くにさくロゴ
1953/12/07 第18回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第018回国会 本会議 第4号
姉妹サイト
 
1953/12/07 第18回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第018回国会 本会議 第4号

#1
第018回国会 本会議 第4号
昭和二十八年十二月七日(月曜日)
 議事日程 第四号
    午後一時開議
 第一 町村の警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案(加藤精三君外七名提出)
 第二 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(印刷事業に関する件)(内閣提出、第十七回国会議決第一号)
 第三 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(専売公社に関する件)(内閣提出、第十七回国会議決第二号)
 第四 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(造幣事業に関する件)(内閣提出、第十七回国会議決第三号)
 第五 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(国有林野事業に関する件)(内閣提出、第十七回国会議決第四号)
 第六 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(アルコール専売事業に関する件)(内閣提出、第十七回国会議決第五号)
 第七 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(国有鉄道に関する件)(内閣提出、第十七回国会議決第六号)
 第八 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(郵政事業に関する件)(内閣提出、第十七回国会議決第七号)
 第九 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(電信電話公社に関する件)(内閣提出、第十七回国会議決第八号)
 第十 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(益谷秀次君外十四名提出)
 第十一 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十二 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第十三 昭和二十七年度一般会計国庫債務負担行為総調書
 第十四 昭和二十六年度国有財産増減及び現在額総計算書
 第十五 昭和二十六年度国有財産無償貸付状況総計算書
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した事件
 日程第一 町村の警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案(加藤精三君外七名提出)
 日程第二 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(印刷事業に関する件)(内閣提出、第十七回国会議決第一号)
 日程第三 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(専売公社に関する件)(内閣提出、第十七回国会議決第二号)
 日程第四 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(造幣事業に関する件)(内閣提出、第十七回国会議決第三号)
 日程第五 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(国有林野事業に関する件)(内閣提出、第十七回国会議決第四号)
 日程第六 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(アルコール専売事業に関する件)(内閣提出、第十七回国会議決第五号)
 日程第七 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(国有鉄道に関する件)(内閣提出、第十七回国会議決第六号)
 日程第八 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(郵政事業に関する件)(内閣提出、第十七回国会議決第七号)
 日程第九 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(電信電話公社に関する件)(内閣提出、第十七回国会議決第八号)
 日程第十 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(益谷秀次君外十四名提出)
 日程第十一 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第十二 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 関税及び貿易に関する一般協定のある締約国と日本国との通商関係の規制に関する宣言への署名について承認を求めるの件
 昭和二十八年度分の地方財政平衡交付金の単位費用の特例に関する法律案(内閣提出)
 保安庁職員給与法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 食糧管理特別会計の昭和二十八年産米穀に係る供出完遂奨励金の支払財源の一部に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案(内閣提出)
 漁船再保険特別会計における特殊保険及び給与保険の再保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案(内閣提出)
一般会計の歳出の財源に充てるための米国対日援助物資等処理特別会計からする繰入金に関する法律案(内閣提出)
 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
    午後三時十九分開議
#2
○議長(堤康次郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(堤康次郎君) 日程第一、町村の警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員長中井一夫君。
    〔中井一夫君登壇〕
#4
○中井一夫君 ただいま議題となりました町村の警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案につき、地方行政委員会における審議の経過並びに結果の概要を申し上げます。
 まず本案の提出理由につき申しますが、御承知の通り、警察法によりますと、警察を維持する町村は住民投票によつて警察を維持しないことができることになつており、またその警察を維持しないことに決定した旨の報告が十月三十一日までに内閣総理大臣に対してなされたときは、翌年四月一日をもつてその責任が国に転移することに定められております。従つて、かりに十一月一日に警察を維持しない決定の報告が内閣総理大臣に対してなされた場合におきましては、その責任の転移は翌々年の四月一日をもつて行われる次第であり、かかる場合、決定と転移との間隙が、長きは一年半にも及ぶものが生ずるわけであります。従つて、この間、町村財政上、また警察職員の志気の上にも好ましからざる問題が生ずるおそれがありますので、右のごとき場合、その転移の時期を繰上げ、もつてこれらの悪影響をなからしむるため、警察本法に対する特例法を制定せられたき旨の陳情、請願が若干の町村より本委員会に対しなされておるのであります。しこうして、その実情はまことにごもつともなりと思われますので、責任転移の時期を繰上げることができる道を設けるため本法案が提出せられたものであります。
 次に、この法律案の内容を簡単に申し述べます。本案は、警察法第四十条の三第八項の規定の特例でありまして、同項の規定にかかわらず、警察を維持しないことを決定した旨の報告のあつた町村のうち、町村長がその議会の同意を得て警察維持の責任転移の時期を繰上げたい旨を内閣総理大臣に申請し、その承認を得たときには、その承認のあつた翌月一日をもつてその責任転移が行われることとされております。なお、附則として、この法律は公布の日からこれを施行することとし、また本法案と同名の昭和二十八年法律第七十六号はすでに不要となりましたので、これを廃止することが定められております。
 本案は、十二月三日加藤精三君外七名から提出せられ、同月四日本委員会に付託せられ、本委員会においては同日提案者より提案理由の説明を聴取し、十二月五日質疑を終了、討論採決、多数をもつて原案の通り可決すべきものと議決せられた次第であります。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#5
○議長(堤康次郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#7
○議長(堤康次郎君) 日程第二、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(印刷事業に関する件)、日程第三、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(専売公社に関する件)、日程第四、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(造幣事業に関する件)、日程第五、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(国有林野事業に関する件)、日程第六、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(アルコール専売事業に関する件)、日程第七、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(国有鉄道に関する件)、日程第八、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(郵政事業に関する件)、日程第九、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(電信電話公社に関する件)、右八件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。労働委員長赤松勇君。
    〔赤松勇君登壇〕
#8
○赤松勇君 ただいま議題となりました公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件、内閣提出、第十七回国会議決第一号ないし第八号について、労働委員会における審査の経過並びにその結果を御報告申し上げます。
 本件は、印刷事業、専売事業、造幣事業、国有林野事業、アルコール専売事業、国有鉄道、郵政事業、電信電話公社等、いわゆる三公社五現業の昭和二十八年四月以降における賃金改訂に関する紛争につき公共企業体等仲裁委員会の下した仲裁裁定が公共企業体等労働関係法第十六条第一項に該当するものと認め、国会の議決を求めておるのであります。政府は、去る十一月二日、第十七国会にこれを提出、予算上支出不可能を理由として、仲裁裁定の実施及びこれに関連する所要経費が、昭和二十八年度予算に対し、さらに印刷事業約九千万円、専売公社約五億九千万円、造幣事業約三千万円、国有林野事業約八億七千万円、アルコール専売事業約二千万円、国有鉄道約八十億円、郵政事業約四十億円、電信電話公社約二十七億二千万円を必要とするが、これらはいずれも昭和二十八年の予算に含まれておらず、給与総額については予算総則に示す金額を超過することは明らかであると説明されておるのであります。
 本委員会は、第十七回国会において、十一月三日より順次関係各大臣より提案理由の説明を聴取し、政府当局に質疑を行い、関係労働組合よりも参考人を招致して意見を聞き、また十一月六日、七日の両日は、本件に関し人事、大蔵、農林、通商産業、運輸、郵政、電気通信の各委員会との連合審査会を開催し、審査を進めて参つたのでありますが、第十七回国会は、会期が僅少で、十一月七日閉会となりましたので、本件は一括して閉会中の継続審査に付することといたした次第であります。閉会中も引続き本委員会並びに連合審査会を開会して審査を進め、また十一月二十七日、二十八日の両日には、審査の慎重を期するため公聴会を開催し、学識経験者の意見を聴取したのであります。
 その内容を要約御報告申し上げまするならば、公共企業体等労働関係法を考える場合には、まずこれらに働く職員も本質的には一般労働者であるということを忘れてはならず、従つて、憲法第二十八条の精神から出発して考えなければならない、争議権は生存権を守る手段である、争議権の代償として仲裁制度がある以上、これが裁定を尊重することは当然のことと言わなければならず、裁定を実施しないことは、公共企業体等労働関係法を否定するものであり、ひいては団体交渉その他の団体行動権を否認するものとして憲法第二十八条に違反するの疑いも生ずる、公共企業体等労働関係法第十六条は、裁定の実施を抑制する目的のものでなく、実施するための規定で、給与総額を理由として裁定の実施を拒むのは不当である、労働組合の穏やかな裁定実施の要求を無視することは、政府みずからが労働組合を非合法闘争に追いやるもので、労働組合はいずれの日にか爆発するの危険をはらまざるを得ず、その責任は一に政府の態度にかかつているものであるとしていずれも政府の裁定に関する態度に不満の意を表明されたのであります。また、国会は裁定自体を審議するのではなく、政府は一般会計に影響した場合予算案を付して国会に提出しなければならないという取扱い上の意見が述べられ、なお政府は裁定の実施はインフレの要因となると言うが、インフレは他にその原因があるので、裁定実施にこれをしわ寄せしてはならない、戦力なき軍隊の方がインフレに対しては問題であるということが公述人の一致した見解であつたのでございます。
