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1947/02/03 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 図書館運営委員会議院運営委員会連合審査会 第1号
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1947/02/03 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 図書館運営委員会議院運営委員会連合審査会 第1号

#1
第002回国会 図書館運営委員会議院運営委員会連合審査会 第1号
昭和二十三年二月三日(火曜日)
    午前十一時四十分開議
 出席委員
  図書館運営委員
   委員長 中村 嘉壽君
      山口 靜江君    井上 知治君
      松田 正一君    圓谷 光衞君
      豊澤 豊雄君
  議院運営委員
   委員長 淺沼 稻次郎君
   理事 坪川 信三君    大石 倫治君
      赤松  勇君    笹口  晃君
      森 三樹二君    工藤 鐵男君
      小島 徹三君    小澤佐重喜君
     山口喜久一郎君    石田 一松君
      川野 芳滿君    田中 久雄君
      林  百郎君
 委員外出席者
        議     長 松岡 駒吉君
        事 務 総 長 大池  眞君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 國立國会図書館法案起草に関する件
 國立國会図書館建築委員会法案起草に関する件
    ―――――――――――――
#2
○中村委員長 これより図書館運営委員会及び議院運営委員会の連合審査会を開きます。
 國立國会図書館法案起草の件及び國立國会図書館建築委員会法案起草の件の二件を一括議題として連合審査にかけます。
 便宜上私から原案起草の趣旨及びその大綱について簡單に御説明申し上げます。
 本案を提出いたしましたゆえんは、昨年四月二十八日に公布されたる國会図書館法によりまして、その設立が提唱されておりましたが、これを最も有効適切なものにするためには、過去において経験を得た國々、すなわちアメリカに國会図書館というものがありますから、この國会図書館が経験したことを、よく知つている人々を顧問に招聘して、そうして万全を期したいというような提議を両院の委員会において相談いたしまして、これが決定されましてから、両院の議長並びに両院の委員長の署名によつて、マツカーサー元帥に顧問招聘のことをお願いしたのであります。マツカーサー元帥はそれを快く御承諾されまして、アメリカで最も図書のことに詳しい人々を送つてくだされたのであります。その人はすなわちアメリカの國会図書館の次長のバーナー・クラップという人、並びに多年アメリカ図書館界の長老であり、現にアイオワ大学の図書館長であるところの斯界の最高峰チヤールス・ブラウン氏をば選んでくださつて、このお二人が十二月十七日來朝されて、その日からわが國会図書館の設立の計画に參畫され、爾来本両院委員会と連続討議懇談の結果、本案を作成したものであります。これまでの間に昨年からわれわれ委員会の集まることが八回、懇談会を開くことが二十二回、参議院の同委員会との合同委員会を開くことが十一回に及んだような次第であります。これに達するに至りましたのには、司令部のジヤスミン・ウイリアムス博士が有力な助言と協力を與えてくださつて、ジェームス・ネルソン氏、ポール・ジェー・バネツト氏という図書館係の人々が非常に斡旋してくださつてこの案を取上げられた次第であります。
 法案は十三章三十一條よりなり、別に四條よりなる國立國会図書館建築委員会法案があり、更に國立國会図書館設置に伴う法令の整備に関する法律案というものを後日上程するような都合になつております。この図書館の職員は、館長、副館長が置かれることになり、館長は大臣待遇、副館長は次官の待遇をすることになつております。構成は、中央の図書館が一つできまして、そのほかに司法部行政部の各機関、すなわち各省に支部図書館を置くということになつておりす。そのほかに連絡調整委員会というものができますが、これは両國会図書館の運営委員長と最高裁判所任命の判事が一名、総理大臣任命の閣僚が一名であります。そうして委員長は互選をする。館長は相談にはあずかりますが、投票権を有しない、こういうことなつているのであります。
 また部局を置きますが、管理事務を效率化するためにこの部局ができるのであります。その最もおもなる部局は、調査及び立法リフアレンス局というのであります。これがこの図書館の眼目であります。すなわち從來が國民の間におきましても、議員が不勉強であるとか、あるいは立法に対して材料をもたないとか、知識をもたないとかというような非難がごうごうとしておつたのでありますが、これはただその人人を責めるだけでなしに、いろいろな施設がなければ容易にこれが行われないのであります。この施設を設け、資料を提供するということを眼目とするのであります。一方において官僚の跋扈を云々しておりますが、その官僚を跋扈させるということは、結局立法府の人々がそういう設備をもたぬとか勉強する機会がないとかということであります。この官僚の跋扈を是正する意味においても、そういうものが必要であるということから、調査リフアレンス部というのに非常な力を盡すことになつております。この図書館ができますと、いわば知識の泉となつて、世界の材料をことごとくここに集めて、一目瞭然日本の政治、産業あるいは社会の状態というものが図書館に集まることになるし、そうして立法府のブレーンになすということ、及び政治の元締めすなわち仕事を能率化するということが眼目なのであります。われわれが日々見ているところで非常に遺憾と思いますことは、どこの役所に行きましても、会社、銀行に行きましても、わが國においては使用する人の数はたくさんおるけれども、いろいろなことが整理が整つていない。そのためにアメリカやイギリスあたりの仕事のしぶり比べますと、ほとんど五分の一か六分の一しか能率をあげていないということを、われわれはきわめて遺憾に思つておつたのでありますが、それは要するにものの整備がついていないのである。この整備をつけて國会図書館がよく運用されていくならば、先ほど申しましたこの図書館の眼目である知識の泉であり、立法のブレーンであり、政治の元締めであるということが達成されるとわれわれは考えておるのであります。殊に各省にこの支部図書館をおくということは、各省に行つてみましても、書類の整理というようなことが、はなはだよくできていない。一つの書類を探すのに半日も一日もかかつたりすることがあり、往々にして書類を失うというようなことなどもあるのでありますが、かようなところに非常な欠陷があるのだと思います。しばしば同じようなことを繰返してみたり、書類はたなに入れられてあつたり、利用していない。また普及もされない。こういうようなことを非常に遺憾としておつたのでありますが、かような弊害を除き、むだを省き、エフイシエンシーをあげるというために、各省にもかようなものを置くことを必要とする。こういうようなことから、各省に置きたいというのであります。それとさらに上野の國立図書館との関係でありますが、上野の國立図書館も國会図書館を併合するようなかつこうになりまして、なるべく近いうちに、一年のうちにこれをば東京都のものに移そうというような計画が考えられておるのであります。それは國立が國会にもあリ、上野にもありということではいけないから、これを一諸にまとめて、上野の図書館は東京都のものに移管し、そこに進駐軍の持つている図書館の書籍も、彼らが撤退するときには併合して、りつぱなニユーヨークの公立図書館、ボストンの公立図書館のようなものにしようというのがねらいなのであります。さらにこれと並行いたしまして、文部省の計画で地方にもいろいろな図書館ができるであろうし、その他諸團体においても図書館ができまするが、そういう図書館を指導する立場になる、すなわちカタログの統一したものをつくりまして、全國至るところに蔵書されているものが一目瞭然にわかるような組織にしようというのが、この案の眼目なのであります。われわれ國会人としてぜひともこれの整備したものがなければならぬということを考えておりまするがために、この案を提出したのであります。きのうもここへクラツプ、ブラウン両氏が來まして、いろいろ説明があつたのでありますが、それに対し、淺沼委員長の御質問があり、予算の関係なども言つておつたのでありますが、これも一目であまりに厖大なものではないかというお考えがちよつと起るかもしれないが、これは財政の都合等を見合わせて、でき得る限りのことをやる。しかもこれに應ずる金については莫大なものが要るかもしれんが、それより大きな効果をあげることができればいいのではないかと言う氣分であります。どうか皆さん愼重御審議の上、御賛成くださらんことを切にお願いいたします。
 なおこの際大池さんにお話しておきたいと思いますことは、この條文は実は過去長い間にわたつて、われわれ両院の委員がおのおのその委員会において、あるいは合同打合会においてこれを審議しておつたのであります。しこうしてその都度アメリカの顧問たちとさらに審議をし直して、彼らの原文もかえ、われわれの方もかえして、少しも彼らが何か押しつけようとしたのでもなし、合意の上でどしどし日本にふさわしいものはふさわしいように、向かないものは向かないように修正を自由にしたのであります。よつてかくのごとき法律案ができたのでありますが、実はこの法律案の修飾について、昨日大池事務総長にちよつとお話をして、艶_の変らない限り、内部の解釈に変りない限り、多少の修飾は私はいいと思つておつたのでありますが、本日見てみますと、相当に修正の字句があるように見えておりますけれども、これは先ほど申し上げだように、内容に変化のない範囲の修正だと考えております。まだ十分に見ることができませんが、その内容に変化のないということを條件として、このまま提出して私は少しも差支えなかろうと思いますから、さよう御了承ねがいます。
#3
○石田(一)委員 第二章第五條の二項に「館長は、政治活動を慎み、政治的理由により罷免せられることはない。」ということが規定してあつて、しかもその館長の待遇は國務大臣と同等である。しかもこの第六章の調査及び立法のリアレンスとか、この説明を今承つておりますと、何だかこれはただいまの説明にあるごとく、國会の原動力で動くのではあろうけれども、相当これは政治に対しては強い影響を與える図書館だと思うのです。その館長が政治活動を愼んで、政治的理由により罷免されることがない。身分の保障もしてあるのでしようが、何だか矛盾するような氣がするのです。
#4
○中村委員長 私はそれはちよつと誤解じやないかと思いますが、これにはいる図書館長というのは、政府の動きによつてちよいちよい迭るというのでない、厳正中立な人がなるという意味です。そこでは立法に対して材料を提供するが、それらの人々が発案をしたりすることは許さぬという意味です。
#5
○淺沼委員 ちよつと御報告申し上げておきますが、昨日の議会運営委員会で問題になりましたこの法案の内容の点を二点にわけて、私関係方面の方に質問をいたしました。その結果だけを御報告申し上げておきます。
 第一は図書館の中に調査及び立法相談所リフアレンスというものを設けて、法制部との関係はどうなるかということを聽いたのでありますが、結局立案の最終決定をするのは國会内部における法制部であつて、図書館内にある調査及び立法リフアレンスというものは補助的機関ではあるけれども、最終決定をするのは法制部だ。法制部はやめなくてもよいのだということで一應了解がなつたわけであります。その次の財政的な点は工藤委員から質疑があつたのですが、この計画は大体五十年間を予見して大きなものをつくつておる。しかしそれはすぐこれをやれというのではないので、できるものから予算の得られる範囲内においてやつていけばよいということで、財政的負担を大きく考えることは、今の段階においてはその必要もないじやないか。建物その他のことについては相当金がかかるようですが、できる範囲からやつて、初め小さくつくつてだんだん拡大していつたらどうか。アメリカでもそういう方法をやつておるということでありました。もう一つは衆議院の方からの意見でリフアレンス局というような名前を何か日本的な表現はないものだろうか。たとえばサービスという言葉の点については説明ありませんでしたが、リフアレンス局ということについては何か表現をかえたらどうか。これに対する答弁は要するにかえるために案全体を壊しては困る。ないしは審議を遅らしては困るけれども、そうでなくて、いい言葉があれば、何もこれにこだわるわけではないという答弁がありました。それを御報告申し上げておきます。
#6
○中村委員長 リフアレンスという言葉について参議院でもわれわれの方でもいろいろ論議したのですが、結局相談するということにもなるし、いろいろな意味をもつている。これに適合するような日本の言葉が発見されない、両院ともそれじやそのまま残したらどうかということになつたのであります。
#7
○大池事務總長 念のために私が読みますから、それによつて御質問を願いたいと思います。
   國立國会図書館法案
 國立國会図書館は、眞理がわれらを自由にするという確信に立つて、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄與することを使命として、ここに設立される。
  第一章 設立及び目的
 第一條 この法律により國立國会図書館を設立し、この法律を國立國会図書法と称する。
#8
○森(三)委員 前文がついているのはよいが、「この法律を國立國会図書館法と称する」などということはわかりきつたことで、向うがこういうふうな書き方をしているかもしれないけれども、私は第一條として「國立國会図書館はこの法律によつて設立する」だけでよいのではないか。從來の立法から言つてこういう体裁はないのです。
#9
○中村委員長 そこは今までの立法と今度は変つているかもしれないが、これを読んで見ますと至れり盡せりで、十分こまかく説明してある。重複になるようなことは残しておいても、向うでは疑義の起らぬようにしておいたらよいじやないかというのでおいてある。もしこれをまた変更するとさらに相談をし直さなければならぬことになる。ですからこれはなるべくそのままお通しを願いたい。
#10
○森(三)委員 それではわれわれが意見を述べることは無意味になつてしまいますね。法律の体裁ということも考えなければなりません。いやしくもわれわれが審議したとなれば、これではみつともないと思います。
#11
○石田(一)委員 こういう所で申し上げるのはどうかと思うのですが、最近日本の法律は民主化の声がやかましくなつてから、憲法自身においても口語体を用いて非常にわかりやすく書かれてあるけれども、最近それと全然相反するような立法がなされようとする傾向がある。たとえば警察法の前文などは中等学校から大学の予科程度の学生が一度や二度読んでも理解できないようなことが書いてある。この法律案でも「國立國会図書館は眞理がわれらを自由にするという確信に立つて」などという日本語は過去には使われなかつた。なるべくならばこういう言葉を口語体に近いもので現わしたい。これが今後の行き方ではないかと思う。特に図書館法というような國の文化を象徴する設備の根本となす法律が、日本語だか何だかわからないもので書かれていることはさびしいという氣持です。
#12
○森(三)委員 第一條の書き方がわかりやすいようでおかしいと思う。できれば「この法律により國立國会図書館を設立するものとする」だけ書いて、あとは省いてしまつたらどうですか。法文の体裁というものもあるですよ。
#13
○石田(一)委員 この委員会で貴重な時間を費してやるということもどうかと思うので、これは事務総長と淺沼委員長あたりに一任の形をとつて、そこで万全を期してもらう、そういうことで了承したらどうでしようか。
#14
○小澤(佐)委員 一應逐條でやりましよう。
#15
○工藤委員 外來語だけは何とかしなければならぬ。体裁が悪い。適当な言葉があるかどうかわからないが、言葉はだんだん内容を具えてくるものですから……。
#16
○大池事務總長 第二條を読みます。
 第二條 國立國会図書館は、図書及びその他の図書館資料を蒐集し、國会議員の職務の遂行に資するとともに、行政並びに司法各部門に対し、更に日本國民に対し、この法律に規定する図書館サービスを提供することを目的とする。
#17
○小澤(佐)委員 サービスというのはどういう意味ですか。奉仕という意味ですか。
#18
○中村委員長 そうです。
#19
○小澤(佐)委員 奉仕なら奉仕でいいでしよう。
#20
○淺沼委員 憲法にも国民全体に対する奉仕という言葉を使つておる。
#21
○小澤(佐)委員 ことさらにサービスと書かなくてもいい。
#22
○大池事務總長 〔朗読〕
 第三條 國立國会図書館は、中央の図書館並びにこの法律に規定されている支部図書館及び今後設立される支部図書館で構成する。
   第二章 館長
 第四條 國立國会図書館の館長は、一人とする、館長は、両議院の議長が、両議院の図書館運営委員会と協議の後、國会の承認を得て、これを任命する。
  館長は、職務の執行に当り過失がない限り在職する。館長は、政治活動を愼み、政治的理由により罷免されることはない。館長は、両議院の議長の共同提議によつては罷免されることがある。館長は、法律によつて定めた停年に至つて退職する。館長の待遇は、國務大臣と同等する。
 第五條 館長は、図書館事務を統理し、所属職員及び雇傭人の職務執行を監督する。
  館長は、事前に、時宜によつては事後に、両議院の図書館運営委員会の承認を経て図書館管理上必要な諸規程を定める。
  前項の規定は公示によつて施行される。
 第六條 館長は、毎会計年度の始めに両議院の議長に対し、前会計年度の図書館の経営及び財政状態につき報告する。
 第七條 館長は、一年を越えない定期間毎に、前期間中に、日本國内で刊行された出版物のカタログ又は索引の出版を行うものとする。
 第八條 館長は、出版に適する様式で日本の法律の索引を作るものとする。
   第三章 副館長並びにその他の職員及び雇傭人
 第九條 副館長は、一人とする。副館長は、館長が両議院の議長の承認を得て、これを任免する。副館長は図書館事務につき館長を補左する。館長に事故があるとき、又は館長が欠けたときは、副館長が館長の職務を行う。副館長の待遇は、各省次官と同等とする。
 第十條 國立國会図書館のその他の職員及び雇傭人は、職務を行うに適当な者につき、國会職員法の規定により館長が、これを任命する。その職員及び雇傭人の職責は館長が、これを定める。
 図書館の職員は、國会議員と兼ねることができない。又行政並びに司法の各部門の地位と兼ねることができない。但し、行政又は司法の各部門の支部図書館の館員となることは、これを妨げない。
   第四章 図書館運営委員会並びに國立国会図書館連絡調整委員会
 第十一條 両議院の図書館運営委員会は、少くとも六ヶ月に一回以上これを開会し図書館の経過に関する館長の報告、図書館の管理上館長の定める諸規程、図書館の予算及びその他の事務につき審査する。各議院の図書館運営委員長は前項の審査の結果をその院に報告する。
 第十二條 國立國会図書館に連絡調整委員会を設ける。この委員会は、四名の委員でこれを組織し、各議院の図書館運営委員長、最高裁判所長官の任命する最高裁判所裁判官一名及び総理大臣が任命する國務大臣一名をこれに充てる。委員長は委員の互選とする。委員長及び委員は、その職務につき報酬を受けない。
  館長は、委員会に出席できるが、表決に加わることができない。
 第十三條 連絡調整委員会は、両議院の図書館運営委員会に対し、國会並びに行政及び司法の各部門に対する國立國会図書館のサービスの改善につき勧告する。
#23
○森(三)委員 「第四章図書館運営委員会並びに國立國会図書館連絡調整委員会」となつているが、そうすると國会と別な図書館があるような感じを受ける。この法律は國立國会図書館の法律でなくて、公立図書館の法だという感じを受ける。さつきの御説明によると、國家の経営のものもあり、縣のものもあり、都のものもあり、それを全部ひつくるめるのでしよう。そうなつてくるとこれは國立でなく、公立でなくてはならぬ。各支部を設ける……。
#24
○中村委員長 各支部というのは国家の機関である行政部とか司法部の支部であつて、國家機関のことを意味するのです。
   第五章 図書館の部局
 第十四條 館長は、管理事務を効率化するに必要とする部局及びその他の單位を図書館に設ける。
   第六章 調査及び立法リフアレンス局
 第十五條 館長は、國立國会図書館内に調査及び立法リフアレンス局と名附ける一局を置く。この局の職務は、左の通りである。
  一 要求に應じ、両議院の委員会に懸案中の法案又は内閣から國会に送付せられた案件を、分析し又は評價して、両議院の委員会に進言し補佐するとともに、妥当な決定のための根拠を提供して援助すること。
  二 要求に應じ、又は要求を予測して自発的に、立法資料又はその関連資料の蒐集、分類、分析、翻訳、索引、摘録、編集、報告、及びその他の準備をし、その資料の選択又は提出には、党派的又は官僚的偏見に捉われることなく、両議院、委員会及び議員に役立ち得る資料を提出すること。
  三 立法の準備に際し、両議院、委員会及び議員を補佐して、議案起草のサービスを提供すること。但し、この補佐は委員会又は議員の要求ある場合に限つて提供され、調査及び立法リフアレンス局職員はいかなる場合にも立法の発議又は督促をしてはならない。
  四 両議院、委員会及び議員の必要が妨げられない範囲において、行政並びに司法の各部門又は一般公衆に蒐集資料を提供して役立てること。
 第十六條 この局に必要な局長、次長及びその他の職員は、政党に加入していても加入していなくても、その職務を行うに適局な者につき、國会職員法の規定により館長がこれを任命する。
   館長は、更にこの局の職員に、両議院の常任委員会の必要とする廣汎な関連分野に専門調査員を任命することができる。この専門調査員の待遇は、行政並びに司法の各部門の一級官吏と同等とする。
   第七章 行政並びに司法の各部門へのサービス
 第十七條 館長は、東京に在る行政並びに司法の各部門に、図書館サービスの連繋をしなければならない。この目的のために、館長は左の権能を有する。
  一 行政並びに司法の各部門の図書館長を、これらの部門を各々代表する連絡調整委員会の委員の推薦によつて任命する。但し、行政並びに司法の各部門の図書館長は当該各部局の職員たることを妨げない。
  二 行政並びに司法の各部門の図書館で使用に供するため、目録法、図書館相互間の貸出及び資料の交換、綜合カタログ及び綜合リスト作成等を含む図書館運営の方法及び制度を定めることができる。これによつて國の図書館資料を、行政並びに司法の各部門のいかなる職員にも利用できるようにする。
  三 行政並びに司法の各部門の図書館長に、年報或は特報の提出を要求することができる。
 第十八條 行政並びに司法の各部門に在る図書館の予算は、当該各部門の予算の中に「図書館」の費目の下に、明白に区分して計上する。この費目の経費は、行政並びに司法の各部門を各々代表する連絡調整委員会の委員及び館長の承認を得なければ、他の費目に流用し又は減額することはできない。
 第十九條 行政並びに司法の各部門の図書館長は当該各部門に充分な図書館サービスを提供しなければならない。当該各図書館長は、その職員を、國会職員法又は、國家公務員法若しくは裁判所との規定により、任免することができる。当該各図書館長は、國立國会図書館長の定める規程に從い、図書及びその他の図書館資料を購入或は他の方法による受入方を当該各部門の長官或は館長に勧告し、又は直接に購入若しくは受入をすることができる。
 第二十條 館長が最初に任命された後六カ月以内に、行政並びに司法の各部門に現存する、すべての図書館は、本章の規定による國立國会図書館の支部図書館となる。なお、現に図書館を有しない各廳においては、一カ年以内に支部図書館を設置するものとする。
   第八章 その他の図書館並びに一般公衆に対するサービス
 第二十一條 國立國会図書館のサービス並びに蒐集資料は、直接に或は公立その他の図書館を経由して、両議院、委員会及び議員若しくは行政並びに司法の各部門からの要求を妨げない限り、日本國民に最大限に利用させる。この目的のために、館長は左の権能を有する。
  一 館長の定める諸規程に從い、図書館の蒐集資料を國立國会図書館建物内で、又は図書館相互間の貸出、複写サービス若しくは陳列によつて、一般公衆の使用並びに研究の用に供する。且つ、時宜に應じて図書館サービスの改善上必要を認めるその他のサービスを提供する。
  二 あらゆる適切な方法より、図書館の組織及び図書館サービスの改善につき、都道府縣議会その他の地方議会、公務員又は図書館人を援助する。
  三 國立國会図書館で印刷したカタログカード又はその他の出版物を他の図書館及び個人が、購入しようとする際には、館長の定める價格でこれを売り渡す。
  四 日本の図書館資料資源に関する綜合カタログ、並びに全國の図書館資料資源の連繁さる使用を実現する必要なる他のカタログ及びリストの作成のために、あらゆる方策を講ずる。
 第二十二條 上野公園の國立図書館は、昭和二十四年四月一日までに、國立國会図書館の支部図書館となり、特に東京都民の用に供するよう有効に運用する。この図書館はできる限り速かに、東京都に移管し、移管期日前に制定される法律及び諸規定に從つて運用する。
#25
○森(三)委員 東京都に移管するということは、図書館の所有権を移すということか、保管を委任するということか。これだけではわからない。これだけをもつてしては上野図書館は國立図書館から除外されるというように考えることはできないのではないか。やはり上野図書館も國立図書館の一部にはいるということも考えられると思う。東京都に移管するということは所有権を移すというのか、管理権を移すというのかわからぬですね。
#26
○中村委員長 これはやはり東京都のものにしてしまうというわけです。
   第九章 蒐集資料
 第二十三條 館長は、國立國会図書館の蒐集資料として図書及びその他の図書館資料を購入、納本、寄贈、遺贈若しくは交換によつて、又は行政並びに司法の各部門からの移管によつて受入することができる。行政並びに司法の各部門の長官は、その部門においては必ずしも必要としないが、館長が國立國会図書館において使用には充用できると認める図書及びその他の図書館資料を、國会図書館に移管することができる。館長は、國立國会図書館では必ずしも必要としない図書及びその他の図書館資料を、行政並びに司法の各部門に移管し、又は交換用に利用し、若しくは処分することができる。
   第十章 國の出版物の納入
 第二十四条 國の諸機関による又は國の諸機関のための、図書、パンフレツト、定期刊行物、地図、映画或はその他のもので、印刷又は複写により、五百部以上を発行する場合は(機密扱のもの及び書式用紙を除く)、東京における公用のため、並びに外國政府出版物との國際的交換の用又はその他の國際的交換の用に供するために直ちに國立國会図書館に五十部を納入させるものとする。五百部未満の発行部数のものについては、館長の定める規程によつて五十部未満の部数を國立國会図書館に納入させるものとする。
   第十一章 その他の出版物の納本
 第二十五條 第二十四條に揚げる以外の出版物については、その発行者から一部を國立國会図書館に納本させるものとする。館長はその代償として定期に作成する全日本出版物のカタログで、当該出版物を登載した分を遅滞なく納本者に送付するものとする。
   第十二章 金銭の受入、支出、予算
 第二十六條 館長は、國立國会図書館に関し、そのサービス又は蒐集資料に関連し、直ちに支拂に供し得る金銭の寄贈を受けることができる。この場合には両議院の図書館運営委員会の承認を得なければならない。
 第二十七條 國立國会図書館に充当されているあらゆる経費は、館長の監督下に、その任命した支出官によつて支出される。
 第二十八條 國立國会図書館の予算は、館長がこれを調製し、両議院の図書館運営委員会に提出する。委員会はこの予算を審査して勧告に附し、又は勧告を附さないで、両議院の議長に送付する。
   第十三章 附則
 第二十九條 この法律は、公布の日から、これを施行する。
   昭和二十二年法律第八十四号國会図書館法は、これを廃止する。
 第三十條 この法律施行の日に、両議院の図書館は各々分離した図書館としての存在を終止し、その蒐集資料は、國立國会図書館に移管される。
 第三十一條 國立國会図書館の各種の地位への任命に完全な有資格者が得られない場合には、館長は、二年を越えない期間内で、仮任命をすることができる。その期間の終了に際し、その地位に優れた有資格者が得られるならば、その仮任命は更新せられないものとする。
   國立國会図書館建築委員会法案
 第一條 この法律により、委員長及び四人の委員で組織する國立國会図書館建築委員会を設置する。委員長には國立國会図書館の館長を充て、委員には各議院の図書館運営委員長、建設院総裁、及び両議院の議長の任命する建築専門家一名を充てる。委員長及び委員(建築専門家を除く)は、これがため特別の報酬を受けない。但し、その必要な支出については、委員会に充当されている経費からこれを支弁する。
 第二條 委員会の職務は、國立國会図書館建築につき最初の明細書を準備し、敷地を撰定し、建築家を選び、建築設計の準備及び費用の見積をさせ、且つ建物の建築につき予算上の勧告をも含めて、両議院の議長を経由して國会に勧告することである。委員会は少くとも半年以内毎に、両議院の議長に経過を報告するものとする。
 第三條 委員会は、國立國会図書館の建設が完了するまで存続する。建築が完了したときは最終の報告をして削減する。
 第四條 事務職員費、用品費、旅費その他の費用等必要な経費については、國会の議決により、その必要と認められた金額を委員会の費用として充当されるものとする。
    附 則
  この法律は、國立國会図書館法の施行の日から、これを施行する。
#27
○工藤委員 今ちよつと氣がついたが、第二十八條に「委員会はこの予算を審査して勧告を附し、又は勧告を附さないで、両議院の議長に送付する」とあるが、そうすると勧告を附しても、附さないでもいいのですか。これはちよつと日本人の頭にぴつたりこない。
#28
○中村委員長 そういうことを明確にするために、疑義の起らぬようにしてあるのです。
#29
○森(三)委員 第四條に「館長は、法律によつて定めた停年に至つて退職する」となつていますが、その法律は別につくるのですか。
#30
○林(百)委員 第六章の第十五條の第一号に、「要求に應じ、両議院の委員会に懸案中の法案、又は内閣から國会に送付せられた案件を、分析し又は評價して、両議院の委員会に進言し補佐するとともに、妥当な決定のための根拠を提供して援助すること」とある。事務局には法制部、調査部があるのですが、図書館の方でまたこういうことになると、この関係はどうなるのですか。重複してくると思うが……。
#31
○中村委員長 ちよつと説明いたしますが、図書館の方に専門家の人達を集めてリフアレンス・ライブラリーをつくるというのです。材料が十分に集つているところであらゆる角度からそういう材料を提供するわけです。今ここにある法制部というものを十分なものとは思つていない。それよりもつと完全な材料をもつていこうというわけなんです。
#32
○林(百)委員 今中村委員長の言われた点ですが、今の法制部が不十分だということで議院運営委員会へ社会党と共産党の方から法制部の拡充というのが草案で出ておるのです。そこで結局図書館としては、その法制部の活動に必要な資料を提供するのであつて、みずから積極的に進言し、補佐するということになると、やはり図書館のらちを超えるのではないかと思う。
#33
○中村委員長 それは要求に應じてやるのです。
#34
○林(百)委員 要求に應ずるわけですが、調査部や法制部の方も要求に應じてやる。こちらにもそういうものを設けると二重になると思うのです。もしそれだけの経費があるならば一つを拡充した方がいいと思うのです。
#35
○中村委員長 それはきのう淺沼委員長も質問されたと思うが、アメリカではどうかというと、そう大きなものではないが法制部があつて、フイニツシユイング・タッチをやる。人間の数は五名か十名の範囲と言つておる。しかし大体は図書館の方で材料を提供して、それによつて法制部がフイニツシユイング・タッチをするということになつている。今の法制部というものが非常に大きな計画のものであるならば二重になるが、そこでは十分な材料を集めることはできない、何といつても國会図書館が世界中から材料を集めるのです。
#36
○林(百)委員 アメリカではそうかもしれぬが、日本では法制局というのがあつて、一般立法をやつている。図書館というのはそれの資料提供だけであつて、実際に分析し意見を進言し補佐するというのはやはり法制部とか法制局という専門の部局がやるのだと思う。われわれがせつかく法制部の方へ人材を集めて、行政部門の方の法制局に匹敵するものをつくろうとする際に、またこんなものができたのでは、案が二つも三つもできてどつちも充実しない。議会の法制部に人を集めようと思つても人が來ないと思う。
#37
○中村委員長 その問題についてはこの間も話があつたが、國会図書館をつくろうということは、立法のリフアレンスを集めようというのが一番主である。それがなければ國会図書館をつくる必要はないということです。法制部があつてもそれだけで集めることができるのではない。國会図書館があつて初めて集めることができるというわけです。アメリカでは小さな範囲の立法部というものはあるが、その運用というものはあまり力がないという。実際は國会図書館というものが非常なアクテイブな仕事をやる。アメリカでは國会図書館というものはむしろ働ぎ過ぎるほどアクテイヴな仕事をしている。ここがいろいろなものの原動力だということである。われわれが考えている図書館とは、本をたくさん集めておいてこれを読むという考え方だけれども、向うの考え方はそうじやない。國会図書館だけではなしに、各州の図書館も立法をやつている。
#38
○森(三)委員 考え方が根本的に違う。
#39
○中村委員長 こつちの法制部はそれを土台にしてフイニツシユイング・タツチをやる所だという考え方です。
#40
○林(百)委員 それは結局法制部と図書館が緊密な連絡を保つて、法制部に必要な材料を図書館が提供してくれればよい。その図書館から提供された材料に基いて具体的にいろいろな法案を分析し評價し、進言するのは、やはり法制部がやることじやないかと思う。
#41
○中村委員長 それは法制部もやるでしよう。こつちの方で必要があればやつてやろうというわけです。しいてやるのじやない。
#42
○林(百)委員 しかし法案にこういうことがあれば、要求に應じて準備するために、ある程度法制部の方も充実させなければならぬ。
#43
○森(三)委員 ダブらせる必要はない。
#44
○林(百)委員 実際上ダブる。乏しい経費を二つに分ければ、どちらもいいかげんのものになるし、なわ張り争いが起る。
#45
○中村委員長 それは運用いかんであつて、國会図書館でずつとまとまつていけば、今の法制部というものは小さいものでよいということになる。
#46
○淺沼委員 この問題はきのうもいろいろ聽いたが、アメリカの立法サービスをやつている國会図書館は使用人員が百五十名ぐらい。議会内の法制部は明確な数字はなかつたが、五人ないし十人ぐらいだろうと思う。從つて國会内部にある法制部は最終的に手を加えるところであり、それまでの準備活動というものはその要求に應じて立法サービスをやる図書館がやつてくれる。そういうような説明だつたのでありますけれども、今林君の言われると同じような疑問を私どもも今もつているわけでありますが、國会内部における法制部をなくしてしまうのではないということが明確になつたから、それならば一應この案を認めようではないかということに腹がきまりつつあるという現状ですが、参議院も同様な議論が出た。衆議院でもこの間この議論が出て、それを代表して私質問したわけですが、その結果がそうなつているのです。
#47
○林(百)委員 私たちの党としては、ここにある法制部を法制局にして、それから行政部門のもつている法制局と匹敵するようなものにしようというわけで、実は法案までこの議院運営委員会に出しているのですが、ただそれが審議されていない。
#48
○森(三)委員 いや一應審議している。
#49
○林(百)委員 一應やつたけれども実らない。われわれとしてはあくまでこの事務局の一部であるところの法制部を一つの局にもつていこうということでやつたわけですが、それがかち合つてしまう。予算が十分あるならば両方充実すればいいけれども、乏しい國家の財源で二つのものをつくることになると、どちらも不十分になつてしまう。
#50
○中村委員長 今のような法制部をおかなければならないという議論が出てくれば、それならばアメリカにも法制部というものはある。法制部が両立してもよくはないか。法制部が存立するのなら異議はないということにきのう相談がまとまつたわけであります。
#51
○石田(一)委員 今の問題が林君の議論から出てくるのですが、もちろんこれが政治の最後の決定権をもつておるわけでも何でもないわけであります。しかし妥当な決定の根拠を提供して援助するということが、もし現在アメリカにあるように大きな國立國会図書館というような権能をもつたものができることになると、これが日本の政治の動向を左右するというふうなものになりはしないか。
#52
○中村委員長 そこは少し誤解があるようだが、何も國会図書館が権限をもつているわけではありません。権限はちつともなしに、そういう材料を提供するという、機関だけの話です。それを利用する人がうまく利用すればいいわけであります。それだから特に政治家でない人を選ぶということになつております。
#53
○石田(一)委員 もちろん館長は政治家でない、また政治活動を愼しむということは第四條にあるのですが、そのために正しい資料が提供され、さうしてわれわれに最後の決定を與えるための根拠を提供して援助してくれる。これが最も正しい根拠であればいいが、もしこの國立國会図書館の構成分子の中に誤つた考えをもつた者がもしあつたとすれば、館長がいくら正しくても、その下に働く者のいき方によつて…。
#54
○中村委員長 御心配の点はよくわかりますが、そういう人は――この間私に例をあげて言いました。ある館員で多少そういうような傾向の疑いがあつた。それはすぐ止めさせてしまつた。そういうような傾向のある人とか、不公平の人とか、自分の利害を考える人は、ここには適当でないという考え方をもつて、人選には非常な注意を拂つております。
#55
○石田(一)委員 そういうことが起らなければよいが、非常な危惧の念を抱くわけです。
#56
○中村委員長 そこは、今お話しましたように、非常に嚴重にやつておるのあります。常任委員会の方に専門委員というものがある。これは政治的傾向を持つことはやむを得ないですね。ある常任委員長がこういう法案をつくろうというときには、自分の欲する法案に近い材料を提供するでしようが、國会図書館における専門委員というものは、データーを集める、フアクトを集めるということが主であつて、自分で何かやるというデーターをもつてはいけないということが規定してある。
#57
○石田(一)委員 今ここでお尋ねすることに対しての委員長の御説明は、委員長として今までこの法案を審議してきた、両院の國会図書館運営委員の両者の意見をここで説明してくだされば足りるので、実は今も聽いていると、アメリカではこうなつているという。アメリカではそうなつているかもしれないけれども、日本ではどうなるかわからないので、アメリカでうまくいつているから日本もそういくというわけにはいきません。教育の程度からいつても、財政面においても、そうはいかないのだから、その意味において説明が願いたい。
#58
○中村委員長 今まで論議したのは、彼らの言うことを参考とし、彼らの材料によつてやつたのでありまして、その結果が委員会において、また両院の間において結晶してきたのです。從つておのずからその説明がはいることは許してもらわなければならぬ。
#59
○林(百)委員 私の心配するのは、アメリカのように非常に財源の豊かな國で、存分のことができるところならよいけれども、日本のような人間が生きるか死ぬかの境にあるときに、屋上屋を重ねるような法案をつくつて、法制部と調査部がやる。また調査委員も図書館の方にあり、事務局の方にもあるということになると、両方とも人材を求めようとしても、待遇その他いろいろの問題で、集まつて來ない。お互いに不便なものをこの際つくるということは、向うはよいかもしれないけれども、今の日本の現実としてはどうかと思うのです。
#60
○中村委員長 もしこれだけでまとまるならば、別のものはつくらぬでもよいじやありませんか。調査部そのものは存在してもよい。あなたの意見はそれを生かして、これを潰してしまえという御意見なのですか。
#61
○林(百)委員 本來の使命は、第十五條の二項にあるように、資料を蒐集し、分類、分析、翻訳、索引、摘録をつくり、報告書を出し、いつでも必要に應ずるお膳立をつくつておいてくれればよい。積極的に法案を分析し、意見を具申するというようなことは、それは法制部、調査部があり、専門委員もあるわけです。しかもそれはまだ不十分で、どうしてもまだ充実しなければならないという声が強いときです。それを図書館のようなものをつくつて、どちらも待遇が不十分で人材が集まつて來ないということになれば、議会はうやむやになつてくる。
#62
○中村委員長 それはおそらく図書館の方にいろいろな人が集まつてくるから、そこでこなした材料がいつて、楽になりはしませんか。
#63
○石田(一)委員 こんなに詳しく、建築するのに土地を選べということまで書いてあるのに、現在嚴存する國会法において認められている法制部がこれのためにどういう影響があるということはどこにも書いてない。自然の成行きに任しておけば、國会図書館の方が本格的な調査とか、法案の分析とか、評價をするようになるから、これが大きくなれば自然國会法に基く法制部というものはだんだん小さくなつて、なくなるだろうという意味で、これがつくられたのではないだろうと思うのです。
#64
○中村委員長 そんな意味じやないのです。國民に一番よいサービスをするために、日本の國会で何が一番よいかということを考えた結果がこれに生れてきたのです。
#65
○林(百)委員 それは理想としてはいいかもしれないが、現実の問題として不可能であると思う。アメリカのように非常に豊かな國なら別だが、そうでないと今度の六・三制みたいな制度ができても……。
#66
○中村委員長 こういう考え方はできませんか。これが日本の革新をはかる中心になるということで、今貧乏かしらぬけれども、それによつて金持ちになろうという行き方だと思います。いろいろな重複を避けたり、あるいは非率的なものを能率的にしたりする根源ががここにある。知識の足らないところを足らせるようにするのだ。たとえば進駐軍がここにはいつてくると、三箇月の間に日本の産業、社会、政治、あらゆるものが欠乏に当面しておることがわかつて、トルーマン氏のところにそれを知らせてやれば、ただちに日本の事情がわかるというようなことになつている。そういうことが日本では立つていない。日本ではこんな整理の方法によつてやつたらということから、これは生れてきておると思います。実に乱雑である。その乱雑な状態をよくして能率の増進をはかり、産業を起し、社会の革新をはかろう。無血の革新をこれによつてやりたいという希望があるのです。あなたの言われる今あるものはそのままでいいのだから……。
#67
○林(百)委員 しかしそれが非常に不十分で、それを充実しなければならないということが今問題になつている際、それと同じ役割を果すものをまた新しく設ける必要はないと思います。将來余裕ができた場合にはそれをやる……。
#68
○中村委員長 それは出発点が違つておると思います。
#69
○大石(倫)委員 委員長と林君との押し問答を聽いておると、林君の言分ももつともだし、委員長の考え方もある。要するに法制部、調査部というものが両方にあるということは不経済だというのが林君の結論のようであります。もちろん私が心配しているのは、この國立図書館に要する経費が非常に厖大なものでなければならない。その厖大なものを今の日本において負担することは容易でない。これを至急にやろうとするならば、あるいは予算編成の上にも、インフレの助長の上にも影響があるのじやないか。それで人数を殖やすとか、徐々にやつていくとか言いますが、これも緩和ができることになれば別であるが、それだけまた効果を生ずる時期が遅くなつていくと思います。ここで今この法律を審議して成立したからといつて、ただちに委員長の言うようなサービスがわいてくるとは考えられない。それは來年か再來年か、三年の後か五年の後かわからない。それで今現実の問題としては、林君の言うように國会には調査部もあり、法制部もあるのですから、その間よく両方の設備、発達のぐあいを見て、調節していつてもいいと思います。委員長の希望するところも林君の理論もよくわかりますが、今ただちに両方完全な設備ができて、それをやるというような意味にはならないのだから、実行の時期が幾年の後かわからない。そういうことはここであまり議論するほどでもないと思います。だから林君の心配することはただちに起らないから、これは私はあまりここで極論する必要はないと思います。それからこの法案は提案したのだとすれば、國会として扱わなければならないのだから、これは修正をしなければならぬところは修正をしていくか何かしなければならぬが、この法律の全体を見ると、どうもあまり直訳過ぎて、しかも英語を相当あちこちに使われておる。いやしくも日本の法律をこしらえるのに、こういうようなものをまぜていて、これから日本人が英語を稽古するからよかろうという意味かもしらぬが、あまりみずからを侮辱したもので、後世の史家に笑われる。
#70
○中村委員長 リフアレンスということも、サービスということもいろいろ研究したのですが、これからは新しい言葉がだんだん加わつていくことだし、過去においても、たとえばカタログでも日本の言葉になつておるというようなことから、そういうような言葉が残してあるわけです。いろいろ専門家も寄つて研究した結果、委員会においてどうもリフアレンスに相当する言葉がないものだから、これはすでにこつちのライブラリーでも使われておるのだし、そこで残したらどうかということで残したわけですが、もしリフアレンスは西洋語だからいかぬとおつしやるならば……。
#71
○大石(倫)委員 カタログとかサービスという言葉は大体日本語にしても意味が通るが、リフアレンスだの、ヘべれけだの、そういつたようなことを法文の上に現わすことは、われわれ議員としての責任上、よほど考えなければならぬ問題だと思う。
#72
○林(百)委員 リフアレンスだけではない。法文全体が少しおかしいと思う。
#73
○中村委員長 きのうも話があつて、通しておいて、修正はいつでもできる。どこの國の法律を見ても完全ということは期し得られないのだから、通つた後に……。
#74
○工藤委員 研究すればもつと適切な法律用語があるはずだと思う。
#75
○淺沼委員 直せるところは直す。今與えられた原案についてお互いに考えたい。私の考えを申し上げれば、先ほど林君の言う通り、第十六條の規定、殊に第十五條の規定は、法制部の規定をつくろうとするわれわれと、この案の内容において非常に入り組んでおる、通じておるという点が多量にあつて、これがために法制局の問題がどうなるかということがあるが、これはこれとして、法制部は法制部としてやつていくことが、存置されればわれわれは法制部を拡充する。どういうふうに拡充するか、今の法制部の機能をもつてして、一万、二万という法律案が出てきて、これを消化し得るかということになれば、図書館のような資料をもつたものでなければ、これは消化できないと思う。今政府から法案の出てくるのを見て、われわれがタイアツプして出てきておるという形であるが、実際立法府でつくるということの建前が完全に確立されれば、アメリカでも一議会ごとに二万ないし三万の法律案が出てくるということを伺つておるので、日本もやはり立法を衆参両院においてやろうということになれば、うんと出てくると思う。そういう点では今の法制部の機能だけではこれにタイアップしていけない形になつて、法制部は最終的な仕上をする。それ以外の相談はここでやるというぐあいに解釈して最終の決定をやる。法制部を充実するにはどうやつたらよいかということをわれわれが考えることにしてこの問題を解決し、それから中にあまりにも翻訳的であるという点は、事務当局にお願いして翻訳的でないような文章に書きかえてもらう。用語の点において修正する点があれば、これも事務当局及び委員長の手もとにおいてお考えを願うことにしてはどうですか。
#76
○林(百)委員 法制部の方を充実しようという場合に、図書館の方のリフアレンス局があるから、それでよいのではないかということになつたらどうですか。
#77
○淺沼委員 それはおのずから任務が違うような氣がする。というのは、今のように限定された法案をわれわれがつくるとなれば別だけれども、すべて法律でもつていかなければならぬ段階にきておれば、なんぼ法律が出てくるかわからぬと思う。そこでこれはいろいろ話を伺いますと、アメリカの州はほとんどこれなんだそうで、連邦の方では法制部がやつているというような形が現われているそうです。しかし将來の動向としてすべてのものを立法するということになつていけば、やはり図書館をもち、それからうんと財政的な基盤をもつてやらなければできぬことであつて、自然法制部を拡大していつても、図書館との関係をどういうぐあいで結んでいくか。調査部との関係をどう結んでいくかということまではいつていかなければならぬ。
#78
○林(百)委員 だから図書館を充実することはよい。われわれの要求するような資料を集めておいてもらいたい。その中に積極的にその資料をこなして法案を決定し、各代議士なり、各委員会に意見を具申するところまで機関を図書館の中に設ける必要があるかどうか。
#79
○淺沼委員 そこで問題になるのは、法制部の相手方になるものは、両院一緒になれば七百人、衆議院だけで四百六十六人の相談に應じなければならぬ。そのときに、法制部が独立して拡大されたものであつたとしても、それは図書館という背景をもち、また百人、二百人の手足をもつたものでなければできないことになる。同時に図書館としてはどうしても切り離すことのできないものになつてくると思う。そういう関係からこういう案が出てきていると思う。そうすると法制局と事務局の二本建という案が出てくると思うが、二本建でなくても、自然法制局と事務当局の関係がまた複雑な問題になつてきて、それが今まで法制部の充実問題をきめずにここまでもつてきているのですから、一本建でいくか、二本建でいくかということで、内閣の方としては、今まであつた法制局がなくなつて、法務廳の中に包含されてそこから出てくるような形になつているけれども、そういうものをみな吸收してやつていくことにしなければならぬわけですから、それはそれとして充実するとして、この案はこの案として過度的には一應……。
#80
○小澤(佐)委員 法制部と図書館の対象は違うと思う。法律をつくるのは法制部に頼む。しかし法制部の方で、この法律をつくるにはこういう事実が明確になつておらぬ、学理的にはどうであろうか、世界の情勢はどうであろうかということを調べてもらうのが図書館だ、こう考えるが、委員長のお考えはどうですか。
#81
○中村委員長 その通りです。
#82
○林(百)委員 現実の問題としては、小澤さんの言うような各國の事情調査などは法制部がやつているが、今その機能が非常に不十分だ、これを何とか充実しなければならないのが今の段階だ。それに似たようなものを置いて、どこもいい加減なものにならないように、どつちか一方を充実して國会の権威を高めないと困ると思う。
#83
○大石(倫)委員 大体委員長の考え方もわかつたが、われわれ何もこの件について相剋摩擦を希望しているのではない。ただあまり直訳的なものは少し日本の法律らしく……。
#84
○淺沼委員 その点は法制局の意見も聽いてきめたらどうですか。
#85
○石田(一)委員 この用語の点については、戰争最中に外國の言葉を排撃した。あるいは國粋的、軍國的なことで言つているのではない。平和的な、文化的な國家としての國民の要請に應じて主張しておるのであります。
#86
○中村委員長 それではこの法律は急を要する問題ですから、サービス、リスト、カタログ、リフアレンス、この四つの言葉を漢字に現わせるものは現わすことにして御承諾を願えませんか。 
#87
○石田(一)委員 二十八條の「國立國会図書館の予算は、館長がこれを調製し、両議院の図書館運営委員会に提出する。委員会はこの予算を審査して勧告を附し、又は勧告を附さないで、両議院の議長に送付する。」これは財政法とか、あるいは國の予算の法律などに抵触することがないか。または予算委員会や、國会法と矛盾抵触する点はないか。この点については十分御研究の上だろうと思いますが、間違いありませんか。
#88
○中村委員長 ないつもりです。
#89
○大池事務総長 これだけでは予算が要求できないから、その下の方にあるので、これで國会の予算として國会に要求して、運営委員会に相談して、そこで決定して、それを予算委員会にかけるということになるのです。
#90
○工藤委員 この案については今の用語の点と施行期日の点で、公布の日からこれを実施するとあるが、一年なり何なりの一定年限を附してやつたらという以外に私には意見はありません。
#91
○林(百)委員 これは憲法上責任は一体どこにあるのですか、國務大臣に匹敵するような待遇と――一体行政部門の内閣に直属することになるのか。
#92
○淺沼委員 國会が責任を負うのです。
#93
○林(百)委員 そうすると國立図書館建築委員会委員長には館長がなつて、図書館運営委員会委員長はその下につくということですね。そうすると委員長の權限は図書館長につくことになるのですが、それでいいのですか。
#94
○中村委員長 その通りです、建築の方はそれで構わないが、その他は運営委員長が館長の上に立つということになつております。
 それではこの程度で休憩いたします。
    午後一時三十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時五十四分開議
#95
○中村委員長 それでは休憩前に引続き連合審査会を開きます。
 先刻の協議に基きまして、若干法案の内容を修正いたしましたので御報告申し上げます。英語の「パンフレツト」を「小冊子」ということにし、「調査及び立法リフアレンス局」というのを「調査及び立法考査局」といたします。それから「サービース」というのを「奉仕」とし、「カタログ」というのを「目録」といたします。それから「リスト」を「一覧表」とし、「カード」を「目録票]とすることに決しましたので、どうかさよう御承知を願います。
 それでは本日はこれで散会いたします。
    午後三時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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