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1953/10/28 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 建設委員会 第44号
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1953/10/28 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 建設委員会 第44号

#1
第019回国会 建設委員会 第44号
昭和二十九年十月二十八日(木曜日)
    午前十一時四分開議
 出席委員
   委員長 久野 忠治君
   理事 瀬戸山三男君 理事 志村 茂治君
      青木  正君   岡村利右衞門君
      高木 松吉君    丹羽喬四郎君
      堀川 恭平君    山田 彌一君
      赤澤 正道君    五十嵐吉藏君
      村瀬 宣親君    三鍋 義三君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (主計官)   鹿野 義夫君
        大蔵事務官
        (理財局地方資
        金課長)    牧野 誠一君
        建設政務次官  荒舩清十郎君
        建設事務次官  稲浦 鹿藏君
        建設事務官
        (大臣官房長) 石破 二朗君
        建設事務官
        (計画局長)  渋江 操一君
        建設事務官
        (河川局次長) 植田 俊雄君
        建設事務官
        (住宅局住宅経
        済課長)    鮎川 幸雄君
        建 設 技 官
        (道路局長)  富樫 凱一君
        専  門  員 西畑 正倫君
        専  門  員 田中 義一君
    ―――――――――――――
九月二十七日
 委員矢尾喜三郎君辞任につき、その補欠として
 佐竹新市君が議長の指名で委員に選任された。
十月六日
 委員高田弥市君辞任につき、その補欠として三
 池信君が議長の指名で委員に選任された。
同月十四日
 委員三池信君辞任につき、その補欠として淺香
 忠雄君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十二日
 委員淺香忠雄君辞任につき、その補欠として高
 田弥市君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十七日
 委員田中稔男君辞任につき、その補欠として阿
 部五郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十八日
 委員松崎朝治君辞任につき、その補欠として青
 木正君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 派遣委員より調査報告聴取
 災害復旧に関する件
    ―――――――――――――
#2
○久野委員長 これより会議を開きます。
 去る九月二十六日洞爺丸事件にて遭難されました故菊川忠雄君は、今国会におきまして土地区画整理法案等の審議の際には、本委員として御活躍されたのでありますが、この際同君の御逝去に対し、本委員会としまして、つつしんで哀悼の意を表し、同君の御冥福を祈る意味で黙祷をささげたいと思います。御起立を願います。
  〔総員起立黙祷〕
#3
○久野委員長 第十二号台風及び第十四号台風による被害調査のため、静岡、愛媛、徳島及び鹿児島、宮崎、大分、熊本の各県に委員を派遣いたしたのでありますが、この際派遣委員より調査の報告を聴取いたすことといたします。第一班、三鍋義三君。
#4
○三鍋委員 私は、主として中部地方における土木関係公共事業調査の報告をいたしたいと思います。
 今般、去る十月十二日より六日間にわたり、衆議院規則第五十五条に基きまして、久野委員長を団長として、佐藤、岡村、山田、志村の各委員並びに小生は、静岡、愛知、岐阜、富山及び福井の各県内における災害復旧状況並びに土木関係公共事業の進捗状況を調査して参りましたので、その概要を本委員会に御報告申し上げ、あわせて政府当局の御所見を詳細に承りたいと存じます。
 まず静岡県におきましては、去る九月の第十四号台風の被害が甚大でありまして、土木関係の災害復旧所要額は約十五億円でありまして、今年分を合計しますと約十八億五千万円に達しているのであります。十四号台風の特徴といたしましては、比較的短期間に強烈な雨が県の中部地方に集中したため、大河川には被害が少くて、中小河川が破堤決壊等の甚大な被害をこうむつたのであります。潤井川と沼川は河口で合流しているのでありますが、波浪のため約六万立方メートルの土砂が河口を閉塞し、上流部よりの洪水の湛水と相まつて合流点付近で破堤し、千数百町歩の耕地一面に氾濫し、幾多のパルプ工場等は、操業中止のやむなきに至つたのであります。これが対策として、地元では海中に建設中の導流堤の延長施工と、沼川放水路の新設を強く要望していますが、これに対する政府の基本的治水計画を具体的に承りたいのであります。
 安倍川、朝比奈川、大代川、太田川、原野谷川等も随所に破堤決壊したのでありますが、これら山間部における橋梁の流失は百二橋の多きに達し、奥地居住者の糧道はまつたく切断されて、復旧作業にも致命的な障害を与えたのであります。山間急流部において連続流失した木橋を再度木橋で原形に復旧することは、まことにむだな話でありまして、災害を再度繰返すにすぎないのであります。地元におきましては、橋梁の数を減少してでもいいから、永久橋の架設を熱望していますが、この点に関し政府当局の基本的査定方針を承りたいのであります。
 焼津海岸も、強風に伴う波浪のために、防波堤は延長百五十メートルにわたり全壊していますが、港域内の防波堤も同時に補強する必要があります。
 道路関係の被害は、豪雨に伴う河川の氾濫、山くずれに基因するものが多く、特に山地における交通杜絶は枚挙にいとまがないほどでありまして、東海道の大幹線たる一号国道の宇津谷隧道は、山腹の崩土約七千立米の大崩壊により埋没し、いまだに東海道の交通を遮断し、海岸沿いの迂回路により辛うじて連絡を保つていますが、輻湊する交通量のため、現地は相当の混乱状態であります。地元におきましては、かかる災害防止の見地からも、改良路線の即時着工を希望していますが、この点に関し当局の御意向を承りたいのであります。
 伊豆地方では、半島を一周する観光道路の完成を要望していましたが、特にその起点とも称すべき熱海−伊豆山間約二キロの有料道路は、公募債でもいいから今年度内に着工するよう強く要望しています。事実熱海駅付近の交通地獄は、まことに目をおおうものがあり、これが緩和策としては、海岸線の新設以外に他に手段はないのであります。
 次に、箱根国道の鋪装工事について一言いたします。本鋪装は、昭和二十五年度の見返り資金により、全線十数キロにわたり一挙に施工したのであります。われわれは、今回たまたま熱海より十国峠を経て、箱根山頂より三島に下つたのでありますが、その間鋪装の大半は亀裂のため破壊し、砂利道よりもさらに交通困難となつております。国の直轄施工した鋪装工事が、僅々二、三年で全壊にひとしい破滅状態に陥るということは、まことに土木技術上からも、国費損失の点から申しましても、ゆゆしい大問題であります。破損の原因としては、地盤の不良、鋪装厚の不足、冬期施工等があげられていますが、これらはいずれも施工当時において当然予知せられた事柄でありまして、不可抗力的原因とは考えられません。当然、不良地盤部分には基礎工事を行い、冬期施工には保温設備を設け、山地の勾配区間のコンクリート鋪装は二十センチ厚以上とすべきであります。この破損の原因と今後の対策等に関し、納得の行く当局の御説明を承りたいと存じます。
 次に天龍川に施工中の画期的一大土木工事たる佐久間及び秋葉ダムの建設状況を視察いたしました。佐久間ダムは、百五十メートルの高堰堤を築造して、最大三十五万キロワットの電力を発生せんとするもので、約三箇年で完成せんとするものでございます。本工事の特長としましては、強力なシヨベルと厖大なダンプカー等を多量に米国より輸入して、これらの移動機械力により夏冬を通して連続工事を施工し、電源の早期開発をわが国において初めて実行せんとする点であります。事実これらの機械は、毎日二十一時間ずつ連続使用に耐え、洪水時には四十分間で工事現場より安全箇所に一斉に避難するだけの起動力を持つています。しかもその機器の購入費は約二十五億円でありまして、総工費の一割にも及ばないのであります。
 次に、愛知県におきましては、主として海岸災害復旧事業を調査いたしました。本復旧費は、第一期百四億円、第二期九十五億円、合計約二百億円でありまして、目下第一期の約三分の二を完了しているのであります。農民の耕作意欲の喪失をおそれ、今年台風季までに、最も危険と思われる箇所の工事を強行施行したため、二十八年度に十億円、二十九年度に十四億円合計二十四億円の仕越し工事を生じ、県としてはこれが対策として国からの融資の一日も早からんことを熱望しています。県当局としては、融資が遅延すればするだけ、その間請負業者への支払いを延期する以外にやりようがないと申しています。
 第一期工事は明年度で完成の予定であるが、第二期工事たる波返し工事も、これと並行して実施しないと、海岸の保全は確保できないのでありまして、現に浅井海岸は、今回の第十四号台風によつて破堤しています。この融資の問題と第二期工事の施工の時期に関し、建設大蔵両省の明確な御意向を承りたいのであります。
 次に、岐阜県について申し上げます。本県では、町村工事を合せ二十八年災約十八億円、今年災約五億円でありまして、仕越し工事及び応急工事に対する国費支出を要望しております。特に町村は財政逼迫の折から、融資の希望が最も熾烈であります。可児郡、加茂市等では、亜炭採掘による落盤等に対し、賠償費で復旧しておりますが、遅々として工事が進行しないので、国庫補助を要望しております。神淵町では流出橋梁二十六橋に達し、永久橋の架設を望み、高山、吉城、萩原管内では、特に砂防工事の促進を要望しております。また神岡町、上宝村では、昨年の高原川の大崩壊に対し、特別の措置を講ずるよう切望しておるのであります。飛騨地方全体としては、県内を縦断、横断する二級国道名古屋−冨山線及び福井−松本線の改修を要望し、特に神原峠、平湯峠、軽岡峠及び白川地内の屈曲箇所の改良工事の早期着工を熱望していますが、これらに対する政府の御所見を承りたいと思います。
 次に富山県におきましては、河川及び道路改修促進の要望が大半でありました。一級国道八号線の呉東地区を直轄して改修するよう、また庵谷隧道は目下施工中であるが、残額一億四千万円を明年度中に支出して、国道名古屋−冨山線の隘路を早急に打開するよう強く要望がありました。立山有料道路は、第一期工事として美女平より弘法まで約十キロ間はほぼ完成しているので、これに対する今年度融資六千万円は緊急を要すると考えます。なお立山の資源開発及び国際的観光の見地からは、ぜひとも第二期工事として弘法より室堂まで十キロ間の完成を必要と考えますが、これに対する当局のお考えを承りたいのであります。
 本県は地勢急峻にして、急流河川が乱流し、砂防河川としてタワー・エクスカヴエーター等による改修工事は相当進歩していますが、黒部橋、神通大橋、萩浦橋等の長大橋の施工は遅々として進捗しておりません。また本県の海岸線は年々浸蝕して、護岸堤防はさいの河原のように毎年破壊されている状態でありまして、沿岸の住民一同の不安を増大していますが、これに対する当局の具体的御意見を承りたいのであります。
 黒部市におきましては、最近の火災により約百四十戸を焼失していますが、これが復旧に対し、住宅、店舗等の建設等に対して、政府としても適宜の援助を与えるよう要望いたします。
 最後に、福井県について申し上げます。本県は昨年第十三号台風により、約四十億円の甚大なる災害をこうむつたのでありますが、愛知、三重両県の災害と重複したために、あまり世間の注意を引かなかつたのであります。小浜地方は特に被害が激甚でありまして、復旧総額は約三十億円に達し、五本の助成河川を擁し、工事の促進と仕越し工事に対する融資を熱望しております。本地方では法覆工I型コンクリート・ブロックを使用しておりますが、工費の点からもすこぶる有利であると思うのでありますが、これに対する当局の御批判を承りたいと思います。
 九頭龍川は一応改修を終了しておりますが、二十三年の震災以来、再改修を要望する声が強く、昨年の洪水量にかんがみ、五箇年計画をもつて五百三十万立米の低水路掘削工事の開始を要望していますが、当局の具体的見解を承りたいのであります。
 なおこれに関連して真名川開発工事の促進も希望されています。武生−河野村間の国道は、急勾配区間で紆余曲折しているために事故が頻発するので、有料道路としての早期改修が県当局において企図されていますが、有料道路とするか、あるいはまた公共工事として早期着工するか、これらに対する当局の御見解を承りたいのであります。
 以上簡単に御報告申し上げましたが、質問事項各個に対し、政府当局の責任ある具体的御所見を承りたいと存じます。
#5
○久野委員長 堀川恭平君。
#6
○堀川委員 今般去る十月一日より六日間にわたり、衆議院規則第五十五条に基きまして鹿児島、宮崎、大分、愛媛の各県下における災害の状況を調査いたして参りましたので、ここにその概要を簡単に御報告いたしますとともに、所見を申し述べ、関係当局の具体的な御答弁を承りたいと存ずるのであります。
 まず各県の災害の概要につきまして、きわめて簡単に申し述べますと、これら各県は、いずれも六、七月の豪雨、五号、十三号、十二号及び十五号台風によりまして、建設省関係災害復旧額は鹿児島県十七億六千万円、宮崎県三十六億一千万円、大分県十七億円、愛媛県三十億円に達しているのであります。しかして、これら各県の被害箇所のおもなるものといたしましては、鹿児島県におきましては天降川、万膳川水系の二千二百万円、直轄河川、川内川水系の五千万円、宮崎県におきましては大淀川水系の綾町を初めとする七十九箇所約四億円余、五ヶ瀬川水系の日ノ影町を初めとする三十箇所約二億円、及び五ヶ瀬川水系に沿つて通ずる二級国道延岡−熊本線中、日ノ影町より県境に至る間の被害箇所百一箇所、約四億四千万円がおもなるものであります。大分県におきましては久留米−別府線、大分−犬飼線、犬飼−三車線及び二級国道大分−佐伯線等、道路関係災害の七億円余がその大なるものであり、愛媛県におきましては宇和島−八幡浜−松山を結ぶいわゆる中西部の海岸及び島嶼部における道路関係災害千百七十一箇所約九億五千万円、海岸関係災害四百十四箇所九億円がそのおもなるものであります。
 以下今回の調査による所見を申し述べ、関係当局の具体的な御答弁を得たいと存ずるのであります。
 第一には、砂防に関して昭和二十八年度における災害特例法の運用に関する問題であります。すなわち昨年度特例法の適用を受けた事業に対しましては、第四条に規定せられる道路関係災害は別といたしまして、これが完成までは、当然本法の規定による高率補助により事業の推進がなされるべきでありますが、第五条の規定による地すべり、山くずれ等に対する砂防事業のみにつきましては、昨年度におきましては本法の規定による高率補助が認められたにもかかわらず、本年度におきましては、これらの高率補助は認められていないのであります。すなわち大分県玖珠川野上地先の砂防工事を例にとりますと、総事業費三千六百万円余中、昨年度における九百七十万円につきましては本法による九割の補助がなされたのでありますが、本年度における一千万円につきましては、高率補助は認められておらぬのであります。愛媛県における特例法による砂防工事の残事業量約二千万円につきましても同様でありますが、このことは砂防事業のみが昨年度においてすでに本法第五条に規定する大水害又は風水害により著しい災害を生ずるおそれのある防止事業を完了したという御見解のもとになされたのでありましようか。著しい災害を生ずるおそれのある事業を、砂防のみに限つて約半年の間に完了できるということは、とうてい常識では考えられないのでありますが、この点に関する当局の御見解を承りたいと存ずるのであります。
 第二には水防資材の費用負担に関してであります。すなわち水防法施行前におきましては、河川、海岸等の災害箇所であつて、維持管理が県に属する部分につきまして、かます、くい等の水防資材を市町村が使用いたしまして水防活動を行つた際におきましても、その立てかえ費用については、後日県が市町村に払いもどしておつたこともあつたのでありますが、水防法が実施せられて以来、本法第三十二条の規定により、水防資材の費用に対する補助の道がとざされ、弱小市町村におきましては、これが負担にまつたく苦慮いたしておる状況であります。このことは、当委員会におきましても、本法審査の際問題となつた点でありますが、本年のごとく数回にわたる台風が、しかも同一地方のみに集中いたしました際におきましては、特にこの感が深いのであります。一方本年度におきましては、水防資材費といたしまして約一億円が支出されたのではありますが、この程度の額をもつてしましては、一県当り二百万円程度にすぎないのでありまして、わが国河川のほとんどが災害に際し、これら水防活動に依存せざるを得ない現在の実情よりいたしまして、この際水防法に水防資材等に関する国庫補助の規定を設けるべく検討の必要があると思うのでありますが、建設省当局の所信を承りたいと思うのであります。
 第三は、大淀川轟堰堤の問題について申し上げます。
 大淀川第一発電所の轟堰堤は、大正十一年に築造されたのでありますが、本堰堤の設置以来、年々土砂の堆積により、河床の上昇を来し、地元におきましては、これが上昇高は三メートルに及んでいると称しておるのでありますが、これがバック・ウオーターによる影響と相まつて、年々わずかの出水によりましても上流盆地三千五百町歩の耕地の冠水となり、今次十二号台風による水害により、池島、広瀬、中向の三部落は、遂に集団移転を考慮するに至つたと言われているのでありまして、地元関係市町村といたしましては、たとい建設省直轄工事による大淀川上流改修工事が進捗いたしましても、本堰堤の存在する限り、例年の水害は免れ得ないものとして、本堰堤の撤去を強く主張しているのであります。一方電力会社側といたしましては、本堰堤の存在はこれらの洪水に対して絶対的な原因となり得るものではないとの見解のもとに、過去三十年間に、わずか一千万円の見舞金を地元に贈つているにすぎない状態であるのであります。両者の見解はまつたく対立のまま今日に至つておるのであります。
 しかして本問題が当委員会におきまして議論されてより、すでに数箇年を経ているのでありますが、今日に至るまで、これら河川改修の責任者たる建設省当局の積極的なる技術調査による具体的な結論に接し得ないということは、まことに遺憾に思うのであります。大淀川の改修計画を従来の堤防方式によつて強行するか、あるいは堰堤により洪水を調節するか等の計画は、一にかかつて本堰堤の正確なる影響調査の結論をまつ以外に道はないのでありまして、建設省当局といたしましては、積極的にこれが調査を行うとともに、行政府の責任において確固たる対策を樹立する必要があろうと思うのであります。
 第四は、五ケ瀬川改修計画の促進についてであります。
 本川延岡市内大瀬橋−安賀多橋間の堤防は、相次ぐ台風、特に十二号台風により、箇所数にして四箇所、復旧費として約五千万円余の被害をこうむつたのでありますが、同区間に対しましては、直轄工事により右岸約五十メートルを引堤することによる用地費一億九千万円、堤防新設費五千六百万円、浚渫費三億三千万円、計五億七千万円をもつて改修計画が樹立せられており、すでに二十七年度以来本年度までにおきまして、用地費一億九千万円中九千万円が支出されているのであります。従いまして、これらの被害箇所をそのまま災害復旧費をもつて復旧いたしますと、現在進められている直轄改修による新設堤防が完成いたしたあかつきにおきましては、これら災害復旧費は、単に国費の浪費のみならず、改修計画の障害とさえなる性質のものであります。しかしながら、比較的雨季の早い当地方におきましては、明年の出水季までにこれをこのままに放置いたしますことは、とうてい許されないことでありますので、この際災害復旧費と直轄工事費との合併施工によつて、早急に新改修計画を促進いたしますことは、工事能力の上からも、また国費の有効使用という点から見ましても、最も理想的と思うのであります。
 ただ合併施行により改修工事を促進するといたしましても、用地買収の完了せざるうちに新設堤防を施工することはできないことでありますので、昨年度におきましては残余の用地費一億円、堤防費五千六百万円に災害復旧費五千万円を加え、計二億円余をもちまして、台風季を目標に急速に工事を進めますと同時に、残余の計画につきましても、年々の災害を考慮いたしますとき、少くとも二箇年ないし三箇年をもつて完成せしめる必要があると思うのであります。この点に関し特に建設、大蔵当局の御見解を承りたいと存ずるものであります。
 第五には、特殊土壌地帯における道路に対する第二種特殊改良工事の実施についてであります。
 特殊土壌、特にシラス土壌が、水蝕作用に対しはなはだ脆弱であることは御承知の通りでありますが、これらの地帯における道路は、国庫補助災害の対象とならない霧雨による泥濘、豪雨に上る路面の流失、特にシラス地帯特有の側溝の深掘れ等により、例年降雨のたびごとに数回ないし十数回にわたり交通杜絶の状態に陥つているのであります。しかしてこれら県当局といたしましては、その都度県単独費をもつて応急工事を施工しては流され、流されてはまた施工するという状態を繰返しているにすぎない状態でありまして、これら宿命的な特殊土壌地帯の道路に対し、完全恒久的な路面復旧、側溝施設を行うことは、とうてい今日の地方公共団体の財政をもつてしては行い得ない実情にあるのであります。従いまして、この際、北海道地方の道路の凍上対策にとられた処置と同じく、これら特殊土壌地帯の道路に対しましても、第二種特殊改良事業として三箇年ないし五箇年にて路面復旧、側溝施設を恒久的なものにする必要があると思われるのであります。特に鹿児島、宮崎等その七割以上がシラス土壌で占められている県におきましては、特にこの要望が強いのでありますが、御当局の御見解を承りたいのであります。
 第六に、愛媛県下における地盤変動対策事業の促進について申し上げます。
 今年度における愛媛県下海岸関係九億円、海岸道路関係九億一千万円余に及ぶ災害は、五号以来相次ぐ台風によることは申すまでもないのでありますが、本県におきましては昭和二十一年十二月の南海大地震に基因して発生せし地盤の変動が、いまだに静止の状態にないことが、これら海岸関係災害を累積せしめていることも否定できないのであります。しかるに、本県における地盤対策事業は総事業費九億九千万円中、本年度末までの進捗率はわずかに一四%にすぎない状況でありまして、現今のごとく年々四、五千万円程度の予算をもつてしては、これが完成にはなお十数年を要する計算となるのでありまして、地盤変動のごとき影響範囲の大なるものにつきましては、少くとも五箇年計画くらいで完成せしむべく促進する必要があると思うのであります。
 最後に、一級国道十号線中、鹿児島市清水町磯間における道路変更工事の促進について申し上げます。
