くにさくロゴ
1953/03/16 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 内閣委員会 第9号
姉妹サイト
 
1953/03/16 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 内閣委員会 第9号

#1
第019回国会 内閣委員会 第9号
昭和二十九年三月十六日(火曜日)
    午前十時五十三分開議
 出席委員
   委員長 稻村 順三君
   理事 大村 清一君 理事 平井 義一君
   理事 八木 一郎君 理事 山本 正一君
   理事 高瀬  傳君 理事 下川儀太郎君
   理事 鈴木 義男君
      大久保武雄君    木村 武雄君
      永田 良吉君    船田  中君
      粟山  博君    飛鳥田一雄君
      田中 稔男君    冨吉 榮二君
      辻  政信君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 塚田十一郎君
        国 務 大 臣 木村篤太郎君
 出席政府委員
        行政管理政務次
        官       菊池 義郎君
        行政管理庁次長 大野木克彦君
        総理府事務官行
        (政管理庁管理
        部長)     岡部 史郎君
        保安政務次官  前田 正男君
        保安庁次長   増原 恵吉君
        保安庁長官官房
        長       上村健太郎君
        保安庁局長
        (人事局長)  加藤 陽三君
 委員外の出席者
        専  門  員 龜卦川 浩君
        専  門  員 小關 紹夫君
    ―――――――――――――
三月四日
 委員早稻田柳右エ門君辞任につき、その補欠と
 して中曽根康弘君が議長の指名で委員に選任さ
 れた。
同月十一日
 委員中曽根康弘君辞任につき、その補欠として
 早稻田柳右エ門君が議長の指名で委員に選任さ
 れた。
同月十二日
 委員津雲國利君辞任につき、その補欠として木
 村武雄君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
三月十日
 行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第九一号)
同月十三日
 防衛庁設置法案(内閣提出第九四号)
 自衛隊法案(内閣提出第九五号)
同月三日
 恩給の比例増額に関する請願(中井一夫君紹介)(第二七九五号)
 同(田中久雄君紹介)(第二七九六号)
 同(福田一君紹介)(第二七九七号)
 同(塩原時三郎君紹介)(第二七九八号)
 同(小平久雄君紹介)(第二八六七号)
 同(中川源一郎君紹介)(第二八九七号)
 同(加藤高藏君紹介)(第二八九八号)
 同(松永佛骨君紹介)(第二八九九号)
 同(栗田英男君紹介)(第二九〇〇号)
 再任特定郵便局長の在職年数通算に関する請願外一件(本多市郎君紹介)(第二八四一号)
 同外一件(江藤夏雄君紹介)(第二八四二号)
 同(大久保武雄君紹介)(第二八四三号)
 同(關谷勝利君紹介)(第二八四四号)
 同(相川勝六君紹介)(第二八九三号)
 同(岡本忠雄君紹介)(第二九七二号)
 同(濱田幸雄君紹介)(第二九七三号)
 同(迫水久常君紹介)(第二九七四号)
 恩給法の一部改正に関する請願(八木一郎君紹介)(第二八六八号)
 同(福田篤泰君紹介)(第二八九五号)
 同(安井大吉君紹介)(第二八九六号)
 恩給支給促進に関する請願(八木一郎君紹介)
 (第二八六九号)
 機構改革並びに行政整理に関する請願(島上善五郎君紹介)(第二九〇一号)
 人権擁護局存置に関する請願(臼井莊一君紹介)(第二九二八号)
 農林行政の機構縮小反対に関する請願(高橋禎一君紹介)(第二九六八号)
 農林省統計調査機構の拡充強化に関する請願外二件(八百板正君紹介)(第二九七〇号)
同月五日
 恩給の比例増額に関する請願外一件(河本敏夫君紹介)(第二九八四号)
 同(永井勝次郎君紹介)(第二九八五号)
 同(大高康君紹介)(第二九八六号)
 同外四件(植木庚子郎君紹介)(第二九八七号)
 同(菅家喜六君紹介)(第三〇四一号)
 同(本間俊一君紹介)(第三〇四二号)
 同(武田信之助君紹介)(第三〇四三号)
 同(木村俊夫君紹介)(第三〇四四号)
 同(横路節雄君紹介)(第三〇四五号)
 同(小島徹三君紹介)(第三〇四六号)
 同(椎熊三郎君紹介)(第三〇四七号)
 恩給法の一部改正に関する請願(並木芳雄君紹介)(第二九八八号)
 同(小金義照君紹介)(第二九八九号)
 同(大久保武雄君紹介)(第二九九〇号)
 同(大麻唯男君紹介)(第三〇四八号)
 同(青野武一君紹介)(第三一一九号)
 同(山口シヅエ君紹介)(第三一〇号)
 同(辻文雄君紹介)(第三一二一号)
 同(吉田賢一君紹介)(第二二二号)
 同(前田榮之助君紹介)(第三一二三号)
 同(日野吉夫君紹介)(第三一三四号)
 同(矢尾喜三郎君紹介)(第三一二五号)
 同(門司亮君紹介)(第三二一六号)
 同(山下春江君紹介)(第三一二七号)
 行政機関職員定員法第三条に基く建設省職員定数規程一項の定数改正に関する請願(青野武一君紹介)(第三〇〇九号)
 再任特定郵便局長の在職年数通算に関する請願(吉武惠市君紹介)(第三〇三七号)
 同外一件(平井義一君紹介)(第三〇三八号)
 同(大橋武夫君紹介)(第三一七号)
 同外一件(坂田道太郎君紹介)(第三二八号)
 同(生田宏一君紹介)(第二七四号)
 同(大平正芳君紹介)(第二七五号)
 同(福田喜東君紹介)(第三一七六号)
 旧軍人中昭和八年徴募兵並びに志願兵に対する恩給法の特別取扱等に関する請願(田中久雄君紹介)(第三〇四九号)
 公立学校事務職員の恩給制度確立等に関する請願(椎熊三郎君紹介)(第三〇五〇号)
 同外二件(羽田武嗣郎君紹介)(第三一二八号)
 同外二件(熊谷憲一君紹介)(第三一二九号)
 人権擁護局存置に関する請願(岸信介君紹介)(第三〇七六号)
 保護関係官庁の機構縮小反対に関する請願(三鍋義三君紹介)(第三〇七九号)
 農林省統計調査機構の拡充強化に関する請願(井手以誠君紹介)(第三一〇八号)
 同(田中織之進君紹介)(第三一〇九号)
 旧軍人下級者の公務扶助料引上げに関する請願(中曽根康弘君紹介)(第三二二〇号)
 戦犯者に恩給支給に関する請願(中曽根康弘君紹介)(第三一三一号)
 食糧庁機構改革反対に関する請願(三鍋義三君紹介)(第三一六九号)
 同外一件(赤路友藏君紹介)(第三一七〇号)
同月十日
 恩給の比例増額に関する請願(風見章君紹介)(第三一八一号)
 同(久保田豊君紹介)(第三一八二号)
 同(安井大吉君紹介)(第三一八三号)
 同(芳賀貢君紹介)(第三二三五号)
 同外三件(齋木重一君紹介)(第三二三六号)
 同(中川俊思君紹介)(第三二三七号)
 同(中村時雄君紹介)(第三二三八号)
 同(大村清一君紹介)(第三二九五号)
 同外五件(坪川信三君紹介)(第三二九六号)
 同(上林與市郎君紹介)(第三二九七号)
 公立学校事務職員の恩給制度確立等に関する請願(羽田武嗣郎君紹介)(第三一八四号)
 同(山崎猛君紹介)(第三一八五号)
 同(羽田武嗣郎君紹介)(第三二三九号)
 同(中村時雄君紹介)(第三二四〇号)
 同(羽田武嗣郎君紹介)(第三二九八号)
 人権擁護局存置に関する請願(只野直三郎君紹介)(第三一九三号)
 同外一件(田中幾三郎君紹介)(第三二一五号)
 再任特定郵便局長の在職年数通算に関する請願(山崎巖君紹介)(第三二一二号)
 恩給法の一部改正に関する請願(喜多壯一郎君外二名紹介)(第三二四一号)
 食糧庁機構改革反対に関する請願(山田長司君紹介)(第三二七二号)
 同外一件(田中織之進君紹介)(第三二七三号)
 同(吉川兼光君紹介)(第三二七四号)
 同(石山權作君紹介)(第三二七五号)
 同(和田博雄君紹介)(第三二七六号)
 同(帆足計君紹介)(第三二七七号)
 同(片島港君紹介)(第三二七八号)
 農林省統計調査機構の拡充強化に関する請願(井谷正吉君外二名紹介)(第三二八三号)
 同外一件(上林與市郎君紹介)(第三三二七号)
同月十二日
 金鶏勲章年金復活に関する請願(高橋英吉君紹介)(第三三三七号)
 恩給の比例増額に関する請願(高橋英吉君紹介)(第三三三八号)
 同(田中久雄君紹介)(第三三三九号)
 同(小平忠君紹介)(第三三四〇号)
 同(坪川信三君紹介)(第三三四一号)
 同(濱田幸雄君紹介)(第三三七九号)
 同(中井徳次郎君紹介)(第三三八〇号)
 同(川村善八郎君紹介)(第三四〇九号)
 同(植木庚子郎君紹介)(第三四一〇号)
 同外一件(受田新吉君紹介)(第三四一一号)
 同(齋木重一君紹介)(第三四一二号)
 同(小島徹三君紹介)(第三四一三号)
 同(坪川信三君紹介)(第三四四二号)
 同(加藤精三君紹介)(第三四四三号)
 恩給金庫復活に関する請願(花村四郎君紹介)(第三三四二号)
 機構改革並びに行政整理に関する請願(赤松勇君紹介)(第三三七四号)
 公立学校事務職員の恩給制度確立等に関する請願(羽田武嗣郎君紹介)(第三三八一号)
 旧軍人下級者の公務扶助料引上げに関する請願外七件(安井大吉君紹介)(第三三八二号)
 人権擁護局存置に関する請願(中村幸八君紹介)(第三三九二号)
 同(中井徳次郎君紹介)(第三三九三号)
 同(佐竹晴記君紹介)(第三三九四号)
 同(飛鳥田一雄君紹介)(第三四三二号)
 同(鍛冶良作君紹介)(第三四三三号)
 同(松平忠久君紹介)(第三四三四号)
 再任特定郵便局長の在職年数通算に関する請願(麻生太賀吉君紹介)(第三四一四号)
 食糧庁機構改革反対に関する請願(足鹿覺君紹介)(第三四三九号)
 同(齋木重一君紹介)(第三四四〇号)
 東北興業株式会社強化に関する請願(只野直三郎君紹介)(第三四八四号)
の審査を本委員会に付託された。
同月三日
 恩給金庫設立に関する陳情書(東京都新宿区旧軍人関係恩給権擁護全国連合会会長柴山兼四郎)(第一三二一号)
 軍人恩給進達事務費の増額に関する陳情書(山口県知事小沢太郎)(第一三二二号)
 防災庁設置に関する陳情書(岩手県消防協会会長佐々木卯右衛門)(第一三二三号)
 北陸財務局存置に関する陳情書(石川県知事柴野和喜夫外二名)(第一三二五号)
 南九州財務局及び宮崎財務部存置に関する陳情書(大分県宇佐郡安心院町長矢野武夫)(第一三二六号)
 同(大分県直入郡下竹田村長大塚三徳)(第一三二七号)
 同(日南市長井戸川一外一名)(第一三二八号)
 農林省畜産局と蚕糸局との合併反対に関する陳情書(福島市福島県畜産指導農業協同組合連合会長草野保忠外十名)(第一三二九号)
 同外一件(福島県東白川北部畜産農業協同組合長水野艶信外三名)(第一三三〇号)
 同(群馬県養蚕農業協同組合連合会会長近藤好一)(第一三三一号)
 中小企業庁廃止反対に関する陳情書(富山県商工組合中央会会長広瀬重造外一名)(第一三四九号)
 郵政省建築部の移管反対に関する陳情書(高知県東部特定郵便局長会長岡北部会本山郵便局長杉本豊)(第一三五三号)
同月六日
 行機構改革案に伴う労働基準行政の地方移譲反対の陳情書(京都市中京区両替町御池上ル金吹町四百五十一番地京都地方労働基準審議会長末川博外五名)(第一三五四号)
同月六日
 行政機構改革案並びにこれに伴う法令に関する陳情書(徳島市徳島県獣医師会長巌詳瑞)(第一四九七号)
 恩給法の改正に関する陳情書(岡山県旧軍人関係恩給連盟久米郡支部長板倉一生外二千八百九十四名)(第一五一六号)
 農林統計機構の拡充強化に関する陳情書(秩父市長高野利兵衛外七十五名)(第一五二一号)
 同外三件(大津市長上原茂次外三十五名)(第一五二二号)
同月十日
 防災庁設置に関する陳情書(山形市旅籠町山形県消防協会長高橋熊次郎)(第一五七四号)
 恩給法の改正に関する陳情書(埼玉県遺族連合会長小竹釘治)(第一五七五号)
 恩給の不均衡是正に関する陳情書(広島市広島県退職公務員連盟会長後藤真造外一名)(第一五七六号)
 内地服役戦傷病者に対する恩給支給の陳情書(山口県岩国市黒磯国立岩国病院戦傷病者岩崎栄)(第一五七七号)
 厚生省薬務局存置に関する陳情書(下関市園田町山口県薬業連合会下関支部長森東源義外九名)(第一五八〇号)
 農林統計機構の拡充強化に関する陳情書(東京都文京区本富士町東京大学教授近藤康男)(第一五八三号)
 林野行政機構改革に関する陳情書(大津市滋賀県経済農業協同組合連合会会長谷口久次郎外十二名)(第一五八二号)
 水産行政機構の拡充強化に関する陳情書外一件(東京都千代田区麹町一丁目十二番地全国漁業協同組合連合会会長理事木下辰雄外一名)(第一五八三号)
 行政制度の改革に関する陳情書(東海北陸七県議会議長会愛知県議会議長池駒田開平)(第一六四六号)
 郵政省建築部の移管反対に関する陳情書(高知県土佐郡長沢郵便局長中野内金基)(第一六七二号)
同月十五日
 南九州財務局及び宮崎財務部存置に関する陳情書(大分県宇佐郡高並村長川野治吉)(第一八〇六号)
 東北興業株式会社の改革強化に関する陳情書(東北七県自治協議会会長山形県知事村山道雄外十三名)(第一八〇九号)
 行政制度改革に関する陳情書(福井一県議会議長長谷川清)(第一八七一号)
 公務死亡に準ずる者に対する公務扶助料の支給又は援護法の適用に関する陳情書(福井県議会議長長谷川清)(第一八七二号)
 北陸財務局存置に関する陳情書(福井県議会議長長谷川清)(第一八七三号)
 自治功労者に対する栄典制度の立法に関する陳情書(福井県議会議長長谷川清)(第一八七六号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第九一号)
 防衛庁設置法案(内閣提出第九四号)
 自衛隊法案(内閣提出第九五号)
    ―――――――――――――
#2
