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1953/12/05 第18回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第018回国会 本会議 第3号
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1953/12/05 第18回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第018回国会 本会議 第3号

#1
第018回国会 本会議 第3号
昭和二十八年十二月五日(土曜日)
 議事日程 第三号
    午後一時開議
 第一 輸出入取引審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
 第二 中央酒類審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
 第三人事官任命につき同意の件
    ―――――――――――――
●本日の会議に付した事件
 日程第一 輸出入取引審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
 日程第二 中央酒類審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定より議決を求めるの件
 日程第三 人事官任命につき同意の件
 日本国とアメリカ合衆国との間の友好通商航海条約第八条2についての留保に関する公文の交換について承認を求めるの件
 昭和二十八年度一般会計予算補正(第2号)
 昭和二十八年度特別会計予算補正(特第2号)
 昭和二十八年度政府関係機関予算補正(機第1号)
    午後一時三十一分開議
#2
○副議長(原彪君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 第一 輸出入取引審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
#3
○副議長(原彪君) 日程第一につきお諮りいたします。内閣から、輸出入取引審議会委員に参議院議員田村文吉君及び同高木正夫君を任命するため議決を得たいとの申出がありました。右申出の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#4
○副議長(原彪君) 起立多数。よつてその通り決しました。
     ――――◇―――――
#5
○副議長(原彪君) 日程第三につきお諮りいたします。内閣から、中央酒類審議会委員に参議院議員土田國太郎君を任命するため議決を得たいとの申出がありました。右申出の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○副議長(原彪君) 起立多数。よつてその通り決しました。
     ――――◇―――――
 第三 人事官任命につき同意の件
#7
○副議長(原彪君) 日程第三につきお諮りいたします。内閣から、人事官に浅井清君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつて同意するに決しました。
     ――――◇―――――
#9
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、日本国とアメリカ合衆国との間の友好通商航海条約第八条2についての留保に関する公文の交換について承認を求めるの件を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#10
○副議長(原彪君) 荒船君の動議に御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 日本国とアメリカ合衆国との間の友好通商航海条約第八条2についての留保に関する公文の交換について承認を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長上塚司君。
    〔上塚司君登壇〕
#12
○上塚司君 ただいま議題となりました日本国とアメリカ合衆国との間の友好通商航海条約第八条2についての留保に関する公文の交換について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議の経過及び結果について御報告申し上げます。
 本件は、十一月三十日内閣から国会に提出され、ただちに外務委員会に付託せられましたので、十二月三日及び五日委員会において審議いたしました。本件公文交換の経緯及びその内容につきまして簡単に御説明申し上げます。
 日米友好通商航海条約の批准につきましては、すでに第十六回国会におきまして承認を与えたものでありまするが、米国上院においては、同条約第八条2の自由職業に関する規定につき留保を付して、本年七月二十一日にこの条約の批准に承認を与えました。しかし、第十六回国会の閉会までには米国政府から留保に関する正式の申入れはなかつたのでありますが、政府としては米国政府が右の留保を付するものと予想いたしまして、その場合にはわが国もこれに対応する留保を付する所存である旨わが委員会において説明せられたのであります。その後、米国政府は同国上院の決議に従つて留保を付する旨の正式な申入れをいたして参りましたので、政府はこれに対応する留保を付することとし、本年八月二十九日、東京において右留保に関する公文の交換が行われたのであります。米国側の留保は、この条約の第八条2の規定及び最恵国待遇の規定は、自由職業で公共の福祉のため州による許可を要しかつ法令または憲法によつてもつぱら米国市民のみに留保されるものには適用されない旨を定めることを趣旨とし、これに対応するわが国の留保は、米国のある州で日本人がある自由職業に従事することについて禁止または制限を加えられておる場合には、わが国はその州出身の米国人に対し日本で当該自由職業に従事することについて同様の禁止または制限を加える権利を留保する旨を定めることを趣旨としておるのであります。これらの留保は条約第八条2の規定を実質的に修正することとなるものであり、本来ならば、当然この条約の批准前にこれについて国会の承認を受けるべきものでありますが、政府としては、この条約の効力を一刻も早く発生せしむることがわが国にとつて重要であり、また他方すでに第十六回国会においても本件経緯を説明し、その了承を得ておる次第でもありますので、この留保を付しての批准の手続を急ぎ、本年九月三十日にワシントンにおいて批准書の交換が行われた次第であります。
 次に、政府側と委員との間に質疑が行われ、ただちに討論に入り、日本社会党左派を代表し穗積七郎委員、日本社会党右派を代表し戸叶里子委員からそれぞれ反対の意見を表明され、改進党を代表して須磨彌吉郎委員から賛成の意を表明され、採決の結果、多数をもつて本件を承認すべきものと議決いたしました。
 右御報告申し上げます。
#13
○副議長(原彪君) 採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#14
○副議長(原彪君)  起立多数。よつて本件は委員長報告の通り承認するに決しました。
 この際暫時休憩いたします。
    午後一時三十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後九時二十九分開議
#15
○議長(堤康次郎君) 休憩前に引続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
#16
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、昭和二十八年度一般会計予算補正(第2号)、昭和二十八年度特別会計予算補正(特第2号)、昭和二十八年度政府関係機関予算補正(機第1号)、右三件を一括議題となし、この際委員長の報告と求め、その審議を進められんことを望みます。
#17
○議長(堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 昭和二十八年度一般会計予算補正(第2号)、昭和二十八年度特別会計予算補正(特第2号)、昭和二十八年度政府関係機関予算補正(機第1号)、右三件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます、予算委員長倉石忠雄君。
    〔倉石忠雄君登壇〕
#19
○倉石忠雄君 ただいま議題となりました昭和二十八年度一般会計予算補正(第2号)、昭和二十八年度特別会計予算補正(特第2号)及び昭和二十八年度政府関係機関予算補正(機第1号)の予算委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 本補正予算の必要性、編成方針、予算の骨組みについては、大蔵大臣の本会議における財政演説並びに予算委員会における提案理由の説明により明らかにされております通りに、米価改訂及び公務員の給与改善等緊急やむを得ざる事由によるもののみであることは御承知の通りであります。さきに成立いたしました第一次補正予算五百余億円が本予算より余分に支出のやむなきに至りましたので、国家財政は極度に窮迫いたして参りました。しかるに、諸般の情勢から、緊急措置として消費者米価の値上げ、人事院勧告に基く公務員給与のベース・アップ並びに仲裁裁定による三公社五現業従業員の給与の改訂及びこれらの職員の期末及び勤務手当等の支給額を中心とする第二次補正予算案が提出されるに至つた次第であります。
 この第二次補正予算案は歳出歳入ともに三百五億円でありまして、二十八年度予算総額は遂に一兆円を越し、一兆二百七十二億余円となつたのであります。また、特別会計予算を合せました純計は二兆円にも達して参つたのであります。一兆円を超過いたしますると、気分的にも何となく不安を感じがちでありまするが、これは第一次補正予算において予期せざる災害対策費五百億円の臨時的支出があつたためでありまして、これを差引きますれば九千七百億円余となりまして、一兆円に三百億円を残すことになります。本年度当初予算の第一及び第二次予算を通じ、一般会計においては均衡予算が堅持されましたことは最も大きな特徴と思われるのであります。
 第二次補正予算における要点を申し述べまするならば、第一は第十六国会で修正されました結果である供出完遂奨励金石当り八百円の半額、すなわち四百円を一般会計より食管特別会計に繰入れましたこと、第二は義務教育費国庫負担として富裕都府県への支出を十二月をもつて打切ることといたしましたこと、第三は、国家及び地方公務員の給与改訂として、来る一月から給与べースを人事院勧告通り一万五千四百円に増額いたしたこと等であります。これに対し、財源といたしましては、租税収入の自然増加、専売益金の増加、あるいは対日援助物資特別会計の廃止に伴い残金の繰入れや、国有林野払下げ益金並びに既定経費の節約及び不用額が充当されておる次第であります。
 次に歳入面について申し上げまするならば、第一にあげられますのは、租税収入の自然増百二十三億円であります。第二には、専売益金の七十億円でありまするが、これはタバコの売上げがますます良好でありますため七十億円を期待するに至つた次第であります。第三には、既定経費のうちから節約及び不用額として三十二億円を思い切つて計上いたしておることであります。第四には対日援助物資特別会計を廃止いたしました残額資金十三億余円を一般会計に繰入れることに相なつておるのであります。
 以上、本補正予算にとられました予算的措置につき御説明申し上げましたが、しからば、この補正予算をどういうふうに操作するかという問題でありまするが、まず食糧問題であります。本年の凶作により、食糧は百六十万トンを余分に輸入せねばならぬことに相なりましたが、幸い本年度の米穀事情は世界的に豊作でありましたので、当初予よりよほど安く輸入できるようになりましたため、当初予算の輸入食糧価格調整補給金をもつて凶作による不足量をも輸入可能の見込みが立ちましたので、輸入食糧に対しては予算的操作の必要がなくなつた次第であります。
 第二が国内産米の価格の問題でありまするが、買入れ値段は義務供出に対する基準価格や供出完遂奨励金や減収加算金や早場米奨励金等により、平均生産者手取り価格は一万三百三十円見当と相なりました。これに対して、消費者米価は、いわゆる家計米価を上まわらぬ精米十キロ七百六十五円、すなはち現行の一升九十六円を百七円に値上げせざるを得ないことに相なつたのであります。しかして、この買入れ価格と消費者価格との差による赤字二百七十一億円と、二十七年度産米その他農作物の取扱いによる損失七十九億円との合計赤字三百五十億円は一般会計が五十六億円、食管特別会計の含み資金三百四億円のうちから二百九十四億円を支弁することとし、予算操作がとられたのであります。
 第三は給与問題であります。国家公務員及び地方公務員に対し、年末手当は今年夏の繰上げ支給〇・二五箇月分を増額支給することとし、また給与のベース・アップは、現行の地域給五階級を四階級に整理いたしまして、同時に俸給表の中だるみを是正することとし、人事院の勧告を尊重し、明年一月一日以降一万五千四百八十円べースに改善することに改めた次第であります。また、企業特別会計及び公社の職員のうち公労法の通用を受ける職員に対しましては、年末手当は本年夏繰上げ支給いたしましたる〇・二五箇月分を補填し、明年一月一日以降仲裁裁定に示されたる給与ベースを実施することに改めんとするものであります。しかして、これらべース・アツプが明年度予算的に尾を引かぬように、公務員に対しては明年度約一割以上の行政整理を断行し、仲裁裁定実施に伴い国鉄及び郵政だけは赤字を生じますので、旅客運賃及び郵便料金をそれぞれ明年四月より値上げし、財源を求むることに予定いたしておるのであります。
 以上が本補正予算の説明でありまするが、政府に対する質疑は本補正予算とは間接的に関係ある防衛問題、憲法改正、保安庁法改正、MSA問題、外交問題等が論議せられた次第であります。
 本補正予算は去る十一月三十日予算委員会に付託されまして、十二月二日政府の提案理由を聴取いたし、質疑を行いましたが、何分にも短期国会でございましたので審議期間が制約されました。それにもかかわらず、委員各位の御熱心なる審議により順調に進捗いたした次第であります。
 次に、野党三派より正式に二十九年度予算の骨格を説明するようとの申入れがございましたので、十二月三日の委員会において特に大蔵大臣より説明がありましたが、その詳細につきましては記録を御参照願いたいと存じます。
 次に質疑応答のうちのおもなるものを申し上げますれば、まずその第一は、防衛問題に関連いたしましたる憲法問題であります。総理大臣は防衛カを漸増して、これが戦力に至れば憲法改正を必要とすると思うとの答弁でありました。
 第二に米価の問題でございますが、本予算修正の際の申合せにより消費者米価はすえ置くことになつているのに、何ゆえ米価を一割以上の値上げをしたかとの質問に対し、この程度の値上げは家計には〇・八三%しか影響せず、心配がないと思うとの答弁でございました。
 第三には、公務員及び三公社五現業職員のベース・アップの条件として明年度において一割以上の行政整理断行、国鉄の旅客運賃・郵便料金をそれぞれ値上げすることになつておりますが、いずれも国民生活に基本的なものの値上げであるだけにインフレーシヨンを助長すると思うがいかんどの質問に対しましては、明年度は極力既定経費を圧縮し、見込まるべき税収の増加により減税を行い、これらの値上げをカバーする考えであるとの答弁でありました。
 第四には、来年度も減税すると言うが、ごく一部の減税を行い、他方では自然増収を見込んでおるが、むしろより多額なる増税をすることになるのではないかとの質問に対しましては、国民所得の増加に伴う自然増収が相当見込まれるので、一部の調整減税を行いたき所存であるとの答弁があつたのであります。
 かくして質疑は終了いたしまして本日討論に入るにあたり、改進党及び両派社会党よりそれぞれ組みかえ要求の動議が提出されました。
 討論採決に入りましたところ、組みかえ要求の動議は否決されまして、政府原案に対しては賛成多数をもつて可決せられた次第であります。
 以上、委員会の経過を御報告申し上げる次第であります。(拍手)
#20
○議長(堤康次郎君) 昭和二十八年度一般会計予算補正(第2号)外二件に対しては、古井喜實君外七名及び八百板正君外十四名から三件の編成がえを求めるの動議が提出されております。この際順次その趣旨弁明を許します。古井喜實君。
    〔古井喜實君登壇〕
#21
○古井喜實君 私は、改進党を代表いたしまして、ただいま議題となりました、わが党提出にかかる予算三案に対する組みかえ要求の動議について、その趣旨弁明をいたしたいと存じます。
 組みかえ要求の内容、要旨は次の通りであります。
 まず一般会計歳出について、第一に、消費者米価を現行の通りすえ置くこととし、これがため要する経費に対し一般会計から六十億繰入れることとして、その金額を一般会計に増額計上すること、第二に、給与ベースの引上げは消費者米価のすえ置き、後に述べる減税の断行等とにらみ合せ、かつ二十九年度予算について確たる見通しを立てた上これを行う趣旨において、この際これを見送ることとし、これがため要する経費八十二億五千八百五十五万九千円を減額すること、これらに伴つて、歳出は政府原案に比し差引二十二億五千八百五十五万九千円の減額と相なります。
 次に歳入については、第一に、租税の自然増収において、経済審議庁調査にかかる産業活動指数上昇率等を勘案し、原案に対しさらに六十億を増額計上すること、第二に、税制調査会の答申のうち、この際実行し得べきものを取上げ、三十九年一月からこれを繰上げ実施することとし、特に所得税の控除引上げ、税率の軽減等を行い、差引八十二億九千万円の減税を行うこと、これに伴つて、歳入総額もまた原案に比し二十二億五千八百五十五万九千円の減額となります。
 なお、特別会計予算及び政府関係機関予算についても、同一の趣旨にのつとり、所要の組みかえを要求するのであります。
