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1953/12/03 第18回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第018回国会 法務委員会 第2号
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1953/12/03 第18回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第018回国会 法務委員会 第2号

#1
第018回国会 法務委員会 第2号
昭和二十八年十二月三日(木曜日)
    午後一時五十分開議
 出席委員
   委員長 小林かなえ君
   理事 鍛冶 良作君 理事 佐瀬 昌三君
   理事 田嶋 好文君 理事 花村 四郎君
   理事 吉田  安君 理事 古屋 貞雄君
   理事 井伊 誠一君
      林  信雄君    鈴木 幹雄君
      猪俣 浩三君    木原津與志君
      木下  郁君    佐竹 晴記君
 出席政府委員
        法務政務次官  三浦寅之助君
 委員外の出席者
        検     事
        (大臣官房人事
        課長)     布施  健君
        検     事
        (大臣官房調査
        課長)     位野木益雄君
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局事務次
        長)      石田 和外君
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局人事局
        長)      鈴木 忠一君
        専  門  員 村  教三君
        専  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
十二月三日
 委員鈴木茂三郎君辞任につき、その補欠として
 飛鳥田一雄君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
十二月二日
 裁判官の報酬に関する法律の一部を改正する法
 律案(内閣提出第七号)
 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出第八号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出第七号)
 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出第八号)
    ―――――――――――――
#2
○小林委員長 これより会議を開きます。
 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案並びに検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、以上二案を一括議題とし、政府より法案の趣旨説明を聴取いたします。
    ―――――――――――――
三浦法務政務次官。
  裁判官の報酬等に関する法律の一
  部を改正する法律案
   裁判官の報酬等に関する法律の
   一部を改正する法律
  裁判官の報酬等に関する法律(昭
 和二十三年法律第七十五号)の一部
 を次のように改正する。
  第十五条中「四万三千三百円又は
 三万八千八百円」を「四万七千五百
 円又は四万二千七百円」に、「五万六
 千七百円」を「六万九百円」に改め
 る。
  別表中判事、判事補及び簡易裁判
 所判事の項を次のように改める。
    ―――――――――――――
#3
○三浦政府委員 ただいま議題になりました裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由を便宜一括して御説明申し上げます。
 政府は、最近における生計費及び民間の賃金の変動その他の事情にかんがみまして、国家公務員の給与を改善する等の必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出し、現に御審議を仰いでおりますことは御承知の通りであります。
 そこで、裁判官及び検察官についても、一般の政府職員の例にならい、その給与を改善する措置を講ずるためこの両法律案を提出した次第であります。
 この両法律案においては、右の趣旨に従い、裁判官及び検察官の報酬または俸給の額を増加するために、両法律の各別表を改正するとともに、裁判官の報酬等に関する法律第十五条と検察官の俸給等に関する法律第九条に定める報酬または俸給の各月額を改正することといたしましたが、改正後の別表及び右各条に定める報酬または俸給の各月額を、現行のそれに比較しますと、その増加比率は、一般の政府職員の俸給月額の増加比率と同様であります。一般の政府職員中いわゆる認証官につきましては、今回はその給与をすえ置きにすることになつておりますことは御承知の通りでありますが、これに対応して認証官である裁判官及び検察官の報酬または俸給の月額も、その一部について不均衡を是正するための数額の調整をしたほかは、すえ置きにいたしております。
 以上がこの両法律案の提案の理由であります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
#4
○小林委員長 これにて政府の説明は終りました。
 この際お諮りいたします。両案審議中最高裁判所当局より出席説明したいとの要求がある場合には、国会法第七十二条第二項の規定によりまして、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○小林委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 それではこれより両案を一括し質疑に入ります。質疑の通告がありますから、順次これを許します。田嶋好文君。
#6
○田嶋委員 今回また裁判官及び検察官の報酬、俸給の改訂に関する法案がこの委員会にかかつて参つたのでございますが、いつの国会におきましても問題になつておりますのは、裁判官、検察官という特殊な官職から来る俸給のベース・アツプであり、またこのベースー・アツブの中におきまして、裁判官と検察官がまたベース・アツブの問題としていろいろ問題が起つて来るのであります。今回のベース・アツプにつきましては、一般の判事――一般の判事といいますか、要するに認証官以下の判事、または認証官以下の検事というものに対しましては、特別問題になるような点はないようでございますが、認証官以上の判事、認証官以上の検事につきましては、委員会といたしまして一通りただしてみなければわからない点が二、三生れているようでございます。この点を私お尋ねいたしたいと思うのでございますが、漏れ承るところによりますと、今回のベース・アツプにつきまして、当初の考えとしては、どういう理由かは存じませんが、認証官以上の者に対してはべース・アツプをしないというようなこと、これは国会議員に対してもベース・アツプ的な取扱いをしない、遠慮しようじやないかというようなことになつて来たようでございます。そうして閣議におきましては、この点を公務員のベース・アツプについて取上げまして、認証官以上の者に対してなベース・アツプしない、現在のままですえ置くということに確定を見、そうしてそれが閣議決定の案として当委員会にもかかつておると私たちは見るのであります。ところがその線に沿つてやるとすれば、当然各認証官がそれぞれベース・アツブの取扱いを受けるべきではないにかかわらず、この表によりますと、東京検事長を除き他の高裁の検事長に対しましては、すえ置きでなく七万五千円にベース・アツを認められているようでございます。この点はぜひその理由を究明しておかないことにはいかない問題だと思います。認証官以上のベース・アップをしないという閣議決定に基いて提出された案だといたしますれば、当然東京検事長を除く他の検事長に対してベース・アップするということは、どうも不可解に思います。どうしてこれを行うようになつたか、またこの点は閣議でも了承されたのか、こうした点も承りたいと思います。
#7
○位野木説明員 ただいま田嶋委員が仰せられましたように、このたびの給与の改訂に際しましては、認証官の方は上げないという方針になつておるのであります。従いまして裁判官、検察官につきましても、原則としてこの認証官の者については給与を上げないということにいたしておるのでありますが、御指摘の通りに次長検事及び東京以外の検事長の金額が若干増額になつておるのであります。その事情は認証官についての値上げをしないという原則を貫く場合に、その下の一般の検事――裁判官も同様でありますが――についてのベース・アップは、一般職の方と同様に値上げをすることになつて、それが上に上つて来るわけであります。その結果検事の一番上の特号と称しておる俸給月額がございますが、その俸給月額が七万二十円になつております。次長検事等の俸給もすえ置くといたしますと、同様七万二千円になりまして、全然同額になるわけです。これは今までは次長検事等とその下の特号検事との間に差別を設けておつた趣旨が没却されることになりますので、例外的にこの部分を上げることにいたしたのであります。
#8
○田嶋委員 そこでほぼ推察はできるのですが承つておきたい。認証官以上の者に対してベース・アップを適用しない、今度はすえ置きにするという政府の閣議決定の根拠はどういうところにあるか、この点を承りたいと思います。
#9
○位野木説明員 このたびの公務員の給与の引上げにつきましては、全般的にいろいろ意見のあることは御承知の通りであります。この給与の引上げにより物価の上昇をさらに刺激するというふうなことになつて、インプレの原因になるのじやないかというような議論があることは御承知の通りであります。一般的な値上げにつきましても、政府としては専門の部局においても相当研究いたしました結果、しかしながら全般的には大した影響はなしに給与を上げることができる、また上げるべきであるというふうに考えて、今回の給与増額に関する諸法案を提出いたすことになつたのでありますが、ただやはり全般的な場合に問題になつた一般的な影響、特に心理的な影響というふうな点は無視することができない事情でございますので、せめに上の方の認証官の方は遠慮をして、そういう点の影響をできるだけ少くすべきじやないかというふうな考え方に基いたのであります。
#10
○田嶋委員 あまり時間もございませんので追究いたしませんが、私はそういうような立場から申しますれば、むしろ原則を確認して認証官以上は上げない、そしてこの検事特号、これが生れた事情は御説明するまでもなく皆さん御存じでおられましようし、かえつてくどくど説明をするのもどうかと思うのですが、簡単に申し上げますと、これは結局判事一号に匹敵すべき地位にあるものでございまして、検事と判事の均衡から考えてつくられたものでございますし、またそれだけに特別の取扱いを検事特号にはしているわけで、検事一号との差が非常に大きいということも、それらの点から推察願えるわけですが、こういうような特別な取扱いを受ける検事特号というようなものを考えて行つて、そして認証官以上はむしろ閣議決定通りにやる、要するに上げない、すえ置きにするというような方針をとつた方が、インフレ是正、それから一般に対する影響等から非常にいいのじやないかと思うのですが、この点はどういうようにお考えになつたわけですか。
#11
○位野木説明員 ただいま御指摘のような給与の立て方もできるのでございますが、御承知のように現在のこの裁判官、検察官の給与に関する法律ができましたときには、十分論議の末、いろいろの意見があつたのでありますが、それが調整されて、現在のような建前になつたのであります。その建前はやはり事情が変更しない限り尊重すべきであるというふうに考えまして今までの建前としてはやはり検事特号と次長検事の間には差別を設けて制度ができておりますので、その制度に沿つて調整をいたしたというふうな結果になつておるのであります。
#12
○田嶋委員 そういたしますと、ここでまた一つお伺いしなければならぬことになりますが、判事の方でも、東京高裁長官以外の、この検事長に匹敵する地区の長官の給料はすえ置きになつているのでございますが、これをすえ置きにした理由はどういうところから来ているのですか。
#13
○位野木説明員 東京以外の高裁長官の給与をすえ置きにいたしました理由は、先ほど申し上げましたように、認証官につきましては値上げをしないという原則に基きましてすえ置きといたしたのであります。検事長の部分はやむを得ない例外でございますが、この場合は特にこれと同じ例外的措置をするほどの理由はないと考えたのであります。
#14
○田嶋委員 最近こういうことが世間一般に言われている。司法官と行政官との待遇が――司法官というと検事、判事が含まれる、私は同一の立場で言つたのでありますが、この司法官的な立場にある人が、行政官の立場にある人よりも優遇されている、年齢的にも号数の上からも優遇されている、こういうようなことが言われる。そうしたことから行政官がいろいろな名目で司法官の給料に近づこうとし、その幅を縮めて行こうとしている、こういうようにもつぱら言われている。これが一つの司法官と行政官とのベース・アツプの議論の中心になる、それと同時に裁判官と検察官の給料の差が時あるごとに検察官の主張によつて縮められて行く傾向がある、こういうようなことが言われる。またこれがもつぱら議題になつているというようなこと、これから考えますと、どうも今回の東京検事長以外の検事長、次長検事の例外的なベース・アツプの取扱いは、やはりそうした面から水をされる。そうしてその意味において何か野心を満たしたのではないかというようにも考えられるので、私たちこの点まことに不愉快な気持がいたすのでございます。これはむしろこの不愉快な気持をなくして、今回本来の主張でありますところの従来の閣議の線を守りながら、ともに歩調をそろえて上げて行くというようなことが、やはり給料を増して行く意味において私は明朗性があり、今後も明朗な線でベース・アツプの線を考えて行くべきではないかというように考えるのでございますが、この点今申しましたような世間の批判、ひがんで見たのかもしれませんが、世間の見方に対して法務当局はいかようにお答えするつもりで、ございましようか。
#15
○位野木説明員 裁判官と検察官の給与が一般の行政官よりも優遇されておると見られているということ、それとまたそれが新憲法施行後の制度としては優遇せらるべきであるということは御同感であります。この法律案ではその建前を決してくずしていないつもりであります。御指摘のように一般の行政官の給与が、初めこの両法律案場ができた当初に比べまして、実質的にだんだん接近しつつあるという事情は、これはいわゆる管理者手当等の点においては、あるいは言い得る部分もあるかと考えております。しかしこの点では、今ただちにこの点を解決するところまでの期に熟しておりませんので、そのままになつでおりますが、これは将来なお十分研究して行きたいと考えておるわけでございます。裁判官と検察官との差が近づきつつあるかどうかという点でございますが、これは法務省の立場といたしましては、御指摘のように、建前が違うほど接近しておるとは全然考えないのでありますが、そういうようなうわさがございますとすれば、これは反省すべき点もあるかと思うのであります。しかしながら建前といたしましては、そうあるべきであり、また今まではくずしてないというふうに信じておる次第であります。
#16
○田嶋委員 よくわかりました。とにかく私たちは新憲法の立場から申しまして、今お答えの通り裁判官と検察官というものは、当然に他の一般行政官よりも優遇しなければならない、そうして給料の上にもはつきりそれを現上さなければならぬ、こういうように考えておりますし、また新憲法の立場から申しまして、裁判官というものは検察官よりもこれはやはり優遇しなければならぬと考えておる。これが今日の民主国家的体制を保つもとだ、こういうふうに私は考えまして、その点が徹底いたしておりますことは、よくわかつたのでございますが、そこで今申しますように、そうすればそうした誤解を招くようなベース・アツプの上げ方をしないで、ここでやはり東京検事長以外の検事長のベース・アツプをするとすれば、これと同じ立場にあるところの東京高裁長官以外の地区の長官、これのベース・アツプは例外的取扱いとして、当然認めて行くのがむしろ本筋じやないか。結局そのことをしないために、やはり裁判官と検察官の地位を、ベース・アツプの線を縮めて行つても、もとの天皇憲法時代の形に返るような誤解を受けることを防ぐ必要がある、こういうふうに私は考える。そこでどうしても検察官、裁判官のべス・アツプにあたつては、同じような立場にあるものをやはり同じようなベース・アツプで認めて行くということが、最も必要になるのじやないか、こう考えるのですが、この点どうでしよう。高等裁判所長官についてもお認めになる御意思はございませんか。
#17
○位野木説明員 このたびの次長、検事等の若干の給与の増額が、当然はかの部分にも及ぼさるべきであるということでありますが、今度の値上げによりまして、次長検事等が、その上の東京検事長との給与の差額が今までよりも縮まつたことは確かであります。しかしながらその上との差額と下との差額とは、ちようど同額でありまして、三千円ずつになつておるのであります。これは現在の差額から考えますれば、上に近づいたことになりますけれども、この法律ができました当初の建前では、その両者の間は同額であり、千円ずつの差であつたのであります。その後ベース・アツプのたびに端数の繰り上げとかいうふうないろいろな事情でこういうふうなことに現在なつておりますが、初めはそういうふうな状態でもありましたことから考えていただきましても、今度の値上げによつて建前をくずしたというところまでは至つてないと考えております。ほかの部分も合理的に増額できればこれに越したことはない、けつこうと思います。しかしながら今度の次長。検事の分を上げたからほかも当然波及すべきかという点になりますと、そこまでには至つていないと考えておるわけであります。
#18
○田嶋委員 実は最近の裁判の趨勢からいたしましてこれは特に野党諸君から強く今日まで要望されたところでございますが、とにかく裁判の独立ということが国民自体に強く響いておりまして、政治の上に一つの力強さを与えている面がある。最近検事の起訴したことに対して、裁判所が政治力に利用されないで、そうしてまた行政力に左右されないで、断固とした裁判を行うという傾向がところどころに見られ、この点をわれわれは力強く感じております。この点から今力強いということを申したのでありますが、そういうようなことを堅持して行く、要するに国の独立を完全に守ると申しますか、そのためにはどうしても検事のべース・アツプをすることももちろん必要でございますが、判事のベース・アツプというものは、やはり例外的な事案が検事に起つたような場合も慎重な考慮をめぐらしてれそうした国家体制を強く行う必要上からも、当然にこれを考えて行かなければならぬ、根本趣旨においてこれを無視することはできない、こういうように考える。検事に例外を認めました以上は、その原則の一角がくずれたわけでありますから、その原則の一角のくずれた以上は、やはり判事にも適用してやる。そして判事をしてより一層信念に基いた裁判をせしめるという方向に持つて行く必要がある。こういうような立場からも、例外として一角がくずれましたので、この例外をぜひ判事にも適用してもらいたい、こう希望するものでございますがどうでございましようか、もう一度この点を御答弁願つておきたいと思います。
#19
○位野木説明員 裁判の独立をはかるために、裁判官の地位を高める、そうしてその給与をよくするということが必要であることは同感でございます。検事について例外的とはいえ、増額があつたということであれば、裁判官についても増額すべきかということも、十分考えてみなければならない問題でありまして、われわれとしても立案の際、いろいろ大蔵省との折衝その他において、この点を顧慮いたしたのでありますが、やはり現在の給与の体系は、これは相当論議の末決定されたものでありまして、しかも一般の、ほかの、たとえば閣僚等との均衡の問題も、やはりこれは無視することができないというような、いろいろな事情がありまして、このようになつたのであります。御指摘の点は、なお将来の問題として研究して行きたいというふうに考えております。
#20
○小林委員長 最高裁判所から今鈴本人事局長、石田事務次長、それから法務省から布施人事課長が来ておられます。
#21
○田嶋委員 今委員長から御紹介のございました最高裁の方に、少しお聞きしてみたいと思います。今お聞きの通り、私たちは原則の一角がくずれた以上は、そのくずれた一角を裁判官にも適用してほしいという気持を持つております。承りますと、認証官以上のベース・アツプをすえ置きにしたということは、結局予算面から生れたように承るのでございますが、もし東京高裁長官以外の長官のベースを、この検事長のベース・アツプの率に従つてベース・アツプいたすといたしますと、予算にはどのような影響がありましようか。これを最高裁の事務当局から承つておきたいと思います。
#22
○鈴木最高裁判所説明員 かりにただいま御質問になりましたように、東京以外の高等裁判所の長官の報酬月額を三千円増額いたすことになりますると、本年度、つまり来年の一月から施行いたすといたしまして、三箇月間で約十万四千七百六十円の金額があれば、本年度としては十分にまかない得るかと思います。これは予算面から申しても、それだけの分は別に追加予算を請求いたさなくとも、十分にまかない得るわけであります。
#23
○田嶋委員 ことしはそれでいいとして、来年度は、当然それは予算の中にそれだけ増額を見なければならぬでしようが、この点はどうなんですか。予算を実質上増さなくともやつて行けるのか、やはり来年度になつたら、予算は実質的にも形式的にも増さねばならぬのか。
#24
○鈴木最高裁判所説明員 ただいま申しましたように、三箇月間で十万四千円余りですから、年商にいたしますればその四倍、約五十万足らずの金額でございます。これは正面から申しますと、本来増額をされれば、俸給予算として当然来年度の予算の中には組み入れられて請求をいたさなければなりませんので、三千円増すということになれば、それだけの予算はふえるわけでありますけれども、人件費といたしまして、裁判所においては常に若干の欠員がございますから、結局その欠員の費用でもつてまかなえば、実質においては国に迷惑はかけない、こういう結論になると思います。形としては、やはり予算でありますから、予算として請求せざるを得ないと思いますけれども、結局は欠員によつて余剰を生ずるというところで、実質においてはその迷惑はかけないということになろうかと存じます。
#25
○田嶋委員 そうすると、上げても日本の予算の面から見た膨脹にはならない、こういうことになるわけでございますが、この点どうでしよう、法務省はここまで御研究なさつた上のことでございますか。予算に影響しないとすれば、お考えの余地があるわけじやないでしようか。ちよつと承りたい。
#26
○位野木説明員 御指摘の通り、また最高裁判所から答えられました通り、この高裁の長官の給与を上げるというふうな線のみにとどまる場合ですと、これは予算的に今大局的に大した影響はないわけであります。そういうふうな点も考慮いたしまして、われわれとしてはいろいろ折衝をいたしてみたのでありますが、やはりはかに対する影響ということから、特に著しい支障が出ない限りは現在の制度のままでおくべきであるというところにおちついた次第であります。なおこの点はわれわれとしては努力もいたしたいと存じておりますので、御協力をお願いいたしておきたいと存じます。
#27
○田嶋委員 よく納得が行きました。御協力はわれわれもいたしますが、法務省もぜひ御努力願いたいと思います。
 それから最後に裁判所に伺つておきますが、最高裁判所の判事の給与は八万八千円でございまして、今度はすえ置きになるのでございますが、これを実質賃金、要するに手取り金額から申しますと、最高裁判所の判事さんの実質賃金は、一号判事よりもちよつと下まわるのじやないかというように考えられるのですが、この点は実質賃金は幾らになつておるのでございましようか。実質賃金がそんなに低いとすれば、これは相当考えなければならぬと思うのですが、これらの点を何かお考えをもうて進んでおりましようか、承つてみたいと思います。
#28
○鈴木最高裁判所説明員 ただいまの御質問でありますが、一号判事に対しましては例の管理者手当というのがつきませんので、一号判事よりは、最高裁判所の裁判官の方の手取り額は上まわるわけであります。しかし一号判事に対等号俸である一般職の一番上の十五級の四号というものを例にとりますと、この十五級の四号の人に対しては、管理者手当が東京で申しますと二五%つきます。それから扶養手当がつきます。そういたしますと、最高裁判所の裁判官には扶養手当がつかない。管理者手当ももちろんつかない。そういうふうにして計算をいたしますと、――もつともこれは十五級の四号にある者が扶養家族が二人ある場合に仮定しての議論でございます。そういたしますと、十五級の四号職にある者の手取り額は、今度の改訂案にいたしますと、六万六千五十四円になります。ところが最高裁判所の裁判官は六万六千四百八十八円となりまして、一般職の一番上の、たとえば次官級の者よりも、四百円ぐらい手取りが少い。そういう計算になつておるわけでございます。
#29
○田嶋委員 これは何か考える必要があるのじやないでしようか。最高裁の判事というのは、給料のごときは大臣と同等の給料をいただいておりますが、実際上の収入は、次官よりも以下になる。しかもこれは特別収入というものは全然ないわけなんですから、なかなか偉い地位のように見えるのですが、実際ふところの中はさびしい。これでは思い切つて最高裁判所で裁判をしていただくことは無理じやないか。裁判の遅滞が世間でごうごうたる非難を受けておりますが、裁判の遅滞ということも、こういうことから生れて来るのじやないかということも想像できないわけではなくなるのです。どうかこの点もう少し対策を講じていいのじやないかと思いますが、何かお考えでもございませんか。
#30
○鈴木最高裁判所説明員 裁判官の給与が行政官に比して高くあるべきだ、それが新憲法の精神であり、それにのつとつて、国会でいろいろ論議の末、きめてくださつたわけでありますが、さいぜんの御発言もありましたように、昔とは逆に、一般行政官から裁判官ないし検察官の給与に対して、水準運動を実際には起されておるような形で、だんだん追い詰められているような形のように少くとも私どもは感じているわけであります。でありますから本俸は高くされておつても実質上の手取り額が少ない。一般職の公務員よりも少ないというのでは、実際に経済的な地位を法律で保障しておつてもらつても、実体がなくなるという面が相当目につくように私どもは考えているわけであります。それについてはかつて国会で裁判官に対して研究費というようなものを考慮していろいろ審議をされたようでございますけれども、全部の裁判官に研究費というようなものをつけて裁判官の実質的な収入の足らない面を補うということになると、その他の公務員に対するバランスが破れるというので、全部の裁判官につけるというようなわけにはいかないというような点で結局いろいろ御努力を願つたのにかかわらず、その案がかつて破れてしまつた事実がございます。でありますから裁判所としては全裁判官にそういうような特別な手当というものを考慮すべきか、さしあたつては一番目立つところの最高裁判所の裁判官についてのみ考慮すべきかどうか、そういう点について事務局としてはいろいろ検討しております。全部について無理ならば、せめて一番職責として重要でありそして責任も重大であり、その現在の裁判事務の負担等から考えても非常に過重になつているところの最高裁の裁判官あたりのみ、例外的にそういう研究費、研究手当というようなものも考慮していただいたらどうであろうか、というような程度に考えている次第であります。
#31
○田嶋委員 よくわかりました。そこでこれはちよつと同じ立場になるのですが、検事総長も同じことが言えるのじやないかと思いますが、これを法務省はどうお考えですか。このままでいいのでございますか。
#32
○布施説明員 ただいまの問題は多少この法案と離れた問題になると考えるのでございますが、御趣旨はよくわかります。またこれは裁判所においてもいろいろとどの程度につけるかという点でお考えのようでございます。裁判所の方で裁判官にこういうものをつけるということでございますければ、検察官についてもぜいとも考えられなければならないのではないかと考えております。その範囲等につきましては裁判官との関連もありまして今すぐ申し上げられぬと思います。
#33
○猪俣委員 ちよつと原則的なことをお尋ねいたしますが、政府というか内閣というか、この予算審議に際しまして裁判所側の代弁をする所管大臣は何人でありますか。これは法務省の側にお尋ねいたします。
#34
○位野木説明員 法案の関係になつて参りますので法務大臣ということになるわけであります。
#35
○猪俣委員 そうすると閣議におきましてこの裁判所側の予算を決定するというようなことは法務大臣が裁判所を代表される、こう承つてよろしゆうございますか。
#36
○位野木説明員 法務大臣が裁判所を代表するといいますか裁判所の立場も考慮して法案についても責任も持つということであります。
#37
○猪俣委員 これはあるいは法制局長官に聞かなければわからぬかもしれませんが、あなたの答弁はちよつと不明確なんだが、政府が予算を決定するには閣議の決定を待たなければならぬと思う。その閣議に際しまして今度裁判所側が独立して予算をとることが憲法上規定されております。その際に裁判所の予算を主張と申すか明らかにして閣議に付議する責任者は、一体何人であるかという私の質問なのです。それが法務大臣であるかあるいはいきなり総理大臣になるのであるか、それをお尋ねしているのですが、それはいかがですか。
#38
○位野木説明員 予算の点では大蔵大臣だと思います。
#39
○猪俣委員 そうすると裁判所側の予算の閣議の責任は大蔵大臣。すると法務大臣はどういう働きをするわけですか。検察庁側の予算に対します閣議の主張者は何人の責任なんですか。
#40
○位野木説明員 立場は裁判所と同様になるかと思います。
#41
○猪俣委員 そうすると法則上裁判所及び検察庁の予算は大蔵大臣だ。するとその通すことに対していろいろの説明をしたり主張をしたりするようなことは、それは一体裁判上側の予算についても検察庁側の予算についても法務大臣が大蔵大臣に折衝することになるのですか。実際上どうやつているのですか。
#42
○位野木説明員 そういうふうなことになつております。ただ裁判所については、御承知のように予算について原案の提出権というものがございまして大蔵省と意見の合わない場合には、裁判所の意見に従つた予算案を国会に政府原案に添付して提出することができることになつているのであります。
#43
○猪俣委員 この問題はあとで法制局長官にもう少し法制的にお答えを願いたいと思います。われわれどうも裁判所側の予算というものがあいまいで、どういうふうに閣議に出されているのか。まあ国会と裁判所の関係も実にあいまいなんです。これは片山内閣時代の鈴木法務総裁に私質問したけれども、はつきり答弁を聞けないでしまつた。これはまたあとで答弁するというようなことで片山内閣はやめてしまつたんですが、答弁は今日までされてないが、まあ説明員というような形で裁判所側は当委員会あたりへ出ていらつしやる。この説明員というものは法制的にどういう根拠があるのかはつきりしない。これはしかし法制局にお尋ねすることにいたします。
 そこでお尋ねしたいことは、この次長検事その他の検事長を、検事特号の方と同じようになるのだから、三千円上げて七万二千円を七万五千円にしたのだ、こういうような増額の案については一体法務大臣は裁判所側と打ち合せられたのであるか。あるいは打合せなしに検察庁だけの検事だけの問題について閣議に大蔵大臣と折衝されたのですか。これは事前に何か打合せがあつたかないか、それをお尋ねいたします。
#44
○位野木説明員 閣議に提出する前にこういう案を考えたということで裁判所にも見ていただきまして、その意見を十分しんしやくした上、立案いたしたわけであります。
#45
○猪俣委員 これは裁判所側にお尋ねしたいのですが、この次長検事その他の検事長の七万五千円は、ベース・アツプじやないのだという検察庁側の御説明であるが、私どもにはそれがよくわからない。七万二千円のを三千円ふやしてベース・アツプじやないというが、増額には違いないと思うのです。それはそれといたしまして、裁判所側は事前に法務省側からさような御相談を受けたのですか、受けないのですか。
#46
○鈴木最高裁判所説明員 認証官の線は今度はすえ置きにして、それ以下の線を上げる、それ大蔵省の原案だということは承知いたしておつたのでありますが、中途になつて、けれども東京の高等検事長以外の検事長のみは今申したような下の方と一緒になるというので、七万五千円にするのだ、そういう、裁判所側から言わせれば若干の修正を、例外的にせよ加えたものがすなわち原案だということは、実は途中になつて知つたわけであります。裁判所の方としては、議会が始まつて以来、この線は常にすえ置きの場合には一緒にすえ置きにされ、上る場合には同率で上つて来た手前もありますから、裁判官と検察官との給与のつり合いということもございますので、歴史的な意味から申しましても、すえ置きになるならばみんなすえ置きになるべきだ、七万五千円にするというのは、なるほど下とバランスがとれなくなるというならば若干そこに差別を設けて、たとえば七万三千円にするとかいう手も考えられるのじやないか、従来不均衡を是正するような意味を若干加えた意味もあつて、七万五千円にしたというようにも解せられるものですから、裁判所としては、そういう原案をつくるならば、原案には不賛成であるけれども、そういう原案にするならば、東京の長官以外の高等長官の線もやはり三千円上げるということを原案にした修正をしてくれということを大蔵省にも申し入れて、法務省とも話し合つたのでありますけれども、法務省と話し合つておつても結局らちが明かないわけでありますから、結局原案は出すがよかろう、裁判所としては、大蔵省と交渉する以外にないけれども、大蔵省と交渉しては、向うがうんと言わなければ、こちらの主張を貫くことができないから、要するに裁判所としては、国会に出ていずれが是か非か、その線をきめてもらう以外に手がないから、政府は原案として出されたらよかろう、しかし裁判所の態度としては、東京の検事長以外の検事長を七万五千円にした原案には不賛成だからということにして、この原案の提出になつたわけであります。
#47
○猪俣委員 なお裁判所側にお尋ねいたしますが、最高裁判所の判事に二万円の研究費をという提案がありますが、これは法務省側とお打合せになつてから当委員会に出したのであるか、あるいは裁判所側の独自の見解でお出しなつたものであるか。
#48
○鈴木最高裁判所説明員 この点は法務省側と事前に打合せはいたしておりません。ただ位野木参事官から、昨日でございましたか、裁判官並びに検察官の給与についてこの委員会の秘密会で質問を受けるということになつておるが、どういう内容なのか裁判所ではわかつておるかというようなことを、電話で連絡を受けましたので、裁判所としては、法務省と話し合つた検事長の七万五千円についての比例の点に異議があるという点と、もう一つは、さいぜん申し上げましたように十五級職四号との比較上、今度の改訂案によつては、最高裁判所の裁判官をどうもそのままにして置くわけには行かないと思う、しかし政府の給与体系そのものを乱してはまた相済まぬから、その体系は乱さないように、別途に研究手当というようなものを考慮してもらうことを委員会にも意見を述べるつもりだということは法務省に伝えてあつたわけでございます。
#49
○猪俣委員 法務省にお尋ねいたしますが、検察庁、検事側には勤勉手当とか捜査費とかというようなものが特別に支給されておるのですか、おらないのですか。
#50
○位野木説明員 検察官につきましては、他の官吏及び裁判官と同様に、認証官を除きまして勤勉手当を支給いたしております。しかしこれは裁判官も同様なわけでございます。それから捜査関係の費用でございますが、これは実費は当然支給すべきものでありますので支出いたしております。
#51
○猪俣委員 検事に渡される捜査費というようなものは、予算の款項目からいうと何に入つておりますか。
#52
○位野木説明員 一般庁費の方に入つておるので、特に機密費とか、そういうような趣旨で入つておるものではないのであります。
#53
○猪俣委員 判事にないところの、検事だけが支給を受けるその捜査費なるものは、どの程度のものですか。
#54
○位野木説明員 それは今手元に数字を持ち合せておりませんので、調べましてお答えいたします。
#55
○猪俣委員 その捜査費なるものの報告をひとつ当委員会に出してもらいたい。昔は何か機密費といつたようなことで相当の額が出ておつたと聞いておりますが、今は機密費でなく捜査費というような名目で支給されるらしいのでありますが、それがまつたくの実費であるのか、多少の余剰があるような金額なのか、そういうことも明らかにしませんと、給与全体の実質賃金というとおかしいが、実質俸給がわからない。だからそれを御報告願いたいと思います。私の質問はこれだけです。
#56
○小林委員長 旅費、日当のほかに捜査費というのがあるのですか。
#57
○布施説明員 いわゆる各省にもございます、報償費というのがございます。それ以外に今お話のような捜査費という特別なものはございません。
#58
○小林委員長 それでは本日はこの程度にとどめ、明日は午後一時から委員会を開くことにいたします。
  本日はこれにて散会いたします。
    午後二時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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