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1947/07/12 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第16号
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1947/07/12 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第16号

#1
第001回国会 本会議 第16号
昭和二十二年七月十二日(土曜日)
    午後二時二十分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第十五号
  昭和二十二年七月十二日(土曜日)
    午後一時開議
 第一 財産税等收入金特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 造幣局特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 昭和二十二年法律第五十四号私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 両院協議会規程案(議長発議)
 第五 両院法規委員会規程案(議長発議)
 第六 常任委員会合同審査会規程案(議長発議)
 第七 衆議院事務局職員定員規程案(淺沼稻治郎君外七名提出)(委員会審査省略要求事件)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(松岡駒吉君) 内閣総理大臣より、新聞及び出版用紙割当委員会の委員に参議院議員赤松常子君、赤木正雄君、河崎なつ君を充てるため、行政調査部の顧問に本院議員松岡駒吉、参議院議員川上嘉市君を充てるため、中央農地委員会の委員に両院議員を充てるため、議決を得たいとの申出がありました。右は、いずれも申出の通り決するに御異議ありませんか。
 [「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり]
#4
○議長(松岡駒吉君) 異議なしと認めます。よつてその通り決しました。
 [「異議あり」と呼ぶ者あり]
     ――――◇―――――
#5
○議長(松岡駒吉君) なお、内閣総理大臣より、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律に基いて設置せらるる公正取引委員会の委員に中山喜久松、蘆野弘、倉井敏麿、横田正俊、大橋光雄、石井清、島本融、の七君を任命するため、本院の同意を得たいとの申出がありました。これに同意を與えるに御異議ありませんか。
 [「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり]
#6
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて同意を與うるに決しました。
     ――――◇―――――
 第一 財産税等收入金特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 造幣局特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#7
○議長(松岡駒吉君) 日程第一、財産税等收入金特別會計法の一部を改正する法律案、日程第二、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案、右両案は同一の委員会に付託した議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長北村徳太郎君。
    〔北村徳太郎君登壇〕
#8
○北村徳太郎君 ただいま議題となりました、財産税等收入金特別会計法の一部を改正する法律案外一件につきまして、財政及び金融委員会における、審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、財産税等收入金特別会計法の一部を改正する法律案につきましては、昭和二十一年度財政計画において、財産税等收入金特別会計から、一般財源として、三百十億九千七百余万円を一般会計に繰り入れる計画となつておりまして、そのうち百八十六億八千七百万円は、財産税等收入金特別会計法第四條の規定に基き、財産税法及び戰時補償特別措置法に基く物納、延納等によつて國に入りました財産を見合に公債を発行いたしまして、その收入金を繰り入れる予定になつておるのでありますが、財産税及び戰時補償特別税の物納等による納付が、著しく遅延いたしました関係上、同特別会計法に基く公債の発行可能額も、また予定額に対して著しく減少を示す状況にあるのであります。また一方、一般会計の昭和二十一年度の財政收支の実績は、現在におきまして、約百二十億円の歳入予定と相なる状況であるのでありまして、財産税等收入金特別会計法からの繰入金を確保いたしませんと、昭和二十一年度の決算を結了することが困難と相なりますので、そのために本特別会計法の一部を改正せんとするものであります。
 以上の理由によりまして、本改正案は、財産税法及び戰時補償特別措置法に基く物納、延納等の申請額をも、公債発行限度額計算の対象とすることにいたしまして、これによる一般会計への繰入金を確保して、昭和二十一年度の決算を結了いたしたいという趣旨のものであります。なおまた、右のほか、今回新たに農地証券を財産税等の物納に充て得ることとし、この際これに伴う改正をいたしたい意向から、本改正案が提出せられました次第であります。
 次に、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案につきましては、貴金属の配給業務は、從來日本金属株式会社が取扱つておつたのでありますが、本年四月の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の制定に伴いまして、民間機関にこの種業務を担当せしむることは不適当であると認め、今回造幣局をして貴金属の配給業務を行わせようとするために、本特別会計法の一部を改正するのであります。そのために、本改正案によつて、貴金属の配給に関する收入及び費用を、同会計の所属といたしますとともに、配給業務の遂行上必要がある場合には、一時借入金の借入れ、または融通証券の発行をもなし得るようになしたのであります。以上が、本改正案の要旨及び特色をなすものであります。
 次に、委員会における審査の大要について御報告を申し上げます。本案は、去る七月一日本委員会に付託になり、爾來委員会を開くこと三回でありましたが、本改正案中、特に財産税等收入金特別会計法の一部改正案は、昭和二十一年度財政計画における財政收支の均衡を保つ上に緊急を要するものであり、昭和二十一年度の決算を結了するためには、財産税等收入金特別会計からの繰入金を確保しなければならないので、審査を急いだ次第でありますが、委員諸君からは、熱心なる質疑が行われました。
 まず、政府側の説明によりますと、財産税及び戰時補償特別税の税收のうち、物納による納付が著しく遅れておるというので、委員からは、それでは財産税徴收状況について、現在はどうなつておるかという質疑をいたしたのであります。これに対して政府からは、本年二月十八日現在において、総額三百五十六億円で、そのうち金納百三十四億九千九百万円、物納百八十七億五千万円、延納が三十四億二千五百万円で、その後の納付は金納が多く、四月末現在の金納額は、百五十億円となつているとの答弁がございました。また、委員から、総額三百五十六億円では、予定の四百三十五億円と約七、八十億の見込違いになるが、それとも四百三十五億円の予定税收があるという方針で進んでいるのかどうかという問に対しまして、政府は、大体予定の收入はあげ得るという確信がある旨の答弁がございました。
 次に、この財産税問題に関連して行われました質疑應答のニ、三をあげてみますと、まず地方財務局を中心としての調査会の活動につきましては、調査会は、先ほど申し上げました更正決定をする場合に、その委員に諮問して決定するわけで、委員の会合は八月ごろ開会の見込みであるとの答弁がありました。
 次に、財産税等の関係で政府の手を通じて処分される株式の数量についての委員の質問に対しまして、政府当局より、証券処理調整協議会を通じて処分される株式は、持株会社整理委員会の保有株式二十七億円、制限会社及び特別経理会社の株式六十億円、財産税の物納株二十九億円で、合計百九十五億円であるとの説明がありました。
 最後に、財産税等收入金特別会計法の一部改正案は、現在までの財産税及び戰時補償特別税の物納等による納付が著しく遅延いたしました関係上、同特別会計法に基く公債の発行可能額も、予定額に対して著しい減少を示す状態にありますので、財産税等收入金特別会計からの繰入金を確保しなければ、昭和二十一年度の決算を結了することが困難であるという政府側の説明もあり、委員会は、本改正案は可決せらるべきもの、かつ急を要するものと認め、また本案の内容は適正妥当なものと認めまして、昨十一日、これを全会一致をもつて可決すべきものと議決した次第であります。
 また、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案につきましては、貴金属の配給業務を、日本金属株式会社のごとき民間機関に担当せしめることは、本年四月、私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法律の制定に伴い、不適当と認め、造幣局をして貴金属の配給業務を行わしめることにしたことに伴う改正であります。從つて、本案も適正妥当のものと認め、これを可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、簡單でございますが、御報告申し上げます。(拍手)
#9
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。両案の委員長報告は可決であります。両案を委員長報告通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(松岡駒吉君) 御異議があるようでありますから、起立によつて採決をいたします。両案の委員長報告は可決であります。両案を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#11
○議長(松岡駒吉君) 起立多数。よつて両案とも可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 昭和二十二年法律第六十三号下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
#12
○土井直作君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、内閣提出、昭和二十二年法律第六十三号下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#13
○議長(松岡駒吉君) 土井君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 昭和二十二年法律第六十三号下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。司法委員長松永義雄君。
    〔松永義雄君登壇〕
#15
○松永義雄君 ただいま議題となりました、昭和二十二年法律第六十三号下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議の経過並びに結果を、概要御報告を申し上げます。
 まず、本案の趣旨につきまして御説明申し上げますれば、この法律は、裁判所法第二條第二項の規定に基き、第九十二回議会に提出せられて成立し、五月三日新憲法と同時に施行されたのでございますが、この法律の制定の際は、簡易裁判所の設立及び管轄区域につきましては、さらに詳細に現地の事情を調査しました上で、これを決定する必要があるということで、政令に委ねることとし、その規定に基き、昭和二十二年政令第三十七号が制定公布され、同樣に五月三日から施行されているのでございます。同法附則第二項により、この政令が本月十八日限り、その効力を失うことになつておりますので、簡易裁判所の設立及び管轄区域に関し、直接にこの法律に規定を設けなければならないわけでございます。また、これに関連いたしまして、若干の改正を必要とし、この改正案が提出された次第でございます。
 すなわち、本案によりますれば、その第一要点は、簡易裁判所の設立及び管轄区域は、この法律に規定せられることになつたのでございます。しかして、その配置区域の内容は、大体におきまして從前の通りであります。ただ、二つの簡易裁判所の新設を見、一つの簡易裁判所の所在地が変更せられ、また全國を通じ数ヶ所の裁判所の管轄区域が部分的に改正せられた点などが、その実質的内容の相違としては、おもなるものでございます。
 次に、第二の要点としては、若干の例外を除いては、裁判所の管轄区域の基準となつた行政区画に変更のあつたときは、これに伴つて裁判所の管轄区域も当然変更されるのを原則としております。以上のように規定いたしましても、なお管轄区域の定まらない場合を考慮いたしまして、そのような場合には、この法律の改正により、その地域を管轄する裁判所が定められるまで、最高裁判所がその裁判所を定めることにいたしてあるのであります。
 最後に附則として、実際上支障のないよう、この法律を施行するに必要な規定を設けてございます。以上、本案の要旨について御紹介申し上げました。
 次に、本法案の特色につきまして申し上げます。まず、簡易裁判所の設立及び管轄区域が法律によつて定められ、しかもその配置が、一層地域的実情に即し拡充変更を見たことであります。およそ時代の進展に伴いまして、社会事情がいよいよ複雜多岐を加えてまいりました。また生活困窮のために、紛爭事件が頻発いたしております。この際、これら紛爭事件を迅速に解決して、國民生活を完全に保護するには、簡易裁判所の強化を目ざす本法案が、きわめて重要の意義をもつのであります。
 さらに本案においては、將來に起ることあるべき行政区画の変更を考慮し、これによつて生じまする管轄区域に関する無用の法律改正を避けております。また、たとえば、本法案立案後施行前に、別表第四表に記載せられていない町村が設けられたときなどを予想し、このような場合にも、その町村を管轄する裁判所が、この法律の改正せられるまで存在しないというような不都合のないように、きわめて愼重な措置が講ぜられてあります。地域的な実情の調査につきましては、技術的に困難もあり、また期間も十分ではなかつたので、さらに簡易裁判所の管轄区域の変更を必要とする点が認められないでもありません。
 本案は、去る九日予備審査を開始し、当日政府の提案理由の説明を聽取いたしました後、引続き質疑及び討論に入り、昨十一日本委員会に付託、本十二日質疑及び討論を終了し、採決上程と運び上げた次第であります。
 審査の内容については、その詳細を会議録に讓ることにいたしまして、要点をかいつまんで申し上げます。委員中村俊夫君、鍛冶良作君、花村四郎君、明禮輝三郎君及び酒井俊雄君等と政府との間に、次のような質疑が交されました。別表四号中、神戸の管轄に美嚢郡の含まれるのは不適当である、地域的條件を無視した画一的官廳作成のように思われるが、はたして在野法曹に諮つたものかどうかとの質疑に対し、政府当局より、当局としては、署長、檢事正に連絡したのであるが、署長、檢事正から弁護士会等に意見を求めたものと思うが、なお実情を調査し、不備な点があれば、これを改める旨の答弁がありました。
 將來の必要に應じて設置すべき裁判所の数について、考慮ありやと質疑に対して、予算上は六百十五箇所が予定せられているが、さらに幾分設置定員の分散、その無理をすれば余裕のある旨答弁がございました。
 次に、設置の基準は行政区画か地域的條件か、あるいは警察管轄かとの質疑に対し、簡易裁判所に対して置かれる区檢察廳との関係から、原則としては行政区画を基準としておるが、警察署の管轄区域と違つておる場合には、警察の管轄区域を基準としたものもあるとの、政府の答弁でありました。
 なお、最後に特に御報告申し上げる点としましては、鍛冶君より憲法の根本的解釈問題が提起せられ、政府に法律発案権はない、本法案の処置について、政府は、この法案を委員会発議とするについては、いかなる見解を持つかとの質疑に対し、当局は、憲法の解釈は、政府にも発案権ありと考えて処置したい旨の答弁でありましたが、憲法の解釈問題につきましては、委員会は両論にわかれたのでありますが、結局それは最高裁判所において決定せられるべきものであり、政府の、法律案発案権ありとの前提に立つ本案の提出を、議院が受理したる以上、これを拒否するは委員会の権限外なりとの総意に從い、審査を進めた次第であります。
 討論の際、日本社会党を代表して石川金次郎君、民主党を代表して吉田安君、日本自由党を代表して明禮輝三郎君及び國民共同党を代表して大島多藏君より、それぞれ原案に賛成の意見が述べられたのであります。次いで採決の結果、全会一致をもつて原案の通り可決確定いたした次第であります。以上、簡單に御報告申し上げます。(拍手)
#16
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 第三 昭和二十二年法律第五十四号私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
#18
○議長(松岡駒吉君) 日程第三、昭和二十二年法律第五十四号私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。商業委員長喜多楢治郎君。
    〔喜多楢治郎君登壇〕
#19
○喜多楢治郎君 ただいま議題となりました、昭和二十二年法律第五十四号私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、商業委員会の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 昭和二十二年法律第五十四号は、さきに第九十二回議会の協賛を経た法律であります。この法律は、私的独占、不当なる取引制限及び不公正なる競爭方法の禁止、事業支配力の過度の集中の防止、すなわち一切の事業活動の不当なる拘束を排除することによりまして、公正かつ自由な競爭を促進し、この基盤の上に、事業活動の不正化と、雇傭及び國民所得の水準向上、ひいては一般消費者の利益の確保、國民経済の民主的かつ健全なる発達を促進することを目的としたものでありますることは、諸君御承知の通りであります。
 この法律の対象といたしまする経済実体は、現実にはきわめて複雜多岐でありまして、これに伴い、この法律の実体的規定は、おのずから抽象的かつ流動性に富んだものとなつておるのであります。從つて、複雜多岐な経済現象の中から、不当な、不公正な、ないしは不合理な事業活動上の拘束を取上げて、適当なる措置をとることにつきましては、公正と愼重を期し得るよう、この担当する機関について特別の配慮を必要とするのでありまして、この法律でもつてその目的を達成するために、公正取引委員会という特別の行政機関を設け、身分の保証を受け、独立して職権を行う七人の委員をして、合議制によりその職務を担当させることになつておりまして、その委員は、年齢が一定以上で、法律または経済に関する学識経驗ある者の中から、内閣総理大臣が衆議院の同意を得て任命することに、現行法はなつておるのでありまするが、委員会の性質からいたしまして、委員といたしましては、法律または経済に関する学識経驗のほか、高邁なる識見と十分なる社会的信用とが要求される現実に顧みまして、特に委員長に対し特別の考慮を加えて、その任免については、天皇の認証を必要とすることが適当であると認め、現行の規定では、委員長は委員の中から一人を内閣総理大臣が命ずることになつておりますものを改め、委員会の構成を、委員長及び委員六人とし、委員長の任免については、天皇の認証を必要とすることにいたしたのでありますが、これが主要なる改正でありまして、その他委員の任期についても、必要なる改正を加えたものであります。
 本案は、七月九日内閣から提出せられましたので、翌七月十日本委員会に付託せられました。委員会におきましては、昨十一日午前、政府より提出理由の説明を聽取いたしまして、ただちに、法案の取扱いについて各委員の間において愼重に協議をいたしました結果、大体において改正案の意の存するところは、これを諒といたした次第であります。同日午後質疑に入りまして、委員より、現行法には、公正取引委員会の委員の年齢を三十五年以上と定めてあるが、時代の思潮から鑑みて、年齢を低下する考えはないかとの旨を政府に質しましたところ、政府は、公正取引委員会の重要性に鑑み、豊富なる学識経驗を要するものと認め、三十五年以上の年齢の点は、そのままとしたとの答弁でありました。
 本改正案そのものは、きはめて簡單でありまして、別に異論もなく、大体において妥当なるものと認めましたので、質疑を終了した後、討論を省略いたしまして、ただちに採決に入りまして、採決の結果、全員一致をもつて原案通り可決いたしました次第でございます。以上、簡單でございますが、この段御報告を申上げる次第であります。(拍手)
#20
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案は委員長報告は可決であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
 [「異議なし」「異議あり」「起立で表決を願います」と呼ぶ者あり]
#21
○議長(松岡駒吉君) 異議ありとのことでありますから、異議ある方の御起立を求めます。―――――衆議院規則第百五十七條により、異議の申立は二十人以上を必要といたします。
    〔異議申立者起立〕
#22
○議長(松岡駒吉君) 定規の異議申立者がありません。よつて異議申立は成立いたしません。よつて本案は可決いたしました。
    〔拍手〕
     ――――◇―――――
 第四 両院協議会規程案(議長発議)
 第五 両院法規委員会規程案(議長発議)
 第六 常任委員会合同審査会規程案(議長発議)
#23
○議長(松岡駒吉君) 日程第四、両院協議会規程案、日程第五、両院法規委員会規程案、日程第六、常任委員会合同審査会規程案、右三案は同一の委員会に付託された議案でありますから、一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。議院運営委員長淺沼稻次郎君。
    〔淺沼稻次郎君登壇〕
#24
○淺沼稻次郎君 ただいま議題となりました両院協議会規程案、両院法規委員会規程案及び常任委員会合同審査会規程案の三案につきまして、議院運営委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この三規程案は、新憲法と國会法のもとにおいて、両院の関係を規律する、國会運営上の細則ともいうべきものでありまして、殊に国会法によつて新しく認められました両院法規委員会、常任委員会合同審査会等の適切活発な運営が、両院の審査の能率に多大の効果を期待されまする点等から、その重要性に鑑みられて、議長が参議院議長と協議せられたものを、去る七月八日、本運営委員会に付託されたものであります。
 委員会におきましては、まずこの三規程案につきまして、その條文の整理に当つた大池事務総長から、その趣旨の説明を聽いたのでありますが、三規提案の内容につきまして、簡單に御説明いたします。
 まず第一に、両院協議会規程案でありますが、國会の議決を必要とする事件について、両院の議決が異なつたため、両院協議会を開くべき場合につきましては、国会法に詳細な規定があり、また各院の両院協議委員数、定足数、成案の議決及び毎会の議長等、重要事項は、大体において、みな規定されておりますので、本案には、これに漏れております必要な手続を從來の規定より拾つて規定したものと、国会法及び衆議院規則の建前のもとに若干補充して、実際に協議会を開く場合の協議会請求の方法、日時、場所等の決定及び議事運営の手続等に関して必要な規定が設けられてありまして、従来の両院協議会規程と、ほとんど変つておりません。委員の発言や会議録につきましては、衆議院規則の趣旨に從つてあります。
 第二に、両院法規委員会規程案について申し上げます。両院法規委員会は、國会法によつて新たに規定された制度でありますが、國会法は、單に、この委員会が立法に関する勧告機関たるの性格と、その構成についてのみ規定して、詳細な規定は、両院の議決に譲つておりますが、両院法規委員の選任につきましては、本院と参議院とは、規則の上において、その原則を異にいたしております。すなわち本院では、單記無名投票によることを参議院規則第二十三條に規定しておりますので、本案におきましては、それ以外の両院法規委員会運営に関するものが、すべて包含されておりますが、國会法が衆議院優越主義をとつている関係上、大部分のものが、衆議院規則の委員会の通則その他の線に沿つて立案されております。
 第一條乃至第六條は、委員長の選任、辞任、委員の辞任、補充及び理事等、委員会の構成に関する規定でありますが、両院法規委員会は、両院から委員が出ておりますので、一院の委員が全部改選されたような場合には、新たに委員長を互選することに規定されております。第七條乃至第九條は、委員会の一般通則でありますが、ただ本委員会は、一般の各院の委員会と異なり、各議院の会議中でも、自由に開会し得るものといたしておりますのは、本委員会の特殊な性格に基くものであります。第十條は、勧告案を議決する場合の原則を規定し、両院の委員数が違つておりまする点と、その案の効果を重からしむる意味において、出席委員の三分のニ以上の多数決を必要としてあります。第十八條は、両院法規委員会が新立法の提案を両議院にいたします場合を規定いたし、第十九條には、法律、政令に関し内閣に勧告する場合を規定いたし、第二十條に、國会関係法規の改正につき両議院に勧告する場合を規定してありますが、いずれも勧告の要旨及びその理由を文書で提出することとし、特に國会法規の改正については、案を具えてもろうこととなつております。その他の点につきましては、衆議院規則の委員会の規定と大差ありません。
 第三は、常任委員会合同審査会規程案でありますが、これは國会法の定めるところによりまして、両院の常任委員会が協議して、合同審査会を開く場合の規定であります。
 第一條には、一院の常任委員会が他院の常任委員会と合同審査会を開く場合の手続を規定してあります。しかるに、他の法律によつて、議院運営委員会の両院合同審査会に諮らなければならないことになつておりますものについては、両院の議長が協議をして、合同審査会の開会を、両院の常任委員長に請求することができる規定が第二條にあります。また第三條では、合同審査会を開会する場合に、両院の全委員が合同して審査するか、または少数の者が選ばれて審査するかは、両委員長の協議で決定できるようにしてあります。なお合同審査会は、法律に特別の定めのある場合を除いては、表決はできないものとしておりますのは、両院制の本義に照らして当然のことを規定したものであります。その他報告及び記録の要求、國務大臣等の出席要求等につきましては、両院の規則と変りません。証人、公聽会、会議録等につきましては、両院の規則建前が異なつておりますので、これらは、すべて衆議院規則の例によつておりますので、さきの衆議院規則中のこれらに関する規定と、まつたく同樣であります。
 以上が、三規定案の大要であります。委員会におきましては、すでに前から運営委員協議会として、本案の立案についても、議長を助けて協議に預かつてまいりましたので、特に取立てて御報告するほどの質疑應答もなく、原案通り、全会一致をもつて可決をした次第であります。
 思うに、國会が、両院制度に基いておりますのみならず、両院同時審査主義をとつております関係から、両院制度の本質と、憲法並びに國会法における本院の新しい地位とに鑑みながら、なるべく両院の意思を合致せしめて、國会の意思の円滿なる成立を期待するとともに、両院の審査を合理的かつ能率的ならしむるために、両院関係の適切な調整をはかつてこそ、両院制度の運用の妙も発揮され、また新國会の完全適切な活動が期待されると信ずるのであります。從いまして、新しい憲法と國会法のもとに、この三案が制定せられることによつて、初めてさきに制定せられました衆議院規則と相まつて、衆議院運営の細則は、一應ここに整備されることになるわけであります。何とぞ御審議の上、原案に御賛成あらんことをお願いする次第であります。
 なおこの機会に、議院運営委員会に議長から諮問せられました議院運営上の諸問題につきまして、一言御報告を申し上げておきたいと存じます。
 本委員会は、今日まで、協議会は別といたしまして、正式に前後六回の委員会を開いて、議院運営上の問題を審議してまいつたのでありますが、今日まで議長から諮問せられましたものは、件数にしておよそ十四件であります。そのおもなるものは、自由討議に関するもの、國会議員の歳費、旅費及び手當等支給規程案、その他の諸規則案及び國会附属施設の用地としての國有地移管に関するもの、常任委員会の國政調査承認要求に関するもの、休会に関する件、並びに國会法第三十九條による國会の議決に関するもの等でありまして、それらに対しましては、その都度適切な答申をいたしてまいりまして、各委員諸君の御努力とご熱意によつて、第一回國会の議院運営上、遺憾なからんことを期している次第であります。これをもちまして委員長の報告を終ります。
#25
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。三案の委員長報告は、いずれも可決であります。三案とも委員長報告通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて三案とも可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 第七 衆議院事務局職員定員規程案(淺沼稻次郎君外七名提出)
                    (委員会審査省略要求事件)
#27
○議長(松岡駒吉君) 日程第七は、提出者より委員会の審査省略の申出があります。申出の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程第七、衆議院事務局職員定員規程案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。提出者淺沼稻二郎君。
#29
○淺沼稻次郎君 簡單でありますから、自席から発言のお許しを願います。
 ただいま上程せられました衆議院事務局職員定員規程案について、簡單にその提案の理由を御説明いたします。本規程は、事務局職員の定員を定めたものであります。事務局職員の定員は、議院事務局法第一條第二項によりまして、議院の議決によつてこれを定めなければならないことになつておりまする関係上、本規程を運営委員会において取上げて研究し、ここにその成案を得た次第であります。しかしてその定員は、本年度の予算に計上されておりまする定員を掲げることといたしましたが、第二條におきましては、営繕に関する事務に從事させるために、臨時に職員を増員することといたしまして、その規定をも設けた次第であります。何とぞ本案に御賛成あらんことを希望いたします。
#30
○議長(松岡駒吉君) 採決いたします。本案を原案の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
#32
○議長(松岡駒吉君) 上林山榮吉君より、議事進行に関し発言を求められております。これを許します。上林山榮吉君。
    〔上林山榮吉君登壇〕
#33
○上林山榮吉君 私は本日の日程に関連いたしまして、この際自由党を代表して、政府に警告を発せんとするものであります。
 新憲法下における國会は、十分にその機能を発揮して、内は国民の負託にこたえ、外は平和的に國際信用を高めねばならないのであるが、しかるに片山内閣は、発表せる経済危機突破政策の裏づけとならねばならぬ重要法案の提出並びに追加予算案の提出が遅々として進まず、ために議会は自然休会の態勢をとらねばならぬようになつたことは、國民の危機が切迫せるものであるだけに、まことに遺憾とするところであります。(拍手)
 しかも、本日の日程にあるところの下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部改正法律案にしても、私的獨占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部改正法律案にしても、十分にこれが審議の機会を與うることのなかつたことは、一部その事情のやむを得ざるものを認めるものでありまするが、私どもは、新しい國会の劈頭よりして、國権の最高機関であり、唯一の立法機関でなければならぬこの國会を軽視せんとする態度の見えることは、今後の國会運営上、重大なる関心を有するものであります。(拍手)この点について、今後の政府の一大反省と努力をば、要望してやまないものであります。
 さらに、インフレの前途きわめて多難なるを思わしむる際、政府は突如として、昨十一日大幅の物價改訂を発表したが、われらはその翌日たる本日の新聞において、初めてこれを承知したのであります。第一次物價改訂もまた同樣であつて、國民の代表機関として、こういう態度はまさに遺憾であると思うのであります。將來政府は、重大なる施策にして社会に発表せんとするものは、あらかじめ、または少くとも他に発表すると同時に、公式に議員にこれを周知せしむるとともに、國会に十分の審議を盡さしめるよう、一大反省を要求してやまないものであります。(拍手)この意味において、政府の一段の努力を要請するとともに、飜つてわれわれ議員も、一致してこれが監視に努めなければならぬと考える次第であります。一言要求しておきます。
#34
○議長(松岡駒吉君) ただいまの上林山君の議事進行の発言、お聞及びの通りでありますから、これに対し、司法大臣より御答弁がありますれば、この際司法大臣より……
    〔國務大臣鈴木義男君登壇〕
#35
○國務大臣(鈴木義男君) 上林山君のご意見に対して、一言御釈明申し上げます。
    〔発言する者多し〕
#36
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#37
○國務大臣(鈴木義男君)(続) 簡易裁判所の設置は、國民の権利に重大な関係があることでありまするから、でき得るだけ現地の輿論、要求等も取入れたいと存じまして、議会が開会になりました後も、できるだけ陳情等を受けつけるようにいたしておりましたために、印刷に著手することが多少遅れたのであります。しかし、印刷が思つたよりもよけい日にちを要しまして、十余日を費して――非常に細かい表を必要とするものでありまするから、思つたより長くかかつたことが、一つは提案の遅れた理由であります。それに、議会の方でも近く休会になるということでありまするので、十七日までにぜひ通過さしていただかなければ非常に……(発言する者多し)この法律は、來る十七日までに成立をしませんければ、御承知のごとく重大な差支えを生ずるのでありますので、御促進願つたわけでありまして、今後はできるだけ、かくのごときことがないように注意いたすことを申し上げまして、御了承を得たいと存ずるのであります。
#38
○議長(松岡駒吉君) ただいまの議事進行の発言中、自然休会云々とありましたが、本院は、各常任委員会等、必要により審査をすることになつております。自然休会となつておりませんから、さよう御承知を願います。
     ――――◇―――――
 塩業に関する緊急質問(豊澤豊雄君提出)
#39
○土井直作君 この際、議事日程に追加して、豊澤豊雄君の塩業に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
#40
○議長(松岡駒吉君) 土井君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて日程に追加して、塩業に関する緊急質問を許可いたします。提出者豊澤豊雄君。
    〔豊澤豊雄君登壇〕
#42
○豊澤豊雄君 私は國民協同党を代表して、現在危機に直面せる塩田の應急対策について、大藏大臣及び安本長官の御意見を聽き(「おらぬ」と呼ぶ者あり)おらない場合には、政務次官殿の責任ある答弁をお願いします。かつ、塩田の將來をいかに考えておるかという根本問題を、現内閣の責任者にお尋ねするものであります。
     〔発言する者多し〕
#43
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#44
○豊澤豊雄君(續) まず第一番に、政府は食塩の重要性をどの程度にお考えになつておるかをお尋ねいたします。
    〔「出席するまで待て」と呼び、その他発言する者多し〕
#45
○議長(松岡駒吉君) 靜粛に願います。
#46
○豊澤豊雄君(續) まず第一番に、政府は食塩の重要性をどの程度にお考えになつておるかをお尋ねいたします。前内閣も、現内閣も、食糧増産には非常に力を入れられ、特に肥料増産については、貴重なる石炭と鐡を重点的に注ぎ込まれ、硫安のごときは昨年の一月に比較すれば、その量まさに数倍にならんとしております。われわれは、この方面における政府の苦心と功績に対しては、滿腔の感謝をしておるものであります。
 さらに過日は、野党の総裁たる吉田前総理は、この壇上から、食糧問題の計画は自給自足を目標にしなければならぬと警告をせられました。これに対して、片山首相もまた、心からこれを肯定されました。われわれは、吉田氏の警告の中に、片山氏の肯定の中に、永遠の平和への強いあこがれと、國民を禍に近づけまいとする親心のあることを感じて、さすがにと、尊敬の念を深めたのであります。物資の極度に少くなつておる今日といえども、永遠の平和への基礎問題には、歯を食い縛つてもその貴重物資を出し、もつて禍根を將來に遺さないようにするのが、政治の大事な部面だと信じております。そのために国民が負わなければならぬ苦痛は、しばし忍ばなければならぬと思います。
 では、このように日本國中が食糧問題を重大に取扱つておりますが、その食糧に比較して、われわれが、えてして忘れがちのこの塩、すなわち食塩は、はたしてどの程度に重要なのでしようか。この間新聞を見ますと、水谷商工大臣は、裸で炭坑の中に入られて、そうして三時間も筋肉労働をせられたということをいわれております。その時に、炭坑から出てきて、初めて食塩水のうまさを知つた。炭坑夫が食塩を多量に求める理由がわかつたということを言われております。私は、もしあのときに水谷さんが食塩水を飲まずに、一日懇談会に臨んだり、あるいは事務をとるなりしてくれたならば、どんなによかつたかと思うのであります。なぜならば、食塩が心身に及ぼす生理的な影響がいかに大なるかを、身をもつて体驗することができたからであります。われわれは、一日に約十五グラムの食塩をとらなければ、生きていかれない。もし、われわれが食塩をとることが不十分であれば、いかに滿腹していても、筋肉労働を続けることはできません。
 まず食塩は、精神方面に非常なる影響を及ぼします。意志の強固を破るということにおいては、食塩ほど大きな力をもつているものはありません。学者の実驗によると、はとは三週間えさを與えなくても生きておるが、二週間塩分を断てば死ぬと報告されております。人間も、おそらく三、四週間塩分をとらなかつたら、生命を失うといわれています。昔から、塩を持ち、これを大切にする民族は栄え、砂糖を濫費する民族は滅びると言われています。これは、食塩が心身に及ぼす影響を端的に表現している言葉で、われわれ政治家としても、國家の將來を考えるとき、深く味わわねばならぬ言葉だと考えます。
 このように、われわれの心身に限りない影響を及ぼす食塩の製造に対し、政府は本年一月以來石炭の配給を中止しております。今まで少くとも月二万五千トンの配炭があつたのに、一月もゼロ、二月もゼロ、三月も四月も、一塊の石炭の配給もいたしません。浜に働く浜子たちは驚き、いや、それよりも心ある識者は、首をかしげたわけであります。しかし、ちようど時期が冬でありますし、製塩には比較的ひまなときでありましたので、石炭のストツクを食い延ばして、業者は、最盛期が來たならば石炭をまわしてくれるに違いないと、希望をもつておりました。
 ところが、春が來て、製塩の最盛期が來ても、石炭の配給が十分でありません。政府の発表を見ますと、五月には三千トン、六月には二百九十トンという、実に粉藥にもひとしい少量の割当しかありません。全國四千百九十八町歩の塩田は、最盛期を控えて、まさに休止という状態であります。美しき塩田風景の一つとされておつたあの釜屋からの煙も、今はどこにも見当たらないことは、皆樣御承知の通りであります。これは、もう塩田で働いても、何の利益もないからであります。
 千石もはいるというあの鹹水溜には、一番濃い塩水が滿ちあふれているのです。業者たちのある者は、薪を燃やして製塩したり、あるいは鹹水を賣つたして生活をしていますが、これらの方法では、とうてい問題の端緒すら解決することができません。彼らは、心のうちで、政府はもう日本の塩田をつぶしてしまうのだ、そして將來は安い外塩によつて賄うつもりだと、轉職を考えている者も相当数あるようであります。憂うべき現象だと私は思います。
 代表者たちが押し寄せて、政府の意見を聽くと、いや、塩田をつぶすなどとは決して思つていない。今は石炭が非常に不足しているので、これを重点的に大事な方面へまわして、食塩のように、外國から買入られるものは、この際買入れて、もし石炭がたくさん出るようになつたら、塩田の方へまわそうと答えたと言われます。まことに、ごもつともな話であります。しかし、この答えの中には、大きな誤算があることを知らねばなりません。
 すなわち、日本製塩法は世界に類のない塩田法であるということが、忘れられているのであります。日本の塩田は、石炭ができたら始め、なくなつたら中止する。それでいけるというふうに、都合よくはできておりません。外國の岩塩のように、つるはしで掘つたり、鹹湖という湖があつて、すぐたけたり、天日製塩のごとく、海水を田の中に導き入れたら、すぐ塩ができるのとは、根本的に違つております。
 日本の塩田は、海水を塩田面に振りかけて、それが乾いて塩になるのだなどと考えていたら、それこそ大間違いであります。海水は呼び水であり、この呼び水によつて、厚さ七十センチもある砂の層を毛細管現象によつて上つてきた水が、蒸発して「きられ」という特殊な砂の上について、その砂を業者が集めて、さらにこし箱の中で濃い鹹水をつくつて、製造するのであります。塩田の良否は、実にこの砂層の毛管現象の良否によつてきまるであります。
 もし、ここ数箇月間塩田を使用せずに捨てておいたら、この厚い砂層はどうなるでしようか。「きられ」という特殊の砂は、どうなるでしようか。まず砂層の機構が崩れて、毛管現象が起らなくなる。「きられ」という砂は、土著してしまいます。現に一月余り塩田を使用しなかつたために、有名な優良塩田の能率が惡くなつたということを知つております。ここ、しばらく捨てておけば、おそらく塩田面の所々に雜草が根を張るようになると思うのであります。塩田の生命がなくなつたことになるのであります。このときになつて、それ石炭が出たと言つたとしても、それは死人の口に藥を注ぎこむようなものであります。
 廃止塩田をまた元の塩田に直すことがどんなにむずかしいか。このように考えるときに、石炭ができるまで辛抱せよということは、塩田をつぶす結果になるのであります。食塩を外國に依存するという結果になるのであります。すなわち、今識者が、塩田業者が心配しておることが、事実となつて現われるのであります。平和を永遠に願うわれわれにとつて、それがよいことであるか、惡いことであるか、愼重に考えねばならぬ大問題だと思います。
 われわれは、誤れる戰爭によつ破壞し盡された祖國を興すために、強い意思と肉体を必要とします。それには、食糧増産と相まつて、食塩の自給を確保するということが、絶対に必要であります。われわれは、憲法に誇らかにかかれた戰爭放棄を旗印として、世界平和へ邁進せなければならぬ。しかし、それが空文にならないように、具体的の準備をしなかつたら、いけないのであります。
 今、世界はあげて永遠の平和へ懸命の努力を続けておりますが、將來絶対に内乱あるいは紛爭が起らないと、神ならぬ身のたれが断言することができるでしようか。われわれは、平和へ進むために、禍に巻き込まれないために、生命に深い関係のある食塩の自給を心から願つておるのであります。これを必要でないというようなものは、少くとも政治性のないものであると、断言してはばからないのであります。
 政治家は、眼前の現象のみにとらわれて急速に処置するのもよいが、國民が氣づかず、政治的なるがゆえに、それをないがしろにするというのが、今までの政治家の通弊であつたのであります。この観点から、現内閣の責任者に、七つの点をお尋ねします。食塩の重要性を認めるかどうか。將來塩田を持続せしめるかどうか。もし塩田を持続せしめるとすれば、廃止塩田にならぬように、石炭の配給を増すかどうか。石炭配給がどうしても不可能とすれば、最低の作業を維持しなければならぬが、その維持費を政府が補償するか否か。この期間中に、機械製塩に轉向する意思があるかないか。もし奬励するとすれば、今までは七割の補助を與へていたが、今後もそれを続けるかどうか。また資金の起債をしなければならぬが、政府はこれを補償するか否か。現在全國にあふれておる鹹水の処分方法を科学的に研究しておるかどうか。なお、これらの問題に関連して、八幡の日鉄であるとか、その他のところに不良炭がたくさんあり、あるいは海没炭、規格外石炭がところどころに遊んでおると聞くが、この石炭を製塩用のためにまわすかどうか。これを使用するとすれば、わく内に入れられる。わく内に入れらるのであつたならば、よい石炭をもらわねばならぬ。と言つておる。遊んでおる不良炭がたくさんあるというが、これらは製塩用には適当なる石炭であるから、これをわく外として配炭してくれるかどうか。以上七点いついて、良心的な、論理的な、誤謬のない御答弁をお願いいたします。(拍手)
    〔政府委員小坂善太郎君登壇〕
#47
○政府委員(小坂善太郎君) 豊澤君の御質問に対してお答え申し上げます。豊澤君の、專門的な御見地からいろいろ塩業の重要性、塩の重要性について、るるお述べになりましたことを、深く傾聽いたしました。御質問の七つの点についてお答え申し上げます。
 第一は、塩の重要性を認めるか否か、また認めておるとすれば、將來塩田を持続するかどうか、こういう御質疑でありました。これにつきましては、私どもとしては、もちろん食糧の観点からいたしましても、工業原料の観点からいたしましても、この塩というものは、きわめて喫緊なものであるということを認めております。
 第二点といたしましては、もしこの塩の重要性を認めまして、塩田を持続するとすれば、それに対する石炭の配給が必要であるが、これに対する政府の所見いかん、こういう点であります。第二点に対しましては、私どもといたしましては、將來安定した塩の自給を確保いたしますためにも、ぜひとも内地の塩田を確保いたしたい、こう考えておるのであります。從いまして、石炭の供給に関しましても、極力意を用いるのでありますが、御承知のような事情でございまするから、経済安定本部におきましても、石炭の配分に意を注いでおりますが、現在は石炭を一トンでも多く増炭していただきたい、そうしてこれを塩田にまわしたい、かように希望いたしております。
 第三点に関しては、塩田を確保するための維持費を政府が補償するかどうか、こういう御質問でございます。これに関しましては、われわれといたしましても、極力そういたしたいのでありますが、現在は、最低の維持費を賄うだけの分を、政府におきまして準備中であります。なお、この際でございますので、極力この鹹水をこのまま利用していただく、これは非常に容器その他の点でもつて、運搬上の隘路等もございますが、極力それに努力していただく、あるいはお話のありました代用燃料を研究していただくというようなことを、お願いいたしたいのでございます。
 第四点といたしましては、この期間中に、平がま式の能率の惡いものを機械的の製塩方法に改める意思はないかという御質問でありますが、この点に関しましても、もちろん平がま式のものでは、將來におきまして製塩業として安定いたしませんから、極力これを機械化いたしていただくように奬励はいたしますが、從來のごとき補助金は、ただいまの國家財政の現況からいたしまして、御期待いただいてもどうかと考えておるのであります。
 第五点は、資金についての御斡旋の点についてでありますが、これに関しましては、政府といたしましては、極力復興金融金庫等を利用なさいますよう、御斡旋に努めたいと考えております。
 第六点は、鹹水の利用研究いかんということでありましたが、これにつきましては、もちろん、政府といたしまして種々研究を進めております。
 さらに、最後の第七点のいわゆる不良炭の処理の問題でございますが、これは國家全体の配炭計画のわくもございまするので、ただいま安定本部といろいろと協議いたしておる次第でございます。
 以上七点につきまして、政府の見解を御説明申し上げました。何とぞ御了承願います。
     ――――◇―――――
#48
○議長(松岡駒吉君) 懲罰委員に一名の欠員を生じましたので、衆議院規則第四十條により、議長はその補欠として安田幹太君を指名いたします。
 次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後三時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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