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1947/07/25 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第17号
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1947/07/25 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第17号

#1
第001回国会 本会議 第17号
昭和二十二年七月二十五日(金曜日)
    午後二時九分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第十六号
  昭和二十二年七月二十五日(金曜日)
    午後一時開議
 第一 自由討議
    ―――――――――――――
 一、自由討議の問題
  食糧問題について
 二、発言者の数 十七人
  社会党、民主党、自由党各四人、國民協同党二人、第一議員倶樂部、農民党、共産党各一人
 三、発言の時間
  一人の討議時間 十分以内
    ―――――――――――――
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○土井直作君 特別委員会設置の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、隠退藏物資等に関する調査をなすため特別委員会を設け、その委員の員数は二十人とし、議長においてただちに指名せられんことを望みます。
#4
○議長(松岡駒吉君) 土井君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて隠退藏物資等に関する特別委員会を設置するに決しました。
 つきましては、特別委員を指名いたします。委員の氏名は参事をして報告いたさせます。
    〔参事朗読〕
 隠退藏物資等に関する特別委員
  足立 梅市君 加藤 勘十君
  清澤 俊英君 田中 健吉君
  武藤運十郎君 荊木 一久君
  川崎 秀二君 小島 徹三君
  福田 繁芳君 吉田 安君
  鍛冶 良作君 北浦圭太郎君
  辻 寛一君 本多 市郎君
  水田三喜男君 石田 一松君
  野本 品吉君 小西 寅松君
  中野 四郎君 徳田 球一君
     ――――◇―――――
 第一 自由討議
#6
○議長(松岡駒吉君) これより食糧問題について自由討議の会議を開きます。
 土井直作君、発言者を指名願います。
#7
○土井直作君 日本社会党といたしまして、伊瀬幸太郎君を御指名申し上げます。
#8
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔伊瀬幸太郎君登壇〕
#9
○伊瀬幸太郎君 政府はさきに第一次食糧対策を実施し、引続いて第二次対策を樹立して、鋭意食糧問題の解決に努力していることは、諒とするところでございますが、その対策に、今なお遺憾とする点があるのでございます。
 第一の点は、今日深刻な食糧危機に当面していることは、すでに経済白書により國民の前に呈示されたところでございますし、また國民が身をもつて体驗しているところの現実であります。かかる危機を、政府が政府の責任において解決せんとしているのは、はなはだ殊勝に思われることでございますが、それがかえつて官僚の独善や、また收賄事件を起す原因を誘致するに至るのではないかと思うのでございます。
 民主主義体制下においては、政府はその大綱を明示し、その中において各種民主主義團体の支持を受けるごとくにしなければならぬのであります。現実においてやみなしの生活をなしておる者は一人もいないのでございます。しからば、現在のごとく個々の人のやみ行爲が行われ、特に主食である米が投機の対象となりつつある今日において、個々の人間がやみを暗に認めておるくらいならば、労働組合や各種職員組合、教員組合内の消費組合を活用し、これらのものがそれぞれ責任をもつて各組合内の遅配分だけを買入れる機能を與えてはどうかと思うのでございます。そうして、これらの配給價格を統一いたしまして、これに対して政府が補償金を與える制度とすることによつて、今日の食糧問題を國民全体の問題とすることが、最も妥当であると思うのであります。
 第二の点は、供出制度の改革をもくろんで、農業生産調整法や、あるいは國営開拓法案、または農業協同組合法案等、生産向上のために数々の新制度が行われんとしていることは、当を得たものと思うのでございますが、当面の食糧問題は、昨年も食糧メーデーが大々的に行われ、今年もまたそれを身をもつて体驗しておる状態であり、しかも平野農林大臣が言明せられましたごとく、貿易再開するとも、諸種の関係より、ここ二、三年は外國よりの輸入に多大の期待をすることは困難だという現在の國内情勢でありまするならば、わが國の需給状態を精密に調査いたしまして、それに基いて、早急に國内自給を原則とした食糧五箇年対策を樹立しなければならないのであります。その一環として農業生産調整法や農業開拓法案、農業協同組合法案が一段と生彩を加えることであろうと存じます。
 すでに國営開拓事業が実施されておるにかかわりませず、その成果が五〇%以下であるということは、計画的食糧対策の欠如にほかならないのであります。かような、何人も最も納得し得る科学的恒久的食糧対策の樹立なくして、農業生産調整法を実施するならば、あの戰時中の惡法である作付法以上の惡法となり、断じて政府の意図する正しき供出制度の樹立はでき得ないと思うものであります。
 私は、かような食糧の当面対策と恒久対策として、政府によつてのみ解決せんとするごとき中央集権的な食糧危機対策を捨て、廣く各種労働團体や職員組合等の協力にまつて食糧問題の解決をするとともに、食糧五箇年計画を早急に樹立し、農民に明快なる方向を指示することが必要であると思うのでございます。
#10
○議長(松岡駒吉君) 坪川信三君、発言者を指名願います。
#11
○坪川信三君 民主党といたしまして、まず松井豊吉君を指名いたします。
#12
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔松井豊吉君登壇〕
#13
○松井豊吉君 片山内閣は、発足にあたつて、特に食糧問題に重大関心を抱き、爾來独自の構想に基き、幾多の手を打たれつつある熱意に対しては、大いに敬意を表するものであります。しかしながら四面窮乏の環境に立つ多くの國民が、明日の生活をいかにして切り拔けていくかと、もがきつつある現状に直面し、もしも政府の措置が一歩を踏みはずすならば、悲惨なる餓死者を続出せしむるに立ち至るのでありますから、この際政府は、食糧問題につながる行きがかりや情実にとらわれず、食糧事情をむしばむ一切の過誤を一掃して、國民均済の食糧対策の実行に一路突進せられんことを希望するものであります。(拍手)
 この機会において特に提起いたしたいことは、いまわしい戰爭中の遺物である日本甘藷馬鈴薯統制会社のごときが、依然として政府の代行機関たる地位を占め、全國的の指導権を掌握し、甘藷、馬鈴薯の供出から配給の過程に介在し、巧妙なる術策を弄し、中間搾取をほしいままにふるまい、生産者の労苦や消費者の艱難をよそ目に、あたかも封建大名の業跡を再現することは、時代錯誤の極致なるものといわなければならないのであります。(拍手)それがため、政府は不眠不休の眞劍な態度をもつて食糧対策に鋭意当られましても、反面において、衆目のひとしく怪物視する日甘を今後なお存続せしむることは、政府が救國第一條件に掲げる食糧対策が、國民の信頼を失墜するものとなろうかと思うのであります。今こそ政府は、一大英断を揮つて速やか日甘を解体し、生産者の汗と脂の結晶である芋類を、正味のまま消費に配給する建前を設定すべきが適当であります。(拍手)
 私は、以上の論拠に裏づけるため、わが群馬縣における二十一年度の馬鈴薯・甘藷の営團取扱実績に徴し、日甘中間取得の実態を指摘するものであります。甘藷実績一千三百八十四万六千七百三十六貫、日甘中間取得額八百八十三万三千六百五十二円、馬鈴薯実績四百四万二千八百九十一貫、日甘中間取得額二百五十七万一千九百十四円、日甘中間取得合計一千百四十万五千五百六十七円となるのであります。生産者からの供出面における代替率は、甘藷百六十貫をもつて米一石に算定し、馬鈴薯百八十貫をもつて米一石に算定するのであります。消費者に対する代替率は、甘藷百四十貫をもつて米一石に算定し、馬鈴薯百六十貫をもつて米一石に算定するのであります。この生産者と消費者の代替率を比較すると、おのおの二十貫の差を生ずるのであります。この二十貫のうちから、八貫を営團の目減りとして振り当て、残りの十二貫は日甘会社のただもうけとなるのであります。要するに、芋類百貫に対する日甘の現物取上量は、すなわち十二貫となるのであります。
 以上は、わが群馬縣だけの現象ではありますが、これを標準として全國的に類推算出を試みるならば、日甘の中間取得は数億円に上るものと断定するものでございます。(拍手)さらに日甘が多年権力代行の牙城に立てこもり、農業会や営團を頤使あるいは恫喝して築き上げたる隠然たる勢力は、中央当局をも牽制し、その容喙をも許さぬという本末顛倒の内部事情を釀しておることは、一面において政府の威信を疑い、國民の窃笑となるのでありますから、國内の現状に鑑み、はなはだ遺憾に堪えないのであります。賢明なる政府におかれましては、すでに日甘が有害無益な存在であることは十分感知されることと思われますから、救國の使命達成のために拔本塞源の施策を実行せられんことを要請し、これに対する政府の誠意ある御答弁を煩わしたい次第であります。
#14
○議長(松岡駒吉君) 角田幸吉君、発言者を指名願います。
#15
○角田幸吉君 日本自由党は、明禮輝三郎君を指名します。
#16
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔明禮輝三郎君登壇〕
#17
○明禮輝三郎君 今日における政治の中心をなすものは、食糧問題であります。しかして食糧問題につきましては、國民の胸を深刻に打つものがあるのであります。片山内閣におきましては、この点に思いをいたされまして、國会開会劈頭、平野農相により食糧危機突破対策なるものが発表せられたのでありますが、まことに私どもはこれを多とするところでありますけれども、その発表の時期、方法並びに内容が、当局として当を得ないものでありましたために、食糧品の予期せざる暴騰を続けつつありますることは、國民とともに遺憾の意を表するものであります(拍手)これと同時に、その責任たるやまた重大なることを痛感せられたいのであります。
 私は、食糧危機対策といたしまして、先日参議院において西山参議院議員が述べられましたる通り、米麦等の主食供出完了後における自由販賣制を採用いたしたいと考へるものであります。まず主食供出完了後、自由販賣制というものにいたしまするのには、大前提といたしまして、供出制度の根本的改革が必要であります。すなわち私は、現在のような農作物を対象といたしまして、農家に一定の保有量を認め、その残りは全部これを供出せしむるという制度では、ただ單に一定の食糧確保のみが目標でありまして、増産を目標としていないところに、大きな欠陷があるのではないかと思うのであります。
 政治は、人間のよき本能を活かして、その内容であるところの自由と欲望をでき得る限り活かすことにあるのであります。しかるに、この自由と欲望に対して強制するところに無理があります。農家におきましては、篤農家もたくさんあるのでありまするけれども、また惰農もないとはいえません。從つて現在の供出制度におきましては、決して農家の自主的消費規正というものは行われないと私は考えます。
 由來日本の農村は、節約の精神に基きまして、米は盆と正月にしか食わぬというくらいに徹底して、米というものを宝のごとく扱つておる。特に海岸地方におきましては、從來魚類と、芋とかきびとかあるいは豆とかいうものと、栄養を合わせまして、米を常食とせぬ所が相当にございます。さらに農村の生産者には、一人当り四合の保有米を残しておりまするけれども、大体米以外の副食物によつて賄つておりまして、少量の米にて足り得る情勢にあることは、皆様の御承知の通りであります。現在の供出制を実施した結果、米の供出價格が安くて、ほかのものが高い関係上、米を多く消費する現状に立ち至つております。この点より観察して見ますると、農漁村の消費規正による余剰米は、相当大幅なものがあると私は考えます。すでに消費地においては、好むと好まざるとにかかわらず、消費規正をいたしておる次第であります。かの農村に対する報奬物資政策はいかがなものでありましようか。これによつて農民をつるというごときは、ますます消費者をして農民と対立せしめ、平等観に立脚するわれわれといたしましては、十分に考慮せなければならない点であると存じます。
 しからば、供出制度をいかにするかと申しますならば、生産物を目標とせず、耕地にその責任をもたせ、耕地を数等に区分いたしまして、自主的な委員会において供出割当を最も公平に定め、耕地に対して、供出を租税のごとく賦課いたしまして、これにより一定の数量を確保いたしまして、他面耕地に自由耕作をも認め、供出残量と消費規正による余剰米を自由に処分させることであります。自由に販賣し得られるところに、自主的消費規正が生れ、生産意欲が増大するのではありますまいか。かくのごとくいたしまして、初めて農家全体はますます奮い起ち、やみなき主食が自由に得られるのであります。
 しからば、いかにして消費者にこの自由米を公平に分配することができるかにつき、左に意見を述べて見たいのであります。第一、國の代行機関である営團または農業会は、供出完了農家の持込みました現物と引換えに、自由米切符、たとえば十キロまたは五キロを交付すること、登録制を採用いたしません。第二、自由米切符は無記名式にして、かつ流通性を與うること、物交もできることにいたします。第三、自由米切符の價格は、米の市場操作における相場に基き、適宜決定せられたる値段にて消費者に賣り渡されること。第四、米麦は、原則として営團または農業会を通じて消費者に渡る以外は、一切移動を禁止することであります。第五分配、営團または農業会において農家より集積したる現物を、一定の期間毎に中央機関に報告すること。中央機関においては、全國的に分配統計をつくり、消費者一人当り二合五勺の一般基準量のほか、自由米の集積いかんにより、五勺または一合という、いわゆる自由米分配の指示を地方機関になすこと、分配の公平化であります。次に地方機関は、中央機関の旨を受けて、最寄地区の消費者に直接分配をする、これが分配の地域化であります。消費者は必ず米穀通帳に自由米切符を添えまして、これと引換えに現物の購入をすること、これが買だめ防止であります。第六、自由米の切符制度は、米劵のほか、麦劵、芋劵にも活用ができると考えられます。
 以上のごとくして、現政府のいわゆる小包米政策のごとき欠陷を除きまして、しかも平等分配の原則を守り、需要供給の法則に從い、食糧危機突破の一日も速やかならんことを切望してやみません。もしそれ鮮魚介類並びに野菜類の自由販賣制を開始いたしまするや、一夕にしてその品物が著しく出てまいり、またその統制をさるるや、一瞬にして消えていく状態は、その原因いずこにありましようか。われわれは釈然として人類本能の機微をとらえることが、本政策のかぎであり、かつ政治の要道なりと確信するものであります。
 終りに、昨日の報道によりますれば、國鉄または逓信に対する二千五百石の加配米を、いかような理由で出されましたものでしようか。他の労働組合に対する関係等を、いかに考慮せられたるものでありましようか。私の今まで申し上げましたる点につき、当局の明細なる、納得のできる、國民の承認し得る回答を得たいのであります。これをもつて私の質問を終わります。(拍手)
#18
○議長(松岡駒吉君) 土井直作君、発言者を指名願います。
#19
○土井直作君 日本社会党といたしまして、松尾トシ君を御指名申し上げます。
#20
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔松尾トシ君登壇〕
#21
○松尾トシ君 私は、本日の自由討議の議題となつております食糧問題につきまして、政府を鞭撻し協力する意味において、この機会を借り、政府に一言質問申してみたいと存じます。
 経済復興、國民生活安定のかぎを握つている食糧問題解決のために、政府が第一次、第二次、第三次と緊急食糧対策を発表され、その上、漏れ聞くところによりますれば、近く第四次までお出しになるとか、その苦心と御努力は十分認められまするが、何と言つてもこれが効果があがらないことは、國民一同の憂慮するところでございます。(「その通り」)
 政府は、自國産の輸入とが順調に運び、その上二十二年度の早場米まで一定の量を食いこんでも、十月三十一日までには三百五十万石不足と聞いております。この不足を補うために、政府におかれましては、第一次緊急食糧対策のねらいである縁故米を二十万石と算定いたし、第二次救援寄附米を一應十万石と押え、また政府と米の生産者との物交によつて出す米を同じく十万石、それから政府対消費者の代替物交によるものを十万石と推定し、なお第三次超非常時緊急食糧対策により、すなわち、麦・馬鈴薯の供出完了農家より、特別報奬價格――マル公の四倍をもつて新麦、新馬鈴薯を買い上げ、それを一般配給ルートに乘せるという分を百二十万石とみても、総計百七十万石きりで、不足の三百五十万石よりこれを差引けば、まだ百八十万石の不足が出てまいります。聞くところによりますと、この不足百八十万石に対して、第四次特別緊急食糧対策を立て、三十万石を獲得する計画をもち、そして残りの百五十万石が、いわゆる一箇月に五日間という計画欠配となると聞いております。
 食糧危機は、片山首班内閣になつてから突発的に起つたものではなくして、むしろ長年の因縁と歴史をもつているものであり、その総決算として今日食糧危機になつたのだから、計画欠配は絶対によくないものだとは思いますが、今日の現状においては、國民のおおむねは忍びがたきを忍ぶという氣持になれると私は考えます。しかし消費圈にある私たちは、生産圈と消費圈との負担を公平にして、生産圈をバツクにもつ町には比較的米ばかり配給になつて、眞の消費圈には少しも米が配給にならないというようなことは、絶対に防いでいただきたいと思います。遅配の中にも公平を欠かないように、ぜひとも繰返えしてお願いいたします。
 政府におかれましては、食糧危機突破のために、前項のようないろいろの政策を掲げておられますが、要するに解決の根本は、増産と供出の円滑化、輸入食糧の確保、この三つの点に盡きると思います。時間の関係上多く語れないので、供出の点だけを述べてみたいと思います。
 供出の完遂されぬことは、現在の制度及びその運営に重大なる欠陷があるためであることは、政府御自身よくわかついていることと思います。供出制度を徹底的に民主化し、正直者がばかをみるという現在の弊害を打破つて、農民の増産意欲を高揚することこそ、食糧問題解決の根本的なかぎであると確信をいたします。かようなことを繰返し述べますときに、いかにも平凡に聞えますが、結局これが一番解決への近道であると私は考えるのであります。現在の供出制度の欠陷を改善し、縁故米も堂々と送ることができ、物交の余裕があるようにし、しかも供出は百パーセント出すということが当然であると農家に理解させるには、その地力と地質との基礎の上に立つた供出制度を早急につくり、制度それ自体の民主化をはかると同時に、その民主的につくられた制度を動かす機構の民主化も、同時にはからなければならないと思います。言いかえますれば、縣、郡、部落單位に設置されておりますただいまの食糧調整委員会は、表面一應は民主的であり、不公平はないはずでありますが、事実はその土地のボスによつて動かされておりますので、うまくいつていないというのが現状であります。この運営を政府みずからが指導し、名実ともに民主的運営にする必要があると考えます。
 次に、供出制度の改善と表裏一体をなすものに、來るべき農業恐慌及び貿易再開後の食糧政策の実態いかんという問題をあげねばならないと思います。農業恐慌に対する農民の不安が、農民をして供出をにぶらせ、やみ米賣りに走らせる結果を招いていることは、見逃せない要因であります。農民の供出負担を公平にするとともに、農民が將來の不安におびえることなく、安心して素直に供出に專念できるようにするには、この際政府において、農業恐慌に対する方針を今からみつちりとつくり上げ、ともかく供出は完遂してくれ、そのあとは政府が引受けるというような方針を、議会を通して発表し、農村に底流する恐慌への不安を一掃するように、政府は極力努力していただきたいと思います。
 次にもう一点、貿易再開後の食糧政策は、自給政策でいくのか、それとも一定の量を輸入に依存するか、いずれを選ぶかの点でございます。將來輸入に頼るというのであつたならば、開墾は早急に間に合うものでもないし、莫大の費用を投資して開墾する必要がないと私は考えまするので、この点を明確にする必要があると思います。食糧危機突破は、一本のカンフル注射や一服の頓服で治るほど現在では簡單なものではありません。小包米制度の今日までの成果がほとんどゼロにひとしく、一方機械や荷物に化けて、やみ米はどんどん消費圈、特定の場所には、はいつているという事実に徴しましても、いかに政府の政策が官僚の机上の空論の感を深めるかが明らかでありまして、よろしく政府はカンフルや頓服的効果のみを追うことなくして、問題の根本にさかのぼつて大手術をするという正道を着実に邁進すべきことを繰返し力説いたしまして、私の質問を終ります。(拍手)
#22
○議長(松岡駒吉君) 坪川信三君、発言者を指名願います。
#23
○坪川信三君 次に民主党といたしましては、橋本金一君を指名いたします。
#24
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔橋本金一君登壇〕
#25
○橋本金一君 政府は常に耐乏と協力、血と汗の労力によつてのみ経済の安定、食糧危機の突破をはかり得ることを強調いたしておられるのであります。國民もとより、これらは首相の申すまでもなく、よく承知はいたしておりますればこそ、それら血となり肉となるべき食糧を求むるのに悩みある現実にあるのでございます。組閣以來、いろいろと食糧問題に対する対策は講ぜられたのでありまするが、遺憾ながらすべては蹉跌を來しまして、今日の非常危局を招來いたしてまいつたのであります。
 さいわい今回連合軍の好意によりまして、二百三十万六千石の放出を許されたのではございますが、しかし必要なる食糧問題解決のためには、明日をはからなければならないのでございます。そこに思いをいたしまする政府も、目下副食物並びに調味料によるカロリー計算によつてこれを補うべく、総合配給計画を立てておいでになり、最近この実施を見ているのでございまするが、これまた予想に反しまして、遺憾ながらその実態は、今日予期するごとき成績はあげておりません。
 一面において、たとえて申しまするならば、鮮魚に対してはあるいは油のリンクを、蔬菜に対しましては肥料のリンクをいたしておりまするが、日々市場の状況は鮮魚におきまして、遠海物と近海物の鮮度の差は非常なるものがあるのでございます。画一的公定價格のためには、さきに申しましたごとく、遺憾ながら予想以上の出荷はでき得ない現実にある。遂には公價があるにもかかわらず、消費大衆の食生活のために、再び公定價格に数倍する價格をもつて生産地との買付取引を行つておるのであります。しかして自由を許されない反面に、日々統制價格による正規の販賣機関を通じまして配給制度は行つておるのでありまするが、数倍の價格をもつて買付をいたしたるものの、これらのバランスをとるために、今なおその五割、六割はやみ價格によつて取引を行つておるのであります。
 蔬菜においてしかり。これらの誤つたる点は、鮮度の高下の差はなはだしきものに対する画一的公定價格の禍であることは、申すまでもございません。ゆえに、少くともこれらの價格の是正、あるいはまた割当に対する必要供出以外におきましては、近海物と遠海物、近距離の蔬菜と遠距離の蔬菜の鮮度の差によつて、供出の方法、價格の操作等は、都道府縣知事に一任をするということが、最善の方法ではないかと考えるのでございます。これに対して所管大臣の御意見が承りたい。
 さらに、先ほど甘藷・馬鈴藷についての御質問がございましたが、お話の通り專門家の定評は、害ありとも何ら益なき甘藷会社であります。生産者は営々として、食生活の解決のために甘藷・馬鈴藷の増産にといそしんでおるのでございまするが、彼ら甘藷会社の操作の拙劣、取扱いの官僚的なことは、戰爭の遺物として今なお何ら改善を施されておらない。せつかくの増産も、年々各所に腐敗の山を築いておるのでございます。かりにまた、これがただちに解体困難なりといたしまするならば、さきに申しました鮮魚・野菜のごとく、工業用あるいは米麦代替用は別といたしまして、その他の供出完了後における取扱い、價格の操作は、同じく都道府縣知事に一任をされることが最善なりと考えまして、所感の一端を述べ、所管大臣の御意見を承りたいと存じます。(拍手)
#26
○議長(松岡駒吉君) 農林大臣、お答えがありますならば、この際にお答え願います。
    〔國務大臣平野力三君登壇〕
#27
○國務大臣(平野力三君) 多数の方よりいろいろな御質問がありましたので、これに一々お答えいたしますることは、時間をたくさんとりますので、御質問のうち重要と考えました部分について、一應お答えいたしたいと存じます。
 政府が第一次、第二次と順次とつておりまする対策に関しまして、その実績が一向あがらぬではないか、こういう御質問であります。率直に申し上げますると、小包米制度のごときは、明らかにその実績はほとんどあがつておりません。現在東京、名古屋、福岡等におきまして、合計いたしまして未だ一斗七升というような数字しかみておりません。かように実績のあがつておらない点に関しましては、まことに申訳ないと思つております。
 今回第二次の対策といたしまして立てております特別救援米は、最近農業復興会議及び経済復興会議に全幅の一任をいたしておるのでありまして、未だこの成績は、実行に着手したばかりで、あがつておりません。しかしこの方法に関しましては、裏づけといたしまして、硫安五千トン、銘仙十万反、塩、一農家に対して三キロ、かようなる裏づけがありますので、小包米よりは相当の成績はあがると思つております。
 しかしながら、最近私どもが申し上げておりまするように、第一次、第二次の施策のみをもつて政府は現在の食糧政策が乘り切れるとは考えておりません。ここにおきまして、すでに昭和二十一年産の米についての対策については、相当時期を失しておるかとも考えますので、現在政府が最も眞劍に考えておりまする問題は、今供出の途上にあり、農家の手もとにまだ十分ありまする馬鈴薯と麦の供出問題に関しましては、一〇〇%以上供出したものに対するその後の供出方法に関しましては、現在閣議において、きわめて眞劍なる討議をいたしておるのでありまして、この方法によりまして、百万石以上の米換算の数量を獲得し得る方法を立案いたしたいと考えております。さいわいにいたしまして、かように超非常時的なるところの対策が確立し、またかりに落穗拾いのような小さい手段でありましても、この際といたしまして、十万石、二十万石、三十万石でありましても、とにかく合計いたしましたるものが二百万石近く相なるということでありますならば、大体において、この危機を突破する上において相当効果があると考えております。
 また私どもは、現在の危急な時局に処しまして、司令部より放出をせられまする輸入食糧に関して、その早期放出を懇請いたしましたところ、八月末日までの放出の許可を得ましたので、現在この数量を完全に今すぐ配給できるといたしますならば、約半月分の遅配を解消することができるのでありまして、政府といたしましては、御指摘のように、まことにその実績のあがらざることについては遺憾に思つておりますが、その努力の点におきましては、あらゆる手段を盡しまして、全力を傾倒いたしておりますから、この点御了承願いたいと存じます。
 次に具体的な問題として、甘藷馬鈴薯会社を廃止すべしという御意見がありました。爾來、甘藷馬鈴薯会社を廃止して農業会に一任すべしという意見が、農村議員の間に圧倒的であつたのでありまするが、現在におきましては、この代行すべしと主張されておりますところの農業会自体が、近く農業協同組合法を提出することによつて、農業会自体の解散を行わなければならないことになりますので、今すぐこの会社を廃止し、農業会をまた廃止するということについては、当面する芋をいかにするかという代行機関がありませんので、この点に関しましては、御趣意の点はごもつともでありまするが、具体的方法としては、なおしばらく考えてみたいと思います。
 それから逓信省、運輸省に対して、それぞれ二千五百石及び千二百五十石の加配米をしたことについてお尋ねがありましたが、これは逓信從業員及び鉄道從業員諸君の現在の労働と現在の状況に鑑みまして、とりあえずこの程度の米を從來の加配米にプラスして農林省がいたしますることは、これ時宜に適したることであると考えて実行いたしたのでありまして、この点に関しましては、何とぞ御了承をいただきたいと存じます。
 次に、種々御質問のうちにおいて、供出を完了いたしました農家に対して自由販賣制を実施すべしという御意見がありましたが、この點に関しましては、現在供出制度の根本改革を立案いたしておりまして、近く発表せんとするところの供出制度の根本改革には、責任供出制を実行いたしまして、その後の農家に対するところの供出については、特別なる処置をとる、こういうことに関しましては、大体原案を得ておる次第であります。具体的には近く発表いたしたいと思つております。
 次には、貿易再開後の日本の食糧問題はどうかというような点でありましたが、これは貿易が再開されましたからといつて、すぐ食糧がどんどんはいつてくるとは考えられません。從いまして、貿易問題は貿易問題として、食糧緊急対策は緊急対策として、別個の線に沿つて考えることが賢明であろうと考えております。
 最後に、供出制度及び農村の諸般の價格問題等を地方の縣知事に一任してはどうか、また自由販賣制度等に関しましても、地方の知事に一任すべしというような御所論がありましたが、現在政府は輸入食糧を得て、その輸入食糧を政府の手において全國に配給しておるという形をとつておりまする関係上、價格の問題や供出制度を地方へ一任するというわけにはまいらぬのであります。食糧管理は、やはり現在政府の手において実行すべきものであると考えております。簡單でありまするが、以上御答弁いたします。
#28
○議長(松岡駒吉君) 角田幸吉君、発言者の指名を願います。
#29
○角田幸吉君 日本自由党は、加藤隆太郎君を指名します。
#30
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔加藤隆太郎君登壇〕
#31
○加藤隆太郎君 食糧危機に突入した今日、政府はその突破にいろいろ苦心されておられる点に対しまして、私は敬意を拂うものであります。政府の食糧対策の根本的な問題といたしまして、供出制度を改革する最高の御方針を承りましたが、これには一應賛意を表するものであります。しかしながら、いかに計画は理想的であり、供出制度は民主化されても、ただそれをもつて供出の完遂を期し得られると考えておるとしたなら、まことにあさはなか考え方であると言わざるを得ないのであります。
 私は、供出の完遂成否の鍵は、要するに農民心理の把握にありと信ずるものであります。(拍手)現に公然行われつつあるやみ物價の現状において、農家の生産はあげてこれをマル公で供出を強いられ、他面肥料その他の資材は、その大部分をやみ價格で買求めなければならぬような跛行的経済状況下におきましては、とうてい農業経済は成り立つわけはないのでありまして、農産物と農業用必需品との等價交換が行われるような物價体系が整うておらない現在では、いかに供出制度を改革し、報奬物資を特配しようとも、横流しの取締りを強化しようとも、この根本的な問題、すなわち農民の氣持をつかむことを忘れては、増産はおろか、割当量の供出は依然としておぼつかないのであります。
 一体政府の施策を見るに、現下の危機解消に重点をおいて努力されておることには敬意を表しますが、かんじんの農民の増收意欲の振起を閑却するの感あるは、はなはだ遺憾に存ずる次第であります。すなわち、農民が希望のもてる供出制度に改むると同時に、増産と供出とをともに期待するのでなければならないと信ずるものであります。要するに、農民の努力に目標を與えまして、その努力の結晶によつて増收し、しかして供出を完了したる者には、その保有するところの余剩の收穫に対しては、これを農民の自由処分に任せるということは、最も適当な施策であらねばならぬと信ずるものであります。
 一体農作物は、農民の熱意によるところの耕作の手入次第によりましては、多少の障害は克服して増收は期待できるのであります。かくすることによつて、農民は明るい氣分で増産に励み、そうして進んで供出をはたして、しかして配給以外の必要な肥料や資材を買求めることができるのでありましよう。現下の経済情勢下におけるところの農業者に対する施策は、これ以外の手段がないと信ずるものであります。
 次に、食糧緊急対策に対するところの例の対策であります。ただいま平野農林大臣から、率直にこれまでの施策の誤つたことをここで告白されましたから、多くは言いたくはないのでありますけれども、しかしここで釈明されたからといつて、その責任は免れますまい。私は、この食糧対策として現下実行中の例の縁故米制度のごとき、実に愚劣な対策であつて、どうしてこれを平野大臣が氣づかれなかつたか、まことにお氣の毒の感にたえないのであります。このせちからい世の中に、今どき無償でお米の小包を送つてくれるほどの奇篤な親戚や知人が、一体幾人あると思つておられたのであろうか。片山総理大臣は、道義の高揚を叫ばれております。しかも現下の世相は、実に惡化の傾向をたどつておることは、要するにこの食糧危機に当面しておるゆえんであります。
 政府はさきに経済実相報告書を國民に公表されましたが、それは机上の実相報告であつて、社会の実相はこれ以上に深刻であります。この制度に対するところの平野さんのねらいは、要するに農村の潛在米が消費地に流れる道を開いてやるならば、それだけ遅配の幅を短縮するであろうことに期待をかけておられたのであろうが、そのよつて來る弊害を伴うことを思うときに、もしこれが活用されたといたしましたなら、それはやみの合理化となり、ブローカーの介在となり、一部新円階級に利用されるおそれが多分にあるのであります。國民に耐乏生活を強調し、分配の公平を公約せる片山総理大臣の御方針にそむく結果に相なりはせぬかを、私は警告せざるを得ないのであります。
 政府はさらに第二次対策といたしまして、今回のいわゆる救援米の制度であります。この制度にいたしましても、一一〇%供出完遂にこだわつている結果、これまた、あまり多くの期待はかけられないと私は思います。もちろん今度の救援米は、縁故米制度よりは結構であります。しかし、政府はさらにまた超非常食糧対策など、あの手この手と危機突破に努力されておる点に対しましては、私はその労を深く多とするものでありまするが、今日まで発表せられた政府の対策を見るときに、多くの無理があり、矛盾があり、苦悩の情が明らかであります。
 一体今日の危機を招來した原因は何か、政府の政策の貧困か、しからずんば國民の協力の足らざるかはしばらくおきまして、飢餓寸前にあるところの國民の前に、いやしくも政府当局から、遅配解消の見込みなしとして、農林大臣から計画遅配を実行するの言明をみた今日では、いかに買出しの取締りを強化いたしましても、消費者が直接農村に殺到するのは、無理からぬことであると思うのであります。
#32
○議長(松岡駒吉君) 時間であります。
#33
○加藤隆太郎君(続) 私はいま少々時間を拜借いたしまして、はしよつて申し上げますが、かようなわけでありまして、この際この制度――もちろんいろいろ御苦心の点はお察しいたしますけれども、どうか面目にこだわることなく、この際断然、農家の保有するであろう余剩保有米に対しましては、敢然として自由処分に任されるような処置をとられんことを進言するものであります。
#34
○議長(松岡駒吉君) 時間がまいりました。
#35
○加藤隆太郎君(続) さらに野菜について申し上げたかつたのでありますが、時間がまいりまして御注意でありますから、これで結びます。
#36
○議長(松岡駒吉君) 土井直作君、発言者を指名願います。
#37
○土井直作君 日本社会党といたしまして、師岡榮一君を御指名申し上げます。
#38
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔師岡榮一君登壇〕
#39
○師岡榮一君 國民の飢餓に瀕する状況は、刻々目前に迫つております。從つてわれわれは單なる議論の展開ではなくして、即刻実施でき得るような具体的な対策をもつて、眞劍に討議を進めなければならぬと考えておる次第であります。私どもは、從つてごく簡單に、大体実行でき得ると考える二点を申し上げてみたいと思うのであります。
 食糧危機は、今日目前に迫つております。しかもこの危機の原因は、今日発生したものであるかどうかと申しますならば、断じて今日発生した事態ではないということが言えると思うのであります。その原因、その危機の芽生えは、すでに昨年の十一月、すなわち昭和二十一年米穀年度の初めにおいて、その兆しがあつたものであるということを、私ははつきり言わなければならぬと思うのであります。從つて私は、その原因を糾明するとともに、その原因を解明するということが、危機突破の主要なる対策となるものであると確信いたしておる次第であります。
 その第一点といたしまして、われわれは、日本には根本的には農業生産面から消費面を一貫するところの農業統計というものがなかつたということが、大きな痛手ではございますけれども、いま一つの問題といたしましては、供出制度の不備欠陷という問題が、指摘でき得ると思うのであります。
 現実に供出の割当は、收穫の見込を立てまして、その後初めて割当を行うのでありまするが、この割当にあたりましては、官僚と地方ボスの合作、しかもその発言権のもとに供出が強行せられておる、供出割当が行われつつあるということを、われわれは見逃すことはできないと思うのであります。勤労農民の心からなる協力というものがなされなかつたことは、事実であります。この結果は、供出割当量が精農家に重くして、惰農に軽いという結果を招來したことは、爭うべからざる事実であろうと私は考えておるものであります。
 從つて精農の諸君は、精出して働いても、その收穫の大半は供出にもつていかれてしまうというような観点よりいたしまして、その生産意欲は大きく阻まれていつたということは、爭うべからざる事実であろうと思うのであります。これが増産意欲を阻害するとろのきわめて大きな欠陷であると言えると思うのであります。從つて私どもは、その根本的な問題に対して解答していかなければならないと思うのであります。
 第一は、その作付以前におきまして生産割当と供出の分量を明示し、かつ肥料、農機具その他生産資材の供給方法を具体的に政府が提示して、この協力を求めるというような、安心して農民が農業生産に挺身でき得るような仕組をつくつていくということが、根本対策でなければならぬと考えているのであります。
 しかるに、かつての吉田内閣のこの供出問題に対する態度というものは、具体的な、働く農民の心を心とするところの対策をとらなかつたというところに、今日の食糧危機の根本的な原因があつたということが私は言えると思うのであります。それとともに、米麦等の政府買上値段の点につきましても、実際農民生活の実情に合わないような安い價格の買上げを行いまして、しかもそれは生産費をきわめて下まわるというような無理な買上制度を設定し、それをそのまま押してきたというところに、農民が供出に積極的な協力をなさなかつたという原因があるということを、われわれは言わなければならぬと思うのであります。
 さらに第二点につきましては、昭和二十一年度産の米は六千百三十八万石であり、麦は千百五十八万石と発表され、この基準のもとに供出の割当が行われたことは事実であります。しかも一〇〇%の供出の上に、さらに追加供出一〇%が加算せられ、現在一〇四%程度の供出が完了しておると報道されております。この供出のほかに、農家におきましては、農機具、肥料あるいは衣料等物交のための米麦の保有、及びやみに流れる数量等が相当あるのでありまして、これを加算いたしますれば、前内閣が発表いたしましたところの産米、産麦の見込み数字というものはきわめて低く、実際はそれより上まわつておつたということが、はつきり言えると思うのであります。この生産目標の数字に対する見誤りということは、とりもなおさず食糧政策の差誤の根本的原因となつておることが指摘でき得ると思うのであります。
 殊に供出割当にあたりましては、作付反別の申告を基礎にいたしまして、その前五箇年の間の実績を勘案して供出割当を決定したのでありますけれども、この作付反別の申告が、明治初年作製いたしましたところの土地台帳を基本といたしましたものでありまして、これは最近における農地改革の際におきまして一筆調査を行つたのでありますが、その結果から見ますと、この作付反別申告と一筆調査の結果との間に、少くとも一割程度以上の開きがあるということは、明確に指摘でき得ると思います。この一割に該当するところのなわのびは、全然供出を負担しないところの、つくりとり農地であつたということが、私ははつきり言えると思うのであります。
 われわれは、この供出を負担しておらなかつたところの、全耕地面積の一割に該当するこの農耕者に対して、新しい割当を強行するということは、今日民族の將來がどうなるかというような危殆に瀕している現在の段階において、きわめて妥当な問題であろうと考えておるのであります。正直に申告した人たちが、まるまるいつぱい供出を出させられ、しかも不正直な人たちが供出から逃れておるという現状は、道義の点から考えても許すことのできない事実であろうと私は考えるものであります。從つてこの申告漏れになつている耕作反別に対しては、妥当な追いかけ供出を実行すべきものであると私は考えるものであります。
 さらに隠匿物資の処理を、主要食糧の特別買入れのために活用させる必要があると思います。御承知の通り、世耕情報あるいはその他隠匿物資に関する関係は、各界の論議の的となつておりますけれども、その扱い方を、今日の食糧問題解決の関連において活用することが、最も効果的であろうと思うのであります。一例で申すならば、われわれの知つておる範囲におきましても、一部の官僚とやみ屋が結託いたしまして、たとえば飛行機のゴムの車一台を五十円程度で拂い下げ、それをそのまま農家に千円以上で賣つておるという事実がわかつておるのであります。われわれは、かような事実を考えてみますと……
#40
○議長(松岡駒吉君) 師岡君、時間です。
#41
○師岡榮一君(続) 從つて私どもは、この隠退藏物資を、農業生産に必要な部分だけこの供出米との関連を強め、いわゆる物交によつて、新しい供出米の供給を早める必要があることを絶叫いたしまして……
#42
○議長(松岡駒吉君) 時間が参りました。
#43
○師岡榮一君 以上をもつて私の所論といたします。
#44
○議長(松岡駒吉君) 坪川信三君、発言者の指名を願います。
#45
○坪川信三君 民主党といたしましては、次に五坪茂雄君を指名いたします。
#46
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔五坪茂雄君登壇〕
#47
○五坪茂雄君 政府も國民も、食糧問題につきまして、供出にはきわめて熱心であります。これは当然なことでありますけれども、それ以上に、増産をすることにもつと努力を拂わなければならぬと思うのであります。農家は、肥料さえ増配してくれるならば、二割でも三割でも増産するとがんばつておるのでありますけれども、思うように肥料の増配がないのに、業をにやしております。
 今年の春肥で、窒素の反当基準量は、硫安ようやく三貫目であります。あるいは報奬用に、いくらかの硫安の配当等もありましよう。しかし政府は、超非常時食糧対策として、三十万石の救援米を予想しておられるようでありますが、はたしてこれが集められますかどうか、はなはだ疑問だと考えられます。しかしながら、ここにこういう方法があります。稻の幼穗形成期に、穗がごく小さくできかかつた時分に、反当硫安一貫目をやりますと、一割から一割五分の増産は確実であります。しかるところ、早場米地方の早稻の穗肥として反当一貫目ずつ硫安を配給いたしますと、かりに北陸地方三百万石の早場米を收穫するといたしまして、四十五万石の増産になります。政府は早場米の供出を百二十万石要求しておらるるが、それにプラス四十五万石であります。百二十万石の予定であるならば、百六十五万石の供出になるというわけなのであります。あてにならぬ救援米三十万石を予期するよりは、よほど確実な方法だと考えられます。
 私は、この方法を昨年和田前農林大臣に進言いたしました。ところが和田前農林大臣は、硫酸アンモニアがないから、残念ながら配給ができぬと申されました。おそらくこれは、ことしも同様でありましよう。なぜそういう方法があるのに、政府はその方法によられないのでありましようか。まことに遺憾なことに存じます。硫酸アンモニアでも、過燐酸石灰でも、生産の隘路は、それは石灰とかいろいろな点もありましようけれども、今日のところ、第一硫化鉱にあるのです。硫化鉱を掘り出してきて、それを硫酸にかえて、その硫酸によつて硫酸アンモニアをつくり、過燐酸石灰を製造するのです。その硫化鉱が十分産出されないのです。從つてあのリービツヒの最少養分率のように、生産維持の要素のうちで一番少い要素、すなわち硫化鉱に支配されてしまつて、設備や労役その他が豊富にあつても、生産が圧縮される。こういう現状にあるのです。
 四月十一日の閣議で、硫化鉱を年産百万トンにするという閣議決定があつたはずです。これは、資金の問題や、あるいは労働の問題や、その他炭鉱坑夫の優遇の問題もいろいろありました。結局年産百万トンを生産するという計画であつたのです。今日それがどの程度に実施されておるか。おそらく七割ぐらいの成績しかあがつていないのじやないかと考えられるのであります。たとい閣議決定のごとく百万トン増産されたといたしましても、その百万トンの硫化鉱で硫安をつくり、過燐酸石灰をつくるときに、硫酸アンモニアは九十五万トン、過燐酸石灰は八十四万トンしかできない。これは、農林省が商工省えこれだけの硫酸が要る、これだけの過燐酸石灰が要るという要求の約半額です。この点を放任しておいて、一方に供出をやかましく言つたとて、それはなかなか無理だと思う。それはやむを得ない。やむを得ないから、供出をやかましく言うことも必要でありましようけれども、それ以上になぜこういう手をお打ちにならないか。それは必ずしも政府のみに任しておくわけにいかぬ。われわれも、そういう点にもつと深い関心をもつ必要があると痛感するのです。
 肥料さえ十分に配給してくれるならば、もちろんこんなに遅配も欠配もないのでありますが、そういう点を考えますと、私まことに慨嘆にたえません。民生安定、生産再開、経済復興というようなことは、みな食糧問題にかかつているのです。その食糧増産は肥料の増配にある。その肥料の最もかんじんな硫酸アンモニア、過燐酸石灰を増産するのには、今申しました硫化鉱をうんと生産して、それによつて硫酸をつくることにあるのです。一段の政府の御努力を要求すると同時に、私どもも深い関心をもつて、それを推進していかなければならないと思うのであります。
 なお、一言申し上げたい。それは農地制度によつて耕地がだんだん細分化されてまいります。そうしてその上に、今も農林大臣から申されましたように、生産責任制をとるということです。これはおそらく今の農林大臣ですから、天降り的に生産責任制をお考えになるのではあるまいと思いますけれども、君はこれだけ生産せよというふうにおつしやることは、非常に大きな意味をもつておると私は思うのであります。從つて、そういう制度が強制されるということになりますると、單作地方――水田なら水田一本調子の所、あるいは米と麦とをつくるというふうな主食專業農家の地方です。そういう農家は、近き將來に崩壞する憂いがあるように思います。
 何とならば、それは経営が行き詰まつてしまいます。経営がどんどん圧迫されてしまつて、できなくなる。また同時に支出が多くなりまして、経済上身動きならぬことになつてまいります。すなわち肥料の配給が足らぬでしよう。何とかしなければならぬ。非常な金を必要といたします。牛馬を飼育いたします。労力や肥料の関係から、牛や馬を飼います。その飼料が要るからといつても、麦をつくつても、ちよつぴり残して、あとは全部供出を命ぜられます。どうして牛馬を飼育することができましようか。だんだん牛や馬を、惜しいことには賣らなければならぬことになつてまいります。
 價格が改正される前でありますが、今日脱穀機――稻こきの機械ですが、高いのは台で三千三百円、籾摺機は七千八百円、全自動式の籾摺機になりますと、一台が一万三千五百円、一馬力のモーターが二千五百円、これはマル公です。やみで買うと、これの五割増です。そういうような高價な農機具を買いましても、中には粗製濫造品がありまして、すぐに壞れてしまう。修繕するには、ばかに高くとられるのです。また子供がだんだん大きくなる。裸でおくわけにまいりません。從つて、新しい着物を買つてもやらなければなりません。配給がありません。一体どうするのです。学校へやる。小学校、中学校、なかなかものいりです。また長い間住宅や納屋の修繕をやつておりません。大工を雇い、左官を雇いますと、驚くなかれ、今日農業労働資金の三倍です。
 こういう状態でありますのに、だんだん耕地は細分化されてまいりますし、そうして経営はどんどん圧迫されてまいりますと、どうして経済的に農家として立つていくことができましようか。(拍手)決してこれはできやしません。だんだんきわめて悲惨な方向に陷りつつある現状であります。この現状を放つておいて、増産せいせいと言つたつて、できるものじやありません。よくこういう点を考えなければならぬ。もちろん都会附近でいろいろな多角経営をして、果樹なり蔬菜なりをつくつて賣つておる者は、それは経済的に多少はよいかもしれませんが、ほんとうに米や麦のみを供出しておるところの單作地方及び米麦を主とした專業農家は、ほんとうにつらい思いをして生産に努力しておるような状態であります。
#48
○議長(松岡駒吉君) 時間がまいりました。
#49
○五坪茂雄君(続) 私は、この農家を何とか保護してやらなければならぬということを痛切に感じます。こういうことは、必ずしも政府のみに責任を負わすのでなしに、みんなで力を合わしてこの農家の保護をしたい、かように考えます。(拍手)
#50
○議長(松岡駒吉君) 角田幸吉君、発言者の指名を願います。
#51
○角田幸吉君 日本自由党は、三浦寅之助君を指名します。
#52
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔三浦寅之助君登壇〕
#53
○三浦寅之助君 政府が食糧緊急対策といたしまして、第一次、第二次、あるいは第三次の超対策を発表すると言つております。この第一次の小包米の失敗であることは、すでに指摘されております。一体この失敗はどこからくるのでありましようか。おそらく第三次の、いわゆる農林大臣の超非常時対策として、公定價格の四倍の價格の引上げ、あるいは莫大な報奬物資を出すということも、いくらかの効果はあるかもしれませんけれども、その効果は、私は断じて期待はできないと確信するのであります。
 その理由は、この案はいずれも農家の立場を十分に把握しておらない。農家の立場から言うならば、供出した後の余剩米を、政府やあるいはその他の機関に知られることを非常におそれるのであります。何となれば、次期の割当がくるだろうということを考えておるのであります。すなわち農家の経済は、今日のいろいろな弁士によつて述べられました通り、やはり自由販賣の相当のやみ價格をもたなければ農家の経営の立たないことは当然であつて、農家の立場が余剩米のあることをおそれております以上、少くとも公の機関によるこの非常時対策は、その効果は期待できないのであります。なお、生産農家の立場から言うならば、隣り近所の消費者にわかることに対しましても、相当遠慮しておるのであります。こういう点に対しての認識がないことを、十分考慮してもらいたい。
 政府は、さらに緊急対策本部を設け、あるいはやみの絶滅、嚴重な取締りをすることを計画しております。七千人の経済警察官をもつてこれに充てるということに至つては、言語道断であります。この案は、生産者と消費者の心理をわきまえないものであります。生産者の立場から言うならば、嚴重なる取締りを受けた場合においては、何も好んで危險を冒さなくてもよろしいから、自分の余剩米はなるべく隠し、あるいはそれを浪費する、あるいはその他の方法によつてこれをなるべく出さない方法を考える。
 しかるに、消費者の立場を考えてごらんなさい。絶体絶命、今日のごとき遅配・欠配の場合においては、たとい檢挙せられても、たとい処分を受けるとも、生きるがために買わなければならない絶体絶命の立場に立つ。であるから、生産者はなるべく賣らないようにするし、消費者は是が非でも買おうというところに、生産者の門をたたいて、そうしてあんまり目立たないように、いくらでも金を出してこれを買う。普通一斗買うものならば五升、五升買うものならば三升、三升買うものならば二升ということで、わずかのものを買う。しかも生産者は危險を冒すのであるから、それだけやみ價格が暴騰する。
 今日、この現内閣の政策において、やみ價格の天井知らずの暴騰の原因はどこにあるか。しかもそれでも出ないという原因はどこにあるかというと、この生産者と消費者の立場をただ同様に考えて、嚴重に取締りさえすれば、生産は正当のルートに乘つて、公平な配給ができると考えるところに、根本的なる矛盾があるのであります。(拍手)今日國民は、遅配・欠配によつて食糧の不足に脅かされておる。もう一つは、國民は日夜、取締られるかもしれない。買出しに行つてとつかまつて、そうして刑務所に入れられるかもしれないという、取締りの不安におびえておる。この食糧の不安と取締の不安によつて、正直な、まじめな者に至つては、買出しもできないから一層困つておるが、少し腕ぷしの強い人で、たまに危險を冒す人や、むしろ金をもつておるところの階級の人々は、あらゆる手段をもつて、いくらでも米を買つておるという不合理な結果を來しておる。
 政府は、自由販賣の弊害として、一部富豪階級のみが米を多く食べることをまずその理由とし、あるいは販賣價格が非常につり上つて、不公平なる生活をすることをおそれておる。これがおそらく自由販賣に反対する重大な根拠だと思います。しかるに、取締りをすればするほど、そういう不公平なる生活の状態においては、自由販賣と五十歩百歩であります。嚴重なる取締りをしたら、國民が公平なる配給のもとに生活の安定を得るということは、断じてできないということを考えてもらいたい。(拍手)
 しかしながら私は、自由販賣にするにしても、ただいまのところ、その欠陷を認めざるを得ません。しからば、それに対してはいかなる対策をとるか。いくらかでもその欠陷を是正する意味において、自由販賣は余剩米に対しては許すが、その自由販賣の價格は、政府が公定價格の四倍で買上げるというならば、むしろ四倍ぐらいの自由販賣の價格を指定する、そうして取引するものは、消費者の任意の團体でもよろしい、あるいは労働組合でもよろしい、商工業の團体でもよろしいが、消費者の團体にこれを取扱わしめる、そうしてさらに一定の收穫年度、たとえば十月か十一月までの期限を切つて、一方それ以上の價格、あるいは必要数量以上の買溜めをしたものは、嚴重なる処分をする、場合によつては臨檢をしてもよろしい、すなわち私は、かくのごとき方法によつて、自由販賣に対する弊害幾分でも是正し、しかして農家の心理を十分につかむことによつて生産力を高揚し、また供出を促進する、この農家の心理さえ十分に把握することができますならば、戰爭前のごとく、農家はあらゆる方法によつて自分の食糧を節約し、あるいは副食物等によつて、でき得るだけ自分の持ち米を消費者に出さうということは、必ずでき得ると信ずるのであります。
 要は、この食糧問題の國内的の解決は、生産を興すことであります。ただいま、前弁士は肥料の問題を言いましたが、肥料も重大であります。まだ農家の努力も必要でありましよう。要は、生産意欲を高揚するために、供出を促進する意味においての自由販賣を考えるとともに、その弊害の面に対しましては、私の試案でありますが、ただいまのような案をもつておるものであります。あるいは供出制度に対して、耕地の面積あるいは地方その他のいろいろなる実情に即して、面積の割当、農民の納得のいく供出をしなければならないという意見を聞きます。もちろん私は、その公平を尊重し、それは必要であると思いますが、実際の面を考えてみますならば、それは一理想に近い。
 何となれば、日本全國のいかなる機関を動員いたしましても、五百万農家を公平に調査し、公平なる供出の割当をするということは、おそらくこれは神わざであろうと思うのであります。でありますから、一定の從來の標準をもつた供出割当制度によつて割当をする。しかしながら、供出はどこまでも耕作する前に割当をしなければならない。現在のごとく、收穫してから、無理にその收穫量を調査して、これを全部とろうなんということは、断じてとるべき方法ではないと思うのであります。耕作前に割当をすることによつて、これまた農民の生産意欲を高揚せしむるということが当然であります。
 私は、ただいま申し上げましたことが実行されますならば、この目の前にあるところの食糧の緊急問題は解決され、ある程度の食糧は出てくると思います。必ず農民の食糧をある程度満たすことができるのみならず、少くともまじめなる人々、まじめなる職業に立ち、あるいは正直な人々が、毎日々々不安なるところの取締りにおびえないで、明朗なる國民生活をすることができることによつても、私は必ず國民がこれに対して敬意を表するということを確信いたしまして、私の意見を終ります。(拍手)
#54
○議長(松岡駒吉君) 石田一松君、発言者を指名願います。
#55
○石田一松君 國民協同党は、まず小枝一雄君を指名いたします。
#56
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔小枝一雄君登壇〕
#57
○小枝一雄君 私の論じてみたいと存じます点につきましては、ただいままでに多数の議員諸公から、大体において問題は出盡くしておると思うのであります。しかしながら、今、日本の國民は、インフレと物資不足に悩み、殊に十数日にわたりますところの遅配欠配によりまして、われに食を與えよという声は、全國の津々浦々に叫ばれておると思うのであります。私どもは、今目を開いてこの惨憺たる事情を見まするときに、民家の煙はまさに絶えんとしておる実情であります。從いまして私は、ただいま各議員の方々からお述べになりました点について、いささか私どもの意見を開陳し、また論旨を進めていく間には、いささか観点の違う点があるかとも存じまするが、その点については、皆さんから後刻御叱正を願いたいと存ずるのであります。また私は、さらに二、三の私の愚見も申し上げてみたいと存じております。
    〔議長退席、副議長着席〕
 先刻自由党の加藤議員、さらに明禮議員からの御発言では、米の供出によるところの残つた余剩米を、自由價格によつて自由販賣をするという御所見でありましたが、私も、増産意欲高揚の見地から申し上げまするならば、まつたくこれに同感でございます。ただしかし、このとめどもない高物價のどんどんと進みつつある現段階におきまして、余剩米を自由販賣によつてやるといたしますならば、賃金階級と資産のない勤労大衆は、どうしてこの余剩米の分配を受けることができるかということになると思います。從いまして、私はこれに対しましては、農民の自治委員会等によつて、自由價格に近い價格をもつて買い上げ、これを政府が買い上げまして、さらにこれを公定價格によつて國民に配給するの方法をとるべきであろうと思うのであります。
 また生産と供出の合理化は、もはや三、四年になんなんとする間、不合理なる圧政のもとに、生産農民は実に暗澹たる思いをしてきたのであります。これに対しまして平野農林大臣は、責任をもつところの供出制度を新たにつくるということを声明せられております。また民主党の五坪議員は、生産割当ということを言われております。平野農林大臣の供出割当と、五坪議員のいわゆる生産割当とは、その揆を一にするものであると私は存じますけれども、五坪議員の言われたるがごとく、今日政府は、米に対して供出を強要いたし、殊に強権を発動いたしております。強権を発動されておるのは、全國農民だけであります。しかるに政府は、肥料を何ら責任をもつて農民に配給されておりません。かかる状態のもとにおいて、私は生産責任を政府が農民に命ずる資格ありやということを論じてみたいのであります。私は、少くとも政府が肥料を農民に対して約束しただけ配給する力がないとするならば、遺憾ながら供出の上に責任をとらすという以外に途はなかろうかと存ずるのであります。
 ただ私は、この供出制度の問題でありますが、これについては、自由党のただいま御発言になりましたお方と同樣な意見であります。まずもつて作付前において政府は割当をする必要があります。その割当は、地方を基礎とすべきことは申し上げるまでもありません。また農村の土地に対しましては、封建的ではありますけれども、昔からなる小作料がついております。この小作料を基準とし、賃貸價格を基準といたしまするならば、おそらく私は、平野農相の絶えずいわれるところの國民の納得のいく、いわゆる基本割当ができるのではないかと思うのであります。私は、從いまして、この責任ある政府の公平なる割当のもとに、いやが上にも農民の生産意欲を高揚したしまして、この割当てましたる供出米の過剩米は、よろしく自由價格にひとしき價格をもつてこれを政府が買い上げまして、勤労大衆、いわゆる國民一般に配給せらるるがごとき方途を講ぜらるることが、最も適当であろうと存ずるのであります。
 次に私は、今この喫緊欠くべからざる急迫せる食糧問題に対しまして、政府が一つ忘れられておる問題があるのではないかと思います。それは果物の問題であります。これから出てこようといたしまするところの、もも、なし、かき、くり、そのほかあらゆる果物の生産を考えますると、全國数百万貫になんなんとするものがあるのであります。私は、これを食糧問題の解決の一環として、もう少し出やすいような方法を考え、あるいはこの價格の公定を撤廃するとか、あるいはそれが困難でありますならば、生産地の價格と消費地の價格との價格差を大きく認めまして、そうして生産地から消費地へどんどん喜んで出荷せらるるごとき方途をとられなければならないと思うのであります。
 また私は、今まで政府のとりつつあるやり方、ないし國民全体が考えておりまする点から、この食生活に対する合理化、いわゆる科学的な食生活に対するところの研究が足りないと思うのであります。昨日の新聞紙を見ますと、愛知縣下ではたくさんの大豆粉を配給になりましたが、その大豆粉のために、たくさんの下痢患者が出て大問題を起しております。命をつなぐために食をとつて、その食によつてからだを壞すというようなばかげたことは、今日の食糧危機を唱えられるときにおいて、あり得べからざる問題であろうと存ずるのであります。私は、政府当局が、いま少し日本全國における科学人を動員せられまして、この食生活に対し、もう少し眞摯なる檢討を続けられたらどうかと思うのであります。近く六・三制実施によつて生れまするところの公民館のごときも、セツツルメント・ハウスとして、これらの研究を十分にいたされることを、私は希望しておる一人でございます。
 また私は、食糧問題に対しまして政府がもう少し農民の了得のいく政治をやつていただきたいと思います。すなわち政府は、農民に対しては一一〇%の米の供出を要望しておるようであります。しかも、その背後には強き強権が附せられまして、そしてまた取締りは嚴に行われておりまするが、政府はこの農民に対して、米を出せば報償物資をやるというお約束ができておるはずであります。しかるに、そのお約束をどれだけお果しになつておるのでありましようか。私の聞くところによりますれば、はなはだ寡聞かも存じませんが、二〇%の報償物資しか手渡しができていないということであります。政府は國民に対しては一一〇%の供出を強要いたしておるのであるから、その誠意にこたえるべき報償物資は、政府の心からなる赤誠がこもつておるはずであります。それがわずかに二〇%であることは、私ははなはだ遺憾であります。どうかこの点についても、当局が十分なる考慮を拂われんことを希望しておる一人であります。(拍手)
#58
○副議長(田中萬逸君) 土井直作君、発言者の御指名を願います。
#59
○土井直作君 日本社会党といたしまして、清澤俊英君を御指名申し上げます。
#60
○副議長(田中萬逸君) 発言を許します。
    〔清澤俊英君登壇〕
#61
○清澤俊英君 本日の食糧問題の討論会が、はからずも供米問題に一致してしまつたのであります。私は、初め食糧問題というからには、少くとも生産から消費にわたつていろいろの議論が出ることと考えておつたのであります。それが供出の一点に集まるということは、とりもなおさず今日の社会情勢を中心にしまして、期せずして供出の問題にそれが帰したということを考えまするとともに、その供出の問題をいろいろの点で討論せられましたが、結局しますると、農民に安心感を與える、これでなくてはだめだという点が、共通的に議論せられたのであります。多聞に漏れず、私もこの供出問題に対しましては、結局農民に安心感を與えて、ほんとうに供出ができるような体制を整えてやることが、供出の根本策であると考えると同時に、またすぐにもとらねばならぬ緊急の策であると考えざるを得ないのであります。
 そこで、いろいろのことを申されまするが、私が第一番に考えたいのは、一体今の農民がどんな感情でこの供出をしておるのだろうか。これは何か自由党の方も言われておつたようでありまするが、私もそういう感じがする。大体今日の供出というものは、戰爭当時に米が不足したから、勝つために供出しろ、いわゆるお上に奉る米としまして、そして戰爭に勝つための供出として、ずいぶんむりな統制の中に、むりな取上げられ方を心持よくやつてきたのであります。それが今日なお続いて、しかもその統制は、最近はいろいろの配給公團というようなものに、形をかえようとしておりまするが、現在なお多くのものが残つておる。だから今の統制会社の問題が出る。平野さんは、当分の間と言われておるが、肥料の統制会社も残つておる。そして八円で自分がつくつた種子が、三十何円で自分の目の前に來るようなことで、それを買わねばならぬ。そんなことで何で安心するか、何で納得して供出できようかと私は考えるのであります。
 それどころでなく、まだ根底に横たわりますものは、今の農民が何を考えておるか、農民の氣持はどこにあるだろうかと考えてみまするならば、私は、農民ほど今かわいそうな立場におかれているものはないと思う。先ほども申します通り、戰爭に勝つまでちよつとの間供米するのだと思つて、一生懸命やつてきた、戰爭に負けた、やはりずつと食糧が不足だから供米せんければならぬ、しかもその食糧事情は千三百万石足らないのだ、これが足らないうちは、この供米というものは孫末代まで続くんだという、そういうかつこうになつている。
 この不合理なことが孫末代続くんだとして、たまたま食糧問題が解決できるならば、それは輸入米のできる自由貿易の時代だ。自由貿易の時代になれば、南洋方面あるいはカナダからどんどん安い米が來て、農業恐慌は目の前にぶら下がつている。これで不安動搖におののく農民が、何で安心して供米に協力する本当に意思が出るかということも、考えてもらわなければならぬ。
 少くとも供米という制度は、これは日本の食糧制度におけるところの今までの観点で見まするならば、これは過渡的な措置であつたに違いないのであります。しからばこの過渡的な措置は、三年で片づくとか五年で片づくとか、少くとも見境のつく考え方をしたらいいじやないか。それを考えて、もしその種子を與えることができないとしたならば、國家は終戰と同時に、少くとも去年くらいのうちに、調査研究機関ができていてしかるべきだと考えているのであります。しかるに、いつまでも経ちましても千三百万石をもらうことだけ考えておりますが、これもまた別の面から考えてみますと、せつかくつくつた種苗をみなくそにして、それで大体日本の國のこれからの戰後の経済などを考えるのに、満足な考え方であるかどうかということも、第二段に考えなければならぬが、これは余分であります。
 私は、そうした立場におりまする農民をして安心をして立たしむるには、まづきようからでも遅くないから、この大調査機関をつくつて、日本の國の食糧事情はこうだから、いま五年間、農民諸君よ、血みちを吐いて一生懸命にかせいでくれ、ひとつ辛抱してくれ、こういう話になれば、また考え方がおのずから違うと思う。いつまで経ちましても、いつになつたら解決がつくかわからぬような状態において、一方にこの解決がつく時分には、農業恐慌でお前らは困るだろうから、その農業恐慌に備えて農村工業組合を興せというが、その農村工業組合を興す品物がどこにあるか、どこでそれを具体的に與えてくれるか、たまたま農村工業組合を興そうとしますと、それを興すどころか、それよりひとつ供出制度を解決したらどうかということで、興すどころじやない。それには至つて不熱心千万である。しからば食糧を一反でもよけいつくろうとして、牛や馬でも、豚の子でも、何とかして飼おうじやないかといえば、その豚の子一つせわもせずして、ただ出せ出せと言つたつて、それが出せるかどうか、これはほんとうに考えてもらわなければならぬと思う。私は、かかる意味合におきまして、いろいろこまかい点はもう議論が盡くされたようでありますから、ごく大ざつぱな点で、農民が納得して出せる一つの点といたしまして、こういうことを議論したいのであります。
 その次には、農民は決して出せない、出したくないと言つているのではない。われわれは出したいから出せるようにしてくださいと頭を下げて頼んでいるのに、出せるようにしない。それはいろいろな事情もありましようから、無理もないと思いますが、私どもがこう申しますと、お前は百姓のことばかり言つているというようなことを言う人もあるのでありますが、農民自身も、私がほんとうにまわつて相談をしますると、実際貧農の小作人の子弟というものは、大都会に行つても一番難儀な仕事をしているのであります。暮しのせつない仕事をしているのでありますから、年に三回や五回家庭へ帰つてきて、子供の三人も五人も連れて、きて、そうして村の実家にがんばつて米をもらつている。それがために家庭爭議が起きる。こういう実例もあるのでありますから、町の人が、どんなに困つておるかくらいのことは、農民はよく知つておるのであります。
 だから、われわれが出しいいようにしてくれぬかという叫びをいくら上げましても、前の討論者が言わ通れるり、一つもそれが行われていないところに今日の欠陷があるのであります。この点に対しましては、いろいろ物價の面も生産の面もありましようから、これはむりなことを言うてもしかたがないのでありますが、少くとも農民に納得のいくような方法を考えなければならない。その納得ということは、もう供出制度という制度でなく、買上制度になつているのでありますが、買上制度ということは、旧の制度が、いわゆる翼賛議会から國会に変つたごとく、民主的の制度でなければならない。しかるに、やり方はあくまでも昔通りの、頭からおつかぶせのやり方であつて、買上米と名前をかえても、その制度が十分できていないところに、私は大きな間違いがあると考えるのであります。
 これは生産者の面でありますが、私はいま一つの面から、供米問題に対しまして、食糧問題として申し上げたいのであります。それは消費者の面の方に、少し生産者として文句があるのであります。お前らはやみで賣つてもうけておる、何だかんだといろいろ理窟をわれわれ農民は聞くのでありますが、しからば買つていく人が、どれだけ買つていく受入体制を完備しているかと申しますと、何ら完備がない。賣りますものは、ゴムたびでも、農機具でも、皆やみからやみへと自分勝手に賣つたり物交でもつていくが、しかし農民だけに、やみの米を賣るのは惡いのだ惡いのだという話をして、これを攻撃だけしておつて、米を買う方は、決してこれに対する体制を整えておらない。
 少くとも私は、日本の政治が民主的に行われておりますならば、出す方も民主的に出すと同時に、これを消費する消費面も、ほんとうに命がけの体制を整えて、消費する者と供出するいわゆる生産者側とが、ほんとうに納得ずくで、腹の底からの相談をいたしますならば、同じ日本人じやないか、同じ兄弟じやないか、今日の情勢がわからぬとだれ一人言つておるか、話はきつとわかるのでありますが、それが昔ながらの統制によつて、いろいろ統制会社というようなものが中に介在して――それも必要でないとは私は申しませんが、そういうものにとらわれた一つのやり方でやつておりますことが、とりもなおさず、消費する面でも生産する面でも、そこに大きなギヤツプができて來て、何か変なことをするのではないかと思われる。
#62
○副議長(田中萬逸君) 時間です。
#63
○清澤俊英君(続) 私は、こうなりますと、少くとも消費・生産両面にわたつて、ほんとうに民主的な組織によります納得した供出制度が一日も早く確立せられるならば、今日の問題はいたつて樂に解消するのではないかと考えるのであります。(拍手)
#64
○副議長(田中萬逸君) 坪川信三君、発言者の指名を願います。
#65
○坪川信三君 民主党といたしましては、宇都宮則綱君を指名いたします。
#66
○副議長(田中萬逸君) 発言を許します。
    〔宇都宮則綱君登壇〕
#67
○宇都宮則綱君 昭和十五年八月初めて統制を布かれてから、その後あの手この手と手をかえて、統制の変更をいたしますること十五、六回に及んでおるのであります。この統制の結果が、すべての物價をどういうふうに導いたかと申しますと、統制のたびごとに物價は高くなつておるのであります。いわば手をかえ、品をかえて取締りを嚴しくすることは、とりもなおさずやみ値を高くすることになつておつて、物價の引下にはちつとも効果をなしておらないのであります。
 統制をすることが物資の増産になるのなら、大いに奬励をしなければならない。しかしながら、統制という声をかけると、せつかく市場にある物資が、ことごとく隠れてしまうのであります。統制という言葉は、物資を隠す号令にしかなつておらないというような結果になつておるのであります。統制が物をつくるのに非常に力があるのなら、私どもは賛成をするのでありますが、この反対であるということになりますれば、統制を撤廃することも必要でないかと信ずるものであります。
 今日統制をしたために物資が減つてきた。たとえば統制を撤廃するといたします。そういたしますと、あるものによつては物價が高くなるかもしれない。しかし、それは一時の現象であつて、高くなつたものからたくさんつくるというのが人間の慾であります。たくさんつくれば、必ず経済の原則として物は安くなる。そこで、個性である人間の慾を利用して、すなわちたくさんつくらせるということに努力することが、統制よりも、もう少し人間生活には必要でないかと信ずるものであります。(拍手)
先般経済白書というものを頂戴いたして読みましたが、あの長い印刷物の中には、われわれ人間生活が救われることは藥にするほども書いてないのであります。ただあの中に、今日の國民の実相は、あたかもたけのこ生活のごときものであるということが書いてあります。私は、このたけのこ生活ということが、はなはだ当らない批評であると信ずるものであります。たけのこは、皮を脱ぎ捨てて、なかみは太るのであります。これなら心配はないのであります。しかし今日の國民生活は、そんななまやさしい生活ではない。私に評さしむるならば、ちようどたまねぎ生活と同じではないかと思うのであります。一皮むけば、眼にしみて眼から涙が出る。そうして身は細る。かような現象ではないかと信ずるものであります。(拍手)
 そこで、今日の日本人はどうすれば生きられるのか。平野農林大臣は、十一月になれば米の配給が十分にできると声明されておりまするが、出來秋にできた米をやろうというのなら、平野君にあらずとも、これはだれでもできる問題であります。こういうようなことでは、國民は得心できないのであります。今日の國民は、遅配のためにやみ買いをしなければならない。やみ買いをすれば罰せられる。やみ買いをせざれば死ななければならない。食わなければ死ぬるのであります。食うためには、やみ買いをしなければならぬ。やみ買いをすれば罰せられる。しからば、われわれはどうすればいいのか、國民はどうすれば生きていかれるのか、御指示をお願いしたいのであります。
 さらに、経済白書に対する御説明があつたそうでありますが、あれは國民を診断した診断書であると政府当局は御説明をされておるようであります。しかし診断しぱなしでは、國民は救われません。診断書には必ず処方箋をつけなければならない。あれがただ書き流しの作文であるならばともかくも、診断書であるという御説明をされるのでありまするならば、これには当然処方箋をつけていただきたい。これは國民の要望するところであります。
 私は、昭和二十年の十一月二十三日現在において、あの農地問題に対する二、三の疑義をお尋ねしてみたいと思うのでありますが、昭和二十年の十一月二十三日ときつて、そのときに田の畦に立つておつた者だけが耕作権がある、その他は耕作権がない、こう受取らなければならぬと思うのでありまするが、たとえば昭和十九年まで耕作しておつた自作農であつたものが、病氣のためとか、あるいは國家の徴用のためとか、その他の事情によつて一年間耕作を代作させた者が、みな不在地主となつて、土地を取り上げられているのでありますが、こういう者に対しては、なんとか救う途はないのでありますか。
 さらに地方にまいりますと、教員、巡査、鉄道の職員その他の職員、これはみな二反か三反ずつの地主でありますが、職務のためにみな自分の土地を離れて、不在地主となつているのであります。巡査、学校の教員あるいは鉄道の職員が終身官であるのならば、これは別でありまするけれども、幾年か後には、村に帰つて百姓をしなければならないのであります。これらの土地がことごとく不在地主として政府買上げになり、現在やつておりまする小作人にこれを下げ渡すということになりますれば、彼等を救う途はどうするのでありましよう。これもお尋ねしてみたいと思うのであります。
 さらに私の最も不可解に思いますことは、統制を嚴しく、米の供出はやかましく言うておりまするが、りつぱな水田を畑作にして、これに野菜その他の畑作物を作つているのであります。畑作でやりますれば、供出の責任がない。そこでみな畑作に変りつつある。それは都市に近い村落が、特にそういう傾向が多いようでありますが、これらに対しては、なんとか打つ手があるかないか。もし自由耕作を許しておけば、必ず稻をつくらずに、みな畑作に轉向する方が、やみ賣りをするのに便利であります。そこでそういうふうに変りつつあるということを御承知願いたいのであります。これに対しては、どういうようなお考えをおもちになつているか。最近地方では、わずかな土地を取られたために、自殺する者、精神病者になる者相次いでいる状態であります。こういうものをいかにして救うか。以上について、農林大臣の御答弁をお願いしたいと思うものであります。(拍手)
#68
○副議長(田中萬逸君) 農林大臣、一括して答弁されますか。――農林大臣平野力三君。
    〔國務大臣平野力三君登壇〕
#69
○國務大臣(平野力三君) 加藤隆太郎君及び三浦寅之助君の両氏より、大体政府の施策について非常なる不満の御言葉がありました。このことにつきましては、前段演壇に立ちましたときに、必ずしも第一次、第二次の方策が成功しているものでないということは申上げたのでありまして、その点については御諒承願いたいと思うのでありますが、この際一言申し述べたいと思うことは、両氏の御意見によりますると、何でも統制を撤廃して、すべてのものを自由にすれば、うまくいくというふうな所論のように拜聽できるのでありますが、このことについて一つ特に御考慮を願いたいことは、われわれもむやみに警官を増員したり、取締りを嚴にしたり、業者その他に恐怖の念を抱かせるようなことを敢てしようと考えておるものではないのであります。しかし、現在行われておりますところの統制上の諸般の問題に関しましては、直ちにこれを撤廃するというようなことがありますならば、そのよつて及ぼす弊害の方がよけい大なるものがあるのでありまして、この点におきましては、從來の誤つておりまする統制については相当考慮を拂いたいと思うのでありまするが、われわれといたしまして、両氏の御意見をそのまま承認するわけにはまいらぬと思うのであります。(拍手)
 この際一言申し上げたいと思いまするが、今日なるほど遅配の解消が困難でありまして、このことについてのおとがめは、現政府自体、殊に現農林大臣として、まことに心から申譯ないと思いまするが、昨年の今日と今日におきまする遅配の状況をきわめて簡單に申し上げてみますると、七月二十日現在におきまする札幌の今日の遅配は五十二日ありまするが、昨年は六十日であります。小樽においては、今日六十日でありまするが、昨年は六十四日(「收穫量が違うよ」と呼ぶ者あり)また東京におきまして、七月の二十日においては一九・五という数字になつておりまして、これまたまことに恐縮に存じまするが、昨年の七月二十日現在における東京の遅配は二〇・一ということになつておりますので、これらの数字につきましては、一つよく冷靜に御判断を願いたい。大阪におきましては、七月の二十日におきまして一五・九でありまするが、昨年は一六・四であります。京都におきましては一一・〇でありまするが、昨年は六・五であります。福岡縣におきましては、同樣かような数字になつております。
 從つて、この際私どもとして申し上げたいと思うことは、ただ現在の政府の施策についていけないいけないというだけの御所論ではなく、これらの諸般の問題について、とくと数字その他の問題を勘案せられまして、建設的な御意見をお述べになりますならば、それらについて政府が採用いたすべきものは速やかに採用いたしまして、この際乘りきりたいと思うのでありますから、どうかこの点につきまして、單なる攻撃的所論ではなくして、建設的なる御所論を承りたいと思うのであります。(「建設的意見も述べたよ」「たくさんあつたじやないか」と呼ぶ者あり)
 次に、ただいま宇都宮君からお述べになりました農地制度の問題について、二十年十一月二十三日、このときに関する耕作権の問題を規定したのはどういうわけか、こういう御所論でありまするが、法律というものは、大体一定の日にちをきめて、それから一日、二日というような非常に微妙な問題も起るのでありまするが、戰爭前あるいはこの二十年十一月二十三日というような日に、実際自分が耕作しないで人に貸しておられたような人については、やはりそれ相当の理由があるのでありますから、自分の土地を耕作しないで放つておかれた人は、やはりそれだけの責任を負うていただかなければならぬと思うのであります。從いまして政府といたしましては、この二十年十一月二十三日という日に一應耕作をいたしておりました耕作権を確認いたして、土地制度問題の基準といたしたことは、これは正当であると私は考えておるのであります。以上、簡單に御答弁いたします。
#70
○副議長(田中萬逸君) 角田幸吉君、発言者を指名願います。
#71
○角田幸吉君 日本自由党は、森幸太郎君を指名します。
#72
○副議長(田中萬逸君) 発言を許します。
    〔森幸太郎君登壇〕
#73
○森幸太郎君 本日食糧問題について自由討議が行われる。これは先般参議院におきまして、供出後の余剩米を自由販賣にした方がよいか、あるいはして惡いかということについて自由討議が行われたのでありますが、非常に一般社會から、その討論の結果について関心をもたれたのであります。本日当院におきまして、食糧問題が自由討議されるということは、食糧が緊迫いたしておりまするときにおいて、どういうふうな食糧対策が國会で述べられるかということは、一般から非常な注意をもたれておることと存ずるのであります。
 先般來、各位よりいろいろの御議論を承りました。この十分の間に、急迫しております食糧問題の解決を提示することは、容易なことではありません。ただ私は、結論のみを申し上げたいと存じます。先般來供出制度がいけないということが大体の御議論のようでありましたが、申し上げるまでもなく、今日の供出制度は、根本的にかえなければなりません。四党政策協定におきましても、供出制度を根本的にかえるということは、わが党の強く主張したところでありまして、今日食糧の緊迫しております一つの原因も、今日の供出制度がいけないということが大きい原因をなしておることを、われわれは認めざるを得ないのでありまして、この供出制度の根本的改正は、われわれはぜひともやらなければならない。また平野農相も、今日の供出制度では滿足しておらない、近くこれを改正いたしたいという氣持を発表されておるのでありまして、われわれはこの政府に対して、その御意見の必ず実現することにおいて、わが自由党が叫んでおりますところの公正なる供出、いわゆる地力によつて、喜んで納得して生産者が食糧を供出するという制度に改められることと信ずるのでありまして、われわれは、またその実現を期するものであります。(拍手)
 ただここに、今日私は、平野農相が、食糧事情の急迫いたしたるときに、農林当局といたしまして、非常に苦心されておることに深く御同情申し上げるのであります。一日も早くこの食糧問題を解決することが、今日日本の立直る上において、何をおいても必要なことと考えるのでありまするが、政府は、先般來お示しになつておるところの対策を、第一次対策、第二次対策といろいろお出しになり、また第三次対策をお出しになるようでありますが、これは私ははなはだいけないと思います。背水の陣を張るということがありますが、最後の切り札をお出しになつた方がよい。第一をやつていけなかつたならば第二をやる。第二をやつていけなかつたならば第三をやるという、後手というものはどうしても後手であつて、思い切つたことをやらなければできないと私は考えるのであります。
 それで、先般お示しになつた小包米、あるいは六大都市における代替配給のごときは、私はこれを見た時、聞いた時、どうしてもこういう実情にそぐわない政策を政府が考えてはいけない。政府は、この食糧の非常に緊迫している状態、十月の端境期までに二十五日の欠配もやむを得ないというこの点を訴えて、あの十二項目の政策では、はなはだ國民は失望せざるを得ないので、ただいまもお述べになりました診断書を書いて、病人に、この病氣は重いけれども心配するな、ここにしつかりした処方箋があるから俺に任せておけ、俺が治してみせるからという安心感を與えなければならぬ。それがあの時の発表以來、百七、八十円だつた米のやみ値が、今では二百円になつておるということであります。ますます國民に不安感を與えたということになつて、食糧は政府の考えておられるように出てこない。時間がありませんから結論にはいりますが、私が政府に申し上げたいことは、一〇〇%供出したじやが芋、麦の、さらに一割出した者にはこれだけの價格で買う、二割出した者にはこれだけ高く買うということを発表されましたが、まだお忘れになつておることが一つある。それは何かと申しますと、政府は二十一年度の米の生産額を五千七百五十万石と一應お認めになつて、それを基準にして二千八百万石の供出が割当てられた。ところが実際は、その筋の調査によりましても七千百万石は確かにある。だから、もう一割を供出させてもできないことはないというので、あとであの一割というものの供出がきまつた。私が考えるのに、おそらく七千万石以上の米があつたと思う。
 たとえば七千万石あつたといたしまして、政府の考えておる五千六百万石、差引一千四百万石の米がやみに流れておる。府縣によりましては、一〇〇%という供出割当は不公平です。一〇〇%出したら、もう保有米を削つて出さなければならぬ所もあり、一一〇%出しても、なお自分で保有している農家もある。そういう人が出さない。そうしてそれがやみに流れている。
 私は、今この食糧が欠配で、六大都市の方が非常に困つている時、米がやみに流れている事実を見て、政府はじやが芋、麦を一〇〇%以上供出したものを十割増、二十割増で買うという氣持で、この二十一年産米を買つてもらいたい。一升百五十円でもよいからお買いなさい。そうして正式のルートに乘せなさい。そうすれば、十月の端境期に二十五日の欠配をするようなことは断じてないと私は信ずる。新しい大麦を、小麦を、そのまま配給されるようでありますが、これはよほど注意を要します。二十一年度の米は、現に農家にある所にはある。これを出させるには、政府が、やみで賣られている百五十円なら百五十円の價格で買う。これでなければ、私はこの端境期を乘り切ることはできないと思う。これを政府に進言いたしたい。
 さらに、この会議が始まりましてからすでに二時間半になりますが、閣僚の方が見えるかと思つておつたら、ようやく一松厚相がここにお見えになつた。苫米地運輸相は議席におられますが、政府はこの食糧の緊迫いたしている時に、どれだけの熱意があるかということをなぜ示さぬか。それを平野農林大臣一人に任せている。この國会において、この食糧の窮迫を切り拔けるためにどういう意見があるか、どういう希望があるかを、全閣僚が聽かなければならぬ。あるいは司法の関係もありましよう。先ほど司法大臣もそこにおられたが、運輸大臣も、大藏大臣も、安本長官もすべて出てきて、そうしてこの問題は、挙國一致これを何とか切り拔けなければならぬという重大な決意を示さなければならぬと思う。何をおいても食糧問題です。それを平野農林大臣一人に任せておいて、どんな話をしておつた、あんなことを言つておつた、同じことを言つていたなどということではいけないと思う。もつともつと内閣はこの緊迫している食糧を重要視して、総理大臣みずからここに出てきて、なるほどこういう意見があつた、こういう希望があつたということで、この食糧問題を解決するためには、晝夜兼行でも閣議を開いてやらなければならぬと思う。これは平野農林大臣一人には任せておけない重大な問題であります。閣僚全員一致して解決してもらわなければならぬ問題だと思います。
 われわれもあくまで政府に協力していきたいと思います。以上で終ります。(拍手)
#74
○副議長(田中萬逸君) 石田一松君、発言者を指名願います。
#75
○石田一松君 國民協同党は、坪井亀藏君を指名いたします。
#76
○副議長(田中萬逸君) 発言を許します。
    〔坪井亀藏君登壇〕
#77
○坪井亀藏君 わが國は、食糧絶対不足の立場におかれており、農業増産によりまして、何としても絶対量を確保しなければならぬことは、私が申し上げるまでもないのであります。食糧増産のもとは、土地、資本、労力――あるいは牧畜をして、全能力を発揮いたしまして、これら必要なる國家國民の食糧は、公共性のある食糧でありますから、これは何といたしましても、國の責任においてこれらの食糧を確保することが、われわれ國民生活の安定をする上においては、当然政府の負うべき責任だと考えるものであります。
 しかるに、價格の安いものについては、なかなか價格を上げない。あるいはまた政府が補償すべきものも補償しない。大藏当局は、何としても予算がないからやれぬというように、一笑に付しておる感があります。大間違いであります。何としても私は、これらの食糧、この公共性のある食糧は、ひとり農民の犠牲において物を安く供出し、農民だけの犠牲にこれを負わせるということは、はなはだもつてけしからぬと思う。どうしても國家國民がやらなくてはいかぬが、しかし價格を引上げる、あるいはまた補償するということは、大きな問題であるけれども、どうしても國家の経費の大半を傾けても、これは解決すべきものだ、こう私は信じておるのであります。
 米、麦、甘藷、馬鈴薯、その他一切のものを大よそ見積りましても、本年は千五百億くらいの價額になるでしよう。しからば、これらの増産指導費に一割を費しましても、百五十億くらいは当然計上すべきだと考えております。しかるに、今まで明治、大正、昭和を通じて、耕地改良費はわずか十一億円、戰爭中に十一億円、なお最近において二十億や三十億の金を計上して、これで食糧増産の解決をしようなんということは、まつたく愚の骨頂だと私は思う。どうかこれらの経費につきましては、農林大臣は大藏当局と一騎討ちをしてでも、國家の大半の経費をこれに振り向けるように願いたいと思う。絶対量確保について自信をもたれているかどうか、これについて、ひとつ農林大臣から御指示を賜わりたいと思います。
 次に、食糧問題の解決は、全國農民の食糧増産意欲を高揚し、一大運動を展開いたしまして、他面におきましては、消費規正を高め、食生活の一大改善をしなければならぬと存じます。商工業者というものは、これは利害によつていわゆる調整をする。利益があれば余計つくる。なければやらぬ。しかし百姓には調整はできない。二千六百年この方、百姓が調整をしたためしはない。盆がくれば田植をする、秋がくれば麦をまく。まつたく默々として、國家國民の食糧のために、農村民は何ら不平も言わずに今日まで來ておる。私は、國家國民が、生産者も消費者も、今までの農民のこの魂、この精神を高揚し、発揚していくならば、必ず食糧問題の解決はできるであろうと確信しておるものであります。
 かかるゆえに、農民の精神は、決して一人たりとも、利害によつて調整等を考えているものはなかつたということは事実であります。緊急対策といたしましては、種々なる計画を政府においても立てられておりまして、平野農相は、縁故米とか、最近においては救援米の供出等に、いろいろと運動をされておりますが、何といたしましても、政府は農民に対するところの公約があるにもかかわらず、空手形同様でありまして、計画の数字は公表いたしましても、実行については、その数量の減少、時期の遅延を平氣でやつておるのでありまして、今回のごとく食糧危機を招來いたしまして、初めて農民に救援米を頼むというようなことでは、政府の信頼はますます失墜するばかりであります。政府は常に公約、責任を重んずる決意の少いものといわねばならぬと存じます。
 その一例は、昨年來の米・麦、あるいは甘藷・馬鈴薯・繭供出等に対する報奬物資でありますが、これらが非常に減つている。なおまた時期が遅れているという点についても、農民は非常に不満をもつております。また昨年の稻作の肥料、あるいは本年の肥料、これらも、本年は五貫目を公約しておきながら、まだ半分も農家の手に渡つておらないという現状でありまして、まことに農家は憤慨その極に達しているのであります。
 稻作の肥料は、八月上旬に配給されなかつたならば、決して米の増産はできません。必ずや減收することは、火を見るよりも明らかであります。二十二年度の麦の肥料も、減配とその時期を失つたために、非常に收量の減を來しております。政府は万難を排しまして、稻作肥料だけは、公約通り全部これを農家の手もとまで、八月上旬までに配給するように、格段の努力を要望する次第であります。これによつて農民の増産意欲を高揚し、ひいては早場米の供出も完全に行わるることとなるのであります。
 今回政府は、救援米の供出を各府縣に対して呼びかけておりまするが、各府縣で努力をいたしましても、供出した米を全部政府で買い上げるということは当然のことでありますけれども、これらに対して、各府縣の努力を政府が買つてやる。そうして報奬物資なり、その他肥料、いろいろ特別な温かい親心を政府が示してやるということにいたしたいと思いまするが、これらについて農林大臣はどんな考えをもたれておるか、これも私はひとつ承つておきたいと存じます。
 最近の事情が、生産縣と消費縣、これらが鎖縣主義をとりまして、そうして、ときには物交をやるというようなこともあり、あるいは聞き及ぶところによりますと、國といたしましても、これらの物交その他について、寛に行われておるという点は、今後これを相当嚴にやらなければ、食糧の横流しというようなことになる憂いも多々あろうと存じます。なおまた、これら食糧が生産縣と消費縣によつて偏在するというようなことも防ぎたいと存ずるのであります。
 今回政府は、食糧危機突破のために、各府縣の食糧自給のために、縣並びに市町村食糧対策委員会を開催いたしまして、食糧の危機突破の趣旨を明らかにいたしまして、農家に呼びかけて救援米を出してくれと言つておりまするが、政府が公約いたしました肥料、農機具あるいは作業衣等、政府が公表した通りに、これらについていろいろと配給の約束を守らないために、ますます政府の信頼を失つておるのであります。政府の計画する数量を、救援米といたしましても、これを供出するには、実に私は一大困難が伴うと考えております。また供出いたしましても、農家には特別の報奬物資をやると言うが、これについては、必ず公約を実行することが、政府のとるべき最大の責任と考える次第であります。
 食糧問題の根本解決策といたしましては、何といたしましても、わが國の現状では絶対量不足はやむを得ない現状でありまするが、科学技術を動員いたしまして、國家におきまして、食糧増産に信頼ある――いわゆる政府、農林当局がこれら技術官をうまく採用いたしまして、食糧増産熱を上げたいと存じます。これらについては、食糧増産同志会、栄養周期の理論というようなものについて研究をいたしたいと存じます。
 また食糧の緊急対策計画といたしましては、運輸の面をうまくやるということも必要になつてまいります。なおまた、わが國の自給自足の恒久的施設といたしましては、百姓をしばらく六割くらいにしてしまう。そして北海道百万町歩、内地五十万町歩を開拓いたしまして、百五十万町歩――政府の計画もあるけれども、これらを急速に解決しなかつたならば、わが國の自給自足はできないと存じます。何といたしましても、われわれはこれらを解決することによつて、一千数百万石の増收は必ずできると信ずるが、これは断固として政府がやるかやらぬか、生産者の諸君がこれをやるかやらぬか、この意氣と熱にかかつていると私は存じます。以上申し上げまして、私は終りといたします。
#78
○副議長(田中萬逸君) 農林大臣より御答弁がありますならば、この際に願います。――田中久雄君、発言者を指名願います。
#79
○田中久雄君 第一議員倶樂部より、山口武秀君を指名いたします。
#80
○副議長(田中萬逸君) 発言を許します。
    〔山口武秀君登壇〕
#81
○山口武秀君 私は、食糧問題の第一條件をなし、同時にまた農民の食糧問題でありますところの供出制度の問題について、農林大臣の御意見を承り、さらに私自身の意見を申し述べたいと思うのであります。
 私どもは、平野農林大臣につきましては、二十何年來の農民運動家としまして、これまで聞き及んできたのであります。同時に供出制度の問題につきましては、供出制度の民主化、納得のいく供出割当を絶えず主張されていたことを、これまで聞いていたのでありました。ところが、現在地方官廳によつて行われておりまする供出制度を実際に見ますと、昨年の供出制度よりもなお反動的な供出制度が行われている現状なのであります。私は、このことが平野農相と関係があるのか、あるいは地方官廳の役人が勝手にこれをなしているのか、この点を明確に知りたいと思うのであります。
 農民に対しまして納得のいく供出制度は当然のことでありますし、さらに天降り供出が反動政治家のやり方であるということは論をまたないところでありますが、同時に私は、供出を完全に出すためには、どうしても供出制度の民主化が必要であるということを申し上げたいのであります。権力を背景として供出の割当をなしまするときには、現在農村におきまして、封建的勢力がなお残存しまする現状に鑑みましては、この封建勢力と権力の抱き合いが行われることを、よく農林大臣に御承知願いたいと思うのであります。
 私は茨城縣へ帰りまして、茨城縣の縣の食糧委員会、あるいは郡、町村までの実情を見てきたのでありますが、昨年度の供出に比べて、本年度の新麦、馬鈴薯の供出は、ひどく反動的になつたのであります。この結果といたしましては、食檢の職員が農民の檢見に関する立会を拒絶いたしましたし、さらに供出におきましては、これまでよりも一層はなはだしい天降り割当がなされているのであります。この結果不公正な割当が行われまして、弱い者に対しましては過重な割当がなされ、農村におけるボス勢力に対しましては、不当に軽い割当がなされるわけであります。としますと、弱い農民は強権発動の壁にぶつかるのであります。この強権発動の壁は、逆に富農層にとりましては、余分に供出米を残すような防波堤の役割をすら演ずるわけであります。
 茨城縣廳の実例を申しますと、茨城縣におきましては、昨年度、昨年の七月一日から十月までにおきまして、地主の保有米を全部供出するというような決議があつたにもかかわらず、供出はまつたくなされていないわけなのであります。現在供出が一一〇%にいきませんで、一〇三%何がしかに止つておる。この未供出分に対しては、打切ることができない、どうのこうのという論がなされておりますが、それよりもまず農林大臣は、現在地主の側におきまして、まつたく供出をせずとも、そのままに事が済んでおる事実を、よく見詰めていただきたいと思うわけなのであります。
 今年の供出の割当は、過去五箇年間の統計とか、あるいは三箇年間の收穫統計をもちまして、それに一筆檢査の結果を勘案いたしまして供出をなすと申しておるのでありますが、しかしながら地方官廳に行つて見ますると、この三箇年の統計も、五箇年の統計も、まつたくそろつていないわけなのであります。われわれは、昨年の春におきまして、強権発動のあらしの中に苦しんできたのでありますが、あの強権発動が、実は地主保有米をとるためのげたばき供出のために行われてきたという事実を多く知つておりまするときに、今回の天降り割当供出というものが、またしても貧農層の場面におきまして、まず第一に供出不振の障害にぶつつかりまして、それ以外の人たちに不当な食糧をもたせるという結果になると考えますときに、一日も早くこの供出制度を民主化してもらわねばならないと思うわけなのであります。
 農業生産調整法ができまして、それから食糧割当の民主化をされたのでは、現在の間に合わないのであります。平野農政になりまして、供出制度がよけい反動化するということは、われわれとしましては、どうしても納得のいかない事実なのであります。このことが、平野農相の指図によつて行われたとは思わないのでありますが、もしそうであつたとしまするならば、ただちに止めていただきたい。もしも地方官憲によりまして勝手になされているとしまするならば、農林大臣の責任において止めていただきたい。私はこのことを特に農林大臣にお願いいたしまして、農林大臣の御意見を承りたいわけなのであります。(拍手)
#82
○副議長(田中萬逸君) 中村寅太君、発言者を指名願います。
#83
○中村寅太君 日本農民党におきましては、加藤吉太夫君を指名いたします。
#84
○副議長(田中萬逸君) 発言を許します。
    〔加藤吉太夫君登壇〕
#85
○加藤吉太夫君 私は、日本農民党を代表いたしまして、もつぱら生産者の側から見た増産対策を開陳いたしたいと存ずるのであります。
 生産者側から見た食糧の根本問題は、端的に農・林・漁村、山村の生産物と、その再生産の必需物資との値段の値開きの均衡を保たせるただ一事であると私は考えております。これによつて増産の意欲を昂揚し、供出の意欲を促進いたしまして、またやみの撲滅をはかることができると私は考えるのでございます。
 農林大臣は、わが党の綱島議員の質問に対しまして、先般、米價を基準としてあらゆる農産物價を制定し、これを基調としてあらゆる物價が制定されていく途を考えたいと答弁されました。しからば、第一次新物價体系が示された以上、二十二年産米の價格において、米價に対して格段の考慮があるはずでなければならないと考えるのでございます。平野農相は、新米價を石当りどのくらい見込まれておるのか、明示せられたいのであります。全國農民は、積極的なる平野農相に期待することはなはだ大でございます。以下、私は二、三の例を申し上げまして、農村の実情を示し、緊急一千万石増收対策について述べたいと存じます。
 福井縣の農民は、この春、種を苗代にまくときに、またぞろ強権発動の種をまくのではないか、こう申して種をまいたのでございます。これを見ましても、いかに強制供出が農民を泣かせたかということは、察知できるのでございます。石川縣七尾地方の農民を調べましたが、土地開放によつて所有権を地主からもらつた小作人がいわく、來年は、このようなことなら、元の地主に所有権に耕作権をつけてどこなりとお返しいたしますと申しております。いかに、農産物價格の不均衡によりまして、増産意欲、勤労意欲を阻害しているか、明瞭と言わなければなりません。(拍手)
 私は、三十年の間、親の代から一町二反の水田をつくつておるものでございますが、今年一一〇%の供出をいたしたために、九人家族で十二俵の保有米を割つて供出いたしたのでございます。しかるがゆえに、五月二十日から配給を受けておるのでございます。しこうしまして、私が保有米を差引いて自由貯金でもらつた四十俵の代金が、八千八百円でございます。これによつて、生産費も、生活費も、農機具代も、肥料代も支弁しなければならぬのでございます。しかもはかり切りのこの配給で、どうしても九人家族が保有米に欠乏を來すことは明らかであつて、何とか一、二俵補わなければならない実情であります。かくいたしますと、八千八百円の四十俵の代金が飛んで行つてしまう現状でございます。これでは、かかも息子も一年中働かせて、何をしたかわからない。ばからしいの一言に盡きると私は思うております。(拍手)こういうようなことをいたしまして、どうして増産が期待できましようか。増産を阻害するものは、農民にあらずして政府の物價政策であります。(拍手)
 政府は、今回の経済緊急対策といたしまして、第一の第八項に、供出面においてこれを阻害するものは断じて取締ると、明らかに農物産の生産に対してのみこと新しく書き並べております。これはいかにも官僚の農民に対する農奴感より発した横著さと私は考えるのでございます。(拍手)断固として處置をしなければならないのは、政府それ自身であるのであります。(拍手)この調子で皆さん進んで行きますと、またぞろ來年の端境期におきまして、銘仙十万反、縁故米何々と、繰返し緊急対策をしなければならぬことは、火を見るより明らかであります。(拍手)
 ここにおいて私は、耕作者側から考えておるところの一千万石増收対策を開陳いたしたいと存ずるのでございます。その第一は、節米によつて三百六十万石浮び出すことであります。農民が一年間一人当り一斗二升の保有米を浮び出すことは容易でございます。昔から五人家族で二俵を浮び出すのは通常視されておつたのを見ましても、三千万人で一人当り一斗二升の節米意欲を高揚いたしましたならば、三百六十万石は容易に浮く最小限度でございます。
 昨年の十、十一、十二、一、二の五箇月間におきまして、豊作である、豊作であると、新聞も政府も宣傳これ努めました。これでも足りないで、世界的豊作型であると宣傳いたしまして、われわれ農民は、大根畑に菜をうず高く捨て、芋のじくを食べることをやめまして、町の方々も農民も、白い御飯で初めて満腹感に酔うたことは、記憶に新しいことであろうと思います。(「そんな記憶はないぞ」と呼び、その他発言する者あり)この五箇月間に浪費をしたこと、またすこぶる節米上大きな量に達しておると私は考えております。(「うそを言うな」と呼ぶ者あり)。
 第二点、勤労價値を公正に補償しまして、増産意欲の高揚を期することによりまして、増産どころか、減反による減收を防いで、炎天下除草、草刈りに元氣をつけさせて、反當り五升を増收することは、これもまた易々であります。しからば五升増收するといたしますと、百五十万石は確実に増收される、無理のない数字でございます。(「そんなうまいこといくかい」と呼び、その他発言する者あり)
 第三点、肥料の配給が現在反当り四貫何百匁でございますが、これをひとつ六十万トン輸入に重点をおいてくださつて、少くとも田畑ともに二貫ないし二貫五百の窒素肥料、燐酸を増配してくださつたならば、これによつて反当り一斗の増收は、これまた確実なのでございます。
    〔「農民党が泣くぞ」と呼び、その他発言する者多し〕
#86
○副議長(田中萬逸君) 靜粛に願います。
#87
○加藤吉太夫君(続) そうしたならば、四百万石の増收は――明年度の六月の馬鈴薯から増收を始めまして、麦、十月の早場米と、明年必ず増收できる対策でございます。食糧を輸入することに重点を置くよりも、肥料の輸入に重点を置いた方が、再生産として三倍の効果として現われることを忘れちやいけません。(発言する者あり)
 第四点、單作地帶の水田に、この秋から明渠、暗渠の排水工事を施行いたしまして、緑肥、麦、馬鈴薯の二毛作地帶に、その三割を轉換いたしますと、六十万石の増産を得、なおかつ單作地帶の農家経営にあるヒントを與えること、効果大なりと私は考えるのであります。
 第五点、開墾、開拓、自給農園の奬励、甘藷栽培の奬励によつて三、四十万石を浮かすことは容易である。これによつても、一千万石は十万石以上超過しておるのでございます。かくして一千四百万石の絶対食糧不足量を、四百万石に縮小することができるのでございます。
 時間がきてまことに残念で、自主的供出についてはやめますが、以上五対策につきまして、政府は依然として食糧緊急措置令並びに農業生産調整法と、次々に農業を束縛する法をもつて増産をはからんとするのか、私の申し上げたこの増産意欲、節米意欲、勤労意欲の道義高揚によつて、増産がやすく実行できる増産対策を取入れられんとするのか、農相からお聽きいたしたいのでございます。以上をもつて終ります。(拍手)
#88
○副議長(田中萬逸君) 林百郎君、発言者を指名願います。
#89
○林百郎君 日本共産党は、木村榮君を指名いたします。
#90
○副議長(田中萬逸君) 発言を許します。…………
    〔木村榮君登壇〕
#91
○木村榮君 今日食糧問題が日本の民族の死活の問題であるという観点から、たくさんの議員の方から御高見を拜聽したわけでございますが、しかしながら、そういう観点からいきますと、平野農林大臣から、ただいたずらに政府だけを攻撃してもらつては困るといつたふうな御意見を承つたのでございますけれども、日本の民族の死活の問題であるということになれば、当然現政府の食糧対策といつたものに対して、われいろ議員としましても、いろいろな角度から御答弁を願つて、あるいは批判をしなければならないのは、当然のことだと私は考えております。そこで、はなはだ平野農林大臣に対してはお氣の毒であるとは思いますが、私は一言そういう点で質問をしてみたいと思います。今日は、自由党のお方もさつき御発言になりましたときに申されましたが、今の大臣のお方の中で、特に今日は大藏大臣と和田安本長官はぜひこの討論会に御出席なさるのが当然だと私は考えますが、今もつてお見えにならないから、これまたやむを得ません。
 そこでわれわれが、最近発表されました食糧緊急対策というものを見てみますと、これは非常にたくさん書いてございますが、その中で、経済実相報告書というものとの間の非常な大きな食い違いを平然と御発表になつておる。これを申しますと、たとえば緊急対策では、六大都市では魚は七月から十月までにかけて三日間に一人当り三十五匁ずつを配給する、こういう話であります。野菜は七月は三日に一遍ずつ六十匁を配給するという話であります。ところが経済実相報告書によれば、魚は一月から四月まで大体一人一日十匁配給した。それから野菜は四月から五月にかけて大体二十匁配給した。これではいけないから、今度は食糧緊急対策を立てる、こういう話であつた。
 ところが、言葉のあやではいかにも違つたようでございますが、これをよく見ますと、何ら一つも変つてない。三日に三十五匁やることと、一日十匁やることと、大した違いはない。こういう違いのないことを、いかにも麗々しく経済実相報告書だ、それ食糧緊急対策だといつたふうな美言麗句のもとに、われわれ日本の人民をごまかそうとしておる。ここでわれわれは、現在の政府そのものは、決してこの深刻な食糧危機を乘り切るだけの能力がないと断言せざるを得ないのであります。
 ところがその反面、平野農林大臣は御就任にあたつて、あたかも食糧問題は自分が最も得意とするところである、自分が大臣に就任したならば簡單に解決するであろうといつたふうな印象のもとに、三合配給の話もあつたと思います。ところが三合配給どころか、日本の國民は、十月までの間に平均二十八日間も食われない生活をしなければならないといつたふうな深刻な場面に到達しております。
 そこでわれわれは、それではいかなる手段を打つて現在の食糧事情を考え、食糧対策を立てねばならないかということが、われわれに課せられた大きな任務だと思いますが、まず第一番にわれわれが考えなければならないことは、政府は、かように机上の空論、あるいは國民に対してのいろいろなごまかし的文書によつて、何とかこの問題を簡單に切拔けようといつたふうの方向をたどつておる。そこで最近の問題を見ると、たとえば國鉄と全逓に対して労働者に加配米を配給するといつたふうなことをやつている。この前のときに、平野農林大臣は、食糧問題を政爭の具に供してもらつては困るといつたふうな発言があつたと思いますが、われわれがこれを見るならば、このことそのことが、いまの平野農政のある政治的な意味を含んでいないかどうかということを、率直にお伺いしたいと思う。
 それからもう一つ問題になるのは、一次、二次、三次の緊急対策が出たが、今度超緊急対策として問題になつておりますところの麦、馬鈴薯の一〇〇%供出超過分の相当大幅な引上げという問題である。この問題を考えますと、相当厖大な予算――いわゆる買上げ、いろいろな價格の面で相当厖大な予算が必要だと思う。ところが、そのことと和田安本側の方から出ますところの対策との間には、われわれが考えますと、ずいぶんな食い違いがある。ところで、その買上げ價格をかりに大幅に引上げるとしまして、この金の出どころは、政府が予算をもつて充当するのか、あるいは消費者のふところからそれを出さすのかといつた点では、はつきりしたことが何ら示されていない。そういう点も納得がいくように対策を立てていただかないと、この間の小包米制度じやないが、泰山鳴動して鼠一匹と申しますか、一斗何升出たというような報告を承つたわけであります。
 今國民は、今までの、少くとも平野農林大臣が御就任になつてからこの方の食糧対策に対しては、ほとんど失望しておる。農村に行つてみましても、都市に行つてみましても、もうだめだという声のみだ。こういう時に、今われわれがいわば盗人を見てなわをなうたとえと申しましようか、食糧問題をここで討議するわけでありますが、しかしながら、ここで討論してたくさんの御意見が出て――ずいぶん貴重な意見もたくさん出たと思いますが、そうしたものをただ單に政府が聞き流しておいて、まあ何だか言つたというふうな態度で、今の食糧政策を根本的に改めてもらわないことには、われわれがいかに研究し討論しても、何ら効果がないものだと私は断言したいと思う。そこで、いきおい政府の攻撃といつたふうなことも、ただ單に攻撃という意味に解釈することなく、いかに議員のわれわれが眞劍にこの問題を考えておるかといつたことをお考えになるならば、ああいつたふうな御答弁はないはずだと私は考えます。
 そこでいろいろ申し上げたいことはございますが、わずかな時間でございますから申し上げませんが、何といつても供出の面あるいは價格の面といつたことは、ずいぶんとここで論議されましたから、重複を避けまして私は申し述べませんが、現在のやみとインフレの経済下においては、農村の経済が成り立つていかないということは、だれも認めるところです。ピース三本半の値段と米一升の値段が一緒だといつたような不合理な制度のもとにおいては、だれも安心をしてほんとうに百姓をやる者はない。
 そこで、根本的な問題として肥料の問題、あるいは供出制度の問題、たくさんあることと思いますが、平野農林大臣は、昨年の議会で、われわれが新聞で知つたところによれば、肥料の國営、國家管理という問題を、ときの和田農林大臣に対して相当強硬に追究なさつたと私は存じております。ところが、農林大臣に御就任になると、そうしたような基本的な問題はなげうつて、ただ單に当面の小包米制度といつたふうな小手先細工で一般の國民をごまかそうといつたふうな傾向を認めるのは、あながちわれわれのひが目ではないと思う。そこで、この農政の問題についても、肥料の問題についても、最も経驗が深く、いろいろな相当立派な御議論をかつておもちになつておつたところの平野君が、今日農林大臣になられた以上は、そうした平生からの持論を、今日こそ十分実行できる地位におなりになつたと思う。そういう面から見ますと、そうした問題についても、いかなるお考えをもつておやりになるかということも、ここではつきりと御答弁を願いたいと思うのであります。そうした総合的な政府の対策というものが、われわれ議員の胸にはつきりと叩き込まれて、初めてわれわれが食糧問題の面に強力な手を打ち、また政府と一体となつて國民的な運動も展開できると思うのであります。ただ單にお互いが攻撃するというだけではなくて、政府当局自身がほんとうに腹を割つて、お考えができなければできないとはつきり言うし、できればこういう手を打つたらできるということを、はつきり、少くとも社会党の立場から明言してもらいたいと私は考える次第であります。(拍手)
    〔國務大臣平野力三君登壇〕
#92
○國務大臣(平野力三君) 最初に坪井君の御質問に対してお答えをいたしたいと思います。坪井君から種々激励のお言葉をいただきましたことは、まことに感謝にたえません。御指摘の、農林省の必要といたします予算経費等に関しまして、大藏大臣と意見の違つた等の場合において、事いやしくも農村の問題の重大性に鑑みまして、眞に農林大臣としては眞劍なる勝負をもつて臨め、こういう激励の言葉に対しましては、私の心持といたしましては、まつたくその通りと考えておるのであります。この点に関しましては、坪井君の御激励の言葉をありがたく拜聽いたします。
 次に、山口君の御質問でありまするが、供出制度が私の時代になつてからよけい強圧的である、こういう御質問でありまするが、これは山口君のお言葉は間違つておると思います。私もとより農林大臣になりまして、從來の供出制度をわずか一箇月くらいの間に根本的に変更するということはできません、しかし、今回の麦と馬鈴薯の供出にあたりましては、大体從來の供出制度よりは、よほど農民諸君の納得の上に実行いたしておるのでありまして、御指摘の点は、いささか私といたしましては、承服することができないのであります。
 加藤君の、米價をどれくらいな値段においてきめようとしておるかという御質問でありまするが、現在明確に二十二年産の米價を決定するということは、はつきりここで申し上ぐることはできません。と申しますのは、これは農林大臣一存によつて米價を決定することができないのでありまして、米價に関しましては、物價廳あるいはその他と勘案しなければならないのでありまするから、その値段を数字的に申し上げるということはできないのであります。しかしながら、米價をいかなる方法によつて決定するかということに関しましては、大体今年の麦と馬鈴薯を決定いたしましたる方法は、いわゆる農業パリテイー計算というものを採用して決定いたしたのでありまして、この麦、馬鈴薯から勘案いたしまして、大体米價を測定することはできると思うのであります。しかして現在の物價指数より、今年の秋になりますると、さらに諸物價は相当高騰するのでありまするから、大体において現在の麦、馬鈴薯のパリテイー計算から米價を計算いたしましたものより、さらに相当上まわるものであるということは、ここに明確に申し上ぐることができると思います。しかし、金額を明示することができないのは、御了承願いたいと思います。
 なお、加藤君の御指摘になりました増産政策、節米政策等の諸点に関しましては、まことに参考になる、肯綮にあたる所論でありますので、大いに参考にいたしたいと思います。
 なお、加藤君御指摘の、われわれは農民をただ拘束し、農民をただ統制して、窮屈な感じを與えるというような考え方は、もつておりません。なるべく自由にできる部面は農民に自由を與え、また國家目的のために農民が相当制約をせらるる点については、よく理解の上に立つて統制経済を実行いたしていきたいと、かように考えておる次第であります。
 次に、木村君の御質問でありますが、國鉄及び全逓――運輸省及び逓信省に対しまして、今回農林省が加配米を増加いたしましたことは、政治的目的をもつたものでは断じてありません。現内閣になりまして、まず五大重点産業に対するところの労務加配を断行する立場から、肥料に対してまずこれを確保し、次には鉄鋼業、次には電氣事業及び石炭、運輸、こういうように五大重点産業に対するところの労務加配というものを順を追うてやつてまいつたのであります。しこうして最近の現状に鑑みまして、國鉄及び逓信從業員諸君の労苦に対しましては、何がしかの加配米をいたしますことは当然の処置であるという結論から、閣議決定によつていたしたのでありまして、断じてこれは政治的な目的ではなく、現実に労働階級のいわゆる勤労に対する、政府といたしまして当然の処置と御了承を願いたいと思います。
 なお御指摘になりました、われわれが肥料の國営を主張したが、今日はそれをやつておるかどうか、こういう御質問でありまするが、肥料に関しましては、農林省に関しまする部面は配給部面であります。生産に関しまする部面は、今回商工省へ移行せられたのでありまして、私の所管に関するところの配給部面は、既にこの演壇におきまして前回も説明いたしました通りに、公團方式によるのであります。この公團方式の是非善惡については、諸般の御議論もありましようが、公團の役員は全部農林大臣の任命であります。この農林大臣の任命の機関によつて配給するというところの方式は、一應これは國営化の方法をとつておるのでありまして、私に関しまするところの部面に関する肥料は、國営化の方式によつて配給されておるのでありまして、断じて木村君の御指摘のような間違いはないのであります。
 以上、私の御質問に対する点つきまして、簡單に御答弁した次第でございます。(拍手)
#93
○副議長(田中萬逸君) これにて本日の自由討議は終了いたしました。
 明二十六日は定刻より本会議を開きます。議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後五時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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