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1953/06/22 第16回国会 参議院 参議院会議録情報 第016回国会 図書館運営委員会 第4号
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1953/06/22 第16回国会 参議院

参議院会議録情報 第016回国会 図書館運営委員会 第4号

#1
第016回国会 図書館運営委員会 第4号
昭和二十八年六月二十二日(月曜日)
   午前十時二十七分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     高橋 道男君
   理事
           岡田 信次君
           野本 品吉君
   委員
           大谷 瑩潤君
           徳川 頼貞君
           藤野 繁雄君
           安部キミ子君
           竹中 勝男君
           八木 秀次君
  国立国会図書館側
   館     長 金森徳次郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○国立国会図書館図書複写規程
○国立国会図書館職員定員規程の一部
 を改正する規程案
○国立国会図書館支部上野図書館組織
 規程の一部を改正する規程案
○国立国会図書館物品取扱規程案
○国立国会図書館図書物品取扱規程案
○昭和二十八年度七月分国立国会図書
 館の暫定予算要求に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(高橋道男君) それでは只今から図書館運営委員会を開会いたします。
 公報によつて御通知いたしました国立国会図書館図書複写規程、これは事後審査であります。国立国会図書館職員定員規程の一部を改正する規程案、国立国会図書館支部上野図書館組織規程の一部を改正する規程案、国立国会図書館物品取扱規程案、国立国会図書館図書物品取扱規程案、この五つの案件につきまして、先ず金森図書館長から一括説明を聴取いたしたいと思います。
#3
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 只今お手許に出ておりまする五つの議案につきまして順次概略の御説明を申上げたいと思います。
 第一に出ておりまするのは国立国会図書館の図書複写規程でございます。図書館法の二十一条第一号に、国立国会図書館がその集めておりまする資料を複写によつて一般公衆の使用並びに研究の用に供することが定めてあります。従つて今までにおきましても各方面の要求に対しまして便宜を図つてはおりましたけれども、最近におきまして漸次その分量が殖えて来る傾向にありまするし、且つ又御承知のようにP・Bレポートの資料が大量に購入せられまするに伴い当然に又相当大量の複写の要求が予想されて来るわけであります。のみならず図書館資料の複写につきましては、図書館みずからが複写をするのではなくて図書館の利用者自身が自分で複写をするというような途も外国の図書館の事例には現われておるようでありまするので、この際これらのものにも応ぜられまするように総合的な複写規程を制定をしたわけであります。これを施行いたしまする時期等をきめまするにつきましてもいろいろ考えました。複写をいたしますれば、自然料金を取るということになつて来まするし、料金を取るにつきましては、会計年度の関係もございまして、それに今としては少しく様子が変りましたけれども、当時P・Bレポートが前年度内に到着して大量の複写依頼があるであろうというような予想もいたしておりましたので、これは四月一日から実施いたしまして、従つてこの委員会の御承認は事前には得ておりませんので、ここに事後承認をお願いいたすような順序になつたわけであります。
 それから続きまして、議案の第二の国立国会図書館の職員定員規程の一部を改正する規程案でありまするが、これはその次に出ておりまする議案第三、国立国会図書館支部上野図書館組織規程の一部を改正する規程案というものと、名前は、一方は定員規程、他方は組織規程と違つてはおりまするけれども、今日改正しようといたしまする内容は、いずれも職員の定数の改正を内容とするものでありまするので、一緒にいたしまして御説明をさせて頂きたいと思います。御承知のように国立国会図書館は、図書館法の定むるところに従いまして各般の図書館奉仕を行なつておりまするけれども、だんだん業務が発展をするに伴いましてその内容も複雑になり、又仕事の性質も相当高級なものになつて参りました。そこでこれらの業務を担当いたしまする職員の中には、相当の学識を持ち且つ経験を深めて、その給与は漸次昇格はして行きながらも、各種職別の定数に制約がありまするために、古い制度で申しまする三級官でありまするところの主事の職名を名乗つておる者が相当多数あるのであります。