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1953/12/07 第18回国会 参議院 参議院会議録情報 第018回国会 法務委員会 第5号
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1953/12/07 第18回国会 参議院

参議院会議録情報 第018回国会 法務委員会 第5号

#1
第018回国会 法務委員会 第5号
昭和二十八年十二月七日(月曜日)
   午前十一時三十二分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     郡  祐一君
   理事
           小野 義夫君
           宮城タマヨ君
           亀田 得治君
   委員
           楠見 義男君
           三橋八次郎君
           棚橋 小虎君
           一松 定吉君
  衆議院議員    鍛冶 良作君
  政府委員
   法務政務次官  三浦寅之助君
   法務大臣官房調
   査課長     位野木益雄君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
   常任委員会専門
   員       堀  眞道君
  説明員
   最高裁判所長官
   代理者
   (事務総局総務
   局総務課長)  磯崎 良譽君
   最高裁判所長官
   代理者
   (事務総局人事
   局長)     鈴木 忠一君
   最高裁判所長官
   代理者
   (事務総局人事
   局給与課長)  守田  直君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○請願及び陳情の取扱いに関する件
○裁判官の報酬等に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣送付)
○検察官の俸給等に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(郡祐一君) 只今より委員会を開きます。
 本日は先ず請願及び陳情の審査を行います。速記をとめて。
   午前十一時三十三分速記中止
   ―――――・―――――
   午後零時一分速記開始
#3
○委員長(郡祐一君) では速記を始めて。
 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案につき衆議院では法務委員会においてその修正をいたして議決をいたしました。その修正点について先ず政府側の説明を求めます。
#4
○政府委員(位野木益雄君) 衆議院の法務委員会の修正点でございますが、これは東京高裁長官及びその他の高裁長官と、東京検事長、これの報酬及び俸給月額を増額したのであります。原案によりますと、東京高裁長官の報酬月願は、現行の通り八万二千円の据え置きとなつておつたのであります。これを八万五千円に増額修正したのであります。それからその他の高裁長官と東京検事長、この報酬及び俸給月額は七万八千円、原案によりますとこれは現行通りの据置きとなつておつたのであります。この七万八千円を三千円増額いたしまして八万一千円と修正されたのであります。
 修正点は以上二点でありますが、その理由は或いはあとで衆議院の議員のかたから御説明があるかとも思いますが、この政府の原案におきまして、次長検事及びその他の東京以外の検事長の俸給月願を現行の七万二千円から七万五千円に値上げすることになつておるのでありますが、この理由は、その下の特号検事と同額になるから、そのほうが増額になつて、次長検事を据え置きしておくと同額になつてしまうから、その差額をつけるために三千円だけ上げたという、こういうふうな、まあ政府説明になつているのですが、すでにそのようになつた以上は、その上の分も当然上げるべきではないか、認証官以外の給与が増額された結果、その上の認証官との間に不均衡を生じた以上は、単に次長検事等の分のみを上げるのみでは不十分であつて、その上の部分も同じように増額すべきじやないかというので、次長検事の増額分と同じ三千円ずつを上げるという趣旨なのでございます。
 なお、これに伴いまして、裁判官の報酬のほうの附則も修正をされたのであります。その修正は、今申しました東京高裁長官その他の高裁長官及び東京検事長、これの増額の部分を、判事、判事補及び簡易裁判所判事の増額の分と切り離しまして、早く施行する。公布の日から施行するというふうにしたのであります。その理由は、すでに政府の原案におきましても、検察官の俸給の改正案のほうの附則におまして、次長検事等の値上げの部分を、公布の日から施行するということになつておりますので、それに合せたということのようであります。この次長検事の部分を公布の日から施行するということにいたしました理由は、この前にちよつと御説明いたしましたが、ほかの部分と同じ日に施行いたしますと、下の聞のつき過ぎた部分が依然として来年の一月一日以後も残るので、前日に施行しておいて、減額床証をいたしますと、その部分が是正されますので、そういうふうな技術的な関係からこういうふうにした、それにならつたもののようであります。
#5
○委員長(郡祐一君) 本修正案について政府のほうから如何なる御所見を持つておられますか、三浦政務次官から伺いたいと思います。
#6
○政府委員(三浦寅之助君) 只今の修正案については差支えないと思います。
#7
○委員長(郡祐一君) 本修正案について御質疑等ございましたら、御質疑をお願いいたします。
#8
○楠見義男君 この認証官というのはどこから上ですか。
#9
○政府委員(位野木益雄君) 次長検事、その他の検事長以上であります。判事以下はそうでない。
#10
○楠見義男君 次長検事も認証官ですか。
#11
○政府委員(位野木益雄君) さようです。
#12
○楠見義男君 それから三浦さんにお伺いいたしますが、認証官以上は大体上げないというのは政府の方針じやないですか。
#13
○政府委員(三浦寅之助君) 原則としては上げない方針なんですね。
#14
○楠見義男君 相当官のところで出ておる内閣官房副長官、これは現在次長検事等と俸給は同じなんですか。各省次官もこれと同額でしたかね。
#15
○政府委員(位野木益雄君) 各省次官は違います。
#16
○楠見義男君 それで内閣官房副長官は今度は上げないのですね。
#17
○政府委員(位野木益雄君) さようでございます。
#18
○楠見義男君 そうするとほかのほうは、一般の行政官については、下からだんだん押し上つて来るけれども、大体この程度から上は、今度の増給を遠慮しようと、こういうわけですね。それから裁判官のほう、或いは検事のほうだけは下から上つて来て、そうして均衡論が出て来ていると、こういうふうに理解してよいわけですか。
#19
○政府委員(位野木益雄君) その点は裁判官、検察官のほうは同一系列で、特に検事、直接指揮するその部下のほうが高い、或いは部下と同様であるということは、特に不都合があると痛感されるということほ……。
#20
○楠見義男君 それと指揮系統とは関係ないのですが、例えば従来の最高裁判所判事と、それから東京高等裁判所長官とか、或いはその他の高裁長官との格差ですね、格差というものが一つの何といいますか、秩序のような恰好であつたものが、今度はそれが縮まる、このほうはいいんですか。
#21
○政府委員(位野木益雄君) その点も問題でありますが、全般的にそれまでも上げてしまえということになると、その不均衡がなお目立つということから、この程度にとどめるというのが差当りとしては適るじやないかというふうに考えられて修正されたものと思います。
#22
○楠見義男君 これはこういうことがこれから何回も続いてあるかどうかわかりませんけれども、今回のようなことが繰返されるということになつて来ると、例えば最高裁の長官とか判事とかいうところが頭打にあつて、それ以外の人は、下から上つて来るのとはさみうちになつて、結局今の最高判事と高裁長官が同額になるということも想像されるわけですね。今回のものが繰返されるということになれば……。そうなつて来れば今までの何といいますか、秩序、序列といいますか、格差というものは保たれないことになるけれども、その辺はどうお考えになりますか。
#23
○政府委員(位野木益雄君) そういう事態があり得るとも考えますが、この差額というものは現在のやつが必ずしも一番合理的であるとは申せないので、この差額は沿革的に相当変更があるわけですが、この程度の差額であれば、序列を紊すほどのことはないじやないかというふうに考えます。
#24
○一松定吉君 ちよつと伺いますがね、この前の表で、つまり次長検事、その他の検事長は、現行は七万二千円である。それを今度は原案としては七万五千円にしようということである。それを今度七万八千円にする……、次長検事ですね。現行法は七万二千円であるのに、原案は七万五千円にしようとするのですね。これはこのままですか。
#25
○政府委員(位野木益雄君) これはこのままです。
#26
○一松定吉君 七万八千円というのは、これは何ですか。
#27
○政府委員(位野木益雄君) これは東京以外の高裁長官と東京の検事長…。
#28
○一松定吉君 それが七万八千円であつたのを、八万一千円にしよう、東京検事長を……。その他の高裁長官を八万一千円、次長検事が七万二千円であつたのを七万五千円、そうするとその他の検事長と同じようにこれを上げるのだね。そこで検事の特号というものが六万七千円であつた、それを今度は七万二千円にしようというのですね。そうすると検事の特号は上るんだが、判事の一号は上らないのですね。
#29
○政府委員(位野木益雄君) 判事の一号も同様上ります。判事の一号は六万九千円が七万二千円になります。
#30
○一松定吉君 検事の特号というものは五年経つと特号になるという制度はどうなりますか。
#31
○政府委員(位野木益雄君) その点は従前の通りです。
#32
○一松定吉君 そうすると五年経つと五十人できると五十人七万二千円、極端な例を上げるわけですが……。
#33
