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1953/04/26 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 外務委員会 第41号
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1953/04/26 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 外務委員会 第41号

#1
第019回国会 外務委員会 第41号
昭和二十九年四月二十六日(月曜日)
   午前十一時九分開議
 出席委員
   委員長 上塚  司君
   理事 今村 忠助君 理事 富田 健治君
   理事 福田 篤泰君 理事 野田 卯一君
   理事 並木 芳雄君 理事 穗積 七郎君
      北 れい吉君    佐々木盛雄君
      福井  勇君    宮原幸三郎君
      須磨彌吉郎君    福田 昌子君
      細迫 兼光君    河野  密君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 岡崎 勝男君
        国 務 大 臣 木村篤太郎君
 出席政府委員
        保安政務次官  前田 正男君
        保安庁次長   増原 惠吉君
        保安庁長官官房
        長       上村健太郎君
        外務事務官
        (国際協力局
        長)      伊関佑二郎君
 委員外の出席者
        検     事
        (刑事局公安課
        長)      桃澤 全司君
        外務事務官
        (アジア局第五
        課長)     鶴見 清彦君
        外務労務官
        (条約局第一課
        長)      高橋  覺君
        外務事務官
        (条約局第二課
        長)      佐藤 正二君
        外務事務官
        (国際協力局第
        三課長)    安川  莊君
        外務事務官
        (情報文化局第
        三課長)    蓮見 幸雄君
        専  門  員 佐藤 敏人君
        専  門  員 村瀬 忠夫君
    ―――――――――――――
四月二十四日
 抑留同胞の完全救出及び戦犯者の全面釈放に関
 する陳情書(兵庫県会議長有沢与七)(第二九
 〇〇号)
 中国紅十字代表李徳全女史の来日要請に関する
 陳情書(下関市議会議長小西タカイチ)(第二
 九〇一号)
 太平洋水域における原爆等の実験反対に関する
 陳情書(高知県安芸郡室戸岬町長小野正章外一
 名)(第二九六一号)
 海外抑留同胞の完全帰還と戦争受刑者の全面釈
 放等に関する陳情書(岐阜県議会議長松野幸
 泰)(第二九六二号)
 太平洋水域における原爆の実験反対に関する陳
 情書(東北市議会議長会会長釜石市議会議長菊
 池吉太郎)(第二九七一号)
 太平洋水域における原爆等の実験反対等に関す
 る陳情書(宮城県牡鹿郡鮎川町長鈴木良吉外一
 名)(第二九七 号)
 同(大阪市港区桂町一丁目海友婦人会大阪支部
 理事会議長岡野はつ)(第二九九六号)
 同(高知県安芸郡室戸町議会議長上田喜次郎)
 (第二九九七号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案
 (内閣提出第一一四号)
 日本国における国際連合の軍隊の地位に関す
 る協定の締結について承認を求めるの件(条
 約第一六号)
 日本国における合衆国軍隊及び国際連合の軍
 隊の共同の作為又は不作為から生ずる請求権
 に関する議定書の締結について承認を求める
 の件(条約第一七号)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及
 び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆
 国との間の条約の批准について承認を求める
 の件(条約第一八号)
 遺産、相続及び贈与に対する租税に関する二
 重課税の回避及び脱税の防止のための日本国
 とアメリカ合衆国との間の条約の批准につい
 て承認を求めるの件(条約第一九号)
 第二次世界大戦の影響を受けた工業所有権の
 保護に関する日本国とスウエーデンとの間の
 協定の締結について承認を求めるの件(条約
 第二〇号)
    ―――――――――――――
#2
○上塚委員長 これより会議を開きます。
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の批准について承認を求めるの件、遺産、相続及び贈与に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の批准について承認を求めるの件及び第二次世界大戦の影響を受けた工業所有権の保護に関する日本国とスウエーデンとの間の協定の締結について承認を求めるの件、右一括して議題といたします。政府側より提案理由の説明を求めます。岡崎外務大度。
#3
○岡崎国務大臣 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の批准について承認を求めるの件並びに遺産、相続及び贈与に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の批准について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 日米両国間の経済上、文化上の関係は、戦後著しく密接となりましたが、昨年の秋、日米友好通商航海条約が発効いたしまして以来、日米両国人の交渉がいよいよしげくなり、両国の領域にわたる財産の所有または移転もますます多くなつて来ているのであります。さらに、わが国といたしましては、外資導入による国内生産力の向上、輸出入貿易の促進等国家的見地から日米経済関係の緊密化に期待するところが大きいのであります。
 この際、日米両国の税法が異なつておりますためにそれをそのままに適用いたしますと、両国間に二重課税の事実が生じ、また脱税の可能性が存することとなり、両国間の円滑な経済及び通商の関係に対して大きな支障となりますので、政府は、かねてから合衆国政府と交渉いたしました結果、今回所得税関係と相続税関係との二本建の租税条約を合衆国駐在井口大使と合衆国代表との間で署名するに至りましたわけであります。
 これらの条約が効力を生じますと、両国間における二重課税及び脱税の問題は、有効適切に処理されることとなり、日米両国の国民は、今後安心してその経済上、文化上の活動に従事できるのみならず、日米両国の経済協力も一層円滑に行われるようになることを信じて疑いません。
 よつて、ここにこれらの条約の批准について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
 次に第二次世界大戦の影響を受けた工業所有権の保護に関するスウエーデンとの間の協定について国会の承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 第二次世界大戦とこれに続く日本の連合国による占領のため、約十年間は日本、スウエーデン間の通信連絡が異常状態に置かれ、その結果として、右期間におきましては、工業所有権関係の出願書類を相手国に郵送したり、または持許料、登録料等を相手国に送金納付することがきわめて困難であり、またときによつてはまつたく不可能であつたこともありました。さらに連合国の占領政策は、一時日本政府が外国人の出願を受理したり、または日本人が外国に出願することを禁止いたしておりました。これらの理由により、日本とスウエーデン間においては、互いに相手国民の工業所有権を保護するための措置をとることができなかつた状態にありました。
 そこでスウエーデン政府は一昨年四月にこれらの権利を相互的な基礎に立つて救済するための協定を締結したい旨の申入れを行い、東京において交渉を行つて参りましたところ、両国間に意見が完全に一致しましたので去る三月三十一日に協定に署名をいたしました。
 この協定は、工業所有権の持許または登録のための優先期間の延長、並びに消滅した工業所有権の回復または更新及び無効となつた持許出願または登録出願の効力回復を内容といたしており、第十六臨時国会において御承認を受けましたドイツ連邦共和国との間の協定及びスイス連邦との間の協定並びに今国会において御承認を受けましたデンマークとの間の協定と内容においてほとんど差異がなく、この協定の締結は両国間の友好関係及び技術提携関係を増進させるに役立つものと信じております。
 以上の事情を了承せられ、何とぞ御審議の上、すみやかに御承認を与えられんことを切望いたします。
#4
○上塚委員長 これにてただいまの三件に関する提案理由の説明は終了いたしましたが、これに関する質疑は後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#5
○上塚委員長 次に並木君より日比間の賠償問題について質疑の通告がありましたので、この際これを許します。並木芳雄君。
#6
○並木委員 この前大臣にお尋ねをいたしましたときに岡崎大臣は、しばらく事態を静観したいという答弁でございましたので、私どもも一応日比賠償交渉については、大臣の答弁を了としておつたのでございます。しかるにその翌日から事態は急変をして参りまして、二十二日に至つてはもうフイリピンの政府の方から日本の全権団に対して、新しい提案がなされたという報道が出て来ております。それで、その新しい提案の内容はどういうものでございましようか。それから、二十三日になりますと、ゲレロ外務次官から全権に対して、会談が二十六日、つまりきようあたり再開されるであろうという申入れがあつたにかかわらず。昨日に至りまして、本日の会見は延期、今後いつ会談が再開されるかについては見通しがつかない、こういうような報道でありまして、こういうねこの日のようにかわるフイリピン側のやり方というものに対して、われわれはどうしてもわからないのであります。どうしてこういうふうに急変をするのであるか。十五日に調印をされました日比間の賠償協定というものは、これは仮調印でありますけれども、本協定と同じ効力を有するものと私どもとしては了解するわけなのです。もしそうでないとすれば、権威のない予備協定に政府が調印をしたわけでありまして、私どもはそんな権威のない協定に調印したとは思つておりません。そこで十五日に調印をいたしました予備協定というものは、しかくふらふらしたものであるのかどうか、そういう点もお尋ねしたいのでございます。
 二十二日のフイリピンからの新しい提案の内容はどうであるかということ、それから予備協定というものは本協定と同じ効力を有するものではないのかどうか。フイリピンの方でそういう態度をとるにおいては、日本の政府としてももはや静観の事態を脱して何らかの対策を立てて、そうしてこの難局を打開する方途を考えなければならぬと思いますが、大臣の所見をはつきりとお伺いしたいと思うのであります。
#7
