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1953/12/05 第18回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第018回国会 外務委員会 第2号
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1953/12/05 第18回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第018回国会 外務委員会 第2号

#1
第018回国会 外務委員会 第2号
昭和二十八年十二月五日(土曜日)
    午前十時五十四分開議
 出席委員
   委員長 上塚  司君
   理事 富田 健治君 理事 福田 篤泰君
   理事 穗積 七郎君 理事 戸叶 里子君
      麻生太賀吉君    金光 庸夫君
      北 れい吉君    増田甲子七君
      岡田 勢一君    須磨彌吉郎君
      神近 市子君    田中 稔男君
      西尾 末廣君    大橋 忠一君
 出席政府委員
        外務政務次官  小滝  彬君
        外務事務次官
        (条約局長)  下田 武三君
 委員外の出席者
        外務事務次官
        (経済局長)  小田部謙一君
        大蔵事務官
        (主税局税関部
        調査統計課長) 片桐 良雄君
        大 蔵 技 官
        (主税局税関部
        監査課長)   木谷 忠義君
        専  門  員 佐藤 敏人君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 日本国とアメリカ合衆国との間の友好通商航海
 条約第八条2についての留保に関する公文の交
 換について承認を求めるの件(条約第一号)
 関税及び貿易に関する一般協定のあめる締約国
 と日本国との通商関係の親制に関する宣言への
 署名について承認を求めるの件(条約第二号)
    ―――――――――――――
#2
○上塚委員長 これより会議を開きます。
 日本国とアメリカ合衆国との間の友好通商航海条約第八条2についての留保に関する公文の一交換について承認を求めるの件を議題といたします。質疑を許します。戸叶里子君。
#3
○戸叶委員 この前にこの通商航海条約を審議いたしましたときに、たしかその中では制限業種に関する企業については既得権が認められていたと思いますが、そこに自由職業についてそのときには認められておりませんでした。そこで今度留保条項がここに出て来たのですが、そうすると日本におります既得権を持つている従業者、すなわちここに表が出ておりますけれども、そういう人たちの扱いは、この交換公文が通つたらどういうふうにおやりになるおつもりであるか、お伺いいたします。
#4
○下田政府委員 制限業種の方につきましては、仰せのように既得権という問題が起りまして、その留保を相互的になしたのでありますが、自由職業の方につきましては、アメリカの方では現在アメリカ人だけ許しておつて、外国人に許しておらないのでありますから、既得権の問題は米国内では起りませんで、もつぱら日本で起る問題でございます。そこでとりあえずアメリカと同様の留保を日本側もいたしましたので、さて留保した権利に基いてアメリカ人に対し、いかなる職業に従事することを禁止または制限するかという問題につきまして、関係各省たびたび連絡いたしておりまして研究いたしたのでございますが、現在までのところ関係各省から制限をいたしたいという意思表示に接しておりますのは、第一にはアメリカ人の弁護士でございます。それから第二にはアメリカ人の建築士でございます。それ以外の職業につきましてはただいまのところ、関係各省から禁止または制限したいという意向の申出に接しておりません。そこでしからば弁護士、建築士についてどういう制限をするかということは、まだ主管省の方で結論を出しておられません。従いまして今御提起になりました現在すでに弁護士あるいは建築士になつているものまでも禁止してしまうかどうか。禁止するとすれば今後アメリカ人でそういう職業に従事するものだけ除くかどうかという点重大なる問題なのでございますが、その点実は主管省で意見を決定いたしておりません。
#5
○戸叶委員 そうすると主管省で決定しておらないから、今のところはどの程度の期間を許しておくとかおかないとかわからつない、そのままにしておおきになる、こういうふうにとつていいかということが第一点。それから関係各省に問い合せたが弁護士と建築士だけであつたが、そのほかの方は何ら返事がなかつた、ほかの方は日本政府としてはどういうふうにおやりになるおつもりであるか、それを伺いたい。
#6
○下田政府委員 政府のこの問題に対する態度といたしましては、実はアメリカと同様な対応をする留保をいたした次第でありますが、結果においては実は違つた意味を持つて来ているわけであります。アメリカの留保の根本目的というのは、いわゆるこの公文にも書いてございますように、公の安全でございますとか公共の衛生、要するに公共の利益にかんがみまして何も日本人だけ対象といたしませんで、すべての外国人に許さない、あるいは制限するという趣旨なのであります。ところがこれに対応して日本がなす留保は、すべての外国人ではなく、アメリカ人だけに禁止または制限を加えようとするという問題になつて参ります。そこで現実の結果は、米国における禁止制限は無差別、国籍のいかんを問わず、ところが日本に参りますと米国人だけということになつて参ります。