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1953/07/21 第16回国会 参議院 参議院会議録情報 第016回国会 文部委員会 第10号
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1953/07/21 第16回国会 参議院

参議院会議録情報 第016回国会 文部委員会 第10号

#1
第016回国会 文部委員会 第10号
昭和二十八年七月二十一日(火曜日)
   午前十時五十二分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
七月十七日委員深川タマヱ君辞任につ
き、その補欠として有馬英二君を議長
において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     川村 松助君
   理事
           木村 守江君
           八木 秀次君
   委員
          大野木秀次郎君
           泉山 三六君
           剱木 亨弘君
           吉田 萬次君
           杉山 昌作君
           安部キミ子君
           相馬 助治君
           長谷部ひろ君
           須藤 五郎君
  政府委員
   文部政務次官  福井  勇君
   文部省大学学術
   局長      稻田 清助君
   文部省管理局長 近藤 直人君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       竹内 敏夫君
   常任委員会専門
   員       工樂 英司君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○私立学校教職員共済組合法案(内閣
 送付)
○大日本育英会法の一部を改正する法
 律案(内閣提出・衆議院送付)
○教育職員免許法及び教育職員免許法
 施行法の一部を改正する法律案(内
 閣提出・衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(川村松助君) 文部委員会を開会いたします。先ず最初に私立学校教職員共済組合法案の提案理由を聴取いたします。福井政務次官から提案の理由の説明を求めます。
#3
○政府委員(福井勇君) 只今上程になりました私立学校教職員共済組合法案についてその大要を御説明申上げます。
 我が国の学校教育に極めて重要な地位を占めている私立学校がよく戦後の苦難に堪えて、特有の伝統と自主性をもつて我が国の学校教育の進展に貢献して来たことは申上げるまでもないところであります。
 従つて、私立学校教育の振興を図ることはひいては我が国の学校教育全般の振興を促すものでありまして、先に昭和二十四年私立学校の基本法ともいうべき私立学校法を制定したことも車に昭和二十七年私立学校振興会法を制定して私立学校の経営に対する援助を行う恒久的制度を設けたのも、一にこの趣旨にほかならないのであります。
 私立学校教育振興の根本は、先ず私立学校が経営の合理化と健全化を図ることによつて自主性と公共性を発揮するところにあります。これと同時に私立学校の教職員がこの重大なる責務を安んじて担当できるためには、それ円に対する福利厚生の対策を立てなければならないことはこれ又申上げるまでもないところであります。
 然るにこれら私立学校の教職員に対するそれらの対策はどうかと申しますと、国、公立学校教職員のそれに比し、相当立ち遅れの現状にあることはこれを認めざるを得ないのであります。
 即ち現在設けられておりますところの、教職員の退職、老後の給付を目的とする財団法人私学恩給財団並びに本人とその家族の疾病、災厄等の給付を目的とする財団法人私学教職員共済会はいずれも国、公立学校教職員の共済制度に比し、その財政的基礎、給付の種類、内容等において甚だ不十分な実情にあるのであります。
 そこで、かねてから私立学校関係者は、私立学校教職員共済制度の確立を熱望して参りましたが、政府といたしましても第十三回国会における私立学校振興会法制定の際の付帯決議即ち、私立学校教職員の福利厚生対策については、教育基本法第六条の趣旨に基き国、公立学校の教職員と均衡を保てるような別途の施策を考慮するという趣旨に基き、又私立学校の自主性を尊重しつつ、先ごろから立案を進めて参りました。その結果、ここに私立学校職員の相互扶助事業を行う私立学校教職員共済組合を設け、既設の両財団法人を発展的に解消させると共に新たに私立学校教職員の全員を原則として強制加入させ、その福利厚生を図り、兼ねて私立学校教育の振興に資するため、ここに私立学校教職員共済組合法案を上程いたした次第であります。
