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1947/06/14 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 通信委員会公聴会 第1号
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1947/06/14 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 通信委員会公聴会 第1号

#1
第002回国会 通信委員会公聴会 第1号
昭和二十三年六月十四日(月曜日)
    午前十時四十八分開議
 出席委員
   委員長 土井 直作君
   理事 白井 佐吉君 理事 重井 鹿治君
   理事 長谷川政友君
      多田  勇君    林  讓治君
      平井 義一君    森  直次君
      片島  港君    野上 健次君
      押川 定秋君    田島 房邦君
      園田  直君    萩原 壽雄君
      松澤  一君    中野 寅吉君
      林  百郎君
 出席公述人
      大塚 万丈君    有竹 修二君
      土橋 一吉君    大森愼一郎君
      湯川 精吾君    清水  猛君
      高戸義太郎君    久保山雄三君
      佐藤治三郎君
 委員外の出席者
        專門調査員   吉田 弘苗君
    ―――――――――――――
本日の公聽会で意見を聽いた案件
 郵便料、電信電話料金等値上の可否、若し可と
 する場合はその値上率について
    ―――――――――――――
#2
○土井委員長 これより通信委員会の公聽会を開きます。
 電信電話料金法案及び郵便法等の一部を改正する法律案は、去る六月の五日本委員会に付託されまして、以來熱心に審査をしておるのでありまするが、委員会が特に本日公聽会を開きまして郵便料金、電信電話料金等値上げの可否、もし可とする場合はその値上率について、眞に利害関係を有する者及び学識経驗者等より廣く意見を聽くことといたしました。申すまでもなく、本法案が國家経済的見地からも、また一般國民にとりましても一般的関心及び目的をもち、かつきわめて深い利害関係をもつている重要法案であり、通信事業は独占的であり、かつ公共的性質のものであり、その経営並びに料金のいかんは、直接國民大衆の日常生活に多大の影響を及ぼすものであります。国民各層におきましても、賛否の意見が活発に展開されております現状に鑑み、本委員会としましては電信電話料金法案、郵便法等の一部を改正する法律案の審査にあたりまして、國民諸君の声を直接聽き、廣く國民の輿論を反映せしめまして、本案の審査を一層権威あらしめると同時に、遺憾なからしめんとするにほかならないのであります。しこうして諸般の情勢によりまして、公聽会をわずか一日しか開けないことを遺憾とするものであります。しかしたとえ一日でありましても、各位の熱心かつ豊富なる御意見を承ることができますることは、本委員会の今後の法案審議の上に、多大の参考になるものと、深く期待する次第であります。私は本委員会を代表いたしまして、御多忙中のところ、貴重なる時間を割かれまして、御出席くださいました公述人諸君に対しまして、厚く御礼を申し述べますとともに各位の忌憚のない御意見の陳述を希望する次第であります。
 さらに本日の議事の順序につきまして、簡單に申し上げます。公聽会は一日であります。公述人の人員を勘案いたしますれば、公述人一人当りわずかな時間でありますが、十五分以内で御意見を承りたいと思うのであります。ただこの機会に一言公述人の皆さんに御了解を得るとともに、おわびを申し上げたいと思いますることは、公聽会を開会いたしますることのための時日が、非常に少かつた関係からいたしまして、参考資料をお手もとに御送付申し上げる期日がなかつたことであります。從つて極端な場合は、本日御出席願いました際にお渡しするのやむなき事情になりましたことは、はなはだ委員会といたしまして申訳ないと考えておる次第でありまするが、この点深くおわびを申し上げると同時に、御了承おきを願いたいと思う次第であります。なお公述人の発言は委員長の前に公述台がありますから、そこに御出席願いまして、それぞれ御意見を述べていただきたいと思います。なおそのときは職業とお名前を述べていただくようにお願いいたします。本日の公述人の名前を申し上げます。大塚万丈君、有竹修二君、土橋一吉君、大森愼一郎君、湯川精吾君、齋藤貞次君、清水猛君、高戸義太郎君、久保山雄三君、佐藤治三郎君、以上の方々であります。それではこれより御意見を聽くことにいたします。まず大塚万丈君よりお願いいたしたいと思います。なお午前の公述が終りましてから、若干の時間を割きまして公述人諸君に対する質問を、それぞれ委員の方々においていたしていただくことにいたしますので、委員の方々はさよう御承知おき願いまして、あらかじめ御準備願いたいと思います。大塚万丈君にお願いいたします。
#3
○大塚公述人 私はただいま御指名になりました大塚であります。日本特殊綱管株式会社の社長をいたしております。わずかに十五分でございまするから、あまりこまかいことに触れる時間もございません。從いまして大きな点二、三につきまして、私の意見を申し述べます。通信料金の値上げはその絶対額が小さいというようなこと、從いまして個人としての生計費、またわれわれ企業の立場から申しますれば、生産原價に及ぼす影響が割合に目立たないというようなことからしまして、四倍というような大幅な値上げがございましても、鉄道あたりほどにやかましく言われないというような模樣でございまして、さればと言つて、それではこの通信料金の値上げが、さほどに小さい問題かと申しますると、われわれの立場では非常に大きな関心をもたざるを得ないのであります。
 第一に私が申し述べたいことは、確かに現在の通信料金すべてのものが、その絶対額におきましてはもちろん、その相対的な関係から申しましても、一般物價に比較いたしまして非常に安いということは、これは事実だと思うのであります。從いましてこれがただちに通信特別会計の大きな赤字となり、ひいてはこれが健全な財政の堅持という建前から言えば、大きな影響を及ぼし、さらにインフレの刺戟になつているということは事実でございまして、その意味におきまして私はある程度の通信料金の値上げというものは、やむを得ない面があるし、從いまして國民としてこれを頭から否定するということは、できないのではなかろうかと思うのでありまするが、さりとてそれではこれを全面的に無條件でうのみにするというわけにもまいらぬと思うのであります。
 第一に申し述べたいことは、通信と申しますれば、これは一般個人、企業、あらゆるものに影響のある仕事でございます。從いましてそのねらうところが完全なるサービスでなければならぬと思うのでありまするが、このたびの四倍という非常に大幅な値上げが、やかましく論議せられておるにもかかわりませず、当壁においてこのサービスの改善に関する具体的な問題を、大きく取上げておられるというような印象は、國民にはほんど與えていないと思うのであります。大体われわれ今日通信関係の現状を見まする時分に、非常に目につきますことは、たとえば拔取りの問題のごとき、これは沙汰の限りでございまするが、それ以外におきましても、一般郵便物の遅配、あるいは紛失というような事実が、日常茶飯事となつておるのでございまして、この点終戰以來幾多の改善が加えられたにいたしましても、今日なおかつわれわれはこれを通常のことと考えざるを得ないような現状なのでございまして、これでは私生活の不利不便は申しませんとしても、われわれ企業の立場から申しますると、一般経済の運用を阻害するのみならず、企業運営の進歩をどれだけ阻害し、その能率を妨げているかということは、非常に大きな問題であると思うのであります。たとえばわれわれは企業の立場におきまして、全國的に大きな地域をその運用の範囲にいたしておりまするようなものは、ただいまでは郵便というものはあまりあてにならないから、從つて自分自身で飛脚便をつくつて、辛くもその運用をいたしておるというような実情であります。これでは國の責任においてやる通信業務というものが、はたしてその責を果しておるかどうか、はなはだ疑わしいのであります、卒直に申せば、通信事業に関する限り、極端に申しますれば、すでに明治時代にもどつておると言つても、過言ではないような現状だと思うのであります。これでは通信事業の本來の使命は、達成していないと思うのであります。これが今日われわれの生産の面にいかに大きな惡影響を及ぼしいいるかということは、目に見えないだけにはかり知れないものがあるのであります。それがたまたま今日のような封鎖経済である間は、まだしもその弊害が目につきませんが、近く為替レートがきまり、國際関係にわれわれが参加するということに相なりました場合、かような通信業務の実情ではたしてやつていけるかどうか、疑いなきを得ないのであります。戰前われわれの産業が世界の競爭に伍してまいりました最大の点は、何と申しましてもチーフ・レーバーにあつたことは申すまでもございませぬが、しかしながら逓信業務の非常な進歩によりまして、その確実性というようなことが、われわれの産業の運営、從いまして世界との競爭にいかに大きな陰の働きをしたかといふことは一目に見えないだけに非常に大きいものがあつたと思うのでありまするが、今日のような状況では、ただいのまチーフ・レーバーはもとより頼むに足りない今日ではございまするが、その上にさらにこういう通信業務のりつぱな業績というものを失いましたときには、世界の産業界における競爭力というものは、非常に減殺されるということに相なりまして、事決して小ではないと考えるのでございます。この問題は一方資材の面におきまして非常に大きな制約を受けておりまするから、従いましてこのサービスの点におきまして十分を期しがたいということは、これまたわれわれ想像にかたくはないのでございまするが、さりとてサービスの面は資材のみでは断じてないのでありまして、これに從事する人たちの誠実な、着実な、まじめな考え方、またその勤き方、これが非常に大きな要素であることは申すまでもないのであります。この点に関する当局の十分なる注意改善を要求してやまないのであります。
 第二に申し上げたいことは、逓信当局はややもすると、この値上げに関連しまして、どうも一般の物價に対して通信料金は低きに過ぎておつた。追つつかないから上げるのだという御説明がしばしばあるのであります。私どもの立場から申しますると、これははなはだ腑におちない点なのであります。御承知の通り逓信事業、通信事業が國営として運営されておりまする大きな理由は、國家の治安維持、その他の関係からの理由は別問題といたしまして、われわれ産業の面から申しますると、一にかかつてその低廉なサービスを提供することによつて産業の繁栄を助長する、これを大いに刺戟するという点にあると思うのであります。從いましてその國営事業としてのよさは、あくまでも低廉なるサービスということになるのだと思うのであります。從いましてかりに逓信関係の料金が非常に安くて、一般物價よりもはるから劣つており、その値上りが非常に遅れているということならば、むしろ國営事業としては成功だと言つても過言ではないのであります。遅れているということは決して値上げの理由にはならない性格のものだと私は考えるのであります。一般物價が上つたから、從つて通信料金も上げるのだというような、きわめて單純な考え方でありましては、これを非常な間違いでありまして、根本的にこの点はお考え直しを願わなければならぬ。そもそも官営事業、國営事業というものが非常に非能率的であり、いかに官僚的な弊害を伴うものであるかということは周知の事実なのでありまして、これが一つの会社化の形式として、樣式として今日一般に言われておりまするのも、この点に関する問題が十分に論議されぬからなのであります。そういう観点から申しますと、國営事業のよさというものを発揮せずして、その存在の價値はない、一隈物價と並行的にどこまでも上げていくということであれば、こういう事業を民営としてどこが惡いかということになるのであります。國営事業にする根本的な理由をこの際特に考えていただいて、一般の逓信事業の運営に根本的な改善を加えていただきたい、その考え方を改めていただきたい、今後安易な氣持で通信料金の値上げを企図するがごさきは断じてとられないように私は希望してやまないのであります。
 第三は、やはりサービスの問題に関連して、今日の逓信関係の労働状況について私は当局に要望したいと思うのであります。今日のようにあらゆる面で不足がち、足りないがちのときに、労働問題が切実化してくるということはある程度までやむを得ないことであり、從いましてこれを一逓信事業のみにやめてもらいたいとか、あるいは特にどうとかいうことは望めないと考えるのでありまするが、最近の傾向は、ここに土橋さんがおられますけれども、どうも特に逓信関係の労働関係は、われわれの目から見ると、官公労関係、さらに一般産業の面、これの中でも特に今回は強力に運用されておるように思うのであります。そのねらいがどきにありましようとも、結果において今日産業の運営に至大の影響を及ぼしておるということは、これまたまごう方なき事実であります。要するに私が考えまする今日の労働問題は、すべて物の点のみで解決はできないと思うのでありまして、一面精神的な面が相当にある。この点を度外視してはならぬと思うのであります。物的な面におきましては、施設におきましても、あるいは生活の面におきましても、足りない点は多々あるのでございまして、これを完璧にしなければ労働問題の解決ができないということでは話にならないと思うのであります。足りないづくしの中で、なおかつ何とかまとめていくというためには、そこに精神的なものがなければならない。そもそも國営事業の社会化というような点は、被搾取的な意識がないということが根本的なとりえなのでありまして、それが今日の官営事業において、殊に逓信方面において、なおかつ民間の資本主義的な考え方を基盤にした事業運営と同樣の運用がなされておつて、從業員諸君の考え方が未だに資本家を相手にすると同樣の動きが顯著であるということは、われわれ実は國営事業の社会化という面から考えますとはなはだ疑いなきを得ない。どういう理由に基くのか、この点は私は労働組合の諸君にもお考え願わなければならないが、同時にこれをお預りになつておる逓信当局のお考え方も十分な御反省を願わなければならぬと思うのであります。要するにやむを得ない意見の衝突はある程度までは避けがたいと思いまするが、できるならば紛爭は少くしていただいて、そうしてわれわれ國民生活に直接至大の関係のある逓信業務の円滑なる運営を考えていただくように切に希望するのであります。