○岡崎国務大臣 まず十五日に調印いたしました覚書の効力でありますが、これは日比間の政府の代表によつて調印されたものであつて、これはもちろん承認を得ない限りにおいては政府代表間の話合いの結果にすぎないのでありますが、しかし同時にこの内容を共同コミユニケで発表しておりますということは、少くともフイリピン政府としてはこれを認めておるわけでありまして、私もこの共同コミユニケに発表されました覚書というものは、両国政府を拘束するものである、こう考えております。それにもかかわらず、いろいろごたごたしておりますのは、並木君同様私にもどうもわからないのであります。もちろんレクト上院議員その他の人々が、この賠償協定と関連して平和条約の批准ということが当然含まれるわけでありますが、その平和条約批准に反対しており、場合によつては反対の決議案を上院で通過させようとして、すでに上院にその決議案を議題とすることを要請しておるというような話も聞いておりますので、いろいろそれはむずかしい事情はありましようけれども、しかしそれにしても政府間で約束して調印したものでありますから、これがそう変更されたり、あやふやなことになつたりするわけはないと思つておるわけであります。ところが、今御指摘になりました二十二日の全権団に対する先方の提案――と言つては多少語弊があるかもしれませんが、先方の意向が通じられまして、これは要するにこの覚書は正式会談の出発点といいますか、アターテイング・ポイントになるものであるという点が一つと、それからこの覚書の内容は正式会談をサーカムスクライブしないのである、正式会談を左右しないといいますか、要するにこれを基礎として出発して正式会談をやるけれども、これによつて正式会談が左右されないという趣旨のことを言つて来たわけであります。これに対して日本の村田全権から先方に日本全権団としての意向を表示しております。これは要するに覚書というものはスターテイング・ポイントではなくて、正式会談の基礎をなすものである、但し覚書の内容についてもしはつきりしない点があつたり、その他の問題についても比島側でもつと正確に知りたいというならば、正式会談でこれを明確にする用意は十分ある。しかし覚書が基礎になつて正式会談が開かるべきものである、こういう意向を表示したわけであります。ところが先方ではこの全権団の考え方、ことに正式会談であらゆる点についてはつきりした意向を表示する用意があるということに一応了解を与えまして、二十六日に会談を開くことにきめたようでありましたが、また一昨日ごろからいろいろ国会等の――国会といいますか、あるいは正確に言えば全権団を構成する国会議員の間において異論がいろいろ出て来た模様でありまして、このままでは正式会談を開いてもかえつて紛糾を起すのみであろうから、さらにもう少し事態をはつきりさせるために延期をすることにいたしたようであります。しかし村田全権等はその間におきましても、比島側のゲレロ外相代理その他要人とも会見して、おそらく本日もやつておると思いますが、日本側の立場にできるだけ説明を加え、あらゆる手を尽してこの賠償の解決に当つておるようでありますから、あるいはこの一両日のうちにさらに進展を見るかもしれないと思つて期待をいたしております。ただいまのところはその程度の状況になつております。
#8
○並木委員 国会議員の間で異論が出て来たということでありますけれども、なぜ異論が出て来たのでしようか、それはどういう異論なのでしようか、その点について私どもは知りたいのであります。
#9
○岡崎国務大臣 これはいろいろ意見がありまして、必ずしも一致してこうだということはないのじやないかと思います。これは新聞もしばしば伝えられておりますから御承知と思いますが、想像される異論は、たとえば四億ドルでは少い、十億ドルであるべきであるというようなことやら、あるいは十年とか二十年とかは長い、少くとも五年ぐらいにすべきであるということだとか、あるいは賠償によつて比島内に使われる費用、たとえばフイリピンの労務者を使う場合にはもちろん日本としては外貨を支払うべきであるとか、あるいは資本財の提供をもつと明らかにはつきりと言うべきである等、いろいろの議論があるようであります。
#10
○並木委員 そうするとそれらの点についての先方の提案が出て来るものと思われますけれども、四億ドル十年、最大の場合は二十年にするというこの原則は、大臣としては絶対に動かさない方針で行くものと思うのでありますけれども、その点はいかがでしようか。先方の申出による内容によつては、ある程度の再検討を加えるゆとりをお持ちになつているのでございましようか、いかがでしよう。
#11
○岡崎国務大臣 ただいま全権団が現地でいろいろ話合いをいたしているときに、日本政府は絶対にこれは譲らないものであるとか、絶対に動かさないものであるとかいうことを言うことは、決して交渉を円滑に進めるゆえんでありませんので、私はこの点については言明を避けるのでありますが、そしてまた日本としてはいずれ賠償交渉に応じようというのでありますから、できるだけのことはいたして、先方の意向にも合うようにして、交渉の解決をはかるのは当然であります。従つて今後ともできるものは譲歩する意向で進みますけれども、第一、先ほど申したように、この覚書というのは少くとも両国政府間においては意見の一致したものであり、また日本としては、実は今でも私はその能力以上ではないかという心配をいたしているくらいでありまして、非常に思い切つた、これは非常に奮発したと言つては語弊があるかもしれませんが、非常に困難な財政状態にも顧みず、特別の努力をいたして、ここまでは何とかしようという最大限のところまで行つたものでありますから、その点は並木君などもよくおわかりだと思います。従つてできるだけの譲歩はいたしますけれども、これはずいぶん困難な国内事情のあるのを、特に関係各省とも話をいたしまして、無理に同意を得てここまで来たということについては御認識を得たいのであります。
#12
○上塚委員長 並木君、外務大臣は参議院の方へ呼ばれておりますし、あとに相当緊急質問者がございますから、なるべく早くお願いいたします。
#13
○並木委員 じやこれで結論にいたします。
 大臣の苦衷はよくわかります。われわれとてもこれ以上のものは出せない。そういうところはむしろフイリピンの全権団あるいは調査団というものに来てもらつて、現状を見てもらつてもいいのじやないでしようか。幸いに先方では調査団を送ると言つておりますが、これに対して大臣としては歓迎の意を表されたらいかがでしよう。実際に苦しいところを見てもらつた方がまとまるのではななか。それからそういうふうに大臣が誠意を披瀝して臨んでおつても、なおかつ先方で四億ドル並びに二十年というこの基本線を越えての注文が出て来たときには、われわれとしては譲るべき一線を越えるものでありますから、もはやこのたびの交渉の道は断たれるのではないかと思います。従つてその場合は大臣としても、思い切つて全権団を本国に呼びもどす方がいいのではないか、こういう決意は、これは誠意の上に出て来る決意でありますから、この際披瀝をしていただいていいと思います。いかがでありましよう。
#14
○岡崎国務大臣 私は当初全権団を送りますときには、ももろんこの全権団において円満に話がつくと思つて信じ込んでおつたわけであります。従つて調査団などということは考えてもおりませんでしたが、こういうふうに事態がむずかしくなりますと、日本の支払い能力とか日本の工業力ということを、あらためて調査する調査団が来るということも一案でありまして、もしどうしてもこの際ほかの方法では解決ができないといたしますれば、多少時日がかかるでありましようけれども、調査団を送られることについてこれを歓迎いたして、できるだけの便宜をはかつて、率直に日本の事態を見てもらうということも必要ではないかと思つております。もつともこれがなくして解決できるような事態になりますれば、さらにけつこうでありますけれども、まあそういうふうに考えております。
 それから全権団を呼びもどすとかいうようなことも、新聞にちよいちよい出ておりますが、私としましては、何かちよつと悪意にとりますと、フイリピン側をおどかしているようにもとられやすい言葉でありますので、そういう点については言及することを差控えたいと思います。ただいまのところでは、全権団としてあくまでもフイリピン側の了解を得るように、努力してもらうということにいたしたいと考えております。
#15
○上塚委員長 須磨彌吉郎君。
#16
○須磨委員 私は簡単にお伺いいたしたいと思いますが、先般ベデル・スミス国務次官から井口大使に、原子力実験に関連いたします病状あるいはその他についての話があつたという報道があつたのでありますが、その後さらに国務省のマクラクリンという人から、それに対する否定の発表などもあつたので、実に困惑を覚えておるような次第でありますが、その内容を概略なりともここで伺えますれば、われわれの最も注意をいたしておりますこの問題について、明るみを投げるものだと思いますからお伺いをいたす次第でございます。
#17
○岡崎国務大臣 これはいろいろ誤解もあつたようでありますが、真相はこういうふうに私は了解しております。日本の委員長の、特に臨床の方に当つております医師の方で、患者の病状を発表いたしたのであります。これは病状だけの、何もほかの意図がなく、ただ白血球がどうであるとか、傷がどうであるとかいう病状だけをずつと発表いたしたのであります。ところがその際に、発表以外に新聞会見で、今後外国側にもこの病状を基礎にしてアツピールをするつもりであるという話をいたしたようでありまして、この内容はただ口で新聞会見で言つたのですからはつきりしたものはありません。そして何か外国側にアツピールする発表文等も考えておるという話であります。それでそれはどういうことかといつて聞かれたときに、この治療の方法は、おそらく世界でもどこにも十分なものはあるまいと思うけれども、とにかく手を尽して何かいい治療方法があるかどうか、それを聞きたいのである。そのときに実はアメリカ側の医師にもいろいろ聞いたのだけれども、どうも適当な返事がない。またアメリカの医師にはできるだけの診療その他について便宜をはかつていたつもりなのだけれども、どうもアメリカ側の医師の応答がはかばかしくないから、今度は世界に訴えて世界中の知識を集めたいのだ。こういうような話をいたしたようであります。それが新聞に伝わりまして、発表文と、その発表でない談話の方とが一緒になつて、委員会の発表のように、日本の新聞にもちよつととられやすい記事がありまして、もちろんこれが外国新聞にも伝えられたわけであります。そこでアメリカ側としては、実はアイゼンバツト博士あるいはモートン、ルイス両博士を派遣したが、日本側のいろいろの都合、患者が診断を好まないとかいろいろの都合から、医師が東大の病院で十分な診療等が許されなかつた、従つてアメリカ側の医師が助言を与えるとかなんとかしないというのは、できなかつたのであつて、与えないつもりじやない、再三診療いたしたい、またそれに基いて適切な臨床的な治療方法等も研究してみたいと申したのだが、むしろ日本側の都合で診療を許されなかつたのだ、従つてアメリカ側で何とも応答がないという言い方は決して正しくないのだ、そういうことを言われては日米関係に非常に悪い影響を与えやすい、日本の国民に誤解されると困るからということでありますが、その後事情がだんだんはつきりしまして、発表文はこれだけなのだ、あとはそういうような意味のことを言つたのだということで、アメリカ側でも、いや日本側の医者の悪口を言つたわけではない、日本の医者を非難したわけではないということを言われ、事態は了解されて来たようであります。要するに問題は、アメリカ側の医者に頼んだが、何にもやつてくれなかつたと言わんばかりの印象を与えたことについて、向う側で非常に心配いたしまして、そういうことではないのだという説明を向う側でもいたした。ところがその後において発表はこれだけであつて、話は別なのだということがわかりましたものですから、先方でも了解いたして来た。こういう事情になつております。
#18
○須磨委員 了解いたしました。先般もお尋ねいたしましたが、きようから開かれるジユネーヴ会議でございますが、いよいよ世界の注目を集めておるわけであります。二十二日のきわめて重要な新聞報道、ラジオ放送等によりますと、アメリカがこれに参加する国々に対して、きわめてアラーミングとかサプライズとかいう言葉を使つておると思いますが、きわめて驚くべき極秘情報をまいて、これでもつてアメリカの全般の世界戦略の新しいものに触れておるというような報道があつたわけでございます。同町にイーデン外相がNATOの全機に出ておつたところから引返して来たが、このウイーク・エンドにチヤーチル首相が特別の臨時閣議を招集して会議の結果、さらにまたイーデンが飛んだというような報道等もからみ合つておるわけであります。先般もお尋ねいたしましたように、わが日本にも関しますることが重大であることにかんがみまして、いろいろなお手はずをとつておられることと思いますが、この今の二十二日ごろに放送されました世界各国、参加国も驚いたというような新しい問題に関するアメリカ側の情報と申しますか、それらについて何らかお聞き込み等がございましたら、伺いたいと思うのでございます。
#19
