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1953/04/16 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 決算委員会 第26号
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1953/04/16 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 決算委員会 第26号

#1
第019回国会 決算委員会 第26号
昭和二十九年四月十六日(金曜日)
    午後一時三十一分開議
 出席委員
   委員長 田中 彰治君
   理事 天野 公義君 理事 大上  司君
   理事 松山 義雄君 理事 安井 大吉君
   理事 河野 金昇君 理事 柴田 義男君
      越智  茂君    徳安 實藏君
      吉田 賢一君
 出席政府委員
        農林政務次官  平野 三郎君
        農林事務官
        (大臣官房会計
        課長)     増田  盛君
 委員外の出席者
        会計検査院事務
        官
        (検査第三局
        長)      小峰 保栄君
        専  門  員 大久保忠文君
        専  門  員 岡林 清英君
    ―――――――――――――
四月十五日
 委員三宅正一君辞任につき、その補欠として大
 矢省三君が議長の指名で委員に選任された。
同月十六日
 委員西村力弥君辞任につき、その補欠として阿
 部五郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 柴田義男君及び杉村沖治郎君が理事に補欠当選
 した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 理事の互選
 昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算
 昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算
 昭和二十六年度政府関係機関決算報告書
 昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算
 昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算
 昭和二十七年度政府関係機関決算報告書
    ―――――――――――――
#2
○田中委員長 本日は昭和二十六年、二十七年両年度決算を議題とし、そのうち農林省所管中食糧庁関係を除く他の指摘事項について審議をいたします。
 まず昭和二十六年度決算検査報告書百四十五ページから百九十八ページに至る農林省所管不当事項、一般会計、予算経理四件、工事十五件、補助金二百四十九件及び二百七ページから二百二十ベージに至る国有林野事業特別会計、予算経理一件、物件二件、不正行為五件、是正させた事項三十四件並びに昭和二十七年度決算検査報告書百六十ページから二百七十七ページに至る不当事項、一般会計、工事二件、補助金八百九十三件及び二百九十二ページより三百ページに至る国有林野事業特別会計その他の項一件を便宜一括議題といたしまして、そのうち昭和二十六年度分におきましては、報告番号五〇四ないし五一三、五二四、五四一、五四二、五五〇、六一四、六九〇、六九一及び七八八、昭和二十七年度においては報告番号六七九ないし六八一、九六八ないし九六九、一〇〇六、一四一二、一四三〇、一四六九及び一五〇八に重点を置き、会計検査院当局よりその説明を求めます。
#3
