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1953/06/10 第19回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第019回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第12号
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1953/06/10 第19回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第019回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第12号

#1
第019回国会 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第12号
昭和二十九年六月十日(木曜日)
    午後一時四十四分開議
 出席委員
   委員長 山下 春江君
   理事 青柳 一郎君 理事 庄司 一郎君
   理事 高橋  等君 理事 臼井 莊一君
      木村 文男君    佐藤洋之助君
      田中 龍夫君    中川 俊思君
      長谷川 峻君    福田 喜東君
      吉川 久衛君    村瀬 宣親君
 出席政府委員
        外務事務官
        (アジア局長) 中川  融君
 委員外の出席者
        厚生事務官
        (引揚援護局引
        揚課長)    坂元貞一郎君
        参  考  人
        (日本赤十字社
        社長)     島津 忠承君
    ―――――――――――――
五月三十一日
 委員山田彌一君辞任につき、その補欠として木
 村文男君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
六月三日
 海外同胞引揚に関する件
 遺家族援護に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 海外同胞引揚に関する件
    ―――――――――――――
#2
○山下委員長 これより会議を開きます。
 本日は海外同胞引揚に関する件について議事を進めます。
 この際お諮りいたします。本件に関しまして、過日オスロで開かれました赤十字社連盟理事会に出席いたし、ソ連赤十字代表及び中国紅十字会代表と本件について会談いたして帰国されました日本赤十字社社長島津忠承君
より、本日その事情を承りたいと存じますので、本委員会の参考人といたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
#3
○山下委員長 御異議なきものと認め、さよう決します。
 それでは、これより、島津社長よりオスロにおきましてソ連赤十字及び中国紅十字会代表と引揚げ問題について会談されました事情をお伺いいたします。島津日赤社長。
#4
○島津参考人 先月の二十四日から二十九日までオスロで開かれました赤十字社連盟理事会に出席いたしまして、ソ連赤十字代表、中国紅十字会の代表と帰国問題につきましていろいろ話合いました事情につきまして御報告を申上げます。
 まず最初に、中国紅十字会側と話し合いました事情から御報告申し上げたいと存じます。会議の議題としてこの引揚げ問題が今回は取上げられておりませんでしたので、たまたま会議の開かれています間に数回にわたつて中国側代表と会談をいたしましたその実情を申し上げたいと思います。まず最初に中国側の代表と話し合いましたのは、開会日当日の二十四日の夜のノールウエー政府招待の晩餐会のときでございましたが、李徳全会長ほか中国側代表と会つたのであります。まず最初に、伍雲甫という代表でございますが、以前モンテカルロの会議のときからの知合いでございますが、その代表と話し合つたのでございます。伍雲甫氏は、笑いながらでありますが、まず最初に、オスロで会う前に東京で会えるのかと思つていたがということを申したのであります。それから数回にわたつていろいろ話し合いましたが、特に二十七日の夕刻に私どものとまつておりましたコンチネンタル・ホテルに中国側の代表を招きまして、食事をしながらいろいろ話したのであります。中国側代表は伍雲甫氏を初めとしてほか三名、合計四名の人が快くわれわれの招待に応じて来てくれまして、食事をしながら十一時過ぎまでいろいろ話し合つたのであります。まず、私どもの方から、帰国問題でありますが、個別帰国の問題につきましていろいろ聞いたのでありまして、第一に、この個別帰国がいつごろ始められるであろうか、またその始められるまでに日本側といろいろ協議することが必要あるかどうかを聞きただしたのでありますが、先方の答えは、ただいま帰国者の希望を中国政府においてとりまとめているので、これがまとまり、中国政府の許可のあり次第、中国紅十字会は、前回の例にならつて、また北京における会談の共同コミュニケの趣旨に従つて、この帰国者の帰国についてできるだけの援助をするということでありました。それで、重ねて、いつごろ帰国が開始される見込みであるかということを聞いたのでありますが、その見込みについては何ら具体的な返事は得られなかつたのでございます。さらに、中国にまだ残つております戦犯の問題につきまして話合いをしたのであります。これは、さきにモスクワに参りましたときに、すでに九百七十一名の戦犯が中国側に引渡されたことを確認いたしまして、その名簿につきましても、ソ連赤十字は中国紅十字会の方に聞いてもらいたいということでございましたので、日本赤十字から中国紅十字会に電報をもつてこの名簿並びに人数等を聞き合せていたのでございますが、この戦犯のことにつきまして質問いたしたのであります。ところが、中国紅十字会代表の返事では、これは政府の責任において行うことであるから、中国紅十字会としては何ら答えることができないという返事でございました。それで、さらに、この名簿を早く送つてもらうこと、並びに戦犯と家族との通信を早くさせてもらいたい、またでき得れば戦犯に対して慰問品を内地から送り得るようにしてもらいたいということを頼んだのでございます。中国紅十字会代表は、これらはすべて中国政府の仕事であること、中国紅十字会としてははつきり答えることはできないが、できるだけ希望に沿いたいという返事でございました。重ねて、日本におきます留守家族の方々の熱烈な要望であることを申し添えまして、できるだけ日本側の希望に沿うように中国紅十字会として努力をしてもらいたいということを頼んだのでございます。中国代表といたしましても、できるだけの努力をしたい、こういう返事であつたのであります。
 次に、ソ連の赤十字の代表との間の話合いでございますが、ソ連の代表も食事に招待いたしまして、その席上でゆつくりと話し合いたいと思つたのでございますが、二十八日の昼だけがあいておりましたので、その日に招待をしたいと申入れをいたしたのであります。ソ連側は喜んで出たいという返事でございましたが、たまたま二十八日は御承知の原爆に関する決議案が上程される日で、ございまして、昼も非常に忙しくなりまして、遂に会食しながら話し合う機会は得られなかつたのでございますが、会議の間いろいろの機会にソ連代表とは話し合う機会があつたのであります。特に、ソ連の赤十字に対しましては、五月一日に、日本赤十字から、航空便をもちまして、いろいろ先般帰国された方々から集めました情報等に基きまして、ソ連の赤十字に質問をした手紙を送つておりまして、できれば、この返事を、できるだけでけつこうであるけれども、オスロの会議の際にもらいたい旨を、その手紙に書き添えておいたので、まずこの返事を求めたのでございます。ソ連の代表は、モスクワを出発するまでにこの手紙を受取つていなかつたので、それに対する返事はできないということでございました。私は手紙のコピーを持つて参つておりましたので、そのコピーを見せまして、いろいろ頼んでみたのでありますが、いずれ帰国の上よく研究して、わかつておるものだけでも返事をしたいということでございました。重ねて、全般的な残つておる日本人の帰国についてできるだけの援助を得たいということを申し入れましたところ、ソ連側としても、できるだけの努力をしてみたいという返事でございました。
 両方の赤十字の代表の態度はきわめて打解けた態度で、友好的に会談をいたしたのでありますが、何ら具体的なとりきめをすることができないで帰りましたことは非常に遺憾に存じておる次第であります。両赤十字代表と話し合いました経過は、大体ただいま申し上げたようなことであります。
#5
○山下委員長 本件に関する質疑を許します。
#6
○青柳委員 例の李徳全の招聘問題について、中共の紅十字会の代表はどういう気持を持つておつたか、それについて何か具体的な言葉があつたかという点について伺いたい。
#7
○島津参考人 最初に会いましたときに、オスロで会う前に東京で会えるかと思つていたがというようなことを言つていたということを先ほど申し上げましたが、それ以上特に招聘問題について向うから話はございませんでした。ただ、ぜひ日本に行きたいという希望は非常に強いように感じた次第でございます。
#8
○青柳委員 別に日本政府に対してこの問題について悪感情を持つておつたというふうにはお感じになられなかつたかどうか。
#9
○島津参考人 特に悪い感じを持つておつたようにも見受けなかつたのでございますが、日本の新聞をたくさん送つて来ておつて、まだ招待が実現しない理由については、その事情をよく了承しておるようでありました。
#10
○山下委員長 他に御質疑はございませんか。――御質疑もないようでありますから、これにて参考人よりの事情聴取を終ります。島津社長には、引揚げ問題についていろいろ御尽力くだされ、また本日は御多忙中のところ御出席を願い、詳細にわたつてオスロにおける会議の事情をお話しくだされ、委員会の調査に多大の参考となりましたことを厚くお礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後一瞬五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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