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1953/04/16 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 大蔵委員会 第42号
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1953/04/16 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 大蔵委員会 第42号

#1
第019回国会 大蔵委員会 第42号
昭和二十九年四月十六日(金曜日)
    午前十時四十分開議
 出席委員
   委員長 千葉 三郎君
   理事 淺香 忠雄君 理事 黒金 泰美君
   理事 坊  秀雄君 理事 山本 勝一君
   理事 内藤 友明君 理事 久保田鶴松君
   理事 井上 良二君
      大上  司君    大平 正芳君
      小西 寅松君    島村 一郎君
      苫米地英俊君    福田 赳夫君
      藤枝 泉介君    福田 繁芳君
      本名  武君    小川 豊明君
      柴田 義男君    春日 一幸君
      平岡忠次郎君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  植木庚子郎君
        大蔵事務官
        (主税局長)  渡辺喜久造君
        大蔵事務官
        (理財局長)  阪田 泰二君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (九州大学教
        授)      高橋 正夫君
        専  門  員 椎木 文也君
        専  門  員 黒田 久太君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 参考人より意見聴取の件
 経済援助資金特別会計法案(内閣提出第一〇四
 号)
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助
 協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する
 法律案(内閣提出第一三三号)
 金融機関再建整備法の一部を改正する法律案(
 内閣提出第一〇八号)
 旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内に
 ある財産の整理に関する政令の一部を改正する
 法律案(内閣提出第一〇九号)
 閉鎖機関令の一部を改正する法律案(内閣提出
 第一一一号)
 企業資本充実のための資産再評価等の特別措置
 法案(内閣提出第一一五号)
 株式会社以外の法人の再評価積立金の資本組入
 に関する法律案(内閣提出第九〇号)(参議院
 送付)
    ―――――――――――――
#2
○千葉委員長 これより会議を開きます。
 本日は、まず企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法案及び株式会社以外の法人の再評価積立金の資本組入に関する法律案の両案を一括議題といたします。
 右両案に関しましては、去る十三日三人の参考人の方々から有益なる御意見を拝聴いたしましたが、審査の慎重を期するために、本日はまた九州大学の教授である高橋正雄氏を参考人として出席願つておりますので、これより同君の忌憚のない御意見を拝聴いたしたいと存じます。それでは高橋正雄教授にお願いいたします。
#3
○高橋参考人 私は経済学を勉強しておりますけれども、会社の経理とか会計というふうなことについてははなはだ不勉強でありまして、そういう点からではなしに、きようは国民経済というような見地からこの法案に関する私の考えを申し上げたいと思います。
 初めにあそこにグラフを持つて参りましたので、あれについて説明をいたします。左側に生産費と書いてあります。生産費をわけてA、B、Cとしまして、生産費というのは、賃金を払う賃金分、原料を払う原料分、それから固定資産のうち、その年のうちに消耗した分に対する償却費、賃金と原料と償却の三つからなつているわけであります。しかしその企業なり会社なりにすえつけてあります固定資本の方は、一年だけで全部は消耗いたしません。あそこの場合は、図を簡単にするために四箇年間が耐用年限、従つてことしの分のAとしましては四分の一償却するわけであります。あのA、B、Cの生産費が合さりまして、次のところに書いてあります生産物ができ上るわけであります。その生産物のうちから生産費にひとしいA、B、Cを除きますと、あとへ残りますのが、かりに半分ずつにいたしてありますけれども、企業の利益として残るのがD、税金として中央政府なり地方政府なりに持つて行かれるのがEであります。