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1953/06/02 第16回国会 参議院 参議院会議録情報 第016回国会 中共地域からの帰還者援護に関する特別委員会 第3号
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1953/06/02 第16回国会 参議院

参議院会議録情報 第016回国会 中共地域からの帰還者援護に関する特別委員会 第3号

#1
第016回国会 中共地域からの帰還者援護に関する特別委員会 第3号
昭和二十八年六月二日(火曜日)
   午前十時二十一分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     常岡 一郎君
   理事
           西岡 ハル君
           飯島連次郎君
           山下 義信君
           千田  正君
   委員
           大谷 瑩潤君
           榊原  亨君
           横山 フク君
           林   了君
           竹中 勝男君
           藤原 道子君
           曾祢  益君
           紅露 みつ君
  政府委員
   外務省アジア局
   長       倭島 英二君
  説明員
   外務省アジア局
   第五課長    鶴見 清彦君
   外務事務官
   (アジア局第五
   課勤務)    淺田 泰三君
   引揚援護庁援護
   局引揚課長   木村 又雄君
  参考人
   日本赤十字社社
   長       島津 忠承君
   日本赤十字社外
   事部長     工藤 忠夫君
   東京華僑総会副
   会長     チンコウオウ君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○華僑の中共地区送還問題に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(常岡一郎君) 只今より委員会を開会いたします。
 先ず引揚情況に関する件を議題といたしますが、華僑の中共地区送還問題をこれより調査することにいたしたいと存じます。この問題は外務委員会の所管事項でございまして、外務委員会におきましても調査することとなつておりますが、帰還事務にも関係がありますので、と申しますのは、非常に待望久しかつたこの帰還問題が第三次の帰還まで行われまして非常に国民は感激を以て感謝いたしております。ところが第四次の帰還が未だ予定通り参りませんで、非常に疑心暗鬼を持つ者も多く、留守家族の身になりますというと焦躁不安に駆られているようでございますので、従つてこの問題は本委員会にも関係が深いわけでございますから、一応調査することに去る三十日の委員会で決定いたしたわけでございます。
 ここに参考人といたしまして日本赤十字社の社長島津忠承君、同外事部長工藤忠夫君及び東京華僑の総会の副会長チンコウオウ君の御三方に御出席をお願いいたした次第でございます。参考人のかたに対しまして一言御挨拶申上げます。
 公私とも非常にお忙しい時間をおさき頂きまして参考人としての御出席を頂きましたことは誠に感謝に堪えません。厚く御礼を申上げます。
 では、先ず島津忠承君及び工藤忠夫君から順次本件につきまして中国紅十字総会との交渉のいきさつ及び現在までの経過につきまして御説明をお願い申上げたいと存じます。どうぞ。
#3
○参考人(島津忠承君) 私から、在華同胞帰国打合代表団が北京に参りましてあちらで交渉いたしておりますうちに、この在日華僑の帰国問題につきましての話合いの点につきまして御報告申し上げたいと存じます。
 在華同胞帰国打合代表団が去る二月に北京におきまして中国紅十字会側と日本人帰国に関しまして協議をいたしまして、協議中に三月五日の第四回の正式会談に際しまして、中国側の代表団長であります廖承志から日本には万を超える華僑がいる。その中の少なからざる人々が帰国を希望している。日本側三団体、特に日本赤十字社が中心となつてこの実現に努力されたいとの申入れがございました。私はこの申入れに対しまして、日本に帰国後関係方面と相談した上、できるだけ尽力する旨を答えたのでございまして、外務省におきましては、在日華僑の帰国につきまして、三月二十七日に三団体国内連絡事務局を通じまして、代表団に中国留学生等の帰国に関して中国側の了解を得て欲しいとの意見を表明されたのでございます。在華同胞の帰国がいよいよ開始されますに際しまして、外務省は台湾政府に邦人の帰還船の安全保障を求めましたところ、同政府は往航に乗客も何も乗せないことを条件として右の安全保障を与えたのだそうでございます。日本赤十字といたしましては、帰国後直ちに外務省に、先ほど申上げました中国側の希望を伝えまして、その実現方につきまして政府の努力を懇請いたした次第であります。その後在華同胞の帰国は着々と進捗いたしまして、予定のほぼ半数が三回に分けて帰国をいたしましたが、この間に在日華僑の問題については台湾政府の意向が障碍となりまして、なかなか進捗を見なかつたことを非常に遺憾に存じます。四月二十五日に中国紅十字会から私及び工藤外事部長宛に、在日華僑帰国の問題はどうなつているか。経費上の問題があるのならば、中国紅十字会において負担する用意があるとの電報を受取つたのでございます。この頃日本赤十字社は東京華僑総会との間に帰国希望華僑の名簿作成中でございましたので、日本赤十字より中国紅十字会に対しまして、二十七日に帰国希望者につき調査中であり、その結果の判明を待つて具対化する旨を返電いたしたのでございます。然るにこの国民政府の安全保障問題が容易に解決を見ませんうちに、五月十九日に中国紅十字会から三団体宛に電報が参りまして、華僑はいつ帰国できるか。現在帰国希望者は何名であるか。第四次日本人帰国船に乗船できるのか。これに対する回答を待つて、第四次配船に関する指示をする旨の相当強い電報が参つたのであります。三団体は、五月二十日に輸送期日の未決定を残念とするが、なお努力を継続中である旨を返電をいたしました。この間外務省と連絡をとつておりましたが、台湾政府には安全不保障撤回の意見が見えませんので、別に赤十字船とも言うべき船によつて輸送する案を急いでおる旨を、重ねて五月二十七日に中国紅十字会宛電報をして了解を求めておる次第であります。在華邦人の一人でも一日でも早く日本に迎えたいことは、これは人道上の立場から申しましても又我々北京に参りました代表団の者といたしましても、この邦人帰国問題に全力を注がなければならないと存じますので、これを促進するために在日華僑の帰国が一日も早く実行されることを熱望している次第でございます。
 以上簡単でございますが、一通りの御説明を申上げた次第であります。
#4
○委員長(常岡一郎君) 工藤忠夫君。
#5
○参考人(工藤忠夫君) 只今本社の社長が申述べました通りで経過は大体尽されて、ると思うのでありますが、我我が北京におきましてこの在日華僑を中国に送る援助をいたしますことを約しましたにつきましても、この問題の実際の責任者は政府でありまして、我我はそれを援助して支障なく帰国できるということにするのが私たちの義務だと思つております。華僑の帰国の問題は、船で送らなければどうしても実現しないのでありまして、この船の運航について、政府がいろいろの準備を整えて下さつて、我々はその準備を実際上援助する、こういう心組みで政府と絶えず連絡をとりまして、いろいろの具体的問題を話しておつた次第でございます。ところが先ほど社長が申しました通り、船舶の往航の際における安全保障に関連いたしまして、国民政府との了解が十分行かないというようなことから、この問題が伸び伸びになりまして、従つて我々の中国紅十字会に対する満足な回答がどうしても出せない。こういうようなことから中国紅十字会におきましても、先ほど申しましたような回答が来たのだと思つております。こういうわけで我々はこの上とも政府と密なる連絡をとりまして、何らかの方式で華僑を中国に送り還えすように実現いたしまして、これによつてまた一万五千もおりますところの在華同胞が早く帰国できるように今なお努力を続けている次第でございます。簡単ながら……。
#6
○委員長(常岡一郎君) 次にチンコウオウ君。
#7
○参考人(チンコウオウ君) 在日華僑の帰国について、日本の国会が私たち華僑から直接意見を聞かれることについて、厚くお礼を申上げます。
 在日華僑が中国へ帰りたいと同じように、中国の各地に集まられている日本人の気持を思うとき、こういうことで帰国が遅れていることに対して誠に残念に思つております。今お手許に委員部を通じてお配り申上げました在日華僑の帰国に関する資料と、それから日本国内における中国人俘虜殉難者の遺骨の収集送還に関する資料をお配り申上げましたのですが、昨日委員会から通知を受けまして急いで作成したので不十分な点もあると思いますので、一応概略を御説明申上げたいと思います。
 先ず在日華僑の分布状態ですが、これは大体全国で約四万五千おりまして、この人たちは主として戦事中に満州国或いは汪精衛政権、内蒙政権から派遣されて来た日本政府の招請による留学生でありまして、そのほかに台湾からの留学生と徴用工が大部分を占めておるわけであります。特に四万五千のうち約七千人の中国人と結婚された日本婦人が含まれているのでありまして、これらの人たちは終戦後学生は殆んど学校を卒業して日本で就職することが殆んど不可能な状態になつて、非常に貧困な生活を続けて参つたのであります。特に徴用工の人たちは学歴或いは年齢ともに若く、終戦直後のマーケットで商売をしていたのでありますが、日本の社会情勢が落着くと共に、殆んど失業をしてしまつている状態であります。昨年我々が調査した資料によりますと、今全国で約七千名近い失業者、若しくは半失業者がいるような状態であります。これらの人たちは一九四九年中華人民共和国が成立してからは、いろいろな障害もありましたが、華僑総会の援助によつて約四百名帰つているような状態であります。これらの人たちは講和条約発効までは主として総司令部の帰国許可証によつて香港経由、若しくは天津直通で帰つていたのでありますが、昨年暮からは殆んど大陸直通の船がなく、今年の一月三十一日に英船が一回行つたきりで今日まで殆んど大陸行きの船が跡絶えているような状態であります。一方昨年暮から急激に華僑の失業者が殖えて来たので、これらの帰国について、昨年の暮外務省のアジア二課と種々懇談しまして、これらの華僑の帰国について便宜を計つて頂きたいことを申入れたわけであります。その当時は種々検討したのでありますが、大陸行の船でないと非常に都合が悪いので、まあそのまま延び延びになつていたような状態であります。今年の一月上旬打合代表団が北京に行かれるということを聞きまして、その上在華日本人を迎えに行く船が日本から出されるということを聞いたので、早速この往路の船便を利用しまして、華僑の送還をして頂きたいという申入れをしたのであります。当時アジア第二課では、自分のほうだけでは決定しかねるから、五課と相談の上で返事をしたいということだつたので、暫らくその様子を見ておりましたところ、二課と五課の協議の結果、どうせ空船で行くことだから、殆んど問題はないと思う。特に代表団が出発に際し、政府から在日華僑及び学生の帰国については原則的に賛成であるという確言を得ているのであります。この線に沿うて我々事務当局も処理して行きたいと思うというような返事を受けたのであります。続きまして、先に日赤の島津社長からお話がありましたように、二月二十七日に外務省アジア五課長が三団体の留守事務局を通じて在北京の代表団に対して、中国本土に帰国を希望する在日中国留学生等を帰還輸送船で帰国させることについての了解の返電を求めたわけであります。これによつていよいよ確実と見た華僑総会は、全国の帰国希望者に対して、速かに手続の完了と帰国の準備を行うように指示したのであります。と同時に、中華人民共和国の中央人民政府華僑事務委員会に対して、今度の在華日本人の帰国船に華僑を集団帰国させたいと、それに対する了解を求めたのでありますが、帰国代表団が日本へ帰つていらつしやるまでは、何ら返事を受けなかつたのであります。代表団が日本に帰つてからの話では、北京会談ですでに日赤の島津社長さんから援助方の返事があつたということを知りまして、早速貧困華僑の帰国についての具体的な対策を立てたわけであります。関西においてはこれより先、昨年から大阪府及び大阪警視庁の申入れによつて、大阪の華僑総会を中心として関西貧困華僑世話委員会を作つてあるわけであります。それから東京では早速関東地区の帰国者を集めまして在日華僑帰国委員会を組織いたしまして、その帰国の具体的な対策を立て、それを推進して参つたのでありますが、たまたま外務省から、実は三国に対して安全保障を求めたところ、国府から条件が付けられておるので、暫らく待つてもらいたい、爾後の交渉はいろんな点もあるから日赤を通じて交渉して頂きたいという申入れがありましたので、爾後は日赤を通じて交渉して参つたのであります。その間問題が進展しない一方、貧困華僑の生活状態が非常に極度に貧困し、このまま放置すると治安問題にまで発展する虞れがありましたのぐ、外務省並びに日赤、厚生省に対してこれらの処置についての協力方を申入れたのであります。
 現在の貧困華僑の状態を簡単に申上げますと、大阪の場合では、終戦直後華僑が買つた四畳のアパートに三人が海軍毛布一枚へくるまつて寝ているような状態でありまして、これは先日朝日ニュースが撮影しておられますので、ニュースで出るかと思いますが、こういうような状態で、一日も帰国が遅れることはこれらの華僑にとつて非常に重大な問題が起きる虞れがありますので、国会の御援助を得まして一口も早く帰国が実現されることをお願いたしたいと存じます。なおたびたび政府関係からも聞かれるのでありますが、現に国府の機関が日本にあり、台湾へ帰れるのに、なぜ在日華僑は台湾に帰らずに全部大陸へ帰るかという質問をたびたび受けるのであります。これに対して、この席上を借りてその理由を御説明申上げたいと存じます。先ず台湾の場合は、御承知の通り今非常に狭い島へ多くの人口を抱えておるので、今急に帰つても就職の見込が殆んど立たず、さりとて貧困のために帰つて行くのでありますから、勿論金は持つて帰るわけに行きませんので、台湾で事業活動をする見込も殆んど立たないわけであります。もう一つの理由は、中国人は戦争による災禍を一番受けているのであります。戦争に対する憎悪の念は非常に強いのであります。ところが台湾では大陸反攻のために今国家総動員法が布かれておりまして、四十五歳までは兵役に服さなくちやならんという規定になつておりまして、これらの若い在日華僑の青年が台湾へ帰ればいや応なしに兵隊にならざるを得ない、而もその目的が大陸反攻であるという点に非常に心を痛めておるような次第であります。もう一つは、国府においては在外華僑を受入れるための便法が殆んどないのであります。これらの在日華僑が台湾へ帰つても、政府の援助によつて生活の保障或いは就職の斡旋が行われる見込が殆んど立たないという理由であります。それから、一方大陸においては、人民政府のほうでは在日華僑の帰国について特別の便法が講ぜられておりまして、天津、北京、上海、広東、奏皇島等、各主要都市、港には華僑歓迎招待所というのがありまして、海外華僑がこつちへ帰つて来ますと、一応全部そこへ入りまして、就職がきまるまで国家の費用で生活が保障されるわけであります。職は勿論自分の経歴、学歴、希望によつて政府が責任を持つて斡旋するわけであります。こういうような状態でありますので、これらの在日貧困華僑が職を求めるために帰るのでありますから、従つて政治的な考慮よりも、現実的な生活問題から大陸のほうへ帰つて行くというのが実際の現状でありまして、とやかく政治的な問題を言われている次第ではありますが、そういうことは全然ないことをはつきり申上げたいと存じます。なお二十日の紅十字からの電報によりますと、東京華僑総会の報告によれば、帰国希望者が毎日殖えているという項目が入つておりますので、各方面では何か華僑総会が人民政府に対しておかしなことを言つたのではないかという疑問を抱いているし、我々もそういう質問を受けたことがありますので、御参考のためにこの資料の最後のほうに、人民政府から本華僑総会に送つて来た公文書を添付してありますので、これを読んで頂けばどういう内容のものであるかということがおわかりになると思います。
 今日問題はこれくらいでありますが、なお昨年外務省と帰国問題と一緒に接触してきた問題で、戦時中日本で労務に服せられていた俘虜或いは労務者の遺骨の送還問題であります。これは別に資料を添付してありますので、これを見て頂けばおわかりになると思いますが、ただ一つお願い申上げたいことは、今現に東京の浅草本願寺と棗寺に五百六十体の遺骨を収容してあります。なお横浜、牛込及び近日中に新潟、北海道からも遺骨が多数東京へ収集されて来るのでありますので、これらの遺骨を華僑の帰国と共に一日も早く中国へ送り届けたいと思うのでありますが、なおこれについても外務省の要望で一応人民政府の承諾を受けてくれという申入れがありましたので、これも手紙を資料に添付してありますので、これはあとで拝見して頂けばおわかりになると思います。以上であります。
#8
○委員長(常岡一郎君) 三君に対しまして御質疑がございますならば、どうぞ。
#9
○曾祢益君 ちよつとその前に、外務省のあれはどうしたのですか。主君に対しても御質問申上げたいのですが、併せて日本の責任者である外務省の係官に来てもらわないと非常に質問の順序等が工合が悪いのでございますが、どうなつておりますか。
#10
○委員長(常岡一郎君) 只今倭島アジア局長、鈴木第五課長は華僑問題につきまして省内でいろいろ会議があつておりますので、そのために代りに淺田事務官が来ておられます。
#11
○曾祢益君 速かに局長に来てもらうように更に私要求いたします。一応進行させますけれども、直ちに局長に出席してもらうように委員長からお取計らい願いたい。
#12
○委員長(常岡一郎君) はい。只今鈴木第五課長も出席されることになりました。今来ておられます。
#13
○曾祢益君 先ず島津さんにお伺いしたいのですが、北京におきまする話は、只今のあなたのお話ですと、向うの廖団長からお話が始まつた、日本の三団体のほうからこの話が持ち出されたのではないというふうに伺いましたが、その点はその通りであるかどうか。
#14
○参考人(島津忠承君) その通りでございます。
#15
○曾祢益君 それからもう一つ、只今のお話によりますると、三団体、特に日赤が中心となつて在日華僑の引揚、帰国の援助を努力してくれ、こういう話であつたそうですが、その際に、帰国について、いわゆる在中国の日本人の送還問題と関連させてその船を使うというようなはつきりした条件といいまするか、提案がなされておつたのかおらないのか、その点をはつきりして頂きたい。
#16
○参考人(島津忠承君) お答え申上げます。これははつきりした条件にはなつておりません。が併し、廖承志団長は、最後の会談のときに挨拶の中で申しまして、第一次の船にはむずかしいと思うけれども、第二次か或いはそれ以後の船で在日華僑を送還してもらえば非常に有難いという、そういう表現であつたのであります。
#17
○曾祢益君 そうすると、その申入れといいますか、希望をお受け取りになつた島津さんとしては、帰還船で送るということを原則として承認されたのかどうか。
#18
○参考人(島津忠承君) その帰国船によります送還につきましては、はつきり何も約束いたしておりません。在日、華僑の帰還問題そのことにつきまして、帰国の関係方面と十分協議をして努力をしたい、希望に副うように努力をしたいと、そういうふうに答えております。
#19
○曾祢益君 そうすると、まあくどいようですが、この点は要点ですからもう一遍確認したいのですが、廖団長のお話の中には、第一次船では間に合わないだろうけれども、第二次船からでも帰国船を利用して送つてもらいたいという御希望があつた。併しその希望はあなたとしてお聞きになつたけれども、あなたのこれに対する応答は、在日華僑を成るべくお送りすることの努力を約束したけれども、帰還船を利用するということについてはつきりした約束をされて来なかつたわけですね。
#20
○参考人(島津忠承君) その点についても、先方の希望に副うようにできるだけ努力をすると答えております。
#21
○曾祢益君 そういたしますと、できるだけ先方の希望、即ちその中には、第二次以後の帰還船で帰すということもできるだけ努力すると、こう約束されたわけですか。
#22
○参考人(島津忠承君) さようでございます。
#23
○曾祢益君 この問題は外務省の当局から伺うのが筋だと思うのですが、一体在日華僑の帰国の問題は、日本の同胞が中国に今まで抑留をされておつたとか、引揚という問題とこれは本質的に私は違うと思うのですね。これは勿論我々として、華僑でお困りになつたかたをお帰しになるのにできるだけの援助をするということには我々同意ですが、ただ状況が、一方は日本の同胞は帰りたくても帰れなかつたのであつたし、一方におきまして日本における華僑の本国送還は、本国に着いて台湾だ大陸だという問題は勿論あつたと思いますけれども、一般的に日本政府なり日本の国家の力によつて抑留しておつたというような意味とは全然違うと思うのですね。従つてそれらの点についての問題の違いということは、この問題を取上げる場合に、当然に当局としては考えておられるかどうか。この点を先ず外務省に伺いたいのですが、この事務を或る意味で外務省からも委任されておられ、而も日本の引揚問題について三団体の一人として交渉された日赤の島津さんとしては、その点をどう考えておられるか、伺いたいと思います。
#24
○参考人(島津忠承君) その点ははつきりした交換条件ではないと思つております。
#25
○曾祢益君 交換条件ではないということは、にならないということでありますか。性質が違うというふうに考えますか。
#26
○参考人(島津忠承君) 交換条件にならないと思います。
#27
○参考人(工藤忠夫君) この点について私からちよつと御参考に申上げておきますが、この問題は決して交換条件という種類のものではございません。私たちの北京に出発する前に、華僑総会を通じて、留学生のかたであるとか、或いは華僑一般のかたであるとか、しばしば連絡をとられまして、何とかこの引揚船が実現する場合には帰れるようにしてもらいたいというような熱烈な希望の表示があつたのであります。他方北京に参りましても、日本政府も華僑の立場に同情されまして、何とかして帰したい、その理由は如何にてもあれ、とにかく中国に帰したい、而も日本では生活困難の人が多いのである、こういう人の立場を救うために中国に帰したいというような意思もありまして、わざわざ電報でも聞いたくらいでありまして、日本赤十字社といたしましては、その日本に滞在しておつた理由が中国に滞在しておつた日本人の立場とは異なつてはおりますけれども、我々のような人道的な仕事をしております者から見ますれば、そういう詮索はする必要がないのでありまして、これらの人の不幸な状態が解決しさえすれば、それで我々の使命は終つているのであります。こういう立場から、先方の団長が日本にいる華僑を帰してもらいたいと言われた場合のこれらの人々の帰国に関する決定権は、日本赤十字社では持つておりませんけれども、引揚についての要望も聞いておりますし、政府筋、政府という字は入れませんでしたけれども、当局とよく相談しまして、御希望に副うようにできるだけ尽力いたします。引揚船で帰れるならばそれに越したことはないのでありますから、そうするように努力しますと、交換条件であるとか、相互条件であるとかという立場を承認したわけでも何でもないのでありまして、できるだけ努力いたします、こういう趣旨を御返答した次第でございます。御参考に申上げておきます。
#28
○曾祢益君 今、工藤外事部長の言われたことは、まさしく赤十字社の使命から言つて飽くまで人道的な問題として政府責任、国家の責任というようなこととは別に、成るべく援助したい、これは私たちもよくわかりますし、賛成です。ただ問題は、政府のほうがこの問題をどう考え、又国会としてはどう考えるかという場合に、一体両者の性質の相違ということは我々は明らかにした上に、その上に立つてできるだけの援助をする、こういうような建前で私は行くべきじやないかと思う。これがややもすれば晦冥になるというようなことは、問題の正確な取上げ方にならないと思うから私は申上げたのですが、この点について外務省の局長の意見をあとで聞きたいのですが、只今事務官が来ているそうですから、外務当局の見解を伺いたい。
#29
○説明員(淺田泰三君) アジア局の淺田と申します。局長が所用によりまして参れませんでしたので、私から御説明申上げたいと思います。私今参りまして、先刻からの経緯を聞いておりませんでしたが、華僑総会の陳さんからお話がありました通り、この問題につきましては、日本人の引揚が始まる当初から日赤を通じまして、或いは三団体を通じまして、かねてから在日華僑を邦人の引揚と同時に帰してもらいたいという希望を聞いておりました。そしてその際外務省としては一応邦人の帰還とは全然別個の問題として別途の考慮を申上げる、こういう回答を申上げておきました。その後北京におかれまして交渉中、政府側よりは三団体において、代表団のほうでかねて政府側に話のあつた華僑送還の問題についてはどうなつておるかというお問合せの電報を出したことはありました。併しその際、代表団のほうよりは何らの返電もなく、又代表団がお帰りになつた直後においてはこの問題は取上げられなかつたわけであります。その後次第に日赤のほうでは、特に日赤として廖団長からこの問題について尽力されたいという希望を受け、それに対して尽力を約束されて来られた経緯を承知いたしました。なおそれと同時に在日華僑の団体からは、又は華僑の人々からもしばしば陳情を受けて参つたわけであります。ところがこの問題につきましては、一応政府としては人道的な見地から、或いは国内の治安上の見地から申上げましても、こういうかたがたを早く希望に副うように、お帰りになるように希望して、望んでおるわけでありますが、一方引揚船でこのようなかたがたがお帰りになるというようなことにつきましては、引揚船の大陸諸港へ入港するにつき国連軍当局と共に国民政府のほうに安全の保障方申入れをいたしました。その際これはなおまだ代表団が北京におられた頃国府に申入れしたわけでありますが、その時の返事に、国府側は勿論邦人の帰還について異存はなく、引揚船の安全を保障するということに対して応諾はいたしました。併しながらその際条件として、国府側としてはこの引揚船の往路において如何なる貨物も、又如何なる旅客も搭載しないという了解をする。この了解を付けまして返事して来たわけであります。その意味は、旅客につきましてはかねがね新聞等で報道されておりました華僑の大陸帰還を指して、この問題については国府としては一応了解外であるという意味を持つたものでありました。そこでこの引揚船で帰国するにつきましては、一応国府側に対しましてこの条件を撤回するか、或いは何らかの了解を取付けなければ政府としてはこれを認めるというわけには参りません。爾来国民政府と二カ月交渉を続けて参りましたところ、最近に至りましてほぼ結論に達する段階に到達しております。近く何らかの、政府として態度がきまることかと思いますが、私から現在その点につきましてはつきりしたお答えができないというような次第でございます。大体以上の通り、現在におきましては、近く何らかの結論に達する、華僑が御希望するような結論に達するであろうと私は思つておりますが、その点現在においてもまだ発表し得ないという段階でございますから、御了承願いたいと思います。
#30
○委員長(常岡一郎君) 只今第五課長がお見えになりましたから……。
#31
○曾祢益君 それではあなたから私の質問のポイントに合つた返事をしてもらいたい。ちよつと課長に質問するのですがね、この在日華僑の帰国援助問題は、日本の同胞の中国からの引揚問題とは性質の異なつたものである。何となれば我が同胞は国家の力によつて抑留されておつた。それがいよいよ帰れることになつたのですが、一方在日華僑の問題は、そういうような国家の権力によつていわゆる帰国を阻止しておつたというようなことはなかつたと私は思う。もとよりこの帰国先の問題と言うと変ですけれども、大陸に行くのか、台湾に行くのかというような問題で、なかなか国際的に厄介な問題もあろうと思うが、少くとも日本政府として、日本国家として抑留しておつた問題じやない。従つて両者を関連して考えるべき、本来の責任上から言えばそういう問題はないと私は考えます。ただそのことは在日華僑がお困りならば、その人たちの希望によつていわゆる帰国をすることは通常の国際法上の責任の限界において成るべく人道的にお手伝いをするということは、これはもう何人も異存はない。併し両者の違いというものを明確にした上で行かないと私は間違えると思う。
 第二に、それに関連して、北京におけるいわゆる三団体の交渉の中に、帰国船というものでお帰しするということがはつきりした約束であつたかどうかという点を私は問題にしたい。それは明確な約束ではなかつたけれども、成るべく帰国船で帰れるように努力しようということが三団体の代表から述べられた。その二点に関する外務省の見解を求めているのです。
#32
○説明員(鶴見清彦君) 今の曾祢委員の御質問の第一点に対しましては、私どもも日本におられる華僑の方々で帰国を希望される方々の大陸への帰郷と、日本人で中国本土に残留しておりました人々の引揚といいますか、帰国の問題とは観念的にははつきり区別されるべきものだと考えております。
 第二の点につきましては、三団体の代表の方々が御帰国になつた節の報告によりますと、必ずしも今度の中国本土からの邦人引揚船自体で日本に残留せられる華僑の方々の大陸帰郷に協力する、或いは御援助申上げるというふうにはつきりしたお約束を取り交しておられたとは思つておりません。簡単でございますが……。
#33
○曾祢益君 いや、第二点はそうじやなくて、いわゆる帰国船によつて帰すということだけが、これはもう非常に便利であることは誰でも認めますが、それだけが方法ではなくて、元来ならばこれは理論的の問題として、中華人民共和国側から船を差廻すこともあり得るわけである。只今第三国船はなかなか封鎖があつて行かれないだろうという点においては皆安全保障の問題が要るということになろうと思う。併し理論的に言うならば、必ずしも日本仕立の日本の費用でお帰しするというのが唯一の解決方法ではない。純理的に見ればそういう点も十分に考えてそうしておられるのかどうか。従つてこの費用の問題は別としても、船はどつち側が出すかという問題、その場合に赤十字の船という恰好で特別に出すか、いろいろ方法があろうと思うのに、今日まで一体外務省はこういう問題について、大体今のお話を聞くと、少くとも国府側では一遍殆んど断わつたというような恰好になつておるが、往路の貨物や人間は載せちやいかんと了解すると言つておるのを今日まで放置しておつたやに思われるのは甚だ私は怠慢ではないか。他の方法もあり得るのだから、なぜそのすべての方法を研究して、そうして速かにこの問題を処理するようにやらないか、こういう見地から私は外務省の考え方を一つ伺いたい。