○小峰会計検査院説明員 たいへん広汎にわたつておりますが、まず二十六年度の五〇四号から御説明申し上げます。五〇四号から五〇七号はいわゆる架空経理と申しますか、事実に合わない経費の支出をいたしまして、他の用途にこの金を使つた、こういう案件であります。最初の五〇四はここにあります通り、農林省富士開拓建設事業所で金額が三十三万七千円労力費ということで経費を支出いたしまして、実際は食糧費、旅費、雑費等に使つた。検査当時七百六十三円の工事残金を持つていた。五〇五号、五〇六号も大体同種の案件であります。五〇七号はこれはここにございます山梨、兵庫、和歌山の統計調査事務所で、これは前に申し上げました五〇六号までとは違いまして、工事費ではございませんが、調査手当、こういう架空の支出をいたしまして、合計四十四万三千円、これで食糧費、旅費等に実際は使用していた、こういう案件であります。それから五〇八号から五一三号でありますが、直轄工事の経理が紊乱しているもの、これは千葉県にございます印旛沼手賀沼の干拓建設事業所で、架空経理を初めといたしまして、工事のやり方がおもしろくないもの、あるいは物品の受払いが整理が悪いもの、こういうものを一まとめにしたものであります。合計六件にそれがまとめてございます。
 まず第一の五〇八でございますが、これは架空の名義により支払つたものという案件でありまして、二十四年の二月から二十六年の十月までの間に工事費から人夫賃、あるいは材料購入費というような名義で六千七百万円余りを捻出いたしました。また同時に東京農地事務局で農地補償金として支出をいたしました二百四十万円、それから工事請負人から寄付を受けました二十二万円、合計六千七百万円という資金を手元に持ちまして、これを右から左に現金で使つていたわけであります。使い道はここにございますように、請負代金に五千百万円、直営工事の労力及び材料費に九百十四万円、用地補償費の補足として二百二十一万円、雑工事費に百九十二万円、接待費に百三十一万円、職員手当に百十万円、こういうように使つていたわけであります。ここで先ほど申し上げましたように、東京農地事務局で支出をいたしました用地買収の補償金をこういう方面に使つてしまいましたので、これをあらためて二十七年度に二重に支出を受けた、こういう結果になつているわけであります。
 それから五〇九号でありますが、これは刑事被疑事件を起しました収賄の問題で、幹部が相当にひつぱられたのでありますが、請負人からの収賄容疑であつたわけであります。請負人はここにございます穗積建設であつたのでありますが、穗積建設が従来から仕事をやつていた。しかしそういう問題を起しましたので、請負人をかえるということで三幸建設にかえたわけでございます。ところが名義は三幸建設にかわりましたが、実際はその下請人として穗積建設がこれをやつていたわけであります。五〇九号はその当時の案件でありますが、サンドポンプを使いまして水路を掘鑿するのに、三幸建設がこういう契約をとつたわけでありますが、三幸建設が新しく契約を履行するためにサンドポンプを東京から運ぶ、こういうような予算の積算ができていたわけであります。ところが先ほど申し上げましたように、実際は穗積建設が前から引続いてやつておりますので、そこに穗積建設のサンドポンプが来ていたわけであります。三幸建設が名義人になりましたが、依然として穂積建設が下請で工事をやつていながら、わざわざサンドポンプをほかから持つて来る運搬費とか、現場組立試運転費を契約価格の中に見込んでいたわけであります。そういうものを見る必要がないじやないかというのが批難の骨子になつているわけであります。穂積建設が引続き、名義こそかわりましたが、やつているんだから、もうそこにサンドポンプも来ていることですし、そういう新しく持つて来る運搬費とか、現場組立試運転費、そういうものを見込む必要はないその金額は八十三万円、これがよけいな金、こういう案件であります。
 それから五一〇号でありますが、これもやはり三幸建設の随意契約でやりました疏水路掘鑿工事でありますが、サンドポンプを使つて掘鑿をやつたものであります。印旛沼、手賀沼は全然水路のないところに大きな水路を新しく掘つて行くわけであります。最初からサンドポンプを使うというわけに行かないわけでありまして、大体サンドポンプが入るくらいまで、吃水に支障を来さない程度までは、手掘りなりほかの機械を使うなりして掘らなければならないわけであります。そこで水を入れまして、サンドポンプを入れて、逐次水路を延ばして行く、そういう方法をとつているわけであります。ところが御承知のようにサンドポンプは非常に安いのでありますが、手掘りということになりますと、これは非常に高くなる。手掘りは最小限度にとどめて、なるべく早くサンドポンプを水路のところに入れた方が利益であります。設計を見ますと、この設計がそのまま契約になつたのでありますが、その内訳を見ますと手掘りの量が非常に多い。ここにございますが二万一千五百九十九立米の手掘りを見込んでいるが、サンドポンプを効果的に使えばそんなに必要はなかつた。現に請負人も二方一千なんか手掘りをやつていない。請負人がやりましたのは、今の二万一千立米のうち六千八百立米はサンドポンプで掘つてしまつた。それに対して現地では手掘りの高い料金を払つておつた。大体実績に従つて計算いたしますと、九百十五万円くらいでこの工事は足りたはずなのに九百七十七万円の請負であります。
 それからその次が「使用見込のない工事用機械の修理費を支払つたもの」こういう案件であります。これはプリストマン型の浚渫船を東京の月島から千葉県の印旛沼、手賀沼の工事現場に回航したわけでありますが、これは非常に日が長くかかりまして、二十三年の六月に月島を出発いたしましたが、二十六年度になつてようやく現地に着いた、こういう事態であります。ちよつとこの点もおかしいのでありますが、事実長くかかつております。途中で非常にゆつくりしていたわけでありますが、三年越しでようやくあそこまで回航した、こういうわけでありますが、この船がまた非常に悪い船でありまして、向うへ持つて行つたけれども使いものにならなかつた。そして四十万四千円ばかりの修理費をかけましたが使いものにならぬ。それで結局農林本省に保管転換いたしまして、結局のところ二十八年十一月になつて売つてしまつた。こういうような使いものにならないものに修理費をかけることはないじやないか、こういう趣旨であります。
 それから五一二号でありますが、「支給する必要のない重油を無償で払い出したもの」これは先ほど来申し上げましたように、サンドポンプを使つておるわけでありまして、サンドポンプには当然電力がいるわけでありますが、当時配電線が工事現場まで来ていない、こういうことでディーゼル機関による発電船を使うという計画であつたわけであります。ところが実際はこの発電船を使う前に配電線ができ上りまして、工事用の配電線で安い電力の供給を受けられたのでありますが、この発電船は試運転をしただけで実際の役には立たなかつたのであります。これは見返り資金で買つたわけでありますが、こういう発電船を買わぬでもいいじやないかというような批難をしております。この発電船は使わなくてもよかつたのに油だけ使つたことになつておるわけであります。三万九千九百リットル、帳簿価額にいたしまして約四十四万三千円でありますが、使わなかつたはずの発電船に油だけが出ている。書類は領収証もちやんととつてあるのでありますが、これはおかしいというのが案件の趣旨であります。
 それから五一三号でありますが、「工事用材料等物品の出納保管当を得ないもの」この案件は、ただいま申し上げました油、それ以外に三十八品目にわたるものが帳簿外の過剰品となつておる。また一方シート八枚外三十品目、帳簿価額で五十九万五千円というものが、帳簿にありながら現品は不足しておる。それからよく調べて参りますと、セメントなど相当硬化しておつて使いものにならぬでほつてある。こういうことがわかりましたので、物品の整理がよろしくない、こういうことでここに一つにまとめたわけであります。直轄工事の補助以外の二十六年度の批難のおもなものは、今のようなものであります。
 それから補助について御説明いたしますが、補助工事全般につきましての会計検査院としてのいろいろな検査の結果とかそういうものは、二十七年度の方に詳細ございますので、二十七年度分について御説明いたすことにいたしまして、二十六年度は御指定のありました個々の案件だけを簡単に申し上げておきます。
 まず五二四号でありますが、これは福島県の普通水利組合でやつた工事であります。井堰延長が四十九メートルこわれた、それを復旧するということで国庫補助金三百一万六千円の指令を受けたのでありますが、実際工事は三十メートルしかやつていない。十九メートルはまつたく災害の事実がない架空の工事であつた。それで補助金の三百一万六千円に対しまして百六万円がよけいになつていた。こういう案件であります。
 次は五四一号、五四二号、これは二重査定と言つておりますが、同じ災害復旧工事に対して農林省と建設省と両方から補助をもらつてしまつた、こういう案件であります。二つとも佐賀県でありますが、小城郡小城町のケースであります、二十六年度の検査報告、二十七年度の検査報告もそうでありますが、何分にも案件が非常に多いもので、表にいたしまして補助金の過払額百万円以上の分だけは横に書いてございます。この次の五四二号なども横に書いてございます。百万円以下の案件は一々書くと非常にたくさんになるものですから省略してあります。ただ表だけ出ておりましてはなはだ恐縮でありますが、五四一号は護岸千四百メートルがこわれた、これを復旧するということで農林省から補助をもらつたのでありますが、今の千四百メートルのうち八百二十六メートルはすでに建設省から補助をもらつて、二十五年三月に完成してしまつていた。それに対し農林省からもまた補助があつた。こういう案件であります。これは返してくれればよいわけでありますが、検査のときにはほかの工事に使つてしまつておる。こういうのでありまして、どうもこれははなはだ困るのであります。
 その次の五四二号は、金額は少しかさみますが、護岸延長三千五十五メートルを復旧したこととしておりますが、そのうち千三百七十メートルは別途建設省所管工事としてやつてしまつていた。そしてその余つた金はほかの方に使つてしまつた。毎年こういうケースが農林省、建設省とも若干ずつ出ておるのであります。補助金の二重取りはまことに困つたものであります。
 次は五五〇号でありますが、この辺に並びました案件は、いわゆる粗漏工事であります。国庫補助をせつかくつけましたが、工事が粗漏のためにこわれてしまつた。検査当時にこわれておるものをここに集めたわけであります。五五〇号長崎漁港の案件は代表的に大きい案件であります。御承知かと思いますが、長崎では大きな突堤を築造いたしまして漁港施設にするということで当時工事をやつておつたのでありますが、あそこは非常に地盤が軟弱でありまして、工事がむずかしい箇所であります。それをぞんざいな工法をとつたために、せつかくサンド・ポンプで突堤内に土を送りましたが、その土がまた海に流れ出してしまつてこわれてしまつた、こういう案件であります。ここにありますように「突堤内の埋立工事は現場の地盤が軟弱な泥土層であるのにその調査が十分でないし、岸壁基礎もこのような地層にはありがちな地下土壤の移動力」これは中ヘサンド・ポンプで土砂を水と一緒に送るわけでありますが、その水が外へ出ると土砂も出てしまうという意味で移動力という字を使つたわけであります。「移動力に対して十分に設計されていないので」、ですからゆつくりと泥を送り込んで逐次やつて行けばまだましでありますが、どんどんやつてしまつたわけであります、そうしたら中へ送り込みました泥がまた外へ流れてしまう、こういうことで倒れてしまつたのであります。損害が国庫補助にいたしまして千百万円、工費にいたしますと二千二百万円の損害、こういう条件であります。
 次は六一四号です。六一四号は、この辺に並んでおりますのは、先ほどの粗漏工事としてこわれてしまつたという工事ほどひどくはないが、設計通り工事ができていなかつた、補助金は設計通りできたことにして事業主体に行くわけでありますが、工事はそれだけできていなかつた、私どもいわゆる出来高不足といつておりますが、これが検査のときには非常にたくさん見つかるのであります。この六一四号はその代表的な事案であります。これはまた佐賀県が出てはなはだどうもあれでありますが、工事費千二百九十万円に対して出来高不足が七百五十万円、半分以上のものが出来高不足、こういう案件であります。水路の延長千九百七十五メートルを施工することとなつているのに実際はそのうち千メートルは被害が軽微であつて工事をやつていなかつた、こういう案件であります。これなどは先ほどの額に近い案件でありますが、ともかくも被害は若干あつたわけでありますので、私の方としては出来高不足、こういうことで整理したわけであります。
 それから六九〇号と六九一号であります。これは全体を通じて代表的なケースであります。大阪の堺市の案件でありますが、二十六年度に私ども初めて農林省の検査を手広くしたわけであります。全国的に手広くやつたわけでありますが、御承知のように、災害復旧は原則として地元が三制五分なり四割なりの自己負担をしなければいかぬわけであります。その地元負担をいやがるために請負費を値切つてしまう、そうして私どもに見せる書類、農林省にお渡しする書類と別の裏契約があるということが実は検査中にだんだんわかつて来たわけであります。それで検査の後半になりまして若干の府県を選びまして、正当な自己負担をしているかしていないかということに相当重点を置いた検査をやつていたわけであります。大阪はこれはお気の毒だつたわけでありますが、その選ばれた中にあつたわけでありますが、大阪では今まで自己負担をしていないというケースがたくさん見つかつたのであります。その中で堺の案件はきわ立つている案件なのであります。大和川の耕地整理組合、これは非常にいい組合といわれているものでありますが、この表にあります通り二千二百二十万二千円が設計の工事費であり、同時に補助の基本の工事費であります。それに対して補助金が、千四百万円、ところが実際には二千二百万円いるはずだつた工事費が千九十九万円しかかかつていなかつた、半分以下であります。(「補助金でもうけている。」と呼ぶ者あり)これはもうかつてしまつているのであります。それで国庫補助金は七百十四万円やればいいというのであります。それを千四百万円もらいますから、国庫補助金の方が工事費よりもよけいになつてしまう。自己負担を免れるという案件は多いのでありますが、たいがいは補助金までは使つているのであります。補助金をもうけるというケースは少いのでありまして、こんなのがたくさんあつては実は困るのでありますが、これなどは非常にきわ立つた案件になつております。
 六九一、これはもうけてはおりませんが、大体補助金一ぱいで工事をやつてしまつた、こういう案件であります。六九〇、六九一は全体を通して代表的なケースだということで私ども取扱つております。
 それから七八八でありますが、これは林野庁の案件であります。林野庁は農林省でも大きな仕事をやつている割合に、私どもが検査上見つけまして国会に御報告しなければいかぬというようなケースが比較的少いところであります。農林省内では一等少いところでありますが、この七八八は前の戦後の乱れた経理の尾を引いていた案件であります。これは高知の営林局で素材を売りましてその代金というのを一億二千四百万円昭和二十六年度中にとつていたのでありますが、これをすぐに歳入に入れるという正式の手続をとりませんで別途に経理をしていた、こういう案件であります。私どももちよつと金額が大きいもので最初は非常に驚いたのでありますが、これはすぐに検査で発見しまして注意したところが、林野庁でも驚かれまして、すぐに歳入に入れるなり返すなりということをしてこれは整理を済ませたことになつたわけであります。これは素材を売渡すときに内談が成立いたしますと――正式の契約が成立する前でありますが、内談が成立しますと買受け希望者から概算で便宜その代金をとつてしまう、そうして内談でありますからそのまま国の歳入に入れることができないわけであります。これを民間の銀行に預けておくということをやつていたわけであります。そうして正式の契約ができたときにそれを国の歳入に入れる、で、そのまま全部国の歳入にそつくり入つてしまえばまだ問題がなかつたわけでありますが、こういうことをしておきますととかくほかの用途に使うとかなんという、ありがちのことでございますが、ここにもありますように、その間十三回にわたつて人夫賃とか物件購入代等に千百万円を立てかえ流用して予算の不足を補つているわけであります。そのために国へ納める代金が一時的ではありますが不足してしまつた。不足したら今度営林署の方に渡した前渡資金を持つて来ましてその不足を補つている、こういうようなことがわかりまして、これは厳重に注意したのであります。すぐにこれは整理を済ませてその後はこういうケースは起きておりません。非常に簡単でございましたが二十六年度は大体この程度にしておきます。
 二十七年度であります。六七九号以下をお示ししておりますが、その前に国庫補助事業、農林省の公共事業補助というものに対して、会計検査院としてどういう検査をして、どういう結論を得ているかということをざつとごく簡略に御説明しておこうと思います。先ほど申し上げましたように、二十六年度から農林省の国庫補助工事というものを私どもとしては全国的に初めて検査したわけであります。建設省の方は一年早く、これは御承知のように、災害復旧国庫負担法の改正がございましたのを契機といたしまして、建設省については二十五年度からやつたのでありますが、建設省の検査結果にかんがみまして、農林省もやらなければいかぬということで、二十六年から初めて全国的な検査をやつたのであります。二十七年度は引続きそれをやつたのでありますが、全国的と申しましても、私どもが実際見られます工事現場というのは五%か六%しか見られない、非常に工事の数が多いのであります。ここにございますように、二十七年度は六万五千九百、そのうち五・八%に相当する三千八百三十、これしか見られなかつたわけでありますが、ともかくも四十六の都道府県に一度検査に行き、そうしてその中から五、六パーセントの工事を見て来た、こういうことになるわけであります。これは工事箇所に申し上げたわけでありますが、金額にいたしますとこれが一三・四%くらいになつております。比較的大きな工事を検査するので、箇所数よりも金額は若干かさむわけであります。これをやつてみましたところが、先ほど二十六年度で申し上げましたように、設計に対して工事の出来高が非常に不足している、あるいは設計が過大過ぎる、あるいは工事の施行が粗漏で、検査に行つたときにはこわれてしまつている、あるいは災害復旧とは認められないいわゆる便乗工事、こういうものをやつておる。それから先ほど出ました他の工事と重複して査定を受けた補助金の二重取り、こういうものもたくさんに出て来たわけであります。大体一工事で補助金にいたしまして、除外すべき金額が十万円以上というものを拾い出してみますと、三千八百三十やりました中で、千七百五十七工事、金額にしまして六億八千七百万円、こういうものが出て来て、私どもは実はびつくりしたのであります、会計検査院の検査は、相当結論を手がたく整理いたしますし、金額もかたいところでやりますから割合かさみませんが、それにしても三千八百のうち千七百が悪い、こういうことになるので、私どもとしては非常に驚いたわけであります。これは折込みの表に県別、類別にいたしまして一覧にしてございます。それでこれは二十六年度で指摘したわけでありますが、二十七年度でも一向よくなつていない 事業主体が自分の負担を免れるためにいろいろな手を使つて、ごまかしをやつているというようなことが二十六年度にわかりましたが、二十七年度はこれが全面的にはつきりして来たわけであります。今申し上げました悪いと批難した分の千七百五十七工事のうち、八六・二%に相当する千五百十五工事、これが正当な自己負担を免れている。表面上の経理は査定通りの工事費を使用して、自分が相当の自己負担をした、こういうことにしておりますが、実際は負担していない。一部負担しておらぬものもありますし、全然負担しておらぬものもある、あるいは中にはさつきの大和川耕地整理組合のように、補助金以下で工事を仕上げてしまつている、こういうものも若干見つかつて来ているのであります。こういうことをしておきますと、工事の出来高が非常に悪い。そのために中にはすぐにこわれてしまつて、再度災害を受けて、地元はひどい目にあつた、こういうものがあるのでありまして、出来高が一般的に非常に悪くなつておるわけであります。十万円以上の分が千七百五十七工事、これは何分にも多いのでありまして、二十六年度は十万円で整理したのであります。二十七年度は二十万円に切上げまして、表で掲げたわけであります。これが八百九十三件、五億九千百万円の除外すべき額がある、こういうことになつたわけであります。私どもとしましても、見つけることをいつまでやつておつても同じでありまして、原因を調べて、同時にこれはどうしたら一体こういうものがなくなるかということも、昨年は相当真剣に実は調べたのであります。発生原因それから防止対策、これにつきましては昨年の夏、ちようどあの大災害が起きまして、あれの災害復旧費というのは非常な巨額になる、こういうことでこれも今までのような使い方をされてはたまらぬ、補助を九割も国庫が負担するわけですから従来のような使い方をやられてはたまらぬ、何とか少しでもよくなるようにということで、従来の検査結果によりまして――これは工事の出来高の不足しているものと設計過大のものでは不正工事ができる原因も違うし、これに対する対策も違う、こういうことでケースごとに分類しまして、原因と対策、これを関係各省、それから参議院でも御要求がありましたので、資料としてお出しする、こういうことでやつております。
 結論だけここに書いてございますが、防止対策としては支出負担行為制度の整備、それから机上査定――査定が非常にぞんざいだ、ことに現地を見ないで机の上で査定をやつてしまう、これが大きな原因をなしているのでありますが、机上査定を減少せよ、それから高率補助の活用と事業主体負担分の適時融資、事業主体が財政的に非常に窮乏しておりまして、負担ができないということも相当大きな原因になつているようでありまして、その面は融資でなるべく補うということをあつせんしてはどうか。後ほど申し上げますが、非常に貧弱な町村に五億も七億も査定がついたというような例もあります。こういう場合には二割、三割の自己負担にしましても非常に大きなものになりますから、そういうものを何とか早くあつせんするということを考えてはどうか、こういうこともお出ししてあります。それから改良費補助が現在でも非常に足りない、そのために災害復旧に便乗されて、国としては余分な国庫補助金をとられている。改良費ですと五割なり六割で済むのを、災害復旧になりますと、場合によつては八割以上国庫負担しなければいかぬわけであります。便乗工事に対してこういう高率の国庫負担をする結果を来しているのは、結局改良費補助が少いからじやないだろうか、こういうことも検査院の意見として各省にお出ししてあります。それから農林が建設に比べてことに問題が多いのでありますが、これは事業主体が非常に小さい、建設の場合には一番小さいのが町村であります。府県営の工事は建設の場合が多いのでありますが、農林の場合には府県営の工事はほとんどありません。非常に少い。ところが一方町村よりまだ小さい農業協同組合、こういうものが事業主体になる工事が非常に多いのであります。私ども見ますと、この種の小さい事業主体の場合に特に問題が多いのであります。こういう場合には、合併して工事をやるなりしてはどうか。それから実施設計を適正につくるとか、不誠実な事業主体、請負人に対する補助の取消しまたは指名の停止、こういうようなことも考えてみてはどうだろうか。それから大きな原因として、工事監督機能というものが非常に貧弱であります。これも何とか充実する道が講ぜられないだろうか、こういうことを照会でお出ししてあるわけであります。
 先ほど机上査定なり査定が非常に変なのがあると申し上げましたが、この一例として百六十七ページに例をあげておきましたが、非常に貧弱な農村、税収が年に五百万円か六百万円しかなくて人口五、六千の農村にも、大災害を受けると非常に大きな災害復旧費がつくのであります。従来つきました例で大きいのをここにあげておきましたが、山口県佐波郡出雲村が七億八千四百万円ついた、こういう例があります。それから同じく八坂村が五億三千五百万円、大阪の東鳥取村二億七千万円、愛知県の幡豆郡福地村一億九千九百万円、すぐそばの三和村が一億九千百万円、こういう大きな査定がついております。これは、災害が大きくなれば大きな査定がつくのは当然かもしれませんが、一方で大きな地元負担をしなければいかぬわけであります。そういう場合に災害の査定のつけつばなしということでなく――この中で水増しがあるのもありますが、厳正な査定をして、ほんとうにそれだけ必要ならば、やはり地元負担の融資をあつせんするなり何なり考えるべきじやないだろうか、こういう趣旨でここに掲げたわけであります。内容を見ますと、相当に便乗工事とか水増しとかが入つていたケースであります。
 非常に数が多いものでありますから、農業施設と漁港施設それから山林施設、大体この三つにわけまして検査報告をつくつてあるわけでありますが、最初に農業施設であります。これか圧倒的に数が多いのであります。今申し上げましたので、大体全体を包括したわけでありますが、農業施設は、土地改良とか地盤沈下対策、災害復旧の全体を集めますと、全国で五万八千ほどあつたわけであります。そのうち会計検査院で現場を見ましたのが三千二百八十七件、工事費にいたしまして七十億円、これを検査いたしますと、護岸工事の延長とか面積、こういうものが非常に少い、出来高不足になつている。あるいは井堰工事のコンクリートの配合比が非常に悪い、ちよつとたたいたりつつくとすぐこわれてしまう、こういうようなものも相当見受けられたのであります。国庫補助金を除外すべき額が検査いたしました工事数の四六・七%、千五百三十八件あつた、その金額は五億九千百万円、半分近いものが検査上満足でなかつた、こういうことになるわけであります。正当な自己負担を免れているというものがその中で八七・二%、千三百四十二件、こういうことになつておるのであります。
 これから個々のケースについて御説明いたしますが、お示しになりましたケースは代表的な案件といたしましてあとの方にございますが、これは百六十九ページ以下に全部書いてございます。
 まず第一の六七九、六八〇、六八一、これは百六十九ページの(1)としてあげてございます。これは秋田県の上川沿村の案件でございまして、架空工事、出来高不足、設計過大、事業主体負担不足、こういうものがいろいろからみ合つた相当に複雑な案件でありまして、全部自己負担を免れているというのがからんでおります。
 それから九六八、九六九、これは百七十ページの(2)として、愛知県の幡豆郡三和村の三和土地改良区の一億六千五百万円の大きな工事でありますが、それからこれにもう一つそばの福知村がやりました工事であります。これは先ほど申しました二重査定の大きなケースであります。先ほど申しましたのは建設省と農林省で重複する、こういう案件でありますが、この愛知県の分は同じ農林省内で重複しているのであります。それは災害復旧と耕地整理というものが重複するのでありまして、災害復旧でどろをのけますと、それがそのまま耕地整理の農道になるというケースがあります。それを別々の設計を立てまして、災害復旧のどろは遠くへ捨てる、それから農道に必要などろは別に持つて来る、こういう設計等を立ててやつておつたのであります。実際は災害復旧でどけるどろがそのまま耕地整理に使える、こういうようなことで大きな重複が出たわけであります。
 それからその次の一〇〇六号、これは京都の東別院村の案件でありますが、これは百七十一ページの(3)として整理してあります。これは農地へどろがたくさん入つたのでありますが、その土捨て量とあとへ持つて来る客土量、これを非常にたくさんに見込んでいた、こういう案件であります。
 それから一四一二号でありますが、これは漁港の代表的なケースであります。二百五十八ページの最後の行から次のページにかけてございます。これは愛媛県の高山漁港でございますが、これは防波堤を災害復旧したことにしていますが、その防波堤に使う石の量が設計より非常に少くて済んだ、こういう案件であります、設計過大の代表的なケースであります。
 それから一四三〇号、これは福岡県の西角田の漁港でありますが、これは粗漏工事の代表的なケースとしてあげたわけであります。非常にぞんざいな工事をしましたもので、せつかくつくつた防波堤がこわれてしまつた、よく調べてみますと、村は百六万円負担しなければいけないところを実際は一文も負担していないばかりではなくて、補助金を二百三万円余してしまつた、こういうケースであります。
 それから一四六九号であります。今申し上げましたのは漁港でありますが、これは林道の代表的なケースとして二百六十九ページの(2)として整理してあります。山梨県の増富村の林道でありますが、八百五十万円の林道、これを石垣を練積みでやるところを実際はから積みでやつてしまつたので、二百五十五万円の村の負担分を実際は全然負担していない、こういう案件であります。
 それから一五〇八号、これは林野庁の案件でありますが、保安林である国有林を地元に売つたわけであります。ところが完全に切ることを禁ぜられる禁伐の場合には一般の正常価格よりも六割ほど引くわけでありますが、本件に関しては若干の択伐が認められるわけであります。択伐林の場合には三割引くということでほかでは扱つておるのでありますが、それを東京営林局の管内の五件におきましては禁伐禁と同じく六割の控除をしてしまつた、こういうふうになつておるわけであります。
#4
○田中委員長 会計検査院の説明を聞きましたが、お諮りいたします。政府は国民に耐乏生活をしいておりながら、このたくさんな数にわたつてこれだけの大きな金額がめちやめちやに二十六年度も二十七年度もされておるということは非常に重大だと思いますから、本日はこの質疑をやめて、大蔵大臣と農林大臣を次の委員会に呼んで、その上で質疑をしたい、こう考えますが、いかがでありましようか。
#5
○吉田(賢)委員 その際に、今検査院第三局長の御説明によりますと、一昨年以来のずいぶんたくさんな補助金に対する批難事項については、特に政府に対して各省への申入れがあるようであります。そうしますと、これはやはり会計検査院としての申入れでありますので、検査院法に基いての非常に重大なできごとであります。検査院法に基いて会計検査院からの申入れがあつたというような事態にかんがみまして、やはり検査院長も来てもらいまして、そしてこの重大な補助金等をめぐつた批難事項の審議を一緒にやるようにしていただきたい、さように願いたいと思います。
#6
○田中委員長 いかがいたしますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○田中委員長 それではそういたします。
 それから次の委員会には、私どもの方も農林大臣、大蔵大臣と会計検査院長を必ず呼びますから、ぜひとも各党から委員が欠席なさらぬように出ていただきい。
 本日はこの程度にして散会いたします。
    午後二時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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