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1953/12/03 第18回国会 参議院 参議院会議録情報 第018回国会 通商産業委員会 第2号
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1953/12/03 第18回国会 参議院

参議院会議録情報 第018回国会 通商産業委員会 第2号

#1
第018回国会 通商産業委員会 第2号
昭和二十八年十二月三日(木曜日)
   午後一時二十分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     中川 以良君
   理事
           加藤 正人君
           海野 三朗君
           小松 正雄君
   委員
           石原幹市郎君
           西川彌平治君
           酒井 利雄君
           岸  良一君
           西田 隆男君
           藤田  進君
           三輪 貞治君
           白川 一雄君
  政府委員
   外務政務次官  小滝  彬君
   通商産業政務次
   官       古池 信三君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       林  誠一君
   常任委員会専門
   員       山本友太郎君
  説明員
   通商産業省通商
   局次長     松尾泰一郎君
   通商産業省軽工
   業局長     中村辰五郎君
   通商産業省鉱山
   局長      川上 為治君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○公共企業体等労働関係法第十六条第
 二項の規定に基き、国会の議決を求
 めるの件(アルコール専売事業)
 (内閣送付)(第十七回国会継続)
○通商及び産業一般に関する調査の件
 (貿易政策に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。
 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件を先ず議題といたします。本件につきましては閉会中二回に亙りまして委員会を開催し審議を進あて参つたのでございまするが、閉会中は不幸にして委員のかたの御出席が非常に少なかつた関係もありまして、十分にまだ御審議は尽きていないような次第でございます。そこでこれは本国会中に結論を出しまするので、質疑を続行いたしたいと存じまするが、なおこの機会に先ず最初にアルコール専売労働組合の両三日来の動向、並びにこれが企業に及ぼしておりまするところの影響等につきまして更に政府の見解、方針等につきまして一応概括的に古池政務次官より御報告を願いたいと存じます。
#3
○政府委員(古池信三君) 只今委員長からお尋ねのありましたルアルコール専売関係の労働問題でございまするが、我々としましてはできるだけ速かに、且つ円満に終了することを期待をいたしておるわけでございます。現在このために賜暇戦術を組合側はとつているわけでありまするが、まだその影響といたしましては期間が短いために、実際の事業運営の上におきましてはそれほどの影響は見られない現状でございます。併しこれがずつと長く続くことになれば又その影響も少からんものがあるかと心配をしておるようなわけでありまするが、なお詳しい最近の情勢につきましては主管の局長から御説明を申上げることにいたします。
#4
○説明員(中村辰五郎君) 只今政務次官から御答弁申上げましたように、現在の操業に賜暇戦術その他の影響が現われておりません。我々としましてはできるだけそのようなことのないようできるだけ職員の協力を得たいと存じております。
#5
○委員長(中川以良君) なお本日は関係大臣の出席を求めて参つておるのでございまするが、衆議院の各委員会にそれぞれ大臣出席をしておりまして、まだそちらが済みませんために出て来ておりません。従つて当委員会のみならず当院の予算委員会も大臣の出席がなくて実は当惑をしておるような事態でございまするが、委員長といたしましては、昨日来この件については前委員会で御要望のございましたごとく懸命に努力をいたしておるのでありまするが、現実の情勢は如何ともいたし方ない事態と相成つておりまするのでこの点御了承頂、きたいと思います。なお併し引続き大臣の出席は要求を強くいたしておる次第でございます。つきましては本日は古池政務次官と関係局長が出席をしておりますので、どうぞ御質疑がございましたならば引続き一つ御発言を願いたいと思います。
#6
○三輪貞治君 去る九月二十九日に公共企業体等の仲裁委員会が行いました当委員会関係では、アルコール専売事業の職員の賃金改訂に関する紛争についての仲裁裁定の結果を第十八国会に上程されたわけであります。これは公労法第十六条の所定の手続を以て上程されたと説明をされておりますが、国会はこの裁定が一体妥当なものであるかどうかということをば検討する余地はないのでありまして、国会に出される趣旨というものは、これが予算上、資金上歳出可能なものであるかどうかということだけにかかつておるのでありますから、第十八国会にあの形で出されるということは、公労法の第十六条の所定の手続に欠けることがあつたのではないか、こういうふうに我々は解釈しておるわけでありますが、その点の御見解をお伺いしたいと思います。
#7
○政府委員(古池信三君) 只今のお尋ねでございますが、私ども考えまするところでは、今回国会の議決を求めるために提案をいたしましたことは別に手続上も不当なことはないというふうに解釈いたしております。
#8
○三輪貞治君 このたびのは、これははつきり予算が第二次補正案として出されてありまするからそういうことは言えるわけです。ところが前に出されたときは、裁定をそのまま出されてこれを速かに一つ議決してくれという形なんですね、これでは一体我々は、何を国会では審議したらいいのか、裁定そのものが一体妥当であるかどうかということすらされないのです。勿論その説明としては二千余万円を更に追加して出さなければならないので、給与総額の金額を超過することはないという説明はされておりますけれども、何ら議案としてそういうものが出されない形で、ただ裁定がそのまま出されるということは、これは私は十六条の所定の手続に欠けておると、こういうふうに解釈をしておるわけです。これはこの前の参考人の意見等からしても、最終決定であつて予算上、資金上の可能である限りにおいてはもう出すことが当然だ、裁定そのものについてはいろいろと批判をする限りではないというふうにはつきりこれはされておるわけなんです。だから委員会としてはその可否をば検討する余地というものは全然ない。そういう状態であるにかかわらず、予算を付しないで、これを議案として出すということは、私は手続に欠けていたんだというふうに解釈をしておるわけなんです。
#9
○説明員(中村辰五郎君) 只今の御質問でございますが、政府といたしましては、この仲裁裁定の及ぼします影響、関連というものを十分検討いたさなければなりません。特に一般公務員との関係、或いは一般財政上の影響というようなものが重要な因子でございますので、仲裁裁定につきましては、最終の決定が国会にございまするので、国会の自由なる意見の表明を求めるという意味合におきまして提案申上げた次第でございます。
#10
○三輪貞治君 これは国会が自由な意見を開陳したりする資料がないわけであつて、幾ら言つても水掛論ですから、具体的な今日の事態について御質問申上げますが、この裁定はさておくといたしまして、公共企業体関係の労働者に対する年末手当の問題ですね、これが初め一般公務員との間に〇・二五の開きのある状態において発表されまして、その後いろいろと交渉を重ねられて、昨日の段階でしたか、それは各企業体の経理の内容において、団体交渉の結果、〇・二五なり或いはプラス・アルフアというものをば支出することもよかろうというような結論に達しておるようであります。このアルコール専売に関してこの問題がどういうふうに只今結論を見つつありますか、その点御説明願いたいと思います。
#11
○政府委員(古池信三君) 只今のお尋ねでありますが、昨日決定したようなふうにお尋ねがございましたが、我々はまだ正式にその問題についてきまつたことを聞いておりません。
#12
○三輪貞治君 決定したと言つたのは、ちよつと言い方が悪かつたと思いますが、全官公労の代表者が緒方副総理と会つて、政府側は今行われておる三割賜暇闘争に対する穏便なる解決を望まれたのに対して、組合側が今まで主張しておりまするところを更に強調した結果、今の年末手当については一般官公労と公共企業体との間に〇・二五の開きのあることはすでに御承知の通りでありまするから、その問題に言及された場合に、それは各企業間で団体交渉の結果やられたらいいであろうというような御回答があつたように聞いておるのであります。若しそれがまだ通達がされておらないとすれば、若しそういう状態なれば、アルコール専売の経理としてはそれをお出しになる用意があるか、余地があるかということをお聞きしたいと思います。
#13
○政府委員(古池信三君) この問題はお話のように極めてこれは大切な問題だと思つておるのでありまするが、今ここでアルコール専売事業会計でそういうことになれば余地があるか、出し得るかどうかとかということにつきましては、もちよつと即答はいたしかねることでありますから、十分に検討をし、且つできますならば他の公共企業体との関連も考えつつ、でき得るだけのことをいたしたいということは我々考えております。
#14
○三輪貞治君 予備金について今後四カ月ほど残されておる、本年度において大体支出しなければならんであろうと予想される金額ですね。材料等の値上りその他によるそういうものが、若し計算ができておるとすればお知らせ願いたいと思います。
#15
○説明員(中村辰五郎君) 予備金の支出の見通しでございますが、今日原料でこの程度上るんじやないかと考えられる場合が例えば精密等についてはございます。又先般も御説明いたしましたように、予備金の支出内容が今後におきます不時の支出というものを目安においております関係もございまして、私どもといたしましては事業経営の立場から考えますると、よほど慎重に検討して参りたいという考えでございます。できるだけ予備費は勿論賃金の引上げというようなことも予期せざるところの一つであるかと考えておりますが、やはり事業経営者としてはもう少し事業全般の立場から、今後の期間は数カ月でございますけれども、予期せざる災害その他の発生というときにおきましてはすぐ数千万円の費用を必要とするということが考えられるので慎重に取扱いたいと考えます。
#16
○委員長(中川以良君) 三輪君に申上げますが、小瀧政務次官が衆議院の外務委員会に呼ばれておるそうでありますので、折角今日は見えておりますので、先般のイランの御質問、それから海野委員の御質問等もございますので、一先ず一つ外務省に対する御質疑を願いたいと思います。
#17
○海野三朗君 外務大臣にお伺いいたしたいと思つてかねがね考えておつたのでありますが、今日御出席がない。とにかく私どもが考えますのに、中共に対する貿易のことでお伺いいたしたいと思うのでありますが、今会議の席上において外務大臣岡崎君はおとりに使うような国云々ということを述べておられる。私は今の内閣がそういう態度でおられる内閣の内心もよくわかります。併しながら物事は再三再四考えて見直さなければならないのじやないか、で今こういう状況であるからごうだというふうに簡単に片付けてしまつておられる態度は私はどうかと思うので為ります。再三再四慎重なる態度を以て、この日本の貿易のあり方、中共に対する態度はこれでよろしいのかどうかという点については、更に考慮の余地なしとお考えになつておるのであるか、又今日これについては日夜反省をしておられるのであるかどうか、そこを私ははつきりした御答弁を伺いたいと思うのであります。
#18
○政府委員(小滝彬君) 我々はその場当りに中共貿易を考えておるのではなくして、飽くまで慎重に今後これを如何にして伸張して行くかということを考えておるのであります。この中共貿易の促進につきましては、両院において決議も行われましたので、いろいろ他の角度から考えれば困難でありましたけれども、議員団を中共に派遣したことは御承知の通りでございます。大臣が正確にどういう言葉を使つたか、まだ速記録を見ませんので存じませんが、自由国家群との協力関係、国連との協力関係を害しない程度においてできるだけ中共との貿易を促進しようということは本会議でも述べたはずでありますし、勿論今後朝鮮における政治会議の結果によりましては、中共貿易に対する制限というものはより緩和されるでありましようが、現在といたしましては、中共にこれまでとつて来た立場、朝鮮事変に対してとつて来た立場等に鑑みまして、日本は国連と協力して、ここで自由国家群の他の諸国と歩調を合せて、戦略物資というようなものは輸出しないような措置をとつて来たのでありますが、併し前にはよほど日本は厳重な輸出制限をしておりましたけれども、まあそのほうも今では西欧諸国並びに制限を緩和しようというので、これまでも関係国とも折衝いたしまして、九月以来すでに数十品目について輸出禁止を解除するというような措置をとつておるのでありまして、今後国際情勢とも睨み合せ、できるだけ日本のほうも中共との貿易関係が良好になるように努力いたしたい考えでありまして、現在も関係国とこうした面について絶えず折衝しておるような次第でございます。
#19
○海野三朗君 過日池田正之輔君が団長になつて中共に参りまして、六千万ポンドの協定をして来たということでございますけれども、これはこの金額から申しますと、誠に九牛の一毛でございまして、その六千万ポンドの品物はどうかと申しますと、向うではそれほど望んでいないものが多いのであります。向うで非常に欲しいと言つておるもの、それを単に国連側との関係でと言われますが、然らば香港を通して欧州物が随分潜つて闇に流れておるのでありますが、如何ようにお考えになつているのでありまするか。我が日本だけがこの格子なき牢獄の中に縛られている。日本の貿易のこの姿は、私は何としても納得が行かない。どこに私は独立があるのか。一衣帯水の間にある中共と私たちが、貿易協定を結んで自由にやり得るように、又日本人が向うに自由に行き得るようにならなければいけない。それであるのに、近所隣りと絶交しておつて、遠いアメリカに手を伸ばしているということは、一体どういうお考えなのでありましようか。損をする者はただ日本人だけでございましよう。この点については如何ような御信念をお持ちになつているのでありましようか。その点をお伺いいたしたいと思います。
#20
○政府委員(小滝彬君) 日本だけが特に厳重にやつてやしないかという御質問は、実はこれまでのところ、確かにそういう点もございました。まあこれについては国会でもいろいろ論ぜられたところでありまするが、日本は朝鮮事件が起りまして以来、軍隊も出していない。そうした意味では、国連と協力すると言いましても、そういつた方面で協力ができないのみならず、却つて特需などで相当受益者の立場にも立つている。或いは日本は一番近接した国であるから、朝鮮事件を国連軍によつて解決されるということは、日本が非常な利益を受ける、日本の立場からして最も望ましいことであるというような立場もございましたので、日本としては、西欧の諸国よりは、より厳粛な輸出禁止措置をとつておりました。そこでいろいろ御批判も受けましたが、その後情勢も変つて参りましたので、最終的にはどうなるかわかりませんが、相当緩和せられましたので、日本は西欧並みの輸出はこれを認めようということで、現に殆んど西欧諸国と変らない措置をとるようになつたのであります。香港貿易についておつしやいますけれども、成るほど曾つては香港から相当流れて行つたようでありますが、最近は香港政庁も非常に厳重な措置をとつておりまして、あすこの証明書がなければ出すことができないという措置をとつております。各国ともとつておりますので、曾つてはそういうこともございましたが、現在は各国間で話合つて、戦略物資と認めて、中共へ出さないのだときめた品物が香港から出て行くということは、非常に減つているというように私ども報告を受けております。なお米国だけに依存して、近接国との関係をないがしろにしている嫌いがあるというお話でございまするが、私どもといたしましてはでき得れば是非中共も平和条約を承認し、或いはこれに類した条約を作つて、そうして正常なる国交関係が回復することを希望してやまないのであります。が併し、御承知のように、過般議員団が行かれましたときの先方の声明を見ましても、日本がアメリカと関係を絶ち、又駐留軍というようなものを全然認めないで、現在の立場を御破算にしたならば、日中間にもこれは平和条約のようなものがこの際できるかも知れないというようなことを責任者が言つております。こういう態度でありますので、残念ながら両国の貿易関係もこれによつて支障を来すという実情でありまして、これは非常に残念であります。が、日本の今の立場から考えて見まするというと、この終戦後における実情からして、アメリカの援助とか、アメリカとの貿易ということを全然犠牲にしてでも、中共との貿易をやる、或いはスターリング地域との貿易、東南アジアとの関係を非常に害しても、なお且つ中共との貿易を進めて行くというところへ持つて行くことが果して正しい政策であるかどうかということは、これはよく考えて見なければならないところだろうと思います。が、中共貿易については、非常に大きな期待をかけられる向きもありまするけれども、曾つての中国とは非常に立場も違うし、又事実……、通産委員会のことでございまするから、取引実情を御承知のかたもたくさんいらつしやると思いまするが、向うの粘結炭とか、或いは鉄鉱石というようなものも、却つてアメリカから来るよりも割高であるというような関係もあろうし、又先方が工業化したために、曾つて我々が期待したほど原料炭も入ることはできない。或いは曾つては何十万の日本人がいて、それが主になつて日中関係を深くし、貿易額を殖やすように努力していたけれども、そういう者も減つて来たというような関係もありまするし、又経済関係どいうものは、全然政治関係から離れて存在し得ないという点は御承知の通りでありまして、そういう点から見ますると、余りに大きな期待をかけることは如何かと考えます。併しながら近接しておりまするし、今後貿易関係がよくなるということは私ども本念願してやまないところでありまして、そのためにはあらゆる努力をしなければならないと考えておる次第であります。なお人間の往復について、非常に制限を設けているのがよろしくないというお説かと思うのでありまするが、成るほど貿易をやるためには人の往復は自由でなければならない。そのほうがよりよいのでありますけれども、先ほども申しましたような政治関係もありまして、それが十分自由になつていない。が併し、今後の国際情勢の転換によりましては、その辺も或いは緩和し得る余地も出て来るのじやないかと、私個人としては考えておる次第であります。
#21
○海野三朗君 只今のお話を伺つておりますると、米国とどうこうという、ソヴイエト、中共と貿易をするのがどうかというようなお話がございましたが、私は何もアメリカの政策、そういうものに対して反対をしろというのではありません。何もアメリカに尻を向けろというのではありません。併しながらこれを冷やかに考えて見ますると、日本に隣接しておるところのソヴイエトも敵、朝鮮も敵、支那も敵、あらゆる人を敵に廻さなければならないのは何故であります。それを冷やかに私は考えて頂かなければならない。実にこの婉曲なる政策の下に、我が日本をして東洋の孤塁たらしむる位置に置かれているではないか。この点については、私は何もアメリカなどの政策に対して反撥しろというような考えを持つてはいないのであります。アメリカとも手を握らなければならないが、アジアの諸国と全部皆反対の立場に置かれておるのが現実の姿でありましよう。この点に対して、外務当局は、はつきりした如何なる御信念を持つておるか、私は若しアメリカにして我々の行動をすべて掣肘せんとするところのものがあるならば、これは外交的手段によつて緩めてもらわなければならないのではないか、私はそういうふうに思う。ソヴイエトにしても、朝鮮にしても、或いは中国にしても、ことごとくが皆日本と反対の位置に置かれておるではありませんか。この点私は外務当局の信念を伺いたいと思うのであります。
#22
○政府委員(小滝彬君) 若し日本にして、中共とか、ソ連の敵の立場に立つておるとするならば、それはまさしく先方側が選んでそういう立場に置かれておるのでありまして、日本としてはあのサンフランシスコの会議におきましても、ソ連が加わつてくれて、そうして条約がソ連との間にもできることを熱望したわけであります。が併し、現実の近い例をとつてお考えになりましてもおわかり下さいまする通り、ソ連から日本の人たちが帰つて来るということは、誠に嬉しい、有難いことでありまするが、それにいたしましても、特に国際赤十字とか、或いは国連を通じて正式に申込んだものに対しては、何らの返答をくれない。ただ大山郁夫さんが行かれたときにそれを通じて、そして政府をそつちのけにしての話合いならしようという態度をとつておるのであります。こちらのほうからは手を出そうにも出せないようなほうへ日本の政府を追込もうとしているのであります。ソ連の欲する政府ができたらそれは取引するでありましよう。併し日本の政府は飽くまで日本人が選ぶべきであつて、ソ連の選択によつて日本の政府は決定すべきでない。こういう点を一々私は挙げる必要はないと思いますが、向うのほうが或いは中ソ同盟を作り、仮想敵国は日本である、或いは放送なども行われておるところを見ると、今日日本がこうした関係をソ連や中共ととらざるを得なくなつたのは、決して日本が欲し、或いはアメリカがそこへ追込んだのではなくして、先方の政策がそこにあるから止むを得ずそういう関係になつておるわけであります。併し本委員会は通産関係の委員会でありまするから、本論は貿易でありまするが、貿易に関しましては私どもはたとえそういう関係ではあつても可能なる限度において是非それが促進せられるようにということを考えまして、ソ連との関係におきましても御承知のように向うの品物と、そうして船舶の修羅等を認める、或いは貿易関係についても何か話合いを民間のほうでされてうまく行くのならば、それに対してできるだけの援助を与えようという態度をとつておるのでありまして、これは決してアメリカや日本の政策からというのではなくして、向うがそういうふうに仕向けておるということを是非御了解を頂きたいと思います。
#23
○海野三朗君 今日まで然らば私はお伺いいたしますが、今日まで政府といたしましてソヴイエトに捕虜を返して下さいということをいつ政府からして懇請いたしましたか。ことごとく民間団体を借りてやつておりまするが、政府から正式にソヴイエトに申入れたことがあるのでありましようか。
#24
○政府委員(小滝彬君) 先ほど私が申上げたところでもおわかり下さると思いまするが、国際赤十字社を通じて申入れたことがあります。それに対しては何も返事が来ていないということは先ほど申しました。有田八郎、山下春江さん、これらがこの前ジユネーヴへ行かれましたのもそういう問題を促進するためであつたということは御承知であろうと考えます。現に国連では俘虜委員会を開いておりまして、日独伊の代表はこの委員会に出て発言しており、一日も早く返してもらいたいということを表明しておりますが、この問題はいずれ決議案などができましたら、国連の総会にかかるでありましよう。あらゆる手段を講じてあらゆるチヤンネルを通じて向うに申入れしてもそれに対しては何らの返事もよこさないというのが先方の態度でありまして、私どもがもうこの抑留されておるかたがたが早く帰つてくれるようにということは、国民の声であり、我々すべてが希望するところでありまするので、そうした事態に対しては特段の注意を払つてこれまでも努力して参つたのであります。今後もそうした努力を続けるつもりであります。
#25
○海野三朗君 私は今赤十字社を通して政府がやつておるということを伺つておるのではありません。日本政府といたしましてソヴイエトに捕虜を返してくれと正々堂々とそういう申込をしましたかと言うんですよ。それを今日までしないでおつて、そうして赤十字社を通し或いは宗教団体を通し、そんなことではなくして、日本政府、吉田内閣として返してもらいたいと、政府から正式にそういうことを懇請したことがありますかということを今伺つたんです。
#26
○政府委員(小滝彬君) 私はこれまで申上げたところでおわかり下さると思いまするが、或いはおつしやるポイントはここにある代表部を認めないことがけしからんという御趣旨であろうと思います。向うとは外交関係もなく、そこで一番適当と思われるのは、これは人道的な問題を取扱つている国際赤十字とか国連でなければならない。これは立派な国際機関であります、それを通じて申入れるのが、これが正当なチヤンネルでよめるはずでございますが、それにもかかわらず只今のような御質問が出るということは、ここの東京の代表部を認めて、あれと交渉したらいいとの御趣旨と私自身は解釈いたしますが、我々といたしましてはこの代表部を認める意思はございません。
#27
○海野三朗君 この話は見解の相違でありますから、私はその話はやめまして、中共に過日議員団が行きましたが、向うからも議員団を招請するお考えがあるかどうかということと、日本が開らん炭を輸入しておりましたが、九月に入つたやつはいいがその後に入つたやつは実に品質の悪いやつが入つて来ている。それは何でそうなつているかと申しますれば、日本商社が中国に自由に行けない。向うで船積みするときに日本人が立会うことはできない。それですからしてどんなものを送られるかわからない。こういう点にあると思う。つまり日本商社の人間が自由に中国を旅行することができないということにあるのであると私は思うのでありますが、過日衆議院及び参議院から中共に議員団が派遣されましたが、向うからも議員団を招請して日本の産業界をよく視察させるというようなお考えはお持ちになつていないのでありますか、その点お伺いいたします。
#28
○政府委員(小滝彬君) おつしやる通り貿易をやりまするのには人の往復ができるだけ自由にならなければならないのでありまして、その点現状は甚だ遺憾でありますが、そうした状態が改善されることを希望してやまないし、又できるだけそういう不便をなくすべく検討はいたしております。議員団を招請するかというお話でございますが、政府といたしましては只今中共の議員団を招請しようという考えは持つておりません。
#29
○海野三朗君 この間こちらのほうから議員団が向うに行つたわけでありますが、向うを見て来ただけということにとどめておかれるわけでありますか。
#30
○政府委員(小滝彬君) 先ほど申しましたのは政府として招請する考えは今持つていないということを申上げたのでありまするが、若しそういう問題が具体化して参りましたら十分検討いたさなければならないかと考えます。
#31
○海野三朗君 私は当然……こちらからも向うに視察に行つたのでありますから、向うからもおいでなさいと言つてお呼びしてそうして日本の現状を見てもらう。それが貿易なんぞに対して非常に貢献するのではないか。ただこつちから行つて見ただけで、それだけであとは知らぬ顔の半兵衛をきめ込んでいるということは私は非常に一方的な考えであつて当を得ないあり方であると思うのであります。それから石炭とかそういう問題でありますが、それに対しては如何ようにお考えになつておりますか、この貿易のことに関しましては……それをお伺いいたします。
#32
○政府委員(小滝彬君) 先ほど申しました通り人間の往復がより自由になれば結構でありまするが、今のところそれまで日本側としての措置を変える段階に至つておりませんので、他の方法でできるだけそうした貿易上の障害を除去するように努力いたしたいと考えております。
#33
○海野三朗君 只今他の方法でとおつしやいましたが、それはどういう方法でございますか。私はそれは他の方法はないと思いますがね。
#34
○説明員(松尾泰一郎君) 開灘炭につきましては今年の春頃であつたかと思いますが、入りましたものにつきましては確かに品質が悪かつたのであります。併しながら最近いろいろ聞いてみましたところによりますると、必ずしもそうではないというように聞いております。それじやなぜ前に入りました分が悪かつたかということでありますが、いろいろ調べて見ますると、その当時の契約内容自身が若干不利であつたというふうなことでありまして、担当の商社のほうも若干その点手落ちがあつたということを認められているようであります。最近いろいろ話が進められておりますものにつきましてはそういう点を慮りまして品質の点等を厳重にチエツクして書かれているようでございます。そういう品質の問題は比較的問題は少いのじやないかというふうに考えております。
#35
○海野三朗君 私が今伺いましたのは、向うから品物を買うときに当つて日本人が向うで立合つて買わなければいけないのじやないかと、それを立会うことができないで、ただ手紙の上だけであれば、向うを積出すときの関係がありますので、その欠点を補うにはどうしても商社が向うに行つて立会つてやらなければならないのではありませんか、そういうことを私はお伺いしておるのであります。で、今度入つて来たのが偶然よかつたからそんなことはないだろうと思うと、その御返答を伺つておるのではありません。向うから積出すときに立会わなければならないが、立会うことができない現在の姿であるのです。私はこの点につきましては外務当局に一大反省を促さなければならないと私は思う。中国に行けない、日本の商社の者は。で、外交方面におきましては外務大臣はただ外務省だけで金を儲けておると思つているかも知れませんが、実際は通産省のほうが中小工業、日本の工業を生かして行く方面を担当しているのだ。この点から考えますというと、外務省は決して通産関係をないがしろにしてもらつてはならない。私はその点を申上げている。その商社の者が自由に向うに行かれないのじやないか。行かれない結果は、どれだけの損害をこうむつておるか、この点を私は伺いたいのであります。
#36
○政府委員(小滝彬君) 外務省は通商関係を無視した外交をやるという意思は毛頭ございません。殊に戦後の日本は経済外交が非常に重要であるということは、皆省員が認識しておるはずであります。私自身も通商監をしておりまして、通産省の飯も食つた人間でありまして、その点は及ばずながら了解しておるつもりでございます。成るほどこういう場合に立会つたほうがよりいいかも知れませんが、他の国との取引を見ますと、サーヴエイヤーなんかを置いておけば、それほどひどいものは来ない。中共との貿易において特にそういう点があるということは、ただ単に日本政府が悪いというようにおつしやるのは、少し苛酷ではなかろうか。随分人が行かないで取引をいたしましても、円満に行つておる例は随分ございます。アメリカに一々粘結炭を積みに行くときに、日本から人は出さないはずであります。この辺はこの委員会のかたは皆専門のかたでありますから釈迦に説法でありますから申上げませんけれども、そういう点にも考慮すべき点があるのでありまして、一概に人が立会えないから中共との貿易がうまく行かないというふうにお考えになるのは、少し行過ぎのようにも私は思いますので、その点は指摘いたしておきたいと思います。
#37
○海野三朗君 私は今一つの例を石炭にとつたのでありまするが、過日の池田正之輔君の六千万ポンドの関係を結んで来たと、こう言いましても、やはり向うの品物をはつきりと調べて、そうして日本に送つてもらう必要があるのじやないか、そういうときの立会いが一切できないことになつておるのでしよう、今日では。私は六千万ポンドのあれをやつて来たなんて大きな顔をするな、と池田君にそう言つたんですよ。それはこちらから商社の者が自由に中国に行けないのでありまするが、この点に対しては外務当局は如何ようにお考えになつておるのでありましよう。
#38
○政府委員(小滝彬君) その点はさつきから頻りに申上げておりまする通り、そのほうがよりよいということは承知いたしておりまするので、この点も十分考慮をいたしております。併し日本の旅券法の関係もありまして、一人が行くというとほかのほうから全部出かけて行く。その際向うのほうが来てもらいたいというような人だけはどんどん押しかけて行くというと、そこでどこでせきとめるかというような実際上の困難もありますので、そうした面を目下慎重に考慮しておる次第でございます。
#39
○海野三朗君 最後に私もう一つお伺いいたしたいのでありますが、六千万ポンド、それつばかりはなにも鼻くそみたいだと私は申したのです。今中共で要求しているところのものは、この間枠を拡げたのを見ますと……工具鋼類を非常に望んでいるようであります。工具鋼類或いは自動車の部分品そういうふうなものは一つも入つていないのであるか。そういう点についてはもつと枠を拡げて行かなければならないというようにお考えになつているのか。又鉄板類、亜鉛鉄板類、向うは復興作業が盛んであるということを私は聞いているのでありますが、そういうふうなものに対しましても、もつと枠を拡大なさるお考えがあるかどうか、そういう点をお伺いいたします。
#40
○政府委員(小滝彬君) 枠を拡大したいという考えで現に研究し、且つ関係国とも折衝しておる次第でございます。ただその品目はどういうものを包含するかということは、ただ単に中共側の要求だけを考えるわけにも参りませんので、そうした面も併せて考えて、できるだけ枠を拡げるように今後とも努力したい考えでおります。
#41
○三輪貞治君 只今の中国との関係についていろいろと質疑が交されましたが、どうも国交の調整ができないのは向うの出方が悪いのだ、というふうにだけ言われているのですね。これは私は必ずその通りに頂けないと思う。一体今日日本の経済的な自立の立場から貿易の必要なことは、これは言うまでもありませんが、併し我々はそれよりももつと根本的に遡つて中華人民共和国との早期の国交回復が先決問題である、こういうふうに考えている立場から、政府の今までおやりになつたことをずつと見ていますと、必ずしも今政務次官が言われたようにばかりは受取れないと思うのです。一体今日中華人民共和国の存在というものはもこれは今や如何に言葉を変えられても無視し得ない。これは現実の事態である。それに一体日本は中国としてどちらを認めているか。これは台湾を認めているのであります。又現に中国を仮想敵国として、の、或いはソヴイエトも含み、北鮮も含むでありましようが、これを仮想敵国としての日米安全保障条約を結んでいるじやありませんか。一体そういう状態でどれだけ……、勿論無条件にあの平和条約を呑むということはいたさないでありましよう。併しながら、そのような状態にあつても、何らかの国交回復の手は打たれるはずであるのに、今まで国会で発言された吉田首相の演説を見ても、中国は日本にとつて必要ではないということだけしか発言されておらない。この代表的なものは、あのサンフランシスコの会議における吉田さんの演説、あれではつきり、中国は日本にとつて重大ではないということを言つている。こういうことを言われながら、いや、こつもとしては十分にやつているが、向うはどうも、日本を仮想敵国とした中ソ同即条約なんかで対抗しているのて、こつちは望むのだができない、こう言われるのはいささか当を得ていないのじやないか。特に今度の視察団の連中が行つた場合に、向うの副総理である郭沫若氏が言つている言葉を見ましても、しみじみとこういうことを旨つていることを文書で見ました。あの朝鮮における戦争がだんだんと拡大をして鴨緑江までも越えようというような事態になつたときに、インドのネール首相は一番先に心配して、中国に使いを派して、その事態収拾について申入というか、相談をしている。日本に若しこれだけの熱意があつたら、ということをば彼はしみじみと言つているということを文書で見ました。何ら中国との間の国交回復については手を打たれていないのであります。平和条約そのものが締結できなかつたとしても、戦争終了の宣言ができるような状態を作るとか、或いは対日講和条約の第十条を確認するとか、進んでいろいろな手は私は打てると思う。それをやられない。勿論これは非常に大きな、世界の対立している両陣営の接点でありますから、なかなか日本の一方的な考え方、日本政府の考え方だけでも行かないことはよくわかります。併し、それにしても、一番近いところなんですから、何らかの機会に両方の感情の摩擦がだんだん緩和されるような方策をとられることは、これは決して悪いことじやないと思うのです。一体今まで国交回復についてどれだけの外務省は熱意と具体的な努力をされて来たか、これを明らかに一つ抽象論でなしに、具体的に、こうこうこういう方法でやつて来たということが若しありますれば、一つお聞かせを願いたいと思います。
#42
○政府委員(小滝彬君) 先ず総理が中共との平和状態を回復する必要がないということを言つたということでありますが、これは私調べたことでございませんが、これまでの比較的緊迫が薄らいだろうということを申したと思います。
 国交回復について努力していないのじやないか、又先方だけが悪いように言うのは、間違つておるという御質疑ですが、私どもの立場から申しまするというと、どうしてもこの中共の欲するような態勢において国交を回復するということはできないわけです。殊に朝鮮事件が始まりましたのは、サンフランシスコ会議以前のことであります。あのときに、吉田・アチソソ交換公文というのもできましたけれども、国連と協力することになりまして、我々は自由主義国家群の中に入つて、共産勢力の侵出を防ぐということに協力することになつた、いわば戦争状態があつたわけでありまして、それに対してこちらから手を差伸べるというような途は事実上開かれておらなかつた。こういう関係で事実上この現実の情勢においてはそうしたことは不可能であるということを申上げたい次第であります。台湾との関係もちよつとおつしやいましたが、これは日本としては、この近接国と、どこを問わず友好関係に入ろうという国があれば、これと友好な関係を結ぼうという政策の現われでありまして、あの台湾における中国政府がこれを希望いたしましたので、日華間の条約ができたようなわけであります。日本は決してソ連や中共を仮想敵国として安保条約を結んだのではありません。これは飽くまで自衛のための措置であります。現にこの中共の言つているように自衛手段を全部そつくり撤廃しろ、今までのものを放棄しろというような条件で、国交回復をしなければならないというようなことは、これは日本としては不可能でありまして、その辺は十分中共側においても考えてもらわなければならない。若しもこれが正常の平和関係が結ばれるなら、一日も早く平和条約なり或いはこれに類似したところの条約ができるように、私ども外務省といたしましても、念願してやまない次第であります。
#43
○三輪貞治君 今吉田・アチソン交換公文による国連協力の点を言われましたが、これについても私たちは、いささかの、いや大きな疑問と意見があるわけです。国連協力の立場から、国連に加入している国々は、とにかく対中国貿易の制限を受けるということはよくわかつておりますが、併しながらその制限の受け方に非常な差異があるわけですね。一番ひどい状態に置かれておるのは日本である。そういたしますると、日本が一番近くて、而も歴史的に見てもいろいろな関係で深く繋がれておつたものが、そういう不当な取扱のために、特別な制限を受けておる間に、西欧陣営からはどんどんと中国との貿易の手が差伸べられておる。これは明らかに私は日本外交の敗北と言つてはちよつとおかしいのですが、日本外交の劣弱性を露呈しておるのではないか。こういうふうに考え、この問題について前の国会で論議がなされたときに、岡崎さんはこういうことを言つておる。それは日本の受けておる制限は当り前で、イギリスあたり、或いはイタリー等が受けておる緩和されておる状態は、むしろおかしいので、他の国も皆日本並みに制限されることが望ましいというような趣旨の発言をされておる。こういう状態から、一番近くて、一番歴史的にも緊密な状態にありながら、非常に不当な条件を押付けられておるというふうに、我々は見ざるを得ない。その点についての御見解をお伺いしたいのでございます。
#44
○政府委員(小滝彬君) 恐らく大臣がそういうことを申しましたのは、まだ朝鮮の事変が進展中であつたろうと考えます。芳しそのおつしやるような言明があつたとすれば、ずつと前のことであろうと考えます。我々は朝鮮事変が一日も早く解決するようにということを念願いたしまして、国連に協力をしたわけであります。ところが現在においてはまだ確定はいたしませんけれども、とにかく一応休戦状態に入つた。今後の政治会議がどうなるか知りませんが、こういう状態になつて事態が緩和いたしましたので、一昨日も大臣が国会で言明いたしました通り、できるだけこの制限措置を緩和しようとする措置をとりつつあるのでありまして、これはたまたま西欧の諸国が入つて来たのに、日本は十分入つて行けなかつたことはあるかも知れませんけれども、これは今後の緩和措置によつてそれを回復するように努力しなければならないと考えております。尤も西欧が入つて来ましたのは、私は制限だけの問題でなしに、これも釈迦に説法でありますが、日本の物価高、日本の産業の力と、西欧諸国のそれとを比べた場合に、日本が劣勢であつたということも重要な理由でなかろうかと考えます。
#45
○三輪貞治君 必ずしもそういうことでなしに、あのモスクワの平和経済会議のあつたときにも日本は行きませんが、英国は出ていた。その帰り遂に具体的に協定を結んでいるというような、あらゆる機会をつかんでほかの国はやつておる。モスクワで開かれた場合に本イギリスは正式に代表を送つている。甚だしい例はアメリカが代表を送つておるのであります。それに対して日本は出てはいけないというので出なかつた。そのときに中国との間の貿易の協定をイギリスと結び、西独とも結び、すべて手が遅れているのである。今からはもう朝鮮の戦争が休戦状態になつたから制限を緩和しなければいかんと言われても非常に手遅れで、向うのものがだんだん入つて来ると、日本が入つて行く余地が狭められて行くのではないか。このように時間的に非常なズレというものが積り積つてそういうような状態に置かれて行つたのではないか、こういうふうに考えます。この点についての政務次官のお考えを承わりたい。
#46
○政府委員(小滝彬君) 先ほどモスクワの会議ヘイギリスが正式な代表を出したとおつしやいましたが、もう一度お調べ頂きたいと思います。あの会議にはイギリスの民間の人が行かれて、ああいう取極をされたのは事実でありますが、その後私ども在英大使館を通じて英国政府の意向を問合せましたところ、これは政府で認めたものでないので、制限するものは制限するというはつきりした公の言明を受けておるのでありまして、あの際のあれはアメリカ人が海外に出た者が行つたかも知れませんが、それは決してアメリカ政府を代表されて行つたのではないので、この事実に関する点についてはもう一度御検討をお願いしたいと考えます。或いは日本のこれまでの措置が厳重であつて手遅れだつたということが或いは事実かも知れませんが、併し先ほど申しましたように、我々の趣旨は飽くまで国連と協力して、一番近い日本において、日本は軍備を持たないので、このほうで協力ができないので、この点でも協力しようという趣旨に出たものでありますから、今後そういう事情がなくなれば、できるだけ中共との貿易も進展いたすように最善の協力をして行きたいと思つております。
#47
○海野三朗君 私は政務次官にお伺いしたいのは、先ほど日本は友好関係を結びたいと思つているのだが、相手が悪いということをおつしやつた。これは味方千人敵千人と申しますから止むを得ない。世の中は……。止むを得ないのでありますが、向う三軒両隣が全部日本に対してああいうふうな態度であるといたしますと、日本だけが正しいのであるとは断ずることはできないのではないか。そういう際には日本も一歩退いて、我々日本の今日までのあり方を顧みなければならないのではないか。そういう点については政府当局は少しも考えず、相手が悪いのだ、ソヴイエトが捕虜をおとりに使つているのだ、或いは李ラインがこうなんだというあらゆる理由を述べておられまするが、私は一歩日本が退いて、みずから反省して見る必要があるので、はないか。こういうふうに私は思うのでありまするが、外務当局としては正しいのだ、おれがやつていることはすべて正しいのだというふうにお考えになつているのかどうか。その点をお伺いいたしたいと思います。
#48
○政府委員(小滝彬君) 一歩退いて反省する必要がある。これは何をやりましてもお説の通りでありまして、殊に国際会議などにおきましては、相手方の立場も十分念頭に置かないというと、円満なる妥結に達しないということは、私自身も三十年このかた経験して来たところであります。併し日本のやり方が正しいと思つているかとおつしやれば、私どもは或る政策を実行するのには、その政策が正しいと信ずればこそ実施するのでありまして、日本のやり方は正しいということを信じておるものであります。日本の近傍国が全部敵国である、日本だけがそれに取巻かれている、もつと立場を変えたらどうかとおつしやられますことは、私ちよつと了解できないのでありまして、成るほど近いのは日本でありまするけれども、世界の数十ヵ国がこうした共産勢力と対立せざるを得ないような悲しい状態にあるのであります。お説をそのままとりまするというと、日本は急いで共産圏の中に入つたほうがいいのじやないかというようなふうにも解せられますが、私どもといたしましては、先ほどから再三申上げます通り、できるだけ速かにその国のイデオロギーはいずれにせよ正常なる関係をこれらの国と打立てるようにいたしたいと考えておりまするが、先ほど申しまするように、現実の問題として非常に困難であるということを申上げておきたいと思います。
#49
○海野三朗君 私はいろいろ申上げましたが、日本が共産圏に入れというのじやありません。そういうことを申したのではありません。過日インドの極東裁判の判事であるパールが日本に来ましての話にも、国おのおのその立場立場があるのだ。その立場を理解してお付き合いをして行くということをパールが言つていましたが、私は尤もだと思うのです。向うは日本とは御宗旨が違いますけれども、経済的な交流をやつて行くということは一向私は差支えないのじやないかと思います。それを現実のあり方を考えますと、共産圏であるから取引はしない。余りにも毛嫌いをすると申しますか、私が申上げるのは思想の交流ではありません。日本が共産党の国になれなんということを申したのではありません。日本とは全然御宗旨が違うのだ。御宗旨は違うけれども、思想の交流にあらずして、経済的な交流をして行かなければならないのではないかというふうに私は考えます。その一点と、日本は中共及びソヴイエトを敵国としていないということを今三輪委員からの質問に対してのお話でありまするが、敵国としていないならば、何故に向うに対する輸出品に対しては、向うの共産圏を強化する虞れがあるからというので、この貿易品を制限をしておることはすでに敵国という仮想の下にやつている結果になつていると私は思います。明らかにこれは仮想敵国として日本の態度が進みつつあるのである。相手方が金持になつちやいけないのだ、強まつちやいけないのだということによつて制限をやつているということは、つまり向うを敵国としているのだ。敵国としていないということをおつしやるけれども、結果がそうなつているではありませんか。私はその点について如何なる御認識を持つておられるかをお伺いしたい。
#50
○政府委員(小滝彬君) イデオロギーの違う国と経済的取引というのは当然認むべきであると今おつしやいましたが、誠にその通りであります。でありまするからして、中共とも又ソ連とも現に貿易を十分ではございませんけれども、貿易そのものをやめさせようとするのではないという趣旨をはつきりさせて取引を認めておるわけであります。その次の点、仮想敵国としているのではないと私が言つたとおつしやいますが、これは日本の安保条約というものは、これを仮想敵国として作つたというのでなしに、とにかく日本として自衛するのには全然軍隊がないから、アメリカの軍隊にいてもらおうという自衛のための措置であつて、両国を仮想敵国として安保条約を結んだものではないということを申上げたわけであります。併し何といたしましても国連の決議にもはつきりいたしております通り、中共は侵略国としてその侵略国に対する措置を国連において決定したという経緯もありまして、それに日本は同調してそれと協力をいたしているのでありまするから、朝鮮事変に関連いたしまして、中共は侵略国だ、こうした意味において戦略物資の輸出を制限したことであります。でありまするからして、そうした事態がなくなりますれば、はつきりそうした問題が解決できましたならば、勿論そうした制限というものは漸次撤回されて行くようになることを私ども期待している次第であります。
#51
○海野三朗君 只今の御答弁でありまするが、仮想敵国としているから戦力を増強するような、中共が交戦力を増強するようなものは売れないというのがすでに仮想敵国と考えている結果でありましよう。行政協定、安保条約は決して仮想敵国という考えから作つたのではないとおつしやるけれども、あの条約自体が中共を敵国としている条約なんだ、私どもはかくのごとく考え、又多くの人がそういうふうに考えているのであります。私はその点をお伺いいたしたい。
#52
○政府委員(小滝彬君) 私とものの考え方が非常に違つておりますので、いつまで答弁申上げても到底満足な御答弁を申上げることは不可能かと思いまするが、併し侵略国である限り、或いはこの中共に対する輸出制限に関する限りにおいては、それを仮想敵国とおつしやれば仮想敵国でありましよう。が、併しこの安保条約について、あの中ソの同盟条約などと違つてどこにもこれらの国を仮想敵国としたような条項は見出すことはできないのであります。でありまするから、私は飽くまでこれは日本の現状においてはこの程度の軍隊を日本に駐留せしむることが日本の自衛を全うするゆえんであるという考えの下にこの安保条約ができたものと考えております。
#53
○海野三朗君 過日ニクソン副大統領が来ていろいろのことを言いました。すべての点から考えますると、この朝鮮の休戦というものは一時時を稼いでいる現象であると私は思う。時を稼いでいる。いつ始まるかと言いますと、言わずもがな日本の保安隊が強化されて朝鮮に引張つて行かれるようになるときを狙つてこの朝鮮の平和が破れると私どもは心配するものであります。この点に関しては外務当局は如何ようにお考えになつているのでありましようか。
#54
○政府委員(小滝彬君) 私は将来のことは存じませんが、全然あなたと見解を異にするものでございます。
#55
○海野三朗君 今の御答弁……私は如何ようにお考えになつているかという質問に対しまして見解が違うというのじや答弁になつておりません。それが如何ようにお考えになるかということを私はお伺いしたいのであります。それに対して見解が違つているという答弁じや答弁になつていないでしよう。あなたは政務次官として……。
#56
○政府委員(小滝彬君) 日本の保安隊が強化されましても、これは飽くまで日本を守るためのものであります。日本に対して間接侵略、又今後制度が変りましたら直接侵略に対してもこれを使うことができるようになるかも知れませんが、それは何も朝鮮へ出兵するためのものではなくて、飽くまで日本の国土を守るためのものでありまするからして、それと朝鮮事件が再勃発するかどうかということとは全然無関係であるという見解を持つております。
#57
○海野三朗君 今日本の鉄鋼業にいたしましても値段が高いからしてヨーロツパに売れない、又中共の貿易も思うように行かない、国内では中小企業者が今危殆に瀕しておるのである、これはどうしてであるかと申しますと、結局するところ日本の外交政策が貧弱であるからだと私は思うのであります。つまり日本がこういう貧乏になつて行くのは外交において私は甚だまずいからだと思うのでありますが、外務当局は如何ようにお考えになつておるでありましようか。
#58
○政府委員(小滝彬君) 世界各国を相手にしてやらなければならない外交でありますので、先ほどおつしやいました通り相手のあることであつて、相手の立場も考えなければならん。そういたしますると、丁度日本の思う通りにすべてが動かないことは御了解下さることだと存じます。現にロンドンヘも使節を出しまして支払協定の改訂の交渉をさしておる。而もそれについては支払協定のみならず他の通商障害を除去するように強力に折衝させようとしておるわけであります。過般ガツトの協定に入りましたのもそうしたために互いに互譲妥協の精神で話合いを進めましてあの宣言に加入することになつたわけであります。又エジプトにも貿易取極が最近でき上つております。カナダ或いはビルマと協定をするというようにいたしまして、世界各国に対しましてできるだけ日本の商品がよく売れるように、そして日本の必要とする品物が障害なしに日本に来るように、こうした努力を常に続けておる次第でございまして、これは結果的には十分皆さんの御期待に副い得なかつた点があるかも知れませんが、我々としてはこの貿易振興のために最善を尽しておるつもりでありますからして、国内的な措置についても皆様が御協力下さることをお願いするのであります。
#59
○委員長(中川以良君) ちよつと申上げますが、小瀧政務次官は衆議院の外務委員会からやかましく出席を求めて来ておりますので、もう暫らくいて頂いて、御退席を願いたいと存じますので、一つ小瀧政務次官に対する御質疑を簡単にお願いをいたします。
#60
○白川一雄君 開らん炭のことについてお話が出ましたので、伺いたいのですが、開らんの石炭は日本の製鉄業に非常に必要なはずで、而もその必要なのは、その開らん炭の優秀な石炭が必要なはずでありまして、開らん炭の石炭というものは品質そのものは必ずしも優良なものではなくして、いい炭と悪い炭に区別されているはずであります。それで前に入つた石炭は非常に悪くて、最近はよくなつたというように、結果だけ見て一喜一憂をする状態では日本の産業の堅実なる材料とはならないのじやないか、根本をもう少しつきとめて開らん炭輸入の計画をお立てにならなければいかんのじやないか、開らん炭は経営主体が変つたと同時に、現在経営実態が、又経営方法が変つておるはずであります。当局はその調査が十分できて、どういう石炭を輸入するのを許可するという方法をおとりになつておられるだろうと思いますが、開らんの現在の炭鉱経営実態についてどの程度に御調査ができておるかを承わりたいと思うのであります。
#61
○政府委員(小滝彬君) 白川さんはこの方面の非常な専門家であり、現実の問題を詳しく御存じでありますが、我我のほうでは今の実情からいたしまして中共関係の資料を集めるのが非常に困難であります。が、併し香港等を経由いたしましてできるだけそうした面の資料を集め、そしてこの中共との貿易関係に有益な資料を持つように努力いたしておりまするが、今丁度どういう資料が来ておるのか、はつきりいたしておりませんものですから後刻調べまして御報告申上げたいと存じます。
#62
○白川一雄君 この問題につきましては前々回の委員会で何度も伺いを立てておるのであります。私戦争中開灘炭を担当しておりました関係上非常に憂慮しておる一人であります。日本の石炭がこれだけ余つて困るという実態のところへただ漫然と、あそこの悪い炭ならば日本の悪い炭よりもう一つ悪い炭であるはずでありまして、いい炭というのは極く一部分、而も特殊な技術を施して日本の製鉄に役に立つ石炭ができるはずであります。それを商社の言葉によつて漫然と入つた結果は、外貨は支払い、而も日本の石炭業者を苦しめるとう、このことを漫然とやられるということは、現在日本の産業を起して行く上に非常に支障を来たすのではないか。これは商社にも私非常に責任があると感ずるのであります。実は私昨日アメリカから帰つたのでありますが、アメリカヘ行つて体験したことは商社が自己の商売をやらんがために、非常に競争その他をやるために日本の産業そのものを非常に窮状に陥れているという事実もたくさん見て参りましたが、只今の開らんの石炭にしましても、大蔵当局が莫大な外貨を支払い、而も結果が逆になつているものを、根本を十分御調査にならずにやられたのでは、若しこの次来たのが悪かつたら又悪かつたというだけでは済まないことになると思います。十分一つその点御調査の上納得の行くように迫つて御報告を願いたいと思うのであります。
#63
○小松正雄君 本日外務大臣の出席を求めてそうして大臣の御意見を聞こうということは、中共貿易だけでなくて、日本の貿易という問題に関連してお聞きしたい、こういう考え方であつたろうかと思います。それはただ単に貿易だけであるならば通産大臣に来て頂いて聞いて見ればわかる、こういうこともあると思いますけれども、その貿易に関連してどうしても外務当局の御意見を聞きたい、こういう趣旨から先輩のかたがたが御要望された、いわゆるその趣旨からいたしますると、本日のこの委員会におきまして外務当局の御答弁の中に私ども通産委員として誠に遺憾に堪えない、こういう点が多々あつたと思います。それは一言申上げましても見解の相違だ、見解の相違であるからしてその委員の質問に対して答える要なしということはたびたび言われているのであります。通産委員会にかかつている貿易のみであるならば通産大臣から聞けばわかる、或いは通産省の次官が見えて聞けばわかるのであります。併しそれにはいろいろな支障があり、外務当局が貿易に対してこういう援助方法をして、そうして通産省と一体になつて日本の貿易の拡大を図る、この意味においては次官としての見解では一言で申しますならば、仮想敵国であるというような関係を持ち、或いは思想的に違う中共、ソヴイエト等に関して貿易をなす必要なしとこう考えているかも知れませんけれども、私どもこの日本国民として而も通産委員としては是非とも貿易をする上においては中ソを入れて一日も早く貿易の拡大を図つてもらいたい、こういう意味からして大臣の代りに来られた次官に対して縷々質問をしたわけであります。これに関しまして私は今申しましたように遺憾に堪えないということは、次官はただ単にそういうお考えではなくて、会後ますますこの日本の産業の発展のためには貿易を促進するということを前提として、先ず御挨拶の一番勢頭に言われたように、それを主としておるがために、中ソの間にも、今まで制限せられてあつたものの中からも十数目を挙げて緩和して行く上において努力をした結果が、十数目も加えて貿易ができるような段取りにも相成つておると、こういうことを言われておるのでありますが、そういう信念を今後も持ち続けて頂いて、そうして通産当局と特に相提携せられて今後とも近隣の中ソに対しては、どの手からしても入つて行けるように促進されるようにあなたとしてお考えがあるかどうか、これを一つお伺いいたします。
#64
○政府委員(小滝彬君) お説誠に御尤もでございまして、先ほどからも申しまするように、いろいろ政治的の困難な点があるけれども、ソ連や中共との貿易もできるだけよくなるように配慮しておるということを申上げた次第であります。殊に私自身のそういう心がまえがあるかという御質問に対しましての渉外部長や輸出局長や通商監などをいたしまして、外務省といたしましては私は通商に関する限りは始終発言をいたしまして、殊に通産省には私の曾つての同僚が局、課長に大勢おることでもありますので、そうした面につきましては、私自身の気持を率直に申上げまするならば、外務省の誰よりもよれその辺に配慮をいたしておる次第でございまして、その意味におきまして、折角岡崎大臣を助けまして、そうした面を殊に重要視して外交を推進して行きたいと考えておりますから、どうぞその点御了承下さいまして今後とも御支援下さいますようお願いいたします。
#65
○小松正雄君 もう時間もないそうでありますから、そう続いていろいろなことをお尋ねすることは避けますが、十数目以上緩和するために加えたというその種目はどういうものでございますか。
#66
○政府委員(小滝彬君) 私は地方弁でございまして発音が悪かつたからお聞き取りにくかつたかと思いますが、最初の、本数品目と申上げたのは、これは品目を数で数えますのは実は非常に困難でございまして、又品目の分け方にもよりますので、先ほども外務省と話しましたけれども、どうも的確な表現がないので、十数品目というようにお答えしたように思いますが、併し係も来ておりますから、後ほどそれでは書面で差上げるといたします。
#67
○委員長(中川以良君) ちよつと速記とめて下さい。
   〔速記中止〕
委員長(中川以良君) 速記を始めて
#68
○三輪貞治君 それでは細かい点については通産当局にお聞きしたいと思いますが、根本的な中近東との国交の問題について、実はこの前の第十七国会の継続審議に付されたイランとの問題、それから最近のシリアの問題等について簡単にお聞きしたいと思います。イランとの国交の回復について今まで公館等もなくて非常に遺憾な状態が続いておつたのでありますが、最近はその公館設置について話合いが進められて、具体的にも相当の進捗を見ておると思いますが、それが今どの程度になつておるかということ。それから最近イランヘのプラントの輸出について日本の商社が、イランの政府でありまするか、それを担当しておる商社に対してでありまするか、若干の借款を七年間くらいの期限を以て供与するというようなことが出ておりますが、これは勿論政府としては御認可になつておると思いますが、その間のいきさつ。それから最近イランの大統領がエジプトの大使……公使でしたかによつて、シリアの石油開発について日本の協力を求めたい、日本の手によつてシリアの石油を開発してもらいたいという申入をしておるように新聞で承知しておりまするが、これは正式に外務省にそういうことが届いておるか、而もその間のいきさつはどういうふうになつておるかということ。それからもう一つですが、簡単にお答えして頂いて結構です。イランについてバーター貿易が過去において制限をされ不許可になつておるわけであります。ところが非常に貧乏な国でありますから、金を払つて日本から買うというようなことはなかなかそう行かない。最近もアメリカが相当の援助を決定したようでありますが、それとても限度があることでありますから、向うとしても非常に日本とのバーター貿易を希望しておる。イランとの間の貿易、通商を進めるならばどうしてもバーターが先決の問題になると思います。これをいつまでも制限するということになると、実際に話が進んで行つても実際に当つては進まない、こういうことになりますから、ずつと続けてバーター貿易を制限される御意思であるかどうか。この点について伺います。
#69
○政府委員(小滝彬君) 第一のイランに公館を開くこと、これは御承知のように十月三十日双方が国交を回復するという交換公文を了しまして、現に代理公使が行つております。平和条約に調印しておりませんけれども、国交回復に関する公文の交換を了しまして、現在は代理公使でありまするが、できるだけ速かに公使を派遣したいと考えております。
 その次のプラント輸出の問題は、これは通産省の所管であります。
 それからシリアの石油開発というような意思表示があつたということは確かに電報で来たことを承知しておりまするが、これは具体的な話ではないので、結局今後どういうふうに発展するかは、今現にエジプトにおります私の同僚の与謝野という公使が帰つておりますから、更に詳細なことを聞いて、何か新らしくあれば御報告申上げたいと存じます。それから今十月三十日と申しましたのは、正式に公文を交換したのは十一月一日でありますから訂正いたします。
 なおバーターを不許可にしておいてはいけない、やらなければいけないということ、これも通産省が所管しておりまするから、通産省のほうからお答え願いたいと思います。ただ外務省として一つ申上げたいことは、石油がバーターの対象となるということになるといたしますれば、これは外交関係がございまして、実はあすこのイランの石油会社とイギリスとの話合いがつくまではイランの石油の新らしい買付けは遠慮しようという話合いになつておりまするので、その点は今後のイランと英国との話合い如何にかかつておるという点だけは外務省としてお答えいたしておきます。
#70
○三輪貞治君 その最後のバターのことだけですが、これは勿論外交上の関係で、現在支払協定も進められておるという形で、早急ということは無理だろうと思いますが、日本の裁判所では明らかにイランのものであるという判決をしておる。それに対して一回は控訴しましたが敗訴しまして、更にもう何とも言つておらん。そうするともう日本ではあれはイランのものだということになつておる。そうしますると、何も石油に限つてのみそういう御遠慮をされることは、向うの国同士の間の交渉でいろいろなことが具体的に問題になることで、日本でその所有権についてどちらのものともわからない、盗品であるという横槍を入れられると困るという御心配はされないでいいというような気がするのですけれども、如何ですか。
#71
○政府委員(小滝彬君) その点は国内法上における法律問題、所有権問題と離れまして、外交上このスターリング地域との非常に大きな貿易問題との関係から考えまして当分差控えたほうがいいという考慮に到達してやつたものでありますから、法律的な問題とは別個に、外交上の考慮、もつと大きな対世界貿易という考慮からやつておるということを御了承願いたいと思います。
#72
○委員長(中川以良君) 通産省のほうに何か御質問がございましたら……。
#73
○三輪貞治君 前の委員会でも申しましたように、十月二十二日にイランの総理大臣ザヘデイ将軍から吉田総理大臣に、イランの農業地下資源、農業金融等の開発投資について日本側の協力を依頼したいという意味のメツセージが出光興産の専務と常務の両氏を通じて届けられ、更に出光興産の社長が吉田総理に対してその趣旨を伝えたように新聞で承わつております。これは日本の貿易振興というものが、経済の自立に非常に重要な位置を占めておることを考えましても、非常に耳よりな朗報でありまして、日本としてはできる限りの協力をすべきであるというふうに我々は考えておるものでありまするが、この点について通産当局ではどういうふうにこの依頼に対して臨まれる御方針であるかどうか。その御検討の過程についての御報告をお願いしたいと存じます。
#74
○政府委員(古池信三君) 只今のイラン国との関係につきまして、通商産業委員長からもお話を承わつておるのでありますが、この問題はお話の通り極めて日本にとつては重要な問題であると存じます。又同時にイランにとつても非常にこれは重要視されておる問題であるということは疑いのないことであろうと存じます。申すまでもなく、将来イランは日本にとりまして、輸出の面においても、或いは又輸入の面においても共に市場として重要性を持つておるわけでありますから、只今のような問題は大局的な見地に立つて、又国際情勢等も勘案しつつ十分にこれは検討を加えて、できまするならば、又適当な時期が参りまするならば、進めて行くべきではないかと考えて、目下検討を加えておるような次第であります。
#75
○三輪貞治君 この中にもいろいろな項目がありまするけれども、これは外交的な考慮を払つて国際的な事情が好転をするならばとかいうようなことでなしに、やつていい問題だと思われるものがたくさんあります。例えば漁業の問題にいたしましても、ビルマとの間にはすでに日本の大洋漁業との間に合弁会社も作られておるし、又パキスタンのほうにまでも漁場拡張をするというようなこともありまするし、ペルシヤ湾にも、漁場等はこれに連続しておるのでありまするから、結局日本として専門家を以てする調査団を派遣するというようなことはもう当然やるべきことであつて、時日を待つておれば、ほかからもたくさんそういう手は差伸べられておるわけでありまするから、これは至急に一つ御検討を進めて頂きたいと思います。
 先ほど外務政務次官にお伺いしたイランに対する借款の供与ですね、これは具体的に申しますと、イランにありまする、イランの登録を受けておりまするニトコという会社、これは社長が日本人でありますが、それとイラン政府との間に砂糖工場を作ることについての、注文を受けることについての交渉が前々から進められておりますし、ベルギー、ドイツ等と競争いたしておりましたが、その交渉を有利に進める一つの方法として、日本側ではこれに対して借款を供与する用意があるということを発表しまして、この交渉が非常に日本側に有利に転換をしておつたのであります。ところが更に今度はもつと有利な条件で、もつと長期に、ドイツのほうが金を貸そうというようなことを言い出したりして、最近はちよつと混沌としておるようでありますが、この借款の供与については、通産省ではどういうふうに、将来相手方が又更に有利な条件で、長期で貸そうというならば、更に又検討する余地があるのかどうか、そういう点についてお伺いしたいと思います。
#76
○政府委員(古池信三君) 只今御引例になりましたその問題につきましては今詳細なる資料がございませんので、適切なる御答弁がいたしかねまするけれども、一般論としまして、さような適当なるプラントを輸出する面においての金融と申しますか、そういうようなことにつきましては、幸い輸出入銀行によつてそういう方向がとられる法制の建前にもなつておりますので、具体的問題を検討して、できますものならば、そういうルートによつて向うに協力するというようなこともいい方法じやないかと、かように考えております。只今お話になりましたその関係の問題についてはちよつとここに資料がございませんので、お答えいたしかねます。
#77
○三輪貞治君 実は日本のほうから借款をやるという、金を貸すならば早速に日本のほうに注文しようということに話がなつておるところにドイツがおれのほうがやろう、もつと長期にやろうということになると、日本では何らかの手を打たなければ折角長い間かかつてそこまで漕ぎつけておる現地の人々の努力が水泡に帰することであつて、非常にこれは時間的にも急ぐ問題ではないかと私は感じておるわけなんです。で至急に御調査費頂きまして、そういう努力をしておる、現地の非常に条件の悪いところで、而も最近は先にも申されましたように代理公使が行かれるという状態になりましたけれども、多くの交渉の過程というものは、そういう交換のない、保護のないところでされておるという努力に対してそういうことで水泡に帰するということがないように適切な手をお打ちになるべきだと思います。先ほどちよつと外務政務次官にお伺いいたしましたが、イランとの間のバーター貿易の問題、これは外務省としては勿論外交的な考慮を払つておるので、今急にできないというお考えでありまするが、併しながらこれらの国との間の通商貿易をスムースに進展させようとするならば、勿論金は十分にないのでありますから、これはバーターによらなければならない。何も石油だけがその対象ではないのであつて、原綿もあればその他の地下資源もあり、米もあるのでありますから、何も石油に限らないで、バーター貿易の将来をどういうふうに途を開いて行かれようとしているのか、外務当局のお考えはわかりましたが、通産当局のお考えをお聞きしたいと思います。
#78
○政府委員(古池信三君) 我々といたしましてはバーターにつきましては制限しないで適当なる品目のバーターは結構であると存じております。但し石油につきましては、先ほど外務政務次官からもお話がありましたように、これは非常に国際的にも重大なる問題になつておりまするので、暫らく様子を眺めておるような次第でありまするが、その他のものにつきましては今のところ制限をいたすつもりはございません。
#79
○三輪貞治君 石油については日本側の商社に対して向うでは七年ですか、七年間は今までの取極めた条件で売るというふうに言つておるわけです。新らしい政権になつても、幾らイギリスとの国交を回復されても七年間は前通り売つてやろう、ところが日本の政府は外貨を、割当てない、外貨を割当てなければバーターによるほかない、そのバーターは許可しない、こういうことであると、結局これは今までの五割引というような安い値で入れることができないにしても、現在の交渉の過程におきましても、どんなに高くても三〇%ぐらいの値引きで入れられるという状態があるのでありますが、これは入れる方法というものは全然なくなるわけですね。今度の外貨の割当では何かそういうふうについておりますが、これはイランの油については困る、積出港をはつきり明記しなければいかんということになると、やるなと言わなくても金のほうで締め、バーターでも締めるということになると実際にはできない。これは結局日本の燃料政策の上から言つても相当な私は損害ではないかというふうに感ずるわけなんですが、その点通産当局としてはどうお考えなんですか。
#80
○政府委員(古池信三君) 只今申上げましたような事態でやはり外交の関係も考慮せればなりませんので、この問題につきましては我々も十分外務省と連絡をとりまして事態に即応して善処して参りたいと考えております。
#81
○三輪貞治君 事態に即応してとおつしやいますが、もう前の外貨の割当は恐らくもう済んだのではないかと思うのです。そうするともう買えないのですね。事態に即応すると、今やらないともう買えないわけですね。向うは一カ月にアバダンの精油所だけでも三百万トンくらいの精油能力がある。一カ月か二カ月動かせば日本の全部の所要量がすぐに賄える。それが溢れるようにある。それを四割か三割引いて売ろうということがあるのですから、それは長くなると適切な手がなくなるのですね。現に外貨が切れているのですからね。そうすると今のような状態では輸入できないということですね。それからもう一つ、イギリスとの僕は一番障害になつているのは、障害というか、考慮されているのは、イギリスとの支払協定のことだと思う。今そういうふうに支払協定の話を進めているのに、向うの機嫌を悪くするようなことをやるのは策を得ないと思う。併しこれが済めばまあいわゆる適当な機会に何か買入れるような措置は用意されているのですか。又時期は、その支払の問題があるので困るということですか。一時的の何か支払の目当なしに漫然と買つてもいいような状態が来ればと、これはなかなか来ないと思うのです。恐らくじつとしていると、アメリカ、イギリス、イランの三国共同の会社案等も出ておりますから、これができて、カルテル組織の中に油が入つてしまわれると、どこも同じなんですね。そうすると何もうま味もなければ、イランでたければいかんということもない。時期的に非常に切迫していることで、余り長く適切な時期を待つているとその時期が過ぎてしまう、こういうことでありますから、これははつきりもうこれは断念しているということであればそれも一つのあれでしようが、一つ通産当局としての肚ですね、お考えをお聞きしたいと思います。
#82
○説明員(松尾泰一郎君) 只今の政務次官のお答えに対しましてちよつと補足いたします。イランの石油につきましては通商関係から見れば輸入をいたすほうがまさしくいいわけです。その結果として又輸出も出るわけであります。いいわけでありまするが、先ほど外務政務次官からもお話がありましたように、外交的な関係から現在のところ若干遠慮しているという状況でございまするが、先般の問題の起ります前に割当てました、出光会社に対しまして割当てました石油の輸入が大体来年の一月の末頃まで続くわけであります。大体我々の見通しといたしましては、イランを中心とする油の問題が、特にイギリス、イランの関係が早急に解決することを希望いたしているのでありまするが、これはまあ大体来年の春頃になれば何とか解決するのじやないかという期待を持つているわけであります。従いましてまあ大体一月まで今の態勢で輸入が細々続いて行くということになりますれば、そう長く中断をせずに買えるような時期が来ることを実は期待しているわけであります。で商社も大体そういうふうなこの見通しの下に努力をされているようでありますし、それから外貨資金のほうも、御存じのように、まあ外貨資金は今六カ月の期間を置いて予算編成をやつておりますが、まだ今のところたしか十二月末までのものを割当てているような段階ではないかと思います。或いは来年の一━三のものも若干割当てておるかも知れませんが、若し仮に若干そういう国際情勢が好転して入るようになれば、勿論外貨面で十分考えられるだろう。今急にここで割当てるということは、先ほど来お話のありましたような状況でありまして、経済的というよりは若干外交的な問題で私も控えるべきと思いますが、来年の春頃に若しそういう事態が解決いたしますれば、我々は可能ではないかということで、余りこの際、虚心坦懐に申上げるならば、日英会談もやつておる際でありまするので、暫らく静観をしたほうが却つていい結果が出て来やせんかということで、実は心焦りながらも待つておるような際でありまして、決して拱手傍観をして眠つておるわけではございませんので、その点は御了承願いたいと思います。
#83
○三輪貞治君 さつき外務政務次官にお願いいたしましたシリアの石油開発の問題ですが、これは新聞で見るところによりますと、シリアのほうでは外交的な考慮の上で日本に頼もうというふうに要望しておるように聞いております。アメリカに頼んでもイギリスに頼んでも、丁度カスピ海を隔ててソ連に非常に近いわけですからどつちにしても工合が悪い。ソ連に頼むわけには行かない、自分の力もないということで、日本の石油開発の技術というものに信頼をして、而も外交的な考慮の上にその開発に協力を要望しておるというふうに新聞では私は感じましたが、又現に外務省にもそのあれは入つておるようであります。私はシリアの石油開発の将来というものがどういう状態にあるかを知らないのですが、これは相当有望な、日本が積極的に乗り出して協力をするに値いするほどの状態であるかどうか、一つお伺いしたいと思います。
#84
○説明員(川上為治君) シリアの石油の保存状況とか埋蔵状況とか、そういうことはよくわかりませんが、今お尋ねになりましたそういう方面から石油の資源の開発という要請がありますれば、日本としましてはこれに対しまして遠慮すべきものではないというふうに考えております。
#85
○三輪貞治君 そこで話が先ほどに戻りますが、この専門家を以て編成する調査団の派遣を要望している。イラン及びシリアの石油開発を要望している状態を考えますと、若し将来この調査団の派遣をされるというならば、これはイランのみならず中近東のそういう地下資源の問題を含めて調査団を出すと、こういうふうに一つ通産省としてはお進めをして頂いたらいいのではないかというふうに考えるわけです。その点一つ余り長くなるとこれは競争相手もおることでありますので、一つ早急に実情をお調べになつて、そういうふうの派遣のことが実現しますように、実際にはそういつた規模において中近東の資源の調査という形においてされるようにですね、希望したいと思います。特にこの前も話しましたが、この人選などもいつの間にかどういう選考の基準でされるのか知りませんが、きまつてしまうというようなこともありますので、これは外交的に見ても非常に重要性を持つており、又日本のこの方面に対する将来の貿易を進めて行く上にも、非常に有利な一つのステツプになるのでありますから、一つ国会とも緊密に連絡をとつて、できれば国会あたりからも政治的な解決の意味において加えての広汎な調査団と、こういうふうにされれば、いろいろな目的を達成するのに都合がいいのではないか、こういうふうに考えますので、これはすぐということもあれですが、そういうことの希望を申上げまして、これが実現を早くされるように、通産当局にお願いを申上げまして、この問題に対する質問は終りたいと思います。
#86
○委員長(中川以良君) ちよつと私から申上げますが、今三輪君の御発言に対しましては、前国会の末期におきましてもこの問題が出まして、只今の御発言の御趣旨を是非政府側に委員長から伝えて、政府としてこの問題を真剣に検討を加えて実現をしてもらいたいということを、各委員も皆そういうふうに御賛同になつたのでありまするので、どうぞ一つ一層至急に熱意を以てこれに当つて頂きたいと思います。
 それから今の石油の問題でございまするが、只今松尾次長のお話を承わりますると、イランの石油の問題も来春には明るい見通しがつくように解決をしたいと、これに努力をしておるということでございますので、これは誠に結構なことと存じます。殊に我が国の燃料政策上から見ましても、折角イランと国交が回復し、こういう好機に恵まれておりまする際でございますので、英国その他との国際関係も是非円滑に処理を願つて、只今の御期待のようにこれは早くお進め頂きたいと存じます。
 そこで石油の問題ですが、最近国内におきまして、この石油系統の燃料に対しましていろいろ問題が起きておるようでございます。需要が非常に殖えて参つたので、当初通産省が計画をされました輸入量と比べまして相当な相違が出ておるのじやないか、聞くところによりますと、上半期四━九においてすでに通産省が計画をされておりました輸入量に比べまして、需要量は四十万キロ上廻つておる。更に下半期におきましては、百十万キロも不足をするのじやないかということが言われております。従つて、本年度百五十万キロの不足を来たすのじやないか、この点が非常に憂慮をされておるようでございます。殊に重油その他軽油関係につきましては、石炭の昨年来の高騰に伴いまして、又工場の合理化等からいたしまして、これが非常に使われるようになつた。小さい工場のボイラー等も、石炭を重油に切替えてバーナーを付けてやると非常に節約になつて合理化ができたと喜んでおるところがたくさんございます。然るに最近はどうも重油が入手しがたいので、これは非常に困つておるところがある。又一般家庭のコンロでございまするが、石油コンロが非常な勢いであまねく農山村にまで今日は普及をしておる。然るにコンロのほうはどんどん生産したけれども、最近の珍現象としてはこれに対する燃料がない、ないがために折角コンロを買つもこれを使うことができないというような状況があるようでございます。これは一体どういうふうに解決をしたらいいのか、これらの最近の燃料の事情、将来どういうふうな対策を持つておられるかという点を承わりたいのであります。これにつれまして燃料の輸入の割当でありますが、原油、揮発油それから重軽油、それから機械油でございますか、たしか四つかに分けて割当をしておるようでありますが、これを一括割当をしたほうがいいのではないかという陳情等も我々は承わつておるのでありますが、こういうような点等につきまして一応通産当局から御説明を願いたいと思います。
#87
○説明員(川上為治君) この委員会のほうから資料の要求があつたそうですけれども、実は私のほうの事務のほうで連絡が十分ついておりませんので、本日資料をお配りすることができなかつたことをお詫び申上げてお声ます。資料を差上げてありませんので、私から概略現在の需給関係を申上げたいと思います。今年の四月、本年度の石油の需給計画を立てましたときは、大体国産原油は僅か三十数万トンでありますので、殆んど大部分が輸入に仰いでおるのでありますが、年間七百万キロリツター程度考えました。そのうちガソリンが百七十五万キロリツター、重油が四百十二万キロリツター、燈油が十五万、軽油が五十五万、その他機械油等を入れまして七百万キロリツター程度輸入するという計画を立てたわけであります。勿論この中には製品は一部でありまして、相当の部分が原油になつております。この計画で進んだのでしたが、八月頃でありますか、相当これではむずかしい、国内の需給にミートすることができないというような結果が実績におきまして出て参りましたので、十月の初めの下半期における割当の計画は年間ベース七百万というのを八百六万キロリツター、約百万殖やしましたわけであります。その八百六万キロリツターの内訳を申上げますと、ガソリンは先ほどの百七十五万キロリツターというのを百八十万キロリツター、重油は四百十三万キロリツターを四百六十万、この四百六十万のうち輸入は二百四十万で、あとは原油を輸入して精製するものであります。それから燈油が十五万キロリツターというのが三十七万キロリツターというのが三十七万キロリツター、それから軽油が五十五万が六十万というふうに殖やしたわけであります。最近におきましての在庫の状況を見ますというと、これは十一月末のやつがまだどうしてもとれておりませんが、ちよつと資料が古いのですけれども、十月末の在庫の、ガソリンにしましても、重油にしましても、燈油、軽油にしましても、大体普通三十日分ぐらい在庫はあるべきだというふうに我々考えておりますが、十月末の在庫はガソリン、重油とも大体二十日分、それから燈油、軽油が非常に少いというような状態になつております。これは一つは外貨の下期の割当の決定が少し遅れたというために、輸入が少し遅れて来たという問題が一つの原因になつておるのではないかと思います。それから最近におきましては、どうも品不足になりそうだというようなことで、燈油とか、或いは重油というようなものを買溜めなりそういうことをやつている向きがあるのではないかというようないろいろな点から言いまして、石油の需給に対しまして相当不安な状態になりかけておるのでありまして、私どもとしましては、何とかこれに対しまして早急に対策をとる必要があるのではないかというふうに考えております。ただ問題は、例えば重油の問題につきましても、余りこれを殖すといいますというと、つい石炭との関係というのが非常にシリアスな問題がありますので、そう重油をめちやくちやに外貨を使つて入れるということもなかなか問題なのではないかというふうに考えられますので、重油につきましては石炭の問題も考えて、成るべく輸出産業とかそういう合理化をどうしてもしなければならん産業に対しまして重点的に配給するようにということを業者のほうには言つております。恐らくそういうことで業者のほうでは或る程度そうした向きに余計に売るようにしてあると思います。それから燈油につきましては、これは木炭との関係がありますので、林産資源との関係があるので、或る程度これは現在の払底状況では困りますので、或る程度これは追加して入れなくちやいけないのではないだろうかというふうに考えております。それから軽油につきましても、最近バスとかそういうものが非常に余計運行するようになりましたので、軽油を相当使つておりますが、これも交通関係の方面からも若干考えなければならんかと思うのであります。ただ世間のほうで非常にわいわい騒いでおるほどにこの問題はシリアスであるかどうかという点についてはよほどこれは慎重に考えなければならんかと思うのであります。先ほども申上げましたように売惜みとか買溜めとか、そういうふうな問題が非常に起つておるようにも考えますし、それから重油のほうにつきましてもこの要求する方面から非常に不足しておるという声はそれほどまだ強く我々のほうには伝わつて来ておりません。まあそういう点を考えますというと、外貨の節約の問題も考えなければなりませんので、業界のほうが言うほどに、それほどたくさんのものをこの際追加なり、或いは無為替輸入なり、そういうような方法によつて輸入しなければならんかというような点は、よほどこれは検討しなければならんかと思うのであります。今そういう問題について私どものほうとしましてはいろいろ打合せをしておりまして、近いうちに何とかして対策を立てたいというふうに考えておりますが、今のところは先ほど申上げましたように、十月以降の外貨の決定が若干遅れましたために、原油なり或いは製品の輸入が遅れましたために非常な窮屈な状態になつておるのじやないかと思いますが、現在この原油輸入もこの外貨に基いて相当入れつつあります。それから精製業者の精製の状況を見ましても予定よりも余計精製いたしておりますので、現在の窮状はそのうち解消できるのじやないか。ただ心配なのは二月、三月、これが一番問題になると思うのですが、そのときの対策にこの際或る程度殖やして行かなくちやならないような状況にあるのじやないかというふうに私どものほうとしましては考えております。
#88
○委員長(中川以良君) 今の割当の方法はどうなんでございますか。
#89
○説明員(川上為治君) 外貸の割当をまああらゆる種類のものを一括して割当てるという問題につきましては、これはいろいろ意見はあると思うのですが、私どものほうとしましては、やはり原則としましては原油で割当をすべきだということは原油を輸入しまして国内で精製いたしますというと、いろいろな点におきまして有利な点が出て参ります。先ず外貨を相当節約する、それから又雇用の問題からしましても非常に必要だ。それから又国内の折角できております精製業を生かすということから言いましても必要だというふうに、いろいろな点から原油で入れたほうがいいという結果になつておりますので、原油で輸入することを我々としましては今後におきましても原則として行きたいと考えております。併し製品を、じや全然入れないかという問題になりますと、この点はやはり相当考えなければなりません。例えばガソリンにつきましても、ガソリンの精製能力というものは需要に対しましてマツチするくらいの程度の精製能力というのが国内にあります。ただ重油のほうは精製能力は足りませんが、ガソリンは、じや全部原油で入れて精製すべきかどうかという問題については、これは又一面において考えなければなりませんので、少くとも一割程度はやはり製品として入れて、そうして値段を競争させて、不当に国内の精製業者が儲からないようにということも、その需要者のことも考えなければなりませんし、又一割程度入れることは相当刺戟があるので、やはり製品の一割輸入ということは、今後におきましても考えて行かなければならんというふうに考えております。
 それから重油については大半はこれはやはり輸入になり、製品の輸入と原油の輸入が大体半々程度になるわけであります。国内の重油の生産能力から見ますと、全部原油で賄うということはできないので、従つて相当部分が製品で輸入しなければならないということになりまして、そういうような状況にありますので、やはり一応原則としては原油で輸入する、それから製品は、例えばガソリンに対しては刺戟の程度はどうしても入れなければならん、或いは重油は大部分入れなければならんというようなことになりますので、どうしても従来通り一括輸入というのをこの際考えることはどうかと考えまして、やはり原油は幾ら、残りは精油ということで行くべきじやないかというように考えております。
#90
○三輪貞治君 これは資料の請求なんですけれども、今の御説明でも、先ほどの需給計画の具体的な数字でもわかりますように、確かに政府が石油の輸入について原油中心主義をとつておられることはよくわかるわけなんです。又原油中心主義がよいか、又精油中心主義がよいかとか、そのバランスをどうするかということはいろいろ議論のあるところでありますが、問題は国内の精製業者が不当に云々ということがありましたけれども、国内の精製業者であればまだ許される場合であつても、一体精製業者の資本関係というものが私たちの聞いておるところでは、相当外国資本が多いということを聞いておるわけです。それで先ほどの資料を提出される場合に、代表的な精製業者の資本の内訳、国内資本と外国資本との内訳、これを資料としてお出しを願いたいと思います。その上それについての論議をしたいというふうに考えております。
#91
○海野三朗君 この頃石油コンロが非常にはやつて来ました。それは実際俸給生活者が薪を使うよりも経済的によいことがはつきり数字に現われておるからであります。で、石油のことについてでありますが、この頃帝石では最近盛んにボーリングをやつております。山形及び秋田のあすこではすばらしい油田が見付けられたということになつておりますが、或る地質学者の説によると、もつともつとあそこになければならないという説を私聞くのでありますが、この国内の石油をもつと掘るというところに対して何か通産当局としてのお考えがありませんか。山形県は御承知の通りあの最上川から日本海に面した方面は一般に皆亜炭が出ておるのであります。それから天然ガスが噴出しておる状態であります。そういう見地から考えましても、相当なる油田があの地帯にあるということは想像に難くないのでありますが、それに対して通産当局は帝石とか、民間に任せないで更に或いは政府の力ででもこれを掘ろうというお考えがないのか、何か計画を立てておられないのかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
#92
○説明員(川上為治君) 先ほど申上げましたように、石油の需要は非常に伸びつつありますが、それに対しまして外貨その他の方面から相当今後におきましても制約されるのじやないかというふうにも考えますので、何とかして国産の原油をこの際相当程度増産すべきじやないかというふうに私どものほうも考えまして、実は通産大臣の諮問機関に石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会というものがございます。これは法律によつてできておる機関でございますが、この機関におきまして一年或いはそれ以上に亙りまして国内原油が増産できるかどうかという問題につきまして詳細検討いたして参りました。その結果五カ年程度で相当の金を注ぎ込むならば、百万トンくらい出せる、或いはそれ以上出せるというような案ができたわけであります。その答申案を九月の初めに通産大臣に出して参りましたので、私どものほうとしても詳細これを検討しました結果、それは十分可能性があるのじやないかというふうに考えまして、今から申上げますような案を作りまして、通産省としてはこの案を一応決定いたしまして、そうしてこれに伴う予算措置につきましては、現在来年度の予算として大蔵省に要求をいたしております。その案と申しますのは現在国内におきましては三十数万━━三十三万キロリツターぐらいしか出ないんですが、先ほど申上げましたように探鉱費として約百億の金をかけますというと五カ年後におきましては百八万キロリツター、百十万キロリツターぐらいは出せるという案であります。併しこの探鉱費の百億という金額は到底一般民間企業においては出せませんので、このうち五十五億程度を国が助成してやつたら行けるというようなふうに考えましたので、その五十五億というのを五カ年に亙りまして毎年大体十億程度ずつ出してやり、それに一般民間資金を入れますというと、五カ年後におきましては百万キロリツターぐらいは出せるというような案を私どものほうとしましては作りまして、先ほど申上げましたように、今予算的問題につきましては大蔵省といろいろ折衝をいたしております。この技術的な問題として果して百万キロリツター出せるかという問題につきましては、これはもう山形県だけではなくて全国に亙りまして、相当どこどこの村の、どこどこの部落で大体どれくらいどこで出せるというような相当細かい計画になつておりますので、我々のほうといたしましては技術的に殆んど問題はないというふうに考えて、通産省におきましてもこの五カ年計画につきましては何とかしてやりたいというように考えておりますので、是非一つ御援助を願いたいと思うのであります。
#93
○海野三朗君 そういう際にやはり民間の帝石あたりに任せて、帝石あたりに金を貸して掘らせようというお考えなのですか、又政府みずからこれを掘ろうというお考えなんでありましようか、どちらでありますか。
#94
○説明員(川上為治君) まあ帝石の問題━━大分新聞を賑わしたようでありますが、私どものほうといたしましては少くとも国家が相当の助成金を出してこの増産計画を遂行する場合におきましては、帝石でありましてもどこの会社でありましてもこれに対しまして相当、例えば特別会計とかいうようなもので行くとか、いろいろな方法によりましてこれを統制し規制しなければならないというふうに考えておりますが、今後におきましてこの帝石をどうするとか、或いはどういう方法でこれを規制するとかいう問題につきましては、現在いろいろ検討している最中でありますのでまだはつきりした案はできておりません。
#95
○海野三朗君 私は古池政務次官にお伺いいたしますが、それはお見通しは如何なものでございましようか。石油を掘れば結構なんだ、大抵このくらいの金をかければいいのだというお話はわかりましたが、それを果して実行なさる御決意が政府当局としてあるのでありましようか、そこを私は伺いたいと思います。
#96
○政府委員(古池信三君) 只今鉱山局長から御説明申上げましたような計画に従いまして、今後極力予算折衝もし、その計画を推進して参りたいと考えております。
#97
○海野三朗君 お見通しは如何でございましようか。それができそうであるか、でき得ないようであるか、お見通しを伺いたい。
#98
○政府委員(古池信三君) 予算の関係は今後の折衝にかかわることでありまして、見通しは何とも明確なことは申しかねまするけれども、極力目的を達成するように努力をいたしたいと考えます。
#99
○西川彌平治君 私も実は今海野委員からお話がございました点をお話申上げようと思つていたのでありますが、外国の原油に依存しておりますることは、世界情勢によつてどういう変化が起つて輸入が杜絶するというようなことがいつあるかもわからんのでございますので、私はこの際国内石油資源の開発のために特段の御配慮を一つ頂きたいということを海野委員と同じようにお願いを申上げたいと思います。
 なお私は大分時間も何でありますから、本日はこの程度で一つ委員会は何して明日にお願いいたしたいと思います。
#100
○委員長(中川以良君) それでは本日はこの程度にしたらどうかという西川君からの御発言がございましたが、如何でございますか。本日はこの程度で終りたいと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#101
○委員長(中川以良君) それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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