#34
○説明員(鶴見清彦君) その点でございますが、外務省の事務当局といたしましては、先ほども御説明申上げましたように、三団体の代表の方々が引揚船自体で在日華僑の方々の大陸帰郷を御援助するというはつきりした約束ではなかつた関係もありまして、例えば第三国の船或いは中華人民共和国自身が派遣せられることも考えたのでありますが、結局一番何といいますか、便宜的な方法としましては、在中国の同胞の引揚船を利用することが最も便宜でもあり、能率的でもあるという観点に立ちまして、中華民国政府のほうに先ほど乗付けられておりました無貨物無旅客の条件を緩和できないかどうかという点を先ず当つてみたわけです。
#35
○曾祢益君 まあ先方も希望されておるのだし、又これで行けば非常にスムースに行ける、非常に便宜だというのでそれを探究するのはいいのですが、こういうものを余り見込がなさそうな、まあこれはわかりませんけれども、そういうものを放置して、そうして台湾政府との交渉に荏苒日を送つておるきらいがあるために華僑の諸君も非常に困つておられるし、国会でもこれを取上げなければならんような政治問題に発展しておるわけです。そこで私はそういう意味で、一体これは委員長、実際課長では困るのですがね。少くとも局長か政務次官を呼んで、一つ委員会の権威にかけてもう少し聞かなければならないが、その権利は留保しておきますが、果してそういう見込が近くあるのか。それともそれとは別に先ほど島津さんのお話もあつたように、別に赤十字船という形による方法がよいか。とにかく手つ取り早く至急に解決することが目的なんで、大体交渉の経過から見ると、私は非常にまずかつたと思う。関連させてはいけないものを関連さしたような恰好に追い込まれ、荏苒と日を送つておる。実はこういうことが怠慢なんである。併しそれはそれとして最もスピーデイな解決をするためにあなた方が国民政府、即ち台湾政府との交渉で何とか妥結の途が近くあるのか。又それがどうかわからないならば、他の方法によるスピーディな解決について如何なる方法があるか。これを結論として伺いたい。
#36
○説明員(鶴見清彦君) その点に関しましては、引揚船そのものを利用いたしまして、在日華僑の大陸への帰還、大船帰郷を御援助するということは、国民政府との関係は未だにはつきり明確になりませんので、非常にむずかしいと存じますが、現在政府といいますか、外務省で検討しておるのでございますが、最終的な結論に達しておりませんが、例えば赤十字船というようなステイタスを与えれば、近々といいますか、相当近い将来のうちには、この問題を解決する具体的な途を発見することができるというふうに考えております。
#37
○曾祢益君 最後に一つ。その御答弁ではお答えになつていないのですから、局長以上の人に聞きたいと思いますが、もう一つ伺いたい点は、まあ台湾政府のほうの立場に立つてみると、先ほどの陳君からのお話に述べられたわけですが、つまり旧台湾籍の人が大陸のほうに行きたいというようなことについても、やはり相当政治的な問題があろうと思う。そういうことがからんで、安導権の問題よりもそういう点がからんでおつて問題がむずかしいというのか、その点は一体どういうふうに考えておられるのか。又外務省としては、そういつたような一種の国籍は中国にきまつておるが、政府籍の選択というようなことは自由で行くべきだという考えであるのか。それとも台湾政府との間における条約等の関係から、台湾政府の主張のほうに首をかしげるような気持でおるのかどうか。これは一つのポイントだから、明確なお答えを願いたい。
#38
○説明員(鶴見清彦君) 第一点のほうの安導権の問題と、もう一つの中華民国政府の政治的考慮という点でありますが、私どもの観測といたしましては、その両方がからまつておると存じております。
 それから第二点のほうの台湾籍の方方の大陸帰郷の問題につきましては、只今のところ日本政府といたしましては、台湾にある中華民国政府と平和条約が結ばれておる関係にも鑑みまして、台湾出身のかたの大陸帰郷については相当困難があるというふうに観測いたしております。
#39
○曾祢益君 いや、それでは答えにならないですよ。外務省としては旧台湾籍の人でも大陸に行く自由を妨げないというのか。それともそういう人が行かれるのについては台湾の要求が仮に絶対いかんということであつたら、それに従うという考えであるのか、それを聞いているのです。困難があることは私も知つている。どういうのが外務省の解釈なのかと言うのです。
#40
○説明員(鶴見清彦君) それに関しましては従来台湾籍のかたで現実に大陸方面へ自由な自費出国の形で帰られたかたもあると聞いておりますし、それに対して政府として明確に反対したことはないと私は存じております。
#41
○曾祢益君 従つて反対しないというのですか、政府としては。
#42
○説明員(鶴見清彦君) 今次の問題に関しましては私自身、或いは外務省としまして最終的に態度を未だ決定いたしておりません。
#43
○曾祢益君 あとで局長並びに政務次官から答弁を求めます。
#44
○山下義信君 島津社長に伺いますが、先ほどのお話で四月の二十五日ですか、紅十字会からの照会電報に対して御返事を出されて今日まで殆んど四十日近くまあ時日が経過しているわけであります。日赤とされては先方へ対して非常に何といいますかつらい立場に立たれただろうと思う。はつきりとした、しつかりとした返事を一日も早く出したいというふうに御苦心になつたろうと思うのでありますが、その辺について日赤としての努力をなさつた模様を若干承わりたいと思います。
#45
○参考人(島津忠承君) お答申上げます。
 先ほど来いろいろと御意見を拝聴いたしましたが、この中国よりの在華同胞の帰国船の往航を利用いたしまして在日華僑の帰還ができますことが一番便宜の上から申しましてもよろしいと存じておりまして、そのことができますようにいろいろ外務当局とも御協議を申上げて来ておりまして、で又その帰国船の往航を利用できますことになりますようにいろいろ努力をいたしたのでございますが、そのために非常に時日が遷延いたしまして、日本赤十字といたしましても誠にその点は遺憾に存じております。なお赤十字自体といたしまして、いわゆる赤十字船、これは条約に基きますような国際赤十字の赤十字船というようなものも一応考えまして、ジユネーヴの赤十字国際委員会のほうに連絡をとりまして、その方面も研究をいたしました。これに対して返電は参つておりますが、併しこれをとりますと、又非常にそれができますまでに時日がかかると思いますし、又只今日本政府と台湾政府の間におきまして安全保障の問題が進行しつつございますので、そうほうを待つていたような次第であります。
#46
○山下義信君 いろいろ御努力御心配下さつたのですが、こういうふうに時日が遷延したことが、日本側に誠意がないというような印象を先方中共側に与えだというようなお感じはありませんですか。
#47
○参考人(島津忠承君) 只今仰せの通りに甚だ遺憾でございますが、そういうような考え方を先方に与えたのではないかと存じております。
#48
○山下義信君 私は内輪のいきさつをここへ明るみに出して日本側に不利、というと語弊がありますが、一つの泥試合的なことをここで暴露しようという考え方はありませんから、そういう趣旨ではないのでありますが、事態は明白にしなくちやならんと思うのです。それで工藤外事部長にお伺いするのですが、先ほど部長のお話の中に、この問題は日本政府の責任だというお言葉があつたのです。ちよつとその意味が私にはとりかねたのでありますが、私どもが新聞その他を通じて仄聞する印象としては、日本政府がくずぐずしておつたために、今同僚曾祢君の指摘したように、日本政府がはつきりした肚を持つていないために問題をここにこじらさせたという印象を受けておるのでありますが、外事部長は今日まで外務省と御折衝をなさつたその経緯から見て、その辺の御感想を一つ率直に承わりたいと思います。
#49
○参考人(工藤忠夫君) 私が先ほどこの引揚問題、在日華僑の帰国問題に関する責任は、政府が全般的に負うべきものであるということを申しましたのは、これはむしろ法律的な立場から申したのでありまして、国民の福祉に関する大きな責任は政府として持つて頂かなくてはいけない。又政府が中心にならなければこれが動かない。我々は政府の補助機関として政府をできるだけ援助する、こういう立場から申上げたのでありまして、この遅延の責任が政府にあつて、我々にないという趣旨で申上げたのではございません。帰りまして翌日にこのアジア局の鈴木課長とも会いまして、在日華僑の帰国の問題について先方から希望があつて、特に日本赤十字社が頼まれたから何とか早くこれを実現するように努力して欲しい、殊に第一船はまあむずかしいが二船以後何とか帰してもらうようにしてもらいたいというような希望があつたのだから、どうしても一つやつてもらいたいということを口頭で申入れまして、その後再三、殆んど絶え間なく外務省のほうとは連絡をとつて行つている次第でございます。外務省のほうでもこの問題についてはかねて御苦心相成つておりまして、努力はしておられたものと思うのでありますが、何分にも相手のあることで思うように行かなかつたものだと思います。ただこの中国紅十字会との関係におきまして、我我も第二船以後何とかそう余り多い数でもないというように思いまして、二船がいけなければ三船ぐらいでとも思いまして、交渉をしておるのでありますが、これがどうも思うように行かない。それで中国紅十字会には第二船はどうもむずかしいという趣旨は、帰るなりたしか四月の初旬でありますが打つたと思います。ただ第二船もいけない。それから又第三船の始まる前後の四月の終り頃に、あなたにお願いしてお約束して下すつた在日華僑の帰国の問題はどうして遅延しているのであるか、未だに御返事がないのは何か経費の問題ででもいろいろ支障が起きておるのではないか、若しそういう場合であるならば遠慮なく言つてもらいたいというような極めて丁寧な催促があつたのであります。これにつきまして、我々は先ほど社長が申しました通り、いやそういう趣旨ではない、今華僑の帰国者のリストを作つておるような工合であるというような極めて簡単な返事を出したのでありますが、そうして他方外務省に交渉いたしますと共に、何とかして早目に具体的な回答をしたいと思つておりますうちに、心ならずもこういうように延びまして、そうして五月の十九日に至りまして、向うから正式に、会議の際にあなたがたは親切にこういうように約束して下さつた、それにもかかわらず、華僑の帰国について今なお正式な具体的な御回答がない、これは中国紅十字会としては甚だ遺憾に存ずるというような非常に強い用語がありました。第四次帰還般に一体乗せてもらえるのかどうか、何人帰れるのか、そういう一つ将来の見通しについて具体的な正式の回答を得た上で第四船の中国の港に来る日を指定いたしますというような、外交用語は極めて柔かいのであります。言葉は柔かいのでありますが、非常にきつい用語がありまして、この趣旨を我々は政府に伝えますと共に、早く何とかやつてもらいたいという趣旨を伝えまして、今なお努力を継続しているような工合でございます。
 それから山下委員からも先ほど御質問がありましたが、国民政府の旅客を乗せないという条件が両者の問題になりまして、これがなかなか解決しないというわけで、我々は赤十字の団体を利用いたしまして、ジュネーヴの赤十字社連盟と国際委員会とに対しまして、国民政府との関係においてこういうものが条件になつておる、国際赤十字として国民政府を説得して何とかこの条件を撤回してもらうようにしてもらえないかという趣旨を五月六日にお願いしたのであります。赤十字国際委員会におきましては、恐らく日本側の意向をそのまま取次いで国民政府を圧迫するような結果になるのは赤十字としては好ましくないと思つたのでございましよう。ジユネーヴ条約第四条約の二十六条に、離散家族の再会合に関する規定がございます。この条約を援用いたしまして、こういう立場で引揚船の航行に国際委員会の人が乗つて、これをコンヴオイと言つておりますが、赤十字船としてジュネーヴ条約第二十六条の趣旨による離散家族の再会というような趣旨でやつたらどうか、若し日本の当局において異議なければ関係政府と接触して実現に努力いたしますというような示唆もあつたのであります。ところがこの問題は、先ほど社長も一言いたしました通り、国際委員会と中国紅十字会との関係は断絶状況でありまして、中国紅十字会は昨年のカナダのトロントの会議で、国際委員会からの連絡は以後断絶と、如何なる接触あつてもこれを受付けないというような声明をしております。これは細菌戦問題に関連したのでありますが、こういうような関係から、なかなか困難であろうと思いますが、とにかく一応政府に趣旨を伝達いたしまして御考慮をお願いしておるような次第でございます。
 なお曾祢委員から引揚の問題について、中国から帰る者と日本からあちらに帰る中国人との経緯が違うというような趣旨は、誠に御尤もと思うのでありますが、昨年トロントで中国紅十字会の会長の李徳全女史に会いまして、在華同胞の帰国の問題について話をいたしましたところ、我々は日本人を決して抑留なんかしていない、日本人が中国に残つておるのは彼らの完全なる自由意思に基くものである。彼らが帰ると帰らないとは全然彼らの自由であつて、我々の関知するところではないというような意思表示があつたのでありまして、その思想がやはり今度の帰国問題にも現われておりまして、帰国を希望する日本人を帰すというような趣旨が最後まで徹底的に言われたのであります。日本人という前には必ず帰国を希望する日本人ということがすべての条項に語われておりました。先方の考え方について御参考までに申上げておきます。
#50
○山下義信君 日赤側の御努力はよくわかつたのですが、私が伺つたのは、外事部長がその日赤側の努力をして下される外務省との折衝の上において、日本政府の誠意という点にどういうところを見出されたかということが聞きたかつたのです。北京電報は周知のごとくに、日本政府を非難して日本側の無誠意振りを痛撃しておる。或る意味においては、故意に日本政府が何か意図するところがあつてこの問題をこういうふうに遷延させこじらかさすということまで言つておる。従つてこの際我がかたとしては、当然このことを約束して帰られた日赤側としても、その誠意振りを示される努力は当然でありますが、その日本側の無誠意ということについては、先ほどこの二つの問題が本質的に違うということは曾祢委員が指摘されたのですが、その性格の違つたこの二個の問題が誠意ということによつて必然的に関連を持たされておるということは事実なんです。そういう事態に至らしめたということについての責任がどこにあるか。従つてこの際日本側の誠意ということについては、北京電報に対しての反証を挙げるか、反駁をするかということは、当然日本政府としても私は必要であろうと思う。それで今は日赤側に、このことを直接交渉なすつたあなたのほうに承わつたのでありますが、あとでこれは政府のほうも誠意を持つてやつたならどういうふうに誠意を持つてやつたかという、その誠意振りを表明する必要が私はあると思う。それをこの際おつしやるお考えがあればあとでおつしやつて頂きたい。
 それで私が伺いたいと思うのは、これは先ほど島津社長は、五月二十七日にその段階における状況の電報を打たれたというのですが、最近、昨日か若しくは今日に先方へ電報をお打ちになつたことがございますか。
#51
○参考人(島津忠承君) ございません。
#52
○山下義信君 外事部長何か……。
#53
○参考人(工藤忠夫君) 成るべく早く確定的な決定がありまして、早く先方に具体的な回答をしなければ、中国紅十字会のほうからどういうような又態度を示されるか、その点について不安を持つておりますので、赤十字社といたしましては成るべく早く、実行のほうはともかく、早いことを希望するのでありますが、多少延びるといたしましても、一つ具体案の作成が早くできることを衷心から望んでおります。これによつて中国紅十字会と連絡をいたしまして第四船ができるだけ早く出発して、中国の港に待つております五千人の日本人が早く帰れるようになることを心から希望しておる次第でございます。
#54
○山下義信君 私どもも、この特別委員会もやはりその点心配している。ぐずぐずしているとどういうことが先方から又言うて来んとも限らんということを憂慮する。そこでお尋ねするのは、今朝の新聞によりますと、昨日外務省で関係者が集まつて、新聞の報道は非常に朗報で何かものがきまつたようで、今課長は極めて近い将来に問題が解決するということを言われたのでありますが、まだ少し言い方がぼんやりなんですが、あなたは昨日の会議に御列席なすつてどういうことがきまつたか、この問題の結論が出ましたか、どうですか、その点を一つお話を願いたいと思います。
#55
○参考人(工藤忠夫君) これは外務省の主宰でありました事項でありまして、私がその事項を申上げるのもどうかと思いますが、外務省のほうでも熱心に研究されておりまして、何とか早くやりたいというような具体的な考えも表示されたのであります。併しこれは単なる事務的な折衝でありまして、今詳しいことは御報告できないのは残念でございますが、政府のほうから何とか御回答があると思います。
#56
○山下義信君 国民が注視している問題が而も国会で御発表かできないといしうことは私どもとしては甚だ遺憾とするのでありますが、昨日の会合でどういうことをおきめになりましたか、課長のほうから、外務省のほうから御説明を願いたいと思います。
#57
○説明員(鶴見清彦君) この問題につきましては先ほど山下議員から北京放送の点に言及されまして、日本政府の誠意を非常に向うは疑つているという点の御発言がございましたが、日本政府といたしましては在日華僑のかたがたで大陸へ帰郷を希望されるかたがたをできるだけ早く而も安全にお帰しすることができるように万全の努力をいたして参つたものと確信いたしております。従つて北京放送で誠意を非常になじられておりますが、私の考えではその点は必ずしも当らないというふうに考えます。
 それから昨日の会議につきましては事務的な打合せを先週来、もつと前からもやつておるのでありますが、先週来特に具体的にどういうふうに事を運んだらばうまく事が運ぶかということで先週来集まつておりまして、昨日の会合はその三回目でございます。ただ一応事務的な段階での会合でございまして、果していつ、最終的には如何なる方法で、在日華僑のかたがたで帰国を希望されるかたがたの大陸帰郷を実現するかということにつきましては、昨日の会議では決定いたしておりません、又昨日の会議自身が決定する筋合いではなく、それで一応いろいろな案を考えまして、外務省当局の最終的な決定、或いは更に日本政府の決定ということになるわけでございますので、昨日の会議自体では、決定した場合に具体的にどういうふうになるだろうかという点を時余に亘つて検討したわけでございます。
#58
○山下義信君 私は追及はしませんが、先ほど曾祢君の質問には、課長は非常に確信がある様子で近い将来に問題は解決するだろう、而もそのことは昨日の会議で、私ども聞いてるほうとしてはそこできまつたように思つたのですが、今の御答弁ではただ単なる事務的なもの、或る種のことを予想して事務的なものの打合せをしただけで、じやあこの問題が円満な解決の明るい見通しが立つたと、近く華僑の送還もできるんだと、船は赤十字船になるかどうなるかということは公表はまだする段階ではないかもわからんが、だんだんもう問題は好転したということが、きまつたというふうに我々はまだ受取ることはできないのです。
#59
○説明員(鶴見清彦君) 最終的にそういうふうにきまつたと、私、先ほど申上げました言葉の中で、そういうふうにお取りになつたところがあるといたしますれば、私の少し言い誤りだつたかと存じます。併しながら私個人の印象といたしましては、問題は何らかの解決の方向へ向つて来ているということは申上げられんと思います。
#60
○山下義信君 やはりこの点は責任者が来てはつきり言明しなければ要領を得ない。要するところ島津社長も急いで打たなければならん、紅十字会に対するこちら側の誠意というか、ものがきまつたということを一刻を争うて電報を打たなければならんという段階に直面しておりながら、昨日の会合で、本日の新聞に極めて明るい見通しのような記事が出ておつたにかかわらず未だにそういう電報も打てない、こういう状況から見ると私はまだ問題は未定だと、そうするといつどういうふうに不測な阻害、故障が起らんとも限らん段階であるという印象を受けましたが、社長も外事部長も、私どもがさように考えてよろしうございましようか。
#61
○参考人(工藤忠夫君) 成るべく早く決定してもらいたいと……中国紅十字会のほうでは毎日々々待つているのじやないかという感じはいたします。そういうわけで政府筋において成るべく早く具体的な御指示を頂いて、その方式を即座に向うに伝えたいというのが我々の希望でございます。
#62
○山下義信君 それでは最後に聞きますが、赤十字社側のほうにおいて赤十字船の仕立方、或いはそれに関連してのいろいろ具体的措置、例えば予算その他のいろいろな手続或いは又帰国される華僑の人たちのリストの作成、選考といつたような或る種の事務がお進みになつておられますか、或いはまだ御着手にはなつておりませんか、その点でどうでしよう。
#63
○参考人(工藤忠夫君) ここにおられます華僑総会の陳さんともよく連絡しておりまして、リストの作成その他の資料も整えて、外務省のほうに連絡しております。
#64
○山下義信君 船の支度は……。
#65
○参考人(工藤忠夫君) 船のほうについては、まだ政府のほうから具体的な表示もありませんで、ただ赤十字というようなものを御利用になる意向があるならば、我々は喜んで御協力申上げたいということを申上げているだけであります。
#66
○山下義信君 いま一つ……これで私の質疑は打切りますが、帰国の希望の華僑の人の人数は何人でございますか。この資料では六百幾らとあるのですが、二千人くらいと聞いておりましたが、六百人くらいですか。
#67
○参考人(チンコウオウ君) お答えいたします。実は外務省の答弁で、三月には大体帰れるということで、それを目標にして作成したのが大体この六百十二名であります。その後その帰国者のほうから異議が出まして一体、華僑総会は何を交渉しておるかという非難が上つたので一時集団の受附を停止しておるような状態でございます。大体見通しはこれの倍以上になる予定であります。
#68
○山下義信君 それは大変ですね、あなたのほうは外務省の言葉を信じて早くから準備したためにえらい御迷惑になつていることなんで、それで生活に非常に支障を来たしておられる人たちがどのくらいありますか。それで今の段階でここ五日か三日の間に、二、三日のうちに今の話がつけばそれでいいのですか。或いは生活援護の手配をしなくちやならん、その段階とか、そういうことの状況はどうなんですか。
#69
○参考人(チンコウオウ君) 先ほど御報告申上げましたように今在日華僑の貧困者約七千名近くおりますが、今特に急を要するのは我々の責任において帰国を準備された人たちが非常に困つておられるわけなんです。特に北海道、九州の場合は関西と東京へすでに荷物を持つて来ておるような状態で、これが背広やら持つて帰る荷物を売つておるような状態で、特に外務省、日赤、厚生省に対しては早急にこれらの帰国希望者の貧困者について至急救済をして頂きたい。爾後の問題については日本の現行の国内法によつて帰るまで救済して頂きたいということを申入れてあります。
#70
○山下義信君 何らまだ措置を受けていないわけですね。
#71
○参考人(チンコウオウ君) 今まだ全然措置は受けておりません。
#72
○山下義信君 私の質疑は一部保留します。
#73
○千田正君 私は中座して或いは質問のうちに重複している点がありましたら、委員長、御注意を願います。今の山下委員の質問に対して、中国華僑の代表者からのお答えがあつたようでありますが、外務省の言葉を信じて一日も早く帰国したいというので、おのおの職を捨て或いは家財を整理して、そうして一日千秋の思いで帰国を準備しておつたにかかわらず、船も出ない、実際生活は困窮して来ておる。こういうような実態に対しまして日本政府、殊に外務省としてはどういう手を打とうとされておるのか、或いは全然打つたのか、その点をお伺いしたいと思います。
#74
○説明員(鶴見清彦君) 私の承知いたしておりますところでは在日華僑の代表のかたから外務省のほうへ帰国の希望があつたことは事実かと存じますが、このかたがたを早急に、例えば引揚船を利用してお帰しすることがすぐにできるというようなことを外務省として申上げたことはないと私は記憶いたしております。
 それから在日華僑のかたの非常に困窮なかたがたの対策という問題に関しましては、実はその大陸帰郷ということを相索連いたしますと私どもの所管の問題になるのでございますが、一般に在日華僑のかたで困窮者に対してどういうふうな対策を外務省として考えているかということにつきましては、実を言いますと、私自身の所管外でございますし、外務省自身の方針というのは私まだ承知いたしておりません。
#75
○千田正君 私の特にお伺いしたいのは、あなたのほうでははつきり帰国することはできるということを華僑のかたがたに申した覚えがないというようなお答えでありました。現実において華僑側のかたがたの気持は帰国できるのだというので家財を整理したり、或いは職業を離れたりして苦しんでおる。こういう問題はそういういろいろと理屈詰めでなく、現実に苦しんでおる、この実態に対して外務省としては今後何らかの方法を考える意思を持つていて欲しいと思うのですが、それに対して意見を伺いたいと思います。というのは、日本のいわゆる中国に在留しておつた人たちが今度帰国に際して非常に中国側のいろいろなお世話になつて来ているということは帰国者のかたからいろいろ聞くたびにそういう話があります。たとえ日本が今日の状況で経済的に苦しいとしましても、そういう実情にある人たちに対して我々はやはり温い手を差伸べてやるのが当然我々の道義であると思います。そういう面からいつて、政府としましては、現実にこういう問題が起きて来た、これに対しては何らかの政府として打つ手を考えなければならいなと思うが、それに対する心がまえはどうかという点につきまして、あなたのお考えを伺いたいと思います。
#76
○説明員(鶴見清彦君) 今度大陸帰郷を希望されて在日華僑のかたがたで非常に困窮なかたがたという人に対しましては、私個人の見解でございますが、只今御指摘がありました在中共、中国本土の同胞がいろいろお世話になつたということは、中華人民共和国政府自身が援護金その他を出したとは私承知いたしておらないのでございます。併しながら、今度大陸のほうへ帰郷せられることを希望する華僑のかたたがの非常に困窮なかたがたに対しましては、それとは一応別個に切離しましても、やはり人道的な見地からいたしましても、やはり援護金又は何らかの援護的な措置を講ずることが必要じやないかと私の個人的な見解としては存じております。
#77
○千田正君 鶴見課長にはそれ以上のことはお伺いしませんが、いずれ主管大臣その他からそういう点について一応聞きたいと思つております。
 この点につきまして赤十字の島津社長並びに工藤さんからお伺いしたいのですが、あなたがたは実際に中国に行かれていろいろ向うにおけるところの紅十字会その他の積極的な日本の帰還者に対する援助を現実に見ていらつしやつたと思いますが、今の現実に起きておる華僑の貧困状態、そういう問題に対しましても、我々に対しても華僑のほうからいろいろの陳情が来ておる。何とかしてできるならば我々としましても、道義的な点から考えても、できるだけの世話をしなければならんという考えから、今鶴見課長に質問したのでありますが、赤十字側としましては、この点につきましては、どういうお考えを持つておられますか、一応承わつておきたいと思います。
#78
○参考人(島津忠承君) 在日華僑の帰国を待つておられます特に貧困のかたがたに対しましては、日本赤十字といたしましても、だんだんにその帰国の時期が遅れますので、何とかこの際できるだけの御援助をいたさなければならないのじやないかと存じております。ただ日本赤十字の現在の財政的な問題からいたしまして、どの程度の御援助ができますか、只今はつきり申上げることはできませんのでございます。
#79
○千田正君 まあ、外務省当局のお話を承わり、又日赤の御当局のお話も承わつて我々も諒とするのでありますが、できるだけの少くとも最大の誠意を示すのは、今日の日本の国民の現われでなければならないと我々は確信するものであります。そういう意味におきまして、どうかできる可能の最大限度において、我々の日本の国民が中華民国の人たちに対して誠意を示して頂きたい。その点を特にお願しておきます。
#80
○紅露みつ君 各委員から在日華僑のかたがたの送還に関して熱烈な御発言がありまして私どもも本当にこの際人道的な立場に立つて、これを温い気持で、而ももう少し勇敢に解決に向つて対処して頂かなければならないと思うのです。この上これが荏苒と日を過すということでございますならば、これは収拾のできないような、両国に面白くない感情が生れるじやないかということを、これは心配しておるものでございますが、一方又先ほどから曾祢委員、山下委員からも御発言がありました通り、この在日華僑のかたがたの送還ということと、それから在華同胞の引揚ということは一応これは別問題であるということが確認されたのでありますから、送り還すということについてはこれはもう全力を挙げて頂かなければならないと思いますが、こちらの引揚につきましても、これは別個に進めてもらわなければならないと思うのですが、一体これはどういうふうになつておりますか、第四次船についての、引揚遂行についての外務省の御意見をこの際伺いたいし、日赤の御意見も伺いたい。どういう実情になつて、どういうことを今しておられるのでございましようか。
#81
○参考人(工藤忠夫君) ちよつとお答えいたします。毎回の引揚船が行われます際に、大体先方では最終船が、例えば第三回目の船団が出ますと、その最終船が出ます前に第四回目の配船の指定を先方からして来るのが通例になつております。然るにこの第三回目におきましては、船が港を出て三日、四日たち、五日も六日もたつても回答がないというので我々は非常に心配いたしまして、これはどうも華僑の帰国の問題に関連しているらしいというので、早くも外務省のほうに連絡いたしまして、これはどうも危険から何とか一つ早くしてもらいたいということを申入れたような次第でございます。そういうような工合で恐らく先方のほうは配船の準備は第六回目くらいもう全部計画が立つておりまして、大体港で待つ人でも一週間くらい港で待つ、中では二週間くらい遠くから来た人は待つておるというような工合でありますから、恐らく私の推測では約五千人くらいの人がすでにもう二、三週間待つておるのではないかというような感じがするのであります。こういうふうな工合ですから、日本人が港でそういう長い期間の間に、殆んど金を持つていない。若しそういうときに必要なものは買わなければならん。或いは病気になります場合に、中国側においてもできるだけは御援助をしてくれると思いますけれども、個人の出費が非常にかかるのではないか。或いは病人なんか、出まして、早く船を廻せば帰れたであろうという人が、延びたがために帰れないというような不幸な目にあう人もあるのではないかと思われます。他方又中国紅十字会のほうの経済的負担、或いはその他いろいろの面倒も非常に多くなるのではないか。いずれにしましても、長くこのままにうつちやらかしておくということは、単に第四船のみならず、第五船、第六船にも非常に重大な悪影響を及ぼすのではないかと思いまして、どうしても早く帰れるようになるように、哀心から希望しておる次第であります。
#82
○紅露みつ君 外務省の御意見は……。
#83
○説明員(鶴見清彦君) 先ほど在中国本土の同胞の引揚帰国問題と、在日華僑の大陸帰郷を希望されるかたがたの帰国問題とは観念的には別だというふうに申上げたわけでございます。私どもも承わつておりますところによりますと、中国紅十字会から三団体事務当局宛に来ました電報によりますと、中国の紅十字会のほうでは、在日華僑で帰国を希望されるかたがたの帰国の実現の具体的な案が若し示されなければ、第四次の在華同胞の引揚の配船手配もしないというふうに言つて来ておるものと思われます。従つて一応観念的には別ということになるのでございますが、中国紅十字会のほうの扱い方といたしましては、この両者を関連せしめて来ているのではないかと存じます。従つて私どもの日本側といたしまして、早急に在日華僑のかたがたで帰国を希望されるかたがたの、帰国の具体的な方法というものを先方へ通知いたしませんと、第四次の配船指示も来ないのではないかというふうに恐れておる次第でございます。
#84
○紅露みつ君 どうも外務省のおつしやることがはつきりしないのでございますが、観念的に在華同胞引揚ということと、在日華僑のかたがたの送還ということは区別されたが、何かそれと引換えに、どうも交換条件であるから、それにからまつて来て第四次船が遂行できない、引揚が遂行できないということを言われるのですが、一体そうしたことが日赤のほうには来ておるのでございますか。
 それからもう一つ、これは三団体にこの交渉といいますか、初めの交渉も三団体に来たのですか、それとも日赤に来たのですか、それからあとの交渉も日赤が当つておられるのですか、三団体が当つておられるのですか。で、それが交換条件というように切離せないような状態が電報なり通告があつたのですか。それをはつきり……それがはつきりしないものですから、先ほどから曾祢委員が聞かれているのはそのことなのです。どうぞはつきり御答弁なすつて下さい。
#85
○参考人(工藤忠夫君) この在華同胞の帰国問題と、在日華僑の帰国問題は、交渉の際は関連されておりませんでした。昨年の十二月一日の北京放送におきましても、我々日本の団体が交渉する問題は、在華日本人の帰国の問題と、これに関する具体問題、配船の問題とこれに関する具体問題の交渉に限り、それ以外のことは何ら話さないというような条件がついておりまして、この趣旨は最後まで徹底されておりました。そういうわけで私たちはこの北京の会議の席上戦犯者の問題であるとか、消息不明者の問題であるとか、或いは抑留された漁夫の釈放問題、こういうふうな問題を出したのでありますか、すべて会議の議事外として回答を峻拒されたような次第でありました。そういうわけで議題ではありませんでしたが、会議の外の問題としてこの花岡鉱山の犠牲者の問題が平野委員長から出されました関係から、次いで在日華僑の問題が向うのほうから出されたのであります。そのとき、万余の華僑が日本におる、こういう人が帰国を希望しておるが、この引揚船を利用して帰してもらえることになれば非常に幸いである。経費の問題については御心配御無用である、我々のほうで負担いたします。というような趣旨で、決して関連された事項ではありませんでした。ただ華僑の帰国に関する我々の約束にもかかわらず回答が遅延いたしましたために、第四回船になりまして、向うから一体どうしたのだ、もう何回も何回も催促しているのに一つも返答はない、あなたの御回答は非常に遺憾である。ついては、一体華僑はいつ帰るのか、何人帰れるのか、第四次船に乗れるのか、否か、そういう問題に関する具体的な正式の御回答を得て、第四船を指示します。こういう先方の五月十九日の電報でありましたので、向うのほうからこの問題に引つかけられて来たような経緯であります。我々の華僑の帰国に関する具体的な回答が暫くになつたということから、ひとりでに向うのほうでもこの問題に関連させなければ、日本のほうから到底回答は来ない。こう思つてやつたのではないかと、こう思うのであります。
 それから四次の引揚につきましては、何とかしてこの華僑が四次船に乗れるように努力するという電報を打ちましたが、これも見込がないので、いよいよ外務省と連絡いたしましたところ、国民政府のほうでは、引揚船の利用は困難だというような話がありましたので、それでは赤十字船というようなサゼスチョンも国際委員会から来ているし、如何なものでしようかということを外務省に提案いたしますと共に、余り回答が延びますので、その趣旨を中国紅十字会に電報しまして、つないでおるような状況であります。そういうわけで、成るべく早く具体的な回答をしなければ第四次船の指定はない。いわんやいよいよ延びるということになれば、今後の一万五千人の帰国の問題についても、先方が、悪く言えば報復措置でありますが、どういうような態度に出られるかということで心配しておるというような状態です。
#86
○紅露みつ君 日赤だけは交渉に当つておられるのですか。
#87
○参考人(工藤忠夫君) それからこの点は会議の席上では三団体、特に日本赤十字社にお願いするという先方からの積極的な意思表示があつたのであります。恐らく先方では、日本赤十字社と日本政府との関係、殊に在日華僑の帰国問題についての権限がある機関は政府でありますから、日赤のほうが努力してもらうのが一番効果的であると思われて、日赤を指定されたのであると思います。然るに日赤の努力にかかわらず、どんどん延びまして、初めは島津忠承、工藤忠夫両先生と行つて来たのでありますが、返事が思うように行かないので、終いには五月十九日には、三団体宛に来たのであります。そういうわけで、止むを得ずまあ初めの経緯から私らのほうといたしましては、日本赤十字社で全責任を負つてこの問題の処理に当りたいと思つたのでありますが、先方からはそう言つて来ました関係で、他の二団体のほうからも、それ見たことかということで、三団体の名前で先ず今打つておるような状況でございます。
#88
○紅露みつ君 これはもうこの委員会を通じて、在日華僑のかたがたには、これは誠意を持つて一日も早くお帰ししなければならないということは、これは一貫した皆様の御意見であり、私もそう思うのですが、ここで明らかにざれたことは、日赤が今言われましたように、正式な議題でなかつた在日華僑のかたがたを送り還すというような問題は、こちらの戦犯その他の問題と同じように、これは正式な議題でなくて、そうしていわば懇談のような工合に話が出たのですね。そういうことになると、こちらでもやはり戦犯その他の問題も持ち出したくなるというようなことになりますが、まあお互いにそういうことをここで今言い出しても仕方がないでしようから、全力を挙げて華僑のかたがたを早く送り還すということをすると同時に、これが正式の議題でなかつた、どう考えても観念的と言われますけれども、そこがはつきりして初めてこれは実際の問題が解決されるのだと思いますから、途中からこういうふうに変つて来てこれがあたかも正式の議題であつたかのように取扱われるということは、ちよつとまあどうかと思う。併しその責任がこの華僑のかたがたを早く、懇談でも何でもいい、懇談の席に出たのでも何でもいいから、こんなに遷延しないでお帰しすることができたら、こんなにならなかつたのでいいと思いますので、これは非常に遺憾だと思いますけれども、これは一応切離して考える問題なんですから、ですから全力を挙げて早くお帰しすると同時に、こちらの問題についても第四次船を早く、これは引揚を進めて頂きたいということは、もう少し積極的にお話になりましたら、中共側にしましてもわかつて頂けるのではないでしようか。その努力はされておらないのですか。日赤は如何です。
#89
○参考人(チンコウオウ君) 今の問題に関連して、それと先ほど外務省の言われた問題に対して、こちらのほうで申上げなければならないことがあるのでございます。実は先ほど外務省側から言われた確答を与えた覚えはないという御発言でございました。実はこの問題は、先ほども申しました通りに、十二月来からの数次の折衝によりまして、外務省側では上部からの返答もあるので、原則的に問題はない。それともう一つはこのことはこちらにおられる諸先生はおわかりにならないと思いますが、昨年の十二月に中国側の漁夫八名が遭難しましたときに、日本政府でこれが持て余されて困つたことがありました。華僑総会は海員組合の援助を得ましてこれを引取つて、人民政府といろいろ連絡をして、今年の一月三十一日に送り帰した前例があつた。こういう点に照し合わせまして、外務省側から日本政府は問題はないと思いますから、華僑総会のほうで人民政府の承諾を求めてもらいたいという要望があつたのであります。これに対して今までの外務省との交渉経過及び日赤側のほうの話をまとめまして、詳細な報告を人民政府に送つたのであります。華僑総会としましてそれに対してなかなか返事が来ませんので、外務省側から重ねて催促があつたのであります。ところがそれでもこちらから二、三回催促の電報を打つたのでありますが返事がありませんので、外務省のほうで待ち兼ねたと見えまして、二月二十一日に三団体に対して電報を打つているわけなんです。即ち中国本土に帰国を希望する在日中国学生等を帰還輸送船で帰国させることについての了解を求めるという電報を打つておりますので、我我はこの旨を、この点から見まして外務省のほうではもう問題がないから、中共側のほうの返事を至急送つてもらいたいという重ねての電報を打つたのであります。これがああいう形で中国側から代表団に申されたのではないかと、我々そういう立場をとつておるのであります。
 それからさつきの貧困の問題ですが、一番ひどい例は関西の約三百人の人でありますが、これは現在食えないので、一同寮に集めまして、関西の有志の華僑が十日間交代で食事を与えておるような状態であります。それでも間に合わなくて今神戸港の日雇労務者に志願しまして、朝六時から列んでも一月間平均十日も当らない、いわゆるアブレが出るというような状態で、こういうような現状でありますから一刻も早く帰したいわけなんです。
#90
○参考人(工藤忠夫君) 先ほど紅露委員から御質問がありましたが、この在華邦人の帰国問題と、在日華僑の帰国問題は本来において関連性がなかつたと、別個の問題であるということは事実でありますし、中国紅十字会のほうでもよく存じております。ただこういうような華僑の帰国の問題から、こういうように関連ができたのでありまして、このイデオロギーといいますか、こういう立場の問題について、今中国紅十字に元へ戻つて考えてくれとか、或いはそういう立場を想起してみても、結局実際上の効果はありますまいと思いまして、別にそういう方面に関すの処置は何らとつておりませんけれども、ただこの問題の解決は結局早く在日華僑を帰国させることによつて、日本人の帰国は促進される、こういう意味で、華僑の帰国の促進と、日本人の帰還の促進とを、同時に並行してやつて行くというような実情でございます。
#91
○林了君 陳君にちよつと伺いたいんですが、七千名の、日本人と華僑の人と結婚したかたのうちで、日本婦人が中国人と結婚した人と、それから又逆の場合ですね、逆の場合もありますね。その調査は勿論できておりますね。それからその人たちの中で、今度引揚を希望する人がどれだけあるか、引揚を希望する人が、向うに帰る人がどれだけあるか。それからもう一つは、中国婦人で日本人と結婚しておつて、日本の主人が亡くなつた場合に……、いいですか。
#92
○参考人(チンコウオウ君) ええ。
#93
○林了君 自分が一人ぼつちになりますね、華僑の人ですから。こういうかたが日本の籍から離脱いたしまして、日本政府に自分が籍を離脱して、そうして、向うに帰りたいという希望をする人、逆に今度は日本人の婦人が中国人と結婚いたしまして、中国人のかたが亡くなつた、華僑の人が亡くなる。そうすると、そのかたの籍というものは、当時国民政府なら国民政府に入つておつた。現在の中共に帰る場合に、そういう人が果して帰りたいという場合に、身の振り方をどうするかという問題、そういうことが調査できておりますか。
#94
○参考人(チンコウオウ君) 具体的な数字は今資料を持合せておりませんのでお答えできませんが、大体の状況を申上げますと、現在完全に手続を完了しておる六百十一名の中には、約二百名の婦人が含まれております。これらは殆んど日本婦人でありまして、大体子供がおりまして、これは今一緒に帰るという希望であります。それからもう一つ、日本人と結婚されているという中国婦人のかたですが、これは日本内地においてはそういう例は余りありません。ただ終戦後引揚げて来まして、一緒に連れて来た中国婦人がおりますが、これは私たちの知つておる範囲では、殆んどうまく行つていないような状態でありまして、籍についても日本籍に入つていないのが殆んどであります。これらは、実際婚姻関係にあつても、籍を別々に持つているような状態でありまして、帰るについては別に障害はありません。それから日本のかたと結婚して日本人が亡くなつた場合ですが、これは今度の申込者にはありませんが、先例はやつぱり普通の中国人として帰しております。これは今問題が起きておりません。
#95
○林了君 それじや二百名の日本婦人で、中国のかたと結婚されたかたが帰られるということは、これはこちらにおつて生活ができないという理由なんですね。
#96
○参考人(チンコウオウ君) そうです。
#97
○林了君 全部その理由ですか。
#98
○参考人(チンコウオウ君) そうです。
#99
○林了君 それから鶴見課長にちよつとお尋ねいたしたいのでありますが、このたび向うから逆に引揚げて日本に帰られたかたの中で、日本婦人で華僑のかたと結婚されて華僑の主人が亡くなられて日本に帰つて来られたかたがたのその授護は、華僑の人であるから日本の法律ではできないということを外務省は言つているそうでありますが、それは事実はそうですが。
#100
○説明員(鶴見清彦君) それはあつたかも知れませんが、私自身はそういう事実があつたということを聞いておりません。
#101
○林了君 若しそういうものがあつたとしたならば外務省はどういう救済の手を考えておりますか。これは外務省が考えても所管の役所は厚生省に移るかも知れませんが、外務省としてのそれに対する考えを伺いたいと思います。
#102
○説明員(鶴見清彦君) 只今御指摘のように、その帰国のかたの援護の問題は厚生省のほうでおやりになるわけでございますが、外務省といたしましては、或いは私個人といたしましてはやはり援護の対象になるべきだと存じます。
#103
○山下義信君 議事進行について発言したいと思います。もう時間も大分迫つておりますので、先ほどからの質疑応答によつて明らかなごとく、これ以上は政府当局或いは事務当局者としては外務省の倭島アジア局長の出席を求めなければならないと思いますので、午前中はここで休憩をして頂いて、委員会の決議で以て政府当局並びに倭島アジア局長の出席を要求せられまして、午後続行せられますことの動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
#104
○委員長(常岡一郎君) 只今動議が提出されましたが如何ですか。
#105
○林了君 山下委員の動議に賛成いたします。
#106
○藤原道子君 私も山下委員の動議に賛成いたしますが、私午後は、午前中の委員会と予定いたしておりましたので出席ができません。従つて二、三ここで続行して質問させて頂きたいと思います。
#107
○委員長(常岡一郎君) 如何ですか。
#108
○山下義信君 よろしうございます。私の只今の動議は藤原委員の御質疑のあと御採決があつていいのですが、成るべく簡単に時間もありませんからおやりになつたらいいと思います。
#109
○委員長(常岡一郎君) それではどうぞ。
#110
○藤原道子君 時間がありませんから簡単にいたします。
 すでに同僚委員からいろいろあらゆる観点からご質問がございましたので問題は明らかになつている。結局責任者の御出席を求めなければならん段階だと思います。ただ私はこの際一、二の点について、御質疑を伺つておりまして納得できない点についてちよつと話してみたいと思います。
 先ず外務省にお伺いしたいのでございますが、先ほどの御答弁のうちに、日本の帰国される人たちが中国から非常な御援助を受けているのだからやはりこちらにおいても……というお言葉に対しての御答弁の中に、中国の政府当局が援護しているとは聞かないというようなお言葉があつたと記憶いたします。併しながら今日本と中国との間にはまだ講和条約はできていないけれども、現実の問題として中国の人々によつて温かく支えられておるということは事実だと思うと同時に、国内においては人種、信条の差別によらず、生活に困る人はこれを援護しなければならないということになつておることは御承知だろうと思います。従つて外務省がこれを保護するしないは、これは社会局、厚生省のほうの所管だと思いますが、先ほどのような御答弁は私は遺憾だと思う。それらについては、どういう援護をなされておられるかという、その点を、今日は厚生当局の方は来ておりませんが、事実困るところの人を放置するとは私には考えられないので、その点についてお伺いしたいと思いますことが一点。それから陳さんにお伺いしたいのですが、国民政府が一九四五年でしたかしら、台湾国籍の人に対して中国人としての国籍を得るという便法が公布されたというふうに聞いておるのです。ですからやはり中国人、台湾国籍の人も中国人として扱われているのじやないでしようか。その点をお伺いしたいということが一つ。それから人民政府ができたときに、台湾から相当数の人が大陸へ帰られたというようなことも聞いておるのでございますが、それに対してどういうふうな状態かお聞きしたい。それから外務省にお伺いしたいことは、昨年だと記憶するのでございますが、出入国管理令によつて、国籍によつて差別せず、帰国の目的地へ送り還すということをはつきり衆議院で答弁していたと私記憶しておるのでありますが、この際台湾国籍だから特に日本側で差別をするというようなことがちよつと納得できないのでございますが、その点はどういうふうにお考えになつておられるか。それからいま一つは、先ほど来法律の上においていろいろ質して行けば、全然別個のものであることはわかりますけれども、併しながらやはり島津さんが向うにおいてそういうふうに軽い気持ながらもお約束して参られた。それに対して赤十字として今日まで御苦労なすつたことは私痛いほどよくわかるし、その御苦労に対しては敬意を表するわけなんですが、従つてその後いろいろ努力をされたけれども、ここまで来ない。それに対して中国側としてはしびれを切らしてやはりこれも日時が決定しなければ……、決定してから第四次の配船をするというような態度に出られたことに対しても、我我は彼我所を代えて考えるときにもつと道義的な責任を持つて私は事を進めなければならない。将来やはり中国との友好関係等も考えなければ、私たち日本の立場から行きましても、今やかましく言われております中共貿易の促進等、将来は必ず講和条約締結等も早くできることを希望しておる関係上、やはり道義的にも一日も早くこの問題を解決して行くべきものと考えておるのであります。法律だけを盾にとつては解決ができないので、いろいろ複雑な含みもあろう、こう考えておりますが、それに対してどういうふうにお考えになるか。以上お伺いいたします。
#111
○説明員(鶴見清彦君) 只今の藤原委員の質問に対しまして、第一点は先ほど在華同胞の引揚に際して、住民から与えられた温いいろいろな措置を、日本側として今度在日華僑で大陸へ帰郷されるかたがたに対して与えるべきであるというお話でございますが、在華同胞の引揚の場合には、先ほどの私の申しました通り、中華民国共和国政府といたしましては、直接にそういう、何と申しますか、国際措置というものをされたとは記憶いたしておりません。但し中華人民共和国の人たちがいろいろな温い措置をされたということは承知いたしております。でありますから、私といたしまして、外務省と申しますか、日本政府といたしましても、できる限り、勿論人道上の見地から、一応その、向う側で与えられた温い救済措置に御返礼をするということ、必ずしもそこを結びつけなくてもよろしいのでございまして、一応日本側の立場といたしましても、在日華僑のかたがたで、困窮しておられる人人、帰国を希望されるかたがたで困窮されておる人々に対して、温い気持でできるだけの援護措置はすべきだというふうに存じております。
 それから第二点の点でございますか、先ほども申上げましたように、過去約一年半ほどの間に、在日華僑のかたで、自由意思で出国されたかたが約三百近くあると私は記憶いたしております。その際には台湾籍のかた、或いは大陸本土出身のかたという区別もせずに、事実といたしまして出国しておられます。結果として大陸或いは香港のほうへ向われたかたもあると聞いております。ただ、今後の場合につきましては、何といいますか、集団帰郷ということになりました場合に、その立場を同様に貫いて行くことができるかどうかという点につきましては、でき得べくんばそういうふうにして、差上げたら一番いいのかとも存じますが、まだ政府或いは外務省といたしましては、最終的に決定をしておりませんので、御期待に副うことができないのは残念に思つております。これで外務省のほうに対する御質問の二点はカバーされたと思うのでございますが……。
#112
○参考人(チンコウオウ君) 第一点の国籍回復の問題ですが、これは一九四五年の暮と思いますが、当時中華民国政府から在日華僑の国籍回復に関する便法が発布されまして、二年以内に異議の申立のないものは自動的に中華民国人となるという規定のものであります。これは昨年四月の出入国管理令及び外国人登録法の審議の際にも問題になつたのでありますが、当時は現在のような状態でなかつたので問題なかつたのでありますが、今度の出入国管理令及び外国人登録法の規定の中には、国籍云云の規定があるので、この問題について議会でも論議されたのであります。そのとき岡崎外務大臣、入国監理局長からの答弁では、中国は一つであるから政権が幾つあろうと中国人でいいではないか、なお日本において生活する場合、或いは海外渡航するについても不便のないように便法を講ずるという答弁がありまして、実際に登録が行われたときも国府から強い要望がありまして、在日中国人はすべて中華民国人でなければいかんという主張があつたのでありますが、議会における審議の過程から中華民国人ではなしに、中国人として扱う、現に入国監理局からも登録に際して、中国人については、中華民国人と記載しないで中国人と記載するよう配慮頼むという指示が出ておる次第であります。この問題については私たち在日中国人もそういう区別なしに、中国人として日本に在留し、渡航する場合も中国人としてやりたいわけであります。
 なお従来の帰国者の問題でありますが、これは今外務省から答弁ありましたように、約四百人帰つておるのであります。この約半数はいわゆる旧台湾省籍のものが含まれております。
#113
○説明員(木村又雄君) 先ほど藤原委員から御質問がありました在日華人の生活困窮者に対する救済の問題でございます。これは厚生省といたしましても非常に関心を持つておる問題でございまして、今年の初めのこれは調査でございますけれども、在日華人につきまして生活保護法と同様な取扱をしている対象者が何名あるかということを調査いたしました結果でございますが、それによりますと在日華僑が四万二千人余りございますが、その中で四百三十八人が生活保護法と同様な取扱をされております。生活保護法は御承知のように本来日本人に適用されるものでございますが、特に在日華僑或いは韓国人がたに対しまして、生活の困窮しておる現状に鑑みまして、生活保護法と同様な措置を講じまして、それだけの現在対象者がございます。
 なお最近華僑の帰国の問題がやかましくなつて参りましたことに関連いたしまして、更にその実情を把握いたしまして積極的にこれら要保護者に対する生活保護法の準用につきまして極力手続きの簡易化とか、そういう方面によりまして便宜を図りたい、そういうふうに考えております。(山下義信君「休憩願います」と述ぶ)
#114
○委員長(常岡一郎君) 先ほど山下委員から休憩の動議が出ておりますが、御異議ございません。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#115
○委員長(常岡一郎君) それでは異議ないものと認めまして二時に再開することにいたします。
   午後零時四十二分休憩
   ―――――・―――――
   午後三時四十八分開会
#116
○委員長(常岡一郎君) 只今より委員会を再開いたします。
 倭島局長が来ておられますから質疑をして頂きます。
#117
○曾祢益君 今朝ほど倭島局長がおられなかつたんですけれども、この在日華僑を送り返す問題についていろいろ各委員から参考人の諸君にもお話を承り又御意見も多く、まあ出尽しといつては語弊がありますが御発言があつて問題点が相当はつきりして来たと思うのです。私の見るところでは、この在日華僑の送還の問題は我々日本人の中国からの引揚の問題とは性質を異にしておる。これははつきりしておると思うのであります。
 それから第二の点は、北京のいわゆる三団体と先方との交渉におきましても、第一この問題は議題ではなかつた。この点もはつきりしておると思う。併しながら現実の問題としては三団体、特に日赤の代表者に対する先方の廖団長からの依頼があつたわけです。でき得る限り引揚船を利用することによつて、成るべく速かに在日華僑の諸君へ帰国の希望者が帰ることに便宜を与えるように努力してくれ、これに対してでき得る限りの努力をしましようと言つて帰つて来たということは事実である。これは正式の条件とは我我は考えられないのでありますけれども、現実にそこに端を発した問題であろうと思うのであります。そこで両者は本問題に関連せしめるべきものではないけれども、現実にはこの問題が関連して来てしまつておる。この点から問題が起つておるということが一つ。
 いま一つは、日本におりまする華僑の諸君と外務省事務当局との話合いが、この北京会談とは並行して、或いはそれに先行し、或いはそのあとからも行われておつたと思う。その事務当局との交渉の過程におきまして、少くとも外務省事務当局は華僑の諸君に、引揚船を利用して返すことに非常に可能性があるというような印象を与えた交渉振をしておると思う。例えば先ほど華僑団体から御提出あつた資料を見ましても、二月の二十一日でしたかの北京の三代表に宛てての問合せ電報のごときは、明確にそういうふうに認定されてもこれはあながち無理でないと思われるような立場をとり、このことが更にからみ合つて日本当局といたしましては少くとも道義的にこの華僑の諸君にただ単に帰国の便宜を供与するだけでなく、引揚船というものによるところの送還ということについての一種のモラル上の約束をしたような恰好になつて、従つて華僑団体のほうとしてもこれはできそうだというのでいろいろ周知方をされたであろうし、荷物をまとめた人もあろうし、それがその交渉がうまく行かないために非常に困つておるということもこれはよくわかる。そのような元来北京における団体の交渉題目にならないものを事実上いつの間にか受取つて来たような恰好において先ず間違いがある。
 第二にこれは並行して外務省事務当局の交渉においてまたこの誤解を深めたと言いまするか、そういうようなまずい経過、この点についてはやはり最終の責任はこれは外務省にあると思うので、先ず外務省はこの問題に対してどういうふうに責任を感じておられるか、この点をはつきり伺うことが第一点。
 第二点は、この際お互いに責任の所在の問題だけにとどまるべきでなく、本質的にこの問題を速かに解決することが、これは我々の最も心にあるところの向うに抑留されておる同胞の帰国が最も速かにスムースに行くために、どうしてもこの問題とも関連ができているのだから、これを速かに片付けるという意味においていろいろ台湾政府との間にも問題があろうと思うけれどもその困難を突破して、引揚船を利用してそうして速かに在日華僑問題を片付ける見通しがありや否や。若しそれがおぼつかないというのならば他の如何なる方法があるか、国際赤十字社の独自の立場を利用した赤十字船を出すというようなことも考えられるでありましようし、何といたしましてもこの問題を速かに解決する。そうしてその目的は飽くまで向うにおられる我々同胞の帰還をスムースにさせる。それが主でありますと共に、同時に従としては、在日華僑の困つている人たちにも人道的にその希望に応じて速かなる帰国を援助する、こういうことが私は目的と思うのです。そのような具体的な計画があるかどうか、いつ如何なる方法によつて如何に速かにできるかという点についての外務当局の計画をはつきりと一つ伺つておきたい。
 それから第三点は、これに関連して台湾政府との交渉において恐らく問題があろうと思うのは、日本政府のはつきりした意思を聞きたい。それはいろいろ旧台湾籍の諸君の国籍問題、それが統一政府から言えば二つの政府になつている今日、いろいろのむずかしいことはあろうと思うけれども、併し本人の意思によつて若し旧台湾籍の人であつても本土に帰りたいというその人の本当の気持であるならば、それに即応した送り先に送つて上げるということは、これは私は人道的に貫くべきものだと思う。そういう点について外務省はそういうことに賛成であるか否かということ、この三点を一つ伺いたい。
#118
○政府委員(倭島英二君) お呼び出しを受けておりまして大変遅れまして相済まない次第でございましたが、実は同様の問題につきましていろいろな関係から今日午後更に連絡をするということになつておりましたので大変遅れまして失礼いたしました。
 今の御質問の三点についてお答え申上げようと思いますが、第一は外務省は責任を感じておるかという御質問でございますが、この問題につきましては外務省としては責任という問題よりも、何と申しますかこの問題の取扱い方といたしましては、建前をいろいろ言いますと、これまでの引揚のやり方の建前、中共政府との関係の建前、或いは台湾にある中華民国政府と我が政府との関係の建前ということで、建前にもいろいろ考えてみまするとむずかしい問題がございます。併しながら引揚そのものは余り建前にこだわらないでむしろ人道問題として早く片付けようというようなことが政府の方針でございましたし、従つてその引揚の建前の問題もございますが、それに関連して結局は起つて参りました、引揚船を利用して中国大陸へ在留の華僑の方が帰りたいという問題につきましても、建前を申しますといろいろございます。我々といたしましては建前を全然無視してかかるということはできません。できませんが更に本問題の特別な性質から考えて、何とか建前とそれから人道的な関係とを実際的に調和し得る範囲において本問題の実効を期したいというのが従来の気持でありまして、従つて必ずしも建前から申せば筋の通らんことはあつただろうと思いますけれども、そういう意味で本問題のとにかく少くとも或る程度の実効を期したいと思つて従来もやつて来たわけであります。現在もそういうような気持でおるわけであります。
 第二の点の実行計画ありや否やという御質問の点につきましては、実は本件は一般的に在留華僑の大陸への帰還という意味で、例えば五百名とか六百名とかいうような数字が一般に言われておりますけれども、その表をいろいろ検討してみますと内容はなかなか複雑であります。従つてその第三番目の問題として御指摘のありました台湾籍の方々が随分たくさんあるし、それから又関係者の日本人、日本国籍の人、日本国籍の子供というものがたくさんあります。それからちよつとここではまだ申上げにくい点もありますが、その他の方々もいろいろありまして、中国え帰りたいといわれる、一口にいえばそういうことになるかも知れませんが内容がいろいろあります。従つてこれをどういうふうに実際的に取扱うかという問題は先ずいろいろ調査をしなければなりません。政府に提供されている人名その他の資料は相当いろいろな関係もあるだろうと存じますが、必ずしも政府が知りたいものが全部そろつておりません。併し政府は別に調査する方法も持つておりますのでいろいろ調査をしていわけであります。残念ながら現在までに全部の調査が完了しておりません。いろいろ名前についても従来政府が持つている記録でも必ずしも明らかでない点もあります。それからそういうような関係で現在まだ従来我々の手に渡された方々の問題について実情調査中であります。従つて具体的の計画ありやという御質問に対しましてはまだその結果がはつきりいたしませんので、全体の実行計画というものは立ちかねております。併しながらだんだんと明らかになつて来た部分もございますので、この問題は先にも答えましたように、建前ということよりも先ず相当多く人道的な見地というものを考えて要望に副いたいということから申しますと、なるべくわかつた、或いはあまり問題のないという点からだけでも御要望に副つたらいいじやないかということも考えておりますが、残念ながらまだそれについてのはつきりここでこういう計画でやるつもりでいるというような御説明をする段階にまだ至つておらん状況であります。
 それから第三の台湾籍の方々の問題。これは今もちよつと触れましたけれども、まだ私がこういうふうに政府としては取上げたいということを申すまでに結論がきまつておりません。いろいろ御意見があれば拝聴して帰りたいと思いますが、とにかく相当問題があるという点だけは申上げられるかと思います。なおこの問題につきましては先ほど曾祢委員が御指摘になりましたように、もともと我が同胞が中国大陸から帰つて来るという引揚の問題とは全然性質も異なつております。殊に現在日本を離れて大陸へ引揚船を利用して行きたいと言われる方々の状態から申しますれば、従来も大陸なり或いはそのほかの地区へそれぞれ自由意思によつて日本を離れて旅行することができたわけでありますし、現在も何ら日本政府はこれを制限いたしておりません。従つて特別な法令等にひつかかる方々は別でありますけれども、原則として普通の在住せられる華僑の方々が日本を離れて外地に行かれるという点については、外国船もあることでありますし、自由にお出かけになれる。ただ問題は引揚船が空船で行くのだからそれを利用されたらいいじやないかという点があるだろうと思いますが、そういうわけでありまして問題はいろいろな点がまだ研究の過程に現在もある状況でありまして、実行計画或いは台湾籍の方々をどう考えるかという点についても、結論的に申上げることができないのは甚だ残念であります。
#119
○曾祢益君 私の質問が少し長過ぎまして一どきにたくさん出したので非常におわかりにくかつたと思うから、一問一答的にやりたいと思いますが、私は責任といいましたのは、建前は私の議論であつて、外務省の責任というのは一つは外務省直接の責任であり、第二はこの三団体特に日赤に対するやはり監督の責任があろう。第一の外務省の責任というのは、特に二月二十一日にアジア局から三団体を通じ在北京代表団に対し、中国本土に帰国を希望する在日中国の留学生等を帰還輸送船で帰国させることについての了解を求めたというらしいのです。でこういうことを外務省からやつたとすれば、ここで申しましたように華僑団体の諸君に一つの責任が当然生じて来る、こう思うのでその点はどう考えるか、これが第一問です。
#120
○政府委員(倭島英二君) そういういわゆる三団体の方々が北京へ出発される前にも一部にはそういう希望があつたようですし、外務省もそういう希望があつたということは承知しておつたようです。それでそういうことについて話が付いたのかということを尋ねてやつたわけでありまして、そのやつたことについては責任と申しますか承知しておりますし、なんと申しますか、その当時も成るべくそういう問題が円満に或る程度片付けばいいがということを考えておつたわけであります。現在も先ほど申しましたと同様に考えております。
#121
○曾祢益君 私は外務省から打たれた電文を見ない限りは最終的なことは言えませんし、言いませんが、確かに責任があるように判定いたします。
 第二は私は主として船舶の準備のことについての、最近にこれを片付ける見込ありかどうかということを伺つたわけであります。この点が御回答がないので船舶を仕上てて日本側の帰国船を利用する場合もあろうし、他の赤十字船を出すという場合もあるだろうし、第三国船をチャーターする場合もあろうし、或いは中共から船を出してもらう場合もあろうし、とにかく輸送の便宜について至急に片付けるために如何なる準備ありや、このことを伺つたわけです。
 それからそれに関連してあなたが言われた在日華僑の構成、どういう種類の人がいるか、これは第二とは別の問題として非常に重要な問題であろうと思いますので、この点については今でなくてよろしいから、今まで帰国を希望して来た人の中の外務省でわかつている限り、もと台湾籍であつたかどうか、日本籍との関係等に関する資料を提出願いたいのです。それで第二の船舶の問題についての準備と見通しについての御返答を願いたいと思います。
#122
○政府委員(倭島英二君) 我々の考え方といたしましては、どれくらいの人が実際向うへ帰りたいと思うのか、行くべきなのか、或いは便宜を取計らうか、いろいろな点をはつきりさせないと、大きな船を一隻雇うわけには参りませんし、現在我々が承知している向うへ帰りたいと言われる人についての調査をして或る程度見当が付きました上で、どういう方法によるかということを考えるような考え方をしておりますので、現在まだどういう方法で船を調達する、どういう方法で送るかということをまだはつきりきめておりません。
#123
○曾祢益君 これは意見になりますけれども、そういうことではこの問題は非常に厄介になるのじやないですか。私は建前論は私の意見は申上げたけれども、現実問題としては第四次引揚船がまだ行かないということについて、何らかこれと関係あるらしいという想定は、少くとも赤十字のほうはそういうふうにしているわけです。我々もそうではないかという疑惑を持つ。それほどこの問題は或る意味で緊要な問題になつている。そうしてみれば、一体どれだけの数があるかわからない。而もその中に日本人もいるかも知れない、更に又旧台湾籍の人の問題についてはいろいろ国際的にデリケートなことがあるから、全体を調べるまでは輸送計画については、まあ事実進行できないのだというお話だと、それこそこの問題が非常に、事の良し悪しは別として、又それの責任がどこにあるかは別として、現実にこれは非常に紛糾して来て、我々の念願する抑留同胞の引揚促進のほうからいつて非常にマイナスになる危険がある。だからそういう問題の取上げ方でなくて、それこそあなたのさつき言われた建前は建前で、人道問題は人道問題でというならば、勿論このために一船を仕立るということはむずかしかろう、全体の計画が立たないので……。そうなればなるほど引揚船の利用ということについての問題の推進というものにもつとスピードの感覚を持つておやりになる必要があるのじやないか。今のお話ですと、全体の数で四万何千人の華僑であつて、その中で何人が帰国を希望しているかが不特定の数である、そういうことをそのままにしておいて、輸送計画のほうはそれが全部出揃つてからだというのでは、私は今の答弁はちよつと政治的に不可解だ。そんな気持でおられるのか。本当に全体のことが出て来て、それで全部外務省なら外務省で調べ上げて、その人間だけは確かに該当者だということがきまり、附随的にはその点について台湾政府の意見も間違いがないということを確かめて、それから初めてこの輸送問題をきめるというお考えであるかどうか。もう一遍その点は重要だからはつきりして頂きたい。
#124
○政府委員(倭島英二君) 少し誤解を招いたように思いますけれども、いろいろな案を研究したりしていないということを申上げたのでは毛頭ないのでありまして、最後の決定をしておらん。我々の考え方といたしましては、決定は成るべく早いほうがいいと思うけれども、決定はまだされておらん。従つて今申上げる段階にないということを申上げたわけでありまして、いろいろな先ほど御指摘の案その他の案はいろいろ研究し考えております。
#125
○曾祢益君 最後に、私はもうすでに言つてしまつたことですが、台湾籍の人で中国本土に帰りたいという人の処遇については、私はさつき私の希望を申述べておきました。なおこれはもう外務省としては別にいろいろな情報もあるかと思いますが、昨日でしたか、或る新聞に台湾の通信として、その中に台湾における英字新聞に出ておつた台湾の某要人の話として、本土に行きたい人はまあ何らかの意味で共産主義が好きなんだろうから、そういう人が本土に台湾籍であつても行つてもらつても別に大して台湾としちや痛痒を感じないという記事が出ておつた。これはまあどこまで責任あるものか知りませんけれども、まあそういう考え方も立つのだ。殊に人道問題等の見地から言うならば、そういう問題でトラブルを起さないように、本人の意思に任して速やかに自分の好きだというほうに行かせるようにそうして解決するほうに考えて頂きたいということを申上げ、最後にこれは委員会として、委員長、先ほど私が申上げました帰国希望者の何といいますか、国籍或いは戸籍的の内訳、この資料を最近の機会に是非委員会に提出して頂くようにお願いしたい。
#126
○山下義信君 私も三点ほど伺いたいと思う。今朝の午前中の委員会ではつきりしなかつた点を局長から伺つてはつきりしたいと思う。外交のことは素人でありますからよくわかりません。ただ我々といたしましては、帰国船の出発が一刻も早いことを希望いたしてこうして詮議をしておるわけなんです。でありますが、素人ですけれども私が腑に落ちないのは、今日置かれておる外務省の立場、即ち日本政府の立場というものが、誠に馬鹿な立場に立つて言葉が悪いか知りませんけれども、割の合わん妙な立場に立つてですね、そうして中共側のほうからは引揚促進の妨害を日本政府が故意にしておるような、誠意のないように非難を受けて、すでに五月二十七日でしたか、北京電報は日本政府を猛烈に非難をしておる。そうして台湾政府の国府のほうからは、面子問題でいろいろと申入れをされて、それで何といいますか、両方から板挾みといいますか、両方からこずかれたような立場に立つておつて、結局引揚のこじれて来たことは、日本政府の何らか処置が悪かつた結果のような印象が内外に与えられておる。どういうわけでそうなつたのか合点が行かない。それで今朝鶴見課長が見えておつたのですが、日本政府は少くともこの引揚を妨害するなんというようなことを中共側が非難しておるのだが、これに対し一矢報ゆる必要があるのじやないかという気がするので、さもなけらねば何らか大きな中共対国府、国府対日本、又邪推をすればですよ、アメリカを後ろにしていろいろ外交の曰く因縁があつて何かそういう手でも打つておるのか、そういう態度に出ておるのか、荏苒としておるのかという誤解が一部にあつてもならんと思うので、私はそういう点を一つ明白にして日本政府の立場というもの、又この引揚促進に対する誠意のある立場を率直に私は表明をしてもらつたらということを希望しておきましたので、局長から又それに触れて頂いたら有難いと思います。
 それから第二点は、今朝の新聞にありましたから私が聞いた。それはもう国府との話がついてもう今日にでも片付いてそうしてすぐにでも引揚船が出て行かれるのではないかと思われるような記事が有力新聞にも皆出ちやつた。そういうふうに非常に明るい解決に行くかと今朝聞いたら、鶴見課長は、極めて近い将来にそうなると思いますという非常に希望的な、まああなたでないのですから、責任ある御答弁はできなかつたろうと思いますが、そういうような示唆を受けた。そうかと思つてだんだん聞いてみると、又そうでもないように、今曾祢委員の質問に対して局長はその点ぼやかされた。私は恐らくはつきりとした言明はこの際なされないのか、なさるる段階でないのか知らないけれども、非常に希望的にこれはよい意味で想像しておるのです。空想といいますか、想像しておる。もうはやあなたのほうの肚はきまつて断の一字を下すのは時間的に極めて近いという気持がするのですが、今改めて局長からまだ未決定だと、もう少し縁遠いようなお言葉が出たので、私は私なりに今朝からの質疑応答からなけた印象がジクザクとしておりますので、もう一度聞きたいと思う。
 それから第三点は、関連して遺骨の送還ですね。これは今の在日華僑の送還とは全然別個の問題ですか。そうして又この遺骨の送還に関する限りは、何ら故障もなく何ら問題もありませんかどうかという点を承わりたい。
 それからついででありますが、最後に私どもこれは心配いたしておるのでありますが、今曾祢委員からもお触れになりましたのですが、生活困難な人達に対する保護ですね。これは建前や表を行きますと、今朝からもあるようはなかなか困難な、至難な問題でありますが、外務省とされましても、いろいろお考えもあろうかと思う。そこでこれも又いろいろなやり方もあろうかと思つて、これも御考究中の一つではないかと想像するのですが、外務省のほうで一つお考えがきまりましたらば、厚生省のほうへでもお話なさつたらば、厚生省のほうで又やりよいところがあり、やる方法があるのではないかと思われますので、それについて外務省はどう考えられておりますかという点を承わりたい。私の確かめたいと思いますのは以上の諸点であります。
#127
○政府委員(倭島英二君) お答え申上げます。実は先ほども申上げた点なんでありますが、引揚そのもののやり方並びにそれに関連して出て来た本件の問題につきまして、建前といいますか、或いは割切つたふうに考えて処置できないというような現状でありまして、従つて今の第一の御質問の点で割切つたお答えを申上げにくい。もともと引揚そのものについても日本政府が立つている立場というものはそう割切れておりません。三団体というようなものから話が始まりまして、それについてもいろいろな経緯があつたことは御存じの通りであります。それからそれと派生的な問題が発展して行きますのにも、必ずしも建前から言えば建前が立たんじやないか、割切れておらんじやないかという点が、そういうふうにお考えになる点があるだろうと思いますけれども、先ほども申上げましたように、建前は建前でございますけれども、何しろこちらとしては一人でも多く帰してもらいたいということを主眼にいたしまして、建前の点は相当曲げてと言うとおかしいのですけれども、建前にこだわらないで引揚の促進をやつているという点が、政府の立場というものが必ずしもはつきり御説明をしにくいという点があるわけでありまして、この点一つ御了承願いたいと思います。
 それからどうもやるのかやらんのかどうなのかという点でございますが、この点を、もうちよつと具体的に割つてお話申上げますと、現在華僑総会その他のほうから帰還希望ということで出ている数字は五百幾らと言い、六百幾らという数字がございます。その中でも先ほど申上げましたように、いろんな事情のかたがあると同時に、二百人程度はすぐにでも帰れる。あとは一カ月か一カ月半用意が要るというような点もありますし、もうすでにそう言つてあります。それから又、先ほどちよつと一口触れましたように、その中に相当多くの日本人がおります。その日本人というものの渡航につきましては、第一中共の今度の引揚船の利用というものについても、許可その他のいろんな手続きが要るように我々は承知しております。そういうような関係がありまして、これもいろいろな研究をし、手を打ちたいということで用意をしておりますけれども、どの程度まで早くそういう調査なり用意なりが整うかという点については、余り楽観をしたことはまだ申上にくい状況であります。併しながら先ほどもちよつと申上げましたように、用意ができんから全部駄目だ、待つておれというようなことは考えておらんのでありまして、余り問題ない、できるだけ早くもう帰れるような用意ができ、或いは手続ができるという恰好のかたがたは、少しでも早くそういう希望を達するように持つて行つたらどうかという考え方でおります。従つて或る部分については相当早く或いは希望が達せられるかも知れません。又その種類によつて多少違うと思います。
 それから遺骨の問題でありますが、これは全然又違う問題でありまして、違う機会に違う方法で取上げられている問題でありまして、この点も実は研究中でありますけれども、ここでまだ具体的に申上げるような段階にないので御了承願いたいと思います。
 それから厚生省との関係は、本件の実行にしましても、或いは出発前の問題にいたしましても、いろいろ相談をしております。窓口は外務省がやつておりますけれども、この問題を実際に実行して参ります際には、いろいろな関係が生じて参ります。その点は関係の省といろいろ協議をしております。
#128
○山下義信君 大分わかつて来たのですけれども、大分わからんところがあるのですが、大分わからんところはまあその程度にしておきまして、まあ処置がつけられることのできるはつきりした華僑のかたがたについて、又船のことについて御研究が済んで、いろいろ段取りがついたとして、どうでしよう、今週中には明るいものが見えると考えてよろしうございましようか。その他のことも先にまだやらなければならんのは相当手間がかかるとしても、今週中には我々の希望通りに運び得ると解釈してよろしいのでありましようか、もつと手間はかかりましようか、その点どうでしよう、お見通しは……。
#129
○政府委員(倭島英二君) どうも甚だむずかしい御質問なんですが、我々事務の者といたしましてはいろいろな調査を進め、資料を揃えて早く最後の決定に持つて行きたい。こう考えておりまして、今日ここへお伺いするのが遅れましたのも又そういうわけで、いろいろ急いでいるわけであります。今週中かどうかという点につきましては、まだ私としては申上げられん状況であります。
#130
○山下義信君 強いてお尋ねいたしますまい。折角今朝から勉強したのもその点だけであつたのですが、外務省の御方針やそういう見通しがつくことや、大体いつ船が出るかというようなことをお尋ねしたのですね。そういうことはここで承わることはやめるとしましても、大体解決の見通しというものを御発表といいますか、承わることができることは、これはもう時間がかからんのじやないかと、空想なんですけれども思いますが、これは大体政府の御方針がきまるのは近いと考えてよろしうございましようか。
#131
○政府委員(倭島英二君) そうなることを希望しているわけであります。(笑声)大体そういうことだろうと存じます。
#132
○山下義信君 若しですね、政府はもう決定なすつて、あとすべての手続が済むまでをお待ちになつているという段階ならば、もうそれを押して聞くのはやぼでありまして、局長の御答弁はそういうふうにもとれるのでありますが、これは非常に大事なことなんで、若し手間がかかるということになると、非常に打つべき手がたくさんあり、又やらなければならん、この委員会といたしましても努力しなければならんことが多々あるけれども、ともかく目鼻がつくことが近いうちというならば、私どもは当局の努力を期待して暫く待つて、状況を見て行かなければならん。こういうことになつているのでありまして、若しでき得るならば、許される範囲内で当局から示唆ある御答弁を得たらばと考えている次第であります。どうでございましようか。
#133
○政府委員(倭島英二君) 先ほどもちよつと御説明申上げたのでありますが、いろいろ向うへ渡りたいという人の中にも、事情が異つておるかたがあるようであります。その中で少くとも一部の余り手数の問題がなく、或いは準備その他において手数のかからないかたがたについては、まあ余りひまが要らなくものが片付くのではないかと思います。その問題があると言いますのも、日本側だけの問題ではないのでありまして、先ほども申上げましたが、或る関係につきましては恐らく中国側の、中国側といいますか、大陸中央政府といいますか、中共の赤十字を通じて中共政府或いは当局の了解なり許可なりというものが要る人もいるだろう。そういうわけで必ずしも、この問題が遅れますのは一部の人について多少手数や手続等がかかるのは日本政府の関係ばかりではないと思います。今の御指摘のような点もございますし、我々としては一日も早く人道的な問題でございますから、要望に副えるように努力するつもりでおります。
#134
○山下義信君 私は強いてこれ以上追求しようと思いませんが、素人ながらにも諸般の情勢を承わつて、まあ政府の肚がきまつたらばきまり次第、公式ではなくても、少くとも赤十字社は向うの紅十字に対して何らかの電報を打たなければならん段階ではないかと思われる。若しそういうことを抜かつたためにチャンスを逸して、又妙なことの言いがかりをつけられるということになつてもならんと思うので、そういう赤十字あたりがもうすでに電報を今日あたり何か打たなければならんところじやないかと今朝も赤十字社の社長あたりに言いますと、どうもそういうらしいふうな……。私はそれで当局がそれらについて御配慮があるかどうかということを伺つたのです。私は質問はこれでよしますが、なお局長からそれらの点について御所見がありますれば承わりたい。
#135
○政府委員(倭島英二君) 今の御意見なり御指摘の点については、同感の点が多いわけでありますので、我々としてもできるだけ本問題の円満なる解決を急ぐつもりでおります。
#136
○委員長(常岡一郎君) 御質疑はございませんか。
#137
○藤原道子君 誠にわかつたようなわからないようなことで、まあ辛いお立場もわかるのですけれどもね、何か何かの上から掻いているような感じがしているのですが、ちよつと速記をとめて下さい。
#138
○委員長(常岡一郎君) 速記をとめて……。
   〔速記中止〕
#139
○委員長(常岡一郎君) 速記を始めて。
#140
○藤原道子君 お伺いしたいのでございますが、どうしても台湾籍の人と中国のほうの籍の人とを区別して扱わなければならないのですか。あれは今平等になつているのじやないですか。何とか便法を講じて……。中国の国籍を取得してそうして、それによつて二年以内に、今朝の証人に聞いたのですが、二年以内に異議がなければ全都中国人としての籍を適用するというふうなことであつたのですが、台湾籍の人はやはり特別に扱わなければいけないと考えているのでございましようか。
#141
○政府委員(倭島英二君) その点もどうもちよつと申上げにくい点があるのですが、どういうふうなこれが扱いになるかまだはつきりここで結論を申上げ得ないと思います。ただ、御承知の通り中共との関係の引揚げは、先ほどからぼんやり申上げておりますが、建前に必ずしもこだわらないで、同胞の帰還を促進している。それから一方台北にある中華民国政府との間では、御存じの通り国会の承認も得まして平和条約が結ばれているし、その建前がありまするわけですから、その中華民国政府との関係も全然考慮に入れないということは困難だと思います。従つてまあそれを考慮に入れるというのは建前であります。そういうわけで、まあ建前は建前でも、更にそれを何とか人道的な見地から考えたいということも又一つの大きな我々の考え方でございまして、それが結果としてどういうふうに最後にきまるかという点は残念ながらまだ申上げにくい段階にあります。
#142
○藤原道子君 私はその建前は建前、人道上の見地から日本の同胞の帰国を急ぐと同じように、人道的な見地からやつてもらいたいということを強く要望するわけなんであります。
 それからさつき日本人が相当数、二百人の中にも相当数いるというようなお言葉でございますが、一体どういう関係の人ですか。
#143
○政府委員(倭島英二君) これも実は今調査中でありまして、よくは存じません。ただその名前が、大体我々の今わかつているところでは殆んどすべてが、大部分が婦人で、そうしてそれから子供だろうと思います。男の場合は子供だろうと思います。それからこの婦人は大体中国人と一緒に住つておられた人だろうと思います。ところがそれが今度は名前が必ずしも日本の、例えば山川なら山川とか何とかいう最初の苗字が書いてない。例えば張なら張とか、劉なら劉とかいうようなことで、それで何といいますか、君子とか、そういう日本名がずつと出て来るわけです。ですからこれは調査の上にも、今度は本籍だとかそういうものを……第一日本人が外国に出るときには、旅券の問題がございますし、旅券を発行するときには、それぞれその今後の保護の問題等もありまして、いろいろ或る程度のことははつきりしないと、旅券も発給できないというような問題もありますし、実際問題としてこれを当つてみますと、いろいろ準備なり、調査をしなければならん。而もそれが御関係のかたがたからは極めて資料が出にくいという、まあこれはいずれもう少しはつきりしてくれば出て来るだろうと思います。そういう状況であります。
#144
○委員長(常岡一郎君) 大体御質疑も……。
#145
○林了君 午前中の私の質問をいたしました際に、厚生省の援護課長ですか、御答弁があつて、切れたのですけれども、外国の、殊に今中国の人と結婚をしたかたが日本に帰つて来て、そうして援護を受ける方法がないということを聞いておるのですけれども、援護をしておるのは、生活保護の程度のことか、或いはそれに似たような方法でやつておるのたと、聞くところによると、日本人でない限り日本の法律ではそれはできないので、誠にお気の毒であるができないということを聞いておるのですが、それを事実を伺いたいと思うのです。
#146
○説明員(木村又雄君) お答えいたします。私午前中お答えいたしましたのは、現在日本に在留いたしておりまする華僑のかたがたのうちで生活に因窮されておられるかたがたに対しては、生活保護法と同様の取扱いをしておると、大体その人数は約四百人余り、こういうことを午前は申上げたのでございます。
#147
○林了君 それでは引揚をして帰つて来たかたで夫に死なれて、日本に帰つて来たために、自分の籍は中国に籍があるので、併し元は日本人なんだ、そういう人が生活に困つている場合には、これは外務省なり、或いは厚生省にどういう話合いをしておられたか、厚生省がこれをどういうふうに扱つておられるか、この事実を伺いたいと思います。
#148
○説明員(木村又雄君) 今まで引揚者の中で約半数の一万四千五十名ぐらいが帰つておりますが、その中で元日本婦人、日本人でありまして中間に渡航しまして中国籍を取得いたしまして、それから向うで夫と死別れ、或いは離婚をいたしまして帰つて来たという事例は現在のところございません。元日本婦人が帰つて来るということは中共側との交渉経過に鑑みまして、引揚者の範囲の中に該当するのでございますが、今日までのところは日本の国籍を持たない元日本人というものは帰つて来ておりません。ただ御参考までに申上げますと、先だつて朝鮮方面で韓国人と結婚いたしまして、韓国人と離婚或いはその夫を失つて帰つて来た元日本婦人がございますが、この保護につきましては大いに同情すべき点がございまして、でき得る範囲内において援護その他をやつたのでありますが、この援護と申しましたのは、いわゆる応急援護でありまして、日本に定着をいたした後の定着援護につきましては、これはもとより生活保護法その他の方法によりまして援護救済の途がございます。
#149
○林了君 第一、第二、第三の引揚船ではなくて、そのちよつと前に中共のほうから引揚げて来た婦人の中でそういう婦人がおるのを私知つておるのですが、現在の国籍は夫が亡くなつたために、証明することができないというので生活上困つておる。外務省に相談いたしましたらば、外務省のほうでは日本人でないためにこれはできないというようなことを言つておつた。それが厚生省でこういう人をどういうふうに扱つてよいか、或いはこうい人はどういうふうにやつておられるかということをちよつと伺いたいと思いますが。
#150
○説明員(木村又雄君) 所管関係でございますが、一応そういつた生活困窮者の取扱につきましては社会局で取扱つておりますが、只今も私申上げましたように日本人でなくても在日韓国人乃至中国人でありまして、生活の困窮の状態にあるかたがたに対しましては、生活保護法を準用いたしまして生活保護法の規定するところと同様な保護を加えておりますから、恐らくそういつた保護の途が可能ではないか、そういうふうに考えます。
#151
○林了君 わかりました。
#152
○竹中勝男君 倭島局長にお尋ねしたいのですが、先ほどから山下委員がお尋ねになつて倭島局長が御言明になつたのを聞いておると、或いは希望が持つてるようにも響くのです。ところが又さつきの藤原委員の御質問に対しての内容を聞いておりますと、六百人の希望者があつて、そのうち還送できるような者が二百人ほどはおるだろう。又その二百人のうちで非常に面倒な条件の日本人がいてみたり、子供がいてみたりして、それはよくまだわからないというような状態で、そうしてこれを近い将来に向うに通告して、こういう条件でこういう者が帰還、還送できる該当者としておるというようなことを、どういう方法か存じませんが、又どういう方法で送り還すか、私はわかりませんけれども、それを向うに通ずることによつて、極めて近い将来に第四次船が動き出すような可能性があるのかどうか、こういうことが全然わからなくなつて来る、希望が持てるかどうか、私どもは議員としてやはり或る程度はつきり私どもはわかりたいと思う。これでは全然わからないのです。理解ができない。若しこれについて秘密会であればはつきりわかるようなら秘密会にして頂きたい。折角委員会を開いてもさつぱりわからん。
#153
○委員長(常岡一郎君) 只今秘密懇談会を開きたいということでございますが……。
   〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#154
○委員長(常岡一郎君) それでは秘密懇談会にいたします。速記をとめて下さい。
   午後四時四十八分秘密会に移る
   ―――――・―――――
   午後五時二十九分秘密会を終る
#155
○委員長(常岡一郎君) 速記を始めて、それでは秘密会を閉じます。本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
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