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1953/12/07 第18回国会 参議院 参議院会議録情報 第018回国会 本会議 第5号
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1953/12/07 第18回国会 参議院

参議院会議録情報 第018回国会 本会議 第5号

#1
第018回国会 本会議 第5号
昭和二十八年十二月七日(月曜日)
   午前十時三十一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第五号
  昭和二十八年十二月七日
   午前十時開議
 第一 国会法第三十九条但書の規定による国会の議決に関する件(輸出入取引審議会委員)
 第二 国会法第三十九条但書の規定による国会の議決に関する件(中央酒類審議会委員)
 第三 人事官の任命に関する件
 第四 町村合併促進法の一部を改正する法律案(石村幸作君外八名発議)(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(河井彌八君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
 議員加納金助君は一昨五日逝去せられました。誠に痛惜哀悼の至りに堪えません。
     ―――――・―――――
#4
○議長(河井彌八君) 佐藤尚武君から発言を求められました。この際、発言を許します。佐藤尚武君。
   〔佐藤尚武君登壇、拍手〕
#5
○佐藤尚武君 只今議長から御報告になりました通り、永らく病気御療養中でありました議員加納金助君は、一昨五日逝去いたされました。私ども同僚議員として誠に痛惜の至りに堪えません。ここに、甚だ僭越ではございますが、同僚諸君のお許しを得まして、同君の生前を回想し、哀悼の辞を捧げたいと存じます。
 加納君は、明治十六年千葉県に生れ、成田中学校を経て、日本大学を卒業、のち日本大学商業学校校長、日本大学常務理事、同理事副会頭、日本第一学園理事長となる等、多年我が国文教界のためその生涯を捧げられると共に、千葉市市長となること三回にも及び、市政に尽粋、又、千葉県遺族連合会会長として遺家族の援護に多くの功績を残されたのであります。
 なお、一方、政界方面においても多大の志を有せられ、昭和二十五年第二回参議院議員通常選挙においては、地方区千葉県選出議員として当選の栄を得られ、国会議員の一員として席を連ねられてからも、文部委員会理事その他各常任委員となつて、国権の最高機関の一員として立法に参画、憲政のため尽されたことも非常に多大なものがあつたのであります。
 今や内外の諸情勢の推移に伴い、国会もその責務のいよいよ重大さを加えるときに当つて、同君のごとき卓越明敏の士を失うことは、本院のため誠に痛惜に堪えないところであります。
 ここに同君の御逝去を悼むと共に、御冥福を祈り、哀悼の辞を捧げる次第でございます。(拍手)
     ―――――・―――――
#6
○議長(河井彌八君) お諮りいたします。加納金助君に対し、院議を以て弔詞を贈呈することといたし、その弔詞は議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。
 議長において起草いたしました議員加納金助君に対する弔詞を朗読いたします。
  参議院は、議員加納金助君の長逝に対しまして、つつしんで哀悼の意を表し、うやうやしく弔詞をささげます。
   〔拍手〕
     ―――――・―――――
#8
○議長(河井彌八君) 日程第一、国会法第三十九条但書の規定による国会の議決に関する件(輸出入取引審議会委員)を議題といたします。
 去る一日、内閣総理大臣から、輸出入取引審議会委員に、本院議員田村文吉君、同じく高木正夫君を任命することについて、本院の議決を求めて参りました。両君が輸出入取引審議会委員に就くことに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#9
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て両君が輸出入取引審議会委員に就くことができると議決せられました。
     ―――――・―――――
#10
○議長(河井彌八君) 日程第二、国会法第三十九条但書の規定による国会の議決に関する件(中央酒類審議会委員)を議題といたします。
 去る一日、内閣総理大臣から、中央酒類審議会委員に本院議員土田國太郎君を任命することについて、本院の議決を求めて参りました。同君が中央酒類審議会委員に就くことに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#11
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て同君が中央酒類審議会委員に就くことができると議決せられました。
     ―――――・―――――
#12
○議長(河井彌八君) 日程第三、人事官の任命に関する件を議題といたします。
 去る二日、内閣総理大臣から、国家公務員法第五条の規定により、浅井清君を人事官に任命することについて、本院の同意を求めて参りました。本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#13
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#14
○矢嶋三義君 私はこの際、水害地緊急救済対策に関する緊急質問の動議を提出いたします。
#15
○松浦清一君 私は只今の矢嶋君の動議に賛成をいたします。
#16
○議長(河井彌八君) 矢鳩君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。矢嶋三義君。
   〔矢嶋三義君登壇、拍手〕
#18
○矢嶋三義君 災害は忘れた頃襲つて来ると言われておりますが、本年の我が国の災害は、忘れないうちに相次いで襲つて参つた次第でございます。我が参議院は、当初からこの災害対策につきましては徹頭徹尾積極的な態度をとつて参つた次第でございまするが、この段階に当つて、私はこの壇上から、大臣と言葉のやり取りをしようとするのではございません。如何にして災害復旧を促進させるかと、こういう立場から若干質問を試みんとするものでございます。
 先国会の末期において、我が参議院においては、或いは特別委員会、或いは予算委員会等におきまして、予算の効率的使用並びに不正防止に関するところの決議をそれぞれなして、政府にその善処方を要望しておつたわけでございまするが、これに対して政府機関が努力している姿は認めます。結構なことと考えまするが、それのみに専念して、災害復旧の根本的な対策について、国会の議決に基くところの執行について怠慢の節がある点については、誠に遺憾千万に存じます。従つて、災害地を視察いたしまするというと、いわゆる災害国会は終了いたしましたけれども、一向復旧というものは進捗していない。この実態について本部長であるところの緒方副総理は如何ような所感を持つておられるか。先ず伺いたいと思うのでございます。
 以下私は若干具体的にお伺いいたしたいと思いまするが、それは、先般の災害国会の場合に、特別委員会は例の予算の審議について予算委員会に連合審査を申入れました。これに対しまして、一刻も早く予算を可決して災害復旧を図らなければならないという災害国会の立場から、予算委員長はこの連合審査を拒否したのでございます。かようにして僅か十日間で災害国会は終つた次第でございまするが、その直後、私はこれに基いて予算の配分を早くやるように、更に次々に延びているところの政令の公布、更に地域指定を早急にやるように、或いは大蔵省、或いは総理府に要求いたしましたところが、国会終了直後においては、大蔵省の森永主計局長或いは災害対策本部の田中官房副長官は、十一月の十五、十六日頃までには必ず政令を出す、かように言明いたしたのでございます。ところが国会が終つてみまするというと、政令の公布というのはいつになつても行われない。この政令の公布の遅れた理由を伺いたい。そしてこの席上から、すでに政令の出されたのは幾つあつて、出されないのは幾つあるのか、未公布の政令はいつ出すのか、そういう点について緒方副総理から明確に御答弁頂きたいと存じます。
 次に、さて政令は公布されましても、地域指定の告示が出なければ災害立法の適用地域というものは決定いたさないわけでございます。この地域告示は主務大臣がこれをなすことになつておりまするが、私は本日まで地域指定の告示がなされたというのは一つも聞いておりません。六月、災害があつて、そうしてすでに数カ月経過いたしております。災害国会は緊急というので僅か十日間で短期に切り上げておきながら、本日に至つて災害立法を適用するところの地域を未だに告示しないというこの実情について、如何ように緒方副総理は責任を感じておられるか。その点、私は伺いたいと思うのでございます。更にこれに対しまして、一体この地域の告示は一度になすのか。或いは数度に分れてなすのか。若し数度に分れてなすとするならば、最終の地域指定というものはいつ頃になるのか。この点、私は伺いたいと思います。更に、六月災害のあつた地域ではすでに地域指定を待ちこがれているわけでございまするが、この六月災害の地域指定と九月のいわゆる十三号台風の地域指定とを分離してでも早急に地域指定の告示をなす意思はないかどうか。この点について緒方副総理並びに戸塚建設大臣、保利農林大臣に、それぞれの立場において答弁を頂きたいと思います。なおこれに関連して伺いますが、あの地域指定に当つては、いわゆる十万以下の農地小災害の査定が終らないと市町村の指定が行われないようになつておりまするが、農林省においていわゆる小災害の査定状況は如何ようになつておるのか。この点、保利農林大臣に伺いたいと思うのでございます。政令三百五十六号の第一条の第二項によつて市町村が指定されますが、この市町村の指定が行われないというと、多くの法律の地域指定が決定いたしません。例えば公立教育施設の災害復旧事業に関するもの、国民健康保険に関するもの、母子福祉資金或いは社会福祉事業施設災害復旧に関するもの、或いは市町村が実施する失業対策事業等々、建設省で市町村の指定を一刻も早く行わないというと、これらの法律は全部地域指定ができないわけでございます。従つて建設省が所管しているところの政令三百五十六号の第一条第二項に基いてなされる市町村指定というものは一刻も早くなされなければならないと思いまするが、この見通しを建設大臣は如何ように持つておられるのか。その点、伺いたいと思います。
 次に伺いたい点は予算の配分でございますが、災害国会前においても、緒方副総理は、でき得べくんば概算交付をして災害復旧を一日も早くなし遂げたいということを常々委員会で答弁されておりましたが、国会で予算が可決された今日、なおこの災害予算が末端に届かないということは遺憾千万に堪えません。一体、各省においてはこの予算の配分の状況は如何ようになつているのか。更にこの配分に当つては査定額の何%程度を配分しているのか。未だ予算の概算払も終了していないところの関係省においては、いつ、その予算の配分をしようとするのか。これらの点について、緒方副総理、戸塚建設大臣、保利農林大臣の答弁を頂きたいと思います。これと関連するのでございますが、あの災害予算については、いわゆる保守三派の協定によつて、千五百六十五億円の三割復旧に必要な不足金額は、復旧事業の進行に伴い、その必要に応じ、実情調査の上、資金運用部資金等より融資する、こういう保守三派協定があるのでございますが、一体、現状で三割復旧の自信があるかどうか。来年度の植付までに農地及び農業施設の復旧ができる自信があみかどうか。更に、この三割復旧に必要な不足金額百五十七億の融資を言明されておられたのでございますが、その後の調査の状況並びにそれに基いて如何なる資金計画から幾ばくの融資をすることに方針がきまつたか。それらの点について、緒方副総理、小笠原大蔵大臣、戸塚、保利両大臣に答弁を頂きたいと思います。
 次に伺いたい点は、大達文部大臣に伺いますが、台風十三号の教育施設の復旧予算は先国会で可決はされましたけれども、その当時、文部省は、その災害復旧所要費の査定が終つていなかつた。査定が終つていないのに持つて来て大蔵省から七億五千万円の予算が組まれたのであるが、査定が終了後においては不足分については追加するということを委員会で言明されておりますが、その後の査定状況はどうなつておるのか。これを大達文部大臣に伺いたいのであります。これと同性質の質問でありますが、排土費につきましても、新らしい立法であつて、査定の状況も慣れていないので、未査定のままにおいて予算は編成され、可決されたわけでございますが、これらの排土費に要するところの予算は、査定終了後において予備金から支出するという条件の下に、あの予算案は関係省の間で話合いがまとまつているということを答弁頂いておつたのでございますが、その後の査定の状況並びにそれに基いての関係省と大蔵当局との交渉は如何ようになつておるかという点について、大蔵大臣初め関係大臣の答弁を求めます。
 次に起債の特例に関する法律について伺いますが、災害によつて税収減を来たす、そういう地方公共団体の財源枯渇を救うために起債の特例に関する法律が通過成立したわけでございますが、この区域の指定をいつやるのか、更にこの地方債の枠は如何ようにきまつたのか、こういう点。
 更に、特に自治庁長官にお伺いするのでございますが、公務員の年末手当の〇・二五は税の増収によつて賄うということを説明されております。ところが一方では、水害によつて税収減となりましたので、特に起債を求めることに決定いたしておる次第でございます。従つて水害地においては税の増収など全然考えられないということは極めて明白なのです。然るに期末手当の〇・二五を税の増収によつて賄う云々ということは、私は極めて矛盾していると思うのでございます。従つて、少くとも百歩二百歩譲つても、水害地に対しましては期末手当の〇・二五の予算の措置というものは当然講じられるべきであつたにかかわらず講じられていない。これらの点について、塚田、小笠原両大臣の答弁を求めます。
 次に公務員等に対する国家公務員共済組合の給付の特例に関して伺いますが、母法の第一条において、被害の程度によつて二カ月以下〇・三カ月程度の災害見舞金を出すということを答弁されておりますが、これは現在においても相違ないかどうかという点と、政令三百六十六号によつて特別給付金の別表というものが出されております。これは御承知のように、法律によつてその所要経費の二分の一は国庫負担となつておりまするが、市町村に対して幾ばくの予算措置がなされたか。こういう点について、塚田、小笠原両大臣の答弁を求めます。
 なお、災害地の公務員は、この災害見舞金の支給されることを一日千秋の思いで待ちこがれておるのでございますが、本人に支給される時期の見通しはどうかということなんです。この点についても見通しをはつきりお答え願いたい。
 なお現在国会において審議中の予算においては、或いはベース改訂、或いは期末手当については、極めて不十分な結果に終る情勢にあるわけでございますが、大災害に襲われた地域の公務員は、その当時から生活補給金一カ月分を是非とも支給して欲しいと政府及び国会に陳情に及んでおるわけでございますが、そういう意思はないかどうか、改めて大蔵大臣にお伺いいたす次第でございます。
 更に文部大臣に伺いますが、国会で審議は一応終りましても、どうも行政事務がはかどらないのでございます。例えば大臣が非常に力瘤を入れたところの災害学生の援護資金或いは災害学生に対するところの授業料の免除、こういうものは決定いたしておるわけでございまするが、末端には一向滲透していないのでございます。如何ようにこれを処置されたか。すでに援護資金は給付されたのか、給付が始つたのか、授業料免除は如何なる程度に行われたのか、こういう点について。更に冷害地の生徒児童が、食事情のために欠席者が急増しておるという状況から、この冷害地に対しては学校給食について特段の考慮を払うように要望しておいたのでございますが、現在まで何らこれに対して処置がとられていないようでございますが、これらの状況並びに方針もこの際に承わりたいと思います。
 最後に、私は緒方副総理並びに労働大臣に伺いたいのでございますが、それは、今次の全国を襲つた大災害によて、住宅を失い、更に自分の職場を失つたところの労務者というものが多数にできております。こういう方々は、災害救助法に基いて仮設住宅も与えられない。生業資金も限度があつて頂けない。その日の生活に困窮し、この寒空に、年末年始を控えて、或いは餅代、或いは年末年始の一週間の休假を与えて欲しいと、血の出るような叫びを揚げておるわけでございます。これらについて政府として何らか措置するところのお考えはないかということを私は伺いたいのでございます。
 国会においては、MSAの論議等、実に景気のいい論議が行われております。更に本年度予算においても防衛予算手数百億の剰余金があるという状況でございます。一方、この大災害に襲われた国民は、今日、明日の生活に困窮し、正月を如何ようにして迎えようか、子供に下駄一足、或いは正月のお餅を如何ようにして与えようかと苦慮しておるわけでありまして、余りにも私はその隔りの大きいのに、国民感情から遊離しておる点を私は歎いておるものでございまするが、これらの点について緒方副総理並びに労働大臣に、その所信と、それから対策について伺いたいと思います。
 以上を以て私の質問を終ります。(拍手)
   〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(緒方竹虎君) 政令公布が非常に遅れたが、その理由はどういうところにあるか。又公布されたものの数と未公布のものの数について御質問でありました。衆参両院の水害委員会がきめられました地域指定基準の趣旨を十分尊重いたしまして、疑問の点を整理しておる時間がかかりましたために、更に法文化の慎重を期する等のために、今日まで遅れたものがありますることは、甚だ遺憾に存じております。政令になるものはすべてで二十件ございますが、すでに公布されたものは十八件でありまして、他の大部分は具体的な告示を待つて政令を制定いたす予定にいたしております。
 それから、地域の告示は、いつするのであるか。又、同時に告示を行うか、又は県と市町村と分けて行うかというような御質問でありましたが、地域の告示は、県については、第一次分といたしまして一両日中に告示をするつもりでございます。県の第二次分は年内に告示をしたいと思つております。市町村につきましては、査定の進捗に応じまして、決定したものから告示をいたしまするが、一月末までには終りたい所存でございます。六月災害と九月災害とに分けるつもりはございません。査定の進捗に応じて、終つたものからまとめて告示をいたす考えでございます。
 予算の関係につきましては大蔵大臣からお答えをいたします。
 又、災害地に失業者が非常に悲惨な状態に会つておる、これに対し、如何なる救済対策を考えておるかという御質問に対しましては、熊本県及び和歌山県の水害地における失業情勢につきましては、深甚の注意を払つておりまするが、水害を受けた県とは常時連絡をとつて対策に遺憾なきを期しておるつもりであります。失業情勢の悪化に対しましては、失業対策事業の枠を適宜に拡大する用意を持つております。それから失業対策事業に就労する日雇労働者に対しましては、年末の生活の実情に鑑みまして、政府といたしまとても、収入の増加ができまするよう、昨年の年末措置に劣らない特別な措置を考えるつもりでおります。
 水害の特別措置法の実施につきましては、事務的手続を促進いたしまして、予算もできるだけ早く水害県に配賦するようにいたしたい所存で今やつております。
 爾余の御質問に対しましては、各当局から御答弁をいたします。
   〔国務大臣保利茂君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(保利茂君) 農林省の行いました地域指定につきましては、現在のところ四回に分けて行うようなことになろうかと思つております。第一回は、農林省の手持資料によりまして両三日中に告示をいたしたい。第二回は、十万円以上の事業費の事業につきまして、都道府県からの集計報告されることを待ちまして、これによりまして十二月下旬に行う。第三回は、小災害の事業費の事業につきまして、都道府県からの集計報告されるのを待ちまして、これは只今のところ一月下旬の予定にいたしております。(「もう少し早くできないですか」と呼ぶ者あり)それは只今各府県を督励をいたしておるわけでございます。更に又建設省や厚生省の資料に関連して行います分につきましては、或いは二月に至るかとも存じますが、只今お話の小災害の査定につきましては、只今、県側を極力督励をいたしておるわけでございます。さよう御了承願いたいと思います。
 災害復旧費の予算計上額は査定領のどのくらいになるかという御質問でございますが、農地及び農業用施設につきましては、査定が殆んど一部を除きまして完了いたしております。その査定総領は約六百二十億となりますが、補正予算計上領は七十三億でございまして、パーセンテージを申しますれば、約一一%程度になるのでございます。従いまして、事業の復旧の進行度合に応じまして、不足分につきましては、融資斡旋等、適当な措置を講じなければならないと考えております。災害復旧費の配分につきましては、農地関係は本日付を以て各府県に指令をいたしております。林道関係につきましては、先月末に配分を終つております。排土法によりまする農林災害には御承知のように一億を計上してありますが、これではなお不足いたしますので、予備費からの増額を只今要求、折衝中でございます
 私のほうでお答えするのはこの程度でございます。(拍手)
   〔国務大臣戸塚九一郎君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(戸塚九一郎君) 建設省関係につきましてお答え申上げますが、地域指定の件は、先ほど副総理からもだんだん御説明がありましたが、建設省関係の特別立法は、御承知のように、公共土木施設等の災害復旧の特別措置法、堆積土砂の関係のものと、二つでございます。十一月二十八日及び三十日に政令は公布をいたしました。この政令によりますと、申上げるまでもなく、地方公共団体の標準税収入を超える、そのほかの一定の基準があるのでございますが、都道府県及び市町村の区域は、主務大臣から告示をすることになつておりますので、この告示は、正確に言えば査定が終了した上でなければできないのでありますが、併し緊急性にも鑑みまして査定が終了しなくても間違いないという程度のものを先ず第一次に告示をいたしたい、かように考えております。それで府県につきましては、大体、第一次、九州五県及び山口県、第二に、公共土木施設災害復旧事業費の査定が完了して、この事業費が標準税収入を超えるもの。第三に、都道府県からの報告額に基いて査定の見込額が確実に標準税収入を超えるものというような条件で一応第一次の告示をいたしたい。これは只今関係省と手続中であります。一両日うちにできると存じます。ただ市町村の関係は査定もまだそこまで参りませんので、これは先ほど農林大臣からも申上げたように、やはり一月末日になるのじやないかというように考えております。
 それから公共事業費の配分のことでありますが、建設省の関係の公共事業費百二十四億のうち百十億はすでに先月末に配分を終りまして、そこにあと十四億が残つておりまするのと、そのほかがございますが、これは査定額が明確になりますることを待つて配分をいたしたい、かように考えております。
 なお、ついででありますが、直轄工事につきましては、今度の補正予算で十億、それから災害予備費で二十五億、これは三十五億で、約五〇%復旧が終る見込であります。それから府県のほうは約一四・五%になると存じまするが、先ほどお話がありましたように、三割復旧の確保ということにつきましては、関係省と只今折衝をいたしております。実績は十一月十日までには五十八億の程度の復旧工事が完了いたします。そのほかにすでに百億円を超える工事に着手したものがございます。そういうわけで、これらの足らないところは、だんだんお話がありまする融資或いは地方の借入、勿論その前に予備費等の支出をいたしまして、できる限り来年の出水期までに間に合うように工事を進捗いたしたいと、極力努力をいたしておる次第であります。
 なお、排土に関する問題でありまして、予算は八億でありますが、これは実際足らぬことは明らかであります。只今その不足額については予備費或いは融資等について関係者と協議をいたしております。(拍手)
   〔国務大臣大達茂雄君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(大達茂雄君) 十三号台風による公立学校施設の被害につきましては、大蔵省と立会いの上、最近大体その査定を終了いたしました。その復旧予算につきましては、御承知の通り、先般の補正予算におきまして、今年度分二億八千万円、それから来年度に予定せられておりますものが三億三千万円、こういう数字になつております。で、本年度分は、これはこの査定の終了しない前に枠がきまりましたので、本年度分といたしましては二億八千万円の程度で施行いたしたい。不足いたします場合は、来年度の三億三千万円というものにその不足分を追加計上する見込であります。
 それから、その次が罹災学生の援護の問題でありますが、これは先般の国会におきまして成立した四百万円、それから育英会の手持資金から一千万円、合せて一千四百万円によりまして罹災学生に対して援護いたしたい。大体、高等学校の生徒が七百三十名、大学のほうが千二百名ということを対象にいたしまして、これは調査を終りまして、十一月の中旬からその受付を開始しておる次第であります。
 それから、その次のお尋ねが授業料の減免のことでありますが、国立大学の罹災学生に対しまして授業料の減免をするために、大体人員は二千五百人と考えておりますが、これに対しまして五百万円程度の減免をするつもりであります。
 最後に、冷害地、災害地における、これは主として冷害地でありますが、欠食児滝の給食の問題であります。これにつきまして、この前の国会におきましても御説明申上げたのでありますが、先ずミルクについて、大体児童数六十万人を対象にいたしまして、所要のミルク三千トンというものを例のユニセフに寄贈方を交渉しております。これは多分できることと存じますので、この回答があり次第に給食を開始したいと存じております。それから小麦につきましては、やはり二分の一の父兄負担ということで、これは現行の通りでありますが、これでやつて行くつもりでありまして、これの所要の経費は現在の予算に見てありますもので間に合うつもりで考えております。ただ問題は、二分の一以上の国庫負担ということが非常に要望されておるのでありますが、この点は関係各省との間に話合いがつきませんで、それ以上の負担をするということは只今のところできないと存じております。ただ、その代りと申しますか、給食の施設設備につきまして、四千万円を予備費から支出してそのほうに補助をする、こういうことにしております。なお又、極く貧困な家庭に対しましては、これは生活保護の対象になつておるような家庭の児童につきましては、厚生省のほうで先般の国会で計上されました七億円のうち四千万円が教育補助ということになつておりますので、この四千万円によりまして、これらの特に貧困な児童については学校給食を無償でやりますように措置し得ると存じます。(拍手)
   〔国務大臣塚田十一郎君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(塚田十一郎君) お尋ねのうち、私の所管の分についてお答え申上げます。
 先ず第一に、この災害地の税の減収と今度のこの給与の財源の措置の関係のお尋ねでありますが、これは御承知のように、災害地の税の減収は、先般の国会におきまして、国会側の御意思を尊重して、これは別途に特別の起債で措置をするということになり、又冷害地の分は特別交付金で同じ考え方で措置をするということになつておりますので、前回の場合は、第一次補正の際に、もうすでに災害地の税減収についての措置は一応終つておるわけであります。従つて、今度の公共事業による地方財源の措置の際に重ねてこれを考慮いたしますと……(矢嶋三義君「大臣は地方起債の枠はきまらないということを言いましたよ」と述ぶ)それは現実に決定しておるという意味でなしに、措置をする方法はすでにきまつておるわけなんであります。従つて、今度のこの給与の財源として重ねて減収を考えますと、一つの問題を二重に考慮するということになりますので、今度の財源措置についてはそれは考慮はせずに、一応は増収は増収で立てる、こういうことになつておるわけであります。
 それから次に特例法の起債の枠は五十億ということになつております。
 それから災害見舞金の地方公務員に対する分は、これは国家公務員共済組合の給付の特例に関する法律の第二条に規定をいたしております特別給付金のうち、国庫負担に関する分はどうなつておるかというお尋ねだと思いますので、その考え方でお答え申上げますが、これは災害の予備費の中から支出するという考え方になつており、負担額は大体の計算では一千二百万円、対象となる人員は約八千人と、こういうことになつております。交付する時期は、災害地域の指定が終りますと、地方公共団体から交付申請があると思いますので、交付申請のあり次第交付すると、こういう考え方にいたしております。(矢嶋三義君「その地域の指定はいつか」と述ぶ)それは、先ほど他の大臣からお答えのありました通りであります。(拍手)
   〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(小坂善太郎君) お答えいたします。
 災害地につきまして、労働省関係としましては、失対事業の拡大に努めております。なお年末に際しての自由労働者に対してのお尋ねでありますが、労働省としましても、その生活の実態に鑑みまして、昨年の措置に劣らざる程度、即ち就労日数の増加によりまして特別現金収入の方途を講じたのでありますが、これに劣らざる程度の措置をするという考えであります。
 なお、失対特例法の施行についてでありますが、十一月三十日に政令を公布したのでありますが、その後、事務当局を督励いたしまして、万遺憾なきを期しておるのであります。
   〔政府委員愛知揆一君登壇、拍手〕
#25
○政府委員(愛知揆一君) 災害の政令につきましては、その主なるものは御承知の通り公共土木及び農林水産関係でございますが、これはすでにお話がありましたように、十一月の二十八日に公布施行せられました。これに基きます告示につきましては、県のほうにつきましては具体的な数字も大部分は固まりましたので、一両日中にその指定が完全にできると思つております。市町村の指定につきましては、これより多少遅れることは止むを得ないかと思うのでありますが、目下鋭意数字を当つておりますので、できるだけ速やかに指定できるように、この上とも努力いたしたいと存じます。
 次に大蔵省関係の災害の立法は三件でございますが、その政令は、国家公務員共済組合関係の分と被害たばこに関する部分は十一月の三十日に公布施行いたしました。国有機械に関しまする分は十二月十一日の閣議に決定を願う段取りにいたしております。その指定の地域につきましては、十二月五日に建設大臣の告示がありましたので、これと照応いたしまして直ちに公示する予定でございます。
 次に西日本等における災害罹災者に対する共済組合の災害見舞金の増額給付、これに関する被害地域の指定でございますが、実はこの関係は、その後に発生いたしました第十三号台風の被害者についても同様な措置をすることに法律の改正になりましたこと、並びに公共土木施設等についての災害の復旧等に関する特別措置法の被害地域の指定が若干遅延いたしましたために、これらと歩調を合せる必要がありましたために、余儀なく遅延いたしたものでございますが、これらの地域の指定の政令は十一月の三十日に公布施行せられましたので、告示のほうも具体的に速やかにでき得ることになりましたので、従つて支給の促進は期待できると考えておるわけでございます。
 次に起債の特例法によりまする起債の枠の問題でございますが、この点は、只今塚田国務大臣からお答えいたしました通り、大蔵省といたしましても大体五十億円程度と考えておるわけでございます。
 次に国家公務員の共済組合に関する特例、いわゆる政令第三百六十六号の関係でございまするが、これは御案内の通り、この母法におきまして、該当者には災害の程度に応じて二カ月、一・二カ月、〇・六カ月、〇・三カ月というふうにきまつておりまして、地方公務員のほうの関係はその半額ということになつておりまするので、この母法の規定通りに、我々といたしましては予算の執行その他をいたす考えでございます。この政令三百六十六号の特別給付金の別表によります所要経費の二分の一は国庫負担になるのでございまするが、これは予備金から支出することにいたしておりまするし、各地方からの自治庁への報告に基きまして、自治庁と大蔵省が協議の上、具体的にきめることに相成ります。
 なお災害地の地方公務員の全部に対しまして、一カ月の災害補給金と申しますか、見舞金を出すことはどうかというお尋ねがございましたが、この関係は遺憾ながら我々としては考えておりません。
 次は排土法の関係の予算でございますが、これは災害復旧関係全体といたしまして予備費が若干残つておりまするので、その中で追加支出することに考えております。但し配分の具体的の内容はまだ申上げる段階に至つておりません。
 三派協定のお話でございますが、つなぎ融資百五十七億円がその三派協定の文言に現われておりますることはよく承知いたしております。一般につなぎ融資の問題につきましては、これは事務の運営上の配慮でございますが、大蔵省といたしましては、専ら地元の実情に明るい財務局、特に財務部に原則的に本省から一任いたしております。その責任におきまして、資金が早く地元に渡るようにいたしておるのでございます。で、本省といたしましては、各地方間の権衡の保持について若干の調整をいたすだけでございまするので、こうやつて地元から積み上つて参りましたものについて、早く融資が具体化するようにという配慮をいたしております。その結果どれだけのその必要の融資額がきまるかということは、私どもとしてはむしろ第二義的に考えております。一方において百五十政億というものを頭において、その枠内でありますことは当然でございますが、地元の実情に応じて、そこで積み上げて参りましたものが迅速に実行できるようにということを根本的な考え方にいたしておるわけでございます。
     ―――――・―――――
#26
○議長(河井彌八君) 日程第四、町村合併促進法の一部を改正する法律案(石村幸作君外八名発議)を議題といたします。
 先ず委員長の報告を求めます。地方行政委員長内村清次君。
   〔内村清次君登壇、拍手〕
#27
○内村清次君 只今議題となりました町村合併促進法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 町村合併は各方面一致の要望でありまして、地方行政上は勿論、国政上もこれに期待するところ多大なるものがあります。而して本委員会の全委員の共同提案による町村合併促進法が、張る第十六国会におきまして成立いたしまして以来、町村合併の機運は全国的に高揚し、今やこの国家的大事業が漸次軌道に乗りつつありますることは、誠に慶賀に堪えない次第であります。
 併しながら、町村合併の進展につれまして、町村合併促進法立案当時においては予想できなかつた各種の問題が生じ、この際、これらの各種障害となるべき事項を除去するために必要な法的措置を講じますることは、町村合併促進法の立法趣旨を十分具現すると共に、町村合併を一段と促進するゆえんであることが痛感せらるるに至つたのであります。従つて本委員会におきましては、これらの点につきまして鋭意研究を進めて参つたのでありまするが、ここに成案を得ましたので、本委員会の各派を代表する委員の共同提案によりまして本法案を提出した次第であります。
 以下本法案の主なる内容について御説明申上げます。
 第一に、都道府県の境界に亘る市町村の境界変更に関する特例についての事項であります。都道府県の境界に亘り、市町村の境界変更をいたしたい旨の一部部落等の住民の要望があつた場合におきましても、これを尊重し得るような措置をとることといたしたのでありまするが、都道府県の境界に亘る事案でもありまするので、都道府県知事の勧告に代えて、内閣総理大臣が当該境界変更について勧告することができることとしたのであります。
 第二に、都道府県の議会の議員の選挙区に関する特例についての事項であります。町村合併により郡又は市の境界に変更を来たす場合におきましては、都道府県は、条例の定めるところによりまして、次の一般選挙後の一任期間に限り、従前の選挙区によるか又は関係郡市の区域を合せて一選挙区となし得る途を開いたのであります。
 第三に、財政援助に関する特例についての事項であります。公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、その他、主といたしまして災害関係に関する法令においては、国庫負担額の算定の基準を当該地方公共団体の財政収入との一定割合で定めているものが多いのでありまするが、その結果、同一の事案に対する国の財政上の援助が、町村合併により合併町村の不利益となるような場合も生じまするので、かかる不利益を受けることのないように措置しなければならないものといたしたのであります
 第四に、都道府県の境界に亘る町村合併の促進についての事項であります。都道府県の境界に亘る町村の対等合併が行い得るようにすると共に、都道府県の境界に亘る町村合併が、関係町村の意思が一致しておるにもかかわらず、都道府県の申請がないために行われない場合には、内閣総理大臣がみずから合併の処分ができることといたしたのであります。
 第五に、町村合併になり市が新設される場合においても、議員の任期、定数に関する特例を準用すると共に、人口五万未満の市が町村と対等合併を行う場合にも、この法律の規定を準用することといたしたのであります。
 最後に、町村合併に関連いたしまして、町村職員恩給組合に関する関係規定の整備をいたしました。即ち、町村職員恩給組合に属する町村の合併により市が設置せられました場合等においても、その市はそのまま組合に加入しておることができるようにすると共に、その市が組合に加入しない場合におきましては、恩給関係の事務を組合から承継することとして、職員の恩給関係が継続するように措置いたしたのであります。
 本法案につきましては、本委員会におきまして、提案に至るまでに、すでに十分研究審議を重ねておりまするので、十二月五日、本法案が本委員会に付託になりまするや、直ちに石村委員より提案理由の説明を聴取し、質疑及び討論を省略いたしまして、全会一致を以て原案通り可決いたした次第であります。
 なお、町村合併促進対策費は第二補正予算におきまして七億円計上せられておりまするが、政府の説明によりますれば、特別平衡交付金よりの支出を加えましても、一都道府県当り三百万円、一関係町村当り六十万円に過ぎないのであります。従来におきましても、合併関係町村には一町村当り特別平衡交付金で五十万円程度支出されていたのであります。現在一万に近い町村を三カ年間に約三分の一に統合せんとする政府の大方針は、断じて机上プランではないはずであります。然るに政府の熱意がいささか足りないのではないかと感ぜざるを得ないのは、私の深く遺憾とするところであります。政府は、国家百年の大計とも言うべき本事業の完遂のために必要なる経費は、これを計上すると共に、関係各省一致協力、万全の措置を講ぜられんことを希望してやまない次第であります。
 以上御報告いたします。(拍手)
#28
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#29
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
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#30
○議長(河井彌八君) 議長は、閉会中に、奄美大島の復帰に関する行政措置について現地の実情を調査するため議員を派遣いたしました。この際、その報告を求めます。内村清次君。
   〔内村清次君登壇、拍手〕
#31
○内村清次君 ここに私は、去る十一月七日の本院の院議によりまして、奄美群島復帰に伴う行政措置等について、その実情を調査する使命を帯び、十一月二十四日東京を出発し、本月三日無事その任務を終了して帰京いたしました調査団一行を代表いたしまして、その御報告を申上げたいと存じます。
 先ず一行の者を御紹介申上げますると、自由党西郷吉之助君、緑風会小林武治君、日本社会党第二控室松澤兼人君、改進党寺本広作君と日本社会党第四控室より私の五名でございました。
 本調査団の決定を見まするや、在京の奄美群島復帰促進会、群島出身の在京有志並びに在京の現在報道関係者は、熾烈なる現地の意向を代表いたしまして、調査団に対する期待極めて大きく、群島をあまねく歴訪されたい旨の御要望がございました。私たちはこの要望に応えたいと思いましたが、十二月一日復帰目標の日以前に現地に到着いたしたいこと、なお、その調査の結果を可及的速かに本院に報告いたしたいため、離島訪問は止むなく断念せざるを得ないことに相成つたのでございます。現地の方々の御要望に副い得なかつたことは、甚だ遺憾に存ずるところでございます。
 本調査団編成後、私たち一行の者は再三会合を重ね、非常に時日を要する渡航手続の促進方を関係政府機関に要請すると共に、第十七回国会終了後の群島復帰に関する諸情勢について、外務、大蔵関係当局を招致して、その事情を聴取し、更に時あたかも十一月十五日米国副大統領ニクソン氏がアイゼンハワー大統領特使として来朝いたしておられましたので、ニクソン副大統領に米国大使館を通じて書簡を手交し、本調査団の使命及び日本政府が十二月一日を目途として返還準備を進めている実情を訴え、副大統領の特段の好意ある配慮を要請いたしました。特に私は、十一月十九日、両院議長主催の芝高輪のプリンス・ホテルにおけるパーテイの際は、直接ニクソン氏に面接し、その趣旨を強調し、群島復帰促進につき善処方を要望いたした次第であります。
 以上のごとく、私たち一行は、現地到着まで最善の努力を傾注いたしましたが、群島住民並びに日本国民が刮目して待望しておりました十二月一日復帰が実現せず、でき得れば現地到着に当り確定した復帰の期日を伝達いたしたいという我々の希望は、遺憾ながら達することができなかつたのであります。ここに現地の調査を終え、その結果を報告するに当りまして、第十七回国会における奄美群島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律の審議過程及び団編成より現地出発までにおける政府の言明を想起せざるを得ないのであります。
 政府の累次の説明によりますれば、復帰の期日の確定しないのは、事務上の問題のために延引しておるのであつて、ほかに何らの事情はないということでありましたが、基本問題の決定が事務の都合によつて左右せられるということは、誠に了解に苦しむところであります。即ち、十一月二十二日鹿児島港を出航する予定でありました通貨並びに郵便切手切替え措置のためのフリゲート艦派遣は、止むなく延期した事実を挙げたいのであります。この事例を以ていたしましても、期日が決定しないため、群島住民の痛嘆と焦慮を日一日と徒らに増加していることに、政府は深く思いをいたさなければならないと思うのであります。幸い十一月二十七日より日米両当局間に返還に関する具体的折衝が開始せられ、順調に進行しておるやに聞き及んでおるのでありますが、先ず復帰期日の確定こそ最大要件であることを、ここに更に強調するものであります。(拍手)
 次に、本調査団の行程を申上げますと、十一月二十四日東京を出発、二十五日鹿児島に到着、鹿児島県知事以下県関係当局者より、群島復帰に関する県側の意向を聴取し、一行との間に意見を交換し、二十六日鹿児島を出航の予定でありましたが、天候の悪化による船便の欠航のため、二十六、二十七の両日は鹿児島に滞留を余儀なくせられ、二十八日若草丸に乗船し、午後一時鹿児島港を出航し、黒潮躍る七島灘の怒濤を蹴りまして、翌二十九日早朝午前七時に名瀬港に入港し、熱誠溢れる郡民の劇的歓迎の中に上陸第一歩を印しました。そして直ちに、奄美地方庁において、官民代表者より群島の実情を聴取し、一行との間に意見を交換し、名瀬市役所において市政調査、次いで名瀬市中央会館において、学童の歓迎学芸会等が我々のために催されました。又同夜午後八時より名瀬市小学校校庭におきまして開催されました郡民大会に出席しましたが、同大会には、海路交通極めて不便な離島方面よりも参会し、その数一万名以上に達し、南国の秋、星空を仰いで、学生音楽隊の奏楽のうちに開会せられ、視察行程中の最高潮に達しました。この大会は二時間以上にも亘りましたが、我我調査団一行の話に耳を傾け、一人として席を離れる者がなかつたほどで、全く郡民の日本復帰意欲には、一行の頬にも熱涙がとどまることを知らなかつたほどで、終生忘れ得ぬところの感激を受けた次第であります。翌三十日は和光園癩療養所を訪問し、収容患者を慰問し、重畳たる山道の危険を目して竜郷村に入りました。村の入口には蘇鉄の葉を以て歓迎アーチが作られ、村民並びに学童が日の丸の小旗を持つて堵列しておりました。竜郷村、浦中学校に参りましたところ、丸太作りの朽ちた藁屋根の教室を見、校庭における生徒代表三年生大司礼子君の切々たる挨拶には、一同まぶたをうるませられた次第であります。次いで西郷南洲竜郷蟄居の遺跡を訪問いたし、それより竜郷村役場、名瀬中学校、米軍民政部奄美チーム、農業研究指導所、大島女子高等学校、大島産業の大宗である大島紬の撚糸工場、染色指導所、紬生産組合等を訪問いたしました。第三日目の予定行程でありました古仁屋村訪問は日程の都合で割愛し、本月一日名瀬出港の白雲丸に乗船し、郡民各位の盛大な見送りの下に、大島本島に別れを告げて、三日夜帰京いたした次第であります。
 国会開会中なるため、視察日程が極めて限られたことと、鹿児島出帆が天候不良のため二日も遅れ、鹿児島に滞留を余儀なくせられましたことは遺憾でありましたが、それでも十分調査の目的を達し得たと信じておる次第であります。
 次に、調査の結果に基く奄美群島復帰後の諸問題につきまして申述べてみたいと思います。
 先ず第一に、交通の問題であります。その一として海上交通の問題であります。本土と大島本島間の船舶の整備拡充が特に必要でありまして、現在の二、三千トン級の船舶では、天候に左右され、ために欠航が多く、天候に左右されない五千トン級の船舶を運航する必要が認められました。又、大島本島と群島間の船舶も最低二千トン以上とし、且つその運賃は現在極めて高額でありまするので、復帰後は現在の半額程度にする必要があります。これに伴い港湾の整備を要することであります。現地官民は、国営航路の開設を強く要望いたしております。その二として、陸上交通整備のため、道路の拡張、鋪装修理を要し、国営バスを開設の要望がございました。その三として、本土――群島間に航空路の開設が必要であることでございます。
 第二は、市町村財政の問題であります。市町村財政は極度に窮乏し、これを予算について見ますると、内地の同一規模の町村の五分の一程度で、事業は何一つできず、辛うじて吏員を置いて戸籍事務その他最小限度の事務を扱つておるに過ぎない状態であります。群島町村は、戦前でも全国における貧弱町村でありまして、特殊取扱を受けていたのでございまするが、現在は自給自足を建前とせざるを得ない羽目にあり、今や窮迫のどん底にあります。担税力を無視いたしました徴税が行われ、法定外特別税は三十九種類もあり、ラジオ、ミシン、製縄機、牛、馬、山羊、犬、鶏等、皆、税の対象たらざるはなく、ないものは人頭税といつたくらいの有様であります。財政平衡交付金につきましても、現在の琉球政府は、余つたものを廻してよこすというやり方であり、起債は全然行われておりません。産業、経済、社会、土木、厚生費は全然なく、市町村吏員の給与ベースは二千百二B円で、市町村長の給与が二千五百B円、然るに配下の琉球政府職員である農業改良普及員の給与は三千百B円乃至二千二百B円といつた皮肉な対照を示しております。
 第三は、教育の問題であります。学校数は、小学校、中学校、高等学校、琉球大学分校を入れまして首九十校ありますが、校舎復旧は優先的に考えなければなりません。その校舎の総延坪数二万四千坪、そのうち本校舎又は準校舎として間に合うものは約一割に過ぎない状態であり、その大部分はガラス窓もなく、掘立小屋で、柱や屋根は曲りなりになつておる現状であります。その二といたしまして、教職員の身分問題であります。南西諸島公務員に対する特例法が制定せられておりまするが、本法は何らいつ復帰できるかわからないことを前提として作られたのでありまして、その保障せられておるところは、内地における同僚に対し半分に過ぎず、悲惨な生活状態を救済するために一本化する必要がございます。その三は学校給食に対する問題で、食糧事情の窮迫は学童の体位に与える影響は大きく、全額国庫負担による学校給食を小中学校並びに夜間の高等学校にも適用されることを要望しております。その四は産業教育の問題で、職業教育に対する学校施設は何もなく、産業教育施設の整備についての要望には切実なるものがありました。
 第四は群島三大産業の振興の問題であります。群島三大産業は、大島紬、黒糖、鰹節産業で、群島経済の基幹をなすものであります。大島紬は戦前の三割程度に回復したに過ぎず、米軍管理下、原糸の入手難、内地輸出の制約、染料源たるテーチ木の枯渇、生産資金の融資難等の問題をかかえ、その振興は一にかかつて日本復帰を待つといつた状態であります。黒糖の生産増加についても、農業技術の改良により、単位当方収量の増加、二十年以上経過した老朽幼稚な精糖施設の改良が焦眉の急務であり、本年の収穫予想は一千七百万斤でありますが、これを五千九百万斤程度にする増産計画を有しております。又かつお漁業についても、漁場が日本南端として最も有利な位置を占めるにもかかわらず、漁船、漁具の老朽、不良、不足であるため、誠に萎靡沈滞し、製氷施設の拡張等、即時改善を加えなければならぬ問題が山積いたしております。
 第五は農業の問題であります。農家人口は全人口中の八〇%を占め、農家経済の向上は群島住民の最も大なる問題であります。大島本島を除き、徳之島、沖永良部島、与論島、喜界島は水利が悪く、本年は未曾有の早魃で、群民は蘇鉄の実によつて生命を支えておる現状であります。これらの災害復旧を図るため、水利施設の改良は産業振興上最も大きな問題であり、溜池、井堰、用水路の築造、土地改良、区画整理、干拓等により農業振興を図る必要がございます。又農家の二戸当り耕作面積は三・八反という零細経営であり、水稲作は平年作七万石でありまするが、本年は一期作三万二千石、二期作八千石程度で、郡民の五カ月分に満たない状況であります。米の不足を補う甘藷は群島各地とも「ありもどきぞう虫」の被害を受け、又野菜その他の農作物には病害虫があるとて内地輸出が禁止され、これらの防除駆除対策は農業上の大問題であります。畜産につきましては、家畜は戦前並みに回復いたしましたが、販路は沖縄、内地でありまして、復帰後は内地に切替えらるべきものと思います。養蚕につきましては、大島紬の原糸提供からいつても農家の副業として大いに奨励せらるべきものと考えます。
 第六は農業協同組合の問題であります。戦前において農協はバランスがとれ、沖永良部の和泊農協は表彰せられたくらい優良な組合もあつたのでありますが、戦後の分離により、良家経済は極度に困窮し、特に内地に六百万円の預貯金の封鎖に会い、これが解除を切実に要望しております。その換算比率については百倍程度を要求し、最低限の要求として三倍、即ち日本円対B円比価として返還を要望しております。現在は金融の道が全く塞がれ、琉球銀行から担保貸七、八万B円を受けているに過ぎない現状であります。又、日本分離後、農連はガリオアの借金千百八十一万B円有しております。これは米国との関係において無償でいいのではないかと言つておりますが、できなければ復帰後日本政府において肩替りされることを望んでおります。
 第七は食糧問題であります。一九五〇年乃至一九五二年前半の米の月平均入荷量は一千トンでありましたが、五二年後半乃至五三年前半は月平均六百トンであり、本五三年七月以降月平均三百トンに過ぎない状況であります。外米の価格日本円キロ当り七十八円、内地米が本土においてキロ当り六十八円、外米が五十円台であるのに比較しますと、如何に高米価で郡民の食生活が容易でないかということが窺えると思います。
 第八は、社会、労働問題についてであります。社会福祉制度につきましては、施設は全然なく、法的制度もなく、現在生活保護を受けている者七千七百名で、一人七十B円の低額であります。復帰後、日本の生活保護が適用されれば二万四千名くらいの厖大な数になることが算出せられております。身体障害者、母子福祉問題、養老院、母子寮、救護院の設置問題等、解決を要する問題が山積しております。又、現在沖縄に群島出身労務者が約五万名あり、これらは日本分離後沖縄に生きる道を求めた人々であります。先般、沖縄軍声明によりまして、これらの労務者は日本に送還すべきものとされ、復帰後は外国人として取扱い、居住の自由を認めない旨発表せられております。復帰後これらの人々の送還問題は重大問題であります。現地におきましては琉球政府にこれが善処方に対する要請をしておりますが、これらは日米折衝の重大課題であると信じます。
 第九は金融貿易の問題であります。復帰による通貨交換比率は三対一たること、ガリオア資金については資材資金について免除してもらいたいこと、琉球に対する債権債務は日本において肩替りしてもらいたいこと、日本に凍結されている三億九千七百万円は交換比率百二十三倍とされたいこと、最悪の比率として三対一を要求するということであります。復帰後、群島経済振興のため低利資金の融資を要望し、大島本島に特殊なる独立銀行を設立されたい旨の希望がありました。又貿易につきましては、現在は沖縄との通商が主であり、これは内地通商に切替えられるべきものでありますが、依然、沖縄貿易は群島経済のため欠くべからざるものでありますから、国境貿易と同じ扱いにされたいこと、これがため渡航者の取扱事務の緩和並びに通産省の出先機関を設置されたい旨の要望がございました。
 第十は、医療、衛生の問題であります。群島内の医療施設は極度に悪く、官立病院の設置もなく、全群島に医師二名、薬剤師は一名もおらず、保健所の不足不備は膓チブスの早期診断さえできない有様であり、又らい患者につきましては群島に六百名の患者がいますが、らい療養所は和光園一カ所であり、現在二百五十名の収容力しかなく、他は放置されています。而も和光園は医師一名、薬剤師は一名もいないのであります。
 第十一は電力開発の問題であります。現有電力は八百キロに過ぎず、名瀬市を除き十九カ町村のうち十四カ町村に電燈が配電され、而もその町村の四一%に過ぎないのであります。かかる貧弱なる電力量によつて産業経済を維持しておるのでありまして、一つのトランスが切れましても修理ができない状況であります。
 第十二は復帰に伴う切換時の混乱の防止についてでありまするが、今夏八月八日のダレス声明を契機といたしまして、郡民の復帰待望は一日千秋の思いでありまするが、現在奄美関係の予算は、十一月以降、琉球政府の出先機関である奄美地方庁の人件費、行政費の令達があるばかりで、事業費は全部停止されており、一般業界の事業は停頓状態にあり、失業者が続出しております。又琉球銀行は、群島所在の支店を通じ、実質的にはすでに債権の整理を始めており、これに並行いたしまして一般宿人の貸借関係が整理期に入つております。庶民金融は極度に収縮し、庶民の生活が非常な窮乏と混乱状態にあります。これらの問題は復帰直後可及的速やかに適切なる措置を要する問題であると思います。その他、琉球政府に勤務する公務員の送還、恩給問題等、祖国の温かき措置により救済を要すべき問題が幾多山積いたしております。
 以上各種の問題につき個別的に列挙いたしましたが、戦前から経済的に著しく後進性があり、分離後は八年間の空白のため、一切の経済、文化は荒廃したままでありまして、今後の振興は、計画的、総合的に行われる必要があり、地元及び中央が一体となつて振興計画を急速に樹立し、短かい期間の中に年次的にこれを実施する必要があることを力説いたしたいと思います。
 郡民は、民族的感情からいつても、政治的、経済的諸情勢から見ましても、日本復帰の熱情には全く言語に絶するものがございます。今回の行程中各所におきまして接しました我々に対する歓迎には熱涙やむことを知らなかつた次第であります。奄美群島復帰の問題は、今なお還らざる南千島、沖縄、小笠原、琉球諸島の日本復帰の端緒たるばかりでなく、同群島復旧後の振興方策日本再建の試金石として国際環視の的であることを強調したいのであります。
 終りに、本調査団渡航に当りまして寄せられました現地官民各位の御厚情に深甚なる感謝の意を表しますると共に、今後我々は大いに政府を鞭撻し、奄美群島振興問題に熱意を傾注することをここに申し添えまして、以上調査報告を申述べた次第であります。(拍手)
#32
○議長(河井彌八君) 本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五分散会
     ─────・─────
○本日の会議に付した事件
 一、故議員加納金助君に対する追悼の辞
 一、故議員加納金助君に対する弔詞贈呈の件
 一、日程第一 国会法第三十九条但書の規定による国会の議決に関する件(輸出入取引審議会委員)
 一、日程第二 国会法第三十九条但書の規定による国会の議決に関する件(中央酒類審議会委員)
 一、日程第三 人事官の任命に関する件
 一、水害地緊急救済対策に関する緊急質問
 一、日程第四 町村合併促進法の一部を改正する法律案
 一、派遣議員の報告
ソース: 国立国会図書館
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