 国道十号線中、鹿児島市清水町磯間におきましては、延長わずか一・五キロの間に二箇所の踏切りを有しているのでありますが、その一つは、鉄道操車場の一部で遮断回数が多く、他の一つは、鉄道トンネル出口の至近距離にあつて危険著しく、ために当該地点一日二千台の交通にはなはだしい障害を与えているのであります。しかるにこれら二つの平面交叉は、本市鳥越地区に延長三百二十メートル、工費約二千五百万円の隧道を開鑿することにより解消できるのでありまして、きわめて効果の多い事業と言えるのであります。本計画につきましては、すでに建設省当局におきまして調査も終り、また本市の戦災復興都市計画事業におきましても、本構想のもとに事業の指定を受け、随道予定地近くまで幅員二十五メートルの道路の造成を行つているのでありまして、かくのごとき効果が大きくかつ諸般の準備の整つている事業に対しましては、たとい新規工事でありましても積極的に推進する必要があると思うのでありますが、本計画実施に関する明年度の見通し並びに御見解を関係当局より承りたいと存ずるのであります。
 要するに、今回の視察によりまして、災害復旧は今まではほとんど原則的に原形復旧をいたされておりましたが、われわれが視察いたしました結果、考えられることは、これは国費の浪費でありまして、今後はどうしても原形復旧とそして改修計画とをあわせて施行されることが、一番有効適切なことではないかと考えられたのであります。この点に対しましても大蔵省、建設省の御意見を伺いたいと存ずるのであります。
 以上に対しまして、関係当局の明快なる、具体的なる御答弁を期待いたしまして、御報告にかえる次第であります。
#7
○久野委員長 以上の報告につきまして、政府より答弁あるいは所見を聴取いたします。
#8
○稲浦説明員 災害復旧について、まずお答えいたしますが、今年は昨年と比べまして災害の規模が割合に小さかつたのですが、局部的にははげしい災害を受けております。たとえば、ごらんになつた静岡県のごときは、その著しい例でございまして、十四号によつて相当な被害を受けております。それでそれに対する復旧の方針としましては、現在査定官を各地へ派遣しまして査定を行つておりますが、その方針としては、もちろん原形復旧だけでは再び災害を繰返すことは当然なことでありますので、建設省としましては、再度災害を繰返さないように、これに改良工事を加えて堅実なものにしたい、かような方針で査定を行つております。ただ、費用の負担の点につきまして、災害復旧と改良との区別が非常にむずかしいのでありますから、そこにいろいろ見解の相違が起りまして、われわれとしてはいろいろ研究しなければならぬことがありますが、方針は再び繰返さないような改良工事を加えて参ろうという方針で進んでおります。さようにいたしまして、たとえば先ほどのお話のあつたように、木橋をまた再びかけるということは必ず災害を来す、また上流の方の木橋が流れると下の方で次から次へとそれがために押し流して、結局全部の橋梁が流れてしまうというようなことは、もうはつきりしておりますので、これはできるならば、永久橋に全部かけ直したいのですが、費用の関係等もありまして、あるいは地元の意見を聞きまして、二つを一つにしてやるというような方法をとつております。今後はそういうことを再び繰返さないということを方針にしております。
 それから、詳細のことにつきましては、各課長等がやつておりますので、具体的な問題につきましては申し上げますが、大体原則といたしましては、さような方針を堅持しております。
 次に海岸の工事でございますが、これは先ほどの静岡県なりあるいは富山県、それから愛媛県の各海岸は非常に浸蝕されております。これはごらんになつた県ばかりではなしに、全国的に日本の海岸は非常な浸蝕を受けまして、憂慮すべき状態になつております。これは今まであまり放置しておつたところに、われわれの申訳ない点がありますが、これにつきましては、技術的に相当むずかしい問題でありますし、また海岸工事につきましては、非常に莫大な費用がかかりますので、今までやりたいこともできずに済んでおつたのですが、このまま放置しておくということは、国土の保安のために、将来非常に憂慮すべき結果が起つて来るということがはつきりしておりますので、全体の海岸防護対策というものを樹立したいと考えまして、今それに対して検討中でございます。その一つの例としては、愛知、三重の海岸が昨年災害を受けまして、それに対して非常に思い切つてこれの災害復旧を行つておりますが、これも原形復旧だけでは、またああした台風の襲来があれば、必ず再び災害を受けることがはつきりしています。これは技術的に考えましても、昨年通つたようなコースを台風が通れば、必ずあれだけの高さの高潮が襲来するということが、科学的にも証明されております。幸い今年の十四号台風は海の上を通つてくれたので、割合に高潮の襲来が少かつたが、あれがもう少し北へ寄つて陸地を通れば、また同じような高潮が起つたと考えられます。必ずしもこういうケースは昨年限りではありません、採来もあり得るのですから、これに対しては、そうした技術的に考えまして最善の方法をとりたい。そこで受媛の海岸も同じでございまして、地盤沈下と高潮と両方が相まつて、ああいうふうな大きな災害が起りましたので、各地の海岸工事につきましては、そうした地盤の沈下、それから台風の襲来の方向等を考えまして、いろいろ検討しまして、その海岸に適当した構造物をつくるべく、災害復旧と兼ねて海岸対策工事をやるべく目下検討中でございます。ただ現在まである程度の海岸工事をやつておりますが、きわめて予算が微々たるもので、全国にわたつて、ほとんどどこで何をやつておるかわからないようなことで、まことに申訳ないのですが、財政の関係上やむを得ず今までかようにして参つたのですが、もう現在となつては、こう毎年災害が起つておれば、そういうわけには行きませんので、建設省としては、ぜひ思い切つた対策を立ててやつて行きたい、かように念願しております。ただ現在の財政上なかなか思い切つたことができないのは、まことに残念でございます。愛知、三重の海岸はそうした考えで進んで参つて、昨年からやつと一年たちましたが、再度災害を受けないように、せめて原形の高さまで上げておきたい、堤防をつくつておきたいというつもりで施工して参つて、おかげさまで各業者も非常な努力を払つて、御存じのような形にでき上つたのですが、これとてまだわれわれとしては決して完成したものとは思つておりません。それに対してこの上にパラペット道路をつくりまして目を入れなければならぬ、この工事が残つております。しかし現在の施工状況は、二十八年と二十九年で約百億近くの仕事をやりましたのですが、あれだけのことは県だけではできないというので、前の大臣のときから、その約六割くらいを委託工事として直接施工をやりまして、大体あの状態まで仕上つたのです。結局今困つておるのは、せつかくできたのだが、財源がないために、県では一応予算を県会で議決したけれども、それに対する災害復旧費等だけではまかなえない。大蔵省も同情してくださいまして、最近七億ばかりの災害関連費をつけてくれたのですが、まだ約二十億足らずが融資でもしてもらわなければ、この暮れの受入れに払えぬというような難関に立つております。これは大蔵省にいろいろお願いして何とかしてもらいたいというので、融資を願つておる次第であります。そういう状態で、ございますので、現在の日本の財政状態からしてなかなか思い切つたことがやれないということは、われわれ仕事を担当しておる者として、非常に苦痛な立場にあることを御同情願いたい、かように思うのです。
 それから河川の改良工事についても、いろいろごらんになつて御意見がありましたが、これも財政的にそう思い切つたことはできませんが、重点的にやつて行きたい。先ほどもいろいろ御意見が出ましたが、必要な上流部に砂防をやつて土砂の流出を防ぐ。そして現在河床が非常に上つておりまして、昔船が通つたところに、現在は州ができて通れない、ほとんど日本全部の河川がそういう状態になつております。工事の疏通をよくして、上流部の砂防と相まつて浚渫に重点を置いてやる、第一段の方法としてこういう工事から施したい。もちろん堤防もやりたい、あるいはその他の構造物もやつて行かなければなりませんが、そうしたところに重点を置いてやつて行きたい、かような方針で進んでおります。
 それから先ほどたいへん問題になつております、大淀川の問題ですが、これはお話のあつたように、轟ダムが都城盆地のちようど出口につくられまして、そうしてそこで冠水の原因をしておるということは、これは明らかな事実でありまして、これに対して、岩盤を下げるというようなことも、過去ある程度やつたそうですが、しかしそんなことではなかなかおつつかない。結局大切開をやらなければ、あの都城盆地の冠水は助からないという結論になつております。もう数年前から、そうしたことを考えておりまして、いろいろああしたい、こうしたいということを考えておりますが、なかなか思い切つてやれないうちに、また再度ああいうような状態になりましたことは、まことにわれわれとしては申訳ないし、また遺憾に存じておりますが、こうなつた以上は、思い切つた方法をとつて、大淀川水系全体を考えまして、そうして洪水調節の思い切つた方法をとらなければならぬ、かように思つております。もちろん轟ダムをかりに撤去するとすれば、どこか適当な中流部にあれにかわるべきダムをつくつて、そうして洪水調節が有効にできるような形のものに改造しなければならぬ。それからそれと同時に下流の宮崎の防禦のためには綾川の洪水調節を思い切つてはつきりしたものにする、電力のみに重点を置くということは、われわれ河川を担当しておる建設省としては、これは第二義的に考えておりまして、河川そのものは、まず治水で立てて行かなければならない。河川の改修ももちろんだが、上流にダムをつくりまして、洪水調節を主体として河川を取扱つて行く。そうしてその余裕があれば、その範囲内で電力なりあるいは灌漑用水に使つてもらう、だから、まず水を治めるということが主でございます。こういうような全体の水系を考えまして、洪水調節もはつきりしたものに立てたい、かように河川局の当事者ともいろいろ検討しておりますので、御了承願いたいと思います。
 大体私の申し上げることは以上であります。いずれ部分的のことにつきましては、関係局長なり課長が参つておりますので、そちらから申し上げます。
#9
○堀川委員 私先般、今御報告したような方面を視察したのでありますが、先般聞くところによりますと、農林委員会でこの轟ダムの件が出たそうであります。その節河川局の次長が、ここへ来ておられますが、私はそういうことを存じませんというような御答弁をなさつたそうであります。そのために、建設委員会や建設省は一体どうしておるのかというような問題が起きたということを開いております。私ははなはだ遺憾と存ずるのであります。なおまた、このダムに関して建設省は、今まで電力会社と何か話合いでもしてやつたことがあるのでしようか、今後、今次官から言われました中流に何とかつけかえでもしなければならぬというようなことは考えておられるでありましようが、確定的なことはまだ計画してないのでありましようか。御承知の通り、あのダムは一万五千キロワツトの発電だそうでありますが、一万五千キロワツトの電力と三千五百町歩の水田と、一体どつちが大事かということを考えてもらつたら、相当大きな問題じやないかと思うのであります。こういう問題に対して、今後も電力会社と何かできるだけの交渉をなさつてやる御意思があるのかどうか、その点を伺いたいと思うのであります。なお現在どういうふうな計画をなさつているか、確定的なことがあれば、ひとつ聞かせてもらいたい。
#10
○植田説明員 ただいま堀川先生からお話になりました先日の農林委員会における経過を報告申し上げますが、その際におきまして出席いたしましたのは、農林省と通産省と建設省で、建設省は私が出席いたしたわけであります。その際は農林省、通産省は、この問題については初耳だというお話がございました。建設省は農林省、通産省と異なつて、私は初耳じやないとはつきり明言いたしました。従いまして、先日大臣に随行いたしまして宮崎県に参つたのでございますが、そのときにおきましても、大臣はぜひ轟ダムを見たいというお話がございまして、私も見たいと思つたのでございますが、日没になりまして、道路のぐあいが悪いからどうにも行けないということで、やむを得ず宮崎市に参りました。私は河川局の経験まだ浅うございますが、問題は前から承知いたしておりまして、これが大淀川の水系の治水問題につきまして、きわめて重要な問題であることは承知しております。その点は御了承願いたいと思います。