 今日、われわれに対し、二つの重大な問題が対決を求めております。一つは申すまでもなくインフレの問題であります。インフレにいくじなく屈服してしまうか、あるいは断固立ち向つてこれを克服するかの問題であります。他は国の防衛の問題であります。いかに賢明に後の時代のためにこれを乗り切るかという国の重要問題であります。この両問題は、いかにゆとりをとつて考えましても、最大限二年以上の余裕を与えそうにも思われません。このままに荏苒日を送つて二年を経過したときは、一体どうなつておるでありましようか。考えるだに、はだにあわを生ずるのであります、もし、この両問題を、われわれの手で、国会政治によつて解決することができなかつたならば、わが国の民主政治の運命はどうなつておるでありましようか。自由党はしきりに多数派工作を行つております。政局安定のためであると言うのでありましよう。一体、政局を安定して何をしようというのでありますか。どこにその旗じるしがあるのでありますか。旗じるし、目標、政策のない多数派工作は、政局安定を名とする政権維持のもがきであると言われてもいたし方がないでありましよう。(拍手)多数派工作よりも、まずわれわれの課題を考え、これを明らかにしなければなりません。進むべき目標をはつきりと打立て、断固これを遂行しようとする考え方が立ちさえするならば、志を同じくする者は翕然この目標のもとに集まるでありましよう。その場合、形の上で政党は一つであろうと、二つ、三つであろうと、何らさしつかえはないのであります。
 インフレの問題については、すでに論じ尽されております。国民は今インフレの脅威におののいております。この上物価が上るのであろうか、上つたらどうなるだろうかという憂慮と不安が、給料生活者にも、農民にも、いわば全国民にみなぎつております。政府は口を開けば健全財政と申します。インフレ抑制と言い、通貨価値の安定と申します。大蔵大臣は、聞きあきるほど決意と覚悟と信念とを連発されております。しかしながら、われわれは、その間に遺憾ながらこの経済の難問題に立ち向う真剣さを感ずることができないのであります。
 第十七国会は、未曽有の災害のあとを受け、これに対処するための国会でありましたから、政治の実際として予算の節減緊縮が困難であつたことは、まことにやむを得ないところであります。今国会こそはまさに真剣な政策へ一歩踏み出すべき絶好のチャンスであつたはずであります。(拍手)今回の補正予算は来年度予算の方向を決すると言つても過言でありません。(拍手)この機会に、米価問題、給与問題という物価及びインフレに決定的意義を持つ重要問題が爼上に載せられたのであります。真に経済の建直しを念題すると言うならば、この際にこそその決意のほどを示すべきものであります。(拍手)しかるに、政府の原案はまつたくわれわれを失望落胆させたものであります。今日までの惰性に従つて、またもや消費者米価を大幅に引上げようという、形だけのべース・アツプをむぞうさに取上げようという、続いて運賃や郵便料を引上げようというのであります。その結果が一体どういうことになるかは言わずして明らかであります。
 消費者米価の引上げがすぐさま生活費の高騰と大衆の生活苦をもたらすことは申すまでもありません。せつかくの給与ベースの引上げも、その瞬間から帳消しとなるのであります。そして、その翌日から再び賃金値上げの熾烈なる運動が起ることは必至であります。いわゆる悪循環はかくして推進され、遂に停止するところを知らないのであります。政府も国会も幾万の赤旗に取巻かれる日がないと言えましようか。農民の米価引上げの要望がいつまでも静穏に続くとだれが断言できるでありましようか。われわれは赤旗と闘うのではありません。インフレこそわれわれの闘うべき相手であります。(拍手)
 われわれは、この際あえて消費者米価のすえ置きを主張いたします。これがために二百数十億の財政負担を生ずることは、もとより承知の上であります。しかし、これを契機としてインフレ撲滅への道に転ずることができるならば、この金額は決して惜しくはないと思います。(拍手)また、われわれはこの際減税を行いたい。すなわち、来年度予算の思い切つた節減を予定し、その決意のもとに二十九年一月から可能な減税を行いたいのであります。(拍手)そして、米価のすえ置き、減税の断行とにらみ合せて、実質上の賃金に考慮を払いつつ、給与ベースの名目上の引上げは今後の問題としたいのであります。(拍手)申すまでもなく、インフレの克服は何らの対価なくしては行い得ません。ある期間の犠牲と摩擦を覚悟しなければ、とうていこれに取組むことはできません。また一連の政策が次から次へと続くのでなければ、遂にこれを貫徹することはできません。われわれは、この補正予算を契機とし、二十九年度こそインフレ撲滅の一連の政策を行うべき年と考えるのであります。(拍手)
 私は、政府与党の、インフレを抑制し、経済の建直しをはかりたいという希望と善意とは、必ずしも疑うものではありません。しかし、五年間政権の座にあつた過去の惰性のいたすところ一日延ばしに偸安の夢をむさぼつている姿をこそ非難をし、警鐘を鳴らさんとするものであります。われわれはここで、われわれの提唱する主張こそ真に時局を救うものであることを信じて疑わないのであります。(拍手)
#22
○議長(堤康次郎君) 福田昌子君。
    〔福田昌子君登壇〕
#23
○福田昌子君 私は、両派社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました昭和二十八年度一般会計予算補正(第2号)外二案に関しまする両派共同の組みかえ動議の趣旨を説明申し上げたいと存じます。
 まず、その詳細につきましてはお手元に配付申し上げました組みかえ案によつていただくことといたしまして、概略を申し上げますと、第一に、公務員、公共企業体職員の生活の苦しさ、一方物価の値上りなどの実態にかんがみまして、人事院勧告、仲裁裁定の実施は必要最低の措置でありますから、これを八月から完全に実施することといたし、また仲裁裁定の実施にあたりましては国鉄に十三億、郵政に二十二億の不足分を一般合計から繰入れることといたし、その他専売、電通の二公社、印刷、アルコール、造幣、林野の四現業につきまして、企業体の予算内でまかなえるよう特別会計予算を組みかえることといたし、期末手当は政府案一・二五箇月分を一・五箇月分支給することといたしまして、計六百六十七億を計上して、もつて国家公務員、地方公務員、その他公共企業体勤労大衆の生活を安定させることにいたしました。(拍手)第二には、災害、冷害対策の不足分を計上いたしまして、農村の生活を安定せしめることにいたしたのであります。第三には不況にあえぐ中小企業者に対しまする年末融資を行い、中小企業の救済と中小企業傘下の労働者の窮乏、失業問題の解決に充てました。第四には、消費者米価はすえ置きといたし、生産者米価は石当り一万二千円といたしまするために、二十八年度分といたしまして食管会計へ三百億繰入れることを決定いたしました。第五に、義務教育費国庫負担分といたしまして四十八億、もちろんこれは富裕都府県に対しまする特例を認めない立場から、三月までの必要経費として計上したものであります。さらに義務教育費国庫負担法第六条但書による政令百六号による国庫負担金の削減を復元いたしまして、十二月よりの必要経費約六億を予備費の中から計上することにいたしたのであります。その他町村合併促進の費用を計上いたしました。
 これらの対策は、ともに国民生活安定のために緊要の支出でありますが、これを施行いたしまするために、その財源といたしましては、不急不要の経費を削減いたし、租税の自然増収、専売益金増収によるほか、大部分を防衛関係諸経費の十一月末現在における未使用分に求めたのであります。防衛関係諸経費の削減に財源を求めましたことは、これがインフレの最大の要因であり、世界の動向はむしろ平和への方向に向つており、再軍備より国民生活の安定こそが各国におきましても政治の主目的であることを考えましたからであります。(拍手)
 以上によりまして、二十八年度一般会計の予算総額は、歳入歳出ともに約一兆三百億余になるのでありまして、政府予算原案の規模とほぼ同額であるということが言えるのであります。以上が組みかえ案におけるおもな点でございます。この組かえ案こそが、真にインフレを抑制し、勤労大衆の要望にこたえた国家再建のための予算であると確信いたしておるのであります。(拍手)
 さて、本来国家の年度予算なるものは政府当局のその年度内における確たる予定的な総政策であるわけでございます。それゆえに、たとい一回の補正予算の追加でありましても、政府の政策の不手ぎわと、その信念のほどが疑われざるを得ないのであります。ところが、政府は二十八年度当初予算をやつとこの七月に成立せしめたばかりであります。それにもかかわりませず、約半歳を出ずして、あえて第一次、第二次の補正予算案を提出いたし、しかも十一月のごときは、二回にわたつて臨時国会を開きまして補正予算の審議に当りました。これだけをもちましても、第五周年を迎えました吉田内閣が、いかに年功を積まれましても、相かわらず国家再建の信念と確たる政策を持たない内閣であるかを暴露したものと言わねばなりません。(拍手)このことはまた、その都度政策は、あえて吉田内閣における岡崎外交だけに限らないものであるということを天下に表明したことにも相なるでありましよう。(拍手)
 第一次補正予算には、政府は救農予算という銘を打ちました。しかし、それが実際においては救農に値しない予算でありましたことは、予算通過後、災害地の農民がまつたく唖然といたしておりますことによりましても明らかであります。(拍手)そして、引続き第二次補正予算が提出され、今度は若干の給与べースの引上げと消費者米価の引上げとがその中心でございました。そして政府は、給与ベースは勧告と裁定を尊重して引上げたものであるということを主張いたしたのであります。ところが、その政府原案の内容を見ますと、仲裁裁定と勧告とを尊重どころか蹂躪いたしました上に、公務員給与に対しましては、自然昇給や地域給の本俸繰入れなどの小手先細工をもつてこれをごまかし、実質的には今後の物価の上昇とも相まつて給与の引上げにはあまりならない、しかも、あべこべに消費者米価は引上げられ、次いで考えられております国鉄、郵便料金などの値上げに対しますところの口実といたすというようなことで、まつたく国民を欺瞞し、大衆の生活を一層圧迫する予算であることは、その審議の過程において明らかにされたのであります。(拍手)
 ところで、このような貧弱きわまる予算を、政府が一つにまとめずして、わざわざあえて二つに分離して引続いて提出いたしましたゆえんのものはその生活の困窮と階級的自覚におきまして最近とみに提携への姿が顕著になつて参りました労働者、農民に対しまして、第一次補正予算におきましては労働者の島民に対しまする感情を、第二次補正予算におきましては農民の労働者に対しまする感情をお互いに阻害させようとするところの卑劣きわまる労農分離の政策であることは語らずして明らかであるのであります。私は、自由党や改進党の方々も、今日労働者の生活が苦しい、政府といえども法律は守らなければならないということくらいは知つておられるであろうと存ずるのであります。しかるにもかかわりませず、政府、与党の方々はあえてこの無理な予算を通そうとしておられる。加えて、政府自体が勧告や仲裁裁定を蹂躪して法律違反をやつておりますそのことはたな上げいたしまして国鉄労組の休暇闘争に対しましては、公労法の違反行為といたしまして弾圧立法を考慮しておられるやに聞くのであります。これらのことはまつたく人道主義と良心とを麻痺したところの態度と見なければならないのであります。(拍手)まつたく盗人たけだけしいとは、まさにかかることを申すのでございましよう。従いまして、私どもが、このような信念なく、政策なく、しかも勤労者の生活安定を無視した欺瞞的な政府原案の補正予算に賛成できないのは、当然と言わなければならないのであります。(拍手)従いまして、私どもは前述のような組みかえ案を提出した次第でございます。
 政府、与党の方々や、また改進党の方々はよく給与ベースの引上げや生産者米価の引上げがすぐインフレを助長すると宣伝しておられまするが、インフレはかかる事由によつて決して惹起されるものでは、ございません。給与ベースの引き上げによつて勤労者の勤労意欲が増大し、米価の引上げによつて農民の増産意欲が増大いたしまして、まして生産の向上を見る場合におきましては、決してインフレになるものではないのでございます。むしろ、国民生活とは直接関係のない純粋な消費物資、たとえば保安隊その他の再軍備関係の諸経費こそ最大のインフレ要因であり、(拍手)あるいはまた二重投資、過剰投資こそインフレの根本要因であるのであります。日本経済は現在まさにこのことのために生産は阻害され、貿易は不振と相なり、まつたく破綻に瀕しておるのであります、かような根本的なインフレの要因を追究することなくして、むしろこれに触れることを極力避けまして、あえて給与べースの引上げや米価の引上げのみがインフレ要因になると言うことは、これはまつたくためにいたしまする言葉か、あるいはまさに精神年齢十二歳の発言としか考えられないのであります。(拍手)まじめな良識ある人や政党の意見とはどうしても受け取れないのであります。しかるに、あえて政府がこのようなことを主張されるのは、アメリカに屈して一路再軍備の線に驀進しつつある政府が国民大衆を欺瞞するところの一つの手であると考えざるを得ないのであります。
 吉田総理大臣は、去る十一月二十五日、経団連の会合の席上におかれまして、欧州のアデナウアー首相を礼讃されました。そして、御自分もまた東洋におけるアデナウアーになりたいことを希望されたということを新聞で伺いましたが、その御意思まことにけつこうと存じますが、願わくは、敗戦国ドイツのアデナウアー首相がドイツの国の内外におきましていかなる政策をとつておるかをまずお学び願いたいのであります。(拍手)御承知のごとく、ドイツは、外に向いましては、米国の圧力に屈せず、自主性を堅持いたしまして、援助よりもまず貿易を主張いたしております。また内に向いましては国家の再建はまず勤労大衆の生活安定にあると考え、国民生活の最低水準を高く引上げ、戦後は一回のストライキも見ることなくして、物価の上昇につれまして給与べースの引上げが行われておるのであります。ことに母子福祉政策に対しまする英断、そしてまた、再軍備よりもまず国民生活の安定、社会保障を、再軍備よりも生産の復興、貿易の発展をと主張いたし、勤労者に対しまして種々の弾圧法規を制定いたします前に、資本家の野放図なぜいたくを制限いたしまして、高級料理飲食店や不健全なネオンサインのちまたを制限して、堅実な再建の道を進んでいるのでございます。そうして、国民大衆もまた期せずして自発的に愛する祖国のためにという自覚が呼びさまされつつあることをも、この際ぜひ学んでいただきたいのであります。(拍手)
 今や世界の各国は、いずこの国におきましても、再軍備よりまず国民生活の安定を考え、社会保障制度の前進を第一義に考えておるのでございます。かかる時代に、日本の吉田内閣のみが、アメリカ一辺倒の政策のもとに、その圧力に屈しまして、いたずらに再軍備に狂奔をいたし、人間的な生活に対しまする抵抗線の弱い、いわばいまなお人間解放の洗礼を受けない、さらに詳しく申しますれば、人権尊重の自覚の乏しい遅れたる善男善女の多きことをよきことといたしまして、国民生活の貧困と災害を無視いたしておりますことはまさに世界の流れに逆行いたしておるとともに、(拍手)日本の国と国民にとつての最大の不幸と言わなければならないのであります。(拍手)
 これに対しまして、両派社会党の共同組みかえ案は、世界の動向であるところの、再軍備より社会保障への前進の方向をとり、勤労大衆の生活を安定させ、その上に生産の復興と貿易の発展を期し、自立経済の再建をはからんとするもので、これこそまさにインフレ抑制への予算でありまするとともに、国民の要望にこたえ、日本再建のための予算であることを確信いたす次第であります。(拍手)
 この際政府におかれましても反省せられ、国家再建のために私どもの組みかえ案に養成せられんことを要望いたしまして提案理由の説明といたします。(拍手)
#24
○議長(堤康次郎君) これより討論に入ります。本間俊一君。
    〔本間俊一君登壇〕
#25
○本間俊一君 ただいま議題となつております昭和二十八年度補正予算三案に対しまして、私は自由党を代表して、政府案に養成し、組みかえ案に反対の討論を試みんとするものであります。予算の概要につきましてはすでに委員長の報告がありましたから、私はこれを省略いたしまして意見を述べたいと存じます。
 今回の補正は、公務員の給与の改善と米価の改訂に伴う必要やむを得ない経費でありまして、政府のとりました今回の処置は、われわれもこれを了とするものでございます。しかも、その財源を租税収入の自然増、専売益金並びに雑収入の増加と既定経費の節約にこれを求め、第一次補正の場合と同様に、一前年度剰余金あるいは公債発行のごときインフレの原因となる危険な財源にこれを求めなかつたことは、インフレ阻止に十分なる意を用いて健全財政の方針を堅持せられたものとして妥当な措置と言わなければなりません。(拍手)インフレを阻止せんとする政策は、わが自由党の一貫した政策でありまして、われわれは賛意を表するゆえんでございます。
 ここに注意を要しますことは、公務員の給与が引上げられますと、これを理由に民間給与の引上げが行われ、民間給与と公務員給与が、ややもすると、いたちごつこになつている点であります。一方、朝鮮事変以後のわが国の経済を見ますると、いわゆる特需景気により物価が高騰し、その後横ばいになつておりましたが、最近の物価の傾向を見ますると、やや上昇せんとする傾向にあることであります。給与の改善に伴い、物価は、政府の周到な配慮にもかかわらず、幾らか上昇するものと予想しなければなりません。さらに、今年度の国際収支を見ますると、輸入はふえ、輸出は伸びず、ために輸入超過の傾向が著しく、戦後初めての赤字が二億ドルと予想せられておる。この冷厳なる現実に深き注意を払わなければなりません。いわゆるやむを得ない最小限度の歳出と国際競争力との間の問題は、大きな国民的関心事となつておるのであります。従つて、明二十九年度の予算の編成、従来にも増しましてその重大な意義をあらためて認識させられるのであります。政府は、この予算編成にあたつて、現実を直視し、誤りなきを期するために、政府の英断と善処を要望してやみません。
 改進党の組みかえ案にはその精神におきましてわれわれの賛成する点も多いのでありますが、ただちに賛成いたしかねるのであります。この予算は、改進党の言われるように十五箇月予算ではないのでありまして、二十八年度の予算の補正であります。従いまして、組みかえ案で述べられました多くの点は、明年度の予算編成の際に当然考慮せらるべき点が多いように拝聴いたしたのであります。改進党の減税案にいたしましてもそうでありまして、減税を断行いたしまする問題も、明二十九年度の予算を慎重に勘案いたしまして決定すべきことが当然の施政者としての態度であると思うのでありまして、私どもはこれに賛成いたすことはできません。両社会党の組みかえ案を拝見いたしますると、これはおとなの銀行遊びと同じでありまして、削減のできない予算をいたずらに紙の上で削りまして、そうして災害対策費、あるいは冷害対策費、あるいは平衡交付金に、食管会計に、あるいは期末手当に、給与改訂に、ただ紙の上でばらまいておるだけであります。どうせ実行を無視しているのでありますから、私は期末手当なども一・五箇月分などとけちなことを言わないで、期末手当十五箇月分ぐらいのことを書かれる方がいいようにさえ思われるのであります従つて、一々これを反駁する必要もないと思うのでございます。
 以上の理由をもちまして、私は、政府原案に養成し、両社会党並びに改進党の組みかえ案に反対の意を表するものでございます。(拍手)
#26
○議長(堤康次郎君) 河野金昇君。
    〔河野金昇君登壇〕
#27
○河野金昇君 私は、改進党を代表いたしまして、ただいま議題になつておる第二次補正予算に対して、政府原案並びに社会党両派の組みかえ動議に反対し、川崎君外七名提出の組みかえ動議に養成の意見を申し述べるものであります。(拍手)
 日本経済は、終戦後八年、今日に至るもなお不安と動揺の域を脱せず、国民生活は安定いたしておりません。その最大の原因は、長年にわたる戦争経済の遂行によりまして累積資本の七三%を喪失した上に、敗戦によつて植民地と経済勢力圏を失つたことによるのでありますが、ほとんど同一条件のもとにある西ドイツが隆々として復興しておる事実を見るとき、わが国の今日までのあらゆる政治の貧困と誤りが日本経済の再建を阻害して来たという事実は率直に認めなければならないのであります。(拍手)特に吉田内閣五箇年を通じて行われた自由放任の経済政策は、日本経済自立の基礎を確立すべき最も重要な時期において一切の建設的要素を喪失させたその責任は重大であると言わなければなりません。(拍手)
 わが国の産業活動指数は戦前に比べて一五〇%を越えているにもかかわらず、輸出量は戦前に比べてわずかに三五%、輸入量は五七%と萎縮しております。物価は高騰の一途をたどり、国際物価との差はますます増大するばかりであります。従つて、かかるインフレ傾向のもとにあつて、国民勤労大衆は刻々に実質所得を低下し、資本家は資本の食いつぶしに生き、わが国産業の対外的競争力はますます弱められ、国際収支の上に憂うべき不均衡をもたらし、わずかに特需とアメリカの対日援助によつてそのバランスが維持されて来たにすぎません。加うるに、たび重なる大災害による復旧費の膨脹、賠償や対外債務の責任、防衛費の漸増等による国費の支出は増大して、今やわが国の財政は重大な危機に直面しておるのであります。
 このような日本経済の困難性は、さらに世界経済の動向によつて加重の度を増そうとしております。すなわち、アメリカを中心とする自由主義諸国の経済は今や安定の過程に入り、世界戦争の危機の後退による生産余力は新たなる貿易市場を求めて進出しつつあるのであります。一方、かつての日本の輸出市場であつた後進諸国においても、戦後における民族自立とともに産業機構の建設は進み、今後における軽工業製品輸出市場としてはますます狭められようとしているのであります。こうした国際情勢のもとにおいて、日本製品の輸出はいずこに活路を見出すべきかに迷いつつあるのが現実の日本の姿であります。日本経済の自立をはかるには、インフレの抑制と通貨の安定が基礎条件であり、これなくしては、資本の蓄積も、勤労者の生活確保も、物価の安定も、輸出の増進もあり得ないと思うのであります。(拍手)この観点に立ちまして第二次補正予算を検討すると、遺憾ながら養成するわけには行きません。
 この臨時国会に臨むにあたりまして、政府は去る十月二十一日に補正予算を閣議で決定しておるのであります。それによれば、諸般の情勢上、公務員のベース・アップ、裁定はのめないかわりに、年末手当を〇・五箇月分だけ増額して、年間を通じて、昨年の一・五箇月に対して、本年は特に二箇月分を支給しようとしたのであります。前国会までインフレの抑制、通貨の安定を主張し来つた吉田内閣としては、おおむね妥当なものであつたと思うのであります。しかるに、十一月二十一日の閣議において変更されて、ただいま審議しておるところの補正予算案は、年末手当は〇・五箇月分増額のままのほかに、人事院勧告、仲裁裁定をそのままのもうとしておるのであります。そのかわりに、消費者米価の値上げ、鉄道運賃、郵便料金の値上げが含まれておるのであります。去る災害国会で、予算のわくはふやせない、予算のわくをふやせばインフレになると主張して来た政府が、公務員のためには、べースも、裁定も、年末手当も、何でものんでこの予算を提出して、はたして何らか良心の呵責にたえないものはありませんか。(拍手)実にインフレ助長無定見予算と言わなければなりません。(拍手)このままこの予算案が通れば、二十九年度予算は、大蔵大臣の言うがごとく、一兆七百億円の予算総額のわくにはめてみれば、来年度は、防衛費、恩給、災害復旧費、給与等の増大によつて、民生の安定も生産拡充も期せられない亡国的予算しか組めなくなるであろうと思うのであります。(発言する者あり)
 今議題となつておるこの政府案を見て、あつけにとられたのは、良識ある与党自由党の諸君であつたろうと思うのであります。反面、本案を見てほくそえんだのは、公務員の年末攻勢をあおつておる社会党両派の諸君であつたろうと思う。そうして、最も憤りを感じておるのは、水害、冷害に悩む農民諸明君であり、破産に直面しておる中小企業者諸君であります。去る十二月三日日本青年館において開催されたる全国農業協同組合員大会においては、暴力をもつて列車をとめたり、国民の苦しみをよそに年末闘争に狂奔する人々には配給米を中止せよ、供出米は出すなという悲痛な叫びが圧倒的であつたことを忘れてはならないと思うのであります。(拍手)
 そこで、わが党は、本予算に対する態度といたしまして、消費者米価の据置き、税制調査会答申中減税の分を明十一月から実施する、もちろん政府が定しておる四月からの鉄道運賃、郵便料金等の値上げもしない、かかる措置によつて、名目賃金は上らないけれども、実質所得の向上をはかり、一方、国民大衆の生活安定と中小所得者の負担軽減をはかり、国家及び地方公務員の給与改善は二十九年度予算の骨相とともに考慮すべきであるという党の態度を決定して、誠意を披瀝して今日まで自由党の諸君と交渉を続けて来たのであります。(発言する者あり、拍手)自由党の交渉委員諸君は、われらの提案に対して、ことごとく賛成でのる、二十九年度予算編成の自信はありません、しかし政府が提案してしまつたあとであるからという面子にとらわれて妥結を見なかつたことは、まことに国家国民のため遺憾にたえません。(拍手)
 私たちは、政党の立場から言えば、来年度がどうなろうと、政府が予算を組んで来たのであるから、何もこの際表面的には三百万公務員から誤解を受けるがごとき苦難の道を選ぶ必要はないとの議論もありました。しかし、われわれは、良心ある政党として、これこそが、国家将来のため、インフレの抑制と通貨の安定を通じて大衆の生活を守り、日本経済自立の確立をはかり得る、ただ一筋の大道であることを確信し、政府提出の補正予算案並びに組織労働者の扇動をすることのみに終始しておる社会党両派の組みかえ動議に反対し、川崎君外七名提出の組みかえ動議に賛成をするものであります。(拍手)
#28
○議長(堤康次郎君) 上林與市郎君。
    〔上林與市郎君登壇〕
#29
○上林與市郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました政府提出の昭和二十八年度補正予算三案並びに改進党提出の補正予算の編成がえを求めるの動議に反対し、社会党両派共同提出の組みかえ動議に賛成の討論を行わんとするものでございます。(拍手)
 さきのいわゆる救農国会のあとを受けて開会されました本臨時国会の、政府の意図したところの中心題目は、予算案に関する限り、その一つは給与改訂であります。他の一つは米価の改訂であり、具体的には消費者米価の値上げであることは補正案の明示するところであります。しかして、これをまかなう財源措置については、何ら抜本的予算措置を講ずることなく、従来と同様に月並的に、租税の自然増収百三十三億、専売益金増七十億、雑収入の増加六十九億、既定経費の節約三十億、合せまして三百五億を見込んだにすぎないのは、今次の補正予算案の性格が、方針のないまま、成り行きまかせで編成されたその都度予算であることをまず第一に指摘せざるを得ないことを深く遺憾とするものであります。
 わが党は、さきの通常国会において、また過ぐる第十七臨時国会においても、災害対策費、食糧増産対策費、中小企業に対する諸施策とともに、全官公労、公共企業体関係労働者、すなわちいわゆる三公社五現業に対してすみやかにして適切なる給与の改善は絶対に必要であるゆえんをば機会あるごとに政府に強く要求するとともに、国会においてその組みかえ動議を提出して参つたものであります。しかるに、政府は、働く者の生活安定のための給与の改善に対し、その認識と熱意を欠き、今日まで人事院勧告、仲裁裁定すらも蹂躪し、給与改善はこれを行わない、地域給の是正も行わないという方針であつたことは事実であります。しかしながら、政府は、今次補正予算案で、期末及び勤勉手当増額八十六億、公務員給与改訂費八十二億、合せまして百六十八億余円を予算化しました。しかし、政府原案は、地域給につきましては、独立して手当をすることなく、本俸繰入れという姑息な方法によつて政府の一万五千四百八十円ベースのつじつまを合せようと試みたのでございます。政府原案は仲裁裁定とともいずれも一月実施でございますので、換言すれば、実質的には一部実施にすぎません。
 今試みに組合側の要求ベースを一瞥してみますならば、官公労一万八千八百円、国鉄一万九千円、全電通一万八五百三十二円、全専売一万八千円、造幣一万九千九百円、全逓一万八千円、全印刷一万九千三百円、全林野二万一千円、アルコール二万七十六円であります。これに対するに、人事院勧告は、現行より一三・九%増、期末手当及び勤勉手当と合せて現行年間一・五箇月分を二箇月分に改めること、その他細部にわたる説明はこれを省略いたしますが、職員の総平均給与を本年三月現在一万三千五百八十七円と推定し、平均一千八百九十三円程度増加し、勧告により総平均給与額は結局するところおおむね一万五千四百八十円となるのであります。仲裁裁定は、個別的内容の説明の煩を避けて、総額で申し上げますと、百六十三億二千万円必要となるのであります。私は、ここに政府の給与改訂と人事院勧告並びに仲裁裁定とを比較対照して、その矛盾、そのからくりの詳細は説明いたしませんが、政府案がただ一つ全公務員並びに全公企労の要求とは大きくかけ離れておるということ、そればかりではございません。人事院勧告並びに仲裁裁定をもはなはだしく下まわるものであることを端的に指摘して、今回の政府のとられた給与改訂は名目的なるものであることを明らかにしておきたいと思います。
 そこで、わが党は、このような政府の不徹底な、そうしてその場しのぎの原案に反対し、人事院勧告を八月より完全に実施することとし、その予算措置としては、一般公務員、地方公務員の給与改訂に三百十四億、仲裁裁定実施に要する経費として三十五億円を見込みました。次に、期末手当については、一般公務員、地方公務員、三公社五現業の一・五箇月分三百十八億円を計上いたしまして、不十分ながら労働階級の期待に沿わんといたしたのであります。仲裁裁定の実施にあたりましては、国鉄十三億円、郵政二十二億円の不足分を一般会計から繰入れるものとし、その他専売、電通の二公社、印刷、アルコール、造幣、林野の四現業については、企業内でまかない得るよう特別会計予算を組みかえることとし、国鉄の災害復旧資金八十九億円につきましては建設公債の発行を認めることにいたしたのであります。また、冷害対策費、農業共済保険繰入れ、災害月地方平衡交付金合せて三百五十億を計上いたしました。
 次に、これは政府原案に見られないわが社会党共同組みかえ案の大きな特色であります。すなわち、今回の政府原案では、第二次補正案では、中小企業の年末金融対策としての中小企業金融公庫及び国民金融公庫の出資増百億は顧みられておらないのでございます。わが共同組みかえ案は、この捨てて顧みられなかつた財源措置をも講じましたことが、共同組みかえ案の大きな特色とするところであります。(拍手)
 次に、政府原案は、多くの労働者、消費大衆が、生活を守るために、消費者米価値上げ絶対反対、すなわち内地精米十キロ六百八十円すえ置きという悲痛なる要求をしておるのでありますが、政府はこの悲痛なる念願を無慈悲に拒否して、来年一月から消費者米価七百六十五円に値上げすることにいたしております。そうかと思うと、一方においては、生産者価格については低米価政策を押しつけるために、私が予算委員会においても指摘いたしました通り、非理論的にしてしかも現実とかけ離れたパリテイ方式にいまだにしがみついて、これから生ずるところの穴を埋め、つじつまを合せるために、各種加算金、奨励金等を出して辛うじて農民の反撃と憤懣を押えております。が、そのうち豊凶係数による凶作加算金については、概算払いとして石当り五百円を認めておりまするが、今日すでに凶作加算額は概算払いとして認められました五百円を越える二とが明らかであるにもかかわらず、いまだ最終決定を見ないまま米だけは買い上げるという矛盾を犯しておるのであります。これらの問題に関し、政府及び与党は、国民生活は黒字である、あるいは財源上やむを得ないという口実を設けてうまく逃げようとしておりまするが、消費者価格の値上げは、たとい今べース・アップがなされるといたしましても、エンゲル係数のきわめて高いわが国国民大衆にとつて、特に配給日数の少い現状においては、生活費のはね返りわずか〇・八七%にすぎないと言つてこれを軽視することは断じて許されないところであると思います。そこで、社会党共同組みかえ案におきましては、生産者米価は生産費所得均衡方式による石当り一万二千円、消費者米価はこれを現行の通りすえ置き、これに要する予算措置は食管特別会計繰入れ予算額三百億円とし、今日の全国民的食糧生活の安定をはかることにいたしたのでございます。貧弱なる政府の食糧政策に比較するとき、思い切つたこの施策は誇るに足るところのものであると私は信じます。
 私は、以上、今回政府から提出されました第二次補正案に関し、重要なる諸点について政府の財政的不備と欠陥を指摘して、なぜわれわれが政府の原案に反対するか、その根拠を明らかにいたしたのであります。社会党共同組みかえ案のそれに対する態度と内容を明らかにいたしたのでありますが、政府と与党の諸君は異口同音に必ず財源を云するでありましよう。われわれの方針に従えば、私の信ずるところによれば、財源に事欠きません。それは、すでに共同組みかえ案で明らかにしているように、実質的な再軍備一千十七億を削除いたしておるのであります。すなわち、連合国財産補償費未使用分六十六億、保安庁費四百十四億、安全保障諸費三百十七億、防衛支出金未使用分二百二十億等でありまするが、これことごとくが非生産的な経費であります。われわれは、これを思い切つて削減し、そしてこれを先にあげて説明いたしました諸対策の財源にまわし、一方においては国民生活を安定せしめ、他面においては政府の常に御心配なさるインフレ要因に断固斧鉞を加え、これを断ち切ることができるのでありまして、かくのごとき措置こそ最も時宜を得たる一石二鳥の策と言わなければなりません。
 次に、政府の第二次補正予算額は三百五億六千九百万円であります。さきに通過をみた一般会計及び第一次補正額を合計すれば一兆二百七十億円であつて、インフレのかけ声を懸念された一兆円を超過しております。社会党共同組みかえ案の全体の予算規模はこれより増額しておりまするが、今次補正案に対する予算額は一千五百六十七億円でありまするから、一千二百大十二億円の政府原案より膨脹を見ているのであります。しかし、自由党や政府の心配するようなインフレ懸念は全然ございません。なぜならば、政府の原案と異なりまして、政府がいまなお神格化し、手を触れない非生産的、実質的再軍備費を削減したばかりでなく、削除したこれらの経費をば給与改善、災害、冷害対策の不足分、崩壊寸前にある中小企業対策費、米価の二重価格制等とともに、国民生活安定に緊急の支出と、徹底したるインフレ防止対策にまわしでおりますので、これこそがインフレ要因を内包しない、自立経済を主眼とする、平和と独立を約束する健全財政方針によつて貫かれた建設的な予算であると私は信ずるのであります。
 以上説明を申し上げました通り、政府与党の諸君のように、財源がないのではありません。財源はあります。また手段、方法も残されておるのであります。しかるに、これを故意に行わないのであれば、平和と独立の確保を放棄したものであると言わなければなりません。(拍手)また、昭和二十九年度予算の骨格も、予算委員会におきまして大蔵大臣から承りましたが、いまだに固まつていないのが事実であります。また、善意でこれらの行い得る諸施策を行わないのであるならば、いかような弁解をしようとも、この経済的危機を乗り切る政治的能力なしと断定せざるを得ないと思います。政局を担当する資格なしと言わなければなりません。
 これをもつて私の討論を終ります。(拍手)
#30
○議長(堤康次郎君) 加藤鐐造君。
    〔加藤鐐造君登壇〕
#31
○加藤鐐造君 私は、日本社会党を代表して、政府提出補正予算第二号各案並びに改進党組みかえ要求案に反対し、両社会党共同組みかえ要求案に養成の意を表し、その理由を簡単に述べんとするものであります。(拍手)
 野党三派の要求によつて召集された第十八臨時国会の目的は、公務員の給与に関する人事院勧告、公共企業体労働者の給与に関する仲裁裁定等の実施の問題、米価決定の問題、中小企業者に対する年末金融の問題等であります、政府は人事院の公務員給与引上げに関する勧告並びに公共企業体労働者に対する仲裁裁定を明年一月から実施しようというのであるが、これは明らかに政府がみずから法律を蹂躪するものと言わなければなりません。(拍手)言うまでもなく、この人事院勧告、仲裁裁定の制度は、吉田内閣が理不尽にも公務員の罷業権を剥奪した際に、その代償として公務員と公共企業体労働者に対して与えたものでありますから、政府は当然これを尊重しなければならない責任を持ち、実施する義務を負うておるのであります。(拍手)特に、仲裁裁定は公労法第三十五条によつて義務づけられておりますから、国の債務であると言つてさしつかえないのであります。この二つの制度のできた由来から考えても、政府は法律以上の高い道徳的義務を負うものと言わなければなりません。(拍手)もちろん、公労法第十六条には、「公共企業体等の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない。」と規定されておりまするが、これは政府に対して、仲裁裁定の尊重について、その取扱いは完全実施の予算を組んで国会に提出するか、または完全実施が不可能とする場合には、これをそのままに国会に付議すべきことを規定しておるのであつて、その内容を骨抜きにするごとき一部実施の予算化は違法と断ぜざるを得ません。政府は、前国会においては予算上実施不可能なりとして国会の承認を求めたのであるが、わずか一箇月の間に態度をかえて、明年一月から一部実施をしようというのは、慎重を欠いたその都度財政、思いつき財政であるのみならず、公労法の趣旨を歪曲せんとするものであつて、断じて反対せざるを得ないのであります。(拍手)
 さらに現実の面から考えても、経済審議庁の発表による消費財物価は、昨年の十月と今年の十月とを比較してみると一五・七六%の騰貴を示しております。国の安全を保持するには、厖大な軍事費を使うよりも、国民生活の安定が先決要件であるという見地に立つならば、防衛費その他の非生産的経費を削つて人事院勧告と仲裁裁定の完全実施に充てるべきであります。
 次に、米価の問題については政府は明年一月から消費者価格を二・五%引上げて、十キロ当り七百六十五円に改訂することに決定しました。そして、これが消費者に与える影響はわずか。八%であるから大した問題ではないと放言しておりますが、消費者米価の値上げは、ただちにやみ米の大幅値上げとなり、他のすべての物価に影響する点を考えれば、生活費に与える影響は政府の言うがごとく低いもりので決してないことは、従来の例に照して明らかであります。改進党は、二重米価制を強く主張しておきながら一前国会に自由党とやみ取引をして、似ても似つかぬ供米完遂奨励金制度に賛成して国民の目をごまかしましたが、一それが消費者価格を引上げる上に大きな原因となつておる点を考えますると、改進党の責任は大きいと言わなければなりません。(拍手)方、生産者価格は一切の加算額を含めて一万三百五十五円となつておりますが、最低一万二千円は、あらゆる農業団体の今日要求するところであり、これは最低線であります。これを割つては、農民の生活は破綻するばかりではなく、来年度の食糧増産の遂行は不可能であると言わなければなりません。消費者米価のすえ置きと、生産者価格一万二千円の堅持は、われわれの絶対讓れない線であります。
 中小企業者年末金融の問題は、政府は毎年大いに宣伝はしておりまするが、まつたくのから宣伝にすぎないのであります。貿易不振の慢性化から来る不況は、まず中小企業者を犠牲にしようとしております。政府は、企業の合理化のために、大企業に対しては多くの財政資金や補助金を出しておりまするが、設備の合理化、技術の向上を特に必要とする中小企業に対しては何らの援助をしておらないのであります。今や、中小企業は自由主義経済の積幣のために破壊の寸前にあります。最近は、操業を短縮してもなおストツクは山積し、不渡り手形、不渡り小切手は横行して、その日の金融に追いまわされて、今や死期を待つの状態であります。この年末にあたつては極端な金融困難に陥ることは必至の情勢であります。政府は年末金融対策として、中小企業金融機関に対して五十五億円の指定預金を行い、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工中金等の融資を合せて二百三十億が年末までに融資せられると発表しておりますが、一方、二千億の政府資金の散布超過から来るインフレ要因を調整するために、日銀が金融の抑制を行うことは必至であり、この大部分が中小企業にしわ寄せられることもまた間違いのないところでありまするから、かりに二百三十億が有効に融資せられたとしても、まつたく焼け石に水であると言わなければなりません。この点から考えても、防衛関係費その他の非生産的経費をできるだけ圧縮して、中小企業への金融しわ寄せをできるだけ少くしなければなりません。われわれが指摘したいのは、この第二次補正予算は第一次補正予算とまつたく反対の方向をとつておるということであります。第一次補正予算は、諸経費の軽減、低物価政策によつて、インフレ防止の方針を一応とつておつたのでありますが、今回の補正においては、消費者米価の値上げを行い、近く国鉄運賃の値上げをも行おうとしております。従つて、高物価政策であり、自由主義経済の原則、コスト主義をとつて、インフレ防止策としては単に金融面の操作にのみたよろうとしております。かくのごとき首尾一貫しないその都度財政は、要するに政府に確固たる経済政策の持合せがないことを物語つているのであります。(拍手)
 日本の経済は今や重大なる危機に直面しております。世界は一応平和の方向を示し、各国とも軍事費が削減せられて、軍需生産の繰延べから来る不況は世界共通でありますが、特にアメリカのそれが各国に大きな影響を与えもでありましよう。アメリカは一九三〇年代初期の恐慌を再現するであろうとすら極言する経済学者がありますが、一九三〇年の状態を再現しないまでも、その要因があることは確かでありますから、アメリカはその克服のために決死の努力を傾けるでありましよう。アメリカ恐慌の影響を最も多く受けるものはアメリカ依存の日本経済であります。アメリカ不況克服の過程におきまして日本経済の受ける打撃は深刻であるということを覚悟しなければなりません。政府は、ことし限りで打切られると言われるMSA援助にのみたよろうとして、自立経済達成の根本策を立てようとしないのでありますが、国内資源の開発を行つて、食糧自給策、原料輸入の抑制を行うことは自立経済の根本方策であります。政府はペーパー・プランとしては幾たびか発表しておりますが、それは常に資金、技術の裏づけのないものであります。われわれは、その都度財政、自由放任経済政策によつてわが国をだんだん経済的破滅に陥れつつある吉田内閣に対して、来年度予算の編成前に退陣することを要求するものであります。(拍手)
 私は、さらに、アメリカ政府と日経連の意を迎えることに汲々たる改進党の組替え要求案とともに、政府原案に対して断固として反対するものであることを表明いたしまして、討論を終る次第であります。(拍手)
#32
○議長(堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。まず古井喜實君外七名提出、昭和二十八年度一般会計予算補正(第2号)外二件の編成がえを求めるの動議を採決いたします。古井喜實君外七名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#33
○議長(堤康次郎君) 起立少数。よつて古井喜實君外七名提出の動議は否決されました。
 次に、八百板正君外十四名提出、昭和二十八年度一般会計予算補正(第2号)外二件の編成がえを求めるの動議を採決いたします。八百板正君外十四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#34
○議長(堤康次郎君) 起立少数。よつて八百板正君外十四名提出の動議は否決されました。
 次に、昭和二十八年度一般会計予算補正(第2号)外二件を一括して採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。三件の委員長の報告はいずれも可決であります。三件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。
 氏名点呼を命じます
    〔各員投票〕
#35
○議長(堤康次郎君) 投票漏ればありませんか――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。投票を計算いたさせます。
    〔参事投票を計算〕
#36
○議長(堤康次郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
    〔事務総長朗読〕
 投票総数四百十一
  可とする者(白票)  二百二十二
    〔拍手〕
  否とする者(青票)  百八十九
    〔拍手〕
#37
○議長(堤康次郎君) 右の結果、昭和二十八年度一般会計予算補正(第2号)、昭和二十八年度特別会計予算補正(特第2号)及び昭和二十八年度政府関係機関予算補正(機第1号)はいずれも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔参照〕
 昭和二十八年度一般会計予算補正(第2号)外二件を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名
   相川 勝六君  逢澤  寛君
   青木  正君  青柳 一郎君
   赤城 宗徳君  秋山 利恭君
   淺香 忠雄君  麻生太賀吉君
   足立 篤郎君  天野 公義君
   荒舩清十郎君  有田 二郎君
   安藤 正純君  伊藤 郷一君
   飯塚 定輔君  生田 宏一君
   池田  清君  池田 勇人君
   石井光次郎君  石田 博英君
   石橋 湛山君  犬養  健君
   岩川 與助君  宇都宮徳馬君
   上塚  司君  植木庚子郎君
   内田 信也君  内海 安吉君
   江藤 夏雄君  遠藤 三郎君
   小笠 公韶君 小笠原三九郎君
   小川 平二君  小澤佐重喜君
   小高 熹郎君  尾崎 末吉君
   尾関 義一君  越智  茂君
   緒方 竹虎君  大上  司君
   大久保武雄君  大西 禎夫君
   大野 伴睦君  大平 正芳君
   大村 清一君  岡崎 勝男君
   岡田 五郎君  岡野 清豪君
   岡本 忠雄君 岡村利右衞門君
   押谷 富三君  加藤 精三君
   加藤 宗平君  加藤常太郎君
   加藤鐐五郎君  鍛冶 良作君
   金光 庸夫君  川島正次郎君
   川村善八郎君  河原田稼吉君
   菅家 喜六君  木村 武雄君
   木村 俊夫君  菊池 義郎君
   岸  信介君  岸田 正記君
   北 れい吉君  久野 忠治君
   熊谷 憲一君  倉石 忠雄君
   黒金 泰美君  小枝 一雄君
   小金 義照君  小坂善太郎君
   小平 久雄君  小西 寅松君
   小林かなえ君  小林 絹治君
   小峯 柳多君  佐々木盛雄君
   佐瀬 昌三君  佐藤 榮作君
   佐藤善一郎君  佐藤 親弘君
   佐藤虎次郎君  佐藤洋之助君
   坂田 英一君  坂田 道太君
   迫水 久常君  始関 伊平君
   塩原時三郎君  篠田 弘作君
   島村 一郎君  庄司 一郎君
   助川 良平君  鈴木 善幸君
   鈴木 正文君  世耕 弘一君
   瀬戸山三男君  關内 正一君
   關谷 勝利君  田口長治郎君
   田子 一民君  田嶋 好文君
   田中伊三次君  田中 角榮君
   田中  好君  田中 彰治君
   田中 龍夫君  田中 萬逸君
   田渕 光一君  高木 松吉君
   高田 弥市君  高橋 英吉君
   高橋圓三郎君  高橋  等君
   竹尾  弌君  武田信之助君
   武知 勇記君  玉置 信一君
   津雲 國利君  塚田十一郎君
   塚原 俊郎君  辻  寛一君
   土倉 宗明君  綱島 正興君
   坪川 信三君  寺島隆太郎君
   戸塚九一郎君  徳安 實藏君
   苫米地英俊君  富田 健治君
   中井 一夫君  中川源一郎君
   中川 俊思君  中村  清君
   中村 幸八君  仲川房次郎君
   永田 良吉君  永田 亮一君
   長野 長廣君  灘尾 弘吉君
   南條 徳男君  丹羽喬四郎君
   西村 英一君  西村 直己君
   西村 久之君  根本龍太郎君
   野田 卯一君  羽田武嗣郎君
   葉梨新五郎君  馬場 元治君
  橋本登美三郎君  橋本 龍伍君
   長谷川 峻君  濱田 幸雄君
   濱地 文平君  林  讓治君
   林  信雄君  原 健三郎君
   原田  憲君  平井 義一君
   平野 三郎君  福田 篤泰君
   福田  一君  福田 喜東君
   福永 健司君  藤枝 泉介君
   船越  弘君  船田  中君
   降旗 徳弥君  保利  茂君
   坊  秀男君  星島 二郎君
   堀川 恭平君  本多 市郎君
   本間 俊一君  前尾繁三郎君
   前田 正男君  牧野 寛索君
   益谷 秀次君  増田甲子七君
   松井 豊吉君  松岡 俊三君
   松崎 朝治君  松田 鐵藏君
   松永 佛骨君  松野 頼三君
   松山 義雄君  三池  信君
   三浦寅之助君  三和 精一君
   水田三喜男君  南  好雄君
   宮原幸三郎君  村上  勇君
   持永 義夫君  森   清君
   森 幸太郎君  八木 一郎君
   安井 大吉君 山口喜久一郎君
   山口 好一君  山口六郎次君
   山崎 岩男君  山崎  巖君
   山崎  猛君  山田 彌一君
   山中 貞則君  山本 勝市君
   山本 友一君  吉田  茂君
   吉田 重延君  吉武 惠市君
   渡邊 良夫君  亘  四郎君
   大橋 忠一君  只野直三郎君
   福田 赳夫君  中村 梅吉君
   松田竹千代君  松永  東君
 否とする議員の氏名
   赤澤 正道君  芦田  均君
   荒木萬壽夫君  井出一太郎君
   伊東 岩男君  池田 清志君
   稻葉  修君  今井  耕君
   臼井 莊一君  小山倉之助君
   大麻 唯男君  大高  康君
   加藤 高藏君  金子與重郎君
   川崎 秀二君  楠美 省吾君
   栗田 英男君  小泉 純也君
   小島 徹三君  河野 金昇君
   河本 敏夫君  佐藤 芳男君
   齋藤 憲三君  櫻内 義雄君
   志賀健次郎君  椎熊 三郎君
   重光  葵君  白浜 仁吉君
   須磨彌吉郎君  鈴木 幹雄君
   園田  直君  田中 久雄君
   高瀬  傳君  高橋 禎一君
   竹山祐太郎君  舘林三喜男君
   千葉 三郎君  床次 徳二君
   中嶋 太郎君  中曽根康弘君
   中村三之丞君  中村庸一郎君
   橋本 清吉君  原   彪君
   廣瀬 正雄君  藤田 義光君
   古井 喜實君  本名  武君
   町村 金五君  松浦周太郎君
   松村 謙三君  三木 武夫君
   村瀬 宣親君  粟山  博君
   柳原 三郎君  山下 春江君
   山手 滿男君  吉田  安君
   阿部 五郎君  青野 武一君
   赤路 友藏君  赤松  勇君
   足鹿  覺君  飛鳥田一雄君
   井手 以誠君  井谷 正吉君
   伊藤 好道君  猪俣 浩三君
   石村 英雄君  石山 權作君
   稻村 順三君  小川 豊明君
   加賀田 進君  加藤 清二君
   片島  港君  勝間田清一君
   上林與市郎君  神近 市子君
   木原津與志君  北山 愛郎君
   黒澤 幸一君  佐々木更三君
   佐藤觀次郎君  齋木 重一君
   櫻井 奎夫君  志村 茂治君
   柴田 義男君  島上善五郎君
   下川儀太郎君  田中織之進君
   田中 稔男君  多賀谷真稔君
   高津 正道君  滝井 義高君
   楯 兼次郎君  辻原 弘市君
   永井勝次郎君  成田 知巳君
   野原  覺君  芳賀  貢君
   萩元たけ子君  長谷川 保君
   原   茂君  福田 昌子君
   古屋 貞雄君  帆足  計君
   穗積 七郎君  正木  清君
   松原喜之次君  三鍋 義三君
   武藤運十郎君  森 三樹二君
   八百板 正君  安平 鹿一君
   山口丈太郎君  山崎 始男君
   山田 長司君  山中日露史君
   山花 秀雄君  横路 節雄君
   和田 博雄君  淺沼稻次郎君
   井伊 誠一君  井上 良二君
   井堀 繁雄君  伊瀬幸太郎君
   伊藤卯四郎君  池田 禎治君
   稲富 稜人君  今澄  勇君
   受田 新吉君  大石ヨシエ君
   大矢 省三君  岡  良一君
   加藤 勘十君  加藤 鐐造君
   甲斐 政治君  春日 一幸君
   川島 金次君  河上丈太郎君
   木下  郁君  菊川 忠雄君
   熊本 虎三君  小平  忠君
   小林  進君  河野  密君
   佐竹 新市君  佐竹 晴記君
   杉村沖治郎君  杉山元治郎君
   鈴木 義男君  田中幾三郎君
   竹谷源太郎君  辻  文雄君
   堤 ツルヨ君  戸叶 里子君
   土井 直作君  冨吉 榮二君
   中井徳次郎君  中居英太郎君
   中崎  敏君  中澤 茂一君
   中村 高一君  中村 時雄君
   西尾 末廣君  西村 榮一君
   日野 吉夫君  平岡忠次郎君
   平野 力三君  細野三千雄君
   松井 政吉君  松前 重義君
   三宅 正一君  三輪 壽壯君
   水谷長三郎君  門司  亮君
   矢尾喜三郎君  山口シヅエ君
   山下 榮二君  吉川 兼光君
   吉田 賢一君  川上 貫一君
   黒田 寿男君  小林 信一君
   館  俊三君  辻  政信君
   中原 健次君  中村 英男君
   原   彪君
    ―――――――――――――
#38
○議長(堤康次郎君) 本日はこれにて散会いたします。(拍手)
    午後十一時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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