そこで日本におきまして公共の福祉あるいは公共の衛生という見地からやるというよりは、アメリカが禁止したから日本も禁止するという、多少報復的の意味を持つて来ると思うわけであります。そこで日本の憲法の建前からいたしますと、職業選択の自由ということを広汎に認めております。そこで日本の憲法の建前から申しますと、アメリカが考えているように、公の見地ということからする職業の禁止制限ということは、実は憲法の精神にはあまり即応していないのであります。しかし国際慣例といたしまして、外国がそういうことをやつたならば、国家としてやはりそれに対応する措置をとる権利を、法律上留保しておくことが必要であるというところから、日本も対応する留保をいたしたわけであります。でございますから、政府の目的は国家の対外関係と申しますか、国権の保護というところが主眼点であります。公の見地ということによりも、国権の保護ということが主眼点でございますので、対外関係において国家の利益が保護されるということが主である結果、実は権利を留保すれば、対外的の目的は達成されたのでありまして、国内の問題として、現実にひどい禁止をし、ひどい制限をするということは、それほど重要問題ではないのではないかと私は思います。
    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕
そこで関係省におかれましても、アメリカ人の教師が英語の先生をしておるとか、あるいはお医者さんが聖路加の医師宅ておるとか、いろいろな事態がございますが、これは何もおつぱらう必要はないというお考えの省が実は割合に多いのであります。外務省からの照会に対しまして、今のところ弁護士と建築士だけの禁止または制限をやるという、非常にわずかな省からのお申出でありました。これは実は意外でも何でもないのでありまして、ただいま申しましたように、日本側の留保の根本目的に考えてみますと、実は日本としてはそれでいいのではないか。無理に憲法の職業選択の自由に反して、米国人の職業の禁止、制限を厳重にするという必要は、実は現在のところないのではないか、そう考えておる次第でございます。
#7
○戸叶委員 ただいまの御答弁を伺つておりますと、日本の憲法には職業の自由ということが書かれている、それだけれども、アメリカの国内法なりあるいは州、そういつた関係から、そういうふうに禁じられている職業があるから、そして留保条項が出て来たから、日本もそれに準じて留保条項をつける、そういうふうに考えて参りますと、一応は何か留保が対等であるようにもお考えになるかもしれませんが、私どもの方から言うと、少しも留保のあり方が対等じやないと思うのです。アメリカ側が自分たちの国の状況に応じてこれを留保して来る、日本でもそれに応じてするんだというので、何かそこに対等には感じられないのですが、その点はどういうふうにお考えになるかということです。
 それからまた日本におります弁護士の方々が、非常に利益をむさぼつているというようなことを聞きますけれども、そういう点はどうなのでしようか。その点も承りたいと思います。
#8
○下田政府委員 第一点につきましては、アメリカの留保を受けて立つた日本であるから対等でない、イニシアチーヴはアメリカにとられておるという趣旨の御質問であろうと思うのでございますが、実ばそうではないのでありまして、日本は職業の選択の自由を保障する憲法のもとにおいても、なおかつ公の見地から、外国人に許してはならない職業が現行法上あるのでございます。それは第一には公証人でございます。第二には水先案内人でございます。この二つは現行法上日本人だけしかやれないことになつております。でございますから、日本はもう交渉中にまつ先にその留保をいたしまして議定書の第五項でございましたか、公証人と水先案内人は自由職業の規定から留保することを、実は先に日本はやつておつたわけなのであります。でございますから、わが方はちつとも手落ちがないので、留保すべき―ものは初めから留保してしまつたわけであります。アメリカの方が実は上院に行きまして、初めて州の利益を代表いたしておりますセネターから意見が出まして、それでこういう留保の問題が起つたのであめりまして、不対等と申しますよりは、実は日本が交渉中に堂々と正面切つて留保しておるわけなのであります。
 第二の弁護士の点でございますが、これは私ども法務省の御意見も伺つておりますし、またこれに対してアメリカ側の大使館の者の意見も聞いております。そこで米国側の意見は、日本に来て働いておる米国の弁護士は、ちつとも日本の弁護士と競争関係にない。現在いろいろの進駐軍工事、進駐軍の発注、調達等につきまして日本の業者は米国機関との関係で、利害関係を持つておられる。その場合に複雑なアメリカの調達法規に精通し、そして日本の業者の利益が毀損せられた場合に、日本の弁護士では、日本の業者の利益を 完全に保護することはなかなかむずかしいのではないか、そういう場合にアメリカの法規に通じておる米国の弁護士が、米国側の軍その他の機関に折衝して日本側の業者の利益を擁護しておる例がたくさんある。そこで日本の弁護士がよくなし得ないところを、かわつて日本人の利益を保護しておるのがアメリカの弁護士の実は役目なのです。だから日本にアメリカの弁護士が来て働いておるということは、日本全体の利益にも決して反しないし、また特殊の関係業界の利益にも反しない。いわんや持前はそのように画然とわかれておるのだから、何か制限するとしても、その点をよく了解して、あまりひどい制限をしないでもらいたいというような希望の表明を受けております。これは一面、私ももつともな点もあると存じておるのでございます。
#9
○戸叶委員 そういう御意見も一方にはあるかもしれませんけれども、私どもの方には、そういうふうじやない意見もたくさん入つて来ておるわけです。今の政府の御答弁によりますと、まだそういうふうないろいろ歯内のこれに関連した法律などが整備されておらないのですけれども、これを認めてしまつてから、国内法がいろいろ整備して行くということになるわけなんでしようか。たとえば弁護士の関係か何かについての法律、そういうものをこれから整備して行くという形になるのでしようか。
#10
○下田政府委員 仰せのように、まず条約に対する批准の際に留保をいたしまして、法律上国家としての権利を留保いたしたわけでございますが、国内立法といたしましては、これから現実に制限を目標とする立法手段をとるわけであります。法務省の方が実は前からこの問題を研究しておられまして、法律案も今研究中だろうと思いますので、早ければ通常国会に提案になるのではないかと存じております。
#11
○戸叶委員 私どもはそういう点、もう少し日本の国の問題ですから、国内法などを整備した上で、こういうふうな留保条項なり何なりに対しての態度をきめるという方法をとらないと、いろいろな問題があるのじやないかと思います。そういう点をこれからも、これが先例となることをおそれますので、十分御注意願いたいということを申し上げて、私の質問を打切りたいと思います。
#12
○富田委員長代理 大橋忠一君。
#13
○大橋(忠)委員 これは一面双務的でないような点に今気がついたのでありますが、それは向うの州で、外国人の自由職業を禁止しておる場合には、その州出身者に対しては、日本では許さない、こういうふうになつていると承知しております。ところが向うの州で禁止されておるから、日本でできぬ、そこで州りをかわる、禁じない州の方に移転をして、日本でやるということが自由にできる、そこで留保条項を日本が法制化しても、実際上はアメリカの方はかつてに留保ができる、日本人の方は事実上許されたきわめて少数の州においてしかできない、そういうような不対等のことが起るというようなふうにちよつと考えられるのですが、その点はどうですか、御説明願いたい。
#14
○下田政府委員 実は仰せの通りの心配を私どもといたしましてそういう住所というものは割合かえられるものでありますから、自分の州が外国人の職業を禁止しておる場合に、それはいかぬというのでひよつと隣の州に行つてもぐるという危険性を特に気づきまして、こういう措置をとりました。つまりお手元に配付してあります留保の交換公文自体のほかに、日本側の解釈に関つする公文というのがございます。それはこういうことなのであります。アメリカ人がある州に属するという言葉の意味でございますが、それはまず第一にどこで許可をもらつておるか、チェッキングの手段といたしますライセンスを見ますれば、ニューヨーク州ならニューヨーク州で見たことは動かせないのですから、住所をかえてみたところでのがれられないわけであります。それでライセンスを第一にチエツクするという手段をとりました。ところが困りますことは、いやおれはまだアメリカでライセンスをもらつていないのだけれども、日本に来て初めて職業をやりたいという人が現われた場合にどうするかという問題があります。そこで第二次的のチエツクの手段といたしまして、住所をチエツクすることにした。住所はパスポートなり身分証明書を見れば書いてございますので、その場合には、まだアメリカで職業をやつてないのでありますから、住所を転々としてのがれるという問題が生じないわけであります。結局ライセンスに重きを置いて住所は二次的のチエツクの手段とする、そういう手段をとつて御指摘の危険を防ぐ予防線を張つておるわけであります。
#15
○大橋(忠)委員 それではその住所というものも向うでは自由にかえることができるわけですか。それからまたそのライセンスにしても、幾つも各州においてライセンスを持つておるというような場合がある。これらに対する抜け道はどういうふうにチエツクされておりますか。
#16
○下田政府委員 ニューヨーク州とカリフォルニア州の両州で弁護士のライセンスを持つている人間が参りまして、かりにニューヨーク州では外国人に許しておつてカリラオルニァ州では外国人に禁止しておるという場合、州のどこか一つで外国人に禁止しておりますれば、ひつかかつてそれはできないことになるわけであります。
 それから住所の点も、仰せのように住所をかえることはちつとも不可能なことではないのであります。しかし住所をかえるということは、実はおれはニューヨークで生れたのだ、あるいはまたニューヨークに家があるのだというゆえをもつて日本に来て制限されるということは必ずしも妥当ではないと思います。でございますから、先ほど申しましたように、ライセンスを持つていない人間、日本に来て初めて商売をやろうという人間だけについて住所の問題があるのでありますが、その際にはどこで生れたとか、どこに家があるとかいうことは、日本としてはそう詮索する必要のない問題でありますから、そう御心配の点はないのではないかと思います。
#17
○富田委員長代理 他に御質疑はございませんか――ではこれにて本件に関する質疑は終了いたしました。
 ちよつと速記をとめて。
    〔速記中止〕
    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕
#18
○上塚委員長 では速記を始めて。
 これより討論に移ります。討論の通告がありますので順次これを許します。穗積七郎君。
#19
○穗積委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となつております問題について反対の意思を表明いたしたいと思います。
 私どもは前の日米友好通商航海条約そのものが、表面は実は自由正平等の原則に立つているようでありますが、実質的にわれわれが判断いたしますと、アメリカの対日投資を保護する条約の面が非常に強く、その結果は日本の経済に対しますアメリカの支配を非常に強化するという理由によつて反対いたしたのであります。ところが一旦できましたその条約が、今度の交換文書によりまして多少当然日本側にも緩和されるかのごとき形でありますので、その面においてはけつこうなように見えますが、しかしこれは次のような点においてわれわれは了承しがたい。
 第一はアメリカ側は親条約を批准いたします場合に、初めから条件としてこれは留保いたしたものでありまして、でありますからただいま議題となつておりますのは、親条約とは別個に討議すべき問題ではなくて、日本が実は批准するときに当然アメリカ同様の留保条件をつけて討議すべきものであつたと思うのであります。そういう意味では何ら実質的に一ぺんきまりました条約を有利に修正するという理由にはさらにならないという点が一点。
 もう一点は、内容を承りますと、表面自由平等のようでございますが、内容的には必ずしも平等にはなつていないのであります。むしろアメリカ側に有利であつて、われわれはそれと同等の実質を確保することができないという点を判断いたしまして、私どもはこの条約は親条約の討議とともに一括いたしまして反対をいたしたい。
 そういう趣旨で私どもの反対の理由を明らかにいたしておきたいと思います。
#20
○上塚委員長 須磨彌吉郎君。
#21
○須磨委員 私は改進党を代表いたしまして、今回議題となつております日米通商航海条約第八条の留保に関することは、相互平等の原則を守り得るものと信じまして賛成の意を表します。
#22
○上塚委員長 戸叶里子君。
#23
○戸叶委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいまの議題に反対するものでございます。
 その理由はまず第一といたしまして、この日米友好通商航海条約が提出されましたときに、その説明に当つた政府委員の方が、この条約は両国間の平和及び友好関係の強化と言われ、また無条件最恵国待遇及び内国民待遇の原則を基礎とすると言われたのでございます。ところがここにはつきりとそうでないと言われるのは、このように職業に自由につけないで、明らかにそこに制限を加えているということは、友好の精神に反するものであり、そしてまた内国民待遇を与えるということに反するものでございます。それが第一点。
 それから第二点は、留保のやり方にいたしましても、先ほど条約局長は日本側が水先案内とか公証人とかいうものに対して優先的に留保条項をつけられて、日本の方が先に出た点非常に有利であるということを言われたのでございますけれども、アメリカの国内事情が日本と異なつており、また州の割り方も日本と異なつている。そういうものに応じてつけている制限でございますので、そういうものに応じての職業につく制限が加えられております。従つてどのように弁解をしましても、住所をかえるなりあるいは州をかえるなりして、もぐるようなことがないとも言えないと思います。これは先ほど大橋委員が指摘した通りでございまして、この点も私どもは留保条項が対等であるとは言えないと思います。
 それから第三点は、この留保条項というものは条約が提出されましたときに、もうすでにきまつていたにもかかわらず、このようにあとから事後承認の形をとつて来た、その点でございます。
 以上の三点をもつて私どもはただいまの議案に反対の意を表するものでございます。
#24
○上塚委員長 これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。日本国とアメリカ合衆国との間の友好通商航海条約第八条2についての留保に関する公文の交換について承認を求めるの件を承認すべきものと議決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#25
○上塚委員長 起立多数。よつて本件は承認すべきものと決定いたしました。
 なお本件に関する報告書の作成は委員長に御一任正願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○上塚委員長 御異議がなければさよう決定いたします
    ―――――――――――――
#27
○上塚委員長 御異議がなければさよう決定いたします
#28
○上塚委員長 次に関税及び貿易に関する一般協定のある締約国と日本国との通商関係の規制に関する宣言への署名について承認を求めるの件を議題といたします。
 まず政府側より本件に関する詳細説明を求めたいと思います。小田部説明員。
#29
○小田部説明員 このたび日本がガットに入りまして、お手元に配付しております関税及び貿易に関する一般協定のある締約国と日本国との通商関係の規制に関する宣言というのによりまして、すでに賛成いたしましたその国が、この宣言に署名いたしますれば日本とその国との間にいわゆるガットの規定というものが適用されるわけでございます。それでいわゆるガットと言われておりますし、ガットが適用になると申しますが、ガットというものはどういうものであるかということを簡単に御説明いたしたいと思います。