こういう状態がインフレーシヨンでもなしデフレーシヨンでもなし、つまり会社の内部におけるいわば帳簿価格と同じ値段で世間でも固定資産その他のものが売買できる。そういう状態が続くといたしますと、大体同じ企業は年々歳々あれだけの生産物をつくり、あれだけの価格で販売しまして、Eにあたる税金を納め、Dにあたる利益をこの場合は全部を配当中にまわすことにしますとおしまいになりまして、あと来年は、A、B、Cという生産費にあたる分を持つておりまして、Bという原料を仕入れ、Cという賃金を払い、Aの方はまた耐用年限がありますから、しばらくの間は償却準備、あるいは更新の準備の資金として積んでおけばいいわけであります。もし経済が順当に正常に進んでおればそれが年々歳々繰返されるわけであります。そうしますと、この企業の場合には、年々歳々同じ規模でずつと行くことになります。しかしもしこの会社がさらに規模を拡大しようということがあれば、あのDになつております利益、あれをたとえば株主に配当するのを三分の一だけにしまして、残つた三分の二でもつて来年はまた固定資産、原料、賃金という方に支出しまして、今度は来年の場合には、今年よりもより大きな生産費で事業を開始しましたから、従つて来年の末の生産物、従つて価額はことしよりもそれだけ多いということになるわけであります。ここまでの説明はただ一つの企業のことを考えたのでありますが、今度は日本全体の産業としても同じことでありまして、つまり日本中にあります会社をただ一軒の会社の支店とか、あるいは分工場というふうにお考えになれば、日本全体の産業についても経済についてもああいうことが言えるわけであります。つまり一箇年間に日本の労働者に支払われます賃金、それから一切の企業が買い入れます原料、それから一切の企業が持つております固定資本の償却分、それだけのものを日本の国民経済が生産費として提供しまして、まん中にあります生産物だけの国民生産物というものができ上るわけであります。それを政府がいろいろな形で税金としてE部分だけ取上げ、Dというのが配当とか利子とか、その他の形で国民に分配され、それが全部消耗されましても、日本経済としては来年度もまた同じ形で同じ規模で進んで行けるわけであります。あとA、B、Cについては、一つの企業の場合と同じことであります。ここまでが先ほど申しましたインフレシーシヨンもデフレーシヨンもない場合の経済の運行であります。
 ところがどういう理由からにかかわらず、インフレーシヨンがあるといたしますと、生産物の価額が騰貴いたします。ここでは図を書く必要からただ二倍にいたしましたが、実際には御承知のように、今度の日本の場合には二百倍も三百倍も多くなつていることは申し上げるまでもないのであります。そこでインフレになりまして、生産物の価格が二倍になつたとしまして、その価格を構成しておりますA、B、C、D、Eがそれぞれ全部仲よく二倍になつた、そういう場合を考えますと、これは非常に簡単でありまして、生産物そのものは、物としては増減なしに、ただ価格の面でだけみなが同じものを二倍の金を出して買い、同じ物を売つて二倍の金をとるというだけのことでありまして、税はE、利益としてD、あと同じことであります。ところが実際の問題としてそういうふうになるとは限らないわけであります。たとえば価格がインフレーシヨンの結果騰貴したといたしまして、何かの都合で税金の方が二倍よりもはみ出すような仕組みになつているかもしれないわけであります。そうしますと、あの赤い線で書いておきましたEという税金の方が、利益の方に食い込んで行くかもしれないのであります。それからCの賃金でありますが、これまた何かの事情で二倍になつただけでは済まないで、その賃金が増加するということがあれば、これまたDの方に食い込んで利益が少くなるという場合が考えられます。
 それからインフレの場合に賃金もなかなか下らない、原料代も下らないということになりますと、Bの値段がふくれ上つて行つて、さもなければ固定資本の方が、償却分としてインフレがない場合の二倍だけになるべきもののうち、あそこに書いてありますように、半分ぐらいが原料代に食われるかもしれない。こうなりますと、償却分としては貨幣額だけからいえば、インフレ前と同じ金額のものが償却分としてとつておかれましても、実際には、あれは四箇年間耐用期間でありますから、四箇年間分で元の機械を買えるかというと、半分しか買えないわけでありまして、それではこの会社は四年目になつたとたんに、半分の規模でしか動きがとれない。こういうことになるわけであります。こういうことがもやもやとしておりましたのでは、その企業にとりましても、その国全体の経済にとりましても、だんだん固定資本的な規模、基礎が食いつぶされて行くわけでありますから、これではたいへんなことになるわけであります。もしインフレーシヨンになり、それが安定しまして、固定資本の償却分としてあそこに書いてありますような合理的な割合で償却が行われないなら、これは国家として何か手を打つ、ある場合には強制的な法律をつくることも必要だ、そういう議論が出て来るわけであります。ここまでのところはいわば原則論、抽象論でありまして、ここまでの限りについては、この問題について違つた意見は出て来ないのではないか、だれでもそういうふうになるのじやないか、そう思います。ただ今度問題として具体的に考えまして、日本経済全体は今ここでいわばああいう学校教科書的な考え方を貫いて行けるのかどうか、確かに日本ではAの部分、固定資本の償却分として十分に資金がとりのけられていなかつた、それは一部の企業家が無能だからか、あるいはそういう見せかけだけのもうけをぜいたくに使つて遊んでしまつたからか、そういう主観的といいますか、経営者の無能ということから来ているのだつたら、それはそれで直せるわけでありますけれども、もしもつと考えて、ほかに重要な事情があるなら、こういう抽象論、原則論ではなかなか押しては行けないのではないか、そういうふうに考えるのであります。つまり今の日本でまだ再評価を十分にしてない会社が十分にやつていないのは、その企業の経営者が無理なんだ、悪いのだ、やろうと思えばやれるはずだ、それをやらして日本経済全体が円満に行くはずだという条件があるかないかということを考えてみなければいけないと思うのであります。
 ここで戦争前の日本と戦争後の日本との根本的な違いを考えてみる必要があると思うのであります。あそこで原料がどの程度の値段で入つたか、それから賃金がどの程度の賃金で十分だつたかということを考えますと、日本の産業にとつて非常に重要な石炭にしても、鉄鉱石にしましても、塩にしましても、満州や樺太の木材、パルプなどにしましても、あるいは石炭などにつきましても、日本に近いところから非常に安く入つたのであります。それから戦前の日本の労働者は、安い賃金で働きましたけれども、なぜ安い賃金で働けたかというのは、やはりとうふの原料に限りませんけれども、大豆が安く入つた、いろいろな水産業の権益を日本が持つていた、南方から安く米が買えた、南方よりも朝鮮や台湾から砂糖や米やバナナなどが安く入つて来た。つまり日本側からいいますと、日本国民の勤労の結果をそれほどよけい出さないでも割合多くの原料や食糧が入つて来たということがあつたので、戦争前のような日本経済は、まあまあ均衡を保ちながら、しかも発展できたと思うのであります。ところが終戦後は、そういう点について根本的な変化が起つたと思うのであります。そこでどんな合理的なことを考えましても、食糧を手に入れるためには、原料を手に入れるためには、戦前の割合よりも割の悪い出し方を日本側からいえばしなくちやいかぬ。その割の悪い出し方というのはどこから持つて来るかというと、結局あそこに書いてあります税金を減らしてもらうか、企業の利益を減らしてがまんするが、賃金を減らすかということになるわけであります。原料も減らしたいのでありますが、原料を減らしたのではものが生産できませんから……。それからもう一つは、固定資本をまあみんなでやむを得ず食いつぶすかということしかないわけであります。そう考えますと、どうも税金の方は、たとえば占領が終りますまでに日本の政府は、五十億ドルくらいの終戦処理費を払つております。これは戦争前でも相当大きな軍事費をまかなつたはずだから、何でもないじやないかといえば、計算の上だけではそうでありますが、日本の経済が規模が小さくなつた上で、しかも戦後のあの縮小した時代に五十億ドルぐらい支払わされるというのは非常に大きな打撃でありまして、それはどこから来るかといえば、A、B、C、D、どこからでも来ますけれども、まわりまわつて固定資本の償却分にも食い込んだはずだ、それから原料にしても賃金にしても、計算の上ではよくなつたように見えても、それほどのことはないのではないか、そういうことは考えられるのであります。それから占領費のせいにいたしませんでも、さらに敗戦によつて、あるいは戦争中に日本の固定資本の性能が落ちた、原料が悪くなつた、それから戦後のどさくさにおいては、いくら労働意欲があつても働けなかつた、あるいはああいう状態では労働意欲がなかなか起らなかつたということを考えますと、あのまん中に書いてあります生産物は、戦前に比べて同じどころではなくて、御承知のように非常に減つているわけであります。減つたからといつてがまんできる部分とがまんできない部分がありますが、賃金の部分などは最もがまんのできにくい点であり、それから税金の点も御承知のように決して減つてはいなかつたわけであります。そういうのがまわりまわつて、積り積つて固定資本の償却を十分にできないというところに来ているのではないか、そう考えるのであります。そういうことが根本的な事情としてあるほかに、戦争中からさらに終戦後も、日本は非常に高度の統制経済をしておりまして、統制経済には当然統制価格がつきものであります。そうしますと、統制価格のきめようによつては、ある企業では固定資本までまわすほど、つまり償却分としてとつておけるほどいい値段と公定できめられた場合もありますけれども、戦争その他に必要のない産業については、それほどいい価格は認めてもらえなかつたということになりますと、この点からも固定資本の方がおろそかになりがちだと思うのであります。それから補給金という制度がありまして、これも補給金をもらつた産業、もらつた企業については固定資本の償却が十分にできるかもしれませんけれども、そういうところからいわば恩典にあずかつていない企業については、そうともいえないわけであります。それからさらに最近というほどでもありませんけれども、何といつても原料を売買する場合を考えますと、大きな資本、独占的な力を持つております企業が売り出す価格は比較的に高いわけでありまして、そういう原料などを買つて加工する企業家からいいますと、原料代が高いので、つまり価格のうち原料代に食われる部分が多くなりまして、やはり償却の方にはまわせないということになつて、その辺からも償却さるべき固定資本がされないままに来ているのではないか、そういうこともあると思うのであります。
 そういうことをいろいろ考えてみますと、最初申し上げました経済原論風に、あるいは原則論的にやつて行つて――最初申し上げたことは、つまり本来の市場価値ですか、実際の価値になるまで持つている資産を再評価して、従つてその再評価された資産に応ずべき償却を今後どしどしやれということは、そういうことを現実に強行して行つたらどういうことになるかと申しますと、すぐ考えられますことは、賃金に対する圧迫が強くならないわけには行かないと思うのであります。この点は戦争前と比べまして、労働立法などがありました関係上、確かに企業企業にとつては戦前よりも賃金が高過ぎるように感じられる節はあると思います。そこで、それでは再評価の法律の結果として、法律に従うために賃金に対するいわば攻勢を加えるということが起つた場合に、今日の日本の社会、経済、政治上の事情からして、そういう平地に波瀾というほどのことはありませんけれども、労資の対立なり、そういうことを激化させる方向に行くことはよほど考えなければいけないのではないか。それからもう一つは、大きな会社でありますと、この法律に従つて固定資本を再評価して、当然生産費が高いのだからというて自分の製品の値段を上げます。そうしますと、その会社の製品を原料として使わなければならない小さい会社、あるいはほかの産業からいうとたいへんなことになるわけでありましてその点からいうと、大きな資本、力の強い資本の方が、その再評価から来る犠牲をほかの方へしわ寄せをするということになりかねないのでありまして、この点は、昨今ことに問題になつておりまする中小企業をどうするか、中小企業と大きな企業との関係調整をどうするかという問題も非常に考えなければいけないと思うのであります。それから本来なら外国の方に出て行つて、この再評価から生ずるしわ寄せを外国の方に向ける、つまり日本の物を割高に売つて外国の物を割安く買える、そういう情勢があればたいへんけつこうなんでありますが、これは先ほど申しましたように、戦前とは違いますので、どう考えてもそういうことはなかなかできそうもないわけであります。そうしますと、どうも労働と資本の関係、大企業と中小企業との関係というものをだんだん悪くして行くという効果があるのではないか。しかし、今度はそういうまあ小さいということはないと思いますけれども、それではそういう対立なり何なりはやむを得ない。しかたがないとして、この法律に従つて、ここで問題になつております千五百ですか二千ぐらいの会社がこの法律に従おうと思つて一生懸命資産内容、資本内容をよくして行くとしたら、一体日本経済は全体として合理的な姿になるか、そういう問題であります。これは非常に実証的な材料がなければ何とも申し上げられないわけでありますが、しかしせんだつてから問題になつております統制なしに、計画なしに各企業企業が自分の立場に立つて企業を運営したり拡大する結果は、日本全体として過剰投資、あるいは不良投資、二重投資ということが起つているわけでありまして、たださえなけなしの日本の生産力、原料なり固定資産なり、そういつたものを、どうせ結局は全部は成り立たないにきまつているような企業の間に割込まさせるだけになりはしないか、そういうことがはたして日本全体の限られた経済力をうまく使う道かどうか、そういうことも考えなければいけないと思うのであります。
 それからもう一つは、この昭和二十九年の財政が特にそうでありますが、そうでなくても、一般の情勢はデフレーシヨンの方に向いつつあるようでありまして、そうでなくてさえ企業の経営が困難な場合に、こういう法律をつくりますと、先ほど申し上げたような問題がさらに深刻になるのではないか、そう考えるのであります。それから為替レートとの関係は、非常にこの問題とは近いような遠いようなちよつとわかりかねますけれども、やはり国内なり日本以外の国で日本の為替レートの先行きを大いに神経質になつて見ているときでありますので、それとこの法案との関係というのもどうかなあというふうに考えられるのであります。
 時間がちよつと超過いたしまして申訳ありませんけれども、最後にもう一言だけ申し上げますと、それじや結局お前はどういうふうに考えるのかと聞かれれば、こういうふうに考えたらどうかと思うのであります。つまり最初申し上げましたような原則論に従つてこの法律を実施すれば、一つ一つの企業が健全になり、同時に日本全体の経済情勢も社会情勢も安定し、さらに向上するというふうにはどうも私には考えられないのであります。原則的には正しいことでありましても、現実の条件がそういうふうにはなつていない。それならどういうふうにすべきかということになりますと、これは私の言いたいと思つておりますことを、経済同友会の昭和二十九年度通常総会というものが、こういうことを言つております。それは、つまり日本の経済の現状というのはそうなまやさしいものではないのだ、中央、地方の財政の膨脹、国民消費の多過ぎる点、それからさつき申しました過剰投資とか、過剰生産というふうなものを何とかしなくちやいかぬ、そのためには一定の計画と方針のもとに総合施策を講ずることが必要だ、それには総合計画の中枢部として、内閣に簡素協力なる経済計画審議会を設け云々ということを言つております。こういう意向は、いわゆる財界からだけではなしに、労働組合その他の方でも、今の日本の経済というのは、自由経済の原則で、方針で押して行つたのでは、結局小さいもの、弱いものがあぶれてしまう。それでは黙つていられない結果、いろいろな混乱が起りますので、結局今の同友会と同じようなことが労働組合側からも出ているわけであります。そういう意味で、私は調べる気になればたいして多くはない日本の企業でありますから、それを少くとも主要なものについて徹底的な調査をされて、大局的な立場から、大乗的な立場から、日本の産業にとつて、日本の経済にとつて残しておくべきもの、残しておかないもの、あるいは転換すべきものということをはつきり打出して、それに従つて再評価すべきものはどしどしやつて、世界市場の中での競争力を持つように、日本経済の内部的な実力を養うように、そういうことをお考えになつてはどうか、そういうふうに考える次第であります。
 長い時間……。
#4
○千葉委員長 ありがとうございました。ただいまの高橋教授の御意見に対して御質疑があれば、この際これを許します。
#5
○春日委員 この際教授にひとつお伺いいたしたいのでありますが、この法律が過剰投資、二重投資に与える影響てついてただいまお述べいただいたのでありますが、もう少しその影響を詳細に、具体的に教えていただきたいと思うのでありますが、どういうような影響をもたらすであろうか、もし悪い面があれば、それを阻止するためにはどんな拘束と規制をしたらよいか、この点の御意見を伺つておきたいと思います。
#6
○高橋参考人 非常に具体的に詳細にという御質問でありますけれども、そういう材料を持つておりませんが、ただ一般的に考えられますことは、こうじやないでしようか、つまりこの法律に忠実なる会社があれば、四苦八苦して再評価をしまして、そうして法律に書いてあるようなことを実施して、それだけの資金をたくわえれば、当然コストを切下げるために努力をしなくちやいかぬですから、そうしますと、その企業から言えば、優秀だと思う技術なり機械なりをすえつけるしかないわけです。同じような努力をどの企業でもやる場合を考えますと、結局は、日本全体としてはそれほどそういう商品を生産する設備を拡大してもしようがないのではないか。しかし一人々々の立場から言えば、そうするよりほかないわけでありますから、どうもそういうふうになるのははつきりしているのじやないか、そういうふうに考えます。それはすでに今までのところで、鉄の場合ですか、非常に大きな資本を持つているものは、三軒や五軒しかない会社なのだから、そういうものの間にこそ過剰投資も二重投資もないのかと思つておりましたら、必ずしもそうとは言えないわけであります。そういうことをもつと数の多い企業の場合について考えると、結局そういうことになりはしないか。それから今の場合は、いろいろ四苦八苦して、自力でそれだけの資金が調達できた場合の善良な会社についてでありますが、そうではなくて、実力はないけれども、この法律に従つて何とでもしなければいかぬということになれば、弊害という点からいつて、労働組合との衝突も考えられますし、資金なり政府のいろいろの恩恵を得るために種々の望ましくない手段を講じなければ生きることはできないのじやないかということになりまして、明朗なるべきものをつくろうと思つても、それに反対の場合も起つて来るのであります。大体そういうふうに思います。
 それから方針については、あとの方で申し上げたことで御了承願います。
#7
○千葉委員長 ほかにございませんか。――ではまことにありがとうごさいました。
    ―――――――――――――
#8
○千葉委員長 次に、ただいま議題となつております両法案のほかに、経済援助資金特別会計法案、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律案、金融機関再建整備法の一部を改正する法律案、旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令の一部を改正する法律案、閉鎖機関令の一部を改正する法律案の五法案等を合せて、七法案を一括議題として政府側に対する質疑を続行いたします。質疑は通告の順序によつてこれを許します。ちよつと速記をとめて……。
  〔速記中止〕
#9
○千葉委員長 速記を始めてください。
#10
○春日委員 本日は議事日程といたしまして、特にこの経済援助資金特別会計法案につきまして質疑を続行する予定に相なつておりましたところ、本日ただいま、この時刻に至りましてもなお大臣、政務次官、あるいはまた局長等、その政府の責任的立場にあられる方が御出席に相なつてはいないのでございます。こういうような立場におきましては、私どもはかかる重要な案件について疑義をつまびらかにすることができませんので、本日はこれをもつて散会されまして、他日この法案に対する質疑を続行されたいという動議を提出いたします。
#11
○千葉委員長 どうでしようか。ただいま春日委員からの動議もありましたが、経済援助法案だけ、せつかくそろつたものですからそれだけ質疑して……。
#12
○春日委員 本法案は、今国会に出されました重要な法案の中でも特に画期的な内容を持つ法案でありまして、従つてこの質疑は大臣、次官、せめては局長の責任ある御答弁を願うのでなければ、われわれはその疑点を明らかにすることができないと思うのでございます。従いまして、せつかく次長が御出席相なりましたけれども、時刻もすでに十一時四十分でございまして、ここで十分や二十分やつてみたところで何にもなりません。ただいま私の提出いたしましたのは動議でありまして、しかも成規の賛成者がございますので、お諮りをいただいて御採決あられたいことをさらに希望いたします。
#13
○千葉委員長 いかがでございます。か、ただいまの春日君の動議がありましたが……。
#14
○淺香委員 春日委員から今動議が提出されましたが、なるほど仰せごもつともな点もありますけれども、きようは高橋先生にもお出ましを願つて、そうして企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法案についての御意見を聞き、あわせてそれに対する質問も続行することになつておりましたがために、従来の慣例から行きました場合には、お昼近くまでかかるのではないかというような予想を持つておりました。しかしてこの間の連絡も、確かに私どもの方では不十分な点もありますけれども、重要な法案も山積しておることでありまするから、今次官もこうして出られましたので、正午まで質問を続行していただくことの動議を提出いたします。
#15
○春日委員 淺香君の御意見はごもつともでありますけれども、時計をごらんになつても十一時四十分でありますし、定刻までにすでに十分か二十分余すばかりでございます。しかもわれわれが審議せんといたしておりまする案件はきわめて重要な問題でございまして、すでに雑談で気分も大分だれておりますので、そういう重要議案を審議するにふさわしい機会じやない、こう思いますので、せつかく動議を提出いたしておりまするから、ひとつお諮りをいただいて、本日はこれをもつて散会を願つて、機会をあらためて質疑に入ることをお願いいたしたいと思います。従いまして、重ねて私の動議は委員会にお諮りをいただきたいと思います。
#16
○福田(繁)委員 本日は、午後はわれわれ大蔵委員会の申合せにおいてとうとい、得がたいところの実地見学調査をやることになつており、その時間も迫つているようですから、たまたま今春日君から動議が出されましたので、なるほど大蔵政務次官もせつかくおいでを願いましたが、委員長、非常に御苦心の点と思いますけれども、暫時休憩して、理事会を開いてお諮りを願いたいと思います。
#17
○千葉委員長 春日君の動議に賛成の諸君の御起立を願います。
  〔賛成者起立〕
#18
○千葉委員長 可否同数であります。委員長は本動議に反対であります。よつて委員長はこれを否と決します。従いまして散会はいたしませんが、今後の委員会の運営について理事会開をいて御協議いたしたいと存じますので、暫時休憩いたします。
   午前十一時四十四分休憩
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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