 さて、今次国会におきましては、召集当日の十一月三十日よりただちに審査を開始し、十二月三日には小坂労働大臣より本委員会に対し発言が求められ、補正予算の提出に伴い、仲裁裁定は昭和二十九年一月以降実施することが可能となつた旨の説明がなされたのであります。本委員会はその後も審査を継続し、十二月五日質疑を終了した次第であります。
 かくて、同日本件に対する討論を行いましたところ、自由党の持永義夫君より次のごとき議決案が提出されました。
 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(印刷事業に関する件)(内閣提出、第十七回国会議決第一号)
  本件は、公共企業体等仲裁委員会裁定中第一項は、昭和二十九年一月以降実施するものとして、これを承認する。
 以下、専売公社に関する件、内閣提出、第十七回国会議決第二号、造幣事業に関する件、内閣提出、第十七回国会議決第三号、アルコール専売事業に関する件、内閣提出、第十七回国会議決第五号、国有鉄道に関する件、内閣提出、第十七回国会議決第六号、郵政事業に関する件、内閣提出、第十七回国会議決第七号、電信電話公社に関する件、内閣提出、第十七回国会議決第八号についてはいずれも同文、国有林野事業に関する件、内閣提出、第十七回国会議決第四号については、
  本件は、公共企業体等仲裁委員会裁定中第一項、第三項及び第五項は、昭和二十九年一月以降実施するものとして、これを承認する。
 次いで、社会党の山花秀雄君より次のごとき議決案が動議として提出されました。
  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件、議決第一号乃至第八号は、公共企業体等仲裁委員会の裁定(仲裁裁定第十一号乃至第十八号)の通り、これを承認する。
 よつて、右の動議について一括討論を行いましたところ、丹羽喬四郎君は自由党を代表して、現下日本の財政経済の逼迫したる実情並びに未曽有の冷水害による出費のため、仲裁裁定の八月実施は困難なること明白であり、あえて強行せんか国家財政の破滅を招来するとして、持永義夫君の動議に賛成し、山花秀雄君の動議に反対すると述べ、黒澤幸一君は社会党を代表して、公共企業体等労働関係法制定の経緯並びに現在に至る仲裁裁定実施の実績よりして、今回またしても一月より実施するがごときは公労法の精神を無視するものである、よつて持永義夫君の動議に反対し、山花秀雄君の動議に賛成すると述べ、続いて井堀繁雄君は社会党を代表して、争議権のない三公社五現業の労働者諸君は、不満足な仲裁裁定でありながらも、公労法の規定に従つてこれに服従しているにもかかわらず、政府がその実施にあたつて言を左右にしてみずから法律を無視していることはまことに遺憾であり、当然裁定は八月より完全に実施さるべきであるとして、山花秀雄君の動議に賛成し、持永義夫君の動議に反対の意を表明いたし、次に中原健次君は労働者農民党を代表して、争議権の代償としての仲裁裁定が完全に実施されないとするならば、一体労働者はどのようにしてみずからの権利を守つて行つたらいいか、われわれは八月よりの完全実施を要求するものであるとして、山花秀雄君の動議に賛成し、持永義夫君の動議に反対する旨を述べられたのであります。
 かくて、討論を終結し、持永義夫君の動議について議決第一号より順次第八号まで採決いたしましたところ、いずれも起立多数をもつて可決いたした次第であります。このため、山花秀雄君の動議は採決不要となつた次第であります。
 なお、本委員会は、三公社五現業職員の年末手当に関する決議案を可決いたしたのであります。
 次にその決議を申し上げます。
   決議
 三公社五現業の職員の年末に際して支給せられる手当等については、その企業の内部において協力して業績を挙げ源資を確保することに努め、一般公務員の手当に劣らざるように努むると共に、団体交渉により適宜の処置を講ずること。
 右要望する。
以上の決議を可決した次第であります。
 以上をもつて委員長の報告を終ります。(拍手)
#9
○議長(堤康次郎君) 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(印刷事業に関する件)外七件委員長報告に対し、おのおの赤松勇君外七名から修正動議が提出されております。この際その趣旨弁明を許します。矢尾喜三郎君。
    〔矢尾喜三郎君登壇〕
#10
○矢尾喜三郎君 ただいま議題となりました、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件、議決第八号につきまして、ただいまの委員長報告に対しまして、私は日本社会党両派を代表いたしまして修正の動議を提出するものであります。
 まずその案文を朗読いたします。
   議決案
 公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件、議決第一号乃至第八号は、公共企業体等仲裁委員会の裁定(仲裁裁定第十一号乃至第十八号)はこれを承認する。以上でございます。
 これにつきまして若干趣旨弁明をいたしたいと存ずる次第であります。
 仲裁裁定昭和二十八年八月実施が仲裁裁定委員会において決定されて以来、当事者の一方である労働組合を初めとして各政党並びに各階層にわたる世論の熱烈なる要望にこたえず、政府はこれをまつたく顧みざる態度に終止して来たのであります。公労法第十七条では公企業下に働く労働者の罷業権をまつたく禁止されているが、その罷業権の禁止は、世界各国の例を見ましてもきわめて少く、少くとも近代国家においてはこのような措置がとられていないのが実情であります。この十七条の規定は、占領下におけるポツダム政令第二〇一号によつてできたもので、いやしくも独立した日本の現状において即時廃止さるべき性質のものであるとともに、政府はいつも公共の福祉ということを理由として罷業権を禁止しているが、実際問題として労働者の福祉を離れて公共の福祉があり得るはずがないのであります。これらは明らかに一体をなしているのであります。近代国家においては、罷業権を禁止せる場合においては、それ相当の生活権を裏づけとして何らかの救済手段を講ずるのが通念とされておるのでございます。その一つは労働者の経営参加であり、他は仲裁裁定であります。そして、これらのいずれかは必ず罷業権禁止の対価として労働者に与えられなければならないのであります。ところが、現在の日本においては、経営参加に対して労働者には一指をも触れさせておらず、わずかに公労法第三十五条において仲裁裁定による両者の拘束を認めているにすぎないのであります。すなわち、公労法第三十五条には「仲裁裁定委員会の裁定に対しては、当事者双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならない。」と規定されておるのでございます。すなわち、この規定は、罷業権を禁止されている日本における公企業下の労働者に残された唯一の救済手段にほかならないのであります。しかるに、政府はこの規定をも無視する態度に出ているのであります。すなわち、労働者側は三十五条において救済手段を法律で保障を与えられながら、実質的にはそれすらも奪い取つて顧みない政府の態度は明らかに法律違反でございます。(拍手)これに対して、政府は、本法の例外規定である第十六条の予算上資金上不可能を理由としてこれに対抗せんとしているのであります。従つで、問題の焦点は公労法の原則規定である第三十五条と第十六条をすりかえんとする、きわめてずるい資本家的態度であるのであります。(拍手)
 さらに、実際問題としても、資金上不可能ということはあり得ないのであります。何となれば、すでに五企業は、本年の六月から七月にかけて中央調停委員会の示した案に対し、当局はこれを承認しておるのであります。その承認は、明らかにその企業内において資金上可能であることを承認したことにほかならないからであります。しかるに、政府は、一部でも実施困難なる理由がある場合には、これを一部実施することは公平を欠くという建前をとつているが、これは単に仲裁裁定を実施したくないという意図から出たものにすぎないのであります。もし政府の言うごとく、すべて一律に出さなければならないとするならば、その団体交渉も一本で行われなければならないはずであるのに、実際には、各企業体においてそれぞれの団体交渉が行われているのが現状であつて、この点においても政府の論理が一貫性を欠いているわけであります。もし政府にいささかでも本法を尊重し裁定を実施する誠意があるならば、二現業に限り予算的措置をくふうすれば、即時全公共企業労働者に仲裁裁定を実施することができるのであります、この措置を怠る政府の真意は、仲裁裁定からのがれんとする以外の何ものでもないことを物語つているものであると思うのであります。
 かくの如き政府の態度は、法律を軽視し、いたずらに労使間の対立を激化し、社会不安を誘発することとなり、政府の責任きわめて重大なりと言わざるを得ないのであります。(拍手)しかしながら、公労法の精神から推して、この三十五条は単に方便的につくられたものでは決してないのであつて、また第十六条の規定はかかる意味において適用するものではなく、政府は、仲裁裁定を原案とする補正予算を組み、国会の審議を待ち、不幸にして国会の否決ないし修正があつた場合に、団体交渉その他あらゆる方法を講じて、相手方たる労働組合の納得を得て、友好的に解決をはかるべきであることは言うまでもないところであります。
 しかるに、政府の今までとつて来た態度を見ますと、友好的に最大限の努力をした跡はみじんもうかがうことができないばかりか、労使間の紛争を一方的に労働者側にのみ転嫁し、きわめて非友好的と言うよりは、むしろ挑戦的であると言わなければならないのであります。すなわち、政府は、三十五条の規定に違反し、十六条の解釈を誤つているのみにとどまらず、公労法の精神は完全に無視され、労働者の生存権である憲法上の基本権の蹂躪となるのである。今になつてその一部の実施によつてこれを糊塗せんとし、国民大衆の窮乏に便乗し、裁定実施は国民大衆に対し負担の増大、インフレの脅威となるがごとき印象を与えしめ、資金上予算上不可能を主張し、その責任をすべて労働者に負わし、その半面、着着と自衛の美名のもとにアメリカの第一線を守る再軍備構想を推し進め、これに厖大なる予算を計上し、やがて国民を窮乏のどん底に陥らしめ、労働者大衆が生存権を守るためには実力行使以外に何ものもないことを教える、ごまかし一部裁定には断固として反対するものであるとともに、私は、この修正案を提案いたしまして、皆さん方の御賛同を願う次第であります。(拍手)
#11
○議長(堤康次郎君) 討論の通告があります。これを許します。楯編兼次郎君。
    〔楯兼次郎君登壇〕
#12
○楯兼次郎君 私は、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件につき、日本社会党を代表し、委員長報告の議決に反対し、矢尾喜三郎君外七名提出の修正動議に賛成の討論を行わんとするものであります。(拍手)
 そもそも公共企業体等労働関係法は、占領治下のいわば超憲法下に制定された遺物であり、講和後最も早く改廃さるべき法律であつたと考えるのであります。もしこの法律をもつて憲法違反にあらずと強弁するならば、その合憲的唯一の根拠は、団体交渉によつて十分に紛争の解決をなし得るということであり、仲裁裁定が必ず遵守されるということであります。すなわち、労使間における紛争を解決するために仲裁制度を確立し、その裁定は当事者双方を拘束し、最終的決定としてこれに服従すべきことを明示しているからであります。(拍手)従つて、公共企業体等の紛争は、仲裁委員会の裁定によつて最終的に解決されなければならないにもかかわらず、今日まで政府の誤れる法運用によつて、最終的決定であるべき裁定が出されてから紛争が勃発するということは、まこと遺憾であると言わなければなりません。
 公労法は、その冒頭において、「この法律は、公共企業及び国の経営する企業の職員の労働条件に関する苦情又は紛争の友好的且つ平和的調整を図るように団体交渉の慣行と手続とを確立することによつて、公共企業体及び国の経営する企業の正常な運営を最大限に確保し、もつて公共の福祉を増進し、擁護することを目的とする。」とうたつているのであります。しかるに、今日給与問題が団体交渉によつて解決することがあり得るやいなや。絶対にないと言つてもよいほど団体交渉の余地がなく、公社側の代表者に権限がないのであります。国鉄、専売、電通を公社にし、現業職員の中で特に郵政、印刷、造幣、アルコール、林野を独立採算制とし、特別会計として適当な企業のみを公労法のわくに入れたゆえんのものは、国会の承認した予算のわく内において操作し得るという観念から出ているものであります。他の政府機関の会計及び特別会計は、目節の流用は主務大臣の自由権限であるにもかかわらず、三公社五現業のみ、国鉄において九百六十四億、専売においては八十億といつたようにわくを設け、一銭たりとも越える場合は予算上不可能なりとして国会の承認を要するものなりとし、ベース・アップは事実上団体交渉の余地なく、今次賃金交渉についても、調停にかけるまで、きわめて形式的なわずかの団体交渉しか持たれていないのが現状であります。
 予算総則の給与総額は、公労法制定当時何ら予想しなかつたものであります。国鉄第一次仲裁が出て、公社の最高責任者たる国鉄総裁が流用可能なりとして大蔵大臣に申請した財源が、大蔵大臣の政治的考慮に基く拒否により、賃金が支払われなかつたため訴訟となり、政府は、大蔵大臣の予算移流用の承認、予備費使用の決定は、高度の政治的考慮に基く完全なる自由裁量によつてなされるものであると主張いたしましたに対し、東京地方裁判所はもちろんのこと、東京高等裁判所は、最終的に、一般の行政行為は行政上の効果に対する考慮によつて支配される自由裁量行為と言い得るであろうけれども、公労法上の協定または裁定の実施に関する場合はおのずから事情が異なるのである、もし政治的考慮によつて左右されるものとするならば、公労法が争議行為を禁止し、その代償として団体交渉の慣行と手続とを確立し、仲裁制度を認めた立法の精神はまつたく没却され、職員の生存権の保障も薄きこととなるわけであると判定をいたしておるのであります。かかる状態の中において、吉田内閣は、日本国有鉄道法第四十四条を改正し、給与総額を設け、事実上給与の移流用を禁止したのであります。当時の大蔵大臣池田勇人氏は、これにより公労法三十五条、十六条は骨抜きになつたとうそぶいたといわれるが、これこそ給与に関する団体交渉を無意味にし、公労法の精神を蹂躙し、合憲性の唯一の足場を失わしめ、憲法違反の疑いをますます濃くならしめたものであると言わざるを得ないのであります。(拍手)
 一体、公労法のごとき悪法が世界のいずこにあるでありましようか。慶応大学峯村教授の説によれば、アフリカのあの南阿連邦と、平和の国オランダ、社会保障制度の完備せるスエーデンしかなく、アジア諸国には見当らない悪法であると言われているのであります。仲裁制度は労働者の争議権を剥奪した代償であると言われているのでありますが、争議権の代償として仲裁制度を認めることは世界労働法制史上過去のものであり、現在においては当然労働者の経営参加権がこれに追加されなくてはならないのであります。この古い制度であり、かつ悪法ですら、日本において吉田内閣のもとにおいては蹂躙されている次第であります。
 第二点として申し上げたいことは、私は政府の提案の仕方について疑問を持つものであります。公労法は、仲裁裁定は最終的に両当事者を拘束するものであり、予算上資金上不可能な資金の支出を内容とする協定は、十日もしくは五日以内に事由を付してこれを国会に付議して承認を求めなければならないとしているのでありますが、国会の付議は予算が支出できないからということであつて、国会は裁判所ではなく、判決と同様の効力ある裁定に対し、裁定の内容についてとやかく審議することはできないのであります。ただ財政上支出できるかいなかを審議するにすぎない。われわれは財政についての審議をするのであるから、政府は裁定実施に伴う予算案を提示し、国会の審議を求めるべきであるにもかかわらず、単に給与総額を越えるからという理由のみを提示して付議するにおいては、まつたく三百代言的行為と言わざるを得ないのであります。(拍手)しかも、第十七国会において、労働大臣は、国会に対し不承認の承認を求めるとか、あるいは承認のための承認を求めるとかというのではなく、国権の最高決議機関である国会に対し、政府は白紙でおかけしており、国会の意思決定を仰いでいるのであると述べておきながら、わずか二十日を経ずして、一月から実施を発表し、予算案を提示して参つたのであります。この間われわれに政府は何らの意思表示もせずして、何を一体審議させたのであるか。政府の今回の提案の仕方は、まさに国会を愚弄するもはなはだしいものと言わざるを得ないのであります。(拍手)
 第三に、私は財政上の観点よりこれを簡単に検討してみたいと思うのであります。時間の関係上、私は、現業において一つ、公社において一つずつ述べてみたいと思います。
 現業においては、たとえば、印刷局における仲裁裁定実施に伴う財源は八千万円と言われており、政府は九千万円を要すると称しているのでありますが、今後の増収の見込みを見るならば、日本銀行券発行増加に伴い六億一千万円の歳入の増加を予想されているのであります。銀行券は普通製造費五〇%になつているのでありますが、増加分については、あらためて基本給その他の固定給を出す必要もなく、超過勤務手当のみであるから、少くとも増加分の印刷については三〇%以上は純利益となるわけであります。これにより二億円程度の純利益が出ることは明らかであります。現在の補正予算審議に提出いたしました政府の昭和二十九年三月三十一日の予定借貸対照表の貸方勘定、予定損益計算書の損失勘定ともに純利益金五億円が計上されており、資本増加分を除いても二億八千八百万円の納付金が計上されているのであります。その他、純利益のほかに、さらに二億円程度の利益が出るにもかかわらず、裁定が実施できないという理由は、われわれは財政上の見地からこれを見出すことはできないのであります。
 公社関係では、電信、電話関係を検討すると、政府の提出せる予算書のうち、昭和二十八年度の予定損益計算書及び予定貸借対照表によれば、それぞれその損失勘定、貸方勘定に当期利益金として四十七億七千九百七十一万円が計上されておるのであります。これはすなわち、水害復旧費十一億五千四百万円を組み、料金改訂が遅れたことによる収入減の二十五億を補正減少し、一月以降職員給与の引上げ、期末手当二五%分の増加を支出してなお四十七億七千万円の利益金が計上せられており、財政上いかに審議いたしましても、支出できないといと結論は絶対に出て来ないのであります。(拍手)自由党、改進党の諸君が一体予算書のどこを見てかかる結論を出されましたのか、まつたく了解に苦しむところであります。
 第四点といたしまして、一般国家公務員との均衡ということを裁定を遵守しない理由とするならば、きわめて高度な公共性を有し、国家の監督下にある日本銀行の職員の給与はどうでございましよう。日本銀行法第三十七条、第三十八条、第三十九条によれば、毎年度の経費の予算は大蔵大臣の認可を要するのであり、剰余金は準備として積み立て、大臣の認可する五分以内の配当を行い、その剰余金は全部政府に納付することになつています。かかる会計規定になつている日本銀行に対しては最高級の給与を承認し、会計上同じ機構になつている公社に対しては裁定すらも実施させないとはいかなることであるか。まつたく不可解しごくであると言わざるを得ないのであります。(拍手)
 第五点といたしまして、もし仲裁裁定を実施すればインフレーシヨンになるという議論がありまするが、私は、これについて、時間がありませんので、簡単に論及をしたいと思うのであります。今次の裁定は、裁定書に言つているごとく、昨年度の賃金をそのまま引直したにすぎないのであります。すなわち、今度のベース・アップを賃上げであると考えるならば、それは大きな間違いであります。昨年度の賃金をそのまま本年度に引直したにすぎないのであつて、もし仲裁通り実施しなければ賃下げになるのでございます。調停案は四月実施、仲裁は八月実施、政府は明年一月実施ということになれば、その間の物価の上昇、さらに今後の消費者米価の値上げ等を考えるならば、仲裁の完全実施をしてもなお実質賃金はベース・ダウンとなつておるわけであります。インフレーシヨンは賃金の値上り分が引起すのではなくして、財政支出全体が要因となるのであり、吉田内閣の政策全体がインフレーシヨンを引起すのであります。インフレーシヨンを引起すものは、これは二千数百億に上る防衛費でなくて何でありましようか。防衛費をそのままにして労働者のみにしわ寄せすることは、労働者を犠牲にする政策であると断ぜざるを得ないのであります。
#13
○議長(堤康次郎君) 楯君に申し上げます。申合せの時間を過ぎておりますから簡単に願います。
#14
○楯兼次郎君(続) みずからの手によつて公労法を制定し、反対する公社職員にこれを押しつけておきながら、今日まで一度も完全実施をしたことのない政府の態度に対し、従順にして元気がないと言われております公社関係の労働組合が、今や政府自身法を守れと憤激して立ち上つているではありませんか。政府及び自由党の諸君が再び公労法の精神を忘れ、裁定を蹂躪するならば、やがて百数十万の労働者の憤激は法の領域を越える爆発となつて現われることを憂慮しつつ、私は、委員長報告の議決に反対し、修正動議に賛成の討論を終るものであります。(拍手)
#15
○議長(堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、赤松勇君外七名提出、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(印刷事業に関する件)委員長報告に対する修正動議につき採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#16
○議長(堤康次郎君) 起立少数。よつて赤松君外七名提出の動議は否決されました。
 次に、本件の委員長報告につき採決いたします。本件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#17
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り決しました。(拍手)
 次に、赤松勇君外七名提出、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(専売公社に関する件)委員長報告に対する修正動議につき採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#18
○議長(堤康次郎君) 起立少数。よつて赤松君外七名提出の動議は否決されました。
 次に、本件の委員長報告につき採決いたします。本件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#19
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り決しました。(拍手)
 次に、赤松勇君外七名提出、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(造幣事業に関する件)委員長報告に対する修正動議につき採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#20
○議長(堤康次郎君) 起立少数。よつて赤松君外七名提出の動議は否決されました。
 次に、本件の委員長報告につき採決いたします。本件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  [賛成者起立〕
#21
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り決しました。(拍手)
 次に、赤松勇君外七名提出、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(国有林野事業に関する件)委員長報告に対する修正動議につき採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#22
○議長(堤康次郎君) 起立少数。よつて赤松君外七名提出の動議は否決されました。
 次に、本件の委員長報告につき採決いたします。本件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#23
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り決しました。(拍手)
 次に、赤松勇君外七名提出、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(アルコール専売事業に関する件)委員長報告に対する修正動議につき採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#24
○議長(堤康次郎君) 起立少数。よつて赤松君外七名提出の動議は否決されました。
 次に、本件の委員長報告につき採決いたします。本件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#25
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り決しました。(拍手)
 次に、赤松勇君外七名提出、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(国有鉄道に関する件)委員長報告に対する修正動議につき採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#26
○議長(堤康次郎君) 起立少数。よつて赤松君外七名提出の動議は否決されました。
 次に、本件の委員長報告につき採決いたします。本件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#27
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り決しました。(拍手)
 次に、赤松勇君外七名提出、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(郵政事業に関する件)委員長報告に対する修正動議につき採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#28
○議長(堤康次郎君) 起立少数。よつて赤松君外七名提出の動議は否決されました。
 次に、本件の委員長報告につき採決いたします。本件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#29
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り決しました。(拍手)
 次に、赤松勇君外七名提出、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(電信電話公社に関する件)委員長報告に対する修正動議につき採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#30
○議長(堤康次郎君) 起立少数。よつて赤松君外七名提出の動議は否決されました。
 次に、本件の委員長報告につき採決いたします。本件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#31
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#32
○議長(堤康次郎君) 日程第十、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、日程第十一、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、日程第十二、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。人事委員長川島正次郎君。
    〔川島正次郎君登壇〕
#33
○川島正次郎君 ただいま議題となりました、益谷秀次君外十四名提出、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、並びに内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、人事委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告いたします。
 まず、益谷秀次君外十四名提出、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 御承知のように、勤務地手当制度の合理的な改訂につきましては、本委員会としましてもつとに研究を進め、根本方針を定めております。そればかりでなく、去る十一月二十八日に、今回の給与改訂を機会として、現行無級地を一級地に引上げ、一級地の勤務地手当相当額を本俸に繰入れるように政府は処置すべきであるとの決議を行つたような次第であります。この趣意に従いまして、本法律案は、ぺース改訂と地域給の段階縮小とを明確に分離するの意味において、無級地を一様に一級地に引上げるもので、十二月三十一日の一日は一級地に相当する給与を支給し、翌一月一日から一級地相当額を本俸に繰入れる次第でございまして、この措置によつて、これまでの無級地に対しましては、ベース改訂とは別に五%を引続いて増加支給されることになつたのであります。
 本法案は十二月五日国会に提出され、即日本委員会に付託となり、十二月六日質疑を省略してただちに討論に入り、自由党を代表して田中好君、改進党を代表して舘林三喜男君、日本社会党を代表して森三樹二君及び日本社会党を代表して池田禎治君よりそれぞれ意見が述べられましたが、採決の結果、本法律案は起立多数をもつて可決すべきものとの議決をいたしました。
 次に、内閣提出の二法案について申し上げます。
 まず、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案は、すでに御承知のごとく、政府職員の現行給与水準は昨年十一月から実施を見たものでありますが、その後における民間給与及び家計費等の上昇、さらに本年七月人事院から一般職員の給与改訂等につき国会及び内閣に対して勧告が行われている事情等にかんがみ、政府においてこの際財政の許す限度において一般職員の給与改善をはかり、あわせて勤務地手当の支給区分の合理的改訂を行わんとするものであります。
 本法律案の要旨を御説明いたしますと、第一に、この法律案は、一般政府職員に対しまして、昭和二十九一月一日における俸給、扶養手当及び勤務地手当の総平均月額をおおむね一万五千四百八十円にいたそうとするものであります。俸給につきましては、十四級の最高号俸を越える俸給額を除き、人事院の勧告の通り改訂することといたしたのであります。これによつていわゆる俸給表の中だるみ是正が行われるばかりでなしに、またこれに伴い昇給期間に応ずる昇給間差額をも改正することといたしたのであります。
 第二に、勤務地手当につきましては、現行の無給地をすべて一級地に引上げた上、五級から一級地まで各〇・五ずつを本俸に繰込み、これに伴つて支給地域区分を最高二割、以下五分刻みとして、従来の五段階を四段階に改め、合理的の方法により漸次地域給廃止の方向を示したものであります。
 本年末における期末手当及び勤勉手当につきましては、特例を設けて、期末手当については本年八月に繰上げ支給した期末手当の一部に相当する額の控除を行わないこととし、俸給、扶養手当及び勤務地手当の月額の合計額の百分の五十を支給し、勤勉手当についてはその支給総額を俸給、扶養手当及び勤務地手当の月額の合計額の百分の七十五を越えないものといたしまして、合計公務員に支給する年末手当は一箇月と四分の一となるのであります。
 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案は、一般職の例にならい、一部給与の改訂を行つたのであります。
 両法案は、去る十一月三十日国会に提出、即日本委員会付託となり、十二月一日政府委員よりそれぞれ提案理由の説明を聴取し、その後連日各委員より熱心に質疑が行われ、慎重に審議を重ねて来たのであります。その詳細につきましては速記録に譲りたいと存じますが、申し添えておきたいことは、その審議の経過において、地方公務員も国家公務員と同様の処遇をするように財政措置がとられていることと、現行の地域給区分の不均衡是正は人事院の勧告をまつて政府において善処したいとの意向があること、及び公務員の給与に関しては、必ずしも人事院の勧告をまつことなく、国会並びに政府によつて措置できることが明らかになつたのであります。
 かくて、十二月五日質疑を終了し、次いで六日、自由党より、益谷秀次君外十四名提出一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に伴い整理を必要とする部分、並びに盲聾学校の教育職員は常に苦難にして同情すべき教職についているのでありますからして、中小学校の教員であつてもすべて高等学校等の教育職員と同じ俸給表を適用する旨の修正案が提出せられ、両派社会党よりは、人事院勧告を完全に実施する意味において、一、支給日を昭和二十八年八月一日に遡及し、それまでに支払われた俸給はすべて内払いと見なすこと、二、期末手当、勤勉手当を含めて年間二・五箇月分とすること、三、地域給については別個に考慮すること、すなわち、近く勧告を予想される人事院勧告と相まつて、今回の改訂とは別に既得の給与に加え法制化並びに予算化を行うこと、四、教職員給与は高等学校、中学校、小学校と大学校の二本建とし、高等学校、中学校、小学校の教職員給与については政府原案における高等学校職員の級別俸給表を適用することを趣旨とする共同修正案が提出され、改進党からは、ベース改訂を行わず、俸給表については現行通りとし、勤務地手当については現行無給地をすべて一級地に引上げる旨の修正案が提出されたのであります。
 これらの修正案につきましては、質疑を省略してただちに討論に入り、自由党を代表し赤城宗徳君、改進党を代表して池田清志君、日本社会党を代表して櫻井奎夫君、日本社会党を代表して岡良一君よりそれぞれ意見が述べられ、かくて討論終結の後採決を行いましたところ、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案については、両派社会党共同修正案、改進党修正案はそれぞれ可決され、自由党修正案及び自由党の修正部分を除く政府原案は可決されました。従つて、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案は修正可決すべきものと議決をなした次第であります。
 さらに、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案については、両派社会党共同修正案及び改進党修正案は否決され、政府原案を可決すべきものとの議決をなされた次第でございます。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#34
○議長(堤康次郎君) 三案中、まず日程第十、益谷秀次君外十四名提出、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を審議し、次にその他の二案を審議することといたします。
 これより日程第十、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の審議に入ります。
 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#35
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
 次に、日程第十一、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、及び日程第十二、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の審議に入ります。両案に対しては舘林三喜男君及び加賀田進君外六名から成規によりそれぞれ修正案が提出されております。この際順次修正案の趣旨弁明を許します。舘林三喜男君。
    〔舘林三喜男君登壇〕
#36
○舘林三喜男君 改進党提案の一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案並びに特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、改進党を代表してその趣旨弁明をいたします。
 修正案のおもなる内容は、政府提案の公務員給与の改訂、すなわちべース・アップをこの際しばらく見送るべきであるということが第一点、勤務地手当、すなわち地域給の一部を本俸に組み入れることによつて、これを四段階に圧縮せんとする政府提案に対しまして無級地を一級地に昇格せしむるとともに、地域給の区分をさしあたり現行の五段階にとどめんとすることが第二点であります。以下、簡単にその理由を説明いたします。
 前回の第十七臨時国会以来、政府は、去る七月行われましたベース・アップに関する人事院勧告は、その趣旨はまことに了とするも、財政の都合上これを採用することはなかなか困難なる旨を言明されまして去る十月二十一日、第二次補正予算編成の閣議におきましても、来るべき第十八臨時国会においては、公務員の期末手当及び勤勉手当合せて〇・五箇月分の増額、計八十六億円余を追加計上することにとどめ、ベース・アップはこれを見合すべきことに決定せられたのでありまして、世上何人といえども、政府はこの方針を堅持して本国会に臨まるべきものと判断していた次第であります。しかるに、政府は、本国会の直前、率然として従来の態度を改め、ペース・アップを断行することとし、ここに給与法の一部を改正する法律案を提出されたのであります。はたして政府の態度豹変の真意いずこにありましようか。財源の不足、物価の値上りの抑制、インフレの防止を理由として、過般の未曽有の風水害の復旧に要する費用を極度に圧縮して復興の進捗を阻害するの挙に出られた政府が、何ゆえかかる態度に出られたのでありましようか。あるいはまた、来るべき二十九年度こそ徹底的に予算を緊縮し、これを一兆億円以内にとどめんとの希望をしばしば表明せられていた大蔵大臣は、このベース・アップの実施によつて、来年度においては給与関係のみについても、一般会計において四百五十八億円、特別会計、政府機関その他を合すれば実に一千七十億円の経費増大を必然的に招くことはもちろん承知せられているはずでありますから、すでに来年度予算編成前において、インフレと取組むの熱意と信念とを早くも喪失されているのではないかと考えられるのであります。
 思うに、来るべき二十九年度予算は、わが国がインフレにより破局への道に突入するか、はたまた自立安定への光明ある道に進むかの最も重大なる分岐点に立つ性格を持つものであります。しこうして、自立安定への道は、帰するところ低物価政策の断行、インフレ抑制政策の強行以外には方策なく、しかもこれは総合的、計画的なる国家予算の編成実行を通じて初めて具現せらるるのであります。わが党は、かかる観点に立つて、自立経済五箇年計画を策定し、その第一年度として来るべき二十九年度予算はこれを必ず一兆億円以内にとどめ、国費の効率的運用を通じて自立経済の第一歩を踏み出さんとする強い決意を有するものであります。政府並びに自由党は、かかる改進党の決意に対し、しばしば全面的に賛成なる旨の意思を表明せらるるのでありますが、事実において真に賛成の意思を有するならば、当然に政府提案のベース・アップ法案を虚心坦懐に撤回さるることこそ最も一貫せる態度といわなければなりません。あくまで法案を固執しながら、しかもなお改進党の主張に同調するとせられるのは、まつたく矛盾撞着きわまれりといわなければなりません。(拍手)
 もとより、わが改進党は、国家公務員を問わず、地方公務員を問わず、あるいは現業、非現業を論ぜず、百八十万の国家公共団体に奉仕せらるる勤労者の今日の給与をもつて最善のものとするものでもなく、また仲裁裁定または人事院勧告をもつて不当とするものでもありませんが、裁定または勧告の真の精神、究極の目的とするところは、これを通じて公務員の生活の実質的かつ具体的な安定にあるべきであります。今日、かりに、赤旗に包まれたる集団的デモの興奮と激情と、これによつて引起される社会的不安のただ中にベース・アップが闘い取られたといたしましても、大局に立ち、将来に思いをいたしてこれを正視するとき、はたしてこれによつて真実なる生活の安定が確保され、保障できるでありましようか。(拍手)公務員の給与水準の引上げは民間賃金水準を参考として決定されるものでありますから、その反面、公務員の給与の引上げは、ただちに民間賃金の引上げを誘発することは、過去の事例に徴して明らかであります。その結果はストライキの続発となり、物価の高騰となり、輸出の不振に転じ、自立経済の瓦解に至ること必至であります。すでに、政府は、ベース・アップの要求に屈服するの代償として、米の消費者価格の引上げ、国有鉄道運賃、郵便料金の値上げを断行せんとしつつあります。主食の値は上り、交通通信費はかさみ、次いで電気、ガス、水道等の料金が上りましたならば、はたしてよく公務員の家庭の生活が安定することができ得ましようか。(拍手)
 思いをここにいたしますとき、いわゆる年末攻勢に屈服したるベース・アップは、まつたく当面を糊塗する、その場しのぎの近視眼的解決策でありまして責任ある国政担当者のとるべき正しい解決策とは絶対に称しがたいのであります。いわんや、このぺース・アップの波及するところは、単に公務員諸君の家庭にとどまらず、年末攻勢の武器を持たざるところの農民、中小企業者、小市民にただちにはね返り、都市と農村との間、官と民との間、富める者と貧しき者との間のギャップは拡大され、自立安定への道をたどらなければならない日本が逆に激烈なる階級闘争の場と化することは必至の成行きであります。(拍手)われわれ改進党は、かような事態の来るべきことを深く憂うるがゆえに、かつまたこれをあえて黙視することを得ざるがゆえに、徹底的な物価抑制の諸方策を断行するとともに、直接には消費者米価のすえ置き、並びに過般の税制調査会の答申にかかる国民負担の軽減を意図する税制の改正、すなわち源泉所得税の基礎控除の引上げ等の政策をただちに実行し、結果においては、ほとんどベース・アップの額に近接し、近き将来においてはこれをオーバーする実質的な公務員給与の改善を行い、もつて公務員の生活の真実なる安定を実現するとともに、広くは自立経済建設の礎をここに置かんとするものであります。これ本修正案の意図する第一点であります。
 次に、地域給に関する修正理由を簡単に申し上げます。地域給は、率直に申しまして、終戦後におけるインフレ高進時代の生活給的給与観念の遺物であります。給与は、インフレ激化時代においては必然的に生活給的性格を帯び、安定の時代に転ずるに従い能率給的性格が次第に強く加味されざるべからざることは申すまでもありません。また、本来地域給は、物価混乱の時代に、特殊の高物価地域に対し、本俸の補完的目的をもつて付加されたものであるにもかかわりませず、今日においては広く行われ、かつまた無級地と一、二級地との間においては物価は次第に平均化され、しいてこれを区別して取扱うの必要なきに至れることはもちろんのこと、むしろ人事の正常なる交流を妨げる等の欠陥を露呈しつつあることは申すまでもないことであります。従つて、衆参両院の人事常任委員会においても、すでにこれが廃止を目途として、さしあたり現行五段階制を三段階に圧縮することに全員賛成して参つているところであります。従つて、今回政府がその第一着手として四段階制を採用せられんとすることに関しては決して反対せんとするものではありません。ただ、その実施の方法として、すでに申し述べましたように、率然たるベース・アツプ断行の機会をとらえて、一部を本俸に繰入れることによつて、一面においては人事院勧告を尊重したりと弁じ、他面においては無級地を格上げし、かつ一段階を圧縮したりと説明せらるる両刀使いのごまかしに対しては、とうてい承服できないのであります。われわれ改進党は、将来における地域給制度の全廃を目標としつつ、当面の過渡的方策としては、本俸と地域給とを区別しつつ、無級地を一級地に格上げし、近き将来においてこれを本俸に繰入れんとする最も公明なる態度をとらんとするものであり、これ本修正案の第二点であります。(拍手)
 以上をもちまして改進党修正案のおもなる内容の趣旨弁明を終りますが、そのいずれも最も適切妥当なるものであり、何とぞ全員一致の御賛成を希望する次第であります。(拍手)
#37
○議長(堤康次郎君) 加賀田進君。
    〔加賀田進君登壇〕
#38
○加賀田進君 私は、両派社党会を代表いたしまして、ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案並びに特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する両派社会党の共同修正案につきまして、その提案の理由並びに要旨を御説明申し上げんとするものであります。(拍手)
 今回政府の提出いたしました改正法案は、去る七月十八日付をもつて国会と政府に対して行われた人事院勧告に基いて提出されたのであります。しかしながら、その内容は人事院勧告とほど遠いものがあつて、従来と同じく人事院勧告を無視して、政府職員の生活状態を真に顧みようとしない政府の態度をそのまま露呈したものであると言わざるを得ないのであります。(拍手)これは、勧告の三月現在における一万五千四百八十円ベースを表に押し出して来て、いかにも勧告を尊重したがごとき錯覚を政府職員や国民に与えようとする、欺瞞的な法案と言わざるを得ないのであります。従つて、両派社会党は、かかる不当な法案を適正に修正して、人事院の勧告を真に尊重して政府職員の給与を改善するために修正案を提出いたしたのであります。
 修正いたしました主要な点を申し上げますと、第一に、勤務地手当につきましては、去る第十六国会以後、人事委員会は、地域給に関する特別小委員会を設置いたしまして、数回にわたつて論議を重ねて得た結論であるところの、縮小するその条件としてベース・アップと切り離すこと、既得権を侵害しないこと等を考慮いたしまして、改正案のごとき、現行五段階を四段階に縮小して新俸給表に繰入れ、本俸増額の財源として、勧告の中にある新俸給表を適用するがごとき欺瞞政策を改めて、この際は現行通りの五段階に修正して、給与改訂後、別途にすみやかに地域給の根本的改正を行うことにいたしました。(拍手)
 第二に、六月及び十二月に支給する期末手当につきましては、民間の実情等を考慮いたしまして、その支給の割合を俸給、扶養手当及び勤務地手当の月額の合計額に対する百分の百に引上げることに修正をいたし、なお勤勉手当につきましては、現行通り十二月分を百分の五十支給することにいたしました。従つて、期末手当と勤勉手当の合計額は年間を通じて二箇月半となつております。しかしながら、本年の十二月十五日に支給される勤勉手当につきましては、政府の改正案通り〇・七五に読みかえることにわれわれは賛成をいたしております。
 第三に、実施期日につきましては、人事院勧告は実施期日を明示しておりませんので、はなはだ遺憾に存じますが、そのことは別といたしまして、人事院の行つた民間給与や消費物価指数等の調査対象が本年の三月の実態に基いていることから、本年四月以降とすべきが正しいのでありますけれども、人事院の勧告の提出された日、あるいはただいま論議の対象になつておりました三公社五現業の仲裁裁定等との関連性も考慮して、特にこのたびは八月一日といたしました。それゆえに、八月より現在までに支給された給与は内払いとみなして清算することといたしました。
 第四に、本年八月公布された一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律、いわゆる一般にいわれている教員の給与三本建につきましては、各教育職員間におきまして、今も自由党の方から説明がありました通り、盲学校、聾学校を頂点として、各種の不満や混乱、矛盾が多く発生していることを憂慮いたしまして、この際これを従来通りとするため、中小学校教育職員等級別俸給表を削りまして、高等学校等教育職員級別新俸給表を適用することといたしました。
 以上が一般職に関する修正の概要でありますけれども、特別職に対しましては、一般職の修正に準じて実施期日あるいは期末手当等を修正いたしました次第であります。
 最後に、今回の政府の改正案の中に見のがしてはならない点は、勤務地手当や実施期日のこともさることながら、新俸給表を見て参りますと、勧告と比較いたしまして、高級職員が犠牲になつたかのごとき印象を与える巧妙な方法が講じられておりますが、実はベース以外の特別調整額において、人事院勧告より最高五%も上まわる現行通りとして、逆に俸給表に現われている犠牲以上に擁護して高級職員を優遇しているのであつて、資本主義の典型的な手段がこの法案の中に含まれておるのであります。
 かかる不純な法案を修正して、人事院勧告を真に尊重している両派社会党の修正案に対して各党とも賛成され、百数十万の公務員の生活を保障されんことを切に要望いたしまして、本案の提案の理由といたす次第であります。(拍手)
#39
○議長(堤康次郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。赤城宗徳君。
    〔赤城宗徳君登壇〕
#40
○赤城宗徳君 私は、自由党を代表し、両派社会党の修正案及び改進党の修正案に反対し、委員長報告に賛成の討論を行わんとするものであります。
 地域給制度は、敗戦後生計費に著しい地域差を生じた際に、その生活費の均衡を得させようとして設けられた制度であります。しかしながら、生計費の地域差が少くなつた今日においては、地域給を存置せしむる理由が次第に薄弱化して来ました。よつて、地域給を廃止すべしとの論が相当強く主張されて来ております。私どもは、一挙にこれをなくすることは困難でありますので、漸次これを縮減して行く方針をとつております。この点において、地域給のうちその五%を本俸に繰入れ、現在の五段階を四段階に縮減せんとすることに賛意を表するものであります。しかし、問題は無級地の取扱いであります。政府案は、無級地を一級地に引上げて繰入れてあると称しながら、一般に納得し得る措置をとつておりません。よつて、自由党といたしましては、無級地をこの際はつきりと一級上に格上げする措置をとつておりますことは、まことに当を得たものであります。
 第二は、給与の中だるみを是正しておることであります。公務員の働き盛りの中堅階層が、その給与額において比較的不利な立場に立つておりますことは、しばしば指摘されて来ました。この点において、上に軽く下に厚い給与基準に改めたことは賛成の第二の点であります。
 第三に申し述べたいことがあります。人事院は、公務員の給与についてどの程度が適当であるかを政府及び国会に勧告する権限を持つております。しかしながら、政府及び国会は、これに拘束される義務や理由は全然ないのであります。というのは、民間給与は経営の実績とか利潤とかいうようなものから俸給が支払われるのであります。しかしながら、政府及び地方公共団体は、事業団体あるいは営利会社ではありません。従つて利益の中から賃金を支払うのではなくして、国民の税金を集めて、その中から俸給の支払いに充てるのであります。すなわち、国家公務員の使用主は国民全体であります。従つて国民の信託を受けている政府、あるいは国民の代表機関である国会は、国民全体とのにらみ合せの上に立つて、かつ国家財政の許す最大限度においてその給与額を決定しなければなりません。公務員諸君にとつて、俸給の額は多いほどよいに違いありません。私どもといたしましても、今回の給与額で満足だとは決して思つておりません。しかしながら、賃金や俸給を要求すべき手段方法を持つていない中小企業者、商工業者及び農民の多数が全国民の大部分を占めているのであります。公務員の給与決定については、これら中小企業者、農民等の実情をも考慮しなければなりません。公務員の給与問題は、帰するところ国民所得の分配問題であります。かかる観点から見まするときに、社会党の増額修正案に同調することはまつたくできないのであります。
 第四点といたしまして、社会党の修正案は、教職員給与の三本建を二本建に改めんとしております。教員給与の三本建は自由党数年来の主張でありまして、この法律は前々国会において通過し、二十九年一月一日より実施されることになつております。しかるに、いまだその実施を見ないうちに、かかる改正案を提出して混乱に陥れんとするがごとき社会党の態度には断固反対せざるを得ません。しかも、社会党の修正案において給与二本建といたしておりますことは、社会党諸君の主張の一本建がすでにその理由を失つていることをみずから立証しているものであります。(拍手)自由党修正案は、この三本建に一歩を進め、盲学校、聾学校教員の給与に、その職域の特殊性にかんがみ、高等学校教員の俸給表を適用せしむべきことを附則に加えたもので、まつたく実情に適した法律案であることを指摘いたしたいと存じます。
 第五に、改進党の修正案は、この際公務員のベース・アップをやめようというのであります。その根本的理由たる、減税と物価の低減によつて公務員の実質的賃金を上昇させればよいということに対しては、私どもといたしまして賛意を表するにやぶさかではありません。しかしながら、改進党修正案の中に、減税の措置も物価引下げの措置も講じていないとするならば、べ一ス・アップだけをとりやめようとすることには賛成できません。しかも、今日のベース・アップは来年一月より施行しようとするものでありまするが、人事院勧告にもある通り、一万五千四百八十円ベースはすでに本年三月にあるべき姿であります。すでにそれだけ低くなつているものを補つて行こうとするものであることを考えまするならばなおさらであります。
 第六に申し上げます。社会党の諸君が言うように、ベースは大々的に引上げよ、鉄道運賃や郵便料金は引下げよというような手品は、わが党としてはできません。あるいはまた、行政整理はするな、しかもベース・アップは大々的にやれというような手品もできません。インフレによつて最も打撃を受けるのは勤労者階級であります。社会党の諸君が、私どもとともに最もインフレを恐れながら、みずからインフレに追い込むような矛盾した政策をとらんとすることは、私どものまつたく理解に苦しむところであります。(拍手)私どもは、行政整理、物価の引下げ等によつて公務員諸君の名目賃金が実質賃金と一致するような万全の措置をとらんとしておるのでありますが、これとともに、適当なるベース・アツプをこの際認めるのであります。
 最後に指摘しておきます。本年七月発表されました二十八年度経済白書によりまするならば、二十七年度の国民の消費水準は、都市、農村を総合し、前年に比べて二八%の飛躍的上昇を記録しておると述べております。しかも、その原因は、ベース・アップと一千億の減税のしからしむるところだとつけ加えております。給与の引上げは社会党の専売のごとく言つておりますが、何ぞはからん、今までの給与の引上げと減税とはわが自由党内閣の手によつて解決されて来ており、また現にその解決を進められんとしておるのであります。
 私はここにはつきりと結論を出します。私どもは、中小企業者、農民、勤労者その他全般のにらみ合せの上に、今日の段階においては政府原案のべース・アップが最も適当なりと断じ、両派社会党、改進党の修正案に反対し、委員長報告通り賛成するものであります。(拍手)
#41
○議長(堤康次郎君) 池田清志君。
    〔池田清志君登壇〕
#42
○池田清志君 私は、改進党を代表し、本議題に関し改進党の修正案に賛成し、政府の原案及び左右両社会党の修正案に反対するため、ここに討論を進めんとするものであります。
 今次の戦いにより、わが国の経済は徹底的に壊滅し、資本及び蓄積は消耗し、領土及び勢力圏を剥奪せられ、世界の各地に雄飛しておりましたところの日本人すべてがこの四つの島に押し返され、ここに同胞八千六百万の祖国新日本が生れたのであります。占領治下における米国の対日援助や、朝鮮動乱後における特需は、わが国経済復興の誘い水として効顕があり、国民の努力と相まつて今日の復興を見ておりますることは御同慶にたえません。しかるに、戦後八年の間に、自力復興の強固たる政治がなく、いたずらに外国に依存する平易なる他力本願経済であり、従つて国民また安逸なる消費経済に狂奔し、国家の再建、経済の建直しに対する勇猛心起らず、独立愛国の信念さえも奮い立つに至つておりませんことは、まことに遺憾とするところでございます。生産は上らず、貿易は振わず、物価は高騰し、通貨価値は低落の道をたどり、インフレは高進し、国民生活の圧迫を来しつつある現状に対してもはや従来の惰性による政治によつては、わが国の経済破滅を防止することはとうてい不可能であると断ずるものであります。(拍手)ここにおいて、われわれは、外国依存の安易な道になれて来たことを反省し、時としてインフレを助長するがごとき施策を弄したことのあつたことを率直に悔い改め、怒濤のごとく押し寄せんとするインフレに断固として対処し、自力にとつて経済の建直しを断行せんとするものであります。
 占領政策により、わが国の自衛力はゼロになつてしまいました。すなわち、占領軍当局は、わが国の戦力を消滅せしめんために、憲法の改正を初めとする一連の施策により占領政策の目的を達成し、わが国は自衛力皆無の状態において独立を認められたのであります。しかるに、わが国が平和条約とともに調印をいたし、この国会が承認を与え、批准されておりますところの日米安全保障条約においては、すでに調印のその当時、日本の自衛力がゼロであることは日本の防衛上困るとの結論に達し、これを補うために米国の陸海空軍をわが国に駐留せしむることに意見が一致し、この条約が締結せられ、ここに米軍の駐留となつておるのであります。この姿は、独立国日本の真の姿であります。(拍手)すべからく、わが国は、国力に応じ、自力による防衛態勢を自主的に確立し、米駐留軍の撤退を期し、自力による自国の防衛をはかるとともに、世界の平和に寄与しなければなりません。わが改進党が民主的自衛軍の創設を提唱するゆえんはここに存します。(拍手)
 以上の経済自立、自力による防衛は、独立国日本が万難を排して断行しなければならない問題であります。日本人の血が流れ、日本人の顔をしておりますものでありますならば、これに何人も異存のないところであります。(拍手)もしそれ、政府がこの憂国敬民の熱情からほとばしる抜本的政策を樹立せらるるならば、われわれは敢然としてこれに同調し、その実現に協力せんとするものであります。(拍手)
 この殿堂に、士農工商を象徴する彫物が刻まれております。しこうして、公務員はその士に当るものであると思います。これは、その神聖なる殿堂においては、国民監視のもと、四民平等の政治、国民全般の福祉を増進する政治を行えという教えであると解します。政治家はすべからく国政全般を勘案することが必要であり、士農工商、国民全般の福祉を増進しなければなりません。この観点からいたしますとき、公務員の給与を取上げんとする際、農工商の状態ははたしてどうだ。(拍手)たび重なる水害にあい、不況のために、かわいい娘を売るという農家があるではありませんか。資本なく、金融なく、事業をたたむ中小商工業者がありますることは、皆様新聞で御承知の通りであります。
 これら農工商には給与制度なく、恩給制度なく、退職金制度なく、労働運動をすることもなく、すべて自己の力によつて運命を開拓しつつあるのであります。四民平等、国民の福祉をはかるべき政治においては、窮境に立つこの農工商に対する施策をはかることを忘れてはなりません。すべからく、政府は、公務員の給与改訂にあたつては、農山漁民、中小商工業者の窮境を打開する総合施策をあわせて行うべきであります。
 わが改進党は、これらの総合施策を指摘し、政府が実施せんとする消費者米価の引上げは見合せなさい、税制調査会の答申による減税をいたしましようと、こういうことを提言し、これを国民の生活に関係を持たしめまして、これらの事柄とにらみ合せて公務員の給与も考えるべきであることを主張し、また来年度の予算には重大な関連を有しまするから、いましばらく研究すべきであることを強調したのであります。しかしながら、政府はこれに耳を傾けず、農山漁民、中小商工業者、国民一般の生活苦を緩和する方途を講ずることなく、公務員の給与のみを取上げんとするごときは、あまりにも不公平、不平等、へんぱの政治であると断ぜざるを得ません。
 政府は鉄道運賃及び郵便電信料金を値上げせんとしております、米は上り、運賃、電信料金が上ることは物価騰貴の原因であります。かくては、物価は上り、通貨の価値は下落し、いよいよもつて国民は生活に苦しむばかりであります。かかることをやめて、物価騰貴、生活苦の原因となる病根に対しメスを加え、切開手術をすべきであるというのが、われわれの主張であります。
 かの霊峰富士の姿は不減であります。諸君、独立国日本の姿もまた、敗れたりといえども、雲上高くそびえ立つあの霊峰富士のごとく、気品高く毅然たるものたらしめようじやないか。私は、るる述べ来つたところによりまして、国を憂え、国を救わんとする私の信念に照して見まするとき、枝葉末節を論ずるまでもなく、われわれの信念にかなうところの改進党の修正案に賛成し、およそその信念に遠ざかるところの政府の原案及び左右両社会党の修正案に反対し、ここに討論を終る次第であります。(拍手)
#43
○議長(堤康次郎君) 岡良一君。
  [岡良一君登壇]
#44
○岡良一君 私は、ただいま提案されましたる一般職並びに特別職の給与に関する法律案について、政府の原案、自由党の修正案並びに改進党の修正案に反対をいたしまして、両社会党が共同提出をいたしましたる修正案に賛成の趣旨弁明をいたしたいと思います。
 もともと両社会党の共同修正案、委員長もすでにその報告において述べられましたるごとく、人事院勧告の完全なる実施を目標といたしましたものであつて、これは、単に両社会党のみならず、国家と地方の公務員、全国実に百七十万の公務員諸君の切実な要求であり、また年の瀬を控えて、その台所を預かる主婦や子供たちの切なる願いでもあつたのである。(拍手)それを政府は無慈悲にもしりぞけ、しかも人事院の勧告を完全に歪曲いたしておる。言うまでもなく、人事院は、争議権等の奪われた公務員に対し、その対価として生活の保障に任ずべき権限と責任を法律上明らかに持つておるのである。従つて、政府といたしましても、勧告を受けた国会といたしましても、その勧告については、これを尊重すべきまことに厳粛なる道義的責任があることは、私の指摘するまでもないところである。(拍手)従つて、政府今般の措置は、その内容において、みずからこの責任を放棄し、人事院の権威を無視するばかりではない。一方においては、人事院勧告の尊重というがごとき空名を掲げて、公務員と国会を瞞着せんといたしておるのであつて、政府の責任は二重に重大であると私は指摘せざるを得ないのである。(拍手)このように、政府みずからが法の精神を無視し、しかも法の厳正なる実施を要求して闘う公務員諸君や公企業体労働者に対しては権力をもつて干渉せんとする。これではいつの日に綱紀の粛正や道義の高揚が求められるのであるか。粛正さるべきは、公務員や公企業体の労働者ではなく、むしろ政府そのものであると私は言わざるを得ないのである。(拍手)わが党は、この意味において、政府原案並びに自由、改進両党の修正案を返上いたすものである。
 この内容についても、第一には、人事院勧告は今年の七月十八日に政府並びに国会に行われたものであり、そのいわゆる給与ベースについては、実に本年の三月までの消費者物価指数、生計費指数、民間賃金の上昇率などを主たる基準として算定いたしたものである。従つて、政府は、当然の責任として、われわれ両社会党が要求したるごとく、第一次の予算の補正においてこれを計上し、八月一日より実施すべきであつたのである。これを暮れも押し詰まつた十二月に送り込んで、しかも三月一日における一万五千四百八十円ベースを十箇月も越えて明年一月一日より実施せんとしておる。その結果は、一四%のベースの引上げは、実質的には九%にとどまり、しかも来年は、それと呼応して、米価の引上げはただちに公務員の家庭に一%の家計支出の増大となつてはね返つて来るのであつて、ベース改訂の意味というものはまつたく失われてしまつておる。これでは文字通り羊頭を掲げて狗肉を売るものと言わざるを得ないのである。(拍手)
 地域給に対する取扱いにいたしましても、政府は、今回の改正にあたり、無級地を全部一級地に引上げ、一級地の勤務地手当を本俸に繰込まんといたして――現行の勤務地手当を現実に即して合理化し、またその均衡をはかるべきはかねての懸案であり、さればこそ、衆参両院の人事委員会も明確にその意思の表示はいたして参つておる。しかしながら、われわれが給与改訂に際して勤務地手当そのものの繰入れをはかるべしと政府に進言したる意図は、断じて勤務地手当の改正によつて基本給に手を加えよと申したのではない。しかるに、政府の今般の改正によれば、給与改訂の実施期日を遅らせることによつて、一四%の引上げが九%そこそこに押えられたのみならず、零級地引上げに要する財源がそれだけ他の公務員のベース・アップを減少せしめる結果となつておるのであつて、(拍手)これは政府において国会の意思を無視するばかりではなくて、しかも四級地、五級地等における家族持ちの中堅公務員の実態を考えるならば、まことに気の毒な状態になつておることは、数字をもつてしても明らかである。
 さらに越年手当は、期末手当〇・五、勤勉手当〇・七五と相なつておる。六月には期末手当として〇・七五を支給しながら、暮れと正月を控えて生活資金のかさばる暮れの手当は六月より下まわつて〇・五である。勤勉手当は本年だけ〇・七五に引上げようという。地域給といい、期末手当といい、まつたく給与予算の大わくを押えられ、その中で、算的に、きわめて無方針で何とかつじつまを合せようというところに、このような矛盾と不合理が生れて来ておるのである。ここにわれわれの反対の第二の理由があるのである。
 このようにして、公務員には苦しい年の瀬が迫る。年が明ければ米の値が上る。年度がかわれば首切り行政整理だ。争議をしようにもその権利が取上げられて、頼みとする人事院さえも廃止の運命がとりざたされておる。たまたま勧告を行つても、政府は馬耳東風である。行政の第一線に働く百七十万の公務員がこのように踏んだりけつたりのしうちをされて行政の民主化、能率化のためにいかに貢献しようとしたつて、できるはずはないと私は言わざるを得ないのである。(拍手)この点からも政府の責任は重大であると思う。
 以上の観点からして、私どもは先ほどの説明にあつたごとき修正案を提出しておるのである。われわれは、一昨日の予算案の審議においても、給与改訂三百十四億、期末手当は三公社五現業を加えて三百十八億、その財源は、保安庁費の削減、防衛支出金未使用分の削減、安全保障費の未使用分の削減等をもつて充てろと主張いたしたのである。政府並びに改進党の諸君は、給与を押え、あるいはその引上げに反対する理由として、いわゆる物価の安定、インフレの防止、国際競争力の培養と申しておる。しかし、このような論拠は、公務員の給与改訂についてのまつたくの認識不足から出て来ておるのである。公務員の給与については、民間の賃金や、物価の値上りや、さらには生計費の膨脹を中心として勧告をされるのであつて公務員が、民間の賃金に比べ、物価や生活費の値上りに比べても、どうしてもこれでは低過ぎるというところから、その値上げが勧告されるのである。言いかえれば、公務員の生活を遅ればせながら人並なものにしようというのが給与改訂なのである。従つて、人事院勧告の三月一日付一万五千四百八十円ベースにしても、そのエンゲル係数は五〇を示しておるのであつて、理論的にはまだまだ文化的な水準にはほど遠いのである。このように足りないものを、それもきわめて不十分に補うことによつて、一体どこに浪費に値する購買力が生れて来るのであるか。まつたく給与改訂がインフレの要因であるなどということは日経連のお先棒でしかないと私どもは言わざるを得ない。インフレ悪化の要因、物価の大宗とも言うべき消費者米価を引上げ、鉄道運賃や通勤バスの料金を引上げ、郵便料金を引上げ、やがては電力料金も引上げられようとしておる。実にこのようにして、通貨の安定、インフレの防止を説く口の下からインフレの種をまき散らしておるのが政府ではないか。しかも、この結果がほとんど大衆の生活にしわ寄せをして来るのである。諸君のインフレ悪化防止、諸君の通貨安定の方策なるものは、ひつきよう公務員や労働者の犠牲においてのみ可能であると言えるのであつて、われわれは、かくのごとき資本主義的なるインフレ防止政策に対しては断固として対決せざるを得ないのである。(拍手)
 われわれは、社会主義の党として、インフレ防止の政策は諸君のそれと根本的に対決をする。一切の国費を不生産的な分野からできるだけ引揚げ、これを国土の保全や資源の開発、産業の公共管理や国民生活の安定に投入せよと言うのである。一昨日のこの会議場においてもしばしば西ドイツの事例があげられておる。西ドイツの通貨管理の成功、その経済復興、貿易の振興――池田勇人氏は、帰朝談において、西ドイツの防衛費は総予算の三割七分であると言つておる。しかしながら、西ドイツにおいては、軍事費の三七%に対して社会保障制度費も実に三七%に達しておるのである。西ドイツのみならず、今や世界の各国における政治の舞台においては、一国の平和を他国の侵略から守らんとする政策と、国民の生活を貧困から守らんとする政策は、同等な権利と存在を主張しておるのである。しかるに、わが国においては、防衛費が総予算の一四%、社会保障制度費は九%を下まわつている。しかも、委員会において、大蔵大臣は、二十九年度においては防衛費はさらに上まわるであろうと言つておる。MSAの受諾に伴う防衛費の義務的な支出、このようにして、われわれは、政府原案、あるいはまた改進党、自由党修正案が、明らかに諸君の基本的な再軍備と憲法無視の政策に連なつておることを理解せざるを得ないのである。
 この意味において、われわれは、憲法を守り、生活を守り、ひもつき援助より貿易の振興を、経済の自立をという立場において、この政府原案並びに保守二党の修正案に対しては断固として反対をすることを申し上げる次第であります。(拍手)
#45
○議長(堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。まず、日程第十一、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する舘林三喜男君提出の修正案につき採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#46
○議長(堤康次郎君) 起立少数。よつて舘林三喜男君提出の修正案は否決されました。
 次に、本案に対する加賀田進君外六名提出の修正案につき採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#47
○議長(堤康次郎君) 起立少数。よつて加賀田進君外六名提出の修正案は否決されました。
 次に、日程第十一、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#48
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り決しました。
 次に、日程第十二、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する舘林三喜男君提出の修正案につき採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#49
○議長(堤康次郎君) 起立少数。よつて舘林三喜男君提出の修正案は否決されました。
 次に、本案に対する加賀田進君外六名提出の修正案につき採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#50
○議長(堤康次郎君) 起立少数。よつて加賀田進君外六名提出の修正案は否決されました。
 次に、日程第十二、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#51
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#52
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、関税及び貿易に関する一般協定のある締約国と日本国との通商関係の規制に関する宣言への署名について承認を求めるの件を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#53
○議長(堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 関税及び貿易に関する一般協定のある締約国と日本国との通商関係の規制に関する宣言への署名について承認を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長上塚司君。
    〔上塚司君登壇〕
#55
○上塚司君 ただいま上程いたされました関税及び貿易に関する一般協定のある締約国と日本国との通商関係の規制に関する宣言への署名について承認を求めるの件に関する外務委員会における審議の経過及び結果について御報告申し上げます。
 本件はガツトヘの仮加入に関する件でありまして、わが国はかねてからガツトに加入することによつて通商を振興することを希望して参つたのでありますが、一昨年九月ジユネーヴで開かれましたガット締約国間の第六回会期におきまして、ガツトヘの簡易加入手続が採択されましたので、わが国は、この簡易手続に基いて、昨年七月十八日付をもつてガツトヘの加入の前提である関税交渉開始方の申請を行いましたところ、種々の経緯はございましたが、結局締約国団の特別会期において審議される運びとなつていたのであります。しかるに、その後米国の共和党政権が対外政策全般の再検討を終るまでは大規模の関税交渉を行わない方針を決定いたしましたので、他の締約国も米国を除いた関税交渉は意味がないとの態度をとることになりましたために、この特別会期は開かれず、従つて、わが国のガツト加入はさらに延期されることとなつたのであります。そこで、わが国は、右困難を打開するために、関税交渉なしで実質上ガツトに加入したと同様の利益に均霑する道を開くことに努めることといたしまして、去る九月十七日からジユネーヴで開かれました第八回会期において、会議における折衝と並行しまして、その関係国に対し仮加入に関し種々交渉を行つた結果、幸いにして、十月二十三日、ガツト加盟国三十三箇国のうち、賛成投票二十七票、反対投票なく、棄権六票をもつてわが国の仮加入が認められ、わが方の希望を満足せしむる文書が作成されるに至つたのであります。
 しこうして、この仮加入に関しましては二つの文書が作成されたのであります。すなわち、ただいま議題となりました関税及び貿易に関する一般協定のある締約国と日本国との通商関係の規制に関する宣言と、ガツト締約国団の決定との二つの文書であります。宣言の方はわが国とガツト締約国中の希望国との共同宣言の形をとつておりまして、これにより、わが国がガツトヘの正式加入まで、または明後年六月末日まで、この宣言によつてこれに参加する一般協定締約国との間の通商関係がガツトの規定によつて律せられることとなり、これと関連いたしまして採択されました決定により、関税及び貿易に関し国際的発言権を得ることとなつたのであります。
 本件は、十二月二日に本委員会に付託されましたので、三日、五日、七日にわたり慎重に審議いたしました。その詳細については委員会議録に譲ることといたします。
 質疑応答を終つて討論を行いましたところ、自由党を代表し福田篤泰君、改進党を代表し須磨彌吉郎君、日本社会党を代表し神近市子君及び日本社会党を代表して戸叶里子君よりそれぞれ賛成の意見を表明され、採決の結果、全会一致をもつて本件に承認を与えることに決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#56
○議長(堤康次郎君) 採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#57
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本件は委員長報告の通り承認するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#58
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、昭和二十八年度分の地方財政平衡交付金の単位費用の特例に関する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#59
○議長(堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 昭和二十八年度分の地方財政平衡交付金の単位費用の特例に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事難尾弘吉君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔灘尾弘吉君登壇〕
#61
○灘尾弘吉君 ただいま議題となりました昭和二十八年度分の地方財政平衡交付金の単位費用の特例に関する法律案について、地方行政委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 御承知のごとく、去る第十六回国会において成立いたしました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴い、明年一月からいわゆる教員給与の三本建制が実施されますのと、今国会において提案されております国家公務員に対する期末手当等の増額並びに明年一月からの給与改訂の実施等を内容とする法案が成立いたしますならば、これに準じて地方公務員につきましても同様の措置がとられることとなります結果、これらに要する経費は当然地方団体の財政需要の新たな増加となつて参りますので、国がこれに対する財源措置を地方財政平衡交付金によつて行います場合、すでに本年八月三十一日に決定した各団体に交付すべき平衡交付金の普通交付金の額の算定に用いました単位費用を改正して、あらためて基準財政需要額め算定をいたすことが必要となるのであります。すなわち、単位費用の積算の基礎に職員の設置を予想している行政項目につきましては、すべてこれら経費の増額を織り込まなければならないのでありまして、橋梁費、災害復旧費等二、三のものを除きまして、ほとんどすべてについて改正を行うこととなるのであります。しかして、この改正は本年度についてのみ適用される性質のものであります等のため、本法を改正する方法によらないで、特例法として提出されたのであります。
 本法案は、十二月四日本委員会に付託せられましたので、即日塚田自治庁長官から提案理由の説明を聴取し、本七日質疑を終了、ただちに討論採決を行いましたところ、多数をもつて本法案を可決すべきものと決した次第であります。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#62
○副議長(原彪君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#63
○副議長(原彪君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#64
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、保安庁職員給与法の一部を改正する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#65
○副議長(原彪君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#66
○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 保安庁職員給与法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員長稻村順三君。
    〔稻村順三君登壇〕
#67
○稻村順三君 ただいま議題になりました保安庁職員給与法の一部を改正する法律案について、内閣委員会における審議の経過並びに結果を簡単に御報告申し上げます。
 本案の要旨は、明年一月一日から実施される一般職の国家公務員の給与改訂に対応して、保安庁職員の給与を改訂しようとするものであります。俸給については、一般職の国家公務員の新俸給表を基準とし、従前と同様の方法で新しい俸給表を定めるとともに、保安大学校の学生に対する学生手当、営外手当並びに昇給間差額等を改正し、保安大学校の教官その他の教育職員について、一般職の教育職員級別表にならつて、新たに教育職員俸給表を設けることにいたしております。なお、本年十二月に支給する期末手当及び勤勉手当についても一般職の国家公務員と同様の措置を講じており、さらに同一俸給表の適用を受ける保安庁の職員相互間において職種を異にして異動した場合における俸給額の決定について一般職に準じた措置がとれるよう規定の整備を行つております。
 本案は十二月三日本委員会に付託、政府の説明を聞き、自衛力漸増計画と保安庁法改正との関係、日米会談、MSA援助と防衛計画との関係、北海道駐屯部隊に対する暖房費の増額並びに同地勤務隊員、なかんずく下級隊員に対する処遇政善問題、その他保安庁調達関係職員のたび重なる不始末に関する責任問題等について熱心な質疑応答を重ね、十二月七日討論に入りましたところ、平井委員は自由党を代表して、本法案は一般職の国家公務員の給与改訂に対応するものであり、かつ人事委員会の修正は本法案には実質的な関係なしとして原案に賛成、高瀬委員は改進党を代表して、一般職の国家公務員の給与改訂に対する改進党の態度と同様、期末手当、勤勉手当については異議はないが、昭和二十九年度予算編成とにらみ合せ、給与の引上げには反対の立場から原案に反対、細迫委員及び冨吉委員はそれぞれ両派社会党を代表して、保安庁そのものには反対であるが、すでに一般職職員の給与法が改正せられたことではあり、かつ現在の隊員の給与改善は勤労者としての生活権を擁護せねばならないという立場から、それが決して保安庁の存続そのものを認めるものではないことを明らかにして原案に賛成し、辻委員は小会派を代表して、北海道勤務隊員の特別待遇改善を条件として原案に賛成し、採決の結果、多数をもつて原案の通り可決いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#68
○副議長(原彪君) 採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#69
○副議長(原彪君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#70
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、食糧管理特別会計の昭和二十八年産米穀に係る供出完遂奨励金の支払財源の一部に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案、漁船再保険特別会計における特殊保険及び給与保険の再保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入に関する法律案、一般会計の歳出の財源に充てるための米国対日援助物資等処理特別会計からする繰入金に関する法律案、右三案を一括議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#71
○副議長(原彪君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#72
○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 食糧管理特別会計の昭和二十八年産米穀に係る供出完遂奨励金の支払財源の一部に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案、漁船再保険特別会計における特殊保険及び給与保険の再保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案、一般会計の歳出の財源に充てるための米国対日援助物資等処理特別会計からする繰入金に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事淺香忠雄君。
    〔淺香忠雄君登壇〕
#73
○淺香忠雄君 ただいま議題となりました三法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず食糧管理特別会計の昭和二十八年産米穀に係る供出完遂奨励金の支払財源の一部に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案について申し上げます。この法律案は、食糧管理特別会計におきまして、米穀の生産者が食糧管理法の規定に基き政府に売り渡す昭和二十八年産米穀につきましては、供出の促進と確保をはかるため、石当り八百円の供出完遂奨励金を交付することになつておりますので、その支払財源として、その半額に相当する五十六億四千万円を一般会計から食糧管理特別会計に繰入れることができることといたそうとするものであります。
 本案につきましては、審議の結果、本七日質疑を打切り、ただちに討論に入りましたところ、社会党を代表して佐藤委員並びに井上委員はそれぞれ反対の旨述べられました。次いで採決に入りましたところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決いたしました。
 次に、漁船再保険特別会計における特殊保険及び給与保険の再保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案について申し上げます。この法律案は、漁船損害補償法の規定により漁船の拿捕、抑留等の事故を保険事故とする特殊保険及び漁船乗組員給与保険法の規定により漁船の乗組員の抑留を保険事故とする給与保険につきまして、昭和二十八年度において保険事故が異常に発生いたしましたため、漁船再保険特別会計の支払い財源に、特殊保険勘定においては約一億七千七百万円、給与保険勘定においては約七百万円の不足が予想されますので、この不足金を一般会計からの繰入金をもつて補填いたそうとするものであります。
 本案につきましては、審議の結果、本七日質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決いたしましたところ、起立総員をもつて原案の通り可決いたしました。
 最後に、一般会計の歳出の財源に充てるための米国対日援助物資等処理特別会計からする繰入金に関する法律案について申し上げます。この法律案は、米国の対日援助の打切りによつて現在清算事務の段階に入つている米国対日援助物資等処理特別会計におきまして、昭和二十八年度の剰余金が約十三億三千四百万円に達する見込みでありますので、この金額を一般会計の歳出の財源に充てるため繰入れようといたそうとするものであります。
 本案につきましては、審議の結果、本七日質疑を打切り、討論を省略して、ただちに採決いたしましたところ、起立総員をもつて原案の通り可決いたしました。
 はなはだ簡単でありますが、右御報告申し上げます。(拍手)
#74
○副議長(原彪君) 討論の通告があります。これを許します。井上良二君。
    〔井上良二君登壇〕
#75
○井上良二君 私は、両派社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりましたうち、食糧管理特別会計の昭和二十八年産米穀に係る供出完遂奨励金の支払財源の一部に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案に反対の意思を表明するものであります。
 御承知のように、両派社会党は、本年産米の価格決定にあたり、生産者価格を石当り一万二千円、消費者価格は十キロ当り六百八十円にすえ置くという二重米価制度の採用を強く要望して、国民の望むところを率直に訴えて来たのでありますが、依然として農民には低米価、消費者には高米価という吉田内閣の一貫した貧乏人いじめの政策に対しては、われわれ断固として容認し得ないところであります。(拍手)従つて、われわれ両派社会党は、まず本法案の基礎となつている根本問題を指摘し、本法案に反対の立場を明らかにしておきたいと思うのであります。
 政府は、本法案によつて、具体的には供米完遂奨励金石当り八百円の半額四百円を義務供出量一千四百万石分に限つて食管会計に繰入れようとしているのでありますが、この措置こそ、生産者米価の抑圧、消費者米価の大幅引上げの法的、予算的根拠となるものでありまして、特にこの際指摘しておきたいのは、本年の米価決定をめぐる政治的責任であります。前の国会において、この米価問題について自由党、改進党、鳩山自由党の三党が協定を行い、二重価格への一段階として、供米完遂奨励金を一挙に八百円に増額しましたことは、いまだ記憶に新しいところであります。この供米完遂奨励金の大幅の引上げは、基本米価の決定が低いことを予想して、その低米価を補う意味で引上げられたはずであります。従つて、この奨励金は当然全供出量に対して支払わるべきものであることは言うまでもありません。しかるに、政府は、義務供出分に限つてこれを予算化しているのである。このことはまさに三党協定への完全な裏切りであると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)政党政治家としてわれわれがこのことを見ます場合において、特に改進、自由両党の方々に申し上げたい。諸君はまさか本法案の内容を御存じないとは言えまい。国家の最高機関に参加する政党、その公党として双方が協定されたことが、今諸君が支持するその政府によつて蹂躪されておるのに対して、一体どんな顔をしてこの法案に賛成しようとしておるのですか。(拍手)特に改進党は、口を開けば、消費者米価をすえ置く、生産者米価は生産費を償う価格を決定すると常々申して来ておる。しかるに、それとはまつたく反対の方向を決定しておる案に対して、これに改進党が賛成するというのは、一体改進党の農民への公約と公党としての面目はどこへ行つたのです。(拍手)そんなべらぼうな公党は天下にありません。(拍手)
 反対の第二の理由は、消費者米価の改訂であります。政府は、明年一月消費者米価を十キロ八十五円方引上げまして七百六十五円に改訂せんといたしております。この消費者米価を改訂して十キロ八十五円上げたところで消費者家計への影響は大したことはない、こういうことを宣伝いたしておりますけれども、政府の本年の産米収穫の予想、これの割当、買入量、これが年間の内地米の配給の上に非常なきゆうくつをもたらして参りまして、おそらく四月以後においては、内地米の配給は、消費地においてはわずかに十日、いや五日分を切るのではないかと予想されておるのであります。そうしますと、消費者は、内地米の配給が減りますならば、当然やみ米に対する関心を高め、また残余は、十日分の外米がかりに配給されるとしても、外米の品質が非常に悪い現実から、その栄養が十分に確保できない点から、当然粉食の方向に関心を向けざるを得ません。しかしながら、バターは足りず、あるいはまた魚肉、牛肉、その他蛋白、脂肪の給源が思うようでない今日、これらの全体の家計へもたらして参ります負担は今後相当重加されることは必至でございます。政府は米価に対する財政支出がインフレを助長すると申しておりますけれども、これは農民の低米価と、消費者米価を引上げることについての口実でありまして、他の産業には巨額な財政支出をしながら、米価のみ財政支出を拒否するのは一体どういうわけでありますか。政府の言うているこの政策こそ、国民を階級的な対立の中に巻き込み、物価をつり上げ、インフレに追い込むものと言わざるを得ないし、自由党の政策の重大な欠陥がここに暴露しておると言わなければなりません。(拍手)
 さらに、このインフレを助長するものとして食管会計の問題をあげねばなりませんが、政府が誤まつたコスト主義を振りまわしていることはおよそナンセンスにすぎませんが、問題を食管会計にしわ寄せして、すべてを消費者価格に転嫁しようとする態度は許せないのであります。しかも、その結果、明年四月以降の食管会計には三百八十億に上る赤字が予想されております。その三百八十億に上る明年度四月以降の赤字に対しても何らの対策を立てず、ただ表面を糊塗することは、これまた必然にインフレ経済を容認する結果となるのであります。
 以上三つの点を要約するのに、本案は公党間の協定に対する背信であること、直接的には勤労者、農民を収奪する意図を持ち、さらに日本経済を再び破滅に導くものであります。今や、農民は災害にあえぎ、勤労大衆は赤字の家計に苦しみ、食糧事情の不安におののいているのであります。この国民生活の現実をまつたく無視した吉田内閣の大衆収奪政策には断じて承服ができないことを申し上げ、ここに本法案に対する反対の意思を表明いたしまして討論を終る次第であります。
#76
○副議長(原彪君) これにて討論は終局いたしました。
 まず、食糧管理特別会計の昭和二十八年産米穀に係る供出完遂奨励金の支払財源の一部に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#77
○副議長(原彪君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に、その他の両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#78
○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#79
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、議院運営委員長提出、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#80
○副議長(原彪君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#81
○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。議院運営委員会理事坪川信三君。
    〔坪川信三君登壇〕
#82
○坪川信三君 ただいま議題となりました国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案について、提案の理由を簡単に御説明いたします。
 本案は議院運営委員会において立案したものでありまして、今回一般職の国家公務員の俸給、期末手当及び勤勉手当が増額されることになりましたので、これに対応いたしまして議員秘書の給料及び期末手当並びに勤勉手当も改訂する必要を認め、本案を提出した次第であります。
 秘書の給料は現在一万九千二百円でありますが、その職務にかんがみ二万一千九百円といたしました。また期末手当等は、一般職の国家公務員と同一の増給率によつて改訂することにいたしました。しかして、本法律案中、本年十二月に支給する期末手当及び勤勉手当の改正については本法公布の日から、その他は明年一月一日から施行することにいたしました。
 何とぞ御賛成あらんことを希望いたしまして、本法案の説明を終了いたします。
#83
○副議長(原彪君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#84
○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
    ―――――――――――――
#85
○荒舩清十郎君 残余の日程はこれを延期し、明八日定刻より本会議を開き、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
#86
○副議長(原彪君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#87
○副議長(原彪君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後六時二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト