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1947/07/10 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第15号
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1947/07/10 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第15号

#1
第001回国会 本会議 第15号
昭和二十二年七月十日(木曜日)
    午後一時二十七分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第十四号
  昭和二十二年七月十日(木曜日)
    午後一時開議
 第一 自由討議
    ―――――――――――――
 一、自由討議の問題
 自由討議その他議院運営について。
 右の問題について討議がつきたとき時間に余裕があれば問題を定めないで討議する。
 二、発言者の数 十七人
 社会党、民主党、自由党各四人、國民協同党二人、第一議員倶楽部、農民党、共産党各一人
 三、発言の時間
 一人の討議時間 十分以内
 答弁総時間として一時間、一人の答弁時間 五分以内
    ―――――――――――――
#2
○副議長(田中萬逸君) これより会議を開きます。
 お諮りいたします。高岡忠弘君より、本十日から三十日まで二十一日間、山口靜江君より、本十日から八月九日まで三十一日間、いずれも病氣のため請暇の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○副議長(田中萬逸君) 異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。
     ――――◇―――――
   第一 自由討議
#4
○副議長(田中萬逸君) これより自由討議に入りたいと思います。本日の討議の問題は、自由討議その他議院の運営、並びに國政一般について討議することといたします。発言時間は一人十分とし、答弁は五分以内と定めます。発言者は、自席でされても、また登壇されても、それは自由であります。なお、諸君は自由討議の本質に鑑み、各自の良心に從い、まつたく自由に御意見の開陳あらんことを望みます。もちろん、衆議院規則によつて討議せらるべきは当然でありますが、民主的な運用によつて、本制度の効果を発揮いたしたいと存じます。淺沼稻次郎君。
#5
○淺沼稻次郎君 簡單ですから、自席から発言の許可を願います。――ただいまの議長の御発言に対し、各党を代表して一言いたします。自由討議は、われわれ議員としての良心に從い、われわれの有する意見を率直に開陳し、議員諸君の批判を請わんとするものであります。討議の際は、すべて議長の整理に從い、しかして自由討議の運営については、各党の議院運営委員において、それぞれ責任を負い、もつてその目的を達成したいと考えるのであります。以上をもつて、議長の発言にこたえる次第であります。(拍手)
#6
○副議長(田中萬逸君) 土井直作君、発言者を指名願います。
#7
○土井直作君 松本七郎君を指名いたします。
#8
○副議長(田中萬逸君) 松本七郎君、発言を許します。
    〔松本七郎君登壇〕
#9
○松本七郎君 私は、まず最初に自由討議に関しまして、次の三点を希望したいのであります。
 第一に、全議員に発言の機会を與えねばなりませんから、質問時間の制限はやむを得ませんが、答弁すべき大臣を一人に限定したり、答弁時間を制限することには反対であります。討論においても、質問を要する場合は多いのでありますから、質問するかどうかは、議員の自由でなければなりません。從つて、大臣を一人に限定すれば、多角的質疑が不可能となるからであります。答弁はできるだけ簡潔に、との申合せで足りるでありましよう。かりに質問にのみ終始したといたしましても、わずか十分の質問に対する答弁は、さほど長くを要しません。指定された答弁者の人数を議長において考慮しながら、答弁者に適宜注意を與えさえすれば、運営に支障を來すことはないと思うのであります。
 第二に、討論の内容を特定の問題に限定することは、場合によつては意義あることもありましようが、これはむしろ自由討議の趣旨に反すると思われますので、これは完全に自由にすべきであり、問題の重要性については、議員各自の判断に任すべきであると考えるのであります。
 第三に、討論を自席で行うか、登壇すべきかに関しましては、他に適当な場所もなく、かつこの本会議場が現在の構造のままである限り、議員の自由ということにすべきであると考えるのであります。
 以上三点の意見を申し述べておきまして、さらに以下一般國政に関し、若干論ぜんとするものであります。耐乏生活を切抜けて、祖國再建に奮起しつつある國民にとつて、注目すべき問題の一つは、耐乏生活の公平化であります。遅配・欠配に惱む食生活の公平化の施策こそ、全國民がよく窮乏生活に耐え得るか否かのかぎをなすものであります。政府の唱える遅配の平均化が万一実現できないならば、相もかわらぬ欺瞞政治との印象と失望を國民に與えるのみであります。
    〔発言する者多し〕
#10
○副議長(田中萬逸君) 靜粛に。
#11
○松本七郎君(続) 北海道のごとき、八十日からの遅配を、万一棚上げにするがごときことがありますならば、まことに憂慮すべき結果を招來するでありましよう。福岡県のごときは、政府に先んじて計画遅配を実施しているのでありますが、これなどは、なおさら完全に埋合せねばなりません。この点を、私は特に強く政府に要望しておくのであります。
 現在わが國の食生活は、米國の援助に負うところ大でありまして、まことに感謝にたえません。敗戰國日本が、かくも大なる援助を仰ぎ得るのは、米國のキリスト教的博愛精神によるところ少からざるものがあるでありましようが、それ以上に、デモクラシーの擁護、拡充という米國の一貫した世界施策と、現実の世界情勢がしからしめていると信ずるのであります。
 この米國の援助に報いるためにも、また日本再生の途から申しましても、われわれは一日も早く、実質の具わつたるデモクラシーを確立せねばなりません。これはおそらく、われわれの世代に完成のできるような、なまやさしい事業ではありますまい。マツカーサー元帥も、日本管理が一世代続くと声明しております。この管理が解かれて、初めて完全に自力でもつてデモクラシーを育て上げねばなりません。これには二代あるいは三代を要するでありましよう。われわれは、重大な使命を帶びた小さな捨石であります。
 このことを思いますると、教育の重要性を痛感せざるを得ないのであります。将來起ることあるべきフアツシズムに対抗して、よくデモクラシーを守つて、これを確立し得るや否やは、一に今後の教育いかんにかかつておるのであります。今や教育界は政府の六・三制実施に対する熱意がいかに具体化されるかについて、多大の注意を拂つております。現在のごとき苦しい財政のもとにあつて、政府もさぞ苦慮されておるでありましようが、教育者は、それにも増す苦労を耐え忍んでも六・三制を実現せんと奮起しておるのであります。万難を排してこれが実現に努力し、教育税の創設、あるいは米國において行われておるように、学校に対する寄付行爲について、所得税を一定限度で免除する制度等を、至急研究すべきであると考えるのであります。なお、勤労青年男女の教育の機会均等については、格別に留意すべきときでありますから、この点、特に政府に要望しておきたいのであります。
 さらに強調いたしたいのは、私学の振興であります。日本が、無謀な戰爭により、いとも哀れな國情に陷つた直接の原因が、軍閥の政治壟断を許したことにあることは、言うまでもないところでありますが、その間接の原因の中で、見逃すことのできないのは、独善的偏狹思想を方針とした、文部省傳統の教育であります。この國民教育こそ、軍國主義の温床であつたのであります。この間にあつて、あらゆる苦難に耐え、辛うじて民主主義思想を守つてきた私学の功績は、まことに大なりと申さねばなりません。この私学の功績と、我が國現下の任務に鑑みますならば、私学振興には、あらゆる便宜を與うべきであると確信いたすのであります。
 昨年の臨時議会において、私学振興に関する決議案が上程可決されました折に、時の田中文部大臣は、文部省の罪滅ぼしに云々と言われたのであります。いま私学團体からは、教育金庫の設置について、熱烈なる叫びがあがつております。これなどは、罪滅ぼしの糸口にも及ばぬことでありますから、ぜひ早急に実現するよう、努力さるべきであります。
 最後に私は、現在の占領下におかれており、しかも遠からず講和会議を迎えんとするわが國にとつて、少からぬ影響ありと思われます問題について、一言触れたいのであります。それは、去る七月四日附の時事新報によつて報ぜられました。尾崎行雄議員提唱の、平和会議に関する決議案についてであります。
#12
○副議長(田中萬逸君) 松本君、時間であります。
#13
○松本七郎君(続) 時間がまいりましたから、これで終りといたします。
#14
○副議長(田中萬逸君) 坪川信三君、発言者を指名願います。
#15
○坪川信三君 民主党よりは、まず第一に田中角榮君を指名いたします。
#16
○副議長(田中萬逸君) 田中角榮君。
    〔田中角榮君登壇〕
#17
○田中角榮君 私は、自由討議がいかにあるべきものか、先日第一回に行われました自由討議がどういうふうであつたかということを、申し上げたいと思うのであります。
 新國会法によりまして、本会議において、議員相互に自由討議の機会を與えられましたことは、形式主義に流されやすい本会議に、清新なる活を入れたものでありまして、新國会運営上、重大視せねばならぬと思うのであります。自由討議の存在理由は、國会の運営並びに政党的立場において統制を受け、盡されぬ論議、隠されたる意見、少数意見を、遺憾なく発揚するにあるのであります。從來、國政一般の質問は予算総会においてなされたのでございますが、今般自由討議といたしまして、本会議場において活発なる討議の展開ができますることは、明朗なる政治、すなわちガラス箱の中での民主政治の発達助長に資すること大なりと思うものであります。
 議会における自由討議は、議員個人においてなさるべきものでありまして、所属政党の主議政策の線を逸脱するようなことが、もしありましても、あえてこれをとがむべきものではなく、しかも、これに対する答弁も、個人の自由質問に対してなされる答弁でなければならぬと思うものであります。自由討議は、文字通りフリー・トーキングであり、あくまで自由に行われるべきでありまして、時間的制約のあることも、もちろんではありますが、質問時間を十分間と規定いたしましたるにこだわりまして、一分前にベルを鳴らしながら、時間です、時間ですと言いまして、あと二、三十秒で盡きる議論を、あたら中途半端に終らせるようなことをせず、適宜議長において裁量されたいのであります。
 自由討議は、議員相互において自由になされるものと、政府対立法府議員との間においてなされるものとに、大別されるものと思いますが、この後者の形式をとつた去る七日の第一回討議は、各新聞ともに、あまりほめておりません。それは、議員の質問点も多岐にわたり、各党代表質問の延長の観があつたのであります。そのゆえに、壇上の発言議員の声よりも、各議員席相互間におけるやじの応酬が、華々しかつたのであります。低級なるやじは取締らなければなりません。対立的なる感情のみによりまして、正しい言論の発表が封殺されることは、民主主義発達の一大阻害と存じておるのであります。
 明治大帝陛下も、よきをとり惡しきを捨てよ、と仰せられましたごとく、他議員の発表はよくこれを聽き、しかして、それに対する賛否は自由なのであります。おのれのみを正しいとして、他を容れざるは、民主政治家にあらず、それもし一歩を誤まれば、戰時下におけるあの抑圧議会の再現を見るのであります。米國議会においては、他党所属議員の登壇発言に際しましては、挙党拍手をもつて送り、拍手をもつて迎えるのであります。名論なりと思いながらも、他党なるのゆえをもちまして、拍手もせず、先般和田長官に対して、落第坊主と叫び、保守反動、右翼默れ、何を、というがごとき応酬は、聞きにくく、民主議会の発展の上に、遺憾に思うものであります。すべからく、わが民主党の議席のごとく、低級なるやじも飛ばさず、名論出でたるときは、全員拍手するの、この状況になつていただきたいと思うのであります。
 さて、答弁せる政府大臣諸公も、代表質問のむし返しのゆえか、親切を欠いておると思うのであります。まさに、質問と答弁は二本の平行線のごとき観があつたのであります。大臣というも、全知全能の神樣ではありません。それゆえに、答弁に窮することもありましようが、ごまかしの答弁で逃げたり、全然筋の違つた大演説をやりまして、これでよいか、というような大みえをきるがごときは、まつたく古いと思うのであります。
 自由討議は、個人においてなし、個人議員の発言に対し答えらるべきはずでありまするのに、先般安本長官は、官吏の整理を発表しながら、一万の官吏を抱いておるのはどういうわけかとの、自由党の上林山君からの質問に対して、安定本部は吉田内閣でつくつたので、わしは知らぬというがごとき答弁は、和田長官、連日の衆参両議院における答弁で御疲労されておるとはいいながら、当を得ない御答弁であると言わざるを得ないのであります。
 次に、議員は一人というも、これが背後に十五万五千人の國民大衆があつて、この発言は、まさに國民大衆の血の叫びなのであります。平野農相のごとく、三、四人一まとめの御答弁は、一山いくら、十抱一からげのようで、立法府議員に対する行政府責任者といたしまして、少しく懇切丁寧を欠くの感なきを得ないのであります。こんな不親切な政府には協力せぬぞと、もし言われたならば、どういたしましよう。その意味において、お暑い中御苦労様ではございますが、一段の御考慮を煩わしたいのであります。要するに、前回の不評は、自由討議に対する発言者の不慣れと、政府答弁者側の熱意の欠如にありと、断ぜざるを得ないのであります。
 最後に、今後における自由討議の議題は、政府の当面せる重要緊急問題、たとえば、過日公布されたる飲食店閉鎖のごとき、緊急で、正式に議会にかけるいとまのないようなもの、または議員の自由意志による議題を求めて、適宜議長において採択付議されたいと思うのであります。また自由討議は、議員の選挙演説の余憤でもなく、まして一場の漫談でもありません。自由討議で採択されたものは、これを院議として政府鞭撻の資にされたいのであります。
 なお自由討議は、でき得るだけ、議会に余裕の生じたときに、適宜議長の裁量により行わるべきことが最も適当であり、一昨八日の本会議のごとく、傍聽國民諸君を、暑熱と汗の中に三時間もカン詰にしておきながら、常任委員長並びに常任委員の選挙だけで本会議を閉じてしまうがごときことのないように、そのときこそ、自由討議が活発に展開さるべきものであると思うのであります。
 爾後の自由討議は、運営上において納得と了解の機会を十分にとらえること、第二に、発言者においては、宣傳演説をして大臣をつり出すの愚を排しまして、熱意と自信をもつこと。かくして、自由討議の運営よろしきを得れば、わが國民主主義の政治は、一段の飛躍をなすこと信ずるものであります。(拍手)
#18
○副議長(田中萬逸君) 小澤佐重喜君、発言者を指名願います。
#19
○小澤佐重喜君 日本自由党では、植原悦二郎君を指名いたします。
#20
○副議長(田中萬逸君) 植原悦二郎君、発表を許します。
    〔植原悦二郎君登壇〕
#21
○植原悦二郎君 自由討議につきまして、私が党の幹部会で、一言かようにしたらいいのではなかろうかという参考の意見を申したところが、小澤君がそれを本会議でやれと言う。私にはとんだ祟りになつたので、はなはだ迷惑に感ずるのでありますが、議会政治のために、私の所見の一端が皆樣方の御参考になれば、仕合せであります。
 御承知のごとく、日本の新憲法と新國会法は、ある意味から申しますれば、英國式、すなわちヨーロッパ式と、アメリカ式とを、二つ合わせたものであります。憲法の建前から申しまして、議会方面を考えまするときには、まつたく米國の型にならうておる点が多いのであります。また内閣制度の点から考えますれば、英國式の型が多いので、これは過去において約五十年間、これを日本が、ある意味からすれば模倣してきたと申してもよろしいのであります。今日、日本において議会政治を論ずるものは、過去の五十年の経驗をもつて、新しい憲法に対してはつきりと頭の切替をなし得ざるところに、いろいろの混雜が生ずるように思われます。
 そこで、アメリカの方のことを考えてみますれば、アメリカは皆樣御承知の通り、内閣、すなわち政府というものと、議会というものの、直接の連鎖はありません。ただ選挙の場合に、二大政党があつて、その二大政党が、大統領の選挙でも、衆議院の選挙でも、上院の選挙でも、同じつながりをもつところに、アメリカの政党とアメリカの政治の運用があるのであります。從つてアメリカの議会は、議会自身がいかなるところの問題についても、いかなる立法行爲についても、そのことを徹底的に國民に知らしめようとするところに、自由討議の貴いところがあるのであります。
 これに反して英國は、御承知のごとく、内閣というものは議会の出店であります。ある意味から言えば、英國の内閣は、議会の、すなわち立法府の一行政院に止まるのであります。申すまでもなく、皆樣御承知でありましようが、今日英國の大臣というものは、大臣という規定はなく、英國の古い形の枢密院顧問官であるのみであります。議員であつて、枢密院の顧問官たる者が、英國の皇帝を代表して行政を取扱うという形であります。
 日本の新しい憲法によりますれば、内閣というものは、議会から生れ出るものでありまして、皆樣方御同樣に実行いたしたのと、同じこと、総理大臣も議会の多数によつてきめるというので、ある意味から言えば、日本の内閣も、英國のごとくに、立法府の決定いたしたことを行政の上で取扱うところの役目をするものだと見ればよろしいと思う。議会中心の問題になりますれば、議会における自由討議というものは最も大切のことで、これをうまく運用するか運用しないかということが、議会が國民に対して眞の信頼を得るや否やということになりますがゆえに、この運用については、非常なる考慮を拂わなければならないと思うのであります。
 そこで、自由討議の運用につきましては、少くとも二つの目標をもつていたすべきものだと思います。その一つの目標というものは、ある題目を定めまして、その題目が、もし政府の提案にかかるものでありましたならば、その政府の所見を各議員が徹底的に質して、國民に表示せしむるという立場をとるのでありますがゆえに、御説のごとく、時間に制限をするなどということは、あつてはならないのであります。もし一日にして自由討議ができなかつたならば、二日でも三日でも継続して、その問題が解決するまで行うべきものだと思うのであります。(拍手)かようにいたさなければ、自由討議のほんとうの意味はないのであります。(「その通り」)
 また、ほんとうに議会の多数が内閣をつくるものでありましたならば、なるべく與党は政府に対して質問するというようなことも、やめなければならない。(拍手)但し、疑問がありましたならば、自由討議のときに、人をきめずに、事をきめずに、できるだけ徹底的に問題を追及するということが、一つの自由討議のやり方であると思います。
    〔「與党だつて言論の自由があるぞ」と呼び、その他発言する者あり〕
#22
○副議長(田中萬逸君) 靜粛に願います。
#23
○植原悦二郎君(続) もう一つの自由討議の方法は、政府に関係なく、私は必ずしもそのことが、議会に法案があるとかないとかいうことに限らぬでよろしいと思います。國家の重要なる問題だと思うときには、その問題を定めて、あらゆる議員の所見をここに明瞭にして、そうして國民の参考に供するということが、自由討議の本則でなければならないと思うのであります。(拍手)
 かようにして、自由討議の場合には、社会党はこの問題に対しては、かような意見をもつ、しかるに民主党はこうであり、自由党はこうであるという意見を述べます。また政府にその問題に対する所見があつたならば、政府はかような考えをもつが、われわれは、これが最も國家國民のためによろしいものだということの所見を加えて、明瞭に、徹底的に、時間の制限なく、社会党がもし演壇に立とうとするならば、社会党すべての者の意見を代表するような人が立ちまして、これを徹底的に論議する。これに対して自由党、民主党、あるいは共産党、その他の協同党等でも、意見がありますならば、それに対して各自の意見を徹底的に述べて、その自由討論は、天下國民に訴えて、國民の批判を受くる趣意のものでなければならないのであります。(拍手)
 かようにすることが自由討議の目的であつて、この目標に向つて、はつきりと各派交渉会で、今日はこの問題に対して政府の所見を徹底的に質そう、その場合においては、だれが演壇に立つとか、立たないとかいうことは、きめるべきでなく、政府の答弁を聽いて、その答弁によつて、不滿足の場合には、いかなる人でも徹底的にこれに質問する。もし一日で終了しなければ、三日でも四日でも、國民にはつきりするまでこの問題を討論する覚悟でなければ、議会の権威を國民に示すことはできません。(拍手)
 自由討論にいたしましても、一つの問題に対しては、政府などに関係せず、議会において各自の意見を徹底的に吐露して、國民の批判、輿論に訴える。これが、民主政治のもとの自由討論の本義であると思います。(拍手)この方向に向つたならば、必ずや國民の信頼を得るものと思います。(拍手)
#24
○副議長(田中萬逸君) 土井直作君、発言者を指名願います。
#25
○土井直作君 わが党といたしましては、森三樹二君を指名いたします。
#26
○副議長(田中萬逸君) 森三樹二君の発言を許します。
    〔森三樹二君登壇〕
#27
○森三樹二君 私は、社会党を代表いたしまして、自由討論並びに議院運営の問題について、自分の所見を述べてみたいと思うのであります。
 この自由討論につきましては、われわれは、この新しい國会において、初めてこの自由討論なるものが行われることになつたのでありますがゆえに、われわれといたしましても、はなはだこの点に不馴れな点があるのでありますが、われわれ國会の権威よりいたしましても、この自由討論を眞に活かしまして、國民の負託に副わなければならぬと痛感する次第であります。
 ただいま植原氏よりも、いろいろ御意見がありましたが、私は、この自由討論は、あくまでもその名のごとく、自由でなければならぬ。それに対しましては、各國務大臣も、みずから自己の議席におりまして、そうして、たとえば食糧問題については、農林大臣にあくまでもその所見と実行をお尋ねする。あるいはまた運輸問題については、運輸大臣にもその議席におつてもらいまして、直接それをあくまでもお尋ねする方式をとらなければ、單にここで所見を発表するだけでは、眞の自由討論の價値は失われるものであると考えるのであります。
 しかして、われわれは單に意見を述べるだけでなく、その責任を有するところの大臣、あるいはまたその道の権威ある議員等に対して、あくまでもこれを尋ね、そうして、われわれの目的とするところを達しなければならぬ。從つて、自由討論は相当に白熱したものでなければならぬと、私は考えるのであります。それが單におざなりの議論であつてはいけない。國家の重要問題について、自分の尋ねんとするところ、答えんとするところが、一々眞劍なる討論でなければならぬと思います。
 そのためには、どうしても時間が十分では短い。私は、多数の人々に機会を與える意味において、十分間の制限を議院運営委員会ではきめておりますけれども、しかし、これは皆樣方とよく御相談を申し上げまして、できるならば、一人に対して二十分ないし三十分間の時間を與えなければ、眞の討論の目的は達することができないと考えるものであります。
 またわれわれは、この討論をやります議場の形式にいたしましても、本来この議会は、旧憲法時代につくられた議会でありまして、いわゆる官僚的な内閣の構成によつてつくつた議場でありますから、自由討論をいたします議場といたしましては、非常に適当でないのであります。(「資材がない」と呼ぶ者あり)ただいま叶君が、資材がないと申しましたが、まことにごもつともであります。從つて資材と予算ができるまで待たなければなりませんけれども、でき得る範囲におきまして、この議場の形式もかえなければならぬ。先日も議院運営委員会で話がございましたが、たとえば自分の議席でやる場合には、共産党であるとか、またそちらの國民党のお方が自席でやられましても、とうていその顔をお互いに見合うことができない。從つて、この演壇に立たなければならぬということになりますから、現在はやむを得ず演壇でやつておりますけれども、でき得るなら、お互いに自分の議席から討論するなり、自分がそこで質問をする。そうすると相手の答弁する人が自席からやつて、一々演壇まで登つてくる時間と、不便がなくなるものであると、私は考えるのであります。
 いずれにいたしましても、この自由討論なるものは、わが國の新しい憲法のもとに初めて施行されるものでありまするがゆえに、われわれは、幾多研究すべき課題があると考えるのであります。
 なお、議院の運営の問題について一言申し上げたいのでありますが、新しい憲法のもとでは、委員会がほとんど立法の審議をいたしまして、議員そのものが法案を提出することになつておるのであります。なお、政府に法案提出権ありや否やということはこれは別問題として研究されなければならぬことでありますが、從來の形式とまつたく一変されたことは、これは爭われない事実であります。しかして、われわれ議員が法案をつくつて、みずから提出するということは、これは非常に困難な問題であります。その趣旨とか内容は一應わかりますけれども、これを法制化して、あらゆる他の関係法規と抵触する部面等を考えまするときには、非常に技術的にもむずかしい問題でありまして、政府が法制局をもつて立法をいたしておるように――われわれは、今後この法制局というものは廃止しなければならぬのではないか。政府のもつている、ああした大がかりな法制局は廃止いたしまして、その代りに、つまりりつぱな機関であります議院そのものの内部に、法制部というようなものをつくりまして、そしてわれわれが立案いたしました法制が、他の既成の法案の抵触するところがないかどうか、こうした技術的な問題を研究いたしまして、そして法案の整備をいたすなら、私は、われわれの考えておることがただちに法案化しまして、議会に提出することができるものであると考えておるのであります。
 この考えは、あながち私一個の考えでなく、多数の皆樣方の中にも、そうしたお考えをもつておられる方があると思うのであります。これは、ぜひとも至急に、そうした議院内部に法制部をつくりまして、その法制部の力によつて、われわれの考えておる政策や、あるいはその部面に対しまして、権威ある人々を集めて法案をつくるならば、あえて私は從來の政府が提出しておつた法案に負けない形式のものが具わると思うのであります。
 われわれが、一々関係法規を整備いたしまして、抵触するか否かということを考えておりましたならば、とうてい、それは煩雜であり、時間がかかつて、できないのであります。從つて、從來の議会は、眞に政府を中心とした議会運営でありまして、民主的な議院の運営によるところの議会ではなかつたのでありまするから、この点を一日も早く改正して、議員の提出するところの法案を、どしどしこの議会に提出される日の、一日も早からんことを期待いたしまして、私の所見の陳述を終る次第であります。(拍手)
#28
○副議長(田中萬逸君) 坪川信三君、発言者を指名願います。
#29
○坪川信三君 民主党より、東舜英君を指名いたします。
#30
○副議長(田中萬逸君) 東舜英君に発言を許します。
    〔東舜英君登壇〕
#31
○東舜英君 自由討議のあり方について、先輩同僚の各位より、だんだんの御意見の御陳述がありまして、大体盡きておるように思いますけれども、一言蛇足を添えさしていただきたいと思うのであります。
 先般、本議場において、國会最初の自由討議なるものが行われまして、各党の有力なる諸君より、政府に対して活発なる質問を展開されたことは、すこぶる有意義であつたと思いますが、自由討議なるものの本質に鑑みまして、先般の議場では、もつぱら政府に対する質問にのみ終始して、從來の議場における質疑応答の型を一歩も出なかつたことを、いささか物足りなく感じたものであります。
 國会法の第七十八條には、自由討議に関する規定はありますが、その規定には、單に、なるべく多数の議員に発言の機会を與えることと、議会の閉会中でも二週間に少くとも一回は必ず開くべきことを明記しているのみで、むしろ、この運営いかんにつきましては、今後の大きな問題であると信ずるのであります。ただし、過去の議会では、議員の行動というものが、議会開会中にのみ限られて、しかも議会に提出された政府案に対して、議員は党派的立場からその欠点を指摘することに重点をおき、議員自身の意見の陳述が、はなはだしく輕んぜられた傾向にあつたのみならず、議会閉会中は、議員の活動はまつたく休止されているような状態にあつたために、必然議会が國民生活から遊離し、政治が官僚・軍閥に侵略されるに至つたことは、まことにやむを得ぬ現象であると申さねばならぬのであります。いかに官僚政治を非難し、かつ民主政治の理想が叫ばれても、かんじんの代議士が、議会会期中のわずかな期間だけ選挙区から出てきて、しかも少数議員を除いて、多数の議員は、ほとんど発言の機会も得られずして、そのまま、議会閉会とともに、また選挙区に帰つて、選挙運動にのみ没頭せねばならぬようでは、議会政治の徹底を期すること、とうてい不可能であると思うのであります。(拍手)
 われらは、官僚政治を非難する前に、まず議会政治が確立すると否とは、一にかかつて、この國会の責任にあることを、自覚せねばならぬと信ずるのであります。すなわち、新憲法のもとにおいて、新國会はここに自由討議の制度を設け、常任委員会と両建で、常時に議員の建設的意見の発表を主眼とし、議会と國民生活とを密接に直結して、名実とともに議会政治の活発なる展開を期待しておるところに、この自由討議の大きな意義があり、使命があると信ずるものであります。
 從つて、自由討議においては、議員各自が最も熱心に、かつ自由の立場において、もとより所属党派の政策などに束縛を受けることなく、勝手に思いつきのままの意見をはき、かつ質問をなし、政府に対して意見を述べ、質問することも自由であるが、同時に、各議員間において議論を闘わすことも、自由でなくてはならぬと思うのであります。もつとも、かかる自由の立場で、思いつきのままをはく言論でありますから、その言論には、必ずしも責任を負う必要はないと思うのであります。しかしながら、神聖な議会内の発言でありますから、殊に國会法においては、問題によつては議院の表決に付することもできると規定しておりますから、あくまでも良心的であり、常に建設的であるべきは、論をまたぬところであります。
 そこで私は、この際議長にもお伺いしたいと思いますが、議長は、この自由討議の今後の運営について、何か具体的な腹案でもおもちであるかどうか。願わくば、この自由討議は、議会開会中よりは、むしろ議会閉会中に重点をおいて、その運営に万全を期し、本自由討議の使命達成に万遺憾なからしめんことを切望する次第であります。(拍手)
#32
○副議長(田中萬逸君) 東君の御質問にお答えいたします。御趣旨のことは、議院運営委員会に諮りまして、さらに最善を期して進みたいと存じます。さよう御了承を願います。(拍手)小澤佐重喜君、発言者を指名願います。
#33
○小澤佐重喜君 日本自由党では、次に鍛冶良作君を指名いたします。
#34
○副議長(田中萬逸君) 鍛冶良作君、発言を許します。
    〔鍛冶良作君登壇〕
#35
○鍛冶良作君 私は、議会運営の根本問題であると考えまする、政府の法律案提出に関する権限について、皆樣方に提議をしてみたいと考えるのであります。この問題は、さきの施政方針に対する質問で、綱島君から総理大臣に質問されたとき、総理大臣は、政府に法律案提出の権限ありと答えられました。しかし、その答弁の内容については、ますます疑問を深くし、本議院の運営について暗影を残すものであると考えますがゆえに、ここに皆樣方の深甚なる御考慮を煩わさんとするのであります。(拍手)
 憲法第四十一條には、國会は國の最高機関であつて、唯一の立法機関であると規定しております。國の唯一の立法機関であると言うております。これは御承知のごとく、アメリカ憲法第一條を、そのまま移したといつてもよいものでございまして、アメリカにおいては、この規定がありまするがゆえに、行政府たる政府には、絶対に法律を発案しもしくは提起するところの権限がないのであります。從つて、わが日本においても、この憲法第四十一條の現存いたしまする限りは、政府に法律案提出の権限のないのは、当然だと考えるのであります。
 しかるに、先ごろ片山首相の答えられるには、憲法第七十二條には、内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を國会に提出すると書いてある。この議案という意味は、廣い意味であるから、法律案はもとより提出できる、とお答えになつたのであります。なるほど、議案という言葉だけを取上げていうならば、もちろん法律案もはいる、その他一切の議案は含まれておりまするが、内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を出すのでありまするから、内閣のもつておる権限の範囲内のものしか出せないのであります。範囲外の議案は、出し得るものではありません。
 しかるに、内閣の権限は何によつてきまつておるかと申せば、憲法第七十三條によつて確定しております。七十三條の第一項は、「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。」他の一般行政事務を行うことを原則として、そのほかに第七号まで規定しております。その第一号は「法律を誠実に執行し、國務を総理すること。」と書いてあります。できた法律を誠実に執行することが内閣の使命であつて、内閣みずからは、法律をつくる権限のないということは、この点からいたしましても、明白なるものと考えるのであります。
 しかるにある学者は、七十二條の議案という文字だけにこだわりまして、議案のうちには何でも含むのだから、憲法改正案までも内閣で出せると言つておる人もあります。しかし、憲法改正案にいたつては、第九十六條の明文がありまして、議会以外に出せないことは、明白であります。かくのごとき愚論を唱えておる学者もありまするが、また、ある学者はそれをとらえて、さようなことはできない、七十二條だけをもつてこれを論ずるものでないと言つておるのであります。
 なお、片山首相の言葉を吟味いたしますると、この問題は、前の議会において決定せられた問題であつて、内閣法に明文があると答えられました。なるほど、内閣法には書いてあります。しかし内閣法は、憲法附属の法律である。附属の法律をもつて、基本法たる憲法を議論するにいたつては、まことに法律家として許されぬことだと考える。(拍手)かような議論は成り立ちません。
 また前議会において議論は決しておると言われましたがゆえに、私はあらゆる記録を調査いたしましたるところ、この問題については、前の金森國務大臣は、政府においても提出できるという説明をしております。われわれの同僚議員であつた高橋君は、七十二條だけをもつては、その点は明白でないということを、さらにつつこんで質問しておるのであるが、これに対して答えは出ておりません。そのほか、これに対しての質問はしておりません。驚くべきことは、逐條審議の際に見ますると、七十二條のときにあたつては、質問者なしという状態で終つておるのであります。單に金森國務相だけの説明によつて議論が決しておるというにいたつては、まことに、われわれ今日の第一回國会の議会を無視するものだと、断言せざるを得ないのであります。(拍手)
 私は、この点からしまして、政府に十分考慮していただきたい。また、いろいろこの点について議論がありまするから、一、二を申しますと、七十三條をもつて、内閣の権限を規定しておるという議論に対して、内閣の権限は、七十三條だけではない、そのほかにも、いろいろのことができる、いろいろの議案が出せるではないか、かようなことを法制局あたりで言つております。それは私も認めます。もちろん、出せるというけれども、それらは、すべて行政に関することであつて、立法に関する法律制定ということについては、絶対にできないものであると断言いたします。(拍手)
 また窮余の策として、法律案をつくつて提出するだけならば、それは行政行爲と見てもいいのではないか、議会がこれを審議し、これに決定の決議をすれば、それで足りるのであつて、その前の行爲としてよろしいのではないかということを言う人もおります。しかしこれは、おぼるる者わらにもつかまるの議論であります。かような議論が、とうてい通らないことは、立法とは法律をつくることであるという、この一言によつておわかりだろうと思うが、なお、外國の憲法を見まするときに、一層明瞭であります。
 フランス憲法のごときは、この立法権の内容を二つにわけまして、発案権と制定権と書いております。そして両院は、発案権及び制定権を有する。大統領は、発案権のみに対して、この立法の一部の権限をもつておる、と規定しておるのでありまして、これらの点からいたしまして、法律案を決定し、これを議会に出すことをもつて、行政行爲の一部などということは、まことに、とるに足らざる議論と申さなければならぬのであります。
 私がかように申しますると、それでは今日のこの議会において、何もかもみな議会だけでやれといつても、今の機構ではできないのではないかという議論をする人がある。便宜論ではありますが、これは、たしかに考慮すべき点であります。
#36
○副議長(田中萬逸君) 鍛冶君、時間がまいりましたから……
#37
○鍛冶良作君(続) しかし、私は現在におきましても、この考えをもとにしてやるならば、十分やり得ると思う。要するに、一日も早く、法制局は内閣に附属せしめずして、議会に附属すべきものである。しかし、その点ができないならば、議会がこれを引用して、一つ一つすべての法律案を政府から出したら、委員会でつくつた案として、委員会の名で提出すれば、それでよろしいのであると考えるのでありますから、これは政府並びに議員各位において、深甚なる御考慮を煩わしたいと思つて、ここに提案するのであります。(拍手)
#38
○副議長(田中萬逸君) 土井直作君、発言者を指名願います。
#39
○土井直作君 日本社会党といたしましては、赤松明勅君を指名したいと思います。
#40
○副議長(田中萬逸君) 赤松明勅君、発言を許します。
    〔赤松明勅君登壇〕
#41
○赤松明勅君 私は、自由討議の問題につきましては、ほとんど論議され盡したかのごとくに考えるのであります。但し、自由党の、以前國務大臣であられた、現大幹部である植原先輩は、この自由討議を中心とするところの、先ほどの御懇切なる御言葉とでも言いますか、御意見は、傾聽いたしましたが、皆さんが、いわゆるわれわれが、われわれの責任において決定したところの衆議院規則第十章、百六十二條より百七十條に至る間に、自由討議の問題が、衆議院規則として立法化されておることを、御存じであるかどうか、この点を、発言者としての植原さんに、自由討議の問題として、質問をいたしておきます。
 次に、議院運営の問題でありますが、本日この議場を、このまま見ればわかるごとくに、議院運営は、確かに欠陷を多くもつておることを指摘しなければならない。自由討議も、あるいは本会議の討論も、独りよがりの議論を展開することによつて足るとは言えない。私は、議会運営の欠陷が、少くとも毎日、本会議が一時なら一時、十時なら十時と決定しておるにもかかわらず、かつて定刻に開議せられたことがないという一つの事実をもつてしても、しかも、これを單なる議院運営委員会や、あるいは議長の責任を追及するに止まらず、われわれお互いが、同一の資格と権限をもつところの立法機関員として、まずわれわれ自身が、冷嚴なる自己反省をしなければならないのではないかと考えるのであります。
 なお、本日のこのまばらな議席、この空席を見る場合、各党ともに、全部とは言えませんが、ほとんど大幹部と目される者が席をはずしておる。この事実は、議院運営の方策に欠点がありとするならば、議会の責任であるよりも、議院運営の根幹をなすところの政党の幹部諸公の責任にありと、私は指摘しておきたい。
 皆さんやわれわれが、過去をたずねることは、將來に向つての歴史の樹立でなければならないのだが、五月二十日以来の議院運営の方法を考えてみて、はたして幾人が、その日の議会あるいは議院内において起つたできごとを、具体的に知つておつたかどうか。われわれが、夕方になつて議会を出て、新聞を買つてみて、今日の議会内において、こういうことが起つていたのかと知らなければならなかつたこの実体が、はたして、われわれ議員に対するところの、いわゆる政党の幹部諸公が、全部とはいわないけれども、いわゆる盛り上る意欲をくみあげるところの民主政治に徹底していたかどうかということを、各党ともに考えておく必要がないか。ここらあたりに根本的なものがあると、私は考えるのでありますが、そういつた点は、左の諸点によつて解決されるのではないかと思います。
 大体、從來の内閣が、実際において独裁的勢力をもつていたことは、われわれの先輩の歴史において明らかである。すなわち、議会の討議が、その実は有力なる政党の独善的な、いわゆる圧迫下に、少数の意見が取上げられない。意見は述べるけれども、國民大衆からは、あれはおしやべりの府であるということを、いわれてきはしなかつたか。少数の意見は正しくとも、これを多数勢力のもとに圧伏してきたということがありはしなかつたか。こういうことが、議会のいわゆる運営の上に、大きな欠陷の原因になつておつたということを、考えてかかる必要がある。あらゆる重要討論は、既定の結論に達するに止まつてきたというようなことを、やつてはならないと私は考える。
 代議政体、すなわち代表政治は、その実、代表せられないところの場合においてのみ可能であるということを、英國の政治家が言つておつたようですが、要するに、われわれがわれわれの議会政治を今見るときに、この感を深くする。議会の勢力は、議会自身がそれを行使する場合においてのみ認容せられる。その事実は、事実において、多数を有する政党によつて行使せられる政党の独裁政治にほかならなかつたのではないか。今現在の民主政体下における議会政治も、この亞流を深く見せていはしないか、こういうことを考えなければならない。
 このためには、私は私の意見として、反対せんがために反対するがごとき立場をとり合う各政党間の軋轢が、その政党間の政治的かけ引に疲労困憊するの結果、立法機関として、立法の能力をもつこともできなかつたり、そうして行政官僚によつてのみ法律が立案せられ、これに協賛することをもつてのみ議員の職責であるかのごとくに心得てくる習性をつくつたことがいけない。これを是正するためには、少くとも少数の意見であろうとも、これを正しく受け容れる。また反対的立場に立たれた、たとえば自由党なら自由党の方も、與党の質問であるからとか、あるいは野党の答弁であるからと、これに対してどなたか民主党の方も最初に言われておつたようだが、お互いに低劣なるやじを飛ばし合うというようなことは、議会の品位を傷つける以外の何物でもないということを考えてかからなければならない。(拍手)
 時間がないようですから、簡潔に結論にはいりますが、結論としては、議会政治確立のために、そうして議院運営を能率的たらしむるために、反対のための反対をお互い政党間においてやめよう、そうして議会人としては、一人であろうと、三人であろうと、八人であろうと、議会人としての資格、責任、権利義務、こういつたものにおいて、國民の信託を担うものであることは同一であるということを、各党幹部はまずあらためて認識してかかつてほしい。政党の朋党、私党化を避け、立法機関としての矜持を自覚して、衆議院規則の再檢討をはからなければならないのではないかと私は考えておる。現在の議事規則というようなものは、いたずらに煩瑣であり、非能率的であり、そうして、われわれの神経を疲らせる以外の何物でもないということを、研究する必要があると思うのであります。
    〔副議長退席、議長著席〕
 以上、簡潔でありましたが、私の議会運営に対するところの意見と、自由党の植原先輩に対する、自由討議に関する百六十二條から百七十條に至るところの衆議院規則そのものについて、植原先輩が先ほど言われたごとくであるならば、これを十分に御研究になつておるか。御研究になつておるとするならば、これを改正するとすれば、いかなる意見をもち合せておられるかということをお尋ねいたしまして、終らしていただきます。(拍手)
#42
○議長(松岡駒吉君) 植原さん、お答えになりますか。――答弁がないそうであります。
    ―――――――――――――
#43
○議長(松岡駒吉君) この際一言御報告申し上げます。過日本院において御決議になりました、食糧放出及び捕鯨許可に関する感謝決議文を、本日マッカーサー元帥にお渡しいたしましたところ、元帥は、連合軍及び米國民に代つて、深く滿足の意を表され、衆議院の議員各位並びに日本國民に、この旨を傳えられたいとのことでありました。この段御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#44
○議長(松岡駒吉君) 坪川信三君、発言者を指名願います。
#45
○坪川信三君 民主党といたしましては、佐々木秀世君を指名いたします。
#46
○議長(松岡駒吉君) 佐々木秀世君、発言を許します。
    〔佐々木秀世君登壇〕
#47
○佐々木秀世君 自由討論は、國民の言わんと欲するところを、われわれがその声を代表して、余すところなく、この議会を通して意見を発表することであると私は信じます。
 私は、この機会におきましては、今國民が最も関心をもつておりまするところの國家再建のために、われわれ北海道に住む者といたしましては、北海道の開発問題といものが重大なる問題とされておるのでございます。この問題につきまして、私は農林大臣の御答弁をいただきたいのでございまするが、見渡しますると、農林大臣がおられません。政府大臣といたしましては、米窪大臣がお見えになつておられるようでございますから、もし、私の演説が終りまするまでに農林大臣がおみえになりませんければ、米窪國務大臣でも結構でありますから、政府の決意を承りたいのでございます。
 申し上げるまでもなく、國家再建は生産の増強以外に何ものもございません。しからば、私たちの住んでおりまする北海道は、御承知のごとく八方八千六百キロメーターの廣大なる土地と、三百七十万の道民を有し、しかも地上資源、地下資源、かつては世界三大漁業地の一と言われましたところの、今や物資不足の日本におけるところの一大産業賓庫なのでございます。もしかりに、この北海道開発が十分に行われないといたしますならば、ひいては國家再建の上にも一大遅延を來すことは、いまさら申し上げるまでもないのでございます。(拍手)
 皆樣、今日この北海道開発問題が、その所管官應といたしましては、農林省に移管せられたのでございます。しかし、農林省におきまして今日までとり來つたような、いわゆる開拓局的な、一部開墾的な考え方からでは、北海道の総合開発ということは、絶対に不可能であると私は断言いたします。(拍手)
 まず北海道の開発を三つにわけまするならば、一、資源開発、二、植民開発、三、北方文化開発の三点にわけられることは、いまさら申し上げるまでもないのであります。今日まで農林省がとつてきましたところの開拓そのものは、ただ単なる開墾事業とか、ただ山を切り開く、あるいは田圃をつくるとかいうような、一部的な開拓事業でありまして、北海道というような、大きな産業――林業、鉱業、水産等を含んだところの総合開発なくして、眞の物資開発は今あり得ないと言うも、決して過言ではないのであります。(拍手)その総合開発に対しまして、はたして政府がいかなる決意をもつていられるかどうか。
 しかもまた予算の関係とか、あるいはまた、いろいろなる問題を掲げて、北海道開発のために積極的でなかつたとするならば、今日のいわゆる國民生活というものは、ますます窮乏に瀕することは、申し上げるまでもないのであります。例をあげまするならば、石炭におきましても、北海道は千三百十一トンの石炭を要求せられており、あるいは漁業におきましても、一億万貫以上の魚類を内地方面に出しているのでございます。その他算えあげまするならば、幾多の北海道物資というものが、國民生活の上に多大なる貢献をいたしているのでございます。
 しかるに、今日までの政府は、ただ単なる机上の政治であり、空論の政治でありまして、現実から見まして、まつたくかけ離れたものがあるのであります。一例をあげまするならば、米の價格にいたしましても、御承知のごとく北海道は、零下三十度の酷寒と闘い、しかも農民が冷たい田圃の中に入つて、いかに努力をいたしましても、一年に一回しか米がとれない。四年に一回凶作に見舞われておる統計がございます。内地にように、麦をつくるその土地をまた水田にし、二毛作も三毛作もできるところの米の價格と同じ價格であるということが、はたして現実に即したところの政治と言うことができるでありましようか。(拍手)農地法の改正されなかつた昔であるならば、北海道農民は、十町、二十町と汗の開墾をしたのでございまするが、農地法が制定せられました今日におきましては、一人何町歩と限られてしまつたのであります。
 また、衣料生活におきましても、しかり。あの零下三十度の酷寒の中に、靴下を二足もはき、三足もはき、あるいはコツトンのシヤツにオーバーを重ねて生活せなければならない北海道民と、内地のように暖かいところの人たちと、同じ百点の衣料切符であつたというようなことが、はたして実際にあてはまつたところの政治であつたでありましようか。(拍手)
 皆さん、今やわれわれは北海道民は決して単なる北海道の開発を叫んでいるのではございません。さいわいにして戦災を免れましたわれわれは、荒廃に帰したところの内地の方々のために、われわれの先輩が、あるときは熊の餌食となつて倒れ、あるときは雪の下に倒れた、あの開墾魂を発揮いたしまして、このどん底生活にある國民の上に寄與せんと、起ち上つておるのでございます。その眞情をおくみとりくださいまして、何とぞ政府におかれましても、この北海道開発のためには、全力を傾注していただきたいということを、私はこの演壇から切望するものであります。(拍手)
 時間がありませんので、この点につきまして、まだ農林大臣がお見えになりませんようでございまするから、政府代表といたしまして、米窪國務大臣から、政府の決意をこの壇上からお聽きしたいと思います。(拍手)
#48
○議長(松岡駒吉君) 米窪滿亮君、お答えくださいますか。
    〔米窪滿亮君登壇〕
#49
○米窪滿亮君 北海道開発に関する、佐々木さんのただいま述べられた御意見は、政府といたしましても、まことに同感でございます。私、この所管大臣でございませんから、確定的なことは申し上げられませんが、從来北海道開発の行政については、内務大臣の所管であつたのでございまするが、最近行政調査部その他の協議の結果、これは農林大臣の所管に移されることにほぼ確定しまして、但しこれに関係のある各省の次官及び道長官等がこれに参與した委員会のごときものをつくつて、その運営の万全を期するということになつておるのでございます。(「反対だ」と呼ぶ者あり)從つて、そういう委員会ができた場合においては、佐々木さんのお説のごとき目的が達せられるこのになるだろうと思うのでございます。はなはだ簡単でございますが、お答えいたします。(拍手)
#50
○議長(松岡駒吉君) 小澤佐重喜君、発言者を指名願います。
#51
○小澤佐重喜君 日本自由党では、次に庄司一郎君を指名いたします。
#52
○議長(松岡駒吉君) 庄司一郎君に発言を許します。
    〔庄司一郎君登壇〕
#53
○庄司一郎君 私は、昨九日に現内閣が本院に御提案になりました、刑法の一部改正に関する法律案の、そのうちの最も重要なる一点に関しまして、所感の一端を開陳申し上げ、大方先輩、同僚各位の御批判を仰ぎ、もし私のこれから述ぶるであろうところの意見において、公正妥当なる御批判を仰ぐことができ得ましたならば、内閣提案の原案について、司法常任委員会及び本会議等において、適正なるところの是正改善をされんことをお願い申上げたいと思うのであります。
 内閣提出案の刑法一部改正の中の第三十四條の二――御参考のために一應朗読さしていただきます。刑法第一篇、第六章中、第三十四條の二項として、「第三十四條ノ二 刑ノ執行ヲ終リ又ハ其熱行ノ免除ヲ得タル者罰金以上ノ刑ニ処セラルルコトナクシテ十年ヲ経過シタルトキハ刑ノ言葉ハ其効力ヲ失フ」、かような條項であります。これはいはゆる前科抹消問題でございまして、過去の経過的な一端を、ごくかいつまんで申し上げるならば、昭和十四年司法保護事業法なる法律が制定せられまして以來、いわゆる前科抹消運動なるものが、議会運動として擡頭してまいりました。
 御承知のごとく、刑法その他特別法によつて処断されましたる重刑、懲役刑、あるいは罰金刑等のいわゆる刑余者は、前科者として、いかに國家的に、あるいは社会的に差別逆遇を受けてまいりましたかということは、大方の皆さんの御承知の通りであります。すなわち、檢察廳において、警察署において、あるいは市町村役場等において、刑余簿と称するところの、いわゆる前科名簿のブラツク・リストが設けられておりまして、一たん過ちを犯して刑餘者となつたその同胞が、いかなる善行をあえてし、國家社会のために貢献いたしてまいりましても、その人が墓場に至るまで、一生涯の間、前科者として、このブラック・リストより抹消せられることはなかつたのでありまして、この前科者と呼ばれる者は、昭和十四年度の統計において、悲しいかな激増いたしまして、六百五十万と前科者の数を増加してまいりましたことは、司法保護事業とタイ・アツプして、われわれの等閑に付することの能わない重大なる社会問題であることは、御承知の通りであります。
 すなわち、前科者なるがゆえに、あらゆる公務員につけない。農地委員にも、あるいは今回改正の民法の遺言状に対するところのあの証人にも、前科者はなれない。その他現行諸法令等において、前科者なるがゆえに、彼が國家的に、社会的に貢献せんとしても、官公吏はむろんのこと、公務員にもなれないところの、このバリケードを設けている法令というものは、五十六あります。五十七あつたのでございますが、前議会において、地方制度改正の委員会におかれましては、原案でありました、釈放者が一定年限――最小限度滿五箇年を経過せざれば投票権がなかつたものを、委員会はこれを修正されて、釈放されたその翌日より投票の自由を与えたのであります。それで現在において五十六の、前科者に対する差別待遇、あるいは公務員たり得る、あるいは官公吏たり得ることを閉塞しているところの法令が残つております。
 そこで、これはゆゆしいところの大きな社会問題であり、また人道問題であると考えまして、大方の先輩諸君の御承知のごとく、不肖私は建議案を提案すること、この十箇年間に六回、全國司法保護團体等よりの請願にかかる請願の紹介議員として二回、また生活保護の委員長、あるいは前議会における恩赦法委員長として、本会議または予算総会等、合計十有六回、前科抹消問題の促進を政府に要請いたしました。ありがたいかな、大方の先輩同僚諸君は、本院において建議案あるいは請願のすべてを御採択下さつたのであります。しこうして、今回十年という長い生みの苦しみを経て、ようやく前科者抹消の喜びのおとずれが成文化されまして、刑法改正の第三十四條のニ項として、ここにうたわれてまいりました。
 しかしながら、ただいま朗読さしていただきましたところのこの三十四條のニは、あまりにも、いわゆる刑余者に対して画一的な玉石混淆で、これは極端なる一つの前科者の統制である。唯物方面に対するところの統制経済、計画経済には、しばしば御論議があるけれども、基本人権を尊重すべき新憲法のもとにおいて、前科者なるがゆえに満十箇年の間、前科者として取扱わねばならぬ、前科者として査察しなければならない、あるいは監視しなければならない、一切の法令の上において差別待遇をしなければならないということがうたわれておるところの原案であると私は考えます。昨日以來懊々として樂しまざるものがあるのであります。
 刑法改正の審議会というものが生れまして、十有六年の長い歳月にわたり愼重審議の仮刑法草案なるものが、昭和十五年六月においてその審議を終りましたことは、皆さん御承知の通りであります。十六年の歳月を閲して、昭和十五年にでき上りましたところのこの仮刑法の草案の中においても、その第百二十條には、かようなことがあります。刑法草案、第十四章刑の消滅、第百二十條「刑ノ執行ヲ終リ又ハ刑ノ執行ノ免除ヲ得タル者善行ヲ保持シ禁錮以上ノ刑ニ処セラルルコトナク五年ヲ経過シタルトキハ裁判所ハ刑ノ言渡其ノ効力ヲ失フ旨ノ言渡ヲ爲スコトヲ得」私がこの内閣提案の原案に容易に御同意できない理由は、これであります。昭和十五年にでき上りましたこの刑法改正の草案にさえも、禁錮刑以上の刑に処せられることなく、いわゆる改過遷善の生活に入り、悔い改めの生活にはいりました者は、五箇年後においては、当初の裁判における裁判言渡の宣告の効力を取消す、かようなことをうたつておるのであります。
 しかるに、われわれ人民の基本人権をあくまでも尊重する建前において、新憲法の治下において、憲法附属の法典たるところの刑法の中に、十箇年経過せざれば、十箇年の間間違いのなかつた者でなければ、前科の抹消はしない。これは何を意味するか。まつたく玉石混淆であります。昭和十五年の改正刑法の草案より、一歩前進どころか、百歩退歩の原案であると考えさせられるのであります。すなわちこの本案は、狩猟法違反、漁業法違反、あるいは簡單な選挙法違反等の、きわめて軽微なるところの刑余者も、あるいは二十円程度の罰金刑の者も、あるいは五年、十年の重刑を科せられたるところの凶惡なる常習犯罪者も、ひとしくこの十年なる惡平等のわくの中に閉じこめられて、十年の間、前科者の差別待遇を受けねばならないというこの規定は、どうか司法常任委員会等において、よく御檢討を賜りまして、適正にこれを改善され、これを修正され、また本院においても、御理解あるところの各位の御同情により、全國司法保護大会が、しばしば請願してまいりましたところの原案より、はなはだほど遠いこの提案に対し……
#54
○議長(松岡駒吉君) 時間が参りました。
#55
○庄司一郎君(続) 適当なる御処置をとられんことをお願い申し上げる次第であります。
#56
○議長(松岡駒吉君) 一松厚生大臣から答弁があります。
    〔一松定吉君登壇〕
#57
○一松定吉君 ただいまの庄司議員の御意見は、私、ごもつともな御意見であると拝承いたしておるのであります。あなたが、代議士御当選後、回を重ねるたびごとに、この問題を提げて司法当局にお迫りになるその現場は、常に私は目撃いたしまして、感激しておるばかりでなく、あなたの御意見には、滿腹の敬意を表してまいつたのであります。(拍手)しこうしてそのことは、木村司法大臣のときには、すでに同大臣は、あなたに向つて、この前科者に対する待遇の改善、前科者というものの身分帳に記載せられてあるというごとき痕跡は、徹底的にこれを取り除けなければならないということを、固くあなたにお約束をした現場を、私は目撃いたしておる一人であります。しこうしてまた、その当時あなたの御意見には、滿腹の敬意を表し、賛成した立場であります。ただいまの御意見は、ごもつともであるまするから、私は政府当局といたしましても、それらの点については、鈴木司法大臣にも協力をいたしまして、あなたの御意見に副うように努力したい。かように考えております。(拍手)
#58
○議長(松岡駒吉君) 河野金昇君。発言者を指名願います。
#59
○河野金昇君 國民協同党では、石田一松君を指名いたします。
#60
○議長(松岡駒吉君) 石田一松君、発言を許します。
    〔石田一松君登壇〕
#61
○石田一松君 私は議院運営委員会の常任委員であります関係上、われわれ運営委員会において、一たんこうであると決定したことは、みずからこれを破ることを好まないものであります。でありますから、決定通り、自由討議並びに議院運営に関する自由討議を、これから行いたいた思います。
 先ほど、議会生活の大先輩であり、しかも永年勤続の表彰者であり、しかも前内務大臣である植原悦二郎先生から、自由討議のあり方等について、まことに傾聽に値すべき御意見を承りまして、心より賛意を表するものであります。これほど高邁なる理想をもつていらしやつた植原先生が、内務大臣であられた当時、去る九十二議会の解散寸前に、選挙法の別表を改正するというような大問題が提供されたときに、あの理想をもつて、あの問題を処理してくださつたならば、あの議場の混乱は起らなかつたことと、私は思うのであります。(拍手)しかも、同じ自由党のある同僚議員からの討論の中に、承つておりますと、政府が法律案を議会に提出する権限がないという、相当強い法律的な御意見でございました。
 さて、こういう意見を承つておりますときに、新憲法下、國の最高機関であり、國憲の最高機関であり、國の唯一の立法府であると自負しておるこの衆議院自身で、先だつて五十余日間という実に画期的な会期の延長をした直後、法案が少いから、このところ暑くもあるし、暫く休もうではないかというような機運が、ちよいちよいあるように私は承つておりますが、それでは、政府からの提出法案がないから休むというような意味に解されると私は思います。もし眞にわれわれが唯一の立法機関であるとすれば、政府からの提案がなかろうと、またわれわれが事実上法制局のごとき組織をもたないために実際的にやれなかつたならば、專門家を調査委員として各委員会に置いて、これらを協議して、たとえ暑いさなかでも、この際休まないで立案すべきであると私は考えます。(拍手)それでできるできないは別の問題であります。法案がないから休むということは、言語道断であります。
 もしそれが、ただ單なる表面の理論であつて、実際問題としてはというので、地方からいらつしやつておる方には、もちろん実際問題として食糧などにお困りなつていらつしやる方がございましよう。われわれ議員の身近かに、食糧の逼迫を告げておることがあればこそ、われわれは議会を休めないのであります。(「ヒヤヒヤ」拍手)われわれが、田舎に帰つて米をもつて來なければ生活に困るという現状だから、議会は休んじやいかぬというのであります。あつてもなくても、われわれはとにかく國民の信頼に應えるべく努力して、委員会などは、かくすれば、こういういい結果が生れるという結論に到達してやればいいと私は考えております。
 こういう意味も考えていらつしやる、先輩である植原先生は、自分の発言は――赤松氏の質問に対しては答弁しない。ある人の野次では、鎧袖一触――なんとも強いさむらいで、よろいのそででポンとほうり出したというのであります。それでは、植原先生はものすごいおさむらいさんで、社会党の赤松君は、お氣の毒にひよろひよろざむらだということになります。(笑声)まことに面白い野次だと思います。
 しかし、聞くところによると、アメリカの自由討議の席上では、(「赤松は二人いるぞ」と呼ぶ者あり)今発言された方は、決して弱いさむらいではありません。(笑声、「まじめに……」と呼ぶ者あり)私は、今の植原氏が、答弁の必要がないとおつしやつたことは、もちろん答弁の義務はないでしようが、アメリカの議会では、義務はないけれども、質問されたときに、前の発言者は、答弁することを礼儀と心得ておるという話を、昨日承りました。しかも、その発言者が発言しばなしで、もうこの席には、吉田さんと一緒にいらつしやつらなくなつておるのですが、それでは、先ほどここでおつしやつた、たいへんな理想は、全部うそであります。みずから実行しておりません。みずから実行して、高邁なる理想をはいていただきたい。私もそのつもりで心掛けたい。みんなこの氣持でやりたい。私はこの意見を申し上げて、私の自由討議に関する問題といたします。
#62
○議長(松岡駒吉君) 土井直作君、発言者を指名願います。
#63
○土井直作君 日本社会党といたしましては、今澄勇君を御指名申し上げます。
#64
○議長(松岡駒吉君) 今澄勇君、発言を許します。
    〔今澄勇君登壇〕
#65
○今澄勇君 私は、現下國民の最も重大関心事である食糧問題を、自由討議にまつ先に取上げていただきたいことを希望しておつたのでありますが、その機会がありませんでしたので、この機会をかりまして、食糧問題に関して、私の意見を申し述べたいと思うものであります。
 日本國民は、いつになれば主食が三合平均の配給を実施できるのであるか、はたして食糧の自給自足は不可能なりや否や、また現実の食糧危機を生じた原因は何であるか、働く國民は、働くに足るだけの食糧が腹一つぱい食える日はいつであろうかということが、今の関心の中心であると思うものであります。いたずらに農林大臣を責めたてたところで、この希望は達成されないのでありまして、私はあらゆる角度から、いかなる方法が考えられるか、眞劍なる討議と協力を希望するものであります。じみではございますが、私は肥料の面からこの問題を分析するとともに、産業界における肥料の重点度合と、肥料生産の隘路について、意見を申し述べ、諸君の御批判を仰ぎたいものであります。
 國民の主食糧を平均三合配給する、カロリーでいえば、千六百カロリーを平均に配るということにすれば、八千万同胞の一年間の主食による総カロリーは、三十二兆六千六百七十五億七千万カロリーとなるのであります。この基礎から算出しますと、耕地面積並びにその他のものを勘案して、米が七千二百八十万石、麦が三千三百二十万石、甘藷が二十三億七千六百万貫、過燐酸七貫二百、甘藷に対して窒素三貫、馬鈴薯一億一千二百四十万貫の数量を確保するならば、國民の全部にわたつて三合配給することができるという数字を、ここに見るのであります。
 しからば、米に対しては、その集約農業の最も標準施肥量とされておるところの、窒素肥料反当八貫二百、過燐酸四貫六百、麦に対して窒素肥料六貫百、過燐酸七貫二百、甘藷に対して窒素三貫、過燐酸ニ貫、馬鈴薯に対して窒素肥料六貫、過燐酸五貫を配給するものとすれば、はたして肥料はいくらの所要量を計上しておるだろうか。ここに概括して、硫安換算の窒素肥料が二百万トン、過燐酸が百七十万トンという数字が出るのであります。これだけの肥料が、もし今二十二年度の作付に対して、完全に配給をされるものとするならば、農民諸君は、必ずや救國の熱意に燃えて、三合配給をするに足るだけの完全な食糧ができるであろうことを、私は確信するものであります。
 ここで、肥料の実際の生産高と、この数字を比べてみますると、窒素肥料は、昭和二十一年の秋肥と春肥を合算するならば八十三万トン、過燐酸は五十万トンしかできておらぬのであります。さらに二十二年度の計画は、商工省の発表によれば、窒素肥料は百二十万トン、過燐酸九十万トンということになつております。
 三合配給を基礎とするところの肥料の所要量から判断するならば、二十二年度の需給計画において、すでに七十三万トンの窒素肥料の不足、過燐酸が八十一万トンの不足ということになります。しかしながら、この不足分は、今ニ合五勺の配給であり、さらに輸入肥料、輸入食糧によつて補われておるのでありますが、二十一年度の不足量は、その理想案から言うと、窒素肥料にして百十七万トンの不足であり、過燐酸百十九万トンの不足である。これで私は、今年度の食糧危機の当然將來すべきものが招來されたものであるという、肥料の上から現実の数字を見ることができるのであります。
 そこでわれわれは、いたずらなる大呵廣言を避けて、眞実に國民生活を安定すべきこの肥料の問題を、眞劍に取上げてみなければならぬと思うものであります。私は、ここにおいて、肥料を輸入した方がよいのか、あるいは食糧を輸入した方がよいのか、さらにまた國内において、万難を排して肥料の生産に邁進し、所要肥料を國内供給する方がいいのかという根本的な問題を、皆樣とともに檢討してみたいと思うのであります。
 輸入肥料は、昭和二十二年度において、今、関係方面と折衝されておるのは、窒素肥料において四十万トンといわれておる。しかしながら、四十万トンの窒素肥料がはいりましても、なおかつ三十万トンの不足を計上できるのでありますが、その四十万トンの窒素肥料は、一関係官がただ交渉しただけでは、決して輸入できない。食糧が輸入物資の大部分を占め、基礎生産財の輸入を阻む根本原因がここにあり、軽工業の輸出、あるいはまた関連産業その他の問題と考え合わせて、日本経済再建にこの際超重点的な処置をとり得るものは何であるかということに、深く思いをいたしてみるならば、これまでもつてきたところの重点的な資力を、今後もなお國内自給に足るだけの肥料生産に注ぎこんで、一應國民をして三合配給をなさしめるだけの肥料の生産を完遂せしむることが、最も大事な問題ではないかと思うのであります。
 これまでの肥料の生産に関する隘路は、石炭の不足、電力の不調、あるいは補修資材の欠乏、さらにまた農林・商工両省の二元的なる官僚統制等々、数々の隘路によつて阻まれておりましたが、一應現在においては、かかる隘路は解消して、今硫安における最大の隘路、過燐酸石灰における最大の隘路が、硫化鉱の問題にあるということは、皆樣方も御承知の通りであります。当面の政府計画のその数量、二十二年度百二十万トンの窒素肥料を出すについても、なおかつ硫化鉱は、二十二年度の計画では、その総生産量を百十万トンと押えている。百十万トンの硫化鉱からは、百八十万トンの硫酸しか出ない。それで、その硫酸をもととしては、硫安において九十五、六万トン、過燐酸において八十五、六万トンしか出ないということが、数字の上で押えられておるのである。政府の百二十万トン窒素肥料計画を完遂するのには、どうしても硫化鉱が足らないということが、はつきりしておるのでありまして、四月十一日に、閣議はこの肥料問題を取上げて、硫化鉱を重点産業として、肥料と同等の措置をすべしということを決定しておるのでありますが、今、簗原においても、私松尾の鉱山においても、硫化鉱の新鉱に対しては、そうした手段が六月三十日までは全然とられておらなかつたということを、私は皆樣に申し上げたい。眞に祖國再建の途は、そうした末端的な問題にも、われわれは十二分に、食糧増産のために力をいたさなければならぬと考えておるものであります。
 なお恒久的な対策は、今の百二十万トンではだめである。百六十万トンの窒素肥料をつくらなければならぬ。硫安において百六十万トン、石炭において四十万トンの生産をするには、今の設備能力ではたして十分であるかどうか。ここに岩國の帝國陸軍燃料廠の跡であるところの工場を初めとして、全國に五つの轉換工場がある。その能力は五十八万トンと称せられております。これを今轉換工場として利用すれば、われわれの食糧問題は根底から解決するのであります。私は眞に食糧解決の意味から、総理大臣みずから、こうした民族の食糧を解決すべき根本問題の解決にあたられることを希望したい。
 なおまた農民各位には、私は肥料貯金というものを提唱したいのであります。それは、一口五百円で肥料の貯金をする。それに対しては、三角くじの例にならつて、一貫目の肥料を、その時の加入記念の報奬として配る。かくて六百万農民の貯金は、三十億を超えるのでありますが、この資金で、日本の肥料の生産におけるあらゆる金融的な問題が解決できる。そして、わら工品、なわ等の問題は、肥料とバーターにおいて、農民に直接これを求めるというような方針をとるならば、ここに農民も、肥料工場へだんだんと近づいてきて、肥料工場の実体を眺め、かつまたあらゆる問題について、價格その他の問題にも、十分なる発言をなし得ると思うのであります。
 なお硫燐酸アンモニアあるいは根瘤バクテリヤ等の、肥料企業の眞の有能なる科学的研究を、政府は恒久的な機関として設けたらどうでございましようか。
#66
○議長(松岡駒吉君) 今澄君、時間がまいりました。
#67
○今澄勇君(続) そうして根本的な肥料の問題を片づけたいということを皆樣方に申し上げまして、後々の批判を仰ぎたいと思うものであります。(拍手)
#68
○議長(松岡駒吉君) 坪川信三君、発言者の指名を願います。
#69
○坪川信三君 民主党といたしまして、千賀康治君を指名いたします。
#70
○議長(松岡駒吉君) 千賀康治君に発言を許します。
    〔千賀康治君登壇〕
#71
○千賀康治君 私は、みずからくわをとる耕作農民でございまして、故郷にありましては、小作を代表する農地委員の一人でございます。毎日の執務におきまして、一番苦労いたしておりますることは、この農地問題を中心といたしまして、いろいろな便乘が起つてくることでございます。あるいは自作農も、あるいは小作も、または地主も、今こそこの農地問題を巧みに利用して、自分の考えておることを一挙にして到達させよう、こういういろいろな企みが、農地委員を中心にして訴えられてくるのであります。われわれは、ともすると、それらの人々に巻添えを食つて、たいへんなことになることを常に自覚しながら、執務をいたしておるのであります。
 しかしながら、私がこの農地問題につきまして、一番不合理であり、また國民のために最も涙をそそいで、何とかならないものかと考えておりますることは、現行の農地法におきましては、追放を受けるというか、あるいはその所属地を政府に買上げられてしまう地主の轉業について、深刻に考えられておらないことであります。私は小作代表がこのことを発言いたしまするがゆえに、おそらく皆樣も、最もこれは深刻に、理解をもつて聽いていただけると思うのでございます。
 その所有地を政府に買上げられまする地主、あるいは自作農、余分のものは買上げられますが、これは戰爭のために大なる利益を得、あるいは次の戰爭の起るために、もつと大きな利益を得る人たちが、この農地法において追放を受け、將來の平和破壞えの基盤であるということで、彈圧を受けるのは当然でございまするけれども、この農地法の運用にあたりまして、予想する人達は、すでに圏外に出ておりまして、一向痛痒を感じない。
 最も強く風があたり、まことに予想もしなかつたところに矢があたつてまいりましたのは、あるいは小作といい、あるいは自作といい、あるいは地主といい、すこぶるわずかの相違、――一町、二町という大きな相違でなく、数反の相違のために、それぞれの立場が違つてくるのでありますけれども、その大体の構成に至りましては、ほとんど径庭のない農家の諸君が、あるいはそれぞれの立場の相違によつて、大きな被害を受けてくるのであります。あるいは小作といい、あるいは自作といい、ともに自分の土地をもつておれば、また人の土地も耕作しておる。その面積、あるいはその量が同じくらいであつても、これはみずからの信念によつて、おれは小作だと思つて届け出れば、これは小作にもなる。おれは自作だと思つて届け出れば、同じ條件の人が自作農にもなる。
 こうした條件が、実際出先で行われておるのでございますけれども、このうちに最もあわれをとどめておりますのは、わずかニ町歩、三町歩ほか田地がないというような地主に属する人々が、もうこれを布かれます以上は、自分は自作農になり、生活を立てなければならないという立場の人が、ずいぶんあります。世の中に流れ出て、この生存競爭の中で、自分及び自分の家族を食わしていくだけの自信のない者は、たくさんあるのでございます。こうしたあわれなる地主が、わずかに残りますところの、この生きる権利みずからが自作農になり、おのれの余世を送ろう、あるいは子孫の生活を確保いたさんといたしましても、この点につきましては、十分なる措置が考えられていないのであります。
 おそらく、この点につきましては、今こそ当局が十分なる御考慮がなければ、將來この問題のため、わが農地法の完全な遂行の上に、必ずわれわれの予想せざるような大きな故障が起つてくるのであります。私はかように断定をいたすものであります。この点につきまして、政府の御答弁をいただきたいという感じもありますけれども、まず議員お互いが、よくこのことにつきまして、はたして將來はどうするのがよいのであるか、こういう点をよくきわめることが、まず第一であると思います。いろいろ、私の言説に対し御意見も非公式に出たようでありまするが、ほんとうに私どもと手をとつて、この問題を涙をもつて研究をしていただきたいと思うのであります。
 次に、狩猟法の改正が、政令をもつて計画されておるようでありますが、狩猟法というと、何だか日本全体の國政には関係が薄いようにも考えられますけれども、しかしながら、この法律を通じまして、害鳥獸の駆除、あるいは國民の貴重なる蛋白栄養源を、わが國においてみずから手にするこの方法につきましては、相当に深刻なる問題でございます。私が噂に聞いておるところでは、この狩猟法の改正は、ただに政令をもつてやるだけでは、この衆議院において相当の議論が出るであらうと予想して、その風よけのためにやられるというような噂も聞いておるのでありますけれども、はたしてしかりとすれば、まことに私は、政府の措置に同情しかねるのであります。
 殊に狩猟法の改正のうち、私が痛感いたしますることは、すずめ、あるいはつぐみをとるかすみ網が、全然禁止せられるというような噂を聞くのであります。わが國におきまして、このすずめの被害というものは、秋にはもちろん、米に大きな被害があります。春、夏の候におきましては、きびであるとか、あるいはあわびであるとか、こうした穀物に相当な被害を与えるのであります。これの駆除につきましては、かすみ網以外には駆除の方法がない。特にかすみ網は、わが日本がほんとうにたつた一つ選ばれておりまする生糸をもつてつくることができるのでありまして、銃猟さえも思うようにできない日本におきましては、このかすみ網は、唯一の害鳥の駆除法であるのであります。これが、ゆえなくして彈圧を受けるということは、まことに私は心外であるのであります。(「ヒヤヒヤ」拍手)これは農林保護のために、ぜひともすずめ用のかすみ網は残したい。
 また、つぐみにしても、これは現在のわが國民に相当の蛋白質源を供給しておるのであります。あれは御承知のように、北海あるいはシベリヤの野において、あの美味をみずから養つておりまして、時季がくると日本の國へ、みずからのはがいで、珍味を運んできてくれるのであります。日本において、これをかすみ網によつてとりますることは、あの南極にまでわざわざ船に乘つて、くじらをとりに行くよりも、はるかに能率のいい仕事であるのであります。(拍手)
 このつぐみ用のかすみ網も、全然やりつぱなしにしては、人と鳥との共存共栄を樂しむという、その宇宙生物の理論に相反するところがありとするならば、その猟期におきまして、あるいは区域におきまして、相当にわれわれは讓歩する覚悟はもつておりまするけれども、全然これを禁止するということは、まことに私は了解のできがたいところでございます。私はこの点につきまして、これも同僚議員とともに深刻に考えたい。ほんとうにわが民族の進むべき道を、われわれみずから選び、切り開きたいと思うのでございます。(拍手)
#72
○議長(松岡駒吉君) 小澤佐重喜君、発言者を指名願います。
#73
○小澤佐重喜君 日本自由党は、次の発言者に、辻寛一君を指名したいと思います。
    〔辻寛一君登壇〕
#74
○辻寛一君 最近、閣議決定で発表されました官界刷新の方策要綱を見ますると、行政運営の改善を期する一項目として、人員の配置轉換を促進して、行政の合理化と能率化をはかるということが出ておりまするが、一体役所の仕組というものは、單に人員の配置轉換をしただけで、その能率を高め、合理化を期待することができるのでありましようか。非能率――能率のあがらぬところの代名詞を、お役所式ということは、これはかねて御案内の通りでございまするが、これは必ずしも人員の適正配置そのよろしきを得ておらないばかりではない。それもありますが、しかし、それより以上に、大体に人員がだぶついておるのである。つまり船頭が多くして、船がとかく山に上りたがる傾向が抜け切らぬところに、この根本の原因があると考えるのでございます。(拍手)
 今日わが國では、役人の数は、地方廳を合わせますると、かれこれ二百五十万あると聞いております。ざつと六世帶に一人という勘定になつておる。これでは、官吏亡國論がときどき起るのも、もつともであると思いまするが、しかもこれでも足らぬというので、各官廳が相競つて、盛んに増員の計画を立てておるようであります。役人に言わせますると、仕事がたいへん忙しくて、手が足りないと申します。しかし、その忙しいという仕事の内容、その能率というものが、中心の問題であると思います。いわゆるお役所式にやつておりましたならば、いくら手があつても、これは足るということはございません。手が殖えれば殖えるほど、仕事は繁雜化していく。能率はあがらない。その相手にされる國民が、やり切れたものではございません。
 片山内閣は、危機突破のため、過剩な人員をもつておるところの企業は、できるだけ整理して、企業の健全化をはかると言いまして、先ごろ発表いたしました緊急対策におきましても、まず政府の事業が、率先してこの先鞭をつけるということを申しておられまするが、この率先垂範すべき官業の合理化が、單に人員の配置轉換をすることによつて、その目的を達し得るとお考えになつておるか、この点をお伺いいたしたい。
 元來、配置轉換と人員整理というものは、これは紙一重の、きわめて微妙な関係にありまするが、少くとも國民におきましては、今日お役所は人が多過ぎる過剩人員があるといつた常識をもつておりまするが、この世間の常識に対しまして、政府は一体どういう所見をおもちになつておるか。官廳と言うても廣うございますから、私はこの場合、それこそ國有國営でやつておりまするところの、日本の最大の企業である、政府の事業であるところの國鉄の問題について、お尋ねをいたしてみたい。
 國鉄の從業員は、昭和十一年度二十二万八千人に対して、二十一年度五十七万三千人で、二倍半になつております。これは経済実相報告書に明示してあります。この現象は、一体何を示すか。設備操業率の低下、原料資材、動力の入手難、原材料の品質低下、設備の老朽化、その他食糧事情の窮屈、通勤難、住宅難、いろいろ原因があげられまするが、それと同時に、労働規律の非常に乱れていること、技術的訓練が下つていること、ここに重大なる原因があるということは、眞実を眞実なりとして傳えると稱しておりまするところの、これまた経済実相報告書が、明らかに指摘をいたしているところであります。
 人数が多いから、問題が起るのも無理はないといつてしまえば、実もふたもありませんけれども、ときどき鉄道職員を中心として、おもしろからぬ事件が盛んに起つてまいります。また大きな鉄道事故が盛んに起ります。かつては、軍隊につぐ規律の正しいことをもつて誇りといたしておつた國鉄であります。また、技術の優秀をもつて、世界に指を算えられておつた國鉄であります。今日、國鉄だけもとのままでおつてくれと、胴慾なことは申しませんけれども、あまりにも、昔と比べまして貧弱であるということを、嘆ぜざるを得ないのであります。
 経営の状態も、赤字に次ぐに赤字であります。二十一年度四十七億円の赤字は、國庫から融通をしてもらいましたが、このごろ大幅な運賃値上げをいたしましたけれども、今年度も最低九十五億の赤字が出るそうである。平年度に引直してみましても、やはり六十億からの赤字が出るということになつております。これは私は新聞で見たのでありまするから、もし数字が違つておりましたら、訂正をしてお教えがいただきたい。が、とにかく、かくのことしといたしまするならば、今日盛んに叫ばれておりますところの、特別会計の独立採算制というものは、いかにして確立されることができましようか。この赤字を一体どうするか。経費の節減によつて赤字が埋め得られるか。もし経費の節減によつて赤字を埋め得る見透しがつくとするならば、その経費の節減の中には、ただ物件費だけであるのか、それとも人員整理によるところの人件費の節減というものも、多少これに含めようとしているのであるかどうか。また、どうやりくりをしてみても、とても経費の節減でもつては赤字を埋めることができないというならば、一体どうしてその採算をお立てになるお考えでありまするか。
 何しろ去年は余つておつて、首を切らなければならぬといつて騒いだ國鉄が、今年は余るどころか、足らぬからといつて、また五、六万増員をするということを聞きましては、國民はきつねにつままれたようで、國鉄の正体が、何が何だかわからなくなつてしまう。(拍手)もちろん、足らぬものを余るとも言いますまいし、余つておるものを足らぬとも言いますまいが、この一年間におきまして、過不足の生じたる原因には、あるいは労働時間の短縮とか、また特別の御用とか、あるいはまた鉄道警察官の設置とか、いろいろ人員の殖える事情もあるにはあつたことと御推察はいたしまするけれども、しかし今日、公平に見まして、地域別、職種別に考えてみますると、ずいぶんだぶついておるところがあるように考えるのであります。住宅難、食糧難、いろいろ支障がありましようけれども、万難を排して、強力なる配置轉換を行つていただきたい。
 人員の整理によつて、國鉄合理化の一端を行うかどうかという問題が、昨年國鉄爭議の導火線となりまして、完全雇傭が承認されまして、ただ一部の惡質の労務者を整理する強力な配置轉換を行うという條件によつて、解決をいたしたのでありまするが、その後、一体これはどの程度行われて今日に至つておるか、これをお知らせいただきたいと思うのであります。とにかく、最近におきまするところの國鉄の人員の実情というものを、よく國民にわかるようにお知らせがいただきたいと思います。
 しかも、この強力なる配置轉換ということになりますれば、どうしても労働組合の協力を得なければならぬ。さいわいにして、労働組合の支持を得られておりまするところの社会党内閣のもとにおきまして、これがみごとにやり遂げられることを祈つてやまぬ次第でありますが、國有國営の最も代表的でありまするところの國鉄の事情が、合理化がうまくいかないということでありましたならば、その他の國有國営、もつてかなえの軽重を問われるおそれがあると思います。(拍手)まず、よろしくこれの合理化、能率化について、どういうお考えをおもちになつておるかを、お承りいたしたいと存じます。
#75
○議長(松岡駒吉君) 苫米地義三君、お答えくださいますか。
    〔苫米地義三君登壇〕
#76
○苫米地義三君 辻君の御質問に対しまして、私からお答えをいたしますが、運賃のことと、人員の配置轉換及び整理のことにつきましては、実は相当詳しく事情を申し上げたいと思うのでありまするけれども、時間の制限がございまするので、思うようにまいりません。詳細のことは、特に他の時間をとりまして、お話を申し上げたいと思います。
 ただいまのお話は、政府が考えておりますような人員の整理は、官業からまず範を示せ、こういうことでございまして、その一例といたしまして、國鉄をあげられたのでございます。なるほど、戰爭中にいろいろな作業の変更及び時代の要求によりまして、相当人員は殖えておることは確かであります。しかし、このことは國鉄のみに限つたものでございませんで、民間の事業でありましても、その他の事業でありましても、ことごとく戰爭中に増加いたしておることは、皆さん御承知の通りでございます。
 私は就任以来、人員につきまして世間の批評がございまするから、とくと調べたのでございまするが、昭和十一年に二十三万人でございました。この人員は、最も熟練したる、いわゆる國鉄傳統のあの技能を発揮いたした最高の能率の時代であつたと思うのであります。もし過去の経過から考えてみまして、自然に十年後の今日は、一体いくらになるべきかということを調査いたしますと、十年経てば三十五、六万くらいになつて、今日の鉄道の規模の仕事をやるのに適当だ、こういうような数字が出たのでございます。
 しかし、これは十年前の労働條件、その他十年前の人の素質においてそうなるのでありまして、今日労働條件が変りまして、そのためにどれくらいの影響があるかと申しますれば、大体従前は九時間の勤務時間でございましたが、今日では拘束八時間になりました。そういう点と週休を與えるという点、及び祭日あるいは婦人の生理休日、そういうことを全部調べあげますと、労働條件の改善によつて、四割の人がよけい要るという数字が出てまいるのでございます。そのために約八万人から十万人くらいは、この條件の変更によつて、すなわち労働者の幸福を、また衛生状態を考えるときに、当然殖やさなければならぬという時代的要求が、ここに加わるのでございます。
 またわが國の現在の環境におきまして、國内事情でない関係から、相当臨時的な人員が殖えております。この数字が大体四万人。それからレールも古くなりますし、全体の保守その他の保守の立場から、どうしても以前のようなことがございますので、このために約五万人くらい全國に殖やさなければ、手がまわらぬというようなことがございますので、このために約五万人くらい全國に殖やさなければ、手がまわらぬ。レールがゆるむとか、あるいはまくら木がゆるむとかいうようなことで、ずいぶん、むだな手がかかつております。それに対して約五万人くらいかかるということであります。
 それから切符を賣りますのにも、從來ならば印刷をしまして、硬い紙質の、手のかからないものでやりましたが、このごろでは、紙質がが弱りましたから、一々書いてこれをお客さんに渡しますが、そういうようなこと、及び車掌が從來一人で済んでおつた列車に対しましても、今日の状態では、御想像の通り一人や二人ではいきません。急行列車のごときは、五名くらい乘り込んで、車内の秩序を保つているような状態でありまして、これらの点で、二万五、六千人は殖えておるという状況でございます。
#77
○議長(松岡駒吉君) 時間がまいりました。
#78
○苫米地義三君(続) さような事情でございますので、相当増加いたしていることは事実でありますし、それゆえに、配置轉換の不要ということはないのでございます。
#79
○議長(松岡駒吉君) 苫米地君、時間でございます。
#80
○苫米地義三君(続) ある地帶には多くなつている、ある種類には少くなつております。それらを十分整理いたしまして、國民の御期待に副うように努力したいと考えているのであります。(拍手)
#81
○議長(松岡駒吉君) 河野金昇君、発言者を御指名願います。
#82
○河野金昇君 國民協同党の黒岩重治君を指名いたします。
#83
○議長(松岡駒吉君) 黒岩重治君、発言を許します。
    〔黒岩重治君登壇〕
#84
○黒岩重治君 自由討議の問題につきまして、二回の経驗におきまして、最もお互い議員の関心をもつべき点が、ただいまの議場を見渡せば、判然といたすと存じます。開会当時の議員の数と数時間を経過しましたただいまの議員数といかなる差がございますか。確か三分のニの数のものは、すでに退席をしております。(拍手)これは議員諸君が、責任観念をおもちになつていないか、自由討議に対する御関心がきわめて薄いのではないか。(拍手)かく考えますときに、お互い議員として、自由討議につき、まず檢討を加えなければならぬことは、いかにして全員が協力一致心を合わせて自由討議を有意義になすかという点でなければならぬと思います。
 次に私は、学制改革につきまして所信を披瀝し、諸君の御見解をも承りまして、相ともに政府を鞭撻し、この國家再建の基盤となるところの教育、この学制改革をして、実あらしめたいということを念願するものでございます。
 本年度、きわめて僅少なる予算をもちまして新たに発足いたしました六・三制は、今日は國民の実に憂慮にたえざる問題として、いかにして教育の低下を防止し、眞に教育改革の実をあげるかということについて、心ある者は実に深い関心をもつておると存じます。
 私は、数字的に実情をまず申し上げたいと思います。本年五月末の現在におきまして、教室なくして新制中学の教育を受けつつある生徒の数が、約百二十万人でございます。全生徒数の三五%は、二部教授によるところの仮教室並びに公会堂、民家の納屋、神社、佛閣または青天井、これによつて、ようやく名ばかりの教育を受けておるということが、その実情であります。不足教室数が二万五千九百五十一という数字になります。明年度になりまして、さらに生徒数の自然増加について考えますときに、およそ二万の教室が新たに不足してまいります。また完成年度の二十四年度に至りますと、さらに一万の教室の不足が生じます。合わせますと、現在の実情におきましては、およそ五万六千の教室、しかもその教室は普通教室であります。一学級の児童に與えられたところの普通の教室の不足数が、約五万六千という数になるのであります。
 しからばその教室をいかにして早急につくつてやるか。政府の國の負担すべきものとして、当初の予算に示したものは八億円と称しております。これを一万四千三十の新制中学に割当てましたときに、一校いくらの割合になりますか。これだけの経費をもつて、学制の大改革と称して発足いたしました新制中学を、生みました子供に乳を與えずして放任するような國家は、実に親心の乏しい國家であると私は考えます。(拍手)地方におきましても、現下の財政の窮乏は、この教室なき生徒に、滿足な教室をあてがうだけの経済的実力をもつておりません。
 これらの教室に新たに建築をするといたしますと、二十二年度におきましては、一教室、廊下とも二十五坪といたしまして、六十四万八千七百七十五坪であります。坪六千五百円ー過日政府の発表いたしました昭和九年、十年、十一年の物價の平均数、それの六十五倍という單価をもちまして、坪六千五百円として算用いたしますと、現在不足しておる教室をつくりますのに、四十二億円一千七百三万七千五百円の費用を要します。さらにまた明年度の不足の分を、四月までに用意すべきものであると考えますときに、この不足教室を建築いたしますならば、新たに約三十二億五千万円を要します。合計七十五億という費用は、いかなる方法においても、本年度の追加予算において支出しなければ、児童は青天井において、冬の寒さに凍えつつ勉学を続けなければならぬという実情になるのであります。
 また、完成年度までの建築費を、ただいま申しました單價によつて計算をいたしますと、およそ九十一億の費用を要します。なお、これは單に教室設備でありまして、しかも普通教室の設備でありまして、学校には、普通教室の約四割に相当すべき特別教室がなければなりません。そのほか附属建物、附属室、こういうものの建築を全部考えました場合には、およそ二百五十億を要します。さらにまた、現在小学校の教室のあいた所を使つておりますので、新制中学が独立校舎を建てて、小学校からその独立校舎へ集まつて完全なる独立をしようとせば、さらに四万の教室の増加を必要といたします。この経費を総合いたしますと、実に三百二十億という数字になります。しかもまた、内容設備はこの建築費に匹敵するだけのものが必要と存じますので、これを合わせますと、実に六百四十億という費用を見積らなければなりません。
 かように考えますときに、この焦眉の急でありますところの本年の不足教室を整える費用、しかも、その内容設備がほとんど建築費と同額であるという見地から、内容設備は市町村の負担とし、この新たなる建築費は、どうしても國の負担とすべきものであると私は考えます。(拍手)最低七十五億でありますが、しかも單價をきわめて低く見積つてありますので、私どもの希望いたしますところの追加予算額は、百億といういうことを希望するわけであります。この点につきましては、財政窮迫の今日において、不可能であるとお考えになる点があるかも知れませんけれども……
#85
○議長(松岡駒吉君) 黒岩君、時間がまいりました。
#86
○黒岩重治君(続) 國家の基本を培う教育を再建いたします場合の問題は、石炭や食糧と同じような切実なる問題として、十分にお考えを願いたいということを要望いたします。(拍手)
#87
○議長(松岡駒吉君) 田中久雄君、発言者を指名願います。
#88
○田中久雄君 第一議員倶樂部の発言者は、齋藤晃君を指名いたします。
#89
○議長(松岡駒吉君) 齋藤晃君、発言を許します。
    〔齋藤晃君登壇〕
#90
○齋藤晃君 私は第一議員倶樂部の齋藤晃であります。新國会の性格が、少数者の意見を尊重するとともに、政党の立場を尊重するのは当然でございます。本議会におきましても、あるいは農民党、あるいは共産党、各小政党でありますことは、私ども喜ばしいのでございます。しかしながら、これらの政党というもの、議会の活動が、政治的活動にまつといたしましたならば、それはその政党の活動が、單にその所属する党員の数にのみよるものではないと考える次第でございます。
 アメリカにおきましては、四百三十五名の議員の中におきまして、四百三十四名が両党に所属いたしまして、ただ一人が、第三党を組織しているそうでございます。すなわち、一人であろうとも、二人であろうとも、眞にこれ國民の選良であり、輿論の代表であつたならば、すなわち議会において政治活動は許さるべきものであると信ずる次第でございます。(拍手)
 私は、全國に組織をもち、二十年の歴史を有しまする立憲養正会の、ただ一人の代表でございます。私どもは、この政党尊重の立場において、はたしてその政治活動は、いわゆる所属議員何名によつておるかというような内規ありや否や、これを議院運営委員長に質問いたしたいのでございます。
 なお私は、今少数者の意見を尊重する立場におきまして、いやしくも本議会において、何ら少数の意見が取上げられず、まさに歯の抜けたような現状の中において、今発言を許されるというような、かくのごときことは、いやしくも大政党は、謙讓の美徳をもつて、願わくば與党のごときは遠慮して、ここに発言を各政党に許すべきではないかと考える次第でございます。
 なお私はいやしくも議会の権能が完全に発揮されたという今日におきまして、われわれは総理大臣を選出すべき立場にありながら、われわれの選出せるその総理大臣下における政府が、今この議会を無視して、あの鉄道運賃の値上を断行したがごとき、かくのごとき議会を無視せる態度に対しては、わが衆議院におきましては、院議をもつてこれを詰問すべきではないかと考える次第でございます。(拍手)
 私は、かくのごとき立場において、願わくば、ここに少数なる意見、たとえ一人たりとも、二人たりとも、國民の選良として、自由闊達にこの議場において発言さるることが、眞に自由討議の精神ではないかと信ずる次第でございます。
 なお私は、この議場におきましては一言申し上げたいことは、いやしくも民主國家の原則は何であるかと言いましたならば、それはすなわち、社会の不均衡を取除かなければならぬことでございます。しかるに、現在その社会のどん底にあるのは何でありましようか。私は、あの戰爭の犠牲者――かつては戰爭の犠牲者が、これすなわち平和建設の人柱ではなかつたか。これらの人々が、今この平和の時代においても、なおかつ何らそこに顧られないという現状において、かくのごとき重大なる問題が、ここに審議されなかつたならば、はたして眞に日本の新らしき黎明が生れるであろうかと、考えざるを得ないのでございます。
 私どもが登院するにあたりまして、あの登院する門口において、五万の同胞を南方より救えと言つて叫ぶあれらの人々の声が、委員会の窓を通じて私どもの胸をついてくるのである。なお私は、あの戰爭犠牲遺族に対しましても、あの遺族の人々が、かつては祖國のためと身命を捧げても、何ら報いられることなくして、住むに家なく、あるいは食なく、惨憺たる姿を示しておるところの、これら全同胞の中のあわれなる人々を考えますときに、私は実に涙なくしては、ここに語り得ないという状態にあるのでございます。
 私の町におきましても、ある人の未亡人のごときは、あのあなぐら住いをして、そうして遂に家なく、そのあなぐらにおいて、その遺骨を抱いて倒れている。この現状を私は見るときに、これらの人々のために――あえて、これらの犠牲者が戰爭を挑発したのではありません。これらの人々こそ、この遺族こそ、戰爭を何とかしてやめようという、眞に平和を心から念ずるもの――眞に平和建設の第一線に立とうと念ずるものは、これら戰爭犠牲者であると私は考える次第でございます。
 あるいは、先日私のもとに訪ねてまいりまして、議会に陳情いたしました、あの傷痍者の件であります。あの先月引揚げたところの傷痍者が、今なお、義手も義足もつけることができない。その義手をもたざるところの傷痍者が、議会に向つて陳情しなければならないという、かくのごとき状態があつてよいであろうかと私は考えたときに、願わくば、國論において、この問題を重大なる國家的、社会的な問題として、ここにと取上げくださらんことを、全議員諸氏に対して、謹んで私はお願いする次第でございます。
 私は、かくのごとき立場において、眞にわれら同胞が心を安んじて住み得るところの、新しい國家の再建に邁進しなければならないと信ずる次第でございます。一部の同胞が飢えに泣くという姿、一部の同胞が住むに家なく、あるいはとるに食なしという、かくのごとき惨状というものが、はたしてあつてよいものであろうかと私は考えたときに、これら人々のためにこそ、新しき日本は温き手を伸べる必要が、当然にあるではないかと考える次第でございます。かくのごとき立場において、願わくば同胞愛をもつて、これらのいわゆる犠牲者に対する徹底的な援護の処置というものが、政府当局を通じて完全に施行せられますことを、謹んでお願いいたしまして、私の所見の一端にかえる次第でございます。(拍手)
#91
○議長(松岡駒吉君) 淺沼稻次郎君、お答えくださいますか。
#92
○淺沼稻次郎君 議院運営委員会の委員長に対する御質問でありますが、議院運営委員会におきましては、いわゆる少数意見というものを尊重するように、また言葉をかえて申し上げますならば、いわゆる小会派の意見も尊重するような立場において運営をするように、その方針を定めまして、現在運営の基準にしているわけであります。
 しかしながら、從來は各派交渉会というものがございまして、各派交渉会は、二十五名以上の議員をもつものをもつて構成されておつたのであります。そこで、今回議院運営委員会が中心となりまして、議会運営の原則をきめるようになりましてから、交渉会はそれと表裏一体をなす形において、二十五名以上の議員を有するものをもつて組織する、しかし、それ以外の議員数をもつておるものは、オブザーヴァーとして参加できるという申合せをいたしまして、それによつて各派交渉会を運営している次第であります。
 しかしながら、各派交渉会におきましても、さらに議院運営委員会におきましても、本日の自由討論に現われたように――実際本日の自由討論を、多数決の原則に從つてやりますならば、たとえば、共産党に例をとつては、はなはだ恐縮に存ずるのでありますが、四名の共産党が発言を得るためには、五十人以上の発言者があつた後でなければ、得られないのであります。しかしながら、議院運営委員会といたしましては、共産党という一つの党派を組織している以上、当然発言権を與えなければならぬ。しかし五十人を経過したる場合においては、三日後において初めて共産党は発言権を確保するということになるのであります。本日は十七名でありましたから、それが五十人ということになりますと、自然五十何番目かに來なければならぬということになるのでありますが、いわゆる少数派の意見を尊重するという意味におきまして、最後でありますけれども、十七名の中にはいつて発言ができるように、小会派の発言も尊重しておる次第であります。
 ただ立憲養正会の問題につきましては、第一議員倶樂部の中に、立憲養正会の党員でありまするけれども、所属しておるのでありまして、当議会におきましては、当然第一議員倶樂部という倶樂部の形において、各派交渉並びに議会運営委員会に参加をされておるのでありまして、当然運営委員会並びに各派交渉会におきましては、第一議員倶樂部の構成員として扱つておるということに、御了承願いたいと存ずる次第であります。
#93
○議長(松岡駒吉君) 中野四郎君、発言者を指名願います。
#94
○中野四郎君 日本農民党は、河口陽一君を指名いたします。
#95
○議長(松岡駒吉君) 河口陽一君に発言を許します。
    〔河口陽一君登壇〕
#96
○河口陽一君 私は、次に述べることに対して、國会の協賛を得たいのであります。
 第一に、経済恐慌対策であります。ポツダム宣言の忠実なる履行者としての日本の姿は、すべてにおいて貧困そのものなのであります。國民全体はこの貧困なる状態より脱するために、日夜心血を注いでおるのであります。破壞された、否、つぶされた家の建て直しには、まず差当り、今日今夜の雨露をしのぐことを考えなければなりません。しかして、今年、來年の対策、さらに百年の大計を立てるの順序を経ることは、申すまでもありません。國会並びに政府は、全般に処するに、その御苦労はよく私どもわかるのでありまするが、この際一もつかず、二もとらずでなく、重点的に食糧増産、すなわち農山漁村に対する政策を強行すべきであると存ずるのであります。
 一九三三年、ルーズヴエルト大統領就任直後、最も努力を傾注いたされたのは、不景気打開のための政策実行なのであります。これが対策として、非常経費を普通経費と同額に増強いたしたのであります。このことは、一面國民負担が過重になりましたが、これがため、米國の景気回復、財界の振興に与えた影響は甚大なもので、失業対策も予定の効果をあげ得たのであります。
 またわが國においては、濱口内閣のとつた緊縮政策の後、昭和五、六年と続く凶作のために、農村の疲弊困憊その極に達したのでありますが、昭和八年、斎藤内閣は、農村匡救のため、遂に巨額の経費を支出したのであります。このため、農村救済に大なる効果を与えたことはもちろん、これがため、萎縮しておつたところの國内産業も活況を呈したことは、私どもの記憶せるところなのであります。
 現在やらねばならぬことは、諸般にわたりましようが、國民生活の根幹とする食糧対策に重点をおかねばならぬことは、言うまでもありません。実に今日の食糧不安を即刻解決し、將來不安なからしむる政治家がありますれば、日本一の政治家であるということは、私は國民諸君とともに異論のないものであります。このことに対して、國民は渇望しておると思うのであります。この場合、このままにしておきましたならば、やがて貿易再開とともに、講和條約の成立を見た場合、経済恐慌とともに、農村恐慌は必至と見るのであります。かかるとき、政府は農民に対して、從來の農奴的價格、天降り割当供出では足りぬので、作付の割当をなさんとしておるのでありますが、苦しいときの神頼み式で、米をつくらせ、出させ、安い食糧が輸入されたときに、いかなる対策をもたるるか。諸君並びに政府にお伺いいたしたいのであります。
 私は、この際多少の不利を忍んでも、國内生産に食糧を求むべきであると思うのであります。殊に占領下の國外貿易は、物資のリンク制なるとき、食糧輸入により腹はふくれましたが、住みに家なく、着るに着物なく、文化生活は破滅いたし、原始的境涯に陷るを思うとき、私はまことに深憂に堪えないのであります。農山漁村の経済更生は、やがては、すべての産業発展の原動力となることは、歴史が明らかに証明しておるのであります。この際、私は他の政策をことごとく犠牲にして、農山漁村政策を強行することが、國民食生活を安定し、このことによつてのみ、小工業の発達、経済体制の確立、インフレの防止も民生の安定も、望み得られものと信ずるのであります。
 議場の諸君、われわれが主張することの重農社会政策に対して、御賛同あらんことを望むものであります。
 第二に、政府は今後の配給米は値上げするということでありますが、いまや農村は、一一〇%供出強要で、ほとんど自家保有米も供出させられておる現状であります。このために、食糧増産に挺身した百姓が獄屋につながれたり、さらに一家みなごろしにしたという、驚くべき社会問題を惹起しつつあるのであります。まことに涙そのものなのであります。百姓は、今年の作付に当り、また強権の種をまくのかと放言しているのであります。(拍手)私は、これら食糧増産の犠牲者に対して、即刻調査の上、國会は謹んで弔意を表すべきであるとともに、強権によつて獄中にある百姓は、速やかに釈放の電報を打ち、増産に働かすべきであると思うのであります。
 この涙の供出が、二百二十円で買われ、今還元配給米が五百九十四円になります。農林大臣の説明によれば、新麦の価格の関係もあり、やむを得ぬということですが、私はこのことが、供出を遅らせれば得をする、さらに供出をせなければ得であるということを、政府みずから実行したことになると思うのであります。このことは、二十二年度産米出荷に一大支障を招來するおそれが多分にあると思う。大事の前の小事です。農家に対する還元米は値上げせぬという御決議が願いたいのであります。
#97
○議長(松岡駒吉君) 河口君、時間です。
#98
○河口陽一君(続) 最後に、北海道の食糧事情を一言申し上げておきたいと思います。
#99
○議長(松岡駒吉君) 河口君、時間であります。
#100
○河口陽一君(続) どうぞ、よろしくお願いいたします。
#101
○議長(松岡駒吉君) 木村榮君、発言を指名願います。
#102
○木村榮君 共産党では、林百郎君を指名いたしす。
#103
○議長(松岡駒吉君) 林百郎君に発言を許します。
#104
○林百郎君 私は自席で発言させていただきます。(「登壇しろ」と呼ぶ者あり)新しい方式をいろいろ研究しておるわけでありまして、一つの事例として、自席で発言させていただきたいと思います。
 実は、私議院運営委員会の委員の一人でありまして、淺沼委員長その他各委員とともに、自由討議の問題について、眞劍に責任を感じ、考えておる次第であります。それで回を重ねまして、第一回、第二回と見ましても、本日の自由討議も、遺憾ながら、これは及第点をやるわけにいかないじやないかという氣がしておるのであります。何とかしてこの自由討議の隘路を打開して、もつと、國民が國会に求めておるところの切実な要求をこの國会に反映させて、國会の自由討議も、眞に國民と表裏一体となつて、議場が緊張してこなければならないと思うのであります。
 それにつきまして、私は本日最後の発言者といたしまして、結論をつけてみますと、こういう点に隘路があるのではないかと思われるのであります。
 まず第一点としましては、やはり與党と野党との区別をある程度つけないと、工合が惡いのではないか。自由討議の際には、原則として野党の者の意見を、與党並びに政府側が胸襟を開いて聽く。そしてこれに対して、與党並びに政府側が、誠意ある答弁をするという形にして、やはり野党の意見を尊重するという形の方が、活気が出てくるのではないかと思うのであります。この前の第一回の討論を見ましても、やはり社会党、民主党の発言者は、大体政府の政策を支持する傾向があり、極端に言いますと、八百長的な質問がありました。非常に誠意を欠いたのであります。たとえばある発言者のごときは、質問をしておいて、あとよろしく願いますと言つて、下つておるのでありまして、非常に謙讓の美徳を発揮しておるのだとは思うのでありますが、やはり、これは質問の生氣を欠くという欠点があると思います。
 その次には、発言者の順位並びに数を、各政党の所属議員数に比例するというこの原則を、あまり固持しますと、いつも発言者の順位が、社・民・自、社・民・自となり、非常に形式が惡い。中に、やはり少数派の質問者もところどころに入れて、活気をつける。農民党、社会党、というようなところは、発剌たる闘志をもつておりますから、それをところどころに入れて、生氣をつけるというような形にしたらどうか。これは私の私案でありますが、こういうことを考えておるのであります。
 それからもう一つは、やはり各議員に、自由な氣持を率直に発言をさせるためには、せつかくの発言者を、やじでもつて圧殺してしまうというようなことのないように、考えていかなければならないと思うのであります。もちろん、これは徳田氏も言うつもりですが、國際的品位というようなことを考えてみましても、低劣なやじは、やめる方がいいと思うのであります。
 その次に、自由討議を、あくまでも各政党の所属議員数で形式的に行うということになりますと、たとえば本日の問題も、公報には、明らかに自由討議その他議院運営についてということが、原則的な問題になつておるのです。この問題の討論が盡きて、余裕があれば、一般的な問題に触れるということになつておる。ところが、けさ突然來まして、各政党の諸君から、実は自由討議、議院運営の問題については、あまりないのだ、各政党一人きりしかないから、これを変更して、余裕があろうがなかろうが社・民・自、社・民・自の形にして、一般國政の問題も入れようじやないかという変更が、実はあつたのであります。こういうときには、大きな政党の方も襟度を示していただいて、やはり自由討議の問題について、一應討論者があつたならば、それを全部発言させて、それで、これは必ず時間が余ると思いますから、そうしたら、やはり公報にある通り、その問題を終えて、一般國政の問題に移るというのが、儀礼ではないかと思うのであります。そういう点も、將來考えてもらいたいと思うのであります。
 それから議題の問題でありますが、やはり議題は、ある程度きめた方がよいのではないかと思うのであります。議題をきめると同時に、やはり各議員に一定の準備期間を與えた方がいいのではないか。あす、すぐこういう問題で自由討議をやろうというのでは、やはり各議員の準備が不足でありますし、内容が充実してこないわけであります。テーマをきめて、それからある一定の準備期間を与えて、そうして内容を盛るという形がよいのではないかと思うのであります。
 最後に、私痛感します問題は、私個人の感じかもしれませんが、國会が國会の切実な問題と切離された、ちぐはぐな感じがするような氣がします。その原因をよく考えてみましたら、もちろん、われわれの側の反省、努力も必要でありますが、一つは、やはり行政官僚が、重大な問題について國会を無視するという傾向が、最近あるのではないかと思うのであります。実例をもつて言いますと、たとえば新價格体系の発表の問題、ああいうような問題も、運賃が三倍から三倍半に上るというようなことは、國民にとつては非常に切実な問題だと思うのです。そういう問題は、國民の側から言えば、われわれの選んだ國会議員に、國会で十分檢討してもらつて、われわれの利益になるような処置をしてもらうという信頼を、われわれにもつておるのであります。
 現に私ある汽車に乘つておりますと、われわれが議員を選んでおるにもかかわらず、どうして突然、こんな三倍半もの運賃の値上げをしたのだろうという声を聽いております。現に國会が開かれておるにもかかわらず、なぜ、こういう問題が急にきまるのだろうということも聞いておるのであります。政府の方としては、事は行政権の範囲内なんだから、これは政府が勝手にやれるのだという見解かもしれませんが、重大な責任が、われわれ國会に帰せられるのであります。そういう意味で、政府も率直に、やはり重要な問題は國会に報告、あるいは、これにかけるということが大事だと思うのであります。
 またもう一つ、たとえば飲食店の閉業の問題でありますが、事の可否は別として、これは、やはり全國的な大きな問題であり、しかも、これには三年以下の懲役、五万円以下の罰金という罰則がついておるのであります。これが、かつての緊急勅令と同じような形式で、緊急措置令で発令されたということは、重大な問題であると思うのであります。(拍手)旧憲法時代の緊急勅令ですら、國会の閉会中しか発令されない。しかも、次回の國会に必ずこれをかける。そうして議会の協賛を得なければ、將來において効力を失うということがあるのであります。しかるにもかかわらず、第一回の歴史的なこの國会において、この旧憲法時代よりも、もつと民主主義的な原則がふみにじられて、政令をもつて、罰則まできめられた、國民生活に重要なる影響を及ぼすような処置が、とられたということについては、われわれは政府側の反省を要求したいと思います。(拍手)
 いま一つは、たとえば水産委員会で、政府側の委員を招待して、まじめに水産の問題を研究しようと思つたところが、大臣はもちろんのこと、次官も、局長すらも見えなかつたというような事例を見るのであります。
#105
○議長(松岡駒吉君) もうあと一分です。
#106
○林百郎君(続) こういう点についても、われわれは國会と國民生活を切実に結びつけるためには、一應政府並びに行政官僚の猛反省を促したいと思うのであります。これをもつて私の討議を終ります。(拍手)
#107
○議長(松岡駒吉君) これにて自由討議は終了いたしました。
 次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後四時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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