 なお最後にやや小さい問題になりまするが、あるいはまたこの委員会で申し述べることが適当かどうか存じませんが、通信料金の値上げというような問題を一般物價の問題だけでなく、もつて行政の面と全面的に総合的にお考え願いたいと思う点があるのであります。最近われわれ民間で仄聞するところによりますと、たとえば企業の株主に対して支拂いまする配当金を全部企業の責任においてその手もとに届けるというような御意見があるやに伺つております。これがあるいは法律的な措置にいついかなる方法によつて具現化されるか存じませんが、そういううわさをわれわれは聞くのでありまするが、かりにごくわずかな、つまり企業の配当金というようなものを会社の責任においてすべてお手もとまで届けるということになりますと、この通信料金の値上げは非常に大きな負担にならざるを得ないのであります。配当の方は、これは利益処分でありますから、從いましてその金額はごくわずかであります。にもかかわらず一方通信料金が他の物價その他に関連して非常に大幅に上るというようなことに相なりますると、これをお届けする費用は莫大なものになりまして、下手するとあるいは配当金の何倍かの経費をかけなければならぬような事態にならないとも限らない、かようなことに相なりました場合に、はたして企業の運営をいかにするや、今後以資の導入、その他重大問題を控えておりまして、資本の尊重、資本の蓄積ということがやかましく論議せられております今日、かような問題が起りますと、一面非常に大きな障害になろうかと考えます。こういうような問題は通信料金の値上げと併せて十分総合的に御研究くださるように、当局に対し私は要望してやまないのであります。
 時間がございませんので簡單でございまするが私の所見を述べた次第でございます。
#4
○土井委員長 次に有竹修二君。
#5
○有竹公述人 私有竹であります。時事新報の編集局長であります。
 私はこの値上げの可否を論ずるに際しましてこの際考えなければならないことがあるのではないかと思うのであります。それは日本の官業というものがどういう性格をもつものであるか、官業の今日のあり方、その実体を把握し、將來これをどういう方向にもつていくべきものであるか、そういう点を少し考えてみなければならないのではないかと思うのであります。殊に逓信省の管轄しておられる官営事業は、非常に多種復雜でありまして、これを理的論に体系づけて話すことは、非常に困難なように思うのであります。かつて今を去る十数年前でありますが、一体郵便料金というものは物の價格なりや、手数料なりや、税金なりやという論が学者の中にもありまして、当時京都大学の経済学の先生が、その問題を一つの論文に書いたことがございます。税金であるか、價格であるか、手数料であるか。郵税という言葉がありますから、税金じやないかということも言えるのであります。なるべく安くして実費主義でいこうということから考えますと、これは手数料と言える。しかしまたそれは一つの價格であるとも言えるのであります。少くとも通信事業から益金を出して、これを一般会計に繰入れておる限りにおいては、その分だけは税金であるに違いない。こういうことも言えるのであります。現に昭和九年四月一日、通信事業特別会計が独立しました。これは逓信省永年の宿願でありまして、それが齋藤内閣、南逓信大臣のもとにおいて成立しまして、昭和九年四月一日から特別会計となつて、一般会計から独立しました。しかしこれは完全な独立ではなくして、大藏省との話合いの結果、毎年八千二百万円に限り、益金を一般会計に繰入れるという約束のもとに独立した特別会計になつたのであります。以來戰爭にはいりますまで、毎年通信事業特別会計は、一般会計に対して八千二百万円納めておつた。それのみならず昭和十二年支那事変が起りまして、臨軍費という特別会計ができますと、その臨軍費の中へまた別に数千万円を納めております。從つて昭和十三年からは一億数千万円というものを特別会計から一般会計に繰入れておつたのであります。それが十八年まで続いております。從つてこのごろやかましく言います独立採算制ということから申しますれば、ずいぶん一般会計に貸しがあつたのだから、今この通信事業特別会計が赤字で非常に困つてきたこの際、一般会計の方からまた毎年入れてもらつてもいいじやないかということが言えるのであります。しかるに一般会計の方も御承知の通り赤字で悩んでおる。特別会計もしかりという場合、それができないというのが現状である。そこで莫大な値上げになる。こういうことであろうと思うのであります。從つて一体官業の経営が今後どういう方向をたどつていくかということをこの際十分に考え直す必要があるのではないかと思うのであります。と私が申します意味は、相当多量に官業を整理して、民営に移していいのではないかという含みをもつて言うのであります。それもなかなか簡單に実施できないことでありましようが、今日簡易保險のごときものは、通貨の非常な下落に伴つて、まつたく意味をなさなくなつて、保險を募集して歩く、また保險料金を集めて歩く。その費用すらなかなかあがらないというような状態であるらしいのであります。從つてこの際簡易保險などはやめてしまうか、民間の保險会社に移讓するか、そういう思い切つた処置をとるべきではないかと思うのであります。そういうふうに官業というものはある程度整理する。そうしてもう一遍國の財政全体を見直すという意味で、官業をこの際十分檢討してしかるべきではないかと思うのであります。
 それから今日議題となつております四倍の値上げでありますが、これは一般普通の人たちから考えますと、はがきの二円、電話の市内度数一回二円というものはそんなに高くない。そんなに負担ではないというふうに思われるかもしれませんが、問題はそれを非常に頻繁に使う人たちにとつての問題であろうかと思うのであります。すなわちはがきを毎日何千枚も出さなければならぬというような職業の人たち、たとえば選挙における衆議院議員、参議院議員候補者、あるいはまた電話を毎日何通話、何十通話かけなけなければならない商賣もあります、われわれのごとく新聞報道の仕事に携わつているものはしかりであります。それのみならず株式界、証券賣買業をやつておられる方々は相当の通話をなさいます。こういう使用頻度の多い人たちにとつては、この四倍の値上げは非常な負担であります。聞きますと、たとえば山一というような証券業者においては、東京と大阪の專用電話が一日に一万円くらいかかる。今度四倍になれば四万円かかる。從つて株式の相場が相当動かないことには商賣にならない。通信料金で利益を食つてしまう。こういう話であります。從つて結論を申しますと、この通信料金というものは、今日は多分に物價体系に響いている。他の商品は價格形成の方に大きなエレメントとなつているということであります。從つてこの引上げは、一般の面から見ればささいなことでありましようが、そういう特殊な職業、しかもその職業たるや、今日の経済社会において相当重要な役目を演じている職業にとつては、非常に大きな影響をもつのであります。從つてこれは一つの提案でありますが、今日一率に引上げないで、この際頻度の多いものにとつては、ある程度の特典が與えられる。すなわち千回以上使つた場合には、その千回を超過する分については格安にするといつたような方法、すなわち所得税に行われている超過累進という制度、あれを逆にいつて、使用頻度の一定限度を超えた分については、だんだんにその料金を割引いていく。つまり一種の回数券とか、あるいは鉄道運賃における定期券という趣旨を取入れる案を一つ考え直してもらえないか。これが私の思いつきの希望意見であります。いずれにしましても、この通信料金が一般の物價体系にもつ影響が非常に大きい。これはタバコ、酒その他專賣品の價格と同樣に、非常に物價体系に及ぼす影響が大きい。從つてそれがインフレの大きな原因になる。かように存ずるのであります。
 私はこの二つのことを申し述べまして、今日の役目を果そうと思うのであります。
#6
○土井委員長 次に土橋一吉君。
#7
○土橋公述人 私は今回政府が國会に上程しております通信料金値上げに関しましては、全面的に反対の意見を申し述べるものであります。
 その基本的な理由としましては、第一点においては、ただいま政府が國会に上程しているこの厖大な予算が、敗戰下のわが國の経済状態から見まして、まつたく亡國的な予算編成であることを私は冒頭申し上げたいと思うのであります。國家は三千九百九十三億というような厖大な予算を編成しておりまするが、この中におきましてまず支出の面におきまして、國家は重大なる誤謬を犯しているのであります。それは特に終戰処理費等においても皆樣も御承知おきのように、一千億になんなんとする予算を出しておるのであります。また價格の調整補給金としまして五百有億の支出を見ておるのであります。なお船舶運営会に対しましても、大体四十億程度見積つております。さらに公共事業費としまして、これも四百五十億程度見積つておるようであります。その他復金の融資が百八十億程度あるのであります。その他あらゆるものを考えてみますると、この厖大なる支出は、あげて一般の金融資本を中心とするところの諸君の損失補填にこの金が賄われておるのであります。從つてかような金額を総計するならば、おそらく千八百億ないしは二千億程度になろうと思うのであります。かような厖大な予算を組んで、將來の料金の値上げ等を考えてくる場合には、一般会計のみにおいて賄うことはできませんので、必ず政府は次の機会におきましては、追加予算等をもつて、また厖大なる予算を編成しまして、國民諸君から多くの税金なりあるいは專賣益金等をとるでありましよう。特に特別会計が概略六千億程度の收支が考えられておるのでありまするが、ただいまの約四千億、それに六千億、地方自治團体が收支する金額が大体二千億程度と考えておるのであります。かく考えてまいりますと、総計一兆二千億程度の國民のすべての金が國家に集約せられまして、これがまた再び國家から國民に放出されるのであります。かような結果を考えてみますると、少くともこの國政を與える諸君は、かような厖大なる予算を編成することによつて、國内の過激なるインフレを促進するところのものであるようにわれわれは考えておりまするので、まず予算面から、われわれは特に財政面から、かような厖大なる予算を編成する一環としての料金値上げは反対する次第であります。
 第二点としましては、ただいま政府が考えておりますところの逓信省の独立採算制の問題であります。先ほども御説明がありましたように、逓信省は独立会計になつたのでありまするが、年々逓信省は六千万円ないし一億円程度の特別会計の收入を一般会計へ繰入れをしまして、戰時中、戰前の一般会計を補填しておつたのであります。ところがこの間において、逓信省のあらゆる施設というものは老朽と荒廃の極に達したのであります。從つて今日わが逓信部内の全体の施設のうち約五割程度、五〇%程度は施設の改善を要求すること急なるものがあるのであります。にもかかわらず、これが將來の郵便料金値上げ等によつて賄われるような傾向を來すならば、御承知のように――先ほども郵便料金は手数料であるか、税金であるかというような御説明がありましたが、まさにこれは税金であります。なぜかなれば、通信というものは國家が独占をしておるのでありますから、各人が好むと好まざるとにかかわらず、この逓信省の通信機構を利用せざるを得ないのであります。從つてその影響するところは全國民の生活に至大の影響をもつておりますので、かようなものが引上げられることによつて、現在の施設等が賄われるということが根本的矛盾であるのであります。なぜかならば、独立採算制は御承知のように通信の一般の機構が社会の公器であり、國民がひとしく普遍的に利用するものであるというのが基本でありまして、その上に立つてそれが能率的に、しかも合理的に運用されることが必要でありますが、もし事業が独立採算制の建前をとるならば、一般私企業と同じようにこれか能率的に、しかも合理的に運用させるというような面から考えてみると、まずもうかる事業に対しましては逓信省も相当の力を入れるでありましようが、もうからない事業は國民の公器であつて、一般的に普遍的に利用され、しかも國民が低廉にこれを利用しなければならないものが、もうからない事業面においては、荒廃の一途をたどるという結論を生ずるのであります。從つて現在の逓信省が独立採算制を基本として諸般のことを考えるということがすなわち私企業化するゆえんでありますので、私はこの点についてもまつ向から反対したいと思います。なぜかなれば、一般会計からこの通信の施設を全國民、全人民にひとしく利用さすということが基本でなければならないと思うのであります。経理能力いかんによつてその料金が賄われるということは、逓信事業の本來の精神を逸脱するものでありますから賛成できないのであります。從つて現在の逓信省の赤字というものは、当然戰時中、戰前において通信特別会計が一般会計に繰入れましたその総金額というものが、まず特別会計へ保障せられまして、先ほども申し上げたような五割程度の局舍、その他電信、電話等の設備の補修を完全に行つた後において、逓信省がさらに運営するような途が考えられるのが至当であります。もちろんこの戰爭についての責任は國民にもありましようが、要はかような戰爭をひき起したものは現在及び過去の財閥あるいは官僚、軍閥等でありますから、かような諸君こそが全責任を負つて、この五割すなわち五〇%程度を内容とする施設の荒廃は、当然彼らの責任において拡充し、その設備運用の全きを保全しなければならぬと思うのであります。從つてかような面が大衆課税によつて賄われんとする傾向に対しては、私はあくまでも反対したいと思うのであります。
 なお第三点といたしましては、現在逓信省においてはいろいろ節約なり、あるいは利用すべきものを利用していないという点であります。一例を申し上げるならば、現在全國における電信柱二百五十二万本程度、電話柱約七万本程度あるということを逓信省は発表しておるのであります。さらにポストの函が約七万程度、局舍が特定局を加えて全國には概略一万五千程度あるのであります。かようなものを廣告その他公衆の便益等をはかる考えをもつて十分活用するならば、私はそこに相当の財源も出てくると思うのであります。特に現在特定局長の局舍借用料として、逓信省はたしか一億二千万円程度のものを出しており、さらに切手歩合として局長に渡しておる費用は約一億円と聞いておるのであります。その他終戰処理費によつて賄われておる人員の費用、すなわち終戰処理費関係による人員は現在約四千五百名程度おりますが、そのうち約一割にも満たない者が終戰処理費で賄われて、あと三千五百有余の諸君は、全部通信特別会計で賄われておるような次第でありますが、かようなささいなものをかき集めますと、逓信省の財源はまだ相当あるものと確信しておるのであります。従つてかような面を積極的に活用することが、まず必要ではなかろうかと考えておるのであります。
 なお私は今ここに参集各議員の方々にお示ししたいものがございます。それはただいま全逓が企図しております全國民五千万名の署名運動でありますが、現在は約二千万名程度の署名を得ておるのであります。ただいまここに持ちこんでおりますのは、輸送の関係で全部のものではありませんが、その三分の一の約一千万名程度のものを持ちこんでおるわけでありますが、賢明なる皆さん方がこれをごらんになつてもわかるように、全國民諸君はいかに現在のこの惡性インフレーシヨンを高進するところの物價の改訂なり、あるいは通信鉄道料金の値上げに対して、全面的な反対意見を表面しておるか、賢明なる代議士諸君は十分御賢察願いたいと思うのであります。かような國民の膏血を搾り、國民の膏血によつて賄われんとするような財政については、あくまでも、全人民諸君は反対しておるのでありますから、この趣旨を了とせられまして、將來はできることならば、一般会計から逓信並びに鉄道の両会計の赤字については補填する体制をとつて、國内の財政及び予算面の根本的な改正を行わなければ、この問題は解決しないのであります。單に現在の料金の値上げ等によりまして逓信省がかりに施設改善を行い、あるいは從業員の待遇改善を行いましても、かような面が強調せられてくるならば、將來おそらく通信公器の利用は物を持てる諸君、金を持てる諸君、土地を持てる諸君のみの利用になつてしまいますから、一般人民大衆はこれをひとしく公平妥当に、しかも普遍的に利用することは絶対に不可能であると思うのであります。特に電話再建等においては皆さん御承知のごとく、多額の金を拂わなければ電話を架設し、しかも通話ができないというような状態すら考えられておるのであります。從つて郵便料金、かようなものの大衆課税的なものによつて、戰時中の荒廃せる施設、並びに逓信從業員の現在の人件費を賄うことは、根本的に行き方が間違つておるのであります。これを要約して申し上げますならば、かような行き方はいわゆる資本主義的な國家再建の方式に帰着するのであります。今日は賢明な各位も御承知のように、かような資本主義的な國家財源の方式によつて、逓信省の独立採算制をあがなわんとする態勢は、まさに全國民及び産業形態の中においても、労働意欲の高揚の点におきましても、はなはだ遺憾でありますので、ぜひとも料金値上げについては反対の意見を皆さんが取まとめくださることを要望したい。
 簡單ではありましたが、以上のような國家財源の点から、逓信省の独立採算制の不合理な点から、さらに逓信省にはまた若干の財源の捻出の点があること、及び將來これが國民生活に及ぼす影響の至大な点を説明いたしまして、郵便料金値上げに絶対反対の意見を表明するものであります。なお署名運動もここに來ておりますから、皆さんもときと御参考にして、私の意見に御賛成くださらんことをお願いする次第であります。
#8
○土井委員長 次に大森愼一郎君。
#9
○大森公述人 日本農民組合事務局の大森であります。私は主として農民並びに農民運動の立場から、今回の通信料金値上げに対しましては、原則的に反対いたしたいと思うのであります。
 まず第一に反対の理由の点といたしましては、先ほど來公述人の方から申されておりますように、通信料金の値上げがいわゆり大衆課税の性格を帶びているという、そしてこれらの負担は農民の場合におきましては、個人にとりましては非常に零細であり、ほとんど影響がないように考えられているのでありますが、現実には農村は御承知のように、一切の物資を買うにいたしましても、廣告その他もすべて通信に依存するのでありまして、從つてこれらの通信費が農民の購入する一切の物資に轉嫁される、すなわち農民の負担に帰着するという点が第一にわれわれが反対せなければならぬ理由の一つであります。
 次に第二点といたしまして、先ほど委員会の方からお示しいただきました料金の値上げについての理由書によりましても、その料金値上げの根拠とするところは、一般物價の水準並びに給與水準との比較において示されているのでありまして、これらは通信という特殊ないわゆる公益性をもつたものに対して、一般物價並びに逓信從業員の給與等を関連せしめて考えること自体に私は問題があると考えるのであります。なぜかならば、通信というような公益性をもつたものは、よりこれが低廉であり、でき得れば一般物價よりはるかに水準の低い線で抑えられるということが理想でありまして、一般物價とこれが同一歩調をとつて値上げされるというようなことは、むしろ今日のように特に宣傳活動を必要とし、いわゆる民主主義的な改革の途上にある日本におきましては、こういう通信料金のごときは最も低いのが理想であると私は考えるのであります。從つて安易な氣持から一般物價水準と、あるいは賃金ベースと合わしてこれを値上げすることを提案されているごとき事態に対して、まず原則的に反対しなければならぬと思うのであります。
 第三の点は、赤字補填としての立場から料金値上げをするというふうに理由書に書かれているのでありますが、はたして赤字補填の意味でやること自体が正しいかどうか、これは前の公述人から申し上げてありますから繰返しませんが、赤字補填の立場よりすると仮定いたしましても、政府ははたして逓信事業に対しまして操業能率について考えたことがあるか、あるいは経費の節減について眞劍な対策を講じたことがあるか、その点をむしろ私どもは反問いたしたいのであります。経費節減の面におきましても、あるいは資材の購入におきましても、監査監督におきましても、あるいは物件費の節的におきましても、あるいは諸施設の完全な利用、先ほどもお話がありました。ポストの廣告利用とか、その他おそらく使用しないところの資材が、まだ相当寢ておるのではなかろうかと思うのでありますが、諸施設を完全に利用するというような方法がとられておるかどうか。また郵便事業におきましても、技術的な高度化の面をはたして取上げておるかどうか。それらの点がわれわれ國民といたしましては、非常に疑問をもたされておるのであります。こういう努力なくして、安易な料金のみを値上げして、國民負担によつてこの赤字を補填しようという考え方を考え直していただきたいということを附け加えておきたいのであります。
 次に農村文化と郵税との関係を少しく申し上げたいと思います。すなわち現在においては農村文化が非常に低い、これは農村民主化の最も大きな癌になつておるのでありますが、たとえば書籍にいたしましても、現在の郵税というものは約一割前後、はなはだしいのは二割近くの郵税を拂つておるのでありますが、これが四倍に上つたとしますれば本の定價の四割、現在の書籍の價格にいたしましても、購買力は非常に低下しておる。殊に農村においては書籍を購入することが困難であるにもかかわらず、なおかつ四割の郵税を拂うと仮定いたしますならば、これは本を読むのでなく、結局郵送料を読んでおるというような結果になると私は考えるのであります。この点から農村文化がより高まらなければ日本の農村の民主化ができない。從つて農業生産の確保も困難になる。さらにそれは一般産業復興も困難になるという論理になるのでありまして、從つて簡單なようでありまするが、今後ますます農村文化というものを高揚するという意味からいきましても、郵税の値上げに対しては不断の考慮を拂われたい、私ども農民運動の立場から反対せなければならぬという結論になるのであります。
 次に農民組合の立場から少しく申し上げたい。これは他の民主團体も同様であると思うのでありますが、殊に農民組合の場合におきましては、農組の組織というものは非常に廣汎な地域に分散しておるのでありまして、從つて本部から指令を発しても、これは縣連だけに届いたのでは何にもならないが、今日のような状況におきましては、すなわちいろいろな制度の変革がめまぐるしく行われる際におきましては、これは支部から、さらに村から部落という点にまで、本部とあるには縣連と、下部組織とがつながらなければならぬのでありまして、こういう際における経費の負担というものは非常に大きいのであります。われわれ零細なる農民の醵金によつて自主的な運動をしておる農民組合の立場からいたしますれば、この税負担というものは非常に大きい額を占めておるのでありまして、ますます今後下部の組織個々の農民と直結しなければならぬわれわれの立場からいたしまして、料金の値上げに対しては、反対を表明しなければならぬのであります。殊に現在各官廳におきましては、厖大なる宣傳費その他を使つておりますが、結局農地改革を一つの例にとりましても、現在どこももう農地改革は完了に近いにもかかわらず、各農村にはいつて見ますれば、一片の法文にも触れたことがないという農民が多数あるのでありまして、これらに対しましては、われわれ農民の自主的團体が積極的に活動をすることによつてのみこれを完成し、民主的革命を完遂することができるというふうに考えるのであります。そういう面から申しまして、今後われわれの活動に許されている唯一の武器は文書戰以外にないのでありまして、こういう点からいたしましても、料金の値上げによる制約は、われわれ民間團体としては非常に大きい負担であります。と同時にこれが農村に響く影響というものも非常に大きいのでありまして、この点からいたしましても、もう一度わが國が民主革命の線に沿うて進んでおるということをお考えになられまして、この角度から今回の料金値上げの問題についても根本的にお考え直しをいただきたいという意味合いにおきまして、私といたしましては今回の料金値上げに対しては、全面的に反対せざるを得ないのであります。
 簡單でありますが、以上で終ります。
#10
○土井委員長 次に清水猛君にお願いいたします。
#11
○清水公述人 私先ほど相当具体的な意見を述べられました大森さんと同じ農民運動をやつておる清水であります。今回の政府の通信、電話、これらの料金値上げに対しましては、私は結論から述べますが、全面的に賛成の意を表するものであります。なぜならば日本は昭和二十年八月十五日ミズリー号におきましてポツダム宣言を受諾して現状に至つた。いわゆる思想的にあるいは経済的に日本の一切の主導権を奪つたということを彼らが宣言して、日本國民はその代表重光を送つて受諾したのが現実の姿ではないかと思います。その根本的な観点に立つて、これらの問題を深く合法的に考えますと、いわゆる現在は物價と賃金の問題がインフレーシヨン経済政策の最も基礎となるものではないかと思います。現在政府は賃金三千七百円ベースあるいは五千二百円ベースというような金額を見積つて、國民生活の経済面を建直そうという計画でおられるようでありますが、結局生活必需物資の裏づけをせない限りは、賃金をいかほど上げても、絶対に國民経済は安定しないということを結論的にも私は言えると思います。行政整理断行ということを終戰以來の内閣は現在の芦田内閣に至るまで叫んでおりましたが、ほとんど実践を伴つておらないように思います。経済面においては國民経済の実態を指数的にキヤツチしておらない限りは、ここに統制経済政策をもつてこようと、あるいは資本主義経済あるいは自由主義経済を政策に布こうとしても、やはり空論と化してしまうと言えるのではないかと思います。これらの観点から、この料金値上げ問題について、政府は独立採算制という言葉を使つておりますが、私は独立採算制というよりは、経済の関連性から來た総合採算制とも言うべきであると思うのでありまして、これは思想面でも同じことであります。ここに独立採算制という文字を使われるそのことが、すでに民主主義から再び軍國主義、帝國主義的な経済政策、思想政策に轉化する原因ではないかという観点から、政府の通信料金値上げ問題に対しては、農村にとつても多少の利害関係はあると思いますが、現実輿論的にあるいは実質の経済面において一般通信料金の値上げはともあれ、電信電話の料金の値上げは政府原案の四倍は承認せざるを得ない実情ではないかと考えますが、一般通信は階級を問わず大衆的な課税に立ち至りますので、できれば二倍から二・五倍に政府当局において技術的に合理的に決定してもらいたいというのが私の念願であります。
 結局こういう問題も経済の関連性から実態をキヤツチしておらぬからであつて、予算問題でも実態をキヤツチしておれば、本年度は一兆九千万、これをこの年度の歳入でもつてやるというような考えのようでありますが、今年度になつてもなおかつ昨年のような方法で一時的におつつけても、やはり昨年と同樣な結論を見出すのではないかと考えるのであります。土橋全逓委員長は大衆的課税、独立採算制反対ということを基礎にして説明されたようでありますが、私は政府自体の独立採算制という文字の使い方がいかぬのではないか。これは階級的に見た場合に、そこに思想方面から数理的にその点が全然違つてきておるのではないかと考えます。
 そのようなわけでありますから、政府のこの原案にはここに全面的に賛成の意を表します。
#12
○土井委員長 午前中の公述はこの程度にしまして、ただいままで公述人からそれぞれ豊富なる御意見を開陳されたのでありますが、これに対して委員諸君から御質疑がありますならば御質疑をしていただきたいと思います。
#13
○白井委員 大塚氏に伺いたいと思います。劈頭に大塚氏はある程度の通信料金の値上げはやむを得ないという氣持をもつてお話されたように伺いましたが、それはどの程度の値上げを具体的にお考えになつておるか、それを伺いたいと思います。
#14
