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1953/12/04 第18回国会 参議院 参議院会議録情報 第018回国会 運輸委員会 第3号
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1953/12/04 第18回国会 参議院

参議院会議録情報 第018回国会 運輸委員会 第3号

#1
第018回国会 運輸委員会 第3号
昭和二十八年十二月四日(金曜日)
   午後二時十一分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     前田  穰君
   理事
           入交 太藏君
   委員
           植竹 春彦君
           仁田 竹一君
           一松 政二君
           加賀山之雄君
           森田 義衞君
           大倉 精一君
           大和 与一君
           木島 虎藏君
  国務大臣
   運 輸 大 臣 石井光次郎君
  政府委員
   運輸政務次官  西村 英一君
   運輸省鉄道監督
   局長      植田 純一君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       古谷 善亮君
   常任委員会専門
   員       田倉 八郎君
  説明員
   運輸省鉄道監督
   局国有鉄道部長 細田 吉藏君
   日本国有鉄道総
   裁       長崎惣之助君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○公共企業体等労働関係法第十六条第
 二項の規定に基き、国会の議決を求
 めるの件(日本国有鉄道)(内閣送
 付)(第十七回継続)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(前田穰君) これより運輸委員会を開会いたします。
 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件を議題といたします。
 前回に引続いて御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#3
○大和与一君 大臣にお尋ねしますが、特別国会で吉田総理は、占領政策の行過ぎを是正する、こういうようなことを言つたことを記憶しております。今回の公労法の問題にしても、アメリカの直訳だ、こういうふうにはつきりこれは殆どの人が常識的に認めておるようですが、公労法の改正について、今までまじめに検討をしたことがあるかどうか、お尋ねいたします。
#4
○国務大臣(石井光次郎君) これは昨年もこの仲裁問題が起りましたときに、私は初めてこれに取組んだのであります。そのときの答弁の中に、私の申上げたことを自分からこれは少し過ぎたかと思いましたが、自分でも何か妙なことで、わけのわからないことを言つたことがちよつと残つておりますが、併しこれは実際問題に当てましてもどうかと思うものも、形式的の点だけ見ても、いろいろあるようであります。これは何かの機会にそういうものは考慮されていいのじやないかというように思つておりますが、実はまだ私としても、その問題をどうしようということまで進んでおりませんし、労働大臣が何か考えておるようなことも聞くのでありますが、まだはつきり私からは申上げられないのであります。
#5
○大和与一君 やはり今のお話のように、いろいろな法律解釈においても疑義がある、そういうことのために裁定が完全に実施できないでいろいろ紛議が起つて来たのであります。昨年においても、御承知のように相当激しく裁定問題をめぐる闘争が行われて、そうして結局はまあ出た、こういうことは昨年十二分に御承知のはずだと思う。政府は、そういうことが法律の解釈でできるとか、解釈如何によつてそういう問題が起つたということになれば、今年も又その轍を踏まないように、当然昨年においてお考えになつておる公労法を改正して、そういう摩擦なり紛議なりが起らないようにすべきであつたと思いますが、その点はどういうように御処置したのか。その点伺いたい。
#6
○国務大臣(石井光次郎君) 現行法におきましても、実際の運営にはそうひどい障害になると私は思わないのでありますが、例えば今度の問題にいたしましても、仲裁裁定が完全に仲裁通りに実施できなかつたというところに問題があるわけであります。これは私初めのときに労組の諸君に会つたときも、一番先にこの問題は申上げたのでありますが、これは今までも何度もあつたのだから、今度もその例に洩れんと言われるかも知れませんが、私はそのときに、今年は、昨年のような平常のときでさえ八月の裁定が十一月になつた、これはもう裁定を受けた人々としては非常に不満であつたと思うが、財政上の理由等でそれができないで、又はかの振合い等で十一月になつた、本年は又この裁定の問題が起つた、同じく八月からということになつたが、昨年のようにふだんのときでさえ十一月になつたということを考えて見ると、実際上の問題、よしあしは別問題として、今年のような災害が相次いで起つて、国の財政が苦しいときに、それより悪くなることは考えられておる。その当時おいては、なかなか本年度内に裁定が実施できるかどうかということは非常に疑問視されておりまして、困難でやれないだろうということを言うておつた人もあつた際でありまして、それだけのことを申上げて、その後いろいろと皆さんと閣内においても相談いたしまして、私どもとしては、何とかして年度内にこれが実施の運びになるように、且つこれからずつとあとに続いて行く給料の基礎でありますから、金額的にも一部実施の話もありましたけれども、金額の査定は是非全額裁定通りにやつてもらいたいということで、今提案しておるような、一月から全額実施というようなことになつたわけなのであります。この問題は昨年もそうであつたし、あのときもうまく行かなんだから、今年もそういうことでありまして、これは既定の問題というよりは、日本の国の財政状況ということの影響のほうが主な問題であります。今年は又そこに災害という問題が大きく影響いたしたということに相成つておると存じております。
#7
○大和与一君 そうすると公労法の改正を早急にしなければならない、こういうことはお認めになりますか。例えば十六条にしても、予算を付してから国会に出す、こういうようなことも一つの考え方、解釈であると思うのですが、そういうこともちやんと手続して、そうして国会でこれを放つたらかす、認めない、こういうことになつた場合には、又これは止むを得ないという考え方もあると思うのですけれども、今の場合は仲裁裁定が予算も付されないで生のままでいきなり国会にかかる裁定そのものがかかる、こういうことはどうみてもおかしいことですが、そういうことを考えても、公労法の悪い点は、これは早急に変えなければならない、こういう点はお考えになつておるかどうか。
#8
○国務大臣(石井光次郎君) この十六条の問題は、これの判定のときからいろいろ論議されたことがあるのでありまして、私も昨年初めてこれによる裁定を、予算も何も付さずに、予算上、資金上ですか、それによつて処置できないというだけのことを書いて、議会に送り込んだということでございまして、質問されてもそれ母上の答えをしなかつた。それが理由を付してしたというのだということでありまして、そういうものを出すならば、予算書もちやんと出して、できるとか、できないとか言うべきだろうが、とにかく今の予算面ではできないというだけのことで議会に送り込まれた。その間に予算を処理して、そうして政府の意思のあるところを議会に提出して、合せてだんだん審議の過程において漸く追付いて、一緒に審議してもらおうということであります。これはこの規定だけとりましても、五日以内に議会が開かれたらすぐ出さなければならないということでありますので、予算に間に合わないこともあるだろうと、いろいろな予算、これだけに合うか合わんか、企業体の中のやりくりだけ見てさつと出せない場合もあるのでありますから、こういうふうなところにこういう制限がなければ、予算も付けて出せるということにもなると思います。これは一例ですが、こういうような面についても考慮すべきものが私はあるように思います。
#9
○大和与一君 若しも改正をしなくちやならんという点も多々あるというふうにお認めになるのでしたら、今朝の新聞を見ると、緒方副総理が公労法を変えないということを言明されておりまするが、全然今のところはそういう考えはないのでございますか。又来年もこの解釈の疑義によつて非常な混乱が起る、紛争が起る、こういうことは仕方がない、こういうふうに政府はお考えになつておるのかどうか、お尋ねします。
#10
○国務大臣(石井光次郎君) こういうのが当り前だというように考えておるわけでは勿論ないのでありまするが、今まで数年間これをやつて来て、一つの慣行ができて来ておるということは言えるだろうと思いますが、併しどんなものといえども、規則というものはもとより実際に近いものにしたほうがいいということが、立法する場合にも注意しなくちやならん問題でありますから、緒方副総理も絶対にこれを変えないという意味ではないと私は考えております。
#11
○大和与一君 それでは、運輸大臣としては、まあ今年中にも十分検討はして、そうしてそういう解釈の混乱とかいうふうなことのないように努力をしたい、実現するように努力をしたい、こういうふうにお考えになつておるというふうに考えてよろしうございますか。
#12
○国務大臣(石井光次郎君) これは私のほうの所管ではございませんが、多分労働省だと思いますが、労働大臣ともお話をし合つてみたいと思つております。
#13
○大和与一君 公共企業体等関係法がマッカーサー書簡で出たのですが、一体公共企業体の職員というものは公務員ではない。又一般民間の組合とは違うというわけなんですが、まあ労働関係として扱われるということは言えると思うのです。その場合に、公務員でないということは、いわば民間のほうに近いといいますか、そういうふうな言い方ができるでしようか。ちよつと言葉を換えて言うならば、公務員に準ずるとか公務員であるとか、こういうことではないということは明確だと思います。そうするといろいろな給与その他の面において、公務員よりも、企業体だから自分で一生懸命働いたというふうな場合には、それにふさわしい労働条件なりその他の反対給付があつても差支えないんではないか。こういうことをお聞きしたいのです。
#14
○国務大臣(石井光次郎君) これは民間の事業と公務員というものとの間には違いないのですが、併しそれが両面の性格があると言えばそう言えましようし、それから国家公務員に対してまあ公共企業体ということで、国家のやるべき仕事の代行機関みたいな形になつておるわけでありまして、同時にこれは一方独立採算制をとるという、これも完全に行われておるかどうか、実質の問題でありますが、そういう立場から見ますると、これは民間の事業の心持を経営の上に受入れてということにはなるわけであります。それでこの従業員の本体は、どちらかと言えば、公務員に近い気持ではないかとこう思うのでありますが、私は法律上のどういうふうな説明をし解釈をするかよく存じませんが、何なら政府委員のほうから御説明いたします。
#15
○大和与一君 まあ概括的な話でいいのですけれども、諸外国では運輸輸送が全部民営であるということもあります。ですから国家の代行機関だというふうな考え方でなくて、一般の輸送業務機関として、その中で公共性がある、こういうふうな考え方に立つておるかどうかということ、それによつてまあ考え方がおのずから少し変つて来ると思うのですが、その点は如何ですか。私鉄もあるし何もあるし、そういうふうな輸送機関として、その中で公共性があるんだ、その公共性があることは私鉄も何も同じだけれども、国鉄なんかそこが少し性質が強いというか、そういうふうな見方をしておるのか。或いは今の言葉で言うと、公務員に準ずるというそういうふうな言葉を使うことになろうかと思うのですが、そうすると公務員に準ずるというと、これは大分制約を受けると思うのです。その点のお考え方を。
#16
○国務大臣(石井光次郎君) これはまあどういうふうに申上げたらいいか、公労法の第一条に、能率的な運営をすること、そして公共の福祉を増進することに寄与するというふうなこと、それから仕事が一般の公益に合うように、そして能率的に仕事をやつて行くという仕事の面のことだけははつきりしておる。それから国有鉄道そのものは公法上の法人であるということにしてありまして、これに従事する人たちはどつちにに近いかというより、役人と民間のまあ真中におるというような考え方で、その仕事の経営は、やり方は民間人のような、商売人のような心持で経営をやつて行く、併しそこにおる立場は公法上の法人である、そこの従業員だということで、非常に公的な心持が相当強いということになるんじやないかと考えますが。
#17
○大和与一君 まあ公共企業体だから団体交渉もできるし、それから又争議行為は公労法で禁止されておるけれども、労働紛議の解決、紛議というものは当然あり得るわけですから、その紛議の解決のために双方努力もするし、又闘争もする、こういうような形は又当然だと思うのです。そうなると例えば労働大臣が又新聞で、何でもかんでもいかん、ピケツトとか何とかはすべていかんと、こういうふうなちよつと新聞で見ただけで正確なことはわかりませんけれども、争議行為というものがいけないということは条文にあるけれども、それ以外の労働紛議というもの、こういうものがあることは十分お認めになつて、又それに対する組合運動というものは当然あるというふうによく御理解を頂いておると思いますが、よろしうございますか。
#18
○国務大臣(石井光次郎君) それはそういうことは言えると思いますが、同時にこの間からよく話になりまする問題ですが、このピケを張るとか、或いは一斉賜暇戦術に出るとかいうようなものが、どこまで合法でどこまでが違法かということは、これはまあ場合によつていろいろ、例えば賜暇そのものは法律でも認められている。それがどういうふうな形で現れて来るかということによつて違うことになる。例えば我々のほうは許可を受けなくちや休めない。そうすると許可を受けて休んだ場合、或いはそれを受けなくてもそれが影響のないというようなものであるかどうかというような、いろいろな場合があるだろうと思うのですが、だから賜暇そのものが全部いかんとかいうようなことは言えないかもわからん。例えば仕事を、汽車の入換えなら入換え、人の入換えをしようというのをピケを張つて不可能にして、それが業務上に影響を及ぼすということであると、この第一条のようなものが生きて来ると、そういうような問題もある。それは問題の個々の場合で、漫然とは言えないと思う。
#19
○大和与一君 公労法第一条の二項に、できるだけ経済的紛争を防止して、最大限の努力をしなくちやいかんということが書いてあります。これは調停、仲裁制度、二重制度ですね、こういうものがあるために、最大限の努力が労使共にやりにくい、そういうふうな考え方も私は出たと思います。若しもこれが一つの制度、仲裁制度だけであれば私は反対だけれども、裁定が完全にできない、こういうふうなことが仮にあると仮定はできても、調停制度があるから一応それにかける。併し必ず仲裁制度があるからどうしても仲裁にぶち込んでしまえということでぶち込んでしまうということは、それが最終決定機関だからという意味でそこへ持ち込んで来る。それなのにそこできめられることが、常識的に調停制度を経て仲裁制度に入つた場合に、それは最後の決定機関だから、その通り全部行われなくちやいかん、こういうふうに考えて行けると思う。そうすると今のようにその最後の仲裁制度まで行つてもなお解決がいつもできない。一部実施を以て政府が完全にやつた、こういうようなことを言つておるとすれば、この制度が、却つて最大限の努力をしないで、そうしてどうも団体交渉においても十二分に労使があらゆる最大限の努力をしないで調停なり仲裁なりに持込んで来る。こういう形になつているのじやないか。政府は一部でもそれはやつたことになるので、こういうようなお考えがあるためにやるのだから、どうしてもこれはその仲裁制度を衰えて、内容を変えて、必ずここではそれでやる、こういうふうに変えなければどうしてもいかん。却つて混乱を招いておるというような恰好にもなつておるのじやないか、こういうふうにも考えます。従つて仲裁と調停との関連、これが本当に解決を速かにするためにこういうものを持つておるわけなんだけれども、そういうふうになつていないということを大臣はお考えになつて、これは何とかしなくちやいかん、こういうふうにお考えになりませんか。
#20
○国務大臣(石井光次郎君) この裁定が下りたものをそのまま行われないというのがいつも問題で、少くも去年も今年も問題になつたわけでございますが、それじやこれから先どうなるだろうか。まあ今年は災害という特殊なものがあつたのだから辛抱するが、来年か再来年又こんな問題が起つたときに、それじや仲裁裁定通りに完全に行う気持が政府にあるかどうか。それが実際できるかというような仮定をして考えてみますと、これはやはりそのときの財政上の問題ということ、この国鉄なら国鉄だけの問題でなく、ほかに同じような問題が起つたら、例えば公務員との振合いというような問題、これがやはりものを言うて来ると私は思います。これは実際上の話です。昨年も十一月になぜなつたかと言えば、公務員との振合いが一番大きな理由だつたと私は思います。どうでもこうでも十一月でなくちやならんからというような問題よりは、その振合いの問題でありまして、そういうことが起り得るということを想像してあらかじめきめたかどうか知りませんが、完全実施のできないような全体の財政的立場を見渡して、今度の場合のようにできないというようなために、この第十六条の規定が設けられておるのでありまして、これはやらないために設けられておるにあらずして、こういう情勢であるならば止むを得んということで、その結果、事実上又やれなくなつて来ておるというようなことであつて、これをそれじややめて、仲裁裁定まで行く道程を、もう少し密度を細やかにして、いろいろ折衝をして、それがきまつたらそれを是非やるという段階に持つて行けるかというと、私はちよつとそこを疑問に思うのですが、こういうような多少の余裕規定がなくて、仲裁できまつたものが政府の予算の編成の上にこれが先にでんと坐り込んでしまつて、これは動かしがたきものとしてやらなくちやならんということになりますと、仲裁の制度そのものにも疑問が出て来るということになりはしないか。そこいらのところは非常にむづかしいと私は思つております。
#21
○大和与一君 裁定の問題だけでなくて、今年は特に強調されておりますように凶作、水害があつた。こうなると政府は国家財政、大局的な見地から見て当然再軍備費でも廻せば、水害も凶作も裁定ももつともつと有利にとか、もつと国民大衆を納得させて救済ができる、こういうことにこれは常識的に考えてもなるのですが、そういうことは閣議あたりで意見は一回も出たことはありませんか。
#22
○国務大臣(石井光次郎君) 仲裁裁定が日本の保安強化という問題と関連して論議されたことはございません。
#23
○大和与一君 人事院の勧告と仲裁裁定との関係ですが、人事院の勧告というのは、これは科学的に十分内容を分析検討をされていわゆる賃金委員会、こういうような性格のものだと思います。併し仲裁裁のほうは、これは言うまでもなく、支払能功も或る程度というか、十分というか、考えた上で裁定は出されておる、こういうふうに考えます。そうなると、人事院勧告と裁定とのウエイトといいますか、重さは当然裁定のほうをこれはどうしても勧告よりも実行しなくてはいかん、こういうふうに考えますが、その点は如何ですか。
#24
○国務大臣(石井光次郎君) 私勧告のほうはよく知りませんが、大体そういうふうなものでございます。
#25
○大和与一君 そうすると、仲裁裁定は、いわゆる労働組合法第十四条による労働協約と同じ効力というものがあると思いますが、如何ですか。
#26
○国務大臣(石井光次郎君) これは仲裁裁定は、三十五条ですか、それで当事者双方とも最終的には決定として従うということでありますから、あなたの申上げるようなことだと思います。
#27
○大和与一君 そうすると、そのきめられた労働協約と同じ仲裁裁定は、これは如何なる場合においてもその効力を否認したり、無視されたりすることはないわけです。そうすると、これは履行がなければ差押もできるし、又強制執行もできる、こういうふうに考えますが、その点如何ですか。
#28
○国務大臣(石井光次郎君) 仲裁のその点は今申したように力があるのでありますが、同時に十六条の規定というものがこれは独立に又一つの力でありまするから、これによつてそれが動かされることはないということになると思います。
#29
○大和与一君 ですから債権債務が発生するかしないかということがここで問題になる。若しも国会で予算がないからと言つてこれが一応棚上げになつて延びる。若しも予算が余つた場合には当然払うということになるわけですが、その点は如何ですか。
#30
○政府委員(植田純一君) その点はつきましてはいろいろと意見がございまして、学説も分かれておるのでありますが、第十六条によりまして、国会の意思がきまり、最終的な裁定の効力がこの国会の意思によりましてきまりました場合には、それによつて仲裁の効力も承認されないものについては消滅するというふうに一応政府は考えておるわけであります。その点につきまして、なお先ほど申しましたように学説上もいろいろと意見がございます。
#31
○大和与一君 それは今言われたことは、そのときには予算に組まれないということが出ているわけです。併し何も予算というものが最後になつて清算とか、決算をして、年度末になつて予算が余つた場合に続いて行くのですから、そのときにはそれを払われぬということは政府は言えないと思います。が、如何ですか。
#32
○政府委員(植田純一君) 仲裁の効力というものは国会の議決によりまして、最終的な効力を発生する、かように考えておるわけでありまして、国会の議決によりましていわゆる予算上、資金上不可能な部分、而も国会において承認されなかつた部分につきましては、仲裁の効力は結局消滅するというふうに解釈しておるのでありますが、この点につきましては、学説上もいろいろと意見が分れておるということは先ほど申しました通りであります。
#33
○大和与一君 それは十六条は資金の追加支出に対する国会の承認の要件ということなんだから、それは予算上は成るほどできない、こういうことがあつてもおかしくないのですが、併しそれでは十六条は予算上できない場合にだけ限つておるのだから、それじや今度は最後に決算をして、そうして余つたという場合には、これは三十五条によつて、やつぱり余つたらこれは払わなくてはいかん。これは仲裁裁定の効力ということを三十五条に誰つておりますから、十六条は予算上のことだけというふうにたびたび政府もはつきりおつしやつているけれども、決算をして余つた場合には当然これは払う、こういうことになると思いますが、その点ちよつと学説ではないと思います。ちやんと一貫した作用で予算から最後に決算まで行くのだから、決算で一応その年度の金が余つたとか、足らんとか、どうなつたとかということがきまりますから、そのとき余つたものに対して払わぬというわけにいかん。出したときに予算上できぬというだけであつて、最後になつて決算をして余つたら当然払う、こういうことにしなければ、今のお話では納得できないと思うのですが。
#34
○政府委員(植田純一君) 給与に関する問題につきましては、申すまでもなく予算上と申しまするのは、いわゆる給与の総額ということを前提にして考えておるわけでございます。従いまして、国会の承認がございますると、並行的にと申しますか、予算上の修正もございまして給与総額が殖えるわけでございます。国会の承認がない場合には給与総額も変更がないといいますか、それ以上の膨らみはないわけでございます。従いまして、それ以上に国会の承認がない部分につきましては、この協定乃至仲裁というものは効力を発生しない、こういうように考えておるわけであります。
#35
○大和与一君 これはやはり決算で余つた場合には、憲法に示された財産権の問題だと思うのです。これは国会だつてそれを奪うことはできない、こういうふうに考えるわけです。ですからその点につきましてもう少し研究されて、次回には私の納得の行くように一つ御説明を頂きたい。
 それからもう一つは、仲裁裁定が組合法十四条の労働協約と同じ力であるといつた場合に、これが十六条で予算上否決される。そうするとそれまでは労働協約と同じ力を持つておりながら、予算的措置だけはなくなる、これはわかります。併しながらこれ又やはり仲裁裁定の内容すべてがなくなつてしまう、こういうことは、これまでに労働協約の効力と同じだと言いながら、それは空白でそういう場合皆消えてしまつた、こういうことはないと思う。予算上のことは十六条で引つかかる場合があるし、困ることもあつていいのだけれども、労働協約と同じ効力を持つておりながら全部なくなる、こういうことは学者の説とおつしやるけれども、そんな学者がどこにおるか知れんけれども、(笑声)それはどうしてもおかしいと思う。そうであつたら労働協約と同じ効力を持たないと言わなければならない。組合法十四条に示されたのとは違う、労働法とは違うのだ、そういうふうにおつしやつてしまえば別ですが、そうは言えないと思う。
#36
○政府委員(植田純一君) この点につきましては、先ほど申しますように、実は考え方が必ずしも統一されていないわけでありますが、従来政府といたしましては、協定にしろ、裁定にしろ、いわゆる予算に関係がございまして、予算上不可能であるというものにつきましては、この十六条によりまして、国会の議決を求めておるわけであります。で、国会のいわゆる承認がありました場合におきまして、確定的にその効力が発生するという十六条の条文によりまして、そういうふうに、先ほど申しましたように政府としては考えておるような次第でございます。
#37
○大和与一君 そうするとこれはもうわかりませんから、そういう説明じや納得できませんから、これだけにしまして、それではさつきからお尋ねしておる公務員と企業体との区別というか、これが企業体になつたのだから、少くとも公務員より窮屈にはならない、こういうことをお尋ねしたかつたわけです。これはどうしてもそうでなくちやいかんのだが、実際には公務員より窮屈になつておるのじやないか。公務員のほうは例えば一昨年の行政整理の時に、参議院で二千人だつたか首切りをいかんと言つた。本来ならば予算総則を変えなくちやいかん、予算を組替えなくちやいかんじやないか、そのときには退職金が余るからそつちから廻す、こういうふうに大蔵大臣が言つてその通りにやつたと思うのです。こういうふうに言つて、公務員のほうは案外融通がきいてうまいことをやつておつて、企業体のほうはそれに引つかけてさつぱり裁定の実施ができない、こういうことになつては矛盾だし、そうであつては公務員より窮屈な形を企業体の職員が持つことになる。こういうことは不都合だと思うのです。その点について御説明を願いたい。
#38
○政府委員(植田純一君) 公務員よりも非常に窮屈と申しますか、制約されておるのじやないか、こういうようなお尋ねでございますが、そうでなくして、決してそういう点は私はないと思つております。すべて公務員は予算によつてきつちりと縛られておるという点におきまして、むしろ公務員のほうが非常に制約を受けておるというような意味にも考えられまして、必ずしも公共企業体のほうが窮屈であるというふうには考えておりません。
#39
○大和与一君 併し郵政、電通でも、企業体にならない前には、人件費、物件費というものは皆その流用は政府限りで全部やつておつたのですが、今度はそういうことが非常に窮屈になつておるのですが、そうすると実質的に公務員よりも窮屈になつておるというふうに考えれるわけですが、今お話の点は断言できるわけですか。
#40
○政府委員(植田純一君) いわゆる給与総額という予算上の一つの制約で縛られておるという点におきましては、同じことではないか、かように考えております。
#41
○大和与一君 裁定がいきなり国会にかかる、さつきの予算措置をしないでかかるということは、どうしてもこれはよく理解ができないのですが、これについてそのアグリーメントというか、そういう言葉の解釈が当時あつたそうですが、若しこれは鉄道部長でおわかりでしたたら、ちよつと御説明を頂きたいと思います。
#42
○政府委員(植田純一君) これは十六条の承認の解釈でございまするが、いわゆる予算上不可能な場合には、政府はその不可能なことを事由を付して国会に付議して、そうしてその承認を求めるという意味は、白紙におきまして国会の御意思を議決を願う、こういう意味でありまして、承認或いは不承認の国会の御意思を議決を願う、こういう意味に解釈しております。
#43
○大和与一君 そうじやなくて具体的にアグリーメントの解釈が非常に問題になると思うのですが、それについて御承知でしたら、一つ正確に答えて頂きたいと思います。
#44
○説明員(細田吉藏君) この十六条のアプルーヴアル、デイス・アプルーヴアル、これにつきましてはいろいろ議論があつたようでございます。この日本語の字句だけを見ますと、承認を求めなければならん、要するにアプルーヴアル、承認を求めなければならないのだ、こういうふうな解釈をとるという説を出しておられた方もあるのであります。又今日でも恐らくそういう説があるのじやないかと思います。併しこれは事柄の性質上、国会がこれを承認しないという場合も当然あり得るという考え方のほうが妥当じやないかということで、これまできまつております解釈といたしましては、承認又は不承認、又は一部承認という意味に解釈いたしております。国会に提案いたします場合にも、提案になつております表題にもございますように「議決を求める」という形で出しておるわけでございます。これにつきまして、字句がどうであるかということでいろいろ議論はあると思いますが、只今は私が只今申上げましたような解釈で一応いたしておりまして、今回も「議決を求める」という形で出しておるわけでございます。
#45
○大和与一君 大臣にお尋ねいたしますが、今の国鉄の当面の問題について、この解決を速かにするために、どのようなお考えをお持ちになつておりますか。
#46
○国務大臣(石井光次郎君) この問題が起つてから成るべく早く、特に今月に入りましてから平和裡に早く解決することを望んでおる次第でありますが、この頃連日、朝関係閣僚が集まつて、そういう約束でもなかつたのであるが、自然、毎日々々集まつて、今日も実は集まつたのですが、政府としては、裁定並びに勧告の一月から実施という面で予算を出しておりますものは、政府としてはこれを動かさないということでございます。
 それから予算に見積りましたのは、今年の夏、当時〇・二五というものを繰上支給したのを今度の予算に入れておるということでありまして、それで合せて予算は年末に出せるものは一・〇〇あるわけであります。殊に私どもとしては、国鉄と労組との間の団交によつて、これから先どれだけかの働きによつて利益を上げたもの等に対して、支給を増すということで、その話を成るべく早い機会に始めてもらいたい、それには議会のほうで、まだはつきりわかりませんが、明日あたりには予算も上るということのようでありますし、衆議院の予算が上ると並行して、衆議院のほうの裁定の承認を出しておる問題も一緒に片付けて、参議院のほうにお廻し願う、それで議会の意思もそこではつきりします。そこで政府の原案通り若し通ることになりますれば、あとは裁定乃至年末手当の問題を一つ話を進めて、両方話合いで成るべく早く妥結に至るように、そういうふうな気持で現在おるわけであります。
#47
○大和与一君 今回の組合側の硬化した一つの態度は、初めに政府は全然裁定は考えない、こういうふうに相当明確に挑戦した恰好であつたと思うのです。そういうことは相当政府は責任を感じなければならない。それが一月ということになつたわけですが、そうすると明日なら明日衆議院でそういうことがきまつたならば、これはまあこれ以上紛争を回避する具体的な手段はない、こういうふうにお考えになつておりますか。
#48
○国務大臣(石井光次郎君) 初め政府が一つも仲裁に応ずる意思がないように発表されたということでありますが、これは政府はそういうふうなむずかしい状況にあるということでありまして、未だ曾つて私ども閣議においてもそういうような決定を一遍もやつたことはありません。それははつきり御了承おき願いたいのであります。第一、この秋の水害のための臨時議会のときにはこれを提出することができませんでございましたが、そのときもその申合せの中に、そのときはそれは計上しない、要するにその臨時議会のときには計上しないという意味のことを書いて、それを閣議の決定にしたのであります。今度の議会を召集するに当りまして、皆相談をいたしまして、今のようにしたわけでありまして、決して全然ないと言つて挑戦をし、そうしてそれが余り世間の声が大きくなつたので政府が出したというのではないのであります。併し新聞等で出さぬ出さぬというようなことが伝えられたのも事実であります。それで政府が責任をとるということにつきましては、全然知らないということも言えないということでありますが、それはそういうことではないと私は思つております。ただ今のところにおきましては、議会にも政府としては数回はつきり申上げましたが、これ以上金を出すのは非常にむずかしい状態になつておる。僅かに年末賞与の面で多少のそこに見込があるということでございます。これを議会のほうに付して、裁定の方針はその通り行なつて、あとは年末賞与のほうに入つて行きたいというのが私の願いであります。
#49
○大和与一君 勿論閣議ではきまつておらん、予算委員会でも、政府としては事前に大蔵省で話をしておる、それでもさつぱり出そうもない、こういうような客観情勢は極めて明確に打出されておつたと思うのです。そういうことはやはり政府の無理解であろうと考えても差支えない。それで裁定の問題がなかなか思うように行かないわけですが、今おつしやつたように、当事者が必ず団体交渉をして話が進む場合には、裁定の形であれば、国会の決定をも超えて上廻ることもないのですが、これは上廻つてもらうことは好ましいのですが、そういうときに今いろいろ伝えられておる線をできるだけ当事者が努力をしてやつた、こういう場合の態度のことを今おつしやつたと思いますが、そうではないのですですか。
#50
○国務大臣(石井光次郎君) 予算に一・〇〇となつておりますが、それを超して話が付いても、それはどういう内容かを検討する必要は勿論あります。私は一以上に上るということはいかんということでなく、一・〇〇にプラス・アルフアーということを認めるつもりであります。
#51
○大和与一君 そういうふうな話がどうせうまくどこかでまとまる。その場合に、今回の一応紛争がありますね、それに対して話がそれでまとまつた暁には、政府として一つ局地的な、或いは特殊な事柄についていろいろな問題が若干起るかも知れませんけれども、組合に対する考え方も十分に理解あるというか、当り前と私たちは言いたいところでありますが、そういうふうな無用の刺激とか、或いは無用の抑えるというか、そういうことのないように当然お考えになつておると思うのですが、その点も今まで大臣の言われた言葉で大体私は推測をいたしておりますが、それはそれでよろしうございますね。
#52
○国務大臣(石井光次郎君) さように違法なりや否やという問題がいろいろ出ましたので、個々の場合でなければ判定できないものであるということを申上げました。実際上にどういうことが行われたか。ただ私どもは新聞紙上で或いは口頭で聞いているだけでありますから、はつきりしたところがわからないので、この問題がどうだということは言えないのであります。この間から組合の諸君にも特に私は休みを取るという問題の前に会つたときに、仕事の上に妨害になるようなことをやつてくれるとそれが違法という問題が起つて来る。そういうことになつて諸君の中から何人でも犠牲者の出るということは僕は忍びない。若しそういうことがあつた場合に、我々の同じ仲間だから勘弁してくれというような単純な、そういうふうな気持だけではこういうものは収まるものじやないのだ。昨年も犠牲者を出して、これはそのときは私はそういうことを、法律を知らなくてあらかじめ何とも言えなかつたが、今度はあらかじめみんなにそういうことのないようにということを頼んだのですが、どういうことになりますか。若し何にもなければ大変結構であるし、何かあつて、特殊なもので、これはどうしても法の建前上罰せなければならんというものがあれば、或いは罰せられる人も止むを得ず出て来るかも知れませんが、私も何も強権を以て抑えて、そうして非常に力の強さを誇るというような心持は勿論一つも持つておりません。又国鉄が国鉄の仕事を維持する上において必要なる秩序維持のための態度をとり得るということはあり得ると思うのであります。
#53
○大和与一君 具体的なことは自然別問題で、政府として考えることは、去年不幸にしてああいうことがあつた。こういうふうな一つの問題が起る可能性がある。その可能性は何かというと、仲裁委員会の裁定を完全に実施しないということが、素朴な四十万の職員の頭に一年ごとにだんだん積み重ねられてよく理解されて来たからこういうような反撥というか、闘争があるわけですから、これは初めにはよくわからなかつたから、一部の人はよくわかつておつたが、四十万の人が知らなかつたと、こういうことが言えると思う。それが四十万という人が全部考えて、どうしても憲法に反してマツカーサーの命によりストライキ権がとめられ、それによつて仲裁制度ができた。その仲裁制度によつてできたものが一向に実施されない。これは北海道、鹿児島の田舎に行つて見ると、従業員諸君もこれをよく理解して、これではとてもやり切れん。一体法律はどちらを守るのかということを言つているのでございます。これは政府もよくわかつているわけだから、そういうことにならないようにするためには、さつきも言つたように公労法の内容を変える、正しく変えるという考えをお持ちになつているかどうか。それについてお伺いをいたしましたわけでありますから、そういうことも十分に考えて、今年は今年でできるだけ大乗的に一つ適切にやつてもらつて、そうしてこの公労法の不備な点を早急に変えて頂く、こういう具体案を推進して頂かなければ、政府としての責任は免れない、こういうふうに考えますので、その点は一つ要望を思上げます。
#54
○一松政二君 ちよつと公労法の十六条、三十五条について、今大和さんから縷々御質問がありましたから、私はそれに関連して意見を述べておきます。三十五条は明確に二つに分れている。予算上、資金上可能な範囲のものは、これは服従しなければならんけれども、それを超える部分については、十六条によつて、そいつは国会の承認がなければ絶対にその効力、つまりそれの裁定によつて裁定の出されたものを実施に移すことはできない建前になつているのです、この法律で。で、次にこれは政府が裁定を完全に実施しないということで組合員から常に突込まれたときに、なぜこれをもつとはつきり説明しないか。裁定が最終段階には来ていないのです、この法律の建前から。組合員としてはそれを最終の段階にあると主張している。ここに根本的に政府の態度なり、国鉄当局がそれを明確に把握して、そうして説得しておれば今日のようなことは私は起らないと思う。若し裁定が最終的なものであるならば、裁定制度それ自身がもつと多くの、これは規模を拡大して考え、日本経済の全般を睨んで、そうしていわゆる勤労者の、今日の敗戦後の日本の国家経済における公務員或いは公共企業体職員の給与は如何にあるべきかということを考えて決定しなければならんと思う。昨日も今井委員長は、我我のそういう考え方の中にもちやんと考え方はある。併し今日の公労法における仲裁制度はそういう広い視野からやれない立場に置かれているから、我我は公労法に許されている範囲内において、ただその企業体としての損益勘定その他営業収支或いは資金があるかないかというような観点にのみついて、その観点から裁定を行なつているから、裁定それ自身に対して大きく国民的に、或いは国家的に、或いは国家の広い視野から眺めたらばいろいろな批判もあるだろうし、又いろいろな意見が出て来るだろう。そういうことは挙げて万々承知して裁定をしていると言つている。昨日の速記録をお調べになればわかるのでありますが、最終裁定を政府は守らないということを常に言われている。だけれども、裁定を守る、裁定を最終的に行うか行わないかということの承認を国会に求めている政府は、その予算上、資金上不可能な部分については、政府の責任は、全然政府を拘束してはいない。これは十六条が本条なんだ。だから三十五条と十六条とはこれは別な考え方から来ておつて、十六条の場合には、国全体のことを考えたいわゆる政府の立場から、或いは国家の立場から来るけれども、それを三十五条では、ただ公共企業体の企業体の中における予算収支、或いはその損益勘定から来る場合には、それをそのままそつくり行えと、併しこれを超えた部分は十六条の本文になり、十六条によらなければならないとはつきり書いてある。その点を私は明確に勇気を以てもう少し従業員諸君に理解して頂く私は努力が足りないと思う。公共企業体でありますし、公共企業体の公労法の職員諸君は、大和議員も言われたように、公務員と、或いは公務員よりも反対に窮屈じやないかというような、或いは見方によつてはそういうことも起るかも知れんが、これは必ず公務員法との関係が起る。地方公務員法との関係も起るし、それから国全体の勤労階級なり、或いは農民その他とのいわゆる生活状態が関連して来るのです。政府はもつと非常に広い視野からその責任を考えなければならんから、裁定が裁定通り行われない場合のほうが多いのが私は当り前だと思います。それが裁定通り行われるような経済情勢であり、その仲裁がそういうことを考えての裁定であるならば、私は行われるのが本当である。そういう観点から考えたんじやないということをはつきり委員長は言つておられました。それで又それについていろいろ批判もあるし、自分たちもそういう視野からは又別な考えが起るということを昨日言つております。でありますから、その裁定が行えない、これは政府の責任であるというときに、ただ政府が優柔不断な態度を示したり、或いはそれを明確に把握して頂かないと、無用の誤解と無用の紛議を醸して、そうして延いて迷惑するのは国民であり、職員諸君も決してそれによつて利益しない。
 それともう一つは、私はこの公労法、いわゆる紛議か、紛争かという言葉のあやですけれども、私どもは国民的に考えれば今日の紛争は、或いは紛議か、争議行為ですか、これは明確に法の一線を越えています。ピケ・ラインにしても、ああいう革命歌を高唱して、そうして赤旗を振つて、それが法に許されているということは絶対に言うことはできない。でありますからそこをはつきり把握して、そうして解釈を統一して、そうして従業員諸君に委員長も説明が足りないと言われた。私も説明が足りないと思うのです。でありますからもう少し、私は最初からの考え方に不統一はあつたのではないかという気もしております。今日こういう紛議を起しているのは、新聞にも叩かれておる通りに、政府の頗る不手際であることは確かに違いありませんが、私は無用の紛争を起しておるそれは、公労法の十六条と三十五条をもつと明確に把握されて、そうして今度は公労法のいわゆる争議行為なり、その他について中途からそういうことを言わずに、最初から、別に威嚇する必要はありませんけれども、ストライキをするという場合、争議行為を以て実力を行使するということは威嚇であります。争議行為ということは必ず威嚇を伴つておると私は解釈するのです。でありますけれども、それは別問題として、もつとはつきりした態度で、私は従業員諸君といわゆる腹を割つてやつて頂きたい。そういう点について今後又第二次か、第三次があるというようなお話でございますけれども、私は法に触れる。政府が実施しないからと言つても、これは責任を回避しているのでも何でもない。明らかにそいつをちやんと予定して法律ができておるわけです。これを竹を割るようにやるということは、私はこれは絶対不可能だ。我々五カ年或いは六カ年の問題と取組んでおりますけれども、割り切れない。割り切つたら日本のような経済、殊にこの給与の問題と企業体の問題というものは如何なる場合でも、そういう割り切れたような答えが出るはずはない。時と場合によつて常に変つておりますから、それをただ二、三人か四、五人の協議によつてそれが最終段階に来るようなそういううまい回答誓いうものはなかなか得られないのでありますから、私は今後まだ紛争は続いて起ると思います。でありますからそういう点に対してはもつと十六条と三十五条の関係をはつきり従業員に、或いは職員諸君に説明して頂きたいと思う。私どもは少くとも過去六年間これに取組んでおります。幾たびか、それは従業員か或いは職員諸君のほうからはそれを最終段階とすればいいけれども、そういうことをされたらたまつたものじやありません。国民を代表しているのは国会でありますから、その国会で、及びそれは当然政府がいわゆる責任を以て政府の責任においてやつておりますから、政府は裁定を呑まなくても、或いは一部やろう、全然拒否しようと、或いは完全実施をしようと、それは政府の責任においてやることであつて、それは決して違法でもなければ何でもない。私はそういうふうに職員諸君の十分な了解が遂げられるように努力をされたい。そうして私は今日までその努力が足りないと実は考えておりますが、その点に対しては、私は今後もう少しそういう方面にはつきりした態度をお出しになる必要があろうと思うのですが、大臣は如何にお考えになりますか。
#55
○国務大臣(石井光次郎君) 今のお示しようなことは、私どもこういうような答弁をする機会にはいつも申しておりますが、今お話のように、全国的に行渡るように、各公務員やら公共企業体に働いている者に、今言われたようなはつきりした説明等は恐らく行渡つていないと思います。実際の状況を知るということは、判断の材料を正確に把握してもらうということは、これは一番すべての問題の解決に大事なことであります。誤れる解釈のよいようにするために、みんなで本当の材料を提供し合うという意味からして、国鉄におきましても、政府におきましても、みんながよく了承する材料を提供するという意味で、今のようなことは誠に重要なことだと思います。今後の問題もあることでありますから、十分留意いたします。
#56
○委員長(前田穰君) ちよつと申上げますが、運輸大臣は次の約束の時間がもうすでに超過しているらしいのでありますので、特に大臣に聞いておきたいということだけの質問に限つて頂きたい。
#57
○大和与一君 今一松委員の言われたことが職員には徹底していないではないか、こういうようなお話があつたと思いますが、今のは一松委員の御高見、御卓見で、それが何も正確であり、絶対のものでないと思う。マツカーサー・レターによつてこの公労法ができましたが、あの当時の日本の社会情勢、或いは労働運動の情勢からいつて、マツカーサー・レターからできた公労法そのものが、この仲裁委員会の制度ができて、その制度は一部やつたらいいのだ、こんなふうなことは聞いたこともないし、そういうふうな意味では私はなかつたと思う。又慶応大学の峯村教授の著わした本を見ますと、GHQの立法府にその当時聞いたときは、全く問題なく、債権は発生する、こういうふうに立法府の責任者は言つた、こういう説明もしております。従つて独立した国の、日本の政府が主催な、そのときにはつきりした解釈というかをすればよかつたのだろうと思うけれども、そのときはずつと初めからいい加減にしておつて、それで今からやらねばならんわけですから、これはよく慎重に研究されて、そうして一つ、徹底するにしても正しい一つの見解を表明して頂きたいというお願いをします。
#58
○国務大臣(石井光次郎君) 私の申しましたのは、私どもが今ここで言うていることも、一々みんなに知らせるといような方法をとつてないのは事実であります。今もちよつと問題の出ました十六条の解釈は、私どもさつきもどななたかに説明したように、三十五条と十六条は、個人的に話をいたしたのでありますが、こういうふうな話と、実はこういうふうな委員会等で答える以外に、政府はこういうものの解釈をどうとつておるのだというようなことは、どういう問題につきまして、少し政府は周知せしめる方法が非常ににぶいことは事実なんであります。だからさつき申しますように、皆の公正なる判断の資料になるものをもつとみんなに知らしめるということは、この問題に限らず、そのことを十分にやりたい、そういうふうに考えております。
#59
○大倉精一君 関連して。今一松委員からいろいろ御意見があつたのですが、まあその説も尤もかも知れませんが、併しこの御意見も必ずしも自由党或いはその他のほうの御意見ではないと思うのですが、その中で非常に重要なことがあるので、この機会に運輸大臣に参考のためにお聞きしておきたいと思う。それは先ず一松委員のお話の筋は、仲裁裁定というものは、大体があればあの通りにやつたら国民が迷惑するものであつて、あの通りにやらないのが普通である、(一松政二君(いや、そうは言つていない」と述ぶ)あの三十五条と十六条の関係は、これは十六条が重点に当然なつて来る、従つてその場合に、政府はもつと公務員或いは国民に納得するようにさせなければならないのではないかというふうに聞いたのです。そこで私は全く反対の考えを持つておつて、この公労法の精神からいつて、この仲裁裁定というものは、もう最終決定で確定裁判と同じだという工合に私は考えておる。それによつてのみこの罷業権のないところの労働者の生活というものは、これは正当に守らなければならん。特にさつきのお話で行くというと、僅か三人や五人の者でこういう重大なものが決定されて、それを政府がやらんならんということになると、国民が非常に迷惑する、そういうようなお話であつたのだが、そういうふうなことになれば、この仲裁裁定という制度がいけないという結論なつて来ると思うのです。それで今私は、この国会においてこの制度がいいとかいけないということを論議すべきでない。これがいいにしろ悪いにしろ、とにもかくにも国民を代表するところの国会において正当にきめられたところの法律制度があるのですから、この制度の下に、どういう工合にこの制度を活かして行くかということは、この制度によつて如何に公共企業体の職場を確立して行くか、ここに重点がなければいけない。そこで私は第一番にお伺いいたしたいことは、今の一松委員がおつしやるように、この仲裁裁定というものはそのまま実行できないというのが多くの場合だとおつしやつたかも知れません。大体これは十六条を適用される場合のほうが多いという工合におつしやつた。そうして又仲裁裁定の、この二、三人の委員でおきめになること、そのこと自体が非常に権威のないもののように御意見があつたのですが、その点について一つ運輸大臣の御意見を参考のために聞いておきたい。
#60
○国務大臣(石井光次郎君) 私どももこの裁定に対しましては、できるだこれを尊重するという心持はいつも申上げる通り変りないのです。ただいろいろな事情のために完全に実施できないけれども、昨年もそうでありましたように、本年は特にこの金額の上においても一部実施ということも一つの考えとしてはあつたのでありますけれども、この裁定の来たるところのものは、その企業体のいろんな条件も考えてなされておるものであり、将来ともこういうことにして企業体の負担となつて行くのであるが、これで適当なりや否やというようなことなども考えてみますると、私は仲裁が、いろんな角度から入れられたものをできるだけ尊重して行くという意味においてその査定の金額をそのまま受入れる、これは何回かありましたが、これは崩れてないようでありますので、一つのこれが長い間の習慣と申しますか、こういう例になつて来て曾つて壊れたことはないのでありますが、今年といえども壊さぬほうがよろしい。実施期がたとえ延びても、半額にして初めからやるというより、全額にしてその趣旨を尊重したほうがよろしいという心持でありまして、その意味で仲裁は尊重しておるつもりであります。尊重してないじやないかという非難をする方もあるかも知れませんが、私どもの心持としては、政府は尊重しておると思うのでございます。この政府のある限りにおいて一向変りはないつもりであります。
#61
○大倉精一君 私の聞いておるのとちよつと違うと思うのですが、今の政府がある限り尊重することは変りない、これはどの政府でも法律によつてきめられたそのことを尊重する、これは当然のことだと思います。問題は尊重の度合いというか、精神というか、私の聞いておるのは、仲裁裁定というものは、これは尊重するのではなくて、これは完全実施をするということが固い原則の建前である。完全実施をするというのは、そういうふうに私は考えております。そうしてどうしても止むを得ないという場合には、先ず以て片方の当事者であるところの労組に対して、先ず第一番に納得させるあらゆる手段を講じなければならん。そうしないというと、この仲裁裁定というものは、現在の法律によると、労働者のほうは完全に文句なしに呑まなければならんと言い、片方のほうはこれはどうのこうのという理由をつけて、こいつをひん曲げてしまつても何とも言えないような考え方に立つておるのである。従つて衆議院におけるところの今井委員長の答弁の中にも、こういうことを言つているわけです。止むを得ずこういつたものが認められないと、こういう形になつて参りませんと、少くとも労働者の諸君は納得せられないと思うのです。つまりその理由をかくかくこうこうこういうわけだということを十分に言わなければならない。併しながら現在のように、或いは従来のように、闇から闇にわけのわからないような形で不実行ということでは、今後公労法という制度をなお続けて行くとすれば、いろいろ悪い面も出て来るということを言つておるのです。従つて私お伺いしておることの要点は、この仲裁裁定というものは、完全実施の大原則に先ずなつて来なければならんというふうに考えておるのですが、もう一回その点について御質問申上げます。
#62
○国務大臣(石井光次郎君) 完全実施ができれば、私どもも完全実施に決して反対でも何でもないのでありますが、それが実際上なかなかできないということのために設けられたのが十六条の規定でありまして、今年といえども、さつきから繰返し申しますように、日本の今年の財政状況から、そう早くからやるということはできなかつた、併し来年度はそのままずつと予算に繰入れるということに我々のほうは変つて来たのであります。
 それから一番私どもの今言われたのと、さつき一松さんも言われたのでありますが、これは内容に違いますが、筋道はそうだと思いますが、労務者の諸君に実情をよく知らさない、例えば大蔵大臣の議会における説明で事足りるということにせずに、もつと関係のところでこうこうこういうわけでこうだということをできるだけお知らせをするということが、これが本当に必要なことだと思います。私は国鉄の幹部の諸君は、労組の諸君には相当説明はしてくれていると思うのです。私も会つたときには、私なりの程度の話はしております。これつ一番大事なことだと思います。
#63
○大倉精一君 それで時間がないようですから要点を申上げますが、私の考えだけ一つ申上げて、次に質問を変えたいと思うのですが、よく知らせる、よく知らせるということだけでは足りないと私は思う。この場合にはよく知らせるということの目的は、これはその組合員が納得しなければいけない、労働者が納得しなければいけないということなんです。だからよく知らせるだけで十分知らせてあるのだ、事実も言つてあるのだというだけでは私はこの問題は解決しないと思う。それで労働者が納得するしかないかということが私はポイントになると思う。この点について、この納得するということ、納得しなければ勝手にせい、こういうような御意向ではないと思うのですが、その点は如何ですか。
#64
○国務大臣(石井光次郎君) 納得してもらうために事情を説明すべきものだと思います。併し要は、これは経済の、給与の問題でありまして、片一方はこれしか出ないと言い、片一方はこれだけでは満足できないということになつておれば、もうその突き合せのままでありますから、そこらで財政上のことに立てば、今度の問題にすれば、年末手当の問題でできるだけの折衝を両方でやつて了解し合つてもらうということ等に落着くと思うのであります。その前段としては、事情を説明して、これはあのときああ詳しく説明しておつた、この通りだ、それでも聞かんならお前らが悪いんだというので説明するものじやないと思います。
#65
○大倉精一君 そこで現在の状態について御質問するのですが、最近新聞を見るというと、この国鉄の紛争というものも、だんだん深刻になつて来て、来たる七日には第二波をやることになつておるようですが、この段階でこの解決をする手段としていろいろ新聞紙上その他に伝えられているのですが、その中で最も我々が関心を持つのは、いわゆる断固取締るという字が最近盛んに出て参りました。それで私はこういう労働争議というのは、中山会長も三日の日の毎日新聞で言つておられるように、こういう事態が発生している、この事態そのものが国民自体が非常に迷惑しているのだから、この事態を解決するというほうに動かなければならん。従つてこの争議は双方が正当なる争議であるという観念の下に、更に突進んで裸になつて団体交渉によつて解決する努力を、そこから解決の糸口を見出すべきだという御意見があつたように記憶しております。そこでこの前も大臣にお伺いしたのですが、現在のこの段階で、そういう非常な強硬手段を以てこの争議の鎮圧、解決というよりむしろ鎮圧を図ろうというような御意図があるやに感ぜられるのですが、そういう点についてのお答えを願いたいと思います。
#66
○国務大臣(石井光次郎君) 私は七日頃からどういうことが起るか詳しく承知いたしませんが、これは何かあれば弾圧するというようなことで大だんびらを振上げて威嚇しながら団体交渉をやるというようなことは毛頭考えておりません。たださつきも大和君の質問に答えましたように、法を破らぬようにしてもらわなければこれは困るのであります。政府が法を破つているからかまわないのだという、私はこれはどうも少し……、そうすると又議論があと戻りして来ますが、そういう意味で言う人たちばかりはないと思いますが、そういうふうな意味によく聞えるのであります。裁定を完全実施しないから政府が法を破つている、それだから従業員が法を破つたのも当然だ、これは私は論議がちよつと飛び過ぎていると思うのであります。どうか法を破らないようにして頂きたい。そうしてその中で話を、一つ両方本当に肚を割つて話合いをして、まあ今年の情勢はこの辺だということで落着くところを見付け出して頂きたいということを切に希望しておる次第であります。
#67
○大倉精一君 法を破らないようにというお言葉ですが、法を破つたのか破らないのかという見解は又おのずからいろいろ問題が出て来ると思いますが、国鉄の組合の健全性からいつても、私は良心的な行動をしてくれると思うのです。それで今の大臣のお言葉によると、もうこれは今後争議において弾圧とか、そういう強圧を以て組合に臨むということはないという工合に私は受取りをしたのですが、そういうふうに了解してよろしうございますか。
#68
○国務大臣(石井光次郎君) どういう場合でも処罰することのないということはわからないのであります。今おつしやつたように、個々の場合を十分調べなければ、新聞にこう載つておつたからあれはけしからん、こういう噂を聞いておつたから、これはけしからんというものではないのでありまして、十分研究をして、そうして国鉄が善処すべきものだ、それが更に公労法以上の範囲に亘つて刑に触れ、刑罰にかかるというようなこと等はあつてはならないし、又そういうことのないようにということを私は念願しておるわけであります。
#69
○大倉精一君 あと二点だけ御質問申上げます。
 それで、この事態を解決するには何といつても具体的な問題を投げかけて解決しなければならんと思うのですが、これも私はいろいろと噂に聞いたり、或いは新聞等で見るというと、年末手当〇・二五加えるのやら加えんのやらちよつと今のところさつぱりわけがわからん。或いは又国鉄は団交でどうのこうのというお話があるのですが、そういう具体的な問題について、具体的な問題を投げかけて解決する意図がないか。で、そういうことがあるとするならば、大体どういうような恰好でというような御意図があれば、この際一つ聞かせてもらいたいと思います。
#70
○国務大臣(石井光次郎君) それを私がここで申上げるのは話の筋が違うと思います。大体予算に出ておりますのは一・〇〇、それにプラスのアルフアーというものが団体交渉で初めて話がされるものだ、こう思つております。さつき大和さんに御返事申しましたから……。
#71
○大倉精一君 最後に一点だけ、これは確認になると思うのですが、この企業努力という、これはこの前の委員会ですか、天坊副総裁から私はお伺いしたのですが、企業努力或いは企業の合理化によつてというお言葉があつたんだが、その中には国鉄の人員整理ということが全然ないのだということを確認もしましたし、又衆議院においては、館君の質問のときもそういう御答弁があつたように思いますが、最近これも新聞によるというと、公社関係も人員整理云々という、誠に労働者にとつては由々しいものが出て来ておるのですが、この点について再度の確認を一つ……。
#72
○国務大臣(石井光次郎君) これは一割整理というような声が挙つて、国鉄の側にもいろいろ言われますが、現業の仕事をやつておるところに、ただ漫然と一割というようなことを言うても、それは実際上はできないということを、私はこの話のときの原則論として話をしたことがあります。それで組織が変つたり制度が変つたりして出て来るところのものはこれは別だけれども、今はそれほど無駄に国鉄はいろいろ普通の現業の場所では行われてない状態であるということを私はこの間申したのでありまして、それを裏書するような意味のことを、これは国鉄関係の人、閣僚その他の中で国鉄の人員のほうは、人の管理と申しますか、そういうことを非常に細やかにやつておるから、そう軽々に出すことはそれは不可能であるというような意味のことを説明しておつた人もありました。これはそういう意味でどれだけ整理するとか何とかいう、これは現業は現業の場面から割出すべきであると思いますが、それは一つもきまつておりません。
#73
○大倉精一君 ちつと今わからないところがあるのですが、それでは今のことはあとで長崎総裁にちよつとお伺いするとして、大体この最終的な私の質問は大臣のお言葉では、結局現在の事態は解決するということが、もう第一問題としては解決するように努力をするのだと、従つて、それがためには無用の刺激を、或いは首を切るとか、或いは処罰をするとか、そういうようなことをその場になれば事態によつてはやるが、そういう無用の刺激はしないというようにお答えになつたと思いますが、さようでよろしうございますか。
#74
○国務大臣(石井光次郎君) 今から言うことを聞かないと首を切るぞというようなだんびらを横に控えて折衝するようなことは断じていたしません。私さつき申しましたように、法の尊厳を破るようなことがあつて、それにはつきり触れるようなことがあつた場合に罰せられることがあつても、これはその個々の場合にきめるべきものであつて、絶対に今度の問題で儀牲者がどういうことをしても出せんということは申上げられないのであります。
#75
○大倉精一君 長崎総裁にちよつとお伺いいたします。
#76
○植竹春彦君 ちよつと大臣にまだ……。
#77
○委員長(前田穰君) 大臣を先に済ませて下さい。
#78
○植竹春彦君 先ほど大和委員の御質問中に、支払能力につきまして、次回に政府のほうから答弁を得たいようにお話があつたその問題でありますが、予算上、資金上というのは、我々は支払能力の有無だけで裁定をなすべきものじやない。裁定の際には、一般物価へのはね返りや、一般国民生活への影響、又他の勤労者の公平というようなことを考えて裁定すべきものだと思いまして、その意見を付して、その意見に対する質問を昨日の運輸委員会で仲裁裁定委員長の今井委員長に質問したところが、大臣は御欠席でありましたが、その際に先ほど一松委員から述べられましたような御答弁が私に対してなされたのであります。私は今のような意見を持つておりますが、大臣といたされまして、つまり政府といたされまして、この仲裁の本文の中には、やはりその国鉄と組合との間の原案についてのみ、その視野からのみ裁定を行うべきじやない。さつきに申上げましたような広い視野から国民経済全体について、殊に物価のはね返りといつたようなものについてこの仲裁があるべきだと考えますが、それに対しまする政府としてのお考えを承わりたいと思います。
#79
○国務大臣(石井光次郎君) これはこの間どなたかの質問で本会議で私がお答えしたと思うのでありますが、私どもがこの裁定を来年の一月からということにきめたのは、今年の水害という非常な、風水害という特殊な問題もありましたけれども、それと同時に日本の財政上のいろいろな情勢と見通し、それから公務員との振合い、他の公共企業体の裁定との振合いというようなこと等もみんな合せあつて、これはこういうふうなことになつた。それが私は適当なりと考えて提出するのだと、そういうことでございます。
#80
○植竹春彦君 そういたしますと、それらのことについて十分な考慮を払われていなかつた今回の仲裁の結果に対しまして、仲裁に瑕疵があるというふうな御感想はおありになるのでありますか。
#81
○国務大臣(石井光次郎君) 私は仲裁の裁定書を拝見いたしましたのでありますが、これはこの労務者の生活、それから一般の物価の高騰と、それからその財源というようなものをいろいろまあ考えて、先ずこのくらいが適当だというふうにおきめになつたものと了承しておるのであります。それで私どもが仲裁を尊重すると言い、成るべくその金額を崩さないように、不完全なりと言われながらもその金額をそのままとつておりますことは、こういうふうなことで成るべく沿うて行きたいという心持であります。そうしてそれの調べがいろいろな方面から企業体としてはよく調べてあるわけでございますが、ただ私どものほうの実施の時期の問題になりますと、今のような問題も合わせ、又裁定書の中で言われるような収入の途をすぐ上げることも困難なものがあり、実際上はできないというものが多いのであります。やればやれんこともなくできるものもあると思うのでありますが、政治的に見て実際上できないものもあるということ等も合せまして、いわゆる尊重しているという言葉を使つているわけでありますが、これは決して間違いとは存じませんが、いろいろな情勢から今のようにするだけの事例が生じたわけであります。
#82
○植竹春彦君 私の質問いたしております要点は、つまり仲裁するに当つて諸般の事情を条件として考慮すべきであつたのに、その諸般の事情は考慮せられなかつた、極く狭い視野からのみ仲裁されたその仲裁に対して、仲裁に瑕疵があつたとお考えになるかどうかという極めて簡単な御答弁で結構でございます。
#83
○国務大臣(石井光次郎君) 裁定をされました上に私は相当大きな、間違いとは思いませんが、実施するに当りまして、本年の場合にどうも裁定者の考えておられますような財源がその通り行かないというふうな問題等もありまして、実際と少し離れているということは言えると思います。
#84
○植竹春彦君 次に、本日の新聞にも出ておりましたわけでありますが、法律通りに勤務をするというと却つて列車の運行がとまる、こういつたような今の公労法に改正すべき点があるように思われますが、それに対する大臣のお考えを伺いたいと思います。
#85
○説明員(細田吉藏君) いわゆる遵法闘争が争議行為になるかどうかということなんでございましようか。
#86
○植竹春彦君 遵法闘争、法律を遵奉する。厳格に公労法に準じて勤務をするというと却つて列車の運行が非常にとまつてしまう、不便を来たす、そういう点につきまして、これは公労法そのものに欠陥があるとお考えになるかどうかということであります。
#87
○説明員(細田吉藏君) お答えを申上げたいと思いますが、組合の側でもいろいろな言葉を使つておりますが、一日、二日、三日行いましたのは、これは遵法闘争というわけではございませんで、その前の段階が遵法闘争なんであります。遵法闘争をやると列車が遅れる、正常に貨車が例えば動かないということにつきましていろいろ新聞等にも批判が出ておりますし、只今御指摘になつたような点がある。これは遵法闘争というのはどういうことかと申しますと、公労法の枠内であることはこれはもとよりであります。そのほかに国有鉄道の内部にいろいろ総裁の示達その他が出ているわけであります。これはいろいろ例えば列車の運転あたりが一番大きな安全の確保の点からいやかましい規定があるわけであります。この中には非常に重大なもの、どうしてもなければ絶対危いものと、それから何と申しますか、いわば小さな条件もあるわけでございます。例えば機関車にはこういうものを備え付けなければいかん、車掌はこういうものを持つていなければいかんといつたようなものがあるわけでありますが、これが何らかの関係で軽微なものが抜けておるというような場合に、規定をそのまま杓子定規に解釈いたしますといかんということになりますので、それを通常遵法闘争と言われておるやに考えるのであります。こういつた点につきましては、これらの規定を更に十分検討いたす必要があろうかと考えておりますが、と同時に、きめたことは必ずできるような状況に持つて行く、例えば何かちよつとしたものでもないことのないようにしなければならないじやないか。一方では規定を十分検討する必要があると考えておりまするし、又他方では規定したものはとにかくそれは絶対守れるということにいたせば、非常に滑稽な、遵法すれば汽車が動かなくなるというようなことはなくなると思いますので、十分そういう点は国有鉄道のほうでも検討をいたしたいと思います。
#88
○植竹春彦君 最後に、今回の裁定によりまして財政措置が必要になつて来ると思うのでありますが、運賃値上げ等につきまして政府のお考えを伺いたいのでありますけれども、時間その他の御関係がおありのようでありますから、これは国鉄当局に質問いたしましたところを以てこの政府のお考えと御同一であるというふうに解釈して、即ちお打合せ済みであるかどうかという点につきまして、時間がおありなら大臣にお願いいたします。
#89
○国務大臣(石井光次郎君) 私は今までのところを申上げてあとは国鉄総裁にお願いいたします。来年度の予算を編成する時期に当つておるわけでありますが、まだ一々の問題について話合いを進めておりません。けれどもこのベース・アツプだけではないのでありますが、国鉄といたしましていろいろ改良工事その他の問題につきまして相当金が余計要るというので、これにつきまして第一番にやるべきことは、平たい言葉で言えば、経営の合理化という線をやりまして節約すること、利益を上げること、積極的、消極的面において数字を出すことを第一番に考えなければならないのであります。そういたしまして、足りるか足りんかという問題になりますと、どうも今まで私どもの耳に入つておりますところでは、少しく金が足りんようであります。少しくと申していいか、とにかく金が足りん、それでどうしてもそうなりますと、運賃の値上げというところに行くよりほかに芸当のないということでありまして、併しそれならば一体どれだけ上げるか、何を上げて出すかという問題等にかかつて来るわけであります。中には二等以上を上げたらどうかというような話、お客だけにしてというような話等も出ますが、これはそれをやつたつて十数億くらいしか出ない、一割か二割上げたところが知れたものだということになりますので、ベース・アツプで百二十億、年末手当等を加えると相当要るのが、一体そういうことでやれるかどうかというような問題と、そういうことにも手を触れずに行ければ一番結構でありますけれども、恐らく手を触れなくてはならんじやないかということを考えますけれども、この運賃値上げには誰も賛成者はいない、恐らく。私どもも賛成いたしておりません。何とかして割出して行けんかというので今研究をいたさしております。あと国鉄総裁から御説明申上げます。
#90
○森田義衞君 関連して。先ほど大臣から年末手当を一カ月分予算を組んである、それ以上は働きによつて利益を上げたものを支給を増してやろうといつたようなお話なんでありますが、問題はその利益を増したという見方になつて来るのでございますけれども、例えば国鉄の場合に仮に増収が予算よりは五十七億くらい多くある、それに出費が二十七億、それを引きまして三十億が増収になると申しましても、災害ははつきりわかりませんが、七十数億、八十億近い特別災害があつたということになりますと、それは吹つ飛んでしまう。そういつたほかにも或いは御面倒願いまして、或いは償還する三十億の金をどうするとか、或いは建設案どうするとかいろいろな御援助を願つておる面がございますが、更にそれ以上に何とかして、実際よく考えれば、災害がなかつたら働いた結果が出ておるのだ、こういつた事情もあり得るのじやなかろうか。国家全体の財政資金の非常にお困りになつておることはよくわかりますが、やはり他産業と比べて相当事実上は能率が上つたが、災害のために止むを得ない、これは私鉄におきましてもそういつた災害に対しては相当借入金をやつたり、その他の方法をとつてやはり復旧する。特に銭進のごときはどうしても浮かさなければなりませんから、その年度においてやつてしまわなければならん。そういつたことになりますと、ほかの災害でも二年とか三年で政府が九割補助してやろうといつた性格を持つておりますが、勿論こういつた国の費用でございますから、自分でやることは当り前ですが、これをその年度だけでやつてしまうということは非常に無理じやないか。そこで企業能率が上つた見方に対して、災害との関係をどういうふうに御覧になつているか、この点につきましてちよつと御説明願いたい。
#91
○国務大臣(石井光次郎君) 災害が百億ちよつと上廻つておるわけでありまするが、本年度が八十数億復旧のために必要でございます。これに対しまして非常なラフな見返りになるものを申しますと、政府から昨年ベース・アツプと運賃値上げのズレがありましたために借りた三十億を本年返すのをこれを返さんでいいように、来年まで待つてもらうように大体話をつけまして、それが三十億、それから新線建設の中に、本年度内に着工するときまつておるようなものは勿論皆やりますけれども、それで事業繰延が十九億、そうすると四十九億、それから予備費が相当あります。予備費の中から三十数億出しまして、節約等が今後あるかわかりませんものだけは予備費を少し残しますが、それによりまして大体八十何億見返りが大体できるという考えでございます。それで利益の上つた、今年も相当自然増の利益が上りました。それから又石炭の節約等によりまして、石炭の値段を下げ、その他によりまして利益が上つておるもの等がほかの節約と合せまして、ベース・アツプやら年末賞与の問題ということに廻すという、大体皆一本になつてやることは御承知の通りと思いまするけれども、見返りはその通りであります。
#92
○森田義衞君 今の三十六億の節約といつても、相当修繕費の節減、国鉄で相当無理をした節約分も中にあるのではないかといつた感じがしますが、とにかくまあ暮に幾らやつて頂けるかといつた問題が、こういつた災害その他国鉄が無理をして捻出する、或いは合理的にやつて頂いたものもいろいろあると思いますが、実情を言えば、昨年の暮には一カ月余程度の金が出ておる。今年は組んだものは僅かに一万三千四百円ですか、ベースだけのものであるというと、実質的に暮に皆が期待しておると申しまするか、予算的には或いはよく知つておれば期待ができないのですが、やはり実際のところということになりますと、やはり皆の生活が、日本人の生活習慣と申しますか、暮で始末をしなければならんといつた気持のものも多いのではないか。こういつたところを、働いた計数をよくお考え願いまして、財政支出の非常にむづかしいときでございますが、その点も国鉄の働いた計数なり、或いはそういつたような経理の姿というものを十分お考えを願いたい。こういう希望を申上げて置きます。
#93
○大倉精一君 総裁にちよつと一言お伺いしたいのですが、先般のこの委員会で天坊副総裁からお伺いしたのですが、この今度のベース・アツプ、或いは年末手当その他国鉄の自己資金で以てそれをやるということについては、いろいろ機械化、合理化を考えておる。合理化という面はどういう面をお考えになつておるかという質問に対して、例えば燃料の節約を行うというような例を挙げられましたが、そのときに、この際人員整理は全然ないのかということをお伺いしましたが、この際人員整理は全然考えておらない、むしろ増員のほうを考えておるというお答えであつたが、そのことは相当重大でありますので、総裁如何でしようか。もう一度お伺いして置きたいと思います。
#94
○説明員(長崎惣之助君) 私ども御承知のように、昭和二十三年度が一番多くて六十何万人ですか、爾来非常に人員の自然減その他特殊な整理もやつたことがあつたようでありますが、私が参りましてから、大体自然減でずつと来ておるというのが常態であります。これはもう大倉委員よく御存じでありますが、世間往々にして非常に過剰な人員を持つておるのじやないかということを申されます。これは極く最近までは或る部分々々、職場々々で以てはそういうふうな現象があつたかと思います。併し今日の情勢におきましては、もはやそういう非常な過剰人員を持つておるというような特殊職場は殆んどございません。或る職種によりましては、むしろこの際増員をしなければならんのじやないかというふうにさえ考えております。と申しますことは、私は若し機械化というようなことということが徹底的に行われるならば、或いはまだ人員を減すということも可能であろうかと考えております。併しながらこの機械化をやるためには相当の資金が要ります。その資金がなかなか今日潤沢でない場合に、そういう機械化によつて人員の整理をやるがいい、或いはそういう資金があつたならば、むしろサービスの改善であるとか、別の方面において経営の合理化をやるというふうに使つたほうがいいか、これは非常に考えものであります。考えものでありますが、大局から参りまして、私は今の事情ではむしろ人員整理のための機械化をやる金があるならば、もつとやるべきこと、いわゆる我々の本来の使命である社会奉仕、パブリツク・サービスというふうな方面にもつと改良、改善を加える、そういう方面に使つて行かなくてはならないのじやないか、そういうふうに考えておりまして、今のところ人員整理、今のいわゆる命令を以て大げさに言う人員整理というものはむしろ困難であつて、それよりは緊急のとこに増員をしなければならない、かように考えております。
#95
○大和与一君 組合との当面の問題に解決のめどといいますか、今日から何日であるかわかりませんが、組合としても一つお考えになつておることもありましうが、それとの関連においてどうしてもそういうことは解決しなくてはいかんということはどの辺にめどを、目安を置いておられますか。
#96
○説明員(長崎惣之助君) これは大和さん御経験大いにおありですから、釈迦に設法ですが、やはりこれは無理するわけにも行かず、幾らプログラムを組みましてもスケジユールを立てましても、その通り行くものではありません。やはりその空気、雰囲気というようなものもいろいろございますので、といつて、すくんでおつて何も言わんということも駄目でありますが、私は今日の午後にでも団体交渉の糸口を開いて、そうしてこれは或いはさつきどなたからか衆議院における質問もございましたが、何ら具体的案なしに話しても駄目じやないかというお話もございましたが、併し我々がお互いに話合つている間に、お互いの胸のうちに持つておる何か知らんものを私は感じ取ることができるのじやないか。そういうことによつてだんだんと何といいますか、考えておる範囲もわかる。お互いの気持もわかつて行く。そうしてやがてその間には国会の審議もだんそれ進むでありましようし、いろいろな事情が判明して参りまして、結局妥結して行く。互譲の精神により妥結ということに行き得るのじやないかと思う。こう思つてそれを望みに今日からでも組合のほうでさえよければ、私どもとしては即刻団体交渉を開く、或いは何と申しますか、小会合と申しますか、そういうようないろいろなものを持ちまして、悪く言うと腹の探り合いということでありますが、そういう意味でなしに自分たちの考え方というようなものを言い合つたらいいのじやないかとこういうふうに今日のところはそう思つております。明日になつてうまく行けば一歩前進させよう、一歩進めて行きたいと、こういうふうに思つております。
#97
○大和与一君 組合が更に激しい攻勢を計画しておるかも知れませんが、それを回避してまとめる、こういう決意でおられるわけですね。
#98
○説明員(長崎惣之助君) できるだけそういうものを回避しまして、妥結の方向に持つて行きたい、そういう私は決意と言つても、あれでございますからどうなるかわかりませんが、私の希望としては、強いそういう希望を持つておるわけであります。
#99
○大和与一君 その根拠になるものは、先ほど運輸大臣が回答されました一つの線がある、それをうんと盛上げて行くわけですが、そういうことも大体にお考えになつておる、こういうことですか。
#100
○説明員(長崎惣之助君) 無論そういう線も出て参りましようし、いろいろなところでこちらも努力をし、組合の幹部の方々にもできない努力をお願いしなくちやならんことになるかも知れません。その代りこちらも又非常にむづかしい線を越えなくちやならん場合もあるかも知れません。
#101
○委員長(前田穰君) 私一つお伺いしたいのですが、これは政府からお答え下すつても、国鉄からお答え下すつてもいいのですが、今まで公労法三十五条と十六条の規定の解釈についていろいろ議論がありまして、非常にむづかしい問題だと思いますが、どちらの結論になりましても、当面国会に提出されておるのは、予算上、資金上不可能だ、こういうことなんであります。それに対して仲裁裁定は、その理由書の六に、国鉄の財政について所見をたくさん述べてある。そうして今日まで説明を伺つたところでは、本年に関しては、この理由書の六の中の三番目のパラグラフに書いてある部分の大部分が取上げられていろいろ御説明になつておるのでおります。本年のところでは一月以前には遡れないということが、この理由書の六を全部を御研究になつて出された結論であろうと思いますし、そうして裁定の金額を実施することは、平年度におていも可能である、こうお認めになつたのだろうと思うのであります。その理由書の六つの中で、従来お取上げになつていない部分について、どういうふうな具体的の考えを持たれておるか。これは主として運輸省でお考えになる部分もありましようし、主として国鉄でお考えになる部分もあろうと思うのでありますが、取りまとめて頂いてもよろしいし、両方伺つてもいいのであります。
#102
○説明員(長崎惣之助君) この理由書にはいろいろなことが書いてございます。そのうちで我々が今度実行に移すことができました一番大きな問題は、本年度政府に納入すべき借入金の返済三十億円の納期の延長というのが一番大きな金額であります。そのほかには、先ほど来大臣から申されたと思うのでありますが、建設線の約二十億に当るというものがございます。そのほかにはまだ五十六億に亘る増収の結果といたしまして生れて来た金もあります。更には予備費の三十六億もあるというようなことで、それを使う。非常なやりくりでございまして、実は三十六億円の節約ということによつてどういう結果が生れて来るかと申しますと、相当やはり修繕費その他を節約いたしておりますから、これはやがて又やらなければならない、来年度でやらなければならないかどうかは別にしまして、数年度に亘つて少くとも回復して行かなければならないということになろうと思います。ただ石炭費の節約のごときは、これはカロリーのいい石炭になりましたり、或いは焚き方が上手になつた、或いは購入炭価が下つて来た。これは恒久的に続いて行くものでありますが、かようなわけでございますけれども、今年度のベース・アツプを平年度に直しますと、今のところの見通しでは、少くとも百二十億円くらいかかるということでございますからして、今申上げたような程度だと三十億円ぐらいの返還延期ということも、いつまで待つてくれるか問題でございます。来年は返さなければならん。更に二十億円の建設線の繰延べというようなことも、これは早晩やつて行かなければならんし、又今年度内のやりくりでありまして、来年度になるとそういうふうに行かないというようなことでございます。従いましてこれをどう埋めるかということにつきましては、今後いろいろ考えなくちやならんのであります、経営の合理化だけでやつて行くことは不可能ではないかと考えます。殊に経営の合理化と申しましても、先ほど大倉委員の御質問にお答え申上げましたように、人を減らすというためには機械化をしなければならん、或いは電化というものは相当利益になるけれども、これはやはり資金が要る。デイーゼル・カーを地方ローカル線に動かしますと、これも少くとも損を少くするという意味で役立ちますが、これ又相当な資金が要るという面でいろいろ制約いたされますので、これが解決をそれらの経営の合理化によつてのみやるということは、数年たてばそういうものは効果を表わすということになりますが、すぐには間に合わないというふうな関係がございまして、結局今のところ、私どもとしては大部分のものはやはり運賃を何と申しますか非常に物価とアンバランスになつておる運賃というものを何とか考えて行かなければならん、かように思つております。実は昨年私ども二割五分の運賃の引上げによつて経営の好転、財政面の好転ということを是非やりたいと思つてお願いしましたけれども、政府の財政、経済、社会情勢一般の面からいたしまして、一割にとどめられたというようなわけで、非常に四苦八苦しておりますが、これにつきましては、いずれ機会がございましたらもう少し詳しくいろいろお話をいたしまして、日本国有鉄道の現在の経営の当面する、財政の当面しておる危機と申しますか、そういうものの原因がどこにあるかということを、いずれ機会のあるときにもう少し詳しく申上げて、これに対する救済の方法は一体どうすればいいのかというふうなことについて、私もいささか案を持つておりますが、お力を得、お考えなどを拝聴します機会が欲しいと、近いうちにそういう機会が欲しいと、かように考える次第でございます。
#103
○委員長(前田穰君) この裁定書の六の理由の中には、一番最初のパラグラフに何か細かいことがたくさん書いてあるのでありますが、これは去年から言つておいたのに少しも手が着いていないといつたようなやや非難のようなことが書いてあります。それから更に進んで四番目のパラグラフには、ちよつと言葉は違うかも知れませんが、国鉄が公共企業体であるから、普通の営業であれば負担しないような損失を生じておる。これに対して国家が一般会計から何かの手配をすべきじやないかといつたようなことが書いてあるわけであります。それからもう一つおいて六番目のパラグラフにも、私鉄の何といいますか、工事費関係と国鉄のそういつた戦災復興その他の工事関係との割合の差が書いてあつて、これなんかはもつと繰延べというか、何というか、なすべきじやないないかといつたような意味だと思うのでありますが、こういうことについては、どういうふうにお考えになつておりますか。
#104
○説明員(長崎惣之助君) 最初に指摘してございます高架線下用地云々というようなこと、つまり使用料、賃貸料などの一般の民間水準への引上げということでございますが、これは誠に御尤もでございます。御尤もでございまするが、これを一挙に一般民間水準に引上げるということは、技術上非常に私は困難であろうと思います。徐々に引上げるということは不可能ではないと思いますが、こういうことは実は国鉄としましては、例のこういう使用料、賃貸料のようなものの統制令があります。これに服して来ておる。ところが民間においては、もとよりそれに服しておるわけでありますが、いろいろの手段が行われておつた。こういうことは国鉄においてはやられておらなかつた。こういう点が一つございます。もう一つは、これは過日来の衆参両院の決算委員会その他で問題になつた点なのでありますが、私はそのときに率直に申上げたわけであります。実はこういうものは決して軽視していいことではないけれども、本業のほうの国有財産たる鉄道の財産の利用という面には、本業がございます。その本業のほうの復興、復活に忙がしくて今日でもまだローカル線などは十分な利用をしていない。善良なる管理者の利用というのはそうではない。それに忙がしくて実はそういうふうなものが多少手抜かりになつておつたというわけなのであります。のみならず、御承知のように終戦後非常に乱脈な状態でありまして、これらの整理或いは値上げというふうなことについても、幾多の困難があるわけであります。それからこれにつきましては、国会の御意思のあるところもあり、或いは民衆駅等運営委員会というふうなものを設けてこれらの対策、根本的な考え方をどうするか、或いは大阪鉄道監理局、東京鉄道監理局には評価委員会というものを作りまして、これが民間の有識の方々にも入つて頂いて適正な評価をするというようなこと、更に最近は臨時固定財産管理部というものを設けまして、専心それらの問題について取組んで行き、これらを解決して参りたいと思つております。いずれかすに時日を以ていたしますれば、相当の成績を挙げ得るのではないかと考えております。死過蔵用品とかいろいろなものにつきましては、これは大いに整理をいたしております。大体において一般経費の節約についてもできるだけの軽減はいたしておりますが、御承知のように人件費が相当の部分、或いは動力費、或いは修繕費というようなものについては、そう大した節約の余地はないのでありまして、これはやりましてもそんなにたくさんのものは出て来ない思います。
 それから営業の効率の悪い線でありますが、これに対しましては私は今新線建設については、こういうような提案を、提案と申しますか、意見を聞いておるわけでございますが、新線は成るべく我々国鉄の企業採算の面から見ますとやりたくない、と申しますことは、非常な損失でありますから、現在着手いたしております三十本の線ができ上りますというと、今の予想では年年四十億程度、或いは五十億程度になるかも知れませんが、その程度の赤が出ます。そうしますとこれらの線路というものは恐らく十年或いは二十年、もつとかかつても収支のバランスがとれないのじやないかと思われます。仮に二十年といたしましてもこれが積りますと約千億ほどの借金、こういうことになりますので、そうなりますと国鉄の経理というものは一体どうなるのか、非常な疑問になるわけであります。が併し新線はそれじや何もやらないのかと言いますと私はそうじやない。やはり電源開発でありますとか、国土開発でありますとかという面において鉄道が必要であるということになりますと、殖えたほうがいいのではないか。それによつて今まで開発されなかつた自然のエネルギー、或いは木材、森林資源、或いは鉱山資源というようなものが開発されまして、未利用の物資が利用し得るような状態になるのでありますから、大変国家全体、或いはその事業主、或いは経過町村というような所では非常な利益をするのではないかと思います。そこでなぜそんなら国鉄だけが赤を背負わなければならんかということは非常に疑問だ。それらの受益の分配と申しますか、そういうものを公正にし得る方法がありますれば、これは国鉄といえども、やはりこの分配の一部にあずかつて、そして運営して行つたらいいじやないか、こういうふうに考えるわけであります。営業効率の悪い線に対しましても、私は同じような考え方ができるのではないかと思います。
 それから最後の復興、復旧の問題でございますが、これにつきましても、少し独断的意見であるかも知れませんが、こういう復旧、復興、或いは今度の水害の百億の大きな災害費というものを背負わなければならん、こういうふうに皆さんから考えられることは、公共企業体だからということもありましよう。併しその根本には、どうも国鉄というものは独占企業である、こういうふうなお考えからこれは根ざしておるのではないかと思います。ところが私どもの企業は、今日バス、トラツクに非常に食われておりまして、決して昔日のごとき独占企業ではないのであります。ところがバス、トラツクの運送業者はバス、トラツクを運転しておるだけでありまして、道路、橋梁その他の改善、改修、保守というものは全部これは他人様がやつております。でありますからそういうものが水害、災害を受けました場合には、そういう道路の補修なり、或いは橋梁ができなければもういたし方ないと言つて休んでおるわけであります。ところが我々のほうはもう即刻それらんものまで全部直して、そして動かさなければならんというところに、何か少し現在になりますと運輸全般に亘つての考え方を変えて頂かなければならんのじやないか。これは運輸大臣のいわゆる方策と申しますか、そういうところに入るきらいがあるのかも知れませんが、私には何かそういうことが感ぜられるのであります。そういう感じを持つてヨーロツパその他の鉄道を今度見せてもらいましたが、やはりそういう問題が至るところに起きております。そしてフランス、ベルギーにおきましては、復旧費、或いは空災の復旧費その他について相当国が負担をいたしております。更に経営の改良費とか、更新費というようなものにつきましても国がやはり相当に負担をしておる。例えば国道の平面踏切の監視守その他につきましては、国と国鉄とが半々に負担しておるというような工合で、道路交通の発達に伴う鉄道の観念の変革というものについて相当な注目もし、いろいろな方策を講じております。今西ドイツのほうから日本に交換留学生として二、三人来ておりますが、その交換留学生の話を聞いてみますと、やはり西ドイツの鉄道におきましても、或いは運輸当局におきましても、鉄道運送と道路運送の協調をどうするかという点で、いろいろと考えておるようであります。私はこれも少し余計なことでありますが、昔はトラツク、バスと鉄道とが競争しようという立場でありましたが、もうそういう時代は過ぎて、これからどうして協調、協力させるか、調節するかという面でこれは話をして行かないといけないのではないか。それにはまだ幾多の問題がございますが、そういう意味合いにおいて、軌道と申しますか、軌道の負担と道路の負担というものについて、何か考えを新らしくする方法がないかというふうなことも考える次第でありまして、ちよつと仲裁委員会の委員の見方とは違いますが、これにほぼ似たような、いわゆる補助という意味ではなしに、そういう交通政策全般の転換というふうな面からお考えを願つたらどんなものかと、かように考えております。
#105
○委員長(前田穰君) 最後に、先刻来ときどき話題に上つておる運賃値上げでありますが、いろいろな合理化、増収等を見込んで足りなければ、結局値上げに行くのだ、こういうふうな御趣旨のようでありますが、無論必要とする金はベース・アツプに百二十億のみならず、そのほかにもあるわけでありますので、それらを皆睨み合しての上で、どういう規模の運賃値上げをするかということをお考えになるわけでありましようが、従つてどういつた運賃値上げを考えておるかというお尋ねをいたしても無駄だと思うのでありますが、何か構想の中に運賃値上げはどういうふうに持つて行くつもりだというようなお考えがあれば一つ伺いたいと思います。
#106
○説明員(長崎惣之助君) 今御質問の中にも我々の考えておることを御忖度になつていろいろお話なされたようでございますが、実際今日のところ、まだ確たるこういう方法でこういう範囲でこういうふうにするというようなことは固まつてもおりませんし、運輸御当局との話合い、折衝ということもあります。ただ私又ヨーロツパの話をするので少し恐縮でございますが、運賃値上げをした結果、旅客、貨物のよそへ逃げて行くようなやり方をすることは愚である、やはりそういうことでなしにということが一番根本の考え方だと思います。下手なことをいたしますと、折角こつちにあつた荷物なり旅客なりがよそへ逃げて行く、それではいけない。それだけその主義をどこまで通せるかということを言いますと、これ又いろいろの条件が起きて来てむずかしいのでありますが、そういうふうなことでできるだけ我々の所期の収入を確保できるような方法ということを考えております。なお運賃は私は公平にいつてそう高いものではないと思いますけれども、併し安いほどいいのでありまして、できるだけ国民の皆さんの御負担を増さないようにしなければならんということは、第一原則として考えております。
#107
○委員長(前田穰君) もう一点、これは只今の御説明に対する質問になるのですが、戦災復興、その他の点をいろいろヨーロツパの例を引いて、国が負担するというような方法も考えられるというようなお話もあつたのですが、この理由書に言つておることは、そういうことじやなくて、工事は必要なことはすぐやる。そして損益計算を償却と同じように後年度に繰延べると、こういう趣旨を言つておるのではないかと思うのですが、今回の水害対策に関する財源を求める中で、債務を返還するのを一応延期する。これはもう明らかに繰延的のことで、理由書の書いておるのと同じことなんでありますが、その他のことは必ずしもこの理由書の示唆しておることは違うように思うのですが、後年度へ損益計算を繰延べると、こういうことを言つておるのではないかというように私は思うのですが、如何でしようか。
#108
○説明員(長崎惣之助君) これは必ずしも損益計算だけではないのじやないかと思うのでございますが、さつき復興、復旧、老朽、荒廃に対する修繕というのですが、これはやはり取替えみたいなことを言つておるのではないかと思うのであります。仲裁委員長なり仲裁委員の方は、いわゆる経理的な用語を以て必ずしも言つておるのじやないと思います。その面から申しますと、三十億の借金を返すのを繰延べる。もう一つは、二十億の建設線、これは建設線は借入金でやるのを建前としておりますが、これは資金に別段区別はございませんけれども、大体そうなつておりますが、繰延べと言えば繰延べになると思いますが、五十億くらいは繰延べられたような借入金という名目の下にやつたとお考え下さつてもいいと思います。
#109
○委員長(前田穰君) ほかに質問ございませんか。
 それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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