くにさくロゴ
1947/07/26 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第18号
姉妹サイト
 
1947/07/26 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 本会議 第18号

#1
第001回国会 本会議 第18号
昭和二十二年七月二十六日(土曜日)
    午後二時七分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第十七号
  昭和二十二年七月二十六日(土曜日)
    午後一時開議
 第一 自由討議
    ―――――――――――――
 一、自由討議の問題 食糧問題について
 二、発言者の数 十八人 社会党、民主党、自由党各六人
 三、発言の時間 一人の討議時間 十分以内
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(松岡駒吉君) お諮りいたします。澁谷雄太郎君より、本二十六日から八月二十四日まで三十日間病氣のため請暇の申出があります。これを許可するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 第一 自由討議
#5
○議長(松岡駒吉君) これより食糧問題について自由討議の会議を開きます。赤松勇君、発言者を指名願います。
#6
○赤松勇君 日本社会党は、成瀬喜五郎君を指名いたします。
#7
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔成瀬喜五郎君登壇〕
#8
○成瀬喜五郎君 私は、現在の食糧問題の深刻なる有樣を憂慮いたしまして、まことに乏しい経驗でありまするが、いささか皆さん方に所見の一端を申し上げまして、御批判を請いたいと考えるのであります。
 まず私ども最初に考えるのは、本年の食糧事情はいかなる事情によつて危機に頻しておるか。これを長く申し上げるためには時間がありませんけれども、昨年の未曽有の豊作におけるところの政府当局の打つ手が誤つておつたということをはつきりと申し上げたい。すなわち、何十年かの豊作によりまして、農民に対して安易な考えを與えた。世界各國におけるところの豊作を宣傳し、またニユーヨークの株式の暴落等も傳えまして、食糧の先安を宣傳し、かつそれに加えまして、農家に対するところの保有米の増額を認められたこと。
 すなわち詳細に申し上げてみますると、從來までは、六月十日までの保有米を三合において認めておりましたが、次には、今回におきましては、八月二十日までの二箇月余りを延長せしめておる。そうして一人当りの四合の保有を認めておる。非農家に対しましても二合五勺に増加せしめておるというようなことが、すなわち割当の面におきまして、すでに從來におきましては六五%の米が保有し得られないものを、八三%もたしておつたということが、米の食い込みを生じ、そういうことによりまして、基本的に食糧の供出がスムーズにいかなかつたということも考えるのであります。
 またその次には、小農家に対しましては割当をしておらない限界面積、いわゆる人口によることでありますけれども、約百万町歩近いところの小作農家耕地の二割、農家人口の四割に対しまして、割当をしておらないということが、從來におきましては、基本的に何割かの供出をなさしめておつたということに対して考える場合、この面からいたしましても、安易な考え方をそこに植えつけておつたということは、否むことができません。
 また次には、督励が十分でなかつた。この食糧の重大性を考えておりながら、それぞれの所管官廳におきましては、十二月中に十分拍車をかけて督励しておらなかつた。また各地方におきましては、八割程度で今年はいいんだ、それがしまいにおきましては、十割、十一割というような、こういつた供出の督励、それに対しまして、強権発動等によるところの督励が、農家に対する氣持を惡化せしめまして、今日のような状態に立ち至つております。
 昨日來における論議等を考えてみましても、まだまだ千四百万石の米が農村にあるとか、いろいろ取さたされておりますが、現在農村にはたしてそれだけの食糧があるか否かということについては、大きな疑問をもつているのでありまして、農家の手もとには、おそらく存在しておるまい。農地改革等をめぐりまして、すでに隠匿食糧が相当量地主のふところにあるということも明らかな事実であります。またその他農業会等のふところにも相当の量があるということも、われわれは察知し得るのであります。
 かようなことによりまして、本年度におけるところの食糧の危機が招來いたしておりますので、私どもは、こういう点を十分に考えまして、農民の眞の協力を得るためには、いかようにすべきかということを提案してみたいのであります。まづ地方に基くところの責任生産制を断行せよ。いわゆる金額の責任生産制ではありません。八割を基礎責任生産にし、この場合は農家保有を三合認める、二割は、これを増産責任といたしまして、合わせて十の責任生産制にする、こういうことにいたしますと、この場合増産ができるということに相なつていくのであります。その場合におきましては、四合の保有米を認め、かつまたこの増産分の二割に対しましては、特別の報奬制度をそこに布いていくということを考えなくてはなりません。
 次に、地積の調査を徹底的にやるべきものであります。私は相当責任者から承るところによりますと、昭和十五年以來、全國におきまして、数十万町歩の田畑がやみに隠れているというような状態は、いかにもつてわが國におけるところの食糧政策におきまして怠慢であつたかということが、はつきりと認識されるのであります。この際、われわれは地積調査を断行いたしまして、その上に実收の調査を把握しなくてはなりません。
 また次には、各縣町村の部落責任割当制を断行せよ。今までにおける中央集権的な立場の行き方でなしに、各縣、各町村、各部落に対しまして、責任買入を断行いたしまして、各縣にその食糧の操作を一任せしめることであります。縣内移動に対しましては、知事によるところの権限にもつぱら任しまして、從來におけるように、甘藷が黒斑病によりまして腐つたとか、あるいは現在山村におきましては、馬鈴薯が大変に余つているにかかわらず、麥の代替を認めない、かようなことの起こらないように、まず各縣に対しまして、食糧操作を一任する、そうして生産の余つた分だけを政府が操作するというような行き方に改めたならば、もつともつと順調にいくのではなかろうかということを考えるのであります。
 この場合に、全國におきましては、今まで政府が早場米に対する相当の奬励をやつてまいりましたが、縣におきましても、営農の関係におきまして、早場米を政府があらかじめやらなくちやならない所もあります。こういうことを廣く考えてみますと、早場米を先天的にどうでもこうでも出さなくてはならない、こういつた縣に対してのみ恩典をつけるということは、これは他の縣におきまして、はなはだしくおもしろくない。この点は、各縣の実情に基づきまして、公平にやるべきものであるということを主張するのであります。
 また肥料の國営と、肥料配給の部落單位制による無償配給を断行すべきものである。今日の米價が、農民の最低労働賃金から割出したところの農産物の價格決定は至難な問題だと考えるならば、その穴埋めといたしまして、肥料に対して、せめてもの食糧増産奬励の立場からいたしまして、部落單位制の無償配布制度を布いたらどうであるか。また今日肥料配給が、多くの場合報奬制によりまして、そうして報奬物費として放出されておりますが、これまたいろいろの弊害が生じております。全面的に食糧増産の見地から反別割にこれを配給いたしまして、そうして一方に偏在することのないように、肥料配給の公正を私ども叫ぶのであります。
 またその次には、農作物價格と工業製品との均衡を期するために、あらゆる努力を拂わなくてはなりません。また俵のごときにおきましても、これは爲替附にいたしまして、農家の手もとへ、つつがなくこれが還元されるような方途も講じなくてはなりません。
 次には土地の全面的開放でありますが、これにつきましては、土地の全面開放によりまして集團化をはかり、そうして食糧の増産をはからなければなりません。
 時間がありませんので、はなはだ残念でありまするが、私どもはこういつた立場におきまして、さらに買入機関の民主化であるとか、あるいは強権発動の法令を徹底的に改正いたしまして、民主的な監察制度の制定であるとか、あるいは五箇年計画によるところの増産であるとか、また本年度食糧危機の点から考えましても、さしあたり近くとれるところの米に対する割当につきましても、あらゆる人口の状態または経営状態等を考慮いたしまして、そうして割当てなくてはならないという詳細なる計画をもつておりますけれども、わずかな時間で、はなはだ残念ながら申し上げることができません。
 かような立場におきまして、あらためて委員会において主張いたしまするが、どうかこの危機を突破するためには、内閣といわず、また諸君といわず、ともに打つて一丸となつて農民にこたえるという氣持以上に、それを通じて、飢えるところの國民大衆に対しまして、眞心からこれに対する対策を立てなければならぬということを主張いたしまして、私の意見にかえる次第であります。(拍手)
#9
○議長(松岡駒吉君) 坪川信三君、発言者を指名願います。
#10
○坪川信三君 民主党は、まず天野久君を指名いたします。
#11
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔天野久君登壇〕
#12
○天野久君 今、わが國の現状におきまして一番問題でありますのは、食糧問題であることは、申し上ぐるまでもございません。しかして、この食糧問題につきましては、朝夜こぞつてこれが危機突破に奔走をいたしておることにつきまして、まず、私がこれについて申し上げたいことは、本年の危機突破に対しては、この努力、いわゆる連合軍の好意および政府当局の好意、また議員諸賢の努力によりまして、あるいは突破ができ得ると信じておりますが、今までこの食糧事情を見ますときに、昨年の食糧事情も、また本年のこの事情も、ひとしく同じことを繰返しておるのでありまして、今の食糧事情から申し上げまするならば、國民はひとしくその食糧の獲得のために汲汲といたしておりまして、日本再建のために、工業の発展、生産の増強に力を入れる余裕をもつておらない状態であります。かような状態でありまして、また來年もこれと同じような状態を繰返すといたしまするならば、日本再建上ゆゆしき問題であると存じます。しかして、これがため一歩進んで、食糧確保に対しては、政府当局を初めそれぞれ專念いたすべきではないかと存じます。
 しかして、本年のこの食糧事情下にありましては、ここに私は矛盾が幾多あることを指摘いたしたいと存じます。時間がありませんから、そのうち一、二を申し上げますが、この食糧事情の窮迫せる現在におきまして、おそらく二百万石ないし三百万石に近い米が食糧以外に流れておるという事実があるのであります。これは遺憾ながら調査機関が完備しておりませんので、その数量においては的確でないということをはつきりお断りいたしておきますが、しかし、これは想像には過ぎませんが、この数量は当らずとも遠からざる数であることは自信いたしております。それは何かと申しますと、今、社会の津々浦々にありまするあの密造どぶろくであります。この数量は、おそらく三百万石を下らないではないかと信じております。三百万石という数量は、わが國民の十五日間に値する配給の量であります。しかして今日の食糧事情下におきまして、これをそのまま許しておきますることは、司令部の好意に対しましても、私は許すべからざることであると信じます。しかして、これに対して二、三の部面から申し上げてみたいのであります。
 まず第一に衛生方面から申し上げますと、今社会でつくられておりまするあのどぶとくは、醸造知識のない、しかも施設のないものが隠れて行うために、つくり上げられたその品物は、おそらく酒精四%ないし八%に近いものでありまして、これがそのまま飲用に供されるために、フーゼル油および酸量が非常に多いのでありまして、これが含有酒精が少量なるがために、婦人子供までも自然これを飲用いたすことに相なつております。しかして婦人子供その他等が、このフーゼル油多く、しかも酸量の強い密造の酒を飲むことによつて、今後わが國を背負つて立つべき第二の國民の保健上に及ぼす影響は、まことに重大なるものでありまして、これは見逃すことのできない事実であると存じます。
 しかして、また次に遵法精神から申しまするならば、まことに日本の將來にとつてゆゆしき問題ではないかと存ずるのであります。わが國民は、もとより法治國にあつて、遵法精神はまことにうるわしいものがあつたのでありますが、統制経済施行後におきまして、統制法は、完全に生きていく上においては遵奉でき得ないと考えるというような状態から、遵法精神に幾多のゆるみが生じてまいつたのであります。
 しかして、この酒造税法におきましては、古來より酒造業は免許事業といたしまして、そのつくられた品物は高率の課税がされるために、この酒造税法は完全に守つていつたのであります。今までにおいても、いくばくかの密造なきにしもあらずでありましたが、しかし立派に國民は法を守つて、余儀ない場合にのみつくられておつたのでありますが、今日の現状は、日本の津々浦々、到るところにその密造が行われております。この嚴重な日本の法律が守られないということは、いわゆる統制経済による法律と、この嚴重なる酒造税法と相まつて、ともに國民が法律を守らずしていけるということでありますならば、他の法律に対しても、國民の遵法精神の頽廃することは火を見るより明らかでありますので、この際この方面から見ましても、密造に対しては、政府当局は相当な手段を講ずべきかと存じます。
 しかして次に申上げたいことは、仮定いたしまして、密造に使われる米が三百万石といたしますならば、これをもし酒造業者につくらせるならば、この税金は、酒造税の間税のみにおいて三百億、これに附随する税金、所得税その他を加えるときには、約四百億に及ぶ税金が脱税されておる数字になるのであります。しかして、今や政府は財源探求のために汲々といたしております。なお、今勤労所得税等においては、勤労者は、それぞれの收入によつて、生活に不足を來す中から税金を納めておるような状態である。しかるに、かような税金が漏れておるといたすならば、これも相当な考慮の要があると存じます。
 私は最後に、この取締りに対して政府当局の御意向を承りたいと存じます。酒をつくるにつきましては、まず糖化作用が必要であるのであります。酒をつくるのには、こうじが必要であり、こうじをつくるのには、種こうじが必要であるのであります。現在におきまして、農林省が種こうじ用として配給いたしておる米は、六百五十石と聞いておりますが、今わが國の六十五万石の酒及び燒酎その他に要する種こうじは、数字の上から申しますと、四百石あれば十分であると聞いております。
 しかしてこの脱税、いわゆる密造の取締りは、今まではどういうふうになつてきたかと申しますと、まず甘酒につくらんとしても、それに酒精が一%以上出た場合には、酒造税法の取締りを受けておつたのであります。もし酒につくらんといたしましても、酒精が生じない場合には甘酒で、密造にはならなかつたのであります。從つてその取締りは、いわゆる酒ができ上つたときに、初めて違反が違反でないかということがきまつたのでありますが、今日のこの場合におきましては、在來の取締方法においては、とうてい取締り切れないと存じます。しかしてこれが取締りを嚴にいたしまするには、おそらくまず種こうじそのものからこれを考える必要があるのではないかと存じます。しかして次に、また社会に行われておりまする種こうじ等につきましても、これは……
#13
○議長(松岡駒吉君) 天野君、時間がまいりました。
#14
○天野久君(続) 相当な檢討の要があると存じます。この点につきまして、所管大臣の御意見を承りたいと存じます。
#15
○議長(松岡駒吉君) 角田幸吉君、発言者を指名願います。
#16
○角田幸吉君 日本自由党は、田口助太郎君を指名いたします。
#17
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔田口助太郎君登壇〕
#18
○田口助太郎君 今、わが國の食糧事情が日一日と窮迫の度を加えまして、政府も全知全能をふりしぼつて、これの対策に努力しておることは、私も率直に認めます。第一次緊急対策、第二次緊急対策、超非常時対策、あるいは超々非常時対策等を次々に発表し、また発表せんとしておる事実に徴しても、明らかであります。しかし、政府がこれほど次々に多くの対策を発表いたしましても、それが実行面になりますと、政府の考えておる通りに動くかどうかということは、大いなる疑問をもち、國民の一人として心配しているものであります。
 まず第一次緊急食糧対策の一環として政府が第一に取上げた問題は、全國の料理屋を閉鎖して、ここから米を吸い上げるというような点を申されて、まずこれを取り上げました。しかし、料理屋の営業を停止するということについては、憲法上においても多くの疑義があるのであります。憲法二十二條には、営業の自由を國民に保障しております。もちろん公益に必要ある場合においては、政府はこれを制限することを得る但書の規定があります。しかし原則としては、あくまでも営業の自由を保障しております。また憲法二十九條には、私有財産の不可侵権を明定し、これを侵す場合には、正当なる補償を行つて後に公益のために利用してよろしいという規定があります。しからば、政府は営業を停止せしめる、すなわち営業権を侵害するということは、私有財産権の中に含まないとみておるかどうか。世界の法律学者は、ほとんどすべてこれを私有財産権の一部とみておるのであります。
 しかるに、何ら補償もなく、大料理屋、高級料理屋だけならいざ知らず、街にある屋台店までもつぶし、五十万人の失業者を放り出している無慈悲な政策をとつて、しかも一粒の米でも正規のルートに上つて、われわれ一般消費者に配給することができたでありましようか。從來、料理屋には主食仕配給していないわけであります。從つて是をつぶしたところで、正規のルートにははいらないであろうと私は思います。從いまして、この問題は精神運動としてならばいざ知らず、食糧対策の一環としてこれを高らかに宣傳することは、明らかに矛盾であると思います。