 なお、本法案は健康保険法、厚生年金保険法の特例法となるものであり、又本法案の施行期日は準備期間を見まして昭和二十九年一月一日といたしております。
 以上本法案提出の理由を申述べましたが何とぞ慎重御審議の上速かに御可決下さるようお願いいたします。
#4
○委員長(川村松助君) 管理局長の補足説明を求めます。速記を止めて。
   〔速記中止〕
#5
○委員長(川村松助君) 速記をつけて下さい。
#6
○政府委員(近藤直人君) それでは只今上程になりました私立学校教職員共済組合法案について補足してその大要を御説明申上げます。
 私立学校教職員共済組合は、法案第一条の目的に明らかでありますように、私立学校教職員の相互扶助事業を行い、その福利厚生を図り、以つて私立学校教育の振興に資せんとする特殊法人でありまして、本法案は、この私立学校教職員共済組合の設立、組織、運営、業務、経費の補助及び監督等に関して必要な事項を規定することを内容とするものであります。以下本法案における主要事項につきまして御説明申上げます。
 第一に、この組合は、私立学校法第三条に定める学校法人、同法第六十四条第四項の法人及び組合に使用される教職員を以つて組織するものでありまして、その学校数は約四千校、教職員数は約七万六千人であります
 第二に、この組合は、第七条の規定によりまして、役員として、理事長一人、理事三人以上六人以内及び監事二人を置くことといたしております。これらの役員は組合の義務の運営の責任を負う機関であります。
 役員は、第九条の規定により、組合の目的を達成するために必要な学識経験を有する者のうちから文部大臣が任命することになつておりまして、専任者を建前としておりますが、場合によつては、他の職業に従事している者でありましても、第十条の規定によりまして適任者をこれに任命することができることとし、広く適材を求めることができるようにいたしております。
 第三に、組合の業務の適正な運営を図るために諮問機関として運営審議会を設けております。運営審議会は、第十二及び第十三条の規定により明らかでありますように、十五人以内の委員を以つて組織され、定款及び業務方法書の変更、毎事業年度の予算、重要な財産の処分又は重大な義務の負担・訴訟又は訴願の提起及び和解その他組合の業務に関する重要事項について理事長の諮問に応じ、又は必要と認める事項について建議することを主たる任務とするのでありまして、組合の業務の運営に広い範囲の公正な意見を反映させる目的をもつて設置されるものであります。
 委員は第十二条の規定により、組合員、組合員を使用する私立学校法第三条に定める学校法人又は同法第六十四条第四項の法人の役員及び学識経験者のうちから文部大臣が委嘱することになつておりますが、その委嘱にあたりましては、一部の者の利益に偏することのないように注意して、公正妥当な運営を図るようにいたしたいと考えております。
 第四に、組合は第十八条以下の規定により業務として組合員又はその被扶養老の疾病、負傷、死亡、分べん、退職、災やく又は休業に関する給付事業並びに組合員の福祉を増進するための福利及び厚生に関する事業を行うのでありますが、その給付の種類及び内容等は、国家公務員共済組合と同様であります。
 第五に、掛金及び国庫補助金についてでありますが、掛金は、第二十八条の規定により組合員とその組合員を使用する学校法人等との折半負担とし、その掛金率は第二十七条の規定により政令で定める範図内において定款で定めますが、万一その滞納がある場合を考慮して、健康保険法及び厚生年金保険法と同様、第三十条以下に滞納処分に関する規定をも設けております。
 次に第三十五条の規定により、退職給付、廃疾給付及び遺族給付につきましては、これに要する費用の百分の十、組合の事務に要する費用につきましては、その全部を国庫が補助することができることとなつております。
 第六に、給付に関する決定、掛金その他この法律の規定による徴収金の徴収又は滞納処分に対し異議のある組合員の苦情を処理するために審査会を設けて処理させるようにいたしました。これは国家公務員共済組合と全く同様であります。
 第七に、定款及び業務方法書の変更、予算及び決算につきましては、文部大臣の認可又は承認を受けることを要するものといたし、又第九章の規定により、組合は文部大臣の監督に服するものでありまして、文部大臣は組合に対して監督上必要な命令をなし、報告を徴し、又は所属職員をして立入検査をさせることができるのでありますが、これらは組合の業務の特殊性及び公益性に基くものであります。
 第八に、組合の設立に関する事務は、附則第二項以下に規定しておりますように、文部大臣が設立委員を任命してこれを処理させることにいたしております。設立委員は、それにふさわしい学識経験者のうちから任命されるわけであります。
 第九に、財団法人私学恩給財団及び財団法人私学教職員共済会は組合成立の日に解散し、その権利義務は組合がこれを承継することにいたしております。