そのことは、これらの職員の業務の意慾を萎縮させるという傾きもありまするし、又対外的な活動にも支障がありまするので、職員の全体の定員に何らかの増減を加えないでおいて、その内側におきまして、主事の定数の一部を減しまして、そして司書、調査員の定数を増加いたしまして、図書館全体として見ますると、中堅職員の比重を強化して行くというのがこの改正の要点であります。従つてこの規程の中に現われておりまするように、中央館につきましては、主事の定数四十六名を減じまして、その入り替えとして司書の定数を二十一名、調査員の定数二十五名を増加する計画であります。又支部上野の図書館につきましては、議案第三の参考の通り主事四名を減らしまして司書四名を増加しようとするものであります。繰返して申しますけれども、職員の定数は一つも増減をいたしませんけれども、その内側におきまして幾分地位の低いものとされておりまする名前の職員の定数を減らしまして、幾分地位の高いものとされておりまする職員の定数を増加するというのがこの改正の趣旨であります。上げまするが、国立国会図書館物品取扱規程案、それから次に出ておりまする議案第五の図書物品取扱規程案と関連がありまするので、議案第四と第五とを一括して御説明を申上げることにいたします。
 先ず物品取扱規程は、昭和二十三年に図書館運営委員会の御承認を経まして、制定して現行の規則としておるのでありまするが、それと内容におきましては殆んど大いなる変化はございません。ただ現在の規程と違いまするところは、支部図書館が設置せられて来ましたのに伴いまして、その支部図書館にも物品出納命令官、物品会計官吏等を置き得るように規定を設けまして、従つて第三条の第二項、第四条の第二項にそういう趣旨の規定を設けました。それから物品の保管責任につきましては従来幾分不備でありました点を明確にいたしまして、亡失、毀損等の際の処置につきましてもなお明瞭に規定いたしました。そのようなことが主要な改正要点でありまして、他は従来のものの条文の整理を行なつたという程度のものであります。議案第五の図書物品取扱規程は、現行の図書物品取扱規程が、これも昭和二十三年制定のままでありまするけれども、図書館にある資料は一般の官庁において取扱われまするところの事務用の図書と違いまして、いわば職業用のものというような性質のものでありまするし、その数量におきましても、使い方、取扱
 次に議案の第四について御説明を申いにおきましても特殊の性質を持つておるものでありまするから、現在の規程でもそれ相応の注意は払われておりまするけれども、制定以来数年間の実施の経験に徴しまして、幾分不適当な規定があり、そこでこれらの規定、例えば現在の第四条の図書の原簿様式による出納の登記の規定、或いはこれの登記の省略の規定の欠如というようなことにつきましては、会計検査院ともよく協議をいたしまして、実は今までも幾分適当な処置もとつておりましたが、今回物品取扱規程改正の機会に図書物品取扱規程につきましてもその改正を行なおうとするものであります。
 本改正案の主な点につきまして本文について順次申上げますると、第二条におきまして国会図書館法に基きましてこの規程で取扱つておりまする図書というものの定義を明らかにしております。又第三条におきましては、迅速な図書館奉仕ができますように、図書の出組に当りましての登記の問題を適正、迅速に処理できるようにしております。第六条におきまして従来内規のみでやつておりました各部局の図書の取扱主任というものをこの規程の上に明文化させまして、その責任を明らかにしたのであります。第四章といたしましては、独立の一章を設けまして図書の保管責任についてこれを明らかにいたしまして、特に図書の亡失毀損に関します処置について第十四条で規定をいたしましたこと等が改正の主なる点であります。
 なお附加えてお願いいたしたいと思いますることは、それはこの原案によりまして、国立国会図書館物品取扱規程案の附則のところへ持つて行きまして一項目加えまして、つまり附則の第二項になるものとして一項目を加えまして、国立国会図書館物品取扱規程、昭和二十三年十二月十日の制定は、この規程施行の日から廃止する、こういう一項目を加えさして頂きたいのであります。
 それからなお次の国立国会図書館図書物品取扱規程の附則におきましても、その第二項として、国立国会図書館図書物品取扱規程、昭和二十三年十二月十四日制定は、この規程施行の日から廃止するという項目を加えたいと存じます。この二項目は図書館から出しました原案の中に加わつておるものとしてお取扱い願いたいと思つております。なおこの二項を別々に加えましたのは、現在の規程と今日お願いしておりまする規程との間の関係をはつきりさせまして、前のものはなくなつて新しいものが今後単独に働く、こういう趣旨を明らかにしたいという趣旨でございました。
 以上幾つものことを申上げましたが、この五つの案件につきまして何とぞ御審議を願いたいと思いまするが、なお頗る細かい点に亙つておりまするものもございますので、そういうような点は直接事務に触れておりまする部局長から必要に応じて御説明をいたさせたいと存じております。