○稻村委員長 これより開会いたします。
 去る十日付託になりました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし、その趣旨の説明を求めます。塚田行政管理庁長官。
#3
○塚田国務大臣 ただいま議題となりました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の提案理由について御説明いたします。
 御承知のように、戦時から戦後に引続き複雑厖大となつて参りました行政を簡素化し、わが国情にふさわしい行政体制を樹立することは、政府が常に意を用いて参つたところでありまして、すでに数回にわたり行政整理を断行して、参つたのでありますが、なお現下の急務である自立経済を達成いたしますためには、できる限り行政費の節約を行うとともに、行政機構を合理化し、行政事務を簡素化し、かつ事務能率の向上をはかることが必要でありますので、昨年来内閣に臨時行政改革本部を設け鋭意これにつき検討を加えて参つたのでありますが、ここに各省各庁の定員につき、その事務の実情に応じて、人員をできるだけ大幅に縮減することといたしました
 今回提案いたしました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案は、右の趣旨にのつとり、警察制度の改正に伴う定員の縮減をもあわせて、行政機関の職員の定員を約六万人削減いたしますとともに、昭和二十九年度における各省各庁の事業予定計画に即応して、必要最小限度の増員を認め、もつて行政機関全般の定員の適正化をはかろうとするものであります。しかしながらわが国経済の現状を考えますと、一挙に大量の整理を行いますことは、いかがかと考えられますので、退職者に対しては一定期間の臨時待命制度を設け、また各省各庁の事務の実情に応じ、整理期間にある程度の余裕を与えることにより、この人員整理を円滑に行うことといたしておるのであります。
 次に法案の内容について申し上げますれば、第一に、今回の改正によりまして、第二条第一項の表におきまして、各行政機関の職員の定員の合計を現在の六十九万四千三百四十七人から六十三万三千四十九人に縮減し、差引六万千二百九十八人を減ずることといたしました。この内容の詳細につきましては、それぞれ主管省から御説明いたしますが、総括的に申しますれば、警察制度の改正に伴う縮減のほかは主として各種行政事務の簡素合理化に伴う縮減がおもなものでありまして、昭和二十九年度の事業予定計画のうち、外務省の在外公館の新設に伴う増五十六人、大蔵省の入場税の国税移管及びしやし税の新設に伴う増千百五十人、文部省の学年進行に伴う増三百九十九人、厚生省のらい療養所及び精神頭部療養所の増床に伴う増百六十一人、農林省の保安林整備対策に伴う増百人、運輸省の海上保安大学校の学年進行に伴う増八十人、郵政省の郵便及び電気通信業務等の増大に伴う増三千九百九十二人、建設省の営繕関係職員の増百三十人等必要最小限度の増員を差引いたものであります。
 なお、人事院につきましては、国家公務員法の一部を改正する法律によつて、国家人事委員会となりますので、この改正案におきましても人事院を国家人事委員会として改めた上その新定員を定めております。
 第二に、大蔵省の職員のうち、保税倉庫等特殊の場所に派出せられる税関特派職員につきましては、その特殊性にかんがみ、その定員は政令で定めることといたしました。
 第三に、今回の改正は警察法の改正を予定いたしておりますが、警察法の改正法律が施行される日の前日までの間は、現在の国家地方警察が存続いたしますので、この改正法案が施行されてから警察法施行の日の前日までの間における国家地方警察に関する必要な経過措置並びに警察庁における臨時待命の特例等について附則で規定いたしました。
 第四に、調達庁、文部省及び厚生省におきまして、事務の縮小に相当の期間を必要とするものにつきましては、それぞれの事情を考慮の上、必要な員数の定員を一定期間を限り附則で経過的に新定員に附加して認めることといたしました。
 第五に、定員の縮小に伴いまして附則で十五箇月を限り新定員を越える員数の職員を定員の外に置くことといたしましたが、これは昭和二十九年度中において人員整理を行うことを原則といたしますが、例外として事務の特殊性により来年度にまたがる場合を考慮いたし、実人員の整理を円滑に実施するための措置であります。
 第六に、さきに申し上げましたように、今回の人員整理におきましては、このたびの法律改正に伴い、定員または配置定数を越えることとなる職員で配置転換が困難な事情にあるものについて必要がある場合に臨時待命の制度を設けたのでありますが、この臨時待命を承認しまたはこれを命ずることのできる期間、その身分と職務との関係、臨時待命の期間、その効力、臨時待命職員の受けるべき給与及び恩給法上の取扱い等につきまして、附則で必要な規定を設けるとともに、臨時待命職員を定員外とする旨を規定いたしました。
 第七に、国立大学の学長、教員及び部局長にその意に反して臨時待命を行う場合には、教育公務員特例法第六条に規定する制限的規定の適用はないものであることを明らかにしますとともに、郵政、国有林野、造幣、印刷、アルコール専売のいわゆる政府五現業の職員で、労働組合を結成し、または加入できない職員が臨時待命となつた場合には、主として給与の関係から、臨時待命期間中でも組合を結成し、または加入できないことといたしました。
 第八に、会計検査院及び法制局についても、会計検査院においては予算の減少に伴い、法制局においては法制局設置法で規定する定員の縮小に伴い、配置定数を越えることとなる職員で配置転換が困難な事情にあるものについては、行政機関に準じて臨時待命の制度を設けることといたしました。
 第九に、このたびの人員整理におきましては、定員法に定める職員のほかに、地方自治法附則第八条に規定するいわゆる地方事務官及び技官についても整理を行うことといたし、また警察庁が発足いたしました場合に国家公務員である警察職員で都道府県警察に勤務する者についても整理を行うことといたしましたが、以上はいずれも国家公務員でありますので、これらの職員に対しても臨時待命を行い得ることといたし、会計検査院及び法制局と同様の規定を設けることといたしました。
 以上が、本改正法案の主要な内容でありますが、これらはいずれも現下のわが国力に相応する適正な行政機関の規模を定め、人員整理の円滑な実施を確保いたしますとともに、各省各庁の事業予定計画を確保するために必要な措置であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
#4
○稻村委員長 本法案に対する質疑は入会以後に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#5
○稻村委員長 次いで去る十三日付託になりました防衛庁設置法案及び自衛隊法案を一括議題とし、その趣旨の説明を求めます。木村保安長官。
#6