 また政府は、官僚群を代表した和田安本長官の叡智と、社会党が農村通と誇つておる平野農林大臣との名コンビによつて、縁故米制度を創案いたしまして、三十万石程度の米を吸收すると言い、鉄道あるいは逓信等の輸送機関を動員し、あるいは取締りに当る警察の課長などの会議までやりまして、いろいろ手を打ちましたが、計画に対して実施された点はどのくらいでありましようか。昨日の農林大臣の言明によりますと、計画に対するその狂いは、驚くなかれ百七十七万分の一で、一斗七升であります。最も計画経済を主張する安定長官、あるいは計画経済を主張する社会党を代表する農林大臣が、かくのごとく百七十七万分の一以上の大狂わせの計画をあえてしたという政治感覚は、実に驚くべき点であると考えるのであります。かくのごとき人々によつて、この急迫した食糧事情が解決されるかどうかということは、國民は実に心配をしておるのであります。
 かくのごとき大きな狂いをして、今の政府は官吏の責任制を強調しております。しからば現政府は、この大いなる狂いに対していかなる責任を負わんとする意思があるのでありましようか。私は率直に言いたい。國民はこれからかくのごとき間違う計画をする大臣によつて経済を運用され、あるいは食糧問題を解決されたのでは、とうてい信頼もできない、協力もでき得ないと、ちまたに澎湃と声が起つております。眞に高度民主主義を唱えるならば、否、高度民主主義を唱えないまでも、人民のかくのごとき声があるならば、よろしくこれら二人の閣僚は退陣することが正しいのであると考えるものであります。
 また第二次の食糧緊急対策として、救援米制度を発明いたしまして、三十万石を吸收する――寄附を受けて三十万石を吸收する、あるいは選択配給制度によつて消費規正をするというのが、第二次緊急対策の眼目のようであります。これがまたナンセンスに終ることは、昨日森議員が指摘いたした通りであります。また二十三日には、超非常時食糧対策なるものを発表いたしました。新麥、新じやがいもの一〇〇%供出完了後には、三倍、四倍の値段で政府が買い上げる。これで百二十万石吸收する計画を立てておるようであります。しかし、現在すでに炭は苛酷にまで多くの供出割当を断行しておつて、なおかつ百二十万石の麥あるいは芋を吸收するということができるでありましようか。また現在の時價から考えて、三倍、四倍の値段では、とうてい農家は供出しないであろうと私は考えるものであります。かくのごとき貧困なるナンセンス的政治感覚に出発したあらゆる施策は、ほとんど実行不可能に終るであろうと私は考えます。
 次に第三次、第四次、第五次といくらだしても同じことであると思いますが、現在の日本の食糧危機は、何度も何度も繰返すだけの余裕はないのであります。われわれは最後の案を考えなければならない。また最後の案を政府に要求しなければならないのであります。もし政府がやるとするならば、どんなことが最後の手段であろうか。それにはもう二つはかないと思います。一つは、一九二八年にソ連がやつたあの徹底的強権発動か、あるいは時價で買い上げる方法以外には、供出の完全さはでき得ないと思います。政府はこの二つ以外にできない。
 もし、第一の強権発動をするということが非民主的であり、また農家にもないことをもつてでき得ないとすれば、時價で買い上げる。それも三倍、四倍というようなけちくさい金でなくして、時價で買い上げなければできないと思うのであります。しかし、またこれが財政上でき得ないとするならば、かぶとを脱ぐべきである。財政上でき得ないとするならば、現政府は、政府の力によつては完全なる配給はできないとして、國民にかぶとを脱ぐべきであると考えるのであります。もし政府がかぶとを脱いだ場合にはどうしたらよいかといえば、人民に任すことである。國民に任すことである。國民はどうするかといえば、自由に買い出すことである。すなわち自由販賣を認めることであります。
 自由に販売することについては、公平の見地からいつて大きな弊害があります。しかし、政府が配給できずに欠配に次ぐ欠配をするよりも、自由販賣による弊害の方がはるかに弊害は少いと私は信じておるのであります。また自由販賣といつても、自由奔放なる販賣方法でなく、一定の制限はもちろん必要といたします。期間においては、端境期までは、完全供用した者に対しては、一定量だけ自由販賣を認める。そうしてそういう場合に、貧乏なる人、困る人は買えないぢやないか、それでは金持だけが食つてしまうというならば、政府が現に農家に銘仙十万反を放出せんとしておるような物資を、困つている無産者に與えれば、それを物交して、各人は米の買入れに努力するであろうと考えるのであります。これは、あくまでも政府が統制力がないから、私はやむを得ず言うのであります。從いまして私は、政府の手によつてできなければ、多くの弊害があつても、これ以外に方法はないと思います。
 また昨日平野農林大臣は、これからの米價はいくらにするかという同僚議員の質問に対しまして、じやがいも、麥等の公定價格もきまつた。これから秋まで物價は暴騰するであろうから、それを勘案して、これからの米價を想像してみてくれということを言いました。社会党は、組閣当時、この惡性インフレーシヨンを克服することが産業再建の基礎であると主張し、新物價体系をつくり、新賃金体系を発表したのであります。しかるに、すでに現内閣の一部で、將來すべての物價の暴騰することを前提において、われわれに米價を想像しろと言うことは、矛盾ではないでありましようか。
 また政府は、從來農家から石五百五十円で買上げておりましたが、最近約千五百円で配給しております。東北における農家は、もう六割ないし七割まで還元配給を受けております。自分たちが五百五十円で供出したものが、配給を受けるときは千五百円であるとはいかなることであるか、この点に対して相当多くの疑問と不満をもつておるのであります。これらの点につきまして、農林大臣から、これらの農家に納得のいく説明をしていただきたいと思います。
 また最近、國鉄と逓信の現業員に、加配米のほかに特別配給米を與えました。私は、これらの重要産業に携わる者に加配米をやることが必ずしも惡いとは言いませんが、もし政府がこれらの現業員に與えるならば、これと同じ性質の産業、すなわち私鉄の現業員に対しても配給する意思があるかどうか。また私鉄の從業員に配給できるとするならば、これと性質を同じうする小運搬に從事する從業員に配給する意思があるかどうかをお伺いしたい。あるいはまた、國家事業のための重要度は單に輸送と逓信ばかりではありません。その他これ以上の重点産業あるいは同程度の産業も多数あると思いますが、これらの労務者に対し、加配米のほかに特別配給をするかどうかをお伺いしたいのであります。まず私は、これらの点につきまして政府の御答弁をお伺いいたします。(拍手)
#19
○議長(松岡駒吉君) 平野農林大臣、御答弁ありますか。
    〔國務大臣平野力三君登壇〕
#20
○國務大臣(平野力三君) 成瀬君の御質問であります、供出制度を変えるにあたりまして、地方を中心とする責任生産制を立てるべし、こういう御意見に関しましては、全く同感であります。現在私どもは、新しい供出制度の根本改革の上には、地力、反別及び農家の家族人員、その他過去の生産力等を勘案いたしまして、なるべく早期に供出を割当てることによつて、これを一應責任生産制とするの方途を考えておるのでありまして、ただいま成瀬君からの御質問は、大体において全く同感であります。
 次に天野君の御質問でありますが、密造いたしておりますどぶろくの数が非常に多い、こういう御意見でありましたが、天野君御指摘のように、かようにたくさんの密造をいたします酒があるということは、もとより喜ぶべきことではないかと考えます。しかしながら、天野君もおつしやいますように、しからばというて、約三百万石というような大きな石数が密造されておるであろうというような推定のもとに、ただちに普通の酒造業者に三百万石配給するということを申し上げるわけにはまいらぬと思うのであります。この点につきましては、なおとくと研究いたしたいと思います。
 次に田口助太郎君の御質問でありますが、料理屋を廃止いたしましたのは、必ずしも單に料理屋において消費する米を吸上げるというような單純な意味ではないのでありまして、今日この食糧事情のきわめて重大なるときに、高級料理店等が普通にやつておりますことは、輸入食糧等を懇請する上において少くとも喜ぶべきことではないという見解のもとに廃止をしたのでありまして、この点に関しましては、すでに政府の声明いたしたことでありますから、再び繰り返すことをいたしません。
 次に、われわれのとつておりますあらゆる施策について、非常に攻撃があつたのでありますが、昨日も申し上げました通りに、この困難なる食糧事情の上においてわれわれが打ちました手というものが、すぐ特効藥のように現わるるものでないということについては、これは私どもの方においても、るる申し上げておることであります。しからばといつて、田口君御指摘のように強権発動、こういうことをおつしやいましても、それは現在の時局におきましては、むしろわれわれのとらざるところであります。同時にまた、強権を発動しないならば自由販賣にしろ、こういう御所論でありまするが、この食糧の不足なる場合において、自由販賣制度を設けるというようなことは、これは少くとも現在においては、はなはだしく弊害が伴うことでありまして、この点におきましては、賛成できません。同時に、私どもが今回麦と馬鈴薯に関しまして、相当程度の値段をもつて買い上げるということに対して、その程度の値段ではだめじやないか、少くとも現在の時價において買い上げよという御所論でありまするが、時價と申しますならば、あるいは今日のやみ値に相当するような値段ともなりまして、これはまつたく政府の、一定の予算をとり、一定の数字の上に計画いたしまする食糧政策としては、單に漠然と時價で買い上げようというような御所論に対しましては、とうてい賛成することはできないのであります。もし時價で買い上げよ、しからざれば強権を発動せよというような御所論をもつてこの演壇でお述べになるのは、できない相談を無理にもちかけて、ただ人を困らせる議論ではなかろうかと思うのであります。私は、僣越ではありますが、この際食糧管理の任にあたる者といたしましては、きわめて眞劍に、きわめてまじめに、実際の数字をもつてやつておるのでありまして、かような暴論をもつて申されることに対しましては、断じて承服することができません。
 なお、國鉄及び逓信從業員に労務加配をいたしましたことに御反対のようでありますが、これも繰返し繰返し申しましたように、今日最も重大なるところの産業は肥料である。その次は石炭である。次は鉄と電力である、こういうような重点産業を基準として労務加配を著々やつておるのであります。しかして五大重点産業に対する労務加配は、一應消極的ではありますけれども終りましたので、その次は官公労のうち、一番現在の状態において必要でありまするところの鉄道及び逓信從業員に労務加配をいたしましたということは、決して施策の上において間違つたことではないのであります。問題は、われわれといたしましては、その他の重要なるところの労務加配に関しましては、一方供出制度がどんどんとうまくいくようになり、また政府の施策いたしておりまするところの食糧問題が順調にいきますならば、他の從業員に対しましても、もとより重点的に配給をするところの考え方をもつておるのでありまして、この際鉄道、逓信に対してわれわれが労務加配をとつたということを、そう單にそれだけをもつて攻撃されるということは、当らないと思うのであります。以上、簡單に御答弁いたします。
#21
○議長(松岡駒吉君) 赤松勇君、発言者を指名願います。
#22
○赤松勇君 社会党は榊原千代君を指名いたします。
#23
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔榊原千代君登壇〕
#24
○榊原千代君 私は、母として主婦としての立場から、私たちの食卓をもう少し豊かにするということについて、皆樣にもお考えをわずらわしたいと思うのであります。この食糧事情のかくのごとく窮迫している今日において、食卓を豊富にせよなどとは、あまりにも時代離れのした願いだとお考えになるかもしれませんが、わが國の食糧政策が、今日ただいまもう一度反省されて檢討されるのでなければ、今後食糧事情が多少好轉したといたしましても、生存を維持するにせいぜいの貧弱な食生活にわれわれは甘んじていなければならないということになるのであります。
 昨日からの御討議を伺つていますと、米、麦、芋など、いわゆる主食の問題に集中されております。私は主婦として食事を用意しながら、乏しさに、殊に食品の貧しさに、いつも当惑するものであります。不平も言わずに食卓につく成長ざかりの子供の顔を見ながら、日本の次代を担う少國民の將來の体位を想像して、大きな暗雲が頭上におおいかぶさる思いであります。
 何でも買うことのできる階級にとつては問題外でありましようが、大多数の一般勤労階級にあつては、主食の乏しさはもとより、食事にヴアライテイーがないということは大問題であります。みそがない、油がない、魚がない、肉がない、まして卵や牛乳やバターやチーズや砂糖など、今日では夢にもなかなか見られない感じであります。
 今私たちは、平均必要カロリーの半分くらいに過ぎない量をとつているのでありますが、それにしても政府は、カロリーだけを問題にしていればいいと思つていらつしやるのでありましようか。いかなる食品を、いかにして必要量のカロリーをとるかということは、重大問題であります。衆議院に食糧対策委員会がありますが、あれをもつと拡充整備して、食物をいかに科学的に合理的に、そうして樂しくとるかという調査研究をし、対策を講じる機関を、國会に附属させて緊急設置するということについて、同僚議員の皆樣にもぜひとも御考慮を願いたいと思うのであります。
 食糧は、あらゆる國策の基礎中軸となるのでありまして、かかる措置が講ぜられる十分な意味と價値と根拠とをもつものだと信じるのであります。食糧政策はここから出発すべきであると確信いたします。もちろん、現実の危機を突破するために余力を傾倒して、あらゆる手を講じなければならないということは言うまでもないことでありますけれども、ただ足もとの現実ばかりにとらわれていないで、同時に將來の打開策を講じ、國民にとつて必要な栄養、それは辛うじて生存できる底のものでなく、たくましい労働力を獲得し、発展的な生命を維持していけるほどの栄養を確保するために、米、麦、芋等の澱粉のみならず、動物性蛋白、脂肪、無機質類、ヴイタミン、カルシウム等の点まで考慮して、魚は何十万トン漁獲し、冷凍、塩藏、乾燥はどの程度行うべきか、動物性蛋白、脂肪類、すなわち肉、牛乳、バター、チーズなど、どのくらい生産するか等、水産、畜産計画を農業計画と相並べて詳細に計画し、直ちに実現し得ないまでも、第一期五箇年計画、第二期五箇年計画というふうに、徐々にその方向へ近づけていく努力がなされなければならないと思うのであります。
 今まで食糧政策といえば、米、麦、芋と聞こえるように、まことに偏していて、御馳走を食べるのは特権階級だけでよさそうな、きわめて封建的、資本主義的でありました。そうして食糧が足りないといえば、すぐ開墾して、そこへ麦や芋を植えることを考えてばかりいます。施行して、汽車の窓から、急傾斜した山の面まで耕されているのを見ると、過労なまでの労力と、それだけの効果をあげ得ないであろうむだな労力のことを思つて、哀れになります。
 なぜ、日本人は米ばかり、麦ばかり、芋ばかり食べなければならないか。山には木を植えるべきである。そうすれば洪水も防げます。日本はもつと林業に注目しなければならない。そうして、くり、くるみ、しい、とち、かやなどの食用樹を繁茂させる。日本中の山にはこのような木がたくさんある。私の選挙区の福島縣の会津地方にも、これらの木がたくさんあります。一本の木から平均一反歩に相当する收量があるということに注意していただきたいと思います。くるみ、くり、などは輸出品としても貴重なものであり、とちの実など、食用に供するまでに澁を拔いたり、手がかかつて、原價計算して採算がとれなければ、家畜の飼料にまわして畜産に力を入れる。そうすれば日本人の食生活はもつと樂になり、豊富に、樂しくなると思います。
 耕地面積六百万余町歩に対して、このような政策をとり得る山岳地帶は二百万町歩あります。そこで優良な家畜の輸入を懇請して畜産を奬励し、國民体位と栄養とに留意して、食糧自給対策を整備すべきだと思うのであります。貿易が再開されても、日本は食糧輸入までの余力はなく、その分は工業の原材料を少しでも多く輸入しなければなりません。G・H・Qでは、日本の兒童に少くとも一日三合当の牛乳配給を考慮しているようなことも聞いております。近々アメリカから優良種のやぎが五百頭ほどはいるということを聞きました。まことにわずかではありますが、うれしいことだと思います。やぎ乳によつて、年間一人当り五合の米が節約されると申します。農村や農村附近の小都市では、一戸々々やぎやうさぎを飼うことができるように政府が斡旋すれば、食糧問題解決に資するところ大なるものがありと信ずるのであります。(拍手)これらは、新生活國民運動とも結びついて、國民を勤勉にし、増産を促進する刺激にもなると思います。
 次に、やや枝葉にわたりますが、目下の配給について一言政府にお願いいたしたい。このごろ、とうもろこしの粉ばかり私どもの地方には配給になつておるが、もう少し全國的に計画を立てて、小麦粉を一緒に配給するとか、御工夫をわずらわしたいと思います。とうもろこしだけの配給を受けた労働者の主婦が、こんな食えないようなものが配給されて、背に腹はかえられない、人の畑のものでも掘つて食べるよりほかにしかたがないと話しながら帰つて行つたということであります。ラジオや新聞などで、食べ方の指導もしていただきますと好都合だと思います。
 最後に、私は現下の食糧と文化の問題とについて、ぜひとも皆樣の御注意を喚起したいことがあります。それは、多くの有能な学問の研究者たちが倒れつつあるという事実であります。労働者が、労働組合という強力な組織によつて生活権を擁護する力があるとき、頭脳によつて、國策、文化に偉大な貢献をなすところの多い少数頭脳労働者たちが時代の犠牲となつて、人知れず静かに死につつあるということは、黙つて見ていてよいことでありましようか。現にゲーテとエツケルマンの対話を訳した、すぐれたドイツ文学者龜尾英四郎氏も死にました。氏は五、六人の子供を抱えて月給だけの配給生活に倒れたのであります。また、つい名を失念いたしましたが、國文学の権威某東大教授も、やみをしない正直の生活のゆえに死にました。お弟子さんたちは、あとであのむくみのようすから、國宝的存在であつたわれらの先生は、やはり栄養失調だつたのだと、くやしがつています。これは食糧事情に対する文化の無言の抗議であり、窮迫した事態がこんなところまで深刻化しておることについて、政府と國会に考えていただきたいと思います。
#25
○議長(松岡駒吉君) 榊原君、時間がまいりました。
#26
○榊原千代君(続) 民間のあるいわ專門学校、大学の助教授以下の多くの若い学徒たちが、今や研究を放棄して、内職や買出しに狂奔しておる。ここ数年後の日本文化の水準は、著しく低下するのではないかと憂慮にたえません。文化國家の建設を声高らかに提唱する政府は、この事実をどうごらんになるか。しかるべく対策を講じていただきたいと願う次第であります。(拍手)
#27
○議長(松岡駒吉君) 坪川信三君、発言者を指名願います。
#28
○坪川信三君 民主党は、次に細川八十八君を指名いたします。
#29
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔細川八十八君登壇〕
#30
○細川八十八君 現在政府の食糧政策が重大なる危機に立つときにあたり、平野農相が、第一次、第二次、第三次にわたる食糧緊急対策を速急に施行し、その対策に苦心しておられることは、成功不成功は別として、その努力に対しては一應感謝するものであります。
 しかし、ここで問題になることは、平野農相の法に対する心構えであります。もし農相が依然として從來の官僚政治のわく内に閉ぢこめられて、法律万能の弊に陷り、法のために法を行い、人を生かすために法を施行しなければ、その施策がいかに巧妙にできていようとも、それは必ず國民の心理、農民の心理に反し、失敗に終ることは明らかであります。
 何ゆえに法万能ではいけないか。それはまず第一に、現在政府の政治力をもつてしては、國民生活の事態が正確に把握せられないからであります。たとえば食糧のごときも、政府は決してその実態を十分に把握することはできず、その点については十分反省すべきであります。政府は食糧についていろいろ対策を立てておるが、しかし、そのすべてが正確なる数字の基礎の上に立つておるものではない。一体政府は、米や、麦や、甘藷の收穫量について、本当の数字をつかんでおるという自信をもつておるか。昨年の米と甘藷の收穫は、米は六千百万石、甘藷は十三億七千万貫とされておるが、それでもし一〇〇%の供出ができたら、農村は自分の飯米を食い潰さなくてはならない計算になる。ところが、政府はその上に総ざらい供出を計画して、今度の対策を立てたのであります。
 要するに、政府は自分の数字に対して自分でも信頼していないことになつておる。そして実際のところは、ないないと言われておる食糧が相当にあるのです。眞に昨年の甘藷のごとき、未曾有の豊作にもかかわらず、政府の施策が惡いために、農村においては大量にあめになり、また大量に腐敗しながら、都会の人間の口には、芋のままでは満足にはいらなかつた状態であります。北海道では、遅配が六十日から八十日までに及ぶという、それでも一人の餓死者もない。これは一体何を物語つておるか。政府が実際にはある食糧をつかみ得ないことを証明しておるのであります。このことを政府は十分に反省しなくてはならない。
 すなわち、自分には國民の食生活を解決するに足る十分なる力がないのだという点であり、從つてすべてを法で解決しようとしてはならない。何とならば、それをやるだけの力がないからであります。今國民は、政府のおかげで食つているのではない。自分の力でどうにかこうにか食つている。政府はこれを忘れてはならないと思う。本來基準量の二合五勺は、すでに絶対に足らないものである。從つて國民は、食糧管理法の目を潜つて生きている上に、数十日の遅配を切り抜けなければならない。國民生活と、生きんがための努力は、実に深刻であります。それを政府は十分に知らなくてはならない。國民は自分で食つている。政府はこれを十分覚らなくてはならない。政府ではないという食糧を、國民は自分の力でとり出して、辛うじて食つている。政府の施策は、この國民の現実の姿を無視するがごとき独善的なものであつてはならないのです。
 政府の食糧緊急対策の第一次は、平野農相もこれを認めるがごとく失敗に終りました。第二次、第三次もまた失敗に終る危險が多分にあります。その原因はいずこにあるか。何ゆえ政府の報奬金政策が生きてこないか。その最大の原因は、農村もやみ生活であります。農村も、自分で生きていくためには、肥料も農具もやみである。要するに自分の力で手に入れている。この嚴たる事実に、政府は決して目をふさいではならない。米ができても、芋ができても、何ゆえ少くしか報告しないか。何ゆえ供出をいやがるか。これは農村も生きなくてはならないからである。それで農村がやみをやらなくてはならない。物交で生きていることは、政府もこれを知つている。それだから、政府の收穫見込は常に過少なのであつて、政府ではつかみがたい余つた食糧を、國民が自分の力で引出している。そうして食つている。これが國民の生活の実相です。
 政府の施策は、この農村の実相、國民生活の実相を十分に認識して、自己の力で足らないことを十分覚つた上で政策を立てなくてはならないのです。この実態を正しくつかむか否かが、消費者を生かすか殺すかの分岐点となる。政府は自分の力の足らぬこと忘をれて、食糧管理法を生かして人を殺すか、それとも人を生かすがために法の運用に寛嚴そのよろしきを得ることができ得るか、これこそが、実に食糧政策の根本問題として十分反省しなければならないことであります。法は、人を生かすためのものでなければならない。しかるに現在の食糧管理法は、実際上において人に食わせるためよりは、食わせぬ管理法になりつつある。これは、数十日の遅配を潜つて國民が生きていることが証明している。平野農相は、この現実をしつかりと認識して、官僚の虜となつて法万能の政治を行うことのなきよう、その施策を遂行するにあたつて、十分反省されたいと思います。(拍手)
#31
○議長(松岡駒吉君) 角田幸吉君、発言者を指名願います。
#32
○角田幸吉君 日本自由党は、磯崎貞序君を指名します。
#33
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔磯崎貞序君登壇〕
#34
○磯崎貞序君 現内閣があらゆる叡智を結集いたされまして、食糧の危機突破に御奉公をされておりますことに対しまして、感謝の意を表するものであります。しかし、遺憾ながら打たれまする手がピントをはずれておりますから、事態はまさにこれと逆行いたしまして、今や遅配、欠配に次ぐに、わが國の食糧は空前な重大化を招來せんとしておるのでございます。この関頭に立ちまして、私はあえて政府當局をお責めをするというようなことは申しません。しかも政府のお考えの足らざる点、しかも容易に行い得られて効果百パーセントの一、二の案件を開陳いたしますから、勇猛果断にこれが施策に邁進せられんことを要請するものであります。
 第一に、主要食糧の中におきまして、常に米と麦に重点政策が施されておつたのでありますが、私は、現在足もとに火がついているこの食糧事情下におきましての解決方策としましては、きわめて容易なさつまいもの対策ということによつてのみ、この緊急対策をなし得られると信ずるものであります。かように申しまするゆえんのものは、さつまいもというものは、現在のごとき余肥の不足の時代でありましても、堆厩肥でよくこれを肥育させることができますし、反当收量におきましても、科学技術の導入によりまして、現在の平均收量三百貫に対しまして、五百貫ないし六百貫くらいの増收を招來し得られるということがはつきりしております。あるいは近く再開さるるであろうところの貿易が展開される際に、わが日本農業に相当な再編成が起るであろう、そのときのことも考えまして、現在きわめてコストが高いが、幾多の機械化が行われますような樣相をもつております甘藷に、相当なる重心をもつて力を出していただきたい。しかも、陸稻のごとく天候によつて左右せられるものにあらずして、その收穫がきわめて安全であつて、ただいま申しますように増收の余地がきわめて多いという観点からこれを申しあげる。
 統計によりますと、昭和二十年における收穫は七億五千万貫と拜承しております。二十一年におきましては十四億七千万貫、しかも現平野農林大臣が力をいたしていただきますならば、いわゆる危險なるところの陸稻に代うるに、増反とか技術導入等によりまして、五箇年計画などとは申しません。二年ないし三箇年の計画によりまして、現在の十五億貫に対しまして、倍額の程度まで收穫があるであろうことを信じて疑いません。
 ただこの甘藷において大きな欠陷は、腐りやすい問題でございますが、いかにしたならばこれを防ぐことができるかという問題が消極的な増産運動でなければなりませんが、まず本年の遅配、欠配期に当面いたしまして、ただちに八月の中下旬から、早堀り地域に対しまして、比較的廣汎に多量にこれを掘りとらせて、そしてその地域に配給させていただきたいと考えます。収量におきましては多少の不足は生じまするが、それから後に麦をつくりまする間における一、二箇月の間にそばをつくり、あるいはその他の蔬菜類をつくることによつて、その減量は補い得るに十分でございまするし、しかも供出の最盛期までに対しまする輸送機関というものを勘案願いまして、どうしてもこれ以上になりましては腐れやすいという部分が数字に現われますが、この部分に対しましては、ぜひとも加工をもつて事に当つていただきたい。
 現に千葉縣下におきまするところのあるエキスパートは、この加工にまつたく成功しております。その機械はきわめて簡易なるものであり、製造能力は相当なる力をもち、しかも地下五尺程度に塹壕を掘り下げまして、細断せられたりするつぶし圧搾法と申しましようか、これによりますると、完全に半年はおろか一、二年はもつところの体驗をもつております。現にその製品そのものがここにございます。いわゆる空論を申し上げまして、行い得ざることを言つても何にもなりませんが、これは農林大臣が、この遅配を解消せんとする場合、立ちどころに全面的に各方面へ御用命に相なるならば、腐るべき部分はこれによつて解消し得ると考えます。
 從來の腐敗部分は、二割ないし二割五分と称されておりますから、かりに十五億の基本数に考えましても、四億貫内外は腐敗によつて葬られる。しかも、これをカロリーから換算しました場合に、おそらく米換算、二百七、八十万石に相当いたしまするからこの端境期に当面しまして、政府当局はいろいろの御名案を出しておいでになりますが、それらの御苦心は、この消極的方策によつて解消するにあまりありと私は断言せざるを得ないのであります。ましていわんや、技術の導入、作付増反の三箇年計画によりまして、おそらくかつて野党の当時に、現農林大臣が、あるいは三合配給等のお述べもあつたかもしれませんが、これは完全に三合以上の配給量が、この方途によつて達せられることを断言するものでございます。まず主要食糧の突撃路は甘藷にありということにおいて、特に御留意おきを願つておきたいと考えております。
 次に、いわゆる食糧計画というものは、先ほどの弁士も申されましたごとくに、米や麦、そればかりでは決して栄養カロリーがあるものではございません。これらの炭水化物に併せまして、あるいは畜産を導入し、あるいは魚介、海藻を介入することによつて、総合的な食糧計画を樹立するにあらざれば、決してその完璧を得ることはできません。
 この観点から、第二に申し上げたいことは、いわゆる水産業の発展に大きな力をいたしていただきたい。かつてわが國の水産は、五百万トンも收穫があつた。ところが今日におきましては、その三分の一内外であるといわれておる。何がそうさせたか。戰爭による船舶の破損、その他資材不足、金融の面とか、食糧の面とか、價格の面とか、隘路が山積しております。しかも、なかなかこの隘路打開は容易なることではございませんが、今日のごとき、生ける人間に計画遅配を強制なさつておるような、この重大化の際におきましては、ここに傾斜的生産方式をとられまして、ぜひとも水産に対する一大方途を講ぜらるべきであると考えております。
 この重大なる食糧問題解決にあたりまして、現在農林省の中に水産局がございます。しかも、船腹のことにつきましては運輸省へ行け、資材の問題につきましては商工省へいかなければ用が足りない。その間におけるところの有機的の連絡がない。しかも努力が足りてないという観点からいたしまして、総合食糧計画樹立の観点からしまして、この水産業の発展が今日のような状態になつているのです。先般片山内閣におきまして、これを相当勇敢に取上げておいでになりまするが、この水産行政を一元化しまして、水産廳なり、食糧省なり、水産省なり、強固なた一省を設けまして、勇猛果断に施策をいたしませんければ、決して食糧の増産は期して得られるものではないと考えております。この問題を併せ考えていただきます。
 時間がございませんが、日本農業に対しましては、どうしても畜産の導入が絶対不可欠のものでございます。この畜産の状態が、今日は五分の一、六分の一というようなわけに、すべての頭数が減り、羽数が減り、今や減産の一途をたどつておりまするが、これが日本農業の將來に大きな暗影を投ずるのみならず、しかも食糧総合計画樹立の面から申しましても、まことに憂慮すべき観点でございまするから、畜産の問題につきましても、食糧の重大なる一環として取上げて御施策を願いたい。
 最後に、供出の問題につきまして簡明に申しますが、この供出問題におきまして、一番大事なことは收穫量でございます。從來の收穫は、どういう状態にその量をおとりになつたかと申しますると、その下部における町村の係員が、あるいは机の上においてつくり、系統官廳を経まして中央へ集まる。中央へ集まつた数字というものが、どうもこれでは予算に足らないということから、たとえてみますると、麦で申せば、大小麦千四百五十万石と報告せられておるものでも、それにいま五、六十万石足して、千五百三十万石にせなければいけないとか、そういうような実に根拠のない机上プランによつて收穫量がきめられておつた。こういう机上プランによつて行われる政治は、決してそこに正しい供出や正しいすべての問題が行われるものではないと考えます。
 そこで私は、特にわき道にはいりまするが、今後はどうしても科学技術という問題に政府が相当な力をいたされ、殊に自然科学方面におきましては、技術者の養成というものは絶対に必要であります。現在食糧の増産とか、あるいは供出に至りまする一環の作用は、わずかに一町村に二名ないし三名程度存在する技術員によつてやられております。ところが、本然の技術の仕事はおろか、会計とか庶務に没頭しておりまするから、本然の増産とか増收は待望することができません。そこで、ぜひともこの技術員を大いに増員して、でき得べくんは、一町村、三部落程度に一、二名を駐在さして、管区の農民に対しまして、種まきから害虫駆除、あるいは調整脱穀、供出に至るまでのすべての面を指導させる。こうなりますると、この駐在員が、管区に対しましては、ほとんど手をとるように、今年は麦がいくらとれた、さつまがいくらとれていると、はつきりわかります。これを中心にした民主的ないわゆる收穫関係の委員と適正なるところの数字をつくつて、そして中央へ集められましたその数字こそが、実態に即せるところの收穫量であるということに相なります。こうした根拠のある、根底のあるところの收穫量によつて、初めて正しい供出も行われることになります。
 供出の問題はどうかと申しますると、昨日來のお話でほとんどもう盡きておりまするが、似て非なるところもございまするから、一点申します。どうしても從來の供出は天降り的で、その結果としまして、末端機関では反別平均割にするところもあります。あるいは收穫量一片に偏重してかけるところもあります。いずれもこれらは弊害があつて、正しい供出制度ではございません。そこで、どうしても現在の供出に対しまして、その数字の七割を土地に切りつけてしまいます。先ほど同僚の方が申されましたが、一筆ごとに対するところの土地に切りつけた供出量を決定する。それは供出量の七割、あとの三割は、いわゆる経営規模とかその他の環境を織りこんでやつていただきたい。正しい供出制度によりましたならば、必ずそこに満点の供出ができます。
 その供出のできたあげくはどうするか。これは先ほど同志の言いました通り、自由販賣制度、しかもそこにおいて欠陷があるとすれば、幾多の弊害をためる方途があります。もしそれ、現在政府が縁故米とか、あるいは小包米とか、その他幾多の方途で集められる御熱心な御施策は買われますけれども、これは農民の実態を知らざるものであります。現在の農民は、現につい先般とりましたところの大麦を、水田に施しまして肥料にしております。あるいはつい先般北海道から、うの目たかの目で、魚肥一貫匁三百円という高價なものを買い、反当り十五貫くらいを施している。あるいはどの方面から御配給になつたか、大豆粉を馬鈴薯と取換えて、その大豆の粉が田面へ肥料として施されている。これが実際惨憺たる農民の深刻なるところの心理状態であります。この農民の深刻なる心理にタッチせずして、凡百の施策を施されるといえども、それは單なる絵に描いたもち以外の何ものでもないということを断言せざるを得ないのであります。
 結論は、私はどうしても最後は、いわゆる自由價格というものを十分頭に入れて、弊害をためる制度を立てられたならば、必ずや効果百パーセントなりと考えております。あえて当局の御賢明なる御裁断を願います。(拍手)
#35
○議長(松岡駒吉君) 赤松勇君、発言者を指名願います。
#36
○赤松勇君 次に社会党は、鈴木善幸君を指名いたします。
#37
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔鈴木善幸君登壇〕
#38
○鈴木善幸君 急迫せる現下の食糧危機の打開は、今後におけるあらゆる國家施策の一大前提をなすものでありまして、これが解決なくしては、政府のいかなる政策も、その円満なる遂行は絶対に不可能であると思うのであります。ゆえに政府においても、組閣以來食糧危機の実情を全國民に率直に発表するとともに、第一次、第二次食糧緊急対策を策定し、さらに第三次対策として、いわゆる超非常食糧対策を発表して、当面せる食糧危機の打開に渾身の努力を傾けつつありますことは、まことに当然の措置であると思うのであります。
 しかしながら、わが國の当面せるこの深刻なる対策のみをもつてして、はたして打開し得るや否や、多大の疑問なきを得ないのであります。私は、わが國のあらゆる食糧資源の基礎の上に立ち、より廣い視野から食糧危機突破の総合対策を樹立すべきであると確信いたすのでありまして、かかる観点から、水産食糧の緊急増産と、これが主食繰入れによる総合食糧配給制度の確立を提案いたしたいのであります。しかして、この水産食糧の緊急増産と、これが主食繰入れによる総合食糧配給制の採用は、食糧非常対策として今日最後に残された、しかも最も即効的成果を期待し得る唯一の緊急対策であると確信いたすものであります。
 思うに、水産食糧の特色は、いわゆる生産即配給であります。すなわち農産食糧と異なり、今日一トンの燃油を放出すれば、数日を出でずして数百貫の水産物を食膳に供し得られるのであります。しかして、わが日本列島の周辺をめぐる水域は、世界有数の好漁場でありまして、しかも、卓越せる漁撈技術を有する三百万の漁民大衆を擁しているのであります。この水産食糧の緊急生産性と、資源的人的要素は、緊急食糧対策の主体的要件を具備いたしているのでありますから、政府はよろしく内閣全体の重要施策として水産食糧問題を取上げ、速やかに次の対策を強力に実施せられんことを要望いたすものであります。
 その第一点は、政府の保有する漁業用の燃油その他の生産資材について、この主食の端境期における食糧の非常事態を切抜けるまでの間、すでに設定せる配給計画をこの際一擲して、政府手持資材を根こそぎかつ集中的に生産面に注入いたしますとともに、遊休隠退蔵資材の徹底的活用を促し、水産食糧の緊急増産を行うことであります。
 第二の点は、水産食糧配給の超重点主義の採用であります。漁業資材の短期集中放出により緊急増産を行つた水産物は、主食の遅配地区並びに炭鉱地帶等に対し、超重点的に配給せられるべきであります。特に加工水産物並びに冷凍水産物については、一定期間の保藏と計画的配給が可能でありますから、政府において主食と同樣これを收買いたし、緊急輸送を行い、主食との一定の代替比率によりこれを遅配地帶等に配給する等、強力な手を打たなければならぬと思うのであります。
 最後に私は、政府に対し、わが國のおかれている困難なる食糧事情に対処するため、恒久対策として総合食糧需給計画の確立、特にその重要なる一環である水産食糧需給計画を、國家計画として樹立せられんことを提案いたしたいのであります。私の計算によりますれば、わが國民全体の一箇年間の水産動物蛋白の必要量は、二十四万一千トンでありまして、これを魚介の需要量に換算いたしますれば、三百六十七万トンになりまするから、食糧向けとしての生産必要量は、約四百万トン、十一億貫を必要とするのであります。さらに見返物資としての水産物を、戰前程度の量を出すといたしまするならば、鮮魚介に換算いたしまして約二億貫を必要とし、これに今日化学肥料の不足を補うため魚肥を製造するといたしますれば、わが國の魚介類生産必要量は、十四億貫ないし十五億貫程度となるのであります。しかして、この需給計画の確立なくしては、漁船の造修計画も、資材の配給計画も、はたまた水産物の生産計画も擁立できないのでありまして、私は総合的な水産政策を強力に遂行いたしまするために、速やかに國家計画として水産食糧の需給計画を確立されんことを要望いたすものであります。
 これを要するに、現下の急迫せる食糧危機を打開する緊急対策としても、はたまた今後における困難なるわが國の食糧問題を解決する恒久的対策といたしましても、水産食糧を大きく取上げるのでなければ、わが國の食糧危機は断じて克服することはできないと信ずるものであります。政府がもし内閣全体の重要施策として水産政策を取上げますならば、わが三百万の漁民大衆は、同胞救援のため、食糧危機突破のため、総力を結集いたしまして起ち上るであろうことを、私は確信するものであります。
 以上私の提案に対し、政府並びに議員各位の御所見を伺いたいと思うのであります。(拍手)
#39
○議長(松岡駒吉君) 坪川信三君、発言者の指名を願います。
#40
○坪川信三君 民主党は、次に寺本齋君を指名いたします。
#41
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔寺本齋君登壇〕
#42
○寺本齋君 私は、現下の食糧問題に関しまして、危機突破の應急非常対策と長期の対策と二つにわけて、私の卑見を開陳してみたいと思うのでございます。
 まず危機突破の應急対策といたしましては、今日のわが國の食糧事情は、先般來この議場において平野農林大臣からも説明がありましたように、二十八日間の計画遅配を実行しなければならないというような、きわめて窮迫している状態でございます。いたずらに高遠な理想よりも、今日の食糧をどうするかというのが、当面の問題でございます。政府はこれに鑑みて、第一次並びに第二次の緊急食糧対策を発表実施されたのであります。すなわち縁故米制度、救援米制度を実施されたのでありまするが、それらの制度が不成績でありましたことは、これまた昨日も議場で平野農林大臣から御答弁になつた通りでございます。
 しからば、こういうものがどういうところに欠陥があつたかと申しますると、これは農家が、これらの縁故米、救助米を行おうとする際に、まず農業会を経由することであります。農家は、この農業会を経由するために、二十二年度産米の供出割当を考えて、これらの制度を行うことを遠慮するのでございます。またきわめて煩瑣な手続を要しまするので、この成績があがらなかつたのでございます。今日の状態におきましては、理由はいろいろありましようけれども、まず簡單率直に行われるような制度を実行しなければならないのであります。
 そこで私は、いろいろの弊害もありましようけれども、ここに私が提唱いたしまするのは、食糧危機突破のいわゆるくじ米制度でございます。すなわち、一俵の米を食糧営團に持つてきた農家に対しましては、その人の住所姓名のいかんを問うことなく、これを無條件に一俵公定値段で買上げるのでございます。
 そうしてその一俵に対して、緊急非常突破の食糧くじを交付するのでございます。この食糧くじには、すなわち一等が十万円、二等が五万円、三等が三万円、四等が一万円とか、あるいはそれぞれの具体的な階段を設けまして、平均四千円くらいにして、絶対に空くじがないようにいたすのでございます。こういうような政策は、食糧政策としては本筋をそれておりまして、めつたに採用することができないと思うのでありますけれども、今日の窮迫した事態に、何とかしてここに五十万石ないし百万石の米を出さなければならないという場合に、こういう非常対策、いわゆるカンフル注射も私は必要ではないかと思うのでございます。これによつて五十万石の集荷ができるのではないかと私は思うのであります。これに要する五十億円の費用と申しまするのは、これは政府が全額負担をいたしまして、そうして需要家に配給するか、あるいは食糧営團をして、前述の價格その他の諸がかりをこれに見こみまして、そうして特別米價を制定して、特別の需要家にこれを賣渡し、もつて資金の回收をはかることができるのであります。農林大臣は、このくじ米制度に対してお考えになつたことがありまするかどうか、この点について御意見を伺いたいと思うのでございます。
 それから今日の農家におきましては、すでに手持米は非常に減少しておるのでございます。その反面、中小都市のブローカーの手に相当の米が集まつておるということを聞くのでございますが、この摘出に対して、農林大臣はいかようなお考えをもつておられますか。また輸入食糧の放出の代りとして、相当量の凍結米が保管されておるということを私どもは聞いております。今食糧が二十八日の計画遅配をしなればならないというようなこういう窮迫した時代に、いたずらに食糧の不足感を國民に懐かせて、暗い感じをもたせて、そうして米、食糧のやみの値段をつり上げておる状態において、この凍結米に対して政府はどういうお考えをもつておられるかということを、これも農林大臣に御意見を伺いたいと思うのであります。
 それから、今後かぼちやを初めいろいろの青果物の出まわり期を控えまして、この青果物を主食に代用するというとは、食糧危機を突破する一助になると考えるのでありますが、この青果物の出まわりの根本の障害をなしておるところの統制、これを万難を排して撤廃していただきたいというのが、これが國民すべての要望するところでございます。(拍手)
 また長期の対策といたしましては、農地法の改正、その他農家のいわゆる企業形態のことにつきまして、いろいろの研究すべき問題でありますが、これは今日與えられました十分の時間では論じ尽されません。ただ、昨日からもここでいろいろと御意見が出ましたところの供出の問題、これを改正することによつて、ある程度の食糧増産をはかることができると私は思います。その食糧供出――政府はいわゆる計画生産、計画供出ということを考えておられます。責任供出制をとつて、そうして近くのその具体案を発表するに言明しておられますけれども、私は、これはまことに結構ではありますれども、この責任生産、責任供出というものは、事前に割当をしなければその効果が薄いと思うのであります。
 百姓が苗を植えつけまして、そうして稻の発育の期間において、その間に田の草をとり、肥料を施す、いわゆる勤労意欲をその作物の中に打ちこんでいくところに、彼らが生産意欲を高揚し、生産増強をはかる妙味があるのであります。一日をゆるがせにいたしまして、收穫期に臨んで割当をいたしましても、すでに遅いのであります。今や九州は、大方稻の手入れが終つた頃であります。東北も、八月十日頃には終るのであります。この責任供出、たとえば一町歩つくる百姓があると仮定いたしまして、ちやうど昨昭和二十一年産米の公式生産量は、耕作面積約三百万町歩、その收穫高六千百万石余でありまして、反当り五俵になつておりますが、これを事前に割当を決定して、一町歩つくれば五十俵の收穫がありますから、仮にこれから三十俵の供出ということを事前に割当て、あとの二十俵というものを農家に自由に処分することを許しましたならば、その農家は、この二十俵というものを、自分の努力によつて、また自家消費の節約によつて、これを二十五俵ないし三十俵にするということは、私は長い農家の経驗から、易々と確信をもつて申し上げることができるのであります。(拍手)
 農家というものは、いわゆる生産意欲を高揚すれば、自分の魂を田畑に打ちこみ、作物に打ちこんでいけば、ある程度の收穫は上がるのでございます。現に一反歩の土地から十俵とか十一俵とかの米をとれということなら、これははなはだ不可能なことでありますけれども、今申し上げますように、一反歩から五俵ぐらいの米をとりますならば、農家の生産意欲、勤労意欲、このはげみによつては、五俵半の收穫を得ることはむずかしくないのでありまして、これをかりに三百万町歩といたしますれば、六百万石の増收を得ることはむずかしくないのであります。
 ただ政府は、考えております責任供出をやろう、近くやろうとおつしやるのでありますけれども、その時期は今でございます。すでにおそい憾みがございます。昔、孟子も言つております。「農の時を違えずんば穀勝げて食うべからず」とあります。百姓、いわゆる農業者に対する施策というものは、その時を最も肝要といたすのでございます。いたずらに愼重を期して時期を失するのは、事務官僚の通弊でございます。平野農林大臣は、大胆率直に英断をもつて、一日も速やかにこの事前割当を実行せられる意思ありやいなや。私は、簡單でありますが私の所信を述べて、農林大臣の御意見を伺いたいと思うのであります。(拍手)
#43
○議長(松岡駒吉君) 角田幸吉君、発言者を御指名願います。
#44
○角田幸吉君 日本自由党は、岡井藤志郎君を指名いたします。
#45
○議長(松岡駒吉君) 発言を許します。
    〔岡井藤志郎君登壇〕
#46
○岡井藤志郎君 私は、およそ政治は物事を深く深く認識しなければ、凄味ある実行力は生れてこないということを信ずるものでございます。ただいまの食糧危機も、食糧危機たることをほんとうに認識せざるがために、いたずらに政治の貧困ばかりをかこつておるのでございまして、かような事務官会同に類するものをいくら繰返しておりましても、私は食糧問題の解決はできないと思うのでございます。まず物事を深く認識して、かようにすれば必ずなるという必然の途を発見する、必ず然るの途を発見しなければ、ひよろひよろたるを免れないのでありまして、これでは実行力はわいてこないのであります。
 國家の転落する姿を見ること、あたかも幼児が井戸に落ち入らんとする姿を見るがごとくに具体的に見えなければ、政治家たるの價値はないのでございます。これがこの食糧危機を招き、また食糧危機を解決し得ざる根本の原因であつて、この以外にはないと思います。ここは政治家の会同でございますから、私は事務的なことは申し上げません。
 まずわれわれは、内治も外交も一つのものである。トルーマン大統領は、世界は一つなりと申しました。世界は一つです。内治も外交も一致してものでなければ、食糧問題も解決できません。片山首相は、いたずらに精神力を説かれますけれども、精神と道徳と政治と、すべて一致しなければ、何らなすに足らざるものでございます。まず食糧問題の重要性を認識いたしまして、ただいま滔々たるインフレも、ストライキも、また物價と賃金とのやむなき惡循環も、生産の振わざるも、國民の腐敗堕落も、その他すべての問題、ことごとくの問題が、食糧の足りないことから発しておるのでございまして、そのほかに少しも原因はないのでございます。まずこの事実を認識しましたならば、われわれ政治家はうかうかとしておるときじやないのです。
 それから、今は二合五勺の配給もできない、二十八日も欠配しなければならないというような、政治家にあるまじき言動を弄して、得々といたしております。三合配給を約束したことはないと答弁して、それでもつて恬然たる大臣もございます。かような不甲斐ないことでどうするか。私はかように絶叫したいのでございます。三合配給、これは科学者の言う最低限度の量でございまして、これを配給しないことは、まづ第一番に、そのために生産事業に從事するだけの活力を生じないのでございまするからして、怠惰なる國民をつくるのでございます。
 今、農民を除く日本國民の半数は、大なり小なりサボタージユをやつておるのでございます。その例は、到るところの官廳、銀行、会社あらゆる所に発見されます。彼等はいたずらなる製糞機械と化しておるのでございます。まずこの現実を直視しなければならぬ。そこで三合配給をしないということは、政治家がまず憲法で保障しておる最低限度の生存権を危うからしめておるということになる。また憲政には、働かざるもの食うべからずということが、麗々しく掲げてございます。政治家無能のために、國民にかくのごとき大罪惡を犯さしめておる。また國民が生存権も得てない。かような事実も、われわれは深く深くこれを認識しなければならぬのでございます。そこで私は、自由販賣を唱えるにいたしましても、まず三合配給をしたる後の自由販賣、このくらいの元気を政治家はださなければ、ともに政治を語るべからずと思います。
 次に、かようなことを認識いたしまして、これが対策を示します。まずわれわれは、政治というものは、やれ水産省を設置しろとか、労働省を設置しろとか、さような一局部のことを言つておりましたのでは、とうてい解決ができないのです。すべて総合的見地に立たなければならないから、肥料増産といえども、これは総理大臣の任でございます。新憲法によりますれば、國務大臣は総理大臣の一使用人に過ぎざることが書いてあります。
 次に、今の農家は、社会党、共産党の人々の説を誤認いたしまして、これを誤解いたしまして、作物に背を向けておるものが相当あるのでございます。これらを、ほんとうに人類本然の姿、わが自由党の説くがごとく、ほんとうの自由民主の姿に還しまして、作物に面を向けるというようにいたしましたならば、私は一割、二割の増産は必ずできるということを、ある精農の人からとくと承つたことがございます。さような心境にありますれば、これに必要なる技術もおのずから生れてくるのでございます。いたずらに技術を説いても、何にもならないのでございます。
    〔議長退席、副議長着席〕
 次に、緊急の問題といたしましては、まず供出の合理化を叫ばなくてはなりません。われわれ敗戰國民は、戰爭前の三分の一ばかりの質素なる生活をしております。そこでわれわれは、全收入のほとんどすべてをあげて米に投入してもさしつかえない。またほとんど全部の收入を米に投入すべきことを一敗戰國民として要請せられておるのでございます。そこで今のような、たとえば一合わずかに一円五十銭――一円五十銭といえば、無償にひとしき米價でございます。これでもつて大切なる米を買上げようとしておるところに、政府が重大なる誤謬、重大なる不道徳を犯しておるのでございます。ただいまのごときありさまでは、生産者も喜ばければ、消費者もともに苦しむのでございます。たとえば、二倍、三倍にこの公定値段を上げましても、かえつてその方がやみ買いの費用を節して、われわれの家計は助かるのであります。かようなわかりきつた理論を政治家がもつておらないから、はしはしの議論にばかり没頭しなければならないことに相なつてくるのであります。
 次に、農家は節米をせずに大食のくせがついているために、農村の人々の寿命は、長いごとくにしてかえつて短いのでございます。かような農村の人に向つて、政治家はただいたずらに供出を迫ることなくして、君たちが供出したならば、かえつて君たちの利用厚生、長寿の道にかなうゆえんであるということを発見し、それを説明すること、これが私は政治家の打つべき手であると思います。
 日本は食糧の不足のために堕落、混乱を来しておる。これは世界の人類に向つても相すまない。そこで、世界人類のために、また日本が立直るため――にこの日本が立直るためということは、世界人類のためでございます。世界は一つなりということは、このことなのでございまして、たとえば、今國内に溢れる人口のために、これも食糧問題のがんになつております。講和会議をまたなくても、広い天地にわれわれ大和民族が出て惡いという法則はないのです。さような点について、政治家が毫も認識もないのです。二合五勺、二合一勺ということは、いたずらに働かざる國民、堕落したる國民を養成することになるのです。かようなことで、日本復興がどうしてできるか、かようなわかりきつたことがわからぬか、こう言いたいのです。
 次に、われわれ政治家の認識が浅いために、今日の危局を招來しておるのです。われわれ今敗戰國民として悲惨なる境遇にありますことも、過去に一人の政治家がなかつたからでございます。そういうことを皆さん一つも知らないのです。いたずらに戰爭傍観者ばかりおるために、今日の悲況を招いておる。
    〔発言する者あり〕
#47
○副議長(田中萬逸君) 靜粛に願います
#48
○岡井藤志郎君(続) さようなことを一人として知らなかつたのです。よくもおめおめとして大道が歩けるものだと思うのです。さようなことで、國家の選良であるか、こう私は申し上げたいのです。この認識をするのは人です。片山首相にして、きようも議場に出てこられないようなことでは、これは総理の資格なきものです。およそ人の識見はその片鱗に現われます。小包米制度、官廳の特配、暑休廃止、かような点は、片山首相の識見がいかに低劣であるかということを物語つております。さような大体の眼目がわからないのですか。今かくのごとき議場を見て、事務官会同に類して議場を見て、一般國民はなんと思うでございましようか。今少しく私は論じたいのでございますけれども、時間がございません。しかしながら、諸君はいたずらに低劣なる野次を弄しておるときではないということを、私は一般國民に向つて進言したいと思うものでございます。(拍手)
#49
○副議長(田中萬逸君) 赤松勇君、発言者を指名願います。
#50
○赤松勇君 社会党は、笹口晃君を指名いたします。
#51
○副議長(田中萬逸君) 発言を許します。
    〔笹口晃君登壇〕
#52
○笹口晃君 日増しにつのる食糧不安の中に、私どもは、かような食糧問題を中心として、討論をいたしておるのであります。今まで多く語られた同僚諸君の御意見は、主として農村出身の方が多く、生産方面から述べられたようであります。私は、都市の勤労階級、都市の消費者といたしまして、食糧問題につきまして二、三の意見を申し述べてみたいのであります。
 昨日、平野農林大臣が本席上で、東京における七月二十日現在の遅配が二十日弱に上つておるということを報告されたのでありますが、このうち、吉田内閣当時の遅配八日間と、六月分の遅配四日間を差引きまして、七月の遅配は八日間弱となります。これは政府の考えました計画遅配量一箇月五日間、これをすでに三日上まわつておるのであります。このことは都市における勤労階級としましては、きわめて重大に考えなければならないのであります。
 なぜであるかといえば、経済白書にも言われてありまする通りに、私どもの食糧の供給いかんということが、われわれの生命の維持、あるいは労働力の再生産、または賃金の問題に重大な影響をもつことは、これは言うまでもないことでありますけれども、政府は実効價格によつてこの問題を解決しようといたしております。先ごろ発表されました新物價体系によりまして、物價の騰貴が平均六十五倍、勤労階級の賃金は千八百円ベースを維持しようという、この間に大きなずれのあることは言うまでもないのでありますが、このずれをカバーいたしますのに、実効價格をもつてしようというのが政府の考え方であります。実効價格を下げるかどうかということが、今日の賃金並びに價格体制を維持できるかどうかということに相なるのでございますが、現実はまことに遺憾ではありますけれども、実効價格は日々に騰貴をいたしておるという悲惨な事実を私どもは忘れてはならないのであります。
 こういうような事実を前にいたしまして、これをいかに打開したらよいか。われわれ都市におきまする勤労階級が、いかなる手段をもつて私どもの生活を守るべきか、あるいは食糧危機突破の資金の要求ということにもなりましようし、またやがては労働賃金の引上闘爭ということにもなるのであります。こうなつてまいりますれば、これは政府の企図いたしておりまするインフレの克服も、また経済の再建ということも、決して実現でき得ないことになるのでありまして、この際とりあえず今日の食糧を確保することのためには、政府はもつと勇敢に積極的な手段を構ずべきではないかと考えるのであります。
 その一つといたしまして、都市における勤労者の重要な問題でありまする労働加配の確保の問題がございます。この労働加配を確保いたしまするために、私はここで思い切つた手段を講じていただきたいと思う。それはどういうことであるかと言いまするならば、事業所もしくは労働組合の希望がありました場合には、農村の農民組合ないしは農業実行組合と直結いたしまして、救援放出を請おうというやり方であります。
 先ごろ政府が、第二次食糧緊急対策の際に、救援米供出運動を提唱されたのでございまするが、この実行体は、経済復興会議ないしは農村復興会議を主体とされるように発表されております。しかしながら、この二つの組織というものは非常に厖大でごでいまするし、また組織されて間もないものでございまするから、從つて未成熟なことはやむを得ない。われわれは、きようの米をいかがするかという問題のときに、かような厖大な未成熟な組織に頼つておりましたならば、きようはいるべき米が、あるいは十日過ぎなり、一月過ぎにいつてくるのではなからうか、その間をどうするかということを私どもは苦慮いたすのであります。
 そういう際に、私が提唱いたしまするところの労働組合と農民組合の直結による救援米供出ということは、いろいろ技術的には困難な問題であらうとは思いますけれども、しかしながら、そういうような大きな組織を利用するよりは、はるかに効果が上るのではないかと思うのであります。たとえば、そのやり方といたしましては、職業安定所によつて証明書ないし購入切符を出してもらう、それを持つて農村へ参ります。そして縁故のあるところの農民組合または農業実行組合と提携をいたしまして、これから直接飯米あるいはその他余剩米を出してもろうのであります。その場合における報奬物資は政府が保証いたしまして、そしてその切符ないしは証明書によつて引換をしていただくのであります。そういうような場合に、その事業体独自の手みやげ程度のものを持つていつて差支えないものだと私は思つております。
 こういうようなやり方をいたしまして、そこで労働組合ないし事業体が確保できまするところろの食糧がどの程度のものであるか。皆さんも御承知のごとく、労務加配米の七月以降の総量は、百五十七万三千石と計算をされております。このうち約三分の一がかりに獲得できたといたしますれば、五十万石――五十万石できるならば、一箇月分の計画遅配量を解消することがてきるのでないかと存ずるのでありまするが、かような方法を御採用になるお気持ちがあるかどうか、農林大臣の御所見を承りたいと思うのであります。
 この場合におきまして、農林大臣にひとつお伺いいたしたいことは、政府が今日まで第一次的の食糧緊急対策、第二次的の食糧緊急対策、これを発表になりまして、成績は思うようにあがつておらないのでありますが、この場合におきまして、政府が全國の組織された農民に対する呼びかけが足りなかつたのではないかということを私は痛感いたすのであります。全國五百万農民のうち、組織されたもの百五十万を越えている。これらの方々に対して呼びかけをいたしまするには、現農林大臣は最もはまり役ではないかと考えますが、この点をおやりにならないところの理由はどこにあるのでございましようか。
 また特に農村出身の同僚各位にお願い申し上げたいことは、昨日來承つておりますると、恒久的ないろいろな対策――私どももこれはよく了承でき得るのであります。供出制度の改革にいたしましても、土地制度の改革にいたしましても、あるいは肥料の問題にいたしましても、よく了承でき得るのでありまするけれども、現実の問題としましては、都市の今日の多くの勤労者は、米びつがからだという事実であります。農村における農民の方々は、皆さんがとにかく食糧ははいつているのであります。この点をいかがかしていただけないものか、この点についての建設的な御意向を承ることができますれば、結構だと思うのであります。
 最後に、商工大臣がお見えでございますが、肥料の問題について一言お伺いいたしておきます。私どもは肥料を非常に重大に考えておりますが、これは私どもばかりでなく、先ほど農林大臣の御答弁のうちにも、まず肥料というお言葉が出たのでございました。ところが、今度石炭の國家管理問題が俎上に上つているのでございますけれども、巷間うるさい者の言うところによりますれば、石炭や鉄は食べられないと言うのであります。それはあさはかな考え方ではございまするけれども、一面真理をうがつた言葉だろうと思うのであります。この場合において、肥料の重要度ということ、また現在の肥料の生産状況から申しましても、農民の要望から申しましても、今日こそ思い切つて肥料生産の國家管理をやるべき時機ではないかと私は考えているのであります。(拍手)かようなことに対しまして、商工大臣はいかがな御所見であるか、この際御意向を承つておきたいと思うのであります。(拍手)
#53
○副議長(田中萬逸君) 坪川信三君、発言者を指名願います。
#54
○坪川信三君 民主党は、次に長谷川政友君を指名いたします。
#55
○副議長(田中萬逸君) 発言を許します。
    〔長谷川政友君登壇〕
#56
○長谷川政友君 私は、この際主として平野農林大臣にお尋ねいたし、いささか私の所感の一端を申し述べたいと思うのであります。
 その第一は、食糧行政に科学性を与えていただきたいのであります。政府は、二合五勺は依然堅持すると言いながら、実質的には調味料、あるいはまた水産物、あるいは蔬菜その他の副食品をもつて主食に換算いたしまして、それらを二合五勺のわくに入れて、いわゆる緊急対策と称しているのでありますが、それならば、この際むしろ二合五勺主義をとりやめたということを宜明して、澱粉、脂肪あるいは蛋白質を総合勘案して、これからの食糧配給をやつていく方針に切りかえて、それに必要な措置と準備を用意されてはどうかと思うのであります。すなわち新しい食糧配給基準についても檢討を加えまして、摂取カロリー二千百五十を標準として、蛋白、脂肪に一定の基本を設け、かつこれを公表して、食糧政策の目標を一般に知らしめなければならない。これなくして、いはゆる総合配給をやるのだけでは、國民は一体何を食わされるかわからない。またほんとうに食糧行政がうまくいつているのか、いつていないのかわからないのであります。
 第ニに、食料配給について加工の面を考えていただきたいのであります。政府は、食糧が不足しているからといつて、貴重な輸入食糧の配給についても、何でもかんでも國民に量だけ与えればいいという主義で、消費者たる國民の手もとではいかに消費されているかということを考慮に入れず、右から左に配給しているのでありますが、食糧の不足している今日であるだけに、特に注意が必要であります。すなわち、この食品のもつ成分が十分活用される摂取形態、加工形態を考慮すべきである。たとえば脱脂だいず粉を配給いたしましても、消費者の一部には、途方に迷つて、あげくの果はこれを農家の卵と交換して、結局主食はやみ買いをするという実情に相なつているのであります。これは適当な乳製品に加工して配給するか、今少し政府は親切な考慮が必要であろうと考えるのであります。まただいずを主食用として丸だいずのままで配給するということも、愚の骨頂でありまして、だいずを米と混食いたしますならば、そこに四割というものは不消化のままで排泄されるのであります。かりに今千トンのだいずを國民に配給いたしたといたしまするならば、貴重なだいずの四割、約四百トンというものは、水の中へ捨てたと同樣の結果になるのであります。政府は、このようなむだを繰返さないよう、実務当局に向つてその指導を徹底すべきであると私は考えるのであります。(拍手)
 第三に、食用油脂の重要性であります。私は多年油脂に関係しているものでありますが、特にこの際政府に一言御注意を申し上げたい。今後の國民の食生活改善に、脂肪すなわち食用油脂は最も重大であり、政府当局もただいまお考えになつておられるようでありますが、年間総量七万八千トンの食用油脂を配給することは、最低限度絶対必要であります。これゆえ、連合軍当局におかれましてもこの点を理解して、國際食糧緊急会議の割当て、比島産コブラが二万五千トン輸入されることになりまして、これは逐次輸入されつつありますが、聞くところによれば、せつかく日本人の食用として輸入したこの油を、一部工業用に充当するやに承知しているのであります。もし、さようなことを政府の責任で行つた場合には、今後の輸入に多大の支障を來すことになるのであります。もちろん、石炭増産用ダイナマイトの生産に必要なグリセリンをとるために、一定量の油脂が工業用に必要であるということは、私もよく承知いたしておるのでありますが、これらは、政府が責任を持つて國内油脂資源の開発にあたるべきである。いやしくも食用油として割当てられたものを、しかも最低需要量をも充たし得ない現状において、これを工業用に振りかえるがごときは重大問題であります。
 第四に、國内油脂資源の確保と、油脂行政の一元化であります。食糧の面から見た油脂の重要性につきましては、ただいま申し述べた通りでありますが、國内油脂資源の開発について、政府はいかなる方策をおもちであるか、これを具体的にお示し願いたいのであります。たとえば、米産國であるところのわが國において、今かりに六千万石の米がとれたと仮定いたしまして、この米を七分搗きとして、その糠から全部油をとるならば、実に五万トンの食用油が生産されるのであります。また水産業の回復をはかつて、水産加工と並行して魚油の増産をはかるべきだと思います。今日いろいろの関係から、魚油の生産数量は増大されていない。この重要なる油に関して、政府はいかに考えているか。
 最後に、油脂行政の一元化についてであります。現在油脂行政が農林省と商工省とに分離されている。かつ、その上に経済安定本部が企画の面でこれにたずさわつている。行政の敏活、施策の徹底を欠きまして、業者である私どもの迷惑は、はなはだしいものがあるのであります。この際、農林大臣は熱意をもつて原料をもつ農林省においてこの油脂行政の一元化を行い、國家の要請にこたえるべきであると思うのであります。ただいま商工大臣がお見えになりましたから、これに関連し商工大臣並びに農林大臣の明快にしてかつ責任のある御答弁を要求するものであります。(拍手)
#57
○副議長(田中萬逸君) 農林大臣平野力三君。
    〔國務大臣平野力三君登壇〕
#58
○國務大臣(平野力三君) 榊原君の御質問でありまする、食糧問題を単に米麦というような澱粉質のみに依存するにあらずして、蛋白質及び脂肪等を加えて、総合的に食糧問題を解決すべきではないか、こういう御所見に対しては、まつたく同感であります。私といたしましては、蛋白給源といたしましては、魚肉及び獣肉、鯨、いわし、菜種、米糠、だいず、こういう点にも着眼いたしまして、將來の食糧問題は、これらの問題を勘案して解決するのが当然であると考えている次第であります。
 次に、細川君の御質問でありまするが、現在の食糧問題を解決するには、法の末節等にこだわることなく、思い切つた大胆な政策をやれ、こういう御注文でありますが、このことも、まつたく私の同感とするところでありまして、私といたしましては、この際の危機を突破するに当りましては、多少従来の食糧管理法であるとか、あるいは從來の法の末節にこだわることなく、少くともこの米穀年度を切抜ける上においては、抜本塞源的な態度をとる決心でありまして、この点、御指摘とまつたく同感であります。
 次に、磯崎君の御質問でありますところの、甘藷によつてこの危機を切抜けたらどうか、これまた、まつたく私と所見を同一にしておるのであります。私は、過般も申し上げましたように、日本の最後の食糧難というものは、芋によつて救済できる、こういう一つの考え方をもつているのでありまして、この点は御指摘の通りであります。しかして具体的には、今年の早掘甘藷のに対して、相当私は着目いたしているのであります。今その早掘甘藷の数量を、この辺において申し上げることは早計でありまするが、相当量をこれに依存いたしたいと考えております。
 なお甘藷に関しましては、その加工及び貯藏、こういう点に関しましては、相当技術も進歩いたしておりまして、磯崎君には御研究かと思いますが、甘藷による人造米の製造というような問題に関しましても、今日は相当具体的になつているのであります。もしそれ、でき上りました甘藷をほとんど完全に貯藏して、人造米等を製造することができますならば、來米穀年度におきましては、相当わが國の食糧政策には貢献すると考えているのであります。
 なお、供出問題に対して科学性を導入せよ、まつたく同感でありまして、今回農林省には統計調査局というものを設けまして、この統計調査局には、農林問題に関して権威ある近藤康男氏をその局長に推薦いたしまして、現在近藤康男氏の下において、科学技術を導入いたしましたわが國の農業統計というものに対して、そのスタートを切つているのでありまして、その成果に関しましては、ひとつごらんを願いたいと思うのであります。(拍手)
 次に鈴木善幸君の御質問でありますが、現在の水産業に鑑みて、政府がもつているところの資材を全部総動員しろ、そうして魚をとれるだけとれ、この御意見については、同感であります。かようにいたしたいと考えております。但しその場合は、とりました魚をすぐ現在の遅配の量の最も多い地区に速やかに供給をいたしまして、そうしてその遅配に対するところの対策を水産業者がとつていただけるならば、かような案について、われわれは十分考えたいと思つているのであります。なお魚に関しまして、主食と代替する問題に関しましても、今日十分檢討を加えているのであります。
 次に、寺本君の御質問でありまするが、御指摘になつておりますところの富くじ米制度、つまり抽選によつて相当大幅なる報將金を附与して、米を吸い上げたらどうか、この施策は、実は私ども内閣を組織いたしました直後、農林省の食糧管理局におきましては、この構想を練つたのであります。具体的には、政府がある民間の一団体に権限を委讓いたしまして、その民間団体が、自発的にある富くじという制度を設けて、かりに農民でなくとも、あるいは農民の手から離れて、あるところにありますところの米を、かような制度によつて吸收することは、この際における処置といたしましては、一つの考え方であると思いました。しかしこの問題は、実際行う上におきましては、閣議においてこれをなお承認するに至らず、今日におきましては、構想としてわれわれの頭にありますけれども、いまだにこれを実現する運びになつておらないのでありますが、考え方といたしましては、御指摘の点については、われわれも相当理由があると信じております。
 なお御指摘になりました、身替り貯藏米の放出を早く願つたらどうか、これまたまつたく同感であります。私といたしましては、司令部が日本に放出されますところの米が、七月、八月、九月、十月と大体見込みがついているといたしますならば、これを早く繰上げてもらいたい。というのは、われわれが今打つ施策というものも、今打つたからというて、すぐ右から左に米がとれるものではない。しかし遅配、欠配というものは順を追うていくものであるから、一番容易なる途は、司令部の放出米を早くもらいたい、少くとも六月には七月の分を、七月には八月の分をもらつていつて、一応の遅配を解消することでありますならば、國民に対して相当申訳が立つのでありますから、かような点に着眼いたしまして、私といたしましては、早期身替り貯藏米の放出というものについては、懇請をいたしたのであります。從いまして、寺本君の着想は、われわれまつたく同感であるのであります。從いまして、この運動が一応承認をせられまして、この七月におきまして、七月の下旬と八月の上旬と八月の下旬、これだけの、石数にいたしまして約二百三十万石くらいの米を、司令部によつて許されましたということは、今御指摘のような構想においてわれわれが活動いたした点でありまして、この点はまつたく同感の次第であります。
 次に、岡井君の御質問でありまするが、これは御質問と申しますよりは、大半御意見のようでありましたので、答弁を差控えることをお許し願いたいと存じます。
 次に笹口君が、初めて消費者を代表せられまして、ここに非常なる御意見のありましたことは、まことに傾聽に値するところと思つたのであります。ただ、御指摘に相なりました、労働團体と農民團体とが自家取引をやつて、ここに應急の処置をとるという考え方は、都会の労働組合に参加しておられる人の最もお考えになる理由のあることと考えますが、政府といたしましては、これを軽率に許すということになりますると、またよつて及ぼす弊害も非常にあるのでありまして、考え方の中にはしばしば往來をするのでありまするが、いまだこれを御指摘のように、実行する域に達しておらぬことを、ひとつ御了承願いたいと思います。われわれといたしましては、いわゆる経済復興会議及び農業復興会議、この両團体に、相当大巾にこれらの米穀政策を委任いたしまして、現在せつかくやつておるのでありまするが、この点に関しては、ひとつ御了承願いたいと存じます。
 最後に長谷川君の、油脂を工業の方へまわしたということはいかなる理由か、こういう御指摘でありまするが、もとより油脂を原料とするものといたしましては、石けん、ゴム、塗料、グリセリン――殊にグリセリンは、御指摘の通り、石岩を掘りますダイナマイトの製造には不可欠なるものでありますので、この食糧問題の急迫いたしておりますときに、一滴の油といえども、私どもとしては、工業にまわしますることは、絶対賛成できぬのであります。できぬのではありまするが、石けんにしても、ゴムにしても、塗料にいたしましても、いわんやグリセリンにいたしましても、ある限度までは、やはりまわりまわつて國民生活に不可欠なる問題でありますので、多少を融通いたしました点につきましては、惡しからず御了承願いたいと思うのであります。
 最後に、油脂行政の一元化の問題でありまするが、これは今申しました通りに、いわゆる工業方面との関係があるので、私一存でこれを一元化するというわけにはまいらぬのでありまするが、私といたしましては、商工大臣ととくと協議いたしてきめたい。油脂行政を農林省に一元化するという点については、ひとつ努力いたしたいと考えておるのであります。以上であります。(拍手)
#59
○副議長(田中萬逸君) 商工大臣水谷長三郎君
    〔國務大臣水谷長三郎君登壇〕
#60
○國務大臣(水谷長三郎君) ただいま笹口君の、肥料の生産を國家管理にしてはどうか、する必要があるのでないかという御質問でございましたが、この肥料の生産に関しましては、笹口君もすでに御承知の通り、現在におきましても、ある程度肥料の企業に対しては、國家が直接生産に責任をとれる形態が行われておるのでございまして、これをさらに数段強めるかどうかということは、目下檢討しなければならない問題であろうと思いまする。要するに、肥料をいかにして増産すべきであるか、増産に役立つかどうかという点に関しまして、それらの問題を檢討してみたいと考えておる次第であります。
 さらにまた長谷川君の、油脂加工工業の農林省移管問題に対する御質問でございまするが、これは申すまでもなく、油脂加工工業は、きわめて高度かつ重要な典型的化学工業でございまして、他の化学工業部門と密接不離の関係にあります。化学工業全般の中から、この部門のみをば商工省で分離いたしますときは、化学工業全般の総合的施策を著しく困難にするとわれわれは考えておる次第であります。
 さらにまた、油脂加工製品の配分先はきわめて広範囲の鉱工業部門にわたり、その各部門で不可欠の生産資材でありまして、これら重要鉱工業部門との関連は、最も密接であると考えております。さらにまた、これは特に業者が強く希望しておられるようでございまするが、食用油脂と工業用油脂との配分を合理的ならしめるために、油脂加工工業部門を農林省に移管せよとの御主張でありまするが、申すまでもなく、食用としての需要と、鉱工業としての需要とを総合勘案いたしまして、初めて真の合理的配分が可能でございまして、この仕事は、まさに農林省ではなしに、経済安定本部の行うべき仕事であろうと思います。さらにまた油脂原料及び油脂の生産が、油脂加工工業に対して基本的なる制約をなすことは、これは私も否定するものではございませんが、この事実のみでは、油脂加工部門を農林省に移管すべき根拠とはならないと思う次第でございます。
 これを要するに、経済行政の所管問題の決定は、各産業部門の実態と、各産業部門相互間の縦横の関係を総合的に檢討した上で決定せらるべきものでございまして、油脂加工工業について申し上げますならば、ただいま長谷川議員の御指摘のような理由だけでは、これを商工省から農林省に移すというような考えはもつておらないのでございます。さよう御了承願います。
#61
○副議長(田中萬逸君) 角田幸吉君、発言者を指名願います。
#62
○角田幸吉君 日本自由党は、山村新治郎君を指名します。
#63
○副議長(田中萬逸君) 発言を許します。
    〔山村新治郎君登壇〕
#64
○山村新治郎君 先般平野農林大臣は、当議場におきまして、食糧問題は政爭の具に供したくないということを述べられたのでございます。この農林大臣の発言は、まことに重大なる意義をもつものと私は思わざるを得ないのでございます。今國民が飢饉のまつただ中に突入せんとするさ中において、だれが食糧問題を政爭の具に供せんとするがごとき愚かなる政治家があるでございましようか。私は、この意味から言いますならば、平野農林大臣のこの言葉は、明らかに全議員に対する侮辱の言葉であるととることができるとも思うのであります。だが、御安心ください。私は、あの平野さんの言葉というものは、食糧問題を憂うるあまりの平野さんの熱情のほとばしりであると解釈いたしたいのでございます。しこうしてまた平野さん自体が、食糧問題というものは、政治というものは、イデオロギーでは解決できないものであるということを良心的に告白せられたるところの声であると、私は思うのでございます。(拍手)この観点より見ますときに、平野さんはいろいろな議論を食糧問題の自由討議において聴かれておるようでございますが、たとい反対党の声なりといえども、おのれのイデオロギーにとらわれることなく、またおのが党の政策にこだわることなく、虚心坦懐、その食糧行政の上に具現すべきであろうと思うのでございます。かくしてこそ初めて名農林大臣平野力三氏の面目躍如たるものがあると信ずるものでございます。(拍手)
 さて、先般來当議場を通じまして、供出完遂後の主要食糧を自由販賣にせしむべきや否やにつきまして、さまざまの議論がなされたのでございます。この議論に対しまして、平野農林大臣は、供出完遂後の主要食糧といえども自由販賣はせぬということを、抽象的に言明されたのでございます。しかしながら、この供出完遂後の主要食糧をいかに高價に賣るかということが、農民の生産バランスを合わせる上において重要なる問題であることを忘れてはならないのでございます。
 今や、供出完遂後の主要食糧を自由販賣せしめよという声は、これは單にわが日本自由党の政策たるに止まらず、天下五百万農民の声なりと私は信じているものでございます。(拍手)しかるに、供出完遂後の主要食糧の自由販賣を反対される方々、すなわち社会主義計画経済を奉ぜられる方々は、これに対する猛烈なる反対を展開いたしておりますが、いろいろな議論を伺つてみまするとき、その反対の理由というものは、およそ三つに要約されることができるのであります。すなわちその第一点といたしましては、もしも供出完遂後の米を自由販賣にせしめたならば、値段が非常に高くなるだろうということを憂えるの声が第一点であります。第二点は、もしも供出完遂後の米を自由販賣にせしめたならば、金持は、食えるが、貧乏人は食えなくなるだろうという心配が第二点でございます。第三点といたしましては、供出完遂後の主要食糧を自由販賣せしめたならば、あらゆる物價体系を崩すであろうということが、その憂えるところの第三点なのでございます。その他の反対論拠もございますけれども、いずれも雲散霧消すべきところの愚論なりと言わざるを得ないのでございます。
 ここに靜かにこの三問題を俎上にあげますときに、まず第一の、供出完遂後の主要食糧を自由販賣した場合において値段が高くなるだろうという心配についての問題でございまするが、現在消費者の大部分は、特に北海道においては、数十日、東京においては二十数日の遅配、欠配に悩んでいるのでありまして、供出完遂後の米ではないかもしれませんが、この農家の一部から流してもらつた主要食糧によつて、辛うじて生きているのが現在の姿でございます。しかも、その値段というものは、かりに農村において一升百円といたしますならば、都会にもちこむときには一升二百円というような高價な値段で取引されているのでございます。すなわち、この高い値段の含む意味は、あらゆる危険がこの値段の間に含まれているということを知らなければなりません。あるいは、あの混み合う殺人列車に乗る苦しみ、またいろいろな官憲からにらまれて、ときによつては、そのせつかく苦労して買つてきた食糧を取上げられるところの危險、またときには何年かの懲役を食わなければならぬ危險、あらゆる危險の負担が今のやみ相場の値段に含まれているということをわれわれは知らなければならないのでございます。從いまして、もしも正規な市場を通じての自由販賣がもたらされましたならば、必ず現在取引されていますところのやみ値段よりはるかに低い値段の取引がなされるということを、私は断言してはばからないものでございます。(拍手)
 次に、富める者は食べられ、富まない者、貧しい者は食べられないといふ議論が、人道主義の上からいいまして非常にもつともらしく聞こえますが現在東京におきまして、あるいはまた北海道におきまして、この数十日、二十数日の遅配、欠配のまつただ中において、はたして金持だけが生きておつて、貧しい者が死んだというような実例があるでありましようか。また金を持つて買い得る者だけがたらふく食つて、貧しい者がほんとうに空腹を嘆いたというような現実の例は乏しいと思います。明らかに貧しい者富める者を問わず、この遅配、欠配下においては、このやみの米、やみの芋を食つて生きなければ生きられなかつたというのが僞らざる事実だろうと思います。すなわち、この高いやみ値段をもつてすら、富める者も貧しい者もその食を断たずして進んだことを思いますとき、第一項において申し上げたように、はるかに安い値段でもし入手できるとすれば、この主要食糧を自由販賣にすることについて、貧しい者のみ飢えて、富める者のみ飽食するという議論は当らざるものと、言わざるを得ないのでございます。(「さういうことができるか」と呼ぶ者あり)またただいま、やじ諸君の中から、そういうことはできないということを言われた方がございまするが、ただいまのやみ値段よりもはるか安い値段において、もしも正規な自由市場において買いたいならば買い得るということを知らないような方は、いまさら経済を論ずる資格なしと私は断ぜざるを得ないのでございます。(拍手)
 第三点といたしまして、あらゆる物價の物價体系を破壊するという論も一応もつともに聞えるのでございます。だがしかし、先般経済白書におきまして政府が発表せられましたごとく、政府出身が明らかに國民のやみ生活というものを認めておるではありませんか。しかし第一項において申しましたるごとく、やみ値段よりもはるかに安い値段において入手ができるといたしましたならば、私は、この値段によるところの物價体系の破壊ということは、何ら顧慮するにあたらないものと、あえて断言せざるを得ないのでございます。これに反するに、生産農民の氣持を察知いたしますならば、供出完遂後の自由販賣を是なりといたしましたならば、農民の供出意欲はますます旺盛となりまして、政府が、ふえやたいこでもつて農民をおだてなくても、農民の方から喜んで供出を完遂してくると私は信ずるものでございます。なおまた、これに伴う生産意欲はますます旺盛となりまして、來るべき麦の作付にいたしましても、あるいはまた現在の草取りにいたしましても、必ず旺盛なるところの、活発なる生産意欲が、この日本の食糧問題を解決して余りあると私は信ずるものでございます。しかも、消費者の方々におかれましても、あのこみ合う殺人的なる列車に乘つて、命がけで、頭を下げて、遠くまで行つて買出しをしなくても、正しいルートにおいて、正しい市場を通して、正々堂々と、しかも法を犯さずして入手することができることを思うときに、生産者のためにもなり、また消費者のためにもなるところのこの供出完遂後の自由販賣が、一体いかなる理由によつて反対なのか、私はその理解に苦しんだのでございます。漠然といたしまして、農林大臣は反対を唱えられておりますが、希わくばこの壇上を通じて、具体的にこれとこれとこれの理由によつて、この論拠によつて、供出完遂後の自由販賣はできないということを、全國五百万農民に私は告げてもらいたいということを切望してやまないものでございます。(拍手)
 さてかくのごとくいたしまして、かりに生産者の生産費のバランスを合わせ、またその生産意欲の高揚を期する場合におきまして、なおかつ忘れてならないことがあると思うのであります。それは、農民に生産意欲を高揚させ、また供出意欲を旺盛ならしむるために、單なる物質的の迎合をもつて、物質的の煽動をもつて農民に臨むことは、農民を理解せざるもはなはだしきものなりと私は言わざるを得ないのでございます。特に最近、あるいは約束しても実行せられざるところの報獎物資、あるいはまた小包米等の愚弄をもつて農民に対することは、明らかに農村の実情を知らざる者の行いなりと私は断ぜざるを得ないのでございます。ここに農民諸君のほんとうの生産意欲を向上せしめんがためには、單に物資に止まらず、その精神的幸福をも私は希わなければならないと思うのでございます。この観点より、私はほんとうに働いて、ほんとうに供出して、人に先だつて供出し、なおまた、たくさんの余分の供出をいたしたような精農に対しましては、いわゆる精農賞ともいうべき國家賞を与えて、もつて農民のこの名誉を向上せしむべきであろうと思うのでございますが、これに対する農林当局の所見を伺うものでございます。
 さて、主要食糧の問題に止まらず、なお生鮮食糧の問題にいたしましても、先ほど主要食糧の問題について論じましたと同じことが言えるのでございまするが、奇怪なることには、政府におきましては、ここに計画遅配あるいは計画欠配とか申しまして、國民に言訳をいたしております。諸君、靜かに考えてください。計画遅配の次に来るものは何でしよう。それはすなわち計画的の死亡であるということを、われわれはおそるるものでございます。(拍手)かくのごとき單なる数字の羅列、單なる数字の遊戯、國民に対するところの耐乏生活の要求というものは、これは事務官の政治であるということを私は断じてはばからぬものでございます。明らかに政治というものは生きておる。しかも國民の要望というものは、あくまでも現在の官僚統制に対するところの反感に満ち満ちておるということを思いまするときに、今後の生鮮食糧品の販賣につきましては、統制のための統制でなく、イデオロギーにとらわれないで、たちどころに統制を撤廃してほしいと思うのでございまするが、これすなわち、先ほど冒頭において、平野農林大臣に、ほんとうにイデオロギーにとらわれないところの食糧行政をして欲しいと申しましたゆえんでございます。すなわち、國民をイデオロギーの試驗台とされては、國民自身がたまらないということを私は叫びまして、この壇上をおりる次第でございます。(拍手)
#65
○副議長(田中萬逸君) 赤松勇君、発言者を指名願います。
#66
○赤松勇君 次に社会党は、成重光眞君を指名いたします。
#67
○副議長(田中萬逸君) 発言を許します。
    〔成重光眞君登壇〕
#68
○成重光眞君 私はこの機会に、自由討議のあり方について一言述べまして、食糧問題に対する私の所見の一端を述べたいと思います。
 昨日來、こうして自由討議に列席いたしておりますが、私どもはその討議の末尾に、こうして意見を述べることになりました。昨日來出席されております方々は、昨日も今日もほとんど同一の顔ぶれの方々であります。しかも、述べられておる方は、野党といい、与党といい、眞劍に各自の意見を述べられているにかかわらず、はたしてこの姿、このあり方でいいてあろうかということを、私どもは良心的に考えてみたいのであります。従つて、私は議会運営委員会の方なり、また議会の重要な各位に対し、今後のこの自由討議のあり方について、再檢討をお願いしたいと思うのであります。(拍手)
 このままの姿で、かくのごとき自由討議をやりますことは、あまりに私どもは貴重なる時間を空費するかのごとき――過言かもしれませんが、感がいたすのであります。(「その通り」)またわれわれ議員は、はたしてこれで良心的に國民に対して相済むであろうかということも、考えてみなければならぬと思うのであります。それで、今後は自由討議をやりますには、この席でやりますといたしましても、自由討議に付せられる、その議題は、各党の意見をもう少し眞劍に討論いたしまして、多数によつてとりまとまりましたその意見は、いずれの政党政派から出た意見にせよ、それを取上げて、政府の政策としてこれをただちに実行に移すような方法をとるか、何かそのほか具体的な、もう少し有意義な自由討議のあり方について、お互いに研究をしなければならぬのではないかと考えておるのであります。(拍手)前もつてこの点を述べまして、特に私どもは愼重に考えまして、今後の自由討議に対してもう少し研究してみたいと考えておるものであります。
 私は、消費都市におきまする遅配の問題に対しまして、農林当局の意見を伺いたいのであります。それは、七大都市の遅配の状態を、七月十七日現在で見てみますと、東京が多いところで二十四日になつております。横浜二一・二、名古屋一四・三、大阪一四・七、京都一五・七、神戸八・七、北九州が三〇・七になつております。もつとも北海道は四十日に近いということになつておるのであります。しかしながら、去る二十三日、連合國より三十四万六千トンの放出輸入食糧をわれわれとしては確保することができたのでありますが、これによつてでもありますまいが、政府におきましては、この十一月においては、この遅配、欠配を解消するということを言われております。
 もちろん、十一月になりますれば、新しい米穀年度となり、すなわち新米の取入れによつて、これは当然解消できることは言をまたないと思いますが、しかしながら、再び來ます來年のこの端境期前における、すなわち來年の四、五、六、七月ごろにおけるところの計画なり、具体的な方策というものは、今から講じておかなければ、再び今日のごとき憂目を見ることを私は考えざるを得ないのであります。殊にこの点につきまして、國内において、三十日ないし二十数日間のごとき遅配・欠配を、しかもそれが昨年のこのごろと同樣な状態を繰返しております消費都市の國民に対しましては、まことにお氣の毒に考えている次第であります。農林当局におきましては、この三十四万六千トンの輸入食糧によりまして、ただちにこれらの長期にわたる消費都市の遅配、欠配を解消いたしてもらいたいと念願するものであります。
 次に私は、新物價体系による以前の遅配・欠配のいわゆる主食に対します價格は、この新物價体系による改正された價格でなくして、旧價格によつて、消費者に対し、この以前における遅配・欠配の配給をする御意思であるかどうかという点について、お伺いしておきたいのであります。願わくは、この新價格決定前における遅配・欠配は、当然旧價格によつて配給することが私は妥当であると考えるゆえに、特にその点に対しまして、農林当局におきましては考慮願いまして、この主食の遅配穴埋めに対する配給は旧價格によつてやつていただきたいことを念願いたしますとともに、これに対する所見を承りたいと思うのであります。
 次に、縣外回米の促進の件でありますが、國内におきまして、昨年來いろいろ縣外回米の点におきまして、非常な移入に対しますところの困難を生じまして、せつかく農林当局におきまして割当決定をしておきながら、いわゆる縣ブロツクの強化といいますか、そういう意味におきまして、この縣外回米の操作が遅れる。はなはだしきに至りましては、操作がならずして遅配・欠配に拍車をかけたという実例もあるのであります。かくのごとき点につきましては、政府の責任において、この縣外回米等の促進、並びに縣ブロツクの――殊に最近公選民主選挙による知事になりましたある縣のごときは、殊のほかこの縣ブロツクの点について、強化されるの憂いなきにしもあらずと考えておるのであります。この点につきまして、政府は政府の責任において、縣外回米の促進並びに縣ブロツク強化に対する緩和の方途を講じていただきたいと思うのであります。
 次に、せつかくこの三十四万六千トンの連合軍好意による輸入食糧が決定はいたしましたが、最近における事例に鑑みますと、この操作の点について遅れるために、農林当局におきましては、遅配・欠配の埋めもどし等の計画は、数字の上においてりつぱにできておりますけれども、この輸入食糧の陸揚げ、輸送操作等の点につきまして、非常なる狂いと遅延を生じますために、所によりましては、割当はもらつておつても、そのために非常なる遅配・欠配を増しておる実情があるのであります。しかも、この輸入食糧の操作の点につきまして、最も隘路となつております点は港湾の利用であります。この港湾は、殊に関門港のごときは、あれだけの立派な港でありましても、今日外國船に限つて、一般も入港することのできない現状になつておるのであります。それは申すまでもなく、未だ機雷があるという憂いがあることによつて、入港できない現状にありますので、すべて輸入食糧は長崎等に陸揚げされているような現状でありますために、これが陸揚げ、貨車による輸送操作等に、少からざるむだな日数を費しておること等を考えますときに、この好意に報いるために、また國民の要望にこたえるために、政府において早急これらの善処解決をしなければならぬと思うのであります。これが操作に対する当局の善処方を要望いたしますとともに、特にこの点をお願いしておきたいと思うのであります。
 次に、米麦主食以外のいわゆる米利用資源の活用に対する具体的な計画を立てておく必要があるのではないかと考えておるのであります。かくのごとき食糧不足を生じております関係でありますが、しかし、日本は古來主として米、麦、芋によつて、これをわが國の主食としておる点に、非常に伝統的な私どもとしてはむつかしいところがあると思います。しかし、東北その他の地方における未利用資源の活用によりまして、主食の補足をし、主食生活に対する改善を國家として考える必要があるのではないかと思うのであります。この未利用資源、代用食に対する具体的ないろいろな懸案もありますが、当局にいずれ進言いたしまして、御研究を願いたいと思つておるのであります。
 次に、これは地方問題にはなりますが、縁故米についてであります。私どもは、この縁故米が結果においてよかつたとか惡かつたとかということを論ずるのではありません。よかれかしと思うて政府においてやりました結果、それが好結果をもたらさなかつたのでありますけれども、しかし、消費者並びに労働者に対して地方的に与えました印象というものは、非常に好結果を得ておるのであります。
#69
○副議長(田中萬逸君) 成重君、時間です。
#70
○成重光眞君 この縁故米につきまして、北九州五市地方を特に縁故米指定地に編入方を願いたいのであります。
#71
○副議長(田中萬逸君) 坪川信三君、発言者を指名願います。
#72
○坪川信三君 民主党は、小松勇次君を指名いたします。
#73
○副議長(田中萬逸君) 発言を許します。
    〔小松勇次君登壇〕
#74
○小松勇次君 私は、食糧問題に関しまして、國内の自給対策と緊急対策と二つの面について申し述べまして、皆樣の御批判を賜りたいのであります。
 わが國は、敗戰によつて、從來の食糧源でありました朝鮮、台湾、満州、南方地域を失つたのに反しまして、國内の人口は、明治五年の約二倍余の七千三百余万に増加いたしておるのであります。しかるに、食糧問題の根本対策に対しまして、政府としてあまりにも冷淡であつたために、今日食糧事情も困窮しておることは、必然の結果だと私は存ずるのであります。
 しからば、いかにして國内自給対策を立つべきか。申すまでもなく、八千万の國民がわずか六百万町歩の耕地で生きていくためには、高度農業技術の導入、畜力、機械力と、あり余る人力を活用利用いたしまして、飛躍的大増産を企図せねばならぬのであります。限られた耕地によつて大増産を期するためには、先決問題として、肥料の増産、殊に硫安の増産によつて荒れ果てた土地の栄養失調を回復せねばならぬのでありまするが、なお燐酸カリの自給基礎をもたないわが國では、いきおい家畜の厩堆肥によつて燐酸カリの補給をはからねばならぬのであります。從つて、牛馬一頭で年三千貫の厩肥が得られるのでありまするから、反当り五百貫の厩肥を施用すれば足るといたしますれば、六百万町歩の耕地に対しましては、一千万頭の牛馬を飼育する必要があるのであります。ゆえに、今後わが國の食糧問題を考察する場合には、八千万人の食糧と、一千万頭の牛馬の飼料とをどう解決するかが、人畜両面にわたつて考えねばならぬ問題と思うのであります。
 われわれは、敗戰の冷嚴な事実によつて、相当長期にわたる耐乏生活を甘受せねばならぬのでありまするが、しかし現在の配給状態では、とうてい生きていくことができないのであります。私の言う適正配給量とは、一人一日平均米ニ合、精麦一合、芋類一日平均四十匁、蔬菜五十匁、鮮魚三十匁といたましたならば、十分とは言わなくとも、やみのない生活が営まれる量だと思うのであります。家畜に対しましては、一箇年大麦一石、もろこし八斗、大豆二斗の濃厚飼料のほかに、野草あるいはわら、食塩等が多少用意されれば足るのであります。從つて、この量を基準といたしまして、人口八千万人、一箇年の米五千八百四十万石、精麦二千九百二十万石――大麦に換算いたしまして四千五百万石になるのであります。芋類十一億六千八百万貫、蔬菜十四億五千十万貫、鮮魚八億七千二百万貫となるのであります。
 以上の数字は、麦の生産高を除けば、米にいたしましても、芋類にいたしましても、過去数年間の平均実績より見まして、いずれも可能の数字であるのであります。ただ問題は、麦の増産にあるのであります。精麦二千九百二十万石、大麦に換算して四千五百万石のほかに、みそ、醤油に約五百万石、家畜飼料に一千万石を要するとしますれば、合わせて麦六千万石の生産が必要に相なるのであります。すなわち、現在の約二倍半の生産増をはからねばならぬのであります。現在麦の作付面積二百四十万町歩といたしますれば、反当り二石五斗に相なるのであります。この生産目標によつて、麦の大増産運動を私は展開せねばならぬということを、常に主張しておるのであります。是が非でも、われわれは麦六千万石の増産を期して、そうしてこの麦六千万石の増産が、われわれ食糧問題のかぎであるということを考えねばならぬのであります。
 私が今申し上げましたところのこの生産目標の数字は、私ども靜岡縣の篤農家の努力によつて得たる、その実績の最低量を基準として私が推定したものでありまして、決して架空な数字ではないのであります。しかして、一千万頭の家畜の半分を乳牛といたしますれば、乳はもちろん、肉まで恵まれまして、文字通り平和な、豊かな新生日本の基礎が確立せられるのであつて、前途はまことに明るいのであります。
 この際特に当局に御注意を喚起いたしておきたいことは、從來民間篤農家、技術者に対しまして、農林省の技術者、あるいは地方の技術官に至るまで、とかくけちをつけて、容易にそれらの技術をとり入れないのであります。從つて、増産技術の普及に重大なる支障と相なつておるのであります。よろしく民間技術者の優れたるところはますますこれを助長して、足らざるところは相協力してこれを補い、双方の力を結集して食糧増産の解決に当るよう、官僚技術者のひねくれたる根情のたたき直しを切望してやまないのであります。
 さて、食糧危機をいかにして緩和するか、これは現実の問題であります。政府は、第一次食糧緊急対策といたしまして、縁故米制度を設け、完全に失敗したのであります。今日第二次緊急対策として、救護米制度を実施せらるるにあたりまして、前回の苦き体験より反省して、必ず政府の期待にこたえるものがあると自信しての対策であろうと存じまするが、しかし、この運動の衝に当らるるところの経済復興会議あるいは農業復興会議の機構制定につきまして、いささか私は不安にたえないものがあるのです。
 経済復興会議は、資本家も、労働組合も参加しておるのでありましよう。また農業復興会議には、全國中央農業会を初め、中央・地方の農業團体がその傘下にあるのでありましよう。けれども、これらの農業團体は、農業協同組合法案の実施を控えて、機構の変革に伴う動揺が一部にあるのであります。かかる運動を担当するに、組織力においても、政治力においても、実践力を有するや否や、すこぶる疑わしいのであります。中央の指令一本で下部組織まで浸透する有機的な活動内容の整備なくしては、末端組織の奮起活動は期し得られないのであります。もしそれ、これらの團体が会議々々で日を送るようなことがあつたならば、寸刻の猶余も与えられない食糧危機は、容赦なく國民を飢えに導く結果となりやすいのであります。現実を無視した國民運動は、あるべきはずがないのであります。農林大臣は、この点に対しまして、いささかの御懸念もないのであるか、また経済復興会議、農業復興会議は、必ず政府の期待するところの救護米目標三十万石の集荷達成を誓われたのであるかどうか、明快なる御説明を願いたいのであります。
 しからば、他に適切なる緊急対策があるか。私をして言わしむれば、これらの運動は、ひとり生産者だけでなく、國民全体の協力によつてこそ、初めてその目的が達成せらるるというその見地よりいたしまして、生産者たると消費者たるとを問わず、國民全部が、主食の手持量を申告登録制によりまして、救護米集荷の前提としてこの登録制を実施したらどうかと思うのであります。
 その私案の内容を申し上げますれば、ある一定限度を定めまして、その限度量以上を有する者に対しましては、その保有量を申告によつて登録せしめて、一定量以上を、食糧危機緩和のための還元米特別配給の形式をとつてはどうかと思うのであります。今まさに飢餓線上を彷徨せられる家庭を訪問調査いたしまして、これらの制度によつて集荷したところのその主食を配給する方法を私はとれと主張するのであります。もちろん申告を僞わる者もあるのでありましようけれども、隣り近所を通じまして、國民制裁の途もおのずからあるのであります。今日主食は、生産地たる農村にあるだけでなく、すでに都会に流れて、買いだめせる消費者側も相当あることは、見逃せない事実であります。食糧危機緩和のため、ひとり農村だけの犠牲でなく、全國民の協力によつてその目的を達するために、登録制をとらるる御意思があるかどうか、この点を承りたいのであります。
#75
○副議長(田中萬逸君) 時間です。
#76
○小松勇次君(続) 片山内閣は、組閣早々緊急対策八項目を声明せられまして……
#77
○副議長(田中萬逸君) 時間です。
#78
○小松勇次君(続) 第一に、國民生活の確保を誓われたのでありますが、今回突如料理飲食店の営業を停止いたしまして、一部國民の生活を脅かしながら、その失業救済の策を講ずる余裕もないほどに食糧事情は窮迫しておるのが現実でありますが、私の提唱するこの登録制度は、國民が納得してくださることと思ふのであります。
#79
○副議長(田中萬逸君) 時間です。
#80
○小松勇次君(続) 以上に対しまして、農林大臣の御説明を承りたいのであります。
#81
○副議長(田中萬逸君) 赤松勇君、発言者を指名願います。
#82
○赤松勇君 次に社会党は、井谷正吉君を指名いたします。
#83
○副議長(田中萬逸君) 発言を許します。
    〔井谷正吉君登壇〕
#84
○井谷正吉君 昨日來、食糧問題について各位の御意見が述べられたのでございますが、私は少し異なつた方面からこの問題を論じてみたいと思うのであります。
 およそ食糧問題の解決には、二つの観点があると思つております。第一は、今日ただいまの問題でありまするし、第二は、明日及び將來の問題であります。今遅配、欠配がやかましく論じられておりますのは、今日の問題でございます。供出制度の改革や肥料問題が論じられておるのは、これは明日の問題であります。ここに私の申し述べんといたしますのは、明日の食糧問題に関しましてではありまするが、しかしこれは、直接今日の問題に密接なつながりをもつておるのでございまして、ただいま本席にこれを提起いたしますゆえんであります。
 御承知のごとく農民は、戰時中から終戰後の今日に至るまで、食糧増産のためには、まつたく血みどろの奮闘を続けてまいりました。これは隠れない事実でございます。しかし、これはひとり農民そのものが懸命の努力を拂つただけでなくして、これには農業技術員という指導者が、農民とともに土にまみれ、額に汗して、不眠不休の指導協力をした、いわゆる農民とともに渾然一体をなして食糧増産に邁進した、涙ぐましい事実が伴つておるのでありまして、これを軽視しては相ならぬと考えるのでございます。彼らは、実に他の俸給生活者に比べまして劣惡なる待遇とその境遇に甘んじて、その華やかならざる地位と劇務に耐えまして、農民とともに奮闘努力してまいつたのであります。しかも將來におきましても、これら農業技術員の任務はますます重大でございまして、農村の科学化、高度生産の研究と指導には、彼らに期待するところが実に大なるものがあるのであります。
 由來農業技術員は、系統農会に所属しておりましたがために、農民の農業会に対する不信反感等によつて、これら技術員に対しても、部分的には好意をもつていない向きもあります。また中には好ましからざる者もあつたのでありますが、しかしこれは、農業会そのものの組織機構の上に欠陷があつたのでございまして、これあるがために、將來における農村再建のための農業技術員の必要性というものが相殺されるべきものではないと私は考えるのであります。彼らはますます研究勉学を怠らずして、日本農村の再建の上に、食糧増産の上に奮闘してもらわなければならないと思うのでございます。
 現在これら農村の技術者は、普通農事が二万五千名、養蚕が八千名、畜産が二千名合計約三万五千名となつておるのでありますが、その收入を見ますと、一箇月平均七百七十円にしかならないのでございます。でありますから、將來の日本再建に、農村の再興にあたつて必要な部面を担当するこの技術者が、生活に耐え得なくして、ようやく他に轉職をせんとする者が現われておるのでございます。これはまことに憂慮すべき傾向であると存ずるのであります。
 食糧の増産は、法規や罰則や、あるいは報奬や激励の言葉によつて成就するものではなくして、これには、必ずこれに附随しておるところの人の力、人の存在ということを忘れてはならないのであります。ゆえに私は、昨日來の食糧増産の皆樣の御意見の上に、この農村技術員の重要性を再認識していただきまして、彼らが喜んで、感激して、この祖國再興の重大機関である食糧増産に不惜身命の努力をいたしまするよう、その待遇の改善について御協賛を得たいと思うのであります。
 その具体案を申し上げるならば、私は、これら技術員の俸給を一人一箇月平均千六百円といたしたいのであります。かくいたしますると、一箇月年三万五千名分で六億七千二百万円と相なりまするが、これを國家財政の困難な今日、全部國家に御負担を願うようなことは考えておりません。地方町村、また新しくできる農村協同組合が独自の力をもちますので、これの半額すなわち三億三千六百万円の國庫補助をお願いしたいと思うのでありまするが、これに対しまして、平野農相はどのようなお考えをおもちでありましようか。平野農相は最も農村に理解があり、詳細かようなことは御承知であろうと存じまするがゆえに、どうかその理解ある御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。(「脱線々々」と呼ぶ者あり)これは話がそれておるようにお考えかも存じませんが、明日の食糧を論ずる上について最も緊要なことであると存ずるのであります。
 なお、これに附随した問題でございますが、農業技術員は、ただいま申し述べましたように、農村とともに泥土農業に勤務いたす、いわゆる土の行者であります。これが農村をこれから指導してまいりまする上に、今一番苦痛を訴えておりますのは、この勤務の遂行の上において自轉車がない。あるいはタイヤ、チユーブがない。地下たびがない。巻きやはんがない。この農村の指導員がくつをはいてまわるようなことはだめなので、これはぜひ、かようなものに対しましても特別な御考慮を願つて、特配をお願いしたいと思うのであります。これも、ただくださいとは申しません。政府のおきめになつたお値段で、今まで木炭の増産あるいは繊維の増産、そのほか一般用として特配が農村にあつたわけでありますが、これらの人たちに対しましても、特別なる御考慮をお願いしたい、かように存ずるのであります。(拍手)
#85
○副議長(田中萬逸君) 坪川信三君、発言者を御指名願います。
#86
○坪川信三君 民主党は、中村嘉壽君を指名いたします。
#87
○副議長(田中萬逸君) 発言を許します。
    〔中村嘉壽君登壇〕
#88
○中村嘉壽君 食糧問題を論ずるにあたりまして、われわれの同僚諸君がつぶさにその專門々々によつてお説きに相なりまして、私どもいささか学ぶところが多かつたと存じておりますが、食糧問題は、單に農業だけの問題ではなく、その他関連するところがすこぶる多いのであります。また食糧問題ということは、單なる農林大臣の仕事ではない。ひとり農林大臣を責め、鞭撻いたしましても、一向ほんとうの解決はつかないと私は信じます。昨年のごときは豊年であつたし、大分配給はまわつてこなければならぬにもかかわらず、まわつてこない。また現にいろいろなところにストツクが残つておるとか、あるいは芋が腐敗したとかいうことは、結局は運輸当局の働きも足らないということになる。さらに、そのほかにもいろいろな関連した点があるのであります。
 それには、労働者に一向責任を感じない人があるとかいうことがありますが、さらにこれを掘り下げて考えてみますと、日本の今日の人心が非常に險惡になつておる。責任を感せず、ただ労銀を高くしようということのみを考えて、もつと能率をあげようということを考えていない。当局もさような方面に力を盡していない。私はむしろ、海外の労働者が時間を短縮はするが、その時間をいかに能率的に働かせるかということを見学するために、労働階級の指導者たちが、少し外國にでも行つてごらんになるか、ないしは進駐軍のやつておる仕事を見学なさればよいと思うのであります。さらに、この食糧の問題につきましては、ただ國内の農業を盛んにするというだけではいけない。もつといろいろな方面に働くべきところがあるのではないかと思います。
 第一にわれわれが考えなければならぬことは、人口の問題である。人口が過剩であつて、領土が狭いということを考えなけれえばならぬ。昔から、一升ますに二升がはいらぬということはよく言われたことである。われわれの今日の行き詰まりは、その一升ますに二升を入れようというところにあるのであります。
 世界各國の情勢を統計的に見まするならば、一九三一年におきまして、日本は一平方キロについて百二十四人の人口をもつておつた。今はおそらく百五十人以上になつておりましよう。イギリスが百五十人であつた。イタリーが二十五人であり、ドイツが百三十四人であり、ベルジユームが二百四十五人、オランダが二百十一人あつたのでありますが、このうちに、たとえばイギリスのごとき、ベルジユームのごとき、オランダのごときは、植民地をたくさんもつておつたのでありますけれども、わが國とか、イタリーとか、ドイツとかいうようなところは、植民地をもたなかつた。ゆえにこれらの生活問題が困難になつてきておりますから、これが戰爭の一つの原因をなしたということも、われわれは考えなければならぬのであります。この重大なる問題を解決することなくして、食糧問題を根本的に解決することは、とうていむずかしいと私は存じます。
 しかるに、世界各國のうちで、統計をみてみますと、ソヴイエトは一キロ平方について七人であり、カナダとオーストラリアは一人ずつであり、合衆國は十四人であり、ブラジルは四人、アルゼンチンは三人、それから中華民國は三十九人ということになつております。世界の全面積を見ますと、三百三十億エーカーある。このうちの四割が耕作可能な面積でありますから、百三十億エーカーである。この百三十億エーカーを、今の二十一億人の世界人口に割つてみますと、一人前に六エーカーずつ耕すことができるはずであります。しかるに日本におきましては、一エーカーすなわち四反歩によつて、五人の人口を養つておるのである。これを解決することなしに、何事もすることができないと思うのであります。
 世界の平均から見ますと、三十分の一の領土をもつてして、われわれは養われておるのであります。この問題を解決するについては、三つの方法があると私は考えるのである。それは移植民を行うか、貿易を振興するか、産兒制限を行うかがそれであると私は思います。しかしながら、今移植民の問題を考えるということは、なかなか困難であります。わが國は、今占領治下にありまして、平和克復のときをまたなければ、とうてい世界にこれを提議することもできず、世界もまたこれを容認すないのでありますが、世界は、われわれを飢え死にもさせず、奴隷化もさせぬと誓つておりますから、われわれはその間に、世界各國がわれわれを喜んで迎えてくれるような機運をつくつていかなければならぬと思います。
 第二の方法、貿易ということは、これまた船舶を多量にもたなければならぬし、あるいは産業を盛んに興さなければならぬのでありますから、これも急を要する今の問題にちよつと間に合わない。産兒制度はどうかと申しますと、今日の思想には、ややそういうことに対してかぶれる人があるかもしれません。それもいい方法かもしれませんが、日本にしましても、あるいは世界各國の産兒制度に見ましても、産兒制度をせなくてもよろしい階級が産兒制限することに努めておつて、産兒の制限をせねばならぬ、すなわち貧困な階級は、一向産兒を制限することにならないのであります。かくのごとき、できないような相談のことに憂身をやつしておるようでは、今日の窮境を救済することはとうていできないと私は考えるのであります。
 そこで、食糧の確保をするといこうとについて私はお話をしたいと思いますが、今申し上げましたような恒久的の政策は後の問題といたしまして、今日の食糧をば確保するについて途がないかというと、私はほんとうに断行しさえすれば、できる途があると信じます。
 第一に農地の整理――よく外國の人人が日本の農地を見て言うことでありますが、もつと耕地を整理したならば、たとえばあのあぜを少くしたならば、おそらく一割二分くらいの土地が拡張されるのではないか、こういうことを言つております。專門家でありませんから、それがはたして可能であるかどうかは別問題といたしまして、これも他山の石としてわれわれも研究し、よかつたならば実行しなければならぬかと思います。
 その次に畜産の獎励――先ほど榊原君からお話がありましたが、彼等外國人がよくこういうことを言つております。日本はまだほんとうに行詰まつていないのである、あの原野を見よ、富士の裾野にしろ、その他いろいろな所を見ても、もしヨーロツパであつたならば、あすこにやぎがおるであろう。羊がおるであろう、牛がおるであろう、しかしながら、さようなものが飼われていないではないか、何とかこういう方向に力を盡すべきであるということを彼等は言つておりますが、これも私は実行していかなければならぬことではないかと思うのであります。やぎだけではない。あるいは兔を飼い、がちようを飼い、あひるを飼うというようなこともできると思うのであります。
 時間が少くなつてまいりましたから、はしよつて水産物に対することをお尋ね申し上げてみたいと思います。日本は米だけに依存をしておりますが、米だけに依存していくことを捨てて、ほかにもよらなければならぬ。戰前において、米だけ食うとするならば、一日に七合の米を必要としましたけれども、魚を六十匁づつ食うといたしましたならば、二合七勺あれば足りるのであります。この二合七勺の補給は何とかできるのではないかと思いますから、この方法を講じたい。それを実行するには、約三百万トンの魚をとればよいと思うのであります。
 この三百万トンの魚をとる方法は、一つの私には案があるのであります。たとえば南極における鯨の肉を、ノルウエーとかイギリスの人々は捨ててしまう。これを日本人にもつてくれば、牛肉の代りになります。適当な方法、具体的の案を私は持つておりますが、時間がありませんからこれを発表いたしませんが、これによつて彼等の捨てるものをもつてくるならば、年々極度四十万トンをとることは決して至難のわざではない。さらに北洋方面に赴きましては、今は行けませんが、しばらくすると必ずこの方面の漁業ができる。そこに底引網を用いて百万トンや百五十万トンをとつてくることは決して困難ではない。また南方の赤道の前後において、まぐろをとり、かつををとるということを考えたならば、これまた百万トン、百五十万トンをとることができるのでありますから、実行する努力と誠意さえあつたならば、三百万トンをもつてくることは決して至難のことではないと思うのであります。幸いにしてわが日本では……
#89
○副議長(田中萬逸君) 中村君、時間がまいりました。
#90
○中村嘉壽君 もう少し願います。わが日本では、今でも世界水産物の二三%の魚をとつておるのであります。世界各國で、これほどとつておる所はないのであります。しかるにわずか六・四%をとつておるイギリスにおいては、農業漁業省というものがあります。ノルウエーはわずか五・六%しかとつていないにもかかわらず、ここにも水産省がある。カナダは三・三%しかないのに水産省がある。ニュー・フアウンドランドは、一・二%しかないのに水産省がある。なぜ日本がこういうことに注意を拂わないか。私は平野農林大臣に、水産省をおつくりになるお考えがあるか、ここに言明していただきたいのであります。(拍手)
    〔國務大臣平野力三君登壇〕
#91
○國務大臣(平野力三君) 山村新治郎君から、供出後の食糧については自由販賣になぜしないか、この点をはつきり答弁しろということでありました。この点に関しましては、すでに申し上げたのでありまするが、供出後の食糧を自由販賣にするということは、農民の生産意欲を増す点において利益があるという点は十分認めておるのであります。しかし、無條件で自由販賣にするということは、その自由食糧を買える人はよいが、買えない人は困る、消費階級の不便があるので、このことに直ちに同意するわけにはまいらないのであります。結論といたしましては、供出終了後の農家の米のついては、國がこれを高く買う、こういうような方法をもつていきたい。現在立案中であるので、さよう御了承を願いたいと思います。
 次に成重君から、遅配問題に論及をせられまして、現在の遅配問題の状況をお述べになりました。この際一言申し上げますると、現在遅配の全國平均は大体十六日に及びました。しかし、今回司令部より放出せられました八月分までの食糧を完全に配給いたしまするならば、十五日分あるのであります。從つて、この食糧が完全に消費者に届きますならば、一應ここに遅配は解消するのであります。ただ問題といたしますのは、一遍に放出を願つたのでありまするが、これを加工し、しかして配給する十大消費都市には、小麦を粉にする設備がないので、一旦地方へ麦を持ち帰つて、そこで粉にしてまた消費地まで運ぶ、こういう不便があるために、実際現在相当数量もつておりながら遅配のあるということは、まことに遺憾に思います。ここにおいて玄麦配給制度をとつて、たとえば玄麦を受取つても、自家用としてこれを粉にする設備のある所、あるいは米と混ぜて玄麦でも食うことのできるような所には、なるべく玄麦配給を実行することによつて、現在の遅配を速やかに解消いたしたいと考えておるのであります。なお、未利用資源の問題その他に関しましては、われわれといたしましては、十分考慮を拂つておるのであります。
 次に小松君から、るる数字をあげられまして御説明がありましたが、この数字のいろいろの御研究に関しましては、敬意を表します。次に、経済復興会議及び農業復興会議に一任したことについての御議論がありましたが、これは大体において経済復興会議、農業復興階議は民間團体といたしまして相当の團体であります。官民一体となつて食糧の危機を突破する場合におきましては、政府といたしましては、大胆にこれらの團体に相当協力を求めますことこそ、食糧危機突破の方針であると考えていたのでありますから、この点御了承を願いたいと思います。特に米一俵硫安一俵、米一俵銘仙一反、米一升塩一キロ、こういうようないわゆる物交の換算率をもつておりますから、このことに関しまして、ある程度の実績があがるものと考えているのであります。登録制の問題に関しましては、いろいろ研究をいたしたいと思います。
 次に井谷君から、農業技術員の問題に関して農林大臣はいかように考えておるかという御質問でありましたが、私といたしましては、農業技術員が、今日一般人の氣のつかない、きわめて困難なる所において苦労いたしておりますることは、十分承知をいたしておるのでありますから、農業生産調整法が今議会を通過いたしましたならば、この予算に盛つてありますところの約三億円の予算は、これら農業生産調整法の運用にあたつて、農業技術員の待遇改善には相当用いられると考えておるので、御了承願いたいと思います。なお、地下たびであるとか、きやはんというような農業資材については、農林大臣は考慮せよというお話でありまするが、私も、これらの問題につきましては、野におる時分から十分檢討を加えておつたのでありますから、万遺憾なく善処いたしたいと考えておるのであります。
 最後に中村君の御質問でありまして、世界の人口と世界の耕地をおあげになりまして、一人六エーカーという数字になるが、日本は一反五人である、日本の農業は問題にならないという御指摘でありまするが、もとよりかような数字から説明せられるならば、日本の農業は相当に耕地が少いのであります。しかし私は、御指摘になりましたこの数字だけをもつて日本の農業を律するということは、これは早計に失すると存じます。私どもといたしましては、なお未開墾地百五十万町歩の開墾を断行し、將來におきましては多角経営、有畜農業を実行することによつて、日本の農業を少くともデンマーク農業の水準くらいまでにはもつていきたいという抱負をもつているので、御了承願いたいと存じます。
 最後に、三百万トン漁獲方法に関して、時間がないから説明できないと仰せられたのは、残念に思います。ぜひとも近い將來におきまして、三百万トン漁獲方法について、具体的に中村氏より承りたいと存じます。
 最後に、水産廳設置の問題でありまするが、私といたしましては、ぜひこの水産廳というものは実行したい。(拍手)かような見地のもとに、現在衆議院におきまするところの水産委員会、及び参議院におきまするところの水産委員会の諸君と協力いたしまして、この成案を得ましたならば、閣議にこれをもち出しまして、断行する決心であります。以上答弁します。(拍手)
#92
○副議長(田中萬逸君) これにて自由討議は終了いたしました。
 次会の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
    午後五時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト