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1953/03/08 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 地方行政委員会 第25号
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1953/03/08 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 地方行政委員会 第25号

#1
第019回国会 地方行政委員会 第25号
昭和二十九年三月八日(月曜日)
    午後一時五十九分開議
 出席委員
   委員長 中井 一夫君
   理嘉 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君
   理事 灘尾 弘吉君 理事 吉田 重延君
   理事 藤田 義光君 理事 西村 力弥君
   理事 門司  亮君
      濱地 文平君    前尾繁三郎君
      山本 友一君    鈴木 幹雄君
      床次 徳二君    橋本 清吉君
      阿部 五郎君    石村 英雄君
      北山 愛郎君    大石ヨシエ君
      中井徳次郎君    松永  東君
 出席政府委員
        自治政務次官  青木  正君
        自治庁次長   鈴木 俊一君
        総理府事務官
        (自治庁税務部
        長)      奧野 誠亮君
 委員員外の出席者
        専  門  員 有松  昇君
        専  門  員 長橋 茂男君
    ―――――――――――――
三月六日
 警察制度の改革に関する陳情書(京都府議会議
 長北村平三郎外四名)(第一五四〇号)
 市町村自治体警察制度廃止反対の陳情書(札幌
 市北一条西五丁目札幌市警察本部内北海道自治
 体公安委員会連合会長上田保)(第一五四一号)
 同(横須賀市議会議長金子吉造)(第一五四二
 号)
 同(名古屋市議会議長鈴村健)(第一五四三
 号)
 消防機構改革に関する陳情書(広島市財団法人
 広島県消防協会長田中好一)(第一五四四号)
 消防施設強化促進法に基く国庫補助額の増額に
 関する陳情書(神戸市生田区下出手通五丁目三
 十八番地兵庫県消防協会長井上寅蔵)(第一五
 四五号)
 同(福岡県知事杉本勝次)(第一五四六号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 小委員会設置の件
 公聴会開会承認要求の件
 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 五六号)
 昭和二十九年度地方財政計画に関する件
    ―――――――――――――
#2
○中井委員長 これより会議を開きます。
 この際小委員会の設置についてお諮りをいたします。すなわち開会前の理事会の決定に基きまして、前国会から継続審査をいたしております地方財政再建整備法案の取扱いにつきまして、小委員会を設置して審査することになりましたので、同法案の審査小委員会を設置することといたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○中井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。なおその小委員及び小委員長の選任につきましては後日これを行うことといたしますから、さよう御了承を願います。
    ―――――――――――――
#4
○中井委員長 法案の審査に先だちまして、昭和一十九年度予算に対するいわゆる三派修正の地方財政に及ぼす影響について、ただいま資料を政府より配付されましたので、これについて政府より説明を聴取いたします。鈴木自治庁次長。
#5
○鈴木(俊)政府委員 二十九年度地方財政計画の三党修正に基く修正の案を御説明申し上げます。お手元に配付しました資料の一番最後のページに関係の数字がございまするので、それを一番初めにごらんいただきたいと思います。「三派修正に伴う増減額に関する調」のA普通会計、普通補助金、1、保健所補助金、これは先般申し上げましたように、補助率が政府の案では四分の一になつておつたのでございますが、それを三分の一に引上げることになつたわけでございまして、その関係で国費が四億三千九百八十七万円ふえて、地方費がそれだけ減るということが第一であります。次に生活保護費でございますが、これは生活保護費を総額におきまして六億三千五百万円だけふやすことにして、その八割の五億を国が出して、一割分の一億二千五百万円が地方負担に新しく加わるということであります。それからその次の蚕糸業振興費でありますが、これは新しく国が五千万円出して、二分の一負担ということで地方が三分の一負担する。生活改善普及事業費、これも同様に三分の一負担で、国が五千万、地方五千万ということで、普通補助金が国費の方で十億三千九百八十七万円ふえまして、地方負担は、ふえたものと減つたものと相殺いたしまして、三億一千四百八十七万円だけ減るということであります。
 それから臨時事業費の方でございますが、簡易水道施設費において国費が新しく四億出る。これは四分の一でございますから、従つて地方の負担が六億円ふえるわけでございますが、他の残りの二億円は、特に単独の振りかえというような形で、一般財源で施設いたすべき簡易水道の財源補助金をもつて出す、こういう形にいたしまするので、従つて二億円については地方負担を伴わない。従つて地方負担の増といたしましては、一億円についてだけそれだけ額がふくらむ、それで六億ということになるのであります。それから食糧増産費でございますが、これは地方の負担が七千万円、これは多くは組合等の農業団体の施行になるものでありまして、県単のものは七千万円であります。それから僻地教育施設充備費、これはこの修正に伴いまして近く政府から僻地教育施設の充備に関する法律案を提案する予定でございますが、この考え方としては二分の一負担ということで、従つて地方が二分の一負担をする。それから危険校舎復旧事業費であります。これは六億新しく補助金を計上することになつたわけでございますが、しかし実態は、単独事業費の中で現に見られておりますものを、要するに財源が補助金をもつて充てられていませなんだものを、今回補助金をもつて処理するところの公共事業費の方へ振りかえる、こういうことであります。要するに単独事業を公共事業に振りかえるということになつて参りますので、従つて補助金が出ます分だけ地方の負担が減つて来るわけでございます。
 以上で臨時事業費につきましては国費が十三億三千四百万ふえますが、危険校舎等で振りかわつて負担が減つて参りままするので、地方負担は一億七千万しかふえない、こういうことになるわけであります。
 以上を通じますると国の補助が一十三億ふえますが、地方の負担は四千四百八十七万減る、これが地方の財政計画の中に入つて来る数字であります。
 その下の公営企業会計でございますが、公営企業会計はいわゆる独立採算制の建前をとつておりますので、従つて地方財政計画の中には、これは入つて来ない数字でございます。国民健康保険助成費が経費として七億五千万、国から二億九千二百六十一万五千円出しまして、これは三分の二補助でございまするから四億五千七百三十八万地方負担がふえる。これは細分いたしますと保健婦設置費補助金が――ちよつと今の説明は間違いました。四分の一に引下げましたものを三分の一にまた引きもどすのであります。その関係で、地方負担は同額だけ減る。それから直営の診療所でありますが、これは三分の一補助でございますから二億五千万に対して地方負担が五億だけつく、こういうことになるわけであります。それでこの公営企業の会計は、そういう関係で最初に申し上げましたように二億九千二百万国費はふえますが、地方負担は四億五千七百万だけふえる、こういうことになります。
 三党修正は普通会計と公営企業の特別会計を通じまして二十六億国費がふえ、地方負担は四億千二百五十一万ふえる、こういう結果になるわけでございます。
 そこで地方財政計画に反映をして参りますのは、その前段の普通会計の分だけでございまして、それを一番初めの方の歳出のところをごらんいただきます。と、ちようど中ごろの昭和二十九年度新規財政需要額が当初計画に対して二十三億二千九百万ふえる。二十三億二千九百万という一番しまいのページの経費でありますが、それをとつて来ておるわけであります。それぞれの項目の中に、その内訳を今の趣旨に従つて列記してあるわけであります。
 それから歳入の方でありますが、三枚目の歳入の合計のところをごらんいただきますと二十三億七千四百万、これは今の一番しまいのページの歳入の総額の端数を整理した数字であります。以上で総体といたしましては九千六百五十三億というのが九千六百七十七億ということに計画が修正される、こういうことでございます。
#6
○中井委員長 本日の理事会の決定に基きまして、法案審査に先立ち、地方財政に関する問題について門司君より発言を求められることになりました。よつてこれを許します。門司君。
#7
○門司委員 今の地方財政計画と密接な関連を持つております現在の地方財政から来る諸問題について少しお聞きをして、そしてこれについて、ひとつ自治庁は速急に何らかの対策を立ててもらいたいということを、私は冒頭に要求いたしておきます。
 その内容は、地方の二十九年度の財政計画が非常に苦しくなつて来ております関係から、一地方だけではございませんが、数地方にわたつて現在の給料の、たとえば十分の一を毎月各職員から市の費用に献金をさせるというようなことの申出のあつた自治体があるのであります。これらの問題は、地方の自治体の赤字を埋めることのためには一応必要かとも思いまするが、しかし一方翻つて、そこに勤めております職員諸君の生活というものはそう楽ではありませんし、これらはやはり、市がそういうことを冒頭に考えて、二十九年度の、予算を組むというような行き方については、一体自治庁はどういうふうにお考えになつているかということが、一番先の問題であります。
 それからその次には、従つて超過勤務その他というものを原則的に認めないことになつておる。さらに超過勤務をしても、それについては大体五〇%程度しかこれを支給しないというようなことが露骨に市の当局から言われておる。超過勤務に対しては、支払うべきものを支払うということは当然でありますが、しかし今日の非常に複雑しております地方の行政の中には、やむを得ざる超過勤務が私はあると思う。それらに対して、原則として超過勤務には給料を払わない、もし払う必要があるならば、それも五割しか払わぬということになつて参りますと、一般公務員に対しては別段これは法律で拘束いたしてはおりませんが、公営企業に対しては、明らかに労働基準法違反であることに間違いがない。公営企業が労働基準法違反であるということになつて参りますと、やはり一般職員にも、この概念は同じような理論の上に立つて処理すべきではないかと考える。法律がないから超過勤務をやらないのだというような行き方は、私どもには考えられないが、しかし現実にそういうことが行われている。
 その次に、各地で問題になつておりまするものは、例の定期昇給の問題であります。定期昇給を原則として行わないというようなことが考えられております。先ほどの地方財政計画に対する、昨年の十二月二十一日だつたと私記憶しておりますが、自治庁の次長の名で通牒された中に、給与に関することが書いてある。その中を読んでみますると、給与は主として現給といいまするか、改正された率で大体給与をきめてもらいたいということが書いてある。しかしそれ以下の公務員に対しては、できるだけ給与の額を厳重にするということ、さらにできるだけ剰余人員はこれを認めない。同時に欠員の補充については、これをなるたけ補充をしないでいてもらいたい。従来往々あつた、定員は減らしたが、それを翌日すぐ臨時で雇うような処置は厳に慎んでもらいたい。同時に、臨時はできるだけすみやかにこれを廃止してもらいたい。臨時を首切れということがはつきり書いてある。これは自治庁の次長の通牒そのものが、そういうことを書いて指示しておる。従つてこれらの指示が、やはりこういう定期昇給というような職員諸君の給与の関係に、非常に大きな影響を持つているのじやないかということが考えられる。
 その次には、特殊勤務手当というような、従来支給しておつたようなものは、もう支給しないというようなことになつている。これらも、市の従業員あるいは府県の職員の方から考えてみますると、やはり特殊の手当を必要とする事務がたくさんあるのでありまして、たとえば保健衛生に勤めております者の危険の手当であるとか、あるいは汚物処理その他に従事しております者の手当であるとかいうようなものが考えられる。しかしこれらもやはり、原則としてやらないということになつている。
 さらにその次に、一つの大きな問題として取扱われておりますものは、健康保険の市負担が従来百分の四を市側で負担しておつたものを百分の三に減額するということがすでに考えられている。こうなつて参りますと――職員の方から百分の三を出し、市の方から百分の四を負担して、百分の七で運営しておつたものが、市の方の百分の一を減ずるということになつて参りますと、勢いそれだけ診療の給付を減らすか、あるいは診療費をそれだけ削つて行くということが必然的に起つて来なければならぬ。これは職員諸君の保健の上から申しますれば、きわめて大きな問題であつて、単に財政が苦しいからこういう状態にするんだということは、これは人道上の問題だと思う。従つてこれらの問題について自治庁が一体どういうようにお考えになつているか聞いておきたい。
 それからさらに期末手出その他については、大体第一項と同じように、できるだけこれを少くして行く、原則としてはこれを一割減にするということがやはり予算の上に編成されようとしているこれらの問題は各地方の自治体はちようど今予算の編成期でありまして、市町村といわず府県といわず、予算を組んでいる時期である。従つてこれは勤めております職員諸君に対しては、かなり大きな衝撃を与えている。今私が例を引きましたのは、舞鶴市の一つの例でありますが、このほかに高知県においても給料の一割を市に献納してくれないかというようなことを申し出ている実例がある。
 さらにその他の問題といたしましては、たとえば待命制度の問題はおそらく四月一日から政府は実行するであろう。そうすると待命によつて離職する者については手当をつけなければならない。そこで三月末日までに人員の整理を行えば待命の費用だけは減額することができる。それだけ市の費用が浮いて来るというようなことで、現実に今行われておりますものは福岡県の柳川であるとか、あるいは神奈川県の横須賀、千葉県の松戸、四国の高松というような各市においては、すでにそういう徴候が現われて来ている。これらの問題は国の財政計画に基く一つの方針に刺激されて、こういう地方の問題がたくさん起つて来ているわけです。これに対してやはり自治庁としては何らかの指示なりあるいは何らかの手を打つていただかないと、不必要な摩擦を生ずると同時に、職員諸君の生活上の問題に関連いたして参りますので、今申し上げました七つの事項について、ひとつ自治庁からこの際明確に御答弁を願つておきたいと思います。
#8
○鈴木(俊)政府委員 ただいま門司委員から最近の地方財政の窮乏の状況に関連して、それが人事、特に給与の面にいろいろ影響を及ぼしているという事実を一々御指摘になりましてお尋ねがあつたのでございますが、それらにつきましてお答えを申し上げます。御指摘のような点のそれぞれにつきましては、当該団体としては具体的にいろいろな問題があろうかと思いますが、一般的な問題として地方公務員の人事の点から申しますれば、地方公務員と国家公務員において給与の上にできるだけ権衡を失しないようにしなけれげならないということが、地方公務員法の大原則でございますから、今のベース・アツプというような場合におきましては、国の公務員と地方公務員との間に差異がないようにとりはからうということがやはりこれは原則であろうと思うのであります。また超過勤務手当につきましても、これはいやしくも超過勤務の実を存しますならば、それに対して超過勤務手当を支給するというのが、これまた今の制度上の一つの要請であることは御案内の通りであります。それから定期昇給の問題につきましては、今回の地方財政計画におきましても二・五%の昇給率を予定をいたして財源を計算いたしておりますが、これも大体国家公務員との間に権衡を失しないような定期昇給を行うということが、これまた原則でなければならぬと思うのであります。また特殊勤務手当につきましてもあるいは期末手当につきましても、いずれも同様に原則としては考えて参るべきものと思うのであります。
 健康保険負担の問題については、結局給付内容を落すか、本人の負担をふやすかのいずれかにするほかないというような点の御指摘もございましたが、これらも地方の財政の点から申せば確かに遺憾の点があろうかと思います。
 また待命制度に関連をいたしまして、国家公務員につきまして臨時待命の制度を今回とるということで、たしか関係の法律案を、すでに提出したやに記憶いたしておりますが、地方公務員につきましても同様な臨時待命制度をとるようにいたしたいと考えておりまして、この関係の法律案は近く提案をいたしたいと考えております。これらの点につきましてもやはり両者の間に権衡を失しないような根本の考え方をとるべきものと思うのであります。さような一般原則が人事上要請せられるわけでありますが、さようなことを承知いたしつつも、必ならずも地方の団体の中には、財政の窮迫いたしておりまするために、そのような措置がとれないというようなところから、御指摘のような若干権衡を失するような具体的の事例が生れて来ておることも私ども事実と考えておるのであります。この点まことに遺憾ではございますが、地方財政計画におきまして今回若干ではありますが、規定財政規模を是正する措置を講じたわけでございます。根本的には今日存在する地方財政の赤字をいかように処置するかというようなところまでさかのぼりませんと、ただいまの段階においては、根本的な解決は困難であろうと思うのであります。幸い当委員会で今の根本の法律案につきましても御審議中と承つておりますので、これらの法律案の結論が出まするのをまちつつ、政府としてもできるだけ根本的な解決をはかりまするように、善処いたしたいと思う次第であります。
#9
○門司委員 今の御答弁は非常にあざなりの答弁でありまして、今鈴木さんの言つたくらいのことは、私はわかり過ぎるほどわかつております。しかしそれでは事が済まされないので、自治庁としてはこれらの問題に対してただ今お話のようなことだけでなくして、昇給を原則としてやらぬというようなことで二十九年度の予算を編成する、それから給料も一割減額をするようなことで予算を編成する、また健康保険の問題も百分の一は削つて予算を編成するというようなことになつて参りますると、今のお話だけでは、理念的にはこうであるが、はなはだ遺憾であるというようなことでは、現実には納まらないのであります。これらの問題について、現実的に今のお話のようなことがあつたなら、たとえば昇給の問題にしても、百分の二・五だけ今度国家公務員で昇給するんだから、地方もそういうことをやれというのなら、そういうことが明確に指示されて来なければならない。私はただ理念的にどうも赤字で困つているからお互いの話合いでこれを少くしてやつて行けばいいのだということになつて参りますと、この問題についてはいろいろ議論が出て来ると思います。私はここで議論をしようとは考えておりません。いずれ大石さんからお聞きになると思うが、たとえば舞鶴なら舞鶴に多少の平衡交付金なりによつて財政援助を組み合せておるということが妥当であるかどうか、この点が最後に考えられるのではないか。そこまで私自身は議論しようとは考えておらないのです。今の次長の御答弁では、これは原則的にはそういうものを認めるのだが、どうもやむを得ぬことだということでは、私は済まされないと思う。定期昇給するならするということを予算に指示しておるなら、指示しておるからこの原則に基いてやれ、あるいは健康保険のような問題についても、できるだけ従業員の負担にならぬように、あるいは給付が低下しないようにすることが正しいのだということのはつきりした指示をするか、あるいはこの機会にはつきりした答弁がなければ、原則的にはそれは認めるが、しかし実際はそうでないであろうというようなやつてもやらぬでもいいようなことになりますと、これはいつまでたつても水かけ論になつて来る。だから私はこの機会に聞いておきますが、たとえば給料の一割減俸をして予算を組むということがいいのか、悪いのかということであります。私は、やむを得ぬからそうするというようなことではなくして、いいか悪いかということの態度を自治庁ははつきりしてもらいたい。
 それから、その次の問題は、超過勤務の問題に対しましても同じことであります。こういうことがいいか悪いかということをはつきり自治庁としては言つてもらいたい。その後における処置は、おのおのの地方の自治体においてとられると思う。自治庁自身が、そういうことはけしからぬこととは認めるが、しかしやむを得ぬことであろうというようなことになると、地方の自治体はやりはしません。自治庁がやむを得ぬことはやらなくてもいいということを認めているじやないか。いいか悪いかということの判断をこの際きめておいてもらいたい。
#10
○鈴木(俊)政府委員 特に一割減給をしてそういう意味で予算を組んでおる場合に、どういうふうに考えるかという点を指摘せられましての御質問でございますが、この点は、予算上の問題と、それから人事上の問題と、問題はやはり二つにわかれると思うのであります。人事上の問題といたしましては、現実に当該の職員が、たとえば八級の五号俸ということで発令をせられております以上は、その給料を一割減額するということは、地方公務員法上はやはり不利益処分になるわけであります。従つてこれをただそれだけではさような処置ができないと考えるのであります。従いまして結局さような発令をしております以上は、一割減ずるということは結局それだけから申しますと、要するに義務費をその部分だけ削つて計上するというようなかつこうになるわけであります。従つて予算的措置としては、財政運営の上から、予算編成上非常に窮迫しておるから、いずれかの経費を削減しなければならぬという必要から、どこを削減するかということは、これは当該地方団体が自主的に決定することであります。ただその際に義務費になつておるものと、そうでないものと、おのずから二つあろうと思うのであります。義務費になつておりますものは、その義務を免れる措置を一方において講じない限りは、それを計上しないということはできないと考えます。ただ年間を通じて、究極的にそれの措置が補正その他の方法によつて講ぜられることにはあるいはなかろうかと思いますけれども、年間を通じて義務費を支出するに必要なる予算を計上しないということは、やはりどうしてもできないことであろうと思うわけであります。
#11
○門司委員 もう一つ、そうするとこう解釈してよろしうございますか。こういう問題についてはさつきのお話のように、私もそう考えておるから実は聞いておるのですが、問題は給料の減額は、これは減額をはつきりして組むわけにはなかなか行かぬ思う。ただ問題になりますのは、さつき言われました自治庁の通牒は、地方財政計画を立てる場合に、個々のものにさつき私が話したようなことを事実上あなたが出しておるのだ、あなたがそういう指令を出しておるのだから、結局苦しいところは勢い給料の減額をする、しかし一割の減額を予算の上に組んで行くということになると一割の人員整理をしなければならぬようになつて来る。人員整理をするというと問題を起して困るから、何とか職員諸君にも納得してもらつて、一割給料を献納してもらおうというような形なんです。もらつたものを献納するという形ですから、違反にはならない。そういう脱法の行為が、自治庁から出した通牒に基いて行われておるのじやないかという気がするのです。自治庁の予算編成方針の中に、あなたがそういうことを書いて出しているものだから、結局結末がこういうところに来て、最後にこういう結果が生れて来ているのではないか。だから私から言わせれば、あなたの責任だと考える。これらの問題について、今お話のような点がありまするならば、それらのことを地方の自治体に――前の通牒を撤回せよとは言いませんが、これらの問題がある。これらの問題についてはしかるべく善処せよ、そういう問題を起さぬようにせよということを、通牒を出し直してもらいたい。そうしないと、至るところにこういう問題が起ると思う。現在横浜で、定期昇給をやらないからといつて、すわり込みをやつてけんかをしている。至るところにこういう問題を起しておる。だから、こういう問題の起らぬように、自治庁としてはこれらの問題については、善処方を指示していただくことができるかどうかということを聞いておきたいとともに、これはぜひやつてもらいたいということを強く希望しておきます。
#12
○鈴木(俊)政府委員 ただいまお話のございましたような、職員の方から任意に献納すると申しますか、そういうようなことは、これは本人がもらつたものの中から出すということでありますから、これは法律的には問題はないわけでありますが、私どもの方から二十九年度の予算の編成について出しました通知は、そういうよな義務費を削れというような意味を含めた通知を出したつもりではないのであります。その点は門司先生も御了承せられての御質問のように承つたのでありますが、そういう意味ではなくて、要するに非常に財政が苦しい際であるから、できるだけ地方財政全体の緊縮を国庫財政の緊縮に即応してやつてもらいたいというのが根本の精神でございまして、義務費まで削れという意味のことを申したのではないのであります。ただ地方団体によつては、御指摘のごとく昇給の時期を若干遅らせるとか、あるいはベース・アツプの時期を遅らせる、あるいはベース・アップの程度を若干落すというようなところが、ことに小団体等においては――これは今度だけでなく、従来もあつたようでございますし、今回におきましてもさようなことが若干はあるように承知いたしておるのであります。ただいま御指摘の点は、さような義務費を削るというようなことは必ずしも適当でないし、その点について注意を喚起せよというような御趣旨を承るのでありますが、近く関係の課長の会議等もございますので、さようなことのないように、念のため明らかにいたしたいと考える次第であります。
#13
○中井委員長 大石さん。
#14
○大石委員 鈴木次長にお尋ねいたします。ただいま門司先生から詳細お話のありましたことですが、私は簡単にあなたにお尋ねしたいと思います。
 私の郷里舞鶴は、あなたも御承知の通り、この委員会でたびたび私が発言しておりますが、あそこは引揚げの場所でありまして、舞鶴市は非常に赤字財政に悩んでいる。なぜ引揚げのために赤字財政に悩むかと言いますと、引揚者がたくさん来る。そうすると金は落さない、市の費用はその方に非常にかかつて来る。それで給料の不払いを来したり、今回門司先生がおつしやつたような問題が起つているのであります。これは結局平衡交付金が公平でないと思うのです。それで福知山、舞鶴、綾部宇治、これは非常にたくさんやつてある、こうおつしやいました。私は非常に自分の選挙区のことばかり言いますけれども、ほかの選挙区のことはほかの先生がおつしやつてくださいますので、はなはだかつてでございますが、もつとたくさんもらわなければ困る。ほかの県のことはどつちでもよろしい。こんな少いことでどうしますか、これは鈴木さん、何とか確答してほしい。引揚者がただ上つて来る。舞鶴市はたくさん赤字財政で悩まされている。こういうちよつぴりしたものをくれずに、もつと私の選挙区にはたくさんほしい。どういうふうにしてくれますか。ほかのは、ほかの先生がおられまして、各府県のことをおつしやいます。私は自分の選挙区のことを専門に言います。どうですか。もつとたくさんください。どれだけ出すか、はつきり言つてください。
#15
○鈴木(俊)政府委員 舞鶴市の財政の状態が、特に引揚げの関係の、いわゆる渉外関係の経費と申しますか、引揚げて参ります人たちのいろいろの世話をするために、他の都市に比較して非常に多くの経費を要する。その結果、舞鶴市としてはいろいろな点で非常にきゆうくつな状態になつているというのは、ただいま大石委員の仰せになりました通りに私どもも承知いたしておるのであります。この関係は、実は普通平衡交付金の配分におきましては、さような特殊な事情でございますから、見ることができませんので、特別平衡交付金の配分の際に、さようなことで特別の財政需要があるということを見て、特別平衡交付金の算定をいたしておるのであります。そういう関係でありますから、普通の状態の市町村に比較いたしましては、舞鶴市はそれだけ多くなつておるはずでございますが、本年の平衡交付金の中の特別平衡交付金の総額は、昨年に比較いたしますと若干少くなつておりまして、しかも本年度は災害がございまして、災害関係のために相当重点的にこの特別平衡交付金を配分いたしておりますので、勢い特別平衡交付金の配分の額は、さような災害のないようなところにおきましては、昨年より若干少くなつているのが一般でございます。ただ、たしか福知山につきましては、私はつきり記憶いたしておりませんが、昨年とおそらく同額程度、あるいは若干増加いたしておるように考えておるのでございまして、そういうふうな事情で配分が決定されていますので、その点ひとつ御了承いただきたいと思うのであります。
#16
○大石委員 鈴木さんはすぐ若干々々と言いますが、若干という言葉は、その内容は那辺にあるか私にわかりません。それで、福知山、舞鶴、綾部、宇治京都府は御承知の通り今度非常に災害にあいまして、私もびつくりしたのは、川が道になり、山がくずれ、そうして私の知つている人々が多数死んでおるというような状態なんです。それにこのくらいな平衡交付金をもらいましたのでは、先ほど門司先生がおつしやいました通りの現在のありさまである。それでどうしてもこの災害復旧のため、もつとたくさんもらわないと、私は断固として承知をいたしません。この席上で返答してください。この災害復旧費を若干増してもらうということでは困る。その若干の内容の説明を私は求めます。
#17
○鈴木(俊)政府委員 先ほど申し上げましたように、特別平衡交付金は今年度は災害を重点的にいたして配分をいたしておりますので、舞鶴は御指摘のように非常に災害が多かつたところでございますし、その他の京都府下の市も相当多くの災害をこうむつておりますので、従つて配分の上におきましては他の災樽のなかつた都市に比較いたしますと、非常に多いのであります。舞鶴の二千五百万という数字は、今申し上げましたが、若干どころではございませんで。これは相当多額の特別交付金でございます。今年はそういうことで、すでに決定をいたしておるのでありまして、かねて大石委員その他のお話を私どもも承つておつたわけでございますが、関係の府当局の課長と自治庁の関係の部課長とが十分協議をいたした結果、かような数字になつておるのであります。それをさらに地方財政審議会で御審議を願いまして決定した数字でございますから、私どもといたしましては、この数字は、もちろん十分とは申し上げかねると思いますけれども、相当程度与えられたわくの中で、さような災害関係の特殊事情を考慮いたした数字が出ておるように思うのであります。
#18
○藤田委員 交付金の問題が出ましたから、それに関連して二、三お伺いしたいのでありますが、この今年の特別交付金の配賦一覧表を見ますと、ただいま問題になつております京都府は、全国の平均からしまして非常に多過ぎるような印象を受けるのであります。福知山が千六百万、舞鶴が二千五百万、綾部は九百万。宇治が約七百万、こういう状態でありまして、熊本、久留米、それから門司というあの大惨禍を受けました都市に比較しまして、割合に考慮されておるように私は思います。これは見解の相違になりますが、それから鳥取、こういうところに次いで圧倒的に舞鶴は、これは大石委員のかねての努力の結果とは思いますが、非常に多くなつておるような気がいたします。それでこの問題に関連してお伺いしたいのでありますが、ことしは府県分が七十九億、五大府県分が五億、それから一般市町村分が約六十億、この数字を出されました根拠を、ひとつ簡単でけつこうですが、お示し願いたいと思います。
#19
○鈴木(俊)政府委員 本年度の災害の特別交付金の配分に当りましては、いわゆる起債特例法によります元利償還をします特例起債のうち三十四億を見込みまして、それと今年度の特別交付金の百十億と合せました百四十四億を配分いたします根拠の数字といたしたわけでございます。これをそれぞれの団体から所要の資料を徴しまして、それに基いて府県分と市町村分を出し、そしてそれをさらに配分するという方式をとつたわけでございます。
#20
○藤田委員 たしか二十七年度の特別交付金におきましては、災害分として約二十億計上されておつたようでござざいますが、本年は百十億のうちでどのくらい災害用に計上されたかお伺いしたい。
#21
○鈴木(俊)政府委員 昨年は確か十八億程度が災害に出たのであります。今年は三十三、四億ではなかつたかと記憶しておりますが、その程度のものを災害の関係にまわしたのであります。
#22
○藤田委員 そういたしますと、特例の起債三十四億を加えますと、約七十億というのが災害に特例として配分されたわけでございますが、今回の一覧表を見ますと、依然として総花式の配分が行われておるような印象を強くするのでございます。こういう際にこそ大惨害を受けました災害地に重点的に配分していただきまして、特例の真面目を発揮してもらいたかつたのであります。ただいまの次長の申しました調子からしますと、何か配分された額が昨年と比較いたしまして、どうもはつきりしないような気がいたします。百四十四億のうち六十八億ばかりが当然災害にまわつておるということになりますと、実際上の計算におきまして災害地にあらざるところに災害分がわけられていないかという印象を受けるのでありますが、その点はどういうふうになつておりますか。
#23
○鈴木(俊)政府委員 百四十四億は、起債特例法による起債と特別交付金を合せましたものでございますが、このうち起債特例法によりますものは一定地域が指定されておるものでございまして、指定された府県、市町村でなければさような起債の許可を受けることができないわけであります。従つて今回の配分にありましては、今申しましたような数字をそれぞれの災害の規模に応じまして配分をいたしたわけであります。そのうち今指定されましたような団体については、その一部を起債特例法によるものに振りかえる。こういうことにいたしたわけであります。三十四億というものはさようなことで指定された地方団体以外の地方団体は受けることができないわけであります。なお五十億の起債特例法の中で残りの十六億は、御承知のように、いわゆる公共事業の災害になりません部分に対しまして配分せられたわけでございまして、この十六億もやはり指定を受けた団体に配分されておるわけであります。それ以外に十六億が災害関係でつけ加わつて別途参つておるわけでありまして、相当本年は災害中心に配分をしたというふうに考えるのであります。なお普通の特別交付金にいたしましても、災害のありませんでした都市に対しましては昨年に比較いたしますと、いずれも相当程度落ちておるのでありまして、そういう意味で本年度は特別法以外の一般の特別交付金も、昨年に比較いたしまして相当強く災害に比重がかかつておるように考えるのであります。
#24
○藤田委員 奥野税務部長が見えておりまして、きようは全部説明を終つていただきたいと思いますので、長い質問は遠憲いたします。が、青木政務次官にこの機会にお伺いしたいのであります。三党協定の百五十七億の跡始末はどういうふうになつておるか、近況をお知らせ願いたいと思います。特に百十八億ばかりつなぎ資金が出ておりますが、これは年度末を控えまして、全国一万のうち災害を受けました約一千の市町村の非常に深刻な問題になつております。先般大蔵省の資金課長と、それから自治庁の財政部長の技術的な答弁を得ておりますが、あと二旬後に迫りました年度末を控えまして、この際政治的に早急にひとつ解決していただかないと、つなぎ資金を返還することの不可能な町村が相当数出て来ておりまして、非常に深刻な問題を起すような事態になつております。従いまして私は大蔵省と自治庁当局で政治的にお話はあつたと思いますが、一体どういうふうに処理されるつもりであるか。これは天下の公党が三つも集まりまして、百五十七億というような数字を具体的に全国民に示して約束したことでありますから、もちろん額面通りに出されるとは思いますが、ただ国家財政の現状もややわかつております私としましては、あるいはこれは減額されるんじやないかということも予想いたしております。従いましてこの機会にひとつ、これは政務次官の腕の見せどころではないかと思います。こういうとき政務次官ががんばらなくちや在任の意味をなさぬ。私は徹底的にこの問題をやつてもらいたい。これは鈴木次長なんかに要望することは困難であります大きな政治問題、三党協定ということになります。政党の取引の問題でありますから、そういう場合のために事務当局と大臣の中間にあつて青木政務次官が、大臣コースを驀進するか、あるいは転落するかの瀬戸ぎわであります。そういう深刻な問題という意識をもつて、この問題は年度内に処理していただかないと、今年度の三月三十一日限り青木政務次官には当委員会に出てもらいたくない、非常に深刻な気持でお伺いしております。ひとつ忌憚ない意見を聞かしていただきたい。
#25
○青木(正)政府委員 ただいま藤田委員から三党協定に基く先般の百五十七億の問題並びに短期融資いたしました金の回収の問題、これとの関連において自治庁の方の当局はどうしているかというお話であつたのでありますが、当初三党協定で百五十七億、昨年度中の事業分量を大体その程度まで広げることを一応認めると申しますか、予想いたしまして、百五十七億の線が出たわけであります。その後実際の事業の進捗状況は必ずしもそこまでの必要がなかつたというふうに私どもは聞いたのであります。また一方つなぎ融資の点につきましては、大蔵省の方といたしましてはつなぎ融資が返つていただかなければ、新しい方の事業の問題につきましても財源上いろいろな困難もあるということもありますので、もちろんつなぎ融資につきましては、期間内に返還することを大蔵当局としては強く希望しておるわけであります。しかし実際問題といたしましては、なかなか大蔵当局の期待するごとく行かぬ点もあるわけでありますが、しかし建前といたしましてはやはり返還いたすべきものは返還していただいて、そうして出すべきものは出すという形に持つて行かなければならぬのじやないか、ことに愛知、三重あたりの例の海岸地帯の被害の問題でありますが、これ等につきましては相当急速に災害を受けました土地の復旧をやらなければならぬということもありますので、そうした地帯につきましてはできるだけ事業を進捗するように政府の方といたしましても考えて、あの百五十七億の範囲において事業が進むようにとりはからつておるような次第であります。おそらく藤田委員の御指摘になつておりますのは、各地方団体が短期融資を受けたものを期日内に返せと言われても、なかなか困難であるというようなことかと思うのでありますが、この点につきましては地方の実際をよく事情を聴取いたしまして、現実に地方が因らないような、また資金運用部の操作において、資金上の操作に困難を来さないようにしなければならぬ、かように考えておるわけであります。
#26
○藤田委員 私はこの期に及んで原則論を聞いておるのじやないんです。実情を調査して善処すると最後に御答弁がありましたが、最初には百五十七億という三党協定のわくを出すほど仕事が進んでいないと、いかにも調査したような答弁があつたのであります。何か前後撞着した御答弁でありましてこれは納得ができません、私は鈴木次長以下事務当局は現在十指に余る重要法案をかかえて、日夜非常に苦慮されておる立場はわかります。政務次官は何もないじやないですか。第一こういう問題をやつてもらうために政務次官は要職についておられるわけです。それで私は百五十七億についてまずお伺いしたいのは、三党協定が出ておるけれども、仕事がそれほど進んでいないということを言われた根拠をひとつお示し預いたい。金がないからやれぬでおるわけではない、そういう逃げ口上では私は納得できません。現実に金があれば、どんどん仕事は進むわけであります。自治庁の政務次官としてはやや不謹慎な発言じやないかと思います。が、実情を調べてそういう答弁をされたかどうか重ねてお伺いします。
#27
○青木(正)政府委員 百五十七億の問題でありますが、当初百五十七億の事業量を予定いたしましてもちろんあの数字が出たわけであります。その後実際の工事に当りまして再査定をいたしまして、現実にそこまでいらぬ地方も出て来たわけであります。それからまた事業が実際にそれだけの事業量があり、そうして進捗しておるところにつきましては、それに応じて支出する、こういうような方針をとつて今日までやつて来ておるわけでございます。
#28
○藤田委員 私は政務次官の実情認識の足らぬ点に、実はぼう然とする次第でありますが、実は三党協定におきましては、たとえば耕地災害復旧に例をとりますと、二十八年度に三割復旧を完成するということであの予算を通したのであります。しかるに各県の実情を見ますと、府県工事は大体一割二、三分、市町村工事の方は約八分というさんたんたる補助金の配分状況でありまして、工事はほとんど進捗を見せておりません。しかも再査定の結果非常に減つたということは、これは大蔵省の二方的の認定でありまして、地方自治体の相談相手たる自治庁のこれは認定じやない、かように私は解釈いたしております。大蔵省が国家財政の必要上、かつてにわくを縮めたというのが真相であります。従いまして私はただいまの政務次官の答弁では納得できませんから、いずれ大臣あるいは大蔵大臣の出席を求めて、この点は一応徹底的に確かめてみたいと思いますが、政務次官は一々次長に相談しなくては、こういう政治的な大問題が答弁できないということでは、鈴木さんに政務次官を兼務してもらうよりほかありません。私はこういうときのために政務次官が在任されておるということをかねて考えておつたのでありますが、納得の行く返事が得られないということは非常に残念に思います。
 次に第一の点でありますが、このつなぎ資金は建前は政務次官が言われるまでもなく年度内償還ということが原則でありまして、当委員会に籍を連ねる人の常識であります。私はそういう原則論を聞いておるのじやありません。現実に金が返せぬと悲痛な声をあげておる自治体をどうするかということであります。あなたの答弁は資金課長や財政部長の答弁よりもまだ漠然としております。もう少し真剣にひとつお答え願いたいと思います。実際に現金がないために年度末金が返せぬ。しかもつなぎ資金は従来の建前から行けば、三月三十一日までに一応返還するわけであります。それで四月の新年度になつてから、あらためて短期融資を受ける方法はあります。現在の法規上はそうなつておるが、実際に運営上何かこの苦しい立場を救つてやる方法はないか、政治的な御答弁を私は伺つておるわけであります。何も政務次官の原則論をここで拝聴するために質問しておるのじやありません。どうですか、いま一度その点をはつきりとお答え願いたいと思います。
#29
○中井(徳)委員 関連して……。先ほどから問題になつていますものは、実はこの間この委員会で十分問題になつたことなんでございまして、私ども資料をもらつております。青木さん御存じありませんでしたら、至急御調査をいただいて、――藤田さんのお話じやありませんが、これはやつていただいて十分やれることだろうと思いますので、言うわけなんでありますが、たとえば去年の三回ばかりの災害で、一例を申しますと、藤田さんの御出身地の熊本県においては、応急復旧の一時融資が十七億出ております。それに対して国の助成金が十七億七千九百万円出ておるわけです。ですから県一本でありますると、この助成金を見合いにしまして、この応急の資金を差引くという建前でありますと、熊本県においては七千何ぼ残るわけでありますが、実際はこの応急の資金が県と市と町村というふうに非常にわけられております。従いまして国の補助金がそれと比例して配分されるといいのでありますが、実情は必ずしもそうじやありません。でこぼこがあるだろうと思うのであります。そこで国の補助金がこれまでの融資よりも金額が多いところは何とかなります。しかもそれも三月の末日までに末端までその補助金の通知が行かなければいけません。金も行かなければいけませんが、少いところが出て来るわけであります。そういうことについて一体どうなるかというので、この間大蔵省の理財局の資金課でありましたか、課長を呼びまして聞いたところが、それはひとつ自治庁と相談して、法制上は非常に困難であるけれども、行政上の措置によつて何とかその間のところを切り抜けて行きたいということを、熱心に答弁されておつたわけです。それの続きで、その結論がもう出ておるはずです。実はそういうことであります。どうぞひとつ……。
#30
○中井委員長 自治庁におかれては、ただいまの御質疑の趣旨を体して、調査の結果を近い機会に御発表あらんことを希望いたします。
#31
○青木(正)政府委員 ただいまの藤田委員の御指摘の点でありますが、大蔵省当局とも十分相談いたしまして、実際に地方団体が困難のないように、自治庁といたしましても最善の努力をいたします。
#32
○西村(力)委員 先ほど門司委員から舞鶴の例をとられまして、地方財政の苦しい事情が公務員にしわ寄せされておるというお話がございました。これは全国的に広がつておる事情なんでありまして、今まで累積された赤字がそうさしたばかりではなくて、それはそれでございますけれども、今年度の財政計画もそれに影響しておる。完全にこれが妥当なものであるということは私どもは認められない。こういう立場から、モデル市町村の財政収支計画をつくつてくれ、こういう要求をして、来週には出す、こう約束されておつたのですが、今もつて提出になつていない。なお同僚の北山委員から、既定の財政規模の内訳を示してくれという要求があつたのですが、それも提出を見ていない。これをいつ出してくれるかということをお尋ねしたいのです。何せはつきり今年度の財政計画が十分なものというぐあいに見通しがつかなければ、とうてい門司委員の心配されておることも阻止できないだろうし、国民感情としても、一億、一億という金がごろごろころがつている。一億といえば一万円の月給をとる人は八百三十年かかるが、それが平気でころがつているにかかわらず、それをわずか地方公務員が一割を返納しなければならぬという状態は見のがしておけないわけです。それがために、早くモデル市町村の財政収支計画を制定して出してもらいたいと思うのです。その点について仕事の状況はどうなつているか、御答弁願いたいと思います。
#33
○鈴木(俊)政府委員 ただいま御指摘の二つの資料でございますが、それを承りまして、自治庁としましてもただいま調製をいたしておるのでございますが、何分いろいろな法案の立案なり、特別交付金の配分なり、主管の課が非常に多忙でございまして、最も重要な資料の提出が遅れておりましてはなば遺憾に存じておるのでありますが、至急にこの点は調製をいたしまして、御参考に供したいと思います。
#34
○中井委員長 地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案の審査の取扱いにつきましては、一昨日の委員会散会後の理事会におきまして、逐条説明ということではなく、改正要綱について税目別に説明を聴取し、質疑も税目別に行うこととし、十八日には公聴会を開き、大体二十日ごろ討論採決をすることを目途として、審査いたすことになりましたので、この点御報告を申し上げておきます。
 従いましてこの際、本案に関する公聴会開会に関する件について、お諮りをいたしたいと思います。すなわち公聴会を開こうとするときは、衆議院規則第七十七条によりまして、あらかじめ議長の承認を得ることになつておりますので、この旨議長にその承認を求めることにいたしたいと思いますが、御異議はございませんか。
    〔「異場議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○中井委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。諸般の手続はただちに委員長よりとり行うことといたします。
 それではこれより改正要綱について、政府より説明を聴取いたすことにいたします。奥野自治庁税務部長。
#36
○奧野政府委員 それでは地方税法改正要綱の税目別に記載したものがございますので、この順序で御説明さしていただきます。
 第一が総則に関する改正事項であります。「地方団体間において課税権の帰属その他地方税法の規定の適用について意見を異にし、その協議がととのわない場合においては、自治庁長官(関係地方団体が同一府県内の市町村であるときは、道府県知事)に対し、決定を求める旨を申し出なければならないものとすること。」現在でもこの種の規定は入つておりまして、市町村税に関しまする問題については、都道府県知事、府県税に関しまする問題につきましては自治庁長官に決定を求めるということにいたしておるわけであります。しかしながら今回の改正によりまして、あるいは道府県民税の問題をめぐり、あるいは大規模の償却資産に対する府県の固定資産の課税権をめぐり、道府県と市町村との間で協議をしなければならない問題がいろいろと起きて参るだろうと考えられるのであります。従いまして市町村税だから知事に決定を求めればよろしいというわけには参らないわけであります。そういうような関係から、関係地方団体が同一府県内の市町村であります場合には府県知事でありますが、それ以外の場合には、市町村税であるからどうこうということではなしに、自治庁長官の決定を求るというようにしなければならないことになつたわけであります。
 その次が「適法に納付した地方団体の徴収金が、法律又は条例の規定による変更又は消滅により過納となつた場合には、その過納額に相当する地方団体の徴収金は、その過納となつた日に納付があつたものとみなして、それ以後の期間について還付加算金をつけるものとすること。」
 現在納税者が地方団体に税金を納め過ぎました場合には、納め過ぎになりました部分につきまして、日歩四銭の割合で地方団体から納税者に還付いたして参つておるわけであります。ところが当初は別に納め過ぎではなかつたのだ。適法に納められておつたのだが、その後に法律や条例が改正になつたから納め過ぎになつたのだ。そういう場合に還付加算金の期間をいつから計算するかということにつきまして、地方税法上明確な規定がなかつたわけでございます。こういう場合には法律や条例が改正になつて納め過ぎになつたのだという日から期間を計算をしたい、こういうふうに改正条順を入れたいのであります。
 第二は、道府県権民税の創設に関する問題であります。「納税義務者は次の通りとすること。」「個人については市町村民税の納税義務を有する者を道府県民税の納税義務者とし均等割及び所得割を、法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定のあるものを含む。以下道府県民税について同じ。)については事務所又は事業所を有する道府県ごとは道府県民税の納税義務を有するものとし均等割及び法人税割を、それぞれ課するものとすること。」個人分につきましては、市町村民税の課されておりまするものにつきましては道府県民税が課されます。しかし市町村民税が課されておりませんければ道府県民税も課されません。また市町村民税が均等割だけでありました場合には道府県民税も均等割だけしか課されません。まつたく市町村民税そのままが道府県民税として課税の対象になつて参るわけであります。
 法人につきましても同じような扱いにいたしたいのでございますが、ただ法人の場合には、市町村民税は同じ府県内の幾つもの市町村内に事務所、事業所を持つておりました場合には、それぞれの市町村において納税義務を負うわけであります。道府県民税の場合には、名じ府県内であれば幾ら事務所、事業所を持つておつても納税義務は一つだけである。こういうふうにしているところだけが違つているわけであります。従つてまた市町村民税を課しません法人に対しましては、道府県民税も課さないことになつて来るわけであります。ただ市町村民税の場合には、同じ府県内であつても納税義務は幾つもある。言いかえれば均等割は幾つも納めなければならない。道府良民税の場合には一つだけでよろしいということになる違いが生ずるだけであります。
 次に三として、「道府県は、次の方法により道府県民税の所得割の課税総額を決定し、これを各市町村に配賦するものとすること。」「道府県は、前年の所得税額の合計額として条例で定める方法により算定した額に条例で短める率(標準は百分の五とし、百分の五をこえて課する場合においては、あらかじめ自治庁長官に届け出るものとする。)を乗じて当該道府県における所得割の課税総額を定め、それを各市町村ごとの市町村民税の所得割額の課税標準とすることができる所得税額の合計額として条例で定める方法によつて算定した額にあん分して毎年四月三十日までに各市町村に配賦するものとする。この場合において、所得税を課税標準として市町村民税の所得割を課する市町村に対しては、道府県の条例で定める率を示すことによつて課税総額の配賦に代えることができるものとすること。」
 道府県民税の所得割につきましては、府県は個人々々の税率はきめないのであります。ただ府県が課しまする所得割の課税総額をきめるわけであります。課税総額につきましては、所得税額の五%を標準税率だとしておるのであります。従いましてたとえば神奈川県を例にとりました場合に、神奈川県の住民でありながら、東京都に出て参りまして給料をもらつておる。従つて神奈川県内で徴収された所得税額だけでは神奈川県に住んでおります人たちの所得税額の総額はわからないのであります。国税の徴収しました所得税額を徴収地で合計しましただけでは、県内の住民にかかる所得税額の総額はわかりません。そこで神奈川県の住民の納めておる所得税額の総額は幾らであるかということをどう決定するか、この算定方法は条例で定めさせようとしておるのであります。大体地方財政平衡交付金の基準財政収入額の算定の基礎になつておりまする市町村民税の場合の所得税額を利用すればいいのではないかと思つておるのであります。市町村民税の基礎になつております所得税額は、これは住所地別に一応振りわけておるのであります。従いまして、これを基礎にすれば、神奈川県の住民の納めておる所得税額の総額が幾らであるかということはわかるだろうと思います。この計算方法は条例できめさせるわけであります。かりに神奈川県内から徴収されました所得税額の総額が八億円であつたといたします。しかしながら東京に出て参りまして、所得税を源泉徴収されておる分が二億円あつたとしますと、住民税の課税の基礎になります所得税額は十億円であります。こういう計算方法を条例できめるわけであります。神奈川県の住民の納めております所得税額の総額が十億円だといたしますと、これに五%をかけました五千万円が神奈川県の個人分の所得割の総額だということになつて参ります。この五千万円を神奈川県内の市町村内に居住する住民にかかる所得税額に按分するわけであります。所得税額に按分するのですが、これもまた所得税額につきましては、支払い地で徴収されております分がありますので、住所地別に振りわけるということについては、多少むずかしい問題がありますので、これも条例できめさせようとしております。条例できめます場合には、市町村民税にかかる基準財政収入額に按分すればよろしいのではないかというふうに考えておるのであります。こうやつて按分されました額が、かりに鎌倉の住民の所得税額が一億円だといたしますと、一億円でありますから、大体まず五百万円が鎌倉市に配賦される神奈川県民税の所得割の総額だと思います。かりに鎌倉市が市民税の所得割額を所得税額の二〇%程度の二千万円を微収しておつたといたしますと、五百万円を二千万円で割るわけであります。そういたしますと三・五%という税率が出て参ります。この二・五%を鎌倉市民の市民税の所得割の額に掛けて行くわけであります。言いかえれば道府県民税の所得割の額は、市町村民税の所得割の附加税になるわけであります。附加税の税率は、鎌倉市に割当てられました道府県民税の所得割の額を鎌倉市が課しております市民税の所得割の総額で割つて算出するわけであります。この場合に鎌倉市がかりに所得税額をそのまま市民税の所得割の課税標準に使つて行きまして、所得税額の二〇%というふうな重い税率でとつておつたといたします。そういう場合には、神奈川県は別段むずかしい計算をいたしませんで、所得税額の五%の額が鎌倉市に割当てられる神奈川県民税の税額だというような抽象的な配賦をすることができるものとしております。この場合にはまたこまかいこまかい計算をいたしませんで、所得税額にそのまま五%を乗じて行きまして、そうして神奈川県民税の個人所得割の額として徴税令書を出して行くことができる、かようにいたしておるわけであります。所得税額を市町村民税の課税標準に使つて行きます限りにおきましては、非常に簡単な計算方式もとれるようにいたしているわけであります。こういうようなやり方をすることによりまして、たとえば鎌倉市民税の所得割が、所得税額一億円といたしまして一〇%の千万円を課税いたして行きます場合には、割当てられた五百万円を一千万円で割つた五%が県民税の所得割の税率であります。従いまして、市町村民税の所得割の軽いところでは、県民税の附加税の税率は重くなりますし市町村民税の所得割の重いところでは、県民税の税率というものは非常に軽くなつて来るわけであります。こうすることによつて、市町村相互間には均衡がとれて行くというふうに考えております。三ページに入りまして、「所得割の課税総額の配賦について違法又は錯誤があると認める市町村に対しては、異議の申立、訴願の提起及び出訴を認めるものとすること。」神奈川県の鎌倉市その他に配賦いたしました所得割の総額に違法あるいは錯誤があると認められました場合に、やはり訴えの道も認めているわけであります。
 四が課税標準及び税率であります。「均等割の標準税率は、個人については百円」市町村民税の場合には市町村の段階によりまして差等を設けているわけでありますが、府県民税の場合は一律に百円にしております。「法人については十二月分として六百円とすること。」このように十二月分として六百円といたしますのは、府県民税の場合に法人の分は申告納付の道を開くことにしているわけであります。従つてかりに六箇月決算であります場合には、決算が済みますたびに、法人税割と均等割は、六箇月分でありますから三百円を申告納付するわけであります。申告納付の方法をとりますので、このような十二月分としての半分を持ち込んだわけであります。「所得割の課税標準は、市町村民税の個人所得割の額とし、その税率は、道府県から配付された所得割の課税総額を各市町村における市町村民税の個人所得割額の総額で除して定めるものとすること。」括弧の中は、「(課税総額の配賦に代えて道府県の条例で定める率により配賦を受けた市町村にあつては、その率をその市町村の市町村民税の個人所得割の税率で除して)定めるものとすること。」となつております。これは今申し上げたところであります。括弧の中に書いてありますようなやり方をいたしませんでも、所得税額に府県が条例で定めております税率をそのままかけて行つてよろしいのだという規定も置いているわけであります。「但し、課税総所得金額の百分の二・五(課税総所得金額から所得税額を控除した金額を課税標準として課された市町村民税の所得割を課税標準とする市町村にあつては、課税総所得金額から所得税額を控除した額の百分の五)の額をもつて賦課制限額とすること。」従つて市町村民税の場合には百分の二・五に当ります部分が従来十であつたのが七・五に下るわけであります。百分の五に当りますものが従来百分の二十であつたわけでありますが、これが百分の十五にするわけであります。
 「法人税割の課税標準は、法人税額とし、その標準税率は、百分の五、制限税率は、百分の六とすること。」いずれも市町村民税からこれだけずつ減額しております。
 五の「個人の道府県民税の賦課徴収は、次の通りとすること。1個人の道府県民税の賦課徴収は、市町村がその市町村の個人の市町村民税の賦課徴収の例により、その市町村の個人の市町村民税の賦課徴収と併せて行うものとし、道府県は、市町村の賦課徴収事務の執行について必要な援助をするものとすること。」新しく府県民税というものが生れるわけでありますけれども、しかしながら手続上は、従来の市町村民税だけであつた場合と何もかわりがないというようなやり方にいたしたいのであります。従いまして府県民税も市町村民税の賦課徴収の例にそのまま乗つかつて行くわけであります。また市町村がやはり市町村民税の賦課徴収と一緒に府県民税も徴収するのでありまして、徴税令書も一通であります。あるいはまた督促状を出すにいたしましてもただ一通であります。徴税令書の中には、道府県民税が幾らであり、市町村民税が幾らであるというふうな内訳を書いていただくだけのことでありましてあとは全部今までのと同じようにやつていただく、こういうような考え方をとつています。
 2は、「個人の道府県民税の賦課徴収に対する異議の申立は市町村長に行うものとする。」やはり市町村が全面的にやるわけでありますので、異議の申立ては全部市町村長に行うわけであります。市町村民税の課税の基礎がかわつて参りましたならば、自動的に道府県民税も改正する、変更するようになるわけであります。
 3は「個人の道府県民税の徴税令書、納期限変更告知書、特別徴収義務者に交付する通知書、督促状その他賦課徴収に関する文書は、市町村民税のそれらの文書と同一の用紙によるものとすること。」一通の用紙で全部足りるようにしたいのであります。従来とまつたく同じでありまして、賦課徴収の扱いの上では、道府県民税と市町村民税と合せて住民税という一つの税目ができたのだ、こういう考え方をとればよろしいということで立法いたして参つて来ておるわけであります。住民税という一つの税目としての扱いをしておるわけであります。徴税令書等につきましては、課税の根拠などを記載しなければなりませんが、県民税について新しくそういうものを織り込んだ徴税令書をつくるのは、時間的にも間に合いませんし、すでに従来つくつたものもありますので、二十九年度分の徴税令書につきましては、府県民税については税額さえ書いてあればよろしい、その場合課税の基礎などは計いておかなくてよろしいのだ、こういうようなことを附則の四項の中に規定を設けております。その中に、従来の徴税令書そのままを使つてください、道府県民税の額が幾らだということだけは書いてくださいということが書いてあるのであります。将来にわたつても徴税令書は一つなのでありますが、やはり府県民税の課税の基礎は書いていただかなければならない。また異議があります場合には、市町村に行つて異議を申し立てれはよいのだということも書いておいていただかなければならない。市町村民税について書いておると同じようなことを道府県民税についても書きまして、徴税令書を作成していただくという考え方にはかわりはないわけであります。
 4は「納税者又は特別徴収義務者は、(イ)個人の道府県民税と市町村民税とは同時に納付し、又は納入しなければならないものとし、(ロ)納税者又は特別徴収義務者が納付し、又は納入した額がその納付し、又は納入すべき額に充たないときは、その納付額又は納入額は当該納税者又は特別徴収義務者の納付し、又は納入すべき両税の税額にあん分した額でそれぞれ納付し、又は納入されたものとし、(ハ)納付又は納入を受けた市町村は道府県民税の額に相当する部分を、翌月十日までに道府県に払い込むものとすること。」さきに申しましたように、住民税としての一つの税目というふうに実態的には観念しておるわけであります。従いまして納税者の納めました税金につきましては、これは道府県民税として納めた、これは市町村民税として納めたというふうな選択は認めない規定を置いております。納めた額はそれぞれの税額に按分して納められたということにいたしておるわけであります。従つてまた、市町村が、給料生活者につきましては会社に特別徴収させておる場合がございます。これは、道府県民税の賦課徴収は市町村民税の賦課徴収にまつたく乗つかつて行くわけでありますから、市町村民税に特別徴収の制度を用いておるものは、府県民税も特別徴収の制度を用いることになるわけであります。特別徴収義務者は、徴収いたしましたものを、この部分は道府県民税、この部分は市町村民税というふうな内訳をつける必要はない。従来からと同じように一本で市町村に払い込めばよろしいのだという考え方であります。納められたものを道府県民税と市町村民税の課税総額に按分して、そうして府県民税相当分を翌月の十日までに、道府県に払い込めばよいのじやないかというような考え方をとつているのであります。だから市町村として事務のふえますものは、徴税令書に内訳を書かなければならない点と、最後に按分して府県に対して府県民税相当額を払い込まねばならない点だけであります。事務的にはほとんど大したことはないのじやないだろうかというふうに考えているのであります。徴収台帳も一つでよろしいという考え方をとつております。
 5項は「個人の道府県民税に係る滞納処分は、(イ)原則として、市町村の徴税吏員がその個人の市町村民税に係る滞納処分と併せて行うものとし、(ロ)道府県の徴税吏員は、必要があるときは毎年五月三十一日現在において市町村から道府県民税に関する滞納報告を受けた後においてあらかじめ市町村長の同意を得た上、三月をこえない範囲内において一定の期間を定め、自ら滞納処分を行うことができるものとすること。この場合には、当該納税義務者に係る個人の市町村民税についても滞納処分をしなければならないものとし、市町村は道府県が行う滞納処分に協力するものとすること。」全面的に市町村が賦課徴収の仕事を扱うのでありますが、二十九年度分でありますと、二十九年度の出納閉鎖期であります三十年の五月三十一日現在になりまして、なお滞納しておる者がありました場合には、そのことを六月三十日までに府県に報告していただくことになつております。府県民税について滞納がある人につきましては、同じように市町村民税も滞納があるわけであります。どうせ市町村も整理をするわけでありますが、出納閉鎖期に五月三十一日現在でこれを整理いたしまして、六月三十日までに府県に報告してもらうわけであります。そうしますと、来年の七月一日から十二月三十一日までの間におきまして、それぞれ市町村長の用意を得まして、さらに第二には、三箇月以内の期間を限りまして、道府県がみずから滞納処分ができるわけであります。道府県が滞納処分をやつておりまする間は、市町村長は滞納処分ができないのであります。かりに鎌倉に滞納が非常に多いといたしますと、七月一日から十二月三十一日までの間において、鎌倉市長としては八月一月だけは県でやつてもらつてよろしいというふうになつた場合には、八月一箇月だけは県が出かけて参りまして県民税の滞納処分をするわけであります。この場合には同時に市町村民税の滞納処分もするわけであります。そして徴収いたしましたものは、市町村民税相当部分を市町村に県から払い込むわけであります。もちろん県がやつております場合には市町村長は滞納処分はできないのだが、県の滞納処分に協力する義務を課しております。反面に、これ以外の場合には県は賦課徴収の行為は何らやらないのでありますが、市町村に必要な援助をする義務を課しておるわけであります。相互に協力し合うという態勢をはつきりさしておるわけであります。相互に援助し合いながらも、どちらが徴収の主体であるかということは明確にしておるつもりでありまして、県が徴収の主体になるのは七月一日から十二月三十一日までの期間において、市町村長の同意を得たときだけであります。
 6は「滞納処分に対する異議の申立は、処分を行つた地方団体の長に行うものとすること。」「賦課及び徴収の状況について市町村は道府県に対し報告しなければならないものとし、道府県は必要がある場合には、市町村又は政府に対し道府県民税の賦課徴収に関する書類等の閲覧を求めることができるものとすること。」「個人の道府県民税及び市町村民税に対する延滞金又は延滞加算金の計算については、両税の合計額について行うものとすること。」府県民税と市町村民税につきまして、延滞金などの計算を別々にやつて行くとしますと、端数整理などの関係で食い違つて参りますので、こういうものもやはり住民税として、一つの税としての取扱いでやつているのだということを、明確に規定いたしておるわけであります。
 「道府県は市町村に対し、道府県民税の賦課徴収に要する費用を補償するため、道府県に払込まれた金額又は徴税令書件数に応じ、政令で定める基準によつて徴収取扱費を交付するものとすること。」これは政令できめることにしておるわけなのでありますが、大体市町村民税について現在市町村が使つている徴税費の三分の一くらいのものを県から市町村に交付したらどんなものだろうか。そうするならば、大体徴税令書一通について二十円、払い込まれた金額について三%を乗じた額を府県から市町村に交付することにしたらどんなものだろうかと考えているのでありますが、市町村側ではそれでは少な過ぎるというような意見があつたりしまして、なお現在研究いたしておる最中であります。
 六は「法人の道府県民税は直接道府県に申告納付するものとし、その滞納処分は、道府県の徴収吏員が行うものとすること。」先ほど申し上げましたように、法人につきましては申告納付の方法によりたいわけであります。
 七は「政府は法人税の更正又は決定に係る法人税額を道府県知事に通知するものとし、道府県知事は法人税に関する書類を閲覧又は記録できるものとすること。」法人税の更正または決定は、その都度国の税務官がやつて参るわけでありますので、一々国の税務機関について台帳を見て行くということになりますと非常に煩雑でありますので、国の税務機関から、法人税について更正または決定をいたしました場合には、更正または決定したということを本店所在地の府県知事に通知いたしてもらうことにしております。本店所在地の府県知事に税務著長か国税局長から通知が参りますと、これを事務所、事業所所在地の関係府県知事に通知することにしているのであります。かりに東京都に本店があり、神奈川県にも工場があるといたしました場合には、税務著長または国税局長から東京都知事に法人税を更正または決定した旨を通知して来るわけでありますが、これを東京都知事が神奈川県知事に連絡するわけであります。さらに東京都知事も神奈川県知事も、その都内や県内に事務所、事業所のありまする市町村に対しまして、法人税が更正または決定になつたのだということを連絡するのであります。こうやつて国の税務機関を府県の税務機関と市町村の税務機関が相互に協力し合う、連絡し合うということにいたしているわけであります。あとの事業税の方で、さらに府県知事の方から、その法人税額が少な過ぎるということで更正の請求をするような規定を置いておるわけであります。
 第三には事業税であります。附加価値税は廃止し、現行の事業税及び特別所得税はこれを統合してその名称を事業税として存置することにいたしております。
 個人事業税の課税客体を次の通りに書いております。「第一種事業現行事業税の第一種事業(物品販売業等)として掲げられているものに、湯屋業、クリーニング業及びもつぱらめん類を提供する業を加えたもの」これらはかつては事業税の第一種事業として列挙されておつたのでありますが、その後これらのものの税率を早く引下げる必要があるという趣旨で、現行特別所得税の第二種業務に加わつたと考えているのであります。そこで今度税率を湯屋業、クリーニング業、もつぱらめん類食を提供する業について適用されておりまする率まで、第一種事業一般の税率を引下げますので、この機会に元のさやに納めたいというふうに考えたわけであります。
 第二種事業は、現行事業税の第二種事業として掲げられているものをそのままあげてありまして、これは原始産業であります。
 第三種事業は現行特別所得税の医業等の第一種業務法務自由業等の第二種事業のうち、湯屋業、クリーニング業、もつぱらめん類食を提供する業を除いた業務を掲げたいと考えているのであります。
 三非課税の範囲は、新聞業、新聞送達業、学術研究等に関する出版業、一般放送事業、鉱物の掘採事業、個人の行う農業、林業その他の主として自家労力を用いて行う原始産業等」で、非課税規定を整備縮小すべしという意見は地方制度調査会、税制調査会あるいは地方団体を通じて強く主張されて参つて来たところであります。しかしながらここに書いておりまする新聞業、新聞送達業それから出版業、これらは従来の新聞紙法による出版といたしまして何十年来そのまま非課税の取扱いがなされて来た性質のものでありますので、やはり今回も長い沿革にかんがみまして、非課税としておきたいというふうに考えたわけであります。一般放送事業は昔なかつたのだから入つてなかつたのでありますが、昔から放送事業があつたならば、やはり同じ扱いがなされておつたと思われるものでありますので、これもそういう趣旨で存置したわけであります、鉱物の掘採事業に対しましては、別途鉱山税が課されておりまして、同じ性質の税目が別に市町村税の中であるわけでありますので、やはり非課税の規定を存置いたしました。農業や林業につきましても事業税を課すべきだという意見が、商工業者を中心にしてかなり強く主張されておるわけでありますが、こういうものは自家労力を主として行う事業なんだというような考え方から、農業と林業は個人分だけはやはり従前通り課税しない建前をとつて行きたいというふうに考えております。そういう立案になつております。