○岡崎国務大臣 われわれもニユースだけは知つておりますが、そしてアメリカ側にも問い合せてみましたけれども、はたして真なりやいなやちよつとわからないのでありまして、今情報と称すべきものは持つておりません。それでこの前も申し上げましたが、ただいまスイスに駐在しております萩原公使がジユネーヴに出張しておりまして、当分会議の開かれる間はジユネーヴでもつて連絡をとり、現地の直接の情報も収集することになつておりますから、あるいはそのうちに何らか的確なものがわかるかもしれませんが、今はニユース程度しか残念ながらわかつておりません。
#20
○須磨委員 これは少し違う問題でございますが、先般わが日本の卓球の選手がロンドン選手権大会に参りまして、私どもも期待をしていなかつたほどの大きな効果を上げて、松本大使がわが代表のところに行つて握手をして非常に喜んだということもあり、われわれは胸を明るくいたしたのでありますが、この選手権大会に臨みました選手に対しては、外務省あるいは文部省その他においていずれにせよ外務省を通じておりましようが、何か補助金等を与えた事実がございましようか、伺いたいと思います。
#21
○岡崎国務大臣 大体こういう種類のものにはある程度のことをいたしておるはずでありますが、外務省としてはこれはいつでもいたしておりません。常に文部省でいたしております。他分何か出ておるのと、それから外貨等についての便宜をはかつておるはずだと思います。
#22
○須磨委員 私の開き及んでおりますところでは、便宜等はあつたかもしれませんけれども、文部省が所管であるか知りませんが、これに対しては金銭上の援助はまずなかつたような様子だと聞いておるのであります。私はアメリカにおりますときに体験いたしたのでございますが、一九一九年から開かれておりますデヴイス・カツプの争奪庭球戦に対しましては、わが日本は公式に補助金を出しまして、そして長年続けておるわけでございます。勝敗は時のことでございまして、これは決して勝敗とは関連はありません、デヴイス・カツプはまだ一ぺんもわが日本が優勝いたしたことはないのでありますが、それにはいつも補助金を出しておるわけでありますが、この卓球の選手権大会に出ました人たちに対しては出しておらぬと私は承知をいたしておるわけであります。かようなことにつきましては、外国に対します関係のみならず、ことに卓球に至りましては、わが日本の国民体育上にも非常に大きな奨励ともなり、またこれによつて日本の気分を明るくすることでもあるのでありますから、外務省は所管でないといたしましても、所管であります文部省等を督励いたしまして、かような場合には、少くともデヴイス・カツプのときに準じて国家的財政援助を与えることが、私は至当でないかと思うのでございますが、かようなことに対して外務大臣はどうお考えになつておられますか、まず伺いたいと思うのでございます。
#23
○岡崎国務大臣 政府の今までとつております方針は、世界オリンピツク大会、アジア・オリンピツク大会、デヴイス・カツプ、これだけは財政的な援助を与えるということがきまつております。その他のもの、たとえばウインブルドンのテニスの大会とか、あるいは射的の国際競技であるとか、その他いろいろありますが、これらについては、その時宜に応じて、予算の余裕があつたり、あるいはこれが特別な意義があるという場合に援助を与えるが、必ずこれは機械的に援助を与えるということにはなつておりません。従つて、予算の方の見合いもありますし、また外貨の振合い等もあります。いろいろの見地から、個々の問題について考えることにいたしておりますが、おそらくピンポンの方もその部類に入るのじやないかと思います。しかし予算が許せば、そういうものは普通のことと違つて非常に国際的にも、有意義なことでありますから、できるだけのことはいたしたいと考えております。
#24
○須磨委員 よく事情は了解いたしましたが、そのときどきの申出あることによつて考えておるというお話でございますけれども、今回の卓球選手権大会などの場合は、わが国が第一位を占め、その後またパリ及びベルリン等に参りましても非常な効果を上げておるようでありますから、今後はこれもデヴイス・カツプ、国際オリンピツク、アジア大会等と並んでひとつ定期的に、申請の有無にかかわらず、これに補助を与えるということにつけ加えられるように、外務省側としてぜひともお手伝いを願いたいものだと思うのでございます。国際スポーツは、ひとりわが国の体育を向上いたしますのみならず、それがひいて海外に対して大きな効果を上げるわけでございますから、その点をお考えくださいまして、外務当局としては、今後のピンポン大会でともかく非常な世界的名声をあげたのでございますから、これを機会として定期的にお出しくださるような部類に入れるよう所管の文部省当局あるいは大蔵省当局等を御督励願いたいと思うのでございます。これをもつて私の質問を終ります。
    ―――――――――――――
#25
○上塚委員長 次に、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の締結について承認を求めるの件及び日本国における合衆国軍隊及び国際連合の共同の作為又は不作為から生ずる請求権に関する議定書の締結について承認を求めるの件を一括議題といたします。質疑を許します。宮原幸三郎君。
#26
○宮原委員 今月二十日の本委員会で、私の質問に対しまして伊関協力局長の御懇切な御答弁をいただいたのでありますが、その御答弁によりますと、国連軍の駐留によりまして、わが日本国ことに基地の受けます損害の補償の問題、これについては米軍の場合のいわゆる日米行政協定と比較して御説明がありました。米軍の場合には、基地等で、演習場の施設のために間接の被害をこうむつた場合に対しても、その損失補償のために特別損失補償の法律が御承知の通りあるわけです。しかるにこの国連軍との協定はすでに調印になり、そして承認を御提案になつておる今日の段階でも。特損法と申しますか、こういう法律についてはまだ立法化がなされていない。漁業補償の問題についても米軍の場合には法律があるが、国連軍の場合にはない、その外代替施設の建設については、米軍の場合には、安保諸費で適当な代替施設をつくる財源はあるわけであるが、国連軍の場合にはない。あるいは研究中であるとか、または考慮中であるとか、関係者と協議中であるとかいうような政府の御誠意のあることは一応認めますけれども、今日の段階においては、もう少し的確な予算的立法措置について、納得の行くだけの御説明をいただきたい、こういうことを期待するものであります。元来は均等待遇という趣旨でこのたびの協定が締結せられているようでありますが、均等待遇そのものに対しても政府部内に調印前に相当輿論があつた、間接防衛に対して均等待遇を与えるのははどうかというような異論があつたかのごとく拝承いたしておるのでありますが、今日の段階でこれを見ますと、一方においては均等待遇を与える、一方においては米軍だけの措置も伴わないということになりますと、消極的な意味ではこれは一種の優越に過ぎるという感じも受けるのであります。従いましてこの基地に当ります呉地区においては、まことにその間の事情を憂慮致され、市民全体がこのたびの協定に伴うところの善後措置の政府の出方というものを注視いたされておりまして、本日は呉市長及び市議会から多数御上京に相なつて、この外務委員会における審議の状況を傍聴いたしていられる事情であります。われわれといたしましては国連軍の基地である市町村に対して、米軍の駐留する市町村と同一の補償、あるいは代替施設の、建設等をなすほか、喪失した財源の補償をなすよう立法的、予算措置の方途を融じられて、韓後措置に遺憾なきを期せられんことを強く要望するものであります。大体この協定の締結の折衝に当られました外務省の松平参与におかれては、この点を善後措置として非常に重視する、ついては実施の面において外務省はイニシアチーヴをとつて、そうして日本政府部内の宮淵庁あるいは大蔵省に呼びかけて、誤りなきを期するからというような言質を地元の陳情に対してお与えになつたという事実をわれわれは伺つておるのであります。その点につきまして、明確にして安心の行くような御答弁を、伊関協力局長から受けたいと思うのであります。
#27
○伊関政府委員 最初に間接被害に対しまする特撮法、行政協定の場合にございますが、これと同じものを一つくるかどうかという問題でございます。呉の場合は、こうした事例が起りますのは演習場が原村一箇所、でございますの、で、一箇所だけでございます。この原村の場合につきましては、この国連軍の公務に基くもので、ある場合は、七十五、二十五の率によりまして当然先方が補償をいたすのであります。それ以外のものはどういうものがあるかというととは研究いたしておりますが、結局演習のたまを撃つた、そのために山林が焼けた、その結果として水が出て農地が冠水したというふうなことが現地から言われておりますが、これらにつきましては事情を十分調査いたしました上で、何らかの予算措置を講じたい、こういうふうに考えておるのであります。これは先般も申し上げた通りであります。ケースが一つしかございませんからわざわざ法律をつくるほどのこともなかろう、予算措置でもつてこれを処理して行く、こう考えておるわけであります。漁業補償の件につきましても、これも該当事例は非常に少いわけでございますが、この方は漁船の立入りとか航行を制限いたします。やはり法律がいりますので、これは行政協定の場合と同じような法律を主管省から提出することになつております。ただ施設提供に伴つては日本側に負担をかけないということになつておりますから、その補償そのものは国連軍側からとるという考えでおります。安保諸費につきましては、こうしたものは国連協定の場合に準備いたしてございませんが、道路のこうむる損害というふうなものにつきましては、いろいろ行政協定の場合も基準がございまして、車両が一日に何百両通過するというふうな基準もございます。呉の場合がそれに該当するかどうかはもう少し十分に調査を処すると思いますが、大体行政協定と均衡を失しないようにすべきであるという点については、私どももその通りに考えております。ただ予算に今のところ・そのためにはつきり財源がとつてないという実情でございますので、十分調査した上で、何らかの適正な措置をとるようにいたしたい、こう関係省とも目下話をいたしておる次第でございます。代替施設というふうなことでございましたが、大体代替施設をつくつておりますのは、都心の軍事施設を郊外に移すというようなものを主にいたしておるわけであります。呉の場合に今代替施設をつくるという具体的な事例は考えておりませんが、むしろ呉市の必要とするものをなるべく早急に返還するというふうな方向で行きたいと考えております。
#28
○上塚委員長 並木芳雄君。
#29
○並木委員 国連軍の機密の保持についてはどういうふうになつておりましようか。
#30
○伊関政府委員 行政協定に基きまして刑事特別法というものができておりますが、これを国連軍の場合にも拡張いたしまして適用するという考えであります。
#31
○並木委員 それでは新しく適用させる法律をこれから出すわけですか。
#32
○伊関政府委員 そうでございます。あるいは一般的に読みかえるというふうな型で行きますか、ひとつひとつになりますか、、これは法制局で研究いたしております。全般的に米軍に適用した法律を並べまして、こういうものは国連軍にも適刑するというやり方になるか、個々の法律になりますか、これは法制局で研究いたしております。いずれにしても立法はするつもりでありますo
#33
○並木委員 その刑事特別法ですけれども、この実際の適用方法はどういうふうに行われておるのでしよう。駐留米軍に対する秘密保持の条項です。刑事特別法の条六条の中にあるのです。この内容は、今度われわれが審議しておるMSAに基く秘密保護法とやや似ておるところがございます。けれども今まであまり注目をを引かなかつたのは、これが米軍の中の問題であつて、おそらく日本政府もあまりタッチしてないのじやないかと思う。向うの秘密に対して日本の政府はどの程度タッチしているのであるか。こういう法律をつくつている以上は、これは日本の国昂に非常に影響を及ぼすのです。ほんとうを言うと、この法案の審議のときにわれわれはもつと熱を入れてやらなければいけなかつたわけです。今度の場合、MSAで直接アメリカの兵器というものが、日本の保使隊なり修繕工場などに入つて来ますから、問題が深刻になり、範囲が広まるのであつて、当時この法案を審議した立場とは多少われわれは違いますけれども、この法案が出た以上は日本の国民を拘束する。ところが実際にはどうなつておるか。実際に向うでやはり――今度秘密保護法に基く政令の案も今出ておりますけれども、ああいうような帯同をして、たとえば標記を付してやつておるのか、あるいは関係方面に通知を出してやつておるのか、今度のMSAの場合における秘密保持の方法に比較して、どんなぶうになつておるのか、その違いを知りたいのです。
