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1953/12/04 第18回国会 参議院 参議院会議録情報 第018回国会 労働委員会 第2号
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1953/12/04 第18回国会 参議院

参議院会議録情報 第018回国会 労働委員会 第2号

#1
第018回国会 労働委員会 第2号
昭和二十八年十二月四日(金曜日)
   午前十一時十六分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     栗山 良夫君
   理事      田畑 金光君
   委員
           田中 啓一君
           吉野 信次君
           阿具根 登君
           吉田 法晴君
           寺本 広作君
           堀  眞琴君
           市川 房枝君
  国務大臣
   国 務 大 臣 緒方 竹虎君
  政府委員
   労働政務次官  安井  謙君
   労働省労政局長 中西  実君
   労働省労働基準
   局長      亀井  光君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       磯部  巖君
   常任委員会専門
   員       高戸義太郎君
  説明員
   大蔵省銀行局特
   殊金融課長   有吉  正君
   労働省労政局労
   政課長     有馬 元治君
   労働省婦人少年
   局長      藤田 たき君
   労働省職業安定
   局長      江下  孝君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○労働情勢一般に関する調査の件
 (凶作地における職業安定法違反に
 関する件)
 (労働政策に関する件)
 (労働金庫への政府資金預託に関す
 る件)
 (特需工場駐留軍労務者の労働問題
 に関する件)
  ―――――――――――――
 本日の会議に付する事件は、労働情勢一般に関する調査でございまして、特に特需工場及び駐留軍労務者の労働問題に関する件及び凶作地における職業安定法違反に関する件、いわゆる人身売買に関する件でございますが、これらを議題にいたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 先ず凶作地における職業安定法違反に関する件を議題といたします。
#2
○市川房枝君 この頃新聞などで東北並びに北海道地方なんかの凶作地帯におきましていわゆる人身売買が行われかけておる。いわゆる職業安定法によらざる仲介人が青少年を前借或いはその他の方法によつて紹介するというような事態が発生する心配があると言われておりますが、その実態がどうであるか、或いはまあ現在はまだそれほど表に出ていないとしましても、将来どういうふうな見通しを政府として持つておられますか。それについての政府の対策というようなものを伺いたいと思います。
 この人身売買が冷害、水害等によつて殖えているのじやないかというような御質問でございます。私どもといたしましても、水害が始まり冷害が始まりましてから非常に憂慮いたしまして、各都道府県にあります、特に水害地、凶作地にあります婦人少年室長に手紙を出しまして、すぐにこのことについて調べるようにということを出したのでございます。例えば和歌山県におきましてなどは、もういち早く婦人少年室長が通牒を待つまでもなく調査を始めまして、そしてその心配を言つて参りましたものですから、私どもといたしましては、中央青少年問題協議会にこのことを申しまして、中央青少年問題協議会としても善処してほしいということを申したのでございます。その後ほうそれから手紙の返事が参りましたのでございますが、只今のところではまだ水害、冷害等による直接の、それが直接の原因となつて人身売買が行われたというのはまだ表面に現われておらないのでございます。新聞紙等に出ておりますが、具体的にこれこれということはまだ出ておりませんで、私どもの見通しといたしましては、恐らくこれは一月、二月になり、そして又来年の端境期になつたら最も顕著に現われて来るのじやないかしらということを心配いたしておるのでございます。
 それで私どもといたしまして、労働省全体として、この問題についていろいろと対策を講じておるのでございますけれども、職業安定のほうについてはあとで御返答を申上げるかと存じますから、私婦人少年局としていたしておりますことを申しますと、今までに婦人少年局といたしまして、各官庁から把握いたしておりますところの人身売買のその事実を取上げまして、いわゆる資料調査というものをこれまでに四回いたしておるのでございますが、只今資料調査第五回を取りまとめ中でございましてこれは間もなくでき上るかと存じます。それからこのたび二十八年度に初めて労働省婦人少年局といたしましては、実態調査の予算を頂きまして、その予算に基きまして、東北六県を中心といたしまして実態調査をいたしておるのでございます。例えばここに持つておりますような長期欠席生徒並びに卒業生徒動向調査というものを東北大県公立中学校全校に配りまして、そうして長欠児童、それから又卒業生のうちどこにおるか不明でありまして、人身売買の対象に或いはなつておるのではないかと思われますものを取調べております。そうして例えば親元の調査表、年少者調査表、雇用先調査表等を整えまして、只今東北六県について実態調査中でございます。その結果はまだまとまつてはおりませんので、それを御報告申上げることができませんけれども、例えば山形県におきましてはややその調査が進んでおるのでございますが、山形県におきましては、公立中学校二百五十九校に対しまして予備調査をいたしまして、その校数二百三十一校でございますが、この二百三十一校中、卒業及び長欠児童でこの人身売買に該当するやも知らんと思われますものが二十五校、人員五十名であります。この五十名中、二十八名は県内雇用、二十二名が県外雇用でございますので、この県外雇用というのが一番疑われ得るものでございますので、この人々について調査いたしておりますが、男六、女十六という数字が出ております。そして十五歳未満が六名、十五歳から十八歳までが十六名、そして親元の調査なども、やはり日雇い、農業の人が一番多く、それから生活保護法の適用を受けておりますものが二十二名のうち七件でございます。それから手離した動機は何と言つても貧困、家計の補助が十五件で、最も多数を占めておるような状態でございます。児童の就職いたしましたところは、女工が五、女中が五、店員三、靴工見習が一、射的ゲームが一、ホテルが一、料理店が一、不明二というような、こういうようなまだ極く小部分の数字しか出ておりませんので、お役に立たないと思つて恐縮でございますが、あと東北六県のを鋭意調査いたしております。それから又私どもといたしまして、二十八年度の予算にも少し組んで頂きましてそしていわゆる婦人少年室の協助員というものを全国に八百名ほど置くことになりまして、この八百名の協助員は、殊にこの冷害地、水害地等におきまして人身売買の対象になるのではないかと思われる人たちを探すと申しますか、各官庁とも連絡し、いろいろの団体とも連絡して、それを発見することに努め、そして発見後諸官庁と連絡することに努めるために協助員が八百名置かれたものでございますが、これは只今任命中でございまして、この人々の活動に待つところは大いにございますけれども、まだ実際としては始まつておらないのでございます。私どもといたしましては、資料調査と、それから今申しました実態調査、それから啓蒙活動というものをなお今盛んにいたしております。児童、年少労働者の保護運動の一環といたしましても、又就職の指導の点からも、それから只今申しました実態調査活動をいたしております最中にも、いろいろの啓蒙活動をしておるような状態でございます。
 一応極く簡単に御説明申上げます。
#3
○説明員(江下孝君) 只今藤田局長からお話申上げましたように、まだ東北地方におきます冷害地方に対しまして具体的にはつきり詳しいものは私どものほうには報告は参つておりません。併し将来の問題としてはこれは非常に憂慮すべき問題でございまして、これにつきましては御承知の通り、そういう人身売買のようなことに陥るような根本の原因をつかみ、やはりどうしても定職がないとか或いは現金収入がないということが一番大きな原因だろうと思います私どものほうとしましては、従いましてそういう困窮著の極力就職斡旋を全力的に行う、こういうことが重点になつておるのであります。
 先般実は次官通達を以ちまして、特に冷害地におきまする就職促進の要綱を指示したわけでございますが、その内容を一、二申上げますと、先ず冷害地における困窮者について、市町村長の協力を得て十分この実態を把握したいということが第一。次には把握したものにつきましてどういうふうに就職の機会を与えるかという問題がございますが、これにつきましてはああいう冷害地のかたがたは、どこにでも就職があるわけのものでもございませんが、併し現在におきましてもいわゆる季節労務といたしまして他県に相当集団的に婦女子のかたが出ておりますが、こういうのが従来は縁故募集と申しまして、大体各地域ごとに繋がつておるわけでございますが、これを今回は断ち切りまして、特に冷害地におきます婦女子に適当なそういう季節労務の需要に対しては、特別にそういう方面から従事させるということを持に指示をしたわけでございます。
 いま一つは、来年の学校卒業者の問題でございますが、これにつきましても先ほど申上げました縁故募集という従来の形は、この際は東北地方の冷害地につきましてはとらないで、特に優先的にその婦女子を斡旋してやるということも、これも行うということで実は指示したわけであります。なおいろいろ現実にはお話の通り問題の起る予想がありますので、私どもとしましては、できるだけ事前に情報をつかみまして、今後も対策を立てて行きたいというふうに現在考えておるわけであります。具体的な例等につきましては今のところつかんでおらないのであります。
#4
○市川房枝君 一昨日でありましたか、本会議で労働大臣が深川議員の質問に対してお答えになつておりますが、そのときにたしか人身売買の問題を解決する一つの方法として、資金の貸付制度のようなものを考慮するとおつしやいましたけれども、それは如何ですか、労働次官から伺いたい。
#5
○政府委員(安井謙君) 市川さんにお答え申上げますが、先ほども御指摘になりましたこの婦人の人身売買、殊に年少婦女子の人身売買につきましては、労働省も非常に大きな関心を持つて、いろいろそれぞれの専門部局で検討いたしておる次第であります。その対策の一環といたしまして、そういつた事情にある、境遇の子女を対象にいたしましてそういつた売買を免れる一つの方法として、一定の資金を貸付けるような機関を設けて、これが救済を講じてはどうかということを目下労働省内部でも鋭意研究いたしております、まだいろいろな金融操作の面、技術的な面或いは資金、予算の面から、結論にまで到達しておりませんが、御指摘のようなものを今後とも何とか実現できるならいたしたいということで研究しておる次第であります。
#6
○市川房枝君 それはあれですか、近いうちに成案を、案をお作りになつて、通常国会にでもお出しになる御予定なんですか。
#7
○政府委員(安井謙君) 只今案としていろいろな角度から作つて検討いたしておるのでございますが、直ちに通常国会へ出せますかどうか、今のところちよつとまだ検討中なのであります。
#8
○市川房枝君 これはまあ労働省の所管と違うかも知れませんけれども、積極的にそういう事態を探すというのは、これは警察でありますか。労働省はただそういう受身の立場で、主として受身の立場でそういう問題があることを探るという立場になりますか、それは如何ですか。
#9
○政府委員(安井謙君) 必ずしも受身だけではございませんので、そういつた違反の事例が出て来ますれば、これは労働関係のいろいろな法律に照しまして、積極的に取締にも乗り出す場合もございます。個々の事例につきましては、若しかございましたら安定局長のほうから。
#10
○市川房枝君 私が申上げましたのは、そういう今の次官のお答え頂いたような、直接そういう事態を探し出すといいますか、そういうことまではなすつておらない、例えば職業安定のほうで、たまたまそういう事件が出て来たというものを拾い上げておやりになる程度でしようかどうでしようかということです。
#11
○政府委員(安井謙君) そいつは何でございますね。労働基準法の関係からもこれはむしろ積極的に取締る面も出て来ておりますので、基準局長からちよつと。
#12
○政府委員(亀井光君) いわゆる人身売買に対します。法規の違反の関係から申しますと、一つは労働基準法の中間搾取の規定によりますのと、それから先ほど御指摘のございましたように、無許可で有料の職業紹介をするのと、労働関係の法規の違反としましてはこの二つの面があります。で労働基準機関といたしましては、積極的に中間搾取を行いまするものを排除しなければならんという責任がございますが、警察並びに検察庁と相協力しながらその被疑者の発見に努めておる次第でございます。又現実の面から申しますと、監督官がその被疑事件を発見いたしますると、労働基準法では罰則が罰金刑でございます。ところが無許可の有料職業紹介の違反は体刑が科せられるわけであります。現実の面は、中間搾取として検挙し、これに罰則を加えるにつきましては、労働基準法並びに職安法違反というもので体刑を科するような方向で検察庁は取上げておるわけでありまして、我々もそういう面から絶えず重い刑を科しまして、こういう事件の撲滅を図るように検察庁と絶えず連絡をしておる次第でございます。
#13
○市川房枝君 私設の職業紹介は労働大臣が認可すればできますのですね。
#14
○説明員(江下孝君) さようでございます。
#15
○市川房枝君 この間宮崎県におきまして芸者の紹介ですか、内容は芸者の紹介をする機関なんですが、名称は芸能斡旋所という名称で以て許可の申請があつたようでございますが、それに対しましては宮崎県の婦人団体或いは県の児童課の反対が相当強うございまして、それから宮崎の市会でも、請願をいたしましたのが採択になつたらしいのでございますが、それは併しそれぞれ書類として労働本省に申請が来ておるようですが、それはどうなつておりますか。或いは書類として一応整つておれば、労働省として許可する御方針なんですか。そういう労働省が許可しておいでになりまする私設の職業紹介機関というのがどれくらいあつて、どんな種類のものであるか、ちよつとお伺いしたいと思います。
#16
○説明員(江下孝君) 御指摘の芸妓斡旋所でございますが、実は職業安定法でこういう芸能関係の人につきまして、私設の職業紹介所を許可いたしましたのは、これはむしろ現在あります無統制な封建的な搾取状態をこれから解放しよう、芸者といえどもはつきりした人権を持つたものとして職業紹介を受けて自分の仕事をする、こういう建前から実はできておるわけでございます。従いまして私のほうではこれについていろいろ勿論施設の問題もございましようし、或いはその経営を行いまする人の徳性の問題もございます。いろいろな点を検討いたしましてこれならば人権蹂躙に陥る虞れはないという点を確認いたしまして許可をいたしておる次第でございます。御指摘の宮崎県からの斡旋所の申請は参つております。参つておりますが、お話のような点について若干疑点がございましたので、目下県のほうに事情を照会中でございます。
 それからこれと同じような斡旋所は、これはひとり芸妓だけでございませんで、そのほか理髪師、或いは医師、歯科医師、相当ございますが、全部で千二百ばかりの許可をいたしております。
#17
○市川房枝君 そういう私設の職業安定所といいますか、これはその間に搾取というようなことがないようにということでごさいましたが、そういう調査はしよつちゆう警察もなさつておりますか。
#18
○説明員(江下孝君) 実際の調査は各府県の職業安定課或いは職業安定所でやつておるのでございます。絶えず報告を受けております。
#19
○市川房枝君 理髪師とか歯科医師だとか、割合にそういう一般の職業のほうは或る程度安心してもいいかも知れませんけれども、いわゆる芸妓の紹介は私どもから見ますと、そこにやはり人身売買が行われる危険も多分にありますし、或いは搾取の問題もあります。宮崎県のは、何でも聞きますと、歩合が置屋のほうが二五%、二割五分ですか、それから本人のほうが七割五分というお話ですけれども、まあそれは搾取でないのかどうかわかりません。或いはそういうように表側に出した通りのものが実は励行されるかどうか、多分に疑問がありますけれども如何でしよう。
#20
○説明員(江下孝君) 具体的になりますと、私も答弁に窮しますが、今のパーセントは、結局芸妓とはいいますけれども、不当にこれは手数料を取つたのでは何ら民主化の線に沿わないことでございますから、私どもといたしましては、一応一割程度以内なら、まあいろいろ諸経費もかかるから止むを得んじやないだろうかという一応の線で考えております。
#21
○市川房枝君 宮崎県のは御調査の上その態度を御決定になるのでしようけれども、その結果を伺わせて頂きたいと思つております。そうしてその御調査の内容も併せてお伺いいたしたいと存じます。人身売買の問題は、今いろいろお話を伺いまして、将来に対していろいろ対策をお立てになつておるようでありますし、或いは調査をなさつておいでになるようでありますから、私としては調査が或る程度でさましたら御報告を伺いたいと思つております。
#22
○委員長(栗山良夫君) 只今の職業安定法違反の問題ですが、今市川委員の質問についていろいろ答えられたのですけれども、ここで今後調査をせられる関係がありますから二、三私からもお願いをしておきたいと思います。
 その一つは、今職業安定法の枠の中で私設の職業紹介機関というものが許可をされておる、こういうことを一言われました。でその中に例えば芸娼妓の……娼妓はないでしようが、芸妓の斡旋というようなことがある場合に、形は非常に合法的になつているわけです。合法的な職業紹介が行われている。併しその内容が、果してその言われるところの中間搾取或いは人身売買、そういう行為を伴つているのかいないのか、その点が私は問題だろうと思うのですが、我々が時たま耳にするところによると、どうもそういうことがあるような気がするのです。それから又もう一つは、藤田局長のお話ですと、凶作が直接原因になつている人身売買はまだ表面へ出ていないとおつしやつたのですが、出ていなければ結構ですけれども、それも引つくるめて経済界が非常に不況になつて来た、そのしわ寄せが農村なり或いは貧困県へ行きまして、そうしてその結果として、現実に人身売買或いはそれに似た行為が行われておるのを僕らはやはり若干知つておるのですが、従つてそういう点を掘り下げて、労働省で一度厳密な調査をせられる必要があるのじやないかと思うのです。でその点についていろいろ御協力を願うわけですけれども、或る意味で非常に重要な問題ですから、積極的に一つ掘り下げて、現在行われておる実態の全貌がわかるような工合に、緊急に一つ結果をまとめて報告できるように御努力願いたいと思います。
#23
○説明員(藤田たき君) 私の先ほどの言葉が足りませんでしたかも知れませんが、直接の原因としては、只今出ているのは私どものほうでまだ把握しておりませんけれども、毎年といいましても、今頃より一月、二月のほうがもつとたくさん出るわけであります。人身売買は……。でありますから今度一月、二月ということになりますと、なお更に余計数が殖えて、もう少し又端境期が来ればもつと多くなるだろうというように憂慮しておりますので、私どもといたしましては、今委員長のおつしやいましたように、鋭意問題を掘り下げていたしたいと存じておりまして、現在も努力しておりますから御了承頂きたいと思います。
#24
○阿具根登君 婦人少年局長に今の問題に関連してちよつとお尋ねしたいことがあるのですが、十月の初めだと思いますが、糸島郡に十六才未満で放火したというような事件があつたようです。而もそれは放火したのではなく、未成年だから罪が軽いのだということで非常に強制された。こういうようなことが一部に書かれておつたようですし、あの実態を調べて見れば、十六才未満の人が農家に、親のほうで金は取つて働きにやつておる、こういう違法行為をやつておるようでありますが、これについて何か地方のほうから報告が来ておるかどうか。こういう事態が起つたことは、恐らく来ておると思いますが、只今の人身売買の点につきましても、何かそういう実態がないということを言われておるが、事実はそのことが非常に喧伝されておる。又先ほどの市川委員の芸妓の問題につきましても、二割五分と七割五分ということを言われておりますが、私たちは詳しいことはわかりませんが、恐らくそういうものではない。先ほどのお話では一割ぐらいが妥当たということを言われたけれども、実際そのくらいでやられておるかどうか。その二点をお願いいたします。
#25
○説明員(藤田たき君) 私どものほうに大阪と兵庫と、それからその他二、三のところから来ておりますが、福岡のほうからは、また婦人少年室から連絡が、ございません。
#26
○阿具根登君 基準局のほうは。
#27
○政府委員(亀井光君) 基準局のほうにもまだ具体的に来ておりません。
#28
○阿具根登君 要は不十分であるために、恐らく完全な処置ができないと思うのですが、こういう事態が起つたので、これは当然調査をしておるものと私は思うのです。殊に福岡あたりは非常にこういう問題が多いのです。水害、冷害、これについては東北になつておりますが、どちらかと言えば福岡等の工業地帯、或いは非常に貧農の多いところでこういう事態が起つておるけれども、表面に出ておらない問題が多い思う。たまたま出た問題について調査されたならば、相当多くのこういう違法行為がやられておるのではないかと思う。まだ報告が来ておらんとすれば仕方がありませんが、一応調査して頂きたいと思います。
#29
○説明員(藤田たき君) 手数料等におきましては、すべて許可をします際に、幾らということで実は許可しております。その限度が大体一割程度ということできめてあります。それによつてその許可を受けました業者はやつておるものだと私は思いますし、今までそういう大きなそれについての違反事件については実は報告が参つておりません。併し数ある中でございますから、或いは潜つてやつておるという者があるかも知れません。これは私どものほうでも調査をいたしまして、是正さして行きたいと思つております。
#30
○阿具根登君 表面はそうかも知れませんが、実態を私ども知らないから、ここで押すことはできませんけれども、中間搾取という、そういう法の裏に隠れてやられておるということになれば、弱い女の人は泣きながらそれに堪えておるのだ。私はこういうことを市川委員も言つておられると思うのです。そういう点、特に慎重に調査をして頂きたい、そうして報告をして頂きたいと思います。
#31
○田畑金光君 若干只今の議題とはそれるかも知れませんが、この際は関連をしますので安井政務次官にお尋ねしてみたいと思います。
 今伝うるころによりますると、臨時行政改革本部ができて、塚田行政管理庁長官が中心となつて各省の機構改革に乗り出しておるそうであります。恐らく労働省等においてもそれぞれ検討されておるものと思うわけですが、いつの機構改革の場合でも問題になつて来るのは婦人少年局、或いは各府県における婦人少年室の問題になるわけです。一体今回の行政改革に関連して労働省の機構一般についてどういう角度から検討をなされておるのか。又これに対して労働省当局としてはどういう態度を以て臨んでおられるのか、先ず婦人少年局を中心とした構想をお聞かせ願いたい。
 それからもう一つは、これは御承知のように、府県に参りますると労働行政は県の労働部労政課になつておるわけです。職業安定行政になつて参りますると、人事、予算の面は中央に直接繋がつておるが、その業務上の指揮監督は地方長官が今それをやつている。従つて労政課と職業安定課の問題は、出先機関の整理においてどう調整するかということが出て来よう思う。
 それからもう一つは、労働基準局の機関である地方の労働基準局或いは労働基準監督署、こういうような実は出先機関の問題もあります。従つて行政機構の今回の改革というものは、いわゆる機構の簡素化によつて国の財政を節減しようという狙いが大きく出ておると考えております。又同時にそのことは行政の能率の促進ということを一面において充足しなければならんと思うのです。
 従いまして又第三の問題といたしましては、単に中央の行政機構のみならず、地方の出先機関も総合的に検討せられなければならんと考えておりますが、要するに行政の改革がこういう面からしてどう取上げられておるか、一応この点についてお答え願いたいと思います。
#32
○政府委員(安井謙君) 行政機構の点についてのお尋ねでございまするが、政府が行政機構の簡易化、合理化を目途として研究いたしておりますことは、新聞等でよく御承知の通りであります。併し結論といたしましては、まだ最終的決定は何ら見でおりません実情でございます。
 そこで労働省の問題でございますが、第一にお尋ねの婦人少年局を中心にした本部の機構をどう変えるかというお話でございますが、婦人少年の問題は、申すまでもなく非常に重要な問題でございまして、従来より更にもつと一層十分な活躍をして頂きたいという希望を持つております。ただ財政面その他からいろいろ制約がありまして思うように行かん面もございますが、これを機会にこれを縮小するとか、或いは合併するとか廃止するとかいうようなことに向うというような意図は毛頭持つておりませんし、又そういうようなことには決してならないと存じておりります。従いましていろいろ当委員会でも御心配頂いておりますように、労働省本省の機構をどうするかという問題につきましては、皆様の御鞭撻もありまして、目下のところ恐らく変更はあるまいというふうに考えておる次第でございます。
 それから次に地方機構につきましては、おつしやる通り労働基準行政、安定行政、労政行政の三つがそれぞれ窓口が違つたような形になつております。多少事務能率上悪いとか、或いは統一を欠きやすいかといつたような懸念もないじやないのでございますが、基準法の精神或いは職業安定法の精神といつたようなものは、これは御存じの通りILOの労働憲章の関係もございますし、やはり国で相当統一した行政をやるのでなければ実際の効果は挙がらないし、又不適当であろうというふうに労働省は考えております。従つてあれを今一まとめにして完全な意味の地方機関へ移してしまうというようなことは適当でなかろうというふうに考えておる次第でございます。これも併し只今どうするという結論が決定的に出てはいない段階でございます。
#33
○田畑金光君 今の安井政務次官の御答弁で、中央の機構に関する限りにおいては婦人少年局等の廃止その他の問題は考えていないという明確な御答弁がありましたので、これに信頼をおきたいと思います。
 ただ問題は、こういう婦人年少労働者の問題がいつも取上げられているにかかわらず、政府の行政機構の改革の際にはこういう面が常に縮小の対象になつておるということは非常に遺憾だと考えております。先ほど来人身売買の問題についての御質問がありましたが、遺憾ながら婦人少年局を中心とする婦人少年室の調査等もまだ十分に整つていないように見受けられます。私も福島県におりまするが、東北の冷害、殊に又福島県は非常に冷害においても特にひどい打撃を受けておりまするが、地元においてはこういう事件が非常に多く散見せられます。こういうようなこと等は婦人少年局、婦人少年室の機構の十分なる活動というものを私は要請したいと思うのです。ただ同時に又そこに活動できるだけの予算的な裏付けがあるかどうか。こういうような問題等については、これは現在の政府の労働政策一般に関する問題であるので、重大なこれは政治的な問題でありますので、こういうような点は一つ安井政務次官等においても十分に留意されたいと、こう私は要望したいと思います。
 それともう一つ、私関連してこの際お尋ねしておきたいのは、労働省の機構改革の際に常に問題となるのは、地方における労働委員会の事務局を労働部の労政課に吸収するかしないかという問題です。これは労働省の肚としては、卒直な肚としては吸収したいという肚たと思います。いつのときでもこれが問題になつております。先般全国の労働委員会の全国協議会がありまして、この協議会におきましてもこういう機構改革については反対であるという強い意思表示が政府当局になされたと思つております。これは毎年の全国地労委の協議会において同様の決定をなさねばならんほど政府は常に、或いは労働省自身が常に労働委員会事務局を労政課に吸収しようという意図を持つて臨んでおる、こう私たちは見受けております。問題はこれが筋道としていいかどうか。労働委員会というものと労政課というものとの機能というものが、一体同じ課内において処理できるかどうかという問題です。労働委員会というのは、御承知のように労使、公益三者構成で、飽くまでもこの三者構成というよさによつて運営しなければその生命がない。而もそれは労働紛争議の調整或いは調停、裁定の機能を持つのが労働委員会であり、それを担当しておるのが労働委員会の事務局である。若し仮にこれを労政課に吸収するとなれば、どうしてもこの労働問題というものに対して或いは労働省或いは時の政府の権力介入というものが必然的に出て来る。労使の紛争というものは、労働問題の最も集中的な表現だが、その中に労働官僚や労働省或いは政府の介入する余地を十分に残して来る。この問題は、私は単なる予算の節約とか或いは単なる行政機構の整備という問題じやなくして、いわゆる労働部の労政課の機能というものと労働委員会の事務局の機能というものとは質的な違いがある、こう見ております。私も五年間地方労働委員会の経験がありまするが、十分に末端におきましてこれらの両機構の違いというものについては認識を深くして来たような感じがいたしまするが、この点について労働省はどういう考えを以て対処されようとしておるのか、この際特に承わつておきたいと思います。
#34
○政府委員(安井謙君) 第一に、今の婦人少年局の今後の活動の面の御要望でございまするが、御趣旨のほどはよく体しまして、今後とも十分な活躍を期したいと思つておる次第であります。
 それにつきまして、余談でございますが、労働省の内部で、只今婦人少年室の各地方のものが非常に予算や人員で制約されて、活動が不十分だというようなことを補いますために、只今名称は確定いたしませんが、婦人少年室協助員といつたような、地方の婦人の有識者と申しますか世話役を、これを非常勤の公務員にお願いいたしまして、非常に活撥な、経費も成るべくかからんで、而も実効を挙げるような方策を目下考慮中で、これは恐らく実現に移るようなことに相成るのじやなかろうかと思つておる次第でございます。
 それから只今の労働委員会の事務スタッフの問題でございますが、これは労働省があの事務スタッフを成るべく自分の手許へ、或いはその地方の機関へくつ付けて、これに吸収しようというような考えは、これは毛頭持つておりませんで、従いましてその委員会の事務局と地方、労政機構を一本にするようなことを慫慂いたしておるようなことはないつもりでありますし、今後もいたさないで、でき得る限り、委員会のスタッフ自体に十分活躍して頂くようにするつもりでやつております。
#35
○田畑金光君 最初の協助員の問題については、もう少し我々性格、又今後の運営についての構想を聞かんと、賛否の意見は申上げられませんが、これについて若し婦人少年局長から固まつた構想があるなら一つお聞かせ願いたいということと、それから第二の問題である労働委員会の事務局を労政課に吸収するかどうかという問題ですが、安井政務次官はそのような肚は毛頭ない、こういうような御答弁でありますので、それを本当に将来労働省としては貫いて行くのかどうか。今の小坂労政も、飽くまでもその基本的な線を守つて行こうとするのかどうか、改めて二つ明確なる御答弁をお願いしたいと思います。
#36
○政府委員(安井謙君) 小坂労働大臣はそのようなお考えで労働行政を扱つておられますことを、私から代つてお答え申上げて差支えないと思います。
#37
○説明員(藤田たき君) 只今の婦人少年室協助員という名前に大体きまつております。そうして指導員は、社会的に信望があつて、婦人少年問題に関し深い関心を持つている人々の中から労働大臣が委嘱するのでございますが、特にその担当地区を管轄いたしておりますところの労働関係官との交渉、つまり監督署長や安定所長や労政事務所長などと婦人少年室長が相談いたしまして、推薦をいたしまして、その人員、その候補者につきまして労働部長、知事などの意見も聞いて、労働大臣が委嘱することになつておるのでございますが、何を申しましても予算が取れませんものですから、来年度は是非頂きたいと思つておりますが、この方々にまあ厚意的にその年少者、婦人たちのために熱意を持つて連絡をして頂く、そうして又研修なども余りできませんので、まあ婦人少年室長が中心となりまして、いろいろとどういうことをして頂きたいかということをできる限り書面などで以て連絡して、殊に当分の間は売春問題、人身売買について活躍してもらいたいというふうに思つておるのでございまして、大体人員は千名まではいいことになつておるのでございますが、只今のところ八百名にいたしまして、先ほど御指摘になりました福岡などにおきましても二十八名を割当てておりまして、その二十八名というのは、一般的に割当ててあるのでございますけれども、なお福岡などは人身売買や売春の問題も非常に真に憂慮されるところでございますので、そのほかにもう四名だけ追加して、三十二名置きたいと考えております。ですけれども予算措置がまだはつきりいたしておりませんので、どれだけ活躍ができるかわからないような状態でございます。
#38
○阿具根登君 大臣の出席がないので、一応動議としてお願いしておきます。私十一月二十五日の経団連における首相の挨拶に対する質問をしたいと思いますから首相、並びにそれに関連して仲裁裁定その他の問題につきまして小坂労働大臣に質問いたしたいと思いますから、午後から御出席願うように取計らい願いたいと思います。
#39
○委員長(栗山良夫君) 只今阿具根君から発言の要求がございましたが、午後引続いて委員会を続行いたしますので、委員長のほうにおいて出席のできまするように交渉いたしたいと思います。ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#40
○委員長(栗山良夫君) 速記を始めて。それでは一時まで休憩いたします。
   午後零時十五分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時十五分開会
#41
○委員長(栗山良夫君) 休憩前に引続き会議を開きます。
 午前中の会議で、阿具根委員から、首相並びに労働大臣に対して質問を要求せられていましたが、只今すでの交渉では、衆議院の予算委員会に出席中なので出席が困難であるという事情になつております。どういう工合にいたしますか。
#42
○阿具根登君 それでは私の質問は直接総理大臣なり労働大臣にしたいと思いますから、保留しておきます。
#43
○委員長(栗山良夫君) ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#44
○委員長(栗山良夫君) 速記を始めて下さい。今日は駐留軍労組並びに特需関係労組の問題を取上げることになつておりますが、外務省からまだ出席がありませんので、それはあと廻しにしたいと思います。御了承願います。
#45
○委員長(栗山良夫君) 吉田委員から、労働金庫に関する問題で発言を求められておりますので、予定いたしました案件の前に若干時間がございますから、これを許したいと思います。御異議ござい委せんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○吉田法晴君 次官はおられませんが、労政課長、特殊金融課長に来て頂いておりますので、お尋たねいしたいと思うのですが、年末が近付きまして、それぞれの方面において或いは給与或いは年末手当の支払い等も行われており、或いは中小企業その他の年末金融について手当がなされつあるかのようでありますが、中小企業の労働者の年末手当等のために金融措置が必要だということは、これは御異存のないところだと思うのです。これにつきましてどういう措置或いは考慮がなされておりますのか。今まで労働省の労政当局或いは大蔵省の特殊金融課において如何なるお考えを持つておられるか、承わりたいと思います。
#47
○説明員(有馬元治君) 只今吉田委員からのお尋ねの点でございますが、労働省の労政当局といたしましては、この年末の特に中小企業の労働者のための賃金の遅欠配、或いは年末手当の何といいますか、資金的な裏付け対策は、直接には今までには何ら措置をしておりません。これは御承知かと思いますが、すべて中小企業金融対策として、事業主に対する金融対策を大蔵省が中心になつて考えておられますが、それのみを、それのみといいますか、政府としてはやつておるので、労働省として特に年末賃金対策、給与対策という面から特別な資金手当をする、或いはしたというようなことは今までやつたことはございません。
#48
○吉田法晴君 今までしたことがないから今度もしない、こういう御答弁だと思うのですが、甚だ職を空しうするといいますか、無責任な話だと思うのですが、公務員について或いは公社の従業員について現在年末手当、或いは勧告、裁定に基く給与をどうするかということは、国会の一番大きな問題となつておることは御承知の通りであります。勧告、裁定について或いは実施する責任がない、かようにお考えになるかも知れませんが、現に本会議における答弁等は労働大臣がしておられる。民間産業について、或いは私鉄その他この間から相当の犠牲を払つて或いは問題もあつてああいう経緯になつておることも御承知のことであります。その他中小企業、相当大きな中の企業を含めまして、これからの給与或いは年末手当、その資金がどうなるかということも、これは労政当局として大きな問題だろうと思うのです。水害の際にも労働省はお気付きになりませんでしたが、労働者の生活資金その他の緊急な必要から、水害対策の中で労働者の資金を融通してやる必要が起り、それが当委員会を初め国会の御決議になつてあの労働金庫の融資になつたことは私が申上げるまでもないのです。この事態になりまして何も考えておらんというのは無責任だと思う。お考えになつておつても、実はまだ成案と申しますか、大蔵省と折衝し、十分な見通しを得ておるところまでは行つておらん、考えるのは考えておるのだけれども、まだ具体的な結論に到達しておらんというのが御答弁の本旨かと思うのです。そういう必要についてお考えになりますか。或いは賃金の遅欠配或いは越年資金等々のために融資の必要があるか。それからその融資の方法について、従来は中小企業金融として経営者に融資をしてやるということは考えられて来たけれども、まだ労働金庫を通じて融資をするというところまで来ておらんと、こういうことですが、最近の実績に鑑みまして、労働金庫を通じて融資をするということについてお考えを頂いておるかどうか。或いはその具体的な必要金額等も考慮の上検討を頂いておるかどうか。一つ重ねてお尋ねいたします。
#49
○説明員(有馬元治君) お尋ねの年末の中小企業の賃金対策として直接政府の資金を労金等を通じて融資をするという点につきましては、最近労金側から話を聞いた程度でございまして、これはまだ事務的に大蔵省当局と十分連絡をとり、打合せをする段階までに実は至つていないのでございます。というのも、従来この種の資金を労働金庫というふうな金融機関を通じて融資をするというふうなことは考えておりませんでしたし、この中小企業金融の対策を、この機会に新らしく要望されておりますような方法で以て融資を図つて行くという点については、非常に大きな実は問題があるだろうと思います。と申しますのは、事業金融が中心になつて考えられておつたのでありますが、こういう労金を通じて貸出すということになりますと、もうそれがまあ生活金融という、資金の性格上からの問題が当然考えられなければならないと思いまして、この点は仮に今回の労金側の要望に基きまして或る種の金を流すということになります場合には、その点の何といいますか、資金の性格が全然違う生活金融に政府の金を出すという点で相当問題かありますので、この点は我々事務当局の段階で判断いたしかねる問題でございますので、いずれ政務次官なり或いは大臣なりから御答弁があるかと思いますが、我々としては、その必要性は事務的には考えられるのでございますが、資金の性質等から考えまして、今この機会にそれを政府として踏み切るかどうかというようなことは、やはり相当重要な問題であると思います。
 先に夏の災害の場合に、災害融資としてすでに北九州一円に一億六千万円、それから愛知に五千万円短期融資をいたしました。このときもこの委員会のいろいろな御協力によりまして政府として踏み切つたわけでございますが、あのときもやはり今までに例がなかつたというだけでなしに、やはり生活金融を政府資金で以て融資をするというところにいろいろ根本的な問題があつたのでございまして、その点今度年末の対策としてそういう種類の資金を流すという場合にも同じような根本問題が実はあるわけでございます。この点は今後事務的な問題でなしに、やはり政策の問題として考えなければ解決しないのじやないか、かように我々は考えております。
#50
○吉田法晴君 次官が帰られましたし、実はあわててお聞きしたいのですが、労金ができたのが、労働金庫法に基いてできましたのが実は今年、従つて政府として労金というものを特に考慮に入れて生活金融をするかどうか、こういう問題は今年の話であります。去年は考えなかつた、だから今年も考えないということにはならん。これは大きな変化だと思います。それが水害に当つて、水害後の生活金融を労金を通じて考えるという問題が起つたという大きな原因であると思います。年末に当りまして事業金融と申しますか、この事業、企業の賃金のための、あなたは生活金融という言葉を使われましたからそれを使いますが、年末を控えて多くの労働者が或いは質屋にかけ込むというような事情がますます殖えているということは事実だと思います。その越年資金のための金融を労働省が考慮すべき必要があるがどうか、こういうことをお尋ねをしたいのであります。副総理がおいでになつたようでありますから、答弁を求めますのもあとからで結構ですが……。
#51
○委員長(栗山良夫君) 阿具根君から総理の出席を求められておりましたが、総理は予算委員会の関係で出席が不可能でありますので、緒方副総理がおいでになりました。どうぞ。
#52
○阿具根登君 総理にお尋ねしたいと思つておりましたが、副総理がお見えになりましたので、質問いたしたいと思います。十一月の二十五日に経団連におきまして、副総理も一緒に行つておられたようでありますが、吉田総理の挨拶の中に、占領中政府でできたいろいろの法制、殊に労働法制のために物価が下がらないという点がある。こういう行き過ぎは政界が安定していないために今日に至つておる。併し政府は飽くまでもその線に沿つて前進して行きたい、こういうことを吉田総理は言つておられますが、どういうことを考えておられるか。労働法のどういうところを変えたいと思つておられるのか、どこが物価の安定に邪魔になつておるのか、労働法規のどこが日本の物価が下がらないという原因になつておるか、その点を副総理にお尋ねしたいと思います。
#53
○国務大臣(緒方竹虎君) 先月二十五日の経団連の評議員会に総理が出席したことは私承知しておりますが、このとき私は仕事の都合で、総理が帰えられましたあとに私行きまして、総理がどういうふうに発言されたかを私は承知をしておりません。今実はこの新聞を見て、労働法規に触れられた記事があることを知つたのでありまして、従いましてどういうことを総理が言うたということを、或いは言わなかつたということを申し上げる資格はないのでありまするが、ただ輸出貿易に関連し、或いはその他の理由で労働法規を改正しようとしておる事実は、私の承知しておる限りにおきましてはないのであります。閣議でも一度もそういう話が出たこともございません。この二十五日の総理の話については、私は何も言えないのでございます。実際私の承知しておる範囲ではその程度でございます。
#54
○阿具根登君 副総理は一緒ではなかつたので、総理が何と言つたかわからないとおつしやればそれまでですが、それでは先般十一月の六日の日に小坂労相は、仲裁裁定に統制をするというような発言をされておる。なお又このたびの二十五日の経団連の挨拶でも総理がそういうことを言つておられるということを見ます場合に、政府の中に労働法を改正するという空気が底流として非常に流れておる。こういうように解釈するものであります。なお又言われるのにこと欠いて労働法制のために物価が下がらない、こういうことを言つておられるということは、恐らく労働法を改正して労働者を弾圧せんというような下心があるのと私は考えておるのであります。
 副総理にお尋ねいたしますが、今副総理はそういうことは考えておらないと言つておられますが、総理の言われたその中に、今は政界が安定しておらないからやれないけれども、やるために準備をしておるのだ、こういうことを言つておられるが、今の内閣で労働法を改正する意思があるかないか。これをもう一回はつきりお答え願いたいと思います。
#55
○国務大臣(緒方竹虎君) 先ほど申上げました通りでございます。
#56
○委員長(栗山良夫君) 副総理は退席されるらしいのでありまして、委員長からこの問題についてちよつと一点だけお伺いしておきたいと思います。
 吉田総理が経団連の評議員会でどういう発言をされたかということは、この新聞の記事だけでは信憑性は私は若干ないかと思います。いずれ経団連のほうにおいては機関誌でこの速記でありますか、全文を発表されるということを聞いております。ただ評議員会での演説については割れるような拍手が起きて歓迎を受けられたということは私ども聞いておるのであります。その中心は、今阿具根君が質問された点に尽きるわけでありまして、特に我々が問題にしなければならんことは、二十九年度の本予算の編成のときに当つてはこの点も十分考慮してやりたいということがあるわけであります。或る程度時期的なずれもあるように思いますので、従つて当労働委員会としても非常に重要な関心を持たざるを得ないので、近い機会に当労働委員会へ総理の出席を求めて、そうしてどういうことを考え、どういうことを実行されようとしているのかをお尋ねいたしたいと私どもは考えるわけでありまして従いまして副総理から一つ吉田首相にこういう点が参議院の労働委員会で問題になつているという点をお伝え願いましてそうしてそのお考えになつている点を卒直にお述べを願うような機会を作りますから、さように一つ御協力頂きたい、こう考えております。
#57
○国務大臣(緒方竹虎君) こういうことが参議院の労働委員会において問題になつておるということは確かに伝えます。今の問題点につきましては、経団連の出版物を見た上で、総理が出席して説明をしなければならんかどうかということについては判断をいたしたいと思います。
#58
○吉田法晴君 一点だけ伺いますが、経団連の会合には新聞によりますと首相も出ておるわけであります。それから緒方副総理も出て演説をしておられる、小笠原蔵相も出ておられる、岡野通産大臣も出ておられる。顔ぶれから見まして、国会以上に経団連の会合を御重視のようであります。話の内容にいたしましても、国会でお話にならないことをお話になつておる。今の労働法制改正意図のごときもそうであります。この間、これは自由党だと思いますけれども、内閣のたしか五周年記念というのですか、席上で首相が言われたという言葉の中に、まだ日本は本当に自由を回復しておらないという本当の御発言があつたようであります。国会に出て来るとそうでない、国民をごまかすために、独立しておるかのごとき御発言があつたかのようでありますが、国会より或いは経団連或いは自由党の会合等々を御重視になる御精神、少くとも経団連の会合には副総理も出ておられますから、御重視になりますかどうか。それから話の内容についても国会よりもそういう会合のほうが本当を話す場所であるとお考えになつておりますかどうか、その点一つ。これは細かいことはわからなくても、副総理としてお答え願いたい。
#59
○国務大臣(緒方竹虎君) 経団連の会合を国会よりも重視しているということは絶対にございません。それからその経団連に国務大臣が大勢顔を連ねておるようでありますが、これは当日は三時から四時の間の時間のできたとき、その間の時間のどの時間でもいいから出て何か挨拶をしてくれということでありまして、出て参ります者も挨拶程度でものを言つて参つたような次第であります。
#60
○吉田法晴君 内容についても、国会ではしやべれんことでもそういう経団連の会合等にはお話になるのが政府の御方針かどうか。
#61
○国務大臣(緒方竹虎君) 方針ではありません。
#62
○委員長(栗山良夫君) 先ほどの吉田君の質問に対して答えてもらいたいと思います……。只今の緒方副総理の御答弁は、吉田総理の演説について阿具根委員が質問されたことに対して、緒方副総理は吉田首相の演説そのものについては何もお答えになつていないということははつきりしております。ただ緒方副総理として、内閣の一員として考えるところはこういう意見だということを述べられたに過ぎません。その点は本日の質疑の重要な点でありますから御了承願つてお寺ます。それから副総理に私からお願いをしました通りに、近い機会に経団連のほうの演説の内容等も、もう少し阿具根委員において確めて頂きまして、そうして質問の機会を得られるようにいたしたいと思いますから御了承願います。
#63
○政府委員(安井謙君) 労金を中心にいたしました年末金融の問題でありますが、労働金蔵法が議員立法で成立いたしました事情もございますし、労働省もその精神に副いまして、今後十分な活用をしたいと、いろいろ研究いたしておる次第でございます。
 更に年末金融につきましては、具体的にどうだということに相成るでありましようが、この点につきまして、まだ労働金庫法本成立した早々でございまして、直ちに今国家資金を直ぐそこに流入するということは、いろいろな事情から困難かと考えております。併しそれに代る方法に上り、できるだけその精神を活かす、又あの機関を活用するように今後も研究をして、速かに実現できるように進みたいと考えておる次第であります。
#64
○吉田法晴君 政務次官の御理解ある御答弁を頂いて今後の御努力を期待したいと思います。
 この労働金庫の必要性と申しますか、労働者の生活にそういうものからこの生活資金、或いは年末になりますと年末資金が必要な……、その緊急性については恐らく労政課長も御存じではなかろうかと思う。先般炭鉱の労働組合が高利貸の資金を貸りて、真綿で首を締められてそれが退職問題の際にも退職金に飛びついて行く大きな原因になつておるという実態が出て参つた。そこで高利貸による生活の一層の破滅を救うために措置をしなければならんと調査研究をいたしましたが、結局金になつて来るのであります。それは銀行から借りるわけにも参りませんし、労働金庫から借りる以外にないということで、その取引金額も集計いたしますならば、一県で以て億を越えると思うのでありますが、そういう生活実情の中で恐らく年末を控えては、そういう破滅への道と知りながら更に高利貸等に走らなければならない窮状があると思うのであります。恐らく中小企業の年末資金にいたしましても、或いはその中で特に越年資金等につきましても、その窮状が甚だしいものがあると考えるのであります。もう少し生活の実態を考えた上で、労政当局としては、申上げましたような労組を通じての年末金融に真剣味を持つて頂きたいということをお願いいたします。次官の御理解ある御答弁が今後の御努力となつて実を結ぶことをお願いしたいという要望をいたしたいと思います。
 特殊金融課長に来て頂いておりますが、特殊金融課長は受けて立つているお立場でございますから、恐らく努力をしておられると思うのでありますが、具体的なお話をして頂くものがあれば御答弁頂きたいと思うのでありますが、努力を期待いたしまして私の質問を終りたいと思います。
#65
○政府委員(安井謙君) 吉田委員からいろいろお話がございまして、よく事情はわかつております。それから労働省の労政当局に熱意が足らん部面があるやの御発言もございましたが、実は私どもむしろ実情を申しまして、事務当局から突き上げられるほど当局はこの労働金庫を、特に年末金融の問題については努力は実際いたしております。ただ責任上明確な表現ができなかつた事情がありまして、いろいろと誤解を頂いておるかも知れません。先だつての風水害対策の金融問題にしましても、実は労政課長以下非常に努力をいたしておる実情を一つ御了承頂きたいと存ずる次第であります。
#66
○委員長(栗山良夫君) 特殊金融課長にちよつとお尋ねしたいのでございますが、先ほど労働者の生活保護のために、資金を労金へ流してやるという精神については別に否定になつておりません、協力の途があればしたいということでありますから、その点は了解するわけでありますが、現実に国家資金なり或いは運用部資金なり、その他の資金を労働金庫へ流すというような場合に、いろいろ従来の慣例からいつてこういう資金はこういう点に難点があつてこういう場合に困難であると、或いはこういう資金なりこういう途があつてできそうだというようないろいろなケースがあろうかと思いますが、それをここで御専門の立場で一つ我々に智恵を借して頂きたいと思いますが……。
#67
○説明員(有吉正君) 現在におきまして、金融によりまして各種の政策を行なつておりますもの、つまり財政資金を入れまして金融の円滑を図るという手段にはいろいろな手段がございます。例えて申しますならば、第一には、財政資金を直接に国民大衆に貸付ける制度でございます。これは現在国民金融公庫なり或いは中小企業金融公庫、或いは住宅金融公庫、又農林関係におきましては農林漁業金融公庫と、かかる制度があるわけでございます。そのうち住宅金融公庫を除きましてはすべて事業資金に対する供給でございます。消費金融に対しては一切財政資金は直接には出ておりません。我々といたしましても、消費金融というものを財政資金によつて賄うことを等閑視しておるわけではございません。ただ問題になりますのは、財政規模の問題でございます。財政資金が極めて窮屈な現状におきましては、できる限りそれが効率的な運用を図つて参らなければならん、かように考えるわけでございます。今後の財政資金の規模の点を睨み合せまして、或いはかかるそれぞれの政府機関でございます公庫が、直接に消費金融までも行い得るような態勢になし得ることも考えられ得るかと思います。併しこれにつきましては、現在の財政規模の点からなかなか遠い将来のことではなかろうかと、かように考えておる次第でございます。
 次に直接に財政資金を貸付けるわけではございませんが、例えて申しますならば、国庫余裕金の指定預金を金融機関に入れまして、これが間接に貸付けるというような形のものがございます。これが指定預金という形でいわれているものでございます。この制度につきましては、従来根本的な考え方といたしましては、国庫に金の余裕のある限り、又而も金融機関が時期的に資金が足りないという場合の資金のバランスをとるということが主たる狙いでございます。従来は一般の市中銀行を中心としてこれが預託を行なつて来たわけでございます。その限りにおきましては何ら政策的な意味は持ちません。単に国庫の金の資金繰りという点と金融機関の資金繰りという点を睨み合せただけのことでございます。然るに最近に至りまして、中小金融の逼迫のことから、これが中小企業に特に利用し得るように、中小金融専門の諸機関、例えて申しますならば商工組合中央金庫なり或いは相互銀行、或いは信用金庫に対して預託されるというような形になつて参つたわけでございます。又銀行におきましてもこれが預託はされております。併しこれも本来中小金融というものの疏通を図るために銀行に預託されておるという形になつておるわけでございます。この預託金につきましても、その額に一定の限度がございます。又その期間と申しましても非常に短期なものが本来の形でございます。かかる指定預金につきましても、現在市中銀行なり或いは相互銀行、信用金庫がみずからの資金によつて融資しておりますものに比べますと、誠に微々たるものでございまして、例えて申しますならば、相互銀行なり信用金庫におきましても、全体の資金量の僅か三%にも及ばないと存じておるわけでございます。従いまして現在かかる国庫の余裕金というものもますます減少を告げて参るというような状況になりましては、これが資金の運用と申しますものも、できる限り効率的に行うのが筋でなかろうかと、かように考えたわけでございます。特に中小金融、現在最も困つておる部面に対しまして、その資金繰りを幾らかでも楽にするという意味におきまして、中小金融の専門機関にこれが預託が行われておるということに相成るわけであります。先ほどからも御質問にございます通り、中小企業者の従業員でございますところの労働者のかたがたが、年末にかけまして非常に資金が苦しいということに相成つて来る問題につきましても、中小企業者にいささかなりとも金融の便がつきますならば、これが間接的に或いは労働者のかたがたに潤うという面が出て来るのではなかろういと我々としても考えておる次第でございます。
 ただ問題はそれだけで十分であるかという御質問になろうかと思います。私どもといたしましてそれが十分であるとは必ずしも申せません。我々としまして、十分に慎重なる態度を以ちましてこれが検討を加えて参りたいということはかねてから念願しておる次第でございます。併し如何にせよ、指定預金にいたしましてもその額が極めて限られた額でございますので、これが運用というのはなかなかにむずかしい問題が潜んでおると御承知願いたいと思います。勿論中小企業金融機関のうち、すべてのものにこの余裕金が出し得るということにも現在のところまだなつておりません。例えて申しますと信用組合、これに対しては現在のところ出ておりません。ただ信用組合は商工組合中央金庫の系統的な金融機関でございますので、商工組合中央金庫に預託されましたものの極く一部が信用組合に対しまして貸付けされておる。それによりまして信用組合の資金繰りを幾分でも楽にするというような配意は加えられております。併しその際においても、信用組合のいわゆる業種的な信用組合というもの、例えて申しますならば、織物業だけを専門にやつておりますかたがたが集まられて作られた信用組合というものにはこの商工中金からの余裕金の通ずるところの貸付というものはまだ出ておりません。かかる観点から申しまして指定預金の運用というような点につきましても、これが効率的に中小企業者に直接に潤おわすようにというだけの配慮によつて現在なされておるということを御承知願いたいと思います。
 なお、先般風水害の関係によりまして労働金庫に対しまして資金運用部から府県を通じて融資が行われたという事例がございます。これは当時の情況から申しまして、労働者のかたがたも非常にお困りであつたということの事実を取上げまして、特に府県が密接なる関係があるということで、府県から労働組合に直接に金を出したわけでございます。その尻と申しますか、その結末を或る程度資金運用部が面倒を見たという形に相成つておるわけでございます。
 今後労働金庫といたしましても、府県との間になお密接な関係がございます労働者のかたがたが、年末にかけまして、又或いは下時の場合におきまして非常にお困りになる部面もあろうかと存じます。その際におきまして先ず第一に私ども考えますのは、やはり府県というものとの繋がり、それによりまして国庫との繋がりといたしましては、やはり資金運用部その他との関係ということも、その資金繰りを睨み合せながら慎重に検討して参らなければならん、かように考えておるわけでございます。何分にも資金運用部自身の金というものにもやはり制限がございます。勿論これが短期間に運転し得るものであることが前提になりますならば、若干考えるところもございましようと思いますが、すべてはこれらの資金源の問題というものが併せて考慮せられなければならんということに相成ろうかと思います。いずれにいたしましても、国庫の財政資金によりましてこれらの金融を円滑にするということには、金額の面から非常に限りがあるということを御了承願いたいと存ずる次第でございます。
#68
○田畑金光君 安井政務次官にお尋ねいたします。先般労働金庫法の制定に当りましては、安井政務次官自身大変御努力願つて、議員立法が無事制定されたわけですが、労働金庫法の制定というのは、単に従来の中企法に基く労働金庫の運営が、その基本的な理念において或いは性格等において各般の支障が起きて来たので、労働金庫法単独法を制定せざるを得なくなつて来た、これだけの事情に基くものとは考えておりません。又全国に労働金庫が数多くできたという既成事実の上に単に立法された、それだけに終つておるとも考えておりません。労働省も金庫法案の制定については熱意を入れて協力されたことも我々認めておりまするが、労働金庫法制定は、法の制定そのもので終つておるとは考えておりません。金庫法が制定された以上は、この法に基く労働金庫の今後の内容の面においても、経営の面においても、労働省としては労働政策の一環としてこれを保護助長して行こうとする考え方に基いてこの立案に協力されて参つたと考えております。
 一つこの際お尋ねしたいのは、労働金庫法制定によつて終つたのではなくして、この法の制定と共に今後の労働金庫の強化発展のためには労働省としては十分に協力される、こういう立場で一貫されておると考えまするが、この点について先ず第一点承わつておきたいと思います。
#69
○政府委員(安井謙君) 田畑委員にお答え申上げますが、労働金庫法が議員立法でできたのではございますが、その精神は労働省といたしましては、政府提案にも劣らないだけの熱意を持つて今後その育成発展に努力をいたす決心であることには変りはございません。更にそのためにはより以上の実を挙げるべく折角今日事務的にも或いは技術的にもいろいろの方面から検討中でございます。
#70
○田畑金光君 金庫法が制定され、或いは政令が施行されてから、監督官庁としての労働省、大蔵省の指導監督の面におきましては、殊に労働省はいろいろな面において熱心にやつておられることも我々も聞いておるし、又実際見ております。併し本当の労働金庫の育成強化というものは、金庫法に基く免許の手続の問題とか或いは業務の内容についての指導というよりも、むしろ金庫運営の根本になるものは、どうしても金融機関であるという性格上、資金の面と、こういうような面について左右されて来ると考えております。労働省の指導の点は、技術的ないろんな面におきましては非常に熱心であるということは我々認めまするが、いま一歩突込んで、この資金面等において協力してもらわなければ画龍点睛を欠くという憾みがあるわけでありまするが、今その問題点として出て来ておるのが、今回の労働金庫の年末金融の問題だと考えております。先ほど次官のお話によると、事務当局から突き上げられておるぐらいに熱心にやつておられると、こういうお話でありまするが、努力の経過についてはよく了承いたしまするが、一体年末金融について今労働金庫協会等からの要望がなされておるというが、年末を目の前にしてどの程度の実現性を持つておるのか。或いは大蔵省と話合いの上に立つてどの程度だつたら最小限実現できるとか、こういうような点について具体的なできれば計数と申上げたいが、そういうようなこともまだやつていないと思うし、具体的な一つ見通しについてこの際承わつておきたいと思います。
#71
○政府委員(安井謙君) お話の通りでございまして、労金法が一番活躍する部分は金融面にあることは申すまでもないのであります。その点につきまして、よほど従来一層の効果を挙げるべく努力をしておる次第でございます。何分金融の問題というのは、先ほど大蔵省側からも説明いたしましたように、非常に従来の実績、規模或いは内容、その他から非常な制約を受けることも事実なんで、併し幸いに大蔵事務当局と労働事務当局との間も、この問題に対する解釈の仕方、考え方においては非常に円滑な進み方がされておるように私ども伺つております。その実績は先だつてのあの災害のときの金融の実績といつたようなものからも類推して頂けるかと思うのであります。と申しましても、今直ちに国の余裕金を廻すというような点につきましては、これはなかなか今日の実情ではまだ困難な段階であろうと存じます。又先ほどお話がありましたように、その他の方法を以てしても若しこれが年末まででも間に合うようないい方法が考え付くならば、これは一つ何とか実現させる方向で具体的な折衝もいたしたいと考えておる次第でございます。
#72
○田畑金光君 この際少しく全国の労働金庫の実態について説明申上げたいと考えますが、若干資料が古くなりますけれども、十月末の例を見ますると、協会加入の金庫はすでに三十七に上つております。そうして預金の総額が四十二億に上つております。それから借入金、この借入金というものは、後ほど若干説明申上げたいと思いますが、約一億に上つております。それから地方公共団体の預金又は貸付金というものが約五億五千万、こう挙がつております。そこで各県の金庫の実情を見ますると、地方公共団体の預金又は貸付金というものは、その府県の財政余裕金を以て所在の労働金庫に預託しておるわけであります。それから借入金の運営の状況でありまするが、仮に福島県の場合を取つて見ますると、県のほうから労働金庫が一千万借入れをしておる。この借入資金は何に充当しておるのかと申しますと、これは賃金の遅払資金に充当しておるわけです。そこで問題は、賃金の遅払資金というものは、一体これは生活金融なのか、或いは生産金融なのか、こういうことになつて参りますると、成るほど賃金の遅払でありまするから、狭義の意味においては生活金融になるかも知れません。併しこういう賃金の遅払が起きておる事業所というものは殆んど中小企業である。で中小企業においては御承知のごとくその経営の実態を見ると、賃金というものがコストの大きな割合を占めておる。従つて賃金遅払資金に対して労働金庫が供給するということは、中小企業の生産そのものを活かしておる大きな力になつておるわけです。で福島県の場合等においては賃金の遅払か起きた、それは当然に経営者の責任であります。併し労働金庫においてその金を貸出す場合においては、労働金庫の組合員というものは労働組合以外になれないからして、ただ貸出しの技術の面においては直接労働組合が借主になるけれども、その返還は当然経営者の責任で支払わるべき給料、賃金でありまするからして、これは事業主が保証人となる。形は労働組合が当面の借主になるけれども、その実体においては使用者の責任において労働金庫に対する借入金の返済をやるという形になつておるわけで、先ほど申上げたように、成るほど形から見ると生活金融であるかもわからんが、その実は生産金融と裏腹であり、これが借入金の姿であり、而も府県の逼迫した財政の中から県の労働施策の一環としてこの問題を推進しておる。このことを一つ十分に私は労働省としても大蔵省としても御検討を願いたいと考えております。
 そこで先ほど特殊金融課長からいろいろな御説明もなされましたが、殊に私は特殊金融課長は大蔵省にあられて、金庫法の制定から今日まで非常に協力しておられるということについてはかねがね敬意を表しております。国の枯渇した資金の中からいろいろな財政資金投資、或いは国庫余裕金の指定預金、こういうような形で金融措置をとられておりまするが、先ほどの御説明の中にもありましたように、国庫余裕金の指定預金というものの性格を見ましたときに、御説明を伺いまして私が感じましたことは、丁度今府県がその府県内における労働金庫に対して余裕金を預託するとか、或いは又遅払資金に対して貸付けをしておるとか、こういうものと実に性格を同じうするものだと見るわけであります。而も今回の国庫余裕金の指定預金というものは、年末の中小企業対策として取上げられておる中小企業金融であり、短期融資として取上げられておる。こういう点から見ました場合に、年末を控えまして労働金庫といたしましては、中小企業に起きたところの労働者の生活資金、即ちその裏は生産金融である。これを各金庫とも当面の大きな仕事として取上げておる、こういう形になつて参つておるわけであります。この際一つ国庫余裕金の中から金庫協会等で約十億の預託を要望しておることを聞いておりまするが、その程度のことは労働金庫立法の経過から見ましても、或いは労働金庫の今日の役割から見ましても、この程度の措置は何されて然るべきじやないか、かように考えているのであります。
 そこでこの際、一体こういうような点について大蔵省当局としては検討なされているのかどうか。先ほど生活金融というようなものは未だ取扱つた前例がないので困難な面があるように説明されたようでありまするが、誠にこれは物の表面的な観察に過ぎないのであります。そういう前例があつたかなかつたかということ、或いはものを形式的に論議されていると、労働金庫の先ほど安井政務次官がおつしやつた、今後これを育成強化して行こうということは画餅に帰してしまうというような点について、労働省はどういう考えで以て今日対処され、又大蔵省と折衝されて来られたか、この点について一つ御説明して頂きたいと思います。
#73
○政府委員(安井謙君) 縷々お話、ございまして、私どももその事情お説の通りよく拝承している次第であります。私はまあ率直に申上げますと、地方の労働金庫の金融源というものは、第一義的にはその加入組合員の預金と申しますが、これがまあ一番大事であろうかと思います。その次にはその土地にある地方公共団体その他からの預金なり貸付金ということになろうかと思います。そうして更に第三の段階といたしまして、国からの融資なりそういつた面に及ぶことになろうと思うのでございます。殊に金融国の金融ということになりますると、従来の実績やその他から、或いは今の金融公庫の財政内容からもいろいろ検討なり或いは研究が必要になるだろうと思います。同時に私は各地方の組合団体からの預金というようなものででき得る限りこの資金を豊富にして頂きまして足らざるところを一つそういつた公共団体なり国から補うということにするのが一番よかろうと思つている次第であります。
 そこで今の大蔵省との関係の国の金融対策はどうかというお尋ねでございます。これは先ほど大蔵省からもお話がありましたように、非常にまだできましたばかりの機関でございまして、直ちに御要望のようなものを充足することは困難かと思いますが、先ほどのお話のように、大蔵当局もできました趣旨について非常な理解を持つてこれに当つてくれている次第でございますので、今後もう暫らく研究さして頂きまして、一番いい方法を採用したい、こう考えている次第であります。
#74
○田畑金光君 安井政務次官に重ねてお尋ねしますが、私の先ほどの説明で若干漏れておりました点を補足いたしますると、今までの労働金庫の運営においてはすべて、まあ九〇%と申してもよろしいのですが、組合員の預金によつて労働金庫の実際は賄われて運営されて来ているわけであります。ただ先般の風水害、台風の被害地域において、いわゆる特殊な地域において先般あのような措置を、資金運用部資金をまあ県の保証で借り受ける、こういうような政府当局の手を煩わしたわけでありまして、殆んど組合員の預金によつて、資金によつて賄つて来ている実情であります。そこは一つ誤解のないように願いたいと思う。
 ところが十月末を見ますると、いわゆる現金預金と申しまするか、年末の金庫自体の余裕金というものがどの程度かと申しますと、約十億五千万程度であります。十億五千万程度、御承知のように労働金庫も先ほど申し上げたように金融機関としての性格上当然に経理基準というものがある。従つてこの経理基準に基いて運営をしなくちやならん。或いは定期的な預金、臨時的な預金、こういうようなものの資金計画を見ましたときに、やはりどうしても最小限二五―三〇%は支払の準備のために預金として、預け金として確保しなくちやならん、こういうふうな制約があるわけであります。一般のまあ経常的な需要と申しますか、資金需要、生活金融については今申上げましたような現在の手持資金でやつて行きますけれども、年末になつて参りますると、御承知の、ごとくいわゆる年末手当とか或いは賞与とか、いろんな一時的な支出が出て来るわけであります。中小企業においてはこういう一時的な支出がなかなか困難である。月賦弁済にしてくれ、或いは新年度へ持越してくれ、こういうのが出て来る。それから先ほど申上げましたように、年末でありまするから従来の賃金遅払は全部整理しなければ労働者が年が越せない、こういう問題が起りまして、年末はどうしても資金の需要が多くなるわけです。そこで少くとも十二月から来年の二月一ぱいくらいの約三カ月くらいの短期でよろしいが、先ほど申上げましたような国庫余裕金等を特殊の銀行に指定預金されて更にその指定銀行から労働金庫が借受けるというような方式をとられるならば、大蔵省の心配しておられるような、できた早々の労働金庫に対する不安の問題等も解消されるし、こういうような措置をやらなければ、先ほども申上げた労働金庫の実質的な育成強化にはならんと、こう考えております。そこで今安井政務次官はいま暫らく時期をかしてくれというようなお話でありますが、いま暫らく時期をかしてくれというお話は、この金庫側の要望に対して、責任を持つて善処し得るんだというような見通しの上に立つて、確信の上に立つて私は発言なされたと承わりたいのでありまするが、そのように承わつてよろしいかどうか、その点御答弁願います。
#75
○政府委員(安井謙君) 殊にこの公庫が生活資金面に、組合員の生活資金面に対する金融というような面から資金操作に非常に……、国の資金操作の眼から見ると難点があることはまあ現実に事実なんでございます。従つてまあ直接できないまでも、今までのような仮に国の管理した機関を経由するような方法で以ていわゆる金融の方法に或いはいい手だてはないかということを目下研究中なんでございますが、これはまだ直ちにどうなるんだという段階まで行つていないことは残念でございますが、その方向で今後も十分折衝いたしてみたいと思つております。
#76
○田畑金光君 重ねて安井次官にお尋ねいたしまするが、今の御答弁では若干どうもあいまいで、又率直に申しまして不満であります。やはり労働省側としては労働金庫法ができた最初の年でもあるし、少くとも年末の資金の需要ということを考えたときには、もう少し確信を持つて大蔵当局に折衝されて、これが実現のために努力を払うべきであると私は考えます。従つて労働省といたしましては、大臣を先頭に立てて、安井政務次官御自身も一層の努力を払つてこれが実現のために、少くとも実現するんだということで確信を持つてやつて頂きたいと思うんだが、もう一度安井次官の信念のほどを承わつておきたい。
 それからもう一つ特殊金融課長にお尋ねしておきますが、課長の先ほどの御説明で、一応国の資金の運用についての外貌というものは把握できましたが、ただ繰返し私が申上げましたように、今までの金融観念、資金操作の観念で以てこの問題と取組まれたのでは非常にこれは困ると思います。労働金庫法という新しい立法が出された。そのものがすでに私は新しい画期的な資金の操作を前提としていると私は考えるし、そのような立法を必要とした社会的な諸条件というものも又十分に御認識願うならば、今までのような観念の金融操作というものは一応改めて頂かなくちやならんと考えております。又国庫余裕金の指定預金というものも、中小企業金融、而も短期金融というような御説明がありましたが、まさにその通りでありまして、我々の今当局に善処してもらいたいというこの労働金庫の年末資金操作というものも、一面からいうと中小企業の生産金融である。この性格というものは決して無視するわけに参らん、こういうことを考えて参りましたときに、大蔵省当局といたしましても一段とこの問題については真剣に取組んでもらいたいと思うわけでありまするが、大蔵省側の御意見をこの際承わつておきたいと思います。
#77
○説明員(有吉正君) 労働金庫法が制定施行せられまして、私どもといたしましては、労働金庫法の趣旨を体しまして労働金庫の堅実なる、健全なる発展を心掛ける次第であります。先ほど来の御質問にございますように、労働金庫を実質的に保護育成するという遂には、やはり資金を注入してやらなければならんじやないかという御意見でございます。御尤もな点だと存じております。ただ私どもといたしましては、先ず以て労働金庫の健全なる発展と申しますものは、法の適正なる運用によりまして信用力を高め、それによりまして労働者の各位がこれに十分なる預金を供給する、それによつて健全なる融資がなされ得るということを先ず以て期待いたすのであります。私ども金融関係をあずかつておる者といたしまして金融機関の健全なる発展と申しますものは、国からの資金の投入ということに先ず以てかかるものと考えておりません。先ず似てそれぞれの金融関係法規の運用が適正に行われ、それによりまして金融機関が健全なる、確実なる信用を維持し得、預金が確実に集まり、適正なる融資が行われるということを先ず以て着眼といたしておる次第でございます。従いましてこれに対して財政資金なり或いは国庫の指定預金というものが投入せられるということは、正常なる経済状態の下におきましては考え得られないところでございます。まさに戦後におきまして必要上或る程度の財政資金なり国庫の余裕金というものがこれら金融機関に預託せられ、それが働いておる、さように考えておる次第でございます。従いまして今後労働金庫が堅実に発展いたすということを希望いたします上には、先ず以て労働金庫各位が十分にその健全なる運営を図られ、信用を維持せられることを望む次第でございます。
 そこで先ほども繰返し申しました通り、現在の国の財政資金と申しますものを、これが直接に投入いたしますにつきましても、或いは指定預金という制度を使いまして間接に投入いたしますにつきましても、その元になりますところの金額というものは非常に制約を受けておる。従つて先ず以て中小企業に対しましてはその中小企業の根が十分張り得るように、それによつてその下に生活せられるところの労働者のかたがたが安心して生活がし得るように、先ず以て中小企業のこの基礎というものを固めて参るということが、金融上におきましても重要な点ではなかろうかと、かように考えておるわけでございます。従いまして限りある財政資金、それが直接に投入せられる場合におきまして、或いは指定預金を通じて投入せられる場合におきまして、先ず以て中小企業者の根元を十分に耕すという意味において従来の制度がとられておる次第でございます勿論労働金庫が賃金の遅払ということに対して融資をせられ、それがやはり間接には生産金融になるのではないかという御説も御尤もな点があろうかと存じます。併しやはりその中小企業者の根元というものが十分に張りませんと、将来におけるところの遅欠配というものが繰返し起り得るということも考えられるわけでございます。そこで将来にはかかる遅欠配というものがないように、先ず以て中小企業者自身を強めて参るということが、限りある財政資金を投入して参る点につきましては大事な点ではなかろうか、かように従来は考えておつた次第でございます。今後におきましても労働金庫の健全なる発展を望むことは勿論のことであります。その融資の内容自身につきまして十分に検討いたして参る。更に労働省と十分に打合せをいたしまして、今後の労働金庫の発展上若しも必要止むを得ないということがありました場合には、この限りある財政資金ではございますけれども、大蔵省の関係部門に対しましても折衝して参る、かように考えておるわけでございます。なお労働省とも十分に打合せて参りたい、かように存じておる次第でございます。
#78
○政府委員(安井謙君) 田畑さんの御質問で、もつと確信と熱意を持つてやれという御鞭撻でございます。その点につきましても我々御異議はないのでありまして、今後も十分努力を尽したいと思つておる次第で、今後とも又御鞭撻をお願いしたいと思います。
#79
○委員長(栗山良夫君) 実はいろいろ御意見がありまして、必要性がわかつたわけですが、労働金庫の発達を願うために賃金が欲しいというのもこれは一つの大きな理想ではありましようけれども、今年の当面の一番やつばり問題になる点は、私はいわゆる庶民金融というものが非常に梗塞を受けて、御案内のように不渡手形も十一月一ぱいに千二百枚を越えたのですが、十二月に入ると一日平均が千三百枚を越えているですね、そして中小企業というものが資金繰りのために非常に難航している。従つてそこに働いている労働者諸君は、仮に雇主が賃金を支払おうという意思があつて、又或いは経理的に支払える立場にあつても資金繰りのために払えないと、こういう実情があるわけですね。従つてそのために争議が解決しないとかまあいろいろ問題を起しておるわけです。そこへ持つて来て最近の非常に工合の悪いことは、保全経済会を筆頭にしまして、いわゆる庶民金融、闇金融の中間を行くようなのがばたばた休業している。昨日なんかも聞くところによりますと、株主相互金融なんかもこの二、三日のうちに一斉休業に入るだろうと言われている。これも勿論中小企業者が相当関係ある部門なんですね。あれやこれやを考えると、理窟は抜きにして、今年の暮を越すために勤労者が相当生活の不安に脅やかされておる。企業者そのものも脅やかされておるのです。それは企業主は企業主として、金融公庫その他のはうから救い、それで足りない分をこういう折角できたいい機関があるのだから、労働金庫のほうか、下のほうから救うと、こういう立場で一応経済なり労働事情の安定を図るようにするというのが私は政治じやないかと思うのですが、そういう意味で、労働省のほうは別に御異存はない、積極的にやるとおつしやつている。それから大蔵省のほうも、資金運用の原則論は述べられたけれども、趣旨において私は別に反対だとは考えないわけですね。従つてまあ一つじつくり考えてみるという安井政務次官のお話がありましたが、年末という時間的制約がありますので、成るべく早く、ここ一、二日の間に一つ労働大臣、大蔵大臣等とも一つ打合せになつて、政治問題としてこれをどういう工合に処理するか、そうしてこの希望に副うようにするかということを、緊急にお考えを私は願いたいと思うのですがね。いずれ当委員会は臨時国会中、八日まではずつと委員会を開くことになろう思いますから、その間に又経過の報告等も受ければ結構だと思いますが、一つ……、今日は労働金庫の理事の代表諸君が労働大臣にもこれは私的に会見をして、意見の交換をしておられるように私は聞いているのですが、労働大臣がどういう工合にお答えになつたかは知りません。まだ聞いておりませんが、そういうこともあつた。従つて一つ政務次官のほうにおかれて早速そういうような具体的な動きに移つて頂きたいと思う。それがお受け願えるかどうか、それを先ずちよつと伺いたい。
#80
○政府委員(安井謙君) 具体的な問題として取上げまして、関係当局と、或いは大臣等と政治的な話合いも十分いたしてみたいと思つております。
#81
○委員長(栗山良夫君) では今日は一応この程度にしまして、いずれこの次の委員会或いはその次の委員会あたりに更に具体化した方法が御説明願えると私は思うのです。そういうふうに進んで行きたいと思います。よろしうございますか。……ちよつと速記をとめて。
   午後三時三十八分速記中止
   ―――――・―――――
   午後四時十四分速記開始
#82
○委員長(栗山良夫君) 速記を始めて下さい。
 富士自動車における軍令解雇の問題につきましては、第十七臨時国会の当時に労働省側から説明を一応聞いたことがありましてそのときに、九月十五日まででありましたか、一応期限が延期されたのが、更に無期限で延期になつたということを聞いたのです。従つて無期限延期になつた後の、その後の経過について御報告を一つ頂きたいと思います。
#83
○政府委員(中西実君) 当初の事情は大体御承知と思いますが、先ほどおつしやつたように、初め八月十五日までに三十人の者が解雇をするようにという申渡しが来たのでありますが、これを九月二十一日までにということに延期になりました。その後九月十四日に期限を一応なくしまして、その間会社側に善処するようにということであつたのであります。その後会社側におきましては大体調査の結果、排除を適当と考えられる者を、或いは解雇或いは配置転換等によりまして十四名排除したのでございます。で、そういう報告を受けておりましたので、もう私たちのほうとしましてはこれで問題は片付いたのだというふうに安心をいたしておつたのであります。ところが極く最近になりまして、又向うのライト大佐から残りの者、つまり初め言い出した三十名全部について十二月五日までにこれを完遂するようにという要求が来たのであります。我々としまして、先ほど言いましたように、全くもう事は済んだと思つておつたのが、そういうのが来ましたので、非常に来側の主張の余りにも強いのに驚いたのであります。そこで外務省と連絡をとりまして、我々のほうとしてはすでに排除すべしと認められる者は排除したのだから、もうこの程度で終りにしてもらいたいということを更に再度重ねてやつてもらいたいということを申したのでありますが、これは単にもう外務省の係官からの申出ではうまく行かないかも知れないという話でございましたので、私が日米合同委員会の労働関係のサブ・コミツテイの委員長ということになつておりますので、私から向うの労働委員会の責任者に対しまして書簡を出しまして、大体内容は、すでに我々のほうとしてはやるべきことはやつたと思う。然るにまだ重ねて要求があつたのはどうも我々としても遺憾であるので、是非我々のほうの措置を信用してこのままにしてもらいたいということ。それから更にそれでもなお排除すべき理由があるというならば、これがあとあとの同じような事件の参考にもなるので、その理由を一つ示してもらいたい。場合によつては更に正式に合同委員会でその理由を示してもらつたものを中心に論議をしたい。こういう趣旨の手紙を出しました。これはつい最近のことでございますので、その反応は全然まだこれからでございます。どういうふうに向うが返答して参りますか、それを待つという段階でございます。
#84
○委員長(栗山良夫君) これは合同委員会でやつておる……、合同委員会並びにその附属機関で話を進めておつたのが、その話のつかないうちに米軍から富士モーターのほうに直接そういう指令が出ておるように私どもは聞いておりますが、その通りですか。
#85
○政府委員(中西実君) 八月二十四日に仰せのごとくその問題につきまして労務の小委員会を開きました。その結果、そのときに一応の期限延期がなされたわけであります。その後先ほど言いましたように、大体問題は片付いておつたと思つたのでありますが、更に、従つてこの労働委員会、これに再び問題を移すということを提案したわけでございます。
#86
○委員長(栗山良夫君) その提案というのは只今の手紙の趣旨ですね。
#87
○政府委員(中西実君) そうです。
#88
○委員長(栗山良夫君) そうすると八月二十四日からこの手紙を出されるまでの間は、労働小委員会の問題にはなつていないわけですね。この手紙を出されたのはいつですか。
#89
○政府委員(中西実君) 準備はしたのでありますが、届いたのは今日だそうであります。
#90
○委員長(栗山良夫君) 十二月四日……。
#91
○政府委員(中西実君) ええ。
#92
○委員長(栗山良夫君) それでその合同委員会の労働委員会のほうの空気は、現地においてこういうことが行われておることについてどういうような状態になつておりますか。
#93
○政府委員(中西実君) 八月の二十四日に開きまして以来全然まだ開いておりません。というのは開く必要がなかつたわけなので、九月十四日に一応期限の撤回が了解されまして、あとはこちらに任されたものというふうに了承しておつたのであります。ところがつい最近になりまして又向うから申出て来たというので、まだ委員会としてどういう空気だということは、これからの問題になるわけでございます。
#94
○委員長(栗山良夫君) そうすると労働省としては外務省と連絡をとつてもらつて、こういう問題が再燃したんですから、もう一度八月二十四日の状態に戻して、正式の機関によつてこの問題の処理に当る、こういうふうにされるという工合にお伺いしていいわけですか。
#95
○政府委員(中西実君) ええ、そういうことでございます。
#96
○委員長(栗山良夫君) それではこの問題は労使共に非常に困つておられる問題のようですから、一つ折角努力を今まで願つたんですが、その努力が無駄にならないように、更に引続いて労働省、外務省のほうで善処せられるよう要望しておきます。
 それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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