、この法の正確適正な施行運用について文部省の立場からなすべき仕事が大いにあると思います。また法律が別に成立いたしておりません現在におきましても、あらゆる機会に、今申し上げましたような純潔教育と申しますか、そういうふうな立場から努力をいたして来ているような次第でございまして、協議会の関係においては、今特に主役になつて活躍するという程度の立場にはいないのであります。
#5
○堤(ツ)委員 私は、今承りましたところによりますれば、取締り当局でもなし、積極的にあなたの方の主張が法案の中にこういうふうに通るというような見通しも立つておらないから、一部社会教育の面から責任はあるけれども、そして対策協議会に次官も出、あなたも幹事としてお出ましになつておるけれども、そう文部省が中心になつてこの問題に、というところまで行つておらないというように大体拝聴した、そういうように解釈させていただきたいと思います。そこで私はこれは非常にゆゆしい問題だと思うのでありますが、学校で六・三・三――まあ六・三の人たちが大半でありますが、義務教育を一生懸命にやつております。貧乏国のこの日本は、世界のどこの国に比べても、世の親たちそれからまた国としても、そのときの政党によつているいろ色合いは違いますけれども、貧乏の割合に義務教育については一生懸命の国だと私は思つておる。ところがこのせつかく一生懸命にやりました義務教育が基礎だけに終つて 一たび社会に――高等学校に行くことができない、また大学に進む人はその中の何十分の一かであります、そうすると社会におつぽり出される、また十八才未満の青少年で、これからうんとたたかれて正しい教育をされなければならない、ことに正しい性道徳なり性教育を受けなければならぬ年齢において、社会におつぽり出されて捨てられるがゆえに、ここに非常に問題を起して六・三の基礎教育をもう根底からぶちこわしてしまう、そうして非常に無責任な社会人ができ上つておるというこの現状に対しては、非常に私はお互いに責任を感じたいと思うのです。ところがいいかげんな社会人をつくり上げておるこの社会の中でも、最も憂うべき問題は、敗戦後の売春を中心とするところの性の問題だと思うのであります。従つて今日中年以上の者、また成人してしまつた者たちから比ぶれば、性に対するところの考えなどというものは、われわれの想像できないような非常に危険なそして無軌道な、非常に考えさせられるような未成年の方々が多いのであります。従つて肉体的には性病、それからまた精神面では無軌道な性の逸脱、こういう面から若い人たちに対して考えなければならないものが非常にたくさんあると思うのでございますけれども、しかし今日のようにこんなに大きな顔をして、売春地帯が善良なる市民の前に大手を振つてぶら下り、そしてそれに携わる人たちが、汗を流して働くどの人たちよりもぜいたくな暮しをしながら、一番金もうけをしておる今日の社会状態というものは、もう惰民をつくり、ゆがんだ性観念を持つた青少年を養成し、これが犯罪の巣窟となり、そして麻薬の密造、密売の根源地となつておるという観点から考えて、文部省はどの省にも先がけて、この問題についてもつと真剣にとつ組んでもらわなければならなかつたのではないかと私は思うのでございますが、そういうことをお考えになつたことがないのでありましようか、それともお考えにはなつたけれども、いざやろうとなると金はかかるし、一向真剣に政府全体の問題として上層部で取上げてもらえないし、大きな社会の風潮に流されてしまつて、一行政の府、ことに社会教育局長あたりの力ではどうしようもなかつたというのでありましようか。私は文部省としては、今日対策協議会にお出ましになつても、積極的にこれをどうのこうのというところまで行つておらないというような御意見でなしに、もう少し真剣な当局としてのお考えがなければならぬと思いますので、もし今までおやりになつたけれどもこういう面で失敗した、いやこうありたいと思つたけれどもこういうところが隘路なんだ、というような面がありましたら、無関心であられたはずがないと思いますので、ひとつきようははつきりとここでお答え願いたいと思います。
#6
○寺中政府委員 この売春問題に関連いたしまして、青少年の純潔教育問題、あるいはさらに広く風紀対策の問題というものは、非常に重要な問題として、私どもも非常に痛切に感じておるのでありまして、ただいまお話がありました点は、まつたく同感に存じておる次第でございます。この純潔教育の問題に関しましては、私ども終戦直後から非常に重大な問題として取上げまして、従来純潔教育というような問題は、教育問題として取上げることが割合に少なかつたのでありますが、これは教育の一つの課題として、学校教育の画においてあるいは社会教育の面において、どうしても解決をしなければならない、またどういう方法でどういう人がどういう内容のものを教えるかというようなことになりますと、経験がないだけになかなかデリケートなむずかしい問題がありますので、純潔教育審議会というものを設けまして、その方面のいわばエキスパートといわれるような方々の御意見によりまして、多少でもこの問題の解決のために努力をして参つたことと考えております。純潔教育ということに関しましても、男女の交際をいかに導くかというような問題、あるいはいろいろの風紀上の問題になるような映画あるいは絵画、雑誌というようなものに対してどういうふうに対処して行くか、また純潔教育を実際に学校あるいは社会におきまして行う場合には、どういう態度でどういう内容のものを教えるかということにつきまして、いろいろ慎重に審議をいたしておるのでありますが、一種の性教育のコースというようなものを十分確立いたしました上で、慎重にこの内容を取扱うという必要がありますので、ただいまその純潔教育の学科課程とも申すべきものの編纂に努力中でございまして、今大体七分通りの草案が進捗しつつあるというような状況でございます。この内容も、いままだ確定はいたしておりませんが、特に幼児期における純潔問題ということを重大なポイントに置いて取扱つておるような次第でございます。
 風紀対策全般の問題といたしまして、ただいまお話がありましたように、これは非常に重要な問題で、いろいろ社会に起ります、たとえば鏡子ちやん事件というような問題は一つの例にすぎないのでありますが、非常に嘆かわしいことであり、どうしてもそういう問題の絶滅を期するような対策を立てる必要があると思うのでありまするが、残念ながら、ただ教育者のみの努力、また文部省だけの努力では、これは解決し切れない面が非常に多いのでありまして、どうしても役所の関係におきましては各関係者が相当方針を一つにして対処するという点が必要であり、また役所以外のあらゆる機関がこれに協力するということも必要であります。役所の関係におきましては、青少年問題協議会が主として各省間の連絡提携、政策の調整ということに当つておりまして、いろいろヒロポンの問題その他を取上げて、この協議会に上りました事項については、少しずつでもその実現に向つて努力をいたしておりますし、また文部省といたしましても、児童文化会議というものを毎年招集いたしまして、児童文化に関係するいろいろな文化財があるわけであります。たとえば紙芝居であるとか映画であるとか絵画、雑誌その他の関係者、これは役所関係のみならず、その方面の職業に携わつておる人が集まりまして、少年の善導ということを通じまして、幾らかでもこういう社会風紀の維持のために貢献できるように努めて来ておるような次第でございます。しかし根本的にはまだまだなすべき点も――かりに一つのことをやりましても、それがそれほど実質的に具体的に効果をあげるかというようなことについては、なかなかデリケートな点がございますので、われわれといたしましては特に国民全体の御協力のもとに、いろいろの方面からこの問題の解決のために努めて行きたいということで、私どもの手の及ぶ限りのことはいたして行つてもおりまするし、今後も努めて参りたいと考えておる次第でございます。
#7
○堤(ツ)委員 社会教育局長の立場としては、単に売春の問題だけでなしに、困つた雑誌の問題、それから子供に見せてはいけない映画の問題、あちらこちらにちらほらするところのいろいろないかがわしい風紀の問題、それからヒロポン、未成年者の飲酒、喫煙、こういう問題を取上げて参りましたら、非常に御担当になる問題が多うございますから、青少年だけを対象といたしましても、御用の多いことは私の方でもお察しできますし、しかも文部、労働、厚生などという省は、政府の中でも非常に力のお弱いような省のように拝見しておりまして生産を伴わない今申し上げた三省のごときは、予算獲得にもいかに御苦労なさるかということも目のあたり拝見しておりますので、これ以上局長をお責めするのもいかがかと思いますけれども、しかし文化国家にふさわしからぬ青少年への環境というものは、一つ一つ解消して行かなければならない段階に来ておると思うのです。独立国としてまことにおはずかしい問題の一つとしての売春の問題、きようはこの売春だけにしぼつて伺いたいのでございます。要するに過去においては、志あつていろいろな形においてやろうとなさつてはおつたけれども、実際は効果があがつておらないし、また文部省の一局の力だけではどうにもならないというところに御答弁が落ちているように思うのでございまして過去のことはあまり責めないことにいたしますが、しかし私が残念に思いますのは、この売春問題に私たちが取組んで参りましてから、法務省、労働省、厚生省、文部省関係の御当局の態度というものを検討いたしておりますと、なるほど各省は金がない、金はないけれども持てる力をみんなが持ち寄つて、たとえば毛利元就の遺言ではございませんけれども、一本の矢は折れるけれども、三本の矢は折れぬといつた調子で、これは古い親孝行の道徳とかそういうことを私は説くのではありませんけれども金がなくてもほんとうに高いモラルをもつて、行政の方が一生懸命に、三つなり四つがお寄りになればもう少し処置ができるのではないか。