○木村国務大臣 今回提出いたしました防衛庁設置法案及び自衛隊法案につきまして提案の理由並びにその内容の概略を御説明いたします。
 御承知のごとく、保安庁は、昭和二十七年八月、当時の警察予備隊及び海上警備隊を統合して創設したものでありまして、わが国の平和と秩序を維持し、人命財産を保護するため特別の必要ある場合において行動することを任務としたものであります。保安庁は、創設以来一年有七箇月、保安庁法の規定するところに従つて、その任務を遂行するため着々諸般の整備をはかり、必要なる訓練を行つて今日に至つております。
 しかるところ、今般政府におきましては、現在の国際及び国内の諸情勢にかんがみ、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、この際さらに自衛力を増強することを適当と認めるに至りました。よつて今回保安隊及び警備隊を陸上自衛隊、海上自衛隊に改め、自衛官等の定員を増加するとともに、新たに航空自衛隊を設けることといたし、かつ、その任務として、外部からの侵略に対するわが国の防衛を明確に規定する等の目的をもつて保安庁法を改正して防衛庁設置法及び自衛隊法を制定せんとするに至つた次第であります。
 次に両法案の内容の概略について述べます。
 まず防衛庁設置法案について御説明いたします。
 防衛庁は、総理府の外局として設置するものでありまして、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つことを目的とし、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊を管理し、運営し、これに関する事務を行うことを任務とするものであります。
 防衛庁の長は、従前の通り国務大臣をもつて充てるものでありますが、今回内部部局に新たに教育局を加えますとともに、防衛庁の所掌事務に関する基本的方針の策定について長官を補佐する参事官の制度を設けることといたし、他面従前ありました内部部局の課長以上の職に対する制服職員の経歴者の任用制限は、これを設けないことといたしました。次に幕僚監部につきましては、航空自衛隊の新設に伴い、従前の第一幕僚監部、第二幕僚監部に相当する陸上幕僚監部、海上幕僚監部のほか、航空自衛隊についての長官の幕僚機関として、新たに航空幕僚監部を設けることといたしました。また自衛隊の増強に伴い、陸上、海上、航空の各自衛隊を統合した見地からの防衛計画、後方補給計画、訓練計画の方針の作成及び調整や、出動時における指揮命令の統合調整等に関して、長官を補佐することを任務とする統合幕僚会議を新設して、自衛隊の綜合的かつ有効なる運営をはかることを期することといたしました。なお、このほか陸上、海上、航空各自衛隊の所要物件並びに役務の調達の可及的一元化と能率化をはかり、建設工事等についてもこれを統一的かつ経済的に処理せしめるため、新たに防衛庁の附属機関として調達実施本部及び建設本部を設けることといたしました。
 次に国防会議について申し上げます。国防会議は、国防に関する重要事項を審議する機関として内閣に置かれるものでありまして、国防の基本方針、防衛計画の大綱、防衛計画に関連する産業等の調整計画の大綱、防衛出動の可否等に関して内閣総理大臣の諮問にこたえ、国防に関する重要事項につき、必要に応じ、内閣総理大臣に対して意見を述べることを任務とするものであります。
 国防会議の構成、運営等は、別に法律で定めることといたしております。
 次に自衛隊法案について主要な事項を御説明申し上げます。
 この法律案は、自衛隊の部隊の組織及び編成、自衛隊の行動及び権限、隊員の身分取扱い等に関し、おおむね現在の保安庁法の内容を基礎として規定したものでありますが、次に述べる任務に即応し必要な規定の追加、整備を行つております。
 まず自衛隊の任務といたしましては、わが国の平和と独立を守り国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対してわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じて公共の秩序の維持に当るものといたしまして、その防衛の任務を規定いたしました。
 次に自衛隊の行動につきましては、外部からの武力攻撃に際して、わが国を防衛するため必要があるときは、内閣総理大臣は、原則として事前に、特に緊急の必要のある場合には、事後、ただちに国会の承認を得まして、自衛隊に対し防衛出動を命ずることができることといたしました。この防衛出動時における自衛隊の武力行使は、国際の法規、慣例を遵守し、かつ事態に応じ合理的に必要な限度にとどまるべきものとし、またこの場合には、原則として都道府県知事を通じて一定地域において施設の管理、物資の収用、業務従事命令等を行うことができることとしております。
 このような事態に処して、自衛隊の防衛にあたる実力を急速かつ計画的に確保することを目的として、この法案におきまして、新たに志願による予備自衛官制度を規定いたしました。予備自衛官は、防衛出動時に、内閣総理大臣の承認を得て発せられる長官の防衛招集命令に応じた場合には自衛官として勤務し、その他の場合においては、所定の期間、訓練招集に応じて訓練を受ける以外には勤務することのない隊員でありまして、その採用は自衛官等の退職者中よりの志願により、三年を期間として任用することといたし、その手当等について規定しておるのであります。
 前述の防衛出動のほか、公共の秩序維持のため、間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもつては治安を維持することができないと認められる場合における内閣総理大臣の命令による出動、治安維持上重大な事態につき都道府県知事の要請があつた場合における出動、海上における警備行動、災害時における救援のための行動等、すべて現行保安庁法に認めていると同様の規定を設けておりますが、さりに外国の航空機が不法にわが領空に侵入した場合における必要な措置について規定いたしました。
 この法律案中に規定するその他の事項は、前にも述べましたごとくおおむね保安庁法と同様でありますが、自衛隊の指揮監督、部隊等の組織及び編成の大綱等を規定し、隊員の服務についてのよるべき明確な規定を設け、罰則を整備し、関係法律の適用について層の整理を行う等必要なる整備を行つております。なお、この法律の施行に伴い、現在の海上公安局法は、これを廃止することといたしました。
 以上今回提出いたしました法律案の提案の理由及び内容の概要を申し上げた次第であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
#7
○稻村委員長 次にただいまの二法案につきそれぞれ政府委員の補足説明を求めます。増原政府委員。
#8
○増原政府委員 防衛庁設置法案につきまして、その内容を順序を追つて御説明いたします。
 この法律案は保安庁法の全部を改正するものでありまして、本文は三章、四十二箇条、附則十六項からなつております。
 第一章は総則でありまして、この法律の目的として防衛庁の所掌事務の範囲及び権限を定め、かつての任務を能率的に遂行するに足る組織を定めるとともに、国防会議の設置について定める旨を規定しております。
 第二章は防衛庁に関する規定であります。
 その第一節は通則でありまして、防衛庁は総理府の外局として置かれ、その長官は国務大臣をもつて充てることとしております。この長官の権限については保安庁法の場合と同様に定めております。
 防衛庁の任務については、ただいま提案理由の説明に述べられた通りであります。
 次に防衛庁の職員の定員は十六万四千五百三十八人で、これは現在の保安庁の職員の定員に比しまして、四万一千三百八十六人の増加となつております。この増加のうち、自衛官の増加は三万千七百九十二人で、その他の職員の増加が九千五百九十四人であります。
 その他本節においては、防衛庁の権限、次長の任務等について、おおむね保安庁法の例にならつて規定しておりますが、ただ新たに、長官の命を受け防衛庁の所掌事務に関する基本的方針の策定について長官を補佐する参事官八人以内を置くことといたしました。また第六条においては、自衛隊の任務、自衛隊の部隊及び機関の組織及び編成、自衛隊に関する指揮監督、自衛隊の行動及び権限等については、自衛隊法で定めることを規定しております。
 第二節は内部部局に関する規定であります。内部部局については、保安庁における官房及び四局に新たに教育局を加え、官房長及び局長は参事官をもつて充てることにいたしました。官房及び各局の分掌事務、内部部局の職員、内部部局における自衛官の勤務、官房長及び局長と幕僚長等との関係については、おおむね保安庁法におけると同様の規定をしておりますが、ただ現行の課長以上の職への幹部自衛官の経歴者の任用の制限は、これを規定しないことにいたしました。
 第三節は幕僚監部に関する規定でありまして、陸上自衛隊についての陸上幕僚監部、海上自衛隊についての海上幕僚監部のほかに、航空自衛隊の新設によりこれについての長官の幕僚機関として、新たに航空幕僚監部を設けましたことは、すでに述べられた通りであります。幕僚監部の所掌事務及び幕僚監部の職員に関する規定等は、すべて保安庁法にならつております。ただ、新たに、各幕僚監部にその所掌事務のほか、事務運営の便宜をはかつて、司他の幕僚監部の事務の部を処理させることができる旨の規定を設けてあります。
 第四節は新設いたしました統合幕僚会議に関する規定であります。統合幕僚会議の設置の趣旨は提案理由においてすでに述べられた通りでありまして、これが所掌事項は、(一)統合防衛計画の作成及び幕僚監部の作成する防衛計画の調整に関すること、(二)統合後方補給計画の作成及び幕僚監部の作成する後方補給計画の調整に関すること、(三)統合訓練計画の方針の作成及び幕僚監部の作成する訓練計画の方針の調整に関すること、(四)出動時における自衛隊に対する指揮命令の統合調整に関すること、(五)防衛に関する情報の収集及び調査に関すること等であります。統合幕僚会議は、議長並びに陸上幕僚長、海上幕僚長及び航空幕僚長をもつて構成し、議長がこの会議の会務を総理いたします。議長は専任とし、自衛官をもつて充て、議長たる自衛官は自衛官の最上位にあるものと定めたのであります。会議の議事の運営については長官が定めることといたしておりますが、この会議の事務をつかさどらせるため統合幕僚会議に事務局を置き、その職員等について規定いたしました。
 第五節は部隊及び機関に関する規定でありますが、本節においては陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の部隊及び機関並びにその職員についての根拠的な事項を規定するにとどめ、部隊及び機関の組織、編成及び所掌事務その他の事項は、すべて自衛隊法において定めることといたしております。
 第六節は附属機関に関する規定であります。保安庁の附属機関は保安研修所、保安大学校及び技術研究所でありますが、本法においては、これにかわる防衛研修所、防衛大学校及び技術研究所のほか、新たに附属機関として、建設本部及び調達実施本部を設けることとしております、建設本部は、施設に関する業務を一元化して、これが運営を能率的ならしめるため、現在第一幕僚長の監督下にある中央建設部を母体として創設し、自衛隊を通じての施設の取得、建設工事の実施及び一定の行政財産の管理を行わせるものであります。調達実施本部は、陸上、海上、航空の各自衛隊を通じての必要な一定の装備品等及び役務の調達を行う機関として設けるものでありまして、これによつて、防衛庁の調達実施事務について、発注の統一、経費の節減等、調達実施事務の合理化、経済化を実現せんとするものであります。防衛研修所、防衛大学校及び技術研究所の所掌事務等についてはおおむね現在の保安庁法の例にならつて規定してあります。
 第七節は職員に関する規定でありますが、本節では、保安庁法にならつて職員の職務について規定するほかは、職員の任免、分限懲戒、服務その他人事管理に関する事項並びに階級及び服制については、すべて自衛隊法で定めるものとしておるのであります。
 第三章は国防会議に関する規定であります。国防会議については、提案理由の説明ですでに述べられたのでありますが、これは、内閣に置かれ、国防に関する重要事項を審議する機関であります。内閣総理大臣は、(一)国防の基本方針、(二)防衛計画の大綱及び(三)この計画に関連する産業等の調整計画の大綱、(四)防衛出動の可否、(五)その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項については、国防会議に諮らなければならず、また、国防会議は国防に関する重要事項につき必要に応じ、内閣総理大臣に対し意見を述べることができることを規定し、おります。なお国防会議の構成その他国防会議に関し必要な事項は、別に法律で定めることといたしております。
 附則におきましては、この法律は公布の日から起算して月を越えない範囲内において政令で定める日から施行することを規定するほか、この法律の施行に伴う必要な経過措置、この法律施行に伴つて必要な関係法律の改正等を規定しております。
 以上をもちまして本法案の内容についての御説明を終ります。
 次に自衛隊法案につきまして以下その内容を順次御説明いたします。この律案は、自衛隊の任務、自衛隊の部隊の組織及び編成、自衛隊の行動及び権限、隊員の身分取扱い等を規定することを目的としたものでありまして、本文九章、百二十二条、附則三十六項からなつております。
 第一章は総則として、この法律の目的のほかに、定義や任務等を規定しております。
    〔委員長退席、下川委員長代理着席〕
 自衛隊の任務については、前に提案理由の説明で述べられました通りであります。
 次に本法案で自衛隊とは、「長官及び政務次官並びに次長、参事官、内部部局、統合幕僚会議及び附属機関並びに陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊を含むもの」、陸上自衛隊とは、「陸上幕僚監部並びに陸上幕僚長の監督を受ける部隊及び機関を含むもの」、海上自衛隊とは、「海上幕僚監部並びに海上幕僚長の監督を受ける部隊及び機関を含むもの」、航空自衛隊とは、「航空幕僚監部並びに航空幕僚長の監督を受ける部隊及び機関を含むもの」と定義をしております。