 なお、この轟ダムの構造その他につきましても、かねてより研究いたしておりましたが、今回の災害にかんがみまして、建設省といたしましても、もつと掘り下げて研究いたしたいという考えでおります。また現地の九州地方建設局におきましても、かねてよりこの問題は知らないわけではございませんで、今回の災害のデータ等も調査いたしますれば、相当の資料も集まるわけでございますので、九州地建局でも、現地に人を派遣いたしまして、現在都城の工事事務所を中心として調査をいたしているはずであります。また建設省から先日河川局の計画課長が参ります前に、ぜひこの問題を研究してくれ、こういうことでございました。それから先日の農林委員会での話におきましては、このダムをこのままに置いて、あの霧島盆地の直轄の河川改修をやることによつて、はたして被害が絶滅できるかどうかという問題の立ち入つた御意見もあつたのでございます。これに対しましては、建設省といたしましては、目下上流の河川改修計画を、今次の災害等にかんがみまして、もう少し検討する余地がありはしないかというので、再検討いたしますということを申し上げている次第でございます。
    ―――――――――――――
#11
○久野委員長 災害復旧に関しまして調査を進めます。
 まず本年災及び過年災につきまして、その復旧状況並びに融資の状況につきまして、政府より説明を聴取いたします。植田説明員。
#12
○植田説明員 本年度の災害の状況につきまして御説明申し上げます。
 被害の概況でございますが、本年の当初以来、現在に至りますまでの災害の状況は、各地方団体と地方建設局から報告がありました金額を申し上げますと、総計で四百九十八億円ということに相なつております。この中に直轄が二十八億入つておりますので、地方公共団体分といたしましては四百七十億ということに相なるわけでございます。この中で金額の大きい順で申し上げますと、山口県が約四十億、宮崎県が三十六億、愛媛県が三十二億、高知県が二十八億、徳島県が二十五億、静岡県が二十三億、奈良県が二十二億、和歌山県が二十一億、福岡県が十九億その他大多数の府県におきましては災害があつたわけであります。これに対する対策といたしましては、本年の初めの部分に起りました災害につきましては、すでに査定も完了いたしておりますので予備金は四億五百万円ほど支出いたしております。これは直轄河川分と、地方の公共土木災害につきましては、主として北海道でございます。これは支出いたしておりますが、その後に起りました台風五号につきましては、目下査定中でございます。全体の査定が終り次第復旧事業費が確定するわけでございまして、できるだけ早く本年内に災害復旧の予備金が支出できますようにとりはからいたいと考えております。
 ただいま申しました災害額を、国費にいたしますとどういうことになるかということの大体の推算をいたしているわけでございますが、補助費につきましては、これは推定ですが、大体その四分の三が査定額になるという見当にいたしまして、それに対して国庫から三分の二を補助するということにいたしますと、二百三十五億ということに相なるわけでございます。これに直轄分の二十八億円という報告がございますが、これの査定が大分進捗いたしまして、これは大体これよりも十億円程度減る見込みでございますが、そういたしますと二百三十五億に十八億足しました二百五十三億円というものが、国費の負担ということに相なるわけでございます。これの支出をどういう割合でいたすかということは、今後大蔵省との折衝の問題でございますが、三・五・二という割合をとり、直轄につきましては六・四という割合で実施いたしますとすれば、本年度の所要額は約八十億円になる予定でおります。
 次に、災害の査定の状況でございますが、本年は査定が若干遅れておりますが、これは各府県の災害復旧の設計等の完備しますのを待つという態勢でございますので遅れたのでございます。しかし応急工事としてどうしても実施いたさなければならぬ分がございますので、そういうものにつきましては、現地調査ということを建設省でいたしまして、その現地調査と府県からの要望をとりまして、大蔵省の方に融資をお願いしたわけでございますが、これが五号台風までの分として五億五千万円余、その後七億円の融資が決定いたしまして現在まで十二億円の融資が決定いたしております。私どもといたしましても、これで満足しておるわけではございませんので、第二次、第三次といたしまして、もう少し多額の融資を受けられますように、大蔵省に交渉したいと考えておる次第でございます。
#13
○渋江説明員 都市災害の本年度の発生状況並びに過年度災害の対策等について御説明申し上げます。
 都市災害は六月、七月災害と十五号台風の災害関係にわたつておりまして、この点は河川の際に御説明申し上げたと同様の災害原因を基礎にいたしたものであります。金額にいたしまして、報告を受けました結果は、総計にいたして三億一千八百万円ということに相なつております。
 これに対する対策でありますが、一般災害の分につきましては、復旧費の二分の一を補助することにいたしまして、今まで発生いたしました災害のうち、六、七月災害分につきましては、査定申請額一億一千六百万円と抑えておりますが、これに対します被害査定を完了いたしましたのが八千五百万円、これのうち四千二百万円分を国庫より補助する建前にいたしまして、予備費を要求中であります。八月以降の分につきましては、現在机上査定中でありまして、査定の終了を見次第、同様に予備費の要求をいたす考えであります。
 第二の問題といたしまして、十五号台風関係の中の北海道の岩内町の火災に対する対策であります。これにつきましては、火災復興事業費を二億二千万円と抑えまして、三箇年計画をもつて復興区画整理事業を行うことにいたしまして、これに対する国の手当といたしましては、やはり二分の一を補助する建前にいたしました。そのうち本年度の事業の施行分、これは一億九千万円程度に相なります。これを予備費として現在要求中でございます。なおこの岩内町の復興につきましては、本月の十五日につなぎ融資一千万円を決定いたした次第でございます。
 過年度災害分につきましては、別の機会にすでに資料も差上げてあるかと存じますが、都市災害分につきましては、過年度災害の残りが二億二千万円程度に相なつております。そのうち二十三年災、二十四年災につきましては、すでに全部完了いたしておりますので、二十五年度から二十八年、昨年に至るまでの過年度災害分が、今申し上げました二億二千万円になつております。この復旧事業費の残額につきましては、三十年度におきまして予算に計上いたし、完了いたしたい考えで目下予算の要求をしておるような状況でございます。
#14
○牧野説明員 本年度の災害につきまして、資金運用部といたしまして、つなぎ融資として処理しました経過を申し上げます。
 今年度六月の豪雨、あるいは七月の水害以来、十五号台風などいろいろ災害がございましたが、今年度公共災害につきましては、応急に処置しなければならない応急工事というものに対して、つなぎ融資をするという方針で、十月の十四日まで一般の公共災害につきまして、ただいま建設省からもいろいろお話がございましたが、十二億六千五百万円をつなぎ融資として各府県に支出いたしました。それからその後北海道の岩内町の都市計画の関係でこれは一千万円、それからさらにごく最近になりまして北海道の第二種公営住宅、これを建てるための予算措置が完了するまでの間、一億円というもの、これを昨日でございますがつなぎ融資を出すことにいたしました。ただいままでのところ十三億七千五百万円、これが建設省関係の分といたしまして、つなぎ融資として出ておる状態になつております。
 あとまだ問題が残つておりまして、その分につきましては、ただいま建設省の方からも、あるいは府県の方から宅、いろいろ資料が出て参つております。私どもの方で、ただいま建設省といろいろ御相談しながら査定しておるという段階でございます。
#15
○久野委員長 質疑の申出があります。よつてこれを許します。瀬戸山三男君。
#16
○瀬戸山委員 まず今の災害復旧に関する問題でありますが、先ほど建設省の河川局から御説明になつた今年度必要経費として八十億を見込んでおる。これは今計画局長がお話になりました都市災害のそういうものも全部入つておるのですか。
#17
○石破説明員 先ほど申し上げましたのは、いわゆる公共土木施設の災害復旧費だけであります。そのほかに住宅関係の分と、それからいわゆる都市災害の分、それが別にあるわけであります。
#18
○瀬戸山委員 そこで私はそういう住宅とあるいは都市災害の問題は別にいたしまして、公共土木施設の災害、先ほどのお話のように八十億ぐらいを本年度内に支出をしなければならないという考えがある。ところが現在までつなぎ融資として出されておりますのが十二億六千万余、本年度は、もうすでに御承知の通り十一月が近いのであります。八十億の経費を使つてやらなくてはならない。災害復旧を、今十二億くらいのつなぎ融資をしておる。これは大蔵省と建設省との関係もあるでありましようが、そういうことで一体国民の期待に沿うのであるかどうか。これはずつと前の委員会でも、建設大臣がお話になりましたが、本年度は多少やり方を違えて、計画を持つて来て応急にやらなくてはならないと認めるものについて、緊急融資をすることにしておるからと、これはきわめて合理的な話であります。合理的な話でありますが、今日このくらいのことで、一体国民は納得しているのだろうか。本年は、去年ほどではありませんか、しかし局部的な甚大な損害をこうむつておる。このくらいのことで、地方行政庁が満足しておるのであるか、そういう点をもう少しお話願いたい。
#19
○植田説明員 つなぎ融資の問題につきましては、ただいまお話のありました通り、従来とは異なりまして、応急工事という建前で、応急工事に必要な経費を建設省があつせんいたしまして、建設省と地方行政庁とが協力いたしまして、大蔵省に折衝して融資を受けておる現状でございます。先ほど申しましたように、八十億との差が相当あるわけであります。今後の問題といたしまして、ただいま大蔵省からお話のありましたように、融資方を強力にお願いいたしますと同時に、災害復旧費の方の支出をできるだけ急ぎまして、そして地方の要望にこたえたいと考えておるわけでございます。ただいま瀬戸山委員のお話にもありましたように、これで満足しておるかどうかということでございますが、地方の方からも関係者が大勢出て参ります実情から見ますと、場合によつてはお困りのところもあろうかと存じておる次第でございます。
#20
○瀬戸山委員 場合によつてはお困りのところがあるかもしれないということでは、あまり困つておらぬように聞えるのですが、そこで一体どのくらいの緊急融資を、各災害地の地方行政庁は申請して来ておるのか、その総額をお示しになれば、困つているのか困つていないのかがわかると思いますので、ひとつお知らせを願います。
#21
○稲浦説明員 お話の通り、われわれとしてもできるだけ早くやつて行きたいということは、御意見の通りでございますか、また査定をやつておる最中でありますので、ほんとうの災害復旧としては、今年一ぱいくらいもあればおそらく終るだろうと思います。そこで応急融資につきまして各地方から出して来ておるのを、建設省としていろいろ検討いたしました結果、大体五十億くらいの見当になると思つておりますので、これを今大蔵省と折衝しておるわけであります。けれども、財政等の関係で、そう簡単にはなかなか行きませんので、ぼつぼつ出しておるというような状態でありますが、これは今後とも努力して参りたい、かように考えておる次第であります。
