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1953/12/07 第18回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第018回国会 電気通信委員会 第4号
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1953/12/07 第18回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第018回国会 電気通信委員会 第4号

#1
第018回国会 電気通信委員会 第4号
昭和二十八年十二月七日(月曜日)
    午後一時三十五分開議
 出席委員
   委員長 成田 知巳君
  理事 岩川 與助君 理事 橋本登美三郎君
   理事 小泉 純也君 理事 原   茂君
   理事 松前 重義君
      菊池 義郎君    庄司 一郎君
      寺島隆太郎君    齋藤 憲三君
      廣瀬 正雄君    上林與市郎君
      甲斐 政治君    松井 政吉君
      三輪 壽壯君    三木 武吉君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (日本テレビ放
        送網株式会社取
        締役社長)   正力松太郎君
        専  門  員 吉田 弘苗君
        専  門  員 中村 寅市君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 マイクロウエーヴ中継問題に関し参考人より意
 見聴取の件
    ―――――――――――――
#2
○成田委員長 ではただいまから開会いたします。
 本日はマイクロウエーブ中継問題に関し、参考人日本テレビ放送網株式会社取締役社長正力松太郎君の御意見を聴取いたします。
 正力参考人に申し上げます。本日はわざわざ御出席くださいまして、まことにありがとうございました。御承知のこととは存じますが、巷間伝えられるところによりますと、正力さんは外資導入によつてマイクロウエーブによる多量通信の中継施設建設の計画をお持ちになつているようでありますが、本件はわが国における電気通信行政及び電波管理行政上重要な問題を含んでおりますから、本委員会におきましては、本日正力さんを参考人として御出頭願い、本件に関する御計画の内容、経過等について御報告を承ると同時に、忌憚ない御意見を承り、当委員会の調査の参考に資したいと存じておるわけであります。
 それではまず正力参考人から、大体二十分程度で御発言をお願いいたします。正力参考人。
#3
○正力参考人 このたび私どもが郵政大臣並びに電電公社の総裁に、外資を導入してマイクロウエーブの設備をし、そうして電電公社に借りてもらいたいという話をしましたところが、巷間いろいろ流言飛語が行われたのであります。この際にあたつて、当委員会で私に説明する機会を与えていただきましたことを衷心よりお礼を申し上げます。それと同時に、言うまでもなく私も誠心誠意話をいたしますから、私の述べたことについておわかりにならぬ点は十分に質問をしていただきたい、このことをお願いいたしておきます。
 私はマイクロウエーブに関する意見を申し上げる前に、これと最も関係のあるテレビについて私どもの考え方をちよつと申し上げたいと思います。それは世間ではテレビの受信機は非常に高い。従て金持でなければテレビジヨンというものを聴視することはできないもののように考えられておるのであります。しかし私どもはテレビジヨンは金持を相手にすべきものにあらず、むしろ大衆を相手にしなくちやならぬ、大衆を聴視者としなくちやならぬということを考えましたので、すでに当会社の資本において、東京及び東京付近の県約百箇所の大衆の集まる場所に、受信機を備えたのであります。従て多数の人がこれを見てもおりますし、またおのずと会社の経営も楽である。世間の人が想像する苦しいものではないということを申し上げておきます。それともう一つ、テレビジヨンというものは、大都市においてはやれるが、なかなか大都市以外、ことに地方では、やるということは非常にむずかしいものだというように考えておるのであります。これに対して私は違います。テレビジヨンはマイクロウエーブさえできれば、どんな小都市でもやり得る、やり得るのみならず、東京より地方こそテレビジヨンの必要があるのであります。東京は文化設備あるいは娯楽設備もあります。地方にはこの文化設備あるいは娯楽設備も欠けております。従つて地方においてこそ、テレビジヨンはやる必要があるのであります。しこうしてその地方といえども、今申し上げたことく金持を相手にしてはやれません。大衆を相手にしてやれば、地方でもマイクロウエーブさえできればやり得ると、こう信ずるのであります。この意味におきまして、地方にテレビジヨンをやるについてはどうしてもマイクロウエーブを引かなければならぬ、こういうことでマイクロウエーブの計画をしたのであります。このマイクロウエーブを地方にやるといたしますれば、おのずから電話も架設した方がいい、その方が便利であるのみならず、経済的にも非常によい。御承知の通り日本における電話の状態は非常に悪い。世界において二十二番目ぐらいである。それだから、われわれはテレビジヨンのマイクロウエーブをやる以上、これに電話の設備の方もしたい。それで民間人のわれわれにはこれを経営する権限はないので、われわれがつくるから電電公社に借りてもらいたいということを言いたいわけであります。またこの電話を設備する以上、さらに進んで、この際レーダーつまり探知機、模写電送、テレタイプ、こういうようないわゆる多量通信もこの際やつて、そうして日本の通信事業における一大刷新をすることが、日本の目下の急務と私どもは考えておるのであります。
 日本人は割合にこの通信に対する関心が薄いのであります。これは委員の方が十分御承知のことと思いますが、今通信関係ほど必要なものはない。人間のからだに目と耳が必要であるごとく、この通信関係はちようど国家社会の目と耳に当るのであります。人間のからだに目や耳がないと不自由と感ずると同じく、国家に目と耳がなかたら、これほど不自由のことはないのであります。またこれが不完全ではこれほど不利益を与えるものはない。これは委員の方はむろん御承知のことであろうと思いますが、大衆は割合それを考えていない。言うまでもなく太平洋戦争に負けた最大原因は、いわゆる通信網の不完全からであります。ことに御承知の通り、優秀な日本海軍が負けたということは、この通信不完全ということによる、これは皆さん御承知の通りと思う。こういう優秀を誇た日本の海軍が全滅を食たのは通信だということを知つているにかかわらず、これに対する国民の注意力が少い。ことに終戦後通信網はかえつて悪くなておる。国家としてこれほどゆゆしいことはないと私は思う。どうしてもこの際通信網を完備しなければならぬ。それにはどうしても一番大事なのは電話であります。それからレーダーであり、フアクシミルであり、テレタイプであるということを考えますので、ぜひこれは委員の方々の御配慮を願つて、一日も早くやつてもらわなければならぬ。また私ども及ばずながらこの設備をしようというのが、われわれがマイクローウエーブを考えておるゆえんであります。
 御承知の通り今九州、北海道の電話は言うまでもないことながら、近県の千葉、神奈川すら電話がなかなかかかりません。これで国民がいかに損をしているかということは、私が申し上げるまでもないところであります。私はこの意味においてマイクロウエーブをやりたいと思つておるのでありますが、幸いにして電電公社が皆さんの御協力のもとに、アメリカのベル・システムにのつとつて電話について五箇年計画をやつておる、これはまことにけつこうなことであります。しかし遺憾ながら来年の三月までにできたつて、電電公社はわずかに三十六ばかりである。五箇年において日本全国を完成すると言つていますが、非常な費用であります。非常な金をかけて、はたして五箇年間に完成するやいなやということにつきましては、巷間では疑問を持つています。それだから、われわれども一つ何とかしようというのが、今日のマイクロウエーブである。電電公社はアメリカのベル・システムになぞらえてやつております。このベル・システムというのは、御承知の通り七年前アメリカのやつたものでありまして、この機械を郵政省が日本に輸入しようとしたが、アメリカはどうしてもこれを出さなかつたのでありますが、今度はそれにまねをして郵政省がやつていることは、委員諸君御承知の通りと思います。私どもはそういうシステムではありません。マウンテン・トツプ式というのであります。これは外国、アメリカにおいてもずいぶん批評がありまして、日本では全然問題にされていなかつたのであります。それが昨年アメリカで実際上これをやつてみたんですが、非常に効果を上げています。そのマウンテン・トツプ式を私どもは日本にやろうというのであります。
 このマウンテン・トツプ・システムというのは、ベル式に比較しますと、経費は三分の一で行きます。また建設の時間がベル式に比較すれば半分の時間で行く。しかもこのマウンテン・トツプ式というのは、放射範囲が非常に広いのであります。ベル・システムによりますれば、これは山の中腹を伝うて行くのでありますから、半面だけより電力の放射はできません。従つて今東京・大阪間のベル・システムをやりましてでも、いわゆる太平洋岸だけでありますが、私どもの主張しているマウンテン・トツプ式によりますれば、これは富士山の絶頂、山の上を通すのでありますから、太平洋と日本海と両面にわたつて放送できるのであります。従つて効果の大きいこと――日本海と太平洋を通じて行くのみならず、さらにそれは遠方に行く、遠方の汽船、漁船にも行く、こういうふうにして、経費は三分の一であり、建設期間が半分であり、放送範囲がずつと広い。しかも日本海、太平洋両洋画に行ける、こういうものでありますから、国家経済上から考えても、これによるのがどうしてもいいのであります。もちろん今日電電公社がやつておられるベル・システムをおやりになるのはけつこうです。このベル・システムは四百八十通話はよろしゆうございますから、たくさんの通話をやるというのにはこれが一番いいのであります。しかし日本のここ三年や五年には四百通話、五百通話の必要はありません。将来のことを考えて電電公社がやつているのかもしれませんが、これはけつこうです。しかも電電公社は電話中心であります。われわれの方は単に電話じやない。レーダーをやるについても、フアクシミルについてもすべて便利であるからそれをやろうというのである。それだから、電電公社の案と私どもの案と両方相まつてやるということは、国家的に、経済的に見て、その他いろいろな面から見ても非常にこれが有利であると、こう私は考えておる次第であります。
 そこでこのマウンテン・トツプ式を日本全国にやるについて、アメリカ技師の設計によると、大体七十億と言つている。電電公社は三百何十億というのでありますから、電電公社とは比較にならぬ少い金でありますが、七十億といいましても、今の日本の経済にとつてはたいへんであります。この日本の経済、しかもわれわれの力においては、とてもこの金はできぬ。それで何とかして外資によりたいということで、外資の折衝をしたわけであります。この外資につきましても、私どもことしとか去年やつたのではありません。非常に前から計画しておつたのであります。なぜ計画したかといいますと、テレビをやるについては放送機械はどうしても日本ではできない、アメリカから輸入するよりしかたがないということから、輸入するとすれば、どうしてもそこにドルがいる。そのドルを手に入れようと思いましても、なかなか手に入らなかつたのであります。これで三、四年苦しんだのであります。ところでそれについては実はアメリカの技師も、何とかアメリカでドルもできるだろうと言うて骨を折つてくれました。またアメリカにおける弁護士も骨を折つてくれましたが、御承知の通りアメリカというところはなかなか金はやかましい。ことに共和党内閣になりましてからは、なかなかむずかしいのであります。最初引受けてくれたホルシユーセンという弁護士、これは大丈夫だということでしたが、やはりできません。それからほかの人に頼みましたが、これもいけません。三度目にマブイーという弁護士そのほか二人の弁護士、そうしてここにおる柴田君がそこへ行つて協力を頼みまして、まあ千万ドルの話をつけておるのでありますが、御承知の通り民間でもなかなかできません。また世界銀行に話をしようといたしましても、世界銀行は五十四箇国の同意がなくてはできません。そこで輸出入銀行に折衝したわけであります。ところが幸いにしてアメリカの民間航空庁の方で、日本における気象が非常に悪い。日米の航空安全のためにも日本側のマウンテン・トツプ式における今の日本テレビが考えておるあれをやつてくれれば非常によいという意見がありまして、これを民間航空庁から商務省に話し、商務省で詳細なる検討を加えた結果、これは非常によい案だから、これに対してもしも輸出入銀行で政策上許されることなら許したらと言いました。またアメリカの国防省もわれわれの計画を見て、これならば日米安全保障の意味からでも、日本にこれがあつた方がよかろうということで、これまた推薦してくれたわけであります。なぜこういう推薦が必要だというならば、アメリカの輸出入銀行から借りる金については各省、なお厳格にいうならば議会までに了解がいるということを聞いておりましたから、われわれはできるだけの了解を求めたわけであります。そういうふうにして、むろん確定はいたしませんが、日本のそういう設備を完全にするならば、それは非常にけつこうだが、君の方では電話をやる権限がないというから、私は設備するだけです。設備するならば、それはやはり電電公社が借りてくれなければいかぬじやないかというので、それで先刻申し上げておる電電公社に借りてもらいたいということを出したわけであります。
 こういう状態でありますから、自心は世間にとかくうわさされておりますような暗いところは一つもありません。巻間伝えられるところによると、何かアメリカの国防省に利益を与えるのではないか――とんでもない話であります。私はテレビをやりますが、マイクロウエーヴの経営は全部電電公社がやつてください。私は設備をするだけです。私の方は会社としてアメリカに対して何も利益を与えられません。あるとすれば電電公社である。そういうようなわけでありますから、この点も委員諸公に十分お考えを願いたい。また巻間地方新聞が結託してわれわれに反対をしておるようでありますが、これまたどういう点で反対しておるか、私はその真意はわかりません。おそらくはこれも私の真意を誤解をしておると思います。地方新聞によれば、私がマイクロウエーブをやれば正力が実権を握ろうというのでありますが、私は全部電電公社にやつてくださいというのであります。現に私はNHKに対してすらもこういう申込みをしております。これは君の方とぼくの方と手を握つて、日本国民のためにどうしても全国にテレビをやらなくてはならぬではないか。設備はぼくの方でしておいて、全部電電公社にまかす。電電公社からNHKとぼくと同じ条件で借ろうじやないか、こういうことまで私はNHKに申し込んでおります。私は全部電電公社にまかすのであります。電電公社は全部同一の条件で地方の新聞にも東京の新聞にも与えるのである。読売新聞はおろか、東京のどの新聞もちつとも恩典に浴しません。みな平等であります。この間ある新聞社の社長は、君のような考えだとすると神様のようじやないかというから、ぼくは神様になりたくないけれども、神のような気持でなければこういう事業はできぬ、こう言つたのであります。これは私の本音であります。ほんとうに国民のことを考え、大衆のことを考えなければ、こういうものはできません。私は少くとも一片の私心がないということを、委員諸公に訴えたいのであります。要するに日本のこの通信網の状態で日本をどうするか。大東亜戦争に負けてあの惨状を呈してまで何事であるか。それに今度幸い比較的金が安くて入るときに、なぜこれをやらぬのかということを訴えるのであります。この点は委員諸公もよく御考慮を願いたい。