この売春の問題も各省が非常に不熱心で、私たちが見ましたところでは、今のお答え通り、文部省は実はこの売春の問題に対しては不交渉であられたか、なすべきすべを知られなかつたか、金がなかつたから手放しでほうつておかれたか、または取締り当局あたりの方針、政府自体の方針が売春業者をかばつておるのかかばつておらないのかわからないような状態で、終戦後今日までの状態を見て、半ばあきらめたような形で手をこまねいていらつしやつたような形跡があつたと申し上げても決して過言でないというような確信を私どもは持つておるのでございますが、この際議員提案として処罰中心の法が出ておるのであります。あなたはこの議員提案の今回審議されておる法案を御検討になつたかどうか存じませんけれども、売春婦保護を中心にすべきで、売春に対しては処罰一本ではいけない、これに事後の総合福祉施策がなければ、転落した人を保護更生させ、ほんとうにこれを絶滅させることはできない、また転落防止の道も、青少年の啓蒙教育もあわせてこれの裏づけとなるべき法がなければ、処罰一本ではいけないということで、この間から議論がかもし出されておるのでございますが、しかし私たちといたしましては、金がないからみんなが今まで把然としておつたから、このままで売春を捨ておけないという状態にだんだん追い込まれて参りましたので、何とかして汚れなき青少年をこの売春地帯から救うためにも一つの大きな意味を含めてこの問題と取組んでおるのでございます。文部省自体としてはこの処罰法案ができても裏づけが今ないかもしれません。しかしこの法案ができましたならばおそらく予算もかわつて参るでありましよう。もつと積極的に社会全般の協力も得られるでありましよう。当然処罰したために出て参りました犯罪に落ちた人、保護しなければならない人は、金はなくても施設がなくてもどこかに収容してこれを保護せざるを得ないところに当局は追い込められてこれが全般の責任においてやがては一つの形あるものの中にだんだん責任を持つて収容して、そうして売春を絶滅させる、売春婦を保護更生させる、そうして女の基本的人権を守つて行くようにすれば、何十年かの後には完全なものになるであろうと思う。金はないけれども、今までのような状態では捨ておけないから、この法律の裏づけとしての予算は議員提案だから予算を伴うからということで今回は出なかつたけれども、まず処罰ということを打出すことによつて、してはいけないものということをはつきり打立ててこの売春地帯に道徳の柱を立てる、そうしてまず啓蒙の一つのよりどころにするという意味で、私たちはこの法案が一本のくさびになるということに一つの意味があるという気持で、これを提案しておるのでございますが、非常にお困りになつておりました文部当局、社会教育局方面として、これができた方が便利だと思われるのでございますか、または不備なものは先に出してもらつては困るというのでございますか、当局の立場からひとつそのお考えを承りたい。
#8
○寺中政府委員 ただいま本国会におきまして売春取締法案ができまして、そうして処罰中心に考えておられるということでありまして、そのことは私も伺つておる次第でありますが、ただいま御指摘になりましたように、処罰ということと同時にその背後にあるさらにもつと重大な問題として、従来そういう職に携わつておりました婦女を救い、またそれらの者の考え方を善導するという仕事、すなわち福祉施設の問題と教育施設の問題、これが必ず伴うのでありまして、私どももその点についてはどうしてもそうならなければならないと考えておるのであります。お話のように売春行為そのものは悪いことなんでありましてだから処罰しなければならないのだという大方針をまず打立てて、そうしてそれと並行して教育問題、更生問題を考える。更生問題、教育問題を解決してから処罰保護に乗り出すということでなくて、まず大方針を打立ててそれから各省がこれに協力するという態勢で行くことが当然であると考えるのでありまして、文部省といたしましてもそういう法律ができますことに対しましては賛意を表しておる次第でございます。
#9
○堤(ツ)委員 私は文部省の方々が、啓蒙宣伝をするにしても青少年を守る立場から、社会教育の面からまずその対策の金はなくとも先にこうした処罰法案というものが国会を通過して、それで一本の柱を打立てられることが必要であるということをお考えになつて、あなたがこれが先にできた方がいい、たとい福祉施策はあとでこれに従うとしてもできた方がいいというお考えをお持ちになつていただけるということは、非常にけつこうだと思います。そういうお考えをお持ちになつているのでございましたならば、ひとつ局長は今までのような消極的な立場でなしに、国会にこうした法案が提出されて、自由党の議員さえもこの提案者の中にお入りになつて、何とかこれをまじめに検討してものにしたいという空気の国会でございますから、ひとつ今までのような次官や文部省の態度でなしに、前の文部大臣が金がなくて事後施策のための予算が組めないけれども、このまま捨てておけないからまず処罰を先行させるのだと政府が言つておられた。だから政府が出されても議員が今出しておるような形と同じものを国会に出されたのではないかと思いますが、こういう見地からきよう局長に御出席を願つたのであります。私たち質問者の趣旨は、ひとつ文部省はこれを機会に今までの態度を一風して、この柱が立ちましたならば、積極的に総合態勢の大きな波に乗つてもらいたいということをお願い申し上げてどうぞここで認識を新たにしてもらいたいことをお願いいたすわけでございます。
 次に社会局長に聞いていただきたいのは、私たち婦人議員が中心となつてこの法案を提出しておりますので、女の基本的人権を守るためにヒステリツクに女が叫んでいる、こういう解釈をされては困るのでございます。なぜならばひとつ私が具体的に例をあげます。吉原なら吉原の特飲街へ行つて売春をする実際の具体的な例をあげますと、売春婦は一晩に五人も六人もお客をとります。そうするとA子ならA子という売春婦は一人でございますけれども、一晩に来るお客さんは五人で、相手かわれど主かわらずです。そうすると五回売春が行われたとして取上げるときに、女性は一人でありますけれども、これに関連している男性は五人なのです。これを考えてみるときに、売春の問題は女子の基本的人権を守るために私たちが女性の立場から叫ぶ問題でなくして、もつと大きな問題は、守られなければならないところの、汚れてはならないところの青少年がこの地帯に足を踏み入れることによつて社会人としての第一歩を誤るということなのです。よろしゆうございますか。そこに問題があるのです。そこで私はこれは家庭に青年を持つところの両親の立場、兄弟、肉親の立場から真剣に考えますときに、未成年でタバコをのみやしないか、友達の何とかいうむすこさんは酒を飲んでおるが、うちのむすこも親の目のないところであるいはやつておるのじやないだろうか。たとえばこの間の鏡子ちやん殺しの坂巻という青年にしても、あの人は親の知らないところで売春地帯で女を買い、そうして酒にくずれ、ヒロポンを打つて遂に七才の少々を殺すに至つたのです。あの経過を見ますときに、世の親は何人といえども今日の社会情勢が、環境があくまであの青年を落して行つたということをみんなはだえにあわを生ずる思いで見ているのです。子供は七つ、八つのころは教育しよいのですけれども、新制中学を出、高等学校を出て二十才前後の青少年がいかに教育しにくいかということは、局長自身もそろそろお子さんが大きくなつておられるならば御痛感になつていると思う。そうすると世の親としてはああいう売春地帯に親の知らないうちに、うちのむすこがそつと行つておるのではないだろうか、あの千円の金がどうもあやしいが、どこかで何かごまかしているのではないだろうか、酒を飲んでいるのではないだろうか、悪いことをしているのではないだろうか、親としては非常に心配にたえない。あのきれいなネオン・サインの地帯が多くなる、ぱチンコがはやる、エロ雑誌がはやる、ヒロポンが町に横行しているということになると、瞬時も青年を持つておるところの親、家庭というものは安心ならないわけです。しかも最も日本人の悪い因習として、社会局長として一番心得ておいてもらいたいのは、日本人の一番悪い欠陥は、自分の子供に対しては皆さん非常に責任を持つて、家庭の中では自分の子供たちをやかましく監督しますけれども、一たび外に出て人の子供のことになると、お互いに無責任でございます。自分のむすこにはいい成績を得させたい、立身出世をさせたい、うちの名誉を上げさせたいと考えるのでありますけれども、在来の風習としてよその子供はほつておこうということになる。ところで自分のむすこはどうかということになりますと、それもあまり目が届かない。家庭では隠しておるけれども、一たび町に出た場合に何をやつているか。集団暴行を青少年がやつたり、大勢の高校生が団体を組んで窃盗を働いたりする原因がそこに生れて来る。こういうことを考えたときに私たちはこの日本人の欠陥を補うのが国家の責任であり、健全な町や村の良識ある目でなければならないと思うのです。そういう点から考えるときに、私はああした売春地帯をなくし、ヒロポンの密造場所をなくし、青少年の犯罪に落ちて行く機会をなくすということにつきましては、個人の及ばない、また赤字財政の地方自治体では及ばないものは国がやらなければならないと思うのであります。私どもは一番先に売春問題と取組んでおりますけれども、これから映画と取組まなければならない、エロ雑誌と取組まなければなりません。未成年の十八才未満の青少年に見せる健全な教育雑誌、または社会教育的な、啓蒙的な青少年を中心としたところの本の研究は、もつと文部省のあなた方が中心になつて民間社会と協力して改良しなければならない。映画にしても国の費用をかけて青少年向けの映画をこしらえなければならない。西部劇や、キスや、猥褻行為のある映画を見せておつて、どうして健全な青少年ができますか、問題は一ぱいありますけれども、一番大きい問題であるところの売春問題と取組んでおるのであつて、これは決して年寄つた婦人議員のヒステリーだとか、そういう解釈をなさらないで、ひとつまじめに考えていただきたいと思うのでありますが、こうした考え方が今まで社会教育局にほんとうにおありになつたかどうか、非常に疑問を持つのであります。子供を持つて、その子供のために苦労をして、これを育てることに生涯をかけて財の許す限り教育している世の親たちが、文部省が真剣にやり、政府が真剣に考え、国会が一生懸命にやるならば、だれが横を向きますか。けつこうなことだと言つて、みんな力を合せてやると思います。私は、中心になる文部省の社会教育局長あたりがこんなのろまな答弁をしていなさるから、今日のことく売春が横行するんだと申し上げても決して過言ではないと思つている。あなたをとつちめようとは思いませんけれども、どうです、私たちと志を一にして、婦人議員はヒステリーだとか、女がいい気になつて今までわがままだつた男たちをやつつけようとしてやつておるんだという、そういう解釈をしないで、売春婦の数よりはむしろ売春によつて汚される青少年の数は何十倍なんですから、ひとつこういう見地に立つて真剣に考えていただきたいということを重ねてお願い申し上げてあなたの方は、どうぞこの予算を通してくれ、あとはどうにでもなる、まず道徳の柱をつくるのが第一だといつて次官のおしりをおたたきになつてもらいたい。次官がおわかりにならなければ、次官にここへ出てもらいます。その次官でおつつかなければ、大臣に出てもらいます。そして文部省の今までの態度というものを根本的に改めてもらわなければならぬと思つておりますので、ひとつ責任を持つてやつてもらえますか。