 四の「公益法人及び特別法人の範囲はおおむね法人税と同一とすること。」五の「現行の収入金額を課税標準とする法人事業のうち海運、航空、小運送、運送取扱等の事業を除き、新たに生命保険業を加えること。但し地方鉄軌道事業のうち地方鉄道軌道整備法の規定による補助金をうけるものについては所得を課税標準とすること。」こういたしますと、将来にわたつて収入金額を課税標準といたしまするものは、第一に電気供給業、第二にはガス供給業、第三には地方鉄、軌道業、第四にはバス事業、法律用語としてはもう少しこまかく書いておりますが、第五には生命保険業、生命保険業は新たに加わるわけであります。こういうことになるのであります。収入金額課税をやめてもらいたいという意見が、これらの業界からはかなり強く述べられております。しかしながら今回の事業税の立案にあたりましては、法人の課税標準は所得または収入金額によるんだということにいたしまして、収入金額が例外であつて、所得が原則なんだというような書き方はやめたのであります。とにかく事業に応じて所得をとるものもあるし、収入金額をとるものもあるというような立案にいたしております。なぜそれじや業界が反対しているにかかわらず、この収入金額課税をやつて行きたいと考えているのかということに、ちよつと触れておきたいと思うのであります。生命保険業を加えたのはあとで申し上げますが、従来の収入金額課税をそのまま存置いたしました理由は、いずれもこれらの事業は価格統制、料金統制が行われている事業であります。料金統制の行われている事業なんだから料金をきめる際に、その事業が府県の経費分担額として分担すべき程度のものを料金の中に織り込んでもらいたい、国全体の政策的な見地から料金を多くしたり少くしたりするわけでありましようけれども、府県のような小規模団体につきましては、ある程度経費を分担してもらわなければ府県が財政的に成り立たない。そこで府県経費の分担分を、料金をきめる際にやはり織り込んでもらいたいと考えているのであります。第二にはこれらの事業はいずれも大体、巨大な独占企業である。そうするときめられた料金というものは維持できるのではないだろうか、維持できるのならきめられただけのものは、府県に経費分担分として納めてもらいたい、こういうふうに考えているわけであります。第三には、一体事業税の課税標準は何がよいのかということになるわけであります。今回附加価値税をやめてしまいます。なぜ附加価値税をやめるのかという問題になるわけでありますが、やはり理論的には附加価値税は非常によろしいのであります、よろしいのだが、経済の基礎が非常に浅いものだから千億にもなろうとする税金の賦課方法をかえるといたしますと、業界によつて非常に重くなつたり、軽くなつたりいたします。このような負担の激変を与えること、この激変に打ちかつためには、現在のわが国の産業界の基礎があまりに弱過ぎるのではなかろうか。そういうようなものについてはやむを得ず従前通りにしておくよりいたし方ないのではなかろうか。こういう考え方が根本にあるわけでありますが、かたがた徴税費もなるたけかからない方がよろしい。一般に国民負担が重い際でありますので、合理化するというよりもなるたけ金のかからないようなやり方をする必要もあるわけでありましてかそういう意味合いにおきまして、従来の課税方式を踏襲することになつておるのであります。しかしながらもうかれば府県の経費を分担するけれども、損をすれば府県の経費を分担しないというような事業税の姿は、これが国税でありました時代には、所得税を補完する性質の税として、一応理論的にもうなずけるだろうと思うのでありますが、府県の独立税になつた場合には、所得税の補完税という観念はとれないと思うのであります。やはり事業の分量に応じて、府県の経費を分担するという考え方が事業税の中に織り込まれるべきではなかろうかというふうに考えるのであります。そういう意味合いからは、やはり所得課税というものは必ずしも適当でないし、やむを得ず従来通り踏襲するだけであつて、やはり事業の分量に応じて経費を分担してもらうような課税方式の方が、府県税としての事業税にはふさわしいのだという考え方をとつておるのであります、従つてまた収入金額課税をやつて来たものは、今後も収入金額課税をやつてもらいたい。もし負担が重過ぎるならば、税率の問題ではなかろうかというふうな考え方に立つたわけであります。第四にはまたこれを所得課税にいたしますと、さしあたり三十数億円の減収を来しましてこのことが府県財政の現状からはたえられないというふうな問題もあわせてあるわけであります。そういう意味合いにおきまして、現在におきましてもなお料金統制が厳格に行われておる事業につきましては、収入金額課税を踏襲するということにいたしたわけであります。次に生命保険業を新たに加えましたのは、現在は大部分相互保険の形態をとつておりますために、税務計算上の利益が上つて来ないと思います。利益が上つて来れば全部契約者に割りもとしてしまう。従つて税務計算上の利益が上つて来ないと思いますが、相当大規模に事業活動をやつております。それならば事業活動の規模に応じてある程度の税金を負担してもらいたい。それでは契約者に配当した、言いかえれば割りもどした部分は損金に見ない。益金にみなして行く方法もあるのでありますが、こういうことは生命保険業が長くやつて参りました経営方針に対しまして、大きな影響を与えることになつて参ります。課税方法が生命保険業の経営の妙味といいますか、そういうものにつきまして特別な変更を加えるということにもなりまして業界も喜びませんので、そこで収入金額を課税標準として、生命保険業にも事業税を課するという方式に改めることにいたしたわけであります。現在では生命保険業がほとんど事業税を負担しておりませんが、こういう形式をとることによりまして、平年度一億六千万円程度の税金を納めることになるわけであります。そこに但書を加えておりますが、これは地方鉄道軌道整備法によりまして、まつたく採算の立たぬ鉄軌道であり、ほうつておけば解散してしまう。しかし国全体の見地から採算のとれないような鉄軌道なんだが、それを存続させて行かなければならぬ。こういうようなものにつきましては、地方鉄道軌道整備法によりまして国から補助金を与えることになつております。採算の立たない鉄軌道を国全体の見地から、なお存続さして行くわけなのでありますから、料金統制が行われておりましても、転嫁を可能とするような料金のきめ方が事実上不可能であります。従いまして、こういうものにつきましてだけは所得を課税標準とする規定を挿入することにいたしたのであります。
 六が「課税標準たる所得、清算所得及び収入金額の算定は、左によるものとすること。」「法人の各事業年度の所得の金額又は清算所得の金額は、原則として当該事業年度の法人税の課税標準である所得又は清算所得の計算の例によつて算定するものとすること。」要するに法律または政令で例外を設けません限りは、法人税の所得の算定の例によることにいたしたわけであります。二重調査というものを避けようとする趣旨を持つているわけであります。二番目が「各事業年度の収入金額は、その事業について収入すべき金額の合計金額から特別の収入金額を控除した金額によつて算定するものとすること。」特別の収入金額を控除するというのは、固定資産の売払い代金などでありまして、従前の取扱いとはかわつておりません。「但し、生命保険業にあつては、各事業年度の新規契約にかかる初年度保険料収入の一定割合とすること。」これは九十四ページの九十条の中に詳しく書いてあるのでありますが、生命保険業の全収入保険料をとることも一つの方法でありますし、今度立案いたしておりまする初年度収入保険料だけをとることも一つの方法なのであります。主として業界の希望から初年度収入保険料をとることにしたわけであります。初年度収入保険料はその事業の活動の実態を一番よく現わしているものだと考えておるのでありまして、次年度からは、ただすでに契約の成立したものにつきまして機械的に保険料を払い込まれて来るだけのことであります。契約された部分が結局毎年度毎年度その生命保険の事業活動の分量を現わすことになるのだろうと思うのであります。次年度以降はただ機械的に保険料を払い込まれるだけだだから事業活動の規模を現わす初年度収入保険料、契約五年なら五年についての契約をいたします、その最初の年度分として払い込まれる収入保険料だけを課税標準にとるわけであります。ことに保険料の中には積立金に類するものもございます。積立金に類するものはあたかも銀行預金のようなものでありまして、このようなものについてまで課税することは適当ではございません。従つて保険料のうちから責任準備金等に繰入れられまする積立金に相当するものを除きましたもの、それを附加保険料と呼んでおるようであります。附加保険料に相当するものを課税標準に採用しようとしております。全収入保険料をとります場合には、附加保険料に当りまする割合は小さいのでありますが、初年度収入保険料だけをとりますと、附加保険料に当りまする部分が割合に多いのであります。そういう計算をいたしまして、たしか五年を越える期間で契約いたして参りまする生命保険業につきましては、初年度収入保険料の四二%を課税標準にし、一年を保険期間にしておりまするものにつきましては八%を課税標準にし、その他の保険につきましては五%を課税標準にするという規定を置いております。今申し上げましたような趣旨で附加保険料に相当する部分をこのような率で現わしているわけであります。
 八ページへ行きまして「農業協同組合法、消費生活協同組合法、水産業協同組合法、中小企業等協同組合法等による組合でその積立金額が出資額の四分の一に逃しないものについては、所得から「株主又は出資者に配当した金額以外のもの」を除いた金額を課税標準とすること。」各種協同組合につきましてその積立金額が出資額の四分の一は達しませんものは、基礎が薄弱でありますので、従来事業税を課さないことにしておりました。国税、法人税法の場合には四分の一に達しないものにつきましては法人税を課するが、積立金に繰入れた部分は損金に見るわけであります。今度改正いたしますのは、ちようどその中間に線を引こうとしているわけであります。非課税規定を整備したいという要望が強いわけでありますが、各種協同組合で積立が四分の一に達していない基礎の弱いものにつきまして、非課税規定整備の線に沿つて、全面的に事業税を課して行くということは穏当でないと思います。そこでもし課して行かないということになれば、積立金が四分の一になるまではどんどん配当してしまおうじやないかということで、株主または出資者に配当してしまうから、いつまでたつても四分の一を越えることにならないじやないかというようなことも考えられますので、配当した金額以外のものは全部損金に見て行こう、配当だけはこれを損金と見ることは穏当でないだろう、こういう考え方をとろうとしたわけであります。またこういう考え方をした方が基礎の弱い協同組合に対しまして、事業税におきましてもある程度助成的な面を出すことになりますし、またこれらの協同組合がせつかく基礎を強固にするために、どんどん積み立てて行くべきであるにかかわらず、四分の一を越えるようになつたら全部配当してしまう、こういうような経理も行われないで済むのじやないだろうか側面的に経理内容の充実を促進することにもなるのじやないだろうか、こういう考え方を持つたわけであります。
 4は「個人の所得は原則として所得税の課税標準である所得のうち所得税法第九条第一項第三号及び第四号に規定する不動産所得及び事業所得の計算の例によつて算定するものとすること。この場合において、青色申告書の提出を認められた個人の前年以前三年間に生じた損失については、国税に準じてその繰越控除を認めるものとすること。」個人の所得も所得税の所得にそのままのつかつて行きたいと考えておるわけであります。特に法律または政令で別な規定を設けません限りは、そのままのつかつて行きます。大部分は事業所得に当るものなんでありますが、ただ遊技場の貸付業というようなものにつきましては、国税の所得税では不動産所得に入れておりますので、まつたく例外的に不動産所得に当りまするものが事業税の課税標準になる場合がございます。これらを除きましてほとんど全部が所得税の場合の事業所得に当るわけであります。なお国税におきましては青色申告書の提出を認められたものにつきまして損失がありました場合には、前三年間につきまして繰りもどしを認められているのであります。要するに以前にさかのぼつて所得税額を計算した場合に、所得税額が払い過ぎであつたという計算が出て参りますと、払い過ぎの所得税額の繰りもどしを認める規定が置いてあるのであります。しかし地方団体の場合に、繰りまどしするまでの規模でもないわけでありますので、繰りもどしされた場合には事業税の場合には翌年度以降に送つて行きたい、事業所得の例によるということになりますと、繰りもどしを受けた場合には翌年の事業所得は翌年度だけで計算されて参ります。損失は繰りもどしはされません。そこで事業税の場合には事業税額の繰りもどしはやらないが、損失金として翌年度以降へ繰越して行こう、その部分について国税の事業所得の計算とは違つた計算をしよう、そういうことを打ち出そうとしておるわけであります。国税の場合には税額を繰りもどすけれども、地方税の場合にはその損失金を翌年度以降へ繰越して行こう、こういうやり方をしたいのであります。
 5は「個人事業税の基礎控除を七万円(昭和二十九年度は六万円)、(現行五万円)に引き上げること。」今回の改正にあたりまして内部でいろいろ検討いたしましたことは、基礎控除をもつと上げた方がいいか、あるいは基礎控除はこの程度にして、広く府県の税金を負担してもらう建前をとり、反面税率を思い切つて下げた方がよいか、二者択一の問題といたしまして非常に研究いたした問題であります。結論といたしまして事業税の基礎控除は、所得税の基礎控除の額まで上げて行こうじやないか、またその程度に認めようじやないか。また反面税率は思い切つて三分の二に下げてしまおうじやないかという、こういう結論を出したわけであります。
 六は「医療法人及び医業を行う者の所得の算定について、健康保険法、生活保護法、結核予防法等の規定に基く療養の給付又は医療に係るものを除外する現行規定を存置すること。」これも実は国税と違つた取扱いなんでありまして、かなり問題になつた点でありますが、やはり社会保険診療は社会保険診療の単価のきめ方等もございまして、やはり事業税の課税対象からはずしてしまいたい。従つて社会保険診療にかかりまする収入金額も計算に入れなければ、経費も計算に入れないという取扱いを従前通りいたしたいのであります。所得税や法人税の取扱いとはこの点は違つております。そのかわり特別所得税におきましては、公務自由業と医業とは税率の区分をしておるわけでありますが、税率はこの機会に公務自由業も医業も同じ区分にいたしたいというふうにしたのであります。七は「鉱物の掘採事業と精錬事業とを一貫して行う法人又は個人の事業税の課税標準とすべき所得金額は、これらの事業を通じて算定した所得金額の総額をこれらの事業の総益金又は総収入金で除して得た数値に、当該総益金又は総収入金額から当該課税標準の算定期間中において掘採した鉱物の価額を控除した金額を乗じて得た額とすること。」たとえば銅鉱や鉛鉱の掘採事業と、それらの精錬事業とを一緒にやつておりまする金属工業の会社があるといたしまして、この会社の所得が一億円、売上げ金額が十億円だといたします。鉱物の掘採の方については鉱産税がかかつておるわけであります。そこで利益の一億円というもので事業税の課税対象となるべき部分は幾らであるかということを見ます場合に、売上げ金額の十億円のうち、鉱石の価額が二億円だといたします。そうしますと十億円から二億円を引いた八億円、所得の一億円に十億円分の八億円をかけて事業税の課税対象となるべきものを見出そうとしておるわけであります。その場合の鉱物の価額二億円というものは、鉱産税の課税標準となるべき額で見て行きたい。そうやつて鉱産税もまた的確に納められるように立法して行きたいというふうに考えております。
 七は「標準税率は次の通りとする。」普通法人の所得金額のうち年五十万円以下の金額は百分の十、所得金額のうち年五十万円をこえる部分及び清算所得は百分の十二、現行は一律に百分の十二であります。所得金額のうち年五十万円以下につきまして軽減税率を用いるわけでありますが、二以上の道府県にまたがつて事業をやつておりますものにつきましては、やはりこの五十万円を関係道府県に分割するわけでありまして、分割された部分について軽減税率が適用されるわけであります。また五十万円以下の金額につきまして軽減税率を適用しようといたしまするのは、やはり中小企業につきまして個人企業に対する事業税について配慮を加えたと同じように若干配慮を加えたい、また中小企業の個人を頭に置いて、このような軽減措置を考えたわけでありますのでそれとのつり合いから五十万円という金額を算出して来たわけであります。まつたく個人との関係におきまして考えたわけでありますので、五十万円という金額を選んだわけであります。特別法人は現行通り百分の八をすえ置きます。収入金額を課税標準とする事業を行う法人につきましては、現在は百分の一・六でありますが、普通法人との関係から百分の一・五に引下げる。これにつきましては段階課税をやりませんので、百分の一・五に全体的に引下げるという方式を採用するわけであります。
 個人の第一種事業は、百分の十二を三分の二の百分の八に思い切つて下げております。個人の第二種事業及び第三種事業は、現在は百分の八ないし百分の六・四でありますが、税率区分の合理化をはかるという意味で、これを百分の六という一本の税率にいたしました。但し第三種事業のうち、助産婦とか、あんま、はり、きゆう等につきましては、現行通り百分の四といたしまするのみならず、あんま、はり、きゆう等の事業につきましては、視力を喪失した者に対しては、事業税を課することができないという規定を新たに加こることにいたしました。盲さんであんまをやつているにかかわらず、所得があるから事業税をとつて行くということもいかがなものかと思われますので、視力を喪失した者に対しましては、事業税を課することができないという規定を設けることにいたしました。
 八が「課税方法については左によるものとすること。」「法人事業税にあつては、申告納付の方法により、個人事業税にあつては普通徴収の方法によるものとすること。この場合において事業年度の期間が六月をこえるものについては法人税に準じて中間申告納付の制度を採用するものとすること。」「法人事業税の課税標準である所得又は清算所得を更正し、又は決定する場合においては、原則として、当該法人の法人税の課税標準である所得又は清算所得について政府が更正し若しくは決定した課税標準額又は当該法人が政府に対して申告し若しくは修正申告した課税標準額を基準として行うものとすること。この場合において、申告がないものについて一年を経るも政府が決定をしないとき、又は法人税の課税標準額が過少と認められるものについて一年を経るも政府か更正若しくは決定をしないときは、道府県知事は税務官署に対し更正又は決定をすることを請求するものとし、当該請求を受けた税務官署が三月以内に正当な事由がなくて更生又は決定をしないときは、その上級の税務官署に更正又は決定をすることを請求するとともにその旨を自治庁長官に報告するものとすること。先ほど申し上げましたように、法人に対する事業税の課税標準は、法人税の課税標準に原則としてのつかつて行くわけであります。算定方法が同じでありますものにつきましては、法人税の課税の基礎にまたそのままのつかつて行きます。従つて府県が直接調査をして自分で決定をするということはございません。法人税の課税の基礎にのつかつて行きますものにつきましては、府県がみずから調査をいたしまして、更正したり決定したりするということはあり得ません。
 そこで納期限が過ぎましてから一年たつても政府が決定をしない、あるいは過少だと認められておるにかかわらず、政府が更正をしない、そういう場合には税務署に対しまして府県知事から更正決定するようにという請求書を出すわけであります。税務署長の権限に属しまするものにつきましては税務署長に、国税局長の権限に属しまするものにつきましては国税局長に、更正の請求をするわけであります。更正の請求をしたにかかわらず、三月以内に更正決定をいたしません場合には、さらに上級の税務機関に請求をするわけであります。税務職長の権限に属しまするものにつきましては国税局長に、国税局長の権限に属しまするものにつきましては国税庁長官に更正の請求をするわけであります。同時に自治庁長官に報告を要するものとしております。こうすることによつて相互に牽制し合いながら正当な更正決定が行われるように持つて行きたい、こういうところにも国と府県との間に協力態勢を確信して参りたいという考え方を持つておるわけであります。同時に、納税者が国からも、あるいは府県からも二重に調査されるというような煩を避けたいのであります。もちろん国税にそのままのつかつて行きません部類につきましては、三に書いてありまするように、道府県知事が自主決定して参ります。その一つは、収入金額を課税標準とする事業を行う法人にかかるものであります。第二は、法人税法第六条第一項に規定する法人にかかるものであります。国税は三年間免税される、しかし事業税は免税いたしませんので、その部分につきましては、府県が自主決定をするわけであります。第三には医療法人であります。先ほど申し上げましたような特別な規定を置いておりまするので、これも自主決定をします。こういう三つのものにつきましては、法人でありましても、その課税標準について道府県知事がみずからその調査によつて更正または決定することができるものといたしておるのであります。
 四が「個人事業税を課する場合においては、原則として、当該個人の所得税の課税標準である所得のうち所得税法第九条第一項第三号及び第四号に規定する不動産所得及び事業所得について当該個人が政府に対し申告し若しくは修正申告し、又は政府が更正し若しくは決定した課税標準額を基準として事業税を課するものとすること。この場合において(イ)所得税を納付する義務のないもの、医業等を行うもので所得の算定につき特例を認められているもの等については、道府県知事は自らその調査によつて個人の事業税の課税標準を決定し、(ロ)所得税を納付する義務のあるものについては、申告がないものについて政府が決定しないとき、又は所得税の課税標準額が過少であると認められるものについて政府が更正若しくは決定しないときは、道府県知事は、十月一日から三十一日までの間において、税務官署に対し更正又は決定することを請求するものとし、当該請求を受けた税務官署が三月以内に正当な事由がなくて更正又は決定をしないときは、その上級の税務官署に更正又は決定をすることを請求するとともにその旨を自治庁長官に報告するものとすること。」
 個人事業税について申し上げますと、所得税の確定申告の期限がことしの三月十五日でありますが、事業税は前年の所得について課税するのでありますから、この確定申告の期限が過ぎまして、さらに五月三十一日になりましても納税義務者が申告もしない、国の税務機関も決定をしない、とにかく五月三十一日になりましても申告もしなければ、税務機関も決定をしない、こういうものにつきましては府県がみずから調査をして決定して行きます。五月三十一日までに所得税について個人が申告をしない、また税務機関が決定をしない、こういうものにつきましては府県が自主決定をして参ります。それ以外のものにつきましては、もちろん所得税の納税義務のないものは、これは府県が自主決定をして行くことは当然であります。これ以外のものにつきましては、まず国の更正決定に待とうという態度をとつているわけであります。いつまで待つか。待つ期間は十月一日までであります。十月一日になつて申告しているものが少過ぎる、あるいは国の更正したものが少過ぎる、過少であると認められるものにつきましては、一月の期間を限りまして、十月一日から十月三十一日までの間に税務機関に更正の請求をするわけであります。これもやはり正当な事由がなくて、三月をたつても更正決定をしません場合には上級の税務機関にさらに更正の請求をしますと同時に、自治庁長官にその旨を報告して、参りまして、相互に牽制し合いながら、正当な更正が処われるように力を合せて行きたいという態度を出しているわけであります。この間におきまして、国民は国の税務機関と、府県の税務機関から二重に調査をされるということはあり得ないわけであります。従つて個人分につきまして、府県が自主決定をいたしますものは、五月三十一日までに申告もしないし、国の税務機関も決定しない、これが一つであります。第二は所得税義務のないもの、これは当然のことでありましよう。第三には計算方式につきまして若干の特例を設けているものであります。お医者さんなどについてはその適例であります。そういうようにして、責任の帰属を明確にしながらも、国民に対しまして二重調査の煩を避けて行きたいという考え方をとつておるのであります。
 九が「二以上の道府県において事務所又は事業所を設けて事業を行う法人の課税標準額の総額の分割は左によつて行うものとすること。」電気供給業、ガス供給業及び倉庫業は現在は固定資産の価格一本にしたいと思つております。地方鉄道事業及び軌道事業も従前は同じでありますが、軌道の延長キロ数一本にしたいと思つております。銀行業及び保険業におきましては、現在は従業者数だけでありますが、半分は事務所または事業所の数でありまして、一種の均等割の思想であります。半分は従業者数であります。こういうような金融業につきましては、従業者数だけでは事業の活動分量を正確に見られないだろうというふうに考えています。要するに預金を集めてまわる反面に、特定の企業等に貸付をする、こういうような事業活動の分量というものを従業者数だけで判断して行くのはいかがなものだろうかと考えたのが、この事務所及び事業所の均等割の思想を入れたわけであります。従つて半分に関します限りは日本銀行についていえば、東京の日本銀行の事務所も青森県の日本銀行も同じ割合で日本銀行の納めます事業税が按分されるわけであります。その他の事業につきましては従前通り従業者数によつて按分いたします。こういう措置をとることによりまして、現在はわれわれは本店所在地の都道府県の事業所の収入が集中し過ぎておつたと思いますが、この結果東京都及び大阪府から他の関係府県に収入が帰属して布きます部分が十億円余りあると考えております。十億三千万円でありましたでしようか、その程度分散されると考えております。
 十は「三以上の道府県において事務所又は事業所を設けて事務を行う法人の課税標準額の更正若しくは決定又は関係道府県ごとの分割額の変更については、主たる事務所又は事業所所在地の道府県知事が自ら又は関係道府県知事の請求に基いて行うものとすること。この場合において主たる事務所又は事業所所在地の道府県知事と関係道府県知事との意見が異なるときは自治庁長官が決定するものとすること。」
 日本銀行の事業税額を東京と青森県その他の間にどう分割するか、分割について異議があります場合には、現在では全部自治庁長官の指示によつてやらせることにしておつたのでありますが、いかにも煩瑣でありましたので、自治庁長官の指示によらないでお互いの協議によつて変更させようとしております。ただ協議がととのわない場合にはいたし方がございませんので、現在と同じように自治庁長官が決定して行こうというふうにしたのであります。
 十一は「政府は法人税の更正又は決定に係る課税標準額その他事業税の賦課徴収に関し、必要な事項を関係道府県知事に通知するものとし、道府県知事はその更正又は決定に係る法人又は個人の課税標準額その他法人税又は所得税の賦課徴収に関し必要な事項を政府に通知する外、法人税又は所得税に関する関係書類を閲覧又は記録できるものとすること。」
 先ほども申し上げましたように、政府の側からは法人税を更正または決定した場合には知事に通知するし、知事は関係府県知事に連絡する。さらに市町村長にも連絡する、これが一つの道であります。第二には府県知事がたとえばお医者さんの事業所得額というものを決定します。これを府県知事から税務署長に通知することにしております。所得税の決定の便に資しようとしておるわけであります。さらにまたいろいろ関係書類というものにつきましては、府県知事が国の機関について閲覧または記録できるものとするという規定を挿入しております。相互に連絡を密にしたい、これを制度的なものにしたいという考え方を強く挿入いたして参つて来ておるわけであります。
 十二は「申告書の様式を簡素化するとともに申告書の添附書類は必要最小限のものにとどめるものとすること。」
 現在は法人事業税などにつきまして、各会社から貸借対照表、財産目録表というふうないろいろなこまかい資料を申告書につけさせております。こういうものを、今度は一切やめてしまおうと思つておるのであります。国税の基礎に乗つかつて行くんだから、そういうものは一切いらない。だから財産目録もいりません、貸借対照表もいりませんという線を打出しております。ただ府県が必要がある場合には、そういうものにつきまして提出を求めることができるという規定だけを入れたわけであります。要するに提出を求めますのは例外でありまして、原則はこまかい書類は一切いらないということにしようとしておるのであります。関係条文は、百十条になつております。百一条と百十条。百一条では、国税に乗つかつて行きますものにつきましては、一切そういう書類はいらぬということをはつきりいたしております。同時に百十条の方で、必要がある場合はそのかわり請求を求めることができるという規定を入れております。この様式は徹底的に簡素化いたしたいと考えております。
 第四が、不動産取得税であります。「道府県税として不動産取得税を創設すること。」「土地及び家屋の取得に対し、不動産所在地の道府県において、取得者に課するものとすること。」「(新築家屋については、最初に使用若しくは譲渡が行われた時又は新築後六月を経過しても使用若しくは譲渡が行われない場合においてはその時に所有者又は譲受人が取得したものとみなし、家屋の改築については改築により価格が増加したときに限り取得があつたものとみなす。)」家屋を建てましたときに、請負主が請負つて家屋を建てたといたします。いつ、だれに不動産取得税を課税するかということがかなりむずかしい問題であります。そこでこの法律案におきましては、これをこう割切つておるわけであります。家屋が建つた。建つてもまだだれもそれを使用しない場合にはきめないが、使用したときに初めて不動産取得税を課する意味における取得があつたものとする。またたとえば請負主が建築を完了いたしまして、請負を頼んだ主にそれを譲り渡した、あるいは立売り住宅をつくつつてこれを売り渡した、要するに使用人が使用を始めるかあるいは譲り渡しが行われる、こういう場合に不動産の取得があつたとみなすという規定を置いておるのであります。それまではまだだれに課すかはきめないのであります。そうしますと、大体請負建築の場合には請負に付した人間が要するに所有者であります。その者が不動産取得税の納税義務者になることははつきりいたします。また立売り住宅の場合には、立売り住宅を買つた人間が不動産取得税を納めるということがはつきりして参ります。ただ家を建てたけれども、長く放つてある、いつまでたつても不動産取得税を課することができないということでは因りますので、六月たつてもまだ譲り渡しもなければ、使用の開始もない、そういう場合には、その家屋の所有者を納税義務者にしよう、こういう考え方をとつているわけであります。
 なおこれだけでは、どこまで課税されるのか問題が起きるかもしれませんので、条文の百八十四ページを参考に申し上げておきたいと思います。百八十四ページに不動産取得税に関する用語の定義を書いております。この中で四号の「住宅」ということについては、「主として人の居住の用に供する家屋をいう。」としております。こう書きましたのは、「主として人の局住の用に供する家屋」であつて、もつぱら人の居住の用に供する定屋ではないのである。だから併用住宅についても、住宅について認められている免税措置が適用になるのだ、こういう趣旨であります。あとで申し上げますが、住宅につきましては特別な軽減規定と置いております。その規定の適用が併用住宅についてもあるということであります。
 五番目は、「価格」とは「適正な時価をいう。」自分の山の木を切つて建てましても、適正な時価で課税の標準を決定して行きたいということになるわけであります。
 六番目は、「建築」とは「家庭を新築し、増築し、又は改築することをいう。」と定義をいたしております。従つて修繕をした場合には、不動産取得税の対象にはならないのだということがここではつきりするわけであります。しかも「家屋を新築し、」はわかりますが、「増築し、又は改築する」ということは、どういうことかというと、七号で、「増築」とは「家屋の床面積又は体積を増加することをいう。」のだ。八号で「改築」とは「家屋の主要構造部(壁、柱、庄、はり、屋根又は階段をいう。)の一種以上について過半の更新を行うことをいう。」半分以上の更新をしなければ、改築にはならないのだ、不動産取得税の課税の対象にはならないのだというのであります。
 百十一条の二に、不動産取得税の納税義務者に関する規定を置いております。これはただいま御説明申し上げた点であります。
 ただ百八十六ページの三項で「家屋を改築したことに因り、当該家屋の価格が増加した場合においては、当該改築をもつて家屋の取得とみなして、不動産取得税を課する。」改築の場合も、価格が増加しない限りは不動産取得税の対象にはならないのだという趣旨を出しているわけであります。少しこまかくなり過ぎますから、あとはまた要綱に従つて御説明申し上げます。
 要綱の三であります。「国及び地方公共団体に対しては課税できないものとするほか、非課税の範囲を次の通りとすること。」一が「日本専売公社その他特定の団体がその事業の用に供する不動産の取得」日本専売公社あるいは日本国有鉄道、こういう公社でありましても、本来の事業の用に供さないものについては、さきの国会におきまして国会修正により固定資産税が課されることになります。このような固定資産税の課されるようなものにつきましては、やはり不動産取得税の対象にしておるのであります。しかしそれ以外の本来の事業の用に供する不動産取得につきましては、固定資産税を課さない、不動産取得税を課さないことにしておるわけであります。が「公共の用に供する用悪水路等に使用する不動産の取得。」については課しません。「農地法によつて土地を国から売り渡され又は売り払われた場合の不動産の取得。」についても課しません。「土地区画整理若しくは土地改良事業に伴う換地の取得、農地の交換分合による土地の取得又は土地収用に伴い林地をもつて損失を補償された場合における土地の取得等。」についても課しません。「相続、法人の合併及び信託等により所有権の移転が行われる場合、日本電信電話公社が政府と財産を交換する場合、国有林野整備臨時措置法により民有林野を国有林野と交換する場合及び森林法による生産組合が現物出資を受ける場合における不動産の取得。」についても課税しないわけであります。
 四が「課税標準は次の通りとすること。」「課税標準は、不動産の価格」、すなわち適正な時価であります。従つて固定資産税の場合と同じ表現になつております。「但し、家屋の改築が、取得とみなされる場合にあつては、当該改築により増加した価格とすること。」
 二が「道府県知事は、固定資産課税台帳に価格が登録されている、不動産については増築、改築その他特別の事情がない限りその価格によつて、固定費産課税台帳に登録されていないものについては固定資産税について示される固定資産評価の基準に準じて、価格を決定するものとすること。」不動産取得の場合の課税標準も、固定資産の場合の課税標準も同じく適正な時価としているわけであります。従いましてすでに固定資産に固定資産税が課されておる。従つてまた固定資産課税台帳に価格が登録されております場合には、それを課税標準にして不動産取得税を課して行くのであります。反面新築家屋につきましては、まだ固定資産税が課されていませんから、台帳価格もございません。こういう場合には、固定資産税について示されておる評価の基準額に準じて、都道府県知事が価格を決定するわけでありまして、爾後この価格が固定資産税の課税標準の原則となつて行くわけであります。不動産取得税だから、あるいは固定資産税だからといつて府県と市町村がばらばらに調査をすることは避けたい。納税義務者が二重の調査を受けるようなことは避けたい。またそういうことによつて不要経費のかさむことも避けたいという考えを持つておるのであります。
 三は「道府県知事は、不動産の価格を決定した結果市町村の固定資産課税台帳に登録された価格について、市町村間に、不均衡を認めたときは、関係市町村の長に対し固定資産税の課税標準となるべき価格の決定について助言をするものとすること。」同じように課税標準は適正な時価なのでありますから、食い違うはずはないのでありますけれども、実際問題としては市町村間に固定資産税の課税標準額というものがでこぼこだという話を聞くのであります。もしでこぼこがある場合には、こういう機会を通じて助言をする。従つて市町村間の評価の均衡をはかつて行きたいというふうに考えておるのであります。またこの制度を通じて漸次均衡がとれるようになつて行くだろうと考えております。
 五は「標準税率を百分の三とし、標準税率をこえて課する場合にあつては、あらかじめ自治庁長官に届け出るものとすること。」昭和二十五年に不動産、取得税が廃止されます直前の不動産取得税の税率は二〇%であります。これは戦争中どんどん不動産取得税の税率が上つて行つたのでありますが、もつと昔にさかのぼりますと、不動産取得税の税率は、標準税率に相当しますところでは百分の三・二でありまして、その百分の三・二から始まりまして百分の二十まで増加しておりました。今回これを復活しますにあたりまして、昔の百分の三・二を標準にして百分の三ときめようとするものであります。反面固定資産税の税率は平年度におきましては一・六から一・四に下げるわけであります。言いかえれば〇・二ずつ引下げるわけであります。〇・二ずつ引下げるわけでありますから、十五年間でちようど三%になるわけであります。十五年間を前取りしておこうということになるのかもしれません。そういう計算の仕方もできようかと思います。
 六は「納期は道府県の条例の定めるところによるものとすること。」
 七は「徴収は普通徴収の方法によるものとし、納税義務者は市町村長を経由して必要な事項を申告しなければならないものとし、市町村長はその申告の経由に坐る際、不動産の価格の決定について参考となるべき事項を道府県知市に通知するものとすること。」固定資産税と不動産取得税とは非常に密接な関係がございますので、納税義務者の申告は全部市町村長を通ずることにしております。従つて市町村長がその書類を進達します際に、もし台帳価格のありますものについては、台帳価格が幾らになつているのだということもあわせて府県知事の方に通知するわけであります。
 八が「住宅の建築を阻害しないため次の措置をとること。」は「住宅の建築に対しては、一戸につき百万円の基礎控除を行うものとすること。」増築、改築及びいわゆる立売住宅の購入の場合にも同じような扱いをいたしております。一戸について百万円でありまして、アパート等に対しましては、世帯数に応じまして百万円ずつ控除したいという考え方をとつているわけであります。法律上十条文の上にはそのことを明らかにしております。こうすることによりまして、アパートなどのものについては、不動産取得税は大体かからないことになるだろうと思います。またかからないようにしたいという気持で、この基礎控除額を定めておるわけであります。公庫住宅の貸付額は坪当り三万三千円でありますから、三十坪で九十九万円になるわけであります。評価にあたりましては、それの大体七割見当で評価して行くことになるかもしれません。
 二番目は「土地を取得した者が一年以内にその土地の上に住宅を新築したときは、その土地に係る不動産取得税の税額から六十万円に税額を乗じて得た額を減額するものとし、既に税金を徴収しているときは減額すべき額を還付するものとすること。」括弧の中で「共同住宅及び所謂立売住宅等でその床面積の二倍の坪数に相当する土地の価格が六十万円をこえるものにあつてはその価格に相当する金額」土地を買いました場合にも全面的に不動産取得税は課するのでありますけれども、その上に住宅を建てることが明瞭であります場合には、一年間徴収を猶予するわけであります。また逆に税金を徴収しておりましても、一年以内に住宅を建てました場合には、六十万円に相当する部分についてだけ不動産取得税を還付するわけであります。この場合、アパートを建てるために広い土地を買わなければならない、そういう場合は六十万円は穏当でありませんので、床面積の二倍の坪数に相当する土地の価格までは課税をしない、どちらか有利な方を選択させようと考えておるわけであります。六十万円の方がよければ六十万円を選べばよろしいわけだし、床面積の二倍の坪数に相当する土地の価格の方がよければそれを選べばよろしいわけであります。このような住宅の場合だけでありまして、自分の家を建てるのだ、子供さんの家を建てるのだというような場合まで、このような軽減規定を広げていないのであります。
 三が、「土地を取得した者が、前号により税額の減額をされることが明らかであるときは、その申告により、税額のうち減額すべき額を限度として、一年以内の期間を限つて徴収猶予をするものとすること。」
 九が「耐火建築促進法による補助金の交付を受けて家屋を新築し、若しくは増築した場合、農林漁業金融金庫から資金の貸付を受けて農林漁業者の共同利用に供する施設を取得した場合又は土地若しくは家屋を収用することができる事業に不動産を収用され補償金を受けた者若しくは譲渡した者が一年以内にこれに代るものと道府県知事が認める不動産を取得した場合」これらの三つの例をあげております。これらの三つの場合においては「課税標準の特例として、それぞれ、補助金、貸付を受けた資金又は収用され若しくは譲渡した不動産の固定資産課税台帳に登録された価格に相当する金額を控除するもの」としております。防火地帯を建設いたします際に、木造家屋から非木造家屋にする、それに対しては建築費がかさむわけでありますので、かさむ建築費の半額を国と府県とで補助する制度がございます。そういう補助金の部分まで課税することは穏当でありませんから、この補助金額を控除いたします。また農業協同組合等が共同事業に供する施設、倉庫を考えているわけでありますが、これを農林漁業金融金庫から資金の貸付を受けて建設します場合に、貸付を受けた資金相当額は控除する。言いかえればこれは低利の資金を融通されるわけなのでありまして、国としてもそういうような特別の政策を行つているものだと考えられるわけでありますので、特別な政策を行つているものと認められますものについてだけこのような措置をとりたい。さらに第三は土地収用等の場合でありまして、そのかえ地、かえ家屋を取得した場合には、従前の土地なり家屋相当部分に課税標準から控除しようとするわけであります。
 「施行期日は昭和二十九年四月一日とし、家屋の建築による取得に対しては昭和二十九年七月一日から適用するものとすること。」なお、連合国軍により接収されていた地域で政令で指定する地域内における家屋の建築については、接収解除後三年間は課税しないものとすること。」不動産取得税は四月一日から実施するのでありますけれども、すでに建築中の家屋につきまして、何の予告もなしに今ただちに課税するということはいささか当を失しますので、こういうものにつきましてある程度の猶予期間を置くという趣旨で、家屋の建築による取得に対しましてだけ七月一日から適用したい、三月間猶予期間を置きたいという考え方をとつているわけであります。なお連合軍により接収されていた地域が今かりに解除になつたといたします。これを復旧しなければならない。復旧すると不動産取得税がかかるのでビルデイングも建たない。これではいつまでたつてもその地域が昔の繁栄をとりもどすことは困難でありますので、そういう特殊な地域につきましては政令が指定いたしまして、接収解除後三年間は家屋の改築あるいは新築に関します不動産取得税だけは課さないということにいたしたいのであります。主として横浜市などがこの関係に入つて来るわけでありますが、そういう地域を指定いたしまして、三年間家屋の新築、改築にかかる不動産取得税を徴収できないということにいたしたいと考えております。これは二百九十七べージ、附則の十九項と二十項に書いてあります。
 第五が市町村民税でございます。「道府県民税の創設に伴い、次の改正を加える」「税率を次のように改める」として、個人均等割はイロハに書いてある通りであります。二番目の所得割につきましては、所得税額を課税標準とする場合、課税総所得金額を課税標準とする場合等によりまして、それぞれ区分を設けております。
 法人税割は、標準税率、制限税率、それぞれ府県民税で削つた分だけを引下げたわけであります。
 十八ページに参りまして、「2個人に対して課する市町民税は、個人に対して課する道府県民税とあわせて賦課徴収しなければならないものとすること。」府県民税のときに申し上げたと同じことであります。まつたく一つの税金としての扱いをして行きたいのであります。法律上でこそ住民税という言葉を使つてありませんが、実態は住民税という一つの税目であるというように観念して参つて来ておるわけであります。
 「3給与所得に係る市町村民税の特別徴収について、」特別徴収税額の通知期限を、現在は四月三十日まででありますが、これを五月三十一日までに一箇月ずらします。さらに月割額の徴収を六月から翌年の三月までの十箇月間――現在は五月から翌年二月までの十箇月間でありますが、こういうふうに改めたいと考えております。主として府県民税を設けまする関係からとのような措置が必要になつて参つたわけであります。会社に働いている人の市町村民税を特別徴収してもらおうとします場合には、現行法では四月三十日までにその会社に通知をしなければならないのでありますが、府県民税の所得割の総額を府県から市町村に四月三十日までに通知しなければならないという規定を置いたわけであります。府県民税の分を会社に特別徴収を頼まなければなりませんので、府県から通知を受けましてから、会社に市町村から通知いたしますまで少くとも一箇月の期間は必要であろう、そこで府県から四月三十日までに通知を受け、市町村は会社へ五月三十一日までに通知をするというように、一箇月間ずつずらしたいのであります。従つて最終の徴収時期も一箇月遅らしまして、六月から三月までの十箇月間に会社は十分の一ずつ徴収して行くというように改めたいのであります。またこうした方が住民税の整理に正確を期することができるのじやないだろうかというとふうな考え方を持つております。
 「二 扶養親族範囲を総所得金額三万五千円以下のものとし、昭和二十八年度分の所得税における扶養親族の範囲と一致させるものとすること。」現行法では二万円以下の者に規定いたしておるのでありますが、この金額を引上げまして、所得税の場合と扶養親族の範囲をまつたく同一にしたいと考えるのであります。
 「三 市町村民税を非課税とされる寡婦の範囲を所得税法における寡婦の範囲と同一とするものとすること。」これも地方税法の寡婦にありましては、扶養親族を持たない者は税法上特別措置をしないことにしておるのであります。しかしながら扶養親族を持つておりませんでも、遺族年金を受けております者でありましたならば、寡婦として特別な軽減の取扱いをして行きたいというふうに考えておるのでありまして、遺族年金を受けます限りは、扶養親族の有無を問わないで、所得十万円までは市町村民税を課さないということにいたしたいのであります。
 「四 個人以外の者の市町村民税の非課税の範囲に、港湾法の規定による港湾局、国家公務員共済組合及び国家公務員共済組合連合会、私立学校教職員共済組合並びに社会福祉法人を加えるものとすること。」すでに列挙されております非課税のものと同じような性格のものでありますので、これらを追加したいのであります。
 「五 給与支払報告書」を一月一日現在で作成することになつておりますが、これを「提出する義務がある者に対して、給与支払報告雷に記載された給与の支払を受ける者が四月一日現在において給与の支払を受けなくなつた場合においてはその旨を届け出るよう新たに義務を課するものとすること。」給与を支払つております会社などでは、前年中に支払つた給与について所得税額を幾ら徴収したかという給与支払報告書を一月一日現在で作成して、税務機関、税務署にも出しますし、市町村長の手元にも出すわけでありますが、住民税は四月一日現在で給与の支払いを受けておりまする者についてのみ特別徴収の制度を続けて行くわけであります。四月一日にもはや給料を受けなくなつた者につきましてまで会社に特別徴収をさせるわけには参りません。一月一日現在と四月一日現在との間で若干差がございますので、一月一日には社員であつたけれども、二月なり三月なりにやめてしまつたという君が出ました場合には、会社から市町村長へ届け出てもらいませんと、市町村では特別徴収してもらうつもりで、その人の分まで特別徴収税額を通知することになりまして、そこに混乱が起るわけであります。従いまして、一月一日以後三月三十一日までの間に会社をやめました場合には、さきに報告しておいたけれども、その後においてはやめているのだということを届けてもらおうとしているのであります。
 「六 所得税又は法人税において欠損金の繰戻控除を受けた場合においては、市町村民税においては欠損金の繰越をしたものとしてその税額を算定するものとすること。」個人事業税について先ほど申し上げましたように、欠損が出ました場合には、国税の場合には税額の繰りもどしを認めているのでありまして、税金を返してもらえるのであります。市町村のような規模の小さい団体で、会社が欠損が出て来たから、前に納めた法人税制を返すというのも必ずしも実態に合いませんので、その欠損金相当分は翌年度以降に繰越しを認めて行きたい。前に支払われた法人税割額を返すのではなしに、将来にわたる法人税割を安くしようという考え方にしたいのであります。個人分についても同じような趣旨の規定を置いたわけであります。
 「七 法人税の更正に係る修正申告又は更正若しくは決定に因り法人税割額を納付することとなつた場合において当該法人税割に係る延滞金の計算の基礎となる期間は、当該法人税に係る利子税額の計算の基礎となる期間と同一とするものとすること。」これもたいへんこまかいことなのでありますが、法人税割を納めておいたけれども、さらにこれを修正申告納付する、あるいは法人税割について決定を受けたものだから、納付期限を過ぎてから市町村民税を申告納付する、そういう場合には延滞金を納めなければならぬわけであります。延滞金は、納付期限を過ぎてから現実に納めるまでの期間が延滞金の計算の期間でありますので、納付期限を過ぎてから実際納めたまでの間が延滞金の計算の期間なのであります。ところが、納付期限を過ぎましてさらに一年たつ、納付期限を一年以上経過してから法人税を更正または決定しました場合には、一年を経過した期間は延滞金の計算の期間に算入しないのであります。言いかえれば、延滞金の計算は一年分だけしかしないのであります。法人税についてそういうような取扱いを今回しようとされておりますので、市町村民税につきましてもこれと同じような取扱いをしようとするのがこの趣旨であります。要するに、納付期限後一年以上経過してから更正または決定が行われました場合には、これを基礎として市町村民税を納めます場合の延滞金の計算は、期間を一年として延滞金額を計算することになります。
 第六が固定資産税であります。「一納税義務者について次の改正を加えるものとすること。(1)固定資産課税台帳に土地又は家庭の所有者として登録されている者が地方公共団体等固定資産税を課することができないものであつて、当該台帳上の所有者が賦課期日前に現に所有者でなくなつている場合においては、同日において現に当該土地又は家屋を所有している者に固定資産税を課するものとすること。」所有者が府県や市町村であります場合には、固定資産税を課することができません。しかし府県や市町村がその土地や家屋を売り払つてしまいますと、その土地や家屋は固定資産税を課することができるようになるわけであります。ところが、納税義務者は固定資産課税台帳に登録されておる、所有者であります府県や市町村は売り払つたにかかわらず、台帳を整理していない。そうすると台帳を整理していない以上は、所有者は府県や市町村になつておるので、いつまでも固定資産税を課することができないということになるわけであります。台帳を整理すればよろしいのでありますが、いろいろな事情から台帳の整理がどうしても遅れる場合がたくさんあるのであります。そこでそういう場合には、台帳上はなお府県や市町村が所有者になつておるけれども、現実にはもう所有者がかわつておるわけであります。だから現実の所有者に固定資産税を課することができるのだというふうに規定を整備したいのであります。規定の抜けているところを整備したいという程度のことであります。
 二番目は、「農地法、旧相続法、相続税法、所得税法の一部を改正する法律による改正前の所得税法、戦時補償、特別措置法又は財産税法の規定によつて国が収納した農地については、その所有権が売渡の相手方に移転する日までの間はその使用者に、その日後売渡の相手方が土地台帳に所有者として登録される日までの間はその売渡の相手方に固定資産税を課するものとすること。」農地法の規定によつて土地改革をやり、農地法の規定によつて国が買収します。あるいは相続税法、所得税法等の規定によりまして財産を物納いたします。そういうような農地につきましては、台帳上の名義はなかなかすぐには改まりませんで、いろいろな手続の関係で遅れるのであります。台帳上に旧所有者の名前が載つておるから、その人に課税するということは不穏当であります。そうかといつて一応は国の所有になつておるものでありますから、課税ができないというのも市町村としては困るわけであります。そこで所有権が売渡しの相手方に移つてしまいますまでは、使用者に課税をしたいのであります。土地や家屋が物納された旧所有者に課税をすることは不穏当であります。そうかといつて課税できないままに置いておくのも市町村としては困るわけであります。そこで使用者課税をやりたい、だから使用者から徴収しますところの賃貸料等について、国が適当の考慮を払つてくれるであろうということを、反面は期待しておるわけであります。「その日後売渡の相手方が土地台帳に所有君として登録される日までの間はその売渡の相手方に固定資産税を課するものとすること。」要するに所有権譲渡が行われますと、所有者ができたわけでありますから、土地台帳上の名義が改まりませんでも所有者課税でなくて、やはり本来に従つて使用者課税を行いたい、こういうことであります。
 二は「非課税の範囲に次のものを加えるものとすること。」一が「帝都高速度交通営団が直接地下高速度交通事業の用に供するトンネル」であります。これは大都市の交通の緩和をするためには、どうしても地下高速度交通事業というものを、どんどん発展させて行かなければならない。ところが地下鉄の場会員には地下を掘鑿して行かなければなりませんので、莫大な資本を必要とするわけであります。莫大な資本を必要とするからといつて、料金をべらぼうに引上げることもできないのであります。これは住民の立場から考えましても困るわけであります。そうしますと採算がなかなかとりにくいもののようであります。そこで今後地下高速度交通事業の用に供するために掘鑿して行きまするトンネルについてだけは課税しないという制度にしたいのでありまして、三百ページの附則の二十五項に今後、取得されるトンネルだということを明記しております。従来のものについてはこういう恩典は与えない、これから掘鑿して行くトンネルについてだけこういう恩典を与えるのだということを、附則の二十五項に書いてあります。
 三は「もつぱら公共の危害防止のためにする鉱さい捨場及び鉱水処理に係る施設」、これは金属鉱業をやつておりまするところで鉱石を処理するその結果、非常な毒を持つた鉱滓が出て来るわけであります。これをダム等をつくりまして、そこにためるわけであります。そうしませんと農耕地を非常に荒してしまいまして、耕作ができなくなつてしまいますし、また漁業もできなくなつてしまいます。そういう意味では、農耕地を害しないように、厳重なこういう施設を講じてくれなければ困るわけなんでありますが、厳重な施設にすればするほど、価評が高くなつて、固定資産税が重くなつて来る。それではそういうような施設をぞんざいにしてしまう。その結果あるいは堤防が決壊して鉱水が流れ込むというような場合もあるわけでありますので、積極的にこういうようなものには課税をしないという規定であります。
    〔発言する者多し〕
#37
○中井委員長 奥野さんの御説明は、引続きだからあなたもおえらいだろう、それだからしばらく休憩しようかというのです。
#38
○奧野政府委員 私のためでしたら、続けてやらしていただきます。二十分ぐらいでやります。
#39
○中井委員長 それでは引続きどうぞお進めください。
#40
○奧野政府委員 三番目が、「健康保険組合、健康保険組合連合会、国民健康保険組合、国民健康保険の事業を行う法人、国民健康保険団体連合会、私立学校教職員共済組合並びに国家公務員共済組合法、農業協同組合法及び消費生活協同組合法による組合及び連合会が所有し、且つ、経営する病院及び診療所並びに、農業共済組合及び農業共済組合連合会が所有し、且つ、経営する家畜診療所の用に供する固定資産。」これは今回新しく入れようとしております「の用に供する固定資産」は、従来は病院診療所だけだから、土地は課税するという建前をとつておつたのでありますが、土地も含めた固定資産全体に対して固定資産税を課することができないというふうに範囲を広げようと考えております。同時に、農業共済の性質から考えまして、これらの共済事業を円滑にするために設けておりまする家畜診療所も、同じような趣旨から非課税の範囲の中に加えることにしたいと思つております。