○政府委員(位野木益雄君) そういうこともあり得ますが、ただ新陳代謝がございますので、もうこの俸給の法律ができましてから相当になりますが、三十人未満です。
#34
○一松定吉君 そうすると三十人未満は判事の特号と同じになるのですね。
#35
○政府委員(位野木益雄君) そうです。
#36
○一松定吉君 そうすると結局地方裁判所においては、地方裁判所長と検事正というものは、三十人未満までは同じだね。
#37
○政府委員(位野木益雄君) 検事の特号の人は検事正以外のものもございますが、検事正である人、これが大部分でありますが、その人は所長と同じことになります。
#38
○一松定吉君 そうすると、常に私どもの主張する判事のほうを現在より上位に置かなければならんという趣旨は、中央裁判所の特任検事のところと地方裁判所長とは待遇が同じだね。
#39
○政府委員(位野木益雄君) さようでございます。
#40
○一松定吉君 それでは判事のほうを検事よりも一級優遇しなければならんという趣旨は、ここでは没却されることになるわけですね。
#41
○政府委員(位野木益雄君) それはこの法律で特別の者は検事も特号になり得るということになつて来ております関係上、そういうふうな関係になります。併し数字の比率はやはり判事のほうが百十名、検事三十名未満ということで、この待遇に差等を設けたのが無益になつているとは考えないのであります。
#42
○一松定吉君 私の主張は判事のほうを検事よりも一級優遇する必要があるという主張であるが故に、検事に特号というものを設けるならば判事に一号、或いは特号というものを設けて、検事を特号にするところでは、判事の所長を特号にしてそれを一段上げるということになる、それは今度修正案では、衆議院のほうは考慮しなかつたのですか。
#43
○政府委員(位野木益雄君) その点も確かに一つの案でございますが、今度の修正は今の建前を一応保つたまま部分的に数字だけをいじつて、そういう修正になつていると思います。
#44
○一松定吉君 そうするとつまり裁判官は検事よりも常に一級上位にあるという、我々の俸給に対する考えは、この地方裁判所において特号の検事正がいるところでは、この趣旨がふみにじられていることになるね。
#45
○政府委員(位野木益雄君) それは当初からこの法律ができましたときからそういう現象はあり得たと思います。
#46
○一松定吉君 それは当初じやない、初めこしらえておつたときは、検事に特号なんかはありはしない。それを途中でこしらえたんです。之は一級違つておつたんですよ。判事のほうが常に一級上である。
#47
○政府委員(位野木益雄君) 初めからありました。
#48
○一松定吉君 初めからあつたとすれば五年以上、五年経てばというようなことはなかつのじやないですか。
#49
○政府委員(位野木益雄君) これはやはり高等裁判所の所在地、高等検察庁の所在地の地方検察庁の検事正とか、一定の範囲に限り、全般的にするようなことはないというような了解はあつたようであります。
#50
○一松定吉君 私はね。長官同士は同じだということはよくないという議論なんだ。それだから検事に特号を設けてやるがために、所長と同じになるということはよくない。検事が特号があるところには、その地位の所長はやはり特号を以て一級上に上げるということでなければ、判事を検事より特に優遇しなければならんという、一番初め俸給法を改正したときの趣旨に反するわけなんだ。その点はこれは、今度衆議院でこういうふうに修正して来たなら我々のほうでどうするかということについてはこれは別であるが、これは一つ考えて見なければならん必要があると私は思うのだ。あなたがたのほうはどう考えます。今の私の意見は正しいと思うか、間違つていると思うか。或いは以前そういう特号があつたのだからそのままでやるほうがいいと思うか、どういうふうに考えますか。
#51
○政府委員(位野木益雄君) その点確かに御尤もな御質問と思うのでありますが、この裁判官と検察官との俸給のバランスと申しますのはこれは非常にむずかしい問題でありまして、この法案が、この法案といいますか、現在の法律ができますときに、相当衆議院でも参議院でも議論は非常にされまして、参考人もたくさん呼ばれまして、相当熱心な審議の末現在のような建前ができたのであります。それはそれ以後変更いたしておらないのでございます。これを変更するというふうになりますと、これはまあ相当研究して、このほうがいいということを各方面の御納得を得た上で提案いたしたいというふうに考えておるのでありますが、未だそこの段階に達しておらないのであります。現在の建前のままこういうふうになつておるのでございます。御趣旨の点も十分なお研究して参りたいと思います。
#52
○一松定吉君 例えばこの高等裁判所所在地の地方裁判所長と検事正は同じだね、待遇は、そうなるね。そうすると東京高等裁判所長官と東京の検事長との間に差があり、それから最高裁判所長官と検事総長との間に差のあるのが、地方裁判所においてはそれがなくなるとこういうことになる、そうなるね。特号の検事正のおるところは、それが一体私どもの言う裁判官は検事よりも常に優遇しなければならんという趣旨はここで壊れることになるね。
#53
○政府委員(位野木益雄君) そうでございます。
#54
○一松定吉君 そうなるね。わかりました。
#55
○楠見義男君 衆議院の修正案に対して政府のほうからもそれで差支えないのだという御答弁があつたのですが、私はそれについていい悪いとか、或いは適当とか不適当とかいうことでなしに、政府の考え方をお伺いしたいのですが、これは私の想像でありますが、当初は一般の物価高その他経済事情に伴つて国家公務員の俸給を上げなければいかん。従つて裁判官の俸給も改訂しよう、但しこの金額程度以上の人々はこれは我慢しよう、或いは我慢してもろう、こういうことで政府の原案ができたんだろうと思うのです。ところがその場合には、当然先ほど修正の趣旨として今お述べになつたような各階級の間における格差の問題等も当然考慮されて、而もこの程度の金額以上のものは我慢してもろう、こういうことになつたのじやないかと思うのですが、今回の修正案によつてはそれも差支えない、こういうことは一体我慢をするという考え方をどういうふうにお考えになつておられるのか。これはいい悪いという問題よりも、考え方をはつきりしてもらえば判断は我々がやるべきなんですけれども、その点はどうなのでしようか。ちよつと附加えて申しますと、或る程度下の者と同額になつても止むを得んとか、或いはこれは変な話ですが、国会議員は一般の官吏の常に上でなければならないのが逆に下つてもこれは止むを得ん。こういうことでこの七万八千円以上の者は我慢しよう、又我慢できるという、こういうことから出発をしたんじやないかと思うのです。それが配列とか何とかいうように、おつしやるように上の者が下の者よりも俸給が下になるということは、これはおかしいと思うのですが、それは同額になつても止むを得んのじやないですかね。
#56
○政府委員(三浦寅之助君) それは御意見の趣旨御尤もなんです。この修正案に同意したということは、要は衆議院のほうでいろいろな関係から修正したんですが、むしろ政府は消極的にそれに同意したということだと思うのです。
#57
○棚橋小虎君 特にそういう俸給の従来の改訂ですか、これを破つてそうして増額をしなければならん、或いは又この際一般の行政面におきましても、この一定の金額以上の俸給を受ける人はこの最我慢をする、そういうことになつておるのに、裁判官や検察官について特にそれを破らなければならんという何か特別の理由があるのですか。
#58
○政府委員(位野木益雄君) その点は、我々としては積極的にこの修正案を大いに支持するということは全然考えておらないのでありますが、こういう点は或る程度あるのじやないか。というのは、上のほうのかたは辞退されるということでこれは模範を示すといいますか、そういう意味が相当あつたのではないか。で閣議あたりでそういうふうに決定をされて、それから案が出発したというようなことのようであります。或る数額以上は計算的にこれは我慢できるというような、そういうふうな観点から出たものでは必ずしもないように考えております。裁判官、検察官のほうは一般の国務大臣と違いまして、やはり何といいますか、生活の環境が大いに違いますので、収入等も全然ほかにあり得ないということから、やや取扱いを違えてもいいのではないかというふうな考えも、この案の成立の途中ではあつたようであります。閣議等でも一時は裁判官、検察官については、一般のものと違えた、こつちは認証官についてはベース・アツプをしようじやないかという空気になつたようなこともあつたようであります。そういう考え方も成り立ち得る余地はあるかも知れないということを考えておるのであります。
#59
○一松定吉君 ちよつともう一遍伺うが、所長に二号俸はあるのですか。
#60
○説明員(鈴木忠一君) 所長には二号俸はありません。全部一号俸であります。
#61
○一松定吉君 全国の所長は全部一号俸ですね。
#62
○説明員(鈴木忠一君) さようでございます。
#63
○一松定吉君 それから検事正は、特号以外は全部一号だけですか。二号はないのですか。特号以外のものは全部一号ですか。
#64
○説明員(鈴木忠一君) そういうふうに承知いたしております。
#65
○一松定吉君 そうすると、検事正には二号という検事正はなくて、特号以外のものは全部一号で六万六千三百円、所長は二号というものがなくて、全部一号であつて七万二千円、こうなるのですね。
#66
○説明員(鈴木忠一君) はあ。
#67
○一松定吉君 よろしうございますね。
#68
○委員長(郡祐一君) 他に御異議ございませんか。
 ちよつと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#69
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。
#70
○宮城タマヨ君 明日の法務委員会に、私売春対策につきまして、法務大臣と文部大臣にちよつと質問したいと思いますが、然るべくお願いいたします。
#71
○委員長(郡祐一君) 承知いたしました。只今宮城委員のお申出はその向きをそれぞれお名指しの大臣に伝えることにいたします。
 暫時休憩をいたしまして、午後二時から再開いたします。
   午後零時四十二分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時四十八分開会
#72
○委員長(郡祐一君) 午前に引続き委員会を開きます。
 報酬、給与に関する両法律案につきまして衆議院において修正がありましたので、午前に政府側から修正の理由並びに政府がこれを受入れる旨の言明を聞いたのでありまするが、衆議院側から鍛冶代議士が見えておりますから、その説明を聴取することにいたします。
#73
○衆議院議員(鍛冶良作君) 政府原案はもう御承知のことと存じまするが、原案を政府が出されましたる根本理由は、このたびのベース・アツプによりまして公務員がすべて昇給しましたが、閣議決定に基いて認証官はそのままにしておくということがきまつたそうでございます。そこでそれに従つて昇給の表を作つてみますると、認証官にあらざる特号検事というものが六万九千円に上つたのであります。ところが認証官と言われまする最高検の次長検事、並びにその他の検事長とこの特号検事というものとに差違がなくなつて参りました。そこでこれではどうも検察庁内部のいわゆる上下の隔りがなくなるから何とかせねばならんということで、特に前と同じような差等を付ける意味におきまして七万二千円であつたものを七万五千円に上げるという案が出されたわけであります。この点につきまして、これはまあ法務大臣が閣議の御了解を得て出されたものだと思いまするし、我々も上下の差を認めました以上は、俸給においてそれだけの差がなければならんことは肯定いたしましたが、そこでその案を見ますると、かねて裁判官と検察官との間には一階級差等を付けておりまして、現在におきましても大体認証官においては六千円異なつておつたのであります。ところが今次長検事及びその他の検事長を七万五千円に上げまするというと、各高等裁判所長官並びに東京検事長がこれと同格でありましたが、これとは又差が詰りまして、三千円しか隔たりがないことになりましたので、これではかねてかち裁判官と検察官との間に差等を設けるべきものであるという多年の主張が崩れることになりまするのでこの点を訂正すべきものだと、こう考えましてこれを三千円又上げまして、八万一千円とする案を考えたのであります。ところがそういたしますると、又その上におりまする東京高等裁判所長官、これは又今まで四千円の差があつたのをたつた千円の差になつてしまつた、それはどうも困ると、こういうのでこれを又同じく三千円上げることにいたしまして八万五千円と、こういうわけです。その上を又だんだん詰つたらそれじやもつと何か考えなければならんのじやないかという議論もありましたが、そうなりまするというと全部のいわゆる認証官を上げないという閣議決定が壊わされて全部べース・アツプになつたという観念を持たれる憂いがありますから、あとは一つ目をつぶつておこうと、こういうことでここで打止めたわけであります。その結果修正案で上りまするのは東京高等裁判所長官以下各高等裁判所長官合計八人と、東京以外の各長官と同格でありました東京検察庁検事長と、以上九人を各三千円ずつ昇給を認める、こういうことになりまするわけでございます。
 理論上はまだ徹底しないところもありまするが、とつさの場合でもありまするし、成るべく一つ実情に沿うようにという意味でかような修正案を出しまして本日委員会を通過したわけでありますから、何とぞ一つ御審議の上御賛同をお願いしたいと思います。
#74
○委員長(郡祐一君) 只今の御説明に対して質疑のおありのかた……。
#75
○一松定吉君 そこで一つ衆議院の法務委員であらせられる鍛冶君に伺つてみたいのですがね、この東京の検事長が現行法では七万八千円であつて、上げないで七万八千円、そうして東京の高等裁判所長官は八万二千円であつて、上げないで八万二千円であると、こうなつておる。それを今度次長検事その他の検事長を七万二千円であるのを七万五千円に上げるというのが原案ですね。そうすると七万五千円に上げたがために東京の検事長並びに高等裁判所のその他の長官は七万八千円でやると、次長並びにその他の検事長七万五千円に上げても、三千円の差があるんじやありませんか。その三千円の差があるのを俄かに六千円の差を設けて、そうして今度は六千円の差を設けたからして、東京裁判所の長官は八万二千円だから八万一千円とすると一千円だけ高いんだから、これを五千円にしなければならないのだと、こういうことになつて来て、東京高等裁判所長官とその他の高等裁判所長官と検事長を上げておきながら、最高裁判所の判事並びに検事総長を上げないということは、政府の出したいわゆる最高裁判所長官と最高裁判所判事が、東京高等裁判所長官、東京高等裁判所以外の高等裁判所長官並びに東京検事長というものを上げないというならいいが、俄かに上げることにしておいて、そうして最高裁判所のほうにだけ手を付けなかつたというのは、これは均衡がどうかと思う。それを今あなたの御説明のように東京の検事長並びに高等裁判所、その東京以外の高等裁判所長官を八万一千円に上げたから、そこでもとの八万二千円と一千円だけの差であるから、八万五千円にしなければならない。下を上げんでもいいのを上げて、そのために東京高等裁判所長官を上げなければならないということになつて来て、最高裁判所の判事、長官並びに検事総長に手を付けないというのは私はおかしいと思うのですね。それが一つ、それから次長検事その他の検事長が現行法では七万二千円であるのを七万五千円にする。そうして丁度これは三千円上つたわけですね。そうしてその他のこの地方裁判所長ですね、地方裁判所長というのが一号で六万九千円であつたものを七万二千円にする。所長を七万二千円にするがために、次長検事その他の検事長が七万二千円では釣合いがとれんから、七万五千円に上げたんだと、これはまあ釣合いがとれんということで上げたならば、あえて反撥しないが、そのいわゆる地方裁判所長官の七万二千円に上げたにもかかわらず検事特というものを設けて同じく六万九千円を七万二千円に上げた。而して検事の特というのは高裁所在地の検事の特ですから検事正でしよう。高裁所在地の検事正がまあ五人くらいか……、今高裁の所在地というと、丁度八つありますから、八検察庁だね。八検察庁が七万二千円になつて、地方裁判所の所長と同じになつたということはまあ我慢できるとして、政府の説明によると、五年以上勤めた者は特にするんだ、そうして今は三十人ぐらいそのものがあるんだ、こういうと三十人ぐらいの検事正というものと全国の一号の所長であるものとが地位が同じになるということは、私どもの、裁判官は特に検事よりも一段地位を高めなければならんという趣旨が破壊されるように、検事の地位が上つたということになる。この点は私は面白くないと思う。だから若し検事に特というものを設けて六万九千円を七万二千円にするということであるならば、判事の一号にも特というものを付けて、検事の特より一級上げるということにして、判事の地位は検事の地位よりも一級高いんだということにするほうが私はいいと思うんですが、そういう点にまで手を付けなかつたのは一体どういうわけかということが第二。
 それから第三としては、検事には検事補というものがない。然るに判事には判事補というものがある。これは俸給改正のときに十年経たなければ判事になれないんだ、十年までは判事補だ、こういうようなことで付けた。その制定当時に付けたのは止むを得ないとして、その後実績を見ると、判事補という補を付けているがために、却つて国民の信頼を失つて裁判の威信というものが傷付けられておるのではなかろうか。そこで判事補自身が裁判するときには、おれは判事補であるということは言わない、あれは判事補であるというようなことも言わない。どうであるかというと、裁判官という名を以て判事補という一応下の地位をカバーしておるというやり方は面白くない。やはり検事に検事補がないと同じようにやはり判事にも判事補というものがなくて、判事というものは下から上までことごとく判事という官によつてやりまして、ただ職によつて地位を異にする、最高裁判所判事或いは高等裁判所判事、地方裁判所判事或いは簡易裁判所判事とかいうようなふうにして、その俸給において差等を設けるのがいいと思うのに、この点について修正を加えなかつたというこの三つの点について一つ衆議院のお考えを承わつてみたいんです。これを一つ詳細に説明してもらいたい。
#76
○衆議院議員(鍛冶良作君) 第一の点は御指摘の通りでありますが、その点に対していろいろ考えてもみましたし、又注文もあつたのであります。あつたのでありまするが、そういうことにするというと、いわゆる閣議決定の認証官は昇給せないということを全部壊してしまうことになるから、これは少くとも実務に当つておる裁判官及び検事長にとどめて、その上の特別の最高裁判所判事並びに検事総長、最高裁長官などはこの際据置きにしたらよかろう。そうして又の機会を見て、何とか均衡を図ることにすればよかろう、こういうことでこのまま伏せたのでございます。理論上から申しまするというと、決してこの我々の修正は徹底したものでないことを十分認識しておりまするが、かような時期でありまするが故に、まあ目をつぶつてやつた、こういうのが実情でございます。
 それから二、三でございますが、私は三について、まあ気が付かなかつたかという御質問ですから申上げますが、これは私が答弁するのは適当かどうかと思いますけれども、この判事補を作りますときの歴史をまあ我々よく知つておりますので、そのときの考えから今日の考えを申上げるのですが、先ほど来一松委員がおつしやつた通り、別事は検事よりも一段上に置くべきものである。従つて俸給も上でなければならん、こういう議論は何人も異論のなかつたところであります。ところが同じ地位のものが同じに出ていつて一方は検事になつた、一方は判事になつたというだけで差等をつけたのではこれには人間として必ず不平が出る。これは判事は特段の上にいるものだというなら特段にいるべき理由がなくちやいかんということが問題になりまして、そこでいろいろ考えました結果、判事は特に十年以上弁護士の職又は検事をやつておつた者でなかつたらなれない、こういうことにしよう、その代り検事は始からなれるのだ。従つて判事と検事とは同じ年限をおてもそこに差等がある、こういう考え方をいたしたのであります。これはもともと現在のこの制度においてはまだ不徹底なものでありまして、かような考え方の出ましたのは、法曹一元を徹底するというようなところから来たので、法曹一元を徹底せしめなければ、まだこれが不徹底なものであるということは認めておりますが、一松委員も御承知の通り随分我々多年これは主張をいたして来ておりまするが、未だこの実現を見ないのであります。従つてここに不徹底ではありまするが、そういうことから十年以上でなかつたら判事になれないというふうにきめました。ところが実情からいたしまして、そうすると十年経つたもの以外のものを判事でないということになると、実際において裁判が遂行できぬというところから、それならば法曹一元を実現するまで過渡期として十年以内のものを判事補としておこう、こういうことから判事補というものはできたわけでございます。それが今日に及んでおりまするので、我々はこの点を考えるよりもむしろ徹底したる法曹一元を早く実現することが適当である。かように考えておりまして、目下弁護士会等とも相談をいたしまして、これは法務省の中で法制審議会というものを作つてこの点を研究もしておられたのでありますが、なかなか実現をしませんから、そのほうの意見を斟酌してこのたび弁護士会で案を立てて出そうというので目下研究中でございまするので、できるものならば弁護士会から出ましても法務省及び最高裁判所との了解を得て三者連合の上で協力してこれを通したいものだ、こう考えておりまするので、そのときにこの問題は解決せらるべきものと考えるのであります。
 そこで第二の問質でございまするが、現在の形から申すと御承知の通りでございまして、これでは裁判官と検察官の間に差等を設けるという大原則は徐々に潰れて行つておりまするので、今一松先生が今言われたような考え方も一つの考えであると心得ます。現在のところそこまで参りませんので、何とかこの点は解決しなければならんとは考えておりまするが、とつさの場合にそこまで考慮及ばずして差当りこれを出した、こういうことが実情でございます。
#77
○一松定吉君 ただ私の申上げるのは、この七万八千円を、その他の高裁長官並びに東京検事長を七万八千円に据置くということがこれが原案だ、それをどういうものか知らぬが、次長検事その他の検事長を七万五千円にするのだから、七万八千円がいけない。これで三千円の差がある、そうでしよう。元七万八千円を七万八千円に据置く。次長検事その他の検事の七万二千円を七万五千円にすれば三千円の差がある。差があるのにこれを六千円の差を設けて八万一千円にした、これがよくないと言うのだ。そうして今度は八万二千円は据置になるから、僅か八万二千円とは一千円の違いだから、八万五千円にして四千円の差を付ける。率を上げんでもいいのを、ずつと六千円を上げておいて、それから一千円の差だから、そこに八万五千円にしなければならないという差を付ける。そうして検事総長並びに最高裁判所の長官が据置だということは片手落ちであるし、これが首尾一貫していないということが、これが私が今やり方がよくないじやないかということが一つと、それから検事に特を設けたなら、裁判官にもやはり特を設けなければならないじやないかということが一つ、それから今あなたは弁護士を十年すれば判事になるのだから、十年経たん者は判事になれん、判事補にするということは、これは理論が一貫しません。法曹一元化であれば十年経たんでも弁護士をやればすぐ判事にでも検事にでもなれるということが司法一元化である。御承知の通り判検事、弁護士の資格を得ることは、一定の試験に及第した後司法修習生として二年間実地の修習をした後、各自の希望を基礎として判事になり検事になり、弁護士になるのでありますから、弁護士が判事になろうと思えば、すぐ十年経たんでも判事になれることとし、そうして判事補という補の文字を使用することをやめて、ただ差別は俸給で区別するということにすれば、法曹一元化に合致するのであります。それを弁護士が十年経たんければ、判事になれんということそれ自体が、もうすでに弁護士を侮辱しておるので、それでは法曹一元化ではありません。それはそれなら弁護士が一年経つてすぐ判事になり検事になる、十年経たなければ判事になれないということを考えるものだから、そこに十年経つて判事になるという地位を定めるために、十年経たん者には補という字を付けるのだというようなことは法曹一元化とは言えないのではありませんか。私も弁護士、あなたも弁護士だから、そういう点は今のようなことでなくて、弁護士がすぐ判事になれるということになると、私どもの言う点は、同じ裁判官に補というものをつけて国民の信頼を、あれは補の判決だ、これは本物の判決だというような区別を持つていやな感じを持たせんようにするのがよろしい。この点について今は議論をしないが、お互いに一つ研究してみなければならぬと思います。
 次に検事の一号俸に特号があり、判事の一号に特号がなく、判事の一級検事の特号を昇給させるために、次長検事及びその他の検事長を昇給させ、又認証官には手をつけぬという建前を破つて、東京検事長、東京裁以外の高裁長官を昇給させ、その結果、又東京高裁長官を昇給させるということはどうかと思われますから、この点は大いに研究しなければならぬと存じます。併しながら何を言つても会期も明日の今日ですから、今ここで修正というようなことにして手間ひまこめて、これを実現せしめぬようなことになれば政府もお困りでしようから、今度はそのままにしておいて、次の十九国会においては、一つ考慮しようということで、あなたも衆議院のほうを牛耳つて頂けば、我々もそういう方針で働きたいと思いますので、希望を述べて、鍛冶君に対するお尋ねはこの程度で終ることにいたします。
#78
○衆議院議員(鍛冶良作君) 私もそうおつしやれば十分考慮すべきものであるとは考えましたが、現在のところとつさの場合でありましたから不十分であり、もうこれはお茶をにごす程度でございますから、悪しからず御了承願いたい。
#79
○委員長(郡祐一君) 他に御質疑ございましたら、どうぞ……。衆議院側に対する、修正案の提出者側に対する御質疑がございましたら……。
#80
○亀田得治君 一松委員からおつしやつた点は私も非常に同意見です。この委員会外でもちよつと申上げておつたのですが、特に直接この改正案に関係のある点は、最高裁のほうをそのままにしたというのは、やはり非常に悪いと思うのです。理由等は先ほど述べられておりましたから繰返しませんが、これは是非一つ成るべく早い時期に検討してもらいたい。そういう一つ希望を付けて御説明を了承いたします。
#81
○棚橋小虎君 この問題は認証官は今度のベース・アツプからは除外するという原則が立てられておる。これは公務員に対する全般、司法部であれ、或いは行政部であれ、皆同じ一つの原則によつてやつておるものと思うから、そこで各部内を見ますというと、成るほど司法部のいわゆる一号判事と、それから特号の検事と、それから次長検事その他の検事長との間のアンバランスが起きるのは当然でありますが、これは何も司法部に限つたことではないのでありまして、行政の方面においても、やはりこういうアンバランスは当然出て来るものだと思うのです。そうするならば、これは将来或る機会に、やはり全体として、このアンバランスは訂正されるべきであるのでありますからして、特に司法部において、そのアンバランスが非常に不都合であるという特段の理由がない限りは、ほかと同じようにして、この際こういう改正をしないということが私はむしろ本筋じやないか、こう考えるのです。
#82
○衆議院議員(鍛冶良作君) それは随分その点は議論がありましたのですが、他の行政官から見ますると、いろいろの手当だとかなんとかが司法官は遥かに劣つているのです。それでありまするから、こういう場合にこれだけの差違をつけないということは、非常にその部内の統一からいつてもいかん、こういう説明がありまして、我我も尤もだと認めまして、これに従つたわけでございます。
#83
○棚橋小虎君 何かその点について特に司法部はこういうふうにしなくちやならんというその理由があつてこういうふうになすつたのか、その点は如何ですか。
#84
○委員長(郡祐一君) 政府側から…。
#85
○政府委員(位野木益雄君) 政府原案における認証官の俸給の増額は、次長検事と東京以外の検事長の分のみであります。これについて例外を設けましたのは、その下の特号検事と同格になる。下の率を上げて上を上げぬための同格になるという結果になりまして、ランクが今まで一段上であつたのが一緒になつてしまう。指揮系統上やはり同一部内で上のランクのものと下のランクのものが一緒になるという結果が生ずるのはよくないという理由で、特に例外を認めたわけでございます。
 それから政府の原案における増額の理由は今申した通りでありますが、この修正部分も含めまして、特に裁判官、検察官について、行政官と違つた又事情があるかどうかという点でございますが、こういう点はございます。この法律ができました当初は、裁判官と検察官は一般の行政官よりも相当俸給の額が高く定められておつたのでありますが、その後一般の行政官のほうがだんだん近づいて行く情勢にあるということが言えるのであります。特に昨年管理者手当というのができまして、中央官庁の課長以上のもの、或いは地方官庁のそれに準ずるものについては中央では一律に二割五分の手当がつくというようなことになりました結果、その差はだんだんますます接近して来たというふうな実情もございます。それからそのほかの部分といたしましては先ほども、午前中にも申上げましたように、職務の性質が違いますので、例えば国務大臣等とはやや趣きが違う部分があるという点が考えられると思います。
#86
○委員長(郡祐一君) よろしうございますか……。ではちよつと速記をやめて。
   〔速記中止〕
#87
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。
 次回は明八日午前十時より開会することにいたしまして、本日はこれを以て散会いたします。
   午後三時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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