#10
○寺中政府委員 文部省の態度が非常に消極的なようなお話でございますが、私どもは決してそういうことではないのでありまして、売春対策協議会におきまして、私どものところが中心になつておるわけではないと申し上げましたのは、別に私どもがそれに対して熱意を持つていないという意味ではない。ただ法律をつくるについては、いろいろの関係省の関係がむしろ多くて、私どもは法律が成立するといなとにかかわらず、この社会風紀の是正のために及ばずながらできるだけの努力をしておりまして、今後も大いにやりたい。予算の面でもできるだけ努力をするつもりでおる次第でございます。ただいまのお話のように、私どもも非常な大きな熱意をもつてこの問題に対処いたしたいと思いますから、どうかその点は十分御了承いただきたいと思います。
#11
○堤(ツ)委員 それでは文部省は、どうぞひとつこれができた方がけつこうなんだということを強く打出してください。重ねてお願いいたしておきます。
 それから婦人少年局長には、先ごろからお出ましを願つておりまして、あなたを待たせるばかりで非常に恐縮でございますが、あなたの方は今年の予算を要求なさいますときに、去年の農村の天災が非常に大きゆうございまして、たとえば東北を中心とするところの冷害、それから近畿、九州、西日本一帯にわたりますところのあの大きな風水害によりまして、ひどいところになりますと青菜一本もはえて来ないような河原になつてしまつて、家は流され、もう再び立つあたわざるところのものがたくさんできてしまいした。従つてことしは東北などの貧農から人身売買にかかるところの婦女子が相当出るのじやないだろうかというところの、地方にあります婦人少年室長あたりの調査と相まつて、今予算の中に身売り防止のための特別の金庫を婦人少年局に設けたいというので、何がしかの御要求をなさつたんだけれども、しかしそれがあえなくも大蔵省からけられてしまつて、この予算の面に出なかつたということを聞いておるのでありますが、実際でございましようか、単なる風聞でございましようか。
#12
○藤田政府委員 今堤委員からおつしやいましたことは事実でございました。約三億円ほど要求いたしましたのですけれども、いろいろの事情がありまして私たちの目的をはたすことはできませんでした。
#13
○堤(ツ)委員 私はまた五十億ぐらい要求してくださつたのかしらんと思つて、もつと善意に解釈しておつたのですが、三億とは心臓の弱い御要求でありますのに、その三億さえも削られているという。これは私は三億という金の問題にかかわらず大きな問題だと思うのであります。売春の問題を一番真剣にいろいろな調査統計をおきになつて全国を行脚して、予算がないにもかかわらず、一生懸命に取組んで来られたのは婦人少年局ではなかつたかと、私たち解釈しているわけでございますが、その御要求になつたあなた方の志と違つて予算がとれなかつた。こういうことについては、もしどうだつたらとれたろうというようなお考えを今持つていらつしやるか。何かこの予算が、私たちはことに婦人議員の立場から、もし許すならば補正予算でも、もう一度しつこくあなた方と力を合せて食い下つてみたいとか、もう少し額をふやして、ぜひ来年度はこれをとつてみたいとか、なお売春処罰法に関連して、その裏づけとなる福祉施策の一つとして、人身売買の防止のために何とかやりたいと思うのでございますが、それについてはこういう条件があつたらこれも可能だつたろうというような、もしお考えがありましたならば、ひとつお伺いしたいと存じます。
#14
○藤田政府委員 このたびの予算の中に私どもの女子就職助成金と申しますか、身売り防止資金というものを盛ることができませんでしたのは、一つには、今までこういうものは要求せられていない、まつたくの新規予算でございましたので、緊縮予算でありますがために新規予算が第一に削られたのであろうと思つております。しかしながら私どもの方に売春の調査のため、また人身売買の調査のために、若干の予算が与えられたわけでございます。それでこの助成金に関しましては、また私どもの婦人少年局としての予算の立て方もまずかつたということは思つております。それから輿論が十分に熟しておらなかつたということ、それはやはり私どもの要求を貫徹させなかつたところの原因であろうと存じております。
#15
○堤(ツ)委員 売春の問題についてはこれはいろいろな会合であなたにもお目にかかつていることがあるのでございますが、地方条例がございますけれども、はつきり申しますと、エリノア・ルーズヴエルトがこちらにおいでになりましたときにも、私たちが、日本におけるところのアメリカ兵の売春を買う行為をあなたは全国まわつて見て来られたが、これはひとつ米国へ帰つて、アメリカのお母さま方にぜひ伝えていただきたいといつて懇談しましたときに、しかしあれを商売にしている日本の女を少しも国が禁じておらないのではないかと言われて、婦人請負として非常に痛い思いをしたことがあるのでありますが、地方条例にはございますけれども、しかしあの不完全な、勅令九号が国内法規にかわつた百三十七号というものがありましたけれども、昭和二十一年の次官通達などもあって、必要やむを得ざる悪だから黙認したというような形で、大体国の方針が来ておつて、これに対するところの社会悪であるという柱が立っておらなかったということで、もし婦人少年局が今までのように一生懸命にこれからおやりくださっても、この売春の問題、人身売買、就職あっせんの問題については効果があがらないのではないか、従って婦人少年局あたりの立場としては、幾ら予算をとろう、何とかして婦人を守りたいと思ってみても、この売春地帯から婦女を救い出すことはできない。そうすればいつそのこと、先にこれはいけないことであるということの処罰法規を国が打立ててくれて、これを先行せしめて、あとから金を要求した方がとりよいのではないかということが、私が局長だったら考えるのではないかと思うのでありますが、いかがでございますか、今実は婦人の福祉をはかるということよりも、処罰だけが先に議員提案として出ておるのでございますが、やはり今まで予算で失敗して来たように、いろ  な方策を打立てたいと思ったけれども、処罰だけではものにならないとお考えになりますか。不必要であるけれども、処罰を先に出ざれるということであるならば、そのあとを追うていろいろな策が講ぜられないことはない。
#16
○藤田政府委員 今度御提出になりましたところの売春処罰法というものに、もちろん厚生施設また福祉施設のための条項が伴っておりましたならば、私ども非常にやりよいと思うのでございますけれども、御承知の通り勅令九号が法律になりましたものにおきましては第三者が暴力によらず、女の人に売春をさせる行為だとか、そういうことを契約させることが処罰されておりまして、売春そのものが禁止されておりません。それでありますから、そこに大きな抜け道がありますので、私どもとしてその点非常に困っておるわけであります。処罰もされないというような結果に陥っておるときがよくあるのではないかと思っておりますので、今度御提出になりましたものが、厚生福祉の面はあとということは、私非常に残念ではございますけれども、やむを得ないことであるかと思っております。これは人権を害する間違つたところの行為である、罰せられなければならないという、その大方針がまずきまりましたならば――私の非常に短かい予算折衝の経験からではございますけれども、この法律が通過いたしましたならば、予算など非常に通りやすいんじゃないかしらと私は思っております。
#17
○堤(ツ)委員 これは社会局長も、婦人少年局長も、今日まで六回にわたって、取締り当局それから法務省あたりと私たちが質疑広答をした経過をお聞きになっておりませんので、できましたら速記録を読んでいただいたら、非常にけつこうだと思いますけれども、法務省それから取締り当局あたりは、処罰だけしてもいけないのであって、福祉施設だけが先だというようなことをおっしゃるわけであります。これは卵が先か、ひよこが先かというなすり合いと同じでございまして、法務省当局として、また取締り当局あたりとしては、まず処罰を国としてはっきり打立てるということをやってもらった方が仕事がしやすい、事後の施策というものはそれに準じてどうにかなるというお考えを持つて、今日の悪い売春を中心とするところの地帯に対して、お当りになるのが当然だと私たちは思うのでございますけれども、しきりに福祉々々と、福祉の方を先にお出しになって、今まで刑法の番をしていらっしゃる処罰中心の、取締り中心の当局としては、非常にこの事後処置というものを気になさるのでございます。こういうことを法務省や取締り当局が非常にやかましく振りまわされる。これは婦人少年局、それから啓蒙賞伝をし、青少年を守らなければならない文部省の社会教育局の立場、言たもう一つは、就職あっせんだとか、労働基準法だとか、職業安定法だとか、いろいろの面からこれを監督しておるところの労働省あたりの立場から、もっと積極的に、取締りでなしに、福利厚生の面から、今まで真剣にとつ組んでおいでになって、ある程度の成果をあげておいでになるならば、そんなにも法務省や取締り当局はこれを振りまわせないのでございますけれども、悲しいかな御遠慮なすって、かんじんの婦人少年同や、文部省や、それから厚生省あたりがおとなしくしておいでになる。おとなしい結果、そういう面に対しての予算を、今まではたの法律に関連してお持ちになろうと思えばなれるのであります。それをおとりになっておることに成功していらっしやらないし、またとれなかったとおっしゃるのでありますが、そういうことに成功しておらなかったものですから、それをよいことにして、処罰したつて、厚生省の公衆衛生局にも、文部省の社会教育局にも、労働省の婦人少年局あたりにも、一文も跡始末をする金をやっておらない。何も方策がないといって、四省の役を一手に引受けてしまって、法務省がここに防波堤になって、皆様の口を出す余地がないようにして、何か必要以上の言論をお張りになる。ここに私は売春地帯をなくすることのできない一つの降路があるとにらんでおる。だからここで厚生省、労働省あたりは、もう少し密接な御関係をおとりになって、物心両面から国民を保護更生きせる職を持たせて、情民でないところの、勤労精神を持つたところの国民を守つて行くのだという立場から、もう少しがっちりと三省が手を組んで、法務省は取締り一本、こっちは文句を言わなくても、ほうっておいてくれといえば、何にも大きなことは言えないと思いますが、大きなことを言えないのに、大きなことを言う。その大きなことを言うについては、労働省や文部省に責任があると私は申し上げたいのでありまして、ひとつこの点、先ほど社会局長に申し上げておったのでありますが、どうぞ処罰はお家芸でやってください、こちらの福祉厚生は私たちが引受けます、こういうことをはっきりと対策協議会において打出してもらわないと、もじもじとしていらっしゃると、責任のなすり合いで、この間も平林たい子さんが言っておりましたが、どの省の役人が立たれても、私ども何分やつておりますが、金がありませんのでと、もみ手でどの局長や次官が出て来ても、みな能なし、できたらここから逃げ出したいというような態度をとっていらっしやるのでありますから、なだめたり、すかしたりして対策協議会へ持って行っておるのだ、こういうことを言っておるのであって、こんなことなら、国民の税金で大勢の官吏を置いてもらう必要はないので、まことに失礼でありますけれども、何のためにいてもらうのかわからないくらいですから、そこはひとつ局長としても十分お考えになっていただくように、私お願いいたしまして神近さんに譲ります。
#18
○小林委員長 神近市子君。
#19
○神近委員 婦人少年局の方にお尋ねいたします。今の身売り防止金のお話は三億でございましたね。
#20
○藤田政府委員 三億三千万円です。
#21
○神近委員 それは前に私どもうわさに承っておりましたけれども、二十六年でありましたか、労働大臣からの諮問がありまして、いろいろ御研究になって、二つか三つ方策をお考えになっていたようでありますけれども、身売り防止資金制度のほかにどういうことを御計画になったでありましようか。
#22
○藤田政府委員 あの当時婦人少年問題審議会が御答申くださいましたことは、たとえば昭和二十一年の次官会議の決定というもの、それをくつがえすということ、それから売春に関する単独法をつくること、それから正しい輿論を喚起すること、そういったこと、それからもちろん厚生福祉施設というものを急速考えることというような、そういう点がおもな答申内容でございまして、それを神近議員の名によって労働省の方にお出しくださったわけであります。私どもといたしましてはいろいろ防止対策を婦人少年局として考慮いたしておったわけでございまして、先ほど申し上げましたところの防止対策のほか、たとえば協助員という制度を設けまして、その協助員の最初の仕事といたしまして売春、それから人身売買の防止というものに特に力を入れるようにということを定めまして、現に八百五十名くらいの協助員が任命せられまして活動をし始めておるわけであります。また婦人少年問題審議会のおきめになりましたところに従いまして、いろいろと啓豪いたしておりますし、同時に調査を続けておりまして、ここに持つておりますような年少者の不当雇用慣行といつたものも、その後の経過といたしまして調査して、その結果を発行いたしておるわけであります。
#23
○神近委員 八百五十名の協助員制度だけが、さしあたりおできになる対策でございますか。
#24
○藤田政府委員 私どもといたしましては、昭和二十八年度また昭和二十九年度におきまして、婦人少年局の予算の許す範囲において大々的に啓蒙いたしておりまして、現にただいまも六月、七月にわたりましてこの問題に関する啓蒙を去年と同様に続けますように、各婦人少年室にこのことを指令いたしております。
#25
○神近委員 去年の夏はずいぶん各県で――私もちようと全国遊説の用事がありまして参りまして、至るところでお呼出しを受けたわけです。結局そのときの啓蒙宣伝の効果が婦人たちにたいへんよく浸透いたしましてたいがいの県でその問題を取扱つておりまして、集会を持つてやつていたようでした。そうして今までこの問題にあまり熟しなかつた層の婦人たちが、ようやく基本的な問題をつかんで立ち上ろうとしております。これは一番婦人たちの関心の強いことで、子供の教育あるいは家庭の安寧というような点から一番よく理解ができる問題だと思いまして、私どもの手元にはほとんど各県からいろいろの連絡だとか、あるいは要求だとか、それから請願を取次ぐこと、あるいは署名が数十万とられているような情勢で、多分これは婦人少年局の昨年の企画で啓蒙が行き渡つた結果だと、たいへん喜んでいるわけでございます。協助員でございますけれど、その協助員の人たちはもう行動を開始しているのでございますか、いかがですか。
#26
○藤田政府委員 行動を開始いたしております。
#27
○神近委員 若干でも何かの手がかりが、この制度がたいへんよかつたとか、あるいはあまり思わしくないとかいうような手がかりか何かお感じになることがございましようか。
#28
○藤田政府委員 非常に有効だと思つております。たとえば先日群馬県下に私どもの婦人課長が参りましたときなど、協助員の方たちがもう一緒になりましてこの売春問題についての啓蒙調査をしてくださいましたし、また奄美大島などにおきましても、協助員の人が私どもの方の婦人少年室長と協力して、いろいろと啓豪になつたと語り始めております。まだ始まつたばかりでございますけれども、私どもは非常に有効な制度が打ち立てられたと思つて喜んでおります。
#29
○神近委員 それで協助員に必要でございましておできになりました予算は、どのくらいでございますか。
#30
○藤田政府委員 協働員のためのいろいろの諸経費を全部入れまして、一千万円足りませんです。
#31
○神近委員 ともかくたつた一千万円でも出ればそれだけ実績を上げるということでございますから、これは非常にいいお考えであつたと思います。
 もう一つ私が伺いたいと思いますことは、婦人労働者の逆流が盛んに行われておるのでございます。これは紡績工場なんかにおきまして、営業成績の悪いところの紡績女工さんたちの行方というようなことが問題になりますが、これがどうも接客業の方にまわつてしまう。それから行政整理や何かの状態が出まして、婦人たちが希望退職をする。これが結婚の予想のもとに希望退職をする。ところがこれは会社でも同じことでございますけれど、その人たちの行方ということを考えますと、これはどうも売春に結局はそのうちの何十パーセントかは流れるのではないかというような、勤労精神と売者精神ということは、まるでこれは対立する。片方は社会に非常に有用な働きをするものであり、片方は害毒を流すという、この境目だと思うのです。この二つの逆流するか正流するかということは、それに対しまして、婦人労働課長いらつしやらないのでちよつとどうかと思いますけれど、その関係につきまして、売春が勤労精神を圧迫し、婦人の労働を圧迫すると同時に、男子の動労精神にも圧迫が加わつている。楽をして食べられるならその方がいいというのが、今日犯罪を相当助長してるんじやないかと思いますけれど、何かそこらにも現象として御調査になつたところの結論がございますかしら、ちよつと伺わせていただきたいと思います。
#32
○藤田政府委員 ただいま神近議員のおつしやいましたような調査は、今のところまだございません。私どもといたしましては、いろいろとたとえば女子の定年制の低下とか各種の問題につきまして、婦人少年室長を通じまして、ただいま婦人労働課の方でどんどん資料を集めております最中でございますけど、そのほかにただいまおつしやいましたことにやや関係があるかと存じますけれども、私どもといたしましては、未亡人の方の調査をただいまいたしております。未亡人は御承知の通り、非常に生活が苦しく、子供をかかえている人たちがやはり売春婦に陥るなどというような危険がないわけでもございませんものですから、今年度といたしまして未亡人の職業の調査をいたしておりましてまたただいま婦人少年問題審議会の婦人労働部会におきまして、未亡人の調査をもととして未亡人の適職委員会をつくりまして、未亡人のための適職を求め、そうして何とか方法を講じて未亡人たちが少しでも楽になるようにいたしております。それと関係いたしまして、内職の調査もいたしております。御趣旨に合わないかとも存じますけれども、そういうようなことをいたしております。
#33