#4
○委員長(高橋道男君) それでは議案第一の国立国会図書館図書複写規程につきまして御質問のある方は御発言を願います。
#5
○野本品吉君 複写の申込の実情、それから料金の徴収状況について……。
#6
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) この複写を求めまするのは、現在のところではマイクロ・フイルムにとつてもらいたい、或いは普通の写真にとつてもらいたいと、こういう希望が多いのでありまするが、今まで図書館ができましてから、正直なところを申上げますと、写真の施設なんか何もございませんので、本当に間に合わせに立上りまして、当時の情勢としてマイクロ・フイルムの撮影機を外国から買うということは為替の関係から殆んど不可能でございました。それで一応の措置といたしまして、アメリカと話合いをつけまして、向うの図書館の持つておる機械を一時借りまして、それを我我が使うと同時に他の部局も共同して使い得る、こういう方法でやつておりました。従つてそんなに写真の希望者という者もなかつたのであつて、大部分は官庁用と申しまするか、例えば国、会それ自身の御希望とか、或いはそのほかの政府部内の特別な希望ということでありましたが、漸次殖えて参りまして昭和二十五年度は僅かに正式の依頼は八件しかございません。正式な依頼と特に断りましたのは、内部関係の特別扱いをするものが主であつたからであります。昭和二十六年度になりまして四十五件、昭和二十七年度になつて百六十八件になつておりまして、昭和二十八年度に至りましてはまあいろいろの要求を受けておりまして、これは非常にたくさんの分量が出て来まするし、マイクロ・フイルムの焼付、つまりP・Bレポートのフイルムで来るものが多いのでありましてそれを今度写すのではなくして焼付ける、こういうような面のものも多かろうと思つております。従来はまあそう正式にやつておつたのでもございませんので、本当の実費だけを相談ずくで出してもらう、こういう略式な方法をとつて来ておりましたが、今回新らしくいたしまするP・Bレポート、その他の複写の関係は、実際やつておりますといろいろのことが出て来ると思いますけれども、まあ普通の三十五ミリのフイルムに写すとか、或いは三十五ミリのフイルムに写つておるものを焼付ける、こういう形のものでありまして、まあできるだけ学問のためであるから安く行こう、こういう気持でやつております。財務当局のほうから見ますと、成るべくそれを余計取つたほうがいいというような、はつきりしたというものでもございませんが、話合いの上の意見等も出ておりまするけれども、まあ私ども図書館のサービスとして最も安い計算で行こうというふうに考えておりまして、先ほど料金をどんなふうに取るかということでございましたが、普通の写真でとりまする場合、キヤビネ一枚二十円で写して上げよう、こういうわけであります。四つ切りになりますと六十五円で、初めから写真を写して焼付けてございますが、まあ安いもので行きたい。それからマイクロ・フイルムにとつてもらいたい、例えば図書館の持つておりまする大きな新聞の綴込みがある。その新聞の綴込みを一つマイクロ・フイルムにとつてもらいたい、こういうふうな御希望がございますと、これも現在のところいろいろな計算方法で研究をいたしまして、これは長い帯のようにして出すのでございますから計算がちよつと複雑になりますけれども、最初の一駒だけを写してくれ、こういう場合には、一駒といつても一駒だけ写せませんので、長いフイルムをそれだけ無駄に使うということになります。最初の一駒について百八十円フイルムの撮影料金をもらう。但し二駒以上は十円増しということになりますから、駒数が例えば百駒ということになれば、十円の九十九倍に百八十円を加えた額ということになるわけであります。それからフイルムをプリントにしてもらいたいという希望もございましようが、これも今と同じような原理によりまして、最初の一フイートは百円で焼増しをする、それ以上は一フイートを三十円の料金で増す。二フイートと来られますと百三十円でできるというふうに計画をしております。
#7
○委員長(高橋道男君) ほかに御質問或いは御意見はございませんか。御質問、御意見はないものと認めてよろしうございましようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(高橋道男君) それでは本規程についての採決をしたいと思います。本規程に承認を与えることに御異議のない方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#9
○委員長(高橋道男君) 全員挙手でございます。よつて国立国会図書館図書複写規程につきましては全会一致を以て承認を与えることに決しました。
  ―――――――――――――
#10
○委員長(高橋道男君) 次に国立国会図書館職員定員規程の一部を改正する規程案につきまして御質問のある方は御発言を願います。御質問はないものと見てよろしうございましようか。
#11
○藤野繁雄君 さつき説明があつたように、主事を減らして司書、調査員というような者を殖やすとなれば、現在の予算で支障ないのであるかどうか、この内輪の増減と予算との関係を御説明願いたい。
#12
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) これはちよつと周りのことを申上げないと説明が徹底をいたしませんが、新らしき時代と申しまするか、公務員制度が変りましてから、従来のように雇と判任官と奏任官と、勅任官とに分けると、こういう考え方が一般にはなくなりまして、そうして例えば行政官庁では事務官、こういうような名称で、判任官も奏任官も一括した名称で扱つておりました。それから俸給のほうは、その中で区分して予算を盛つておる、こういう状況であります。ところが図書館はややその点が古い制度になずんでおるというような気持がございまして、判任官と奏任官、従来つまり二級官と三級官と分れておりましたようなその気持をなお保存しておるわけであります。そこで主事とそれから調査員、司書というものとの区別を作つておるのでありまするが、併しこれは俸給とは関係は直接ないのでありまして、俸給関係はちやんと予算によりまして何級職何人と、こんなふうに計算されております。でありまするから俸給とこの名称というものには直接の関係がないのでありまして、これをやりましても、予算の上に直接増額ということはございませんで、現に予算で認められておる程度におきまして俸給を払つて行くということになつておりますが、ちよつとおかしいことに見えますけれども、古き制度が、判任官制度、奏任官制度というような考え方がなくなつておるにかかわらず、この図書館とそれから国会の事務局にはそれが残つておりまするので、ここに一つの姿が現われて来るわけでありますが、実質はもう俸給は俸給で予算を盛り込むということになつておりますから、それにはこれがために俸給予算が増額するということは直接にはございませんで、そこで大蔵省と前年度によく打合せをいたしまして、この方法を計画したわけでございます。
#13
○委員長(高橋道男君) ほかに御質問、御意見はございませんか。……それでは本規程案の採決をいたしたいと思います。原案通り承認を与えることに御異議ない方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#14
○委員長(高橋道男君) 全員挙手でございます。よつて国立国会図書館職員定員規程の一部を改正する規程案につきましては全会一致を以て承認を与えることに決しました。
  ―――――――――――――
#15
○委員長(高橋道男君) 次に国立国会図書館支部上野図書館組織規程の一部を改正する規程案につきまして御質問のある方は御質疑を願います。……御質問、御意見はないものと見てよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○委員長(高橋道男君) それでは本規程案の改正案につきましての採決をいたします。本規程案に承認を与えることに御異議のない方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#17
○委員長(高橋道男君) 全員挙手でございます。よつて国立国会図書館支部上野図書館組織規程の一部を改正する規程案につきましては、全会一致を以て承認を与えることに決しました。
  ―――――――――――――
#18
○委員長(高橋道男君) 続いて国立国会図書館物品取扱規程案につきまして御質疑のある方は御発言を願います。
#19
○野本品吉君 図書等の亡失その他はどんな状況ですか。
#20
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 私は実はこの数の精密なところまでは本当はよく存じておりません。やつてみますると、図書館の書物の毀損とか亡失とかということは非常にむずかしいことでありまして、これは事務的な説明と少し合わないきらいがあるかも知れませんが、大きな図書館になりますと、実際本が帳面通りあるかどうかということを調べることは大変でございまして、例えば百万冊の本がこの図書館にある、目録や帳面にちやんとついておる通りに百万冊があるかどうか、それは特定の書物であるかどうかということを調べますることは、なかなか実は何カ月かかつてもできない、こういうわけでございまして、そこには慣習上或る程度の方法がございまするから、そこで非常に正確というわけには行かない場合がございます。というのは、丁度大きな商店が何か品物の調査をいたしますると同じようなものでありまして、年に大きくは一度か二度帳面について当る、或いは毎月一遍ずつめぼしい部分を当る、こういうようなことでやつております。それで私のほうの図書館の本館におきましては、今までオープン・シユタツクと申しますか、閲覧者が自分で書庫へ入つて本を探すという途を設けておりまするから、初め非常に被害が大きいのじやないかということを心配いたしておりました。もうやられますると、わからないと言つては甚だ困りまするけれども、大きな書物の中でちよつと切られて取られたり何かいたしましたのは、よほどよく気を使わないとわかりませんです。もう機会あるごとに精密に調査して、平素は今のように年に一遍、いわゆる土用干しというような形でやつておりますが、今まで一番大きな毀損、亡失というものは、数年前上野の図書館を国立国会図書館に合併したというときに、或る程度精密に調査をしたわけであります。そのときに大よそ四千冊切捨てなければならんということになりました。本は先ず百万、百万の中ですから絶対数は大きいけれども、割合から言えばそんなに大きいということにはなりません。中央館におきましては最近いろいろの角度から調査をいたしまして、二十数冊、大よそ三十冊と思つておりますが、これが汚損或いはその他の方法によりまして使用に適せざるものと認めまして、廃棄処分をいたしました。数は割合に少いように思つております。
#21
○委員長(高橋道男君) 御質問ございませんか。……御質問ないものと認めてよろしうございましようか。
 それでは本案の採決に入りたいと存じます。本案につきまして承認を与えることに御異議のない方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#22
○委員長(高橋道男君) 全員挙手でございます。よつて国立国会図書館物品取扱規程案につきましては、全会一致を以て承認を与えることに決しました。
  ―――――――――――――
#23
○委員長(高橋道男君) 続いて国立国会図書館図書物品取扱規程案につきまして御質疑のある方は御発言を願います。
#24
○徳川頼貞君 只今亡失のことでお話を伺つて参りましたけれども、貸出しておいて返納されないものはどういうことになつておりますか。なお本館に、中央館においてはオープン・シユタツクにしてあるのでしようけれども、併し上野のほうはオープン・シユタツクじやない、そういう場合に本館におけるところの返納されない本類と、それから上野図書館のような場合のものは、どういうような工合になつておりますか、お話を願いたい。
#25
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 貸出をいたしまして、それが戻つて来ないということはどうしてもあり勝ちのものでありまして、殊に止むを得ん場合もございまして、例えば借出しておる間に借出した人が火事に会いまして、なくなつてしまう、私どものほうでも曽つてアメリカの人が日本にたくさん来ておる時代に、そういう方法で貸出をしたものが、その人の宿舎と共に焼けてしまつて、何ともしようがないというものはございますけれども、その数は割合に少いものです。二、三冊というようなのが普通です。で中央館におきましては、貸出しいたしまするのは保証金を取つて貸出しておりまして、大体もとの値段に該当する程度、一冊三百円とかいう見当をつけまして、そうして保証金を取つて貸しまして、そうして返して来るとそれを返すという方法でやつておりますが、今までのところ現実に損害を受けた処置をした覚えはございません。それからそういう方法でなくて、職務関係で貸すというのに、どうしても戻つて来るのに遅いというものはございますけれども、これも各地方の図書館なんかに直接貸すという形でやつておりますから、うるさく言えば実質上には損失は起つて参りません。あと少数そういうこともあろうと思いますけれども、今のところはつきり処置したような場合もございません。
 それから上野のほうは、あれは上野の図書館につきましては、貸出は今のところ一部分だけ開架式を数千冊だけにしておりましてそれは誰でもそこへ行つて探せるようにしておりまして、大部分は書庫から一々そのリストによつて出すという方法をとつておりますから、それだけの関係から行くと、失われるわけは実は余りないのでございます。それに外に向いましての一般貸出は今やつておりません。官庁等の貸出でございまするから、それは根気よくやれば必ず戻つて来る性質のものであります。にもかかわらず、先にちよつと申しました四千冊切捨てなければならんというような場面があるというと、それはおかしいと言えばおかしいのでございますけれども、多年の間にそういうことも起りまして、それがこの或る分量は書庫の中で起つて来るのじやないかと思います。貸出閲覧者に出したのは、それは本が戻つて来なければ外へ出られません。なくなる理窟はちよつとないのでございますけれども、これが書庫の中であとで調べてみるとそういう欠本があるという状況になつております。
#26
○藤野繁雄君 国会図書館で購入される図書の金額は予算にあるのはどのくらいになつておりますか。
#27
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 国会図書館で買いまする書物、国会図書館には御承知のように納本義務がございまして、日本で新らしく本を出した人は一部は納本しなければならない、併しそれに対しましては実費を払うということになつておりまして、大体五割見当金を払うことになります。で千円の書物であれば五百円だけはその納本者に払うということになつております。そのほかは市場から買入れるもの、それから又大きなコレクシヨンを引取ることがあり、又特別な珍しい書物を持つておる方から引取ることがあります。そのほかもう一つ大きなものとして、外国の書物と日本の書物と交換をしておりまして、この部分は本が入つて来るところの点では金を用いずして入つて来るというような意味になつております。そういうようなあらゆる手段を講じまして、今のところ年額約二千万円の金を払つて買入れておるということでありまして、この額が、国内の出版物はならして今のところ精精一年に一万七千種くらいしか出ておりませんので、そんなに本を買う金が不足するということは言えませんけれども、外国の書物を買いまする部分は、近頃交通が便利になり、外国の本が楽に買えるという途が開けたにかかわらず、予算が殖えない、こういうことで今のところはちよつと困つておりますが、だんだんそれも量を殖やして行く筋には向つております。
#28
○藤野繁雄君 そういうものは、或る程度図書館の図書を財産として計算する場合においてはどういうふうなことで計算されるのであるか。或いはそういうふうなものについて何か特別な規定があるかどうかということですね。
#29
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) さような次第でございまするから、図書館の書物を金銭に評価して管理しておるという段階までは今行つておりませんのです。これは非常に困難なものでありまして、例えば静嘉堂文庫のほうは私どもの直轄ではございませんが、責任を持つてあずかつておる本でありまするが、その一冊の、例えば宋の時代に出ました書物はどのくらいな価値があるか、或いは日本の古い時代に書かれた巻物がどういう価値を持つておるかということは殆んどきめられない、非常な高いものかも知れませんので、そういうものは金銭には評価しないでただ物として保管をしております。買つたものにつきましては、買つたときの値段はもとより記録の中に残してございますけれども、そうでない種類のものはちよつと評価できませんのです。それから今貸出をいたしまする場合には、もとより書物の時価がございます。これは貸出の場合の書物というのは、普通街へ行つて買える程度のものでございますから、大して問題を起すことはございません。ただ稀な場合でありますけれども、特殊なものを外へ貸出しまして、そうしてそれが何かの理由で紛失したというときに如何なる賠償を取るかという問題がございまして、最近に起りました一つの例は、牧野伸顕さんの家にあつた、よそから来た手紙が一つ、北海道の或る公けに行われた展覧会に貸しましたところが、その手紙が一本行方不明になつてしまつたわけでございます。これはものの性質からいつて非常に珍貴なものというほどのものではございませんですが、とにかく紛失をしたということになりますると、この規程に示すがごとく賠償を求めなければならんわけでありまして、その賠償を求めまするときにはそのときになつての評価をいたしました。その場合は日本で一番古書、古文書を扱つておる街の人、具体的に言えば浅草におる浅倉屋書店の主人の評価というものを一番中心にいたしまして、それをほかの者の意見を又加えて、一定の金額でそれで賠償をもらいました。そんなようなことをやつておるのでございます。
#30
○藤野繁雄君 そういたしますと、図書館で国費を使つて購入したところのものは、何年たつてでもその時価でなくて、買つたときの値段で計算してあるだけであつて、図書館における国が出した金の財産は幾らであるかというような計算はされないものということになつておるのですね。
#31
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 只今のところは計算をしないで管理をしております。
#32
○藤野繁雄君 そうしますと今まで国費で使つたところの本でどのくらい、何冊くらいのものが買われて、その金額はどのくらいになつておりますか。
#33
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) これは私どもの図書館は、今管理しておるものが支部図書館にたくさんございまして、それを合せますと、これは非常に計算がむずかしくなりますが、中央だけの計算で行きますと、そんなにたくさんな金額になりません。つまり最近の図書の購入費というものは二千万円である。それから過去に遡るに従いまして三割見当くらいずつ減つて行つておるわけです。つまり近頃は三割ずつ殖えておる。それが五年間続いたのでございますから、大体の見当がつくのでして、比較的僅かなもので、それに一つのまとまつたものとして買入れましたもの、例えば満鉄の持つておつた古書を買い、或る実業家の持つておつた古書を買い、これはこの図書館ができ上ります当初のものでありますが、それが大体全部合計して八百万円くらいだと私今想像しております。がから今のところは本館の管理しておりますものはそんなに大きな金額になつておりません。併し支部図書館で持つておりますものは、これは国会図書館の所有になつているものもあり、なつていないものもございますけれども、この金額は非常に大変なものだと思います。例えば土野の図書館でも今まで八十年間の間にこつこつ集めました古文書類の珍しいものがあつて一例を、極く平凡な一例を言いますと、法隆寺でありましたか、百万塔の本物が三通りも四通りあるわけです。これは幾らに評価するか、贋物であれば何千円という金で買えますけれども、本物であれば、私素人でわかりませんが、一つ一万円としても、僅かな、小さな紙切れが四枚で四万円ということになりますが、これは相当なものだと思います。
#34
○藤野繁雄君 図書は保管ということが最も大切と思つておりますが、私などが持つておつても虫がついて困るのですが、図書館ではそういうふうな虫害その他の鼠害というようなものに対する方法として何か特殊な方法を講ぜられておるのですか、お伺いしたいと思います。
#35
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 図書館に入ります書物に虫がつくということはあり勝ちでございまして、一遍虫につかれますとなかなか処置に困るものです。でありますから図書館の中に虫がいないようにするというのが一番必要でありまして、例えば書庫の全部を燻蒸する、そうして虫の入らないようにするということにする。新らしく買つた本は、その性質によりまして、虫のおりそうなものは厳重に蒸すというか、燻蒸をいたしまして、そうして虫のいないようにする、まあこういう方法をやつて、その設備をいろいろ工夫をしております。只今のところでは、各図書館によつてやり方は違つておりまして、私どもの例えば静嘉堂文庫、東洋文庫では、何でも買うときに厳重に注意をいたしまして、静嘉堂のごときは、書物を入れますには楠でこしらえた本箱に入れます。人間が書庫に入つても息の詰るほどナフタリンを入れてドアーを閉めてあるわけです。ここらへ行つて開けてみますと、どうも虫なんかいるような気配はございませんので、八百年前の支那で出版された書物でも非常にきれいになつております。上野の図書館のほうは、これも虫は殆んどおりませんですけれども、何しろ古い図書館で、現在でも約九十万冊くらい持つておりまして、そんなに完全にというわけに行きませんが、虫はおりませんが、湿り気のためにやられる危険がございまして、というのは、地下を掘り下げてこしらえた部屋の中に或る種類の書物か止むを得ず置いてあるというようなところに行きますと、一番顕著な被害でありますが、新聞の綴込みで、明治の初めの新聞紙というものを綴込んであると、古くなつたので紙が非常に腐りやすいものであると同時に、綴じ紐も腐つて行くというようなことで、正直に自白いたしますと、非常な合理的な管理方法とは言えないのであります。これをよくするために書庫からして作るよりしようがないのであります。最近上野のほうに書庫を二棟、鉄筋コンクリートのものをこしらえまして、それに湿り気の行かないような工夫をしております。そういうふういろいろな方法でやつておるのであります。現在のところまだ非常に完全な方法はとつておりません。ただ虫害か現われていないことだけは確かであります。
#36
○藤野繁雄君 諸外国の図書保管の状況がわかつたら一つ外国の実例をお伺いいたしたいと思います。
#37
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) ちよつと今、或いは聞き違いかも知れませんが、将来図書を保存するときにどういう注意をするかというような点であつたかと思いますが、只今のところでは、本館のほうでは格別なことはしておりません。非常に怪しいものは特別に虫なんかを防ぐ方法をやつておりますけれども、あとは部屋のほうを注意をして処置して行く程度でございまするが、将来のことになりますと、少くとも根本的に考えなければならんのでありまして、書物をこわす力というものは一つの力ではございませんので、虫が一つでございまするし、それから湿り気によつて害をするというのが一つでありまするし、それから虫でもなくて黴菌の系統のもの、かびが生えて来るというのも非常に大きなものでありまするし、それから更に紙というものは腐りやすい、温度の変化によりまして近頃の紙は腐りやすい傾向がございまして、そのことを一般的に考えなければならんということがございます。それに一番困りまするのは盗難除けがあり、水害を除けることがあり、火災を除けることがあり、いろいろと除けるものがたくさんあるわけであります。これを合理的に管理いたしまするには、結局図書館の建築のほうに注意をいたしまして、極く普通の書物は普通に扱つて、換気と温度、それから日光の関係を気を付けるというようなことでありまするが、少し貴重なものになりますと、私まだ今研究時代でありまするけれども、誰に話しても、先ず一部分でも、たとえ一部分でもエア・コンデイシヨンをいたしまして、そこに通うところの空気は常に一定の温度、一定の湿度を持つものであつて、そうして成るべく太陽の光線を入れない所に保存したほうがいいというようなことらしいのでございまして、この間もアメリカの図書館人が来ましたので、そういうようなことについて向うの意見を述べておりましたが、たとえ一部分でもいいからそういう部屋をこしらえて、貴重なものはそういう処置をすべきである。日本ではときどきストライキがあつて根本の電気が一週間なり二週間なり来ないときがあるから、自家発の装置を新しいものには加えろというようなことを言つておりましたが、そういうようなことも考えておるわけであります。
#38
○委員長(高橋道男君) 只今の藤野委員の御質問は、諸外国の虫鼠害に対する対策はどうかということでございましたが、今若し資料がなければあとで、今日の審議のことにも直接の関係はないと思いますので、資料をあとで提供して頂いたら如何でございましようか。
#39
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 私は実はその点を主にして数箇の図書館だけ見て来たわけでありまして、いろいろよく考えておつて予算のあるなしに応じて、合理的なものもあれば不合理的なものもあるように存じております。例えばハーバード・エンジンの図書館は非常に気を付けております。貴重本なんかを保存するには気を付けておると言つております。地下室に貴重本を入れまして、地下室でも上から水が漏つて来る心配があるというので、本箱のところに金属の屋根をこしらえてたとえ上から水が漏つても本箱には直接には入らないという、このくらいのものでございます。併しこのハーバードの中心の図書館自身を見まするというと、これはもう完全に地下一ぱいに底深く入つて行きまして、暗がりにしてあつて、空気なんかは完全に濾過しておりますので、私そこへ行きまして本箱の中の本の一番上の端の所を指で撫ぜてみろというので撫ぜてみましたところが、指には埃一つつかなかつた、のみならず、古い書物には書入れ一つございませんで、日本でありますと、図書館で買つたという蔵書印を入れましたり、そこにいろいろな書入れをしておりますけれども、貴重本をこわすことはやつていない、いろいろな蔵書がありまして、私どもは今どういう方法が一番実効的かということを研究している段階であります。
#40
○委員長(高橋道男君) ほかに御質問はございませんか。御質問はないものと認めてよろしうございますか。
 それでは本案の採決をいたします。本案に承認を与えることに御異議のない方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#41
○委員長(高橋道男君) 全員挙手でございます。よつて国立国会図書館物品取扱規程案につきましては、全会一致を以て承認を与うえることに決しました。
  ―――――――――――――
#42
○委員長(高橋道男君) 次に昭和二十八年度国立国会図書館の七月分の暫定予算予定経費要求につきまして図書館側から御説明を申したいという申入れがございますが、説明を聞くことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○委員長(高橋道男君) それでは館長から御説明願います。
#44
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) この本年のいろいろの暫定予算は、今までこの国会の議に付せられておりましたが、なお七月分の暫定予算二千九十八万四千円というものを計上して議決を得たいという希望を持つております。この額は先般審議をして頂きました昭和二十八年度の全体の予算総額の中から今まできまりました暫定予算、つまり四月分、五月分、六月分の暫定予算を差引きまして、そうしてその残つておりまするものの中から、ここに御覧に入れております刷物によつて明らかでありますように一般の経費を取上げております。と申しますのは、図書館の建築費は別にいたしまして、その差引残額の九分の一を要求するというのであります。それが二千九十八万余円になるわけであります。だんだん差迫つておりますので、暫定予算で要求しておりますが、お含みを願いたい、こう思つております。
#45
○委員長(高橋道男君) 御質問はございませんか。ちよつと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#46
○委員長(高橋道男君) 速記を始めて下さい。只今図書館長から御説明のありました通り了承することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#47
○委員長(高橋道男君) 御異議ないものと認めます。
 それでは本日の委員会はこれを以て散会いたします。
   午前十一時二十五分散会‘
ソース: 国立国会図書館
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