○大塚公述人 それではお答えいたします。実は数字については、先刻資料をいただきましてこまかく檢討いたしておりませんものですから、どの辺が妥当かということは差控えます。但し私は先刻申しましたように、通信料金が一般の物價に比例して並行的でなければならないとは考えておりません。そういう観点から、実は通信料金というものは独自の立場でお考えになつて差支えないもの、かように考えるのでありますが、どうも世間で傳えられております四倍ということは、たとえば封書になりますと、五円ということに相なります。ところが、われわれの記憶では、戰前三銭ないし四銭の時代もあつたかと思いますけれども、かりに三銭といたしますと、五円ということは、約百七十倍近くなるわけであります。ところが、今度安本の方で考えておられます一般物價の水準は、私ども民間で承知しております限りにおいては、大体安定帶として百十倍程度というふうに伺つております。そうしますと、この通信料金は非常に高い率になつていやしないか、その御計算の基礎がどこにあるか、実は私承知いたさないのでありますが、これに対してあるいは正しい批判はできないかと思いますけれども、印象から申しますと、何とはなくとりいい方面からとるのだというような感じを與えておる、こういうことは申し上げられると思います。從いまして、その点算定の基礎がどこにあるかという点で、私は疑問をもつわけであります。從つてこれはどの程度に上げたらよいかという点は、独立の立場で一般物價よりも、むしろ低目におきめになるのが適当てはないかと考えております。
#15
○白井委員 次に清水氏にお伺いしたいとい思ますが、さきに今回企図しておる政府の値上案に対しましては、全面的に賛成するという御意見のようでありましたが、郵便は二倍か二倍半が妥当だというふうにおつしやられたのでありますが、そうなんでありますか。
#16
○清水公述人 二倍半程度です。從つて電信電話の方は政府の原案通り……。
#17
○林(百)委員 土橋君にちよつと聽きたいのです。土橋君は先ほど本年度の芦田内閣の予算の面からも無理だという話が出てきましたが、本年度の予算の労働者の賃金ベースが三千七百円ベースになつております。これは一般の物價が〇・七すなわち七割値上げ、それからやみが三・六%上りという見透しで、おそらく今年度予算の年間においては諸物價は平均七割、やみは三・六%しかしり得ないだろうということから、三千七百円ベースの基準が出ておるのでありますが、鉄道運賃の三・五倍、郵便料金の四倍の値上げというものが、おそらくこの三千七百円ベースの基礎である諸物價の騰貴率に非常に大きな変更を來して、インフレーシヨンを高進して、三千七百円ベースの基礎を崩していくのではないかということがわれわれとしては憂えられておるのであります。結局絶対額からいえば、先ほど大塚氏の言われるように、少いようではあるが、これはいろいろな問題で、有竹氏も言われておりましたが、日本の経済のインフレーシヨンを刺戟するという面で物價の騰貴を來し、それが本になつて労働者の賃金ベースは三千七百円が維持できないのではないかという影響を及ぼすのではないかと思われるのでありますが、この点についての御意見を聽かせていただきたい。
#18
○土橋公述人 ただいま林代議士から三千七百円基準というものが、現在の政府の予算面から見てさらに崩れていくではないか、こういうふうに考えてよろしいのでありましようか。
#19
○林(百)委員 そうです殊に郵便料金の値上げが大きな因子にもなるのではないかと思います。
#20
○土橋公述人 私は少くともただいま政府が予定しておりますように、公定價格において七%、しかも一般の物價においては三・六%程度しかし昇しないだろうというようなゐかような安易な將來の経済の見透しは間違つておると思うのであります。おそらく鉄道料金の三倍半、通信料金の四倍というものは、現実的にはかりに商取引その他工業取引等を行う諸君が賄うのでありますけれども、それが商品に加わつた場合、あるいはそれがさらに迂廻せられまして、実際のものに関係する場合には、おそらくただいま政府が考えている以上の何倍という物價の高騰を來すと考えているのであります。ただいまどの程度の物價値上りがあるかということについては、正確な資料はもつておりませんが、おそらく政府が考えているように安易なものでないことは明瞭であります。從つて私はこの四千億近い一般会計の予算は、この秋あるいは年度の終りには、必ずこれと同じような追加予算を計永しなければならぬということを考えておりますので、われわれは三千七百円基準は、いかなる政府がどきましても、現在のような財政経済政策を担当している限りにおいては、維用することは困難であると確信しております。
#21
○林(百)委員 それから先ほど土橋君は、かりに独立採算制をとるにしても、また独立採算制のわくの中でも、終戰処理費がもつベきものは独立会計の負担になつている、たとえば進駐軍関係だというようなお話がありましたが、かりにこの我立会計の中でも、まだこういう財源があるというのは、他にもし財源があつたら、参考までに聽かしてもらいたいと思う。たとえば工事費の下請費用の節減だとか、あるいは不用品の拂下というような問題も、もす少し嚴格に檢討してみる必要があるではないか。あるいは預金部特別会計との関係というような点が素人でも考えられるのですか、專門の諸君からどういう意見があるか、ちよつと聽かしてもらいたいと思います。
#22
○土橋公述人 ただいまの御質問でありますが、逓信省は、私の見るところでは、從來きわめて善良なる官僚でありますが、事業経営能力は皆無であります。從つて、逓信省が郵便料金の値上げによつて自分の内容を補填するというような考え方のほかに、もつと逓信省は事業面においても積極的に、たとえば先ほど申し上げましたような、全國には電話柱が大体七万円程度あります。電信柱が大体二百五十二万本程度あるということを説明しております。こういうようなものに、ただちに唐告権を設定するとか、あるいは局舎は特定局を加えますならば、一万五千余もあります。さようなものについても、つとめて廣告権設定等をはかつて――しかも一般民衆が出入するのでありますから、そういう所にもやるとか、あるいはポストなどにもこれをやるとか、いろいろあります。その他現在逓信省がもつておりますいろいろの資材の面についても、相当これを活用すべきものもありますが、それらをさらに拂下げること等によつて、不用なものを一般民間に出すと同時に、さらに收入財を見つけることも考えられていると思います。終戰処理費から出ております人員数は一つのわずかの例でありますが、さようなものも一般会計から当然出すべきもので、通信特別会計から、人間の数はわずかでありますけれども、さようなものは出すべきものでないというふうに考えている次第であります。基本的に独立採算制ということ自身が、ただいま行政組織法の一環として逓信省設置法案が国会へ上程されんとするような傾向にありますが、その内容でも、逓信省は電氣通信総局というようなものと、郵政総局と事業総局の三局を考えているのであります。そして各部門ごとに独立の採算制がとられるかどうかというような見取から、事業の運営をはからんとしているのでありますけれども、こういうような事業はすべて國民の公器であります。從つて國民がひとしく普遍的にこれを利用しなけ磨ばならぬのでありますが、もし独立採算制を強行するならば、常に労働関係、たとえば人員の整理とかあるいは強制配置轉換とか、さらに賃金問題については低賃金が強要せられることは必然的な結果であります。こういうような資本主義的な國家再建の方式に基いて、逓信事業の再建をはからんとする考え方が間違つているのであります。どこまでも基本的に、從來の逓信省の施設なり、あるいはそういう荒廃したものは一般会計なり、さらに前言申し上げたように、今日のこの荒廃を引起したような財閥なり、そういうような諸君によつてこれを補填せられるのが至当でありまして、それを大衆課税の性質をもつている現在の郵便料金値上げによつて賄わんとする傾向は、明らかに間違つているのであります。從つて独立採算制も、われわれ労働者の立場からは全面的に反対しているのであつて、その範囲内において賄うというならば、先ほど申し上げたように、わずかではあるけれども、逓信当局が誠心誠意その再建を考えるようにして、廣告設定とかあるいははがき、封筒というようなものには廣告権を設定するとか、いろいろあると思いますが、くふうしないのであります。そういう点を私は指摘したいと思うのであります。
#23
○林(百)委員 大塚さんにちよつとお聽きしたいのですが、政府側から出ている通信料金関係参考資料ですが、ここにこういう数字が出ております。政府側の料金値上げの理由として大きな理由は、國民所得が、一兆九千億だ、そのうち通信料金の收入は二百九十六億六千万程度だ。ですからこれをパーセントにすると一五六%にすぎないのだ。國民所得とか通信料金の占める率はわずから一・五六%だからインフレーシヨンに及ぼす影響はほとんどないのだという資料が一つ、これが第六表にあります。それから第十表に至つて、國民一人当りの年間利用は、普通郵便が一年にわずか十一通、書留とかそういう特殊通常郵便物に至つてはわずか〇・六通、小包に至つては、一人当り、一年間にわずか〇・一個しか使わないのだ。優局料金に直しますと、照常郵便は一年わずカ八円五十三銭、特殊通常郵便三円九十四銭、小包はわずか一円八十六銭しか國民一人当りの料金は郵便需要状況から言つてかからないのだ。だからこそ面から言つても、インフレーシヨンに影響がないのだという論なのです。ところがこれに対して私の方の計算ですと、國民一人当り利用している郵便の率は、全取扱数のわずか三割程度で、あとは大きな事業家、たとえば法人だとか大きな事業家が使うわけですが、そういう事業家の面で、これは有竹さんも山一証券の例を話して、通信料金の値上げが証券業界にとつて大きな影響があるということをちよつと話したのですが、事業家として忘便料金が値上ることによつて、非常に企業面へ大きな影響があるのだというようなことを、もし説明できましたら説明していただきたい。もしないならないで結構です。ただ資料をお聽きしたいという氣用で言つているわけでありますが、政府の提出した材料はこういう材料だが、どうも私の方にはのみこめませんで、やはり事業家とかいろいろの面で大きな影響があるのじやないかと思うのでお聽きするわけであります。
#24
○大塚公述人 お答えいたします。今の第六表において、今まで一番低いときで〇・五二になつておるますが、これが一・五六と今度は殖えております。昭和九年ごろに二・五〇くらいものが一・五六くらいだから、まだ高くはないだろうという政府のお考え方が今の御説明で窺われるのですが、それは私は必ずしも根拠にはならないと思います。さつきも申しましたように、逓信事業というものが國民の負担において國営として運営されるゆえんのものは、できるだけ低廉なサービスを提供するというところに意味があるのであつて、從つてこれは安ければ安いほどいいというふうな考えをもつております。ただ國民所得との比例ということになりますと、國民所得の内容、またその支出の内容等によつて比重は変つてくるのでありますから、ただこれだけの数字で一概にこれが非常に重いとか権いとかいうことは言えないのじやないかというふうに考えます。しかしこの点はただこの数字を見ただけの感じでございますから、必ずしも正確な批判にはならないかもしれぬと思います。
 それからインフレとの関係は、郵便料金を値上げするということは、インフレを阻止するという意味、できるだけ金を吸收して、むしろインフレを抑制するという点から意味があると思います。ただこれが國民の生活ないし生産の原價を高めという点になりますと、これは確かにインフレとの関係がございますが、生産と企業の運営と通信料金の関係は、実は從來は通信料金というものは、企業の原價計算の面から申しますと、大きなウエートをもつていなかつたのであります。從いまして今度一般物價が上りまして、この原價計算における通信料金の比重がどの程度のものかということは、もう少し研究を要する問題でありますが、大体における感じは、一般の物價が上つたその程度に通信料金が上る限りにおいては、そう大して大きな影響はないのではないか。ただ、今の特殊な業務、特に通信がほとんど仕事のすべてのような事業におきましては、これはその営業利益がどこから出てくるか、その源泉いかんによりまして、たとえばその利益の源泉が統制されている部面におきましては、通信料金というものが非常に大きなマイナスになるわけでありますから、從つてその値上げというものがてきめんに企業運営に大きな影響をもつてまいります。しかしもしその利益の源泉というものが、経費の増嵩に伴つて、経営者の自由にこれが任せられるというようなものでありまするならば、結局問題は消費者に轉嫁されていくということになりまして、企業そのものの運営にどけだけの影響があるかということは、もう少し経過を見ないと、理論的には一概に言えないというように感じます。ただ問題は、先刻もちよつと触れましたように、実は予見すべからざる面にいろいろな問題が起るのじやないかという危惧の念はもつております。さつき申しましたように、株式の配当金を全部株主の手もとまで各企業経営者の責任においてお届けするというようなことになりますと、株式の配当金は利潤の分配でありますから、從いましてこれが通信料金の値上げとともに殖えるものではない。減りはしても殖えはしない。その配当金を送るような場合に、通信料金を全部負担するということになりますと、これは非常に大きな負担になります。同時にたとえば株式総会を招殊するという場合には、ほとんど何万という株主に通知を出さなければならぬというようなことになりますると、一回の総会を開くために莫大な経費がかかるというようなことになりまして、実際の企業運営上に及ばす具体的影響というような問題は、実際どうも見当がつかないと言うのがむしろ現状の氣持だろうと思います。從いまして実はもう少しつつこんで、あらゆる角度からこまかく檢討してみませんと是非の論議はできないと考えるのでありますけれども、ただ印象から申しますと、相当に影響があるということだけは言えるだろうと思います。
#25
○林(百)委員 あなたの言われるように、私の方も実は四倍の値上げによつて諸物價の形成にどう具体的に数字的に影響を及ぼすかという数字が出てこない。これはお互いに非常にむずかしい問題だと私は考える。この政府側の出している資料だけで、國民の所得と郵便料金の收入との簡單な算術的な比例と、それから國民一人当りの平均年間利用数量とその金額とだけで、インフリーシヨンには影響がないということは少し簡單すぎるのではないか、私そういう氣がするわけであります。おそらく郵便料金の四倍値上げというものが、具体的の数字に影響してこないにしても、市場價格とか價格形式の上に心理的にも影響してきて、郵便料金が四倍、鉄道運賃は三・五倍に上がるから、このものを二倍、三倍に上げてもたれも非難しないだろうというような作用があるだろうと思います。その点あなた方のような実業家の方はどう考えられるか、質問してみたいと思います。
#26
○大塚公述人 その点は今も申しました通り、こまかく研究いてしておりませんので、そのいとまがないものですから、はつきりした見解を申し述べることができないのでありますが、先刻も申しましたように、われわれの立場から申しますと、四倍という大巾の通信料金の値上げをせられるということは、一般の物價の状況とにらみ合せ、かつ國家の財政の健全なる均衡を確保するための措置として、またその他いろいろな條件を総合的に考えて、これは批判すべきだと思うのでありますけれども、しかし私どもの立場から申しますと、先刻サービスを私が強く主張したゆえんは、一方において料金が四倍にもなりながら、しかも一方においてサービスは戰前に比較しましてそれこそ何分の一に低下しておるかはかり知れないものがある、いわば國民の立場から申しますれば、これを利用する者の立場から言えば、料金は單に四倍の値上げであるが、実質的にこれが十倍あるいは何十倍の値上げに相当するかもしれません。この点をできるだけ、せめて実質的に四倍の値上げに止めていただきたというのが私どものお願いであります。
#27
○土井委員長 それでは午前の会議はこの程度にしておきまして、午後一時から再会いたします。
    午後零時十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十五分開議
#28
○土井委員長 再開いたします。
 休憩前に引続きまして、公述人の意見を聽くことにいたします。高戸義太郎君に御発言を願います。
#29
○高戸公述人 私労働組合総同盟の調査部長をしております高戸でございます。労働組合の立場から申し上げます。労働組合総同盟の物價改訂に関する態度は次の通りであります。
 一 物價改訂は労働生活の安定を目的とする総合的施策の一環として行うこと。
 一、全面的改訂を行わず、極端な矛盾の個別的補正に止めること。
 一、生活必需品の價格の値上げは極力抑制すること。
 一、物價改訂によるはね返りを十分に吸收する措置を構ずること。
政府が現在考えている物價改訂に織りこむ新賃金ベースは三千七百円である。五月の賃金を三千四百四十円とい、二・五人の家族としての給與所得税五百四円を差引いて手取り二千九百三十六円とする。そのうちマル公支出二四・六%とし、その金額七百二十二円、これが物價改訂によつて七割値上げとなるものとして、五百五円を見ておるのであります。すなわち物價改訂によるマル公の値上げによつて五百五円で吸收するというのが三千七百円ベースを立てる際の政府の考え方であります。從つて三千七百円ベースに織りこまれる公定價格は、平均して七割値上げでなければならないことになります。しかし現在の各商品あるいはサービス等の昭和九年、十一年の基準年度に対する倍率は必ずしも一定してはいないのであります。しかしとにかくかかる物價に対應して、現在の賃金が決定されているのであります。從つて今次の物價改訂にあたり、平均して七割の値上げが望ましいのである。しかるに通信料金は四倍の値上げを行わんとしております。事務当局より配付の資料によりますれば、本年二月の都市家計費内訳比較によりますと、通信運搬費は九円六十六銭家計費の〇・二%であります。從つて通信費の四倍値上げも家計費に対する影響は少ないものと考えているように推測されるのであります。しかしかかる安易な考へ方には反対するものであります。通信料金が四倍、運賃が三・五倍、あるいは石炭が二・七倍等に上れば、薪炭も同樣に上ることと思います。かく各個撃破的に物價を上げていくならば、新賃金ベースに織りこむ物價の値上りは、とうてい七割では済まないものと考えるのであります。從つて三千七百円ベースを計画するならば、これを維持し得るように物價を決定することが必要と思います。從つて三千七百円ベースで負担し得るように、通信料金を決定すべきものであると考えます。從つて通信料金の値上げはその幅を縮小して、七割に近い、二倍程度にすべきが至当と考えます。顧みまして最近民間の事業、特に電球とかラジオ等の産業においては、その價格が公定價格を下まわるものは相当あり、物價改訂によつてその倍率がたとえ七割であつても、改訂後においてそれが維持されず、あるいは下まわることが予想されるのであります。從つて三千七百円ベースでさえかような業種においては保証されないかもしれません。また中小企業、殊に金属産業においては仕金、資材不足のために経営難を來し、賃金も遅配欠配の状態を呈しておるところがあります。そういうところでは物價改訂後においてもさらにこの傾向が拡大されまして、経営難のために三千七百円ベースにも達することができないような困難なことになるのでないかと思います。しかるに通信事業のような國家の独占企業であるものにおいて、四倍の値上げを強行して收支の均衡をはからんとし、國民に負担を轉嫁することは、中小企業の窮状に思いをいたすとき、割り切れないものがあると思います。從つて値上げの中を少くして、経営できるように、お役所仕事をやめて、責任体制を確立して、経営を民間なみに合理し、あるいは能率を増進して、政府当局、從業員も眞に日本再建のために努力を拂うようにしていくようになることを私は特に要望する次第であります。終り。
#30
○土井委員長 次に齋藤貞次君。――見えておらないそうでありますからあとまわし、久保山雄三君。
#31
○久保山公述人 日本出版協会の理事久保山であります。國民生活に最も緊密な関係をもつております。この法案を國会で審議されるにあたりまして、本委員会は愼重を期する意味において公聽会を開きになり、國民の声を聽取されるに至りましたことについて、土井委員長初め委員各位に謹んで謝意を表する次第であります。
 この法案についてはすでに各界を網羅して意見を徴されることになつておりますので、私どもといたしましては出版関係七團体を代表して意見を申し上げたいと考えております。すでにこの七團体の要求するところは、文書をもつて全議員各位にお届けいたしてありますので、ほぼ御承知のこととは存じますけれども、ここにあらためて皆樣方に申し上げて御了承を願いたいと思います。
 それにはいります前に冒頭として一言お断り申し上げておきたいと思いますことは、先般の國会において北村大藏大臣は財政の健全を期する意味においてというお言葉をお用いになられたように記憶いたしておりますけれども、私ども國民としては現内閣の財政案がたとえば取引高税その他鉄道運賃の値上げ、また通信郵便料金の値上げ等をあげられておりますけれども、私ども國民は一人としてまだまだ現内閣の立てられております予算をとうてい信じ得ないものであります。何となれば取引高税が設けられたことに対して、われわれ出版業界の者は、出版業界からはたしていくら取引高税を納めねばならぬであろうかということさえ私ども自身がはつきりわからないのであります。いわんや通信料の値上げにおいて、この値げをされた場合、その及ぼすところがあまりに甚大でありますので、あるいは減收にさえなりはしないかという憂いをもつておりますのでありますからして、政府が考えておられますように、また大藏大臣の考えておられますように、政府の予想通りの徴税が行われようとは決して考えられないのであります。かような意味において大藏大臣は健全と申されましたけれども私たちは最も不安なる財政が今次議会に提出される財政案だと、こう考えなければならぬと思うのであります。かように考えましたならば、私たちはまつ向から現内閣の予算案全体に対して反対の意思表示をしなければならぬのでありますけれども、これも敗戰後の日本國家の過渡期においてやむを得ない予算であるとされるならば、本通信料値上げ問題については、さような建前から政府の原案に対して修正の意見を申し上げて、予算案の成立をかげながら希う一人であります。どうぞかような意味において私どもが申し上げるのであるということを十分御了承の上、御賢察を願いたいと思います。
 まず箇條としてあげまするならば、現在小包書留料が五円でありますのを四倍の値上げをされようと考えておられます。これを私どもといたしましては、現行の書留料金に止めておつていただきたい。他の料金を上げられることは、今日の物價情勢からして、その倍率の程度においては相当議論のあるところでありますけれども、若干の値上がされなければならぬということは私どもも一應認めるところでありますが、ただ書留小包料においてはどうか現状のまま据置いたいただきたい。
 もう一つは出版物全体を第三種郵便物、すなわち新聞の料金と同一に取扱つていただきたい、この二つの理由において皆樣方に特に御賢察が願いたいと思うのであります。
 その第一に申し上げました小包書留を現行のままに据置いたもらいたいという理由をまず申し上げてみますならば、他の品物は存じませんけれども、少くとも出幌物に関する限り、今日まではすべて第四種郵便物が利用されておつたのであります。そしてこの政府原案をつくられますについても、第四種郵便物は日本の文化財政である、文化日本建設のために最も大事な出版物の取扱いであるからしてという理由のもとに、第四種郵便物の値上げの倍率においては、若干考慮されたということを聞き及んでおります。すでに政府の各位がかような氣持になつていただいたことに対しては、私たち深甚の敬意を拂うことにやぶさかでないのでありますけれども、事実は今日の事情においては出版物の郵送は第三種郵便物を利用せずして、全部小包書留郵便を利用しておるのが現状であります。それは申し上げるまでもなく、終戰後の日本の通信事情の混乱と申しますか、少くとも終戰後の通信事務においては相当憂うべき事態が幾多存在しておつたのであります。もつと具体的に申すならば、昔は第四種郵便物でも、ポストに入れさえすれば必ず届いたはずなんですけれども、最近ではただポストに入れたのでは、届くか届かないか最初から当てにならないというような現状で、日々通信郵送の事務において、頻繁として事故の起つておることは、皆さん方もよく御承知のところであろうと思うのであります。かような意味において、少くとも数十円の書籍、数百円の書籍が出版者、書店、その他から送られたものが、購読者に往々にして着かなかつた事実があるのであります。かような場合にはわれわれ出版業者なり、あるいは書店においては、未着だという通信を受ければ、われわれ自身にも完全に届いたという自信がもてないからして、再びそれを送るというのが最近の郵便事情であります。かような見地から、要するに書籍あるいはその他の物品が送つても届かない憂いがある。だからして確実に届かせるために書留を利用するという現状なのであります。もし逓信省の各位が逓信大臣の責任において、あるいはその他局課長の全責任において、必ずポストに入れさえすれば届くのであるということが明白に保証されますれば、私どもは何を好んで書留郵便とする必要があるでありましようか。私たちが書籍の発送にも書留にしなければならぬという理由はそこにあります。その他出版物のみならず、一般の小包の発送をされる方々はおそらく同一の不安をもつて必ず書留を利用されておるものと思うのであります。かく申し上げますならば、逓信省の現在においては特別な書留料金をとるまでもなく、すべてを書留扱いとして必ず届くという保証のもとに扱わるべきが当然であると思うのであります。逓信省がその責任を感ずるならば、ここにあえて書留料金をとるということ自体が不自然だ、こう考えるものでありますけれども、しかしそれは逓信省の收入の面において大いに影響するところでありますから、私たちはあえて書留料金をなくせと申し上げはいたしませんけれども、この責任は逓信省にあるという建前から、現在のままに五円として据えおくことが当然であろうと考えるのであります。私たちは決してわれわれの営利のためにこれをお願いするわけではありません。逓信省に責任あるがゆえに、逓信省の責任において現状を維持すべしという結論をもつているのであります。
 さらに第三種郵便物、すなわち新聞と一般出版物とを同一に取扱つてもらいたいという点でありますけれども、逓信省に向つて新聞とその他の出版物について併なつた扱いをされる理由を質してみましたところが、逓信省としては、新聞は一定期間に一定量の郵送をされるから、特別に三種扱いをしているのだという理由でありました。もしそれだけの理由といたしますならば、必ずしも現在の段階においては新聞と一般出版物を区別する理由がなくなつたように思われるのであります。何となれば、自由主義経済時代の出版物は、あるときは厖大な量が持出され、あるときは僅少な量に代るという、荷物に非常な波がありましたけれども、現在の状態では決してそういうぐあいのことはありません。何となれば商工省の用紙生産が計画的であり、その用紙を出版の面に割当てる内閣の用紙割当事務局の事務取扱が計画的に行われておりますので、少くとも出版物は一年中平等に流れ出ている点から考えてみましても、当然第三種としてお取扱を願うべきものだと、こう考えられるのであります。
 どうか以上の意味合において、この二つの点の御賢察を願いたいと思いますけれども、もつと具体的にその一例、たとえば小包書留を現在よりも四倍に値上げした場合の及ぼされる影響について申し上げてみたいと思います。午前中の公述において、農民代表の大森某君は、今日までの郵便料に比較して、もしこの法案が実施されて値上げになつたならば、過去において一〇%であつたものが、この値上の結果は四〇%に郵便料がなるのだという御意見であつたと聽きましたけれども、私はこれに附け加えて、四〇%にあらずして、一〇〇%以上だと申し上げなければならぬと思うのであります。何となれば、具体的に申し上げますと、注文者から本を注文する場合に、小為替を組むのに十円かかります。これの書留料に二十円、普通郵便が五円かかるのでありますから、まず書籍を注文する人の負担において三十五円かかるわけであります。ところがこれを受取りました中央の書店ないしは出版元は、書留二十円、小包二十円を要するわけでありますから、わずか五十円、七十円の本を送りますにも、実に七十五円の郵送費がかかるという現実の事態を考えましたならば、農民の代表の方の申されました四〇%はおろか一〇〇%の負担に通信料がなるということを皆さん方に御了承願いたいのであります。もしかような事態を考えましならば、この法案がそのまま実施されました曉においては、もちろん他の商業部門においてもさようでありましたようけれども、少くとも出版の部門においては地方に均霑させることはとうていできずに、出版物のすべては大都市において集中消化させる結果になろうと思うのであります。もしかような事態になりましたならば、日本は戰爭を放棄して文化日本の再建をしなければならぬという今日の建前が、完全に履えされるというような重大支障に逢着しはしないかと思うのであります。すでに出版物に関しては私が申し上げるまでもなく、國会においてはその重要性を考えられまして、日本の代表的建造物と言われるあの大事な赤坂離宮の開放において、國会図書館にそれを用いられたこと自体においても、日本の國会がいかに日本の文化建設のために重点を置かれているかということは明瞭だと思います。また憲法の精神から申しましても、新憲法下においては國民全体が教育を機会均等に受け得るというこの精神にも反する重大な問題と考えられるのであります。ゆえにかような事態を十分御賢察いただきまして、本法案の審議については愼重審議の上、私どもの申し上げました個々の事実について御斟酌いただいて御修正願えますならば、ひとり出版関係七團体の喜びとするばかりでなく、日本全國民の感謝されるところであろうと信ずる次第であります。どうかかような見地において皆さん方の最善の処置をおとりいただかんことを委員各位に謹んでお願い申し上げまして、お粗末でありましたが、不十分ながら七團体代表の言葉として申し上げる次第であります。御清聽をいただきましたことを謹んで厚くお礼を申し上げます。
#32
○土井委員長 次に湯川精吾君。
#33
○湯川公述人 私はただいま御紹介にあずかりました湯川精吾です。職業は新制高等学校の教授です。私は逓信省は独立採算制をとる建前上値上げを可とするも、現在政府の原案である四倍では、大体千六百ベースのときに現行料金ができまして、今度の新しい國家予算は三千七百円ベースをとつている建前上、約二・五倍の俸給の増額になりますから、大体二・五倍ないし三倍の値上げを可とするものであります。しかしもし二・五倍の値上げをした場合は、政府が郵便料金の増收を考えている百八十九億円に対して大体七十億の減收になりますから、それをいかにすべきか、それについて私の考えているところを述べてみます。
 まずそれには先ほど久保山さんのおつしやつたように、新聞の郵送が低料金になつておりますが、新聞の中にはきわめて低級にして、非公共的で、國民生活しまつたく必要のない新聞が多多あります。そういうものはわざわざ第三種の取扱いをして低料金であちらこちらへと送付する必要がないと思いますから、新聞檢閲委員会というものをつくつて、実際にこの新聞は公共に適するか、それをよく審査して、公共に適しないものは普通郵便として料金をとれば、政府收入がそこにおいて相当増加されるだろうと思います。しかしどのくらいの数かということについてのこまかい予算がまだありませんから、どのくらいの増收があるかという計算はまだできておりません。
 その次は電話維持料で現行住宅用の電話が月百二十五円、事務用の電話が月二百十円、そういうように住宅用と事務用との差別がありますが、日本の場合においては住宅用を持てる家庭においては、大体において有産階級あるいは現に收入の相当多い家庭でなければ電話を維持することができないだろうと思うのです。それでそれがために住宅用と事業用との差別を撤廃して、政府の原案である事務用月に八百四十円、住宅用月に五百円を住宅用も全部月八百四十円とする。そうすると大体現在日本に引かれている電話は接続電話まで入れて約百万ちよつとあるそうです。そのうちの約四割を住宅用と見て四十万としますと、五百円の電話料を八百円にするためにそこで大体十七、八億円の増收が見込まれると思います。
 その次は今度は新しく電話を引く場合には、去年の國会で通つた電話公債法という法案にあるように、二万円ないし二万五千円の國家公債を持たなければ電話が引けないのだそうです。それで現在持つている方はそういうことがありませんから、現に有している家庭あるいは会社から一つに対して約五千円程度の電話公債を持つていただけば、大体それにおいて約五十億円の増收があると思われます。
 その次は現在の逓信省の予算定員と実働定員とは非常に差がありまして、私仄聞するところでは、大体予算定員が約五十万、それで実働定員が四十二万とかそういうことを聞いておりましたから、そこで約二割を天引する。そうなると大体五十万で二割ですから十万、年收約四万円としてみても約四十億円の金が出ます。そういうような金を浮かして、現在の四倍の値上げを二・五倍ないし三倍にすれば一般國民の負担も少くなるし、郵便、電信、電話を利用する國民の数も現行通り大して減らないと思われます。政府の原案である四倍にしたならば、現在利用しているものは十五%ないし二〇%の社用減となれば、政府の予定する百八十九億円の増收案が完全にできなくなると思います。それよりもそういう電話とかはつきりしたものを値上げして、國家財源を取上げ、逓信省そのものは独立採算制をとつて、一般会計からの約五十億円の繰入れをなくすよう私としては逓信省にお願いするわけです。
 非常に簡單でありましてとりとめのないことを申し上げましてどうも失礼いたしました。
#34
○土井委員長 次に佐藤治三郎君。
#35
○佐藤公述人 佐藤治三郎であります。木工業を経営しております。
 私は結論といたしまして、このたびの通信料金の値上げに対しましては絶対に反対であるということを最初に申し上げておきます。通信料金は昔は安い物の標本でありました。私どもの知つておりますものでも、五厘の葉書がございました。ついで一銭となり、一銭五厘となり、戰前まではたしか二銭であつたと思つております。その葉書もこのたびの改正によりますと一躍二円になるわけであります。封書、電報、電話料金も現在の四倍に飛び上るということでありますが、これは諸物價のうなぎ上りの今日とは言いながら、思い切つたやり方だと私は思います。この値上げせられました料金は、從業員の待遇改善とか、あるいはその他の費用のために、昭和二十四年度の通信特別会計予算で赤字の一部をひねり出そうというお考えであろうと思いますが、それもよいでありましよう。しかしながらこれは十分の工夫と研究がなくてはならないと私は思います。そうしなければ決して料金値上げの申訳が立たないのではないかと存ずるのであります。はたして郵便物は戰前と戰爭中と、また終戰後の今日と比較いたしまして、増加しておるかどうかということは、私が申し上げませんでも、戰爭後はおそらく減つておるだろうと思います。先ほど参考資料を拜見いたしましても、終戰後はたいへん減つておるような数でございました。あの中に進駐軍の郵便物がはいつておりますればなおさら減つておるわけでありますが、それがはいつてないものと考えましても、相当なる数は減つておるわけであります。戰前には紙の自由という点から、雜誌新聞その他の印刷物、電信電話も相当に多量であつたでありましよう。また戰爭中は戰地への慰問小包とか、あるいは慰問文とかいうようなものがあつて、相当輻湊してあつたと思います。しかるに今日の逓信從業員数は戰前と戰爭中と比較いたしまして、先ほど資料を拜見いたしましても相当な増員となつております。これは郵便物が少いのにかかわらず増員されるということは、矛盾もはなはだしいと私は思つております。なぜ逓信省は省内とかあるいは管内の事務系統の合理化をおはかりにならないのが、常に私どもはこれをいぶかしく思つておるのであります。通信料金の値上げ要求をなさるならば、國民の納得するような方法をまずもつてお考えになつて、やらなければ意味を全然なしません。國家から見ますればまことに小さい事柄でありますけれども、私は一つの例として皆さんにお傳えしたいと思つております。それは私の住んでおります近所の特定局の例でありますが、戰爭前、また戰爭中從業員の数は局長を入れましてわずかに三人でもつて支障なく電信電話あるいはその他の郵便物、貯金というようなものを扱つておりました。ところが戰爭が終りますと一躍人員は八名になつたのであります。しからばその事務は増加しておるかというと、決して増加しておりません。局長は月に一回ないし二回多くて三回しか局に出てまいりません。そうして家に帰りましては何か農業をやつておるそうであります。その他の局員もほとんど一箇月皆勤した者はありません。とにかくみな月に三日なり四日なり、はなはだしきは、四月のごときは、一人の事務員は四月一ぱい休んで俸給をもらつておつた例もございます。局長は、はたしてそういうような無責任な出勤率を示しておつてよいのかと申しますと、局長は一々出勤簿には自分が出勤したように捺印するのであります。まことに私は國家の経済からいたしまして嘆かわしい次第だと思つております。また戰爭中は御承知の通り、隣組貯金とかあるいは國債、債券もございまして、相当繁劇でありましたけれども、人員はやはり三名でありました。戰後はそればかりではありません。封鎖預金というものは御承知のごとく以前は相当めんどうな事務の一つでありましたが、現在は無職者以外にはこれを引出すわけにまいりません。從つて局員の手数というものはそれだけ除かれておるわけであります。この点については市中銀行のごときは封鎖預金引出し中止と同時に、事務員を他に轉換いたしまして、経営の合理化をはかつておるではありませんか。しかるに逓信省はそういうようま合理化方法を少しも講じておりません。もしも逓信省があらゆる方面にその合理化をはかつたならば、通信料金の値上げどころではありません。むしろ値上げとなるのではないかと私は存じます。かりに前申しましたところの特定局の例にいたしましても、戰爭前、戰爭中と同数の局員三名といたしますれば、五名の過剰ではないでしようか。この過剰人員を不足しておる方面に配置轉換を行うならば、解雇者にはまことにお氣の毒でありますが、國家の大局から見てやむを得ないと思います。かりにこの過剰人員に新賃金ベース三千七百円を支給いたしますれば、五人で一箇年二十二万二千円の節約ができるわけであります。現在の二千九百二十円賃金ベースにいたしましても、一箇年十七万五千二百円だけ節約されるわけであります。これが私の知つております特定局一局だけでこれだけの節約になるのであります。これを全國の特定局数、先ほど土橋さんは一万五千ぐらいだとおつしやいましたが、私は大体推定して一万と見て、一局三人ずつ減員いたしますれば、三万人の人員が浮くわけでありまして、金額にいたしまして、新給與の三千七百円ベースにいたしますれば、一箇年十三億三千三百万円の過剰となるのであります。このほかに、他の局にも同樣な行政整理を行いますれば、値上げをしなくても済むのではないでしようか。またかりに土橋さんが先ほど言われましたように一万五千局として、三人ずつやめるとすれば、四万五千人の人が浮くわけであります。そうしますと、金額にして十九億九千八百円となるのであります。これはひとり逓信事務ばかりではありません。あらゆる政府機関か、國民あつての政府機関である以上、一概に値上げ方面ばかり考えずに、まず経営の合理化を徹底的に研究していただきたいと存じます。そしてかかる後に値上げを考慮せられることが一番策の得たものだと存じます。
 なお私はこの委員会に、通信に関する他の方面による増收を御参考までに申し上げますれば、次のごとくでございます。まず第一に、先ほど來申しました行政整理をやり、配置轉換を強力にやつていただきたいことであります。そしてその行政整理をやる場合に、無力者とか無能者、あるいは不良の從業員は徹底的に整理していただきます、第二には、全國の加入者の少いような電話交換局が相当あるそうでありますが、これらはやはり廃置統合していただくことがよいのではないかと存じます。
 第三には、逓信省でいろいろ記念切手を御発行になつておりますが、私はもつとあれをたくさん出していただきたいと思つております。かりに一例を申し上げますれば、相撲シーズンが來た場合には相撲シーズンに関する切手を出す。あるいは六大学野球のシーズンが來れば、六大学野球に関する記念切手を出す。あるいは昨日古橋君が八百メートル自由型で世界新記録を出しましたが、ああいうような記念切手をすぐ出したならば、相当な賣れ行きがあるだろうと私は存じます。それからもう一つは、官製の封筒をつくること、それから年賀郵便というものが廃止されておりますが、これはぜひ復活して一つの財源にしていただきたいと存じます。昨年はたしか政府当局において御計画になつたそうでありますが、土橋さんがいるのでちよつと申し上げにくいのですが、何でも從業員の方が反対なさつたそうであります。しかしこれは國家の財政から見て、多少の労働過酷といいますか、そういうことは御考慮に入れていただいて、ぜひとも財源の一部になるものはどしどし御賛成願いたいと存じます。それから先ほど土橋さんからお話がございましたし、また委員会でもたいへん話的になつておるそうでございますが、電信電話用の電柱、ポスト、あるいは公衆電話のボツクス等は、これは実際利用されておりません。これをぜひ廣告方面に開放なさつてはどうかと思つております。電柱のごときは、何でも私の聞いているところによりますと、全國で百五十万本とか聞いております。ポストの方は何十万あるか存じませんが、相当な数があるだろうと思います。これを利用しないということは実際もつたいない次第であります。そのほかに、また現在郵便局へ参りますと、いろいろなポスターがございます。ちらしなども配つてはありますが、これはぜひ廣告となさつて、財源の一部になすつた方が便利ではないかと思います。かりに電柱百五十万本といたしまして、一本について平均一年千円の廣告料をとりましたならば、少くもたちどころに十五億円の收入があるのでありますから、ぜひそういうふうに願いたいと思つております。とにかく國民の負担にならないで増收になるようなものはどしどし御採用くださいまして、大衆的の負担になるものはなるべく抑えてやつていただくことをぜひお願いいたします。また現在小包とか、あるいは電報などは均一制度ということになつておるそうであります。現在均一制度でありましよう。しかしこれは私考えますに、距離制にした方がよいのではないかと思つております。そうすれば、多少でもそこに増收の方法が見つけられるのではないか。それは距離制にしますれば、やはり相当料金も上るでしようけれども、そこに合理的な距離制の料金をつくりますれば、一向大衆的な負担にはならないだろうと存じますから、ぜひそういう方面も御研究願いたいと思つております。ひところ日本の郵便、制度はその発達の度において世界有数のものと言われておりましたけれども、終戰後の今日はまつたく動脈硬化の状態だと私は思つております。昔の画影は少しもございません。ぜひとも從業員諸君の協力によりまして、日本の汚名をそそいでいただきたいことを私は切にお願いして、皆さんの御清聽を感謝いたします。
#36
○土井委員長 本日公述人として齋藤貞次君に御出席を願つておりましたが、欠席のようでありますから、從つてこれは取止めにいたします。
 だたいままで公述人のそれぞれの御意見を拜聽いたしましたが、議員諸氏の間で何か御質疑があれば、御質疑を願たいと思います。
#37
○重井委員 私ども通信委員をいたしておるのでありますが、本日は公述人の方から私どもより以上の高邁な通信事業に対する御意見を伺いまして、たいへんうれしく存じ、感謝いたすのであります。私久保山さんにお尋ねいたしたいと思いますが、久保山さんはいわゆる文化事業の一部門である雜誌新聞等のみについて御意見を述べられたのでございますが、久保山さんもその他に対する御意見が必ずおありだろうと存じます。たいへん失礼でございますが、一般的な通信電話料金値上げに対する御意見が承れれば、たいへん結構だと思います。
#38
○久保山公述人 この席からお答えいたします。時間が十五分と制限されましたので、時計を見てちようど十五分のところにまいりましたので、止めましたような次第であります。重井委員から特別に他の方面についての問題はどうか、ひとり出版物関係、郵税問題だけでなく、一般の問題についてはどうかという御意見がありましたけれども、もちろん一般の郵便料金も昭和五、六年に比較しましたならば、その倍率において、現在の倍率こそちようどよい倍率ではなかろうかしらと考えられるのであります。もちろんそれは通信という使命、性格の立場から申しまして、他の物價と比例して考えたならば、その性格において他の物資の同一に必ず引上げるわけにはいかないと思うのであります。さような意味合において、全般的に値上げについてはもとより賛成できない一人でございますけれども、特に私が出版関係について申し上げましたゆえんのものは、先般も申し上げましたように、日本の文化建設の上に、より以上に重要な使命をもつており、また重大な影響をもつておりますので、出版物について申し上げたわけであります。
 そこで、私は郵便物の値上げについて反対すると同時に、ただいまの公述人から、もつと逓信省の人員を整理してはどうかというお話がありましたけれども、私はかような見地において、より強力な人員の整理によつて、より最高の能率を発揮することによつて、値上げの財源を求めることでなく、現在の收入において賄うことを考えらるべきだと思うのであります。これを具体的な例を引いて申し上げますならば、鉄道の面においては、日本では一マイル当り三十人の人間がかかつているということでありますけれども、アメリカにおいてはわずかに三人で足りているということでありますから、能率においては、日本人の十倍の能率をあげているわけであります。これは鉄道のみでなく、石炭においてもさようであります。日本は四十万人で昨年度においてわずかに三千万トンの石炭を生産したのでありますけれども、アメリカでは同じ四十万人の人間で六億トンの石炭を生産していることを考えましたならば、もし日本が戰爭を放棄して、ほんとうに名実ともに文明の生活を日本國民が営もうとするならば、國民挙つて能率の最高限度の発揚をしなければならぬと思うのであります。かような見地において、逓信省の事務もおそらく石炭、鉄道と同一の過程に現在あると思うのであります。さように考えました場合、私どもは鉄道の能率をより高度化して、他の生産部門により多くの優秀なる人員を配置したいと同時に、石炭の面においてもより高度の生産能率を発揮しなければならぬと考えております。從つて逓信事務においても同一の能率の向上によつて、人件費その他の経費を極度に軽減することにおいて、通信料の値上げをすることをやめて、能率の向上に万全を期せられたいことを希望するのであります。ゆえに、先刻公述人の申されましたように、全体の値上げにおいてはまつ向から反対するものでありますけれども、ただちにその能率の向上は、言うべくして、とうてい期待し得ない事実であろうと思いますので、若干でも上げることを少くすれば、收入が少くて、それで賄わなければならぬという責任を感ずる点において、能率の向上は期せずしてはかり得られるものと考える次第であります。かような見地から、私はあえて全般的の郵便通信料金の値上げに反対せずして、讓歩の形において文化財の出版の点においてのみ皆さんの御考慮を願つた次第であることを、特に御了承願いたいと思います。
#39
○重井委員 もう一度久保山さんにお尋ねしたいのであります。私どもの原則的の考えといたしましては、これはアメリカの郵便取扱いに対する原則としてもあるのでありますが、公正妥当なる料金という原則があるそうであります。公正妥当と申しますと、経営者側はその経営が成り立つということ、利用者側は、それを利用するために、料金を支拂うのに苦痛がないということ、これが公正妥当だ、こう言われておるのであります。そこで私どもは公正妥当とは、経営者、利用者どちらも両立するということが原則である、こう考えておるのであります。しかしながら現在の日本の情勢は無謀なる戰爭によりましてあらゆる企業、あらゆる面が戰爭の犠牲になつておる。そのために多くの國民が負担を負わなければならぬという形になつておるのであります。そこで公正妥当なという料金に対しましても、現在のいろいろな情勢を考慮いたしますときには、やはり國民的な立場に立つて考えなければならない。普通の場合には六分であるけれども、現在においてはあくまで國民的な立場で強く考慮し、四分六、いわゆる経営者が四で國民が六、特に國家事業であるこういうものは、そういう考え方でやらなければならない、こういうように考えておるのであります。しかしながら経営は成り立たなければいけないわけであります。その事業によつて負担が負い切れないときには赤字によつて負担をすれば、それは一般國民の税の形におきまして負担されなければならないということになるのであります。そこでいろいろ財源を見つけなければならない。これはそういう意味におきまして小さいことでございましたが、先ほど佐藤さんからお話がございました小包の距離制、遠方になればなるほどいくらか高くなつてくる、現在の貨物運賃のようなものですが、そういうものを私ども一應研究いたしておるのでありますが、小包の距離制ということに対しまして、もし久保山さんから御意見がありましたら伺いたいと思います。
#40
○久保山公述人 わずかに十五分しか與えられないことを争念に考えておりましたところ、重井委員から特に意見を述べろというお話で私はかえつて喜びとし、名誉とするところであります。公正妥当だという、公正妥当でなければならない、それはアメリカにおいても公正妥当でなければならぬという建前だと仰せられます。私とても公正妥当でなければならないと考えるのであります。で、ただいま小包書留に対しましても公正妥当を期したつもりで申し上げたのでありますけれども、それが公正妥当とあるいはお聽きとり願えなかつたのかもしれんと思いますが、私どもはここに公述の冐頭に申し上げました現内閣の財政案なるものが健全であるかどうかということを圧問に申し上げたゆえんのものは、現在の立案されてある予算が公正妥当であるかどうかということを疑問に思つたがゆえであります。もし私はここにほんとうの健全財政をと考えますならば、経済安定本部では昭和六年から十一年までの物價に対して七十五倍とかを乘じたのが今日までの予算あるいは物價であつたとこう申されたように記憶しておりますけれども、私はすでにその安本の考え方に公正妥当でなかつた点が存在しておつたことを見逃し得ないのであります。昭和六年の日本経済を考えてみますと、当時日本経済においては兌換券が十六億円出ておつたと思います。そうして、日本の國内財政も十四億円程度であつたように記憶しております。そこで当時日本の軍部予算はたしか四億円であつたと覚えております。昭和六年、次の戰爭に未だ入らない、ほんとうの平和時代の日本の財政はただいま申し上げましたように、兌換券が十六億円、國家財政が十六億円、これに軍の予算が四億円含まれておつたことを考えてみますと、ちようど日本の昨年度の財政に対して、また本年度の財政に対して、進駐軍の占領費が一千億円といわれている点から考えてみますと、ちようど日本の連合國の占領費は昭和六年時代の日本財政に対する四億円の軍事費とやや匹敵しているのであります。かような見地において、日本のほんとうの健全財政を考えようとするならば、昭和六年時代の日本経済をそのまま現在にあてはめて、それに加えて敗戰という焦土化された日本ということを加味して日本の財政が組まれることにおいて、私は健全妥当な財政であろう、こう考えられるのであります。かような見地から考えてみますと、すでに現在の予算そのものが妥当であろうと考えられないのであります。さような意味合においてかように考えてまいりますと、全体の物價に比例して私が小包の料金を現行の五円に据置く、なお書留料を五円に据置くということは必ずしも公正妥当とは言えないと考えるのであります。しかしそれは現在の他の物價に比較して必ずしも公正妥当と考えはいたしませんけれども、出版物の及ぼす影響から考えて、また逓信省の責任に帰する問題でもありますから、書留の点においては現行より値上げすべからずと申し上げたわけであります。なお小包についての距離制の問題についてはどうかという御意見でありますけれども、私本日ここに臨みますについては、日本出版協会初め出版関係、もちろん小賣業者も含まれておりますけれども、全國出版業者七團体を代表してこの公述に出ておるのでありますから、この代表者として申し上げることはできませんけれども、もし個人にその答をせよという御希望でありますならば、私はもし日本のすべての物價なり、あるいは経済の面において正確が十分期し得られるということが保証されさえするならば、距離ということを加味して、小包ないしはその他のものの料金をここに制定することに否であると申し上げる理由を必ずしももち合せていないのであります。しかし、その点については現在の混乱した情勢から考え、かつ人的見地から考えて、はたしてそれが実行でき得るや否かは疑問でありますけれども、先刻申し上げましたように、もし人的あるいは國内のすべての面において正確にそれが行われますならば、小包の点においては距離制がとられることも、これは非常にいいことではなかろうかと考えはいたしますけれども、ここにひとつ小包のついて特に重井委員に御理解を願つておかなければなりませんことは、出版物はページによつて、あるいは大きさによつて定價が決定されておりますので、おそらくどの出版物においても若干の定價の開きはあるといたしましても、原則においては大体変りがないと考えられると思うのであります。しかし他の小包においては、もし金製品あるいは銀製品その他の貴重品を取扱います場合においては、目方は二キロ以内、四キロ以内であるかもしれませんけれども、價格においては数万円、数十万円のものが送られるものがあることも考慮しなければならぬと思うのであります。そこで、かような貴重品であるならば、距離によつて料金が増され、料金制度が定められましても、おそらくある限度の知れたものだと思いますから、距離制度による料金の徴收も決して惡くないかと考えられますが、出版の場合には記憶しております。しこで当時日本の軍部予算はたしか四億円であつたと覚えております。昭和六年、次の戰爭に未だ入らない、ほんとうの平和時代の日本の財政はただいま申し上げましたように、距離のいかんにかかわらず同一の定價であることを御了承願つておかなければならぬと同時に、もし距竝が遠いために非常に料金が高くなるような場合には、これも先刻申し上げました憲法の日本國民は全部教育が機会均等でなければならぬという見地に基きまして、そこに若干の矛盾が考えられはしないかと思われます。以上の点をどうか御了承願いたいと思います。
#41
○林(百)委員 高戸さんにお尋ねしたいのですが、先ほどの物價比例から言つて二倍を可とするというこの論拠をもう一戸説明していただきたいと思います。
#42
○高戸公述人 大体三千七百円ベースに織りこむところの公定價格の値上りが七割あるいは八割と言われておりますから、それに接近した数字として十割すなわち二倍と申し上げました。
#43
○林(百)委員 何を基準にして二倍になると七割になるわけですか。
#44
○高戸公述人 七割でございますからそれに接近した数字として十割だから倍という数字を申し上げました。
#45
○林(百)委員 そうすると、政府は現予算を物價の七割値上げとしており、そして十割というのは七割に近いから大体二倍だというのですね。
#46
○高戸公述人 ええそうです。
#47
○林(百)委員 そうすると現行料金の七割値上ではぐあいが惡いのですか。
#48
○高戸公述人 それは含みをもたせてあるわけです。
#49
○林(百)委員 わかりました。それから大森さんにお聽きしたいと思いますが、農民運動をなさつておる方で地方の農民の間に郵便料金の値上げの問題についてどういうことが言われており、どういうことを耳にされておりますか。もし地方の農民の声がおわかりでしたら知らせていただきたい。
#50
○大森公述人 地方の農民の個々の場合は直接負担として感じられない関係から、その点はつきりした意見としてはまだ出ていないと思います。しかし運動全体としてこの値上りによりますと、ほとんど運動が今まで通りできない。かりに指令を十本出すところはこれを半減しなければ維持できない。これは各縣連を通じてそうなる。そういう面から私は申し上げたいのです。
#51
○林(百)委員 そうするとまだ農民からの具体的な声というようなものは、日農の本部には來ておらないということですね。
#52
○大森公述人 そうです。
#53
○林(百)委員 もう一つこれは公述人の方々の方にあつたのですが、その代表として佐藤治三郎さん、あなたの人員二割整理論の根拠のうちに、あなたの家の近くに特定局があつて、そこが戰前は三人であつたのが八人になつた。それは事務の内容だとかいろいろ御檢討なさつたのですか。ただあなたのたまたま見られた郵便局が二倍になつたから、どこもみんな一律二倍というのは少し抽象的にすぎるんじやないかと思います。やはり二割減なら二割減の何かの論拠がありますか、お聽かせ願いたい。実は私の方の調査ですと、これは政府からも出ておるのですが、皆さんが一般にそうお考えになるのです。機械やいろいろな施設が破壞されまして、今まで一人でやつたところが二人かかつてもまだ前通りのサービスができないわけです。一應素人考えとしては人が多過ぎるということを言いますが、逓信省の内部にはいつてみますと、あまりに戰爭による破壞が激しかつたものですから、皆さんが非常に不満をもつておる現在のサービスをするのにも、人員が今程度要る。これでもまだ公述人が言われる通りサービスが惡いのです。やはり内部にはいつてみれば、外から見られるように人を減すわけにいかないような実情にある。何かもつとしつかりした根拠があるならばお聽かせ願いたいと思います。
#54
○佐藤公述人 実は先ほどもちよつと例を申し上げたのですが、とにかく一箇月の間局長が一回ないし二回、多くは三回しか出て來ない。それからまたほかの局員も必ず一日二人くらいは交代で休んでおるらしい。ほとんどそうなんです。そうしますとそこに人員の過剩があるんじやないか。郵便局の不足と言いますけれども、ほとんど戰爭前と変りございません。私の隣ですから実際よくわかるのです。これは御参考に申し上げるのですが大体そんなところだと思つております。
#55
○林(百)委員 たまたまあなたのとられた例が実は特定局なのです。ご存じだと思いますが、特定局というのは請負でして、郵便局長が町の顏役やいろいろの仕事をしながら引受けている事業なのです。だからあれは私企業的な色彩が一番あるところです。そこでわれわれとしてはそうした特定局制度というものは廃止すべしという意見があるのですが、普通の郵便局では局長が一月のうちに三日しか來ないという例はまず私はないと思うのですけれども、そういう点はお調べになつているかどうか。それから特定局の從業員が休むと言いますが、特定局ではよく局長の息子だとか娘とかを局員にしていることがある。これは名儀上局員であつても実際は仕事をしていない。こういう弊害が特定局制度にあるのですが、その点お調べになつておられたかどうかをお聽きしたい。
#56
○佐藤公述人 それは私近所ですからよくわかるのですが、とにかく早い話が局長さんは決してただで働いているのではない。少くとも今月に四千六百円ぐらい月給をもらついてるのです。そうしてそのほかに切手とか印紙とかその他の收入で約四、五千円ぐらいはいると聞いておりました。そこで毎月局長さんの手もとにはいるのが一万円ぐらいになります。そして切手やはがきを賣るのはだれが賣るのかというと、局長自身が窓口で賣るのではなくて、逓信省が給料を拂つていらつしやる局員の人に賣らしているのでありますから、実際それは矛盾しておるのではないかと思います。
#57
○林(百)委員 それで局長のことはよくわかりました。特定局の郵便局長はほとんど局に顏を出さないで何かしているわけです。それからあなたは從業員が休んでおると言いましたが、それは局長と身分的な関係のある人なのか。それとも給料をちやんと拂つた正規の從業員として雇われている者が休んでいるのか。それは近所だからおわかりだろうと思います。
#58
○佐藤公述人 それは局長の身内ではありません。全部局員であります。これは断言いたします。
#59
○林(百)委員 あの人がやはり月に二、三回しか顏を出さないのですか。
#60
○佐藤公述人 月に二、三回ということはない。とにかく大概一箇月のうちに五日ないし一週間ぐらいは交代で休んでいるらしい。連続するわけではありませんが、とにかくそうやつて休んでおります。出勤簿を見ると欠勤がある。局長自身少くとも欠勤という判を押している。これは現に局員が言うのですから間違いないと思います。
#61
○林(百)委員 そうすると七、八人の從業員で局長と身分関係のない者で月に一週間かそこらしか出ないというのですか。
#62
○佐藤公述人 局の事務員は一箇月のうちに五日ないし一週間は休むというわけです。
#63
○林(百)委員 その特定局は電信もあるのですか。
#64
○佐藤公述人 電信はございません。
#65
○林(百)委員 取扱量が戰前より減つているということは、あなたは正確に調べられているのですか、あなたがちよつと見たところそう思うというのですか。
#66
○佐藤公述人 そういうわけです。
#67
○林(百)委員 それでは土橋氏にお聽きしたいのですが、全逓の組合では大分組合内部で通信料金値上げについての反対の動きがあるようですが、通信料金値上げ反対の運動を通じて一般大衆の声が何かわかつておられるかどうか。何かその切実な例があるかどうか。先ほど大森さんから農民の方の声をお聽きしようと思いましたところ、まだ具体的な声が聞えていないということですが、全逓の料金値上げ反対を通じて一般大衆の声がおわかりだつたら説明していただきたい。
#68
○土橋公述人 ただいま全逓及び他の組合、その他大衆團体におきましては、一般市民諸君の声を徴するために、鉄道料金、郵便料金値上げに対するところのいろいろの会を催されております。從つてここにもありますように、ただいま全逓本部へ届いておりますところの各大衆團体、労働組合あるいは農民組合というような方面へ署名を求めましたのが、現在ここにありますような一千五百万人の署名であります。なお全逓といたしましては大略四千万人程度の署名運動を考えておるわけでありますが、少くとも國民の一千五百万の諸君の郵便料金、鉄道料金の値上げ反対の現実の署名がここにありますので、こういうものを参考にしていただきたいと思います。國民諸君は全逓本部へ直接あるいは間接に電報等においても私の方へ要請がありますが、かかる料金値上げは大衆課税となるからして、あくまでも阻止せよという電報が参つておるわけであります。これはあに逓信從業員のみならず、一般大衆の声でもありますので、こういうことは、先ほど大塚さんから正確には御説明がありませんでしたが、とにかく料金値上げは國民生活に至大なる影響を及ぼすであろうということは確かにおつしやつたと私記憶しております。從つて三倍ないし四倍の料金の値上げということは、ただちにそれがあらゆる物品の交換市場における價値に影響するとともに、それが他のやみ價格等には至大な影響があるということは、昨年の七月一日の給與審議会があの千八百円ベースを決定した際にも、非常に暴騰を來した。そういうようなやみ價格においては顕著な例をもつておりますので、これは同じく今までの経済のまま推移するならば、われわれは的確な数字をもつておりませんが、この料金値上げによつて他の業者あるいは特にやみ物資等においては非常な値上りを生じて、ますますインフリが激化するであろうということは、おそらく科学的な説明はできないと思いますが、國民ひとしく感じておる点だろうと思うのであります。これをもつてお答えとします。
#69
○重井委員 これは質問ではないのですが、佐藤さんのお言葉は、いわゆるこうした通信料値上げ問題に関し強く関心をもつ以外の、一般的の素朴な國民大衆の反対の声だ。こういうように私は受取つておるのでございますが、かなり考えさせられるものがあります。ただ佐藤さんにお願いしておきたいことは、誤解があるわけなのであります。千八百円ベース、あるいは二千九百二十円、三千七百九十円ベースと申しましても、現在郵便局に勤めておる人は若い人が多いのでありまして、千八百円ベースの場合は二・五、二人半の人がそのベースになりますので、独り者でありますと千八百円の場合は千円以下の人が相当多いということになつております。しかしこういう点も御考慮くださいまして、ほんとうに素朴な國民大衆の声を代表されておる佐藤さんのようなお方が、ほんとうに通信問題に対して今後も強い御関心をもつていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
#70
○林(百)委員 今の重井さんの質問に関連しております。私も佐藤さんにお願いしたいのですが、実はその特定局制度というものが非常に通信委員会において大きな問題になつておる。賛成、反対の両論にわかれまして、非常に熾烈な論爭が行われておるのですが、あなたみたいに逓信事業に非常に御関心をもたれておる方に、でき得るならば正確に調べていただきたいのでありますが、実際の郵便の扱い量、局長の出欠の模模、それを通信委員会まで知られていただければ、非常に貴重な資料になると思いますが、お願いしたい。
#71
○佐藤公述人 ただいまの林さんからのお話はよくわかりました。十分調査いたしまして委員会の御報告したいと思つております。
#72
○多田委員 土橋さんにお伺いしたいのですが、午前中土橋さんの御意見の中に、終戰処理費のために使うところの経費のうち、わずかその一割程度しか一般会計の終戰処理費から特別会計に繰入れられていないというようなお話がございました。これは政府側の御意見によりますと、終戰処理費のために使う経費は全部一般会計の終戰処理費の中から、あるいは料金として、あるいは物件費の調達費として、あるいは檢閲その他の派遣人員関係の費用その他として繰入れられておるというような御説明でございましたけれども、土橋さんのお話によりますと、一割程度しか一般会計の終戰処理費から來ていない。そういうことになるとこの間には相当大きな隔りがありますので、この点もし資料がございましたら、はつきりお聽きかせ願いたい。
#73
○土橋公述人 ただいまの多田委員の御質問でありますが、私が十分に御説明申し上げないために、多少誤解があるように考えますので、答えさしていただきます。進駐軍関係從業者は約四千名ほどただいま逓信從業員が参画しておるのであります。しかしながらそのうち終戰処理費より支出されておる人件費の割合は四百十九名であります。從つて四千名のうち七百十九名が終戰処理費からの人件費で賄われておるという一つの例でありますので、全部の逓信機構の中の云々ということでなくて、人件費一つとつて見ましても、四千人の逓信從業員が進駐軍関係の業務に服しておるにかかわらず、人件費は四百十九名分終戰処理費から出ておるという例は、特に一般会計から当然補填すべきものであるという説明の内容であります。なお申し上げたいのですが、ただいまの御質問に対してはそういう点だけお答えいたします。
#74
○林(百)委員 実はこの終戰処理費の問題は非常に大きな問題で、一般会計から來るべきものを通信特別会計で負担しておる面があるのデはないかという関心をみな委員はもつておるのです。なかなかしつかりした資料もありませんし、われわれ外部の者はくつを隔ててかゆきせかくような感じがあるわけです。逓信部内で進駐軍関係の仕事が今どういうふうになされておるかということを、ここが発表し得る限度で結構ですが、大体どういうような機構で、どういうようにやつておるか、もしできたら説明していただきたいと思います。一般の電信、電話、郵便関係です。それから施設だとか、いろいろな費用はどういうように賄われておるか、もしわかつたら説明していただきたい。
#75
○土橋公述人 総花的な郵便電信、電話等についての詳しい資料は私も説明ができませんが、中央郵便局における一つの例を申し上げて御参考に供したいと思うのであります。ただいま東京中央郵便局においては三階の廳舎を、相当廣いものでありますが、かつては外國郵便課が占拠いたしまして通常郵便、小包郵便、特に税関等を引受けて外國郵便課の現業はすべて三階に集中しておりました。ところが進駐軍が進駐されまして以來、三階の廳舎は全部進駐軍関係の特に檢閲方面の方々がただいま業務を担当されております。なお四階の西側過半の廳舎もまた事務のために使用されております。その人員は詳しくは存じませんが、相当数の方々が進駐軍のためにいろいろな業務を担当されております。從つて通信業務がその方面で檢閲に特に普通郵便、書留郵便がかかる関係上相当な日数がかかるということにも事実であります。從つて郵便が遲延するというようなことにつきましては、そういう面があるということにを一般議員各位に御了承願つておきたいわけでありますが、特に同じ郵便物が同じ廳舎内において、あたかも別個の郵便局へ逓送をし、それが日本の逓信省側が管理しておる方面へ返還をされるというように、内部においても非常な逓送上の人数を要しておるというような現況であります。人数はどの程度中央郵便局におられるか私は存じませんが、相当多数の方々がこの業務に從業しておられるということも事実であります。そういう方々の費用は、先ほど申し上げたのは、一端でありまするけれども、通信特別会計から相当数賄われておるのじやないかというような説明であります。なお電信電話につきましても、特に電話等を見ましても、どこの電話局菓行つても、大きい中央電話局というような所においては、やはり進駐軍関係の方が使用されております。また電話も同樣にその從業員の方は、進駐軍の方及び進駐軍雇い入れの方もあると存じますが、どこの局でも相当数の方が從業しておるということを御報告申し上げておきます。
#76
○林(百)委員 その場合費用は、官側で言うと、料金という形で十分とつておるというのだが、料金という形だけで賄えるものかどうか。殊に回線など故障があれば、すぐ一般回線の方を徴用になつたり、あるいは何時間の間に修理しないと、責任著の処罰があるというようなことで、非常に急な動員をしたりして、大きな負担になつておると思いますが、そういう場合の一切の費用を十分終戰処理費の方からとつておるのか、あるいはそのために特別会計が相当な負担を背負つておるかどうかという点がわかつたら説明してもらいたい。
#77
○土橋公述人 これは横浜あるいは大阪、東京方面においては、電話架設につきまして相当数の全逓組合員が強制的に、しかも非常な過重労働が強要せられて從事しておるということは事実であります。その費面を逓信省にどの程度進駐軍から頂戴しておるか存じませんが、とにもかくにも相当数の費用は逓信省において出しておるのでないか、かように私は考えておりますが、実際の收支の関係を手ておりませんから、申し上げることはできませんけれども、相当に電氣通信工事局の諸君等が從事されておるということは事実であります。
#78
○土井委員長 大体質疑も終了したようでありますので、日本は公聽会はこの程度をもつて散会いたしたいと思います。御苦労さんでした。
    午後三時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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