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1953/12/01 第18回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第018回国会 本会議 第2号
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1953/12/01 第18回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第018回国会 本会議 第2号

#1
第018回国会 本会議 第2号
昭和二十八年十二月一日(火曜日)
 議事日程 第二号
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時三十七分開議
#2
○議長(堤康次郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(堤康次郎君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。中村三之丞君。
    〔「労働大臣はどうした、いないじやないか」と呼び、その他発言する者あり〕
    〔中村三之丞君登壇〕
#4
○中村三之丞君 私は、改進党を代表し、すでに提出されております昭和二十八年度第二次補正予算を中心として、現内閣の財政方針に関してお尋ねいたしたいと存ずるのであります。
 吉田内閣は口に健全財政を唱えられておるようでありますが、その実不健全、不安定予算の編成に無益な努力を続けられているにすぎません。(拍手)政府はしばく予算の規模を一兆円のわく内にとどめておくことを声明せられたのであります。しかるに、今や一兆二百七十億円となり、来年度はますます膨脹の趨勢にあります。吉田内閣の健全財政はまさに行方不明になつたと言わなければならないのでありまして吉田総理はこの迷子をどうして探しておられますか。われわれの考えるところの財政政策よりしたる予算なるものは、単につじつまを合すものでもなく、また党利党略による総花主義でもないのであります。予算の計数は厳粛でありまして、効率を十分発揮することでなければなりません。次は財政投資によつて重要産業の発展をはかり、産業予算の目的を達し、自立経済計画を円滑ならしむるということでなければなりません。かくして、完全雇用の理想に近づかしめ、社会保障制度の拡充をはかるということでなければならぬと考えます。予算編成の根本方針に対し、吉田総理大臣よりその所信を承りたいのであります。
 大蔵大臣は、前回の臨時国会と今回の臨時国会を通じ、既定経費の節約、支出の削減、不用額等、約二百億円を捻出せられた模様であります。このこと自体が吉田内閣の財政政策が放慢であるということを暴露したものと言わなければなりません。(拍手)従つて、これら歳出の節約は、各省の予算を通じ、内容のいかんによつて、まだまだ歳出節約の余地はあると考えるのであります。政府は今後歳出の節約にいかなる手を打たれんとするのでありますか、また中央、地方を通ずる行政の再建設に関し、どの程度これを行われんとするのでありますか、この際所見を承りたいのであります。
 第一次補正予算、第二次補正予算における財源の相当部分を、政府はいわゆる自然増収に依存しておられるようであります。ちよつと計算いたしましても四百数十億に上つております。一体、租税の自然増収にたよるということが決して安全なものではありません。貿易の不振、朝鮮戦争景気の反動にあおられて動揺しつつある日本の財界、また国民所得の不安定などからいたしまして巨額の自然増収が確保できると考えられておるのでありますか。それのみならず、自然増収は一つの財政上の落し穴というべきものでありまして、税金の自然増収を得んがため、徴税当局をかり立て、税金の収奪、苛酷なる更正決定が行われる傾向を生ずることは申すまでもありません。給与のベース・アップのはね返りを税の自然増収に織り込んでおられるようでありますが、これこそ月給、賃金が上れば税金にとられてしまうということを意味するのにほかなりません。政府は、あたかも、さびついた刀でもつて勤労者階級の肩先を切りとつておるものと言わなければならないのであります。
 吉田内閣の常用手段は、ベース・アップをするが、すぐそのあとから消費米価、国鉄運賃、郵便、電話料金、タバコなど政府料金の値上げを行うておられるようであります。これは一般物価の騰貴の糸口となり、国民壁活を圧迫するに至るものであります。名目ばかりの賃金や俸給を与え、実質的収入の減ずるような政策をとられるのは、あたかも。パンを与えると言つてへびを与えておるものと言わなければなりません。政府は、何がゆえに、各公社、各現業庁の業務の内容に検討を加え、公共企業の合理化をはかられないのでありますか。たとえば国鉄のごとき、新線建設を無理して行う必要はなく、むしろ民営の自動車交通に委譲さるべく、建設資金も自己の信用による借入金の幅を大きくし、他面経費の節約をはかるべきであります。専売公社もまた同様であります。不要不急建築の、ごときはこれを避け、経費の節約をはかるべきであります。以上に関しまして、関係各大臣より答弁を求める次第であります。(拍手)
 消費米価のすえ置きはわが党の重要政策でありまして、また第十六回国会における予算修正協定の大精神であるのであります。これは政党政治家として十分尊重せなければならないと信ずるのであります。しかるに、政府はこの消費米価を引上げんとしておられるのであります。その理論的根拠はどこにあるのでありますか、明白にせらるべく、消費米価の引上げが家計費、ことに食費の増加となつて国民の台所を圧迫するに至ることについてお考えはないのでありますか。インフレの経路を見まするに、その先駆をなすものは衣食住に関する価格の変動でありまして、これがまた因果関係を持つて来るのであります。衣食住に関する価格が安定し、また食糧、衣料そのものが豊富に出まわり、住宅の安定を見ることによつてインフレは第一線において食いとめられ、その高進を防ぐことができるのであります。農林大臣は、この点、国民生活と国民経済を深く考えられなければなりません。農林大臣の所見を承りたいのであります。
 今回の補正予算は、ただそれだけ見てはなりません。その次に来る二十九年度予算の見通しについてただしておかなければならないのであります。二十九年度予算は目下査定編成中であるとか、まだ未確定であるとかの逃げ口上は許されないのであります。なぜならば、本年度の各種予算の提出にあたつて、すでに来年度予算の計画が考えられておらなければならないのでありまして、この点、各国務大臣、特に大蔵大臣は答弁せられなければならないの募ります。われわれは、行き当りばつたりのその都度財政や、その都度外交は、これをごめんこうむらなければなりません。(拍手)
 二十九年度予算には、新規の経費、継続的経費など大きく計上せられる傾向が目に見えるのであります。
 まず賠償の問題でありますが、この点につきまして、総理大臣は昨日施政方針中に触れておられまずるが、これは来年度において計上せられるのでありますか。フィリピンに対しては何か二億ドルで話合いをするとのことでありますが、フィリピンの要求は八十億でありまして、その四十分の一を払うというがごときは、イタリアの例に比べて、あまりに甘過ぎるとわれわれは考えるのであります。賠償問題と予算との関係をどういうふうに動かして行かれるのでありますか。また・アメリカのガリオア、イロアの返済のごときは、先方は相当強硬なる態度をとつておると伝えられますが、おそらくこれは、かりにいやがらせであるといたしましても、その真相について外務大臣より承りたいのであります。これらが明年度予算編成に重大なる関係を有するからであります。
 保安庁の予算であります。自衛力の強化に伴い経費の増加することは想像せられるのであります。防衛計画の内容を明白にせられるのが今日の時期であると思うのでありまして、この点、木村長官よりお答えを願いたいのであります。
 今年の各種災害は千五百六十億円の国庫負担を求めておるのであります。明年度におきまして相当太つて参るでありましよう。大蔵大臣はこれらについても当然処理を考えておられるであろうと思いますが、私たちは、この災害予算の支出につきましても、政府は十分の監督をなさるべきであると思います。また、日本のような天災を頻々として受ける国におきましては、災害予算に特殊のくふう、たとえばわが党の自立経済五箇年計画に示すごとく、災害予算を毎年計上し、これを繰越し明許制度により、剰余金は毎年蓄積して不時の災害に準備するというようなことを考えらるべきでありまして、この点、もつと現状より進歩したものを行われなければならないと思いまするが、大蔵大臣の所見をただしておきたいのであります。
 要するに、明年度予算総額は一兆円をはるかに越えるものと思われます。予算の規模をどこに置かれるか、財政計画の確立について、その確固たる信念を議場においてわれわれは承らなければなりません。
 顧みまするに、本年度における予算編成は、国会解散、予算の不成立、暫定予算の成立、本予算への転換、二回の補正予算、しかも深刻なる災害とその対策予算、ベース・アップ予算など、ずいぶん複雑なる道をたどつて来ておるのであります。財政インフレはこれを抑制しなければなりません。しかし、金融引締め一点ばりで正常な融通の道をとざされるならば、産業、経済の発展は妨害せられるに至るでありましよう。金融引締めにはおのずから限度があると信ずるのであります。また、金利引下げ問題のごとき、こういう点について大蔵大臣はどういう計画とその方法を講ぜられておるのでありますか。現状のままに日を送られることは、時局、経済がこれを許さないのであります。
 昨日の財政演説において、中小金融につき努力しておると言われますけれども、相かわらざる指定預金一点ばりであります。何のくふうもないということは、はなはだわれわれの不満にたえない、また遺憾とするところであります。(拍手)中小金融のため、たとえば現在の郵便貯金の制限を撤廃し、郵便局を一つの国家資金局として、自由に郵便貯金を集めて、これを中小金融機関の資金に流すというような道も考えられると思うのであります。この際大蔵大臣の答弁を煩わしたいのであります。
 政府は税制調査会なるものを設けられ、その調査会は先般答申案を公表いたしたのであります。これにつきましては賛否半ばしておるようでありますが、この答申案をどの程度において政府が採択せられるか。ここにわれわれはとやかく申す必要もありますまいが、次の諸点についてわれわれの主張を明らかにし、これに対する当局の所信をただしておきたいのであります。
 第一は、財政の許す範囲において所得税の基礎控除の引上げを行わなければならないということであります。第二は、消費税の増徴または新設は物価の騰貴を招き逆効果を生じますから差控えるべきであります。所得においてとるか、消費の過程においてとるか、われわれ消費の過程おいてとるよりも所得の源泉においてとる方が今日賢明であると考えております。その第三は、日本経済自立のために、税制改正は、第資本の蓄積、第二、輸出の振興、第三、産業合理化を促進するということに努めなければなりません。(拍手)ことに再評価は、これを法的に強制するとともに、評価税は廃止するというような太い線も打出して行かなければならないと考えるのであります。その四は、徴税当局の一方的独善的態度は依然として改善せられておらないようであります。われわれの対策は、実績課税制度を採用するとともに、選挙による税務委員制度を設け、人民代表を税の決定に参画せしめることであります。これらのことはヨーロツパにおいてもその例を見るようであります。第五は地方税の問題であります。われわれは、固定資産税と事業税につき特段の措置を講ずべきであると信ずるとともに、地方財政の独立自主性を確保するという見地において、ある種の現在の地方税を国税に移管するというが、ごときは誤つたことであると考えておるのであります。(拍手)
 以上、私の質問に対し、政府は具体的に答弁せられんことを要求するものであります。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
#5
○国務大臣(吉田茂君) 健全財政とけどういうことを意味するかというお尋ねにお答えをいたします。われわれの考えております健全財政とは、すなわち均衡財政を考えておるのであります。すなわち、歳出入の均衡を得たる財政を考えておるものであります。(拍手)すなわち、インフレ要因を排て、あくまでも収支の均衡をはかる、この方針を堅持いたしております。また将来も堅持いたすつもりでおります。
 その他は所管大臣から申し上げます。
    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇〕
#6
○国務大臣(小笠原三九郎君) お答えいたします。
 第一に予算編成の根本方針についてお尋ねがございましたが、ただいま総理よりお話がありましたことく、健全財政を堅持し、通貨の価値による経済の安定をはかることは申すまでもございません。ただ今度におきましては、米価の改訂、公務員の給与等の改革、真にやむを得ざるものを計上したにとどめまして、またあとう限り既定経費の節約を行い、極力財政規模の圧縮に努めたことは御了承の通りであります。今後とも総合均衡財政の方針にのつとりてやつて参る所存でございます。
 その次には、政府が既定経費の節減を二百億円も断行したのは、これは余分があつたのじやないかというお尋ねでございまするが、これは、政府としては、災害その他緊急やむを得ざる事態が起りましたので、いわゆる忍びがたきを忍んでこれを削つたような次第であることは御了承を願いたいと存じます。
 なお自然増収の問題についてお話がございましたが、これは、これまでの実績によりまして、源泉徴収の所得税あるいは消費税、法人税の増加によるものでございまして、何らその間に無理はございません。従いまして、予算額を確保するために徴税当局をかり立てて苛酷な徴税を行うというようなことは何ら考えておりません。但し、ベース・アップの結果として所得が増加すれば、それにおいて税負担がふえることは当然と考えております。
 なお消費者米価改訂による家計費の問題でございまするが、これはいずれ何らかお話があると思いますが、〇・八六六、約一%足らずの家計費へのはね返りでございまして私どもは、こういうことは悪循環の端緒となるものとは考えておりません。また鉄道及び郵便料金の一部改正につきましては、今回の給与改善に伴つて、来年度に必要やむを得ざる最小限度、しかもその公共企業体の中であとう限りの節約、
 理化等をやらす考えでございますので、さよう御了承願いたいと存じます。
 なお、米の価格を精米十キロ当り七百六十五円に改訂したことについてのお話しがございましたが、私ども国民負担の軽減をはかるためには消費者米価をすえ置くべきだという考えについても敬意を払いますけれども、しかし七百六十五円でも食糧管理特別会計の繰越し利益三百四億円のほとんど全部を食いつぶすこととなるのであり、それ以下の米価にいたしますときには、一般会計の財政負担か、あるいは赤字公債の糧券発行を増加するよりほかないのでありまして、インフレ防止の見地より、このことは採用いたしかねるのであります。
 さらに、二十九年度予算の編成方針につきましては、先ほどもちよつと申し上げました通り、これは御指摘にたつた賠償の問題も相当話がつくでございましよう。またガリオア、イロア等の対日債務の問題等についてもあるいは相当話ができて来ることでございましよう。さらに防衛費についても、漸増方針を持つているから、多少の増加は見込まなければなりませんが、いずれにいたしましても、日本の財政、日本の国力においてやることであり、根本の基くところはあくまで財政面から来るインフレ阻止の方針を一貫する所存でありますから、さよう御了承願います。
 金利政策については、でき得るだけ今利低下の方針をとることは申すまでもございません。中小企業者に対する年末の金融対策に対しましては、昨十一月三十日、商工中金、相互銀行、信用今庫等に五十五億、これは預託をいたしましたが、そのほかにも国民金融公庫あるいは中小全業金融公庫等に対する開発銀行からの引継ぎ債権であるとか、町あるいは資金運用部からの借入金の増額であるとか、適当な措置をとつておりますほかに、信用保証協会の保証手形についても日銀の貸出し担保として取扱うことといたしており、さらに下請中小業者に対する支払い促進について銀行取引先等を通じて処置いたしておりますから、まずこの程度で年末金融には難なきことを得るであろうと確信いたしている次第であります。