○神近委員 今ここにも全国婦人福祉施設連合会というところから要望書が参つております。これもやはり売春処罰法と同時に、婦人福祉法というものを制定してもらいたいという御要求で、まだその全部を拝見いたしませんけれど、婦人福祉法という考え方は非常にけつこうであるし、私どもも処罰一本で行こうという考えは決してないのでございます。ただ実際技術士まず売春を処罰しておいて、禁止しておいて、そしてあとの対策をする。これはアメリカの現行法の場合にも、一番初めに処罰法が、禁止法が出まして、逐次いろいろの施設が出て来たという事実を私どもも存じておりますし、それからこないだ救世軍の瀬川先生がおいでになつてお話くださいました場合にも、児童福祉法の例をおつしやつてくださいました。児童福祉法が出たことによつて民間団体が非常に急速にいろんな施設をつくり、あるいは団体をつくり、協力団体をつくり、そうして今日のような児童福祉の方面に向つて進むことができた。この法律を早く制定していただけば、必ずそういうふうな協力団体ができ、また今堤委員からたいヘんこつぴどくいろいろ批判されているお役所、それに随伴する仕事に関係のあるお役所も必ず動き出してくださることと、私どもはそういうものを予想しているわけでありますけれども、その点で、この法律ができれば協力する――さつきの一億三千万の予算の場合でございますけれども、そういう輿論が熟さなかつたということをおつしやつていらつしやいましたが、こういうものができ上ることによつて輿論がわき立つ、瀬川さんはそういう意味でおつしやつたのです。そういうようなことを予想できますか。そうしてこれが通ることによつて、大体ほかの法律に相当強力なバック・ボーンとなることができるのじやないかということをやはりおつしやつておりましたけれども、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
#34
○藤田政府委員 私はもちろんこの法律が通過いたしましたときに、そしてまた通過いたしますまでの過程において、輿論が今よりもずつと強くなるだろうと信じます。第二にこういう法律があれば予算の点がとりやすいかというところの御質問かと存じますが、先ほども申し上げました通り、私の経験は非常に短かいものでございますけれども、私といたしましては、日本におけるところの予算の立て方、またその成立などを考えまして、法律がありますときに予算をとることは私たちは非常にやさしくなるだろうと思つております。私の短かい経験でございますのでどうかと思いますが、私はこの二の点について神近議員と同じように考えております。
#35
○堤(ツ)委員 社会教育局長をあまりとつちめると悪いですけれども、二、三お尋ねいたします。それはもう少し積極的にあなたの方で青少年の啓蒙教育を、社会教育局としてなさるようなお金は何とかならないのですか。たとえば、私がこの売春だけの問題について文部省に積極的にやつてもらいたいのは、農村の方へ行けば、逆に都会にあこがれて、とんでもない都会の恐ろしい穴に落ちて来るわけです。それから都会の中に呼吸しておる青少年たちは、知らず知らずのうちにこの中に感染してしまつて、自分では不感症のようになつておりますけれども、環境上だんだん悪の道に落ち込んで行くわけです。そういうものに抵抗する自主的な考えを青少年に生ませるために、啓蒙教育というものは社会教育局がもつと責任を持つておやりにならなければならぬと私は思うのですが、そういう予算がないのでしようか。たとえば、具体的にどういうことがしてほしいか申し上げましようか。未成年の喫煙、タバコをのむということは医学上から見てどういうふうに害があるのだということを、ぱつと一目見てわかるような教育がもつとできないものだろうか。それから酒も同じです。それからヒロポン、それから売春地帯というものを分析して、健全な社会にどういう害を及ぼして、どういう果てになつているか、それと正常な結婚と正しい性教育、こういう面の問題について、学校などでは望み得ないものをあなたの方でもう少し積極的におやりになれるような予算を組んで、もつと街頭に進出してやつてもらわなければならぬと思うのです。たとえば宣伝カーで青少年に呼びかけるとかいうことはできないのですか。そういうことを文部省がおやりになつていることを見たことがない。何にもせずに、しようがないと思つて捨てていらつしやるような気がするのですが、その辺の予算はどういうふうになつているのですか。純潔教育のことを先ほどしきりとおつしやつておりましたが、純潔教育の問題について地域青年団か何かを対象として、パンフレットをつくるとか何かそういうことをおやりになつているのではないかと思いますが、私たち地方へ参りましても、文部省の方から派遣されたところの純潔教育指導者、または適当な講演者、または適当な医学博士てな人がまわつていらつしやるようなことを見たことがないのです。お金がないからまわれないのかもしれませんが、その辺はどうなつているのです。じつとしているじやありませんか。私は少しも納得が行かないのですが……。
#36
○寺中政府委員 さつき堤委員からお話がありましたように、この売春の問題は婦人の教育であると同時に、その対象になる青少年の教育でございまして、そういう意味では社会教育全体の問題でございます。青少年教育に関しましては私ども一番関心を持つていることで、これは売春対策ということに限定はいたしませんが、青年層の教養を高め、そして道義的にもまた文化的にも高いものにするということのために、たとえば青年学級というもののための補助金を、これは法律もつくりまして従来から見ますと相当画期的に増額されて来ておりますし、また公民館というものの奨励によりまして、各地でそういう教育をする場が与えられ、また図書館、博物館の問題あるいは学校開放講座の問題等、主として広く青少年を対象にした教育施設につきましては、及ばずながら力を入れているつもりでございますし、また特に青少年の中でも少年の部類でございますが、少年が卑猥なる風紀に染まないようにするために、たとえば児童愛護班というようなものを奨励いたしまして、学校へ行かないひまな期間、夏休みというようなときに各地で地方の指導者によつて健全な紙芝居を見せる、あるいは音楽指導をやる、あるいは歌唱指導をやる、これらのレクリエーシヨンを通じて正しい社会生活になれるように指導もいたしている次第でございます。そういうふうなことでありまして、総合対策というような意味では及ばずながらいたしております。ただ売淫の禁止という立場に限定をしてその教育内容を盛るというようなことになりますと、教育内容そのものをあまり限定するということは社会教育上おもしろくありませんので、広い立場から教養を高め、文化を高めるという方向に行くように、レクリエーシヨンあるいはスポーツあるいは図書館活動、読書活動というふうなものの奨励に努力するということで努めて来ておるような次第でございます。
#37
○堤(ツ)委員 まあぽつぽつおやりになつておるのは、今の御答弁でそうおつしやられれば、私たちもああいう村のああした行事があなたの方から尾を引いておるのだということを思い当ることなきにしもあらずでございますけれども、この刺激のひどいところの大都市と農村とはおのずからかわつて来る、従つてこれは方法についても考えてもらわなければなりませんが、私があなたの方に非常に求めたいのは、この間二、三日前三田の警察署の前を通りましたら、ヒロポンは民族を滅ぼすとかなんとか、警察の表に土つております。ところが私たちはこれを警察から言われるというよりも、青少年に対してもつと医学的、道徳的、教育的な見地から言つてほしいのです。私たちは家庭で子供を教育するにしましても、頭から子供をしかりつけるよりも、わけを言つて子供が納得がいつて悪いことをやめるという方法によつて持つて行くのが賢明な方法であります。何か警察でスローガンを掲げてやられると、これは犯罪に関係するからやめなければいけないのだという響きが強くて、効果が薄いと私は思うのです。あなたの方は社会教育の面を担当していらつしやるのだから、こういうものは大都市は大都市、農村は農村で、手をかえ、品をかえてもう少しやつてもらいたいと思うのです。それで予算を私は詳しく検討してなくて申訳ないのですけれども、あなたの方では、私は先ほどからちよつと触れましたけれども、もう少し取締り当局と手をつないで、あの大都市の映画館、それから売春地帯、いかがわしい旅館、それからパチンコ屋とか、競馬、競輪とか、モーター・ボートの競走場、ああいうばくちを打つようなところなんかに、ただ取締り当局の目でなしに、社会教育の面から、文部省の第一線というものが、青少年を守る意味で、矯極的にああいうところへ現われてくれなければうそだと私は思うのです。それは予算がないからとおつしやるかよしれませんけれども、あなたの方に争ういう企画がないのじやないかと思えのです。プランがなかつたら、政府から何もよけい金は出ませんよ。ですから私は、ただ局長のあなただけを責めるのではありませんけれども、文部省というところは大体にそういうふうにデレンとしていらつしやるのじやないかしらと思うのです。先ほどから聞いておりましたけれども、純潔教育、性教育にしましたつて、いつから御計画になつたか知りませんけれども、七会通りでき上つた、そうしてまだ発表するに至らないと言うが、一体いつでき上るのでしようか。教育勅語を廃して敗戦後の日本の新しい教育に切りかえてからもうこれで何年間でしよう。反動内閣の手によつて、また教育制がへわつて来て、社会科なんか抜けようとしているのでしょう。計画が七分通りも立たぬうちにまた違う波が寄せて来て、また文部省は砧然としてただいたずらに手をこまねいていらっしゃるというようなことでは、私は青少年に対する責任が持てていないということをくれぐれも申し上げたいのでありまして、ひとつこれから予算ととつ組まれますとき、そういう点の計画を立てられますときには、こうした親の気持があるということ、社会の要請があるということをひとつ心にとめていただいて、新しいプランを考えていただきたいということを、私はお願い申し上げておきます。
#38
○神近委員 私も関連して。問題は全然別でございますけれども、社会教育の方針あるいは青年学校に与える教科書などについては、あまり広汎にわたるわけに行かないので、売春問題なんかは扱えない、こういうことを今あなたはおっしゃった。しかしこれは、道徳面からはお扱いになれるはずだと私は思う。だけれど、禁止法がないためにこれが犯罪的な事実だということが書けないとおっしゃるのですか。各方面にわたるわけには行かないというふうなことを今おっしゃったのですが、たとえば営業者に対する御遠慮があってこれをはっきりと書けないというふうな意味だつたのでしょうか、どういうことだつたのでしょうか。
#39
○寺中政府委員 私が申し上げましたのは社会教育のやり方といたしまして、個々の事実あるいは個々の項目にわたる教育内容を指定して教育するというようなことはあまりいたしておらないのでございまして、と申しますのは、社会教育上の方針といたしましては、やはりさっき堤委員からお話がありましたように、自主的にものを考えて自主的に行動する、こういうことが勉強したいからこういう方法について教養を高めるというような青少年自体の要望に従ってその教育を与える、あるいは相互に教育する、みずから努力して読書に親しむ、そういう方向で社会教育を持って行きたいということで努力をいたしておる次第でございます。そういうことでございますので、たとえば売春問題に限定をいたしまして、医学的見地からあるいは道徳的見地からこういう内容のものを教えるというようなことは、あまりいたしていない。もしそういう内容を限定するようなことをあまり強烈にいたしますと、教育統制というような関係にもなって参るわけでございます。ただ純潔教育の問題に関しましては従来あまり教育問題として取上げられていないものでもございますし、この取扱い方は非常にデリケートでありまして、もしそのやり方が悪いとむしろかえって逆効果があるというような点が多いと思うのでありまして、これを受ける青少年としては非常に興味を持つ、興味を持つことによってかえって誤った道を教えられるというようなことがなきにしもあらずでありますので、そういう意味で、教え方であるとか、教える内容であるとか、その組織であるとかいうようなことを審議会によって研究していただきまして、その成案を得たいということで努力をいたしておるのでございます。
#40
○神近委員 その審議会といろ名前はしばしば伺つております。私は、純潔教育という名前から、いつもひどく片寄ったごく狭い範囲の教育のような感じを受けておるわけでございますけれども、結局それは性教育に対することを審議していただいておるわけですか。
#41
○寺中政府委員 純潔教育という言葉の内容は、性教育ということが中心でございますが、性教育と申しましても、もう少し広く医学的見地から、あるいはもっと広い見地からも考えられますが、さらに道義的な面あるいは男女の関係の礼儀、また広く文化的な面からいたしましても、ともかく主として男女問題に関する医学的な道徳的な文化的な関係の教育を総称して、純潔教育というふうに考えておりまして、総合的な見地からこの教育内容を構成して行きたいと考えておるのでございます。
#42
○神近委員 もう一点だけ。あなた方が性教育についてもう長いこと審議をなさつて、どうしていいか、こうしていいかと思つてもやもやしていらつしやるうちに、もう性教育は社会的には至れり尽せりの教育が行われておると私は感じます。私の一番憤慨いたしますのは、横須賀に視察に参りましたときに、学校のある石垣の下に商売宿があるのでございます。ここはえらいところだ、学校の門はどっちにあるか知らないけれども、学校の石垣の下に、こういう商売の家がべったりあって、子供たちはどうするのだろうというようなことを感じましたら、それはもう至るところにあって、どこか一つの学校はとうとう――これは私立の学校のようですけれど、経営ができなくなったということをこの間横須賀の方がおっしゃっておりました。そうして何かPTAのような会がありまして、そこの取払いを決定したのだそうでございますけれど、どうしてもそれを遂行することができないで、学校の方が逃げ出さなければならないという事情に立ち至っているということでございました。大体学校の何メートル以内において営業をやってはいけないという規定があるはずなんですけれど、学校の軒下にそういう分業所が現われたというようなときに、それに対してあなた方はどうすることもできないのでしょうか、何らかの方針を立てるとか、あるいは強力な勧告をするというような権限は与えられていらつしやらないのでしょうか、それを承っておきたいと思います。
#43
○寺中政府委員 学校の環横整備ということは非常に重大な問題と考えておるのでございまして、もし学校の附近にそういうあいまいな商売をやる者が新しくできるという関係になりますれば、これは警察関係あるいは建築許可の関係と連絡いたしまして、そういうものができないように措置することをぜひいたさねばなりませんし、またそういうことで予防した事例もあるかと思うのであります。今売春取締り関係の法案が問題になっておりますが、この売春行為を全然禁止するということになりますれば問題ないのでありますが、もし臨時的にでも部分的に残すというようなことがかりにありとしますれば、その期間の措置といたしまして、法卸的に学校環境の場所にはそういうものの実現を食いとめるようた措置もその中に考えていただくように話合いをいたしておる次第でございまして、われわれといたしても、この環境整備の問題は特に重要に考えている次第でこざいます。
#44
○神近委員 それでは今のお話は、この法律ができればそれができるとおっしゃるのですね。そうして、そうすればこの法律は、学校教育にもたいへんよい関係を生み出すというふうに今おっしゃったのでしょうか、それをちよつとはっきり……。
#45
○寺中政府委員 大体そういうことでございまして、新しいこの関係の法律ができますときには、学校環境の保持ということに関係する事項もぜひ入れていただくように私どもとしては話合いをいたしております。
#46
○神近委員 そうすれば、私は前半を伺っていなかったのですけれど――一向この法案に賛成しないようなのらりくらりしたことをおっしゃったというようなことを今おっしゃっていたようですけれど、そうすれば、道徳的な意味合いでもぜひともこれの成立することを望むくらい言っていただいてもいいんじゃないかと私どもは思いますけれども、それは言えないでしょうか。
#47
○寺中政府委員 文部省といたしまして、この法律が成立することが困るというようなことを申し上げたことはございません。この成立に非常に賛成いたしております。ただいま堤委員から福祉施設が先か禁止が先かというお話がございました。私どもは、これはもちろん両方併立すべきものであると思いますが、少くとも大前提として、この売春行為を禁止するということが掲げられますことは、教育の面から見ましても当然であると考えますし、そういうことができましたときに、私どもはその線に協力をして教育問題も考えて行くというふうにいたしまして、予算的にもあるいはその他の方策の面でも、この原則に一致するような対策を立てて行きたいと考えております。
#48
○神近委員 ありがとうございました。それで安心いたしました。ともかくお役人の傾向は――やはりここに御説明を承って、私どもの言い分も申し上げなくてはならないので、その点はつきりしていただいたことはたいへんありがたいと思います。施設の問題でございますけれども、私ども今日そういう商売をしている婦人たちは約四十万、五十万とふんでおります。この人たちの救護施設はたいへん大事ですけれど、この影響は四十万、五十万、六十万の人どころでない、数百万の子供たちにわたり、そうしてまたその影響は民族全体にわたるのですから、泣いて馬謖を切るという言葉がありますけれど、ある程度犠牲を忍んでいただくことが必要だと考えておりますので、その点私どもが無慈悲なことを考えているのでないということを理解していただいて、全面的に私どもの何を支持していただきたいと思います。ありがとうございました。
#49
○小林委員長 藤田政府委員から、今まで発言された点について訂正したいことがあると言われますから……。藤田政府委員。
#50
○藤田政府委員 おしかりを受けるのでありますげれども、予算の点が間違っておりました。協助員の予算を私一千万円と申しましたのですけれど、たった三百万円でございます。ですけれども、協助員はそういう問題を超越して非常に働いていてくださいますことを御報告して、訂正さしていただきたいと思います。
#51
○神近委員 私どものこの法案提出の二つの柱は、ああいうふうな社会的な意味で凌辱されている婦人たちの人権問題と、もう一つは、性病は日本の民族に影響するところがたいへん大であるという考え方、この二つの考え方からどうしてもここらで早く手を打たなければならないということ、これが二つの柱でございますけれど、今の性病予防法を読みますと、ちゃんとそれも民族の将来のことを考えてうたってあるわけでございます。いろいろ私ども見聞した範囲内でございますけれど、おそらくこの法律は、たとえば一〇%か二〇%しか活用されていなくて、あとは死文化しているのではないかという疑いが起るわけでございます。それでいろいろ伺ってみたいと思うのですが、予算の面から、あるいは人的の面から、あるいは時間的の面から、今どこに最も力を入れておいでになるか、それを最初に伺っておきたいと思います。
#52
○山本説明員 御説明申し上げます。ただいま性病予防法につきましてお話がございましたが、私どもの性病予防活動は、現在大体三つの大きな区分に従ってやっております。第一が保健所におきまする性病予防活動でございます。それから第二は性病病院、診療所の運営の面でございます。それから第三が売淫常習者に対します健康診断と治療の問題でございます。大体この三つに大きくわけて申し上げたいと思います。
 簡単に御説明申しますと、第一の保健所におきまする性病予防活動の一番の主眼は、患者をどうして早期に発見するかという、患者の早期発見がまず第一でございまして、これにつきましては、現在患者に対しましていろ  思想普及をいたしまして、罹患したような疑いがあれば、できるだけ早くそういう診療機関を訪れるようにという思想普及、つまり衛生教育でございます。それから患者が発見されました場合には、いかにしてたやすく治療を受けさせるかという点でございまして、これにつきまして無料治療とか減免治療とかいう面を、非常に困難がございますが、活用いたしております。第三に、やはり先ほど触れました衛生教育でございますが、性病の恐ろしさを一般の方々によく認識していただいて、どうしたら性病にかからないで済むか、あるいはかかった場合にはどうしたら一番早くなおるかというふうなことの思想普及をやっております。
 それから第二の大きな項目の売淫常習者でございますが、これに対しましては、現在まだいろいろな困難な面がございますが、できるだけたくさんの売淫常習者を強制的に健康診断いたしまして、発見されました人は治療機関にゆだねまして、感染源を除去するということに努力いたしております。
 それから第三の病院、診療所でございますが、現在全国に約三十の性病病院、そのほか診療所がたくさんございますが、ここはやはりこういう発見された患者さんの治療をいかにして徹底して行うかという面に努力しております。大体この三つが主眼でございます。
#53
○神近委員 この法案が出ましてから、警視庁の方々のお話を伺いますと、検挙が非常にむずかしいということが一つの隘路になるわけです。予算が少い、人間が少い、この実態の把握がむずかしいということがいつでも問題になって、そうしてたとえば法務省の売春対策協議会、あるいは警視庁、国警の反対の理由は、いつでもそれが言われている。今日では弊害のはなはだしさをお認めになって、大体これはどうしてもやらなければならないということに御賛成になっているようですけれども、私どももその点で人権を蹂躙しないで検挙するにはどうしたらいいかというので、この間人権擁護局長にもおいでをいただいて、どの程度からが人権蹂躙であり、どの程度までが保護であるかということを伺ったわけですけれども、これによりますと、私には非常にいい言葉が書いてあるのです。「性病にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者」という言葉が方々に繰返されているわけですが、「売いん常習の疑の著しい者」というのはどういう材料から認定していらっしゃるのでしょうか、それを伺わせていただきたいと思います。
#54
○山本説明員 今御指摘がございましたように、この性病予防法の第十一条の条文は非常に人権を擁護するようにできておるわけでありまして、その反面また純性病予防だけの見地から行きますと、逆にこの条文のゆえにやりにくいものが多々あるわけでございます。現在大体基準としておりますことは、これは公式のものではございませんが、法務省の刑事課あたりと相談いたしてやっておりますのは、大体次の五つの項目の二つが満たされる場合には、一応十一条の売淫常習と認定をしていいのではないかという見解でございます。その五つと申しますのは、第一には接触者調査によりまして前もってその人が一回相手方となったということが立証されていること。それから第二には、一定の場所に一定の女の人が何日間もうろついているという場合には、性病予防吏員がそれを日誌か何かにつけておきまして、それをいわゆる記録として保存しておいたような場合に、これが一つの立証の根拠になるということでございます。第三には、たとえばあるホテルへ売淫常習者が客を連れ込んで、そこで売春行為をしております場合には、そのホテルの管理者からその女がたびたび客をかえてその部屋へ連れ込んで来るというような立証があった場合に、これをやはり一つの根拠とみなし得るという見解でございます。それから第四には、たとえば自宅等におきましてそういう連れ込んだ客等につきまして売春行為をしております場合にも、その近所の人のそういうような証言があれば、やはり一つの推定の根拠になし得るということであります。第五には、何年何月から大体こういうような行為をずっとやっているという本人の自白があれば、これも一つの推定の根拠になります。大体この五つのうちの二つが満たされれば一応認定の根拠になるという見解をとっております。
#55
○神近委員 それでたいへんよくわかりました。私は外国の法律のことでだけそれを考えていたので、よくわかりました。ただ管理人ないし旅館の持主、そういうものが不特定の相手とときどき来て泊るというようなことをあっさり言うような場合がございますか。どうせ同じ利害につながっている人ですから、そういうことを言うことはあるまいと思いますけれども、そういうこともあるわけでございますか。
#56
○山本説明員 全国的な実情はよく存じませんが、東京都内の場合ですと、今御指摘がございましたように、そのホテルの管理者の例と、それから近所の人が証言する場合ということはほとんどない現状でございます。実情としましてはそうでございます。
#57
○神近委員 それから第五点の本人の自白ということもないと思いますし、それから第一項の、相手方になつた者がたとえば医者なら医者に行きまして、私はこういう者に病気をうつされた、伝染させられたというようなことを申し出ることもあるわけですか。
#58
○山本説明員 ございます。性病予防法の第六条で、接触者調査と呼んでおりますが、医者は患者からその感染源を聞きたださなければならない義務を持つておることになつております。
#59
○神近委員 私どもは、警察の方々が検挙のむずかしさをおつしやるときに、この法律を十分読んでいないで、外国の法律のことばかり考えていていろいろ申し上げていたのですけれども、それで、この点までは人権蹂躙に当らないという御解釈でいらつしやるわけですね。
#60
○山本説明員 先ほど申し上げましたように、これはいわゆる絶対的な公式なものではございませんですが、大体法務省あたりの法律の専門家の御意見によりまして、ここまでは一応人権蹂躪にもならないし、また性病予防法上からいつても最小限度の目的を達せられる限界の線にならないかというふうなことでございまして、この二つの点から、大体私どもの方としては、専門家の意見を聞きまして、人権蹂躪にもならないだろうというふうに考えております。
#61
○神近委員 それで、この規定の中には、そういう人を診察した医者が届出を怠つたというような場合の罰則があるようですけれども、大体花柳病のお医者さまというものは、売春の人たちと組んでいるということが常識的に考えられて、あらゆる脱法的なことをやつているということが考えられているわけですけれども、これは相当届出がございますでしようか。あるいは、これを怠つたことが発見されて罰を受けるという案件が相当あるでしようか。たいへんやつかいなお尋ねをいたしますので、一般的な御見解でもけつこうでございます。
#62
○山本説明員 御説明いたします。昭和二十七年の例で、ちよつと古くて恐縮でございますが、全国で一年間に届け出られました患者が二十二万四千名ございます。そのうちで接触者調査のその相手方が医者から届け出られたのが四万四千九百二十五名でございます。ですから、大体五人のうち一人くらいが届け出られまして、あとの五人のう四人が医者がいろいろその患者に聞いたけれどもはつきりしなかつたとか、あるいはその本人の答えた答えの内容がとるに足らぬというふうに推定されて、医者から接触者として届け出られなかつたものでございます。
#63
○神近委員 私どもは、こういう性病の蔓延というものは大体売春から起つているということを考えているわけですけれども、その点で、家庭の人がそういう病気を受けて知らないでいるという場合もあると思いますけれども、大体これの蔓延の過程は売春だというように考えているのですが、今までお扱いになつた問題で、私どもの認定というか考え方というものが誤つていないかどうかということがおわかりにならないでしようか。
#64
○山本説明員 これもやはり昭和二十七年の例でございますが、厚生省で感染源別の性病患者数という統計をつくつております。これは、接触調査のときに、あなたはどういう種類の人から移つたかということを医者が聞きまして、その感染源を六項目にわたつて分類したものでございます。これによりますと、男子の性病患者の七二%が売淫常習者から移つたという資料が出ております。
#65
○神近委員 その場合、婦人の、たとえば主婦のような場合はどういうふうになつておりますか。
#66
○山本説明員 これは統計資料が不備な点がございまして、男と女に簡単にわけましたので、主婦がどういう人からうつるかということの資料がございませんですが、ただ御参考までに申し上げますと、一昨年昭和二十七年に、東京都で、女というものの中から売淫常習者を全部抜きましてと申しますのは、男と女とわけてございますが、女の中の大部分は売淫常習者でございまして、この相手方は当然客になるのでございますが、これでは家庭の主婦のごとき一般の婦人の感染源がわかりませんので、それを全部抜きまして調べますと、夫からうつつたという方が、売淫常習者を抜いた御婦人の中の四五%ぐらいを占めておるようでございます。
#67
○神近委員 その四五%のあとは遺伝でございますか。あるいは環境、たとえばおふろだとか、そういうところから来たものなんでしようか。遺伝も多少はあつたのでしようか。
#68
○山本説明員 遺伝もございますが、多いのは――分類の仕方がおかしいのかもしれませんが、大体友人あるいは恋人、これはその他の欄になつておりますが、そういうものがそれに次いで多い比率を示しております。
#69
○神近委員 私どもはいろいろな文献を読みましたが、しろうとの、たとえばごく軽度の初歩で治療されたものはなおる。だけれど、売春婦というような人の病気はなかなかなおらない。なおつたように見えても、もつと精密な検査をすれば必ずそういう菌が出て来るということを聞いたことがございますけれども、大体どういう目安で病気がなおつたというふうに言つていらつしやるのでしようか。
#70
