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1953/10/12 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 大蔵委員会 第75号
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1953/10/12 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 大蔵委員会 第75号

#1
第019回国会 大蔵委員会 第75号
昭和二十九年十月十二日(火曜日)
    午前十時三十六分開議
 出席委員
   委員長 千葉 三郎君
   理事 黒金 泰美君 理事 久保田鶴松君
   理事 内藤 友明君 理事 井上 良二君
   理事 山本 勝市君
      大平 正芳君    小西 寅松君
      苫米地英俊君    福田 赳夫君
      藤枝 泉介君    宮原幸三郎君
      三和 精一君    柴田 義男君
      小川 豊明君    福田 繁芳君
      本名  武君    春日 一幸君
      平岡忠次郎君
 委員外の出席者
        大蔵政務次官  山本 米治君
        大蔵事務官
        (主計局長)  森永貞一郎君
        大蔵事務官
        (主税局税制第
        一課長)    白石 正雄君
        大蔵事務官
        (銀行局長)  河野 通一君
        大蔵事務官
        (為替局長)  東条 猛猪君
        通商産業事務
        官
        (企業局長)  徳永 久次君
        工業技術院長  駒形 作次君
        専  門  員 椎木 文也君
        専  門  員 黒田 久太君
    ―――――――――――――
十月十二日
 委員吉川久衛君辞任につき、その補欠として本
 名武君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員青柳一郎君辞任につき、その補欠として小
 西寅松君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法
 律案(内閣提出第一四七号)
 接収解除ダイヤモンドの処理等に関する法律案
 (中野四郎君外二十一名提出、衆法第一五号)
 接収貴金属等の処理に関する法律案(内閣提出
 第一二五号)
 銀行法の一部を改正する法律案(春日一幸君外
 六名提出、衆法第四六号)
 国有の炭鉱医療施設の譲渡及び貸付に関する特
 例法案(伊藤卯四郎君外六十三名提出、衆法第
 四七号)
 資金運用部資金法の一部を改正する法律案(福
 田赳夫君提出、第十六回国会衆法第五一号)
 税制に関する件
 金融に関する件
    ―――――――――――――
#2
○千葉委員長 これより会議を開きます。
 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案、接収解除ダイヤモンドの処理等に関する法律案、接収貴金属等の処理に関する法律案、銀行法の一部を改正する法律案、国有の炭鉱医療施設の譲渡及び貸付に関する特例法案、資金運用部資金法の一部を改正する法律案の六法案並びに税制に関する件、金融に関する件の両案を一括して議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。本名君。
#3
○本名委員 政務次官にお伺いしますが、開店休業状態で政府はお留守がちで、われわれも非常に焦慮しておるのでありますが、申し上げるまでもなく、天候異変に加えて、時は待たずして年末を間近に控えております。この期に臨みまして、私は本日議題となっております金融に関することについて二、三お伺いしたいのであります。これに関連いたしまして、一応今回の累次にわたる災害に対しても大蔵省に御意見をまず承りまして、引続き金融に話を及びたいと思いますが、銀行局長が来ていないので、とりあえず主として財政面のことについてお伺いしたいと思いますが、昨日政務次官にお伺いいたしましたところによると、大体十五号台風までの災害の被害総額が七百三十億ということでありますが、これは今後において調査の進むにつれて金額が増されると思いますけれども、しかしその七百三十億を一応基準にして、いわゆるつなぎ融資として二十億程度融資する用意があるということを申されたのでありますが、実は私どもは各地の情報を持ち寄り、私の調べたところでは、すでに被害総額というものは十五号台風だけでも一千億を突破するような数字が出ております。これはそれぞれの立場からの見方によって違うかもしれませんが、この大きな数字に対して、しかも公共事業を中心とした被害がすでに百億を突破しておる数字が見られている段階において、財政的なつなぎ資金として将来補助金なり、あるいは起債等によってまかなわれるでありましようが、今次二十億を出すといった程度では非常に僅少のように思われるのであります。一例を申し上げますと、北海道の十五号台風だけを見ましても、財政措置として十月中に緊急につなぎとして処置をしなければならない要求がすでに二十四億ほどの数字に上つております。これに加えて西日本の一部、あるいは青森県の一部にあった災害を見ますと、とても政務次官がおっしゃったような二十億程度のものでは財政のつなぎとしても僅少に過ぎるように思われます。そこで予備金も七十億程度あるそうでありますが、問題は、特に北海道方面は冬空を控えて今月から異例な低温でございます。御承知の通り、風害による災害が、岩内町を初めといたしまして人心に及ぼす影響が非常に大であります。あすにも氷、雪を見ようとしておる今日、着るものさえなくて、学校に夏の着物一つで寒さをしのいでおるという実情が、五百や千にあらずして、六千からの人々がそういう生活をしておる。こういうことから考えましても、いずれこれは金融措置によって施策をとられることは当然でありますが、まず財政的に二十億というお話に対して、もっと増額の御用意がないかどうか、御検討いただけないかどうかということが一点。
 それからいつも大蔵省の災害時における情報と申しますか、調査が非常に遅れておる。私はちよいちょい大蔵省にお伺いしてお話を申し上げるのですが、どうも調査が緩漫である。これは金を出す方であるから慎重を期さなければならぬことは当然でありますが、慎重を期するために時期を失する。時期を失したためによけいなトラブル々将来生じて、結局国費を濫費するような結果になるということがございます。その点ここにこういう冬空を控えての大蔵省の態度として、もう少し迅速な処置をされたいと思う。冒頭に申し上げましたように、政府自体が開府休業のような状態でありますから、われわれの要求することが実態からいって無理かもしれません。しかし国民の実情必ずしもそういう緩漫な施策を許さない段階であると思われますので、それらについての御意見を一応承りたい。
#4
○山本説明員 公共事業災害の模様につきましては、きのう概略申し上げましたので繰返すことをやめますが、ただいまお話のように、約七百三十億の報告というのは、十五号台風につきましては、推計を加えたわけでございますので、今後さらに詳細な報告が来るに従ってふえるということは考えております。どの程度まで行きますかわかりませんが、あるいは八百億近くまで行くかもしれません。そこでこの間一応十月の幾日でありましたか、十月の初めですが、その辺のところで七百二十億という数字でありますが、それを基礎といたしますと、その七割くらいが査定になりまして、さらに国費負担分はその七割くらいということで、大体三百五、六十億、それをこの三箇年で復旧しますかどうですか。それを二十九年度分といたしますと、この間もちよつと申し上げましたように、直轄事業の関係におきましては四割くらいを二十九年度にやる、補助事業につきましては二割くらいをやると前提いたしまして、大体七十五、六億というのでありますが、基礎の数字がふえるに従いまして、これらの数字もふえて来ることは申すまでもないのであります。その報告等がおそいというお話でもりますが、報告がどういう経路をとつて来るかということを詳細に存じませんが、まず府県等の側から原局と申しますか、農林関係なら農林省、建設関係なら建設省等に参りまして、そこで一応これらを多少の査定というとおかしいのでありますが、いろいろ彼此バランスをとりましたものを大蔵省に持つて来るわけでありまして、その間に若干時間を要するのでありまして、大蔵省などについ三、四日前に北海道から来たように思つております。そういうわけで、大蔵省が特におそくしておるという事実はございません。これらの被害及び二十九年度の負担の見込みにつきまして、まだ予備費もありますので、きまつたものはどんどん出して参ります。ただいまお話のつなぎという問題でございますが、七十数億のうち、補助事業分が大体五十億あることはきのうも申した通りでありまして、その五十億の補助事業分に対するのがつなぎの問題でございますが、昨年の例によりますと、大体つなぎは四割くらいは出したわけでございます。これを五割と見ましても五十億の五割、すなわち二十五億になるわけで、そのうちすでに台風五号までに対して五億数千万円出しておりますので、残りは二十億前後となるわけであります。これらの数字は、将来えの数字が大きくなつて来ればこれまた大きくなつて来るわけでありますので、先ほど北海道だけでも厖大なつなぎの数字があるとおつしやいましたが、これがはたして公共事業関係だけかどうか。さしあたり金融等の意味における数字も加えられておるのではないかと思います。
 それからだんだん冬が近づいて来る、ぼやぼやしていては時期を失するというお話でありますが、北海道につきましては特に気候の関係もございますので、ことしは御承知のごとく、実行予算において大体公共事業費を一割節約しておりますが、こういう時期的にその仕事を急ぐという方面に対しましては、今年度の災害も、もう今後風水害が来ることはないと期待されますので、場合により一割の節約のうち三%程度を北海道につきましては解除する措置を講じて、予算の見地から仕事を早く進めるように処置したいと考えております。
#5
○本名委員 査定に時間を要することもうなずけるのでありますが、一応大蔵省当局としての心構えとして、さつき申し上げましたようなことで急速におとりはからい願いたいことと、私ちよつと地方をまわつて感じたことですが、やがて予算編成に着手されて、さらにまた解散でも近いなどというと、当然叫ばれるところの行政整理に関連して、大蔵省の出店である財務局、財務部というものが、こういう災害時における活動はどの程度やつておられるか。むしろ各省からの報告をまつまでもなく、ある程度こういった機関があるならば、これを大いに活用することを考えたらどうか。そのために人員をふやす必要はない。ほんの一例ですが、実は財務部に行つてみると、どうも調査に行きたいのだけれども、一々汽車に乗つて行かなければならぬ、あるいはバスに乗つて行かなければならぬので、非常に不便でしようがない。どこに行つても車一台ない。ジープ一台くらい預けておけば、人の五人分や六人分働けるのではないか。これはほんの一例ですが、そういうふうにしてもつと出先機関を活用するということを一応お考えになつたらどうだろうか。そうしますと、それは大蔵省の絶対の調査資料にはならないにしても、たとえば昨年のようにあれだけ冷害が騒がれて、どこから出た言葉かわかりませんが、農民を侮辱するような政治凶作というような言葉が出ること自体が、大蔵省の仕事自身に自信がない一つの結果ではないか。今年はとても政治凶作どころではない。農民は気の毒なくらい静かなる凶作、血みどろの中に実情を訴えております。この実情なんかもおそらく農林省だけの報告をまたずして、出先が大蔵省の立場からある程度が調査をするような方法をとられて、真剣に冷静に対策をとられることを切望してやまないのであります。
 そこで先ほどのお話の中に二十四億の北海道関係の要求の中には、金融措置も入つておるのではないかというお話でありますが、これは金融措置は入つていないように私は調べております。もちろんつなぎ資金として財政関係で御措置を願うのは七十八億ほど、その中で最も緊急を要するのが、十月中にほしいのが四十四億、これはもちろん市町村関係の補助その他も入つておりますけれども、大体そういうことになつておりますので、その点重ねて申し上げておきます。
 そこで今度は公共事業関係外の一般関係、いわゆる産業関係の被害でございますが、これに対して主として金融措置を――銀行局長はどこへ行つた。銀行局長も一緒にお聞きを願いたい――今日現在では、七百三十億程度の被害を見込んでおるということでありますか。このうち約六百二十億ほどが一般関係の被害であります。これに対して年末を控えて緊急に金融措置を講じてやらなければならぬ段階にあることはいうまでもありませんが、この金融措置を講ずるについて、金融の元締めである局長は、大体災害に対してどういう御検討をしておられるか。そうしてどういう処置をなさろうとしておられるか、御意見があつたら承りたいと思います。
#6
○河野説明員 災害関係の金融措置につきましては、本名委員御存じの通りいろいろな方法がある思いますが、現在考えておりますのは、あるいは国民金融公庫でありますとか、あるいは中小企業金融公庫でありますとか、あるいは農林漁業金融公庫、そういつたいわゆる政府関係の金融機関の災害関係の特別の融資というふうなことを考えております。金額その他につきましては、現在災害の状況等を検討しておりますので、まだ的確にどの程度ということを申し上げるまでに参りませんが、ある程度去年の例等も見ましてわくを設けまして、災害のひどかつた地域に対して、これらの政府関係金融機関の資金をなるべく早く簡易な手続でもつて流すという配慮をいたしたいと思います。なお国民金融公庫及び中小企業金融公庫におきましては、その金利等につきましてもある程度これを引下げるというような配慮も加えて参りたい。これはまだ具体的にどの程度にいたしますか、結論を出しておりませんが、そういつたことも研究しております。
 それから災害関係では、去年はたとえば手形の決済をある程度延ばすとか、あるいは融資の期限をある程度延ばすといつたような措置を一部につきましては講じたのでありますが、ことしの状況からいいますと、まだそこまでこの問題の措置を考えなければならぬ段階には来ておらぬのではないかと私は考えておるのであります。しかしこの点も十分実情を見まして、もしどうしても必要だということになりますれば、そういつた措置も場合によつたら講じたい、かように考えておる次第であります。
 それから申し落しましたが、住宅金融公庫におきましても、やはり今申しました政府機関の一つでありますから、ことに火災等におきまする問題に関連いたしまして、特別に災害関係の資金のわくを設定いたしたい。かように考えておる次第であります。
#7
○本名委員 今のお話を伺つておりますと、一応お考えになつておることだけはわかるのですが、実は数字その他についてお持合せがないと見えまして、その御発表がなかつたのですが、実は私は非常に心配しておるのであります。と申しますのは、今度の農業災害だけを考えましても、おそらく農林中金を初めといたしまして、関係金融機関から二百億近い融資がなされなければならぬのではないか。こういう場合に、きのうもちよつと局長はおつしやつておられましたが、農林漁業金融公庫の回収分をそれに充てられるだろう。それとても六億や十億のものを充ててみたところで、及ばない。
 そこで少し具体的に伺いたいのですが、農林中金が今ただちに災害に対するつなぎ融資資金としてどの程度出せるかということが、おわかりになつておられたらお聞きしたいのです。それから数字がはつきりおわかりにならなければ、大体お気持の点を承りたいのです。それを初めといたしまして、商工中金、これはこの間私ちよつと行つて伺いましたら、大体一応緊急を要するものは間に合うのではないかということでしたが、これにいたしましても、最需要期が参りますので、商中自体も苦しくなつておる。ことに二十億からの貸付がある。あるいはもう十億くらいは出資してもらいたいのですが、らちが明かない。ここらの点をひとつ考えてもらいたい。
 さらにもう一つ、指定預金の引揚げがなされる。うわさによると、今後もう引揚げてしまつたら将来指定預金はしないのだというような話がある。いずれを見ても不安と、それから将来に対する安心がとうてい得られないような実情にあるということたんですが、これらについて一応見通しがあれば伺つておきたいと思います。
 それから国民金融公庫、これもおそらく今度の災害で、私の推定でございますが、十二、三億ぐらいの特別のわくを災害利用に設定していただかなければならぬのではないか。それくらいのものは一般商工業の復興、あるいは運転資金に必要になつて来るのではないかと思います。
 それから中小企業金融、これについてはこの次の委員会において詳しく金融面について伺いたいと思うのですが、相かわらず非常に評判がよくない。と申しますのは、取扱いの面であるとか、あるいは銀行の取扱いの問題であるとか、ことに資金が余つておるようなことがありはしないか。これらのことについても、今次の災害について積極的に融資でき得るような対策を今後特に御指示いただかなければ、今日までのような貸付状況で行つたならば、たとい資金源が余つていても、災害に対する救済処置にはならないというふうに考えられるわけであります。これらの点について一応伺つておきたいと思います。
#8
○河野説明員 お尋ねの点でありますが、最初にお断りしておかなければなりませんのは、先ほど申し上げましたようにいろいろ措置は検討いたしておりますが、金額につきましてはまだはつきりしたことを申し上げられませんので、この点はお許しをいただきたいと存じます。なるべく早くそういつた問題についての見通しはつけて参りたいと考えております。
 今お話のありました農中の問題でありますが、私今どの程度の災害関係の融資ができるかという具体的な数字につきましては、的確な資料を持つておりません。必要がございましたら農林中金当局をお呼び出し願つてお聞取りを願いたいと思いますが、私どもといたしましては、農中自身の資金繰りの許します限りにおいて、その必要なる災害関係の融資については努力をするようにということを一般論として申しておる次第であります。ただここでお断りいたしておきたいと思うのでありますが、農中は現在実は資金に相当余裕を持つております。これは米の資金その他で、これから数箇月の間はむしろ資金はゆとりがある状態であります。しかしこの資金は御案内のように非常に短期のものである。従つて営農資金等相当長い期間を要する資金にこれを充てるということは、その金の性質上非常に困難な点もあります。そういつた点を十分頭に置いて、その金の性質からいつて、長い資金に充て得るものは、資金量が許します限りにおいて、そういつた方面に金融をつける、こう申しておる次第であります。
 それから商工中金の問題も今お話がありましたが、できるだけそういつた必要な災害関係の融資については努力するようにいたさせております。
 それから中小企業金融公庫は、お話もありましたように、これは一般の災害関係と限らず、その運営方法あるいはやり方についていろいろ改善を要する点があると思います。これはたびたび本委員会におきましても各委員の方々から御指摘をいただいておる点でありまして、こういった点は逐次なるべくスムーズに、しかも迅速に必要な資金が出て行くような処置を今後具体的に講じて参りたいと考えておりますが、なかんずく災害関係につきましては、今お話のように時期が問題なんでありますから、その時期を失しないで、できるだけ迅速に簡易に善処いたすように指導して参りたいと考えております。
 それから指定預金の問題でありますが、これは実はたびたび本委員会からも御意見をいただいておりますし、また一般論として相当考えて参らなければならぬ問題だと思つておりますが、現在のところでは、残つておりまする指定預金を九月分も実は引揚げを延期いたしたのであります。十月分につきましても、その実情に応じて今後適当なる配慮を加えて参りたいと考えております。しかし現在のところでは、新規の指定預金をするという考えは、私どもは今少くとも持つておりません。意見はいろいろあろうかと思いますが、今後の情勢によつてこれらの問題もまた十分再検討はいたさなければならぬと思いますけれども、現在のところでは、新しい指定預金をするということは考えておりません。
#9
○本名委員 大体局長の御意向はわかりましたが、どうぞその点速急にとりはからいのできるようにお願いいたしたいと思います。
 そこで一言これは意見として申し上げまして、政務次官にほかのことを伺いたいと思いますが、災害に関連して申すまでもなく、またやがて年末金融でごたく騒がなければならぬことになりますが、去年もそうであつたのですが、今年は去年以上に深刻なことは、直接災害を受けない中小企業者、災害地における中小企業者の金融難、これはデフレ政策を中心にしていろいろな点から起きて来ていることは当然でありますが、特に災害によつて農家の収入が減退した、あるいは収入がまつたくなくなつたという、冷害のはなはだしい地帯においては、当然そのしわ寄せば中小企業者に及んで来ることは申すまでもないのであります。災害融資関係とは別途に、災害地における中小企業に対する融資というものを昨年同様に、あるいは昨年以上に御配慮いただきたい。これは申し上げなくてもわかつていることで、御意見を伺わなくても当然やつてくれると私は確信いたしております。
 それから政務次官に最後にひとつ申し上げたいのは、私ども大げさな言い方でありますけれども、せつかく日本が独立してわれわれの上に与えられたものは、まずこれといつて何もない。あるとすれば、むしろ取上げる一つの大きなものは天災、災害であろう。近年まことに災害が引続いております。これはいろいろの角度からながめまして、その一つとして私がつくづく感ずるのは、大蔵省の予算編成にあたつて、もう少し天災に耐え得るような、現地を深く認識していただいて、その上に立つた予算編成をしていただきたい。一例を申し上げますならば、北海道などは冷害あるいは風による災害を年々受けております。特に冷害は今まで三年か四年に一ぺんずつあつたのだとさえ言われております。しかしながらこの北海道などのような広汎な未開の地においては、総合開発のお考え方をもう少しかえられて、先ほど申し上げました主計官を初めとして、係官の方が現地をよく認識されて、各省から要求される予算の内容を検討されて、そうしてある程度予算措置によつてこういった災害を、特に冷害などを未然に防ぎ得るという道があろうと私は考えます。今まではいわゆる政治的な開発であつたり、あるいは国家財政の都合による開発予算の増減であつたために、予算の面から抜本的な施策がとられていないところに、一つの大きな国家的な損失を累年招いているという事実を大蔵省当局ははつきり認識されて、今後特に開発予算に対する編成の基本的な考え方をおかえいただかなければならぬ段階であろうと思う。さもなければ、来年もまた北海道、東北の一部は冷害によつて非常な国家の損失を招くということは、もうはつきり現われているように思うのであります。この点について大臣にでも伺いたいのですが、一応政務次官のお考え方を承つておきまして、私の質問を終りたいと思います。
#10
○山本説明員 近年災害が特に多いような感じがいたしますが、これはどうも天災のことでございまして、何ともいたしかたないのでございますが、われわれとしてはこれに対してできるだけ適切な処置をとるということが問題でございます。そこで政府といたしましては、やりたいこと、なすべきことがもう山ほどあるのでございます。この災害関係につきましては、治山治水ということを根本的にやつて行かなければ適切でないのでございますけれども、何を申しましてもみんな金のいることでございまして、一方財政力というものに制約されることは、これまた御了承願えるかと思うのであります。そこで開発計画等について、もつと大いに実情を認識して大幅な予算を組めというお話でございますが、これもやはり財政力の関係上、できるだけのことをやつておりましてもまだ足りないのでございまして、大蔵省のやり方について大分批判もございましたが、大蔵省といたしましては、一生懸命やはり少い資金を有効に活用するような方法で、そういう総合開発計画なり、あるいは予算編成全体を考えておる次第でありますので、足らないところは御鞭撻願いまして、ひとつ御了承をお願いしたいと思います。
#11
○本名委員 今ここで政務次官に具体的な大蔵省の意見をただちにお聞きすることは無理であろうと思います。一応そういうことを国の方で御善処願いたいと思います。
 もう一つ銀行局長に、これは災害とは全然別なことでございますけれども、実は新聞などで拝見して私ども非常に心配しております例の福井信用金庫の問題であります。これはその後の報道によりますと、大体において適切な処置を講ぜられたために一応解決したということでありますが、私どもは元の信用金庫の専務あるいは常務が刑法上の犯罪を犯したことに対してとやかく言うものではありませんが、この信用金庫のスキャンダルがもし他の信用金庫に及び、さらに中小企業の重要な金融機関である全国的の信用金庫に関係ある出資者、預金者あるいは取引者が非常な不安にかられ、金融機関の一角にひびが入るようなことがあつてはたいへんだと思うのでお聞きするのでありますが、簡単でけつこうですから、私どもがこれに対して安心の行くような解決がなされたかどうかということが一つ。それからまた新聞紙上では非常に不明朗でありますけれども、常務なり専務が横領背任によつて
 一億数千万あるいは二億ともいわれておりますそれらの金を費消した、あるいは他に融資したということでございますが、銀行局としてもおそらくはこの問題について調査なさつたと思います。一体こういう金がどういう方面に費消され、あるいは流れて行つたかということを、一応お調べになつた範囲で明確にお答えいただきたい。それらのことを明確にしておいて、今後全般の信用金庫に対する御監督なり、あるいは御指導なりを適切になさらなければ、今日苦しい中小企業金融の上に金融機関自体から大きな問題を起して、中小企業金融自体の上に支障を来しはしないかということを心配するのであります。この点について局長の御報告をいただきたい。
#12
○河野説明員 福井信用金庫の問題でありますが、御心配をかけて申訳なく存じているのであります。いろいろ経緯はございましたが、幸いにしてすでに数日前、十月八日でありましたか、総代会におきまして、常務一名、専務理事一名の非常にりつぱな方を選任されまして、陣容はりつぱに立て直りました。現在のところでは、すでに一般の方々に御迷惑をかげるようなことは万ないと私は確信いたしております。なおこの問題につきましては、本名さんから御指摘もありましたように、他の信用金庫、中小の金融機関に影響を及ぼすおそれがあるのではないかということを私どもも非常に心配をいたしたのでありますが、今申し上げましたようなことで、まず今後一般に迷惑を及ぼすようなことのない見通しを得ました。他の信用金庫等にも影響を及ぼすことなくしてこの問題が一応段落を告げましたことを、はつきりここで申し上げておきたいと思います。
 なおお話のありました前の専務あるいは常務等の横領背任の問題でありますが、金額につきましては、今御指摘のありましたそんな大きな金額ではもちろんありませんが、内容等につきましては、私はまだ詳細を承知いたしておりません。ただ私が聞いておりますところでは、これは間違いであるかもしれませんが、繊維等の相場に相当金が使われておるという話も聞いております。それから、これも今まだ検察庁の方で全部調べられておりますので、私も的確に、はつきりは申し上げられませんが、ある程度特殊の関係者に浮貸しといつたようなこともあつたのではないかというふうに私は推定いたしております。金額は今お話のように大きなものではございません。
#13
○本名委員 今の局長の御報告だけで、われわれちよつと納得できないのです。解決しましたというが、いろいろの禍根が残るようなことがないかどうか。その一つを申し上げますと、浮貸ししたとか、株に出したとか、いずれそんなことをやつたに違いないが、それ以上悪質な特殊な使い道があるのではないかということが一つ。それから内容を見ますと、一億八千百万円というものが、全国信用金庫連合会から融通されておる。去年の十一月に私はやはりこの委員会で、京都のある何とか信用金庫というのが問題を起したときに、信用金庫連合会の人を呼んで聞いたが、非常にうまい解決をした。あのときはあれでよかつたが、おかしなことをしても、全国信用金庫連合会がいつでも穴を埋めてくれるというような安易な考えで――まさか全国信用金庫はそんなだらしない金庫ばかりではないでしようが、そんなことをやらさしておくことが、銀行当局としていいのかどうか。今後起きないとは言えない。おそらく注意するから起きないではあろうけれども、起きたときは、いつでも全国信用金庫連合会に諮ればいいのだ、どんな悪いことをしても、出資者に迷惑はかからない。全国信用金庫連合会が引受けてくれる、あるいはシンジケートがやつてくれるという感じを強く受ける。こういうことも今後警戒しなければならないと思うが、私ももう少し具体的に研究してみまして伺いたいと思います。どうですか。ひとつ連合会のことについて御意見を伺いたいと思います。
#14
○河野説明員 お話のように正規の金融機関が破綻をするということは、信用秩序を非常に害しますので、この点については極力今後についても、一番私どもが頭を悩まして努力を傾けている点であります。
 今連合会のお話がありましたが、連合会が資金を出します場合には、この連合会は各信用金庫の資金を集めてやつているものであります。別に慈善事業をやつているわけではございません。これが金融いたします場合には、それは連合会という一つのりつぱな金融機関でありますから、金融として処置いたすので、単に救済事業をやつておるのではございません。従つて金を出します場合には、一々その確実性をはつきり押えて、具体的に申しますと、りつぱな担保をとつてでなければ金を貸しません。私、今度の場合におきましても、確実に十分な流動性のある担保を十分にとつておると思う。
 それから一億八千万という数字が今ありましたが、これは今のお話のように、大体その程度の金額が出ております。そのうちの約一億は関係の市中銀行が一時緊急に融資をいたしましたものを肩がわつたものであります。連合会自体として出しましたものは、約八千万程度であります。今お話の連合会というものが、あまり安易にこういった問題について出て行くという場合には、金融機関の経営者、当事者がえてして責任を十分わきまえないようなことになるおそれがあるのであります。こういう問題が実はあるのであります。これは先般来私どもがいろいろ検討いたしました例の預金保険制度というものが、実にいい面があるとともに、こういうふうに経営者が責任感が薄くなるという面があるのであります。ここがやはりこういった金融に対するいろいろな制度を確立して参りますときに、非常にむずかしい問題だと私は思うのであります。さればといつて、ここで預金者に非常な不安を与えるようなことになるのを放置することであつては、これまた他の弊害が起きる。ここがこの問題の処置にあたつて結局どちらに重点を置いて考えるべきかという判断のして行きどころかと思います。いかなる場合においても、金融機関は絶対に預金者に迷惑をかけることはないのだというふうなことも言い切れないと思いますが、今の状態におきましては、私ども常時十分なる監督を怠らずやつて参りますこととあわせまして、目下のところ御心配になるようなことは万起らないで済むと私は確信いたします。
#15
○千葉委員長 関連して大平君。
#16
○大平委員 先ほど本名君の災害関係の予算措置の質問に対しまして、山本次官から十五号台風に若干推計を加えまして、本年度災は七百三十億、それを査定されて七割にして、そのうち七割が国庫負担となつて本年度中に施行する、そして国庫負担にかかるものは七十億ということであります。そこでことしの当年度災の予備費は、本年度予算の編成後初めにあつたのがたしか五十億だと思います。そうすると不足が出ます。今すでに本年度のリザーブを若干お使いになつております。病虫害等に要する費用もありましようから、相当額不足が出ますが、この不足をどのようにして補うのか。この御説明が、あるいは今までお話があつたのかもしれませんが、私は伺つておりません。そこで八月末本委員会に御提出になりました資料から見ましても、税収は順調のようであります。そして政府の方では実行予算をお組みになつて、実行上相当の節約をされておるように伺つております。従つて今後こういった若干の不足分は、当然既定予算の中で調達がきくものと思いますし、補正にかけなくてもいい気がするのですが、われわれの関心は、すでに査定が終つて応急の本年度の復旧工事が進まなければならぬわけですが、予算上実際迷惑をかけずにやつて行くのだ、大丈夫だという大蔵当局の言明がほしいと思うので、この点を伺いたいと思います。
#17
○山本説明員 ただいま申しましたように、十月の上旬までに報告された金額が七百三十一億であります。これは十五号の報告が今後追加される場合には、さらにふえるかもしれないということは、先ほど申し上げた通りでございます。一応七百三十億程度の被害ということを前提にいたしまして、その査定あるいは国庫負担分、さらに二十九年度分というふうにいたしますと、七十五、六億であるということも申し上げた通りでございます。さてそれをどういうふうに処置できるかというお話でございますが、ことしの予備費は御承知のごとく八十億で出発したのでございます。今まで十億ほど使つておりますので、残りは七十億ほどであります。その七十億ほどに対して七、八十億、あるいはさらにこれが若干ふえるかもしれないということになりますと、予備費だけでは足らないことになりますが、これには他の予算の節約額がありますので、これなどを充てれば十分まかない切れるじやないか。さらに大きな観点から、災害の関係等も含めまして補正予算を要するじやないかというお話がございますが、今まで税収の方は順調に行つておりますので、財源の方では今のところ心配ないかと思うのでありますが、形の上といたしまして、ただちに今のままで行けるということでもない。たとえば一部の項目、社会保障等については足りない見込みのものもありますし、それから先般米の価格がきまりましたが、基本価格がさらに二百円上つたので、四十二、三億いるわけであります。これらをいろいろ勘案しまして、一方には不用額、米の輸入補給金等は不用になる見込みでございますから、こういうようなものをいろいろあわせ考えますと、財源はあるのでございまして、ただ形の上でそのままでは流用できないというようなものはやはり補正を組むことが必要ではないか、その時期はいつかということになりますが、これは、今度の臨時国会が、まだきまつておりませんが、開かれて、相当な期間を持つ臨時国会であるならば、その臨時国会に補正予算を出したいと思つておるわけでございますが、先ほど申しました通り、実質においては一兆予算のわくをくずさないことはもとより、さらにそれよりも小さな規模で二十九年度の予算は行き得るんじやないか、こういうふうに考えております。
  〔委員長退席、内藤委員長代理着席〕
#18
○大平委員 財政的には大体心配がない、こういうふうに了承いたします。ただ地元の負担になる起債はことしの起債の計画の中でこなせますか。災害関係の予算が出まして、それに見合う起債ですね。
#19
○山本説明員 災害等に伴う起債の増加の問題でありますが、これは結局資金運用部の資金繰りがとうかという問題であります。資金運用部につきましては、本年度すでに二十三億の余裕がございますが、なおこれ以上に出るという場合にどうか。資金運用部につきましては、今日非常にいろいろな要求がございまして、たとえば輸出入銀行の資金不足をやはりここから一部まかなわなくちやならぬじやないかという問題もございます。あるいは鉄道の新線というようなことに対しましても新しい要求が参つております。あるいは水道の起債予算が百億ございますが、これもどうも足りない、もつとふやしてくれという希望もございます。あるいはまた国鉄に関しましては、この問いろいろ不祥事が起りましたが、こういうことに関して国鉄に多少融通する必要があるかもしれない。あるいはまた東京都におきまして、最近電車賃及び水道料金を上げようという問題があつたのでありますが、これも資金運用部からの起債を認めることによつて料金引上げをやめた方がよかろうじやないかという結論になりまして、東京都へも新規に資金運用部から出さなければならぬかと思つておりますが、こういういろいろな要求かございまして――片一方原資の方におきましては、郵便貯金の成績が多少当初の予定よりもふえておりまして、こういう関係もございますが、要求はそれ以上に多いのでございまして、これをどう処理するかということは今後検討いたして参りたいと思つております。
#20
○内藤委員長代理 春日君から議事の進行に関し発言を求められておりますので、これを許します。
#21
○春日委員 ただいま委員長から、山本政務次官は他の委員会から出席を求められておるので、退出したいという要求があるが、これを許可したいという御相談がございました。しかしながら本日の本委員会は、かねて質問通告によつて当局に申し出てありまする通り、いろいろ重要議案について審議なされることになつておりまするし、これらのことどもはしようせん政務次官を通じて政府に大きく反映していただかなければ相ならぬのであります。のみならず、本日の委員会はかねての懸案になつておりますフレキシ・ボードの問題をめぐりまして、日米石綿の問題に触れて、きようあたりは本委員会の結論を出さなければならぬ段階に立ち至つておると思うのであります。従いましてこの問題は、東条為替局長の御出席を願つておりますが、これはわが国の産業経済が将来植民地経済に堕し去るような心配はないかどうか、この事柄を憂えて大きな国民運動も別途展開されておりまするし、のみならず日米通商条約をめぐつての国際問題にもならんとしておるのでございます。こういう重要問題が論議される委員会において、東条局長のほか特に大臣、政務次官の臨席を願うということは、必要にして欠くべからざる事柄であろうと思います。他の委員会において御出席の要望等はよくわかるのてありますが、しかし事柄の重大性にかんがみまして、所管委員会である本委員会においてその事柄を十分審議されて、責任ある答弁を終えられた後他の委員会に参られたい。従いまして、山本次官が本委員会から中座されることについては反対でありますので、引続きここにおとどまり願つて真剣に質問に答えていただきたい。こういう動議を提出いたします。
#22
○内藤委員長代理 ただいまの春日君の動議は委員長了承いたしました。井上良二君。
#23
○井上委員 私次官と主計局長に、明年度の予算編成に関する諸問題について政府の見解を二、三ただしておきたいと思います。新聞によりますと、すでに各省からそれぞれ明年度予算に対する要求額が大蔵当局に示されておるようであります。この各省からの昭和三十年度の予算に対して、大蔵当局はいかなる財政政策に基いて措置をせんとするか。これは予算編成期に入つております今日、非常に重要でございますので、特に大蔵大臣の出席を求めましたけれども、大臣出席されません。やむを得ませんので、主計局長と次官に伺うのでありますが、申すまでもなく、政府は財政政策の方針として、円価値を維持してインフレを抑制することを前提として、明年度の予算も大体一兆円予算をもつて総合収支の均衡をはかるということをしておるようであります。その内容を順次あげてみますと、第一に、明年度の防衛費の問題があります。防衛力を増強する方針を政府はとろうといたしておるようでありますが、防衛支出金をある程度削減できることになりますか。防衛支出金の削減は一体どのくらいに見込んでおるか。そしてその削減された分をもつて新たに増強されようとしておる増額に対しての経費に充当することが大体行けるのか行けないのか。その見通しは一体どういうことになつておるのか。この防衛支出金がどの程度削減され、増強の費用にどの程度まわさなければならぬ見込みが立つておるか。まずこの二点を明らかにしていただきたい。
#24
○山本説明員 各省の予算要求が大蔵省に対して出そろつたことはお話の通りでございますが、そのうち防衛庁関係はまだ抜けております。それで政府として来年度予算の問題はたくさんございますが、この防衛費に関係いたしましては、防衛庁費と防衛分担金を合せた金額は昨年度以上にふやしたくないという方針で、防衛分担金の削減につきましては先方との話合いもいりますので、その方向に向つて努力しております。
#25
○井上委員 その防衛分担金は一体明年度どのくらい削減される見通しを持つておりますか。すでに御存じの通り、米軍は漸次日本から引揚げて参りますし、従つて米軍の在日駐留部隊の実情も漸次かわつて参ると思います。そうなればわが国の防衛分担金もそれに伴つて削減されなければなりません。明年度予算の大きなわくを占めます防衛分担金の具体的な見通しというものがつきませんと、他のいろいろな国内重要面に使われる経費の上にも影響をもたらして参りますので、この点に対して一体アメリカ当局といかなる交渉をされ、いかなる見通しのもとに立たれておるか。これの見通しがつきませんと、一兆円予算の編成の上において非常に大きな問題が残りはせぬかと思いますから、この点について、今日までわかつておる内容について具体的に主計局長から御説明願いたい。
#26
○森永説明員 防衛庁費の概算要求は、ただいま政務次官からお話がございましたように、まだ正式には提出をされていないわけでございます。新聞紙等で伝えられたり、非公式にいろいろ伺つたりするところでは、要求額としては九百五十億くらい、その中で本年度までに増強いたしました分を維持いたします費用、つまり平年度化した場合の維持費でございますが、これは六百五十億くらいというようなことが言われておるわけでございます。しかしこれはまだ私どもの手元に要求として提出をされていないわけでございまして、また提出をされました後におきまして、私どもの方といたしましてはこれの詳細なる説明を聞き、査定をいたすわけでございまして、どの程度の金額におちつきますか、目下のところはまだ申し上げる段階に至つていないわけでございます。いずれにいたしましても、この増加いたします分につきましては、防衛支出金の削減によつてまかなう方針を堅持いたしたいと考えておるわけでございます。抽象的な言いまわしといたしましては、すでに米国の関係当局に対しまして、来年度の予算編成の事情からどうしても防衛支出金を減らしていただきたいということの希望を申し出ておりますが、いまだ具体的に交渉を開始するという段階には参つておりませんので、金額につきましては見通しを申し上げる段階に参つていないのであります。
#27
○井上委員 予算規模の上で一番大きな支出を要します防衛分担金及び防衛関係の諸費用というものについて、われわれは非常にこれを重要視しまして――特に今政務次官のお話でございますと、大体明年度においてもそれほど大きく防衛関係費が増額をされるということではない、またかりに多少増額をされても、防衛支出金の削減分で充当する、こういう点が大体明らかにされましたが、われわれ日本の置かれております国際的な諸条件から考えまして、特に防衛関係におきましては、アメリカ側との相互の外交折衝によつて、日本の負担を大幅に削減することができるじやないかという一つの考え方を私は持つておりますから、ぜひひとつこの防衛支出金の削減にあたりましては、日本とアメリカとのいろいろな関係は十分考慮しなければなりませんが、アメリカの極東における軍事上のいろいろのことを考えます場合、アメリカがその大半の責任をもつてこの問題の処理にあたつていただくということになりますならば、私は相当この問題は日本側にとつて有利に打開できるのではないかと考えますので、この点に対して十分ひとつ政府の最善の努力を要望いたしておきたいと思います。
 次に内政費の問題でございますが、失業対策費や社会保障費は効率的に使つて、そうして増額をはかるということが大体明らかにされておりますが、しかしここで一兆円という予算を組みまして、予算規模が新しく大きくならないということになりますと、一体新しくふえます失業対策費や社会保障費はどこから捻出して来るか、その上に公共事業費あるいは食糧増産対策費等等、当然明年度増額が予定されるものがございますが、これらについては一体どうしてその財源を捻出しようとするか、一方税収等の歳入面を検討いたしてみますと、政府のデフレ予算の影響、デフレ政策は順次わが国産業界に滲透して参りまして、なかなか不在のような税収を期待することは、明年度は非常に困難な実情にありはせぬか、また専売局益金においても、専売公社の国庫納付金においても、本年度より以上明年度に期待することは実際上不可能ではないか。そういうわけで、歳入面全体は非常に苦しい状態にございますときに、一方またこのデフレ政策の影響を受けて、失対費や社会保障関係その他国が当然負担をしなければならぬ支出の増額が予想されるときに、一体いかにして歳入をまかなうかということについて、一応この見通しをお話願いたいと思います。
#28
○森永説明員 来年度の予算につきましては、目下各省からの概算要求に対しまして連日査定をいたしておる段階でございまして、この査定がこれから一月半くらいの時間を要するわけでございます。従いましていかなる費目が増加し、いかなる費目が減少するか、的確にはまだ見当がつかないのでございますが、お話のございましたように、社会保障費と申しますか、生活保護費ないしは失業対策費、こういったような費目は当然増加を見るべきものと考えておるわけでございます。しかるに予算の規模は、デフレ政策を堅持いたして参ります上からも、また現実の歳入見通しの上から考えましても、結局本年度の予算規模以上に出ることはむずかしいわけでございまして、むしろ本年度の当初予算の規模を若干下まわるというようなことが予測せられるわけでございます。そこで社会保障関係の経費がふえるのをいかにしてまかなうか、これはなかなかむずかしいところでございまして、私どももその点の配慮に一番苦心をいたしておるわけでございます。ただ減少いたします最も明らかな費目といたしまして、たとえば輸入食糧補給金、本年度予算におきましては約九十億を計上いたしておりましたが、外国市場における小麦価格の低落に伴いまして、これは本年度から不用に帰します。来年度も当然この費目の計上を必要としないわけでありまして、これはそれだけ減少いたします。そのほか小さなものでは若干の減少するものもあるわけでござい・ます。かかる当然減の費目、そのほかにも、本年度と同様ないしはそれ以上に予算編成に当りまして重点主義をとりまして、極力資金の効率的な使用をはかるというようなことによりまして、どうしてもふえなければならない社会政策的な経費を極力捻出をいたしたい。その点に目下非常に努力をいたして予算編成、査定に臨んでいる次第でございます。
#29
○井上委員 輸入補給金が国際市場の価格が安くなるという見通しから相当少くなりはせぬかということは言われますが、しかしそれはそう大きな期待をかけるわけには行きません。御存じの通り、やはり来年はさらに食糧輸入が相当ふえるであろうということも予想されますから、それで一兆円の財政のわくで国内需要の面がどうしてもきゆうくつになつて来ようと思いますので、必然そのしわが、政府の各機関の財政支出の経費の節約を一層やる方針をとることになりはせぬかということが一つと、それからいま一つは、財政支出をこれ以上削減することが無理だということになりますと、結局その補助金制度というものに対して相当きつい検討が加えられまして、もちろんこの補助金に対しては重点的にそれをやるということになろうと思いますが、そういうことが一方政府機関の経費をある程度削減をし、一方補助金について相当大幅な整理をやるということになつて来ますと、ここに何と言いますか、実際上民間全体においても世帯が非常に苦しくなつて来ますから、そこでやむを得ず政府は、資金面においての措置を相当講じなければならぬことになりはせぬか、こういうことにわれわれは考えるのでありまして、そういう点で来年度の財政投資というものに対して一体どういう方針をとろうとするのか、この点がまた問題になつて来はせぬかと思いますが、そういうことに対してどうお考えになつているでしようか。
#30
○森永説明員 先ほども申し上げましたように、目下連日査定をいたしている最中でございまして、的確なことはまだ申し上げる段階にないのでございますが、御指摘のございました行政費、いわゆる役所の庁費等につきましては、これは昨年来再三再四節約を実行いたして参つているわけでございまして、現在実行いたしておりまする予算が決してそうゆとりのある予算であるとは私ども考えておりません。しかし予算を編成いたしますに際しましては、各費目につきましてできるだけ削りたいということで、厘毛といえどもおろそかにいたさない査定をいたしているわけであります。できればこの上とも若干減し得るものがございますれば、減したいと思つているわけであります。なお補助金につきましては、本年度予算におきまして御承知のように補助金の整理を実行いたしまして、総額五、六十億、うち法律で特例を設けまして節約をいたしたものが約三十億ございました。この法律は国会における修正によりまして施行期間一年というような時限法になつているのでありますが、来年度の予算編成の苦しいところを考えますと、私どもの事務的な気持といたしましては、やはり補助金のこの程度の整理は少くとも来年も引続いて実行していただくようにお願いを申し上げたいと考えている次第でございます。さらに補助金につきましては、根本的にいろいろ間質ございます。地方財政の立場からする問題、民間企業に対する効果の面からする問題、いろいろ根本的な問題がございまして、これらの点につきましては、少し時間をかけて根本的な整理検討をぜひお願いをしたい。かような気持も持つておりますが、この点は根本的な検討ということになりますと、来年度の予算の編成にはあるいは間に合わないかもしれません。
 なお財政投融資の問題にお触れになつたのでございますが、財政投融資は、本年度の要求として出て参りました金額は千六百十一億でございます。昨年の千四百八十億に比べますと、若干要求額が増加されておりますが、この財政投融資につきましては、資金運用部を中心とする原資の見込みがどうなるか、そういつた問題につきましてまだ十分な検討を実は経ていないのでございますが、私どもが現在考えておりますところでは、おそらくは本年度より多額の財政投融資を望むことは、原資の関係から申しても困難ではないかと考えているわけでございます。さりとてある程度の財政投融資は必要でございますので、目下のところこれを大幅に削減するというようなことももちろん考えられないのでございまして、現在のところは、本年度とさしてかわらない程度の財政投融資を考えているというのが、率直に申し上げました気持でございます。しかし何分にも原資その他経済情勢の検討がまだ十分ついてございませんので、はつきりしたことはまだ申し上げられない次第でございます。
#31
○井上委員 御存じの通り、政情きわめて不安定でありまして、吉田内閣がどんな状態でこのまま続きますか、それとも国会を解散して総選挙に持つて行きますか、まつたく吉田総理の外遊帰国後における情勢によつてかわつて参りますが、しかしまず吉田内閣がこのまま続くものという前提に立つて考えるとすると、予算はいつごろ具体的に編成にかかることになりますか。その時期を明確にされたい。
#32
○森永説明員 各省から出て参りました厖大な要求に対しまして、実は昨日から主計局部内の査定会議を開いているわけでございまして、これが大体十一月の末、十二月の初めまで続くかと思います。十二月中にはそれに基きまして最後の仕上げをいたしまして、主計局の原案と申しますか、大蔵省の原案ができますのが年末、できれば年末に各省とのいろいろな交渉も片づけたいとは思つておりますが、今までの経験から考えますと、おそらくは年を越しまして、やはり一月の十日か十五日ぐらいに予算ができ上る。大体さような心組みで目下作業をいたしているところでございます。
#33
○内藤委員長代理 小川豊明君。
#34
○小川(豊)委員 技術院院長にお伺いしたいと思います。技術院は日本の技術水準の向上発達に日夜努力をされていることと考えております。従つて技術院は政治情勢によつてその研究方針なり、あるいはその成果なりが左右されるというようなことは断じてあつてはならないと思うし、また技術院もさようなことはないと私どもは信じておりますが、そう信じてよろしゆうございますか。
#35
○駒形説明員 私ども各試験研究をやつております者は、先ほどお話がありましたような点につきましては、まつたく自然現象を相手にいたしまして試験研究をやつているのでございますから、その間に今お話がありましたようなことは、私どもとしては考えない、こうお答え申し上げることができます。
#36
○小川(豊)委員 よくわかりました。まことにけつこうなことだと思います。そこで技術院の主管下にあると思うのですが、東京工業試験研究所と申しますか、その方針は、今技術院の院長さんがおつしやられたような方向で研究なり試験なりに従事されておると思うのです。この東京工業技術試験所といいますか、ここに日本における最も権威ある試験所である、かように思うし、あなたもまたここを信用されていると思うのでありますが、信用されておられるか。それともここの試験所というものは何ら権威のないものである、こういうふうにお考えになつておられますか、伺いたい。
#37
○駒形説明員 今お話がありましたのは、東京工業試験所であると思います。東京工業試験所の主管は化学並びに化学工業に関することでございますが、もちろん東京工業試験所は、先ほど申し上げましたようなことで、一生懸命試験研究に従事をいたしております。これに対しましては、全幅の信頼を持つておるものであります。
#38
○小川(豊)委員 私もその点を聞いて、非常にけつこうと思います。そこでお尋ねしたいのは日米石綿の問題です。今非常に問題になつておるこの件で、外資導入を認めるか、それともこれをどうするかというようなことは、アメリカ並びに日本の石綿工業の技術、製品の優劣を試験した結果に基いて決定する、こういう建前をもつて東京技術研究所ですか、ここに対して試験を命令してある。ところがこれに対して企業局長は、思わしい結果が出なかつた、あるいは東京工業試験所は信用できないというような、こういうことを言つておられますけれども、あなたはやはりこの言葉を承認はいたしませんね。
#39
○駒形説明員 日米石綿のことにつきましては、私も東京工業試験所長から話を伺つております。目下その資料につきまして、東京工業試験所におきまして試験をやつておるのでございます。企業局長が今お話にありましたようなことを言われたかどうか、それは私は聞いておりませんので存じません。
#40
○小川(豊)委員 あなたの御答弁で、ここの東京工業試験所に非常に信用の置ける、権威のあるものであるかということをお尋ねしましたのに対しまして、そうであるということと同時に、ここの試験所を十分信頼しておるということでありました。そこで企業局長がそういうことを言つたか言わなかつたかということは、あなたに関係のあることでなく、私は企業局長がこういうことを言つたということを、いろいろな文書等で知つておるが、企業局長がそういうことを言つたということに対して、今までのあなたの御答弁によると、そういうことはあり得ない、こう私どもは解釈しなければならないが、そう解釈してよろしいかどうかをお聞きしたい。
#41
○駒形説明員 企業局長にそういうことはあり得ないと申し上げることはできます。
#42
○小川(豊)委員 そこでこの試験をした結果はすでに発表されたにもかかわらず、さらに再試験を命ぜられた。その再試験の理由は、思わしい結果でなかつた、東京工業試験所は信用できないということで再試験を命ぜられたとしますと、あなたの立場はどうなるのでしようか。
#43
○駒形説明員 第二回目の試験を現在やつておるのでありますが、第一回目の試験を私ども信用しないということはございません。第一回目の試験も、東京工業試験所が十分責任をもつて試験をやつたのでありますからして、その結果、その資料につきましては十分信用できるものと私は考えております。
#44
○小川(豊)委員 ここで駒形技術院長さんから、第一回にやつた試験は十分に信用のできるものである、こういう御答弁をいただいたのであります。そこで今度は為替局長の方にお尋ねしたいと思う。
 その前に抽象的なお尋ねでたいへん恐縮なのですが、昭和二十五年だと思いますが、外資法が成立しておるわけですね。この外資法の目的といいますか、精神といいますか、それをごく簡単に伺いたい。
#45
○東条説明員 もう十分に御承知のことと存じますが、お求めでございますからあえて申し上げます。御承知のように、日本の資金の蓄積は、戦後の産業資金その他の資金をまかなうのに十分でないという観点から、外資の導入が強く要望せられておりました。これは資金面からの問題でございます。なお外資法の明文に明らかでありますように、外資法の認可を受ける基準といたしましては、直接、間接に国際収支の改善に寄与する、あるいは直接、間接重要産業の技術水準の向上に寄与する、あるいは公益事業に寄与するということが、外資法の明文に規定いたされておるわけでありまして、個々の案件の処理にあたりましては、今申し上げました国際収支の観点、あるいは重要産業の技術水準の向上、日本の産業の水準の向上に寄与するかどうかという観点を支点として、外資法上の認可になるかどうかという決定を外資審議会の審議を経まして政府としてはきめて行く、かようなことに相なつておる次第であります。
#46
○小川(豊)委員 なおお尋ねしたいと思いますのは、今の三点を目途として、昭和二十五年以降日本が導入した外資の総額がどのくらいあるか。それからさらに外資が導入されるごとによつて、技術の導入もあるだろうし、その他投資等の問題が出て来る。そういうことによる配当というか、外国へ日本から持ち出されて行く金額が、ちよつと公式的な発表で見ると、一年間七十億かそこらあるように聞いていますが、実際にはこれはどのくらいおありですか。
#47
○東条説明員 外資法が成立いたしまして以来どういう実績を上げておるかという観点でございますが、今もお言葉がございましたように、外資法の大体の認可の対象といいますか、これは技術援助契約の締結と、それから社債あるいは貸付金というような他人資本と申しますか、そういう形での外資の導入と、それから株式あるいは持ち分の取得というような自己資本の形、この三つの系統に大体わかれるわけでございまするが、本年の八月末までの実績で、技術援助契約の締結が、外資法上認可に相なりましたのは三百九十九件でございます。それから他人資本と申しますか、社債あるいは貸付金系統で認可になりました金額は、これは円でございますが、約三百六十億円というふうに御承知をいただきたいのでございます。それから株式あるいは持ち分のいわば自己資本の系統といたしまして投資せられました金額は、同様円の金額で百二十七億円に上つておる次第でございます。
 それでこれらに基きまする対価の支払いか一体どのくらいになるかという点でございますが、これは今申し上げましたように、技術援助契約の内容で一件々々非常に詳細な条件がきまつておりまするし、それから株式に至りましては、これは申し上げるまでもなく、その都度その都度の配当金の金額が幾らに上るか、あるいは提携の行われましたところの事業がはたして所期の通りの効果を上げておるかどうかというようなこと等によりまして、必ずしもはつきりこの程度でございますという金額を申し上げることはなかなか困難でございますが、試みに昭和二十九年度の下期の外貨予算に計上いたしておりまするところの金額を、これは側面的にごらんをいただくという意味で申し上げますれば、外国の投資の行われておりまするところの収益関係で、これは直接投資と、債権的な資本収益とを含みますが、大体半期に二千四百万ドル見当を外国の投資の収益関係におきまして計上いたしております。但しこれはお断り申し上げておきますが、必ずしも外資法の認可の対象になりました分だけに限定をした金額ではありませんで、外資法の制定以前にすでに国内に投資せられました分の収益をも含んでおりますが、その金額が大体二千四百万ドル、それから技術援助の対価といたしまして、同様下半期の外貨予算で一千万ドルを見込んでおります。しかしこれも技術援助が行われまするには、外資法のルートだけでなくて、つまり一回限りのロヤリテイで技術が日本内地に持つて来られるというものも相当あるわけでありますが、そういうものをも含めまして、大体一千万ドル見当の支払いは起るであろう、かような予想を立てておる次第でございます。
#48
○小川(豊)委員 そこで例の日米石綿の問題についてお尋ねしたいのでありますが、これは先般来この委員会で数次論議されまして、しかも為替局長は、外資審議会にかかつておる。しかもこの外資審議会の経過というものはなかなかこれを認可する方向に行かないだろう。これはあなたの主観であるかもしれませんが、行かないだろうということを答弁されておる。従つて私どももこの一つの大きな問題になつておる日米石綿工業の問題は認可にならないだろう、こういうふうに考えておつたのであります。ところがつい先般大蔵大臣がアメリカへ行く際にあたつて、個人的な見解であるという注は加えておりますけれども、これは認可すべきであると思う、こういうことを言つておると同時に、ここに工業試験所に対しては再試験を命令しておるというような一連の動きを見るときに、これは輿論がどうあろうと、日本の産業がどうなろうとも、どうしてもこうしてもこれは認可をするんだという腹構えのもとに、輿論を押し切つてもこれを認可しようとする一つの下心でもつてこういうふうに進めておるのではないかと思われる。
 そこでこの問題をあなたにお尋ねすることはどうかと思いますけれども、ここで先般のあなたの御答弁の後におけるこの外資審議会の審議の経過というようなものがありましたら、ひとつお知らせ願いたい。
#49
○東条説明員 先般、外資審議会で審議をせられておるけれども、積極、消極両論があつて、どつちかといえば消極論の方がより有力であろうということを、春日委員からの御質問がございましてお答え申し上げましたのは、シンガー・ミシンの問題につきましてさよう申し上げました。日米石綿の問題につきましては、私としてお答え申し上げましたことは、なお外資審議会で審議中でございますということをお答え申し上げたつもりでございます。ただいまのお尋ねの中で、その後外資審議会で本件が審議せられたとするならば、その経過を示せという仰せでございますが、会社側からも、その後委員あるいはわれわれの手元にもいろいろと補足的な資料の提出は累次ございますが、私どもといたしましては、まだそれらの資料を審議会で審議をしてもらう運びにはいたさないということを考えておりまして、従いまして前回お答えをいたしました以後、外資審議会におきまして、この日米石綿の問題は対象議題といたしまして審議せられておりません。
#50
○小川(豊)委員 さてこの問題について、私は自分の所見を述べて政府当局の意見もお尋ねしたいと思うのですけれども、お見受けするところ、当面の責任者である為替局長のほか、次官もおられないし大臣もおられない。次官でもおられるならば質問したいのですけれども、為替局長ではこれ以上進めてもどうにもならぬじやないかと思のです。さつき私は春日さんの動議に賛成したのは、そういう問題もあるから次官はここに残す、こういう話であつたから私は今まで待つて質問もして来たのですけれども、どうして次官は帰られたのですか。
#51
○内藤委員長代理 小川君に申し上げますが、山本次官は十分ほど水産委員会の方に顔を出してすぐ帰られるということでありましたので、委員長はこれを許したのでありますから、間もなくこちらに参ると思います。
#52
○小川委員 それでは十分か十五分後には次官はここに見える、こういうふうに私は了承いたしまして、この問題についてこれ以上為替局長にお尋ねしてもいけないと思いますので、次官が来るまでお待ちいたします。
#53
○久保田(鶴)委員 銀行局あるいは主税局に関係した方面について二、三お尋ねしてみたいと思います。
 最近減少傾向にある特需業者に対する通産省から申入れのありました優遇措置を省議で検討されました結果、税や金融面で優遇措置をとることに基本方針を決定されたということですが、この問題について銀行局長あるいは主税関係について説明願いたいと思います。
#54
○河野説明員 主税局から課長が来ておりますから、その方の話は課長からお聞きとり願いたいと思います。
 金融問題につきましては、二点問題がございます。一つは特需関係の手形の期限を、現在四箇月程度やるものを六箇月程度に延長してもらいたいというのが一点であります。もつともこれは、現在でも六箇月まで延長できる取扱いには実はなつておるのでありますが、事実問題として現在四箇月一本でやつている。この点につきましては、現在でも別に制度を直す必要はないのでありまして、そういう必要のあるものは六箇月まで延ばし得ることになつております。しかし現実の問題としては、大部分のものは大体四箇月でカバーできておりますから、特別例外的なものについてだけそういつた問題が起るだろうと思います。この点につきましては私ども了承いたしました。
 第二点は、現在行つておりますPX関係の納入品につきまして、これは実はスタンプ手形の形になつておるのでありますが、これを日銀においていわゆる貿手と同じ扱いにしてもらいたいということが一つ要望として出ております。この点は、それが輸出と同じように実質的に外貨の獲得ということになり、国際収支に直接的に寄与するという点におきまして、取扱いは日本銀行においてこれを貿手の取扱いに直すように現在手続を進めておる段階であります。従いまして、この点につきましても私どもは了承をいたしておるのでございます。
 なお金融関係では、あと為替局長所管の問題も一、二ございますから、その問題につきましては為替局長からお答えを願いたいと思います。
#55
○白石説明員 特需に関しまする税法上の優遇措置をどのようにするかというお尋ねだろうと存じておりますが、御承知のように輸出についての輸出免税の制度は、現在のところ特需には適用になつておりません。しかし特需と申しまするものは、その内容がいろいろ広汎でございまして、その内容によりましては輸出と同一手続によつて進められておるものもございますので、たとえば朝鮮向け、沖繩向けというようなものにつきましては、これは輸出ということで現在におきましても免税の制度が適用になつておるわけであります。ただ内地におきまする円払いによつて行われておりますいわゆる特需でございますが、この内容はいろいろ広汎でございまして、その中身といたしましては、ドルの裏づけのあるものもあれば、いわゆる防衛分担金の関係でドルの裏づけのないものもあるわけでございます。また同じくドルの裏づけのあるものにいたしましても、円シエールみたいな個人消費みたいなものとか、そのほか部隊の小口発注というようなものもございまして、その内容は種々さまざまでございますので、輸出の免税制度をこのようなものに及ぼした場合におきまして、ただちに外貨の獲得の増加に寄与するかどうかというような点につきましては、その効果につきまして疑わしい問題もあるかと考えておるわけであります。また最近は例の小麦の贈与というような問題がございまして、こういったものから、円によつて内需の買付を行われるというような問題もあるわけでございますが、こういったものも突き詰めて考えれば、物によつては外貨の裏づけがあるといような点も考えられるわけであります。しかしこういったものにまで特殊の措置を及ぼすということはいかがであろうかというようなことも考えられるわけでありまして、こういった点につきまして目下のところ慎重に検討中でございます。
#56
○久保田(鶴)委員 税の面については、日本で米軍に納める兵器やその他の修理、また酒関係の輸入物資は、日本国内で消費される、従つて税関を通して輸出されるのではない。そのためにドル払いの場合の輸出に準じて業者の所得の一部を非課税扱いとされるのか。また米軍への酒その他の納入物資に、物品税を免除されるというようなこと等も私たち聞くのです。それですから、法律の一部を改正されるのか、あるいは政令でこれを実施されるのかというような点を、一応開いておきたいと思います。
#57
○白石説明員 ただいま申しました輸出の免税制度を特需に及ぼすかどうかは、目下慎重に検討中でございまして、まだ決定いたしておりません。従いまして、油の仰せのような所得につきまして、これを及ぼすかどうかというようなことにつきましては、まだ何らきめていないわけでありまして、もし特需につきましてそういつた制度を及ぼすというような場合につきましても、内地において消費されるというようなものにつきまして、一般的に及ぼすことは、ただいま申しましたような趣旨においてどうであろうかというような点を慎重検討している次第でございます。それから万一これをやるというような決定をいたしました場合につきましては、現在輸出の免税制度は、輸出ということで法文に書かれておりますので、この輸出ということにつきましての例外的な規定を設けなければならぬという意味におきまして、法律の改正を要するものであろうと考えております。
#58
○久保田(鶴)委員 銀行局長が先ほど話されました金融面につきましては、特需の手形の期間が原則として四箇月、私もそう思つておりますが、ところがこれを六箇月に延ばして輸出の前貸しの手形並としての扱いを今後されるのですか、その点どうですか。
#59
○河野説明員 今申し上げました通りでありまして、現在の扱いでも物によつて期間的にカバーできないものについては、六箇月まで延長し得るという取扱いにはなつているのです。現実的には大体四箇月程度でカバーできておりますから、現実の扱いはないという状態でございます。それを物によりましては、やはり長くしないとカバーできないというようなものが出て来ているという話でありますので、そういうものは、特に必要なものに限つては六箇月まで延長するということも認めて行きたい、こういう趣旨であります。それから今お話のありましたように、PX等に納入される品物、これは日本側において外貨の取得になるわけでありますから、そういつたものにつきましては、やはり貿手と同じ扱いにして行きたい、こういう趣旨であります。
#60
○久保田(鶴)委員 それからドルの関係等につきまして、為替関係でございますが、これを一応局長から聞かしていただきたいと思います。
#61
○東条説明員 特需の増加をはかつて参ります研究問題の為替面の問題といたしましては、二つばかり考えられております。一つは特需に使いまする原材料の外貨の割当について特別の考慮をめぐらしたらどうか。たとえば外貨予算の面におきまして、加工貿易原材料という項目がございまして、保税工場等で特に輸出のためだけに使うという場合におきましては、優先的に、また比較的楽に外貨の割当を認めるという措置を請じておるのでございますが、ドルの裏づけのある場合においては、この加工貿易原材料の予算を使つて、必要な原材料の輸入をやつたらどうかという点が、研究問題の第一点でございます。この点はいわゆる形式上輸出となりまするものにつきましては、従来も道が開かれておるわけでありますが、形式の上では通関が起らないということで輸出にはなりませんが、実質的にドルの獲得になるという場合におきましては、その品物がよほど加工度が高いという場合は、やはり加工貿易原材料の予算を使つてもいいのではなかろうかということで、大体考え方の方向としてただいま研究いたしております。
 それから第二の問題は、特別外貨割当、従来の優先外貨に当るもので、特別外型われわれは呼んでおります。御承知の通り一般に輸出いたしました場合におきましては、その輸出者なりあるいは輸出品の製造にタッチいたしましたメーカーが、優先的にその一割だけの外貨が使える。もちろん使途その他には制限がございますが、そういう制度があるわけでございます。これを同様特需に適用するか、どうかということが、研究問題の第二でございます。先ほども申し上げておりますように、形式上通関手続を終えます輸出の分につきましては、いわゆる外割の適用が現在でもあるわけでございますが、輸出手続をとらないものについても、やはり一割の特別外割制度の適用するかどうかという問題でございます。この点につきましては、いわゆる特別外割の制度が諸外国でもだんだん廃止ないし縮小いたしております。国際通貨基金等におきましても、特別外割というものはむしろ廃止してもらいたいという、いろいろ非公式な意見もあるような状況でございまするから、ただいまの政府の考え方も、これはいろいろ時期の問題がありまするが、方向といたしましては、廃止の方向で考えるべきものであろう、対外的にも、あるいは対内的にも、さような考え方をいたしておる折柄でございますので、この国内通関の手続を経ない特需においてこの特別外割制度を拡張するということは、よほど考えものでなかろうか、むしろ適用しないという考え方の方が適当なのではなかろうかというふうな方向で、研究もいたしておる次第でございます。
#62
○久保田(鶴)委員 大体銀行局長あるいは主税局関係等において御承知と思いますが、朝鮮の戦争が済んで、特需が平和産業に切りかえられて、その大メーカーの犠牲が中小メーカーの方に来ておる。それが今日の大きな金詰りになつて来ておるということから、通産省から銀行局あるいは主税局、その他の方にそうした申入れがあつて、こうした問題をいろいろ省議として検討された結果であろうと思うのでありますが、こうした問題等について、先ほどから承りましたようなことでは、われわれはまだ納得が行かない。もつといろいろ省議で検討されまして、その結果の掘り下げた、犠牲になつておる中小メーカーに対する金融の面、あるいは税関係の面等について、もつと具体的な意見をお持ちであろう、こう私は思つておつた。ところがそうした御意見をきよう伺えなかつたことは非常残念であります。そこでいろいろこの問題等について伺いたいこともあるのでございますが、きようは時間もございませんので、この程度で終つておきます。
#63
○内藤委員長代理 井上君。
#64
○井上委員 さきに小川氏から質問をされておりましたが、日米石綿会社の設立にからんで、通産省所管に属しておりまする東京工業試験所、そこで日米両会社の製品を試験した結果、両会社とも製品の優劣をつけることはできないということで、衆議院の通産委員会でその結果を報告され、証言をされております。ところが一ぺん同一会社の同一製品を試験をしておきながら、それをまた再び試験をやり直そうとしておるのに対して、あなたはどうお考えになりますか。しかもその試験をやるのにあたつて、その利害関係を持つておる小野田セメントの会社の製品を持つて来て、試験をしようとしておる事実が明らかにされておりますが、さようなことは明らかに国内製品に対する正常な試験のやり方ではなしに、何か目的を達せんとするための意図のもとに再試験が行われるがごとき疑いをはさむような、そういう試験のやり方というものは妥当でないと考えますが、あなたはどうお考えになりますか。
#65
○駒形説明員 今の試験の問題でございますが、第一回の試験、それから今度第二回の試験があるわけですが、第二回の試験に対しまして私ども考えておりますのは、その試料並びに試験方法を関係原局と明確にいたしまして、その条件のもとにこれは技術上十分検討をして、その検討結果に従つてやるという、ただそれだけの意味合いに私どもは了承して、第二回の現在やつております試験を始めておる、こういう次第でございます。
#66
○井上委員 そうすると、第一回の試験には落度があるとお認めになりましたか。
#67
○駒形説明員 決して第一回の試験には落度はございません。第一回の試験は、その与えられた試料に対しまして十分考慮したもとに、その試験結果の数字が出ておるのでございます。
#68
○井上委員 第一回の試験は、しかも政府みずからが所管をしております工業試験所において、あなたが今お話になりましたようないろいろな諸条件を比較検討した結果、一応試験の結果というものが正規の機関に公表され、証言をされている。それでなおかつ不十分だという理由はどこにあるのですか。再試験をしなければならぬという理由はどこにあるのですか。第一回の試験では、いわゆる合法的な試験の結果を見ることができなかつたという、何かそこに、試験の上に矛盾なり不合理なり、落度があつて、どうも一般を納得せしめる結果が現われないから、さらにもつとよい、いろいろな諸条件をそろえ、かつ試験に供する材料もいろいろな角度から最も公正妥当なものをもつてやるということで、さらに試験の価値を高めたい、こういうのなら話はわかるのですよ。ところが今のお話によると、第一回の試験については何ら異議をはさむことはないと言つておりながら、第二回の試験をやらなければならぬ理由は一体どこにあるのですか。それほど工業試験所の試験というものは信用に値しないのでありますか。そんなものに国は経費を出してやらせておるのでありますか。あなたもまた最高の責任者としてこれを指導しておりながら、心やすく第二回の試験をやらせるなんて、権威のないことはなはだしいではないですか。そうお考えになりませんか、直し月給をもらつて何をしているのですか。
#69
○駒形説明員 私は、第二回でも、第三回でも、第四回でも、試験はやつてよろしいと考えております。第一回の試験の際に、資料その他をもう少しく明確にする必要があるということもございまして、そういうことで東京工業試験所において、第二回の試験をいたす、こういうことに相なつたのでございます。
#70
○井上委員 その第二回の試験をやる材料はどこから持つて来たのですか。
#71
○駒形説明員 第二回の試験は、軽工業局で責任を持つて私どもに与えられたその資料について、私どもとしては試験をして、そのデータを出す、こういうことに相なつております。
#72
○井上委員 日米合弁の会社をつくろうというのは、あなたも御承知の通り小野田セメントです。その小野田セメントの製品を持つて来て試験をするというのには、何かそこに政治的な陰謀が含まれていると見られてもさしつかえないのではないか。他の一般的ないわゆる優良メーカーといいますか、海外に出してもどこへ出してもりつぱな製品であるという数社の代表的なメーカーの製品を持つて来て、それでやることが当然の処置であるのに、利害関係のある会社の製品を持つて来るというのはどういうわけですか。
#73
○駒形説明員 この資料という点につきまして、東京工業試験所としましては非常に慎重を期したのでございまして、資料は八月十二日、軽工業局から東京工業試験所内田部長あてに搬入したものについて、東京工業試験所は試験をする、こういうことに相なつておりまして、八月十二日に、合計十一枚の資料が東京工業試験所内田部長あてに搬入されたのであります。
#74
○井上委員 第一回の試験はあなたも御存じでありましようが、浅野セメント、それから野沢の製品が持ち込まれておる。ところが第二回のものについては、今申しました外資を導入して合弁の会社をつくろうとする小野田セメントの提供による野沢の製品だけが出されておる。だから浅野のものと、小野田の提供しておる野沢の製品と、この両方を同時にやつて優劣を見るということならよいのですが、私どもが非常におかしいと思いますのは、あなたもお感づきになりましようが、今非常に問題になつております、この合弁会社をつくろうとすることにやつきになつておる小野田セメント提供の野沢の製品というものが実は問題なのです。何かそこに策を弄しておりはしないかと人から疑いを受けるような――試験の結果によつては外資導入の有力なる根拠をことさらにそれによつて生み出そうとするがごとき作為が行われておるような状態にありますときに、そういう利害関係のある会社提供による製品をもつて試験をした結果が、前よりも悪かつたということになれば、それ見たことかという一つの問題をここに生んで参ります。試験はあくまでも公正にして妥当でなければならぬ。その前の浅野提供の製品は非常に悪いが、日本製品はそういう悪いものじやないから、もつといいものがあるはずだ、だからそれと外国製品と対比して優劣をきめるということなら話はわかりますよ。ところが、浅野の提供したものよりももつと悪いと見られる小野田セメントの野沢の製品を持つて来て試験に供しようとしているのじやないですか。そういうよからぬ、世の中から見られて非常におかしいと思われるようなことを、公正妥当にして厳正に行わなければならぬ試験機関が、そういう材料を収集して来るというやり方は、妥当なやり方とお思いになりますか。
#75
○駒形説明員 東京工業試験所におきましては、その資料について、こういう種類の資料がこういう結果から出たということで、責任をもつて間違いのないデータを出すということを任務といたしておりますので、今お話がありましたような野沢、浅野といつたようなものにつきましては、東京工業試験所としては関係をいたしておらないのでございます。
#76
○井上委員 技術院院長に申し上げておきますが、これはやはり日本製品の海外に対する大きな信用の問題になつて来るのです。最初の試験の結果が、海外の製品に比べて非常に悪い、だから日本製品にはもつと優秀なものがあるはずだという親心から、もつといいものがありはしないかとお探しになつて、その結果さらに前の試験よりも優秀な試験の結果を見出したい、こういうことでおやりになるならば、われわれもあなた方の労を多といたします。ところが今度やろうとしておるのは、前の試験によつて、海外品と比べて優劣を判定することができ得ない優秀品だという結果が出ておるのです。それを信用せずに、さらに第二回試験をやろうという意図は一体どこにあるかということを疑わざるを得ないし、前の試験の結果、日本品が非常に悪いということで日本政府としては、これは日本の産業を守る上からも、また海外に対しての信用を高める上からも、海外製品に日本製品が決して負けないというだけの試験結果を見出したいということでおやりになるということならいいのですが、そうではなしに、何か日本製品にけちをつけよう、外国品がやつぱりいいのだ、そして外資を導入して合弁会社をつくろうという政治的意図をここで満たそうということがにおわされておるようなやり方は、これは正しい技術の自主性をみずから踏みにじることになりますよ。あなたは技術院の最高責任者として、技術の自主性を政治的に曲げられたり、あるいは他の圧力でゆがめられた結果が出たということについて、尋常にお考えになりますか。われわれは、技術というものはあくまで、公正妥当に、しかも試験の結果というものは、いろいろな圧力やいろいろな力によつて曲げられるものじやない、科学的に正当な結論をわれわれは見出してもらいたい、こういうつもりでおるのです。しかるに利害関係のある会社の提供した製品だけを試験材料として提供して行く、それで前回の試験の結果を否定しようとするような試験のやり方に対して、最高の試験責任者たるあなたが、これをこのままやつてよろしいということで見のがしておるわけには行きません。
#77
○駒形説明員 第一回にやりました試験の結果がなくなつてしまうものではありません。第一回の試験というものは、私どもその試料につきまして、その試験方法によりまして、その試験の装置にかけてちやんと出た数字というものはどこまでも残つておるのでございます。第二回におきましても、軽工業局から持つて参りました試料につきまして、東京工業試験所の試験装置を使いまして、そうして十分考えましたところの試験方法でやつて、そうして数字が出て来る。これに対しましても、私どもは、十分慎重にすべてのことを東京工業試験所でやりまして出て来るわけでありますから、その結果を曲げるというようなことは、私どもは技術者の良心といたしまして、決してできるものではございません。
#78
○井上委員 最後に一点聞いておきますが、そうすると、第一回の試験の結果は、外国製品と比べて優劣を判定することのできない試験結果が現われた。これは動かすことのでき得ない事実です。ところが、それでまだ満足せずにもう一ぺんということで、今度第二回をおやりになるのでありますが、第二回をおやりになりました結果、第一回の結果よりも悪い、外国製品に比べて悪いという結果が出た場合に、技術院の責任者としてはどちらをおとりになりますか。そうすれば第三回をもう一ぺんやりますか。
#79
○駒形説明員 第二回はやつてみないというとわからないのでございまして、今データを出しているところでございます。私どもの東京工業試験所といたしましては、その与えられた試料について間違いない結果を出すという、そういうことを試験所の任務といたしましてやつているわけでございます。
#80
○井上委員 そこが非常に大事です。集められた試料に基くというのは、その集められる材料というものが最も公正妥当な試料が集められるならばいいです。試験に供せられる材料が集められるならばいいです。ところが、現に利害関係のある会社が、前の試験結果に満足せずに、第二回の試験をやろう、こういうときに、その材料が政治的に考えておかしい。私が申しますように、日本の優良メーカーの製品を全部集めて来て、そうして総合判定の結果こういう結果が出たということを示すのが妥当であるにかかわらず、特に利害関係を持つている会社の提供した材料によつて試験しようとするところに、大きな疑いをわれわれは持つているわけなんです。そういう不合理きわまるといいますか、世の中の人が納得しないような材料によつて試験をして、それで試験の結果がどうあるこうあると言うてみたところで、それはわれわれは納得できない。もう少し公正妥当な材料を集めて来て、そうして最も権威ある機関で試験判定をするということでやるべきじやないでしようか、私はそう思います。私は技術のことはよくわかりませんが、少くとも多くの人の目を納得さそうとするためには、最も広い範囲においてりつぱな材料を集めて来て、そうして完備し整備された機関でほんとうに科学的に試験をしてみるということが正しい試験のやり方じやないかとわれわれしろうと考えで思うのですが、公正なる広い範囲における材料を収集せずに、特殊な利害関係を持つている会社の提供による材料によつての試験の結果が非常に危険であるということを私は申し上げておるのであります。だから、その点が私どもはあなたと多少見解が違いますから、あなた方がそういう一方的な片寄つた試験の結果をどう発表しようと、そういうことについては何ら権威を持つものではないということになつて、かえつて東京工業試験所の試験の結果に対する技術の自主性というものをみずからが冒涜し、みずからが否定するということの結果になるのではないか、私はこういう結論しか言い得ないのです。これはあなたの良心に訴えて、あなたが技術者として、何としても正しい試験の方法については曲げることができないという正しい結論を見出してもらいたい、こういうことのためにあえて私は質問をいたしておるわけでありまして、私は決して何らの利害関係を持つておらぬし、何らの圧力によつて発言をしておりません。最も公正なるべき機関が変にとられてはたいへんですから、そういう意味で、技術を守るあなたとしては、世の中の人すべてが納得できる試験の結果をひとつ出してもらいたい、こういうことを私は切に要望いたしまして、私としてはこれ以上質問をいたしませんが、ただ、どんな公正な機関でやりましても、材料が悪ければ試験の結果は決していいものではありませんから、そういう試験のやり方に対してわれわれは信用が置けない、権威を持つた試験の結果とはいえないということを私どもは考えざるを得ないということだけを申し上げておきます。
#81
○春日委員 私はやはり、日米合弁によるフレキシ・ボートの問題についてお伺いをいたしたいと思うのでありますが、私どもが先般来この問題を取上げて深刻な質問をいたしておりまするこのことは、国内産業、民族産業を保護し、もしこれに後進性があるならば、いかにこれを助長して行くかという、この大目的の上に立つて質問をいたしておるのであります。なお政府の諸君、特に官吏の諸君は、この立場に立つて物事の処理を願わなければならぬことは論ずるまでもないのでございますが、そういう愛国的な立場の上に立つて純真に問題を論議したいと思うわけであります。そこであなたは、ただいま井上委員の質問に対しまして、二回、三回、四回試験するということはごうもとがむべきではないという御答弁があつたのでございますが、もとより技術の検討あるいは品質の検討ということは何回行われてもさしつかえない事柄でございます。しかしてまた、それが基本的な試験であるとか、あるいは技術研究のための普遍的な一般的な試験であるとか、こういうことならば何十回おやりになつても、度数が多ければ多いほど越したことはないのでございます。しかしながら、あなたの方に課せられているこの試験目的は何であるか、これは私が今ここに指摘するまでもなく、一つの行政措置として、通産省が必要に基いてあなたの方にこれを委嘱しておるのでございます。すなわち、外資法に基いて、はたしてこれが日永の重要産業あるいは公益産業の発展、あるいは技術の向上に役立つものであるかどうか、すなわち日本製品と比較検討して、日本製品に相当の後進性があつて、外国技術を導入することによつてこれが向上を期し得るかどうか。すなわち外資法に基いて、国が申請を許可するか、あるいはこれを却下するか、この重要なキー・ポイントになつておるのであつて、あなたのこの答申たるや、すなわちこの黒と白とを決するところのかぎになつておるわけであります。従いましてあなた方のこの答申は、一回の答申がかりに白であっても、二回目の答申が黒と出ておる、三回目が白と出ている、こういうようなことであつては相ならぬのであります。第一回の試験においては、ただいまあなたが冒頭に述べられたように、すなわち技術院の権威を傾けて、ここに答申がなされておるのであろうと思うのであります。またそうあらねばならない問題であるのでございまするが、一回で足らないで、二回、三回というようなことでありましたならば、あなたの方の答申は絶えず流動性のあるものであつて、決定的なものでないということでありまするならば、通産省は一体第一回の答申をとるべきか、二回の答申をとるべきか、あるいは三回、四回、五回のものをとるべきか、あるいはあなたの方の機関によらないで他の機関の決定によるべきものであるか、せつかくあなたの方にゆだねられておるところの権威あるその答申、すなわち試験結果というものが何らこの行政措置の目的、用途に供し得ない形になるのではないかと思います。ところが二回も三回も四回も試験をするということはごうもさしつかえないという事柄と、この外資法に基いてあなたの方に試験を委嘱されたその使命、性格、目的、こういうものから考えて、何回試験をしてもちつともさしつかえないものであるといまなお考えられておるかどうか、この点ひとつ明確に御答弁願いたいと思います。
#82
○駒形説明員 試験のデータというものに対して、人為的にそのデータをかえるというようなことはできないものであるということを申し上げたのでございます。そしてこの種の試験におきましては、試料並びに試料が経過いたしました時間、並びにそのときの温度や湿度や何かのいろいろな積算、そういつたものがやはり影響をいたして来ると思います。従いましてそのときの結果によつて、たとえばAとBと二つがありましたときに、第一回の試験はAがよく出た。第二回の試験においてはBのデータの方がよかつたということであるならば、その二つのデータは、そういつた種類の程度の技術水準であるということになると思うのでございます。でございますから二回、三回、四回というのは、そういつた回数を重ねても、東京工業試験所としましては、データを出す必要があるならば、それはデータを出すことはできるということを申し上げた、そういう意味でございます。
#83
○春日委員 学問の権威というものは、その中立性が保たれておることにあると私は思うのであります。あなたは今いろいろなことを申されますけれども、われわれ委員としては、そのような事柄はすべて詭弁である。たとえば温度、湿度が違うからというようなことは、あなたの方の試験室の中においては、温度や湿度の操作ができないことはないと思う。あの温度においては、あの湿度においてはというふうに、あらゆる場合の試験はあなたの方の試験所において、これは試験可能の状況下にあると思うのであります。あなたの方が第一回の試験に答えられたということは、すべからくそのようなあらゆる温湿の変化の状況下において検討がなされて、これは大差がないものであるという答申がなされたものとわれわれは考えているのでありますが、しかしながら今の御答弁によりますと、温度、湿度によつていろいろ違うことは、気候とか、湿気とか、それぞれ検討しなければならないということであるならば、これこそまことに恐るべき事柄であつて、かようなずさんな試験結果によつて国の行政が左右されているのならば重大なる結果になることであると思う。あなたの方はその後通産省からそういうような試験の委嘱を受けられて、漫然とそのずさんの要求のもとに、その湿度のもとにおいて、その無責任な試験の結果報告を出されたのであるかどうか、温度、湿度のいろいろな消長を、あらゆる場合を想定して試験をされたものであるのか、この点をひとつ御答弁願つておかなければなりません。
#84
○駒形説明員 第一回の試験も温度、湿度、そういつたようなものを調整をいたして出しました結果でございます。
#85
○春日委員 あらゆる温度、湿度の状況下において必要にして十分なる試験の結果が報告されている、こういうぐあいに了承いたしまするならば、二次試験、三次試験の必要性は一体どこにあるか、これはあなたの責任的立場において御答弁を願いたいと思う。
#86
○駒形説明員 第二回目の試験ということは、先ほど申し上げましたように、八月十二日に東京工業試験所の内田部長あてに軽工業局から搬入されたもの、そのものを対象にいたしましてやつたものでございます。
#87
○春日委員 東条局長にお伺いをいたしますが、灰関するところによりますと、六月一日の外資審議会は、新しい事態が見出される主ではこの問題は保留する、こういう決定がなされた、本日までそのままにこれが推移しいるかのごとくになつているのでありますが、はたしてそうでありますかどうか。
#88
○東条説明員 お答え申し上げます。日取りが今春日委員の仰せの日取りかどうかはつきり記憶いたしませんが、数回本件は外資委員会でいろいろ審議いたされました結果、ただいままでの、本件がかかりました最後の審議会といたしましては、もう少し十分な、新たな資料が出て来るまでは外資審議会としては明確な結論を出さないことにしよう、つまり新たな資料のない限り本件の認可に関する決定は審議会としてはできかねる、かようなことで今日になつているのであります。
#89
○春日委員 重ねてお伺いいたしますが、この外資審議会が決定するところは、この外資法に基いてその許可、認可されるに当つてどのような影響力を持つものであるか、この点をひとつ伺つておきたい。
#90
○東条説明員 御承知のように、外資審議会は諮問機関でございます。従いまして行政処分をいたします行政委員会でございませんから、委員会の審議の結果が即政府の行政処分とはならないわけでありますが、政府といたしましては、諮問機関たる外資審議会の審議の結果をできるだけ尊重するという建前で運営をしております。
#91
○春日委員 そういたしますとこの六月一日、日にちは不明確であると言われておりますが、いずれにしてもこの問題については新しい事態が発見されない限りは、これは許可すべきものでないというような考え方の上に立つて、この問題に結論が下されていないわけと了承するわけであります。従つて新しい事態の発生を一応ここで期待をしておられるけはいがあると思うのであります。新しい事態というのは、一体どのような事態が期待されているのであるか、その一つとしては、特に技術院における再試験の事柄、あるいはその他アメリカからいろいろな政治的な圧迫、さらに日本においての技術の飛躍的な向上、いろいろな護憲定されると思うのでありますが、これは私どもの客観的な一つの着眼点であつて、他に専門的ないろいろな新しい事態というものについてどのようなことが期待されるのであるか、この点をひとつ伺つておきたいと思います。
#92
○東条説明員 先ほどもちよつと申し上げました通り、その後両当事者からいろいろの資料の追加的な提出もあります。またいろいろの説明の補足もございますが、私どもとしては、ただいままでのところは、審議会にかけて詮議をしてもらうほどの材料ということではないということで、今日まで至つておるわけであります。なお新たな事態と申しますよりは、そういう新たなデータ、新たな資料という意味でありまして、たとえば今私の頭に浮びますのは技術院の再試験の結果がはつきりいたしますれば、これは技術水準に関する有力な資料と相なろうかと思います。
 また本件が国際収支の改善に寄与するものかどうかということが、同様非常に本件の重要な点でありまして、はたして本件の技術の導入が輸出の増加となり、日本の国際収支の改善に寄与することになるかどうかということも、本件審議の非常に有力な資料であろうと思います。それらに関する見通しが、まだその後こうなんだといつて十分に審議会で審議をしていただくほどの有力な資料が出ない、かようなことを申し上げておる次第であります。
#93
○春日委員 さすれば先回の技術院の試験結果の答申、これが日米いずれもその技術に大差ない、この試験報告に基いて新しい事態が期待されながら、その結論が出されずして本日に至つておるのでございます。そこでお伺いをいたしたいことは、再試験の結果前回と大差ない結果が出たら、この問題は明らかになると思うのでございまして、その場合は、これは認可されないことになるものと理論的には考えられるのでありますが、再試験の結果前回と大差ないとその試験報告がなされたならば、この問題は認可しない方向に結論づけられるものであるかどうか、この点ちよつと伺つておきたいと思います。
#94
○東条説明員 先ほど来通産省の方からお答えがありますように、まだ再試験の結果は出ていません。従つてそういう結論が出ない今日、いろいろ仮定の前提でお答えをいたすことはどうかと思いますし、先ほども申し上げておりますように、個々の案件につきましては、外資審議会――これには民間の公正な有山な方が入つておられるわけであります。審議会の審議の結果をまたないと、何とも申し上げかねる次第でございます。
#95
○春日委員 それではお伺いをいたしたいのでありますが、その試験結果たるや、十も二十もの結果があるわけではありません。すなわち先回と大差ないものてあるか、あるいはまたアメリカがはるかにまさるものであるか、あるいは日本がはるかにまさるものであるか、大体三つか四つの答えしか出ないと思うわけであります。従つて日本の技術がはなはだしく劣る場合は、これは前回の試験結果とは大分違つた新しい事態であるわけでありまして、このとき審議会の結論がいろいろとかわつて来ることはわかり得ると思うのであります。これは二つに一つ、あるいは三つに一つ、こういうような場合の問題であつて、三つのうちの一つの結論が出るということは既定の事実であります。従つてかりにこの前と同じ結論が出た場合においては、新しき事態の発生はなきものと見て、外資審議会はこれに対してすみやかに結論を下さなければならぬが、その結論たるや、これは外資法に基く三つの法律目的、これに対して合致しないものであるからという事柄で、これが却下さるべきものであるとわれわれは法律の建前から判断せざるを得ないのであります。この点について、局長にもう一回見通しについての御見解を伺つておきたいのであります。
#96
○東条説明員 技術水準の問題も非常に有力な資料でございますが、同時にこの提携によつてフレキシ・ボードの輸出がさらに大いに伸びるかどうか、また伸びる可能性があるかどうかという直接国際収支の面に及ぼしまする問題も、技術面のほか決して忘れてはならない重大な点でございます。それでただいままでのところでは、確かに輸出が伸びるのだということにつきましても、はつきりした資料の提出があつたとは申しがたいわけでございます。従つて技術面の問題につきまして一日の長があるというのが通産省方面の専門家の結果であつたと私は承知しておるのでありますが、その点に変化がないということで仮定いたしますれば、その点に関する限りは新たな資料はなかつた、かようなことになるわけであります。もし日本の輸出を大いに伸ばすことになるのだということについて、ただいままで明瞭でない点がさらにはつきりして来るということがありといたしますれば、これは同様外資審議会で審議をしてもらうところの有力なまた新たな資料であろうと存ずるわけであります。従つて今後技術面あるいは国際収支に及ぼす影響の面に新たな資料の提出がありますまでは、審議会としてはさしあたり審議の必要を認めない、かようなことになつておるということを申し上げておるわけであります。
#97
○春日委員 この技術導入が貿易の消長にどうという問題は別といたしまして、私の伺つておるのは、この技術試験の第二回目の試験報告が本件審議に対していかなる作用をもたらすものであるかということをお伺いをいたしておるわけであります。もう一回伺いたいのでありますが、前回とほぼ同様な答申がされたときは、前回本委員会が審議をいたしました過程において明らかにされております通り、これは許可すべきものでないという方向で結論づけられるものと考える。私の申し上げておるのは、この前と同じような試験結果が出された場合は、この問題は却下されるのかどうか、この点をもう一度お見通しを明確に伺つておきたい。貿易の消長その他の問題は別のケースといたしまして、技術水準の結果の報告がこの審決にいかなる作用を及ぼすものであるか、この点をひとつ伺つておきたいと思います。
#98
○東条説明員 先ほども申し上げましたように、この案件を認可するかあるいは認可しないかという判断の基準は、技術面の問題と同時に、これが日本の輸出に及ぼす影響という二つの観点から本件を認可すべきかどうかということは決定すべきものである、かように考えておるわけであります。それでもし通産省で今やつておられますところの再試験の結果が前回と同じであるというのでございますれば、前回外資審議会で審議を願いましたときと、技術面においては新たな資料の提供はないということにとどまるわけでありまして、それが即認可できないということになるかどうかということは、やはり日本の輸出に及ぼす影響はどうかということに関する新たな資料の提出があるかどうかによつても左右せられる、かようなことを申し上げておるわけであります。
#99
○春日委員 それではもう一言通産省側にお伺いしますが、今回再試験を委嘱されたその目的は一体何であるか。第一回の試験結果の報告がなされており、さらに今回は第二回目の試験が東工に委嘱されておりますが、この目的は一体何であるか、この点もう一つお伺いいたします。
#100
○徳永説明員 私この問題について途中からかわりまして、関係者の一人となつたわけでありますが、もちろんこの問題はまだ結論が出ておりませんので、従いまして私どもとしますと、きめられた既定の方針があればそれを踏襲いたしますけれども、きまつてない問題でございますれば、自分が勉強してみなければならぬということに相なるわけであります。軽工業局長もちようど私と日を同じゆうして新しくなりましたので、いろいろと周なされた試験の段取り等も調べてみたわけでありますが、その結果私どもこの試験の方法そのもの――方法というと語弊がございますが、試験そのものといいますか、工業技術院におきましてきわめて厳正公正なる試験がなされたということにはわれわれ何ら疑問も持たないわけでありますが、試験の材料に使いましたものの試料の採取というものにつきまして、その試験のデータをもつて判断の資料にして行くというふうにする場合には、若干の問題があるのではなかろうかということを感じまして、そういう問題について所管局長はとう思うかということで、私軽工業局長にもその感じを言つたわけであります。軽工業局長も新しいものですから、ずつと経過を見てみまして、関係者みんなを納得せしめるというものとして見た場合、試料の採取の方法が適当であつたかどうかということに疑問があるので、試料の採取の点を直しまして、その上でその試験の結果というものを見てみるということにしようとした次第でございます。
#101
○春日委員 それでは先回の試料の採取の方法に疑義がある、こういうことで第二回の試験がここにまさに始められておるわけですが、疑義を抱いた者はだれであるか、そうしてそれに異議を申し立てたのはだれであるか、この点をひとつ伺いたいのであります。通産省が委嘱をいたしました試験でありますから、すべからくその試験材料の提供は、当然通産省がその責任において中正、中立、公正な試験材料が交付されておらなければならぬと思うのでありますが、それにいたしましても、その責任は別にいたしまして、何人かこれに疑義をさしはさみ、何人かこれに異議を申し立てたと思うのでありますが、その当事者はだれであるか、参考のためにお伺いいたします。
#102
○徳永説明員 私今申し上げたつもりでありますが、私自身疑義を感じ、それを所管局長でありまする軽工業局長にも言い、軽工業局長も同じくそれに賛成しまして、再試験をするという方向に行つたのであります。
#103
○春日委員 貴殿がそれに対して異議を持たれたその理由は何でありましようか、これを伺いたい。
#104
○徳永説明員 外資導入等の問題になりまする技術試験というのは、実際の工業品としての比較検査ということでございまして、そのものの経済性を無視して、どういうものができるか、単純な技術だけからどんなものがつくれるかということだけを比較検討する問題ではなかろうというふうに私思うわけであります。そうなりますると、通常生産され、販売されておるもの、その両方のものにつきまして価格及び品質を比較検討するということが目的にかなつた試験の方法であろうというふうに考えたわけであります。その観点から申しますと、先般行われました試験の試料というものが、製品生産として通常行われ、一般に販売されておる品物というものではなかつたというところに問題があるのではなかろうかとしうことに疑問を持ちまして、ただいま申しましたように、比較すべきものは通常生産され、通常販売されておるもの、それには値段もあるわけでありますから、それについてそれらの輸入品及び国産品につきまして、その品質及び価格の条件を比較検討してその価値を定めるということが、いわゆる比較の基準として考うべき考え方でなかろうかという意味であります。
#105
○春日委員 それはやはり経済的効用価値とでも申しましようか、そういうような総合判断の上に立つて検討されるということは、これは私もある程度理解ができると思うのでありますが、さすれば私が伺いたいことは、この前のものは一般市販品ではない、あるいは試験用のためにつくられた特製品である、そうして今回のものは市販品をとつた、こういうようなことにうかがうのでありますが、さすれば伺いたいことは、今回試験用材料として試験所に交付された材料、これは国産品の採取方法並びにアメリカ品の採取方法はどのような方法によつて行われたものか、これを伺いたい。
#106
○徳永説明員 私の局といたしましては、実はタッチしておりません。といいますのは、いろいろな通産省全体の態度をきめます際には、当然に原局であります軽工業局長、私ども相談にあずかり、問題の重要度に応じて上司の判断を求めて省の態度をきめるわけであります。そしてきめて、外資審議会に臨む立場は、私の方の企業局がその責任の衝に当るわけでございます。そのきめる前提としての事務の処理方法の問題でありまして、今申しましたような疑問点を私どもが出したわけであります。原局としてその線に賛成し、その具体的な資料の採取方法をどういうふうにやつたかということは、その趣旨に沿つた措置をとつたものと了解するわけでありますが、具体的にどのような試料の採取方法をとりましたか、私詳細には存じませんし、またこれは私の方の所管でもございませんし、軽工業局で十分の良識をもつて措置したものと考えております。
#107
○春日委員 この場合の試験材料の採取方法に疑義を持ち、それに対して異議を申し立て、ここに再試験に及んだのでありますが、疑義を持ち、異議があつてここに再試験の必要を感じたところのあなたが、今回の採取方法については関知しないというそんなばかなことがあるか。この前のやり方はこういうふうでいけなかつた、だから今度はこういう方法で厳正公正、中正な方法でやつたという責任ある答弁がここでなされなくて、この前はやり方に異議があつた、今度は公正なやり方でやるようにしたのだが、そのやり方についてはみずからは関知上ない、こういう無責任は答弁がありますか。一体そんなことで問題の処理ができるのですか。さすればわれわれは、こういうような推測も立ち得るわけであります。この前の結果は、あなたが期待するようなものではなかつたから異議がある。ところが今度はあなたの期待するような結果が出るような資材の提供を行つておる。これについてわれわれは別に深くは検討していないが、具体的にいえば、このジヨンス・マンビルの製品ははなはだ優秀である、そうして日本側の製品ははなはだ劣悪なものである、こういうような結論が道算的に出し得るような資材の提供が行われておるのではないかと、国民の側においては逆に疑いをさしはさむのは当然であります。要するに試験材料の採取方法について疑義があつたなら、再試験をするにあたつては、そういう疑義のないような採取方法がとられなければならぬし、その執行はあなたの責任においてこれをなされてしかるべきものだと思う。それだのに、その採取方法については下僚にまかしてあるから私は関知しない、こういうことであるならば、その結果について今度はあなたと別の人が異議をさしはさんだら、第三回目の試験をしなければならぬという形になつて来る。こういう無責任な答弁は、第二回目の試験結果に対して大きな影響を与える御答弁であろうと思うので、あらためて御答弁を願つておきたい。
#108
○徳永説明員 私今申し上げたつもりでございますが、客観的に関係者を納得せしめる試料採取の方法なり考え方は、先ほど申し上げましたごとく、工業的に生産され、工業的に販売されておるもの、それについての比較、検討をするということでございまして、そのことから、採取の方法にもおのずから限界があるわけであります。その線に沿うような採取の方法――具体的にどういう採取の方法をいたしますかは、その目的に沿うものであります限り、おのずから限度もあると思うわけであります。それを具体的にどういうとり方をしたかということは、これは原局であります軽工業局がやることでございます。軽工業局は私の下僚というわけではございませんで、対等の省内の局でありまして、それぞれの所管に応じてやつていただくということであります。軽工業局もそういう着眼において試料を採取するということについては、思想の統一ができたのであります。あとはその責任に応じて処置することでございまして、具体的に幾らの品物を何箇所からとつたとか、どこからとつたとかいうことは、原局にまかしてしかるべき問題で、目的もはつきりしておるわけでありますから、ただいまお話のありましたような邪推の起るような――これは私邪推と思いますが、そういうことは役人としてできる限りのものでもございませんので、私は原局の局長の処置を信頼いたしておるわけであります。
#109
○春日委員 もう一つ伺いますが、この前の試験材料は何人によつて採取されたか、これを伺いたい。
#110
○徳永説明員 先般の試験の試料の採取は通産省の軽工業局において行われたということは承知いたしております。その限りにおきまして、先ほどちよつとお話がございましたように、同じ通産省の局がやつたことではないかということで、それをやり直すのはおかしいじやないかという趣旨かとも思うわけでありますが、それは、同じ人の場合におきましても、事が最終結論に参ります前に方法に誤まりがあると感ずれば、直すことが役人として当然だと思いますし、私も軽工業局長も、新たにそれぞれの責任を持たされまして――最初にお断りしましたように、すでに決定に至つた問題でありますれば、その結論を執行する立場に立つわけでありますが、決定に至らない問題でありますれば、これは過去のなされたこともずつと見てみまして、そのままの方法なり考え方に誤りがないと思えばそれを踏襲いたしますし、そこに疑問があると思いますれば、それぞれの責任において新たな処置をとるというのが通常でもあり、そうすべきものであると思います。
#111
○春日委員 この前の試験材料も軽工業局が採取したものである、今回も同様の機関が採取したものである、この前の採取したものに対してはあなたは疑義を抱き、今度はこれを信頼する。同じ機関が同一目的による同一試験に対して採取をするに当つて、前の場合は信頼できないが今度は信頼できる、こういうことはどうもわれわれは納得できない。もう少し納得できるように、この前のはどうも信頼できないが、今度はよいというその具体的な事情について、ひとつお話を願いたいと思います。
#112
○徳永説明員 繰返し申しますけれども、工業的に生産され工業的に販売されておるもの、それの値段及び品質を比較考量して、その技術水準を判断することが、本件のごときケースに適当な比較の方法であろうと思うわけであります。その観点から申しまして、先般の試験におきましては、試験そのものには何らの疑義をはさむことはないと思いますが、その出発点であります試料の採取に適正を欠いておると考えたわけであります。その辺に問題の起らない方法をとろうということでやつた次第であります。
#113
○春日委員 そうすると、われわれとしては明快なる御答弁とは言いがたいのでありまして、何かここの中にはくさいものがひそんでいやあがるなという印象をはなはだ深くわれわれは抱かされたということを、ひとつ御留意願いたいと思うのであります。
 時間がありませんから質問を先に進めますけれども、あなたは国際収支の関係とか、その他の問題については所管外であろうと思うのであります。従つて端的にお答えを願えると思うのでありますが、今回の再試験の結果、再び前回同様の試験結果の答申がなされました場合、あなたの方は、外資審議会の構成メンバーとして、かくのごとき外国技術の導入は必要ないという御主張をなさるお考えであるか、あるいはまたその他の御主張をなさるものであろうか、この点についてあなたの所信を伺つておきたいと思うのでございます。
#114
○徳永説明員 先ほど為替局長から御質問の点についてはお答えになつておつたのでございまして、私から申し上げても同じ繰返しになると思うわけでありますが、ただ国際収支の関係は、お前の知つたことじやないというお話があつたのでありますけれども、先ほど為替局長からお答えがございましたように、本件の処理に当つては、国際収支の改善にどの程度寄与するかということも有切なる根拠でございますので、その点も考慮の中に入れて通産省全体の態度をきめる、私どもの次官が外資審議会の正式メンバーでございますが、それの対外折衝の窓口の責任者が私どもになつているわけであります。今のお尋ねは問題のきわめて一部のものでありまして、それからすぐ結論をどうこうということは、答弁できかねるのではないかと思う次第であります。
#115
○春日委員 いよいよくさいのであります。はなはだくさいと思うのであります。それはわれわれの質疑を通じまして、何一つ明確にされていない。いろいろな問題をここで質疑応答いたします場合、たいがいのことは筋の通つた御答弁が願えるのであつて、反対なら反対、賛成なら賛成で、われわれはあなた方の立場を了解し、そうしてわれわれの主張と対立するところがはつきりわかる。ところが今私どもの質問を通じて何一つそうした解決がそこからは出されていないわけです。そこで私どもが疑わしく考えることは、何かこれについては一つの既定方針があるのではないか。すなわち政府の関係各省がいろいろとこの問題について、もうすでに了解し合つているのではないか、あるいは許可するという方針にきまつておる、あるいは許可せざるを得ないような状況下にあるのではないか。それを合理化するためにいろいろと持つでまわつておつて、そうしてここに試験を二回、三回やつて、そしてその技術試験の結果にいろいろ責任をおつかぶせよう、すなわち卑劣な陰謀がそこにたくらまれているのではないか、こういうような疑いを持つものであり、このことはわれわれが政府に対してはなはだしく不満に感ぜざるを得ないのであります。そこで私は、こういうようなわれわれの推測を裏づけるものといたしまして、先般来大蔵大臣がアメリカへ行つたり帰つたりいたします都度、この日米石綿の問題については許可する方針だということをしばしば新聞で発表いたしておるのでございます。そこで私は、ただいま東条局長にもお伺いしたところでありますが、いずれにしても外資法と外資審議会との関係でありますけれども、これは外資法が明確に規定いたしております通り、これは会議制の一つの諮問機関ではあるけれども、しかしながらこの外資法に規定するところの重要な案件について、各界の知識を網羅して国家的見地から答申する、こういうことがなされているわけであります。従つてその外資審議会の会長でありますところの大蔵大臣、これの見解の発表というようなものは、慎重になされなければならない。許可するかしないかということは、少くともこの外資審議会の結論が出されてからでなければ、その会を統裁するところの会長が、みだりに意思発表を行うべきものでは私はないと思う。ところが外資審議会は、本件については何らの結論を出していない。のみならず、むしろ幹事会等においては否決的な傾向が強かつたというような会議の経過も報道されておるのであります。にもかかわらず、大臣がこれに対して許可をしようというような意思発表を行い、そうして技術院が何となくこれに相呼応するがごとき第二次試験をここに行つている。このことは私ははなはだ重大な問題であろうと思うのであります。
 他の質問者もありますので私は質問を終りますが、そこで特に技術院に私どもがお願いを申し上げたいことは、ほんとうに学問と技術の尊厳、これはほんとうに政治的中立、これが最も必要なことであり、もしこれが何らかの政治的圧力によつてゆがめられるようなことがあつたといたしましたならば、これは重大な事柄であろうと思うのでございます。第二次試験に対しまして、いろいろとこの試験材料の提供等が行われているでありましようが、問題の焦点はフレキシ・ボードをめぐりまして、アメリカの製品がことほどさように卓抜したものであるか、日本の製品が劣悪にしてまつたくその用途に耐え得ないものであるか、問題はここにあると思うのであります。どうかひとつ学問の尊厳と、並びにあなた方に課せられているところの重大な使命をよく痛感されまして、厳正な試験結果の抽出をされることを強く要望いたしたいと思うのでございます。
 なお政府の関係局長諸君に申し述べておきたいことは、私が冒頭に申し述べました通り、これらの問題はわれわれが民族産業をいかに保護し育成せんとしているか、この経済自立の大目的の上に立つてわれわれはこの所論をなしておるのでございます。従いまして日本のこれらの産業に後進性があるとするならば、政府はあらゆる施策を傾けてこれは急速にアメリカ製品に追いつき、さらに追い越すほどの施策が必要であつて、今国内産業が閉止するというこのような立場に立つて、反対のための猛国民運動が展開されんとしておるところの実情等もよく考えられて、あなた方も愛国的立場に立つてほんとうに経済の自立と独立の完成、これがどういうような政策を通じて達成し得るものであるかという、こういう責任的立場に立つて、この措置を誤られないことを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。
#116
○井上委員 企業局長に、ただいまの春日さんの御質問に関連して確かめておきたいのですが、アメリカの製品と日本の製品とを比較研究試験をする場合に、あなたのただいまの答弁によると、日本で通常生産され市販されておるものと、アメリカで通常生産され市販されておるものを比較検討をする、ここで優劣を見きわめたいということで、第一回の試験がさような試料に基いてないということから第二回の試験をやることになつた、こういう御答弁のように伺いました。そこで私ども考えますのには、要は日本の国民の経済の度合いが、このスレート製品にいたしましても非常に違つて来やせぬかと思うのです。日本の国民生活が相当高まつて参り、かつ優秀な工業品を消化できるだけの状態にございますならば、これは優良品がどんどん市販をされましよう。ところが日本の国民生活の程度が非常に低く、かつ建築諸材料が暴騰しております現在においては、できるだけその国民生活の度合いに合致します安価にして優良品を出して行くということが、今日の資本主義経済の最も重要なねらいではないかと私は見ておる。そういうことを全然無視いたしまして、ただちにアメリカのように非常に高度の国民生活をしておりますところに合致する製品と日本の製品とを比べて見た場合、おのずからそこに優劣が明らかになることは当然でございましよう。そんなことは試験するまでもありません。問題はそうではなしに、日本の今のスレート工業ならスレート工業の最大の技術というものが一体どこまで進んでおるか、それが国際的に一体どの位置におるか、はたして日本のスレート工業がアメリカのスレート工業と競争できるだけの技術を持つているのかいないのか。私はここに実はねらいを置かなければならぬのじやないかと思つておる。かりにアメリカの製品と優劣を判別し得ない優秀品が国内においてもできる。しかしそれをつくろうとするためには非常に高いコストにつく。その場合どうしてそのコストを安くするような企業の合理化をはかるかということが、あなた方にかけられている大きな行政上の使命ではないかと私は思う。だからあらゆる面において検討しても技術がアメリカ製品に追いつかないというのならば、これは遺憾ながらアメリカの製品に対して学ばなければなりません。しかしアメリカ製品と比べて技術の水準においては優劣を判別することができ得ないということになつておつたならば、いかにその優秀な技術製品を市販するような産業政策をとるかということが、政府の責任ではないかと私は思う。そういう点を検討せずに、単に普通の市販をしておるものだけを取上げて来て、それでアメリカ製品と比べてみた場合、これはわれわれがあらゆる日常製品を比較検討しても、外国製品に比べて国内製品があらゆる面で見劣りしておることは、経験しておる通りであります。これは日本の国民経済の程度が高度のものを持ち得ないというところにあろうと私は思うのでありまして、どうしても国民経済水準を国際経済水準に高めなければいかぬという大きな政治問題、経済問題が横たわつておりますが、そういうことを考えずに、単に機械的に両国の製品を比べて優劣を判定さすというのなら、これはかめとうさぎとの競争と同じことでありまして、そんなことで私どもは試験の結果を期待するということは、はなはだどうも一方的なやり方じやないか、こういうふうに考えますが、あなたはどうお考えになつておりますか、時間がおそいので恐れ入りますけれども、簡単でいいですから、その点を明らかにしていただきたい。
#117
○徳永説明員 今の御意見、私どももある程度ごもつともだと思うわけであります。ただお答えしたいと思いますが、今のお話のように、生活の上でも違えば、従つて用いるものの品質も違うものがあるということは、そのほかの商品でもいろいろと例があることでございます。ごもつともだと思うわけであります。ただそういう立場に立つてみて、日本の技術がどこまで進み得るかということも考えなければなりませんが、そういう判断、研究の出発点は、私が申したようなところにあるのじやないか、その出発点から見て、それはおのずから日本の製造技術というか――たた製法はかりがその要因ではないわけでありまして、製法と、幾らでできるかということも要因になるわけでありますが、この出発点のベースの違いがどこにあるかということを見、しからば品質的に差のないものがつくり得るものか、つくり得ないものか、もしつくり得るとした場合に、それが日本の製造技術でもつていかほどの値段に相なるであろうかというようなことを推測して、そこに比較ができて来るものと思うわけであります。そういう問題の出発点は、現実になされているもの、そこから比較を求め、それから類推を出して行くということがきわめて常識的な方法じやないかということでありまして、お話のような要素も、結論を出します際には考えてみなければならないことだと私ども思つておりますけれども、しかしその第一前提になるデータは、私今申しましたようなもので求める、それを手がかりとした類推でなければ、健全な類推ということにならないんじやなかろうかというようなことも考え、とにもかくにも今のような比較検討というものが最も基礎的なものとなり得るものというふうに考えているわけであります。
#118
○井上委員 はなはだ失礼な言葉でございますけれども、通産省の企業局長としてのただいまの御答弁は、日本の産業水準をどうお考えになつておりましようか。私どもはやはり国際水準に日本の技術水準を高めることに全力を上げなければならぬ段階にあるんじやないですか。そうしてその高めるにあたつて、それに相呼応して、いかにそれに採算の合うようなコストを出して行くかということが、実はその次に考えられる問題じやないでございましようか。われわれ今日平和攻勢の中に立つて、いかにして優秀なわが国の製品を海外に輸出するか、その場合は、いかにしてよい技術を高め、それに伴う安いコストを持ち得るかということにあるんじやないかと思うのです。特にスレートのような、どつちかといえば粗工業です。そんなに高度な技術を要しません。要は優秀な石綿さえ豊富に取入れれば何ぼでもりつぱなよい品物ができる。それがいかに安く豊富に取入れられるかという条件がどうなつているかということについて、あなた方のお力でこの困難な事態を打開してもらういろいろな措置を講じてもらわなければならぬ。アメリカの製品に比べて最高の技術を日本は持つておる、競争できるだけの技術を持つておるというならば、いかにして安い石綿を入れそか、いかにして安いセメントを使うか、そしてその工程をいかに合理化するかということだけしかありません。問題はそれに必要な資金的な、あるいはまたいろいろな援助をあなた方がお与えになれば、アメリカと競争できる技術をお持ちになつているから――第二回の試験の結果は、単に市販品を取上げて来て、それでアメリカの製品と比較をしてみるというようなことになりましたならば、どうせ日本製品が悪いでしよう。特に利害関係のある小野田セメントとか野沢とかいう会社の市販品を取上げて来て、今度の試験材料に供していることは明らかであります。前には別の浅野なり野沢とかいう二つの会社のものをとつて試験をして、それが今あなたのお話のように一般市販品でなかつたというようなことですが、どういうわけで今度は一社だけにしなければならぬかということもここに問題がありますし、だから通産省の企業局の最高の責任者といたしましては、やはり技術を最高度に高めて行く、同時に合理化をあらゆる方面からはかるということが、通産行政の今一番当面した重要な任務じやないかとわれわれは考えている。そういう最高の技術をあなた方みずからが否定して、そういう最高の技術があつても、一体市販された場合対抗できるかできぬか、それがわからぬじやないか。それは内部経営の問題であつて、技術の優劣の問題じやありません。技術の優劣の判定をさようなことで下すべきじやないと思う。技術の優劣の問題は、やはりわが国全体の技術が具体的にどうなつているかということをあなた方が常に御検討されて、遅れているならば、優秀な接待を導入しなければなりませんし、指導援助を仰がなければなりませんが、そうでなくて、ここまで来ているものなら、いかにコストを下げてアメリカ製品に勝ち抜く生産コストへ持つて行くかということが私は重点じやないかと思う。そういう点を否定してどうして通産行政が成り立ちますか、どうして国際競争に太刀打ちできるわが国の優秀製品ができ上るか。技術を最高度に高めて行く、それを合理化するということよりほかに、日本の進んで行く道はないんじやたいですか。われわれのこの考え方は間違うておるのでしようか、それをひとつあなたは当面の責任者としてお答えいただきたい。
#119
○徳永説明員 先ほどからいろいろと御意見がございました中に、少しよけいかと思いますけれども、私らの立場からお答え申し上げたいと思うのであります。これはいろいろと結果を予断したようなお話があるわけでありますが、問題が行政処分としていまだ結論が出ていないものであります場合に、当該責任者として、これはこうなるつもりですとか、こうなるでしようとかというようなことは言うべき筋のことでもありませんし、ことにまず本件のように、外資委員会という諮問機関もあります場合に、そういう考えを御質問されてもお答えできない、そこに限界があるということを御了解いただきたいと思います。
 今お話ございました国産の技術を進めるということ、これは御承知のように、通産省の大きな仕事でございまして、日本の産業の国際競争力を高め、それによつて日本の経済活動の規模を拡大して行くということが、非常に大きな目的であるということば御指摘の通りでございます。ただその方向に持つて行く実現の手段としまして、いろいろなことがあるわけでございます。工業技術院というような国の研究機関を設けられていることもその一つでありますし、また民間の研究を助長奨励して行くこともその一つでございますし、またそのうちの一つの方法といたしまして、外国の進んだ技術を取入れて行くということも、その有力な方法として考えられることは御承知の通りであります。本件の場合に、いろいろな角度から、結論を出す前に検討されなければならないわけであります。この際に今井上委員がおつしやつたような考え方ということも、考慮のうちに入ることだとも思うわけでありますが、あるものを全部そのまま輸入に対抗せしめて行くという方法だけが唯一な方法では必ずしもない。従つてそういうものが国全体の経済から見れば賢明な方法でないということであればこそ、外資導入もなされておるということも、考慮の中に入れなければならない問題かと思うわけであります。
#120
○井上委員 最後に私はなはだくどいようでございますけれども、どうもいろいろお話を承りまして、あなた方まだ結論が出ていない。いかにしてその結論を見出すかということについて、いろいろ御苦心をなさつておられることがうかがわれます。ところが大体政府の腹はきまつているのですよ。きまつてなければ、大蔵大臣がこういうことを明らかに発表するはずがありません。大蔵大臣が出席しておりませんから、確かめることもできませんが、これは政務次官、大蔵大臣はかようなことを新聞記者に発表して大きな問題になつておるのですが、大蔵当局としては、事務当局にはさようなめんどうくさいことをいろいろ持ちまわらしておいて、首脳部の方では腹をきめておると違いますか。あなたお聞きになつておりますか。大蔵大臣がかようなことを外部に対して発表する以上は、次官たるあなたに相談しないことはありますまいが、どうです。大蔵大臣としては許可する方針であるということを言うとるのですが、そういうことは全然ないのでございますか。
 それから一つは、これは私はアメリカの技術が非常に高度であつたにしても、さきに東条局長からもお話がありました通り、これが外資を導入して国内産業を圧迫しても、なおかつ外貨獲得の大きな産業として役立つという確信と見通しが総合的に立ちますならば、これはわれわれも何をか言わんやであります。ところがわれわれ寡聞にして、スレートがそんなにどんどん外国に輸出されて、非常な外貨の獲得になるというようなことは、どこから考えても出ませんし、現に御苦労願つた外資委員会が数回にわたつて研究されまして検討された結果、六対二でもって、かようなものに外資を使うべきにあらずということで、これは否決されておる。それをなおかつ執拗に取上げて、何とか持ちまわつて、しかも工業試験所で試験をしてみようというところまで持ち込んで、何か窮通の道はないかともやもやしておるところに、非常に私どもとしてはおかしいという見方を持ちますし、またこれを早く何とか結論をつけてやりませんと、石綿関係の業者及び従業員は非常な不安を持つておるのです。だから一会社、一業者の利益のために、大きな不安が全体のわが国石綿産業をおおつておるのですから、これを早く払拭してやらなければなりません。またかようなことで貴重な外貨が使われるということになると、これは他の関係にも影響して来る問題でありますので、こんなものを何箇月も持ちまわらなければ解決しないというほどの問題じやないじやありませんか。日本の国民を納得さすだけの、外貨の獲得され得る何らの条件ができていないで、しかも技術は、それがかりに日本でつくつたものであつたにしても、アメリカの製品と優劣を判別できないだけの技術を持つておる以上は、技術を導入してわが国の石綿産業をそれほど高度化しなければならない事態に立ち至つていないのですから、これは何とか早く――政務次官、あなたは国会と政府との間を取持つ大切な任務をお持ちになつていますから、この問題は至急に結論をおつけになるようにひとつされたらどうかと思います。政務次官及び政府の所見を伺つておきたい。
#121
○山本説明員 大蔵大臣が、新聞等にすでにこれは許可するのだという発表をしておられるというお話でございますが、この種の外資提携を許可するかしないかということにつきましては、機関として外資審議会がございます。その審議会の答申を待つて結論を出すべきものでございますから、その手続が済まないうちに、そういうことをもし公式の席で発表されたとするならば、これは不謹慎きわまりないと私は思つております。もとより個人的にはいろいろ感想もございますよう。それを個人的に言われることはあるかと思いますが、公式に言われたならば、これは私は間違つておると思います。また私は、これはもう許すつもりでおるとかいうことを小笠原大蔵大臣から伺つたことはございません。ただこの間、ミシンのパインとシンガーの関係につきましては、羽田へ私行きましたときに、新聞記者との会見におきまして、アメリカでもこの問題が出たが、先方の言い分は、日米通商航海条約の精神に反しておるじやないかということを言つたが、自分は法律問題として反しておらぬ、何ら内外資本を差別するものではないと言つてやつたということを、新聞記者に言つておられました。それから見ますと、私は大蔵大臣は、まだこの種の問題について許可する腹になつておるとも考えないのでございます。
 なおこの問題について、いろいろ質疑が重ねられましたが、ことにもう一つの問題につきましては、あまり詳しいことを知つておりませんが、私個人の考えだけを申すならば、先ほど井上委員からお話になつた考え方にかなり同調しております。私はそういう考え方でございます。
#122
○内藤委員長代理 では本日はこの程度にとどめ、次回の委員会につきましては、来る十九日に国有財産に関する小委員会、二十六、二十七日の両日、本委員会をそれそれ午前十時に開会することといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
  午後二時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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