 第十に、附則第十三項以下の規定により組合成立の際、現に厚生年金保険の被保険者である者又は私学恩給財団の加入教職員である者につきましては、その既得権を尊重する趣旨から、その者の被保険者又は加入教職員であつた期間をこの法律による組合員であつた期間とみなし、これと、その者がこの法律による組合員となつた後の期間とを合算することとし、またその者に対して給付を行う場合におきましては、厚生保険特別会計がその給付費の一部を負担し、又はその給付について必要な調整を行うことができるようにしてあります、なお、これら期間の合算及び費用の負担その他細部の事項につきましては、政令で定めることにいたしております。
 最後に、この法律は、教育基本法の精神に則り、健康保険法及び厚生年金法の特別法として制定するものでありまして、強制加入を原則といたしております関係上、この法律の例外的な取扱は最少限度にとどめることが、この法律の趣旨にそうゆえんであります。但し、附則第二十二項の規定により組合成立の際現に健康保険組合を組織する被保険者につきましては例外を認めることといたしました。その者については、この法律の施行に伴い、健康保険組合の取扱に関し問題を生じますので、その者に対する保険給付、罹災給付及び休業給付の適用についてはこの法律による組合員にならないものとすることができることとしたわけであります。
 なお、この法律の施行期日は、昭和二十九年一月一日でありますが、この法律は、前述の通り健康保険法及び厚生年金保険法の特別法として制定するものでありまして、而も両法の一部を改正する法律がさきに施行される予定でありますので、混乱を避けるために、本法の施行に伴い組合員となるべき者につきまして両法の適用を排除する規定を設けております。
 以上が本法案の大要でございます。
#7
○相馬助治君 只今提案理由の説明があり、政府委員の補足説明がありましたが、この法案について私は資料を要求します。この法律案が成立いたしますと、財団法人私学恩給財団及び財団法人私学教職員共済組合の権利義務が直ちに自動的に組合がこれを継承するようになつておるようでありますからして、私はこの際この二つの会の主要なる役員のメンバー、それから財政的な面から見た事業の大要と、特に明らかにして頂きたいことは、負債、しよいこむ負債がどういうふうにあるのか、或いはどういうふうな財産があるのか、これらの関係が明らかになるような大雑把な資料で結構ですから、細目的なものは要求いたしませんから、それを文部省に要求いたします。
#8
○委員長(川村松助君) いいですね。
  ―――――――――――――
#9
○委員長(川村松助君) 次に大日本育英会法の一部を改正する法律案を議題といたします。本法律案につきましては先般の委員会において、大体質疑は終局いたしたものと認めまして、本日は討論表決に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(川村松助君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
#11
○須藤五郎君 私は育英会法そのものの精神に反対するものではないのでありまするが、むしろこの育英会法そのものが不徹底だという点で不満な気待を待つておりますので、この法案に反対の意思を表明しなければならないことを甚だ遺憾に思うのであります。
 第一質問におきまして申しましたように、この法案ができた精神は貧しい人たちのために作られたものであるにかかわらず、やはりその人たちの立場を完全に守るというよりも、むしろ僅かばかりの、本当に月謝にも足りないような金を貸与えておいて、そしてそれによつて、なんかその人たちの行動を束縛するような傾向すらもあり、又それを将来取戻そうというような仕組になつておる点で、私は非常に不満な気持を待つものであります。若しも国が貧しい学資の足りないような英才を養成するために、その人たちのために、学費を出すならば、貸与するというような形でなしに、やはり給付するというような形をとつて行くべきが当然ではないかと思います。その金がないなどということは絶対言えないです。国はあらゆる無駄な金をたくさん使つておる、それでありますからこの三十四億というような僅かな金でありましたならば、何んでもないことだと思うのでありますが、そういうことができないというような、その根本的な精神に対して、私は賛成することはできない。いろいろ例を上げますならばたくさんありますが、この際そういうことをくどくどと申上げる必要もないと思いますので、私はこの育英会法そのものの運営の精神に対しまして、私は反対をせざるを得ない、そういう立場から育英会法に対しては反対をいたします。
#12
○委員長(川村松助君) ほかに御発言はありませんか。
#13
○相馬助治君 只今議題になつておりまする大日本育英会法の一部を改正する法律案についてでありまするが、大日本育英会が僅かな国の費用をもらうに過ぎなかつたにもかかわらず、今まで果して来た役割というものは誠にこれは大きかつたと思うのでありまして、諸般のその後の事情の変化に伴つて、是非必要な面において、現行法の一部改正をしなければならないというのは当然であろうと存じます。従いまして私は本法案に賛成の意思を表明いたします。特にその内容とするところにおきまして、貸与金の無利子、その返還期限と猶余の方法、そうしたものを法律に明記した点と、学資の貸与を受けたものが実際にそれらの職に一定年数以上従事した場合は貸与金の返還を免除できる規定を設けておるということは、我々の心から同感するものでございます。ただ私は本法案の成立にあたりまして、一言附加えて、政府当局にお願いというよりは要請したいと思いますことは、限られた国家財政の規模の中において、この育英会に対する補助をするのでありますから、無制限なものの望めないことは当然でありまするけれども、現在高等学校の生徒において七百円、大学において二千円という金額は、他の諸物価等と比較いたしまして誠に些少なものであつて、精神的な奨励というものならばわかるのでありまするが、優秀な資質を持ち、而もその境涯恵まれざるため、勉学し得ない者に対する財政的な給付としては理窟なしに額が些少であるということを嘆かざるを得ません。而も一人一人のものに与える単価を高くすればその人数が制限され、多くの人数に資金を与えようとするならば単価は低くなつて参りまするので、今の状態においてどの人数に補助し、一人に対してどの程度に補助するかということは極めてむずかしい問題であると存じまするから、これらの具体的な問題についても十分心をとどめて研究すると同時に、政府当局も又文化国家の名に恥じないようにこれらの面に対して、できるだけ多くの国費を割くべきであると本員は考えるものでありまして、特に当局でありまする文部省においては、予算獲得に関して今一段の努力をこの際私は心から、貧しくて而も学び得ない多くの日本の子弟のために要請するものでございます。甚だ簡単でありまするが以上申上げて私は本法案に賛成の意思を表明する次第であります。
#14
○委員長(川村松助君) ほかに御発言ありませんか。別に御意見もなければ討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。御意見も尽きたようでありますから討論は終結したものと認めて御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○委員長(川村松助君) 御異議ないものと認めまして、それではこれより採決に入ります。
 大日本育英会法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案を可決することに賛成のかたは御起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#16
○委員長(川村松助君) 多数でございます。よつて大日本育英会法の一部を改正する法律案は多数をもつて可決することに決定いたしました。
 なお本会議における委員長の口頭報告の内容は本院規則第百四条によつて、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつております。これは委員長において、本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び報告の結果を報告することとして、御承認を願うことに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○委員長(川村松助君) 御異議がないものと認めます。それでは本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書について多数意見者の署名を付することになつておりますから、本法案を可決することに賛成いたされたかたは順次御署名を願います。
 多数意見者署名
    相馬 助治  八木 秀次
    剱木 亨弘  杉山 昌作
    吉田 萬次 大野木秀次郎
    長谷部ひろ  安部キミ子
    木村 守江  泉山 三六
#18
○委員長(川村松助君) 速記をとめて下さい。
   〔速記下止〕
#19
○委員長(川村松助君) 速記をつけて……、署名洩れないと認めます。
  ―――――――――――――
#20
○委員長(川村松助君) 次に教育職員免許法及び教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。本法律案の審議に入ります前にお諮りいたしますが、先ず総括質疑をいたしまして、ついで逐条的に質疑をいたしますか、又は法案全部について一括して質疑をいたしますか。
 別に御発言もないようでございますから、総括逐条と分けずに、一括して質疑をして頂きます。御質疑のおありのかたは御質疑を願います。
#21
○須藤五郎君 私は新米で、この免許法に対して知識を持つていないのでありますが、願えるならばこの免許法を簡単に説明をして頂きたいということ、何が故にこの免許法が必要なのか、その点を説明して頂きたい。
#22
○政府委員(稻田清助君) 只今の御質疑は免許法本法についてでございますか、改正法についてでございますか。
#23
○須藤五郎君 本法であります。
#24
○政府委員(稻田清助君) まあ免許法は先般来数次の改正を経て国会で御審議願つて参つて来ておりますが、ともかく免許法第一条によつて規定いたしておりますように、この法律といたしましては教職員の免許に関する基準をきめて、教育職員の資質の保持と向上を図る、こういう趣旨の下に御制定に相成つております。大体その内容について御覧頂きますように、高等学校以下の教員につきましては、要請として大学教育というものを基準といたします。大学四年の教育を基準といたしまして、その前後に資格を考えております。免許状の範囲を教諭免許状、それから校長免許状、それから指導主事免許状、養護教諭免許状というように、まあ横巾を考えております。それで教諭免許状には小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校、それから養護学校、幼稚園というふうに学校の種別を分けております。又それぞれにつきましては普通免許状と仮免許状と臨時免許状、普通免許状を更に一級と二級に分けて、これを中学校及び小学校の例で取つて見ますると、大学四年を出ますれば中学校、小学校の一級免許状、大学二年の過程を終了すれば二級の免許状、それから一年の教育を受けますならば仮免許状、高等学校を出た程度のものは臨時免許状、大体そういうような点を基準といたしておるような次第でございます。非常に概略でございますが免許状の構成につきまして一応お答えしておきます。
#25
○須藤五郎君 こういうものができる前にも、こんな複雑怪奇なものをごちやごちや作らなくても、ちやんと行つていたと思うのでありますが、特になんですか、この法案は教育職員の免許に関する基準を定めるという、教職員の資質の向上を図るというような目的の条項がありますが、こういうものを作らなくてはこの目的を達することができないのですかどうか。
#26
○政府委員(稻田清助君) 御承知のように明治十年代以来、我が国の高等学校、旧制高等学校以下の教員につきましては、非常に複雑な免許制度があつたわけでございます。まあそれぞれ別々の規定に基きまして、お互の間の脈絡その他についても大変複雑な関係を持つておつた。それを新らしい教育制度に一応即応しつつ単純化いたす意味におきまして、御覧の通り二十条ばかりの条文にこれを一つまとめ上げたのが、この免許法のことでございます。或いはその複雑と言われますのは、むしろ免許法施行法の問題だと思います。これは先ほど申上げました通り、従来の免許規定が非常に複雑で、そういう複雑な免許規定の下に旧制の免許状を持つておつたかたが現職に就いておられる、それを新らしい簡素化された免許法の内容と照応いたします免許状を切替えるという点に非常に複雑な規定がついたと思います。併しこれもすでに免許法も昭和二十四年に施行されまして、二十七年には切替えを了しまして、施行方法の規定は非常に複雑でございますけれども、大体教育の現場におきましては切替を了しているような状態でございます。で、なぜこういうものが必要かという点につきましては、やはり教育の内容を向上させ、或いは内容を確保する意味におきまして、大切な教育に従事する人でありますので、まあそこに一定の資格を要求する、その資格を要求する基準を法律でもつてきめるということは、教育の充実という点から見ればやはり必要ではないか……。
#27
○相馬助治君 昔ならば師範学校を出れば小学校免許状というものは無試験でもらえる、一級も二級もなしに、そうしてその人たちが年限を勤めると校長になる道も開かれる、今度特に校長になる場合には校長の試験を受けなければならない。校長の試験を受けるためには一級の免許状を取らなければならない。そういう仕組になつて、何んでも試験々々でやつて行く。即ちこの試験々々を課して行く間にいわゆる職階制のようなものがずつとできて行つて、その間にいろんな情実が生じ、そうしていわゆる中央官庁の好むような人のみをそういう形で作つて行こうというような、そういう傾向が現われて来るだろうと思いますが、どうですか。
#28
○政府委員(稻田清助君) この新らしい制度におきましても、教員養成学部四年を出ますればそのまま一級免許状を得られるわけです。そのかたがこの規定にありますように、一定の在職年数を経まして、それから校長になるには又単位が必要でございますけれども、そうした基本は同じような状態だと思います。それから上級の免許状を取得いたしまする検定について、まあ只今そこにかなり、何んと言いますか、中央政府或いはその他の好むようなかたをそこに押付けるのじやないかという御懸念があつたようでございますが、この法律の構成は、要するに再教育その他すべて、これは大学の教育を基本といたしております、大学が与えました単位、大学の証明に基きまして授与権者であります都道府県教育委員会が免許状を与えるわけでありますから、行政庁である教育委員会が勝手な判断において与えるのではなくて、教育の自由、研究の自由を与えられておりまする大学が証明いたす、大学の与える単位ということが基礎になつておりますから、御懸念のような色彩は着いて来ないものだろうと思います。
#29
○須藤五郎君 この免許状に関しましていろいろ面白くない話があるわけなんですが、或るところでは免許状に関して有利にそれを解決するために女教員が校長から貞操の要求をされたというような話までも出ておるわけなんですが、単なる貞操の問題だけじやなくて、金銭の問題もまとつて来ると思うのですが、単に免許状の問題ばかりでなく、そういうふうな面白くないようなことがたくさん現われて来るような結果を来しておるのじやないですか。
#30
○委員長(川村松助君) 速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#31
○委員長(川村松助君) 速記をつけて。
#32
○政府委員(稻田清助君) そういうお話のような不祥なことは私ども耳にいたしておりません。ただその免許法が制定せられました最初の案におきましては、認定講習を受けて免許状を切替えます期間が非常に短かかつたために、最初は相当いろいろ混乱があつたようでございます。その後国会において免許法を改正して頂きまして、認定講習受講期間を十年に延伸いたしまして、もうすでに五年を経過いたしました、成績としては六五%も、もうすでに実績を上げております。今日におきましてはそういうわけでありますから、受講者も非常にあせつて受講しなければならんというような状況もございませんし、又受講せしめる学校、又は認定講習の当事者である都道府県教育委員会も大変この聞馴れて参りました。併し私どもといたしましては、更にいろいろな条件にありまする教員のかたの切替を便宜ならしめる意図を持ちまして、今御審議頂いております改正案におきましても、新らしく教員試験を受けまして、単位を習得することによつて、認定講習或いは通信教育と並んで単位取得の道を容易ならしめるというような道を開いた次第でございます。お話のような混乱は今日及び今後におきましてはなくなることだと考えます。
#33
○須藤五郎君 あなたのお話を聞いていると、なんら不都合がないようなことなんですが、私はこの免許法そのものに知識を持たないために余り突込んだ質問はできないのでありますが、今申されたこの一部改正は、前の検定の復活のような感じを私も受けるのでありますが、その免許制度の観念です一、たくさんの学校の先生たちが非常な迷惑をし、そして非常に神経を使い、そしてこの免許法そのものを歓迎していないということを聞くのでありますが、何んのために、日本の先生たちは免許法というものを歓迎していないのかどうですか。
#34
○政府委員(稻田清助君) それは恐らく一番最初が、この認定講習或いは現職教育を受けまして、免許状を切替える、その期間が最初は三年でありましたから、非常に短こうございました、そういうわけでありまするので、単に夏休ばかりでなく、夏休も一ぱい受講しなければならん、或いは不断授業のありますときに、早く授業を早じまいにして、講習を受けなければならんというように急いだ向きもあります。計画としてはそう急がなくてもいいのですが、当時の心理状況として教員のかたも非常にお急ぎになつた都道府県教育委員会も、従つてまあ非常に早く受講せしめるような措置をおやりになつた。これが身体的にも精神的にも非常に苦痛であり、又講義をするほうの側においてもいろいろ慣れなかつた、その辺におきましてはいろいろ非難もあり、御苦労もあつたと思います。それを先ほど申しましたように、これを十年という大巾に期限を延長いたしまして、その他いろいろ最初なかつた受講に関しまする国庫補助というようなものも設けましたし、いろいろ措置して参りましたので、当初いろいろ非難されましたような状況と今日とは非常に違うのじやないか、こういうふうに申上げたわけであります。
#35
○委員長(川村松助君) ほかに御質疑ありませんか。
#36
○相馬助治君 只今須藤委員からも指摘されたように、確かに免許法は全く教職員にとつては当時迷惑な、認定講習というものが校長の立場からしますと、学校の経営を殆んど不可能ならしめるような困難があつたことは政府委員も認めているところであり、成るほど単位取得のための年限が延長されておりますが一これに対してはなかなか問題を残しておると思うので、この免許法についてはこの一部改正に止まらず、抜本的に考究する必要があるのではないか、という声もあることは御承知の通り、それらについてどういうふうにお考えになつているかということが質問の第一点。
 第二点は私は検定制度というものについては長短共にあるものであると、こういうふうに認めておりますが、今年度の予算によりますと、検定のための費目が設けられて僅かでありまするが、金額が計上されております。それで将来この昔のような検定制度を実現するのかどうか。まあ私自身のことを申上げて恐縮ですが、私は尋常科準教員から検定を取りまして、そういう研究を逐次やつて来て中等教員の検定試験、高等教員の検定試験とやつて参つて、検定制度について多くの疑問は持ちましたけれども、学資のない当時の人々で、この検定制度があるということが非常に大きな光であつたことも事実なんです。これは将来免許法と並んで、何かこう系統的な検定の制度、学資なきものの登竜門と言いますか、そういうようなものを文部当局は考えておるかどうか、差当り元の文検と言われるのもの、これの復活等を考えておるかどうかこれらを。
#37
○政府委員(稻田清助君) 前段は根本的に免許法を改正する用意があるかというお尋ねでございますが、これにつきましては、まあ終戦後出発いたしましたあらゆる教育制度につきまして、それぞれの部面において、常に再検討を加えつつあるという一部といたしまして、養成或いは免許制度につきましても教育養成審議会という文部大臣の諮問機関を設けまして、現職の教育者或いは学識経験者その他のかたをもつて、委員といたしまして、先年来研究いたしております、この委員会におきましても、まあいろいろ御検討になりました結果が今回の改正案になつて参つたわけでございますが、更に根本的に検討するという点につきましては、今委員会の御審議の傾向としては折角今高等学校以下の教育につきまして、教育課程審議会におきまして御検討中でありますから、その御検討の結論を見まして、教員免許状或いは養成制度につきましても根本的な検討を加えよう、それらの成行きを今見守つておるというような状況でございます。本法の簡易化につきましても、勿論我々といたしましても、できればもつと簡素にいたしたいのであります。ただその一級、二級、仮、臨時というような級別にいたしまして、現在のところ教員養成が四年を本体としながら、二年課程にも相当依存しなければならんという状況から見れば、やはり当分の間この二級という級も必要じやないか、或いは又助教が非常に多い、殊に僻地あたりにおいては一年養成ということも奨励的に考えなければならんというような状況から見れば、仮というのも当分存置しなければならんじやないか。こういう経過的な問題もございまして、根本的に今直ちに全面的に改正するという結論は得ておりません。併し今申しましたように教育課程審議会で高等学校以下の教育内容が変つて参りますれば、それを機会にできるだけ従来各方面にありました御論議を参考として改正を考えて行きたいというつもりでございます。
 それから第二点の、昔ありました検定制度、あれを復活する意図があるかどうか。この点もやはり教員養成審議会で論議せられたのでございますけれども、その結果といたしましては、全然教職にないかたに対して、検定試験という一片の試験を以つて免状を与えるということは、まだ適当じやないのじやないか、やはり建前は学校教育、大学教育を養成の根本とし、それから再教育も大学教育を根本とする、この範囲において認定講習、通信教育以外に大学に依嘱して行なう試験によつて単位を修得させる、その道を開こうというのが今日の考えでございます。それ以上のことはまだ我々としてもまた養成審議会としても考えていないのでございます。
#38
○相馬助治君 全然この教育に関係のなかつたものから一片の試験を以つて免許状を与えるということは暴挙であるということは、一応基本的な理窟としてわかります。私が最後に昔の言う文検を復活しないかという理由は、いわゆる小中学校の訓導としての資格を持つて小学校本科正教員の免許状を持つていたものが、学科別に文部省の検定試験に応じて、上級の免許状を取得する道が開かれていたわけで、そのことは単なる一片の試験を以つて免許状を与えるということではない、こういうふうに私は考えるので、文検を復活する意思があるかということを最後に特に附加えてお聞きしたのです。
 それからもう一つ、これはついでに聞きますが、伝えられるところによると、地理教育、歴史教育というようなものを一課目として取上げて、いわゆる大達文相の下における新たなる文教政策として復活させるやに聞いておるのですが、若し仮にそういう事態になつた場合には、現行法で言う社会科という免許状でこれらを総括して教えるということに一体矛盾を感じないのかどうか、それらを見合わせて、すでに何か文部省は研究をしているのかどうか、これらについて、これはちよつと稻田局長の直接の担当の面を出ていて、むしろ田中局長にでも尋ねるものであると思うけれども、該博な知識を持ち、特に文部省の頭脳と言われる稲田さんにこのことをお尋ねしておきます。
#39
○政府委員(稻田清助君) 前段の問題につきましては非常に似ているのでございます。現職の教員が新らしく開かれた検定を受けて、そうして上級の免許状獲得の道に進んで行く、この点は似ております。ただ違いますことは今度の新らしいのはやはり試験をいたしますのが大学であるわけでございます。大学に依嘱して試験をやつて頂きます。この前のは文部省直接或いは都道府県知事が行なつておつた、その行政官庁がやるのと、大学がやる、飽くまでも大学の単位として昔の成績佳良証を段々積んで行つて免許状となるというああいう道に似ている点を御了承頂きたい。それから後段の点はまだ教育課程審議会の結論が出てないようであります。仮りに地理歴史というような細かい領域の教課が入つて参つたといたしますれば、勿論社会科というものは分裂いたしまして、地理だけの先生、歴史だけの先生というものを考えなければならないのが免許法の考え方だと思います。
#40
○相馬助治君 それについて議論がありますが、これは質疑の段階ですから、私の質疑はこれをもつて終ります。
#41
○委員長(川村松助君) ほかに御質疑ありませんか。
#42
○長谷部ひろ君 局長のお言葉の中によく教育職員養成審議会というものが出たのですが、それを一度説明して頂きたいと思います。
#43
○政府委員(稻田清助君) 教育職員養成審議会は文部省設置法の規定に基きます文部大臣の諮問機関でございまして、教員の養成の問題及び教員の免許状の問題について全般的に御審議願う文部大臣の諮問機関でございます。委員といたされましては二十六人の委員のかたがおられます。これは高等学校以下幼稚園までの現職の先生のかた、それから国公私立大学の教授のかた、その他一般学識経験者というような学校教育と直接の御関係のない向きのかた、或いは国立の教育研究所長というようなかたがたを以つて構成しておられます。それで今までいろいろ御審議願いまして、今回御審議願つております改正法案の諸点につきましても、この委員会の御答申の線に沿つて提出しているような次第であります。この委員会はなお今後ずつと継続して御審議願うことになつておるわけです。
#44
○委員長(川村松助君) ほかに御質疑ありませんか。
#45
○安部キミ子君 先ほど大連文部大臣に、地理歴史教育についての何か答申でも出ているのでしようか。
#46
○政府委員(稻田清助君) 先ほどの文部大臣の地理歴史その他については初等中等教育関係でお願いしております教育課程審議会のほうで審議しております。今申上げておるのは、教育養成審議会でありますから、高等学校以下の教育課程を前提として、どういう先生をどういう方法で養成しようか、免許状をどうさせようかということを検討しております。現在は現在まできまつておりまする学習指導要領を根本にして御研究願つておりますが、若し教育課程審議会で根本的に高等学校以下の教育内容が変つて来ますれば、その変つたものを目標といたしまして、この教員養成審議会では御研究願うことだと思います。まだその前提がきまつて参りませんので、その問題には入つておりません。
#47
○安部キミ子君 若し答申されまして、どういう答申が出るか、それはわかりませんが、それについて反対の意見が出ましたとき、文部大臣の趣旨に反対の意見が出ましたときに、文部大臣はそれを押切つて歴史地理教育を強行しようという御意思がおありでしようかどうか。それはまあ大臣に聞かなければわかりませんが。
#48
○政府委員(稻田清助君) それは今お言葉におりますように、これは大臣の考えでございますけれども、一般的に諮問委員会の性質から類推いたしますならば、折角学識経験者、又現場の御経験のかたがたを網羅しての委員会でございますから、その御意見というものは十分専門家の御意見、学識経験者の御意見として行政庁にあるものとしては、十分尊重して参るべきものだと考えております。又飽くまでもこれは諮問委員会でありますから、行政の責任を待つておりまする責任大臣の権限まで拘束するものでない、どこまでも終局の意思決定とその実施の責任は大臣自身にあるのだと思います。
#49
○委員長(川村松助君) ほかに御質疑ありませんか、なければ本日はこの程度で散会したいと思いますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#50
○委員長(川村松助君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十九分散会
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ソース: 国立国会図書館
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