○山本説明員 御説明いたします。これは性病の種類によりまして違うのでございますが、まず性病の中で一番大きいのが梅毒でございまして、これにつきましては、今御指摘がございましたような大きな問題が現在残つております。これは、全部の梅毒の約三〇%が抗療性梅毒と申しまして、要するに治療が遅れたために、それ以後いかに治療しても治癒し切らないという梅毒でございます。これにつきましては、現在、ペニシリン、オーレオマイシン、クロロマイセチンと、非常に新しい抗生物質がたくさんできておりますが、かかつてから四年以したつたいわゆる晩期梅毒になりますと、その中の多くのものが治療に抵抗するような状況になりまして、いかに治療しても十分なおり切らないというような実情でございます。
 それから淋病につきましては、これも今御指摘がございましたように、急性の淋病であれば、現在はペニシリンによりまして非常になおりがよろしゆうございますが、これがこじれまして、合併症と申しますか、前立腺とか内部の方にまで菌が巣食つた場合には治療が非常に困難な実情になつております。
#71
○神近委員 性病の恐ろしさというものはよくわかるのですけれども、四年以上治療を怠つて痼疾になつた場合、そういう人たちの菌はやはり強烈な伝染性は持つているわけですか。
#72
○山本説明員 これは、現在草間的にも非常にまだわからない領域が多いのでございますが、どのくらいの比率といことは、いろいろの学者の御意見でもはつきりいたしません。晩期梅毒になつて来ましても、御存じと思いますが、顕性梅毒というのと潜伏梅毒と二つの種類がありまして、皮膚なんかを見てすぐ梅毒とわかるような症状を呈します場合と、四年たつてみても骨とか内臓あたりで、見かけの上では何にもない晩期の潜伏梅毒という二つの型があるわけでございます。
#73
○神近委員 伝染性の有無と、もう一つ、そういう病人は、何ともないような状態にいても、精神系統の病気や何かの余病を発するおそれがあるかどうか、御存じないかということであります。
#74
○山本説明員 晩期になりましても顕性梅毒でございますと、伝染力は非常に強うございます。現にそこにできております潰瘍とか傷あたりからスピロヘータが排出しておるわけでありますし、それから晩期の潜伏梅毒といいますと、感染力が非常に薄いというのが現在学問上の定説であります。しかしながら例は非常に少いのでございますが、晩期の潜伏梅毒で、見かけ上何もないのに、その方が一家の主婦であつた場合に、その母体から生れた子供がやはりはつきりした先天梅毒を持つて生れたというような徴候も、これは外国の例ですが何件か報告されておるような実情であります。
#75
○神近委員 それで問題が元に返るわけですけれども、今赤線区域というものは認められていない、黙認で行われているところです。この地区に対する検診というものは法的に行われていないわけだと私どもは考えるのですけれども、それはどういうふうになつておりますか。
#76
○山本説明員 今神近委員から御指摘がございましたのは、私の方で若干弁解と申しますとなんですが、この赤線地区に対しましては、現在衛生当局が全然検診をやつていないことはないのでありまして、現にこの第十一条の条文によりまして赤線地区に対しましても相当の数やつております。たとえば昭和二十八年の例でございましても、大体年間八万六千ばかり十一条に基きましてやつておる実情でございます。
#77
○神近委員 そうするとたとえば芸者町のようなところにもこの条文によつて検診が行われているわけでございますか。
#78
○山本説明員 芸者町の例は全国的には申し上げられないのでありますが、たとえば、御存じだと思いますが、北海道のようなところでは、いわゆる芸妓という名前で呼んでおりますが、事実上昔でいういわゆる娼婦のような例がございまして、こういうふうなものに対しましては、普通の赤線と同じように健康診断を実施しておるのであります。名前だけがいわゆる芸妓ということであります。ただ東京都内のいわゆる新橋とか神楽坂とか赤坂とか、そういう地区につきましては現状としましては衛生当局の手による健康診断は、年に二回指導検診と申しまして、業者の方々のところの、組合の診療所でやつておられる健康診断に衛生当局が立ち会うという検査の仕方を年に二回程度やつております。
#79
○神近委員 年に二回でございますか、それは私ども少しよくないのではないかと思います。ほかの場所は週間何回ぐらいでございますか、たとえば赤線地区と言われるようなところは……。
#80
○山本説明員 これも各都道府県によりまして非常にまちまちございますので、一般的なことは申し上げられないのでございますが、大体ごく全国的な、ただ統計の上からだけ申し上げますと、非常に多くやつておりますところと、それから今申しましたように年に二回程度しかやつておらないところとがございますが、全国を平均いたしますと大体二、三週間に一回くらいになるのではないかと思われます。
#81
○神近委員 それからそういうところには自治体の出資による施設を持たなくちやならないけれど、いろいろの場所に行きますと自主的にその場所でつくつている病院あるいは診療所があるわけでございますね、それは十六条の委託というような施設になるわけでございますか。
#82
○山本説明員 十六条にございますのは、これは都道府県やあるいは市町村が建てておりますものだけ、そのほかに第三項には代用病院がありますが、この中にはいわゆる業界の組合が建てておられる診療所は全然含まれておりません。
#83
○神近委員 それは認可も何もないのですが、どういうわけですか、それは代行するからそこでの診療と手当を許しておけるわけでしよう。そうして芸者町で年に二回お立会いになるという労もとつていらつしやらないのでしようか。
#84
○山本説明員 この業界の組合がやつております診療に対しても、今申しましたように、大体二、三週間に一回と申しましたのは、業者の方で検診をやつていてもいなくても、それと関係なしに、衛生当局がやつておるのは、全国的に平均しますとこの程度ということであります。
#85
○神近委員 それで伺いたいのですけれど、私どもが聞いておりますところでは、この予防法でしたかどつちかに、その病気がよくなるまではある程度の期間強制的にそこに入院しなければならない、医師の許可がなければ退院させられないという規定があつたと思うのですけれど、そういう場合に毎日通つて診療を受けながら同時にこれを営業するというようなことはどういうことになるのでしようか。
#86
○山本説明員 今お話ございましたように、性病予防法には必要と認めれば府県知事はいつでも続々強制治療を命じあるいは強制入院させなければならないということになつております。しかしこの十五条は諸種の事情がございまして、この適用を受ける者は数においては事実上少い数を示しておりますので、今御指摘のように、治療をしかつは商売すると思われるような現状も若干出て来るわけでありますが、ただ昔と違いまして、現在早期に淋病を治療すれば非常になおりやすいという現状にはありますので、入院しない者につきましてもできるだけ性病病院、診療所で早期になおして、商売に復帰した場合にはそういう病気を持つていないようにという治療をやつておる現状でございます。
#87
○神近委員 それでもう一点伺いたいことがあります。それは私どもこの売春処罰法の基本的な目的の一つは、性病から起るところの非常な悪い結果を避けたいという日本民族全体の健康のために考えているわけなんです。これを性病の蔓延、伝播を防止する目的で、ある程度強制的に監禁入院させることもできる、あるいは発見もできるというようなことが、これが売淫の結果であるか、あるいはただ友だち同士のそういう関係の結果であるかということは別といたしまして、売淫の現場でなければ検挙されないということが始終言われる、そうして宿屋、旅館あるいはそのほか置屋のようなところも、特別犯罪の被疑がなければ、令状がなければ検査ができないというような困難があるということをしきりにおつしやつているのですけれども、これがあれば、この売淫、この性病の発見、これに全面的な力をお尽しになれば、その原因というものはそれから起るという、そうして悪質常習者等のごときは、これによつて発見ができるということは言えないでしようか。そうして今までの役所の仕事のようになわ張り争いというようなことをなさらないで、そうして売春婦の検挙に協力するといえば、これは非常に便利でもあるし、非常に効果が上ると思うのです。性病の絶滅ということを志す上からも、この禁止法がぜひ必要だというふうに私どもは考えるわけですけれど、この両者が、並行的にこれを実施したときに検挙も非常に楽であり、そうして性病をなくす点でも非常に都合がいいというふうにはお考えにならないでしようか、ちよつと承りたい。
#88
○山本説明員 今お話くださいましたことはまつたく同感でございまして、私もそのように考えます。現在性病の感染源である売春者対策をどうする九ということは非常に大きな問題でございますが、現在売春婦の健康診断は先ほどちよつと触れましたが、大体二通りの方法で行われておりまして、第一はこの十一条に基きまして衛生当局が売淫常習者を把握するというやり方が一つと、もう一つは現に地方に施行されております売春関係の条例で警察当局の検挙した人たちを、衛生当局が性病予防の見地から検診診するというこの二つの方法が大体並行されておるわけでございます。従いまして今まで部け的にやられておりますこの条例が全国的、画一的な法律になりまして、それが名義上だけではなしに実質的にその売淫常習者を的確に把握できるようになりまして、その人たちに対しまして性病予防を徹底的にやつて行ければ、性病予防上非常に大きなプラスになるものと考えております。
#89
○小林委員長 それでは本日はこの程度にとどめておきます。
 明日午後一時半より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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