 三が「左の固定資産に対して課する固定資産税については、その課税標準について、それぞれ特例を設け、負担の軽減を図るものとすること。」「発電所、変電所又は送電施設の用に供する家屋及び償却資産で電気の供給、物品の製造、旅客若しくは貨物の輸送」こういうふうに非常にこまかく書きましたのは、自家発電施設でありましても、映画館や百貨店で設けておる自家発電施設についてはこんな軽減措置はしないのだという趣旨で書いたわけであります。「又は鉱物の掘採を業とする者並びに農山漁村電気導入促進法による農林漁業団体がそれぞれその用に供するもの」につきましては最初の五年間は三分の一、あとの五年間は三分の二に負担を軽減するわけであります。但し昭和三十九年度分に限りましては、電気の供給を業とする者及び農林漁業団体の所有する本文に掲げる固定資産で昭和二十九年一月二日以降の建設にかかるものについては、すなわち最初の五年間は価格の三分の一にするという規定の適用を受けるものでありますが、これについては、さらに価格の六分の一の額にするということにいたしておるわけであります。この関係の規定は三百ページの附則の二十六項にこのことを規定しております。
 二が「地方鉄道又は軌道の昭和三十八年一月二日以後の新設営業路線(地方鉄道軌道整備法の規定により新線とみなされるものを含む。)に係る線路設備、電路設備、その他の政令で定める構築物(軌間拡張又は複線化のために敷設した構築物を含む。)」につきましても、同様の措置をとろうとしております。
 三番目が、「企業合理化促進法第四条第二項、若しくは第三項又は第六条の規定の適用を受ける機械設備等」につきましては、最初の三年間は二分の一、耐用年数がそれほど長くはないでありましようから、三年だけでもかなり評価が下つて参るだろうと思います。
 四番目は、これと同じ関係のものでありまして、企業合理化促進法の適用を受けていないものにつきまして、総理府令で同じようなものを指定して、軽減措置をとりたいと思つております。
 五番目は「外航船舶又は国際路線に就航する航空機。」現在は昨年の国会修正で利子補給を受けておりまする外航船舶に対しまして、利子補給を受けておる期間だけ、〇・四%の税率を使うということにしておるのでありますが、これを外航船舶全体と国際路線に就航する航空機に拡げまして、恒久的に三分の一の負担にしたいと考えるわけであります。
 六は「航空運送事業を行う者が所有し、且つ、運航する航空機場」につきましては、最初の三年は三分の一、あとの三年は三分の二にして、事業の基礎の固まるまでは軽減措置を講じたいと思うわけであります。
 「四 税率について次の改正を加えるものとすること。1 標準税率を百分の一・四(昭和二十九年度は百分の一・五)(現行百分の一・六とするものとすること。2 制限税率を百分の三とするものとすること。なお、市町村は、この納税義務者の所有に係る償却資産に対する固定資産税の課税標準の額が当該市町村の固定資産税の課税標準の総額の二分の一をこえる場合において百分の二をこえて税率を定めようとするときは、その旨を自治庁長官に届け出ることとし、自治庁長官は当該市町村が届出に係る税率による税収入を災害その他やむを得ない事由による特別の財政需要に充てる必要があると認められる場合を除く外、地方財政審議会の議を経て、当該市町村において適用すべき固定資産税の税率を固定資産の全部又は一部について当該届出に係る税率と百分の三までの間において制限することを指示することができるものとすること。」たつた一つの大工場があるために、これを目当に増税するという、そういうやり方を避けさせたいというのが、この規定の趣旨であります。
 「五 償却資産に対して課する固定資産税の免税点を五万円(現行三万円)に引き上げるものとすること。」これによりまして、三割以上の納税義務者数が減つて参ります。そして償却資産に対する課税を、もつとすつきりしたものにしたいと考えております。
 「六 固定資産課税台帳の縦覧後に、価格の登録洩を発見した場合又は登録された価格に重大な錯誤を発見した場合には、その価格を決定し、又はその価格を修正することができるものとすること。」「七 大規模の償却資産について市町村の課税権を制限し、その部分について例外的に当該市町村の区域を包括する道府県に課税権を与えるものとすること。」この措置は昭和三十年度から実施したいのであります。二十九年度は従前通りであります。従つて大規模の固定資産の価格を周辺の市町村に配分する規定は残します。三十年度からは配分の規定は削除することになつております。
 「市町村が課することができる大規模の償却資産の課税標準となる金額は、次の表により当該市町村の人口に応じて算定した金額とするものとすること。」昭和三十年度に若干引上げております。この引上げている規定は、三百四ページの附則の三十一項に書いております。こういうような価格のきめ方をいたしました考え方は、たとえば人口五千未満の町村では一億円ないし二億円としております。この程度の町村においてほかの税金も同じ程度の割合にあるといたしました場合、一体償却資産の課税標準となる金額がどの程度あれば、平衡交付金を受けない団体になるかということを調べてみますと、一億円くらいであります。そこで一億円という金額をきめたわけであります。他の団体につきましても、同じような見地からこの課税の限度額をきめております。大体この程度あれば、ほかの税金もあることだから、平衡交付金を受けない団体になるわけであります。人口三万人を越えましてからは、別にこの金額を上げて参りませんのは、大体三万人くらいでそれぞれ大工場があると考えたらよいのではないか、三万人を越えて五万、六万になりますと、同じような大きな工場が二つある、あるいは三つあるということになりますので、一工場の金額というものをどんどん上げて参りますと、せつかくのこの偏在是正の趣旨が達成できないわけであります。そこで三万人で切つてしまつたわけであります。しかしながら、この三万人を越える市町村におきまして非常に大きな償却資産があつて、その三割の額がこの限度額を越えております場合にも、この限度額をぶつた切りますことは穏当じやありませんから、二割の額までは課税を認めるという趣旨をとろうとしているわけであります。二十五ページのところは、これの計算方式を書いておるわけでありますが、飛ばしてしまいます。
 それから二十六ページのまん中どころにございます。
 「3 道府県知事は、大規模の償却資産と認められる償却資産については、自治庁長官が指定するものを除く外、これを指定し、その指定した日の属する翌年以降、毎年一月一日現在における時価によつて評価を行い、その価格を毎年二月末日までに納税義務者及び当該償却資産の所在地の市町村長に通知するものとすること。」「この場合において、通知を受けた者は、その価格の決定について異議の申立及び出訴をすることができるものとすること。」市町村の場合には固定資産の評価をいたしますと、台帳に登録をして縦覧期間内に縦覧させるわけであります。府県が大規模の償却資産について価格を決定します場合には、そういう方式をとりませんで、具体的の金額を納税義務者に通知するわけであります。通知を受けて異議の申立てを必要があれば行うということにいたすわけであります。一つの償却資産につきまして府県が評価をするか、市町村が評価をするか、両方が評価するということはあり得ないことにいたしております。市町村が評価をいたしましても、この限度までしか税金はとれないわけであります。半面そういうような種類のものにつきましては、前もつて知事が指定をしておるわけであります。知事が指定をしておる限りにおきましては、かりに限度額を下りましても市町村長が評価をするのじやございません。府県知事が評価をしてそれを通知すればよろしいのであります。その通知した額が課税標準の額になつて来るわけであります。もつとも翌年度からは府県知事が指定したり評価することはやめてしまうのでありまして、たまたま指定をしたり評価してみても限度額を下つたという場合には、市町村長がもう一ぺん評価をするのじやございませんで、この額に従つて市町村長が課税をして行くわけであります。半面府県知事が指定するのを忘れておつた漏らした場合には、市町村長がそのことを連絡しますけれども、連絡もなかつた場合には市町村長がみずから評価をします。みずから評価してみた結果が限度額を越えております場合には、やはり市町村は限度額までしか課税できなくて、府県は市町村長の評価額をそのまま採用しなければならないのであります。そうして限度額を越えた部分について、府県が課税をするのであります。要するに評価を府県と市町村の両方がやるということはあり得ないわけであります。どちらか一方しかしない。どちらが課税をすることになつても、その評価額にそのまま乗つかつて行くということになつて参ります。こうやることによつて納税の義務者に無用の混乱を与えないようにいたしておるのであります。
 次に「4 大規模の償却資産について道府県が課する固定資産税の賦課徴収等に関しては、特別の定があるものを除く外、市町村が課する固定資産税の賦課徴収等に関する規定を準用するものとすること。」「5 道府県が課する固定資産税の標準税率は、百分の一・四とし、これをこえて税率を定めようとする場合には、あらかじめ、その旨を自治庁長官に届け出なければならないものとすること。」「七前項の措置に伴い、現行の大規模の償却資産の価格の市町村間における配分措置の制度はこれを廃止すること。」
 第七が「たばこ消費税」であります。「一 道府県に道府県たばこ消費税、市町村に市町村たばこ消費税を創設すること。」「二 日本専売公社が小売人又は国内消費用として直接消費者に売り渡した製造たばこに対し、たばこ専売法第三十四条第一項の小売定価を課税標準として、小売人の営業所又は国内消費用として直接消費者に売り渡す公社の事務所所在の道府県及び市町村がそれぞれ公社に課するものとすること。」日本専売公社の処分しますタバコといいますのは、試作品として公社の職員に若干配付しているようであります。この分は課税の対象にいたしません。もう一つは輸出向けのタバコであります。輸出するタバコにも課税をいたしません。この二つ以外は全部外国タバコでありましようと課税をすることになるわけであります。原則として小売人の手を通じて売り渡されるわけでありますが、山間で大きな工場を始めた、小売人というものがいない、そういう場合には公社の事務所から自家売りをするわけであります。こういう場合には自家売りをしておりまする公社の事務所所在地の地方団体が課税権を持つことになるわけであります。いずれも小売定価を課税標準に使いたいと考えております。専売公社が受取りました金額じやございませんで、これを小売価格に換算するわけであります。
 三は「税率は、道府県たばこ消費税にあつては百十五分の五、市町村たばご消費税にあつては百十五分の十とすること。」やむを得ず百十五分のというようなこまかい数字になつているわけであります。これは現在のタバコの価格のうちにタバコ消費税が含まれるものとして、タバコ消費税というものを設ける、こういう趣旨で出発したものでありまして、言いかえれば専売公社の専売益金のタバコ消費税金額だけが減るということになるわけであります。タバコ消費税を設けたからタバコの価格が上るわけではないのであります。従つて現在のタバコの価格の中にすでに一五%分がタバコ消費税として今まれているのだ、そうしますと、一五%を加えました百十五分の十五だけがタバコ消費税の税額だ、こういうことになるわけであります。そういう経過的な関係でこのようなこまかい税率を、採用せざるを得なくなつただけであります。
 「徴収については公社をして各月ごとに翌月二十五日までに申告納付せしめるものとすること。」「五 道府県知事又は市町村長は、賦課徴収に関する調査のため必要がある場合においては、公社等に質問することができる外、公社に対し、たばこの売渡しに関する帳簿書類を閲覧し又は記録することを請求したときは、公社はこれに応ずるものとすること。」「六 道府県知事又は市町村長は、公社が納期限までに申告しなかつたとき、又は公社に質問し若しくは関係書類を閲覧し若しくは記録する際において申告若しくは修正申告した課税標準額若しくは税額の算定について違法若しくは錯誤があることを発見したときは、公社に対し申告言文は修正申告書の提出を求めるものにし、公社は求められた日から二十日以内に申告書又は修正申告書を提出するとともに不足税額を納付しなければならないものとすること。」税としての建前をとつて来ているわけであります。
 第八が「その他の諸税」でありまして、自動車税につきましては標準税率を改めております。この標準税率を改めます場合には、全体として現在の税額の五割程度の増収を得たい、これが税率をきめました一つの根拠であります。もう一つはガソリンを使つている車とガソリンを使つていない車の間に差別を設けたい。どの程度に差別を設けるか、いろいろな経過を経まして七割程度よけい負担してもらうということになつております。その上で従来の経過にとらわれないで、大体各自動車の価格を基礎にしながら、均衡がとれた税率を定めるとすれば、どの程度になる、たろうかということで決定いたしましたのがこの案であります。さらにこの際に自動車税を増税をするということから、特に高級乗用車に対してはある程度よけい負担してもらつてもいいのじやないだろうか、そういうような観念をこの自動車税の中に織り込みたいということを、今度の中には入れておるわけであります。それが軸距一二〇インチ以下のものと一二〇インチを越えるものとの間に、税率で区分を設けたゆえんであります。大体自家用は営業用の二倍にいたしております。なお二十九ページの終りの行に「トラック、(最大積載量四トンをこえ五トン以下のもの)」という規定を入れておりますが、現在トラックで一番台数の多いのはこの階級であります。ところがだんだんと自動車の車体が大きくなつて参つたのでありますが、従来の標準税率は従来のトラックの型について、そのまま適用して参つて来ているようであります。従つて大多数の府県にありましては、トラックでありますと、積載量が二トンを越え四トン以下でありましようか、そのものについて従来の標準税率を適用しているようであります。従つてまた四トンを越え五トン以下というトラックにつきまして、大多数の団体が現実に適用しておりまする税率は一万六千八百円であります。一万六千八百円でありますから、それから見ますと、今回定めようとします標準税率の一万四千円は形の上においてはすえ置きであります。けれども、実質的には八三%に下つたという結果を来しております。その反面、軽油を使いまするディーゼル車につきましては二万三千円という七割増しの税率を使うことになるわけであります。七割増しでありますが、現に実施されている税率から見ますと、七割もふえないのでありまして、三七%程度の増加と心得ております。バスにつきましても同じような問題がございます。従つて主として観光貸切用の揮発油を燃料とするもの年額三万円と改正しようとしておりますが、これに当ります現在大多数の府県で実施しておりまする税率は三万五千円であります。従つて八六%に下るという結果になります。同時にデイーゼル車は五万円に引上げるわけでありますが、これも七割増しではございませんで、この考え方で行きますと四三%増しということになつております。
 それから三十一ページへ行きまして最初の行でありますが、「道路運送車両法の一部を改正して、自動車税の完納証明書を呈示しないときは陸運局長は車体検査をしないものとすること。」要するに現在納税済証は納税を済ましておろうと済ましておるまいと、同じ陸運局長の扱いになつておつたわけでありますけれども、これはどうも適当でないと考えますので、陸運局長にも税務行政の円滑化に協力してもらいたい、そういう意味でこ附のような規定を置きたいのでありまして、三百八ページの則四十一項で道路運送車両法の一部を改正しております。
 狩猟者税につきましても税率を二千四百円に一本化する改正を行つております。
 三が「自転車荷車税でありまして、「現行の自転車税及び荷車税を併せて自転車荷車税とするものとすること。」原動機付自転車の標準税率を五百円と法定をいたしました。現在は三百円の一本なのでありますが、事実上は原動機付自転車につきまして、五百円以上の税率で課税しているわけであります。この際軽自動車の税率を引上げましたので、その間に位するものとして原動機付自転車の標準税率をかえた方が、法文の体裁上よろしくはないかと考えたのであります。月割課税の方途を講じたいのでありまして、承継取得ではなしに、新たに自転事を取得した場合にだけ月割で課税して行く制度をとることにしております。自転車屋さんから買つた場合にだけ月割で課税するわけであります。
 電気ガス税につきましては、「主として、電気を動力として運輸事業を営む地方鉄軌道業者が直接一般交通のための旅客若しくは貨物の運送の用に供する電気」これは電気ガス税を設けたときから電気ガス税の中に入れるか入れないか、非常にむずかしい問題のあつた種類のものであります。しかしその後電気料金がどんどん上つて参りましたので、現在では原価の中で九%ぐらいを電気料金が占めるようになつております。今度電気料金が上りますと九%を優に越えてしまうのであります。しかも物価引下げの政策をとろうとして、いる際でありまして料金の引上げというものはできるだけ避けてもらわなければならない、そういうような考え方もありまして多年の懸案をこの際非課税の中に入れることによつて解決をしたいと考えたのであります。その次が、「並びに銅鉱、鉛鉱、亜鉛鉱及硫化鉱並びにチタン地金(スポンヂチタンを含む。)黒鉛含有特殊粉末合金、アンモニヤ、シクロヘキサノン及びアルコール(ヤシ油を原料として製造するものに限る)の掘採又は製造に使用する電気に対しては、次に電気料金が改訂されるときから電気ガス税を課さないものとすること。」これはいずれも現に非課税に指定されておりますものとの均衡上、電気ガス税を課さないことにすべきものだと考えたのであります。もちろん原価の中に占めまする電気料金の割合というものは非常に高いのでありまして、高いのみならず、現に非課税の中に掲げられておりますものといずれも類似した性質のものであります。たとえば銅鉱とか鉛鉱とかいいますと、銅地金とか鉛地金は非課税になつております。たとえば黒鉛粉末合金といいますと、黒鉛粉末というものが非課税になつておるわけでであります。そういうふうにみなつり合い上考えまして、特にこの際非課税の規定に加えることにしたわけであります。しかし町村の財政も困るわけでありますので、次に電気ガスの料金が改訂されるときからこれを適用することにしまして、市町村の財政に与える打撃を緩和したいと考えたのであります。電気事業者、ガス事業者の意義を、これらの法律をひつぱつて明らかにしております。
 これだけであります。
#41
○中井委員長 本日はこの程度で散会をいたします。
    午後五時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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