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1953/05/15 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 地方行政委員会 第63号
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1953/05/15 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 地方行政委員会 第63号

#1
第019回国会 地方行政委員会 第63号
昭和二十九年五月十五日(土曜日)
    午前零時五分開議
 出席委員
   委員長 中井 一夫君
   理事 加藤 精三君 理事 灘尾 弘吉君
   理事 吉田 重延君 理事 鈴木 幹雄君
   理事 西村 力弥君 理事 門司  亮君
      生田 宏一君    熊谷 憲一君
      佐藤 親弘君    田渕 光一君
      西村 直己君    保岡 武久君
      山本 友一君    床次 徳二君
      藤田 義光君    古井 喜實君
      阿部 五郎君    石村 英雄君
      北山 愛郎君    伊瀬幸太郎君
      大石ヨシエ君    大矢 省三君
      中井徳次郎君    松永  東君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 小坂善太郎君
 出席政府委員
        国家地方警察本
        部長官     斎藤  昇君
        国家地方警察本
        部次長     谷口  寛君
        国家地方警察本
        部警視長
        (総務部長)  柴田 達夫君
        国家地方警察本
        部警視長
        (警務部長)  石井 栄三君
        国家地方警察本
        部警視長
        (刑事部長)  中川 董治君
        国家地方警察本
        部警視長
        (警備部長)  山口 善雄君
        自治政務次官  青木  正君
        自治庁次長   鈴木 俊一君
 委員外の出席者
        衆議院法布局参
        事
        (第一部長)  三浦 義男君
        専  門  員 有松  昇君
        専  門  員 長橋 茂男君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 警察法案(内閣提出第三一号)
 警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法
 律案(内閣提出第三二号)
    ―――――――――――――
#2
○中井委員長 これより会議を開きます。
 警察法案及び警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案の両案を一括議題といたします。
 これより両政府原案及びこれに対する松永東君外十五名提出の各修正案を一括して討論に付します。灘尾弘吉君。
#3
○灘尾委員 私は自由党を代表いたしまして、警察法案並びに警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案、この二案につきまして、三派共同の提出にかかわる修正案並びに修正部分を除く政府原案に対しまして、賛成の意見を最も簡単に申し上げたいと思うのであります。
 現行警察法は、御承知のごとく、昭和二十二年占領軍の指令のもとに制定せられたものでありますが、その後の状況にかんがみますのに、なるほど日本の警察を民主化する上におきましては、非常な貢献をいたしたと思うのでありますけれども、その警察の主体があまりにたくさんありますことによつて、警察活動がきわめて非能率的である、経費がかかると同時に、また治安の責任はきわめて重大であるにもかかわりませず、責任体制がまことに不明確であるという欠陥が露呈されておるのであります。
 今回政府は、昨年第十五国会において提出せられましたところの警察法案の趣旨を踏襲し、再び本国会に提案せられたのでありますが、その骨子とするところは、警察活動の能率化をはかり、責任を明確にすることを骨子といたすものでありまして、今日までの実情にかんがみ、現実に即し、従来の制度のとるべきは残し、改むべきは改めて提案せられたものでありまして、その趣旨におきまして私ども全然賛意を表するものであります。
 この法案に対しまして、今日までの審議の過程におきまして、また世間におきましていろいろの議論がございます。あるいは中央集権をはかるのではないかとか、あるいは地方自治を侵害するのではないか、あるいは政治的中立性を侵すものではないか、(「その通り」)警察国家となるのではないか、大都市警察を廃止するのはけしからぬとか、とかくの議論がたくさん出ておりますが、私は、その多くは誤解に基くか、また曲解に出るものでございまして、ほとんどこれはとるに足らざるものと思うのであります。しかしながら中にはその論旨にもとるべきものもあろうかと思いますが、三派共同の提案にかかわりますところの修正案は、かかる誤解曲解を一掃する上においてきわめて役立つものであると私どもは信じます。これによりまして、わが国の警察制度はいよいよ健全に発展するであろうことを確信いたしまして、当初述べましたごとく、私は警察法案並びにその施行に伴う関係法令の整理に関する法律案につきまして、修正案及び修正部分を除く政府原案に賛成の意を重ねて表明するものであります。終り。(拍手)
#4
○中井委員長 藤田義光君。
#5
○藤田委員 私は改進党を代表いたしまして、三派共同修正案並びに修正部分を除く政府原案に賛成の討論を行います。
 今回の政府原案のままならば、当然わが党はまつこうから反対討論をすべきでありましたが、われわれの立場が、大幅に本日の三派共同修正案によつて貫徹いたしましたので、私たちは不如意ながら本日賛成の討論をいたす次第であります。
 そもそも今回の政府原案なるものは、名前は政府立案でありまして、実際上はいわゆる増田案であります。自由党の行政改革委員会案なるものが今回の政府原案であります。従いまして相当世人の予期に反しまして、反動的な原案であつたのでございます。
 そもそも警察権の本質は、申すまでもなく社会秩序に対する危害予防のための行政権の作用であります。権力行政であります。従いまして、この運用に関しましては強力なチエツク作用を必要とすることは、小坂国務大臣が再三当委員で述べられたところでも明らかであります。もし憲法がその前書きに保障いたしました、人類普遍の原理を没却するような法律案が民主国会で通過するようなことがあれば、国家の前途に暗影をかざすものでありまして憂慮にたえないところでありますが、この点も今回の修正案によつて大幅に是正されたのでございます。私が申し上げるまでもなく、現在の自治の根幹は教育と警察の民主化であります。教育に関しましては教育基本法、教育委員会法という一本の筋金が通つております。これに対する警察の民主化には、昭和二十二年に施行されました、いわゆる世界でも理想的なる現行警察法が施行されておつたわけでございます。この二つの基盤の上に新しい地方自治法が形成されておつたことは、私が申し上げるところでもございません。この観点からいたしまして、今回の警察法改正案は、負担の軽減と能率という点も強調されております。あるいは憲法の自治尊重、警察国家の阻止というくふうもされたということでございますが、その点に関する疑念があつたのであります。たとえば犬養前国務大臣、その趣旨をそのまま踏襲されたといわれる小坂国務大臣の提案理由によりますと、今回の改正の眼目は、治安の確保と責任の明確化にあるということを言われておるのであります。その内容を説明されて、公安委員会制度を存続したこと、警察を都道府県警察という新規なる構想のもとに一本化したこと、でき得る限り自治警の立場を尊重したこと、中央機構におきましても民主化のために留意したこと、また人員整理、給与の問題等にも、国家財政の現状からしては最高度の配慮を払つたということを強調されたのでございます。しかしながら現実の改正案におきましては、たとえば任命権等においてわれわれは非常に不満があつたのであります。警察庁長官というものは総理大臣が任命をする。都道府県本部長というものは警察庁長官が任命する。この総理大臣、警察庁長官、都道府県本部長という一本の人事権によつて新しい警察の再発足を期したのが政府原案であつたのであります。先ほど私は関連質問で申し上げましたが、この点が、何と小坂さんが言われても、今回の改正の一つの大きな眼目であつたのでございますが、本日の改正案におきまして、これは根底からくつがえつております。たとえば長官の任免は、国家公安委員会が任免権を持つてしまつたのであります。都道府県本部長の任命権は、国家公安委員会が握るという非常に大きな修正がなされたのでありまして、この人事権をかえたことによつて、われわれの修正及び政府原案に賛成の最大の理由を私たちはここで強調したいのでございます。
 警察組織は、申すまでもなく上命下従の機構であります。上が命令すれば下は服従するというところに、警察という権力行政の運営の妙が発揮されるのであります。この観点からしまして、その人事権を尊重する官庁組織、なかんずく上命下従の警察機構においては、人事権のどこに所属するかによつてその性格はきまるのであります。私たちは、国家公安委員会並びに都道府県会安委員会が非常な力を得た今回の修正によつて、警察の民主化は守り得たという理由から、今回の政府原案、修正案両方合せたものにあえて賛成いたしたのでございます。
 次に都道府県警察の問題でございます。この問題に関しましても、たとえばその三十七条におきまして、府県庁の負担に対しましては国が補助金を出すという問題がございます。これは事務折衝におきまして、国家警察が大蔵省に圧力を加えられたといういきさつもわれわれは十分承知をいたしおりますが、これも地方財政法上から多少の疑念がありますが、先ほどの質問に対する政府委員の答弁の推移を期待いたしまして、私たちは不問に付したのでございます。ただ都道府県警察に関しましては、政府原案におきましても、県公安委員会を残し、また警視正を含まない、警視以下の職員は地方公務員に存置いたしております。経費負担等に関しましても、十分の配慮と言えなくても、相当の配慮をいたしております。また府県の条例制定権も厳として存在いたしております。国家警察事務は、例外的に府県警察に負荷されているにすぎないのであります。しかも国家公安委員会の任務は、団体委任という形式をとられておりまして、私たちはこの点にも政府のたびたびの答弁と軌を一にいたしまして、いわゆる都道府県自治警察であるという確認を得ましたので、これが今回の賛成の態度をとつた第二の大きな理由でございます。
 その他いろいろこまかいこともございますが、私はこの際たとえば自治警、国警の統合に伴いますところの人事、給与の整理統合に関しましては、十分政府当局は親心をもちまして、この切りかえに伴う摩擦によつて治安の低下を来すようなことがありましたならば国家の重大事でありますから、特に新進気鋭の担当小坂国務大臣が、今後も国家公安委員長たる国務大臣として留任を期待し、この運用には十分御配慮を願いたいと思うのでございます。(拍手)
 また次に――あと簡単でございますから申し上げますが、自治体の警察の財産の処分等に関しましては、原則は無償になつております。しかし粒々辛苦して蓄積されました自治体の財産たる警察施設等の処分に関しましても、人事、給与と同様の配慮をしていただきたいということを特に強く要望する次第であります。
 現存全国の市町村が、その固有の権限として持つております条例制定権に基いてできておりますいわゆる市町村の公安条例、こういうものに対しましても、国家の政令によつてこれを一挙に府県のものにするというような方式によらずして、なるべく自治体の自発的な措置によつてこれが移行運営をなすように特に要望する次第でございます。
 逐条的には、特に字句の上におきまして多少不満の点もありますが、この際大乗的見地に立ちまして、わが党がかねて主張しますところの、いわゆる再軍備の問題に関連する防衛庁法案等の可決を見ました今日におきましては、私は防衛庁、いわゆる警察、この一貫した線によりまして国家の防衛、治安体制は一応確立されつつあるという認識のもとに、政府の努力と今後の運営に対する良識を期待いたしまして、私は本案に賛成の意を表する次第でございます。(拍手)
#6
○中井委員長 北山愛郎君。
#7
○北山委員 私は日本社会党を代表しまして、議題となつております新警察法案並びに警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案につきまして、政府の原案に反対をし、かつ三派提案の修正案にも反対の態度を明らかにせんとするものでございます。
 二月の十五日に本案が提出をされましてから三箇月、その間約二箇月余にわたりまして当委員会においては審議を続けて参つたのでございますが、この内容を検討すればするほど、この法案の陰に隠されておりますところの反動的な性格というものがますますはつきりして来るのでございまして、私どもはむしろ一つの憎悪というような念をもつて、国民大衆の批判とともに、この案に対しましては断固反対をせざるを得ないのでございます。(拍手)
 まず最初に指摘を申し上げたいのは、この法案は吉田内閣のいわゆる重要法案の一つとしまして、MSAの協定、あるいは防衛二法、教育破壊法、秘密保護法などと同様に、いわゆる重要法案の一つとされておるのであります。ところが、この重要法案をわれわれが数箇月にわたつて審議をいたします過程において、この警察の主任大臣である吉田内閣総理大臣が、一回も本委員会には出席をいたしておりません。まことに遺憾しごくでございます。このいわゆる重要法案がほんとうに国民のための、あるいは国家のための重要法案であるならば、総理がみずから委員会、本会を通じて、政府の意のあるところ、日本国民の個人の自由と権利を守る政府の決意というものを明らかにすべきでありましよう。ところがこの警察法は、他のいわゆる重要法案と同様に、国民生活安定のためのものではなくて、その自由と権利を抑圧をして、そして外国に隷属する日本の地位をますます深くして行こう、こういうような外国のための重要法案である。この点、吉田首相がこの委員会に出席をされなかつたということによつて、はつきりといたしておると私は思うのでございます。
 この法案を出されました政府のいろいろな説明を伺いますと、まず治安の確保ということがいわれておる。また治安の責任というものを政府がはつきりしなければならぬというのが、その理由の一つでありますが、しかし私どもは、ほんとうに公共の平和と安全を守つて、個人の自由と権利を擁護しようというならば、これは単に権力的手段ではなくて、もつと大きな社会保障の政策であるとか、あるいは国民の経済を繁栄ならしめるところの経済政策ということによつてこれを行うのが、ほんとうの意味の治安維持、あるいは自由と権利とを守るところのほんとうの政策でなければならぬ。ところが政府は、そのような点につきましてはいささかも責任を持つておらぬ。そして単に治安確保という点にのみその責任については非常に敏感であるということは、まことに奇怪しごくにたえないのでございます。今日本の国内にはたくさんの失業者ができ、一年に何万という自殺者が起り、また親が子供を殺すというような、まず世界中でもほとんどないであろうような事件がほとんど毎日のように起つておる。その親子心中をするような人の生命あるいは自由、権利、そういうものは一体何によつて守られておるか。政府はこれを守るためにどのような責任を感じておるか。この警察手段によつては、親子心中は絶対に守ることができないのであります。こういう点につきまして、この権力的な手段によつて治安を維持しようというのは、むしろ一般の社会政策であるとか、あるいは経済政策においては国民大衆の生活を苦しめようとするような、そういう段階において権力にたよろうとする、警察権力にたよつて国民の不平、不満を押えようとする、こういう意図が、この際に政府が警察法を出したほんとうの腹であろうと私どもは思うのであります。
 またこの法案の理由の中には、国情に合わぬようなことがあります。国情に合わぬというのは、いわゆる占領政策の行き過ぎを是正するということでありましよう。占領政策、これは犬養大臣によりますと、終戦後のいわゆる警察の民主化というものは、日本を弱くする政策である、弱化政策の一つである、かように定義をいたしました。これは日本の国民を含めた全体としての日本の国を弱くするのではなくして、戦時あるいは戦前にわたつて長い間日本の中央集権的、全体主義的な専制警察国家が、政府の力によつて人民の自由を奪い、その思想の自由までこれを抑圧したというこの政府の権力的な暴力というものを押えよう、それを弱めよう、そうしていわゆるほんとうに人民を守る警察、人民に対して政府を守る警察ではなくして、人民の自由を守るところの警察、それを確立しようというのが、これが終戦後におけるいわゆる警察の民主化であり、占領政策としての日本の民主主義政策の一環であつた。かように思うのでありまして、この日本の国情に適しないというのは、戦前の一部の特権階級が政府を握り権力を握つて、そうして国民大衆をそれによつて押えつけて行こう、こういう意図をこの国情に合わぬという言葉をもつてごまかしておる。こういわなければならぬのであります。
 その他の警察のいわゆる民主主義の原理につきましては、私どもはかように考えておるのであります。なぜ警察を自治体警察というものにし、警察権を地方分権にしてやらなければならないかと申しますならば、これは暴力的、破壊的な活動、権力活動、いわゆる暴力というものが単に民衆にだけあるというようなことを言われますけれども、実際人類の歴史の上において恐るべきものは、国家の暴力であります。歴史を見れば、どこの国でもあらゆる時代にわたつて人類を最も殺戮し、大きな被害を与えておるのは、民衆の中から起るその暴力ではなく、国家による暴力戦争であり、あるいは警察権であり、原子爆弾である。これがいわゆる国家暴力、この暴力の方が人類にとつては民衆の暴力よりも恐るべきものであり、従つて単に合法的であるという点だけでは、これは許さるべきではない。この国家的暴力というものを地方分権にし、分割をして弱めて行くことによつて、初めて人類の文化なり、あるいは人間の生活が守られる。こういう深いところからこの警察の地方分権、あるいは地方自治の推進ということが考えられておる。こういう深い意味において、私どもはこの自治体警察というもののよつて来るところの原理というものを正しくつかむならば、一般に民主主義のレベルというものが外国に比べて非常に低く、いまだはなはだしく劣つておる日本におきましては、むしろ今までの、終戦後のこの民主主義的の警察というものを、ますます守り育つて行くことが最も大事でなかろうか、これこそほんとうに日本の国情に即するものではなかろうか、私どもはかように確信をいたしておるのであります。
 なおこの法案の内容につきましては、すでに長い間の質疑のうちにおいてわれわれもいろいろな見解を申し述べておりますので、その詳細は省略をいたしますが、特に指摘したいのは、この責任の所在を明らかにし、内閣は行政権の責任者であるからして、この警察についても自分が責任を持つておるということを明らかにしなければならぬというので、そこで国家公安委員会の委員長は国務大臣をもつて充てるというようなことによつて、その警察のいわゆる政治的中立性というものをはなはだしく危険ならしめておるところであります。例の今参議院でもつて審議されております教育の政治的の中立については、あの教育破壊二法案、あれによつてこの教員の政治的活動、あるいはまた一般の言論、思想等の自由まで奪うところの危険のある教育破壊法案というものを、教育の政治的な中立のためには強行しようとしておる。ところがこの警察法については、単にこの第二条の中に「その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、」というような形容詞を連ねて、そうして今度の新警察法が、政治的に時の政府に支配される危険というものをおおい隠しておるのであります。われわれはむしろこの第二条の中に、何人といえども、警察の組織を通じて、特定の政党を支持し、あるいは反対せしめるような警察活動をさせるようなものは、三年以下の懲役あるいは十万円以下の罰金に処するというような事項をなぜ入れなかつたのか、まことに奇怪千万なのであります。それで私どもは、戦前の田中内閣、政党内閣におけるこの警察というものが、時の政府のために政治警察あるいは思想警察として権力を濫用した、あのいまわしい歴史を知つておるのであります。今度の警察法、これが汚職政治と並行して行われるということに、田中内閣当時との相似性を認めるものでございます。
 なお内容におきましては、いろいろな法文の奥底の中に中央集権、警察の権限というものを中央で統轄するということが一貫して隠されておるのであります。いわゆる都通府県に対します全面的な人事管理、あるいはまたその第五条の内容にありますように、ほとんど警察の重要な運営については、直接にその運営について指摘監督をし、統轄をし、また連絡調整をするという名のもとにおいて、ほとんど全国の警察活動というものを警察庁長官がこれを統轄運営し、統制するというような危険性を、この第五条の中に隠してあるのでございます。
 それ以外にわれわれが指摘いたしたいのは、特に自治体警察から国家公務員たる警視正以上の警察官、あるいは都道府県の警察官に移る人の待遇の問題でございます。十三万余に上るこれらの自治体警察の職員は、国家公務員になる人は、今までの給与よりずつと低い給与を受けなければならぬ。それがいやならばやめた方がよろしいというのであり、また都道府県の方に移つた人も、その給与の差額というものは本俸のみ調整されて、手当の分については調整を受けないというような、いわゆる全面的なベース・ダウン、給与の切下げになつておる。この法案を施行いたしますならば、ものを言わない十何万という警察官は、腹の中にやはり憤りをもつてこの新制度を迎えるでありましよう。自治体の警察職員は、職員団体をつくることもできない。政治上の発言権もない。しかしこのような給与、待遇の切下げをして、この警察活動の第一線に働く大事な仕事をする警察官の給与を切下げて、ほんとうに治安の確保ができるかどうか、私どもは疑いなきを得ないのであります。さらにそれ以外に三万人に上る警察官の首切りを、この案は持つておるのであります。すなわち警察職員を一つの番犬と考えて、その腹をへらさしておくことによつて、これを巧みに使おうというような意図すらも感ぜられるのであります。また同時に、この都道府県の警察を受持つ都道府県の財政の問題でありますが、先般当委員会において、地方税法の改正案につきまして審議をいたしましたが、新しく都道府県に設けられます住民税、あるいは不動産取得税、あるいはタバコ消費税によつて相当額府県の財政には税の増収が見込まれておるわけであります。ところがすでに一部の府県においては論議されておりますように、この税の増収というものは、そつくりそのままこの警察を維持する費用に使つてしまわなければならぬ。すでに三百何十億というような赤字を抱えておるようなこの地方公共団体が、中央集権の、中央でその運営を統轄する警察を受持つことによつて、その台所を受持つことによつて、ますます赤字財政が大きくなつて行く事実をこの審議の過程においてわれわれは発見しておるのであります。
 その他細部の点につきましては省略をいたしますが、最後に私は、この法案は少くとも現在の吉田内閣は提案する資格がない。(「その通り」と呼ぶ者あり)こう思うのであります。あらためて申し上げるまでもなく、この警察法の審議の過程において、保全経済会なりあるいは造船その他のいわゆる未曽有の大疑獄が起つておるのでありますが、その最高潮に達しましたのは、例の佐藤幹事長逮捕に関しての検察庁に対する指揮権発動によつてその逮捕を押えつけた、いわゆる政治的な理由によつて検察権を抑えつけたのであります。これをこの警察法にかんがみたならば、将来この警察法の施行を担当する吉田内閣が、同じように政治的な理由によつてこの不偏不党、中正なるべき警察の発動について、政治的なる運営をしないとはだれも保証することができません。このような意味におきまして、政府の原案に対しましては全面的に反対の意を表するものでございますが、さらに三派共同の修正案につきましても、なるほど国家警察庁長官あるいは警視総監あるいは都道府県の警察本部長等の人事につきましては、多少その民主的な保障という点につきまして改善されておる点はございますが、しかしその実質をよく見ますならば、たとえば国家公安委員会の委員長は国務大臣であります。それは総理大臣の任命する大臣である。その国家公安委員会を主宰し、これを運営し総理して行くところの国務大臣である国家公安委員長が、いかに総理の承認を受けて警察庁長官の人事をするといいましても、その実質においては内閣総理大臣が任命する政府の原案と実質上は何らかわるところはない。かような意味におきまして、私は政府原案と大差のない、この人事権の中央統轄という点につきましては、遺憾ながら修正案に対しても反対をせざるを得ない。また大都市警察の問題にいたしましても、先ほど来この修正案の質疑が行われました際に明らかになつたように、これはこの一年間の暫定措置についてすらも、単に市という区域について新しい警察法を施行するにすぎない。今の自治体警察をそのままに一年間はこれを保持するという意味ではないのであります。しかも単に一年間この暫定措置をするために、公安委員を新しく選ぶとか、あるいは市警察の内部組織をかえてしまうとか、まことに能率的でない、いわゆる能率的であるという趣旨とは真反対の措置が考えられておるのでありまして、しかも一年後におきましては、市の警察部というものは、単に府県の警察本部の下に働く一警察署にすぎない。どこに市の特殊性があるか。これは自治体警察を在置せよ、都市警察を存置せよという強い要望をごまかそうとする単なる思いつきにすぎない。(拍手)かような点につきまして、私どもは修正案に対しても反対をするものであります。
 以上非常に主要な点のみを申し上げまして、社会党がこの案に対して絶対的な反対の態度を示すものであること、しかもそれが言論機関、あるいは学者、あるいはすべての有識者、あるいは国民大衆の輿論の上に立つた反対であるということをあらためてつけ加えまして、私の討論を終る次第でございます。(拍手)
#8
○中井委員長 中井徳次郎君。
#9
○中井(徳)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程になつておりまする警察法案外一件について、反対の討論を行わんとするものであります。
 過去二箇月半にわたりまして、私どもはこの原案ついていろいろと慎重に審議いたしました。しかし残念ながら、どうも私どもを納得せしむるに足る御答弁もありませんし、また本日出されました修正案につきましても、はなはだどうもちぐはぐな感じがいたしまして、特に先ほどお尋ねいたしました公安委員の資格その他におきまして、政府並びに三派の人たちは、民主主義とか主権在民、そういうことについては、ほんとうに観念論的にしかわかつておられないのじやないか、かようにさえ考えて参りたい次第であります。
 この政府の説明につれまして、私は一々反対の理由を述べたいと思うのでありますが、まず第一に、今回の警察は民主化されたものであるということをきわめて強弁をされるのであります。この点でいろいろ議論の末、なるほど政府の考えておることはここだなと思つたのは一つありました。それは責任の明確化ということであります。なるほどおつしやる通りだなと一時われわれ考えました。ところがその説明を聞きますると、委員会が任免権を持つておつては困るというふうなことでありました。大体民主主義というのは、ある程度チエツクの制度があるわけであります。いわゆる委員会制度に対する政府の御認識が少しどうも足りないのではないかというふうな結論に私どもは達しました。民主主義といい、不偏不党といい、こういう文句の裏には、それを牽制する制度として公安委員会制度があるわけであります。それがじやまになるから、それを無力にするというのが責任の明確化であるやに私どもは承りました。まことに残念な政府の御見解だと思うのであります。しかも今回公安委員会もまだ残されておりますけれども、その内容を見ますと、形の上では、たとえば府県の公安委員会はこれまで運営管理だけでありましたが、今度は行政管理もやる、こう言うのであります。皆さん、行政管理の重点は人事と財政であります。しかも公安委員会の重点は行政管理であります。運営管理というのは、どろぼうをとらまえるとか、あるいは犯罪の鑑識をやるとか、そういうようなことが具体的なことである。これこそ警察の長官の行うべきことであります。しころがそれを第五条などにおきましても長々と書きまして、これは公安委員会の任務であると言うのでありますが、実際は公安委員会はそういうこまかいところまで入れません。入れないものを大きく書いて、実際公安委員会がやるべき人事だとか財政の面におきまして、たとえば県の警察の中央部は、ほとんど国庫支弁で占められる人と施設ばかりであるというふうな形でありまして、そうして口にこれを自治体警察であると言うのでありまして、まことにわれわれを納得せしめない答弁でありました。
 第二に、私は不偏不党という問題について、われわれの見解を申し述べてみたいと思うのでありますが、今回の政府の案によりますと、不偏不党ということをしきりにうたつております。それほどうたつておるならば、どうして総理大臣が直接任免をするというふうなああいう縦の線を最後まで通したか。この点においても、私は日本の現在の民主主義、あるいは地方分権というもの、この主権在民に基く新しい憲法の大精神が、政府の御当局にわかつておられるかどうか、はなはだどうも疑問とするところであります。総理大臣が自由党である、北海道の知事が村会党である、大阪の知事が自由党である。京都の知事は社会党であると、各党いろいろな知事がおりまして、そうして円満に行くのが私は民主主義だと思うのであります。自由党が天下をとれば、上から下まで自由党色の警察官で占めるというのは、決して私は民主主義の本然の姿ではないと思うのであります。この点において、どうも今の政府のお考えははなはだ甘いと私は誉わざるを得ない、かように思います。
 その次に、今回の改正によりまして、大臣は非常に経済的になるという説明をいたされました。これも一応もつとものように承りましたが、だんだん調べてみますと、これはたいへんなことであります。大体現行の警察法が施行されましたときには、予備隊警察もありません、保安隊もありません、今自衛隊に改めようとしておるああいうものもありません。現行警察法におけるあの制度では、警察はいわば軍の仕事も兼ねておつた。従つて大都市には非常にたくさん定員が配置されておりました。東京におきましては、たびたび申し上げたように二百二十名に一人の警察官、大阪では二自五十名に一人。そういうふうな、いわば日本の国内を軍にかわつてそういう問題が起つた場合には治めるというふうな定員であります。その後予備隊ができ、保安隊ができ、だんだんだんだんそういうものを大きくしておきながら、この定員その他を今日までほつておいたのであります。これは政府の怠慢であります。今日整理ができると言つて、そうして経済的てあると言つて、――これは今の自由党内閣がいつも用いる常套的な手段であります。毎年々々整理をする、毎年々々にらみ合せて定員の改正をすべきものを今日まで故意にほうつておきまして、今日大改正に際する大きな理由として、得々としてこれを取上げて来た。過去の怠慢を私はみずから暴露するにすぎないと思うのであります。もちろん東京、大阪その他につきましては、皆さんは直接の命令権はありませんでありましようが、勧告権は十分あるはずであります。まことにこういう点につきましておかしなぐあいであります。大阪、東京の証人がこの間から出て参りまして、今の警察制度のままでもこれくらいの経費の節約はやつてみせます、現に大阪におきましては、二千名の自然減を見込んで計画を立てております、こう言うておりました。この大臣の理由の第二もそういう意味でもろくも崩壊したと思うのであります。
 第二に、大臣は能率的だと言われました。今回の警察は非能率的なものを能率的なものにする、それもだんだん聞いて参りますると、私どもは警察の能率化というものは、どろぼうが早く捕われる、あるいは交通警察をみごとにやる、あるいは風紀衛生その他をりつぱにやることが能率化だと考えておりましたら、皆さんの言う能率化は、何県何那何村で自由党の選挙違反がきのうあがつた、それをきよう早く知りたいというふうな能率化である。そういうことは能率の一部にすぎません。決して警察の能率の本質ではないと思うのであります。ここにどうも政府の説明は、三つともまことに簡単にわれわれの質問によつてくずれ去つたと思うのであります。そこで私どもは、いろいろ日本の国情に合せてといいまするから、外国の例を調べたり質問をいたしました。政府当局の説明では、フランスにおいても国警である、ドイツにおいても最近は国警である、こう言いまするから少し調べてみた。なるほどフランスは国警であります。いつ国警になつたかと調べてみましたら、一九四一年であります。一九四一年といいますると、昭和十六年であります。あのドイツのヒトラーがマジノ線を突破してフランスになだれ込んだ年でありまして、これはフランスの超非常時の時代にできた警察法であります。その後フランスの国情は、御案内の通り最近でも極右のドゴール、極左の共産党も非常に大きな勢力を占めております。ちつとも日本のこの例にはなりません。またドイツは、占領下にちりぢりばらばらにされたのを、今国警のように着々なつておりますというので、これも調べてみましたところ、もちろんナチの時代には厳格なる国家警察でありました。しかしその前のドイツの警察は国警といいますが、それはライヒスレヒトじやありません。ランデスレヒトであります。日本でいわば道の警察、州の警察、あるいは県の警察であります。決してドイツ全体の警察法なんというものはありません。ここにも政府の説明に納得できないところがあります。
 最後にそれじや日本の国情はどうであるか、日本の国情に合つてということをだんだん伺いますると、どうやら戦争前の明治、大正、昭和のあの国情らしいのであります。そういう国情であつたから戦争に破れ、これだけの苦しみをした。日本は世界に冠たる警察国家であるとほめられたり、また戦争が済んでぼろかすにやられたりして、あの体験をもう忘れたのであります。ことに今回の公安委員の資格におきまして、先ほども質問をいたしましたように、戦争前の警察官はよろしい、戦争前の憲兵はよろしい、戦争前のあの純真な青少年を、実際警察の乱暴なる処置に対する反感からして無理に追い込んで行つたというふうなあの特高の人たちが、今度公安委員になつてもいいのだそうである。これでは公安委員会をなぜ置いたかという趣旨がほんとうに根本から崩壊しておる、かように私は考えていいと思うのであります。私は今の警察制度は決して完全なものとは言うておりません。しかしながらできましてからまだ六年であります。しかもその間にそれをよくしようという努力を先ほど申しましたように放擲をして、そうして今回一挙に戦前の姿に帰そうというこの政府の知的な陰謀に対しましては、私は心から憤懣の情をもつてこの法案を迎えざるを得なかつたのであります。また今回それに対しまする経過措置を見ましても、そういう面が出ております。たとえば人事の面で、北山君が言われましたように自治体警察の人は国警の人よりも給与は高い。これはなぜ高いかということをどうしてもつと深くお考えにならなかつたか。こんなことを申してはおまわりさんのまじめな人たちにはしかられるかもしれませんけれども、戦争前は、おまわりさんといえば肉屋へ行つても安かつた。酒を飲んでも安かつた。そういう警察では困るというので、全国の自治体、市町村は、苦しい財政の中からおまわりさんの待遇をよくしましよう。そういうことのないようにというので、今日まで育て上げて来たのであります。それを国警と差があるから、それは国警の人を自警の本俸にまで上げるならいいのですが、国の財政の都合でというて下げて、北山君のお話によりますると、本俸との差額は支給するけれども、それについておる付属のいろいろな俸給に対する差額はもう忘れておる。ことに自治体警察から府県の警察官になる人は見てあるそうでありますが、自治体警察から直接国警になる人、いわゆる上級の人たちにつきましては、全然その間の措置が見ておられない。こういうことになりますると、今の国警の首脳者はどういう感情を持つてこの法案に対したか、言わずとして明らかであると私は思うのであります。また経費の面などにつきましても、せつかく自治体警察を育てるためにいろいろな施設をいたしました。それも原則は無償である。但しおれのところへ相談して来れば考えてよろしいというふうなこの考え方は、最近の地方分権、地方自治、あの法の精神にも反することであります。今の地方自治体は、国に寄付をしたり、あるいは国が負担すべき経費を自治体が負担してはならないとはつきり地方自治法にも明記されておるのでありますが、それに対する例外規定を無理やりおつくりになつた、こういうのであります。
 最後に私は、今回の法案全体をながめまして特に感じますことはどうもはなはだ申し上げにくいのでありますけれども、この法案は警察官僚の人たちの意見だけでつくられた法案のようであります。ちつとも国民の立場に立つてお考えになつておらぬということであります。この法案が万一施行されますると、警察官、特に国警におられた人たちはけつこうでありますけれども、国民はたまつたものではありません。私どもは現在の日本の客観情勢から考えまして、かような警察組織法をつくる前に、まず警察官の教養を高めていただきたいと思う。皇宮護衛官なんかというものにつきましても、この間から申し上げておきましたが、かようなものが現在の日本の状態からいつて必要であるかどうか、これも疑問でありますけれども、置くとならばもつと外交的な面、文化的な面で教養を高めてやつてもらいませんと、また二重橋事件のようなものが起ります。これは組織の問題ではありません。すべて警察官の素養と教養の問題であると私は思うのであります。これを高めないでおいてそういうことをやることは、まことに解せない次第であります。
 最後に修正案でありますが、この案は、率直に申しまして、政府の原案よりは少しは前進をいたしていると思います。ただしかしそのやり方におきまして、五大都市の警察を残すにいたしましても、どうしてああいう妥協をしたのであるか。どうも現在の政治の妥協の仕方ははなはだ不明朗でありまして、たとえばわれわれが地方行政で担当いたしましたものでも、税制における遊興飲食税の問題は、ちよつと料理屋のおかみから陳情があるとひつ込める。入場税の問題は、パチンコの会長がだれか政党の幹部であるからというのでこれもひつ込めるというふうなやり方、これがこの五大都市を一年だけ残すというところにも私は出ているように思います。非常にどうも不愉快な感じを抱くものであります。警察法の改正は、申すまでもなく今国会の最も大きな問題でありますが、それと同時に、先ほども他の委員から申されましたように、警察法の改正とか、あるいは刑事訴訟法の改正とかいうことを行いまするためには、やはり私は政治家として天の時が必要であろうと思うのであります。今のような、汚職だなんかいつてほんとうにてんやわんやのつぶれかかつた内閣で、こういう重大法案をお出しになる、汚職に最も関係のある警察法をお出しになる、これは私はまつたく天の時を得ていないものだと思います。
 これをもちまして、私の反対討論を終ります。(拍手)
#10
○中井委員長 松永東君。
#11
○松永(東)委員 最後に私はきわめて簡単に所信を披瀝して、三派修正案並びに修正部分を除く原案に賛成の意見を申し述べたいと思います。
 私は今国会に提案せられた原案を精読いたしまして、実は一驚を喫したのであります。それはまさに戦前以上の警察国家をつくつてしまうのじやないかということであります。そこで私は、率直に申しますと、原案を一蹴したいというふうに念願しておつた。ところがこれはわれわれがどうしやちほこ立ちしても、一蹴することはできないということを、今でいえば一昨日の本会議でありありと見せつけられた。これではいかぬ。これではどうしても勝ち目はない。そこでこのままで行けば原案が通過してしまう。原案が通過するとどうなるか。国家のために非常な不利益を招来するではないかというふうに考えて、初めて修正案というものに賛成することになつたので、これはほんとうにお考えを願いたい。政治は決して理想ではありません。理想ばかりででは行きません。現実の上に立つた政治でなければいけません。一生懸命はち巻をねじ上げて、うまい演説を一つやつて、ああよかつたなと拍手喝采されたつて何にもなりません。やつぱりつかみどころをつかまなければならない。そこで私どもはどうしても原案を、さつきも言つた通り、一歩でも弱体化させなければならない。すなわち原案では、御承知の通り、警察庁長官の任命は、総理大臣が国家公安委員の意見を聞いて任命するとやつてあるのを、やはり公安委員会が任命するとした。さらに、くどくどしいこと申し上げませんが、警視総監の任命は公安委員の同意を得て国家公安委員会が、これは総理大臣の承認を得てということがありますが、任命することになつた。さらに都道府県の本部長、これも都道府県の公安委員会の同意を得て任命するということになつた。元来原案では、都の公安委員にも他の道府県の公安委員にも一瞥も与えていない。意見を聞きもしない。東京都を例にとりますと、先ほども申し上げた通り、おそらく九割、こまかに計算しますと九割三分くらいになりますか、その経費を都民から出さしております。どこへ行つたつて、それは百十億からの財政でありますが、その一割にも足らぬ補助をやつて、そして一番中堅になつて警察の政治を断行して行くところの総監を、政府がかつてに何の相談もなく任命するようになつている。まさに都民の負担の上にあぐらをかいて、政府の命令のままに動かそうと上ておつたように見える。他の府県警察隊長、これも同様であります。過大な負担を府県がしておつて、わずかばかりの補助金を出して、そして国家からこれを任命する、こういうことになつておつた。それをそれではいかぬというので、どうしてもその府県公安委員の同意を要する、東京都においては東京都公安委員の同意を要する、こういうことに強く主張して修正案をつくり上げたわけであります。これは任命権ということは大したことでないと言われるかもしれませんが、何といつてもこの任命権を持つておる人間でなければ、ほんとうの力はありません。そこで政府の方は、その各地方々々の公安委員の同意を得るという以上は、それを樽俎折衝を尽すでしよう。そうするともちろんいろいろな勧告をしてやめさせるという手もありましようが、一番かんじんなことは、任命であります。その任命にそれぞれの府県の公安委員の同意を得るということになれば、まず一番こわがられている、ボタン一つ押せばすみずみまでも中央政府の威令が行われるということが緩和される。(「多少」と呼ぶ者あり)多少はです。(笑声)多少でもしかたがない。その通りです。理想ばかりではいけません。やはり現実に沿わなければならぬ。それともう一つ、ほかに経済上から言つても経費節減がやはり相当量できます。多額ではありません。これも多少です。多少としても、この多少は大きなものです。そうしてベストではないけれども、次善の方法として、われわれの修正案をつくり上げたのであります。そこでどうでしよう、このまま、このくらいのところで通しておいて――わが党が絶対多数をとるということになれば、おそらくもつとよい案にできるのですが、まずこの際は次善の方法として、この修正案によつて一応警察制度をつくり上げて、さらに研究を進めて行つて、うの毛で突いたほどの欠点もないような完全な警察制度をつくり上げたいということで、私は本修正案に賛意を表する一人であります。(拍手)
#12
○中井委員長 これをもちまして両政府原案及び両修正案に対する討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。最初に警察法案について採決いたします。
 まず松永東君外十五名提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#13
○中井委員長 起立多数。よつて松永東君外十五名提出の修正案は可決されました。(拍手)
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いて原案について採決をいたします。賛成の諸君の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#14
○中井委員長 起立多数。よつて修正部分を除いて原案は可決されました。これにて警察法案は松永東君外十五名提出の修正案の通り修正議決されました。
 次に、警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案について採決をいたします。
 まず松永東君外十五名提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#15
○中井委員長 起立多数。よつて本修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いて原案について採決をいたします。賛成の諸君の起立を願います。
    〔賛成者起立〕
#16
○中井委員長 起立多数。よつて修正部分を除いて原案は可決されました。これにて警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案は、松永東君外十五名提出の修正案の通り修正議決されました。
 この際お諮りをいたしますが、ただいま議決いたしました両案に関する報告書の作成に関しましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○中井委員長 御異議なしと認め、さように決定をいたしました。
 これにて散会いたします。
    午前一時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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