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1953/05/20 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第12号
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1953/05/20 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第12号

#1
第019回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第12号
昭和二十九年五月二十日(木曜日)
    午前十一時三十六分開議
 出席委員
   委員長 森 三樹二君
   理事 鍛冶 良作君 理事 田嶋 好文君
   理事 高瀬  傳君 理事 島上善五郎君
      尾関 義一君    中川 俊思君
      丹羽喬四郎君    西村 直己君
      橋本 龍伍君    羽田武嗣郎君
      原 健三郎君    松山 義雄君
      河野 金昇君    並木 芳雄君
      飛鳥田一雄君    石村 英雄君
      加藤 鐐造君    杉村沖治郎君
      鈴木 義男君    三輪 壽壯君
      川上 貫一君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 塚田十一郎君
 出席政府委員
        自治政務次官  青木  正君
        自治庁次長   鈴木 俊一君
        総理府事務官
        (自治庁選挙部
        長)      金丸 三郎君
 委員外の出席者
        衆議院法制局参
        事
        (第一部長)  三浦 義男君
    ―――――――――――――
五月十九日
 委員風見章君辞任につき、その補欠として川上
 貫一君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十日
 委員木村武雄君、高橋英吉君、中嶋太郎君及び
 竹谷源太郎君辞任につき、その補欠として丹羽
 喬四郎君、西村直己君、吉田安君及び杉村沖治
 郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
五月十八日
 公職選挙法の一部を改正する法律案
 (島上善五郎君外十九名提出、衆法第三八号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第七号)
 公職選挙法の一部を改正する法律案
 (島上善五郎君外十九名提出、衆法第三八号)
    ―――――――――――――
#2
○森委員長 これより会議を開きます。
 一昨十八日院議をもつて付託されました公職選挙法の一部を改正する法律案(島上善五郎君外十九名提出、衆法第三八号)を議題として、提出者より提案理由の説明を求めます。
  〔「それは違う」「約束通りにやらなければだめだ」「約束通りやるから、了解してくれというんだよ」「何だ、これは」「これは全国四十万学生の反対の陳情書だ」「何のために持つて来たんだ」「読んで聞かせるために持つて来たのなら、全部読め」「読めと言うなら、これから四十万の陳情書を全部読みましよう」と呼び、その他発言する者、離席する者多し〕
  〔加藤(鐐造)委員「委員長、議事准行について」と呼ぶ〕
#3
○森委員長 加藤鐐造君。
#4
○加藤(鐐造)委員 ただいま杉村委員を通じて全国の学生の選挙権に関する四十万の陳情書が提出されました。これに対して、今他の委員から、これを読めという要求がございましたので、私はこの際この陳情書をこの委員会において一々朗読することを提案いたします。
  〔「異議なし」「反対」と呼び、その他発言する者多し〕
  〔高瀬委員「委員長、議事進行について」と呼ぶ〕
#5
○森委員長 高瀬博君。
#6
○高瀬委員 これを一々読んだんでは議事の審議に支障があり、しかももつと整理してそれを代弁すればいいのであつて、これを一々読むことは、国会の議事進行に非常な障害になるから、ぼくは反対だ。何も公式に読めと言つておるのではない。
#7
○森委員長 その点につきましては、委員長といたしましては、後に理事会を開いてその態度を決定したいと思います。――鈴木さん、ひとつやつてください。
  〔「委員長、君は一体鈴木君提案のこれを議題にしておるのか。議題にしておつて、どうしてそれが必要なんだ」「だから議事進行でやつているんだ」「議題にしたのかしないのか聞いているんだ。議案に関係しない発言を許すのはけしからぬ。加藤君の発言を取消したまえ」と呼び、その他発言する者多し〕
#8
○森委員長 議事進行に対して発言を求められましたので、今許したわけでありまして、私といたしましては、特さんの御意見によつて、そうした書類の問題もあとで解決したいと思つております。――では鈴木さん、どうぞ。
#9
○鈴木(義)委員 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表いたしまして、提案の理由並びに内容の概略について御説明申し上げます。
 近時汚職ないし政治献金の問題が続出いたしまして、政治の腐敗、政治家の節度等について世論が沸騰しておることは、遺憾ながら御承知の通りであります。これが粛正改善については考慮すべき幾多の問題があると存ずるのでありますが、今日の選挙にあまりに金がかかり、また選挙運動をなすに際して法律の規定を遵守せず、あるいは脱法的行為に出でて公正なる競争を蹂躙するような傾向がその原因の一つであることも疑いないところてあります。そこで私どもは、この際抜本的に、選挙公営の一層の拡充、連座制の強化、選挙に関して受くべからざる寄付金の禁止、法定費用厳守の方策、選挙区の改正等、広汎にわたつて改正を提議したいと存じたのでありますが、このうちなお十分議の熟しないものもありまして成案を得るに至らないものもありますので、これらは後日に譲り、今回は私どもの間でほぼ意見の一致を見ました連座制の強化と寄付金の制限についてだけほぼ成案を得ましたので、これを提案するに至つた次第であります。
 次に、その内容の概略を御説明申し上げますれば、法案の一半は主として連座制の強化をはかつたものであります。すなわち、総括主宰者、出納責任者が各列挙いたしまする法案に該当する悪質選挙違反をなしましたる場合には、相当の監督注意をしたといなとにかかわらず、当然当選人がその当選を失うことといたしたいのであります。これは一見苛酷に似ておりますが、従来は、候補者が相当の、注意をしたということに隠れて、違反を犯しましても当選人はその当選の効力を失わなかつたために、選挙の粛正が十分に行われなかつたのでありますから、本法案においては、従来の免責を規定した但書を削除いたし、常に当選を失うことといたしたのであります。さらに、本法案においては、ただに総括主宰者、出納責任者が悪質の違反を犯した場合だけでなく、これらの者が違反を犯しませんでも、当選人の選挙全体を通じて著しく多数の選挙運動者または選挙人が悪質なる違反を犯し刑に処せられましたる場合には、それが当選を左右いたしたものと推定して、選挙人または他の候補者は訴えをもつてその当選への当選の効力を争うことができ、ることといたしたのであります。著しく多数とはいかなる限度をいうかは、これを、常識に照し、裁判所の判断にゆだね、判例の発達にゆだねる趣旨であります。
 この連座の範囲をどう限定するかは相当困難な問題であります。あまりに広汎にいたしますれば、競争者の旨を受けた運動者が故意に違反を犯し当選者を失格せしめるような弊害が起りまするし、これを総括主宰者と出納責任者だけに限定いたしますれば、故意にこれらの者を除外してその他の者に違反を犯さしめて当選を期するという弊害も予見されますので、本法案においては、総括主宰者や出納責任者が違反を犯さない場合でも、その候補者当選人の選挙全体を通じて著しく多数の違反者を出しました場合には、その選挙の性格を推定できるものと信じ、裁判所の認定によつて当選の効力を失わせることができるようにすることを妥当と考えた次第であります。
 これに関連して、従来は悪質の選挙違反を犯した者でも情状により選挙権、被選挙権を停止しないことにすることができたのでありますが、これは粛正の目的を達するゆえんでないと存じますので、原則としてこれらの者は選挙権、被選挙権を停止せらるることとし、情状によりそれぞれ二分の一を限度として短縮することができることとしたのであります。そして公民権停止中の者は選挙運動に従事することも禁じたのであります。悪質事犯につき時効期間を延長しましたのは、逃亡その他によつて免れる機会を少なからしめる趣旨であります。
 法案の他の部分(一九九条)は、選挙に関し寄付をしてはならない者、寄付を受けることのできない者の範囲の明確化と拡張であります。ひとり選挙といわず、公職の議員や政党が、国または地方公共団体と特殊の利害関係ある業者から、どういう名義をもつてするを問わず、寄付、献金等を受けますことは、立法その他の審議について請託等を受け、公正なる職権の行使の上におもしろからざる影響を及ぼすおそれのあることは明らかであります。よつて、この弊害を除くために、私どもは、別に政党の資金規正法の改正法案を提出して、政党に対する寄付の制限を明確にするようすでに御審議を願つている次第でありますが、この弊害は選挙に際していわゆる陣中見舞等の名のもとに最も顕著と信じますがゆえに、同様の規定を公職選挙法の中にも取入れようとするものであります。現行法でも国または地方公共団体と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者にはそれぞれの選挙に関し寄付を禁止する概括的な規定がありますけれども十分でありませんので、請負のほか新たに二ないし六を加えまして、直接または間接に、国または地方公共団体が、補助金、奨励金、助成金、負担金、貸付金、利子補給金、損失補償、資本金の出資、元金または利子の支払い保証をしている会社その他の法人に対して寄付を禁止しようとするものであります。請負等の場合を除きまして、この制限を受ける者を会社その他法人に限定いたしましたのは、実際上法人の場合が金額も多く請託の可能性も明瞭だからでありまして、個人が自己資金をもつて寄付することは必ずしも禁ずべき理由がないからであります。
 以上は内容の概要であります。詳細は御質問に応じてお答え申し上げます。
 以上本法案提案の趣旨及び内容の概略につきまして御説明いたしましたが、選挙の粛正明朗化は刻下焦眉の急務と信じまするがゆえに、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛同、御可決あらんことを希望する次第であります。
    ―――――――――――――
#10
○森委員長 次に、公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)を議題といたします。質疑の通告がありますので順次これを許します。並木芳雄君。
#11
○並木委員 まず委員長にお尋ねします炉、私どもはきのうから吉田総理の出席を要求しておつたのでありますが、首相がどうしても都合が悪い場合には、緒方副総裁でもやむを得ないということで譲歩しておいたのですが、いまだに緒方副総理の顔が見えません。何時ごろになつたら出て来られましようか。
#12
○森委員長 お答えいたします。この点につきましては、昨日来内閣を通じまして編方副総理の出席を要求してありますが、さしつかえがない限りは出席をすることの承諾を得ております。本日も出席を要求しておりますので、都合がつき次第出席するものと存じます。
#13
○並木委員 それでは緒方副総理に対する質疑は後刻に譲りまして、修正案の提案者である鍛冶委員、並びに塚田大臣に質問をいたしたいと思います。
 まず、鍛冶委員にお尋ねしたいのですが、政府提案の改正案と鍛冶委員の修正案とは、結案において確かに大した違いはないように思われます。学生さんの投票に対して与える不便というものは、これで取除かれるのではないかと思うのです。しかし、それならば、なぜ与党である鍛冶委員が、自分の支持する政府がせつかく出して来たこの改正案に対して修正案を提出するか、その根本的な理由について私どもまだ納得が行かないのであります。それをこの際わかるように説明していただきたい。
#14
○鍛冶委員 参考資料として出ておりまする選挙法改正調査会の審議の経過の概要にも出ておりますように、政府としては調査会にこれを諮問せられまして、調査会の諮問の結果、A案とB案なるものができて、そのうちのA案をとつて出されたのが政府提案の原案があります。そこでA案とB案は、今並木委員の言われた通り、建前が違うだけでありまして、結果においては大した差異のないものであります。われわれはいずれもこれを尊重して研究いたしたのでありまするが、とくと研究いたしましたる結果、住所というものの原則から考えまして、学生は原則として勉学が済めば国へ帰るということが本体であると考えますから、その点からいたしまして、住所を移して遊学地にいつまでも居住するという考えのものでない。ことに休暇になれば帰るわけでありまするし、卒業すれば帰るということが原則だから、その原則をとつてB案がよかろう、こういうのでB案を採用した次第であります。
#15
○並木委員 そうすると、鍛冶委員の修正案の骨子とするところは、住所と
 いうものの原則を守り抜いて行こう、そのためには政府の提案して来た改正案では徹底しておらない、こういう意味でありますか。
#16
○鍛冶委員 その通りであります。但し、これは原則でありまして、学生諸君が、私はもうこれからここに住むのだ、こう言つて出られた場合は、これをも拒否する考えはございません。われわれの考えといたしましては、そのときには住民登録をしてもらいたい。これは、住民登上鎌法と選挙法というものは同一に住居ということを根本原則としておりますから、それらをできるだけ一致するようにすることが法律の建前からよろしいと、かように考えてB案を採用した、こういう趣旨であります。
#17
○並木委員 住民登録をして住所としての手続ができる学生については、初めから問題がないわけであります。従つてこの修正案の中にはその問題は入つて来ないと思います。その入つて来ないほかの人々に対する問題であります。その見地から、鍛冶委員が出されたこの案を見ますと、「寮、下宿その他これらに類するものに居住する直前に同居していた父母その他の親族の現に住所を有する地にあるものと推定する。」といつております。つまり住所がこの修正案では親元にあるというふうに推定されております。この推定という文字でありますけれども、もし、鍛冶委員の言われるように、住所ということを一貫して死守したい、固執したい、こういう御念から言うならば、推定という文字は私は反対てあつて、逆効果ではないかと思うのです。なぜ鍛冶委員は住所を有する地にあるものとすというふうに、これを断定できなかつたのですか。推定するというとかえつてこれが弱くなつて、原則と例外が反対のように思われる。少くとも疑問がそこに出て来るわけです。なぜ断定して「とす」とやらなかつたのですか。
#18
○鍛冶委員 これはいつも出る問題でして、住所とは何ぞや。住所とは生活の、本拠だ。生活の本拠ということは事実問題なんであります。そこで、これに携わるところの一公務員が決定したからといつて、確定というわけには行きませんから、そこで大体の原則だけをきめておいて、あとはできるだけ本人の意思を尊重し、または実際を調べてみて、やつたことが間違つておるというならば、いつでも訂正するということでなくては実際に合わぬ、こういうことから推定ということにしておるわけであります。そうでないのだという反証さえあげれば、いつでもこれを変更し得る、こういう考えであります。
#19
○並木委員 私が推定するという言葉に拘泥するのは、修正案のあとの四のところに出て参ります。「第二項但書及び前項但書の規定は、これらの規定による申出があつた場合に限り、第二項、本文及び前項本文の住所に関する推定規定の適用が排除される趣旨のものと解釈してはならない。」これにひつかかつて来るのであります。もしその推定というものがくつがえされて来るならば、排除されているのではないか、こういう疑いを私は持つわけです。ですから、この修正案の第四和というものは非常に読みにくい条文になつて来る。ただいま申し上げました通り、「住所に関する推定規定の適用が排除される趣旨のものと解釈してはならない。」というように、非常にわかりにくい。もし第二項、でもつて「推定する」としておいて、あとで反証があがつてそうでないというならば、その推定はくつがえされて、今度は住所とみなしていいのじやないですか。そうすれば四項というものは出て来なくていい。私はそれがほんとうの法文の書き方じやないかと思いますが、いかがですか。
#20
○鍛冶委員 これはやはり注意規定で、あなたのおつしやるような風味で書いてあるはずです。こういうしとを書いたからといつて、事実を申し出たらそれにはこだわらぬのだぞ、こういう意味です。
#21
○並木委員 それは、鍛冶さんの口から聞けば、なるほどそう思うのですけれども、私どもは正直にこの法文に準拠して読んで行くし、解釈するので、それはこの四項からは出て来ないと思うのです。あくまでも推定するのだということに、むしろ提案者が拘泥しておるように私にはとれる。むしろこの四項はない方がいいのじやないですか。なければかえつてはつ、きりすると思うのですが、これはいかがですか。なくてもいい条文ですか。
#22
○鍛冶委員 これは政府から出された原案にありましたもので、政府といたしましては、これあるがゆえに、先ほど言つた推定ということを確定のようにやられて、言でいろいろトラブルが起つてはいかぬから、こうあつたからといつて、反証さえあればそのところて選言擁を行使させていいのたそとという、いわば政府としての思いやりの規定をわれわれがそのまま受継いだのであります。あとこまかいことがあれば、また政府委員からお答えいたします。
#23
○並木委員 その点だけは、与党の委員として、政府が書いた改正案の四項をそのまま受取つて記載した模様であります。鍛冶委員にも、自分の支持する政府に対する一掬の同情心というものはある模様でございます。
 そこで私は塚田大臣にお伺いしますが、政府の出して来ました改正案の四項、というのは非常にわかりにくい書き方なんです。今のように説明を聞いてみればそれはわかりますけれども、説明がないとわかりにくい条項でありますから、これはむしろなくてもいいのじやないか、削除してもいいのじやないかと思われますが、もしこれがどうしても必要だというならば、その点を説明していただきたいのであります。
#24
○塚田国務大臣 しばらくこの問題の審議をいたしておりません。したので、今ちよつと頭に出て参りませんから、政府側の委員からお答え申させます。
#25
○鈴木(俊)政府委員 ただいま御指摘のこの第四項でありますが、これは第二項あるいは第三項の規定の推定に対しましてそれぞれ但書があるわけでございます。この但書は、要するに、第二項、で申しますならば、いわゆる子生の寮その他があるところに一応住所があると推定する。しかし本人が郷里の方にあるのだということを申し出た場合にはこの限りでない、こういうことを第二項は申しておるわけでありますが、第四項では、そういう申出ガありました場合に、それは常に郷里にあるのだというふうに決定をしてしまうのではないのであつて、それは推定規定の適用を排除するだけでございますから、従つて現実においてはたして郷里にあるかどうかということを確かめた上、郷里にあるということならそれは郷里に登録をしてよろしい。しかし、その申出がありましても、やはり現在の寮等のあるところにあるのだということが明確であるならば、それは寮のところにある、こういうふうにしようということでございまして、要するに客観的事実並びにその意思が加わりました生活の根拠である住所というものが、さような要素によつて決定されて来るわけでありますから、そういう真実をこの申出によつて変更することはできないわけであります。ですから、そういう真実は真実として通すのだということを、四項の規定におきまして念のために書いたわけであります。
#26
○並木委員 念のために書いた規定でしよう。そうするとこれはなくてもいい、なくてもちつとも因らないという反対の解釈が成り立ちますけれども、それでよろしゆうございますか。この法の運営においてはなくてもさしつかえないと私は思う。それならばそれでわれわれは了承できます。この規定がいかにもかたく書いてありまして、せつかく第二項、第三項、で政府が親心を出してここまで改正をして来たのでありますけれども、第四項でまた逆もどりをするのではないかという、一縷の望みではなくして、一片の疑いを抱くわけであります。「推定規定の適用が排除される趣旨のものと解釈してはならない。」とあるので、実際に学生の選挙権がどこにあるかということを調査する実務機関が非常に困ることが出て来るのではないか。たとえば、選管だとかそういうところで、この規定があるために、排除される趣旨のものと解釈してはならないということを強くとりますと、非常に厳格に調査して行かなければならないということにこだわつて来て、よほどの反証が強く現われないと、現住所たる居所で投票ができないような場合が起るのではないか。そういう問題が起る。政府の改正案では親元の住所では投票ができなくなるおそれがあり、鍛冶修正案は現下宿先で投票ができなくなるおそれもある。そういうことが心配されるわけであります。ですから、これはいわば盲腸みたいなもので、あつてもなくてもいいのだというふうに――はつきり今のように、念のためと言われたのでありますから、おそらくそうでありましようけれども、そういうふうにはつきり言おいていただけば、われわれはその点は了承したいと思います。もう一度御答弁願いたい。
#27
○鈴木(俊)政府委員 この四項は、先ほど申し上げましたように、二項なり三項なりで、原則として推定し、但書で、申し出た場合にはその推定規定を適用しない、こういうふうになつておるわけでございますが、それに対して、申出があつた場合に限つて推定規定が排除されるのだと解釈してはならない、こう言つておるわけでありますから、これは要するに、一応推定をするが、もしも本人がそれと違う反証をあげて、真実はこうであるということが明らかになり、あるいは名簿調整の責任の者が、明らかなる真実を把握して、住所はここにあるのだということが明確になりますならば、かりに推定とは反しておりましてもそれをとる、こういうことでありまして、これは、推定という表現を用います以上は、こういうふうにきめてしまうわけではございませんから、その推定をくつがえすだけの明らかなる真実があれば、その真実をとるということが、推定という表現からいつて当然の事理とも言えるわけです。しかし「推定する」と書きますと、何かそういうふうに決定的にきめてしまうのだ、また申出があつた場合には逆に解釈をしてしまうのだ、こういう心配がありますので、実際上の誤りなきを期するために、念のためにこの四項を書いておいたというふうに御解釈願いたいと思います。
#28
○並木委員 その点は私疑問に思つておつた点でありますが、今の御説明で大体納得します。
 ところで、自治庁が、百八十度のコペルニカス的転回をして、公職選挙法の一部を改正する法律案を出すに至つたその動機と原因を、この際明らかにしておいていただきたいのであります。
#29
○塚田国務大臣 これは、何か委員もそのようにお尋ねになりますし、また世間一般にもそのように考えられておりますけれども、考え方に何にもかわつておるところはないのでありまして、自治庁が在来とつておりました態度というものは、今までの法律のもとに、今までの学説、範例を基礎にした解釈から行けば、戦争後混乱時にとつておつた態度が誤つておつた、それを直そうといつたのが先般の通達の趣旨なのであります。しかし現実に今日の学生諸君の生活状態と昔の状態とは相当かわつておりますために、実際の上で非常に困難がある、また不便があるというような御意見が多々あつたので、それならば立法措置によつて何か措置をするならば、これはおのずから問題の解決ができるのであるということで、選挙制度の調査会に御諮問をいたしましたところが、いろいろと御意見があり、そしてA案、B案というようなものが出ましたので、そのA案によつて法律で一応きめていただく、こういうことになつたわけでありまして、私どもが考え方を非常にかえたということでは毛頭ないのでありまして、事柄の性質上法によつておきめになればできることを、それでは法によつておきめ願うということでけつこうである、こういう考え方なんであります。
#30
○並木委員 その点大分最初は面子にこだわつておつた。自治庁としてとにかく考え方にはかわつていないかもしれないけれども、こういう形式の上でかわつた形で提案をして来たということに対しては、私はむしろほめてやろうと思つておつたのです。ところがここに、あにはからんや、あなたの政府を支持する与党から、せつかくここまで改正案を出して来られたにかかわらず、修正案が出て来た。これは、私に言わしむれば、政府と与党の間の連絡が非常についてないということになると思うのです。
 その前に、私は鍛冶委員にお伺いしたいのですけれども、鍛冶さんは非常に住所ということにこだわつておられる模様でありますが、特にそれにこだわるもう少し深い理由というのはないのですか。あなたの方の政府がこういう改正案を出して来た。それで、結果となつて来るところのものは大体満足すべきものであるとするならば、それほど住所というものにこだわる必要はないんじやないか。この修正案と改正案を見ますと、今まで一年になんなんとする間われわれが論争して来た重点を、政府はどつちに置くか、与党の鍛冶さんはどつちに置くかということは、まるつきり白と黒なんです。この点が今日まで争われて来たので、これは単なる一部の軽い修正案とは事かわります。政府の考えておる改正案と鍛冶委員が出した修正案とはまつたく反対なんです。これは、言いかえれば、政府と与党は一心同体であるべきにかかわらず、精神が分裂しておるのだ。このごろの保守新党のようなもので、緒方新党もあれば何もあるという、そういうものと同じものなんだ。鍛冶委員としては、住所というものにある程度こだわるのはいいんですけれども、その意思がわかつて来たならば、今日この修正案を引込めて、そして政府の改正案に賛意を表していいんではないのですか。それがどうしてもできないという何か実質的の、もう少し深い理由があるならば承りたい、こう思います。
#31
○鍛冶委員 法律論と政治論と二つわかれておりますが、法律上住所と言います以上は、選挙法に言う住所も民法に言われる住所も同一となければならぬとわれわれは考える。選挙の便宜のゆえをもつて――選挙法に住所とは書いてあるけれども、住所は便宜上どうしてもいいのだという考え方はわれわれはとらない。そこで原則としてどこを住所として認めることが一番いいか。これに非常に力を入れたわけであります。従つて、A案に対してわれわれは全然頭から反対でも何でもない。
 これを尊重して研究いたしましたが、研究した結案、やはりこれは民法の住所と選挙法の住所と一致せしむるならば、B案の方がよろしい、こういう結論に達したゆえにB案をとつたわけであります。
 それから、政治上の問題で政府と云云と言われるが、われわれも政府から出されたものを頭から捨てる考えを持つてやつておつたのではありません。さしつかえない限りはこれをとろうと思つていろいろ研究しましたが、今言うように、法律論といたしましてB案がよろしい、さらに、今塚田国務大臣から言われたように、政府といたしましてもそれほどどうもこれにこだわつておられるものとも考えられませんから、A案とB案とあつて、そのうちのA案をとつて来たといつても、われわれはB案をとつてもいい。それほど私は政府はこだわつておられぬと思います。またりくつの上から言うならば、われわれ国会は唯一の立法機関でありますから、それにかかわらず、われわれの信ずるところをもつて立法するということは一向さしつかえない、こう考えております。
#32
○並木委員 ただいまの点についてはなお他の委員から質問があると思いますから、私は、大体改進党としても鍛冶修正案に賛成の色が濃いようですから、あまり深くつつ込んで行くと、こつちが精神分裂症に陥るおそれがありますから、私はこの辺でとどめておきますけれども、私は塚田大臣にお伺いしたい。
 大臣は、忘れもしないでしようけれども、数日前大蔵省から出して来た資産再評価の何とかいう法律ですが、それについて実に世にもふしぎなことが現われたんです。政府の原案を野党たるわれわれが支持して、当然支持しなければならぬはずの与党が反対した。本会議の投票では、与党が青票、野党が白票という前代未聞の珍現象が現われたのであります。このごろは吉田さんの頭葬つているからいろいろ珍現象が現われましようけれども、今のように白か黒かという二つの考え方、近点の置き一方が違う修正案が出て来た。これが本会議にかけられた場合に、この改正案を提案した責任者であります大臣としては、どちらに投票されるおつもりでありますか。
#33
○塚田国務大臣 最終的に御決定になりませんから、どうするということはここでは申し上げられませんけれども、大体ああいう場合の物の考え方といたしましては、もちろん政府が原案をつくります場合には、与党と十分折働いたしまして、与党と意見を調整しつつ政府の、原案をつくつて行くというのが、災際の運びであることは、申すまでもない。従つて、普通の場合には、国会に提案をいたしまして、与党側が主になつて修正という形が出るということはまずないのが普通の状態でありますけれども、しかしこの問題のように非常に微妙であつて、どちらにしても絶対にこれはこつちが正しい、こちらが正しくないというような問題でないときには、与党内部におきまして――これはどの政党でもそうであろうと思いますが、非常に微妙なところで政府の意見がきまり、それがいよいよ国儀において最終的な御審議になる段階において与党の考え方もかわつて来るという場合には、最終的に与党がそのような修正をいたすということであれば、これはもちろんそこまで至る段階にこれをいろいろの諮るべき機関に諮つてきめておりますから、最終的にそのような措置がたとい与党側からでも行われました場合には、われわれといたしましては国会の修正の線に沿つて投票する、こういうように考えていたたきたいと思います。
#34
○並木委員 出に若い大臣で感覚のいい大臣ですから、よぼよぼの大臣なんかよりは塚田長官を大いに支持してやりたいという心境でありますけれども、今の答弁を聞いておつたんでは、養われわれとしては心細いのです。いやしくも大臣です。与党岡の連絡を密にして、あとから修正案が出て来るようなまずい法案の提出の仕方は厳に威しむべきものだと思う。出すには出すけれども、それが修正になつたならばこれに従いますというような信念のない大臣では――われわれはそれと闘つて行く点において塚田大臣に大いに期待しておつたのでありますけれども、ただいまの答弁を聞いて、私は残念ながら及第点をやることができない。本来ならば、改進党がこの鍛冶修正一案に反対しておるならば、壕田大臣の不信任案を今日すぐ出してやつてもいいくらいの気持が私今起つた。先ほどから聞いておりますと、ほかの仕事にとりまぎれておつて、しばらくこの選挙法の改正案については私は関知しておらなかつたから、鈴木次長をして答弁せしめます。こういう答弁があつたのですけれども、これなども、大臣は非常に正直だから言つたのでしようけれども、その正直さは買いますが、こんな無責任な発言は私はないと思うのです。これは、政治論として、いかに大きな波紋を投げて来て、ことにその実際に当るところの選挙管理委員というものは、どれくらいこれに対して迷惑をし、早く解決をつけてもらいたいという要望が起つておるかということは、大臣も御存じのはずなんです。それを無視し七今日まで怠けておつた。しかも与党との間の連絡を密にしなかつたという政治責任というものは大だと思うのです。その点について大臣は一片の責任を感じておられないかどうか、もう一度重ねて私は追究的にお尋ねしてみたいと思います。
#35
○塚田国務大臣 さつきもお答えいたしましたように、政府といたしましては、この問題については、どのようにおきめくださつても、法律でおきめくださるということが、今までの法律の上、政府がそれを解釈して起る混乱がなくなるという意味において、非常な関心を持つておるのであります。A案であつてもB案であつても、私はこの場合においてはそう大きな違いはないというように感じておるので、ぜひこれを一日も早く国会側で御決定くださるということに、非常に大きな関心を持つておるわけであります。
#36
○並木委員 それくらいにしておきましよう。
#37
○森委員長 これにて休憩いたします。
 午後一時半より再開いたします。
   午後零時二十二分休憩
     ――――◇―――――
  〔休憩後は開会に奄らなかつた〕
ソース: 国立国会図書館
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