#34
○伊関政府委員 あるいは聞違つておるかも存じませんが、私の記憶する限りでは、米軍関係でこの法律を適用したケースは、まだないのでにないかと思います。一度法務府からであつたかと思いますが、米軍の飛行場、軍事施設の中身等につきまして、かなり詳しい情報を持つて参りまして、これが刑特法違反になるかという点を調べてほしいということがございました。私が米軍の方にそれを見せますと、その際に米軍から、これは丹念に集めれば集まるもので、軍事機秘を暴露したということにはならぬというふうな返事がございましたケースを、一つ覚えているだけでございます。
#35
○並木委員 実際には問題は起らないということなのでしようか。法律をつくつている以上、政府としてはどういうような秘密が向うにあるかというような連絡は、どの機関でどういうふうに行われているのでしようか。実際秘密となるものが少いからそういう問題が起つて来ない、従つて駐留米軍と日本の政府との交渉もないというわけなのですか。
#36
○伊関政府委員 私どももどうも詳しいことは存じませんが、おそらくいろいろな秘密を集めます際には、施設の中に入つて行つて集めるというふうなことになるのだろうと思いますが、これは施設の管理権というものを先方が持つておりまして、厳重に出入りの注意等をいたしておりますから、そういうケースが起きて来ないのじやないかというふうに考えております。
#37
○並木委員 この協定の中に、為替管理の条項がございます。これに関連して私はいわゆるやみドルの取引状況を知りたいのです。相当今、日本でやみドルの取引が行われております。せつかく為替管理という条項を設けましても、その網の目をくぐつて、十分これが行われておらないのじやないかと心配されるのです。同じことがやはり国連軍に対しても言えるでありますから、実際の取締りの状況、やみドルの横行している状況、それについて御報告願いたいと思います。
#38
○伊関政府委員 そういうことはわれわれも聞いておりまして、出入国にあたりまして、日本側に、何と申しますか、十分に事前に通報をするとかいうふうな点、たとえば米軍の飛行機等に米軍の軍人軍属以外の者が乗つております場合等は、当然向うからこちらに通報しまして、成規の入国手続、税関の手続等をとらなければならない、そういう点が過去におきまして、ある場合に実施されてなかつた。故意ではなくて、何と申しますか実際問題として実施されなかつたというようなケースもないではございません。そういう点につきましては出入国の際に厳重にこれの取締りに注意しております。こちらにおります兵隊が自分のもらいました軍票を日本人に渡すということになりますと、実際問題としてはなかなかむずかしい点があるのじやないかと考えております。いずれにしましても、大蔵省あたりから具体的事例についてこういうふうにしてほしいというふうな話はまだ受けておりません。
#39
○並木委員 施設の点でございますけれども、私は、この間、沖縄で日本人が生活に苦しいために、所在地を手放してアメリカ人に売つたという報道を読んだのです。あそこは今アメリカが三権を掌握しておりますけれども、主権は日本にあるということを了解しております。ですから沖繩の場合に、日本人が土地をどんどんアメリカ人に売つてしまうと、実質上土地というものはアメリカの所有に帰してしまうという心配があるのでありますけれども、その関係はどうなのでしよう。実際はできないのじやないですか、沖繩の場合。
#40
○伊関政府委員 沖繩のことは私はよく存じませんが、国連協定とは関係はないと思いますが……。
#41
○並木委員 直接関係はないのですけれども、私は施設の場合に、国連軍の家族、兵士、そういうものが日本に来て、土地がほしいというようなことがやはり出て来るのじやないかと思うのです。これに対しては当然何か制限があつて土地を売ることはできないと思うので、私はそれに関連して、沖繩の場合はどうですかということをお尋ねしたわけです。
#42
○伊関政府委員 国連軍の場合は、それほどでもございませんが、米軍の場合は、非常に家族の住宅が少いというので、家を借りたいという要望はきわめて強いのでありますが、いずれにしましても連中は大体二年か、二年半でかわつて行くのでありまして、土地を買うというような話は聞いたことはないのでありまして、土地を借りて家を建てておるものはあるようであります。ですからそのために国連軍とか米軍のメンバーが、日本の土地を買うという点で心配になるというようなことは、全然なかろうと思います。
#43
○並木委員 今の問題は直接は関係はありませんけれども、沖繩で土地を手放すことができるかどうかということを私どもは知りたいのです。
#44
○高橋説明員 ただいまの御質問の、主権の問題と個人の土地の所有権の問題は、全然別個の問題と私たちは了解しております。従つて日本内地におきましても、外国人が土地を所有することは自由である、同様に、沖繩における日本の個人が、アメリカ人に土地を売るということは、その土地の法律によつてこれも自由である、こういうふうに考えます。この国連軍協定あるいは行政協定と何ら関係がない問題であると思います。
#45
○並木委員 そうすると、今の場合アメリカの法律に従つてできるということになるわけですか。
#46
○高橋説明員 アメリカの法律と申しますが、現在沖繩に施行されておる法律、アメリカの民政府の定めた法令に従つてできるというわけであります。
#47
○並木委員 これは相当重大な問題じやないでしようか、そういうことによつて、土地が手放されてしまうと、潜在主権が回復されて、では日本に主権をもどしましようというときに、日本の土地が一つもないというような変な状況が起りませんか。
#48
○高橋説明員 沖繩においては、現在沖繩で行われております法律によりまして、日本人が土地を処分するということは自由でございますが、御質問のような、どんどん土地を売つてしまうというような事態は、おそらく起つていないのじやないかということでございますが、この点については、現実に土地がどういうふうに手放されているかということを調査の上、御返事をいたします。
#49
○並木委員 それでは調べておいていただきます。今のようなことは現在では大した心配はないかもしれませんが、だんだん生活が苦しくなつて来て、土地を手放してしまうと、先ほど私の育つたようなことも杞憂でなくなると思いますから、お願いしておきます。
 それから国連軍の、今までいろいろ日本の国有財産を使用したりしたものに対しては、本来ならば使用料を払うでしようが、今度は免除されることになります。もし普通にこれを支払つてもらつたとすれば、今の金でどのくらいに上るか、こういうことを知りたいのです。そういう数字ができ上つておりますか。
#50
○伊関政府委員 私が大分前に、これは免除するとかせぬとかいうことを大蔵省で話しましたときに聞きましたのは、厳格な計算はしておらないが、二、三億というふうなことを申しておつたのを聞いております。もう少しふえて三、四億――率の適用その他にもよるわけでありますけれども、大体二億から四億の間というふうに聞いております。
#51
○並木委員 もう少し詳しく計算を出してもらうように、大蔵省の方に言つておいていただきたい。なぜぼくが聞くかというと、いつでも日本の政府はこんなに国連の協力のために犠牲を払つているじやないかというときの材料に私は使いたいのです。それと同じ理由から、いろいろ電気ガス税のような公課、税金というものは免除されます。そうすると、今までこれを普通に徴収しておつたとすれば、どのくらいの額に上るかということも知りたいのです。
#52
○伊関政府委員 電気とガス税を合せまして、これもまた率がかわつて参りましたから知りませんが、一昨年問題になりましたときは、確か約一千万円というふうに聞いておりました。
#53
○並木委員 その後の分も合せて、これも正確な数字を出していただきたいと思います。
 それから国連軍軍人、日本政府職員が、公務執行中与えた損害に対する損害賠償請求権は、相互に放棄するということになりますが、今までに与えた損害の見積額あるいは賠償請求額、そういうものはどのくらいに上つておりましようか。
#54
○伊関政府委員 その公務員相互間、お互いに免除されます分についての事例というものは、私はいまだ報告を受けておりません。
#55
○並木委員 そうすると、全然今までなかつたということになりますか。
#56
○伊関政府委員 報告を受けておりませんから、おそらくなかつたことと思つております。
#57
○上塚委員長 次は穗積七郎君。
#58
○穗積委員 国連軍協定に関しまするお尋ねの前に緊急に、外務省の文化局の方でございますか、お見えでございましたらちよつとお尋ねいたしたい。
#59
○上塚委員長 情報文化局第三課長蓮見幸雄君が見えております。
#60
○穗積委員 実は小石川の後楽園にございます旧名は満州国留日学生会館、その後昭和十九年ごろに名前がかわりまして満州国留日学生補導協会と財団名が変更になつておりますが、最初にお尋ねいたしますが、これの最初の寄付行為のおもなものはどこどこになつておりますか。
#61
○蓮見説明員 お答えいたします。たまたまその点についてわれわれの方に何も報告が参つておりませんので、後刻取調べてお知らせ申し上げます。
#62
○穗積委員 昭和十年に設立されました満州国留日学生会館なるものは、日本国内における法人だと思います。従つてその財産もたとえば満州皇帝その他外国人から寄付行為があつたといたしましても、それは日本の国内の法人の財産として委譲されておるものと理解いたしてよろしゆうございますか。あるいはまた何らかその外国人寄付者の発言権というものが留保されておると見てよろしゆうございましようか、続いてお尋ねいたします。もしおわかりがなければ後ほど調査していただけばよろしい。
#63
○蓮見説明員 後ほど調査して御報告申し上げます。
#64
○穗積委員 ちよつとその点理解に苦しむのでありますが、それが終戦の年の十一月十日に事業不成功の理由によりまして、今の財団は解散をいたしまして、その後清算行為に入つておるわけでありますが、続いて三年の後の二月二十六日付をもつて、当時の連合軍司令部の方から覚書によりまして、その清算行為が停止命令が出て停止された。従つてその場合におきまする管理も外務省が委託されておるように承つておりますが、これは一体国内の一財団でありますならば、GHQ、あるいは正確にいえばCPCかもしれませんが、それが外務省に管理を移管せしめるというのは、使用目的がそこに住んでおります外国学生を教育補導するということになつておつたので、その使用目的上外務省に管理委託されたのか、あるいはまた財産の権限が、一部か全部か知りませんが、外国寄付者によつてでき上つておつたので、そういう意味で外務省に管理を委託されたのか、その理由はどちらでございましたでしようか、その際の事情を明らかにしていただきたいと思います。
#65
○蓮見説明員 その当時スキヤツプからの指令では、日本政府が管理するようにという指令でありました。
#66
○穗積委員 指令のあつたことは伺つておりますが、その理由は一体どういうことでしようか。所管は外務省でございましたでしようか。
#67
○蓮見説明員 お答えいたします。外務省であります。
#68
○穗積委員 普通こういうものでございましたならば、法律関係でいえば法務省・財産関係ならば大蔵省ということが、常識的に推察されるのですが、それを特にスキヤツプの方から外務省に管理を委託するという指令が発せられましたのは、私の推測によりますと、先ほど申しましたように、その財産の財源が外国人の寄付によるものであるという点か、しからずんばその使用目的が外国学生を教育補導するということにあるので、いずれかあるいは両方かもしれませんが、そういうことが外務省に管理を委託いたしました理由であろうと推測いたしますが、当時外務省の御理解としては、どちらになつておるのですか。財産権の問題につきましては、先ほど私がお尋ねいたしますと、その国の事情をまだつまびらかにしていないから、後に調べて答えるというお話でございましたので、財産権の関係から、外国財産に類似のものとして取扱つて、外物省に委託されたものかどうかということについては、あなたの力でよくおわかりにならぬかもしれませんが、その間の事情はどういうふうにお考えになつておられたでしようか。
#69
○蓮見説明員 戦争中までは御存じのように、大東亜省の管轄にありましたということと、ただいまお話になりました大体二つの理由から、外物省にそういう指示があつたものと心得ております。
#70
○穗積委員 そういたしますと、一九五三年の六月に新しい財団といたしまして、善隣学生会館という財団が設立されまして、それの寄付行為はどうかというと、旧留日学生補導協会の財産を全部そつくり寄付行為として、財団設立がされておるようでございますが、そういたしますと、今御答弁のように、それを使用する目的が外国学生であるという理由によつて、外務省に管理が委託されただけでなくて、その財産にについても外国財産類似のものとして取扱う、あるいは一部権利が留保されておつたかもしれませんが、満州国皇帝その他の外国人の寄付財産という理由もあつたといたしますと、それを外務省が清算行為を停止させられて、それから外務省が善良なる管理者の地位をもつて管理すべきものが、今度は今申しました善隣学生会館にその財産が移されておるということは、少しおかしいように思うのですが、その国の関係はどういうふうになりましようか。――実はこの問題につきましてのお尋ねは、きのうが日曜日でございましたので、今朝こちらへ参りまして、委員部から御答弁をお願いしたわけです。あるいはとつさの場合でございましたので、調査その他不十分のまま御出席になつたかもしれませんから、そこでお打合せなさつておられると時間がかかりまして、あとの審議にさしつかえますので、私はさしつかえございませんから、きようはこの問題は途中で打切りにいたしまして、次の機会に御準備ができましたら、その調査資料をお持ちになつて御出席いただいて、お答えがいただきたいと思いますが、いかがでございますか。委員長、政府側にお打合せください。
#71
○上塚委員長 外務省においてはいかがですか、次の機会までに御準備をお願いいたしますが、できますか。
#72
○蓮見説明員 はあ。
#73
○上塚委員長 できますそうですから、次の機会に……。
#74
○穗積委員 それでは御準備ができましたら、ひとつ委員部を通じて私の方に御連絡くださるようにお願いいたします。
 時間が迫つて参りまして、あと同僚の質問者も残つておられるようですから、国連軍協定の問題について、伊関局長がお見えになりますので、大体触れたと思いますが、問題を整理する意味で、少しくお尋ねしておきたいと思います。
 第一番は日本の労務者の問題でございますが、労務者の待遇が米軍の場合と違つて、非常に不当な待遇を受けておつたようでございまして、これが今度間接雇用になるということ、その点に関る限りは、合理的に一歩前進したとわれわれは考えております。そこでこの前、実は調達庁の課長でございましたか、どなたかに私がお尋ねいたしまして、ここで新しい労務協定ができましたならば、それが遡及して、以前のものをそういうふうに取扱われるかどうか、それが一つ。それがもしできないならば、第二の場合として、国連軍の側がそれを新しくできた合理的な労務契約に従つて、以前の不合理なものに対して補償するというようなことが、交渉としてできないならば、その場合においては日本政府がそれを肩がわりをして、遡及して合理的な取扱いにされるということも考えられるか、それが第二。第三は、それができないならば、政府としてもそれの余裕がないということならば、もとよりわれわれは第一の場合に返りまして、国連軍側にその負担を転嫁するのが当然だと思いますが、その場合に協定そのものを遡及してやるというようなとりきめができないならば、事実上の取扱いとして、日本政府が中に立つてあつせんをして、今までの非常に不均衡な、不合理な、不当な取扱いのものについては、それを何らかの形で穴埋めをするような結果になるように、日本政府があつせん努力するという、三つの場合が考えられるが、いかがであろうか、こういうお尋ねを私はいたしましたところが、第一、第二の場合はおそらくは無理であろうというようなことで、従つて第三の場合、すなわち向う側に、今まであまりに不当なもの、あまりに不合理なものに対しては、これは何らかの穴埋めをしてもらうようにあつせん協力をしたいと考えておるというような、漠然としたお答えでございました。われわれどうも考えますのに、すでにアメリカ軍が以前から進駐しておりまして、続いて朝鮮戦争以来国連軍が進駐して来た。今度の協定によりますと、これらは大体同等のものとして取扱つて日本側は協力しようということになつておるのでございます。すなわちアメリカ軍は日本に対して防御する義務を持つておるが、国連軍はそれを持つていない。しかしわれわれの側からの義務は、同等に取扱つて国連軍に協力するという意味で、実をあげて行きたい、こういうお話でございました。そういうことで、やはりアメリカ軍だけでなしに、国連軍もアメリカ軍と同様な権利を与え、そうして経済的な負担をしてわれわれはこれに協力しなければならぬという国民の側に立ちますと、これはアメリカ軍と国連軍との間に隔たりがあるはずはないのでございます。両方から受けましたアメリカ車と国連軍からのいろいろなとりきめ、たとえば今申しました労務契約が一つでございます。これは補償問題についても私は同様と思いますが、労務契約の場合についてもそうでございますので、そこで国連軍も駐屯のときからアメリカ軍と同様にしようということで、その協定は遡及せしめるのが当然だ、このくらいの度量を示してさしつかえなかろうというふうに私は考える。
 そこでもう一ぺんお尋ねいたしますが、それを外務省としてはもう一ぺん御交渉していただいて、そうしてその労務協定が遡及するようなとりきめにしていただくか、それも少しおかしいということでございますならば、事実上国連軍の負担におきまして、以前のはなはだしく不当なもの、不合理なものに対しては、事後にこれを地ならしをするようなふうに努力さるべきだと私は思うのです。その点はいかがなものでございましようか。当の責任者として局長が来ておられますので、この際明らかにしておきたいと思います。
#75
○伊関政府委員 先般調達庁の方からお答えいたしました通りでありまして、今後結びます間接雇用の労務契約というものは遡及いたしません。もしその間に何か日本政府として負担すべきものがあれば負担するかという点については、日本政府としては負担いたしません。過去の問題で不当な労働法規違反等の事例があるものについては、いまだ解決しておりませんものにつきまして、これの解決の促准、あつせんはいたすつもりであります。ただいまいろいろお話がございましたが、私は考え方を整理いたしますならば、不当な労働法規とか労務契約違反のもの、これにつきましては過去のものにつきましても当然是正する措置がとらるべきものだ、こういうふうに考えております。待遇の面において不均衡であつたかどうかという点でありますが、この点は間接雇用の方が有利であるというふうには聞いておりますが、しかしこれは一々詳細に比較いたしませんと、どの程度直接雇用が不利であつたかということは、はつきりいたしません。いずれにいたしましても、これは私法上成立した契約でありますから有効なものであり、これを比べて見て不均衡だからといつて是正すべき法律上の問題は、私は出て来ないと思います。またすでにやめた人等もたくさんあることでございますし、今からこの労務契約を遡及して、前にもどして間接雇用にするということは、実際問題として不可能でありましようし、政府といたしましてその交渉をする意思は現在ございません。
#76
○穗積委員 遡及せしめなければ、もとより法律的には請求権は労働者側にないわけでございます。そのときに行われました契約が、あるいは客観的に見て不当な契約であつたといたしましても、その私的な労務契約というものは有効なものであり、それだけが労働者の法律的な請求権の基礎になるわけでございまして、そのことは私はお話をいただくまでもなくよく理解いたしております。しかし、先ほど申しましたように、国連軍のみならず、米軍を初めとして駐屯軍と日本国民の生活または感情との問題というのは、非常ないろいろな暗い影を残しておるやさきでありまして、国民側から見ますならば、吉田・アチソン交換文書によりまして、日本側が国連軍の駐屯の義務を負つておるということでございましても、一方は米軍は安保条約によつてそういうことであつても、その後の取扱いあるいはまた合理的な施策が、いわば政府の怠慢といいますか、不十分なために、国連軍側も従事いたしました労働者が、不当に損害をこうむつておるということは――これは私は言うまでもなく法律問題としてでなくて、政治問題として申し上げておるのでございまして、そういう意味で、労働者側に請求権があるから当然出すべきだという意味ではなくて、遺憾ながら法律的にいえば、不当な契約であつても有効であるから請求権はないが、政府は国連軍、米軍を問わず、駐屯する軍隊と国民生活との関係から見まして、政治的な判断の上に立つて政府が肩がわりをして、そうして特に極端なる不合理なものに対しては、できるだけ何らかの補償をして、均衡状態にとりもどすという努力をなさつても、さしつかえなかろうという意味で私は申し上げたのですが、そういう意味でもそういうお考えは毛頭ないかどうか、そのことをお尋ねしておるわけです。
#77
○伊関政府委員 ただいまおつしやるように、米軍と比較いたしまして非常に均衡のとれない不当なものがあつたかどうか、私はそれほどのものがあつたとは聞いておりませんので、ただいま申し上げたような見解に政府としては立つておる。米軍にも直接雇用という面もあるのでありまして、直接雇用で雇われておるものも相当数あるのでありまして、それらと比較しました場合にそれほど違つておるかどうか、私は特に不当なものがあつたというふうには今までのところ聞いておらぬわけであります。
#78
○穗積委員 私は一々全部のケースについてそういうことを調査したわけではございませんが、一般的に申しましてそういう状況を耳にいたしておりますので、そういう問題が出ましたならば、これに対して善処されることを希望して、次の問題についてお尋ねいたしたいと思います。
 先ほどお話がありましたが、呉地区におきまする施設の問題でございます。呉市側から返還要求が出て一部は返還になつたようでございますが、呉市の市政または市民生活の面から見まして、この施設は地元で見ておつて、国連軍が使用するのに必ずしも必要ではないのじやないかというふうな観測をもつて、ただ立ちのきを要求するという一方的な意味ではなくて、これは返しても駐屯軍の行為には何ら支障ないという判断に立つて、そういうものの解放要求が施設について出ているものがございましようかどうか。そうしてそれが近く解放される望みがあるものがありましたならば、この際具体的にお示しがいただきたいのであります。
#79
○伊関政府委員 先般来国連側とお話をいたしまして、全体で七十九ございます施設の中で、十五につきまして――もちろん十五と申しましても、これはある施設の一部のものでございますから、十五は全部ではございません。七十九のうち十五は全部が全部返るというのではございません。全部が返るものもあり、一部返るものもあり、一部解除というものもございますが、とりあえず十五のものを返すということで、一応現地の話はついておるわけでありますが、今後次第に件数が減るとか、あるいはむしろ人間の数よりも補給活動という方がおもなものでありますから、物資が減りますとかいうふうな点から、施設が過大になつて参りました場合は、当然これを返してもらうつもりでおります。現地に委員会もつくつております。現地でもよくその辺の事情は常時見ておられる。これは不要ではないかとお考えになれば現地でもお話をし、中央にも持つて来ていただくというふうにも考えておりますが、目下のところはその十五の施設というもので一応話がついております。今後もまた逐次新しい要求が現地の方からは出て来ることと期待しております。
#80
○穗積委員 私はもう一歩つつ込んで、十五以外に追加して解放になる可能性のある施設並びに代替の機関等について、お見通しがありましたならば、この際伺つておきたいと思います。私がそれをお尋ねいたしますのは、先ほど並木委員ですか、宮原君でしたかの質問に対して、代替施設に対して政府は責任を持たないで地元の要求に対応して行くつもりだというお答えでございました。そうでありますならば、今まで解放されました以外に、近く解放される見込みが立つておつて言われることがあろうと思うのです。だから何ももうじき解放されるのですから、代替施設をこの際やることはむだであつて、二重なロスになるからそういうことにしようという考えだろうと推測して、そうであるならば一体具体的にどの程度の機関にそういうお見通しをしておられるかということをお尋ねするわけでございますから、その点をお含みの上お答えを願いたい。
#81
○伊関政府委員 先ほど申し上げましたのは原則論的にそういうふうな行き方で解決して行きたい、こう申し上げたわけでありまして、目下のところこの次にはどこという目当はございませんが、逐時朝鮮の事態が治まつて参りますれば、呉における後方兵站基地としての活動も縮小されるであろうし、また今後十五返しましたあとでの実際の使い方等も常時注意して見ておりまして、これを逐次実現して行きたい、こういう考えでありまして、さしあたつてこの次はここというものはございません。
#82
○穗積委員 それでは、それに関連いたしましてもう一点だけお尋ねしておきますが、もし不幸にして朝鮮あるいは東南アジアの事態が非常に悪化いたしまして、そのためにわれわれの希望に反して国連軍の駐屯する兵量がふえて来る、活動も増大して来るということになつて、呉地区に限らず他の地区におきましてもあり得ることだと思うのですが、逆にそういう施設の収用が増大して来る、しかもそれが長期化して来るような事態がもし生じましたときには、これに対します代替施設の建設の問題については、その事態に対応して十分御考慮さるべきだと思うのですが、そのことも念のために伺つておきたいのであります。
#83
○伊関政府委員 そういう事態はまず今のところ予想いたしておりませんが、もしそういう事態が起きましたならば、それは当然そのときにあらためて考慮いたしたい、こう考えます。
#84
○穗積委員 先ほど為替の話も出ましたが国連軍に対する免税品の取締りは現在どのような方法、施設でやつておられるのか、その間の事情をちよつとお尋ねしておきたいと思います。
#85
○伊関政府委員 これはむしろ米軍の場合の方が数も多いので、物がよくやみに流れておるわけであります。この点はしばしば米軍当局等に注意いたしまして、米軍の方といたしましても、そういうやみに流れる物資につきましては一定のレーシヨンと申しますか、割当制度でやつておりますが、それにしましてもまだ流れております。私はこれは両方の問題であると思うのでありまして、一つはまだ割当に余裕があるということでそういうものが流れるのでありますから、こういう割当については米軍の方でもう少しきびしくやつていただきたいと思つております。しかしタバコなんかになりますと、のむかのまぬかという問題もあり、またのむにいたしましてもその量が少い者と多い者とありますから、ある程度のものを配給いたしますとやはりどうしても余す人間が出て来るわけでありまして、あとは良心的なものに待つしかないと思うのであります。根絶することはむずかしいかと考えますが、しばしば注意はいたしております。同町にこれは日本側の取締り当局の問題でもありますので、両者の協力によつて事態を改善するほかない、こう考えます。
#86
○穗積委員 これはもとより米軍の場合の方が多かろうと思うのですが、動態的に見まして最近やみの取引がふえておりますか、漸減いたしておりますか、どちらですか。
#87
○伊関政府委員 私の方ではそこまで調べておりませんので、ちよつとお答え申し上げかねます。
#88
○穗積委員 これは大蔵省関係が主だろうと思うので、機会をあらためてお尋ねいたしますが、念のために明らかにしておいていただきたいと思いますのは、地方自治団体としての広島の地方税免除に伴います税の負担であります。その他の負担の問題については先ほどお答えがあつたのですが、この問題については今までたびたび陳情もあり、あるいはまた他の委員からも御質問があつたわけですが、今までその点についてわれわれまだ十分納得できないのです。この問題についてはやはり百尺竿頭一歩を進めた、もう少し合理的な措置というものはできないものでありましようか、少し具体的にお尋ねしておきたいと思うのです。
#89
○伊関政府委員 これは私の方の外務省といたしましては、米軍の場合も国連軍の場合も同様でありますが、いろいろと地元に御迷惑をかけておるわけでありますから、平衡交付金とか、持別平衡交付金というような点でもつてめんどうを見てもらいたいということを、大蔵省と地方自治庁にやかましく言つておるわけでありますが、地方ではおつしやる通りの考えを持つております。これはわれわれの微力の点もございますし、大蔵省、地方自治庁がわれわれの言うておる通りにいたしておらぬというのが実情かと思いますが、今後もその面では努力をいたすつもりであります。
#90
○穗積委員 最後にもう一点ちよつとお尋ねしておきます。国連軍が撤退いたしました場合には、もとよりこの協定は終了するものと思われますが、状況によりまして一ぺん消滅したものが、再度国連軍が日本に駐屯する場合には、あらためて新たなる協定を結び直すことになるのか、あるいはまたこれが復活して来るのか、いずれでありますか、この際お尋ねしておきたい。
#91
○高橋説明員 この協定の適用は、前文に書いてありますように、吉田・アチソン交換公文によつて日本が日本に駐屯することを認めた国連軍の軍隊のみに限られるわけであります。そうして第一条に定義として、国際連合の諸決議と申しまして、国際連合の決議に基いて派遣された現在の国連軍が撤退いたしましたときには、この協定は終了するわけであります。従いまして一度撤退してから別の決議等に基きましてまた国連軍が駐屯するという場合には、当然新たな協定の締結を必要とするものと考えております。
#92
○上塚委員長 次は細迫兼光君。
#93
○細迫委員 協力局長にお尋ねいたします。国際連合軍との間の関係の基礎をつくるものとして、吉田・アチソン交換文書というものがあるが、一アメリカ代表者との交換文書というようなものが、そこまで広く規定する法律上の効果を一体持つのでありましようか、国際慣例と申しますか、国際法上の御見解を承りたい。
#94
○高橋説明員 古田・アチソン交換公文は、一九五一年九月にサンフランシスコで、平和条約及び日米安全保障条約の締結と同時に、吉田総理大臣とアチソン国務長官との間に交換されました公文でありまして、条約と同等の国家間の約束としての効力を持つのであります。従いまして平和条約、安全保障条約と同時に国会の御承認を得て有効になつておるものであります。
#95
○細迫委員 しかしそれはあくまでアメリカと日本国政府との間の問題であつて、国連軍に効力の及ぶことには多大の疑問があると思いますが、いかがでありましようか。
#96
○高橋説明員 これは日本とアメリカとの間の交換公文でありまして、日本はアメリカに対しまして、国際連合が連合憲章に従つてとる行動に援助を与えるということを約束した、その結果として国連軍の派遣国というものが利益を得る。従いまして日本における国際連合軍の駐留に援助を与えないということは、日本のアメリカに対する義務の違反になると思います。
#97
○細迫委員 るる御説明がありましたが、どうも筋が通らぬように思うのでありまして、国際連合軍という名前にはなつておりますが、アメリカはアメリカ、イギリスはイギリス、濠州は濠州というように、おのおの個々の国の責任においてその国の軍隊が派遣せられておる関係だと思うのであります。国際連合の勧告に従つたのではありますが、その責任はあくまで個々の国の派兵であると思うのでありまして、これらとの国を規定するには、たとえばイギリスと日本との間に協定が結ばれて初めて、イギリス軍に対する関係が基礎づけられると私はあくまで思うのでございます。御説明によりますと、アメリカと日本との間の協定に基いて効力が及ぶようになれば、いわゆる第三者のための協約というような意味のものに理解する以外にはないと思うのでありますが、しかしさき申し上げましたように、あくまでイギリス軍の派遣はイギリス国の責任において派遣せられておるものでありまして、将来いろいろなトラブルでも起きますれば、これでアメリカに食いついて行くというわけに参るのであろうかどうか。私は、直接にはあくまで、イギリス軍との間のトラブルにおきましてはイギリス国を相手にして交渉せらるべき筋のものであると思うのでございますが、間違いでございましようか。
#98
○高橋説明員 わが国は、サンフランシスコの平和条約で、国際連合憲章の第二条に掲げる義務を受諾するということを約束しておりまして、イギリスその他の国に対しましても、国際連合の精神に基いて、一定の義務を受諾しているわけでございます。現在わが国に駐留しておりますイギリス連邦軍その他の国の軍隊というものは、いずれも国際適合の決議に従つてその軍隊を日本に駐留させておりますし、わが国としては、国際連合に協力するということを約束しております関係上、吉田・アチソン交換公文というものも、それとの関連において考えられるべきものと了解いたします。今回の国際連合の軍隊の地位に関する協定というものも、実はイギリスその他の軍隊のみに適用がございますが、アメリカも統一司令部としての資格においてこの協定に調印している次第でございまして、同様のことは、吉田・アナソン交換公文におけるアメリカの調印の資格というものは、同様の資格を持つているというようにも見られるのじやないかと思います。
#99
○細迫委員 御説明るる聞きましても、どうも釈然といたさないものがあるのでございますが、これ以上押問答をいたしましても、いたし方がないと想いますから、その疑問は疑問のまま胸に納めておくことにいたします。続きまして、あるいはすでに賛同が触れられておる点かと思いますが、私の理解が足りませんので重ねてお伺いをするわけでありますが、従来の国連軍の駐屯なるものが、われわれの見方によれば、いわゆるやみ駐屯とでも申そうかというような状態であつたと思います。将来、これはやや例年のことに相なるのでございますが、従来日本国民が、あるいは地方自治団体が受けましたいろいろの損害補償については、もう従来の処置で打切りにするおつもりでございますどうか、その点一応前提的に承りたい。
#100
○伊関政府委員 先ほども申し上げましたように、労務契約等につきましては遡及いたしませんが、たとえば公務中に日本国民に損害を与えたというふうなものはもちろん遡及いたすわけであります。遡及いたしますが、ただ、示談その他とか、あるいはすでにその当時金を払いまして解決いたしましたものについては遡及いたしません。未解決であるものにつきましては遡及いたすわけであります。
#101
○細迫委員 具体的に関係を持ちますのは呉あるいは岩国というような地方になるのでありますが、岩国の沖に姫小島という島がありまして、これに盛んに爆撃演習がなされつつあるのであります。これにつきまして、やはり航行禁止区域も設定してあるようでございますが、この危険区域の指定と申しますか、その区域の拡張というようなことについて、交渉を受けられたようなことがございますか。あるいは、あつた場合にはどうしようという御方針でおりますか、承りたいと思います。
#102
○伊関政府委員 これは、占領中は別でありますが、平和発効をいたしましてからは、米軍の施設といたしましてこの航行制限等をいたしておつたわけでありますが、現在は国連軍もほとんど使つておりません。米軍としても大した必要はないように考えますので、目下、これを返すように、この制限を解きますように交渉いたしております。ですから、将来拡張されるというようなことは全然考えておりませんで、解除するように今交渉いたしております。
#103
○細迫委員 その地域における漁業の損害の補償というようなことについても御考慮なさつておられるのでございましようか、いかがでございましよう。
#104
○伊関政府委員 過去の損害につきましては、調査いたしまして損害のはつきりしたものは、補償しなければならぬと考えております。
#105
○細迫委員 いろいろ地方団体におきましても損害を受けておることは、いろいろな陳情の機会にすでにお耳に入つておるかと思いますから、具体的に小さいことは申しませんが、積極的にもし駐屯せざりしならば必要もなかつたであろうと思うような施設などに、費用をずいぶんつぎ込んでおる部分もありますし、あるいはまた得べかりし収入を得ることができなかつたというような消極的な損害も、呉市などでは、ずいぶんあるようでございますが、従来の方針としては、もつぱら平衝交付金あるいは特別交付金一本のお考えで来ておられたのでありますか、あるいはまたあの安全保障諸費でありましたか、そういうような面からも繰込むような処置がとられておつたのでございますか、私不案内でありますので、お尋ねいたします。
#106
○伊関政府委員 安全保障諸費は、国連の関係では従来使用いたしておりません。従来は平衝交付金等しか考慮されておらなかつたのであります。
#107
○細迫委員 さつきの御答弁によりまして、平衡交付金等における勘案も十分ではなかつたことを認めておられるように考えるのであります。これらの消極的、積極的な損害を、将来の平衡交付金等にたよつて穴埋めするということは、技術上なかなか困難なことではないかと私は察するのであります。しかし過去のそうした損害につきましても穴埋めしてやりたいというお気持のあることは理解できるのでありますが、そのお気持の実現方法ですね。技術的に相なるのでありますが、どういうことを具体的にお考えになつておるのでございましようか、承りたいと思います。
#108
○伊関政府委員 この点は外務省の所管でございませんので、われわれとしましては、現地からもう少し何かしてほしいというお話がありまして、これは主管当局でありませんから、それが非常に不十分なものであつたか、不当に低かつたかという判定をいたす地位にないわけでありますが、現地からの強い御要望でございますから、関係省に取次いでおるというふうな立場でございまして、ここで将来これをどういたすという方針を申し上げる立場にないわけでございます。あくまでも現地の方と一緒になつて陳情を援助するというふうな行き方をとつておるわけでございます。
#109
○細迫委員 これはさつき言いましたような、私らの品から見ますれば、やみ駐屯というようなことから生じたことでございまして、その責任は一に政府にあると存じます。もちろん予算措置等は直接の御管轄ではないことを承知しておるのでございますが、こういう不完全な関係にとどめておいた責任は、私は外務省にあると思うのでございまして、この責任から生じた穴埋めに対しては、これはさか立ちになつても外務省の御努力にならなければならぬ義理合いだと私は思うのでございまして、それにはやはり陳情に力を添えるといたしましても、具体的に力強く陳情に力添えをする方法としましては、力強くあらしめるためには具体的にこうこうこうしてくれる方法があるじやないか、こうしなくちやいかぬじやないかということでもつて、大蔵省方面に折衝をなさる必要がやはりあると思うのでございます。そういう意味におきまして、所管外ではありましても、外務省に具体的な御方針があつてほしいと私らは思うのでございまして、にわかにとつさの場合お考えが立ちませんとしますれば、ひとつ御研究いただきまして、後日またお知恵拝借にもまかり出る場合があるかとも思いますので、十分御研究くださることをお願いしておきます。
 次に別の問題に入りますが、アジア局の第五課長が見えておるようでありますのでお伺いいたします。いつぞや御質問申し上げました朝鮮人の鉱業権に関する問題でありますが、あれが四月の二十七日をもつて外国人扱いに相なりまして、租鉱権等を持つておつた者が、いわば権利が消されてしまう結果に相なるのでございまして、もうその時期は焦眉の目前に迫つておる次第であります。関係各方面と何とか折衝解決の方法が考えられるだろうというような当時の御答弁であつたのでございますが、その後折衝の状況はいかがでございましようか、経過をお伺いいたしたいと思うのであります。
#110
○鶴見説明員 この朝鮮の方々の鉱業権の問題でございますが、御承知のように朝鮮の方々の国籍処遇の問題に関連いたしておりまして、一九五二年二月に最初に日韓会談が開かれまして以来問題となつて来ておりましたものでございます。またその日韓会談の成行きともにらみ合せましてその際に何らかの結論が出る、また出すようにしたいということで動いて参つたわけでございますが、鉱業権につきましては、日韓会談の方が御承知のような状況で、うまく進んでいないという関係がありましたので、昨年の七月でありますが、通産省の方で鉱業法の附則の第三項を改正いたしまして、平和条約の発効後二箇年間は、朝鮮の方々にも鉱業権の所有を認めるという規定を入れたわけでございます。その一年間があしたでもつて切れまして、二十八日以降はその法律の効力がなくなるわけでございますが、そういう関係に立ちましたので、通信省の方としましては、かたがた日韓会談の動きともにらみ合せながら、積極的に鉱業権を所有しておる朝鮮の方々に対しまして個々に話合いをして、日本人に鉱業権を譲渡するようにということで話合いをして参つたわけであります。その成績がある程度上りまして、一九五二年十二月には六十六件租鉱権、採掘権を朝鮮の方方が所有しておられたのが、今月の二十日現在ではあと余すところ八件になつておるのであります。従いましてもうしばらくそれを続けますれば、朝鮮の方たに不測の支障なり損害というものもなく問題が解決するのではないか。またその線でやつていただくように通産省の方に私どもの方からさらに話をしております。そういう関係でございますので、この問題の対象件数というものもずつと減つております。そういうような方向で解決を進めたいと存じております。
#111
○細迫委員 残る八件の未解決の事情は、どんな事情があるのでございましようか。あるいは名義人が行方不明だとかいうような事情があるやとも想像できるのでございますが、どういう事情で残つておるのでございましようか。
#112
○鶴見説明員 八件のこまかい内容については、ここでちよつとまだ申し上げかねると思いますが、約四件が、たしか私の覚えておりますところでは、通産省の方から書状を出しましたところが返つて来たということになつております。一件がその名義人が獄中、受刑中だということになつております。あと三件はやはり書状を出したけれども、ただつつ返されて来たというようなものであつたと記憶いたしております。大部分が書状を出しましたけれども到達せずに返つて来た、おそらく名義人の所在がはつきりしてない、あるいは登録されている住所と必ずしも一致してないという点にあるのではないかと思つております。
#113
○細迫委員 これは期限が切れますれば解決が非常にむずかしくなつて来ると思いますが、やはり外国人でございますから、国際関係におきましても、外国人の利益を正当に守つてやることが、日本の信義を将来信ぜしめるだけの効果を持つと思いますので、困難は増大するということをお気の毒には思いますが、もう事は済んだのだというようなことでなくて、円満な解決に一層の御尽力を要望いたしまして質問を終ることにいたします。
#114
○上塚委員長 それでは暫時休憩いたします。午後二時より再開いたします。
   午後一時十三分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時四十九分開議
#115
○上塚委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
 日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案を議題といたしまして質疑を許します。並木芳雄君。
#116
○並木委員 先般参考人に来ていただいて、秘密保護に関する意見を聴取いたしたのであります。そのときに「公になつていないもの」という条項に対してその限界があいまいである。たとえばソ連においてはこれが公になつておる、ほかの国では、アメリカでさえも公になつておらない、しかるにソ連だけが公になつておつて、それを何らかの方法で日本人がキヤツチして報道するような場合に、これが抵触して来るかどうかということに対しては疑問である、こういう意見の開陳があつたのであります。具体的にソ連ということがあげられたのは、要するにこの秘密保護の目的も、二つの世界のうちの鉄のカーテンの向うに知らせないことが目的であろう。しかるに皮肉なことに、鉄のカーテンの向うで公になつていることを日本人が漏らしたり、収集したりしたような場合に、この法律に抵触して来る場合があり得るのではないかという御意見であつたのであります。ですからその点については、「公になつていないもの」というものは、どういうふうになつて来ますでしようか、お尋ねをいたします。
#117
○前田政府委員 今の点につきましては、公になつていないということよりも、場所に限りませんで、世界中どこででも公になつているものは、防衛秘密にならないことになつております。
#118
○並木委員 そうすると、たといソ連以外の国はどこでも発表になつておらないもので、ソ連だけが発表したというものは、すでにこれは公になつたものとみなされるわけでございますか。
#119
○前田政府委員 その通りでございます。
#120
○並木委員 それから「情報」という文字について、参考人の方がやはり傾聴すべき御意見を漏らしたのです。というのは、普通の用語ではうわさというようなもの、むしろ確たる根拠がまだ乏しいようなものを情報といつておる。しかるにこれが法律語になつて参りますと、そこに新たなる定義を加えないと、政府が考えておるような意味が出て来ない、こういう御意見であつたのです。ですから、「情報」という文字をもう少し何かほかのものに書きかえることはできないでしようか。「アメリカ合衆国政府から供与される情報で、」というのは漠然とし過ぎておる。これをもつと的確な言葉で、もう少し具体的に列記することはできないでしようか。
#121
○前田政府委員 それはその下に「装備品等に関する前号イからハまでに掲げる事項」というふうに具体的に限定してありますので、さしつかえないと思います。
#122
○並木委員 実は私の方で先般来この法案を審議して参りましたが、大体次のような修正案を出してみたいと考えております。これは今までのところ党の方としては、大体私にまかしておりますので、きよう私は取上げて、党の方の政策委員会へ正式に提案をしたのでございます。ぜひ政府としても私がきよう提案します修正案を取上げていただいて、できれば政府の方で修正をしてほしい、こういう見地から申し上げてみたいと思います。
 それは第三条の第一項第一号のうちに、「又は不当な方法で、」とありますのを削除したいというのが第一点であります。削除いたしますと、「わが国の安全を害すべき用途に供する日的をもつて、防衛秘密を探知し、又は収集した者」ということになるのであります。「不当な方法で、」を削除すると、スパイの手先になつて働く者をつかまえることができないじやないかという心配がある点は、先般政府の答弁からわれわれ承知したのでありますけれども、しかしかりに「不当な方法で、」ということがなくても、わが国の安全を害する用途に供する目的があつてやつたのじやないかということにつながつて来て、取調べということに私はさしたる不都合は生じないではないかと考えます。むしろ「不当な方法」という広い文字を使つては、それこそ不当な範囲にまで捜査の手が伸びる、不当な言論の抑圧になるという弊害の方がはるかに大きいのではないか、こういうふうに考えますので、ひとつこの点政府において再検討していたたきたいのであります。
 それから第二点でありますが、第三条第二項第二号のところを「わが国の安全を害すべき用途に供する目的をもつて、防衛秘密を他人に漏らした者」というように改めるのであります。そうしますと、「わが国の安全を害すべき用遂に供する目的をもつて、」という第一号の最初の言葉につながつて来るわけであります。ですから修正したあかつきにおいては第一号に吸収されて、「又は他人に漏らした者」というものがつけ加えられるという法律の体裁になつて来ると思うのであります。これも趣旨といたしましては、「不当な方法」ということがあまりに広く、拡大解釈されるおそれがある。その結果言論、研究、報道の自由というものを束縛して来る心配がある。その弊害を防ぎますためであります。従つて私のねらうところは、もし「不当な方法」ということがもう少し限定されて、何らかの言葉で例示されて来るならば、あるいは目的を達することもできるのであります。ですからその点を理解していただいて、政府において再考をお願いしたいと思うのであります。結局法律の体裁は第一号にそれをつけ加えましてわが国の安全を害すべき用途に供する目的をもつて、防衛秘密を探知し、又は収集し、又は他人に漏らした者」こういう形になつて来ると思います。
 それからもう一点の修正点は、第三条第一項第三号の「業務」という言葉であります。これは第四条第一項の中にも「業務」という言葉が出て参りますので、その両方にかかるのでありますが、その「業務」の上に「防衛関係の」という字句を入れていたたきたいのであります。これも先般来政府との間の質疑応答で私ども申し上げました通り、「業務」という文字の範囲が非常に拡大されるおそれがある。従つて私どもとしては、「業務」というものにつき、何らかの形でこれとこれとこれというように限定して出て参りますならば、なお検討の余地がありますけれども、ただ「業務」という言葉で表わされますと、そこに法の運営において非常な疑問を生じて参りますので、これがややもすると基本人権にも触れて来る心配もあるために、以上のような修正をやつてみたいと考えておるのであります。私どもの趣旨は、MSAに賛成しておりますので、そのMSAの協定から来る秘密の防衛に対して、何らかの措置をとらなければならないということに対しては、異論がないのであります。しかし先日来の政府の答弁によりましても、まだこれほどの大がかりな法律をつくる段階には来ておらないのではないか。それほど高度の秘密というものが多種類来る段階に来ておらないようでございますので、さしあたりの行き方としてはなるべく制限をして行きたい、狭めて行きたい。これは長官も同感であろうと思う。もし将来必要があります場合は、そのときになつてまた法律を改正する余地も残されておるのでございますから、どうかひとつこの際は、ただいま私が申し上げました要望の諸点について政府においてお考えを願いたい。できれば政府の方でこれを修正して出していただきますならば幸いだと思うのであります。
#123
○佐々木(盛)委員 並木君のただいまのお話は、御要望のようで質問ではないようですが、私は並木君と異なる観点から私の所信を申し上げて、あわせて政府の見解も明らかにしておきたい。その結果によりまして、わが党におきましても善処いたしたい、かように考えております。並木君は、このたびの防衛秘密保護法が言論界などに非常に濫用される結果になりはせぬかということを憂えておられる。おそらくそういつた気持に基いての御発言であると考えまして、その並木君の気持そのものは私も了といたします。また私自身がジヤーナリストの出身でもございますし、その点のことはわからないわけではございません。しかし、かりにただいまの並木君の修正案と原案とを比べて見ましたときに、相当大きな開きが生れて参ります。そこでたとえば、第三条の第一項第一号を、並木君の言うように、「わが国の安全を害すべき用途に供する自的をもつて、防衛秘密を探知し、又は収集した者」をこの罰則の対象とするということでありますと、目的だけで、その秘密をとるというときの方法というものが全然ないわけである。そういたしますと、並木君は非常にこれが濫用されはせぬかと言うが、考え方によりましては、「不当な方法」というものがないために、逆に多くの人が迷惑をこうむらなければならぬということにならないとも限らないと私は思う。それからまた、たとえばここにある人間がおりまして、その気持の中ではこれは悪いこととは考えながらスパイ行為をやつた、そのときに、自分には国家の安全を阻害するというような考え方は毛頭ございませんでしたけれども、家族が食うや食わずでございますから、その秘密をとつて来いということであつたので持つて参りました、こういうようなことになりますと、不当な方法というものが全然入つていないわけでありますから、それが処罰の対象にならない、こういうことにもなるわけです。従つていかなる方法によつて防衛秘密を取得するかという、方法という点はきわめて重大な点だと思う。これを織り込んでおくことは、この秘密保護法の目的を果すことである。もしこれがない場合においては、秘密保護法の罰則規定というものは、空文になる、ないしは逆にたくさんの人々が疑惑の対象となるということにならないとも限らないと私は思う。この「不当な方法」という文字がないならば、まるで第三条は歯が抜けたようになつてしまうわけで、これが眼目である。眼目を抜きにして取締りなどはできようはずがない。でありますから、私は「不当な方法」というものはぜひ必要であると考えます。
 それから第二の並木君の話でありますが、「わが国の安全を害すべき用途に供する目的をもつて、防衛秘密を他人に漏らした者」こういうことのようでありますが、これは原案によりますと、「防衛秘密で、通常不当な方法によらなければ探知し、又は収集することができないようなものを他人に漏らした者」となつており、この方がより明確であり、誤解がなくて済むのじやないかと私は思います。もし並木君のようなことをやりますと、一号と二号とは同じようなことを規定したということにもなるわけだと思います。何のためにことさらにこの原案の二号を並木君の言う通りにするのか、その真意も、先ほど承りましても了解に苦しむわけであります。文章の構成から申しましても、私は当然二号については原案の方がはるかに適当であろうと考えます。先ほどお話のようにことさらにこの字句を修正する必要はごうもないと考えるのであります。
 それから第三号の「業務により知得し、又は領有した防備秘密を他人に漏らした者」とあるのを、並木君の御説によりますと、「防衛関係の業務により知得し、」こういうふうにすればよいということですが、そうすると、たとえば新聞、ラジオというような報道関係の業務などから知得したものは、この防御秘密の対象にならないということになるわけであります。たとえばここに郵便配達夫がおつた、あるいは電報のオペレーターがおつたという場合、これは決して防衛の業務には従事していない、しかし秘密の通信を配達するところの業務をやつた、それが封筒を破つて中から秘密を盗んだという場合においては、明らかに防衛関係の業務ではないのでありまして、郵便配達という業務なのです。しかしそういうことは郵便配達の業務であつても普通やつてはいけないことである。人の信書まかつてにあけるということはできないことです。それがたまたま自分の業務であるということによつてそれを悪用することにより、秘密をとつて、人に漏らしたということは、これは当然罰則の適用を受けてしかるべきだと私は考える。そこでどうも並木君自身、何か今度の秘密保護法というものの大きな幻形によつて、非常に脅かされておるように私は考えるわけがあります。並木君は削れと言うし、私は削つてはいけないというこの第一号の「不当な方法」ということさえ、たとえば報道関係の諸君などもこれについて十分に心するならば、この第三条の罰則の適用を受けるというようなことは、私は絶対にあるはずがないと思うのであります。共産党であるとかいうふうな者が、何とかスパイ活動でもやろうという考えを持つておりながら、なおかつこの法の適用からのがれようというようなことをお考えになるならば、あるいはこれの適用ということは非常に恐ろしいかもしれませんが、そうでない善意の人が普通の報道関係に従事しておつて、そうして善意により単なる報道の目的をもつてやられたときに、第三条の適用を受けないということは、繰返し繰返し政府当局が説明されておる通りであります。従つて並木君のような修正によつて、かえつて多くの人々に迷惑を及ぼしたり、あるいは法の規律というものを不明確にするというようなことはこの際とるべきではない、やはりどう考えても並木君の修正案よりは原案の方がベターである、私はかように考えるわけであります。従いまして私はこれに対して反対をいたしたい、こういうような考え方を持つておるわけでありますが、こういう案が将来とも友好関係を大いに持続して行かなければならぬ改進党から出ておるわけですから、その並木君の御提案の趣旨だけは私も聞いて帰つて、党でもひとつ大いに協議をいたしたいと思うのでありますが、私の今の考え方に対しまして、政府当局はどのようなお考えであるかということをひとつ承つておきたいと思います。
#124
○木村国務大臣 ただいま並木君からの修正に関する御意見を承りました。続いて佐々木君からこれに対する反対の御意見を承りました。政府当局といたしましては、私はまさに今申されました佐々木君の反対意見を尊重するものであります。その理由は大体佐々木君が仰せになつたようでありますが、なおつけ加て、申し上げます。
 まず第一の「不当な方法」という文字を削除するということの並木君の御意見であります。大体不当な方法で防衛秘密を探知し、または収集せんとする者は、わが国の安全を害すべき用途に供する目的を持つておるものと思います。思いますが、法律的観点に立つて見ますと、目的罪だけにすると、いわゆる挙証責任がまつたく政府側にあるわけであります。その目的を持つておるかどうかということは、なかなか容易なことじやありません。不当な方法でやつて、しかも安全を害すべき用途に供する目的を持つておる。従いましてわれわれは、この不当な方法でやるということを立証すれば、大体においてこの安全を害すべき用遂に供する目的をもつてやる者を押えることができます。そうでないと押えることは絶対にできません。不当な方法でやるということは、私はもうわが国の安全を害すべき目的をもつてやるものと見てよかろうと思うのです。従いまして私は、今佐々木君が仰せになつたように、「不当な方法」という文字を抜いてはこの条文はもぬけのからになると思います。不当な方法でやる者を押えることができなければ、この法文の目的は絶対に達することはできない、こう私は考えております。
 それから次に、「わが国の安全を害する目的をもつて、防衛秘密を他人に漏らした者」、こういう御修正の意見でありますが、これも今申し上げたのと同じ理由であります。これを目的罪にする、こういうことであれば、私はこの法文はまつたくもぬけのからになると思いますが、通常不当な方法によらなければ探知または収集することのできないようなものを他人に漏らすということは、もうわが国の安全を害する目的でやつているということと同一なのです。こういうことを立証責任を政府の方に負わせるということは、法文をまつたく無能力化してしまつて目的を達することはできぬと思います。
 それから第三の防衛関係の業務によつて云々、これも今佐々木君の仰せになつた通りであります。防衛関係だけでございますと、きわめて範囲が限局されてしまう。極端に言えば、防衛祕密に関する措置を修理または再製するようなことを請負わされた人間も、防衛関係の業務に携わつているということは言えない場合もあるだろうと思います。そういうような者から秘密が漏洩されたら、もう目的を達することはできません。およそこの法文が今並木君の仰せになるようなことになれば、効果は少しも上らぬという結果を生ずるのではないか、こう考えております。
#125
○上塚委員長 並木君、質問はありませんか。
#126
○並木委員 私の希望は述べたし、今意見は伺つておいて……。
#127
○上塚委員長 佐々木君、ありませんか。
#128
○佐々木(盛)委員 今私はありません。
#129
○上塚委員長 河野君、この秘密保護法についての質問はありませんか。
#130
○河野(密)委員 私の方ももう少し研究してまた質疑します。
#131
○穗積委員 私はきよう質疑を打切られては困ると思つて、今会議の途中でちよつと抜けて来たのですが、できましたら、たいへん恐縮ですが、あしたさせていただきたいと思います。
#132
○上塚委員長 きようは長官も次官も官房長官も政務次官もみた来ておりますから、なるべくきよう質疑を続けられることをお願いします。
#133
○佐々木(盛)委員 速記をやめて相談したらどうですか。
#134
○上塚委員長 ちよつと速記をやめてください。
  〔速記中止〕
#135
○上塚委員長 速記を始めて。ほかに御質疑がなければ本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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