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1953/12/04 第18回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第018回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号
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1953/12/04 第18回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第018回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号

#1
第018回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号
昭和二十八年十二月二日
 森三樹二君が委員長に、大村清一君、鍛冶良作
 君、田嶋好文君、高瀬傳君、島上善五郎君、加
 藤鐐造君及び松永東君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
昭和二十八年十二月四日(金曜日)
    午後二時三十四分開議
 出席委員
   委員長 森 三樹二君
   理事 大村 清一君 理事 鍛冶 良作君
   理事 田嶋 好文君 理事 高瀬  傳君
   理事 島上善五郎君 理事 加藤 鐐造君
      綱島 正興君    原 健三郎君
      山中 貞則君    中嶋 太郎君
      石村 英雄君    加藤 清二君
      竹谷源太郎君    三輪 壽壯君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (自治庁選挙部
        選挙課長)   佐久間 彊君
        検事参事官   平賀 健太君
        衆議院法制局参
        事
        (第一部長)  三浦 義男君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 修学のため寮、寄宿舎等に居住する学生、生徒
 等の住所の認定に関する件
    ―――――――――――――
#2
○森委員長 これより会議を開きます。
 前国会以来調査を進めて参りました修学のため寮、寄宿舎等に居住する学生、生徒等の住所の認定に関する問題について議事を進めます。
 この際、本問題について、前国会閉会中に各地選挙管理委員会の取扱いの実情調査を行つたのでありますが、その御報告をいたすことといたします。まず、第一班を代表いたしまして私より御報告を申し上げます。次は、第二班の島上善五郎君にお願いします。次は、第三班について三浦部長より御報告申し上げます。
 調査の結果について御報告申し上げます。
 去る十一月二十五日盛岡市へ参りまして、県の選挙管理委員会及び市の選挙管理委員会の方々に集まつていただきまして、学生、亜徒等の住所の認定について報告を聴取いたし、その後種種懇談いたしたのでありますが、ます、県よりの報告によりますと、現在自治庁の通達の線にのつとつて、修学のための寮、寄宿舎または下宿等に居住している学生や生徒の住所は、単に事実のみをもつてその居住地にあるものとせず、おのおのその個々の場合について、具体的に生活の根拠がどこにあるかを調査して認定するようにしているとのことでありましたが、その調査の結果を見ますと、九月十五日現在における資格調査の対象となつた学生、生徒の数は二千百七十名で、登録された者は八百七十三名、住所を有しなかつた者七百六十名、住所期間が三箇月に満たなかつた者二名で、その他五百二十五名というものがまだ調査できずにいる状態であります。すなわち、盛岡市には岩手大学、岩手短期大学及び岩手医科大学がありますが、岩手大学の寮生が住所の認定に関する調査を拒否し、四百七名が異議申立てを行つているとのことであります。
 なお、九月十五日における岩手県での他市町村において修掌中の者の調査の結果は、調査の対象となつた学生、生徒数千六百十二名中、登載された者千四百九名、佳所を有しなかつた者八十六名、住所期間が三箇月に満たなかつた者一名その他いまだ明確でない者百十六名となつている状態であります。
 県の選挙管理委員会の意見としては、自治庁が、今般学生の住所問題について、一般選挙人と同様に過去の便宜的措置を民法に規定する住所に変更したことにより、公職選挙法の住所について法律の規定が不明確となつたと思われるが、一般選挙人の住所の観念を離れて特に学生、生徒のみについて特別に立法化することについては疑義が生ずると思われる。しかしながら、選挙管理委員会としては、いずれにするとしても、すみやかにその立法措置を行つてもらわねば困るということであります。また、市の選挙管理委員会の窓見は、直接事務を担当している立場より、むしろ学生、生徒については居所地をもつて住所とされたいとの意見が強く、すなわち選挙権の要件たる住所とは、民法に規定する住所であることは一般の定説であり、また今回の通牒も仙台高裁の判例から見ても了解できるが、学生、生徒のごとく特別の目的をもつて一定期間寮、寄宿舎等に定住している者の生活すなわち修学の中心点は、郷里の両親、家族のもとにはなくして、居住地にあるものと考える方が実情に適するものと思う。また学生、生徒の住所を、個々の場合につき、具体的に生活の本拠がどこにあるかを調査して認定することは、実際的には相当な困難を伴うものである。選挙権の行使については選挙人にでき得る限り便宜を与える趣旨からも、学生の特殊事情を認め、修学のため寮、寄宿舎等に居住している学生、生徒については、すべて居住地の選挙人名簿に登録し得るように立法化を要望している次第であります。
 岩手県といたしましは、以上述べました通り、一応自治庁の通達にのつとつて取扱つてはおりますが、種々問題が多いので、すみやかに立法措置の講ぜられんことを切望いたしておりますが、いかに改正されたいかについては、必ずしも県と市あるいは県の中でも十分意見の統一がとれていないようであります。報告を聴取いたしました後に、いろいろ自由なる意見の交換が行われたのでありますが、その席上におきましても、各人各様の意見がありまして、主観主義により各人の希望によつて届出させたらよいであろうとの意見もあり、また居所主義の便宜を唱える者、これに反対して二千人の町へ三千人の労務者が二年間くらい働きに来ていることによつて、これらの人人の意見によつて町政が左右されることの不可を説く者、また国会議員選挙は居所地により、地方選挙は民法上の佳所によることがよいとする者、これに対して事務上選挙名簿を別々につくることの煩にたえないと反対する者等、結局意見の開陳に終り、その結論を得ず、結局は立法化によつて問題の終止符を打たれんことを希望する点に終つた次第であります。
 なお、一般選挙に関し、公明選挙の費用を出してほしいとの希望がありましたことを附加いたします。
 次は、北海道庁を視察いたしました結果について御報告申し上げます。
 私は、十一月二十七日北海道庁に参りまして、北海道の選管及び札幌、小柳の各市の選管の方々より意見を聴取いたしました。
 まず、北海道の選管の意見について申し上げますと、今回の修学のための寮、寄宿舎等に居住している学生、生徒の住所の認定に関する自治庁通達によると、実際の取扱い上次のごとき困難な問題が多いので、公明なる選挙執行の確保と棄権防止のため、現行法運営上の改善または適切なる立法措置を講ぜられたいというのであります。
 すなわち、第一に、選挙人名簿の調製に関しましては、市町村選挙管理委員会が実施する選挙資格の調査において、現実の問題として学生、生徒個々の生活の実体を把握することは容易でなく、かりに調査し得たといたしましても、その信憑性を確認できない場合もあり、さらに名簿調製上の脱漏、誤載等が増加するおそれもあることが予想せられ、また名簿調製後並びに選挙後の紛争の発生が予想せられる。
 また、第二に、学生、生徒が現行法上の不在者投票制度によるといたしましても、棄権が増大するおそれがあります。すなわち、現住地と選挙人名簿の属する市町村との間において、郵便による場合、郵送時間一往復半冷要し、北海道のごとき場合には、地域広大、交通不便であり、また内地と離れているため、郵便逓送に要する日数はほとんど市町村選挙の選挙期間以上の日数を要し、遠隔の地にある選挙人にとつては事実上不在者投票制度の利用が不能となるおそれがあり、また現行法上不在者投票を行う者に対する選挙期日、候補者氏名等の周知の方法はないので、特に地方選挙の場合にあつては、候補者の氏名等を知る道がまつたくないことになり、事実上棄権者が増大するおそれが多分にあるというのであります。現に先般の釧路市の選挙におきましても、札幌に居住する学生が不在投票をするにあたり、札幌市選管への問合せによると、市長選挙については、前市長の名前は知つていても、対立候補者たる前助役の名前は知らず、また市会議員の選挙についてはまつたく知らず、結局問合せのありた人は棄権をしたということであります。
 道の選管といたしましては、以上の点を留意して、すみやかに立法措置を講じてほしいという希望とともに、名簿調製のため、他市町村との相互連絡のため多大の費用が要するので、この点もあわせて留意され、適当なる措置を講じてほしいとの強い要望がありました。
 次に、札柳市選管の報告によりますと、一、自治庁通達に対する反響といたしましては、九月十五日ごろより連日数名の学生代表者が自治庁通達の撤回、通達に基く実態調査の中止の要請及び抗議のため来所するとともに、各学生の寮では、寮生大会を開いて調査の拒否を決定し、調査書を白紙で返還した。また、北大、学芸大生を中心とした学生が、市内で通達反対の署名運動を行い、九月二十五百及び十月二十八日に学生の通達反対総蹶起大会を開いて、市内をデモ行進し、選管委に抗議した。また、北海道大学の各部の教授、助教授からなる学部、学生担当の委員会は、自治庁通達に対し潰憾の意を表するとともに、学生の選挙権は従来通りに扱うようにしてほしい、選管からの調査の協力依頼には応ぜられないと決定し、また北大の法学部教授会では、通達は不当であるから撤回を要望する措置をとるよう学長に意見書を提出した。また、佐藤学大教授は通達の撤回と通達に基く調査の中止方とを自治庁選管委に申し入れてくれるように札幌市議会に請願したが、市議会では十月二十九日委員会で通達撤回申入れについて採択し、続いて三十日市議会において通達撤回申入れの決議を行つた。
 二、次に、札幌市選管のとつた措置としては、まず円滑に名簿を調製できるよう学生側に対し調査についての協力を求めたが、十月末に至るも調査を拒否して譲らず、一部を除いては名簿登載は不能となるので、社会的影響及び今後の混乱も考慮し、当初調査の対象とした学資の面、帰省の有無その他の事項を除いた簡単な調査書を提出してもらい、これをもつて札幌市において独立した生計を営んでいる強い意思表示とみなし、客観的にそうでないという反価のない限り名簿に登載することに応じて、学生側と話合いが妥結したとのことであります。また、保安隊については、営舎内に居住している隊員については、隊の責任者に依頼し、独立した生計を営んでいる隊員の調査書の提出を受け、これによつて名簿に登載したとのことであります。
 三、次に、学生の住所認定についての市選管の意見でありますが、学生の住所の認定について、生活の実体を調査することは実際には困難であり、調査にあたつて申立ての真実性の心証を得ることは、個々に面接しなければ確信が持てないが、学生の個々面接は実際上至難であり、また個々面接をし得ても、個人の申立てによつてアルバイトで生計を営んでいるとのことについて、念のため国元へ照合してみたら、国元では仕送りを完全にしているとのことで、いずれをもつて真なりやの判断に苦しむ場合が少くないので、選管委としては、名簿を調製する事実上の面から見ても、学生についてはその居住地において名簿に記載できるような立法措置を要望するとのことであります。
 なお、札幌市においては、十一月一日現在対象となつ学生、生徒三千三百人中、登載されているもの六百三人で、住所を有しなかつたもの十二人、調査が十分できなかつたもの二千六百八十五人、異議申立て三百九十五人であり、保安隊については調査の対象二千九百七十二人、登載した数千二百十七人であります。
 次に、小樽市の選管について申し上げますと、小樽市におきましては、九月十八日小樽大学より第一回、引続き七回にわたつて交渉があり、十月二十八日には総蹶起大会があつたとのことでありますが、市選管としては極力了解をすべく努力したにもかかわらず、結局了解を得ることができなかたとのことであります。
 学生の要求は、第一に、市選管は自治庁通達に反対の意思表示をしてほしい、第二は、居住地において選挙を行えるようにしてほしい、第三に、特別の調査には応じられない、第四に、今後とも小樽市選管を相手として交渉して行くというのであります。小樽の選管の措置としては、自治庁の通達の趣旨の宣伝に努め、でき得れば一般人と同様の調査票でやりたいと思つたが、その一般の調査書についてはほとんどの学生が応じたが、これではやはり疑問の点があるので、それを基礎として登録するわけには行かず、その疑問の点について再調査を行つたが、それについては学生は特別の調査だとして、調査に応じなかつた。市選管としては、学生の要望は一応了解し得るとしても、現行法上では自治庁の通達については名簿作成をやらざるを得なかつたが、十月四日次の点について自治庁に意見書を拠出した。すなわち、修学のため寮、寄舎等に居住している学生、生徒の住所の認定に岡する自治庁の通達は従来の学説、判例等によつて了承し得るところであるが、この通達により選挙人名簿を調製し、あるいはその名簿によつて選挙または投票を行うときには、次のごとき弊害を伴うおそれがある。すなわち、第一に、選挙人名簿調製についてては、一、選挙資格調査が複雑かつ困難であること、二、生活の本拠と認める場所すなわち住所の認定が困難で、正確を欠きやすく、ひいては争訟の原因となりやすいこと、三、二重登録あるいは脱漏が生じやすいこと、四、事務量が増高し、所定の期日までに名簿の調製が困難な場合があること、五、名簿調製に関する経費が増高すること。第二に、学生、生徒の選挙権の行使については、一、候補者または公営による選挙運動を直接に見あるいは聞く機会がほとんどなくなり、投票は形式に陥りやすく、かつ選挙意識が減退し棄権が増加することとなる。二、選挙権の完全行使が不可能となること、選挙権の行使については、不在者投票制度を活用することによつて選挙権を剥奪することにはならないが、しかし不在者投票によつて投票の完全行使は期し得られない。すなわち、国会議員の選挙は別として、地方選挙の場合は、選挙期日の告示は、その期日の十五日(市)、十日(町村)前であり、郷里が遠隔の地にある場合は、不在者投票の手続半ばにして選挙が終了することも考えられ、さらに、地方選挙が全国的に行われる場合は別として、個々に行われる場合は、その行われることを知ることができず、棄権する場合が多い。以上の点を考慮して、修学のため寮、寄宿等に居住している学生、生徒の住所は、その現在居住の場所をもつて住所とみなすよう公職選挙法中に成文化せられたいというのであります。また、小樽市議会においても、十月二十八日自治庁通達を撤回し立法措置をせられたい旨の決議を行つたとのことであります。
 ここに、住民登録との関係について、各市はどのように扱つているかを見ますと、小樽市におきましては、住民登録の住所と選挙の住所とは法的に何も関係がないので、別に参考にしなかつたとのことでありますが、札幌市におきましては、住民登録が比較的よく整備されていたので、これを参考にいたしたとのことであります。住民登録との関係につきましては、道庁では、今後の立法措置を考える場合、住民登録を整備し、選挙権のある住所とは住民登録の住所によるということにしたらよいのではないかとの意見がありました。なお、小樽市において資格調査の対象となつた学生、生徒の数は六百四十六名、そのうち登録された者四百四十二名、住所を有しなかつた者四十名、調査ができなかつた者百六十四名で、異議申立ては百八十八名であるとのことであります。
 次に、選挙執行上に関する道の要望について申し上げますと、第一に、選管としては常に選挙に関する啓蒙宣伝をやらねばならない立場にあるので、その予算的措置をなしてほしい。自治庁もこの点な了解して二億円の予算を大蔵省に要求しているが、これをぜひ実現させるべく努力してほしいとのことでありました。第二に、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の改正に際し、ぜひ全国画一主義を排し、北海道のごとき地域拡大にして交通不便、加うるに酷寒の地で、半歳の積雪期間にあること等を十分考慮され、特に燃料費について、十一月一日から三月三十一日までの加算期間を、北海道については十月十五日から四月三十日までにされたいとのことであります。この点については、旭川市における四月選挙において、女の立合人の人が、長時間寒いところにいたため、投票が終つて、その帰路心臓麻痺で死亡したという実例があるので、ぜひ実現させてほしいとのことであります。その他地域の広大、交通不便、長期の積雪期間等にかんがみ、旅費の支給、電燈費の支給、選挙公報配布人賃、候補者氏名等掲示費、立会い演説会費等について格別の考慮を払われたいとのことであります。
 以上をもつて私の報告を終了いたす次第であります。
 次に、第三班にお願いいたします。三浦法制局参事。
#3
○三浦法制局参事 第三班につきましては、おいでになりました竹谷さんがこちらにお見えになつておりませんので、私からかわつて御報告申し上げます。なお、おいでになることになつておりました御予定の代議士の方はいろいろな都合でお見えにならなかつたりいたしましたので、私がかわつて聞きました点もあわせて御報告をするつもりであります。きわめ簡単に申し上げたいと思います。
 まず第一に、大阪について申し上げます。大阪府につきましては、府の地方課関係の方々、それから府の選挙管理委員長その他の関係の方々等にお集まり願いまして話を聞いたわけでございますが、大阪は御承知の通り大学等がございまして、学生の選挙問題につきましては学生、生徒側においてかなりいろいろの意見があるようであります。それで、選挙管理委員会といたしましては、自治庁の通達が出ましたから、大体その線に沿いまして名簿の調製をする、こういうことで進められたようでありまするが、結局、府といたしましても、市町村の選挙管理委員会に原則を示して、それにおまかせする、こういうことであつたわけであります。ことに大阪市の選挙管理委員会におきましては、自治庁通達に従つて調査は行いましたけれども、実際学生、生徒の個々につきましてその実体を調査する、把握するというようなことは、人的にもあるいは経費的にもたいへんだというようなことで、調査が非常に困難であつたというような話でございました。それから、大阪では、つまり学生寮に住所がなくて郷里にあるというようなことになりました関係上、そういう人たちを大阪市の所在の名簿に載せなかつたかわりに、地方の名簿にその人たちが完全に登載せられているかどうかというような点につきましては、その郷里との連絡その他いろいろな点から考えまして、それが十二分に保護せられておるかどうかという点について確信存持つて答えられるというような状況ではないのでございます。しかしながら、できるだけ自治庁の通達の線に沿つて漏れなく登載するということで、努力はしたという話でございます。
 それから、たとえば大阪府の堺市の浪速大学についてでありますが、これは、寮の学生等が、連名で自治庁通達に反対をして、寮に住所があるというように選挙管理委員会に申し出られた由であります。しかしながら、またその同じ学生の中でも、ある一部の者は、かえつて郷里において選挙権を行使した方が都合がいいというような希望む述べられた向きもあるようであります。いずれにいたしましても、今度の調査はたいへん困難で、いろいろな点から考えて名簿の脱漏がありはしないかという点に懸念が持たれるのでございます。それから、大阪府の選挙管理委員長の話でありますが、どうもこういう問題については、いずれにしても法立措置をとつて法律の上にはつきり書いてもらいたい、一片の通達によつてやられるということは、いろいろな点から考えても好ましくないから、どうか国会においてその基準なり何なりがあるならば、それを明確にして立法描置を講じてもらいたいという意見がございました。それから、あわせまして、これは学生の選挙権問題とはちよつと違いますが、選挙の常時啓蒙費用として予算にもう少し計上してもらつて、そうして現在法律の上にも規定があるわけでありますけれども、なお費用の支出等についての明確な規定を置くように改正をしてもらいたいという希望がありました。それから、住民登録との関係であります。できれば住民登録が完備されれば、それをもとにして選挙人名簿をつくるということが理想であるし、また好ましいことだという意見がございましたが、どうも住民登録の方は法務省の所管になるし、選挙人名簿の方は自治庁の所管になるということで、どちらがどうということは言いにくい問題かもしれませんが、その選挙管理委員長の話では、住民登録につきましては自治庁にこの所管を移すようにしてもらつたらどうだろうかという意見でありました。なお、その選挙人名簿調製につきまして、今度のようなことであると非常な費用がかかるので、現在の費用では足りないから増額してもらいたい、こういう意見もございました。
 次に、福岡県については、福岡県の選挙管理委員会、それから県の地方課関係の方々にお会いしました御意見を申し上げます。県の選挙管理委員長の話でありましたが、あそこは方々に市があつて大学等の所在地がございますので、いろいろ問題が起つて、数箇所においてはやはり学生の反対運動が起つたそうでございます。結論から先に申しますと、県の選挙管理委員長の意見といたしましては、昭和二十一年の通達通り、つまり寮とか寄宿舎に学生、生徒の住所はあるものという前提に立つて立法措置を講じてもらいたいという御意見でありました。いずれにしましても、とにかく法的な措置を講じて明瞭にしてもらうことが望ましいという意見でございました。それから、たとえば福岡県の戸畑市にある九州工業大学におきましては、学生、生徒が反対いたしました結果、十分な調査等ができなくなつて、それらの名簿の調製等を拒否されたというような実情もございまして、わかつた分につきましては名簿に載つけてあるそうでありますが、そうでないものについては名簿から脱漏されておるものが相当数ある、こういう御意見でありまして、数から言いますと約三百名近い者が脱落しておつて、そのほとんどが異議の申立てを行つておるというような話でございました。それから福岡県全体につきましては、大体学生、生徒の総数が、これは推定ですが、八千二百二十三名ございまして、そのうち登録されたものが四千四百九十八名、それから登録を拒否した関係で載つてないものが二千九百十一名である、それ以外は住所がかわつたりしてその要件を備えなくなつたから載せられないもの等がありまして、要するに学生、生徒の県下全体の中の相当数のものが名簿に載せられてない。と申しますのは、これはいわば従来通り住所が寮とかあるいは寄宿舎にあるべきだというような学生、生徒側の主張から、その登録を今度は郷里にあるということについて反対をして、登録を拒否した数がそういう数であるということであります。それから、住民登録につきましては、やはりそれが選挙人名簿の基礎となるようにしてもらいたいというような希望でございまして、その点については、現在の住民登録制度をもつと完備なものにして、選挙にもすぐ役立ち得るようなものにしてもらいたいという御意見でございました。
 なおその他ございますが、ほんとうの要領だけを簡単に御報告申し上げます。
#4
○森委員長 島上善五郎君。
#5
○島上委員 学生、生徒、保安官、警備官の住所の認定の問題について調査のため、当委員会の決議によつて、第二班としての私は、関東地方水戸、東海地方名古屋、北陸地方金沢市の各地方選管委の実情を調査して参りました。この調査の経過並びに結果の概略の御報告を申し上げます。
 御承知のように、六月十八日の自治庁通達は全国各地の選管に対しまして相当の衝撃を与えたもののようであります。と申しますのは、当委員会の経過で御承知のことと思いますが、これは、学生、生徒の選挙権についての昭和二十一年当時の内務省の地方局長の通達を数年ぶりに突然ひつくり返した、まつたく逆の解釈を下した通達でありまして、これがため、選挙人基本名簿を作成する面にいまだ経験のないような混乱の事態が起つたのであります。選挙制度に関心を持つ者にとりましては、等閑に付することのできない大きな問題ではないかと思うのであります。調査の結果を客観的に報告する際ですから、ここに自治庁通達の是非を申し上げるのではないのでありますが、地方を視察して参りまして、聞くところによりますれば、自治庁としましては、庁議に諮り、熟考のこととはいえ、かつまた仙台の高裁の判決のいきさつ等のこともあるとは申せ、いま一段の御考慮を払われてしかるべきではないかとの御意見を方々で聞いたのであります。通達の出されたいきさつももちろん一定の根拠の上に立たれたのではありましようが、各地方の選管の事務にあまりにも大きな混乱を来したことは事実でありまして、通達の趣旨が端的なものでありまして、その解釈上種々の疑義を生じかつ判断に迷つたという事例にも接しました。これが行きました各地の実際のありさまであります。
 まず、茨城県の模様について御説明を申し上げます。
 御承知のように、水戸市、その近郊にありますところの水戸の大学寮では、六月十八日の自治庁通達に対しまして、学生が全面的に反対をいたしました。県の選管に対しまして、自治庁通達を拒否してほしいとの抗議が提出されたのであります。この学生運動を起したことは、新聞紙上等において皆様御承知のことと思いますが、大略を申し上げますと、茨城大学におきまして、抗議文を提出するとともに、自治庁通達を拒否してほしいとの通達を選管は受けたのであります。選管といたしましては、かような権能はありませんし、自治庁通達の方針は事務遂行上の基本でもありますから、何ら方針の変更はできないとして、調査票の作製その他事務を行わんとしたのでありますが、一部の寮においてはまつたく拒否されまして、困難をきわめたのであります。当県選管の認定問題の中心点は、申すまでもなく自治庁通達に忠実で、厳にその主旨を守ろうとしたのであります。第二、第三の通達もありましたが、問題の起きました学生寮のあります村においては、第一通達の主旨がそのまま踏襲されてあまり変化のなかつたことが、県と学生との摩擦の最大の原因ではないかと思うのであります。調査委員の行きました当日におきましても、未だ氷解されないものを見かけましたのは、このことの多くを語つておると思います。こまかいことを申し上げましてもいかがかと存じますが、前段申し上げました学生運動、陳情運動の一番問題を起しましたのは、同県東茨城郡渡里村の茨城大学の教養学部、文理学部の寮生であります。学生の言い分を聞きますと、この渡里村の選管の行いました調査は、自治庁の第一通達に強く影響されて、厳格に行われたとのことであります。厳格に認定の調査をすることは、事と次第によつて何ら疑義はないのでありますが、この渡里村より二百メートル離れたところに同大学の別の寮があるのであります。この寮は水戸市中にあるわけであります。この寮の学生につきましては、調査票を用いず、随意に学生と面接して、学生の自主的な意見によりまして、全員修学地に登載するよう処理されたというのであります。この簡易なる手続きが渡里村の学生に対して大いに刺激を与えたとのことでありました。このようにして、渡里村の学生寮の有権者は調査票の提出を拒否しまして、住所認定ができず、今回の基本選挙人名簿には全員登録ができなかつたのであります。当日学生八十九名より選管に対し異議申立書が提出されている状態でありました。
 同県の他の例を申し上げますと、東茨城郡鯉淵村の鯉淵学院におきまして、寄宿生約百五十名が全部郷里に住所があると認定されたような場合、あるいは多賀郡多賀町の茨城大学工学部寄宿生約百名が全部修学地に登載されたという反対の場合、いろいろな環境の事情もありましようし、また客観的なものもありましようが、調査する側の人の主観に基いてこの重大なる選挙権行使の住所の認定がなされ、厳しくなつたりあるいは安易になつたり、ために同一県下においてすら不統一のはなはだしいものを見かけたのであります。このように異種の国家行政活動が行われることは、決して選挙の結果にも好影響を及ぼすものと思われませんし、大いに反省すべきものがあると痛感した次第であります。
 なお、未登載の者の救済策としては、補充選挙人名簿の調製のときに第二段の策もあることではありますが、これにもまして考えるべきは、二重登載が相当あるのではないかとのことであります。種々この問題については郷里との通信連絡でしらみつぶしのような事務をやらねばならぬが、事務担当者の人員の問題、また費用の問題等もからみ、不可能に近いほど困難なことだと思います。基本選挙人名簿の完璧な調製は、選挙権行使の最大な基礎であり、かつ国民の参政権の重大な使命をになつているものであります。今後の大きな問題としてわれわれに課せられた研究課題でもあると痛感した次第であります。
 次に、愛知県の実際につきまして、その調査の次第を申し上げます。当県、なかんずく名古屋市におきましては、大学、短期大学、各種学校百余のものがあり、自治庁通達の線に沿いまして、学校の責任者と連絡をとりまして協力方を求めたのであります。当市においては、学生の団体活動、抗議その他学生運動等はあまり活発ではなかつたのでありますが、一般の空気としましては、自治庁通達は学生を圧迫するものだとの印象を与えたもののようでありまして、従前通りにしてほしいとの陳情あるいは疑義の釈明要求などで、一日五人ないし十人くらいずつ連日にわたり選管に来まして、延人員にしておよそ八百ないし千人に及んだというこであります。このために事務の渋滞を来し、事務遂行上多大の支障を生じたとの説明がありました。市中において反対の署名運動等も見かけたとのことでありましたが、学生の行動は平穏裡に行われたとのことであります。これは、十月の、五、六日に大阪において開かれました五大都市選挙委の連合協議会の次の決議によりまして、学生の要求がおおむね取り入れられた結果かとも思われます。すなわち、その決議と申しまするのは、自治庁の九月二十九日の通達に従い、学生、生徒も一般人と同様に調査し、生活の本拠をもつて住所と認定するというもので、この決議の線に沿つて行つたので、学生も納得が行つた模様であります。この決議の根本精神を申せば、学生の特別調査は行わないのだ、ごく簡単に申しますと、元のまま白紙に返つたということで、このことは地元の新聞報道機関でも大いに取上げたとのことであります。
 次に、石川県について申し上げます。金沢市における大学寮の大部分は九月中に調査表の提出があり、一部金沢大学学生代表が自治庁通達に反対の抗議があつたようでありますが、市選管では、学生、生徒が学費の大半を郷里から仕送りを受けているか、またはその居住地でおもに自分の収入で生計を立てているかなどということについては、特に資料の提出を求めたりしないで、学生の良心的な申し立てをまつて選挙権の所在をきめる考えであるとの意志表示をしましたので、学生は了解して、何ら摩擦なく、大学側にも了解を求め、あるいは学校当局に出かけて協力を求めて、事務の遂行に支障を来さなかつたとのことでありました。
 以上、各地の選管の事例を見まして、自治庁通達が各地で不統一に解釈され、ばらばらに行われていることは、何としても解せない問題であると考えた次第であります。またこのような結果からしまして、修学地の選管と郷里の選管の連絡はまつたく不十分で、一、二の事例あるのみで、その他はほとんど連絡がされていないというような状況です。従つて、先ほどの報告にもありましたが、二重登録の場合と、またどちらにも登録されていない、つまり選挙人名簿から脱落している数が相当数に上るのではないかということが想像されるのであります。
 最後に、本問題に対する調査いたしました各地の選管の意向を総合いたしますと、今回発せられました自治庁通達のようなあいまいなものは排して、学生、生徒、保安官、警備官の住所の認定については、一刻も早く、一点の疑義の生じないよう制度的、立法的に措置してほしいとの要望であります。
 また、この際つけ加えておきますが、住所の認定問題、基本選挙人名簿作製については多額の費用を地方で負担しているのでありますが、政府においてはこの点について何らかの特別の考慮を願いたいという強い要望が、このたびの自治庁通達で痛感したところでありますが、名簿の完璧なる調製もさることながら、これを十全に活用するところの選挙、すなわち選挙啓発運動こそ民主日本再建の原動力であるから、政府は選挙の実態を把握されて、その根本精神を喚起することに思いをいたしてほしいとのことも要望されましたので、ここに申し添えておきます。以上簡単ながら御報告申し上げます。
#6
○森委員長 これをもつて一応調査の報告を終ります。続いて、御質疑がございますれば、これを許します。
#7
○高瀬委員 選挙制度の調査委員会の答申をまつてから、われわれこの問題について党議をまとめて所見を述べたいと思いますから、本日はこれで打切りにお願いいたしたい。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○森委員長  ただいまの高瀬君の動議に御異議がなければ、本日はこれをもつて散会いたします。
 次会は公報をもつてお知らせいたします。
    午後三時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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