 最後に一つ簡単に申し上げておきたいのは、私ども今度マウンテン・トツプ式でやるということにつきましては、そんなものはできるものか、できはせぬじやないか。机上の空論かのごとく伝えておる人もありますが、これは今言う通りにアメリカで現在実験済みのものであります。アメリカの航空庁が技術的にたいこ判を押したものであります。また国防省も推薦するくらいだから、事実を調べておるものと思います。それだから日本の技術者間にとかくの問題がありまして、現に電電公社から二、三の質問が私の方に来ておりますが、それは私どもの方ではよくわかりませんので、私どもの方で契約しておるアメリカのユニテル会社が報告して来るがどうかということを言つてやつております。おそらくは今週中にその電電公社の質問に対する回答は来る、こう思うのであります。とにかく日本ではこの式について非常に疑いを持つておりますが、今の理由で私は大丈夫できると思います。それについても私は皆さんに御参考までに申し上げたいのは、一昨年私はテレビジヨンを買いましたが、御承知のようにNHKのテレビでも私どものテレビでも、鮮明の点についてアメリカに遜色がありません。遜色がないどころか、アメリカの方よりよいものはたんさんあります。アメリカ以上であります。そういうふうに鮮明な映像をNHKも私のところも出したのであります。しかるに三年前に来たアメリカの技師が、NHKの試験放送を見て私にこう言いました。こういう未熟なものを出しては日本のテレビジヨンを害するじやないか、これは十五年前のアメリカのものだという悪口を言いました。それからまた、私はこのテレビジヨンをやるにつきまして、NHKの意見を聞こうと思いました。不幸にして会長の古垣君はアメリカに行つておりましたが、副会長の小松君を私は人を介しまして呼んで、三人食事をして私の意見を述べました。小松君も非常に共鳴しまして、君の方はもうやるかと言つたら、私の方は五、六年はやると考えていません。二十年来研究しているけれども、五、六年やりません。あなたがやるなら極力応援しましようと言うて、アメリカの人が来たときに技術者を集めてくれたのはNHKです。さらにまた古垣君もAP通信で、日本のテレビはまだ五、六年早いということを通信で言つて来ております。NHKの会長、副会長がまだ五、六年早いと言うておる。のみならず、それから三、四箇月たつて私は食事を一緒にしました。そのときに私は古垣君と小松君、つまり会長、副会長から、正力さん、あなたは日本のテレビを促進する功労者ですというおせじを言われました。しかし暗にあなたの方はなかなかできますまいが、NHKがやります、こう言うたのでありました。ところがどうです。二年たつてNHKも私どもも、りつぱにできたじやありませんか。NHK自身が考えていたものを、NHKはりつぱにこしらえました。アメリカの技師がNHKのものを見て、十五年前の技術だ、こんなものがどうなるかと言つたが、今日アメリカ以上になつておる。こういう実例からしても、私は今日マイクロウエーブをやつて、決してアメリカに負けないものができる。世界の二十二番といわれているものを、少くともアメリカ以上に持つて行けると思うのであります。それについては委員諸公の御協力さえありますれば、そうしてそれに郵政省と電電公社が真剣にわれわれと一体になるということならば、私は決して今のテレビの例を見ても、至難のことではないと信ずるのであります。どうぞよろしくお願いいたします。
#4
○成田委員長 正力参考人に対する質疑を行います。質疑の通告があります。通告順にこれを許します。寺島隆太郎君。
#5
○寺島委員 正力参考人にこの際お伺いいたしておきたいことがあるのでありますが、去る十一月六日の本委員会において、同僚原委員から当局に向けて、質問の形式をもつて公にせられた怪文書でございます。すなわち電波管理委員会有志の名前のもとに、各方面に配布せられまして、非常に疑惑を持つておられますその文書の内容について、本委員会を通して、当事者である正力参考人から直接お伺いいたしたいのであります。
 その怪文書は大体三つの点にわかれておるのであります。三つの点を要約いたしました根本は、正力参考人は、NTVの東京送信所をつくるにあたりまして、すなわち日本テレビジヨン放送網株式会社を設立するにあたつて、十億円の金を集めた。東京送信所にうち六億円の設備を投資して、現に放送を行つておるが、この東京送信所は現在、テレビジヨンがポピユラーになつておらないという等々の原因から、毎月三千万円の赤字を出しておる。きわめて近い将来経営合理化せられたりといえども、約二千五百万円程度の赤字を見込まなければなるまいと思う。この厖大なる赤字に四苦八苦いたしておるという経営状態であるということが掲げられておる。これがこの怪文書の根本を流れておる考え方でありますが、第一にそういうふうに経理状態が不安定なものであるかどうか。送信以来すでに日をけみした今日において、その実績もまた明らかであろうと思うのでありまして、その点をまず明らかにしていただきたいとともに、右の十億円の集められた金額の中で、余つた四億円をもつて大阪読売新聞社に投資をいたしておる。大阪読売新聞社の経営資金にまわしておるけれども、一方においては毎月三千万ないし二千五百万のこげつく経営費に攻められておる。これがすなわち直接外資導入を求めんとするに至つた動機であるということが、本怪文書の根本を貫いておりますところの考え方になつておるのでありますが、かかる事実がありやなしや、この二点にわけて伺いたいのであります。
 なお私の聞きたいことは、ほんとうに簡単な点でありますので、重複質疑を避けたいと思いますが、第一にこの怪文書では、かかる無理な借款をいたす条件として、この反対給付として米駐留軍に対して、このマイクロウエーブが完成のあかつきにおいては、きわめて大なる便宜を供与することに相なる。この怪文書によりますと、すなわち文字通り全土が基地となるのであります。近時の米国の極東政策をあわせ考えるならば、一正力の野心のゆえに、全国を焦土と化する日が来ないとは、何人も保障し得ないところであります。かかる言辞を連ねて本借款は、本外資導入は、本マイクロウエーブの設立は、米軍の便宜の供与のためになされておるという点が、極端に怪文書の内容として貫かれ、しかもこの委員会において同僚原委員からひろうせられた文書でありますので、御当人から率直な御意見を承りたいのであります。これが第二点であります。
 第三は、正力参考人の野心は言論界の制覇にある。しかもこの文書の末尾の方には、これは全国新聞社を寄せ集めて、一挙にして読売が君臨する意図する包蔵するものと見るべきであります。かかる考え方のもとに、これは怪文書ではございませんが、全国の地方新聞社の社長有志から反対の意見が吐露せられておることは明瞭でありますが、しかしこれは、その実体をなすものは何であるか。言論界制覇の野心ありやいなやという点について伺いたいのであります。
 しかも怪文書の第三点といたしましては、権勢欲である。すなわち正力参考人は、右手に日本言論界を押え、左手には米軍軍部にすがつて、そうして政権を自己の懐中に収めんとする野望のあるであろうことは想像にかたくないと申されておるのでありますが、ただいま伺いましたマイクロウエーブ技術速成に対する高邁なる所信に対して、かかる怪文書が世上流布され、しかも本怪文書に対してとかく云為せられておることは遺憾にたえないのでありますが、これに対します参考人の率直なる御意見を伺いたいと存ずる次第であります。
#6
○正力参考人 ただいまの御質問はありがたく存じます。私ども実は、今のような怪文書が出ておる、何か答弁した方がいいたろうということを、懇意な筋から幾度も注意を受けました。しかし私は、そういう署名も出さずに、匿名をもつて人を中傷せんとするものに対しては絶対答弁しないというて、私は今まで全然答弁しませんでした。しかしこの立法府において、この委員会において、寺島委員からの御質問なら私は喜んで答えます。また私も大衆の誤解を解くためにもよい機会だと思います。
 まず経営の赤字ですが、どうも正力はまた自慢話をするのじやないかと言われるかと思つて恐縮でありますが、せつかくの御質問であるし、また一面から言うと、テレビジヨンの前途について重大なことでありますから、お答えいたします。先刻私がマイクロウエーヴのときに幾らか述べましたが、テレビジヨンというのはみんな赤字というのは常識であります。また今の御質問にもあるごとく、聴視者から聴視料をとつてやるならば、どうしても二千万円から三千万円の赤字になります。しかし私どものようにスポンサーをつけてやるならば、しかも大衆を相手にしてやるならば、経営は案外楽であります。さきにも言うたように百箇所出してありますが、この中継、つまり拳闘とか相撲とか野球のときには、非常な人だかりであるのみならず、その結果ほかのときにも相当な人が集まつておりますので、広告主は喜んで広告に応じてくれております。従つて私どもも、少くとも一年は赤字だろうと思いましたところが、経営を始めた最初の月、つまり九月でありますが、九月は、償却費を抜きますれば、わずか百七十万円の赤字で済みました。また十月は、これも償却費と年末の賞与を抜きますれば、わずかばかりですが四十二万円という黒字が出ました。この点から考えましても、私ども、まだ利益があるということはできませんが、大した赤字じやない。おそらく来年の二、三月になれは相当に広告料がふえます。それだからして、テレビジヨンの前途というものは、われわれのような経営方法であれば、絶対安心である。私が地方にも早くやれと申すのもそれなんです。みな、地方においてはブルジヨアが少いから、受像機を買う者が少いから、地方にはテレビジヨンをやれぬと思つておる。今のように、地方に行つて大衆の前でやれば、当然広告ができます。私はマイクロウエーブさえできれば、現実にラジオ放送のあるところはもちろん、いやしくも新聞を発行し得るところならば、テレビジヨンはやれる、こう信じておるわけでありますから、赤字の点の心配はありません。
 それから大阪読売に四億といいますが、これは第一歩から間違つておるのです。私はテレビジヨンをやるについては十億の金を集めております。私がテレビジヨンをやるために約束してくれた人の金は八億円です。約束した金ですらも八億円なんです。しこうしてその隻めた金は、そのうち昨年の十月に第一回の払込みをやつて二億五千万円とりました。第二回はことしの四月に第二回の払込みで二億五千万円とりました。そうしてそのときに、営業を開始したらばあとの三億を集めよう、こういうことで約束ができました。そこで営業開始しました九月の末だつたと思いますが、重役会を開きまして、あとの金を集めようということになつた。何となれば、怪文書にもあるごとく、私どもは建設費に今まで六億二千万円かかつています。それに運転資金を合せれば七億いるのであります。集めた金が五億であるから、どうしても二億は足りない。それだから今の三億、少くとも二億五千万円をとろうということを会社の重役が主張するのは当然であります。またとれるものと思います。それで私は重役会の席上でこう言いました。今会社はこういうふうにしてすでに六億二千万円から七億かかつておる。今まで集めた金は五億だから、もう二億だけはどうしてもとらなければならぬ。幸いわれわれに約束した人は、多くは一流の実業家、一流の会社ばかりであるから、金はむろんとれるでしよう。とれるでしようが、二億の金がいることは事実だが、私はとりたくないと言つたのであります。どういうわけでそう言つたかというと、この八億の予約というのは、この事業は国家事業で、そして将来有望であるという点が確かに根拠である。しかしながら、それもあるけれども、一面私が熱心に説いたのであります。私の熱心に動かされた同情と好意である。この同情と好意によつて引受けてくれたのである。今大銀行、大会社といえども、余分の金があるわけはないから、力はあるけれども、結局借りて来なければならないのだ。ところが、幸いにして業績がいいから、そうして仕事は国家的の仕事だから、銀行も好意を持つてくれるから、二億の金は私どもの手でできるから払込みをとりたくないと言いました。それができればけつこうだというので、とうとう私どもは二億借りましたが、払込みはとつておりません。それだから、もしも怪文書に言うがごとく、会社に七億いつて、そのうち二億を私が借りて来ておりますので、大阪読売にやる金は一円だつてあるわけはありません。それは読売にとつてもかわいそうな話であります。読売新聞が大阪のために金を使つたかもしれませんが、それは読売が都合をつけたのであつて、私とは何ら関係がありませんから、その点は御了承を願います。
 それから二千万円とか二千五百万円の損というのは、今言うような点でありまして、これに疑問がありますれば、会社においでになれば経理部長が喜んでお見せいたします。その点は間違いありません。
 それからアメリカに利益を与えるというのでありますが、これも先ほどの説明で尽きるようでありますが、私はアメリカの国防省に利益の与えようがないのであります。私は設備はするけれども、それを全部電電公社に渡し、電電公社が経営するのです。軍の基地じやなくて、みな電電公社が経営するのです。アメリカは私にひものつけようがありません。今電電公社もアメリカに金を貸してくれと言つております。それだから貸してやつてひもをつければいいのであります。私にひもをつけて何の利益がありますか。これはあまりにも明白なことであります。しかも一番人が誤解に陥りやすいところであります。これは何人か、ためにせんとする人があつておそらくやつたことだと思いますので、まことに遺憾に存じます。
 それから第三の地方新聞の制覇でありますが、これはとんでもない話であります。先刻も申し上げておる通りに、つくつたつてそれをみな電電公社に貸すのであります。しかも必要とあれば国家のものにしてもらつてもよろしいというのであります。電電公社は地方新聞界を牛耳るかもしれませんが、私には牛耳りようがないのであります。アメリカに利益を提供しようがないと同じく、地方新聞を牛耳る方法がないのであります。だからその点は間違いであります。従つて第三の地方の新聞を牛耳るとか、アメリカの国防省と手を握つて日本の政権をとろうとしておるなどということは、ただ一笑に付するのみであります。
#7
○齋藤委員 ただいま正力参考人の、テレビ放送を中心とするマイクロウエーブの完成に対する御構想を拝聴いたしたのであります。ひとしく日本全国の通信網の劣弱性をお考えになりまして、急速にこれが完備を志しておられる点につきましては、私も同感の意を表するものであります。ただ問題になりました怪文書が配布されましたためであるかどうかはわかりませんが、去る十一月六日の本委員会においてマイクロウエーブが議題として取上げられました際に、政府委員から、いわゆる正力参考人の構想になるマイクロウエーブ網というものは、電波法第四条第二項に照すと実現不可能だ、こういう説明があつたので、それを中心としてこの委員会においては、いろいろ論議が重ねられたのであります。しかしだんだん質疑を重ねて参りますと、結論におきまして、いわゆる正力参考人の考えておられますマイクロウエーブ網というものは、まだ本式に問題を取上げて論争を重ねるまでに行つておらぬという状態に立ち至つたようであります。ただ御参考までに申し上げておきますが、この委員会では主として法律上の解釈に重点を置きまして、いろいろ電波法の解釈を考究いたしておるのでありますが、それは別として、せつかくここにおいでくださつて、ただいま御構想をお述べくださつたのでございますから、それに対して二、三今後の参考のためにひとつ御質問申し上げておきたい、さように存ずるのであります。
 二十八年十一月六日に、同僚原委員から質問がありました。それに対しまして、塚田国務大臣は次のようにお答えになつておるのであります。「正力さんの問題は世間に非常に問題になつておりますけれども、少くとも郵政大臣としては、正式なものとして扱うようなものになつておらないのだということをはつきり申し上げ、正式なものとしてああいうものを扱うときには、それぞれ必要な書類が整えられて正式に出て来てからで、従つてそれを扱います場合に、郵政省の場合には、この種の問題は電波審議会にお諮りすべき性質のものであります。また事柄が電電公社と非常に関係のあるものでありますから、その出て来た資料に基いて公社側の意見も聞かなくてはならない。」こういうことを申されて、その結論といたしましては、「結論の出る段階までは行つておらない。また世上にいろいろアメリカ側の意図がうわさされておりますが、そのようなものであればそういう面について別に検討を加えなければなりません。まあどちらにしてもまだ本気で考える段階のところまでは行つておらない。ことに郵政大臣が電波行政の一極の事務として正式に考えるようにはなつておらぬ問題であるということを、この機会に申し上げておきたいと思います。」こういう御答弁がございましたので、当委員会といたしましては非常に重大な問題として、郵政省でも取上げておられるのかと思いましたが、事実はそうでない。まだ本式に取上げる段階まで行つておらぬということで、実はこういう言葉を使つてははなはだ当らないかもしれませんが、拍子抜けをしたような状態であつたのであります。しかしながら、その後いろいろ質疑を重ねております間に、やはり問題はある点においてはよほど進展したときもあつたのではないかという場面も出て参りましたので、この点について本日ひとつ参考のために伺つておきたいと思うのであります。
 それは十一月二十六日に、私が塚田大臣にお尋ねをいたしました際、塚田大臣はこういうふうにお答えになつておるのであります。「まだこの問題は自分としては委員会でお取上げになる時期になつておらぬのだと申し上げた気持は、実はそこにあつたのでありまして、ただ私がこの間顕は、初めに正方社長から話を伺つたときに、アメリカは公社には貸さない、政府には貸さない、民間会社なら貸す、こう言つておる。そこで私はその民間会社なら貸すという話と、それからこういうような高度の施設というものは、日本としてはできるならば早く成就する方が一番いいのじやないか、電波というものはそれほど重要なものだ、そこで公社にやらせると言つておる考え方で行つて、公社がいつまでたつてもできないというようなことであれば、あるいは民間の手でやつて早くできるということならば一つの考え方ではなかろうか、しかしその場合に日本の電波法もしくは電波法に必ずしも明記してなくても、郵政省が今まで電波行政の基本方針としてとつて来た線が、それによつてくずれるということでは、これは何ともしかたがない」という御答弁をなしておられるのでございますが、お伺いいたしますのは、このアメリカとどういう御交渉をなさいました際に、アメリカでは、公社には貸さない、政府には貸さない、民間会社なら貸すと、こういうことになつたのでありますか。ひとつそれをお答え願いたいと思います。
#8
○正力参考人 アメリカは公社なら貸さないが、民間ならば貸せるということを言うたということを私が言うたと郵政大臣が言つたのですか。
#9
○齋藤委員 さように速記録に書いてあります。
#10
○正力参考人 そういうことは私は言うておらぬつもりです。ただこれは言いました。アメリカが今やつておるベル・システムでは、せつかく日本がやつてもどうもいかぬので、マウンテン・トツブ式の方が日本のためによいのじやないかと言うておるという話はしました。それだけであります。
#11
○齋藤委員 もう一点、それに関連いたしましてお伺いをいたしておきたいのでありますが、このアメリカに対しまする外資導入のお申込みは、もちろん社長御自身アメリカにおいでになつたのではないかと思いますが、代理でもおやりになつて御交渉をなされたのであるかどうかということが一点。そのときに、アメリカが外資導入の条件といたしまして、日本政府の主要閣僚の同計画に対する支持書、それからもう一つは日本政府による借款の保証、もう一つは日本の電波通信管理者たる電電公社が、正力氏の輸入する機器及び建設する施設を借用するとの保証書、こういうものがあれば貸せるのだということが巷間伝えられておるのでありますが、それに対する真偽をひとつ伺いたい。
#12
○正力参考人 アメリカへ交渉にだれをやつたかという話でありますが、これは先ほど申し上げた通りに、実は古い話でありまして、最初私がかのテレビジヨンをやるというときは、アメリカのラジオ、真空管の発明者、あの大博士デホレーという人から、アメリカでテレビジヨンを始めたんだ、これは将来日本でも伸びると思うから、ひとつ日本もこれを民間でやつたらどうだということを言うて来たのが起りであります。ところがそのときに、やるとすれば機械は日本にはないから、どうしてもアメリカから買わにやならぬということでいろいろ心配したが、どうしても機械を買う金がなかつた。ドルが手に入らぬでだめになつた。そうすると一昨年、アメリカの弁護士のホルシユーセンというのが技術者二人を連れて来まして、これを日本でやることがいい、機械を買う金は何とかおれの方で都合をつけてやろうと害うたのがもとで、そのアメリカの技術者を呼んだのであります。これは内輪の話ですが、日本に来て、私の家庭を訪問しまして、日本のために非常にいいことをやるのだから、君ひとつ吉田総理から一言頼むと言わしてくれということを言いました。そのときに私は断りました。それは、ぼくの方でやるから、君の方で機械を買う金を何とか都合してくれと言つたのであつて、君とおれとの契約で来たのではないのか、それに吉田総理をとは何事だと言いました。なぜ私がそう言つたかというと、吉田総輝が言つても聞いてくれぬかもしれません。かりに聞いてくれても、一国の総理が頼むということで、変なひもでもついた場合には困る、こう考えまして私は断りました。実はこのことは、郵政省のある若い課長が私をたずねて来まして、あなたはテレビジヨンをやるのだが、イギリスは海底電線を所有して世界制覇をやつた。それと同じく、今度アメリカはまた無電によつて世界を制覇するのじやないか、こういうことを私に尋ねて参りました。そのときに私は言いました。イギリスの海底電線のこととわれわれのテレビジヨンとはまつたく違うのだ、イギリスの海底電線は所有権はイギリスにある。イギリスからみな借つているのである。おれは設備する金を借りるので、会社はぼくのものである。根本の意味が違う。のみならずアメリカの技師が自分の家庭を訪問して、吉田総理から一言頼ましてくれと言つたのすらも断つた、こういうことを言つたところ、その課長は非常に安心しまして、実はわれわれの同僚もそういうことをおそれていたのであります。あなたの話を聞いて非常によくわかりましたと喜んで帰りました。こういう事実があります。そういうようなことで私とわかれました。それからその弁護士が二年かかつてやりましたけれども、とうとうそれができないで放棄しました。私も一番頼みにしておつたホルシユーセンが投げ出してしまつて、ほとほと困りました。それもできるようなことばかり言つて、こちらは安心していたのであります。放棄したのは今年の二月であります。それからまただれかアメリカ人はないかと考えたところ、ちようどアメリカでそういうことに骨を折つておるブローカーと言うと語弊がありますけれども、そういう者がおるということを聞きまして、それをこつちへ呼んでもたいへんだから、ひとつだれかをというので、ここにおる柴田君をやりました。そうするとそれがまただめになりました。第一のホルシユーセンがだめになり、第二に引受けたブローカーと言うと語弊がありますが、それもだめになつた。それで柴田君は困つたが、ここでもう一回というので、アメリカのマーフイー、スミス、ダツクスンという三人の弁護士が、これは日本のためにも、結局日米安全保障のためにもいいことだから、できるだけ骨を折つてやるということを柴田君に言いまして、その弁護士は骨を折つてくれたのであります。巷間伝えられるところに、ぼくがアメリカの進駐軍に話したというが、だれも進駐軍に話してはおりません。進駐軍にやらせてできることではありません。進駐軍は何も知りません。しかも輸出入銀行に国防省が推薦状を書いたことすらも進駐軍は知りません。進駐軍とは何らの関係もありません。この点をはつきり申し上げておきます。
#13
○齋藤委員 ただいまの御説明によりますと、数次にわたるアメリカ側との折衝では、予期する成果を得ることができなかつた。最後にマーフイーという弁護士が、目下正力参考人の日本に対するマイクロウエーヴ完成の計画に対して賛意を表して、これの実現に対してあつせんをしている、こういう程度であるという御説明でございますか。
#14
○正力参考人 その弁護士が輸出入銀行にも行つてくれました。そのときにまだ正式の交渉になつておりませんけれども、君らのやつているこの計画には電話も入つているが、君ら電話の権限がないじやないか、それじや電電公社から借りるということも必要じやないか。そこで電電公社に借りるということを交渉したわけであります。
#15
○齋藤委員 電電公社との関係でございますが、電電公社は御承知の通り公共企業体であり、公衆通信の一切の業務を国家から委任せられているような立場にあるのでございますから、もちろん今正力参考人のお述べになりましたマイクロウエーヴ網の完成ということは、勢い電電公社と緊密な関連性を持ち、その関連性の解釈によつて事が正当づけられる、あるいは法律上許されないような状態になると思うのでありますが、この点に関しましても十一月六日に電電公社の靱副総裁がこの委員会において、かような説明をいたしておるのであります。「最後の問題についてお答えいたします。先ほど申しました通り、マイクロの機械につきましては、ともかくアメリカないし英国が非常に進んでおる。従いまして、モデルといたしましてもぜひ輸入いたしたいという考えで、公社におきましても、あるいはアメリカの会社の内容を調べてみたり、あるいは英国の方を相当調査した、こういう形になつておつたのでありますが、政府におきましても、外資導入の問題について公社に対しても御指示がありましたので、公社といたしましては、やはり外資が入るならばそれによつて器材を輸入したい、こういう考えで政府の方にその案を提出いたして、政府の御折衝を待つている次第であります。そのときにちようど日本テレビの方から、自分の方は外資が入るのだ、入つた場合においてはこれを設備提供するのはどうかという話合いが出て参りましたが、まず第一に法律的な問題がある。この点につきましても、これは先ほど郵政省の方からお答えになりましたが、その点は解決されない点が現在ある。私どもにおきましては、全然外資導入ができないかどうか。これは政府の指示に従つて、ともかくマイクロとクロスバーの器材輸入の外資を求めておる次第でありますが、それがきまらぬ限り、日本テレビの方では必ず外資ができるのだからと言われましても、私の方も、できればそういうものは他にたよる必要もないわけであるということが、まず第一点であります。そこでお話合いがありましても、アメリカに外資を求めることの結論を得てからでなければ、何ともお答えはできない。ただアメリカないし英国の機械がほしいということだけは、これは一つの絶対的な条件になつておる。さてほしい機械につきましても、日本テレビの御計画になつている機械が、われわれのほしい機械と合致しているかどうかという問題もあるわけであります。従いまして郵政大臣のお話もありまして、公社と正力さんとの間に、そういう具体的な、まず先方さんの計画はどういう方式のものをお入れになるのかというようなことをお話合いしておりまして、私どもの公社からしましても、そういうものをはつきりとお示し願いたいということになつておりますが、ただいまのところ、それについて正式な回答が来ていないという状況にあります」こういう御説明なのでありまして、ただいま正力参考人からお話がございましたが、正力参考人の方からは、自分の方では一切のマイクロウエーブの設備をして、それをほとんど無条件に近い条件をもつて、一切を電電公社の方にまかせるというお申出をなさつておられるようでございまするが、それに対しましては電電公社の方から何らの回答が来ておらぬというのが実情でありますかどうか。
#16
○正力参考人 それは靱副総裁の言う通り、電電公社から私の方に二、三質問が来ております。それはなかなか重大な質問でありまして、一昨日アメリカから電報が来まして、今週に回答を送るというて来ました。そのことは靱副総裁にこういう電報が来たというて電報を見せました。だから回答の内容については、見なければわかりませんが、回答を出した、そうして安心せよという意味がありました。それだから靱副総裁も、その回答を見ればわかるわけです。われわれはマウンテン・トツプで、電々公社はベル・システムでありまして、マウンテン・トツプ式でやると電電公社のベル・システムに障害を与えぬかということが非常に心配らしいのであります。それで先刻も私が申し上げました通り、われわれはマウンテン・トップ式で行くのだが、電電公社はペル式で行つてもいいじやありませんか。それはこつちの方は金がかからぬ、時間がかからぬ。決してそれはむだにならぬ。そうしてしかも公社は電話が中心であります。私のところは電話ばかりじやない。電話を完全にするのなら電電公社のベル式でやればいいのです。私の方は電話のほかに模写もやれば、レーダーもやれば、テレビもテレタイプもやる。いろいろな計画もしておることと、それからもう一つ、遠方に行くということ、この点をもう少し考えてもらいたいという話をしておるので、電電公社でも非常に慎重に調べております。また慎重に調べてみる必要もあります。テレビのときも問題にしたが、やればできるのじやないか、断じてやれば鬼神もこれを避くと言うておるわけでありますから、この点はひとつ日本通信界のために、委員諸公も十分御奮発願いたいと思います。
#17
○齋藤委員 大体正力参考人のお考えになつておる事業上の論点に対しまする私の質問は打切りたいと思うのでありますが、その他法令上に関する疑義等は他の同僚議員からいろいろお話があるかもしれませんが、最後に一点、せつかくおいでになつたのでございまするから、正力参考人の御意見をひとつ伺つてみたいと思うのであります。
 それは、申されるまでもなく、日本の過去の実態ともいうべきものは、科学技術的にすべて諸外国に比較いたしまして劣等であります。その劣等のために、今日のごとき悲惨な状態に陥つているということも、ある一面においては言えると思うのであります。従つてわれわれといたしましても、今日の文明国における科学技術の最も最先端を走る電波というものに対しましては、ひとり国民の一員としてのみならず、国家最高の機関でありまするこの電通委員会におきましては、各委員とも熱誠を傾けて、深く国策のこの電波網の完成というものに努力いたしておるのであります。従つてわれわれといたしましては、あくまでもこの電波というものは国宝であるべきである。もし日本が電波というものを軽視するようなことがあつたならば、それこそ日本の不幸これよりはなはだしきものはない、さような自覚の上に立つてわれわれは一生懸命に電波網の完成に努力をいたしておるのであります。そういう立場から先ほど来の正力参考人の御意見を伺いますと、おのれをむなしゆうして日本の電波網完成のために努力をするのである。マウンテン・トツプ式あるいはベル・システムいずれのものであつても、その長所をとらえて日本のマイクロウエーブ網というものはいち早く完成せられるということになつたならば、もちろん電話においてしかり、レーダーにおいてしかり、あるいは模写電送においてしかり、またテレビ及びこれによつて文化その他教育上においても貢献がある、かような御意見なのでございますが、私たちといたしましては、相なるべくは今日、日本の立場において国際間におきましても、国内間におきましても、最も大切なところの電波というものは、国家が中心たるところの指針を握つてこの電波網の完成をするということが、私は国家として望みたい、さように思つておるのでございます。こういう意味合いにおきまして私はマイクロウエーブというものは、単なるテレビ重点ということでなしに、これは電話あるいはその他の電波という総体を考えました上において、テレビ網の完成というものをやりたい。相なるべくならば、このテレビ網の完成あるいは無線電話の完成というものの中心をなすマイクロウエーブというものは、近代的な科学技術の面において、いかなる人間が見てもこれは国家的に整然たる体形を保つておるということに仕上げて行きたい、私はかように思つておるのであります。あるいはいかなる事情に基きましたことかわかりませんが、テレビ放送の鉄塔というものは今二本建つておる。また来年もう一本建つ、ああいうみつともない、学術的に申しますと、ああいうものはなくても済むところの鉄塔を二本ないし三本建てるというがごとき雑然たる、すなわち日本には電波行政がないのだというがごときことを標識するような形態でなくして、ほんとうに優秀なるマイクロウエーブというものの組織があるならば、これによつてすべての無線電話であろうが、テレビであろうが、レーダーであろうが、そういうものの完成ができ得るという体形こそ、日本としてとるべき体形ではないかと私は考えておるのであります。ところがいろいろ事情を承つてみますと、この点に関しましては国家といたしましても、いろいろなる電波法ないしは公衆電気通信の法令を定めまして、一切のそういう広範な電気通信の業務を公衆的に取扱うところの権限というものは電電公社にやらすことになつており、また正力参考人も一切をあげて電電公社にこれをやらしてもいいというお考えに承つたのでありますが、そういたしますとただいままでの正力参考人のお述べになりましたことは、一に国家本位であり、自分の総力をあげて電電公社の組織体形というものをプツシユするものである。おれには何らの私心がないのだというように私は承つたのでございますが、さもありなんと私は存ずるのであります。かような意味合いにおきまして私はここに正力参考人が国家のいわゆる通信網の劣弱というものに対して、国民の一人として義憤を感じ、あくまでもこれは早急に完成して、先進国と同列の域にまでいち早く達しなければならぬものだ、そのためにおれはマウンテン・トツプ式をもつてみずからの力によつてマイクロウエーブ網を完成しようと志したけれども、これはむしろ国家が大いなる重点をこの点にいたして、電電公社を鞭撻して早急に自分の欲するがごときテレビ網の完成というものを、あるいはマイクロウエーブの完成というものに力をいたすならば、これはおれの思うつぼであるから、おれは何も自分本位のことをしやしやばる必要はないのだ、こういうように私は先ほどから伺つておりますと御意見がまとまるように考えるのでありますが、はたして若輩の私が申し上げることが間違つておるかもしれませんが、先ほどからの御意見を伺いますと、私は結論はそうではないか、またそれが当然である、さように考えるのでありますが、この点につきまして後学のために御教示を賜わればまことに幸福だと思います。
#18
○正力参考人 ただいまの御質問の点につきましては、私も国家本位に考えております。そして電電公社を助けて行きます。しかし先ほど申した通り、私はかりにそういうものをつくるけれども――電電公社がやるというお話、それはその通りでありますが、どうしてもさつき申しましたように、マウンテン・トツプ式でやれば早くできる。そしてここまで外資問題が進んで来たのだから、国家のためにやりたい。一片の私心のないということだけは、ここであらためて申し上げておきます。
#19
○小泉委員 同僚齋藤委員と正力参考人との間にかわされました質問応答に関連をいたしまして、私は一言お尋ねいたしたいと思うのであります。
 今日までにおける日本テレビと郵政省関係、また電電公社との内交渉についての応答があつたのであります。この点について、現在までの段階と将来の段階ということについて、当委員会の中にも、また議員全体にも、また世間にも、非常に誤解があるのであります。せつかく正力参考人においでいただいたのでありますから、この機会に、そういう誤解を解く意味からも、一言お答えをいただきたいと思うのであります。それは先ほど寺島委員からもお話がありました通り、この問題については、世上幾多の疑惑を生んでおり、またいろいろの正当でないのではないかと思われるような非難も生れておることは、御承知の通りであります。もちろん怪文書のごときは、正力松太郎とはいかなる人物であるかということを理解している人間には、一笑に付さるべきものであると思いますが、やはり世の中はそうばかりとは参りませんので、ああいう怪文書に相当の信頼を置いて、議会の内外でもいろいろの論議を生んでおるのであります。本日、そういう点について寺島委員からも質問がありまして、好ましからざる疑惑を一掃したということは、これを将来研究をし、責任をもつて解決しなけれげならないわれわれ電通委員会としても、非常に喜ばしきことであつたと照うのであります。
 そこで私は、先ほどの齋藤委員の速記録を引用している問題の中から考えますのに、郵政省並びに電電公社と日本テレビとの――もつと具体的に言いますれば、正力さんとの間の交渉というものの過程について、あるいは深さと申しますか、そういう点についても非常な誤解があるのであります。現にこの委員会の中にも、私ども初めその正確な度合いを今日までまだ把握しておらないのであります。たとえば巷間伝うるところによれば、あれはもう許可にならなかつたとか、あるいは却下されたとか、あるいは許可になるとかいうところまで、非常に行き過ぎて問題が紛淆をいたしております。それで今、齋藤委員と正力参考人との応答によりまして、大体その深浅と申しますか、進捗の度合いというものを、われわれはおぼろげながらつかんだのでありますが、なおこれを明確にするために私がお願いしたいことは、今までの御交渉というものは、内輪の交渉といいますか、内輪の話合いであつて、公式と申しますか、書類の上等で、郵政省とか電電公社と日本テレビ並びに日本テレビの責任者たる正力参考人との間の、正面切つての正式の交渉というものは、今後にあると解釈してさしつかえないでありましようか。この点を伺つておきたいのであります。
#20
○正力参考人 今まで郵政大臣、それから電電公社の総裁と数回会つておりますが、書類でも出してあります。正式の書類は出ておりませんが、今後形をもう少し正式に書きましよう。しかし相当の書類が出ております。ただ問題が少し延びたのは、アメリカの――電電公社から質問が幾つも出ていますが、その質問の返事が少し遅れたのです。それでこれは少し延びたのであります。ですから郵政大臣にも、電電公社からこういう質問が出て来ておるということは言つておりません。しかし郵政大臣はしばらく会いませんから、どうしたのたろうと思つておると思います。しかしながら電電公社の靱副総裁なり梶井総裁に聞けばわかると思います。ただ問題は、飛行機便でやつてもなかなかかかるのでありますが、電電公社はこまかい点を要求して来ました。だからなかなか調べる点が多いのであります。そうすると、向うからまた言つて来た、また電電公社が案を持つて行くということだから、案外時間がかかつている。その間のことは郵政大臣に話してありませんから、郵政大臣はどうしたのだろうと思つているかもわかりません。今度せつかく御注意もありましたし、今までの経過も郵政大臣に話しておききす。正式という文字は使つておりませんけれども、大体こちらの真意は向うに通つているはずだと思います。また郵政省の意向もわかつております。電電公社と折衝している事項もあるのでありますが、いずれこういうことは委員の方にも詳しく申し上げたいと思います。今日はとにかくその意味をお含み願います。
#21
○成田委員長 ただいまの小泉委員の質問に関連してお聾ねしたいのです。今まで正式の書類の上での交渉はしたことはないけれども、近い将来において正式に書類を出すと言われたのですが、それは免許の申請の書類じやないのでございますか。
#22
○正力参考人 それは免許の申請といいますか、まず私どもはこういう計画をしているから、電電公社の意向を聞けよという話もあります。それで先ほどのお話のように、電波審議会というのが郵政にありまして、それにも聞かなければならぬから、いずれ正式に書類を出すことにいたします。
#23
○成田委員長 正式の書類をお出しになるとしましても、許可申請は今のところお出しになれないと思うのです。と申しますのは、外資導入計画、これは今の質疑応答によりますと、国防省が推薦状を出して、輸出入銀行に話合いをしてくれているという程度までお進みになつているが、まだ契約に別にしておらぬということですね。
#24
○正力参考人 とてもまだなかなか……。
#25
○成田委員長 その契約成立の見込み、時期は一体いつごろですか。
#26
○正力参考人 それは国防省が推薦しましても、また商務省が推薦しましても、輸出入銀行はまた特別の立場がありますから、どうなるかわかりませんし、従つてまだ具体的の条件にも入つておりません。ただ電電公社が借りるかどうか、ひとつ聞いて来いと言つて来たわけでありますから、その上に正式に入りたいと思います。こつち側の条件によつては、向うは応じないかもしれません。向うが貸すと言つても、条件が悪かつたら応じません。そういうわけでありますから、いづれにしても、電電公社がどういう意向だということを聞いた上で、話を進めるわけであります。
#27
○成田委員長 交渉の相手方は輸出入銀行だということでありますが、世界銀行ではありませんか。
#28
○正力参考人 世界銀行ではありません。
#29
○成田委員長 といたしますと、御承知のように輸出入銀行というのは、共和党の政権ができましてから、短期の融資を中心にしておりまして、長期の融資は世界銀行であります。世界銀行ということになりますと、今度の火力借款でも御承知のように、非常にシヴイアな条件がつくと思うのですが、長期の融資ならどうしても世界銀行ということになるのではないかと思います。この点はいかがですか。
#30
○正力参考人 私どもは今のところの考えでは、世界銀行のような酷な条件ではやれぬと思つております。あれよりももつと寛大にしてもらいたいと思いますし、それでは私は応じたくないつもりです。ですから世界銀行に持つて行きたくはありません。それで輸出入銀行でも、もしも私らの希望をいれてくれなかつたら断るたけであります。
#31
○成田委員長 原茂君。
#32
○原(茂)委員 大分長いこと同僚委員からの御質問にお答えになりまして、さぞお疲れになつておると思いますし、この上またあまりこまかくお伺いすることはやつかいだとお考えになるかもしれませんが、やはりわが国の通信事業の将来を考えますとき、正力さんと同じようにわれわれ真剣にこの事業の将来に対して考えておりますので、もう少し二、三の点にお答え願いたい、かように考えます。
 十一月六日にいわゆる怪文書なるものが当委員会で発表されたわけですが、もとより正力さんを中傷するような、誹謗するような字句、そういう感情的なものに対しては、とるに足らない問題でありますが、日本テレビの経理内容等につきまして、今正力さんから詳しい御説明をいただいたわけであります。これはまた逆に岡目八目といいますか、世間では三千万の赤字、あるいは毎月約二千五百万の赤字が出るんだというようなことも、相当大きく流布されておりますので、これに関しましては、時をかせば将来必ずこの問題がはつきりして来るだろうと思います。従つて正力さんの御説明をそのままそうかなあとは今考えておらないことを申し上げます。率直に何もかも申し上げて、この問題に対する解明としたいと思います。率直に申し上げますが、国防省とのひもつきの問題に対しましても、これは考え方の相違でありまして、われわれが考えますと、やはり商務省に対して、気象上の問題などからマウンテン・トツブ・システムといいますか、そういう方式によるならばという、国防省が一体どんな動機でこれのあつせんを輸出入銀行にしたのかというようなことも、掘り下げて考えたらもつと詳細をお伺いしないことには、実は何らひもがついていないという一蹴された御説明があつても、これはうなづけない問題だと思います。従いましてこの問題に対しては、相当なる時間をかけなければ解明できない。私どもはかつてのあるいは今日におけるイギリス、アメリカなどの他国に対する借款には、必ずひもがついておるということを経験しておりますので、やはりこれに国防省があつせんをしたと聞きますと、何がしかひもがついておるのではないか、これは当然持つてしかるべき疑惑であると考えますので、私たちはよつて立つ立場が違うので、そういう目でこの問題は将来ともに監視したい、かように考えるのであります。一応正力さんの御説明は承つたのであります。なおそういう問題は抜きにいたしましても、この怪文書に盛られております問題全体を通じての事業計画というものは、非常にわが国にとつて重要なものでありまして、私ども全委員があげてこの委員会を通じて、電信電話あるいは通信施設の拡充強化に日夜努力をしておりますので、正力さんの非常に御熱心なその御構想なりあるいはお考えに対しては、敬意を表したいと存じます。そこであの怪文書といわれますうちの事業計画に対してのただいままでの質疑応答を聞きまして、アウトラインがここに浮きぼりされて参つたのであります。その浮きぼりされた焦点だけをとらえまして、二、三お伺いしたいと思いますが、非常にある意味でこまかく御質問申し上げますので、はなはだ御迷惑かと存じますが、お答えを願いたいと思います。
 第一に伺いたいのは、かつて公社に対して、今正力さんのお考えになつておりますブランというものを、一度は靱副総裁なり梶井総裁なりに対して正式に示されたことがあつたのではなかろうか、こう考えるわけですが、今の御説明では、あつたようなないような、どこかぽこつと会つたときに、口頭で話合いをしたようにもとれるわけですが、いつごろ正式にはつきりした書面でかかる内容を持つておるのだ、これを計画しておるということを公社のだれにお示しになつたかを先にお伺いしたいと思います。
#33
○正力参考人 今の御質問ありがたく存じます。その質問の前に、先の経理は、大体正力の説明を聞いたけれども、ゆつくり調べるからということですが、ここで今はつきり申し上げておきます。私がさつき申し上げた経理の内容については、絶対に間違いありませんから、委員の人にも会社の調簿を全部お目にかけます。そうすれば、はたしてぼくの言うたことがほんとうかうそか決定すると思います。そのことを申し上げておきます。
 それから電電公社とはどこかほかでちよつとでも会つたときの話、そういう簡単なものじやありません。現に先ほど申し上げたことく、電電公社の数箇条の質問は、ちやんと公文書で来ております。だから電電公社と正式に交渉しております。
 それからなおアメリカの国防省の問題につきましては、これは先刻も申し上げたことく、これは民営でやつてはいろいろなトラブルが起るかもしれません。それをたといいかにりつぱなことを言うても、ぼくが経営することになれば、弁解にも困るけれども、幸いにしてこれは経営が全部電電公社でやるんだ、ほくの方で何にも国防省に利益を与えることはできないんた。のみならず必要によつては国家が徴発してもらつてもけつこうだと言つておる。それだから国防省はぼくにひもをつけても、一つも利益を与えてあげようがないということをはつきり申し上げておきます。
#34
○原(茂)委員 御回答ありがとうございました。ただいま前段の説明に対する御意見があつたわけですが、国防省のひもつき問題というのは、もう一度繰返してはつきりさせておきますが、正力さんにそういうお考えがあるとは私は申し上げていない。アメリカの国策上、国防省が何を考えておるかはわからないと私は申し上げておる。この問題が今前段に申し上げた問題です。高邁な人格者であられる正力さん自身が、何ら一片といえども国防省に利益を与えるがごときことはお考えになつていない、それは信じますが、アメリカの国防省がどう考えておるかはこれはまた別問題である。こういうふうな観点から今後を監視したい、かように考えております。
 なお次にお伺いしたいのは、先ほど委員長のいつごろ申請をなさるのかといつたような質問に対しまして、いろいろ応答があつたわけですが、その前にこのことを計画し、これを申請するような段階になつたときの主体は、一体正力松太郎さん個人なのですか、あるいは日本テレビが主体になるのですか、これをひとつお伺いしたい。
#35
○正力参考人 また繰返すようでありますが、さつきの国防省の問題であります。今の御監視はけつこうでありますが、しかし私は繰返して申しておきますが、私のこういう計画でやる限り、国防省はやりようがないと思います。電電公社を監視するだけです。私を監視したつて何にもありません。だから電電公社がどうするか、電電公社を抜いては何にも監視のしようがありません。
 それからなお御質問の、これから電電公社と交渉することにつきましては、書類がもう少しで完備しますから、完備次第出します。もちろん私個人でありません。日本テレビの会社としてやります。
#36
○原(茂)委員 時間がもつたいないので重複したくないのですが、今また国防省のひもつき問題に触れられましたので、もう一度私も申し上げておきますが、アメリカのユニテル・カンパニーというのがございます。これは御答弁は必要ないつもりで申し上げておきますが、ここにデホレー博士が関係しておりますが、このデホレー博士を中心にしたユニテル・プランというものが、巷間伝えられておるところによりますと、地球儀回線網というどえらい大きな、地球を全部ある種の計画のもとにおけるマイクロウエーブで一環したい、こういつたような計画があるようなこと、これも違つた方面から私どもうわさを聞いております。正力さんがアメリカの動きあるいは考え方を御説明になる資格もなければ、おそらくそれほどの勉強をなさつていないと思いますので、これに対する御答弁は水かけ論になるから必要ないと思いますが、そんなようなことを聞いておりますので、私が今申し上げたようなこと、また違つた角度からアメリカの国策、そういうものとからめて考えるときに、どうしても私ども今の正力さんの御説明だけで、そうかなというふうにうなずくわけに行かない、こういうふうに申し上げたわけであります。
 なお次にお伺いしたいのは、日本テレビが主体になつておやりになる、これはわかつたわけでありますが、その前にもどりまして、公社にはつきりした内容をお示しになつて相談をされた。そこで前の御答弁の中の問題に入つて行きますが、一昨日ですか、アメリカからかどこからだか聞き漏らしましたが、梶井総裁のことであろうと思いますが、電報で何か間合せが来た、かような御説明が先ほどありましたが、その電報の内容についてもう少し詳しく先にお伺いしておきたいと思います。
#37
○正力参考人 それは電電公社から質問がありましたので、その質問のことは、今調査している、大体できたから今週中に送る、こういうことでありました。それは英文で、実は私もよく読めなかつたのですけれども、それを持つて靱君のところに行きましたことは確かであります。
#38
○原(茂)委員 次にお伺いしたいのは、この計画に必要な資金というものは、輸出入銀行からお借りになるというお考えですか。そういう御説明があつたわけです。今委員長が言つたように、私も世銀からではないかと思うので、輸出入銀行からというのは少しおかしいと首をかしげておつたわけですが、たとえば輸出入銀行の性格は、実際の事業をやつておりますのは、表面は単独に銀行自身の民間資本によつて経営せられる仕組みになつておりましても、実際にはその銀行独自の立場からの融資その他をやつておらないことは御承知と思うのであります。かつて日本の朝鮮銀行あるいは台湾銀行とか、拓殖銀行が、戦争前における日本の侵略の先駆をなしまして、いろいろと大きな役割を演じたと同じように、アメリカのやはり国策を遂行する一つの機関として、この輸出入銀行なり世銀というものはあると私は率直に考えております。従つてこういう銀行の融資がなされるということには、先ほどの国防省とは関係ありませんが、どうしてもアメリカのある樋の国策に沿つたものでない限りは、おそらく融資が行われないのではないか、こういうふうに考えるわけなんですが、この点どうお考えですか。
#39
○正力参考人 私どもは輸出入銀行に話をしておりますが、こういうことになりはせぬかと見ております。輸出入銀行から出るか、あるいは輸出入銀行が保証する民間会社から出るか、その点はどつちかわかりません。何しろこつちの条件が何もそろわぬものだから、向うで出合わぬわけです。こつちの条件がそろうて初めて向うに交渉する。くれぐれも申しておきますが、私どもは世界銀行に借りたような条件では応じたくない、このことを申しておきます。
#40
○原(茂)委員 その程度でけつこうです。次にお伺いしたいのは、できた施設を希望があれば全部公社に貸してやる、条件はつけないという非常にいい計画ですが、お貸しになるときには、日本テレビが主体になつて申請をし、この会社の運営をされる。そこでできた施設を公社に貸す目的は、やはりその貸すことを通じて何がしかの利益をおとりになる、これがおそく最終の目的でなければいけないと考えますが、そう解釈してよろしゆうございますか。
#41
○正力参考人 これを貸すということは、そのときの相場もあることでありますから、ただ利益を目的とするんじやないということだけは言えますけれども、もちろん損してまで貸したいとは思いません。
#42
○原(茂)委員 やはりそうでなければいけないと思うのですが、先ほどの御説明を聞いていますと、まるで利益を無視されたように開いたものですから、念のためにお伺いしたのであります。それでけつこうです。
 次にお伺いしたいのは、これは怪文書の内容の一部に入る問題ですが、日本テレビを設立なさいますとき、朝日新聞あるいは毎日新聞に対して、将来大阪におけるテレビはあなた方二社でおやりなさい。私は、いわゆる正力さんは、日本テレビは大阪に進出しない、こういつたような約束があるやに聞いておりますが、正力さんはそのお約束をなさつたかどうか。
#43
○正力参考人 それも巷間誤り伝えられているわけです。私は朝日、毎日に対して、大阪は二社でおやりなさいとは言いません。大阪も出したいと思う。しかし何しろ大阪のことはぼくはよく事情がわからぬから、出すとすれば、運営は大阪二社でやつてもらうことになるかもしれぬ、こういう話はしました。私どもは出願せぬとは言いません。私は、失礼ですけれども、食言したことはかつてないと自分ではうぬぼれています。
#44
○原(茂)委員 きようも食言がないようで、けつこうです。その次にお伺いしたいのは、アメリカのこの融資が決定された場合に、施設の大部分は、アメリカにおけるある会社の製品をもつて施設をなす。巷間一千万ドルと伝えられておりますが、真偽はわかりませんが、ドルでこれをお借りになつた上に、国内における技術を見て、間に合うものは国内の施設でこれを充当する。そうしてどうしても間に合わぬ部分だけを、アメリカその他から買おうとなさるのか。今日公社の計画しているのに私ども非常な不満を持つておりますが、東京・大阪におきましては国産でやりまして、ずいぶんメーカーは苦労したそうであります。せつかくこれが国産でできたのに、まだそれがほんとうにいいかどうか、動きもしないうちに、すでに第二の大阪・福岡における計画においては、輸入をもつてこれに充てる。理由は正しい理由がありますが、感情の上においてはメーカーとしては非常に残念なことであり、国内工業の面からいつてもこういうことは惜しいものであるという識者の考えも多々あるわけです。従つてこの一千万ドルの借款ができた場合に、かつての火力借款の大部分がそうでありましたが、現物をもつてわが国に持つて来て施設をされるのか。国内における工業発展を企図しつつ、不可能な部分だけを外国に仰ごうとなさるのか、その計画の一部を伺いたい。
#45
○正力参考人 今の御質問まことにごもつともであります。しかし、私どもは一千万ドルを借りて来ますけれども、日本でできないか、日本でできてもあまりよく行かぬものはアメリカからとるつもりでありますが、日本でできるものをアメリカからとる、そういうことは、日本人としていたしません。
#46
○原(茂)委員 非常にけつこうなことで、それを実現するときにはぜひそうお願いしたいと思いますが、なおその上に、多分これも臆測にすぎないとおつしやるかもしれませんが、この種の借款をもし成立せしめると、アメリカはアメリカの技術指導を当然日本に要求して来るのではないか。MSAの成立を見ると顧問団がどやどやと入つて来ます。おそらく内政干渉もするだろうというので、私どもは騒いでおりますが、こういうような同じケースのものが、やはり一千万ドルの借款に対しては技術指導という形で、ある種の技師が日本に来るとか、あるいは向うで遠隔操縦で技術指導をするといつたような条件も多少入つて来はせぬかと考えますが、そういうようなことはござ
 いませんか。
#47
○正力参考人 今の技術指導の問題でありますが、大体このマウンテン・トツプというものはアメリカのユニナルが考えたのです。そうしてその式を採用するのであります。日本ではまだマウンテン・トツプはだれも考えておりません。従つてそれに関する指導計画というものは、その技師に頼むことにいたします。
#48
○原(茂)委員 マウンテン・トツプ・シスナムはずつと前から日本の学者も考えていたり、勉強しております。ただ実際に行つたことがないだけであります。(「行つたこともある」と呼ぶ者あり)行つたこともあると言つておりますが、あるかもしれませんが、これは前から聞いてもおりますし、学者は勉強しております。しかしそれはともかくといたしまして、技術指導が行われる。そうすると、今の電電公社の計画しておりますマイクロウエーブは、たしか四千メガサイクルが最高と考えますが、このアメリカの借款によるマイクロウエーブ、しかもマウンナン・トツプというようなシステムでやりますと、何サイクルを採用されますか。
#49
○正力参考人 今のような質問も、実は電電公社で出ましたので、そういうようなこともわれわれ今聞いております。それからマウンテン・トップ式は、前からたびたびあつたということでありますが、これはまたすぐ日本で誇大に伝わつて、ある人は大東亜戦争のときにフィリピン及びシャムの方にマウンテン・トツプでやろうと考えておつたということを言うておる人もおります。けれども私はそれとまつたく違うと思います。アメリカでは昨年初めて実施したのであります。
#50
○原(茂)委員 参考までに、忘れないうちに先に伺つておきますが、先ほどもテレビは大都市を必要としないで、しかもより地方に発展さすべきである、こういう御意見であります。同感でありますが、テレビの施設がいくらできても、受像機がないと、これはやつぱり大衆のものにならない。地方大衆のものにするためには、受像機そのものを安く提供するということを同時に考えなければいかぬ。その意味で、今の外資導入をなさるお考えから行くと、アメリカで今余つてストツクで困つているテレビ受像機がたくさんあるわけです。いつそこれを輸入した方がいいというような考え方もあるわけですが、どうですか、そういうお考えはありますか。たとえば阪急が鉄道を発達させるためには、土地を広く安く開放しました。真にテレビを有効なものにしようとするなら、やはり正力さんの国士的なお考えからいえば、テレビ受像機を思い切つて安く地方大衆の中に投げてやる、そこまでお考えになつているのじやないかと思いますので、その場合今の日本のメーカーにまかせてはとても安くできませんが、将来輸入した方がいいとお考えになりますか。
#51
○正力参考人 先刻も申しましたように、テレビは大衆のものである。今、日本の高いテレビを買う人が少いことは、御承知の通りであります。そこで私は会社として、なるべく大衆のものにするように持つて行く。そうすればそこにたくさんの人が集まれば、それで目的は達すると思います。そういうことをすると、おのずから家庭に入るようになるのでありますので、そうすればだんだん値段が安くなります。私は巷間伝えられておるアメリカの古いものを買つて来て日本で安く売る。そんな古いものを買つて来ようという考えはありません。また私はそういうことはむしろ国辱と考えております。そういうことはしたくありません。
#52
○原(茂)委員 長くなりますからあと二、三点でやめたいと思いますが、今の電波法の四条第二項から言いますと、相当これの解釈に疑義がございまして、本来ですと、そういう大きな計画を時間と金をかけてなさるときには、先に四条第二項に対する解釈をはつきりさせた後に、その計画なり事業に今の段階にまで深入りして行くということが、私は慎重な態度ではないかと思うのですが、この問題に対する解釈、あるいはせつかく施設をつくろうとしても、施設をつくることすら禁ずるような四条第二項があるのに、なおかつそれをやろうとなさる。あるいはある種の人の考えによつては、でき上つた施設を公社に貸して公社が運営するならばさしかえないというふうに、四条の二項を解釈する人もあります。しかしそれはまだ統一されていない段階でございますが、その一番重要なキー・ポイントに対する解釈がまだ不明確であるままに、ここまで深入りをされる正力さんの事業計画は、少し軽率に過ぎるというふうに私どもは一応考えるわけです。この点、つくつたら必ず貸すからさしつかえないという四条二項の解釈に、確信をお持ちになつているのかどうか、それを先にお伺いしたい。
#53
○正力参考人 今のことは、私は一応郵政省の解釈を聞きました。そうしたところが、設備をつくつてただ貸すだけではさしつかえないということを聞きましたから、私はやりました。
#54
○原(茂)委員 日は忘れましたが、電波監理局の荘次長が私の質問に対しまして、今正力さんのお考えになつておるようなものをつくられ、これを貸すことは、四条二項に牴触するとはつきり答弁しておりますので、もしその点確信がおありでしたら、郵政省のだれがそういうお答えをしたかお聞きしたい。
#55
○正力参考人 郵政省へ行つて局長に私は聞きました。
#56
○原(茂)委員 電波監理局長ですか。
#57
○正力参考人 ええ。
#58
○原(茂)委員 これは非常にゆゆしき問題でありまして、局長がいなかつたときで次長が出たのですが、次長と局長が、この種の重大なことに対して、まるでうなはらの回答をしておる。おそらく長谷電波監理局長が、今までおつたのですが、おいでになつたらよかつたと思うのですが、これは責任問題が起きはしないか。郵政大臣すら四条二項の解釈に対して、私どもがつつ込むと、その統一せる見解がいまだに発表できない段階にある。その質疑応答も何回も繰返されておることは、前国会、今国会を通じて再三であります。にもかかわらず、大臣ですらがまだ解決でき得ない問題に対して、局長がすでにはつきりとその了解を与えたとすれば、これはゆゆしき問題だから、私は今日以後の委員会において徹底的に究明をしたいと考えます。私どもの今持てる材料から言いますと、今の正力さんの、局長がそう言つたから大丈夫だと御安心なさることは、私はやはり軽率だと考えます。ここにおります同僚委員は、全部今私が申したような会議の質疑応答の内容を熟知いたしておりますから、同じ考えになると思うのであります。ましていわんや、郵政大臣すらがこの問題に対しては、いまだにはつきりと統一した解明を私どもに与えてない。そういうことでありますから、事のいかんを問わず、もう一度慎重に考慮なさつて、あるいは間合せをなさつた上でなさるべきで、今の段階でそこまで深入りをすることは、事業家として軽率であると私は言わざるを得ないと思います。
 次にお伺いしたいのは、これは将来の問題ですが、日本テレビが主体でこの申請をなされ、もしこの事業が実現できたといたします。その場合に役員構成と申しますか、おそらくプランがおありと思います。私どもがもしそういう計画をすれば、社長はだれに、専務にはだれというくらいなことは考えてスタートしますが、大体そんな構想がおありでしたら、お伺いしておきたい。
#59
○正力参考人 まだそういう点は考えておりません。
#60
○原(茂)委員 年寄りと若い者の違いですか、非常にのんびりしておるとせつかちなのとの違いだろうと思いますが、最後にお伺いしたいのは、先ほど来からの正力さんの非常に高潔な御心情と、この事業に対する私どもに負けない御熱意の現われを種々お伺いしたのでありますが、せつかくそれほどの強い熱意をもつて、テレビあるいはその他電気通信事業の拡充強化をはかられようとされるならば、私の考え方をもつてすれば、現段階である種の一千万ドルの借款が成立しそうな段階に今来ておるように考えます。本来そこまで考えておられたならば、公社にこの仕事を全部おまかせになる。つくつてから公社に貸そうということでなくして、むしろ正力さんの国士的な風格をもつてすれば、そつくり渡す。公社自身もすでに輸入をしようとしておる。ドルの割当をほしがつておる。政府はまだ十分に割当をしてくれない。外資導入もまだ話がうまくつがない。梶井さんは東奔西走、まだ海の向うでやつておる。こういうように公社も外国からの援助を仰こうとしておる。政府もある程度の了解を与えてこの仕事をやつておるのでありますから、この電波法四条二項に対する疑義さえあるような段階において、どうしても日本のためにおやりになろうとお考えになるならば、私はやはり正力さんを中心にして、日本テレビを主体として今後このむずかしい仕事をやりとげようとするよりは、今ある材料と今ある程度敷かれたレールを全部公社にお渡しになつて、正力さんの熱意のある仕事を早期に実現するように、今計画しております公社の仕事プラス正カプランということで一体となつて、これを日本のために実現しよう、こういうふうにお願いした方が、仕事はより早く行くし、私は正確に行くのではないか、こういうふうに考えますし、おそらく正力さんならばそのくらいのことはおできになるだろう。ちようど今この段階で決意されてこそ、真に国士正力さんができ上るものと私は考えるわけですが、この点一体どうか。最後にお伺いし、そう祈念するものです。
#61
○正力参考人 まことに御有益な御忠告をくださいましてありがたく思います。私は決して私心がありません。国家のためにこれをやるのだということを重ねて申し上げます。
#62
○成田委員長 甲斐政治君。
#63
○甲斐委員 正力さんはテレビをすでに実現せられ、さらにまた今回マイクロウエーブの出願をされたことは、他の同僚議員とともに敬意を表するものであります。なおまた繰返し一片の私心なしと言つておられることは、額面通りにわれわれは受取つて、その上で二、三の御質問をいたしたいと思います。
 この計画は正力個人でなくして、日本放送網の社長として進めているというお答えでございましたが、これまたその通り了解いたしますが、外資の問題に関しまして、すでにこの交渉をお始めになつて相当の時日を経ておりますし、また国防省やあるいは民間航空局あるいは商務省が、正力プランなるものを推薦して、世界銀行に金を貸すことを慫慂しておるというお話に承つたのであります。従つて相当その交渉は具体的にお入りになつておると思います。この向うの要求しております条件はどういう条件であるか、これを伺いたいと思います。
#64
○正力参考人 向うの方はまだ具体的条件に入つておりません。ただ先ほど申し上げましたごとく、これを日本にやれば、日本はもちろんこれは電話でやらなければならぬ。電話は今君らの方でやる権限はないのだから、それでは電電公社が借りるという一札をとつてくれということになつております。これが条件であります。それから、これはまたどうせ外資を借りると国家保証がいります。それだけのことであります。
#65
○甲斐委員 まだ具体的に条件がわからぬというお話でございましたが、もしかりに向うの要求する条件が日本側としてかなえられない場合、この際どうせられるおつもりであるか。あるいは向うの提出される条件がきわめて苛酷であつた場合は、断じてこれを受けないということでございましたが、そういうことで双方の側の理由からこの借款ができないということになつた場合、この計画をどうせられるのか。この借款、金を借りる問題が、正力さんの御計画の最も重要な要点であると思いますので、これについて御意見を承りたい。
#66
○正力参考人 アメリカの金の問題につきましては先刻申し上げた通り、苛酷な条件なら私はお断りいたします。そうしてもし外資が導入できなかつた場合にはどうするかということについては、まだ考えておりません。まず外資はできるものとして今のところ考えております。しかし条件が悪かつたら、さつき申し上げた通り断るつもりであります。これははつきりしております。
#67
○甲斐委員 その外資導入のできるという確信は、これはきわめて主観的なことであつて、いかに国務省がこれを承認いたし、国防省が慫慂いたしましても、まつたくコマーシヤル・ベースの上に立つての取引であろうと思うのであります。これができない際はどうするかということは、当然私はお考えになつておるかと思うのですが、そういう点についてもう一度承たりいと思いますし、さらにまた次にこの計画の設計が、私どもの承るところではアメリカの技師が来てこれをつくつた、あるいは東芝の技師がこれに立ち会つたのだという程度のことを聞いておりますが、事実、真相はいかがでありますか。
#68
○正力参考人 先ほど申し上げましたが、この外資ができなかつた場合にはどうするかということについては、考えておりますけれども、まだ発展の――少くともこの席で申し上げる程度に至つておりません。またこの計画については東芝でなく、アメリカの技師が来て、一部分だけ立ち会つておりますが、大体図面をもととして設計したもので、まだほんとうの具体的な実地を全部歩いたわけではありません。この話が進めば全部見て計画をするつもりであります。
#69
○甲斐委員 アメリカとの関係で、輸入せられるという機械はフイルコではないかということを承つておるのでありますが、その点はいかがでありますか。
#70
○正力参考人 まだ私どもの方には、はつきりと向うの設計者が言うて来ておりません。しかしおそらくフイルコもその一部に入ると思つております。
#71
○甲斐委員 フイルコも一部分に入る。そうしますとほかのところのものもいろいろとりまぜてお入れになるおつもりであります。
#72
○正力参考人 向うの設計の技師がはつきり言うておりませんが、むろんフイルコ一つの会社でなく、二つか三つの会社になるだろうと思いますが、要するに設計はアメリカの技師がやつておりますので、詳しいことは存じません。
#73
○甲斐委員 そうしますと設計は全部アメリカの技師がやつておるというお答えでございますから、このお答えははつきり承つておきます。それから先ほどからの問答で、正力さんのお考えとしましては、設備をして一切これをただで公社に与えるのだ、こういうことでございましたが、その際において大体六千メガサイクルか七千メガサイクル、そのハンドのところでないかと思います。この免許をお受けになるのは何人でありますか。電電公社にその免許を与えられるようにせられるのであるか、あるいは日本放送網会社がこの免許をおとりになろうとするのであるか、そのところを明確に伺いたい。
#74
○正力参考人 その六千メガサイクルになるかどうかは、電電公社から質問を受けて、アメリカに問合せ中でありまして、私の方ではわかりません。私の方の会社にするかどうか、私は技術的なことはしろうとでありますからよく知りませんので、あとでゆつくり研究してその上で考えるつもりであります。
#75
○甲斐委員 お尋ねいたしたいと思いますのは、その六千であるか七千であるか、そういう純技術的な問題でなくして、そうしたものの割当、免許を受ける主体はどなたであるか。正力さん、すなわち日本放送網会社社長としての正力さんであるか、あるいはこれを電電公社に与えさせるおつもりであるか、ここのところを承りたい。
#76
○正力参考人 その免許は私個人でありません。日本放送網会社と思つております。
#77
○甲斐委員 そういたしますと、先ほどからの設備をつくつて、一切の施設を電電公社にまかせるというが、この設備、施設なるものは、この周波の割当がない限りは、まつたく無用の長物で、これが正力さんではなくて、放送網の社長としての免許を得られるということであると、先ほどから原委員も申しましたように、これは今日の電波法に明らかに牴触する。すでにこの点については前からお考えになつておつたろうと思いますが、いかがでございましようか。ただ施設の問題ではありません。その割当を受ける、この問題です。
#78
○正力参考人 実は今の御質問のことは私もよく知らぬのでありまして、今質問されてそういうものかと思つた程度でありますから、その点はなおよく考えて御返事いたします。なお申しますが、法律の規定に違反することは私はやることはできません。そんなことは考えません。
#79
○甲斐委員 今この席で御返事がおできにならぬという。しかし将来正力さんのところの重役になられるような技術担当の方もお見えになつていると思いますからその方からでもけつこうです。
#80
○正力参考人 今の問題は、おそらく会社のだれに聞いてもわからぬと思います。アメリカの技術者に今問合せ中であります。
#81
○甲斐委員 アメリカにお問合せになつおるならばなかなか時間がかかりますが、実はこれは日本の問題でございます。なおまた電波法に関する、すなわち日本の法律の問題であると思う。従つて日本人としてお答えできろ問題でございますから、重ねて御意見を伺いたい。
#82
○正力参考人 先ほど申し上げたことく、日本の法律に違反することはやれるものでもなし、やろうと思つてもありません。
#83
○成田委員長 松前重義君。
#84
○松前委員 私は前置きは抜きにいたしまして、少しばかりお伺いしたいと思います。
 先ほど来非常に特長のある方式ということをおつしやられた。特長のある方式で、しかもマウンテン・トツプ方式というお話でありますが、マウンテン・トツプというのは英語で言えば大発明のようでありますが、日本語で言えば山の上に機械をすえて、方々に電波を飛ばすというだけのことです。このマウンテン・トツプ方式について、先ほどフイルコがやるのか、あるいはそのほかのものをつけ加えるのか、それはわからぬという話がありましたけれども、マウンテン・トツプ方式が新方式であるということの御説明と同時に、ひとつフイルコとの関係を伺いたい。清水さんもおいでになりますから、どうか御相談になつて御答弁願いたい。
#85
○正力参考人 今の問題は、清水君も技術家だけれども、その方はあまり知つているわけではありません。ただすべてアメリカの技師が設計して来るので、いずれ松前委員御承知のことでありますから、御相談しなくちやならぬと思つております。
#86
○松前委員 私に御相談をいただくと、どういうことになるかわかりませんが、とにかく先ほどのお話を伺いますと、フイルコのシステムを中心にして採用される、こういう話であります。大体常識的に考えまして、このようなシステムを採用するときには、大体全部一社でつくつたものを持つて来なければ合わないものであります。ですから、ほかの会社も入るというお話がありましたが、多分入らないであろうと私どもは想像しておる。そこでフイルコのいわゆるマウンテントツプ方式というものについて伺いたいのですが、これはアメリカの国防省で採用いたしておりますか、おりませんか。
#87
○正力参考人 アメリカの国防省で採用しておるかいないかを私どもはよく知りません。何だか電話だけでは進駐軍が使つておるような話を聞きましたけれども、私どもはよく知りません。ただ向うでこういう設計であろうと言つておりますから、その設計を信じておるわけであります。いよいよ具体的になりますれば、松前委員にも御相談いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
#88
○松前委員 御存じないということすでありますが、アメリカの国防省が使わないものを何で推薦するかという疑問が起るのであります。自分で使つていなければ内容はわからない。そうしてその成績その他を見て非常にいいからということで推薦するのが普通でありますけれども、自分の使わないものをよさそうだからというので推薦することはないと思いますが、どうでしようか。
#89
○正力参考人 今の点は国防省が別にフイルコにやらせてくれということは言つておりませんが、このマウンテン・トップ式でアメリカで実験した結果がよいというふうに言つておると聞いております。
#90
○松前委員 大体マウンテン・トツプ式の特長ということについて、今初めて国防省の見解を伺つたのでありますが、山の上につくるということは、マイクロウエーブとしてはそうしなければならないものであり、わが国でも富士山頂からやつておりましたので、マウンテン・トツプでやるのが一番能率がよろしい。それだけの話で、私技術家として申し上げますが、いわゆる移動せしめるという方式、軍用の移動のものであるならば、マウンテン・トツプでない場合もありますけれども、そうでない場合にはマウンテン・トツプでなければならないのであります。これは何もアメリカの特長のあるものでないということは、私に御相談いただくときにも、そういう答弁をいたしますから、どうぞ御了承を願いたいと思います。
 そこで技術的なことを伺いたいと思つたのですが、アメリカにお聞きしけなればわからぬということで、まことに心細い話でありますが、とにかく専用のテレビジヨンと電話とは違うのです。テレビジヨンはテレビジヨン専用であり、電話は電話専用でありまして、電話の方はわれわれの常識から行けば、国防省が使つているだろうと思います。そこで問題になりますのは、日米安全保障協定その他と直接の関係を持つてお考えになつておられるかどうか知りませんけれど、おそらくアメリカのこの種のシステムは、小笠原あたりにはあるでありましよう。もし富士山頂にでもやつたと仮定するならば、結局アメリカの国内の国防通信とわが国の全通信網が、これに一体化してつながつて行くというので、アメリカの国防通信の立場から見た防衛力というものは実に強化される。そればかりでなく、日本はまことに植民地的、隷属的な姿になつて来る。日本全体の通信網を場合によつてはアメリカに売り込むようなかつこうになつてしまう。このような技術的な内容を持つているのがこのフイルコのものでありますが、ただいまの軍用通信と同一の波長と同一のシステムをもつてつなごうとするのが特徴であります。こういう点について日本は日本でそういうことはやらぬというようなお話でありまするが、そういう必然性を持つておるとわれわれは考えます。これについてどういう御意見でありますか。
#91
○正力参考人 私は、電電公社が管理して行くのでありますから、電電公社は断じてそういうような、アメリカに使われるようなことはやらぬと信じております。
#92
○松前委員 いわゆる同じシステムで同じ波長で、わが国の目の前まで来ているところのアメリカの通信網が、わが国の通信網と直接の連繋を持ち得るシステムとして、アメリカが将来の作戦その他に備えようとすれば、それがなし得るのでありますから、その場合に、向うの国防省で採用しているそのシステムを、わざわざ買つて日本に施設しなければならないという理由がどこにあるか、このことを伺つておるのであります。
#93
○正力参考人 私はシステムがよいからやろうというのでありまして、アメリカのシステムとことさら違わせなくちやならぬということはない。よいものはとつた方がいい、こう思つております。しかもこれは、金を借りるのは私であるけれども、経営するのは私ではない。電電公社ですから、その点は心配ないと信じております。
#94
○松前委員 いろいろ御質問しましても堂々まわりでありますから、この問題はこの点でとどめますけれども、経営する者が電電公社であるならば、なぜ電電公社の思う品物を施設させないのであるか。これは私は当然な話であると思う。何ゆえに向うの国防省の推薦である、国防省の採用しているものを日本の大事な山の上に――これは日本にとつては非常に大事なのです。それと小笠原あたりをつなぎ得るものを、彼らの直接戦争の道具としての国防通信網の一環であかのごとき姿において、どうして施設しなければならないかという根本問題についてお伺いしておるわけであります。しかしこの点は、ただいまのところこれ以上に御答弁がなければやめますけれども、いかがでございますか。御答弁いただけますか。
#95
○正力参考人 私がこのマウンテン・トツプ方式を主張する理由は、さき申し上げたことく、経費は安く、時間が早く、遠方に行く、すべての点においてよいからこれをやりたい。今電電公社のやつております富士山麓から行くあのアメリカのベル・システムでは遠方へは行かぬ、値段はかかる、時間がかかりするから、目下急ぐ日本にはこれがよい。しかし将来電話を完全にするについてはそれは電電公社のベル・システムでもよいだろう。従つて電電公社のベル方式を排斥するのではありません。電電公社のあれはおやりなさい、われわれの方は補助機関でもよい、そうして一般の通信網を完備しよう、これが国家のためになり、これが日本の通信界の革新なりと信じて申し上げる次第であります。
#96
○松前委員 ただいま技術上のことは外国に聞かなければわからぬというお話でありましたけれども、この方式はマウンテン・トツプという、多分フイルコであると私は想像しております。これが非常によろしいという断定をどういう基礎の上において――技術上の基礎の御説明を伺いたいのですが、それはアメリカに聞かなければわからぬということでは、ただいまのお言葉は全面的に信じられない。フイルコというものは、誤解がないために一応私の見解を申し上げておきますが、ウエスタン等のシステムと違いまして、これは特殊な用途に使うものであります。自分の専用線だとか、ただいまのような特殊な用途、電力の専用線とか、そういう特殊な用途に多少採用されているものでありまして、一般の公衆通信には採用されていないものであります。このようなものがなぜ必要であるかということに対して、私はまだどうも納得行かない。ことに国防省の推薦とあれば、いよいよもつてこれ考えなければならないという気持を、ただいまは持つておるのであります。いずれにいたしましても、このフイルコのシステムは、用途によつては必ずしもそう排斥すべきものではないが、さほど上等なものでないことは確実であります。用途によつては使い得る。しかし一般通信網には使い得ない。また使おうと思えば使えぬことはないが、この目的のためにはよろしくないということが確実でありまして、この点は誤解のないようにはつきりしておく必要があると私は思つております。
 もう一つお尋ねしておきたいのは、そのように一般公衆通信用としては大したものでないにしても、これを無理やりに輸入したと仮定しまして、日本の工業に対して非常な圧迫を与えるものであると私は思います。もちろんウエスタンのものを入れても圧迫になります。同時に、ただいまお話がありましたように、アメリカの設計者に何もかも聞かなければわからないような姿で輸入されたんでは、まことに心細い次第であります。これこそほんとうに、技術的従属国ということは、産業的な従属国ということであります。そのような日本工業の圧迫、これらの問題についてお意見がありましたらお伺いいたします。
#97
○正力参考人 よく日本では、今松前委員のお話のようなことも聞くのでありますが、何としても日本は、技術においてはアメリカより劣つているのであります。劣つている以上、向うの長所をとつて、そうしてそのよいところは学んで、彼と競争して行つて、初めて日本は世界一流の国になれると思うのでありまして、これは私は六メガ、七メガの議論のときからそうであります。日本の技術を圧迫するのではない、向うからとつて来て日本の技術を伸ばして競争したい、こういうふうに考えているのでありまして、この点は松前委員と幾らか違いますが、日本はどうしてもそれで行かなくちやならぬ。劣つていれば劣つていると認めて、向うの長所をとつて彼らの上に出る、これが日本の発展の道なりと私は信ずるのであります。
#98
○松前委員 今のお説、われわれといえども同じ考え方を持つております。ただ問題は、今のように特別な相手の技術家に全部をたよつてこの施設をやる場合においては、そいつをしのぐだとか何とかいうような、こちら独自の判断によつて、その技術の向上並びに技術の性格を批判し得ない日本の現状において、今あなたのおつしやつた説は、抽象論としてはけつこうでありますが、現実論として相手の技術までも批判できないし、どういう品物で、どういうふうなシステムとどういうふうな方式からなつておるかというようなことがおわかりにならないで、一つ一つ向うにお聞きになるということでは、それを追い越すことはとてもできるものでないという感じがしてならないのであります。この点についてはどうお考えになりますか。
#99
○正力参考人 私はそんなことはないと思います。しかし何しろ技術家でないものですからよくわかりませんが、私の議論は抽象的だと松前委員は言われますが、私は抽象的ではない、それがほんとうだ、日本の技術者は自分の方がえらいんだといつまでも言つておるが、いいかげん劣る。もちろん何でもアメリカの意見には従わなければならぬということはないのでありますが、やはりあれを設計した向うの技術家に見てもらわなければならぬ。やはりそれは見てもらいます。向うはただ抽象論でなしに、実際やつた経験上いいというのならそれはとつて、そうして日本の技術を発達させるのが当然だと私は信じております。
#100
○松前委員 何度申し上げても焦点をはずれるのでありますが、一般論はその通りであります。けれども、この具体的な論議の中において、あなたの会社においてはこの技術をおわかりになる方が一人もいらつしやらない。そうしてこの是非善悪さえも判断はできぬだろう。現にそのフイルコというものは一般通信網には使えないのです。現実に使つてない。使おうと思えば使えないことはないであろうけれども、よほど特殊な用途でなければ使えないだろうと私は思う。そういうものをお入れになるという。そうしてそれを無批判にお入れになるということによつては、いわゆるそれを乗り越えて技術が進むということは得られないのじやないかという、非常に心細い感じがするのでありますからお伺いしておるのであります。
#101
○正力参考人 今の御注意はまことにありがたいのです。その点はひとつ考慮に入れましてやりますが、またその際よろしくお願いいたします。
#102
○松前委員 これで質問はやめまするが、要するにただいままでお伺いしました内容を私としていろいろ整理してみますれば、マウンテン・トツプ方式というものは、何もアメリカの方式じあありません。かつてわれわれその道におつたときには、富士山頂から各方面に電波を出してやつたことがあるのであります。ただいま閉鎖はしてありまするが、ほかのものは冨士山まで高いところでなくても全部山の上にあります。戦争前に計画し、アメリカより多少進んで実はこういうものはやつてみたのです。いずれにいたしましてもマウンテン・トツプ方式は、何もフイルコの特異な方式ではありません。
 第二の問題は、フイルコは少くともある特殊な専用線には使えるが、一般の大衆通信にはアメリカでは使つてない。多分国防省が使つておるだろうと考える。
 第三の問題は、国防省の通信網、すなわちアメリカの全防衛通信とでもいいまするか、いわゆる戦争通信網にこのチャンネルはつながり得るものであるということだけは確実であります。この点から見ても、日本がいつまでも属領であるというのならいざ知らず、ここにわれわれはこれらの問題を考える基礎資料として、一応この点は注意して考えなければならないものではなかろうかと考えるのであります。
 第四は、ただいまお話の中にありました何もかもアメリカ依存の態勢である。ことに技術的にはアメリカに聞かなければわからぬというようなことで、私どもも現在の技術的な遅れについては非常に心配いたし、しかも日本の技術が低いために海外の輸出も振わないという現状であるのでありまして、それらに対して政府を鞭撻いたし、現状ではいかぬということを常に言つておるものでありまするが、とにかく現在の日本テレビの、ただいまお話のような一つ一つアメリカに聞かなければわからないというようなお言葉が真実であるといたしますならば、これはまことに心細い限りであり、はたして今のようなりつぱな御理想が速成できるかどうかということを、われわれは非常に憂えておるものであります。先ほど来法律上の問題もございましたが、それらにつけ加えまして、正力さんにおかせられましても慎重に御考慮あらんことを、私としては一応希望いたしまして質問を終ります。
#103
○正力参考人 ただいま松前委員から有益な御忠告がありまして、まことに感謝いたします。何もかもアメリカに依存するという言葉もありましたが、私はただアメリカがよいからよいというのではないのであります。日本における電波のオーソリティーの八木博士と私も話をしました。八木博士はいろいろなことを言つておるが、どうしても日本の経済状態から考えて、このマウンテン・トツプ式に行くよりしかたがないのだということを八木博士は言いました。私は日本におけるあの権威者がそう言うことであるし、またその他二、三の人にも聞いてみましたけれども、なるほど日本の経済状態は、金がかかることをいたずらに夢見て、いたずらにりつぱなものをやろうといつても、そんなことは一種の夢に属するのだ。苦しい財政において、アメリカにやつた実例があるのだから、それをやる方法はないかというお話もありまして、私はやるのでありまして、断じてアメリカが言うからやるというのではありません。アメリカの実例を徴し、日本における権威者の話を聞き、日本の現状を見て、これより方法がないと思つてやるのでありまして、なおこれについても将来とも松前委員の御意見も拝聴して、日本国家一団となつてこのよいものをやつて、日本の通信界の革新をはかりたいと思うのであります。よろしくお願いいたします。
#104
○松前委員 八木さんを引つ張り出してのお話でありましたが、八木先生はどう言われたかということはあとで私も個人的に伺います。先ほど来何べんも申しましたように、マウンテン・トツプ方式というものは、このマイクロウエーブにおきましてはそうしなければならないものである。でありますから八木先生は当然そういうことを言われたはずであります。ですからそれをもつて一切のものを解釈せられるということは、大間違いであると私は思うのであります。どうかその辺はアメリカの技師等ともよく御相談願いまして、慎重にとりはかられんことを希望いたします。
#105
○成田委員長 三木武吉君。
#106
○三木(武)委員 私の質問いたしたと考えておりましたことは、今までの委員諸君の質問でも十分に尽されたようでございますから、これ以上蛇足を加えることは遠慮いたしますが、この機会に正力さんに一言お尋ねなり希望をしておきたいことは、私は常にこういうことを考えておる。日本人の知識というものは、それが科学であろうが、哲学であろうが、あるいは経済産業に対する心構えであろうが、決して世界水準よりは劣つておるとは思うておらないと考えております。ただ今日の日本の状態が、アメリカにはるかに及ばぬということになつておることは、種々なる原因がありますけれども、その大なる原因は、アメリカ人と日本人、あえてアメリカだけではありませんが、アメリカ人と日本人との大きな違いは、いわゆるパイオニア・スピリツトというものが日本人にはすこぶる乏しい。いい意味から申しますれば、石橋を金づちでたたいて渡るというのは、決して悪いことではないのでありまするけれども、常に先覚者、開拓者というような人が、いわゆる開拓精神をもつてどんどん進んで行くところに、大さな国の発展あるいは産業の開発というものがあるのではなかろうか、これを私は常に考えておる。えらい講釈じみたことを申しますけれども、アメリカが今日世界一の産業国家、富裕な国家だということは何人も認めておるけれども、それはアメリカの国内にあるいわゆる資源というものの開発を大胆に熱心にして来た結果が、今日のアメリカのあるゆえんであります。もしアメリカ人にしていわゆる開拓精神というものがなかつたならば、おそらくはアメリカのあの富の基礎になる石油も開発されておらなかつたかもわからぬ。あるいはアメリカの工業を今十分に――あえて十分とは申しませんが、その大きな部分を燃料の点において心配なく動かしておるあの天然ガスの利用というものもなかつたのではないか、こういうように考えるのです。これはアメリカ人自身が認めておる。アメリカの今日というものは、アメリカ人のいわゆるパイオニア・スピリツトというものが、今日のアメリカをあらしめておるのだということを誇らかにアメリカ人には言われておるのだが、私はその点において同感なんです。最も卑近な、お互いよいよ承知しておる例をあげてみても、あの原子力の問題なんかも、アメリカよりは、ある時代においては、日本の方が原子力の研究というものに対して一歩進んでおつたということは事実だ。また今のマウンテン・トツプどうやらこうやら、今松前君の話から聞けば、日本の方がアメリカより進んでおつたとはつきり言われた。しかもその進んでおつたものが、今日利用せられておらないということは、すべて日本人に開拓精神がない。右顧左眄する。石橋をどこまでも金づちでたたいて渡らなければいかぬというような気持で、日本の今日の地下資源の開発なんというものが遅れておるのもそこなんであります。私は常にこのことを非常に憂え、及ばずながら、自分もそういうふうにやつて行きたいというふうに考えておるが、幸いに正力君が勇敢に開拓精神をこの問題に発揮せられてやられておることは、私は非常に多とする。ただまことに残念なことには、日本人全体がそういう欠点を持つておるところへもつて来て、公務員、官庁関係者なんというものは、特にこの点においては卑怯なんです。臆病なんです。進んでいいことをしようとしないで、常に成功、不成功は深くきわめずして、いわゆるさわらぬ神にたたりなしで、成功してみたところが大したことはない、もし失敗したならば自分の首は飛ぶ、あるいは非常な困難に遭遇したならば、世間の批判を受けるというようなことばかりを心配するものだから、すべて日本が世界のいわゆる先進国家に遅れをとつておるのであります。私はこの問題を、この計画は官庁あるいは電電公社もしくはNHKで行わないで、正力君が率先これを主張して、ややその見込みを立てられたということは、日本人の現在の状態では当然なことなんですが、まことに残念なことには、昔からよく申しまするが、釈迦には提婆というものがつくたとえ、正力君のこの計画には、みずからの卑法であるとか、みずからの臆病であるとか、みずからの無知識であるとか、それを隠さんがために、あるいはその批判を免れんがために、さまざまなじやまをするというようなことがあるんじやないか、こういうことを非常に憂えております。特にきよう寺島君やその他の諸君から質問せられたあの正力君に対する怪文書、あれがごときは根拠のないことが大体ここで明白になつた。ああいうものがなぜ出たか。しかも事実は電波監理局の部屋から出たのかどうかは知りませんが、一応あそこにある電波監理局の何とかというものが差出人になつているところを見ると、私の今申し上げた嘆きは必ずしも無用でなかつた。そして依然として日本の官庁もしくは一般人民の中に、そういうさもしい、卑しい、情ない考えがあるということを痛感するのです。私は正力君は断々固として所信に邁進してもらいたい。もとより私どはそれに対し何らプラスになるような力はありませんが、日本のために断々固としてやつてもらいたい。もしこれが法律に違反するとか、違反せぬとか、疑問があるとか……。いいことならば法律の改正をしてもいいのじやないか。解釈が正力君の希望するようにできないのだというならば、堂々と本会議等で法律の改正をしても、いいことはあくまでも行つたらいいのじやないか。今は悪ければ憲法でも改正しようという時代なんです。いわんや、ささたる法律のごとき、それをたてにして、この仕事の妨害をなさるのじやなく、御親切に言われておるのだろうけれども、そういうことをたてにして、あれだこれだと、この仕事の進捗の妨害をなさるというようなことは、すべてすべきものでもないが、もしする者があつたならば、法律の改正をしてでも、いいことはあくまでも
 やつた方がいいと思います。私は正力君にその勇気ありやいなやをお伺いするとともに、大いに私は鞭撻をして、初志を貫徹せられんことを希望いたします。
#107
○成田委員長 齋藤君。
#108
○齋藤委員 ただいま先輩三木委員の御説でございますが、先輩三木委員は、きよう初めて御出席になりましたので、ここで従来いかなる観点から委員会が推し進められておるかということは、ひとつ速記録でもおひまのときにお読みくだされば、ただいま仰せられました御意見は、全部この委員会では取入れられておると私は存じておるのであります。われわれが本日、正力参考人にここにおいでを願いまして、この問題についていろいろな質疑応答を重ねましたことは、先輩三木委員の仰せられました通り、日本というものの立場、日本の電波に対する科学技術というものを、いかにしてアメリカ、英国に劣らざるように、日本の力において伸張するかということを前提として、アメリカ、英国の実情もひとつ聞いてみよう、それからもう一つは、もし法律が悪かつたならば、法律も改正しよう、もちろんこれは立法府でありますから、そのくらいな心構えは持つておるのであります。但し今日の日本における電波というもののあり方は、これは政府も今日までの電波監理委員会における各委員が心血を注いでつくり上げたところの電波の態勢であります。従つて正力さんが憂国の至情から、いかに御計画をなさろうとも、国家的に考えて、また今日まで幾多の委員が心血を注いでつくり上げたところの電波体系というものが、いたずらに乱れることがあつたならば、これは国家のために損失だと思う。かような観点から、われわれはあくまでも国家本位に立つておるのであります。従つてただいま私は、何も後輩がかようなことを申し上げる必要はないのでありますが、われわれとしても国家本意に電波行政の正しからんことを念願し、常に口を開けば郵政大臣に対して、電波に対する認識及び電波行政のあり方というものを聞いておる。しかし残念ながら、まだ今回の郵政大臣からは、われわれの得心の行くような、電波に対する認識及び電波行政に対するしつかりしたりつぱな意見を聞いておらない。かようなところに一切の病根があると思う。正力参考人のお述べになりました御計画が、日本の実情に照してはたして是であるか非であるか。これは現政府において電波に対する認識及び電波行政に対する確固たる方針が確立せられておるならば、われわれとしてもこれに対して審議は非常にスムーズに行くと思うのでありますが、これに対してまことに確固たる信念がない。そこに私は一切の病根があると思うのであります。どうぞこの点委員長におかれましても、しかるべく政府当局に要望せられまして、この次に開かれる委員会には、郵政大臣みずから立つて、現内閣を代表して、電波に対する認識と電波行政に対する確固たる信念を述べられ、それによつて一切の判断ができるようにおとりはからいを願いたいと思うのであります。
#109
○松井(政)委員 私は、同僚委員がいろいろ質問なさつたので、申し上げることは実はないのであります。しかし三木さんの御意見もあり、それからせつかく正力さんがおいでになつておるのでありますから、電通委員を長い間やつておる者から意見を申し述べてお答えがございますならばお答えをしていただくが、お答えがなければお答えをいただかぬでもよろしいのであります。
 御承知のように今度の問題につきましては、今同僚齋藤君の言つたように、われわれ議会はマイクロウエーブの問題を等閑に付しておるのではありません。さらに電波全体について当委員会がさまつな扱いをしておるのはございません。これは第五国会以来十二国会にわたつて、日本の電波を、どうするか。しかも底の浅い、資源の乏しい日本において、たつた一つの無形の財産は、目に見えない電波である。この電波が工業において、科学において、技術において、将来世界と勝負する一つの財産である。これをわれわれは党派を超越して考えて、審議をしておる。従つて長い間当委員会に関係をした者、あるいは電波行政官庁を担当した者によつて電友議員倶楽部なるものも組織をされまして、そこでも、超党派的に日本が電波については真剣に取組まなければならぬことを強調しながら、研究を続けております。ところがこの際私が申し上げたいことは、そういうぐあいにわれわれが国民から選ばれた者として真剣に取組んでおる委員会に、外部からいろいろな問題が投げ出されて、そのためにたいへんな迷惑をこうむつて来たことを明らかにしておきたい。それはテレビジヨンの免許をめくつての一つの問題でありますが、委員会の席に傍聴に来る方々、新聞社の方々のいろいろな立場において、われわれは委員会に出席するのがいやになつたという事態があつたことを、御承知おき願いたい。ただいま寺島君が言われたように、怪文書であるかないかは知らないけれども、当委員会において怪文書なるものを審議しなければならないことは、情ない実情である。そういうぐあいに、常にまじめに電波と取組んで、日本の科学技術をどうしようかということを審議している議員の人たちに、常に支障が起つて来る。これは議会の外部から起つておる。これは国民の代表として議会に出ているわれわれとしては迷惑しごくな話でありまして、そのために、日本の電波をどうしようかというわれわれの貴重な腰間の時間が、そういう外部からのもろもろの事件によつて空費されることが幾たびもあつたということを、明瞭に申し上げておきたい。こういう形が出て来ることは、われわれは非常に残念に思う。
 もう一つ申し上げたいのは、たとえば日本の科学技術がアメリカより劣つているというが、アメリカに劣つている原因については、三木先輩の考え方と私は逆であります。これは日本人の発明力、日本人の頭脳が劣つているのではないかという前提の上に、三木先輩は申し上げておるのでありますが、われわれは決して劣つているとは思わない。やはり科学者の考え方、技術者の考え方、それを中心に電波と取組まなければならない政治の貧困というものが、日本をして劣らせている。同じように負けたあとの八年間の工業生産の歴史を、西ドイツと日本について比べてみても問題になりません。これはわれわれは終戦後の日本の政治の責任であることを追究しなければならぬ。西ドイツと同じように負けていながら、日本は問題になりません。しかも西ドイツは、日本と比較にならないような工業生産の実を上げ、科学技術をもつてヨーロツパに君臨しておることを、われわれは心から学ばなければならない。従つて、外国のよい技術を持つて来ることが何で悪いかという正力さんのお考えのようでありますけれども、われわれはそれが悪いとは申し上げません。しかしながらそれにたよらないで、日本の科学技術、工業をアメリカに劣らないようにするのにはどうしたらいいかというのが、われわれの職責です。われわれはそれを果そうとして真剣に取組んでいる。従つて、アメリカに依存しなければ、ただいま問題になつておるマイクロウエーブは問題にならないという考え方はお持ちにはならないでございましようが、そういう考え方をお持ちになるならば、いささかわれわれの考えとは違うのである。日本が科学技術を動員して、しかも科学技術陣営がフルに外国に負けない研究と努力のできるような政策をやれば、日本は外国に負けない技術はできる、こういう確信を持つているのでありますが、この点は見解の相違があるようでありますから、明瞭にいたしておきますが、そういう考え方がわれわれは審議しているのだ、こういうことを十分参考人も御認識願いたい、これだけ申し上げておきます。
#110
○正力参考人 ただい私がアメリカからマイクロウエーブを持つて来るというのは――今電電公社のやつておる式は、ベル・システムといつて、アメリカでは七年前からやつているものである。その後昨年からアメリカが実験しているから、その七年前のものが悪いとは言わぬが、これは金も安く、また早くできる。そしてもつと広く電波が送れる。そうしたらなせこれをとらぬか。日本の技術が劣つているというのではありません。そのいいものをアメリカが発明したから、それをとつてしまえ、そうして日本によりいいものをつくりたい、こういうことを私は申し上げておるのであります。先刻申し上げましたごとく、テレビジヨンをやるについて一昨年アメリカの技師が来て、日本は十五年遅れておるということをNHKのテレビジヨンを見て言つておるのであります。今後日本がアメリカの技術をとつてやつてみれば、ああいうりつぱなものができるのではないか。だからアメリカのいい技術をとつてしまえ、そして日本をよりよくせよというのが私の主義でありましていたずらにアメリカに追従するものではないということを、御了承願いたいと思うのであります。
#111
○成田委員長 委員一同を代表いたしましてごあいさつ申し上げます。本日は御多用中のところ御出席くださいまして、世間に大きな話題を投げましたマイクロウエーブに対するいわゆる正力構想なるものについて十分御意見を拝聴させていただきまして、その内容が大体いかなるものであつたかということは判明いたしました。委員一同非常に幸いと存じておる次第であります。どうもありがとうございました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後四時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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