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1953/12/01 第18回国会 参議院 参議院会議録情報 第018回国会 水産委員会 第1号
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1953/12/01 第18回国会 参議院

参議院会議録情報 第018回国会 水産委員会 第1号

#1
第018回国会 水産委員会 第1号
昭和二十八年十二月一日(火曜日)
   午後一時二十六分開会
  ―――――――――――――
 委員氏名
   委員長     森崎  隆君
   理事      秋山俊一郎君
   理事      千田  正君
           青山 正一君
           平井 太郎君
           野田 俊作君
           森 八三一君
           近藤 信一君
           松浦 清一君
           菊田 七平君
  ―――――――――――――
  委員の異動
十一月三十日委員近藤信一君辞任につ
き、その補欠として木下源吾君を議長
において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     森崎  隆君
   理事
           秋山俊一郎君
           千田  正君
   委員
           青山 正一君
           森 八三一君
           松浦 清一君
  政府委員
   水産庁長官   清井  正君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       岡  尊信君
   常任委員会専門
   員       林  達磨君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○水産政策に関する調査の件
 (報告書に関する件)
 (日韓漁業問題に関する件)
○証人喚問に関する件
○派遣議員の報告
  ―――――――――――――
#2
○委員長(森崎隆君) それでは只今から開会いたします。
 お諮りいたします。第十七国会閉会中継続調査をいたしました水産政策に関する調査報告書を議長宛て提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(森崎隆君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。
 なお、この報告書の案文及び手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(森崎隆君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。
 なお、この報告書には多数意見者署名をすることになつておりますので、この際御署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
    秋山俊一郎  千田  正
    青山 正一  森 八三一
    松浦 清一
#5
○委員長(森崎隆君) 次に、韓国に拿捕された漁船に乗組んでおりましたところの漁民の相当数の者が最近帰つて参りましたが、これらの人々の代表者を証人として出頭を求める件を議題に供します。証人の出頭を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(森崎隆君) つきましては、証人の氏名並びに出頭を求める日時等は委員長にお任せを頂きたいと思いまするが、よろしうございましようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(森崎隆君) それじやそのように取計らいまして、後刻お知らせいたします。
#8
○委員長(森崎隆君) 次に派遣議員の報告をお願いいたします。
#9
○千田正君 この際、李承晩ライン並びに福岡、長崎方面の調査に関しまして御報告を申上げます。
 十一月二十二日より二十八日に至りますところの報告でありまするが、この報告は速記録に譲りまして、各位に十分に御精読願つて今後の水産問題に対する御参考に供したいと存じます。
#10
○委員長(森崎隆君) それでは別班のほうは、秋山委員が只今いないので私のほうで代りに御報告いたします。
 私ども院議によりまして山口県、福岡県下における日韓漁業紛争に関する地元漁民の実情調査のため派遣せられまして、十一月二十二日より十一月二十八日までの七日間調査をいたしました。別冊の通り報告をいたしたいと思いまするが、内容につきましてはいずれ速記録を通じまして皆さんのお手許にお配りいたしたいと思います。
 以上で御報告を終りたいと存じます。
 ちよつと速記をやめて下さい。
   〔速記中止〕
#11
○委員長(森崎隆君) それでは速記を始めて下さい。
 只今水産庁長官が見えられましたから、一応日韓漁業関係につきましてその後の御報告を一つ簡単にお願いいたしたいと思います。
#12
○政府委員(清井正君) 李ライン関係の問題につきまして、先般いろいろ各員の御意見を承わつたのでありますが、私どももその後外務省と連絡をいたしまして、いわゆる日韓交渉の再開に目下努めておる最中でございます。この点につきましては私より詳しく申上げる知識を持つておりませんので、御了承願いたいと思うのであります。ただ一日も早く交渉を再開いたしたいと私は考えておるような次第であります。
 先般からいろいろ問題になりました問題につきまして、只今までの経過をかいつまんでお話し申上げたいと思うのでありますが、御承知の通り、抑留されました漁夫は殆んど実は帰つて参りましたが、まだ未帰還が六十七人おります。それから船舶が五十隻まだ未帰還ということになつておるのが実情であります。六十七人の内訳は大体今年の二月に捕まりました第一太平丸という船、これは十二人未帰還であります。三月に捕まりました松福丸、六人の未帰還であります。それから極く最近に第七あけぼの丸という船が捕まりまして、これが二十五人、そのほかに香焼丸、この船員が二十四名捕まりまして、合計六十七人がまだ未帰還という実は状況でございます。第一太平丸、松福丸につきましてはすでに何回も外務省から口上書を以て即時返還及び賠償を留保する意味においての口上書を出しておるのでありますが、その後何らのこれに対する回答がなくて今日まで至つておるように聞いておるのであります。なお最近の拿捕されたものにつきましても同様の措置を外務省においてとつておる次第であります。第一太平丸は恐らくこれは領海侵犯のようなことで刑を受けているのではないかと思うのでありまするが、たしか現在は聞くところによるというと、第一審で有罪の判決を受け、第二審に控訴中で大邱にたしかいるというような話を聞いておりますが、確かなことはわかりません。松福丸につきましても外務省としても同様の措置をとつておるのでありますが、まだこれに対する詳細なことは判明いたしておりません。いずれにいたしましても、今年の二、三月頃に捕まりましたものと、極く最近に捕まりましたものと、これが未帰還になつておりまして、その他いわゆる先般九月七日以降最近の事態におきまして捕まりました船員は全部帰還をいたしておるということでございます。船舶のほうは李承晩ライン設定以来未帰還五十隻であります。そういう状況であります。
 先般いろいろお話がございましたが、先ず抑留された船員に対しまして差入れをする必要があるということで、第二十二播州丸という船を仕立てまして、抑留されておりますかたがたに対する差入品を積込みまして、実は向うに向つたのでありますが、それと殆んど入れ替えのような形で帰還が実は始まつたような形でございます。差入れの現実の実施とは別問題に、先般の国会におきましても十分御審議を願いまして、私ども緊急措置といたしまして、取りあえず抑留船員の留守家族に対する給与制度を実施いたしたのであります。ざつくばらんに申しますと、そのときは相当長年月実は抑留されるものということを仮定いたしまして、大体六カ月程度は抑留されるのじやないかということを考えまして、乗組員の給与保険の加入者との関係もありますから、それとの関係を見合つて一応計算いたしたのであります。実は閣議決定直後になりまして、帰つて参る、そういう実はニユースが入つて参りましたし、引続きどんどん帰つて来るというような実は状況に相成つたのであります。そこで当初私どもといたしましては、六カ月分ということを計算いたしたのでございますが、非常に予期よりも早く帰つて参りましたので、これに当初の通り給与いたしますということは、給与保険の制度がございます以上、それを利用して保険をもらつておる人が現にあるわけでありますから、それとの関係上少しおかしい、均衡を考えなければならんということに実はいたしたのであります。そこで私どもは大体給与保険とのバランスを見ながら、できるだけ有利に解釈する、こういう見解の下に実は各県にその通知をいたしたのであります。その原則の下に、各県においてはそれぞれ計算をいたしまして、正式に申請して参るということになろうと思うのであります。大体現在のところでは三カ月分くらいはやれるのじやないかというふうに実際問題として考えております。そのほか一万円の差入費はございます。その程度のものはいけるのじやないかというふうに、実は考えておる次第であります。 実はこれは非常に遅れましたことについては申わけないのでありますけれども、我々といたしましては、その通知を実はいたしたような状況であります。早急に計算をして県から参りますれば、それを審査の上、現金を交付するということにいたしたいと思うのであります。大変遅れました点は遺憾でございますが、又当初六カ月を予定いたしましたのが保険との関係上それが減りましたことについては、先ほど私が申上げました通り若干違つておるのでありますが、これがまあ予期以上に早く帰つて参りましたのでかかることになつたという意味において、保険との釣合の上においてこうしたということを御了承願いたいのであります。
 それから次に、拿捕漁船の代船建造の問題でございますが、この問題につきましても先般国会において十分お話があつたのであります。私どもその後建造に要する資金等につきましては開発銀行並びに農林漁業金融公庫と現在折衝いたしておる最中であります。いずれにしても、これは金額等のことははつきり申上げられませんが、きめ得る段階に達しておるのでありまして、もう暫く待つて頂けばきめ得る。そうすれば完全に漁業者に対しては然るべくこれは連絡し得るものというふうに実は考えておるのであります。
 このほか漁場転換の問題につきましても、目下県庁を通じまして漁業者の意向を聞いておる最中であります。
 なお、その他いろいろ折角人が帰りましても船が帰つて来ない。従つて漁業ができないではないかというような切実なるお話があるのであります。全く御尤もだと思います。又旧債を返すこともできないじやないか。或いは生活にも困るではないかということでありまして、そういつた問題が現地から急迫した問題として起つて来ておることは私も十分伺つております。先般来私といたしましては、こういう問題は全般的に一つの制度として扱うことはなかなかむずかしいから、特に個々の事情等を十分承わつて、県庁を通じて然るべき斡旋をして参りたいと考えておる、又そういうように参つておるのであります。実際問題としては非常に緊迫をしておる、特に年末を控えて非常に切迫しておるということもありますので、何とかこの点もいたさなければならんものと思つておりますけれども、残念ながら未だこの点についてかくかくいたしたいというところまでは具体的に申上げる段階に至つておりません。水産庁内部におきましても、いろいろこの問題に対して如何なる手を打つかということに対して研究いたしておる最中であることを御了承おき願いたいと思います。
 以上大体簡単でございますが……。
#13
○千田正君 我々このたび福岡或いは長崎或いは広島、それから今の李承晩ラインと称される公海に対してのいろいろな調査をして参つたのでありますが、博多におきまして未帰還のいわゆる船員の船主その他からいろいろ事情を聴取したのでありますが、そのうち只今長官の御説明になりました、本年の二月頃拿捕された第一太平丸、それから松福丸ですか、これらの船員が帰されないと、その理由は今も長官がおつしやられた、いわゆる領海侵犯という疑いの下に刑を科せられておる。併し、第一審では有罪、第二審においては執行猶予ということになつて、一部、約十二名ほどは釈放されて、大邱の郊外において農業をやつておると、まあ農業をやつておるのだが、帰りたくても身許引受人がないために帰されない、こういう実情のようであります。誠にこういう点は遺憾なことであつて、現在すでにこの七月以降不法逮捕された諸君はすでに帰つて来ておる。その以前二月に逮捕された人たちが今以て帰されないと、而も朝鮮国内におけるところの国内法によつて不法な刑罰に処せられていたが、併しそれが執行猶予ということで釈放されておる。釈放されたが身許引受人がないからというので帰されないとすれば、これ又頗る重大な問題ではないかと思うのであります。釈放されておれば当然こちらから引取船を向けてやるとか、或いは第三国を通じて身許引受の外交交渉もできるはずなのでありましてこの点はとくと、調査して外務省と折衝の上、一日も速かに帰還するような方法をとつてもらいたい。かように思いますのでこの点の調査を進められて、次の委員会にでも是非その内容の御報告を願いたいと思います。
#14
○政府委員(清井正君) 只今のお話、実は私誠に申訳ないのですが初耳でございます。控訴中で大邱の刑務所にいるという話を聞いておつたのでありますが、誠に申訳ないのでありますが、今のお話は初めて伺つたのでありまして、至急外務省とも相談の上実情を調べまして、現在の事態におきましては一刻も早く帰還せしめることが第一でありますから、即刻措置いたしたいと思います。次回の機会までに十分外務省と折衝して御報告申し上げるようにいたしたいと思います。
#15
○千田正君 恐らく何らかの理由が存在しているのじやないかと思います。仄聞するところによるというと、裁判においては、判決は執行猶予で釈放された、身柄は釈放された。ところが一方において検事控訴をしておる、こういう実情もあるやに聞いております。この点を十分お調べ下さいまして折衝して頂きたい。
 第二点といたしましては、只今御説明がありましたうちで、拿捕された船員に対する何といいますか、見舞金の問題として、先般予算に計上されたのでありますが、その配分について、どうしたわけか、新聞紙上にどこから洩れたか知らんが、五万二千円ほど見舞金として贈るということが伝わつたので、船員及び船員の留守家族の人たちが五万二千円もらえるのだ、すでに頂戴するものという腹の下におるし、又或る一部の船主などは行く前に貸した金を五万二千円ほど与えられる見舞金から差引きたいという問題が起きて、只今門司或いは博多においてこの問題を中心にしまして船主と船員との間に相当な悶着が起きております。それで今のお話によるというと、六カ月ぐらい或いは帰るまでにかかるのじやないかという推定の下に当時の予算を組んだんだが、思つたより早く帰つたし、片方保険との釣合いもあるから、そう当初考えたような金は渡されないというような長官の御説明のように承わりますが、若しそうだとするならば、相当現地においてこれは大きな問題になつて来るのじやないかと思います。何かこれに対して調整するお考えを現在持つているのか。この点を一応長官から承わつておきたいと思います。
 この二点について、先の一点はすでに長官から調査するというお話でありましたが、今の問題見舞金の配分に対しての水産庁の方針というものは、片方においては当然五万二千円は頂くものだというような考えですでに前借りなどをしているようなふうに見受けられるし、それを中心にして又前に貸しておつた船主はそれから差引いて渡そうなどという計画までもしておつて、現地においては相当にこれは船主と船員との間、或いは留守家族との間にこの年末を控えまして、いろいろな不幸な事態が生ずる虞れが十分にありますので、この点に対する長官の対処方針を一応伺つておきたいと思います。
#16
○委員長(森崎隆君) 今の千田委員の御意見に附加えまして一言申上げたいと思うのでありますが、これはどこから出たのかわかりませんが、新聞には出ましたね、この五万二千円という額が……。それで非常に地元府県庁としましても、拿捕された船主、漁民はこれはもう三方塞りという状態で非常に困つておると思いますので、県知事その他ですでに相当立替えて払つて給付しているのですね、これは調べてみると相当出て来るのじやないかと思うのです。こうなつて来るとその責任の所在が非常にむずかしくなつて来る。そうかと言つてこれを地方自治体にそのままお前の責任だ、何も通牒を出していないのだから俺の行うは知らないというふうに本省で言い切れるかどうかという問題もあるだろうし、親切でやつたことであるし、必要止むを得ずやつたことでもあるし、そういう点も相当あるのじやないかと思いますので、そういう点も考え合せてまあ日割計算というか、月割り計算というか、こういう最初は我々全然頭に考えなかつたような給与制度の取扱い方というものに対して、もう一回これは大蔵当局が中心でもございましようが、再検討して頂くということをお願いしたいし、もう一つは九月頃に拿捕されて、抑留二カ月か三カ月くらいで帰つた場合は、一カ月七千円かける二倍なり三倍ということになりましようが、それならばこの原則から行きますと、今年の二月なり三月頃なりに拿捕された太平丸とか松福丸といつたような乗組員が帰つた場合には、当然これは七千円かける十カ月以上の数字になると思うのです。そういう点もこれはやはり十分筋を通してこれはやつて頂かなければならんと思う。そういう点に対する長官のお考えも合せて御説明しておいて頂きたいと思います。
#17
○政府委員(清井正君) この点は実は私ども先般のときには何とかいたしたいという気持が一ぱいで、それでああいう事態でございまするから、まあ半年くらいかかるだろうということで、大事をとりまして実は予算を要求しまして、大蔵省の関係もいろいろあつたのでございまするが、とにかく七千円の六カ月分ということで一応決定をいたしたわけであります。事務的にはそのときでも保険との関係が非常にやかましく実は問題になりまして折角保険という制度があつて、保険金をかけておりながら、かけた人より余計もらうということは保険制度を崩すのではないか。従つてそういうことであつてはならないという実は強い要望があつたのでありますが、とにかく県自体として簡単に帰つて来るものではないのだということで実はおきめ願つたようなわけであつたのであります。ところが誠に結構なことでございますが、非常に早く帰つて来られた、そこで前通りこれを支出するということになりますと、非常にこれはアンバランスになるということが一方非常に強い議論として政府部内は無論でありますけれども、民間からも相当起つて来たわけであります。そういうようなことでいろいろ勘案いたしました結果、やはり保険とのバランスをとらざるを得ないだろう、画すべき一線があるということになりまして、そのバランスの限度においてできるだけ有利に見るということで計算をしようじやないかということで実は方針を立てまして、今県に通知をいたしたようなわけであります。従いまして当初正式に発表したわけではないのですけれども、そういう話が漏れたものと思います。それによつていろいろ地元において御処置になつていることがあるかも知れないと思いますが、私どもといたしましてはとにかく当時の留守家族に対する制度というものはあれで行くよりほかにないというふうに私は考えております。これは保険との関係において止むを得ないと考えております。ただそこで、さればそれで放つておいていいかという問題がありますが、これは私はなかなかそのままに放つておくわけにいかん問題だと思います。仮に帰つて参りましても只今の通り船は戻つて来ない、人だけが戻つて来ているということでありまするから、何らなすところなしに過すということでありまするから、そういうような不便に対して何とか処置をしなければならんということが実情であり、又我々としてもそういう問題を考えなければならん問題だと考えております。併しこれは今申しましたように留守家族に対する制度とは切離しまして、もうすでに本人は帰つて来た、帰つて来たけれども現に漁船がないから漁業ができない、又年末に差迫つて金等が十分でない、従つていわゆる被害漁業者に対する一種のこれは救済と申しますか、そういうような観点から改めてこれは議論すべき問題である、又何とか我々もしなければならん問題であると、こういうふうに実は考えまして、事務的には一応そこで線を引きましてそうして考えるべき筋合いのものではないかというふうに実は考えておるのであります。特に今仮に一月七千円であれば長くいる者は何カ月もやらなければならないという点でございますが、この点は誠に事務的なことを申上げて恐縮でございますけれども、あのときの話は失業保険は六カ月で打切る、ですから最高限度六カ月だと、幾ら長くいても六カ月だと、こういうようなことに相成つておるのでありまして、仮に第一太平丸に対する者に関してはこれは当然の事情でございまするから、多分六カ月で切るというような恰好になるわけであります。この点は甚だおかしいじやないかという御議論もあるかも知れませんけれども、一応大蔵省との話合いも、保険との関係もあるので最高六カ月、これ以上は延びても延ばさないということを話合いになつておるのでありまして、この点が、只今問題になつたのであります。併しこれは問題を明らかにして、一旦そういうふうにいたしましたけれども、保険との関係上何とかいたさなければならんということで、これは別個の問題として考えなければならんというふうにも実は私考えておるのであります。いずれにしろ確かに帰られた漁業者のかたがたも非常にお困りになつておるという実状をよく承知しておりますので、何とかいたさなければならないと考えおります。併しこれは只今いろいろ申上げる段階でありませんので、もう少し考えさせて頂きまして、何とか今まで折角やつた措置に準ずるような措置を少くとも漁船が帰るまで、目鼻がつくまでするとか、金融をできるだけ便宜をつけるようにしてあげる、とにかく被害を受けた漁業者が何とかやつて行けるということに対して、政府としてはできるだけのことをしてあげるということで、できるだけ考えて行かけなればならんという気持を持つておるのであります。ざつくばらんな私の気持でありまして、今すぐに実現できるかどうかは、非常にむずかしい問題を含んでおりますので、今後私どもは十分努力して行きたいと思いますが、現在の私の気持だけを申上げて御答弁に代えさせて頂きます。
#18
○千田正君 私は曾つて引揚委員会等において、これとは別に引揚問題なんかでそういう問題が多々論議されたことがありますが、今の問題で参考までに私申上げておきますが、考えて頂きたいと思うのは、仮に三カ月で帰つて来たとすると、一カ月七千円として二万一千円、御見舞が一万円行く、三万一千円入る。だから当然五万二千円もらうものとすれば、そこに二万一千円の差が出て来ますね。その差が出て来た二万一千円の分は、将来就職した場合は年賦償還なんかにして返してよこすということで、一応冬に差迫つてこの時期において五万二千円もらうというので借金したり、立替えたりして食つておるのですから、そういう意味でそういう便法も考えられると思うのですけれども、そういう点も参考までに申上げておきますが、考えて頂きたいと思うのであります。
 もう一つは、代船建造の問題であります。それは今まで拿捕された船の殆んど全部は今まで借金で農林中金とかその他の方法で建造した船がつまり拿捕されて帰らない。これはいつ帰るという予定のつかない今の状況ですから、かといつて現在のままでおつたならば全然潰滅に瀕する、こういう状態が現実の姿なのでありますが、これに対して一体代船建造に対する方法を何とか考えることができないか。先ほどは何とか考えようと言つておりますけれども、現実はもう明日からでも船を作りたいという気持で一ぱいだし、又帰つて来た船員或いは漁夫の諸君もそのまま居食いをしておるというのが本旨ではないのですから、一日も早く仕事につきたいという、こういう二つの問題があるので、これに対する問題につきましては現地の船主諸君の要望或いは漁業協同組合その他の漁業者の団体の代表者の要望としてもこれ以上借金はなかなかできないのだ、だから造つた船に対して、建造した船に金融してもらう措置を講じてもらえないか。こういう陳情を受けたのでありまするが、この点に対しましては長官はどういうふうにお考えになつておられるのでしようか。何かここで打開策を講じなければ、あそこにおけるところのものは殆んど、大資本の会社は別として、中小のいわゆる業者であつて、もう転落して生活保護でも受けなければ生活できないような状態に陥つているという現状なのでありますので、打開方法としては具体的にどういう方法でやつて行くか、こういう点についてはもう少しはつきりした方針を承わつておきたいと思います。長官のお考えをもう一度お伺いしておきたいと思います。
#19
○政府委員(清井正君) 代船建造の部面につきましては、実は先般からいろいろ部内で打合せをいたしたのであります。大体数字は固まりつつあるわけでありまして、いわゆる拿捕された実際の船についてその代船に要する資金を計算いたしまして、それを大きいものは開発銀行から借りる、それから小さいものは農林漁業金融公庫から貸付けるということで枠を緊急に設定いたしまして、この枠の内において具体的に各県に連絡の上漁業者から申請のありますものから貸す、こういう形にいたしたいと実は思つておるのであります。そこで現在殆んど政府部内の話合いはつきましたのでありますが、まだ金融機関そのものとの話合いが少し残つておりますので、これは今日明日中、只今やつておる最中でありまして二、三日のうちに何とかして貸付けの枠がつきますれば、大体この程度に拿捕漁船の貸付けの枠がきまつてから、その中で貸付けをいたすということで各県に通知できると思つております。尤も私どもちよつと若干心配いたしますのは、もうすでに十二月に入つておりますので、事務的にはなかなか金融の審査というものは非常に急ぎまして、又こういう事態でありますから無論急ぎますけれども、なかなか手間が取れるわけであります。そこでこれはやはり年度計画にしたらどうだろうかと、二十八年度、二十九年の年度計画にする必要があるのじやないかということで、大体またがる計画で以て立てて行く、こういう形へ持つて行くべきだということで今金融機関と話をしている最中であります。それからなおこれに伴つて他種漁業に転換をいたした場合には転換資金、こういうものも必要かと思いまして、そういうものも金額として計上いたしておるのでありますが、残念ながらまだ数字につきましてははつきり一つ申し上げる段階に至つておりませんが、いずれ又これは近いうちに申上げられるかと思つております。きまりましたら折角関係の方面に連絡をいたしまして至急申請をいたしたい、こういうふうに思つております。その他これは代船以外にも、すでに取られた船を造るのに金を借りているのだ、それの借金の支払いもうまく行かないのじやないか、これは確かにあるのでありまして、それから帰つて来たけれども生活に困ると、何とかして保障なり融資なりをしてもらいたい。或いは折角船が返つても漁具とか漁網が腐つておつて困るからそのものにも融資するとか、或いは年末に差迫つていろいろな意味において融資に非常に困るから、そういう融資の梗塞状態も排除する措置を講じてもらいたいという御要望がございます。私どもといたしましても御要望は誠に御尤もだと思つておりますが、ただこれを金融ベースに乗せるという問題は非常に困難な問題でございます。我々もできるだけ関係方面に説明いたしまして努力はいたしておりますけれども、なかなかこれを制度化してやるということの見通しは今すぐつきかねます。併しこれは何とかしてこういうことこそ、実は金融ベースに乗らないもの、こういうものをこそやらなければ本当にやつたことにならないのだと思うのでありますが、ただ問題が非常にむずかしい、殊に金融という観点から参りますると、非常にマイナスのことでありますから、そこで非常にむずかしいのであります。これを何とかして立法化するということも必要だと思うのでありますが、私今すぐにそういうことをやるということも約束できる段階でもありません。私どもとしてはできるだけのことを何とかするように努力をいたしたい、取りあえずは各県とも連絡いたしましてそれぞれの御事情を十分承わつて斡旋等の措置は十分いたすけれども、それから先どういうふうにするかということは、これは単に立法化のみならず或いは融資の斡旋というような形でできるかも知れませんが、前に言つたようないろいろなことを考えてあらゆる手を尽してできるだけ早くやつて行かなければならないものだと、実はこういうふうに考えておるわけであります。非常にお答えすることが抽象的で、御質問の趣旨に副わないかと思いますが、只今私どもが考えておりますのは、その程度でございます。
#20
○千田正君 恐らくその金融という問題になるというと、殆んど今の中小漁業者にはもう不可能だと思うのであります。ということは、船が拿捕されておる。恐らく金融業者からいえば当然抵当であるとか、保証ということを要求するだろうと思うのでありますが、恐らくそういうものは持合せない現状である。であるからそこに大きな、こつちが何とか枠を考えて上げようというふうな御親切はよくわかるけれども、抵当もなければ、保証もできないような状況に追込まれておる現実に対しては、どういう一体処置をとるかというのが大きな問題だろうと思う。そこで私はこの問題は拿捕された船は当然これは返えるか返えらんかという問題は、今後の外交折衝に待つべき問題であるが、恐らく日本の国に独立権があれば賠償を当然要求しなければならない。不法監禁に対して拿捕され或いは破損された問題に対しては、当然国の力を以てこれは賠償を要求せられるべきものだと、又それに対処する何らかの解決があるべきものだと我々は考えます。それが決定する間だけでも国がこれを見てやるのが当然だろうと私は思う。ですからそこに方法が私は必ず開けるものだと思つて、これは外務省或いは大蔵省とも折衝すべき問題だと思います。国際公法上から言つて不法拿捕である。而もそれによつて生活が脅かされ、非常な損害をこうむつたこの平和な国民に対しては、何か方法を考えてやらなければならん。少くとも日韓会談でこの問題が解決して、そして漁船が再び所有者の手に戻るまでの間のことを国は考えてやらなければならん。被害者が要求するこの賠償に対して、韓国側が応ずるか応じないかはこれは今後の問題だと思います。少くとも韓国側が応じなくても、これは国として外交の貧困さを暴露して今日に至つた状況であるから、国としてこれは何らかの方法を考うべきである。私はこういう考えを持つておりますが、このことにつきましては長官はどういうふうに考えておりますか。
#21
○政府委員(清井正君) 賠償の問題につきましては、これは私どもはつきりしたことはここで申上げられませんが、今までの交渉でも常に韓国に対しては損害賠償の権利を留保いたしております。この問題は対外関係の問題でございますから、果してそういうことがうまく行くかどうかということは何とも申上げられませんが、私どもといたしましては、韓国に対して不当な処置に対する賠償の要求という権利を留保しておりますから、そういう意味においてはできると言えると思います。又それがきまるまでの間のそれに代るべき措置という問題になりますと、これ又非常に私どももこの点について今すぐはつきりお答えをいたしかねるのでございますが、とにかく賠償問題と相関連することでございましようが、先ほど来私が御説明申上げましたところの措置をできるだけ早くやつて行くということのほうに私どもとしてはできるだけ重点を置いて考えて行きたい、又賠償等の問題につきましても各委員の御意見等も十分承らさせて頂きます。それより先ず取りあえずの問題から手を付けてできるだけ一つ具体化に努力して行きたい、こういうふうに考えております。
#22
○千田正君 私はこういうことを主張したい。今も申上げました通りこれは日韓の間に十分な了解点に達しなかつた。併しながら公海上におけるところの原則から言えば、当然独立した日本の権利或いは公海の自由操業の権利はあるわけです。これに対しては国際法上に基いて十分賠償を請求することができるとそういう観点であります。だから仮に国内的にそうした不幸を見ておる者に対して何らかの措置をするとするならば、普通の場合と違つて大蔵省なり或いは外務省との間の話合いによつて特別措置ができるのじやないかという、ほかのケースとは違つた面において金融措置なり、或いは代船建造とか、或いは生活保護法の面においてもそういう問題が必ずやり得るというふうに我々は考えておるのでありまして、この点はまあできるだけ慎重に且つ速かに解決できるように一つ長官もお考えおき願いたいと思います。
#23
○委員長(森崎隆君) 今の問題に関連してちよつとお願いなりお尋ねしたいのですが、今の被害を受けた船主その他の人々はやつぱり国策が原因になつたということでありますし、又国としてもこれは賠償の権利は確かに留保しておるということになりますと、実際困つておるところのやはり漁船を拿捕され、いろいろ失業しておる漁民全体のことを考えますと、この賠償相当額とまで行かなくとも、或る程度のものを国が立替えて被害を受けた本人には取りあえず若干の補償をしてやるというようなことも私は筋が通つた考え方じやないかと思うのですが、そういう建前でやはり守つてやらなければ、実際まあ先だつても福岡で会議をいたしたときの被害者の実情は実に切実なものがあつたわけです。
 それからもう一点は、代船建造の問題にもからみますが、保険ですね、特保にいたしましても、給保にいたしましても、こういう問題が起きて初めてわかつたことなんですが、非常に保険料が高い。それでだんだん保険に入るのを渋つたまま今日まで来てこういう事態になつた。この機会に何とか一つこの保険制度を完全に実施する手段としてもはやはり国が責任を以てやらなければならない。丁度幸いにいろいろな場合に相当黒字の大会社に対しましても、石炭関係とか、或いは外航船舶関係とかにああいうような大幅の利子補給の問題も出て来ておる。保険料の何といいますか、多少の補給と言いますか、こういうことを水産庁としては考えていいのじやないかと私は思います。そうすれば今後みんな肚をきめて保険に入つて出漁するということになれば、特別今度のような見舞金のようなことをしなくても済むと考えるのです。それからもう一つは、その保険の金をたとえもらうとしましても、船だけではこれは漁撈はできないので、これに漁具、漁網、又食糧も積んでおりますし、砕氷も積んでおりますが、これは溶けてなくなつてしまいましようが、そういうようなものがずつとその中に入つておると思いますが、船だけができても、或る程度の手持ち資金を加えてやつと船ができましても、あとの問題が整備できないと出漁できない関係もある、そういう問題もあるということを是非考えてもらわなければならない。それから枠の問題で、特に強い要望があつたのです。大体千トンというような形になつておるのですが、実際中漁業者というので千トン乃至二千トン程度の間のところが開銀のほうでも余り相手にしないし、農林、漁業金融公庫のほうでもそこまでの枠は出してくれない。そのあたりに非常にしわ寄せが来て非常に困つておる面が多いのだが、今度の何年間の計画で代船建造の問題を解決する場合においてこういうところで枠の問題についてどういうような御見解を持つていらつしやるか、これも一応お聞きしておきたいと思います。この点どうですか。
#24
○政府委員(清井正君) いろいろお話を承わりましたのですが、まあ第一点のお話でありました国家賠償の問題に関連しての生活保障の問題、これは先ほどお答え申上げたことと同じになりますが、留守家族というものは一応帰つたが、今度は帰つて来ても船がないし、生活に困るから、生活保障、そういうようなことに論点を変えて主張しなければ、事務的にはなかなか通らない問題であります。今度はそういう方向でできるだけ努力をして行かなければならないというふうに実は考えております。
 保険の問題につきまして、いろいろお話を承わりました。この点は誠に漁業者のかたとしては御尤もであり、又その保険の制度並びに運営の面から見ますと、これは非常に問題があるわけであります。すでに先般来も現在の九〇%の再保険を、一〇〇%の政府補償にしたらどうかというお話がありましたが、或いは特殊保険制度を本保険制度に組入れて、普通の保険に入つたら給与保険に入つたという恰好になると考えられます。又只今のお話の通り保険料を少し安くするというようなことを考えたらどうかというようなお話等いろいろお話を承わつておるのでありまして、私どもといたしまして、できれば何とかいたしたいと思つて研究をいたしておりますが、全体の保険制度の建前がありますので、どういうふうにするかということにつきましては、まだ結論がついておりません。ただ申上げておきたいことは、すでに御承知の通りでありますけれども、現在の特殊保険並びに給与保険というのは、保険と申しましても一種の損害補償でありまして、本来の保険でありますれば独立採算制をとらなければならない建前でありますが、これは毎年多額の金を実は繰入れておるのであります。併し今回も一億七千万円、それから一般会計から給与保険に繰入れる法律案が出ておるのでありますが、そういうことで大体保険料と申しますか、大体私どもから考えますというと、普通に独立採算制といたしました場合に、計算しました保険料に比較しまして、或いはその半分以下の実は数字になつておる。現在の特殊保険の保険料は、それだけ一般会計が負担してくれておるという実情であります。なおその保険料を何とか安くしろということになるわけでありますから、その点は相当全体の問題として扱いませんというと、なかなか事務的な解決はできない問題であります。本来から言うならば、一般会計から補給する分だけ保険料を上げるという建前であつたのでありますが、それが保険制度から、損害補償制度ということに色彩を濃くしましたから、一般会計からいろいろ繰入れをすることによつて現在の保険料を辛うじて維持されておるということも言えないこともないのであります。無論保険料を安くしろということになりますと、それだけ国家の補償と言いますか、一般会計からの繰入れを大いに考えなければならんということに当然なるのでありまして、その辺どういうふうにいたしたらいいかというような問題がいろいろ財政問題とからみ合つてあるわけであります。いずれにしろこれは財政的の負担なくてはできないことでありますから、財政負担が多くなることを一々恐れておるわけではありませんが、できるならば保険という形である以上、保険制度全般の睨合せを考えまして、成るべく事務的には説明しやすい形で持つて行かなければならんものが多いものですから、私どもといたしましてはできるだけ何とかしてこの制度そのものについて十分検討を加えて行きたいというふうに実は考えております。個々の問題については今すぐにお答え申上げるという段階ではないのであります。もう少し研究の余地を与えて頂きたい、こういうふうに実は考えておるわけであります。
#25
○秋山俊一郎君 只今お話を伺いましたので、大体御苦心のことであるということはわかりますが、今日李承晩ラインというものは政府も絶対に認めないし、勿論国民も認めない。従つてこり線を認めるわけには行かないから、線内において出漁をするということには変りがない。従いましてこの線内で出漁すると幾多の危険が伴う。これは国の自由の権利を擁護する上のやり方なんだと思うのです。政府がその措置をとつておるのではなくして、国民をして自由の原則を守らせて、それによつて生じたところの損害が何か力が弱くて十分の外交措置もとれないから、国のために犠牲になつているのだ。従つてその犠牲に対しての補償は国が当然しなければならん問題じやないか。若し漁民が、漁業者が国の禁じておることを破つて起つた損害ならば、これは止むを得ないけれども、国のやることを率先してやつて、そうしてその犠牲となつているということに対しては、国がこれを見なければならない。そういう大きな根柢の上に立つて考えますと、起つて来た損害に対しては、いろいろな面で国がこれを見るのが当然である。只今保険の問題が起りましたが、我々が過般来現地の調査をしましたりした際にも、この保険というものは支那東海及び黄海、朝鮮近海でやつております漁船に対しましては、先ず損害保険がある。それから拿捕抑留に対する特殊保険、それから船員の給与保険がある。この三つの保険を同じ船主がかけております。而も船員のいわゆる船員保険というものは強制的にある。これらの漁船に乗つている船員に対しては勿論船員も一部負担しますが、船主も多くを負担してかけております。そうするとこの一つの船に関して四つの保険料を払つているわけです。今日の漁業経済はとても立つて行かんのです。そこで保険をかけずに行けば、まるまるなくなつてしまう。かけると漁業経済が立たんという非常な窮地に追いこめられておるわけです。そこで先ほどお話がありましたように、いわゆる損害保険と特殊保険は一本にしてもらえないか。そうしてこれは勿論ダブつてかけておりますから、一本にしたからと言つて損害保険の保険金だけでやつてくれとまでは言わんと思います。或る程度これが高くなることは止むを得ないが、併し二重になることはたまらない。これは政府としては考えなければならんのじやないか。それからこの問題が解決するまでは何年かかるかわかりませんが、案外早く解決するかもわかりませんが、やはり九割再保険というものを十割再保険をする、いわゆる補償をするというところまで持つて行かないというと、もう自然に李承晩ラインというものはいやでいやでたまらないけれども、自然に既成事実になりはしないかということを憂えるものです。そういう点に立つて我々も今後政府に対して、政府と水産庁のみならず関係当局に対して強く要望するつもりでおりますけれども、水産庁としてそういう面に向つて一つ大きく働いて頂きたい。これは私は決して漁民の言うことが無理じやないと思う。日本の国権を、国民の権利を維持するために当然の要求であると実は考えるので、これも永久という必要もないと思いますが、この点は一つそういう見地に立つてやつてもらいたい。
 ただ、ここに問題となることは、朝鮮の問題は今日日韓会談というものが近く再開されるであろうと言われておりますし、どんな形にいたしましても、何とかまとまりそうな見当があるが、中国との問題に至つては全くお手上げの形だと思う。この国のお互いの色合いが違つているといつた恰好から、政府と政府が折衝することも非常に困難であるし、又アメリカを仲介に立てるということも困難であるし、この点非常に今困難であつて、朝鮮の問題より一層解決がむずかしいように思われるのでありますけれども、これも永久にこういう状態であるべきものではないと思います。それでここ暫くの間こういう日本が非常な苦境に立つている間政府はこれに対していろいろな政策を立てて行かなければ、国民の保険の上にも非常な影響が起る。あそこの支那東海、黄海で働いている船が経営が成り立たんということになりますというと、それを全部どつかに収容するということはできないのでありますから、何とかしてあれをやらせなければならん。或る程度の危険をカバーしてもやらせなければならん。そうして国民の蛋白給源を求めなければならないという実情にありますから、やはり今私が申しましたような国家がこれに大きな補償をするという見地から十分一つ考えてもらいたい。これは私の要望であります。
 それから朝鮮に抑留されておりました漁夫が四百数十人というものが帰つて来たのでありますが、この問題さつきどなたか御質問になつたかと思います。若し御質問になつておれば、質問に対してお答え要りませんが、帰えるまでには保険との関係等もあつて一カ月に七千円というベースによつて六カ月分の見舞金を出すということに大体なつておつたように聞いておりましたが、それが二月そこそこで帰つて来た。そうするとそれに対してどれだけの見舞金をやるかということが、私ども旅行中であつてはつきり聞いておりません。併し過日業者の集つた席では、それは帰つて来たのであるから、一カ月七千円の割合で支給することになるだろう。見舞金を出すことになるであろうというような話を聞いて非常に驚いておるようなふうですが、勿論帰つて来たところで、すぐに翌日から職があるわけではない。船は取られておるし、非常に栄養失調のような恰好にもなつておる。そこで何とかせめて六カ月分だけ初めきめられたような額だけでも頂戴できんものだろうかというような要望が非常にあるようでありますが、その点はどういうふうになつておりますかどなたか御質問がありましたか。
#26
○委員長(森崎隆君) 質問がありまして、長官から一応今までの状況は御報告いたしました。
#27
○秋山俊一郎君 それではよろしうございます。ただこの問題につきまして、或いは給与保険とのかね合いがあるのじやないかという懸念は私も十分ありますが、併し又大きな船につきましては船員、保険というものがあつて、失業保険が出されるといつたようなこともあるはずでありますから、そういうような点をかね合つて、一つできるだけの見舞金の支出をしてもらいたいという希望を持つておりますが、お答えがありましたら、あとで拝見いたします。
#28
○政府委員(清井正君) その点御質問が先ほどもありましてお答え申上げたのでありますが、この点私どもといたしましても、当初は相当長く抑留されるのではなかろうかという懸念をいたしましたので、見舞金を考えながらも六カ月というふうに一応計算いたしたのであります。ところが幸いなことでございますが、非常に早く帰られたということになりましたので、これをもとのままの金額で交付するということは、どうしてもおかしい。国で立てた保険という制度がある。その保険に加入して保険料を払つている人があるので、その人がもらうよりも余計もらうということは、これは制度としておかしいという議論になつておるのであります。勿論議論としては当然のことでありますが、私どもといたしましてはその原則に従うはずであつたのでありますが、併しこれはそうはいつてもそう簡単に割切れるべき性質でないという建前から、できるだけ保険との均衡を見ながらできるだけ有利にして行こう。最高限度を維持して行きたい。そういうふうな形で県に通牒を出しまして、そういう形で計算を出してくれということを通牒を出しておるのであります。県から通知がありましてその回答を見まして措置をして行きたい。こうも実は考えておりますので、実は私が初め六カ月を計算をいたしましたということを申上げたけれども、その後の状況の変化によつてそれは保険制度の建前上大体三カ月分くらいは行くのじやないかと思いますので、その程度になるということに実際問題としてなるわけであります。その点について先ほど実は御質問がありまして、むしろ一般の漁業者がもらえると思つているのだというのに、非常に金額が少いということはおかしいじやないかというお話もありましたし、又引続いて、非常に人が帰つて来て困つているじやないか、これに対する措置を考えろ、こういうお話でございました。実は私も事務的にはこういうことにしたいということの相談をしたのであります。併しなかなかそのようにできませんので、時日は経つばかりであつて、何ともしようがありませんので、一応理窟を打切つて打切れる問題でありますから、理窟上打切つてこれを出す。併しこれは引続いての問題といたしまして、これは遺家族に対する問題というよりも、御本人は帰つて来ても、船がなくて生活ができない。こういう意味において、むしろそれは生活援護という建前から今度は問題を別な観点から見てやつて行かなければならん性質のものである、又そういうふうに持つて行つたほうが事務的に持つて行きやすいものでありますから、そういう形に切換えようじやないかと考えておるのであります。
 船員法の問題が只今お話がありましたが、確かに船員法につきましては、これは失業保険的な性質のものがありまして、これに準ずるという恰好で持つて参りますれば、事務的に持つて行きやすいものがあります。この点はもう少し研究させて頂きまして、とにかく形は留守家族の救済というような点から言つても止むを得ないし、立場を変えた形で以てこの救済措置を考えて行きたい、こういうふうに実は考えている次第であります。
#29
○秋山俊一郎君 もう一つ、そういうことで私どもも案外早く帰つて来られたことは非常に仕合せだが、同時にそのときに見舞金は一体どうなるのだろうかということが先ず頭に浮んだのです。漁業者としても帰つて来たと同時にその点が浮んでいると思うのですが、ともかく抑留されておつたことは、二カ月余抑留されておつたのだから、これは間違いない。ところでその金額がきまらなければ金を出さないということになりますと、今日は非常に困るのじやないかと思います。年末を控えて仕事はなし、何もかも、この間も聞いてみますというと、私物までも取られてしまつておるという恰好で非常に困るので、いずれかにしても、金を早く出してやらなければいかんだろうと思うのですが、それはいつ頃出せるような恰好になりますか。その額がきつちりきまるまで出せない恰好でありますか。それとも三カ月なら三カ月一応出して、あとはあとで又考えるという恰好になつておりますか。私どもは引続いて六カ月もらうよりも、合せて三カ月のほうが役に立つのじやないかと思いますが、勿論六カ月、三カ月なら、一カ月くらいの違いなら、六カ月もらつたほうがいいということになりましようが、その論議のために来年の三月になつたのでは何の役にも立たんと思いますが、いつ頃出せる見込みでありますか。
#30
○政府委員(清井正君) この問題は、成るほど今まで実は延引いたしておりまして、誠に申訳なかつたのでありますが、部内でいろいろ相談いたしまして、なかなかきまらなかつたので延引いたしておつたのであります。只今県庁に通知をいたしておりますので、県庁は只今私が申上げたような趣旨で計算をして参り、計算をして来ればすぐ金を出すという段階になつております。そこでできるだけ県庁を督促いたしまして、早く書類を出して頂くように督促いたしたいと思います。そうなればその金額を見てすぐ交付する、こういうふうな形にいたしたいと思つておりますので、私たちといたしましては、これはできるだけ早くやらなければならん、こういうふうに考えております。一律に三カ月ということでなしに、県から出て来た金額を見てこれを交付する、この点御承知願います。
#31
○委員長(森崎隆君) もう一つだけほかにお尋ねしますが、これは十一月二十九日付で私宛てに小樽の底曳漁業の漁民大会から電報が来ております。ちよつと電文を読み上げます、
 我々の最も重要且つ生命線とする石狩湾漁場放棄に対する代償である四原則は未解決のまま今日に至り、石狩湾漁場に対する臨時特例期間の満了期である十一月三十日を日日前にして多大なる不安を感じ、且つ誠にこれを遺憾とずる。我々漁業者及びこの従業者一同はこれが行政処置の推移によつては最も重大なる関心を持つ。
 こういうふうに電報が来ておりますが、この四つの原則の問題はその後どんなことになつておりますか。又臨時特例が昨日で一応期間が切れることになつているので、その後の措置についてどういうように考えていらつしやるのか。
#32
○政府委員(清井正君) 小樽の底曳漁業は、それは先般非常な実は問題になつたのであります。それは小樽の面する石狩湾において底曳漁業者と沿岸漁業者とで非常な問題が起りました。何とかしてこの間の漁業調整をしなければならぬという問題が起つておつたのであります。非常なこれはシリヤスな問題でありまして、底曳漁業者としても何とかここでやりたいという希望を持つておりますし、北海道の沿岸業者としては、是非とも底曳漁業者を除外したいという気持でおります。道庁といたしましても、沿岸漁業者のために確保するという立場であつたのであります。我々といたしましては、この問題につきまして非常な苦心をいたしまして調整をいたしました結果、どうやら結論に実は到達いたしたのであります。それは原則としては、底曳漁業が東海湾から出てよそへ移るという原則でありますけれども、直ちにこれをやるわけに行きませんので、若干の例外を見るということによつて漸次これを他へ移してもらうということで話合いがついたのであります。ところがその話合いの中に根拠地を例えば稚内に根拠地を移すという問題があつたのでありますが、そういう問題を実行する段になりますと、稚内の沿岸漁業者が問題を起しまして、底曳漁業者が入つて来ては困るという問題になつたのであります。これは私といたしましても非常に困つた問題でありまして、その間北海道道内の問題にからみ合せまして非常に腐心をいたしたのでありますが、今稚内の問題は解決はまだいたしておらないはずであります。そういうようなことが実はありまして、又北洋に出ます母船式鮭鱒漁業の独航船に出してもらうという話もあります。そういうような問題がいろいろございまして、私どもといたしましては、条件としてはできるだけそんな条件に適うような方向でやつて行こうという程度の話はいたしておるのでありますけれども、具体的に必ずやるという約束をしたわけでもないわけでありましてその後の推移に応じて北洋漁業者が円滑に石狩湾漁場から出て他へ移るように措置を講ずるということをいたさなければならぬということで、今まで私ども関係のものといたしまして道庁とも緊密な連絡をとつて措置をいたして参つておるのであります。それがスムーズに動いていないことは事実でありまして、そのために小樽底曳漁業者としてはどうも話が違うような感じを持つているのかと思います。併しこの場合には底曳だけの問題じやありません。北海道沿岸漁業者との問題であります。而も他の地方との沿岸業者との問題ともからみますので、漁業者のかたの御事情を十分睨み合わせて処置をして参るつもりでありますが、今後なおこの問題につきましては慎重に取扱いまして、北海道沿岸漁業者と底曳漁業者との調整並びに当該底曳漁業者の他の転換についての措置といつた観点から、できるだけ円滑に措置をして行きたい、こういうように実は思つておるわけであります。抽象的なお答えを申上げて恐縮ですが、私たちの気持はそういう気持で今後円滑に行くようにいたしたいと思います。
#33
○委員長(森崎隆君) 大変複雑な問題でございますので、これは一つ沿岸漁業者の生活権の問題でございますので、できるだけ一つ慎重に努力を続けられたいと思います。
 ほかに御質疑がなければこれで終りたいと思います。……じや本日はこれを以て閉会いたします。
   午後二時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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