 税制調査会の答申につきましては、もちろん私どもこれを尊重する考えでござがいますが、しかしこの全部を今行い得るかどうかと言いますと、これは中村さんも言われたように、なかなか容易ならぬ問題であると思います。なお、これらについて、私どもは、いわゆる少額所得者の所得税負担軽減のことはぜひ来年度予算にはやりたい、同時に、これを行うために、奢侈税的なもの、あるいはその他について多少の増税を行うこともやむを得ぬかと、あるいは新税を設けることもやむを得ぬかと考えております。
 なお、税制について五項目にわかれていろいろ御意見をお示しくださいましたが、たいへん傾聴に値する点もあるようでありますから、とくと検討することといたします。(拍手)
    [国務大臣保利茂君登壇]
#7
○国務大臣(保利茂君) 私どもは来年の一月から消費米価の改訂をいたす方針をとつております。御承知のように、昨年産米の農家の平均手取りは右八千六百円であつたのでございますが、本年産は、異常な作況によりましていろいろな事情がからまりまして、石当り一万三百三十五円という、かなり大幅な生産者価格の引上げになつているわけでございます。従いまして、もしこれをこのまま消費者に持つてもらうといたしますれば、十キロ当り八百九十円というような相当大幅な開きになるのでございまして、国が食糧管理をいたしておりますゆえんは、また一面消費家計の安定をはかるというところにその趣意があるわけでありますから、従つて、消費家計に及ぼす影響を考えますと、この一年間におきます家計支出費の方が、東京都の勤労標準世帯にとりますれば二四%、全都市におきましては二五%の上昇、すなわち生活水準の上昇、実質家計の支出増になつているわけであります。この関係から見ました場合に、すなわち家計の中に吸収し得る限度というものはどの程度であるか。これは東京都で申しますれば七百六十九円、全都市にいたしますれば七百八十一円、大よそ七百七、八十円のところまでは家計に吸収し得て、物価賃金にはね返つて行くおそれはまずないというところからいたしまして、大体七百六十五円の線を考えているわけでございます。この結果、お話のような、第十六国会におきまして三党協定で、消費者米価に繰り入れることのないようにという御趣意を明らかにせられました完遂奨励金石八百円、及び凶作係数の五百円並びに超過供出数量の一部にかかわります経費は、先ほど大蔵大臣が申しますように、食糧特別会計でこれを負担処理することにいたしているわけであります。そこで、食管会計の状態を申しますれば、二十八年度に繰り越されました含み資産と申しますか、三百四億円はございますけれども、この米の負担による二百二十億、昨年産米の超過供出の負担十六億、麦の損失二十五億及び農産物価格安定に基きます澱粉、切りぼし、てん菜等による損失は約四十億と見込まれまして、余すところこれをもつてしまして約十億円の含みが残ろうかと考えている次第であります。かような点から、コスト主義をとりつつ財政、家計状況をにらみ合せまして家計に著しき影響を及ぼさざる限度において決定をいたしたいということで七百六十五円と考えている次第でございます。
 さらに、お話のように、食糧安定が国民生活の安定に直接かかつていることはその通りでございます。従いまして、配給食糧の確保につきましては万全を期しておりまして、最低十五日の配給はぜひとも維持する方針をとつているのでございます。
 この際申し上げたいと存じますのは、全国の各消費家庭において正月用のもち米の問題を非常に心配しておられると存じます。今日の需給状況からいたしますれば、きわめて困難ではございますけれども、一日だけの特配を断行いたすことにいたしておりますから、あわせて御報告を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕
#8
○国務大臣(岡崎勝男君) 賠償の支払いに要する経費は来年度予算中に計上する考えでおります。但し、たとえば留学生とか沈船とかは、関係の各省で事項別に計上する場合もあろうかと考えております。
 ガリオア、イロアにつきましては、わが方は債務と心得てはおりますが、額も支払い方法もきまつておりませんので、機を見まして本問題の処理について交渉すべきものと考えております。(拍手)
    〔国務大臣木村篤太郎君登壇〕
#9
○国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。防衛計画につきましては、目下慎重に検討中でありまして、いまだ成案を得るに至つておりません。いずれ成案を得たあかつきにおきましては、十分にこれを御審議願うことにいたしたいと、こう考えております。(拍手)
#10
○議長(堤康次郎君) 細迫兼光君。
    〔細迫兼光君登壇〕
#11
○細迫兼光君 私は、日本社会党を代表いたしまして、総理大臣並びに関係閣僚に対し若干の質問を試みようとするものであります。
 まず、本臨時国会の中心題目でありますところの人事院勧告、仲裁裁定の問題に関して、大蔵大臣、法務大臣、労働大臣その他関係閣僚諸君。そもそも、この人事院勧告、仲裁裁定なるものは、百数十万の公務員、公共企業体職員から罷業権を奪い去つた代償として与えられた制度であることは御承知の通りであります。しかるに、従来の政府の態度をもつてしますれば、この代償すらも奪い取るものと断じなければなりません。(拍手)大蔵大臣は、昨日「一万五千四百八十円ベースを実施することといたし」と述べられて、それをもつて人事院勧告を尊重したと涼しい顔をなさいましたが、あまりに国民をなめるものではありません。(拍手)一体、人事院勧告はいつ行われたとお考えでありますか。五月の物価水準を基準としての一三・九%ではございませんか。現在一体何月と心得ておられるか。現在はもはや年の瀬の十二月で、その間物価も上つておりまするし、昇給もいたしております。現在の水準の二二・九%であるならば、これは遅れたといえども一応筋が通ります。仲裁裁定にいたしましても同様であります。仲裁裁定には当事者双方最終的に服従しなければならないということは、公企労法が厳格に命じておるところでございます。八月にさかのぼつて実施してこそ初めて裁定を尊重したといばられましよう。(拍手)しかるに、いずれも来年の一月実施、これは勧告並びに裁定の尊重では断じてございません。一部実施にすぎないのであります。債務の履行にいたしましても、一部履行は、これは履行ではございません。かくして、政府の処置が違法であり、ただで罷業権を奪い去つたところの憲法違反でございます。
 今や、国鉄労働者を初め、全電通、全逓など三割賜暇の闘争に突入いたしまして、実力行使をも辞せぬとまで決意をいたしております。しかして、当局はこれに弾圧を加える意思なりやに伝えられておるのでございますが、労働者は単に政府に対し債務の履行、義務の完全なる履行を要求しておるものでありまして、これは正当なる債権者の権利行為であります。みずから法律違反を犯している政府がこれを違法なりとして非難する権利は、私は断じてないと思うのであります。(拍手)法務大臣、労働大臣、運輸大臣、はたしていかなる御見解でございましようか、承りたいものであります。
 仲裁裁定問題に対する第二点。さきに、政府は、裁定は予算上、資金上不可能なりとして国会の議に付し、その承認を求められた。その後継続審査に付されまして、今国会にそのままの姿で提出しておられるのであります。しかるに、今やこれを撤回することもなくして、たとい一部にしろ、今度は可能なりとして今回予算案を提出せられたのであります。ここにおいて、われわれは、不可能と可能と、この矛盾する二つの案を審議しなければならぬことに相なつておるのであります。(拍手)この間の矛盾と撞着に対するところの政府の責任は、はたしてだれが負いますか。われこそと思うお方は責任ある御答弁を願いたい。(拍手)第三に農民問題。災害農民に対する政府の救済措置も、また怠慢と不誠意を遺憾なく暴露しております。建設大臣、農林大臣、大蔵大臣。災害復旧の問題にいたしましても、例の三・五・二の実施比率は、実際には行われておりません。五百四十億という大蔵省の査定をかりに正しいものといたしましても、わずかにその一割四分強の七十六億、しかも必要なるところの政令は今もつて整備せられておりません。地域指定すらも遅々として進まず、荏苒今日に及んでおります。補助がどれほど来るかわからないでおりまして、一体どうして工事に着手できますか。道路、橋梁、被害農地が壊滅のまま今日放任せられておる姿を随所に見受けられます責任は、はたして一体だれが負いますか。
 第四、冷害対策にいたしましても同様であります。そもそも政府の対策は、公共土木事業費約三十億を削るなど、欺瞞に満ちたものでありましたが、さらに救農土木事業において、個人負担が、大口においては六〇%、小口においては五〇%、さらでだに困つておりますところの被害地の農民が、一体どうしてこれの厖大な負担をいたし得ましようか。営農資金二百億の融資にいたしましても、末端においては、保証人などの困難な手続などから、零細なる農民には手渡らないところの実情であります。さらに、被害農民のせめてもの救済になるところの共済保険金の支払いも、事実は非常に圧縮いたしております。これではまつたく救農対策ではあり得ないではありませんか。農林大臣ははたしていかなる対策をもつて救農の実を上げんとせられるものであるか、承りたいと思うのであります。(拍手)
 第五、さらに農林大臣、大蔵大臣。予算に盛られましたところの米価の改訂問題。生産者の基本米価一万二千円、消費者価格すえ置きという、この全国農民の声が、あなた方の耳に聞えないはずはありません。しばしば陳情いたしておる。(拍手)同じ要求、特に消費者価格すえ置きという、この労働者、消費者大衆の声もまたあなた方の耳に聞えないはずはございません。米価審議会の声を一体何と聞かれておるか。しかるに、政府は、これらの要求にそつぽを向いて、先ほど農林大臣は一万円以上のようなことを申されましたが、確実に生産農家が手に入れるものは、基本米価の七千七百円、凶作加算の五百円、完遂奨励金の八百円、合せて九千円にすぎない。そのほかの奨励金制度、これはわずかです。これは取り得る者もあるし取り得ない者もある。そうして、ここに最も重大なることは、この消費者価格の値上げであります。それでは消費者が苦しいのみならず、物価騰貴にたちまちはね返つて参りまして、農民のためにも役立たないのであります。厖大な、あの防衛費の使い残りがたくさんにあるのではありませんか。思い切つてこの際二重米価制度を取上げて、農民及び消費者大衆の声にこたえることはできないものでありましようか、お尋ねいたします。(拍手)
 第六、中小企業の救済、振興の問題。大蔵大臣、通産大臣。中小企業者の要求は、要するに金融と税金の軽減にあることは御承知でありましよう。なるほど、大蔵大臣は、昨日中小企業金融公庫などに資金源の充実を与えるというふうに言及せられました。しかしながら、実際末端の実情におきましては、平素銀行の取引もなく、有力な担保もなく、保証協会すら保証を渋るというような、十万、二十万の小口金融にほんとうに苦しんでおる者は、この利用の恩恵に浴し得ないのであります。一方、一万田日銀総裁は、オーバー・ローンの解消、金融引締めなどでこのインフレを防止するのだ、倒産する者があつてもしかたがないと暴言を吐いておられるのであります。この方針を大蔵大臣もまた容認いたしておられるごとくであります。
 今や中小企業の倒産は相次ぎ、東京における一日の不渡り手形は一千万円を越すということが私の耳には入つております。これらの対策は何らのことにも相なりません。資金源の充実はもちろんよいことでありますが、末端の実際面における指導を徹底して、有効なる対策が真に実行せられなければならないと考えるのでありまするが、御所見はいかがでありましようか。また、税金軽減の面で、所得税の免税点の引上げ、事業税の撤廃を考えるべきだと思うのでありまするが、御意見はたしていかがでありましようか。
 第七、吉田総理大臣。私は、以上、吉田内閣が労働者の要求に対しても、農民の要求に対しても、中小企業者の要求に対しても何事もなし得ないでおることを指摘いたしました。さぞや、あなたは、これら国民の要求を満足させて、よい顔がしたいのでありましようが、しかしそれができません。何であるか。あなたが再軍備の悪霊につかれておるからであります。(拍手)あなたは、昨日「自由諸国家との協力提携を通じて世界平和に寄与することは独立日本の基本の方針」と述べられました。これを具体的に翻訳すれば、すなわちアメリカ一辺倒、このアメリカ一辺倒の悪霊の前に、わが日本の青少年の血をいけにえにささげようとするからできないのであります。(拍手)厖大なる再軍備費の支出は、労働者、農民、中小企業者の要求を満足せしめ得ないばかりではありません。三百十五万を越えるところの住宅の不足は一体どうなさる。多くの危険なるあの義務教育の校舎の改築は一体どうなさる。再軍備の悪霊を払いのけない限り、日本の国民の生活を守ることは不可能でございます。日本を壊滅の危険から救うことも不可能でございます。(拍手)
 しかるに、吉田自由党総裁は、憲法改正調査会を党内に設けることを約束せられたと新聞が伝えております。これはまさに憲法への反逆の陰謀でなくて何でありましようか。(拍手)また、あなたの個人的特使は、教育を通じ広報を通じ再軍備の必要を宣伝すべきことを外国と約束せられたと伝えております。これ外国の内政干渉を導入するものでなくて何でありましようか。(拍手)憲法は、おごそかに陸海空軍の保持を禁じ、たとい自衛のためといえども、外国軍隊との交戦権、大砲を撃ち合うことを認めないのであります。しこうしてまた憲法は、わずか百条の中の大切なる一箇条をわざわざ割愛いたしまして、その第九十九条において、国務大臣、国会議員などはこの憲法を尊重し擁護する義務を負う、と教え、(拍手)また戒め、命令しておるのであります。あなたは、はたしてこの義務を義務とし、憲法を尊重し、これを擁護しようとする考えでおられまするか、あるいはまたこれを破壊し、これを骨抜きにしようと企てておるのでありまするか、二つに一つの責任ある御答弁をお求めいたします。(拍手)
 最後に、あなたは、昨日、行政改革を計画しておるというような趣旨を演説なさいました、政府の案は単なる首切り行政改革であります。意味ありません。国民は、今霊友会をめぐり、あるいは保全経済会をめぐり、憂うべき苦々しい風評を聞いております。(拍手)黄変米の払下げ問題や、または虎の門公園の問題において、保安隊の問題において、国民はいろいろなことを知つております。鉄道会館、交通公社、日本通信建設、日本逓送等も、国民は怪しいと実はにらんでおるのであります。これら腐敗しましたところの高級官僚、貧官汚吏に対する一大粛正をこそ税金負担者は要求してやまないのであります。首相は、行政改革もさることながら、官紀の大粛正に乗り出すの決意はないものでありましようか。あるいはまた、臭いものにはふたをする、それでもつて通つて行くおつもりでございましようか。
 以上、各問題につきましては、それぞれ明確なる御答弁を要求いたす次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
#12
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。
 憲法はむろん擁護いたします。また、憲法のために、あくまでも国民が憲法の精神を遵奉いたすようにいたしたいと考えております。ゆえにまた、憲法改正の考えは、ございません。はつきり申します。また再軍備々々々と言われますが、しばしば申す通り、私は再軍備をいたす考えはありません。従つてまた、そのために憲法を改正する必要もないのであります。但し、ただいまの保安隊は増強いたそうと思いますが、増強して、もつて憲法に違反するがごときところまで増強する考えはないのであります。これは保安隊の今後の増強計画を具体的にこらんになつて御批評を願いたいと思います。
 綱紀粛正に至つては、これはわが内閣が絶えず唱えるところであります。もし一朝わが党内閣の閣僚その勉において汚職問題がありましたならば、法規に照して厳然処分いたします。(拍手)
    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇〕
#13
○国務大臣(小笠原三九郎君) 公務員給与の改訂につきましては、財政の許す限り人事院勧告の趣旨を尊重することといたしたのであります。今回の給与改訂においては、勤務地手当の一部本俸繰入れを含めたのでありますが、ベースは一万五千四百八十三円と相なつておつて、実質的に九・三%の引上げとなるのでありまして、財政の現状より見ますれば、この程度の給与改訂が適当であると考えます。
 仲裁裁定につきましては、前回不可能であると言つたのは、皆様よく御承知のごとく、裁定実施のための所要全額が本年度の予算に定める給与総額の制限を越しておつて、予算上実施が不可能であるためにそう申し上げたわけであつて、その後各企業体等の経理状況を検討いたしました結果、明年一日目以降ならば実施ができるという見込みが立つたのでございまするが、これを実施するためには予算に定める給与総額を変更する必要があり、別途補正予算をもつて国会の御審議を願うこととしておる次第である。この給与総額の変更が御承認を受ければ初めて裁定の実施が可能となるわけであつて、前言と何ら矛盾するものでないことは、よく御理解が行くことと思うのであります。
 中小企業金融公庫の融資が末端に行き渡らないではないかということでありますが、これは相互銀行、信用金庫のような中小企業専門の金融機関を多数代理店とすることによつて、またその融資方針も末端の小企業者に対する資金の融通の円滑化をはかるように努めさせておるのでありまして、国民金融公庫とも相まつて、小企業に対する政府資金による金融には遺憾なきよう措置しておるのであります。また災害対策、営農資金の融資については、できる限り零細農民にも行き渡るよう、関係金融機関を指導しておることは御了承の通りであります。
 米価問題につきましては、すでに御答弁申し上げましたから、ここに繰返す煩を省きます。(拍手)
    〔国務大臣犬養健君登壇〕
#14
○国務大臣(犬養健君) 御指名を受けましての御質問でございますが、仲裁裁定に対する政府の態度が違法であるかどうかということは、ただいまの件務省の範囲になつておりませんので、この点御了承を願いたいと思います。
    〔国務大臣石井光次郎君登壇〕
#15
○国務大臣(石井光次郎君) 国鉄の軸定に関する御質問の点をお答えいたします。国鉄におきましては、本年度御承知のように未曽有の災害が相次ぎまして、百億以上の損害を受けて、経費の膨脹が生じたのでございます。一方におきまして、収益も多く上り、また経費の節約等もいたしましたけれども、その余裕をもちまして裁定を完全に実施することは不可能な状態でございます。しかしながら、仲裁裁定を尊重いたすべき立場にあることは当然でありますので、国家の財政との関連、あるいは一般公務員に対する人事院の勧告、また他の公共企業体等との均衡をも考慮いたしまして、来年一月から実施することになつたのでございます。また、この裁定に対する不満のために、国鉄の労組が数目前からいわゆる遵法闘争をやつておりまするが、また本日から賜暇戦術をもつて、一部においてそれが実際に行われておるようであります。私は、労組の幹部諸君に会いまして、どうか国民の敵として国民より敵視されないような行動によつて諸君の指導をやつてもらいたいということを願いまして、どうしても違反者の生じないように念願をし希望いたしております。(拍手)
    〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
#16
○国務大臣(小坂善太郎君) 人事院の勧告及び仲裁裁定の実施につきましては、政府はこれを尊重して来ておるのであります。ことに、仲裁裁定につきましては、法律の建前から、予算上、資金上不可能な支出を内容とするいかなる調停も政府を拘束しないということになつておりまして、かかる場合には、公労法第十六条の規定によりまして、政府は国会の御審議を求めるということになつております。従いまして、この法律の規定に従つて措置しておるものでありまして、何ら憲法に違反するものとは考えておりません。御承知のように、政府機関関係予算あるいは特別会計予算の骨格をなすところの給与を、政府とまつたく無関係の意思に立つところの仲裁委員会の裁定に無条件に従いますることは、政府の予算編成権に対してこれを剥奪するものであると考えまするし、従つてまた、これあるがゆえに、予算上、資金上不可能なる内容を持ついかなる調停も政府を拘束しないということになつておるのであります。そこで、政府といたしましては、この規定によつておるのでありまして、仲裁裁定といえども国会の予算審議権を奪うものではない、こう考えておるのであります。
 なお、前国会に議決を求める件として提出いたしましたのは、既定予算の範囲内では履行不可能の裁定でありまするので、ただいまの法律の規定に従つて国会の意思の表明を求めたのであります。前国会におきましては、裁定はできる限り尊重するとお答えいたしておつたのでありまするが、その後政府といたしまして、その裁定尊重の建前からいたしまして、鋭意検討の結果、一部を実施するための財源措置を講ずべく現在補正予算を提出しておるのであります。従つて、今回の補正予算を御審議いただきましたる結果、これが通過しますれば、その限度において裁定は一部実施されることになるのであります。
 以上の経緯並びに公労法の規定また政府の発言等を詳細に御検討いただきますれば、その間に何ら矛盾のないことが御理解いただけると存じます。(拍手)
    〔国務武臣保利茂君登壇]
#17
○国務大臣(保利茂君) 災害特別立法に関しまする政令は遅れておりましたけれども、十一月二十八日に公布をいたしております。これに基きまして、私の方の農林省関係におきましては、今月中にはぜひとも地域指定をいたす方針で、ただいま準備を進めております。
 冷害に伴います先般の国会で成立しました救農土木事業予算の実施につきましては、お話のような零細農民の個人負担が直接伴わないようにという配慮から、農林漁業金融公庫に二十五億の出資増をいたしました。その融資によつていたすことになつておりますから、お話のような結果には絶対にならないと存じます。
 農業再保険の支払いをことさらに縮める、あるいは渋つておるというようなお疑いは、先般の国会で農業保険の繰入れ百三十億を八十五億に減じましたことによりまして、一部にそういう懸念を持つておられる声を聞きますから、今日次官通牒をもちまして、各地に、それは絶対に再保険金の支払いに事欠くようなことはいたさないという通牒を出して、誤解を解くようにいたしております。
 消費者米価の問題につきましては、先ほどお答えいたした通りでございます。もし消費者価格を現行六百八十円にすえ置いたならば、今日の乏しい財政上に及ぼす影響を考えますと、約五百億の財政上の負担になろうかと考えられるのであります。今日の財政上とうていこれはできないことである、これは御承知の通りであろうと思います。
    [国務大臣岡野清豪君登壇〕
#18
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申し上げます。
 中小企業の年末金融のことにつきましては大蔵大臣から御答弁申し上げましたが、末端に行き渡つておるかどうかということにつきまして、昨年末には中小企業金庫のようないい機関がなかつたのでございますが、ことしはその機関ができたものでございますから、昨年に比べましては非常に改善されることと思つております。ただいままでの実績を申し上げますと、初め金融機関の代理といたしまして百六十九の代理金融機関を使つておりましたが、最近ぐんぐんふやしまして、その資金網を充実しまして、ただいまのところでは代理店数が三百八十一になつております。それから、ただいままでの申請の受理は七百八件でございまして、十九億四千六百万円くらい出ております。しかし、これにつきましては、やはり貸出し決定に相当時間がかかりまして、急いでやりましたけれども、ただいままでに決定いたしましたのが四百三十六件の十一億四千九百万円になつております。そういうふうになつておりまして、今後なお九十八億くらいございますから、月々二十億以上出て行くはずです。ことし開銀に払わなければならぬ金が四十億くらいございますが、しかしこれを来年まで十九億円ほど支払いを延期しまして、年末に使わしていただきたいと思います。
 それからもう一つは、これは私見でございますが、中小企業金融と申しますのは、一般に申されているところの金融という通念には少し当てはまらないものでございまして、結局資金を長期に貸し付けるということでございます。これにはどうしても今後政府がうんと力を入れまして、そうして長期に固定する資金を貸してやる。現に今度中小企業金庫ができましたにつきましても、設備資金ばかりでございませんで、やはり運転資金にも長期にわたつてこれを貸すことになつたということが特徴でございます。おいおいと充実して中小企業の金融をはかつて行きたいと思います。
#19
○議長(堤康次郎君) 細迫君、これでよろしゆうございますか。
 菊川忠雄君。
    〔菊川忠雄君登壇〕
#20
○菊川忠雄君 私は、日本社会党を代表して政府の施政方針について総理大臣初め関係大臣に質問せんとするものであります。
 本年春以来米ソの対立関係は著しく調和に向つて動き、国際情勢は、つゆ空に太陽を見るごとく、久しぶりに平和の光を認めることができたのであります。特に朝鮮における停戦協定の成立は、第三次世界大戦の防止と世界恒久平和の確立を念願とするわれわれ平和愛好国民の上に大きなる希望を投げ与えておるのであります。しかしながら、われわれは手放しの楽観をもつて平和を待望することはできません。国際共産主義勢力は、民主主義諸国に対し、いわゆる平和恐慌による経済混乱と社会不安の起ることを期待いたしまして、暴力革命と間接侵略の機会をねらつおるのあります。われわれは国内における平和態勢の確立こそが今日緊要であることを痛感いたすのであります。今日、西欧民主主義諸国は、かかる国際情勢に対応して、それぞれ国際関係の平和的な処理、国民生活の安定、産業平和の確保並びに自立経済の確立に努め、もつて貿易の改善振興に全力を傾倒し、着々成果をあげつつあることは御承知の通りであります。この時にあたり、日本もまた内外一貫した施策を断行し独立達成の基礎を築くことに立ち遅れることをいたしますならば、永遠の禍根を残すものと言わなければなりません。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
しかるに、政府の施政方針の中には、かかる積極的施策の片鱗だに見ることができないのであります。相もかわらぬその都度政策に終始しておることは、はなはだ遺憾と考える次第であります。
 そこで、私は、まず総理大臣からその所信のほどを承りたいのでありまするが、かつて朝鮮事変は天恵であると申した総理大臣を持つところのわが日本は、その間八億七千万ドルの特需外貨収入に依存してその日を過しましたが、一旦朝鮮停戦成立後の今日は、これにかわる何らの備えもなく、政府の経済自立はから念仏に化し、国際水準を上まわる高物価は解決されず、貿易は赤字続きで、日本経済は底知れぬ不況の入口に立つておるのが現状であります。完全失業者は表面五十万人でありまするが、これに不完全就労者を加えれば、政府統計によつても約一千万近いものと推定をされるのであります。国民消費生活の面では、エンゲル係数のごときは五〇%の高きに固定をしたままでありまするが、これに加えて消費者米価の引上げ、運賃、郵便料金などの引上げが行われんとし、しかも社会保障制度の確立のごときは今日なお見るべくもないのであります。春には春季闘争、夏の夏季手当要求、秋季闘争に年末手当要求、今日吉田内閣のもとにおきましては、労働紛争は年中行事の一つと化しておるかのごとき観を呈しておるのであります。しかも、訴うるに道なきところの中小企業者は金詰まりと重税に悩み、農村は低米価のために悩んでおるのであります。かかる現実をみずからの手によつてつくり出したものは吉田内閣であることは言うまでもございません。(拍手)しかるに、政権担当五箇年、政策にして正しければ、この期間は実績を上げるには十分の年月であるはずであります。吉田内閣の今日は、まさに枇政、悪政の堆積の上に気息えんえんとして横たわつておるところの姿ではありませんか。(拍手)しかるに、最近政府は、みずからが政策行き詰まりの結果政界の不安定を来しておることに対して反省せずして、国会切り抜けのために多数派工作に狂奔いたしまして、他党の抱き込みと切りくずしにうき身をやつすがごときは、民主選挙における国民の信託にそむき、日本民主政治の歴史に汚点を残すものであります。(拍手)総理大臣は、かくまでして、なおそれをもつてして、はたしてこの行き詰まりを打開するところの確信を今日お持ちであるかどうか、まずこの所信を伺いたいのであります。
 なお、この機会に、それぞれの関係大臣に対しまして、この底知れざるところの不況打開の対策、また物価引下げの実現の方策いかん、さらに、失業の解決と産業平和の確保についての政府の対策いかん――。ことに今日青年を失望と卑屈に導いているものは就職難と失業の不安であります。かような状態が続きますならば、今日の独立日本の将来は危険であると言わなければなりません。(拍手)もし、かかる青年が一歩誤るならば、矯激なる思想に走るところの原因ともなつておるのであります。一体、政府は、かかる重大なる失業問題の解決に対しまして、現実に、たとえばここ一年間にいかなる雇用の増大についての具体的な案を持つておられるか、お示しを願いたいのであります。(拍手)社会保障制度のごときは、今日までいわゆる後進国といわれた諸国においても、この実施が急がれておるのでありまするが、何ゆえこれが今日声ばかり大にして実施ができないのでありましようか。先ほど、勤労大衆の減税につきましては、大蔵大臣からも御答弁がございましたが、税制調査会の答申案、四人家族月収二万円以下の免税につきましては、容易ならぬ問題があるので研究をしなければならぬという御答弁であるのでありまするが、はたしていかなる点に容易ならぬところの研究すべき問題があるのか、特に御答弁を煩わしたいのであります。(拍手)
 MSA協定に関する日米交渉でございまするが、すでにこれは基本的な妥結に到達して、日本政府は、MSAの援助の内容についても、これが軍事援助以外の何ものでもないこと、ほとんどその大部分が期待に反して完成兵器の供与であること、及び域外買付のごときも予期する程度ではなかつたということにつきましては、これを確認をしておることは周知の事実でございます。さらに、池田・ロバートソン会談においては、これに幾分の経済的な援助の粉飾を施すために意図されたものと見るのでありますが、小麦援助の引きかえに厖大なる防衛計画遂行のある種の話合いを持ち帰つておることは、これまた隠すことのできない事実であると言わなければなりません(拍手)しかも、この小麦援助は、結果におきましては、日本国民の収奪によるところの防衛資金の蓄積でありまして、さらにその資金の運営はアメリカ顧問団の手に握られるのでありますからして、日本独立の将来に対しまして、永久に内政干渉の拠点を築かれるところのおそれなしといたさないのであります。(拍手)これらの重大なる事柄が現実に進行しつつあるにかかわらず、これが国会に報告されない理由はどこにあるのでありましようか。この点をまずお尋ねいたしたいのであります。
 今日、保安庁当局の構想する防衛計画の一つの案によりますれば、陸軍十七万ないし二十二万、海軍十四万トンないし十六万トン、空軍一千機ないし一千五百機、これが所要経費は、陸軍兵一人当り初年度百万円で、次年度から三十万円、フリゲート艦一隻千六百トン級で二十四億円、ジエツト戦闘機一機当り二億円程度と見ておりまして、最低案におきましても総額一兆億を優に越えるところの巨額であるのであります。池田・ロバートソン協定の防衛計画なるものは、おそらくこれに倍するものであることは推察にかたくないのであります。このように、国民の犠牲において、しかも国力の限界を越えるがごとき再軍備を前提とするMSA交渉が現実に進行いたしておりますのに、これを国民と国会の前に報告しないのは、秘密外交、国会無視もきわまれりと言わなければならないのであります。(拍手)外務大臣は、昨日の報告におきまして、MSA交渉は目下防衛計画との調整をはかる途中にあると言われたのでありまするが、しからば、政府は、いかなる防衛計画をもつてアメリカとの調整をはかつておるのであるか。言わずして事実を暴露いたしておるのであります。あるいは、いかなる防衛計画をもつて調整に当らんとい
 たしておるのであるか、責任ある答弁を要求いたすのであります。
 さらに、MSAは、今後の国際情勢の推移いかんによつては、これがアメリカにおける予算の削減あるいは部分的打切りにかわることも予想されるのであります。米ソ関係の対立激化の途上においてできたところのMSAであります。従いまして、米ソ関係の緊張緩和の将来におきましては、このまま続くという保障はどこにもないはずであります。しかも、軍事負担の軽減は各国国民の要望でありまして、アメリカ国民またこの例外ではございません。しかるに、日本は、MSA援助を今から当て込んで厖大なる防衛計画を構想し、防衛生産の拡充を進めようとするのでありまするが、一朝国際情勢のかかる急転に直面いたしますならば、官本経済は恐るべき破綻に乗り上げることを覚悟しなければならないのであります。(拍手)わが党は、今日こそは再軍備よりは経済の自立と国民生活の安定を進めるべきところの好個の条件を備える段階であると考えるのであります。従つてMSA受入れのごときも反対いたすのでありまするが、政府は、かかるMSAの受入れをなし、これを取組もうという場合におきましん、はたしてこの将来につきまして、いかなる確信と見通しをお持ちであるのか。このことは特に官本の運命のわかれるところと考えますので、何とぞ総理大臣の明快なる見解を伺いたいのであります。(拍手)
 なお、総理大臣に対しては、この機会に、MSAの受入れと再軍備の関通について二、三の点をお尋ねいたしたいと存じます。
 吉田総理大臣の再軍備問題に関する発言の記録を一覧いたしたのでありまするが、昭和二十一年六月、本院における帝国憲沫改正案の説明に当られた際には、憲法第九条は改正案の大角な眼目であると言い、また憲法の規定は、一切の軍備と交戦権を認めないから、自衛権の発動としての戦争も放棄しておると述べておられるのであります。しかし、昭和二十六年十月、本院本会議において、今ただちに再軍備せよと言つても国力が許さない、また再軍備をするがためには完全なる再軍備をせねばならないと述べておられるのであります。さらに、越えて昭和二十七年三月、参議院予算委員“会において、たとい自衛のためでも戦力を持つことは再軍備であつて、その場合には憲法の改正を要する旨を断言しておられるのであります。このように見ますると、吉田内閣は、吉田総理大臣は、一方には憲法の擁護者として再軍備に反対し、他方においては再軍備の待望者として戦力なき軍隊の育成をやつておることは、何人も認めざるを得ないところの事実であるのであります。(拍手)
  そこでお尋ねをしたいのでありまするが、第一に、MSA受入れに伴う防衛計画の拡充は、日本の現在の経済力で許される範囲とお考えであるかどうか。第二に、先ほどの御答弁からすれば、この程度の防衛力はまだ戦力でないという御見解であることが想像されるのでございますが、しからば保安庁法の改正案は、総理大臣がかつて帝国憲法改正案の説明に当られた際に言明された憲法第九条の規定と矛盾しないというお考えは今日お持ちであるかどうか。この点をお伺いいたしたいのであります。さらに第三に、かかるとき、あたかも先般ニクソン副大統領の来朝があり、日本の非武装憲法についての発言が行われておるのでありますが、吉田総理大臣のこれに対する見解を、この本院において正式に御発表願いたいのであります。われわれは、日本の憲法が占領中につくられたものであるにしろ、そごに盛られた内容は、恒久平和を念願する日本国民の総意の結晶であると信じておるのであります。従つて、断じてこれを擁護すべきところの立場に立つておるのでありまするが、先ほど総理大臣もまた憲法擁護を力強く叫ばれておりますけれども、今までの総理の二つの面における言動からいたしますならば、はたしていかなる程度の憲法擁護であるかを、もう一ぺんお伺いいたしたいのであります。
 今次の補正予算案は、先ほど細迫議員からも御指摘がございましたように、公務員給与改訂及び年末手当、公共企業体の仲裁裁定実施、消費者米価の値上げなどに大きな問題を持つものでありますが、これらにつきましてはすでに今まで質疑応答がかわされておりますので、なおかつ私が考えるところの政府の措置についての不合理であると認める点につきまして、二、三の質問をいたしたいと思うのであります。
 公務員の給与改訂その他の財源を諸物価の引上げとからみ合せているのでありますが、これは明らかに財政膨脹の原因が公務員などの人件費の引上げにあるかのごとく、これを国民に印象づけようとするところの謀略であります。(拍手)これは明らかに来るべき行政整理、首切りの伏線とわれわれは警戒いたすのでありますが、はたしてかような意図なしということを明らかにされるかどうか、もしかような意図がないとするならば、保安隊並びに防衛関係の諸経費のごときは多くの未使用分を残しておるのであるし、またおそらく昨年度の、ことく本年も繰越分が出るのでございましようが、これになぜ手をつけないのであるか、今日この防衛関係の諸経費ははたして本年度中に使い切るというところの見通しをお持ちであるかどうか、このことをあわせて大蔵大臣に質問いたしたいのであります。
 人事院勧告につきましては、今日まで勧告は数次発せられましたけれども、常に吉田内閣のもとにおきましてはこれが骨抜きにされ、完全実施を見たことはないのであります。かような点からいたしますならば、公務員法はその福利増進を目的とするところの立法本来の存在意義を失いつつあるとわれわれは断定せざるを得ないのであります。のみならず、いたずらに公務員の労働基本権を剥奪して、そうして封建的な雇用従属の関係を強制するところの弾圧法規として変質しつつあるということをわれわれは考えるのでありますが、これについて、労働大臣あるいは人事院総裁は、このような感じをお持ちになつたことがないかどうかにつきましてお伺いをいたしたいのであります。お持ちになつておるとすれば、これに対する責任、あるいはこの法案に対する何らかの措置、かようなことを研究しておられるかどうか。このことをお伺いいたしたいのであります。
 特に今回の給与ベースの改訂の実施にあたつては、先ほども細迫議員からの御指摘がありましたが、表面一通り人事院勧告の増額を通しておりますけれども、見のがすべからざるところの欺瞞的なからくりがひそんでおることは、われわれがこれを指摘するだけでなくして、すでに大新聞において早くからこれが問題として取上げられて参つておるのであります。政府は、第一に、何がゆえにベース改訂と関係のない、明らかな定期昇給であるものや、差引増減のない地域給の本俸切りかえ分を、今回のベース・アップ分とみなすのであるか。これにはいかなる根拠があつてしておるのであるか。もしこのようなことが行われるといたしますならば、上の行うところ下これにならう。今日民間一切の雇用契約におきましては、もはや雇用契約における定期昇給の規定はあれどなきがごとく、使用者の意のままになるという恐るべき影響をわれわれは感じなければならないのであります。
 第二に、これらのからくりの結果、実際にベース・アップの結果は、勧告における一三・九%に対しまして、弘ずかに四ないし五%にすぎないのであります。本来、人事院勧告の所要の財源は一―三月分だけを見ましても百五十億円であるのでございますが、今次の補正予算におけるところの改訂費は八十二億でありまして、その間に百倍円以上の大差が生じておることは明暗でございます。この問題について、大蔵大臣及び労働大臣並びに人事院総裁は、それぞれの立場において、その見解を明らかにするところの責任があろうかと思うのであります。ことに人事院総裁に対しましては、一三・九%の増額勧告が現実には四ないし五%になつておるというこの事実に対して調査をじておられるかどうか、その結果いかなる認識をお持ちであるか、このことをあわせて明瞭にされたいことを望むのであります。
 次に、仲裁裁定の実施につきましては、先ほど来いろいろの御議論があつたのでありまするが、先ほど労働大臣は、この裁定の実施については国会の審議権を拘束することができないと言われまして、これとの調整について見解を述べられたのであります。しかしながら、仲裁裁定におきましては、いかに公企労法を見直しましても、この仲裁裁定を政府が取扱う場合において、これを完全実施の立場から予算に盛り込んで国会の審議を求めるか、さもなくば、この完全実施が不可能の場合におきましては、不可能なる理由を付して裁定案を国会に送るか、この二つの道しかないのであります。一部実施を予算化するがごときことは、この法案のどこにも許されるところではございません。(拍手)従いまして、国会の審議を尊重するといたしますならば、この二つの道のいずれかをとればよろしいのであります。あえて一部実施を予算化いたしまして、これを国会の審議にゆだねるが、ごときことは、法を蹂躙し、さらに憲法の精神を蹂躪し、さらに国会の審議をも曲げようとするところの恐るべき反動傾向であるのであります。(拍手)われわれは、かような点からいたしまして、これらの問題につきましては、この重大なる問題、全公務員と全公共企業体の労働者が関心を持つておるこの問題に対しまして、何とぞいま一度納得の行くところの責任ある答弁を望みまして、私の質問を終る次第であります。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
#21
○国務大臣(吉田茂君) 再軍備は私は断じていたさないということは、しばしば申した通りであります。一方において再軍備を言い、一方において再軍備を否定するがごときことはいたしておりません。また防衛力の増強は考えますが、防衛力を増強して遂に戦力に至り、憲法に違反するがごとき増強はいたさないつもりであります。その場合には、憲法改正をして増強の手段をとります。保安庁法を改正いたしますが、これは防衛の範囲においていたす考えであります。これは決して再軍備でもなく、また戦争放棄の精神を放棄するものではございません。
 保安体制確立の要はお話の通りであります。私もそう考えますゆえに、現在わが党と政策を同じゆうする各派と政策の調整をはかつて、もつて政界の安定をはかろうといたしておるのであります。抱き込みとか切りくずしのごときは、われわれの考え薫るところではないのであります。わが内閣は気息えんえんと言われますが、気息えんえんたらざるのみならず、元気ますます旺盛、政局の安定の重責にこたえる考えでおります。
    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇〕
#22
○国務大臣(小笠原三九郎君) 外貨保有の問題について何か利用する方法はないかというようなお話の御質問がございましたが、実は現在は十億ドル強の外貨を持つておりますが、最近の輸出の不振とか、あるいは輸入の増加とか、凶作に伴う主食の追加輸入、あるいは今後における特需の減少、こういうことを考えますと、あまり外貨保有の前途は楽観を許さないのであります。従いまして、現在のところ、私どもは、輸出原材料とか産業合理化に入用な機械等に対しては十分な輸入を確保することとしておるが、これの利用方については、ただいまのところ特にそれ以上のことを考えておりません。しかし、自立経済達成のためには役立たしむる所存であります。
 その次に、月収二万円以下の所得者に対する、これを特に困難とする理由についてのお話がございましたが、実は税制調査会の答申は、四人家族月収二万円のものについて、基礎控除、扶養家族控除などでこれを免税にするようにということでございますが、御承知のごとくに、二十九年度予算は恩給等の自然に増加するものもあるし、災害予算、治山治水対策費、賠償、自衛力漸増等の問題もありまして、均衡予算、健全財政を貫く場合に、どの程度までこれを予算化し得るかという点に困難な点があるので、でき得るだけ税制調査会の意向を尊重したいと思つて苦心をしておる次第でございます。
 それから防衛関係の諸費についてのお尋ねがありましたからお答えいたしますと、安全保障の諸費は、昭和二十七年度予算として五百六十億円を計上したのでございますが、本年九月末までに移しかえ使用した額が三百四十三億円あつて、さらに移しかえ未済額のうち百三十六億円は、軍施設の移転計画実施に伴う代替施設等の建設費としてすでに使途の決定したものでありまして、残りが八十一億円ほどあり、これは目下米軍と折衝中でございますが、幸いにこの分が不用額を生ずるようなことにも相なりますれば、これは二十七年度予算の繰越額でありますので、その使用が二十八年度で許されておるにすぎませんから、当該繰越額は二十八年度の予算ではないから、二十八年度予算補正の対象とはできません。二十八年度の予算において修正減少いた、まして、これを他の使途に振り向けることはできないから、これについては二十九年度に措置をとりたいと考えておるのであります。
 保安庁の経費につきましては、定員の充員遅延とか退職等の理由によりまして、人件費等で本年約十一億円ほどの不用額を生ずる見込みであつたのでありますが、これは第二次補正予算の財源としてすでに織込み済みであります。そのほかの経費につきましては、不用額は生じない見込みであります。
 公務員のベースの問題につきましては、先ほども申し上げましたが、財政の許す限り人事院勧告の趣旨を尊重することにしたものであつて、今回の給与改訂においては、勤務地手当の一部本俸繰入れを含めたのであるが、ベースは一万五千四百八十三円と相なつておつて、実質的には九・三%の引上げとなるのであるから、財政上の現状から行けば、許す最善を尽したものでございます。
    〔国務大臣岡崎勝男君登壇]
#23
○国務大臣(岡崎勝男君) MSAの交渉の内容は秘密にしておりません。その都度発表いたしております。但し、防衛の計画は目下検討中で、まだできでおらないことは昨日も申した通りであります。MSAの予算や内容が時によつて変化があるだろうということは、私もそう考えております。しかし、日本の防衛計画は日本の必要によつてつくるものでありますから、MSAの代償でも何でもないわけでございます。(拍手)
    〔国務大臣岡野清豪君登壇〕
#24
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申し上げます。わが国の経済の現状は、こく正直に申し上げますれば、一面インフレ様相を呈しておることは事実でございます。同時にまた、不渡り手形なんかが増加しておりまして、不況の状況があることも事実でございます。そこで、われわれといたしましては、どういたしましても経済を自立して行つて、そうして国民生活を安定しなればならぬことは事実でございますが、これにつきましては、いつも申し、上げておりますように、貿易、特に輸出を振興いたしまして自立経済をはかるより方法がないのでございます。ただ、この自立経済をはかりますために輸出を振興しようといたしましても、日本の物価が国際物価に比べまして非常に割高でございますから、これを合理化して行かなければならぬと考えております。この点につきましては、いろいろ合理化方針とか、輸出振興のためにいろいろの法令の改正をいたしましたり、また行政施策をいたしまして、着々効果はあげておるわけでございます。なお、不況に伴いまして失業者でも出るようなことがございますれば、財政投資とか公共事業なんかによりましてこれを吸収して行く。現に、ただいま財政投資いたしておりますところのすべての事業は、少くとも失業を防止しております。すなわち、造船にいたしましても、これに金を出しますれば、造船職員がやはり仕事が続けて行ける、こういう方向に進んでおります。
    〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
#25
○国務大臣(小坂善太郎君) お答えいたします。
 もとより、政府は、労働者の生活を安定するとともに、労働能率の向上のために諸般の施策を講ずる考えでありまするが、お話のごとく、毎年ベース・アップの問題をめぐりまして闘争が繰返されるということは遺憾なことでありまして、これはインフレが非常に高進しておる時代そのままの惰性かと思うので、こういう点は、この際は労使双方が現在の国情を認識し、日本経済自立の観点から十分にお話合いを願つて、国民の良識の納得し得る結論を出していただけることを期待したい、こう考えておるのであります。
 今回の人事院の勧告並びに仲裁裁定の一月実施ということにつきましては、現下の財政上、風水害を受け、また凶作対策に多額の財政支出をいたしましたあとの、政府としての最大限の努力と誠意を傾けたものであるという点を御理解願いたいのであります。
 公労法第十六条の扱い方でございまするが、御承知のごとく、予算上、資金上不可能な支出を内容とする問題につきましては、事由を付して国会の議決を求めなければならぬと書いておるのでありまして、理由ではないのであります。すなわち、事のよつて来るゆえんを付議して御議決を求めるということなのであります。すなわち、政府が、予算上、資金上可能な範囲はこれであるということを明示いたしまして、ここに補正予算を提出して国会の御審議を求めているのであります。仲裁委員会の決定といえども、国権の最高機関である国会の予算審議権に優先するものでないことを御了承願いたいと思います。(拍手)
   [政府委員浅井清君登壇]
#26
○政府委員(浅井清君) 菊川さんの御論旨ごもつともに存じます。ゆえに、人事院勧告は尊重せらるべきものと思つておりまするが、ただ給与改訂の勧告につきましては、財政士の考慮は加えておるのでございまするから、この点は国会及び内閣の御判断にまつほかはないと思つております。来年一月一日におきまして給与ベースが勧告の額となることは確実でございます。ただ、このベースの内容につきまして種種の御論議がございましたが、地域給処理の見方、給与の上昇率等につきしては、御論旨といささか所見を異に
  いたす点もございますが、これらは委員会において詳細申し上げるのが適当と存じます。
#27
○副議長(原彪君) 山手滿男君。
    〔山手滿男君登壇]
#28
○山手滿男君 私は、改進党を代表して、総理大臣及び内閣閣僚に、主とし、て経済問題を中心にお尋ねをいたしたいと思います。
 第一に私が伺いたいのは、経済自立の問題でございます。ただいまも岡野通産大臣からお話がありましたが、現在のわが国の経済界に現われた現象を二、三拾つてみますと、まず第一に、財政規模は吉田内閣の治下過去五箇庄川間に約三倍に膨脹いたしまして、二十八年度は一兆億円を越えるような厖大な予算になつたことは御存じの通りであります。資金資材の統制の廃止が現両閣によつて行われましたが、それ以後、生産方面そのほか、きわめて緊急な部門にまわさなければならないそれらの資金や資材が、もつぱら不要不急の建築、施設等に自由に使用されるようなかつこうになつて参つております。滞貨金融や救済金融が次から次へと行われざるを得ない現状になつております。各企業とも、いわゆるオーバー・ローンのために非常に困りながらも、まつたく正常な経済金融は圧迫されておる現状でございます。政府が輸入管理令を大幅に緩和したことも皆さん御承知の通りでございますが、この輸入管理令の大幅緩和に伴いまして、不急なもの、あるいはぜいたく品の輸入がますます盛んになりまして、国民の間に奢侈的な傾向を一層助長しておることは皆さん御承知の通りであります。労働問題はちまたに頻発いたしまして、企業不安は増大し、労働の生産性はいよいよ低下を来しおります。
 失業者はいよいよ町に氾濫しようとしておるのでございます。こういう状態でございまして、何一つとつてみましても、ただいまの岡野通産大臣が答全をされたようなわが国の経済の自立とはほど遠い方向に向つて日本経済は動いておるのであります。(拍手)
 日本経済は、終後戦八年でありますが、ただいま申し上げましたような不安と動揺の連続であつて、国民生活はいよいよ不安定に、社会不安はいよいよ増大しつつあるというのが現在の世情である。もちろん、私は、それらは根本的には、今度の長い戦争の遂行によつて、累積された過去の日本の資本が食いつぶされ、それに加えて、敗戦によりまして、わが国の植民地や、いわゆる経済勢力圏を一挙に喪失したことに
 大きな原因があることを認めざるを得ません。しかし、皆さん、この荒廃した日本経済を戦後再建するにあたつて、日本の政治が幾多の過誤を犯したことも、私どもは否定することができないと思います。これは、私はここで単に自由党の諸君だけをとつちめるようなことを言うのではなくて、各党とも、戦後の日本の政治家がこれは十分反省をしなければならないことであることももちろんであります。(拍手)しかしながら、特に日本経済の基礎を着実に確立できたと思われる昭和二十三年末以来今日までの長い五箇年の間しかも朝鮮動乱のブームのごとき、利用するならば利用できるような絶好のチヤンスもあつたでありましようが、いたずらに自由主義的な経済政策を行つて、わが国国力回復のチャンスを逸したことは、この吉田内閣の大きな責任であります。(拍手)
 首相は、昨日の演説で、国民経済の自立が根本であるということでお話を結ばれました。大蔵大臣も、口を開けば健全財政を言い、通貨の安定を強調されます。しかし、これは、単に通貨の安定というふうなことをよく言われますが、私どもが聞いてみると、大蔵大臣は何もしないということを言つておられるじやないかというふうな気がいたします。最近の政府の施策を見るに、今言いましたような危機に直面する日本経済の実態を正直に認識をし、これに対応する抜本的な政策を打出しまして、国民をして目をみはらしめ、希望を抱かせ、あえて困苦に耐えて喜んで政府の施策に協力せしめるような態度に出られたことを一度も聞いたことはございません。(拍手)通産大臣、総理大臣、みな日本経済の自立を口にされて今国会に臨んでおられますので、いかなる方策をもつていかなる具体策をもつて日本経済を自立化せしめる意向であるか、私はまず具体的にお伺いをいたしたいものでございます。
 自立経済の確実な達成のためには、まず第一に、産業構造の徹底的な変革が必要であると私は考えます。第二には、貿易の振興をやらなければならないことは当然のことであります。昨年度のわが国の貿易は、御承知のように、輸入が二十億ドル、輸出が十二億ドル余、その差額約七、八億ドルはいわゆる特需によつてまかなわれたことも御承知の通りであります。しかし、通産省は、去る十一月の初旬にいわゆる貿易白書を発表いたしまして、輸出は不振をきわめ、輸入はさらに拡大傾向を顕著にし、貿易外収入を含めても為替収支は逆調に転じて行く云々ということを言い、本年度貿易じりに対してきわめて悲観的なことを申しております。これは実態でございましよう。しかしながら、こうした傾向は、今のような内閣の自由放任経済政策、貿易政策をもつてしては救いがたいものではないか、私はこういう気がいたします。(拍手)世界経済の実態に即しまして、わが国経済を思い切つて根本的にここで改造して行く、近代的な高度産業に再編成して行く、それに即応する貿易体制を打立てるということでなければ経済の自立はできないと私は考える次第であります。(拍手)
 たとえて言えば、インドはコロンボ計画を推し進めております。五箇年計画で着々と後進国の域から脱しようと努めておることは、皆さん御承知の通りであります。パキスタンも、六箇年計画を推し進めて、早く自立経済を確立したいということに一生懸命になつております。こういうふうに、日本と密接不可分の関係にある、少くとも貿易上においてはわが国の重要な市場である国々が、いろいろ長期の経済計画を打立てて、早く自立経済に移行しよう、早く経済を自立化させようと努めておるのでありますが、こういうふうな世界の情勢にあつて、わが国だけが十年一日のごとくに、あるいは雑貨とか、あるいは繊維製品とか、そういうふうなものを中心にして輸出をやつて行こう、そういう考え自体が大きな間違いであると私は思います。今のインドの例をとつてみましても、雑貨工業や繊維工業製品などというものを輸入する腹は、もうインドには毛頭ございません。繊維の話が出ましたが、インドの紡績は千二百万錘の設備を持つている。わが国は七百五十万錘。パキスタンとは三百億円の日。パ協定が締結されておりますが、その過半数はほとんどそういう雑貨工業や繊維工業の製品で占めております。しかし、こういうことでわが国からの製品を押しつけるならば、パキスタンやインドの自立経済五箇年計画、六箇年計画を日本の貿易の滲透によつて押しつぶすことになるのであります。こういう状態でどうして日本の貿易が振興できるか、今のような自由経済でどうして貿易が振興できるか、私は疑問に感ぜざるを得ないのであります。そこで、後進国であると言われているところのインドでも、パキスタンでも、インドネシアでも、あるいはフィリピンでも、そういう国が一生懸命に今日後進国の域から脱出して一応日本程度の工業生産を持ちたいと考えているのでありますから、今のような状態に日本の経済が停滞をして、うろうろしていると、インドやパキスタンやインドネシアと、われわれはけんかをしなければいかぬ。東南アジア諸国と日本が経済提携するなどということは夢物語であります。ですから、日本の経済を、この段階で、今お話になつたように十億ドルぐらいの外貨もあるそうでありますから、思い切つてここで日本の産業を根本的に刷新し、重化学工業に移行せしめて、新しい産業を思い切つてどしどしと育成するという方策でなくてはならないと私は考えるのであります。しかし、それに対しましては、電力あるいは石油等を中心にいたしまして、動力源の確保だけでも約五千億円の金がかかると計算されております。重化学工業を中心といたしまして、緊急な化学工場を約百工場つくらなければいかぬというのが今日の通説でありまして、これだけでも約一兆円が必要とされております。総計一兆五、六千億円を必要とするわけでありますが、これくらいの資金を動員しなければ日本の自立経済計画は達成できない程度にまで来ている。そこで、政府はいろいろな問題について政策や何か並べておられますが、私は、今の内閣がさらに今後長期にわたつて政権を担当されようとするならば、何が第一次の政策であるか、私ははつきりさせていただきたい。それによつて、政権を担当して行く上に、国民にもいろいろな問題を具体的に示していただきたいと思うのであります。
 今申しました、この自立経済計画に対するいろいろな化学工業、事業、そういうものを興さなければならないのでありますが、その一、二の例を申します。日本は毎年約四千万ドルの天然ゴムを輸入いたしております。しかし、この戦争中わが国は世界のゴム資源地帯を押えました関係もあつて、ドイツやアメリカ等に、この戦争中を契機にして、人造ゴム工業が猛烈に起きて来た。そして、今日では、この人造ゴム工業が天然ゴムを駆逐しております。アメリカ製の自動車のタイヤは、今日では日本の農村の諸君がつくつておられるいもや、あるいは石油を原料としてつくつた人造ゴムで全部できております。もしわが国に三万トンの人造ゴム工業を興すならば、約六、七十億円ぐらいの資金を要するようでありますが、これだけで、日本のゴムの輸入の半分、年間約千七、八百万ドルは年年歳々節約できるのであります。今日、皆さん、農林省は、私はこれは農林大臣からも伺いたいのでありますが、二十七年度の予算だけをとつてみましても、農産物価格安定法による買上げ分でありますが、澱粉やかんしよ約二千五百三十万貫、計五十三億円の買上げをして、これを政府がストックをしております。さつきのお話でございますと、約四十億円の損を見込んでおるという農林大臣のお話でありましたが、私はちよつと数字が違うと思つておりますが、とにかく五十数億円の金を、かんしよや澱粉、こういうものをかかえることによつてお使いになつておられる。その保存のための倉敷料だけでも毎年二、三億円はお使いになるそうでありますが、私は、こういう金があるならば、これを利用して、日本に合成ゴム工業を興して、日本の農村対策にも一石二鳥、三鳥の名手をどしどし打たれたらどうか、こういう工業をほんとうに興すだけの腹があるのかどうかを伺いたいのであります。
 これは、今一例を申し上げましたが、日本の国内で調達できるような合成繊維の関係の仕事、合成樹脂の関係、あるいは基礎的ないろいろな化学工業の関係、あるいは石油化学の関係、こういうふうな関係のいろいろな諸事業に対して抜本的な手をここで打たなければ、私は、四、五年先に至つてこういうところに気がついたんでは、もうおそ過ぎると考えるのでございまして、新年度予算においてどの程度の決意をされ、どの程度自立経済に向つて推進をして行くおつもりであるのか。吉田内閣に対していろいろな評判がありますが、私は一番の欠陥は経済関係閣僚が弱いということであろうと考えます。こういう産業をどしどしと興しますれば、日本の今日国内にあふれておりまするところの失業の問題なんかも解決することになる。こういう産業をどしどし興せば、雇用の増大は期して待つべきものがあるのでありまして、節約すべき面を積極的にこの際節約し、全国力を動員して集中的に自立経済の達成に向つて邁進されんことを希望する次第でございます。この点について、政府の具体的な所見を伺います。
 貿易の振興は非常に重要でございますが、海外に出て見ますると、日本の貿易ほど陳腐な貿易をやつておる国はございません。たとえてみますと、八幡製鉄が東京で、一万トンのくず鉄をインドで買いつけるという発表をいたします。そうすると、インドのカルカッタには日本の商社が二十社ぐらい出おる。それの大部分が、われもわれも一万トンずつくず鉄をカルカッタで買うのだと言つて走りまわります。東京の一万トンのくず鉄の需要は、たちまちカルカッタにおいては十五万トン、十六万トンの需要になつて現われます。カルカッタの小さなくず鉄市場では、たちまち二割も三割も、はなはだしいときは五割以上のくず鉄の値段の暴騰になつて現われます。これはくず鉄でありますが、バンコックあたりで日本が米の買付をし始めるという情報が入つたら、これはたいへんでございます。ところが、一方、日本の自由貿易経済政策の犠牲になつておるのは日本の輸出商社であります。アメリカに相当日本の物が行つておるのでありますが、最近非常に伸びておるのはベニヤ板のようなものである。あるいは望遠鏡なんかは伸びておる。これは変なことでありますが、望遠鏡なんかはこの間は五十ドルだつた。ところが、日本のそういう商社の金融がつらいものでありますから、何でもかでも出血輸出ということで、とうとう最近は三十五ドルまで下げておる。まじめに五十ドルでどんどんもうけおつた連中は、暴利をむさぼつたということで、今日は排斥されておる。ところが、三十五ドルで今日輸出しておる連中は粗悪品を出しておりますから、これも結局ボイコットされておる。あれだけ盛んに望遠鏡や何かのようなものが一千万ドル以上も出た。あの品物が、今日はすつかりドイツ人にやられてしまつている。(「簡単々々」と呼ぶ者あり)これは簡単とおつしやいますけれども、日本の国民経済にとつて損な貿易をやつておる。
 日本の経済はどういう経済かというと、自由経済の名に隠れて、高く売れるものを安く売る、安く買えるものを高く買うという経済貿易政策をやつておるわけでございます。(拍手)こういうことであつて、日本の貿易をここでもう少し修正をしてもらわなければいかぬ。考え直してもらわなければならぬ。もともと、私は、いろいろ考えてみますと、日本の貿易のやり方が根本的に間違つております。どういうふうに間違つておるかというと、日本の貿易は、私は通産大臣からこの点について所見を承りたいのでありますが、金持ちのアメリカから金を借りて、金持ちのアメリカの資源を買つて来て、日本で加工をして、そうして、安く売らなければいかぬ貧乏人の東南アジアの諸国の方に売りつけて金をもうけようというのが日本の貿易業者の考え方、日本の政府の今の考え方であります。これは逆だと思う。私は、貧乏人の東南アジアから日本が安い豊富な資源をうんと買つて来て金持ちの方にどんどん売るというような貿易に修正を願いたいと思つておるのであります。
#29
○副議長(原彪君) 山手君山手君、お約束の時間が過ぎておりますから簡潔に願います。
#30
○山手滿男君(続) そういうことでございまして、日本の自立経済の達成のために、私ども改進党は、何が第一次の政策であるか、何を進めることによつて国民生活を安定し、政治の本質に触れて行くことができるかということに十分な努力をして参るつもりでございますが、今総理大臣のお話があり、通産大臣のいろいろ自立経済についてのお話がございましたけれども、どうして自立経済を達成するのか、ほんとうにやるのかやらぬのか、ここで明らかにしていただきたいと思う次第であります。(拍手)
    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇〕
#31
○国務大臣(小笠原三九郎君) お答えいたします。日本が自立経済達成のために諸般の事柄をやらなければならぬことは申すまでもございませんが、今お話の中に計画経済でやるべきであるというお話もありましたが、今どこも野放図にやつておるところはございませんので、すべてがある程度の計画のもとにやられておることは御了承の通りであります。さらに、現在の一つとしては、予算関係一つだけについて申せば、予算の均衡を得ることが物価対策であり、同時に輸出の増進対策であることは略すまでもありません。
    〔国務大臣岡野満豪君登壇]
#32
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申し上げます。
 われわれは手放しの自由放任主義で経済をやつてはおりませんで、相当計画性を持つております。御承知の通りに、われわれは、鉄鋼の三箇月計画によつてこれを合理化し、また合成繊維、石炭、電力等も五箇年計画を持つております。なおすでに新聞でも発表いたしましたが、経済審議庁におきましては、三目標、四原則というものをつくりまして、これからどんどんやつて行こうと思つております。これは事実をごらんになればわかります。
 それから、輸出が繊維ばかりにステイックするという、こういうお話でございますが、われわれとしては、もうとつくに気がついておりまして、東南アジアの方に向つて重化学工業とか機械工業とかいうものを輸出しております。まず機械を輸出した実績をちよつと申し上げますと、二十六年度には一億六百万ドル出ておりますし、二十七年度には一億一千万ドル出ております。だんだんふえております。御指示によりまして、ますますわれわれは五箇年計画を進めて行きたい、こう存じておりますから、御承知を願います。
    〔国務大臣保利茂君登壇〕
#33
○国務大臣(保利茂君) お答えいたします。澱粉や生切りぼしを合成ゴム業の原料に用いられるようになるならば、これは、私どもといたしましても、今日国家が農産物価格安定の対象といたして買い上げております澱粉や生切りぼしの新規の開拓地として非常な希望を持つものでございますけれども、今日の状態におきましては、合成ゴムの原料価格として、生かんしよ十七円なりもしくは十八円くらいでなければ引合わないというような状態でございます。もちろん、澱粉、生切りぼしの価格を維持しますということは、農村経済を維持して行きます上におきましてきわめて大切でございますから、合成ゴム工業等に新規用途の道が早く開けるように、さらに私どもも十分研究をいたして参るつもりでおります。(拍手)
#34
○副議長(原彪君) 穗積七郎君。
    [穗積七郎君登壇〕
#35
○穗積七郎君 私は、日本社会党を代表して、昨日行われた吉田、岡崎両相の外交に関する演説を中心に若干の質問をいたさんとするものでありますが、まず両相の演説のあまりに無誠意にして空疎なる内容に驚き、かつ悲しまざるを得ないものであります。(拍手)
 今日、日本は、MSAによつて表現されているアメリカの武力政策と、平和攻勢の観点に立つソ連の政策の間にあつて、民族百年の運命と国民生活の安危を決定しようという重大なる関頭に立つておるこのとき、何ら創造と自主性のない、この皮相なる、また事務的羅列報告にすぎない演説を聞くことは院外の国民とともにわれわれの憤激せざるを得ないところであります。(拍手)これは、現内閣が、その外交政策はまつたくアメリカにまかせ切り、その駆使のもとに動くことに満足しつつ、一方においては、自国の国民、なわち国会を無視していることを、みずから物語つて余りあるものでありしよう。かくのごとくであるならば、われわれは、現内閣の外交方針の何たるかは、アメリカの極東政策そのものに求めざるを得ないのであります。
 アメリカは、御承知の通り、最近朝鮮休戦に調印することによつて、その失敗の連続であつた朝鮮戦争から足を抜き、それにかわつて日本を太平洋における最後の第一線基地化さんとし、MSAの援助を押しつけるのみならず、ダレスの言によれば、日本の民衆はその着ている着物を脱ぎ、めしを減らして、貧乏に耐えつつ、その金をことごとく軍事費にまわせと強要し、急速なる兵力増強を義務づけんとしておるではありませんか。このことは、言うまでもなく、近き将来に、国外内においては憲法を改正し、外においては太平洋防衛同盟を結ばしめることによつて日本兵力の外地派兵を企図ていることは、今日明白なる方針と言わなければなりません。(拍手)そこに、日本の常備兵約三十五万、戦時動員計画二百万ないし三百万というアメリカ軍部の対日再軍備計画の意味が初めてはつきりして来るのであります。アジアの平和への危機はここから始まるのであります。また善良にして平和を愛する日本の大衆の不安と反感もここにあるのであります。この間の日本の民心の動きは、吉田総理の耳にはお聞えになりませんでしようか。まず総理の御認識と反省をお尋ねいたします。
 続いて総理にお尋ねいたしますが、総理は、昨日、世界平和に寄与することは、ただいちずにアメリカを中心とする自由主義諸国との隷属的なる友好関係を深めることにのみその基礎を置いておらるる御意見でありましたが、共産主義諸国との国交調整には言を触れられておりません。今日、アジア並びに世界平和への努力のかぎはソ連、中共との国交回復にこそあり、言わなければなりません。かつて、あなたは、毛沢東政権が中国の地におい確立したときに、アメリカのしり馬乗つて共産主義諸国を相手にせず、声明されました。ところろが、去る十六国会におけるわが党の鈴木委員長の質問に対して、相手次第でそれらの国、とも国交調整の用意なきにしもあらと言われました。さらに十七国会においては、ソ連側の欧亜における平和政策の推進の事実を認めざるを得なかつたではありませんか。今また岡崎外相をして、ソ連、中共からの戦犯釈放あるいは貿易協定の成立は意義深きものありと言わしめております。その言にして真ならば、最近マレンコフや中共の政府当局が、日本にして望むならば国交回復の用意ありとの態度を表明ている今日、その必要性の最も大きくなつた今日、百尺竿頭一歩の勇をもつて、まずこの両国と講和条約、不可侵条約、さらに通商条約、漁業協定等結んで、アジアの平和と経済の発展のために尽すべきだとわれわれは信じますが、総理はその叡知と勇気をお持ちにならないか、率直、具体的にその御所見をお尋ねいたします。(拍手)
 翻つてわが内を見まするに、欧州各国は、昨年のソ連の平和攻勢が朝鮮休戦に結実したのを見、また水素爆弾の保持を発見してから、外には、武力援助よりは貿易へ、内においては、軍備拡張よりは軍縮へ、軍需独占資本の強化よりは平和産業と勤労階級の生活安定への政策転換を行い出し、これを最も有効なる対ソ自衛策としていることは、卓見というよりはむしろ外交上の常識にすぎないと思うのでありますが、吉田総理は、この欧州の新たなる情勢に対して、いかなる分析をして船られるか。あなたが今とろうとしておられる反動的政策と対比して、その所見を承りたいのであります。(拍手)
 次にお尋ねいたしたいことは、先般渡米した池田特使について、総理は、私個人の特使である、従つてMSAその他の交渉に当るものではなく、ただ単にわが国の経済情勢を説明し、また先方の情勢判断のためにすぎないと断言された。その意見の交換には、政府は何ら政治的なオブリゲーシヨンを感じないと言い通されました。にもかかわらず、今日明白になつておることは、アメリカ側は当初から政府の正式代表による予備交渉と理解し、従つてこの会談の内容はそのまま東京会談に移されて、政府の政治的責任をとらざるを得なくなつているのではありませんか。池田特使自身、共同声明の中でもこのことを認めております。この秘密外交と議会における食言の責任はどうされるつもりか、はつきりした御答弁をお願いいたします。(拍手)さらに、この場合、池田特使のはなはだしき越権行為に対してはどういう措置をとられるつもりか、それもついでに承つおきたい。(拍手)
 もう一つ、事のついでにお尋ねしておきたいのは、池田特使や岡崎外相とは逆に、正直に交渉の性格と内容を基礎にして行動した新木大使を、あなた方共謀の秘密外交の犠牲に供してあえて恬然としている政治的不信は、国民の納得の行かないところでありますが、総理のこのことに対する御所見を伺います。(拍手)
  続いて、池田特使の交渉内容たるや、日本再軍備のために武器援助以外のあらゆる経済援助と利益を哀訴嘆願したのに、ことごとくこれをはねつけられて、ただ一言、日本人は貧乏に耐えよ。しかるに、防衛計画そのものについては、政府によつて用意された増強計画はてんで問題にされないで、先方の再軍備急増の原則とその計画を黙認するかのごとき印象を与え、さらに憲法改正をすら予約するかのごとき話合いを持つて帰つて来た池田特使の交渉の内容を、あなたは放蕩息子の濫費をそのまま認めるおやじのように、うのみにされるつもりであるかどうか。側近政治は今や国民をないがしろにするもはなはだしきに至つたと思うのでありますが、総理の弁明を承りたいのであります。(拍手)
 次に、私は、MSAの東京会談に臨んでいる日本政府自身の防衛計画の内容と、アメリカ側の援助に対する判断と、また顧問国の権限等について、この際率直に国会に報告することを要求したいと思うのであります。
 防衛計画については木村保安庁長官にお尋ねいたします。長官は、従来しばしば、日本の防衛計画は日本自身で立てるのだと公言されて来ましたが……。
    〔発言する者多し〕
#36
○副議長(原彪君) 御静粛に願います。
#37
○穗積七郎君(続) その信念も、このような植民地外交の中においては、いつまでたつても発表できないではありませんか。
    〔発言するもの多し〕
#38
○副議長(原彪君) 御静粛に願います。
#39
○穗積七郎君(続) 伝うるところの――伝うるところの三箇年十八万という計画は真実でありますか。先般の五箇年計画はどうなりました。さらにここでお尋ねいたしておきたいことは、十八万なり二十万なり、いずれにしてもそれは政府の最終的な数字をお示しになりますかどうか。
    〔発言する者多し〕
#40
○副議長(原彪君) 御静粛に願います。
#41
○穗積七郎君(続) 私どもがここで危惧せざるを得ないのは、国民の……。
    〔発言する者多し〕
#42
○副議長(原彪君) 御静粛に願います。
#43
○穗積七郎君(続) 国民の驚きと反対を避けるために、アメリカに約束した最終の数字を示さないで、中間年次の数字を示して国民をごまかすことであります。このようなことは、秘密外交をお家芸とする現内閣の常套手段でありましたが、男を誇る木村長官は、一枚舌をもつてお答えを願いたいと思います。(拍手)
 経済援助については岡崎外相にお尋ねいたします。武器援助と、あり余つて困つている小麦を五千万ドル、軍事費へひもつきで売りつけられた以外に、いかなる経済援助を確約せしめる確信がおありになりますか。域外買付は商業採算以外にわくつきでとつて来る自信がおありになりましようか。中共貿易解除については、朝鮮事変未解決を理由にたな上げされない確信をこの議場においてお約束ができますか。(拍手)また、そのほかECAその他による経済援助をどれだけおとりになる目算で交渉に当られますか。今年度MSAの討論においても、すでにアメリカにおいては今後の経済援助に対しては難渋を示すような態度でありますが、外相はこれをどう観測されておりますか、率直にお尋ねいたします。(拍手)次に、顧問団の権限についても外相にお尋ねいたします。援助武器の使用に対する監督権、日本部隊に対する指揮訓練の権限、発注した域外買付の生産に対する管理権、労働運動に対する干渉権、さらにアメリカに約束した防衛計画を実行するための予算の編成についての内政干渉権まで求められる危険があると思いますが、その後の交渉は一体どうなつておりますか、外相の御方針をお伺いいたす次第であります。
 最後に、吉田総理に明快なる御答弁をお願いいたしておきたいことがございます。それは、過日来日したニクソンは、現憲法はアメリカがつくつたものである、今またアメリカが欲するならばこの憲法を改正し得るかのごとき思い上つた暴言を吐いて、独立国に最大の侮辱を与えて帰つたのでありますが、(拍手)かくのごときは、内政干渉を通り越して、権力を背景とする暴力にひとしきものと断ぜざるを得ませんが、(拍手)憲法を守るべき立場にある首相は一体どういう感想を持たれるか、また彼ニクソンに対してどういう意見を述べられたか、お伺いいたしておきたいと思います。
 さらに、彼ニクソンは、すでに十一月十七日のワシントンINS特電によつても明らかなことく、われわれの予想通り、近い将来にはまず日韓、台湾、これから始まる軍事同盟、やがてはフィリピン、ニュージーランド、濠州等を結ぶ太平洋同盟を計画中と予想し得るのであります炉、ニクソンの来日中にそのような下話があつたかどうか、お答えが願いたいと思います。(拍手)もし話はないと言われるとしても、当然その日のあることを予想しなければならないと思いますが、そのときになつて、首相はこれに対しいかなる方針を持つて臨むつもりか、今日から心中における御用意を承つておきたいのであります。
 総理は、従来、再軍備はしない、憲法は改正しない、外地派兵はしないと断言された。しかるに、去る鳩山自由党との交渉にあたつては憲法改正調査会設置を約束したのみならず、すでに法制局長官に改正草案の作成を命じてお考。われわれはすでに保安隊の保持が憲法違反であることを確認して来たが、まして保安庁法の改正による他国の軍隊との戦争の宣言のごときは、真正面から憲法を蹂躙するものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)この際憲法に対する総理の所信を承つておきたいと思います。
 あなたは、昭和二十一年夏、国会にこの憲法を提案され、前文並びに第九条に対する解釈において何と言われたか。よもやまだお忘れになつてはおられますまい。当時、私どもは、将来米ソ対立の渦中に立つて、日本としては米ソを含む国際連合の安全保障体制を確立し、さらに大事なことは、日本自身の民族方針を確立しておかなければ、この第九条は不完全かつ不安定なものとなり、やがてその解釈についても紛争を巻き起すことを指摘いたしましたのに対して総理、あなたは、戦争の危険が増せば増すほど、そのときにこそ絶対平和主義に徹しなければならないと強調され、その声はいまだ私どもの耳に残つておるのであります。それをもつて今日あなたの豹変ぶりをながめますならば、何ら確信あるものとは言えない。かつては、アメリカが絶対平和と言えば絶対平和と言い、今日アメリカが戦争と言えばまた戦争と言うにすぎないものと言わざるを得ないのであります。憲法第九十九条の護憲の義務をどう解釈せられておるでありましようか。
#44
○副議長(原彪君) 穂積君、時間が来ましたから簡単に願います。
#45
○穗積七郎君(続) しかるに、最近アメリカの圧力によつて改正を意図されたのは、護憲の義務よりは、ただ政権にありつきたいという卑劣なる精神ではありませんか。心中深く恥を知つていただきたい。(拍手)しかのみならず、この改正を実現されるためには政治の常道を踏まなければならない。現議会におけるあなたの率いるところのこの議員たちは、(発言する者あり)再軍備に反対をし、憲法改正を反対しでまわつて、やつと確保し得た多数の議席であります。私は、今日の議会政治の危機は昭和の初めに過ぐるものがあると憂えるものであります。吉田首相にして民主主義政治家の名前をとどめたいならば、今日潔く総辞職を断行されるか、もし憲法改正を提案せんとするならば、その前に総選挙をもつて、あらためて国民の意思を問うべきであると信ずるのでありますが、(拍手)総理が今日まで憲法改正を避けて来た理由は、ただ一つ、国民の再軍備反対の空気をおそれてなし得なかつたのだと思うのであります。この際はむしろその仮面を脱ぎ捨てられて前進されんことを日本の民主主義政治のために希望いたします。われわれ平和を愛する大衆とともに断じてこれを阻止いたしたい覚悟であります。この決意を披瀝して、総理の御所信を承りたいと思います。(拍手)
    〔発言する者あり〕
#46
○副議長(原彪君) 静粛に願います。
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
#47
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。
 米国外交についてのお話は、私としては初耳であります。外交を論ぜられる場合には、推測、臆測もしくは想像でもつて論じられると、内外ともにはなはだ迷惑をいたしますから、御注意を願いたいと思います。(拍手)
 また共産主義国中共もしくはソビエトとどうするか。中ソ両国は、日本に対して、中ソ友好条約をもつて敵国といたしておるのであります。少くとも法律上は敵国といたしておるのであります。しかも、最近の事実としては、在留邦人の帰還について、日本に帰ることについて、交渉は政府を相手にしないということになつておるのであります。かかる国といかにして友好関係を結ぼうとするのか。共産主義者は別であります。しかしながら、日本政府としては、この問題を取上げて、あるいは中ソ両国に対して友好関係を結びたいと考えておつても、その方法がないのであります。
 池田特使については、常に申す通り、これは私個人の代表であつて、互いに自由に日米両国の間の気持を、考え方を交換する意見交換がその主であります。これはロバートソン会談の内容においても明らかであります。何らこれによつて義務を負つておらないのであります。東京会談はこれから始まるのであります。東京会談が始まる前において、日本政府は何らの義務を負つていないのであります。従つてまた、池田特使には何らの越権行為は認め得ないのであります。
 新木大使はかねて帰朝を希望いたしておつたのでありますから、これを許したのであります。
 ニクソン副大統領の演説に対しては、私は、これに対して、国際礼譲の上からして、何らの意見をさしはさみませんが、この副大統領の趣意とせられるところは、日米の関係をよくしたいという考えから、率直な考え方を述べられただけの話であります。いわんや太平洋同盟条約のごときは、私はかつて聞いたことはないのであります。ニクソン副大統領との間の会談において、そのことは一言も触れておりません。
    〔国務大臣木村篤太郎君登壇〕
#48
○国務大臣(木村篤太郎君) 穂積君にお答えいたします。わが国の防衛計画は、もとよりわが国独自の見解によつてこれを立てるべきが当然であります。従いまして、われわれといたしましては、独自の見解をもつて、何人にも指示を受けずに、慎重にこれをただいま検討中であります。ただ、いまだ成案を得るに至つておりません。
    〔国務大臣岡崎勝男君登壇〕
#49
○国務大臣(岡崎勝男君) MSAの援助につきましては、いろいろの種類がありましようが、これは目下交渉中であります。
 顧問団は、いかなる場合にも内政干渉はいたしません。
#50
○副議長(原彪君) 池田治君。
    〔池田禎治君登壇〕
#51
○池田禎治君 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府の政局担当の基本的方針、あるいは外交問題に対する二、三の点、その他迫り来る不況に対処して政府はいかなる総合的経済政策をお持ちであるかの諸点について、お尋ねをいたしたいと思うのであります。
 私は、まず最初に、政治への不信の声について総理大臣の所信を伺いたいのであります。率直に申しまして、国民の中には、議会は何をしておる、議会を通じてほんとうの声は聞けないという非難の声が漸次高まつておると思うのであります。これは、外交問題、防衛問題にいたしましても、広く国民に知らせるというのでなく、きわめて少数の人々によつて協議決定されておるということであります。国民が政治についてほんとうのことを知るためには、国会における政府の答弁ないしは審議の状況を聞くよりほかに方法がないのであります。しかるに、国会を通じて国民に伝えられた政府の方針や答弁は、形として現われました場合ははなはだしく異なつたものを示しておるのであります。これがために、国民は議会政治そのものに不信を抱いておるのであります。たとえば、憲法は断じて改正をしないと幾たびか繰返され、また再軍備はしないと言いながらも、憲法改正案が堂々と論議され、陸海空三軍を持つ保安隊が生れておるのであります。吉田総理大臣は、この壇上におきまして幾たびか憲法は改正しないということを述べられ、本日も述べられたようでありまするが、しかるに、昨日鳩山一郎さん以下の人々を迎え入れたことは国民のひとしく知るところでありまするが、その復党の条件といたしましては、党内に憲法改正調査会を設けると、こういうことを条件としてこれはきめられたやに開いておるのであります。(拍手)自由党がどういうふうな離合集散をなさろうとも、他党の私どもが干渉しようとは思つておりません。しかしながら、総理大臣の国会を通じての御答弁は、あれはうそであつたかと国民が思うこともまた無理からぬことだと言わなければならぬと思うのであります。(拍手)また、国家公務員や公共全業体に対する勧告や仲裁裁定は尊重すると幾たびか答えながら、常に無視されておるのが現実でございます。閣僚の仲間で、憲法改正は必要であり、保安隊はすでに明瞭なる軍隊であると公言している閣僚までおるのでございます。かような、国会を通じての――責任ある政府なり国権の最高機関たる国会の審議が、すべてがうそでないまでも、そのほとんどが欺瞞であるという声となつて、国民の中には議会政治不信の声が漸次高まつておるのであります。(拍手)これは恐るべき民主政治に対する国民不信の声であります。吉田総理は、この大衆の声を御存じなのかどうか、また民主主義政治を守るためにいかなる御所存であるかを承りたいのでございます。
 次には、いろいろな方からも申されましたが、休会中に来日したニクソン副大統領の演説であります。この趣旨とするところは、一九四五年日本の武装を完全に解体したことは誤りであると彼は述べておるのであります。それは、われわれの共産主義に対する感じ方が甘かつたと言い、日本は外敵の侵略を防備するため防衛力を持つことに努力すべきであると言つておるのであります。われわれ自身のことは、真に日本の国民がきめるのであります。ただいま、木村保安庁長官は、明確に、何人にも干渉されない、日本みずからの自主権をもつて行うということを申されたのでありますが、これらの外部の人の発言というものが堂々と行われて、そうして日本の内政は、あたかもわれわれがこれを干渉し、さしずしておるという印象を国の内外に与えておるということは、否定し得ざるところの事実でございます。(拍手)われわれは、国際連合の最高の目的である世界の平和に寄与するという観点から、この問題を取上げるものであります。われわれは憲法を擁護することのみがわが国の世界平和に寄与する最大の道であると信じまするが、政府はこのニクソン演説に対しいかなる御見解を持つておりま[するか。総理大臣は、先ほども答弁をはばかるかのごときことをおつしやつたのでありますが、ぜひともその所見のほどをお伺いしたいのでございます。
 次に、先般吉田首相の特使として池用氏がワシントンにおもむき、いわゆる池田・ロバートソン会談が行われましたが、この会談の前後を通じまして、吉田総理大臣の渡米説が盛んに流布されたのでございます。吉田首相は、ほんとうに当時アメリカに行かれるお考えを持つておつたのであるかどうか、もし行かれる御意思がありましたならば、どういう考えと、いかなる構想を持つて出かけようとしたのであるかということも、この際御説明願いたいのでございます。巷間には、吉田総理大臣はアメリカにおもむいて、MSAの受入れを受諾して、これを機会に政界を引退されるというような説も伝わつておるのであります。しかも、これを裏書きするかごとく、先般大野国務大臣は、岐阜県の旅行先におきまして吉田総理大臣の引退説を現役の閣僚の大野国務相が述べておりますが、現内閣の首班といたしまして、今後の政局を担任参する上におけるところの、あなたのお考え方を、この際お伺いいたしたいのでございます。
 次に、外交問題の一、二の点につきまして岡崎外務大臣の御所見を承りたいと思うのでありまするが、第三次世界大戦の危機はさしあたり少いと思うのであります。しかし、本年の五月から九月ごろに抱かれたソ連の変化、それから来る緊張緩和の期待時代に比べますと、緊張の緩和、冷戦の停止、従つて戦争の後退という希望は再び遠ざかつたと言わなければなりません。ことに、アジアにおいて、冷戦はいまだに局地戦争の形式においてインドシナ、マレー等で行われており、この朝鮮の武装対立は再び火をはく危険を内包しておることを忘れてはならないのであります。結局平和の建設はたゆまざる努力にまたなければならないのでありますが、わが党は、この世界平知のために、国際連合の強化と集団保障制度の前進は必要不可欠であり、またその一環として、地域的集団保障制度をも利用すべきであると考えるものであります。しかし、両陣営の武装平知はそれ自体真の平和をつくるものではないのであります。国連の強化と並行して、冷戦の緩和への努力と、またそれがためにも国連の監督下における軍縮が必要であると思うのであります。この意味から、わが国の完全独立、平和と経済自立の達成は、サンフランシスコ条約の肯定の上に立ち、民主陣営口由世界との協力を方針としつつ、自主独立の外交を行うことが現下緊迫せる国際情勢に対処する基本的な態度であると思うが、これに対する総理大臣の御見解をお伺いしたいのでございます。
 これは具体的には、平和条約、安保条約、行政協定の根本的改訂であり、平和条約については、領土条項の小笠原、沖縄については、奄美大島と同様アメリカの権限行使を廃止し、日本の完全な主権のもとに返還される必要があるのであります。また南樺太、千島、歯舞、色丹については、交渉によりすみやかなる日本への復帰が必要であります。また日米安保条約は、根本的にその不対等な形式並びに内容を改める必要があると思うのであります。行政協定は、裁判管轄権問題の解決を見たのでありますが、根本的に改訂し、国会の承認を受くるべきであると思うのでああます。その内容としては、軍事施設及び区域の漸減、その間日米合同委員会の構成、運用を改め、基地については地元の意向を十分に尊重し、かつ十分な補償をなすよう国内法上及び予算上の措置を講じなければならないと思うのであります。なお調達方式についても、特需工場における労務に対し労働三法を全面的に適用し、かつ需品調達の搾取制度を廃止する等、経済自主権を侵害する一切の条項を改訂しなければならないと思うが、この諸点に関する岡崎外務大臣の率直なる御答弁ないしその御構想を承りたいと思うのであります。
 わが国の外交にとつて、アジア政策は最大の重要問題であります。われわれは、まず朝鮮休戦会談の成立にあたつて、国連の監督のもとにおける全朝鮮の自由選挙を通じて、朝鮮を平和的に統一し、高度民主主義国家たらしめ、かつ米韓安保条約と北鮮と中ソとの軍事的提携の方式に反対し、朝鮮をいずれの陣営の衛星国でもない緩衝地帯とし、その領土保全と独立を、ソ連、中共、日本、アメリカ並びにインド等の諸国が保障すべきであると思うのであります。台湾については暫定的に国連のもとに管理し、台湾が戦略的に両陣営の脅威となることを防止するとともに、終局的には、台湾の帰属は台湾人民の自由意思によつて決定さるべきであると思うのであります。また日韓交渉について政府は威圧的態度に出ているが、これ誤りで、われわれは、韓国政府が李ライン、竹島問題等に示した排外的傾向を指弾し、外交交渉による諸懸案、なかんずく焦眉の急である漁業問題の解決を期すべきであると思うが、これに対する外務大臣の御所見を承りたいのであります。
 次には、小笠原大蔵大臣並びに岡野通商産業大臣にお尋ねいたします。小笠原大蔵大臣は、先般の第一次補正予算の編成にあたつても、また今次の第二次補正予算についても、その不完全なことは認めつつ、インフレ抑制のための通貨安定を理由にしておられるようでありますが、政府が現在行つておる予算編成の基本方針こそがインフレ政策であり、高物価政策であると申し上げなければならないのであります。(拍手)大蔵大臣は、現下迫り来る日本経済の苦境と平和不況について、認識が十分におありにならないように思われるのであります。われわれの見るところによれば、毎年一月から三月は、季節的にも財政資金の揚超期で、例年のごとく自由党政府による税金攻勢があります。また年末に延長された手形決済期限が集中し、不渡り手形が一番ピークに達するときであります。このような季節的傾向に加えて、明年三月末に予想される悪条件としては、本年度国際収支の大幅赤字が予想され、これがために、政府は、政府指定預金の引締め、日銀貸出しの引締めの強行策をとるでありましよう。この間において中小企業や小経営者は倒産のうき目にあうと思うが、このいわゆる三月危機に対し、中小企業に対する新規預託をどの程度継続するかをお伺いし、あわせてこの三月危機に対し大蔵大臣はいかなる見解をお持ちであるかをお伺いいたします。(拍手)また、今回政府は、わが党の主張する年末中小企業金融拡充の要望をいれ、十一月中に五十五億の指定預金を新規預託したが、われわれの望むものは、かかる一時的便法でなく、中小企業向け金融機関自体の強化拡充であります。政府は、中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金の拡大強化策についていかなる計画を持つておるか、岡野通産大臣にこの点を承りたいと思うのであります。
 第二次補正予算は、かかる経済危機が予想される時期を前にして大蔵大臣の説明とは反対の高物価政策を推進する方針をとつているのであります。この予算には、消費者米価の値上げ、国鉄その他官業関係のものの値上げが含まれているのであります。きわめて不徹底なる勧告及び仲裁裁定の実施は、あくまで一般国民大衆の犠牲の上に築かれておるのであります。いまさら私が申し上げるまでもなく、国家公務員ないしは公共企業体のスト権を剥奪した結果、何らかの社会福祉法がいるという建前から人事院ができ、これを政府が行う義務を有しているのであります。先日来日いたしました国際自由労連の事務局長であるオールデンブロック氏は、政府が先般の炭鉱と電気に関するスト制限法を提出いたしましたときに、これをどういうふうに見たか。世界の国をながめまして、ストライキを制限している国は二つしかない、その二つとはどこであるか、ソ連であり中共である、その仲間入りを日本がするのであるから、総理大臣の吉田さん、少し赤くなつたのではあるまいかと彼は評しておつたのであります。(拍手)われわれは、勧告や裁定の一部実施で済むものでないことを最もよく知つているのでありますが、ここで問題になることは、政府は、再軍備のみで憲法違反や法律違反をしておるのでなく、このような公企労法を無視しておると言わなければならぬのであります。
 人事院勧告、仲裁裁定を完全実施しなければならない理由については、すでに幾多の人々から質問がされましたので、私はここで多言をしようとするものではありませんが、ただ、一方において高物価政策を企図しながら、一方においては労働者の基本的生活の問題である勧告、裁定を、資金上、予算上不可能であるという理由から、これを無視しておるという事実であります。かくして日本経済が推移するならば、国民生活が破壊に導かれることは火を見るよりも明らかであります。共産主義の革命が、単なる武力による征服でなく、平和と脅迫を織りまぜてなす、いわゆる平和攻勢というか、心理戦争に移り、または二重政権を組織することによつて、武力闘争なくして侵略せんと企図しているとき、かくのごとく国民生活を圧迫するということは、大衆を共産主義に追いやるものであると言わなければなりません。アメリカは、口を開けば、日本を共産主義の侵略から守り、日本の国民を共産主義の侵略から守るということを述べておる。政府諸公も、共産主義を恐れることまさにおおかみのごとくでありますが、皆様方の行つておることは、実は国民生活を漸次窮乏化せしめて、国民をいやが上にも尖鋭化そうとする共産主義助長の政策であると言わなければならぬのであります。(拍手)政府は一日も早くこの点に気づき、勧告、裁定の完全実施をやり、高物価インフレ政策よりも低物価政策をとることによつて労働者の実質的賃金の引上げを考慮する必要があると思うが、これに対する労働、通産両大臣の御答弁をお願い申し上げます。
 かく考え来りますると、政局の方針は、先ほど岡野通商産業大臣はきわめて計画的であると申されましたが、私どもはどういたしましても無計画と言わなければなりません。また無能力であると言わなければなりません。本質的には資源の乏しい、人口の多いわが国の経済は、現行のごとき資本主義経済政策をもつてしては、もはや運営することのでき得ざる状態になつておるということを認めなければなりません。それは古典的な自由経済思想をもつてしては、勤労大衆は何ら勤労意欲を刺激されません。ひいては、日本の経済自立など夢を追うておるような状態でございます。勤労大衆は、合理的かつ計画性ある経済政策によつて現在の不況をいかに打開すべきかを真剣に考えているのであります。単なる経済政策の技術的操作を云々するのでなく、自己の職業に属する産業がどうなるかを真剣に考えておると言わなければなりません。政府は、かかる日本経済の前途を真剣に憂えておる勤労大衆に提示すべき今後のわが国産業構造のあり方について、いかなる所見を持つておるかを伺いたいのであります。これは、具体的には、製鉄業においては石炭の代用に輸入の重油を使用する。石炭や製鉄のいずれの産業につきましても少しも保護育成を目標としておらない。ただ安ければ入れておるという、そのもとに国内の産業の中には保護されず、失業者が続出いたしまして倒れ行くものがたくさんあるのであります。政府は、石炭の価格を強力な政策によつて計画的に引下げるということをどういうふうに考えておるか、岡野通産大臣にお伺いしたいのであります。
 なお、岡野通産大臣にお尋ね申しますことは、わが国は、中共貿易におきまして、製鉄の原料、大豆、塩とかいうようなものは、これはどうしても必要なものであり、アメリカから求めるならば、当然多くの運賃とその原料高を引受けなければなりません。これは、好むと好まざるとにかかわらず、将来の貿易において当然わが国のとらなければならぬところの道であると、かように考えます。そういたしますとすれば、これらのものを輸入する以上は、当然先方の欲しておりますところの品物、すなわち機械類等も日本から輸出しなければならぬのでございます。ところが、これは御承知のようにアメリカのバトル法によつて禁止品目となつておりますが、今日わが国が独立を宣言しておるならば、この独立国家の自主権において、これを自由に、何人の制約を受けることなく輸出するような方法をお考えになつたことがあるかどうか。また今後もいかようになさろうとするのであるかを、この際お伺いいたしたいのであります。(拍手)
#52
○副議長(原彪君) 池田君に申し上げますが、時間が過ぎておりますから簡単に願います。
#53
○池田禎治君(続) 最後に、私は吉田総理大臣にいま一点御質問申し上げまして、私の質問を終ろうとするものであります。
 それは、同じく敗戦の国家である西ドイツにおきまして、西ドイツの復興の姿というものは、これは、先般自由党や改進党の議員の方々も、大勢の方が西ヨーロツパをながめられて帰つて来たその報告の中において西ドイツの復興の姿を驚嘆の眼をもつて報告しておるのであります。敗戦のうき目にあつたことは日本と同じであります。しかも、保守党が再び政権を握つておるのであります。しかし、その復興と経済力の充実は日本の比ではありません。一貫した強力な経済政策によつて、まず工場を建設し、次に高度の機械を購入し、産業合理化を断行し、次には労働者の経営参加によつて、ドイツの生産力は高度の上昇を示し、国民生活も安定し、国際貿易についても第一級の大国と肩を並べるに至つたことを考えるとき、同じ保守党の政権が日本において五年間も続けられており、そしてその政権のもとにおきまして西ドイツと違うことは、その帰りましたところの保守党の代議士諸君も、この東京の林立するビルディングをながめてその反面に労働者の住宅街や庶民の住宅街が何らできておらない。――ドイツには、さような高層建築は何らできておらない。労働者の住宅街はどんどんできておる。経営には参加して、ストライキは一件もない。ひとしく敗戦の国家でありながら、かくも異なれる東西の国家があるということは、その国の政権と政治がいかように運営されておるかという一語に尽きると言わなければなりません。(拍手)西ドイツ政権と、わが吉田政権と、保守性においてかわりないが、その中にこれほどの差があるということは、決して私は攻撃をするという意味でなく、はたして吉田内閣が計画性ある経済を行い、計画性ある政治を行つておるならば、どうして両国の間にかくも大なる差ができて来たかということを疑わざるを得ないのであります。総理大臣並びに経済審議庁の担当者であります閣僚は、これに対していかなる御見解をお持ちになつておるか、この際明瞭にお示しを願いたいと思うのであります。
 以上をもつて私の質問を終ります。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
#54
○国務大臣(吉田茂君) お答えいたします。
 私が憲法を改正しない、再軍備しないということは虚偽なり――ヒポクリシーと言われたか、何と言われたか、とにかく虚偽なりと言われた。国民は私の言うことを信ずるか、池田君の言うことを信ずるか、これは国民の判断にまつ以外に方法はない。(拍手)
 ニクソン副大統領の演説に対する批判が加えられぬということは、先ほど申した通りであります。
 私の渡米説の新聞の報道については、私は責任を持ちません。
 また、私は、目下のところ、あるいはただいま、政局担当は、無期限にこれを担当いたす決意であります。(拍手)
 安保条約及び行政協定は改訂いたす考えはありません。
 また、領土問題は、相手国がありますから、お答えはいたしません。
 また、西ドイツの復興の状況のお話がありましたが、私はまことにけつこうなことだと申す以外にお答えする方法がない。(拍手)
    〔国務大臣岡崎勝男君登壇]
#55
○国務大臣(岡崎勝男君) 朝鮮や台湾の将来につきましているく高邁なるお説がありましたが、これは御意見としてだけ承つておきます。
 日韓会談につきましては、常に申しております通り、互譲妥協の精神で忍耐強く交渉を行うつもりでおります。(拍手)
    [国務大臣小笠原三九郎君登壇〕
#56
○国務大臣(小笠原三九郎君) 日本の財政政策についてのお話がございましたが、総合的均衡予算の編成を目途としてインフレ防止に全力を尽していることは御了承の通りであります。
 三月危機のことについてお話がございましたが、私どもはさような懸念を持つておりません。また適当なる処置をとつております。裁定及び勧告についてのお話がございましたが、わが財政の許す限度において最善を尽したとお答え申し上げておきます。
 なお、物価の低下をはかつて実質的の賃金の増加をはかるべきであるというお話につきましては、これは国際的に割高な物価の低下をはかつて、実質的に国民の収入の増加をはかり、生活の安定を期することは、まつたく御同感でございます。(拍手)
    〔国務大臣岡野清豪君登壇〕
#57
○国務大臣(岡野清豪君) お答え申し上げます。
 中小企業の金融につきましては、先ほども申し上げました通りに、これは一般通念で言うところの金融というカテゴリーに入りませんで、やはり資金を長期に貸し付けるという、いわゆる金融でございましよう。その意味におきまして、今後はやはり中小不在業金融公庫というものを強化して、政府資金を投入して行くよりほかに方法はないと思つて、それに没頭するはずでございます。
 それから、計画性がないと仰せになりましたけれども、これは、先ほども申し上げましたように、経済審議庁といたしましては、三年計画、五箇年計画、重要産業についてこれをつくつておりまして、今後もこれをどんどんやつて行くつもりでありますから、計画性はございます。しかし、かりにわれわれ国会議員が四百六十六人おりましても、八千五百万人が創意くふうをした方が、もつといいことができるというのが自由主義の方法でございましようが、その辺のところはよく御勘考願いたいと存じます。
 それから中共貿易の問題でございます。この中共貿易について、向うの買いたいものが出ないのはバトル法の処置であるというようなお話でございますが、そういうわけでは、ございません。これは、われわれ国連に協力している国家群が、こういうふうに自粛したらよいじやないかということで、お互いに約束してやつている次第でございまして、自主的にやつている次第でございまして、決してアメリカのためにわれわれ貿易ができないというわけではございません。
 それから、ドイツとの比較をなさいましたが、これは、私は、日本の国民がかつてない敗戦を受けたその結果による戦後の日本の国民のディスハーテンしたところのへ何と申しますか、国民がある一種の虚脱状態に陥りて、生産にも努力ができなかつたということだろうと思います。しかし、最近に至りまして、独立以後非常な意気込みで、しんしんと経済の自立に各人が努力していることは、お認めになると思います。私は第一次大戦後にドイツにおりましたが、ドイツ国民の意気というものを感じまして、今度日本が負けた結果、日本人が非常に落胆したその情勢と比べますと、ドイツの国民は非常に図太かつたという感じを持つておる次第であります。(拍手)
    〔国務大臣小坂善太郎君登壇〕
#58
○国務大臣(小坂善太郎君) 人事院の勧告、仲裁裁定に関する政府の措置につきましては、先ほどからのお答えで御了承願えたことと考えます。
 なお、実質賃金の向上につきましても、インフレ抑制その他の施策によりまして実現に努力したところでありますが、全産業の平均の実質賃金が、最近の傾向によつて見ますと、本年上半期は昨年の上半期に比してさらに九・三%を増加いたしまして、戦前、すなわち昭和九年から十一年の基準に到達しているということを御紹介申し上げておきます。
 なお、オールデンブロックという人の話が出ましたが、例のスト規制法につきましては、ちようど九月にILO並びにICFTUの会議でこちらへ参りましたので、私もよくお話をいたしましたところが、完全に私どもの話を了解いたし、なお日本の労組の一部に非常に政治的な考えがあるということに一ついて多くの懐疑と批判を持つて帰つたということを御紹介申し上げておきます。
#59
○副議長(原彪君) 風見章君。
    〔風見章君登壇]
#60
○風見章君 二、三事実を取上げて、現内閣の外交方針に関する質問をしたいと思います。
 先般、私は、自由党を含めた各党の諸君とともに、新しき中華人民共和国を視察して参つたのであります。おそらく、この中華人民共和国の実情に関しましては、吉田総理大臣も、参加された自由党の諸君から報告を聞かれたことと信ずるのでありますが、アジアの平和態勢を確立するためには、今日の中華人民共和国の存在を無視したのでは、とうていこれを望めないのではないか、(拍手)こういう考えを持つて私も帰つて来たのでありますが、すでに自由国家群の有力なる存在であるイギリスを初め多くの国々はこの国を承認しておるのでありまするし、朝鮮休戦以来の情勢を見れば、いまだ承認せざるカナダその他の諸国においても、この国を承認せんとする動きが活発になりつつあることは、まことに怪しむに足らないと思うのであります。どう考えましても、現在の中華人民共和国政府こそは、あの中国における正当なる政府であることが、まごうかたなき事実として認められるべきではないのか、こう考えるときに、わが国が、その地理的な、民族的な条件だけを取上げてみただけでも、この国を無視するがごとき政策をとつておることは、決してわが国の平和を確保するゆえんでないばかりでなく、ひいては世界の平和に貢献するゆえんでもないと私は考えるのであります。(拍手)こう考えることが健全なる国民の常識であるだろうと信ずるのであります。
 一体、現在わが国がこの中華人民共和国並びに同じくわが国と境を接するソビエト・ロシヤと国交断絶のままに存在するというところに無理があるのではなかろうか。(拍手)なぜそう考えるかということは、次のような事実からも考えられてよいのではなかろうか。中華人民共和国との貿易関係の話合いや、同国からの残留者引揚げ問題の処理や、もしくは最近におけるソビエト・ロシヤからの戦犯抑留者の帰還問題の処理など、国民の重大なる関心を持つ事柄について、この国の正当なる政府が相手にされず、わずかに民間の団体によつて片づけられねばならなかつたことは、まことに遺憾な話ではなかろうか。(拍手)しかも、それらの事柄が民間の力によつて処理されて行くのを見て、政府が人ごとのように御同慶だなどと言つておらねばならぬありさまは、どうひいき目に考えても、正しき、まともな政治のあり方ではないと私は思う。(拍手)責任を持つて国家の政治を担当し、国民の要望にこたえる意味においても、これは政府としては深く反省するところあつてしかるべきだと私は考える。(拍手)あるいは、こちらが相手にしたくも、先方がはばんでいるからしかたがないというなら、それはあまりに芸のない話と言わなければならないと思う。はばむ者をして、はばみ得ざらしむるようにやつて行くのが政治家の責任ではないか。(拍手)
 しかし、こういう事実は、過去の今、私は、この中華人民共和国との貿易問題に関し、昨日のこの会議において、岡崎外務大臣が、条件付ではありまするが、できるだけの努力をすると言われたことに深き敬意を表する。なぜ敬意を表するか。これは実際に中華人民共和国を承認せんとする第一歩と解釈したいからである。さらに、ソ連に関しては、現在たとえば木材の不足による森林の荒廃を憂うる見地から、ぜひとも木材の輸入を要望したいとする声は国民の間に高まりつつあることは、諸君も御承知の通りである。あるいは漁業の問題についても、あるいは文化交流の問題についても、両国民の話合いについて、やはり当業者並びに識者がその実現を要望しつつあることも、諸君御承知の通りである。一体、今日われわれ日本国民は、いわゆる世界の冷たい戦争の波の中にただようままであることを深く心配しているのである。この心配を除くにはどうすればよいだろうか。もちろん、策はたくさん施さねばならないのは申すまでもありませんけれども、自由諸国との提携協力にのみよろうとすることは、決して万全とは言われまい。これを思うときに、私は、平和のための自主独立外交として隣邦との国交回復をはかることも考慮すべきであると信ずる者の一人である。
 欧米の情勢については深き造詣を持つ吉田総理大臣であるから、もちろん私が指摘するまでもないことでありまするが、自由諸国家群の中にあつても、一番アメリカに近いと自他ともに許すイギリスなどですらが、いまや世界平和への寄与を求めて、従来のいわゆる一辺倒的外交方針から脱却して、英国本位の独往自主の外交方策を強く打出そうとしているではないか。このことは世界情勢の変化を示すものであり、この事実からは、わが国としても、自由諸国家との協力提携のみを通じて世界平和に寄与せんとする方針に対し、独立自主の立場から大きく修正を加える必要に迫られていることを物語つていると解釈してよかろうと考えるのであります。(拍手)せんじ詰めて言えば、それは両隣の国々との国交調整をはかるため、積極的に自主的に働きかける時に現在のわれわれの日本は立ち至つていることを物語つているのではなかろうか。これらの情勢から、それがための段階的な処置として、政府は、中華人民共和国やソビエト・ロシヤとの貿易問題につき、あるいは漁業問題につき、あるいは文化交流などの問題につき、機会をはずさず、みずから国民の先頭に立つて適切なる処置を講ずるということが、国民のための責任を感ずる政府たるものの当然やるべきことではなかろうか。(拍手)
 あえて私は断言したい。今日ごそ、われわれは、自主独往の気魄を存分に発揮して、進んで中華人民共和国やソビエト・ロシヤとの国交回復をはかるべき国策を打立てもつて世界的ないわゆる冷たい戦争の緩和に役に立つてこそ、この八千万民族をして国際政局の中にあつて九鼎大呂よりも重からしむるゆえんではなかろうか。かくのごとき見地から、政府は、相手が承知しないということにあきらめずに手を打つべき用意があつてほしいと思うし、あると私は信ずるのでありますが、その用意のほどを承りたい。
#61
○副議長(原彪君) 風見君に申し上げますが、お約束の時間が過ぎましたから簡単に願います。
#62
○風見章君(続) これが私の質問したいところであります。
 最後に一言だけつけ加えることを許されたい。私は、吉田君並びに吉田内閣の諸君、与党諸君がほんとうにこの民族の前途を明るくしようとする熱意を持つておることに、いささかの疑いをさしはさむものではない。ただ、私自身、ありし日の日本の政治に重い責任をになつた者の一人である。そして多くのあやまちを犯したことに常に自責の思いにたえない。みずから深く反省して思うのは、物事の判断を誤つて、適当なる時機に適切なる手を打たないと、どれほどの愛国心も、国家にとり百害あつて一利なく、悔いを千載に残すことになる。思うに、現在のごとき混雑した国際情勢のもとにあつて、この八千万民族に輝ける前途を約束すべき国策の樹立ということになると、もとより事はなはだ容易でない。内閣の首班たる吉田君の苦衷は察するに余りがある。しかし、私もまた国民の一人として、現在この重大なる責任を負担する吉田君が、大いに自重されて、政治の根本を誤らざらんことをひそかに祈るがゆえに、こういう気持で質問したことを了とされたいと思うのであります。(拍手)
    〔国務大臣吉田茂君登壇〕
#63
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。現在われわれの考えておる外交として、善隣の関係をよくして行きたいということは常に念願しておるところであります。主義のいかんにかかわらず、善隣の外交、ことに文字を同じゆうし、人種を同じゆうしておるといわれる中国との関係については、特に重要視いたすところでありますが、しかしながら、これは先ほども申した通り一講和条約は調印しない、また日本に対して中ソ友好条約をもつて擬装敵国としておる、こういう国に対して、いかようにも外交の手を施す手段が私はないのであります。(拍手)これをもつて政府の力が足りない、努力が足りないと言われるかもしれませんが、できないものはできないので為ります。(拍手)イギリスの議会といえども、男を女になし得ない。できないことは、これはできないと言うべきであります。ただ、日本として将来努めないかと言われれば、いかなる機会においても努める考えでありますが、現在は、相手国が考えを違えない限りは、政策を違えない限りは、いかんともできない。これははつきり申します。また、カナダが中国を承認する。この承認問題と日本の問題とは、これは立場が違います。理想は高遠なることを必要といたします。大事でありますが、外交にしても、政治にしても、現実の事態を土台として考えなければならないのであります。現在の事実を無視して理想を言われても、これはできないものはできないと言わざるを得ないのであります。
 また、第二段のお話については、ありがたく了承いたします。
#64
○副議長(原彪君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。本日はこれにて散会いたします。
    午後五時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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