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1953/12/08 第18回国会 参議院 参議院会議録情報 第018回国会 外務委員会 第6号
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1953/12/08 第18回国会 参議院

参議院会議録情報 第018回国会 外務委員会 第6号

#1
第018回国会 外務委員会 第6号
昭和二十八年十二月八日(火曜日)
   午後五時二十六分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     佐藤 尚武君
   理事
           佐多 忠隆君
           曾祢  益君
   委員
           團  伊能君
           羽生 三七君
           加藤シヅエ君
           鶴見 祐輔君
  国務大臣
   外 務 大 臣 岡崎 勝男君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       神田襄太郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○国際情勢等に関する調査の件
 (外交問題に関する件)
 (報告書に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(佐藤尚武君) 只今から外務委員会を開きます。
 議題は国際情勢等に関する調査であります。外務大臣が御出席になりましたので質問のおありのかたは順次御発言願います。曾祢益君。
#3
○曾祢益君 私はバーミユーダ会談、日米交渉、日韓会談、賠償問題、中共貿易、これくらいの問題について成るべく簡単に御質問申上げたいと思います。同僚委員から関連質問等をさして頂ければなお更結構だと存じます。
 先ずバーミユーダ会談そのものについては、これは直接日本政府からいろいろな意見を申述べたというふうなことは或いはないかと思いますが、恐らく新聞の伝うる通り次にベルリン会談が設けられるような順序になろうと思います。これはベルリン会談自身がいわゆる西欧側の方針通りには必ずしも行かない。そうしてやはりドイツ問題、オーストリア問題のほかにインドシナ問題も朝鮮問題も或いは中共問題もこういつたような日本に非常に至大の関係のある問題が出て来る可能性がなきにしもあらず。場合によつてはいわゆる五国会談の問題というようなものが派生して来ると思います。今のところ憶測の域を出でないのですが、例えばバーミユーダ会談にいたしましても、西ドイツの政府ではこれは勿論直接ドイツの問題が中心だから当然と言えば当然でありますけれども、ドイツ政府としての意見というものはしつかり申入れておると思う、西欧側に。そういうような情勢におきまして、一体これらの大きな東西両陣営の首脳者会談等に関連いたしまして、いわゆる自由世界側にある日本としても当然に友好国等を通じて日本の見解を披瀝するのが私は当然だろうと思う。従いまして外務大臣はこれらの問題について今まですでに友好国等を通じて日本の希望等を述べておられると思う。又今日まで述べておられないとすれば、来るべきベルリン会談等に関連して日本の主張を述べるような準備、御意向がおありであるか、この点を先ず伺います。
#4
○国務大臣(岡崎勝男君) バーミユーダ会談はまあいろいろと取沙汰されておりますが、一般的なヨーロツパ以外の世界平和維持という点から議論がどの程度ありますか、又それにつれて東亜方面の問題についてどの程度の話が進むかは実はまだわかつておりません。例えばソ連を含めた四カ国の外相会談を開くべきであるかどうかとか、或いはEDCと言いますが欧州の防衛軍の問題等は明らかに議題になつておると思いますが、それ以外の派生的な問題がどういうふうに出て来るか、これは私にはまだわかりません。併しこの日米安全保障条約締結以来アメリカ側としては日本と特殊の関係にあり、殊に東亜の平和維持ということについては特に密接な関係を持つて来たものでありますから、事この方面の問題になりますればもう一般的に日本側に対して細大となく必要な報道、情報等は提供する意向でありまするし、又こちらも遠慮なくいろいろな点について意見を述べるし、必要な報道は入手し得る立場にあります。併し只今のところ実際上会談はそこまで発展していないようでありますから、今後の問題になりますが、日本の利害に関係がある問題、勿論これは大きく言えば世界平和ということとも関連がありましようけれども、直接特に東洋方面に関連のある事態につきましては、今後問題が生ずるか或いは何らかそういう点で言及があるような場合には、各国側の意見も承知した上で日本の考え方も十分反映するようにいたしたいと思います。
#5
○曾祢益君 その反映する仕方なんですが、勿論ただ単なる空宣伝は慎しむべきだと思いまするが、アメリカとの特殊な関係があるので、アメリカ政府からは情報もくれるであろうし現に交換も当然おありであろうと思いまするが、やはり基本的な方向については必ずしもアメリカの言う通りになることがいいことじやないことはわかり切つていることなんで、やはり交渉による平和、或いは平和へのチヤンスは積極的にとらえる。このことは必ずしも共産陣営に対する無警戒的な信頼という意味ではなくて、そういうような立場から日本の希望はこうだというようなことをむしろ国会等を通じて共産世界にも響かせる。いわんや自由世界内における進歩的な分子にも響かせるというようなそういう手段もときにはお考え願いたい。まあアメリカとのいわゆる四畳半の中の話だけでなくてそういう方法をお考えになるおつもりはないかどうかということをお伺いいたします。
#6
○国務大臣(岡崎勝男君) 適当な場合がありますれば勿論そういうことも考えますが、私の言うのは、アメリカと勿論これは非常な密接な関連がありますからいろいろな話をするのは当然ですけれども、一番東亜の事態について大切なことは、日本も含めてですが、現にアメリカとイギリスとの間に必ずしも意見の一致しない場合もあり、政策の一致していない場合もある。これが一番むずかしいものであろうと思つております。世界全般の問題は暫くおいて、東亜につきましては日本も中心になる……、と言つちや語弊がありますが、英米の間の意見の調整をやつて行く。アメリカのみならずイギリスその他の国も全部が東亜について同じような考えを持つということが一番至当ではないかと考えます。
#7
○曾祢益君 まあこれ以上は意見になりまするから次の問題に移ります。
#8
○羽生三七君 ちよつとそれに関連してよろしいですか……。今曾祢さん、お話のバーミユーダ会談に関連してですが、ちよつと若干意見に亙るけれどもお許しを願いたいと思うのですけれども、私この前ずつとヨーロツパを見て来て感じたことは、西欧には戦争の危機がもう非常に薄らいで来ておるという状態であります。話合で解決しようというかまえに皆来ておると思いますが、まあ例えばチヤーチルの保守党内閣すら国防第二、貿易第一という考えをスローガンに掲げておりますが、これは国防はどつちでもいいということでなしに一応総体的安定ができたという見通しからそういう意見も出しておると思います。そこでまあ今度チヤーチルが主導する今回の会談が始つたようですが、恐らくソ連とイギリスや西欧陣営とはもう全く根本的に考え方は違つているけれども、併し何とかして話合のいとぐちを作る。東亜に対しても同様であつて、例えば中共に対してグランド・カントリー、グレイト・ピープルと言つて非常に高く評価している。これは朝鮮を通じてそうでありましたけれども、そうかと言つてイギリスの議会に共産党の議員がおるかと言えば一名もいない。反共のほうのみが強くなつている。併し強い国に対してはイデオロギーは別にして堂々と外交もやり相手の立場も認めて行く。こういう立場で一応ソ連に対してもタクチツクスは変るかも知れないがストラテジーには変りはなかろう。併し相手がコミユニズムであつてみれば、自分の国の安全になることなら向うの立場を認めたり或いは提案を受入れることは少しも損のないことだと、非常にその点ははつきりした立場のように見受けられました。だからそういうことから今度のバーミユーダ会談というようなものも、まあアメリカとの間において若干の食い違いはあると思うけれどもとにかく提唱されていると思う。そこでこの結果を我々は先にかれこれ言うわけに行きませんが、大体少くともソ連とは何とかして立場は違つても話合いをつけよう。それがソ連に対してすら或いはコミンフオルム圏内に対してすら、安全保障の立場をとるやも知れないという情報になつて現われておると、こう思うのです。だから私はまあここでイデオロギーとは関係のない立場から申上げるのでありますが、そういう立場からいつて今度のバーミユーダ会談がベルリン会談になつてどういうところまで発展して行くかはわかりませんけれども、それは話合いで解決しようというほうにウエイトが多くなつて来ている。そういう場合に、話はちよつと横へそれるのですが、まあマレンコフの日本に対する若干の意思表示というものがあつたわけですが、この前本会議で岡崎さんにお尋ねしましたけれども、あの場合には日本が若しイニシアチブをとるならばということを言つておられたわけですが、先日の吉田総理の誰かの質問に対するお答えでは、そんなことは相手の立場がはつきりしない以上何ともしようがないと言いましたが、併しそれじや向うが黙つておれば永久に外交というものはどうにもならんのかということも考えられるので、日本のような現在の経済状態或いは国際状態、特に問題が世界にあるとすれば極東のほうがむしろ最近では問題があるのだから、若しそういう問題を解決する意味で何か日本みずからが相手に対してサウンドして、この話合いのいとぐちをつけるというような、例えばソ連に対してそういう考えをお持ちになつておらんかどうか。この前の本会議では私の質問に対して岡崎さんは、それはもう何か相手国の真意がわかつておれば勿論それは考えるということではあつたのですが、その後何かお考えがあれば承わりたい。
#9
○国務大臣(岡崎勝男君) これは今平和攻勢とよく称されていることで非常に平和的になりつつあるという一般の観測がある。これはその通りでありましようが、実は終戦後の状況を見てみましても、やはりこういう平和気分が非常にみなぎつており、それが国際連合の創設にもなつてソ連と手をつないでやつて行けるとか、又やつて行かなきや国際連合なんか役に立たないというような考えからずつと来ておる。ところがその後ギリシャの問題が起つたりイランのソ連軍が撤退しなかつたりして、まあ非常に強硬な自由主義諸国の態度が出て来ておつたし非常に妙なことになつた。それが納まつて平和気分が一時出て来た。その後今度はベルリンの問題が出て来て又緊張した。それが解決すると又平和攻勢といいますか非常に軍備を怠る点もある。ほかのほうが大事だということになる。それが又暫く続いて朝鮮問題になつた。又今度は平和攻勢というようなことで始終繰返しておりまして、実はスターリンの大分前の一九三五年か六年頃の演説にもそういう趣旨のことがあつたけれども、それ以来或る人はソ連は始終平和攻勢と戦争気分とをかわりばんこにやつて、軍需産業を起らしたり又それを解体さしたりして、資本主義諸国の経済的な疲弊を待つのだというようなことを言われておるにもかかわらず、現実にそうなると人間の気持というものはやはり平和的に元来がそうですからそつちのほうへひき付けられるのであるが、それをそのまますぐ安心して全部受取つていいかどうかということについてはいろいろ疑問があると思うのです。例の統一戦線とか民族戦線とかいうようなことでも、イタリーで初め行われたときは王様もいればその他右翼的な者いろいろな者が入つて来たのが、だんだん途中で清算されてついに共産党とキリスト教民主党の対決みたいなところまで行つており、中国でも政治協商会議等が行われて蒋介石以外の者ならばみな共同一致して統一的な戦線を維持してやつて行くのだということになつて皆喜んで参加した。ところが現状ではだんだんそれが粛清されて共産党一色になつておつて、過去の事情は皆そういう事態があるにもかかわらずそういうことを言われると成るほどそうかと思つて行く、皆欣然としてそこへ向つて行くというようなことが行われておりますが、平和攻勢でもやはりそんな点もあるのでよほど将来のことをはつきりと見ないと、それだけですべてが平和的になつたんだということには私は行かないと思う。日本の場合にしましても実は独立国としての今までの努力もいたして来ましたけれども、国防といつても例えばスイスやスエーデンにも足りんくらいのものしか持つておらんし、経済的にもまだ脆弱であつて先ず我々は日本の国自体のこういう点を強くすることが先決問題であり、これが十分でない場合には仮にアメリカの援助はあるにしましても、極く近くの所に非常に強大な国があつてこの考え方も非常にはつきりしているときがある場合には、これはよほど用心しないといけないじやないかと思つております。それに加えてソ連側では、まあ正式な発表ではないかも知れんがサンフランシスコ会議以来一貫して言つておりますのは、アメリカの植民地的な政策を払拭すべきであるということで平和条約、安保条約を廃棄すべきであるということ、こういうような前提に立つて日本の民主的な団体と喜んで平和的な話合を進めて国交を回復するというような意見のように私はまあ了解しておりますから、そういうソ連側の立場であつては無理に国交を回復しても日本の国内の力のまだ十分でないこの際は甚だ懸念すべきものが多い。こう思つておるので、ソ連が共産国家だから国交を回復しちやならんという理窟は一つもないので、現にアメリカでもイギリスでも国交を開いているのですから、それは日本でも同じことでありますが、ただ日本のおかれておる環境、千島、樺太等にもソ連軍がおり歯舞、色丹にもまだおるような状況であり、而も平和条約までも改めるのがソ連との国交回復の条件であるように言われておる現在においては、我々としてもそうすぐ国交回復の努力をいたすべき段階に来ていないと考えております。だから原則的にはソ連も国交回復することには何ら異存はないけれども、その条件においてはいろいろの点でこちらにも考えがあるし向うにもありましようけれども。従いまして、只今のところ積極的に国交回復の努力をする考え方にはまだなつておりません。
#10
○羽生三七君 もう一つだけ関連して。その点で今お話のソ連の平和攻勢とか日本の一部にある統一戦線とか、いわゆる民主民族戦線とかそういうものだつたらむしろ私たちのほうが事情がわかつている。そういうものと私どもとはむしろ近いですよ。だから今大臣のお話のように日本は日本の立場があつていいと思いますし、又なければ困るし、丁度アメリカに対して我々が自主性を要求すると同じように、ソ連に対してだつて日本の自主性をいくら言つても一向かまわないと思うのですが、それではいつまでたつてもこういう状態でいいだろうかと言えば、そのうちにどこかいとぐちが出て来るだろうということではなしに、何か適当のチャンスをつかまえて日本の立場を自分がはつきりさしておけば、そんなによその国に影響はないだろうと思う。こちらがしつかりしていれば私共としては言えるでしようし、自分もはつきりすることによつて同時に相手の立場も考えながら、適当なチャンスを見つけて積極的に外交の難局打開に乗出されることを私たちは希望するわけです。だから向うが出て来るのを待つておつてはいつまでたつても問題にならんことで、まあ併しサンフランシスコ条約を変えなければという、何か演説の中でマレンコフがちよつと言つておるようにも見受けられますが、外務大臣のほうで、或いは日本政府として何かサウンドしてみるというようなことはやられる意思はないのですか。もつと積極的に。
#11
○国務大臣(岡崎勝男君) 只今のところはそういう考えを強くは持つておりません。
#12
○曾祢益君 その問題は非常に重要でいろいろ意見があるのですが討論みたいになりますからやめまして、日米交渉の問題については、来る国会におきまして大体私の記憶では、岡崎外務大臣はMSAといわれる援助受入のパイプに相当するものと、中味に相当する日本の防衛に関連するいろいろな経済財政の問題と、それから援助の内容、こういうようなものを並行的に東京でまあ一つの共同コミユニケを大体出発点として行われる。そうして内容と入れ物とが大体一緒にできてそうしてMSA協定というものが国会に提出されて、同時に援助に関する基本と防衛に関する基本計画が数カ年計画の一環としてできてその来年度分が来年度の予算として国会に提出される。大体そんなふうに伺つておつたのですが、大体そういうふうに了解してよろしいかということと、その後の進行状況等から見まして、いつ頃MSA協定、この防衛計画の概要ができるかということを改めて伺いたいと思います。
#13
○国務大臣(岡崎勝男君) お考えのことは大体そういう順序で行くだろうと思います。防衛計画につきましては予算の関係がある。というのは来年度のことはまあ来年度、今年中にはやらなければなりませんが、やはり長期の国際収支であるとか日本の経済のあり方であるとかいうことを見ないと、来年は計画ができても再来年はどうにもいかんというようなことがあると、これは甚だ無責任なことになるし、又仮に内閣が代つても予算の規模、それから予算の中に占める防衛費の割合というものがリーズナブルであつてそのまま踏襲できるような計画でなければならんわけでありますから、そこでなかなかこれは来年度分だけの予算が計上できるからといつてそれで済ますわけには行かないわけでありますから、時間がとれておりますが、これは私の管轄では直接ないのですが、希望としては政府としては年内にそういう計画を、予算の細かい数字は別として大体の見通しはつけて予算の中に大体ラウンド・ナンバーでこのくらいはということができるようにいたしたいと考えております。これはまあ多少ズレがあるかも知れませんがここでそういうものが大体できますと、今度援助の具体的な内容についての交渉もいたすわけであります。それがいつ頃できるかということについてはちよつと今はつきり申上げられませんが、少くとも今年度内つまり三月前にできることは当然であり、又国会でそれは少くともリーズナブルな審議の時間を加えて承認を求めるような時期までに、協定を作り上げて国会に提出したい、こういうつもりで今やつております。
#14
○曾祢益君 これはちよつと私の誤りかもしれませんが、私がこの前の国会で伺つたところによると、一体まあ十二月中と国会の休会中くらいに大体内容もワクのほうもできて、そうしてまあ予算については外務大臣のことですからはつきり言われたわけじやないですが、まあ受けた感じから言えば予算の骨核もできるだろうしMSAの協定がそれならばできるから、まあ休会明け相当直後くらいにMSA協定ができて国会に提出されるのじやないかという感じを持つていた。まあ今のお話では特に予算に関連して非常に慎重に答えられておられる部面もあるのじやないかと思うのですが、余りまあ二月三月というような頃でなければ予算もできないしMSA協定も出て来ないというふうなことになると、ちよつとどうもこの前えた感じと非常に違つて来るのですが、その点もう一遍そんなにゆとりを持つて言わなければならないほど難件なんですか。MSA協定は少くともそう遠からず出て来るのじやないかという感じがするが、如何ですか。
#15
○国務大臣(岡崎勝男君) 予算は勿論最終的な数字は一月の半ば過ぎになりましようが、その前に大体の大まかな数字は確定するわけですから交渉は早ければ来年初め、遅くとも一月の初旬ぐらいには話合いができる段階に入ると思います。そこで交渉がどのくらいかかるかという問題なんですが、これは如何なる交渉もそうですが、日本としてはできるだけ優秀なもので役に立つものを余計欲しいということになりましようからして、いろいろ注文も出て来るだろうと思います。従つてそういうものをアメリカでどうするかとか、或いは小麦を仮によこした場合の代金で何を作りそれをどの程度向うへ持つて行くかとか、あと国内でみな使うのか。又推定ではありますが域外買付の大体の見通し等も承知したいというふうに考えているのです。一週間や二週間ではなかなか話はできまい。従つてMSA交渉の妥結の国会にかけ得る程度は、程度というとおかしいんですが、よその国の状況を見ると細かいところはなくて大体大まかなこれに対してはどの程度までというようなことになつて、あと兵器等がどういう種類のものが、どういうふうに来るかというようなことは大きなワクの中では別の協定になつて、これは秘密の事項もあるので発表しないというのが多いようです。併し大体の勿論ワクはできるわけであります。そのことは或いは一月中くらいにできるかもしれんが、まあ用心して言えば二月にかかるかもしれんといわざるを得ない、こう思つております。
#16
○曾祢益君 そこで大体こういうふうに了解していいですか。MSA協定はまあ例の五百十一条の(a)項の六項目等が入つて、そのほか顧問の問題が入つたりなんかした一種の親協定が一本できる。そのほかに昨日も愛知君からこれは私見もあるでしようけれども観測を伺つたところによると、経済援助に関する協定がそう簡単にはできないだろうから、まあそれの一種の突破口とでもいいまするか、五百五十条の小麦の受入及びそれに関連して何らかの防衛支持に関するような協定を作つたらどうか。こういうことなる可能性があるのじやないか。先ずそういうものを作つておいて、まあその内容は取りあえずは小麦等の供与に関連することであるし、例えばスペインとアメリカみたいな、何といいますか本格的なといいますか経済協定はできないにしてもそれに代り得るようなものを先ず作つて、そうすると大体それで二本になるわけですね。そのほかにこの協定の内容に関連するエンド・アイテムをどうするかとか何とかいうことは、まあ各国とも或いは秘密で作つているかも知れないけれども少くとも公表してないようです。まあそれは第二の問題ですが、要するにMSAの親協定と小麦等に関連した経済援助協定といつたようなものが二つできるというふうに了解してよろしうございますか。
#17
○国務大臣(岡崎勝男君) この五百五十条の小麦のほうは、五十条のところにも書いてありますが、別の協定を必要とすることになつていますから、従つてMSA協定の中でありますが、又別個に協定ができるわけであります。それからもつと念のために申上げれば、経済支持援助の突破口というとそれはおかしな表現ですが、とにかくそんなものになりはしないか。ちよつとなりそうもないです。若しなるとすれば今度はもう一つ協定を作りまして、日本の国内に置いてある小麦の売上代金の円をどういうふうに使うか、こういう内容の協定を作つてそれがつまり例えばそのうちの五分の一なり、何分の一なりが日本の工場に対する設備資金になつたり、或いは前貸の形になつたり、いわゆる防衛支持援助と似たような種類の使途にこれが使われるという協定ができると、これが拡大すれば経済支持援助になり、従つて大きな協定は今おつしやつたように親協定がある。それに五百五十条の協定ができて、それのフアンドの運用の一つの協定ができるかも知れない、こう思つております。
#18
○曾祢益君 まあこれは大きな問題で同僚議員からもお話があるでしようから私は次に移りまして、日韓会談についていろいろ政府当局も苦慮しておられると思うのですが、大体どの程度この日韓会談再開の見通しが現にあるか。つまり第三国、まあこれはアメリカのことでしようけれども第三国を通じても私は差支えないと思う。事と次第によつては日本の自主性の上に立つて方法としてそのほうが向うにも面子がいいという場合には、あながちこれを否定する必要はないと思いますが、この第三国を利用しても相当近く再開される、而も何とかこの李ラインの問題が漁業協定に代る、殊に請求権問題について合意的ないわば相互の債権放棄というような形で何とか見通しがあるのかどうか、どれほどの見通しをお持ちであるか。場合によつたら詳しく一つお話を伺いたいと思うのですが。
#19
○国務大臣(岡崎勝男君) これは私のほうではもう決裂したときも今後いつでも会談を再開する用意ありということを言つておる。言つておるのですが、その当時からその後にかけて御承知のように漁夫漁船が抑留されている。殊に人間の問題は重大ですからこれが帰つて来なければ会談を再開したくてもできないというような態度をとつて来ておる。まだ実は六十名ばかり帰つて来ていない。これを先ず帰さなきやいかんと思つておりますが、これが今までの様子から見ましてもう四百数十名帰つて来ておりますから帰つて来るだろうと思うのです。従つて前にも申しました通り会談再開の障害は大部分取除かれた。船の問題もありまするが、これは譲歩して会談の中で解決するように努力しても、損害は損害ですが人間とは違いますからその程度のことは考えられると思います。併しアメリカでも双方に条約を結んでおりますから、国連軍司令官を出している立場もありますから勿論非常に心配している。いろいろ両方の間の意見を調整しようとして非公式に話合いを両方にやつおります。ただまだなかなか最終的な決定をなすまでには、向うの人はまだなかなか強い意見を持つている。従つてまだできるともできないとも言いにくい状況にありますが、金公使も昨日帰つて来ておりますから相談してその後の情報もわかるだろうと思います。併しそういう経緯は別として見通しはどうかと言えば私は見通しはまあ七、八分はある、こう考えております。
#20
○加藤シヅエ君 今の日韓会談に関連してちよつと外務大臣に伺いたいのでございますが、私は十二月の二日の本会議の代表質問のときに、日韓会談につきまして数点外務大臣に質問いたしましたのですけれどもどういうわけか一つも御答弁がなかつたのでございますが、これはどういうわけでございますか。
#21
○国務大臣(岡崎勝男君) 私は質問されたことは皆答弁したつもりなんですが、或いはそれが抜けているかも知れませんが、皆答弁をいたす方針でおります。何か抜けておりましたらここで。
#22
○加藤シヅエ君 数点伺いましたら一つも御答弁にならなかつたのです。それは多分何とか「おとり」とか何とかに使うというお言葉でちよつと問題が起つたので、外務大臣はそちらのほうに全部気を取られておしまいになつて、私の質問が耳に入らなかつたのかも知れませんし、又あとで私が調べまして、私がその朝特に政府委員のかたに私の質問の内容を詳しく自分で電話で通達しておいたはずですけれども、それを外務大臣のお手許に差上げなかつたらしいというふうな形跡もあるのです。それはどういうわけかと言うと、その質問の内容が農林大臣の管轄になるから外務大臣に差上げなかつたというようなことをちよつと聞いたのでございますが、そういうようなことは外務大臣に御答弁して頂きたいとして出した質問を、事務当局で勝手に区別してあちらこちらに廻すというようなことは、外務政府委員室としてそういうことがあるのでございましようか。
#23
○国務大臣(岡崎勝男君) それは私はよく知りませんが、私は大体答弁要旨をもらいますが余り見ないのです。もう直接メモに質問を書いて答弁を書いております。ですからそんなものはあつてもなくても答弁に一向差支えないのです。
#24
○加藤シヅエ君 それでは多分ほかのことに気をとられていらつしやつてお耳に入らなかつたのだろうと思いますから、ここで改めてもう一度伺いたいと思います。
 それはこの日韓会談が決裂状態の下に休会に入つていて、実際はその漁場はどうなつているのでございましようか。全然日本の漁船はその後出ていないのでございますか。それとも一部業者がフリゲート艦その他の護衛付き漁業をやるというような意見も聞いたのでございますけれども、現状はどういうふうになつておるのでございましようか。
#25
○国務大臣(岡崎勝男君) 今私は間違つているかも知れませんが、これは専門でありませんから……。今は漁場は十二月初めから底曳とかああいうものをやるのですが、初めは西のほうから東のほうにだんだんかかつて来る。今はむしろ東支那海といいますか李承晩ラインの外で中共側に関係の多い部面でやつておると思います。ただそれには真直ぐ行けば李承晩ラインの中を突つ切つて行かなければならない。廻つて行けばかなり油を損して外側を廻つて行かなければならない。漁場は李承晩ラインの外にあつてそれからだんだん月が進むに従つて済州島のほうにかかつて行くという状況でありまして、東支那海に行つているものがかなりあると思うのです。但し例の中共側の変な般が出て来てそれをつかまえたりしておることはしておる。これは軍艦でも何でもない海賊のようなものだと思いますが、これに対しては相当の保護を与えて、こちらに武器があれば防げるような状況だと聞いております。或る程度はやつておりましようが、併しこんな問題がありまするし、李承晩ラインの中を突つ切つて向うに行くということは危険もあるでしようから行かない船もかなりあるので、非常に困つておるというのがまあ実際の状況だと思います。
#26
○加藤シヅエ君 では今護衛付き漁業をやつておるというようなことはないんでございますね。
#27
○国務大臣(岡崎勝男君) 護衛付きといいますか、これは実際の実情から見ましても、例えば水産庁の船は武器を全然持つておらないのですが、これが行つてもかなり向うでも近寄らない場合もあるそうです。それから海上保安庁のつまり運輸省の船は多少の武器らしいものを持つているようですが、これも行つておりますが、こういうものは向うから怪しげな船が来ると船をかばつて退避さしたり余り衝突しないようにやつておるようです。現にそういう船がいたので向うの船が来なかつた事例もあるようです。
#28
○加藤シヅエ君 これは新聞に発表されていたのでございますが、この漁業問題がやがて日韓会談のときに取上げられる際に、外務当局のほうのまあ何か一つの案として将来の漁業問題についてこの漁族資源保護の措置をとるための何か今科学的ないろいろな基礎付けをなさつておるというようなこともちよつと伺つたんでございますが、そういうようなことをしているのでございますか。
#29
○国務大臣(岡崎勝男君) これは私のほうでは専門でありませんので、水産庁と連絡してやつておるのでございますが、これはいろいろな問題がありまして魚族保護のことも勿論あります。魚族保護と言いますと主として底曳網のほうにかかるのでございます。浮いておる魚はよそから流れて泳いで来るわけです。これは底で獲つても又来年よそからやつて来る。ところが底曳のほうは底に稚魚がありまして大きくなつて行くのであります。その稚魚を獲つてしまうと工合が悪い。稚魚は海岸からどの程度にいるか、多くは海岸近くにいるようですが、そのこともありますが、そのほかに今は多少違つておりますが、それでもまだ休戦ができただけで政治会議がまとまつておりませんから釜山側では一定地に指令があつて燈下管制をやる。ところが日本の船がその近くではありませんが釜山から見えるような所に行つているが、これはこの頃はあかりが多ければ多いほど魚が集るのですから非常な強力なあかりを出して魚を集める。向うでは燈下管制をやつておる。日本側は何ら協力しないで大きなあかりをつけているという苦情もある。従つてそのあかりの光をどの程度小さくするかというような問題もあります。いろんな関係を実際上どの程度に日本の漁夫の生業を圧迫しない範囲でできるかという点は具体的にいろいろ考究しております。
#30
○加藤シヅエ君 今そのあかりのお話と少し似ていると思いますけれども、韓国の漁業者と日本の漁業者と、なんか漁獲をするための能力とか或いは施設の力の相違というようなものの大きな開きがそこにあるのでございますか。
#31
○国務大臣(岡崎勝男君) これは今のところは非常に開きがあるようです。船の大きさから言いましても、技倆の点から言いましても、設備の点から言いましても非常に開きがあるようであります。
#32
○加藤シヅエ君 それでは日韓会談のときにそういうようなことに対して、韓国側に能力の開きを補うように、日本からなにか漁網を提供するとか漁船を提供するというようなそういう緩和策を出して日韓会談にそういう具体策をもつて協議なさるというような御用意がおありになりますか。
#33
○国務大臣(岡崎勝男君) そういう点も考慮の一部の中に入つております。なお、更に申しますと韓国人は余り魚を食べないでとつた魚の多くは日本側が買わなければ向うの生業が立行かないようなわけで、そこで今までに買つておつて、多いときは三億四億くらいからのものを買つておつた、こういう点もやはり同様に考えております。
#34
○曾祢益君 それでは次に賠償問題について伺いたいのですが、これはもう私から申上げるまでもなく、東南アジア諸国との貿易及び経済関係が密接化することは日本の自立上も非常に必要なわけなんです。これのまあやはり多くの国には賠償問題が懸案になつておるためにうまく行かない。そういうような意味から外務大臣もわざわざ先ず外国に行く場合には東南アジアをたずねたというようなことであろうと思う。その賠償問題のほうは、日本がこの際防衛力を増強するというようなことに関連しましても、非常に東南アジア諸国から見れば、防衛力増強というようなゆとりがあるならなぜ賠償問題のほうを解決しないかというような感じを持つ。それから彼らから言えば、日本とアメリカとの合作による日本の再軍備ということに対する反感をもつている国もあるわけです。で、かてて加えて賠償問題も非常に大きな意味で、東南アジア諸国との真の友好関係の意味からいつてもなんとか打開しなければならないことになつておる。そこでこれは併し非常にやつかいな問題であつて、いわゆる賠償の方針はいいとしても、金額の問題ということが非常に日本として、やはり日本の経済自立をおびやかすようなことは到底できないわけなんで、各国の賠償の要求は非常に大きい。これを若し一つの国際会議でも開いたときには最大公約数的な賠償総額というようなものが出て来るから従つてそれは適当でない。そこでまあ個別的に折衝するということを今までやつて来たわけだと思う。そこで一体政府としてはそれにしても大体どの程度の賠償ならばここ数年間にわたつて日本のすべての国際的な義務等を行いつつ賠償がやつて行けるか。ことに最近ガリオアの返還というような問題も出て来ておるわけなんですから、ますますもつてガリオアの返還をするくらいならば賠償問題というようなことに必ず彼らとして考えてくる。そこで総額の問題等について一体どういうような腹案を持つておるか、どれほどの自信と熱意を持つてこの賠償問題の打開に努力されておるか、この点を伺いたいと思います。
#35
○国務大臣(岡崎勝男君) これは我々もいろいろ検討はしておりますが、今交渉の途中でこちら側から一方的に言うことはちよつと差控えたいと思うのでありますが、それ以外にこれは一概に賠償として総額を簡単に計算ができるようにも見えますが、実は内容によつて非常に違うのです、というのは例えば日本にあり余つた、というのはおかしいのですがたくさんあるものならばこれはそう苦痛なしに出せるということもありますし、それから日本でわざわざ資材労力を使つてもう余り工場に余裕のないものを無理に使うというのは非常にむずかしいという場合もある。それからもう一つは外国に売ればそのまま外貨がとれるというようなものを賠償に持つて行く場合と、そうでない場合とでは非常に考え方が違つてくるわけです。従いましていま先方ではいずれの国も例の役務といつて日本側に材料を提供してそれをプロセスしてもらつてできたものをとるということについては余り興味がなくして、いわゆる資本財の提供ということに非常に傾いて来ております。そうなりますと、例えば機関車をほしいという場合に日本の工場の能力からいうと機関車は三年間はフルにオーダーされている。これはなかなかできない。ところが船をよこせというならば今造船所はあいているからその資材の関係さえつけば造船所としては喜んで船を作るというような事情もありますから、この中味と一緒に話をしないと、なかなか総額だけきめてそれですむというわけにも参らない。従つて私の参りましたのは、そういう点をいろいろ考慮するために、一体何が希望なのかという点をできるだけ確めたいと思つて行つたのですが、これにつきましても或る国ではかなりそれに対して具体的な考え方を示してくれた国もあり、又或る国では非常に大きな期待を持つていたためにその具体的な話に行かなかつた場合もあるのですが、併しその後賠償調査団が来たりなにかして又具体的になりつつあるような気配も見える。こういうわけでどのくらいの額ならば日本は払えるかという御質問には直接どうも答えにくいのですが、ただちよつとお考えになつてもわかるように日本の予算から言いましても、例えば防衛力増強といつても大蔵大臣も言いましたように今の千数百億というのが二千億になつたり三千億になつたりというわけにはとても行かないと言つておりますので、つまり数百億あとふやすかふやさないかというのがやつとのところであるというのですが、賠償のほうから仮に総額として五億ドルを払うというのを十カ年間にやるとしても一年間で五千万ドル、五千万ドルということは百八十億、かなり日本の財政負担としては大きな問題である。従つて日本の財政上から見ますとおのずから毎年払うとしても限度があることは事実であります。併しそれをふりかざして先方へおれのほうはこれしか払えないのだということを押しつけることは非常に考えものだと思いますので、総額のほうは折角でありますが御質問にはお答えを差控えたいと思いますが、事情はそうなつております。
#36
○曾祢益君 その点は私もよくわからないではございませんが、新聞等にはまあ腰だめとして先ずフイリピンに二億五千万ドルというような誠しやかな数字が出ているので伺つたわけなんですが、あなたのおつしやるように、これはどうしても具体的な話からも積み上げて行かなければならんし、これはサンフランシスコ条約の一つの権利として役務だけでいいという権利はとつているけれども、その権利にとらわれているとこれは完了できない。だから日本側で差支えない、比較的能力のあるような生産財を向うの希望と合せるように、例えばインドネシアからこの間視察団が来ましたが、むしろ進んでほかの国からも視察団を呼んで、そして具体的な双方の生産財のどういうものをやつたらお互いに都合がいいかというような話を進めて行くというようなことはお考えになつておられますか、どうですか。
#37
○国務大臣(岡崎勝男君) 今差当りの相手国は四カ国ですが、そのうちのインドシナ三国関係は今政情がああいうふうですぐというわけには行きませんが、殆んど私は話が割にスムーズに行くんじやないかと思つています。先方の希望も来ております。それからフイリピンにつきましてはちようど新らしい政権ができんとしておりますが、これもたびたび調査団が来ましてこちらの考え方もわかつておりますから、これは或いは具体的に話が進むんじやないか。インドネシアは調査団が来ましてそれからビルマは送るような話も私が行つたときも聞きましたが、まだ決定はしてないようです。併しビルマにつきましては沈船の問題がありませんがほかの国とは皆沈船の中間協定というようなものをやる、ビルマについてはまあ賠償の問題を解決する一つのきつかけとしてもほかの何か中間賠償というようなものも考え得るので、その話も進めております。
 更に先ほどちよつと抜かしましたが、これはまあこちらの勝手な考えと言えば勝手な考えですが、若し仮に日本の必要な鉄山を開発して鉄を日本に輸入できるということになれば、これは非常に困難であつても、その結果が日本にも直接に利益があるというのだから奮発してやろうというような考え方もできないこともない。つまり普通の賠償以上にこれは日本にも利益の分もあるんだから一つ考えようということもあり得ましようし、ただ私はよく向うに言つたんですが、日本の国内の鉱業等はかなり盛んにやつておるが、政府資金と民間資金が別なんだからして、政府の財政上は非常に困窮しておるからなかなかできないんで賠償もそう思うように払えないが、民間資金は或る程度これは動員できないことはないので、これは利益があるなしによつては賠償とは性質が違うけれども、いわゆる経済協力の形で民間で開発等を手伝うこともできるのだ、これは併せて考えてもらわなければこちらとしては政府資金だけでいろいろなものを賄えと言つてもむずかしいというような説明をして、そのほうのことも併せて向うに考えてもらうというつもりで話をいたしております。
#38
○曾祢益君 最後に中共貿易の問題について伺いたいのですが、これは池田・ロバートソン会談においても、極く何と言いますか概要しか触れていないようですが、これは非常に大きい問題であることは御承知の通りであつて、特にアメリカとしては非常にマッカーシーみたいなめちやくちやな議論もありまするけれども、現政権としてはああいつたような中共と交易すること自身がけしからんというような議論は抑えておるようですが、朝鮮の完全な和平が招来されていない、従つて形式的にも国連の中共に対する禁輸決議がまだ有効だというような建前から、いわゆる衆議院の院議による西欧並みということに対してすら、非常に徐々にやつてくれというようなことでやつておるようでありまして、これは直ちに西欧並みにしてもらわなければならないと思うのですが、更に進んで今後の国際情勢の見通し、殊に朝鮮の和平ということに関連したことではありまするけれども、基本的な政策としてはどうも今のココムのやり方は余りにも重箱の隅を突つき廻すようなやり方であつてこれでは大局から見ての中共に対する自由世界全体の方針としても非常に間違つた方針ではないか。従つて強大な軍事力を持つておる共産主義国が、国際連合の下における軍縮ということに協力して来ない間は戦略物資は送るまいというのが、これは政府の態度はどうか知りませんが、少くとも社会主義インターナシヨナルあたりの決議では、そういう線は軍縮のため平和のためという見地から、決してバトル法の関係ということでなしに、そういう割り切つた態度をとつている。私たちもそれが正しいと思います。でありますけれども純然たる戦略物資ということはかなりもつと厳格に解釈していいのじやないか。今のココムのやり方は余りにも短見的ではないか。さような見地から先ず西欧並みに現実に回復することは当然であると共に、引続き日本の大きな外交方針として、これは経済自立の上からいつても又中共対策という大きな外交政策からいつても、もつと力強くココムの余り厳格な取扱を改正するような手を是非打つて頂きたい。
 又それに関連しまして、これはむしろ外務大臣のほうがよく御存じのようなわけなんですが、ココムの取扱というものは非常に細かい商品学的な知識が要るのです。現外務当局のスタツフだけでは到底外国に太刀打ちできるようなことは期待できない。従つてパリのココムなんかに対して日本側の主張を展開するのに必要なスタツフをどういう陣容を集めて、或いは香港の総領事館等においてもそういう日本の陣容を強化して、そうして日本の主張を展開して行くかというようなことについてもいろいろ考慮はおありじやないかと思う。そういう点についての外務大臣の御意見を伺いたい。
#39
○国務大臣(岡崎勝男君) 私の考えでは、日本は中共に近いだけにやはりいろいろ考慮しなければならん。勿論通商という点は大きな問題でありますが、同時に例えばそんなことを言うと語弊があつて叱られるかも知れませんが、朝鮮の事態を見ましても場合によつては自由主義世界の強い応援が必要になる場合がなきにしもあらず。こう考えますので私は今のところは中共貿易については積極的にほかの国に先んじてどんどん緩和して行くべきであるというところまでは考えておりません、正直なところ。併し西欧並みにすることは当然であります。ただときどき、私も素人でよくわからないのですが、形は西欧並みになつておるが、日本で輸出すべき品物は、或る品物は日本では作つてもおらなかつたり、或いは作つても輸出するほどにいい品質になつておらなかつたりしている。それが西欧側ではそういうものがたくさんできるものだから、これを多数決で中共にそういうものを送つてもいいということになる。日本側がたくさん送るようなことがあつても西欧側に余りいいインタレストがないと、そんなものは送らなくてもいいじやないかということになつて、事実上は同じ立場であるけれども実際上は向う側に有利であるというようなこともあり得るような状況で、この点はおつしやるようにココムに対する我が方の代表の陣容等も非常に重要だと思います。今外務省としては特に香港にもそれからココムにも経済的知識の一番ある者を出しておるつもりなんですが、通産省のほうの者も行つております。併し必ずしもそれで十分というわけには行かんと思いますが、パリでは非常に私の期待した以上に各国の信用も得、各国に対する発言も非常に尊重されておるように思います。引続きできるだけの努力をして行く。殊に通商というか細かい亜鉛鉄板がどうとか何がどうとかということになると、なかなか外務省としてもそれだけの知識は実は少いので、現在においてはかなりよくやつているようには思つておりますが、更にこれは注意をしようと考えております。
#40
○曾祢益君 これはどうも少し、少しじやない重大な意見の相違だと思うのですが、私は国連の援助の精神に従つて侵略者である限り軍需物資を送らないということはもう当然なことだと思います。ただ私は日本だけがというのではないが、中共がいつまでも侵略者という地位にあるわけでもないでしようし、これは情勢の発展によりまするけれども、基本的な考え方としては中国との関係の最も密接な日本こそ、やはり中共をただソ連圏のほうに自然に追いやるようなふうな政策というのは、これは基本的に誤つているものだと思う。これは勿論中共の出方によるけれども、基本的な考えとしては停戦協定のあとは平和と、平和に伴つて東西貿易の疎通ということを、ことに中共については強く主張すべきではないか。こつちだけがやるというわけではなくて又必要な制裁に加わらないというような利己的な立場でなくてやはりやつて行つてほしいと思います。これは意見が違うということをはつきりさせて私は質問を終ります。
#41
○團伊能君 外務大臣にお伺いいたしますが、もう外務委員会におきまして講和条約締結以前からたびたび言いふるした問題であり、又大臣からいろいろなお考えを伺いましたがまだ国民の前にはつきりとしない点もあるかと存じますので、領土問題につきまして二三お伺いいたしたいと思います。
 その最初は歯舞、色丹或いは千島の問題でございますが、ヤルタ会談には御承知のようにソ連にキユーリール群島も渡すということがいつてございますが、外務省のお考えとしてこのキユーリール・アイランドというものの定義といいますか範囲は只今のところどういう工合にお考えがきまつておりまするものでございましようか。
#42
○国務大臣(岡崎勝男君) 我々としてはヤルタ協定は何ら関係がないという建前をとつておりますが、ポツダム宣言に引続く平和条約によりましてキユーリール・アイランド(千島列島)に対する権利権原を放棄しておりますが、実は領土のどの範囲が日本の領土に残りどの範囲が外に出るかということはポツダム宣言の約束で連合国がきめるということになつています。従いましてキユーリール・アイランドというものがどの程度であるかということは連合国がきめるべきものでありますから、我々としてはその決定に従わざるを得ない。こう思つておりますが、少くとも舞歯、色丹というような島々が千島列島に入つていないことは申すまでもないことであります。ただ千島列島という字が国際的にはいろいろ使われておりまして、いわゆる南千島、中千島、北千島、この全部を千島列島としておりますときもありますし、明治の初年に千島樺太交換公文のときのように、千島列島と書いて実は実質上は北千島だけがこちらに戻つて来て、樺太を向うに渡したというようなことがあつて、定義としては必ずしも明確でありませんから、我々として一応の主張としては、ソ連の従来の主張その他から見まして南樺太と交換したときは日本が弱体であり、ロシヤが強力であるときにやつたのだから日本が強要したわけではない。そのときにもうすでにキユーリール・アイランドとして北千島を見ておるのだからして、北千島という解釈が先ず第一にある。併しその後に地図等によつて南千島までが入つて千島列島という事実もこれは否定はできない。いずれの場合においても歯舞、色丹等はこれに入つていないということを主張して来ましたが、アメリカ側は条約の起草者としてダレス現国務長官がサンフランシスコでもこの歯舞、色丹島は入らないということを言明しておるわけです。
#43
○團伊能君 そういたしますと、外務省としては明治八年の交換条約にありますキユーリール十八島、北千島、いわゆる得撫以北をキユーリール・アイランドとする、あとはそれ以外であると、そういうようなお考えに立たれて、多少その意味でその外国に対してこれを主張されるというような御意思がありますのでございましようか。
#44
○国務大臣(岡崎勝男君) これは平和条約よりずつと前、つまり占領中もかなり前から平和条約を作られる場合の考慮の材料としてそういう点を詳しく書いて、地理的のみならず又歴史的のみならず植物の分布状況、或いは海藻その他いろいろな点から見て得撫から北が千島であるという、これは大学の教授なんかの学問的なものもあるのですが、それを作つて連合国最高司令官を通じて国連のほうへ提出しております。その後平和条約ができまして千島をどうする、どれが千島だという判定は連合国の下すべきものだ、こう考えておりますが、それまではできるだけの努力をいたしたいと考えております。
#45
○團伊能君 そういたしますと、只今少くとも歯舞、色丹は千島でないという判定をダレス国務長官も曾つて発表したことがあつたと記憶いたします。そうすると千島の問題は暫くおきまして歯舞、色丹は如何なる国際法上の立場にあるものでございますか。その点を国民としてはまだはつきり理解できないものがあると思いますが、その辺のところを承わりたい。
#46
○国務大臣(岡崎勝男君) これは我々から見れば、サンフランシスコ平和条約のできました以後はソ連側として不法に占拠しておる、当然返還すべきものである、こういう考えを持つております。ソ連側の考えは別であります。
#47
○團伊能君 そういたしますと歯舞、色丹は日本の領土として承認されておるものでありますが、それが現在不法占領下にある、こういう工合に解釈してよろしうございますか。
#48
○国務大臣(岡崎勝男君) 我々はそう考えております。但しソ連側では日本との間に平和条約ができませんからして、そこで終戦当時からの占領状況が継続しておるのだ、こういうふうに見ておるものと考えております。
#49
○團伊能君 次に同じ領土問題でございますが、最近非常に問題になつております竹島のことであります。これは無人島でございますので多少国民には従来うとかつた問題でございますが、当参議院の外務委員会といたしましては、三年くらい前から竹島の問題はしばしば取上げて吉田外務大臣時代にもお伺いしていたものでございます。ここに来て最近これがいろいろ問題になつておりますが、この竹島はそれはどういう形に只今あるとお考えになつていらつしやいましようか。
#50
○国務大臣(岡崎勝男君) 平和条約におきましては日本が権利権源等を放棄する地域は明白に書いてあるわけです。それ以外の前に日本の領土であつたものは当然日本の領土になるわけであります。そこで若し議論があるとすれば竹島が平和条約、つまり戦争前或いはずつとこの昔から日本の領土であつたかないかとこういう議論になつて来ようかと思います。そこで我々の解釈といたしましては竹島は明治以後は勿論のことでありますがその前にもずつと日本の領土として取扱つて来ているもので、これは人が住まないのですからちよつと平穏無事に占拠したというのもおかしいことでありましようけれども、あそこで「おつとせい」の繁殖事業をやつた人もある。いろんな関係で文献等を見ましてもこれは日本の領土であつたことは間違いないようでございますから、平和条約に特殊の規定がなければずつと前に日本の領土であつたものは当然日本の領土になるものである。従つて日本の領土である、こういう解釈をとるわけです。
#51
○團伊能君 日本の領土で只今日本の統治権が十分行われない状態にある、即ち歯舞、色丹と同様に他国のイントラストの下にあつて、日本の主権が十分行き届かなかつた場所であるという工合に解釈してよろしうございましようか。
#52
○国務証大臣(岡崎勝男君) 歯舞、色丹ほどの、ことはないので日本の船も行きまして、あそこに棟くいを立てたりしておりまして、又韓国の人間がいると退去を求めているようなわけですから大分事情は違いますが、併し御承知のように韓国の船が来て日本の船に発砲したというような事例もありますから全然争いのない地域とは申されませんけれども、併し主張は勿論我々のほうに十分理由があると考えます。
#53
○團伊能君 竹島はすでに隠岐島に属しておりまして、明治二十年代にそこに「あしか」の漁業権というものもすでに設定してこれを或る商社に渡したこともあり、日露戦争のときはあすこに望楼を作つたような事実もあると聞いておりまして我が国の領土ということは足利時代以後には殆んど明らかなようでございますが、今日それに日本の完全な統治権が行われていないということは、いわば他国の侵略と申しますか脅威の中にある島である。十分な保護をされていないところであると考えられると思いますがそれで間違いございませんか。
#54
○国務大臣(岡崎勝男君) これは韓国側から申しますと、やはり一種の国際紛争と見ている。これは理窟はいろいろありましようが、竹島という名前が鬱陵島のことを竹島といつた時代もあり混乱しているところもありましようが、韓国側では昔からこれは韓国の領土として主張している所だという係争的なことになつております。従つてそういう面からいえば国際紛争といえないこともないかと思いますが、我々のほうとしては国際紛争として取上げるほどの理由のあることではなくこれは明白に日本の領土である、こう確信しているのです。
#55
○團伊能君 次に最近奄美大島が日本に還つて来ることについて、台湾の国民政府がこれに反対の意思を表明したということを新聞によりまして仄聞いたしましたが、或いはこれは台湾政府、今日の中華民国政府が日本の南進政策に対して一つの脅威を感ずるので、その危惧の念から反対をしたというふうに解釈もされておりますが、これは私といたしまして考えますと相当他の理由があるのではないかと思います。即ちポツダム宣言及び平和条約によりまして、日本は武力によつて侵略したる場所を元の所有国に返還するという原則におきまして、それはいつの時代からというような期限が付いておりません。そこでそれは明らかに日清戦争に遡及して、日清戦争で武力によつてかちとつた台湾はこれを中国に返すという意味において、台湾は返還したものだと考えます。そうするとこの台湾が主張しておりました琉球の問題は日清戦争以前に返つて考えなければならないことになるのではないかと思います。そうすると日清戦争以前、明治初年から日清戦争に至るまでの琉球帰属の問題を清国と日本との間において非常に論議せられ、これがいろいろ複雑な外交問題になつていたのが想起されまして、明治十二年グラント将軍が来た時に日清両国の間に斡旋をいたし、清国に行つて李鴻章に会い、又日本においては明治大帝を説いてこの間の妥結案を作り、十三年には、天津の会議を開きまして日本の公使と清国の当局とがすでに条約を締結いたしましたが清国においてこれを批准しない。日本の提案とする宮古、八重山を清国の領土として境をきめるという問題はそのまま批准をされずに終つて、解決を遷延してとうとう日清戦争に持込み、日清戦争の結果台湾の割譲と共に自然的に日本に属する形になつておりますが、そこで若しその日清戦争以前に遡るということになると、今日中国、これが或いは中華民国の政府であるか中共の政府であるかわかりませんが、中国と日本との間の帰属ははつきりしていないと思います。そこで若しも信託統治が解除されなければそれまででありますが、解除された場合においてこの琉球問題は必ず両国紛争の問題になる。その予備行為としてこのたび中華民国が奄美大島の返還にも一応反対の意を表したのではないかと思いますが、その点における外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
#56
○国務大臣(岡崎勝男君) 私はどういう理由でこの立法院がああいう決議をやつたかその理由は知りません。知りませんが、サンフランシスコ会議では先ほど申した通り日本の主権の離れる所は明記されてあります。でこの平和条約の起草当事国であるアメリカとイギリスの代表、つまりダレス全権とイギリスのヤンガー全権とは沖繩に対する日本の主権を認めまして、ただ暫定的に行政、立法、司法の権力がアメリカによつて行使される。それから今後アメリカが信託統治の提案をしたときは日本はこれを承諾する、こういう条件はありますけれども、主権は日本にあるということを起草国たる二国が認めておる。前のいきさつがどうあろうとこのサンフンシスコにおいて沖縄に対する主権は日本にあるということが認められたわけです。日本としてはポツダム宣言で先ほど申した通り連合国がきめることに服することになつておる。その連合国が起草者として沖繩は日本の主権のある所であるということをはつきりさしたのですから、もう沖繩につきましては過去の事情はどういうふうにあろうとも現在においては立法院の言うようなことは事実に反することである。日本の主権があすこにあることは明白な事実である、こう考えております。
#57
○羽生三七君 お尋ねしたいことがありますが、どうも大分議論になりそうですからやめておきます。
 最後に議論みたいなことですが、これだけ一つ希望になりますが、或いはお答え頂ければ結構だと思いますが、結局バーミユーダ会談からベルリン会談までずつと発展して行つて情勢は幾らか西欧の対ソ政策も変つて来る。それからトリエステ問題なんかも確実に話合いで解決するとは思う。それから仏領インドシナの問題もこの間ホーチミンがああいう声明をしたが、これもアメリカが三億二千何百万ドルの一九五二年度のフランスに対する援助をやつているけれども、やはりこれも何か話合のいとぐちができると思うのです。だからまあ不測の事態がどういうことから起らんとも限りませんが、大きく世界情勢がいくら変つて来てもそれは単にソ連のマレンコフの平和政策だけとは言えないと思うのです。大体総体的安定が出て来たので、とにかく例えばまあ話は余談になりますが、イギリスの財政の安定なんか見ていると、三年の軍備拡張達成計画を四年に繰延べてそれで輸入の削減をやつている。或いはフランスが仏領インドシナの問題が解決しない限り殆んど財政的には赤字財政でどうにもならない。ぼくらしろうとが行つて見てもあの問題が解決しないと没落する。そうすると、やはり何とかしてそういう方面のことは話合で解決して、そうしてその余剰財政を国民生活の安定なり貿易振興に使わなければ経済がにつちもさつちも行かなくなつている。アメリカ自身もあれだけ富裕な国でありながらやはり軍備の縮減なり、或いは税負担の軽減を考えなければならんところに追い詰められていると思つております。そういうふうに見られるのです。だからそういうふうに世界が大きく変化すると思うのですが、そういうことであとから何か日本がその客観情勢に対し向うが変つたからこちらも幾らか変つたというようなことがなくて、体裁の悪いことにならなければいいのだがということを私は憂えている一人ですが、そういう点で外務大臣は昔から別にそれは我々は確たる自主性を持つておられるというお話であるし、私は又別にそれをかれこれというわけじやありませんが、もう少し何か世界情勢にマツチするように積極的に、先ほど曾祢さんも話があつた中国貿易の問題でも、或いは対ソ政策の問題も、もう相手が違つているということはぼくらはつきりわかつているのです。イデオロギーなんか全然相手のものを認めるというものじや全然ないのですが、そういうことは百も承知の上でもつと積極的な外交政策をとつて頂かないと、少くとも私たちが感じておる世界の動きとは大分食違いが将来起るのじやないかという感じがするわけです。それは意見の違いと言えばそれまでですが、まあ御感想なり承りたいと思います。
#58
○国務大臣(岡崎勝男君) いやお話の点はよくわかりますが、これはまあバスに乗り遅れまいとしてあわてて乗りそこなつておつこちるものもあるし、ゆつくり乗つて行つたほうがいい場合もありまして、これは国の利益に関することですから外聞が悪いとかいうことは暫くおきまして、国の利益になるようにまあできるだけやるわけです。その緩急等はおのずからその場合々々によつてきまりましようが、必ずしもよその国に先立つて出て行くことが国の利益になるという場合ばかりもないと思うのです。我々としても今当面の責任者となつておる限りは国の利益に一番合うようなことを考えております。その点についてお話のような点も勿論考慮はいたしておりますが、まだいずれにも決定するのは適当でないように思います。
#59
○羽生三七君 そこで例えばこのソ連の戦犯釈放の問題なんかでもやはり何か民間人が行つてやる。それから中共の場合もまあ同じ、貿易問題も同じです。そうすると一番政府がきらわれておるほうのことを却つて民間が促進して、そうして却つて逆にこの堂々めぐりをして矛盾にぶつかる。それよりもむしろ政府のほうが積極的に何か手を打たれたほうが却つて心配なさる点のほうを未然に防ぐに役立つという私は印象を受けておるのです。どうもそれで、だから逆にこれはいわゆる民主団体というものが次から次へといろいろな手を打つて、そうするとソ連なり中共は政府相手にせんが民主団体のほうならというようなことを言つてしまつて、却つて政府は逆に硬化して来る、何か非常な矛盾のように見えるものですからむしろ政府が積極的に、まあ小さいいとぐちからでもいいから手をつけて、政府みずからのイニシアチブでやつて行かれたほうが、政府が今心配されておるようなことを却つて未然に防ぎ得るだろう、そういう印象を受けるのです。そうでないと又今度は次にいわゆる民主団体というのが何かやる。どうも非常な矛盾を私は感じるのですが、もう少し積極的にやつて頂きたいと思うのですね。
#60
○国務大臣(岡崎勝男君) まあ御意見は……。
#61
○委員長(佐藤尚武君) それでは外務大臣に対する質疑はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。
  ―――――――――――――
#62
○委員長(佐藤尚武君) ちよつとおとどまりを願いたいのですが、国際情勢に関する調査については調査報告書を提出いたさなければなりません。本件について調査未了の報告書を提出することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○委員長(佐藤尚武君) それではさように取計らうことにいたします。
 なお本報告書につきましては多数意見者の署名を付することになつておりますから順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    羽生 三七  團  伊能
    鶴見 祐輔  加藤シヅエ
    佐多 忠隆  曾祢  益
#64
○委員長(佐藤尚武君) それでは外務委員会はこれで散会いたします。
   午後六時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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