 それはこの第二次戦争が済みました後に、一九四五年の末でございますが、アメリカは世界貿易というものを自由にすることが必要であめるということを主張いたしまして、その結果貿易及び雇用に関する国際会議というものをやろうということを提案いたしました。そして国際連合の経済社会理事会に対しまして準備委員会をやつてもらいたいということを要請したのであります。それに基きまして、国際連合の経済社会理事会が主宰いたしまして、ロンドンとジュネーヴにおきましていわゆる準備会議というものができまして、その結果最後にハヴアナにおきまして世界のほとんど全部の国が集まりまして、国際貿易憲章、ITOと略して呼んでおりますが、それができたのでございます。ところが第一回のロンドン会議のころから、国際貿易憲章の目的としておることは非常に広汎であり、かつ理想主義に過ぎて、はたしてこれが世界各国に採択さ回るかどうかということが疑問でございましたので、次に行われるジュネーブの準備会議におきましては、この大きい国際貿易憲章というものと並行いたしまして、関税引下げ――これは自由貿易を阻止している重要な要素であるというので関税引下げ交渉を行う、それから同時に貿易及び雇用に関するいわゆる貿易憲章のうちの一部の、おもに貿易政策に関する部分と一つにまとめて、木式のものができるまでの間、それを実行しようじやないかというようなことが採択されたのであります。それに基きましてジユネーヴにおきまして関税引下げ交渉が行われまして、かつ当時の草案でありますいわゆる国際貿易憲章のうちの一部をとりましてそれをこの中に入れられたのでございます。それから関税引下げ交渉といたしましては、第二回目にはアヌンーであります、第三回は一九五一年にトーケーで行われたのでありますが、ジユネーヴにおける関税引下げと、そのときいわゆる国際貿易憲章の草案のうちから一部とりましたのが、お手元に配付してございます関税及び貿易に関する一般協定となつて現われたのでございます。この関税及び貿易に関する一般協定は大体一部と二部と三部とにわけているのでございます。その後いろいろ各種の修正を加えられましたが、お手元に配付してございますものは修正及び訂正を施したものでございます。そのうちでも第一部の部分が現在ほんとうに実行されているのでございまして、第一部の中にはたつた二条しかありません。そのうちの第一はいわゆる商品に関する無条件最恵国待遇というものを約しております。但し特恵をやつている国の特恵というものについて若干の了解がついておりますが、大体において加盟国における最恵国待遇ということが規定されております。第二条にはお手元に配付してございますが、厖大なる関税譲許表、これは前に申した通りジユネーヴ、アヌシー、トーケーを経ました関税引下げ及びすえ置きという表がございます。それをお互いに与え合うということが書いてございます。それが一部でございまして、第二部の規定は前にも申しました通り国際貿易憲章のうちから貿易政策に関する分を入れたものでございます。それから第三部は適用地域とか、脱退とか、加盟とかいろいろな手続規定でございまして、それでいわゆる関税及び貿易に関する一般協定ができましたときに、これと同じ日に、このページの一番最後に書いてございますが、関税及び貿易に関する一般協定の暫定的適用に関する議定書というものができました。これによりまして第一部のいわゆる最恵国待遇と関税引下げの部分及び手続規定部分はこれを適用するが、第二部の貿易政策に関する部分はそのころから理想主義が強いというのでまだこのころは、最後のハヴアナにおける貿易憲章ができる前でございましたので、それまでの聞ということで第二部の部分は国内で現行法の法令に合致する最大限度において実行するということになつておつたのでございます。もちろんこの三部の部分もあとで述べましたバヴアナにおける国際貿易憲章が有効になりましたなら、ば、加盟国の間には有効になるのでございますが、いわゆるハヅァナ・チャーターといわれている国際貿易憲章に署名いたしましたが批准をした国がございませんので、現在まで有効となつておりません。それで現在まで関税及び貿易に関する一般協定は、第一部の最恵国待遇と譲許表の部分、第三部の手続規定が有効である。第二部の部分は現行の法令と合致する最大限度においてやろうじやないかという申合せがございます。現行の法令は日本にとりましてはことしの十月二十四日に調印いたしましたから、そのときの国内法が優先するというふうに解されます。
 それからつ大体ガットというものはそうついうものでございますが、はたして日本がこれに入りました利益はどこにあるか、何のために急いで仮加入のようなことまでして急いだかということの理由を今御説明いたします。それは第一番にわれわれが考ましたのは、われわれは現実に実質的に儀て来ませんけれども、いわゆるガットの会議を通じまして、日本は国際貿易政策の形成に参加できるということでございます。これはガット加入の国は現在では三二十三箇国でございますが、日本から申しますれば、この三十一一箇国と日本との貿易は約八〇%を占めております。それらの多くの国と一緒に世界経済政策を討議し、かつ形成できるという利益がございます。ことに来年は世界貿易政策が一つの転換期を持つのではないかとそう考えらつれる次第でございます。その理由は、共和党になりましてアメリカが現在のところ民主党の貿易政策を大体踏襲して一歩もほとんどかわつていない。それに対しまして大統領はいわゆるランドール委員会と申しておりますが、対外経済政策を審議する委員会を任命いたしまして、その報告は来年の三月六日ということになつております。現実の事態といたしましては、あるいは今年中にこの報告が一応ででき上がるのではないかかと予想されております。このアメリカ共和党の長期対外政策というものができますれば、現在のつガットにおきましてもいろいろ行き悩みがございまして、前に申しました通り単に最恵国待遇と譲許表の部分だけが有効じやないか、その他の部分をどうするとか、その他の重大なるものが来年のガットの総会では議論されることだろうと思います。現に今度のガットの総会におきましても、各加盟国は来年の七月一日までに、ガットをどういうふうに改定するかというような問題の意見を肥すということを決議されたくらいでございますから、来年のガットは非常な転換期にある、その転換期におきまして、日本も国際貿易政策の討議及び形成に参加したい、これはこういう意向でございます。
 それから第二番目のガットの利益と申しますものは、第二部の部分はなるほど国内法か優先いたしますが、しかし相当こまかい規定がございまして、各国もいろいろ問題があるのであります。たとえば今までですと、日本の商品に対しまして、ある国が不当の差別待遇をしたといたしましても、その不平はその国にだけしか申し述べられない。ところがガットになりますと、その不平をこの締約国団の会議において持ち出し得られる。そうすれば日本のことも日本だけの力ではなくして、その他の国の輿論に訴えまして、ある国が日本の商品に対して不当な待遇をしているということが、言われるのでございます。それでございますから、この前も述べました世界経済政策の討議にあずかれるということと、日本品が輸入制限とかその他のことに関しまして、不当な待遇を受けないということに関しまして、利益があると考えたからであります。
 それから第三番目の利益は、日本は現在ある国からは条約上の権利として最恵国待遇を受けておりますが、その他の国、たとえば英国のような国からは、条約上の権利じやなくして、事実上最恵国待遇というものを受けております。これがガットに入りまして、事実上の権利というものが条約上の権利になるということを期待したわけであります。もつとも英国は日本に対して棄権いたしましたから、その目的は到達いたしませんでしたが、その他また日本の加盟に賛成し、かつ宣言に署名すると思われる国で、現在の段階で今までガットに入りますまではわが国に最恵国待遇を与えてくれない国が、約九箇国あると思います。そのうちでも特にカナダとかブラジルとかインドネシアほ重要な国であると思います。このわが国貿易総額に占めますものは、去年の統計によりますれば一〇%以下で、この点はまだ少うございますが、たとえばカナダのような国から最恵国待遇というものをもらいますれば、少くとも現在の日本の商品の進出というものは、倍くらいにはなるのじやないか。この計というものはなかなかむずかしゆうございますが、相当進出すると思つております。このガットに急いで入りましたのは、この三つの理由に基いたものでございます。
 それから加入の経緯を大体述べますと、わが国は昭和二十六年の第六回会期のときに、簡易手続というものができましたので、その簡易手続に基きまして、昭和二十七年に関税交渉開始の申請を行いました。ところがこれはわが国のような貿易上重要な地位を持つている国を簡易手続では入れがたいという英国とか濠州とかニユージーテンドの反対がございまして、結局去年の総会において、わが国の加入ということが議題になりました。そして去年の総会では結論がきまらずして、これを会期間委員会というものに移されまして、そして今年の初めに会期間委員会を行つたのであります。その結果わが国を入れる加入の条件、関税交渉の時期というようなものに関して、ある一つの報告書ができたのでございます。ところがそのときの予定によりますれば、アメリカも関税交渉をするという建前になつておりまた。もともとガットに正式加入いたしますのには、関税交渉をした上で総会で三分の二をとるということになつております。それでわが国もアメリカも関税交渉をするということでもつて、わが国はアメリカその他の国と関税交渉をするということを覚悟していたのでございますが、その後互恵通商法がアメリカでことしできましたときに、一箇年しか有効期間がない。しかもこの一箇年の有効期間においては、大規模な関税交渉はしないということをアメリカの行政府が立法府にコミツトしておる関係がありまして、アメリカは関税交渉に加わらないということになつたのであります。アメリカが関税交渉に加わらなければ、ほかの国はもう日本と関税交渉に加わらない。と申しますのは、ほかの国は日本との関税交渉よりも、むしろアメリカとの関税交渉に重大な期待をかけていたものでございますが、アメリカの関税交渉ができない以上はしないということになつて、結局ことしは関税交渉はできないことになつたのであります。そこで関税交渉なしに入るということを考えまして、わが国は関税品目中の相当部分をすえ置くという条件でもちまして、仮加入ということになつたのでございますり。
 それから実はお手元に配付してあるだろうと思いますが、関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の適用の継続に関する千九百五十三年十月二十四日の宣言というのがございます。それは実はこのガットの加盟国の関税譲許というものは、ことしの十二月三十一日をもつて切れるということになつていたのでございます。それをとりあえず十八箇月だけ延長しようということを、ガットの規定の二十八条に基きましてやつたのがこれでございます。すなわちガットの加盟国は十八箇月関税譲許を延ばす、それに対応しましてわが国の関税すえ置きも、十八箇月だけということになつておる次第でございます。大体そのような次第でございます。
#30
○上塚委員長 本案はただいま説明のごとく、これに参加することがわが貿易振興上一日も早きことが利益だと考えられますので、本日これから質問を継続いたしまして、明後日討論採決いたしたいと思います。
 これより質疑を許します。大橋忠一君。
#31
○大橋(忠)委員 はなはだ幼稚な質問かもしれませんつが、英国が棄権をしたために、英国に対してはガットの規定によつて権利として最恵国待遇を要求することはできないことになつておりますか。
#32
○小田部説明員 英国に関しましては、ガットに基く最恵国待遇というのを要求することはできません。
#33
○大橋(忠)委員 そうすると、英国が日本の綿製品のあるものに対して輸入禁止に近いことをやつておる。そういうようなことが、ガット仮加入にかかわらず、継続することができるものですかどうですか。
#34
○小田部説明員 英国は現在のところ日本の綿製品に対しましても、必ずしも全般的に禁止しているというわけではありませんが、十分ではございません。それは今の日英交渉でもつてその問題を取上げておりますが、ガットの規定によりますれば、たとい英国が日本をガットの加盟国として支持してくれましても、輸入制限はできることになつております。これはわが方も輸入制限はできるし、各国ともできる。ただ最初申しました通り、ガットの改訂と申します一つの部分は、アメリカとかカナダとかいう部分が、なるほど関税引下げはしても、各国がいろいろな理由をつけて輸入制限をする。それでは自由貿易が阻害されるというので、今度のガットの改訂される大きな題目の一つが、輸入制限の緩和ということにあるだろうと思うのであります。現在のガットの規定では禁止しておりません。
#35
○大橋(忠)委員 英国のアフリカあたりの広大な植民地については、ガットの関係はどうなるのですか。今までと仮加入によつてかわつて来るのか、今までと同様ですか。
#36
○小田部説明員 植民地に関しましては、従来とかわりございません。それから申し忘れましたが、英国は事実上関税に関しましては、英本国及び植民地に対して最恵国待遇をくれておりますので、わが国は平和条約の規定に基きまして、最恵国待遇をやらなければならぬ、こういう義務を負うておるわけでございます。
#37
○戸叶委員 仮加入の場合と本加入の場合との違いを伺いたいと思います。
#38
○下田政府委員 最初にお断りいたしますことは、ガット、関税及び貿易に関つする一般協定という本元の協定も、実はまだ発効いたしておらないのであります。そこで日本の仮加入という意味は、現在のところ正式加入、つまりガットの現締約国におきましても、本元の協定が生きていないのでありますから、先ほど小田部経済局次長が申されました暫定的適用に関する議定書、それに加入して暫定的にガットを適用しているわけであります。そこで日本の仮加入ということは、暫定的適用をいたしますにつきましても、関税交渉が必要なのでありますが、日本は関税交渉なしでガットの適用を受けるという意味で仮であります。ガットの暫定的適用を受ける、すなわち現締約国と同じ地位につくためにも関税交渉をしなければならないわけでありますが、日本は関税交渉を待つていたらいつ入れるかわかりませんので、関税交渉なしで入るといつたフォーミユラーを提案いたしまして、それがこの九月の会議でいれられまして、関税交渉なしで入る、つまり入場料を払わないで入るという意味で仮加入であるわけであります。しかし入場料を全然払わなかつたかと申しますと、そうではございませんで、日本の場合には、現在の関税定率法に基く税目の約九〇%を、この一年半の間は引上げない、すえ置く。ほかの国でありましたならば、いろいろ関税を引下げられたり、あるいはすえ置くという約束をさせられたりして入つたのでありますが、日本は引下げるということはいたしませんで、ただ一年半の間関税定率法のいう約九〇%の税率をすえ置くという約束を入場券としてガットに入つたわけであります。でございますから、現締約国との差異は、正式の関税交渉なしで入つたということ、それから現締約国ですから、他の三十三箇国すべてガットの適用を受けるのでありますが、日本はただいま御承認を願つております宣言に参加いたしました十四箇国との間で、ただいままでのところガットの適用を受けるという差異があるわけでございます。
#39
○戸叶委員 そうするともう一度確かめたいのですが、仮加入によつてここへ出て来て、日本の仮加入を認めた国は、全部日本がそういうふうな総会なり何なりに行つて、日本の意見を述べることは承知する、しかしそのうちのこの宣言に署名した国だけが、日本とのいろいろと取引をする場合い、ガツト税率で規制される、そういうことになるわけでございますか。
#40
○下田政府委員 仰せの通りでありまして、九月の会議でできました文書に日本が参加しておらないで、他の締約国だけの間でつくりました決定と、それから日本が署名いたしました宣言とがあるわけであります。その宣言の方で宣言参加国と日本との間には、ガットの適用を暫定的にするということをきめまして、日本の参加していない、ほかの締約国多数が署名いたしました決定では、ただ日本は会議に参加して発言するとか、そういう日本の会議への参加についての決定を行つたわけであります。
#41
○戸叶委員 そうすると、ガットへ加入することはいいといたしましても、そういうふうな日本が総会に行つて発言することだけを認めて、実際の通商関係においてのガット税率というものの規制において律せられないというふうなことになると、何かそこに日本に不利な面があるのじやないか。私はしろうとですからよくわかりませんが、そういうふうに感じられるのですが、どんなもんでしようか。
#42
○下田政府委員 先ほど大橋委員からの御質疑もありましたように、英連邦等の反対がなければ、日本はとうにガットの正式加入国になつておつたと思うのであります。しかし主として英連邦を初めとする、日本との競争を恐れる国々の反対によつて、ガット加入の道が今までふさがれておつたわけであります。この困難に対して突破口を見つけるためにずつと苦心して参りまして、先ほど申しましたように、正式の入場料を払うことなしに入るということが認められたのであめりますが、その反面どうしても全部の国との間にガットを全面的に適用するという事態にはこぎつけませんで、ただいままでのところ十四箇国との間だけガットの規定を適用する、それ以外の国はガットに日本が入つて来て、発言したり何かするということを認めるといつうことまでしか認められなかつたわけであります。
#43
○戸叶委員 そうすると、十四箇国以外の国とのガツトの適用を認められるようにするには、次の総会までそういうことは認められないわけですか。
#44
○小田部説明員 実はガットの加盟国は三十三箇国でございまして、そのうちの日本をガットの会議に入れていいという決定に一応賛成いたしました国は、二十七箇国でございます。あと条約局長のおつしやいました通り、英連邦諸国とチエコの六箇国だけは棄権したわけでございます。現在までに宣言に署名いたしまして、日本との間に最恵国待遇、ガツトの規定の適用をすでに約束いたしました国が十四箇国でございまして、これは十二月三十一日までに署名ということになつております。それからその後もこれは受諾の通告をすることによつて効力を発生することになつておりますから、その他の、つまり二十七箇国から十四箇国を引いたその他の国も、いずれこの宣言にサインすることと思います。宣言に署名いたしますれば、次の総会を待たずして、それから一月の日におきまして、日本とその国との間にガットの規定による規制を受けることになるわけであります。今のところ全然見込みがないというのが、日本の加入に総会で反対しました英連邦五箇国とチエコ、こういうことになつております。
#45
○戸叶委員 先ほど条約局長が関税品目の九〇%まで税率をすえ置いたとおつしやいましたが、すえ置かない品目はどういうふうにしてこれはすえ置かない方がいいということをおきめになつたか。その内容を承りたい。
#46
○下田政府委員 大蔵省の関税関係の鑑査課長が来ておられますので、その方から御説明いたします。
#47
○木谷説明員 今回のガットの仮加入につきまして、わが方で関税率のすえ置きから除外してある品目につきまして御説明いたします。
    〔委員長退席、福田(篤)委員長代
    理着席〕
どういう品目を税率のすえ置きから除いたかということですが、わが国におきましては関税率をすえ置くということは非常に重大なことでございます。これをすえ置くかどうか、すえ置きから除くかどうかということについては、慎重に考究いたしました。それで将来関税改正を日本側であるいは行わなければならないことがありはしないかというふうな品目につきましては、できるだけすえ置かない。それからまた関税収入の点から申しましてあるいはそういう必要が将来生ずるのではなかろうかというふうな品目についても、すえ置きから除くというふうな方針で選定してあります。すえ置きから除きました品目についてそのおもなものを申し上げますと、輸入税表の第二類に掲げてありますオート、これは麦の一種でございます。それから落花生、タピオカ、マニオ力、これは澱粉類でございますが、これは澱粉との関係もございますのでこういう品目はすえ置きから除外してある。それから第三区類の砂糖、砂糖関係につきましては関税収入の面から見ましても相当重大な品目でありますので、除外してあります。その他除いてある品目は全部で八十三品目ありまして、相当多数に上つております。
#48
○戸叶委員 けさの新聞に、わが国に関税上の最恵国待遇を与えない国もあるので、それに対して複数関税制度というものを考えていられるように黄田局長が発表していたと思いますが、そういうふうなことの見通しなり可能性の点を伺いたいと思います。
#49
○片桐説明員 実は複数関税制度につきましては、かねて各方面から、これを実施したらいい、あるいは実施するのにはいまだ時期尚早であるというようないろいろの御覧が出ておりまして、大蔵省なり関係各省とも連絡いたしましていろいろと研究中でございますが、新聞に出ておりました黄田局長の御説明はこういう意味のことを申されたのでありまして、いまだ実施するともしないとも決定いたしておりません。いろいろの状況を判断いたしまして、実施するのがいいと思われる時期が立ち至りましたならば、そういうふうにいたします。まだその時期でないと思われますれば、現行のままでしばらく推移を見守るということであります。現存関税定率法によりますと、ある場合に複数関税制度に似た制度をとることができるようになつておりまして、その点について法制的には一応根拠があるとも考えられるのであります。実際実施するかどうかということはいまだ研究の範囲を出ておりません。
#50
○戸叶委員 それをもし実施するような場合には、どういう手続が必要なんですつか。
#51
○片桐説明員 もし実施いたしますと――と言うと誤解を招くおそれがありますが、まつたく仮定の議論としてお聞き願いたいと思います。現行の関税定率法第四条というのがありまして、これに基いて実施いたします場合には、政令をもつてその物品及びその国を指定して実施するわけであります。ただ現在の四条がそういう意味の複数関税制度そのものを認めたものであるかどうかということについては議論がありまして、もしほんとうに実施することになりますと、あるいは若干法律の改正を行わなければならないかもしれない。この点もまだ研究中であります。
#52
○戸叶委員 外務省に伺いますが、その場合に国内だけで片づく問題なんですか。外国との折衝はいらないのですか。
#53
○小田部説明員 複数関税制度をとる根拠が、もともと相手国が最恵国待遇をくれないということを前提にしておりまして、当然このときは条約関係も何もないことでありますから、わが国としましては自国の政策から見て、どれが有利かということを考えれば、相手国と何らの交渉もいらないのであります。ただわが国のような原料輸入国は、いたずらに相手国が最恵国待遇をくれないからといつて、わが国も相手の原料に対してかけるということになりますと、結局利益はわが国にとつてあまりないということになりますから、その場合はわが国として相手国の中のどの品目を複数関税制度にするかということを決定しなければならないのであります。
#54
○福田(篤)委員長代理 次会は月曜日定刻より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後零時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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