#22
○瀬戸山委員 今建設次官のお話では、地方庁から申請して来ておると申しますか、要求しておる分は五十億くらいあるということでありますが、それだけは応急にぜひともやらなくては、国民が非常に迷惑をする――迷惑と言うとおかしいのでありますが、困るのであります。本来ならば、予備費がちやんときまつておるのでありますから、それから予算の支出をすれば、何も借金をお願いしなくてもよろしいわけです。それができないので、しかたがないから借金をして、幾らか利子も払いましようということで、一生懸命建設省としてもやつておるような空気でありますが、ただいまぼつぼつというお話がありましたけれども、ぼつぼつというのは大蔵との関係だろうと思いますから、大蔵省の係の人は一体どういうお考えであるのか。これは常に問題になることでありまして、災害のあるごとにこういうことを申し上げてお気の毒ですが、しかし国民の気持としては、お願いするところはお役所以外にないのでありますから、大蔵省としてはこの五十億と十二億の差をどういうふうに考えておられるか。あるいは八十億の問題にしても、これは査定しなければ予算を出すわけには行きますまいが、今日までに査定のできておる分も相当あると思う。八月までの災害について見ますならば、それ以後にも起りましたけれども、今日まで何箇月かたつておるのでありまして、大体私どもも二箇月ほどの余裕を置いておるわけであります。それが今日までいまだに予算の支出ができないで、しかも緊急融資もそれほど出せないというようなことでありますと、一体そのぼつぼつというお気持はどういうお気持なのか、ここでひとつはつきりさせていただきたいと思います。
#23
○鹿野説明員 災害の予備金につきましては、経理の方としましては、一刻も早く出してやりたいという気持で用意はいたしておりますが、やはり予備金の支出は、一応その災害の程度を査定いたしましてから、予備金支出の対象になる額が確定したところで出して行きたい、こう思つておるわけであります。また、これが予算の一つの原則といいますか、当然のことでございますから、そういう手段をとつておる次第であります。従つて、これにはやはり各省において査定をしていただきまして、復旧事業費額が確定いたしませんとできませんので、できるだけ確定次第それを出すことについては、あらゆる努力を惜しまないつもりでございます。
#24
○瀬戸山委員 額がわからないで、査定ができてないのに出してくださいとは私も申し上げません。これは当初に、建設大臣と大蔵省との話合いでそうなつておるのです、先ほども申し上げましたように、これはきわめて合理的だから、一応私どもはそのやり方については異論をさしはさんでおらぬわけです。昨年までは、御承知のように地方庁の報告では大体七〇%だということであつた。七〇%なら、国費がそれで幾らになる、そのうち三・五・二の割合いで出せばこのくらいだということで、つかみどりのようなことをやつておつて、ある程度弊害があつたわけですが、今年はそれをもう少し具体的に査定をして、応急のものは応急に出すという話合いでもつて、一生懸命にやつておられることも、あなたから御説明を聞くまでもなく、よくわかるのでありますが、それが非常に遅れておるという感じを私どもは持つております。今年内で八十億消化をしなければならない。少くとも、これは建設省の公共土木関係だけで、そのほか建設省としては都市災害もありましようし、あるいは住宅関係もありましよう。人間は住むことが一番緊急な問題です。そのほかに運輸省とか農林省とかたくさんあります。そういう緊急なものは、ここでは問題にいたしませんが、そういうことであるにもかかわらず、しかも地方庁から五十億近くのものを要請しておる。それは相当の計画を立てて持つて来ておると思うのです。それをうのみにすることが適当でないという御議論も承服いたします。そこまで来ておるのに、たつた十二億くらいで――先ほど申し上げたように今年も相当月日が進んでおります。建設省だけでも、今年内で八十億の工事をするということは、時日からいつても相当困難だと私は見ておる。これが困難だということは、国民がそれだけ苦しむということであります。国民が苦しむということは、この非常に貧弱な日本経済が遅れて行くということです。これは常々私は繰返しておりますが、こういうことは大蔵省の方々は詳しいのだから言いたくないのでありますけれども、言わざるを得なくなつて来る。いつごろまでにどのくらい出すという御見当がありますか。
#25
○牧野説明員 ただいまの建設省の言つておられます八十億という数字と、つなぎ融資の額とは、必ずしも相照合する額ではないわけでございます。建設省の言つておられますこの数字は、おそらく応急復旧でなしに本工事をやるとしたら国費が幾らかかる、それを本年度はどの程度やらなければならぬかという計算で出ている数字であろうと思います。ただいまつなぎ融資として出しております額は、それに見合うものではございませんで、応急に処置せねばならぬという分について出しておる次第でございます。本工事自体に関するつなぎ融資の問題というのは、これは将来起り得るかもしれませんけれども、工事の内容自体が、本年度どの程度の工事をどのくらいの額をかけてやるかというようなことがある程度見当がつきませんと、まだちよつと問題にならないのじやないかというふうに思つております。
#26
○瀬戸山委員 それは牧野さんのおつしやる通りだと思います。建設省の場合の八十億というのは、全体の災害を三・五・二の割合で行けばこうだ、国費はこのくらいかかる、それをやりたいというわけなんです。そこで私は、建設次官のお話が間違つておるかどうか知りませんが、今言われるように、地方庁は緊急融資としてどのくらい要望しておるかといえば、五十億要望しているというお話であつたから、そう申し上げたので、今日五十億の要望をしておるのに、十二億ぐらいしか出しておらないと言うから、それなら、あとはどうなさるかと聞くと、それはぼつぼつだと言うから、そのぼつぼつの意味を大蔵省から聞きたい、こういうわけです。八十億が緊急融資の対象とは、私も思つておりません。ほんとうなら緊急融資はいらない。ただちに予算を支出すればいいけれども、それが技術的にできないから緊急融資をお願いする、こういうことなんですが、十二億ぐらいで満足だとおつしやるのですか。
#27
○牧野説明員 地方庁から約五十億の要望があるというお話は、建設省から私ども伺つております。それで実は本年どういうふうにやるかということにつきましては、先ほど簡単に申し上げたので申し落してございますが、建設省から担当官が現地へ参りまして、どこの道路、どこの橋をどういうふうな応急の工事をやるかというようなことを、サンプル調査程度でやりまして、その上でつなぎ融資の額を決定しようということにいたしておつたのでございます。その後なかなか思うように手がまわりませんので、われわれの方としましては、一方融資の方は急ぎますし、なかなか人手の関係で、調査その他手がまわらないといつたような関係で、写真と計画の図面と所要額を書いて書類、そういうようなもので主として査定して出しておるというような事態でございます。それで十二億六千五百万円ですが、公共災害に出ております額はそうなりますが、最終的にそれでどうやら間に合うのだというふうに考えているわけではございません。これはただいま申し上げましたように、非常に急いで書類の上で見当をつけて出すというような出し方をいたしましたので、各府県の間にも若干バランスのとれてないとか、あるいはまたいろいろな問題もあるかと存じます。それは訂正せねばなりませんし、また若干増額せねばならぬというふうに考えておりますので、それでただいま建設省と大蔵省の方の担当している者が寄りまして、目下どの程度どこへ追加するかという話を進めておるところでございまして、これは近日中にもう一段進んだ結論が出るのじやないかというふうに存じております。
#28
○瀬戸山委員 仕事が非常にむずかしい。政府も国民の金を出すことですから、そう簡単に参らないということは承知しております。御苦労しておられることは、わかります。
 そこで、それでは聞いておきますが、今日まで十二億六千五百万円を出され、これについては――ほかの役所の話はいたしませんが、建設省ともいろいろ折衝されて、要求と大蔵省の考え方と一致した点を出されたと思うのでありますが、今五十億ばかりの緊急融資の申請といいますか、相談がある。これで今日まであなた方がやられました経験と申しますか、実績から見て、五十億に対してはどのくらいの緊急融資を必要とするかという大体のあら見当はあるはずであります。それはいつごろまでに出せるか、来年になつてからでは緊急融資などはいらないことでありますし、もうあと二箇月ぐらいしかないので、そのくらいの見当はつきはしないかと私は思うわけです。あとはひとつできるだけ早く予算を出してもらいたい、こう思うわけですが、そういう見当はいかがでしようか、それだけ聞いておきます。
#29
○牧野説明員 金額的には、ちよつとただいま申し上げかねるのでございますが、時期的には、大体来週は一応の結論が出るのじやないかというふうに存じております。
#30
○瀬戸山委員 来週には一応の結論が出るというお答えであります。先ほども申し上げましたように、皆さんが非常に御苦心をなさつておることは、われわれもよくわかつておるのでありますが、いつものことでありまして、非常に災害に苦しんでおる日本の国でありますから、特に神経が高ぶつて来る。それで、できるだけ早く御処置を願いたい。建設省の方でも御努力をお願いするということで、他の委員諸君も御質疑があると思いますから、この点はこれで打切ります。
 そこでこの前の災害の跡を、同僚委員諸君にお忙しい中を視察していただいて、感謝いたしておるわけでありますが、その中に、特に岡村委員からも取上げられておりました大淀川の上流の治水問題について、建設省に二、三確かめておきたいと思います。その方に相当詳しい建設次官が、次官会議の都合で退席されたそうでありますから、あるいは明確な答えができないかと思いますけれども、これは今日始まつた問題ではなく、長い間研究もし、論争もされた問題であります。しかし、私は今日ここで論争するつもりでお尋ねするのではありません。もうすでに議論の余地を残さない事態に立ち至つておると考えますので、ひとつ建設省から明確なお答えを願いたい。この災害の状況などは、私から詳しく申し上げる必要はありません。大淀川の上流地区は、そこの図面にもあります通りに、ほんとうの盆地であります。大淀川の本流と同じくらいの川幅を持つている川が八つぐらいこれに流入いたしております。そして狭窄部を通つて、下流の宮崎地方に流れておるのでありますが、その狭窄部に先ほどお話のありました大正十五年に発電のためのダムがつくられた。私どもその当時のことは知りませんけれども、当時ここにダムをつくるということは、地理的条件から、しろうとが一見して、大災害が起れば当然ここに水がたまるということは、農民がみんな知つておる。そのために非常に猛烈な反対運動た起つた、熾烈な反対運動が起つたそうでありますが、その当時はまだ今日のようないわゆる民主主義時代ではありません、お役人さんたちの強い時代でありますから、いろいろ説得をされて、災害は起らない、そういうふうな工事をするのだということで、あの工事ができたのだそうであります。ほとんど平坦のところに低い流路式の発電ダムでありますから、ダムとしてはきわめて有利な地点であつて、少しぐらいの工事をして非常に良質の電気を起す。九州であそこの電気が一番良質だそうです。渇水するということは絶対にありません。こういうところにつくつて、電力会社はきわめて有利な条件なところにある。ところが今日に至つて毎年大災害をこうむつております。もちろん年によつて雨量の関係で多少の異同はありますけれども、あそこにあります通りに、最高三千五百町歩が毎年水の中に浸つて、農民はせつかくつくつたものがとれない、収穫はとれない。しかし、これは自然の状況であるからしかたがない、こういうふうな観念で今日までおつた。特に戦時中は、そういうことを一言も言うことはできない。昭和二十一年、日本が戦争に負けて、ようやくこれを問題にして一応あそこのゲートの改修をして――その当時は日発でありましたが、――ところがそういうことでは間に合わない。従つて昭和二十四年から、非常に理解をしてもらつて、建設省の手で直轄の工事を始めてもらつて今日まで至つております。その総工事費が、大体二十億を要するということになつております。ところが、これは日本全体のことでありますけれども、今日まではそれほど進んでおりません。今日の模様でやつて行けば、あと十五年か二十年かかるだろうと思います。建設省では特に御理解をいただき、御努力を願つておることは私どもも感謝いたしておりますし、地元の住民も感謝はいたしておりますが、あまりに災害がひどいので、特に今年は三回も連続台風、豪雨のために、特別な災害がありました。都城市内だけでも三メートルの渇水がありました。そして全部それを船で救済する、自衛隊が出てそれを救済する、こういうふうな悲惨な状況が起つて、三昼夜以上も水田が水没しておる。もちろん、収穫皆無であります。今日まで、電力会社に対しては年々ある程度の補償を要求しておりますけれども、収穫皆無のところで一反当り八百円であります。そういうふうな状況で、甘んじて――甘んじておりませんけれども、今日まで忍んで来ましたが、事すでにもう忍ぶことはできない。もちろん天然の地理的条件もあります。それからさつきお話がありました特殊土壌のシラス地帯という条件もあります。しかしこれについては、狭い国土であるから、できるだけ科学と技術を応用して、国の力、地方の力を施してこれを改良して行かなければ住む場所がない。こういうところでありますから、これを改修して住民が安心するようにしてくださいということを今日までお願いして、御協力を願つておりますが、問題は、今ああやつて着々堤防が延びておりますが、堤防が完成しましても、決してこの治水の根本的改良はできません。私は、地元に帰つてはそういうことは言わない。特に上流のうちの下流、ダムの近くの高城町とかあるいは志和池とかいうところは、必ず水びたしになる。堤防をつくれば水びたしになるのでありますが、今の国情からいえば、ただちにあのダムを撤去するということも、そう簡単に言えないから、まず河川改修をして、そうして堤防を築いて、どのくらいになればこのダムを撤去しなければならないかということを、建設省とも寄り寄り相談をしておる。建設省も技術的に非常にむずかしいそうで、ここの治水計画は、建設省本省も九州地方建設局も、真剣に研究を続けて今日に至つております。だんだん堤防が延びて来るに従つて、下流はますます全滅の状況になるから、これは根本的の対策を講じなければならないというところに来ておる。稲浦次官は現場を見ておられる。きようここに見えておる富樫道路局長は、当時九州地方建設局の工務部長でありましたから、ちやんと知つておられると思う。そういうところでありますから、建設省としては非常に悩みがある。悩みがありますけれども、それを根本的に解決しなければ、あそこの二十万の住民が困る。そこで、ひとつきようははつきりしておきたいのでありますが、一万五千キロワットの電力のために、これほど住民が困る。年々米にいたしましても一万石、ないし場合によつては三万石の減収を来す。損害にして二億ないし十億の損害を来しておる。一万五千キロワットの発電のためにこれほど住民が困つておる。しかも大災害を受ける、損害を受ける、そうして国費をつぎ込んで災害の復旧の河川改修をする、これはだれが見ても正当じやありません。私はこの間支那に行つたから、支那の話をすると、何かお前はこのごろよそへ行つて来て偉そうなことを言うと言うかもしれませんけれども、官庁ダムという、永定河の上流にちようどこういうところがある。これは堰堤であります。こまかいことは申し上げませんが、つくつた。これは琵琶湖の何倍かという貯水池ができることになつておる。ところがそこに、中国の村は小さいですから、百四十八箇村が水没する。人口は六万だそうであります。もちろんそれは全部引越しております。引越すのにどういうことをやつたか。官庁村という村は、道路も家の建て方も、昔ながらの村そのものをそつくりそのままの条件で別につくつて、ずつと遠いところに引越させまして、そこに住まわせるということをやつております。これは日本の国情と中国の国情と違いますから、そのくらいにやりなさいとは私は言いません。また私がやれと言つたつて、日本の国情ではできません。しかし、大衆のために治水計画を立てるからといつて、祖先伝来の土地を引越させるのならば、やはり祖先伝来の土地と同じような状況をつくつてやる、そういう心構えが、政治としては当然なことだと思う。こういうことをやつてくださいとは私は言わない。そこで、少くともダムを撤去しなければならぬ。撤去しなければ根本的に解決しません。それとも二十億くらいの金をかけて、あの岩盤のところを掘鑿して厖大な放水路をつくればまた別ですが、そういうことをやらなければ解決しない、これははつきりしておる。さつき稲浦次官も、もう問題ははつきりして来ておる、こうおつしやつたが、それをどうするかということをおつしやらなかつた。なかなか言いにくいことであろうと思います。それを建設省はどうお考えなさるか。相当進んでおる、世界の水準に達しておると言われておる日本の土木技術をもつて、どういうふうに処置されるか。ここに二十億の金をかけて堤防をつくつても、真にあそこの住民が喜ぶ態勢ができないことははつきりいたしておる。そうして今日、この間同僚委員諸君も行かれて現場を見て、その土地の住民の気持を聞かれておる。あなたも建設大臣について行かれて――建設大臣不幸にして全部を見られなかつたそうでありますが、それは建設省でわかりきつた話でありますから、見られないでもよかつた。しかし住民の気持はよくおわかりになつたと思う。これは率直に言えば、先ほど石破官房長は、じようだん半分に、宮崎県の人は気が長いから安心した、尊んでおつた、しかしこれはそうは行くまいということを言われたけれども、宮崎県だつて、そう気が長くはなくなります。そういう事態でありますが、このダムを撤去しなければ、絶対にあそこの根本的治水は成り立ちません。ダムの管理、河川の管理は、建設省が持つておると言われるかもしれません。県知事の力ではできません。もう知事は近くかわるでありましよう。そこで、これについてどういう処置を考えておられるか、あるいは九州電力に対してどういう考えを持つておられるか、これをひとつ今日はつきりさしてもらいたい。
#31
○植田説明員 大淀川の問題につきましては、瀬戸山委員よく御承知のことでありますが、ダムの構造等については、私から申し上げる必要もないかと思います。この問題は多年の懸案であることを、建設省も承知いたしておるわけでございます。瀬戸山委員も御承知の通り、技術的にも非常にむずかしい問題を持つておりますし、また事務的に申しましても、一旦できまして三十年来稼働しておるダムを撤去するという問題は、政府全体といたしましても、そう簡単に意見の一致を見る問題でもございませんので、ただいままで解決の遷延いたしましたことは、私どもとしても、まことに遺憾に存じておる次第でございます。このダムは御承知の通り霧島盆地から宮崎に至りますまでの狭窄部にありまして――九州の河川は、この川にとどまらず、他にもこういつた狭窄部の関係で、上流と下流とのいろいろな利害の反するような場面がある川も多いのでございます。その川の中で、この大淀川は最も典型的なものであります。この川の問題が解決すれば、あとの川も同じような考え方がとれるのではないかと思いまして、私どもとしても、非常に関心を持つておる点でございます。御承知の通り、昭和二十三年ごろに地元の対策委員会と九州電力との間に協定がございまして、これも詳しく申し上げる必要はないかと思いますが、七キロまではダムのバック・ウオーターが到達する区域といたしまして、その区域につきましては九州電力が――当時は日発でございますが、責任をとるという態勢をとつておるわけでございます。また私が先日この区域を拝見いたしまして、その後帰りに博多に参りまして、わずかな時間でございましたが、九州電力の関係部長に会いまして――私どもとしましては、この問題について、まだ建設省の方針を示す立場にもございません、事情だけは聞いて来たのでございますが、その当時、九州電力の関係者も、ダムがあるがために洪水時のバック・ウオーターが及ぶことを、否定しておるわけでございます。しかしながら、今後の解決方法について、いろいろ研究しなければならぬ問題があるわけでございます。バック・ウオーターの影響があることも事実でございますか、また瀬戸山委員の御指摘の通りの直轄であります堤防が、まだ完全にできていないということによる被害もございましようし、また今年の台風時には、地盤が湿潤でありました上に千ミリという降雨がございまして、そのための内水という問題も一つの考慮に入れるべき問題だと思うのであります。この内水の問題に、もちろん排水の河川が完全にできておりますれば、あるいはもつと被告が小さくなつたかと思いますが、内水問題もやはり恒久の一つの問題として考えるべき問題かと思うのでございます。従来この問題が、地元と会社との間で多年にわたりまして――もちろん補償額につきましては、最後には折合いがついていたわけでございますが、多年にわたりまして解決がつかなかつたことにつきましては、こういつたどこまでをダムの責任にするかというようなことについての両者の言い分がはつきりしなかつたことによるのかと思うのでございます。建設省といたしましても、今回の災害につきましては真剣に考えておるわけでございまして、九州地方建設局でも、今回の災害のデータをそろえるために、ただいま人も派遣いたしまして研究しておりますので、そのデータがそろいますれば、建設省の最大の技術的能力を使用いたしまして、これがどういうふうに解決するかということの結論をつけることになろうかと思うのでございます。
 なお、これの解決方法につきましては、瀬戸山委員御指摘のように、直轄河川改修で二十億かかるものを、かりに繰上げてやつて、堤防がいいものかできたにいたしましても、はたして解決つくかどうかということにつきましても、建設省としてまだ確信を持つまでに至つておりません。今回の災害にかんがみましても、もう一度大淀川の上流、下流にわたつての改修計画を再検討する必要があるということを、十分認めておりますので、九州地建から参ります報告を参酌いたしまして、また係官も現地に派遣いたしまして、この改修計画を再検討するつもりでおるわけでございます。
 なお、先日他の委員会でも問題になつたのでございますが、こういつた災害の起りました場合におきましての補償の問題につきましても、いろいろ意見もございまして、この表現の仕方につきましては、各省若干食い違いがございまして、たとえば通産省におきましては、民法の原則によつてやるんだ、そうして補償額の決定については、何とか中立委員会のようなものを設けてその決定にまかせたい、こういうふうな発言もございました。農林省も初耳であつたらしく、今後研究してみたいということでございましたが、建設省といたしましては、河川法の改正の際に、こういつた問題を何とか法文化できないものかということについても研究してみようということで、私もその方を担当しておりますので、今後の重要な研究問題として研究いたす考え方でおります。
 なおダム撤去の問題は、この機会にそう簡単に決定できる問題でございませんので、この問題につきましては、御承知の通り河川管理者が宮崎県知事でございます。またこういつた命令を出すにつきましては、本省に稟請して、本省の認可を受けねばならぬことになつております。ダム撤去の問題につきましては、各般の状況を判断して後決定さるべき問題でございますので、これはただいまとしましては、そういう結論がつくということにつきましても、申し上げる事情になつておりませんことを御了承願います。
#32
○瀬戸山委員 ダムの撤去ということが、そう簡単にここで一言に断案が下せるとは思いません。しかし、これは――私は、もちろん治水技術についてはしろうとであります。しろうとでありますが、ここが今のような状態で根本的な治水ができないということは、もうはつきりいたしております。これは専門家でもそうだと思う。そこで、ダムの問題が起つて来るのでありますが、先ほども申したように、これはまず第一に知事の管理になつておる。私から申し上げるまでもなく、河川法で、そういう条件に違つたときには、これは撤去を命ずる、除却を命ずるということが書いてある。そういうことは、ちよいちよいここで審議するときに、そんなことを言つたつて、何十億というものをかけて鉄筋コンクリートの施設をしてあるから、簡単にできますまいということは、ほかの問題で、私たびたび議論をいたしております。しかし、この問題は一年や二年の問題ではなく、未来永久に住民が非常に困り、貧乏する最大の原因になつておりますから、あくまでもこれは撤去しなければ解決はつかない。これはもうはつきりした結論であります。でありますから、あなたに今日ここでその結論を承認しなさいとは申し上げません。近々のうちに建設省としての真の解決の回答、ここの治水をせつかく国費をかけて政府の責任において直轄工事をやつておられるのでありますから、それがなるほど有効であつたということについては、そこまで突き詰めて考えなければこれは解決はつきませんから、近々のうちにその解決の回答をお願いする、こういうことにいたしておきます。
 それからもう一つ、今補償の問題がありましたから、これも御意見を聞いておきます。大体の意見は、今言われましたけれども、私どもが日本全国のダム――特にダムであります。そのほかに河川改修その他いわゆる公共施設の場合に、国民との間に、補償の問題で非常な摩擦が起るわけであります。それについては、今のような状態ではいけないから、根本的な基準をなす法律をつくらなくてはならぬということで、御存じの通り、あなたの方も研究しおられ、われわれの方も現在研究をいたしております。ところが、今日までの研究では、大体の要綱案では、建設するときに、いかにこれを補償して住民に安心させるかという基本的な問題を今検討いたしております。ところが、こういうふうに、その当時はそれでよかつたかもしれないけれども、自然の状況は違つて参ります。河川の状況も違つて来る。ダムが直接間接の関係で、その建設の後に至つてあるいは農地あるいは住宅について大きな災害を現にこういうふうに起しておる。これらについての考慮は、今日まで払われておらない。なるほど民法によつて、あるいは損害賠償であるとか、公共施設の損害賠償、これは民法理論でも非常にむずかしかつたのでありますけれども、そういう解決の方法があるでありましよう。ところが、それは法律があるというだけで、一体住民にしろ農民にしろ、そういう法律をたてにとつて、電力会社を相手にして訴訟をするということが、実際に日本でできるかどうか。まあ気違いみたいな人はやるかもわかりませんけれども、しかしそういうことは、事実上できない制度なんであります。でありますから、私は、特別にせつかくダムの建設に関する補償等の制度をつくろう、法律をつくろうというときでありますから、できた後に、状況の変化によつて、しかもダムの直接間接の影響による損害についても、補償の制度を特別法をもつてやらなくてはならない、こういうふうに考えております。それについてちよつと触れられましたが、はつきりしたお話でなかつたので、さらにこれについてどういう考えをお持ちになり、今研究中のダム等の建設に関する補償の問題について、どういうふうにこれを取上げていただけるか、それをひとつこの際承つておきたいと思います。
#33
○植田説明員 ダムができましたために、堆砂等によりまして洪水流量がせき上げられまして、被害を及ぼしております例は、この轟ダムばかりでなく、他にも相当あることが、新聞紙等で報道されております。この点につきましては、先日農林委員会でもいろいろ議論のあつた点でございます。私どもも、河川管理の役所といたしまして、このダムを認可したことによりまして、どういう被害が及び、それに対する対策を各省でどうとるべきか、あるいはその中において建設省がどういう対策を講ずべきかということについては、大いに研究いたさなければならぬものがあるわけでございます。従来不備な点がございますれば、今後は考え方を改めまして、その点の調査を十分いたしたいと考えておるわけでございます。
 なお、補償の問題についても申し上げましたが、ただいま計画局の方で研究いたしております補償は、水没地の補償の問題が中心でございます。水没ばかりでなく、もちろん河川工事、道路工事も含むわけでございますが、こういつた工事をやる場合の用地に関連しました補償が中心に考えられておるようでございます。私、先ほど申しましたのは、河川法の改正の際に、そういつた点がある程度織り込み得ないものかどうかということにつきまして、今後もう少し研究いたしたいと考えておるわけであります。ただいま御指摘のありましたように、民法はございますが、これは鉱害補償の場合とも同じ論理になるわけでございまして、一つの法律に基いた適用行為が他に影響を及ぼした場合に、不法行為の原則によつて律することはできない。そういたしますと、民法のたしか七百九条かと思いますが、この原則では行かないで、たしか七百十七条かと思いますが、こういつた工作物による損害の賠償ということになるわけでございます。はたしてあの民法の原則がそのまま適用できるのかどうか、また民法の原則だけによつたのでは、被害者の方が十分であるかどうかということについては、相当研究いたさなければならぬ問題もございます。御承知の通り鉱業法におきましても、鉱害補償の問題が成文化されております。こういつた鉱業法の規定等を参酌いたしまして、河川法の改正で間に合うかどうかの問題も、また今後の研究問題でございますが、この問題は単に建設省ばかりでなく、農林省、通産省とも関係がございますが、ひとつ今後大いに研究いたしたい、こういうふうな考え方でおるわけでございます。
#34
○瀬戸山委員 相当困難な法律問題でございますから、私はきよう別に法律議論をしようと思つておるわけではございません。しかし、これは民法の一般原則によつて解決できないとは言いませんけれども、実際問題として、先ほども申し上げたように、解決は不可能であります。でありますから、こういうときには特別な制度によつて――先ほど何とか委員会ということが通産省から出たというお話でありますが、そういうふうな特別な制度を設けてやらなければ、裁判ざたでやるべき仕事ではない、ものによつては別でありますけれども、一般的にはそう思つております。でありますから、われわれも研究いたしますが、その点は、せつかくダムに関係するそういう補償の制度を確立しようという時代でありますから、できた後のことも考えておくべきでありますので、どうかひとつよろしくお願いいたしたい。
 もう一つは、今日は政務次官が今見えられたから、これでけつこうでありますが、よくこの実情を知つて相当な見解を持つておられる事務次官が、先ほど申されたような事情で退席せられた。建設大臣も、私は今日ぜひお目にかかりたかつたのでありますが、御病気であれば、しかたがない。ひとつよろしくお伝え願つて、近い機会に根本的な問題についての御回答をお願いする、こういうことできようは終りたいと思います。
#35
○久野委員長 三鍋義三君。
#36
○三鍋委員 私はこの治山治水の問題及び災害復旧対策に関しまして、やはりもう少し根本的にこの際考えてみる必要があるのではなとかと考えるのでございます。ただいま瀬戸山委員の質問に対する政府の答弁にいたしましても、また先ほど私が報告を通じて質問申し上げました、あるいは堀川委員の報告質問に対する政府当局の答弁を通じてみましても、要するに、日本が貧乏でお金がないということでございます。過般七月、内海団長のもとにわれわれが四国地方の災害復旧状況を視察したときでも、私は強く胸を打たれたのでありますが、地盤沈下によるところの毎年受ける災害、これに対する素朴なる村長さんあるいは市長さん、これら村民の切実な陳情を受けたのでございますが、そのときに内海団長が、わかつた、何とかひとつ委員会におい七君らの意思を反映して、三十年度の予算でやつてあげようということを申しますと、それに対して、陳情される方々がどう言つたかというと、いや、来年のことではないのだ、もう台風季を控えてどうするかということを心配しているのだ、こういう声を聞きました。そうして、実際やつと植えたばかりの稲が流されている災害の状況、それに対して年寄りが、一つ一つひつかかつているごみを払いのけておる、そういう姿を見ましたとき、これはただ日本の国が貧乏であるからということでは済まされない問題であつて、政党政派を超越して、もう少し根本的に考えなければならない時期に来ておると私は思うのです。この委員会におきましても――これは他の委員会においてもそうだと思いますが、もうきまりきつた結論、答弁しか私たちは聞かれないのでございます。ちようど瀬戸山委員の質問にいたしましても、ほんの小さい砂糖の一かけらに、たくさんのありが上になり下になりしてよろめいて、これをどうして自分のものにするかといつたようなほんとうに飢えたありの姿、そういつたような感じを受けて、これは何とかならないものだろうかということを、私はやはり考えておるのでございます。日本という家は、毎年々々台風とかあるいは水害によつて破壊されておるのでございます。屋根が飛び、戸が吹き飛ばされ、柱がもぎとられて行つておるこの姿、しかもこの小さいあばら屋のわずか三畳か四畳の部屋の中に十何人の家族が住んでおる、そして毎日の生活において飢えておる、こういう日本という哀れな家庭において、これに大きいへいをつくつてそうしてシエパードを置いてこの家をどうしても守らなければならないということは、家庭においても考えられない。まずどうして雨が漏らないようにするか、どうしておかゆをすすつても何とか飢えをしのぐことができるかというこの問題でございます。もちろん家庭生活がぜいたくなことは考えませんでも、一日の生活に不安なくして、そうして何とか希望ある生活ができ得るというような状態になつて、初めてどういうへいをつくろうか、秋田犬の番犬を置こうか、あるいは土佐犬を置こうか、シェパードを置こうかということの考えになつたならば、私は納得できるのでありますけれども、そうでない、先ほど申しましたように、一日一日をどのように生活して行くかという住居の問題、そして食糧の問題、こういう問題が今現実の問題としてあるのに、私たちはただ貧乏であるから、予算がないからというだけではこれは解決できない。これは皆さんもよくお考えになつておるところでありますけれども、現在の日本の予算ではどうにもならないというのがその結論でございまして、私はそれはよくわかる、また政府当局がいろいろと乏しい予算の中で御苦心なさつておる気持はわかりますけれども、今にしてこの根本的な問題を何とかして考えなければならない段階に来ておるのではないかと私は思います。毎年災害が災害を生んで、これだけやつておけば何とかなるというのに、それさえできなくて、貧乏の上になお大きな負担を重ねて行かなければならないような、そういう運命に追い込んでおるこの問題に対しまして、私は建設大臣に御答弁をお願いしたいのでございますけれども、きようは御列席になつておりませんから、政府当局からこの私の気持を、この私の気持は、また当建設委員会の諸君すべての一致した見解でないかと思いますので、政府当局に建設委員会のこの切実なる考えを反映させられて、政府当局が、何とかこの際もう一ぺん日本の真のあり方というものに対する根本的な考え方を、単に見解の相違であるとかいつたような一言の答弁のもとに葬り去ることのないように、そういう親切な、ほんとうに国を憂うるところの根本的な考え方でやつていただきたい、このように心から念願いたしまして、この災害あるいは治山治水問題に対する建設委員の一人といたしましての私の所見を述べまして、政府当局の善処方をお願いしたいのでございます。
#37
○荒舩説明員 ただいま三鍋委員から切実なお話を承りまして、まことに同感でございます。例年襲い来るこの災害を、予算が少いというだけで解決しないということは、まことにふがいないと、こう考えております。もちろん、これは政党政派の問題ではございません、国家全体の問題であり、国民全体の問題であります。従いまして、乏しい予算から、でき得る限りこの災害を救わなくちやならないと、こう考えております。しかし、具体的の問題になりますと、どうしても予算の裏づけが必要でありますので、現状といたしましては、乏しい予算で十分効果を上げて行きたい、こういうことで、来年度の予算に対しましても、建設省ばかりではございません、政府といたしましては治山治水の問題を特に取上げて、実際面からこの水害を救つて行きたい、こう考えているわけでございます。今の大きな問題に対しましては、具体的な三十年度に対する問題等は、大蔵省と折衝中でございますが、これは国民全体の問題でありますので、委員各位とともに研究して、より一層の効果を上げて行きたいと考ております。
#38
○三鍋委員 ただいま荒船政務次官から御答弁を願つたのでございますが、この限られた予算内においては何とも処置なし、それをできるだけ有効に生かして行またいという心持は、私よく了解しておるのでございますが、先ほど申し上げましたように、政府の、もつとはつきり申し上げれば、自由党の立場というものもありますし、私はこれはやはり尊重すべきだと思いますが、実際においてこういう毎年繰返されておるところの災害に対しまして、どうかもう一ぺん根本的な財政面においての御検討を何としてもやつていただきたい。そして毎年繰返されて二千億から二千五百億といわれておる、そうして相当の人命を失つておりますこの日本の現状というものを、ほんとうに何とか打開できますように、政府当局におかせられましても、真剣に御配慮をお願いしたい、このように考えるものでございます。
#39
○久野委員長 時間がたいへん遅れておりますので、明日の当委員会において、災害復旧の問題につきましては引続き検討いたしたい、さように考えますが、先ほど同僚の委員諸君からの御質疑に対しまして、御答弁が十分でなかつた点があるやに存じますので、一、二私から質問をいたしてみたいと存じます。
 応急融資が十二億六千五百万円出ておる、これは応急工事に対する査定が遅れておるので、その金額の配分が遅れておるのだ、こういうお話でございましたが、一体本年度が発生災害については、どれくらいの応急費を出される予定でございますか。
#40
○牧野説明員 この額につきましては、十二億六千五百万円と申し上げましたが、そのほかに都市計画の分あるいは公営住宅の分等を入れまして、十四億二千万円出ております。それ以外に、まだ運輸省あるいは農林省あるいは文部省等からも、いろいろ今要求が出ておりまして、資料が集まつているところでございます。まだ若干ふえるとは存じておりますが、全体といたしましてどのくらいという額につきましては、今のところ私どもちよつとまだ見当がつかない次第でございます。
#41
○久野委員長 そういたしますと、大体これで融資は終了したものと解釈してよろしゆうございますか。
#42
○牧野説明員 そうではございません。先ほどちよつと申し上げましたが、ただいま建設省関係の追加をしなければならない分というものにつきまして、いろいろ検討しておりますので、多分来週できるかと思いますが、追加せられる分が当然出て来るというふうに考えております。これで終了したというふうには考えておりません。
#43
○久野委員長 本年度の発生災害の施工費の問題については、他に何か財政的な措置が講じられておるのでございますか。予算上の措置が講じられておるのでございますか。
#44
○鹿野説明員 つなぎ融資以外にということでございますか。
#45
○久野委員長 そうでございます。
#46
○鹿野説明員 つなぎ融資以外については、予備金から支出するという以外には、特に公共土木関係の災害についてはとられておりません。
#47
○久野委員長 そういたしますと、予備金からどれくらい現在までに出ておりますか。
#48
○鹿野説明員 予備金からは五億出ております。それは先ほどお話があつたと思いますか、北海道の関係――当初五月ごろまでの北海道関係の災害と、直轄関係を詮議して予備金支出をいたしました。
#49
○久野委員長 そういたしますと、本年度の予定事業量、先ほど建設省の意見を伺つてみますと、三・五・二の三の比率を達成するためには、大体八十億程度の予算措置が必要だ、こう言つておられますが、それは当然予備金から出ることになるものと解釈してよろしゆうございましようか。
#50
○鹿野説明員 予備金から出ることになりますが、建設省さんの方でおつしやられる八十億という金額については、八十億出るかどうかということは、まだ検討いたしておりません。現在、建設省関係の被害だけじやなくて、各省の関係合せますと、大体私どもの手元で――もうこれ以上あまり変化がないと思いますが、八百四十三億くらいになつております。それで結局それを従来の被害報告に対する査定の割合とか、国費の割合というふうなことで計算いたしますと、今年度二割ないし三割程度のところを考えましても、全体として九十億くらいの予算が必要になるわけでございます。建設省さんだけでそのうち八十億を占めるというわけには、なかなか行かないのではないかと思います。
#51
○久野委員長 そういたしますと、三・五・二の三はできないということに解釈してよろしゆうございますか。
#52
○鹿野説明員 その点につきましては、現在の予備金は当初国会に予算を提出したときには百三十億ありましたのですが、国会の修正によつて八十億になつております。これは災害だけでなく、一切の予備金でございますから、その八十億の中で、災害に対する分は大体五十億程度というふうに考えております。五十億程度といいましても、いわゆる公共土木災害だけではなくて、農業関係の農薬を出すとか――農薬を出しておるかどうか存じませんが、農業災害その他いろいろの災害に対する処置として考えております。ちよつともどりますが、全体で八十億ありまして、そのうちすでに相当額が出ておりますので、結局現在六十三、四億円の予備金の残があると思います。六十三、四億円の残に対して、今の災害復旧事業費が今年二割あるいは三割――そこいらの計算は大体の推計になりますけれども、九十億前後のものが必要だということになりますし、やはり節約で現在実行予算として留保している部分がございますので、それを振りかえるような形にならざるを得ないと思います。
#53
○久野委員長 それはどのくらいありますか。
#54
○鹿野説明員 節約関係としては、全体で一応二百億節約をいたしたわけであります。予算全体といたしまして、公共事業関係は大体九十億でございます。節約の部分についても、若干災害等のために解除して――解除といいますとおかしいのですが、使つておる分もございますから、まるまるそのまま残るとは思いませんが、その分を振りかえるような形にならざるを得ないと思います。
#55
○久野委員長 これを加えますと、三・五・二の三の比率以上にできるだけの予算措置ができるんじやなかろうかと思うのでございますが、どうですか。
#56
○鹿野説明員 その点につきましては、私手元に一切の資料を持つておりませんが、災害関係のみでなく、予算編成当時から、地方財政の問題、社会保障の問題等、事務的に支出しなければならない面が相当ありますので、それ全体をふやすということはとうてい考えられない、現在の見通しでは、おつしやられたような三割復旧という線に対しましても、財源的に非常に困難であるというふうに内部で検討いたしております。検討いたしました結果では、三割復旧をやるということについても、非常に困難な事情でありますということだけ申し上げられるかと思います。
#57
○久野委員長 時間がおそくなりますので、明日またお尋ねいたしたいと思つておりますが、簡単にもう一、二お尋ねいたしたいのでございます。
 年末も迫つておりますし、年度末も近づいて来ると思うのでございますが、それまでに何十億というような事業を消化することができるかどうか。土地によつては凍結季を前にいたしておりますから、仕事のできない地域もあろうかと存じます。おそらく災害地にしてみれば、一日千秋の思いで融資あるいは予算上の措置を待つておると思うのでございます。これだけ仕事が遅れておるという事情は、先ほど来いろいろお聞きをいたしましたが、もう少し手早く、もつと急速に処理をしていただくことが必要ではなかろうかと思うのでございます。どうですか、近いうちに予算上の措置が全部完了するというように準備をなさつておるのでございましようか。
#58
○鹿野説明員 先ほど申し上げましたように、予備金支出につきましては、災害の復旧事業費が確定いたしますれば――全部が確定しなくても、部分的にはつきり確定した分については、至急出して行くということを考えておりますので、各県の査定額が確定した分については、こちらに御連絡を願いつつあるわけであります。その部分、適当なところで区切つて出して行くということになると思います。なるたけ早く出して行きたい、そういうふうに考えておりますが、全体の査定の済むのはおそらく今年一ぱいかかるのではないか、こういうふうに考えております。
#59
○久野委員長 それから、この前の前の委員会で、私はここにおります牧野資金課長に、過年度災害の融資の問題についてお尋ねをいたしました。ところが、検討中であるということだけで、そのまま未処理になつております。この問題につきましては、明日の委員会でもう少し検討して行きたい、こう思つておりますが、その問題に関連して、実はたいへんな大きな社会的な問題が起きておるのでございます。それはどういうことかと申しますと、事業の進み方が早いために遅払いを生じました。遅払いを生じたというだけではありません、そのために、何といいますか、みそだまり、米その他の食料費が払えない。その借金ができましたために食うこともできなくて、追立てを食つておるというような陳情が私のところに来ております。このような災害地における労務者というか、仕事をする人たちが、食うものを手に入れる金さえないという実情は、いまだかつて私は聞いたことがない。私長い間建設関係に携わつておりますが、昔から土方というものは、自分のかわいい子分が食うことに困れば、みな自分の身をはいででも食べさせるというのが習わしでございます。ところが、今日食べるものを手に入れることができないので、やむを得ずかつぱらつてでも、盗んで来てでも、どんな方法をしてでも食べて行かなければならないという極端な議論をして、そうして私のところに陳情に来ておる人があります。そういう労働者の人に、金あるいはみそだまりを貸したためにだんだん金が詰まつて参りまして、商売をして行くことができないで、破産一歩手前になつておるが、一体どうするのかという陳情が来ております。そういう悲劇が各所に、年末を前にして起きて来るかと思いますので、過年度災害の融資の処理の問題につきましては、もう少し真剣にお考え願いたいことを要望しておきます。その点については、明日の委員会でもつと詳しく数字をあげてお話申し上げ、また御意見も伺いたいと思います。
 他に御質疑はございませんか。――なければ、本日はこの程度にて散会いたします。
   午後一時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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