 自衛隊の旗については、政令で自衛隊旗及び自衛艦旗の制式を定め、内閣総理大臣が一定の部隊及び自衛艦に交付することにいたしました。その他第一章においては、表彰及び礼式について規定しております。
 第二章は自衛隊の指揮監督に関する事項であります。内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有することを規定いたしました。長官が内閣総理大臣の指揮監督を受けて自衛隊の隊務を統括すること、この場合の部隊等に対する長官の指揮監督はそれぞれ陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の当該幕僚長を通ずること、また各幕僚長は長官の指揮監督を受けてそれぞれの自衛隊の隊務及び所部の職員の服務を監督し、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の隊務に関する最高の専門的助言者として長官を補佐すること、及び長官の命令を執行すること等は、保安庁法におけると同様でおります。
 第三章は部隊に関する事項でありまして、現在政令に規定されているものを法律で規定することとしたものであります。
 まず陸上自衛隊の部隊は、現在の保安隊と同じくこれを方面隊、管区隊その他の長官直轄部隊とし、それぞれ方面総監、管区総監及びその他の直轄部隊の長が隊務を統括することにしております。この方面隊及び管区隊の名称並びに方面総監部及び管区総監部の名称及び所在地は法律に規定することにいたしました。
 海上自衛隊の部隊は、自衛艦隊、地方隊その他の長官直轄部隊とし、それぞれ自衛艦隊司令、地方総監及びその他の直轄部隊の長が隊務を統括することにいたしました。地方隊の名称並びに地方総監部の所在地は、陸上自衛隊におけると同じく法律で定めることにしております。
 航空自衛隊の部隊は、航空教育隊その他の長官直轄部隊とし、それぞれの長が隊務を統括することにしております。航空教育隊の名称及び所在地は政令で定めることにいたしました。
 以上のほか、内閣総理大臣は、防衛出動、治安出動の場合において特別の部隊を編成することができるものとし、長官は、海上における警備行動、災害派遣、訓練その他の事由により必要がある場合に、臨時に特別の部隊を編成することができることとしております。
 第四章は陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の機関に関する規定でありまして、前章の部隊に関する事項と同様、現在政令に規定しておる事項であります。機関の種類としては、学校、補給処、病院及び地方連絡部を定めております。学校、補給処及び病院の所掌事務に関してはおおむね現在と同様でありますが、地方連絡部は今回新たに設けんとするもので、自衛官の募集その他長官の定める事務を行うものとし、長出目の定めるところによつて方面総監または管区総監の指揮監督を受けることとしました。
 その他本章においては、長官が必要と認めるとき、校長、処長または病院長に、校務、処務または院務以外の事務を処理させることができること、また機関の名称、位置等について政令で定めること等を規定いたしております。
 第五章は隊員に関する事項を規定したものであります。
 第一節は通則で、任命権者及び服制について保安庁法と同様の規定を置いてありますが、新たに非常勤の者の身分取扱い等について特例が設けられることとしたほか、自衛官の階級を、陸上自衛隊の自衛官にあつては、陸将、陸将補、一等陸佐、二等陸佐、三等陸佐、一等陸尉、二等陸尉、三等陸尉、一等陸曹、二等陸曹、三等陸曹、陸士長、一等陸士、二等陸士及び三等陸士とし、海上自衛隊の自衛官については海の字を冠し、航空自衛隊については空の字を冠することといたしました。
 第二節は任免に関する事項であります。隊員の採用、昇任、欠格条項、人事に関する不正行為の禁止及び条件附採用の事項は、おおむね現在の保安庁法の当該規定にならつて定めておりますが、陸士長等の隊員について、従前の規定による二年の任用期間のもののほか、特殊の技術を必要とする職務を担当する陸士長等については三年の任用期間のものを認めることとし、また任用期間を定めて任用されている陸士長等が任用期間の満了により退職することが自衛隊の任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認める場合には、防衛出動を命ぜられている場合は一年以内、その他の場合は六箇月以内任用期間を延長することができることにいたしました。また隊員の退職については、その者が退職することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いては、任用期間の定めがある陸士長等についてはその任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつては自衛隊の任務を遂行するため最少限度必要とされる期間に限りその退職を承認しないことができることを規定いたしました。
 第三節は分限、懲戒及び保障に関する規定でありまして、本節においては、停年に達した自衛官の退職が自衛隊の任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認めるとき、防衛出動を命ぜられている場合には一年以内、その他の場合には六箇月以内を限り引続いて自衛官として勤務させることができることとしたほかは、身分保障、休職の効果、停年、懲戒処分、懲戒の効果、学生の分限及び懲戒の特例、公正審査会その他おおむね保安庁法の当該規定の例にならつて規定いたしております。
 第四節は服務に関する事項であります。本節においては、服務の宣誓、勤勝態勢、勤務時間、指定場所に居住する義務、職務遂行の義務、服従の義務ての他の義務、政治的行為の制限、私企業からの隔離、他の職または事業の関与制限、団体の結成等の禁止等、おおむね保安庁法の規定にならつて規定しておりますが、特に第五十二条において、隊員の守るべき服務の本旨を明確に規定することにしたのであります。
    〔下川委員長代理退席、委員長着席〕
 第五節は予備自衛官に関する事項を規定しております。本制度の趣旨及び内容の概略は提案理由の説明で述べられたごとくであります。
 予備自衛官は定員一万五千名で、自衛官、保安官、警察予備隊の警察官、警備官、海上警備官であつた者の志願に基き、三年を期間として任用されるものでありまして、この任用期間は、防衛招集時においてこの時期を経過することにより退職することが自衛隊の任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認められるときは一年以内これを延長することができる、こととしております。平素においては、予備自衛官は年二回以内、各回ごとに期間を定めて招集され、通じて二十日以内の訓練を受けることにいたしております。
 本節においては、そのほか、予備自制官の性格にかんがみ、分限、懲戒等の規定、政治的行為の制限、私企業からの隔離、他の職または事業の関与制限等について必要な除外規定または特例を設け、また予備自衛官に対する不利益取扱いの禁止について定める等、必要な規定を設けてあります。
 第六章は自衛隊の行動に関する事項を規定したものであります。自衛隊の行動としては、新たに自衛隊の任務に即応して防衛出動の規定を設け、また、領空侵犯に対する措置を規定いたしました。その他の行動に関する事項は、おおむね現在の保安庁法の規定にならつて規定し、保安庁法の命令出動と要請出動とをそれぞれ命令による治安出動と要請による治安出動とに改めましたほか、保安庁法におけると同じく、海上における警備行動と災害派遣の規定を置いておるのであります。以下その内容について申し述べます。
 まず防衛出動についてでありますが、外部からの武力攻撃及びそのおそれのある場合に際してわが国を防衛するため必要があると認める場合には、内閣総理大臣はあらかじめ国会の承認を得て、自衛隊の全部または一部に出動を命ずることができるものとしております。特に緊急の必要があるときは国会の承認を得ないで出動を命ずることができますが、この場合は出動後ただちに国会の承認を求めることを要するのであります。内閣総理大臣は、国会において不承認の議決があつたときまたは出動の必要がなくなつたときは、ただちに自衛隊の撤収を命じなければならないものとしております。なお、衆議院が解散されている場合における国会の承認とは、日本国憲法第五十四条に規定する緊急集会による参議院の承認であります。また、事態が緊迫し防衛出動命令が発せられることが予想される場合においてこれに対処するため必要があると認めるときは、長官は内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の全部または一部に対し出動待機命令を発することができるものといたしました。
 次に治安出動は、公共の秩序を維持するための自衛隊の行動でありまして、これには前述したことく内閣総理大臣の命令による場合と、都道府県知事の要請による場合とがあります。命令による治安出動は、間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもつては治安を維持することができないと認められる場合に、内閣総理大臣が自衛隊の全部または一部に出動を命ずることであり、要請による治安出動は、治安維持上重大な事態につき、やむを得ない必要があると認められる場合において、都道府県知事が都道府県公安委員会と協議の上行う要請に基き、内閣総理大臣が事態やむを得ないと認める場合に部隊等の出動を命ずる場合でありまして、この場合の要件等はいすれも保安庁法における命令出動または要請出動の場合と同様であります。命令による治安出動について出動待機命令を長官が発し得ることも、保安庁法におけると同様でありますが、この場合においては長官は国家公安委員会と緊密な連絡を保つものといたしました。
 防衛出動または命令による治安出動の場合において、内閣総理大臣が特別の必要があると認めたときは、海上保安庁の全部または一部をその統制下に入れ、これを長官に指揮させる規定を設けましたが、これもおおむね保安庁法におけると同様の趣旨のものであります。また海上における人命もしくは財産の保護または治安の維持のため特別の必要がある場合に、長官が内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海上において必要な警備行動を行わせる規定を置きましたが、これも保安庁法の規定の場合と同様であります。
 天災地変その他の災害に際して、人命財産の保護のため必要があるとき、都道府県知事等の要請に基き部隊を派遣する、いわゆる災害派遣に関する規定も、保安庁法の当該規定にならつて規定しましたが、ただ本法においては、この種の災害において、事態に照し特に緊急を要し、都道府県知事等の要請を待ついとまがないと認められるときは、その要請を待たないで部隊等を派遣することができることといたしました。
 領空侵犯に対する措置といたしましては、外国の航空機が国際法規または航空法その他の法令の規定に違反して、わが領域の上空に侵入したとき、長官は自衛隊の部隊に対し、これを着陸させ、またはわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置を講じさせることができるものと規定いたしたのであります。
 その他出動時の部隊等と都道府県知事、市町村長、警察消防機関その他の国または地方公共団体の機関との連絡及び協力に関しても、保安庁法におけると同様の規定を設けましたが、治安出動命令が発せられるに際しては、新たに長官が国家公安委員会と緊密な連絡を保つべきものと規定をいたしました。
 第七章は自衛隊の権限に関する事項を規定したものであります。本章においては、前章の自衛隊の行動の場合に照応して、それぞれ防衛出動、治安出動、海上における警備行動、災害派遣時の権限について規定するほか、保安庁法の例にならつて自衛隊の武器、弾薬等の防護のための武器使用並びに部内の秩序維持に専従する者の権限についてそれぞれ必要な規定を設けました。
 以下その内容を申し上げますと、防衛出動に際しては、出動を命ぜられた自衛隊は、わが国を防衛するため必要な武力を行使することかできることといたしました。この武力の行使に参際しては国際の法規及び慣例によるべき場合にあつてはこれを遵守し、かつ事態に応じ合理的に必要と判断される限度を越えてはならないものと規定しております。またこの場合には、当該自衛隊は必要に応じ公共の秩序を維持するため行動することができるものとし、この場合においては次に述べる治安出動の場合と同様の権限を行使することができるものといたしております
 治安出動時における自衛隊の権限は、保安庁法における命令出動時の保安隊、警備隊の権限と同様に規定しております。すなわち自衛官は警察官職務執行法の規定により、武器の使用その他の権限の行使ができるほか、職務上警護する人、施設または物件に対する暴行または侵害の排除または多衆集合して行う暴行もしくは脅迫の鎮圧、防止またはこれら暴行、侵害または脅迫の明白な危険があり、武器を使用するほか他に適当な手段がないときには、事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができるものとし、さらに海上自衛隊の三等海曹以上の自衛官については、保安庁法における命令出動の場合、警備隊の三等警備士補以上の警備官に認められていると同様の権限を認めることといたしました。
 災害派遣の場合においては派遣を命ぜられた部隊等の自衛官について、警察官がその場にいない場合に限り、警察官職務執行法第四条並びに第六条第一項、第三項及び第四項の権限、すなわち人命財産に危険がある場合の避難等の措置、土地、建物等への立入りを認めることといたしましたほか、海上自衛隊の自衛官について、保安庁法においてこの場合警備官に認めていると同様の権限を認めることといたしました。
 次に海上における警備行動時の自衛官の権限及び部内の秩序維持の職務に専従する自衛官の司法警察職員としての権限については、おおむね保安庁法の例にならつて規定いたしましたが、従前の武器庫、弾薬庫または火薬庫についての武器使用の胡定を改めて、自衛隊の武器、弾薬、火薬、航空機、車両または液体燃料を職務上警護するにあたり、これを防護するため必要があると認める場合に一定の限度において武器の使用ができることといたしました。
 第八章は雑則に関する事項を規定したものであります。雑則としては新たに学資金貸与の制度、防衛出動時における施設の管理、物資等の使用、収用及び公衆電気通信設備の優先利用、並びに訓練のための漁船の操業の制限及びこの場合の補償について規定いたしました。その他の事項はおおむね保安庁法の当該規定の例にならつて規定しましたが、これに必要な整備を加えました。以下その内容について申し上げます。
 先ず医官等必要な技術者を職員として確保するため、政令で定める学術を専攻する大学または大学院の学生で修学後防衛庁勤務を志願する者に対しては、選考により学資金を貸与することができるものといたしました。
 防衛出動時における物資の収用等については二つの場合を規定いたしました。その一の場合は、出動を命ぜられた部隊の行動にかかる地域において、自衛隊の任務遂行上必要があると認められる場合に、都道府県知事が長官または政令で定める者の要請に基き、病院等の施設を管理し、土地、家屋または物資等を使用し、物資の生産、集荷、販売、配給、保管もしくは輸送を業とする者に対して、その取扱う物資の保管を命じ、または物資を収用することができることであります。但しこの場合は事態に照し緊急を要すると認めるときは、長官または政令で定めるものが郡道府県知事に通知した上で、みずからこの権限を行うことができるものといたしました。その二の場合は同じく防衛出動時において自衛隊の任務遂行上特に必要があると認めるときは、当該自衛隊の行動にかかる地域以外の地域において、内閣総理大臣が告示して定めた地域内に限り、都道府県知事が長官または政令で定める者の要請に基き、その一の場合と同様、施設の管理、土地等の使用、物資の収用または取扱物資の保管命令を発するほか、さらに当該地域内にある医療、土木建築工事または輸送を業とする者に対して、当該地域内においてこれらの者が現に従事している医療、土木建築工事または輸送の業務と同種の業務で、長官または政令で定める者が指定したものに従事することを命ずることができるものとしたことであります。以上のいづれの場合においても、その手続等は災害救助法の当該規定によることとし、また同法によつて必要な補償を行うことといたしております。
 防衛出動時における自衛隊の任務遂行上必要があると認める場合に、緊急を要する通信を確保するため公衆電気通信設備の利用等について長官が郵政大臣に要求を行い、郵政大臣はこの要求に沿うように適当の措置をとるものと規定したことも新しい事項であります。
 自衛隊の訓練のため水面を使用する必要があるときは、内閣総理大臣は、農林大臣及び関係都道府県知事の意見を聞いた上、一定の区域及び期間を定めて漁船の操業を制限しまたは禁止することができるものとし、この場合においては、所定の手続に従つて漁業経営者が経営上にこうむつに通常損失を補償することといたしました。
 その他、都道府県知事、市町村長等への募集事務の一部委任、機雷等の除去、土木工事等の受託、海上保安庁その他の官署との関係、自衛隊の船舶及び航空機の掲げる旗等については、保安庁法における当該規定とおおむね同様な規定を設けましたが、土木工事等の受託につきましては、この法律においてはその事業及び委託者の範囲を広げることとしております。
 他の法令の適用除外または特例については、保安庁法におけるとおおむね同様でありますが、新たに道路運送法、道路運送車輌法、麻薬取締法、船舶法及び船舶積量測度法について必要な除外規定を設けましたほか、船舶安全法、航空法及び電波法について一部適用除外の規定を追加整備いたしました。
 第九章は罰則に関する規定であります。本章においては、新たに自衛隊の所有しまたは使用する武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供するものの損壊または傷害について罰則を規定しました。また自衛隊の行動として防衛出動が規定されましたことに伴い、防衛出動命令を受けた者について保安庁法による命令出動を受けた者に対すると同様の態様の行為についての罰則を規定し、またこの場合における警戒勤務中の職務怠慢、及び予備自衛官が正当の理由がなく防衛招集命令に応じて出頭しなかつたことについての罰則の規定を設けました。その他の規定は、おおむね保安庁法の罰則の例にならつて規定したものであります。
 最後に附則に関する事項について御説明申し上げます。附則に規定する事項は大別して三つになります。
 第一は経過的措置に関する事項であります。この法律は防衛庁設置法施行の日から施行するのでありますが、ただ保安庁に現に勤務する職員は、この法律の施行前においても服務の宣誓ができることとし、この服務の宣誓をした者が防衛庁のそれぞれの職員となるものといたしております。その他この事項に属するものとしては、従前の規定に基いてなされた任用上の決定その他の手続の効力、この規定により陸士長、一等陸士、二等陸士となる者の二年の任用期間の算定方法、公正審査会に係属する事案の処理、司法警察職員たる保安官及び警備官の職務権限についての経過措置等であります。
 第二は職員給与法の改正であります。ここでは在名、官名等の変更に基く字句の改正を行いましたほか、新たに統合幕僚会議の議長たる自衛官及び新設の参事官の俸給を定め、航空機搭乗員についての航空手当を規定しました。また予備自衛官について月額千円の手当及び訓練招集中の訓練招集手当並びに訓練招集中における予備自衛官の死傷の場合の給与上の措置について必要な規定を設けました。また陸士長以下の自衛官について三年の任用期間のものを認めたことに伴い必要な特別退職手当を定め、さらに出動を命ぜられた職員に対する出動手当の支給等の必要な特別措置を別に法律で定めること、その他若干の必要な改正を行つております。
 第三はこの法律に伴う関係法律の改正でありまして、庁名、官名等の改正に伴い、恩給法、国家公務員法に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律、地方税等について必要な改正をいたしました。
 以上をもちましてこの法案内容についての説明を終ります。
#9
○稻村委員長 ただいまの二法案に対する質疑は、次会においてすることとし、本日はこれにて散会いたします。
    午前十一時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト