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1953/12/02 第18回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第018回国会 労働委員会 第2号
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1953/12/02 第18回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第018回国会 労働委員会 第2号

#1
第018回国会 労働委員会 第2号
昭和二十八年十二月二日(水曜日)
    午前十一時四十四分開議
 出席委員
   委員長 赤松  勇君
   理事 丹羽喬四郎君 理事 持永 義夫君
   理事 高橋 禎一君 理事 山花 秀雄君
   理事 矢尾喜三郎君
      池田  清君    黒澤 幸一君
      多賀谷真稔君    井堀 繁雄君
      竹谷源太郎君    長  正路君
      中原 健次君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (呉市長)   鈴木  術君
        参  考  人
        (呉市会議員全
        駐留軍労働組合
        広島地区部執行
        委員長)    浜田 光人君
        専  門  員 浜口金一郎君
    ―――――――――――――
十一月三十日
 委員山下榮二君辞任につき、その補欠として長
 正路君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 参考人招致に関する件
 連合審査会開会に関する件
 労使関係に関する件
    ―――――――――――――
#2
○赤松委員長 これより会議を開きます。
 この際お諮りいたします。公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(内閣提出、第十七回国会議決第一号)ないし第三号の三件につきまして、ただいま大蔵委員会より連合審査会開会の申入れがありましたので、大蔵委員会との連合審査会を開会することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○赤松委員長 御異議がなければ、さよう決定いたし、連合審査会開会の日時につきましては委員長に御一任願います。
    ―――――――――――――
#4
○赤松委員長 次に、議決第一号ないし第八号の各件につきまして、労働大臣より、ただいままでの経過について発言を求められております。よつて本委員会といたしましては、明日の委員会において、緒方副総理、小笠原大蔵大臣及び小坂労働大臣より説明を聴取いたしたいと存じますが、御了承願います。
 なお三公社五現業の仲裁裁定についての決議につきましては、先ほどの理事会におきまして、私より次のように提案しました。「三公社五現業に対する仲裁裁定の完全実施をめぐる現下の急迫せる労働情勢にかんがみ、政府はすみやかにこれを善処すべきことを要求する。」この決議文を提案いたしましたところ、各派の理事の方々に、一応各派に御相談願いまして、後刻委員会としての態度を決定することに相なりましたので、御了承を願います。
    ―――――――――――――
#5
○赤松委員長 次に、駐留軍労務者の労使問題につきまして、調査を進めます。
    ―――――――――――――
#6
○高橋(禎)委員 呉市は、昭和二十五年六月、旧軍港市転換法の公布施行以来、鋭意旧軍施設の転活用をはかり、産業港湾都市としての建設に努力しておられるところでありますが、今日なお厖大な土地、施設が国連軍に占用せられ、その他幾多の困難な事情によつて、当市の産業港湾都市の完成は重大なる障害に逢着いたしておるような実情であります。呉市といたしましては、これが打開の希望をひたすら国庫軍協定の締結に求められて、今日までしばしばその要望するところを開陳し、その実現方を陳情されて参られたのであります。こういう事情がございますこの際、特に国連軍並びに駐留軍の使用施設は極力必要最小限度にとどめ、これら余剰施設はすみやかに返還せしめられたい。英連邦躍関係労務者の労務管理方式を米駐留玉労務者と同様日本政府雇用とせられたい。国連軍に対し地方税を適用できるように措置せられたいということを強く要望せられておるのであります。このうち労務関係につきましては、ことに当委員会においても重大な関係があるわけでありましてこれらに関連する事項につきまして、参考人として呉市長の、鈴木術氏及び呉市会議員の浜田光人両氏に、それらの実情について十分意見を徴して、この審議を進められるように要望いたす次第でございます。
#7
○赤松委員長 ただいまの件につきまして、鈴木術、浜田光人両君を参考人として意見を聴取することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○赤松委員長 御異議なければ、さよう決定いたしまして両参考人の御意見を聴取いたすことにいたします。鈴木参考人。
    〔委員長退席、矢尾委員長代理着席〕
#9
○鈴木参考人 国連軍の中で、英連邦軍が固まつて駐在しておられますのは、呉市が最大のものと心得ておりますが、この英連邦軍に使用せられておりますところの労務者諸君の数は、いわゆる呉地区におきましては一万あまりおりますが、そのうち呉市民は七千三百人ばかりと心得ております。ところで、この駐留軍と労務者諸君との雇用関係は、いわゆる直接雇用でございまして、この姿になりましたのは、いろいろないきさつはありましたが、昨年講和条約成立の時からでございます。米中関係の労務者諸君の雇用関係は、いわゆる間接雇用でございまして、日本政府の責任において雇用契約を結ばれ、労務を提供されると承つておりますが、呉市におきましては、ただいま申し上げますような関係でございまして、これを比較してみますと、非常に労務関係の安定性におきまして違いがあるのでございます。何と申しましても言語、風俗、あらゆる点において異なる人種であるのみならず、従来講和発効前までは、いわゆる間接雇用で、相当要足せる地位にあつたものが、一転して直接雇用になりましてその地位が理論上不安定であるほかに、また感情と申しますか、情操の点から申しましても、さようなぐあいに転落と申しますか、そういう気分も加わりまして、一層不安な状況にあるのでございます。またその実情をつぶさに伺いますに、労働三法の面から検討いたしましても、十二分にこれが守られておらないという不利があるように伺うのでございます。ここにおきまして、呉市といたしましてはぜひともこの駐留軍関係の労務者諸君の雇用関係を、米軍並のいわゆる間接雇用の姿に是正していただきまして、労務者諸君の雇用関係の地位を安定なものにしていただきたいというのが、市民全体の願いでございますし、またこの願いは、たとえ英、米と国は違いましても、かかる平等の原則に乗せてもらいますことは、国際正義の観念から申しましても当然の願いだと、私たちは信じますがゆえに、かかる日の実現の一日も早いことを念願する次第でございます。
#10
○矢尾委員長代理 次に浜田参考人。
#11
○浜田参考人 ただいま直接雇用の不利な点等について、共本的な問題については市長さんがお話になつたので、私は特に軍直接のために、いろいろ労働法規上守られておらない諸点についてお話申し上げ、間接雇用形式をぜひとも達成していただきたい、このように考えるのであります。まず、大きな点は、昨年の四月二十八日に講和が発効いたしまして、ただちに軍直接雇用になつたわけでありますが、その後の十二月に至る間に、二回の大きな争議を行つて来ておるのであります。これがすなわち軍直接雇用なるために、力と力の接触になつてしまう。間接雇用で、政府が中間の緩衝地帯になつておりますと、いろいろな点におきまして緩衝場ができるわけでありますけれども、軍直接のために、力と力の問題になつて争議が行われたのであろう、こういうことが想像つくのであります。
 次に、第二の点といたしましては、一般産業の労使関係と違いまして、特に外国軍隊というところの特権を持つておる、そういうところの使用者と労働者の雇用につきましては、当然中間に直接な緩衝地帯が必要であるであろう。こういう点から、ぜひ間接雇用にせなはればならないであろう。しかも、その軍の特別な権力によつて、日本の労働三法が完全に守られておらない、こういう点を私は二、三述べて御賛同願いたいのであります。
 まず第一点は、労働基準法のいろいろな違反につきまして、直接行政監督官庁であるところの基準監督署が、その調査なりあるいは違反事項の摘発に参ろうといたしましても、部隊の中になかなか入れてくれない。なお入れる場合には、すでにいろいろな工作がなされた後に、そういう監督官が部隊の中に入つて調査をする、こういうことが今日までしばしば繰返されておるのであります。次に、基準法の十九条によりますと、公務によるところの負傷の場合には、当然解雇することができない。しかるに、それを明日からでも解雇するというような、まつたく法を無視したような扱い方を行つて来ているのであります。なおまた、即時に解雇する場合には、予告手当を支払うなり、あるいはたとい本人の不注意のような場合におきましても、監督官庁であるところり監督署の意見を聞かなければならないように法律で定めてありますけれども、それすらも行わずして、即時解雇を行つて参つておるのであります。そのほか五十三条の違反、いわゆる衛生管理人等も設置しなければならないのでありますけれども、それらも何ら設置しておらないのであります。なお問題は小さくなりますけれども、労働時間等の延長におきましても、当然組合法によつて認められた労働組合がありますので、それらと協議決定しなければならないような条項になつておりますけれども、それすらもやらない。そういうように、労働者として最も大切な労働法規を守らないばかりでなく、基本的な人権すらも今日侵しつつあるのであります。
 そういう点にかんがみまして、ぜひとも日本政府雇用であるところの間接雇用にしていただきたい、このように強くお願いする次第であります。
#12
○矢尾委員長代理 引続きまして、両参考人に対する質疑を許します。高橋禎一君。
#13
○高橋(禎)委員 これはどなたからお答え願つてもけつこうでありますが、第一にお尋ねいたしたいのは、先ほど浜田さんのお話の中に、英連邦軍の雇用したところの労務者に関しての争議があつた、こういうお話でありましたが、これはどういう事情で発生して、そうしてその解決はどのようになつたか。解決の方法なり、あるいはその結果等について、なおお話願いたいと思います。
 次に、基本的人権という問題についての御意見もございましたが、この基本的人権とお話になりましたのは、これは労働三法が完全に守られていない、労働三法の精神が完全に実施されていないということのみに関する問題であるか、あるいはまた雇われておる労務者の人たちが、暴行を受けるなり脅迫を受けるのか。そういうような生命なり身体なり自由なり等についての人権問題は、一体どういうふうな状態であるか、これをお伺いいたしたいのであります。
 第三には、労働条件について、たとえば労働時間あるいは賃金の問題、退職した場合の待遇の問題これらについての実情をお話願いたいと考えます。
#14
○浜田参考人 まず第一点の、昨年二回にわたりまして争議が起きた原因でございますが、第一回目は講和発効直後の六月三十日にストライキが起きたわけであります。そのときには、講和発効後軍直となると同時に、英連邦軍の方から、家族手当は支給しない、それからベースもある程度切り下げたベースを行う、退職金についても、基礎の一箇月は出さない。こういうような点がありまして、英連邦軍の制度として、家族手当等は社会保障の一環としてやつておるから、自分の国では出さないのだ、従つて軍直になつた場合には自分の国の方針あるいは慣例等によつて賃金を支払つて行くのだ、こういう観点から日本の慣例を無視したような賃金の額のきめ方なり支払いの方法等を実施して来たのであります。それについて、労働者諸君が四十八時間のストライキを打ちまして、十六時間で、この問題は、家族手当も出す、退職手当も従来通り、いわゆる間接雇用当時の規定に従つて出す、こういうことになりまして、一応労働者の希望が九〇%程度いれられまして、第一回の争議は要結いたしたのであります。
 第二回日の十二月には、百十九時間にわたるところのストライキを行つたのでありますが、その場合は、いわゆる年末闘争の一環でもありますし、いまだ給与規定というものがはつきりと労務者諸君に示されておらない。従つて労働吉備君は、もし英連邦軍が撤退するような場合には、いろいろ債権債務が発生しても、それらが十二分に清算されないのではないであろうか。こういうような点を危惧いたしまして、いろいろ年末のベース改訂、それから年末手当等の開顕に関連して、さつき申し上げました百十九時間のストライキを打つたのでありますが、この場合は、軍側といたしまして、当時も、米軍よりベースの点といたしましては、若干悪かつたのでありますが、米軍側のペースまでは悪ければ改訂する。なおベース改訂は、国家公務員がきまつたならば、それと同時に同率に改訂する、こういうことで、百十九時間のス
 トラィキは妥結いたしたような次第であります。
 次に、第二点の基本的人権の問題で、ありますが、むろん労働三法から見た場合、いわゆる労働者が働こうとして働く意欲もあり、しかもその仕事場に
 は、事実上そのときまで働いておつた労働者の技術が必要である。そういう場合におきましても、ただ単に軍人等の感情等によりまして、その職場を失うような状態になる。そういうように基本的な労働権を無視したような一方的な解雇を、どんどん行つて来ておるのであります。
 次の基本的人権のうちの婦女子等の問題であります。これは、私長い間駐留軍労組の委員長をいたしておりますが、じつはしばしば組合にはそういう問題を持ち込んで参るのでありますが、いざそれを調査いたしまして、具体的に取上げて折衝しようという段階になりますと、本人から取下げをするとかいうことがある。あるいは一定の機関には持も込んで来るけれども、最終的に持ち出して行くという場合には、とかくこういう問題については自分が証人台に立つということをいさぎよく思わないのか、取下げて来るというような状態でありまして、事実上はあると思うけれども、それが表面に出て来ない、このような状態であります。
 次に英連邦軍の労働者の賃金の支払い、あるいは退職金の問題であります。これは一応そのような二回の争議を経まして、米駐留軍労働者の今日行われておるところの基本契約に基く契約内容、いわばそれを給与規定として一つの基礎を持つておるのでありますが、それを個々の問題について詳細に解決すべく軍と折衝しておりますと、そのようなとりきめはないとかいつてぼかしてしまう。いわゆる最終的に追い込むと、軍のポリシーであると言つて、日本の労働三法からは当然守らなければならないような問題についても、逃げて行つているのが実情であります。従つて、今日では米駐留軍と大きな差はありませんが、通常退職金についても、あるいは解雇予告手当についてもほうられて来ておるのが実情であります。個々の問題については、その都度組合が団体交渉しまして解決するようにしておりますけれども、さつきかれしばしば申し上げますように、法の適用を軍の政策によつて逃げておりまして、通常日本の一般産業でありましたならばただちに解決するような問題が、八箇月あるいは長く一箇年ほどもかかつて来ておるのが、講和発効後の今日にもいろいろ事例がたくさんあるわけであります。御承知のように給与の支払いとか、ベースとかについては 一応英連邦軍のシステムをそのまま使つておりますが、ベースは今日一万四千三百七十一円であります。米軍の方は一万七千二百三十三円、こういうベースになつております。むろん英連邦軍は、主として呉市に駐留しており、ただ東京のエビス・キヤンプに九百名と山口に六区百名ほどおる程度であります。従つて地域的な分布によりまして、若干米駐留軍よりは低く在るということは、われわれにも考えられるのであります。
 大体以上が五点についての私の見解であります。
#15
○高橋(禎)委員 鈴木参考人にお伺いいたしたいのでありますが、この英連邦軍関係労務者の問題に関して、一体呉市民全体はどういう考え方をしておるか、どういう感じを抱いておるか、市民の輿論はどこにあるか、この点について簡単にお答えを願いたいのであります。
#16
○鈴木参考人 進駐軍はやがて引掛げるであろうという前提のもと、またその雇用者が軍であり、しかも異国の軍であるという関係上、かなり不自由な点が多いだろうという同情の念を持つて見ている次第であります。
#17
○多賀谷委員 二、三点浜田参考人にお尋ねいたしたいと思いますが、一体労務者と英駐留軍との間に、労働協約を締結してあるかないか、給与の協定もあるのかないのか、その点を第一点としてお尋ねいたしたいと思います。
 さらに第二点は、組合活動は、労組法が許容している範囲において行われておるかどうか、ことに不当労働行為は行われていはしないか、この点についてお尋ねいたしたい。
 第三点は、基準監督署並びに労政事務所は、これらの問題に対してどういう処置をとつて来たか、この点についてお尋ねいたしたいのであります。
#18
○浜田参考人 まず第一点の労働協約と給与規定の問題でありますが、これは先ほど若干触れましたように、協約の点につきましても、講和発効後しばしば協約締結を組合側も強く要望しておるので上あります。昨年の暮れになりまして、一応組合案と草案と対照できるまでに両者の案が出たのでありますけれども、非常に協約としての隔たりがあるわけであります。たとえば、今日、米駐留軍が結んでおりますところの協約よりも、ずつと下まわつた一方的な協約案が出ている。従つて、今日まで何回となく交渉いたしておりますけれども、全然進展しない。専門的になりますけれども、協約の中で、当然団体交渉できめるのでありますから、協議決定す、このような言葉を使いましても、決定はやらないんだ、それは軍のかつてにやるんだということになりましてどうしても両者の意見がまとまらない。こういうような状態におきまして、今日まで無協約の状態であります。それからつ給与の規定の点につきましては、当然われわれとしては、雇用されるときに、就業規則等によつてそれらは法律上雇い人に示さなければならないようになつている。従つてそれもあるべきでありますが、先ほど申し上げましたように、一方的にやつて行くものでありますから、今日給与規定は、深くつつ込めば、そういうものはないんだ、このように逃げるけれども、実質的には講和発効までの間接雇用当時のしきたりをそのまま踏んで来ているというのが実信であります。
 次に、不当労働と行為の点でありますが、これはすでに実例といたしましては、今年の五月に、一部執行委員が解雇になりまして、地方労働委員会がこの問題を取上げて交渉しておりますけれども、いわゆる労務本部といたしまして、一つのセクションがあるわけでありますが、そこでは了解して職場復帰さすと言いましても、各ユニットの方で、その人はこういう実情があつたということを将校同士が連絡し合つて知つていると、その人は雇わないという状態が続きまして、未だに不当労働行為ということを地方労働委員会も認めながらも、職場額復帰ができないという実例が今日もあるのであります。
 監督署の点につきましては、先ほども申し上げましたが、具体的な例を申し上げますと、去る三月の十九日に、駐留軍のかまたきでが、レスリングのごつい兵隊に絞め殺された事件があるのであります。それにつきましても、当時の監督署は、軍から一方的に、こういうことはどうかと言われますと、それは公務じやないという簡単な回答をいたしたのであります。この問題につきまして、組合は四箇月間にわたり調査した具体的な資料を特も寄りまして、軍並びに監督署と折衝をした結果、先月やつとそれは公務死亡であるというので、五十一万円の補償を出さすことになりましたけれども、この問題は、当時呉市でも大きな問題となりまして、ずいぶん新聞等にも書かれたものであります。こういう問題につきましても、通常の会社労働者でありますれば、ただもに解決する問題でありますが、軍という特権があるために、監督署の監督権が十二分に発揚されない。また今日までは、発揚しようとして来なかつたというのが実情ではないか、このように考えるのであります。
#19
○多賀谷委員 きわめて大きな問題でありますけれども、たとえば交渉中に解雇用され、しかも監督署の認定を受けないでやるという問題が起つているといたしますと、これはゆゆしき問題であると思う。それで呉市あるいは進駐軍労組としては、労働本省がどういう態度に出ているかということについて、おわかりになつたらお答え願いたい。
 それから、一言市長さんにお尋ねいたしたいと思いますが、それはこの問題から離れますけれども、旧軍港でありました呉市の現在の労働事情、なかんずく失業対策の面は、一体どういうようになつておるか、これを簡単にお答え願いたいと思います。
#20
○浜田参考人 本省としてのこういう点の動き方でありますが、たとえば、さつきのボイラー室において絞め殺された事件についても、御承知と思いますけれども、最終的な決定権は、現地の監督署にあるわけで、本省としては現地の認定にまつ、こういうように言われたりしておつたのでありますが、いろいろわれわれといたしまても、労働省の本省の方ともかけ合いまして、現地に対する督促、指令、こういうものについてはやつてくれておつたと、このように認識いたしております。
#21
○鈴木参考人 呉市は、戦前は海軍のみに依存しておつた都市でございますがゆえに、敗戦によりまして、四十三万の市民、さらにまた動員部隊を加えまして七十五万と称せられたところの市民は、一挙にして全部失業したというのが、端的な表現であると考えます。その後、進駐軍の駐留によりまして職場を得、さらに旧軍港市転換法によりまして徐々に職場を得まして、今日に至つたわけでございますが、市といたしまして、市の根本政策を平和産業港湾都市の建設という方向に掲げました。これはまた、表現をかえますと、失業対策こそか呉市の市是でございまして、今日におきましても、なおかつ一万の失業者がございます、市ははなはだ財政困難ではございますけれども、年々概略三千の失業救済のわくを頂戴いたしまして、一面において産業誘致によりまして職場を建設するとともに、一面におきまして、失業救済事業によつてこれを一時的に救済しつつ、順次でき上りますところの産業面の職場にこれを送り込む、これをもつて最大の市是としておる次第でございます。
#22
○矢尾委員長代理 井堀繁雄君。
#23
○井堀委員 大体今まで参考人のお話を伺つておりますと、英連邦軍のもとに雇用されております労働者の雇用状況と、米駐留軍のもとにある労働者の雇用の状態との相違が、大体うかがわれるようであります。なお、陳情書にも明記されておるようでありますが、米駐留軍労務者と、今、日本政府との間に労務供給の基本契約が結ばれて――この契約につきましても、本委員会でもその内容、運用等について、いろいろ議論のあるところで、政府にも要望し、かつ改善をはかつておる途中でありますが、皆様の要求を見ますと、その米駐留軍と日本政府が基本契約を結び、そのもとに労務の供給をしておる、こういう状態を希望しておるかにうかがえますが、この点に相違があるかどうか、伺つておきたいと思います。と申しますのは、雇い主と使用主とが、労働者にとつては、できて来ることになるわけであります。雇い主が今の場合は政府で、使用主が米軍、こういう形になつておるわけであります。こういう関係が望ましいということは、それに比較して、それ以下の状態にあるということを御説明があつたと思うのです。たとえば日本の労働法についても、十分な適用が行われていないという訴えが今ございました。こういう欠陥たけをこの方法によつて救おうとすることは、できると思うのですが、そのかわりに、今直接団体交渉なり労働協約なりを、日本の労働法に従つて英連邦の軍関係に要求することは道が開けておる。力の問題その他の関係は別といたしまして、あるわけです。そういう関係が米駐留軍の場合のようになりますと、そこに変化が起つて来ると思いますが、そういう点に対して、十分御検討済みで、こういう要望をなさるのであるかどうかを伺いたい。
#24
○浜田参考人 ただいまのは基本契約によるところの雇用を希望しておるのか、こういう点と思います。むろんただいま御指摘になりましたように、日米の基本契約につきましても、ずいぶん私たちもこのようにしていただきたいという点はたくさんあるわけでありますが、ただ過去八箇年にわたるところの外国軍隊に対する労務の提供を行つて参りまして、一般産業労働者のような純粋な労使関係では、労働問題の解決はできない。と申し上げますのは、さつきから申し上げましたように、軍隊という特権、ポリシーによつていろいろ制肘して来る、そういう点におきまして、確かにある点に来ますと壁にぶち当る。むろん、力によつてこの壁を打ち破るという点も考えられますけれども、やはりそれは労働者といえども日本の国民でありまして、国の立場も考える場合があると思うのであります。そういうときに、政府が中間の緩衝地帯におつて、いろいろと調整して行くということが必要ろじやないだろうかという点と、また今日の駐留軍の労働者の水準と申しますか、従つて労働組合の力というものから考えまして、力によつて解決するということは、きわめて困難ではないのだろうか。こういう点から考えまして、われわれといたしましては、当然といいたいほど、間接雇用にしていただかなくてはならない。従つて、基本契約の中でいろいろ不服な点もございますけれども、そういう方式によつてでも間接雇用をとつてもらつた方がいいのじやないか、こういうような結論によつてお願いしておるわけであります。
#25
○井堀委員 次に、もう一つお尋ねいたしておきたいと思いますが、実際問題としては、言語風俗を異にし、ことに軍という組織の中にある人々と、日本の労働組合が対等の立場に立つて労働条件を協定し、あるいはそれを運営することは困難だということは、よく想像ができます。そこで、日本政府の援助を得て、労働者の権利と生活権の主張をするわけでしようが、その実際問題については、御説の通り日本の労働法すら蹂躙するような態度に出ても、問題の処理、権利の主張が十分できないという事情の訴えはよくわかる。そこで、その場合に問題が一つあると思う。それは今皆さんもお訴えになつておりますように、そういう問題の解決の一つとしては、米駐留軍と日本との基本契約のもとに雇用されて行くという形になりますと、間接雇用ではありますが、そこには日本政府が当然の義務としてこの問題に関与して来るという立場で、問題の処理がある程度合理化されておることは事実だと思います。そのかわりに労働者側の要求を政府を通じて行うことになるのです。今の場合、非常に困難ではありますけれども、一応相手方の連合国といえども、それは、なるほど実際問題としてあると思いますが、訴え方とし交渉の仕方としては、現地で交渉することは困難であつても、こういうぐあいに国会にまで陳情し、問題にする場合に、連合軍に対する日本政府としては、当然日本の労働法を守ることは行政協定の中でも明らかになつておるのでありますから、それが実行されていないということを訴えて、日本の政府に、やはり労働者の立場から連合国にはつきり迫つてもらう運動があるのではないか。ただ、ここに米軍との基本契約があるのですから、そういうところにたよろうという気持はわかるのですが、そういう強い運動をなさつたのか、なさろうとしておるのか、この点についてお尋ねいたしたい。
#26
○浜田参考人 その点につきましては、まず講和発効後、ずいぶんやつたのでありますが、結局日本の国民、特に日本の広い意味の労働者を保護するという点で、労働省はそういう出方に出なければならないというように非常に焦点がぼけて来た点があると思うのであります。従つて私たちとしては、しばしば政府に対しても、当然法の適用については迫つておりますけれども、それがわれわれが困難な以上に――さつき申されましたように、労使関係で直接要求書を出したり、それに対して回答書をもらつたりしてやつておりますけれども、政府の方はそうでなくして、いろいろ外国の軍隊という外交上の問題があつたりして、直接ぶち当つて来られなかつたというのが、今日まで一年余りの実情ではなかつたか、このように考えております。しばしばそれは政府に対して要求しております。
#27
○井堀委員 たいへんよくわかりましたが、そこで問題は、日本の労働者が、実際上においては、労働法の保護を十分この場合には受けていないという事実が前提になつて来たわけですが、やはり日本の独立後、特に日本人の基本権が、軍によつてそうたやすく蹂躙されるというようなことは、重大な問題だとわれわれは判断しおるわけであります。当面の労働問題の解決もさることながら、やはり軍のもとに、たとい一部の日本人といえども、その基本人権が蹂躪されるような――言葉は露骨でありますが、奴隷的労働が多少でもあるということは、きわめて重大な問題だとわれわれは強い関心を持つておるわけであります。そういう意味で、もちろんわれわれも政府にその旨をただしまして責任を追究する所存ではありますが、労働組合の方はもちろん、直接多くの労働者をかかえております呉市といたしましても、ただ単に労働者の当面の問題の解決というよりは、独立した日本の国の法律が、たとい局地的でも実施されないというような事態については、もちろん呉市の問題だけでなく、日本全体の問題だとわれわれは考えております。十分努力はいたすつもりでありますが、その点の主張が明確になされることを希望して私の質問を終ります。
#28
○矢尾委員長代理 もう質問もないように思いますから、暫時休憩いたします。
    午後零時三十五分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は開会に至らなかつた〕
ソース: 国立国会図書館
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